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1947/11/13 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第58号
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1947/11/13 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第58号

#1
第001回国会 本会議 第58号
昭和二十二年十一月十三日(木曜日)
    午後二時二分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第五十七号
  昭和二十二年十一月十三日(木曜日)
    午後一時開議
 第一 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案(内閣提出)
 第二 補助貨幣損傷等取締法案(内閣提出)
 第三 すき入紙製造取締法案(内閣提出)
 第四 自由討議    (前会の続)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
    〔「大藏大臣は來ておらぬじやないか」と呼び、その他発言する者多し〕
#3
○議長(松岡駒吉君) 大藏大臣はただいま参ります。
     ――――◇―――――
 第一 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案(内閣提出)

#4
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條のニの災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。司法委員会委員池谷信一君。

   ―――――――――――――
 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案(内閣提出)に関する法律案
 [都合により第六十三号の末尾に掲載]
   ―――――――――――――

    〔池谷信一君登壇〕
#5
○池谷信一君 ただいま議題と相なりました罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條のニの災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案について、司法委員会における審議の経過並びに結果の概要を、委託により私から御報告申し上げます。
 まず、政府原案の要旨について御説明申し上げます。さきに罹災都市借地借家臨時処理法の一部改正により、火災、風水害その他の災害のため滅失した建物がある場合にも同法の適用を見ることとなり、かつ同法の規定により、適用の地区を災害ごとに法律で定めることと相なつております関係上、この法律案が提出せられたものでありまして、本案におきましては、終戰後最近までの火災、風水害等の災害により全焼、全壊または流失した戸数が千戸程度以上に達した市町村を標準とし、都道府縣当局その他の意向をも考慮し、なおまた、すでに戰災地または疎開地として本法の適用されている市町村については若干この標準を下げまして、結局五つの災害を指定し、各災害につき、それぞれ一ないし三の適用地区が定められております。以上が政府原案の要旨でございます。
 委員会におきましては、去る五日政府の説明を聽き、六日、次のような質疑應答が交されたのであります。
 災害の地区、範囲決定の基準について、先般の関東及び東北の風水害が本案において指定を受けていないのは、いかなる関係によるものかとの質疑に対し、政府より、本案においては建物滅失が一市区町村につき千戸以上を大体のめやすとし、かつ借地問題の起りそうな所を指定する建前であるが、今回の関東、東北の風水害は、全壊または流失の戸数が、一市区町村單位に見ると、さほど大きな数字に上つていないし、またあまり大きな土地でもないから、目下のところ借地問題が起るおそれがないものと考え、指定災害から除外されている旨の答弁であつたのであります。
 なお、今後大きな風水害等の発生に対しては、本法改正でいくか、または單行法制定によるか、立法上の方針を質したるところ、この点政府は、本法において、風水害等による建物滅失の場合については、賃借申出期間その他各種の期間の起算日が、この災害や地区を定める法律施行の日から期間が進行することになつているので、これを改正するという形は多少紛糾を來すおそれがあるから、個々的にいくのが適当であると考える旨の答弁がありました。以上質疑の内容をかいつまんで申し上げました。
 次いで、十日討論の際、各党委員よりそれぞれ党を代表して原案に対する賛成の意見が述べられ、採決の結果、全会一致をもつて原案通り可決せられた次第であります。以上、御報告申し上げます。(拍手)
#6
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――

 第二 補助貨幣損傷等取締法案(内閣提出) 
 第三 すき入紙製造取締法案(内閣提出)




#8
○議長(松岡駒吉君) 日程第二、補助貨幣損傷等取締法案、第三、すき入紙製造取締法案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長北村徳太郎君。

   ―――――――――――――
 補助貨幣損傷等取締法案(内閣提出に関する報告書)
 [都合により第六十三号の末尾に掲載]
    ―――――――――――――
 すき入紙製造取締法案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により第六十三号の末尾に掲載]
    ―――――――――――――


    〔北村徳太郎君登壇〕


#9
○北村徳太郎君 ただいま議題となりました補助貨幣損傷等取締法案及びすき入紙製造取締法につきまして、財政及び金融委員会においての審議の経過並びに結果をきわめて簡單に御報告申し上げます。
 まず、本案の内容を簡單に申し上げますと、昭和十五年大藏省令第四十号には、地金として補助貨幣を販賣したり、または使用する目的をもつて蒐集、鑄潰しまたは毀傷する等のことをしてはならない旨の規定があります。及びこの規定に違反した者は懲役または罰金に処する旨を規定しておるのであります。また明治二十年勅令第三十六号の漉入紙製造取締規則には、文字、画紋をすき入れた紙を製造する者には見本の提出を命ずるとともに、紙幣、兌換銀行券、公債証書、大藏省証券その他政府発行の証券にすき入れてある文字画紋と同じ文字画紋をすき入れたり、あるいは同じでなくとも、凸にすき入を行つた紙、いわゆる黒ずきを製造したりすることを禁じておるのであります。しかも、これに違反する者は罰金に処することを規定しておるのでございます。ところが、これらの罰則を委任した根拠法であるところの明治二十三年法律第八十四号(命令ノ條項違犯ニ關スル罰則ノ件)は、昭和二十二年四月法律第七十二号第三條によつて廃止せられたのであります。しかるに、省令については昭和二十二年四月法律第六十九号行政官廳法第六條第ニ項において、また政令については憲法第七十三條第六号において、いずれも法律の委任がある場合でなければ罰則を設けてはならない旨を明定してあります。他方、昭和二十二年法律第七十二号第一條は、日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定で、法律をもつて規定すべき事項を規定するものについては、昭和二十二年十二月末日まで法律と同一の効力を有することを規定しておりますので、結局、昭和十五年大藏省令第四十号及び明治二十年勅令第三十六号は、ともに本年十二月末日までは法律と同一の効力を有しますが、それ以後は失効することになります。しかるに、右の省令及び勅令によつて取締つている事項は、今後も引続き取締る必要がありますので、この際取締りの範囲及び罰則等について、最近の他の取締法規等との関係及び軽重を勘案しまして、多少の修正を加え、新たに法律を制定することとせられた次第であります。
 本案は、去る十月二十七日本委員会に付託され、十一月一日その提案の理由を聽取いたし、同日及び八日の二回にわたりまして審議を重ねましたが、本案はさして問題もございませんので、討論を省略いたしまして、本月十日採決の結果、全会一致をもつて可決いたしました。簡單でございますが、以上、御報告申し上げます。(拍手)
#10
○議長(松岡駒吉君) 大藏当局がただいま出席するはずでありますから、採決いたすことを延ばしまして、このまましばらくお待ちを願います。
 採決を一時留保いたしまして、次に移りたいと存じますが、御異議はありませんか。
    〔「反対々々」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(松岡駒吉君) それでは暫時休憩いたします。
    午後二時十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十六分開議
#12
○議長(松岡駒吉君) 大藏大臣はやむを得ざる要務のためまだ参りませんが、休憩前に引続き会議を開きます。
 これより補助貨幣損傷等取締法案及びすき入紙製造取締法案の両案を採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第四 自由討議 (前会の続)


#14
○議長(松岡駒吉君) これより前会に引続き自由討論の会議を開きます。小澤佐重喜君。
#15
○小澤佐重喜君 自由党では、平野農林大臣罷免問題に関し、北浦圭太郎君を指名いたします。
#16
○議長(松岡駒吉君) 北浦圭太郎君、発言を許します。
    〔北浦圭太郎君登壇〕
#17
○北浦圭太郎君 諸君、私は過日の司法委員会におきまして、片山首相に対し衷心より進言申し上げたのであります。あなたは平野農相問題については断じて閣議は開いていないのだ、しかしながら、今からでも遅くはない、至急閣議をお開きになつて、その決議によつてあらためて認証を受けらるることが絶対に必要であります、憲法上天皇には拒否権がないのでありますから、これを要求することは正当であると、かように申し上げたのでありまするが、片山さんは頑としてきかなかつた。最初は閣議を開かないと言うておる。やがて終りに近づいてきますると、持回り閣議を開いた、こう言う。一昨日のこの壇上におきましては、あらためてまた各國務大臣から委任を受けておる、かように申されておる。しかるに、昨日の毎日新聞を読んでみますると、林、齋藤の両國務大臣は、事前にさような相談はなかつたのだ、從つて委任も受けていなければ、持回り閣議のあつた記憶はない、かように明言されておるのであります。
