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1951/02/26 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 厚生委員会 第10号
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1951/02/26 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 厚生委員会 第10号

#1
第013回国会 厚生委員会 第10号
昭和二十七年二月二十六日(火曜日)
    午後二時二十三分開議
 出席委員
   委員長代理理事 青柳 一郎君
   理事 丸山 直友君 理事 亘  四郎君
   理事 金子與重郎君
      高橋  等君    寺島隆太郎君
      堀川 恭平君    松井 豊吉君
      松永 佛骨君    松谷天光光君
      柳原 三郎君    堤 ツルヨ君
      苅田アサノ君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 吉武 惠市君
 出席政府委員
        厚 生 技 官
        (大臣官房統計
        調査部長)   曽田 長宗君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局
        長)      山口 正義君
 委員外の出席者
        厚生事務官
        (大臣官房総務
        課長)     小山進太郎君
        專  門  員 川井 章知君
        專  門  員 引地亮太郎君
        專  門  員 山本 正世君
    ―――――――――――――
二月二十三日
 国立岩国病院存置の請願(青柳一郎君紹介)(
 第八七四号)
 国立佐賀病院存置の請願(三池信君紹介)(第
 八七五号)
 新潟県下の結核病床増設等に関する請願外十八
 件(亘四郎君紹介)(第八九一号)
 同外七件(松谷天光光君紹介)(第九一四号)
 同外八件(三宅正一君外一名紹介)(第九三三
 号)
 同外一件(丸山直友君紹介)(第九六〇号)
 国立大分病院存置の請願(永田節君紹介)(第
 八九二号)
 遺族援護強化に関する請願(山口六郎次君紹
 介)(第八九三号)
 同(大石ヨシエ君紹介)(第九三二号)
 母子福祉法制定の請願(圓谷光衞君紹介)(第
 八九四号)
 同(岡良一君紹介)(第九六二号)
 同(石川金次郎君紹介)(第九六三号)
 同外五件(原田雪松君紹介)(第九六四号)
 公衆衛生の機構改革に関する請願(淺香忠雄君
 紹介)(第八九五号)
 結核療養所建設費長期融資に関する請願(川野
 芳滿君紹介)(第九一二号)
 国立嬉野病院存置の請願(中村又一君紹介)(
 第九一三号)
 満蒙開拓青少年義勇軍物故者の援護対策に関す
 る請願(瀬戸山三男君紹介)(第九二四号)
 国立旭川病院存置等の請願外一件(玉置信一君
 紹介)(第九三〇号)
 旭川市にアフター・ケア施設設置等の請願(玉
 置信一君紹介)(第九三一号)
 北海道下の結核病床増設等に関する請願(玉置
 信一君紹介)(第九三四号)
 理容師及び美容師の免許制度廃止反対に関する
 請願(山口好一君紹介)(第九五六号)
 公衆浴場法廃止反対の請願(長野長廣君紹介)
 (第九五七号)
 国立豊橋病院存置の請願(八木一郎君外一名紹
 介)(第九五八号)
 国立川棚病院存置の請願(西村久之君紹介)(
 第九五九号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 小委員の補欠選任
 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する
 件に基く厚生省関係諸命令の措置に関する法律
 案(内閣提出第一二号)
 昭和二十七年度厚生省関係予算に関する件
    ―――――――――――――
#2
○青柳委員長代理 これより会議を開きます。
 都合により委員長が不在でございますので、私が委員長の職務を勤めます。
 まず理事及び小委員の補欠選任の件ついてお諮りいたします。委員の岡良一君が去る二十日委員を辞任されたのに伴い、現事が一名欠員となり、また戰争犠牲者補償に関する小委員会、国民健康保険に関する小委員会及び医爆体系に関する小委員会におきましても、それぞれ一名の欠員を生じておりますので、その補欠選任を行いたいと行じますが、岡良一君は再び本委員に選任されましたので、再び委員になられた岡良一君を辞任前の職に再びつかれるよう選任するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○青柳委員長代理 御異議がなければ、そのようにいたします。
    ―――――――――――――
#4
○青柳委員長代理 次に、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く厚生省関係諸命令の措置に関する法律案を議題とし、審査に入ります。まず、厚生大臣から趣旨の説明をお聞きしたいと思います。
#5
○吉武国務大臣 ただいま議題となりましたポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く厚生省関係諸命令の措置に関する法律案について、提案の理由を御説明いたします。
 日本国との平和條約の効力が発生いたしました場合、昭和二十年制定の勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基いて制定されました諸命令について、しかるべき改廃等の措置を講ずる必要があるのでありますが、厚生省関係のこれらの命令としましては、引揚援護庁設置令、有毒飲食物等取締令、陸軍刑法を廃止する等の政令第七條、死産の届出に関する規程、伝染病届出規則及び引揚者の秩序保持に関する政令があるのでありますが、これらのうち、最後のものを除く五命令は、日本国との平和條約の効力が発生いたしました後におきましても、法律としての効力を持たせる必要がありますので、ここに法律としての効力を有するものとして存続することとしたのであります。但し、これらのうち、引揚援護庁設置令及び死産の届出に関する規程につきましては、字句等について所要の改正を行うことにいたしました。また引揚者の秩序保持に関する政令は、制定当初の目的をほぼ達成いたしまして、将来法律としての効力を持たせ存続させる必要がなくなりましたので、この際これを廃止することにいたした次第であります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由の大要であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#6
