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1951/05/27 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 通商産業委員会 第41号
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1951/05/27 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 通商産業委員会 第41号

#1
第013回国会 通商産業委員会 第41号
昭和二十七年五月二十七日(火曜日)
    午後二時四十四分開議
 出席委員
   委員長 中村 純一君
   理事 多武良哲三君 理事 山手 滿男君
      阿左美廣治君    江田斗米吉君
      小川 平二君    神田  博君
      小金 義照君    永井 要造君
      福田  一君    南  好雄君
      加藤 鐐造君    横田甚太郎君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     横田 正俊君
        通商産業政務次
        官       本間 俊一君
        通商産業事務官
        (通商局長)  牛場 信彦君
 委員外の出席者
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
五月二十三日
 屋内電気工事従業者の技能検定制度制定に関す
 る請願(福田一君紹介)(第三〇六三号)
 中小企業等協同組合法等の一部改正に関する請
 願(川端佳夫君紹介)(第三一一三号)
 中小企業資金融通法制定促進に関する請願(川
 端佳夫君紹介)(第三一一四号)
 中小企業庁廃止反対の請願(川端佳夫君紹介)
 (第三一一五号)
 公納金制度存続に関する請願(大石ヨシエ君紹
 介)(第三一四二号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
 小林アルコール工場存置に関する陳情書(宮崎
 県西諸県郡須木村田中藤四郎外二百三十名)(
 第一九五一号)
 貿易日用品検査所出張所設置に関する陳情書(
 鹿児島県議会議長米山恒治)(第一九五四号)
 電力料金値上げ反対に関する陳情書(泉大津市
 議会議長河合金一)(第一九五五号)
 電気料金値上げ反対に関する陳情書(島根県八
 束郡美保関町議会議長青砥高之助)(第一九五
 六号)
 只見川電源開発流域変更案実施促進に関する陳
 情書外二件(新潟県中頸城郡原通村議会議長宮
 下喜一郎外二名)(第一九五七号)
 同(新潟県佐渡郡相川町長井口源太郎)(第一
 九五八号)
 九州地区電源開発に関する陳情書(福岡市新雁
 林町二十七番地九州電気協会会長安川第五郎)
 (第一九五九号)
 九州の電源開発と料金地域差縮小に関する陳情
 書(九州経済同友会代表委員安川寛)(第一九
 六〇号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 輸出取引法案(内閣提出第二三九号)
    ―――――――――――――
#2
○中村委員長 これより会議を開きます。
 本日はまず輸出取引法案を議題といたし質疑に入ります。質疑の通告がありますからこれを許します。山手滿男君。
#3
○山手委員 輸出取引法案について少しお伺いをしてみたいと思います。この法案は地味な経済問題でありますので、全般的には議論があまり沸騰しておらないのでありますが、交易で過剰人口を養つて行かなければならない日本にとつては、この法案は将来非常に重要性を増して来る法案であることを確信いたしております。この法案の目的は、第一條に書いてありますが、「不公正な輸出取引を防止し、及び輸出取引の秩序を確立し、もつて輸出貿易の健全な発展を図ることを目的とする。」こう書いてあります。しかしながら、私は従来の例からいたしましても、単にこういう抽象的なお座なりのことでは、こんな法律をつくる意味が了解できないのでありますが、この目的について、まず通産次官から御説明をお願いいたします。
#4
○本間政府委員 提案理由の説朗の際にも実は申し上げたのでございますが、御承知のように輸出をいたしましる場合には、その規模及び実績を拡大して参らなければならぬわけでございますが、相手国がございまして、その相手国に非常な誤解なり、あるいは非常な感情上の問題などを起こしますと、輸出取引そのものにも影響があるわけでございます。従いまして相手の方の事情なり、あるいは相手の方の意向なりも相手に勘案いたしましてつくつたものでございますから、御指摘のように濃度の薄いものになつたのでございますが、平和条約の條文の中でも、ただいま御指摘になりましたように、できるだけ国際的な商慣習を尊重する、不公正な取引はしないということをうたつて約束をいたしておりますので、その線に沿いまして、相手の方も十分考慮いたしまして、とりあえずこの程度で、終戦後非常に問題になつておりました輸出組合をつくつて参りたいというような考えで立案いたしたのであります。御指摘のような非常に物足りないと申しますか、微温的な点はあろうかと存じますが、その辺の事情をどうか十分御了承賜わりたいと思う次第であります。
#5
○山手委員 輸出貿易の健全な発展をはかると書いてあるのでありますが、私はこの法案の裏には大きな目的が隠されてあると思う。と申しますのは、こうした組合の問題につきましては、日本は大正十四年に例の輸出組合を持つております。それから昭和十二年には、例の貿易組合というかうなものをつくらしておるのであります。大正十四年の場合の輸出組合は、輸出振興と昭和十二年の場合は、あの当時の時代色をそのまま現わしておりまして、いとして貿易組合というおうなものをくらせた。今日の日本の置かれております環境は、貿易会においては並々ならぬ事態であつて、今日なりの日本のけわしい時代色というものが私はあると思つておる。そういうさ中に。この輸出取引というものを日本が独自で単独でお出しになるということは、日本の貿易界の将来にとつては、非常な影響があります。政府がこの法案でねらつておられるものは何であるか、もう少し具体的に御説明をお願いいたします。
#6
○本間政府委員 御指摘にもありました通り、輸出の増進を、究極の目的にいたしておるわけであります。その点は、私どももそのように考えておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、取引をいたします相手の関係も考慮いたして、それから御承知のように、事業者団体法、公取との関係などを考慮いたしまして、できるだけ公正な輸出取引をしたい。それから輸出取引におきまする秩序をできるだけ整えて参りたいというような目的で出しておりますが、もちろん私どもの考えもできるだけ輸出を増進したいという考えが根底になつておりますることは、御指摘の通りでございます。
#7
