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1951/03/29 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 本会議 第27号
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1951/03/29 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 本会議 第27号

#1
第013回国会 本会議 第27号
昭和二十七年三月二十九日(土曜日)
 議事日程 第二十六号
    午後一時開議
 第一 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く法務府関係諸命令の措置に関する法律案(内閣提出)
 第二 公営住宅法第六條の規定に基き、承認を求めるの件
 第三 商品取引所法の一部を改正する律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した事件
 日程第三 商品取引所法の一部を改正すを法律案(内閣提出)
 日程第一 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く法務府関係諸命令の措置に関する法律案(内閣提出)
 日程第二 公営住宅法第六條の規定に基き、承認を求めるの件
 國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 道路整備特別措置法案(内閣提出)
 海上保安庁法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令等の廃止に関する法律案(内閣提出)
 特別調達庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 法務府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 特定道路整備事業特別会計法案(内閣提出)
 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 農業共済再保險特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律案(内閣提出)
 外国人登録法案(内閣提出)
    午後五時三十四分開議
#2
○議長(林讓治君) これより会議を開きます。
 この際暫時休憩いたします。
    午後五時三十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後六時三十四分開議
#3
○議長(林讓治君) 休憩前に引続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
#4
○福永健司君 日程順序変更の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、日程第三を繰上げ上程し、その審議を進められんことを望みます。
#5
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は変更せられました。
 日程第三、商品取引所法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事高木吉之助君。
    〔高木吉之助君登壇〕
#7
○高木吉之助君 ただいま議題と相なりました商品取引所法の一部を改正する法律案について通商産業委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 昭和二十五年法律第二百三十九号をもつて施行せられました商品取引所法は、施行後一箇年有半をけみし、その間に設立せられました取引所は十一箇所に及び、爾来円満な発展を見つり、國民経済の適切な運営に寄與して参つておるのであります。御承知の通り、同法は、商品取引所の組織、商品市場における売買の管理等について定めているのでありますが、その施行後、取引所における売買取引の安全、取引所自治の伸張等を期する上において、現行制度に適当な改善を加えるなど、なお一段の施策を講ずることが適当と考えられましたので、所要の改正事項について、これを立法化することといたしたのであります。
 本法律案は、右の趣旨にかんがみまして、大要左のような措置を内容といたしております。まず、第一に、売買取引の安全を強化するため、取引所は会員または商品仲買人の定員を設けることができるようにするとともに、仲買人の使用人で取引所の登録を受けた者、すなわち外務員をして委託の勧誘に従事させることができるようにしたことであります。さらに、改正法の眼目であるところの特別担保金の制度を設けまして、相互連帶の形式を採用したことであります。第二点は、商品取引所の自治の伸張をはかるため、商品仲買人の登録について取引所の事前の承認を認め、その届出書は取引所を経由するものといたしたことであります。第三点は、商品取引所会員または商品仲買人に対する監督について遺憾なきを期するため、関係條文を修正いたし、あわせて若干法文の字句を修正いたしたのであります。
 本法案は、去る三月七日、当委員会に付託せられ、越えて三月十一日、政府より提案理由の説明を聽取いたしたのであります。よつて本委員会は、十三日、二十八日の両日質疑を行いましたところ、自由党高木吉之助より、違約者の破産後の残余債務に対する債権求償権の限度とその免責、特別担保金と国税及び地方税との債権優先弁済と先取り特権について、細部にわたり政府委員と質疑応答が行われたのであります。なお詳細は会議録に譲ることといたします。
 引続き二十八日、質疑終了後、討論を省略し、採決いたしましたところ、多数をもつて可決いたしました次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#8
○議長(林讓治君) 質疑の通告があります。これを許します。山手滿男君。
    〔山手滿男君登壇〕
#9
○山手滿男君 ただいま委員長から御説明のございました事柄に関連をいたしまして、私は大蔵大臣及び通産大臣に、現に起つておりまする三品取引所の立会停止及びそれに関連して起つておりまするいろいろな経済問題についそ質問を申し上げたいと思います。
 昨二十八日の繊維市況は、英国商相の対日未さらし綿布輸入中止措置言明を伝えまして、東西両市場とも、綿糸相場はまたまた大暴落を演じました。特に大阪綿糸の定期相場は、ポンド当り百九十円台に陥落をいたしました。一こり換算七戸八、九千円と、簡單に八万円台を割つてしまいまして、前日の一こり当り金額からいたしまするならば三千円もの暴落をいたしてしまいました。この相場を、一年前の、昨年二月の相場、一こり二十五万円から見ますると、実に三分の一以下の値段でありまして、いかにコストの安いメーカーの製品といえども、これでは原価をきわめて多く割つておるのでございます。かくのごとくにいたしまして、昨日遂に大阪三品定期市場は立会を停止するのやむなきに至り、またこのために市中現物取引も極度の混乱相場を現出いたしまして、まつたく底知れない恐慌状態になつてしまいました。相場低落の事態に基く取引所の休会は、戰後初めてであることはもちろんでありまするが、日本輸出産業の大宗でありまするところの繊維産業界のこのできごとは、大音くわが国の全産業、経済界に影響を及ぼすこと必須であると思われます。
 このことは、振り返つて見まするならば、恐慌の到来は朝鮮事変勃発後の政府のいわゆる備蓄輸入促進政策に源を発しておることはもちろんでございまするが、万一戰争が勃発したならばという、政府のいわば無定見な輸入促進の掛声におどらされまして、日本の相当名のあるところの大商社までが、いわゆる思惑輸入に狂奔いたしました。朝鮮事変の一段落、あるいは各国の生産力の増強等による世界経済の異常な急変によりまして、物価が急に低落をいたし、日本の手持ち外貨を一挙に使い盡してしまいまして、いわゆる一流商社に残つたものは、資本金の数倍にも余るような厖大な負債だけになつてしまつたのであります。この事態は、政府の指導によつて行われました、戰後日本経済界の最大の経済的失態であつたと断ぜざるを得ないのでありますが、日本政府自体、その責任の一半はどうしても背負わなければならないのであります。(拍手)
 しかしながら、その後商社の再建整備にあたりましては、政府はみずから積極的にその解決に手を染めようとせず、信用のあるわが国の大商社を日々苦悩のどん底に追い込んで、その影響が、ただ單に繊維のみならず、産業経済界、各界の上にまで押し進んで行くような状態に持つて来たのであります。しかも、その後今年に入りましてポンド貨手持ちの累増を理由にいたしまして、政府はポンド圏に対する輸出制限措置を、大蔵、通産両省意見対立のまま、池田大蔵大臣が強行をいたしました。池田大蔵大臣は、産業機構も物の動きも無規をいたしまして、單に金融的な観点のみに立つて一過般の対ポンド措置を思い切つて断行いたしました。このことは、わが国の輸出産業界にとつてはきわめて重大な問題になつたのでありまして、きびしい批判が各界から起つて参りました。政府は、その後この対ポンド措置を幾分緩和いたしまして、できるだけその行き過ぎを是正しようとして今日に至つております。
 しかも、皆さん、この対ポンド措置を池田大蔵大臣が敢行いたしました後一月も出でずして、今日、英国政府は、断固として日本よりの未さらし綿布の輸入停止措置に出ました。この恐慌相場をつくる原因は、ここから生れたのであります。(拍手)皆さん御承知のように、対英米さらし綿布の輸出が停止されますと、それだけで、日本の貿易は一月百億円もの輸出がとまつてしまうことに相なるのでありまして(拍手)その結果、單にそれは英国だけではありません。ポンドの、いわゆる全英帝国のプロツクにまでこれを押し進めて行こうとするこの措置がさらに徹底をいたしますならば、わが国の輸出産業界ば重大なるはめに追いこまれることは当然であります。從つて、今日取引所が休会を余儀なくされ、御承知のように、業界は四割の操短をせざるを得ない。商社は整理を強制され、そして当然その下につながつておりますところの中小企業者、機屋たちが全部休業状態に立ち至つておるということは、皆さん御承知の通力でありまして、これをさらに深刻化して行くでありましよう。当面する業界の不況を打開し、貿易を振興いたしまして、この繊維産業界の恐慌状態のさちに他産業にまで波及することを食いとめまするためには、政府はこの際緊急なる対策を講じていただく必要があると思うのであります。この観点に立ちまして、私は大蔵、通産両大臣にお伺いをいたしたいのであります。
 政府は、この英国の措置に対して非常にびつくりして、昨日来ロンドンの在外事務所に連絡をして、英国政府の措置を知ろうとしておられるようでございまするが、この英国政府の対策はどういうものであるか、またそれに対する日本側の対策はどういうものであるか、率直に私はここで見解を表明していただきたいのであります。(拍手)英国が輸入制限をいたしまして、これが全ポンド圏に及びまするならば、これは重大なことになるのでありますが、逆に、先般来、政府は日本側の輸出制限を行つております。ところが、向うの方は、輸出制限ではなしに、全面的に日本の綿布の輸入を禁止しようとしておるのでありますが、これは、こちらからは輸出を制限する、向うからは輸入を禁止するという措置になりますると、いかにもちぐはぐな事態ではないかと私は考えるのであります。
 さらにまた、九月に予定されておりまするところの世界綿業会談におきましても、先方はいろいろかけひきをやつて来るであろうと思うのでありまするが、この九月の綿業会談に先だつて、こういう措置がとられたということは、党派を超越して、日本側のわれわれははく考えて対処して行く必要があると思うのであります。英国が一方的に輸入を中止するということは、一面から考えてみますると、日英支拂協定の精神よりいたしましても、きわめて疑義が多いのでございます。いわゆる大英帝国の全領域で、封鎖的なブロック経済を推進されるということになりますると、日本の全輸出産業――日本は輸出産業によつて立つておるのでありますから、輸出産業に対しては、経済自立の上からも新たな課題を提起させられるものでありまして、政府は何とかして、日本の人口問題ともからんで、日本が輸出貿易で立つて行く国であるということをもう一ぺん考えて、この問題に慎重な考慮をお願いしたいのであります。(拍手)
 それはそれといたしまして、当面の市況を圧迫しておりまするところの滯貨に対しましては、政府は救済的な融資を行いまするか、あるいは政府の一時買上げのごとき緊急対策をする意思はないかどうか、この点もお尋ねをいたしておきたいのであります。アメリカにおいては、経済界の安定弁といたしまして、商品金融会社のごとき制度を設けまして、組織的、恒久的なる市場安定政策をとつておるのでございます。日本経済は、俗にいわゆる底が浅いといわれておるのでございまして、底の浅い日本経済界において、ただ單に野放しで世界経済のまつただ中に飛び込んで行きますると、今後いろいろな意味でこういう事態が起きるだろうと思うのであります。アメリカにおいても、なおかつかくのごとき制度が行われておるのでありますが、この際商品取引所の機能を強化する建前からも、そういう措置をおとりになる考えはないかどうか、お伺いをいたしておきたいのであります。
 さらに大蔵大臣は、昨日、かくのごとき重大なる事態に対処するために、産業界の合理化、計画化のために、惜しげもなく手持ち外貨を動員して輸入を促進するというふうな声明をされたのでありまするが、政府は手持ちポンドを積極的に活用する新経済政策を行うという、その計画性とはどういうものを重点的にやり、どういう機械や、資材の輸入をほんとうに押し進あて行くのか、この際はつきりしていただきたいのであります。
