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1951/03/24 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 厚生委員会 第16号
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1951/03/24 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 厚生委員会 第16号

#1
第013回国会 厚生委員会 第16号
昭和二十七年三月二十四日(月曜日)
    午前十時五十六分開議
 出席委員
   委員長 大石 武一君
   理事 青柳 一郎君 理事 亘  四郎君
      金子與重郎君    岡  良一君
      新井 京太君    高橋  等君
      寺島隆太郎君    堀川 恭平君
      松永 佛骨君    松谷天光光君
      苅田アサノ君    寺崎  覺君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 吉武 惠市君
 出席政府委員
        文部事務官
        (大学学術局
        長)      稻田 清助君
        厚生政務次官  松野 頼三君
        引揚援護庁長官 木村忠二郎君
        引揚援護庁次長 田邊 繁雄君
 委員外の出席者
        議     員 丸山 直友君
        専  門  員 川井 章知君
        専  門  員 引地亮太郎君
        専  門  員 山本 正世君
    ―――――――――――――
三月二十日
 委員丸山直友君辞任につき、その補欠として川
 野芳滿君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
三月二十日
 麻薬取締法及び大麻取締法の一部を改正する法
 律案(内閣提出第九一号)(予)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 戦傷病者戦没者遺族等援護法案(内閣提出第六
 六号)
    ―――――――――――――
#2
○大石委員長 これより会議を開きます。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法案を議題とし、質疑を通告順に許可いたします。苅田アサノ君。
#3
○苅田委員 まず第一番に、今出されております援護法によつて、政府が戦傷病者並びに戦没者遺族に対して、何を与えようとしているか、どういう意図でこれをつくり上げたかということにつきまして、お伺いしたいと思うのです。この間うちからの政府側の御答弁につきましては、この法案は、本来ならば恩給法を復活すべきであつて、それの暫定的な処置として出されたんだという恩給局長の発言と、それからそれを否定するような厚生大臣の御発言とがありまして、この点につきまして、私どもは政府のほんとうの意図がはつきりわからないのです。なおこの点につきまして、本日最初に主管大臣から明瞭な御答弁をいただきたいと思います。
 それから、よしこれが暫定的な処置であつたにいたしましても、少くとも今年一ぱいは行われるこの援護法というものは、何を精神としているか。つまり、強制的に軍に使われてなくなられたり、あるいは傷つかれたりした人に対しまして、国の意思としてこれを守ろうという社会保障の見地に立つているのか、それともこれらの人々に、せめてお燈明料でも出そうというようなお考えなのか、こういう点につきましても、大臣からはつきりした御答弁を伺いたいと思うのです。
#4
○吉武国務大臣 第一の点でございますが、これは先般本法律案を提案いたしましたときにも、御説明申し上げた通りでありまして、元来ならば、国家に対して命をささげられました遺族に対することでありますから、恩給法があれば、恩給法に基いて遺族扶助料が支給さるべきであります。ところが、それが遺憾ながら占領下でございまして、停止されている。そこで、恩給が支給できぬとするならば、何とかして独立のあかつきは、この遺族に対して国家として国家補償の精神に基いて援護をしなければならないというところから、今回八百八十三億の公債と二百三十一億の予算をもちまして、不満足ではありますけれども援護の手を差延べよう、これが今回提案した趣旨であります。従いまして、それでは恩給はもうやめるのかということでございますが、そういう意思は持つているのではございませんで、一応来年の三月三十一日までは、恩給というものは現在停止されたままで行きますが、その間に審議会を設けまして――これはただ遺族ばかりではない、軍人恩給をどうするかという問題も残されております上、大きな問題でありますから、審議会で十分御検討を願つて考えて行きたい。しかしそれができるまでほうつておくということは、もうできないのであります。七年間もほうつておいた上これ以上また一年間も延び延びにするというわけに参りませんから、援護ということで今回出たわけであります。たから、その意味においては、暫定的であることは、私が前々から申し上げました通りでありまして、決して否定をした覚えはございません。しかし、恩給がどうなるかということは、将来の問題であります。将来の問題がはつきりするまでは、やはり国家としてはこの援護で行くということでないと、これは今年限りだ、来年はまた来年で考えるということでは、受ける方も不安であります。将来これが改善され、またほんとうの恩給というものになれば、そのときに改正をすればいいわけであります。従いまして、これは今年限りの法律だとは、政府は考えていない。来年から恩給がどういう形になつてか出て来れば、それは結果から見れば、一年になつたかもしれません。しかし、なかなか恩給の問題も、そう簡早に解決するとは思われませんので、われわれはそういう本格的なものが出るまでは、一応この形で行く、かように申し上げておるわけであります。
 なお第二に御指摘になりました、今回の援護はどういう精神に基いているかというお尋ねでございますが、これも私が提案の説明のとき申上げましたごとく、国家の義務として国家補償の線に基いて国が遺族に対して援護をいにす、かようなのが今回の提案の趣旨であります。
#5
○苅田委員 ただいまの大臣の御答弁は、これは国家の義務として、国の補償としてこういうものを出すのだという御答弁でございましたが、それであれば、これはこの国家が援護の手を差延べようという人たちに対しまして、当然生活上の保障というものがなされるべきだと私は思うのです。いくら国り予算が少いといつても、これは物によるのであつて、たとえば、もし、きよう往来で車か何かで人をひいて大けがをさせるとか、あるいはその人のたよりになつている人をひき殺したというような場合に、手元が不如意だからといつて、千円や二千円の金が出せるかどうか。今度手元不如意といつたところで、政府の方では八千五百億というような厖大な予算を持つているわけなんです。こういうことを考えてみても、たとえば未亡人一人に対しまして月に八百円何がしとか、あるいは子供に対しては四百円とか、こういうような金で、どうして国家補償というようはことが言えるか。私は、これでもなお国がこういう人たちの補償をするのだというようなことが言える金かどうかということを、さらに厚生大臣にお聞きしたいと思うのです。
#6
○吉武国務大臣 それでありますから、今回の法律は国家補償ということでなしに、遺族の援護ということで出ておるのであります。しかし、その考え方は困るから、ただ助けるぞということでなしに、国家の義務として、国家補償の精神に基いて援護するのだ。補償ということになれば、それはお話のように完全に生活のできる補償が必要でありましよう。しかし、それは今日の日本の財政から行きまして、なかなかむずかしいところであります。今回の処置だけでも公債が八百八十三億、そうして一年の予算が二百三十一億であります。これは来年になりますと、このままで行きましても三百二、三十億になるわけであります。公債というのは、ただ公債の紙だけを差上げるというわけに行かない。やはり毎年償還して行かなければならぬのであります。でありますから、今日の日本の財政状態におきましては、不満ではありまするけれども、やむを得ず今回の処置に出たわけであります。
#7
○苅田委員 それではお聞きしますが、今年の十月には警察予備隊は満期になりまして、一応解除されるわけなんですが、二年前の約束によりますと、この人々には六万円の退職金というものが出ることになつておるのです。今回の、財政上非常に不如意な政府予算の中に、この警察予備隊二箇年間の勤務に対しまして、六万円という退職金というものが予定されておりますかどうですか、それをお聞きしたいと思います。
#8
○吉武国務大臣 警察予備隊の退職金の問題が、今度予定されているかどうかは、主管大臣にお尋ねをいただきたいのでありますが、お尋ねの趣旨は、片方に警察予備隊の予算を出しているじやないか、それが出せるならば、援護の方にもつと出したら、という御趣旨だと思いますが、警察予備隊の費用は、御承知のように国家の治安維持の上において必要欠くべからざるがゆえに、計上しておるのであります。日本の国内の治安が心配がないということならば、お話のように何も警察予備隊によけいな予算を組む必要はないのであります。しかしわれわれとしては、今日の日本の状態において、全然軍隊も持たない、やむを得ず安全保障条約によつてアメリカの駐留軍によつて外からの侵入を防ぐ。しかし国内の治安については、われわれの手において、警察予備隊でもつてこれを守つて行こう、こういうことであります。従つて、この警察予備隊の予算というものは、日本の今日置かれた国内の治安維持の上においては、絶対に必要やむを得ざる予算であると考えます。
#9
○苅田委員 主管大臣にお聞きしなければ、六万円が出るか出ないかということはおわかりにならないのでありますか。
#10
○吉武国務大臣 さようであります。
#11
○苅田委員 私はその答弁を非常に遺憾に思います。なぜかと言えば、厚生大臣は、少くとも最初は、こういう遺家族に対する援護に対しまして、国としてできるだけの補償をしよう、生活を援護しようという精神に出られたに違いないと思うのです。ところが、今お聞きしてみれば、そうでもないらしい。というのは、もしもそれだけ熱心があれば、予算全般にわたりまして、こちらの主張すべき点を十分主張し、そしてどちらがまず第一番に出さなければならないかというような点から、閣議等におきましているくな御意見の発表があつたと思うのですが、ただいまの御答弁では、警察予備隊に退職金が出るか出ないかわからないような、そういう不熱心な、もしほんとうにおつしやるような点でもつて、このたびの遺族なり傷痍軍人なりの援護費がきまつたといたしますれば、非常にこれは厚生大臣として大きな怠慢だ。これはおそらく全国の遺族の人も同感だろうと思います。御存じなければ、御存じなくてもよろしいですが、私どもはこのたびの八千五百億のこの予算は、そういうふうにまず第一番に防衛費をとるとか、あるいは安全保障費をとるとか、あるいは警察予備隊の費用をとるとか、海上保安庁の費用をとるとか、あるいは軍事道路の費用をとるとか、そういうような、さんざん再軍備や戦争の準備のための予算をとつた。とつたその残りかすが、今度の遺族なり傷痍軍人なり、この前の無謀なる戦争に強制的にひつぱり出されて、七年間むなしく待つておつた人に対しましてあてがわれたのだというようにしか、私は理解しようがないのでありますが、さように了解してよろしいですか。
#12
○吉武国務大臣 予算というものは、国に必要なる事業経費を、総体的にみんな見て、最後はきめるのであります。従いまして、警察予備隊だけやつて、残りを遺族にやつたなどということは、断じてございません。なおあなた方は、警察予備隊は必要でないとお考えになる。共産党の方は、警察予備隊は必要でないと考えられましても、政府としては、今日の国内の治安の状態、国際的な状態から考えまして、日本においては必要であります。なおこれは、決して十分とは考えておりません。
#13
○苅田委員 私は、別に厚生大臣を教育する立場でありませんから、今の御答弁に対しまして申しませんが、ただ、日本の国の治安を守るのに、警察予備隊をたくさんつくつたり、それから再武装しさえすれば守れるというようにお考えになつていることが、たいへんな間違いで、こういうような、ほんとうに国がその責任において十分な約束をして、死んでくれといつて出した人人に対して、七年間の今日まで、これはさる方面の許可が得られないのだからといつて、その方の責任に帰して、そうしていよいよ今度できるようになれば、そのような御答弁があるということでは、私はいくら警察予備隊や軍隊をつくつてみても、おつしやるような治安は決して守れないということを、私は断言します。これ以上は意見になりますから、申し上げません。
 次にお聞きしたいのは、このたびの百七十四億の援護費でありますが、これは一体どういう資料に基かれまして、こういう百七十四億――遺族に対する百五十六億、傷痍軍人に対する十八億ですか、こういうものをお出しになりましたのですが、このことにつきまして、この算定の基礎になつているものを聞きたいと思います。
#14
○田邊(繁)政府委員 この予算の積算の基礎となりました数字は、昨年の夏戦没者の一割だけをとりまして、その調査をいたしました遺族世帯の数と、その世帯に属する遺族の数を基礎といたしまして計算したものでございます。
#15
○苅田委員 もう少し詳しくお聞きしたいのです。
#16
○田邊(繁)政府委員 昨年実施いたしましたのは、当時把握しておりました戦没者の一割、十九万三千百二十二名に対しまして、その遺族の世帯を調査したのでございます。その遺族世帯の数は十七万六千七百十九世帯、それに属しまする妻の数が四万四千二百七十三、十八歳未満の子の数が九万六千三百一、六十歳以上の父母の数が十一万六千五百六十四、祖父母の数が九千八百十五、十八歳未満の孫の数が百七十、こういう数字になつております。これは全体の一割でございますので、これの十倍した数字を基礎といたしまして予算を積算したわけでございます。
#17
○苅田委員 それではひとつ、この予算の編成というものが、政府の自主的なものかどうか、こういうことをお聞きしたいと思います。
#18
○吉武国務大臣 自主的とは、どういう意味のことか、私にはわかりません。
#19
○苅田委員 従来、特にこの軍人及び戦傷者の援護の問題につきましては、総司令部関係の圧力が非常に多くて出せない、こういうことがしばしば言われておつたのであります。またそういうようなはつきりした指令もあつたのでありますが、今度おつくりになりましたこの予算に対しましては、政府としては、もつと出したいという希望があつたにもかかわらず、これはそういう方面の障害があつて出せなかつた、こういうものかどうかということを、お聞きしているわけなんです。
#20
○吉武国務大臣 御承知のように、現在は占領下でありまして、軍人の遺家族に対する給与というものは、指令によつて押えられております。その意味において、今回のこの遺族援護に対する予算及び法律につきましては、その了解を求めなければならなかつたことは、やむを得ないのであります。しかし幸いにして先般、従来の遺族に対する手当その他の支給をさしとめるという指令は、取消しをしていただいております。予算につきましては、これは遺族の援護ばかりではなく、全体の予算において、占領下でありまするから了解は求めなければなりませんが、予算の仕組み、組立て等におきましては、もちろん政府の自主的につくつたものであります。
#21
○苅田委員 そうすると、今度遺族の援護に対しまして百七十四億円の援護費が出たということに対しましては、これは現在の政府が全責任を負つてこういう予算をつくつたということが言えるのでありますか。
#22
○吉武国務大臣 もちろんであります。
#23
○苅田委員 それでは、次にお聞きしたいのは、政府は、先ほどからの御答弁に見ましても、金額においてこのたびの援護が十分だということは、もちろんお考えになつていないと思うのでありますが、しかし、もしこれが自主的な予算であれば、この点につきまして、政府としては相当この予算ができるまでに、いろいろな方面で考慮余地があつたと思うのであります。ところが、でき上りましたこの法案を見ますと、あまりにも不合理な点がたくさんあるわけであります。たとえば、今度出ましたところの遺族の範囲につきましても、私どもが小委員会におきまして討議いたしましたときの大多数の人たちの意向でありました範囲は、単に軍人と純粋の軍属だけでなくて、軍に徴用されて、軍務に協力させられた広い意味の徴用工とか、あるいは動員学徒に対しても、当然今回の援護は適用されなければならないということは、大多数の者の意見であつたのでありますが、今度はきわめて少数の対象に範囲が限定されているわけであります。こういう点は政府は、こういう対象が選ばれたことを適当と考えておいでになりますかどうですか、この点につきまして御質問したいと思います。
#24
○吉武国務大臣 今回の遺族援護に対する予算は、われわれは決して十分だとは考えておりません。将来国力の充実と相まちまして、これらの点につきましては、もつと考えて行かなければならぬと思うのであります。御指摘になりました遺族の範囲でありますが、徴用工その他についても、国のために命をささげられまして、私どもとしては、まことにお気の毒だとは思います。しかしながら、徴用工等につきましては、当時一時金も出まして、現在でも厚生年金で年金が出ているのであります。ところが、軍人軍属につきましては、御承知のように恩給で出るべきはずのものが停止されて、今日までさしとめられている。これがまた将来もそのままだというわけに参りませんので、今回これを遺族援護として取上げたわけでございます。これも決して十分ではありませんが、御承知のように予算も相当多きに上り、またわれわれとしては、一方国民の負担を軽減し、税金もできるだけ軽くしたいという措置を講じなければならないという点から、現在はこの程度でやむを得ない次第であります。
#25
