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1951/06/12 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第43号
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1951/06/12 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 水産委員会 第43号

#1
第013回国会 水産委員会 第43号
昭和二十七年六月十二日(木曜日)
    午前十一時十三分開議
 出席委員
   委員長 川村善八郎君
   理事 小高 熹郎君 理事 田口長治郎君
   理事 永田  節君 理事 林  好次君
   理事 佐竹 新市君
      石原 圓吉君    冨永格五郎君
      二階堂 進君    松田 鐵藏君
      小松 勇次君    水野彦治郎君
      木村  榮君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 岡崎 勝男君
 出席政府委員
        外務事務官
        (欧米局長)  土屋  隼君
        水産庁長官   塩見友之助君
 委員外の出席者
        参議院水産委員
        長       木下 辰雄君
        農林事務官
        (水産庁次長) 永野 正二君
        専  門  員 杉浦 保吉君
        専  門  員 徳久 三種君
    ―――――――――――――
大月十日
 漁業取締方策の強化に関する陳請書(福岡県知
 事杉本勝次)(第二二五九号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 水産業協同組合法の一部を改正する法律案(参
 議院提出、参法第一〇号)
 公海漁業に関する件
    ―――――――――――――
#2
○川村委員長 これより水産委員会を開きます。
 前会に引続き水産業協同組合法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。小松委員より発言を求められておりますので、一これを許します。小松君。
#3
○小松委員 この際私は水産庁当局にお尋ねいたしたいと思うのであります。この協同組合法の一部改正、すなわち組合法八十九條の撤廃は、まことに必要かつ緊急を要することでありまして、この法律改正そのものには私どもは特別の問題はないのでありまするけれども、しかし私は次の諸点についてこの際明らかにしなければならない問題があるのでございます。八十九條の撤廃によりまして期待される連合会のあり方は、原則的に、参加される各組織の合意かつ一致した意見により決定運営さるべきはもちろんでありまするが、指導に重きを置くか、経済行為に重きを置くかの問題はかなえの軽重を問うべき性質ではないと存じます。水産業の現状をもつてすれば、指導はもちろん必要な仕事でありまするが、また正当かつ公正な経済活動の伴わない協同組合の存立運営は、資本主義経済のもとではあり得ないと存じます。しかしながら漁業部門のこれらの組織活動が他の部門、たとえば農業部門のそれに比して、著しく立ち遅れておる事実はいなめないのであります。この際この点は私どもは率直に認めなければならないと思いまするが、さらに制度改革に伴う協同組合の切りかえも行われ、協同組合の育成強化に拂われた当局の努力も少しとはしないのでありますが、率直に申せば、それも十分とは言えず、また必ずしも当を得たとは言えないのであります。変動激しい戦後経済の中にあつて、弱小者の結集である協同組合の運営は苦難であつたが、今後の経済情勢の変動に対処する協同組合の前途は、いよいよ多端、困難であると存じ産す。かく観じ来りますときに、問題は単に連合会を結成することそのもののみに要点があるので、なくして、独立後の日本経済の再建にあたつて、当局がいかなる方策をもつて強力に協同組合の育成強化に特に意を用いるかいなやにかかつていると存じます。協同組合育成強化の要点は、協同化の対象とその方途にあると存じます。さらに協同組合を支える経済地盤を深くも広くつちかう政策を、継続的に適切に行うことによつてこの実効があげられると存じます。協同化の対策は、漁業労働の効率高度化、生産設備、生産様式の協同化等が大事だと存じます。こういう問題に対して水産当局はいかなるお考えを持つておるか、この点をお伺いしたいと思います。
#4
○塩見政府委員 小松委員の御質問にお答えいたします。協同組合の育成強化において、連合会の育成のみが中心にはならないことは御説の通りだと思います。単協からしつかり固めまして、それで上の組織が確立するという方向でもつて進めるべきものと存じます。しかしながらその單協がほんとうに充実するためにも、上の組織がなければある段階でとまつてしまうという点もございますので、私どもは八十九條のような制限は経済自主性にそぐわないものと存じますので、これは撤廃して、もつと漁民の要望するところに従つて自主的に連合会が結成さわ、従つて下部の単協の方までもそれによつて強化されるという方向が正しいと存じております。企業の内容等につきましては、これはいろいろ問題がありますので簡単には申し上げられないと思います。それは生産面の協同化も、流通面の協同化も金融面のそれもみな必要であるわけでありまして、現在最も痛切なものと考えられますのは、やはり金融面が伴うということが現下一番急務じやないかと感じております。
#5
○石原(圓)委員 協同組合の問題は再三論議されるのでありますが、従来は要するに三百という数に制限されておる点が非常に窮出なのであります。この三百以内というような制限をつけたということはどこから出たかと申しますと、これははなはだ不徹底なのであります。多分連合軍の指導が織り込まれたと思うのでありますが、一つにはまた全漁連より中水に移つて、それが閉鎖されたということにも関連を持つたものでなかろうかと思うのであります。これは真相がわからないから起つたことであります。アメリカでは十でも十五でも、また三百でも、とにかく気の合つた者が申合せして一つの組合をつくり、連合会をつくるということが実情になつているそうであります。ところがそれをすぐに日本へ当てはめて、そのようにしようというのが連合軍の指導方針であつたに違いないと思うのであります。しかるに日本は状態が違うのであつて、諸種の団体は大かた府県、郡というような行政区域を単位とした組織になつている。またそれが国民全体の慣例であり、習慣である。それを五県でも七県でも連合すればいい、一県でも幾つかの単脇が連合すればいい、それは自由にやればいいということなので、自由という点からは非常にいいのであります。自由にやつていいならば、全国漁民の要望である全国を一つにするということをどうしてさせないのか、部分的なことは民主主義だからやらせる、全国一つにするということは、たとい全漁民の要望であつても許さぬ。こんなに矛盾したことはないと私は思う。全国一つにすることが希望ならば、それを認めるのが民主主義なのである。だからこの際全国一つにでき得るように法律を改正するということは、当然であると思うのであります。ただその間に、中水等の閉鎖機関になつたことをもつて今後全国的なものをつくるごとに恐れをなすというような一部の点があるように思う。但し単に指導機関として全国的のものができても、現在の漁村経済協会がよく似たものでありまして、これは指導だけやつておりますが、とうていその経費の出道に困る。こういう事実があるのでありまして、全国的の指導だけの連合会をつくつてもこれは決して振わない。どうしても経済行為を許さなければならない。経済行為を許すのには非常に不安があるというのでありますが、中水がどういうことで不安の種になるか、これは非常に根拠がないのであります。閉鎖機関になつたからというのでありますが、閉鎖機関になつた根源は、終戦後中水の職員、労働階級の方面に争議があつたということが原因をなしたのであつて、中水そのものの内容が非常に悪いからなつたというのではないのである。それらのことが非常にこんがらがつているのでありますが、ともかく日本の諸種の団体は、農業団体でもその他の各種の団体でもみな行政区域を単位としてできているのであつて、これを部分的にやりたいものはやらせる、全国的のものをつくるのもよろしいというのがほんとうの民主主義であると、私は思うのであります。ゆえに全国的のものを許すのにはどうしても経済行為もやらさなければならない。その経済行為をやらすについては、全般的に不安を與えないで、順調に漁民の福利を増進するようにするのにはどうしたらよろしいかという指導方針があれば、一応聞かせてもらいたいと思います。
#6
○塩見政府委員 この協同組合法の建前自体が、民意によつて浅短にかなつた申請をして参りますれば認可はいたしますけれども、これはきわめて形式的な認可でありまして、これは六十四條にございまするが、設立の手続又は定款若しく事業計画の内容が法令又は法令に基いてする行政庁の処分に違反する場合を除いては、設立の認可をしなければならない。」こうなつておるのでありまして、設立自体に対しては弐わめて形式的な認可になつておるわけでございます。法全体の建前がそうなつておるわけでありますが、全国的な団体ができた場合の経済行為に対して、政府がどういう方針で臨むかということに対しましては、私どもとしましては、それが構成メンバーである単位漁業協同組合連合会等に大きな利益を與えるという形でありますれば、金融面その他あらゆる面について、行政的にできるだけの御援助を申し上げるということは考えておりまするが、その内容自体に対しましては、経済の実態に即応しまして、どれが構成メンバー、漁民の経済の安定に最も役立つかというふうなことによつてきめられるべきもので、今具体的にどういう行為に対してというふうなことは、はつきりと申し上げるだけの研究を積ん餐おらない状態餐あります。
