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1951/03/18 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 厚生委員会 第13号
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1951/03/18 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 厚生委員会 第13号

#1
第013回国会 厚生委員会 第13号
昭和二十七年三月十八日(火曜日)
    午前十時五十八分開議
 出席委員
   委員長 大石 武一君
   理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君
   理事 亘  四郎君 理事 金子與重郎君
   理事 岡  良一君
      高橋  等君    田中  元君
      寺島隆太郎君    堀川 恭平君
      柳原 三郎君    堤 ツルヨ君
      苅田アサノ君    寺崎  覺君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 吉武 惠市君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 菅野 義丸君
        総理府事務官
        (恩給局長)  三橋 則雄君
        厚生事務次官  宮崎 太一君
        厚生事務官
        (保險局長)  久下 勝次君
        引揚援護庁長官 木村忠二郎君
        引揚援護庁次長 田邊 繁雄君
 委員外の出席者
        專  門  員 川井 章知君
        專  門  員 引地亮太郎君
        專  門  員 山本 正世君
    ―――――――――――――
三月十七日
 船員保險法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第八〇号)
同月十四日
 未帰還者留守家族の国家補償強化に関する請願
 (淵上房太郎君紹介)(第一四〇九号)
 引揚援護費国庫補助の請願(小平久雄君紹介)
 (第一四四九号)
 潮岬村に国立結核療養所設置の請願(世耕弘一
 君紹介)(第一四五〇号)
 理容師及び美容師の免許制度廃止反対に関する
 請願(岡村利右衞門君紹介)(第一四五一号)
 国立姫路病院存置の請願(大上司君紹介)(第
 一四五二号)
 遺族援護強化に関する請願(小川平二君紹介)
 (第一四八七号)
 国立旭川病院存置の請願(福田昌子君紹介)(
 第一四八八号)
 国立療養所における給食費増額の請願(堤ツル
 ヨ君紹介)(第一四九〇号)
 結核患者の附添婦制限反対に関する請願(堤ツ
 ルヨ君紹介)(第一四九一号)
 潮岬村に国立結核療養所設置の請願(早川崇君
 紹介)(第一四九二号)
 未復員特例患者の医療給付に関する請願(堤ツ
 ルヨ君紹介)(第一四九三号)
 食品行政に関する請願(足鹿覺君紹介)(第一
 四九五号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 戰傷病者戰没者遺族等援護法案(内閣提出第六
 六号)
 船員保險法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第八〇号)
    ―――――――――――――
#2
○大石委員長 これより会議を開きます。
 まず船員保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。厚生大臣より趣旨の説明を聴取したいと存じます。吉武厚生大臣。
#3
○吉武国務大臣 ただいま議題になりました船員保險法の一部を改正する法律案について、提案の理由を御説明申し上げます。
 今回の改正の主眼とするところは、最近の船員保険運営の実績に徴しまして、船員保険制度の合理化並びに船員保険財政の健全化をはからんとするものでございまして。その改正の要点は、第一に標準報酬につきまして、船員保険における標準報酬が従来最低が三千五百円、最高が二万四千円となつておりまするのを、最近における船員給與の実態に即応せしめるとともに、適正な保険給付と保険経済の健全化をはかるために、最低の三千五百円を四千円に引上げ、これを第一級とし、最高の二万四千円を三万六千円に引上げ、これを第二十一級として、二十一級に区分するようにいたしたことであります。
 第二に、失業保険についてでありますが、季節的に雇用される者は、一般の海上労務者と異なり、離職いたしましても、実態上失業の状態にあるとは考えられませんので、これらの船員につきましては、失業保険の適用はいたさないことといたしたのであります。
 第三に、現在失業保険金の支給日額の最高額を三百円としているのでありますが、これを陸上の失業保険法と同調せしめて三百七十円まで引上げることにいたしたほか、若干の條文の整備を行うこととした次第であります。