 さらにまた、今日の繊維業界の混乱というものを解明してみますと、生産過剰にいろいろ問題がありまして、今日、日本の繊維産業界は四割の操短をいたしております。皆さん御承知のように、ゴム工業も三割の操短をいたしております。これはやはり、政府の無計画性や、手放しの自由放任経済から来ておると思うのでございまするが、今日、日本の繊維産業は六百五十万錘である。ところが、今年中には七百万錘にまで行こうという状態であります。片一方では、まだ今日設備の増設が続々行われておる。しかも、設備の増設を片一方では許しながら、片一方では、通産省は四割の操短を勧告し、遊休施設をいたずらにつくつておるという状態はどういうことか。(拍手)そのあたりに、やはりこの混乱のかぎもあるのでございまして、この際、そういう繊維産業だけでなしに、全産業界の計画化なり編成がえというふうなものについて、通商産業大臣はつぶさに御説明をお願いしたいのでございます。
 要するに、今日の恐慌的な経済状態というものは、今日に始まつたことではなくて、遠く源ば、二、三年前から尾を引いて今日まで至つておるのでございまして、今日、明日の簡單な取引所の立合停止だけでは解決する問題ではないと思うのでございますから、政府は、貿易政策の見通し、英国の打とうとしている手、あるいは日本政府自体において、今からどういうふうにやつて行つて市場を安定させ、恐慌の全面化を防いで行くかということについて、明確な御答弁をお願いしたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣高橋龍太郎君登壇〕
#10
○国務大臣(高橋龍太郎君) 御答弁申し上げます。
 昨日、大阪の三品取引所が午後の立会を停止いたしましたのは、私への報告では、午前中の取引高が非常に多くありまして、一万枚近く取引がありましたので、事務整理上、後場の取引の停止が必要であつたというのであります。ところで、昨日の繊維品の価格の暴落は、ちようど月末に当り、またこの月は相当数の会社が決算期でありますため、一時的資金需要に基く換金投物が相当あつたのてあります。近来、世界的に繊維品の価格が下つておりますところへ、昨日また、ちようどイギリスの繊維品の輸入禁止というような話が起つて来ましたので、一層価格の暴落を来したものと私は考えます。しかしながら、昨日の相場では原価を割りますので、こういう低い相場が続くものとは私は考えません。すでに今日の三品の立会では、若干相場も回復いたしております。
 また御質問の中にありました繊維商社の整理の問題につきましては、この整理の遅れましたことは、私どもははなはだ遺憾に存じますが、この商社のおもなものの整理案は、ようやく解決を見たのであります。それにつきまして、ほかの全体の商社の整理も速急に済むと私は信じております。
 なお繊維品の価格が不当に安いことは、輸出を阻害することにもなりますし、経済界全般に惡い影響を與えまするから、しばらく情勢を見まして、必要と考えますれば、あるいはさらに操短の強化、また金融措置等を講じたいと存じます。(拍手)
#11
○議長(林讓治君) なお大蔵大臣の答弁は適当の機会に願うことといたします。
 これにて質疑は終了いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#12
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#13
○議長(林讓治君) 日程第一、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く法務府関係諸命令の措置に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長佐瀬昌三君。
    〔佐瀬昌三君登壇〕
#14
○佐瀬昌三君 ただいま議題となりました、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く法務府関係諸命令の措置に関する法律案につきまして、提案の要旨及び法務委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本案は、さきに当委員会において審議し、本院において可決いたされました、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律案の第二項によりまして、法務府関係のポツダム諸命令の廃止または存続に関する措置を定めようとするものであります。法務府関係のポツダム命令のうち、平和條約発効を機会に、その内容に全面的な改正を加える必要のあるものにつきましては、別に新しい内容を持つた法律として制定し、その法律の附則で処理する予定でありまして、その分のポツダム命令は、本案には含まれてないわけであります。
 本案の内容としては、まず第一條に、今後法律として存続させるべき四つの命令及び命令の規定を列挙しております。次に第二條は、平和條約発効と同時に廃止すべき八つの命令を列挙しております。しかして、最後の第三條におきまして、第二條で廃止する諸命令についての罰則の適用その他に関する経過的措置を定めておるのであります。
 さて、当委員会におきましては、本案が付託されまして以来今日まで愼重審議を重ねて参つたのでありますが、なかんずく婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令の存続につきましては活溌なる質疑がありました。すなわち、この勅令は條文解釈上はなはだ明確を欠くきらいがあつて、現在いわゆる特殊飲食店街の実態に照して、このまま法律として存続させるのは不適当であるから、むしろこの際この勅令は廃止して、新しく現状に即した單行法を立法すべきではないかとの質問があつたのであります。これに対し、政府は、文化国家として公娼制度禁止の建前から、最小限度この勅令は存続すべきものと思われる、條文解釈上の疑義に関しては、その運用において遺憾なきを期したいとの答弁があつたのであります。その他、廃止すべき命令のうち、占領目的阻害行為処罰令は、新たに制定せられんとする治安関係の法案、あるいは行政協定に関する特別法案の構想上、これが存続と同一の効果をねらつているのではないかとの質問があつたのであります。これに対し、政府としては、そのように解釈していない旨の答弁がありました。また廃止した命令に関する経過規定としての罰則の適用にも疑義があるが、これはどうかという質問に対しまして、政府よりは、その適用については特別の考慮を拂うとの答弁があつたのであります。
 かくて、本委員員においては、三月二十八日質疑を終了し、討論に入り、日本共産党加ら反対の討論がありましたが、採決の結果、多数をもつて政府原案通り可決した次第であります。
 以上、簡單に御報告申し上げます。(拍手)
#15
○議長(林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。田中堯平君。
    〔田中堯平君登壇〕
#16
○田中堯平君 ただいま議題となりました、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く法務府関係諸命令の措置に関する法律案に対し、私は日本共産党を代表いたしまして反対の趣旨を表明するものであります。
 その理由は、本法案と、さきに本院を通過いたしました、いわゆるポツダム緊急勅令を廃止する法律と相まちまして、表面上は、占領制度の廃止に伴い、これに基く法制を一新して独立国としての体面を整えるかに見せかけて、実際には、占領制度のはり深刻なる継続を企図するものであるからであります。
 本法案によりますれば、いわゆる平和條約発効とともに廃止すべきポツダム政令と、存続すべきポツダム政令とをわけて規定しておるのでありまするが、そもそも諸ポ政令は、その源であるところのポツダム緊急勅令が廃止されるのでありまするから、その子法たるもろもろのポ政令も一齊に廃止して、存続を必要とする制度があるとするならば一別個に、自主的に立法措置をとるべきが当然であります。この点につきましては、先般ポツダム緊急勅令廃止の法律が上程されたときに述べました意見の通りであります。しかるに、政府は、親法を廃止して、あたかも占領制度が終了とたかのごとき装いをしながら、実効を有する子法たるもろもろのポ政令の実質的存続をはかつて、占領制度の存続を企図しておるのであります。(拍手)
 なるほど、本法案は、法務府関係諸ポツダム政令のうち、存続すべきものと廃止すべきものとを区別してはおりまするが、そのいずれの区分に属するかを問わず、もつぱら占領制度の実質的継続に対して忠実なる考慮を拂つておるのであります。たしえば占領目的阻害行為処罰令は、どう考えても、占領が終了しまするならば、占領目的阻害ということもあり得ないので、形式的には廃止の部に入れてあるのでありまするが、これにかわつて、行政協定二十三條に基くアメリカ軍保護のだめの諸立法及び団体等規正令の転身と用いうベき破壊行為防止法案等がちやんと用意されて、近々上程の運びとなつておるのであります。これらの諸法令によつて、占領目的阻害行為処罰令は、形の上では死んでおつても、実質的にはりつぱに生かされて行くばかりか、従来よりもまり酷烈、無慈悲に、平和と独立を願う真の愛国者に対しては血の彈圧が加わることは明らかであります。
 また、たとえば財閥商号使用禁止令は廃止の部に属してはおりますが、しかしてまた、政府の提案理由の説明によれば、占領目的の重要なる一環として、財閥解体の事業は一応完了したので、もはや旧財閥の商号の復活使用を許しても別にさしつかえない旨を主張しておるのでありまするが、今日財閥が解体してしまつたなどと、たれも信ずるものはおりません。なるほど、半封建的な旧財閥は、形の上では姿を消したとしても、金融、一業両部面にわたり、資本と人事を通じで、政治力を背景に傲然と財界に君臨して、近代化された向米一辺倒の新財閥として寡頭独裁の態勢を築いておることは、これはだれでも知つておることであります。彼らは侵略戰争の元凶であつた。にもかかわらず、戰時中、戰後を通じて、国民が塗炭の苦しみの中に七転八倒していたさ中に、ぼろもうけをほしいままにして、いち早く旧地位の幾層倍に値するような強力なる地位を回復した、いわば盗賊であります。このどろぼうどもに、追銭といいましようか、財閥商号の復活使用を許すとは、まつたくもつて何ともかんとも言いようがない。しかして、この盗賊どもが、日本の再軍備、――戰争の軍事基地化にうき身をやつし、外国帝国主義に協力し、国際侵略勢力の走狗となつて、新しき戰争の挑発に現に協力をしておるばかりでなしに、今後もこれに狂奔するであろうことは、これはもう、まことに明らかであります。財閥商号復活の贈りものは、こういう理由で彼らに授けられなければならないのであります。
 また、たとえば本法案によれば、廃止された諸政令の罰則の適用につきましては従前の例によるとなつておりまするが、政令は廃止しても、罰則の適用だけは残すという、まことに占領軍に対する忠勤ぶりを現わしておるのであります。元来、常態ならば処罰されない行為が、占領治下なるがゆえに、臨時特例として、変則的に処罰を受けておるのであるから、独立国ともなり、常態に復帰したというのであるならば、過去の占領下なるがゆえの処罰は全部解除すベきが当然であります。これが国民感情とも一致するのであります。しかるに、占領下の既決、未決はもちろん、いまだ検挙、起訴を見ざる案件までもほじくり出して、検挙、起訴、処罰は従前の例の通りにするということでありまするから、占領制度の継続は端的にここに現われ、外国帝国主義に対する日本官憲の番犬的忠誠を遺憾なく発揮しておるのであります。
 一々私はここで例をあげるいとまはありません。本法案が設けた廃止、存続の区別のいかんを問わず、立案の真意は、結局するところ、占領制度の継続と、再軍備の遂行と、――戰争への加担を保障するものであるのであります。(拍手)売国的なる植民地立法を山ほどおつくりなさい。平和と真の独立を念願する国民は、平和と独立達成のための、そのじやまものに対しては、いかなる権威も認めるものではありません。法律あつての国民ではなく、国民あつての法律であります。
 日本共産党は、国民とともに、売国的なる本法案に対して、断固として反対するものであります。(拍手)
#17
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#18
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#19
○議長(林讓治君) 日程第二、公営住宅法第六條の規定に基き、承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員長松本一郎君。
    〔松本一郎君登壇〕
#20
○松本一郎君 ただいま議題となりました、公営住宅法第六條の規定に基き、承認を求めるの件について、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本件は、公営住宅法第六條の規定に基き、昭和二十七年より昭和二十九年に至る三箇年間の公営住宅建設計画を政府当局が樹立し、国会の承認を求めんとするものであります。
 その概要は、三箇年間に公営住宅十八万戸並びにこれに付随する共同施設を建設せんとする計画でありまして、国庫の負担額は総計四百億円と推定されるのであります。
 この法案の内容並びに質疑の経過等につきましては、速記録をもつてごらんを願いとうございます。
 かくて、昨甘討論に入り、自由党を代表して内海委員より賛成の旨、日本共産党を代表して池田委員より反対の旨、それぞれ意見の開陳がありましたが、採決の結果、多数をもつて本件は国会において承認すべきものと決しました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#21
○議長(林讓治君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#22
