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1951/06/30 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 労働委員会 第26号
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1951/06/30 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 労働委員会 第26号

#1
第013回国会 労働委員会 第26号
昭和二十七年六月三十日(月曜日)
    午後零時六分開議
 出席委員
   委員長 島田 末信君
   理事 船越  弘君 理事 森山 欽司君
      天野 公義君    金原 舜二君
      篠田 弘作君    三浦寅之助君
      柳澤 義男君    山村新治郎君
      熊本 虎三君    柄澤登志子君
      青野 武一君    中原 健次君
 出席政府委員
        労働事務官
        (労政局長)  賀來才二郎君
 委員外の出席者
        專  門  員 横大路俊一君
        專  門  員 濱口金一郎君
        参議院労働委員
        会專門員    磯部  巖君
    ―――――――――――――
六月二十七日
 委員上林與市郎君辞任につき、その補欠として
 青野武一君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 小委員の補欠選任
 労働金庫法案(参議院提出、参法第六号)
 労資関係に関する件
    ―――――――――――――
#2
○島田委員長 ただいまより会議を開きます。
 日程に入ります前にお諮りいたしますが、委員青野武一君は去る五月二十八日一旦委員を辞任されておりますので、ただいま珪肺病対策小委員会におきまして、小委員が一名欠員となつております。この際小委員の補欠選任を行わねばなりませんが、これは前例によりまして委員長より御指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○島田委員長 御異議なしと認めます。それでは珪肺病対策小委員には青野武一君を再び御指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○島田委員長 次に珪肺病対策小委員会の審査経過につきまして、小委員長の船越弘君より中間報告の発言を求められておりますので、これを許します。船越弘君。
#5
○船越委員 珪肺病対策小委員会における調査の経過について一応御報告いたします。
 全日本金属鉱山労働組合連合会では、かねてより珪肺病に対し、特別な措置を講ずるよう関係方面に陳情いたしておりましたが、当委員会におきましても本年二月一日、珪肺病に関し、調査をするため小委員会を設けることとなり、小委員とし、金原舜二君、柳澤義男君、森山欽司君、熊本虎三君、青野武一君、中原健次君及び私が委員長より指名されましたことは御承知の通りでございます。
 小委員会は二月六日に会議を開き、調査の方針について打合せを行い、二月十五日、二十日、二十二日の三日間にわたり、参考人として労使の代表八名を招き、実情及び意見を聴取し、また医学、採鉱学の権威者三名よりも意見を聽取するとともに、二月十一日及び十二日の両日にわたり、栃木県藤原町にあります労働省立の珪肺病療養所の実情を調査し、その際入院患者にも会つて種々事情を聴取しました。さらに四月十五日、十六日及び六月十六日、二十七日に会議を開き、労働省並びに資源庁の関係官から予防、治療、補償等について詳細な資料の提出を受けるとともに、意見並びに実情を聞き、愼重に研究して参つたのであります。
 この調査の過程におきまして、関係者から述べられました意見の概要は、次の通りであります。
 まず労働者代表は、珪酸粉塵の飛散する坑内や鋳物工場等で労働に従事する者は、おそかれ早かれ心ずこの病気にかかり、完全に治療することなく、きわめて悲惨な状態に置かれるのであるから、特別立法を望むということであります。すなわちその内容としては、防塵措置を完全にするとともに、健康診断を厳格に実施し、現在の三年の療養期間を五年に延長し、また休業補償費等の計算の基礎となる賃金は、同種の労働者の賃金について増額が行われたときは、それに応じて増額すること、その他療養所設置の問題等であります。
 使用者側は、補償問題の解決にはなおいろいろな問題があり、またその費用は経営を危くしない程度のものでなくてはならないこと、さらに珪肺のみでなく、他にも長期療養を必要とする業務上の傷病患者がいるので、これらとの均衡も考えねばならぬことなどを述べています。
 次に医学的方面からの意見によりますと、常時珪酸粉塵を吸い込む労働者は、程度の差はありますが、肺臓に結節を生じ、しかも現在それに対しては治療方法はなく、またこの病気は多くの場合肺結核を伴うので、これがため治療は困難であることなどが述べられました。
 次に資源庁は、この病気の予防のために、最近鉱山においては鑿岩機の灘式化、作業前の散水、発破時刻の調整などの措置及びこれに伴うタンク、給水管の設置などを着々進め、ここ三年内に鉱山における鑿岩作業の完全濕式化を確約するに至りました。すなわち現行の鉱山保安に関する規則を近々改正することと相まつて、ここ二、三年後には著しく予防の実効が上るであろうと述べております。なお鉱山保安協議会に労働基準局長を入れ、珪肺対策に関する通産、労働両省間の調整をはかるとともに、鉱山保安委員制度の現状にかんがみ、これを十分に活用し得るごとき措置をとるとの言明もあつたのであります。
