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1951/05/17 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第36号
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1951/05/17 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第36号

#1
第013回国会 水産委員会 第36号
昭和二十七年五月十七日(土曜日)
    午前十時五十三分開議
 出席委員
   委員長 川村善八郎君
   理事 小高 熹郎君 理事 田口長治郎君
   理事 永田  節君 理事 林  好次君
   理事 佐竹 新市君
      石原 圓吉君    川端 佳夫君
      冨永格五郎君    二階堂 進君
      平井 義一君    松田 鐵藏君
      水野彦治郎君
 出席政府委員
        水産庁長官   塩見友之助君
        通商産業事務官
        (通商振興局
        長)      井上 尚一君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (経済局次長) 小田部謙一君
        農林事務官
        (水産庁漁政部
        長)      伊東 正義君
        農林事務官
        (水産庁漁政部
        漁政課長)   家治 清一君
        農林事務官
        (水産庁漁政部
        漁業調整第一課
        長)      尾中  悟君
        農林事務官
        (水産庁生産部
        水産課長)   藤波 良雄君
        通商産業技官  雨宮 武夫君
        専  門  員 杉浦 保吉君
        専  門  員 徳久 三種君
五月十六日
 委員田渕光一君及び井之口政雄君辞任につき、
 その補欠として小玉治行君及び木村榮君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約
 に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させる
 ための漁船の操業制限等に関する法律案(内閣
 提出第二〇五号)
 漁業取締に関する件
 輸出まぐろに関する件
    ―――――――――――――
#2
○川村委員長 これより水産委員会を開きます。
 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるため漁船の操業制限等に関する法律案を議題といたします。
 前会に引続き質疑を行います。本日の説明員として、外務省経済局次長小田部謙一君、通産省通商産業技官雨宮武夫君、政府委員として水産庁長官塩見友之助君、説明員として水産庁水産課長藤波良雄君、同じく漁政部長伊東正義君、同じく漁業調整第一課長尾中悟君、同じく漁政課長家治清一君が出席されております。御質疑に対して発言を許します。
#3
○田口委員 前委員会におきまして、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律のちで、その水面の使用によつて直接に被害をこうむる者に対しましては、本法によりまして補償の道が開けておるのでありますが、間接に被害をこうむるという問題につきましては、全国的に考えてみますと、直接の被害よりも間接的に被害をこうむる度合いがむしろ非常に強いというようなことがある次第でございますが、この法律の解釈では、そういう面を救済することについていささか疑義がありまして、この法律をつくる以上、どうしても間接的の強い被害も同時に救済する道を開かなければならないということを考えまして、その点について、政府において適当にそういう道を開かれるようにお願いしておいた次第でございますが、その後御研究の結果いかようになりましたか、御意見を承りたいと思います。
#4
○伊東説明員 間接被害全般につきましては、この法律からいつて、直接のものは問題になるのでありますが、この前御質問になりました佐世保とか大村湾について考えてみますと、佐世保なり大村湾の中にも、おそらく水面の提供ということがあるだろうと思うのでありまして、そういう相談があると思います。現に向うからもそういう話が出ております。それで湾内のある所は水面の使用ができなくなつて、操業ができなくなるという制限を受けることは考えられます。その際に漁獲高が非常に減る場合、それにつきましては、防潜網の影響で減つた分と、水面を使用することを制限されて減つた分とは区別しがたい問題だろうと思うのであります。それでわれわれ農林省といたしましては、その際には、なるべく積極的にそういう両方合せたものを被害と見て、算定の基準として考えて行つたらどうかと、今のところは考えております。
#5
○田口委員 ただいまのお話では、法文はそのままにして運用で行く、こういうように解釈されるのでございますが、その点はさように考えてよろしゆうございますか。
#6
○伊東説明員 今の点は、私どもとしましては、佐世保とか大村湾とか、水面を防潜網の使用に供したために影響があるというものにつきましては、この法文の運用でやつて行きたいと考えております。
#7
○田口委員 運用でやれるというお話でございますが、この問題はきわめて重大でございますから、委員会といたしましても、法文をさらに研究をしてみたいと考えます。私の質問はこれで終ります。
#8
○石原(圓)委員 この問題に対しての田口委員の質問に対するただいまの答弁は非常に不可解であります。この問題によつて生ずる損害は、アメリカの軍隊との関係であります。しからば、アメリカより賠償を受けねばならぬ問題であります。それにもかかわらず、国内法の運用でやつて行こうとすることは、いわゆる国費をもつてやろうということで、アメリカに弁償させるという意味が含まれていない。このことは、国家の負担の上からも、またこの問題の根本精神からも不適当であると考えるのであります。従つて私はこれは承服することができないのであります。また前日私より、このままならば撤回すべしという要求をしておいたわけでありますが、一応委員付託となつております。従つて、ただいまでも当局がこれを練り直して再提出する意思があれば、そうしたい。もしそれができないならば、小委員会に付してそこで練るということにせねばならぬと思うのであります。とにかく、一応これをひつ込めて、そうして再修正する意思があるかないか、もう一応お尋ねいたしておきます。
#9