#7
○石原(圓)委員 仰せはごもつともでありまして、法律が認めて全国的の団体が民主的にできる場合は、認可制度になれば認可をすればそれでいい、それ以上のことはそのときに至らなければいけないという御意見はごもつともであります。そこで私が考えるのには、すでに参議院においてはこれが通過したようでありまして、農業その他各種の全国的な団体がそれぞれできているのでありますから、この際委員長におかれては、小委員会に付して案を立て、あるいは適当な方法でわが党の首脳部の納得のでき得るような方策を急速にお考えになつて、ぜひこれが涌過するような御処置を希望一する次第であります。
#8
○川村委員長 ただいまの石原君の発言もありますが、石原君の御発言に対しては、あとで各委員に一応お諮りをしたいと思つております。まだ質問者がありますので、質問を許したあとでこれを決定したいと思つております。
#9
○小松委員 私は同僚の質問に関連してなおお尋ねしたいのであります。私がお伺いした協同化の対象については、水産庁長官から生産設備や生産様式の協同化だけでなくて、さらに重要な問題は、金融方面も必要であるというお話である。もちろんその通りだと存じますが、そこでお尋ねしたいのは、今回この法律改正によりまして、全国協同組合が組織されるという場合において、この金融面の仕事をつかさどるところの信用事業は、これを今回できる全国漁連のごときものに信用事業を取扱わせるのか、または現在あるところの府県の信連の連合会というものを別途につくろうとするのか、また現在の中金との関係はどういうぐあいになるのか、この点を重ねてお伺いしたいのであります。
#10
○塩見政府委員 金融につきましては、それは法律のつくり方で、やはりそういう大きい問題は立法府の方でおきめ願うのが適当ではないかと存じますが、私どもが行政をやりながら感じまず点は、金融面についてはやはり漁業者、あるいは漁業団体の内部で資本を蓄積して、それを内部でのみ回転して行くというふうな形では、どうしても現下の要請には十分にはごたえ得たいので、どうしても政府資金なり、あるいはその他必要に応じて農民の方で集つておりますところの資金というふうなものを、水産の方へ導入して来る組織というふうなものを、しつかり宝せる必要があるのではないかと考えておるわけでございまして、それが順次発展して参つて、漁民の方も経済的に安定してしつかりした基礎を持つて、それで自前で十分な資本を利用できるところまで資本蓄積が進みますれば、独立した水産の方の団体でやることも考えられまするが、金融面につきましては、これは季節的な需要の片寄るような関係もございまするし、なるべく広い範囲で相互融通がきくような形が金融には適合した制度ではないかと考えておりますが、それにつきましては、やはりその仕事は順次固まり、軌道に乗つて行つたその段階において、判断をくだして立法をしていただくのが適当ではないかと考えております。
#11
○小高委員 私は先般の当委員会において、八十九條を撤廃することについてはすみやかに撤廃すべしという意見を開陳したのでございまして、この趣旨においては依然としてかわりはないのでございますが、その後において内容を全般的に検討いたしてみますと、この法律が押しつけられてでき上つたものであるということから考えますとき、これに対してただ單に八十九條ばかりでなく、全面的に検討を要するのではなかろうか、かように思うのでございますが、この点木下参議院水産委員長はいかがにお考えになつているか、お伺いいたしたいのでございます。
#12
○木下参議院水産委員長 お説の通り協同組合法には不満な條項が多々あるようであります。しかしこれは両院米産委員会において十分検討いたしまして、逐條的に検討いたした上でやる問題である、かように存じまして、漁民の熱望の的となつている八十九條のみをまず撤廃することがいいじやないかということで、あとまわしにいたしております。
#13
○小高委員 今木下参議院水産委員長の御答弁によりますと、とりあえず八十九條のみを撤廃するという御意見でありますが、しかしその言葉中、かつての押しつけられた時代のものであるというような解釈から、他にも検討を要すべき規定がないでもないというような意味に聞こえたのでありまするがゆえに、私はさらにこれは全面的に慎重を期して行くべきものであろう、かように考えますので、委員長においてしかるべくおとりはからいを願いたいのであります。
#14
○川村委員長 皆様にお諮りいたします。先ほど石原君より、本問題の解決のためには小委員会に付託するか、もしくはその他の方法でまとめて行く弁が非常に有利ではないかというような意味の意見もあり、さらに小高君よりただいまの御発言もありますので、皆様にお諮りいたしたいことは、本案は理事会で十分検討して結論を出した方がいいのではないか、かように考えますので、さようとりはからいをいたしたいと思いますが、いかがでございましようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○川村委員長 御異議がないようでありますから、明日から理事会において十分検討いたして、その結論を出したいと思つております。
 本日は水産業協同組合法の一部を所正する法律案についてはこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#16
○川村委員長 次に公海漁業に関す件について調査を進めます。去る四日及び昨十一日の両日にわたり外務委員会と連合審査会を開会し、同委員会に付託になつております北太洋の公海漁業に関する国際條約及び北太平洋の公海漁業に関する国際條約附属議定書の締結について承認を求めるの件について慎重に審査を重ねて参りましたが、この公海漁業の問題は、本委員会といたしましても特に関心を持つ重要問題でありますので、本日はこの問題について十分に調査を進めたいと思います。この際質疑の通告がありますのでこれを許します。なお岡崎国務大臣並びに土屋欧米局長が政府委員として出席しております。石原君。
#17
○石原(圓)委員 昨日外務委員会との連合審査の際の質疑の残りをお尋ねいたします。この問題の批准につきましては、御承知のように、水産委員会の空気は非常に険悪であります。従つてできるだけ核心に触れた質疑応答をしておく必要があると思うのであります。その意味においてまず第一にお尋ねいたしたいのは、この條約のアメリカ及びカナダの国会における進渉状態参はどういう程度でありましようか、一応承つておきたいのであります。
#18
○岡崎国務大臣 米国におきましては、ただいま審議中でありますが、灰関するところによりますれば、おそらく今月中には承認がせられるものということであります。カナダの方はまだはつきりいたしておらない点がありますが、ただいま状況を調査中であります。
#19
○石原(圓)委員 そうしますと、わが国の国会は、あるいはまた延長されるかもしれませんけれども、一応この二十日までになつております。すでにアメリカは今月中かかる。そうしてそれが認められるか認められぬかまだわからない。カナダもほぼ同様に見てよいと思うのでありますが、そういうことになるとしますと、わが国が今期の国会においてこれを認めることは、かえつて早過ぎるという感がするのでありますが、外務大臣はどうお考えになつていらつしやいますか。
#20
○岡崎国務大臣 私は早過ぎるとかおそ過ぎるということはないと考えておるのであります。他国の足並を見て批准するかしないかを決定するのではなくして、この條約に対する国会独自の意見をまとめられるものと考えております。また国会にかけられた上は、政府としては、むろんその国会の会期中に承認を得ることを強く希望しておるのは当然であります。各国の例を見ましても、たとえば対日平和條約もアメリカがどうなるか、よその国がどうなるかわからないうちに、一月にはイギリスが批准を了した。要するに他の国もその国会の会期等の関係上、早かつたりおそかつたりいたしますけれども、他国との足並をそろえるという必要はないものと考えております。
#21
○石原(圓)委員 私の見るところでは、これは否決になるか、保留になるか、とにかく難航と見られるのでありまして、そういう場合、この問題がいずれになつても、すでに出漁しておるさけ、ますの独航船、また明年はぜひとも出漁せねばならぬところのかに工船、これらに支障の起らないようにしておくことが必要であると思つて、ただいまのお尋ねを申したわけであります。たとえば、これを否決しても保留しても結果は同じであるか、保留の場合と否決の場合と認める場合と、この三つの場合における相違点を御説明願えればけつこうであります。
#22
○岡崎国務大臣 批准した場合と否決した場合との相違は御説明するまでもないと思います。保留というのはどういう意味かはつきり私にもわかりませんが、たとえば何かの留保をつけるというような場合には、また新しい交渉をいたし、その留保を各国が承認すれば、また各国でそれらについての調印をし、批准をするという手続で成立する場合もあるわけであります。し弘らずんば意見が合わないで成立しない、こういうことにもなるかもしれない。そう考えております。
#23