 しかしながら私は、これを証拠として、いまさら片山総理大臣を攻撃しようとは思わない。なぜか。事実はあまりにも明白であるからであります。それよりも片山首相は、自己の任命したるところの國務大臣までが、一種の不信任の決議案をたたきつけておるということを自覚しなければならない。それは單に林、齋藤両國務大臣だけではない。片山さん、胸に手をあてて考えるまでもなく、社会党出身閣僚を除く他の良心的な國務大臣は、事後においてつくつた持回り閣議、さようなものには断じてサインをしておらないということを、今日ここで否定することができますか。(拍手)
 一体、一つの虚僞をでつち上げようといたしますと、百のうそを準備してかからなければならぬ。片山首相に、殊にクリスチャンの片山さんに、さような力がありましようか。この点につきましては、林、齋藤両國務相の言うことがうそか、片山首相の答弁が間違いか、クリスチャン的良心の持主なら、それに適当する御答弁を希望いたします。
 第二点は、例の新聞記事誤報問題であります。片山首相は、過日同僚諸君の質問に対しまして、平野農相追放に関する問題について、この壇上において新聞記事は誤報であるとの一点ばりで御答弁に相なつたのであります。しかるに間もなく、新聞記者の取消要求に対しまして深甚なる遺憾の意を表明せられた。諸君、この議場には八千万の國民が並んでいるのだ。片山首相の前言取消しは、すなわち八千万國民を欺いたことになる。(拍手)これに対して首相は何と陳謝されるのであるか。この御答弁を願いたい。
 最後に私は結論を申し上げますが、しばしば惹起いたしますところの閣内不統一の問題、片山首相の二枚舌問題、これらはいずれも從來から内閣総辞職の重大な原因であるのであります。殊に片山首相は、勤労大衆の熱心なる投票によつて内閣総理大臣となられた。今勤労大衆の生活状態は実に目もあてられない惨状であります。東京地方裁判所の若き判事は、死の抗議文と若き妻子とを残して死んでいつたのであります。國民は片山首相を深刻に恨んでいる。今や、あなたの同僚さえ不信任決議文をたたきつけているのであります。これらはすべて片山内閣自滅の鐘の声である。(拍手)この際民主政治の常道として、潔く内閣総辞職をせられるか、しからざれば衆議院を解散して信を國民に問うか、二者その一を選ばなければならない。人は死すべきときに死ななければ、死にまさる恥がある。この点についての片山首相の答弁を煩わします。(拍手)
#18
○議長(松岡駒吉君) この際、総理大臣より発言を求められております。これを許します。総理大臣片山哲君。
    〔國務大臣片山哲君登壇〕
#19
○國務大臣(片山哲君) 私は司法委員会において、認証問題については閣議を要するということを初めから言つたのでありまして、その点については北浦君はどうお聽きになりましたか、私の申し上げることには間違いはないのであります。前回お答えいたしました通り、平野君に対する一切の手続は、私に前の閣議で一任されておりましたので、私はそれに從いまして、最後の形式を整えるために持回りの形をとつたのであります。司法委員会においては、その最後の形式を結論として申し上げたのであります。私の考えといたしましては、万般の行政事務を円滑迅速に処理するについては、閣議の運用もそれに應ずるように考えられているのでありまして、法制上閣議の手続につき何らの規定を設けていないのも、この趣旨に出でておると思つておるのであります。
 第二の報道機関に対する問題であります。報道機関に対しましては、私は遺憾の意を表しました。これは、私の本議場で述べましたことが、言葉が足らず、報道機関の信用を傷つけるような結果になりましたので、遺憾の意を表した次第であります。私の意思は、決して報道機関の名誉を毀損する考えでなく、大いに尊重したい考えであります。これは過去においてもさようであつたと同樣に、今後においてもまた同樣であることを明らかにいたします。
 第三の、ただちに総辞職をするか、解散をする意思ありや、こういう御意見でありまするが、現下國難に処しまして、所信を貫徹するために一段の努力を拂うために、解散の意思も、また総辞職の意思も今日はもつておりません。(拍手)
#20
○議長(松岡駒吉君) 中村元次郎君、発信者を………
    〔「まだ時間があるのだ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然、聽取不能〕
#21
○議長(松岡駒吉君) 北浦圭太郎君、発言を許します。
    〔北浦圭太郎君登壇〕
#22
○北浦圭太郎君 総理大臣の御答弁は、私の質問に対して答えられていない。第一は、林、齋藤両國務相のあの発表は間違いか。これを聽く。第二点は、新聞記者に対する陳謝の意味は、これはわれわれは反対しない。その通り。しからば、この八千万の國民に対してどういう陳謝の意を表するか。これを聽くのであります。その点を伺いたい。(拍手)
    〔國務大臣片山哲君登壇〕
#23
○國務大臣(片山哲君) 林君、齋藤君がどう答えられておるか、私は承知しておりません。前の閣議においては、先ほど私の申し上げた通り、私に委任いたしたのであります。(拍手)
 なお、報道機関に対しましては、私先ほどお答えいたしました通りであります。
#24
○議長(松岡駒吉君) 中村元治郎君、発言者を指名願います。
#25
○中村元治郎君 第一議員倶樂部は、石原登君を指名いたします。
#26
○議長(松岡駒吉君) 石原登君、発言を許します。
    〔石原登君登壇〕
#27
○石原登君 私は、片山総理大臣並びに西尾さん、鈴木司法大臣に特に御答弁を求めたいと思います。最も愼重であるべき今日の時局におきまして、政府はみずから求めて、このまことに憂慮すべき閣内の不統一を暴露いたしているのであります。私は國民の大多数とともに、衷心から今日の政局の憂慮いたしまするがゆえに、あえて、この政局を招來いたしました当面の責任者でありますところの片山総理、西尾國務大臣、さらに鈴木司法大臣に対しまして、質問をいたしたいと思うのであります。
 まず、平野農相並びに林國務大臣の問題で、この両氏より陰謀の元締として非難いたされております。ところの西尾、鈴木両相にお尋ねいたしますが、去る八日の各新聞は、林國務大臣が七日の閣議において、去る一日鈴木並びに西尾両國務大臣の発言が全く虚構に基くものであり、このことは内閣の統一を阻害するとして、その罷免を強く要求したと報道しておるのであります。この発言の内容は明らかにされたのでありまして、これを毎日新聞によつて読み上げまするならば、「民主主義憲法のもとにおいて、あまりにふさわしからぬ陰險なる事実が次々と出てくるので、私は紳士としてとうていかかる席で申し上げるに忍びない。しかし閣僚の身上に関して虚構の事実を捏造し、閣議でうそ、でたらめを申されたことだけはもはや動かし得ない事実であつて、実に前例を見ない惡質の陰謀」と、はつきり言明をいたされておるのであります。このように林國務大臣は明確にされているのでありますが、一方、今なお世間にいろいろの疑点を残しながら罷免されました平野前農林大臣は、六日の読賣新聞に寄せられまして、その手記「首切らるるの記」の文中において、かようなことを言つていらつしやる。すなわちこの内容を読みますと、「西尾君が自分を内閣から追い出す陰謀であることが具体的に明らかになつたので、非常に憤慨した。」さらに「片山総理はまつたく政治的陰謀のロボットとして、國民の批判の前に立たねばならぬときが來るであろう。」、かように平野さんは言つておられます。
 平野さんも林さんも、片山内閣において現在大臣であり、さらについ先日まで大臣であつた方々である。こういうような責任の地位にあつた人々が、二人までも閣議の席上において、一方では天下の読賣新聞において、これを世の中に公表されておるのであります。このことは、事の眞僞はいずれにいたしても、内外に及ぼしたところのその影響は実に大きいのであります。これはこのまま決して葬られるべきものではないのであります。政府はこの事実を明らかにせらるべきところの責任があるのであります。この際鈴木、西尾両大臣と林國務大臣は、本國会を通じてその眞相を明らかにし、それぞれの立場より責任を明確にされんことを要求するものであります。(拍手)
 次に、閣僚同志でその責任を糾明するために閣議を要求するという、わが國内閣制度実施以來初めての閣内対立を暴露いたしました。閣僚の中から陰謀内閣だ、暗黒政治だと公々然と公表するような今回の問題は、実に皮肉にも、高度民主主義政治を看板にして、和協一致を力説せらるるところの片山内閣に起つた事実であります。私はこの事実に立脚いたしまして、率直に総理大臣にお尋ねいたしたい。内閣の統御においてさえなお力足らずしてこのような醜状を暴露されたあなたが、今後も八千万國民に対してさらに和協の精神を強調されて、その効果があがるとお思いであるかどうか。高度民主主義を唱えられる内閣自身の足もとからこのような事態をひき起しても、なお精神訓話をもつて今日の日本を再建せらるるところの自信があるかどうか。いずれにいたしましても、総理の政治力の欠如からかかる事態をひき起した責任について、いかにされるのか、これを明らかにしていただきたいのであります。
 次にお尋ねいたしたいことは、問題の人平野さん、林さんの資格審査が急がれておるということでありまするが、これまた國民に大きな疑問を與えております。これまで追放令の行使が政爭の具に供されておるという風評は、諸君もすでにお聞き及びの通りでありまして、われわれ政治家は申すまでもなく、國民すべてがすこぶる遺憾に思つているところであります。かかる際において、平野、林両氏の審査がことさらに急がれておるということは、たとい中央公職適否審査委員会が独自の見解で行うといたしましても、本委員会が総理の指揮監督下にありまする以上、追放令にかかわるところの世の風評はまことにゆえなきにあらずと断ぜられても、弁解の余地はないと存ずるのであります。審査委員会の事務局長が、世間がたいへん騒がしくなつたから、あなたの審査を急速に行いたい、あした中に反証を出してもらいたいということを林國務大臣に申し入れたと聞くのでありますが、世間で問題になつているのは、ただ單に林、平野両氏ばかりではなく、そこにおいでの鈴木さんにいたしましても、西尾さんにいたしましても、芦田さんにいたしましても、さらに森戸さん、米窪さん、笹森さんなど多数にあるのであります。特に西尾さんの場合などは、相当根拠があると思はれるような公開状まで公にされ、むしろこの方が國民注視の的であるということは、総理も御承知のはずであります。今回の林國務大臣の問題を、追放決定によりまして解決するとするならば、それこそ高度民主主義も道義政治も号泣するでありましよう。総理の御見解を承りたいのであります。
