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1951/04/25 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 厚生委員会 第26号
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1951/04/25 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 厚生委員会 第26号

#1
第013回国会 厚生委員会 第26号
昭和二十七年四月二十五日(金曜日)
    午後三時十一分開議
 出席委員
   委員長 大石 武一君
   理事 青柳 一郎君 理事 丸山 直友君
   理事 亘  四郎君 理事 金子與重郎君
   理事 岡  良一君
      新井 京太君    高橋  等君
      田中  元君    堀川 恭平君
      松井 豊吉君    松永 佛骨君
      苅田アサノ君
 出席政府委員
        厚生政務次官  松野 頼三君
        厚生事務官
        (保險局長)  久下 勝次君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局
        長)      山口 正義君
 委員外の出席者
        厚生事務官
        (保險局国民健
        康保險課長)  山本 正淑君
        專  門  員 川井 章知君
        專  門  員 引地亮太郎君
        專  門  員 山本 正世君
    ―――――――――――――
四月二十五日
 委員小玉治行君辞任につき、その補欠として根
 本龍太郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 国民健康保險再建整備資金貸付法案(内閣提出
 第一一一号)
    ―――――――――――――
#2
○大石委員長 これより会議を開きます。
 国民健康保険再建整備資金貸付法案を議題とし審査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。青柳一郎君。
#3
○青柳委員 まず第一に質問いたしたいのは、第三條の貸付金の貸付條件についてであります。第三條の第四号によりますと「昭和二十七年度における貸付については、昭和二十六年度における保険料収納割合が、百分の七十以上であること」ということを規定してあるのでありますが、百分の七十以上の保険料の徴収成績を持つところのみが、この法案におきましては長期の貸付を受け、それ以下の徴収率しかないところがこの恩典に浴さないということは、非常に片手落ちであるような気がするのであります。いかにも成績のいいところをよくするという気持もわかりますけれども、社会保障制度を推進して行くためにも、保険料の徴収成績は悪くとも、ほんとうにまじめに、できるだけ堅実に国民健康保険の運営をやつて行こうとしておるところを救い得ないということは、理解しがたい点でありまするので、この点につきまして、政府当局の御意見を承らせていただきたいと思います。
#4
○久下政府委員 お尋ねの保険料の徴収率収納割合百分の七十以下のものにつきましての、その取扱いでございますが、確かに御引例のような憂いがあることを、私どもも考えておるのであります。そういう場合につきましては、必ずしも全面的に御質問の御趣旨を全うできるかどうかわかりませんけれども、私どもといたしましては第三條の本文の但書の「災害その他特別の事由により」という規定の運用によりまして、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと思つております。
 なお、法律が可決になりました後、申すまでもなく、政令あるいは省令等の準備もいたしたいと思つておりますが、それと同時に、この但書の運用にゆきましては、私どもとしては、行政方針を関係の筋と相談をしてとりきめたいと思います。その際に十分御趣旨を取入れたいと思います。
#5
○青柳委員 ただいまの御意見によりますると、第三條の本文の「厚生大臣が必要があると認めるときは、災害その他特別の事由により、左の各号の要件を具備しない保険者に対しても、同様とする。」これによりまして保険料の徴収成績が七〇%以下である場合にも、非常に堅実な運営にいそしんでおる国民健康保険者については、ある程度の緩和をいたすというふうにとれたのでありますが、はたしてさようでありますかどうか、重ねてお尋ねをいたしたいと存じます。
#6
○久下政府委員 具体的にどういう場合ということにつきましては、実は終局な決定をいたしているわけではありませんが、典型的な例として申し上げてみたいと思いますことは、ある漁村におきまして、特別な事情によつて非常に不漁であつて、保険料の徴収が、努力をいたしても、うまく行かなかつたというような事実がありましたような場合に、考慮をいたしたいと思つております。従つて、これは裏返して申し上げますれば、その保険者が相当に努力をしておるということになると思うのであります。そういうふうな気持で、但書の運用をして行きたいと考えます。
#7
○青柳委員 ただいまの点につきましては、できるだけこの規定を広く解釈し得るように、当局といたしましても、大蔵省当局と十分御協議の上、御努力を切にお願いいたします。
 次に、第四條の貸付金額についてであります。この第四條によりますと、昭和二十六年度末における赤字の百分の五十に相当する金額を対象といたし、それぞれ長期貸付の道を講じてあるのであります。百分の五十ということになりますと、非常にその額が少い。できるだけこの対象額を広めて、そうして第七條にありますような保険事業をやつております市町村の持出しを少くするということこそ、現在の国民健康保険の運営が、経済上において非常に逼迫しておるという状況に対応するよい政策であると思うのであります。この百分の五十をもう少し広くして、そうして第七條の国民健康保険事業を行つている市町村の持出しを少くするという策をとられることが、先ほど第三條につきまして申し上げましたように、経済力は弱いけれども、国民保険の事業を堅実にやろうとしているまじめな事業を助けるゆえんであると思うのでありますが、この点につきましての御意見を承らせていただきたいと思います。
#8