 以上船員保険法の一部改正法律案の大要につきまして御説明申し上げたのでありますが、何とぞすみやかに御審議の上、御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
    ―――――――――――――
#4
○大石委員長 次に、戰傷病者戦没者遺族等援護法案を議題とし、質疑に入ります。質疑通告者が多数おられますので、順次これを許可いたします。
 なお官房長官並びに恩給局長が見えられますまで、しばらくお待ち願います。
 菅野官房副長官がお見えになりましたから、これより発言の許可をいたします。青柳一郎君。
#5
○青柳委員 遺族並びに戰傷病者の援護に関する法律案を審議するにあたりまして、われわれ厚生委員会といたしましては、昭和二十四年以来の努力を回顧せざるを得ないのであります。ことに昭和二十四年の五月には、いろいろな難関を排除いたしまして、全員一致をもつて、遺族援護に関する決議を行つたのであります。この決議のねらうところは、当然のことであるとはいえ、戦争でなくなつた人々は、公務に基因する死亡者であるということを政府に認めさせるのが、ほんとうの中心的な本旨でございます。しかるに、これを政府は明らかに認めたのであります。政府において、公務による死亡者であるということを認めた以上、それに対して政府として処遇あるべきであります。しかるにこの処遇ができない。どうしてであるか、いわゆるポツダム勅令六八号というものが存在し、その裏には、かの二十年十一月に連合軍司令部から発せられたスキヤツピン三三八号があるのでございます。従いまして、われわれ厚生委員会の努力は、遺族援護の中心題目であるところの遺族年金あるいは一時金の復活に向うとするならば、このスキャツピンを取消してもらう点であるのであります。その後昭和二十五年、二十六年、われわれの努力は続けられたのであります。ことに連合軍司令部のPHW局長であるところのサムス准将の好意に、よりまして、いろいろと折衝を重ねたのでありますが、そのたびごとに、連合軍司令部におきましては、各関係部局に当りまして、連合軍司令部の総意をもつて、私に回答を送つてくれたのであります。二十五年におきまして、連合軍司令部の回答は、要するにこの指令は極東委員会から発出しておるものである。極東委員会の決議を撤回させなければならないのである。それは現在の国際情勢上、むずかしいという」点にあつたのであります。さらに昨二十六年の秋ごろにおける連合軍司令部の態度は、講和條約締結を各連合国に納得させることに努力中の連合軍司令部といたしては、この問題を現在極東委員会に提出して、講和を遅らせることは非常に不利である。われわれのとらないところ、また日本国のとるべからざるところである。こういう観点から、これは延ばされておつたのであります。しかるに、ようやくにしてわれわれの努力はここに実を結んで、昭和二十年十一月のスキヤツピン三三八号は、本年三月三日のスキヤツピン七四九号によりまして、前の指令の例外として戰没者、遺族、戰傷病者に対し、従来禁止されておつた年金及び給付を支給してさしつかえないということに相なつたのであります。講和を間近に控えてではありまするが、昭和二十年のスキヤッピン三三八号が解除せられるに至つたということは、われわれ厚生委員会としては、その目的を達したものであり、まことに心の底から、何にたとえるものもなく、感慨無量のものがあるのでございます。ここに、私はまず、この指令をめぐつての質問を内閣当局にいたしたいと思います。
 第一に、スキヤッピン三三八号によりますと、連合国最高司令官の命により官職を奪われた者、すなわち追放者であります。追放者が追放を解除された場合には、恩給をその時から全部的に復活支給されることに相なつていると聞くのでありまするが、その根拠いかん。指令の一部をかえられたものであるか、その法的措置についてま、ず承りたいと存じます。
#6
○菅都政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。追放者が追放の解除がございました場合に、解除された日から、ほかの法律に特段の定めがなければ、恩給権を複活しておりますが、最初の三三八号の指令は、追放中の者というふうに解しまして、それにつきましては、追放の解除になりました時から以降ならば、恩給権の復活をしてさしつかえないという指令を出した司令部の意向によりまして、そういり取扱いをしておるのであります。しかしながら、これは他の指令等に基く法令の制限のない場合に限るのでありまして、そういう復活することができる場合におきましても、ほかの法令でもつてそれが禁止されておる場合には、これは復活しないということになつておる次第であります。
#7
○青柳委員 文官にして追放を解除せられた者は、全部的に恩給が復活せられておるという一つの事実がここにございます。しからば、さらにお尋ねいたしたいのでありますが、戰犯者であつて釈放をせられますと、これは単なる追放者と相なると存じます。以前に戦犯者であつた者も、追放を解除されると、全部的に恩給を支給されるものであるかいかんということについて、承つておきたい。
