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1947/04/02 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第8号
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1947/04/02 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第8号

#1
第002回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第8号
昭和二十三年四月二日(金曜日)
    午前十一時二十七分開議
 出席委員
   委員長 天野  久君
   理事 川合 彰武君 理事 庄司 彦男君
   理事 水谷  昇君 理事 成島 憲子君
      高瀬  傳君    成田 知巳君
      藤原繁太郎君    松原喜之次君
      和田 敏明君    川村善八郎君
      西山冨佐太君    中山 マサ君
      吉川 久衛君    中村 嘉壽君
      東井三代次君    高倉 定助君
 出席政府委員
        総理廳事務官  伊東 五郎君
        労働事務官   上山  顯君
 委員外の出席者
        議     員 受田 新吉君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 引揚者の受入態勢に関する件
 傷痍者の職業斡旋に関する件
    ―――――――――――――
#2
○天野委員長 これより会議を開きます。
 会議に先だちまして御報告いたすことがあります。先般各委員から御賛同を得ましたスターリンに送るべき嘆願書及びマツカーサーに送るべき嘆願書、これについて実は文案をお任せ願つたのでありますが、一度作成いたしましたところが、共産党関係から、この文案ではどうしても同調できない、こういうようなことで、それからいろいろ折衝いたしまして、ここに衆参両院各党全部の賛同を得た文案ができましたので、これを朗読いたして御報告申し上げます。
 しかしてなお先般シーボルト閣下のところに参りまして、その事情を申し上げておきましたが、シーボルト氏は、その文案ができたらさつそくもつてくるように、こういうような話で、來週の火曜日にもつて参る予定になつております。朗読いたしますから、ひとつお聽きを願いたいと思います。
  私ども日本國衆議院及び参議院議員は、貴國政府及び閣下に対し、貴國関係地象のわが残留同胞に対する從來よりね御配慮を謝し、併せて今後の引揚促進に関してさらに一段の御配慮を懇願いたしたく思うものであります。
  一九四六年十二月、貴國関係地域からわが残留同胞が還組を開始されてより満一箇年、昨年十二月引揚の一時中止にいたるまでの間に、無事その家郷に帰來して復員を終つた旧軍人軍属並びに引揚を終り内地において新しき生活を開始せる一般邦人は米ソ協定よりも多く、その石合計約六十一万人でありまして、引揚者自身の喜びはもちろん、その帰還を鶴首しつつあつたその家族、親族、友人等の満足は、容易に筆舌に現わしがたきものがあります。私どもは、それら引揚者の帰還にあたり、閣下及び貴國側関係者の拂われたる御努力に対し、深甚の謝意を表明するものであります。
  かつて貴國関係地域に時を過し、今や内地の引揚げ來つた者の大部は、おのおの甲郷に帰つて平和の生業に服し、殊にその大多数が耕作農民属する関係上、わが國現下の重要問題たる食糧増産に努力しております。なお四月解氷期とともに、争留者送還が昨年に劣らざる数において再び続行されることを國民一同堅く信じております。
  ただ未帰還者家族、夫を待つ妻、子を待つ親、父を待つ子等は、その肉親の一日一刻なりとも早く帰國を待ちわび、その情実に切なるものがありまして、彼らより引揚数増加懇請方の陳情書は日々國会議員の机の上に送られてまいる次第であります。
  しかしわが日本國会におきましても、この問題につき、あよゆる政党政治を起越して、議員の全員が、この問題にあたり、引揚が本年一ぱいに完了せんことを切望している状況であります。
  しかるところ昨年十二月、日本労働者代表と会見されたキスレンコ少將の御意向により、また昨年十二月三十一日のモスクワ放送によつて、貴政府において、一刻は速やかに日本人を還送せられる御用意のあるおもむきを知り、深く感謝するとともに、この際その御意向に甘えて、既協定を改訂して数量を増加し、本年中に全員帰還でき得るよう、なお一層の御配慮が願えれば、日本國民の幸福これに過ぎるものはないと存じ、この懇願を決意した次第であります。
