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1951/05/20 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第37号
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1951/05/20 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第37号

#1
第013回国会 水産委員会 第37号
昭和二十七年五月二十日(火曜日)
    午前十時五十六分開議
 出席委員
   委員長 川村善八郎君
   理事 小高 熹郎君 理事 田口長治郎君
   理事 林  好次君
      石原 圓吉君    川端 佳夫君
      久野 忠治君    鈴木 善幸君
      二階堂 進君    平井 義一君
      小松 勇次君    水野彦治郎君
      井之口政雄君
 出席政府委員
        外務政務次官  石原幹市郎君
        農林政務次官  野原 正勝君
        水産庁長官   塩見友之助君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (経済局次長) 小田部謙一君
        農林事務官
        (水産庁漁政部
        協同組合課長) 濱田  正君
        通商産業事務官
        (通商振興局経
        理部長)    石井 繁丸君
        專  門  員 杉浦 保吉君
        專  門  員 徳久 三種君
    ―――――――――――――
五月十七日
 委員木村榮君辞任につき、その補欠として今野
 武雄君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十日
 今野武雄君辞任につき、その補欠として井之口
 政雄君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
五月十九日
 伊予灘海域における漁業取締及び水産振興等に
 関する請願(關谷勝利君紹介)(第二八二八
 号)
 忍路港を漁港に指定等の請願(小川原政信君紹
 介)(第二八二九号)
 だ捕漁船乗組員家族の生活擁護に関する請願(
 川村善八郎君紹介)(第二八九二号)
の審査を本委員会に付託された。
同月十七日
 機船底びき網漁業の全廃に関する陳情書(宮崎
 県議会議長日高彌一)(第一八七〇号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 水産業協同組合法の一部改正に関する件
 輸出まぐろに関する件
 公海漁業に関する件
    ―――――――――――――
#2
○川村委員長 これより水産委員会を開きます。
 本日政府委員として水産庁長官塩見友之助君、協同組合課長濱田正君が出席されております。
 水産業協同組合法の一部改正に関する件について、鈴木委員より発言を求められております。これを許します。
#3
○鈴木(善)委員 水産業協同組合法の一部改正する法律案の提出に関しましては、今回の独立を見ない、総司令部の管理下にございました当時から、沿岸漁業団体並びに国会におきましても、その必要を認めて参つたのであります。特に日本の経済が逐次安定に向いましてから、商業資本の漁場に対する進出が非常に激化いたしまして、このままで参りますならば、零細な沿岸漁民の経済は商業資本の圧迫によつて非常な苦境に立至るのであります。そういう時期におきまして、水産業協同組合法の連合会の規模の制限条項を削除いたしまして、そうして現在制約を受けておりますところの組織に筋金を入れて、中央機関を設置して、そうして系統団体が一体になつて、その組織力によつて働く漁民の経済の確立をはかつて行くということは、現下の情勢から見て非常に重要な、喫緊の問題であると考えるのであります。しかしながらこの法案の改正は、ただちにその実施に伴いまして、全国連合会の設立という具体的な問題を伴つておるのでありまして、戦前におけるところの中央水産業会その他の中央機関のあり方等につきましても、十分この際検討を要する点が多々あると思うのであります。そういう意味合いにおきまして、法律の改正条項はきわめて簡単でありますけれども、その法律の実施後における中央機関の設立をめぐる具体的な問題につきまして、慎重を要する点があると思うのであります。かかる観点から、本法案の取扱いは非常に慎重を要すると思うのでありまして、私はこの際委員長並びに委員各位にお諮りをしたいと思うのでありますが、この法案の取扱いにつきましては、水産議員連盟がこの案をお取上げになりまして、衆議院並びに参議院の関係議員によつて、この法案の取扱い、並びにこの法案の成立後における事態に善処する意味合いから、慎重に協議を遂げてしかる後にこの法案を委員会において取上げられるように要請いたしたいと思うのであります。以上のように提案するものであります。
#4
○林(好)委員 ただいま鈴木委員の御意見は私は同感でありますから、賛成するものでありますが、さらにこの協同組合法の一部を改正するにあたりまして、内水面漁業であるとか、あるいはまた広い地区で業種別組合をつくるという場合におきまして、現在の組合法で参りますと、総会が成立しないというようなおそれがあるわけであります。従いまして、そのこともあわせてひとつぜひ御審議をいただきたいということを、つけ加えてお願いを申し上げます。
#5
○川村委員長 ただいま鈴木委員並びに林委員より、水産業協同組合法の一部改正の御意見があつたのであります。これにつきまして委員各位にお諮り申し上げます。鈴木委員並びに林委員の御発言に対して、いかがとりはからいましようか。
#6
○石原(圓)委員 鈴木、林両君の御発言通りに実行せられるよう、賛成の意を表します。
#7
○川村委員長 ただいま石原委員より御賛成があり、他の委員も反対意見のないことと見まして、鈴木委員並びに林委員の御意見の通りとりはからいまして、実行措置を講ずることにいたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
#8
○川村委員長 次に前会に引続いて、輸出まぐろに関する件について質疑を許します。石原委員より発言を求められておりますので、これを許します。石原君。
#9
○石原(圓)委員 このまぐろ関税の問題につきましては、前回の委員会におきまして、外務大臣並びに農林大臣の御出席を求めたのであります。しかるに予算委員会の関係で御出席ができないようであります。ただいま農林政務次官が御出席になりましたが、主要なお尋ねは、外務大臣、外務省に対してお尋ねをいたしたいのであります。その要点は、このまぐろカン詰、並びにまぐろ凍結等の税の問題につきましては、アメリカの上院の財政委員会で税をとることに決議をしたということは、明らかなのであります。そうして情勢によつては、あるいはここ一週間か十日に上院の可決があるということを言うておるのであります。また一面には、これは大統領選挙に対する政治的な含みもあつて、あるいは延びるのではないかという説もあるのであります。しかるにアメリカの国務長官は、非常なる同情のある御発言をしておるのでありまして、これを税をとることは、ソ連に対して一つの武器を與えるようなものであるとまで公表しておるのであります。さように同情のある意見が、アメリカの国務長官より発せられておる際にかかわらず、日本の外務省は何らそれに対する表面化したところの行動がわからないのであります。これはアメリカの政府の同情、好意に対応して、日本の政府としても、これが課税をされないように最善の努力なすべき時期であると思うのであります。それにかかわらず、何らの手を打つていないということは、非常に遺憾な点でありまして、その点を十分に外務大臣並びに外務省の当局にお尋ねをし、またわれわれの意見も述べたいのであります。しかるに大臣も次官もお見えにならない。農林政務次官がお見えになりましたけれども、これは外務省が主となつてやらなければならぬ問題であります。元来外務省は、数百の条約を締結せぬならぬことになつておるわけであります。その場合に、この問題のみ強く叫ぶわけには行かないというような、非常な弱音をはいておる。そうしたならば、主務省としての農林省が、非常に強い意思を表示してそうして外務省の意向がどうであろうが、この漁業関係、漁業に関する税の問題は、農林省が主体となつて強い交渉をする、また外務省を鞭撻するという考え方で行かなければならぬと思うのであります。そうでなければ、外務省にまかしておいたならば、何百の条約を十ぱ一からげの見方をして、その不利益は漁業者がこうむる、漁村がこうむるという結論になると思うのであります。ぜひともこの際、農林省としては毅然たる態度で当つてもらいたい。すでに日、米、加三国漁業協定のときにも、その点にはわれわれは非常な苦心をした点があるのでありまして、またその轍を踏むようなことがあつてはいけない、こう考えるのでただいまの発言をする次第であります。農林政務次官の所見を伺つておきたいのであります。
