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1951/04/02 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 厚生委員会 第19号
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1951/04/02 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 厚生委員会 第19号

#1
第013回国会 厚生委員会 第19号
昭和二十七年四月二日(水曜日)
    午前十一時二十七分開議
 出席委員
   委員長 大石 武一君
   理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君
   理事 亘  四郎君 理事 岡  良一君
      新井 京太君    高橋  等君
      堀川 恭平君    松永 佛骨君
      松井 豊吉君    堤 ツルヨ君
      苅田アサノ君    青野 武一君
      寺崎  覺君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 吉武 惠市君
 出席政府委員
        法務事務官
        (法制意見第三
        局長)     西村健次郎君
        引揚援護庁長官 木村忠二郎君
        引揚援護庁次長 田辺 繁雄君
 委員外の出席者
        検     事
        (民事局第六課
        長)      長谷川信蔵君
        大蔵事務官
        (理財局国庫課
        長)      吉田 信邦君
        専  門  員 川井 章知君
        専  門  員 引地亮太郎君
        専  門  員 山本 正世君
    ―――――――――――――
四月一日
 委員守島伍郎君辞任につき、その補欠として田
 中元君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 戦傷病者戦没者遺族等援護法案(内閣提出第六
 六号)
    ―――――――――――――
#2
○大石委員長 これより会議を開きます。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法案を議題とし、前会に引続き質疑を順次許可いたします。苅田アサノ君。
#3
○苅田委員 私は、昨日青野委員もお触れになつた点でありますが、第二十四条に関係のある問題につきまして、まず第一に大臣の御意見を伺いたいと思います。
 この前、二十四条では、遺族年金を受ける対象の一つの条件といたしまして、日本の国籍のある者ということを規定しております。三十一条では、日本の国籍を失つたときは、その権利が消滅するということを言い、さらに附則の二項におきまして、昭和二十二年法律第二百二十四号の戸籍法の適用を受けない者は、当分この法律を適用せずという条件があるわけであります。それで質問の第一としてお伺いしたいのは、奄美大島とか、あるいは沖繩等におきます戦傷者、遺族等の処置についてであります。昨日の援護庁長官の答弁では、アメリカの信託統治下に入つた沖繩、奄美大島、小笠原列島の住民は、日本の国籍は失つていないとのことでございましたが、この点は、さらに大臣もこれを御確認なさるかどうかということが一つと、次に、昭和二十二年法律第二百二十四号の戸籍法の適用を、現在これらの信託統治下の人たち、あるいは日本におるこの人たちは受けておるかどうかということにつきまして、まずこの二点を御答弁願いたいと思います。
#4
○吉武国務大臣 これは岡崎国務大臣からお答えする方が、正確かと思いますが……。
#5
○苅田委員 呼んだけれども、いらつしやいませんし、それはあなたにことずけてあるからということです。
#6
○吉武国務大臣 私の聞き及んでおりますとこでは、国籍はあると聞いております。ただ、事実法律が適用できない、こういうふうに私は承つておりますが、なおこの点は、主管大臣から正確なところをお聞きになるがいいし、また私も正確なところを聞きまして、お答えする方がいいかと思います。
 戸籍法も、事実法律としては適用できない状態だそうです。
#7
○苅田委員 さらにお聞きいたしますが、日本におりますところの沖繩、奄美大島の住民につきましても、現在戸籍法が適用されていないというふうに御答弁になつたわけですか、それもお聞きいたします。
#8
○木村(忠)政府委員 これにつきましては、昨日申し上げました通りに、日本におります、沖繩に籍がある人につきましては、戸籍法の適用があるわけでございます。
#9
○苅田委員 私は、この法律をお出しになる責任者である厚生大臣が、多くの戦傷者あるいは死者を出しておりますところの沖繩あるいは奄美大島の人たちの、運命を決定する大きな問題であるにもかかわりませず、この点につきまして、非常に不確かな認識しかお持ちになつておらない点につきまして、非常に失望し、また驚くわけでありますが、もしこの点が十分おわかりでないというならば、やはり当委員会におきまして、担当大臣の御出席を必ずお願いしたいと思うのでございます。私はすぐその手続をとつていただきたいと思います。
 おわかりになつている範囲で、私は厚生大臣にお聞きしたいと思いますが、そうであれば、少くとも日本に来ております沖繩あるいは奄美大島の戦傷者、遺族等につきましては、当然の権利といたしまして、何らの条件を付さないで、これがそのまま適用されると思うのでありますが、その点もお聞きしたいと思います。
#10
○木村(忠)政府委員 日本におります者につきましては、適用がございます。
#11
○苅田委員 そういたしますと、これは岡崎国務大臣がおいでになつてから、さらにお聞きしたいと思うのでありますけれども、ひとつ厚生大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。日本人でありまして、日本の国籍を持つておりながら、日本の憲法が適用されないということは、いかがなものかと思うのでありますが、これにつきまして、もしもそういうことがあるとすれば、これは重大な問題だと思うのであります。この点、いかがでございますか。
#12
○木村(忠)政府委員 日本の主権も潜在的には及んでおるわけでありますし、憲法も潜在的には適用になるわけでありますけれども、これに対する行政権の行使ができないというのが、現在の状態でございます。
#13
○苅田委員 もう一ぺんはつきりしたいのですが、これらの人々は、日本人であつても日本人としての処遇を受けられないということを、政府の方では認めておいでになるのですか。またそういう日本人としての処遇を受けられない日本人が実際いるかどうか、これにつきまして伺いたい。
#14
○吉武国務大臣 それは、遺憾なことでありますけれども、現在沖繩人につきましては、この援護法ばかりではございません、ほかのいろいろな法律についても、同様であります。
#15
○苅田委員 それでは、厚生大臣は、現在の日本人の中には、日本人であつて、日本の法律の適用を受けない日本人があるということを、はつきりお認めになつているということで了承いたします。さらに主管大臣がおいでになりましたら、この問題につきまして、私はお伺いしたいと思います。次には、これらの沖繩の人たちは、日時日本人といたしまして、日本の軍籍に入り、あるいは動員令その他によりまして、強制的に軍属としての仕事に服せしめられた、かように考えているのでありますが、この点いかがでありますか。
#16
○吉武国務大臣 もちろん沖縄におられます同胞で、軍籍にあられた方は、おられるだろうと思います。あるいはまた軍属であられた方も、おありになつているだろうと思います。
#17
○苅田委員 それならば、政府は、当時この人たちのそういう国家のための大きな犠牲に対しましては、やはり他の人たちと同じように、当然補償する責任があつたと思います。また今日も同様に、その責任はあると思うのでありますが、この点につきましては、いかがでありますか。
#18
○吉武国務大臣 これはたびたび申し上げておりますように、日本の法律の適用が及べば、当然私どもも及ぼしたいし、及ぶはずであります。ところが、沖繩につきましては、遺憾ながら日本のあらゆる法規の適用がない。ですから、遺憾ながら及ばない、こういうことでございます。
#19
○苅田委員 私はこの点につきまして、政府の方が占領当局に対しまして、その当時の日本の同胞であり、現在も日本人であつて、行政上そういう法律の適用の及ばないという特殊な日本人に対しまして、政府が約束をし、責任のある処置を講じたいということを申し出られたことがあるかどうか、これに対しまして、アメリカとしてこれを拒否した事実があるかどうか。また、もし今までそういう交渉がなかつたとすれば、これは国家として非常に無責任な、道義に関係のある問題だと思うのでありますけれども、もしそれがしてなかつたとすれば、今後そのような交渉をする覚悟が政府にあるかどうか。それから、もしこれが年金というような形でできなければ、私はそういう特殊な人たちに対しましては、一時金として国としての責任をとる方法もあると思うのでありますが、アメリカはそういう問題に対しまして必ず拒否するという何か確固たる証拠を政府はお持ちになつているのでありますか、この点をお聞きしたいと思う。
