くにさくロゴ
1947/03/25 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 図書館運営委員会 第8号
姉妹サイト
 
1947/03/25 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 図書館運営委員会 第8号

#1
第002回国会 図書館運営委員会 第8号
昭和二十三年三月二十五日(木曜日)
    午前十一時五分開議
 出席委員
   委員長 中村 嘉壽君
   理事 石井 繁丸君
      山口 靜江君    井上 知治君
      松田 正一君    多田  勇君
      豊澤 豊雄君
 出席政府委員
        大藏事務官   河野 一之君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國立國会図書館の予算に関する件
 國立國会図書館副館長の任命に関する件
    ―――――――――――――
#2
○中村委員長 これから会議を開きます。
 本日御相談申し上げたいと思いますことは、副館長の問題についてであります。ここの館長が政治活動を禁止されておることは、法律第四條第二項に明瞭になつております。それから第九條におきましては、副館長が館長を代行する規定があるのでありますが、これは館長と同じ資格及び要素をもたなくちやならぬと思つております。その上ながら、ここに書いておるように、館員はすべて政治活動を許さないということになつております。よつてわれわれは副館長の選任については、最も注意を拂わなければならぬと思つておつたような次第であります。しかるにさきに副館長が推薦されておるということを承知しておるのでありますが、この副館長を推薦された経路につきましては、いろいろ聞くところがありますけれども、ここに発表することは差控えます。そのためにわれわれは副館長の人となりについて、いろいろな手を経て研究調査いたしたのであります。その調査の資料につきましては、皆さん方のお手もとに差上げてありますから、ここに私が繰返す必要はないと存じますが、單にこういう理由のみならず、図書館長が專門家でないために、特に副館長は図書に関する永す閲歴と体驗をもつた人でなければならぬと考えております。今推薦されておる副館長候補者は中井正一という方であります。中井正一氏の閲歴につきましては、お手もとに差上げてある材料によつて御承知の通りであります。そのうちに尾道に図書館長を一年半ばかりやつておられるようでありますが、もし図書館人として人選をするならば、この人よりもはるかにわが日本國内において知られ、経驗をもつた人がたくさんあるのでありますから、この人を十分な経驗家、專門家として迎えるには、あまりにその閲歴は貧弱なものであると私は考えております。のみならず諸種の点から見まして、私どもはこの人を適任だと思つておりません。これを推薦した方面に対しましては、なるべくみずからこの提議を控えてもらいたいということを考えたのであります。巷間この中井君をば條件附で推薦したのかというようなことが傳えられておりましたので、二月二十四日の本会議において、圓谷光衞君から議長に対して質問なさつたのであります。副館長に特定の人を推薦することを條件としたかということを質問されましたところが、さようなことはないということを明瞭に答えておられます。けれども、裏面においては何かそういうふうなことがあるというので、推薦者に対してしばしば御注意も申し上げてあるのであります。そのために、なるべくそういう論議をせないようにというので、今日まで待つておつたのでありますが、万やむを得なければ、両院の議長御出席の上、両院の合同委員会においてこの問題を論議しようということに、二月二十七日の委員会において決議しておるのでありまするが、不幸にして松平参議院議長が今御病氣中でありまして、まだ登院なされない実情にあります。しかしながら図書館はすでに発足しておりますし、この上ながら副館長の任命を遅らせることは好ましからざることと考えておりますので、なるべくこの問題を迅速に解決しなければならぬはめに相なつているところから、本日はわが衆議院の委員会だけにおいてこれに対する意思を発表し、そして皆さん方の御同意を得て、中井氏はお氣の毒ながら、りつぱな人でありましようが、この図書館の副館長としては不適当であるということをわれわれは決議したいと、こう考えているような次第であります。どうかこれに御賛成を願いたいと思います。かねてからお話合いの上御同意くださつたと思つておりますが、さらにここで決議をしておきたいと思います。ただし副館長は至急に任命しなければなりませんが、その候補者をわれわれが今もつているわけではありません。いろいろ個々には考えておりますが、まだ決定していないのであります。中井君は参議院の方から推薦されたのでありますが、われわれは決して参議院が推薦しようが、どこが推薦しようが、適任者であるならば、その人を受け入れることにやぶさかなるものではありません。ほかに適当な人を参議院の方から御推薦に相なるならば、その人が適任であれば、もちろんわれわれは苦情を言うべき理由はないのであります。この國会図書館は、さきにもしばしば申し上げました通りに、日本の文化國家建設について、あるいは日本のあらゆる方面の革新をはかるについて、きわめて有効なる働きをしなければならぬというところから、人事において特に注意を拂つている次第であります。皆さん方ま人につきましてお考えづきのある人がありましたならば、御推薦を願いたいのであります。特に参議院の方にはこの事情をよく明らかにして、参議院の方から御推薦してくださる人が適任であれば、まことに仕合せだと思つております。副館長の任命は、もとより館長に一任されているわけですから、われわれがこれにかれこれ言う筋合のものではありませんが、不適任である人は、何人が推薦いたしましても、わが議会はこれに不同意を唱えることは当然のことだと私どもは信ずるのであります。