#10
○野原政府委員 まぐろの関税の問題冷凍まぐろの輸出につきまして、アメリカの下院が輸入税をかける議案を出し、それを可決して、上院の財政委員会でこれが票決になつておるという問題でありますが、その後アチソン国務長官から、これは日米経済協力態勢の強化の面から見ても非常に大きな問題であるので、この際それに対しては慎重に考えて、冷凍まぐろの輸入には関税を免ずべきであるというような強い政治的な主張がありまして、まだアメリカの上院本会議ではきまつていないようであります。これに対しましては、もとより外務当局の責任において、外交的な措置が講ぜられ、国務長官の考え方も、発言も、おそらく外務当局の非常に熱心な外交的な主張があの声明となつて現われたものであるというふうにわれわれは了承しております。農林省として毅然たる態度というお話でありましたが、常にこの問題につきましても、外務当局と緊密な連絡をとつて、農林省の立場と申しますか、漁業の振興を期する上において、この問題に関してはぜひ関税を全免してもらいたいという主張は強くしておるわけでありまして、外務省においても、十分農林省の主張を考えて、いろいろと外交上の折衝に当つておるというふうに外務省の立場を了承しておるわけであります。
#11
○石原(圓)委員 農林次官にひとつ御参考に申し上げておきたいのであります。それはかつてかに工船、まぐろ、さけ、ますの独航船の出漁に先だつて聴聞会を開き、また委員会を開いたことは数回に上るのであります。そのときにかに工船の出漁を一年見合わすという問題が台頭したのであります。そのときのいろいろ質疑応答のうちに、さきの西村条約局長は、これはまぐろの関税との間に微妙な関係がある。そのためにかに工船は今年は見合わした方がよかろうというような意味合いの発言があつたのでありまして、われわれといたしましては両方をからめて、こつちをひつ込めてこつちをどうするというようなことはいけない。公明正大にやるべきだという主張はいたしたのでありますが、結論としてはかに工船の出漁の方を見合わした。今まではまぐろの関税もどうやらとられそうだというような情勢になつたことは、経過においていかに見てもわれわれは西村条約局長の発言を信ずることはできないのであります。そういうことが今後また起り得る可能性があるのじやないかということを心配するのであります。現にアメリカでは、先日も申したのでありますが、すでに漁業担当官というものが日本に駐在した形になつておる。それにもかかわらず、日本はアメリカヘもカナダへも、どこへもさような人を差向けるというような用意がここにあるかないかわからない。すでにアメリカヘは、この税の問題にしても、その他一般水産物の輸出入の関係から見ても、独立と同時に数名の担当官を派出すべきであると私は思うのであります。輸出を増進して、どうしても外貨を獲得せにやならぬのにかかわらず、その主要な農林関係が、駐在員もまだ置くか置かぬかわからぬというようなことでは、私はたよりなくてしかたがないのであります。この点に対して、農林政務次官はどういうお考えを持つておられるのか、お尋ねしておきたいのであります。
#12
○野原政府委員 日米加漁業協定のできました今日におきましては、日本の漁業をこの際できるだけすみやかに回復させて、従来のように思いきりこれを振興させ、漁獲を上げまして、これが加工その他によつて輸出貿易を盛んにし、外貨を獲得するというようなことは、国策としても漁業の振興の面で非常に大きな問題であります。従いまして、農林省としましては、ただいま御主張のように、それぞれ外国に適当な人を常時駐在せしめまして、あちらの情報を得ると同時にこちら側の正しい主張を徹底できるような措置をしてもらいたいということをお願いしているわけであります。ただいままでの経過では、定員が十分ない、従つて農林省のその要求をただちにいれることは困難であるが、定員をふやすように努力をして、近く経験のある適当な人材をこういつた関係の諸国に送つて駐在させるような道をとるという連絡があり、われわれといたしましては、一日も早くそのことの実現を願つておるわけであります。
#13
○川村委員長 外務政務次官石原幹市郎君並びに外務省経済局次長小田部謙一君が出席されております。
#14
○石原(圓)委員 ただいまの農林政務次官の御意見はまつたくその要を得ておると思うのであります。従来外国との関係におきまして、以前には一流の財政家が財務官として海外に派遣されておつた。そのために日本は財政上大きな便益を得たことはしばしばあつたのであります。独立後の今後は、輸出産業に対する官吏の有力な者を諸大国に駐在させる必要がある。これは大使館に直属さしてもよろしいし、また独立の立場でもよいのであります。ただいま申されたように、公務員の定員数というようなものにこだわつておる時期でないと思うのであります。あくまでも海外へ枢要なる人を派するのには、その定員の問題を超越した方法で、急速に人を派すべきであると私は思うのであります。とにかく御方針はよくわかりましたから、一時も早く有力な水産関係の官吏を派出するように、特に希望を重ねて申し上げておきます。なお関税の問題及び漁業条約、ただいま停頓している台湾政府との漁業協定、並びに朝鮮、中共いずれとも停頓をしている漁業関係につきまして、つつ込んだお尋ねをしたいのでありますけれども、それは外務大臣の御出席を待つていたしたいと思います。私は外務関係の質問は今日はこの程度にとどめます。
#15
○二階堂委員 一昨日の委員会におきまして、まぐろ関税の問題について、政府当局にいろいろ質疑を行つたのでありますが、本日は野党の諸君の方からも、特に社会党の佐竹君の方からもこの問題がきわめて重大であるからというので、大臣の出席を求められたのでありますが、求められた御本尊の方もお見えになつておりません。はなはだ遺憾に考えるのでありますが、大臣が御都合がありまして政務次官がお見えになつておりますので、重ねて私は一、二の点につきまして政府当局の御所信をただしてみたいと思うのであります。
 申し上げるまでもなく、まぐろの問題は、わが国の水産、経済界に及ぼす影響はきわめて甚大であります。もしこのアメリカの下院の財政委員会において取上げております法案が通過いたしますならば、ほとんどまぐろの輸出は禁止的な立場に追い込まれるのではなかろうか、かように考えざるを得ないのであります。その結果は、カン詰業者はもちろんのこと、まぐろの漁業に従事しております何万という漁民の生活にも、非常な脅威を及ぼすことは論をまたないのであります。かような観点からいたしまして、今回の米国議会の下院財政委員会がとりました態度につきましては、この前の委員会におきましても私は非常に潰憾の意を表明しておつたのであります。もちろんアメリカの下院の財政委員会においてかような問題が取上げられるに至りました原因には幾多ありましよう。先般来三回の委員会におきまして、この問題を取上げて、これらの原因をいろいろ究明いたし、また政府当局からも御意見を承つたのでありますが、私はこの原因等につきましては、今さらここで申し上げようとは思つておりません。しかしアメリカが日米経済協力を眞に考え、日本の経済自立が将来自由国家群の大きなブラストとなるという考え方からして、日本の経済の自立、経済政策を真剣に考えて来てくれておつたことは御承知の通りであります。私どもも、かような大きな観点から、このまぐろの問題も考えてもらいたいという考え方からいたしまして、非常に遺憾の意を表明したのであります。今日講和、独立をいたしました日本といたしましては、正常な対外交渉を行う機関というものもでき上つたのでありますが、事が今日のような事態に至るまでに、一体外務省の当局とされましては、どういうような手をお打ちになつたのか、あるいはまたこの問題の将来の見通しについて、どういうようなお見通しを持つておられるか。こういうことにつきましての御所見を、外務省当局の政務次官からお伺いいたしたい。