  なおこの引揚数増加については、輸送途中の宿舎、食糧の用意等について、貴國におかけする御迷惑が甚大であることも、私どもはよく了解しております。また日本國における日本政府の引揚者厚生対策が必ずしも万全でないことも存じておりますが、上陸地收容所施設及び衣料支給及び故郷への鉄道輸送等の準備は、毎月十五万人の引揚には十分対処し得ること、及び輸送船についても日本政府は用意し得ると私どもに確言しております。
  日本がポツダム宣言を完全に履行し、平和国家として健全に再生しようとするわれわれの覚悟には、いささかの変化はなく、今後とも嚴に日本政府を督励して受入態勢の万全を期さしめる覚悟であります。
  何とぞこのわれわれの微衷を了とされ、今後引揚数を増加され、今年中に全員帰國出來得るよう、格別の御配意あらんことを切に御願いいたす次第であります。
  終りに臨み、残留日本人に対する從來の御厚情に対し、ここに重ねて國民大衆とともに感謝の念を捧げるとともに、貴國及び閣下の御多幸を祈る次第であります。
 これがスターリン氏に対する手紙であります。
 それからマツカーサー元帥に対しては次の通りであります。
  マツカーサー元帥閣下
  親しく占領政策の遂行の衝にあたられ、わが國の現在及び將來について日夜肝膽を碎かれつつある閣下に対し、布ども衆議院及び参議院に議席を占むる者一同は、心からなる感謝の意を表します。
  ここに一同の連署をもつて特に書を呈しまするのは、ソ連地域残留者の引揚促進についてであります。われわれは、この引揚措置については、連合軍においてすでに協定があり、ソ連政府においても、その協定に基いて実施されていることは、百も了承している次第でありまして、その点深く感謝しているところであります。ただ御承知のごさく未帰還家族の間では、種々の理由によつてその帰還の一日も早からんこと切に懇請していり状況であります。それゆえ今日私どもは、日本政府に対して受入態勢整備の遺憾なからんことを嚴重に指示するとともに、はなはだ僭越なお願いではありますが、閣下及び別紙の通りソ連政府に対し、残留者の引揚促進に関し格別の御配慮を懇願いたすよう一同の意見の一致を見た次第であります。
 閣下
  私ども日本國民は、連合軍当局のまことに時宜を制する諸般の御制策に深く信頼し、あらゆる努力をもつてこれに協力しつつある次第でありまして、在外残留者の引揚をめぐる諸問題についても、すでに種々御配慮を辱けなくしていることは、日本
 國民のひとしく感謝しているところであります。
  私ども日本國民は、無暴なる戰爭を引き起した償いとして加えられるべき神のむちを、あえて免れんとするものではありませぬ。このむろによつて過去に対する省反をいよいよ波くし、占領政策に衷心より協力して、新たなる國家再建の遂に上らんとしつつあるのであります。しかしながら私どもは、ポツダム宣言の完全履行を誓う國民が、他面未帰還同胞の身を思つて抱く國民の氣持に対しても、これに深く思いをいたす次第であります。
  閣下 從來の御厚志に対し深甚なる感謝の念を棒げつつ、國民大衆とともに切に懇願するところのものは、一日一刻も速やにソ連関係地域からの抑留者還送が再開せられ、かつ第四十四回対日理事会におけるシーボルト議長御主張の通りに、その速度を大幅増加し、われわれ同胞が続々内地に帰還せんことの一事であります。しかして國内の受入諸準備については、あらゆる努力をもつてこの上とも日本政府を督励し、その整備拡充に努め、万が一にも御期待に副わざるがごときことなきを固く誓うものであります。
  最後に、閣下の御健勝と占領政策の円滑なる御遂行とを衷心より祈願しつつ、この書簡を終ります。
 ただいま朗読いたしましたような書簡にきまりましたので、どうぞひとつ御了承を願いたいと存じます。なおこれは先わど申しました通り、來週火曜日にシーボルト閣下にお願いすることになつておりますから、御了承願いたいと思います。
    ―――――――――――――
#3
○天野委員長 本日の議題は先日に引続き、庶民住宅に関する件及び職業斡旋に関する件。これを議題にして御質疑を願いたいと存じます。受田新吉君。
#4
○受田新吉君 引揚者の職業問題に関して質疑申し上げたいと思いますが、この引揚げてきた人たちの中で怪我をしておる者、傷痍者が━━たとえば失明者とか、手足を失つた者とか、こういうものが國立病院で入院加療しておる際に、その將來の生活目標を早速與えていかなければならないと思うのでありますが、これらの人に労働省として職業補導のために何らかの連絡をとつておられるであろうか、どうであろうか。こういう問題について特に労働省職業安定局長の御所信を伺いたいと思います。
#5
