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1951/03/04 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 本会議 第18号
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1951/03/04 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 本会議 第18号

#1
第013回国会 本会議 第18号
昭和二十七年三月四日(火曜日)
 議事日程 第十七号
    午後一時開議
 第一 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く厚生省関係諸命令の措置に関する法律案(内閣提出)
 第五 昭和二十六年十月の台風による漁業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法案(松田鐵藏君外十一名提出)
 第六 真珠養殖事業法案(第十二回国会、石原圓吉君外十四名提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した事件
 検察官適格審査会委員及び同予備委員の選挙
 外国為替管理委員会委員長任命につき同意の件
 議員川崎秀二君を懲罰委員会に付するの動議(柳澤義男君外一名提出)
 議員風早八十二君を懲罰委員会に付するの動議(田嶋好文君外一名提出)
 日程第一 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く厚生省関係諸命令の措置に関する法律案(内閣提出)
 日程第五 昭和二十六年十月の台風による漁業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法案(松田鐵藏君外十一名提出)
 日程第六 真珠養殖事業法案(第十二回国会、石原圓吉君外十四名提出)
    午後一時四十八分開議
#2
○副議長(岩本信行君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○副議長(岩本信行君) 検察官適格審査会委員三名の任期が満了し、同予備委員二名が辞任されましたので、この際検察官適格審査会委員及び同予備委員の選挙を行います。
    ―――――――――――――
#4
○福永健司君 検察官適格審査会委員及び同予備委員の選挙は、その手続を省略して議長において指名されんことを望みます。
#5
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて議長は、検察官適格審査会委員に松木弘君、柳澤義男君及び鈴木義男君を指名いたします。また同予備委員に金原舜二君及び山口好一君を指名いたします。なお金原君は委員松木弘君の予備委員、山口君は委員柳澤義男君の予備委員といたします。
     ――――◇―――――
#7
○副議長(岩本信行君) お諮りいたします。内閣から、外国為替管理委員会委員長に木内信胤君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#8
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて同意するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#9
○副議長(岩本信行君) 柳澤義男君外一名より、成規の賛成を得て、議員川崎秀二君を懲罰委員会に付するの動議が提出されております。右動議を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。提出者柳澤義男君。
    〔柳澤義男君登壇〕
#10
○柳澤義男君 去る一月二十六日の本会議の議場におきまして、国務大臣の演説に対する質疑が行われんとする、きわめて重大なる本会議の開会に際しまして、改進党の川崎秀二君は、何ら議長の許可なくして登壇し、あまつさえ、不法にも約九分間の長きにわたりましてこの演壇を占拠いたしました。そのために議場の紛擾をかもし、議事の進行を妨害し、議院の品位を重んぜず、秩序を乱したのであります。われわれは、議場における議員の行動として、かくのごとき不法を断じて黙過することはできないのであります。(「その通り」拍手)この事実によりまして、当時われわれは、成規の手続をもつて、川崎君を懲罰委員会の議に付すべしとの動議を提出いたしたのであります。懲罰動議が出ますれば、当然すべての議案に先んじて論議せらるべきでありますが、当日の議題は、国務大臣の演説に対する質疑の継続という、きわめて重大なる問題でありましたので、交渉委員の間の院内交渉の結果、その質疑が終了し、これに関連する予算案審議の終了後に讓ることに納得して、その機会を待つたのであります。ようやく本日、議院運営委員会におきましてこの取扱いが取上げられ、本日ただいま、ここに上程せられて議題となつた次第であります。そこで私は、しからばいかなる点が懲罰事犯として問題の対象になるか、この点を申し上げて諸君の御判断に訴えんとするものであります。
 川崎秀二君は、同日午後一時二十五分、議長が開会を宣し、「川崎秀二君より議事進行に関する発言を求められております。」とまで言われたときに、すでにこの壇上に上りまして、何ら発言の許可を待たずに、この演壇を占拠したのであります。そこで議長は、さらに「その内容は、予算書の違法に関する問題とのことであります。本日の議題は国務大臣の演説に対する質疑の継続でありますから、この議事進行は適当な時期に許します。」と宣告して、川崎秀二君に対しましては、決してその登壇を許したのではありませんでした。(発言する者あり)しかるにもかかわらず、川崎君は、不法にも約九分間そのまま演壇を占拠し、そのために議場は紛擾を起し、議事の進行を妨害したのであります。議長は、当日の発言者である小川半次君の発言を数次にわたつて促しましたが、その川崎君の演壇占拠のために、小川君は登壇して発言することができなかつたのであります。(発言する者あり)これらの事実は、本議場公知の事実でありまして諸君のまのあたり目撃せられた、きわめて明白なる事柄であります。
 かくのごとく議院の秩序を紊乱する議員の行動は、議会の民主的運営を破壊し、議院の神聖を冒涜する、きわめて重大なる問題であります。(拍手)あるいは議事進行のためだと弁解して、これを片づけてしまうかもしれないが、たとい議事進行でありましても、かつてに登壇をいたしました点は許しがたいことでございます。川崎君は、むしろ議事進行に名をかりて、かつてに登壇をいたしたのであります。あるいは、もし、ただ登壇をしただけだということで、これを簡單に片づけて、本件をこのままに捨てておくならば、今後どうして議場の秩序を保ち、民主的に自由な意思を表示することができましようか。(拍手)だれでもかつてに登壇すれば、ただちに紛擾をかもします。紛擾のちまたと化すならば、おそらくこの演壇は收拾つかなく、はては暴力のみが勝利を得ることになりまして、自由な、民主的な言論はまつたく妨害せられることになります。それでは議会制度は根本から破壊される結果となるから、そのために、国会の自律権によりまして法律を定めることを憲法が明定し、さらに議院規則第二百十七條におきまして、「何人も、議長の許可がなければ演壇に登つてはならない。」と明定しておるのであります。それだからこそ、諸君もおそらくがまんして登壇しなかつたのでありましよう。
 しかるに、諸君、もし本件を握りつぶしてしまうならば、ひとり改進党の川崎君にのみ秩序維持のこれらの法規の適用を免除して、はなはだへんぱな取扱いと相なるのであります。どこにそんなばかな理由があるか。何がゆえに川崎君にのみ非民主的行動を許す根拠があるか。法の適用は公平であり、嚴正でなければならぬのであります。(拍手)もしまたこれを、どんな理由にしても、このままにするならば、これは必ず前例になります。国会は、特に諸君御承知の通り、先例を重んずる慣習がある。もしこれが先例になるならば、おそらく何人の場合もこれを戒めることはできない。しかし、それでは議会制度を維持し、国民の正しい意思を反映させることはできません。
