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1951/01/23 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第4号
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1951/01/23 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第4号

#1
第013回国会 水産委員会 第4号
昭和二十七年一月二十三日(水曜日)
    午前十時四十分開議
 出席委員
   委員長 川村 善八郎君
   理事 小高 熹郎君 理事 田口長治郎君
   理事 永田 節君
      川端 佳夫君    鈴木 善幸君
      田渕 光一君    冨永格五郎君
      平井 義一君    福田 喜東君
      小松 勇次君    水野彦治郎君
      木村 榮君
 出席政府委員
        水産庁長官  塩見 友之助君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (水産庁漁政部
        長)      伊東 正義君
        専  門  員 杉浦 保吉君
        専  門  員 徳久 三種君
    ―――――――――――――
昭和二十七年一月二十二日
 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する
 件に基く水産関係諾命令の廃止に関する法律案
 (内閣提出第一四号)
昭和二十六年十二月二十日
 青島漁港拡充整備促進の請願(川野芳滿君紹
 介)(第一〇一号)
昭和二十七年一月二十一日
 水産業協同組合法の一部改正に関する請願(鈴
 木善幸君紹介)(第一七四号)
 大槌漁港修築工事促進の請願(鈴木善幸君紹
 介)(第一七五号)
 小浜漁港修築工事促進の請願(鈴木善幸君紹
 介)(第一七六号)
 高家漁港災害復旧工事施行の請願(鈴木善幸君
 紹介)(第一七七号)
 崎浜漁港修築工事促進の請願(鈴木善幸君紹
 介)(第一七八号)
 漁港整備促進に関する請願(鈴木善幸君紹介)
 (第一七九号)
の審査を本委員会に付託された。
昭和二十六年十二月二十六日
 水産業及び中小商工業振興のための融資に関す
 る陳情書(郡山市議会議長福内和介)(第七〇
 号)
 機船底びき網漁業の北海道海区入会操業を大海
 区制に改めることに関する陳情書(郡山市議会
 議長福内和介)(第七一号)
 漁港整備の促進に関する陳情書(山口県知事田
 中龍夫)(第七二号)
 瀬戸内海水産開発審議会の設置に関する陳情書
 (山口県知事田中龍夫)(第七三号)
 漁業調整委員会経費増額に関する陳情書(山口
 県知事田中龍夫)(第七四号)
 小型機船底びき網漁業減船整理に要する補償の
 陳情書(山口県知事田中龍夫)(第七五号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 水産行政に関する説明聴取に関する件
    ―――――――――――――
#2
○川村委員長 これより水産委員会を開きます。
 本日本委員会に政府委員として水産庁長官塩見友之助君、説明員として漁政部長伊東正義君が出席しております
 今般農林省の人事異動に伴う新水産庁長官に塩見友之助君が就任せられましたので、この機会に新長官より水産行政に関する今後の方針及び御抱負等について承りたいと存じます。水産庁長官塩見友之助君。
#3
○塩見政府委員 ただいま御紹介を受けました塩見でございます。私就任まだ日が浅いので、皆さんの御期待に沿うだけの準備をしておるかどうか危惧を持つておりまするけれども、短い期間に考えましたところを申し上げます。
 独立と同時に今まで存在していたマッカーサー・ラインというふうなものは、これは撤去されるということになつておりまして、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く水産関係諸命令の廃止に関する法律案というのをこのたび内閣提出で、議会の方に審議していただくことになりますが、すでに関係方面の了解も昨年にとつてございますので、そういうことに進めていただきたいと存じますし、それに関係しまして過去において世界一という発展をしておりまして、終戰と同時に非常に制約を受けた日本の漁業というものが、今後さらに発展できるという基礎を得るわけでございますけれども、ただそれに関係しましては、平和条約の第九条にございますし、また吉田総理大臣からダレスさんあての書簡にもございますように、今後の公海における漁業につきましては、日本は関係国と協商しながら海外の方へ進出して行くというふうなことを言われておりまするし、また条約にもそう書いてありまするので、そういうふうな点について、過去大正末年ごろから昭和を通じまして進出して行つたやり方と同じような状態では進めて参れないこういうふうなことになつております。それでそういうふうな点での進出の基本の条件といたしましては、日米加漁業会議における、またその条約における根本精神というものにのつとりまして、それで海外への進出というものを関係諸国と協定しながら進めて行く必要があると存じます。これは決議の三にございますが、「会議は、最大の持続的生産のために公海漁業の秩序のある発展及び開発のための健全な基礎を定める原則に従うことが必要であることを信じて、締約国がこの条約が取り扱う問題と類似の問題について他の政府と協議するに当つては、この条約の精神及び意図に充分な考慮を払うべきことを勧告する。」これは先般総理にお目にかかりましたときも、それからGHQの方のネヴイル氏と少し時間をかけて今後の問題を討議しましたときにも日本の根本方針としては日米加協定の根本精神によつてやるというふうなことになつておりますのでそういう点については公海自由の原則というのが過去においてありましたけれども、それは日米加協定においては正面からは認められておらない。ただこの条約案の前文に「国際法及び国際慣習の原則に基く公海の漁業資源を開発する各自の権利に照らして行動し、」というふうなところでこういう表現をとつておる状態でございまして、わが国としましてはどうしても資源が満限になつておる。それでどうしても漁業について規制をしなければならないというふうな科学的な調査に基いた証明がない間は、原則としましては公海自由の原則というふうな方針でもつて各国と協定を進めて行く必要があろうかと存じておりますし、日米加協定においても、この交渉に当られた議員の相談をお受けになつたこちらの国会方面においても、直接折衝に当りました政府あるいは関係者においてもその精神を徹底して強調した。それで成果を收めておるという関係にもなりますので、今後の各関係国との協商については、ぜひその方針でもつて進めて参りたいと存じております。それを進めて参ります場合にも、戰前、ことに戰時中において、東南アジアの諸国その他において、相当日本の漁業が濫獲であるという印象を持つておられる諸国も多いような状態でございますので、やはり日本としましては自国の地先、自国の領海においても、資源の満限になつておるようなものについては十分な規制措置をとつて、それで資源を大事にしながら、永続的に漁業をやつておるのだ、こういうふうな態勢がしつかりしておりませんとそういう交渉にもいろいろな意味で障害があるようにも思いますし、またどうしても日本の沿岸その他の漁業について考えますれば、これは
