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1951/03/14 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 農林委員会 第14号
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1951/03/14 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 農林委員会 第14号

#1
第013回国会 農林委員会 第14号
昭和二十七年三月十四日(金曜日)
    午前十時五十九分開議
 出席委員
   委員長 松浦 東介君
   理事 遠藤 三郎君 理事 河野 謙三君
   理事 平野 三郎君 理事 小林 運美君
     小笠原八十美君    越智  茂君
      小淵 光平君    川西  清君
      坂田 英一君    坂本  實君
      千賀 康治君    原田 雪松君
      石井 繁丸君    八百板 正君
 出席政府委員
        農林政務次官  野原 正勝君
        農林事務官
        (大臣官房長) 渡部 伍良君
        農林事務官
        (農業改良局
        長)      清井  正君
        農林事務官
        (蚕糸局長)  寺内 祥一君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (管財局閉鎖機
        関第二課長)  堀口 定義君
        農林事務官
        (食糧庁業務
        第一部長)   細田茂三郎君
        専  門  員 難波 理平君
        専  門  員 岩隈  博君
        専  門  員 藤井  信君
    ―――――――――――――
三月十四日
 委員井之口政雄君及び足鹿覺君辞任につき、そ
 の補欠として竹村奈良一君及び八百板正君が議
 長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 農林漁業資金融通法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第五一号)
 農業改良助長法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第五七号)
 閉鎖機関日本蚕糸統制株式会社が積み立てた繭
 糸価格安定資金の処分に関する法律案(内閣提
 出第六〇号)
 食糧問題に関する件
    ―――――――――――――
#2
○松浦委員長 これより農林委員会を開会いたします。
 昨日の委員会におきまして、農林漁業資金融通法の一部を改正する法律案及び農業改良助長法の一部を改正する法律案に関する質疑を終局いたしておりますので、本日は両案に対してそれぞれ討論採決に入ることに相なります。
 両案とも別に討論の通告がありませんので、討論を省略してただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○松浦委員長 御異議なしと認めます。
 まず農林漁業資金融通法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕
#4
○松浦委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#5
○松浦委員長 引続きこれより農業改良助長法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕
#6
○松浦委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
 なおお諮りいたします。ただいま可決いたしました両案に対する衆議院規則第八十六条の規定による報告書作成に関しては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○松浦委員長 御異議なしと認めましてさよう決しました。
    ―――――――――――――
#8
○松浦委員長 閉鎖機関日本蚕糸統制株式会社が積み立てた繭糸価格安定資金の処分に関する法律案を議題といたし、質疑に入ります。通告がありますのでこれを許します。小淵光平君。
#9
○小淵委員 日本蚕糸統制株式会社は現在閉鎖機関に指定をされて清算中であるわけでありますけれども、これが現在閉鎖機関令に基いて閉鎖機関に指定されておるといたしますと、講和条約の効力が発生すると同時に、当然現在執行されておるところの閉鎖機関令というものは改まつて行かなければならないというふうに考えておるのでありますけれども、これは効力発生と同時に現在の勅令が失効いたしまして、そのときに元の形になつて参るのであるか。あるいは新しい法律ができて、講和条約の効力発生後もこの新しい法律によつてこれが引続いて閉鎖機関指定の行為を継続されるかどうか、これについてお伺いいたしたいと思います。
#10
○堀口説明員 小淵委員の御質問にお答えいたします。閉鎖機関は従来連合国最高司令官の指示に基きまして大蔵大臣が指定して、閉鎖機関の清算をやつておつたわけでありますが、制度全体といたしましては大体その目的を達しまして、本年の三月末には約三百機関を残しまして大体清算を結了いたすことに相なつております。そこで制度ももちろん改める必要を感じておりますので、閉鎖機関の指定の解除というような問題について従来から検討をいたしておつたわけであります。ただ全体の行き方といたしましては、ポツダム政令に法的効果を与えます法律的な措置によりまして、今国会に提出する法案が通過いたしますれば、閉鎖機関令は一応閉鎖機関令として法律的な効果を持つことになるのであります。従つて特に将来閉鎖機関の指定を解除するという行為がなければ、従来通りの閉鎖機関令による清算を続けて行くということになります。ただこの制度につきましては、なるべく早く政府といたしましても最終的な処理をいたしたいのでありまして、この必要を満たすために今国会にさらに閉鎖機関令の改正案を上程いたしまして、その中で現在閉鎖機関に指定されているものも解除することができるようになることと思います。ただ蚕糸統制のような特別法によつて設立された法人につきましては、もしそれを解除いたしました場合も、その後公団等の清算と同様に解散令というものを別につくりまして、政府が監督してやつて行くことになると思います。そのやり方は閉鎖機関令によつても必ずしもそう差異が出て来ないのではないかということで、将来どちらのやり方でやるかについては、行政的に解決さるべき問題だと思います。ただ今度国会に提出します案では、指定の解除は一応できることにいたしたいと思いますので、その後指定を解除せずに機関令でやるか、あるいは指定を解除いたしまして別に政令による解散令というものを出してやるか、その辺は将来の検討の結果決定する問題ではないかと思います。
#11
○小淵委員 大体新しい法律によつてかわつて、従来通り大部分行つて行くのだというお話のようであります。そういたしましてもこの閉鎖機関に指定をされたということは、もちろん戦争に敗けたという大きな原因で、その会社創立の趣旨に反して閉鎖機関に指定されるという宿命的なものは当然あつたわけでありますけれども、新しい法律に移行するような場合に、たとえば復権をするとか、あるいはその会社の形はそのままでなくとも、第二会社的な存在でその会社の精神をその中に織り込んでやつて行けるということが相当考えられて、さような道が講ぜられている新しい法律が生れて来るかどうか、そういたしたような場合には当然、閉鎖機関に指定されたという大きな鉄槌があつたのでありますから、その期間中清算はもちろん続けてやつておりましたが、これに対しては、ある程度第二会社に移行をするということであるならば、めんどうを見てやられる程度のことが考えられておるかどうか、めんどうを見ているということは、端的に言いますれば、たとえば会社の性質によつていろいろ違いますけれども、ある程度の免税等についても相当考慮されて移行できるようにできるかどうかということについての見通しを、お伺いいたしたいと思います。
#12
○堀口説明員 お答えいたします。その点に関しましては、私たちといたしましても、なるべく閉鎖機関的な色彩は排除いたしまして、通常の清算に持つて行くなり、あるいはもし適当であればその資産をもつて第二会社をつくるというよとなことについて、十分検討を加えて来たわけであります。さつき申し上げたように、閉鎖機関の指定解除の部分につきましては、今国会に上程する予定になつておりますけれども、こうした第二会社の設立につきましては、諸般の事情がありまして、今国会に出すことはできなくなつたわけであります。ただできれば今後なるべく早い機会に、第二会社に関する法案も上程いたしたいというふうに考えております。その場合の内容についてでありますが、もちろん一番大きな問題は、新会社をつくる場合の清算所得税の問題だろうと思いますが、この点につきましては、見通しとしては閉鎖機関と同じような性質を持つた会社、外国に本店を有する会社の整理に関して、在外会社に関する法律がありますが、第二会社の設立につきましても清算所得税を排除しておらないために、閉鎖機関から新会社をつくるものだけに限つて清算所得税を免税するという措置が相当困難になるのではないかというふうに考えております。ただもし清算所得税を旧法によつて課するならば、次に新会社をつくつた場合におきまして、その株の分配を受けました場合の超過所得に対する課税、つまり各法人、各個人なりが新会社の株を受けましたときに通常支払うべき所得税というものは免除されるようにできるのではないかというふうに、これは見通しでありますが、そう考えております。
#13
○小淵委員 あとの措置についても相当考えておる、ただ時期的に今回は適当な時期でないので、この次に法案が出て来るというお話でありますので、間に合わないものはしかたがないと了解する以外にないと思うのであります。閉鎖機関の問題については、閉鎖機関整理委員会がこの衝に当つておるのでありますけれども、閉鎖期間中の清算事務に相当長い歳月を費している。この期間中に費用も相当かかつておるのでありましようが、一体国の予算の方に上げてある予算でこの仕事をやつておるのかどうか、それとも閉鎖機関自体の財産を食つてこの仕事に当つておるのでありますか、現在経費の負担についてはどのようになつておるか、それをお伺いいたしたいと思います。
#14
○堀口説明員 お答えいたします。その点につきましては、閉鎖機関整理委員会は政府機関ということになつておりますので、昭和二十四年から公団と同様に一応政府予算の中には入つて来ておりますが、財源につきましては全部各閉鎖機関から支出しております。大体通常の法人が閉鎖機関に指定されておりまして、たえとば満州鉄道とかあるいは北支開発とかいうような通常の法人の清算につきまして、国庫からその経費を支出するということは、できませんので、通常の法人の清算の場合に、その清算費用はその法人が負担すべきものという原則に従いまして、その閉鎖機関の清算のために要した費用をこまかく計算いたしまして、各閉鎖機関に割当てるという措置によつて財源を捻出しております。
#15
○小淵委員 特別な法人については、当然国の方の経費で負担することができないから、その会社自体から出すということもうなづけるのでありますけれども、今やられておる、たとえば千八十八なら千八十八という指定を受けたその被指定会社が清算中に要した費用の大部分は、どういう計算の基礎で持つかは知りませんけれども、概してその会社のスケールに従うとか、あるいは何かの基準に従つてそれに要した時間的の計算となこれらを算当して支出をしているのが実際ではないかと思うのでありますけれども、これと国の方の予算面に上つて来るものとはどういうふうな関連になるのか、たとえば国の方の特別勘定で、政府関係機関予算ですか、それで起してある勘定の中にそういうものが入つて来るのかどうか、入つて来ないのだとすれば、そういうものは全然切り離して、二本建でそういうような計算をやつておるのかどうか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