○青柳委員長代理 次に、昭和二十七年度厚生省関係予算に関し、厚生大臣に対しての発言を求められて、おりますので、これを許します。丸山直友君。
#7
○丸山委員 今年度の厚生省の予算、ことにそのうちの結核対策に関する根本的の御方針を承りたいのであります。と申しまするのは、この前の第七国会でございましたか、結核対策の強化に関する決議案を提出いたしまして、一応これは全員の御承認を得て通つておる次第であり、また厚生省といたしましても、結核対策に関しましては、五箇年計画――五箇年間に死亡率を少くとも半減させるというような目標を持つての御計画が樹立せられておつたはずであります。この計画は、大体結核のベッドを、年間死亡数に一致させるだけのべツドをふやすということが、まず主体となつておりました。その後、結核予防法が制定せられまして、着々実行に移つてはおりまするが、本年度の予算を見ますと、遺憾ながらその増床計画は一万床でございまして、われわれの予期するものよりも。やや少な過ぎたという懸念もありますると同時に、要求予算として出されておつたアフター・ケア施設の七千万円というものが全然落されて、これがないのであります。御承知のように結核の対策と申しまするものは、釈迦に説法かもしれませんが、隠れた患者を探し出すということ及び未発病者に対する注射等のこともありまするが、すでに結核の発病しておる人間を収容して、その感染源を隔離すると同時に、これがなおりました場合に、その病気の性質上、完全に今後再発しないという見きわめのつくまで、この少い病床の中にしまいまで置いておくということはできない。他人に感染を及ぼす危険のなくなつた者は、なるべく早くその病室から出して、アフター・ケア施設に収容いたしまして、トレーニングをやつて、社会へ出て働いても再発しないようなふうにする必要があるのでありまする私どもの方で、ごく少数ではございますが、東大方面の調査いたしました結果によりますと、退院後アフター・ケア施設に入れて、相当のトレーニングをやりました後に社会に出しました者と、それをやりませんでただちに業につかせた者との再発率は、二倍以上の差が生じております。こういうようにに、アフター・ケア施設があるかないかによつて、再発率が非常にかわつて来るという状況から考えましても、結核対策の一貫した一つの構想から申しますると、今一番不足しておるのはアフター・ケア施設であります。このアフター・ケア施設の予算が全額削除されておるというようなことは、私どもとしては非常に遺憾に考えておるのでございますが、これを今後どういうふうに運用なさるお気持であるか、結核対策の一貫した、ほんとうのしつかりした御計画をお立てになる御意思があるかないか。そういうようなものを命じて建てさせ御意思があるかということを承りたいのであります。
#8
○吉武国務大臣 実はアフター・ケアの問題は、私は詳細存じませんので、もつと取調べまして、後の機会にお答えをしたいと思いますが、御趣旨の点は私もごもつともだと思つて、努力いたしたいと思います。
 それからベツドの関係は、初めの予定より若干少くなつておりまするが、これは御承知のように、今年は前年度に組みました予算が一年半分にならしますと、それだけで相当多額の経費を使つてしまつたものですから、あまり予定ほどベッドが伸びませんで、遺憾に思つております。しかしながら、今年は大体一万ベッドを予算に計上いたしまして、そのほかには今度の国立病院の転換で、十五箇所ほどを療養所にいたしまするので、それで約千ベッドぐらいはふえるのじやないか。それからそのほかに各施設の結核関係のベッドが自然増床として約手四、五百ぐらいはふえるのじやないだろうか、そう考えますると、予算的措置は一万ベッドでありまするけれども、大体は一万二千四、五百ベッドくらいは二十七年度で増設できるのじやないか、かように存じております。
 アフター・ケアの問題は、お話の通りでございまして、せつかくなおつたものが、あとの手当が悪いためにまた前にもどるということは、はなはだおもしろくございませんので、もし予算的措置が講じてございませんければ、何らかの方法をもちまして努力はすべきである、かように存じております。
#9
○丸山委員 これはそう承りますれば、むしろ私からは質問よりお願いということになりますが、現在の結核のベッド数が絶対必要量を満たす段階になつておりませんので、入りたくてもはいれなくて困つておる人がたくさんあるのです。どうしても入れなくてはならない、必要のある人でもはいれない者がある。また強制収容をしなければならない人でも、ベッドがないためにはいれない人がたくさんある。しかも現在入つておる人が今度はなおつてアフター・ケアに移つてもよろしいという段階にあるにかかわらず、それがその病院を占拠してベッドをふさげておる。つまりベッドの回転率が非常に悪い。入つておらなくてもいい者が入つておつて、入つていなくてはならぬ者が入れないというのが現状なんです。そういうことを防ぎます意味と、結核対策というものの一貫した政策というものを立てる必要上、どうしてもこのアフター・ケアが必要なんです。今、日本においては、非常にベッドの数が少い。これはぜひふやしていただきたい。そういう線に沿つて今度の補正予算等において、ひとつ努力を願つてこの予算をとつていただいて、一貫した結核対策を樹立していただきたい、これをお願いしたい。
#10
○青柳委員長代理 次に金子君。
#11
○金子委員 国立病院の問題につきましては、この前大臣からいろいろお話がございましたのですが、二つの点、すなわち今度の予算の上に地方移譲の計画は立つけれども、強引に、これを無理やりにそういう方向をとるのではなくして、あくまでも地方庁と相談の上、今の病院がより以上の性能を現わす見通しによつて、会議によつておやりになること、それから予算措置が足りなければ、それを足してでも次の根本的な改革のある機会までは国立病院の姿をとつておくというような二つの要点ははつきりしたのでありますが、残された問題といたしまして、この委員会でも日本の医療体系が非常にまちまちであります。すなわち国立病院のような、ただ軍の病院を、やり場がないから、そのまま国立にしたというような体系のものもありますし、また一番問題になると私どもが考えるのは、たとえば鉄道関係であるとか、あるいは逓信関係というものが、特殊なグループによつて一つの病院を持たれておつて、それにかかる人だけが非常に有利な立場に置かれておる、こういうのもございますし、それから山村の無医村等におきまして、厚生省の助成によりまして、ぽつんと診療所を建てて、ただ一人の医者がおるというようなところもございますし、また開業医さんのやつておるというようなこともあります。こういうようなことを考えましたときに、どうしても近き将来に、日本の医療体系というものを、一つの方向をとる――方向をとると申しましても、単に国立にするがいいとか、あるいは民間がいいとか、あるいは公立がいいとかいうふうなとらわれた考え方ではなく、どういうふうな姿のものがあるにしても、そこに国民が受ける立場から機会均等の姿にならなければいけないるでありませんと、一方それに密接して参ります社会保険との食い違いができて参りますので、大臣はこの医療体系について、私どもとともにこの問題を掘り下げ、近き将来に一日も早くすつきりした形になるようにしていただきたいと私どもは考えておりますが、大臣はこれに対してどういう程度にお考えになつておりますか。