 最後に労働省は、補償の問題については、他の職業病や長期の療養を必要とする負傷との関係もあるので、珪肺病のみについて特別の補償をいたすことは、現在のところ困難である。しかし休業補償ついては、附加給付を考慮することにより、賃金ベースの変更によるスライドを確約し、近く実施すること、またその他の事項についても早急に検討する必要があるので、今国会終了後すみやかに労働基準審議会に諮問する予定であると述べました。なお本年度予算をもつて、金属山以外の事業場であつて珪肺病発生のおそれのあるところでも、巡回検診を拡張して行うことについても具体的準備を進めており、さらに今年内には、秋田県下に珪肺療養所の竣工を見る予定になつて奉ります。また療養所のベッドにあきの生じないようにする対策や、珪肺病研究費の増額等についても目下考究中であります。
 以上、本問題に関する各方面の意見や対策の概要について紹介いたしましたが、本問題はこれらのほか、まだ結核対策との関連その他種々の研究事項を含んでおり、また工場、鉱山等の現場の実情についても、調査を進める必要があると認められますので、当小委員会としましては、今国会閉会後においても、引続き本問題を労働委員会の審査事件とせられんことを希望する次第であります。
    ―――――――――――――
#6
○島田委員長 次に労使関係に関する件を議題といたします。質疑を許します。森山欽司君。
#7
○森山委員 最近全鉱関係の中で、古河等の会社における争議が相当深刻化しております。先般足尾銅山に参りましたところ、ちようど争議のまつ最中であつた。大体今日までストを行うことすでに五回、十日間にわたつておる。栃木県といたしましては敗戦後最大のストライキであります。ちようど陛下が那須の御用邸に来られて、この足尾銅山のスト問題について県知事に御下問があるというような異例の事態もあつた。そうして県民としては、多く組合側に今日好意を寄せておるというような、まことに今までになかつたような状況なのでありまして、これはただに栃木県のみならず、古河鉱連全体の問題であるばかりでなく、さらに古河と並んでなお幾社かが、賃金問題で局面打開に苦しんでおる実情であると思います。最近のこれらの問題について労政局長の現在の事態に対する御報告を求めたいと思います。
#8
○賀來政府委員 御指摘のように金属鉱山全体の争議が、本年の四月の初めから労使間に紛争を起しまして、遂に争議行為と申しますか、ストライキをやるようになりまして、ことに古河におきまして、他の鉱山よりもさらにその関係が非常に調整のむずかしい状態になりまして、四月以降今日までに、十日間にわたるストライキを実施するに至つたという事情は承知いたしておるのでありまして、森山委員の御指摘の通りでございます。これに対しまして労働省といたしましては、かねてからこの金属鉱山の労働者の給与の向上の問題につきましては、注視をいたしておつたところでありますが、今度四月の給与改訂に関連いたしましては、鉱山の経営状態ということからも考えまして、さらに金属鉱山の組合の給与の状態が、現在どうあるかということをあわせ考えますると、この解決はなかなか至難であろうという見通しを持つておつたのであります。ところがやはりわれわれの見通しのように、非常に解決が至難な状況が見られるようになりましたので、労働省といたしましては労使双方に対しまして、第三者のあつせんなり、調停を受けたらどうか、特に中労委のあつせんを頼んでみたらどうかという勧告をいたしますとともに、中労委に対しましても、この問題についてはしかるべく御盡力を願いたいという連絡をいたしておつたのであります。と申しますのは、先ほど申しましたように、組合側は要求のベースは、現行九千円前後から一万三、四千円前後にベース・アップを要求いたしておるのに対しまして、会社側は現行の給与ベース維持をかたく主張して讓らなかつたからであります。そこで中労委といたしましては状況を見ておりましたが、四月の終りに組合側からの要求と申しますか、あつせんの申請の申出がありましたので、あつせんしようといたしたのでありますが、会社側がこれに応じないわけであります。そこでそのままになつておりましたが、さらに五月になりましてから、会社側がやや動くようになりまして、それに対しまして中労委といたしましては、非公式なあつせんというふうな態度をとりまして、各社別にあつせんをするという方向をたどつて参つたのであります。その結果神岡鉱業、同和鉱業、日本鉱業は大体妥結をいたしまして、神岡鉱業は六月の十二日に仮調印をいたしておるのであります。これは現行ベース一万二千円に対しまして一万二千五百八十六円というのでありますが、同和は現行ベース九千百円に対しまして九千七百円、これは六月の十七日に本調印をいたしております。日鉱は九千円に対しまして九千六百円という回答ベースでこれは六月の十八日に仮調印をいたしておるのであります。これに関連いたしまして、さらに中労委といたしましては、古河の状態が十日にわたりまするストをやりましたにかかわらず、なかなか解決をしない。遂に二十五日からは七十二時間ストに入るというふうな意向がわかりましたので、前日すなわち二十四日の深更に至りまして、中労委は会社側の同意、組合側の同意を得まして、公式なあつせんに入つたのであります。中労委といたしましては、とりあえず会社側の内意を確かめまして、もしあつせん案で適当な額が出るならば、ほとんど仲裁にひとしいというようなつもりで臨んでくれるかというふうな意向も確かめましたが、会社側としてはこのあつせん者に信頼をいたしまして、必ず顔をつぶすようなことはしないというふうなこともありましたので、組合に対しまして、中労委からは、この二十五日からの七十二時間のストライキは延期をするように申入れをいたしたのであります。正式には二十五日の午後にあつせんを申し入れた形でありまするが、その結果中労委が出しましたあつせん案につきまして申しますと、第一点は給与ベースを平均現行八千八百円から六百円アップする。これは坑内外同じ率の同じ金額の賃上げであります。