 あるいは野党の諸君は、本件はすでに問題が発生してから一箇月以上も経過しているではないか、なぜそれほど重大ならば、もつと早く出さなかつたかと言うかもしれない。しかし、諸君、この問題が起つてから今日まで予算審議が行われており、川崎君のような改進党の闘将を懲罰によつて審議に加わらせなかつたとあつては、川崎君の暴力的な威力に恐れて、からめ手からこれを封じたとでも宣伝されたらばかばかしいし、かつあまり数も多くない改進党から、川崎君ほどの代表的人物を、委員会から締め出してしまうということもどうかと思い、さらにまた、われわれも、ただいたずらに同僚議員を懲罰すればよいのではないから、その後の態度が、この事犯に対して強く反省され、まじめに議案の審議に当るかどうかをわれわれは注視し、いわゆる情状酌量の余地があるかどうかを監視しておつたのであります。(拍手)
 しかるに、川崎君のその後の院内における行動やいかん。ことに予算委員会における態度は、反省はおろか、まつたく議案の審議をしようとする態度ではなく、いたずらに暴力的な紛擾誘発を事としておつたといつてもさしつかえないと思います。その態度は、まつたく国会の神聖を考えないものである。これをもつてしても、川崎君の本件の行動は、議長の発言が聞えなかつたとか、あるいは過失によつたというような、簡單なことで片づけられたのではたまらない。ことに川崎君は、議場のかけひきにおいてはきわめて練達老巧、現に改進党の国会対策委員長をしておるのである。新米の、ふなれのという者とはわけが違い、なおさら断固として許しがたいのであります。(拍手)
 あるいは野党の諸君は、川崎君はあのとき静かにこの壇に立つただけで、何も発言していなかつたというようなことを情状の上に加えようとおつしやるかもしれないが、彼はなれていればこそ、発言をしないが、無言でこれを占拠しておつたのである。もう少し純真なら、たいてい、占拠しただけでなく、何かしやべつて、わあわあ騒ぐでありましようが、川崎君が無言のうちにこの演壇を占拠し続けたあたり、実に老巧を越えて悪質きわまりないものであると私は思うのであります。(拍手)この悪質な行動が不問に付されるということになれば、とうてい国会の品位も、その権威も維持することはできません。
 諸君、国会は国民の縮図である。八千万国民の精魂の集結された、きわめて神聖な場所であります。それゆえに、議院規則におきましても、明文をもつて品位の尊重を規定し、みだりに新聞雑誌の閲覧さえも許されないのであります。川崎君は、それでなくても、常日ごろ私どもが見受けるところ、はなはだ挑発的、暴力的言動が多い。もし、これをこのままに捨てておくならば、おそらく川崎君は、これを国会における得意の戰術と考えて、今後しばしば繰返されるおそれが必ずあります。そのことは、私が申し上げるまでもなく、その後における予算委員会の態度に見ても明白であります。このままこれを黙過するならば、国会は国民から動物園の汚名を着せられても、何と弁解することができようか。よつて、われわれは、かかる不法の行動をあえていたしましたるところの川崎秀二君に対し、今こそ議員の品位を維持するため、断固懲罰に付すべきものと信ずるのであります。
 以上、川崎秀二君を懲罰委員会に付議すべしとの動議提出の趣旨弁明をいたしました。満場の諸君の御賛同を願います。(拍手)
#11
○副議長(岩本信行君) 川崎秀二君から一身上の弁明のため発言を求められております。これを許します。川崎秀二君。
    〔川崎秀二君登壇〕
#12
○川崎秀二君 ただいま私に対しまする懲罰の案件が出されておりまするが、元来国会議員は、議事の進行につきまして重大なる問題が惹起いたしました際には、発言を求める権利は自由に許されておるのであります。(拍手)私は、去る一月二十六日、再開後の国会の冒頭に起りました予算案の財政法背反並びに憲法違反の疑義の問題につきまして議事進行の発言を、議長の手元に正式の書類をもつて求めたのであります。従いましてこれは適時かつ適法の発言であるととは間違いありません。(拍手)
 しかも、衆議院規則第百二十九條を見ますると、「議事進行に関する発言は、議題に直接関係があるもの又は直ちに処理する必要があると認めたものの外は、これを許可する時機は、議長がこれを定める。」とある。従つて、直接に関係があるかいなかということが問題になるのでありまするが、御存じのごとく、施政方針の演説は総予算の提出と同時に行われたものであり、大蔵大臣の演説は予算案そのものに重点を置いて行われたものであることは、何ら間違いのない事実であります。予算と直接の関連があつて、その予算書が財政法に違反をしておるという重大な問題があり、これが突如として起つて来た問題でありますから、私が正式の手続をもつて議長にこれを差出し、当然発言を許されると思つて登壇をいたしたことは、議会の規則を守り、また国会の法律を遵法いたしておる、正しい行為といわなければならぬのであります。(拍手)
 しかるに、私が議長と呼びました際に、議長は当然これを許可したものと思つておりましたが、登壇をいたしますると、どうやら議長の指名している登壇者の属前は違つておるようでありました。しかしながら、これは議長の方で国会法並びに衆議院規則百二十九條に背反する行為を犯されておるのであつて、従つてただちにこれを御撤回になるかと思いまして、私はこの演壇の左側に立つて当然訂正される時期を静かに待つておつたのであります。その間、議長と改進党の交渉係、あるいは自由党の――――――――議事交渉係の諸君は、ここで数分間交渉されまして、そうしてその妥協がなかつたのでありましよう、後刻これを許すということであつた。私は、その行為すら間違つてはおるけれども、妥協をされたものならば後刻発言をしようと思つて退去をし、遂に当日、これは重大な問題として――倉石国会対策委員長もお見えでございまするが、遂に妥協の結果、私はここで発言をする機会を持つたのであります。(拍手)事件はすでにその日に片づいておるものを、今ごろになりまして、懲罰事犯を犯したということで出して来るということは、私は、自由党の諸君がいかなる良識を持つておられるか、いかなるかけひきに基いてかかる行動をされておるか、まことにその心事の陋劣を疑うのであります。(拍手、発言する者多し)
 かつ、この際明らかにしておきたいことは、この発言に基くところの問題の内容であります。御存じのように、財政法第十四條二項並びに十四條三項の改正を含んだところの案件は、当時参議院に上つておりまして、従つて参議院の通過後でなければ法律は成立いたしません。しかるに、新しい財政法によつて予算書を組んで来るなどということは、明らかにこれは財政法の背反であります。(拍手)当時、世間もこれに注目をいたしまして、次第に輿論が高まりまして、その結果はどうなつたか。その結果は、大蔵大臣は、衆議院の予算委員会で追究をされた結果、確かにこれは新財政法によることは好ましくないけれども、しかし前例のあることであるから御寛容願いたいということで、これまた野党委員の主張が通つて、妥協が成立をいたしておる。そういうことなんだ。
 しかして、それならば、私が提起したこの問題の結末はどうなつたか。これはきわめて重大な問題であります。結末は、参議院において公聽会を持たれ、金森博士は憲法背反ではないと言つたけれども、しかし、手続はあくまでも財政法の背反を犯しておると言われた。大内兵衛氏は、継続費というものは元来認めるべきものではない、財政法の背反を明らかに犯しておるということであつた。その結果、諸君は、二月の二十一日、この本会議の議場で、参議院から送付されて来たところのあの修正案を、まさかお忘れになつたものだとは私は思わないのであります。(拍手)
 どうですか。われわれが注意を喚起した結果、どういうことになつたか。財政法の十四條は、原案では数年度にわたつて経常費を支出することができると書いてあつたのを、遂に修正をされて、「当該会計年度以降五箇年度以内とする。但し、予算を以て国会の議決を経て更にその年限を延長することができる。」と、ちやんと改正されておるのである。われわれの発言と参議院の良識があつたればこそ、この重大なるミステークが、遂に後に皆さんの総意によつて修正をされておるというこの一事を見ても、今ごろこの問題を持ち出して来て、しかも私が成規に発言を求めて、成規の手続をもつてなしたるその議事進行の発言をすら間違つておるというようなやり方は、まつたく皆さん方の責任転嫁である。同時に陋劣なる自由党の政略に基いたものといわなければならぬのでありまして、(拍手)かかる不合理なる政略的な案件に対してわれわれは断じて承服することはできないのであります。(拍手、発言する者多し)
 今国会において――ことに先ほどの趣旨弁明を聞いておりますると、このわれわれの議事進行に関する発言の問題よりは、むしろ、どうやら予算委員会における私どもの行つた行動に対する自由党の憤懣やる方なき爆発のようにも思えたのであります。(拍手)静かにこの席上から見ておりますると、あの柳澤君の発言に対しまして拍手をせられた方は、予算委員の諸君のようであります。ほかの諸君は、ほとんど笑つておられる。(拍手、発言する者あり)笑つておられる、懲罰動議などというものを出すときには、その出す党が憤激をもつてこれを迎えなければならぬところのその感情が、あなた方の今の心情にはないではないか。(拍手)げらげらと笑つておる。これはしまつたけれども、今までの行がかり上出さなければならない。予算委員会におけるところの野党側の行政協定のあの肉薄ぶりに対して、今一太刀返しておかなければ腹いせにならないというのが、あなた方が今日出して来たところの趣旨であるということを、われわれははつきりと知らなければならぬのであります。(拍手)