○苅田委員 徴用工や動員学徒については、一時金が出ておつたというようなことをおつしやるのでありますけれども、しかし同じ政府の処置といたしましても、たとえば同じように未復員の一時金をもらつておつた人たちでも、その後の情勢にかんがみまして、とうていそういう処置ではいけないというようなことであつたればこそ、たとえば未復員者給与法の特例なんかつくりまして、そうした人たちに対しても、同じようにめんどうを見ておつたというようなことがあるわけで、当時の一時金によりまして、今日のこういう援護に対しましてそれをどうこうするということは、ただそれだけならば、私は不適当だと思うのです。特に私は指摘したいのは、海員組合の人たちなんですけれども、これは当時御承知のように、実質的には軍人と同様な軍の作戦に協力しておつて、中にはフィリピンとか、あるいは硫黄島などでは、船を乗り上げてこわしてしまつて、そして最初から上陸して、向うでなくなつておられるという方も相当あるわけです。そういう例は決して少くない。それから給料にいたしましても、政府はこれらの人たちの給料は、直接軍から出ていなかつたと言うのですけれども、当時の船舶運営会というものは、これは一種の政府の窓口で、政府が船舶運営会というものを通じて払つておつたのでありますから、そういう点から言えば、実質的にも形式的にも、ほとんど軍人とかわらない。軍人と同じように、やはり殊勲を遂げてなくなられたから、金鶏勲章をもらつたり、靖国神社にまつられたりしている。こういう人たちがいるわけです。しかもこういう人たちでさえも、今度の範囲からのけられてしまつている。こういうやり方に対しまして、厚生大臣はこういう点が不合理だということを、お考えにはならないでしようか。
#26
○吉武国務大臣 先ほど申しましたように、国の財政に限りがあることでございまして、私どもは不十分だとは思います。しかしながら、一応船員につきましても、当時一時金が出、また船舶運営会の所属でございましたので、現在でも船員保険で年金が出ておる。ところが、一方軍人と、それから軍におりました軍属とにつきましては、これがとまつておりますので、今回これを遺族援護として取上げているのであります。現在船舶運営会の所属に基く船員保険で出ている年金、徴用工につきましては厚生年金から出ております。この額も私は決して多いとは思いません。しかしながら、一応そういう手当ができておるにかかわらず、軍人については全然ないというところから、今回は予算も十分ではございませんので、軍人及び軍属に限つたわけであります。
#27
○苅田委員 ただいまの御答弁は、大臣の最初にお話になりましたことと、たいへん違うと思います。というのは、大臣は今度の措置は予算は非常に少いけれども、これはとにかく精神としては国家補償の精神だとおつしやつたのです。今おつしやいました御答弁の中にある船員保険の年金というものは、これは何も国家補償の年金じやなくて、当然労働者がかけている保険に対する権利としてもらつているのであつて、これと国家補償とを同一視されるのは、非常におかしいと思うのですが、この点はどうですか。
#28
○吉武国務大臣 もともと戦前からそういう建前にできておるのであります。徴用工につきましては、厚生年金及び一時金でやる、それから船員につきましては船員保険によつてやる、軍人については軍人恩給でやるというふうに、それぞれ建前ができておる。それがいいか悪いかということは別でございますが、一応そういう建前に出ておりながら、軍人については、その軍人遺族扶助料が出るべきものが停止されておる。それは放置することができないということで、今回これを取上げたのであります。
#29
○苅田委員 時間もありませんから、私は長く言いませんが、その点はどう考えても私はおかしいと思う。船員保険というものが建前だといいましても、これは自分の掛金を出して、そして一般的な健康保険や何かと同じような建前で出している金であつて、今言われました、戦争のために犠牲になつた人に対する国としての弔慰、国としての補償というものとは、全然かかわりのないものだと私は思うのです。ところが、とにかく何でもいいから、少しでも手当の出ているものは一切これをのけてしまつて、今度の傷痍軍人あるいは遺家族の中に入れないというのは、財政を切り詰めるために、何とかしてそういう該当者を切り落そうというようなお考えで、この立案がされている。とにかく金をなるべく惜しんで出しているという趣旨から、こういうふうな不合理なことがされたとしか思えない。これは押し問答になりますから、それから先は私は申しませんが、幾ら考えても、自分で掛金を出した保険の年金と、このたび国が補償する年金と同じような考えで、それでよろしいとおつしやるのでは、これは私はとうてい納得できません。
 それでは、次にお聞きいたしますが、大臣は先般の参議院の予算委員会におきまして、山下議員の質問に答えられまして、この遺族並びに傷痍軍人の援護費は、来年度の見通しといたしまして、三百数十億円の見通しを持つているということを御答弁になつたはずでございますが、正確にどれくらいであるか、これはどういう見通しのもとにそういう来年度の予想ができているかということをお聞きしたいのです。
#30
○吉武国務大臣 それは私が答えたのではなくて、池田大蔵大臣が答えた言葉をお聞きになつたのだと思いますが、おそらく池田君の言つておる数字は、今日公債が八百八十三億と、それから予算措置が二百三十一億でございます。八百八十三億を、今の予定では、来年から十年間に償却をして行くつもりであります。そうすると、これを十年にいたしますと、一年に八十八億来年度からいるわけであります。それを全部を十年にすればそれだけで済みますが、実は今政府で考えておるのは、公債はほんとうに生活にお困りになつておる方には、十年に償還をしたのではお困りであろう、だから特に生活にお困りになる方は、五年でも短期償却の方法も考えようということになりますると、一部短期償却が入りますから、これを全部合せまして、八十八億とそれとを寄せて、償却が百億と見ますと、現在の予算のままでも来年度は三百三十億かかる、こういうことであります。
#31
○苅田委員 私もこれは新聞で簡単な発表を見ただけで、正確でないので、お聞きしたわけなんですが、現在のままの予算で援護費を現在のままのものを出すとして、それだけのものができるという御答弁でありまして、来年度には大体こういう見通しというようなお返事ではなかつたものと承知いたします。そういたしますと、それはそれでよろしいのでありますが、大臣の御答弁の中に、今年は財政上の措置からして、これだけのことしかできなかつたとおつしやるのでありますが、それでは来年度の見通しとして、厚生大臣は、来年度はこれよりも思い切つてしつかりした、ほんとうに国の補償というような予算が組めるような、そういう見通しが、現在の日本の国内情勢、国際情勢から考えられるかどうか、これをひとつお伺いしたいと思います。
#32
○吉武国務大臣 私としては、今回のこの予算的措置は、十分だとは考えておりません。従いまして、もつと手厚いものにしなければならないという熱意を持つております。しかしながら、国の将来の財政は、予測ができません。従つて、今からどれくらい来年はできるかということは、私にも言えないのであります。しかし御承知のように、日本は年々復興いたしております。現在すでは二十六年度でも、生産指数は昭和八、九年に比べまして一三八程度になつて、来年はこれが一四五ぐらいまで行けそうだという目途も持つておることでありますから、私は決して将来に対して悲観はしていないのであります。しかしながら、財政はそう簡単に余裕が出て来るとも言えませんので、私といたしましては、できるだけの努力をするつもりでおるのであります。
#33
○苅田委員 来年度の予測に対しまして、大臣は非常に財政上の楽観をしておいでになりますが、きのうきようの新聞紙を見ますと、決してそういうような楽観は許されないようないろいろなものが出ております。
 それから大臣が治安第一主義からお考えになつております防衛関係の費用にいたしましても、来年度になれば、これが非常に軽くなるという見通しもないことから考えますと、大臣でさえも、今年はこうだけれども、来年になればしつかりした予算が組めるという予測はお立ちにならないというのが、当然だと思うのです。そうとすれば、私どもはやはりどういう困難を冒しましても、今年度の遺族の援護費というものに対しまして、もつとほんとうに生活を守るということの言えるようなものをお出ししておかなければ、結局これは来年、再来年といつたつて、にわかに改善ができないというのであれば、そのときのわれわれの心構えがやはり将来において相当左右するものでありますから、そういう点から考えまして、今年のこういう予算措置に対しましては、どうも私は承知できないと思うのです。巷間言われておりますように、今年はしようがないけれども、来年は何とかなるというようなものでないことが、ただいまの大臣の御答弁であまりにも明白でありますから、どうしても今年において、少くとも根本的な問題だけはやはり解決しておかなければならないと思うのでありますが、そういう点につきまして、特に大臣は、あるいはこれが暫定的な処置で終らないかもしれない、自分は少くともこの法を施行する上からは、そういうふうに考えなければならないということまでおつしやつておるのでありますから、これではあまりにもひどいというふうにお考えにならないのですか。今年のうちはこういうふうなものでよろしいと、ほんとうにお考えになるのですか、この点をもう一ぺんお伺いしたいと思うのです。
#34
○吉武国務大臣 本年におきましては、予算上においては、これ以上のことはむずかしいと考えております。
#35
○苅田委員 大臣がそうおつしやるのであれば、政府の御答弁としては、それ以上のことは期待できませんから、次をお聞きしたいのです。それでは生活保護法との関連につきまして、これはこの委員会でも、すでにほかの委員の方もお話になり、また私も関連質問で、現在行われている援護費が生活保護法から差引いてとられるということであれば、まつたくこれは意味がないものだということを、傷痍軍人の例を引きまして意見を申し述べたわけでありますが、この点につきまして、大臣は、それは現状に即してやる。それから、生活保護法の範囲の中で実情を考慮してやるということを御答弁になつておるのであります。それではお聞きいたしますが、今年度生活保護法の予算の中から――大体この予算は御存じではありましようが、生活保護費は昨年度よりも少いのであります。こういう予算の中から、大臣はどのくらいなものをこの援護費のためにとることができるというお考えで、生活保護法を大幅に適用するということを御答弁になつておりますか。この点につきまして、お考えを承りたいと思います。
#36
○吉武国務大臣 生活保護法の建前は、御承知でもありましようが、最低生活を保障するということになつております。従いまして、他に何らかの収入がございますれば、その収入の原因が何であろうと、それは一応差引くというのが、生活保護法の建前であります。しかしながら、軍人の遺族に対しましては、今度の援護措置は十分でない、これをまるまる差引いたのでは、もらつたことになつても、結局は何にもならないということでは、われわれいかにもお気の毒である。従つて、運用の面において、できるだけのことを考えましよう、こう言つておるわけです。そこで、それじやできるだけのことを考えるならば、両方とももらうようにしたらどうかという御意見もあろうかと思いますけれども、生活保護法の建前上、それは許されないのであります。従いまして、表向きに言われると、非常に苦しいのでありますが、そこは皆さん方の遺族に対する御同情を得まして、考慮することはお許しをいただきたい、かように存じております。従つて、予算的措置では、一応援護費をもらうために差引かれる予算として浮く金を四億幾らか予算には計上されております。しかし、これを厳格に計算をいたしますると、実は予算的措置ではもつと落さなければならないのです。しかし、それは今度の援護というものが十分でございませんから、そういうことはできませんので、予算面では四億幾らを差引いたことにしておるわけであります。従いまして、今お話いたしましたように、遺族の実情に応じまして、できるだけの考慮を払つて行きたい、かように存じております。
#37
○苅田委員 生活保護法の建前は、生活保護法の建前だと思うのです。ただ今度遺族のために出ますごく少額の援護費というふうなものが、収入というふうに考えられない処置はできると存じます。ですから、もしも大臣の方で、現在の援護費が非常に少額であつて、実際未亡人で月に六百円何がし、父親とかあるいは父兄とか子供で四百円何がしかのお金しか入らないのでありますから、これはあくまでも国がなくなられた方の遺族をお慰めするための趣旨だということになれば、これは収入というふうに考えないことは幾らでもできると思うのです。法の建前としては、そういう取扱いをすることは不合理じやないと思いますけれども、厚生大臣はどういうふうにお考えになりますか。
#38
○吉武国務大臣 生活保護法というものは、その人たちに対する最低の生活を保障するということであります。そうであれば、生活保護法の建前から言うならば、その原因がどういうことであろうとも、最低の生活を保障するのでありますから、他の収入の分を差引いてそれを保障するという建前です。ですから、建前をやかましく言うと、どうにも差引かざるを得ないのでありますが、そこはあまりりくつにとらわれないで、遺族に対する一般の同情というところから、われわれも運用の面でその点はお許しをいただきたい、かように存じております。
#39
○苅田委員 これはこまかい問題になりますけれども、しかし現在戦傷者とか、あるいは遺族の中で、相当多数の人たちが生活保護法を受けておるという数字になつておるわけです。そうしますと、こういう人たちの生活を保障するのは、この人たちが戦争のために強制的に国からひつぱり出された戦争の犠牲者であろうとなかろうと、また自分自身の原因で浪費するとか、あるいはそのほかの原因で生活が立ち行かなくなつている人たちに対しましても、法律の建前上、最低の生活は権利として、日本国民である以上は要求できる建前になつているのであります。だから、それは当然日本人として国家に対して要求する権利があるということなんであつて、それはとやかく言われることはないと思います。ただ、今回出ますところの措置は、これはそういうものとは全然別個に切り離して、国が戦争犠牲者に対する義務として行う措置でありますから、これを生活保護法と一緒に考えることは、私はたいへん間違つているのではないかと思います。ですから、大臣が率直に、この問題は政府が財政上の都合で、そういう零細な金までも国としては差引かなければやつて行けないとおつしやるなら、それは賛成するしないはともかくといたしまして、答弁としては納得いたしますけれども、あくまで生活保護上の建前として、それができないと言いますと、私どもどうしても納得できないのです。当委員会でも、御承知のように、国から出ますところの今度の措置は、収入とは認めないということを、強く大多数の人が主張いたしておつたのでありますから、そういう点につきましても、大臣のただいまの御答弁では、非常に納得が行かないのであります。さらに、こういう問題を大臣が最初衆議院の予算委員会でお答えになりました当時から今日まで、一箇月半以上、ほとんど二箇月近くの間かかつているのでありますけれども、同じような御答弁で、それでは一体だれが査定するのか、一体遺族に対しまして、どのように特別に生活保護法の査定をするかということに対しましても、今日まで一つもそういうものの基準ができていないのであります。それから今年は、生活保護自体の予算が非常に切り詰められておるのであります。そういう基準が七千円として、従来よりもたくさんの金を支払わなければならないにもかかわりませず、保護費は非常に減つておるのであります。ただ大臣がおつしやつたように、四億円だけ引去つたというような減り方でないのでありますから、当然私はこの問題で悶着がいろいろ起つて来ると思うのです。ですから、もし大臣が、これはどうしても併給しないと言われるなら、どういうような割合でもつて、この生活保護法についての十分な考慮をするかということに対しまして、もう少し具体的な、そのやり方についてお示しが願えませんければ、これはとうてい下におきまして、十分にやれるものだというふうには考えられないのでありますが、それとも大臣の方では、この法案が通りますまでに、そういう具体的な措置につきまして、発表なさるお考えがおありになるのですかどうですか、この点もあわせてお伺いしておきたいと思います。
#40
○吉武国務大臣 実施の際には、その点につきましては十分検討いたしまして、各地域でまちまち、不公正のないような措置はとるつもりでおります。
#41
○苅田委員 さらに、これも少しこまかい質問になりますが、このたびの対象の中で、父母に対しましては五十五歳というふうに年齢を区切り、それからその子供に対しましては、十八歳というような年齢を区切つておるのでありますが、この十八歳とか五十五歳とかいうことは、どういう根拠からこういうふうなものが出ておりますか、その点をお伺いしたいと思います。
#42
○吉武国務大臣 父母、祖父母につきましては、五十五歳ではございませんで、六十歳でありますから、その点ひとつ御訂正を願いたいと思います。実は御承知のように、遺族に対して援護をするという場合におきましても、また前の軍人恩給の遺族扶助におきましても、遺族の範囲をどうするか、対象をどうするかという問題は、重要な問題であります。そこで今度の援護は、御承知のように、予算といたしましても実は十分でございません。従つて、この遺族の範囲というものは、大体旧軍人恩給の遺族扶助の対象を、実は参考にいたしておるわけであります。従つて御承知のように、軍人恩給における遺族扶助料は、未亡人、そして子供は未成年の子ということになつております。従つて今回の遺族援護も、子供につきましては、遺族扶助料の方は二十歳でございますけれども、こちらは十八歳にした、その点が違つております。それから父母、祖父母につきましても、できれば年齢の制限もなしに行ければけつこうでありますけれども、予算が不十分であります。そうすると、範囲を広くしますと、各人に渡る金は非常に少くなる。それでやはり一番お困りになるのは、何といつても未亡人のお方であります。そして遺児の方であります。大きくなられた方は、自分で生活をするという道もつくのでありますが、遺児の方は、何といつても気の毒であります。それからまた父母、祖父母にいたしましても、働き盛りの方は何とかできますが、お年寄りになつて来ますと、それもちよつとほうつて置きかねるというところから、今回の援護も、未亡人、子供さん及びお孫さんは十八歳未満、父母、祖父母につきましては六十歳以上にしたわけであります。
#43