○山手委員 私は了承をいたします。了承をいたしますが、そこに問題があるのです。今も本間次官からのお言葉の中にありましたように、相手方があるから、相手方の立場を考慮しつつと、いうお話がありましたが、本法案の内容をつぶさに検討をしてみますと、本法案の骨になると申しますか、ポイントは、第五條であろうと私は思います。第五條の協定の問題が一番大きな問題でそのほかのものはそれのつけたりのようなものであります。第五條第一項第一号、第二号、第三号を見まして、必要以上に相手方の立場を強調し、相手方のいろいろな避難を受けるかもわからぬというようなことばかりを気にして、この中にこうした規定を置いておられるために、この法律はむしろ輸出振興法でなくて、輸出阻害法になるおそれがありはしないかということを懸念するのでございますが、第一号、第二号、第三号をまず具体的に説明していただきたいと思います。
#8
○本間政府委員 実は私どもが一番懸念をいたしております急所を指摘されたわけでございますが、立案をいたしますときに、御指摘のありましたような点を、実は相当神経質に研究をいたしたわけでございます。組合だできまして、協定をいたしまする範囲をどの程度にするかということが、御指摘の通り一番のポイントになつておるわけでございます。今具体的にいろいろ品物によりましては、外国との間に問題なども起こしておるわけでございまして、その点の実情などを実は勘案をいたしまして、非常に苦心をいたしたところでございますが、確かに御指摘のような御心配もあろうかと思います。ただここが一番の急所でございまするので、この三原則と申しますか、第一号、第二号、第三号の具体的なことにつきましては、繊細に事務当局の方から御説明を一応いたさせることにいたしたいと思います。
#9
○牛場政府委員 第五條の第一項、第一号でございますが、これは「輸出貨物の価格が仕向地におけるその貨物と局種又は、類似の貨物の価格に比して著しく低いため、仕向地における関係産業の利益を害し、又は害するおそれがあること。」という場合でございまして、これは日本の輸出品が正当な価格でもつて輸出する場合、つまりいわゆるダンピングに陥らないで、生産費に適当な利潤を加えて輸出した場合におきましても、なおその価格が仕向地におきますところの同種貨物の価格に比べて非常に安いときに、仕向地におきまして関税を引き上げるとか、あるいは関係の日本品の輸入をとめるとかいう問題の起こる場合をさしておるわけです。最近の例といたしましては、例のアメリカ向けのまぐろのカン詰めないしは塩づけまぐろの輸出というようなことがその例になると思います。またそのほかにおきましても、アメリカ向けのミシンでありますとか、ないしは絹のスカーフあるいは毛糸の手袋につきましても、このような問題が懸念されております。実際上にそれが、非常にあるわけでございます。
 それから第二号は、「輸出貨物の価格が著しく変動し、仕向地の輸入業者が著しい損失を受け、又は受けるおそれがあるため、その貨物の輸出取引の成立が困難となること」。ということでございまして、その具体的な例といたしましては、わが国の輸出が非常に特殊の、つまり日用品のようなものが大体多いわけで、こういう例が相当あるわけでございます。現在いわゆるチエツク・プライス、価格審査制をとつておりますわけでございます。その商品の例をあげてみますと、綿糸布、絹織物、纖維の二次製品、家庭用のミシン、陶磁器、琺瑯鉄器、グラス・ボール、カン詰類、冷凍水産物、温州みかんなどというものがあげられてるわけであります。従つてこれもやはり具体的に必要性の多いものでございます。ただ第二号の場合に該当しますときに、協定ないしは組合によりまする基準の決定を認めますが、これは主として一時的の必要のある場合に限られると思います。従いまして政府でやつておりますチエツク・プライス、いわゆる価格審査制に比べまして、これは性質的に一時的なものになるわけであります。第三者は「輸出貨物に係る仕向地の輸入取引における競争が実質的に制限されているため、その貨物の輸出業者の利益を著しく害し、又は害するおそれがあること。」ということでございます。これは仕向地におきまして実際上輸入業者が団結をして、一手買付ということになつている場合であります。これに対して日本側の輸出業者がばらばらに行つた場合には、その利が害される、十分な太刀打ちができないという場合を考えているわけであります。その具体的な例といたしましては、たとえば先方が政府輸入だけに認めておるような品物が当たるのでございます。また公団のような政府機関を使つて先方が輸入しているという場合には、これに該当すると思われるのであります。国際入札の場合におきましても、一概には言われませんが、その商品の輸入についてある一定の機関を定めまして、その機関だけが取扱えるというようなことになつている場合には、やはりこれに該当すると思われるのであります。その国家のなされます機関がほかの業者と同一の地位においてやる場合にはこれに当たらないと思うのであります。これも具体的に相当問題がございまして、必要性があると認めているわけでごあいます
#10
○山手委員 今の御説明は一応了といたしますが、実際問題から行きまして、第三者はいいとして、第一号、第二号についてはよく考えていただかなければ、将来に遺恨を残すような事態が起こるのではなかろうかと考えます。というのは、仕向地の産業、仕向地の生産者というものに必要以上にこだわつておられるのではないかという気がするのであります。今例を引かれましたが、まぐろのカン詰の話にいたしましても、日本側から言えば、決して変なことをしているのではないのでありますが、アメリカの消費者側からいうと、たいへんな利益をこうむつている。それをアメリカの産業人が阻止して、自分たちの立場を有利にして行こうというところに、アメリカ側からいうといわゆる日本の公取法に違反したというような事態、大国であるアメリカのごときものが日本からの輸入を制限しようというのが、この関税の引上げ問題であろうと私は思うのであります。今日日本の貿易を振興いたして参りますのには、対米貿易はもちろん保持し、発達せしめなければならないのでありまするが、やはり日本の貿易の主目標はスターリング地域が大宗をなしで行くものであろうと思うのであります。ところがこの英国関係の緒地 域と日本が貿易をいたします場合に、日本から出て行く主力になろうものは大体きまつている。後進地に対しては日本が何を出すかというものはきまつている。綿布、繊維製品などが最も大きなものでありましようが、インドでもそうですが、各地では日本に追いつこうというたいへんな意欲が出て、繊維工場なんかはどんどん拡充されつつある。そういう場合にこういう規定があると、当然インドの繊維産業者と日本の繊維産業者との間ではこれが問題になつて来る。これは英国においても同様な事態が起きてる。今日のランカシアあたりの繊維産業界の実情を見ると、きわめて古典的な工場の経営をやつており、きわめて労賃が高いので、向こうから言わせれば日本はソシアル・ダンピングだという言い方をしたような実情にある。しかし日本の国内事情からといたしますと私は今日貿易産業家かがたいへんな搾取をしているとは考えない。しかし必然的なそういう優劣がついている。そこでこういう規定ができますと、必ず私は日貨排斥という問題が起きて来ると思う。日本と英国との間でもそうでありますが、日本とインドとの間、マレーと日本との間、あるいは日本と中国との間にこういうことが問題になつて来て、あるいはかずを制限しと、あるいは価格をどうしろということが問題になつて来ると思いますが、その点について道産当局はどうお考えでありますか、