#20
○吉武国務大臣 この問題は、この法律について特にはいたしません。ただ沖繩の問題につきましては、平和条約の際に、アメリカの信託統治に置かれて、日本の行政権は及ばない、こういうことでありますから、この法律のみならず、ほかの法律についてもみな同じであります。
#21
○苅田委員 私は、法律を施行するということを申しているのではないのであります。国家として年金を支給することが不可能であれば、今申しましたように、一時金の形でもつて国から贈りものをするという形にしてでも、こうした同じ日本人であり、日本の国のために命を投げ捨てられた人に対する責任を果す道は、決してないとは思われないので、それを政府としておやりにならなかつたとすれば、今後そういうふうにしてでも、政府としての意のあるところを表わしたいという熱心さをお持ちになつているかどうかということを、お伺いしているわけです。
#22
○吉武国務大臣 法律に基かずして支給するわけには行かないのであります。
#23
○苅田委員 法律にそのような特別の条項を付しまして、法律の施行という意味でなくして、私は贈与するということは、これは決して不可能じやないと考えるのです。また昨日来、いろいろ青野委員の話を聞いておりましても、単にこの問題だけでなくして、日本と奄美大島等との関係は、今後まつたく外国としての関係では成り立ちがたい経済的な関係もあるという事実もありまして、私は、国がそうした人たちに対しまして、国としての責任を、そういう贈りものとしての形ででも果したいという気持に対しましては、何も法律ということもないわけだと思うのです。
    〔委員長退席、青柳委員長代理着席〕
国といたしまして、たとえば、ソビエトでもしも平和賞を贈りたいと言えば、日本の法律でも、国交が回復していなくても、こういうものは受取れないということは言えないわけで、私は大臣も現に認めておりますように、沖繩の日本人に対しまして、昔政府がなした約束を果すということに、何ら故障はないと思う。もしもこれに故障を唱えるということになれば、これは私はアメリカ当局に対しても問題があると思いますが、この点は、大臣、どういうふうにお考えになりますか。
#24
○吉武国務大臣 何度お答えをいたしましても同じであります。
#25
○苅田委員 私は、ただいまの大臣の御答弁は、非常に冷酷な、実際国としての都合のいいときには使いほうだいに使うけれども、法律上一応その責任がないということであれば、どこまでもほおかむりをして通そうというような、結局お考えだということがはつきりいたしましたので、これ以上あなたに同じ問題で同じ方向では、御答弁を求めてもむだだと思います。
 それでは次に、朝鮮人とか台湾人、こういう人たちに対しまして、私はお聞きしたいのでありますが、朝鮮人、台湾人は、現在日本人であるかないか。それから、日本の国籍法を適用されているかいないか、この点についてお伺いしたいと思います。
#26
○吉武国務大臣 これもひとつ主管大臣からお聞取りを願いたいと思います。
#27
○苅田委員 これはお答えになれないからとおつしやるのですか。
#28
○吉武国務大臣 これは正確なものは主管大臣から正確にお聞取りを願います。
#29
○苅田委員 お聞きのように、私は主管大臣を呼んでおります。しかし、大臣がこの席に必ずおいでになるという御確約がないのでありますから、これは同じ内閣においでになつて、しかもこの法案の担当者であるあなたが、答弁の責任がないということは言われないのでありまして、あなたがわかつておいでになる範囲のことでよろしいですから、御答弁願いたいと思います。
#30
○吉武国務大臣 私としては、日本の国籍がある者にこの法律を適用するという責任を持つております。だから、朝鮮人のどれが入るか入らないかということは、これは事岡崎君の所管に属することでありまするから、ひとつそちらからお聞取りを願いたいと思います。
#31
○青野委員 関連をして―私は昨日御質問申し上げましたが、木村長官から御答弁をしていただくことができませんでした。それは、日本の国籍を失つたときは障害年金を受ける権利が消滅するというこの一点について、具体的な項目を四つ五つお聞きいたしました中で、たとえば小笠原、沖繩、奄美大島等の信託統治の住民の諸君で、日本本土におる人は、ただいま御答弁になりましたように、戸籍法も認めるし、また日本人としての国籍のあることを認めるというお話はあつたのであります。これは岡崎国務大臣にお尋ねするのが当然かもわかりませんが、特に厚生大臣にお尋ねしたいと思いますことは、今、たとえば、例をとりますと、奄美大島の島民は二十三万おると称せられております。日本本土に来て生活をしております人は、職業は千差万別、私の持つておる資料では、大学の先生もあれば弁護士もある、いろいろな階層の人が十八万人、日本におります。それらの人は、たとえば戸籍法からいつて、奄美大島に本籍を持つておる者だけが日本人として認められるのか。密航ではありませんが、昨年の八月にかなり厳重の中を無理をして、何十人か何百人かが次々に、政府や国会に日本復帰のいわゆる嘆願に参りますために―昨年の八月一日から次々にハンストをやつて日本復帰を要求したが、遂に認められなかつた。そういうところを考えると、多少まだ日本本土に残つておるが、こういう者は認められないのか。認められないとすれば、そういう人は信託統治地域に追い返されなければならぬ結果になるか。それともう一つは、信託統治となつておる所に生活をしておる人が、正式に日本本土で居住するような手続をとれば、これを日本人としての国籍を認めるのかどうか。この点を昨日長官にお尋ねしましたが、多少管轄が違うので、答弁を強要するのも御無理だと思いましたので、実はきよう大臣に来てもらつたのですが、この点をはつきりしておいてもらいたいと思います。
#32
○吉武国務大臣 この問題も、正確なところは、やはり主管大臣からお聞取りいただく方がいいと思いまするし、また私も、正確なところは、主管大臣と話合いましてお答えした方がいいと思いますが、先ほど来申しますように、奄美大島にしましても沖繩にしましても、国籍はある。ただ、日本の国内法というものが適用できないために、この援護法が及ばないのだ。従つて、その人が内地に住んでおられる場合には、沖繩の籍がある者でも、これは日本の国籍ですから、適用がある、こういうことであります。それで密航者はどうなるかということは、密航者が日本内地に居住すれば認めるのか認めないのかという問題が出て来るだろうと思います。この点は、主管大臣と相談しないと、正確には言えないのですけれども、原則は、先ほど来申しましたように、沖繩は日本の国籍だから、日本の国内法が適用になれば、当然適用されるべきものであるが、遺憾ながら国内法の適用がないためにこの法律が適用できない。従つて、その沖繩の国籍のある人が内地に居住されるなら、内地におられる以上は、日本の国内法が適用できますから、この援護の手が差延べられる、こういうことであります。
#33
○青野委員 先ほどから苅田委員の質問に対しての御答弁で、私は了承はしておるのだが、もう一点お尋ねをしておきたいのは、国内法がこういう所に生活をしておる人に適用されないということは、結局講和条約の適用によつて認められない、こういうふうに考えてよろしいのですか。
 それからもう一つ、これはまたあとで御質問をする予定でございましたが、ついでに重ねてひとつお尋ねをしておきたいと思いますのは、詳しい数字が出ておりませんが、大体聞いております範囲では、日華事変以来太平洋戦争にかけまして、沖繩だけで大体三十万人の戦死者がある。奄美大島で一万二千名の戦死者があつて、この奄美大島には約六万の遺族がある。ところが、国内法が適用されないので、こういう人たちは援護の手を差延べることができないというので、結局この援護法から除外されるということは、それは特定の外国の御都合で、向うの国が、自分の国の都合で一握りの島でもほしい―自然人口の増加しておる日本から、小笠原とか沖繩とかいう諸島を信託統治にすることは、アジア諸国でも、カトリツクの総本山でありまするローマ法皇の即近者にしても、まるでむちやであるという意見が、私どもの手元に資料として届いておる。そういうことを考えても、こういうところから、国家の要請、時の権力によつて戦線に狩り出されて、これだけおびただしい犠牲を払つたものを、どこかの国の御都合で信託統治にされて、そしていつ信託統治が解除せられるかわからないのに、これだけの犠牲者の遺族を、国内法が適用されないからという法律的な解釈だけで放任して行くということは、将来に大きな禍根を残すのじやないか。この点はもう一歩つつ込んで、相当腰を入れてアメリカと話を進めて行けば、特別な一つの方法が生れて来るのじやないかと、こう思います。というのは、昨日も木村長官にお尋ねしました中に、奄美大島は直線にして大体三十里。私の地元の八幡製鉄所から、総司令部の認可を受けて調査に行きましたところが―全部が正当だと認めるわけには行きませんが、大体奄美大島は製鉄産業に必要なマンガン鉱石で固まつておるということが今度発見せられた。これをこのまま信託統治でアメリカの手に何年も握られたのでは、日本の製鉄産業の上に大きな影響がある。やはり日本が完全に戦争に負けてとられたのではないから、このマンガン鉱石を採掘することの許しを受けたい。