 私は、自由党が本国会において、暴力的な数をもつてあらゆる案件を葬つたことを、国民とともに痛憤の念やる方なきものがあるのであります。(拍手)ことに行政協定のごとき、あの重大な問題が上つて来て、そうして衆議院の予算委員会は、アメリカの上院と同じように、條約の批准は行政協定の締結を待つ、それが当然民主的なやり方ではないかと、野党の議員諸君が声をからして叫んだにもかかわらず、予算案の方を先に出して来て、わけのわからぬ予算案を今日通過せしめたことは、諸君の責任であります。(拍手)国民はみんな憤激をもつてこれを迎えておるのである。何事であります。かかる状態は、まさに恥の上塗りをいまさらこの議場においてなさろうとするにひとしい。私は、この行政協定の問題その他を含んで、今や国民の国会に対するところの批判は日々に高まりつつあつて、ことに自由党の諸君が、数をもつてあらゆる非合理を侵しておることを見のがすものでないということを断言いたします。(拍手)
 諸君、本年は、いかなることであるか、雪が多い。雪が多いというのはなぜか。安政五年から万延元年にかけては大雪が降つたという。その大雪とは何ぞや。井伊大老が、あの屈辱的な外交を結んで、そのために当時の国論の反撥を受け、遂に万延元年三月三日、彼は桜田門外の変に倒れた。吉田総理大臣がその変に倒れる――さようなテロ的なものが今日起ろうとは思わぬが、しかし合理的な国民の要求、屈辱外交を排せよという声はとうとうとして流れて来ると思うのであつて、川崎秀二、一人を傷つけても、天下の大勢をくつがえすことはできませんぞ。(拍手、発言する者多し)
 あらためて申し上げておく。元来、古語にいわく、あやまちを改むるにはばかることなかれという古語があり、新語にいわく、あすではおそ過ぎるという言葉がありますが、どうぞ……。
#13
○副議長(岩本信行君) 川崎君に申し上げます。一身上の弁明ですから、討論にわたらぬように……。
    〔発言する者多し〕
#14
○川崎秀二君(続) 今日の事態を十分に考えて、冷静に反省をなさることを要求いたします。
#15
○副議長(岩本信行君) ただいまの川崎君の発言中、事実と違つておる人の名前があるとの申出がありますから、速記録を調査の上、適当に措置いたすことといたします。
 懲罰の動議は討論を用いずして採決をいたすのであります。よつて、ただちに採決いたします。柳澤君外一名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#16
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて議員川崎秀二君を懲罰委員会に付するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#17
○副議長(岩本信行君) 田嶋好文君外一名より、成規の賛成を得て、議員風早八十二君を懲罰委員会に付するの動議が提出されております。右動議を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。提出者田嶋好文君。
    〔田嶋好文君登壇〕
#18
○田嶋好文君 私は、ここに現在国会の輿論ともなつておるかに考えますところの、風早八十二君に対しまする懲罰動議の趣旨弁明をいたさんとするものであります。
 今回問題になりました点は、去る二月の十九日、予算委員会におきまして、共産党の横田委員が質問に立つたのでございますが、横田委員の質問に対しまして、吉田総理大臣は、專門的な立場から答弁さそうと思つたのでございましよう、他の国務大臣にかわつて説明をさせたのでございます。このことに端を発しまして、横田委員は、吉田総理大臣並びに他の国務大臣に対しまして、まつたく八つ当り的に罵詈雑言を用いまして、とうとう最後には、そんなものはもういらぬと言つて、自分の質問をみずから放棄してしまつたのであります。それで、委員長の塚田さんが、「御質疑に対して答弁不要の御宣告がありましたので、発言を中止いたします。ただいまの横田委員の発言中、もし不穏当の言辞がありますれば、速記録を調べました上、適当の措置をとることといたします。午前の会議は……。」と宣言中に、突然風早君は、自分の席から立ち上りまして、委員長と呼びながら、また何か叫びながら委員長の席にかけつけまして、委員長に詰め寄り、委員長の左腕をつかんで、委員長を自己の方にひつぱつて来て、委員長が机の上にして読み上げておりました書類をひつたくつてしまいました。そうして、それをむちやくちやにして、もみくちやにしてしまつたのであります。こうして委員長の発言に妨害を加え、一時委員長の宣言を中止するのやむなきに至らしめますと同時に、議場を混乱に陥れたという事実がこれであります。
 そもそも国会議員は、院内におきまして絶対的なる言論の自由を保持しておるものでありますことは、皆さん御承知の通りであります。国会議員が院内におきまして絶対的なる言論の自由を保持しておりますものは、国家の最高機関であるところの国会を構成するわれわれ議員に対しまして、国民を代表して、いかなる彈圧にも屈せず、自己の思うところを十分に発表発言せしめ、そうして国民の言わんとするところを言わしめ、国民を十分納得せしめ、よりよき政治の運行をはかろうとする趣旨より出たものでありましよう。しかし、また一方、民主主義の政治下におきましては、絶対的に暴力は排撃しなければならない。そういう意味からいたしましても、私は言論の自由が保障せられておりますことを見のがすことはできないと思うのであります。
 それならば、なぜ暴力は排撃せられなければならないのか。申し上げるまでもないと思うのでありますが、まず第一に、暴力はわれわれの人権を蹂躙するものであります。暴力があつては、われわれの人権は保障されません。と同時に、暴力は、われわれの正常なる国家機関の構成を破壊する……。
    〔発言する者多し〕
#19
○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。
#20
○田嶋好文君(続) 国家機関の機構を破壊すると同時に、言論を抑圧し、ひいては政治のフアツシヨ化をはかるところに、われわれが暴力を排撃しなければならない原因があるのであります。
 今回の共産党の風早君の行動が、共産党の公知の行動であります暴力を地で行つたということは極言かもしれませんので、私はそこまでは申し上げませんが、少くとも国会議員たる風早君が、しかもかつて大学で教授として講義をし、暴力排撃を叫んだところの風早君が、事もあろうに委員長に対して暴力を振うということは、これのみをもつてしても、私は断固として許されないと思うのであります。(拍手)この意味において、私は国会から絶対に暴力を排撃したい。暴力を締め出したい。この意味におきまして、風早君に対して強く責任を追究するものであります。
 また私は、今回の風早君の行動を正確につかんでいただくためには、どうしても風早君の背後にありますところの関係というものを見のがすことはできないと思う。日本の共産党は、独立準備の重大なる今国会において、一貫した方針といたしまして、こういうような方針をとつておるのであります。
 第一に、警察予備隊を日本のかつての侵略軍的なものにでつち上げ、そうして国民感情を反米、反政府的方向に指導するとともに、かつて日本軍により侵略せられた東洋諸民族並びに世界諸民族の反米、反目的感情をあおろうとしておるのであります。
 第二には、政府の不信不正事実を捏造いたしまして、国民を反政府的にかり立て、国内暴力革命の糸口をつくろうとする方針のように見受けられるのであります。この事実は、共産党の諸君の、必ず日本は再軍備を強行しようとしておる、また日本は戰争準備に突入しようとしておる、日本は軍隊を海外に派遣しようとしておる、こういうようなたびたびの発言から、私は十分にうかがえると思つております。
 また予算委員会におきまして、共産党の山口議員がたいへん重大な発言をしておりますことは、われわれ見のがすことができません。予算委員会におきまして、山口君は、「それではお伺いいたしますが、予備隊が南方向けのテントを発注するという問題が起つておる。こういうことを聞いておるのです、政府の方で、約三億円の南方向けの特別な構造を持つたテントを発注しておる、その大部分が予備隊用のものなのだ、こういううわさを聞いておるのです。こういうようなうわさが出ていると、ますます予備隊の海外派遣という問題が、国民として考えざるを得なくなつて来るのです。心配せざるを得なくなつて来るのです。」というように、まつたく予備隊が南方侵略のために派遣される軍隊であるかのような発言をいたしておるのであります。