第二点は一時金としては石炭鉱業――古河鉱業は御承知のように石炭と金属鉱山と両方やつておりますので、石炭と同じような一時金を出そう。第三点といたしましては、基準外のつけ方の率についても石炭と調整をして行こう。協定は今後一箇年間にわたる協定というふうな形でやるようなあつせん案を出したのであります。その結果、組合は二十七日に代議委員会できめるということになつておりましたが、土曜日に至りまして、坑内外が同じ金額で上るということについて、現在の坑内外の比率が違つて来るので、これを何とか調整できないかという旨を中労委に申し出たのであります。中労委といたしましては、その点についてはひとつ団体交渉でやるようにというふうな申入れをいたしまして、組合側もその趣旨を了承、本日からこれらの問題のうち、坑内外の比率の調整をどうするかという団体の交渉に入るようになつた、かような報告か聞いておるのであります。労働省といたしましては、先ほど申しましたように、原則といたしまして労使の交渉によらしめたい、しかしながら今度のような金属鉱山の場合のように、非常に両者の主張に開きがあるということになりまして、これをたびたびのストライキをやるにかかわりませず、調整がつかないというときには、やはり第三者のあつせんなり調停を求めるのがいいのじやないか。ことに古河のように十日間もストライキをやりまして、さらに七十二時間やらなければならぬという状況下においては、その必要を認めますので、中労委なりに連絡いたしますとともに、組合及び使用者側に対して、その旨の勧奨をいたすという態度をとつて参つたのであります。その結果がどうなるかはまだ今日のところわかりませんが、おおむね同和あるいは日本鉱業の解決条件に近いものでありまするし、坑内外の比率をどうするかという問題につきましては、使用者と労働組合との間で話が片づくまでと思いますので、この古河鉱業の問題も近く片づくものと、かような見通しを持つておる次第であります。
#9
○森山委員 事情はお伺いいたしましたが、われわれとしては労使間の紛争がすみやかに解決することを希望するものであります。特に先ほど来申し上げましたように、敗戦以来いろいろ労働運動は各地に起つたのでありますが、栃木県の場合などは敗戦以来最大のストライキといういうな異例の問題になつておる。これは古河関係全般だろうと思いますし、また大きく言えば金鉱としてもこれだけの規模のものは今までなかつたのじやないかと思いますので、労働省はひとつ一層この問題の推移に注目されまして、すみやかなる時期に解決されるよう一層の御努力をお願いいたしたいと思います。特に古河の場合は、各社に比べて一番賃金ベースが低いことは御承知の通りであります。それから足尾などの場合でありますと、これは今はやつておる珪肺がもつとも発生しやすいところであるばかりでなく、かつて終戦後に銅鉱の値段が一時非常に落ちたことがあります。補給金が一時はずされるというときに、まさに廃山しなければならぬという関頭に立つたことがある。そのときに労働組合側としては賃金は少くても、何とかしてこの山を維持しようじやないか、しかしながら企業経理が全般的に立ち直つたときは考えてもらいたいというので、今日までやつて参つた。ところが最近は古河の場合は、年間十億以上の利益を上げておる。しかるに利益が上つて来ても賃金ベースというものについては、他社に比してなお低位にあるというようなところに、今回の問題の解決しがたい理由の一つがあるのじやないかと思うのであります。
 それから坑内、坑外の比率の問題でありますが、大体坑内が坑外に対して四割高の賃金になつておるわけです。これは非常に珪肺の発生の多いところなので、従来古河系の各山の中でもつて協定をして、本来自分のところがもらうところの賃金も、珪肺の発生数の多い足尾のためにみなわけてやろうといつてわけて来たわけです。ところが今度は坑内の比率が坑外に比して従来四割高だつたものが、三割八分高程度になつてしまつた。そのしわ寄せが坑内全般に相当強く出て来るわけで、こんなこともやはり問題が解決しない一つの理由である。これは団体交渉によつて解決されるということであつて、私もそれで解決すればけつこうなことであると思いますけれども、ただ他社との比較が先ほど来申し上げましたような事情のために、非常に低位にあるためになかなか今度の解決がむずかしい、これは足尾だけじやなく古河系全般について言えることでありますので、どうかそういう点にも御留意の上、紛争のすみやかな解決に一風の御努力あらんことをお願いする次第であります。
    ―――――――――――――
#10
○島田委員長 次に労働金庫法案、参議院提出、参法第六号を議題として、前回に引続き質疑を続けます。熊本虎三君。
#11
○熊本委員 二、三点御質問を申し上げたいと存じます。大体基本的にはよいと思いますけれども、いろいろこれに関する御意見等もあるようでありますから念のためあらためて関係者の御意見を拝聴しておきたいと存じます。第一には、本法の第六條による認可、許可の問題でございますが、これは従来は地方の自治体の長がこれをやることになつておつたものを、本法によりますれば、労働大臣がこれを許可する、こういうことになつておる。このことが何か許可、認可の制を中央に集約してやるということは、地方事情の関連とにらみ合せて妥当であるかどうか、こういう御意見があるようでございます。その点について、原案において労働大臣の認可制にする、こういうことに相なりましたその理由について御説明を承りたい。
 それからいま一つは、労働金庫の経営、運営につきまして、これが経営健全化のためには、どうしても一つの規制を設けて、濫立を防ぐということがなければ、その経営が困難ではないか、こういうような御心配等が方々で生れるわけでございます。従いましてわれわれといたしましても、大都市のあるような都道府県におきましては、これは別といたしましても、そうでない地方の府県においては、一県一金庫主義というような形をとつて、そうしてこれらについての濫立を防ぐというような必要がありはしないかとの、いろいろの御議論もあるようでございます。従つて本法に上りますると、これについてのそうしたような規制がないようでございまするが、これに対する原案者の御意見を拝聴いたして参おきたい、かように存じます。