#16
○堀口説明員 お答えいたします。従来公団その他持株整理委員会あるいは証券処理調整協議会、こういうような機関の予算は、予算の中に入つて来ておらなかつたわけであります。ところがドツジ氏が来られまして総合予算を組まれるようになりましてから、そういう政府関係機関予算というものが、全部全体予算の中に入つて来ているわけであります。しかしそれは他の一般会計予算及び特別会計予算と異なりまして、単に予算の上に載つているだけでありまして、その財源は、全部その法人なり何なりから徴収されるというふうになつているわけでありまして、予算上は載つて来ますが、その財源につきましては、国庫と全然関係がないというふうに申し上げてよいと思います。
#17
○小淵委員 どういう計算にしろ一応そこから上つて来たものは、計算はその門をくぐることになると了解するのでありますけれども、そういたしますと、たとえば現益残つている五百なら五百という指定された機関の中でも、経費の分担のできるものとできないものがあると思うのであります。できるものからは計算をしてそういうふうにとるが、できないものはとりようがないから、国家でこれを負担する以外には方法がないという結論になると思うのでありますけれども、そういうときには、できないものについては、はたして国家で負担するかどうか、それとも非常に財源の裕福なものから少し割合を大きく載せて、そこの上からとつて行くかどうか、こういうような点について、はなはだ私どもの了解しにくい面があるわけでありますから、この点についてお伺いいたしたいと思います。
 さらに多数のこれらの事務に従事しておるところの人たちは、国の機関であるとすれば、はたして公務員の取扱いを受けているかどうか、それとも公務員に準ずるどういう資格でこれに従事しておるのか、この点もお伺いをいたしたいと思います。
 さらにこの計算の内容を見ますと、三月あるいは八月あるいは十二月というような期間に、退職金と称して相当な金額をその中から控除して、被指定会社としてはそれだけ負担を重くかけられておるのでありますけれども、これらの計算は、はたして公にこの国の勘定の上に、公務員の退職金支給の一つの勘定の上に載つてその金が出ておるものかどうか、それともこの人たちはあとの職を失うというようなことで、退職金ということで控除されているものをそれに支給するという考えでとつておられるのかどうか、この辺のことが少しもわかりませんので、これをわかるように御説明願いたいと思います。
#18
○堀口説明員 御説明いたします。第一の閉鎖機関の経費がその機関でまかなえなくなつた場合にどうするかという問題でありますが、この点に関しましては、通常の法人の清算のやり方と同じでありまして、その機関に、たとえば不良債権等が残つておりましても、その債権を取立てるために要する経費が取立て額をオーバーする、つまり清算ベースで清算がやれなくなるというような場合におきましては、ただちに閉鎖機関の清算を結了するというふうな原則をとつております。従いまして経費の償えない機関をたくさん持つておりますために、ほかの資産のたくさんある機関に負担を特別にかけるということは行つておりません。それから第二点でありますが、閉鎖機関整理委員会の職員は公務員であるかどうかという点につきましては、閉鎖機関整理委員会令という政令がありまして、この政令の中に公務員に準ずる規定が入つております。従いまして刑法等の適用その他待遇等につきましては、公務員に準じて取扱つて来ておるわけであります。それから第三点の退職資金の問題でありますが、この点も最近行政整理に関して政府が改正いたしました新しい退職資金に関する法律に基きまして、厳密にその法定額だけを支給いたすことにいたしております。
#19
○小淵委員 その定められた公務員に準ずる退職金の額であるということでありますならば、当然さしつかえないと思うのでありますけれども、先ほどお伺いしたところによると、政府関係機関予算の門をくぐるということになつておりますので、当然その決算面によつてこれははつきりされるものであると思いますが、今までお伺いしたことによつて大体内容がはつきりわかつて参つたのであります。この閉鎖機関日本蚕糸統制株式会社は、現在解散の指定がすでに行われており清算に入つておるわけでありますけれども、新しい指定解除が行われる法制がしかれたような場合に、元の姿になるということがかりにあるといたしましたならば、これが構成員等については、その当時の株主、これは政府が半額出資でありますから、あとの半額になつておりますが、これらの人の内容はわかるかどうか。この点についてお伺いいたしたいと思います。
#20
○堀口説明員 今の御質問の点でありますが、今度の新しい法律改正がもし国会を通過いたしました場合には、閉鎖機関の指定を解除された後におきまして、閉鎖機関はその解除以降通常の法令による清算に行くことになりまして、その指定が解除されると同時にただちに元の姿になる。つまり閉鎖機関が清算をやつておつたこと自体も全部消滅してしまうという措置ではありませんでして、その閉鎖機関の指定解除後に新しい性格で民商法による清算が行われて行くということになります。その指定解除後どういう形で清算をやつて行くかという点でありますが、今度の法令の内容といたしましては、まず閉鎖機関の指定を解除いたしますると、これと同時にその指定機関の清算にあずかつておりました特殊清算人というものは、法律上解任されることになつてしまう。ただ新しい清算人が株主総会等によつて選任されるまで、善良なる管理者の注意をもつてその機関を見て行く、裁判上その他の行為を見て行くということになります。それからその清算人の構成でありますが、これについてはその株主総会において議決される事項というふうに考えております。
#21
○小淵委員 蚕糸統制会社の実体の上から、もしさようなことが生じた場合には、先ほどお伺いしたところの株主の構成員についてははつきりわかるかどうか、監督官庁としての農林省の見通しをお伺いいたしたいと思います。
#22
○寺内政府委員 蚕糸統制株式会社の株主の中には、ごくこまかい養蚕の組合とか、あるいは製糸関係のものが出資団体というものを組織して株を持つておつたのでありますが、最近におきましてはその出資団体が解散したりなんかしてしまつて、株主の行方のわからないものが相当あると思つております。
#23
○小淵委員 その行方のわからないものについては、どういう措置をとるつもりであるか、また指定解除というようなことは全然想定せずに、この会社が総会等において議決された線に基いてこのあとの処理をする考えであつて、こういう構成員等についてわかる、わからぬということにはあまり関係なく処理ができるという見通しであるか、お伺いいたしたいと思います。
#24
○寺内政府委員 この蚕糸統制会社につきましては、閉鎖機関指定になります前に最後の株主総会を開きまして、残余財権の処分について決議がもう行われておりますので、それによつて残余財産の整理をいたしますので、株主が行方がわがらなくなつておりましても、この整理については支障がないと思つております。
#25
○小淵委員 この会社については、すでに株主総会においてあとの処理が判然としておるから、そういうものはもう必要がないというお話でありますので、そうであるとするならば、このあとの構成員云々をあまりしつこくただす必要もないと思うわけであります。この会社が総会において決定をいたしましたときに、当然今問題になつておるところの一億六十五万五千円の金を残したあとの残余財産については、この会社は大体整理が済んでおると思うわけでありますけれども、これは二十三年四月に処分案というものができまして、主務省ではこれに対して認可を与えた。それがわずか一箇月半くらいで、先に認可したものについては変更して認可をしなければならないような事情に追い込まれたようでありますけれども、どういうわけでそういうふうになつたのか、そのいきさつを伺いたいと思います。
#26
○堀口説明員 お答えいたします。その間の詳しい事情等につきましては、私たちもあとでこの仕事を受持つたために、若干わからない点があると思いますが、簡単に申します。
#27
○松浦委員長 ちよつと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#28
○松浦委員長 速記を始めてください。
#29
○小淵委員 これは政府が半額出資しておる会社であるので、残余財産の処分については総会の決定したように処分ができないのであるという政府の方からの申入れによつて、再びさきの処分案を改めなければならないようなことに追い込まれたので、やつたのではないですか。これをお伺いいたしたいと思う。
#30
○堀口説明員 お答えいたします。その後の清算につきましても、やはり司令部が、農林省でやられた清算につきまして、そういうやり方はいかぬということを言つて来ましたために、多少変更せざるを得なくなつたというのが事実じやないかと思います。
#31
○小淵委員 第一回目のときは、蚕糸関係の公益団体に大体分布をしてよろしいということを決議しておるのでありますけれども、その後国家で半額の出資をしてあることから、そのようにしてはならないから、国庫に残余金の半分はもとして、先にきめたものは全部そこから削つて、あとのものをそれぞれその率で当てはまるようにしたらよろしいだろうということに、議事録を見るとなつておるのであります。そういたしますと、この会社として残余財産についての政府に対するところの義理合いは、一旦決議をしたものを次に改めてまでいたしておるので、相当尽してあるんじやないか、こういうことも考えられるので、この点を執拗にお伺いしたわけであります。大体わかりましたのでこの点はこれでやめます。
 次に、この蚕糸統制会社は二十一年の三月に解散の指定がありまして、そのときにはこの残余財産はすぐに日本蚕糸業会にこれを引継げということに指定をされておるわけであります。その指定をされておるものが二十二年の十一月まで約二箇年になんなんとする期間中、どうしてこの蚕糸統制会社のすべてが蚕糸業会に引継がれなかつたか。これだけ長い間引継がれなかつたについては相当理由があるのではないか。この理由をお伺いしたいと思います。
#32
○寺内政府委員 これは勅令において免税の規定をいたそうと思いまして、大蔵省と長い間の交渉をいたしておつたので、手間どつたのであります。
#33
○小淵委員 交渉の期間としては非常に長い期間あつたようでありますけれども、これは交渉でありますから、妥結する以外は結局結論が出ないのでありますから、やむを得ないと認める以外はないと思うのであります。
 そこでこれが現在所有しておる財産の総額についての数字を、おわかりになつたら、お示し願いたいと思います。
#34
○堀口説明員 お答えいたします。蚕糸統制会社の資産につきましては、未収金として――これは簿価に換価した額でありますが、これが四百二万一千円、それから有価証券国債が二千六百五十一万四千円固定資産が八百七十八万四千円、預金現金が一億八百三十五万三千円、それから閉鎖後未収金――これ閉鎖後いろいろ処分したものの代価で、未収になつておるものが八百二十五万六千円、合計一億五千三百九十一万四千円、こういうふうになつております。
#35
○小淵委員 有価証券等はありませんか。もしあつたとしますると、その有価証券等についてはどんないきさつを持つておるか。この点をお伺いいたしたいと思います。
#36
○堀口説明員 お答えいたします。大部分は国債でありまして、これが二千四百五十万円、そのほかに証券が二百一万四千円ありますが、これは華中蚕糸の証券でありまして、一応資産上は換価資産というふうに見ております。