 また、これに続きまして、共産党の風早委員は、こういうことを言つておる。「山口君の今の質問の中で、南方向けのテント三億円の発注の問題があるのでありますが、これに対する大橋国務大臣の答弁は、はなはだあいまいです。これは帝国製麻と日本繊維、この二つの会社に対して発注せられておると言われておるのでありますが、この帝国製麻には大橋国務大臣が関係しておる。日本繊維には池田大蔵大臣が関係しておる。この二人が利権争いをやつておるという情報があるのでありますが、そこまでこの問題が明確になつておるのに、今の国務大臣の答弁は、はなはだあいまいである。」というような、まことにけしからぬ発言をやつておるのであります。予備隊を南方向けの侵略軍のように国民をして妄信せしめ、そうして政府をいたずらに誹謗して、国民に対して政府の不正不実を捏造して、国民の政府に対する悪感情、反政府的な空気をあおろうと、盛んに委員会において努めておるのであります。
 また問題になりました横田委員は、十九日の委員会におきまして、その発言中、人民軍という言葉を盛んに使いますと同時に、このようなことを言つておるのであります。「日本の政治不安から、警察予備隊を――――――――――こしらえた。この武器は必ず日本人民の手に收めなかつたなれば、日本の政治目標は立たないのです。」「だから私はこの警察予備隊論争に対しましては、もしものとき必ず人民に投降してもらわなければならない、人民に返してもらわなければならない、武器を持つた反動軍であり、」盛んにここでも武力革命につき……。
#21
○副議長(岩本信行君) 田嶋君に申し上げます。風早君の懲罰動議の説明ですから、範囲を越えぬように願います。
#22
○田嶋好文君(続) 武力革命につき、国民をあおるような言辞をもてあそんでおるのであります。また一方、政府や出席大臣に対しましては、出席大臣をばか扱いにするような発言をしておる。とにかく、一国の政府の責任者に対しまして、これをばか扱いするような発言をして、われわれ国会議員は許しておけるかどうか、皆さん、よくお考えを願いたいのであります。こうした、まことに一国の国務大臣をばか扱いにいたしましたやり方というものは、決してこれは思わざる行為ではないのでありまして、こうしたことは、必ず彼らが手段として考え、必ず国民の前にやろうとしておりますところの方法であることを見のがすことはできないとき、私たちは、風早君のこの暴力たるや、風早君一人のものではなくして、その背後から生れたものであることを見のがすことができないのであります。(拍手)
 そこで私は申し上げますが、議員も人間でありますがゆえに、ときには嚴粛なる議場といつても、正義感にかもれて興奮することもありましよう。そうして、故意ならざる暴力を用いることもありましよう。こうした場合は、われわれ国会議員は、状況によりまして許す、寛大にするということも考えなければなりません。しかし、風早君の今回の場合は、決して右のような場合とは見ることができません。明らかに故意です。しかも、その故意は、背後関係が明らかに示しておりますように、政府の不信不正を捏造し、国民に対しまして反米的、反政府的感情をあおり立てる、こういうところにあります以上は、この暴力を、單なる議員の興奮から生れた暴力、單なる故意なき行動として見のがすことはできない。その意味において、風早君の懲罰は、最も適当したる懲罰動議として皆さんが御採択を願いますことをお願い申し上げる次第であります。(拍手)
#23
○副議長(岩本信行君) 風早八十二君から一身上の弁明のため発言を求められております。これを許します。風早八十二君。
    〔風早八十二君登壇〕
#24
○風早八十二君 ただいま上程されました懲罰動議に関し、一身上の弁明をいたします。
 当日の予算委員会は、特に吉田総理の出席を求めて、行政協定の内容について疑義をたださんとすることを、その日程といたしたのであります。諸君御承知の通り、行政協定の交渉は、本国会会期中、予算委員会の審議と並行して進められて参つたのであります。その内容は、日本国の主権の独立を脅かすものであり、また日本国民の権利に重大な制限を與えるものである。たとえば米軍は、占領軍から駐留軍に名前をかえただけで、無期限に日本に居すわることには何のかわりもないのであります。しかも、その兵力も、基地も、演習地その他の施設も秘密に付され、秘密裡に幾らでもこれを増強することができるのであります。しかも、これらの基地や施設内におきましては、日本の主権は完全に排除せられることはもちろん、基地施設の外においてさえ、いわゆる属人主義と称して、米国軍人、軍属、家族に至るまで日本の裁判権は排除せられるという、前代未聞の屈辱的奴隷協定であります。(拍手)
 さらに、この米軍が戰闘地域に出動する條件についても不明確である。実際には、米軍司令官の命ずるままに、日本人の人的、物的資源をあげて戰争に投ずる結果になる危險を十分に含んでおるものであります。(拍手)極東空軍は、国民の知らぬ間に日本防衛空軍となり、第七艦隊は日本防衛艦隊となつておるのであります。行政協定の、この屈辱的とりきめは、同時に日本国民にたえがたい経済的負担を負わせずには置かないものであります。日本国民が軍事警察費のため莫大な水増し増税を押しつけられておるのをしり目に、日本の新たなる特権階級となつたところの米軍人、軍属、家族から御用商人、諜報部員に至るまで、無制限の人員は、関税もかけられなければ、税金も免除されておるのであります。米軍兵力や基地の拡張とともに、田畑や漁場や港湾設備は、かつて気ままに取上げられるのであります。日本の業者は、中国に対して顕微鏡や教育幻燈一つ送ることも許されない、ソビエト同盟に対して十八フィート以上の木船一隻売ることも禁止されておるにもかかわらず、米軍ブローカーの軍需品密貿易を取締ることもできないのであります。
 このような協定が、全国民の怒りと反撃にあうことは明らかであります。(拍手)だからこそ、政府は、これをひた隠しに隠し、言を左右にして遂に答弁せず、行政協定をほおかむりして予算案を通そうとあせつたのであります。かくのごとくにして、しやにむに予算案を通過させ、日もあろうに、その翌日行政協定の調印を完了させ、それを見届けて、いそいそとアメリカ本国に帰つて行くラスク氏のうしろ姿を、日本国民はどのような気持で見送つたでありましようか。(拍手)そのあとで、米国民から、おまけに……。
#25
○副議長(岩本信行君) 風早君に申し上げます。一身上の弁明に入つてください。
#26
○風早八十二君(続) 日本国民はいくじなしだ、もつと何かやりようがあつたのではないかといわれるに至つては、死んでも死に切れない思いではありませんか。われわれ、行政協定に反対し、予算案に反対して闘つた議員としては、国民のこの煮えくり返るような胸の中を察して、悲憤の涙を禁じ得なかつたのであります。(拍手)それゆえにこそ、われわれは、ほぞをかむ前に、予算審議の前に、行政協定の内容を徹底的にただそうとして闘つたのであります。この闘いこそは国会議員の崇高な義務であるからであります。
 およそ国会議員の政府に対する質問権は、国会議員が国民によつて負託せられた国政審議の根底をなすものであり、この質問権の最大限の行使こそは、国会議員の義務の最高なるものと称してはばからないところであります。(拍手)他方におきまして、国会議員の質問権の行使と車の両輪をなすものは政府の答弁義務である。政府が答弁をサボつたり、または不誠意であれば、いくら国会議員が質問権の行使の義務を果しても、国政の審議は全うされず、国会の役割は有名無実に終うのてあります。(拍手)従つて、各常任委員会における委員長の任務は、一党一派の利害に拘束されず、議員の質問権の行使に支障なからしめるとともに、政府当局の答弁サボタージユを戒め、どこまでも正確にして誠意ある答弁の義務を遂行せしめるため万全の努力をなすにあることは明らかではありませんか。(拍手)
 翻つて、本国会予算委員会の二十七年度予算審議の経過を見ますならば、一箇月にわたり、連日休みなく委員会が開かれておつたにもかかわらず、吉田総理はわずか両三回、しかも毎回辛うじて一時間半という在席にすぎないのであります。しかも、うち一回のごときは、全野党各派の執拗にして強硬なる申入れがなかつたならば絶対に出て来る様子はなく、それも数日遅れて、やつとのことでみこしを上げたにすぎなかつたのであります。しかも、傲慢な態度で答弁でサボり、私より閣僚の方が正確に答弁する、あるいは私には議員の質問と太刀打ちする確信がないからとか、まことに唾棄すべき、無責任なる逃げ口上のもとに閣僚に対して答弁させたにすぎなかつたのであります。(拍手)ことに、わが党の代表質問に対しては、初めから耳をふさぎ、終始一貫答弁せぬのをあたりまえかのごとき非立憲の態度で臨み、野党各派からも、これはひとしく憤激の声がわき起つたほどであります。(拍手)