○石原(圓)委員 私は、この問題は非常に重大であるから、否決すればその結果は一番よくない。批准をすればもう論はないことでありますが、それは日本の側における非常な反対がある。これは昨日来の現実の空気でもう御承知だと思うのであります。従つて保留をするということが最も妥当でなかろうかという考えから、お伺いをしておるのであります。保留ということは、要するに議会の言葉で申しますれば、審議未了というか、何かごこにこれを否決しない方法をとれば、実際の日本の出漁には支障がないのでなかろうか一私は支障がないと信ずるのであります。もし支障があるとすれば、そのある根拠を御説明願つておきたいのであります。ことに保留をするについては種々の理由があります。私らは、この條約を独立しない前に成立をせしめることはまだ早い。であるから、いよいよ契約を成立せしめるまでは、関係の現地をそれぞれつぶさに三国が立ち会つて調査すべしということを、強く要望をいたしたのであります。しかるにその現地を調査することには外務省も農林省も耳をかさなかつた。実際この事態を憂うるわれわれ水産常任委員会の要望、意向を用いなかつた。そうして今日に至つたのでありまして、今日でもいよいよ批准をして署名をするまでには、ぜひとも現地を調査する必要があると、ますますその感を深くするのであります。その理由といたしまして、アメリカにおいてもカナダにおいても、満限ということをしきりに強く主張します。中には満限に達しておるところもあるかもしれないが、満限に達していないところもあるかもしれない。広い漁場でありますから、それを一様に先方の言うがままに満限に達しておるとみなして條項をきめるということは、早計である、こう考えるのであります。これに対してはどういうお考えを持つておるか。それからまた科学的な調査、厳密に現地において実情調査をしなければならぬと思うのでありますが、この現地の調査も何らできない。もう一つは保存措置であります。その保存措置なるものを、実際に全般にわたつて協調した地方でやつておるかどうか、やつておるところがあれば、やつておらぬところもあるのではないか、こういうことを私は信じておるのであります。全部やつていないというのではないが、一部はやつていないけれども、その一部はやつておると称してこの交渉に先方は臨んだということに、私どもは信じておるのであります。としたならば、先方の言うがままにこれを信じて認めることは、必ず向うの交渉に乗ぜられたという形になると思う。従つて満限に達しておるかどうか、全部達しておるか、一部より達しておらぬのではないか。それから科学的な調査は、先方の言うように、たとえば人工孵化をやつておるとか、そういう点はどこでやつておるのかという調査をする必要がある。また保存措置もどの方面はやつておるが、どの方面はやつていないということを確かめて、そして彼らの主張通りなればそれに同調しなければならぬが、それがその通りに行つていなかつたならば、これに対する処置をとらなければ、わが国が非常な不利益になると考えるのであります。この点に対する御意見を伺つておきます。
#24
○岡崎国務大臣 私どもも、もちろんこういう問題についてはいろいろ資料の提供を受けて、自分なりには研究をいたしましたけれども、もとより外務省は水産の専門家でもなし、また水産についての主管官庁でもないのでありまして、これらの具体的ないろいろの問題については、主管官庁からのいろいろの説明を受け、資料の提供を受けまして、これによつてわれわれは、たとえば魚種についても、長年研究されて信頼するに足る資料があると信じておりましたし、また保存措置等についても、この際はこの程度で満足し得るものと考えましたのでこういう協定をいたしたのであります。もつとも保存措置等については、さらに今後委員会が調査をいたし、実際の報告を各国にするようになつておると考えております。
#25
○石原(圓)委員 なるほど私の申し上げた満限の問題、科学的な施設調査の問題、保存措置の問題、この問題は水産庁が実際の担当の範囲かと思います。従つて水産庁の主張を信じて外交的な面から方針をきめたということはあり得ることと思うのであります。しからば水産庁の方では、この三つの問題は信ずる程度まで調査研究が徹底しておるのかどうか、その点をお伺いします。
#26
○塩見政府委員 資源問題につきましては、現在日本の沿岸においても各種の魚種について研究は進められておりますけれども、この資源問題に対する研究というものは、歴史も浅いし、いろいろな説もございまするので、そういう点については、科学的に非常に完全な資料はなかなか急速にはでき上りにくいわけでございまして、大体専門委員会等において技術者あるいは経験者が集まりまして、この程度のデータによつて判断するほかに現在の段階では方法はないということできまつたものと承知しておるわけでございます。
#27
○石原(圓)委員 そこで私は現地の調査をする必要があるということを言うておるのであります。聞くところによりますと、アラスカにおいてはユーコン川の流域等においては、人工的に保護繁殖の方法を講じられておるが、アメリカ合衆国側におけるコロンビア、フレーザー川のごときは、何らさような施設はしていないということを、私は信ずべき筋より承つておるのであります。そうであるならば、ますます現地の調査ということが條約締結に先がつて必要であるということをいわなければならぬのであります。私の申し上げるところのこのアラスカ沖における実情、それからアメリカ合衆国のこの二つの川の流域沿岸等に対するこの問題は、水産庁はどうお認めになつておりまするか、一応お尋ねをいたします。ちよつと訂正します。私の申し上げたのはちようど反対です。ユーコン川の方はやつておる、こつちはやつていないということは、反対にお聞取りを願います。訂正します。
#28
○永野説明員 アメリカにおけるさけに関する資源保護の制度は、非常に歴史も古く、いろいろな機械的な方法でやつておるのでございます。(「いつごろからか」と呼ぶ者あり)昭和の初めでございますが、さけ、ますは、海洋において成長して、産卵期に川に上つて来るわけでございますので、これが最も能率的にとれます川口及び川における保存措置は、徹底した方法でやつておるのでございます、ただその対象がアリューシャン列島の全部について同じような方法で行われておるかどうかと申しますと、アリューシャン列島の方においては、アラスカの本土の川のごとく徹底した方法で行われておるわけではないと、われわれは承知をいたしております。
#29
○石原(圓)委員 すこぶる不徹底でありまして、天然の繁殖に対する処置と人工に対する処置がどうなつておるか、どこでどうしておるかということがこの問題の根拠になると思うのであります。そうでなければ満限の問題も、保存措置の問題も、徹底した意見が立たないはずであります。従つて満限の問題、科学的調査の問題、保存措置の問題、この三つを根拠として、わが国の利益のためにも、また漁業を継続して行く点にも、また現地を調査するということの合理的な方法をとることに対して、アメリカ、カナダは決して拒むものではなかろうと思う。よつてこの際保留が最も妥当であると信ずるのでありますが、もう一応これに対する外務大臣の御意見を承つておきたいと存じます。
#30
○岡崎国務大臣 この三国の漁業條約は、三国間で十分に話合いをいたしまして、ただいまお話のような実地調査の問題も、ただいまのところは提供された資料で十分に信頼され得ると考えまして、協定を結んだのであります。従つて政府としては、ぜひこの国会でこれを承認されることを希望しておる次第でございます。
#31
○石原(圓)委員 私は第一意見としては、否決すべきであるという意見でありますけれども、これを一歩讓りまして、保留とすることが最も妥当と考えるのでありまして、強くこの意見を主張したいと考えております。この問題はこの程度に止めます。
 ひとつ大臣の御意見を承つておきたいのでありますが、それは漁業に関係する官吏を海外へ駐在せしめる問題であります。すでに連合軍の水産部長であつたところのネヴイル氏が、そのままアメリカの漁業官名前はどういう名前がほんとうかはつきり知りませんが、漁業を担当する官吏として日本に駐在しております。そうしてこの人の意見が、この間のかに工船の出漁を見合すことの一つの原因になつたかのように間接に聞いておるのであります。従つてその事実はあるかないか知らぬのでありますけれども、すでに連合軍の水産部長として日本の漁業のすべての制度、條約を指導した水産部長が、今度はアメリカの官吏となつて日本に駐在しておるのであります。このことをどうお考えになりますか。どういう影響を持つものであるか。この点から考えまして、万一に亀過日の工船の出漁見合せがアメリカの漁業担当官の勧告や忠告でそうなつたとしますと、これに反駁を加える理由をはつきりと調査研究するところの機関として、アメリカ及び関係諸外国に日本の漁業担当官がいなければならぬと思うのであります。そうしなければ、先方は先方の状況を、アメリカはどうだ、カナダはどうだと理由を申し述べて勧告したりすることができるが、日本の駐在官がいない場合は、何にもそれを反駁するほどの根拠をつかむことができないわけであります。その関係が、今後国際漁業に対して日本に及ぼす影響は大きいと思うのであります。今までにすでにアメリカやその他カナダとか諸外国へ漁業の担当官を、駐在させておく大使、領事等のもとに同時に派遣して、あるいはそれ以上に、独立以前にかような漁業協定をしなければならぬというような場合は、いち早くこつちから漁業駐在官を向けて置かねばならなかつたのではなかろうか。もうすでに今日では遅いことであるが、今後ただちに関係諸外国へ漁業担当官を駐在せしむべきである、こういうことを強く希望し、要望したいのでありますが、これに対する御意見を伺つておきたいのであります。
#32
