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1951/03/18 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第21号
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1951/03/18 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第21号

#1
第013回国会 水産委員会 第21号
昭和二十七年三月十八日(火曜日)
    午前十時四十九分開議
 出席委員
   委員長 川村善八郎君
   理事 小高 熹郎君 理事 永田  節君
      石原 圓吉君    川端 佳夫君
      久野 忠治君    鈴木 善幸君
      冨永格五郎君    二階堂 進君
      原 健三郎君    松田 鐵藏君
      小松 勇次君    水野彦治郎君
 出席政府委員
        水産庁長官   塩見友之助君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (水産庁漁政部
        協同組合課長) 濱田  正君
        農 林 技 官
        (水産庁生産部
        漁港課長)   林  眞治君
        農 林 技 官
        (連絡官室長) 石川 東吾君
        専  門  員 杉浦 保吉君
        専  門  員 徳久 三種君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 漁業災害に関する件
    ―――――――――――――
#2
○川村委員長 これより水産委員会を開きます。
 漁業災害に関する件を議題とし、調査を進めます。この際鈴木善幸君より発言を求められておりますのでこれを許します。鈴木君。
#3
○鈴木(善)委員 去る三月四日に発出いたしました十勝沖地震災害の状況につきまして、衆議院から災害地に対しまして調査並びに慰問のために議員団を派遣することに院議をもつて決定いたしまして、その一員として調査慰問に行つて参りましたので、この際本委員会に特に関係の深い水産関係の災害状況につきまして、御報告を申し上げたいと存じます。
 今回の災害は、この地震が襟裳岬の南方五十キロというような地点を震源地として起りました関係から、津波を伴いますところの災害でございまして、そういう関係から北海道、青森、岩手、宮城等におきましても、海岸地方、特に水産関係にその被害が甚大であつたのでございます。北海道は特にその災害が激甚でございまして、北海道におきましては、釧路支庁管内十勝支庁管内及び日高支庁、膽振支庁管内、こういう地方が特に災害が大きかつたようであります。
 私どもは十一日に羽田空港から飛行機で立ちまして、ただちに北海道庁を訪問いたし、道知事から災害全般の事情を聴取したのでありますが、その際松田委員もすでに現地を調査されて道庁においでになつておりまして、その状況もつぶさにお聞きする機会を得たのであります。その夜ただちに現地に参りまして、釧路を中心といたしさして、その支庁管内、特に災害の大きかつた霧多布、厚岸、これらの災害地を調査恩間をいたしたのであります。霧多布におきましては、津波による災害が特に激甚でございまして、津波が流氷を伴つて押し寄せて参りました関係から、漁業者の住宅あるいは網等か格納いたします納屋あるいは漁船、さらに海藻乾場等が地割れ等のために甚大な損害を受けておるのであります。
 これらの災害地におきまして、漁業者はほとんど漁船、漁具その他の生産手段の一切を流失、破壊されまして、明日からの生業の手段を完全に失つておるのであります。当面の衣食住の緊急措置につきましては、道庁並びに地元関係機関の適切なる措置によつて応急措置は講ぜられておりますけれども、これらの生活の基礎であり、経済の根底でありますところの生産手段が一切破壊、流失したということで、漁業収入はまつたく杜絶いたしておるでのあります。これが復旧のためには、一日も早く漁船、漁具あるいは必要なるところの漁舎、そういう漁業上必要な施設というようなものを早急に与えてやる必要があるわけであります。
 北海道におきまするところの漁業災害は、漁船におきましてその被害隻数が七百六十八隻、被害金額は六千二百万円、それに要する復旧額は一億七千百万円、こういう状況でございます。また漁具についてこれを見まするに、その被害金額は二億円を突破いたし、その復旧資金は二億六千万円を要すると言われておるのであります。また施設関係についてでありますが、これは共同施設の分、個人の分とわけて対策を講ずる必要があるのでありますが、この共同施設の分の被害総額は、七千六百万円程度であり、その復旧には九千万円を要するのであります。また個人の施設に対する被害総額は二億円を越え、復旧額にいたしましても二億一千六百万円を要する、こういうような甚大な損害でございます。罹災者の総額は漁業者の数で五千五百九十九世帯、その被害の総額は五億五千万円に上り、復旧に要する金額は七億四千万円と称せられておるような状態でございます。今日北海道はいまだ春浅く、寒気きびしい状況でございまして、罹災者の各位のさんたんたる生活ぶりは、まことに同情にたえません。なお北海道は水産業の面からいたしましても、わが国の漁獲生産の四割を越える重要な漁業地でございますので、これら罹災者の生活の確保をはかるために、早急に水産関係被害に対する対策を強力に講ずる必要があるわけであります。