 一体、われわれが吉田総理を呼び出したのは、現実の必要に基くものであります。すなわち、この予算案審議の前提となるべき行政協定について、政府はあらかじめその全貌を具体的に説明して国会の審議にかけるのが当然であるにかかわらず、目下交渉中の一点ばりで逃げまわつて、たまに答弁すると、閣僚の間に意見の不統一を暴露するという状態であつたことは、御承知の通りであります。(拍手)従つて、吉田総理を呼んで、統一的な、責任ある答弁を求めることなしには、責任の持てる、正確な国政審議は期待し得なかつたのであります。しかるに何ぞや、塚田委員長は、いたずらに、そのいすの権限の上に眠り、吉田総理のかつて気ままなサボタージユを見のがしながら、逆に野党の質問を強引に封殺せんとする暴挙をあえてし続けたのであります。(拍手)かくのごとき、予算委員会運営に一貫して示された委員長のさか立ちした態度を前提とすることなくしては、ただいま上程された懲罰動議の理由とする事実のごときは、とうていこれを正しく評価し得ないと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 さて、吉田総理は、改進党藤田君、右派社会党西村君の両君に対して、例のごとく傲慢不遜、まつたく誠意を欠く態度をとつて野党を憤激させたあげく、次に出ましたわが党の横田君は、吉田総理の身がわりのつもりで、かつてに答弁を買つて出た岡崎国務大臣に対し、そんなものいらぬと拒否して強硬に吉田総理の答弁を要求しました。委員長は、このとき、当然に吉田総理自身の答弁を促すべきであるにもかかわらず、逆に横田君の質問打切りを宣告しようとする暴挙をなしたのであります。私は、わが党予算委員の責任者として、この間の状況を嚴重に監視し、ことに横田君のわずか二十分の持ち時間の経過をはかつておつたのでありますが、持ち時間はまだ六分間も余つておつたのであります。委員長の暴挙は、このわずか二十分の持ち時間内に行われたのである。その不当は、二重に許すことができなかつたのであります。(拍手)
 それゆえ、私は、時を移さず委員長席にかけ寄つて、卓をたたき、委員長にその不当を指摘し、抗議したにすぎないのであります。(拍手)事実はこれだけであります。それ以外の何ものでもないのである。委員長のこの不当に対して、これを指摘し、抗議することは、これは国会議員の当然の権利であるのみならず、また当然の義務であります。(拍手)私はこの当然の義務を遂行したものにほかならないことを断言してはばかりません。これをしいて暴力ざたにでつち上げようとする提案者の意図を、私は了解するに苦しむものであります。この政府並びに自由党流の……。
    〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
#27
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
 この際風早君に申し上げます。身上弁明でありますから、討論にわたらぬように願います。
○風早八十二君(続)これこそ一身上の弁明じやありませんか。これ以外に何がある……。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#28
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
#29
○風早八十二君(続) 私思いまするに、政府並びに自由党流の独特の論理に従えば、これらの諸君が使用される限り、戰車も、バズーカ砲も、高射砲も武器ではない。共産党や進歩的労働者が使う場合は、外国のタバコもすぐれた武器となるのでありましようか。自由党吉田内閣が、予備隊や武装警官を使つて人民をけ散らし、ピストルで射殺しても暴力ではないが……。
#30
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
#31
○風早八十二君(続) 失業者が生きんがために真劍に仕事を求め、農民が米軍による土地取上げに対して自衛工作をやるのは、暴力とみなされるのでありましようか。フアシスト暴力団が軍需資本家から金をもらつて、国民を再に再軍備と、戰争にかり立てる脅迫的宣伝を行うことは、奨励さるべきでありましようか。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#32
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
#33
○風早八十二君(続) 学生や労働者が、平和を守るために再軍備反対、徴兵反対の集会を持つことは、彈圧すべきであるといわれるのでありましようか。米兵が自動車強盗や殺人をやつても、つかまえてはならないが、共産党員は、政府の公然……。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#34
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
#35
○風早八十二君(続) 地図を持つていただけでも、軍事スパイとして米軍に引渡されなければならないと主張されるのでありましようか。アメリカの奴隷になりさえすれば、奴隷売買の国サウジ・アラビアの……(発言する者多く、聽取不能)亡命政権蒋介石も……。
#36
○副議長(岩本信行君) 風早君に御注意申し上げます。
#37
○風早八十二君(続) 腐敗堕落の政権と銘打たれた李承晩政府はりつぱな自由国家であるが、人類発展の最高の理想、共産主義の具体的実現に一歩を踏み出している国も、アメリカのウオール街の政策を攻撃するだけの理由で、たちまち野蛮国とみなさなければならないでありましようか。これこそフアシズムの論理ではありませんか。これこそアメリカ権力に対する奴隷的属従の論理ではありませんか。そうして、かくのごとき奴隷的属従の論理を採用せぬ限り、私の行為を暴力ざたなどということは絶対に不可能であるのではありますまいか。
#38
○副議長(岩本信行君) 風早君に申し上げます。何べんも御注意申したにもかかわらず、弁明の範囲を越えておりますので、発言を禁止いたします。(拍手)
    〔風早八十二君発言を継続〕
#39
○副議長(岩本信行君) 降壇を命じます。――執行。
 ただちに採決いたします。田嶋君外一名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#40
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて議員風早八十二君を懲罰委員会に付するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#41
○副議長(岩本信行君) 日程第一、所得税法の一部を改正する法律案、日程第二、法人税法の一部を改正する法律案、日程第三、相続税法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長佐藤重遠君。
    〔佐藤重遠君登壇〕
#42
○佐藤重遠君 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外二法律案について、大蔵委員会の審議の経過並びにその結果について御報告申し上げます。
 今回政府より提出せられました三法律案の趣旨は、政府の説明によりますれば、まず国民の租税負担の状況にかんがみ、負担の軽減と調整とをはかるために、さきに前国会において成立しました所得税法の臨時特例で行われた措置を平年度化しようというのでありますが、そのほか所得税及び相続税について、さらに一層負担軽減をはかるとともに、あわせて課税の簡素化及び資本の蓄積等に資する措置を講じようというのであります。
 まず最初に所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を申し上げますと、その改正の第一点は、基礎控除、扶養控除及び税率につき、さきに実施された特例法を平年度化することであります。すなわち、基礎控除を五万円に、扶養控除額を三人まで一人につき二万円におのおの引上げ、また税率につきましては、最高税率の適用される所得階級を百万円から二百万円に引上げ、これに応じてそれぞれの税率階級区分を緩和しようというのであります。不具者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除につきましても、一万五千円の所得控除を年四千円の税額控除に改めることとし、そのほか新たに生命保險料の控除限度額を二千円から四千円に引上げようというのであります。