○久下政府委員 実は御承知の通りこの法律の裏づけとなつております貸付の予算額は四億五百万円ほどになつているのでございますが、この金額を積算をいたしましたのは、昭和二十五年度の国民健康保険事業の全国的な実績に基きまして昭和二十六年度の実績を推定して、この法律にございますような條件で積算をいたした数字でございます。従いまして、私どもの考えといたしましては、そうした推定に基きまして、この基準、あるいは條件に合います保険者が貸付を希望いたして参りました場合に、政府といたしましては、その條件を満たす限りは貸付をするというのが、一応の道義上の義務にもなるかと思うのであります。そういう意味合におきまして、行政上の運用によりまして、この百分の五十を百分の五十以上に高めるということは、実に予算との関係がございますので、ただいまのところとしては困難であるということを申し上げざるを得ないのでございます。確かにお話の通り、貸付額を多くしまして保険者の負担額を少くすることは、けつこうであると私ども存ずるのでありますけれども、今申し上げましたようないきさつから、現在の予算との関係上、御趣旨に沿いがたいことを、はなはだ申訳なく思うのでございます。
#9
○青柳委員 第三條の関係から申しましても、第四條の関係から申しましても、すでに成立せる予算に制約されているのでございますが、これらの法案を概観いたしますと、非常にきびしいのであります。かかる條件のもとにおきましては、国民健康保険を行つている市町村におきまして、この法案によりまして長期融資を受けようとするものが、條件がきびしきがために少くなるのではなかろうか。せつかくこの法案ができましても、そういうことでは相ならぬと思うのでありまして、この法案が成立しましたあかつきにおきましては、十分この法案による申請状況を見られまして、そのときどきに応じまして、時宜に適したようにこの條件を緩和することを進めていただきたいのであります。これは私の希望であります。
 次に、第七條につきまして、ここに国民健康保険事業をやつている団体が、つけ足しをして、お医者さんに支払う義務を命ぜられているのであります。ここに「遅滞なく」とあるのであります。この「遅滞なく」というのは、いかなる意味であるか。どの程度のことを考えておられるかにつきまして、伺いたいのであります。
#10
○久下政府委員 「遅滞なく」という言葉それ自身、きわめて抽象的な言葉ではございますけれども、「同時に」というよりも、ややゆとりのある意味でございます。私どもといたしましては、運用上、これはよほど考えなければならぬと思つている点でありますので、必ずしも数日とかというような時日を限定するのみでやるべきことでもないと思うのであります。これは、その貸付を受けます保険者の努力の状況でありますとか、その他のいろいろ條件もございますので、一概に期間を限定して運用をいたすつもりはありませんが、さりとて、また逆に二箇月も三箇月もほうつておくというようなことは、この言葉から許されないのではないか。この辺のところで運用をして参りたいと思つております。
#11
○青柳委員 あまりきびしくは解釈せられないけれども、野放図に済ませるものではない、こういうお話でございますが、私のお願いいたしたい点は、この「遅滞なく」というのは、この国民健康保険をやつている団体々々について、その経済状態をよくごらんになつて判断をしていただきたい、こう存じます。それが一日二日とか、いろいろ問題は起りましようけれども、ぜひその団体の経済状態から勘案して、遅滞なくやつているかどうかということを御判断いただきたいと思いますが、これにつきましての御所見を伺います。
#12
○久下政府委員 大体御趣旨のように考えるつもりでございます。経済状態と同時に、またその保険者の努力といいますか、この規定の精神に即応する努力というものも加味して考えて参りたいと思つております。
#13
○青柳委員 次に伺いたい点は、これは最後でありますが、第八條の貸付條件であります。五箇年すえ置きで、あと五箇年において償還する。五箇年のすえ置き期間中におきましても、六分五厘の利子を支払うことに相なつております。この六分五厘の利子は、非常に高きに失するように思います。たとえば、われわれの調査によりますと、十万円の融資を受けた際に、十年目までには、このままで参りますと十七万円という、約倍額に近いものを支払わなければ相ならぬ、こういうことに考えられるのでありまして、これらの点につきまして、緩和をするようなことをお考えになつているかどうか、これにつきまして承りたい。
#14
○久下政府委員 実はこの問題につきましては、国民健康保険に関する小委員会におきましても、御意見のあつたところでございまして、私どもといたしましては、若干の緩和をいたすことに異存はないのでございます。
#15
○青柳委員 私はこれで質問を終りますが、先ほども申し上、けましたあまりに條件がきびしいように思うのてありまして、これで実際に出発いたしました際に、條件がきびしきがゆえに、この法案によつて恩典に浴するところが少くなりはしないかということをおそれるのであります。かかる場合には、政府御当局におきましても、将来この法案の改正修正につきまして御努力を願いたい。またわれわれといたしましても、その努力をいたしたいと存ずるのであります。
 これをもちまして私の質問を終ります。
#16
○岡(良)委員 この法案の御提出とともに、小委員会で、細部にわたつてはいろいろ当局との間に懇談的に論議が重ねられましたので、残された二、三の要点だけをこの際ただしておきたいと思います。
 第一に、国民健康保険の昨年度の赤字はどれだけであつたか、また一点単価の引上げに伴う負担加重分はどれだけであるか、また来年度における国保の推定される赤字はどれだけであるか、一点単価の引上げに伴う負担加重分はどれだけであるか、二十七年度のこの数字をお伺いしたい。
#17
○久下政府委員 お答えを申し上げます。昨年度という御趣旨を、昭和二十六年度というふうに承りまして申し上げますと、二十六年度の赤字総額は三十億二千三百万円という数字を出しております。もちろんこの中には、一部負担金の分の赤字も含んでいるのでございます。単価の値上げに伴います赤字額は、この分だけを切り離して申しますと約十五億円くらいになるのじやないか。今申し上げました十五億円というのは、二十七年度分の単価値上げに関連をする赤字でございます。それから二十七年度の全体の赤字は、ただいまのところ、ちよつと保険料の決定等の数字もはつきりいたしませんので、見込みがちよつとはつきりいたしていないようなわけであります。
#18
○岡(良)委員 そういたしますと、この資金を貸し付けることによつて、多少の赤字が軽減されて来るわけですが、この赤字が昭和二十六年度において、単価の引上げも加えて約四十五億余でございますね。それに対してこれが保険者側の半額負担を加えて約八億。それから振興奨励等の名目のもとの補助金が約四億。約局十二億が単位の国保に流されても、なお赤字は三十二億ばかり残るという勘定になるようですが、そういうふうに承知していいのですか。