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。
     ――――◇―――――
#23
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、議院運営委員長提出、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#24
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員中川俊思君。
    〔中川俊思君登壇〕
#26
○中川俊思君 ただいま議題となりました、国会議員の歳費、旅費及び手当等に男する法律の一部を改正する法律案について、提案の理由を簡單に御説明申し上げます。
 本法第九條に規定せられております通信費は、議員としての公の書類を発送したり、または公の性質を有する通信をするために受けておるものでありますが、議員が発送する書類と通信の実情にかんがみまして、現在額では低額に過ぎるので、これを一万円とし、また第十條に規定せられております秘書の給料も、最近における一般公務員の給與の現況にかんがみ不十分でありますから、これを月額一万五千円にすることにいたしました。
 なお本案は、議院運営委員会において検討の上起案したものでありますから、何とぞ御賛成あらんことを希望いたします。(拍手)
#27
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#28
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#29
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、道路整備特別措置法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんごとを望みます。
#30
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 道路整備特別措置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員長松本一郎君。
    〔松本一郎君登壇〕
#32
○松本一郎君 ただいま議題となりました道路整備特別措置法案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 最初に、本法案の提案の理由並びに法案の要旨を簡單に申し上げます。すなわち、わが国の道路の緊急整備の必要なるは論をまたないところであります。しかしながら、国並びに地方公共団体等は財政困難でありますので、この実情にかんがみまして、一定の要件を備えた道路を新設または改修して、その道路を通行せんとするものより料金を徴収することができるような道を開き、これによつてその建設費を償還するこことし、特定道路整備事業特別会計法と相まつて道路の整備を促進し、交通の利便を増進せんとするものであります。
 本法案は、三月二十二日、本委員会に付託されたのでありますが、その質疑応答の内容の詳細につきましては速記録に譲ることといたします。
 かくして、二十九日討論に入りましたところ、自由党を代表しで瀬戸山三男君より賛成の意見を、日本共産党を代表して池田峯雄君より反対の意見を、改進党を代表して村瀬宣親君より條件付賛成の意見を述べられました。
 次いで、討論を終り、採決に入り、多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#33
○議長(林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。池田峯雄君。
    〔池田峯雄君登壇〕
#34
○池田峯雄君 私は、日本共産党を代表して、本法案に反対の理由を簡單に申し述べたいと思います。
 およそ惡名高き日本の法律の中でも、このくらい国民をばかにした法律は、まずたんとあるまいと思うのであります。ずうずうしいと申しますか、よくもまあ、おくめんもなく、こんな法律が出せたものだと思うのであります。そもそも道路というものは、何人もこれを通行することが自由なものでありまして、これを通行するものから料金をとる、金を拂わないものには通行させないという考え方は、まつたくとんでもない考えであるといわなければなりません。
 この法律でつくつた橋や道路を通るのに、一体どのくらい料金をとるかといいますと、自動車一台で二百円から四百円、関門トンネルでは、トラツク一台千円、自転車で五十円、徒歩通行者が十円であります。何を基準にしてこうした高額の料金をとるのかといいますと、政府の説明によりますと、関門海峡をトラックが船で渡りますと千三百円かかる、トンネルができたから通行者は千三百円得する勘定だ、だから、その千三百円を越えない限度で料金を拂わせるのだ、こう言うのであります。こうなりますと、一体国民は何が何だがさつぱりわけがわからなくなるだろうと思うのであります。
 国民は多額の税金をとられておるのであります。その税金は、国民の必要な道路をつくるのには使われないばかりではなく、道路を通ると金をとられる、金を出すのがいやなら、まわり道しろと、こういうのであります。しかも、この道路をつくる金は、国民の零細な預金から成り立つている資金運用部から出ておるのでありますから、まるで自分の金に利息をとられるようなことになるのであります。これが吉田自由党内閣の政策の根底を流れている思想でありまして、貧乏人は麦を食えというのも、ここから出ておることでありますし、電気料や汽車賃を値上げいたしまして、電気をつけられない者は、ろうそくでがまんしろ、汽車賃はうんと値上げして、汽車賃を拂えない者は歩いて行け、こう言わぬばかりのやり方も、まつたくこの思想から出ておるのであります。
 さて、この道路によつて一番利益するのは一体だれでありましようか。新京浜国道に例をとわますと、日本車両の交通量が三千六百九十一台に対しまして、外国の車両が、いわゆる三万台が二千八百五十七台であります。十台のうち四台は外国の車が通つておるのであります。このほかに、軍用のトラツク、ジープ等を加えますならば、十台のうち大部分が外国の車であるということになるのであります。しかるに、これら外国の自動車からは料金をとらず、日本人の自動車だけ料金をとちれるのであります。外務省発行の行政協定の解説に、はつきり、行政協定第五條の解説として、有料道路や橋を使用する場合でも、軍用車両ば料金を課せられなやということが、ちやんと書いてあるのであります。
 なるほど、軍用以外の外国の車かちは料金をとられるかもしれません。ところが、一体現実の問題として、軍用の車かどうか、嚴重な区別ができましようか。現に、占領軍專用の電車にパンパン・ガールが乗つているではありませんか。代議士バスでも乗れない專用車にパンパンが乗つている。だから、日本では、あのパンパン・ガールまでが占領軍の一員として特別待遇されているのだ。いわんや、外国人が乗つている自動車から料金をとれないであろうことは、これは明々白々たる事実である。
 日本の主要な道路は、この軍用のトラツクが頻繁に通るために、そのため改装や拡張が必要になつておるのであります。飛行場等の基地が日本全土につくられて、その基地と基地との間の軍隊や兵器や軍需品の輸送のために、道路の新設、改修が行われておるのであります。この重量物運搬に耐えられるように橋もつくりかえなければならないようになつております。神戸、東京間の高速度自動車道路建設計画、いわゆる彈丸道路のごとき、一体この彈丸道路は、だれが通ると思うのか。まつたく軍用道路以外の何ものでもないではりませんか。
 今や、日本の道路建設行政というものは、完全に日本を――基地にせんとする外国帝国主義者の工作班になつておるというていいのであります。この法律によつて施行されんとする、いわゆる有料道路、新京浜国道、戸塚国道関門トンネル、濃尾大橋以下十四箇所の道路、いずれも一つとして軍事的意義を抜きにしては評価し得ざるものばかりであります。国民から取上げた血の出るような税金と、国民の零細な預金を、外国帝国主義軍隊の通行の便益のために道路新設につぎ込み、ここを通行する日本人から料金をとろうとする本法案は、これは国民を戰争にかり立て、アメリカの――にする、売国吉田内閣の性格を遺憾なく表わしているのであります。
 わが党は、本法案の衆議院の通過に対して絶対に反対するものであります。(拍手)
#35
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります、本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#36
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#37
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、海上保安庁法の一部を改正する法律案、文部省設置法の一部を改正する法律案、公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令等の廃止に関する法律案、特別調達庁設置法の一部を改正する法律案、法務府設置法の一部を改正する法律案、右五案を一括してこの際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#38
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 海上保安庁法の一部を改正する法律案、文部省設置法の一部を改正する法律案、公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令等の廃止に関する法律案、特別調達庁設置法の一部を改正する法律案、法務府設置法の一部を改正する法律案、右五案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長八木一郎君。
    〔八木一郎君登壇〕
#40
○八木一郎君 ただいま議題となりました五法案について、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず海上保安庁法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法案は、海上保安庁の一般機構の改正も行うとともに、海上警備隊を新設しようとするものであります。
 まず一般機構においては、経理補給部を般けるほか、次長及び海難審判理事所を設置する等の改正を行おうとしておるのであります。なお沿岸哨戒等のため、従来禁止されていた航空機を使用し得ることとし、また船舶の制限に関する規定を削除することといたしておるのであります。
 次に海上警備隊の設置でありますが、わが国の置かれた地勢から申しましても、海上における人命、財産の保護を全うして産業の発達に資するとともに、犯罪その他秩序を乱すような事態の予防、鎮圧をすることはきわめて緊要な責務となるものであります。しかるに、現在の海上保安庁の人的、物的設備では、遺憾ながら不十分であるといわねばなりません。それゆえに、海上における大規模な災害及び重大な秩序の撹乱等に対しても緊急対処できるようにするためには、集団訓練を施した機動力のある海上予備力が必要なので、海上において必要な行動を行うための機関を新設したわけであります。
 次に海上警備隊の機構について申し上げますと、海上警備隊は総監部及び地方監部をもつて組織され、職員として海上警備官らの定員を六千三十八人といたしておるのであります。海上警備隊の職員は、その職務の性質上特別職とし、そのため必要な人事管理に関する規定、職務遂行上必要な権限に関する規定及びその職員、艦舶等に対する労働、船舶関係法規等の適用除外に関する規定を設けておるのであります。
 次に、文部省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法案のおもなる事項は、ユネスコ活動に関する事務について規定し、教職員の適格審査に関する事項を削り、付属機関として国立近代美術館を新設し及び現在総理府所管のもとにある教育刷新審議会を廃止し、新たに文部大臣所管のもとに中央教育審議会を設置するほか、不要となる審査会等の廃止及び名称変更を行おうとするものであり、なお当分の間、高等学校の職業教育関係の教科用図書の編修及び改訂を文部省において行うことができることとし、また附則において、文部省の定員を三十三人増加するため、行政機関職員定員法の一部を改正しようとするものであります。
 次に、公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令等の廃止に関する法律案について申し上げます。
 本法案は、平和條約の発効を機として、いわゆる公職追放の措置を撤廃し、覚書該当者にかかわる諸権利及び資格の回復をはかるため、公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令を初め、これが関連諸命令並びに勅令の規定による法律を廃止することといたしまして、所要の改正を行わんとするものであります。
 次に、特別調達庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法案は、特別調達庁の名称を調達庁と改め、必要な字句の改正を行うほか、行政協定第十八條の規定にはる駐留軍のために生じた損害の処理に関する業務を新たに規定し、また調達役務審議会及び京都特別調達局を廃止する等のことであります。
 最後に、法務府設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法案は、拘置支所の一つを拘置所に昇格し、少年院を三箇所に新設し、少年院の分院三つを本院に昇格するほか、少年院の名称及び位置について若干の改正を行わんとするものであります。