○岡崎国務大臣 第一に日本政府の工船に関する決定は、アメリカ側のそういう専門家の勧告等によつてなされたものではないのでありまして、これは昨日農林大臣の御説明の通り、日本政府で考えまして、これが最善の方法であると思つたので、その措躍をとつたのであります。アメリカの制度は、一時的に漁業の担当者をここに残して置くということもあり得るようにできておりまするが、これは恒久的のものではないように私は承知しております。つまりアメリカの国務省なりの組織法から見ますると、そういうものを必ず置くという制度にはなつておらないようでありますが、日本の立場からいいますと、いろいろの問題がありますので、漁業の駐在官という問題もあり、あるいは絹についての駐在官、あるいは東南アジアの方については米の専門家を置くべしということもあり、あるいはジュネーヴ等の国際労働機関のある所には、労働省の労働専門家も海外の大公使下に置く、いろいろのことがあるのであります。通産省関係のものは貿易の面で行つており、大蔵省関係のものは財政の面で行つておる。それはいろいろ各省においても希望があり、農林省でも農林大臣からいろいろ連絡がありまして、ただいまもその問題を研究中であります。ただ、今のところ政府としては予算が十分計上されてありませんので、さしあたりは、問題の生ずる前後に専門家を派遣するということは当然いたすべきものと考えておりますが、恒久的に置くかどうかという点は、さらに研究しつつある次第であります。
#33
○石原(圓)委員 かに工船の問題はアメリカの駐在官の勧告やその他でない、あくまで日本政府の自発的の措置であると申されたことにつきましては、それ以上追究をいたしませんけれども、結局本年出漁を見合せたという政府の責任はまことに重大であります。この結果はやがて現われると思うのでありまするが、少くともことしの冬はどうかもしこれが実現しなかつたということになれば、何の條約をやつてもむだじやないか、政府はむだをやつておるのではないかという結論になると思うのでありまして、この点は強く反省を促しておくものであります。
 なお漁業担当官が恒久的でないということでありますが、むろん恒久的でなくとも、今日ただいま問題になつておるかような日、米、加の條約のような問題、またやがて起るところの朝鮮その他との国際條約の協定をすみやかに結ばなければならぬという今日ほど、その必要があるといわなければならぬのでありまして、こういうときにこそいち早く諸外国へ駐在官を置いて、その国の情勢を早くごつちに報道せしめ、またある場合には外交的な融和をはかるということが、最も必要な時期であるといわなければならぬのであります。恒久的のことはさらに考えるといたしましても、さしあたりさつきゆうに担当官を定めて出すことを特に要望いたしまして、これで打切ります。
#34
○川村委員長 小高君。
#35
○小高委員 昨日水産外務連合委員会において岡崎外務大臣にお尋ねをいたしたのでありますが、時間の都合もあつたせいか、大分答えが簡単で、少々受取りがたいのでございまして、一部その点にも触れて御質問いたしたいと思うのであります。本問題は国際関係を有するがゆえに、私どもも、これが否決されたり保留になることがいかに影響が大きいかということをよく存じておりますので、好意的に取扱つているのでありますが、全国漁民が納得し得ないようなことであつてはいけないので、さらにお尋ねしたいのであります。
 北太平洋の公海漁業に関する国際條約の第二條の一に、「締約国は、この條約の目的を達成するために、北太平洋漁業国際委員会(以下「委員会」という。)を設置し、」云々とあるのでありますが、三国の漁業條約におきましては、アトカ島を基点とする百七十五度線は、遺憾ながら私の了承する範囲においては、結論が出ずぐずぐずになつているやに了承しておつたのであります。しかるところ、この條約の目的を達成するために、第二條にうたつてある委員会ができてからそれらの線をきめると思つておつたのでございますが、議定書によりますとすでに五箇年間自発的に抑止するというようなことがうたつてあるのであります。かようなことは前後するかのごとく思うのでございますが、岡崎国務大臣は外交専門家であられるが、こういうことが往々にして国際條約の場合にあつてよろしいものかということを、いま少し詳しくお伺いいたしたいのであります。
#36
○岡崎国務大臣 われわれは今まで提出されたいろいろの資料等に基きまして、大体においてこの線は妥当なものであるというふうに考えざるを得ないのであります。従いましてそれは将来厳粛に調査すれば多少動く場合があるかもしれないが、暫定的ならばこの程度の線は適当であると考えましたので、議定書でさように決定したわけでありまして、こういう種類のことは、問題は違いましても国際間の協定等においてはしばしばあることであります。
#37
○小高委員 そういたしますと、この條約の目的を達成するために北太平洋の漁業国際委員会を置くということが、どうも百七十五度線が中心になつて議論があつただけに、すこぶる不可解になるのであります。国際條約において往々にしてこういうような先例があつて許されているということになりますと、私ども再び考え直さざるを得ないのでありますが、ほんとうにそれでよろしいのでしようか。
#38
○岡崎国務大臣 ほんとうというのはよくわかりませんが、私の申したことは間違いないのであります。国際條約の中でははつきり決定しかねる場合もありますが、大体各関係国の代表がここらだということになれば、暫定的にそういうものを認め、あとでさらに詳細に決定するということはしばしばあることであります。
#39
○小高委員 しばしばあるということになるとまた別になるのでありますが、この百七十五度線について、国際的公海自由を日本が放棄したという先例だというふうに世界各国が見ているということを考えますると、これは今後に及ぼす影響が非常に大きいのじやなかろうか。李承晩にいたしましても、中共にしても、あるいはフィリピン、濠州みなさように考えて、一線を引かんとする気構えがあるやに見受けておるのでありますから、これからこの條約が国会の承認を得て成立するということになると、そごらの点を国際間の疑惑を招くことのないように、何とか修正なり、再交渉なりなさる御意図があるかどうか。これは水産日本を建前とするわが国の当然の主張であり、希望であつていいはずなのでございますが、この点いかがにお考えになつているか。
#40
○岡崎国務大臣 私はこの線は公海における漁業の自由等を制限したものではないと信じております。昨日魚がある、ないという議論はありましたけれども、つまり一定の魚種についての抑止水域であつて、従つてそれらの以外のものの漁獲は法律上はとにかく自由になつておるわけであります。またさけについても、アメリカの一国の管轄権を認めておらないことも御承知の通りでありまして、従つてこれが誤解を招くというふうには私は考えておりません。もつともやり方としては、なるべくならばこういう筋を引かない方がいいことはいいと私も考えておりますが、しかしいろいろの点から見まして、昨日も御説明したような理由で、結局こういう線を暫定的に引いて、将来確認するか、再調整するかは将来の問題になりますが、暫定的にはこれを認めて、将来のほかの国々との交渉にあたつて、日本が公海の漁業の自由を自発的に捨てたというような印象は與えないように、またかりにそういう誤解がありとすれば、これは十分理由を説明してその誤解を解き得るものと私は考えております。
#41
○川村委員 永田君。
#42
○永田委員 昨日もちよつとお伺いしたのですが、はつきりした御答弁がなかつたので、今日あらためてお伺いしたい。
 昭和二十六年の二月に吉田総理からダレス氏に向つて書簡が送られたのでありますが、この書簡がその後の日、米、加の漁業條約において、かくも日本に対して不利益な結果を生む大きな原因となつて参つたのであります。昨日の外務大臣の御答弁によりますと、この吉田書簡は別といたしまして外務省の態度として、一応専門的な農林省の意向を聞いて、しかる後にかように決定したのだという御説明がございましたので、外務省当局としてはまことにごもつともな御意見と了承いたしましたが、しからばこの吉田書簡というものも、やはり農林省の意向によつて出されたものと解釈できるのでございますか。
#43
○岡崎国務大臣 吉田総理は、当時外務大臣を兼任しておられましたけれども、この書簡は、日本の総理大臣として出された書簡であります。外務大臣として出された書簡ではないのであります。従いまして総理大臣としては、当然各省の意見を聞き、一番正しいと信ずるところを書簡にして出されたのでありますのは当然のことであります。従つて農林省の意見も十分取入れたものであります。
#44
○永田委員 承りますと、内閣総理大臣の資格においてお出しになつたということでございますが、しからばこれは公文書であるということははつきりわかるのでありますが、相違ございませんか。
#45
○岡崎国務大臣 公文書というのは、なかなかむずかしいのでございます。つまり国内でありますれば、いかなる文書を、たとえば大臣の名前で出しても、これは公文書かというと、法律で大臣の管轄外のことであれば、公文書ととれない場合があります。こういう国際間の支書にしましても、公文書という程度はいろいろ違いがありまして、たとえば全権委任状があるべき公文書もありましようし、あるいは全権委任状はないけれども、たとえばその国に派遣されておる大使が、日本の政府なり他国の政府を代表して大使の名前で出すものは、これは程度は低いかもしれませんがやはり公文書であります。また総理大臣が外国の大使に出されるのも、や捻り公文書の一種でありますけれども、公文書の種類についてはいろいろあります。これも日本政府の態度を明らかにした文書でありますから、そういう意味では公文書で凝ります。
#46
○永田委員 いやしくも一国の総理とも昂ろう者が、かような重大な問題を意思表示するにあたりまして、程度の差こそあれ、公文書と名のつくものを外国に向つて出す場合においては、よほど慎重を期さなければならないと思うのでありまするが、その後日、米、加漁業條約の問題が今日のように不利な状態に置かれるに至つたのは、この吉田、タレス書簡によることは明々白々たる事実でありますが、何ゆえに吉田氏はかような書類をお出しになつたか。かような重天な時期に、かような重要な問題について、突如としてダレス氏に書簡を送られたのでありますか、この間の消息をひとつ御説明願いたいと思います。
#47