#11
○牛場政府委員 御指摘のように、仕向地の産業が非常に能率が悪いためにコストが高い。それに比べて日本からの輸出品は非常に能率もよく、かつ勉強して出すために非常に値段が安い。それが向うから見まして消費者の利益ということを度外視して一部の生産業者が日貨排斥をやる、そういうことは、現実にもいろいろ例があるわけでありまして、まことに御指摘のようなところがあると思うのでありますが、しそういう問題につきましては、結局業者間の交渉、さらに場合によつては両国政府間におきましてよく話合いをして解決して行かなければならない問題であろうと思うのであります。それにつきましてこういう規定を置いて日本側においてもある程度の官制はするのだということを見せ、現実にもそうすることは、交渉に際して日本側の利益を決して害することにならないと思うのでありまして、むしろ日本側の立場を強くすることになると思います。この規定があるために、向う側からすべての責任を日本側に押しかぶせるという懸念は私はないと思つております。
#12
○山手委員 私はそうは思いません。これはこういう規定がありまして、価格が非常に低いものに対して日本側の商社が、少し高めに出そうという協定をいたします。しかしながら向う側は今日政治的にもいろいろな手を使つて来ていることは御了知の通りでありまして、その協定が不十分であるということで、取引をキャンセルされたり、いろいろクレームをつけられたりする原因になると私は思う。こちらの立場をよくするのではなしに、こういう国内法があるのにもかかわらず、その国内注に違反しているとはいえないが、まだ不十分な態度でどんどん市を荒しに来ているというふうに向うの方からけちをつけるようなことにこの條項はなると思うのでありますが、どうでありますか。
#13
○牛場政府委員 もちろんこちらから出しますものの値段がいわゆる不当廉売の範囲に入るような場合におきましては、これはそういう非難をこうむるおそれがあると思います。がコストにつきましては、日本側としても十分に説明のできることでありますし、向う側の不当な制限に対しては別途に交渉の道があるわけでありまして、決してこの規定によつてそういう場合における日本側の立場を弱めるということにはならないと思います。
#14
○山手委員 今不当にコストを云々という御説明がありましたが、これは私はちよつと了解ができないのであります。今日まぐろのカン詰のごときものでもああいう関税の引上げの問題が起きている。私はあれはそうめちやくちやに不当にカン詰のコストを切下げて行つているというふうには決して考えておらない。しかしやはり向うと立地条件とかいろいろな条件が違つて、価格においてはそうした問題が現実に起きているのです。今日政治的には民族運動がほうはいとして起きており、民族産業を強くしようというのが東南アジア諸国の風潮です。そういう場合にこういう規定があつて、自分の国の繊維産業を起そう、雑貨工業を起そう、あるいはまた機械工業を起そうということになると、この規定を利用しようと思つたらこれになんぼでもひつかけられる。あなたはこの法律は貿易を健全に発達させようというふうな目的だとおつしやるのでありますが、私どもから見るとこれはむしろ貿易を手かせ足かせで縛り上げて、きゆうくつにさせてしまうというふうな感じが出るのでありますが、いかがでありますか。
#15
○牛場政府委員 ただいまお話の後進諸国の産業との競合の問題でありますが、これは国際的に非常にむずかしい問題でございまして、そのために今例のガットでありますとかそのほか国際貿易憲章、これは実際上効力は発生しておりませんが、そういう国際的な約束をいたしまして、その間に正当な妥協の適を求めて行くというやり方になつておるわけでございまして、われわれとしてインドその他の後進国に産業が興る場合において、これを全然初めから無視してこちらがどんどん安い物を幾らでも売るというわけにも行かない場合もあると思います。これはやはり国際的に協力して行くという観念から考えて行かなければならない問題だろうと私は存じます。
#16
○山手委員 国際的に協力ができるような実情なら今日問題はないのでありますが、現在英国あたりは日本の未ざらし綿布などを全面的に輸入制限いたしております。それから例のポンドの、問題についても向うの方からドル條項をああいうふうにしてやつて来ておる状態なんです。そういう状況であつて通貨の一面からいたしましても非常な不自然がある、そういうときにこういう場ものを設けて、必要以上に日本の貿易を重苦しくするということはいかがな問題であろうか、こういう気がするのでありまして、この「仕向地における」云々という條項はどうしてもこれは修正しなければいかぬ、自由党の諸君ともよく話をしてみたいと私は思つておるのでありますが、これは日本の将来の貿易業界のためにもぜひ再検討をお願いしたいと思うのであります。
 ところで話は少しかわりますが、そういうふうないろいろ心配があるので、この法案の実施についてはいろいろ手心を加え、運用の面で妙を発揮したいというふうな御説明が当局の方から各地であつたようでございますが、なかんずく貿易の面で今日大きな問題になつておるのは中共貿易でございます。あるいは中共につながつている香港貿易、そういうふうな中継地を経由する貿易が大きな問題になつておるのでありますが、今日あるところの輸出貿易管理令というものはどういうふうに運営されておりますか、まずこの御説明をお願いいたします。
#17
○牛場政府委員 お尋ねはおそらく輸出貿易管理令の別表のことであろうと思うのでありますが、御承知の通りこのもとになつております外国為替及び外国貿易管理法、これにおきましては輸出は原則として自由であるということが書いてありまして、ただ例外的に特殊な必要がある場合において特殊な輸出品目について輸出許可制にひつかけるということになつておりまして、その品目が別表第一に載つておるわけでございます。そのうちで中共向けのものは、現在のところでは原則としてこの別表に載つているものについては輸出許可をしないということに相なつております。
#18
○山手委員 別表のうちにも、一部発、表されておりますが、そのほかに未発表のものがあるように私ども聞いておるし、そのためにいろいろ世論を刺激しておるようにも思うのでありますが、そういうものがあるのかどうか。それからまた輸出貿易管理令は何に根拠を置いて出されておる命令であるか、これをまず伺たいと思ます。
#19
○牛場政府委員 機密の表は別にございません。根拠は、外国為替及び外国貿易管理法の主として第四十八條で。ございます。根拠として二十六條、四十六條、四十八條、四十九條、五十六條、六十九條となつております。主として四十八條に基いて出しております。
#20