#19
○久下政府委員 先ほど昭和二十六年度の赤字の見込み総額を三十億というふうに申し上げました中には、単価値上げの分も予想いたしてございます。別に十五億の単価値上げの赤字を申し上げましたのは、二十七年度分でございます。そこで問題はこの法律に基きまして三十億の赤字を対象にしているかどうかという問題になるわけでございますが、この中には、先ほどもちよつと申し上げましたように、一部負担金の未収を赤字として計算をしてございます。さらにまた保険料の徴收割合が七〇%以下の保険者の赤字も含んでございます。その二つの分、すなわち一部負担金の赤字分とそれから七〇%に達しません保険者の赤字額を差引きますと、この法律に基きます條件を満たす保険者の赤字ということになります。それは結論的に申し上げますと、総額十二億一千二百万円の予想をいたしているのでございます。この赤字をこの法律に基きまして解消させようというわけでございまして、従つて十二億一千二百万円の半額を三年間にわけ出て貸し付けまして、その初年度分が四億ということになるのであります。従つて昭和二十八年、九年で六億数千万円から四億円を差引きましたものが二年間にわたつて貸し付られる、こういうことになるのでございます。従いまして、言葉をかえて申しますと、主として保険料徴収割合でありますが、保険料徴収割合の七〇%以上の保険者の一部負担の分を除きました赤字額は、この制度によりまして、三年間で解消をする、こういうわけであります。
#20
○岡(良)委員 この間の小委員会での御発表の数字では、保険料の収納率が七〇%に満たない組合の赤字の総計が二十一億であるという数学を承つたと記憶しておるのでありますが、この組合は今度の貸付を受けることはできないのか。要するに、三十余億の赤字のうちで、十余億の分は、これは貸付を受けて、二箇年間なり三箇年間において一応過去の赤字は解消できる。しかし、なお七〇%の収納率に満たない部分は、依然として二十一億の赤字に悩まなければなりませんし、さらにその赤字が負担加重されるという結果になる。こういうことになりますと、結局何とか政府の方で手を打つてもらえるだろうという希望を持つておつた保険者が、いわばおじぎをしはしないかという懸念があるのですが、こういう点について、保険局の方では見通しとして、どういうふうな見通しを持つておられるかという点を承りたい。
#21
○久下政府委員 保険料収納割合が七〇%に達しません保険者の持つております赤字が多額でありますことは、お話の通りであります。そのものが、この貸付法案の対象になつておりません関係上、確かに、この赤字がいつまでも消えないで、依然として苦しんで行くのではないかということは、御指摘の通りでございます。実は私どもも、その点は悩んでおる点でございますが、また一方におきまして、一般会計から出す貸付金を、無制限に成績のよくない保険者にまで貸し付けることができないというような考え方もございまして、この程度の條件をつけざるを得なくなつたわけでございます。しいて申しますれば、先ほどもお話のありました奨励交付金四億円というものは、今後五箇年間継続して、同様に七〇%以上の収納割合を各前年度においてあげました保険者に交付されることになつておりますが、国民健康保険の保険者の赤字のおもなものは、保険料の徴収がうまく行つていないということでもございますので、この奨励交付金によりまして努力をしていただきますれば、一方において保険料の徴収成績が上り、一方においてごくわずかではございましようが奨励交付金が参るというような面におきまして、若干の改善は期待できるのではないかと思つておるような次第であります。
#22
○岡(良)委員 現在の国民健康保険を個々について見ると、保険料にいたしましても、一部負担金にいたしましても、あるいは受診率にいたしましても、その他いろいろな点で、きわめて不統一な状態にあるので、これを一斉にレベル・アツプしろということは、これは注文する方が無理だとは思いますが、それにいたしましても、何しろ現在の被保険者は二千四百万人ある。しかも将来この国保に包含し得る可能性のある、また当然すべき被保険者は四千万をはるかに越えておるということでありますので、そうすると、当然国保の普及をはかつて行くという積極的な方途が講ぜられねばならないのであるが、今度の法案によるところのいわゆる貸付金、あるいは振興奨励金というものは、なるほど一種の励みは與えますが、しかし、これの普及ということから考えますと、どうもあまり思わしい効果は期待できないのではないかと思うのです。そこで、基本的にお尋ねしたいのですが、こういう法律案等を通じ、あるいは振興奨励金を交付し、あるいは貸付金を貸し付けるなどの方法等を通じて、国保というものの現在の不統一な姿を、もつと統一ある、あるいは保険料なり一部負担金なり等において統一ある姿に持つて行こうという意図から、こういう措置をとつておられるのか。少くともこういう法案の裏には、そういう根本的なお考えがあるのかどうかという点をお答え願いたい。
#23
○久下政府委員 この制度なり、あるいは奨励交付金制度によりまして、全般的なレベル・アップを考えているということは、必ずしも目的を達し得るとは思つておりません。若干の役には立とうと思います。私も実は、確かに御指摘のように、全国の健康保険事業個々に申しますと、必ずしも同じような調子で仕事がされておらないと思います。むしろ逆に申しますと、非常に事業の内容に差異のあることを承知いたしております。しかしながら、現在はなはだ申訳ないのでありますけれども、その点につきまして、保険者の個個の事情につきまして、必ずしも正確な資料を持つておりません。現在実はそうした御指摘のような点を的確に把握いたしまして、これを全般的にレベル・アップして行くような措置をとりたいと思いまして、その資料を調査中でございますが、そういうことによりまして、さらにもつと根本的にかような点を考慮して参りたいと思つております。
#24