 最後に、ただいま北浦君からも嚴重に糾明されたのでありまするが。新聞紙の誤傳、誤報の問題であります。先ほど北浦君が申された通り、本会議におけるところの同僚議員の質問に対して、追放は誤傳だ、追放を宣傳した人の責任を問えということだが、誤傳であり、誤報であるから、その必要はないと総理は答弁されておる。その後この問題が、おそらく問題になるだろうと思つておつたら、案の定、内閣記者團から、強硬なる取消しの要求があつて、総理はとうとう陳謝されたといわれておるのであります。この事実は、東京新聞にもはつきり書いてある。これを読みます。「誤報といつたのは言い過ぎであつて、眞実は前農相問題に当つて私が勘違いして……」、どういうふうに勘違いされたか。「なおこれが取消を意味しているのかとの記者團の質問に対し、大体遺憾の意を表すという言葉は取消を含んだ遺憾の意で……」と、はつきり言つておる。私は、これはまことに奇態なことだと思つております。事実とするならば、最も権威あるべき國会の言論を、一國の総理自身みずからが汚辱されたものであります。断じてわれわれは默視することができないのであります。私はあらためて誤報であるのかどうかをお尋ねいたしたい。もちろん、われわれは過日の本会議における答弁をもつて承知するものではありまするが、総理が記者会に陳謝された内容と著しく相違をいたしますがゆえに、一般國民は異樣な感を抱いておるのであります。ゆえに、重ねてお尋ねをいたすのであります。万一誤報、誤傳でないとするならば、未確定の追放問題を確定せるごとく宣傳したところの責任者をあらためて糾明されねばならないのであります。今度はひとつ、訂正なしの腹をきめての御答弁を要求してやまない次第であります。
    〔國務大臣片山哲君登壇〕
#28
○國務大臣(片山哲君) 閣議の内容経過はここで申し上げるわけにはまいりません。
 追放の問題は資格問題でありまして、中央資格審査委員会において公正に審議されることと存じます。
 第三の、遺憾の意を表しましたことにつきましては、先ほども申しました通り、私の言葉が足らず、私の考えが十分に現われなかつたことを遺憾に思つておるのでありまして、決して報道機関を尊重する意思においては変りがないということを申し上げるのであります。
 なお、その責任を追究するという問題については、前回お答えいたしました通りであります。その責任を追究する必要がないと考えておる次第であります。
    〔國務大臣西尾末廣君登壇〕
#29
○國務大臣(西尾末廣君) 石原君の御質問にお答えいたします。林國務大臣の、新聞記事に載つております問題につきましては、閣議の席上のことを述べておるようでありますが、閣議は御承知のごとく秘密会議でありまして、閣議でだれがどう言つた、こう言つたということを世間に発表することは、まことに遺憾であります。從つて私は、閣議の内容につきましてとやかくの論議は避けたいと思うのであります。ただ林國務大臣のこの問題の取扱方については、きわめて重大な点において林國務大臣は思い違いをしておられるということを、私は申し上げておきたいと思うのであります。
 それから平野前農林大臣の問題でありますが、これは平野君がああいう立場に立たれたのでありますから、その立場上いろいろなことを言われるその心持は十分に理解できるのでありますが、この問題については、一々私がいろいろお答えしてこの問題を明らかにする時期になつておりません。おのずから時がこの問題を解決するだろうと考えるのであります。
    〔國務大臣鈴木義男君登壇〕
#30
○國務大臣(鈴木義男君) 石原君の御質問にお答えいたします。林國務大臣の一身上の問題については、いろいろ傳えられるところがありますが、いずれも正確とは申し上げかねるのであります。そのうち御報告申し上げる時期が参ると存じますが、ただいまは、まだその時期ではないのであります。私が十一月一日の閣議、しかも閣僚以外は全部斥けまして、特に秘密閣議において発言をいたしましたことが、問題として取上げられたようでありますが、その日の朝の新聞に、林國務大臣の身上について報道されたものがありましたので、私はこれを意外とし、また同僚としての友誼を重んじまして、私の知つておる事実を閣議前に林さんに告げたのであります。重ねて、閣議席上におきまして閣僚諸君にも告げたのでありまして、新聞報道がなければ、私はあの日においてそういう発言はいたすつもりはなかつたのであります。その際、林さんからは感謝の言葉すらあつたのであります。しかるに、その秘密閣議の席上の話題を林國務大臣が取上げられまして、みずからこれを外部に発表せられましたことは、私の遺憾に存ずるところであります。
 林大臣に関しては、ただいまはこれ以上申し上げかねまするが、ただいま御質問の一般論として、公職適否の資格審査に関して何かうしろ暗い印象を與えるような御質問があつたのでありますが、資格審査は公人にとりましてまことに重大なことでありますから、委員会におきましても、幾度か繰返し愼重審議せられるのであります。最終決定にはなかなか到達しないのであります。それが途中において一應中間的決定に達したということがときどき外部に漏れることがありますために、御質問のような印象を社会に與えるのでありまして、私どもはこれを遺憾なことと存じておるのであります。今後はそういうことのないように、一層努力をいたすつもりであります。また資格審査には、この仕事を全部終りますまでは、裁判と違いまして羈絆力というものがないのでありまして、ある選挙、ある公職に就任するにつきまして一應適格を認定されましても、その後に現われました該当事実の発見等によりましては、またいつでも再審査に付されるものなのでありまして、このことは、審査請求書に大切なことを記載しないような場合に起つてくるのでありますから、御了承を願いたいのであります。
 特にこの際一言いたしておきたく存じますのは、追放ということを政府は政略の具に供するのではないかという御懸念でありますが、この制度というものは、そういうことができないようになつておるということを御存じのない方の誤解であるのであります。それでもなお疑われますのは、私どもの不徳と申すほかはありません。少くとも私は、閣議決定をもちまして主管を命ぜられております限り、これを政爭の具に供したり、一派の意に副わない人を暗殺したりする道具に使うようなことは、私の良心にかけても、職を賭しましても、いたさないつもりであります。この点は檢察権の行使とまつたく同樣であります。從つて、発表し得るときがきましたならば、何人が聞いてもそれはもつともであると首肯せられます條件のもとにおいてのみ事を運ぶのであるということを御了承願いたいのであります。(拍手)
#31
○議長(松岡駒吉君) 石原君より再質問の要求がありますが、残された割当時間が二分しかございませんから、きわめて簡單に願います。
    〔発言するもの多し〕
#32
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
    〔石原登君登壇〕
#33
○石原登君 総理大臣の御答弁は、ごらんの通り國民の代表は全然これを了承できないのであります。私が政局安定のために、この渾沌たる空氣一掃せらるべく要求した趣旨に、全然一致をいたさないのであります。かえつて総理大臣の御答弁では、さらに疑うべきいくつかの点を残しております。私は総理大臣が良心に訴えて、みずからの誤りは誤りとして――人間でありますから、政府のなされることすべてが必ずしも間違いがないとは言えないのであります。こういう点を明らかにされますことにおいて、國民は釈然とし、さらにこの重大なる時局を認識いたしまして、日本再建のために努力するものであるということを強調いたしまして、再び総理の良心ある御釈明を要求するものであります。(拍手)
#34
○議長(松岡駒吉君) 中野四郎君、発言者を指名願います。
#35
○中野四郎君 農民党は、綱島正興君を指名いたします。
#36
○議長(松岡駒吉君) 綱島正興君、発言を許します。
    〔綱島正興君登壇〕
#37
○綱島正興君 私はごく簡單に、大藏大臣に一点と、逓信大臣に一点と、総理大臣にお尋ねをします。大藏大臣に……(「大藏大臣はいない」と呼ぶ者あり)おるすであつても――靜かにお願いします。大藏大臣にお尋ねいたしますことは、終戰処理費のうち、たくさんな不拂いができているようでございまして、そのために業者が非常に困つているようでございますが、この点について適当な御処理をなさる御意思があるかどうか。その中には、九月一日からは賠償金の一部に充当さるべき性質の支拂部分あるようでございますから、かようなものを延滯いたしておくことはよくないと考えますので、そういう点についても十分な御考慮を願いたいと思うのであります。
 次に、逓信大臣にお伺いをいたします。本日の東京新聞の報ずるところによりますれば、安全通信と称しまして、電報通信に対して新たなる怠業状態にはいつた所がままあるようであります。荏原郵便局でございますとか、目黒、世田谷、小樽郵便局等におきましては……(「発言の内容が違うじやないか」「関係がない」と呼び、その他発言する者あり)よろしい。これを後回しにする。これは、ほんとうに一言私はお尋ねするにすぎないのだが、皆さんがそうやつていきり立たれるなら、あとにしましよう。
 それでは総理大臣にお尋ねをいたします。総理大臣にお尋ねをいたしますことは、先ほどからいろいろな御答弁がございましたが、自由党やその他の諸君からの御質問に対しての総理大臣の御答弁は、あたかも顧みて他を言うというような御答弁でございます。(拍手)政治の基本は眞実を尊ばねばならぬ。眞実を尊ばないところの政治というものは、ほとんどその用をなさないのであります。
    〔発言する者多し〕
#38
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#39