#37
○小淵委員 これは在外資産でありますので、これについてはどういう見通しがなされるか、見通しでけつこうでありますから、これをお伺いいたしたい。
 それから現在は一億数千万の資産を持つている。この資産を運用しているか、運用しているとすれば、これについては相当経費の分担を補つてもなお余りある数字が相当残つて行く状態になつているのじやないか、その概数でよろしゆうございますから、それをちよつと御説明願いたいと思います。
#38
○堀口説明員 お答えいたします。在外資産につきましては今回の講和条約の十四条によつて解決される問題でありますが、見通しといたしましては、これが実現されることは相当困難じやないかというふうに考えております。
 それから資産の運用についてでありますが、この預金現金は原則として日本銀行に入れまして、日本銀行を通じてできるだけ有利な有価証券、たとえば食糧証券等が一番歓迎されるのでありますが、それができない場合には国債に運用いたしております。それ以外の方法で運用することは資金を喪失する危険がありますので、行つておりません。それからそれに関する運用益は厳密に計算いたしまして、各機関に入れております。ただそのこまかい数字がどの程度になるかという点は、今資料がありませんのでお答えいたしかねます。
#39
○小淵委員 固定資産の額が相当あるわけでありますけれども、この固定資産は主として生糸検査所じやないかと思うのであります。この帳簿価格はきわめて少いのでありますけれども、再評価をしてありますから、再評価価格というものは相当の金額になる。これについては現在どういうふうに運営されているか、これを評価した現存評価価格で、たとえば賃貸料等の収入が見込まれるのかどうか、もしこれを見込むとすると相当な金額になるであろうけれども、これを見込んで行くということになれば、現在つている生糸の検査の上に大きい支障が来ることが当然考えられるわけでありますので、これは実際は評価をしてあるけれども、とるつもりなのか、とらないつもりなのか、実際はとらないでいるのか、その現在のいきさつをお伺いいたしたいと思います。
 それからこれがもし清算に入つて処分をするということになりますと、一体どういうふうに処分するのか、もしいたずらにこの固定資産を処分されてしまうということになりますと、当然蚕糸業全体の発展の上に大きい影響が起つて参ることもありますので、これらのことと考え合せてどういうふうに処理するかという考えをひとつお伺いいたしたいと思います。
#40
○堀口説明員 お答えいたします。第一の御質問でありますが、簿価を換価いたしまして現在八百七十万円程度になつておるわけでありますけれども、これは閉鎖機関整理委員会としては生糸協会の方に無償でお貸ししております。現在もそうですが、将来もこれについて換価相当額の賃借料をいただくというようなことは一応考えておりません。
 それから処分の問題でありますが、処分に関しましては、農林省の御要望もあり、いろいろ事情も伺いしておりますので、生糸の国内検査に支障のあるような処分は大蔵省としてはいたさないつもりでおります。
#41
○小淵委員 大蔵省としてはいたさないつもりであるかもしれませんが、現在行つている国用生糸の検査行為は、この検査機関で大体やられているだろうと思うのであります。この検査行為は今のところは決して検査手数料によつて補うことはできない状態になつている。そうするとただ帳簿価格を引上げて課税の対象を高くしただけでこれが処分をされるということになりますと、結論としては当然会社自体は非常に不利を受けるということになつて参るのでありまして、この点は相当注意を払つて進んで行かなければならない問題だと思うわけであります。従つて検査行為が簡単に処分をされて蚕糸業界に引継がれ、蚕糸業界の検査機関としてこれがそのままやつて行けるということでありますればそれでよろしいのでありますけれども、ただ蚕糸業界に引継がれ、あるいは生糸協会がこの行為を行うということだけで農林省自体はよろしいと考えているかどうか。国用生糸の検査についてもいま少し積極的な行為が行われなければならないと思いますけれども、これらを契機としてどういうふうに考えるか、蚕糸局の方からこれをお伺いいたしたいと思います。
#42
○寺内政府委員 生糸検査所の問題につきましては、この会社の最後の株主総会において、残余財産は主務大臣の指定に従い適当なる方面に寄付することができるという規定に基きまして、大日本蚕糸会へ生糸検査所の施設を寄付いたさせまして、これを従来通り日本生糸協会に無償貸与いたしまして国用生糸の検査を実行して行こうと思つております。なお国用生糸の検査について、政府といたしましてもいろいろ予算をとり、あるいは国営にするというようなことも考えておりますが、ただいま財政上の都合でそういうことが実現化しておりません。今後なお一層この施設を充実することにつきましては努力をいたしまするが、さしあたつてはただいま申し上げた引継ぎによつてやつて行くということを考えております。
#43
○小淵委員 大体この内容についてはわかりましたが、この一億何がしの積立金を国庫に入れるということがこの法律の出されたもとでありますが、これはすでに免税措置も行われ、損金に計上された積立金でありますので、正当な繭糸価安定法が今日できました以上は当然のように考えられますけれども、これについては、先ほどお伺いいたしましたように、農林省では処分案をある程度決定したものを、一箇月半足らずで再び直して、政府の方にはある程度の顔立てがしてあるということの経緯もありますし、閉鎖機関に指定されました今日までの費用の分担等におきましても、最初の清算処分のときも相当額がこの経費の引当てとして計上され、その後今日に至るまでこれから出て参ります金の中からこの経費が補われておるのでありまして、この金額が一応政府の方に行くということになつた以上は、なるべく残余財産を多くして、そうして総会においてきめられた方向に向つて進んでいただくことは、当然なことでありましようけれども、その場合にある程度こういう特殊法人については、免税措置等が行われなければならないと私は考えているわけであります。先ほど管財局の方からいろいろお伺いいたしまして、次にできる、やがて出そうとする法律の中にはある程度考えようということが言外に漏らされているのでありますけれども、これについては経緯とこの金を国庫に入れるという建前からいたしまして、当然ある程度の免税措置が行われて、なるべくたくさんのものが入つて来なければならない、こうするにはどの程度の努力が払われているか。またどんな話合いが進められているかということについて、お伺いをいたしたいと思います。
#44
○寺内政府委員 蚕糸局といたしましては、小淵委員のお説の通り、できるだけ資金を残しましてこれを蚕糸業界の方の利益のために運用することを考えておりまして、税金の点につきましても、現行法の解釈上許される範囲内において少くしてもらいたいということを交渉いたしているのでありますが、やはり大蔵省としての税法上の立場、あるいは占領下思うようにならない点がありまして、努力をいたしましたが、その苦衷もひとつお察し願いたいと思います。
#45
○松浦委員長 小林運美君。
#46
○小林(運)委員 私はこの閉鎖機関日本蚕糸統制会社の積立金の処分に関連いたしまして、今回の処分の方法いかんという問題よりは、政府がこの蚕糸業に対して今までやつて参りましたいろいろの政策がございますが、その政策の一端として先般繭糸価安定施設の法律案が通過いたしまして、現在繭糸価の安定が一応行われているのでありますが、本来この蚕糸統制会社という会社の大きな目的が繭糸価格の安定にあつたことはもちろんでありまして、その繭糸価の安定法案が通過してただいま行われているので、今までそういう同様な目的でやつて参つた会社が閉鎖機関になり、現在用がなくなつたからその金を政府に引渡す。こういうのがこの法案の趣旨でございますが、はたして先般通過いたしました繭糸価安定施設というもので蚕糸業の発展が期し得られるか、こういうような点について二、三お尋ねをいたしたいのでございます。
 そこでこの一億何がしの金は政府にもどすということについては、そう大した議論もないのですが、なおこの説明にもありますように、この金は蚕糸業会に引継いでやつて行くという予定であつたところが、いろいろの事情で遅れてこんな状態になつたということでありますが、その引継がれる予定でありました蚕糸業会にも相当の剰余金があるはずであります。その剰余金というものは一体どのくらいあるのかどうか、これをお伺いしたいと思います。
#47
○寺内政府委員 蚕糸業会の方の整理につきましてはただいま進行中でありまして、計数がまだはつきりしない点がありますが、大体残余金といたしましては六億九千六百万円程度のものが出るのではないかと思います。
#48
○小林(運)委員 ただいまお話がありました約七億に近い業会の残余財産というものが今後どういうふうにされますか。その考え方を承りたい。
#49
○寺内政府委員 この蚕糸業会の残余金の処分につきましてはいろいろな経緯がありまして、最初の考え方といたしましてはその中から約三億ばかりの指定寄付をする。それがやはりただいま議題になつております、蚕糸統制株式会社の蚕糸安定資金を政府に納付すると同じような趣旨におきまして、今回できました繭糸価格安定の特別会計の財源といたしまして、政府に指定寄付をするという考え方であつたのでございますが、これもその筋の方面からの意見によりましてとりやめになりまして、ただいまそれをやめるかわり、税金の方は現行法に従つて納付する。そしてなお余つた金を出資者に配分するか、あるいはせつかくたまつたお金であるから、何か別の方法で蚕糸業界のために使うということについてただいま研究中でございます。
#50
○小林(運)委員 政府の方ではこれを繭糸価安定の特別会計の方に繰入れて使うという御方針のようであります。なおその他の金については業者にもどす。しかしそこに税金等の問題もあります。税金もやはり払うというようなお話でございますが、税金を払つて業者に返しますと、業者に返る金というものはほんとうにわずかになつてしまいます。これは業者の内容にもよりますが、非常にマイナスの多い人はそれが補填されるけれども、普通にやつておる人はほとんど大部分が税金にとられてしまうので、返した意味がほとんどなくなつてしまうと考えられます。こういつた金は別にどういうことをしてもうけたというような金でない。価格の差益金がほとんど大部分でありますので、こういうものはその趣旨から考えまして、やはり蚕糸業全体のためになるような方面に金を使うのが、考え方としては非常にいいと考えますが、そういうようなことをお考えになつておりますかどうか。この相当まとまつた金を蚕糸業全般の利益になるような方面に使つて行く。それにはただ業者個人別々に返してしまつたのではそういうことは達成されない。しかも蚕糸業会の構成のメンバーを見ましても、統制会社と同じように株主といいますか、出資者というものも非常にあいまいなものもあります。そういうようなところに一々返しても大した意味はないというような考え方から、全般的な蚕糸業の発展に使つて行くというようなお考えでありますかどうか、もう一度はつきりひとつ御答弁を願いたいと思う。
#51
○寺内政府委員 ただいまの小林さんの御意見に私もまつたく同感なのであります。しかし片方におきましては、出資者がこういう残余財産の処分のときに、残余財産の配分の権利があるということに法律上なるのでありまして、それらの方々が出資権を強く主張されますと、これを排除するわけにも行かないのでありますが、それは納得していただいてするよりほかに方法がないのでありまして、趣旨はほとんどまつたく小林さんと同趣旨でありますが、そういう出資者の意向もしんしやくしなければなりませんので、近く出資者の方々と御相談をした上で、できるだけそういういい案をつくるように努力したいと思つております。
#52
