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1951/03/15 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 労働委員会 第8号
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1951/03/15 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 労働委員会 第8号

#1
第013回国会 労働委員会 第8号
昭和二十七年三月十五日(土曜日)
    午前十一時三十九分開議
 出席委員
   委員長 島田 末信君
   理事 倉石 忠雄君 理事 福永 健司君
   理事 船越  弘君 理事 前田 種男君
      天野 公義君    金原 舜二君
      内藤  隆君    三浦寅之助君
      柳澤 義男君    山村新治郎君
      稻葉  修君    今野 武雄君
 出席政府委員
        労働政務次官  溝口 三郎君
        労働事務官
        (職業安定局
        長)      齋藤 邦吉君
 委員外の出席者
        専  門  員 横大路俊一君
        専  門  員 濱口金一郎君
三月十五日
 委員柄澤登志子君辞任につき、その補欠として
 今野武雄君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 失業保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第六八号)
    ―――――――――――――
#2
○島田委員長 これより会議を開きます。
 失業保険法の一部を改正する法律案を議題とし、前日に引続き質疑に入ります。今野武雄君。
#3
○今野委員 この保険料率の引下げということでございまするが、まず第一にその前提として、労働者の気持あるいは失業者の気持としては、失業保険という現在の制度や何かに対してどうも十分でない。たとえば日雇い労働者などは、失業保険料を毎日六円ずつとられていながら、拂つてもらえる機会ほ少い。それから普通にあぶれたのでほ拂つてもらえない。長期にあぶれなければ拂つてもらえない。それからそり拂つてもらう額も、幾らか賃金が上りているにもかかわらず、今まで通りだとか、その他臨時工の方面からも、いろいろな面から苦情が出ているわけです。現在金が余つているといいますけれども、その余つているというのは、百十二億ですか余つている。どうしてそういうような剰余金がどこの部分から出て来ているのか、その点についてまずお伺いいたしたいと思います。
#4
○齋藤(邦)政府委員 保険積立金が百十二億になつておりますのは、今日まで徴収いたしました保険料が、保険給付に比較いたしまして割合に多く徴収をしておつたということでありますので、それを最近の失業保険事業の現況かんがみまして、保険料率を今回二割下げよう、こういうことでございます。
#5
○今野委員 これは小学生でもわかる間単なことなんですが、そうするとその場合、私が聞いているのは、つまり徴収が多いということか、あるいはその拂いが少いかという問題なんです。そういう問題についていろいろ苦情があるわけですけれども、そういう点についてちやんとしているのかどうか。たとえば日雇い労働者の場合など、どのくらいとつて、どのくらい拂つているのか。そういう点を明瞭にしてもらいたいと思うのです。
#6
○齋藤(邦)政府委員 先ほども申し上げましたように、積立金が百十二億になつたということは、保険料の徴収が多かつたからであります。先ほど来のお尋ねによりますと、大分日雇いのことをおつしやつておられますが、日雇い失業保険と一般失業保険とは別勘定でございまして、今回の改正をいたそうといたしますのは、一般失業保険でありまして、一般失業保険の保険料率を二割下げようというのでありまして、日雇い失業保険には手をつけていないわけでございます。
#7
○今野委員 私が日雇いのことを例として出しましたのを、問題が違うというお話ですが、たとえば臨時工の場合、これは一般の中に入ると思います。ところが臨時工が二月でもつて首になる。首になつたあとはやつばり職安でもつて手帳を渡されて、結局就業者として失業保険をもらえぬというようなことになるわけです。そうすると、二箇月間何のために失業保険料を拂つているのかわからなくなるわけなんです。そういう合法的な支拂いのサボがあるんじやないか、こういうふうに思われるので、そういう点をもお伺いしたいと思います。
#8
○齋藤(邦)政府委員 御承知のように失業保険法は、六箇月間被保険者であつたものについて一般失業保険を支給するのでありまして、被保険者の期間か二箇月きりなかつたというものにつきましては、保険金を支給することはできないわけでございます。
#9