○上山政府委員 海外引揚者の中で、特に傷痍者の職業安定についてどういうことをやつておるかというお尋のでございますが、傷痍者全般の職業安定につきましては、政府といたしましても特に氣をつけておりまして、今年度昭和二十三年度の予算におきましても、この方面の新たな予算を若干計上しておるようなことになつております。殊に海外引揚者につきましては、國立病院方面といろいろ連絡をとりまして、それらの人が出ました場合に、すぐ職業に就き得ますような者については職業に就けますし、あるいは授産所なり補導所に入れるのを適当とするようなものにつきましては、そちらの方面にお世話するというようなことにしてやつておるわけであります。ただしかし從來といたしましては、決してまだ十二分というところにいつてないのでございまして、昭和二十三年度、すなわち本年度以降におきましては傷痍者対策の方の予算も新たにとれますし、この方面は今後一層氣をつけてやつてまいりたい。かように考えております。
#6
○受田新吉君 非常に御努力をしていただいておることを感謝いたしますが、この四月の暫定予算に職業紹介に関する事務、その他の事務の処理のために二百万円ばかりの予算が計上されておりますが、これらの重要な事務に対して、十二分の一の割合ではありますけれども、この程度で、特に今申し上げたような悲惨な傷痍者の保護に十全を期することができるかという心配があるのであります。わけてこのたび共助会が解散をされて、從來の傷痍軍人の集団というものがなくなつたのでありますが、これに対してこの傷痍軍人という名前は非常に不適当であるという意味で、これがその集団であるという意味で解散されたのでありましようが、同時にこの傷痍者の保護対策というものを総合的に見た場合に、もつとこれら氣の毒な不具になつた人たちに対して積極的に働きかける必要はないだろうか。私銀座その他各所を歩いて、街頭に白衣をまとうた傷痍者が悲痛な叫びをあげておる現実を見て、あの人たちにもつと積極的に愛のこもつた施策を施すべきではないか。この点において手がない、足がない人たちが義足や義手をつけている。それを取換えるのに非常に経費を要する。その人たちはそのために生活の不安があるだけでなくて、非常な憤満をもつてああして街頭へ出かけておるという実情を私伺つておりますが、こういうような点について、もつとこの職業紹介、職業訓練というような問題で労働省当局として厚生省と密なる連絡のともに、職業補導協会というようなものの活発な動きとか、またある特定の地域に中小企業のようなものを勃興せしめて、そこへそういう人たちが生産に集団的に働けるような場をつくつてやるとか、こういう点について総合的な施策の立場から関係各省との連絡を密にして、特にその中心になつて職業安定局がおやりになる必要はないかと思うのでありますが、御意見を伺いたいと思います。
#7
○上山政府委員 すでに御承知願つておるかと存じますが、共助会が解散になりまして、今までこれらのやつておりました仕事は國なり公共団体なりでやるということに方針がきまつておるようなわけでございます。それでこれはむしろ厚生省の方が関係が深いかと思いますが、傷痍者を差別的に優遇するということはいけないのであります。傷痍者一般といたしまして、これらに対しまして今まで以上に心のこもつた対策をこしらえなければならぬという点につきまして、私たちも全然同感でございましては、今回厚生省に傷痍者保護対策中央委員会という委員会ができまして、厚生省としましては社会局、医療局が中心でございますが、労働省からも、私たちの職業安定局その他の関係官も出ますし、文部省方面からも出まして、総合的な傷痍者対策をやることになりまして、実は約二週間前かと思いますが、第一回の委員会を開いたような状見でございます、それで打割つて申しますと、傷痍者の相当大きな部分を傷痍軍人が占めております関係上、終戰後いくらかこちらの仕事が控え目になつておつたというのが実情ではないかと思いますが、しかし今申しましたように、傷痍軍人を特に優遇するのではございませず、一般のこういう氣の毒な傷痍者に対しては、政府としましてももつと力を入れなければならぬということを痛感しておりまして、そういうものを強力に推進いたしたいという趣旨で傷痍者保護対策中央委員会ができたような次第でございまして、この委員会の檢討を待ちまして今後傷痍者対策といたしましては大いに推進されるものだと、またしなければならないと考えております。それで職業補導につきましては今まで府縣立をもちまして――ここに詳しい数字を今もつておりませんが、たしか七箇所の補導所があります。それからただいまお話にも出ました職業補導協会というものがありまして、それで大阪、福岡の二箇所に傷痍者の補導所をもつておつたわけでありますが、今般それが解散することになりまして、その仕事を國の事業といたしまして、府縣に依託することに考えております。從いまして、福岡、大阪の二つの補導所は、國の仕事を縣が依託を受けてやつてまいるということで進めます。なお昭和二十三年度の本予算は、私たち最後の折衝中でございますが、それにおきましては、大阪にもう一箇所國費をもつてする補導所を設けたいと考えております。いずれにいたしましても、これらの傷痍者の全般の対策なり、なお職業補導につきましても、今申したようないきさつをもちまして、今後一層力を入れていきたいと考えておりますので、御了承願います。