○綱島正興君(続) そこで、私が総理大臣にお尋ねをいたさなければならぬことは、他の皆さんがお尋ねになつたたくさんの事柄の中で、特にお願いをいたすことは、何ゆえに総理大臣は記者團に対して取消しをなされたか。つまり、記者に発表されたことと國会において答弁されたこととが食い違いがある。そのために、國会において答弁されたことを記者團から追究されて、その相違については、記者團の権威に関するために、取消しの意味を含んだる遺憾の意を表されたのであります。記者團に対して取消しの意を含んだる遺憾の意を表されたならば、國会に対してやはりその間違いであつたことを明らかに取消されなければならない。(拍手)同一の事柄において、一方の記者團に対しては、取消しの意味において遺憾の意を表し、國会においてはこれを表しないということは、一体これは先ほどから諸君が言われる通り、國会を無視する態度でございます。
 あなたは、七月一日の施政方針演説において、高度民主主義の実行のおもなるものとして、國会の尊重を誓われたのであります。そうでなくても、ただいま民主主義政治を実行すべき責任をわれわれお互いにもつており、その代表者として皆この國会に連なつておる次第でございます。これを無視して、あなたは強いて実は白を黒にして答弁をしていかれるのか、それとも白を黒と言わぬでも、白を白であるという答弁を默殺しようとされるのであるか。私は他の人ならそうまでは申さぬ。あなたが若しこの黒白を取違えられるならば、すべてのものの破産であります。他の大臣ならとにかく、片山君に限り白を黒と申しては相ならぬ。(拍手)もしも、あなたがこういう態度をとつていかれるならば、それは日本の進歩すべき政治コースの非常なる障害になるだけではございません。日本のあらゆる点における政治上の進歩に対して、非常なる障害をあなたによつて與えられるという事実を、あなたは御承知を願わねばならぬのであります。(拍手)こういう意味であなたの責任がある。良心的のお答えを願わねばならぬ。事は簡單であります。何もくどく言う必要はない。それだけに、あなたの答弁は絶対必要であり、決定的に方向づけられておるのであります。いわく、間違いは間違いとしてあなたは陳謝なさるがよろしい。そうしてあなたの地位を、間違いであつたがゆえに、そのことだけで追究しようという者はそれほど多くはなかろうとは思つておる。そこで、私はあなたに特にお願いいたしたい。あなたは日本の國会及び内閣の信用をつなぐために、良心ある御発言を願わなければならぬ。ただこの一言をもつて、あなたに特に御答弁を煩わします。(拍手)
    〔國務大臣片山哲君登壇〕
#40
○國務大臣(片山哲君) 先ほども申しました通り、私が中野四郎君の御質問に対しましてお答えいたしました言葉のうち、非常に説明の足りなかつたことがあります。その点は報道機関等に非常な誤解を生ぜしめまして、はなはだ遺憾の意を表したのであります。その眞意は決してそういう趣旨でなかつたのであります。その意味を重ねてここで釈明いたしまして、私の意思は決してそういう意思ではなかつた。中野君の御質問に対するお答えの結論といたしましては、先ほど申した通りでありまして、責任者を追究する意思はなかつたのであります。本日この議場におきまして、私の言葉の足りなかつた点は釈明しておきます。
#41
○綱島正興君 再質問をお許し願います。
#42
○議長(松岡駒吉君) 綱島正興君に発言を許します。
    〔綱島正興君登壇〕
#43
○綱島正興君 ただいま総理大臣から御答弁がございましたが、なるほど苦しいところもございましようけれども、これは國会の権威のために、言いかえればあなた御自身の御権威のために、正直にお答えにならねばならぬ。自分どもが、あたかも追放する者に該当するもののごとく仕組んだことは間違いであつた、そうして、その間にはいろいろな間違いが起つたために、かようなことをいたしたけれども、結局罷免をしたのだと、はつきりお答えになる方が私は正しいと思う。それ以外の御答弁は、この際すべてのことをやみに葬らんとする、まつたくあなたにはふさわしからざる、へたな御答弁であると思うのであります。このことによつてあなたを陷れるための何らの惡意をもつ質問ではございません。この点は御信用を願いたい。重ねて御答弁を願います。
    〔國務大臣片山哲君登壇〕
#44
○國務大臣(片山哲君) 平野君に対して辞職を求め、聽き入れなかつたものでありますから罷免権を発動いたしました点については、私が心の底から平野君に勧告したのでありますから、内閣非協力という問題であります。この点につきましては、何ら変りはないのであります。いかにお尋ねになりましても、私自身は平野君に向いまして、長時間にわたつて勧告いたしたのでありまして、平野君を罷免いたしました理由は、内閣非協力という点でありまして、その点を極力申したのであります。その他の点につきまして、中野四郎君の御質問に対するお答えのうち、私の言葉の非常に足りなかつた点及び誤解を受けました点については、はなはだ遺憾でありました点を重ねてここで釈明しておきます。(拍手)
#45
○議長(松岡駒吉君) 小澤佐重喜君、発言者を指名願います。
#46
○小澤佐重喜君 日本自由党では、國務大臣の進退問題に関しまして平井義一君を指名いたします。
#47
○議長(松岡駒吉君) 平井義一君、発言を許します。
    〔平井義一君登壇〕
#48
○平井義一君 私は、國政運営の明朗を期する意味において、國務大臣の進退に関して質問いたしたいと考えるのであります。片山総理大臣、芦田外務大臣、西尾國務大臣、鈴木司法大臣並びに林國務大臣の責任ある答弁を要求いたします。
 國政運営をガラス箱の中で行いますことは、社会党首班内閣の最大のモットーであります。國政運営がすべて新しい日本國憲法の精神に則つて行われますことは、申すまでもないのであります。しかるに、昨今國務大臣の一身に関し、あるいは政府部内の言動に関連して、國民にはすこぶる納得のいかない事情のもとにその進退問題が実現し、またはとりざたされておりますことは、日本再建政治の威信のためにきわめて遺憾にたえない次第であります。(拍手)
 しかも内閣の首長たる総理大臣は、國民全体の信任投票とも申すべき國会の議決、指名によつて就任されたのであるが、その國務大臣は、その信任投票を受けたところの総理大臣によつて任命されるものである以上、國務大臣の進退は、いかに憲法第六十八條によつて総理大臣に罷免権が與えられたと言いましても、まずもつて廣く國民を納得させ、明朗、公正に行われる必要があるのであります。すなわち國会に報告して、その了諾を得る必要がありはせぬかと私は考えるのであります。しかるに、閣僚間の私情または不純な派閥的抗争によつて独裁的断行を見るがごときことありとすれば、断じて許すべからざることであります。
 過般片山総理大臣は、平野力三氏の農林大臣を罷免されたのでありますが、その理由は閣内不統一の責任と承知しております。しかるに、この閣内不統一の眞相については、まつたく明確を欠くものあるのみならず、閣内不統一の責任を一大臣のみに轉嫁して、むしろ首長たる総理大臣の責任及び他の閣僚の責任を問うことなく、一方的成敗の印象を深からしめたことは、これまた、まことに遺憾にたえないのであります。
 いやしくも憲法第六十六條は、内閣の行政権については、政府は國会に対して連帶責任のあることを明記しておるのであります。しかして、林國務大臣の進退について片山総理大臣は、西尾、芦田、鈴木各大臣と協議の上、林國務大臣が追放令に該当すべしとの前提のもとに、去る一日林平馬氏の辞任を追つたと聞知しておるのであります。就任以來五箇月有余を経て、あらためて閣僚の資格問題が問題として発生すること自体が、むしろ公職適否審査の責任者たる片山総理大臣の責任でなければならぬと申し上げたいのであります。いわんや、林國務大臣が新聞発表に語つたごとく、何らか虚構の事実がそこに伏在しておるといたしますれば、事はいよいよ重大であります。林國務大臣の勇退を求められたことに関し、片山総理大臣以下芦田、鈴木、西尾各國務大臣の明確なる答弁を求め、同時に林國務大臣の、國政担当の責任者として、自己の進退に関し、これまた明確、率直なる答弁を願いたいのであります。
 林國務大臣の話を承りますれば、心痛のあまり病に倒れたと聞いておりますから、実に残念に考えるのであります。もし嚴正にして権威ある中央公職資格審査委員会の決定を待たずして公職追放を理由とするか、あるいは情実をもつて、あるいは架空の事実をもつて國務大臣の進退を強要せんか、民主政治の発展に重大汚点を残し、軍閥的政治の再來をおそれる、これよりはなはだしきはないと断ぜざるを得ないのであります。しかも、憲法第六十八條の罷免権を、いたずらに首長の独裁権として行使する慣例をつくるに至れば、憲法破壊の暴挙またこれよりはなはだしきはないと申さなければならぬのであります。およそ憲法第六十八條の罷免権は、閣僚の大半と……(発言する者あり)よく聽いてください。――意見、政策、主張を異にして、とうてい相容れられない場合に行使さるべきであると考えるのであります。委員会の決定以前に公職追放を理由として、または虚構の事実をもつて國務大臣の進退を強要せんとするならば、國民はまつたく一日も安んじて政治を託するわけにはいかないのであります。私はむしろこの際、國政担当者の進退は、國会に報告してその承諾を求めなければならないと主張いたしたいのであります。國政運営の明朗化と施政の権威のために、林國務大臣の進退に関する処置につきまして、政府の明確なる御答弁をお願いしたい次第であります。内閣は思い切つて、閣内不統一の実態を國民の納得のいくように片山総理大臣の名において御答弁をしていただきたいのであります。
 終りに臨みまして特に御注意願いたいことは、新憲法第九十九條におきまして、國務大臣、國会議員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負うと規定してあるのであります。その義務あればこそ、私はここに声を大にして新憲法の民主的運用の重大なることを説明しておるのであります。憲法を尊重し擁護することは、とりもなおさず、その民主的運用と、その誤りなき前例を遺していくことにほかならないのであります。この見地から、林、芦田大臣を除いた御列席の今お願いした大臣に、十分責任のある御答弁をお願いする次第であります。(拍手)
    〔國務大臣片山哲君登壇〕
#49
○國務大臣(片山哲君) 林國務大臣は御病氣のゆえをもつて欠席されておりまするが、閣議不統一とか、あるいは國務遂行上現在においては支障はないのであります。
#50
○議長(松岡駒吉君) 小澤佐重喜君発言者を指名願います。
#51
○小澤佐重喜君 旱害対策に関する問題につきまして、片岡伊三郎君を指名申し上げます。
#52