 なお増殖であるとか、あるいは新しい資源を開発するという問題も若干残つてはおりますけれども、かなり一ぱいになつて来ているというふうな関係からして、沿岸漁業の問題の解決も、新しく開かれた曙光というものを拡げて行つて、それで海外の方へできるだけ進出して行き、未開発の漁場を開発して行く。こういう方針によつて逐次沿岸漁業における非常な苦しさというようなものも打開して参らなければならない。これが相関連した問題と存じますので、できるだけそういう線に沿いまして、公海漁業としてマッカーサー・ラインの撤廃が行われましたあかつきには、進出することに政府としては主力を盡して参る責任がある、こう考えております。ただいままでに水産資源保護法その他において、議会においても十分そういう点にも考慮を向けられて、立法措置その他についてそういう方向へお進みになつておるわけですから、政府の方としましても、その趣旨を体しまして、現実の行政措置なり、あるいは予算というふうな点について、極力その方向へ進んで参りたいと思います。
 日米加漁業協定、北太平洋の漁業条約に関しまして、まず開かれて参りますのがいわゆる北洋漁業でございますけれども、さしあたり民間においても問題になり出漁の可能性も十分にあると考えられますのはブリストル湾のかに、及びアツツ、キスカ、最後に非常に折衝に時間のかかりましたところのアリユーシヤン方面における鮭鱒の問題でございますけれども、これについてはその後過去における資料というふうなものをずいぶん検討中でございまして、その結果として考えられますのは、やはりかににつきましては十年間の操業実績があるわけでございますけれども、当初年度から後年次にわたるに従つて、初めは一反当り五尾以上七尾くらいのかにがかかつていたわけですけれども、それが最後には二尾を切れて、採算が合わないために操業をやめるというふうな形になつておりまするので、これは資源保護というような点から見ましても、隻数なり製造箱数なりというふうなものについて、国際的な信用を害しない範囲において制限を加えておく必要がございますし、それからまたアリユーシヤンの鮭鱒につきましては、その試漁の成績を見ますると、過去において一番いい成績を見ましても、カムチャツカの年をずつと通じた平均の半分以下というふうな今までの成績になつておりまするので、そういう点で、採算関係、資源の量等を考えますると、入り得る隻数なりはかなり制限を受けるのではないか、これはもう少し試験をしながら――どのくらい入れるかということと好漁場をはつきり見つけ出すということについて、かにほどにきつちりしたデータにはなつておりませんけれども、やはりその必要があるのではなかろうか。ことにコマンドルスキーの方面へずつと鮭が遡上して参るわけですけれども、そつちの方へ参りますとこれはロ領になりますので、そういうふうな国際的な関係も十分考慮して、操業海面とかその他についてやはり十分な規制をしながら考えて行く必要があろうと存ずるのであります。
 なお北太平洋漁業条約の関係につきましては、大体調印は独立後東京において行われることをわれわれの方は希望しておりまするし、おそらくそういうことになるだろうと存じます。まだお配りしてないようでございますけれども、外務省で印刷しましたこの会議議事録、これに詳細な部分は全部載つておりますので、これは至急手配いたしまして、お手元へお届けするようにいたしまするし、なおおそらく議会の方においても下審査等を事前におやりになる機会があると思いますので、条約の巨細に関しましては、そのときに御説明に当りたいと思います。
 なおこの間、東南アジアの諸国と申しましても、正式に具体的な交渉に幾らか入りましたのはインドネシアでございますけれども、やはり相手国の方の要求としましては、公海について制限をして参りたい、大体こういう趣旨でございまするが、日本の方といたしましては、公海についての制限をすべき、資源が満限になつたというような科学的な調査とかその他の資料とかいうふうなものが十分にないわけでございますので、そういう調査をまず先決にする。その上で公海において規制を行うなら考えるべきであつて、そういうふうな調査資料もなしに、また資源満限というような証明もなしに、初めから規制をしてかかるというふうなことは賛成いたしかねるという基本の原則において討論をいたしまして、あとの具体的な交渉は今後にまつような経過になつておる状態でございます。但しインドネシア等における漁業の開発につきましては、日本としては漁船の提供であるとか技術の提供であるとか、その他あらゆる面において極力協力をして参る、こういうふうなことを申し合せております。その他は、濠州であるとか、フィリピンであるとか、あるいは朝鮮であるとか、新聞等に散見されてはおりますけれども、まだ漁業については外務省の方にも具体的な相手国の提案は来ておりませんので、ここで何ら申し上げる段階に至つておらぬという状態でございまするし、われわれの方としても、そういう方面についての交渉につきましては、インドネシアと同様な要求を相手国の方で持ち出す可能性も十分にございますので、今そういう海面における過去の漁業の実態であるとか、今後の方向であるとかいうものに対して研究中である、こういう段階でございます。