 次に私ども調査慰問団は青森県に参りまして、脅森県庁からその被害の状況を聴取いたしたのでありますが、青森県の被害状況は比較的軽微でございまして、人畜等の被害はほとんど、ございません。その被害も八戸港に大体限られておるようでありまして、八戸港は御承知のように、運輸省関係の商港としての港湾施設、農林省関係の漁港としての漁港施設、こう二つにわかれておりまして、商港、漁港の両方に若干の被害を受けておるのであります。漁港関係の被害を御報告申し上げますと、八戸漁港におきましては、護岸破損が百五十七メートル、金額にいたしましあ九百五十万円、なお新井田川の流出土砂によりまして、港が浅くなつたようでありますが、その浚渫に要するものが三万立米、その復旧費用は四百五十万円、計一千四百万円、こういうような被害状況でございます。また種差漁港も若干の被害を受けておりますが、その被害額は二百万円、大畑漁港が百五十万円、青森県下の漁港関係の被害の合計は四千三百三十万円、こういうような程度でございます。
 次に岩手県に参りまして、岩手県知事以下県の首脳部から、被害状況をいろいろ聴取いたしたのでありますが、岩手県におけるところの被害の状況は、総額にいたしまして一億八千三百万円程度でございます。水産関係被害の内訳を申し上げますと、漁港、船だまり関係の公共施設についての被害が一億二千八百万円程度でございまして、水産関係被害の七〇%が漁港、船だまり関係の被害でございます。このうち、特に釜石市におけるところの津波による被害はきわめて甚大なものがございまして、あの第三種漁港の心臓部でありますところの魚揚場の部分が、ほとんど根底から壊滅いたして、漁港としての機能を喪失をいたしておるような状態であり、漁港の機能は完全に肺癌状態に陷つておりまして、これが復旧はきわめて急速を要するような事情にございます。またのり、かき等の増殖施設に対する被害が比較的大きかつたのでございまして、その被害総額は二千五百六十万円程度でございます。これらののり、かき等の増殖施設は、きわめて零細な沿岸漁業者の生業であります関係から、被害額は二千数百万円にすぎませんけれども、これが復旧対策は、零細である沿岸漁業著の生活確保の面からいたしまして、非常に緊急かつ重要な問題であると考えるのであります。その他漁船におきまして三百万程度の被害があり、昭和八年のあの三陸の津波に比較いたしますならば、その損害は比較的軽微であつたと申さなければならぬのでございますが、これは累次の津波に対する体験から、漁船の待避あるいは陸上諸施設の防護、こういう面について、三陸各県は比較的訓練が行き届いており、また防除施設についても配慮が行われておつた関係から、被害が少かつたと思うのであります。
 以上きわめて簡単でございましたが、北海道、青森、岩手の各県へ参りました災害地の、水産関係の被害の状況を説明いたした次第であります。この際委員各位は、北海道を中心とするところのこれら災害地の漁業者の諸君の立場からいたしましても、当委員会が積極的に政府を鞭撻して、これが適切なる対策を講ずるということは、今後の水産業の振興上非常に漁業者を振い起す大きな契機とも相なりまして、委員会として十分これらの災害の復旧と、災害漁民の生活確保のために御協力、御援助をわずらわしたいと思うのであります。
#4
○川村委員長 次に松田委員より発言を求められております。これを許します。
#5
○松田委員 三月四日に発生いたしました十勝沖地震に対して、自由党では苫米地、篠田、伊藤、私四名を現地の慰問調査に差向けられたのであります。連合軍の好意によつて同乗された建設大臣とともに五日の飛行機によつて立ちまして、三月六日の午後三時ごろ現地である釧路へ到着いたしたのであります。