○議長(松岡駒吉君) 片岡伊三郎君、発言を許します。
    〔片岡伊三郎君登壇〕
#53
○片岡伊三郎君 旱害應急施設ならびに恒久対策事業について質問いたします。
 今夏の旱害は関西並びに関東一円にわたり、その被害激甚をきわめ、特に大阪・京都・奈良・千葉・神奈川・兵庫・和歌山・茨城等廣く二十余縣に及ぶの状態であつて、さきに政府においても深くこれに考慮を拂われておりました際、たまたま今秋関東の大水害に遭遇し、政府はこの対策に大わらはであつて、早魃に対する観念はその陰にかくれ、忘却と言わざるまでも、ほとんど放棄の形となりたる観あるも、右は國庫財政のしからしむるところとはいえ、まことに遺憾にたえないのであります。
 顧みるに、旱害應急施設においはて、農民は一粒の米麦を確保するのに血のにじむ思いをいたし、その総力を結集し、各種團体と密接なる連絡のもとに電力、石油等による機会揚水はもとより、地下水利用その他の方法により、被害の最小限度の防止に努めましたものの、これら施設費は実に総額四億二千余万円の巨に達し、さらに九億五千三百余万円に及ぶ恒久対策事業の計画を立てて、食糧増産に懸命の努力を拂い、すでにこれらの工事に対しては事業着手のものも相当あります。このままにして放置するときは、農民の生産意欲を著しく放退するのみならず、明年度の食糧生産に受くる影響はけだし甚大なるものがあります。政府においても、旱害應急対策に対する助成はもとより、旱害地帯を將來の惨禍、否、今日即刻より救うべき恒久対策を樹立し、農民の努力と相呼應して生産確保を期せらるるは、國政焦眉の急務と存ぜらるるにつき、本事業に対しては、水害費と同樣に速やかなる助成の途を講ぜられねばならぬと信じます。
 政府は、今次の追加予算に五千万円の旱害対策費を計上しておりますが、この程度のものでは、まつたく申訳的のものと言わなくてはなりません。この際政府当局、そして首相、安本長官、大藏大臣、農林大臣等の御所見と責任ある御対策をとくと聽いておきたいと存じます。以上、簡單ながら私の質問の要旨を述べた次第であります。(拍手)
    〔國務大臣片山哲君登壇〕
#54
○國務大臣(片山哲君) ただいま御質問の旱害の問題でありまするが、水害と同樣十分対策を立てたいと思つておるのであります。何分にも財源の乏しい今日でありまして、各方面に施策を立てなければならないこと等をにらみ合わせまして、ただいまお示しの通り、とりあえず五千万円を計上いたしたのであります。しかし、その足りない分は今後十分に考慮いたしまして、追加予算その他の場合においてこれを計上すべく目下努力中であります。
#55
○議長(松岡駒吉君) この際、逓信大臣が見えましたので、答弁を求めます。
    〔國務大臣三木武夫君登壇〕
#56
○國務大臣(三木武夫君) 先ほど綱島君からお話の、安全通信と称して行われております通信の停滯について、これを御報告申し上げたいと思います。
 ただいま、世田谷局、目黒局等において、安全通信の名のもとに、平常の通信状態より非常に能率の低い状態に陷りました結果、十二日の午後四時に、世田谷局においては電報が百五十通停滯いたし、また目黒局においては五十八通の停滯をいたしておるのであります。ただいまは、世田谷局、目黒局、また北海道の小樽等にこういう事実が起つておりますが、すでに十一月八日には落合長崎局等もこういう状態でありましたが、ただいまは、落合長崎局は普通の状態になつております。こういう事態で、安全通信の名のもとにかくのごとき状態が波及をする傾向がありますので、逓信省といたしましては、ただちに監察部員を派遣いたしまして、この実情を詳細に把握いたしますとともに、かくのごとき事態は一つの爭議行爲の疑いをもちますので、その観点に立ちまして、今後不当なる爭議行為であるという断定が下りますならば、これに対して先般中央郵便局における集團欠勤の場合のごとき処置をとりたいと、ただいま調査を進めておる次第であります。以上、御答弁といたします。
#57
○議長(松岡駒吉君) 森三樹二君、発言者を指名願います。
#58
○森三樹二君 社会党は、旱害対策につき田中織之進君を指名いたします。
#59
○議長(松岡駒吉君) 田中織之進君、発言を許します。
    〔田中織之進君登壇〕
#60
○田中織之進君 私は、本年度の旱害問題について、ただいま自由党の片岡君から政府に対する質問があつたのでありまするが、はつきりした政府の方針を伺うことができないので、重ねてこの問題について政府の所信を伺いたいと思います。
 本年度の旱害は、和歌山、奈良、大阪、京都、滋賀等の近畿地方を中心といたしまして全國十七府縣にわたり、実に甚大なる損害を本年度の農作物の上に及ぼしておるのであります。これを氣象関係から見まするならば、奈良縣のごときは、明治三十年に奈良縣に測候所が開設されて以來初めての雨量の少い年でありまして、平年のわずかに四六%程度しか降雨を見なかつたのであります。このために、植付以前から水不足が懸念されまして、作付不能に陷つたところの面積も相当廣いのであります。ようやくこれらの作付不能の面積に対しまして対策を行いまして植付けたものが、七月二十一日から約十日間、八月二日から九月十三日にわたる四十三日の長きにわたりまして、部分的には少量の雨を見たのでありますが、ほとんど降雨を見なかつたために、全國十七府縣にわたりまして、収穫皆無の耕地をたくさん出しておるのであります。これを概括してみまするならば、昭和十四年の大旱魃に優るとも劣らない被害を受けておるのであります。
 昭和十四年の旱魃に対しましては、政府はいち早くこれが対策に苦心をいたしまして、いろいろ施策を講じたのであります。しかも昭和十四年におきましては、当時すでに戰爭状態にはいつておつたにもかかわらず、なお今日のような供出制度はとられていなかつたのであります。それにもかかわらず、政府はきわめて迅速なる対策を講じたのでありますが、今日供出問題について農民に対する過重なる負担となつておる段階におきまして、政府の今回の旱魃に対してとられた処置は、遺憾ながら十分誠意をもつて行われたとは受け取れないのであります。しかしながら、先ほど片岡君も指摘せられましたように、この旱魃対策が、その後東北、関東を襲いまして大水害のために、いささか陰に隠れた感じがするのであります。しかも、東北、関東水害に対する対策並びに六・三制等の予算のために、財政支出の面において政府も苦しい立場にあることは、われわれは諒とするのでありまするが、今回の追加予算にわずかに五千万円しかこの旱魃対策費として見積られておらないということは、われわれとしてきわめて遺憾に存ずるのでありまして、わずか五千万円の旱魃対策費をもつて、さしせまつた供出問題に対処せんとする政府の態度は、どうしても納得いきかねるのであります。
 もちろん農林省といたしましては、この旱魃に対しまして、石油の配給その他あらゆる努力は試みられたでありましようが、九月十日農林省の開拓局で集計いたしましたこれらの旱魃対策費、すなわちポンプの設置購入、井戸の掘鑿によつて地下水による灌漑等のいろいろの施設並びにポンプを動かすための電力費、石油代等農民が現実にこの対策のために支出した應急対策の経費は、三億五千七百万円余の金額に上るのであります。われわれは、この査定はきわめて遺憾に存ずるのでありますが、これに対して農林省がわずか一億七千二百四十五万円というものを大藏当局並びに経済安定本部に要求しておるはずであります。それにもかかわらず、今回わずかに五千万円しか経費が計上されておらない。
 さらに、三重縣・滋賀縣・愛知縣・等のいわゆる特殊重粘土地帶に対する旱魃の田面應急復旧対策費としての一億五千七百万円という要求もあるのであります。これらの旱魃に対する應急対策の経費は、少く見積りましても二億五千余万円に達するのであります。從つてわれわれとしては、この問題に対しまして各党各派を超越して、少くとも農林省の要求しておるところの最低の二億五千万円を追加予算から捻出してもらいたいということを、この際政府に強く要望したいのであります。
 政府が今回計上しておりまする五千万円は、しかも公共事業費ということになつておりまするが、それならばこの五千万円では、公共事業費と見られない石油代あるいは電力代等の補助の方法がないのでありまするから、少くともあと二億円の金額を捻出してもらいたいと同時に、それは公共事業費としての面でなく、これらの石油代あるいは電力代等の経費をも補助できるような方策をとつてもらいたいのであります。
 平野前農林大臣並びに和田経済安定本部長官は、すでに和歌山縣、奈良縣等の旱害地を実地に調査されまして、それぞれ農民に対しまして、政府は十分処置を講ずるということを約束いたしまして、農民の最後の努力を要請しておるのであります。それにもかかわらず、いろいろ財政上の都合もありましようが、これらの緊急絶対支出しなければならない経費を計上せずに何の健全財政があるかということを、われわれは問いたいのであります。
 しかも、今回のこの旱魃のために苦心をして、和歌山縣のある農民のごときは、旱害地を朝早く見まわり、朝露を踏んだそのぞうりの水を搾つて稲にかけたという事例すらあつたのでありますから、この問題は、さしせまつておる三千五十五万石の供出問題ともきわめて深い関係をもつておるということを十分認識せられまして、重ねて申しまするが、たとい本年度の予算の組替を断行いたしましても、少くともあと二億円の予算をぜひこの旱害対策のために投じてもらいたいが、はたしてこれをやるだけの意思が政府にあるかどうか、この点をはつきり聽かせてもらいたいのであります。
 なお旱害は、おそらく自然條件に左右される日本の農業から見まするならば、毎年起ることと思うのであります。從いまして、旱害の恒久対策についても、今からこれを行わなければならないと思うのであります。政府は明年度の予算においては相当この点について考慮するということが傳えられておりまするが、はたしてこれを実行する意思があるかどうかということも、重ねて伺いたいと思うのであります。
 なお和歌山縣のごときは、昨年末の南海の震災、さらに本年七月の水害等のために、地方財政としてきわめて苦しい立場に立つておるのであります。旱害対策の予算につきましても、國からの相当多額の補助がもらえるという前提のもとに、すでに各府縣の地方議会において、それぞれこの國からの補助を目あてとしたところの予算を決議しておりまするが、かりに五千万円以上支出されないとするならば、これらの地方議会の予算決議が一体どうなるかということも、併せて考えてもらいたいと思うのであります。