#16
○石原(幹)政府委員 ただいまお話がございましたように、まぐろに関する関税問題がただいまこういう事態になつておりますということは、われわれといたしましてもまことに残念に思つておることでございます。それで従来といたしましても在外事務所等を通じまして、いろいろこの問題について連絡もとつておつたことはもちろんでございます。こちらから、また民間からもいろいろな人が出かけまして、この問題についてこちら側の意見をいろいろ言つておつたことも御案内の通りであります。またアメリカの商工会議所といいまするか、そういう団体を通じまして、いろいろ先方に呼びかけが行われておつたことも事実でございまして、そういう結果が響いたと申しまするか、御案内のごとくアチソン国務長官も、この措置に対して非常に強硬な意見を声明されておりますることは、これまた御承知であろうと思います。そこで日本といたしましても、アチソン国務長官に対しまして、この線に沿つて最も適当と思われる措置を今後もとつてほしいということを願い出ているわけであります。また新木大使も近く赴任されまするので、新大使を通じましてこの問題の善後措置も講じてもらいたい、また新木大使あるいは経済担当官等を通じまして、いろいろこちらの意見、今後の措置等を連絡しておるわけであります。これまたこの前の委員会でもお話が出たかと思いますが、いつ上院の本会議にかかるかはわかりませんが、最悪の事態になりましても、なおまだ行政府の措置というものが一つ残されておるわけでございまするので、先ほど申し上げましたように線に沿いまして、こちらの事情を訴え、向うの善処方を要望したい。ただ先方は議会における活動でございまするので、こちらがそれに対して単に強硬な声明を発するとか、抗議を出すということだけが、この結果を有利に導くかどうかということは、これはよほど皆さん方に御判断を願わなければならぬのでありまして、要はいたずらに抗議書を出すとか、強硬な声明書を出すということが能ではないのでありまして、最も効果を上げるところに置かねばならないという考えからいたしまして、ただいま当局としては、最善の知能をしぼつてこの問題に取組んでおるわけでございます。
#17
○二階堂委員 外務省当局がいろいろ努力された点は認めるわけであります。ただいまの御意見の通りに、私も一昨日の委員会におきまして、いろいろな私個人の意見も申し上げたのでありまするが、政府当局がアメリカ政府に対し強硬な意見を申し入れるということが、必ずしも結果においていい結果をもたらすかどうかということについては、私も石原外務政務次官の御意見に賛成の意見を持つているものでありますが、御承知のごとく、アメリカの今回の関税の問題につきましても、政務次官御承知の通り、内部にもいろいろ意見がまちまちであると考えられるのであります。太平洋沿岸におきましても、北のシヤトル、アストリヤ方面の業者の意見とか、あるいはシヤトルの商工会議所の意見などは、必ずしも今回アメリカの財政委員会が考えておりまするような意見に賛成でない、と思うのであります。しかしまたサンデイエゴの方面のツナ業者の意見、あるいはまたサンフランシスコあたりを中心といたしましたカン詰業者の意見は、この関税引上げについて賛成の意見を表明していることも事実であります。なおまた大西洋沿岸におきましても、ほとんど原料等を外国、南米等に依存しておる関係から、今回のアメリカ下院の財政委員会で考えておりますような法案に対しては、必ずしも賛成でない。業者間におきましてもいろいろな意見がわかれておる。ただ本年は選挙等の関係もありまして、いろいろなことが影響いたしましでかような関税引上げの問題がアメリカの議会に出て来たものと考えられるのであります。かようなアメリカの内部を調査して、わが国といたしましても、政府当局のみならず、いろいろな団体あるいはいろいろな業者等を通して、これらの問題に対する手を打つべきではなかつたか。あるいは今後もまた、そういう点を通して対策を考究して行くべきではないかと考えるわけであります。私は一昨日の委員会においても申し上げたのでありまするが、こういつた問題が議会において取上げられる前に、業者と業者のいろいろな話合いにより、何かの手が打たれたならば、それか一番いい方法である。私は一昨年アメリカを視察して帰つて参りました直後においても、当時の官房長官にも業者の方々にもいろいろお話申し上げたのでありますが、そういう民間の団体あるいは業者を通して日本の水産の実情を説明する点が足りない。あるいはまたアメリカの消費者を通して日本の水産を理解させ、あるいは輸出等の問題を理解させる点もまた足りないのではないか。特にいろいろな新聞とか雑誌を通しての宣伝も足りないのではないか。そういう手をば政府としても積極的にお考えになるのが当然のことじやないか。ことに日本の将来の経済自立を考えてみまする場合に輸出振興は日本の国策の根本でなければならぬ。外貨獲得の点から申し上げましても、水産は大きな力を持つている。この水産の貿易をいかにして振興させるか。それには政府としても十分の手を打つと同時に、民間の業者を通してアメリカのいろいろな団体に呼びかけをさせるという手を積極的に打たれることが、きわめて大切なことであろうかと考えるわけであります。アメリカの方におきましてもこの魚類、特にツナ・カン詰等の消費を一般大衆に強く呼びかけるような機関もあるわけであります。私はその名前を忘れてしまつておりまするが、ワシントンにそうした大きな機関もあります。消費者の団体からある程度の金を集めて、その資金によつて、魚を食え、カン詰を食えという宣伝も非常にやつておる。従つて最近におきましてはカン詰等の消費高は非常にふえておる。その機関からも、日本の業者の方々にも呼びかけて、この機関に協力してもらえば、将来いろいろ起り得るであろう政治的な問題等についても盡力はできる、協力はできるという意見もあつたのであります。こういうような機関を通しても、大いに日本の水産あるいはカン詰等のアメリカ国内における消費を増進させるような手が、当然業者からも打たるべきである。業者自体としては、たくさんの輸出業者、あるいはメーカーもおりまして、なるほど輸出はしなければならないが、しかし向うへ行つて輸出をやろうという努力は個々まちまちである。業者同士がアメリカにおいてお互いの悪口を言つておるような状態も事実でありますから、こういうような業者に呼びかけてもなかなか成果は上らないと思うのでありますが、こういうような輸出振興の対策について、政府として外務省あたりを通して、ある程度の宣伝費等も予算の中に組んで、大きく日本のカン詰等の輸出を増進させる対策を、政府当局としても積極的にお考えになる必要があろうかと考えるのであります。あるいは先ほど石原委員が言われましたように、業者をば在外事務所、領事館あるいは今後は大使館等に駐在さして、日本の水産の実情を訴え、あるいは今後の経済協力のあり方を訴えて協力を求め、認識を徹底させることは当然のことと私は考えて、ずつと前からこの意見を主張して来ているわけであります。こういうような、民間の団体等を利用して貿易の振興をはかるといつたような具体的な考え方に対して、外務省当局は一体どういうふうな御見解を持つておられるか。将来そういうようなことをやろうというお考えであるかどうかについて、御所見を承りたいと思います。
#18
○石原(幹)政府委員 この問題は、今までもそうでありますが、今後もアメリカの官民といいますか、公私の理解を深めて行くことが最も重要なことであることは申し上げるまでもないと思います。それで、アメリカの政府に対しましては、先ほど申し上げましたように、国務長官に対しまして強い申入れと申しますか、願出をしておるのであります。さらに在外大使を通じまして、この問題を今後とも大きく取上げて善処方を要望することは、先ほど申し上げた通りであります。それから一般の問題といたしましては、これも先ほど触れましたように、アメリカに日本における商工会議所のようなものがありますから、こういう機関を通じて一般大衆に訴えてもらうような措置も講じております。今後も講じて行きたいと思います。それから輿論指導と申しますか、輿論指導などということが実はおかしいのでありますが、新聞方面に対しまして従来の経過などいろいろな資料を提供いたしまして、公正な意見、論説を発表してもらいまして、それが先方に響く、こういうような措置もやつておるので、ございまして、御承知のように新聞等でまぐろ関税の問題についていろいろな論説も行われておるのであります。それから今後一般業界との関係で宣伝しろということにつきましては、もつともな御意見と思います。水産庁、農林省あるいは通産省とよく連繋いたしまして、出先の在外公館を通じてこの問題が強く響きますよう、今後とも善処いたしたいと考えます。