○前田(種)委員 ちよつと関連して……、さつき局長が保険料金の徴収か多過ぎたから余つたという答弁をされましたが、これは速記録の上から行つても相当誤解を生むと思うのです。決して保険料金の徴収が多過ぎたから下げるというのではなくて、失業保険法ができた当時は相当失業者があつたのです。それが朝鮮動乱以来、日本の経済状態のもとにおいて失業者が割合に少くなつた。それで失業保険金を出す額が減つて来たので、百十二億という金が残つたというように私たちは認識しておるのであつて、もし失業者が相当出て参りますと、百十二億の金はすぐ出してしまわねばならぬというような状態にならぬとも限りませんので、これは料金が高過ぎたから残つたりではなくして、失業者が予定よりも少かつたというように私たちは了解しておるのですが、先ほどの局長の答弁り点をもう少し明確にしておいていたたきたいと考えます。
#10
○齋藤(邦)政府委員 私の先ほどの発高言多少不備な点があつたのでありますが、御承知のように保険経済でありますから、ある程度の危険率を見て保険料率をきめておるわけでございます。その予想いたしました保険料率に満たすまでの失業者が出なかつたという意味において、積立金百十二億がた欧つたものだということでありまして、前田委員のおつしやられた通りと存じております。
#11
○今野委員 私のさつきの質問を継続いたしますが、臨時工は二箇月契約だから給付を受けない。それではなぜそういう者から失業保険料をとるのかという問題です。そうすれば、やつぱりその分だけ多過ぎることになるわけです。
#12
○齋藤(邦)政府委員 臨時工でありましても、日雇い失業保険の適用を受けるものでありますならば、それは日雇い失業保険の適用を受ける、こういうわけであります。ただ一般の失業保険ということになりますと、六箇月間の被保険者期間ということが必要であるということでありますので、一般失業保険の保険金は支給できない、こういうことになるわけでございます。
#13
○今野委員 そうすると臨時工は、あなたのおつしやるところによると、日雇いの場合の失業保険料しかとられてない、こうおつしやるのですか。これは私の知つている事実からすれば、全然違うように思うのですけれども。
#14
○齋藤(邦)政府委員 御承知のように日雇い失業保険の臨時工のうちにもいろいろあると思いますが、日雇い失業保険の適用を受けますものは、大体三本日以内の期間を定められるもの、これが日雇い失業保険になる。それから今お尋ねのような二箇月といつたふうな期間を定めて雇用されるものは、一般失業保険の適用を受ける、こういうわけでございます。今お尋ねのような二箇月の期間をきめた臨時工が、二箇月でやめたというときには、これは一般の失業保険の受給賞格がつかないわけでありまして、被保険者であることにはかわりはないが、受給資格がつかない、こういうことであります。二箇月で首切られたならば、一般失業保険の保険金はもらえない、それなのになぜ保険料を納めるのか、こういうお尋ねでありますが、これは御承知のように社会連帶の建前上、全部が保険料を出し合つてやる制度でありますので、その点はやむを得ないものだ、かように存じております。
#15
○今野委員 ただいまの答弁によると、それはやむを得ないと言いますけれども、二箇月で首切られるというのは、ずいぶん不幸な人です、それから二期勤めて、四箇月ということでやめさせられても、これもまた不幸なことです。そういうような例は最近非常に多くなつているというふうにわれわれ聞いているのです。そうするといわばそういう犠牲者、不幸な者の負担においてやるということが社会連帯かということになれば、これは社会連帶ということの通念に逆行するものだとわれわれは考えるわけです。その点については、政府ではやはりそれでよろしいと考えているのかどうか、その点もはつきり確かめたいと思います。
#16
○齋藤(邦)政府委員 私は現在の失業保險法の建前上、そうなつているということを申し上げているのでありまして、二箇月でやめさせられるということの気の毒な点は、私も気の毒と思います。しかし私が今申しました社会連帶と申しますのは、全然首切られない人でも保険料を納めるということで、お互いの労働者が出し合うのだ、こういう意味において私は社会連帶ということを申し上げました。失業保険というものは、御承知のように労使お互いに協力し合つてやつて行く制度だ、こういう点でございまま。
#17
○今野委員 そうすると今の点で明らかになつたことは、結局私どもとしても、それは首切られないで、ずつと継続して仕事をしておる者が拂うということについては――それも根本的には実は反対なんですけれども、しかしながらある程度がまんできる。しかし臨時工として二箇月でやめさせられる者、あるいは四箇月でやめさせられる者、そういう者から保険料を徴収しておいて、そして実際には拂つていないとすれば、そういう気の毒な人にこそ拂うように改正するのが、あたりまえじやないかと思います。それをただ料率を引下げるということだけであつて、法律の上ではそうなつていないけれども、社会正義の上からいえば、当然拂つてしかるべきだ。そういう人に拂わないでおいて、こういうような改正をしようというのは、やはり見当違いじやないか、こういうように思うわけなんですが、その点労働省では全然お考えにならなかつたのかどうか、ちよつとお伺いしたいのです。
#18