○山手委員 この輸出貿易管理令というものは、直接にはいろいろそういうものを根拠にしてお出しになつておるであろうと思うのでありますが、やはりこれは例のバトル法の問題であろうと思うのであります。このバトル法の関係から行きますと、日本が経済援助を受けておるならばこういう管理部を維持して行つて、対ソあるいは対中国貿易の禁止事をやつておるということも、これは肯定することができるのでありますが、今日日本は独立をいたしまして何ら経済援助は受けておらない。アメリカも経済援助はしないということをはつきり言つておるのであります。子ういうさ中において、私はこういう輸出貿易管理令というものがなおずつと残つて行き、さらにまたこういうものを手に使つて輸出取引法というものが実際には手心を加えられたり、運用されて行つたりするということにたるのはいかがであろう、こういう気がいたしますが、御説明を願います。
#21
○牛場政府委員 バトル法のことでございますが、バトル法につきましては、なるほど日本が経経済援助を得ていない限げは別に関係がないことであります。アメリカ政府の解釈によりますれば、たとえば現在日本が得ておりますところの輸出入銀行からの綿花クレジツト、これなどもその中に入るのでございますし、さらに例の国際稀少物資の割当、これらにつきましても、これは純粋の法律論としてはいかがかと思いますが、おそらく関係が全然ないとは言い切れないと思います。また将来外資導入ということになりました場合に、国際開発銀行ないしは輸出入銀行から金を借りる必要が起つて来ることも考えられます。そういう場合に、やはりバトル法の関係が問題になつて来るのではないかと思われます。
#22
○山手委員 どうもその関係は、開発銀行からも金を借りていることそのほかを例に出されましたけれども、バトル法の実態を見ておりまりと、そんなようななまやさしいものをさしているのではないと私は了承をいたしておりますし、この問題については通産省の貿易を管理しておられる当局において、私はごく近い将来に見解をはつきりさせていただかなければいかないと考えます。
 そこで議論をもう少し進めますが、この法律はいわゆるこういう組合をつくらせたり、協定をさせたりすることによりまして、独禁法あるいは事業者団体法の裏を行くものである、こういうことになるのでありまりるが、公取の委員長もおいでになつておりますし、独禁法あるいは業者団体法をお守りになる立場からどういう連絡があり、どういう了解を与えておられるのか、御意見を承りたいと思います。
#23
○横田(正)政府委員 ただいまの問題についてお答えいたします。実はこの輸出組合の問題につきましては、こういう制度の必要を公取自体も大分前から研究しておりまして、ある時期には公取から当時の司令部の了解を得べく多少の折衝もいたしたのでございます。すでに御承知かと思いますが、独占禁止法をゆるめるということに対しましては、当時の司令部なりあるいは米国の本国の方で非常に強い反対がございましたので、逐にそれはそのままになつて最近に来ているわけでございます。一昨年私がアメリカに参りました際も、その問題を特に念頭に置きまして、向うの国務省あるいは司法省、あるいは私たちと同じような公正取引委員会が向うにございますが、それらに出向きまして、こういう制度の必要性をいろいろ聞いたのでございす。その際は、国務省は非常に反対的な態度でございましたが、その他の官庁におきましては日本の特殊性を割合に理解してくれまして、そういう制度もあるいは必要であろうが、しかしそれには独占禁止法の線をあまりにゆるめないように、これをかなり監督的な立場で見て行く必要がある。そのような條件のもとに、あるいはそういう制度を持つこともいいだろうということを申されて来たのであります。幸いに最近になりまして業界の要望もだんだん高まり、通産省におきましてもかねがねその必要を認めておりましたので、今次提出いたしましたこの法案につきましては、通産省とわれわれ公取の担当の者とがきわめて密接な連絡を終始とりました結果、先ほど申しましたように独占禁止法の根本精神をあまり大幅にゆるめない範囲において、日本の輸出貿易の振興に役立つある線を出すべく努力して参りましたものがこの法案でございます。先ほど通産省の方からいろいろ申し上げましたが、なるほどこの法律は、あるいは考え方によりますと独占禁止の線があまりに強く出過ぎておるという御批判もあろうかと思うのでございますが、これは結局外国との関係がきわめて強く考慮せられなければならない問題でございますし、ことにこの法案をつくります過程において、外国、ことにアメリカの方の態度を打診しつつ参つたわけでございます。その際にも、先ほど申しましたようにこれをあまりゆるめることについては非常に重大な関心を持つている様子がわかりましたので、その線をできるだけ残しながら、なお現在では適法に行われない協定あるいは輸出組合による活動を、ある範囲において適法にいたすという線を出したわけでございます。なおただいまの状態におきましては、この線をこれ以上にゆるめますことは、いろいろな面が非常に支障があるように考えられます。要するに日本国の国際的な信用というものを高めますためには、多少の不便がございましても、現在の日本としては忍ばなければならない事情もあると思われますので、われわれといたしましてはこの線を守りつつ、なお貿易の振興という大きな日本の利益も考慮して参りたい、こういうふうに考えております。
#24
○山手委員 今の御説明でよくわかるのでありますが、御説明そのものの中で、日本の特殊性はよくわかるからというアメリカ側の意向を聞取つて来たことによつて、こういうものも考えられた、こういうことでありますが、私はこれは非常に大切なことだろうと思うのであります。この法律自体を見てみると、非常にアメリカの方を気にし過ぎておる。いわゆる仕向地というものに気をとられ過ぎておるのでありまするが、日本の特殊性をよく認識さし、うまく運営をして特殊性を生かして行かなければならないのに、全部殺して行くことばかりに今まで独禁法なり事業者団体法が運用されておつた。この法律は私はそういうきらいがあると思う。貿易を健全に発展させようと思つておりながら、逆に日本の貿易を将来決定的に阻害さす要因をつくる可能性があるような気がいたします。公正取引委員会の方の動きも私はいろいろ見ておりますが、最近――きようの新聞にも出ておりましたが、スフの操短は停止を勧告する、あるいは綿の操短もおもしろくないというふうな御意見のように承つております。あるいは新聞記事が十分盡しておらないのかもわかりませんが、その点について委員長の御説明をお願いいたします。
#25