○松田委員 石原委員の御趣旨もよくわかるのでありまするが、要するにかような法律案を提出した理由は、一に日本とアメリカとの安全保障條約に基くものであります。しかも安全保障條約そのものは、共産党を除くほか、現在では社会党においてすら、再軍備の問題に対して、安全保障條約があるではないか、ゆえに再軍備の必要もないなどという、今までの彼らの主張と異なつた主張を今日しておるような次第であります。かような議論は私は社会党の滅亡だと考えておるが、さような意見を発表して再軍備の問題に反対をしておるのであります。とにかく社会党ですら安全保障條約が日本を保護する上における重大なる防備の点になることを認めているような現在であるのであります。自由党はもちろんのこと、改進党においてもこれに対して賛成をしておるような次第であります。そこでこの安全保障條約に基く小範囲の犠牲は、日本国民としたならばやむを得ないことではないかと私は考えておるものであります。石原委員の御趣旨もよくわかるのでありまするが、こうした点は日本の国の大局から考え、国民全体を守る意味における漁民の最小限度の犠牲ということは、これはやむを得ない立場であるということをよく考慮に入れての小委員会の議事を進行して行くことに対して、私は希望を申し上げます。石原委員もどうか撤回などという言葉をお使いにならずに、小委員会で適当に審議するように、小委員会に付託されんことを私は要望いたします。
#10
○石原(圓)委員 私は一応当局で練り直して再提出するのが最も妥当と思うのでありますが、ただいま松田委員より非常に大局的な見地からの御意見が出たのであります。その点には私も同一意見を持つておるのでありまするが、ただその場合において、零細な沿岸の漁民が下敷になつてそのために非常な苦痛を感ずるということをおそれるがために、繰返し申し上げる次第であります。しかし小委員会に付して、その趣旨に対して十分に検討するという松田委員の御意見に賛成をいたしまして、小委員会に付することを要求いたします。
#11
○川村委員長 この際、本案の取扱いについてお諮りいたします。先刻の懇談会におきましても、またただいまの石原委員並びに松田委員の御発言にも、本案は修正を要するとの強い御意見も出ており、また小委員会に付託すべしとの御意見もありますので、本案は漁業制度に関する小委員会に付託して、慎重に検討を加えていただき、その結果を本委員会に報告していただくというように取扱いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○川村委員長 御異議なしと認めます。よつてそのようにとりはからいをいたします。
    ―――――――――――――
#13
○川村委員長 次に漁業取締りに関する件について、調査を進めます。さんま漁業取締りについて、松田委員より発言を求められておりますので、これを許します。松田君。
#14
○松田委員 昨年当委員会においてさんま漁業の問題についていろいろと論議があつたのでありますが、委員会といたしましても、いろいろな立場を研究いたしまして、北海道のさんま解禁は八月十五日が至当ではないかという考え方を持つておつたのであります。水産庁においても、内地側のいろいろな反対運動その他を勘案して、その妥協点を見出して、まず大体において八月二十日ごろに解禁をするような意思のもとに、ほぼ了解が成立つたのでありまするが、一部内地側の策動によりまして、農林大臣は水産庁及び水産委員会の意向に反した八月の二十五日に決定されたので、水産庁においても非常に迷惑をしたものであります。ところがたまたま不当なる北海道の漁民が水産庁の決定されたその期日を犯して、八月の十一日か十三日に自由出漁の形をもつて出漁をしたということで、大きな問題となつたのであります。その結果がたびたび水産委員会においても論議されて、当時の課長であつた高橋君もまことに気の毒な立場になつておつたのでありまするが、かような問題が再び繰返されることのないように、水産庁においてもその準備をされておられることだろうと思うのであります。しかして内地側の業者と北海道側の業者が、さんま協議会とかなんとかという会をつくつて、この問題に対する研究をされたということを聞いておるのでありまするが、たまたまその内容を伺つてみるときにおいて、内地側と北海道側は、北海道において八月の七日に解禁をしてもらうべく内地、北海道において一決したということを聞いておるのであります。また内地側の漁獲物の関係から言つて、九月の十五日までは北海道でとつたさんまは自由に販売してもさしつかえないが、九月十五日から十月の五日までは、内地側の初めて漁獲されるときまでこれを販売を禁止するというとりきめが行われておるということを聞かされておるのであります。ここにわれわれは、業者聞のかつてなとりきめに対して、水産庁はどのようにお考えになつておられるか、御研究があるならばお考えの幾分でも御発表願えれば、たいへんけつこうだと思うのであります。しかし私はここに非常に警戒しなければならない問題があると思う。さきに私どもは政府提案における資源保護法を決定しておるのであります。資源保護法の建前から言つて、はたして北海道の業者側がのみ決定した八月の七日という時期が妥当な線であるかないかということに対して、われわれは相当考えなければならない問題があると思うのであります。但し水産庁はまだその期日を発表はされておらないから、そのことについて水産庁を責めるのではないのであります。しかもいかに北海道といえども、八月の十五日以前は、要するに夏のまつ盛りである、気温において相当暖かいときであります。八月の十五日というものが過ぎますと、初めて朝晩寒さが寄せて来て、ちようどいい時期になることと、われわれは自分が住んでおるがために知つておるのであります。しかも全国の定置漁業は、七月一ぱいでもつて大体切り上る、そうして八月の半ばまでかかつて、相当漁獲されておるものも、または保存されておるものも消化される時期であります。これがかつての統制のあつた当時における夏期対策として、漁獲物を農林省は補助までして、このときの資源を確保した実例があることによつてもはつきりとわかつておるのであります。かような時期においてとつた魚は、どれだけ漁獲されても、それを処理するという考えが業者側にあるかは存ぜぬが、とうてい現在の設備やまた労働力から行きましても、これを完全に処理するなんということはでき得ない状態になつておるのであります。それが北海道の現実の問題であります。ところが八月の七日からは業者間が妥協いたしまして、かりにとるとしても、九月の十五日から十月の五日まで販売を禁止するというようなことがはたしてできるかどうか九月の十五日から十月の五日までというのは、北海道における一番の盛漁期であります。この盛漁期のときにおいて漁獲されてものを、八月の七日からとつた魚がもし保存されるとしても、この盛漁期にとつた魚というものはそれならばどうした販売方法、処理方法をするかといつたならば、むしろこれは肥料にしなければならない事態が惹起するものと思うのであります。またこれを商人に売つた場合において、商人は自由販売品であるから、どこへでも送つてやつたところでこれは何も処罰も取締りもないのであります。またこうした裏を考えてかようなとりきめをしたのかこれはわかりませんけれども、要するに彼らが昨年八月十一日から不法なる実力によつて出漁したという面子を立てんがために、大衆の犠牲――九月の十五日から十月の五日までの間の最盛期を、漁民の犠牲において一部指導者が、先頭に立つておる者が、自己の面子を立てんがためにかような議論に進んで行つたものと私は考えるのであります。ここが重要に点であると同時に、水産庁は昨年八月の二十五日に解禁をしたその趣旨がいずこにあつたか。同じく今日は廣川農林大臣であります。その農林大臣が二十五日に解禁をしたのは、あらゆる観点から考慮されたことと思う。それを業者が一方的に考えて、しかも私がただいま申したように、漁民の犠牲において自己の面子を立てんがための、昨年犯した違反に対する面子を立てんがために八月の七日からしいてやろうという業者間のとりきめを行つたということである。また新聞に報道されておるのには、その間の金融の問題だとかまたは輸送の問題だとか、現地においてはいまなおてんやわんやの会議をされておると、新聞にれいれいしく報道されておるのであります。これらに対して、水産庁はまだ現地のさようなことには耳をかしていないこととは存じておりまするけれども、もし入手された情報があつたり、また水産庁においてこれに対するお考えがあつたならば、でき得る範囲内でけつこうでありますから、その点御説明を願えれば幸いと存じます。