○苅田委員 従来の遺族扶助料の御参考もけつこうでありましようけれども、しかし、今遺族についてお調べになつておるはずで、おわかりだろうと思いますけれども、実際上は、やはり五十五、六歳、こういうような父母は非常にたくさんの数があると聞いておるのであります。しかも年齢が四歳、五歳ぐらい若いからといつて、それだけで十分生活の能力があるなしということも言えないのでありますし、特に今回の措置は、大臣もしばしば言われておるように、これはほんとうに生活の扶助ができるような額ではなくて、国としてその人たちに対するほんとうにおわびの、お悔みのものとして出すのだということを言つておいでになる以上、そういうところに筋を引かれるということは、どちらから考えてみましても、非常に不当だというふうに私は考えるのです。それから特に十八歳未満の子弟というふうに切りましたのは、これは未亡人のことを組み入れていない考え方で、今日の未亡人というものは、ほかに何も楽しみがなくて、ただそういう子弟を何とかしてりつぱに育て上げたいということだけに、一生の望みをかけておる人たちですから、これから金がかかる。しかも現在の六・三制の中学卒業では、何としても中途半端で、何ともならない、どうしても専門の教育を受けなければならないので、これから金のいるという子供に対して、政府が手を打たないということは、これはなんかも、私はせつかく未亡人を主にしてお考えになつていると言いながら、実際これは仏つくつて魂を入れない処置だと思います。どうしてもこういうふうな年齢の制限はとつていただかなければならないと思います。特に遺児に対しては、当然全額国が負担して、その人たちの教育を見なければならぬものだと私は考えておるのでありますが、こういう点について、厚生大臣はそのようにはお考えにならないのですか、お伺いしたいと思います。
#44
○吉武国務大臣 先ほども申しましたように、予算に限度があるといたしますれば、受ける対象の範囲を広げて行きますと、一人々々に渡る金というものは勢い少くなるのであります。ところが遺族の中で一番お困りになるのは、何といつても未亡人の方と未成年の遺児の方であります。従つて、幾らでも予算が出し得れば、お話のように年齢の制限もしないで済ませたいのでありますが、そうは行かない。そうすれば、勢い遺族のうちで最も困られるところの未亡人、そうして十八歳以下の遺児の方、そして父母、祖父母については年寄りの方ということにならざるを得ないのじやないか、私はかように存じております。
#45
○大石委員長 苅田さん、大体お約束の時間なので、恐縮ですが、あと午後からにでも御質問願えないでしようか。
#46
○苅田委員 これだけでやめます。――私いろいろ大臣に御質問しましたが、結局問題は、予算が少いということを大臣自身が認めておいでになる通りだと思うのです。ですから、私が最初申し上げましたように、このたびの援護費というものは、どういう必要からお考えになつておるのであれ、防衛費だとか、安全保障費だとか、警察予備隊だとか、海上保安庁の費用だとか、そういうようなもう一ぺん国民を武装させ、あるいは戦争にひつぱり出させるための費用をとりにとつた残りかすが、こういう人たちに対して振り当てられているという根本の予算の立て方に矛盾があるから、こういうふうなことになつているのでありまして、そういう点を大臣がはつきりお認めになつておるのだとすれば、私はこれ以上その点につきましては質問を申し上げません。
 なお具体的な問題につきましては、さらに他日の機会に御質問いたします。
#47
○大石委員長 岡良一君。
#48
○岡(良)委員 先ほど苅田委員からのお尋ね、それからせんだつての堤委員のお尋ねについて、今ほども大臣から、この法案は暫定的なものではある、しかし一応法案として出しておる以上、これについては、あるいは恩給法特例審議会の調査審議をまつて、別途な措置は講ずるとしても、ともあれこの法案としては独自の立場から提出する、こういうふうな御答弁であろうと思うのであります。この点は非常にわれわれも審議をする場合の大きな前提として、重要視しておるのであります。この点について、政府当局としてのはつきりとした態度をお伺いしたいと思うのであります。十八日に菅野副長官の青柳委員への御答弁では、いずれは恩給法の復活を適当な形において実施する場合に、それに切りかえる用意がある、その法律案は年内にも出したいという、かなり強い意思表示があつた。それから二十日の恩給局長の御答弁では、これは経過的な措置であるということを明確に言つておられる。この法案は、言うてみれば臨時的な措置である、暫定的な性格を持つておるものであるということを、大蔵省当局なり、また内閣官房の方で言つておられるのであつて、その間意見の食い違いが政府部内にあるということになると、われわれとしても非常に遺憾に思うので、その点もう一度はつきりと、この法律案の性格は暫定的なものであるかどうかという点をお伺いいたしたい。
#49
○吉武国務大臣 私はしばしば申し上げておりますように、軍人恩給に基きます遺族扶助の問題は、軍人の恩給とともに現在は停止されておりまするが、これはやはり政府としては考えなければならぬ問題だと思います。従つて、審議会を設けまして、根本的にどうするか――、これはなかなか簡単でないと私は思います。これは相当重要な問題であると同時に、審議につきましても、いろいろな審議が重ねられるのだと思つておるわけであります。従つて、その結論が出、また財政的な措置ができて進みますれば、この法律というものは、それに切りかえられると思つておるわけであります。しかしながら、それは将来の問題である。将来の問題でありますから、われわれも、おそらくそういうふうになるだろうとは思いますが、そうかといつて、将来どんな形になつて、どんなものが出るかということがわからないでいて、これは暫定で一年なら一年でやる、あるいは一年半なら一年半、あるいは半年だという法律は出せない、そういうふうな根本的なものの適当なる成案が出て、予算措置のできる日の来ることを私も希望いたします。しかしながら、それは将来の問題でありますから、一応将来そういう問題が出るまではこれで行く、これでやりますぞという方が、受ける方におきましても安心がつくと思うのです。この中には、遺族ばかりでなしに、障害の方もございまして、少くともこれ以下にはならないぞ、これだけは、一応政府としては法律も通り、制度としてもできた、なおこれにかわつて恩給というようなものができるだろう、できたときにかえればいいことでありますから、これが暫定的だとはつきり見通しがつけば、私も暫定的だとはつきり申し上げていいのでありますけれども、われわれはそうかといつて、これをずつと恒久的に続けて行つて、恩給に基くところの遺族扶助というものはもう取上げないというような考えは毛頭ございません。これは私の気持を率直に申し上げますけれども、事が将来の問題でございますので、何かはつきり見通しがついたような前提のもとに、これが暫定的な、今年限りだというふうに言えない点を御了承願いたいと思います。
#50
○岡(良)委員 そういたしますと、大臣の御答弁では、これが暫定的であるというふうに、主管大臣として言い切られることになると、これを受取る側としても、何となくたよりない不安な気持になるだろうということが一つの御懸念であり、いま一つは、恩給法特例審議会の審議の結果、何が出て来るかということは、将来の問題であつて、はつきりとしたことがわからない。この二つの理由から、一応この法案を暫定的であると言い切ることは軽卒である、こういう御答弁であります。しかし、私は逆に考えたいのです。と申しますのは、今年の春、遺族大会で、一応政府の案と称するものが察知されましたときにも、これは暫定的な措置としてということを強く要求しておられることは、大臣も御存じの通りでありまして、これが暫定的ではなく、数年にわたるのではなかろうかというふうな懸念を遺族が持つということの方が、かえつて遺族の心情に対しては、むしろ弓を引くようなかつこうとなろうということは、実際問題として大臣もお考えおきを願いたい。いま一つは、恩給法特例審議会が、将来何らかの結論を出すであろうということは、これは恩給法特例審議会の問題であります。しかし、政府が恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案を御提出になつたときには、明らかに日時の限定をしてあります。一応政令第六八号により停止され、また制限された軍人あるいは準軍人の遺族に関する恩給あるいは扶助料等については、その停止を来年の三月三十一日まではなおそのまま持続する、その間に恩給法特例審議会をもつて十分に調査審議に当らしめて、そうして別途この恩給法に関する適正なる復元をはかりたいということは、提案理由の説明にも、また制度改正の条文にもうたつておられる。してみれば、政府とすれば、一箇年以内には恩給法特例審議会の上申か意見具申をまつて、それに基くところの新しい恩給なり、あるいは遺族扶助料なりを復元するということを、来年三月三十一日までと明記して、はつきりうたつておられるということになれば、やはりこの際大臣としては、そういう政府の意図をも総合的に勘案せられた場合に、この法律案は一応そのときまでの暫定的なものである。しかも政府として来年の三月三十一日と日時を限定して、恩給法の特例に関する措置に関する法律案を提出しておられる以上は、やはり政府の現在の意図としては、本年度に限定されてこの法案の実行があるのであるということは、やはりはつきり知つていただくということが、現在の関係法律案提案の理由やその内容についてみても、あるいは現在における遺族諸君の心情にかんがみてみても、その方がむしろ正しいのではないか、こういうふうに私は考えるのでありますが、重ねて大臣の御所見を承りたい。
#51
○吉武国務大臣 私の申し上げた言葉が足らないからかも存じませんが、私どもとしては、今度のこの援護措置でもつて永久に続けて行くのだ、そうして恩給はもうやらないんだという気持は、全然ございません。そういう気持で申し上げているのではないのでありまして、審議会をつくるというのも、何らか恩給法に基くところの遺族扶助の問題、及び軍人恩給というものは考えなければならないのじやないだろうかということで進んではおるのです。しかし事が将来のことでありますから、今年限りだと申しましても――大体は来年からできるだろうとは思いますけれども、事が重要な問題でありまするし、そう簡単にも考えられない。従いまして、一応そういうものができるまでは、この援護法で行くのだという建前をとるのが、普通じやないだろうか。もしこれを出して、これで永久に行くんだというふうに私どもが考えておるということになれば、それは遺族の方に御不満があるだろうと思いますが、そういうつもりでないことは御了解つくんじやないか。従つて将来新しいものが出れば、それに切りかえられるものでありますから、それまではやはりこれで行くんだ、それがどんな期間になるかわかりませんが、将来こういうことをするからということだけでもつて、これをすぐ暫定的に取扱うというわけには行かないんじやないか、かように存ずるわけであります。
#52
○岡(良)委員 そこが変なんです。それは大臣の慎重な構えも、十分私はわかるのですが、しかしそれにいたしましても、この恩給の特例に関する件の措置に関する法律案には、来年の三月三十一日と、はつきりうたつてある。であるから、もしこの法律によつて設けられたところの恩給法特例審議会の答申があり、またそれに伴う予算的な措置を政府としてなされる。ところで問題が非常に重大であつて審議ができない、あるいは尽されないで、成案を審議会が得られなかつたと、かりに仮定した場合には、当然恩給法というものはそのまま復活するということになるわけです。少くとも政府の方としては、この法律案をわれわれに諮られる以上は、――この法律案というのは恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案ですが――以上は、やはり来年の三月三十一日という日限を明確に切つてわれわれの審議にゆだねておられるところをもつてすれば、政府の意図としては、来年の三月三十一日までは、とにかく審議会の調査審議をまつて予算的措置を講ずる、こういうことを一応前提とし、またその腹をもつてこの援護法律案を出されたものだ、こういうふうにわれわれとしては解釈するのが常識ではないかと思いますので、しつこいようですが、重ねてその点をはつきりと、政府としても来年の三月三十一日までに恩給法特例審議会の調査審議にまつた答申に基く予算措置を講ずるのである、その暫定的な措置として一応この案で行きたい、こういうふうな態度であるということを、実は私は言明をしていただきたいと思うのですが、重ねて御所見を伺います。
#53
○吉武国務大臣 たびたび申し上げますように、事将来に関する問題というものは、はつきりするまでは、一応制度としてはこれで行くんだということをとらざるを得ないのじやないか、私はさように存じます。おそらく、将来軍人恩給の問題は、成案を得るでありましようけれども、まだどういうものになるか、そうしてそれがどういう見込みで行くかということは、これからの問題であります。その将来の問題を、何らか確定したような前提のもとに、一年限りの一時の制度であると言うことは、ちよつとおもしろくないのじやないか。いつでも法律は、新しい制度ができれば、そのときに切りかえられる。切りかえができぬということであれば、そういう御心配が行くでありましようが、そういう御心配は全然ない。いつでも新しい制度ができれば、それによつて改廃ができるのが法律の制度であります。でありますから、私は事将来の問題でありますだけに、将来の問題を初めから確定的な前提として、一年限りの法律と言うわけには行かないのじやないか、かように存じます。
#54
○岡(良)委員 さように言つておるのですが、どうも吉武厚生大臣、少し構えが慎重過ぎると私は思うのです。実際われわれがこれまでに審議した法律案でも、臨時措置に関する法律案といつたようなもの、あるいは臨時特例に関する法律案、そういう名目をちやんと冠した法律案を幾多われわれが通過せしめておることは、大臣も御存じの通りである。いわんや恩給法の特例に関する件の措置に関する法律案は、来年三月三十一日までに、その審議会の調査審議を終え、適当な形における恩給法の復元というものについての具体的な意見の具申があつて、それに基いて政府は予算措置を講ずるという日限を切つて、ちやんと提出しておられる。してみれば、政府の期待されるところ、政府の現在意図しておられるところでは、やはり来年三月三十一日までは停止する。その期間に審議会の調査審議にまつて適当な立案を得たならば、これを通じて予算の裏づけをしようということを明確に言つておられるわけです。大臣が御心配せられるのは、恩給法特例議会がいよいよ設けられて、その審議が甲論乙駁で、いかなる結論を出すか出さないかわからない。これこそ将来の問題でありますが、問題は、政府としては、この審議会を通じて来年の会計年度末、三月三十一日までに、はつきりとした結論を出そうという期待と意図を明確にうたつておられる。してみれば、恩給法特例審議会の審議の過程が将来の問題であり、その内容がどうなるかは別といたしましても、やはりこの法律案は、それと同時に並行的に勘案いたしました場合に、明年の三月三十一日までの暫定的な措置である、こう解釈するのが、私は常識じやないかと思うのです。いわんや、政府部内において官房、大蔵当局との間に、かなり御意見の食い違いがあるということになりますと、われわれも、これは重要な大前提でありますので、この点はさらに速記録等を調査いたしまして、政府の明確なる見解を承らないと、審議というものにつつ込めないという不都合を感じておるのでありますが、重ねて、まことにしつこいようですが、はつきりしたところを承りたい。
#55
○吉武国務大臣 私は別にこだわつて申しておるわけではございませんで、今申しましたように、政府としては軍人の遺族扶助料及び軍人恩給というものはほうつておけないだろう。そこで一応三月の三十一日まで停止して、審議会を設けてこれを検討して行くということですから、政府の意図は、私はおわかりになると思う。私もそのつもりでおります。しかしながら、それは事将来に関することであつて、どんなものになるか確定しない。それまではやはりこの制度で一応行くという建前をとることが至当ではないか。九九%までは、おそらくそういうふうになるでしよう。しかしながら、将来のことでありますから、万一という場合がございます。ですから、法律というものは、その法律によつて改廃されるまでは、やはりこの法律で行くのだという建前をとるのが、法律としては当然ではないか。その真意がそうじやなくて、そう言つてこれをずつと続けるのだということになれば、それはあなた方がおつしやる通りでありますか、そういうつもりはないのであります。これは率直に言つて、そういうつもりはございません。だから、そういう意味においては暫定的じやないかと言われれば、暫定的でしよう。しかし法律の建前というものは、そうだからといつて、来年の三月までの法律だと言うわけには行かないのじやないか、私はかように存じます。
#56
○岡(良)委員 わかりました。
 最後にもう一点。そういたしますと、一応政府としても、恩給停止あるいは制限されておるあの勅令第六八号による恩給法の復元の問題は、来年の三月三十一日までに恩給法特例審議会を通じて調査審議して、その意見具申をまつて予算の裏づけ等も行いたい。従つて、それを期待しつつ、しかしその間のつなぎとして、この法案というもので一応援護措置は講ずる。従つて政府としては、三月三十一日までには具体的に恩給法の復活が何らかの形においてでき上ることを期待しつつ一応この法律案で行きたい、こういう意見である、そう解釈してけつこうですか。
#57
○吉武国務大臣 さようでございます。
#58
○大石委員長 これにて午前中の審議を終ります。午後は一時より再開の予定であります。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十五分開議
#59
○大石委員長 休憩前に引続き会議を再開いたします。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法案を議題とし、質疑を続行いたします。金子與重郎君。
#60
○金子委員 同僚の各委員から、各般の問題につきまして、いろいろ大臣に質問があつたようでありますので、なるべく重複することを避けて、二、三御質問申し上げます。
 まず第一に、今度の支給いたしますところの資格として、太平洋戦争といいますか、その以降の者ということに一応切つてあるのでありますが、この問題はいろいろ受ける方の立場に立つたときに、公平を欠くような、同じような立場でありながら非常に不公平だというような問題が出て来ると思いますが、これをそうしなければならなかつた理由と、この法律の通りにいたしましても、はつきりと大義名分が立つという理由があるか、その二点をひとつ御意見を承りたいと思います。
#61
