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1951/02/23 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 本会議 第14号
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1951/02/23 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 本会議 第14号

#1
第013回国会 本会議 第14号
昭和二十七年二月二十三日(土曜日)
 議事日程 第十三号
    午後一時開議
 第一 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く通商産業省関係諸命令の措置に関する法律案(内閣提出)
 第二 連合国占領軍の為す郵便物、電報及び電話通話の検閲に関する件を廃止する法律案(内閣提出)
 第三 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く運輸省関係諸命令の措置に関する法律案(内閣提出)
●本日の会議に付した事件
 日本工業煙塵調査会委員任命につき国会法第三十九條但書の規定により議決を求めるの件
 国際捕鯨委員会委員任命につき国会扶第三十九條但書の規定により議決を求めるの件
 公正取引委員会委員任命につき同意の件
 米軍出動條件並びに国連協力及び裁判管轄権、緊急非常事態に対する措置、保安陸海外出動等に関する緊急質問(中曽根康弘君提出)
 東洋精神文化振興に関する決議案(若林義孝君外三十三名提出)
 日程第一 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く通商産業省関係諸命令の措置に関する法律案(内閣提出)
 日程第二 連合国占領軍の為す郵便物、電報及び電話通話の検閲に関する件を廃止する法律案(内閣提出)
 日程第三 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く運輸省関係諸命令の措置に関する法律案(内閣提出)
    午後一時四十一分開議
#2
○副議長(岩本信行君) これより会議を開きます。
#3
○副議長(岩本信行君) お諮りいたします。内閣から、日本工業標準調査会委員に参議院議員奥むめお君を任命するため議決を得たいとの申出がありました。右申出の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#4
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつてその通り決しました。
     ――――◇―――――
#5
○副議長(岩本信行君) 次に、内閣から、国際捕鯨委員会委員に参議院議員小滝彬君を任命するため議決を得たいとの申出がありました。右申出の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつてその通り決しました。
     ――――◇―――――
#7
○副議長(岩本信行君) 次に、内閣から、公正取引委員会委員に山本茂君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#8
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて同意するに決しました。
#9
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、中曽根康弘君提出、米軍出動條件並びに国連協力及び裁判管轄権、緊急非常事態に対する措置、保安隊海外出動等に関する緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。
#10
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 米軍出動條件並びに国連協力及び裁判管轄権、緊急非常事態に対する措置、保安隊海外出動等に関する緊急質問を許可いたします。中曽根康弘君。
    〔中曽根康弘君登壇〕
#12
○中曽根康弘君 私は、改進党、社会党両派を代表いたしまして、ただいま議題になりました件について関係大臣に質問をいたします。私の質問は技術的な質問でありまして、こまかい点に触れまするので、関係大臣の明快なる、親切なる御答弁をお願いいたしたいと思います。その御答弁の状況によりましては再質問の権利を留保いたしまして、ここに質問をいたします。
 御存じのように、本議会における政治的な焦点は、日本国とアメリカとの行政協定、特にその刑事裁判管轄権に関する問題、それから緊急非常事態、すなわち駐留軍が日本国の内乱に出動する場合及び外国に出動する場合の條件、基準に関する事項が現在の焦点になつておるのであります。これらの問題につきましては、遺憾ながら、ただいままでの政府の説明によれは、われわれは明確にこれを了解することかできないのであります。従来、政府は、昨年平和條約を締結し、同時に日米安全保障條約を締結いたしました際に、われわれ野党議員の質問に対しては、行政協定ができたときに、その都度法律または予算案をもつて説明すると、逃げて来たのてあります。しかも、行政協定が締結されんとし、予算案の提出もあつたのにもかかわらず、現在の事態は依然として明らかでないのてあります。政府の態度は、言いかえれば、平和條約の大きな穴を安全保障條約に逃げて、安全保障條約の重要なボイントは行政協定に逃げて、その行政協定の重大な事項は、軍に口頭をもつてする彼此の了解事項に逃げようとしておるのであります。(拍手)これは、戦前の、かつての帝国政府がやつた秘密外交と何ら異ならないのでありまして、この本会議の議場を通じてこの点を明確にされたいことを希望するのであります。(拍手)
 もちろん、政府が関係各国と交渉するにつきましては、いろいろな御苦心もあるでありましよう。われわれも国民の一人として、反対せんがために政府を攻撃せんとするものではありません。たとえば、現在政府が重大な米軍出動に関することを了解事項でとりきめようとしておるその考えの基礎には、あるいは現在日本とアメリカとの国力の相違、あるいは装備力の相違、こういうことから、明文できめることがあるいは日本に不利になるかもしれない。事実上の実力の相違からして、明文できめれば、やむを得ず指揮権を向うに認めねばならないという事態が来るかもしれない。それで、明文できめることを逃げて、彼此の了解事項でやろうとするのであるかもしれない。そうであるならば、それを明らかにすればよろしい。そうでないならば、そうでない理由を明らかにする必要があります。われわれは、それだけのものを聞く余裕と寛容さを持つておる。そうした意味において質問いたすのでありまするから、詳細に御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