 まず一番最初に意外に感じたことは、かかる大震災に対して、北海道のすべての家が今日ストーブをたいておるのに、火災が非常に少かつたということに対して意外に思つたのであります。ところがこれこそは戦時中の訓練であつたか、地震に対するおびえた考え方から、火事を出してはいけないというので、あらゆる手段を講じて小学校の生徒はみずから自分の手をやけとしてまでもストーブを外へほおつた。各家庭においては水をもつてストーブを消した。かようなあらゆる努力によつて火災を起きなかつたことは、まことに今回の災害によつて将来に一大指示を与えることと同時に、北海道においては非常に幸福なことであつたのであります。釧路市における惨害の状況は、一番いたんだのは埠頭であつたのであります。これはあとから報告を申し上げることになりますが、私はその夜ただちに厚岸に参つたのであります。厚岸の方々に午前の二時ごろまでいろいろ被害の状況をお聞きして、翌朝五時半に起きて床潭部落を調査したのであります。床潭部落というものは百六十二戸よりない漁村でありますが、山の方に建つておる郵便局やその他の家屋は問題でありませんでしたが、ここの部落においては、四十二戸が高潮によつて流失し、五十五戸がほとんど全壊にひとしき大破損をして油つたのであります。また漁村においては動力船が二十五隻、その他の小漁船も山へ打上げられておる。さような惨状であり、また各家庭においては、漁民は相当こんぶをとつておつた、そのこんぶがほとんど水ぴたりになつており、漁綱、漁具はほとんど流失しておるというような状態であつたのであります。あの部落においては約七割はそうした被害を受けて流失または破壊というような惨状であつたのであります。しかし彼らはただちにかかる災害を幸福にするという意欲に燃えて、床潭部落に漁港をつくる場所はここであるという指示を受けて、私もあの僻村の漁港計画に対する新たなる考え方及び復興に対する意欲に対しては、まことに感銘を受けて参つたのであります。
 次にただちに九時四十分の汽車に乗りまして霧多布へ参つたのでありますが、霧多布の惨状というものは、内地の日本国民のうちで北海道に住んだものでなかつたならば考えることのでき得ないような状態であります。四尺も厚い、この部屋一ぱいぐらい大きな氷が――あらゆる機械をもつてしても五町も七町も、また三メートル、四メートルも高いところまで上げ得ることのできないほどの所へ、高潮によつて大きな流氷が上つておるような状態であります。かようにして高潮によつて受けた被害よりも、むしろそれに伴つた流氷によつてすべての建物を破壊し、すべてのものが一諸に流れ去つたというような状態であります。その跡を見るときにおいては、ただ家の地ぐいが残つておるのでありますが、その五、六十間も先に新しいうちはそのまま建つておるという現状もあります。しかもここにおける惨状というものは言葉で盡されないような状態であります。まことに悲惨な状態でありまするが、村長初めあらゆる有志は、戦時中のような気分をもつてこの町の治安維持に任じておつて、消防団員は自分のうちの跡片づけもせずに、治安のために消防団に集合して、そうして人心の安定をはかつておるという状態を見たとき、私どもは涙なくして見ることができ得なかつたのであります。しかもお寺が四つあつて、そのお寺には三百人、二百人、百人と集団をしておつて、北海道庁から飛行機によつて配布された毛布を一枚ずつあてがわれて、寒さをしのいでおるというような状態であつたのであります。また付近の町村、北海道庁、また連合軍、あらゆる好意によつて、食糧及び衣類というものを支給されて、辛うじて今日の北海道の厳寒をしのいでおるというような状態であつて、内地の災害とまつたく異なつたる悲惨な状態であつたのであります。しかし床潭部落と同様に、霧多布の村民は打つて一丸となつて復興のために、また跡片づけのために雄々しく立ち上つておるのであります。ここに最も私は感銘したことは国家警察であります。これらは胸まで入る高潮のその水たまりの中を、辛うじて九名の者が霧多布の市街へ入ることができて、そうしてみずから持つて来た通信機をもつてその通信の杜絶しているものを、翌日の朝までのうちに、自分の手によつてこれらの通信をなし遂げたということは、実に偉大なる力であると私は感嘆して参つたのであります。かような結果から復興のためにあらゆる努力をしておりまするし、村民もその意欲に燃えておるのであります。幸いにして建設大臣も海上保安庁の船に乗つてここにおいでになつて、つぶさにあの況を一軒日々々立ちまわつて、復興のために激励し、またお見舞を申し上げて参つたのであります。
 その夜私どもは海上保安庁の船に乗りまして、広尾に参つたのでありますが、広尾は震源地の間近であつたけれども、幸いにして地盤が固い所であるがゆえに、被害というものはあまりなかつたのであります。ただ広尾の被害というものは、港湾の施設に多少の龜裂を見ました。また昨年まで浚渫しておつたものが十一回の波によつて埋まつてしまつたというような状態を呈しておるのであります。しかも先ほど鈴木委員の話されたように、津波を回避するために漁船はたつた一そうの船を残したきり全部沖に避難したゆえに、ここの漁村は一そうの被害もなかつた、これは広尾町の漁民の最も勇敢にして果敢な行動であつたと私は感歎して参つたのであります。
 それから建設大臣は日商、膽振に向いましたが、私は奥地に入つてお見舞を申し上げなければならぬし、調査をするために十勝に入つたのであります。水産とは関係がありませんが、しばらくの間私の調査の報告を聞いていただきたいのであります。