#8
○庄司(彦)委員 ただいま結構なお話を聽きましたが、私は從來貧しき者を救う、いわゆる救貧政策というような、消極的な政策がとられがちに思えてならない。どうしてもここで一歩進んでむしろこうした要援護者とか、あるいは傷痍軍人とか、あるいは一般の困窮者を積極的に生産増強の方面に向かわしたい、こういうことを念願しておるのであります。そこで私としましては、ここで大きい國立援産所というようなものをつくつて、各縣にその支所を置いて、対外的貿易、あるいは國内の特殊物産の製造というところへ向けたらどうかということを考えまして、旧議会以來この案をつくつて、法律案まで今手をつけておるわけです。このときに、私の非常に疑問と思い、また何とか解決しなければならないと思うことは、労働省の共同作業所、それと同じ意味で、厚生省が授産所というようなものをつくる、厚生省の授産所はただ資金を與えただけで、あとの物資の供給とか、あるいは資材の斡旋とかいうことにはあまり手をつけていない。労働省の行き方は、経費までみておられるようだけれども、一番初めにかかる資本に対しては、御援助がないように聞いております。なにかここで両省が一つの大きい委員会でもおつくりになつて、この両省の共同作業所、授産所というようなものを一つにまとめていつて、大きい國立授産所というような方に進んでいかれる意向があるかないかということを承りたい。
 もう一つは、共同作業所の定義と申しまするが、どこまでが範囲か、ただ失業救済の一時的なものであるか、それとも授産所式の永久にそこで何か仕事を與えるというようなものであるか、この限界を承りたいと思います。
#9
○上山政府委員 ただいまお尋ねになりました第一点に関してでありますが、この間の傷痍者保護対策中央委員会の第一回のときにも、早速議論になりました点は、これらの傷痍者は、單に生活保護のようなかつこうで扱うのか、むしろ今のようにいろいろの職場に就職を斡旋いたしまして、生産の方へ向ける考えかどうかという議論がされたわけであります。それでそのときにも私お答えした点でありますが、もちろん傷痍者といたしましては、傷痍の程度にもよりますが、できるだけ生活保護という消極的なやり方でありませずに、積極的な生産に役立つていただくような方法によりまして、ほんとうの職業の安定を得させるようにもつていきたい。こういうことを申し上げたのであります。ただ普通の工場等に労働者として雇用されていくのがいいような方もありましようが、必ずしもそうでない方もあると思いますので、そういう人に対しましては、自営の営業ができるように補導することも必要だと思います。もう一つは共同作業とか、授産とかいわれる、そういうような施設を置くことも必要ではないかということを申し上げたのでありまして、私さように考えているわけであります。それで共同作業施設なり、授産所につきましては、今までも厚生省方面からもある程度補助が出ておりますし、労働省からも補助が出ていることは御指摘の通りでありますが、これはそれぞれの見方がありまして、本來両方に関係するような部面が非常に多いわけであります。ただ大切なことは、それの連結の点があります。今までも心がけていたところでありますが、今度の対策委員会においても、そういう点をはつきりいたしまして、下の方にまいりまして事柄が非常に煩雜にならないように心がけてまいりたいと思います。
 それから今後一時的な施設か、永久的な施設を考えるかという点でありますが、実は労働省だけの予算で申しますと、今まで協同作業施設として全國約二千箇所ばかりの施設に対して、一箇年一箇所大体一万五千円という補助をいたしておつたのでありますが、その補助は今度職業安定法の施行と同時に打切られまして、今度は新たに失業対策という意味で、公共事業の方から一箇所約十万円程度の補助をすることに、いたしまして、予算の方では大体六百箇所程度まで認められることになつております。なおもう少し詳しく申しますと、暫定予資の四月分としては、一月六千円しか認められておりませんが、目下組んでおります本予算の方では、年間十万円ないし十四万円程度組んでもらうようにただいま折衝いたしております。その建前で申しますと、公共事業は一應失業対策の趣旨を相当織りこんでおりますので、そういう意味で言えば、一應臨時的と言えるかもしれませが、しかし日本のただいまのような経済情勢が、そう急に変化を來すものでもないと思いますので、今後相当長い期間におきまして、國としてはこういう施設をやらなければならぬのではないかと思います。