○横田(正)政府委員 ただいまの操短の問題につきましては、実は昨年の春にも同様の問題がございまして、その当時から公正取引委員会といたしましては、慎重にこの問題を検討して参りました。本年になりまして、御承知のようなまことに困つた事態が出て参りまして、われわれといたしましてもさらにことしの諸般の事情をしんしやくしまして、これをいかに処理すべきかということについて検討しつつございますが、問題はだんだんに進んで参つたわけであります。そこでたしかことしの四月の初めごろかと思いますが、私たちといたしましては、やはり独占禁止法なり事業者団体法を守る役所といたしまして、これをそのまま見逃すことはいかがかと存じましたので、いろいろ検討いたしました結果、まず綿紡及び化繊双方につきまして、事実関係を少くとも明らかにする必要があるのではないかということからいたしまして、これを一つの事件といたしまして、私の方のそういう事件を調べます係の審査部で取上げて、現にこれは調べつつあるのでありますまして、大体調べも終つた段階のようでございますが、まだわれわれ委員会の方へは事務局から報告が参りません状態でございます。四月にはこの事件を審査部で取上げると同時に、各種の事業につきまして、一般的な調査をいたしまする調査部におきまして、こういう操短問題全般につきまして検討をいたす。ことにいろいろな方面の意見を聞きまして、われわれの今後に対する態度をきめる。なおもし操短が日本の産業の上にどうしても必要なものであるということでございますれば、それを法制化いたしまして、独占禁止法なり、事業者団体法なりの適用を受けない、適法なものにいたすという線を出したいと考えまして、ただいまそちらの研究も実はやつておる次第でございます。従いましてわれわれといたしましては、もちろん違反がございますれば、これは法律的には違法ということにはなりますが、その扱いにつきましては、ただいま申しました調査部の調査と相並びまして、慎重な態度を今後とりたいと考えております。
#26
○山手委員 この輸出取引法の、さつきから問題にしました第五條の第一項の仕同地の同種あるいは類似の貨物の価格に比して、著しく日本の同じ製品の価格が安い場合には云々という條項でありますが、現在貿易の面で日本で一番大きな地位を占めているところの繊維製品につきましては、明らかにこの條項に、この間からの事態はかつちりはまつておるように思うのです。少くとも英国との関係ははまつておる。こういうことになると、やはりある程度国内の価格をつり上げて行くというのは、生産面に響いて参ります。生産面からずつと問題が起きて行つておるのでありますから、そこに結着が来ると思うのであります。そういうことになると、この法律が通る以上は、当然に操短というふうなものは法律で適法に認めて、すつきりやらすという立場をつくり上げて行かなければならないということに論理的になつて行くと思うのでありますが、いかがでありますか。
#27
○横田(正)政府委員 あるいは場合によりましては、今お示しのような関係が出て参ることもあるかと存じますが、先ほど申しましたように、これを適法化いたしまするには、なお諸般の事情を考えなければなりませんので、この輸出取引法を認めるから、当然に生産の方の調整も適法化しなければならないというふうには考えておりません。
#28
○山手委員 この問題はどういうことになつて参るかと申しますると、本法案の第十二條によりまする組合員の資格に関係を持つて参ります。この組合員の資格の規定から行きますると、いわゆるメーカーはこの組合には入れない。従つてその協定をすることについては発言権がないのです。しかしこういう場合が起きます。この場合はどうお考えでありますか、私はお聞きしてみたい。今日のように英国は日本から物資を買いつける。しかし少くとも未さらし綿布のごときものは禁止状態になつておる、あるいは数量の制限をせられております。そうしますと、日本はできるだけ多く出そう、こういう状態になつておる。日本から十出そうとするものを向うは五しか入れない、こういつておる。五しか入れないということになると、その実績がものを言い、協定の数量がものを言つて来ます。そういたしまと、日本の国内でその割当をとるために、プレミアムがついて来る。そのプレミアムは当然メーカーにこのしわが寄つて来る。そういたしますと、メーカーはこの輸出取引法案から相当な負担をおおいかぶさせられることになる。ところが、今日大きな鉄鋼業あたりにおきましては、いわゆる輸出業者というのは窓口にしかすぎない。五%とか三%とか、口銭をもらつて、いわゆる輸出手続だけをやつているという状態である。繊維業のごときにおきましても、今日の輸出商社というのは、ほとんど大繊維メーカーにおぶさつているというかつこうである。そういう状態で変なことになつて来やしないか。この輸出の操短という問題、価格の維持という問題、あるいはメーカー、あるいは業者、そういうようなものの関係がこの法案の実際から行くとたいへんなことになつて来るように思いますが、どうお考えでありますか。
#29
○横田(正)政府委員 私はそちらの関係はあまり詳しく存じませんが、なるほどおつしやるような事態がおそらく起ることがあると存じます。その場合に生産の方の調整もしなければならぬという事態のあることも私は認めるのであります。ただその際にそれをいかなる方法で調整をするかというようなことが検討せられると思います。もちろんこういう業者の協定というような形でしなければならないものであるかどうか、それらの点、またそのやり方などにつきましては、先ほどの操短の問題について私が申し上げましたその線に沿いまして今後十分に研究をいたしたいと考えております。
#30
○山手委員 これは非常に重要な問題なんです。これは通産当局の方ではよく御承知のはずでありますが、日本がかつて統制経済に移行しよううしたとき、インドあたりの貿易の面でプレミアムが相当に出て来た。ひどいのになると二割ぐらいプレミアムをかせがれてしまう。そのためにメーカーは非常な迷惑をこうむつたという実例があるわけです。今日のように各国ごとに、英国あたりが、貿易の面で努力をしておるときには、日本側の統制経済のためではなくて、向う側の統制経済のとばつちりを日本が受けて、貿易管理のとばつちりを受けて、日本側がいろいろ問題を起して来るのです。それでこれにメーカーを入れるかどうかというような問題、これは一部ですでに議論をされておるようでありますが、そういう問題とからんで、私は今の操短の問題あるいはこの協定の内容の問題、これはこの法案のままでは私はいかぬと思うのでありまするが、通産局長から御意見を承りたい。
#31
○牛場政府委員 この法案におきましては、輸出組合の組合員は輸出業者に限つております。メーカーを入れておらないということになつておりますが、これはこの法案は元来輸出取引というものを対象としてできておるのでありまして、従いまして輸出取引に限つて独占禁止法の例外を認めようということになつておるのであります。これにもし、輸出に対して関係のないメーカーを入れるということになりますと、これは輸出取引の規制ということを通じまして、国内取引に対して重大な規制を与えるということになる。そこまで独禁法の例外を認めることは不適当であるという観点から、メーカーというものを特にここにあげておらないということになつておるわけであります。しかしながらこれは御参考までに申し上げますが、戦前の非常に統制力の強い輸出組合の場合におきましても、やはりメーカーというものは特に入るということにはなつておらなかつたのでございます。