#8
○菅都政府委員 追放の解除につきましては、先般所要の法律案をつくりまして訴願審査会ができまして、そこで解除をしておるのでありますが、それに解除された者の恩給の取扱いが書いてございます。それで戦犯者といえども、その刑の執行を終りました者につきましては、単なる追放でございましてこれが解除になりました場合におきましては、本来の原則から言いますと、それは恩給権の復活が行わるべきでありますが、これはまだ所要の政令等が整備されておりませんので、実際はやつておりません。しかしながら、他の法令の禁止がない限りにおいては、復活すべきものと考えております。
#9
○青柳委員 同じ昭和二十年十一月のスキヤツピンによりまして恩給、扶助料を停止せられ、あるいは減額せられました戦没者遺族及び戰傷者は、断じて戦犯者ではないのであります。また追放者でもないのであります。私は一個の善良なる国民であると思います。しかるに、平和條約発効後も、いまだにこれらに対して恩給が復活せられず、ここにただいま審議中の法案によりまして援護せられるのみであるということに相なるのでありますが、この不均衡をいかに是正するか、政府の御所見を承りたいと存じます。
#10
○菅都政府委員 軍人遺族及び戰傷者に対しまして、軍人恩給の復活をしたいということは、政府もまつたく同じ考えであります。やむを得ずこの三三八号という指令によつて平和條約の効力の発生の日まではさしとめられておるのでございまして、これは政府といたしましても、国民といたしましても、非常にお気の毒に思うわけであります。ことに文官との比較におきましても、はなはだその待遇が当を得ておらないというふうにも考えておるのでございますが、占領下におきまして最高司令官の指令に基くものでございますので、やむを得ないことと考えておつたのでございます。しかるに、今回平和條約の効力発生ということになりまして、一応この指令は効力を失いますので、一日も早くこの恩給権の復活をいたしたい気持が非常に強いのでございまするが――別に恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案というものを提案してございますが、軍人恩給を復活するということにいたしましても、元の恩給法による規定をそのまま適用して復活すべきものかどうか、あるいはその中で戦後の情勢に応じまして、改正を要すべきものがあるではなかろうか、あるいは支給すべき金額、範囲等につきましても、検討を要するものがあるではなかろうか、あるいはまた同時に、軍人の恩給を決定するということになりますると、それに対応する文官の恩給等についても、再検討を要するものがあるではなかろうかというふうに、いろいろ財政上及び振合い等の関係上、各方面に影響がはなはだしいと存ぜられますので、これは簡単に早々の間に案を立て、そのままの形でもつて復活するということよりも、愼重に検討いたしましてそうして復活した方が、その恩給、扶助料を受ける方々のためにも、また国民の感情から言つても、至当ではなかろうか、こういうふうに考えまして、さしあたりこのポツダム政令は、法律としての効力を来年の三月三十一日まで存続することといたしまして、それまでに、総理府の外局といたしまして、恩給法特例審議会というものを開いて、広く各方面の方々の御意見を総合して、最も妥当公正な軍人恩給の復活案をつくりたいと、かように考えておる次第であります。しかしながら、これは一年の日子がございまして、その間何らの措置をしないということは、政府としても、国民としても、忍びないことでございまするので、別に厚生省の方から今回の援護法が出ておるのでございます。従いまして、軍人恩給あるいは扶助料の復活ということになりますると、援護法の方にも、それに対応しまして改正等が行われなければならぬ、かように考えておる次第でござしいます。
#11
○青柳委員 ただいま副長官のお話の中に、遺族、戰傷者に対する今までの 恩給、年金等の停止の指令は、講和発 効後に解除せられるものであるというお話があつたのでありまするが、私はこの三月三日に與えられた覚書を、そ う解釈しておるものではございません。講和発行前といえども、三月三日以後におきましては、解除せられてさしつかえないものという趣旨と解せられるのでありますが、それにつきましての御意見を承らしていただきたい。
 それと、ただいま遺族、戰傷者に対する恩給措置につきましては、相当な時日を要するものであるというお話があつたのでありまするが、本委員会におきましては、この措置に関しまして、検討を加えるごと、数年にわたつております。また小委員会の御苦労のもとに、ある程度のりつぱな成案もできておるのであります。政府は率直に、このわれわれの成案を取入れるのに、勇断を欠いておられると、私は存ずるのでございます。もちろん財政的の顧慮につきまして、われわれまた肯定するものでございまするが、できるだけすみやかに、ただいま申されたことを実行に移し――遺族の年取つておる人は、毎日々々死んでおります。でき得るだけすみやかなる措置をお願いいたしたいと思うのでありまするが、それに関しましての御所見を承らしていただきます。