 その次に伺いたいことは、事業の実際上の運営を見まして、直接経営者、事業者に貸出しをするという処置はとられておらないかとも考えまするけれども、やむにやまれざる賃金遅配等の関係から、労働金庫においてそういうものについても考慮の上、金融措置がとられている、こういうような事例から申しまして、それならばやはり出資並びに預貯金等についても、事業家の方からもこれに参加せしめて、そうしてこれらの資本的あるいは金融的健全化をはかつたらばどうか、こういうような意見が出ておるようでございます。われわれの考えからいたしますれば、この労働金庫法に基く金融機関というものは、あくまでも労働階級の自主的な組織であつて、そしてその経営の中に事業体の代表者が参加する、経営体の代表者が参加するということは、あまり好ましくないと実は考えてはおりまするけれども、いろいろとそういう面について大所高所から御議論があるようでございます。従いましてこの点に関しまして、立案者はいろいろの角度から御検討せられ、その基本的な立法の精神に基いてなされたことではあろうと存じますが、あらためて念のために、いま一つその点についての御答弁を願えれば幸いだと存じます。
 いま一つお尋ねいたしたいことは、これが団体加盟でありますために、同じ労働者であつても、やはり団体を持たざる未組織の労働者は、せつかくの労働金庫に対してその恩恵に浴することができないではないか。そういうような場合に、まず加盟利用の直接の権限は団体加盟ということに基本的にするけれども、特殊の関係においては、そうしたような労働者の個人的加盟といいますか、そういうようなものもあわせて行つたらどうかというような御意見等もあるようでございます。これにつきましては私どもいろいろ考え、いろいろ研究をいたしたこともございまして私の意見は別に持つておりますが、とにかくこれらのいろいろの意見に対しては、立案者の方からさらに御信念のほどを承つておきますことは、本法案の審議について非常に参考になろうかと存じますので、以上の四点について御説明を願いたいと存じます。
#12
○磯部参議院労働專門員 それでは私からお答えさしていただきます。ただいまの熊本さんの御質問の第一点は、従来地方の知事が認可しておりましたのを、今度の法案によりますれば、これを中央に持つて来て、労働大臣、大蔵大臣の共管にして、その免許にした、これはむしろ地方の事情を知つておる地方の知事にまかした方が、より妥当ではないかという点でございますが、これにつきましては、御承知の通りに労働金庫というものは、きわめて零細な労働者の資金を預かるものでございますので、その経営はなるべく広い範囲で、広汎にわたつて零細な資金を集めて、経営することが必要でございます。どうしても指導を加えまして、これは第二の御質問に関連することと思いますけれども、一つの都道府県一金庫という程度の大きさをもつてすることが妥当でもあり、またその健全を期するゆえんである。今日までの経過におきまして、これが指導に当られました幹部並びに労働省あたりの御方針が、そうであつたのでございます。幸いにして今日までは御承知の通り、十六の労働金庫はいずれも府県全体を範囲といたしておりまして、一府県一金庫の建前で来ております。しかしながら御承知の通り、今日基準法となつております中小企業等協同組合法の建前によりますれば、一定の資格條件を備えました申請がありました場合には、これを認可しなければならないという建前になつております。従いまして今日におきましては、今申し上げましたように、一府県一金庫の状態で進行しておりますが、今後労働界の事情の変動等によりまして、その基盤でありまする労働陣営が分裂をしまして、あるいはその他の事情から、二つないし三つの出願がありました場合は、その地方地方の知事の意見によりまして、数個の労働金庫が認可されるということも十分想像し得るのでございます。そうなりますと、今申し上げましたように非常に危険なことにもなつて参りますので、これはやはり中央にまとめまして、労働大臣、大蔵大臣の協議の上で認可するということにしておきまして、そうしてあくまでただいまの方針を貫き得るようにしておく方がよいのではないかというので、この免許主義をとつたわけでございます。
 引続きまして第二の御質問につきましても、大体お答え申し上げたことになつたのでございますが、それならばなぜ一都道府県一金庫主義をはつきり法律に書かないかという点の御質問だと思いますが、それらにつきましては、今の御質問にもありましたかと思いますが、都道府県と申しましても、一般の人口七、八十万から百万前後の府県と、それから東京のごとき七、八百万にも及ぼうかというような大きな府県とでは多少事情が違いますので、将来の場合においては、大府県におきましてはあるいはそういう心配なく、二つの金庫を許すということもかえつて実情に即するような場合があるかもしれませんし、この点は先ほど申し上げましたように、その精神をもつて中央に権限を委譲するということによつて、行政的に運営して行く方がよかろうという趣旨で、そういう條文を特に入れなかつたのでございます。なお中央に権限がたといございましても、地方の事情に即さないような行政をするおそれがないかという点につきましては、御承知の通りに労働省におきましては地方に労働部、また労政課、さらにその下には労政事務所というようなものもございまして、常にその地方の労働界の状況は手にとるごとくわかつておりますし、また大蔵省におかれましても、地方には財務局その他の出張所がございまして、それらの点につきましては、たとい権限が中央にございましても、十分地方の実情に即した行政はとつて行ける、むしろそういう各地方のブランチからの情報を集めまして、全国的なバランスを考えての行政なり監督なりがやつて行けるのではないか、こういうように私どもは考えておるのでございます。