 次に青色申告書を提出する事業の專従親族に支拂つた給與を、年五万円を限度として必要経費に算入することとしております。さらに変動所得につきましては、その負担の軽減と課税の簡素化をはかるために、退職所得については特例法を平年度化するこことし、また山林所得、讓渡所得、一時所得等の所得ついては、おのおの十万円を控除して課税することとし、かつ相続の場合の讓渡所得課税は行わないこととしておるのであります。
 次に源泉徴收制度を拡大して、新たに源泉徴收を行うことと、従来の原稿料等についての二〇%の税率を一五%に引下げることといたしております。そのほか、近く行われる外国との租税協定の締結とも関連しまして、制限納税義務者に対する課税所得の範囲を拡張しようとしております。
 次に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。法人が他の法人から受ける利子または配当について、源泉徴收された税額を法人税額から控除し切れないときは、これを還付することとするとともに、法人税の半額について三箇月間徴收猶予する場合の利子税を日歩四銭から二銭に引下げることとすることなど、その合理化をはかろうとするのであります。
 最後に、相続税法の一部を改正する法律案におきましては、その負担の軽減と合理化をはかるとともに、申告納付の期限を延長する等の改正を行うことといたしております。すなわち、各控除額を引上げ、税率につきましても最高を九〇%より七〇%に引下げることといたしております。なお延納期間を延長し、その場合の利子税を引下げる等、延納制度の合理化をはかろうとしておるのであります。
 以上三法律案の改正により、税收の増減は、政府が説明するところによれば、所得税において約千六億円、相続税において約十二億円の減收となり、その反面、砂糖に対する関税において約二十三億円と、ただいま審議中の砂糖消費税において約四十八億円との増收が見込まれるのであります。なお法人税におきましては、さきに実施いたしました税率の引上げ及び特別措置法等による増減收の結果、差引約百九十一億円余の増收となるのでありますから、以上を通算いたしまして、税制改正の結果、二十七年度におきましては約七百五十八億円の減税となるというのであります。
    〔副議長退席、議長着席〕
 この三法律案の審議にあたり、大蔵委員会は、二月十四日、まず大蔵大臣から提案理由の説明を聽取し、続いて連日、政府委員に対し質疑を行いました。また国会法の規定によりまして、二月二十二日公聽会を開いて、学識経験者等の意見を聽取いたしました。質疑応答の詳細なる内容につきましては速記録に讓り、ここではそのうち二、三点についてのみ御報告申し上げます。
 まず、シヤウプ税制をどう考えるか、公平の原則が部分的にはくずれているのではないかとの質問に対して政府委員から、シヤウプ税制の方向は望ましいが、日本の現状に対し進歩し過ぎている点に反省する必要がある、よつて細目の改正を加えた、今回の改正も、中心は公平の原則を考え、負担の軽減をはかつているとの答えがありました。
 次に、讓渡所得等に関する方針についての質問に対して、大蔵大臣は、株式の讓渡所得税は日本の現状では移転税にかえる方が実情に適している、富裕税も廃止し、所得税の累進税で行きたい、しかし今国会中に措置することは考えていないとの答弁がありました。
 次に、源泉徴收がいろいろ追加されているが、これをかけねばならぬ理由いかん、医療費收入、株式配当等においては過納になるのではないか等の質問に対して、政府委員から、源泉徴收は、脱税防止のほか、納税者側も納めやすくなり、便宜であり、また還付を要するものは例外であるとの答弁がありました。
 次に、山林所得税及び山林相続税は山林緑化運動を阻害しているが、その特性上、普通財産と区別して行うべきではないかとの問いに対しては、大蔵大臣より、山林所得については、今回の改正においてよほど軽くなつているけれども、なお不十分である、相続税についても近い将来思い切つた改正を行いたい旨答弁がありました。
 次に、外国人の特許料二〇%課税は事実上日本人の負担となるのではないかとの問いに対して、政府委員より、発生地主義は各国の立法例に従つたものである、但し経済復興上必要な技術については、特別措置法を改正して一〇%にするようにしたい、二重課税防止協定によつて、日本で納めた税はアメリカではとらないことになるから、日本側企業の負担とはならない旨の答弁がありました。
 次に、公聽会における公述人は、一ツ橋大学教授井藤半弥君、日本医師会副会長武見太郎君、日本証券投資協会理事飯田清三君、国鉄労働組合書記長太田末男君、全国商工団体連合会会長河野貞三郎君、国民経済研究協会理事藤井米三君の方々でありましたが、これらの公述人から、所得税法については貨幣価値の変動を考慮すべきであり、勤労控除三万円すえ置きには反対であり、相続税においても、一生を通じての継承額について調整を加える必要がある、社会保險診療費に対する源泉徴收は過納となるものが多いから、源泉徴收はやめてもらいたい、有価証券讓渡所得税は廃止さるべきであり、配当源泉徴收は資本蓄積及び企業資本構成の是正を阻害する、外形標準のみによつても所得を捕捉しやすい農家については、青色申告を要せずして家族従業者の給與支拂いの経済算入を認むべきである、事実上一子相続が行われねばならぬ農家については、相続税の控除額は百五十万円まで引上ぐるを妥当と思う等の意見が述べられました。
 かくて、三月一日、以上三案に対する質疑を打切り、ただちに討論採決に入りましたが、奥村委員は自由党を代表して本案に賛成の旨討論せられ、内藤委員は改進党を代表し、前田委員は日本社会党を代表し、上林委員は日本社会党二十三控室を代表して、それぞれ強い希望を述べて本案に賛成の旨討論されました。また深澤委員は共産党を代表して本案に反対の旨討論されました。
 次いで採決の結果、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#43
○議長(林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。高田富之君。
    〔高田富之君登壇〕
#44
○高田富之君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となつております税制改正三法律案に対し反対の意を表明せんとするものであります。
 その理由を一言で申し上げますと、第一に所得税法案におきましては、税法上の減税によりまして、実際上の大増税を欺瞞しようとしているという点であります。法人税法案におきましては、平和産業、なかんずく中小企業から引続き一層の重税を收奪せんとするものであり、また相続税法案におきましては、いわゆる資本蓄積の名のもとに大資本家の財産擁護のみを企図するものにほかならないと考えるからであります。
 政府並びに自由党は、信頼と和解の講和という虚偽の宣伝によつて国民を欺いて来たのでありますが、外国軍隊による永久占領と再軍備のための大増税によつて、国民は今や欺瞞條約の本質を身をもつて知らされんとしておるのであります。(拍手)すなわち、昭和二十七年度の税收見積りは六千三百三十五億でありまして、これは昭和二十六年度補正予算より七百二十七億、当初予算よりも実に千八百九十億円の大増税でありまして、いわゆる講和條約実施第一年目にあたり総額八千五百億円の厖大な軍事予算を米国から押しつけられ、これを国民の血税でまかなわんとする売国條約締結の必然の帰結であります。(拍手)
 しかしながら、昭和二十七年度の増税は、おそらくこれだけでは済まないでありましよう。というのは、政府の常套手段である水増し課税によりましは、しやにむに財源を捻出した上、再び追加予算によつて軍事費をさらに追加計上せんと企図していることは、ほとんど疑う余地がないからであります。(拍手)かつて中小業者の五人や十人は死んでもかまわぬと放言して国民の憤激を買つた池田蔵相は、本年度も相当の自然増收を期待していると言明しておるのでありますが、その意味するところは、不況にあえぐ中小企業、農民等に対して、この上なお一層残酷な天くだり水増し課税、更正決定、差押えを強行しようとすることにほかならないのであります。(拍手)それゆえ、吉田内閣の続く限り、昭和二十七年度は空然の大増税は必至であり、地方税を含む国民負担総額は、優に一兆億円をはるかに越える厖大なものとなるであろうことを警告せざるを得ないのであります。現に、その徴候は、目下進行中の二十六年度申告所得税の強行徴税に明瞭に現われておるのであります。すなわち、現在農民は、昨年度の三割から五割、商工業者は五割から十割ないしそれ以上の驚くべき水増し申告を、申告指導の美名のもとに強要されている現状であります。(拍手)従つて、税法上の若干の基礎控除等の引上げや税率の緩和はまつたくの欺瞞にすぎないことは、もはや多言を要しないところであります。