あるいはこういう島には、主食はできないが、砂糖ができる、枕木ができる、大島つむぎ等ができるので、その生産物を二百海里離れております鹿児島に持つて来て主食ととりかえて生活している。アメリカの方でこれを保護して生活上必要なものを支給しなければ、奄美大島の諸君は生活ができない。これを国内法が適用せられないから、アメリカさんまかせでは、信託統治になつておる沖繩や、こういつた島々の諸君は非常に生活に困る。これは話が政府の手で進んでおるということを私は聞いておる。そういうことは、国内法があろうがなかろうが、認められて行くと私は考えておるが、この戦争犠牲者の援護の手が、国内法の適用が受けられないというたつた一つの法律的解釈のもとに放任せられるということは、将来の婦人は自分の子供や主人、若い者は、ばかみたいな将来の戦争には銃を持つて立たない。宣伝をしなくても、この問題だけでそういう判断をして行くことに、私は結果から見ればなると思う。何かアメリカと話合いを進めれば、適当な方法が講じられはしないか。昨日も木村長官に、この戦傷病者、戦没者遺族等に対するこの援護法に関して、政府が誠意を持つてアメリカと交渉して、協定か何か結んで、この援護に対する一時金なり、障害年金なり、あるいは遺族年金なりを支給するように努力したらどうですかとお尋ねしましたが、それは管轄外でありまするし、私から十分お答えができないということです。この点について、吉武厚生大臣の御意見を承りたいと思います。
#34
○吉武国務大臣 御趣旨は、私もごもつともだと思いますが、遺憾ながら信託統治という状態に置かれております以上は、できないのでありまして、将来この信託統治をどうするかという問題につきましては、御意見は十分拝承いたしておきます。
#35
○青野委員 もう一つ……。はつきり私がお聞きしなかつたのが悪かつたと思いますが、そうすると、やはり朝鮮人の諸君が、いろいろな関係で成規の手続を経ずに日本本土に入つて来ておりましたように、はつきり信託統治になると、国籍はあつても日本の国内法が適用されないということになつて、この援護法が適用されないという建前をとりますと、結局向うにおることが生活上非常に困る、そのために自分の兄弟、自分の子供、そういつたものが日本本土で生活しているところに、この沖繩とか、小笠原、奄美大島に住んでおります人たちが、縁故をたよつて、日本の内地に成規の手続をとらずに密航をする場合には、これは当然何らかの形で法律的な処罰があるものと思います。そういうことはおそらく起つて来ると私は思いますが、その点を、もう少しはつきりしておいてもらいたい。
#36
○吉武国務大臣 なおそういう問題は、事実としてはあるかも存じません。しかし、それはこの援護のために出て来るとは私考えられませんが、いろいろな事情のために日本へ出て来られる方があるかもしれません。その場合に、それがどうなるかということは、それぞれの法律によつてやるよりしかたがない、かように存じます。
#37
○苅田委員 前の質問から引続きまして、またお尋ねしたいのですが、大臣は、私が質問いたしました朝鮮、台湾の人たちの国籍法の問題につきましては、答弁を拒絶なさいましたのですが、自分の考えを申しますならば、これらの人たちは、自分から進んで朝鮮の国籍に服さない、そうして日本に在住しておる人たちにつきましては、今日はまだ日本人としての国籍もあり、戸籍法にも登録されているものは、講和条約の発効までは、私は従前通りの国籍なり戸籍法の適用を受けているものと考えているのでありますが、この考えに誤りがありますかどうか、この点につきましてお聞きいたしたいのであります。
#38
○木村(忠)政府委員 戸籍法につきましては、朝鮮及び台湾の在籍の方は、国籍法の適用を受けておりません。これははつきりいたしております。これは昔朝鮮の方にありましたそれに相当する制令とか、台湾は律令でございますが、これらの適用を受けておるわけでありまして、これにつきましては、日本の戸籍法の適用は受けておらない。
#39
○苅田委員 国籍は。
#40
○木村(忠)政府委員 国籍につきましては、現在のところ、どちらともついておらないというのが、実情でございます。
#41
○苅田委員 どちらともついていないというのは、どういう理由でありますか。
#42
○木村(忠)政府委員 これは私の方の主管でないから、どちらともついていないというふうに聞いておる、というのは、どういうことかと申しますと、日本人でもなければどこの国籍でもないと申しますか、あるいは日本の国籍があると申したらよいのか、われわれといたしましては向うに対する主権を放棄いたしておるわけですから、これがはつきりいたしますれば、その国籍がどうなるかということは、その国との協定によつてきまるわけです。それまでははつきりいたしていないのではないかと思います。
#43
○苅田委員 詳しい法律上のことは、私はまだ研究をしておりませんけれども、従来日本に居住して、戸籍法の適用を受けていなかつたということは、この点は大体私は研究して来たつもりで、戸籍法の適用を受けているというふうに考えておつたのですが、もしさような国籍法の適用を受けていない、しかし徴税その他については、別個の処置で日本人並にやつていただくということであれば、この点は私はまたもう一度研究してもよろしゆうございます。しかし、日本人としての国籍は、少くとも終戦前ははつきり持つていたと思うのです。終戦後この国籍を失うような何らかの処置が講ぜられない以上は、私はやはりこれは従前の通りと見なければならないと思うのですが、そういう点につきまして、長官の方でそういうはつきり国籍を制限する処置が、終戦後とられたということをもし御存じでしたら、お教えいただきたいと思うのです。
#44
○木村(忠)政府委員 戸籍につきましては、明らかに戸籍法の適用は受けておりません。戸籍法というものは、日本の内地に籍があります者についてのみ、適用されておるのであります。朝鮮に籍がありましたときには、日本に籍を移すということはできないことになつておりますので、日本の戸籍法の適用は受けておらないのであります。
 国籍につきましては、国籍というものはどういうものであるかという点が問題なのであります。戸籍法とかそういうものではつきり載つておりますものは明らかでありますが、それに載つていないものにつきましては、どういうようになるかということはペンデイングになつております。従いまして、これは今後の協定によつて明らかになるのではないかと思います。
#45
○苅田委員 そうしますと、終戦前から朝鮮人、台湾人は、日本の国籍がはつきりしないというのですか。日本の国籍がはつきりしない人を、軍隊に出すということをやつていたわけですか。
#46
○木村(忠)政府委員 終戦前におきましては、明らかに朝鮮あるいは台湾の人が日本の国籍を持つておつたことは事実であります。終戦後におきましては、その点はペンデイングになつておる、こういうことであります。
#47
○苅田委員 私は、これは大切な問題だと思うのです。どつちに籍があるのかわからないというのは、これはごく通俗的な考え方である。終戦前国籍があつたものが、終戦のときに明瞭にこの国籍を失う処置がとられない限りは、これは引続いてそういうことが考えられると思うのです。それだからして、私は講和条約の発効した後におきましては、あらためて外国人登録令というもので登録されて、はつきりした分界がつけられると思う。それまではやはり都合のいいときだけは兵隊にひつぱり出すが、終戦になつたら国籍がわからなくなつたというような、こういうものは、私はいわゆる法律的な解釈ではないと思うのであります。今もお伺いしたのですが、これらの人たちに明瞭な法律的な処置がとられないとすれば、当然私どもは講和条約の発効の後までも、日本人としての処遇はあると思うのです。これは二年ほど前でしたが、生活保護法の適用の際にも、私は当局に質問したのでありますけれども、そのときにおきましても、朝鮮人も、同様に日本人として生活保護法の適用は受けさせるという御答弁があつたように思うのであります。ですから法律的に今日朝鮮人あるいは台湾人にいたしまして、少くとも朝鮮、台湾の籍に入つていない人たちは、日本人と考えてさしつかえない、そのような処遇が、この援護法におきましても、なされなければいけないと私は思うのですが、この点につきまして、そうでないという証拠がありますれば、お示し願いたいと思います。
#48
○木村(忠)政府委員 この問題につきまして、私の方から正確なる法律上の点につきましての御説明をいたしますことは、こちらの所管ではないのでありますから、正確なことは申し上げかねるのであります。ただ、現在のところ、国籍の問題につきましては、ペンデイングになつておるということで御了承願いたいと思います。
#49
○苅田委員 それでは、少くとも講和条約発効後、外国人登録令等の処置によりまして、国籍が明らかに朝鮮、台湾に組みかえられるまでの、日本に在留しておる朝鮮人、台湾人に対しまして、政府はこの援護法は適用はしない。これは四月一日からにさかのぼつてこの適用を受けるわけなんでありますが、講和条約が四月一日までに発効しなかつた事実をもちましても―これはその期間であつても適用を受けられると思うのでありますけれども、当局の方では、この人たちに対しましては適用をしない、こういう御見解なんでありますか、この点をお伺いしたいと思います。
#50
○木村(忠)政府委員 この点につきましては、附則の第二項に、その点に疑いが起らないように規定が設けられておりまして、この法律は適用しないという意味が書いてございます。