 それから第三の御質問は、賃金遅配等の場合に労働金庫から労働者に金融をする、そういうことを現在もやつているし、将来もそういうことがあり得る以上は、むしろこれらの事業主から出資させるというようなことをしたらどうかというような意見があるが、それに対する原案者の考え方はどうかという御質問でございまするが、これは先ほども御質問の中にございましたように、労働金庫はあくまで労働者がその自主的な共助協力によりまして、必要とする生活金融をやつて行こうという趣旨で、今日までその盛り上る力によつて発展して来たものでございまするので、これに対して経営者が参加する、経営者から援助するということを加えますることは、かえつて労働者の盛り上る意気を害するおそれもございまする上、また御承知の通りに労働運動に対して経営者が介入する、支配するということは、あくまでも愼重にこれは避けるべきであろうと私どもは考えておるのでございます。従いまして原則といたしましては、あくまでも経営者のお世話にならないということで出資もし、また預金もいたし、経営をするのでございまするが、賃金遅配等の場合における金融は、これはその結果として経営者が非常に助かる、また喜ぶことにはなると思いまするが、あくまでも貸出しは遅配のために苦しんでいる組合員に属する労働者に対する貸出しでございまするので、これはあくまでも先ほどから申し上げましたような主義、精神を貫かして行くのが、金庫の正常かつ健全なる発展のために私は必要であると思つておるのでございます。なおしかしながらそうは申しまするが、この條文の第十一條をごらんいただきますると、第四号に「前各号に掲げるものの外、その金庫の地区内に事務所を有し、且つ、労働者のための福利共済活動その他労働者の経済的地位の向上を図ることを目的とする団体であつて、その構成員の過半数が労働者であるもの及びその連合団体」ならば、その名称のいかんを問わず金庫に加入することができるのでございます。従いまして過半数が労働者でさえあれば、たとい経営者、事業者がこの団体にお入りになつていてもさしつかえないわけでございまするので、こういう団体をおつくりいただきまして、経営者がその好意的な援助として大金を預け入れていただくということは、むしろ歓迎してもさしつかえないと思うのでございます。なお第三号の規定には、健康保険組合あるいは国民健康保険組合というような団体も入つているのでございますが、御承知の通りこの健康保険組合は、労働者だけではなくて事業主も法律上必要なメンバーとして入つておりまするので、こういう点からも事業主は何ら遠慮されることなく、この労働金庫にこれらの組合を通じて資金を導入されることは可能なわけでございます。
 それから最後の御質問は、未組織労働者が加入できないではないかという御質問でございまするが、これもただいま申し上げましたように、第四号のその他の団体というものを利用していただけば、たとい会員がきわめて少く、極端な場合を申し上げますれば、二人あるいは三人というような小人数でも、この団体は結成することができるわけでございますので、未組織労働者といえども、この労働金庫をぜひ利用したいという意思をお持ちになりまするならば、この第四号の利用に上つて、必ず加入されることは可能なわけでございますし、またこの法案がもし幸いにして通過いたしましたあかつきにおきましては、おそらく労働省といたされましては、先ほど申し上げましたように、全国各地方庁の機関を動員されまして、また労働金庫の協会等におかれましても、おそらく大々的に未組織労働者にも呼びかけられまして、このような団体を結成して、そうしてどんどんと金庫に入られるように、一大運動を起されるものであると私どもは確信しております。
#13
○熊本委員 大体において了解はできましたが、その中で三番目に私の質問いたしました事業主の参加でございますが、その説明あるいは法案の内容等から行きまして、ずいぶんと御考慮を願つておるわけでございます。そこで私どもの考えとしましても、もしこれが先ほどのような経過をもつて形をかえて参加するということは歓迎いたしましても、そうでなくて事業主もただ希望があれば協力ができる、こういうことになりますと、これは一般金融機関との性格的なものの相違が明確化されない。そこでそれでは一般銀行法との抵触関連等なかなか困難であろうかと考えて、原案においてはかくのごとき点の整理によりまして大体なされたものであろうかと、こういうふうに考えます。この点については大体了承ができると存じます。
 なお最後にお尋ねいたしました未組織の点につきまして、それが明確なる労働組合組織でないにいたしましても、これに関連する福祉的な事業、あるいはその他の共済的な事業というようなものをも含め、これに参加せしめることができるという幅になつておりますので、これも大体において了承できると存じます。なお一県一金庫主義というような問題については、他の方面でいろいろ規制もされておりますし、なおそれについては細心の考慮を払うというお言葉でございましたので、これらは実施の上についての十分なる御高配を願わないと、将来災いをするかと思いますので、なおこれは希望といたしまして、これらの点について御高配を願いたいと存じます。