#15
○伊東説明員 結論を先に申し上げますと、農林省といたしましては、この問題についてまだ結論は出しておりません。われわれの希望といたしましては、昨年は解禁漁がかわつたり何かして、大分ごたごたあつたそうでありますが、今年はなるべく慎重に検討いたしまして、そういうことはいたしたくないということは考えております。
 それから今御質問のありました、内地と北海道の業者の方々が集まられてとりきめをされたことを、われわれは知つております。この問題につきましてわれわれも検討しておるのでありますが、とるべきものはとり、尊重できるものは尊重して行くというこの覚書につきましては、考え方を生かしておりますが、それではどれをとつて行くのだという結論については、まだ農林省としては結論を出しておりません。しかし研究はいたしております。
#16
○松田委員 私はただいまの御答弁によつて、賢明なる長官または部長は、必ず大局を考えて御判断が願えることと思いますが、ややもすると越佐海峡の例にもありますように、漁民がただ騒げば自分の意見が通るのであるというような考え方をもし持たれた場合において、どういうようになるかということをよく御研究を願いたいと思います。しかもそれは一部の者が面子を立てる意味において行うことだということがほぼ了察されるのであります。一番大きい問題は経済問題であります。その経済問題が、九月十五日から十月五日というのは一番の盛漁期であつて、これを販売を禁止するなどということは、とうてい漁民としてしのびがたいことであります。でき得ないことであります。これを一つの口実にして、その裏がどこにあるかということもよく御考慮に入れてもらいたい。内地業者はごまかされておる。そうでなく、内地の者も北海道の者も、自分の非は非と認めて、今年から正しい漁業を営むものだということでやつて行つたらば、水産庁としてもあらゆる援助を惜しむものではないと私は考えております。しかも昨年において北海道の者らの陳情は、八月十五日にしてくれという陳情であつたのです。その理論は先ほど私が申し上げたような理論であつたのです。ゆえに内地側の各委員方においても、北海道の漁民の要求することは是なりと信じて、相当これに協力を願つたものであります。それを不法に出漁したのです。法を犯して出漁したのです。それをカバーせんがために八月七日という時期をきめて、それと引きかえに一番の漁民の利益を剥奪して、九月十五日から十月五日まで禁止をしようなどということは私はどのように善意に解釈しても、これは漁民の犠牲によつて、でき得ないことをしいて、昨年の彼らの犯した違反を有利に導こうとする、面子を立てる意味以外には絶対に受取れないと思います。私は北海道の第五区の選出であつて、このさんま漁場が私の選挙区なのです。たといいかなる有力者または漁業協同組合一致団結して来ても、漁民の利益のためにあえて選挙民にこびるようなことであつたらば、正しい政治は行われないという観点から申し上げておるのであつて、どうか水産庁においては、漁民を正しく指導するために、あらゆる御研究をされて、この期日の決定を願いたいと思うものであります。
#17
○川村委員長 委員長より特に水産庁に要求いたしておきます。先ほど松田委員の御発言に対する御答弁の中に、内地の漁民と北海道の漁民すなわちさんま漁業者が協定をして、覚書がとりかわされたことは知つておるということでありますが、内容がそこにありますならば、覚書の内容を御発表のほど要求いたします。
#18
○尾中説明員 覚書の内容について申し上げます。覚書の第一点は、北海道の解禁、これはさんま漁船が出航する日でありますが、これを八月七日にする。それから本土いわゆる内地側の解禁日は、同様に出航日でございますが、これを九月二十日とする。第三点は、北海道に漁船登録のある総トン数二十トン未満の漁船並びに農林大臣の承認を受けた総トン数二十トン以上の漁船によつて操業する期間は八月七日から十月二十五日までとする。第四点は、九月十五日から十月四日までは北海道から内地へさんまを送ることを禁止する。第五点は、第四点の措置が確実に履行されるように水産庁に対しては強く要望する。こういつた五つの点が内容になつております。
   ―――――――――――――
#19
○川村委員長 次に輸出まぐろに関する件について調査を進めます。米国向け輸出まぐろの関税率引上げの問題につきまして、二階堂委員より発言を求められております。これを許します。二階堂進君。
#20
○二階堂委員 まぐろの輸出につきましては、先般来本委員会におきましても議題といたしまして、これが対策に慎重を期して参つたのでありますが、先日の新聞によりますと、米国の上院財政委員会は九日、生及び冷凍まぐろに対する輸入関税創設に関する法案を八対五で可決いたしたということであります。少からぬ利害関係を持つておりますわれわれといたしましては、さらにこの法案が上院において可決されぬような対策を講じて行かなければならないと考えるのであります。もしこの法案が可決いたされまして、関税の創設及び引上げが実施されることになりますれば、その及ぼす影響というものはまことに甚大なものがあることは、論をまたないのであります。日米の両国民の理解と信頼の関係につきましても、好ましからざる影響を與えることはもちろんであります。私は先般の委員会におきましても、この関税の引上げがもし実施されるならば、日本の水産業あるいはカン詰業界に及ぼす影響というものがいかに甚大なものであるかということを述べて参つたのでありまするが、今度の法案が可決に相なりますと、おそらくカン詰業者も全滅に瀕するような打撃をこうむるのではなかろうかと考えるのであります。なおまた、ひいてはまぐろの漁業に従事しておりまする多数の漁民の生計を脅かす結果とも相なることは明らかであります。現在まぐろの漁業に従事しておりまするところの漁船は、二十トン以上にいたしましても一千数百隻を数えておるのではなかろうかと考えておるのであります。従つてこれに従事しておりまするところの漁民は、おそらく数万名に上るのではなかろうかと考えられる。この家族を含めましたならば、その生活に及ぼす影響も大きなものであることは、火を見るよりも明らかであります。従来の実績から考えてみますと、この漁獲されたところのまぐろのほとんど九〇%以上をアメリカに輸出いたしております。かようにこのカン詰業界あるいはこの漁業に従事しておりますところの漁民の受ける打撃というものが、どのようになつて来るかということを考えても、これに対するもつと積極的な万全の対策をわれわれは考えて行かなければならないと思うのであります。なおまた輸出振興は日本の経済自立の根本の方策であります。ドル獲得の上から考えてみましても、従来の実績から考えますと、生糸に次いで多額のドルを獲得して来ておるのであります。このようなドル獲得の観点から考えてみましても、今回のアメリカ側がとつておりまするところの措置が、日本の経済自立の根本をなす貿易政策の上に非常な支障を與えることは明らかであります、私は今回財政委員会がとつておりまするところのまぐろの関税創設及び引上げに対する態度に対しましては、非常な遺憾の意を表せざるを得ないのであります。