ただそのメーカーに非常に影響せられるのではないかという御説は、ただいまおつしやいました通り、機械の関係でありますとか、鉄鋼ないしは紡績ということで起ることであるかもしれませんが、これにつきましては輸出業も兼ねているメーカーも輸出業者として入れることになり、また業者というものは必ずしも過去の実績のあるものに限るということにいたしておりません。これから輸出業を始めるというものにつきましても、これは入れるという解釈で行くべきだと思つております。またメーカーの中におきましても、いわば輸出の意思と能力を持つているもの、つまりその製品の大部分は輸出に振り向けている、あるいは実際上輸出取引にあたりまして、外国商社との相談は全部メーカーの方でやりまして、最後に輸出業者を通じて手数料を拂つて輸出している。実質的には自分の輸出をやつているというメーカーにつきましては、この法案によりましてもやはり組合に入れることになるというふうに解釈しております。ただ具体的な判定はおそらく組合の定款等におきまして出て来ると思います。またそれが通産大臣の認可にかかるわけでございますから、その際に公正取引委員会の方ともよく連絡をとりまして、善処して行きたいというふうに考えております。
#32
○山手委員 今の御説明は一応の御説明としてはそれでいいのでありますが、実情はそうは行かないのであります。なぜかと申しますと、今日日本がやつております繊維製品を例にとつてみましても、繊維の貿易はアメリカから綿を買つて来る、十万梱買つて来ると、五万梱は輸出をして、半分は国内に向けるわけです。大体この輸出が主なんです。日本は輸出をして日本で着る分だけは日本に残そうというのが日本の繊維産業のやり方なんです。輸出の工賃で国内で国民の着る分だけかせごうというので、むしろ国民が必要とする部分の方が輸出の面から考えると小さいというのが実情です。だから輸出を扱きにして国内の生産というものは考えられない。それを単なる一商社の関係だけで生産者なんかはどうでもよい、この法律には関係ないんだというお考えは、実情に即しておらないということになります。これはまだ議論をしなければならないと思つておりますが、実際はその猛りであります。
 それから今のお話でありますが、実際問題としましては、生産者がこの組合に入らぬということになりますと、これはやはりメーカーは発言権を持とうとするだろうと思います。そうしますと、五大商社か十大商社、八大商社ですか、そういう商社が今日よたよたしている。メーー1は発言権を持とうとして必ずその一つをひもつきにして、その一つの大きな商社を自分の輸出機関してどんどん実績をつくつて行くというような場事態が起きて、私は商社の関係で、こういう法律が迫ると混乱が起きやしないかと思うのでありますが、どうでありますか。
#33
○牛場政府委員 先ほど私の申し上げたことが少し足りなかつたかと思うのでございますが、輸出業者という意味は、割合広く解釈して行きまして、自分の生産品のうちの相当部分を輸出品の製造に充てておるようなメーカーというようなものは、これは組合の定款の規定のつくり方にもよるのでございますが、輸出業者と認めて、その加盟を認めて行くというふうに運用して行きたいと思つております。
#34
○山手委員 実際にそうであるならば、むしろここで法律に書き込んで率直な形にしておいた方がよいと思います。これは公取の方から横やりを入れられて、妥協してカムフラージユした法律にすぎない、こういう気がいたします。今のカムフラージユを入れないということになると、きつと私は商社にひもつけをして、いろいろな手を伸ばして行くだろうと思う。そこで私は公取の委員長さんにお伺いしておきたいと思いますが、先般この委員会で、実は私どももうかつだつたのでありますが、戦後のポ勅を法律に直すという関係で、例の旧財閥の商標などをそのまま認めるということを許してしまつたのでありますが、今日三井とか三菱、そういう旧財閥の関係の商社が統合を始めている。昔の姿に立ち直つて、いわゆる独占的な強大な商社をつくり上げようという動きが、盛んになつて来た。あの法律を私どもここで審議するときに不用意に通してしまつたのでありますが、もつとあそこで修正をするとか何か手を加えておくべきだつたと思つておりますが、非常な勢いで今日やりつつある。言いかえると、旧財閥の復活が除々に起きておるのみならず、同じ仕事をやつておるそういう商社の統合のみならず、旧三菱というものが金融機関を持つている。鉱山をやつている。化学工業をやつている。造船をやつている。それから三菱商事というものがある、あるいは三井物産がある。そういうものをまた昔の姿に統合させて、有利な地位を占めて行こう、こういうことがいろいろな面で考えられている。いわゆる過度経済力集中排除、財閥解体の精神と逆行するような大きな動きが出ております。その端的な例を一つあげてみますと、ここに次官がおられますが、四日市の海軍燃料廠の問題もそうです。三菱系の銀行が全国の預金をあそこに集めて、三菱石油なりそのほかの同系の会社に注入する。その同系の会社があそこにがんばつている。硫安会社の過半数の株式を買収する。いろいろな手を伸ばして、同系の会社の火薬工場そのほかを全部あそこに注入して行く。そういう大きな金融機関なり商社なりというものを全部統合した旧財閥的なものがどんどん復活するという動きが現にそういう一つの例においても現われておる。そういうような事態に対して、この法案などがそれを促進させる役割を果すものではないか、こういう気がいたしますが、公取の委員長さんはそういう面でどうお考えになつているか、この際お聞きしたいと思います。
#35
○横田(正)政府委員 ただいま財閥の復活の問題に関しましては、私どもといたしましても非常に深い関心を持つておる次第でございまして、御承知のように三菱糸の会社が最近だんだんに合さつて大きくなりつつございますし、三井に関しましてもいろいろそういう動きがあるように思われますが、しかしこれは現在の程度におきましては、むしろある程度強い商社のできますことが日本の利益であろうと考えまして、三菱のあの程度の結合もわれわれといたしましてはこれを認めたわけでございます。なおこの点は実は独占禁止法そのものの一つのあり方の問題でございますが、独占禁止法の禁止しておりますものは、御承知のようにある一つの取引分野における競争の制限それは独占あるいは協定というような形によりまする制限をやかましく申しているわけでございます。ただいま例にお引きになりました石油、石炭というふうに、ある種の取引分野の競争の制限につきましては、かなり敏感にこれを取締る。予防措置といたしましても種々の制限があるのでございますが、ただいまお示しのごとき、銀行と結びつき、そこに一つの大きなコンツエルンができて来る、しかしながらそれが個々の業について見れば必ずしも日本の業界全体に対して非常な大きな比率をもつてこれを支配しておるわけではないというようなものにつきましては、ある意味におきまして独占禁止法ははなはだなまぬるいものがあるのでございまして、実は先般の過度経済力集中排除の法律がねらいましたものが、ただいまお示しのようないわゆる財閥的なコンツエルンをこわす方に非常に役立つたわけでございますが、あとに残りました独占禁止法自体には、今申しましたようなある意味の欠陷がございます。この点はわれわれも十分に認識しながら、なおできるだけ独占禁止法の範囲内におきまして、ある大きなものが中小の事業を圧迫するというようなおもしろくない事態が生じないように、今後公取の仕事を運営して参りたいとえております。