 特に本年度の予算におきましては、防衛支出金六百五十億円、安全保障費五百六十億円、そのほか警察予備隊、海上保安庁の増強費六百十億円、驚くなかれ千八百二十億円という莫大なる経費が、これらの事項に関連して支出されるのであります。しかるに、一方あの戦争犠牲者、戦死者の遺家族に対する補償については、わずかにその何十分の一である百五十億円にとどめておる。政府が、現実の事態から、このような均衡を失した措置をとることは了解できないのであります。そういうことを明らかにする意味においても、この事態の重要性を明確に国民に認識させて、国民の納得を得る必要があると思うのであります。(拍手)この問題は、単に多数、少数の問題ではない。この問題は、多数で押し切るという問題ではありません。日本の国会が終戦以来新しい方式によつて運営されてから一番重大な問題は、ここにかかつて来ておると思うのであります。よつて、多数、少数の量で押し切る問題ではなくして、事の筋道をあげて、質によつて、理性によつて解決しなければならない問題であるということを加えて申し上げたいのであります。(拍手)
 それで、まず第一にお尋ねいたしたいことは、行政協定、なかんずく刑事裁判権の問題であります。従来政府が答弁して参りましたことは――、今やろうとしておることは、国際法上の慣例あるいは国際法の原則によつてやつておるのてあつて、日本に刻してはいささかも不利益なことはないと、岡崎国務相は答弁しておる。しかるに、国際法上の慣例や法規はいかなる状態であるかというと、外国軍隊がある国に駐屯した場合に、いかなる特権を有するかということを、国際法の本によつて見れば――私がここに持つておるのは田岡良一教授の本てあります。それには次のように書いてある。
 「一国の軍隊が他国領土内に入る時は、軍隊を構成する軍人、軍属は滞在国の法権を免れ、軍隊所属国が直接彼等の上に裁判権を行使する。但し、彼等が軍隊の営舎を離れ且つ軍隊の用務を弁ずるために非ずしてなせる行為に就ては、滞在国は法権を行使して差支ない。」、つまり軍人・軍属が営舎を離れたり、幕営地を離れて外へ行つた場合には、その領土権を持つておる国が裁判上の管轄権を有するということが、ここに明記してあるのであります。「蓋し、此特権は個々の軍人・軍属の有する権利に非ずして軍隊に與えられたる特殊地位と考えられるからである。従つて又軍人が個々に外国の領土内に旅行する時は右の如き治外法権を享有しないのである。」、この治外法権という言葉は問題でありますけれども、いずれにせよ、外国の軍隊が外国に駐屯した場合は、営舎内や一定の特定地域内においてはその外国が管轄権を有しておる。しかし、一旦外へ出た場合には領土を有する国の管轄権に従わなけれはならないということが、これは国際法上の條文としても明記してあるのであります。(拍手)
 次に「一国の軍艦が外国の領海及び内水内に存する時は、その軍艦内に存する乗員に対し沿岸国は裁判権及び警察権を行使しない。軍艦の旗国が直接に此上に法権を及ぼすのである。」「右に述べたる軍艦の特権は本艦と離れて行動する艦載艇にも及ぶ。」、要するに軍艦が外国の港に入つた場合には、その軍艦内の事項については領土国は管轄権を有しない。その「軍艦の乗員が軍艦及び其附属艇以外の場所に於て、公務のために非ずしてなしたる行為に就ては、沿岸国は其管轄権を及ぼすことを得る。」、つまり軍艦の塔乗員が軍艦を出て外国の領土に入つた場合には、公務以外の事項については領土国が管轄権を有することが、ここで明記してあるのであります。これが国際法上の権利てあります。
 しかるに、今までの政府の説明によりますと、政府はフイリピン国政府とアメリカ国政府との協定及び北大西洋同盟條約諸国に行われんとする協定を引用して、日本は不利な地位にないということを説明しておられる。しかし、フイリピン国と米国との軍事協定によりますれば、なるほど一定の基地内の事項については駐留軍がその権利を行使しております。基地外の行為については、特定事項を除いてフイリピン政府が包括的な管轄権を持つておるのであります。北大西洋同盟條約の場合には、原則として属人主義がとられておるけれども、その場合の属人主義という意味は、特定事件に限つた問題であります。アメリカに反逆する行為であるとか、その他特定の事件についてのみ、アメリカは、基地外の、租借地外の自分の国の軍人の行為に対して管轄権を及ぼし得る。そのほかの一般事項については及ぼし得ない。従つて、今回政府がやろうとするような、外国の軍人のほかに軍属、家族まで含めて、しかも公用以外の私用の場合にも日本の裁判管轄権を及ぼし得ないというような現在の政府の態度とは、まつたく違うやり方でやられておるのであります。(拍手)日本国が、従来の国際法やその慣例に比して著しく不平等であり、不利益であるこのような協定を締結せんとするからこそ、われわれは今まで予算委員会やその他において追究して来ましたが、この点に関して、政府はいまだに明快なる答弁をしておりません。だからこそ、本日の予算総会におきましても、野党議員によつて、この行政協定による裁判管轄権は、あの安政和親條約による江戸城條約と同じではないかときめつけられておるのであります。このようなはげしい非難を浴びせられておる政府は、当然それに対する正しい弁明をしなければならない。
 以上のような点から、私は関係大臣の明確な答弁を要求するのであります。どこが不平等でないか、どこが不利益でないか、どこが国際法上の法規や慣例に比べて不当な待遇を受けていないかということを明確に説明されたい。これは単に地域の広狭の問題ではない。適用範囲を一局部に限局するとか何とかいう問題ではないのである。裁判管轄権は、国家統治権の一斑であります。この主権の一斑がそのようにして制限されるということは、主権に対する本質的制限を意味するのでありまして、量の問題にあらずして質の問題であるということを、ここで申し上げたいと思うのであります。