 私が最も遺憾の意を表する第一点は、この問題がアメリカにおいて取上げられ参りまして以来、われわれは国内においても、誠意をもつてこれが調整に当つて来た。この誠意がちつとも考えられていない。わが国といたしましては、過去のいろいろな輸出の問題等に深い反省をいたしまして、そうして自主的な制限まで行つて、アメリカの対日まぐろに関する輸入反対の輿論を緩和しよう、あるいはまた品質の改善を行おう、価格の点においても十分考慮して行こうということで、自主的に国際協調の考えから、誠意をもつてこの対策を講じたのでありますが、こういう点がちつとも考えられていないのではないかということを私どもは考えまして、アメリカ側のこのような考え方に対しましては、非常な遺憾の意を私は表せざるを得ないのであります。
 なおまたもう一つの点は、今回の措置がアメリカの一部の議員の方々によつて、一部の業者の利益を擁護せんがために、大きな将来の日米提携の問題とか、あるいは自由国家の協力の問題等を忘れたような考えに基いて今日の措置がなされておるのではなかろうか。アメリカが終戦以来日本に対して與えてくれたところの二十億ドルに上る経済援助も、一つには日本の経済を早く自立させて、そうして自由国家の一員として強く提携をいたしたいということにほかならないであろうと考えまするが、こういう点から考えてみましても、このような大きな大局的な考え方を無視されている、こう私は考えます。これに対しましても、アメリカ深い反省を私どもは促すと同時に、またわが方といたしましても、今後この問題に万全の対策を講じて行かなければならないのではないか、かように考えるのであります。
 そこで私は外務省の当局、水産庁及び通産省の当局の方々に対しまして、二、三の点をお伺いしてみたいと思うのであります。まず外務省の当局に対しまして、一体こういうような措置にアメリカが出て来たのでありまするが、先般来問題になつておりまして、本委員会におきましてもこの問題をいろいろ論議いたしたのでありますが、一、二関税引上げの問題が向うの方でも取上げられるのではなかろうかというような空気もあつたのでありますが、突然また去る九日に上院の財政委員会においてこういう可決を見た今日までの経過、いきさつについて、もし情報がありまするならばお聞かせ願つて、なおその間外務当局とされましてはいかような手を打たれたか。あるいは今後の見通しについてどういうようなお考えを持つておられるか、まずこの点をお伺いいたしたい。
#21
○小田部説明員 実はこの法案は昨年
 の十月に下院を通過いたしまして、そのとき下院を通過しましたのは、ほんの一週間のうちに通過いたしたのでありますが、それ以来外務省といたしましては通産省、水産庁とも相談いたしまして、そうして当時はまだこちらではデイプロマテイツク・セクシヨンと申しておりましたが外交局を通じ、アメリカでは武内在外事務所長を通じまして、日米経済協力の観点から、まぐろの輸出がわが国のドル獲得上絶対に必要であることと、それからもしまぐろの関税が高められたときに漁民に及ぼす影響等も、非常な詳細なる情報をもちまして、向うにも説明いたしました。またこの件は、当時こちらで外交局といつておりましたが、外交局も非常に関心を持ちまして、日本側にとつて非常に有利な報告を向うにも提出したということを漏れ聞いておる次第であります。こういうわけでありましたものですから、先方にはわが国のまぐろに関する輸出のいかに重大であるかということは十分伝わつていると思うのでありまして、その一つの証拠としましては、実は財政委員会が可決しましてすぐアチソン長官が、記者会見において、国務省は、上院において審議中のまぐろにポンド三セントの輸入税を課する法案に反対する。そしてこのまぐろの問題は、米国と日本及びペルーとの関係に影響するところが少くないので、これに重大なる関心を有しておる。のみならず、まぐろ産業は日本及びペルーに重要なドルの獲得をなすものであるから、もしこれが上院で不幸にして通ることになれば、米国と両国との間に重大な影響を及ぼすおそれがある。従つて関税が設定されないように希望するというようなことを強く述べております。それで現在のところ外務省といたしましては、さつそく外交局の方にもいろいろ討議をして話をしておりますし、また近くアメリカに新大使も赴任されるはずになつておりますから、新大使にもその事情を十分に説明いたしまして、今後もこういうことのないように、そして日米間の国交関係に幾分にでも悪い影響のないようにしてもらうように努力しております。なおこれは委員会を通過いたしましたが、いつ上院に上程されるかということは未定であります。また今年は大統領選挙戦がございますので、上院の会期も間もなく終るだろうと思いますので、そうすればなお時間もございますから、本件に関しまして、外務省としては各関係官庁と協議の上努力したいと考えております。
#22
○二階堂委員 アチソン長官の今回の措置に対する反対の意見を新聞紙上で拝見いたしたのでありますが、もちろん国務省当局といたされては、わが国の水産あるいは経済界に及ぼす影響がいかに重大であるかということを十分考えられて、ああいう意見をお述べになつたと思つております。もちろんこの問題が起つた原因につきましてはいろいろありましようけれども、先ほど小田部さんもおつしやつたように、今年はアメリカにおいて選挙の行われる年であります。いろいろな国内の選挙等の関係も考えられて、こういう措置も出て来ておるかと思うのでありますが、関税設置の問題に対して最も強い賛成の意見を待つておりますのは、太平洋沿岸の業者であるかと思います。しかしながらアメリカの国論というものが、必ずしもこの法案に対して一致しておるとは考えられないのであります。太平洋沿岸の業者は、最も強く関税の引上げ等に賛成をいたしておるのでありますが、しかし太平洋沿岸といえども、シヤトルのアストリア付近の業者は、この日本からの冷凍のまぐろ輸入に対しましては、相当な関心を持つておるし、事実大体自分たちの関係しております水産業者の手によつて漁獲されております原料は、わずか二、三箇月の操業に間に合つておるようなわけで、あとの原料に対しましては、ほとんど日本とかペルーとかから輸入をいたしておるのではないかと考えております。従つて太平洋沿岸の業者も必ずしも意見が一致していない。あるいは大西洋沿岸のカン詰業者等は、ほとんど原料を南米あるいは日本等から輸入をいたしております関係等からいたしまして、今回のこのような措置に対しましては、おそらく反対をいたしておるのではないかと考えるのであります。