 大樹へ参りしまたところが、大樹はほとんどガラスというガラスは一枚もないというほど壊されておつたのであります。しかし水産施設に対しては何らの被害がなかつたことは、私ども非常に喜ぶものであります。また帶広においては練瓦や土蔵というものは壊されておりましたが、人家に対してはあまりそうした被害はなかつたのであります。それから大樹においては、おそらくあの町の半分以上は半壊、全壊というような状態でありましたが、これも警防團のもの及び村民が出て、一坪の家もこれを保護しなければならぬというので、大きな丸太でもつて家を起して、ささえて、この寒気をしのがなければならぬという観点から、あらゆる努力しておつたようでありまして、ここにおいても、大樹の村民への方方のあり熱心な状況に対しても、私は非常に関心をして参つたのであります。まな豊頃村という所においては、被害の最も多い所であります。学校において、小学校の一年生、二年生三十何名とかいうものが、教室に勉強しておるときに地震であつたのでありまして、これに対して女学生が両わきに小さな子供らをかかえて、窓を破つて外へ退避したために一人のけが人もなかつた、私どもが行つたときにおいては、そのつぶれた跡を見て身の毛がよだつような思いをしたのであります。もしあの女学生が身の危険を侵してあの行動をとらなければ、その三十何名というものは全部圧死してしまうことになつたのでありますが、女学生らが期せずしてそうした方法をとり、またストーぶを外へ投げてやつたというような状況で、火災一つ起らなかつたのでありました。しかし一部落十八戸またに八戸とある所はほとんど全壊しておるような状態でありまして、これは北海道の土地が広くて住民がまばらにおるために、被害の状況は目立ちませんでしたが、農村の小さな部落々々の土地のやわらかい所はほとんど壊滅に瀕しておるような状態であります。またそこへ行く道路においては大きな橋がありますが、その橋に対してははしごをかけて上つて行くというような、天神さんの橋よりももつとひどい状況になつているのでありす。しかも地割れは三尺くらいの幅をもつて地割れをしているような状態であります。
 それから建設列車に乗つたりして夜の十一時に着いて、翌朝五時に立つて豊浦に参つたのであります。豊浦という所は六百八十戸の全体戸数であるのでありますが、完全になつている家はたつた四戸であります。しかも馬は地割れのためみなそこへ倒れでしまつたといういうような状態であります。また地割れは雲の上ではつきりわかるのでありますが、汽車からのぞいてみるときの地割れは、ちようど子供が波を描いたような状態であります。しかも浦幌においては二日まで水が出ておつたのか、今日では水一滴も出ないような状態になり、学校が二尺もずつてしまつているようなところもあるのであります。かようなことに対して北海道の道民、村々の人々は、不穏分子のおだてにも乗らずに、今日着々として建設のため、復興のために努力しているような状態を目のあたり見て参つたのであります。
 幸いにして大村團長を初め鈴木慰問団一行が北海道へおいでくだすつたので、この状況をつぶさにお話し申し上げて、御調査の資料に供したような次第であります。かようなことからして北海道の状態はまばらな人口であるために、この損害というものがあまりにも大きくなつていないことを私どもは非常に喜ぶものであります。しかし霧多布において長年の間育成しておつたほつきの養殖場というものも壊滅に瀕しております女。また不漁漁村民の生活をゆたかにする海藻の養殖施設、これらにおいても、津波と流氷によつてほとんど今までと異なつた大きな被害を受けておるような状態であります。こうした観点からわれわれはここに委員各位にお諮りを申し上げたいと存ずるものあります。いなお願いを申し上げたいと思うものであります。さきにルース台風によつてあの大きな被害を受けた九州、四国地方において、われわれ議員提出によつて漁業災害の復旧資金の融資に関する特別法も、非常な因縁といいましようか、北海道十勝沖地震の四日の日に本国会を通過しておるものであります。どうかこれと同様な漁業災害の復旧資金の融資の特別の立法をしていただくように、北海道、三陸地方の漁民に対する救済の方法を講じていただくように、お願い申し上げたいと存ずるものでありまして、委員長においてどうか各委員に対するお諮りを願いないご存ずるものであります。
#6
○川村委員長 ただいま鈴木委員より北海道、青森県、宮城県等の、このたびの震災及び津波による水産関係の災害報告があり、さらに松田委員より、北海道の各地における震災及び津波による災害の状況等の報告がありましたが、両委員の報告を了承するに御異議あり事せんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○川村委員長 御異議なしと認めまして、両委員の御発言の通りに、それぞれの手続をいたしたい、かように考えます。
 この際、鈴木及び松田両委員並びに塩見水産庁長官、浜田協同組合課長、林漁港課長、石川連絡官室長等に御質問があれば、これを許します。鈴木善幸君。
#8