 いろいろ伺いたいことはたくさんありまするが、さしあたつて供出問題ときわめて深い関係にありまするところのこの旱害應急対策の経費につきまして、政府は予算の面から少くとも二億円をひねり出してもらいたい。もしも予算の面から出すことができないとするならば、現在なお十八億円残つておるという予備金を至急支出して、農民をして今後の増産意欲を積極的に燃やさしめると同時に、本年度の供出に対しまして十分協力できる態勢を講じていただきたいと思うのであります。この点につきまして、大藏大臣、農林大臣、経済安定本部長官並びに片山内閣総理大臣の明快なる答弁を煩わしたいと思うのであります。(拍手)
#61
○議長(松岡駒吉君) 総理大臣は用務のために退席中でありますが、十五分くらいいたしますると出席する予定であります。後ほど一括して答弁を願うことにいたします。
 多賀安郎君、発言を指名願います。
#62
○多賀安郎君 國民協同党では、旱害対策に関し竹山祐太郎君を指名いたします。
#63
○議長(松岡駒吉君) 竹山祐太郎君、発言を許します。
 [竹山祐太郎君登壇]
#64
○竹山祐太郎君 旱害対策につきまして、國民協同党を代表いたして意見を申し上げ、政府の所信を伺いたいと思います。
 同僚ニ君から旱害に対する應急対策の熱烈なる御意見がございましたから、私はこの点については多弁を要さないと考えます。申し上げるまでもなく水害も惨憺たる結果でありますが、あの旱害のときにおける、農民のまことに拷問にかけられたるがごとき辛苦を見ましたならば、何人も同情を禁ずることは能わないと思うのであります。今社会党の同僚のお話の通り、平野農林大臣はその現地に立つて、農民に対して政府がとるべき処置の約束をされたのであります。たとい農林大臣は送ろうとも、現内閣としては、この農民に対する公約は必ず実行いたす責任があると確信をいたします。その点については、今回の追加予算においていろいろの事情のために十分の処置ができなかつたということは、まことに遺憾でありまするが、いろいろな処置について、最後に農民への公約を裏切らない処置をとられることを、先般わが党の川野委員からの質問に対する大藏大臣からの答弁で大体は了承をいたしておりますが、重ねて、この点について大藏当局の今後の所信を伺いたいのであります。
 なお、この旱害対策は決して一時の機械や油の問題ではないのであります。今後の恒久対策が日本の農政上今まで手ぬかりであつたということに大きな原因があります。同時に現在の農村が、今までとやこう言われるものの、地主の負担において土地改良が行われてきたのでありますが、これが今回の農地改革によつて一変をいたしております。この態勢に対する水利組合その他の法制的措置を農林省はきわめて怠つております。
 また開発営團を解体し、中金、勧銀その他現状をもつていたしますならば、農業の土地に対する金融的措置はまつたくとられておりません。このことについて世間國民は、食糧増産の対策が幾多講ぜられておるものと安心をいたしておりましようが、これほど大きな手ぬかりはありません。復興金融金庫は一切農業には金を出しておりません。鉱工業その他工業方面には國民の負担の多額の金を注入いたしておりますが、農業には一文の資金も融通をいたしておりません。(拍手)かような現状をもつてするならば、今後の日本の農業の増産は絶対に期し得られません。これについては、從來の政府預金部資金はなくなり、開発営團はなくなり、すべての農業資金に代るには、どうしても復金がその金を出さないならば、復興金融金庫がさような新たなるこの土地に対する資金的措置を講じなければ、農業の再建はできません。また旱害の恒久対策もできません。わずかの國民負担による経常費予算を奪い合うということだけでは、絶対にこれの実行は期し得られないと確信をいたします。
 政府は今銀行制度全般に対する改革案を検討中と承知いたしておりますが、この日本の再建の根底をなす、農業再建の根底をなす農業金融機関に対し、この土地に対する恒久的資金化の問題について、いかなる見解をもたれておるか。これがはつきりときまらなければ、日本農業の再建はできないと思います。農地改革をやつた政府の責任は当然ここに來ることを承知いたさなければならぬと思うのであります。(拍手)私は、旱害應急対策と併せて、この將來に対する金融的立場から見た農業の一面を大藏当局に特に伺いたいと思うのであります。(拍手)
    〔政府委員小坂善太郎君登壇〕
#65
○政府委員(小坂善太郎君) 田中君、竹山君からきわめて御熱心な御質疑がございまして、私から大藏省に関する部門についてお答えをいたします。
 今回の旱害について、実は政府といたしましても非常に苦労をし、心を碎いておるのでありますが、私から申し上げるまでもなく、現在のわれわれは、どうしても抜くべからざる大きな一つの制約のもとにあるのでありまして、このことを無視しては、われわれは何もなし得ないのであります。今回の公共事業費についても、でき得る限りこれを十分に獲得いたしまするように考えておつたのでありまするが、御承知のように五十二億円に止まつておりまして、この中で旱害対策として支出し得る金額は、ただいま御指摘になりましたように大体五千余万円となつておるのであります。この問題については幾多御指摘のような点が考えられますので、われわれとしては、一應の予算の面におきましては、かかる金額を予定しておりまするが、なお大きな観点から政治的に問題を考え直しまして、さらに農民諸君の生産意欲の高揚のため、また供出意欲の圓滑を期するために、また特段の考慮をいたしたいと考えておるわけであります。また石油代あるいは電力代等についての御指摘がございましたが、これらにつきましては、別途に何とかいたしたいと考慮しておる次第であります。
 さらに恒久対策につきまして、われわれといたしましては、來年度から相当に廣汎なる旱害対策について考えをめぐらしておるのであります。なお、この一環といたしまして農業金融に関しましても、われわれといたしましては、その農業金融というものがいかなる季節的な性格をもつものか、あるいは波動的な性格をもつものか、この特殊性から考えまして、ある種の一つの大きな金融機関の必要を考えるのであります。しかしながら現在といたしましては、御承知のように、また竹山さんも御指摘になりましたように、全般の金融機構そのものにつきまして檢討を加えつつあるのであります。そうして、今までの特殊銀行法というようなものはここに廃止せられまして、一般的な銀行の定め、すなわちゼネラル・バンキング・アクトというようなものを考えておりますので、またその中の一環といたしまして、農業金融機構の問題を研究いたしておるような次第でございます。はなはだ簡單でございますが、御答弁をいたす次第であります。(拍手)
#66
○議長(松岡駒吉君) ただいま農林次官が見えましたので、答弁を願います。農林次官笹山茂太郎君。
    〔政府委員笹山茂太郎君登壇〕
#67
○政府委員(笹山茂太郎君) 先ほど、旱害に関する農林省の対策についてお尋ねがありましたそうでございますが、実は旱害については、私の方で相当多額の金を期待いたしておつたのであります。しかしながら、われわれの努力にもかかわりませず努力いたしたのでございますけれども、わずか五千万円程度でありまして、この点に対しましては、地方にさだめし御迷惑をおかけ申しておると考えておるのであります。われわれとしましては、今後これらの不足分は必ず予備金あるいは通常議会の追加予算をもつて獲得したい、こういうことで進んでおるのであります。
 なお恒久対策としましては、これは明年度以降におきまして実施いたしたい考えでございます。なお恒久対策としましては、從來から行われておりましたところの溜池その他の施設を充実いたすとともに、今後水源林涵養、こういう方面にも十分の施設をいたしてまいりたい、こういう考えでおります。さよう御了承願います。
#68
○議長(松岡駒吉君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
#69
○坪川信三君 民主党は、國民経済並びにやみ撲滅問題に関する件をば議題といたし、その発言者に大森玉木君を指名いたします。(拍手)
#70
○議長(松岡駒吉君) 大森玉木君、発言を許します。
    〔大森玉木君登壇〕
#71
○大森玉木君 私は、やみ撲滅に対して私の意見を申し述べ、さらに政府の所信を承りたいと思うのであります。
 やみ撲滅は、申すまでもなく國民生活の安定の上において最も必要であります。そこで、今日のやみの大半は、やむをえざるものが多いのであります。また悪性的なやみ者もあるのであります。しかし、そのおもなるものとして食糧問題を考えてみるのであります。今日の食糧事情から考えまして、統制によつて、あるいは鮮魚は何十何匁、また野菜は何十何匁ということであります。しかし、これはただの一度もその通りに配給になつたことはないのであります。(「その通り」)また米にいたしましても、しかりであります。米は二合五勺となつておりますが、その米の二合五勺が満足に配給されておりましようかどうか。あるいは二十日、二十三日間というものが、都会においては欠配・遅配をいたしております。
 そこで、これをこのままにじつとこらえておりますならば、やみをいたさなければ、先日新聞で見ましたごとく、あの最も貴い犠牲者であるという判事のようにならなければならぬ。詳しく申し上げる時間はありませんが、この間の新聞を見ますると、やみを裁く判事なるがゆえに、やみをいたさないと観念いたしまして、配給だけを守つておつた。そのために餓死いたしたということを見たのであります。そういたしまするならば、私を初め、おそらくこの食糧について、やみをいたさないとたれが断言できましようか。この点について政府の方々に、やみはこうであるが、しかしこういうふうにすれば、やみをしなくてもよろしいという教え方が何かあるかどうか、それを承つて私はそれに協力いたしたいと、こう思うのであります。どうでありますか。
 私どもが着ております毛織物であります。戰爭中統制をいたされてから、まだただの一回も配給はありません。こういうふうにいたしまして、どうしてこの衣食住ができましようか。これを私ははつきりとお尋ねして、やみを撲滅することは必要であるが、しからば國民に生活の安定を與えよということを要求いたす者であります。