 以上の五法案は、三月二十四日、二十五日、二十六日、それぞれ本委員会に付託され、愼重に審議を進めて参りましたところ、三月二十九日、文部省設置法の一部を改正する法律案について、自由党青木委員より、文化財保護委員会関係定員のうち国立博物館等の研究員五名を復活するための修正案が提出されたのであります。
 かくて、三月二十九日質疑を終了し、文部省設置法の一部を改正する法律案、法務府設置法の一部を改正する法律案及び公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令等の廃止に関する法律案の三法案については、討論を省略し、採決の結果、文部省設置法の一部を改正する法律案は多数をもつて修正案の通り修正議決すべきもの、その他の二法案はいずれも多数をもつて原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 次いで海上保安庁法の一部を改正する法律案について討論を行いましたるところ、改進党船田委員、日本社会党鈴木委員及び日本共産党今野委員よりそれぞれ党を代表して反対意見、自由党を代表して青木委員より賛成意見が述べられたのであります。採決の結果、多数をもつて原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 最後に特別調達庁設置法の一部を改正する法律案について討論を行いましたるところ、日本社会党を代表して鈴木委員より、日本共産党を代表して今野委員なりそれぞれ反対意見、自由党を代表して江花委員より賛成意見が述べられたのであります。採決の結果、多数をもつて原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#41
○議長(林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。今野武雄君。
    〔今野武雄君登壇〕
#42
○今野武雄君 日本共産党は、ただいま上程されました五つの法案に対して反対であります。以下、反対の理由を申し上げます。
 三月二十八日付の、広島で発行されている中国新聞というのを見ますと、こういうことが書いてありました。二十六日の夜から二十七日の未明にわたつて、広島の大仏殿でもつて、小林さんという一人の僧侶が参籠しておつたのでありますが、明け方に、大仏殿の住職がそこの戸をあけてみますと、腹をかき切つて、あけに染まつておる。そうして、そのかたわらには、一丈余の白い布に、血でもつて大きな字で、「聞け天の声、響け血のうなり」、こういうように書いてある。これは新聞には写真版が出ておりましたが、そういうようなことをやつたということが出ております。なおこの記事によりますると、この坊さんは、昨年一月以来、今の吉田内閣がやろうとしておる再軍備に対する反対の声をあげて、全国を行脚しておつた。そして広島にたどりついたわけでございまするが、現在の政府が、あるいは政府に近い人々が、日本の国民の真心を聞かないで、そうしてこのような無謀な再軍備をやろうとしておる、そういうことに対して抗議するために、あえて腹を切つた、こういうことなのでございます。
 私が、このことを、あえてここでもつて報告しますゆえんは、本日上げられましたこの五つの法案のほとんどが、海上保安庁法の一部を改正する法律案はもちろんでありますが、実は日本の再軍備のためのものである。しかも、それが国民を瞞着して、文面をごまかして、自由党だけ、あるいは政府だけ、政府とアメリカさんだけの間で通用する言葉でもつて国民を瞞着して再軍備をやり遂げようとする。この売国的な、そうして国民を裏切る行為に対して、しかもそれが十把一からげに、わずかの間に、ろくな審議も行われない。国民の声を聞くための公聽会とか、その他の手続も何もしないで、自由党の多数をもつてこれを押し通す、乱暴なやり方でもつて通してしまう。このことに対して、国民とともに、私どもの憤激の声をあげたい。特に小林さんなどがこのことを聞いたら、どんなにか憤激することであろう。このことを考えましたので、今のことを申したわけでございます。
 さて、この海上保安庁法の一部を改正する法律案でございまするが、この法律案の一番大きなねらいは、海上警備隊という名のもとに、アメリカから軍艦を借りて、そして海軍を再建するということであります。アメリカから借りる軍艦は、今のところ千五百トン級を十隻、それに三インチの砲をつけるというのでございまするが、そのほかに三百トン級の警備艦を五十隻借りる。それに現在ある五十隻を加えて、合計百十隻の軍艦になるわけであります。これによつて艦隊を組んで、そして海軍とまつたく同じような行動をするということが、法案にもはつきり書いてあるわけであります。この海上警備隊の海員は、どういう生活をするか。ちようど昔の海兵団と同じように、兵舎に宿泊して、そこでもつて朝から晩まで、寝る間も軍人としての訓練を受けるわけであります。
 そういうような海軍が、一体何の目的のためにできるか。政府の方では、あくまでこれば海上救難と治安維持の建前だ、こういう、とぼけたことを申しておりまするが、このことについて、私は村上運輸大臣を追究いたしました。そういう建前はいつまで続くのかということを聞きましたら、そういう将来のことについては何にもわからぬと言うのです。新聞紙上に、近いうちに海上予備隊というものができるとあるが、そういうふうに改編されるというじやないかと言つたら、それは将来のことであるという。将来のことであるといつても、数箇月後に来ることなんだ。それを、今、白々しく、そういうことは将来のことであるから、ここでお答えはできないと言つている。
 実は、海上予備隊すなわち日本海軍であります。それの準備をしておるわけでございます。そうして、その役目は何であるか。これはアメリカの雑誌、新聞その他によつて見まするならば、アメリカの艦隊に協力して、そうして潜水艦に対する戰争と、東南アジア向きの輸送船団、それを擁護する役割を明らかに與えられておるわけでございます。現に、商船管理委員会に所属いたしまする日本の多数の商船、あるいはアメリカから用船しておるリバテイ舶、あるいは上陸用舟艇、これらはいずれも、朝鮮作戰以来、朝鮮戰争に参加しておるわけです。上陸作戰に参加しておるわけです。そうして、船員たちは、自分たちの意に反して軍属としての取扱いを受け、この商船管理委員会の運転資金などはやはりアメリカの海軍から多額に出ておりますし、それから海軍用の上陸用舟艇まで、先ほど申した通り借りておるわけであります。
 かようにして、日本の商船隊さえもすでに戰争に参加しておる。海上保安隊は、今のところまだ十分ではなくして、どうもぐあいが惡いが、こういうようにアメリカ軍艦を借りれば、やはりこうやつて戰争に参加できるわけでありまするから、これはまさに日本の国民を瞞着して、国民を戰争のちまたに追い込もうとする行政協定の線に沿つて、アメリカの艦隊の極東戰略の一翼として使われる、そのための傭兵海軍なんであります。このような法案に対しては、全国民はこぞつで反対であります。ただアメリカにたよつて、そうして自分たちの利益を得ようとする売国奴だけが上れに賛成するわけであります。
 次に特別調達庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げますならば、これは最も露骨に、今回結ばれました行政協定が実は占領制度の継続にすぎないということを現わしている。特別調達庁の特別という字を除いて調達庁とした、それだけのものでありまして、その他の点については何らかわるところはないのであります。
 委員会の質疑においては、労働関係、あるいは土地收用関係等について質問を行つたのでありまするが、たとえば労働大臣やその他の政府委員も、不当労働行為、あるいは労働基準法違反が、今まで進駐軍関係において、あるいはPD工場において多数に行われておつたという事実は、はつきり認めておる。しかしながら、今後そういうことをしないようにいたしますということを一生懸命言つておる。しないようにするといつて、はたしてその保障がどこにあるかと言つても、その保障は具体的に何ら示すことができないのであります。現に、このPD工場などにおきましては、CPあるいはガードと称しまして、日本人の警備員の小銃を持たせた者を多数に置いて、労働者を脅迫しておる。その中で、平和的に労働組合運動が行えるという保障は一体どこにあるか。そういう鉄砲を持つた日本人の上にMPがおる。そういうようなものに対抗する手段を持たないで、どうして労働組合の主張を貫くことができるか。
 このことを考えますならば、文字の上では、たとい労働法規を尊重するとか、あるいは言葉の上でそういうことが言われましても、決してそれが実行されない。今までも、言葉の上ではそういうことは言われておつた。ところが、事実においては実行されていなかつた。これは、例の赤線区域、日本の国辱的な人身売買、これがいかにして行われて来たかという戰後の歴史を振りかえつてみても、これは占領軍の要求によつて、実力を持つた要求によつて、しかたがなくそういうことをやつたということを、現に警察署長が、ここでもつて証言しておるわけであります。そういうような実力を持つてやられることに対して、何らの保障もない。対抗手段もない。それによつて、どうして今までの占領制度下と違うことができようか。これは軍事基地として土地がどんどん收用されることについても同じことが言えるわけであります。このようにして、特別調達庁設置法の一部を改正する法律案なるものは、非常に露骨に、占領制度の継続、そのことを雄弁に物語つておるわけであります。
 次に公職に関れる就職禁止、退職等に関する勅令等の廃止に関する法律案でありまするが、これも簡單に申し上げるならば、従来いわゆる追放令と称するものでありますが、この追放令は本来は超国家主義者であるいは軍国主義者を追放するため、そして真に民主的な日本をつくるために、ポツダム宣言に基いてつくられたものでございます。ところが、この追放令は、途中からにわかに性格をかえて、そして惡用されるに至つたわけです。そういうような軍国主義者を追放するというかわりに、そういう軍国主義者、旧軍人の指導者、こういうものをどんどん復活させて、追放を解除して、そのかわりに、戰争に対してあくまで反対して闘い、今後も平和を守るためにあくまで闘おうとしておるわが党の徳田書記長を初め、あらゆる平和主義者をどんどん追放に処する、こういうようなことをやつて惡用して来たわけでございます。
 ところが、この追放令がまだ廃止されぬ前から、すでに吉田首相は、追放されておつた軍人たちを招いて、再軍備の相談などをやつておる。実に不謹愼きわまることをやつておるわけでございます。今回の追放令の廃止というのも、これは決して、日本の独立ができたから、こういうふうにやるのだ、民主化ができたから、こういうふうにするのだというようなものではなくして、日本の再軍備のために旧軍人の力が必要である、あるいは旧軍人と協力して侵略政策を押し進めた、その経験者が必要である、そのために廃止するわけでありまするから、われわれとしては、絶対にこれば反対せざるを得ないわけでございます。われわれとしては、むしろ憲法に反し、日本国民の利益に反して、外国のために再軍備をし、そうして日本の国民を再び戰乱のちまたに追い込もうとするこの犯罪者、吉田首相を初め、その一味こそ追放に処せなければならない、新たにそのような追放令をつくらなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
 次に法務府設置法の一部を改正する法律案でございますが、これは結局刑務所を増設するという案でありまして、この政府の提案理由でも、最近犯罪人が多いと言つておる。これは、ころいうような再軍備政策をどんどん遂行して行く、そのうちに再軍備に反対する政治犯人がどんどんふえて来る。この再軍備に反対して平和を守ろうとする者をどんどんひつくくつておる。そうして、戰犯を入れておつたあの巣鴨の監獄、あそごは、今や平和を守る愛国者を入れる監獄になつて来ておる。そういう監獄をふやそうとする法案でありまするから、われわれとしては、やつぱり反対せざるを得ないわけであります。
 次に文部省設置法の一部を改正する法律案でありますが、これはユネスコ活動に関する……。
#43
○議長(林讓治君) 今野君、時間が……。簡單に願います。
#44
○今野武雄君(続) ユネスコ活動に関する法律案というのが、実は文部委員会にかかつておる。このユネスコ活動というのは、日本では最も札つきの反共外務官僚、これは外務省の官吏でありながら、反ソ反共運動に身をやつしておる。その連中が主になつてやつておる論動でありまして、もつぱら中ソとの対立をねらい、そして日本の国民に再軍備の思想を植えつけ、そうして戰争思想を植えつけようとする、ユネスコ本来の活動とはまつたく逆の活動を現在やつておる。そういうことに関する法律案が今出ておる。ところが、この法律案は審議未了なんであります。来月にならなければならないといわれておる。それにもかかわらず、この法律案に基いてするこの機構改革を、これをやろうとするのでありまして、その内容からいたしましても、その提案のされ方からいたしましても、われわれはやはり絶対に反対しなければならないと思う次第であります。
 以上、要するに、これらの法案は、この行政協定に基いて占領制度を続け、さらにこの日本人をアメリカの傭兵として、そうして日本を戰乱のちまたに追い込もうとする、その最も露骨な現われでありまして、これに対して、われわれは痛憤を禁じ得ない。自由党の諸君は、さきに腹を切つた坊さんのつめのあかでもなめたがよい。諸君のはらわたをみな洗い直したらよいと思う。
#45
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。
 まず海上保安庁法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#46