 先日、私は委員会で、池田大蔵大臣に対し、納税者を税務署に呼び出して強制的に調印させているのではないかとただしたのに対し、蔵相は、納得の行かないのに調印するような納税者がもしあるとすれば、そんな者こそ民主主義の何たるかを知らぬ者である、自分で調印しておきながら不平を言うような者には、あらためて徹底的に調べ上げてやるという意味のことを、傲然として答えているのであります。これこそ、今日の納税者の苦悩をごうも解せず、人民を敵視する買弁官僚の正体といわなければなりません。(拍手)
 しかも、かくしてしぼり上げました文字通りの血税を、腐敗官僚が食い荒しているのであります。会計検査院昨年度の報告によりますと、官庁の不正支出と濫費で食われた血税は実に三十五億に達し、しかもその筆頭は、ほかならぬ池田蔵相の率いる各地税務署を含む大蔵省関係であります。しかも、これはほんの氷山の一角にすぎないと新聞は報じておるのであります。
 今回の改正で軽くなりますものは、山地主の山林所得と、投機業者の株式等の譲渡所得が十万円の基礎控除を認められただけであります。他方また、今回の無記名預金の復活によりまして、大金持には公然と大脱税の道を與えております。また相続税におきましても、従来最高五千万円以上百分の九十であつたのを、二割五分も減じて百分の六十五とし、一億円以上百分の七十としておきながら、生業の存廃にかかわる農民、中小資本家などの小額相続には、わずか五%の申訳的の減税しかしておらないのであります。
 次に、私は法人税について一言いたしたい。今日四二%に引上げられた税率をそのまま適用され、個人と同様の水増し課税を押しつけられて苦しんでいるのは、平和産業の中小法人のみであります。軍需景気を謳歌している大銀行、大軍需会社は、至れり盡せりの減免税の恩典に浴している。すなわち、価格変動準備金、退職手当積立金等の損金算入はもとより、重要機械の特別償却、さらにはなはだしきは、特殊重要軍需品、たとえばナイロン、ビニロン等々の合成繊維の製造による所得は免税されているのであります。これを現在製造しているのは、鐘紡、東洋紡など十社に満たない独占事業でありますが、彼らは昨年上半期の表面に出された利益だけでもいずれも数十億円、資本金の五倍から十倍の利益を上げ、四割、五割の配当をして、なお多額の社内留保をやつている。これら独占企業に対する減免税は、まさしく盗人に追銭と言わざるを得ないのであります。
 私はこの際特に指摘しなければならないと思うことは、かように一部独占資本を除く国民大多数が、世界に類例を見ない重税にあえいでいるとき、在日外国人に対しては、種々の場合に特例を設けて所得の半分を控除し、三百五十万円まで無税としておることであります。しかも、その上さらに今次行政協定によつて、今後何十万に上るか予想もつかない米国軍人、軍属、その家族並びに米国人請負業者等に対して、関税、物品税、所得税その他各種税目にわたりまして、広汎に免税の特権を與えたことは、日本国民のだれしも断じて承服することのできない、不当きわまる処置であるというべきであります。(拍手)
 私は結論として言いたい。今日の重税の基礎をなしておるところの軍事予算は、非武装平和憲法の明白なる違反でありますがゆえに、当然無効であり、国民はびた一文といえども軍事費を負担する義務はないと信ずるのであります。(拍手)今かりに直接軍事費と若干の軍事的経費を含む二千五、六百億を削除するものとすれば、これだけで所得税、法人税の実に九五%を免税することができるではないか。政府と自由党は、外国の命ずるがままに、やせ細つた国民の食い物を削つて兵隊に食わせ、寒さをしのぐに足らぬ国民のボロ着の最後の一枚まではぎとつて軍服をつくり、なべ、かまを奪つて彈丸をつくろうというのでありますか。(拍手)
 諸君、数日前フランスのフオール内閣は、一五%の増税案に対し、與党まで含む圧倒的多数の反対にあつて、遂に瓦解したではないか。これは明らかに、フランス国民が、アメリカの主導する西欧軍備拡張のための増税に反対していることを示すものであります。(拍手)しかるに、吉田内閣は、破廉恥にも、アメリカのための日本再軍備の増税を、税法上の減税という詐欺的手段によつて国民を欺瞞し、與党の盲従を頼みに押し切らんとしているのである。
 わが党は、あくまで国民諸君とともに、売国條約の廃棄と大衆課税撤廃を目ざして闘わんとするものであります。そのゆえにこそ、この欺瞞的三法案に反対し、その根本的改正を要求するものであります。(拍手)
#45
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。
 三案を一括して採決いたします。三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#46
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#47
○議長(林讓治君) 日程第四、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く厚生省関係諸命令の措置に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員会理事丸山直友君。
    〔丸山直友君登壇〕
#48
○丸山直友君 ただいま議題となりました、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く厚生省関係諸命令の措置に関する法律案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果を簡單に御報告申し上げます。
 平和條約の効力発生を控えまして昭和二十年制定の勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基いて制定されました厚生省関係の諸命令について、しかるべき改廃等の措置を講ずる必要があるのでありますが、厚生省関係の命令としましては、引揚援護庁設置令、有毒飲食物等取締令、陸軍刑法を廃止する等の政令第七條、死産の届出に関する規程、伝染病届出規則及び引揚者の秩序保持に関する政令等がございます。これらのうち、最後のものを除く五命令は、日本国との平和條約の効力発生後も法律としての効力を持たせる必要がありますので、法律として存続することとし、右のうち引揚援護庁設置令及び死産の届出に関する規程については、字句等について所要の改正を行つたのであります。また引揚者の秩序保持に関する政令は、制定当初の目的をほぼ達成いたしましたので、この際これを廃止することにいたしておるのであります。以上が、本法案の提出理由並びにその内容であります。
 本法案は、一月二十二日、本委員会に付託せられ、二月二十六日、厚生大臣より提案理由の説明を聽取した後審議に入り、二十九日午前午後にわたり熱心なる質疑応答が行われたのであります。
 次いで質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して岡委員より、希望を述べて賛成意見の開陳があり、日本共産党を代表して苅田委員より反対の意見が述べられたのであります。
 次いで採決に入りましたところ、本法案は多数をもつて原案の通り可決すべきものと決した次第でございます。
 以上御報告申し上げます。
#49
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#50
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#51
○議長(林讓治君) 日程第五、昭和二十六年十月の台風による漁業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法案、日程第六、真珠養殖事業法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。水産委員長川村善八郎君。
    〔川村善八郎君登壇〕
#52
○川村善八郎君 ただいま議題となりました昭和二十六年十月の台風による漁業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法案及び真珠養殖事業法案の二法案について、水産委員会における審議の経過及び結果について御報告申し上げます。