○鈴木(善)委員 先ほど北海道、三陸におきますところの十勝沖地震による水産関係の被害の状況を御報告申し上げましたが、これら甚大な災害を急速に復旧いたしますために、ただいま松田委員より御提案がございましたが、去る四日に本院を通過いたしました、昨年十月のルース台風の災害復旧についての融資に関する特別措置法、これに対応するような対策を早急に確立してほしいという御発言がございましたが、私はこの点につきまして、さきに農林大臣に対しまして、水産に対する災害復旧は、台風といい、あるいは津波いい、しばしば各地を襲い、その被害も相当に上つておる状況からいたしまして、その都度単行法によるところの措置を臨時的に講じて行くということでは、眞に関係漁民の民心を安定させ、漁業生産の基礎をつちかうゆえんではない、こう考えまして、広川農相に対して、この際政府は恒久的な、農業災害補償制慶に匹敵するような漁業災害補償制度を確立してほしいといういうことを提言し、農林大臣からも、政府としてもこの際そういうような恒久的な対策を議じたいという明確なる御答辯があつたのであります。そこで本委員会としては、広川濃相のこの発言が、今回の罹災地の関係漁民の復旧に対する勇気を振い起しておるのみならず、全国の漁民が非常に明るい気持ちでこの政府の具体的な措置を期待いたしておるような状況から見ましても、急速に私どもは漁業災害補償制度の恒久酌立法措置を講ずべきものでああると考えるのであります。おそらく農林大臣から水産庁長官に対しても御指示があつたと存ずるのでありますが、水産当局としては、これに対していかような準備をお進めになつておりますか。その点をお尋ねしたいと思うのであります。
#9
○塩見政府委員 ただいま農業災害補償制度と同じようなというようなお話でしたけれども、農業災害補償制度は保険で、保険料率その他についてはデータがないと成立たないような形であります。そういう形は今漁船保險においてとられつつあるのですけれども、漁業災害補償の場合には、必ずしも農業災害補償制度にならうという形では、これは時間的にも準備の点が十分に行つていないというような関係からして、やはりルース台風と同じような意味でやつて行くという形をとらざるを得ないと考えておりますし、大臣からも、そういうような考えで進めるように話は聞いておるのであります。それでそのやり方としましては、大体あれに準じた形で進めるのがいいのじやなかろうかと思つて、大蔵省の方に申入れを事務的にはやつておりますが、大体国会の方にもそういうように強い要望があれば、経費等については、予算風立後において、来年度の予備費なり何なりというような形で考えられることと私は存じております。範囲等につきましてもなお問題はあり事すし、現在の進行状態から見ますと、ルース台風につきましては、これは水産の被害が非常に多かつたというような関係から、水産だけを取上げてやつて行つたわけですけれども、今度の場合は、畜舎であるとか、サイロであるとか、炭がまであるとかいうような問題もあわせて取入れるようにしたいという希望を、農林省としては持つております。そういうような内容を含めて立案するかどうかという点を、現在農林省全体として検討中であります。こういう状態でありまして、水産についてはルース台風の災害と同じように考え、あるいはそれに幾らかつけ加うべきものがあればつけ加えて考えるというような考え方で進みたいと思つております。
#10
○鈴木(善)委員 そういたしますと、やはりルース台風と同じように、特別措置法として今回の災害だけに対する單行法をお出しになる御予定でありますか。それから農林関係の被害もあつて、農林省としてはそれらとも関連して考えておるというお話もございましたが、水産関係と農業関係を切り離した法的措置を講ぜられるのか、農林漁業関係全部をひつくるめた、農林省としての総合的な特別措置法をお出しになるお考えでありますか、その二点をお伺いしたい。
#11
○塩見政府委員 農林省といたしましては、恒久立法にするかどうかという点については、まだ関係省との話合いは進めていない状態であります。それから法案としましては、農林省としては、農林水産関係全部を一本にしてまとめて行きたい、こういう希望を持つております。ちよつと速記をとめていただきます。
#12
○川村委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#13
○川村委員長 速記を始めて。
#14