 次の問題は、駐留軍出動の諸條件であります。政府は今までいろいろ御答弁なさいましたけれども、いまだもつて、何ゆえこのような重大な事項を了解でやらなければならないかということが、われわれにはわからない。国民も納得できないのであります。一体、国家のこのような地位や、日本の利益というものは、一吉田内閣の私有物ではない。吉田茂の私有財産ではないのであります。(拍手)従つて、これらの国家公共の利益に関することは、正式の明文をもつて国民に見せる必要があるのであります。ましてや、現在の日本の地位というものは、明らかに米国から見れば国力は衰えておるし、日本の地位は必ずしも平等を要求できないような立場にあることはわかつておる。しかし、われわれの立場が弱ければ弱いだけ、法律上の明文にこれを記載する必要があるのであります。われわれの立場か強ければ、このような了解でやることも、あるいは認容されるかもしれません。しかし、弱小の受身の立場にあるものが自分の利益を守ろうとするならば、法律で明記する以外に方法はないのであります。(拍手)従つて、これらの事項を単なる口頭の約束にするということは、日本国の利益を守るゆえんではない。そこで、私は次の諸点についてお尋ねいたしたいと思うのであります。
#13
○副議長(岩本信行君) 中曽根君にちよつと御注意だけ申し上げておきます。申合せの時間は経過しておりますから、簡潔に願います。
#14
○中曽根康弘君(続) 内乱出動の場合でありますが、内乱に出動する場合は、従来ならば戒厳令がしかれるような場合であります。新憲法の現在においては、非常事態の宣言によつて行われるかもしれません。もし、そういうことが行われるならば、一定地域に限つて戒厳令がしかれ、あるいは非常事態宣言が行われる。たとえば東京地区であるとか、大阪地区であるとか、まず地域が限定されるのが普通であります。日本全国について非常事態宣言が行われたり、戒厳令がしかれたりすることは、今までその例がない。従つて、内乱に外国軍隊が出動するという場合には、その地域の限定が必要である。あるいはその出動の期間の限定が必要であります。あるいはさらに、外国軍隊が出動する際には、一体日本国の官憲、政府との関係はとうなるか。出動するに際しては、外国軍隊の軍司令官が日本の政府と協議するのであるか。アメリカの駐剳大使が日本政府と協議して、その結果を軍司令官に指示するのであるか。この日本政府とアメリカの大使、アメリカの軍司令官との関係はいずれも明確になつていない。これか明確になつていないということは、重大なる内政干渉を今後起すおそれがあるのてあります。今まで弱小国が外国の軍隊に駐屯されて一審迷惑をこうむつたのは、この問題である。かつて、日韓保護條約でもつて、伊藤博文が韓国に行つた。そのときの事態も、まさにこれを意味しておるのであります。よつて、日本国政府と外国の軍司令官、駐剳大使との関係、あるいはさらに外国軍隊が日本の内乱に出動した場合に、その費用の分担はいかになるか、日本国がどの程度受持ち、外国軍隊がどの程度受持つのか。費用の分担の問題は、ただちに国民の税金に影響して参ります。従つて、これらの問題に関する明確なとりきめを、あらかじめしておく必要があると思うのであります。以上の点につきまして、内乱出動の問題について私は質問いたしたいと思うのであります。
 その次は、外国出動の場合であります。行政協定は、外国軍隊が日本に駐留する條件をきめるのであつて、これは静的な状態であります。外国に出動する場合というのは動的な状態であります。従つて、静的状態を規定した行政協定のほかに、動的状態を規定した新しい條約ないしは協定が当然締結されなければならないのてあります。なせなれば、内乱に出動する場合は、戦争の危険性はややないかもしれない。しかし、外国に出撃する場合は、必ず反対の報復的な措置を受けます。B二九が厚木から立てば、必ず北鮮や仏印から反撃を受け、爆撃を受けるのである。もし、そのような事態が行われれば、外国は米国ないし日本に対して宣戦布告をするかもしれない。その場合に、アメリカは交戦権かあるから宣戦布告をやることかできる。しかし、日本は、憲法九條によつてできない。その場合に、日本は事変と称して、これをごまかすのであるか。こういう憲法に抵触するような重大な問題がこれには含まれておるのであります。そこでお尋ねいたしたいと思いますのは、このような重大な事項を盛る外国軍隊との関係については、当然これは憲法第七十三條による條約に該当するものであつて、単なる施行細則である行政協定やその他のとりきめてきめべき問題ではありません。(拍手)よつて、この外国軍隊の出撃に関する動的状態を規定するために條約を結ぶのであるか、あるいは條約にひとしい協定を結ぶのであるか、この点をまず政府にお尋ねいたしたいと思うのであります。
 その次は、そのような事態が起きる場合の認識であります。情報を両方が交換して知ることになるでありましよう。しかし、それはどういうふうにして事態を相互が認識するのか。行政協定に基く合同委員会がやるのか。行政協定というのは静的状態を規定するのてあるから、新しい別個の協定や條約に基いて新しい機関ができて、それによつて情報の交換をやるのか。あるいはそのような二つの人格が一体のものとなつて行われるのであるか。こういう点を明確にする必要があるのであります。つまり、出動の予備措置あるいは事前の認識の措置であります。
 その次の問題は、出動する場合の條件、基準の問題であります。外国に対していかなる事態が起つた場合に出動するのであるか。それが日本に対していかなる影響を及ぼすと認められるときに出動するのであるか。いかなる程度の情報か入つた場合に出動するのであるか。そのような出動の條件と基準を規定するということは、日本国民にとつて重大なる利益に関することであります。(拍手)これをいかにするかというのが次の諸点てあります。
 第三番目は、その場合における米国軍隊の国内における行動範囲であります。一体、米国軍隊が出動すれば、基地、あるいは軍艦のおるところ、荷揚地、その間の鉄道は管理されるかもしれぬ。軍事管理を受けるかもしれぬ。あるいはそれか全般に及んで、アメリカ軍の行動範囲というものは全国土に及ぶかもしれぬ。こういうような地域の限定の問題が起つて来るのである。米軍の行動範囲をいかに規定するのかというのが次の問題である。
 その次の問題は、内乱の場合と同じように、日本国の政府と外国の大公使と、それから軍司令官との関係であります。日本国と外国軍隊及び外国使臣との関係であります。
 その次の問題は、原爆基地の問題であります。原子爆弾の問題については、すでに何回か応答がとりかわされておる。しかし、この問題は日本全国民のひとしく深く憂えておるところでありまして、この問題は特に特記してとりきめる必要があるのであります。イギリスにおいても、すでにそのようなことはアメリカと交渉しておると聞いておる。日本においても同じであります。これは単なる了解や、単なるとりきめできめべき問題ではなくして、正式の明文によつてこれをきめるということが必要だと思うのであります。