○岡(良)委員 とにかく日本も独立をすると、消費財を大量に外国から買い込むよりも、国内で自給をはかつて行くということが、重要な経済自立の條件になつて来ることは言うまでもない。そうすると、主として食糧の増産にいそしむ農民を対象とし、しかも農村生産の原動力である健康を病気から守ろうとするこの国保について、これは当然今日の国保のあり方から見て、さらに改善をすべきものは急速に改善をしつつ、できるだけ多くの農民を被保険者として、そうしてその健康を病気からかばつてやるということは、これは厚生省の大きな仕事だと思います。それにつきましてお伺いしたいことは、一体現在、これまで昭和十三年から十数年間、多少の中断はあつたといたしましても、国民健康保険としての歴史があり、実績があるわけですが、この国保の、特にまた戦後の運営の実情、特に財政収支の実情から見られて、こういう再建整備資金の貸付とか、あるいは振興奨励という名目によるわずかな一般会計からの繰入れによつて、はたして国保というものがわれわれの期待するような、大きな範囲の農民を中心とする国民層をかかえて、健全な運営を財政的に果し得るかどうか、この点についてのこれまでの保険局、あるいは厚生省としての立場からごらんになつた実情からの帰結としての御意見をひとつ承りたい。
#25
○久下政府委員 先ほどもちよつと申上げたつもりでありますが、本制度なりあるいは奨励金の制度、この程度のものをもつて、根本的に国民健康保険事業が完全に再建整備されるというほどには、考えておらないのでございます。国民健康保険事業が、今日のように非常に窮迫な状態に全般的に陷つておりますことにつきましては、経済上の事情もありましようし、あるいは国民全般のこの事業に対する認識の不十分というような面もありましようし、あるいは関係者あ御努力の足りない面もありましようが、いずれにいたしましても、いろいろな原因がここに介在しておるものと考えておるのであります。そういう意味におきまして、私どもとしましては、今後の問題といたしましては、この程度の措置に満足することなく、またこの措置それ自身につきましても、今後大いに努力をいたして、予算の額も増すようにいたしたいと思いまするし、またその地の面につきましても、先ほどちよつと申し上げたような調査資料が集まりましたならば、さらにまた研究を加えて、もつと抜本的な対策を検討して行かなければならないというふうに思つている次第でございます。
#26
○岡(良)委員 最後にお伺いいたしておきたいのですが、大体お考え、お気持はわかりました。そこで問題は、たとえば国保の現在の経営において、一般会計から繰入れているところもある。これは明らかに、赤字をあとから補填する場合、あるいは事前に市町村の一般会計の予算を組んで繰入れておりましても、主としてこれは医療費の地方公共団体負担を実施しておることにすぎないと思うのです。それからまた今度の貸付法案にいたしましても、実質的には、やはりこれは医療給付費の国庫負担―、名前はどうであろうとも、実質的には要するに医療給付費を国が負担しておるということになるので、問題は貸付であるとか振興奨励とかいうような名目ではなく、やはり医療費は―もちろん国保の個々の経営の巧拙もあつて、悪平等は絶対に避くべきであるとは思いますが、しかしやはり原則として医療給付費の国庫負担、こういうことを厚生省としてはこれまでの予算省議においても決定せられておるように聞いておりますが、今後においても、健保、国保の財政の大きなバッツ・ボーンは給付費の国庫負担の実現以外にはない、こういうふうに思つておられるかどうかという点を、最後にお伺いしておきたいと思うのであります。
#27
○久下政府委員 厚生省に関します限りは、私どもは、お話の通りに考えておるものでございます。
#28
○金子委員 今度のこの貸付法案が出されなければならないような今の国保の状態に対して、私は非常に遺憾に思うものであります。そこで先ほど岡委員の質疑に対して、局長は、国保が現在のような弱体になつておる理由に対して、国保の意義が徹底していないとか、あるいは指導者の熱意が足りない場合もあろうし、いろいろな事情があるというような御答弁をなさつておるのでありますが、私はこの国保問題を考えるときに、常に申し上げておるのでありますが、現在日本で行われております社会保険のうち、国保の問題だけを取上げてみましても、この国保に加入しなければならないというか、し得るような国民層というものに対し一て、この国保の制度そのものが、ほかの保険に対するより非常に低い地位に置かれておる。問題はそれが一番の原因なんでありまして、かりにほかの共済にいたしましても、あるいは健保にいたしましても、船員保険にいたしましても、もしそれらの国民層に、国保と同じ條件で保険をつくらせる、運営させるということに仮定いたすならば、それらの保険も、国保ないしはそれ以下の状態になるのだ、こういうふうに考えた場合に、この問題はこういうふうにして今再建整備をしなければならないということになつた原因のうち、先ほど局長がいろいろ原因があると申しますけれども、その一番大きなウエートを占めるものは、制度的な一つのしわ寄せというふうに考えておりますが、局長は、その点に対してどういうふうに考えられますか。
#29
○久下政府委員 お尋ねがしごく抽象的でございまして、あるいは私自身誤解をしておるかもしれないのでございますが、結論的に申しますと、大体お話のようになると考えておる次第であります。ただ他の社会保険は、私から申し上げるまでもなく、いわゆる被用者の、使用主に使われておる者の保険でございますが、国民健康保険は、いわゆる自営業者と申しますか、使用者のない者の保険でございますので、この辺のところが、制度そのものの根本的な性格として、ある程度におきましては、やむを得ざるものもあろうかと存じます。またそれが、同時に結果から見まして、国民健康保険事業が、他の事業に比しまして不振である原因の一部にもなつているというふうに、私考えておるのであります。これはちよつとお尋ねの点とはずれまして、はなはだ恐縮でございましたけれども、私としては結論的にはそういうような意味合いにおきまして、国民健康保険が他の制度とは異なる取扱いをある意味では受けざるを得ないような状況でもあるのではないかというふうにも思つている次第であります。
#30
○金子委員 局長のその非常に視野の狭い御意見は、幾度か伺つておるのであります。国民層というものをわけて、これは使われておる国民だとか、あれは国家が使つておる国民だ、だからこういうふうな制度になるのだということは、それは現行の制度の上に立つたときには、そういうことが言えるのでありますが、しかしながら、国民一人一人の職業を越えた、たとえば国民の各階層におけるところの所得に対して、いわゆる医療保険に対する恩典という立場から行くならば、それがよしんばサラリー・マンであろうが、あるいは企業体であろうが、その社会層の生活水準がどこにあるか、絶対収入がどこにあるか、それに対して医療費に対する負担はどういう結果になつて来るか、そういつた場合に、そういうふうな職業が違うから制度が違うのはあたりまえだというのは、現行の話である。もつと根本的に掘下げてみれば、職業が相違したならば相違したように、たとえば、今共済は国家が半分出しておる、あるいは健保は雇用者が半分の負担をしておるということになりましても、もつと厳正に申しますならば、雇用者が負担しておるというけれども、それは一応の制度の話でありまして、実際上は雇用者は負担しておらないのであります。なぜならば、これは雇用者自体のポケツト・マネーから出しておる人はありません、それは会社のりつぱな損失勘定になつておるのでありまして、そういうもつと本質的な立場から言つたときに―それならば、農民はあなたは企業として見るかどうか。企業として見られないと私は断定する。日本の農業が企業として成り立つかどうか。成り立たない。あれは運命的な一つの立場においてやつているだけであります。それを農民は企場業者であり労働者だ、二重人格を持つのだということは、りくとしてはそういうことも言えますけれども、実質的には、日本の農業は企業として成り立ち得る経済的の価値があるかどうか、これはないのであります。そういうふうな国民の実態というものを考えてものの判断をすべきものであつて、ただ形が雇われておる形になつておるとか、そうでないとかいうことによつて考えを、決定すべきしやない。そういうふうな根本的な広い視野から言つたならば、国民健康保険に所属するところの国民層というものが、この保険制度そのものの弱さからこういうことが出来ているということに対して、あなたは御了解願えるかどうか、こういうことなのであります。
#31
○久下政府委員 私が申し上げました意味は、国民健康保険の対象になつておる一般の国民と、被用者の身分を持つております他の社会保険制度の対象者とは、やはり被用者であるかないかということによつて、現在の制度が違つておることを申し上げたのであります。金子先生のお話は、農民といえども同じく国民であるから、その間に差別をつけることは妥当でないというような立場に立つてのお話のようでございます。私もその点は、一面から申しますとそういうことが言えると思うのでありますけれども、これに対して私が申し上げますと、確かに現在の制度は、そうした被用者であるかないかということによりまして、保険制度に大きな差をつけております。この点を適当でないのではないかというふうな御意見であれば、あるいはそうであるかもしれぬと思います。ただしかしながら、この点私どもといたしましても、折に触れていろいろ議論をしておる点でもございますし、また社会保障制度審議会あたりの勧告の線を見ましても、一応その点は将来の問題としてもやむを得ないのではないか。一般国民保険と、いわゆる被用者保険とは、区別して考うべきであるというような意味の勧告もなされておるわけでございまして、保険制度の運営の根本的な考え方からいたしまして、私の方としては、同じ国民ではありますけれども、そうしたある意味での差別のつきますことは、どうもやむを得ないのではないだろうかというふうに考える次第でございます。
#32
○金子委員 その御答弁を聞いて、はなはだ遺憾であります。またそういうふうな局長の考え方だから、いつになつても国保というものは浮ぶ瀬がない。これは一番政治力の弱い階層である。しかもあなたは、社会保障制度審議会の意見も、被用者と一般国民とをわけることはやむを得ないじやないかというような結論が出ていると言う。てれは事実であります。だから、私は、かつて社会保障制度審議会の前の会長の当時、会長以下四、五人の方々をお招きしまして、まず、あなた方は日本の農民というものを企業者とみなすのか、あるいは労働者という見解をとつておるのか、あの差別をつけるに対して、どちらの基本的観念でやつておるのか、学問的に言うのではない、経済的な地位からどう考えるかと言うと、それに対しては答えられませんと割切つていない。もし企業者であるという見解で行くならば、その実例を示して納得させてくれと言つたら、そういうことはできませんということを言つておる。それ自体、あの社会保障制度審議会の会長ですらその点を割切つておらないのであります。でありますから、この割切つておらない人たちの結論をもつて、すぐ審議会の意見もこうだということは、私は納得できない。でありますから、国家が社会保障制度を確立するという、あるいは憲法に保障するというような段階になつた今日、あくまで国家が社会保障の形なり、あるいは国家保障の形なりにおいて国民保険というものを取上げるならば、これはあくまで機会均等の形でなければいけないと確信すべきだ。私は常にこういう信念を持つておるのでありますが、それにもかかわらず、局長その他が、今の制度がこうだからといつて、その制度のわくの中で一つ一つどうしようかというふうな見解に立つておつて、しかも被用者保険の方は毎回国会でその引伸ばしをしておるではありませんか。今年もその一つの法律改正を船員保険法でやつたように、年々被用者保険の方だけは、甲に比べて乙が不つり合いだからこれを上げよう、乙に比べて丙が不つり合いになつたからこれを上げよう、こういうふうな有利な條件に伸びて参つた。ひとり一般国民層に課せられるところの国保の問題だけは置去りになつて、そうして去年から国会で二回も決議をして、そしてやつと本年度四億というような数字がここに上つて参つたのであります。この点につきましては、この国保問題についてはこれ以上申し上げませんから、ぜひとも局長は今の制度というものを金科五條のような考え方でなく、もう一歩憲法の本義に基いて、国民の機会均等の立場に立つて、保険制度をどうするかというふうな点についても十分お考え願いたいと思います。
 それから第二番の問題といたしまして、この法律をこういうふうな形で持つて来たのでありますが、私はこの法律は、四億というような大蔵省の予算を、あなたの方でどういうふうにしたらばうまく割振れるかというふうな形において、金額の上から法律を作文したとしか見えないのでありまして、またそういうふうに非常なきゆうくつな金額の上に、一応りくつを立てて法律をつくられることには、非常に御苦労なさつたことと想像するのであります。その点は私はよくもこういうふうに苦労して、こればかりの金額をどうしてわけようかと、りつぱな法律をつくつたものだと感心しておるのであります。そこでこの問題は、今度の法律を施行するにあたりまして、各県ごとでもよろしゆうございますが、これらの再建組合に対して、一つのまとめた指導機関というわけではありませんけれども、県が中心になつて、指導対象というものを一つのグループにいたしまして、たとえば、これは一つ例でありますが、協同組合の再建整備に対しては、各県の再建を要する組合を一つにまとめておるのであります。そして指導をやつておるのであります。そういうふうな形でこの問題を持つて行く意思はないか。そういうことによつて、お互いに切磋琢磨もできましようし、また指導も万全を期せるのじやないか。またもう一つは、そういうことによつて、今度の不必要なというか、申訳的につくつた法律のどこに抜けがあるか、どこに要望があるかというこの法律改正の重要な一つの参考資料が出て来はしないか、こう考えますので、そういうふうな指導の仕方をする意思はないかということをお尋ねいたします。