○吉武国務大臣 ただいまの御質問はごもつともな点でございまして、実は私ども相当検討した問題でございます。打明けて申し上げますと、実は昨年の暮れに予算的な措置を講じますときは、新聞でも御承知のように、年金は未亡人と遺児に、そうして公債は父母と祖父母にということで、実は出発したわけであります。しかも、それでやはり予算がきまりました。その後に至つて、いろいろ各方面から意見が出まして、どうも予算はしかたがないが、ひとつ年金も父母、祖父母の年寄りに、少し少くなつてもいいからやつたらどうかというような意見が、圧倒的に多かつたわけであります。実は初めの意見は、父母、祖父母に一人ずつ五万円という打切りの公債だつたのですが、それをやはり遺族の範囲でいいから、一柱五万円ずつということにした方がいいじやないだろうか、この意見も圧倒的にあるわけてす。それで、いろいろ考えました結果、予算の中でできることであれば、一般の皆さんの御趣旨に沿う方がいいのじやないだろうかということで、実は今度の法案にありますように、年金は未亡人とそれから十八歳以下のお子さんと、そうして父母、祖父母については六十歳以上、それからお孫さんも十八歳以下というふうにいたしまして、そのかわりまた公債もこの同じ遺族の範囲でありまする未亡人世帯、あるいは未亡人がおられないときには十八歳以下の遺児の世帯、そうしてその遺児がおられないときには父母、祖父母の世帯ということで、この公債を出すことにいたしました。そうしますと、やはり太平洋戦争にせざるを得ぬというのが一点。
 それからもう一つ、ただそれだけではございませんで、今御指摘になりました他に何か納得の行く案があるのかとおつしやいましたが、それはいろいろ検討してみますると、一時金は、日華事変までは全部出ておるわけであります。太平洋戦争の初期にはちよつと出たようですが、途中から出なくなつて、実はこれが問題となつて、一時金の公債を出したらどうかという意見が、一般の国民間には意見として出ておつたわけであります。政府が全部出しておればいいけれども、太平洋戦争は途中から出なかつたじやないかということが、相当強い意見でございましたので、そこでこの公債は太平洋戦争からにしようということにいたしたわけでございまして、この問題は非常に検討したあげくこういう結論になりましたので、御了承いただきます。
#62
○金子委員 ほかの年金その他の支給計画の予算的な面からも一応考えられる点が一つと、もう一つには日華事変の場合は、金額は別として、死亡されたときに一時金が行つておる、こういう点で太平洋戦争以後ということに打切つたという御答弁でございますが、日華事変の当初におきましては、あの当時は非常に戦死が珍しくありましたから、一時金その他いろいろ各方面からの見舞金等もありまして、相当りつぱな葬式や石塔のようなものもできておるのでありますが、日華事変末期になりますと、支給をしたとはいうものの、当初から見ると――政府自体のはさほどかわらないでしようが、最初は連隊長から何か出たとか、いろいろなものがあつた、その後はそういうものもなくなつておりますし、もう一つ非常に問題だと思いますのは、日華事変のものを打切りにしてしまうということになりますと、全国的に見ましたとざに、連隊区――早く日華事変の当時死んだ地方と、太平洋戦争になつてかり多く死んだというのは、地方によつて違うのです。要するに動員計画の早かつたところは犠牲者がよけい出ていると、私の目では見られるのでありますが、その点はどうお考えになりますが。
    〔委員長退席、亘委員長代理着席〕
#63
○吉武国務大臣 おそらくお話のように、日華事変の初期と終りとでは、大分拡大して来ましたために、事情がだんだんとかわつて来たかとも思います。しかし、その点は特に太平洋戦争の初期と終りで、非常な差があつたんじやないかと思うのです。だから、日華事変についても同様のことはございますけれども、程度からいいますと、太平洋戦争に至りまして非常に範囲が拡大したために、政府の手が差延べられなかつたというふうに了承しております。
 それから今御指摘になりました点は、私あまり気がつきませんでしたが、地域的には、動員の前後によつてそういうことがあるかもしれません。この点は、私どももなお十分調べてみたいと思つておりますが、太平洋戦争も途中から相当全国的に新しい動員がかかりまして、年齢も高くなつて来たという点もございまするから、おそらくそうへんぱなこともないかと思いますが、この点はなお十分気をつけてみたいと思います。
#64
○金子委員 かりに日華事変における戦没者を、今度の一時金、いわゆる公債支給の適格者として当てはめたと仮定いたしますと、どのくらいの金額になりますか。
#65
○田邊(繁)政府委員 日華事変によります戦没者の総数は約十九万であります。従いまして、一柱五万円の公債とい、たしますと、九十五億になります。
#66
○金子委員 その数字が出ますと、りくつはあつても、今の大臣のお話のように、ふところの関係上切りましたということが、相当はつきり出て来るのでありますが、これの是非は別といたしまして、この問題は意見になりますから、この程度にしておきます。
 それから、先ほど苅田委員の御質問にもあつたのでありますが、今度この年金を支給いたしますのに、一番問題になりますのは、やはり何といつても王活保護法とのかみ合いが問題になると思うのです。これは、たとえば軍人のごときは、恩給になつてしまうと、今度は入院費は自分で出さなければ入院しておれないということになるかどうか、その辺はどうですか。
#67
○木村(忠)政府委員 生活保護法の一般の原則と同じことであるから、これをもらつたからといつて、全部入院費を本人が持たなければならないということには相ならないと思います。
#68
○金子委員 もらつたから、すぐ入院費を出さなければならないということにはならない。それはただ、便宜上そういうことが考えられるということは、あり得るかもしれませんが、しかし、法の建前から行きますと、やはりそれが原則になるということになるのではないでしようか。
#69
○吉武国務大臣 お話のように、法律の建前からいうと、あるいはそういうふうになるかもしれませんが、けさも申しましたように、その点は軍人の遺家族の問題でありますから、おそらく皆さんからも、それくらいの考慮は認めていただけるだろう。私どもの意向といたしましても、できるだけそこは考慮して行きたいというつもりでございますので、御了承いただきたいと思います。
#70
○金子委員 傷痍軍人の入院の問題も非常に重大でありますし、一般の低生活者の生活保護法の該当者といたしましても、この問題は非常に大切なことであります。この問題に対しては、各委員とも心配しておりますが、大臣のお考えとしては、十分その意味がわかる、政府当局者もそういうことは十分考えておる、そこでこれを実施に移す上には、その点を相当大目に見て、しんしやくして実施したいと思うというお話であるのでありますが、第十二条は、支給する場合には、政令で定めるということになるのですね。
#71
○田邊(繁)政府委員 御質問は、法律の第十二条の第二項及び第一項に関連する御質問だと思うのですが、第一項の方は、障害年金の支給を受けておる者が、国立保養所に収容された場合の差引の規定であります。御承知の通り国立保養所は、全額国費をもつてまかなう建前になつておりますから、若干程度は障害年金より差引いた方が適当ではないかと考えております。第二項の方は、例をあげて申しますと、現在の未復員者給与法によると、軍人は恩給をもらうことになりますが、軍人以外の軍属になりますと、障害の程度に応じまして一時金が出るわけであります。その金額は一定の年数を基礎といたしまして一時金として出すわけであります。従いまして、一例を申しますと、今日障害年金の査定がありますと、その分は将来一定の年数の分をまとめてもらうということになりますので、障害年金の支給の場合においては、その部分の年数がダブることになりますので、その点を適当に調整したいという趣旨でございます。
#72
○金子委員 そこで今の生活保護法とのかみ合いを調整するというために、そこに何らかの政令を持つなり、あるいは行政措置を行わなくちやならぬと思います。この法律だけに限つた問題ではありませんが、とかく法律に政令や次官通牒というふうな運用の幅を非常に大きくつけるということは、法を施行する上には、行政庁としては非常に便利なんでありますけれども、しかしながら、立法の精神から参りますと、あまりに大幅な政令なり行政措置がとられるということは、法というものが相当曲つて運用されるということが、従来もある話でありますので、この問題は、私の考えといたしましては、もし法律の上に、はつきりとこれをうたうことができないような複雑な場合があるとするならば、これは政令によつてきめるというようなことを、どちらかの法律へ入れるなりすべきではないか。そうして、それは行政的な措置でありますので、この立法の府に相談するということは矛盾でありますけれども、やはり法をつくつて、それがはたしてその精神通り動いておるかどうかということを見るためには、その政令のあり方というものも、一応委員会の了解のもとに、こういうものを出そうというふうにすることがいいんじやないか。実はこの問題は、かつて、この法律とは違うけれども、同じ厚生行政にありましたところの劇毒物の取締法のごときものも、あの当時、占領下でありまして、GHQが修正することを許さない。それならば、こういう問題に対して、こういうふうな政令を出したらどうかという政令の案まで、本委員会の了解を得まして、そうしてやつた例もあつたのでございます。そういう点につきまして、大臣のお考え方を、あまりとらわれないで、ひとつ率直に御答弁願いたいと思います。
#73
○吉武国務大臣 ごもつともでございまして、実は法律でそういう措置がとれれば、それをすべきだと私は思うのです。それから、今お話のように、法律でぐあいが悪ければ、政令でもというお話でありますけれども、実は私ども多少理論にこだわるかもしれませんが、生活保護法という建前から申しますと、法律でそういう除外をするということが、――つまり、どんな方であつても、最低生活は平等に保障するという建前になつておるわけで、従つてある収入だけは差引かないという措置を講ずることが適当であるかどうかという点に、実は疑問を持つわけであります。それで、あまりやかましく言われるとむずかしいけれども、一般国民の理解というものは、遺族に対してはあり得る、傷痍軍人に対してはあり得るという前提で、運用でひとつ御考慮願えないものか、こう言つているわけであります。従つて、その法律的な措置が、私どもはむずかしいと思つておりますので、法律政令にゆだねないのでありますが、実際措置にいたしましても、先ほど金子さんが言われたように、国会の審議という上からいつてどうだろうかと言われます点は、私もつともと思います。従つて運用にいたしましても、皆さん方の御意向を聞いた上でやりたい、かように存じております。
#74
○金子委員 生活保護法の建前が、どういう理由を問わず、一つの最低生活者というものの線をきめて、そして収入である以上は、それを収入と見ないということは原則にもとるという話は、もつともでございます。たとえば税金のような問題でも、所得のあるところには、必ず公平な税金をかけることが原則であります。そういう場合でも、やはりこういうふうな所得に対しては、これだけよけいに控除を認めるというようなことは、行政的に日常やつておることでありまして、所得税の原則から参りますならば、所得の性質がよかろうと悪かろうと、気の毒であろうと、一応出た以上は、それに国家が定めた税率をもつて徴収するということが、あくまで原則でありますけれども、さてそれに対する控除のやり方や何かに対しては、やはりその業態なり、いろいろな方法によつて特例を認めるということは、現にやつておりますので、当分のところ、大臣のお考え方は今のようであつても、この審議はこれから逐条にかかつて、まだ相当こまかく掘り下げて研究すると思いますので、私どももその点を研究いたしますが、大臣ももう一応ここで、出た原案にとらわれることなしに、虚心坦懐に御研究願いたいと思います。
#75
○吉武国務大臣 なるほど所得税にもそういう点はありますから、理論的にいえば同じようにも考えられます。十分考えますが、ただ生活保護法が憲法の条項によつて出ているだけに、ちよつと私の方も少し警戒しているかもしれませんけれども、その点は十分また御相談申し上げたいと存じます。
#76
○金子委員 それでは生活保護法と障害年金の問題は、傷痍軍人の問題にいたしましても、あるいは一般低生活者の問題にいたしましても、一つの盲点でありますので、逐条の際に十分研究いたしたいと思いますから、当局といたしましても、この法案を出したからといつて、それにとらわれるというような考え方はお捨てになつていただきたいということを、お願いしておきます。
 次に、北欧諸国におきましては、ドイツにいたしましても、その他においても、傷痍軍人の強制雇用の問題が、相当強く取上げられておるようであります。ところが、この法律の中には、はつきりした問題として取上げておりません。これは、予算の問題とは直接には関係はないのですが、どういう意味で取上げなかつたのでありますか。
#77
○吉武国務大臣 強制雇用の問題につきましては、実は相当閣内でも相談いたしましたし、慎重に議論をいたしました。よその国では、強制雇用をいたしております。ただあのときに、私も閣内で意見を述べたのでありますが、どうも法律で強制的に割当てて、幾ら以上の工場には何人というふうにやりますことは、事務的にいえば簡単なようでございますけれども、御本人にとつてみると、そういうことは、かえつて気まずくはないか。それで望みがないということならば、いたし方ない、そういう措置も最後にはとらなければならぬかとは思いますけれども、日本の国のことでありますから、お互いにお世話をし合うということでできはしないか、それで、もしそのために技術を教えるということで予算がいれば、その方には予算を出そう、こういうことで、現在六箇所か技能の養成所がございますけれども、その上さらに二箇所ふやしまして、現在でも傷痍軍人の方にいろいろな仕事を教えおりますが、そういうのも設けよう。そうしてお世話する方も、現在でも安定所の方で相当お世話をしておるわけであります。それから政府がやります以外に、自治体でも、村役場その他で直接使われておるところもあれば、お世話もされておりますので、私はできるだけ強制ということでなしに、話合いで行つてみようということで、今度は強制雇用の方法をとらなかつたわけであります。しかし、やつてみてできないということになれば、やらざるを得ぬかもしれませんが、日本人同士のことだから、話合いで行けばしないかという自信を、私は持つておるつもりでございます。
#78
○金子委員 政府は強制雇用の問題につきまして、その程度をどのようにするかということは別として、一応そういうことに対しても真剣にこれを考えてみた。しかしながら、大臣のお考えでは、日本人の同士愛というか、道徳的にこれをある程度まで緩和できはしないかというようなお話でありますが、これは実は私どもは、この前身体障害者福祉法というものをやりましたときに、強制雇用の問題ではありませんけれども、職種におきましては、この問題は相当具体的に掲げて法文化いたしたのでありますけれども、遺憾ながらあの身体障害者の場合は、ほとんどそれが意味をなさない結果に現在落ちておるという点から見ますると、やはりこれは程度をどういうふうにするかということに対しては、非常にむずかしいことではあるけれども、またむずかしいことであるだけに、この問題を法律的にも私は取上げるべきだというふうに考えるのでありますが、それ以上申し上げることは意見になりますから、一応大臣のお話を伺つておくことにいたします。
 それから最後に、これは小さい問題ですが、現地で処刑された戦犯、そういうものが死んだ場合には、これはどういうふうな形になりますか。
#79
○吉武国務大臣 実は戦犯関係でなくなられました方は、どうも公務として取上げにくい点でございまして、実は入つておりません。
#80
○金子委員 向う様から見れば戦犯でしようけれども――こちらから見れば愛国心の発露でやつたものが、向う様が見れば戦犯になるのですが、その点はどういうことになりますか。
#81
○吉武国務大臣 非常にむずかしい問題でございますが、今のところは、どうもちよつとこれを公務として取上げにくいのであります。
#82
○金子委員 それでは一応そういうことに承つておきます。質問の時間でありますので、意見にわたることは申し上げませんが、最後にお願いしておきますのは、くれぐれも私どもはこの法律を党利党略の道具に使つて行くということは、厳に慎むべきだということを十分承知しております。それだけにまた提案者であるところの政府も、虚心坦懐に、面子や何かにとらわれることなく、今後の審議を、ともどもより完成したものをつくるということに努力していただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を一応打切ります。
#83
○吉武国務大臣 ただいま最後にお述べになりました事項につきましては、私どもも、この問題は国家に対する犠牲者のことでございますから、皆様とともに実はよりよい方法を考えたいということに努力いたしたいと思います。
#84
○亘委員長代理 岡良一君。
#85
○岡(良)委員 木村さんの腹蔵のないところをお聞かせ願いたいのですが、例によつて生活保護法の関連です。この間いただきました四月から実施される生活扶助の額ですが、実際問題として、生活保護法にうたわれている憲法第二十五条の理念に基き云々という最低生活の保障が、この額でできますでしようか。
#86
○木村(忠)政府委員 どうも社会局長のかわりの答弁をしなければならないようなことになりまして、まことに不安でございますが、七千円というのは、予算の基準として用いた基準でありまして、四月からはたしてその基準でやるかどうかという点につきましては、まだきまつておらないのであります。私の聞きますところでは、なお現在どういう基準を立てるかということにつきまして、大蔵省と折衝いたしておるという段階にあるように聞いております。もちろん、将来の見通し、現在までの生活保護の動きというようなものをにらみ合せまして、現在大蔵省と折衝いたしておるのであります。従いまして、七千円になりますか、七千三百円になりますかという点につきましては、まだきまつておらないというふうに聞いております。
 なお、これでもつて憲法第二十五条にあります最低の生活が保障されているかどうかという点でございますが、これは従来よりは逐次その基準は上つて参つておりまして、その内容におきましても、逐次改善のあとが見えております。これがすべて日本におきます財政の状況とにらみ合せまして、逐次改善しつつあるというのが、その実際の状況ではなかろうかと思います。憲法でいつておりますところの最低生活というものをどこに置くかということは、やはり国全体の経済、財政の状況から判断しなければならぬものと考えるのであります。従いまして、その金額が妥当であるかどうかということは、そのときの財政から見ていいかどうかという点になるのではないかというふうに考えます。その者が生きて行けないということになりますれば、もちろんいけないのでありますけれども、生きて行ける上にどの程度プラスされるかという点において、きまつて来るのではないか、と考えるのであります。そういたしますと、現在のところ財政の許す限度におきまして、これが憲法の保障するものであるというふうにいわざるを得ないのではないかと考えます。