 それからもう一つお答えを落しましたのは、國家の授産所、國家の施設としてやつてはどうかというようなお言葉でありますが、ただいま大体この種の施設の行き方としましては、國自体よりも、國費はもちろん大部分を出すとしましても、府縣にやらす。府縣が都合が惡い場合には市町村にやらす。すなわち公共団体にやらすというのが大体の建前でありますので、今度私の方でやります共同作業施設も、原則として府縣、やむを得なかつた場合には府縣の監督のもとに市町村がやる。かようになつております。この点お答えいたします。
#10
○天野委員長 ちよつと速記を止めて……。
    〔速記中止〕
#11
○天野委員長 速記を始めてください。
#12
○受田新吉君 ちよつと建設院の政府委員にお伺いいたします。この前の委員会でお尋ねして、どうも援護院関係のお方であつたために、要領を得なかつた点があるのでありますが、住宅営団の管理下にある地方にあるところの引揚者などが多数はいつている住宅でありますが、これを今後閉鎖処理委員会において処理して賣渡すことに決定しているようです。ところがその買受け價格が相当高い基準でつくられている関係上、ぼろぼろになつたせんべいのような家でも、坪千円とか千五百円とかいろいろ段階があるようですが、相当額のものをあてられている。從つて、買い得ない人は、それを買受けることを希望しないで、從來通りにこれを借受けていくことを希望している者が相当あるのでありますが、これは、建設院としては、これに対して何か特別措置を認めるようにすることはできないものでしようか。つまり從來のような借家の立場をそのまま継続するようにできないものでしようか。ちよつとお尋ねいたします。
#13
○伊東政府委員 旧住宅営団の経営住宅処分の問題についてのお尋ねでありますが、この問題については、私どもも、何とかこれを國なり公共団体で引受けようといろいろ努力したのでありますが、結局國の財政の関係から閉鎖機関においてやはりこれを処分しなければならぬということにきまつたわけであります。さらにわれわれとしましては、処分する場合の價格をできるだけ安くしよう、また、独自の資金をもつていない人が多いわけでありますから、特別の融資をしようということで、いろいろ努力しました結果御承知のように大体その建物の種類によつて坪当りいくらと決定されました。それから讓渡價格については、特に融資をしようということにきまつたわけであります。ただいま具体的に宅地ごとに、家屋ごとに價格をきめまして、賣買の折衝をやつておるところでありますが、大体において順調に進んでおります。中にはいろいろな問題を起しておるところもありますので、これらについてはさらに閉鎖機関とも話合いをしまして、善処したいと考えております。價格の評價の点につきましては、現在の價格よりは安いと思いますが、ただ相当古くなつたものなどで修繕費を相当要するということから、今の價格では引き合わぬものもあるのであります。しかし全体的に見て妥当な價格ではないかと思つておりますが、個人のものについてよく調べまして、それに適する措置をしたいと思つております。
#14
○受田新吉君 続いてもう一つ伺います。この間建説院総裁から本会議でも答弁があつたのですが、新たなる住宅建築計画といて大体年間五十万戸の家を建てるように言うておられた。これで問題が一つあるのです。新たに建てて八年くらいに四百万戸完成すると言われた、その裏にも、現にまだ大邸宅がそのまま温存されているような傾向が多分にあるのです。こういう大邸宅の開放を住宅建築とともに並行してお考えになつてはおられないのか。
 もう一つは地代、家賃等は昭和二十一年九月三十日の統制價格で押えられておるけれども、住宅の賣買については統制價格はないようであるので、民間においては相当高い値段で取引されておる。こういう事実がありますが、家屋、宅地等の賣買に対して、地代、家賃の價格と併せてお考えになるおつもりはないか。この二つをちよつとお尋ねしたいと思います。
#15