#33
○久下政府委員 御質問ではございませんでしたが、まず最初の点でありますが、私の申し上げましたことが、不十分でありましたので、補足させていただきたいと思います。私は被用者保険と国民健康保険とは、制度的に区別せざるを得ないということを申し上げたのでありますが、それだからといつて、国民健康保険を今日の状態でほうつておいてよいという意味で申し上げておるのではないのであります。はなはだ不十分ではございますけれども、再建整備の貸付金でありますとか、あるいは奨励交付金でありますとか、わずかな金額でありましても、他の社会保険には見られないような一つの新しい行き方が、皆様の御援助によりまして予算化せられましたことは、私はやはりその点は意義があるのではないか。そういう線を、さらにさつき申し上げましたように、伸ばしまして、国民健康保険の特殊性、あるいは弱さに対応する策を今後大いにとつて行くべきものであるというふうに考えておりますことだけを、つけ加えさせていただきたいと思います。
 それから再建組合の指導でございますが、大体において御趣旨ごもつともだと思つております。私どもの方といたしましても、各国民健康保険の保険者、いろいろ種類がございますので、それらを種類ごとにわけまして、御指摘のように、何ゆえに今日のような状態になつたかということも検討いたしますし、そうした話合いをして、手を握つて、あるいは協力して、再建していただくように指導して参りたいと思つております。
#34
○金子委員 この法律の中で、七〇%という一つの基準をとるときに、市町村の一般会計から保険会計に繰入れた金額を包含して七〇%ということを法律にうたつてあるのでありますが、この点は、この法律を一つでもより有効に適用するという意味からいうと、非常にその収入まで増せるということは、いい結果になるということが、あなたの方の思いやりだと思いますが、しかしそうだからといつて、この町村繰入金が、国保に対する一般收入であることが望ましいか、あるいは、あつても当然だというふうな考え方を持つことは違うと思うのでありますが、この点はどういうふうに考えますか。
#35
○久下政府委員 一般会計の繰入金は、大いに宣伝をし奨励をするという性質のものではないかもしれぬのですが、そうかといつて、こういうことをやつてもらつております市町村が、現実においてあります。これは私どもとしては、むしろ感謝の気持を持つて迎えておるものであります。町村の一般財政からかような措置ができまするところにおきましては、やつてもらいますことが、私どもとしては国民健康保険事業に対する市町村それ自身の認識の深さを示すものといたしまして、そういう意味合いにおいて迎えたいと考える次第でございます。
#36
○金子委員 これは一般会計から繰入れることが当然だとも思わないし、またそうすべきだとは言わないが、そういうふうなことが望ましいというような意味のことでありましたけれども、しかし、これはもう一応保険当局はお考え願いたいのであります。これも先ほど申し上げた国保に加入されておる人たちの医療條件が、ほかの保険に比べて非常に優位にあるとか、あるいは負担が非常に軽くなるということであるなら、それは別といたしまして、その点からいつても、非常に劣つておるのであります。その劣つておるところの医療ですら赤字になる、そうして町村の財政から繰入れなければ保険が成り立たない。こういうことは、言いかえれば、保険の域から一歩脱して、町村保障の性格に追い込んでおるのであります。町村が村民の健康を保障するという性格に、財政的に移行しておるのであります。そういう点を考えるならば、今の国の財政全体から行くならば、国民に対して健康の保障をするというようなことは、経済的、予算的にこれが許されない。従つて各種の保険の形において、それに国家が一部これを補助いたしまして、今日の保険行政をやつておるのでありますから、それならば、国でさえ保障的な性格を持つて日本の健康保険というものかできないならば、なお貧弱な町村に保障的な性格で仕事をやらせるということはできないはずだ、こういうふうに、私はそこに非常な理論的な矛盾があると思うのでありますが、それに対する見解はどうですか。
#37
○久下政府委員 国民健康保険の根本的な考え方は、私から申すまでもなく、法律の第一條に書いてありますように、相互扶助の精神でございますので、そういう意味合いから、金子先生のおつしやつているように、町村の医療保障というような線にまで進むことは思わしくないと、私も考えておるものであります。しかしながら、先ほども申し上げましたように、国民健康保険事業そのものが相当危殆に瀕しておりますので、市町村自身としても、これに何らか寄與をしようという気持の現われそれ自身は、必ずしも非難すべきものではなく、むしろ感謝すべきものだという意味で申し上げたのであります。市町村がそうやつているのに国ができないのは、その問題につきましては政府全体の問題でございまして、私どもとしては、昨年の委員会及び衆議院における決議の線に沿いまして、国家それ自身の保障という意味でございましようか、いずれにいたしましても、国民健康保険の事業に対して一部の国庫負担をするようにという強い要求をいたしたのでございますが、政府全体の財政上の事由から形をかえまして、この法律案のような形になつて現われて参りましたことそれ自身は、厚生省だけの考え方をもつてすれば、必ずしも十分な方法ではないと思つております。しかしまた、形こそかわりましたけれども、実質的には、しかもまたはなはだ不十分でありますけれども、御趣旨の点に即応する一つの財政的な措置でもあるというふうにも、ひとつ御了承を願いたいと思います。
#38