#12
○吉武国務大臣 ごもつともな御意見でございまして、私がこの前答弁いたしましたのも、そのつもりでございましたが、言葉が足りないために、あるいは誤解を受けたかもわかりませんが、私は医療体系を整える必要があると思つております。ただその際におきましても、皆さん方の御意見を尊重し御相談をしたいと思つております。ただ問題は、医療体系を理論的にだけ立てても、財政の伴わない場合もあり得るから、その点も考慮しなければならないし、それから医療体系をつくる上に、ただ国だけがやるぞということではなかなかうまく行かぬので、国立もあれば、公立もあるし、また私立のものもあるだろう、そういうものを総合的に見る必要があるだろうという多少予防線を張つた答弁をいたしておつたのでありますけれども、日本における医療体系というものを一応組織的に考える、あるいは方向づけるということは必要でございますので、御相談をいたしたいと思つております。
#13
○金子委員 御趣旨を承りまして、そういう意味におきましても、本委員会でもこの問題だけは特に本年度取上げまして、小委員会で真劔に掘り下げて行きたいと存じておりますので、さようお願いいたします。
 それから、最近国会の外で非常にやかましく言われております問題でありますが、これは私ども個人としても相当に研究の余地がありますので、今まで委員会の問題として発言をいたしてなかつたのでありますが、この際大臣から一応お聞きしておきたいのは、例の自由党の一部の代議士諸君が、昭和三十年まで一つの決定を待つているところの、例のはり、あんま、きゆう、柔道整復以外の療術に対する身分法の問題であります。これは昭和三十年までの間に研究されて、そうして社会公益上弊害もなし、裨益するところがあるという面から、これを取上げて行くようになつていると思うのであります。これに対しまして、先日療術師の大会では、自由党の増田幹事長は、この法律は上程しないというようなことを言明しておられるようでありますが、厚生省当局といたしましては、どのくらいまで研究されて来ているか、今後どういうような方法をとつたらよろしいかということに対する厚生省としてのお考えがありましたら、この際承つておきたいと思います。
#14
○吉武国務大臣 この問題は私もいろいろほかからも聞いておりますし、研究させておりますが、厚生省として今積極的にどうしようという考えはございません。ただいろいろ陳情を聞いておりますと、現在弊害なく行われておる問題が、何だか非常にきつく制限されて職を奪われるようなふうに伝わつておるのでありますが、そういうことは私どもとしては実はやらせたくない。現在行われてさしつかえのないものは、存続をさせて行つたらいい。しかし一方衛生上危険があるとかなんとかいうことでございますれば、これは弊害のないような処置にしなければなりません。従来弊害なしに行われたものが、何だか一片の法律によつて制限され、職を失うというようなことは、私としてはあまり希望いたさないのであります。
#15
○金子委員 ただいま御答弁を聞きますと、大臣はまだこの問題はあまり研究なさつておられないようでありますか、別に今やつておる仕事を禁止するというふうなことは、私はどこにも出ておらないと思うのであります。ただ問題は、幾つかの療法が、昭和三十年までの一つの期間的な措置がとられておるということでありまして、まだ年限が来たわけではありませんので、この間において厚生省自体が、この療法はどの程度のものだという研究結論を得て、初めて考えなくちやいかぬことなのでありまして、その研究が一体どの程度まで来ておるかということでございます。
#16
○吉武国務大臣 まだその研究は、どのものはいい、どのものは悪いというところまで行つておりません。私は基本の考え方は、今申しましたように、今までやつて弊害のないことで来ておるものは、できるだけ尊重して行つたりいいじやないか。理論的に言えばいろいろあるだろうと思いますけれども、理論的ということよりも、実際に支障のない療法であれば――理論に走つて制限をするとか、変更するとかいうことになると、それによつて非常に職を奪われる者が出て来はしないか、かように存じております。しかしその原則を貫くとしても、事実弊害のあるものがあれば、弊害があつてもやむを得ぬからという考えは持たないわけであります。従つて、お話のごとく、個々の問題について検討しなければならぬと思つております。
#17
○金子委員 弊害があるものはやめて、弊害のないものは存続する。これは常識的な話でありまして、私もその通りだと思いますが、今度出ておる問題は、今まで研究がすでになつたものという前提の上に立つて、今の四つの身分法のあるもの以外は、全部療術法として一括してこれを法文化するということにあるようでありますから、それを私は申し上げておるので、私ももちろん弊害のないものを、これはやめろとかなんとかいう考えは毛頭持つておりません。ただそういつた場合にも、今ある四つの身分法のあるものは、あれは一つの療術なのでありまして、それとかみ合せてお考えがあるか、あるいはあれはあれとして、別なものを出そうとする今の考え方に対して、大臣はどういうお考えであるか、そこまでひとつ御回答願いたいと思います。
#18
○吉武国務大臣 まだそこまで私の方も検討しておりませんが、積極的に今それを一つの法律のわくに入れようとは思つておりません。党の方では、何かいろいろな意見を持ちになつているようでございます。
#19