#51
○苅田委員 こういう点につきましては、国際的な道義の問題まで私は起ると思うのですが、しかし、これ以上は意見にわたることになりますから、当局の御答弁は、私としては非常に了解しがたいということを申し上げておきまして、次の質問に移ろうと思います。
 次に、これは厚生大臣にお伺いしたいのですが、二十六条の問題です。遺族年金に妻が一万円、つまり月額八百三十三円、子供父、母、孫、祖父、祖母の場合、五千円、月額四百十六円、この月額八百三十三円とか四百十六円とかいう年金支給は、何を基礎に割出したものかということを、お聞きしたいと思います。
#52
○吉武国務大臣 これは現在の日本の財政の範囲におきましては、この程度しかやむを得ず出せなかつた、こういうことであります。
#53
○苅田委員 そうしますと、これはこの法律の適用を受けておる側の人たちの当然の権利とか、あるいは政府として何らかのはつきりした目的なしに、とにかく財政の残つたものをこちらに漠然と振り当てた、これ以上の明確な、こうした年金を割出した算定の基礎はない、こういうような御答弁なのでございますか、その点もう一ぺんお聞きいたします。
#54
○吉武国務大臣 この点は、前々も申し上げました通り、財政の残りをこれに充てるというような考えはございません。われわれは遺家族の援護というものが必要である、その必要であるために、できるだけの努力をし、ただ、日本の今日置かれた財政におきましては、これ以上のことができなかつたということであります。
#55
○苅田委員 それはこの法文の各所におきまして、当局はこれは援護のために出すと言い、あるいは国家の補償として出すといういろいろな場合を御答弁になつているのでありますが、この月額の八百三十三円とか四百十六円というのは、国家が補償の意味でお出しになつておるのか、援護の意味でお出しになつておるのか、これをお伺いいたしたいと思います。
#56
○吉武国務大臣 これも一番最初のときに、私がはつきり申し上げております。遺家族に対する援護は、国の義務としてやるべきである、その義務としてということは、国としてこれらの遺族に対し、国家補償的な精神に基いて援護をいたすのであります、かように申しておるのであります。元は軍人恩給というものがございまして、軍人恩給によつて、遺族については遺族扶助料というものを出しておつた。扶助という文字を使つておりまして、この扶助料ももちろん国家の義務として扶助をし、それは国家補償的な精神に基いてやるものと私どもは考えております。従つて、今回とりましたこの援護も、われわれといたしましては、国家の義務として援護を申し上げる、かように申しておるのであります。
#57
○苅田委員 援護と申され、あるいは補償とも申されるのでありますけれども、厚生大臣といたしましても、実際、月八百三十三円とか四百十六円ということで、生活が守られるということはお考えにならないと思うわけであります。あるいはこれは償うと言いかえれば、これは遺族の中では、はつきり身代金と言つているのです。ところが、こういうふうなまつたく零細なものをもちまして、いやしくも、国がこうした一身を犠牲にした人に対しまして、援護だとか、あるいは補償だとか言つて出すという精神が、私はほんとうにわからないと思うのです。国は、法律の中では、最低の生活の基準といたしまして、どこからもどうにもならない人に対しましてさえ、新年度からは五人家族月額七千円を出すというような、こういうものとの振合いを考えまして、援護だと言う、補償だと言うこの金額―何も金額の点にかかわらないと申しましても、私もやはりこれは限度があると思う。私はこういうものをお出しになつて、これで済むと政府はお考えになつておるかどうかということを、お聞きしたいと思う。財政上の都合と言いますが、財政の切盛りをやつておるところ自体が政府なんだ、しかもその金というのは、何も大臣が自分のポケツト・マネーを出しておるわけではなくて、国民から預かつておる金を切盛りしているのですから、なぜそれでは援護費に、大臣が言つておられるようにもつと十分なる、少くとも援護と言い、補償と言うだけの金が出せなかつたか。日本と同じような事情にある西ドイツにおきまして、こうした人に対しまして、国費の二〇%以上が向けられておる。しかるに、日本ではその十分の一しか出せないということは、私は単なる財政上の都合という理由では済まないと思うので、この点につきまして、私、もうしつこくお聞きしません、こういう問題は、これ以上お聞きしようと思いませんから、十分納得の行くような御答弁を願いたいのです。
#58
○吉武国務大臣 このことも、私からしばしば申し上げているのであります。日本の今日置かれた財政は、非常にきゆうくつであります。援護の内容を充実したいというのは、私ばかりじやない、皆さん方も同じでございましよう。しかしながら、もしこれを増額するために、一方において国民の負担を増すということになれば、国民も、今の状態においては、できるだけ租税負担の軽減もはからなければならぬのであります。でありまするから、いろいろな仕事もしなければならぬ点もありまするが、そこをやりくりいたしまして、今日の状態においては、この程度しかやれなかつた、かように申しているのであります。将来、財政の許す範囲におきましては、その内容をますます充実して行きたいことは、やまやまであります。われわれとしても、努力を惜まないのでありますが、今日のところではやむを得なかつた。これは、私がしばしばあなたにお答え申しておるところであります。
#59
○苅田委員 私は、そういうことをお聞きしているわけじやなかつたのですが、そういう御答弁しかないのならば、それでもやむを得ません。私どもは、はつきりこれが政府の向米一辺到の軍事費の残りかすが、こういうふうな悲惨な状態で出されておるのだ、日本の自主性の低さと、政府の国民に対する道義的観念と愛情の薄いということである。内には冷酷でいばり散らしておつて、外でぺこぺこ言いなりほうだいになつておるいい見本が、こういう結果になつたと断ぜざるを得ないのです。ですけれども、まあそういう点はよろしゆうございます。
 次に、第三十一条につきましてお聞きいたしたいと思います。この援護法は、結婚した者は、援護の対象としての権利がなくなるというふうに規定されておるのでありまするが、それはどういう精神でできているか。私はこれは政府がしばしば言われておるように、国民に対する国の責任であり、いささかでも援護の意味をもつてこの法律を考えておるというのであれば、結婚した者に対して、そういう権利をなくさせるということは、いかなる理由によつておるものであるかということを、お聞きしたいと思うのです。
#60
○吉武国務大臣 配偶者の結婚された場合に、その人に行かないということは、これは恩給法の原則であります、軍人の遺家族ばかりじやございません。普通の文官にしましても、何にいたしましても、そういうことになつております。従いまして、この援護を取扱うにあたりましても、昔の恩給法、そして現在の恩給の原則によつているのであります。結婚されました方は、結婚されてその家に入られ、その夫とともに生活をされて行くという建前になつておりますから、従つて、今日の恩給の建前におきましても、その方には遺族に対するところの扶助というものは行つていないのであります。
#61
○苅田委員 恩給法の建前ということをおつしやるのでありますけれども、これは、政府の方もおつしやつたように、恩給法の復活ではないはずでありますし、あるいは過去の法律につきまして、実情に照して不都合な点があれば、新しい法律でどんどん改革して行く。たとえば民法なんかでも、終戦後はもう根本的な変化をされておるのでありますから、そういう際におきまして、この問題だけが恩給法によらなければならないというようなことは、答弁にならないのであります。私は、そうでなくて、いかなる理論的な根拠によりまして、こういう配偶者で新たに結婚された者に対しましては、政府が援護も扶助もしないというふうにきめられたかということを、お尋ねしているわけなのであります。
#62
○吉武国務大臣 それは私が申し上げましたように、この法律は恩給法とは違います。しかし、軍人恩給が現在停止されて適用できないために、この援護というものが生れているのであります。趣旨は、国家がその遺族に対して何らかの援護をしなければならぬ、扶助をしなければならぬという義務から出発しているのであります。精神は同じであります。しかも、その恩給法においてはそういう建前をとり、現在恩給を受けている者についても、そういう建前がとられておる。その趣旨はどこにあるかというと、配偶者の方で結婚をされれば、その結婚された夫とともに生計を立てて行かれるという建前になつておりますので、扶助が行つていないのであります。従つて、この援護法につきましても、その原則をとることは一向さしつかえない、かように私は存じます。
#63