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に特別調達庁設置法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#47
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に文部省設置法の一部を改正する法律案及び公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令等の廃止に関する法律案の両案を一括しで採決いたします。文部省設置法の一部を改正する法律案の委員長の報告は修正でありまして、他の一案の委員長の報告は可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#48
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り決しました。
 次に法務府設置法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#49
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#50
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、関税定率法等の一部を改正する法律案、特定道路整備事業特別会計法案、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、農業共済再保險特別会計法の一部を改正する法律案、右四案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#51
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 関税定率法等の一部を改正する法律案、特定道路整備事業特別会計法案、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、農業共済再保險特別会計法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長佐藤重遠君。
    〔佐藤重遠君登壇〕
#53
○佐藤重遠君 ただいま議題となりました四法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びにそみ結果を御報告申し上げます。簡單に申し上げます。(拍手)
 まず第一に、関税定率法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案の内容は、国内関連産業の保護育成及び財政收入の増加をはかるために砂糖等の関税を引上げ、兒童給食用の乾燥脱脂ミルクについては、その用途の特殊性にかんがみ輸入税を事除するとともに、原油、重油、新聞用紙、大豆、船舶、建染染料、事要農械類等の重要物資については、さらに一年間輸入税を減免しようというのであります。
 本法案の質疑の内容については速記録に讓りたいと思います。
 次いで、本案に関しましては、本日自由党の宮幡靖君より修正案が提出されました。修正案の内容の第一点は、新聞用紙に対する免税期間がさらに一年間延長されることとなつておりますのを、最近における新聞用紙の需給状況等にかんがみまして、右免除期間を六箇月に短縮することと、第二点は、輸出振興の見地から、染色用のピグメントレジンカラベース及びエキステンダーについて、新たに一年間の免税措置を講ずるとともに、建染染料のうち、スレン染料についての一年間の暫定的軽減税率が二〇%となつておりますのを一五%に引下げることといたそうとするものであります。
 次いで討論に入りましたところ、松尾委員は社会党を代表して反対の旨を述べられ、宮腰委員は改進党を代表して、條件を付して賛成の旨述べられました。
 次いで、修正案及び修正部分を除く原案について採決の結果、本案は起立多数をもつて修正議決いたされました。
 第二に、特定道路整備事業特別会計法案について申し上げます。
 この法律案は、道路整備特別措置法に基いて政府が行う道路の新設及び改築に要する資金の貸付に関しまして、その経理を明確にするためい新たに特定道路整備事業特別会計を設置し、一般会計と区分して経理いたそうとするものでありまして、二十七年度におきましては、その財源として十五億円を資金運用部から借り入れることといたしております。
 本案につきましては、審議の結果、本日討論を省略の上採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決されました。
 第三に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、政府が買い入れない農産物の農産物検査法による検査に要する経費についても食糧管理特別会計の歳出とし、その財源については、これを一般会計から同特別会計に繰入れることができる、こととするとともに、食糧配給公団の残余財産の一部を同特別会計に納付させるごとにいたそうとするものであります。
 本案につきましても、審議の結果、本日討論省略の上採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決されました。
 最後に、農業共済再保險特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、一般会計からの繰入金を農業共済再保險特別会計の再保險金支拂基金勘定に繰入れ、その家畜勘定における再保險金の支拂い財源の不足に充て、もつて再保險金の支拂いの円滑化をはかろうとするものでありまして、明年度予算におきましては、一般会計から三億円を繰入れることが予定されております。
 本案につきましても、審議の結果、本日討論省略の上採決いたしましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#54
○議長(林讓治君) まず関税定率法等の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#55
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
 次に特定道路整備事業特別会計法案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#56
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案及び農業共済再保險特別会計法の一部を改正する法律案の両案を一括して採択いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#57
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#58
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律案、外国人登録法案、右両案を一括して議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#59
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律案、外国人登録法案、右両案を一括した議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長仲内憲治君。
  〔仲内憲治君登壇〕
#61
○仲内憲治君 ただいま議題となりました、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律案並びに外国人登録法案に関し、外務委員会における審議の経過と結果について御報告申し上げます。
 両法案を提出いたしました政府当局の説明に基きまして、まず第一の法律案の概要について御説明申し上げることといたします。
 その第一点は、本法案は本文五箇條と附則からなっておりまして、その第四條において、昭和二十六年政令第三百十九号の出入国管理令と、昭和二十六年政令第三百二十号の入国管理庁設置令の両政令を、本法案によって若干の改正を加えて、法律としての効力を有せしめようとしておる点であります。
 その第二点は、前述の出入国管理令の一部を改正して、外国人とは日本の国籍を有しない者のみに限定して、連合国軍関係者に関する規定を削除したことであります。次に、同令第二十二條の次に同條の二を追加して、その第一項に、日本国の国籍を離脱したものまたは出生その他の事由により日本の出入港に上陸の手続を経ることなく本邦に在留することとなる外国人は、それぞれ日本の国籍を離脱した日または出生その他当該事由が生じた日から六十日を限り、引続き在留資格を有することなく本邦に在留することができることとし、その第二項において、同期間を越えて本邦に在留しようとするものは、日本の国籍を離脱した日または出生その他当該理由が生じた日から三十日以内に、外務省令で定めるところにより、入国管理庁長官に対し在留資格の取得を申請しなければならないと規定して、日本人が外国人となつた場合または出産その他の理由によつてまだ在留資格を持たず、事実上本邦に在留することになつたものに対し在留資格を取得せしめんとする規定を新たに設けた点であります。
 その第三点は、出入国管理令の一部改正に伴う経過規定でありまして、本法案第二條に規定するところでありまして、すなわち同條第一項に、この法律施行の際現に本邦に在留する外国人で、左の各号の一に該当するものが、引続き在留資格を有することなく本邦に在留することができる期間は、出入国管理令第二十二條の二第一項の規定にかかわらずとの法律施行の日から六箇月とするとなし、それに該当するものは次の三條件を具備したものとしております。すなわち、一、連合属最高司令官の許可を得て本邦に入国した者、二、昭和二十年九月二日以前から引続き外国人として本邦に在留する者、三、日本との平和條約の規定に基き、同條約の最初の効力発生の石にお日いて日本の国籍を離脱する者で、昭和二十年九月三日以後本邦に入国して引続き在留し、かつ外国人登録法による外国人登録証明書を所持するものとなつております。もちろん、これらの人々も、同項の期間を越えて在留しまうとするものは、この法律の施行の日から三箇月以内に、入国管理庁長官に対し在留資格の取得の申請をなす必要があるのであります。
 その第四点は、本法第二條第六項に規定する事項であります。すなわち、日本国との平和條約の規定に基き、同條約の最初の効力発生の日において日本の国籍を離脱する者で、昭和二十年九月二日以前からこの法律施行の日まで引続き本邦に在留するもの及び昭和二十年九月三日からこの法律の施行の日までに本邦で出生したその子は、この出入国管理令第二十二條の二第一項の規定にかかわらず、別に法律で定めるところにより、その者の在留資格及び在留時間が決定されるまでの間、引続き在留資格を有することなく本邦に在留するととができるという規定であります。この規定によりまして、日本国との平和條約の規定に基き、同條約の最初の効力発生の日において日本の国籍を離脱する、いわゆる朝鮮人、台湾人のごとく新たに外国人となる者に対し、一般外国人と同等にし、差別待遇をしないことが原則ではありますが、これらの人々の特殊性にかんがみ、国籍の転換に際し適切妥当な経営措置をとるために、昭和二十年九月二日以前から引続き本邦に在留していたものについては、別に法律で定めるまでは、そのまま在留資格を有することなく在留せしめ、たとえば日韓会談等によつて、これらの人々に対する措置が決定された後に、法律をもつて決定することとなし、昭和二十年九月三日以後に入国したものについてのみ、この際一般外国人と同様に規制することになつておるのであります。
 その第五点は、昭和二十六年政令第三百二十号の入国管理庁設置令の一部改正でありまして、同令第三條第一項を改正して、入国管理庁は出入国管理令による出入国の管理及び外国人登録法による外国人の登録に関する事務を行うことを任務とすると改めたことと、その他外国人登録法制定に伴う條文の整理のほかに、札幌市に新たに札幌出張所を増設したことを規定しておる点であります。
 その第六点は、従来ありました命令の廃止規定でありまして、すなわち、昭和二十一年厚生省令、内務省令、司法省令第一号の朝鮮人、中華民国人、本島人及び本籍を北緯三十度以南(口の島を含む)の鹿兒島県または沖縄県に有する者の登録令及び昭和二十五年政令第二百二十七号、北緯二十九度以南の南西諸島に本籍を有する者の渡航制限に関する臨時措置令の二命令を本法案において廃止した点であります。
 次に、第二の外国人登録法案の概要について御説明申し上げます。
 現行の外国人登録令は、昭和二十二年五月、ポツダム勅令として、外国人の管理のために制定実施せられました。その後、昭和二十六年十一月、出入国管理令が施行せられ、一般外国人の出入国については管理令の適用を受けることとなり、従つて外国、人登録令は、一般外国人の登録関係と、朝鮮人及び台湾入の出入国の規則とがその内容をなすに至りました。しかるに、平和條約発効後においては、朝鮮人及び台湾人は日本の国籍を離脱し、外国人として出入国管理令の適用を受けることとなります。従つて、現行の外国人登録令の、連合国最高司令官の入国許可及びこれに付随する不法入国者の退去強制等の規定は不必要となり、また登録関係の規定の内容においても不備の点があるので、この際外国人登録令を廃止し、新たに外国人登録法を制定いたしたいということでありました。
 この法案の主要な点をあげますと、一、在留外国人は、一定期間内に、市町村長に対し登録を申請しなければならないこと、二、市町村長は、外国人の呈示する旅券に基いて、正規入国者たることを確認して登録証明書を交付するごと、三、外国人は、その登録証明書が毀損または紛失したりした場合にはあらためて市町村長に対し交付を申請しなければならないこと、四、外国人は、住所の変更等の場合には、登録証明書の書きかえを申請しなければならないこと、五、登録証明書の有効期間を二年としたこと、六、指紋の押捺規定を設けたこと等であります。