○岡崎国務大臣 第一に、私はこの国際漁業條約につきまして、特に日本が不利な地位に置かれたとは考えておらないのでありますが、それは別としまして吉田総理の書簡は、ここにもありますように、長きにわたつて漁場を保存し、魚種の枯渇するのを防ぐという趣旨で、そのために、日本のみならず各国と一緒になつて、保存その他各種の漁獲の確保を将来にわたつてする措置を講じようという趣旨でありまして、私はこの事柄自身は、日本としても当然いたすべき問題であろうと考えております。なおこの手紙を出されたことにつきましては、おそらく漁業のみならず、日本の海外進出という問題でいろいろの疑惑がありまして、たとえばイギリスにおきましては、陶器あるいは綿糸布に対する問題で種々の疑念を生じておつたこともありまするし、また東南アジア方面でも、日本の経済的進出ということについての問題は今なおあるのであります。アメリカにおきましても、いろいろの業者における疑惑等があるので、日本の公正なる立場、政府の正しい見解をすみやかに述べるということは、国際間にかかる疑惑を一掃して、将来の日本の行くべき道について正しい方向を各国に認識させるという意味においては、非常に効果があることと考えられるのであります。従つて突然と言われますが、その前にはむろん各方面と十分話合いをいたしまして、この書簡を出されたものと私は考えております。
#48
○永田委員 ただいま吉田さんがダレスさんにあてて出された書簡は、いかなる動機といかなる見解のもとに出されたかということにつきまして、長々と御説明をいただきましたが、私はさようなことを伺つておるのではございませんで、しろうとの吉田さんがかような専門的なことを、たとえばこの書簡の中におきまして、昭和十五年に操業していなかつた漁場では漁業を禁止する云々とありますが、この昭和十五年という数字なんであります。吉田さんが大体常識的に、さような数字を御存じになつておるはずがない。従つてこれは吉田総理が直接お考えになつて独断でおやりになつたこととは思いません。どなたか御進言をなさつた人があると思うのでありまするが、ともあれこの書簡を出さざるを得なくなつたその原因は一体何ですか、それを伺いたいのです。
#49
○岡崎国務大臣 出さざるを得なくなつたのではなくして、こういう書簡を出して、日本の公正なる立場を世界に知らしめることが最も適当であると考えたから出されたものと、私は考えております。
#50
○永田委員 愚かなる吉田総理なり、かように言わなければなりません。黙つておるものに対して、かくのごとく御遠慮申し上げますというふうなことを、よほど金に恵まれ、物に恵まれた日本ならばいざ知らず、数万の者が路頭に迷つておる。しかもその食糧資源は海の資源にまたざるを得ない。すこぶる緊迫しておる状態である。その実情を考えて、みずから進んで吉田総理の方から申し出たということは、すこぶる納得の行かない点であります。委員会においてかようなことを申し上げてどうかと思いまするが、自由党内においては何ら御説明なさるでもなし’御出席相なるでもなし、すごぶる横暴な態度を示しておられるのに“事アメリカに対しては、かくのごとく行き過ぎた御親切な態度を示されておることは、まことに私たちは吉田総理の政治的センスを疑う。
 そこで、それらの理由がはつきりいたしましたので、以下順を追つて御質問申し上げまするが、ただいまのあなたの御答弁の中で、小高委員の質問に答えて、この暫定行置というものは決して不公平なものではない、しかもこれは外交的にやむを得ざるものとして暫定処置であるという御答弁があつたのであります。そこで外交的にやむを得ざる理由ということがやはりこの吉田書簡に帰つて来るのであります。個々の原因がどうもあなたのお言葉でははつきりしないので、われわれも質問しにくいのでありまするが、聞くところによりますと、井口次官は、この問題で吉田書簡というもので交渉中盛んに痛めつけられて、先方の方から吉田書簡にかくあるじやないか、こういうことをその都度強く言われて、いかにもこの吉田書簡というものが交渉の過程の大なる妨害壁となつた。そこでこの吉田書簡の性質がいかなるものであるかということを、箱根に、公文であるか私文であるかということをお伺いに参つた。ところが総理は何と言われたのか知りませんが、その後の外務省の態度は総くずれとなつて、かくのごとく不利な條約になつたというふうに、われわれは一応信ずべき情報によつて承知をいたしております。従つてこの吉田書簡というものは、すなわち国際的に悪影響をなしておるということは、すでに否定することのできない事実でございます。あなたは條約は公平妥当なものである、かように仰せられるのでありますが、決してこの條約は公平妥当なものではない。たとえば本條約の、北太平洋の公海漁業に関する国際條約中第一條の第二項に掲げてある條文を御披見願いたいのでありまするが、この條約のいかなる規定も、領水の範囲又は沿岸の国の漁業管轄権に関する締約国の主張に不利な影響を與える(主張を害する)ものとみなしてはならない。かように書いてあります。私は浅学にして、文字を解することの能力に欠けておりますすごぶる野蛮な人間でありまするが、どなたにごらんになつていただいても、二の字句がはつきりわからないのです。「領水の範囲又は沿岸の国の漁業管轄権」というものは、一体どういうものか。われわれは終戰後漁業制度の改革によりまして、過去の専用漁業権というものを共同漁業権制度に改めた。これはすなわち漁業の民主化と心得ております。国際間においても私はさようにあるべきだと思う。公海は公海である。沿岸は沿岸と、かように行くべきものだと私は信じておりまするが、この漁業管轄権ということになると、あるいは個人で申し上げまするならば、専用漁業権を認めるというふうになるのじやないかというふうに私は解釈するのでありますが、この字句がそもそもわからない。この字句を説明して、この條約の精神を御説明を願いたいと思うのであります。
#51
○岡崎国務大臣 字句の説明は私より政府委員の方が確かでありますから、政府委員から説明いたせます。
#52
○土屋政府委員 この條項は北大西世漁業條約にもうたつてある條文と全株同じでございますが、入れました趣旨は、各国において漁業権もしくは漁業管轄権に対する主張というものは、宙際慣習法上必ずしも全部が一致しているようになつていませんことは、永田委員よく御存じの通りなのであります。そこでこの條約を規定するにあたじまして、もしそういつた根本的な各国の主張を調整しようという意図をこの会議が持ちますと、この漁業條約というものが難航を想像されましたし、またこの條約の目的はそういうところにあらずて、各国が最高の持続的生産高を上げて行くということになつたものですから、この第二項におきましては、そういう各国において主張の違いがあろうと思われます点については、一切この條約は触れないということを、この條項は意味してあるわけであります。言葉の使い方が少し奇体な言葉を使つておりますので、誤解を與えやすいかと思いますが、要するに各国において違つた主張があつても、この條約では調整しない、この條約の任務ではないということをうたつたわけであります。
#53
○永田委員 ちよつと速記をとめて……。
#54
○川村委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#55
○川村委員長 速記を始めてください。
#56
○永田委員 ただいまの欧米局長の御説明では、やはり私ども納得が行かないのでありまして、この漁業管轄権というものが三者の総意に基くものである。いわばこれこそ漁業條約の精神である、かような御説明でありますが、この管轄権なるものを三者で認めた以上は、勢いこの共同漁業権というものも三考が認めなければならないということになつて来ます。そこでこの條約があれば、ますます日本の水産が不利になつて来るということは動かすことのできない事実になつて来たのでありますが、質問の順序といたしまして、これはこの程度といたしまして順次私の質問を進めて参ります。
 先ほどからの質疑応答を承りますと、資源の保護の実績が日本側にもあるにかかわらず、認められておらないので為りますが、明治十二年以来日本側も資源保護のために偉大な犠牲を拂つて来ておりますが、これらの事実は、政府側としてはまつたく御認識がなくて交渉に入られたのでありまするか。認識があつたが、あえて軟弱外交の特徴として、この問題を知りつつ迎合して行つたのでありまするか、この辺を承りたい。
#57
○永野説明員 保存措置の内容になりますので、一応私からお答えをさせていただきたいと思います。この條約の四條にございます原則に従つて抑止を勧告するかどうかということがきまつて参るわけでございますが、ただいま御指摘のわが国のさけの資源について保存措置があるということは、もちろん政府として十分に承知をいたして考えておるわけでございますが、問題になりましたのは北太平洋の、ことにべーリング海のさけ、ますというものについて、この四條の條件が完備しておるかどうかという点が議論の対象になつたのでございます。その議論の対象といたしましては、保存措置の点は、第四條の一項のb項の(ii)に書いてございます科学的調査に基く保存計画に合致しておるかどうかという点を審査してきめるわけでございます。それから実績の問題は、同じく第四條の一項の但書の(1)にございます「二十五年間のいずれかの時期において本條2に掲げる條件をしんしやくして実質的漁獲を待つたことがあると認められる魚種」というこの條項の審査がただいま仰せになりました実績という問題になるのでございまして、この実績の問題と保存措置の問題とは別々の條件として抑止するかどうかという点について審査をするわけでございます。
#58