#12
○菅都政府委員 お尋ねの三月三日の指令は、私の記憶が誤りなければ、私の方では、これは恩給の復活というふりにはとれないように考えております。援護の費用を出すということについては、指令の解除があつたように思いますが、これをもつて、ただちに恩給を復活することができるというふうには、とれないように考えております。
 それから第二の点で、すでに国会方面等におきまして、愼重に検討して案ができておる、それをただ勇断をもつて採用すればいいではないかというふうな御質問でございましたが、それは確かに重要な、最も重要な一つの拠点と申しますか、参考案になることは当然でございまするが、そのほかに、国家財政の上からまた検討も必要でありまするし、ことに先ほど私が申しました他の一般の恩給制度をどうするかという問題もございまするし、また今回提案いたしておりまするところの、遺族あるいは戰傷病者の援護の法律をどういうふうに処置するかというようなこともございまして、やはりこれは各方面の方々の御意見を伺つて、多少時間がかかりましても、さらに再検討しりつぱな案をつくりたい、かよう考えておる次第でございます。
#13
○青柳委員 意見の衝突になりまするから、さらに問題を他に移しまして、にだいまの問題は後日にまた質疑応答を加えようと思います。さらにお尋ねいたしたいのは、軍人軍属の普通恩給もまだ復活しておりませんけれども、これらの軍人軍属のうちには、すでに多数追放を解除せられた者もあり、これらの中には、太平洋戦争には参加しなかつた者もあります。またすでに高齢にして働くに職を得ざる者があるのであります。これらの高齢軍人は、六十才以上の者をとつても、たつた九千人、五十五才以上の者がたつた一万六千人にすぎません。私は軍国主義を謳歌するものではありませんが、人間として見るに忍びざるものがあるのでございます。戰没者、遺族、戰傷者に対する措置をとり得るに至つた現在、さらに追放を解除せられた元文官に対し、すでに恩給が全部的に復活せる点より考えましても、これらとの均衡上、少くともこれらの高齢者に対しても、何らかの措置を講ずべきものであると私は信ずるものでございまするが、政府の御所見を伺いたいのであります。
#14
○菅都政府委員 私どもこの恩給法の特例に関する措置の法律を立案する準備の段階におきましては、ただいま御質問がありましたように、太平洋戦争以前にすでに軍人の恩給を受けておられた方々、ことに、そういう方々は高齢でございまするし、生活的にも非常に御不自由をしておられるということも承知しておりますので、何とかそういう高齢の方々に対してだけでも、さしあたりすぐ恩給の復活ができないかということを、検討してみたのでございまするが、軍人恩給、あるいは扶助料というものは、一体の体系をなしておるのでございまして、特に高齢者の普通恩給だけを、特定の條件でもつて復活するということは、他の恩給制度全般につきまして影響がありましてそのために、一年足らずの間に復活するであろうところのほかの方面のものに影響を及ぼしてはどうかと考えまして、非常に忍びないところでありましたが、全部一括して軍人、軍属の恩給、扶助料は、一つの体系として検討する、こういう措置に出ざるを得なかつたのであります。御質疑の点は、まことにごもつともであるというふうに考えておる次第でございまするが、この間の事情を御了承願いたいと思います。
#15
○青柳委員 高齢者は、毎日々々死んでおります。政府の処置は急速でなければならぬと存ずるものでございます。
 次に、ポツダム勅令の性格から見まして、また政府が現在今国会に提案中のポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律案の内容から見まするも、ポツダム勅令六八号の母法であるところの昭和二十年勅令第五四二号すなわちポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件、これは平和條約の最初の発効の日から効力を失つて、理論上から考えますれば、遺族、戦傷者等に対する恩給は復活すべきであると思うのでございます。これをこれまた今国会に提案中の恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案によりまして、このポツダム勅令第六八号の内容を昭和二十八年三月まで延期せんとしております。現在の恩給法附則第二條に「従前の規定による公務員又は公務員に準ずべき者についてはなほ従前の例による」と明文があるのでありまするが、これらの点からするも遺族、戰傷者に対する恩給は、これらの人々の既得権として認めらるべきものと信ずるのでございまするが、御所見を承らせていただきたいと思います。
#16