 次には、駐留軍と国連軍との区別の問題であります。外国軍隊が出動する場合には、日本国を防衛するために出動する場合がある。そうではなくて、極東の平和及び安全維持に寄與するために国連軍として出動する場合がある。その場合、どういふうにこれを区別するのであるか。これは、もし日本防衛のために出動するということになれば、日本国はある程度税金でそれをカバーしなくてはならぬ。国連軍として出るならば、これは国連一般の費用負担になるでありましよう。従つて日本国民の税負担にも関係するのであつて、いかなることが国連の行為であり、いかなることが駐留軍としての日本防衛の行為であるか、これを明確に規定する必要があると思うのであります。
 最後は、先ほど申し上げたと同じく、費用分担の問題であります。これらの事項について、政府は明確なる答弁を示していただきたいと思うのであります。
 その次の問題は、駐留軍に対する日本国の協力の方法であります。われわれは日米安全保障條約を結び、また吉田内閣総理大臣とアチソン国務長官との間に、交換公文をもつて、われわれは国連に協力するということを約束した。日本がそのような場合に協力するとすれば、まず第一に予備隊で協力することが出て来る。総理大臣は、きようも、外国には絶対に出動させないと明言しておる。私はその言葉を信用いたします。外国へ出動することは避けて、国内て協力するということが出て来る。
 しかし、ここでわれわれが銘記しなければならないことは、日本が独立したあと、予備隊とアメリカとの関係が現在のまま持続するかどうかという問題である。一つの問題を申し上げれは、予備隊には、各部隊にアメリカの軍事顧問がおる。この軍事顧問は、実際上は、はしの上げおろしまでさしずしているのである。われわれは、かつて中国の某要人から次のようなことを聞いたことがある。
 蒋介石氏の軍隊がどうして負けたかというと、その負けた理由を彼らが言うておる。それは米国の好意的勧告の過剰だと言う。米国が中国へまわつて来て、蒋介石の軍隊は古いというので機械化部隊をつくつた。その機械化部隊はアメリカが金を出したというので、はしの上げおろしまて指揮した。そこで、中国の軍隊の中においては、機械化部隊はとらの子だというので、機械化部隊が中共軍に包囲されたら、友軍が救いに行かない。そこで全部とられて、遂に台湾に逃げるに至つたということであります。このように、アメリカはアジアや日本の状態を認識しないで、好意的に勧告しておる。それがかえつて民族精神をスポイルしておるのである。現在われわれは軍事顧問を持つておるけれども、独立すれば、これらの軍事顧問の法的地位はどうなるのであるか。條約にもない。法律にもない。一体、かつての大学の教師のように、やはり外人教師としてこれを雇うのであるか。
#15
○副議長(岩本信行君) 中曽根君に申し上げます。簡潔に願います。
#16
○中曽根康弘君(続) 外人教師として雇うのか、あるいは別個の協定を結ぶのか、こういうことは、日本国の独立を一歩々々きちんと規定しておる問題なのであります。
 次は官憲の協力である。その次は一般国民の協力である。たとえば、防空に対する協力ということがある。基地の周辺に対する燈火管制の義務がある。こういう国連軍あるいは駐留軍に対する日本国の協力を、いかなる方法で明記するか。法律できめるのか、これらの点について伺いたいのであります。
 その次の問題は、その国連協力に関して條約を制定する必要があるということてあります。われわれは、平和條約第五條によつて、国際連合が国際連合の憲章に従つてやるいかなる行動にもあらゆる援助を與える約束をした。そうして、それに基いて安全保障條約を結び、交換公文をわれわれは交換しておる。しかし、一つの例を申し上げれは、この交換公文の中においては、費用の分担を次のように書いてある。「日本の施設及び役務の使用に伴う費用が現在どおりに又は日本国と当該国際連合加盟国との間で別に合意されるとおりに負担される」と書いてある。つまり費用の負担は、現在通りならば現在通りてやつて行くという。しかし、国連に協力する場合に費用が加重される場合がある。その場合は、この交換公文では規定されていないのである。従つて、そういう場合には、新しい協定ないしは條約を法律上必要とするのであります。時間がありませんから、私は多くの例をとりません。一つの例はそれである。あるいはさらに、奥には濠州の軍隊が駐屯しておる。この濠州の軍隊が独立後引続いて駐屯するためには、同じような行政協定を日本と濠州政府の間て結ばなくてはならぬでありましよう。このようにして、アメリカとの関係のみならず、連合各国との関係も明確に法律をもつて規定する必要があると思うのであります。
 私の質問は以上で終ります。以上申し上げたような事項について、政府の明確なる答弁を要求いたします。(拍手)従来政府が国会で説明したところによれば、たとえば日本の自衛力強化の問題にいたしましても、政府は国民の目を偽つて、防衛隊というような構想を持つておつた。これが暴露されておる。この問題のみならず、さらに重大な問題は外国軍隊出動の問題であります。この重大な問題について政府の明確なる答弁を要求いたしまして、一応私の質問を終る次第であります。(拍手)
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
#17
○国務大臣(岡崎勝男君) お答えをいたします。
 第一は、行政協定における刑事裁判権のことについていろいろお話がありましたが、ただいまの国際慣例は、アメリカとイギリスの間でも、その他の国々におきましても、いずれも駐屯軍がその所属員に対して裁判権を有するような協定になつておりまするから、われわれはこれを国際慣例と考えております。なおお話のアメリカとフイリピンの協定は、なるほど地域外ではフイリピンの裁判権が行われますけれども、そのかわり大きな軍事基地内におきましては、フイリピン人に対してもアメリカの裁判権が及ぶのであります。すなわちこれが典型的な治外法権とでもいわれるものでありまして、最近ではこの方式をとつておらないのであります。従つて、われわれが考えております属人方式が最近では適当であるということになつております。もつとも、北大西洋條約の行政協定ができますと、これはさらに進んだ一つの国際慣例的な協定と考えますので、その際は日本もこの北大西洋條約の行政協定を選択する権利を留保するのであります。なお駐屯軍の一員として家族を含めるのは適当でないというお話でありますが、たとえばアメリカとイギリスの間の協定にも家族は含まれております。また北大西洋條約の行政協定、これはまだ成立しておりませんが、この中にも軍隊所属員として家族を含めております。安政和親條約についてのお話でありますが、あの当時は、日本に滞在する一般のアメリカ人に対しての規定でありましたが、今回のは、日本に駐屯する軍隊だけに関しての特殊の規定でありまして、一般に日本に滞在するアメリカ人その他に対しては日本が裁判権を持つことは当然であります。