○永田委員 しからば付属議定書にもあります通り、「カナダ及びアメリカ合衆国の川に発生するさけがアジアの川に発生するさけと交錯する区域があるかどうかを決定するために、できる限りすみやかに條約区域の水域を調査するものとする。」こういうこともやはり同一なことを含まれておるものと解されますが、いまだ今日何ら科学的に調査が完了していないのみならず、将来合理的に疑問のない調査がいつできるという見通しもないうちにかような暫定的な線を引いたということは、むしろ早過ぎてかえつて日本の水産業の伸長に影響するところが大なりと思うのでありますが、かようなことは実際御考慮なされたことはないのでありますか。
#59
○永野説明員 ただいまのさけにつきましての暫定線の問題でございますが、アメリカ系のさけについては保存措置が十分にとられており、漁獲の状態も資源難して一ぱい一ぱいの漁獲をしておるから、これについては各国が共同でこれ以上の漁獲をふやさないという主張がアメリカ側の主張でございます。これに対しまして日本側といたしましては、アメリカ側のさけにつきましてその條件が満足されておるということは、審査をいたしました結果
 一応同意をいたしたのでございますが、このアメリカ系のさけがどこまで泳ぎまわつておるか、それからこれに該当しないところのアジア系のさけがどこまで泳ぎまわつておるか、この問題については、日本側の見解としては、これはべーリング海の中央部においてはまじつて泳いでおる、両方の資源がまじつておる、こういう主張をいたしたのでございます。そこでアメリカ側の保存措置及び資源に対して満限であるこのさけが、はつきりとアジア系のさけと一線をもつて画されておりますならば、その線をもつてはつきりした科学的調査をした上で、その点をもつて抑止をすべき点をきめるのが適当であると思うのでございます。われわれはアジア系のさけとそれがまじつて泳いでおるのでこういう見解をとつております。但しこれにつきましては、十分な精細な科学的調査の基礎づけがございませんので、アメリカ側としてもにわかに日本側の主張を承認しがたいということで、この点についていろいろ折衝が行われておつたのでございますが、結局日本側のまじつて泳いでおるという主張が一応アメリカ側に了解されまして――しかしながらそのまじつて泳いでおるさけを、どの線でアジア系とアメリカ系ということでわけるか。まじつておるのをわけるのでございますから、さらにこれは今後調査をいたしまして、どちらのウエートが大きいかというようなことを十分調査をする必要がございますけれども、さしあたりこの線をきめませんことには、日本側の漁業者がアメリカ側のさけをとつておるという誤解を非常に招く問題がありますので、暫定措置としまして、まじつて泳いでおるさけに一線を画しまして、日本側の漁業のできる範囲、漁業を抑止する範囲」応暫定的に明瞭にいたした、こういうわけであります。
#60
○永田委員 ただいまの御説明は、どうもアメリカ一辺倒の御意見でありまして、アメリカ系のさけ、ますがアジア水域に遊泳しておるということが考えられる以上は、両洋にさけ、ますが棲息しておる以上、同じくアジア系のさけ、ますもまた米加沖に遊泳するということが考えられると思うのでございます。しかるに日本側の主張は毛頭通らないで、ただ単にアメリカ側の主張のみが通つて暫定線を引く。しか弔御説明の中にもありましたように、何ら科学的に根拠のない、きわめて茫漠とした、単なるなれ合いで、かような重要な案件を政府が独善的におきめになつたことは、まことにわれわれとしては遺憾千万に思うのであります。こういうふうであるならば、当然吉田総理に辞職してもらうか、岡崎さんに辞職してもらうかしなければ、われわれはこの事実を認めるわけに行かない。第一の暫定線を引くということはむずかしく考えることはない。何だかさつぱりわからない。わからないからこれから科学的に調査をして、根拠を提示しましようというならわかる。まだ何にもわからずもやもやしているうちに、かりの協定をしよう、そんなばかなことはないと思うが、ないことをするには理由があると思う。これは岡崎さんに伺いたいのですが、この吉田書簡並びに講じなくてもよい暫定措置というものをなぜ講じたのか、この理由をわれわれは釈然としたい。理由がわからなければわれわれはやはり責任を追究せざるを得ない、この理由を説明してもらいたい。たとえて言うならば、たらいのまん中を百七十五度線として仕切る。そうして東側をカナダ、米国とたとえ、西側を日本、アジアとたとえ、両方にわける、そこに同時に同種の金魚を放つ、そうすると米加の言い分は、百七十五度線で金魚さんは、こいつは失礼いたしましたといつて逆もどりするというのです。だからごの線を飛び越えたから、この金魚はおれの金魚だこういう御主張らしい。この金魚がはたしてどこの生れで、何という金魚かわからぬと私は思う。かようなところに線を引くというのがそもそも奇怪千万なんです。ですからかような條約を結ぶに至つた――特にこれを不利に導いたあなた方は、平等だとおつしやるけれども、だんだん議論をするとわかつて来る。また速記をずつとごらんになつてもわかるように、かような不利な、国を売るような條約はめつたにない。しかも絶対多数を持つ自由党の内閣において、かようなことが事前に何らの了解もなく、いきなりこれを国会でもつて承認しろ、こういうことを言われても、それはわれわれとしてはできない。またこういうことをそのまま見のがすということは、かえつて絶対多数政治の危険ということを天下に暴露するものであつて、われわれ国民としてもさような暴挙、横暴というものを見のがすわけには行かない。あくまで責任を追究して、その所在を明らかにしなければならぬと思うのであります。大体かような急がなくともよい條約を、占領下に結ぶ、結果がはつきりしていないのに暫定線を引く、引かなくてもよい暫定線を引く、こういう理由は一体どこにあるのか。農林省の御意見でなく、外務省の外交的真意をはつきりしてもらいたい、必要ならば速記をとめてもよいのであります。
#61
○松田委員 関連して……。私はまつたく意外に思つておるものであります。それは、私どもがこうしてこの條約についているくと論議しておるのに、何のために外務大臣は率直な意見を申し述べないかということであります。私はあなたの外務大臣としての資格を疑うものであります。まず第一に、吉田書簡を取上げて行かなければならない。これを取上げるにあたつて、あなたはなぜ率直にお話を願えないか。私は昨日も申し上げておる。日本の国全体のための講和を結ぶために、漁業者の幾分の犠牲はやむを得ないではないか、これが日本の国の重大な講和を結ぶ一つの重大な元素になつたのではないか、これをなぜはつきり言つてくれないか。私どもは、自由党でなく、野党が政権を握るなどいうことは無謀な話であつて、できることではないし、どうしても自由党内閣において政局の安定をはかり、対外的信用を持つて行かなければならぬ重大な責任ありと思うから申し上げるのであつて、こういうことに対して、あなたはなぜこれを説明しないのか。全部の委員がそのことを知つておる。知つておるのにあなたはなぜそれを言えないのか、私はここに一番疑点を持つのであります。それから外務大臣として、講和が結ばれて一番重大な外交をこれからやらなければならぬというときに、側近派の白洲次郎が何のためにアメリカ大使を拒畜されたか、この理由はどこにあるか。こういうこともあなたは率直にわれわれに話すべき筋合いがある。彼こそは側近派である。そうしてこういうことを企てた人間である。しかも電力会社の会長になつたり、林兼のバツクになつてあらゆる利権をあさつておるじやないか。あなたも側近として、なぜこれを率直に総理に申し上げないのか。今自由党の中で、與党がこれほどまでに自己の内閣を批判しておるうちに、そういう案を出さなければならないことは、あなた方側近の者が無能だからだ。何でもいいから言うことさえ聞いておればいいのだ、大臣になれるのだという感覚がここへ行くのだ。なぜわれわれ水産委員がいきり立つて、国のためにこうした問題を論議しなければならぬか。率直に日本全体の幸福のためにやむを得ない事情、これが講和條約の第一ページだということをあなたが言つたら、だれがこれに対して反対するか。われわれは知つておる。あなたはなぜこれに対して説明しないか。私はまつたくそこ信吉田内閣の弱体性があると思う。また先ほどからいろいろ聞いておるが、将来というものがあるのだからということを率直に言つて、これから自分たちが外交人として、農林省にもよくその理由を聞き、われわれが今申し上げておることについてあらゆる努力をするということを言つたなら、一体たれが反対するか。與党なるがゆえに盲目的について来いと言つたところで、ついて行かれない。まつたく今までの外交というものの型通りに行こうというところに誤解がある。かようなあなた方の誤つておる点を、もつと直す御意思がないか。昨日も植原先生からあれほどまでに言われても、誹謗するのではない注意するのだと、子供に教えるような御意見を言われても、それでもなおかつ言おうとしない。あのときにおいてはつきり今の問題を言つたならば、だれだつてこれに賛成するじやないか。講和條約が国民全体の利益になることならば、水産問題が幾分犠牲になろうとも、これに対してはわれわれはやむを得ないことだと思う。なぜそれを率直に言えないのか。それでも水産が犠牲にならないというお考えであつたら大きな間違いだ。あなたはどういうお考えを持つておるのか、それでもあなたは今やつておることが正しいのだというお考えなのか。または日本の国命体の利益のためにやむを得ないのだというご意見なのか。政府がわれわれに了解を求めるのであつたならば、そうしてわれわれもそう信じておつたならば、この問題に対して、われわれは国民全体の利益のためにやむを得ずこれに賛成せざるを得ないのです。この点外務大臣はどういうふうにお考えになつておるか、御見解を承りたい。
#62