#3
○石井委員 中井正一氏の副館長の問題について、参議院の方面では極力推薦しておる。これに対していろいろ衆議院の方においても資料を調査しまして考慮の余地があるのでなかろうか、かような研究の結果になつたのでありますが、日本この問題について衆議院の図書館運営委員会において副館長として不適任なものであると決議するという委員長のただいまの提案趣旨の説明でございます。御承知の通り國会図書館副館長は、第九條によつて「館長が両議院の議長の承認を得てこれを任免する。」かようなことになつているのでありまして、本來、運営委員会がこれにいろいろと発言することは、不穏当ではなかろうかと思うのであります。しかしこの委員会がいろいろと両院議長並びに館長に委員会の意見を申し上げ、善処を願うということは、これは妥当のことであろうと思う。かようなことでありまして、本人の一身上にも將來関係のあることであるし、かつまたその決議というものは実質上において非常に効果をもつことでもありまするから、決議をするということでなく、一應いろいろな資料を得ましたので、これらを両院の議長に参考に供しまして、そうしてまた、これについては参議院の図書館運営委員会等においていろいろと意見があろう。それらについてもまたこれらの参考資料の御研究を願つて善処を願う。かような点に止めておくのが、妥当ではなかろうかと考えるのでありますが、意見として申し上げる次第であります。
#4
○中村委員長 ただいま石井君のお考えを伺いましたが、私どもも、まつたく石井君と同様な考えをもつて、実は今日まで進んでおりましたが、松平議長にも資料は提出いたしてありまするし、ほかの参議院の委員の方にも個々にお話をしたのであります。参議院の委員の中にも、この事情を知つて驚いておられる方々もあるのでありますが、参議院全体の意思とは私は認めないと思つております。ただそういう行きがかりになつているからということのようでありまするし、松平議長はまだ納得をされないようなところがあります。中野寅吉君、圓谷君あたりにもいろいろお話をしてもらつておりますが、なかなか御意思が固いようなんであります。お話をただ談笑の間にするということではめんどうであるし、のみならず、松平さんの御出席がしばらくひまがとれそうに思うのであります。この際決議にしておいて防禦するよりほかに途がないというところから、かような決議が出たのでありますから、どうか御賛成を願いたい。
#5
○石井委員 ちよつと速記を止めてください。
#6
○中村委員長 それでは速記を止めてください。
    〔速記中止〕
#7
○中村委員長 それでは、大藏省の政府委員が見えましたから、ただいまの問題は一時後回しにして國立國会図書館の予算の問題に移りたいと思います。本日大藏省の方になおさらに念を押してお聽きいたしたいことはわれわれが聞きますと、國会図書館の方から今予算を出してあり、人員についても約七百名のものを出しておるのを、半分くらいに査定しようという御計画があるということです。それでそういうようなことはどんな観点からやられるかということを伺いたいと思つております。この図書館は先ほどすでに申し上げました通りに、ずいぶん節約もしていかなければならないし、整理の元締になるというようなことから、できるだけ館員数は縮めるが、その代りにこの人々は能率を十分に上げなければならぬというような方法でいこうと考えておるのであります。のみならず、從來の予算の使い方は、ややもいたしますと、われわれが聞くところによれば、各省とも予算の余りはどうかしてこれを使つてしまおうというようなふうな習慣があるということでありますが、わが國会図書館におきましては、万一過剩の予算があるならばその予算は國庫に返すというくらいのことを嚴密にやつていきたいというような考えをもつておるのであります。今要求しております人員は、決して不必要なものを要求しておるのではないのでありますから、この点についても十分御考慮を願いたい。ただ天引に半分にするというようなふうのことでなしに、お考えを願いたいと思います。但し本館は除々に人を必要といたしますから、一時に七百名の者を入れなければならぬということは毛頭考えておりません。必要に應じて殖やしていくということにしたいと思いますので、この点を特に力説して、今度要求する予算に対しては特別の御考慮を願いたい、こういうのが本日大藏省からおいでを願つた理由であります。くどいようでありますが、この間申し上げましたことがなお不十分のように考えますのと、殊に大藏省の方々がこれを半分に査定しようとしておられるということを聞いたものでありますから、特にこの点についてあなたの方の御意見をお聽かせを願いたいと思います。
#8