○鈴木(善)委員 ただいま長官の御答辯がありましたが、私どもといたしましては、水産関係の災害が非常に頻発する状況からいたしまして、恒久的な立法にしてほしい。もとより農業災害補償制度のような保険制度はただちに困難にいたしましても、漁船、漁具あるいは増殖施設さらに漁業協同組合等の共同の諾施設、こういうようなものに対するところの国の助成及び融資、そういうものを内容としたところの恒久的な立法としてほしいというのが私どもの念願であり、漁業者諸君の強い要望でもあると信じます。しかしそうことがただちに今回困難でありまするならば、そのような内容を盛つたところの特別措置法といたしまして、そうして災害の起つた都度、タイトルをかえればただちにその法律をまた制定できる、タイトルだけをかえて行くという行き方も一つ考えられるわけでありまして、私どもは農業関係には一つの災害補償制度がある事情もございまするので、農業とは切り離して、特にこういうことに対して立ち遅れであり、非常に手薄であるところの漁業災害については、あくまでこの際単独立法で参りたい。しこうしてこれを将来発展させて、保険制度も含めたところの総合的な広汎な漁業災害補償制度の確立の基礎を築きたい、こういう念願を持つておるのでありますが、長官はその点についていかようにお考えでありますか、お伺いしたいと思います。
#15
○塩見政府委員 御趣旨にはまつたく賛成でありますし、ねらいもよくわかつております。できるだけそういうふうな方向で努力したい。やはりその都度々々でやつているのでは、国会の方の立法にもいろいろ何回かやらなければならぬという点で煩瑣が多いし、そういう点でできるだけ御趣旨に沿うて進めたい、こう考えております。ただ農業災害の方も、作物の種類が限定されているのと、そういう固定施設については、やはりあれでは公共事業費で出されているもの以外は救われていない、そういうふうな関係もありますので、一応そういうふうな要求があれば、従来の経緯にかんがみまして一緒に入れて行くというふうなことは、農林省として考えなければならないかもわからないと思いますが、それによつてルースでもつてかち得たところの水産におけるこういう災害補償に、非常に響きがマイナスが起るとか、あるいは時間的に非常に間に合わないおそれがあるとかいうふうなことがあれば、これはわれわれの方としては、農林省の部内の問題ではありますけれども、水産の要求というものが貫けるような形で主張をする腹組みは持つておりますが、今のところ予算を出すとしてもどうせ来年度のものになるというふうな関係もありますし、前に水産でそういういい例が開かれているわけでありますから、そういう点で畜産や、炭がま等にも均霑させるということも、先ほど申し上げたような経緯にかんがみて農林省としては考えて行かなければならない、そういうこともありますので、時間的に水産に障害がないような状態で取進められるならば、均霑させた方がいいのではないか、こう今のところでは考えております。
#16
○鈴木(善)委員 山添次官が災害地を観察された直後に、新聞を通じて談話を発表されました中に、漁船等の復旧については、農林漁業の特融を利用する道を開いて手を打ちたい、こういうことを発表なさつておることを新聞で拝見いたしておるのでありますが、この点について、水産庁あるいは農林省の省議として御方針がきまつたのでありまするかどうか、私どもは特融には特融としてのいろいろな建設的な使い道もある。そういうことでこういう災害のようなものはまた別途の対策を講ずべきものである、こう考えておるのでありますが、山添次官から今のような談話が発表せられましたので、この点は水産庁とも御相談があつたのであるが、あるいは省議でそのような決定を見ておるのであるか。その点をひとつお尋ねしたいと思います。
 もう一点は漁港法に護岸、防波堤、これらの基本施設については、現在漁港法に基いて国の補助を行つております。ところが船揚場その他の機能施勢に対しては、漁港法によりましては基本施設と同様に国の補助が出せるように相なつておるのでありますが、財政の都合からまだ陸上のこれらの機能施設には補助が出ていない。しかと法律的には道が開かれておる、こういうようなことに相なつておるのであります。そこでこういう津波等による災害によりまして、陸上の漁港としての機能施設に相当の災害がございまするので、新設では、ございません、あくまで災害復旧ではございますけれども、漁港法において新設にさえ国の助成がなされておるというような見地から、災害復旧に際しては、公共土木事業の災害復旧に関する国庫の負担に関する法律がございますが、あの法律を改正されて、漁港法にマッチするように、漁港の機能施設に対して、公共土木の災害復旧に関する国庫負担法の適用範囲を擴大なさる御方針が期待されるのでありますが、これに対していかように考えておりますか。お尋ねしておきたい。
#17
○塩見政府委員 山添次官の視察談でそういうのが載つておつたのは私見ておりませんが、帰つてからの報告その他省議でもそういう意見は山添次官からは出ておりません。今お話のあつた通り、われわれも農林漁業資金融通特別会計これの財源的な十分な裏打ちをつけ加えて、それでそういう個人の施設までやつてもらうなら別として、今のわく内でそれに食い込まれるというふうな形では困るので、やはりこれは新しい財源を持つて災害対策としてはやつてもらいたい、こう考えており化す。そういうふうな話はまだ出ておりません。おそらく誤報じやないかと思いますが、あるいは誤つてそういうことを説明をされたことがあるかどうか、はつきり確めてみないとわかりません。