○小林(運)委員 今の御答弁で大体けつこうだと思いますが、今度はその出資者個々になりますと、あるいは輸出業者、製糸業者、養蚕業者、蚕種業者、また中央金庫も政府のかわりとして出資しております。ところが各業態それぞれは、現在のような経済機構にありましては、相当利害が相反するような立場にもございますので、これは非常にむずかしい問題と考えます。蚕糸局長は、御趣旨に沿つてやりたいというようなお話でありますが、個々の立場から相当問題が起きて来ると考えますが、あくまでも蚕糸業全体のために――ある業者は、これはおれに返せとか、これはおれのところで処分するということがありましても、大体この金の性質から考えて、そういつた個人個人のあまりに自由かつてな要望というものは、元に返ればそう強くは主張できないのではないかと思う。その辺も御考慮の上、今後この処分について十分な手段を講じていただきたいと思う。
 そこで今私が申し上げましたように、各業態においていろいろの考えがあるという点から考えまして、私はここに二、三当局にお尋ねしたいのは、先般この委員会において、蚕糸局長に繭糸価安定法ができて、その結果海外の市況がどんなふうになつておるかということを聞いたところが、局長につこりお笑いになつて、海外の市況は非常によいのだというお話を承りまして、私もちよつと喜んだのですが、事実は反対でありまして、現在市況は、特に海外の市況は非常に思わしくない。これはただ糸価安定ができたからという簡単なことではないのです。先般、これはそう前ではないのですが、こういうことになつたのは一体どういうわけか、蚕糸当局の見通しの非常な誤りではないかと私は考えておりますが、どんな原因でごうなつたか。またこれに対して繭糸価の安定の上からいつて、どういう方策をお持ちでありますか。
#53
○寺内政府委員 先般決定いたしました生糸の最高価格、最低価格についての海外の市況について、私はこの前楽観的な報告をいたしましたが、その後の情勢を見ますと、まず繭糸価格安定法を施行して、価格をきめたということに対して精神的な安定があり、これに対して好意を持つておるということはあると思うのでありますが、その数字について最高価格が二十三万円では高過ぎるということは、海外においてもそういう評判があるわけであります。これはやはり物を買う立場からいいますと、できるだけ安い方がよいので、二十三万円ではまだ高過ぎるという意向もあるようであります。ことにフランスあたりではあまり評判がよくなつたようでありますが、これは今申しました通り、売手と買手の考え方の相違だろうと思います。なおこれは軍拡景気の引延ばし等によつて、世界の景気があまり上つて来ないという大きな経済的影響もありまして、確かにニューヨークの生糸の市況があまり思わしくなく、四ドル八十セント以下にも下つて来ているという情勢も反映しておるかと思います。
#54
○小林(運)委員 見通しの問題でございますが、これは蚕糸当局も神様でない以上は、多少間違うこともあるでしようから、これ以上追究いたしません。
 そこで売手と買手で、買う方は安い値段を欲する、これもわかり切つたことでありますが、先般二十六年度の最高、最低の値段を政府はおきめになつたようでございますが、すでに法律によつて今月中には昭和二十七年度の価格を政府は決定する責任があるのであります。ついこの間二十六年度の価格を決定いたしましたが、この前にも私はそのお話をしたのですが、二十七年度は大体どんなお考えをもつてこの最高、最低の値段をおきめになりますか。二十三万とか十八万という具体的な数字がありましたら、お示しを願いたい。もしその具体的な数字が出なければ、考え方としてどういう考えを持つておりますか、お示し願いたいと思います。
#55
○寺内政府委員 二十七生糸年度の生糸の最高価格、最低価格につきまして、法律の規定によりまして、原則として三月中に、やむを得なければ四月あるいは五月まで延ばせるのでありますが、ただいまのところの考えとしましては、この三月の二十九日に第二回の審議会を開催いたしまして、二十七生糸年度の価格の審議をしていただきたいと思つております。なおその場合にどういう価格がきまりまするかは、審議会にかけまして、審議の結果でなければわからないのでありますが、やり方といたしましては、この前やりました二十六生糸年度の価格の決定のときと同じような方法をとる以外に、ただいまのところ――あれも必ずしも万全の策であるとは考えておりません。将来は大いに研究いたしまして改訂しなければならないと思いまするが、まだそれに必要な資料が整いませんので、大体はこの前と同じ方法で行くのでなかろうかと思つております。
#56
○小林(運)委員 私は方法でなくて、方法は一応それでけつこうでございますが、大体二十六年度と同じくらいの見当で行くのかどうか、その点はいかがですか。
#57
○寺内政府委員 これも審議会の審議の結果によりまして、その答申をできるだけ尊重いたそうと思いますので、その答申が出ませんうちに、政府がこう思うということは、ただいま申し上げられないのでありまするけれども、大体のところは、昨年と同じような答申が出るのではなかろうかと予想いたしております。
#58
○小林(運)委員 審議会の答申を尊重されるお気持は非常にけつこうでございますが、大体政府のお考えは、最高二十三万円、この前の二十六年度と同じような考えで行くというふうに考えてさしつかえないのではないかと、私はただいまの御答弁によつて推察をいたします。そこで買入れ価額は、二十六年度はきまつておりますが、その際において生糸の低格のものを買い入れないことになつております。これはこの前の審議会でもいろいろ問題があつたようでございますが、この点に関しまして私はこういうふうに考えております。低格の生糸十四中あるいは二十一中におきましてもそうでありますが、低格の生糸はそうたくさんないのだ、従つてそういうものは買い入れなくてもいいというような当局のお考えのようでありますが、そういうような考えで今後もやつて行かれますかどうか、その辺はいかがですか。
#59
○寺内政府委員 繭糸価格を安定するという大きな一つのねらいは輸出の促進ということでありまするし、買入れ生糸につきましても、この法律に規定があります通り、輸出の方面に優先的に売るという精神からいたしまして、輸出向きの生糸を買うというふうに考えております。あまり低格の、輸出に向かない生糸は買わない方がよかろうということが審議会の答申にありましたが、私たちもそれに同感でありましたので、答申そのままを認めたわけであります。
#60
○小林(運)委員 ただ審議会だけの意見を聞かれる、政府が三十億という相当巨額の金を出して、業者の言うままになつているというのでは、私はこれは非常に誤りだと思う。そこでこの低格の糸は買わないという議論は、一体どこから出て来るのですか、私は低格の糸が三百俵、五百俵でありましても、これを買わないということをきめますと、これはなかなか重大問題であります。なぜかというと、これはただいま局長の答弁によりますと、輸出生糸を対象にしてやる、それはけつこうですが、一体この繭糸価安定法というものは輸出生糸の安定法じやないのです。蚕糸業の繭や生糸の価格を安定するのが目標でありますので、それを低格の三百俵、五百俵の糸を買わないために、市場を圧迫するようなことが起きたら、これは重大問題であります。そういうような点からいつて、いよいよ政府が買入れを決意するような状態というものは、生糸の値段が下つて来た場合です。そういう場合には内地の市場も相当下つて来ることは当然だと私は思います。そうなりますと、内地には低格の糸が相当たくさん入つております。そういうものを輸出生糸でないから買わぬ、あるいはそういうもので今まで内地で買わないでいるものを買つてもらうために、輸出生糸としての検査を受ける、そうなるとD格、E格というような下の格が相当出て来ると思う。現在考えておるような、今までの買入れの場合とは事情がかわつて来ます。そういう場合には今の三百俵、五百俵でなくて、あるいは千俵、一万俵にもなるかもしれない。そういうような場合も予想される。そういうときにはそういうものは買わない。これは輸出生糸を買うのが目的だ、そんなぶうにお考えになるのは大きな間違いだと思います。特にそういう考えの出て来ることは、この繭糸価の安定法というものを、政府が商売をするという考え方から考えられるからであつて、そんな売れない生糸を買うと困る、政府が損をする。これは損をしてけつこうなんだ。三十億損をしてもいいという建前でやつているのです。そういうような建前から考えまして、そういうものは買わないのだというりくつは私は成り立たぬと思う。従つてこういつた低格のものも、そういつた状態のもとにおいてはかえつて大きながんになるから、こういうものも現在のところでは三百俵、五百俵くらいのものは買つてもいいんじやないかという議論も成り立つ、この点に対してどんなふうにお考えですか。
#61
○寺内政府委員 先日の審議会できめましたのは、昭和二十六生糸年度の問題でありますので、昭和二十六生糸年度におきましては、低格のものは数量か少いから買わないでもよかろうという答申になつたのであります。小林さんのおつしやる通り、将来情勢がかわりまして、低格の生糸が非常にたくさんできる。それを買い上げなければ糸価の安定ができないというような場合には、審議会に諮問いたしまして、低格のものを買つてもよろしいという答申があれば、買い上げることには一つも異論はないのでありまして、低格のものは絶対に買わないということを申しておるのではありません。
#62
○小林(運)委員 それは買入れを始めてからそういう事態が出て来たら買うというわけではない。結局そういう事態を予想して低格の糸も買うということをきめておくというのが当然だと思います。従いまして今度の二十七年度の審議会の今月の二十九日ですかにおやりになる場合にも、そういう場合を予想して――私は必ずそういう場合が出て来ると思いますから、そういう場合を予想して低格の生糸も買い入れるというふうにお改め願いたいいうことを申し上げておきます。
 次に繭糸価の安定法ができましたけれども、依然として現在の繭の産額というものは、製糸設備に対して非常に少い。政府は増産を奨励して行くのだというようなことで、いろいろ施策を講じておられるようでございますが、この繭の処理の問題について、政府は一体どんなお考えを持つているか。先般蚕糸局の一部から蚕繭処理に対する法案の要綱のようなものが業界に伝わりまして、業界では非常に大きな問題になつている。ところが私もこの内容を見ましたけれども、非常に矛盾がある。これについては蚕糸局長は、法律の建前からこういうものは思わしくないという御意見をある会合において御発表になつておりましたが、これはその通りやつて行かれる方針であるかどうか、はつきりお答えを願いたい。
#63
○寺内政府委員 繭の取引につきまして、ただいま小林さんの仰せになりました通り、繭の生産額が非常に少い。それに対して生糸の施設が非常に多過ぎるというようなことで、場所によりましては繭の取引は相当混乱しているという実情があるのであります。それで一方におきましては、繭の取引に統制を加えるような法律的措置をとつてもらいたいというような要望が一部にあります。またそれに対して繭糸業者その他の方面では、そういう統制をしては困るという両様の意見が業界にあるようであります。そこで蚕糸局におきましては、その実情を調査いたしまして、何らかのそういう繭の取引の安全と公平を維持するために法的措置がとれれば、いろいろ研究しようということで研究しました結果、係の方である試案ができましたので、業界の意見も参照するために相談をいたしましたところ、それがあたかも蚕糸局案なるがごとく誤伝されまして、ご迷惑をおかけしたことはおわびいたさなければならぬのでありますが、私自身の考え方といたしましては、繭の取引につきましてただいま統制を加える、ことに法律によつてある取引方法を限定し、それに違反したものには罰則を食らわすということは、現在の情勢下においてはいたすべきでないと考えておりますので、そのような統制的法律を政府として今国会に提出するということは、毛頭考えてはおりません。あくまでも繭の取引の安全公平を期しますことは、製糸家にも自粛してもらうとともに、養蚕家におきましてもその事態を自覚してもらいまして、団体を通して取引をするということについて指導奨励はいたしますけれども、これを法律で強制するということは、まつたく考えておりません。