#36
○山手委員 私はある特定の業種の面だけでの独占禁止ということでなしに、そうした日本の経済界を牛耳るような姿でのコンツエルン的な動きというものの方が日本の国内に悪影響を与えるものだと思つてありますし、この法案がそういうことで、順次いろいろな業種につながりを持たして行くものになるのではないかという気がするので一言聞いてみたわけでありますが、もう一つお聞きしたいのは、ここでせつかくこういう法律ができて、業者が協定をいたしましても、日本の国内には相当外国の商社なんかが来ておりまして、日本の業者にもつとつり上げて来いといつても、外国の商社がそれより低い価格のものでどんどんその裏を行くというふうなことで日本の貿易を壟断されるとどうなるか。いわゆるアウト・サイダーは拘束することはできない。そういう場合にはどうなるか。あろいは外商、大きな商社がカルテル的な動きを示して、この法律をうまくくくつて行くというふうなことになるとどうなるか。あるいはまた外商とこの法律の関係を神経質に考えると、差別待遇をするというふうな解釈をして向うが難くせをつけて来るおそれもなきにしもあらずと思うのでありますが、それはどういうふうなことになるか。これについては当局の方では審議会をつくるのでありますが、その審議会の一部に外人を入れるというふうなことをお考えになつているというのでありますが、それのついては具体的にはどういうことになるのか、ご説明をお願いいたします。
#37
○牛場政府委員 ただいま外商の問題を離れまして、一般のアウト・サイダーの問題といたしますと、アウト・サイダーに関しましては、今度の法案では全然強制力というものは考えておりません。戦前の考え方とまつたく違つた点でございます。それからアウト・サイダーにつきましては、現在の輸出承認制の運用によりまして、なるべく健全な組合の発達と歩調を合わせて、アウト・サイダーの方もコントロールして行けるように政府としてやつて行きたいというふうに考えております。
 それから外商の問題でありますが、外商と日本人商社の利益が必ず対立したものであるというふうに考えて行くのも、ちよつと行き過ぎではないかと思うのでありまして、現在日本に来ております外商のうちには、実際非常に小さな、一獲千金的な動きをする者も相当あつたのでありますが、そういうものもだんだん整理されて参りまして、国際的に信用のある大きな商社が主として残つて来つつある現在、日本の商社は資力も乏しくて戦前のように自由に海外に支店を出すこともむずかしいという状況でございますので、こういう連中とやはりある程度提携いたしまして、日本の貿易をやつて行くこどが望ましいのではないか、私はこう考えておるのでおります。この提案におきましては全然日本の商社と外商の間に区別を設けてはおりません。
 それから審議会の構成につきましては外相を入れるということも一つの考えでございまして、これはなお政府部内におきまして、また業界との間におきましても、研究をしてきめたいと思つております。
#38
○南委員 関連して伺いますが、今アウト・サイダーの問題について政府当局の方から輸出承認制ということを言われたのでありますが、この組合は御承知の通りボランタリーの組合で、加入、脱退自由なのです。御承知のように日本の貿易の戦争前から一番問題になつておりますのは、要するに価格が非常にまちまちであつて、そのために日本のメーカーも非常に困るし買つておる連中も非常に困つておるというのが現在の実情です。そういたしますと、この法律の程度では、やはり日本人は食わんがために輸出したいという気持が多いのですから、一つの品物の価格の協定をやりましても、組合員でないものが束縛を受けないで、安く売る場合には、どういうふうにして輸出の承認制を行うのか。輸出商については全部許可制をおしきになるのですか。承認制を別箇にお設けになるのですか。
#39
○牛場政府委員 ただいま御質問の承認制に関しましては、先ほど御質問がありました輸出管理令に基いてやつておりますので、一々法律にする必要はないかと思います。組合が主要なる商品についてそれぞれできて来るということになり、そしてその組合が業界の全部を包含するというふうなところまで行かないという状況になりました場合におきましては、それはまた事情によつてそのときどきに研究しなければならぬ問題かと思いますが、そういう商品につきましては、これを承認制にひつかけまして、ただいま行つておりますのと同じような一種のチエツク・プライスというようなものを設けまして、それでアウト・サイダーが安売りをして、組合の存在を有名無実ならしめることのないように運営して行きたいというふうに考えております。
#40
○山手委員 本会議が始まりまして時間がありませんので、今日はこの程度にしておきたいと思いますが、私どもは貿易の面が非常に重要な段階に来ておるし、これが日本の自立経済の上で決定的な役割を果すものであるという考えを持つておりますが、どうもこれが比較的、軽はずみというわけではありませんが、素通りさせられて、業界でも議論が場当り式になつて行きがちのように私は考えておりますので、この法案については今日はこの程度で質問を打切りまして、今後さらに掘り下げた議論をしたい。そういうことを保留しておいて今日は私は質問を打切ります。
#41
○南委員 公取の委員長がおいでになつておりますからついでにお聞きしたいのですが、輸出管理令を働かして、そうしてアウト・サイダーを取締つて行くという考えよりも、むしろ昔やつておりましたように、輸出組合の自主性によつてアウト・サイダーを縛つて行くという考え方の方に行くべきがほんとうの形ではないか。そういう場合に独占禁止法の除外例を認めてやるのがほんとうではないか、要するにあまり安売りをしたり、何をやるかわからぬようなことのないようにしてやるのが、この法律をつくつた趣旨でありますから、そういう意味合いにおいて、チエツク・プライスとか、あるいは政府の管理でその組合を助けて行くというふうでは、ほんとうにせつかくつくつた法律が画龍点睛を欠くように思うのです。独占禁止法はそういうところまでねらつておるかどうか、それを委員長から明確な回答をお伺いしたい。
#42
○横田(正)政府委員 ただいまの問題は実は私たちの立場から申し上げますと、非常に重大なる問題を含んでおるのでございまして、御承知のように協定そのものを独占禁止法は一応悪と見まして、ただ必要やむを得ないものはその場合あるいはその向き向きによりまして、適当な制約を加えつつ適用の除外をして、これを適法化する、こういう考え方が独占禁止法の建前であろうと存じます。いわんやこの業者の一部の人の協定をさらにそれに関係のない第三者に押し及ぼして行くということにつきましては、今申しましたような考え方から申しましても、なお一つ問題がつけ加わつておるわけでございまして、この点は独占禁止法のどの規定にというようなことではなく、むしろ考え方としまして、原則的には私としましてはそういう考え方には御賛成はできないのであります。但しこれは一般的たことで申し上げておるわけでございまして、ものにはすべて例外というものがあるわけでございますが、そのような関係がどうしても必要である、その合理的な理由がはつきり示されるものにつきましては、また別途の考え方もいたされるかと考えております。