○伊東政府委員 初めのお尋ねが大邸宅の開放の問題でありますが、住宅、特に庶民住宅の供給につきましては、三党政策協定の中にも具体的にうたわれております。われわれとしましてはその線に沿つて具体的な案をつくるように努力しております。先般建設院総裁が御説明申し上げました五十万戸建設計画というのは、絶対量が非常に不足しておりますので、これだけの絶対量を殖やそうということにまず第一の努力がかかつておるわけであります。二十二年一月から十二月の間に約三十一万戸の住宅ができ上つたのでありますが、さらに二十三年度は資材の割当を相当大幅に殖やそう。そうしてこの五十万戸目標に努力しよう。資材の割当の大体内定しておりますのが四十万戸分きまつておるのであります。その他の資材等でできるものを加えまして五十万戸であります。まずその方の努力と、それから新しく建てますものにつきましても、特に貸家が不足しておるわけでありまして、自分で建てる資力のない人のために供給しなければならぬ建物、これが特に現在最も困つておる問題でありますので、これにつきましては、特に國において相当額の補助予算を計上いたしたいと考えておりまして、ただいま折衝中であります。ただこういうふうに建設する方面だけではどうかという点につきまして、私どもも御承知の通りに考えておりますので、大邸宅の開放とかその他遊休建物の利用ということにつきましてはただいま研究をいたしております。大邸宅の開放については御承知のように住宅緊急措置令というものが出ておりまして、一應の法的の措置が現在あるのでありますが、これを強力にやつていきますためには、地方の機構としてもまだ足らぬところがあるように思います。またこれに伴う予算的の措置につきましてもなお考えなければならぬ点があると思います。またそのほかこれを促進するためにいろいろ新たな方法を講じなければならぬと考えますので、そういう点につきましてただいま研究しておる次第でございます。
 それから家屋の賣買の統制の問題でありますが、これにつきましては私の方としましてはただいま特に考えておりません。この地代家賃の賣買の問題は大体物價廳の所管じやないかと考えます。從つて物價廳あたりで考えておられるのじやないかと思います。
#16
○天野委員長 さいわい建設局長がおられるようでございますので、お尋ねしておきたいことは、当委員会としましても先ほど朗読いたしましたような嘆願書をスターリンとマツカーサーそのほか関係方面へ出しております。そこで委員会としては海外にある人を全部引揚げたいのが目的でありますが、是が非でもこれを通したいと考えております。もしそれがいかなくいたしましても今までの米ソ協定で見ますと、月五万、一年間に六十万は引揚げてまいることになつてまいります。そこで今ソ連の方で言われますのには、日本の受入れ態勢が完備しておらない。こういうことをとき折言われておるように聞き及んでおりますが、受入れ態勢の問題といたしまして、住宅の問題がまず取上げられる。こういうことになつてまいりますが、建設局としまして現在引揚げてこられても住宅がなくて困つておる人が幾対あるやに聞き及んでおりますが、これに対してこの六十万の人が引揚げてこられても、受入れに遺憾なきを期しておるかどうか。こういう点についてお伺いしたいと思います。
#17
○伊東政府委員 引揚者が戰災者以上に住宅に非常に困つておられるという事情はよく承知しておりますので、これにつきましては極力あらゆる便宜をはかるように考えております。特に資力のない方が多いのでありますから、貸家の供給についてこれを考えなければならぬと存じております。ただいま國庫補助を出しまして、各公共団体に貸家の供給をやつていただいておりますが、そうして実際入居者をきめます場合に、引揚者に特に割当をするとか、これは各都道府縣によつてやり方は違いますが、そういうような考慮を拂つております。しかし何分にも予算のわく内でやることでありますので全体の戸数が非常に少いのであります。二十二年度は大体四万戸程度しかできなかつたのであります。これではただいまお話のような今年中におそらく数万戸だけでも必要と思いますが、とても四万円のわく中になかなかはいらないのでありまして、これは私どもとしましては、本年はぜひとも十万戸程度の貸家の供給をいたしたいというふうに考えております。大体この通りになりましたならば何とか要求を滿たし得るのではないかというふうに考えております。
#18
○天野委員長 いろいろ御心配願つておることはまことに感謝しますが、今のお話中には予算の関係等において予定通り行くか行かぬかということがはつきりいたさないように伺つておりますが、まず人間として住む家のないということが一番困ることであつて、これがひいては引揚げ等に非常に関係いたすとともに、なお風紀及び思想上に及ぼす影響、それが新日本建設のためも非常に重大なる影響をもつてまいります。これはあらゆる予算を削つても庶民住宅に対しては、國は努力を拂うべきものではないかと考えておりますが、どうかひとつ建設局としましても、政府当局に強硬に迫つて目的の数量の庶民住宅が建設できるように、御努力が願いたいと思います。引揚げてまいりましても、もし住む家がない、こういうことになればゆゆしい問題になりますので、ぜひひとつ最大の御努力を願いたいと思います。