 なお水産に関しましては、経済界全体がそういう状態でございまするが、ことに金融の問題は引続き逼迫しておりまして、昨年一昨年以来、議会の方の非常な御努力にもかかわりませず、なお金融においては十分な打開がされておらない。沿岸の問題につきましては、漁業権証券の資金化及び農林漁業資金特別会計の拡充というふうなことによりまして、極力水産金融の打開に努めて参りたいと存じまするが、なおそのほかに、今後海外漁業の方の進出をやりながら、沿岸の方の資源における過重な負担というふうなものを軽くしながら日本の漁業を発展させて行くという点も考えて、漁場が広まり、操業方法その他において相当な変革が行われるというふうなことを考えますると、どうしても今までのものよりもトン数をふやすとか、あるいは冷凍設備をつくるとか、あるいは無電その他の装置をつくるとか、そういうふうな形における資金の必要量というものは、マッカーサー・ラインの撤廃後においてはますます加重されるものと存じますので、その点については特段の努力をいたして参らなければならないと考えております。今後ともそういう点、あるいは予算における各種の折衝においても、水産資源保護法の趣旨を体しまして、増殖であるとかその他沿岸漁業における各種の整備規則というふうな点については、なお予算において不十分な点も多々あると存ぜられますので、今後一層努力をいたしまして、マツカーサー・ラインの撤廃がなし遂げられると同時に、沿岸においてもその効果を極力発揮しまして、できるだけ安定した漁業、継続された漁獲というふうなことを考えて進めるように、予算措置も講じて参りたい、こう存じておる次第でございます。就任早々で、なお重要な問題がたくさんございまするが、北太平洋漁業条約の締結も間近に控えておりますので、それによつて日本漁業に明るい面が開かれてはおりますけれども、大正末期から昭和にかけて飛躍的に発展した当時と違つた条件のもとで進出しなければならない。日本の国力においても、あの当時に比べますると低下しておるという条件で、また相手国との協定をしながらでなければ必ずしも進出が円滑には行いがたいというふうな点について、かなり違つた状態にありますので、こういう点については――終戰後ここ数年間というものは実にがまんにがまんを重ねて狹い海面で漁業をして来られた漁業者の氣持がここで開かれるので、とにかく思い切つて進出したい。しかしながらまず具体的にその與えられる漁場というものについて考えますると、資源的にも採算的にも相当危惧されておる、相当危險性もあるというふうな漁場が開発される。それにはまずやはり国際的な協商もいるし、なお現実に出漁する場合に、ソ連、中共等との関係等を見ますると、非常に注意深く、がまん強くやりながらでなければ開発がしにくい、こういうふうな関係にありますので、そういう点で過去におけるよりも、政府においても、もちろん民間においてもそうでございますけれども、そういうふうな方向で、新らしい考え方のもとで、一体となつてこの難局を打開して参らなければならないと存じております。
 簡單でございますが、私の就任いたしました後における、大体水産の方向というふうなものは、こういう方向に持つて行くべきであろうと考えましたところをあらまし申し上げましてごあいさつにいたします。
#4
○川村委員長 次に塩見長官に対して御質疑があれば、この際お許しいたします。
#5
○鈴木(善)委員 ただいま塩見新長官から当面の水産問題に対しまして長官の今後の施策の方向について御説明があつたわけでありますが、長官の御方針につきまして数点にわたつてお尋ねをしたいと思うのであります。
 まず第一は国際漁業協約の問題に関連いたしましてお尋ねしたいのであります。日米加三国漁業協定につきましては、政府並びに国会が民間と協力いたしまして、一応公海自由の原則が立つたわけでありますが、この際これに関連いたしまして、サンフランシスコにおける平和会議が開催いたされました際に、インドネシア等が講和条約に調印する一つの条件といたしまして、漁業協定の問題が提起されたわけであります。その際吉田総理はインドネシア代表に対して書簡を送つておるようであります。この書簡の趣旨は、わが国が主張いたします公海自由の原則に、解釈上いろいろな見解がそこに生れるような内容が盛られておるように見受けられるわけであります。この吉田書簡が今後のインドネシアとの漁業協定の締結にあたつていかなる意味を持つものであるか、この点をまずお尋ねいたしたいと思うのであります。と申しますのは、インドネシア代表は、吉田総理の書簡をたてにとりまして、公海に対してもある程度の制限をすべきであるという点について、吉田書簡は暗默の了解を與えておるのじやないかという主張をいたしておるようであります。従いましてこれに対する新長官の見解というものは、今後の国際条約の締結にあたつて、非常に微妙かつ重要な点でありまするので、この際はつきりいたしておきたいと思うのであります。私どもは資源保存に対して具体的な措置を講じておりますアメリカ並びにカナダとの間の漁業条約と、インドネシアのごとき、ほとんど資源に対して何らの措置も講ぜず、むしろ未開発の漁場であつて、今後国際間の協力によつてこれを開発することが全人類の福祉の上に非常に大切である、こういう両極端の要件を備えております条約がまず締結されるということは、爾後の各国との条約はその二つの両極にありますところの諸条件を持つたその中に全部入つて行く、そういう意味でインドネシアとの漁業条約というものは、今後の漁業条約の締結の上に非常に重要な問題でありまするので、特にこの点をお尋ねいたしたいと思うのであります。
#6
○塩見政府委員 当初に御説明申し上げましたように、総理からインドネシアの代表にサンフランシスコで手交されたというものについては、私不注意なのかもわかりませんけれども、まだ存じておらないのでございます。平和条約の方には第九条で「日本国は、公海における漁猟の規制又は制限並びに漁業の保存及び発展を規定する二国間及び多数国間の協定を締結するために、希望する連合国とすみやかに交渉を開始するものとする。」というふうな形になつております。しかしながらこれは政府の方針といたしましても、またGHQにおける見解等につきまして打診をしましても、これは日米加協定の線と一つも違つていないのであると信じておりまするし、また日米加協定の線によつて解決して行くべき問題で、その点についてインドネシアとのただいまの交渉についても、何ら日本国がそれ以上の制限を受ける言質も與えておらなければ、そういう点でそれ以上の具体的な問題について交渉が進められたということもございません。ただいまお話のありました通りに、米加におけるハリバットであるとか、さけ、ますであるとか、にしんであるとか、そういうふうな、ことに機械化された、それで漁獲が十分振興して行つて、資源として満限になつておるというその証明等も南については十分ございませんので、まずそういうところからはかつて行く、方向といたしましては日米加協定の基本の精神という線から離れた交渉を行うつもりもございませんし、もし規制を行うとすれば、こういうふうな科学的な調査に基きまして、相手国においてもその満限資源については十分規制をするという前提でなければ、こちらも公海漁業については規制を受けるというふうな点については了承できない。これは長い期間かかつてかちとりました日本漁業の非常に大事な方向だと思いますけれども、この日米加協定における線をはずれる気持もございません。このことは先ほども申しました決議の三にもございますように、これはこれだけの問題ではなくて、類似の問題を取扱うときに、各国との協商において日本もその精神によつてやつて行くのだということをここで宣言しておりますから、米加においても、その他の国々と協商をする場合には日米加漁業協定の線によつてやるということであります。この線からは一つもはずれた方向では進まないつもりでございます。