#19
○川村委員長 通産省通商振興局経理部長石井由太郎君がただいま出席いたしました。
#20
○二階堂委員 宣伝のことにつきましては、政府対政府が論文みたいなものを発表されて、いろいろな相手国の誤解を解くということは当然のことでありますが、特に今回のような問題にあたりましては、私はアメリカの消費者に強く訴えて、向うの団体からこちらのいろいろな言い分を言わしめることが、最も適切かと考えられるのであります。従来のように役所が角張つた報告を発表するというようなことは、あまり大した力はないと思います。向うの消費者をどういうふうに利用するか、消費者ににアツピールして、そして消費者の方からこちらの言い分をうまいぐあいに言つてもらうというような方法が、宣伝工作においても新しい角度から考えられて行かなければならぬと考えておりますので、そういう点につきましても将来ひとつ御留意願いたい、かように考えるのであります。
 もう一点、通産省の方もお見えになつておるようでありますが、農林省当局にお伺いいたしたい点は、私どもは日、米、加の漁業協定を結ぶ場合におきましても、広く水産の大局的な、将来の世界的な立場を考えて、誠意を持つて話合つてこの協定を結び、またアメリカ、カナダといたしましても、そういうような大きな気持から、わが水産の将来に対しましても、心を砕いて協定を結んでいただいたことはまことに感謝にたえないのであります。今回のこのまぐろの問題がアメリカにおいて取上げられまして以来、わが国の水産界の方々もほんとうに将来の日本の水産のあり方を真剣に考えて、あらゆる手を議して、わが方としてなすべき、是正すべき態度は率直にこれを認めて、是正して行きたいという誠意を持つて、いろいろ自主的な制限等も考えられて来たことは御承知の通りであります。輸出管理令に基いて自主的な通産省の輸出制限をすでに行つて来ておる。まぐろのカン詰は百万箱、あるいは冷凍まぐろにおきましては年間一万二千トンくらいのものを、こちらの方から自主的に自粛して輸出を行つて、そして相手国の輿論を緩和したい。あるいはまた品質の向上にいたしましても、格価問題等におきましても、これは慎重な態度をとつて来たことと、私どもは自信を持つて言い得るのであります。こういうような自主的な態度は、もちろん将来の日本の水産、あるいは水産貿易のあり方をいろいろ考えてみて当然のことと考えるのでありますが、これに対しまして通産省は自主的制限を行つて来た。あるいはまた水産庁当局としましても――先日の委員会において私はちよつとお尋ねいたしたのでありますが、生産メーカーの工場を指定する。価格統制の意味から、あるいは品質向上の意味から、りつぱなメーカーを指定して、そしてそのメーカーにりつぱなカン詰をつくらして輸出する、こういうような対策を水産庁当局は講じつつある。産業設備審議会なるものをつくつて、そして委員のメンバーを設けて、そのメンバーの意見に基いてメーカーを指定して、そしてりつぱな品物をつくらせるというよなう考え方を持つておられるということを私は新聞で見ましたので、それがどういうようなことになつて来ておるのか、具体的に水産庁の方で考えておられる自主的対策がどの程度進んでいるかということをお尋ねいたしたのでありますが、長官もまだ聞いておられない、あるいはまた課長も一向知らないというような御意見を聞いて、はなはだ私は失望いたしたのであります。こういう対策をとる方は水産庁が原局でありますので、積極的にお考えになつて、そしてこの輸出対策を強力に推進する。さらに優秀なメーカー工場が指定されるならば、これに対する資金的なめんどうまでも十分見てやつて、ほんとうに真剣な輸出対策を講じて行くという熱意がなければならぬと考えております。二月中旬ころの新聞に出ておりましたこの案が、いまだに具体的に進んでいないというようなことでは、はなはだ私は当局の輸出に対する誠意を疑わざるを得ないのでありますが、この輸出に関する産業設備審議会の自主的な構想がどこまで進んでおるのか、あるいはこれをどういうような構想に持つて行くつもりであるかということについて、水産庁当局の御所見を承りたいと思います。
#21
○塩見政府委員 非常に大事な問題だと思いますが、まだ具体的にはここでお答えできる段階まで来ておりません。できるだけ御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
#22
○鈴木(善)委員 石原外務次官にお伺いいたします。石原政務次官は二階堂君の先ほどのお尋ねに対して、今回の冷凍まぐろに対する関税引上げがたとい国会を通過しても、それが発効までには行政的に措置すべき手が残されておるというような重大な御意見の御開陳があつたわけであります。なおまた石原政務次官は、日本の外務省がこの問題についてあらゆる観点から最善の努力をした結果が、アチソン声明として非常にいい結果が出て来ておるように思うという発言もなさつておるのでありますが、ただいま石原外務政務次官の楽観的な、あるいは希望的な御発言は、業界としては一るの明るい期待を與えるような感がいたすのでありますが、一体外務当局はそういう行政的な措置、手を打つことによつてこの関税引上げを阻止でき得るという確信をお持ちになつておられますかどうか、また万全の対策を講じつつありますかこの点を明確にお聞きしたいと思うのであります。
#23
○石原(幹)政府委員 これは非常にむずかしいお尋ねでありまして、事は先方の国会並びに大統領といいますか、行政府がやることで、われわれの干渉といいますか、それを許さないことはもちろんであります。ただ日本といたしましては、この問題は日米協力の上におきましても、また日本のドル獲得、漁民に及ぼす影響、すべてにおいてもこれは非常な重大問題であり、同時に今日までアメリカが、日本に市場を與えるとかいろいろのことを言つております点からいたしましても、この問題は何とか有利と申しますか、うまく解決をしてもらわなければならぬという強い念願、希望は持つているのでありまして、そういう線に沿いまして――これは新聞に書かれるとかいうことはちよつと困るのでありますが、先ほど申し上げましたように、アチソン国務長官に対しましても、先般の声明の趣旨に沿つて、長官が最も適当と思われる措置を今後もとつてほしい、こういうことを申し入れているわけでありまして、何もわれわれは、事態を非常に楽観的に考えているとかいうことはないのであります。あくまで何とかしてほしい。それから新木大使の赴任によりまして、この問題をまず取上げてもらいたい。なお現在の武内代理大使その他を通じてよく言つておりますし、マーフイー大使あるいはウエリントン経済担当官を通じましても、この問題は有利に展開するように極力善処してほしいということを、あらゆる方面を通じて申し入れているのであります。ただ結論がどうなるかということについては、私ここで申し上げる段階に至つておりません。
#24
○鈴木(善)委員 独立後第一歩の日本の重要な外交問題といたしまして、私は外務当局が確信ある外交施策を進めていただきたいことを強く念願いたしますと同時に、水産貿易がわが国の自立経済の上に非常に重要なウエイトを持つものであるということを、もう一度外務当局は再確認されまして、全力をあげてこの問題を解決することに当つていただきたいということの希望を申し述べておきたいと思います。
 次に通商条約と、こういうような個々の品目の課税に対する法律、こういうアメリカの国内法と、今後日米間に締結されますところの通商条約等におきまして、最恵国待遇等の措置が締結されました場合のその関連性についてお尋ねしたいと思うのであります。
#25
○石原(幹)政府委員 この問題は、経済局次長が参つておりますので、そちらから一応お答え申し上げた方が正確かと思います。
#26