○苅田委員 大臣も御承知と思うのでありますけれども、この法案は、全部が恩給法の建前をとつていないのでありまして、たとえば年齢制限のごとき、恩給法では制限しておらない事項でも、新しいこの法律では制限しておるということもあるのであります。ですから、あなたが言われるように、恩給法はこうだから、これもそうしなければならぬということは、その原則は、もうすでにこの法律自体で破られておるわけなんで、私はそれは理由がないということを言つておるわけなんです。それならば、なぜそういう年齢の制限までも、全部恩給法と同じように撤廃しなかつたか。新しい法律では、たとえば父母なんかの年齢制限があるわけでありますから、そういう点で、これはもう逐一可能な限り恩給法の精神を生かしておるわけではないと思うのです。やはり同じような精神であつても、新しい観点から援護法というものが発見されておるわけなんで、事実そういう事実があるわけなんですから、私はどうしてもこの新しく結婚した人に対する権利を喪失するにいう問題は、これは非常な多数に及ぶと思いますし、不当であると考えるのです。特に西ドイツの同様な法律では、そうした夫を失つた気の毒な寡婦に対しまして、新しい生活をつくことを勧める意味から、そうした人たちには結婚資金としてこういうものが出ておるというような、実際人情味のあるやり方とまつたく対蹠的な、この点はあくまで高利貸しみたいに、できるだけ削りとつてやつてやるというようなところが見えて、私はたいへんあさましい気がするのです。これは恩給法とかなんとかの問題ではないと思うのです。
 それではひとつお聞きいたしますが、新しい生活が出発するから、その結婚によつて新しく生計が立てられるのだから、これは一応援護をする必要がないというふうな御答弁があつたのでありますが、それならば、なぜ父とか母とか祖父とか祖母とかいうような、老年で再婚するというような場合にも同様な処置をとつておられるのか。私どもは、まあ六十にも七十にもなつても、配偶者を求める人もあると思うのでありますけれども、私はこれは何も新しい生計の出発というような条件には当てはまらないと思うのです。こういうところまで、なぜそれでは結婚によつて権利を失うというふうなことが出て来ておりますか、この点もお伺いいたします。
#64
○吉武国務大臣 お言葉のように、なるほど恩給法とそのまま同じではございません。子供につきましても、年齢の制限が違います。恩給法の遺族扶助料につきましては、未成年については二十でありますが、この法律については十八にしております。しかし未成年の遺児に扶助をなし、援護をするという考え方は同じであります。なるほど、年齢のわずかの差が違つておるから、おまえたちは違つておるじやないか、こう言われれば、それはそうかもしれませんが、遺児について援護をし扶助をするという考え方は同じであります。それを同じように、配偶者につきましても、結婚した方には扶助が及ばない。従つてこの援護も及んでいない。御指摘になつた父母、祖父母で、他家にもし行かれるという場合についても、同様でありまして、この法律にははつきりかように書いてございます、父、母、または祖父母が結婚したときには、やはり支給しないことにいたしております。
#65
○苅田委員 その他生活保護法等の問題につきましても、なおお聞きしたいのでありますが、私はこれは一般質問の際にも、あるいは他の関連質問でも聞いておつて、当局の御答弁は、これ以上に期待できないと思いますので、大体以上の点で、私のきようの質問を終ります。
#66
○青柳委員 私は奄美大島その他北緯二十九度以南の南西諸島及び小笠原島の人々に対しての本法適用の問題について、ただしたいことがありますので、午後の会議には、その主管庁である法務府の法制意見長官にこの席に出てもらうように、委員長によろしくおとりはからいを願います。
#67
○大石委員長 午前中はこれにて休憩いたします。午後は一時半再開の予定でございます。
    午後零時二十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十三分開議
#68
○大石委員長 休憩前に引続き会議を再開いたします。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法案について、質疑を順次許可いたします。青柳一郎君。
#69
○青柳委員 私は、法務府当局に御質問いたしたいのであります。すなわち琉球諸島、大東島を含む北緯二十九度以南の南西諸島及び小笠原諸島の人々は、現在日本の戸籍を有しておるのであるか、まずその点についてお答え願いたい。
#70
○西村(健)政府委員 お答えいたします。現在というお尋ねでありますと、平和条約発効前だと思います。これはもちろん日本の国籍を持つておるものと考えられております。
#71
○青柳委員 講和発効後、信託統治になりました後には、どういうことに相なるのでありますか。
#72
○西村(健)政府委員 平和条約の第三条によりまして―、今ちよつと条約の正文を忘れておりますけれども、日本は別段主権を放棄しておるとははつきり申しておりません。これらの地域につきましては、将来米国の信託統治下に置かれるということが条約上うたつてありますけれども、その場合におきましても、日本は主権を放棄したことにはならないのじやないかと思います。但し、行政、立法及び司法上の諸権力は、行使できないことになります。従つて、その場合における領土主権と申しますのは、ダレス氏の言つたいわば潜在主権というものであろうかと思います。従つて、やはり沖繩等につきましては、日本の国籍はあると考えてしかるべきものと存じます。
#73
○青柳委員 次に承りたいのは、これらの人々に対して、戸籍法の適用があるか、いなかという問題であります。講和発効前後にわけまして、お答え願いたいと思います。
#74
○西村(健)政府委員 現在戸籍法につきましては、この戸籍法は、御承知のように属人的な法律でございまして、属地法でございませんので、当然沖繩に本籍を有している人にも適用があるというふうに考えられております。しかし、その戸籍事務につきましては、戸籍法上の市町村長というものがございませんので、内地に住所を有し、沖繩に本籍を持つておる人につきましては、法務総裁の指定する、たしか法務局の支局だと思いますが、そこで戸籍事務を扱うことになつております。
 それから、平和条約発効後におきまして、沖繩に対する戸籍法の適用はどうかということになりますと、戸籍法は、属人法でありますので、当然沖繩にも適用になるというふうに考えております。但し、沖繩に居住し、沖繩に本籍を有する人につきましては、戸籍事務を扱う戸籍法上の市町村長というものがございませんので、実際に戸籍法が沖繩の地域については働き得ないということになろうかと思います。
#75
○青柳委員 途中で厚生省当局に承りたい。これらの島々の人々のうち、戦没者遺族、戦傷者の数につきまして、お調べになつたことがあるか、その数を知りたいのであります。
#76
○田辺(繁)政府委員 戦死者の数についてお答え申し上げます。沖繩出身の戦没者の数は一万六千八百四十五名と相なつております。大島出身者は四千五百五十三名、これらの数字は、いずれも旧陸海軍両方を含んでおります。
#77
○青柳委員 小笠原はどうですか。
#78
○田辺(繁)政府委員 小笠原島につき ましては、ただいまちよつと資料を持ち合せておりません。戦傷者につきましても、後ほど資料を調べて、わかりましたら申し上げます。
#79
○青柳委員 数がお調べになれましたら、お知らせを願いたいと思いますが、それら全部の戦死者の遺族並びに戦傷者に対して、現在ここで審議いたしております援護法を適用するに足るだけの予算があるかどうか。
#80
○田辺(繁)政府委員 これらの数は、私の方で今日調査いたしております戦没者の数の中に含んでおると考えておりますので、そういたしますれば、この予算は計上されておるということになりますが、ただ現在までに集計しております戦没者の数の中に、ただいま申し上げました数を包含しておるかどうか、多少疑問がございますので、さつそく調査いたしましてお答えいたします。
#81
○青柳委員 きよう中にお調べになれるかどうか。
#82
○田辺(繁)政府委員 さつそく調査してお答えいたします。
#83
○青柳委員 先ほど法務府からお答えがありましたが、講和発効後、信託統治になりましたあかつきには、行政、立法、司法上の権力は、実際上は外地に及ばない、こういうことになるのでありますが、この法律は、実際上も日本在住者には適用される。それははつきりしておりますが、ただ問題といたしましては、それらの島々に今後も在任する人に対して、適用がし得るものであるかどうか、適用されるものかどうかについて伺いたい。
#84
○西村(健)政府委員 この遺家族の援護法がどういう性格のものであるか、大別しまして属人法と属地法とわけた場合におきまして、事の性質上、私はおそらく属人法ではなかろうか、こういうふうに考えられるのであります。従いまして、附則の第二項で、戸籍法の適用を受けない者、これは別でございまして、沖繩につきましては、先ほど申し上げましたように、戸籍法は適用ある。但し、その事務が動けないということは、現実に戸籍法は動けないということにすぎないのであります。沖繩に在住し、沖繩に本籍を有する人につきましても、この援護法は、理論的には適用があるものだと私は解しております。と申しますのは、将来におきまして、いろいろ手続上可能になりますれば、そういうことになるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
#85
○青柳委員 内地に居住しておるそれらの人々につきましては適用があり、実際に年金なり、一時金が支給せられることは、はつきりしておりますが、まだその地におる人につきましては、ただいまの御答弁によりますと、理論的にはその適用がある、しかしながら、実際上事務が動き得ないから適用し得ない、こういうふうな御答弁でありますが、さように解釈してよろしゆうございますか。