○金子委員 その次二国保の問題につきましては、昨年、前国会におきましても、この委員会といたしまして研究の結果、国保に対して国が助成をしてほしいということを、衆議院の本会議におきましても決議案として要望したのでありますが、不幸にいたしまして、医療給付はいけないというふうな形から、助成金か何かのような形に約四億ほどの金額と、もう一つ四億数百万円というものが休止組合の再建策として貸付金をするというところにとどまつたわけであります。そこで私どもは、このあり方に対して不満でありますので、もう少し認識してほしいという立場から、もう一度今国会におきましても、国保の小委員会をつくりまして、熱意を持つて掘り下げて行きたい、こう考えておりますが、私はこれを掘り下げた結論は、あるいは法律の改正によりまして、たとえば国民健康保險法の第二條の、国民である以上は強制的にその中へ入るべきだというふうな改正と同時に、強制する以上は、ほかの職種にある人たちと同じでないまでも、ある程度まで国家が責任を持つて、そういう財政支出もしなければならぬということになることは当然であり、またそうなるのじやないかと思つております。そういつた場合に、今大臣のお考えでは、国民健康保険に属する人、すなわち国民層の約六割以上を占めておるところの自由労働者、あるいは農民あるいは中小企業者というものだけが、社会保險の中からほとんどらち外に飛び出ているというような現在の社会保険のあり方から考えて、私は当然米をつくる労働者であろうが、あるいはハンマーを持つ労働者であろうが――米をつくる労働者や、あるいは大工、左官はほうつておいてもよいのだという社会保險の体系は、非常に私はちんばなものだと思います。大臣は今の国民健康保険の将来の行き方に対して、ほかの共済であるとか健保であるとか、船員保険であるとか、そういうものと比較したときに懸隔があまりにはなはだしいことを考えられておるかどうか。またあるいは今後一般国民の社会保険に対しては、どういうふうに進めて行くお考えであるか、その所信をひとつ伺いたいと思います。
#20
○吉武国務大臣 これは非常にむずかしい問題でありまして、しばしば検討をした問題であり、また今後も研究せなければならぬ問題でありますが、健康保険の組織というものは、御承知のように事業主とそれから被雇用者、その関係では業務上の補償については、当然事業主の全責任になる。しかし、昔はそれだけやつたのですが、それは労働者側だけに負わしてよいかというと、やはり長く雇用関係にあります以上は、そこにやはり何らかの処置がいるというところから発達して、業務上であるとないとを問わず、健康保險というようなものをつくつて、そのかわり両方の掛金でやつて行こうということで発達して来た制度であります。
 共済組合は、大体健保と同じような行き方で出て来ている。思想的には同じわけです。国民健康保険の行き方というものは、ある地域といいますか、部落といいますか、そこにいる住民がお互い同士で一つの保険制度にして掛金でやつて行こうということで発達して来ております。発達の径路がやや私は違うと思います。だから、これをある国でやつておるように、全部そういう関係を御破算にして、国民を平等の地位に置いて、そうして保険制度を行うといえば、お話のようにできぬことはございません。それをやりますと、国家の医療費を全部をまかなつて行くというところまで、徹底せざるを得ぬじやないか。しかし、それは必ずしもよいとは私は思わない。でありますから、こういう制度というものは、やはり必然的にだんだんと発達して来るものでないと、理論的にただ一つにしたらよいということで行くことに、私は無理がありはしないか、かように存じております。従つて国民健康保険が、だんだんとそういう部落とか、同じ地域のところから発達して行くことによつて、そうして全体的に網の目が重なつて行くということになれば、それでやつて行けるのじやないか。それを全部職域の中へみなまぜてやるということも、できぬことはございませんけれども、その方がはたして本人どもによいかというと、私は必ずしもよくない、かように存じております。
#21
○金子委員 大臣の今の社会保険のあり方に対してと同時に、国保のあり方に対して御説明を伺つたのでありますが、これはなるほど今お説の通り歴史の発展過程が違う。歴史の発展過程が違うから、そこにその発展過程というものを、無理して一つの考えのもとに新しい制度を生もうということに対しては、無理がありはしないか、こういうことに私は承つたのでありますが、しかし、なるほど歴史の発展過程の違うことはわかるけれども、今の社会保険の歴史の過程は、どうしてそういうものができたか。大正の末期において労働者が非常に生活に困難になつたときに健康保険をつくつた。それで今度は戦時中から今の災害補償のような形、あるいは船員保険のような形は、戦事中においていろいろな人たちを工場に動員するについては、こういう補償をしてやれという動機が非常に強くなつて発達している。農村景気がわるくなつたから、国民健康保険をつくるというふうに、一つの階層々々の事情によつて、そのとき生れておるというのであつて、その職業の本質から、そういうふうな保険のあり方でなくてはならぬというふうなイデオロギーで生れたのではない、私はそう考えております。そこで、今大臣のお話のように、健康保険は、雇つておる立場の人たちが拂つておるというのでありますけれども、私これはちよつと意見になりますけれども、話のついでですから申し上げますが、健康保険の場合、半額ないし半額以上の保険料というものを、形の上では雇つておる雇い主の立場にある者が拂つておる形をなしておるけれども、実質的には私は拂つておらぬと思うのであります。これはほんとうにもう少し広義に解釈して行きませんと困るのでありますが、それは一つの会社なら会社、事業主なら事業主の損失勘定の中にちやんと入つておるのであります。事実その人たちの財布を通して出て来るということであつて、広義においては国民負担なのであります。でありまするから、共済の、国費をもつて半額負担する、これももちろん国民負担であります。工場主を通して国民負担をしておるだけでありまして、今の制度がそうなつておるからといつてほかの企業、農業やあるいは自由労働者の立場とは違うという考え方は、狭い意味に解釈すると、そういう結論になりますけれども、本質的な国民の分配という問題から行けば、そうでないと私は考えておるわけであります。そこで、国民健康保険の場合において、大臣は、企業主であり同時に労働者だというふうなお考えで、それをだれも半分出すことはできないから、国家が出す筋合いもないし、雇い主が出す筋合いもないということで、割切られておるようなお話でありました。なるほどこの点は私は日本の人口の半分近くを占める農民層というものは、企業の形態は持つておりますけれども、実質において一つの経済的な面から見れば、これは労働者だ、しかも今の平均水準以下の労働報酬しか得られない労働者だと、こういうふうにはつきり言い切れると私は考えておるわけであります。従つてこのような社会政策を行う場合には、そういう経済的な職業の性格から見て、機会均等の方向へ持つて行くべきだ、こういうふうに考えております。日本の農民に対する企業かあるいは労働的な性格かに対して、大臣はその方面にも御研究のある方でありますが、その基本観念が問題をなすと思うので、その基本的な考え方をひとつお話し願いたいと思います。
#22