 一番冒頭聞きました労働、大蔵大臣の合同責任における認可制の問題でございますが、一応事情は了解いたしました。しかしながらこの法案によりますと、たとえば地方の知事等のこれに対します意見等は、全然しんしやくのゆとりがありません。そうして今御説明によりますと、地方庁の出先機関等が中央と連携をとつてやるのであるから、これらの点には間違いがなかろうというお説でございます。その点につきましてはいささかどうかと私は思います。従つて私どもここで法案の修正をしようとか、そこまで強いものでもございませんが、とにもかくにも地方の首長たるべきものの管轄下における労働金庫等の創設並びに運営等につきまする意見は、やはり何らかの形においてしんしやくされるというようなことが一応考慮さるべきではなかろうか。最終決定は大蔵、労働の合同の責任においてやるにいたしましても、十分しんしやくし、これらの地方事情を、許可、運営等について取入れるべきであろうというふうに考えられるのでありまして、この点についてのいま一応の御答弁、並びに大蔵大臣の許可制というものが強く反映いたして参りますと、どういたしましても、大蔵大臣は日本銀行を中心とする市中金融機関の関係の方が優先するのではないか。従つてその大蔵大臣の意見が多く加わるところに、労働金庫の許可、認可、あるいはこれらに伴う経営上の監督というようなものが、どうも市中銀行に圧倒されて、ややともすればまま子扱いのきらいがあるのではないか。まあこんなことはよけいなことかもしれませんが、そういうようなことすらも、解釈すれば解釈でき得るわけでありまして、これらの点についていかがお考えでございましようか。この点だけもう一応お尋ねいたしておきたいと思います。
#14
○磯部参議院労働專門員 私の言葉が足りませんので重ねて御質問をいただきまして恐縮でございますが、先ほど申し上げました労働省あるいは大蔵省の出先機関と簡單に申し上げたのでございますが、地方庁の労働部、これは地方の知事の部下であります。従いまして知事を通じまして、すべての労働行政をやつておるわけでございまするので、もつとはつきり申し上げますれば、知事の意見に従つて仕事をして行つておるわけでございますので、ただいまお話のございましたように、知事の意見を何ら徴さないで、かつてにやるというようなことは起り得ないはずでございます。なおついでに申し上げておきますが、この点につきましては、過般東北六県と北海道の知事会議というものが行われました際に、その会議の決議といたしまして、大体ここに提案になつておりまする金庫法案の内容とまつたく同じような内容において、労働金庫法をすみやかに制定してもらいたいという政府並びに国会に対する陳情があつたのでございます。そういうわけで、大体の地方の知事さんたちも、この点についてはやはり本法案と同じ意見を持つておられるということも、つけ加えて申し上げたいと思います。
 それから大蔵大臣の認可があまり強く働き過ぎて、そのために市中銀行を優先するような扱いになりはしないかという点につきましては、金融に関する行政はすべて大蔵大臣の権限でございますので、たとえばそういうおそれがありましても、大蔵大臣の認可ということを全然拒否するわけには行かないのでございます。従いまして労働大臣、大蔵大臣の共管ということになりましただけでも、その点に対しましては、労働行政としての最大限の有利な扱いだと私ども思うのでございますが、何と申しましてもこれは行政上の実際の問題でございますので、今後労働省と大蔵省との間の密接なる提携あるいは話合いによりまして、労働行政、なかんずく労働金融問題に対して、大蔵省が一層十分な理解を持つて、労働金庫の進展のために助力をするような方向に持つて行つていただくことを期待するほかないと思います。
#15
○森山委員 第一條に消費生活協同組合が入つておりますが、これはどういうわけでありましようか。
#16
○磯部参議院労働專門員 御承知の通りに「消費生活協同組合その他の労働者の団体」とありますように、労働組合と並びまして、強力に福利共済のための事業をしております労働者の団体が中心となつて、今度労働金庫の事業に進む、その最も中心になる団体をここに例としてあげたわけであります。
#17
○森山委員 労働組合その他労働者の団体という中にその消費生活協同組合が入る場合はいいですけれども、消費生活協同組合必ずしもその他の労働者の団体と言えない場合が多いと思います。そういう場合もあるにもかかわらず、何ゆえ消費生活協同組合というものを入れたかということです。
#18
○磯部参議院労働專門員 ただいま申し上げましたように、その他の労働者の団体という中に、この二つのものも含まれると解釈いたします。
#19
○森山委員 消費生活協同組合のすべては、その他の労働者の団体に入るのですか。
#20
○磯部参議院労働專門員 さようでございます。
#21
○森山委員 それはぼくはおかしいと思う。消費生活協同組合が必ずしも労働者の団体であるとは限らない。むろん労働者の団体である場合はありますけれども、消費生活協同組合というものを出したのは、一体どういう理由があるか。これは要するに何らかの意図があると私は思う。
#22
○磯部参議院労働專門員 消費生活協同組合は労働者以外の人たちも入つていることもございますが、その大部分は労働者であることが普通であると考えております。
#23
○森山委員 あなたのような見解から言えば、あらゆる団体はほとんどすべて労働者の団体といつてもさしつかえない。――いかがですか。
#24
○磯部参議院労働專門員 お言葉を返してはなはだ恐縮でございますが、消費生活協同組合運動は、元来その発生が、やはり労働者の共済福利活動として起つたものでありまして、またわが国の現状から考えましても、ほかのすべての団体より、多少その点につきましては労働者的な色彩が強いと私ども解釈しております。
#25
○森山委員 この法律は労働者の団体のためにあるのであつて、労働者の団体の中に消費生活協同組合が入る場合があることは、私も否定しない。しかし何ゆえに消費生活協同組合を労働組合と並べて書いてあるのか、そういうところに、労働金庫の立法の趣旨から言つて、何か違つたフアクターが入つていると感ずる。だから私は申し上げる。
#26