#19
○東井委員 ただいまの天野委員長の御質問に対しまして、私も非常にその点を考慮しておるものでございますが、もう少し詳しく承つておきたい点は、この二十三年度に先ほどお話のありました五十万戸の庶民住宅を建設する計画でございますが、先ほどお話になりました政府当局の希望としては、ことし貸家を大体十万戸くらいは建てたいというようなお話、この庶民住宇なりまた貸家の戸数、五十万と十万の関係がどういうようになりますか。
 それからまた廣く戰災者という人たち、その中にはもちろん海外から引揚げてきた同胞諸君も含まれておることであると私は思うのでありますが、建つて庶民住宅を今度貸しつけて使用せしめるについての何かそこに順位があるかどうかということも承つておきたいと思います。
 それから先ほど天野委員長からお話になりました点、われわれといたしましては少くとも今年中にソ連領下におります同胞の帰還を完成せしめたいというような強い要求をもつているわけでありますが、そういたしまと、今年中というよりも、私たちの氣持は大体月十五万程度の帰還を促進したいというような熱望をもつているわけであります。そういたしますとますます住宅問題が痛切な問題になつてくると思いますが、それにつきましてひとつ建設院の方で特に住宅問題につきまして御考慮を願いたいというような氣持が起つてくるのでありますが、そこで資材関係とかあるいは予算関係で、新しく建設することが非常に困難であるというような場合には、どうしても先ほど受田委員からお話がありました大邸宅とか、あるいは遊休邸宅の開放というようなことをどうしても考えていかなければならぬ。しかし緊急の場合に、少くともその計画をなるべく今のうちに立つておいていただいた方がよいではないか、私たちの帰還促進に対する欲求から住宅問題を考えまするときに、特にそれが痛感されるような次第でありますが、そういう点につきましてもう一度御意見を承つておきたいと思います。
#20
○伊東政府委員 お話の五十万戸と十万戸との関係については先ほどもちよつと申しましたように、建設資材の木材、セメント、くぎ、ガラス、そういうものの割当を全産業について経済安定本部できめております。そうして予定の戸数を考えているわけであります。それによりますと事務的に大体今まで折衝して内定いたしたものが四十万戸分の資材が確保できる見込みをもつている從來の例から申しましても、いろいろ自分の山の木を伐つて家をこしらえるとか、そういうような例がありまして、実際にはこれより相当多く建つております。それで五十万戸を目標に考えております。そのうちで貸家を庶民階級に対してどのくらい供給しなければならないかということは、從來ならばおそらく七割以上は貸家でございましよう。でありますから五十万戸やるとしますと、三十五万戸は貸家の形で國がやるか、公共団体がやるか、あるいは会社に供給してもらうかというようなことになると思います。いろいろな方法を考えているわけでありますが、從來やつておりますものは重要な産業の関係で、石炭鉱業あるいは肥料工業そういうような重要な産業の会社のその使用人のために住宅を提供しておる。これは復金から融資して相当やつております。これは二十三年度さらにそれを拡張していきたいと思います。これは予算に関係ございませんので、資材は最優先にやる。それから特に大都市あたりで会社、勤め先で供給できない人のためには公共団体が供給するようにする。さらに十万戸建設する。これは從來二分の一の國庫補助をやつておりますので、十万戸を現在の價格で計算いたしますと一戸九万円くらいかかりますので、九十億の資金が要るわけであります。これについて從來問題になつておりましたのは、二分の一の補助をいたしましても相当実賃が高くなる。一般庶民階級、賃金俸給生活者の階級にはもつと補助率を上げなければならぬ。それから二分の一の國の補助を出しましても、残額の二分の一を公共団体が借金をしなければならぬ。この資金の獲得がなかなか困難である。もう少し國が直接やるべきだというような問題がございまして、われわれといたしましては、この九十億という金を一應全部國が出し、そうして家賃の形で收入をできるだけ見ていこう。こういう案で当初いつておりましたが、これは財政当局などの関係もありまして、やはり從來の補助の形にしたいということで、大体今それで進んでおります。かりにこれを二分の一の補助にしますと、四十五億円の予算が要るわけであります。これは大藏省、経済安定本部の側からいいますと、この四十五億という金はなかなか出しにくいということで、いきおい十三万戸をさらに減らさなければならぬということになるのでありますが、われわれとしましては四万戸か五万戸では、引揚者だけでも收容ができないということで、補助率を下げるとか、あるいは建物を小さくするというような犧牲を拂つても、この十万戸という戸数だけはどうしてもやらなければならぬというふうに考えております。