#7
○鈴木(善)委員 ただいまの長官の御答弁で、今後の国際間の漁業協定に対する当局の御方針は明確になつたわけでありますが、先ほど申し上げました吉田総理のインドネシア代表に対して送つた書簡というものが、一応インドネシア代表の今回の漁業条約の折衝にあたつてその主張の大きな前提をなしておるように私承知いたしておるのであります。つきましては、まだ長官はこの吉田書簡を十分御検討になつていないようでありますが、これは非常に大事な書簡でございますので、外務省その他とも十分御検討をいただきまして、この委員会を通じて吉田書簡の持つところの真の意味、趣旨を明確に宣明なさることが必要であろうかと存じます。この点は後日でけつこうでありますから当委員会を通じてはつきりと吉田書簡に対する当局の御見解を御発表願いたいと希望いたします。
 第二の点は、日米加三国漁業協定によりまして、調印後北洋漁業の開発がいよいよ具体的に進められるわけでありますが、その際に、ソ連邦が講和条約に参加いたしておりません関係から、国際法上からいつて戰争状態がわが国との間に残るということが想定されるのでありますが、そういう際における北洋漁業の開発に従事いたしますところのわが国の漁船、合法的な操業をいたしますわが方の漁船に対して、ソ連邦の不法な拿捕その他の妨害ということがなされないかどうか、またそういう際における当局の自衞措置について、何らか具体的な対策を御考慮になつておるか、この点をお尋ねいたしたいのであります。
#8
○塩見政府委員 ただいまは中共の関係において具体的の問題が起つておりますけれども、これは進駐軍の方を通じまして交渉をやつておる、こういう段階で、独立後においてどういうふうな関係に立つかというようなことにつきましては、私就任いたしましてから、まだ外務省の方と法律的にきちつとした打合せを遺憾ながら進めておりませんけれども、これは当方の独立後における日ソ関係の法的な解釈、それから相手国側のそれに対する解釈というふうなことは食い違いが起るかもわかりませんし、あるいは一致する点が相当出て来るかもわかりませんが、それらを具体的に当つた上でないとそのはつきりした結論は法的にはつきかねるかと思います。いずれにいたしましても事実上の問題としては、平和条約に調印された国々と日本との間の関係と、それからソ連あるいは中共というような調印をしない国との間の関係は幾らか違つて参ります。特にその間においては愼重を期して参らなければならないと存じますけれども、公海におきましては、今までは大体国際法上その自由の原則は認められておるようでございますし、それから現在まで西ヨーロツパ等の漁場におけるソ連とイギリスないしノールウエー、スエーデンとの関係を見ましても、国際法上のそういう原則はソ連においても尊重しておるというふうに聞いております。たとえばイギリスに対しましては、領海侵犯等でつかまえます場合には、やはり三海里以内に入つておるという証明をしながら抑留をしておりますし、そう不合理なことはやつておらぬのじやないか、しかしながら日本との関係はまた幾らか別になるかもわかりませんが、そこらに対しましては、あまりに大きい問題で今はつきりと即断もいたしかねますし、また平和回復後、事実上の問題としてそれらがどういうふうに処理されて行くか、どういうふうな関係になるかというようなこともきまるのではないかと予想されますので、わが国といたしましては、できるだけ協商によつて解決して行きたい。またできるだけそういうふうな紛爭を少からしめるような形において、自粛しながらやつて行きたいというふうな点は申し上げられますけれども、紛爭処理につきましてどういう方法で解決して行くかというふうな点については、外務省の当局者とも十分に打合せをし、あるいはここで外務省の責任者をお呼び出し願つて直接お聞きになるか、いずれかの方法で御答弁を申し上げることにいたしたい、今ここではちよつと即断いたしかねるような状態であります。
#9
○鈴木(善)委員 ただいまの問題は非常に業界が大きな関心と、一抹の危惧を持つて注視しておられた問題でありまして、ただいま長官から、領海が国際法上三海里という立場でソ連も国際問題は処理しているという御説明もありましたが、これはまつたく平和関係に立つ関係国との間の問題でありまして、平和条約に調印しないソ連と日本との関係は、長官も御指摘になりましたように状況が違うわけであります。この問題につきましては、北洋漁業への出漁が数箇月後に迫つております今日といたしまして、急速にこれに対するわが方の方針、あるいはそれに対する自衞の対策を、できるだけ早い機会に当局から明示されることが、この不安を一掃する一番希望しているところの問題でございますから、すみやかにこれに対する当局の御方針を御説明願いたいと思うのであります。
 それから北洋漁業の開発についてでありますが、先ほど長官のお話の中に、現在沿岸漁業の資源問題に対処するためには、公海漁業への進出ということとにらみ合せまして、相互関連を持たせて大きな視野からこれを調整する必要があるという御見解も御発表に相なつております。また北洋の資源が、過去の実績からいつてそう無制限に漁獲することもできないという点についても触れておられますが、そういう点に関連をいたすのでありまするけれども、北洋漁業の開発にあたつては、従来のような資本会社独占の形においてこれをなすべきものではなくて、北海道、東北その他の中堅漁業者の人たちも、北洋漁業の開発については非常なる期待と熱意を持つておるわけであります。かに工船のごとき事業について、ただちに北海道、東北の漁民がこれに従事することは、資本、設備その他からすぐに実行に移すわけに参らぬと思うのでありますけれども、少くともさけ、ますの流し網その他の漁業につきましては、北海道、東北の漁業者は非常なるこれに対して期待と熱意を持つている。当局はこれら北海道、三陸の中堅漁業者についても、北洋開発の公平なる機合を與えられる御方針であるかどうか。またそれについては、個々の漁船に対して操業許可を與えるのであるか、また自衞あるいは日米加三国の漁業協定の嚴重なる履行、あるいは経済的な観点から船団組織によつてこれを認められる御方針であるか、この点について長官の御意見を承りたいと思うのであります。