#64
○小林(運)委員 ただいまの御答弁非常にけつこうだと思います。そこで先般流布されました繭処理の法案に似たようなもの、そのものが悪いといたしまして、現在蚕繭取引が非常に各地で問題になつておりまして、昨年も一昨年もそうでありましたが、本年も今までやつて参りました団体取引というものが非常に検討されております。なるべく団体取引を政府は奨励してやつて行くというようなお話でございますが、ただ奨励だけではいろいろの問題が起きて来る。たとえば抜き買いのような問題というものを、これからどんなふうに処理されて行くか。考え方としてはけつこうですが、実際問題として現在の混乱した繭取引をどんなふうにやつて行かれるか、その点について伺いたい。
#65
○寺内政府委員 いろいろ繭の取引が混乱しているという事態が一部にあることは確かでありますが、しかしそれを安全に導きますには、やはり買う方の製糸業者の方におきましても、争つて買うというようなことをしないで、自粛してもらうことが第一でありますし、また売る方の養蚕農家にいたしましても、団体的な行為によりまして、統一ある行動に出るということが、繭の取引の安全をはかる根本であろうと思いますが、これはあくまでもそういう当事者の精神に期待するところが多いのでありまして、これは法律で取締るとか、法律で強制するというようなことは、先ほども申しました通り不可能なことでありまして、それらの点につきまして当事者の自覚を促すという点について、いろいろな方策を目下研究中でございます。
#66
○小林(運)委員 そこで、そういうようなお考えはいいと思いますが、実際問題として非常に困る。たとえば団体取引で製糸業者と養蚕組合が取引をした、ところがその清算が今もつてついていないところがある。こういうようなものは、これは売手と買手でかつてに約束したのだから、業者の方で払わなくてもしかたがないといつて、知らぬ顔をしておるわけにも行かない。こういうような大きな問題をどういうふうにお扱いになりますか。
#67
○寺内政府委員 ただいまお話のありましたいまだに清算がつかないというようなことはあるかもしれませんが、まだ私のところに申し出ておりませんけれども、もしそういう事態がありますならば、農林省なりあるいは府県といたしましては、第三者として公平な立場でこれを仲裁するなり勧告するなりそれぞれの処置を講じてもいいと考えております。
#68
○小林(運)委員 これは大きな問題ですが、蚕糸局長は、局長になられてからまだ日が浅いとはいいながら、こういう重大問題をまだ耳にしていないということはもつてのほかだと私は考える。昨年の取引の結果がまだ清算されていないという例はたくさんあります。それで養蚕業者はずいぶん大騒ぎしておる。これをまだ聞いてないということはとんでもない話だ。しかも具体的にどうするかという案もないということはとんでもないことだ。知らないと言えば、私これ以上追究もできませんが、事実方々にたくさんあります。こういうような問題をほうつておいて、まださらに団体取引を奨励して行くと言う。奨励して行く以上は、そういう問題が起きたらこういうふうにするのだという具体的な考えを明らかにしなかつたら、それはできないわけだ。その点は一体お考えになつておるのかどうか。
#69
○寺内政府委員 具体的に、どこそこの県でどの会社とどの養蚕業者とそういう話がつかないという具体的な話を聞いてないというだけでありまして、そういう問題が起きておるということは聞いておりますが、これについてどう処理するかという具体案を示せとおつしやいますが、ただいま私も就任早早で、いろいろな情報もあろうかと思いますので、これを研究しまして、目下具体案を研究中なのでございます。大体の考え方はどうするかとおつしやいますと、先ほど申し上げましたような線で、法律で強制するということはやらないということを申し上げておきたいと思います。
#70
○小林(運)委員 法律で強制はしないけれども、何かいい方法を考えたい。その考えがなかなかむずかしいので、そこで実は問題が起きる。ところがこの問題は、あなたがお帰りになつて実情をお調べになれば、たくさん例があつて、非常に大きな問題だということがあとでおわかりになると思いますから、私はこれ以上追究いたしませんが、どうぞこれをよく研究していただきたい。
 そこで、最近繭の取引業者が、強制検定でなしに任意検定にしてもらいたいということを盛んに訴えておりまして、蚕糸当局もこの問題は相当お考えになつておると思う。この前の本委員会における、繭取引に関して繭検定を団体取引で大量にやるのは、先ほどの蚕糸局長の御算のようにわれわれも賛成です。しかし非常に少額のものは、これは繭検定でたたいて、検定の供用繭をやつてしまえば、この繭がなくなつてしまうぐらいな少額なものもある。あるいはまた二十貫や三十貫のものもある。そういうようなものを、どこまでもこの法律によつて検定をしなければいかぬということで、ぎゆうぎゆう引きつめるのかどうかということについては、少額のものは出さないでいいという一応の御答弁で、私は満足しておるのですが、この問題が現在非常に大きな問題になつておりますが、蚕糸局長はこれをその通りにやつて行かれる考えかどうか、それをはつきり御答弁願いたい。
#71
○寺内政府委員 ただいまの御質問に対しましては、この前もお答え申し上げました通り、またただいま仰せられます通り、小品のものまでもぎゆうぎゆうやるということは考えておりません。小口のものについては何らかの緩和の方策を考えることにいたしております。
#72
○小林(運)委員 蚕糸局長はそういうお考えを持つておるようですが、府県でありますとかあるいはあなたの下僚の方は、必ずしも局長のお考えのように徹底していない。それがために実は非常に大きな問題が起きておる。たとえば、これは考え方は別ですが、昨年も非常にあつたのですが、繭のいわゆる抜き買いというのは、これは検定も受けずにやつてしまうのが大部分でございますが、これに従事しております繭売買業者、これはりつぱに国民として、自分の生業としてやつておる。こういうような人を試験制度を設けて商売をやめさせてしまうというようなことを流布されておるが、こういうような問題については、蚕糸当局はどんなお考えを持つておりますか。
#73
○寺内政府委員 ただいまの繭の小口の検定を強制することをしないで緩和するということにつきまして、先日繭検定所長会議で全員が集まりましたときにも、その趣旨をよく話し、大体私の考えを了解してくれたと思いますし、またおもなる主任官の会合のときにもこの話を持ち出しまして、私の考えに大体同意してもらつたのでありますが、なお徹底いたしますために通牒その他の処置をとるつもりでございます。なお繭糸業者の試験の問題でございますが、これは蚕糸業法によつて、病気の予防その他について必要があるので、ただいまその免許制度をいたしておりますが、その免許につきまして試験してもいいという省令があるわけでございます。それに基いて試験をやつておるのでありますが、これは行き過ぎにならないように、先ほどの会合においても私は指示を与えておきましたので、今後行き過ぎのないように、十分注意いたしたいと思います。
#74
○小林(運)委員 局長の御答弁のように実際行われると非常にけつこうなのですが、往々にして、お前たちは抜き買いをやつたんだから、今度は試験で縛るのだというようなことを、実際は各地において、そういう威喝的な言辞を弄している実例を私は知つておる。こういうことは、行政の責任者である局長に大いに自粛自戒をしていただきたいということを、特に私は強く要望いたしておきます。
 次に、これは輸出の関係の問題でございます。現在輸出生糸に対しては優先外貨の制度がとられておりますが、これも深く考えますと、現在蚕糸業は、蚕糸協会から生糸を外国に輸出をいたしまして、外貨を相当働いております。特にドルを相当とつておりますが、このドルに対して、われわれの努力によつて得られたこのドルの優先外貨というものは非常に狭められておる。ほかの方面にどんどん流用されて、われわれはほとんどこの恩典に浴していない。そこで総合リンク制というような話も出ておりますが、こういう問題について、蚕糸当局は今後どういう方策をとつて行かれるか。概括的なお考えを承りたいのであります。
#75
○寺内政府委員 生糸の輸出増進ということは、蚕糸業の使命の一つの大きな目的でありますので、この生糸の輸出の増進については万全の努力をいたしたいと考えておるのであります。ただいまもお話がありました優先外貨の制度につきまして、御承知の通り、優先外貨制度は三段階になつておりまして、従来生糸はその一番下の段階が適用になつておつたのでありますが、これを最高の段階に上げてくれということを通産省に強く要望いたしましたが、その最高に上げる目的は達せられませんでしたけれども、一段階上げまして、ただいまは第二の段階を適用するところまで行つておるのであります。なおただいま、輸出増進、ドル貨獲得のために、通産省におきまして総合リンク制というような問題を検討されておりますので、生糸もそれが適用になるようにということを強く交渉しておりまして、ただいまの段階では、大体生糸が適用になるというような情勢になつておりますが、まだ総合リンク制そのものが確定いたしておりませんので、どうなるかわかりませんが、総合リンク制を実施することになれば、もちろん生糸はその中に入るのであります。
#76
○小林(運)委員 ただいまの蚕糸当局のお考えは非常に敬意を表します。御努力の点もわかつておりますが、蚕糸業が農林省の管轄にあるために、輸出業者はしばしば非常な不利に陥るのです。通産省にあればこんなものは第一段階どころではない、初めから第三段階にあるのが当然だ。ところが農林省の所管のために、蚕糸業が非常に損をしておるのだということを言われております。これはいろいろ意見もありましようが、こういう点を十分御認識願いたい。現在六%ぐらいでは実際本質の上から考えても無理なのです。それを総合リンク制にすることはあたりまえのことなのです。私はそう考えております。現在蚕糸局というものが云々されておるようなうわさも聞いておりますので、こういうような点について、蚕糸当局がもつと堂々と、この蚕糸業のドル獲得のために働いておる重要な立場を堅持しまして、ひとつ通産当局を十分督励を願つて、こういうような問題は早急に解決されんことを私は要望いたします。
 次に小さいことのようでありますが、ちよつと通産省関係のついでにお話を承りたいのであります。企業合理化の線に沿いまして、新しい機械の研究であるとかいうような点について、政府は相当の試験研究費を支出いたしております。昨年は蚕糸業関係で自動繰糸機の研究に幾分の研究費が出たようでありますが、その経緯等についても、実は非常におもしろくない実例がございました。こういうような問題について、本年度は一体どんな考えをもつてやつて行かれるか。ただ自動繰糸機だけでやつて行かれるのか、蚕糸業の改良発達にはまだいろいろの問題がある。企業の合理化等につきましても、ただ自動繰糸機だけでよいとは私は考えない。そういう点について政府のお考えを承りたいのであります。
#77
○寺内政府委員 製糸関係の試験研究費につきましては、二十六年度の予算には、八百万円が蚕糸局の所管としてあつたのでありますが、二十七年度におきましてはこれが一括されまして、官房の方に八千万円の研究費が載つております。もちろん前にありましたのがそちらへ載つたのでありますから、製糸関係の研究費ももちろんその中に入つておりまして、これは八千万円の研究費の中から、製糸関係に相当多数の金額を割当ててもらうように、ただいま官房の方と交渉中であります。なおその出します項目につきましても、自動繰糸機だけでなく、蚕糸局といたしましては、そのほか四項目ばかりの試験研究費を要求しております。これはまだ農林省の官房内において配分を研究中でありまして、まとまつておりませんが、蚕糸局としては強力に要求いたすつもりであります。