そのほかに一時の資金を融通してさえやれば、將來相当の收入を見て、それによつて償還することができる能力のある人があるというので、そういう人のために長期分讓の住宅を二十三年度において考え、これを六万戸程度計画いたしまして、折衝いたしております。これが約四十億ほどの予算を必要とすることになるのであります。これは相当毎年收入があるわけでありますが、一應四十億ほどの金を必要とする。これで十六万戸でありまして、四十万戸に対するあとの残りの二十四万戸が、会社の供給するもの、あるいは一般の自己資金に充てるものというふうになつております。本來から言いますと、この十六万戸では足りないのでありまして、この二倍以上は必要でありますが、予算の関係でできるだけ多くやるということに努力するよりほかは、いたしかたがないわけであります。ただこの程度にやりますと、從來より相当大幅に増加いたしますので、何とかやつていけるのではないかというふうに考えております。
 次に入居者の選定についてお尋ねがありましたが、かりにこの十六万戸というものをつくりましても、一般に廣く入居者をきめていくということになりますと、最も住宅に困窮している人に割当ができないというおそれもありますので、これについては十分調査いたしまして、最も住宅に困窮している人のみについて、抽籤とかいうような公平な方法で割当てるということにいたしたいと思つております。從來は大体住宅困窮者ということで、相当幅廣く募集をしておりました。そうしてそのうちの一部は引揚者などに対して何割かをとりまして、いくらかその当籤率をよくするというような操作もしておつたわけであります。これらの点については全体の戸数を殖やすと同時に、この入居者の選定については選考方法をさらに研究しまして、まず一番困つている人から割当てるというふうに改善したいと考えております。
 それからまた重ねて大邸宅の開放についてお尋ねがあつたのでありますが、帰還促進の関係で建設にはひまがかかるから、何か現在ある建物を利用していくようにしたいということについては同感でありますが、ただこの引揚者の一時的の收容施設としては、現在ある邸宅などを開放して、あまり手を加えずにそのまま使うということも考え得るのでありますが、將來長く住宅として使う場合に、現在の邸宅あるいは大住宅なるものが、そのまま何世帶も入れるというには、日本の家屋の構造がそれに適しておりませんために、同居するよりもむしろ小さい家でもいい、またバラツクでもいいから、とにかく一軒の家を與えてもらいたいという切実な声が非常に多いのでありまして、住宅の緊急措置令を出してから相当開放されましたけれども、そこにはいつた人も、さらに出て一軒の家をもちたいという声が非常に多いのであります。そこでこれらの点についてもずいぶん考えなければならぬと思いますが、同時に邸宅の開放については、二世帶も三世帶も入れるに適するように改造する、それにはあるいは間切りをするとか、あるいは台所、便所というようなものを簡單につくるというようなことも、併せてやらなければならぬというふうに考えておりまして、それに要する予算などは、二十三年度において多少計上しておるわけであります。
#21
○東井委員 御説明をいただいて大体よくわかりました。そこでもう一つお尋ねしておきたいのは、たとえば月々大体十五万の人が帰るというように仮定しますと、現在の受入態勢の中で、住宅の方の受入態勢はどうなつておりますか、ちよつとその点を御説明願いたいと思います。
#22
○伊東政府委員 それはちよつと所管外のことでありますので、お答えいたしかねますが……。
#23
○東井委員 そういうことならば結構です。
 そこで最後に委員長にちよつとお尋ねしますが、その後引揚げ促進に関しての情報が何か委員長の方にございますか。
#24
○天野委員長 船の修正を命ぜられて、そうしていつでも就航できるようになつておるというようなことは來ておりますが、その後いつ波止場に船をまわして、いつどうするというような情報はまだ來ておりません。
#25
○東井委員 わかりました。
#26
○天野委員長 他に何か御質問のある方はございませんか。
 別にないようでありますから、本日はこの程度で散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。
    午後零時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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