#86
○西村(健)政府委員 私ちよつと誤解のないように申し上げておきますが、戸籍法につきましては、戸籍法にいう市町村長というものがありませんので――おそらく将来もあり得ないわけでありますから、動き得ないわけであります。ただ、この援護法につきましては、申請書を出します場合等におきまして、その住所地の市町村長経由ということをすれば、将来も動けないおそれがありますけれども、その点を考慮すれば、実際動き得るのじやないか。もう一つの問題としましては、私現在と申しましたのは、おそらく送金関係等が現在――私その方を詳しく承知しておりませんけれども、むずかしいのではなかろうか、できないのではなかろうか、そういう点もあわせて申し上げたつもりであります。
#87
○青柳委員 大体わかりましたが、結局日本の方からそれらの島々に対して送金方法ができ得るならば、送金することが可能ならば、この援護法を実際にも適用し得る、そういうことでございますか。
#88
○西村(健)政府委員 私の申しました意味は、単に送金のみならず、この法律の制度に事実上申請とか、すべてにわたつて、持つて行き得るようになれば、そういうことになるのじやないか、こういうふうにお答えしておるのであります。
#89
○青柳委員 そういたしますと、この法律による事務的手続が実際に行い得るということが一つと、それから送金し得るという状況になるということが第二、その二つができる場合には、これらの島々に現在住んでおる人々につきましても、将来ともこの法律の適用をし得る、そういうお考えでございますか。
#90
○西村(健)政府委員 さようでございます。
#91
○青柳委員 そういう事務的手続並びに送金方法の打開につきまして、いかなることを考えておられるか、ということは、できるだけすみやかにそれらの島々に住んでおる人々を、この援護法の恩典に浴させたいからであります。それらの方法につきまして、お考えのあるところを承りたいと思います。
#92
○田辺(繁)政府委員 ごもつともなことでございます。その点につきましては、今後ともよく研究いたしまして、援護の実施が、そういう人々にも及び得るような方向にできるだけ研究もし、努力もしたいと考えております。
#93
○青柳委員 そういたしますと、結論としまして、それらの島々の人々であつて、内地に在住しておる人々については、ただちにこの法律の適用が実際にでき得る、それらの島々に現在も残つておつて、また将来もそれらの島々に住んでおる人々につきましては、事務的手続並びに送金方法をすみやかに講じて、これらの援護法の適用を受け得るように仕向ける、そういうふうな政府の態度であると思うのであります。それらの手続等につきまして、十分急速に解決されることを希望いたしまして、私の質問を終ります。
#94
○大石委員長 他に御発言ございませんか。
#95
○苅田委員 午前中の質問に対しまして、はつきりした御答弁がなかつたわけですけれども、朝鮮の人たちに対する戸籍の問題は、現在どういうふうになつておるかということと、それから、終戦まで日本人としての国籍に入つていたと思うのでありますが―これは台湾の人も同様ですが、これが終戦後の今日、どういう状態になつておるかということにつきまして、お話願いたいのであります。
#96
○西村(健)政府委員 お答えいたします。国籍の問題と戸籍とは、ちよつと違つておりまして……。
#97
○苅田委員 そうです。二つにお伺いしたわけなんです。
#98
○西村(健)政府委員 国籍につきましては、日本が、平和条約第二条によりまして、朝鮮の独立を承認すれば、おそらく原則として―これは今、日韓交渉等もありますけれども、国籍を喪失する、日本の国籍を離れる、ということになろうかと思います。それまでは、理論的には日本の国籍はあるわけでございます。戸籍法の適用につきましては、従来も戸籍法の適用はなかつたわけでございます。従つて、この援護法に関する限りは、附則の二項がございますので、事実上その問題は起らないのじやないか、こういうふうに私は考えております。
#99
○苅田委員 そうしますと、現在といえども、法律的には、講和発効までの間、朝鮮、台湾の人々は、自分からもうすでに籍を移していない限り、やはりこれは日本に国籍がある、こういう御見解であつたのですね。
#100
○西村(健)政府委員 国籍については、あるというふうに考えておりますけれども、その国籍の現われ方は、いろいろな面で、いわゆる内地人とは違つておりますけれども、戸籍法については、これはもう適用がございません。
#101
○苅田委員 けつこうです。
#102
○田辺(繁)政府委員 先ほど青柳委員からの御質問であります沖繩及び大島出身者の戦没者の数につきまして、予算上の計数の中に入つておるかという御質問でございますが、これは入つておるのであります。
#103
○大石委員長 この問題に関して、他に御発言はありませんか。―それではこのままでしばらく休憩いたします。
    午後二時三十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十八分開議
#104
○大石委員長 それでは再開いたします。
 ただいま吉田大蔵省国庫課長が見えられましたので、質疑を継続いたします。高橋等君。
#105
○高橋(等)委員 戦没者遺族に対しまする一時金として交付せられます公債につきましては、その交付に伴いまして、いろいろな取扱いが、省令によつてきめられるように規定をいたされておるのでありまして、この際大蔵当局から、その省令等にきめられると思われまする点、並びにその他国債の発行、交付に関しますいろいろな点につきまして、御説明を承りたいと存じます。
#106
○吉田説明員 ただいま御質問になりました省令の要綱でございますが、省令につきましては、結局本国会を通じての皆さんの御意見等も十分参酌してきめるということになるわけでございまして、現在の段階におきまして、一応われわれの想定しておる省令の概要を御説明いたすわけでございますが、さらに本国会における種々な御意見によりまして、できるだけ実行上もいいようにいたして行きたいと存じております。で、ただいま考えておりますことの概要を御説明申し上げますと、まず第一に、国債の名称を省令で規定いたしたいと思つております。かりに遺族援護国庫債券という名前を付したいと思つておりますが、これも種々御意見がございますれば、承つて参りたいと考えております。
 額面金額は、法律の規定により五万円と予定し、その発行日は四月一日にさかのぼつて発行するという形をとることが望ましいと考えております。
 利子につきましては、現在の法案では六分ということになつておりますが、この六分の利子を発行の日から付して毎年一回別に定める日において支払うものとする、ここで別に定めると申し上げましたのは、この支払いの期日を何月にするかということにつきましては、年金等の支払いの時期等とにらみ合せまして、適当な時期を定めたい、できれば、普通で申しますれば、一年といたしますと、四月一日から一年で三月三十一日でお支払いするのが普通でございますが、法律の方で特例が設けられますならば、それ以前に支払いをするような形にいたしたいと考えております。
 それから元金の償還につきましては、発行の日から一年間すえ置きましては、その後九年以内に元利均等償還の方法によつて毎年利払い日において利子と同時に賦札とお引きかえにお支払いするという形にいたしたいと思います。これは、公債にはいずれも利札がついておりますが、年賦償還をいたします関係上、利札に年賦償還金を加えた、利子と年賦償還金と合せた証券を付することにいたしまして、いわば利札と賦札が一緒になつたものをつけてそれでお支払いをするという形にいたしたいと思います。しかし、さらに生活保護法の要保護者であると認めた者及びこれに準ずる者につきましては、一年すえ置で、その後五年以内に元利均等償還をするという方法の公債を発行いたしたいというふうに考えております。
 交付価格は、額面金額百円につき百円ということ、これは当然のことでございますが、額面金額五万円に対しては、五万円にいたして発行して交付するということでございます。
 次に、発行についての手続でございますが、まず発行にあたりましては、厚生大臣の方で、遺家族から申請書等をおとりになりまして、その結果、これだけの公債を発行してもらいたいという請求書を大蔵大臣に御提出願うことにいたします。大蔵大臣は、発行請求を受けたときには、各地方の大蔵省の管下にある財務局または財務部、各県ごとにこれらの区域が定まつておりますが、その財務局長または財務部長から本人に対して、遺族国債交付通知書というものをお送りする。つまり、厚生大臣からの請求に基いて、大蔵大臣は交付することを決定し、発行した場合は、その遺族に大蔵省の方から御通知を申し上げる。そういたしまして、この御通知をお受けになりました場合には、そのお受取りになりました方は、領収書欄に所要の記入をなさつた上で、日本銀行にこの書類を御提出になつて、それと引きかえに遺族国債をお受取りなるというふうな手続になります。この場合に、本人が一々日本銀行の本支店または代理店においでになることは、かなり煩雑な場合もあろうかと存じますので、受取人の委任によつて、市町村長等が受取人の代理人として、まとめてお受取りいただくこともできるようにいたしたいと思つております。なお、これらの公債をお受取りになつた方は、あらかじめどこで元利金の支払いを受けるかという店舗を御指定になつて、そこでなければお受取りできないというような方式にいたしたいと思います。これは記名公債でございますので、その自分の公債の元利金をどこから受取るかということをあらかじめ指定していただいて、そこからでなければ受取れないという形が望ましいのじやないかと思います。