 次に、米国軍の出動條件を了解事項できめるのはよろしくないというようなお話でありますが、了解事項でそういうことをきめるということを申した覚えはないのであります。元来、アメリカと日本との安全保障條約及び今回の行政協定につきましては、お互いに好意を持ち、お互いに信頼を持たなければ、実際に効果の上るような結果は得られないのであります。またわれわれは、アメリカに日本を守らしてやるということではないのでありまして、われわれは今のところ適当な手段がないからアメリカに守つてもらう、こういう意味でありますから、費用の分担その他について、でき得る限りのことをいたすのは当然であります。
 なお内乱の場合につきましていろいろお話がありましたが、内乱といいましても、外国の使嗾等によつて行われる内乱の規模については、今のところ一部であるか全部であるか、その場になつてみないとわかりません。従つて、あらかじめ協定を定めておくということは困難であります。また費用の分担につきましても、自分の国の騒擾を鎮圧するのでありますから、元来は日本で全部負担するのが当然と思いますけれども、それはまたその場合のことでありまして、全部負担することになるかならないか、それは現実の場合に決定するのであります。
 なおアメリカ軍の海外出動につきましていろいろお話がありましたが、元来この協定は、日本の平和を維持する、つまりダレス特使も言われましたように、外国が日本を侵略せんとする場合にこれを抑制せんとする力に重きを置いておるのであります。たたちに戦争をするというようなことを考えておるのではないのであります。アメリカ軍が日本に駐屯することによりまして、外国から侵略をされるという危険を少くする、つまり日本の平和を維持するということを目的としておるのであります。従つて、いろいろお話がありましたが、たとえば、ほうつておけば日本が攻撃されたり、あるいは爆撃されたりする、そういう危険を取去るために、アメリカの軍隊をここに置いておるのてあります。そして、この出動條件について特別の規定を要するかということでありますが、こういう危険が起るか、これは今から予測することは困難であります。従いまして、われわれはアメリカ政府とふだん緊密なる連絡をとりまして、危険の迫るような場合には、双方の政府で隔意なき協議を行い、適当の措置を講ずる、こう考えておるのであります。これについて必ずしも別個の機関がいるとは考えておりません。また原爆の基地についていろいろお話でありますが、原爆の基地等の問題については、今までのところ全然話がありません。
 駐留軍と国連軍との関係はいかんということでありますが、これは大きな目的から言えば、両方とも同じことであります。つまり、世界の平和、特に極東の平和を維持するための駐留軍であり国連軍であろうと考えておるのであります。しかしながら、国連軍としての行動をとる場合には、もちろん国連の規定によりまして、国連の決定によるものであります。われわれといたしましては、国連は世界の平和維持を目的として戦争の防止に努力しておるのでありますから、これに協力するということは当然考えておるのであります。でき得る限りの協力をいたします。
 また、日本の国連協力の内容についてのお話でありますが、これは日本の憲法、法律等の規定の範囲内において行うのみならず、日本の実際の力の範囲内で行う以外に方法はないのであります。
 予備隊の軍事顧問についてのお話でありますが、ただいまは別に軍事顧問というものはないのであります。今お話のような点は当然でありますから、国民の感情その他の点を十分考えまして適当の措置を講ずるつもりでおります。
 また、国連の協力は條約とする必要があるというお話でありますが、これはむろん平和條約にはその規定があるのであります。さらに具体的な問題について條約等を締結する必要があるかないか、これはその現実の場合になつてみないとわかりませんが、われわれとしては、国際連合に協力することに関しては、たとえば英濠軍等の問題がありとすれば、これは別個に話合いをいたすつもりであります。
     ――――◇―――――
#18
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、若林義孝君外三十三名提出、東洋精神文化振興に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#19
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 東洋精神文化振興に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。若林義孝君。
    ―――――――――――――
    〔若林義孝君登壇〕
#21
○若林義孝君 発議者を代表いたしまして、ただいま議題となりました東洋精神文化振興に関する決議案の提案理由を御説明申し上げます。
 まず案文を朗読いたします。
  東洋精神文化振興に関する決議案
戦後東洋の古典に対する学生生徒の関心と理解力が著しく低下して、伝統ある東洋の精神文化に対してほとんど盲目的となつている現状である。その結果、学生生徒の教養が偏向して、人間形成の上に一大欠陥をあらわすとともに、東西両文化を融合して新文化をうちたてるべきわが民族の使命達成の上に重大な支障を来しつつある。
  かくの如き実情にかんがみ、政府は、速やかに東洋精神文化振興のため、適切な教育行政上の措置を講ずべきである。
  右決議する。
 そもそもわれわれの先祖が大陸の文化を摂取し、消化して今日の日本の文化をつちかい、国民の生活を潤して来たのでありました。講和の発効とともに輝かしい独立を迎えるわが国は、東西の文化を融合して、幅の広く、根ざしの固い第二の新しい文化を創造し、もつて国際の平和に貢献せんとする出発点に立つていると言えるのであります。
 つらつら考えてみまするに、ひとり文化のみならず、すべて創造というものの前提には、何らかの意味において基盤の確立を必要とすることは言をまたないのでありまして、文化の基盤は何ぞといえば、それはいうまでもなく精神であります。中国の古代において、かの管仲は、衣食足れば栄辱を知るとの有名な言葉を述べておりますが、物質的條件はもちろん一面の基礎的資料ではあり得ますが、それよりもまず人間の良識の現われを正しく理解しなければ、真の良質高度の文化は創造され得ないのであります。すなわち、われわれは、今日においてこそ長い間わが国民の生き方を正しく指導し、独自の文化を培養し発展せしめた精神を探り、偏狭と歪曲とを捨てて、いわゆる普遍妥当の真実性を求めなければならないのであります。いわゆる温故知新という言葉は、こうした内容を持つ、含蓄ある意味を持つていると解されます。