○吉武国務大臣 これはよく、税金がいわゆる本人が負担するのか、あるいは買うお客さんの方が負担するのかという議論と同じように、大きい目で目ればあるいは事業主負担だというものも、一般国民が負担しているという理論も立つかもしれませんけれども、しかし現実の姿では、一応それだけを経営者が出しておるわけでありまするから、これをなくして一本にした場合に、それではそれだけ事業主が負担するかというと、あるいは目に見えぬ面で負担しておるかもしれませんが、負担せずに、経営者がそれだけ得をするということになるかもしれません。ただあまり理論的に深く、結局究極のところは同じだからということだけでは、この現実の問題は、私は処理できないのではないかと思います。それから農村の問題にしましても、労働者か企業かといつて、これはやはり今日では自分の企業でありまするけれども、それでは企業として企業だけの収益が上つて行くかというと、結局自分の労働力で食つて行くということでありまするから、両方の形態を合せておるのが今日の農村の実情であろう。従いまして、この場合においても医療を国家が負担する、あるいは国民が負担するとしても、農民が負担しても、大きい目から見れば、農民が負担すればするだけのコストというものは、米の値段で要求しなければならぬということになるでありましようし、経済の行先は、みんな同じように流れているかもしれませんけれども、そうだからといつて、今日自然的に発達したこの制度を御破算にして一本でと言われても、相当問題だろうと思います。そのことが一般の労働者諸君によくなることならば、これはまたやつていいでしようけれども、一本に流すために労働者の福利というものが後退をするということになりましては、私はこれは大問題だと思います。農民の方を一緒にして国家が一部負担すれば、農民の方はよくなるかもしれませんけれども、そのかわり労働者の方は事業主負担がなくなつて、それだけ国家が負担するということになるということだと、たいへんな財政です。これはもう少々の財政でやりきれるものではありません。従つて財政に限度のあるということになれば、それだけの金が出ないということになる。ですから、私はこういう問題は、理論的ということよりも、自然にだんだんと発展して、そしておちつくところへおちつかせて行くということでないと、どうも理論だけでということはむずかしいのではないかというふうに考えます。
#23
○金子委員 私は理論的ではないのです。たとえば常識的に今の食糧生産の上に立つ労働者と、近代産業に立つ労働者と、あるいは官僚と、あるいはぺンを持つておる労働者と、こういうものがあつて、そうして国家をひとしく再建して行くのに、特殊な者だけが、自然の姿がそうだからといつて、差別がついてもしかたがないのだということに、大臣の考え方は、結論はそうなるのでございますが、そういうお考えであるとすれば、これは実に言語道断だと思います。同じ国民であつて、国家の社会保障問題も上らないうちならばよろしいのでございますけれども、今日になつて、そうして一方農村の方は地域がそうなんだから、地域団体だからしかたがない。一方は事業主が負担するのだからやれないのだ。こんなことは、やり方によれば幾らもできるのです。たとえば、事業主の何人か雇つているものに対して、それだけ負担を国としてよけいさせれば、全体に収入があるわけであります。ですから、方法の問題は次に出て来る問題でありまして、基本的なものの考え方をどうするかということを、私は大臣にお伺いしておるわけであります。決して私はりくつを言うのではなく、この考え方が、大臣がそういうふうな程度だからこういうふうに国民健康保険というものを一般大衆というものが常に考える。大臣は労働者とおつしやるが、労働者とは何を言うか。労働者はハンマーをとつてやる、あるいはハンドルをとつてやることだけが労働者ではありません。日本の場合は、少くも今の一万一千円ベースの労働賃金以下で、米代なりとられておる、そういうふうなもののコストが高くなれば、当然農産物に移行されると言いますが、移行されない。農産物というものは、その満給のバランスだけで価格が決定するのではなくて、国民の食生活というものの基本生活必需品であるだけに、消費面からある程度価格というものに対して調整しなければならぬという現実にあるわけです。でありますから、資本主義のように、トラストをつくつて生産コストを擁護することもできない。むしろ大衆の生活面というものから、米価というものは大きな圧力を加えなければならぬし、またそうすることは決して悪いことではないと思う。ただそういうふうな国民が集まつて一つの国をなしておるのであるから、そこで機会均等な――私はもつとよくしてくれとか、予算がないとか、あるいは国費を増せということよりも、政治は機会均等を目ざさなければならぬと思う。そういう点から私はこの点を申し上げておるのでありますが、それならばこの問題でもう一つお伺いしたいのです。今の国民健康保険というものは、個人の労働収入のほかに、その人の持つ資産収入というものも、保險税なら保険税の対象として徴集しておるわけであります。そうしますと、ほかの公務員やあるいは労働者におきましては、なるほど保険費の二分の一というものを負担しておりますが、その基準の中に、その人の持つ資産收入というものが一体含まれておるかどうかということであります。それに対する差別があるかどうかということを承りたい。
#24
○吉武国務大臣 そこが健保と国保の違うところであります。発達の径路が違うところでありまして、国保というのは、その地域的な相互扶助から出ておる。従つて資産のあるものとないものとに多少の負担の差をつけて負担をして行く。健保の方は、相互扶助から出ておるのではなくて、雇用関係から出ておる。従つて負担を両方が分担をしてやつておる。今まであなたのお説のように、健康保険というものは事業主が負担しておる。事業主が負担しておるものは一本にしてしまつて、負担しただけは事業主に負担させたらいいじやないか、こういつてもそうはなかなか通らない。もしそこまで行くならば、国民全体に国家が国費でやればいいじやないかという議論に発展せざるを得ない。今まで事業主が負担したのを、一本にしてどうと言つたつて、なかなかそれはそうおつしやつても無理です。国民全部、労働者であろうと農民であろうと、あらゆる国民全部、これを国家の責任においてやるというここだつたら、その税金をとつて、その税金の負担においてやることは、できぬことはありません、そういう国もないことはありませんが、その方がはたしていいかどうかという点は、私はまた疑問がある。でありますから、ものというものは自然の必要によつてだんだんと発達して行くわけでありますから、それを一挙に理論的にこれをやるということには、私は賛成しがたい。できぬことはありませんよ、理論として成り立たぬということはありませんが、それをおやりになることが、かえつてよくなるかどうかということは、私は疑問であると思う。
#25
○金子委員 たとえば、今の大臣のおつしやる一つの国家保障を、あくまで始めの通り一切国費で持つことは云々ということに対して、私もこの問題をよく研究している以上は、単なるばかの一つ覚えみたいな、国家管理的な考えに行こうということが理想であるとは考えておりませんから、その点だけは前もつて、そういう意味で私は申し上げておるのではないということを、御了承願いたいと思います。私はむしろ、病気になれば国家が持つたらいいということではいかぬというふうに、逆に考えておるものであります。
 この問題はもう一つで終えますが、そうしますと、国民健康保険という姿は、相互の保險というよりか、その村の人たちの財産収入というものが、いわゆる税金と同じようなものでありますからして、そうしますと、国でさえも、一つの社会保障という観点よりも、社会保険的な性格以上には、今の健保ではできないにかかわらず、その貧弱な農村財政で、社会保障的な、村が保障するという性格のもとに保険が行われておるということはお認めになりますか。
#26
○吉武国務大臣 それはその通りであります。
#27
○金子委員 大臣は何か私の考え方が、すぐ国一本にすればいいのだというふうな考えのように思つていらつしやるとすれば、それは間違いであります。そういう意味で申し上げているのではない。こういうふうに、同じ国民でありながら矛盾があるとすれば、そのしわ寄せを一番されているものに対して政治的なウエートをもつとつけてやつて、少くとも比較的、幾分でも機会均等の方向へ持つて行く方がいいということに対しては、賛成してくださいますか。
#28
○吉武国務大臣 その意味の機会均等というのが、金子さんのお説を聞いていると、国民は皆同じだから一本にして医療制度に持つて行つたらというふうに私は聞えるのであります。それはいわゆる自然に発展して来たところの制度を乗り越えて、御破算にして一本に行くということであつて、それは相当に画期的なやり方であり、私はそう簡単に行くとも思わない。そうしたことが、はたしてその個々の場合によくなるとも私は思つておりません。現在の健保は、健保が発達して行くことによつて労働者は恵まれて行く。農村の問題は、それはお気の毒の点はあります。そこの部落だけで解決して行くという点については、非常にハンデイキヤツプがあると思います。しかしそれはそれでまた必要があれば考慮しなければならないでしようが、そのために今まである健保の制度を御破算にして一本にして事業主から負担をとればいいじやないか、そう簡単には私は行かないと思います。
#29
○金子委員 今あなたは、私の言うことを間違つておとりになつておる。この速記録をごらんになつても、今のものを御破算にして一つにするということは、私は一つも申し上げておらぬ。一つも申し上げておらぬのであります。そういうことを申し上げておるのじやない。今の現実がこういうような不均衡な形にあるから、そこでものの考え方で大臣にお尋ねしておるのであります。決して私はほかのものを全部御破算にして、新しいものを国家でやるということは一つも申し上げでおらぬ。その点は誤解のないようにお願いしたいと思います。それではこの問題はこの委員会で今後掘り下げていただいて、いろいろのデータの上に立つて、再び大臣にお尋ね申し上げることにいたします。
 最後にお尋ねいたしたいことは、最近単価問題がやかましくなりましてから、医者の課税の問題でございますが、開業医の課税でございます。これは開業医と申しましても、近き将来にだんだん公的医療としての性格、いわゆる保険医療がウエトを多く持つて参ると思うのでありますが、保険医療に関する限りは、国立であろうと開業医であろうと公立であろうと、同じ立場に立たなければいかぬと思いますので、極端に申しますならば、保険に関する課税というものは、ほかの機関が課税の対象にならない場合は、やはり開業医も課税の対象にしないでもいいじやないかという極端な考えも一応は持てるのであります。それに対して、国立病院のごときは、一方割引をしておる。足らない足らないと言いながら、割引を現に行つておる。特殊病院の鉄道病院やああいつた病院は、また別の面からこれに対する経営が楽にできるような方法がとられておる開業医の方々は、同じ保険医療をやりましても、それが課税の対象になるということには、少し矛盾があるのじやないかと思うわけであります。その点はどういうふうにお考えになつておりますか。
#30
○吉武国務大臣 これは私は今日の状態は、非常に開業医に気の毒な状態にあるとは思いますが、税金というものは、医者であろうと商売人であろうと、一定の所得があれば、所得に対して税金をかけるということは、平等であるべきだと私は思う。公立の場合の医療と、それから開業医の医療というのは、これは公立は営利でありませんから、税金の対象とならぬことは当然であつて。その方が税金がとられないから、開業医もということには行かない。税金というものは国民がひとしくその所得に応じてやる。従つて同じ医者の中でも、所得のない、経費ととんとんに行く場合は、税金を納めないでありましようし、開業医であつて、うんともうかるところは、そのもうかつた所得に応じて税金を拂うというのは、これは医者に限らず、医者であろうと、商売人であろうと、われわれであろうと、私は同じであるべきだと思うのです。ただ現在のお医者さんが、昔と違つて医療単価が安いために、つまり、もうけといいますか、所得が少い、経費がよけいかかる、そこで医者として生活をして行く上に非常に苦しくなつたという実情は、私も率直に認めます。従つて単価の改訂というものを合理的に、実際のコストがこれだけかかれば、それに対してある一定の所得というか、利益というか、報酬と申しますか、そういうものは見込んで、合理的な単価にするということが必要であつて、むしろ開業医の税金をなくするということは、私は正しい行き方ではないと思います。ただ現在単価の引上げをやりますと、お話のように、今の国保にも影響するでありましようし、一般の社会保險にも影響するところが多いものですから、なかなか簡単に上げられぬ。そうすると、それを医者が負担するということになるから、その面を税金の面で何とか埋め合せをするということで、先般の解決の、国保についてはその所得の何パーセントかを所得と見るということで、ある程度の考慮をする。それからそれは国保ばかりじやない、国保以外の一般の医療の所得についても、きちきちと文字通り差引かれたのではやつて行けないから、多少の考慮をするということになつたのであつて、国立病院の問題とそれから開業医の問題と、両方つまり同じにすべきだということになると、私はむしろそうじやなくて、医者がほんとうにやつて行けないとすれば、単価の面でもつて合理化して行くということが本筋だ、かように考えております。
#31
○金子委員 この問題に対しても、私の質問がそのまま受取つていただけないかと思うのでありますが、私は国民である以上は、収入があれば税金を納めることは当然だという御説明を、いまさらお聞きしなくても、私もその程度の常識はあるつもりでございます。ただ、今までの開業医というものと、今の制度的に定められた保険診療というものが、一定のわくの中にある、いわゆる公的な性格が強くなつておるので、自由企業の収益とは、おのずから考え方をかえてもいいじやないか、また考え方をかえらるべき理由が成り立つ。たとえば、安いからといつて、診療を拒否するわけにも行きませんし、診療いたしましても、それが公正であるか、公正でないかということは、別な審議機関によつて定める。こういうのでありまして、ただ單に一般の営業収入というものとは、性格が幾分違ついはせぬか。こういうことから、私は質問申し上げたわけであります。
 それから国立病院と違うのはあたりまえだというけれども、同じ保険をやりましても、国立病院が成り立たないといつて、一方においては予算措置が出ると言つていながら、健康保険を割引するということも、私には合点が行かないのでありまして、これはむしろ当然とるべきものである。保険が苦しいのなら、保険財政として別な考え方をすべきである。医療機関というのは、あなたの御主張の通り、独立採算で、一方は税金を納めてそれで飯を食つている。それが一方は、公立機関で、建物や何かを公的に持つていても、しかも経営できないということは、非常に矛盾です。それに対して、現在どうやつているかというと、補助、割引までしておる。こういう矛盾を申し上げたわけであります。
#32
○吉武国務大臣 今の国立病院が割引しているというのは、私聞きませんけれども、もしそうだとすれば、お話の通りです。私はそう思います。
#33
○堤委員 先ほど結核対策問題について、金子委員から御質問がありましたが、もう少し私から大臣に御質問申し上げたいのであります。現在の国立療養所のまかない費は――何だか大臣を試験するようですが、一日幾らでまかなわれておるか御存じですか。
#34
○吉武国務大臣 まだ私はその点まで研究が積んでおりませんので、調べましてお答えを申し上げます。
#35
○堤委員 それでは申し上げますが、実は療養所のまかない費は、八十一円何がしです。私日曜日にちよつと療養所を二、三箇所まわつて参りましたが、非常にこの療養所の台所と申しますか、患者の皆さんの食べておるものを見まして、実は私寒々とした思いをして帰つたのでございます。この一日八十一円何がし、しかもこれは主食を入れてです。これに対して大臣は、この八十一円について、まあお聞きになつただけで、どういうふうにお考えになりますか。結核対策には非常に御理解のある大臣でありますが、結核患者の日のまかない費八十一円何がしの現行の国立療養所のこの経費に対して、どうお考えですか。
#36
○吉武国務大臣 私は、今まかない費が幾らか存じませんし、またこれによつてどの程度のまかないを要するものか、これはまだ調べてみないとお答えできません。もしいけない点があれば、改むるにやぶさかではございません。
#37
○堤委員 それでは大臣に御研究を願つて、ぜひまかない費を増額してほしいのであります。実は御存じの通り、たとえば一点単価がこの間十一円五十銭に上りましたが、私のいなかでは二十四点といたしまして大体入院費、療養所に入るところの費用全体を一としましたならば、大体食費はその半額というのが常識ではないかと思う。この最低のところから勘定いたしましても、一日百円は何としてもやつてもらわなければならない。民間の結核療養所なども、非常に行き届いたところに参りますと、二百五十円でまかなつておるところがあるのでございますが、これは患者の病気を直しますのに、食生活の面から非常に体力回復いたしまして、好結果をあげておるのであります。一般民間の二百五十円とよく御対比になりまして、でき得るならば即刻他の係官と御相談になりまして、せめて百円に上げていただきたいというところの希望を添えておきますから、今後御研究願いたいと思うのであります。
 それから次に、実は遺家族補償の問題でございますが、御存じの通り、ただいま予算委員会におきましては、昭和二十七年度の八千五百二十七億に上るところの予算案が予算委員会を通過いたそうといたしておるのでございます。今これで各党が討論をやつておるはずでございます。この衆議院の予算案通過を前にいたしまして、まじめに遺家族のために研究を続けて参りましたこの委員会におきましては、その具体的な法案さえここに提出されておらないという現状なのでございます。これに対する大臣の御所感なり、御答弁をひとつ願いたいと思います。
#38
○吉武国務大臣 実はこの法案が早く出ませんことは、私非常に遺憾に思つて申訳ございませんが、実はもうほとんど徹夜のようにして事務局は法案をつくつておるあけであります。実はこの法案は、御承知のように非常にむずかしい問題がございまして、簡単に援護とは申しますけれども、元の恩給というような問題をも考慮しててないと、簡単に、だれにやればよいというふうには行かぬものでありますから、非常に法律的技術を要しまして。ようやく今成案を得まして関係方面と折衝を続けておるようなわけてあります。私はもう一両日中くらいには、何とかきまつて行くのてはないか。予算の前まてにぜひ提案したいと思つておりましたけれども、それが当れましたことは申訳ございません。
#39
○堤委員 非常にむずかしい問題でございますから、大臣のお立場も了承いたします。ただここで一つ大臣に承つておきたいのは、今年遺族に対する公債、八百八十億、それからこの予算書に盛られました二百三十一億、これについてでございます。どうしても予算の修正はできない、しかも俗に言われておりますお燈明代程度で、まことに遺族の方々にお気の毒だけれども、ごめんしていただきたいということをおつしやつて来たわけでございますが、この二百三十一億に伴うところの今度出されます法律につきましては、これは永久的なもの、たとえば来年も再来年も、さらに続く年も、この法律によつて今年のような手を打とうとしておられるか。あるいは遺家族の要求にもかかわらず、非常にささいなお燈明料であるから、これを一応今年だけの暫定的なものにして、そしてさらに来年はほんとうに補償的な、国家公務によるところの死亡者に対する、遺家族に対するところの援護にあらずして、補償的な建前において法律を組み直し、さらに予算をお燈明料から補償費に切りかえて行こうとしておられるか、そこのところをひとつ承つておきたいと思います。
#40
○吉武国務大臣 この問題は、いつかも私申し上げたと思つておりますが、今度出そうとする援護法案は、今年限りの法律とは考えておりません。しかしながら、これが今後引続いてかえないという考えではございませんで、遺家族の問題は軍人恩給の問題もございまして、政府としては審議会をつくつて、その審議会で根本的な審議を願うという考えを持つておるわけであります。従いまして、新しい制度ができますれば、当然それに移りかわつてしかるべきだと思いますけれども、それがいつできるともわかりませんし、そのできるまではこの制度で続けて行きたい、こういう考えでございます。従いまして、今年限りかということになりますと、それは今年限りとは申しかねるのであります。しかし何年もこれで行くかという御質問でございますと、そういうつもりはございませんで、できるだけ早い機会に根本的対策を考えたい、こう考えております。