○小田部説明員 通商航海条約との関係でありますが、通商航海条約は現在まだ交渉中でございますが、通常の通商航海条約の形で言いますと、これがアメリカとの場合も当然でございましようが、関税に関しては最恵国待遇ということがきめてございます。最恵国待遇と申しますと、アメリカに入る同種の品物、つまりまぐろで言いますと、まぐろに関しては、日本から輸入されるまぐろは、第三国に比べれば高い税金を課せられないというのが通商航海条約の従来の慣例でございます。それで関税をそのまますえ置いてくれとか関税を引下げてくれとかいう話は、これは通商航海条約と別に、いわゆる関税及び貿易に関するジユネーヴの一般協定というのがありまして、日本がこれに入りますれば、アメリカでまぐろのみならず、その他全般にわたつて日本もある関税をすえ置く、もしくは低くするかわり、アメリカもある関税を低くしてくれるか、あるいはすえ置いてくれ、こういう交渉ができるのです。これはアメリカの方は今互惠通商法というのがありまして、それに基いて大統領は現在の関税の多分半分までだと思うのでありますが、それまでは引下げができるというのです。ところが、アメリカは貿易及び関税に関する一般協定というものができますまでは、個々に関税引下げの協定をしたこともありまして、これはたとえばまぐろで申しますと、油のまぐろのカン詰に関してはメキシコとの間にそういうのがあつたのでございますが、それがこういうような一般協定というものができましてからは、その一般協定のわく内でのみ交渉することになつておるのでございます。それでそういうふうな貿易及び一般協定に関しましては、この七月か八月かに総会がございまして、その六十日前には日本政府としても入りたいという申込みをしたいと思つております。もつともこの協定に関しては、占領中からアメリカと一緒に入りたいという意志表示をたびたびして来たのでございますが、いろいろな諸国との関係がありましてまだ実現しなかつた、そういうふうな大体の状況でございます。
#27
○鈴木(善)委員 ただいまの国際関税会議と申しますか、一般協定と申しますか、これに日本が加盟いたしまして、そうして国際会議というか、一般協定において関税の引上げ等を折衝する、このことは、私ども昨年渡米いたしまして、まぐろカン詰の問題等について協議いたしました際に、国務省当局が唯一の残された道として提案しておつた案件でありまして、これに対しては私どもも非常に期待を持つておるわけであります。そこで政府は七月のこの国際会議の総会に、カン詰並びに冷凍まぐろ等のこの禁止的な不当な高関税を、妥的な線まで引下げるように折衝される御用意を持つておるかどうか、この点を御質問したいと思います。
#28
○石原(幹)政府委員 先ほど経済局次長からお答え申し上げましたように、ガットに対しましては、先般来から入りたいという希望は申入れております。ただ中に相当数の国で反対しておるところがありましたので、でき得れば全部の同意を得た上で入りたいということで延びておるわけでありますが、大体見通しがつきかけておるようであります。それでそれに加入いたします際には、こういう問題も十分検討といいますか、協議を遂げて行きたい、こういうつもりでおります。
#29
○川村委員長 井之口委員。
#30
○井之口委員 アメリカにおけるまぐろカン詰の関税の一方的引上げに対しましては、自由党の各位からもいろいろ不満が述べられているわけでありますが、これを解決する問題といたしまして、日本が今日最も効果的な方法はどういうふうにとつて行かなければならぬかというのが、これからの問題になつて来なければならぬと思うのであります。たとえばいろいろな外交官を派遣いたすにいたしましても、あるいは大使が任命せられるについても、もし日本の政府における方針が、ただ向うに対してお願い申すというふうな方針、ただ向うにお願いして、何とかお慈悲にすがつて行こうというふうな方針を採用せられている限りは、幾らたくさんの外交官を送つたからといつて、それで向うで強硬な外交はできるものではない。日本がかつて独立していた時分において、外国から関税が引上げられて来る場合には、これに対して当然強硬な交渉をやる。その強硬な交渉をするためには、日本においても、報復関税を立てるとか何とかいう断固たる態度をこつちでとつて、初めてこういうことが折衝もできるものだし、お互いに相互的な利害が対等に決定せられて行くものだつたのでありまして過去における日本の歴史がそれを証明しているのであります。しかるに現在はどうかといえば、現在は日米経済協力とか何とかいうふうなものがありますけれども、その実際上の問題はとにかくとして、もし日米の間に経済が言葉通り協力されてでき得るものとするならば、こうしたカン詰の問題なんかはすぐ解決できなければならぬ性質のものだ。ところが、こうした日本のごくわずか残されているカン詰の輸出、アメリカから見れば輸入、こういう問題でも禁止的な関税をかけてこれを拒否することになつたら、波及するところの影響は非常に大きいのでありまして、現にやれ玩具に対する関税の引上げ、あるいは自転車に対する関税の引上げ等、日本のごくわずかな、遅れた生産品に対してでさえもほとんど禁止的な関税をかけようとしておると、向うの外国電報は報じて来ておるのであります。日本が今断固たるところの態度をとつて、そうして自分の要求すべきことは要求する、その要求に対して向うが不当なる態度をとるならば、われわれはそれに対して断固闘う。たとえば、見てごらんなさい。今度の行政協定によつて、アメリカから軍人、軍属並びにその家族が持つて来るものに対しては、何ら関税はかけないというのだ。向うから入るものに対しては何ら関税はかけぬ。しかるに日本から行くものは、たつたこのまぐろのカン詰一つでさえもほとんど禁止的な関税をかけて、日本の輸出ができないというようなことになつたら、ドル不足ドル不足と新聞で騒いでおつても、それの解決する道はほとんどない。日本の外務省としては、この大きな点に目をつけて、そうしてここで独立をしたというんだつたら、その独立をしただけの方針を採用すべきがあたりまえじやなかろうかと思うのであります。見てごらんなさい。市場にあふれておるところの化粧品だとか、あるいは菓子類あるいは密輸入されて来るんでありましようが、小さな小指ほどの金時計、こういうものがどんどん入つて来て、日本の小さな平和産業はみなつぶれて行きよる。日本の平和産業を平和産業として育成して行くためには、政府自体が明確なるところの方針をもつて、そうして妥当なるところの立場から要求すべきものは要求する。そうしてそれを向うが聞かなければ、これは先ほど二階堂委員が言われておりましたが向うの自由国家群なるものが日本にとつてはくその役にも立たぬということだ。この点を明らかにして、自由国家群なるものは実にこうした国際間の相互の繁栄ということでさえも考えないものなんだということを明確にして、日本の根本的な方針を打立てて行くのがあたりまえじやないかと思うのですが、外務省においてはそうした断固たる態度をとる方針はないものか。もしかりに報復関税を立てるとすれば、そうしてこちらでもつてやつて行くとすれば、どういうような方針が考えられ得るものなのか、全然そういうものは考えようともしないものかどうか、この点をひとつお聞きしたいと思います。
#31
○石原(幹)政府委員 先ほどもお話ししましたように、この問題は、米国の議会のいろいろの動きに対しまして、国務省当局を初め政府は、むしろその動きに対して強く反対の態度をとつておるのであります。そこで日本政府といたしましても、この国務省当局の措置並びに今後の進め方に強い期待を持ちまして、協力を願い出ているというところでございます。何も少しも卑屈な外交をやつておるわけでもございませんし、この際またいろいろお話になつたような措置を、ここで急速にとらなければならぬという問題でもないかと思つております。
#32
○井之口委員 そういう断固たる態度をとつておられれば、これは非常にけつこうなことであります。さてもしも向うの行政府においてこれを反対しておるということであるならば、日本の方でも、たとい日本の立法府が弱腰であろうとも、日本の行政府においてもまた強力にこのことは主張できるものじやなかろうかと思います。そうしてそれがどうしてもいれられない場合には、打つ手としては、やはり実力にたよるほかに方法はない。実際そうだ。そういう方法はあなた方一つも考えられておられない。実力ということは、単に大砲を持つたり原子爆弾を持つて戦うということじやない。われわれはあくまでも国際間の情勢を達観して、そうして日本の経済が立つて行くように、世界の各国に単独講和が不合理であるからして、この講和の状態を改善して、これをもつと全面講和に広げてやるいろいろな方法を考えて、政府として日本のアメリカから輸入されるものに対して報復関税がかけられないとするならば、国民の日本の生産品の愛用運動というような一大国民運動でも起し得るのであります。そうした点に対して何ら考慮することなしに、ただ向うの行政府にお願いする、向うの行政府から何とかしてくださるだろうという、こういうことが卑屈な考えでなくして、一体どういうことが卑屈な考えなのか、われわれとしては日本を独立させるためには、あくまでも日本の毅然たるところの態度は必要だと思うのでありますが、この点に対していかがお考えになりますか、重ねて質問申し上げます。