 われわれの祖先は、漢文化から道の精神を学び、仏教文化から法の精神を修め、真の生命、真の実在を見きわめて、輝かしい文化を形成し来つたのであります。たとえば論語を例にとつてみましよう。論語の根底に横たわる道の精神は、言いかえれば人間の良識であり、節度であり、誠実であり、愛であります。ゆえに、その表現は、古今を通じ、東西を貫く不滅の価値を有する宝典として、西洋のバイブルに匹敵するものであり、その他東洋の古人先哲が身をもつてつづつた尊い人生体験の記録の数々は、われわれ現代の精神の中にも脈々として生動しておるのでありまして、伸び行く青少年、わが国の将来を担う若き国民にとつて、こよなき精神生活のかてとなるものであります。
 われわれ日本人は、歴史的に血液の中にこの精神を伝承し来つているのでありますから、それは日本人に共通する魂の住家であり、身だしなみの源であり、生活のよりどころとなつていると言えるのでありまして、これに自覚することこそは、みずから人間自身の教養を高め、それと同時に良質優秀な文化を形成して行く一つの根底をつちかい得るものと信ずるのであります。単なる復古思想とか、安価なる懐古趣味とは全然その立場を異にすることを、はつきりしておきたいのであります。いわんや、これを世間往々にいわれております逆コースに数えるがごときは、日本人にしてみずからの美に目をおおう、認識不足の徒のたわごとといわなければなりません。
 翻つて今日の教育制度を見ますると、形式はなるほど一応つくり上げられた感がありますが、魂の点に至つては、まだまだ十分と言い得ない状態であります。それは、新学制制定以来日なお浅く無理もないことではありましようが、いつまでもそのままに放置しておくべきではありますまい。すでに戦後、ひとり東洋学の関係者のみならず、一般社会の各界から、高等学校において漢文を必修として一週二時間課するようにとの請願が幾たびかなされたのは当然のことであります。
 顧みますれば、わが国の精神文化の根底をたす古典は、漢文とは切つても切れぬ深い関係かあります。従いまして、漢文に習熟しなければ、かおり高いわが民族の精神文化の深奥に触れることができないわけであります。イギリスにおきましても、イギリス国民の精神文化の根底をなしている紳士道、かのジエントルマンシツプの涵養のためには、古典の教養が必須不可欠の條件となつているのであります。わが国においてもしかりであります。換言すれば、漢文教育というのは、単に学校教育の一科目の問題てはなく、実に国民精神文化の確立かいなかという大問題に連なつているのであります。わが国のバツクボーンの形成は、漢文教育の徹底ということなくしてはとうてい不可能なのであります。
 ただいま上程になりました東洋精神文化振興に関する決議案は、こうしたわが民族の将来にかかる重大な意義を持つているものでありまして、わが国の将来を憂うるわれわれにとりましては、その重要性は一点疑う余地のないものであります。満場一致の御賛成をいただけますことを期待して、本決議案上程の趣旨説明を終りたいと存じます。(拍手)
#22
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。渡部義通君。
    〔渡部義通君登壇〕
#23
○渡部義通君 われわれは、ただいまの決議案にまつたく反対であります。
 東洋文化、ことに中国文化が、日本の歴史の上で、ある意味で非常に重大な影響を持つた。大化改新の前後、日本の国の文化が非常に低かつたときに、中国の高い文化を取入れたことは、日本の文化の発展の上に確かに重大な意味を持つたのであります。しかし、古代文化というのは、これは中国の専制君主の思想であり、封建的な、父家長的なイデオロギーであるのであつて、これがその後の日本の文化の上にどういう影響を持つたかと申しますと、これは日本の封建的なイデオロギーを固め、そうして人民を支配、収奪する上に重要な役割を果したのであります。同時に、この思想は、天皇制時代の日本においても重要な役割を果した。
 日本の天皇制は父家長的な性格を持つておるのであり、従つて、これは古代中国の思想、専制君主の思想、忠君思想として日本の天皇制をイデオロギー的に支持する上に重大な役割を果したばかりではなくて、その結果は一体どういうふうになつたのか。君主専制的な専制のもとでこの思想が働いた一つの結果として、日本を中国侵略、東洋侵略のためにかり立てる重要な思想的な役割を果したのではないか。同様に、この思想によつて、天皇の前には、すべての国民が一言を吐くことができず、天皇の一言一句が日本の絶対の法律的な権力を持つようなものとして現われて来たのではないか。
 この天皇制的な思想の根底には、古代中国の専制君主的な思想が深くからんでおるのである。そうしてまた、その結果、それによつて日本人がどれだけあの天皇制的な状態のもとで苦しんだか。あらゆる収奪と、あらゆる暴圧とが日本の国民に加えられただけではなしに、戦争にかり立てることによつて、全世界に対して日本国民として顔向けならないような戦争を引起し、その結果、日本国民の今日の悲惨な状態をつくり出したのではないか。東洋古代思想というものは、こういう役割を日本の歴史の上に果したのである。
 今日また東洋思想が再び叫ばれたことについては、重大な理由がある。自由党の諸君、吉田内閣がこれを持ち出したところに特に意味があるのである。今日、アメリカの支配のもとで、日本の政府、そうして諸君、自由党が、国民のあらゆる反対を押し切つて、国民の闘争を弾圧しながら、そうして国民の一切の生活を━━し、権利と自由を━━、日本をアメリカの━━にしながら、強引に日本の再軍備にとりかかつておる。日本の━━━━の再建にとりかかつておる。
 何のために諸君はこの━━━━の再建をしようとするのか。これは、日本のすべての国力をあげて、日本の今日の政府の━━であるアメリカの━━にしようとしておる。そのための日本の━━━━の再建なのである。同時に、すでにこのためにこそ、今天皇制の━━ということを、諸君がこれに並行して強引に行いつつある。天野文相が国民道徳実践要領というものを出して、世の中の物笑いになつて撤回せざるを得なかつたけれども、その根底には、再び天皇中心主義と天皇━━をつくり出そうとしておるものがあるのである。それだけではない。現にあの大戦時代において天皇制が果したところの役割というもの、すなわち国民の一切の自由も、権利も、生活も無視して、そうして軍国主義をつくりあげたあの天皇制の役割を、今日吉田内閣と諸君が━━━━━━━━のである。
 現に見ろ。(「ソ連はどうだ」と呼び、その他発言する者多し)黙つて聞け。──現に、日本のすべての人々は戦争に反対しておる。そのためにこそ再軍備に反対しておる。また日本の若い学生たちは、すべて徴兵制度に反対し、徴兵制度が来るということに反対して闘つておるてはないか。