 さらに私のお尋ねをいたしたいのは、千八百円ベースについてであります。千八百円ベースということに対しましては、新聞でいろいろ論議いたされておりますが、また政府当局といたしましても、もみにもんでおられるようでありますが、これは千八百円はいけないということを断言いたします。何かと申しますると、これもこの間の新聞で見たのでありますが、中國において戰前三十元をとつておつたところの人が、四万九千倍になつたのでありまして、百四十七万元とつているということであります。一箇月の給料であります。日本の現状はどうですか。日本の現状は、昭和五年、六年、七年の物價水準價格を、今日は六十五倍に上げたのではないか。六十五倍に上げました以上は、これを六十五倍にいたすのが当然でなければならぬ。しからば、五十円とつておつたところの給料取りは、三千二百五十円と相なる。また百円とつておつた人は、六千五百円と相ならなければならないのである。そうしなければ生きていくことができない。食うためであります。
 そこで、おもしろい話がある。これはどうであるかというと、政府におかれましては、予算の賄い方かは存じませんが、專賣局はあの專賣の專の字は物の数の千と書いていただきたい。何かと申しますと、もはやピースは千倍になつた。千倍となりまして、やはり俸給取りに対しても千倍を與えるということになりますならば、百円の月給取りは十万円になる。また五十円の月給取りは五万円に相なるのであります。
 さらにお尋ねをいたしたい。戻るようでありますが、この千倍にせなければならなかつた理由はどこにあるのであるか。やはり、いわゆる大藏省の資金の足りないがために、その資金のために千倍にいたしたのでありましよう。やむを得ないことである。しかし、タバコは千倍が適当なりと考えられるかどうか。政府におかれまして、政府が千倍のものを賣つて、これは高くないと断言いたしましようかどうか。これは物であります。税金ということを申されますけれども、タバコは物であります。物である以上は、物價を千倍にあげても政府だからいいということがありましようかどうか。この点も併せてお聞きいたしたいのであります。
 さらに、時間がないから簡單に申しますが、今日の中小工業に対するところの資金の圧迫、これは資金の圧迫ではないというふうに申しておられますが、私どもは資金の圧迫だと思う。どういうことかと申しますれば、現在地方において銀行に聞いてみると、地方におけるところの銀行に対しては、預金の半額を重点主義に貸出せよということに相なつております。しかしながら、預金はないのである。この間大藏大臣かどなたかの答弁には、預金は殖えておると言う。とんでもないことだ。私どもは金を借りに行つてよく知つておる。ないのである。その預金のないものをとらえて、半額を貸出せよというのであるから、これは皆無であるということになる。そこで、地方におけるところの中小工業者はどういう状態であるか。中小工業者の状態は実に悲惨なものである。もはや明日に閉鎖、今日にいわゆる餓死せんとするような状態である。これに対して救済の道を以下に考えられるか。これらの点も併せてお尋ねをいたしたいのであります。
 また農山漁村に対しましても、私は、農村にも金がない、また漁村にも金がないということを、ここに断言いたす者であります。何かと申しますと、物價高によつて、農村もあるいは漁村も相当の金をもつておると考えておられる当局は間違いである。物價高によつて、悪性インフレという大きな川ができまして、その川に流れ込んでしまつたのであります。ただいまでは漁村においても、その資材仕入れのためには第三國人の資金を融通いたしておるというような状態であります。(「ヒヤヒヤ」「その通り」)また農村においては、いかがであるか。農村の現状を知らずして、また漁村の現状を知らずして、税の内容をみますと、どういうことになつておるか。税は中小工業に対して昨年の六倍である。また農村に対しましては昨年の四倍である。しかし、この税收をどうして取るつもりであるか。中小工業に対しましては、私はこう考えている。彼らはミイラとなつておる。ミイラを搾つても血も肉もないのだ。こういうものに対しても租税力があるがごとく考えておられるところに間違いがないかどうか。(拍手)この点を非常に私は憂うるのであります。
 さらに、現在あります税務署、それには今までは民間代表が出て、仲裁員というものを設けて徴税方法、調査方法を行うたものであります。現在はこれを撤廃いたしました。そうして、役人をおそらく全國には三万人、五万人と、私は数は知りませんが、大多数の役人を殖やしたのであろうと思う。そうして今どういうことをしておるか、今どういう状態かと申しますと、國民申告によるという形のもとに税を申告せよといつて、それから呼び出して、今日も來い、明日も來いというがごとく、被告人を白州に呼び出すことがごとき状態である。(拍手)民主主義を口にせられるところの現内閣、すなわち片山総理のもとにおいて、徳川政治の專賣であつたようなこのやり方は、実に遺憾に思うのであります。
 さらに私は、現在この民主主義ということに対して割切れない点がありますので、これを総理大臣大臣にお聽きをいたしたいのである。何かと申しますると、終戰と同時に私どもが喜んで受けたものは何であつたかと申しますると、民主主義によるところの自由と権利であつたと思う。その自由と権利の民主主義、これが今日のこの形でありましようか、これを承りたい。民主主義とはすなわち今日のいわゆる官僚政治ではないと私は断言してよいと思う。これは民主主義じやない。あらゆるものが國営、國管あるいは公團、こういうふうにして、今やもうすでに官僚の支配下にある。國民全体が支配下にあるというてよい。そういう状態になつた。また自由はどこにありましようか。今日ほど不自由な時代は絶対ない。また今日ほど権利のない時代はない。はしのあげおろしまでも干渉を受けなければならないというのが今日の状態であります。これらの三点。現在の民主主義がこれなりや。どういうことか。私はこれが割切れない。この点を総理大臣に伺いたいのであります。(拍手)これをもつて、私の質問を終ります。
    〔政府委員小坂善太郎君登壇〕
#72
○政府委員(小坂善太郎君) 大森さんから、きわめて有意義なる数々の御指摘がございまして、私から大藏省に関する部分についてお答えを申し上げます。
 最初に、やみについての根本的な御見解でありましたが、現在敗戰後のいろいろな惡條件が現われてきております。実際に物心ともに非常に不如意なあり方をしておるということは、これは認めなければなりませんが、われわれといたしましては、この環境を何とかして打開しなければならない。それには、今われわれを苦しめておりますインフレーションをこの段階において何とか断ち切つて生産を擴大させていくということ以外に、今強力なる方向というものは見出し得ないのであります。このために物價と賃金が、互いに惡循環を來しておるようなこの現況を断ち切ろうということをまず考えたのであります。このためには一つの基準を設けて、今御指摘になりました千八百円の基準というものをつくりまして、これを堅持いたしますことによつて物價と賃金の惡循環を断ち切つていくということを意図しておるわけであります。
 なお、現在生産が非常に上つていない。これは一方には、ただいま御指摘になりましたように、やみが瀰漫しておるということによりますが、やみを撲滅して生産を正規な過程に入れろと申しましても、生産に要しまするところの費用を公的價格といたしまして商品の價格を決定いたしておるのでありまするが、これがとてもその生産費を償わないというような状態ではいけませんので、これをある一定のバンドを設けまして、いわゆる安定帶を戰前の六十五倍に設けまして、これを公定價格の中に今の製品を追い込んでいく、そうして流通する部分におきまして、やみにおいて流通する部分を正規の流通過程に追いこんでいくのだということを考えておるわけであります。こういうことは、そう一朝一夕に行い得るものではなくて、そこにいろいろな時間のずれ等もございまするが、われわれは、こういう政策を強行することによりまして、初めて今後の日本の明るい再建が期待し得るものであるというように考えておるわけであります。
 また、この物價と賃金との騰貴率についての御指摘もございましたが、これは一應ごもつとものようでありますけれども、現在の労働の生産性と申しまするか、十分にあらゆる工場等が稼働しておりません結果、ここにおいて戰前と同樣に稼働しまするならば、そのおのおのの騰貴率も同樣でよろしいのでありましようが、大体三分の一くらいに生産性が落ちております結果、今御指摘のような点が出ておるのではないかというように思うのであります。
 これを要しまするに、現在この一点においてとらえまして、いろいろな矛盾を言つてみましても、批評はいくらでもできるのでありますが、これをわれわれが今申し上げました理論的に正しい筋に乗せて、これを強行して、そうして將來の日本の経済の明るい再建安定というものを期待し得る以外に、現在のわれわれのとる途はないのであろう、こう考えておるわけであります。
 次に、中小商工業に対する資金の圧迫というお言葉がございましたが、われわれは、この中小商工業というものに対しては、これが將來日本経済の中に占むる重要なる地位について強く認識をいたしております。先般閣議で決定いたしました中小企業の振興対策というものをごらんになつていただきますれば、われわれの決意も御了解願えるのでありまするが、これは何といたしましても、ただ中小企業の規模が小さいから保護するのだということではなくて、われわれの考えでは、いかに小さくてもこれが國家の再建のために非常に必要な企業であるというものにつきましては、十分にこれを助成し、保護するのだという考えに立つておるのであります。
 なお、國民の蓄積の中から、國民の貯蓄の中からその工業に対する融資を考えておるということについて、いろいろ金詰りができてくるということを御指摘になつたのでありますが、飜つて考えてみまして、國家の財政資金によつて産業を経営していくということは非常にイージー・ゴーイングなやり方でありまして、いかにも金融はその瞬間においては樂でありましようが、結局におきまして、國家財政というものはすべて國民の負担の結集であります。でありまするからして、先を考えずして、いたずらに國家依存という形でずるずるとイージー・ゴーイングな形でいきまするときには、われわれは永久にこの苦しみから脱けることができない。現在は苦しくても、お互いに蓄積した中から産業資金を賄つていこうという現在の方向は、これはどうしても強行しなければならないというふうに考えておるわけであります。