○齋藤(邦)政府委員 失業保険経済におきましては、御承知のようにどの社会保険でも、大体一定のそういう資格要件というものをきめておるのでありまして、私どもといたしましては、大体被保険者期間六箇月ということが、形としては適当じやないだろうか、こういうふうに考えておるものでございます。保険料率の引下げの問題は、これとは全然別個の問題でありまして、現在の制度のままにおいて、保険積立金が百十二億にもなりましたので、現状に合わすようにこれをある程度軽減しようということでありまして、ただいまお尋ねの被保険者資格の問題とは、別個の問題と考えております。
#19
○今野委員 別個と言つても、同じ法律なんですから、この臨時工の問題については、政府でもつて考慮する意思があるのかどうか。そうしてそれに対して二箇月という期間をきめられるのですから、大体現実には二箇月しか雇わないぞ、そのあとは知らぬぞということでもつてやられるのですから、これはもう労働組合法とかいろいろな労働関係法規や何かの点から見ても、われわれはそういう契約自身が問題だと思つているのであります。しかし現実にそういう契約が行われており、非常に気の毒な立場にあるわけです。そういう者に対して、失業保険の支拂いについての資格の問題の除外例を設けるなり何なりして、かえる意思があるかどうか、その点をまずお伺いしたい。
#20
○齋藤(邦)政府委員 ただいまお尋ねの二箇月で切れる者の問題でございますが、私どもといたしましては、必要があれば十分改正を考慮いたしますけれども、御承知のように二箇月でありましても、その者がやはりまた他に就職いたしましたときには、その被保険者資格というものが続いて行もわけでありますので、お話の点は十分研究はいたしますけれども、現在のところでは改正をすることは困難かと存じておる次第であります。
#21
○今野委員 そうすると困難だということは、そういう意思はないというふうに拝聴してよろしいのですか。
#22
○齋藤(邦)政府委員 現在改正法律案には、それを提案いたしていないわけでございます。
#23
○今野委員 いたしていないということは明瞭なんですけれども、そういう意思があるかないかということを私は聞いているのです。
#24
○齋藤(邦)政府委員 十分考究はいたしたいと思つております。
#25
○今野委員 今たまたま臨時工の問題が出たのでありますが、しかし失業者の問題というのは、今前田さんの話ですと、少くなつているということですが、これは御承知のように政府で失業者の算定方法について、ずつとかえて来ておるわけです。失業者の算定方法について、二度も三度もやり方をかえて少くなつているが、事実上の失業者はたくさんあるわけです。たとえば税金が抑えないために、店が破産してどうにもならぬ、そういうおやじさんでもやはりこれは失業者なんです。それから農村に参りますれば、今東北では、娘はいわゆる東京の赤線区域などに売りに出す。それからむすこは、次男、三男は耕す土地もないし、勤める先もない。それでいたし方なく借金奴隷のような状態で、人に前借でもつて雇われて行くというような事態さえ起つておるわけであります。こういうようなことは、非常に大きな社会問題であるばかりなかなか、われわれとしてはもつと大きな危険を感ずるのです。というのは、どういう点かと申しますれば、たとえば昨年の定員法で首を切るという問題があつたときに、電通省あるいは建設省その他においては、警察予備隊に行けばいいじやないか、そつちへ行くなら世話をする、こういうような勧誘があつたというふうに、その当事者から聞いております。そういたしますと、つまりこういうようにどんどん失業者を困難な状態に置いておくことが、やはり安い労働力を獲得する、あるいはまた再軍備ということの一つの伏線である、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。そういう点からみれば、この問題は非常に重大だと思う。政府として失業保険をうんと支拂う義務がありながら、そうでたらめに失業者をたくさんつくり出すことはできないわけでありますから、失業保険を支拂う範囲を限つておいて、できるだけこれを擴大しないようにしておいて、そうしてまたこういう料率を減らすということによつて、失業保険全体の規模を小さくして行くというようなことが、伏線として考えられるならば、これは非常に重大な問題だと思うのです。それで私は政府として、失業対策全般について、やはりここでもつて明らかにしてもらわないと、これに対する賛否ということについてははつきりできないわけですが、ひとつ政府として失業問題についての考えを、はつきりここで述べてもらいたいと思います。
#26
○溝口政府委員 失業問題につきましては、政府といたしましては、労働者の完全就業ということが理想であるのであります。そのために職業安定局では、求人開拓もするし、職業の補導もやつて、できるだけ多くに就業の機会を與えるようにいたしておるのであります。そのことにつきましては、公共事業等につきましても、できるだけ労務者を入れ、それでも足りないような場合は、失業対策事業をやつて行く。そうしてどうしてもいけないというような場合には、失業保険というところで食いとめて行くのだというような段階で、現在やつておるのであります。失業者をできるだけ少くするということを、政府の根本方針といたしておるのでございます。
#27