 先日も、十八日に澁谷駅頭で何が起きたか。この澁谷駅頭では、東大の若い学生たちが、自分たちは再び戦争にとられたくない、徴兵に行きたくない、日本の軍国主義に反対だという演説会を開こうとしたときに、武装警官を動員して、これに対する徹底的な弾圧を加えておる。あの澁谷の駅頭というのは、再軍備賛成の演説はいくらでもやらせるのだ。再軍備賛成の演説はいくらでもやらせて、学生たちが戦争に行きたくないという署名運動を弾圧しておるではないか。
 また二十日に、東大でどういうことが起きたか。東大の学生も、同じような考えを全部持つておる。この東大の学生が、劇団を持つて、一つの集会を開いたときに、ここにスパイが入り込んで、そうして学生達を挑発して、あの集会を破壊しようとした。これは単に学園の自由を侵したというだけにとどまらない。これは単に学園の自由を侵しただけでなしに、日本の官憲が、国家の権力が学園に再び侵入して、そうして学生たちの、自由な――戦争に反対し、日本の再軍備に反対し、日本の独立を求めて、日本の隷属しておるものと闘おうとするこの闘いを、諸君は――諸君の内閣は断圧しようとしておるのてある。このようなことは、一齊に全国に起きておるのである。
 また名古屋大学を見よ。あの名古屋大学においては、同じく学生諸君が再軍備反対の演説会を開こうとしたときに、MPが来て、そうしてこれに空砲を発して、おどかしながらこれを弾圧しておる。つまり、諸君の内閣と、━━━━━━━━━━━━━どもが一緒になつて、戦争に行きたくない、戦争のために日本を再び悲惨な状態に置きたくない、戦争に反対し、平和の中で日本の国民生活を安定し、日本人が真に自由と権利を獲得し、日本の完全な独立を闘いとることによつて世界の平和を守ろうとしておる、このためには命をかけても闘おうとしておるところの、若い、純潔な、日本の次の世代を背負うところの学生諸君の運動を、諸君の内閣は弾圧しておるのである。
 また、これこそは単に学生諸君の問題だけではない。すべての労働者、すべての勤労者が、その生活と自由と権利のために闘うところの一切の運動、また日本の解放と戦争反対のために闘うところの一切の戦いを、諸君の内閣と、諸君の党が弾圧しておるのである。(拍手)これは一体何を意味するのであるか。これこそ諸君は、再び天皇制をつくり出して、日本の国民を有無を言わさずに━━に動員し――しかもその戦争というものは、━━━━━━━━━━━━━━━━━━の戦争である。こういう戦争に日本の若い国民を動員しようとする。この戦争に諸君はかりたてようとしておるのである。そのために、諸君は、天皇制の復活を再び強力に、強引にやろうとしておるのである。東洋精神の復興ということは、この天皇制的な、絶対専制的なイデオロギーを再び学校の正課として国民の中に持ち込もうとする、諸君の内閣及び自由党の━━にほかならないのである。
 諸君、もしも諸君が東洋精神というものを欲するならば、あの四千年前の東洋精神ではなくて、今日の生きた東洋精神を求めなければならない。今日の生きた東洋精神とは何か。これは中国において、朝鮮において、ヴエトナムにおいて、その他あらゆる東洋の植民地において、命をかけて、全被抑圧民族が、すなわち植民地の民族が闘つておる、あの生きた新しい力と新しい世界をつくり出すところの精神でなければならない。諸君がもし日本の現状を思うならば、東洋精神とはまさにこのような精神をこそ諸君は取入れなければならない。しかるに、諸君は、反対に古代天皇制を助けたところの絶対君主制的なあの思想を取入れようとする。諸君は、日本の歴史における東洋精神というものの本質を知らず、今日それがどういう意味を持つものであるかもよくは理解しないでおりながら、実際はこの目的を持つておる日本の反動政府の恣意に甘んじて、諸君はこれを提出している。
 諸君、われわれは、こういう意味において、ほんとうに日本の国民の生活を安定し、日本の国民の権利と自由を国民自身のものにし、日本の国を━━━━━━━━━━━━━━━の下から完全に解放し、そして日本のほんとうの平和をつくり出し、さらに世界の平和に諸君がほんとうに寄與しようとするならば、今日諸君がどう考えているかということが問題じやないのだ。問題は、日本の歴史的な将来を考えることなんだ。(拍手)この日本の歴史的な将来、大きな目をもつて諸君の子孫のことを考えてみるならば、諸君の取入れるべき東洋精神というものは、あの天皇専制主義を助けたところの、また諸君が今試みている天皇専制主義をつくり上げようとするような精神ではなくて、全世界の被抑圧民族を解放する、東洋の中で大きく力強く実力を持つて動いておるこの変革的、革命的、創造的精神でなければならぬという理由において、私は諸君の提案に絶対に反対するものである。(拍手)
#24
○副議長(岩本信行君) ただいまの渡部君の発言中、不穏当な言辞があれは、速記録を取調べの上、適当な処置をとることといたします。
 これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#25
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#26
○副議長(岩本信行君) 日程第一、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く通商産業省関係諸命令の措置に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員長中村純一君。
    ―――――――――――――
    〔中村純一君登壇〕
#27
○中村純一君 ただいま議題となりました、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く通商産業省関係諸命令の措置に関する法律案の、通商産業委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。
 近く予想せられる平和條約発効に伴い、昭和二十年九月勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件を廃止する必要が生じたので、この勅令に基く通商産業省関係諸命令について改廃等の措置を法律で行うこととなつたのであります。
 まず本法案の概要を申し述べますと、第一條ないし第三條においては命令の改正について、第四條においては命令の規定の存続について、第五條においては命令の廃止について、第六條ないし第九條においては廃止した命令に関する経過措置について規定してあります。
 すなわち第一に、第一條ないし第三條においては、連合国人またはドイツ人の工業所有権及び商標関係の三政令に関し「連合国最高司令官の指示に従い」の字句を削除しようとするものであります。
 第二に、第四條においては、前述の工業所有権及び商標関係の三政令のほか、七つの命令の規定の一部の効力を平和條約発効後も存続せしめようとするものであります。