 それから漁港についての機能施設の問題はわれわれもまつたく同感で、そういう方針で努力はしているわけでございますけれども、現在の法規では機能施設の修築についても、補修についても、一部についてだけ認められて、機能施設一般については認められておらないわけです。これは共同施設として水産庁としては御趣旨に沿うような方向で努力中ではあるのですが、まだ話合いはついておらぬ、こういう状態であります。あるいは今度の災害の問題については“そういう共同施設についての金融等につきまして、前のルース台風より広げて考えるというふうなことは考えられるわけでございますけれども、これも農林漁業資金融通特別会計の中で出されるというふうなことになれば、財源的に共食いになるという圧迫が加わるし、できれば別財源でやりたいとは思いますが、これは大蔵省の方でどういう意見を持ち出しますか、今後折衝してみないとまだ何とも言えない、こういう状態であります。あるいはそういう共同施設関係のと、さつきの漁船の関係とが混淆されて報道されたのかわからない、こう考えておりますが、今の考え方といたしましては、漁船は別に出してもらいたい、共同施設については、やはりそれは財源的には裏打ちを新しくしてもらつた方が水産としてはよいわけでございますけれども、それがどうなるかということはまだ結論には至つておりません。
#18
○鈴木(善)委員 ルース台風の場合も、私どもも欲を言いますれば、共同施設まで擴大したいということでいろいろ折衝したのでありますが、総わくの関係から次回の処置に期待せざるを得なかつたという事情があるわけでありますが、その結果個人の生産施設等に対しては復旧について融資のめんどうを見るが、漁業協同組合等のようにたくさんの漁民の共同の利益を増す施設の復旧については何らの手も打たれない、こういうふうな矛盾がそこに生じておるのであります。今回の災害対策を機会に、この漁業団体の共同施設というものはぜひひとつ救済の対象に乗せるように、私どもも政府に対して十分協力いたしますが、長官におきましても、この点についてはかたい決意をもつて、張力にひとつお進めを願いたいということを要望申し上げておきたいと思います。
#19
○塩見政府委員 まつたく同感であります。共同施設の方がとにかく個人施設よりも遅れているというのはまつたく片手落ちだと思います。財源的にどういうふうに処理するかというふうな点は、先ほど申し上げましたように、今確たる話合いまで大蔵省ともちろんできておりませんけれども、できるだけそういう方針で努力したい、こう思つております。
#20
○石原(圓)委員 鈴木、松田両委員より北海道、青森、岩手の漁業災害についてお話があつたのでありますが、まことに同情にたえないものがあります。ことに氷塊のようなものが流れて来て漁港をこわすというようなことは、われわれは想像もしていなつたことであります。しかも日本の漁獲高の約半数を占める北海道、青森、岩手がさような厖大な損害を受けたために、また今後最もあの地方に漁業が発展しなければならぬ態勢でありますから、これに対する対策を、政府においては急速に立てられんごとを強く要望するのであります。この際私はただいま鈴木委員より主張されたいわゆる漁業の災害補償制度というものは、もうその時期が追つて、今日それを問題に取上げて急速に制度化せねばならぬ時期でないかと思うのであります。すでに四国、九州等、西の方面が莫大なる損害を受けまして、いまだ復旧の緒についていないそのときにあたつて、北海道、東北がまたやられた。幸いに現在では中部日本は被害を受けていないが、この中部が太平洋の側からも、あるいは日本海の側からも、いつ九州や四国や北海道のような災害を受けないとも限らないのであります。そういう時代に、農業にはりつぱな災害保険制度がある。水産業にはそれがないというこは、明らかに国民に対する一つの非常な差別待遇であります。いわゆる漁業者を非常に国家が苛酷なる処置のもとに置いておるといわなければならぬと思うのであります。ゆえに、ただいまよりこれが実現を期する方法について歩を進めて行きたいと思うのであります。政府に迫るというよりは、むしろこの常任委員会におきまして、これを実現するところの方法を実行に移して行く、具体化して行くということを、委員長においては委員にもお諮りになつて、そうしてすみやかにいわゆる漁業災害補償制度が少くもこの国会に提出されるような域にまで達せしめたいと、こう考えるものでありまして、これを提案するものであります。
#21