○岡崎国務大臣 今いろいろと御意見を述べられましたが、たとえば個人の名前をあげて非難されるようなことは、私はこの委員会で伺うわけには符かないのであります。またかつてにあなたの独断を押しつけられても承服できない点は多々あります。しかしながら今おつしやつたことの中で、この吉田書簡なるものが講和に役立つたものであるかどうか、日本の漁業の犠牲がどれだけあるかという点については、これは水産庁等の専門の意見によるほかしかたがないのでありまして、かつてに魚をとるよりは、一時は犠牲があつても、結局長い目で見て魚種の保存、漁場の保存ということは、私は盾則としてちつとも間違つておるとは輿つておりません。しかしこういう書簡を出しまして日本政府の正しい考え方を発表したということは、これはむろん講和に好影響があつたと信じております。
 なお最後におつしやつた点はまことにごもつともなことであつて、私どもも専門家でないから、抑止水域がどこであるとか、あるいは交錯水域がどこであるかということについては、これはここで見解を述べるわけには参りもせんけれども、この水産委員会の意見等を将来よく研究いたしまして、また水産庁の意見もよく聞きまして、是正すべき点については今後たゆまず努力して、公正なものに持つて行くということについでは、御意見の通りいたしたいと考えております。
#63
○永田委員 漁獲の統制ということはすこぶる妥当なことだと、外務大臣は今もつて繰返しておられるのでありますが、先ほど私はたらい論を申し上げたのですが、あるいはおわかりにならないかと思います。何もこういう條約をつくらなくとも、魚族の枯渇を防ぎ、保存措置を講ずるということは、その国の能力と漁獲の方法に応じてできるだけすれば事足りるのであります。それ以上の制約をするということは、かえつて民主主義の大精神を侵すものである、かように私は考えます。政府の方々が何とおつしやられても、それは輿論に訴えて批判を仰ぐ以外にないのであります。問題は日、米、輪だけの問題でありますが、これが動機となつてソ連側に対する影響というまのはどういうものであるか、私はこの委員会において口にするだけでも遠慮しなければならないと思つておるくらいで、その影響を恐れております。今日十二海里説をソ連側は出していると承つておりますが、もし百海里説あるいは現在の位置より一歩も入ることはまかりならぬ、ないしは改めて條約を結ぶということになれば、日本の漁場が圧縮されることは当然考えなければならぬと思うのであります。特に北洋の漁場は大資本系によるところの遠洋漁業で勘りますが、北海道の沿岸の漁民は、むしろカムチャツカ沿岸に魅力を感じておるが、そこには入れない、締め出されるということになりますと、今回の條約はまことに門戸をとざすところの悪い條約になつて参るのであります。ここに政府に対して思考を強く要望するゆえんがあるのでありまして、これは今日外務大臣に即答を求めてもとうてい御即答はできないと思います。作目もちよつとお伺いしたのでありますが、この批准の一部を修正する、あるいは保留する、拒否するということができるというお話でございましたが、われわれ與党としても考えなければならないことは、そういうことができることはできるが、その後外交的にどういう不利益があるかということは、専門的に御意見があると思いますので、その点のお見通しをお知らせ願いたいと思います。
#64
○岡崎国務大臣 私はこういう問題の専門家でありませんから、前からお断りしているように、その内容については、どうしても水産庁の意見を正しいものとして考えて、判断するよりいたしかたないのであります。それによつてみますれば、これが三国間で協定し得る――これは協定でありますから一国の主張が全部通るというわけには行きません。お互いに主張を緩和して妥協しなければなりません。私は日本の主張がまるまる通つたことは申しません。しかしこれがようやく三国間でまとまつた條約でありますから、これを変更することになれば、まつたく新しい條約をつくることにならざるを得ないのであります。日本の政府が絶対多数の與党を持つていて、こういう條約をつくつて、国会の承認を得なかつたということは、これは政府としては非常に重要な問題になつて来るのであります。国会側の承認の方法としては、これはもう調印したものでありますから、国会の承認に関する限りは、これを承認なさるか、承認なさらないかのその二つでありまして、批准のときに話合いをすることは別にありましようけれども、国会の承認に関しては、もし一部をかりに修正されたとすれば、政府としてはこれは否決されたものと見ざるを得ないのであります。その結果につきましては、先ほど申したように、政府としては非常に重要なる結果になろうかと考えておるのであります。
#65
○永田委員 それから先ほど松田委員から御質問がありましてそれに対してあなたは、個人の名前が出たことについてこの席で答えるわけに行かないとのことでございましたが、なるほどごもつともです、しかしたまたま話が出ましたから、この際政府側に参考に申し上げておきますが、日本のためにすこぶる不利な漁業條約を結ぶに至りました前提として、日本の濫獲漁業というものが相当過大に放送された結果であろうと、私は考えております。その原因は、やはり日本の漁業家の中に某者がいる。その某者と先ほど名前のあがりました方との密接な御関係というものが、やはり因をなしておるのであります。しからばどういう例があるのかと申しますと、かつて総理が講和條約のために御出発になるときに、吉田さんの許可を得たと言つて、日本のまぐろを船に一ぱい積んでアメリカに持ち込んだ。これは政府が輸出の許可をしたということになつておりますが、その辺はどうでもよろしい。要するに、吉田さんの許可を得てまぐろを船一ぱい持つて行つた。そこでアメリカ側のまぐろ業者が非常に刺激を受けて、にわかにアメリカの国会の意思表示とかわりまして、関税がにわかに四五%の決定を見た。しかも、その某水産会社は、逆にまぐろは足元を見透かされて、たたかれて大きな赤字を出した。帰りに何かの荷物を積んだ。ところがそれを積むについても、私は専門的なことを知りませんが、国際的に運賃等を契約する何か団体があるらしい。その規約に解れて、日本政府の運輸省から告発されて罰金に処せられた。ところがその陰におられる某有力な人が、その罰金もどうやらこうやらもみ消してしまつた。吉田総理の意向をもつてもみ消してしまつたということも承つておるのであります。しかもこれが原因となつてまぐろ関税が非常に高くなつた。これは何とか安くしてもらわなければ、日本のまぐろ業者は将来立ち行かない。しかもまぐろの漁法においては、はるかに日本の方が合法的であつて、アメリカのまぐろ漁法の方が不合理である。そこでたまたま話のあつた北洋かに工船出漁の問題も、このまぐろの関税を刺激してはいけないから、しばらく見合すべしという御意見のもとに、かに工船の出漁は政府の自発的御意思に基いて見合した。それが今日まぐろの問題も解決しない、一方かに工船も出漁できない、かような結果になつたのでありまして、これを逆に検討してみますと、その外交官吏の御一連の方が、ある社と密接な関係があつて、巧みに吉田政権にたわむれて、日本の政府を冒涜したということになるのかならないのか、これはあなた方の御判断にまかしますが、かような事実もあるのであります。もう少し外務省としても毅然として、さすが破れたりといえども日本の政府だという権威を十二分に――さらに極言するならば、国威を十分に発揚できるのもできないのも、一にかかつて政府の能力にある、かように考える。絶対多数を頼み、その上にほほかむりしておるその政府が、政権をもてあそんで、でたらめなことをやつたということになりますると、政府の方にも十二分な御覚悟がありましようが、われわれにもまた十分な覚悟があるのです。この問題は日本の将来の政治の刷新という意味におきまして、十二分に反省をしていただくのみならず、それぞれの責任者はその責任を明らかにしていただいて、それを実行に移してもらわなければならないということを、私はこの際特に速記にとどめまして、私の質問は終ることにいたします。
#66
○川村委員長 小松君。
#67
○小松委員 北太平洋公海漁業に関する国際條約の前提をなすものは、日米平和條約の第九條であると存じます。すなわち第九條には日本国は、公海における漁猟の規制又砥制限並びに漁業の保存及び発展を規定する二国間及び多数国間の協定を締結するために、希望する連合国とすみやかに交渉を開始するものとする。」とありますが、これがその前提をなすものと存じます。従つて今回この日、米、加漁業條約に対しては、関係各国からこの條約協定を締結する希望があつてその予備交渉を進めたのであるかどうか。日本が自発的に各国を招請して今日の段取りになつたのであるかどうか。この点をひとつはつきり伺いたいと思ひます。
#68
○岡崎国務大臣 この三国の條約は、前々から問題のあつたことでありまして、戦争前からそういう問題はあつたのであります。そこで各国側も希望し、わが方もこれに応じてつくつたのであります。この第九條が前提となつたというべきか、あるいはすでにその前に吉田総理の書簡が出て日本の態度ははつきりしており、それに基いてというべきか、似たようなものでありましようけれども、いずれにしても関係国から希望があり、日本政府はこれに応じて協定をつくつたのであります。
#69
○小松委員 重ねて伺いますが、これは関係国からの要請があつて会議を開いたわけですね。
#70
○岡崎国務大臣 そうです。
#71
○小松委員 それではやむを得なかつたのでありましようが、われわれとしては、いまだ主権の回復しない前にかような会議を開いたことについては、まことに国際法上から参りましてふかしぎに感ずるのであります。それはさておきまして、この條約文において先ほども問題になつておりました第一條であります。第一條の2に「この條約のいかなる規定も、領水の範囲」ということがあります。この領水に対しましては各国でいろいろ意見が異なつている。大体この領海の範囲については、国際法上においては三海里ということが通念になつているようでありますけれども、ソ連はすでに十二海里を主張しておるし、あるいはスペイン、ポルトガル、コロンビア等においても主張している。こういうように幾多の相違があります。従つて今回のこの領水の範囲は三海里に限定されたものと存じますが、はたしてそうであるか、その点をはつきりと伺いたい。