 本二法案は、三月十九日に内閣から衆議院に提出され、本委員会に付託されましたので、本委員会は、三月二十日、二十五日、二十七日、二十八日、二十九日の五回にわたり、また二十六日の外務委員会・法務委員会連合審査会において愼重に審議を重ねました。
 平和條約発効に伴い、日本国籍を離脱する朝鮮人、台湾人等の永年居住者に対する本邦在留資格に関し、委員諸君からの再三の質問に対し、政府当局より、遵法精神のある善良なるこれら居住者に対しては何らかの便法が講ぜられるであろうとの答弁があり、また本邦に永年居住の中国人に対しても好意ある処置がとられるであろうとの答弁がありましたが、これらの審議の内容については、これを委員会議録に譲ることといたします。
 政府当局に対する質疑終了の後、日本社会党、第二十三控室日本社会党、日本共産党及び労働者農民党の委員諸君より、政府提出の両法案に対し修正の動議が提出されましたが、本動議は賛成者少数をもつて否決されましたので、次に両法案の原案に対する討論に移り、自由党の佐々木委員及び改進党の山本委員より賛成の意見が述べられ、日本社会党の戸叶委員、第二十三控室日本社会党成田委員、日本共産党の林委員及び労働者農民党の黒田委員等より反対の意見を述べられ、討論を終結、採決の結果、賛成者多数をもつて、本委員会は政府提出の両法案を原案通り可決と決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#62
○議長(林讓治君) 討論の通告があります。順次これを許します。大矢省三君。
    〔大矢省三君登壇〕
#63
○大矢省三君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程になりました二法案ともに反対の意を表明したいのであります。
 この法案は、ただいま委員長から報告のありましたように、昨年の十一月ポ政令をもつて発布されました、すなわち出入国管理令の一部を改正しで、そのまま提出した内容を持つておるのであります。特に私は、日本の独立の結果といたしまして、この種の法律を制定することに必ずしも反対するものではないのでありまするが、この内容が、日本の実情、あるいはまたこの適用を受けるところの朝鮮、台湾の方々に対して、何らの特殊事情を考慮していないことであります。
 まずこの法律の内容とするところは、今申しましたように、独立の結果といたしまして、日本国内における外国人を対象としておることは申すまでもないのでありまするが、政府の提出いたしました資料によりますると、国内において総数六十二万三千七百人の外人がおられるのであります。特にその中に、中国人として二万四千四百人、台湾人として一万九千百二十三各、朝鮮国籍を有する者四十六万四千二百名であります。韓国は九万七千七十一名となつておるのであります。合せて約六十万五千入余りの台湾、朝鮮の人たちは、日本全体の外国人の数に比べますると九七%に相なるのであります。
 御存じのごとく、台湾は一八九五年、すなわち五十七年前に、また朝鮮は、一九一〇年、四十二年前に日本の領土と相なつたのでありまするが、その後日本に籍を持つて、日本人として現在までおちれた人たちは、多くは、今申しましたように、四十年あるいは三十年にわたり、長く日本に滞在されて来ておるのであります。特に日本人を妻としている者が、子供を合せて約十二万以上に達するということであります。
 かかる実情におきまして、中には相当りつぱな工場、あるいはまた商店を営み、また御承知の通り、終戰前におきまして、戰争中には、日本の総動員法によりまして、いわゆる軍人軍属として、すでにこれに徴用され、またみずから進んでこの戰争に加わつた人も多くあるのであります。また中には、特に強制労働、重労働として、戰争中は一番重要な炭鉱労働に携わつた人が多くあるのでありますが、この人々に対して何らの考慮が拂われていないということであります。(発言する者あり)ちつと黙つたらどうだ。
 しかも、この人たちが、今や祖国にあつては、北鮮、南鮮と戰いをなしておるのであります。連合国が、これに対する休戰の交渉をなしておりますが、いまだその曙光を見ないのであります。こうした南鮮、北鮮の二つの政権のあるところの韓国に対して、これを強制送還し、あるいはまた国籍の問題について、事実不可能な点をしておるのであります。相手方であるところの北鮮は、日本国政府とは折衝がない。特にまた、大陸、中華よりの、すなわち華僑の人たちは、これまた相手方とするところの北京政府とは交渉がないのでありますから、これらの人々の国籍というものは、一体、いかにして決定するか。これは申請するときに、必ずや国籍証明書というものを添付しなければならない。そういうことになりますと、事実上これができないのであります。しかも、送還先というものは、これに対して今折衝のある国でないのでありまするから、事実上国籍証明なり、送還が不可能なこと、このことを法律で制定するということは、法律の権威のためにも私はとらざるところであります。(拍手)
 特に私は、アジアにおける日本の将来から行きまするならば、せつかて今は和平、休戰、統一に国連軍初め努力されておるのでありまするから、その機会を待つてもおそくはない、こういうことで、いろいろ修正を出したのでありまするが、政府はこれに対して便法を考慮するということだけで、何ら具体的に現わしておちないのであります。特にこの法案を一覧いたしまして、もし少しでも考慮を拂われたいというのならば、すなわち第二條の項でありましよう。それは、国籍を選定いたし、さらにいわゆる在留資格というものの申請について、六箇月間の余裕を置いていることであります。しかし、これは日韓交渉がいまだに妥結を見ておらないのでありますから、その結果として、こういう一項を設けたのでありまして、ほんとうに実情を考慮ざれた結果ではなやのであります。従つて、私どもは、こういうことを考えて参りまして、この法律は、今申しましたように、事実上施行が困難であるし、執行に困難なこの法律は、私は施行者みずからが困難を来すと思うのであります。
 特に二十四條において、送還のいろいろの條項が三十項にわたつてあるのでありますが、これを厳密に言いますと、たいていの人はこれにかかることに相なるのであります。私は時間がありませんから多くは申し上げませんが、一々これを審査して参りますと、これに抵触いたしまして、送還されることになるのでありますから、それを適用される本人にとつては重大なる問題であります。かえつて、かかる困難なことを、しいてやろうとするならば、これは将来アジアのため、また日本民族のために、ゆゆしき、憂うべき問題が発生するということを、私は心配するのであります。また万が一、かかる法案を無理に強行しようといたしますならば、これは私は今日言明しておきますが、ゆゆしき問題であります。もし、そういう結果になりますならば、その責任は現政府、自由党が負うべきであるということを私は申しまして、反対の意思表示をいたしたいのであります。
#64
○議長(林讓治君) 佐々木盛雄君。
    〔佐々木盛雄君登壇〕
#65
○佐々木盛雄君 ただいま議題となりました、外務省関係ポツダム諸命令の措置に関する法律案並びに外国人登録法案を一括いたしまして、私は自由党を代表いたしまして賛成の討論を行わんとするものであります。
 両法案は、平和條約発効後における外国人の日本への出入国並びにその登録に関することを規制するものでありまして、いずれの独立国家におきましても、外国人の出入国やその登録を規律する法律が存在することは当然のことでございます。ただ、これら両法案の審議におきまして、特に問題となつた点について、この際所見を披瀝いたしまして、一般に誤解のなきを期するとともに、先刻来の改進党を除く野党各派の代表討論が、いかに立法の精神をことさらに歪曲した党利党略的宣伝であるかを明らかにいたしたいと考えるのであります。(拍手)
 外務委員会において論議の焦点となりましたものは、主として朝鮮人並びに台湾人の国籍に関連する問題であります。この国無問題は、現在朝鮮にも中国にも、それぞれ二つの政府が存在し、しかも、その二つの政府がそれぞれ互いに対立反目して存在しておるという、複雑かつ微妙なる特殊事情もありまして、日本に今日在留する、いわゆる朝鮮人や中国人にとりましては、まことに切実なる重大関心事でございます。われわれは、この国際情勢の特殊性をも十分考慮いたしまして、また善良なる朝鮮人や中国人の立場をも十分理解いたしまして、政府において特別の好的措置をとるべきことを強く要請いたしたのであります。これに対し、政府におきましては、原則的な方針は別といたしまして、法の実際の運用にあたりましては、不必要な混乱を回避するために特別の好意的措置を行う旨を確約いたしたのであります。
 すなわち、まず第一には、平和條約の発効後六簡月後に行われる登録の切りかえの際は、大韓民国政府であるとか、朝鮮人民共和国政府であるとか、あるいは中華民国政府であるとか、中華人民共和国政府とかの国籍証明書の提出を必ずしも必要としない。そうして、現在の登録証明書に記載されております国籍名のままで書きかえを行うことができるという便法を政府においてとる旨の言明が行われておるのであります。
 さらに第二には、日韓会談の内容に関連いたしまして、朝鮮人の永住許可の申請は、平和條約発効後二年以内にすればよろしい。従つて、永住許可を受ける者も、しからざる者も、おおむね三年間は、国籍のいかんを云々されることなく、一應在留することが許されることになるものと解される旨の答弁があつたのであります。
 さらにまた、中日会談においても、ほぼ同様の交渉が進められておる旨の説明があつたのであります。また政府は、日本に永年居住する善良なる朝鮮人、台湾人等に対しましては、その既存の地位を十分尊重し、彼らを不当に圧迫するがごときことは絶対にあり得ない、いな、同情と理解をもつて、あらゆる便法をはかりたい旨の説明を、終始反復強調いたしたのであります。従つてこれらの法律が世界人権宣言の趣旨や人道に反するがごときことば、両法案を通じて、その片鱗とてもあり得ないのでございます。われわれは、アジア諸民族との善隣友好を心から所念してやまないものでありまするが、同時にまた、われわれは法治国家の良識ある国民といたしまして、法秩序と社会秩序とは絶対に守り拔かねばならないと確信をいたすのであります。(拍手)
 両法案審議の過程におきまして、平和條約発効とともに日本国籍を離脱することになつている人々から、無数の陳情や嘆願が、電報、郵便その他によつて外務委員会、委員長、委員等に対して寄せられたのであります。われわれは、日本国籍を失うこれらの人々の心情に思い至りますとき、まことに同情にたえないものがあります。そうして、そのゆえにこそ、われわれは独立国家としての日本の権威を傷つけざる限りにおいて、これらの人たに対しで温情ある施策を行うべきことを真劍に叫び続けて参つたわけであります。しかるに、われわれは、ここに同僚議員諸君に対して、きわめて不幸なる事実を報告しなければなりません。それは、これらの陳情、嘆願書の中には、きわめて不穏当なる言辞をもつて議員を脅迫したものが相当多数に及んだことでございます。講和條約いまだ発効せず、独立いまだ完成せずとはいいながら、日本国会において、日本人議員による日本国法律の立法にあたつて、外部からの脅迫によつてその審議を妨害せんと意図する者が存在いたしましたことは、東亜民族の善隣友好の立場からも、日本国会事の尊厳の見地からも、まことに遺憾しごくといわなければなりません。(拍手)
 平和條約の発効によつて国籍を離脱することになる人々の大多数は、かつて日本国民として、戰前戰後を通じてわれわれとともに苦楽をわかち、互いに相信じ、相許した、われわれの同胞でございます。今日、朝鮮並びに中国は、不幸にも戰乱の渦中にありまして、彼らには帰るべき家郷もなく、日本にあつて路頭にさまよう貧困者もありまするが、これらの同情すべき、かつてのわれわれの同胞に対しましても、政府は最善の措置をとるべきものと考えるのであります。
 両法案の成立の上は、以上申し述べました諸点については、政府は特に留意し、法の好意的解釈と、理解ある運用によりまして、善良なる、かつてのわれわれの同胞に対し、あたたかい同情の手を差延べ、不必要なる誤解と混乱を回避すべきはもちろんのこと、ますます善隣友好の関係を緊密化し、もつてアジア民族の親善と繁栄に寄與すべきことを特に政府に強く要望いたしまして、両法案に賛意を表する次第であります。(拍手)
#66
○議長(林讓治君) 林百郎君。
    〔林百郎君登壇〕
#67
○林百郎君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となつている出入国管理令、外国人登録法の両案について反対するものであります。
 一体、出入国管理ということは、新たに日本の国に出入りする者を取締る、管理するというのが本来の建前なのであります。しかるに、この法案によりますと、明治以来何十年の間、日本人として日本に居住し、中には日本人を妻として風俗習慣もまつたく日本人として生活し来つた朝鮮人、台湾人の諸君を、にわかに外国人として取扱つて、これを新たに日本の国に出入りする外国人の條件によつて管理しようとしておるのであります。しかも、このにわかに日本の国に出入りする外国人と同一の條件に該当しない者は、現在戰乱のちまたになつておるところの朝鮮あるいは台湾に強制的な退去を命ずるというのであります。しからば、一体政府はなぜこのような非人道的な処置をとらなければならないのか。従来日本にいる朝鮮人や台湾人の諸君を、急にイギリス人やフランス人並に扱つて、この條件に該当しない者は、今戰争の行われている朝鮮や台湾ヘ送るという、このような非人道的な処置を、なぜ今とらなければならないのか。このことは、実は明らかであります。