#78
○小林(運)委員 本日の委員会の当初に、農業改良助長法の一部改正の法案が本委員会の満場一致の可決を見ましたが、この農業改良助長法には、蚕糸業の改良、助長が除外されております。この除外されておるということは、必要がないからというのではなくて、蚕糸業は別な観点から改良、助長の方面はやつて行くのだという意味で、この法律から除外されております。そこで除外されておるからといつて、蚕糸業の改良助長に対して春眠をむさぼつておるようなことではいかぬ。現在の蚕糸試験場その他の改良関係の仕事というものは、どうもわれわれから見ると生気がないというふうに考える。そこで本年度の予算を見ましても、実に貧弱でありまして、何ら改良の餘地が見えない。ところが実情は、蚕糸業は先ほど来お話があるように、繭糸価の安定はやつたけれども、ただ価格の操作だけではいけない。やはりみずから生産コストの引下げでありますとか、いろいろの問題があると思う。新しい化学繊維がどんどん登場して参りまして、蚕糸業の前面にふさがつております。こういうような状態にあつて、蚕糸業の試験、研究あるいは改良の普及という点について、蚕糸当局はどんなお考えを持つておりますか、承りたいのであります。
#79
○寺内政府委員 蚕糸関係の試験、研究につきましては、これは桑から織物になつて外国へ出ますまでの間を一貫して試験、研発し、常に品質の改良をはからなければなりませんので、農業改良局の方の農業の試験、研究とは別建てになつております。蚕糸試験場におきましては、常に桑から織物に至るまでのところの研究をいたして品質の改良に努めておりまして、繭の品質改良は昔に比べまして非常に進歩したものと思つております。なおこの線に沿いまして今後も強力にこの試験研究を発達せて行たいと思つて、われわれは努力いたしておるのであります。今小林さんがごらんになりますところでははなはだ振わないようでありますけれども、われわれとしてはできる限りの予算をとり、できる限りの人材をそろえて試験、研究に努めておるのであります。どうか御了承願いたいと思います。
#80
○小林(運)委員 そのお考えはいいのですが、具体的にどんな方面に特に主力を注いで改良をして行くというお考えでありますか。それは試験、研究ですから、いろいろやつておるうちにある方面でいいものを発見するということもありますけれども、現在の蚕糸業の状態から見て、蚕品種の改良に重点を置いてやつて行くのだとか、あるいは生糸の製造の自動繰糸機をやつてその生産コストを下げて行くとか、そういうような特別にどういうところに重点を置いて行くというような考えがあつたら、お示し願いたい。
#81
○寺内政府委員 まず第一は、従来アメリカにおける生糸の需要はくつ下の需要でありまして、十四中が主として出たのでありますが、戦後くつ下の需要がナイロンに押されまして、生糸の需要はむしろ織物としての二十一中に集中いたしておりますので、ただいまは二十一中を最も多量に生産できるような繭の品質の改良に重点を置いております。なお最近玉糸が出ましてシャンタンが非常に流行いたしておりますので、これらのものにつきましても、それに適する品種をつくるように試験場で研究いたしておりますし、なお製糸の過程におきましても、自動繰糸機その他の機械の改良によりまして、できるだけ生産コストを下げるというような研究に主として力を置いてただいま研究いたしておりますので、私もこの方向に試験、研究を向けて行きたい、こう考えております。
#82
○小林(運)委員 ただいまの試験、研究のお考え方は大体そんな程度ではないかと私も思つておりましたが、そういうようなことに特に重点を置いてひとつ強力な試験研究の助成をやつていただきたいと思います。
 最後に承りたいのは、第一線にあります養蚕技術員の問題でございます。これは各地方によつて今非常に大きな問題になつております。これは従来からもそうでありましたが、特に今度の繭取引の問題にからみまして、繭取引が団体取引でありますと、そこにこの県では繭がどのくらいとれた、それに対する製糸家の寄付等がありまして、そういうようなもので大体養蚕指導員の給料をまかなつておつた。それが地方によりましては、県の条例をもちまして、そこから経費を支出して行くというようなことが言われておるのですが、抜買いについてはこれはできない、こういうような問題があります。先ほどの蚕繭処理にも関係することでありますが、将来養蚕技術員の身分をどんなふうに保障されて行くか、この点に歯して御意見を伺いたいと思います。
#83
○寺内政府委員 養蚕技術員の身分の保障につきましてはまことに同感でありまして、蚕糸局といたしましても、俸給その他のものにつきまして努力いたしまして、二十七年度におきましては約三千七百幾らかの定員がとれたのでありますが、蚕糸局の希望といたしましては、現任あります四千何百かの数字にふやして行くように努力いたしたいと思つております。ただここで一つ問題がありますのは、そういう団体取引の奨励をいたしますために、団体の職員として働いてもらうのがよいのでありますが、現在の建前といたしましては、農業協同組合に補助金を出すという道がないのであります。従いましてただいまの制度では、養蚕技術員を団体の職員であると同町に県の嘱託ということにいたしまして、それに対して国が三分の一補助をし、三分の一は県が出し、三分の一を団体が出すというような状態になつておりまして、ここに非常にいろいろな支障があるのでございますが、ただいまのように協同組合に対して助成金が出せないというような事情がありますので、しかしながら養蚕の技術員はぜひ必要であるというので、やむを得ずそういう便法をとつておるのでありますが、将来なおよく研究いたしまして、これがうまくスムーズに行くようにすると同時に、数をふやすにつきましては、小林さんの言われる通りにわれわれも万全の努力をいたして行きたいと思います。
#84
○小林(運)委員 今のお考えはなはだけつこうでありますが、実情は非常な問題になつておる。今の数をふやすというような点につきましても、現在実際の人員と比較して非常な懸隔がございます。こういうような点からその内容におきましても、ほかの方の技術員の身分から考えまして非常に低いところにある、そういうことのために蚕繭の取引、繭処理等についても、いろいろの問題がこういうところから起つて来る、そういう点を当局においても十分お考えの上、万全の措置をとつてもらいたい。この具体的問題については、局長は御就任早々でまだよく頭にお入りになつておらないかと思いますが、これは非常に大きな問題でありますので、今後特に力を入れてこの方面の解決を至急にやつていただきたい。予算的措置も今まで見ておりますが、実に少額のもので、われわれはこんな程度では実際の役には立たないと考えております。特にこの方面について万全の施策をとつていただきたいということをお願いしまして、私の一応の質問を終ります。
 なお閉鎖機関蚕糸統制株式会社の積立金の処分に関しましては、本日の政府側の出席の程度では御答弁ができない点もございますので、二、三の点を留保いたしまして一応これで終ります。
#85
○松浦委員長 本日のこの問題に対する質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#86
○松浦委員長 次に食糧問題に関する件について調査を行います。麦の買取り問題について質疑の要求がありますので、これを許します。河野謙三君。
#87
○河野(謙)委員 この際食糧庁にお伺いいたしたいのですが、政府は四月一日から従来までの麦の委託加工を買取り販売に切りかえるということをきめられたようでありますが、およそあらゆる制度におきまして、現在の制度から次の制度に移る場合には、この制度の移りかわりによつて、国民に何らかより以上の利益を与えるということが必ずついておるわけであります。
    〔委員長退席、遠藤委員長代理着席〕
つきましては、この四月一日から現在の委託加工の制度を買取り販売制度に切りかえるということにつきましては、その内容においてどういうところで国民に利益を与えて行くのか、これをひとつ伺いたいと思います。
#88
○細田説明員 この買取制に移行します問題は、御承知のように最近起りました問題ではありません。昨年度ごろから実施をしたいという気持で、それがいろいろな金融事業等によりまして延び延びになつている問題であります。幾たびか切りかえようとしては延び延びになつて現在に及んでおります。そのねらいとしますところは広い意味の合理化でありまして、従来のように、戦時中からずつと続けて参りました委託搗精の方式でありますと、どうしてもやすきに流れるという結果になることはおおいがたい事実であります。そこで企業の合理化それ自体を今回ねらい、それをねらうことは、ひいては製品が非常によくなつて消費者のためになる、広い意味の合理化の方向に行くために、はやはり買取りに切りかえるということが非常に意味があると考えられております。私どもがこの四月から原則として実施したいということを決定いたしましたのは、従来からのそういうふうなねらいによりまして、しかもそういうことを目標に各業界におきましてもその備えをしていただく、心構えを持つていただくということにつきましては、相当の時間的な準備時代もありましたので、そういう意味で大体機が熟したと申しますか、予定の時期になつたというふうに判断をいたしまして、四月一日から原則として実行したいと考えております。
#89
○河野(謙)委員 今の御答弁は、ねらつているところはわかりましたが、これによつてたとえば生産者価格が下るとか、または政府の財政負担が軽くなるということについての具体的な答えが出ているかどうか、その答えをもつて四月一日から切りかえることになつたのか。それを私は伺いたい。
#90
○細田説明員 具体的に一つ一つ言えと言われ事といろいろあろうかと思うのでありますが、まず消費者から言いますれば、今も申しましたように、こういうことを実施することによりまして製品等がだんだんとよくなつて行く、よくなるということは御承知のように粉食普及のためにも好影響があるということが考えられるわけであります。
 それから財政の面等におきましても、いつまでも委託をしておるということでなしに行くことが、やはり一つの合理化になるわけであります。その他根本的数え上げますればいろいろあろうかと思いますが、要は今申しましたように、広い意味の合理化をねらつているつもりであります。
#91
○河野(謙)委員 依然として具体的に政府の財政負担がそれだけ軽くなるとか、消費者価格は今度は中間経費が減つて運賃の合理化をしてこれだけ安くなるとかいうことがないようでありますが、実は私もこの政府の案を見ました。これを一貫して批評すれば、この結果によつて生れるものは何かといえば、四大メーカー、大資本が利益をするだけであります。それがために政府は急いで切りかえをするということになるという結論がついていると思いま
 そこで具体的に一、二問題を伺つてみますと、今度政府は売却についてクーポンと引きかえにするということをきめておりますが、一体食糧庁では末端の食糧事務所の事務の実情を御存じないかもしれませんけれども、現在クーポンはどうなつておるかと言えば、クーポンは取引の条件になつておりません。食糧事務所は卸商にクーポンによつて売ることが原則になつておりますが、そういうことはやつておりません。やつているのはむしろ例外なのです。今政府がこういう制度を発表したことによつて、クーポンはどういうことになつておるかというと、クーポン一枚について二十円とか四十円とかいう権利がついて、この制度を実施することによつて大資本がクーポンを一手にまとめるという結果になるのであります。どうしてクーポンと引きかえにこういうことをやらなければならないか、食糧管理法によつてちやんと食糧庁は自主的に厳格な国営検査をしている、国営検査をしておれば、あなたの部下の検査によつて、品質は、そこではつきり是非の判断はついておるわけなんです。それを検査の権威というものをまつたく否定して、そうしてクーポンのみによつて売却の割当をするということは、私には解せない。一体今後麦の検査はやめるつもりですか、それとも依然として続けるつもりですか、それを伺いたい。