#72
○岡崎国務大臣 お説の通りであります。
#73
○小松委員 われわれといたしましては、各国でさような異なつた解釈をいたしておりますから、三海里ということに確定しておるならば、この際に特にここに三海里というものを明記してもらいたかつたのであります。しかしながらその三海里ということに間違いがないということであれば、それをもつて了承いたすのであります。
 次に伺いたいことは、先ほど永田君からいろいろ質問募り在たことく、沿岸の国の漁業管轄権に関する問題であります。これは、もちろん領水に接続したところの関係と私は思いますが、領水のほかにどのくらいの範囲に及ぶのであるか、数字的にはつきりしておるかどうか、まずこれを伺いたい。
#74
○永野説明員 この第一條の二項に記載してございます沿岸の国の漁業管轄権に関する主張というものにつきましては、領海に接続する公海において漁業の問題については、その沿岸の国が一方的に漁業管轄権を持つておるという主張をした例はございます。またそれに対しましてその他の国から、そういう漁業管轄権の主張は認めないという主張もあるわけでございます。そこでこの條約につきましてはその争いに全然触れないで、漁業管轄権を主張する側の主張も、これを否定する側の主張も、ともに今後その通り主張してよろしい、それについてはさばきつけないという意味をこの文句でもつて表わしたということでございます。
#75
○小松委員 そうすると特に本條約においてさような特例を設けたということに解釈してよろしいのですか。
#76
○永野説明員 本條約でそういう特例を設けたものでは毛頭ございません。この條文の先例が北大西洋の漁業條約の中にあるのでございますが、北大西洋の漁業條約には非常に多くの加盟国がございまして、その加盟国の中には、一方的にこういう漁業管轄権を主張しておる国がございます。またその主張を否認しておる国がございます。それらの関係を北大西洋の漁業條約で解決下ることは非常にむずかしい問題でございますので、実態的に解決できる問題だけを漁業條約で解決をいたしまして、それ以外の問題については、争いは争いのまま残して置くということに、結果としては相なるわけでございます。これはこういう多数国間の漁業條約において、この問題の解決までをすることは非常にむずかしいので、国際間の條約については、すでに先例があつてこの文句が採用されたわけでございます。
#77
○小松委員 そうしますと、アメリカ海辺からほど遠くない海域に漁場を持つ米、加と日本との利害が背反するということが明瞭な事実になつて来ると思うのであります。従つてこの「沿岸の」という表現の解釈運用いかんによりましては、この上不利な立場に追い込まれるという憂いが多分にあると思う。こういう点について、当局はいかように解釈されておるか。
#78
○永野説明員 その点はこの文句の上に特に注意をして書き表わしたのでございまして、沿岸の国の漁業管轄権に対する主張、こう書きますと沿岸の国の主張だけが影響を受けない、こういうことになりますので、そういう書き方を避けまして、特に「沿岸の国の漁業管轄権に関する締約国の主張」つまり締約国の中の沿岸の国の主張に反対な主張もある。その主張も同様に條約の規定によつて害せられないものである、こういうふうに念を入れて書いたわけでございます。
#79
○小松委員 平和條約では、希望する連合国とすみやかに交渉を開始するということになり、要請があつた場合に交渉に入る。従つて将来フィリピン等よりの希望があつた場合、今回の漁業條約は一つのモデル・ケースとなると存じます。フィリピン等と條約を結ぶ場合、これと同じような取運び方が予想されたのであります。これは日本漁業の将来に対して暗影を投じておるような感がいたすのであります。またこのことは連合国以外の国との問題にも当然触れて来ることであろうと私は想像いたものであります。たとえば韓国と交渉する必要が生じた場合にはどうするか。ここに日本の漁業の将来を思うときに、朝鮮、中国及びソ連との間の漁業関係はきわめて重大な問題であります。こういう点についてはどういうぐあいにお考えになつておるか。当局は、先のことは今日全然関係ないことであるから別問題とするならば、それまでのことでありますが、私は将来を心配してここに一言伺つておきたい。
#80
○岡崎国務大臣 今のお話は、この條約が非常にまずいものであるという御見解ならば、これはやむを得ないことでありますが、私どもは、公海においての漁場は持続的に一番多くの漁獲を得るように健全な基礎に置かなければならぬ、こう考えておりますので、この條約はその意味では目的を達しておると考えておるのであります。従つて全然別の問題が出ればこれは別問題でありますが、こういうような問題につきましては、やはり将来この條約の精神を取入れてやつて行きたいと考えております。
#81
○小松委員 この條約は不利ではないという御答弁でありますが、たとえば今お話のごとく、漁業資源を保護することが目的であるならば、この條約が成立して、各国の委員見ができて、その委員会が科学的調査によつて、かくのごとき魚種に対してはかように漁獲を抑止しなければならぬというような結論が出たときに、各国が平等の立場において権利と義務を負うということであるならば、私は公平な條約であろうと思う、合法的であろうと思う。しかるにさような科学的調査がいまだ確定しておらないときに、ひとり日本のみに進んでこれを抑止せしめるということは片手落ちである。どこにこれが公平な條約であるか、かように私は思うのであります。もしもこの條約が不利でないというならば、その根拠をここに明らかにお示しを願いたい。米、加に特別を設けた、五箇年の猶予期間を設けた、百七十五度線を設定したということが平等であり、公平な條約であるか。まずこの御意見を伺いたい。
#82
○岡崎国務大臣 これは技術的問題ですから、水産庁の方からお答えをいたさせます。
#83
○永野説明員 この漁業の問題につきましては、日米漁業者の立場に立ちますと、利害関係の一致しない点がいろいろあるわけでありますが、大体ごの條約の基本的な精神として、前文に書いてございますように、公海自由の各国の権利を確認した。しかしながら無制限な公海の自由ということがすでに最近の情勢では許されないので、資源の保存について非常に厳格な條件を設けまして、その厳格な條件に該当する場合には、全然実績のなかつた国については、それ以上漁獲をふやすことは資源をマイナスにいたしますので、その意味で自発的な抑止をするということをきめたのが、この條約の第四條に書いてございますような條件になつておるわけでございます。こういうような厳重な條件を設けて、漁業についての制限をやり、また一方保存措置につきましても、保存措置をやつておる国が、将来にわたつてそういう保存措置をやつて行く義務を負うというような点から見まして、この條約の骨子は今後わが国が国際漁場に出て参ります考え方といたしましては、非常にはつきりした基準が與えられたものだと考えております。
#84
○小松委員 米、加について特例を設けてあるその理由として、「関係締約国間の共同の保存及び規則に関する長期にわたつて確立した歴史が存する」ということ、あなた方がこの事実をはつきりと認めたのかどうか。これをひとつお話を願いたい。ただこれだけの條文ではわれわれには納得できないのでありますが、その事実を明らかにしていただきたい。願わくば、資料があるならば資料をわれわれに示して、われわれを納得させてもらいたい。
#85
○永野説明員 この條約の付属議定書で定められました魚種につきましての保存措置につきまして一応御説明を申し上げたいと思います。
 第一におひようにつきましては、古くからこの漁業が相当資源的に見まして限度近くまで漁獲をしておるというような見方が強くなつて参りましたので、すでに現在ではこのおひようの漁場につきまして、漁場別に一定の漁獲の限度を設けまして、その限度に達しました場合には漁獲をさせないというような規制が行われておる。またそのほかに漁獲の時期につきましても、産卵期を保護いたします等の意味におきまして、一定の時期以外は漁獲を禁止する、あるいは網漁法を禁止する、あるいは未成熟魚の非常に多い区域につきましては漁業を禁止するというような措置を、長い間にわたつて行つて来ておるわけでございます。
 それからさけにつきましても、これは特にさけが産卵のため川に回帰いたします関係で、これに無制限な漁業を許しますことは、資源に非常に影響があることはよく御承知のことでございますので、これにつきましてはアメリカ及びカナダが共同をいたしまして、アメリカ大陸に上りますさけの資源に対して共同の保存措置をいたしております。またその共同の保存措置を実行いたします場合には、もちろん両国の漁業は交錯をして漁業をいたしておるわけでございます。こういう事実は資料によりましてアメリカ側及びカナダ側から提出がございまして、それを審査いたしました上で、この條文が書かれたような結果に相なつております。
#86
○川村委員長 日、米、加漁業條約に関する件についての質疑はごの程度にとどめます。
 明十三日午前十時から日、米、加漁業條約及び水産業協同組合法一部改正に関する件について理事会を開きますから、理事諸君は万障繰合せ御出席を願います。なお当日の理事会には公海漁業に関する小委員会の小委員長並びに小委員諸君の御出席をお願いいたします。
 次会の委員会は公報をもつてお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後一時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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