○磯部参議院労働專門員 御承知の通り消費生活協同組合にはいろいろな場合があり得ると思うのでございますが、大体は職域に設けられたのが多うございまするし、その場合、消費生活協同組合というものの意図しております目的は、この労働金庫のねらいと大体一致しておるのでございます。従いましてこの労働金庫の運動が起ります場合にも、労働組合の方面からも非常にその要望が出て来たのでございますが、やはりそういう職域的あるいは職域を中心とします地域的な消費生活協同組合が、重要な因子として発達した。そういう経過的な意味もあつて、ここに重点的に大きな存在として「労働組合、消費生活協同組合」という字が入つたのでありますが、そういう程度で御了承願いたいと思います。
#27
○森山委員 その程度で御了承できないので、最近消費生活協同組合というのは資金難に困つておるので、そういう連中が乘つかつて、この法律で資金の融通をつけようというところに、この法律のねらいの一つがあると思う。生活協同組合自体が相当イデオロギツシユなものを持つて出発したということは、私は周知の事実であろうと思う。そればかりでなく生活協同組合は、当時の立法の趣旨にもかかわらず、その数においては、多くは一種のやみ屋であつた。そうでないところはもちろんあります。しかし実際においては終戰後において、いわばやみ屋の役割を果した面がかなりある。今日生き残つておる多くのものはそうじやない面もあります。たとえば労働組合の中の一つのある工場、鉱山における共済組織としてあるものは、私はもちろん労働者の団体として入れることには何らさしつかえないけれども、消費生活協同組合というものをここに掲げるということは、何か異質的なものがここに入つているような気がする。質が違うのではないですか。労働組合その他労働者の団体という中に、消費生活協同組合が入るのはわかる。しかし労働組合と並べて消費生活協同組合というものを列記する必要性が一体どこにあるか。私はそう考えるのですが……。
#28
○磯部参議院労働專門員 多少そういう御議論を伺えば、労働組合その他の消費生活協同組合でなくても、私はこの第一條の趣旨においてはかわりないと思いますので、そういう点につきましては御意見もごもつともと思うのでございますが……。
#29
○島田委員長 これ以上はお答えはないようですから、われわれの方では研究すべき課題として残しておいたらどうです。
#30
○熊本委員 関連して……。ただいま森山君からの御質疑の要点はまことにもつともなところが多分にあると思う。従つてこれの立案にあたりまして、こういう字句の表現によれば、対等の位置によつてこれとこれとが行えるというような表現になつておりますところに、森山委員の御心配のようなところが多分にあろうかと思うのでございまして、この点については本法の最も重要なねらいとしてこれを実施しようとされる提案者の方におきましても、ただいまの質問については十分お考えになつて、それでもよろしいという意味ではなかろうと思う。従つてあるいは字句の修正をするか、あるいは解釈上の問題に明確なものをしておくかいたしまして、要するに先ほどの質問のようなあやしげなる消費生活協同組合というようなものをも含むのではないということは、そういう御意思ではないと思うのでありまして、その点もう少し明確に御答弁を願えれば、われわれの審議上非常に幸いだと思うのですが、その点いかがでしよう。
#31
○磯部参議院労働專門員 もう一度申し上げますが、消費生活協同組合の問題につきましてただいまいろいろな御意見がございましたが、御議論であると思つて私失礼したわけですが、現在できております十六の労働金庫に加入いたしております主要なメンバーといたしまして、生協は労組と相ならんで最も重要なものになつておるわけでございます。しかもそのほとんどすべては、先ほど申し上げましたように職域の生協でございますので、労働者の団体、こう称してさしつかえないと私ども考えておるのでございます。それで自然この法律の條文にもそういう重要性からいつて、この字がはつきりと出て来たわけなのでございますが、先ほどその点につきまして、消費生活協同組合と書いてあるから、ほかのものもたくさん入つておることもあり得るのではないか。そうすると、この法案としては少し的をそれておるというような御意見ではないかと私どもは思つたのでございますけれども、先ほどからも申し上げておりますように、この労働金庫というものは、あくまで労働者が中心となつてやるべきものでございますが、しかしながら労働者以外のものも十一條の三号ないし四号によれば、相当入つてもいいというような形になつておるわけでございまするから、この消費生活協同組合の点につきましても、それほど厳格に、ここに入るから法律の趣旨をそこなうというふうにまでには、私どもは考えないでもいいのではないかと思うのでございます。従いまして、今後この労働金庫を推進して行く上におきましては、あくまでも労働組合並びに消費生活協同組合、特にその職域におけるものはあくまでも中心となつて進んで行くことが、労働金庫の力強い発展のためには必要であると私どもは考えるのでございます。
#32
○熊本委員 御意思、ねらいはわかりますけれども、森山委員の御質問になり、また御心配になつておりますところは、従来の消費生活協同組合という名称に基きながら、実はその協同組合の本質にもとるがごときものも事実上あるのであつて、それをこういう形において、一蓮托生に包容するというようなことは、よろしくないではないかというところに、非常な不安があるわけです。従つてあなたの説明の中でもわかりますけれども、逆に言いますと、労働者の生活の向上のために行われる消費生活協同組合というものの本質を逸脱せざるもの、言いかえますならば、消費生活協同組合法に基いて健全にこれを経営するものをして、かくするのだということであれば、そうでない、いわゆる森山委員の御心配のようなものは、これは正常なる生活協同組合とは言い得ないのであつて、これらについて細心の注意と取捨選択が行われれば、私どもは精神の上に大きな違いはない、こう思うのでありますが、そういう解釈でよろしゆうございましようか。