○金子委員 最後に申し上げますが、この国保問題につきましては、なお今国保の小委員会におきまして、いろいろ検討中でありますので、またこの小委員会の結論がどう出ますか、その結果はまた本委員会において決議され、ときによつてはまた本会議に対しても、一つの決議もなされることも予想されるのでありますが、とにもかくにも、局長のただいまの説明を聞いておりますと―、單に局長だけではありませんが、とにかく役人というものは、一つのセクシヨンの中にすわつておりますので、それを脱却しろということは非常に無理でありますけれども、この重要な社会保険の問題につきましても、常に一つの職場であるとか、職業の性質だとか、そういうような狭い自然発生的にできましたところの法律の上にとどまつて、そのわくの中でちんばの点をどうしようかというその技術的な面だけに汲々といたしておるのであります。ほんとうに保険局とするならば保険全体の立場というものをもつとこの際根本的に掘り下げて再検討する時期が来ていると私は思うのでありますが、そういう意味におきまして今後私は御努力を願いたいということをお願いするわけであります。それで保險局自体が、あなた自体が、これは被用者だから、これは何だからという今までの制度のあり方そのものを頭できちんとコンクリートのように固めておいて、あの一般国民も救つてやろうかというような気持では、この問題はとうてい解決できないと思う。要するに、どういう職業階層にある人たちも、その人たちがおのおの国家再建のために重要な役割を果しておるのだ、だからして、その職場の立場がどういうものであろうと、その人たちの生活費に対する医療費の占める分量というものはそう大きな分量になるわけではない。それが制度の違いによつて、一方は十の恵みが受けられる、一方は五の恵みしか受けられないということではほんとうではない。こういう観点に立つならば、今の各種の保険法というものは、決してあれは憲法ではないのであります、いつでもかわると思います。だからして、そういう点において相当革新的な考え方を持つて、この社会保険に対して国民機会均等の立場において、国費がないならばみんなでがまんして骨折る。あるならば同じように恵まれて行く、この線を保険行政の上にも堅持して行きたい。こういうことを理想として、一日も早くそれに近づくように努力していただきたいことを最後にお願いしまして、私の質問を終ります。
#39
○苅田委員 今までの各委員の質疑に対する保険局長の答弁は、きわめていいかげんな、不十分な、通り一ぺんのものであつて私としては納得できないものであります。この点につきましては、小委員会で私もしばしば質疑を繰返しておるのでありまして、今日これ以上この点を追究することは、むだであると思いますので、別に意見を述べられる機会に譲ることといたしまして、ただ一、二の点だけ、この機会にさらに質問を加えておきたいと思います。
 それは、この国保の不振な状態に対しまして、社会保障制度審議会が、国費をもつてこれを補助するようにという二度の勧告や、厚生委員会で自由党をも含めての決議というものは、これは單に現在日本の国で行われている国民康健保險というものが、その名に値しない、国民の中のごく一部に限られており、しかもそれすらが国民の経済力の非常な低さから破綻に瀕しておる、これをほんとうに国民健康保険の名に値するような普及をさせて、またせつかく発足しておるところの、しかも次々に破滅しておるところのこの国民健康保険を、もう一ぺん再建するという趣旨に出た勧告と、私どもは思つておるわけでありますが、これに対しまして、保険局長はどういう受取り方をしておられるかということを、ひとつ聞きたいと思うのです。
#40
○久下政府委員 保険局といたしまして、あるいは厚生省といたしましては、御決議の趣旨あるいは社会保障制度審議会の第二次の勧告の御趣旨は、ただいま苅田委員のおつしやつた通りに理解をしておるつもりでございます。またその線に沿いまして、予算折衝もいたしたのでございますけれども、政府全体の財政上の事由によりまして、その趣旨が本年度におきまして実現をせられなかつたというような事情を御了承願いたいと思います。
#41
○苅田委員 そういたしますと、保険局長みずから、今回の措置は社会保障制度審議会の勧告や、当委員会の決議に対しても、きわめて不十分なものであるということを了承なさるというふうに解釈いたしまして、さしつかえないと思いますが、それでもよろしいですか。
#42
○久下政府委員 私が先ほど申し上げましたところは、御勧告の趣旨をそういうふうに受取り、その努力をいたしたということを申し上げたのでありまして、その努力をいたしましたけれども、政府部内いろいろと折衝いたしました結果、財政上の理由として、政府といたしましては、本年度はこの程度をもつて満足せざるを得なかつた、やむを得ずこういうところへおちつかざるを得なかつたというふうになつたのでございまして、政府の一員といたしましては、結局ここに至りますまでの筋道はございましたけれども、結果におきましてこういう措置以上のことはとれませんことを、はなはだ遺憾に思つている次第でございます。
#43
○苅田委員 それでは、その点についてもう一ぺんだけお伺いいたしますが、今回のこの四億円の再建整備費あるいは同額の奨励費というものでもつて、今日日本のごく一部に限られているところの国民健康保険を、ほんとうに全国民の保険にし、かつ現在非常な不振の状態にあり、次々と破綻を来しているところの国民健康保険の現在の情勢を改善、再建さすことが、今の措置でできるというようにお考えになつているわけなんですか。その点をもう少し、今言つた私の質問の逆の質問なんですが、御答弁願いたいと思います。
#44
○久下政府委員 先ほど来他の委員の方々のお話にもございましたように、この貸付法案にいたしましても、あるいはもう一方の奨励金の制度にいたしましても、一定の資格要件をつけておりまして、資格に該当いたさないものは、あるいは貸付金を受取ることができない、あるいは奨励金をもらうことができないというようなことに相なりますので、それに該当いたしませんものにつきましては、依然として問題は残り、再建整備が困難であるといわざるを得ないのでございます。ただしかしながら、この條件に該当いたします約八割の保険者につきましては、私どもは、まず第一には、この制度で御了承いただいておりますように、貸付金と同額が未払い診療報酬の支払いに充てられますので、三年間たちますれば、昭和二十六年度末にありました未収の保險料の赤字は、これで解消をすると考えているのでございます。その後の二十七年度以降に生ずべき赤字につきましては、この制度は問題にいたしておりませんので、この点につきましては、この制度自身は、間接のねらいとして、先ほど来申し上げておりますように、保険料徴収成績が逐次向上して行くことを條件として運用せられる関係もありますので、そうすることによつて、間接的に昭和二十七年度以降は赤字が出ても大したことなく、また長い目をもつて見ますれば、将来漸次好転をして行くのではないかと思うのであります。的確な年度等を限定して申し上げるだけの自信もございませんけれども、こうした制度を今申し上げたような精神で運用して参りますならば、二十六年度末に存した赤字がなくなるのみならず、将来生ずべき赤字も漸次解消を見て行く、そうして再建整備の方向に進み得るものであるというふうに向いているものと思います。
#45