#41
○堤委員 それではもう一つこの公債について御質問申し上げておきますが、御存じの通り、遺家族に対する公債ブローカーが、すでにあちらこちらにできております。大臣も御存じの通り、たとえば石川某という男が千二百任に上る沖縄人の遺骨を、委任状をもらいまして、これを給與費とともにとつて来て、そうしてこれを沖繩に送つてやろうというので、うまく復員局をたましておる。遺骨引取りに対する給與に府してさえ、悪ブローカー的存在かできておる。しかも八百八十億の公債というものは、私は初めから銀行の肥しだと思つております。生活に窮して困つておる母子世帯、老人世帶などは、これは銀行に二束三文にたたかれて、また抵当に入れて、自分の手元かりすぐに右から左へと行つてしまう性格のものが、私は六五%以上だと思つております。それを考えますと、非常に危険きわまるところの銀行の肥しの公債八百八十億、さらにこれにブローカーが伴うところの危険きわまる八百八十億に対して、大臣はどんな手を打たれようとしておるか。かつこれをどり防止しようとしておいでになるか。この点をひとつとくと承つておかないと、非常に多額の貴重な公債でございますから、われわれ委員としても責任があると思うのであります。
#42
○吉武国務大臣 公債の交付については、今大蔵省で検討しておりますが、これが弊害を生ずることのないように嚴重にして出すつもりでおります。
#43
○堤委員 厳重にして出すお考えというのは、たとえば、具体的にもう少し詳しくおつしやつていただきたい。
#44
○吉武国務大臣 これは大蔵省の所管でございまするので、大蔵大臣からひとつお答えをするようにしたいと思います。
#45
○堤委員 それでは八百八十億にわたるところの多額の公債の問題でありますから、委員長のおとりはからいによつて、大蔵当局並びに大蔵大臣に、これをあらためてこの委員会から聞くようにしていただきたい。
#46
○青柳委員長代理 承知しました。
#47
○堤委員 それでは厚生大臣の立場は了承いたします。
 そこでもう一つお伺いしたいのでございますが、私たちのこの委員会におきましては、母子世帯に対するところの対策の小委員会を持つて、実はきようも午前中母と子の世帶――これは戦争未亡人母子世帶ではございませんで、一般の未亡人母子世帶に対するところの問題を、いろいろな参考書類の上に立つて、何とかこの大きな社会問題を、政治の、われわれ国会の力で救つて行きたいというので、いろいろ掘り下げておりますが、戦争によらざるところの現在の母と子の世帯に対しまして、私は吉武大臣が厚生大臣に就任なさつてから、この問題についての御意見を承つたことがございませんので、これに対して、どういうお考えをお持ちになつておるか、承つておきたいと思います。
#48
○吉武国務大臣 母子世帶につきましては、お話のごとく遺家族でない方につきましても、私は気の毒だと思います。子供を連れられて職業戦線に立たなければならぬのでありまするから、従つてこれが施設としては、母子寮でありますとか、保育所でありますとか、こういうものをできるだけ増設いたしまして、働きいいようにする措置を講じなければならぬ、かように存じております。ただ予算的の措置になりますと、御承知のように社会保障関係、厚生省関係のしなければならぬ仕事もたくさんございますから、母子だけに予算を使うというわけに参りませんので、だんだんと他と勘案をいたしまして、増設をするよりほかないと思います。
#49
○堤委員 私は全国百万の一般未亡人母子世帯というものは、御存じの通りかつての日本の政治、社会制度の中に、社会人として育てられなかつた日本の女の実に実力のない悲しい結果が、今日の未亡人問題になつて現われておると思うのであります。男女同権だから、男が後家さんになつても、女が後家さんになつても同じじやないか、だから、両方ながら子供をかかえて食つて行くべきであるというような御議論があるかもしれませんけれども、これはやはり過去の日本の政治の欠陷並びに社会制度の欠陷の中から生れました生活能力のない日本の母というものに対しましては、子供の基本的人権を守る立場から、当然私は法的保護がなされなければならない、かように考えて今日まで参りました。それが今日戦争によるところの未亡人、老人世帶は、やがてお燈明料ながらも、何かの手を差延べられようとしておりますけれども、大きな社会問題であるところの百万未亡人母子世帶は、ここに捨てられた形になるということを私思いますときに、大臣は未亡人だけ特別に救えないというようなりようけんをひとつお捨てになつて、子供の基本的人権を守らなければならない国の建前から、母子のつながりというものを特別にお考えになつて、ひとつ現在の生活保護法、兒童福祉法、また今の予算において守れないものならば、單独立法をもつてしてでも、この未亡人母子に今後の施策を強く打出していただくように方針を立てていただきたい、かように存するのであります。実は地方をまわつておりましても、いろいろと、税金に悩む母子世帶、また子供の育英に暗澹たる母子世帯、それから農家におきましては、人を雇つて牛を借りてたんぼを耕しておきながら、一人前の供出をしなければならない母子世帯、幾多の問題がころがつておりまして――近き将来におきましては、男の方々と同様に、子供の二人や三人はかかえて食つて行ける女として成長いたします日は近いのでございますけれども、今の段階におきましては、過去の政治の貧困、封建制度の欠陷に対する補いとして、早急に策を立てられたいということを、私は大臣が就任早々でございますので、特に未亡人母子にかわつてお願いをしておきたいと思います。
#50
○吉武国務大臣 ごもつともでありまして、女の方が子供を連れられて、しかも生活のために職業に立たれておる姿は、私も十分気がつかないわけでもございません。特別の法律というお話もございます。法律ももちろん必要でございましようが、問題はできるだけ予算的措置を講じて行くことであろうと思いまして、十分努力をいたすつもりでございます。
#51
○青柳委員長代理 本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつて御通知いたします。
    午後三時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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