 今や、朝鮮でも中国でも、長い間の帝国主義者の植民地政策に対して、子供や婦人までが立ち上つて、その植民地的政策のきずなを断ち切つて、中華人民共和国や、朝鮮民主主義人民共和国を樹立して、民族解放の大きな革命をなし遂げつつあるのであります。今や中国や朝鮮の両民族は、民族独立の意識に燃え盛つておるのであります。ところが、このような民族意識に目ざあた勢力が日本に六十万もいたのでは、第一、アジアの新しい支配勢力であるところの――――帝国主義が、日本を、今度結んだ行政協定によつて、新しく植民地として、朝鮮や台湾と同じような立場に陥れるには少しじやまになつて来たから、これを何とか送り返さなければならないということと、このアメリカの日本植民地――の傀儡として自分の政権を維持しておる吉田内閣もまたこれと同じ立場にあるということが、今度の強制送還のねらいの第一なのであります。ことで内外の反同勢力が共謀して、日本から在日朝鮮人、台湾人を、同じアメリカの手先であるところの蒋介石や李承晩のもとに送り届けて、かれらの手で投獄するか、場合によつては――までして彈圧せしめようとする陰謀が、この法案のほんとうのねらいなのであります。
 現に、一九五一年三月十七日、朝鮮解放救援会の陳情によりますと、昨年五月韓国に送還された、朝鮮人の平和運動家金宝聖氏は、最近李承晩の手で死刑の宣告を受けておるのであります。しかも、その金宝聖氏が……(発言する考多し)諸君、聞きたまえ。この金宝聖氏は、アメリカ軍の司令部から、スパイとして、日本の警視庁で軍事裁判を受けたのであります。ところが、アメリカの検事側の、韓国某高官の要請によつてと称して、動議によつて一旦釈放されたのであります。ところが、この釈放された金宝聖氏は、日本の警察で、今度は密入国の疑いありとして再び検挙されて、韓国に強制送還されたのであります。日本で殺すのは、ちよつとむずかしい。人間の屠殺場である韓国へ送つた方が仕事がやりやすいといつて、平和主義者を朝鮮に送つておる。
 この―――帝国主義者と、吉田と、李承晩の、野蛮な、―――――――方法の共同陰謀を規定じたのが、この二つの法案なのであります。これは、ヒトラーのユダヤ民族追放以上の悪辣な、――的な民族彈圧政策であります。これこそ、治安立法により共産党その他国内の民主的な勢力を彈圧している吉田内閣の政策と相まつて、吉田内閣のフアツシヨ政策の最も露骨な現われであります。
 問題は、それのみではありません。一体、出入国管理令によりて新たに外国人として取扱われる中国人または朝鮮人が、日本にあらためて永住許可をとるたあには、当然国籍の証明を必要とするのであります。しかるに、今朝鮮にはい朝鮮人の圧倒的な支持を受けている朝鮮民主主義人民共和国の政権と、アメリカの傀儡にすぎず、次には大統領に出られないまうな李承晩の政権とがあるのであります。また中国には、中国全土を統治して、圧倒的に中国の人民に支持されている中華人民協和国と、五億ドルの予算のうち四億ドルまでがアメリカの援助を受けている、台湾の蒋介石国府残党亡命政権があるのであります。しかるに、日本の吉田政府は、アメリカ様の―――によつて、この中国並びに朝鮮人民共和国、中国、朝鮮の人民の圧倒的な支持を受けているこの方の政権は―――としてアメリカの――の子供として生れたところの蒋介石や李承晩と外交交渉を持つているのであります。しかも、最近の新聞によれば、これら亡命政権ど相互安全保障とりきめすらしようとしておるのであります。
 そうなりますと、一体日本にいる中国人または朝鮮人で、実質的にはこの両民族が圧倒的な支持をしている中華人民共和国、あるいは朝鮮民主主義人民共和国の諸君は、いかにして国籍の証明をとらせようとするのか、またいかなる機関によつて外人登録の事務をとらせようとするのか、それが不可能であることは、諸君、子供でない限りおわかりでしよう。政府は、これらの者を登録令違反として台湾または南鮮に強制送還して、――――の亡命政権によつて彈圧させることになるということは、火を見るよりも明らかではありませんか。
 一方、このようにして国籍を強制して、そうして韓国籍や国府籍に登録された在日朝鮮人あるいは台湾人の諸君はどうなるか。韓国の国内法によれば、これは、軍隊に徴用される者は明らかに軍隊に徴用され、日本で軍事的な教育を受けた上に、アメリカの北太平洋統一軍の大約資源に供されて、また朝鮮に送られる。このことは、朝鮮民族の熱願しておる朝鮮の統一を妨害するのみならず、かえつて朝鮮の戰争に油を注いで、――政策に加担して、ひいては日本自体をこの極東の戰争の渦中に巻き込むことになり、戰争のどろ沼に足を入れることになり、日本人自身の問題になるのであります。今や吉田政府は、国内で憲法を蹂躪して人民を彈圧するのみでなく、対外的にも、アジアの平和を――して、アジアの民族全部を一にまわして、日本をますますアジアの孤兒たらしめんとしておるのであります。
 私は、次に、この両法案の最も中心的な問題である強制送還の問題について論を進めたいと思うのであります。一体、自由党の諸君は、善良なる朝鮮人は安心して日本におられると言うのでありますが、出入国管理令と外国人登録令を見ますと、日本に永住許可を受けるためには、第一に素行が善良であること。素行が善良であるとは何のことでありますか。第二には、独立の生活を営むに足る資産または技能を有することを必要とする。さらに強制退去の條件を見ますと、貧乏者で、地方公共団体の負担になる者は追い返す、こうなつておる。ところが、諸君、問題はこれでは解決しない。
 一体、日本に在留しておる朝鮮人や中国人の諸君は、どうして日本に在留せざるを得なくなつたのでありますか。これらの諸君の大部分は、太平洋戰争中、まつたく強制的に徴用、いわゆる人間狩りをされて、泣く泣く、母国の家族や、自分の親戚や妻と無慈悲に引離されて、日本に連れて来られた上にやらざれたことは何か。土方や、沖仲仕や、炭鉱で、たこ部屋に收容され、死ぬよりはましだという奴隷的な強制労働にこき使われて来たのであります。しかも、もしこれに不平を言つたり、反抗する者は、武器を携帯した特高くずれの労務係によつて、檢問所で取調ベを受けた上に、ある者は投獄され、ある者は職場の壁ぎわで、その場で射殺せられたのであります。福岡県の三菱勝田炭坑ここでは、あかつきに祈る式の凍死事件のごときは、まつたく日常茶飯事にすぎなかつたのであります。さらに驚くべきことは、中国人の捕虜労務者に至つては、秋田県の鹿島組の花岡出張所において、九百何十名の中国捕虜労務者のうち、実に四百名が虐殺されておるのであります。
 しかも、この朝鮮人や中国人に対して、一体終戰当時、日本の政府や資本家のとつた処置はどうですか。諸君の中にも心当りがある人があるでしよう。どんなことをしたか。いろいろの積立金のごときは、ほとんど支拂われず、帰国の旅費すら、くれたりくれなかつたり、ほつぽり出されおる。母国に帰りたくても帰ることすらできないようにさせたのは、一体だれなんですか。日本の政府以外の何ものでもないじやないですか。しかも、彼らが貧乏になりたくないといつて銀行から金を借りようとすればどうですか。朝鮮人や中国人に対しては、銀行の融資は、わくがあつて、とざされておる。信用組合を設立しようとすれば、朝鮮人や台湾人には許されないという。生業資金や住宅資金がほしいと言えば、選挙権がないからといつて貸出しはされない。一切の就職はとざされ、一方税金は、べらぼうに、日本人並――にとられておる。しかたがないから、お互いに力を合せて、お互い同士が生活を守ろうといつて朝鮮人連盟をつくつたところが、これは武装警官のどろぐつで踏みにじられて、解散を命ぜられておる。
#68
○議長(林讓治君) 林君、時間が経過いたしましたから、結論を出してください。
#69
○林百郎君(続) しかも、せめて自分の子供たちに、母国の言葉で、文部省の規定に従つて教育をさせようとして、政府からは一銭の補助も受けず仲間の浄財で建てた全国五百の学校も、先生や生徒の血を流しての反対にもかかわらず、閉鎖を命ぜられておるのであります。
 このようにして、政府は朝鮮人が朝鮮語を語る自由する踏みにじつておいて、これをにわかに外国人だといつて、癩病で病院に入つておる者を送り返すという、貧困者を送り返すという浮浪者を送り返すという、失業者を送り返すという、さらに吉田内閣に刃向う者は、吉田外務大臣の認定一つで送り返すというのであります。一体、朝鮮人を脅迫しておるのはだれですか。このことは明らかであります。
 しかるに、一方諸君はどうだ。諸君の―――のアメリカに対してはどうしておるか。軍人であろうら、軍属であろうと、家族であろうと、土建屋であろうと、やみブローカーまでが、何ら日本側からの制限を受けることなく、まつたく、わがもの顔に大きな顔をしで、大手を振つて、まるで自分の国であるかのごとく自由に日本の国に出入りすることを許しておいて、これがどんな反国家的な行動をしても、どんな不届きなことをしても、日本みずからの手では追い出すこともできないじやないですか。これが、このたびの行政協定のとりきめじやありませんか。
#70
○議長(林讓治君) 林君、時間が経過いたしましたから、結論を急いでください。
#71
○林百郎君(続) 在日朝鮮人や中国人は、まだ日本人であります。しかも、彼らとて、一日も早く母国に帰つて、その建設に参加したいのはやまやまであります。現在母国に侵略戰争が行われて、帰るにも帰る所がないし、また自分の好む所ヘ帰るにも、帰ることの自由を持たないのであります。そのために日本にいるにすぎないのであります。彼らの母国に平和が訪れ、統一した政府ができるまで、これらの人々を十分保護してやることは、過去における日本の帝国主義者がこの両民族に犯した罪を考えるならば、当然の義務だと思うのであります。
#72
○議長(林讓治君) 林君、結論をつけてください。
#73
○林百郎君(続) すぐ結論をつけます。――吉田政府とその一味は、中国、朝鮮は、今やかつての――このことを、諸君よく知つていただきたい。中国や朝鮮は、今やかつての日本帝国主義の支配に身をゆだねていた中国、朝鮮ではないこと、血を流してまでも闘つて民族解放革命を成就し、民族独立の偉業をなし遂げつつある偉大な民族であることを知るべきであります。
    〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
#74
○議長(林讓治君) 林君、中止を命じます。
 山本利壽君。
    〔山本利壽君登壇〕
#75
○山本利壽君 私は、ただいま議題となつております、ポツダム宣言の受諮に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律案並びに外国人登録法案に対し、改進党を代表いたしまして、二、三重要なる諸点を指摘して政府の注意を促し、本案に賛成の意を表明せんとするものであります。(拍手)
 近く平和條約はその効力を発生せんとし、わが国は独立国としての地位を国際間に認められんといたしておるのであります。独立国が、その国にとつて好ましからざる者の入国を制限し、また一旦入国を許した者に対しても、そう国の治安を乱し、あるいは種々の害毒を流す場合、これを送還することは国際的通念でありまして、その取扱い方法に対しましても、すでに国際的慣例が樹立されておるのであります。わが国は、今や六箇年有半の占領から解放されて、連合国最高司令官の入国許可権の停止とか、新たに日本国籍を離脱せんとする、朝鮮人、台湾人の存在とは、あるいはまた北緯二十九度以南の南西諸島に本籍を有する人人の要望にこたえての渡航制限に関する改正等の問題を考えただけでも、出入国管理並びに外人登録等について、独立国としての法令を必要とすることは明らかであります。(拍手)
 しかして、本法案は、国際的に重大な影響を持つものであり、特にわが国と密接な関係にあるアジア諸国民に與える影響はすこぶる重大でありまして、本法案の審議にあたり最も論議の中心となりました点は、出入国、特に強制送還の場合における法の適用並びに実地の取扱いについてでありました。現在わが国に在留している朝鮮人や中国人の最も心配するところは、この法律によつて、これらの人々が強制送還されるのではないかということであります。わが改進党は、国際的立場から、何国人に対しても基本的人権が侵害せられてはならないという立場を常に堅持しつつ、本法案の審議に当つたのであります。
 しかし、この法案は、昭和二十年九月三日以後に入国した外国人にのみ適用せられるものであり、同年九月二日以前、すなわち終戰前より引続き本邦に在留していた者については、別に法律で定めるまでは、このまま在留を許可するごとになつておるのであります。しかして、今後新たに制定さるべき法律も決して外国人の強制送還を目的としてつくられないこと、しかもその法律が事実効力を発生するのは二年ないし三年の後であり、その間においては朝鮮及び中国においても統一した政府が樹立されるであろうと予想、またその予想が二、三年後においても実現せざるときはさらに便法が考えられるであろうという政府の言明を、われわれは一応了といたしたのであります。なお、永住許可の申請にあたつての国籍証明書も場合によれば要求せず、日本に長年居住したということを証明し得る各種の資料によつてこれを取扱うということであります。
 本法案の審議にわたり、岡崎国務大臣初め政府委員諸君は、決して人権は蹂躙しないということをしばしば言明されたのでありますけれども、しかも、社会党あるいは共産党、その他外国人がこれを信用しないのは何ゆえでありましようか。この懸念が残つておるということは、今日まで政府が常に反動的な政策を事とし、その言うところも表裏常ならないというような感じを世間に與えておるからだと考えますから、本法律の適用にあたりましては十分の注意を要求するものであります。言うまでもなく、これらの質疑応答はすべて委員会における速記録に掲載されておるのでありますから、民主々義政治のもとにおける現政府は十分の責任を有するものであるということを、われわれは解するものであります。
 なお送還その他の処置に対し、行政事件訴訟特例法により裁判所に提訴し、当該行政処分の取消し、変更を請求することもでき得るのでありますが、なお司法上の保護において十分でないと考える節もありますので、あくまで人権を蹂躪することのなきよう要望するものであります。