○苅田委員 今回再建整備資金貸付の対象にならないところの全国約二割の国民健康保険の組合に対しまして、政府はこれがことごとく理事者に熱意がなくて、不当な條件をもつて経営していると、こういう断定をされるのでありますかどうか、この点をお答え願います。
#46
○久下政府委員 必ずしもさように断定はいたしておりません。いくら努力をいたしましても、あるいはいろいろな事情から、他の事情によりましてうまく行かないというようなこともあると思つております。
#47
○苅田委員 そういう人たちは、おそらく今度の国民健康保険の再建に対する政府の補助というものを期待いたしまして、従来の赤字を幾分でも軽くして再建したいという強い望みを持つていたに違いないと思うのであります。しかし、そういうのが、一様に七〇%の徴収料の未納というわくの中に入りまして、政府の補助が與えられないということになつているのでありますが、これはどのように措置をなさるおつもりか、この点をお伺いいたした思いといます。
#48
○久下政府委員 再建整備資金の貸付制度の問題といたしましては、私どもは、実は将来の問題として、その点さらに検討してみたいと思つているのであります。少くとも本制度を御可決いただきましたならば、これを運用してみまして、その成績等も勘案をし、将来の問題として考えてみたいと思つております。ただ、一方の奨励交付金の増額の四億円からの金でありますが、この方は、一応財務当局との話合いでは、今後同様のことを五箇年くらい継続してやりたいということになつております。これはこの貸付制度ほど、今の話合いではむずかしい條件になつておりません。前年度の徴収成績、保険料の徴収割合が七〇%であるほか、若干似通つたような條件はつけるように考えてはおりますけれども、この方は、従つて二十六年度の成績が悪くて今年度もらえませんでも、今年度徴収に努力すれば、来年度はもらえるというようなことも考えておりますので、貸付制度と相まつて、はなはだ効果が上ると思うのでありますが、奨励金だけの対象となつて来るものは、また別に現われて来るというふうにも考えているわけであります。その辺は両制度相まちまして、さらにまた金額あるいは條件等につきまして、今後の問題として一層努力をしてみたいと思つているよう次第であります。
#49
○苅田委員 多くの農村等で、国民健康保険をこういう無残な状態にしたところの原因は、今日の社会では加重こそすれ、取除かれていないのでありまして、そういう中で来年度の成績をまた目当にして政府のそういう貸付をやるというようなことであれば、今年は税金の取立てに加重いたしまして、健康保険の苛酷な取立てが行われるというようなこともあらかじめ予想され、またすでにその端緒も見えているのでありますが、政府はこういうことも適当であるというように、やはりそういう処置をしなければいけないというような御意向であるかどうか、この点も聞きたいのであります。
#50
○久下政府委員 この制度の恩典に浴さんがために苛酷な取立てをするということを、私ども考えているのでは、ございません。それは本末転倒でございまして、十分なる被保険者の理解によりまして、私どもは健康保険の健全な発達ができるように、関係者の努力を望んでいるような次第でございます。
#51
○苅田委員 これは厚生当局が望むと望まざるとにかかわらず、そういつた赤字を押しつけたこの不振の原因は、厚生当局も認めているように、單に運営が悪いとか、あるいは理事者が不熱心だとかいうことでないことはわかつているのですから、やはりどうしても生き返そうと努力をするとすれば、その方面に集中されなければならぬということになることは明白なんです。そういう点につきまして、厚生省が望まないと言つても、結局事実としてそういう現実が起つて来ることは、やはり防ぎ得ないと思うのです。そういう点を考慮いたしまして、やはりこれは必要な予算をこの程度にしか出さなかつたというところに、結局問題があるのであつて、こういう点では、とうていこれは健全な運営ということ、それから目的に沿つたところのこの実現ということは、私は不可能だと思うのです。これは意見にわたりますから、その点はさらに申し上げません。
 次に、もう一つは、この第三條で、厚生大臣が認めるというだけで、適宜にこの範囲を拡大して行くということは、この間にボス勢力の暗躍を許す結果なりはしないかと思うのでありますが、もう少し正確にその條項を規定するということを厚生当局は考えておられないかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
#52
○久下政府委員 三條但書の運用につきましては、実はできますならば、確かにお話のように、法律の中に限定的に書くのがほんとうかとも思います。ただ但書に該当いたしますような具体的な事例、あるいはまたその程度などにつきましては、必ずしも法律で限定的に書くわけにも参らぬものもございますので、私どもといたしましては、本法律案が御可決になりました後におきまして、財政当局などとも話合いをしました上で、まず一般的、客観的にこの但書の運用をいたすべき場合はしかじかのものであるということを、ある程度のことはきめましてそれを地方庁に流しまして、その該当しそうな被保険者からは事情を書いて申請をしてもらいます。その具体的な事情を見た上で、さらに決定をして行くというような一般的な、できるだけ合理的な措置をとりたいと思います。いわゆる一方に偏するようなことのないように、あらかじめ條件を検討いたしまして、さらに細部の点につきましては、今申したような申請に基いて再検討をして行くという程度の処置はとつてみたいと思います。
#53
○苅田委員 その点について、希望を申しておきますが、さらにこのあり得る場合を予想されますれば、できるだけ詳細な施行細則のようなものをおつくりになつて、その点を一応この委員会にも御提出を願いたい。そうしないで、一方的な大臣の裁量というような形でこういうふうなことを許して、せつかく出たわずかな金が適当に措置されないというようなことがないように、ひとつやつていただきたいということを希望しておきます。
#54
○大石委員長 他に本案について御質疑はございませんか。―他に御質疑もないようでありますから、本案の質疑を終了することに決しまして御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○大石委員長 さように決しました。
  本日はこれで散会いたします。
    午後四時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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