○菅都政府委員 御質疑の点は、ごもつともであると存じます。もし恩給法の特例に関する件の措置に関する法律という法律案が出ない場合を仮定してみますると、ポツダム政令等の廃止に関する法律案によりまして、六箇月後には、これは全部のポツダム政令は効力を失つてしまうのでありまして、そのときには、恩給法の附則の二條によりまして、当然軍人、軍属の恩給が復活する、こういうふうにお考えになつて至当でありまして、政府も同様の考えを持つております。しかしながら、何がゆえにこの一年間の期限を限つてこのポツダム政令を法律と同一の効力でもつて存続させたかという実質的の理由につきましては、先ほど申し上げた通りでありますが、法律論といたしまして、なるほど母法はなくなりますが、これを法律として、国会の議決に基いて法律としての効力を存続させるということは、これは何らこのポツダム政令とは関係ないことでありまして、いわば別の立法をするのとまつたく同じことになりますので、法律的にはちつともさしつかえないと、かように考えておる次第でございます。
#17
○青柳委員 時間の関係もありますので、次に移りますが、ただいま審議中のこの法案は、現在国会に提案中の恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案の趣旨によりまして、昭和二十八年三月までの、過渡的な暫定的な措置として、恩給法にかわるべき措置をとろうとするものであると私は考えるのでございます。ただいまも副長官から暫定的のものであるというお話もあつたのでありますが、はつきりと、この点につきましての御意見を承らせていただきます。
#18
○菅都政府委員 政府の考えといたしましては、恩給を復活することが、まさに本筋でありまして、これをもつて軍人の遺家族の方々、あるいは戰傷病者の方々に、老後の生活の一助とされたいというのが、ほんとうの希望であります。しかしながら、先ほど来申し上げておりますような事由によりまして、簡単に復活できませんので、しばらく時間的の余裕をいただきまして、愼重に検討して復活いたしたい、こういう希望で法律案を提案いたしておるのでございまして、それと相関連する部分につきましては、今回提案されました軍人遺家族あるいは戰傷病者の援護の法律は、確かに暫定的なものでございます。恩給が復活をしました場合には、あるいは廃止される制度も当然あると、かように考えておる次第であります。
#19
○青柳委員 今回の法案は、その名前を援護と称しておりますが、この援護は、恩給ができるまでの間において、一部分恩給にかわるという考え方でできたものであろうとも思うのでございますが、御意見を承らせていただきたい。
#20
○菅都政府委員 これは言葉の定義の問題になりまして、恩給と同一の性質のものというふうにはとつておりません。ただ、実質的に恩給の復活をすべきであるけれども、それが簡単にできないから、その間何らの措置も講じないということは忍びないことであるので、援護法を出して一定の金を差上げるのであります。これがまつたく恩給と同一の性質のものか、法律的の意味において同一かどうかということは、これはただちにさようでございますということは答えられませんが、考え方といたしましては、恩給が差上げられないので、そのかわりに不十分ながらこの援護法によつて一定の金額を差上げる、かように考えておる次第であります。
#21
○青柳委員 私が今回行われようとするこの措置を、恩給にかわるべき措置と考える理論的根拠の一つは、附則の第六項におきまして、増加恩給――これは恩給でございます。この恩給と、今回行おうとする援護法案によるところの障害年金との相互関係を規定した点からも、明白であると存ずるのでございますが、この点は意見にわたりますから、他日を期したいと存じます。
 さらに、私は簡単に、恩給はいつ復活するか、これにつきまして御意見を伺います。
#22
○菅都政府委員 別に提案しております恩給法の特例に関する件の措置についての法律案で、現在のポツダム政令を来年の三月三十一日まで法律としての効力を持たせるということになつておりましてその間に特例審議会をつくつて、立案についての意見を聞くことになつておりますので、政府のただいまの気持といたしましては、来年度中に成案を得て国会に提出いたしまして、二十八年度からは恩給の復活をいたしたい、こういう考えのもとに作業を続ける考えでございます。
#23
○青柳委員 次に、恩給法特例審議会というものの任務、組織等の大要を承りたい。さらにこれに遺族代表、戰傷者代表等を委員として参加させて、遺族、戰傷者に対する恩給問題について検討いたし、すみやかに実際に即する結論を得てこれを実行に移す意思ありやいなやにつきまして承りたいと存じます。
#24
○菅都政府委員 軍人、軍属または遺族であることによつて受ける恩給あるいは扶助料等に関しまして、重要な事項を調査審議するため、こういう使命になつております。従いましてこの恩給法特例審議会がどういうような組織で行われるかということにつきましては、政令をもつてきめることになるのでございます。ただいまの御質問に、遺族の代表であるとか、あるいはその他そういう方面の有識者を入れたらどうかという御質問でございましたが、今のところ実は委員の数等も決定はいたしておりません。大体のところは、十五名以下ぐらいでもつてやりたいということを、われわれは考えておりますが、どういうふうな方を委員にするかということについては、まだ政府として意思を決定しておらないのであります。この問題を解決するため、最も適当な官民の有識者をもつて充てたい、かように考えておる次第でございまして、ただいまの御意見は、十分尊重いたしたいと考えておる次第であります。