#33
○石原(幹)政府委員 何ら卑屈とはわれわれ考えておりません。
#34
○川村委員長 小高委員。
#35
○小高委員 外務政務次官にちよつとお尋ねいたします。わが国の水産貿易を語る場合に、当然将来起つて来る問題であろうと思うのでありますが、為替レートの点につきまして、外務省当局の御意見を承りたいと思います。ただいま問題となつておりまする輸出カン詰等の経済上の問題でございますが先般イギリスがポンドの切下げをして貿易関係の円滑化を期した、こういうようなことを考え合せますとき、祖国日本の、今後の国際経済に伍しての為替レートの問題は、このまますえ置きでいいであろうかということは、一応識者間において論議されておることでございますが、これは大蔵大臣の管轄でもあろうと思いますが、また同時に外務省のきわめて強い管轄でなければならない、かように存じておるのでありますが、わが国の産業復興という意味において、為替レートの問題はどういうように政府間において論議研究されておるか、その点をまずお伺いしたいのであります。
#36
○石原(幹)政府委員 これはやはり日本の財政政策あるいは輸出入対策、すべてに関連しまする非常に重大な問題ありますので、私がここでいろいろのことを申し上げることはできないと思いますので、大蔵大臣その他から御見解をお聞きしていただきたいと思います。
    ―――――――――――――
#37
○川村委員長 次に公海漁業に関する件について質疑を許します。石原君より発言を求められておりますので、これを許します。石原君。
#38
○石原(圓)委員 公海漁業のことはたくさんありますから、大部分は大臣にお尋ねすることにいたしまして、さしあたり最近の新聞に、台湾の政府が台湾の近海へは日本の漁業者、漁船は来ない方がいい、来ることは不利益だということが新聞に出ておるのでありますが、これは具体的にそういうことを台湾の政府より申入れがあつたのでありましようか、ただうわさでありましようか。それはまた外務省を通じてかあるいは水産庁へ直接かあつたのであるか、そういう点につきまして御説明を願いたいのであります。さきに日本の漁業会社等が技術及び漁具、漁船を提供して、台湾の政府と共同経営をするというようなことが大いに持ち上つて、そうして一部の日本の資本漁業会社と申しまするか、台湾の政府かもしくは台湾の漁業者かいずれかとさような申合せと申しまするか、あるいは合弁と申しまするか、そういう方法で漁業をすでにやつておるのであろうかと思うのであります。これに対しては私は一個の意見がありまして、台湾のみならず太平洋のいずれの国とも、日本が技術と漁具、漁船を提供して、そうして漁業を営むことは、日本の漁業者の将来の発展性を阻害するものである、こういう意味に私どもは考えておりまして、なるべく合弁で技術及び資本を提供することはなくしたい、こう考えておるのでありますが、それに対する考え方、並びに最近台湾から何らかの申入れがあつたのでありましようか。このことは中共、朝鮮、その他の漁業協定につきまして非常に重大な関係を持ちまするので、一応お尋ねをする次第であります。
#39
○石原(幹)政府委員 第一点の台湾近海の問題でございますが、これは外務省においてもまだ正式には何らそういう話を聞いておりません。隣りに農林省の方がおられますので聞きましたら農林省の方にも何せそういう正式なものはない。ただ何かそういううわさ話といいまするか、そういうことはあるやに聞いておるというお話でございました。次の点は農林省の方から……。
#40
○塩見政府委員 日本の占領期間中に台湾におる前の天然資源局長のスケンク氏のあつせんで、台湾に根拠を置いて漁業をやつて、台湾の需要に充てるという意味で、日本の漁業者の方はどういう形態で進出したらいいかというあつせんがあつて、外務省のあつせんで民間の代表が行つて、いろいろと話合いをしたということはございまするけれども、それは今まだ具体化はしておりませんし、独立後において政府間の話合いの軌道に乗せて進みたいというふうに、外務省の方は私の方から申出ております。まだその点については具体的な、公式なものになつておりません。
#41
○石原(圓)委員 朝鮮並びに台湾の全般の協定が思わしく行かなくて停頓の状態にあることは公知の事実でありますが、そのうちの漁業関係は困難な状態のうちに入つておりますか。この漁業協定だけならば早くできるのだが、他の問題がからまつておるからこんとんとしておるというのか、あるいは漁業協定がむずかしいために他の条約もうまく行かぬというのか、その辺の情勢につきまして、これは外交的な問題でありまするが、日本の漁業者の不安並びに今後の動向についての方針が非常に定めにくい今日でありますから、何らかのヒントを與える意味で、御説明が願えたならば非常にけつこうだと思います。
#42
○石原(幹)政府委員 日韓会談が停頓にあります点は、御承知かと思いますが、請求権といいますか、朝鮮にあります日本の財産の処理の問題についてこれが非常にむずかしい点に乗り上げておるわけであります。部分的には大体妥結を見ておるものもあるのでありますが、それで全体がまとまらない、こういうことであります。水産関係の問題につきましても、これは先方が例の李承晩ライン、ああいう考え方を主張いたしておりますが、わが方はいわゆる公海の建前を主張しており、水産の問題についても両者の意見が一致していないということも現実であります。
#43
○石原(圓)委員 朝鮮との漁業協定の問題でありますが、李承晩がはなはだ不当な、不合理な方針を発表した、そのことが停頓の一つの理由になつておるように思うのでありますが、御承知のように、朝鮮の漁業は明治時代以前より日本の漁業者が全部開発したのでありまして、その当時より技術も資本も漁具も漁船も、全部日本の漁業者が持つて行つて、単に朝鮮の労働者を雇用関係のもとに使つてだんだん開発した。その事案が厳然と残つておるのでありまして、従つて現在でも朝鮮の海岸の津々浦々には日本人の所有地、根拠地その他種々の設備もあるわけであります。また明治時代から今日まで生存してやつているところの人は、日本の漁業の指導を非常にありがたく感じつつある。しかも日本の漁業の指導のために、朝鮮の海岸の漁民が全部生活の安定を得たという喜びは、今も持つておるのでありまして、こういうことを今の李承晩初め政府は知らない。その関係から、ただ表面の論議のみにとどまつておると思うのでありますが、私はこの際、日本の古い漁業経営者と朝鮮の漁村の古老の人々とが十分懇談することができたならば、朝鮮の情勢は一変すると思うのであります。そういうことを何らかの方法で実現をしてもらいたいということを強く要望しておる次第であります。これは台湾とかあるいは支那沿岸とは全然違うのでありまして、朝鮮だけは特殊の歴史を持つておると思いますので、そういう点を特に調査研究をされて、そして民間の同業者の意見の交換、意思のそ通をはかるように、特に私は希望を申しのべておきます。公海漁業についてはもうこの程度にとどめまして、通商産業の問題で少しついでにお尋ねをしておきます。
 まぐろ輸出の実況は現在どうなつておるか。税がとられるとか、とられぬとかいうようなことを予想してまぐろ及びカン詰の輸出をしておるか。またどういう見通しをつけておるか。今日まで輸出しておるならば、その実績はどうかということ、並びに輸出入銀行及び開発銀行は、水産物の輸出についてどういう現実の使命を果しておるかこの点を通産省の方より概略の御説明をお願いしたいと思います。
#44