なおまたニューヨークタイムズの論説を見ましても、これに反対をいたしております。あるいはまた深く日本の水産に理解を持つておりますヘリングトン氏あたりも、このアメリカの措置に対しましては、反対の意思を表明しておるような意見も見たのであります。あるいは国務次官補代理のリンダー氏におかれましても、かような意見を述べておられる。そのようにアメリカ国内の意見をいろいろ考えてみましても、意見が一致していない。こういうようなアメリカ国内の事情をよく考えられて、在外事務所もあることでありますので、私はもつと積極的な手が打たれなければならないと思う。あるいはそういう措置を十分とつておるというお考えであるかもわかりませんが、私は打つべきところの手が打たれていないのではないかという考えがいたすのであります。そこで私は、先般の委員会におきましても、出先機関に水産に関係のある担当官を置かれたらどうかということを、欧米局長にも意見を申し述べておきましたが、近くそういう措置を何らかの形でとるという答弁も伺つたので、はなはだ意を強くいたしておる次第であります。こういうふうに問題が起きて非常に深刻な事態が到来するようになつてから、あれもこれもという手の打ち方では私は非常に遅いと思う。今後の希望でありますが、こういうことが起らぬ前から、特に水産関係は日本に非常に深い関係を持つておりますから、こういうような落度がないように、向うの国内においてもいろいろな様子をお考えになりまして、適切なる手を打つて行かれることを強く希望いたしておく次第であります。同時に南米等も、このまぐろの問題につきましては、アメリカと非常に深い関係を持つております。今回のこの関税の引上げあるいは設置の問題は、特にぺルーあたりとは深い関係を持つておると考えるのでありますが、今日正常な外交関係が復活いたしておりません関係から、これらの国と提携してこの問題の解決に当るというような努力もなかつたかと考えられるのでありますが、今後はこういうような諸国とも提携をされて、そして万遺憾なき対策を講じていただきたい。なお私は、一昨年アメリカに参りましたときにも、この問題をいろいろ話して参つたのでありまするが、その名前は今忘れて記憶しておりませんが、ワシントンに魚を消費するレストランかなんかの組合を持つて、魚の料理を食えという宣伝を行つている機関があります。これは消費者を中心とする機関でありまするが、この機関が相当な金を使つて、このカン詰等の消費の宣伝を行つております。この機関は非常に大きな力を持つておりますので、この機関の責任者と会いました際にも、日本のカン詰の相当な量がアメリカの国内において消費されておる。われわれはアメリカの業者から金を集めて宣伝をいたしておる。この宣伝によつて相当魚のカン詰あるいは魚の消費量がふえて来た。その恩恵は日本も当然こうむつているはずだから、こういう機関に対しても何らか日本に協力してもらいたいものだというような意見を述べておりましたが、貿易、特にこの水産の貿易は、先ほども申し上げましたごとく、まぐろの九〇%以上がアメリカに輸出されているようなことを考慮いたしましても、今後こういうような宣伝機関に対しては、業者はもちろんでありますが、政府の当局といたされましても、いろいろな方法で協力をされて、この消費を助長して行くというような対策を講ぜられる必要があるのではなかろうかと考えますが、こういう方途に対しまして、外務省及び通産省当局はどういうように考えておられるか。あるいはもしそういうことが適切であると考えられるならば、これに対してどういう手を打たれるお考えであるか。その点について所見をお伺いいたします。
#23
○小田部説明員 実はペルーに関しましては、非常に前から在外事務所の設置を希望しておりましたところが、なかなか実現できませんので、その間は遺憾ながらぺルーとは連絡はほとんどとれなかつた次第でございますが、今度ペルーも條約を批准いたしまして、ごく最近ペルーに臨時代理公使も赴任することになりますので、本件はもうすでにペルーに赴任する代理公使とも慎重に話をしておりますが、今後ともお互いに相談して報告も受取り、どういうふうな措置をとつたらいいかということを慎重に考慮して行きたいと思います。またその他の連絡のことに関しましても、事実アメリカの中でも、消費者の立場とか、今御説明のありましたような東海岸の業者だとか、その他いろいろな利害関係があることも承つております。これはこちらの大使館からも、先方からも聞いております。ただこれをどういうチャンネルから、どういう人がどういう方法でやつた方がいいかということは、ある場合は政府が表面に立たずして、業者が表面に立つた方がいい場合もございますし、従来もそういうことを行われたようですが、どういうような方法がいいかということを、関係官庁並びに業者の方々と協議して、今後とも十分なる措置をとりたいと考えております。
#24
○二階堂委員 アメリカは宣伝の国でありますので、宣伝対策につきましては、もちろん私は業者も一致して協力すべきだと考えております。しかしながらー業者の悪口になりますけれども、業者の人々にそういうことをしいても、大きな立場から貿易を振興しようという考えが少く、自分のものだけを売つて、ほかのものは悪口を言つて、輸出をなるだけとめようというような非常に小さな考えを持つておる業者もかなりあると思います。アメリカをまわつてみましても、ある業者は日本のほかの業者の悪口を言つて、自分の品物だけが一番いいというよなことを言つて、一方では輸出をしなければならぬと言いながら、一方では自分のことばかりを考えてやつておるような会社もあるのであります。宣伝の問題等につきましても、そういうことを業者に呼びかけましても、自分の会社のつくつておるものの宣伝ばかりを考えないで、業者が一致して、大局的な立場から日本の水産貿易を振興するという真心からやつてもらえばそれに越したことはありませんが、そのようなことは結局は自分の会社の宣伝に終つてしまう。そうしてほかの会社の悪口を言つて結果において日本の貿易を増進させるどころか、かえつて減退させて行く。あるいはアメリカの輸入業者に悪い結果を與えることになる。そこで政府が表面に立つことはどうかとも考えられますが、日本の経済再建の最も大きな條件の一つである輸出をどうして振興させるかという観点から考えてみますならば、ある程度政府がいろいろな方法をもつて、いろいろな機関に日本の品物を宣伝する。これは單に魚のみならず、シルクにしましても、陶器にしましても、いろいろなことが考えられると思うのであります。そういうことは政府は当然もつと積極的に考えらるべきことではないか、そういうところからわが方といたしましても協力をいたして行きますならば、こういう問題が起つて来た場合にも、アメリカの国内における機関が、日本のこうした議論を支持してくれる結果にもなるかと考えるのでありますから、この点もひとつ将来の費易振興の上から考えられまして、根本的な対策を樹立していただきたいということを、強く要望いたしておくのであります。