#87
○岡(良)委員 議論にわたる点は別といたしまして、木村さんも長く社会局長の職におられて、生活保護法の画期的な改正にも中心となつてお働きになつた方で、信頼申し上げて、実は率直なところをお尋ねしているのですが、たとえば、このいただきました資料によりましても、この四月からは多少これが上るかもしれませんが、大体住宅扶助、教育扶助をやつても七千六百三十六円程度――多少上まわるかもしれません。しかし昨年十月の東京都における物価指数というものと消費物価の指数から、五人世帯の通常の生計支出というものは、大体一万六千七百八十円という線が出ている。そういたしますと、七千六百三十六円という、この四月から上ることが期待されている生活扶助、住宅扶助、教育扶助等をひつくるめての総計は、昨年十月のCPSによる一般家庭の生計支出の四五%にしかならない。一般家庭の生計支出の中で、飲食物の占めている支出が九千三百七十八円。これも昨年十月でございますが、一方生活保護法の適用を受けている被扶助世帯における生活扶助、あるいは教育扶助、住宅扶助をひつくるめて七千六百三十円ぐらいである。こういうことを考えてみましても、とにかく非常に低い。それはなるほど日本の国のいろいろな事象あるといたしましても、それにしても、たとえばCPSの関連から見た一般家庭の生計支出が一万六千円であるとき、その五割に満たないというようなことで、はたして何らの所得もない五人の世帯が東京で生きて行けるかという、実際問題の可能性の問題ですが、この点どういうふうにお考えでしようか。
#88
○木村(忠)政府委員 ただいま見ております基準につきましては、大体その基準そのものは、全然働かない人間といいますか、働いていない人間というものが基礎になつているというふうに考えなければならぬのであります。つまり勤労に要しまするところの各種の経費というものは、その中に見ておりませんし、また衛生関係の費用につきましても、一時的な衛生関係の費用しか見ておらないので、大部分の医療費というものはこれとは別に計上されているのであります。従いまして、それらのことを考えますれば、ただこれを算術的に両方比較いたしますことが、はたして妥当であるかということも疑問がある。CPSの数字と比較いたします場合に、ただそれだけの比率でもつてこれを判断するというのは、必ずしも正確な考え方とは私は考えておりません。もちろんそうかと申しまして、今度新しくやろうと思います七千円のベース、あるいは今までやつておりました六千三百円でございますか、このベースが妥当であるかと申しますと、これは決して妥当なるベースであるとは考えていないのであります。ただ現在の財政状態から考えて、許されます限度としてこの段階をとらざるを得ないというふうに、現在考えております。しかして、これで生きて行けるかどうかという点でございますけれども、これにつきましては、生きて行けるというのはどういうふうに見るかという点があるのでありまして、一応現在のところは生きて行ける最低の線よりは少し上まわつておるというふうに考えております。
#89
○岡(良)委員 もう一つお伺いしたいのですが、今八万三千世帯ばかりの遺族が生活扶助の保護を受けておる。そこで今度のこの法案の内容から見て、たとえば未亡人と小さい子供と、六十以上の親御さんが一人という三人世帯で、公債の利益というよりも元本の返済をも含めて、五箇年間の年利ということに短縮したといたしましても、一箇月の所得とうものは、大体二千六百円から七百円の間というふうな数字になります。そこで、それではやはりどうしても現在生活保護の適用を受けておる遺族家庭としては、生活ができませんから、依然としてこの生活保護法による生活扶助なり、教育扶助なり、住宅扶助を期待するわけです。ところで、こういうふうなわずかな給与しか遺族家庭に与えられないとすると、今日まで六年間も七年間も、何とかしてくれるだろうと思つて待ち構えておつた。そこにもちろん多少プライドもあつて、誉れの家が、にわかに生活保護を受けるために、民生委員の門を泣いてくぐつたことであろうと、十分われわれは察しができるのですが、いよいよこれがきまつて来ますと、相当生活保護法の適用を期待する者が出て来はしないかと思うのです。これは私個人の見通しですが、木村さんの方のお立場からお考えになつて、その点どうなのでしようか。生活保護法の適用――現在の乏しい遺族年金や、あるいはそういうものの元本利子の返済等のものでは、とても足りないということから、いよいよ生活保護法がこれの補完作用をやるというような建前が実質的にはつきりして来ると、相当この適用を要求するというか、希望する向きが出て来はしないかと思いますけれども、その点の見通しはどういうふうになつておりますか。
#90
○木村(忠)政府委員 この点につきましては、見通しの問題でございまして、いろいろ考えられるのでございますが、ただ生活保護法だけの建前から考えて参りますと、むしろ生活保護法の適用を受けます者の数は、減るようになつて来るのじやないかというふうに考えております。現在生活保護法の基準以下でもつてがまんをしておるという人は、おそらく遺族の中にはいなかろうと思うのであります。と申しますのは、あれ以下でがまんしておりますと、たいていそのうちに生命を失つてしまうということになつてしまう。先ほど申しましたように、一応現在これでもつて生きて行ける最低限度を少し上まわつておる程度しかないという現状でございますから、これ以下でがまんをしておるということは、ちよつとわれわれとしましては、物理的に考えられないというふうに思つております。従つて、現在の全体の状況から見まして、不均衡と申すのは、むしろどちらかというと、あの基準以上に生活をかけている者が相当あるのじやなかろうかというのが、実際われわれの見たところでございます。従いまして、われわれとしては、その基準を引き上げることがむしろ正しいことで、基準は引上げるべきものと考えております。そして正確なる通用をすべきものじやないかというふうにわれわれは考えております。従いまして、今この遺族の援護をやりましたからといつて、そのためにただちに生活保護に該当する者がふえて来る、申請をする者がふえて来るということは、ちよつと考えられないのじやないか。援護を正しくやつたから該当者がふえて来るということは、考えられないと思います。
#91
○岡(良)委員 それでは厚生大臣にお尋ねいたします。これも繰返し申し上げることですが、まだはつきり私ども納得できない点なのであります。それは要するに、生活保護法の関連の問題です。そこでこの法律案の説明を拝見いたしましても、とにかくきわめて乏しいものではあるが、といつて捨ててもおかれないから、国の財政力と見合うところで、今度はこの程度のところでがまんしてもらいたいというお気持から、この援護法を出された、こういうふうに承知しているわけです。ところで、やはり何と申しましても、遺族の家庭とすれば、この六年、七年を二日千秋の思いで待つておつた。ところが、与えられたものは、おそらく遺族の方としても、きわめて納得のできないものである。そこでその場合、憲法第二十五条の理念に基き云々という大前提から出発をしておる生活保護法の適用を希望するという家庭は、現在でも八万三千あるのです。これが減るか減らないかわかりませんが、少くとも減るとも考えられない。と申しますのは、未亡人が一人と子供と年とつた親御さんたちで、二千六百円程度のものがこの援護法による一箇月の収入になつて参ります。そこで結局、私どもの結論から申しまして、それではそういう世帯が、何らの所得なしで、一体どれだけ現在生活扶助法を受けるかといいますと、これは四月に生活扶助の基準が相当引上げられたといたしましても、この世帯の一箇月のまるまるの教育扶助、住宅扶助も加えての扶助が大体四千二百大十円という数字が出ております。そこでこの四千三百六十円という数字は、エンゲル係数で見ると七一である。非常に生活の文化的な支出が押えられておる。しかも昨年十月の物価から考えてみると、これはその四割五分前後になつておる。もちろん、医療扶助等が特別に加えられますから、そういう点も多少勘案はいたすといたしましても、いずれにいたしましても、一般普通の生活物価水準において、消費水準を維持している家庭の一箇月の支出の半ば前後というものが、現在の生活保護法による生活扶助、教育扶助、住宅扶助等の総額であるということは、一応数字がはつきり出ておるわけであります。それが先ほど申しましたように、月額にいたしまして四千三百六十円である。それに二千六百円のものがプラスするとしましても、大体七千円ちよつとという数字が出るわけであります。ところが一方先ほど申しましたように、エンゲル係数は七一である、また昨年十月の物価水準に照してみれば、その物価水準を半分に押えたというところから組み立てられた扶助である。だから、これをせめて現行の物価水準の七割ぐらいのところまで補正して、そういうところにわれわれの一般生活の最低基準というものを持つて行きたいと私は希望するわけなのです。そういうふうな計算で七割ぐらいのところに持つて行きますと、七千二百円から三百円ぐらいの支出――未亡人と年とつた親と小さい子供との三人世帯が、東京都では七千二百円ぐらいの支出がやはり必要になつて来る。これは常識から考えても、やはりその程度は、住宅をも含め被服をも含めると、必要だと思います。そういう数字が一応出て来る。常識的にも計数的にも出て来るわけです。ところが、一方、未亡人世帯では、何らの所得もなくて生活保護法を受けた場合に、東京都においては三人世帯が四千三百六十円である。一箇月二千七百円前後のものが、この援護法案における給与として与えられる。合せてちようど七千円ほどになるわけです。そういう計算から考えまして、この援護法に盛られておる年金なり、あるいは一時金から生れる元本利子等は、やはり生活保護法の適用を受けておる遺族世帯については、課税の対象を除外すると同列に、これは手心を加えるのではなく、これは全然生活保議法適用の場合に所得とみなさないというような取扱いにすることが妥当ではないか。どうも計数的に考えてみて、これは当然所得とみなさないということで、生活保護法における生活扶助なり、その他の扶助を与えるという考え方になるべきではないか、こういうふうに実は思うのです。これもたびたびお伺いすることですが、厚生大臣どう思われますか。
#92
○吉武国務大臣 これは、先ほど金子さんにもお答えいたしましたが、生活保護法の建前から申しますと、やはりどなたであつても、政府として最低の生活を保障する。従つて、その最低の生活というものはどうかということになりますれば、これはその人々によつて違い、その人々の収入というものも考慮に入れて、初めて最低生活というものが、理論上ではございますけれども、出るわけであります。
    〔亘委員長代理退席、委員長着席〕
でありますから、生活保護法という建前から見ると、中に色わけということは、私は建前としてむずかしいのではないかと思います。ただ、一般の国民感情から申しますれば、国家のために犠牲になつた遺族なり傷痍軍人の方々については、そう理論的にといいますか、杓子定規にやるべきではないのではないかというところから、考慮すべしという議論が出るのも、これまたもつともだと思います。そういう国家の犠牲者に対して、実際生活にお困りになつているから考慮すべしということを、表向きにやるということになれば、それはこの援護法において足らざるところを補うというのは、これは私は建前ではないかと思います。むしろ生活保護法をいじるということではなくて、もしそれがどうしてもということであれば、こちらの援護法の方においてそういう建前をとるべきだと思うのです。それが、実は今回の予算におきましても十分でないし、特に援護法において、そういう生活に困つた者と困らない者とに差をつけるということは、国家補償の建前からいつてもおもしろくないじやないかということで、一律になつたわけであります。そこでその矛盾を運用で解決をして行こうという苦しいところがあるわけであります。そこで、何度も申し上げますが、両方、生活保護法は全然生活保護法の方で、収入をみないで差上げ、援護法の方は援護法で別にということは、私は法の建前ではむずかしいと思う。だから、運用の面で考慮せざるを得ない。その運用の面で考慮する場合に、金子さんもお話になりましたように、われわれ国会で審議するのに、政府がかつてに、ただ裁量でやられては困る、また地域的にこれがまちまちであつても困るという点は、私はごもつともだと思います。でありますから、運用の面におきましても、十分皆様方の意見を参酌して遺憾なきを期したい、かように存じております。
#93
○岡(良)委員 そこで、ただ問題は、生活保護法によつて今年の四月から支給される生活扶助額というものは、さつきも申し上げましたように、昨年十月の物価水準から見て、東京都の五人世帯の支出が一万六千円余である。ところが生活扶助費、教育扶助費、住宅扶助費をひつくるめても、本年においては七千六百三十円しかもらえない、こういうようなことであれば、たとい憲法第二十五条の規定に基いてであつても、生活保護法による生活扶助なりというものは、実際において文化的な最低の生活の保障というのには、いささか食い足りない。そこで今、大臣の言われるように、援護法がこれを補完する。一向さしつかえないのです。援護法がそれを補完するとして、少くともわれわれが常識から見て、現在の物価水準から考えてみて、現在の乏しい生活扶助額というものを補正する。補正した数字というものは、大体現在の物価水準に対して四割五分に押えておるというような無理なことをしないで、せめて六割五分なり七割ぐらいに押えるとすれば、どうしても――遺族三人世帯で四千三百六十円しか給与は受けられない。しかし補正すると七千二百円の数字が出る。そうするとちようど一箇月に二千六百円ほどが援護法によつて収入として所得として給与される。これをプラスすれば、ちようど七千円になるじやないか。そうしてみればこの援護法が補完するわけでけつこうですが、現在生活保護法を受けておる遺族世帯としては、この援護法に基く諸給付というものは、生活保護法を適用する場合に、これを所得とみなさないという取扱いをいただいて、ちようど現在きわめて不満足な生活保護法による生活扶助なり住宅扶助なりが多少とも補正されて来るという結果が出て来るわけです。こういう点を考えた場合に、やはり所得から除外して生活保護法を適用するという原則をはつきり出されることによつて、かえつて援護法そのものが生きるのではないかと私どもは考えますので、重ねて大臣の御見解を聞きたいのであります。
#94
○吉武国務大臣 今の岡さんの御議論は、現在の生活保護法の最低生活の保障の額が十分でないということを、前提にされておるのでありまして、これは私どもも十分だとは思いませんけれども、これはやはりその国の財政の範囲においてきまることで、賃金についても同様なことが言えるので、では現在の賃金が十分な文化費まで含めておるかというと、まだ日本の復興の状況では、戦前のパーセントにも達していないと同じように、生活保護法の分についても、私は不十分だと思う。しかし、それは今後の日本の財政の復旧に従つて、だんだんと向上して行くということより以外にないことでありまして、生活保護法自体の建前から言いますと、先ほどから何度も申しますように、区別をするということは、表向きには困難ではないかと私は存じます。
#95
○大石委員長 高橋等君。
#96
○高橋(等)委員 各委員から大体先日来御質問がありまして、法案の性格なりその他、いろいろな点で明らかにせられたのでありますが、私少し問題が具体的で小さくなるかと思うのでありますが、なおこの遺族補償をやります際に、あわせて考えねばならないいろいろな問題につきまして、政府のおとりになつておられまする措置その他について御質問をしたいと考えます。
 まずその前に、青柳委員から遺族一時金の性格につきまして、非常に繰返し御質問を事務当局並びに大臣にいたして、御答弁をいただいておるのでありますが、その御答弁はこういうふうに承つておいてよろしいかどうかを、もう一度承つておきたいと思います。それは、この一時金の性格は弔慰の意味を含めたものであること、及びこれが将来遺族補償を恩給的方法によつて取扱いまする場合に、この一時金が出ておることが理由になつて、将来の恩給に影響を及ぼすようなことはないのだ。すなわち、たとえば六十才未満の父母に恩給を出すというような場合に――これは恩給を出すようになるかならないかは、恩給その他の審議会できまることでありますが、少くともここで、遺族一時金を出しておるから、これは恩給に繰入れないのだ、そういう理由にこの一時金がなりますと、実は非常に困る。従来の一時金という思想の、打切りを意味いたすものでございますから、特にこの性格の点、右の二点を明らかにしていただきたいと思います。
#97
○吉武国務大臣 ごもつともな御質問でございまして、この一時金は、実は沿革的に申しますと、初めの趣旨と違つたものですから、多少そういう誤解があつたかと思いますが、今度の一時金は、御承知のように、遺族の範囲は限定はされておりますけれども、その遺族に対して、一柱ごとに五万円出るということから、たとえば未亡人に例をとつてみますと、未亡人の人たちが残つておられれば、その未亡人に、この公債の五万円が行くわけであります。そうしますと、この未亡人は、年金として年にやはり一万円いただかれるわけでありますから、この一時金で、年金的なものその他が打切りになるという趣旨でないことは、まあそれでもおわかりになると思います。従つて、将来の恩給の点でございますが、私は影響はないと思いますけれども、それは審議会の方でどういうふうに取上げるかわかりませんけれども、ここにこの法律で考えておりますのは、この一時金で、ほかを打切るという趣旨でないことは、御了承いただきたい。それから弔慰金かどうかという点でございますが、これも実は、もともと遺族に対しての援護というところから出発しておりますので、遺族の援護ということで、一時金が、まあ年金以外に出ておるわけであります。しかし、その意味は、多分に弔慰的な意味であることはもちろんでありますが、これが弔慰だけであるということの建前にはなつていないで、援護の建前に出ておるために、範囲が限られておるということも御了承いただきたいと思います。
#98