○石井説明員 まぐろカン詰や水産物の輸出は、御案内のごとく全部が国産品でございますので、いわゆる外貨のかせぎ率が最もよろしいわけでありまして、たとえば綿花等を輸入いたしまして、わずか二〇%、三〇%程度の加工費その他をかせぐと違いまして、全額が外貨収入と相なる。従いまして、まぐろカン詰等の約一千万ドルに上りまする輸出は、綿製品の五千万ドル見当につつかうわけでございます。従いまして通商省といたしましては、これらの輸出を大いに伸張させるという見地から、種々の対策を講じておるのでございますが、油づけカン詰の輸出がやや伸びますると、関税が上つて参る。そこで塩づけが昨年約七十万箱出ておるのであります。従来百四十万箱までの油づけカン詰が出ておつたのでありますが、これが昨年一月に行われました関税引上げのために、全然皆無にひとしいような状態になりまして、かわりまして塩づけカン詰が約七十万箱ほど出たのでございます。冷凍まぐろがまた油づけカン詰の輸出減少の身がわりといたしまして、数量が相当伸びておるのでありますけれども、これに対しまして、さらに関税問題も起つて参るというような、いわゆる因果関係と申しますか、関連関係に悩んでおるわけでございます。このような問題が起りまする根因にはいろいろございますが、従来ダンピングの傾向が非常に強かつた。これは水産金融といいますものが、一般の運転資金でございましても、六箇月、八箇月というような非常に長期資金を要しまする関係上、なかなか銀行筋の通常金融に乗らない。そこでどうしてもLCを早くとりまして、LCづきの貿易手形の融資を受けるということに相なるわけであります。そうしますと、バイヤーから買いたたかれる。それから銀行といたしましても、長期の金でございますので業者の採算はどうしても不利になつて参るというような、非常に弱いポジシヨンにあつたと思うのでおります。そこで先ほど来御意見もございましたように、あるいはチエツク・プライス等を設けまして、自主的に価格を押えるまた数量的にも、各種の交渉を通じて得られました数量的な限界を引くというようなことも必要でございますが、いかにいたしましても、水産業者の資金的な基礎を強くしてやり、輸出金融を円滑にしてやりまして、売りたたくあるいは買いたたかれるというようなことのないようにやるのが、一番だと考えておるわけでございまして、今回の国会におきまして、輸出信用保険法を改正いたしまして、ドル地域向けの輸出前貸し金融並びに見込み生産金融のための政府保険の制度を設けたのでございます。輸出前貸し保険と申しますのは、輸出品の輸出契約ができておるけれども、まだ信用状が参つていない、この段階におきまして、銀行が金を貸しました場合に、その輸出が不能になりまして回収できない場合に、七五%を保険金として政府が支払おうという制度でございます。それからもう一つの方の見込み生産金融でございますが、これはもつぱら農水産物、雑貨等の生産に適用する意図をもつてつくられた制度でございまして、これは御承知のように、水産物等は集荷の時期がある。従いまして現実の輸出の引合い等が行われませんでも、魚をとれる時期になりますれば、魚はとらねばならぬ。ところが契約等に結びついておりませんから、かつ処分される時期が将来に延びますので、金融がつかない。この結果を見きわめますために、見込み生産の品目に載つておりますものにつきましては、過去の実績あるいは将来の市況等を見通しまして、通商産業省におきまして資金の所要の認定書を出す。これを持つて参りますれば銀行が――丙種信用保険と申しておりますが、これにつけまして金を貸す。もし不幸にいたしまして、海外から引合いがなく、あるいは価格等の関係で輸出ができないということに相なりますれば、その差損を政府が保険するというようなことになつておるのでございます。これは要しまするに、弱い輸出業者ないしは製造業者の資金的地位を強くいたそうという趣旨でございまして、これにはもちろん保険料を徴しまして、長期的な見地から見ますれば十分に商業的ベースに乘つておる仕組みにいたしておるのでございます。趣旨は、ハヴアナ憲章等がございましていわゆる政府が輸出のために特別な奨励金を出すということは、これは認められないことでございますので、どこまでも保険料は附加保険料をとりまして、そうしてそれを全体としてプールいたしますれば、保険料を払いましてもコマーシヤル・ベースに立つということ々考えつつ、この保険制度を運用いたしておるのでございます。輸出銀行の融資の関係というお話がございましたけれども、輸出銀行は御案内のごとく、設備に伴いまする長期資金の供給を対象といたしておりまする関係上、現在の同銀行の業務の範囲では、このような運転資金の融通はいたしかねることに相なるのでございます。従いましてその欠陷を補うためにただいま申し上げましたような丙種の輸出信用保険制度をもつて補完いたしておるというように、御了承願いたいと思います。なおこの保険制度におきましては、丁種保険の制度をさらに施行いたしておるのであります。これはドル地域向けの本邦生産品の輸出のために、販路拡張の宣伝、広告、あるいは日本品の委託販売というような活動をいたす必要があるのでありますが、従来の輸出商社あるいはメーカーの力をもつていたしましては、なかなかその全部を自力ではいたしかねるのであります。この点は先ほど二階堂委員からのお話もございましたけれども、それを補いまするために、業者が輸出の計画を定めまして、その計画に一定の販売、広告、宣伝というような費用を積算いたしまして、政府と契約をいたすのであります。たとえば昔からよくありましたかにのカン詰でありますが芸者ブランドという有名なしるしがございました。これは今はないのでございますけれども、この銘柄を売り込むために、これだけの広告をアメリカでいたす。広告費も実は非常に高いのでございまして、これらの費用を自力ではとうていやり得ませんので、もしその後の輸出が、販売利益で費用が全部カバーできないという場合には、五〇%を保険金として政府が支払う。このような保険制度を設けまして、この地域向けの輸出の伸張をはかつておるわけでございます。
 御質問の要旨は、水産物の輸出をどう考えるかというお話でございますが大体ドル地域向けでございまして、その持つておる意味は非常に強いのでございますから、ただいま申し上げましたような助長政策をとつておる次第でございます。
#45
○石原(圓)委員 この問題は、よほど重大に考えてもらいたいと思うものであります。ことに輸出銀行を輸出入銀行として、輸出も輸入も融資の道が開けた。それから開発銀行もまた輸出物の生産増強という意味が含まれておるのでありまして、この問題はさらにあらためて論議をしたいものと思うのであります。この場合、まぐろ及び真珠この二つの問題に対して、通産省は輸出の増強にどういう対策を持つておるか。御承知のように、繭と生糸の価格調整の制度ができた。この繭と生糸と同一に、まぐろ及び真珠の輸出に対しては、政府は対等の取扱いをすべきものであると考えるのでありますが、通産省はどう考えておられるか。それからまぐろでありまするが、このまぐろの関税をとろうというのは、アメリカのカン詰業者、関係商人のみが政治的に動いて、いろいろな方法でやつておるのであつて、アメリカの需要者は決してそういう考え方は持つておらぬと思う。ことにアメリカでも豚や牛肉が減つて来て、それにかわるのには、どうしてもまぐろ及びかつお等のカン詰がなければならないという情勢になつて来ておると思う。だからこの難関を突破したならば、いくらでもアメリカは買い取るに違いない。真珠も同様なことが言えるのであつて、ある有産階級の一部の人のみがそれを嗜好品としてやつておるので、アメリカ全体として広まつていないのであります。よつて私は、関税ということよりは、この宣伝――通産省が中心になつて、アメリカその他の津々浦々まで真珠、まぐろカン詰、まぐろの冷凍、及び生糸等は極力宣伝に努める。その宣伝費は国家が負担するということに対しての大きな考え方で検討して、これの実施をすみやかにしてほしいと思うのであります。また制度の上からは、まぐろも真珠も価格調整の制度を、生糸と同様にすべきである。私は輸出のことは、将来それさえ実現できれば、楽観していいと考えておるものであります。それらの点についてどういう御方針を持つておられるか。私の意見に全然同調して、それの実現を期する御意思があるのか。その点を伺つておきたい。
#46