 なおこれは通産省の方が適当かとも思いますが、関税引上げの問題が起りましてから、アメリカの業者の日本のカン詰会社に対する相当の引合いがあつたと新聞も報道しておりますが、最近における輸出の状況はどうなつておるかということが一点、それから先般政府の方で自主的な態勢を完了せられておりますが、この管理貿易令に基く、五月一日から実施されました輸出業者に割当てたわくと自由わくとの調整の問題がどういうふうになつておるか。これは先般の委員会におきましても、私いろいろ質問いたしたのでありますが、その調整がどのようにとられておるかという点について、御説明をお願いいたします。
#25
○井上政府委員 今の二階堂委員の御質問の第一は、先ほど外務省の方からも御答弁があつたのですが、今後まぐろの対米輸出の増進、振興について、政府は一層積極的な方策を講ずるように、あるいは今後こういつた問題について、どういう方策を政府として考えておるかという点について、最初に御答えしてみたいと思います。
 今般問題の課税に関する法案の通過防止につきまして、われわれとしまして外務省あるいは農林省方面と緊密な連絡をとつて、今日まで相当努力を続けて参つたという点につきましては、先ほど外務省の方から申し上げた通りでありますが、今後の問題といたしまして、対米まぐろの販路の拡大増進という問題につきましては、まず第一には今後の貿易としまして、一般的に対米輸出、ドル・ドライブが重要であることは言うまでもないのでございまして、今年度の海外に対しまする見本商品の宣伝紹介の重点も、これをドル地域にその重点を集中してやつて行こう、その一環としまして、海外の見本商品の宣伝紹介の機関である海外の見本市、言いかえれば博覧会への日本の参加という問題であります。この海外フエアーの実施、参加につきましては、今年度四千万円程度の予算を計上しまして、米国を中心としましてサンフランシスコ、ニューヨーク、シャトル、カナダのトロントというような地点に見本商品の宣伝、紹介のフエアーを計画中でございますが、そういう機関を通じまして、まぐろ類についても十分な効果をわれわれとしまして期待しておる次第であります。
 第二の問題としまして、輸出組合の問題でございますが、今国会に近く輸出取引法案という名称をもつて上程御審議を願う予定でございます。不当なる競争を防止し、安定した値段をもつて、できるだけ可及的に多くの品物をこちらから出そうということについては、貿易業者相互間の一致協力というか、そういう輸出組合のような体制がこの際どうしても必要であるという観点で、目下その法案を準備中でございますが、この法案通過の場合には、この業界におきましても、関係貿易業者の協調といいますか、一致協力によりまして、従来にもまして一層まぐろの輸出の増進の効果を期待していいのではないか、かように考えております。
 第三の問題としまして、優先外貨制度の改正でございますが、従来は対米輸出につきましては、その輸出しました値段の三%、六%、一〇%というような率をいわばボーナスとしまして、優先外貨として、関係の業者に対して外貨の比較的自由なる使用を認めるというやり方でございます。今年度のダラー・ドライヴを一層推進して参るという観点から、このパーセンテージに改訂を加えまして五、一〇、一五というようなパーセンテージの引上げによりまして対米地域に対しまする輸出のインセンテイヴを一層大きくしたい。かような方法でもつて現在大蔵省その他関係の向きと交渉中でございます。そういうようないろいろな方法を通じまして、輸出の振興に一層の効果的なる方策を採用したいと考えております。
 それから次に第二の問題としまして、先月一日から実施に相なりました対米輸出まぐろの数量調整の件ないしは最近の輸出の現状についての問題であります。これは対米輸出まぐろ対策協議会等の方でも非常に慎重検討を加えました結果、関税問題に対しましてのこちらの自主的な方策としましても、この際対米輸出のまぐろカン詰、て冷凍まぐろについて何らかの輸出調整の方法をこちらの方から自主的に講ずることがむしろ賢明だというわけで、年間まぐろカン詰百万箱、冷凍まぐろ一万二千トンというわくと申しますが、限度を設けまして、先月一日から、すでに実施中でございましたが、冷凍まぐろにつきましては、その半分を過去三箇年に輸出実績を有するエキスポーターにその実績によつて配分する。そしてその残りの半分をエキスポーターの申請によりまして、これを自由競争といいますか、今後の努力によるところの、いわば弾力性をここに十分加えるという方法でもつて目下実施中でございます。こういう方法の実施によりまして、対米輸出の効果的なる増進をわれわれとしては期待して参つたのでございますが、上院の歳入委員会で法の通過という遺憾ながらきわめて残念なる経過と申しますか、そういう事実に今日直面したわけでございますが、今後の上院本会議の問題、あるいは米国政府の善処につきましては、通産省は農林省と一体となつて、外務省を通じまして今後とも一層善処を続けて参りたいと考えております。
 なお最返の輸出の状況につきましての計数等については、今年の一月から四月までの四箇月間の輸出の実績でございますが、カン詰につきましては二十九万二千三百八十六箱、それから冷凍まぐろにつきましては七千百十五トンというのが四箇月間の実績に相なつております。調査措置が実施になりましてから後の最近の具体的な計数につきましては、まだいろいろ調査の不十分な点等もでございますので、なおこういうような機会にこの水産委員会で詳しく御報告申し上げたいと思います。
#26
○二階堂委員 あまり長くなりますので、もう一点だけ水産庁当局にお尋ねいたしますが、この輸出に関する対策といたしまして、水産庁が生産工場を指定するとか、あるいは価格等の統一をはかるとか、品質の向上をはかるというような対策のために、産業施設審議会というものをおつくりになつておると考えるのであります。この審議会ができましてから生産工場を指定されておると思うのでありますが、この工場が幾つ指定されておるかという点と、それからなお今後の輸出対策といたしまして、もちろん企業の合理化等も考えて行かなければならぬと思つておりますが、カン詰工場等の整備につきましても金融の問題が大きな問題となつて来るのであります。この金融の問題につきましては、また後日これを議題といたしましていろいろお尋ねいたし、なお対策を講じていただきたいと考えておりますが、その審議会ができましてからどういうようなことになつておるか、その点ひとつお伺いいたしたいと思います。
#27
○藤波説明員 さつきの御質問の趣旨がはつきりいたしませんが、産業設備審議会でございますか。
#28
○二階堂委員 新聞で施設審議会というものをおつくりになつたという…。
#29
○藤波説明員 そういう話はわれわれ承つておりません。
#30
○二階堂委員 それではあとでこれを調べた上でもう一ぺんお尋ねいたしたいと思います。
#31
○藤波説明員 こちらも詳しく調べてお答え申し上げます。
#32
○川村委員長 石原君。
#33