#10
○塩見政府委員 先ほど御指摘のありましたように、ソ連等との関係については、その他の諸国に対する関係とは別に相当愼重を期しながら進めて参らないと、いろいろ紛爭を起す可能性もございますので進出して参りますとすれば、そういう点で十分国としても責任の持てる形で進出して行く必要があろうかと思います。そういうふうな関係から見ますと、当初はどうしても個個の漁船、これは母船は別になるだろうと思いますけれども、あるいはまた具体的に申しますと、漁業の状態によつて幾らかかわつて来る場合もあると思います。しかし大体においてさしあたり見通されるところのブリストル湾におけるかにとか、あるいはアリユーシヤン方面における鮭鱒とかいうもの等について考えますると、国際紛爭を巻き起さないように、また違反が起らないように、また境界に近づくとか、あるいは中に入つてしまうとかいう点についても違反が起らないように、十分政府の方においても保護すると同時に、紛争が起らないように責任の持てる態勢――と申しますと、当初はどうしても相当に規制がいる。そういう点から言うと、ある程度こちらの監視船は当然出さなければなりませんし、監視船を出さない場合には、母船の方に関係官を乗り組ませて、その点で十分遺漏なきを期さなければならないと存じます。そういうふうな国際関係、また漁業の種類、それから漁場におけるそういう問題の起り得る可能性のいかんという点等に関しましては、もう少し自由な形で、以西の底びき等において考えられるような形も順次発展して参るかとも存じますけれども、いずれにせよ、具体的な問題で逐次解決して行かなければならないかと思います。しかしながらさしあたりの問題としましては、御指摘の通りの問題が非常にありまするし、ことにソ連、中共等との関係については、なお相当の危惧をもちろん持つておりまするし、そういう点での万全の準備をして参るという関係から言うと、船団とか、あるいは母船にくつついた独航船、付属船というふうなものを一体として考えて行くという方が、大体その点で難が少い。またこれはかたがた今後の発展の方向をきめて行く場合にも、資源の調査であるとかなんとかいうものも附帶してやつてもらわなければならない関係もございますので、そういう方向の方がよりいいのじやないか、こう考えております。
#11
○鈴木(善)委員 北洋漁業に対する今後の許可の方向というものについての示唆がただいま長官からあつたわけでありますが、われわれも大体長官の御見解と同樣な考えを持つておるのであります。ただ私のお尋ねいたしましたのは、北海道、東北等の漁民が北洋漁業の開発について非常な期待と熱意を持つておる。これらの漁民諸君が、今長官がお話になりましたような組織形態によつて北洋漁業に対する進出の計画をいたし、当局に対して要望した場合に、当局としては資本漁業偏重でなく、これらの東北、北海道の漁民諸君に対しても平等の機会を與えるという御方針についての、長官の明確な御意思を承りたいのであります。
#12
○塩見政府委員 先ほど来申し上げましたように、さしあたりその出漁ができるだろうと期待される漁業につきましては、資源の点から見ても、経営採算というふうな点から見ても、非常に制限される性質のものでございますので、そういう点で、資本漁業においても、過去に十分な経験を持つておる者もございますし、北海道、東北における沿岸、あるいは沖合いの漁業者についても、十分な出漁の経験を持つておる者もございます。全然経験のない者というふうなのは、さしあたりにおいては、採算関係とか、その他いろいろな問題を考えますと、どちらかというと後順位に考えられますが、そういうふうな点について、経験があり、実力があり、また今後そこにおける漁業がそこでおしまいではなくて、それによつて国際信用を増し、事実上の問題としてさらに先へ先へと漁業を発展させて行き、漁業の種類も豊富にし、操業海面も広げさせてもらう、こういう方向の一着手として考えられます場合には、十分統制のある、国際的に信用も十分に増し得るような形でのそこにおける操業が、当分は望ましいわけでございますので、そういうふうな点について、ある一定の規制があるわけでございます。そういう点からいうと、過去における違反の経験の少い者とかどうとか、経験以外にそういうふうな点等も考慮しまして考えて参る必要があると存じますけれども、さしあたり問題になります漁業については、先ほど来申し上げましたように、非常に今沿岸で多くの人たちが期待しているほど一挙にみんなが出て、ここで一挙に解決できるというふうな大きな漁業ではなくて、まだ国際漁業にとりついたばかりという性質の漁業でございますので、おのずから隻数とか、その他について制限がありますから、その点については、政府といたしましても十分検討しながら進めたい。ただそれは資本漁業だけに偏重してあとはかまわないという態度はとらないで参る必要があると思います。そういうふうな各種の規制も考えながらこれが最後ではない、これを一着手として次から次へと進む、そういうふうな方向で、とにかく最もよい方法、よい組織、よい業者で当初は発足する必要があると思いますので、そういう点に主として注意を向けて許可等をやつて行く必要があると存じております。
#13
○鈴木(善)委員 今の問題につきましては、いろいろの条件を長官はお考えになつて愼重に考慮されておるようでありますが、私は、この点につきましては、従来の戰前のように、資本漁業独占にならないように、偏重にならないように、沿岸中堅漁民にもその機会を與えていただきたいということだけを強く熱望いたしておきまして、その点はこれでとどめたいと思います。
#14
○川村委員長 田口委員。
#15