○石井説明員 まぐろその他水産物の海外における広告、宣伝活動を大いに活発にせよという御趣旨には、まつたく同感でございますが、ただ一般会計の財政負担といたしましてこれをいたしますることは、先ほど申し上げましたけれども、ハヴアナの貿易憲章等におきましては、政府がそのような助長をいたしてはいけないということに相なつておりまして、直接に輸出品の広告費を全部政府でもつてやるというわけには参らないのであります。そこで先ほど申し上げましたように、コマーシヤル・ベースに立ちまして、相当の危険のある広告、宣伝費の支出でありますから、業者も一定の金額の二分なり三分なりを政府に保険料として納めよ、そうしますれば、もし宣伝費が爾後の販売でカバーできない場合には、政府はその半額を持とう、このようなたとえて申し上げますならば、丁種保険制度を活用いたしまして、政府みずからがいたすよりも、やはりその道に一番詳しく、かつ勘どころをつかまえておられます業界の、活動にまつべきものであると考えておるのでございます。もちろん在外事務所等におきまする、たとえば日本品の展示でありますとか、あるいは各種の輸出品の市場開拓のための見本市、その他輸出品の展示会、このようなものには、財政面からも相当の経費の計上がございましてこれは遺憾なく取付いたいと考えております。
 次に糸価安定の関係でございますが商品の性質から考えまして、生糸についての糸価安定と同様な施策をとつたらいかがか、こういうお説でございますが、糸価安定と、実は今度行いますドル地域向け輸出品、ことに見込み生産品の金融保険とは、実は同工異曲なのでございまして、生糸の方におきましては、政府が一定の値段より下れば買い上げ、一定の値段より上ればこれを売り放つというようなことを、政府会計で直接にいたしておるということになつておるのに対しまして、業者の金融力を補強いたしまして、業者の手元で何も売り急がなくてもよろしい、一方にはチエツク・プライスを設けまして、ダンピングを防ぐという措置に出ておるのでございます。もちろん重要な輸出品につきまして、この価格安定をいかなる措置を講じてはかるかということについては、ひとり輸出の業者の問題だけではありませんで、相手方の国の問題でもございましようし、重要な問題でございますけれども、現在の財政力をもちましては、もちろん信用保険への資金の繰入れという程度をもちまして、この制度を活用して金融面からの、圧迫を緩和して、チエツクプライス制度とも相まつて、その価格の安定をはかつて参りたい、こう考えておる次第であります。
#47
○石原(圓)委員 私の意見と相当相違があります。海外の販売、宣伝については、通産省では展示会というようなものに重きを置くような御意向のようでありますが、展示会なるものは至つて不徹底である、ことにその展示会に従事する海外へ出張する人々が、海外の遊山のような形のことが往々ある。真剣にならない。真剣になつても、大都市の一小部分にしかその問題は普及しない。津々浦々の大衆のところへはとうてい徹底しないように私は思うのであります。日本にも現在信州の一部などは、まぐろやたいのさしみは、見たことも食つたこともないという人がある。そうして少し腐敗しかけたような塩物、干物でなければ好まないというような、日本自体も、こんな水産国でもそういう地域すらある。ましてアメリカのごとき国の津々浦々に、日本の水産物や輸出品が行き渡ろうはずがない。私はどうしても普遍的にアメリカその他の国々の津々浦々へ行き渡るように、浸透するような宣伝の方法を講ずることを切に希望するものであります。ぜひこの案を立ててもらいたい。国費でこれをやつて行くことは当然であると私は思う。金融の問題については後日に譲ります。問題は、あくまでも積極的に販売に関する国の力、及び当業者も前年度の輸出額に対する幾らかの分担をして、ことしの宣伝費の足し前にするというような制度も、実行に移していいと思うのであります。まず宣伝を徹底的にやるように、強く要望をいたしておきます。
#48
○川村委員長 田口君。
#49
○田口委員 水産物の輸出が振興しそうで、なかなか飛躍的に振興しない。こういつたような関係があるように考えるのでございますが、この原因につきまして、私靜かに考えてみますのに今までのこの水産貿易品の金融の行き方が間違つておつたのじやないかということを、つくづく考えるのであります。それと言いますのは、水産物の場合におきましては、在庫品というものがほとんどないのでございますから、見込み生産で輸出する製品を製造をしなければならぬ。言いかえますと、見込み生産に対する金融の問題、これが今日まで貿易業者を通じて生産者に金融をする、こういうような状態であつたのであります。ところが戦後における貿易業者というものは、非常に群小の小さい貿易業者たちがたくさんありまして、一人の貿易業者で、世界の市場をあらゆる方面をにらみ合わして商品を動かす、それだけの実力のある貿易業者というものはほとんどないのであります。各貿易業者の販路に対する能力を見てみますと、ほんとうに一局部だけを見て、その地域だけその人が貿易をしておる、こういうような状態でございまして、かくのごとき貿易業者から見込み生産のために金がまわされておる、言いかえますと生産者はこの貿易業者の見込み生産金融のために商品をつくらされておる。そうしてその人に商品をまかしておるのだが、さてその貿易業者は一局部だけの貿易能力しかない、何かの都合でその地域の貿易がうまく行かなかつたということになりますと、生産業者は品物をつくつてどこかに早く出したいのであるが中に貿易業者が入つておるために、その品物が動かない、こういうようないわゆる見込み生産を、水産物のごときはやらなければならないし、その見込み生産金融が、貿易業者を通じて生産者にわたつておる、こういうような二つのことが水産貿易振興を大きく阻害をしておるように私考えるのでございます。ただいま石井部長のお話によりまして、ややこの問題について大蔵省的の考えでなしに、農林省あるいは通産省の考え方の金融方法が織り込まれておるように考えるのでございますが輸出信用保険法の運用にあたりましては、ただいまのことをよくひとつお考えになりまして、これの対象が、貿易業者を対象ということでなしに、生産者を基礎に対象として運用をして行かなければならないと考えるのでありますが、その点について通産省が、今までの金融状態によつて水産物の貿易が非常に阻害されておる、この事案をはつきり認識しておられますかどうか、もし認識があるとしますれば、これから先の輸出信用保険の運用は、生産者を基礎にして運用される、こういうことになると思うのでございますが大蔵省的の考えによりますると、生産者というものは、対象になる大きなものも非常にあるけれども、だんだんこう小さいようなものまであつて、なかなか相手にしにくいのだ、こういうような考えで、従来は貿易業者に主として金融をして、それが生産者の方にまわつておる、こういうような実情でございますが、これはそういうような小さな業者もありまして、全部を網羅するということはなかなかむずかしいと思いますけれども、生産者のうちには相当な規模を持つて、大きく仕事をしておる、言いかえますと、そういう金融の対象にしてはずかしくない、また間違いがない、むしろ一部の貿易業者よりもその方が確実である、こういうような貿易業者が非常に多いのでございますから、その点をひとつよく御考慮になりまして、輸出信用保険に対する対象は、少くとも生産業者を中心にしてそうして貿易業者に及ぶ、こういうような運用をされんことを私は常に考えておる次第でございますが、この点について、石井部長はいかなるお考えを持つておりますか、簡單でよろしゆうございますから、御答弁をお願いいたします。
#50
○石井説明員 輸出信用保険の丙種保険で扱います金融の対象は、ひとり輸出業者のみでなく、生産業者も十分考えておるのでございまして、これは法律の第六条の第二項にも、銀行が輸出者または生産者に対して見込み生産の資金または輸出前貸しをいたした場合政府が保険会社に対して保險する、このように法文にも明らかに書いておる通りでありまして、従来われわれといたしましても、輸出水産物の生産業者の実態の把握に相当努力いたしましてやや実態をも把握しておるわけでございますので、ただいまの御趣旨のように、生産業者も輸出業者と同様な地位で十分金融を受けられるようにしたいと考えております。
#51
○川村委員長 本委員会終了後、台成繊維漁網綱の普及に関する小委員会がありますので、本日の委員会はこの程度にとどめます。次会は公報をもつてお知らせいたします。
 散会いたします。
    午後零時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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