○松田委員 先ほど私の報告の中に落しておりましたが、実は水産関係の漁村の調査において、私は意外なことを見て参つたのであります。それは床潭であろうと、また霧多布であろうと、非常なりつぱなこんぶが相当ぬれておる。そうしてここではどれだけ流失したというような報告も受けております。漁村は今日疲弊のどん底に陷つておる。金がなくて困つておる。こう考えておつたところが、あれだけの滞貨があるということは、どういうわけかということを非常に意外に思つた。それからいろいろとその調査を進めた。なかなか最初は言わなかつた。言わないのが道理であつた。それはその部落なり町なり村なりで相当裕福な方々が、やはり一生懸命努力をした結果があの生産されたものであつたのだ。裕福な方々が努力をされた結果とつたその品物が、漁業協同組合に集荷されて全部漁業協同組合の倉庫に入つておつたから、被害がなかつた。ところがぬれ損、流れ損をしたというものは、極端に言うならば、漁業協同組合品に少しく協力の薄かつた人であつた。われわれは漁業協同組合の育成強化を叫んでおり、漁村に対する経済の確立こそは、漁業協同組合の育成強化以外にない、かように信じておるのでありますが、さような現象が現われたことはまつたく意外であつたのであります。ゆえに、今鈴木委員からも論議されておるように、今日の漁業協同組合の共同施設というものに対しては、政府はこれほどまでにやつて行くのであるということも強く漁民に認識させて、協同組合の育成強化をはかつて行かなければならないものだと私は考えておるのであります。しかも北海道のあの地方は、米一粒もとれない所であります。ゆえに魚肥に対しては、リンク米との関係で、魚肥がなかつたならば米を買うことができ得ない、米と交換することができ得ないということで、やむを得ず各家庭において魚肥の五俵や十俵は保管しておつたのでありまするからこの点は別でありますけれども、こんぶなどというものに対しては、各自がてんたんばらばらに売つて行くよりも、漁業協同組合と眞にタイアップしてやつて行かなければ、漁村の繁栄などはないものと私は考えておるのであります。こうした点からも協同組合の共同施設というものは、ぜひともこうした法律の中に入れて行かなければならないものと私は痛感したのであります。
 次に、先ほど長官からお話のあつたように、あの地方は北海道における木炭の最も主要産地でありまして、炭がまがほとんど破壊された。二尺も三尺も地割れするようなものでありますから、ほとんど破壊されたといつても過言でない。九割九分まで破壊されてしまつたのであります。この炭がまというものがほとんど破壊して、炭をやつておる業者であつても、資本をあまりゆたかに持つておるものじやないが、焼き子というものは、その日その日の焼いた炭によつて初めて生計を保つておるのであつて、このたびの被害で一番失業したものは炭焼きの焼き子であるのであります。かような点、またサイロは、先ほど申したようなこと、れんが、倉庫、それから集合煙突、人の死傷したのはほとんど集合煙突の倒れたことによつて死傷しておるのであります。集合煙突、れんがや土蔵、こうしたものがほとんど壊れておるのでありまして、サイロにおいても、ほとんどひびが入つて壌われておるというような状態であります。サイロを持つておる有畜農家は比較的ゆたかな人々でありますけれども、北海道の農民に対しては、どうしても有畜農家に仕上げて行かなかつたならば、北海道の農業経営というものが成り立たぬのであります。しかもあの地方はことさらに寒冷地でありまして、有畜農業の必要な点があるのでありまして、こうした点、さきに官房長をされておる長官は、どうか特別なる方法によつて炭かま、サイロに対しても、この法案の中に入れ得るような方法ができ得るならば、考えていただきたいと思うのであります。もはや雪解けになつて来て、漁を急速にやつて行かなければならないときであります。恒久法はわれわれとしても一日も早く恒久法にして行きたいのでありまするが、そうしておるときにおいては、なかなか早急の間に合わぬことを私は心配するものであります。まずこのたびの十勝沖震災に対しては、さきの災害復旧の資金の融通に対するあの法案にならつて、一日も早く、ただちにこれが臨時の措置として法案の提出を願い、審議を願つて、しかる後に石原委員の御提案のような恒久法をやつていただきたい。さもなかつたならば、あしたの日に困るような状態でありまするので、どうかこの点委員長においてお諮りを願いたい。また長官においても、十分御考慮をしていただくようにお願い申し上げる次第であります。
#22
○川村委員長 この際お諮りいたします。今回の地震及び津波等による災害地の調査報告が、鈴木、松田両委員よリ詳細になされ、特に水産関係の災害等については、早急に災害復旧の方法を講ずべきであるとの御発言もあり、石原委員よりも同様の御発言もありましたので、本問題解決のために、さきに本委員会内に設置されてあります、漁船損害補償及び漁業災害補償に関する小委員会に付託し、立法措置並びに災害復旧資金の融資等の方法を講じたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○川村委員長 御異議ないようでありますから、さようとりはからいます。
 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせいたします。
 散会いたします。
    午後零時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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