#92
○細田説明員 クーポンの点は、実は私どもも感づいております。非常に痛い点であります。御指摘のように、現在配給統制の実施下においてクーポン制度というものをとつておるわけでありますが、麦につきましては、このクーポンというものが、現実の問題としてはなはだ所期の目的通りに実施されておらぬといううらみが非常にあるのであります。そういうものをなぜ裏づけにしたのかという御質問のようでありますが、実は麦の配給統制それ自体が撤廃されますればもちろん問題はないのでありますけれども、そういうことが決定実施されますまでというものは、とりあえずクーポンによりまする配給統制という制度がありますので、われわれとしてはこの前提を無視することは、役所の建前上どうしてもできないわけでありまして、今御指摘のような多少の事実上の矛盾というものは予想し得られるのでありますけれども、制度上やむを得ずこういうふうな建前をとつたわけであります。
 それから検査の問題は、私どもとしては、もちろん検査は今後続行して参りたいと考えておりまするけれども、かりにこれの配給統制が廃止になるというようなことがありますれば、そういつたときにおけるところの製品の検査というものは、従来ほど厳格な検査は誰をしないとい言うにだんだんと移行をして参るのじやないかと考えられます。
 それでクーポン制にするごとによつて大きな資力を持つたものが実力でどんどん回収をして、結局小さいものをいじめることになるのではないかという趣旨の御質問ではないかと思いますが、この点につきましては、そういうことが非常に露骨になりますことは、はなはだ希望しない点でありまして、今この実施要領をごらんくださいますればわかるように、一応回収クーポンというものの数量に応じて原麦を売却いたしますけれども、しかしそれについては最高の限度というものは設ける、つまりその前月の実績の大体一一〇%を最高限といたしまして、それ以上はいかにクーポンを回収いたしましても、原料売却はしないということで、大きな資本を持つた連中が資力にまかせて買いあさるという弊は避けて行きたいというふうに考えておるわけであります。
#93
○河野(謙)委員 どうも意味なくクーポンにとらわれているようでありますけれども、先ほど申し上げたように、国民にかわつて政府自体が、事食糧の問題でありますから、権威のある検査をして、そうして国民に安心を与える、こういう制度が確立している以上、今後自由販売になれば、ますます積極的にこの政府の国営検査の制度というものを生かして行かなければいけないと私は思う。今度の四月一日からの買取り販売の場合も、検査自体によつていい工場、悪い工場はわかつておるはずです。それを、政府自体が検査しておるところの検査員の報告というものによつて、なぜ販売数量の決定ができないか。非常に弊害が伴つていることは、今あなたも一応お認めになつております。クーポンのやみ取引という問題が起つておる。やみ取引がやみ取引だけで終らない。やみ取引で二十円、四十円の権利がつく。これはだれが負担するか、決して業者は負担しない。これは必ず何らかの形で長い間には消費者に負担がかかる。でありますから、この際そう大して理由のないクーポン制に何でとらわれるかということについて、もう一度私は御答弁願いたい。
 さらに伺いたいのは、今後の売却数量決定の問題であります。このクーポンをフアクターにしているようでありますが、この売却数量については、政府は長い間の認可制度によつて全国の製粉、精麦業の企業の実態をちやんとつかんでいるはずでありますが、この企業の実態に即して政府は割当がして行けないか、能力によつて全部の割当の基準をきめたらよいと思うが、それについてなぜその他の能力以外のフアクターを織り込まなければならないかということについて、伺いたいと思います。
#94
○細田説明員 先ほども申しましたけれども、このクーポンの問題につきましては、私どもほんとうにつつ込まれれば、俗に言う痛いということを申し上げるほかはないのであります。それ以上弁解する必要もないのですが、何しろクーポン制によつて消費統制をやつて行くのだという建前を一応堅持しておる間は、御指摘のような、そういう多少矛盾した現象が出るのでありますけれども、これは何としてもそういう建前上いたし方がないというふうに考えたわけであります。かりに統制撤廃の時期がずつと先になるかもしれないが、私どもはこの措置は撤廃になりますまでの一つの過渡的な措置のような気持で考えております。その時間が少し延びまして、御指摘のような単なる軽度の矛盾ではなくて、非常にそのことが大きながんになるというようなことがかりにありますれば、その際はまた別にもつと合理的な方法を考えることはけつこうだと考えております。とりあえずとにかくクーポンによるところの消費統制という制度を実施しております以上、どうしてもその結びつきというものを全然顧みない立て方はちよつとできかねるのではないかと考えて、こういうふうにいたしたわけであります。その点は、冒頭に申し上げましたように、私どもとしては十分予想している問題でありますけれども、とりあえずのものとしてひとつ御了承願いたいと思います。
#95
○河野(謙)委員 これは重大な問題でありまして、政府の面子の問題もよくわかりますけれども、政府の面子の陰には、製粉、精麦の大企業の利益がつながつている。それが私は気に入らない。このクーポン制だけによつてその裏に何らの利害が伴わないというならば、政府の面子ということもよくわかります。しかしこの政府の面子を立てることによつてその陰におどるのは何かというと、大資本の四大製粉なんです。それは第一部長もよくお気づきのはずでありますから、この点について強くこの際政府に反省を求め、もう一度この案についての御研究を願いたいと思うのであります。そこで伺つておきますが、これはまだ今日の段階においては案ですか、それとも決定されたのですか、それをちよつと伺つておきたい。決定されたものなら論議する必要はないと思います。
#96
○細田説明員 これは、役所の手続としては上司に全部決判をいただきまして、通牒をすればすぐ実施に入り得る、こういう段階になつておるわけであります。
#97
○河野(謙)委員 私は役所の飯を食つたことがないからよくわからないが、ということは、通牒を発する前は、まだ決定するということにならぬわけですか。
#98
○細田説明員 私どもとしては決定したものだと承知しております。
#99
○河野(謙)委員 そういたします。と、これから私がお尋ねしようと思いましたことも、これも単なる論議に終るというだけになりますか。
#100
○細田説明員 私は必ずしもそうではないと思うのでありまして、おそらく河野委員が今後御質問になる点等は、そういう点をおつきになるのだろうと思いますけれども、これは一応書いてありましても、たとえば割当をどうするかということはやはり数字の問題でございまして、多少行政的な措置の面というものがあり得るわけでありますので、御意見等を拝承いたしまして、私どももその通りだと思う点につきましては、今後行政的な措置をします上について、十分考慮して参りたいと考えます。
#101
○河野(謙)委員 しからばこの割当の問題ですが、先ほどもちよつとお尋ねしたのですが、御答弁いただけなかつた。今後販売割当について、これは過去の実績を券とかその他いろいろな条件がついておるようでありますが、何ですつきりと各工場の設備能力によつて公平に分配されないか、その能力以外のフアクターをなぜこういうふうに織り込まなければならないか。これについて私はお伺いいたします。
#102
○細田説明員 その点につきましては、私どもも非常に論議をした点なのであります。御承知のように、従来の加工割当の実績というものは、大きいのと小さいのとでは多少段差がついております。そういうことからいたしまして、この実績というようなものは全然無視をいたしまして、いわゆる加工能力と称せられるものだけで割当をすることはどうであろうかという点も、十分考えてみたわけでありますが、御承知のように、工場別加工能力というものが非常に客観的のものであつて、一つの尺度によつてきわめて公平に査定をされた能力でありますと、それはそのまま使えばいいわけでありますが、実は小さい工場になればなるほど、能力査定についているく疑義があるのでございまして、今日言われております各工場別のノミナルな能力をそのまま信用して使うことは、かえつていろいろな不公平が出て来るということもございますし、それから同じ能力を持つておりましても製品の優劣等がありまして、非常によく売れる品物もあれば、売れにくいものもあるということが、過去の実績においてはすでに出ておるわけであります。そこで一本だけの尺度でやることはかえつて不公平ではないだろうかということになりまして、第一回の四月に操作用として割当てますものの割当方法といたしましては、過去の実績、それは昨年の九月から今年の二月までの月別実績と、もう一つには能力、この両方を見合いまして数量をきめて行きたい、こういうふうに考えたわけであります。
#103
○河野(謙)委員 能力査定が不確実であるというお話でありますが、その能力査定は、先ほど申し上げましたように、だれがやつたのですか、政府がやつたのでしよう、あなたの方の手元で能力査定はできておるのでしよう。従つて能力査定があいまいであるということは、政府が今まででたらめをやつておつたということである。しかも過去の実績とおつしやいますけれども、過去の実績は何によつて生まれたかと申しますと、大部分のフアクターはこの能力査定である。今あなたがずさんだと言われるところの能力査定によつてできておる。でありますからこの点は、政府が過去においてやつたことであるけれども、遺憾ながらこれは不確実であるから修正するという御意思はありませんか。
#104
○細田説明員 もちろん政府の責任において能力査定をやりましたので、でたらめをやつておるとは私思いませんけれども、何しろ非常に数の多い、ことに小さい工場等になつて参りますと、人間のやることでありますので、どうしてもいろんなことが出て来るのじやないかと思います。一応こういうようなことでスタートいたしますけれども、これは最初の割当でありまして、あとは大体実績からだんだんこれが伸びて行き得るということで、その間におのずから優劣のあるいろいろな実績が出て来まして、漸次是正されて一行くのではないだろうかと考えておりまして、どこまでも広い意味の不合理があつて、それがそのままきちんきちんとしやくし定規になつて行くというものでは決してないと考えております。
#105
○河野(謙)委員 私はここが一番急所でありますから、くどく申しますが、これをはつきりしておきませんと、私が冒頭に申し上げました四大メーカーに利益が集中することになるのです。あなたの方で、能力査定はあいまいである、不確実であると気がついておること自体、すでにあなたの方は何かより以上確実なものを持つておられるのだから、不確実なものは確実なものに直せばいいじやないですか。不確実だというのはなぜわかつた、政府の調査によつてわかつておる。麦の自由販売がおそくとも六月から実施されるでしよう。その場合に政府手持ちの外麦の売却基準は一体どうするか。今度四、五の政府の買取り販売の場合の数量というものが、大きな実績としてまた物を言うに違いない、必ずそうなるのです。でありますから単に統制時代だけじやないのです。自由販売になつたときのことも考慮して、この際四、五の買取制については十分割当基準を御検討願いたい。特にこれは第一部長もお気づきのように、今は大製粉、中製粉、小製粉の割当は差等をつけております。稼働日数の多い大製粉には加工賃は少くしております。加工賃の差等によつて稼働日数をアジャストしております。しかし今度買取制になれば加工賃においてアジャストすることはできない、加工賃云々ということは出て来ない。そういう場合には過去の加工賃においてアジャストしたところの実績の半分とか三分の上とかいうことは不公平だと思うが、その点についてどういうようにお考えになりますか。