○高橋(等)委員 そういたしますと、私は私見を一応申述べさせていただきますが、この遺族一時金というものは、将来の恩給関係には影響は、まずない、将来恩給関係として考慮を要しまするものは、その取扱い上、一応の権衡を今年も考えておかなければならぬと思われるのは、年金の分野であろうと私は考えます。そうすると、またこれが弔慰の意味もある程度含んでおるといたしますと、遺族一時金の受取人と、年金の受取人というものの、結局範囲といいますか、あるいは年齢その他の制限といいますか、おのずからこれは二つのものをわけて考えた方がいいのではないか。たとえていえば、遺族一時金について、子供あたりに年齢制限をしておりますが、これはいろいろの点もあるでしよう。また兄弟姉妹にこれを出さないというような点もあります。これも予算その他の関係もあるでしようが、そうした一般の恩給法的な考え方をこの一時金には織り込まないで、むしろ重点を一柱に幾ら、弔慰の意味をこめた援護で出すのだ、こういうような考え方にする方が、私は問題がはつきりして来るし、またそういうように将来の恩給的なことを考えたりなどして、遺族一時金の性格を、非常に範囲あるいは年齢の制限というような点で、狭苦しく法律で規定するというようなことは、性格に合わないのじやないかというように考えております。これは一応私見を申しまして、なお政府の方でもお考えをお願いしておきたいと思います。
 それから次に、法律ができ上りまして、結局問題はその公債なり年金なりが、いつ支給せられるかということが、私は一番大切な問題だろうと思うのであります。まず、公債の支給につきましては、準備その他で相当の時間がかかるということを、先般承りましたが、これは印刷その他を急がせて、できるだけ早くこれをやる。また年金の支給につきましては、公債と同時ということをお考えになつておりますかどうか。私は、年金は公債よりも先に出し得るのではないかと考えておるのですが、大体その支給の時期――これは非常にむずかしい質問と思いますが、支給の時期についてのお見通しの概略をお漏らし願えればけつこうだと思います。
#99
○吉武国務大臣 ごもつともでありまして、私どもも法律が通りましたならば、もう七年間実は放置しておつた問題だけに、一刻も早く施行実施ができるようにと、こう思つておるわけでありまして、大蔵当局とも相談しておりますが、公債は印刷だけでも、うつかりすると半年かかるというような話で、それでは困るじやないか、できるだけ極力急いでやつたらどうかというようなことで進めさせて、もう紙の準備その他印刷の準備もしているようでありますが、それでも三箇月ぐらいかかるような話であります。年金の方は私の方でやるようになりますが、これとても、私どもの気持としては、一刻も早く出したいという気持でおります。恩給のように感じますが、実は年金でありますが、一ぺんにというよりも、分割でとも思いましたけれども、金額もあまり多額でありませんし、皆さんの御希望も一ぺんの方がいいのじやないかというようなことで、そうするようにしたいと思つております。それだけ手数も省けまするし、早くなる。一体それではいつごろかということにつきましては、ちよつと今ここで、はつきり申し上げられませんが、政府の方針としては、一箇月でもあるいは一週間でも、急げるだけ急ぐというつもりでございますので、ちよつと今のところ日にちは申し上げかねますが、御趣旨に沿うて、できるだけ早くやつて行くということを申し上げます。
#100
○高橋(等)委員 この早期支給の問題につきましては、われわれも重大な関心を持つて、当委員会としましても、常に留意を払つて行きたいと考えております。できるだけ早くお支払いを願いたい。それから、先ほど伺いましたように、年金は、公債と分離しまして、公債よりも先に払うことが可能だろうと思いますが、その点は事務当局でもいいですが、どうでしようか。
#101
○田邊(繁)政府委員 事務のお話になりますが、本人から申請をとりまして、そうして裁定があるわけであります。裁定につきましては、厚生大臣が一時金及び年金について裁定するわけでありますが、その裁定に基きまして、遺族が郵便局に行きまして、あるいは日本銀行の代理店におきまして、公債の現物をもらうことになるわけであります。従いまして、裁定のあつたときに日本銀行等がすでに公債の準備ができておりますれば、すぐ交付できると思いますが、その準備が相当かかるということであれば遅れる、こういうことになります。従いまして、年金と一時金の裁定は、同じ遺族であれば、同時にするようにいたしたい、一時金が同時に書類が出て来るということになりますれば、同時に年金も出すということになります。
#102
○高橋(等)委員 いや、公債よりも、要するに公債と切り離して、先に年金は支払い得るのではないかということを聞いているのです。
#103
○田邊(繁)政府委員 年金の支払いの時期につきましては、だらだら支払うということでなしに、やはり一定の期間をきめて、その期間内に払うというのが、従来の慣例でございますが、これはなお郵政当局の事務の関係にもなりますので、郵政当局とよく相談いたしまして、できるだけ御希望に沿うように、早く払い得るようにいたしたいと思います。
#104
○高橋(等)委員 次に、合同慰霊祭につきまして、最近われわれのところへ、一体経費はどういうようになつて来るのか、市町村へそれぞれ別々に来るのかどうか。またちようど今彼岸を控えて、今やるのがいいだろうか、あるいはもつと経費が早く来るなら、先へ延ばして一ぺんにこれをやつて――今やればやはり遺族が主催しなければいかぬが、先にやれば国でこれを主催してもらう、そのときにやつた方がいいのじやないか。しかしいつごろになるのか。この一億の経費の分配方法の腹案と、それからそれをいつごろお出しになるか。これは事務当局からでもけつこうでありますし、大臣でもけつこうでございます。
#105
○吉武国務大臣 私も七年間慰霊祭というものが行われなかつたので、独立後は、できるだけ早い機会に全国的にこれをやりたいと思つております。従いまして、予算もおそらく今月中に通過するでありましようから、予算が通過すれば、この方は、支出はそう困難ではございません。従いまして、一応の建前は、各町村一万円程度のことでございますが、そのわけ方につきましては、なお考究の余地があると思います。それから府県でも、おそらく合同慰霊祭が行われるというように私も期待をしておるわけでありますが、そうしますと、市町村だけということではなしに、府県にも若干の補助をした方がいいのではないか、こう考えております。それから全国的にわたる中央での合同慰霊祭でございますが、これも政府が直接やるということはいかがかという点がございますれば、方法は幾らもございますので、これもひとつできるだけ皆さん方と相談をいたしまして、中央でもやりたい、かように存じておりますが、その時期は、四月の半ばにはおそらく独立するでありましようから、独立後の早い機会に実はやりたいというつもりでございます。この点につきましては、また追つて御相談をいたしたいと思います。
#106
○高橋(等)委員 ありがとうございました。ぜひひとつ急いでいただきたいと思います。それから先般予算委員会におきまして、二月の五日でありましたか、私遺骨の引取りの問題について大臣にお伺いをいたし、お願いをしております。また硫黄島から調査団が帰りまして、非常に苦労をして調査をざれまして、様子がよくわかつて安心をいたしたのでありますが、これが引取りは非常に大切なことであります。できるだけ急いでこれを引取りたい。また引取つた後におきまして、どういう措置でこれを丁重に葬るかというようなことについて、政府でも準備を進められておると思いますが、先般木村局長に伺いましたところでは、まだそれほどでもないように実は感じて、局長にも急いでこれが方針を立て、準備をしてもらいたいということをお願いしております。その後いかがでございましようか、政府のその後の準備の進捗状況その他をお伺いしたい。
#107
○吉武国務大臣 硫黄島につきましては、先般職員を派遣いたしまして実情調査をいたしまして、一応遺骨なり遺品を持ち帰りまして、わかつておるものにつきましては、それぞれ遺族にお渡しをしておるのでありますが、なお引続きまして、沖繩にも近く派遣をいたす予定にいたしております。沖繩の方では、大体私どもの方の情報では、沖繩の住民間で大体それぞれ埋葬なり何かをしておられるようでございます。しかし、そのほか南方の島々にもございますので、漸次職員を派遣いたしまして、遺骨の引取りということもやつて行きたいと思つております。そうしてこれをどうおまつりするかという問題につきましては、実は民間にも、全国的に方々でいろいろな計票ございます。それはけつこうだとは思いますが、あまりいろいろな組織が出て参りましてもどうかと思いまして、できればこの民間で統一をして、一つの団体等においてこれを一まとめにして、慰霊塔と申しまするか、そういうふうなものでも建設をするというふうな計画に進めたい、かように存じております。
#108
○高橋(等)委員 次に、最近遺族補償の問題が、新聞その他ラジオの放送等でいろいろと伝えられております。地方におきましては、各町村におきましても、あるいはまた役場におきましても、あるいは県の世話課あたりでも、聞合せが殺到いたしまして、実は県の世話課は、これに答えておつたのでは、ほとんど仕事ができないというくらいに殺到いたしております。これはどうしても先般来大臣も賛成をせられております専門の世話係といいますか、何か相談をして、今度の年金、一時金だけの問題でなしに、一般的に遺族の世話をするというようなものまで含めました組織制度を考えないといけないのではないか。しかも、それが非常に急いでおるような実情にあります。それで、これは大臣も通牒その他でしかるべく善処するという御答弁をいただいております。これは非常に急いでもらわなければならぬ。もうおそらく起案もできておると思いますが、これは急いでもらわなければならぬのじやないか。それとその際に、これは公式には言えないことでしようが、遺族厚生連盟の役員、ことに町村の会長あたりは、長年にわたつて遺族の世話をして参つて、こまかいところに手が届くほどよくものがわかつております。こういう制度をおつくりになります場合には通牒その他でこの遺族会長を十分に利用して、これとこの制度との関連ということをお考えになつた方がいいと私は考えます。それらの進展状況及びお考えを承つておきたい。
#109
○吉武国務大臣 お話のように、遺族の援護をいたすにつきましても、数が非常に多うございます。従いまして、この事務は私は相当複雑な、しかも遺族にいたしましても、御承知のようにいろいろな方々もおりますし、籍その他の関係もございまして、なかなかめんどうだと思います。従いまして、これは私は、府県はもちろんのことでありますが、市町村ごとにも、やはり遺族の援護についての相談的な係というものを置いていただかなければ、とてもこれは、少くとも最初は混乱をしはしないか、かように存じます。その際にも、ただ役場の職員だけでは、とうてい手が届きませんので、御指摘になりましたような、各地の遺族連盟といいますか、その方で、平素遺族の方の世話をされた方の御協力を願わなければ、とうていできない、かように存じております。ただ、実は予算的措置がございませんので、すぐというわけには参りませんけれども、しかし、府県にしましても、市町村にしましても、遺族問題につきましては、非常に関心深くやつておりますので、予算はあとからでも何とか話がつくのではないか。従つて、そういう機構を早く整備するということにつきましては、極力急がせております。
#110
○高橋(等)委員 最後に、もう一点希望を兼ねてお伺いをいたしておきたいのであります。それは、この委員会でもたびたび問題になつております傷痍軍人及び遺家族の就職あつせんの問題であります。これは別にこの法律が通らなければできないという問題ではないのであります。この前も、二月五日の委員会でも申し上げたのでありますが、今からでもすぐできる問題なのであります。安定所あたりでは、遺族の場合を考えて見ますと、どうも親のない子供は雇わないというようなことがありまして、非常に優秀な子供であるにかかわらず、就業の機会を失するというような者もたくさんある。しかも安定所で、そういう者について、どうしても工場主が雇いたがらぬからということだけで、これを断つておるという例が多々あり、私のところにも、そういう実情の陳情が参つております。これはどうしてもひとつ急いで通牒を出していただかなければならぬ。まだ私は出ておらぬだろうと思いますが、これは法律とは関係がないのですから、すぐ出していただきたい。そうして、ちようど労働大臣を兼ねておられますので、非常にこの点は都合がいいと考えます。出していただきますとともに、安定所がこれに対してどういう扱いをしたかということを、月報でもつて報告をとつていただきたい。すなわち、就業のあつせんについて、傷痍者を一体何人この月は世話したか、遺族が何人就業したかというところまでを、ひとつ押えていただきたい。そうしませんと、末端は案外趣旨が通りません。ぜひともこの点を急いでやつていただきますとともに、常に状況を監視していただきませんと――これがうまく行かなければ、法律によつてこれを強制するほかに私は方法がないと考える。しかし、法律の強制よりも、運用で行く方が、非常に私は日本の国情に合うということから賛成であります。末端に趣旨を徹底させますように、取扱い方の御注意をお願いいたしたい。これで私は大臣に対する質問を打切りまして、あとは文部当局にお伺いすることにいたします。
#111
○吉武国務大臣 今の最後の御指摘の点は、ごもつともでございまして、法律と直接関係はございません。ただ、今までも実は安定所等に指示いたしてやらせておりますけれども、相当の成績はあげておるが、まあはかばかしく行かない。そこでこの法律が出ました機会に、実は私としては、もつと大きく、国民運動というのも大げさでありますけれども、もつと大きくねじを巻きたい。従つて、それには、法律施行と同時に、民間人も入れまして、各地域ごとに協議会をつくりまして、財界その他事業と関係された方にも協議会の委員になつていただいて、相談に乗つていただくという仕組みを考えておつたものですから、遅れましたが、法律が遅れるようでございますれば、何もお話のごとく法律と同時でなくてもいい性質のものでございますから、至急に考慮いたしたいと考えます。
#112
○大石委員長 苅田さん、厚生大臣に対する質問がまだ残つておられますね。それでは、なお寺島隆太郎君と松谷天光光君が発言の通告をされておりますけれども、まだお見えになつておりませんから、これから苅田君に大臣に対する質疑を許可いたしますが、もし松谷さんあるいは寺島さんが見えられましたら、一時質疑をあとまわしにされて、その方に先にしていただきたいと思いますから、御了承いただきます。苅田アサノ君。
#113
○苅田委員 まず、ただいま高橋委員からお話になつておりました傷痍軍人の就職の問題につきまして、私の方からも、なお一点お尋ねいたしたい。大臣はこれを日本国民の道義に訴える問題として解決したいというふうに、今終始一貫お考えになつておるようですが、もちろん私はこれは必要だと思うのです。しかし現在の日本の国情では傷疾者に対しまして、いかに職業補導いたしましても、そのために、たとえば、ソ連なんかのやつているように、手を使えない者には足で使えるように、機械から根本的にかえて、一人前に働けるような形にして、各営業所の方にお願いするということができない以上は、どうしましても、一般人との間には差等があるので、これに対しましては、私はやはり国として相当給料その他につきましての補助がなければ道義だけでは問題は解決できないと思うのでありますけれども、その点について、大臣はどういうふうなお考えでございましようか。
#114
○吉武国務大臣 お話のように、傷痍者につきましては、そういう特別な施設なくしてつかれる職業もございますが、特別の施設を要するものもございます。従いまして、表向きにいえば、それを雇用してもらうと同時に、その施設に対して国家から補助するという行き方がいいかも存じませんが、さしあたつては、今年の予算といたしましては、その個々の工場にそういうことをしないで、国で授産所といいますか、職業補導所をつくりまして、そこでそれに適合したような職を授けて行くという行き方をとつておるわけであります。私は、先日もあるところに行つて、実際やつておられるのを見てみますると、相当の成績をあげておられます。それから箱根の療養所あたりでやつておられますのは、足だけがぐあいが悪いので、手はちつとも関係がないものですから、竹についての工作をやつておられますが、これは非常によくできて、むしろからだの完全な方よりも、優秀な技能を持つておられるものもあるのであります。それから、足のぐあいの悪い方で、写字筆耕の技能の養成をやつているところに行つて見ますると、これも非常に優秀な方もおられるのでありまして、そういうふうに、私は各工場に特別の施設をつくつて、そこに雇用されるという行き方よりも、それぞれの人に適合した職能を腕に覚えさせて行くということの方が、本人も長い目から見れば力強いのじやないか。ただ雇用してくれ、雇用する、そしてそれに国が補助するという行き方よりも、腕に力を持つという行き方の方に進んで行くべきじやないだろうかと考えておるわけであります。
#115
○苅田委員 私は、そういうことが全然できないということは考えないのです。たとえば、諸外国でやつておりますように、美術館等の絵の看視人であるとかなんとかというふうなものは、全部そういう傷痍者がやつておるというふうな例も聞きますし、そういうことならば、今日ただいまでもできる話である。しかし、これには政府がある程度強制的にそういう施設に対してこれを割当てるというような方法がなければ、一般の慣習といたしましては、そういう不具でいられる方をとるということに対しましては、まだ十分な理解がないと思うので、そういう点もやはり御考慮ありたいと思うのですけれども、私が申しましたのは、そうでなくして、やはりこの手に職を覚えさせるにいたしましても、覚えた人が、完全な一般の人たちと比べまして、どうしても職業の熟練、能力、能率等において欠ける点が出て来る職業があると思うわけで、そういう点には国といたしまして、賃金等に対するある程度の補償をするという措置が相またなくては、とうてい十何万というような大勢の傷痍軍人が、それぞれ自分の能力を生かして行きたいというこの気持をとり上げることはできない。そういう意味では、国としても、これに対して傷痍軍人を職業につけるという点では、そういう点の国の支出という点もあわせて考えられなければ、これはなかなか不可能ではないかと思いますので、本年の予算に掲げられてないということは、私ども知つているわけなんでありますが、将来の問題にいたしましても、そういう御考慮は、厚生大臣として必要と考えておいでになるかならないかという点だけでも、今日お伺いしたいと思うのです。
#116