 第三に、命令の廃止につき申し上げます。第五條第一号、第二号、第五号、第六号及び第八号の各規定は、それぞれの事項に関し一定期日までに報告書を提出させようとする限時法であります。提出期限もすでに経過しておりますので廃止するものであります。次に第三号、第七号、第九号及び第十号の各件は、いずれも現在におきましては、このような事務を課することも、また措置をとる必要もありませんので廃止するものであります。次に第四号に規定されております財閥標章の使用の禁止等に関する政令は、財閥の解体もすでに終了して、現在その復活のおそれもありませんので廃止せんとするものであります。
 本法律案は去る一月二十二日、通商産業委員会に付託せられ、一月二十六日、提案理由を聴取いたしました。本法律案の審議は、二月九日、十三日及び二十一日の三日間熱心に行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 二十一日をもつて本件に関する質疑を終了いたしましたので、ただちに討論に入りました。自由党を代表して今泉貞雄君、改進党を代表して山手滿男君、日本社会党を代表して今澄勇君はそれぞれ本法律案に賛成されましたが、日本共産党を代表して林百郎君は反対されました。
 討論終了後、採決の結果、本法律案は多数をもつて議決した次第であります。
 以上をもつて報告を終ります。(拍手)
#28
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#29
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
#30
○副議長(岩本信行君) 日程第二、連合国占領軍の為す郵便物、電報及び電話通話の検閲に関する件を廃止する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。郵政委員会理事飯塚定輔君。
    ―――――――――――――
    〔飯塚定輔君登壇〕
#31
○飯塚定輔君 ただいま議題となりました連合国占領軍の為す郵便物、電報及び電話通話の検閲に関する件を廃止する法律案につき、委員会における審議の経過並びに結果をきわめて簡単に御報告申し上げます。
 この法律案で廃止せられんとする昭和二十年閣令第四十三号は、ポツダム宣言の受諾に伴う勅令第五百四十二号に基いて制定せられたのであります。終戦以来、郵便物、電報、電話通話等は占領軍の検閲を受けておつたのでありまするが、昭和二十四年十月限り、右検閲は事実上廃止せられておるのであります。なほ平和條約発効後は、右閣令が廃止せられるものでありますので、今回本委員会に付託になつたのてあります。
 去る十二月十四日に委員会に付託せられまして以来、数次にわたる審議の結果、去る二月二十一日、質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決に入りました結果、全員一致をもつて可決すべきものと議決した次第であります。
 右簡単でありまするが、御報告いたします。(拍手)
#32
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#34
○副議長(岩本信行君) 日程第三、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く運輸省関係諸命令の措置に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長岡村利右衞門君。
    ―――――――――――――
    〔岡村利右衞門君登壇〕
#35
○岡村利右衞門君 ただいま議題となりました、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く運輸省関係諸命令の措置に関する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず本法案の趣旨を簡単に御説明いたします。昭和二十五年勅令第五百四十二号、いわゆるポツダム勅令に基き発せられた命令につきましては、平和條約発効後の新事態にかんがみ、新たな見地から再検討を加え、適当な措置を講ずる必要がありますので、運輸省関係の諸命令について、これが改正、廃止あるいは存続をはかろうとするものてあります。
 次にその内容のおもなる点をあげますと、まず第一点は航海の制限等に関する件の改正でありますが、従来政府は必要に応じ、いつでも航路、区域の指定、航海の制限禁止、あるいは船舶の入出港等について必要な命令を出し得るよう定められていましたが、これを日本船舶の保護上その他緊急の場合に限りこれらの措置をとることといたしまして、政府の監督範囲を緩和せんとするものであります。また海域にある爆発物件の引揚げまたは解撤に関する作業は今後相当の期間を要しますので、これに関する規定を存置せんとするものであります。
 第二点は、そのまま存続させようとする国の船舶と朝鮮郵船株式会社の船舶との交換に関する政令でありますが、同政令第三條第四項による日本国有鉄道に譲渡すべき国の財産の範囲についての協議成立の見通しがつきませんので、引続きその効力を存続させようとするものであります。
 第三点は、自動車特別使用收用規則、造船事業関係会社の事業報告書に関する件、港湾荷役力及び船舶等造修能力の確保昂上に関する件、復員官署において運航する船舶にして復員又は掃海に使用するものの乗員につき船員法等の一部準用の件、東亜海運株式会社の解散に関する件、自動車の登録等に関する省令、けい舶予備員の給與に充てるべき補助金の交付に関する政令、以上七件の命令は、それぞれの使命を終えたものでありますから、これを廃止せんするものであります。
 本法案は、一月二十二日、本委員会に付託され、二十九日、政府より提案理由の説明を聴取し、二月二十二日、政府委員と委員との間に熱心なる質疑応答がとりかわされましたが、その内容は会議録に譲ることといたします。
 かくて討論を省略し、ただちに採決いたしました結果、本法案は起立多数をもつて政府原案通り可決すべきものと議決した次第てあります。
 右御報告申し上げます。
#36
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#37
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後二時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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