#43
○南委員 大体今の輸出貿易の実態は何といいますか、繊維製品では飢餓輸出の状態になつておりますが、安売りがむしろ非常に外国に迷惑を与える。東南アジアなんかその通りでありますが、それぞれ自分の立場においていわゆる輸入制限をやつておる国もあるのではありますけれども、しかし日本の品物が次から次と安くなつて行く。先ほど同僚山手君が申しましたように、綿花を輸入して半分は内地で使つて、半分は輸出する。資金回転をするためにはどうしてもある程度輸出をしなければならぬとということで、いわば底なしになつておる。そういう事態を何とかして一つの規制を与えて進んで行くというのが、これからの日本の繊維製品あたりの輸出の状況だろうと思うのです。その際に独占禁止法が非常にシピヤーに働きまして、そうして業者の価格協定も全般的にできない、こういう状態においては、私はせつかく輸出組合をつくつても何にもならぬと思うのです。日本人の悪いくせで、横車を押すやつが二人か三人おると価格が守られない。そうするとお互いになぐり合いを始める。管理貿易でありますから、別箇の見地に立つてそれを補つて行くという隔靴掻痒の感のするような法律をつくつて行くよりも、むしろ現行の貿易状態に即応したような、もつと外国に迷惑を与えないような、日本人もそれで得をする、こういうような考え方で、もつと独占禁止法を違つた意味で運用していただけたら輸出組合などは非常に助かるのではないか、こういう気がするのですが私たちこれをながめましても、何かしらぬが中途半端で、はたしてこんたふうで日本の輸出が伸びるのかしらという気がしてならぬのです。むしろ独占禁止法はそうやつて私的独占の程度が過ぎるような場合には、その組合に警告を与えて、価格協定をやらせるというようなことに働くべきであつて、その法的基礎を薄弱にしておいて、これが独占禁止法の本来のねらいだと思われることは、私はどうも行き過ぎのような気がするのであります。あまり一つの問題に深刻にやられると、現在通商航海條約その他いろいろありまして、外交的にもむずかしい政府の立場ですから政府としても苦しいだろうと思うのですが、この輸出組合の将来というものから考えまして、もう一つは独占禁止法が嚴としてここに存在しておるのですから、その運用の方針なり法の目的なりがもうちよつと進んでもよいのじやないかという気がしてならないのでありますが、今の程度では現在のように混乱した輸出業界に対しある程度の法的秩序を与えるということに役立たないように思うのであります。しかも外国には、日本で何か非常に大きな統制をやつておるのじやないかというような衝撃を与えるという、むしろ逆な結果を産むような気がしてならないのでありますが、この点について政府当局並びに公取の委員長からもう一ぺんつつ込んだ御返事がいただきたいのであります。
#44
○横田(正)政府委員 実は先ほどもその点に関しまして少し申し上げたのでありますが、なるほどこういう法制につきましてはこれでなければならぬというような線はなかなか発見しにくいことだろうと考えます。しかし諸般の情勢からいたしまして、私どもといたしましては現在日本が持つてよい輸出取引法の線は、まずこんなものではないかと考えておるわけでございます。ことにわれわれはこの法案につきましては、通産当局ともよく連絡をとりまして、この程度のものは決して国連あたりでやかましく言つております線に抵触するものではないことを確信いたしておりますが、しかしこれを受取ります側では、ただいま申し上げました通りかなりの感じを受けておるようでございまして、この点実は大使館あたりからの空気を察しますと、われわれの想像以上のものがあるように考えられます。ことに英米人の考え方といたしまして、法律はともかくも実際の運用がどうであるかということについて、きわめて鋭い感じを今後持つて行かれるのではないかという感じを受けるのでございます。従いましてこの法律につきましては、なお運用の面におきまして今申しましたような影響も考慮しつつ、またせつかくこういうものができたのでありますから、これを文字だけのものにしたくないという気持も十分に持つておりますので、そこら辺の運用の妙と申しますか、その辺につきましては通産側と公取側と密接なる連絡をとつて、万遺憾のないようにいたしたいと考えておる次第でございます。
#45
○南委員 最後に一点通商局長にお聞きしておきますが、日本の輸出状態はたたき売りでありまして、もうからぬ商売はやめるという欧米式の考え方になつてくれればいいのですが、場合によつてはたたき合いをして赤字が出てもやるのが日本人の悪いくせであります。そういう世界市場にないようなばかな輸出を、この法律でチエツク・プライスとかなんとかいうことでうまくとめられるような見通しがありますか、それとも諸般の情勢を考慮してそういうことはいけないけれども、やむを得ないというお考えですか、その点だけはつきり御返事願いたいと思います。
#46
○牛場政府委員 ただいま御指摘のような現象が間々あることは私どもも認める次第でございますが、それを法律だけでとめることができるかということになりますと、これだけではまだまだ不十分でありまして、そのほかいろいろな措置が必要である。ことに国内の金融措置などもう少し改善して行くことが非常に大事なのではないかと思つております。この法律につきましては、先ほど横田委員長からお話がありました通り、現状におきましてはさしあたりこれで行くのが一番いいのだ、これで行くよりしかたがないと考えております。安売をやる、値くずしをやるというような輸出業者がもしありましたならば、この第二條第四号というものを活用いたして、政令でもつてそういうような不当廉売、とくに公正な商慣習にもどる者は、三條、四條におきまして戒告ないしは輸出を禁止するというところまで行けるようになつております。これは現在のチエツク・プライスよりは一歩進めた取締りの方法がここにあるわけでございます。
 それから全般の問題といたしまして、輸出取引審議会を大いに活用いたしまして、先ほどメーカーの問題につきましてちよつと申し忘れましたが、この審議会中にメーカーの代表をもちろん加えるつもりでおります。ここにおきまして総合的に協定なりその他を許す基準というものを決定して運用を誤らないようにして行きたいと思つております。これは一に今後の運用にかかる点でございまして、私どもも大いに監視いたしまして、誤りなきを期して行きたいと思つておる次第であります。
#47
○中村委員長 本日はこの程度にいたし、明日は午前十時より運輸委員会との連合審査会を開会いたし、午後一時より理事会、一時半より委員会を開会いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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