○吉武国務大臣 それは一つのお考えだと思います。私どもも、将来の問題として考えるつもりはございますが、そういうふうにその工場に補助するのがいいか、その能力に応じて、賃金が多少下つても、その傷痍者御本人の方にそれに対する金を差上げる方がいいか、これはまあどちらがいいか、相当考え方もありますが、考慮の余地があるんじやないかと思つております。私、は、そうだからといつて、必ずしも工場に補助するのがいいかどうか、多少疑問に思つております。
#117
○苅田委員 この点につきましては、厚生大臣が、単に国民の道義心に訴えて問題を解決なさるという意味ではなくて、やはり道義心があつても、今日の苦しい経営上では、経営者といたしまして相当犠牲をいたしましても、傷痍者は就職できないのですから、この点に関しましては政府として当然の措置をとつていただきたいということを希望いたしておきます。これ以上は議論にわたりますから続けません。
 次に、同じく傷痍軍人の点でお聞きしたいのですが、今回の措置は六項症以下が全然打切られております。これはどういう御考慮に出ておりますか、この点もお聞きしたいと思います。
#118
○田邊(繁)政府委員 ただいま六項症のお話がありましたが、六項症以上がこの法規の対象になつておりまして、七項症以下が除外されております。七項症以下は、障害の程度も比較的軽症であると考えられるものでありまして、従つて、生活の能力という点から申しますれば、あまり大きな障害にはならないのではないかと考えられますので、援護法という法律の建前では、一応除外したわけであります。
#119
○苅田委員 こまかいことにわたりますけれども、七項症というものは、親指と人さし指が動かない症状なんでしよう。親指と人さし指が全然使えない症状を言つておると思うのです。そうしますと、やはり職業につくのに、非常に大切な機能が動かないのですから、これはやはり普通の職場にはつけない人なんです。そういう意味から言うと、これは生活に非常な支障を来しておると思うのですけれども、そういう点が、全然さしつかえないという御判断は、どういうところから出て来ましたか、私どもふしぎに思うのです。
#120
○田邊(繁)政府委員 親指と人さし指か損傷しておりますのは、この二指のないのは六項症でございます。
#121
○苅田委員 七項症は一体どういうのですか。
#122
○田邊(繁)政府委員 このうち親指だけがないのが七項症でございます。人さし指ないし小指を失つた者が七項症でございます。
#123
○苅田委員 そういう人たちは、生活に困らないのですか。生活上、保障しなくてもいいというお考えで、これを切られたというのですね。
#124
○田邊(繁)政府委員 生活に全然支障がないとは申しませんが、生活に対する支障が比較的少いと見まして、この法律から除外したのであります。
#125
○苅田委員 比較的という言葉になりますれば、つまり特項症のように目がなかつたり、手足がなくて寝ていなければならぬという人に比べれば、比較的というようなことも言えますけれども、しかし、少くともこれは援護法であつて、不具ですぐに就職等に困る人に対しましては、やはりこれは補償するという建前が当然じやないかと私は思うのです。そういう意味で、今度の傷痍軍人の査定には、やはりそういう点で無理が多いと考えるのですが、当局としてはこれは完全な者――つまり親指ぐらいなくても、人さし指ぐらいなくても、生活するのに比較的さしさわりはない。――これはうちで遊んでいたり、生活に余裕のある人たちの場合には、それでもよろしいかもしれませんけれども、これから働かなければならないという立場になれば、私どもはたちまち生活にさしつかえるというふうに考えるわけですが、当局はそういう人たちでも、どんどん就職できるというふうなお考えなんですか。
#126
○田邊(繁)政府委員 現在傷痍軍人の増加恩給は、六項症以上の者が対象になつております。七項症以下は、一時金ということになつております。また一般の厚生年金なりその他の社会保険におきましても、大体六項症以上が年金の対象でありまして、七項症以下は一時金ということであります。これが恩給の問題となりますと、また多少かわつて来るかもしれませんが、年金という建前で援護するということになりますと、一般の例をとりますと、六項症以上が年金の対象となるのが通例でありますし、また現在の増加恩給も、六項症以上が増加恩給の対象となつておりますので、その点を考慮いたしまして、六項症以上に年金を出すことにしたわけであります。
#127
○苅田委員 私は全般的にこの問題が、ただいまの御答弁によつても、御趣旨とは非常に矛盾しておるように考えますし、なおこの点に関しましては、逐条審議の際に、もう少しこまかく当局の御意見をただしたいと思いますが、きようは全般的に、そういう点でやはり当局としてはこういう処置に御再考あるべきだという意見を具しておきます。
 なお、同様な関係かと思いますが、今度は戦傷者でありましても、内部疾患等で、その当時一時金あるいは障害手当をもらつておりました人たちは、今回は援護の措置が全然講じられていないと思うのです。これは一応未復員者給与法などにおきまして、特例患者として扱われておつたのでありますが、十二月に未復員者給与法が延期されましたときにも、こういう人たちは除外例になつておりました。しかし、これは当然入るべき人たちだというので、この三月まではこれが踏襲されるということになるらしいのです。それは政府当局の考えでも、援護法ができれば、こういう人たちも当然更生医療の中に入るという考えでそういう処置をとられたというふうに思うのですが、実際的にはこういう人たちは、さつき申しました内部疾患の場合には、全然入つていないのですが、それはどういう理由でしようか。
#128
○田邊(繁)政府委員 御指摘になりましたいわゆる特例患者――現在未復員者給与法で医療を受けている者につきましては、未復員者給与法の解釈によるのでございますが、目下、今後も医療が継続して受けられるようにしたいと考えまして、財務当局及びこの法律の所管であります大蔵省の関係の方と折衝をいたしております。できるだけ継続できるようにいたしたい、こういうつもりでおりますし、またこれもこの法案の御審議に関係があり、ますので、その点は十分織り込んで御審議をいただきたいと思います。
#129
○大石委員長 苅田さん、今厚生大臣は参議院の予算委員会へ出られましたが、松野政府委員がおられますので御質問を御継続願います。
#130
○苅田委員 これはただいま田辺次長が言われましたように、未復員者給与法の建前か、援護法か、いずれかで何らかの措置がとられる、かような御答弁だつたわけですね。この点もう一ぺん念を押してお伺しておきたいと思います。
#131
○田邊(繁)政府委員 療養を受ける根拠は、未復員者給与法でございます。ただ障害年金なりの年金と未復員者給与法の医療とは、重複して支給しない建前でございますので、その点調整が必要かと考えます。
#132
○苅田委員 必要な調整というのは、こういう人たちも今まで通り引続き特例の患者として支給できるということなんですか、支給できるようにするということなんですか。
#133
○田邊(繁)政府委員 先ほど申し上げましたように、今後も引続き医療が支給できるようにいたしたいと考えまして、関係当局と折衝を続けております。
#134
○苅田委員 これは政務次官にお聞きしたいと思いますが、今度一時金として、現金でなくて公債を出すことになつたのですが、この公債の現金化のことでは、他の委員からも大臣にしばしばお尋ねになつたので、多少重複する点があるかもしれませんけれども、重ねてその点をお伺いしたい。またどういうお考であるかということを、お伺いしたいのですが、大臣の御答弁の中に、かえつて一時に金を一出すよりも、年金としてぼちぼち分割払いにした方が、受取る側においてもいいじやないかというようなお話があつたわけです。ところが、そういう生活状態である人であれば、それでもいいわけですけれども、御承知のように大部分の遺族というものは、もう長年のうちに、あるだけのものは売るとかなんとかし尽しまして、今ではとにかく少くても何とかまとまつた金がほしい、飛びつきたいような状態にあるのが実情だろうと思うのです。大臣の御理想はどうあろうとも、やはりこういうものが出ますからには、それの現金化の方法を講じておかなければ、結局これは現在でも新聞等に問題になつておりますように、ブローカーとかいうような中間搾取をする人たちのいいようにされてしまうことは、目の前に見えておることです。御理想は御理想でいいわけですが、そういう実情に対しましても、何とかこの公債がすぐに――そういうふうな非常に気の気な方法でなくて、正当にこれを担保にしてでも金を借りられるというような、もつとはつきりした方法で現金になる道を講ぜられておくということが、やはり必要じやないかというふうに考えるのですが、その点についてどういうふうにお考えになりますか、お聞きしたい。
#135
○松野(頼)政府委員 御説の通りでして、全部が全部現金にしてくれということでもないかもしれませんが、中には急に現金にしたいという御希望もあると思いますので、そういう方には、現金で国家で買い上げるという方針をただいま研究しております。それから、ブローカーという問題もありますが、他に転売され、あるいは不法に処理されないように、記名式でやるのであります。国家で買い上げるということは、現在研究しております。
#136
○苅田委員 私、今までそういう答弁を聞き漏らしたのか存じなかつたのですが、国家でこれを買い上げるとかいうことは、どういう方法でやるのですか、この点につきまして、ちよつとお聞かせ願いたい。
#137
○松野(頼)政府委員 買上げという言葉が、少し簡単過ぎたようですが、現金化について、政府で何らかそういう方には対処する、こういうわけでございます。
#138
○苅田委員 それが、いつ、どういう方法で現金になるかということを、もう少し具体的に、はつきりお示し願わないとわからないのです。
#139
○松野(頼)政府委員 たとえば、償還年限が十年でも、もつと早くこれを現金化する方式を考える、こういうわけであります。
#140
○苅田委員 それは五年間で償還するのだというお話もあつたわけで、私が今お尋ねしておるのは、そういうふうに十年間とか五年間とかいうような長期にわたつてのぼちぼちのことでなくて、この公債をブローカーなどに安く買いたたかれないで一時に金にする道を、政府としては特別に困つている人たちのために講ぜられる必要がある。それについて、何らかお考えがないかということを、お聞きしておるわけなんです。
#141
○松野(頼)政府委員 御趣旨の通りです。その年限前におきましても、特に困つた方には償還を早める、こういうわけです。
#142
○苅田委員 償還を早めるといいますのは、それでは五年償還じやなく、つまり即時にでも人によつては全部これが金にしてもらえるというわけなんですか。
#143
○松野(頼)政府委員 その方法を考えておる、こういうわけなんです。
#144
○苅田委員 政府の正式な手続によつて、公債が一時に金になるという方法をお考えになつておるということでありますが、それはまだ具体的になつていないように、次官の御答弁では思うのです。それはお考えだけであつて、将来それを考えるということなんですか、すでにそういう道が講ぜられておつて、どういう方法で、いつまでにという具体的なことが、もうできておるのですか、その点をお答え願いたい。
#145
○松野(頼)政府委員 御趣旨のような方法で、ぜひお困りの方には償還年限前にも一時に買い上げる、こういう方法をただいま考慮中です。
#146
○苅田委員 これはわれわれが法案を審議しているうちに、そういう政府の方針はきめていただかないと、私どもとしては、ぬかにくぎで、どういうことになるかわかりませんので、われわれが法案を審議しておる期間中にきめていただけると思いますが、さようでございますか。
#147
○松野(頼)政府委員 御承知のように、一年すえ置きですから、ただいま買い上げるという予算は、本年はございませんが、償還年限前、来年か再来年かの償還年限前に、そういう方に関しましては、特にこの公債に限つて買い上げてもらいたい、こういう方法で大蔵当局にも交渉いたしておりますし、大蔵大臣も参議院予算委員会では、ある程度そういうふうなことも考えておるということを御発言なさつた、こう記憶しております。
#148
○苅田委員 そうしますと、当然一年すえ置きということは、緩和されない条件になるだろうと思うのです。それにいたしましても、一年間すえ置きということ自体が、そのままでは何にもならない公債を持つておる遺族にとつてみますと、ずいぶんつらいと思うのです。こういう点につきましては、次官から御答弁がありましたけれども、さらにこれはまた別の機会に、大臣なりあるいは大蔵省関係の当局なりに質問することといたしますが、できるだけ早い機会に、これを現金化するという方法につきまして、もし案があるのでございましたら、やはり当委員会でこの法案を審議しておるうちに、これを出していただきたい。私どもとしましては、やはり国民に対しまして責任を持つておる関係上、そういう点を明瞭にしないでこれを通すということに対しましては、非常に躊躇いたしますので、そういう点も重ねて次官の方から、ぜひこの法案が審議されているうちに明瞭にされるように努力していただきたい。
 それから、これは五万円の公債になつておるわけですけれども、今までの例から申しますと、この五万円の価値が、五年後あるいは十年先に現在のような価値であるかどうかということにつきましては、当今の世情からいたしまして、非常に安心のならないことです。そういう点からも、遺族の中には早く現金化そうという気持があるだろうと思うのです。将来に声きまして、そういう物価等の変動がありまして、実質的な価値が違つた場合には、これは当然スライドされるものだというふうに理解いたしますが、その点に対しましては、どういうお考えをお持ちになつておりますか。
#149
○松野(頼)政府委員 ただいまのところ、スライドするという考えは持つておりませんし、物価につきましても、それほど急激な変化、特別な事態が起れば別でありますが、ただいまのところ、そういう考えは持つておりません。
#150
○苅田委員 物価にスライドしない、五万円ちよつきりのものだ、こういうお考えでございますか。
#151
○松野(頼)政府委員 これは御承知のごとく、本年度の一時金でございますので、本年五万円公債でお出しするのでありまして、特に新しい事態は考えておりません。
#152
○苅田委員 そういう御返答がありますと、これはやはり遺族としまして、これがいつ、どういうふうな形になるか知れないという不安が起ると思う。これは早く現金化しなければならないというあれが出て来ると思う。
#153
○松野(頼)政府委員 本年の年金も同じようでありますし、一時金も同じようでありますし、現在の物価を現在の貨幣価値で、予算には編入いたしました。
#154
○大石委員長 それでは稲田大学学術局長見えられておりますので、この面に関する質疑を許可いたします。高橋君。
#155
○高橋(等)委員 私は文部当局に対しまして、遺児の育英、この問題につきまして詳しくお伺いをいたしたいと思います。
 当委員会におきまして、ただいま審議になつております遺族援護法の中で、これは法文にも出ておらないのでありますが、この法案を審議して行きます上にお要して、いろいろな面で年金とか、あるいは一時金の支給ということ以外に、遺族方の補償の問題としては、なすべきことがたくさんあります。その中で最も大切な問題は、この遺児の育英の問題であります。現在四十四万に上りまする戦争未亡人の人人が、最も心を痛めておりますのは、この子供の教育の問題であります。年金などは少しぐらい少くても、この育英の問題が解決するならば、必ずや満足をしてくださることと私は考える。そこで、今年予算に組まれておりますあれは六千八百万円でしたか、これは非常に少額であります。むしろ考えようによれば、ごまかしの数字だといつても、これだけを見たのでは納得ができない。しかし、これは将来、こうした遺児に育英資金のわくを設けたというところに、画期的な施策があるのであつて、これから先だんだん美きくなつて中学校、高等学校、大学等へ通うところの者が、これからだんだんとふえて参るのでありまして、そういう意味から行けば、ここへわずかではあるが遺児のためのわくができたということは、私は将来の点を考えますと、非常に明るい気持を持ち得る。しかし、これでははなはだ少いのであります。そこでまず第一にお伺いしたいことは、遺児の六千八百万円以外に――もちろん一般の育英資金、あれは二十何億ですかあつたと記憶いたします。これらについては、もちろんこれは遺児にも適用せられるものと私は理解をいたします。また大蔵大臣にも、この前の予算委員会で、二月五日に私質問いたしましたときには、これは遺児に相当多数のものを出すんだということを、お答えになつておるのでありますが、文部当局は、その点はどういうようにお考えになつておられるか、まずお伺いしたい。
#156
○稻田政府委員 お話のごとく、遺家族援護の問題といたしまして、文部省の部面におきましては、この遺家族子弟に対します奨学金の問題は、最も重大に考えておるわけでございます。つきましては、明年度予算において六千八百万円の国庫補助金を計上いたしまして、これによりますと直接には七千五百人という奨学金対象者を計上いたしております。その内訳を申しますと、これは推定でございますが高等学校においては遺家族子弟の約一五%、大学におきましては同じく五〇%、それから教員養成諸学校等におきましては八〇%ぐらいになるわけであります。これは一般の学生に対する奨学生の割合から申しますれば、高等学校が三%、大学が二〇%、教員養成諸学校が六〇%とありますのに比較いたしますれば、遺家族子弟に対しましては相当考慮はいたしているわけでございますが、なお実際にさらに調査いたしまして、将来予算を作成いたしますような機会におきましては、この上とも十分考えて参りたい気持を持つているわけでございます。
#157
○高橋(等)委員 問題が少し先走りされたようでありますが、私が伺つておりまするのは、一般の育英資金と遺児の育英資金のわくとの関係についてお伺いをしたい。
#158
○稻田政府委員 従来こういう特別のわくを考えません場合におきましては、たとえば二十六年度におきましては、全体の奨学金を受けます者が八万九千六百八十人あります中に、父のない者――と申しましても、全部がいわゆる戦争関係の遺家族ではないのでありますけれども、その点に対して、ちようど詳細な調査がないので、一応父のないものという数字で計算いたしておりますが、それが二万三千四百四十五人、パーセンテージにおいて二六%という数字になつております。それに加えまして今回の七千五百人というわくを持つておりますから、両々相まつてなるべく十分行きわたるように配当を考慮いたしたいと考えております。