#33
○磯部参議院労働專門員 ただいまのお説の通りでございまして、消費生活協同組合であつて、非常に不健全な経営をしておるものもあるかと思うのでありますが、そういう組合はもちろん労働金庫には入れない。今お話がございましたように、あくまで労働者の団体として最も健全なる活動をしておるもののみに限定して、この金庫に加入する際に十分な審査をするという方針で進むつもりでおるのであります。
#34
○森山委員 私はこの立法の目的からいいまして、「労働者の経済的地位の向上に資することを目的とする。」こう言つておるのでありますが、こういう点からいいますと労働組合はわかります。その他の労働者の同体ということもわかります。しかし消費生活協同組合は性格が違うと思う。消費生活協同組合がその他の労働者の団体の場合もあります。そういう場合の生活協同組合というものは、私は何ら否定しない。しかし労働組合と並んで、消費生活協同組合というふうに規定するということは、いささかここに、少くも法の筋としては、何か混在したものがあると
 いうことが一点。それからもう一つは、消費生活協同組合運動というものは、私は否定しない。否定しないどころか、こういうものは、なし得るならば大いに盛んにやつて行きたいというふうに私どもは考えております。しかしながら終戦後今日までの消費生活協同組合運動というものを見ると、職域以外の多くの面においては、これは相当おもしろからざる事態があつたということは、何人も否定し得ないと思う。もちろん今日残つておるものについては、相当いいものも残つておる。金があれば仕事ができるんだがということで、非常に金融に困つていることも、私ども承知しておる。しかしこれは必ずしもこの労働金庫のわく内に入れるべき問題ではない。それが労働者の団体であるというふうな範疇に入るならば、消費生活協同組合は入れてもよろしい。しかし労働組合と消費生活協同組合と並列的に並べてやるというようなことは、これは私は何か他意があるのではないかという感じを持つのです。これは当然衆議院で通すとすれば、消費生活協同組合というものは創らなければ、衆議院を通すべきでない。これはあなたも御了解願えるだろうと思うのですが、あなたの御所見はいかがですか。
#35
○磯部参議院労働專門員 ただいまのお話、詳しく承りました。そういう不健全なことをやつている消費生活協同組合、そういうようなものは、先ほども御答弁申し上げましたように、各地方地方の金庫が、はたしてそういう種類の消費生活協同組合までも会員として認めるかどうかということは、定款において第一に定め、次には一々の加入の場合に理事会で選定してやります。そのやり方についても、将来綿密な監督、指導が加えられると思いますので、おそらくそういうようなものは加入させないだろう、そうしてこの條文にございます消費生活協同組合は、そのあと続けてお読みくださいますれば、私どもはそう思うのでございますが、「その他の労働者の団体」の例として消費生活協同組合が入るわけでございますから、やはり労働者が主体でありまする職域の組合というものを、あくまでも念頭に置いて書かれたものである、そういうように御理解願いたいと同時に、また先ほど申し上げました今後の運営についてもやつて行くというので、ひとつ御心配の点は、十分に間違いのないような運営をさせたいと考えております。
#36
○島田委員長 これは質疑応答で決定さるべき問題じやなくして、この原案自体を適用することが、今後支障を来さぬか、あるいはこの趣旨に反するような中身と運営を持つ生活協同組合をも自由に加入せしめる結果、この法の趣旨に反するような労働金庫の将来が危惧されるかどうかということは、おのずから国会で判断すべき問題だろうと思いますから、この辺で打切つてわれわれの自由なる検討課題にしようじやありませんか。
#37
○森山委員 ともかく今説明員のお話は、「労働組合、消費生活協同組合その他の労働者の団体」とある以上、條文の体裁から言つたつて、全然間違つています。労働組合及び消費生活協同組合その他というならまだわかるけれども、労働組合の次に点が打つてあるのですから、それなら労働組合も例示になつてしまう。そういうようなことは三百代言的な説明です。私はこの際消費生活協同組合を入れるならば、それが必要であるかどうか、実際大きな役割を果しているというならば、消費生活協同組合そのものの現状把握が大事だと思うが、どんなことをやつておるか。かつて数年前に消費生活協同組合法という法律ができた。国会で非常な大騒ぎをしてつくつたところが、今日は昔からあつた職域の共済組合のようなものだけは残つておるけれども、あとはほとんど見るべきものがない。今日の状況では、ですから私は労働金庫法においても、同じようなことになつてしまわないかと思つて心配しておるわけです。労働金庫は趣旨がいいからぜひ通したいと思いますが、消費生活協同組合というものは、どういう根拠法規によつて、どこの役所が監督官庁で、実態はどうなつておるかということを、ひとつよくこの委員会において検討したいのであります。ひとつそういう検討の時間についても、委員長において適当にとりはからわれんことを望むものであります。
#38
○島田委員長 了承いたしました。
#39
○森山委員 まだこれは第一條の第一行目でございまして、これは條文が全部で百二條ですから、各條ごとにずつと慎重に検討しまして、立法者の趣旨に合うように、衆議院は参議院以上に十分に検討して、この法案を処理すべきであると考えておる次第であります。
#40
○島田委員長 次会は公報をもつてお知らせいたすこととし、本日はこれにて散会いたします。
    午後一時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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