○今野委員 失業者をできるだけ少くするということが、政府の根本方針である、そういうふうに今承つたのでありますが、しかしいろいろ場合、たとえば造船業などの場合を一つ例にとつてみますと、この場合には、中国や何かから鉄鋼の原料などが入つて来ない。そのために鉄鋼のコストが高い。そうすると、その負担が結局労働者にかけられる。そうして非常に大きな首切りができて来ておるわけです。たとえば横浜のドックなどでは、八千人の中から二千人を首切るというような、非常にドラスティックな首切りが出て来る。これは各造船所でもそうであります。そうするとこういう経済政策そのものは、やはり政府の政策だと思います。そういうことはやはり失業者を大量に生み出す政策をとつておるとわれわれは見ざるを得ないわけですそうしておいて職業安定所や何かで、就労云々と言われますけれども、これはごくわずかの数である。しかも公共事業の内容を見ましても、このごろでは大びらに出ているように、東京と立川あるいは厚木、そういうところの基地をつなぐような軍事的性格を持つたものが非常に多い。あるいは就労をしている労働者といいましても、旧相模工廠、今の小松製作所、その他あるいはYED、あるいは横須貿の富士モーター、そういうような直接の軍工場になつておるようなところが、どんどんふえて来ている。こうしてみると、つまりそういうふうに失業者を救済するという名目は立つようだけれども、それは結局失業者をつくつて、そうしてそういう軍関係の労働者を低賃金で雇いやすくする、こういうような政策であるとしかわれわれには見えないわけです。そういうような政策をわれわれは意識的にとつているのだと実は考えているのですが、政府はそうでないという証拠があげられるかどうか、その点はつきりお答え願いたいと思います。
#28
○溝口政府委員 ただいま失業が大分ふえて行くのじやないかというようなお話を承つたのでございますが、私どもといたしましては、将来におきましても失業は、多少毎月において上下することはあると思つておりますが、二十七年度等においても大勢は大体本年の下半期と同じような程度で行くのじやないかと考えているのでございます。本年、二十六年度の下半期におきましては、大体三十二、三万程度に減少して来たのでございます。ただいま、一月ごろにおいては四十四、五万ぐらいに停滞しているのではないかと思うのでございますが、将来におきましても、政府におきましては生産の方もできるだけ上げて行ごうというようなことで、二十六年度におきます生産指数のの一三八というのも五、六パーセント上げて、一四八ぐらいにして行きたい。そうして雇用の方も大体現在と同じ程度に行くのじやないかというように推測いたしているのでございます。失業も大体本年と同じ程度ぐらいにおちついて行くのじやないかと考えているのでございます。
#29
○今野委員 結局私の問に対する答えにはならなかつたわけです。というのは、私はその雇用の質を問うておるのです。普通の雇用から軍事的な雇用に切りかえられている、そういう点を問題にしているわけです。その点は政府ではつまり明答がないものと私は考えざるを得ないのです。なお吉武さんが出て、そしてその点について明答を與えられれば幸いだと思います。
 それから次に、そういうお見込みだそうですが、現在すでに紡績などは四割も操短しているわけです。ここにおいても大量の首切り、失業という問題が出て来るわけです。その紡績の問題などについては、政府としてはどういう対策を具体的に立てているか、その点を伺いたい。これはうつちやつておけばみなパンパンになつてしまう。
#30
○溝口政府委員 先ほど私が申し上げましたが、大体生産指数は本年度よりも幾らか上つて行くのだということを申し上げたのでございますが、低賃金で軍事的な施設の方べ切りかえて行くのだというようなことは、私どもは考えていないのでございます。特需の問題で、今後におきましてそういう方面で新しく出て来る場合もあるかもしれませんが、全体の産業といたしまして、漸次生産を増加して行きたいと考えているのでございます。なお紡績の操短の問題につきましては、これは新聞等におきましてもよく出ておりまして、四割の操短を三箇月するのだというように、通産省の勧告を受けてやつているようでございます。業者におきましても、これはできるだけ失業を食いとめようというので、有給で帰郷させるのもあり、交代制でやつて行くようにして、失業の方はこれはできるだけさせないということで努力しておるのであります。労働省におきましてもこれと協力いたしまして、失業者を大量に出すということはいたさないようにいたしたいと考えております。
#31
○今野委員 ただいまのお答えではまだ十分ではありませんので、私さらにその点について質問したいと思いますけれども、時間のこともあるようでありますから、もし委員長において次に続行することを許されるならば、ここで中止して後に続行したいと思います。
#32
○島田委員長 質疑も多少残つておるようでありますから、次会に続行することにしましよう。
 それでは本日はこの程度で散会し、次会は追つて公報をもつてお知らせいたします。
    午後零時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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