 まず昭和二十六年十月の台風による漁業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法案について御報告申し上げ、あわせて本案の提案理由並びにおもなる内容の御説明をいたします。
 本法案は、去る二月二十九日、自由党松田鐵藏君外十一名の水産委員により提出され、付託されたもので、昨三月三日の委員会において、松田委員より提案理由の説明を聞き、ただちに質疑に入つたのであります。
 この災害に対する補償制度の確立の問題は、毎年台風があるたびに繰返し論議されて来た問題であり、ことに昨年十月ルース台風のあつた当時においては、しばしば委員会を開き、これが対策について、より真劍なる調査研究を重ね、検討いたした結果、漁業災害に対する確固たる補償制度の制定を期し、とりあえずルース台風に対する災害復旧をはかる特別措置を講ずべきであるとの意見の一致を見た次第であります。このような関係から、別に質疑もなく、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致をもつて可決すべきものと決定した次第であります。
 次に、本案の提案理由及びおもなる内容について御説明いたします。
 昭和二十六年十月、わが国を襲つたルース台風は、その被害まことに甚大なるものがあつて、漁業関係において、調査報告のあつた漁船、漁具及び養殖施設だけでも三十数億に及び、九州地方、特に鹿児島県下における被害は想像以上のものがあつたのであります。この災害による漁船、漁具及び養殖施設について、重要度高く、しかも緊急を要し、復旧困難なるものに対し、その復旧資金の融資を円滑にして、早急なる復旧の促進をはからんとする次第であります。
 すなわち第一点は、漁業者等で、その所有する漁船、漁具または養殖施設についてルース台風により災害を受けた者は、これが復旧のため、農林中央金庫等の金融機関から特別の融資を受けることができる適用範囲の規定であります。
 第二点は、政府は融資機関が本法に従つて貸し付けたことによつて損害を受けた場合に、その融資総額の百分の三十に相当する金額まで補償し、かつ融資残額に対して年四分の割合で利子の補給をすることができることであります。なお融資総額は十五億を限度とし、その期間は昭和二十七年四月一日から翌年三月三十一日までの融資で、償還期限は昭和三十三年三月三十一日までのものと限定いたしてあります。またこの種の貸付であつて、この法律施行前にした融資についても、本法に定める條件に該当するものは、これが適用を受けられるように措置がとられております。かくして、金融べースに乗りがたい漁業に対する融資の円滑をはかり、災害の復旧を促進し、もつて漁民生活の安定に資したいと存ずる次第であります。
 次に真珠養殖事業法案について、その要旨と、水産委員会における審議の経過及び結果について御報告いたします。
 まず本案の提案理由について御説明いたします。
 わが国におきましては、英国のダイヤモンドとともに宝石界の双壁として、世界でも最も貴重なる養殖真珠が古くから発明され、生産されて、世界各国にそのほとんど全部が輸出されているのであります。今この輸出高について見ると、昭和二十三年に一億程度であつたものが、昨年度においては十五億になり、戰後においても急速に増加して参りましたが、これは戰前の四分の一程度の数量であつて、とうてい欧米の需要に応じ切れない現状であります。しかも、この真珠養殖事業は、わが国の惠まれた自然力及び人工に最も多く依存する産業であつて、輸出額の九〇%以上が取得外貨の純度で、輸出の振興により再建をはかるわが国にとつては、まことに適切なる産業であると信ずるのであります。そこで、本事業を国策として育成し、経営の合理化と、積極的に増産をはかることによつて、数年後には百億円の輸出を期して輸出の振興をはかり、もつて国民経済の発展に寄與せんとする次第であります。
 次に、本案のおもなる内容について申し上げます。
 まず第一点は、真珠の品質の向上と、これが合理的生産をはかることであります。すなわち、農林大臣は、毎年真珠養殖の総合的な計画を立て、各養殖事業者からは事業計画を提出せしめ、これを検討指導し、もつて合理的な真珠の生産を期するとともに、優良なる真珠の増産をはかることであります。なお、これが実施の円滑をはかるためには、資金のあつせんをもするようになつております。
 第二点は、真珠母貝の増産であります。現在、真珠養殖事業振興の最大隘路は、漁業協同組合が生産する真珠母貝の不足であります。この真珠養殖の根本である母貝生産を十分に事業化し、組合事業として確立して、積極的に真珠母貝の増産をはかるため、漁業協同組合の行う採苗事業あるいは投石事業等に対しては国が助成をするという点であります。
 第三点は、真珠の検査と真珠研究所の設置であります。宝石としての真珠の品質を保持するため、国立の真珠検査所において検査することにし、また国立の真珠研究所を設けて、真珠貝及び真珠養殖に関する科学的調査研究をして、本事業の円満なる発達を期している点等であります。
 本案は、第七国会当時から研究して来たもので、さきの第十二回国会において、十一月二十六日、石原圓吉君外十四名の議員発議により提出され、同日水産委員会に付託されたもので、十一月二十七日、提出者を代表して石原圓吉君より提案理由の説明を聞き、引続き二十八日質疑に入り、本案に対する予算関係を中心として、政府当局から説明を聽取いたしたのであります。かくして第十二回国会においては会期の都合により結論を得るに至らず、継続審議といたしたのでありました。
 今国会におきましても慎重審議を重ね去る二月十八日の水産委員会におきましては、自由党田口長治郎君より本案に対する修正案が提出され、その趣旨弁明を聞いたのであります。
 以下、そのおもなる内容を申し上げます。
 第一は、第二條の修正でありまして、真珠養殖事業者に加工業者を含めることにつき疑義がありましたので、この範囲を、通糸連までの、すなわち真珠養殖事業と不可分の関係にある一次加工までのもので、金属類を附加して製品とする加工は含んでいないことを明確に規定したこと。第二は、第六條の真珠母貝の増産のために、漁業協同組合あるいは同連合会に対する助成は自営の場合のみに限定したこと。第三は、農林大臣が真珠の検査及びその様式について省令を定めるときは通商産業大臣に協議する規定を設けたこと。第四は、第十一條の立入検査の規定について、資金のあつせんを受け、あるいは母貝増産の助成を受けた業者または漁業協同組合等に対して、その成果を確かめるためにのみやることにしぼつたことであります。その他罰則規定に段階を設け、あるいは両罰規定を整備いたした点であります。
 なおこの修正に引続き、同じく田口委員より、昨三月三日の委員会において、前の修正に補足して修正いたしたいとの申出があり、その説明を聞いたのであります。すなわち、原案における第四條の「計画の提出」と、第五條の「計画についての助言及び勧告並びに資金のあつ旋」との調整の点であります。すなわち、計画の提出については、すべての業者に対し強力に義務を課しながら、一方その裏づけども申すべき資金のあつせんについては、提出した計画に対して助言または勧告に応じたものに対してのみするとの規定は不均衡であるので、この点につき、計画の提出については、農林大臣は毎年これを求めることができると修正し、提出の義務をはずした点であります。これに伴い、当然先の修正による第十五條の計画の提出にかかる罰則はなくなるわけで、これを削つたのであります。
 引続き原案及び修正案を一括して議題とし、審議をいたしたところ、原案の提出者である石原委員より、近い機会にこの四條及び五條は改正して計画生産を推し進めたいとの希望意見が述べられ、質疑を終り、討論の通告もないので、これを省略して、まず修正案について採決し、次いで修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、いずれも共産党を除き全員の賛成をもつて可決すべきものと決定いたした次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#53
○議長(林讓治君) まず日程第五につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に日程第六につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#55
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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