○石原(圓)委員 カン詰まぐろ、冷凍等の問題が今月九日に突如として上院歳入委員会を通過したことはまことに意外でありまして目下出漁に励んでおるまぐろ漁業者の出漁意識の喪失、これは驚くべき生産減になると思うのであります。またカン詰製造業者、輸出業者等も、この関税はよもや通過しないだろうという一るの望みを残して生産をやつておる、輸出計画をやつておる。こういう点から、これが万一通過したならば非常に重大な結果になると考えるのであります。先刻外務省の方は、多少大統領選挙もからんで、さつそく上院の本会議会にはかからないだろうというようなすこぶる楽観的なお言葉があつたのでありますが、さような意識ではこの問題は、非常な不利益を招くことと思うのであります。この場合私はまずアメリカのアチソン長官に敬意を表さねばならぬと思うのであります。アチソン長官の申されたことを具体的にここに申し述べますると、国内の少数のグループの利益をはかるために――これはアメリカの国内でありますが、経済的国家主義政策をとることは自殺するようなものである。それは必ずや自由世界の結束を乱すこととなり、モスコーに乗ずる機会、すきを與えることとなるのであろうと指摘しておるのであります。アメリカの、しかも国務長官がかように申しておるのであります。また米国のこのような輸入制限強化の傾向に対しては英国も非常に注目しており、このようなことを強行するならば、米国に協力しておる英国の政策に対して重大なる結果をもたらすであろうと抗議をしておることであります。わが日本といたしましても、米国と日本の経済協力の上から申しましても、まことに重大なる問題でありますので、わが水産議員連盟におきましては、昨日トルーマン大統領あて、アチソン国務長官あて、
 バークレー副大統領あてーこの副大統領は上院の議長でありますーヴアンデンバーグ上院外務委員長、マグナソン上院海事漁業分科委員会委員長、以上へ向いまして、日本国会水産議員連盟理事長石原圓吉の名におきまして、まぐろ関税につき御好意ある善処を切に懇請するという電報を打つた次第であります。この問題につきましては、昨年の十二月に大統領及びダレス顧問に対して、同じくわれわれ議員連盟は電報をもつて善処を懇請したのであります。そのときにダレス氏は懇篤なる御返事をくださつたのであります。また今回のアチソン国務長官の言明と申し、アメリカの官庁においては、この問題に対してまことに同情あるところの御意見が発表されておるのであります。しかるに日本の政府はどうか、どういうことをやつておるか。かつて同業者を代表してアメリカヘこの関税問題の陳情に出かけた一向が帰
 つて、そうして聴問会を開いたことがあります。そのときにたまたま北米出漁の問題がありましたが、そのときの西村條約局長の口吻から申しましても、まぐろ関税等を考慮する点から、かに工船の出漁が見合せになる一つの原因にもなつたのであろうという想像もわれわれはせなければならぬような状態であります。一体日本の外務大臣やまた條約局長や水産庁は、この問題に対してアメリカのダレス氏やアチソン国務長官の示したような熱意ある態度が表面化していないのであります。このことを私はまことに遺憾とするのであります。すでにアメリカにおいては、先の連合軍の水産部長であつたネヴイル氏が今度はアメリカの漁業担当官となつてすぐ早がわりをされて日本に駐在をされて、アメリカの漁業擁護のためにやつておる。それにもかかわらず、日本はアメリカヘもその他へも漁業担当官というようなものを出す気配もないということは、まことに遺憾千万であります。こういう点に対してどういうお考えを持つておられるのか、この点の確固たる方針を承りたいのであります。まず一応以上をお尋ねいたします。
#34
○塩見政府委員 水産の米国及びカナダとの関係ついて、今後いろいろ重要な問題があるというために、日本の出先機関にそういうふうな水産の専門家を駐在させるようにという話は、前々から外務省の方に申しておりまするし、先般来たびたび欧米局長からもこの席上で答弁がありましたように、外務省の方においても、できるだけ早い機会にそれを考慮するということになつております。
#35
○石原(圓)委員 はなはだ要領を得ません。これは要領を得ようとするのが無理であります。ここに通産省に対しては私は非常に感謝するものであります。ただいまの説明で、このカン詰等水産物との輸出に対するところの諸種の計画のあるところを明示されて、そうしてその熱意を示されたことをまことに感謝します。それにかわつて外務省の方からは、何もありがたいような、安心のできるような御説明はないのであります。そこで私はここに要求することは、すでに外務大臣も総理大臣の兼務より離れてできたのでありますから、外務大臣を次の委員会へ招致して、このカン詰の問題のみならず、今朝の新聞には台湾の沖合いへ漁業者が出ることを台湾としてははなはだ好まないというようなことを、何らか日本に通告したような記事がありますし、また最近までわれわれが知りたくして知ることのできない朝鮮との関係、また中共との関係、それらのことも専任の外務大臣ができた以上は、十分この点に力を入れて、そうしてわが国の対外漁業の根本的な有利なる解決に進んでもらわなければならぬと思うのであります。よつてこの次の委員会に必ず外務大臣を招致されて、そうして十分対外関係を明らかにし、かつ心構えを承りたいと思うのであります。この点を委員長において必ず実現するように要望いたします。
#36
○川村委員長 ただいま石原委員より、この次の委の委員会には外務大臣をここに呼んで、漁業條約その他外交的漁業の問題について十分ただしたいという御意見がありましたが、私も同感でありますので、本日の懇談会にもこれらの問題を取上げることに一決いたしたいと思いますので、この次の委員会にはそのようにとりはからいます。
#37
○松田委員 私は水産庁、外務省の役人、通産省の役人に対して、まこと
 にお気の毒だという感じを持つておるものであります。まずこのまぐろの問題の根本はどこにあつたかということは、前の委員会にも相当論議されたことであつて、要するに大洋漁業が冷凍まぐろを、吉田総理の承諾を得たとしてアメリカへ一船積んで行つた。それも腐敗していたものを積んで行つた。そしてアメリカの輿論を刺激した。これが根本の原因になつたのであります。先ほど詳細なる内容に対しては、二階堂委員から種々御発言になり、御懇篤なる御答弁があつた。石原委員からも言われた、アチソン長官がモスコーに通ずるというあの言葉は、結局大洋漁業はモスコーに通じておる、そうただいままでの経過からいつて結論づけることができるのであります。またこれに対して現在アメリカにおいては、選挙の問題やいろいろな問題がここにからまつて、遂にかような事態になつたのでありまするが、原因はそこにあつたのであります。要するに日本国民はよく自覚して、日本国民全体の利益のために、自由民主主義国家の連繋をはかつて行かなければならないのであります。ひとりかような誤つた考え方から自己のみの利益をはかる業者があれば、かようなことになつて行くのであります。この原因を、水産庁長官においてもよく認識されておることと私は考えておるのであります。しかるに、水産庁長官は、大洋漁業というものがどういうものであるかということをよく知つておられるが、小さないわしのじやこから鯨までとつておる。これが大洋漁業の実体であります。一方においてはモスコーに通ずる行為を行つておるのが大洋漁業であります。それに対して公海漁業の場合に、大洋漁業に対して三十艘の独航船、同母船を與えた。明年度の公海漁業の場合においては、この事実を長官はよく御認識されて、明年度の出漁に対しては、相当の決意をもつて善処されんことを要望すると同時に、大資本の大洋漁業にあのままの方法でやられたならば、日本の中小漁業、沿岸漁民は全部あの大資本に圧倒されることであります。またアメリカにおいてもよく考えておる。こういうことが、かような大洋漁業と通ずる白洲次郎に対してアグレマンを拒否した現実のアメリカの理由だと一これは私の見解でありますが、考えておる。さような立場から行きましても、日本の漁業を守るべく、またモスコーに通ずるような業者のないようにすることは、一に長官のこれからの決断にまつことと私は考えるのであります。もし長官からこれに対して御答弁があるならば、私はこれを非常に歓迎するのでありますが、御答弁がなくとも、これはやむを得ないことと私は考えております。