#25
○青柳委員 次に、普通恩給制度においては、一時金と称するものは、その限度において打切つて、ほかに年金等を支給することなきものと解せられておるのでありますが、本援護法案において遺族一時金と称するものは、これと意義を異にいたし、本法律によつて年金を支給すべき遺族に対して支給せられるものでありますから、普通に恩給法上にいう、いわゆる打切りの一時金制度とは異なるものと解釈するものでございますが、御意見を承らせていただきたい。
#26
○木村(忠)政府委員 援護法案にいつておりまする一時金の性質につきましては、恩給法にいつておりまする一時扶助料、一時恩給等とは、その性質は必ずしも同じであるということはいえなかろうと思います。ただ、これにつきまして、今後の取扱いをいかにいたしますかということにつきましては、ただいま官房副長官からお話のありました恩給法特例審議会におきまして、十分に御検討になり、おきめになることと思います。
#27
○青柳委員 普通にいわゆる一時金と同じに相なる場合があり得るとすると、それは非常に大きい問題でございます。五万円の公債をもらつて、そうしてあとは年金をもらい得ないということがあり得るというような、ただいまの御答弁であるのでありますが、絶対にかくあることは相ならぬと思うのでありまして、その点を明白に重ねてお尋ねいたします。
#28
○木村(忠)政府委員 恩給法にいつておりまする一時恩給、一時扶助料等とに、その性質を異にすると、われわれは考えております。従いまして、これが取扱いにつきましてどういうふうになるかということは、今後恩給法特例審議会等におきまして、十分に御検討に相なることであろうと考えております。
#29
○青柳委員 私は一時金の取扱いについてお尋ねしておるのではございません。一時金というと恩給制度上におきましては、それで打切つてしまつて、あとは年金も何も出ないというふうに解釈せられる場合が普通であるのであります。この遺族に対する一時金は、一時金をもらうと同時に、一方において少いながら年金をもらつておるのです。この状態は、恩給法の改正が行われましても、やはり続くものであるとわれわれは考えている。いわゆる打切りの一時金ではない、そう考えておるのであります。まだおわかりにならないかもしれませんが、一応その程度でお尋ねいたします。
#30
○木村(忠)政府委員 御説の通りに、これをもちまして打切りになる、つまり一時金と年金とが関係があるような性質のものでは、ございませんと従いまして、現在の法制のもとにおきまして、一時金をもらいました者におきましても、六十歳を越えた者には年金が出るという建前を今の法律は持つております。
#31
○青柳委員 今回審議中の法案について申し上げておるのではございません。一時金をもらうと、将来與えらるべき恩給が問題になるときに、もうすでに一時金を與えておるんだから、恩給等の年金は與えなくていいんだという議論が起ることを予測いたしまして、そうあつては相ならぬ、こう存じて質問しておるのでありまして、その点につきまして、重ねて御答弁を願いたいと思います。この法案にありまする年金は、妻並びに未成年の子供、六十才以上の父母、祖父母に與えられておるのであります。こういう年金の制度は、この際一時金をもらつても、将来なお続かなければならないということは、事の当然であると思うのであります。政府御当局がはつきりした御答弁ができないということにつきまして、私は非常な疑問をますます持つものでありますが、御答弁ができないならば、ちようど私の恩給局に対する質問は済んでおりますので、大臣が来られましてから、それに対して御答弁をいただいてもよろしゆうございます。これは別に大臣を要せずはつきりしておることてあると私は思いますので、重ねて御質問いたします。
#32
○木村(忠)政府委員 一時金の性質につきましては、先ほどから申し上げました通りでありまして、これによりまして、あとは打切つてしまうという性質のものとは考えておりません。ただこの一時金の出ました者に対しまして、あとどうい最扱いをするかということにつきまして、現在のところどうなるかということは、私の方で予想することはできません。これについて、もし何らかの措置をするということになりますれば、その点は恩給法特例審議会におきまして十分御検討になろうとお答え申し上げたのであります。従いまして、それを出しまして打切つて、あとやるかやらぬかということは全然別の問題じやなかろうかと考えております。
#33
○青柳委員 ただいまの答弁で、私は了解は絶対にいたしておりません。しかし、私は大臣に対して、この質問をなお続けたいと思いますので、一応恩給局関係に対する質問は、これをもつて終ります。
#34
○大石委員長 残余の質疑は明日に延期いたしまして、本日はこれにて散会いたします。
    午後零時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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