#106
○細田説明員 私は先ほど申し上げたように、一つだけのフアクターによることがかえつて不公平であるというような感じを持つておりますので、こういうような決定をいたしましたが、そのことは何も大製粉を擁護したいという趣旨からやつておるわけではないのでありまして、そういう意味で、これの具体的な割当については、できるだけ今申されましたような、一方にだけ有利になつてしまうということは極力避けて行きたいという趣旨で実施いたしたいと思います。しかしながらそうは申しましても、これは人間のやることでありますので、いろいろ不平あるいは不公平等が出るかもしれませんが、そういうものをアジャストして行く方法としましては、例の委託加工による分があるわけでございます。御承知のように需給調整用の小麦なり精麦のものにつきましては政府が委託加工をする、あるいは学童給食用の小麦粉については、これも政府が委託加工するというような、委託加工によらなければならないものもありますわけで、そういつたものにつきましては、たとえばよく言われるような大きなものにだけやらすというようなことでなくして、多少中小企業対策的な意味合いを持つた割当をやつて参ることによつて是正して行きたい。もとより需給調整といい、学童給食といい、品質の悪いものを充てるわけには参らぬのでありますから、能率の悪い、品質の悪い工場にまで全部割当てるということはできないと思いますけれども、少くともそうでない限りにおいては、大きなものだけ、便利なものだけやつて、小さなものにはやらない、そういうことはやらない。むしろ多少中小企業対策的な色彩といいますか、趣旨をもつて委託加工をすることによつて、もし割当の不公平等が出て参りますれば、是正をする機会もある。両方から行きまして、今仰せられましたような、一方にだけ非常に有利になるということの極力ないようにして行きたい、こういうふうに考えております。
#107
○遠藤委員長代理 河野委員に申し上げます。なるべく簡単に願います。
#108
○河野(謙)委員 この制度が出発して、あとで不公平が起つた場合に、委託加工の問題でアジャストする、こうおつしやるのであります。私は議論をするわけではないが、スタートにあたつて、不公平な問題がすでに制度上あるから、これを考えてもらいたい。今の加工賃と稼働日数との関係において、従来決して公平でなかつた。非常な不公平でありますけれども、それでも公平を期そうという意思だけは現われておつた。それが今度は加工賃の形がなくなつたものですから、その点については買取り販売になつてからの加工賃において、過去においてアジャストしておつた点を、今後どういう点でアジャストして行くか、こういう点を伺いたい。
#109
○細田説明員 私は別にここで御議論を申し上げようとは申しませんが、ただ今まで委託加工でありますと、製品は、御承知のように、政府が運送いたしまして、適当な所へ持つて行つて処分をするということになつておるわけであります。今度買取制になりますれば、当然工場が自己の負担において製品の輸送なり保管なりをして、販売をしなければならぬ。こういうことで、むしろ大きな連中から言わせますと、われわれはむしろ運賃なり保管料をサービスすることによつて県外へ持ち出して販売をする、そういうふうな自己負担の分が大きくなるのじやないかというような不幸があるわけであります。これはただ自分の商権擁護といいますか、販路拡張といいますか、そういうことのためには当然やるべきことであつてへあたりまえではないかというように言つておりますけれども、しかし小さい工場にしてみれば、大体地場なり地場を中心にしてはけ得るということで、そういう実質的の差異の問題も私はあると思う。従いまして単に割当が形式的にだけ公平に行つたということが、真の意味におきまして公平な割当になるかどうかということは、いろいろ議論のわかれるところじやないかと私も考えております。従いまして過去の実績というものは、そういうこと以外のフアクターがあつて段差がついていることもあろうかと思いますけれども、何といいましても、大体地場なり県内だけまかなつておる工場はそうでなくて、相当広域にわたつているところとでは多少の差等が出て来るというようなことも、やはり過去の実績には一部出ておるわけでありまして、そういうものを全部ネグレクトしてしまつて、まつたく能力だけぴしやつとやるということが、真の意味の公平になるかどうかという疑問も一方にはあります。それでそういつたことも当然考えなければならぬと思いまして、そこで能力と実績というものを、両方にらみまして割当をして参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。今おつしやいました通り、割当の当初から非常に不公平な割当をしたいとは考えておりません。もちろんそれにつきましては、われわれとしてはできるだけ公平な割当ができるように、細心の注意を払いたいと思うのであります。
#110
○河野(謙)委員 委員長から御注意もありましたので、時間がないようでありますが、私はこの問題はとても三十分や一時間では尽きません。従つて以下ほんの二、三の点だけ特に今日伺つて、あと質問を留保し、あらためて別の機会に徹底的に伺いたいと思います。どうもこれはいろいろ御説明を伺いますが、これでは一つも私は納得が行きません。そこでぜひ今日伺つておきたいのは、政府が原料を売る場合に、政府の倉庫で売る、こうなつておりますけれども、政府の倉庫で売つた場合の運賃というものは、どういう計算になりますか。これは運賃をプールしておやりになるのか。それとも各買手が個々別々にやるのか、この点が第一点であります。
 それから延納の問題であります。大型といいますか、大工場は二十五日やつて、その他は三十日ということにきめておられるようですが、この差の五日間というものは、どういうわけでおきめになつたのか。これは小資本に対する一つの政府の思いやりから、こういう差等をつけたのか。それともそうでなくて、運送期間を五日間と見て、そこで大中小を全然差別なくされた結果の、いわゆる運送期間としての五日間であるか、これをひとつ伺つておきたいと思います。
 それからもう一つ、ただいまお話が出ましたから、伺いますが、大工場は非常に遠隔の地までやらなければならぬから、運賃の負担が非常に重いというようなことを言つておるようでありますが、しからば大工場が所在しておる、たとえば愛知県であるとか、大阪であるとか、兵庫県であるとか、神奈川県であるとか、東京であるとか、こういう所在県にあるところの中型、小型の工場はどうなりますか。同じ条件においては大工場に対してそれらの県所存の中型、小型の工場は立ち行くわけがない。それらの御考慮はどういうふうに払つておるか。これを伺つておきます。
#111
○細田説明員 一番初めの運賃の点でありますが、これはまだ価格がきまつておりませんので、詳細に申し上げかねますが、価格のきめ方は、大体運賃はプールをいたしまして価格をきめることになろうと思いますので、そういう趣旨で価格の中にすでに織り込まれておる、こういうことになろうかと思います。
 それから延納の点につきまして五日の差等を設けたのは、やはり大と小との金融の能力の差等があろうからという趣旨で、こういうような差等を設けた次第であります。
 それから大と小が地場でけんかして、小さいのが負けるのがあたりまえではないかというお話ですが、これはどうも私どもとして救いようがないのでありまして、大いに特に高くということにも参りませんが、ただたとえば鶴見の日清のサイロに入つておるものを売る場合において、かりに同じ価格で売るというようなことでありますれば、これは非常な利益を与えることになりますので、そういう場合においては特別な加算をいたしまして、高く売る。従つて少し離れて引取るものと、そういう便利な所で買うものとに差等がつく。そういうことはもちろん考慮をいたしております。
#112
○河野(謙)委員 最初のお話によつてまた関連質問ができたのでありますが、大工場所在の県の中小工場は救いようがないとおつしやいますが、クーポン制をやるから救いようがないのであります。大工場、たとえば日清の鶴見工場は北陸や東北へ持つて行くよりは、東京や神奈川へはクーポンの一枚二十円や三十円の権利を出しても、これをさらつた方が得だから、それを全部さらう。そこでそういう問題を、徹底的な解決策ではありませんけれども、救う道というものは、クーポン制をもう少し再検討しなければいかぬ、こういうことに私はなると思う。
 それから延納の問題は、要するに、小企業と大企業の金融力の差というものを検討して、五日間の差等をつけた、こうおつしやいますが、それでは五日間の差というものはできません。運送期間というものを入れてないからです。横浜なら横浜の工場へ政府の原料は入つている。工場渡しで売る。そこで政府はそれを基盤にして決済をつける。山の工場はそれから貨車に載せて、小運搬にかけて持つて行く。すぐ使えるわけではない。五日や一週間は山々の工場へ運ぶのにかかる。その運送期間が五日間です。そうすると結果においてはりくつじやない。商取引の現実の問題だ。五日間というものは何も差がつけられていない。従つてあなたの方の思いやりの結果、大企業と小企業との間に五日間の差をつけたと言われるけれども、それは単なる口の先のおせじであつて、実質的には何もない。もしそういうことで大資本と小企業との間に差等をつけて政府がめんどうを見てやるということならば、運送期間五日間をマイナスして、さらにそのほかに五日間なり一週間差等をつけなければいかぬ。政府の金融上の関係で三十日以止延ばせないというならば、逆に大企業を二十日なり十五日なりにしたらいいと思う。私は必ずしも三十日とか三十五日とか、業者一方のことは言いません。少くとも差をつけることによつて公平を期するのだというならば、二十五日と三十日の五日の差というものでは、何も政府の気持は現われてないと思うが、いかがでしよう。
#113
○細田説明員 一応とりあえず五日の差等をつけておりますが、日清、日粉、日東、昭和の四大製粉は七月以降は二十日しか認めない、こういうことで十日の差等がつくようになつておりまして、今河野先生がおつしやつた引取り場所の問題で、多少そういうことが実質的にあろうかと思いますが、趣旨は今申し上げましたようなことでやつたつもりでありまして、七月以降は四大製粉は二十日ということになつておりますので御了承願いたいと思います。
#114
○河野(謙)委員 私は七月以降ということを聞いているのじやないので、四月、五月の問題については、実情に沿うように御訂正いただきたい。期限を延ばせとか短かくしろということは言いません。
 なお先ほど委員長に申し上げたように、この問題については質疑の半ばにも行つておりません。しかも私は非常に重要な問題だと思います。特に一つの社会問題だと思います。国民経済全体に何も影響がないといつて、政府みずからがこういうことをやるということは、第一部長がいかに陳弁されても、中型、小型企業の犠牲において大資本が伸びるという結果に私はなると思う。これには十分私は疑義を持つておりますので、この際質問を留保いたしまして、委員長においてきわめて近い機会に、この問題について再び食糧庁に質問の機会を与えてくださるようにお願いして、私の質問を打切ります。
#115
○遠藤委員長代理 本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。
    午後一時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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