○田口委員 私は、この機会にマッカーサー・ラインの撤廃方法ということについて、政府の御意見をお伺いしたいと思うのでございます。今日東支那海で以西底びき網が盛んに拿捕されており、先方から帰りました漁夫の話によりますと、中国におきましては、あのマッカーサー・ラインをもちましてラインから西の方は全部自分の海だというような観念でおるようでございます。こうなりますと、結局このラインのはずし方ということが非常に重大な事柄になるのでありまして、われわれは、この平和条約が締結されますと、当然あのラインはなくなるということを考えておるのでございますが、もしその方法によりますれば、御承知の通り中国あるいはソ連は条約を締結していない関係からいたしまして敵国関係にある。こういうようなことで、平和条約締結後にラインが自然に撤廃されるということは、平和条約を締結した国々の問題でありまして、最も関係の深い中国あるいはソ連といたしましては、そういうことを認めないということになりますから、いつまでもあのマツカーサー・ラインが事実上存在するという結果になると思うのであります。そもそもあのラインの設定は連合国の最高司令官が軍事的に設置したものでありますから、でき得れば平和条約締結前におきまして、最高司令官がみずからあの線を撤廃するということになりますと、中国もソ連もあのラインがなくなることを承知せざるを得ないことになると思うのでございます。詳細はよく存じませんが、新聞紙上で見ますと、あのラインを平和条約批准前に撤廃をすることについて、政府としては最高司令官にいろいろ折衝しておられる、広川農相も水産庁長官もこの問題について総理大臣にも会つておられるというような新聞記事が出ておるのでございます。これは私らの見解と同じような意味におきまして、司令官が設定したものであるから、日本が独立する以前にあの線を司令官に撤廃してもらう、こういうような見解であろうと思うのでありますが、新聞紙上で見ただけで、詳細を存じませんから、この機会に、この問題に対する政府の処置あるいは現段階というものについて、もしおさしつかえなければ詳細に御報告を願いたいと思うのでございます。われわれとしては、どうしても批准前にこの問題を解決してもらう、これは非常に重大な問題でありますから、国会を通じてもこの声を強くしなければならぬと考えておるものでございますから、御支障のない程度において御答弁を願いたいと思います。
#16
○塩見政府委員 ただいま田口さんからの御質問及びその問題の解決策、私もまつたく同感に存じまして、就任早早からこの問題については取組んで参つたのでございますけれども、大体マッカーサー・ラインというふうなものは、自然に撤廃されるというふうなことではなく、これは法的には占領軍が設置したものでございますから、占領軍という性格がやまつて、日本が独立すれば、当然に同時にマッカーサー・ラインというものは消滅するというふうな形になると思います。その前にはつきりと撤廃をしてもらえば、その点はなお判然とするわけですけれども、なかなか困難に存じます。これは私もある範囲では折衝をいたしましたが、外務省は外務省、総理は総理としても、そういうふうな点についていろいろ交渉をお持ちだつたと思いますが、まず困難かと考えられます。それで現在考えられますところの措置といたしましては、さしあたりの拡張問題は別といたしまして、御質問の要点になります問題は、先ほども申し上げましたところの法律案で、これは当然のことでありますけれども、日本政府としては、ポ勅に基く命令を廃止する法律を出すというようなことで、自然にするするという形ではなくて、一応国内的には、占領政策の終結と同時に必要がなくなつたものについては措置をとるわけでございます。それだけではなくて占領軍の方においてどういう措置をとつていただくかというようなことにつきましては、占領政策から生じましたところの各種の制約については、包括的に、これとこれと、こういうふうなものは、占領政策に基いて行つたものであるから、独立と同時に解消するのだというような措置でなくて、当然そうなるのだということをはつきりと宣言される形をとるようになるか、占領政策をやめると同時にそういうような各種の問題に対して、司令部の方からはつきりと声明か何かを出される場合に、マッカーサー・ラインだけを特に取上げて出されるかというようなことは、まだ決定はしておりませんけれども、いずれにせよマッカーサー・ラインは占領終結と同時に撤廃されるものだということに関しての司令官としての意思表示は、そう困難なことでもないから、もちろん考慮してもらえるのだというような了解をしております。今のところはそういう段階でございます。
#17
○田口委員 マッカーサー・ラインの撤廃問題につきましては、非常にデリケートな点もございますし、これ以上につつ込んで御資問いたしません。
 第二に、日米の行政協定の問題でございます。われわれはあの行政協定の中に、少くとも日本国民の生命財産の保護は、陸上と海洋とを問わず当然保護さるべきものと考えておるのでありますが、できますれば海洋における日本人の生命財産の保護を、陸上における場合と同じように、あの行政協定の中に一項を加えるべきものであると考えるのでございますが、この問題について何か政府でお考えになつておる点がございましたら、この機会にお伺いしたいと思います。
#18
○塩見政府委員 ただいまの問題に関しましては、農林省として意見をまとめまして外務省の方に提出してございます。その後の取扱いやその他の方針につきましては、外務省の方で十分研究中と思います。
#19
○田口委員 この問題は非常に重要でございますから、どうか日本人の生命財産を陸上のみに偏せず、どうせ海洋で立たなければならぬ国でありますから、陸と同じように待遇していただくよう最善の努力をお願いいたしまして私の質問を終ります。
#20
○田渕委員 私はまず新長官を迎え、新委員長を迎えまして、本年の春日本が独立するという想定のもとに、われわれ水産委員会として、また日本の水産行政において画期的な進出をすることについて、飯山元長官、家坂元長官、藤田前長官にかわつて新しく就任された塩見長官に非常な期待を持つものであります。同時にいい長官を迎えたと大いに喜んでおる一人であります。ことにまた委員長は積極性に富み、勇猛果敢であり、難局の水産行政に対し積極的な立法措置を講ぜられることを期待いたしまして、新委員長、新長官に心からの敬意を表し、また期待するところ大きいのであります。先ほど同僚鈴木先輩、田口先輩からいろいろお話がありましたので、詳しくは申し上げません。ことに本日わが党では議員総会があり、また一時から総理の演説がありますので、大体私は簡單に要点を二、三お伺いし、次会にゆつくりお答え願いたいと思うのでございます。