#159
○高橋(等)委員 先ほど御説明になりました六千八百万円の金を、受給者にかえてみると七千五百人、一五%、たとえば高等学校遺児の一五%、大学遺児の五〇%――このパーセンテージは、何と比較したパーセンテージですか。
#160
○稻田政府委員 推定されます遺家族子弟のうち、大学に進学しております総数に対する半分がもらえるという数字でございます。
#161
○高橋(等)委員 それは大学に現実に上つている人の五〇%ということですか、上りたいと思つている人の五〇%ということですか、この点を伺いたい。
#162
○稻田政府委員 大学の奨学金は、入学者につきまして、学校の推薦を受けて配るわけでございますから、入りたいという人間でない、入つた人間を対象としております。
#163
○高橋(等)委員 大体私は、七千五百人でこんなパーセンテージになるということには、実際驚いているのですが、これは文部当局に数字があるのでしようから、一応これをのみ込むといたしまして、実はこの育英資金に関しまする手続が、遺族さん方によくわかつておらない。いなかの方々にわかつておらぬということと、もう一つは、なかなかこの手続をやるのがむずかしいといいますか、そういうことで、実は上の学校へやりたくても、ようやらないという人が非常に多いように、われわれは陳情をたくさん受けている。それで、一般の育英資金の方からも、二万三千幾らというものが父のない者です、この遺族総数は相当のものだと私は思うのです。そうすると七千五百人で大学あたりが五〇%、こんな数字を見ると、遺児の大学へ行つておる者は、全部育英資金で行つているんじやないかと思うような数字になるわけですが、七千五百人に対する今までのパーセンテージは大丈夫ですか。
#164
○稻田政府委員 これは将来だんだんふえて参ると思います。遺家族の子弟の年齢別構成という、厚生省がいろいろお調べになつている数字をちようだいしておつて、それからずつと進学の年次で、明年度あたり一体何人ぐらい大学へ入るだろう――上の方は、まだ非常に少いのでございます。われわれの推定から申しますと、これはサンプル調査でございまして、今、さらに詳細な調査はいたしておりますけれども、大学においては、遺家族子弟が大体二千名余りおるんじやないかと推定しておるわけです。その約半分ぐらいに行き得るという計算をいたしております。
#165
○高橋(等)委員 どうも私は数学的にふに落ちないのです。もう一ぺんよくこれは検討してみてください。大体二十七年度予算八万九千人分の中で、父のない者が二万三千幾らある、そういう御説明でそれはよろしゆうございますか。
#166
○稻田政府委員 二十七年度の育英会の奨学生の総数は十六万三千人あるわけです。
#167
○高橋(等)委員 それは何ですか。
#168
○稻田政府委員 これは総数です。高等学校、大学、教員養成学校、特研生とか通信教育とかのあらゆる者を全部入れますと、十六万三千名あるわけであります。この新しい六千八百万円の予算の対象といたしておるのは、そのうち高等学校と大学と教員養成学校だけであります。それの対象になつております奨学生の全数を引出しますと八万九千余りという勘定になるわけでございます。そのうち父のない者がどのくらいあるかと計算いたしますと、二万三千四百四十五という数になるわけであります。
#169
○高橋(等)委員 ちよつとこまかくなつて恐縮ですが、もう少しお願いしておきたいのです。この八万九千人というのは予算的にこれを考えてみますと、二十七年度二十三億でしたか。
#170
○稻田政府委員 明年度は二十八億です。
#171
○高橋(等)委員 その二十八億の対象が八万九千人、こう考えてよいのですか。
#172
○稻田政府委員 たいへんごたごたして申訳ありません。育英会の方は一ぺんもらいますと、それが二年、三年、四年というふうに継続いたします。二、れを全部集積いたしましたのがさつき申しました十六万三千という数字になるわけであります。そのうち新たに毎年とつて参りますもの――今度の口も新たにとつて参りますから、それと対比する意味において新規採用者を考えてみたわけであります。二十七年の二月末日現任の新規採用という数字を、この対象学校について比較対照できますわくだけについてひつぱり出してみますと、それが八万九千という数字になつたわけであります。
#173
○高橋(等)委員 そうするとこの八万九千という数字は、ケースから見れば七千五百と同じ立場のものですね。そうしてこの八万九千の中で父のない者が二万三千人おるというわけでありますか。
#174
○稻田政府委員 さようであります。
#175
○高橋(等)委員 厚生当局に伺いますが、全国の未亡人所帯の数の推定は大体幾らになつておりますか。
#176
○木村(忠)政府委員 未亡人数の推定と申しますと、一般未亡人全体の数でありますか。
#177
○高橋(等)委員 そうです。
#178
○木村(忠)政府委員 私のところは、そういう数字を持つておらないのであります。
#179
○高橋(等)委員 それではしかたがありませんが、育英資金の問題について今のような数字的ないろいろな説明を資料としてひとつ御提出を願いたい。それとともに、もう一度私の数学的な疑問については、よく検討を加えていただきたいと思う。それは一般の未亡人所帯と遺族との割合を大体考えてみますときに、二万三千が未亡人所帯の子供です、それと今度の新規採用で七千五百が遺児だといわれる、これとを割つてみますと、私は七千五百人という数字の率が、どうもふに落ちない。もちろん、これは遺児たちが進学の機会が非常に少いということを証明しておる悲しい事実であろうとも考えますけれども、もう少し数学的に御検討をお願いしたい。
 そこで次にお伺いをいたしておきたいのですが、一般の奨学資金におきましても、遺児に対してはもちろん奨学資金を出される、これはそう考えてよろしゆうございますね。
#180
○稻田政府委員 その通りでありますが、一般の奨学金という性質、育英会法の性質から申しますと、偏秀生という一つの要素が非常に強いのです。それからもう一つの要素は、経済的に援助する必要がある。従つて従来は一般に扱つておりますから、必ずしも遺家族であるから成績が相当悪くてもというような扱いはいたしておらないのです。
#181
○高橋(等)委員 どうも答弁が先走つて何ですが、遺児の方へおまわしになつておると考えていいような御答弁だと思う。そこで一般の育英資金はおまわしになつておりますね。
#182
○稻田政府委員 結果において、遺児が受けておる数字は相当あると、こう申し上げておきます。
#183
○高橋(等)委員 そこで私はどうしてそういうことを言いますかというと、わくをつくつて、そのわくだけでやられたのでは、六千八百万円では、かえつてありがた迷惑です。そこで文部当局にもう一点伺つておきます。そうすると六千八百万円を遺児に適用するという分には、特に成績ということを考えないのですか、どうなんですか。
#184
○稻田政府委員 これが推定数の全数でありますれば、成績を考えないで済むわけですけれども、全数まで行つておりませんから、自然やはり成績ということも考慮のうちに入れざるを得ないのであります。
#185
○高橋(等)委員 そこで一般の英霊が生きておりましても、体が弱かつたり、あるいは成績が悪いのを、上の学校に入れたとは考えられないのですから、そのお考えは正しいと思います。しかし、遺児の場合は、非常な優秀性を持つておつても、母親がほかの仕事に追われて子供のめんどうが見れないとか、いろいろな理由で、昔はよくできたのが、遺児になつてから成績が悪くなつた。しかし、これはなお普通の環境に置けば、十分伸び得るものだというようなことが考えられると思うのです。そうした考慮は、特にこれは憲法上厳格にいえば、むずかしいかと思うのですが、行政の面においては、そういう考慮を払つてもさしつかえないんじやないかと思うのです。これらの点を――成績のいい子は一般の子でどんどんやつて、なおある程度の考慮は加える。そしてそれより落ちる者は遺児の方で救い上げていただくというようなことを、行政的にはお考え願わねばならぬと私は考える。それとともに、文部省の方で何か遺児の育英について、特別の委員会とか何か組織的なものを考えられて、特にこの問題について推進をするというような御計画がありますか。また今この問題について、特に遺児の育英についての御研究をなさるとか、あるいは地方に通牒を出すというようなことをやつておられれば承りたいと思います。
#186
○稻田政府委員 前段につきましては、育英会に対しまして、実施上十分そういう点を考慮してもらうつもりでございます。それから後段につきましては、目下育英会におきまして、非常に確実な状態に基いての数字を調査中でございます。それについては、文部省の調査局も協力いたしまして目下極力実施中でございます。
#187
○高橋(等)委員 それでは先ほどお願いしたいろいろな数字の問題、あるいは育英全般の問題について、当委員会は非常な関心を持つておりますので、ぜひ書面をもつて、数字だけでなしに、なるべく詳しいものを御報告をお願いいたしたいと思います。委員長に御要望いたしておきます。
#188
○岡(良)委員 繰返した質問になるかもしれませんが、もう一回伺つておきたいと思います。第一点は、授業料の問題なんです。大学は今年から授業料が六千円に値上りになりますが、これは相当な負担になると思います。かつて日露戦争のときなどには、公然として授業料は免除された。こういう取扱いは、今度の場合、援護法と同時に、取扱いとして官立学校の授業料は遺児に関しては免除するというようなことはないかどうか。
#189
○稻田政府委員 国立学校の授業料につきましては、約五%程度減免のわくを設けております。従いまして、いろいろ父兄の経済状況等を調査いたしまして、必要のある向きにつきましては、その限度において減免し得ることになつております。
#190
○岡(良)委員 それは別にこの法律案が出ようが出まいが、従前ともそういう取扱いをしておられたということは承知しておるのであります。そうでなく、せつかくこの法律案が出ておる以上、天下晴れて遺族について広汎な援護をしようという建前になつておるのでありますから、この際遺児たる身分にある者は、とにかく大学の授業料は免除する。特に大幅に値上げになつて、相当な負担になつておるので、はつきりと免除するということを明文化するというような取扱いは、できないものでしようか。
#191
○稻田政府委員 これは十分研究すべき問題とは考えておりますが、すでに御審議になりました予算におきましては、先ほど申し上げましたような趣旨において予算を構成いたしておりますので、ただちにとりはからうことは、困難じやないかと思います。
#192
○岡(良)委員 これは従前もあつた例でもありますし、予算と申しましても、そう大幅に動かすものでもないと思いますので、何とか便法を講じていただきたいと思うのであります。
 もう一つは、育英資金の給付を受けるための手続であります。普通一般に育英資金を受けるということになりますれば、育英会なら育英会の都道府県支部なら支部へ申し出る。そうして当該学校長もまたその子供の成績等について具申をする。そこで一つのわくがあつて、このわくの中でそれらの諸条件が備わつておる。たとえば家庭の条件が育英資金を受けるに値するというような条件、あるいはその児童、学生の学校の成績等が、育英資金を受けるに適当な条件を満たしておる。そういう条件があつたときに、育英資金が贈られる、そういう手続になつておるのでありますか。
#193
○稻田政府委員 お話の通りでございまして、大学、短期大学におきましては、その大学当局において順位をつけて育英会の方へ持つて参ります。高等学校においては、都道府県教育委員会において、その管下の各高等学校の申請をまとめまして、同じく順位をつけて育英会の方へ申請せられるわけでございます。
#194
○岡(良)委員 そうしますと、今度新たに予算で六千八百万円ですか、特別な育英資金等が設けられた、あの予算要求額の説明書には、特に遺児等の育英資金ということが明記されておりますが、これは具体的にはどういう手続を経て、特に遺児たるがゆえに、育英資金は他の学生なり児童よりも優先的な取扱いをなさるかという点を伺いたい。
#195
○稻田政府委員 これは日本育英会から大学当局及び都道府県教育委員会当局へ、本年度から新たにこういう予算構成になつているということを、この予算が成立いたしますればただちに通知いたすことと思つております。やはりその学生、生徒からの申請手続は、一般の順序をふみましてそれぞれの教育委員会あるいは大学を通して育英会へ出て参ることだろうと思います。
#196
○岡(良)委員 特に遺児なるがゆえに優先的な取扱いを受けるということであるならば、どういう点で具体的に優先的に取扱われるか伺いたい。
#197
○稻田政府委員 遺児なることを明らかにいたしまして、都道府県教育委員会から大学へ出て参りますれば、それによりまして、育英会は予算の限度において優先的にその遺児の方に出して行く、こういう順序になつております。
#198
○岡(良)委員 そうすると、たとえば当該学校長が序列をつけた、かりにここに申請者が二十人おつて、一から二十まで序列をつけることをいたしました場合に、遺児は特にその序列以外に、どういう具体的な優先的取扱いを受けるわけですか。
#199
○稻田政府委員 おそらくは、遺児は遺児の間において序列をつけられることになると思います。
#200
○岡(良)委員 とにかく遺児の教育というのは、遺族大会へ出かけても、非常に涙ぐましい訴えをしておることは、われわれもいつも胸を打たれておるのであります。残された母親におきましても、唯一の生活の希望でもあり、従つて子供も、進学の能力を持つ子供をして、できるだけ自由に進学させるということは、遺族の援護の中でも、きわめて大きな意義を持つておるのであります。そこで、別わくを設け、遺児は遺児としての育英資金のわくを設けてその中で順番をつけて出すということを、はつきり具体的にしてもらわなければ――一般の育英資金の受給を申請する者と同列に扱われたのでは、せつかくの予算も死んでしまう。いま一つは、遺児で育英を希望する、これは厚生省の調査によると、大体高等学校、大学の在学者が一万四千というふうな数字が出ておるようです。もちろんこれも正確な数字ではありますまいが、ほぼつかんでおると思うし、今後ますますこれはふえる可能性がある数字だと思う。ところが今度の予算では七千六百名分だけの育英資金が特に遺児の分として見積られておつて、他の残りの分については見積られていない。われわれの考え方からいば、育英資金は、できる子供に給付するというのが、一応常識的な原則ではありましようが、大学入学という関門をくぐつたというこの条件だけで、遺児が育英資金の給付を必要とする場合には、大体において支給してもいいのではないかと私は思うのですが、それはともかくといたしまして、七千六百の遺児に支給できるだけの育英資金はこの際認められておるが、七千人余りの者は育英資金の給付を受けられないというのは、どういう数的な基礎から十千六百という数字をあなたの方では予算に要求されたか。
#201
○稻田政府委員 遺家族子弟の各学姉別在籍者の推定でございますが、これは厚生省の数字によつたわけであります。それに対しまして、現在一般の奨学金の方は、高等学校が三%、大学が二〇%、教員養成学校が六〇%でありますので、それに比しまして、高等学校は五倍の一五%、大学は倍以上の五〇%、教員養成学校は八〇%という数を押えて一応本年の計算をいたしたわけでございます。さらに実際につきましてもつと詳細な資料が整いますれば、今後予算作成の場合には、十分考慮いたしたいと思つております。
#202
○岡(良)委員 繰返し申し上げますが、遺児の育英ということが、遺家族援護の中で大きな意義を持つていることを、文部省でもお考えいただいて、そうして授業料の免除、あるいは大きなわくをもつて、できるだけ育英資金を広汎に希望する遺児に与えられるように、重ねて格段の御努力をお願いしたいと思う。それと同時に、ただいま私どもが審議しておる法律案には、こうした遺児の育英という問題については、何らの各章が盛られておらない。これはあなたの私的な、しかも腹蔵のないところをお伺いしたいのですが、せつかく遺族の援護ということをうたつている法律案である以上、遺児の育英について、やはり特殊な何らかの措置を講ずるということは、当然法律の上に明文化さるべきものではないかと私どもは考えておるわけです。その点について、局長としての御意見を承りたいし、木村さんの御意見も承りたい。またそういうことについて何か御協議があつたのか、またなぜ法律に書かれなかつたのかという点について承りたい。
#203
○稻田政府委員 厚生省当局とも十分御協議いたしたわけでございますが、文部省といたしましては、本年度のこの予算の性質から申しますれば、日本育英会法の運用をもつて十分やつて行けると考えたのであります。これは話をかえまして、かりに遺児だけに、たといその優秀性があろうとなかろうと、必ず奨学金を出すのだというような本質的な相違がありますれば、立法措置はいると思つたのでありますけれども、本年度の予算の程度におきましては、日本育英会法の適用をもつて足りると考えております。
#204
○木村(忠)政府委員 現在の予算で措置いたしております程度のものでございましたならば、先ほど稲田局長から言われました通りに、特に法律上の措置を講ずることなくして、その運用がうまく行くであろうと考えられましたので、一応この法案の中に盛らなかつた次第であります。
#205
○大石委員長 ほかに御発言はございませんか。――御発言がなければ、本法案に対する総括的な質問は一応終了したものと認めてよろしゆうございますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#206
○大石委員長 御異議なしと認めまして、総括質問をこれにて終ります。
 なお明日、明後日は公聴会でございますが、それに御出席願う公述人につきましては、去る二十一日におはかりいたしまして、二、三追加の分につきましては委員長に御一任をお願いしたはずでございます。それで先般決定いたしました公述人のほかに、杉曉夫君、須永徳次郎君、原田好吉君、上田一郎君の四名をさらに追加いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#207
○大石委員長 御異議なければそのようにとりきめます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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