○河野(一)政府委員 國会図書館の経費につきましては、明年度の予算の編成にあたりまして、十分の考慮をいたすべく、目下國会御当局と御折衝申し上げているような次第であります。現下の財政の状況その他から勘案いたしまして、なかなか御満足のいくようなわけにはまいらぬのでありますが、國会図書館の使命に鑑みまして、財政当局といたしましては、できるだけの配慮をいたしたいと考えている次第であります。むりに査定をいたしているというわけではないのでありまして、いろいろの権衝その他を考え、また他の政府所管事務とのつり合いというようなことも考えまして、妥当なところにこれを決定いたすよう折衝を申し上げている次第であります。ちよつと速記を……。
#9
○中村委員長 速記をやめて……。
    〔速記中止〕
#10
○中村委員長 速記を始めてください――。ただいま政府委員からお伺いしたことはよく了承しておりますが、國会図書館の仕事は今度が初めての試みでありまして、これには非常に注意も拂うのでありますが、非常にぜいたくに見える仕事かもしれませんけれども――またぜいたくな仕事なんです。ほんとうは今までないものをつくろうというのだから、旧來の考えから見るとぜいたくじやないかという考えは起るのでありますけれども、これによつて日本の財政にも行政にもいろいろなことに盡そうというのが出発点であります。これで十億使うならば、これによつて百億も二百億も節約することができるような原動力をつくろうという考えなのであります。この点について十分の御理解を重ねてお願いいたしておく次第であります。
#11
○井上(知)委員 今度できまする図書館は、その組織とか運営につきましては、アメリカに則るものだと思います。館長はいわゆる学者でありますけれども、図書館事業については、まだそう堪能の士じやないと思います。そこでアメリカの図書館の事情を研究調査のために、できる限り最近の機会においてアメリカに行つていただきたいと思います。そういうような要求がありました際は、大藏当局は十分御考慮をお願いしたいと思います。
#12
○中村委員長 ただいま井上委員からお話になりましたことをよく御了承願います。この間打合会で十分にお話したのでありますが、早速多数の人々をやらなければならぬ。館長自身も行かなければならぬこともありますから、どうぞ十分御考慮を願います。
    〔速記中止〕
#13
○中村委員長 それではいろいろな皆さんの御意見もありましたので、名前を入れることは差控えまして、左のごとき決議案にいたしたいと思います。
すなわち
 國立國会図書館の副館長は、館長を補佐する必要上、人格の高邁なること、偏傾ならざる思想の所有者たることを要し、同時に図書館業務につき多年の経驗と知識を持つ有資格者を任命せられんことを決議する。
これでひとつ御賛成を願います。
    〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○中村委員長 御異議なしと認めます。左様決定いたしました。
 なおほかに何か御質議はありませんか。
#15
○石井委員 これは当然のことでありますが、副館長の問題で非常にもつれたということは、その選任の順序を誤つて、その選任の立場、あるいは地位になかつた者がいろいろと策動する、さような結果が今日のもつれをなした根本原因であろうと思う。この点に鑑みまして、副館長というものはとにかく館長を補佐し、館長が自分の館長業務遂行上最も適任者を選びまして、そうして両院議長の承認を得て決定する、この順をたどることは当然でありまして、また法規の規定するところであります。かような点からしまして、副館長の選任は館長が独自の構想をもちまして十分に自分の意の適する、また業務遂行上最も適当なる人を選び、そうして両院議長の承認を得て、またこの間図書館運営委員の方にもいろいろと相談がある、かような順によつて選出の方法を講じていきたいと思うのであります。今回のいろいろなもつれができた原因というものは、筋を通さなかつた結果からでありまして、今後におきましては、かようなことのないように、常に両院の図書館委員は心してやつていきたい、かように希望を申し上げておきたいと思います。
#16
○豊澤委員 もう一つ私が希望しておきたいのは、今言つておつたことが、もし逆効果のようなことになつて実現することになつたならば、今度は名前をあげてやるということを希望し、それと同時に、もう一つ副館長問題がこのようにもつれ合つたということは、今石井さんが言つておつたような原因にもよりますので、今後において、今度は衆議院からだれそれを出してというようなことが起らぬようにお願いをします。副館長はほんとうに技術的に優秀な者を廣く――これは館長が独善的に一人できめるというわけにもいきますまいけれども、大勢の意見を聽いて、多数の候補者の中から特に技術面の優秀な人を選考するように希望しておきます。
#17
○中村委員長 さよう館長にも傳えておくことにいたします。われわれもそれが希望であります。殊に先ほど石井君からお話がありましたように、國会図書館はものの出発に過ちがないようにする、政治の元締になろうというところになつておるのでありますから、なおさらこういうことを質しておきたいというのが起りであります。そのことはわれわれも十分に氣をつけると同時に、運用する館長その他にも十分に傳えておくつもりでありますから、さよう御了承願います。
 もうほかにありませんか。――別にないようでありますから、本日はこれで散会いたします。
    午後零時十分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト