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1951/04/17 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 本会議 第32号
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1951/04/17 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 本会議 第32号

#1
第013回国会 本会議 第32号
昭和二十七年四月十七日(木曜日)
 議事日程 第三十一号
    午後一時開議
 第一 昭和二十五年度一般会計予備費使用総調書(その2)
    昭和二十五年度特別会計予備費使用総調書(その2)
    昭和二十五年度特別会計予算総則第六條並びに昭和二十五年度特別会計予算補正(特第1号)総則第四條に基く使用総調書
    昭和二十六年度一般会計予備費使用総調書(その一)
    昭和二十六年度特別会計予備費使用総調書(その一)
    昭和二十六年度特別会計予算総則第七條に基く使用総調書(承諾を求める件)
 第二 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う電信電話料金法等の特例に関する法律案(内閣提出)
 第三 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う電波法の特例に関する法律案(内閣提出)
 第四 千九百二十七年九月二十六日にジュネーヴで署名された外国仲裁判断の執行に関する條約の締結について承認を求めるの件
 第五 国際計数センターの設立に関する條約の締結について承認を求めるの件
 第六 平和條約の実施に伴う民事判決の再審査等に関する法律案(内閣提出)
 第七 平和條約の実施に伴う刑事判決の再審査等に関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 木村法務総裁の破壞活動防止法案の趣旨説明
 破壞活動防止法案の趣旨説明に対する質疑
 日程第一 昭和二十五年度一般会計予備費使用総調書(その2)
      昭和二十五年度特別会計予備費使用総調書(その2)
      昭和二十五年度特別会計予算総則第六條並びに昭和二十五年度特別会計予算補正(特第1号)総則第四條に基く使用総調書
      昭和二十六年度一般会計予備費使用総調書(その一)
      昭和二十六年度特別会計予備費使用総調書(その一)
      昭和二十六年度特別会計予算総則第七條に基く使用総調書
      (承諾を求める件)
 日程第二 日本国とアメリカ合衆国どの間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に件う電信電話料金法等の特例に関する法律案(内閣提出)
 日程第三 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う電波法の特例に関する法律案(内閣提出)
 日程第四 千九百二十七年九月二十六日にジユネーヴで署名された外国仲裁判断の執行に関する條約の締結について承認を求めるの件
 日程第五 国際計数センターの設立に関する條約の締結について承認を求めるの件
 日程第六 平和條約の実施に伴う民事判決の再審査等に関する法律案(内閣提出)
 日程第七平和條約の実施に伴う刑事判決の再審査等に関する法律案(内閣提出)
    午後一時五十二分開議
#2
○議長(林讓治君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○福永健司君 この際本日内閣から提出された破壞活動防止法案についての趣旨説明を聽取するの動議を提出いたします。
#4
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。
 破壞活動防止法案の趣旨説明を求めます。法務総裁木村篤太郎君。
    〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
#6
○国務大臣(木村篤太郎君) 破壞活動防止法案の趣旨を御説明申し上げます。
 今や、わが国は、平和條約の発効を目前に控えまして、民主国家として世界の期待に沿い得るよう全力を傾注する要あるは申すまでもないところであります。政府におきましても、かねて国民の自由と人権の擁護に努め、これを基礎として民主主義の育成強化をはかつて参りましたが、今後ともこの態度を堅持し、いよいよその健全な発達のため邁進する所存であります。
 しかるに、現下国内の治安状況を顧みまするに、御承知のごとく、あるいは集団暴力により、またあるいはゲリラ戰法により警察及び税務署等を襲撃して、放火、殺傷等の犯罪をあえてする暴力主義的破壊活動が、ひんぴんとして各地に行われておるのであります。かも、これらの破壞活動の背後には、憲法及びそのもとに成立した政府を武装暴動によつて転覆する二との正当性を主張し、またはその準備的訓練として暴力の行使を煽動する不穏な文書が組織的に配布されているのであります。かかる事実に徴しまするとき、これら一連の事犯は、広汎かつ秘密な団体組織によつて指導推進されている疑いを深めざるを得ないのであります。
 およそ世界いずれの民主国家におきましても、自由権を濫用し、団体組織によつて国家社会の基本秩序を破壞せんとするがごとき行為は、最も惡質かつ危險なものとして、刑罰または行政措置によつて結社の禁止、解散などをなし得る等、所要の法的措置を講じている現状であります。しかるに、わが国におきましては、現行刑法その他の刑罰法令はいずれも個人の犯罪行為を対象とするものでありまして、破壞活動をあえてした団体に、対しましては、といその団体自体がいかに危険なものでありましても、手をこまねいて傍観ぜざるを得ないので、治安確保の法令に、警戒すべき空白状態が生じているのであります。
 かかる理由から、今日この種破壞活動の危險を防止するための最小限度の立法が当面緊急の課題となるのであります。すなわち、この法案は、この要請にこたえまして、まず暴力主義的破壊活動を行りた団体に対し、行政措置をもつて所要の規制を行い得るものとしたのであります。これは、この種破壞活動の危険を防止するには、その活動がよつて行われる組織自体を規制することが何よりも必要かつ有効であるからであります。
 次に、この法案は、暴力主義的破壊活動に関して若干の罰則を補整することとしたのであります。それは、かかる破壞活動のうち、実害的行為はすべて刑法等によつて処罰されておりまするが、その予備、陰謀、教唆、煽動等の行為は、現下の事態にかんがみまするときに、きわめて危險な行為であるにもかかわらず、現行刑法の規定をもつてしては決して十分ではないからであります。
 申すまでもなく、民主政治は国民の公正な論議の自由を基礎として成立するものでありまするから、いやしくも集団暴力を手段として政治目的を貫徹せんとするがごときは、民主政治の基礎を破壞し去るものでありまし断じて許すべからざるところであります。(拍手)従つて、かかる破壞活動の危險を防止することこそ、すなわち民主主義を擁護するゆえんでありまして、これがため必要最小限度の法的措置を講ずることほ、まことに日本国憲法の精神に合致するものと確信する次第であります。
 これを要しまするに、本法案の目的は、もつぱら団体組織によつて国家社会の基本秩序を破壊する暴力活動の危険を防止することにありまして、およそ自由権の正常な行使や、労働組合運動その他公正な団体活動が本法による取締りの対象となるがごときは、とうてい想像し得ないところであります。むしろ、かかる暴力活動を排除することによつてその健全な発達に寄與するものと、かたく信ずるのであります。よつて、この法案におきましては、正常な自由権の行使を阻害しないよう、また規制が公正かつ民主的に行われることを方針といたしまして、調査及び規制処身の請求をなす機関と、その審査決定をなす機関とを分離して権力の集中を避け、後者に準司法的な独立性を付與して、その判断の自由と公正を担保し、また当該団体に十分な意見弁解を述べる機会を與える等、法案全体を通じて、常にその運用が本来の目的を実現し得るよう愼重なる考慮を拂つておるのであります。
 以上が本法案の趣旨であるのであります(拍手)
     ――――◇―――――
#7
○議長(林讓治君) これより破壞活動防止法案の趣旨説明に対する質疑に入ります。大西正男君。
    〔大西正男君登壇〕
#8
○大西正男君 ただいま提案理由の説明のありました、いわゆる破防法案に関連をいたしまして、詳細にわたる質疑は当該委員会におけるそれに讓り、私は改進党を代表いたしまして、ここに基本的問題について、総理並びだ関係閣僚に対し若干の質疑を試みたいと存ずるのでしあります。
 申すまでもなく、暴力を排して国の内外に恒久の平和を念願し、基本的人権を擁護して民主主義に徹するということは、日本国憲法の基本的精神であります。この憲法の精神をあえて否定しようとするものは、おそらく何人もないでありましよう。従つて、われわれは、新しき日本の憲法のもとにおいて、暴力的破壊活動がそのままに放任されてよいとするものにくみするものでは断じてありません。
 しかしながら、およそ法律は、立法者の手を離れました瞬間において、その生みの母たる立法者の意思とはまつたく独立に動き始める鬼子たるの性格と運命をになうものでありまして、かつてナポレオンが、おのれのつくつたナポレオン法典に対する注釈書の出現に対しまして、わが法典は失われたりとの嘆を発しましたことは、法学史上あまりにも有名なる故事であります。かかる法律の性格ないし運命は、いわゆる治安立法におきましては、特にまたきわめて顯著に現われるのでありまして、しかもそれが重大な弊害を伴つて発生するものであることは、過去の歴史の実績に徴し、きわめて明らかなところであります。(拍手)われわれは、断じてこの事実を看過するわけには行かないのでであります。
 何となれば、いわゆる治安立法なるものは、劍の上に彫刻された法律とさえいわれるのでありまして、それほもろ刃の劍の性格を持つのであります。災いを断つべくつくられた破邪の劍といえども、これを用うる人によりましては、あらゆる国民の良識までをも無残に殺戮するところの、恐るべき殺人劍と転化しがちであるからでございます。(拍手)このことは、あえて外国といわず、わが国の、しかもきわめて近い過去の歴史に徴しましても、たとえば治安維持法その他の法令の運用の実績が、明らかにわれわれに証明するところといわなければなりません。
 すなわち、今回提案せられました暴力主義的破壞活動防止法案におきましても、これが実現のあかつきにおいて、いわゆる破壞活動防止の美名に隠れて、正常なる組合あるいは団体の行動を制肘しへ彈圧し、また圧殺して、もつて憲法に保障せられたる基本的人権を蹂躪し、かえつて健全なる民主主義の発展を阻害し、ひいて過去の、あの恐るべき警察国家へ逆転するに至ることがあるならば、またそのおそれが寸毫でもあるならば、まことに羊頭を掲げて狗肉を売るものであり、かかる法律こそ民主主義を破壞する法律であり、(拍手)まことにゆゆしき問題といわなければなりません。かかる観点から、以下二、三の点をお尋ねいたす次第でございます。
 まず第一点は、過去の歴史に徴するに、いわゆる治安立法の制定された際におきましては、国家ないしその社会情勢は一種の非常事態にあつたのであり、往々にして、その法律の制定後に、不幸にして戰争の発生を見るなどの事実が存在いたしておるのであります。たとえば、昭和十一年六月には不穏文書臨時取締法が成立し、同十二年七月には日華事変の勃発を見、昭和十六年三月には国防保安法が制定せられまして、同年十二月には太平洋戰争に突入いたしておるのでありますが、この破防法の提案いたされました今日並びに現下の情勢は非常事態にあるものと予想せらるるものなりやいなや、総理大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
 第二点は、治安維持法が大正十四年四月成立後、当時の田中内閣は、この法律によつて共産党四百八十何名を検挙し、残党を地下に追いやつて、表面小康を得たかに見えたのでありますが、皮肉にも、彼らに対しまして秘密活動の修練をなさしめる機会を與える結果となり、いわゆる赤の活動を盛んならしめる結果となつたのみならず、その後の同法の運用は、真に国家社会を憂える多くの自由主義者を、なわ目の恥辱に坤吟せしめるの、忌むべき結果を招来したのでありますが、政府は、かかる彈圧的治安立法を制定することをもつて今日能事足れりとなすのでありましようか。わが国のごとく、一般に生活水準の低い環境におきまして、この根本的問題を解決するに最大の努力を傾注せずして、いたずらに治安立法にたよらんとするは、かえつて治安に害ありと考えざるや、(拍手)総理の御所見を伺いたいと思うのであります。
 第三に、この法案自体の根本的欠陷は、いうところの破壞活動を調査し、またこれに基き審査認定する機関が、一は公安調査庁であり、一は公安審査委員会と相みつているのでございますけれども、いずれも法務総裁の下部機関たる点においては同じであります。そもそも、冒頭に申し述べましたことく、治安立法は、それが一たび制定されますると、立法趣旨を通脱して、時の政権に濫用されがちであるという苦い経験をわれわれはなめているのでありますが、これに対していかなる保障がありましようか。濫用されないといういかなる保障があるのでありましようか。(拍手)單に法文中に濫用を戒めるの字句の存在をもつて能事足れわと政府はお考えか。また委員会の処分に対しまして、もちろん行政裁判の道は開かれているのでございますが、それには長い期間を要するのであります。しかも、その裁判を終つて、幸いに活動が解除されたとしても、そのときは、すでに気の抜けたビールのごときものである。また処分の執行の停止については、行政事件訴訟特例法の適用によつて、ほとんどこれが活用される実益はなきに至つているのであります。以上のごときは、かつての治安維持法にさえもその例を見ざるところでありまして、まことに惡法であると考えるが、法務総裁はいかにお考えであるか。この点を伺いたいと思うのであります。(拍手)
 第四点は、この法案第四條並びに第六條におりますると)「当該団体が継続文は反覆して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壞活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるときは、云々とございます。すなわち、将来のおそれ、言いかえれば将来の可能性を原因として団体の規制を行わんといたしておるのでございます。思うに、民主主義下における政府の守るべき一線は、予防的禁止の遂に出でざる点に引かれなければならないと存ずるのでありますこの点によりまして、かような将来の行為について、いかなる認定を、いかなる証拠によつて行い、どういう場合を、そのおそれあるものとして認定をされるのか、かような点について、法務総裁の御所見を伺いたいと思うのであります。
 第五点は、破壞活動の教唆や煽動を独立罪として罰しておる点であります。そもそも煽動を犯罪といたしますことは近代の所産でありますが、これは一面におきまして、あらぬ疑惑を良民にこうむらせ、社会の不安をかもすおそれがあることは、多くの学者のすでに説くところであります。あやまつてその嫌疑を受ける者なきを保しがたいのであります。かくのごとき独立罪としての教唆や煽動を規定することは、まことに不適当であると考えるが、政府はいかにこの点をお考えでございましようか。(拍手)
 そもそも今回の破防法案に関しましては、さきに政府は、一たび閣議において決定いたしました法案を、その後の情勢において再び修正するという、前例のない処置に出たのであります。あえてこの法案が、その成立途上においてあやまちありとすれば、改むるにおいて、われわれも決してそれをとがめるものではございません。しかしなが互これを修正されましたのは、ストを契機としてやられたやにわれわれは観測をするのでございますが、なぜその前にあらゆる意見を徴しなかつたのか。また仄聞するところによりますならば、労働団体と、政府の労働大臣その他の当局者が交渉をなさいました際に、労働大臣は、原案の修正について、その職を賭して責任をとるとの言明をされたやに間くのであります。(拍手)しかして、新聞の報ずるところによりますならば、労働大臣と法務総裁との間において意見の合致を見ず、労働大臣は野退をされて、そうしてその公約に反して法務総裁の意見をうのみにされたということでございます。はたしてさようでありましようか。はたしてしかりとすれば、その公約の実現をされなかつた今日、労働大臣はいかなる責任をおとりになられようとするのであるか。ことに、明十八日は第二次ストに突入することに決定した官報ぜられておるのでありますが、かかる事態に即しまして、労働大臣はこれに対し解決のいかなる方途を有せらるるか、またいかなる責任をとられんとあるものであるか。
 以上の諸点に対しまして、関係閣僚にお尋ねを申し上げる次第であります。明確なる御答弁を要求いたします。(拍手)
#9
○議長(林讓治君) 総理大臣の答弁は適当な機会に願うことにいたします。
 法務総裁木村篤太郎君。
    〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
#10
○国務大臣(木村篤太郎君) 大西君にお答えいたします。大西君は、この法案の趣旨を十分に御理解になつていないものと私は思うのであります。この法案は、もつぱら反乱だとか“騒擾だとか、あるいは殺人だとが、汽車転覆だとか、放火だとか、そういうような凶惡な犯罪を煽動したり、あるいは教唆をしたり、行うたりした暴力団体を規制せんとするものであります。かような破壞的暴力団体を放置していいのかどうか。大西君ほ、おそらくかような暴力団体を放置していいとは考えていられないことと確信します。
 そこで、大西君は、この法案はかつての治安維持法の再現をするようなことがないかというような御議論でありまするが、これは全然さような心配はないのであります。すなわち、本法案は、治安維持法と根本的にその構造を異にしておるのであります。いわゆる治安維持法のような、国体の変革とか、あるいは私有財産の否認を目的とする結社を処罰するようなものではないのであります。いわゆる、今申しました通り、団体組織によつての、この暴力的破壊団体を規制して行くというのであります。昔の治安維持法のような、さような構造とは全然異にいたしておることを私は申し上げたいのであります。しかして、破壊活動の概念は明確に定められておる。また規制措置の條件、手続等については、十分に人権を尊重して嚴格に規定しておるのであります。決して思想を統一したり、あるいはこれを統一するような懸念のないように、十分にこの法案において処置しておるのであります。
 しからば、この法案の濫用はいかにしてこれを阻止すべきであるか、この点であります。二の法案については、その点について十分の考慮を施しておるのであります。すなわち、この法案におきましては、第一に、第二條に、この法案の運用は常に必要の限度にとどむべきであつて、国民の自由と権利を侵害してはならぬということを明確に規定しておるのであります。第二は、暴力主義的破壞活動の概念をきわめて局限して明確に定め、拡張されて濫用される危險を排除しておるのであります。第三には、団体規制の條件を厳格に定めております。第四には、調査機関と決定機関をわかちまして、後者には準司法的な独立性を與え、公正な決定の行われることを保障しておるのであります。第五には、公安調査庁の調査権限を極度に制限しておる。第六には、本法の運用に関して不服がある者は、一般の手続に従つて裁判所に提訴し得るようにしてあるのであります。この六点におきまして、かつての治安維持法のような愚を再びしないよう十分の考慮を拂つておるのであります。
 ただいま大西君の仰せによりますると、裁判所は、こういう問題について非常に訴訟を遅延するから当てにはならぬというような御議論でありましたが、この法案については、その点に特に考慮を拂いまして、裁判所は、ほかの事件の順序にかかわらずして、特にかような事件については促進をして、百日以内において裁判を終結するように考慮を拂つておるのであります。その懸念は毛頭もないことを、ここに私は申し上げておきます。
 なお労働大臣と私との関係におきましては、こうも意見の食い違いはありません。まつたく意見が相一致して、この法案を作成したのであります。(拍手)
    〔国務大臣吉武惠市君登壇〕
#11
○国務大臣(吉武惠市君) 大西君の質問にお答えをいたします。
 私が労働組合と公約した事項をなぜ履行しないかというお話でありますが、私は労働組合の代表者と公約をした覚えはございません。ただ政府は、さきに決定いたしましたこの暴力主義破壊防止法案につきまして、この法律ほ正常なる労働組合運動をごうも抑圧制限するものではないことは、しばしば言明したところであります。しかるに、組合におかれましては、その点になお心配の点があるやに聞きましたので、政府は再度閣議決定をいたしまして、先般発表いたしましたるごとく、三つについてさらに修正をして、その点を明らかにし、これを天下に声明したのであります。
 すなわち、その第一は、この法律は労働組合の正当な行為を制限し、またはこれに介入するように適用するようなことがあつてはならないことを明記する、こういうことを公約いたしました。この点ば、声明といたしまして、世間に公約をしたのであります。その点は、今回提案いたしました法律の第二條第二項に、そのままの文字が挿入されております。なお第一の二項に、この法律の規制の対象についても、不必要な危惧の念を與えざるように検討すると言つております。この点は、ただいま提案されておりまする法案の中に、団体の行動はその団体としての行動であるということに訂正をいたして、その点を明らかにしているのであります。
 なお第二に声明をいたしました点は、この法律に基き行政処分の違法なるものに対する救済措置について考慮すると言つております。この点は、本日提案いたしました際に、違法処分についての審査は百日以内にこれを行うということにいたしまして、だらだらと、いつまでもこれを長引かせますことのなきように改めております。なおこの点に関連いたしまして、原案にありました、いわゆる調査官の監察調査権に基くところの規定は全部削除いたしまして、組合等にごうも心配なきように訂正しているのであります。
 なお第三に声明をいたしまして、この法律の公安審査委員会の委員は、労働組合その他各界の代表をもつて組織する。これは法務総裁のしばしば言明されているごとく、この法律の施行にあたりましては、労働側の代表を入れて公正にするつもりであります。
 以上申し述べましたことく、政府が声明いたしましたこの三つにつきましては、本日提案ざれましたこの法案に、十分修正をいたしまして明らかにしているのであります。(拍手)
#12
○議長(林讓治君) 田万廣文君。
    〔田万廣文君登壇〕
#13
○田万廣文君 私は、日本社会党を代表いたしまして、木村法務総裁より提案理由の御説明のありました破壞活動防止法案に対して、以下数点にわたりまして質問を試みんとするものでございます。
 本法案が、現在各方面の鋭い批判と論議の対象となりまして、しかも熾烈なる反対の声に包囲されているという事実は、諸君のひとしく御承知の点であろうと存ずるのであります。本案が真に社会不安を一掃し得る民主的な立法であるならば、世論は強くこれを支持し得るでありましようけれども、事実は猛烈な反対に直面しているのでございまして、その理由として考えられるものは、本法案が、実質的に見て、必ずしも政府の言われているように治安立法にふさわしいものではなくして、むしろ正反対に、治安とはなはだ縁の遠い、社会不安を醸成する不安立法に堕するおそれがきわめて濃厚であるということであります。(拍手)、本法案の目的は、団体の暴力行動を鎮圧するにあるといわれますが、法案全体の構造は、団体から集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の機会をできるだけ奪い上げ、むしろこれを非合法活動に追い込む結果を招来するようにできていると見られるのでございます。これは、きわめて危険かつ賢明ならざる態度でございまして、一歩その運用を誤るならば、大衆の同情ばかえつて非合法化された団体に集中することとなりまして、政府みずからがつくり出した事態にみずから驚愕し、無関係な一般国民に疑念を持ち、いたずらに人権を蹂躪し、警察国家主義への復活にひたすら驀進することとなるのは、明瞭な事実と思うのでございます。(拍手)憲法における団体政策は、まさにこの種の取締り政策に反対するのでございまして、いかなる団体にも公然たたる基本権を保障するとともに、その保障にもかかわらず、みずから求めて暴力に走るならば、内乱その他の刑事犯罪として処罰の対象となることをわれわれは知つているのでございます。本法案が、憲法のこの立場に逆行し、むしろ、うの目たかの目で団体の行動を監視し、ひいては個人の権利までも危険に陷れる結果、非合法の暴力的行動に追いやることを歓迎するらしくさえも思われることは、法案の違憲性に対して疑問があるとともに、少くともその政治的聰明を疑われてもしかたがないものと思うが、この点についで木村総裁の御所見を伺いたいと思うのでございます。(拍手)
 次に、本法案が暴力主義的破壞活動を取締る手段の中におきまして、デモ集会の禁止及び機関紙誌の刊行停止は、まさに一種の検閲制度の再現であり、時代に逆行し、憲法第二十一條第二項の精神に照し、疑わしき場所が多々あるのでございます。元来、憲法が検閲を禁じているのは、行政官庁が独善的な観察によつて相来の状況を推測し、言論出版等の行動に障害を及ぼすことを排除するためでございます。過去におきまして、警官が新聞雑誌を発禁し、デモ集会の禁止をなしたことは、われわれ日常茶飯ごとく、よく経験したことでございまして、まことにおそるべき事実が多々あつたのでございます。さすれば、一回もしくは数回のデモや会合または出版に、行政官庁から見ておもしろくない事件がかりに起つたといたしましても、その後数箇月にわたる長期間、デモ、集会、さような表現の自由を剥奪し制限することは、憲法の検閲禁止規定にも抵触するの違憲性が多分にうかがわれるのでございます。この点に対する御答弁をお願い申し上げる次第であります。
 次は、機関紙誌に対する一応の説明はしておりまするが、なおその解釈については疑義の存するところがあるのでございまして、広く一般の新聞雑誌の類までも取締りの対象になさる考えであるか。もし、さようなことになりますならば、その及ぼすところの災害は実におそるべきものがあるのでありまして、この点についても、明確なる木村総裁の御答弁を求めたいのであります。
 本法案が、ほとんど秘密処分にも近い独断的手続によりまして、団体役職員の追放及び団体の解散まで指定していることは、異常な濫用を伴う危險がありまして、裁判官によらない裁判を強要される結果となると思うのであります。すなわち、行政公務員であり、しかも身分については、裁判官と異なり、保障されない、政府の出先機関の感がある公安調査庁長官が「団体の規制を請求することになつておりまするが、これはきわめて危険なことと申さねばなりません。なおその上に、処分の請求を審理する際は、一般公開は禁止されまして、わずかに五人以内の、しかも発言権のない立会人が選ばれまして審理がなされるのであります。その審理に当る審理官は公安調査庁の職員であり、しかも取調べの証拠の採否につきましては強力な決定権が與えられておつて、独善的審理の危険が十分予見されるのでございます。こんな制度のもとにおきましては、公正な審理はとうていわれわれは期待することができないのであります。審理された結果は、公安審査委員会でもつぱら秘密のうちに検討ざれ、決定処分がなされるのでありまするが、おそらくは、われわれの見るところでは、公安調査庁長官の意見通りの処分決定がなされる公算が多いのでございます。次に申し上げたいのは、かつてり治安維持法のごとくかくのごときことによりまして、基本的人権は容易に破壊される危険性がさらに加わつておるということでございます。木村法務総裁は、かかる構想で、人権の保護並びに法の公正といろものが期待できると思われておるのでございましようか、その点について、明確な御意見を伺いたいと思うのでございます。
 なお、本法案が団体に関する正確な定義を掲げていない点から考えまして、その取締り対象は、單に政治的団体だけでなく、あらゆる民主的団体、たとえば労働組合、農民組合、宗教団体、婦人団体、一般の新聞、出版、放送など、非政治的団体及び個人の一言論、行動まで包括する、きわめて広汎な範囲に拡大されて、政治の点に触れるならば、これによりて規律される行動は無制限にひとしいくらいであります。
 なるほど、規制の基準として仮装された、偽つたような、だまし的な、民主化らしい規定は書いてはございますけれども、しかし、かかる規定は、政治警察機関としての取締り官憲によつて嚴格に尊重されるとは必ずしも予想されないのでございます。(拍手)反対に、この仮装された、インチキ民主化の規定は死文化し、権力の濫用を来すおそれが多分にあるのでございます。そのようなことを、われわれは感ぜざるを得ないのであります。かりての治安維持法を想起すれば、よく了解できるところであります。治安維持法よひはるかに広範囲に基本的人権に関係のある本案が国民に與えられ、その国民がたどるべき運命を思いますると、実に身の毛のよだつような思い、がいたすのでございます。(拍手)木村法務総裁並びに吉武労働大臣は、確信を持つてこれを履行せられると言うが、さような不幸な事態が起きた場合に、どういう責任をとつていただけるか、ここに確言していただきたいと思うのであります。
 憲法第十九條には、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」ということが明確に規定されておりまするが、本法案の団体職員の追放は、この保障された国民の権利を奪う結果となるのではないかと思うのでございます。すなわち、暴力主義的破壞活動をしたとされる特定の役職員や構成員でも、将来再び同一の行動を繰返すとは必ずしも限つておらないのであります。それを繰返すものと認定することは、人間の見えざる意思を独善的に推断することとなるのでありまして、危険千万と申さねばならないのであります。(拍手)本法案において、公安審査委員会は、あえてその危險を冒し、そして人心を束縛し、思想の自由を弾圧し、その人間を団体から排除追放しようとするものでありまするが、この濫用が運用の面で出て来るならば、いかなる結果になるかといえば、政府にとつて都合の惡い人間は片つぱしから首切つて、政治その他の活動から排除され、そして政府に御都合のおい人間だけが残されまして、政治、言論、労働組合などはまつたく骨抜きにされ、奴隷的存在に落ちてしまうことを、われわれは多分に懸念しておる次第でございます。これは明らかに反民主的反動立法と申さなければならぬのであります。かかる点につきまして、木村法務総裁の御所見はいかがでありましようか、承りたいのでございます。
 なお、本法案において暴力主義的破壊活動として掲げてある諸行為、すなわち内乱罪も、騒擾罪も、また放火罪も、激発物破裂罪も、汽車、電車等の往来危険罪も、あるいは転覆罪も、殺人罪も、公務執行妨害罪も、現在それぞれ刑法各本條で嚴重に処罰できることになつておるのでございます。政府のお話を聞きますと、これは個人を処罰する規定であり、団体を処罰する規定はないから本法が必要だと言われるのでありましようが、しかしながら、団体は法人格のあるなしにかかわらず人間の集合体でありまして、組織の根本は人間でございます。従つて、団体を解散させましても、人間が残れば、処罰としての意味はまつたく解消してしまうのであります。しかも、個人は刑法各本條で処罰の対象とされるのでありますから、ことさらに特別法をつくつて、そして国民大衆のあらしのような反発の中にこれを強行しなければならないという理由は、私どもにはまつたくわからないのでございます。(拍手)現在の刑法で、りつぱにこれらの対象としておる問題は解決されるのであります。この点について、木村法務総裁は不十分なものがあるというようなお話でございまするが、しからば、どこにその不十分なものがあるか、それを明確に、納得の行心までお話を願いたいと思うのでございます。(拍手)
 要は、国民が好まざる法案であるのであります。大衆はこれをきらつておるのであります。民主的な政治というものは、輿論の上に立たなければならぬ。輿論がすべてこれに対してあらしのごとき反撃を加えておるという事実を、木村法務総裁並びに吉田総理大臣は明確に認識していだだかなければならぬと思うのであります。
 最後に、政府が心から暴力主義的破壞活動を防止せられるという熱意があるならば、他にとるべき方法が私はあろうと思うのであります。(「何だ」と呼ぶ者あり)それは何か。それはすなわち国民生活の安定であります。安定なき生活ふち、あらゆる暴力、破壞が起るのであります。この破壞、暴動を防止するのは、国民生活の安定以外にはございません。吉田内閣の成立以来、今日三年有余、その間に打続く失政に次ぐ失政、これをカバーし、これを糊塗せんがために、ことさらにかかる彈圧法をつくりまして、そうして自分たちの、自由党の現在の政府の長命をはからんとする、これがいわゆる吉田反動内閣の真の意図であるということ失われわれははつきり認識せざるを得ないのでございます。(拍手)
 以上申し上げましたことにつきまして、木村法務総裁並びに吉武労働大臣の明確なる御答弁を切にお願いする次第であります。(拍手)
    〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
#14
○国務大臣(木村篤太郎君) 田万君にお答えいたします。
 田万君は、この法案によつて、あるいは言論、出版、あるいはデモ禁止、あるいは集会の禁止というようなおそれがあるんじやないかという御議論であります。この法案のどこをお読みになつても、そういう懸念は毛頭もないのであります。もう少し御研究になれば、十分におわかりのことと考えます。一体、この法案に盛られたところは、先刻来しばしば申上げました通り、反乱とか、あるいは反乱を教唆するとか、あるいは殺人だとか、放火だとか、そういう極端な危險な行為をしようとする、あるいはした暴力団体を規制して行こうとするのであります。ここを、この法案においてはつきりさせておるのであります。いやしくも反乱を教唆したり、反乱を煽動したりするような文書が世の中に行われたらどうでありましようか。現在行われておることは事実でありまするが、さような危險な反乱を煽動したり教唆したりするような文書は、これは国家治安の面からいつて十分に取締りをする必要があるのであります。普通の出版というようなものを、この法案においてどこにおいてもこれを規制するというような箇所はないのであります。十分にこの法案を御熟読を願いたいということを、私は田万君に申し上げたい。
 またこの法案について、治要維持法の再現をするんじやないかという御懸念でありますが、これは大西君に対してお答えした通りであります。毛頭もそういう懸念はありません。構想をまつたく異にしておるのであります。しかして、この法案において特に指摘いたしたいのは、刑法でもつて、いろいろの反乱だとか、殺人だとか、放火だとかいうことを処罰できるんじやないか、あえてこの法案においてそういうことを設ける必要はないしやないかという御議論でありますが、先刻来申し上げましたように、主たる目的は、そういうような行為をする、あるいはした団体を規制いたして行こうというのであります。刑法においては、これを規制すべき処罰も何らないのであります。ここを十分に御熟読を願えば、私は御了解願えると思います。ことに、この反乱とか、あるいは殺人だとか、教唆、煽動するような行為は、これはどこまでも規制して行かなければならぬ。ここにおいてか、この法案において補正しているのでありまして、毛頭も、そういうような言論とか集会とかを規制するところの意思はないりであります。
 次に、この公安審査委員会の制度でありまするが、これはわれわれの構想といたしましては、この委員会の委員になつていただく方は、国会の承認を得てこれを任命する形式をとつて行きたいのであります。つまり、国会を尊重いたしまして、国会において承認を得た五名の委員によつてこの決定をいたすことにしているのであります。しかも、その委員になる人は、あるいは言論界、あるいは労働関係から、あるいは法曹界から、あるいは実業界から、あるいは宗教界、こういうおよう各界からの達識な人を選んで、国会の承認を求めて、この人に決定をゆだねるのでありまするから、きわめて私は民主的な方法と考えておるのであります。また裁判所の運営につきましても、先刻申し上げました通り、こういう事案については特に迅速にやるように十分の考慮を加えたのであります。
    〔国務大臣吉武惠市君登壇〕
#15
○国務大臣(吉武惠市君) お答えをいたします。労働組合等の基本的な人権を侵すおそれがありはしないか、その場合、どうしてこれが救済されるかというお尋ねであつたようでありますが、先ほど法務総裁がお答えになりましたことく、今回のこの法律は、御承知のごとく、暴力と申しましても、内乱と騒擾、殺人、放火、汽車の転覆等、極端なる暴力行為であります。かくのごとき行為を、今日の労働組合があえて行うとは考えられません。従つて、労働組合がこの法律によつて拘束を受けることはないと考えております。(拍手)
#16
○議長(林讓治君) 田代文久君。
    〔田代文久君登壇〕
#17
○田代文久君 私は、日本共産党を代表して、ただいま上程されました破壞活動防止法案に対し、政府当局に質問を試みんとするものであります。
 現在政府は、破壞活動を防止するという名のもとに本案を提出いたしておるのでございますが、実際に破壞活動を行いつつあるものは、これまさに外国帝国主義と、その手先になり、その走狗になつておりまするところの自由党吉田政権それそのものであります。(拍手)現在、日本の経済財政、これらほとんど全部と言つてもいいほど、アメリカのウオール街に握られておる。貿易関係について見ましても、中国貿易は禁止され、モスクワにおける国際経済会議に対して、アメリカの手によりまして、これに参加することが拒否され、また日本の吉田政府は、そのしり馬に乘つたのであるけれども、アメリカ自身がモスクワに行つておるではないか。これは一体どういうことを意味しておるか。しかも、モスクワの経済会議におきてましては、約五十億ドルになんなんとする厖大なる経済取引が短日月の間に成功いたしておる。イギリスと中国との間におきましては、一千万ポンドに余る厖大なる取引がこれまた成立いたしておる。写本の現在の紡績産業というものは、まさに破壊に瀕しておる。しかも、そういう状態に担い込みながらも、なおモスクワに行くことを禁止し、あるいは中央貿易を禁止しておる。まさに日本の経済は根本的に破壊されつつあるということは、これ天下周知の嚴然たる事実であります。
 日本の全国至るとこみに基地が強化拡大され、北は北海道から南は九州、琉球の果てまで、日本全土があげて基地になつておると言つても過言ではないのでありまして、しかもこの基地の周辺におきましては、すでに諸君御承知の通り、ひんぴんとして農民の土地の收奪が行われ、まさに二万町歩に余るこれらの良田、美田、田畑が取止げられ、農業生産は破壞され、農民の生活はまさに言語に絶する状態になりつつあるということを、この農業生産に対する破壞事実を、諸君は何と見るのであるか。
 しかも、B二九による、ひんぴんたる墜落、爆破事件、これに対しまして、アメリカがB二九を―――ながら、これに対する補償をわれわれの血税でもつてなさねばならりぬということは、これは一体どういう意味であるか。名実ともに、これは売国政策の現われであり、日本の根本的な破壞であるということは、この一事をもつて見てもはつきりいたしておるのであります。
 しかも、労働者は低賃金と労働強化に追い込まれ、炭鉱などにおきましては、毎日のごとく死傷者が出ておる。この間、日本の飛行機が墜落したというので大騒ぎをやりましたけれども、これらの炭鉱あるいは金属産業等におきましては、こういう死傷災害が日に日に増大しつつあるのでありまして、外国と通謀いたしておるがために、いかに日本の労働者階級が圧迫され、最後の血の一滴までもしぼりとられておるかということは、はつきりしておるのであります。
 また基地の周辺におきましては、わずか十五、六才にしかならないような若い婦女子が―――――ておるとか、あるいはこの間の銀行ギヤング事件等の、外国の軍人あるいは外国人による暴行、窃盗というような事件が日に日に起りつつあるにもかかわらず、これらの屈辱的重大事件に対しまして、言論界はこれを大きく取上げようとしておらない。しれまた、日本の国民生活が根本的に破壞されつつある嚴然たる事実であります。
 また、先日国会を通過をいたしましたる警察予備隊令の一部を改正する法令によりましても、すでに徴兵令を実施するその前提に立つておるのである。日本の青年は、またもや戰場にかり立たされる、どたんばに来ておるのであり、立川におきましては、すでに燈火管制が実施され、その演習を見、福岡の杉本県知事は、最近福岡県下におきまして、燈火管制、防火訓練の計画を発表いたしております。
#18
○議長(林讓治君) 趣旨説明に対する質疑の発言をゆるしたのでありますから、質疑を願います。
#19
○田代文久君(続) すなわち、これを要するに、現在の社会不安と、日本を一切の破壞状態に陥れておるものは、帝国主義者と、それに通謀する吉田政権そのものであるといもことが、はつきり言えるのであります。従いまして、もしわれわれが破壞活動を防止せんとするならば、勤労大衆の側から、これらの反動政権に対し懐して、逆に破壊活動を防止するという法案を提出することこそが最も緊要適切であるといわねばならないのであります。従いまして、これらの、国を売り、国を滅ぼすような政府の施策に対しまして、破壊から守るための国民運動が起るのは当然であり、現に総評を先頭といたしまして、明日にも全国数百万の労働者、農民、勤労人民大衆がこれらの売国政策に抗議し、しかも全世界の労働者大衆がこれを支持しておるということは当然であり、また正当であり、しかもこれは必然であります。
 現在の吉田内閣は、言論には言論をもつて、自由には自由をもつて、思想には思想をもつて対抗し、そうして正を正として結論を出すことをなさずして、当然これに太刀打ちができないがために、專制的な暴力をもつてこれを粉砕しようといたしております。すなわち、ただいま上程されましたこの法案のねらいというものは、その中心的な特色といたしましては、これは明らかに思想彈圧であり、大衆行動に対する彈圧である。
 しかも、ゆゆしきことは、これらの一切の行動に対して、それを調査し、あるいぼは資する権限を一手に吉田反動政権が握るということであります。破壞活動の元凶そのものが、これに抗議する一切を彈圧する権力を掌握せんとしておることは、まさにフアツシヨ政治そのもの、といわなければならないのであります。従いまして、もしこの法案が国会を通過するということになりますならば、政党、組合あるいは民主主義的団体の中で、かりに個人がなした活動をも、これを団体の責任として処罰、解散させることができるということになるのであり、重税にあえぐ人民が税務署に押しかけるとか、あるいは土地を取上げられた農民が税務署の前にすわり込む、あるいは組合が実力を行使するというような場合に、当然騒擾罪でこれを彈圧することができるということになるのでありまして、一切の反米、反政府の言動が封殺さかるという結果になるのであります。
 たとえば刑法の内乱罪は、内乱の予備、陰謀、賛助を破壞活動と規定いたしておるのでございますが、内乱罪といろのは、政府を転覆する目的で暴動をなしたことを処罰せんとするものであります。これは、旧憲法の天皇陛下におきまして、天皇の政府を転覆することを不当として彈圧することを目的といたしたものであります。しかし、主権在民の新憲法のもとにおきましては、反動的売国政府を打倒するということは、当然国民の権利であります。しかるに、この法案によりますと、政府を打倒するための予備、幇助、教唆の活動まで破壞活動として彈圧せんといたしておるのであります。従いまして、吉田内閣の打倒、戰争反対、平和を守れという叫び、言論、出版、集会、これらすべてが犯罪として彈圧され、これを行つた政党、労働組合、報道機関、出版社というようなものが解散され、検挙、投獄されることになるのであります。
 また法案の三十八條、三十九條によりますと、政治上の主義施策を推進し、支持し、反対するために所定の破壞活動をなしたものを、特に重くかつ広汎に処罰することを規定いたしておるのであります。これによりますと、民族独立、單独講和、安全保障條約、行政協定の破棄、中ソ両国を含む全面講和を主張し、または社会主義、共産主義社会主義社会実現の必然性を宣伝するビラをたつた一枚持つておつても、この條文にひつかけられ、少し固まつて官庁に陳情する程度のことでも、警察の認定次第で騒擾罪にひつかげられ、そうして彈圧されるという結果になつで来るのであります。これはまさに世界に類を見ない植民地的反動彈圧立法であり、東條時代にまさる暴逆なる專制と暗黒政治を強行せんとするものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)しかも、吉田政権が外国帝国主義の走狗となつてこれをなしておることは、東條時代以上の売国、亡国彈圧法といおねばならないのであります。これはまさに破壞活動の最大なるもの、すなわち戰争であります。戰争のための破壞立法そのものであると断ぜざるを得ないのであります。
 しかも、現在の吉田政権は、卑劣にも、一方においては、これらの惡法に対して断固として立ち上るところの大衆に対し、首切りあるいは彈圧で恫喝し、威嚇しながら、しかも片方におきましては、数千万金を投じて一部の組合堕落分子を買收し、この鬪争の分裂を策し、労働者の反対鬪争を無力化しようと試みつつあるのであります。さらには修正に名をかりまして、組合を初めとする全国民の反対運動を欺瞞せんといたしたのでございますけれども、この法案の本質は微塵も修正されないのみか、さらに惡質陰險なるものに化せられておりますことは、労働者階級によりまして、はつきり見抜かれておるのであります。
 これらの非民主的な悪法に対しますところの反対の鬪争は、分裂されるどころか、明十八耳を期しまして、数百万の労働者が断固として団結し、断固として立ち上ろうとしておることは、政府自身がますます窮地に追い込められつつあるところの嚴然たる事実であります。しかも、自由党と吉田政府がこの惡法を強行いたしますならば、殷鑑遠からず、吉田自由党反動政権は、愛国人民の実力によりまして―――蒋介石の二の舞を踏むことは必然であり、われわれは本法案の撤回を徹底的に要求するものでありますけれども、政府は本法案を撤回する意思があるかどうか。これを質問の最後の結びといたしまして終る次第であります。(拍手)
    〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
#20
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。御質問の要旨は、政府においてこの法案を撤回するの意思ありやいなやということであります。断じて撤回いたしませんと申し上げます。この法案は、要するに、繰返して申しました通り、いわゆる破壞的暴力行為を行い、行わんとずるところの団体そのものを規制するのであります。かような団体は、わが治安の面から申しまして、一日もわれわれは放置することができないもめであります。断じて撤回いたしません。(拍手)
#21
○議長(林讓治君) 赤松勇君。
    〔赤松勇君登壇〕
#22
○赤松勇君 私は、日本社会党第二十三控室を代表いたしまして、破防法に関する若干の質疑を行いたいと思うものでございます。
 まず第一点でございまするが、この法案の中におきまして最も重大なる点が三つあるのでございます。
    〔議長退席、副議長着席〕
第一は、この法律は行為に対するいわゆる価値判断でなく、推察によつて処罰をされるという点が非常に重大であると思うのでございます。ただいま、吉武労働大臣から、いわゆる正常なる労働組合活動に対してこれを適用するのではない。――先般の修正案の中にもこれが盛られておるのであります。この法案の中に修正点が明記されたのでございますが、この点につきまして、具体的な事例を引用しながら、私は吉武労働大臣にお尋ねいたしたいのでございます。
 大臣も御承知のように、労働組合にいたしましても、あるいは農民組合にいたしましても――これはひとり労働者、農民だけではありません。文化人の団体にいたしましても、あるいは中小企業の団体にいたしましても、たとえば文化の問題や、あるいは税金の問題や、あるいは賃金の問題や、あるいは土地收用等に関する問題について集会を持つ。集会を持ちますならば、今の段階におきましては、政府がしばしば申しておりますように、問題を政治と経済に分離するわけには参りません。高度な資本主義在会、しかも独占資本にあらゆる経済のそれが集中されておりまする今の段階におきまして、今日労働者の日常卑近なる要求、農民、中小企業の日常卑近なる要求は、すべて政府の広い政策とつながつておるのでございます。従つて、こういう大会において出ますところの意見というものは、多かれ少かれ、政府に対する要求であり、政府に対する批判であり、ときには政府に対する攻撃になつて来るのでございます。われわれと無関係の、純真無垢なる農民の人たちが、土地收用に対してこれに反対し、たとえばこれに対する大規模な陳情を行つたとする。その際に、警察予備隊なり、あるいは国警なりが出て参りまして、これを阻止しようとする。その際に不測の事態が起きました場合、これは破壊活動を目的とする団体である、破壊活動を目的とする集団である、こう考えて、頭から彈圧をされる危險が十分ございますから、(拍手)今日労働者、農民、中小企業者や、多くの文化人、ことに言論機関の人たちでさえも、この点につきましては深い心配を持つておるのでございます。