#38
○二階堂委員 先ほど農林省の方にお尋ねいたしました産業施設審議会の件でありますが、私がお尋ねいたしましたのは二十七年二月十九日の新聞であるかと思つておりますが、日本経済に、この対米まぐろ輸出の自主的輸出制限と対策についての記事が出ておりますが、この中に通産省においては輸出貿易管理令を適用して、対米輸出の調整に乗り出している。また水産庁では産業施設審議会を設けて、二十七年度から輸出品の生産工場を指定して、品質や価格の統一をはかる準備を進めているという記事が出ておるのであります。この記事は二月で、すでに今日は五月であります。この間こういうような記事がただもつて出たとは考えられませんので、こういう審議会を水産庁が積極的に設けて、そうして輸出振興の根本的対策を立てておくべきだと考えておりましたので、御意見を徴したわけであります。これについて水産庁当局は何ら関知していないというような御返事であつたようでありますが、はたしてこういう話が全然なかつたのかどうか、あるいはそういうことを積極的に考えてすらいないのかどうか、この点をお伺いいたしたい。
#39
○藤波説明員 その点につきましては、去年の暮れにまぐろが問題になりまして以来、担当官のところでそういう研究をしていた、その程度でございます。
#40
○二階堂委員 どうも一番関心をもつて積極的な対策を講じなければならない水産庁の当局は、とることには一生懸命である。とつたものを加工してこれを売るという対策につきましては、私ははなはだ冷淡であるように考えざるを得ないのであります。今の私の質問に対しましても、そういうことは担当官で研究をしている程度である、こういう答弁であります。私はこういうことでは、ほんとうに大局的に見た日本の今後の水産の振興発展というものは、あり得ない。今後の貿易も自由競争の時代に入つて参りましたし、ドル地域とポンド地域との問題、あるいは今後の輸出振興の大きな対策というものは、きわめて深刻なる問題を包含しておるのではないかと考えられるときに、農水産関係の輸出、生糸に次ぐ大きな外貨獲得をいたしておりまする水産の貿易の問題は、業界並びにわれわれも真剣な態度をもつてこれが対策を考慮しなければならぬと考えておるときに、当局である水産庁がどうもそういうことでは、私はなはだもつて遺憾の意を表せざるを得ないのであります。今後積極的にこのカン詰の生産工場の合理化の問題、あるいはこれに要する資金の問題、あるいは原料の仕入れの問題、いろいろな価格、品質の向上の問題等について、もつと積極的な熱意と対策を持つていただきたいということを、この際強く要望いたしておきます。
#41
○川村委員長 委員長からも特に御要望申し上げます。まぐろ関税の問題については、各委員から御発言のありました通りでありまして、私もアメリカ国会の委員会がかような関税をかけることに決定したということは、はなはだ遺憾だと思います。そこで今日になりましたことは、皆様の手続の手落ちであるとは申しませんが、ゆだんをしておつたということが見られるのじやなかろうかと私は思つております。先般北洋のさけ、ます漁業の出漁にしても石原氏から御意見がありましたが、大体一部の了解ができたということで、さけ、ますの出漁は出漁することができましたが、いざ出漁することに決定いたしまして、出漁した際に、アメリカの漁業者の一部から大なる反対があつたということを、先般のマ・ライン撤廃の祝賀会にネヴイル氏と会いまして、そのことを直接承つたのであります。そのことがどうなつたかということをお聞きしましたらば、こちらからも十分意見を述べて、国務省でさつそく漁民を説いて、その空気を抹消してしまつた。今では何ら、さけます漁業の出漁に対して漁民から反対がないということを承つたのでありますが、やはり日本のあなた方も、ネヴイル漁政官がこちらに派遣されておりますので、ネヴイル氏を通じて十分日本とアメリカの国交状態、日本の経済の再建にいかにまぐろの関係が重大であるかということ、あるいは日本の漁民が、もしまぐろ関税をかけられて、そうして漁業ができなくなつた場合には、日本の漁民としてアメリカに対する感情はどうなるかというようなことも十分訴えて、ネヴイル氏を通じて、あるいは外務事務所におられる方々にもよくそのことを通じて、国務省あたりに今後ぜひこの問題を撤回するようにしてもらつた方がいいではないかと考えますので、そのような方法をとることも一つの方法じやないかと思いまして、この点を強く要望しておきます。
#42
○佐竹(新)委員 原則的に委員会の日取りはきまつておるそうですが、これは緊急のことですから、外務大臣が来るときに、農林大臣も呼んでいただきたい。
 アメリカは輿論の国ですから、日本においても輿論を取上げるということにしないと、さつき石原さんの言われたように、石原さんの言われたようなことは政府がやらなければならぬ。政府が何もやられずにおいて、委員会だけでやつてもだめである。やはり外交問題とか、あるいはいろいろな問題は政府を通じてやらせるのだから、どうしても農林大臣に出てもらつて、これは早急にやらぬといけないと思います。農林大臣も呼んでいただくことを私はお願いいたします。
#43
○塩見政府委員 アメリカの国務省の方の意見は、新聞に発表されておりますところのアチソン国務長官の意見でおわかりだと思います。この関税問題の焦点は、やはり、アメリカの国会にあると思います。国会に対して最も有効なのは、やはり民間からの働きかけであつて、その点については、ただちに二階堂委員からお話がありましたように、ことにこの問題に対して利害関係の相当大きい、しかしながら政治的には非常に発言の組織機会等を持つていない消費者等に働きかけるということは、非常に有効な方法だと思います。外務省の方にも、私らの方も、独立後出先機関のそういう点についての活動について大いに活発にやつてもらいたいということを申し入れております。
#44
○川村委員長 ちよつと速記をやめて…。
    〔速記中止〕
#45
○川村委員長 それでは速記を始めて。
 ただいまの佐竹委員の御発言でありますが、ひとりまぐろ関税のことばかりでなく、きようの新聞を見ますと、農林漁業の資金を相当増大して食糧自給政策をとるということを発表しておりますので、農林大臣からそのことを御発表願う機会も得たいと思いますので、この次の委員会には農林大臣も出席するようとりはからいます。
 本日はこの程度にとどめ次回の委員会は二十日、火曜日午前十時から開会いたします。
 散会いたします。
    午後零時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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