 さらに、この際わが政府が特に留意すべきことは、終戰前まり日本に在住する朝鮮人、台湾人の多数は、当時日本人として、太平洋戰争に協力するため、内地の鉱山や工場に働いた人々であり、中には強制的にわが国に連れて來られたと称する者もあり、それが終戰後失職し、貧困に陥つ者もあるという事実をも考え合せまして、わが国の治安を乱し、害毒を流す者は送還は当然でありますけれども、結核患者または貧困者として送還される場合、非人道的行為として国際間の指彈を受けることのないよう取扱わなければならないのであります。
 次に、不法入国者は断固取締りを嚴にし、その本国に送還すべきものでありまして、昭和二十七年度において、政府は一億六千万円という多額の費用をこのために計上いたしておるのであります。しかしながら、朝鮮に最も近い対馬、あるいは全国各地よりの強制送還者を一時受入れている長崎県大村の收容所等に行つてみれば、強制送還された人間が幾回も繰返し不法入国している事実を見るのであります。不法入国した者を捕え、各地で收容保護し、これを大村收容所へ移し、長きは数箇月にわたつて保護を加え、数百人となつたとき、これを一団として釜山へ送還するのであるが、その手数と費用とはおびただしいものであります。しかも、韓国における受入れ態勢の不備と責任観念の欠如からか、同一人間により幾回も不法入国が繰返されるとすれば、これはわが国民のとうてい耐え得るところではありません。政府は、よろしくこの点に関し、相手国政府に嚴重抗議し、場合によつてはその費用の分担を要求すべきであると私は考えます。(拍手)
 最後に、敗戰の結果とはいえ、多数の日本人が多年にわたり資力と労力を注ぎ込み、一生安住の地としていた朝鮮、台湾等から全部引揚げを強要されたのに、朝鮮人四十六万四千余を初めとして、中国人、台湾人その他合して六十二万三千余名の外国人が、この領土狭くして人口多き日本に生活を営むということは、ある意味では不合理ではないか。わが国人全部が引揚げたからには、彼らもまだ引揚ぐべしというのが、わが国民多数の感情ともいえるのであります。(拍手)しかしながら、実際問題としては、人道上、経済上あるいは国際関係から、六十数方の外国人を強制送還することは不可能でありますから、ここの私の言わんとするところは、わが政府は、今わが国独立の機会において、少くともわが国に受入れている外国人の数だけは、将来その本国においてわが国民を受入れるべきであることを主張、交渉すべきであると考えるのであります。(拍手)日華会談、日韓交渉等の際には、当然この問題は織り込まるべきものであると考えます。しかして、これら各地へ移住するわが国民が、真に民主主義的であり、かつ文化国民として各地でよき印象を與えるならば、日本人が移民として世界各国へ迎えられる機運を一層促進し得るものと考えるのであります。わずか一年百余名の日本人移民の割当法案の可決に対しても、米国の議会は多年にわたり難色を示して来たのであります。しかし、わが国がまず受入れている国に対して、わが国民の入国を要請し、懇談することは当然ど考えるのであります。
 以上の諸点について、政府は十分に注意し、努力すべきであることを要望いたしまして、改進党は本案に賛成するものであります。(拍手)
#76
○議長(林讓治君) 成田知巳君。
    〔成田知巳君登壇〕
#77
○成田知巳君 私は、日本社会党第二十三控室及び労働者農民党を代表いたしまして、ただいま上程になつております二法案に対して反対の意思を表明するものであります。
 本法律案は、形式的には、昨年十一月一日より施行されておりますポ政令に基く出入国管理令を一部改正し、法律として存続させんとするものでありますが、本法律案の内容はいわが国へ、またはわが国よりの外国人の出入を管理するものとの名のもとに、実は吉田内閣が、かの一地方政権の名にも値しないところの台湾の蒋介石亡命政権と、朝鮮の李承晩亡国政権と――いたしまして、日本に居留する朝鮮人、中国人を、強制送還という武器をもつて、これらの腐敗堕落の政権の支配下に無理やりに押し込めようとする陰謀法案であるということを、まず指摘するものであります。
 本法案を審議いたしておりまして、私が思い出しましたことは、かの大正十二年の関東大震災のときに、阿鼻叫喚の騒乱の中で、時の政府並びに軍部は、朝鮮人が暴動を起したとか、放火したとの、でたらめなデマを飛出しまして、罪のない幾万の朝鮮人を銃劍の先で突き殺した、あの残虐事であります。本法案は、銃劍でこそ朝鮮人を殺すものではありませんが、日本内地に居住する約六十万の朝鮮人と、四万の中国人を、戰乱のさ中の朝鮮に、あるいは治安の極度に乱れました台湾に、法律の力によつて強制送還し、事実上これらの人々を死地におもむかしめんとするものでありまして、関東大震災当時の残虐行為以上の―――を法律の名において行わんとしておるのであります。まさに朝鮮人等の大量――法案と称しても決して過言ではございません。
 政府は、委員会の質疑応答で、こう言つております。日本に長年平穏無事に住んで来た善良な朝鮮人、中国人を強制送還するような意図は持つていない。ただいま、自由党の佐々木君もそういうことを言われた。しかしながら、政府の言う善良とはいかなるものをさしておるかが問題であります。現に吉田内閣は、憲法に保障された労働者の基本的権利である罷業権を行使して、みずからの生活を守らんとする労働者諸君を、不逞の徒呼ばわりをしておるのであります。このような政府の感覚をもつてすれば、吉田内閣の相棒であり兄弟分である、あの蒋介石、李承晩政権に反対する中国人、朝鮮人は、すべて好ましからざる人物、善良ならざる人物として強制送還に付せられることは、火を見るよりも明らかであります。(拍手)
 現在日本に居住する朝鮮人、中国人は、ごく少数の例外を除きまして、終戰前から引続き日本に住んで、日本人と同様の生活をして、日本人と結婚し、その間に子までなしている方が多数おられるのであります。かくのごとき人々が、本法律によれば、反蒋介石、反李承晩であるという事実だ事けで、南朝鮮または台湾に無理やりに強制送還されるような仕組みになつておるのであります。現に管理令二十四條によれば、一行政官であるところの外務大臣が、日本の利益または公安を害する行為を行つたと認定しただけで強制送還されることになつておりますが、この條文の適用いかんでは、現在日本は李承晩政権を統一政権と認め、あるいは蒋介石政権と講和條約を取結ぼうとして、これと親善の交わりをしようとしておる。この李承晩政権、蒋介石政権に反対する者は、直接、間接に日本の利益を害するものであるとの解釈のもとに強制送還される場合が想像いたされるのであります。これは、ほんの一例でありまして、二十四條は、政府の一方的認定で、好ましからざる人物を強制送還できるような、巧みな仕組みになつておるのであります。
 さらに問題は、長年日本に住居する朝鮮人、中国人が、従来通り日本に永住しようと希望する場合、管理令の定むるところによりましで、入国管理庁長官に国籍証明書を提出して永住の許可申請をしなければなりません。しかるに、現在日本に来ておる中国、朝鮮の代表部というのは、実は中国、朝鮮のすべての民衆の意思により認められ、中国、朝鮮の全域にわたつて統治権を行使しておるところの正統政府ではなくして、一地方政権にすぎない蒋政権、李承晩政権の代表部であります。これらの代表部に対しまして、現在日本に居留する朝鮮人、中国人が国籍証明書の下付申請を行うはずもなく、たとい下付申請をなしたとしても、これらの代表部が、自分たちに反対する人々に国籍証明書を出すはずがありません。朝鮮における北鮮、南鮮両政権の存在、中国における中共政権と蒋介石政権の対立という現実を無視いたしまして、一方の政権代表部の発行する国籍証明書を要求するということは、人権宣言にうたわれたところの国籍選択の自由を奪うところの暴挙であると同時に、不可能をしいるものであります。(拍手)もし政府にしてほんとうに長年日本に居住する中国人、朝鮮人を日本に永住せしめるという誠意を有するならば、現下の朝鮮、中国の政情に照しまして、なぜ簡明直截に、国籍証明書の添付なくとも、長年日本に居住していたというこの事実の証明をもつて永住許可を與えることをしないのでありましようか。岡崎国務大臣は、長らく日本に居住する朝鮮人、中国人には、当分の間国籍証明なくとも居住を認めるという便宜の措置を考えイおる、こう言つておられますが、もし真にこれを行う意思があるならば、なぜこれを法律に明文化しないのでありましようか。問題がこの点に触れて参りますと、岡崎氏は言を左右にして、この私たちの当然の要求を拒否するのであります。この当然の要求を拒否するというところに、一つの隠されたる意図、すなわち在日朝鮮人、中国人に国籍証明書を要求し、これを提出せざる者を、外国人登録法違反にひつかけまして、南鮮、台湾に強制送還せんとする意図が隠されておるといわれても、弁解の余地がないと思います。(拍手)
 今、改進党の山本君は、政府の便宜処置を信用すると言われましたが、改進党の諸君はまことに―――である。現に、あの安保條約の審議の際に、改進党の諸君はどう言つたか。安保條約審議の際に、行政協定は政府の善処を期待すると言つた。そう言つて安保條約に賛成した。ところが、現在行政協定が発表せられるや、大いに反対されておる。まことに―――であるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 さらにまた、岡崎国務大臣は、便宜の処置として、国籍証明書はまつたく形式的、機械的な手続で、駐日代表部に申請さえすれば簡單にとれるようにしたいと答えておられます。もし岡崎氏が、そんなことで問題が解決されると、まじめに考えておるといたしましたならば、岡崎氏は、季政権あるいは蒋政権の駐日代表部と在日朝鮮人、中国人との関係がいかなるものであるかについてまつたく無知であることを、みずから表明しておるものであります。
 在日朝鮮人、中国人の大多数は、現在の駐日代表部を、にせ政権の出店であるとしか考えておりません。また事実その通りなんです。そのために、現在においては、祖国の独立を思い、祖国の統一を欲し、真に祖国を愛する朝鮮人、中国人は、これらの代表部から保護を受けていない。のみならず、あらゆる形で迫害さえも受けておるといわれております。こんな代表部に対して、どんなに簡單な、機械的な手続にしろ、国籍証明書を求めて、容易に入手できるはずはありません。現に日本政府自身でさえも、モスクワの経済会議に出席のための旅券の申請、これはまつたく機械的、形式的手続であります。これに対しても旅券発行を拒否しておるではありませんか。(拍手)聰明な岡崎氏が、この間の実情を知らないはずはなく、知つているが、ためにするところがあつて、あえて知らないふりをしている。
 本法案が成立施行されたあかつきには、現在政府がいかに否定しようといたしましても、低い将来、在日の善良なる朝鮮人の多数が戰乱の南朝鮮に強制送還され、李承晩政権に反対したという理由で獄に投ぜられ、あるいは彈丸として朝鮮戰線に狩り出されることは明らかであります。まさに政府は、本法案の形で、大量の朝鮮人に――の宣告を與えんとしているのであります。(拍手)この人道を無視した政府のやり方に対しまして、今や朝鮮人の人たは、憤激その極に達しております。もし、これがため各地に騒擾が起きるというような不幸な事態があつたならば、その責任はかかつて吉田内閣並びに自由党の諸君にあるといわなければなりません。(拍手)
 今回のサンフランシスコ平和條約の締結、さらに近く締結を予想されております日韓あるいは日台両條約は、いよいよ日本をアジアの孤兒になそうとしております。この悲しむべき事態のもとにおいて、日本人がアジアの人々と友好関係をとりもどし、善隣外交を行つて行く道として残されておる、ただ一つの方法は、現在日本に在住する中国人、朝鮮人を初めとするアジアの諸国民とお互いに手をとり合い、助け合い、お互いに深い信頼関係において結ばれて行つて、このようにして、つちかわれましたところの信頼関係を基礎にして、初めて日本人は将来アジアの民衆と広く手を握ることができるのであります。(拍手)しかるに、政府の自主性を喪失した政治、アジアを忘れた外交政策は、この唯一の残された道さえも、本法案においてとざそうとしておるのであります。戰時中、時の軍閥内閣は日独伊軍事同盟を締結し、無謀なる太平洋戰争に国民をかり立て、日本を今日の亡国の悲境に陷れた。吉田内閣は、サンフランシスコ平和條約の必然の結果として、日独伊軍事同盟にかわるに、李承晩政権、蒋介石政権と條約を結びまして、再び日本を戰争に陷れんとしております。まさに歴史は繰返さんとしておるといわなければなりません。
 以上述べました通り、本法案は、この日韓、日合両條約に連なり、この両條約を背景に持ち、朝鮮人、中国を初めとするアジア人と日本人を敵対関係に陷れ、日本人を永久にアジアの孤兒たらしめんとする法案でありますがゆえに、私たちは断固反対するものであります。(拍手)
#78
○議長(林讓治君) 先刻の林君の発言中、不穏当の言辞がありますれば、速記録を取調ベの上、適当の処置をとることといたします。
 又ただいまの成田君の発言中、不穏当の言辞があつたようでありますから、速記録を取調ベの上、適当の処置をとることといたします。
 これにて討論は終局いたしました。
 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#79
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 明後三十一日は定刻より特に本会議を開きます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後九時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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