 新委員長に申し述べる点につきましては、次会に讓ることにいたしまして、新長官にお伺いいたしたい問題は、一昨日わが自由党第五回年次大会における各地区のわが党の代表の活発なる意見のうち、水産金融に対するところの農林中金のいかにも因循姑息なる、あるいは優柔不断なる点に対する率直なる意見があり、大会運営委員会におきましては、これを取上げまして善処するという約束をいたしておるのであります。この点につきましては、田口委員、鈴木委員からもお話がありましたから、ひとつ十分考慮願いたい。漁業制度の改革に基くところの漁業権証券におきましても、たとえば私の和歌山県宇久井村においては、まだ手元に渡つていないという陳情を受けております。かような点については、まつたくわれわれが最初構想いたしましたように、水産銀行というものをつくつて、みずからここに水産金融の施策をひとつ講じなければならぬ。この点は従来いろいろの変化があり、いろいろな善処措置があつて今日の結果になつておりますが、これは大いに積極的にやつていただきたい。そうせぬとこの疲弊せるところの沿岸漁民が立つて参りません。加えて非常に金融の梗塞がありまして、どうしたらよいかという問題に追い込まれているということは、党大会における率直なる地方党員の意見の発表によつてもはつきりしておることであります。この点をひとつ次の委員会までに十分御検討を願いたい。水産金融につきましては、とうてい農林中金や開発銀行をたよつておつてはいかぬ。大蔵当局並びに農林当局、ことに所管庁の水産庁として、新長官はどういうような積極的な施策を持つておられるのかという点について、まずひとつ御考慮願いたい。それについては、従来の三長官及び水産事務当局が、往々いまだ官僚独善的に、問題をみずからつくつた後において委員会に付議する。そのために過去三箇年われわれ水産委員会において、委員と水産庁当局との対立論争となり、ときによれば歴代三長官をつるし上げにするような、まことに見にくい醜態にもなつたのであります。水産委員会の運営という意味においても、新日本とての行き道として積極的、建設的に、しかも実を結ぶという線において、ほんとうに腹を打割つて相談してもらいたい。まず民主政治は納得する政治である。われわれ委員としてはこう思うが、水産長官は行政面でどう思うか。また行政当局としてはこう思いますが、委員会としてはどうでございましようかというようにお互いに事前の打合せを数回やる。そうして納得したものを委員会に出す、プリントを出すということならば、刺激、摩擦はなかつたであろうというような点も反省してみれば考えられます。過去のことは申してももどりませんが、いよいよ本年の春を期して独立する。その後における自立経済の線というような点において、問題は日本の経済は地上資源で行くべきか、水産資源で行くべきか、はたまた地下資源で行くべきかという資源の問題に対して検討を加えて行かなければなりません。ここに安本当局、農林当局、大蔵当局、あるいはまたその関連当局との間の総合的な連絡がありましよう。けれども私は、少くとも自由党の内閣として、自由党の党員として、食糧統制撤廃をやらなければならぬというような問題に追い詰められているときに、穀類蛋白ばかりでなく魚族蛋白で行くとするならば、大いに水産資源に力を入れなければならぬと思う。ここにおいて沿岸の漁港、防潮あるいは船だまり、種々の施設において遅れている面においては、十分大蔵当局と予算の獲得について折衝しなければならぬ。昭和二十七年度の予算を見ましても、廣川農政といいましようか、廣川農林大臣の政治的な圧力によつて、八千五百二十七億というわくの中において農林省が獲得した予算については、私は彼の政治力を見上げておるのでありますが、なお本年八月までに一切の準備をして、昭和二十八年度こそはここに持つて行かなければならぬとするならば、長官及びわれわれ委員会がひとつ十分なる検討を加えて、日常忙しい――ことに講和独立後における立法措置、国内の改革、治安の維持、問題は多々ありますけれども、水産資源に対する予算の獲得面に対しては、もう八月ではありません、今日からその準備をし、今日からその大きなスローガンのもとに政策を立て、施策を立てて準備をして行かなければならぬと思いますので、そういう点もひとつ希望として申し述べておきます。
 なお昨年行政監察特別委員会の委員として派遣されまして、北海道の根室半島並びに納沙布燈台等を見、マッカーサー・ラインの三海里という点を見ましたときに、ソ連、中共を疎外した多数講和でやつておることに対して、これにいやがらせを持つて来るのに、ソ連として最も日本を痛い目に合わすのは、北洋漁業であります。この北洋漁業に対する施策は、これからソ連並びに中共との、講和条約発効後における交渉において何とか善処できましようけれども、これとてもサンフランシスコ会議におけるより以上の有利な条件ではできないということは平和条約に規定されているのでございます。私はつらつら思いますのに、根室の陳情を受けたことを今想起いたしておりますが、皆さんは内地で戰災にあつた、土地は燒かれ、家は燒かれしたけれども、われわれは町の半分は燒かれ、さらに職場をほとんどとられてしまうた、今まで自由にできた歯舞付近における漁業はとられてしまつた、職場をとられたのである。こういう根室町民の涙を流しての陳情を受けたときに、大いに考えさせられるところがあつたのであります。あに根室半島ばかりではありません。根室半島から稚内に至る線――本日同僚松田委員が欠席しておりますから、出て来ればいろいろ申し述べるであろうと思いますが、私から申し述べますが、ソ連の三海里に対する取締り監視船は、少しく暴に至ればいかなる措置でもできるのであります。私はこれに対して、北海道には特別の措置を講じなければならぬ、国警をふやさなければならぬことはもちろんであるということを行政監察特別委員会に報告し、国会に勧告いたしておるのでありますけれども、少くとも講和条約発効前及び後における連合国の好意ある措置によつて、連合国なりアメリカの駆逐艦によつてこの線を守つてもらわなければ、いやがらせがいやが上にも増して来て、北洋漁業に対する彈圧が加わるのではないかということも考えられますので、これらに対しては外務省並びに内閣官房長、その他と十分横の連絡をとつて善処されんことを希望するものであります。
 ともあれ、ます先輩鈴木委員、田口委員が十分盡くされておりますから、私は簡單に申し上げまするが、大略の見通しをつけまして、最も期待する新長官、新委員長にこれらの点を申し上げまして、十分なる施策と善処をされんことをお願いする次第であります。
#21
○鈴木(善)委員 先ほど私の質問で残つておる問題を二、三お尋ねしたいと思います。一つは漁船建造に対する金融措置の問題であります。政府は昭和二十七年度予算におきまして、五十万農家に家畜を導入いたしますために農林漁業資金融通特別会計で二十三億程度のわくを設定し、一方一般会計におきまして一億七千万円程度の予算を計上しまして、利子補給をしながら有畜農業を奨励しようという施策を立てておるのでありますが、漁業におきまする代船建造の問題は、漁業の基本的な施設であるだけに非常に重要な問題であります。今日、漁業者がこの漁船の建造に数千万円の長期資金を必要とするのでありますが、これに対し、開発銀行なりその他の政府の財政資金の活用によつて、長期低利資金の融通の措置を講じていただきたい。あとうべくんば、一般予算の中から利子補給等の措置も講ずべきであると考えるのでありますが、今後長官は、この問題についていかなる御構想を持つておられるか、この点をお尋ねしたいと思うのであります。