 最後に表が掲げてございますが、これは先ほど御説明いたしましたように、原則として一年すえ置き九年以内の償還、それから生活保護者等については、一年すえ置きの五年以内の償還ということにいたしております。これは結局利払い期をいつに定めるかによつて、若干相違して参ります。利払い期ごとに元金と利子と一緒に払つて参りますと、最後の時には元金も一緒にすべてお返えししてしまうことになりますので、もし四月一日に発行いたしまして、九月三十日を利払い期といたしますと、一箇年すえ置き八年半に償還を終るという形になります。また要保護者の方は、一年すえ置きで四年半で元利を償還するという形になります。そういうふうにいたしました場合に、初めの一年間は利子だけを差上げるわけですが、二年目以後は、利子に元金を合せて毎年同じ額を受取れるようにいたす方がいいのじやなかろうかということで、かりに九月三十日に支払うものとした場合の計算をここに掲げました。これによりますと、普通の公債につきましては、初めの年は利子だけですから、三千円でございますが、二年目からは利子と元本と合せて七千百四十三円を受取る計算になります。それから要保護者等に対する分につきましては、初めの年は三千円で、以後は一万一千五百三十四円を受取られる計算になつております。
 大体こういう形にいたしましたのは、先般来御説明いたしましたように、買上げと申しましても、どなたから買い上げるかということは、なかなかきめることが困難でございますので、なるべく平等にあらゆる方に順次に償還をして行けるようにしたい。同時に、もらう金がだんだん減つて行つたり、だんだん多くなるという形よりも、毎年同じ金額を利子及び元本の償還としてお受取りになられる方が、生活の設計その他のお役に立ち得るんじやないかというような考え方で、こういう形をとることにいたしたらどうかと考えておる次第であります。
#107
○高橋(等)委員 そうすると、大体半年払いであつたのを一年一回払いに御変更になるというように承つてよろしいと思いますが、その点はいかがですか。
 それからもう一つ、生活困窮者、生活保護法に規定する要保護者というもの、またはこれに準ずる者と、なかなか国家もむずかしいだろうと思いますが、これは運用にあたりまして、なるべく広い範囲で「これに準ずる者」という解釈を立てるような基準をお考え願いたいと思うのです。きようここでこれを一々掘り下げましても、抽象的な議論にしかならぬと思いますから、希望を述べておきます。
 それからいま一つ、そういう方に一年すえ置きということは意味がないのだということを、私は先般来たびたび申し上げております。このたび利子は事前に払うというので、それだけは改正せられた。それだけでもけつこうな改正と思うのですが、ただ予算上の措置もあつて、政府として、そうした方に、ただちに今年から現金を支払うということの言明をなさるわけには行かぬと思いますが、これは必ずそうしなければ、非常な矛盾があると考えておる。そこであなたの方で、もし今年から五箇年といいますか、四箇年半といいますかで支払う。元金のすえ置きをなくして今年から払うとすると、五箇年年賦で一体平均が幾らになるかという計算をお出しになつておれば、その点を伺わせていただきたいと思います。
 それからもう一つ、この公債の買上げの問題については、あなたと私は意見を異にいたしておる。すなわち、こうやつて、平均的に買い上げて行く、これは非常にけつこうですが、特殊なものについては、どうしても特殊な方法で買い上げるなり、あるいは貸付の道を講ずることが、なお必要であろうと考える。しかし、これはどうせ公債の発行になりますのが年度の途中でありますので、われわれとしましては、順次そうした点を実現さすように努力をいたしたいと考えておりますが、あなたの方でも、その点はなお御研究おきをお願いいたしておきたい、こういうように考えるのであります。ただいまお伺いした二点だけ御返答を願いたい。
#108
○吉田説明員 ただいま、一年一回ということを申し上げましたが、これは実は先般来小委員会におきまして、小委員長にも申し上げましたように、現在の法案では、ちよつと無理じやないかということで、もし御修正いただけるならばこういうふうにしたいという意味合いでございますから、御了承願います。
 それから、この要保護者の分につきまして、一年すえ置きをやめたらどうかとおつしやる点につきましては、これはお気持は、私も非常によくわかるのでありますが、交付公債を出したということは、いわば現金で支払えないというようなことから出て来たような関係もありますので、これを今年からただちに償還して行くということは、多少の問題があるのじやないか、また予算上の問題があると思いますが、この要保護者が、今はつきりした数字はわかりかねるのでありますが、かりに十万人と仮定いたしますと、ここの年賦金額をごらんいただきますと、元金分でこの二年目、つまり二十八年九月三十日に一万三十四円を払うということになつております。従いまして、十万人といたしますれば約十億円を必要とするわけでございます。十五万人とすれば十五億円というふうな計算になります。従つて、この金額に人数をおかけいただけば、大体金額の予想は出ると思います。
 なお最後に、担保提供または買上げについての御意見がございました。実際上、そういう場合が出て来る可能性はあるし、また考えてやらなければならないというような場面もかなりあるじやないかということも、私どもも考えられるのでありますが、御承知のように、現在の情勢としては、普通の金融機関で、普通の資金で買い上げ、または担保に供させるということになりますと、非常に金利を高くとられたり、ぼられるという危険性もありますので、これを救うとすれば、やはり何らか政府資金というようなもので措置しなければならないかと存じます。そういつた点から、予算というような面からの制約も種々ございますので、国民金融金庫の現在の資金のうちでできるだけのことをする、そういつたようなことしか、さしあたり考えられないのではないか。しかし、お気持は十分わかりますので、私どもの方としても、できる限りの努力はいたしたいと存じております。
#109
○高橋(等)委員 よろしゆうございます。
#110
○青柳委員 国債の名称の問題でありますが、政府はこの法案の提案理由の中に、国家補償の精神に立脚しての援護である、こう申しておるのでありますが、この国債によつて戦没者の遺族に与えられる一時金は、われわれ厚生委員の意思から申しますと、弔慰金の性格を持つものにしたいのであります。この点については、政府は相当部分弔慰金の性格を持つという点までは言つて来ているのでありますが、はつきり全部的に弔慰金であるということは言つておらぬのであります。飜つて遺族の心情を考えてみた場合に、それはいろいろりくつもありましよう、しかし六年間ほつておかれて、やつと国がある程度のものをくれる、こういう際に、われわれは歯を食いしばつて、援護してもらうのを待つたのではなく、
 国家から弔意を表してもらう、すなわち国家補償をしてもらうのだ、こういう気持が十分ある。従いまして、この法律にある援護をとらえまして、遺族援護国庫債券と、こう申されるのは、われわれの絶対反対なところであります。少くともこの「援護」の字はおとりやめを願いたい。もつともつと弔意を表する意味があれば、それに越したことはありませんが、少くとも「援護」の字はおとり願いたいと思いますが、御意見を承らせていただきたい。
#111
○吉田説明員 その点につきましては、私も当委員会の御審議の状況を拝見いたしておりまして、そういうふうに直したらどうかというような感じも持つておつた次第であります。なお御意見の点は、十分考えたいと思います。
#112
○青柳委員 この問題は、非常に重大問題であります。「援護」という字を入れられたら、絶対われわれ承服できぬということを、はつきり覚えておいていただきたいと思います。
#113
○大石委員長 他に御発言ありませんか。
#114
○苅田委員 そういたしますと、当局といたしましては、公債を直接現金化する方法といたしまして、いろいろお考えはあるでしようけれども、とにかくこの方法以外には御考慮はできていない、さように考えてよろしゆうございますか。
#115
○吉田説明員 現在の予算の範囲内におきましては、一応今年度としての予算が計上されております。そういつたような関係から、また本年度の財政事情からして、来年度から順々に償還をして行きたいという考えでございます。このほかには、国民金融公庫等の問題がございますが、これは全体的に見れば、金額も十分とは言い切れない程度のものかとも存じますが、現在としては大体この程度のことを考えておる次第でございます。
#116
○大石委員長 他は御発言ございませんか。
#117
○青野委員 要点だけを御質問したいと思います。これは、できれば厚生大臣にと思つておりましたが、さしつかえないと思いますので、お尋ねいたします。これは障害年金についての一つの例でございますが、二月に厚生大臣が箱根の国立療養所を訪問なさつて、四、五日遅れて私はあの雪の二月八日に行つて来たのです。その病院の院長の意見を聞いてみますと、特項症とか一項症というのは、でたらめが多いのだ。実際問題として、非常に不公平なきまり方をしておるという説明を聞いた。ところで、大体お尋ねいたします範囲は、ここにおります人は、これは全部ではございませんが、大体九割程度は、やはり戦争による脊髄損傷です。脊髄をやられておる患者で、ももから下はこんな細い足をしているのです。百五名の入院患者のうち約七十名ばかり脊髄損傷で病院のやつかいになつている。ところが、この人たちは、院長の説明を聞きましても、特項症に値するような人が三項症になつたり、四項症になつたりしている不公平がある。それが是正されないと、ほんとうに公平な年金ということはできないだろうという話を聞いたのです。こういう人は、下半身が不随で、尾籠な話ですが、もちろんたれ流しで全然わからない。そういう人は、みな妻子がほとんど介抱しておりますが、夫婦関係なんか全然できない。どうも看護婦は限られた定員によつて数字がきまつておりますから、どうしても兄弟か嫁さんが病人の介抱をしなければ、ひとりではどうすることもできない。ゴム輪の二輪車に乗つて坂を上つたり、廊下を走つたりしている。国会にも陳情に参りましたのが三人ですが、腎臓みたいなものが腐つているので、これは死ななければなおらぬ病気です、見込みのない病気なんです。こういう説明を聞き、家族や患者から直接座談会、懇談会を通じていろいろほんとうに涙のこぼれるような陳情を受けたのですが、これが障害年金をかりに五万四千円もらうといたしましても、一箇月四千五百円で、その病院へ行きますと、病気にはさわるが、竹細工とか時計の修繕をやつている。病院側はとめるけれども、食われないからそれをやつている。今度の障害年金で一定の率がきまりますと、たとえば五万四千円というやつに該当しますと、妻子をかかえて―病院でまかないをしているのが、一箇月千二百円のまかないといえば、普通これは人間以下の生活です。そまつな物を食つて、病気にさわるのに、内職をしてすらも、生活保護法の適用を除外されると、これらの七十名ばかりの脊髄患者は一箇月三千七百円の赤字が出る。不治の病気で国立の療養所に世話になつておることはありがたいけれども、この障害年金がはつきりきまると、一箇月三千七百円生活費が食い込んで行くということは、私どもにとつては非常は苦痛でございます。何とかこの生活保護法の適用を除外せないで、最低生活だけは、無理は申しませんから、ひとつめんどうを見てもらいたい、こういうような意見がこの入院患者と家族から出ておるのですが、この特項症以下六項症までを、病院側あたりと十分連絡をとられて、不合理な点はひとつ是正をしてもらわないと、せつかくこういうように障害年金が決定いたしましても、その選定と判定の方法に誤りがあると、やはり不公平が残つて行くのじやないかと思いますが、この点についてお答えが願いたいと思います。
#118
○木村(忠)政府委員 御承知の通りに、箱根の療養所は、もとの傷兵院から引継いだものでありまして、あそこでは特に非常に重症なる身体障害の方方をお預かりいたしまして、処置をいたしておるのであります。ただ、これが現在では、療養所ということに相なつておりますので、これにつきまして、療養所としての措置を講じておるという形に相なつておるわけであります。この法案におきましては、障害年金を給付いたしまして、なおそういうような重度の方につきましては、国立保養所を新たに設置いたしまして、そこに収容いたしまして、その国立保養所でもつて、これらの方々にその生活をそこでもつて見て差上げるという措置を講じようというのが、第二十二条の規定でございまして、二十二条の規定をもつて、保養所では別に予算を持ちまして、これで一応の生活を全部見るわけでございます。この場合におきまして、障害年金をどういたしますかという点でございますが、これにつきましては、この保養所に入りました者につきまして、なお障害年金を全額出すか出さないかという点の問題があるわけでございます。これにつきましては、保養所に入らない人、つまり入らずに済む人ということもあるかもしれませんが、そういう人たちとの間の均衡の問題もございますので、全然障害年金をそのまままるまる出すかどうかという点につきましては、いろいろ考慮しなければならぬ場合もあり得るのでございます。それで、場合によりまして、その障害年金の額を減ずることができるという規定は設けてあるのでありますが、そのために非常に困るような引き方をするというようなことはいたさないようにいたしたい、かように考えておるのであります。
#119
○青野委員 それから、項目別にいたしますと、かなりございますが、あわせて一緒にお尋ねをしておきたいと思います。これは今出られました次長の田辺さんに非公式にお尋ねをして、はつきりしたことはまだ承つておりませんが、この国立の療養所あたりで一番困つておるのは、相当大きくなつた子供を学校に上げておる。たとえばあそこは小田原ですが、小田原の高校にやつておると、どうしても一箇月千五百円くらいの経費がいる。小田原が非常に財政の困つておる中から五百円程度の免税をしてその費用を援助しておる。それはあまりよけいはやつておりませんが、そういうような療養所の地元の自治体が便宜をはかつておりますのに、この法律案にそういうことがございませんのは、非常に遺憾に思つております。ただ私がお尋ねしたいと思いますことは、将来こういう保養所が国立療養所にかわつてたくさんできて、その病院に収容するということになりますと、個々の療養所―箱根の療養所の例をとりましても、看護婦は限られておつて、病人の看護とか、掃除とか、食事関係なんかでほとんど夜も寝られないほどに世話しており、腰から下が全然いうことを聞かない、無感覚だというのですから、その点から院長の意見を聞くと、これはもう結核患者の看護をしておるのと同等です。もう少し看護婦の定員を増加してもらつたり、あるいは病院の予算を上げてもらわなければ、ひどくなつた患者に輸血をするのに、その輸血の金がない。そこでやせ衰えている介抱人の家族の血をとつて輸血をしなければならないというような状態である。アメリカに、病気は全快はしませんが、一時的によくする――名前は忘れましたが、非常にいい薬があるそうですが、そういうものも、予算が少いからとれない。こういう人は、もう病気がなおるという希望はないのですから、一番心配しているのは、自分が病気で死んで行つたあとに残つた家族はどうして生きて行くか、どうして生活を立てて行くかということについて大きな悩みを持つている。そこでお尋ねしたいと思いますことは、その患者がもらつております障害年金を、一定の期間それらの取残された妻子のために、あまり減額もせずに、その支給金額を削らないで、一定の年齢まで、子供が大きくなるまでは、病院を出ても、それらの諸君の生活の保障の一端として、何らかの形で給与していただいたらどうかということをお尋ね申し上げます。
 それから今一番困つているのは、十八才以上になると、その家族の者の一部分が療養所から出される。そこで幸いに二万五千坪の敷地が療養所にございます。そこで、ぜいたくなことは申しませんが、簡単なバラツク建で、別に患者の家族のための家を三十戸ぐらい何らかの形で、予算の範囲内で建ててもらうわけに行かないか。それは、私田辺次長に非公式にこの間参議院のある控室で承りましたら、そうむずかしいことでないようなお話でしたが、この点について何か話が具体的に進んでおりますれば、これらの諸君の家族のための簡易住宅の建築について、私お尋ねを申し上げたい。一応それだけお尋ねいたします。
#120
○木村(忠)政府委員 ただいま療養所のお話のようでございますが、大体考えておりますのは、今までの療養所の考え方とはかえまして、大体療養して病気をなおすというよりは、むしろそこで一生安穏に暮すような保養所という考え方で参りたいというふうに思いまして、新たに国立保養所という制度をつくりまして、そこに収容するようにいたしたい。従いまして、この収容所におきましては、保養に必要なる措置は十分にとらせるようにいたしたいと考えているのであります。
 なお、ただいまお話のありました、その保養所に入つておられます方々がなくなられましたあとの問題でございますが、これにつきましても、それがもしもその障害が原因でなくなりました場合におきましては、当然遺族年金が出ることに相なると思いますし、なおそうでないほかの病気でなくなつたような場合につきましても、遺族年金が一部出るような措置を講ずることにいたしておるのでございます。
 ただいまお話がございましたあの敷地の中に住宅を建てるかどうかという点につきましては、十分に研究いたしまして、これらの方々につきましての一住宅の問題等に関しましても、十分研究はいたしてみたいと考えております。
#121
○大石委員長 他に御発言ございませんか。―なければ、質疑は終了したものと認めてよろしゆうございますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#122
○大石委員長 御異議なしと認め、質疑は終了いたしました。
 明日午前十時より討論採決の予定であります。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時二十五散会
ソース: 国立国会図書館
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