 これは御質問から少し離れるものでありまするが、やみと金融の問題と絡みまして、現在新円で貸しつけます部分と、封鎖によつて貸しつける部分とありまするが、御承知のように新円によつて貸しつける部分が少いために、今の御指摘の金詰りの面が相当にあるであります。この面を打開するために、將來は貸付を新円一本でやるようにもつていきたいということをわれわれは考えておりまして、御承知のように資金の甲の一という部分におきまして、すなわち石炭、肥料とか鉄鋼、亞炭、そういうものに対する金融については、新円で貸付をしておるのでありまするが、明日から基礎産業、配給機関等につきましては、これまた新円で貸しつけるように措置をすることに決定いたしております。その点につきましても、逐次新円によつて貸し付けるように考えておるのであります。
 さらに、納税制度についていろいろ御指摘がございましたが、これは先般の吉田内閣の当時におきまして、申告納税の制度を採用いたしました。これは確かに一つの画期的な新しい方法であり、インフレの現段階におきまして、これが円滑に行われますならば、著しくインフレを防止し得る機能を営むことと考えられるのでありますが、これは未だに國民全般に対してよく消化され、咀嚼されておりませんから、いろいろな、つまり申告納税の結果といたしまして、納税が十分にされていない面が多いのであります。しかしながら、これにつきまして政府といたしましては、歳入を確保するということはいかにも必要なことでありますので、ただいま更正決定をいたしておるような次第であります。その結果といたしまして、いろいろ摩擦も考えられまするが、政府といたしましては、極力これを民主的な方法によつて決定するよう、いろいろ努力を拂つておる次第であります。以上、はなはだ簡單でございますが、お答えいたします。
#73
○議長(松岡駒吉君) 小澤佐重喜君、発言者を指名願います。
#74
○小澤佐重喜君 日本自由党では、最後に渉外工事費支拂遅延に関する問題につきまして、角田幸吉君を指名いたします。
#75
○議長(松岡駒吉君) 角田幸吉君、発言を許します。
    〔角田幸吉君登壇〕
#76
○角田幸吉君 終戰以來今日に至るまで、進駐軍工事につきまして、業者からの推定によりますと、約八十二億円の未拂いがあるのであります。これを詳細に申し上げますると、終戰のときより昨年の八月三十一日まで、いわゆる復興院が関係いたしませんまでのものにつきましては、一七・六%の未拂いがあるのであります。昨年の九月一日から今日までのものにいたしまして、復興院の関係いたしておりまするものが、五七・五%の未拂いがあるのであります。これはいずれも特命工事であります。入札工事によりまする復興院関係で、昨年の九月一日より現在に至りまするものは七五・六%支拂がないのであります。同じ期間におけるメンテナンス工事におきまして、九五%という恐るべき額が支拂がないのであります。
 ところが、ここで御注意を願いたいことは、日本銀行関係におきまして、これらについてどれだけの金融があるかということを銀行関係の調査するところによりますると、約五十八億円の貸付があるということが推定されておるのであります。そのほかにつきまして、驚くべき資材提供者に対する未拂いというものがありまして、今日まじめなる生産者というものは破産に瀕しておるのであります。
 ここで申し上げたいことは、私は、この支拂がないためにやみ屋が喜ぶという結果になつておるということを申し上げたいのであります。たとえに、大風が吹くとおけ屋が喜ぶということがあります。大風が吹いて人の目にごみがはいる。盲になる。盲になつたために、こじきか何かするようりほかにないので、ねこを殺して、三味線をつくる。ねこを殺したためにねずみが殖える。ねずみがおけをかじるために、大風が吹くとおけ屋が喜ぶというたとえがあるのでありますが、この渉外工事費未拂いのために、今日の物價が暴騰いたしまして、やみ成金がますます拡張するという結果になることを、大藏当局において御留意を願いたいのであります。
 復興金融金庫に対しまして、先般三百億円の増資をしたのでありますが、今度の追加予算におきまして、その中の四十億円だけは政府の出資になるのでありますが、あとの二百六十億円というものは銀行関係に債権の引受をさせる。ところが、現在進駐軍関係の支拂がありませんので、この引受が困難だというのが、今日の地方銀行の実情であります。
 さて、そういう事情からいたしまして、大藏当局に私がお尋ねをいたしたいことは、この金額がはたしてどの程度の遅延があるかということをお尋ねいたしたい。そして、この支拂はいつごろ完了する御予定であるかということを承りたい。
 さらに第三といたしまして、本年度の既定予算ないし追加予算において、この点についてどのくらいの見積りをしておるかということをお尋ねいたします。
 さらに、この工事につきましては復興院と大藏省で別々の査定をして、その間にしよつちゆう爭いがあつて、査定が遅れておるというのが業者の言うところであります。この点につきまして、これらの工事について、その査定がいつ完了するかということを復興院関係から、また大藏省関係から、はつきり御答弁を願いたいのであります。
 さらに申し上げたいことは、何と申しましても特命工事は会計法上かなりの問題があろうと思います。そこで、こういう金を支拂います場合に、殊に復興院と大藏省との間にまちまちの見解がありまする場合に、会計法上何らかの問題が起らないかどうか。もし起つてこのことが遅延するものであるとするならば、この際政府当局は会計法について臨時措置法を提出してでもこの問題を一挙に解決する用意ありや否やということをお尋ね申したいのであります。
 その次にお尋ね申し上げたいことは、推定されております八十二億円について、業者は約一年に五億円の損害をしておるのであります。銀行その他の利息の支拂いが滯つておるのであります。これにつきまして、國家賠償法の見地から、新憲法の精神から、少くとも憲法施行の日にさかのぼつて、國家はこれに対して賠償する責任なしや否や、この点についての明快なる御答弁を願いたい。
 この場合に一言触れておきますることは、旧憲法におきましては、債務不履行の損害賠償の責任なしと考えられて、從來はそういう取扱いになつておつたのでありますが、かかる事態に対して、復興院と大藏省において査定の爭いから、かくのごとき多額の損害利息をかけるということは、すでに國民に対する権利侵害の大なるものであるということになると思うのでありますが、この場合におきまして、賠償責任ありや否やということをはつきり御答弁を願いたい。
 以上、簡單でありまするが、両当局にお尋ね申し上げます。(拍手)
    〔政府委員小坂善太郎君登壇〕
#77
○政府委員(小坂善太郎君) 角田さんから、渉外工事費遅延に関していろいろと御指摘がございました。お答えを申し上げます。
 一体この終戰処理費に関しましては、これは戰後の日本、われわれ國民がどうしても背負わなければならない一つの義務であるのでありますが、われわれといたしましては、これの支出の國民経済全般に対しまする影響に鑑みまして、最も慎重に、最も細密なる思料をもつてこれを見ておるのであります。御承知のように、先般の議会において御協賛をいただきました昭和二十一年法律第六十号によりまして御決定をいただいたことでありますが、終戰処理費の大部分をなします渉外工事費に関しまして、これを大藏大臣が最後において、査定をする権能を附與せられておるのであります。この渉外工事の支拂請求書を出しまする際には、地方廳から戰災復興院を経て、あるいはこれが維持管理費の部面に関しまするものにつきましては終戰連絡事務局を通しまして、大藏省に参りますわけであります。大藏省といたしましては、先ほど私が述べました趣旨に基きまして、十分これを精査して、いやしくもこれが不当な國民の負担になりませんように考えておる次第でございます。その結果といたしまして、いろいろと審査の途上におきまして遅延ということもあるいはあるかと存じまするが、大藏省のみの部分に関しましては大した遅延はないのであります。しかしながら、これは御指摘もありましたように、政府支拂が遅延いたしますることは、これはまわつて産業資金を圧迫することになりますので、極力大藏省といたしましては、復興院あるいは終戰連絡事務局あるいは地方廳とも連絡をとりまして、この支拂の促進をいたしておるわけであります。
 次に、大体今度の追加予算におきまする終戰処理費中、新たなる渉外工事がどれくらいあるかというお話がございましたが、これは御承知のように、三百九十億円のうち約半分が新規工事で、半分が物價騰貴によるものであるというふうに御承知を願いたいのであります。大体御質問の点について、さようお答えを申し上げます。
#78
○角田幸吉君 私の質問と違つている点がありますので、簡單でありますから、ここからお許しを願いたいと思います。
#79
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
#80
○角田幸吉君 大藏次官にお尋ね申し上げました点は、この遅延をしておる、八十二億円と私の推定いたしておりますものについて、本予算並びに追加予算においてどのくらい計上してあるのかという質問であります。この点についての御答弁を願いたい。
 もう一つは、およそこれらの遅延の結果、地方銀行の資金に非常な遅延をしておる。いつごろまでにこれが解決できる見込みであるか。
 もう一つは、國家賠償法の見地から、遅延利息について賠償の責任があると考えておるか。
 この三点をお尋ね申し上げたいのであります。
    〔政府委員小坂善太郎君登壇〕
#81
○政府委員(小坂善太郎君) ただいまお答え申し上げましたように、これは十分に精査いたしまして、その結果に基いてお支拂をいたしますので、八十二億円のうちどのくらいを予定しておるかと言われましても、正確な数はただいま申し上げにくいのであります。大体におきまして、今までの実績から考えますと、二割くらい減つておるのが通例のように考えております。
 さらに、この利息の点でございまするが、これは私ども目下いろいろと実情に即しまして考えなければならぬというふうに思いまして、その遅延の理由がいずれの側によつて起きておるか、すなわち政府の側における瑕疵によるものか、あるいはやむを得ざるものかというように、ものによつていろいろ違うと思いまするが、その個々の例について考えてみたい、かように考えております。
#82
○議長(松岡駒吉君) これにて自由討議を終了いたしました。
 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後四時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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