 次にもう一点、魚価安定対策としいたしまして、水産物高度利用の施設に対して、農林漁業資金融通特別会計並びに開発銀行から融資をいたしておるのでありますが、これは現在のところ製氷、冷凍工場等に限定されておるように思うのであります。魚価安定対策といたしましては製品、加工品並びに回送等の価格を安定いたしますために、水産倉庫網の整備ということが重要であります。われわれは水産倉庫網を整備いたしまして、これを農業倉庫と同じように、倉荷証券を発行し、倉荷証券をもつて金融をつける、こういうような措置が急速に確立さるべきであると考えるのでありますが、この魚価安定対策としての水産物高度利用の製氷、冷凍工場だけの今日までの対策を、さらに水産倉庫等に拡充なさる御意思を長官はお持ちになつておるかどうか。なおまたカン詰工業でありますとか、その他の高度の加工施設等に対しても、長期低利資金の確保についてお考えになつておられますかどうか。この点もお尋ねいたしたいと思うのであります。
 第三点は、水産貿易についてでありますが、私は昨年三箇月間アメリカを視察して参りまして、水産物の対米輸出については、ある程度の限界があるやに見て参つたのであります。今後水産物の貿易は、中共の治下にあります支那大陸に大きな期待を持つておつたのでありますけれども、国際情勢その他から、むしろ今後は香港経由の貿易も強度の管理を受けるというふうな方向にあるのではないかと思うのであります。しからば水産貿易の今後の販路の拡張をいかなる方面に当局は努力をもつて開拓なさる御方針であるか。これら三つの点について御抱負を承りたいと思うのであります。
#22
○塩見政府委員 水産金融については、田淵さんからもお話がございましたけれども、これは非常に重要な問題だと思います。ただいまの漁船建造資金の問題でございますけれども。これはフアイヴ・ポイントの関係や減船整理の関係というふうな点がからみ合つておりましたために、大蔵省当局においてもそういう点でかなり難色があつたのではないかと存じまするが、一定の年限がたてば、どうしても大改造をやるなり、あるいは新造が必要であるので、その場合に、やはり金を積み立てておいて、自分の資金でやつて行けるというふうなものは、現在の水産全体の窮情から考えれば、非常に少いので、勢い高利の金を借りるというふうな傾向も強いわけでございます。その点については、何らかの方法を講じなければならない。おつしやるような畜産の方における利子補給、これももちろん考えて参れる一つの方針だと思います。あの予算は、今年初めて利子補給という形態で道が開かれたのでありますから、ある程度考えて行ける方法だと思います。その一部として漁業災害復旧資金融通に関する臨時措置法、これらにもやはりその意図が出ておるわけであります。これと家畜の利子補給が、利子補給として初めて予算に顏を出した二つのものでありまして、それは十分考えて参れると存じます。ただ漁船の金融につきましては、金融全般がそうでございますけれども、やはり金融政策という原則がありまして、その原則に乘つて行かなければならない。それから貸す方の要求というものもある程度十分了解して、話合いの上でなければ、金を借りられるという形にまで話が進まない。こういう点で、水産庁とか、農林省全般もそうでありますけれども、どつちかというと、借りる側にまわる方だけの要求ではなかなか話がつかない。結局は、大蔵省、日銀等の貸す方の側と十分に話合いをつけて、相互了解を遂げた上でないと、制度化もされにくいし、進みにくい。こういう状態にあるので、その方面については、私としても一段の努力を払う必要があると存じております。漁船の問題につきましては、やはり今般開かれました漁船災害補償に関する政府の各種の補助、これをさらに拡充もし、整備もして、でき得べくんば、これを常識的に言われております養老保險というふうな形まで持つて行くことができれば、金融関係者の方の希望もそれによつて満たすことができて、漁業における最も重要な固定資本となつておるところの漁船金融が打通されれば、ひいては水産金融全般に対して相当大きい金融が開かれるのじやないかと思いますので、漁船災害補償法については、もつと拡充整備して、そういう方向で漁船金融についての一つの大きな方向を進めて行くというふうに、格段の努力を払う必要があると存じております。
 それから、水産物金融について、水産倉庫網というお話がございました。この点についてはまだ十分な研究はいたしておりません。農業等においても、その問題はやはり問題になつております。ただいまのところは、倉庫証券があるからといつて金融に乘るというわけではなくて、日銀が再割引をやるような倉庫というものは非常に限られた数でありまして、実際は、倉庫証券による金融が、ほかの商品において必ずしも広く利用されておるという状態にはないのでございますけれども、しかしながら、やはり漁船保險というふうなものが金融の基底であり、同時に水産物金融につきましてもこういう制度というものはやはり望ましい制度であつて、これがプラスになることだけは明瞭でございますし、そういうふうな点から見て十分研究して参りたいと考えております。
 それから水産貿易の問題でありますけれども、水産庁の従来の方向は、過去における水産物の統制というような点のみよりこういうふうな問題を見ておりまして、水産物市場については、国内における問題についても、国際市場の問題についても、なお独立国になつておらなかつたということで、在外事務所あるいは商社の出先というものが十分に外になかつたという関係もあつて、御指摘のような点について問題が大きくあると存じますので、そういう点は、独立と同時にできるだけそういう触手を各地の望みのある方面にも伸ばすし、またそういう点について、官民ともに協同しながら力を入れて解決する必要が大いにあると存じますが、その具体的な点については、なお私どもの方も十分検討いたしますし、今後の努力にまつということで御了承願いたいと思います。
#23
○川村委員長 本日はこの程度で散会し、次会は公報をもつてお知らせ申し上げます。
    午後零時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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