 しかも、刑法第百六條に規定する騒擾行為の予備、陰謀あるいは煽動等にこれが該当するかどうか。刑法第百六條によれば、「多衆聚合シテ暴行又ハ脅迫を為シタル者ハ騒擾ノ罪ト為シ」と規定しておるのであります。ところが、この破壞活動防止法案の恐るべき点は、このような集会や陳情や示威行進に対しまして、当局または使用者に対量る暴行脅迫に該当する行為だというように一方的に認定をいたしますならば、いわゆる破壞活動の不逞の徒輩にこれが転化するのでございます。
 もつと嚴密に申しますならば、このような破壞活動を準備していたということに、公安審査委員会がみなしたかどうかということが非常に問題である。公安審査委員会の自由な認定によりまして、集会、結社、出版あるいは各団体の役職員の活動の自由の禁止処分ができるのみならず、組合の解散をすら命ずる非常に広大なる権利が、この一握りの官僚機関でございますいわゆる公安審査委員会に付與されているところに、問題の重要性があるのでございます。(拍手)しかも、行為に対する価値判断でなく、推察により処罰をしようとするのでございますから、これは何らの客観的な、そういう社会通念によらずして、いわゆる徳川政府当時の代官政治の再現だと言つても、私は決して言い過ぎでないと思うのでございます。(拍手)
 もちろん、第三章においては、規則の手続において、多少の手続を経ることを要するようになつておりますけれども、この法案の実態は、公安審査委員を任命した時の政府当局の意のままになるようにできておるのでございます。一体政府が、正当なる労働組合活動はこの法の取締りの対象にしないというならば、その正当なる労働組合活動の定義なるものは一体何であるか。当、不当は一体だれがきめるのか。すなわち、当、不当は社会的の客観的通念できめられるのではなく、このことは、一握りの官僚の機関であり、同時に時の権力者であるところの政府の任命いたしました公安審査委員会において、一方的にこれがきめられるのでございますから従つて、私どもは、かような事柄について、白紙委任状をもつて破壞活動防止法案を本国会で通過さすことは断じてできないというのが、われわれの考え方でございます。(拍手)
 ざらにこの法案を追究して参りまするならば、憲法第二十一條によつて保障されておるところの言論、集会、結社、出版の自由、この自由が、かつての治安維持法と同じように奪い去らるるおそれがあると思うのであります。これは、日本におきましても、美濃部博士ですら治安維持法の犠牲者になつておるのでございます。現行の刑法によれば、内乱、強盗、殺人、放火等、他人の生命財産を侵害する犯罪については嚴重なる禁止規定がございます。ことに、これらの犯罪が行われた場合、共犯が処罰されることは刑法総則の規定するところでありまして、従つて、政府は、団体の破壞活動を取締る法規はないと言つておりますけれども、これは單なる政府の宣伝でございまして、現行刑法は、憲法の規定に準拠して、正しく法の運用を行えば、ことさらに破壞活動防止法案というような治安維持法の現代版をつくる必要は断じてないと、私どもは考えておるのでございます。(拍手)
 もつとも、この法案の裏には、一つの重大な政治的意図が含まれておると私どもは見ておるのでございます。それは何であるかと申しますならば、公安調査官等、いわゆるスパイに類する行政官を配置使用いたしまして、本来独立であるべきところの司法権を、時の権力者である行政権に従属させまして、そうしでわが国の憲法の原則である三権分立のこの原則を破壞し、さらに刑法上の原則を破つているこいう点が非常に重大である。教唆、煽動、予備、陰謀の名において、犯罪を実行しない場合においても、犯罪を実行するであろうという認定の上に立つて、暴力行為を行う団体を取締るということに名をかりて、時の政府に反対する批判的勢力を破壞しようとする、すなわち反対派破壞活動防止法であると言わなければなりません。吉田内閣の側から申しますならば、私は、これは自由党吉田内閣の安全保障法であると考えるのでございます。(拍手)私は、この法案が本国会に……(発言する者あり)――暴力は刑法で取締ればいいのだ。君がやつたら取締つてやる。
 この法案が、本国会に、吉田内閣の手であえて提出されましたるゆえんのものは、戰後七箇年間、もちろんわが国におきましても、刑法の取締りの対象となるべき個々の暴力行為は行われて参りました。刑法の個々の対象になるところの暴力行為とは、強盗、殺人というような個人の問題です、ところが、この七箇年間は、団体を対象とするところの破壞活動防止法というものは現在まで制定されませんでした。急遽これが制定されるに至りましたゆえんのものは、その客観的根挺は何であるかと申しますならば、われわれの判断に誤りがないならば、私は、講和條約と安保條約と行政協定の一連の関連の上に、日本の平和憲法第九條の修正と再軍備を前提とした、これは新しい日本の警察軍事国家へ性格をかえる一つの布石であると考えておるのでございます。(拍手)
 この法案が本国会を通過いたしましたならば、ただちにゼネスト禁止法、あるいは労働三法の改惡法案が相次いで出て来ることは言うまでもございません。現在政府が、わが国の治安維持を保つために諸般の政策を行つておりまするけれども、われわれは、吉田内閣と、民主主義下における秩序の保持については、根本的に、政治的にその見解を異にしておるのでございます。吉田内閣は、法律さえつくれば治安の維持ができ、権力さえ振えばそれで社会秩序の保持ができるというように考えでおりますけれども、古来、国際的に、時の政府が権力や法律によつておよそ善政をしいたためしはないのでございます。まず何よりも大切なことは、今日この民主主義下におけるところの治安の維持は、厖大なる再軍備のための軍事予算を計上して、そうして中小企業の税金を過重させたり、農民の土地を収用したり、労働者を低賃金に縛り、中小企業の業態を不振に陷れるような、一連のこのようないわゆる戰時政策を打破して、すべてのものを国民生活の安定のための社会保障に使うということが、すべての政治の前提にならなければ、断じて国内の秩序の保持はむずかしいとわれわれは考えるのでございます。(拍手)
 政府は、しばしば労働組合に対しましても、われわれを信頼してもらいたい、政府は断じて正常なる労働組合活動を、彈圧するものではないということを言つて参りました。しかし、今日日本における六百万の組織労働者は、政府のしばしばなる言明にもかかわらず、いささかもそれに耳をかしていないのでございます。これは社会党の煽動でも、共産党の煽動でもございません。(「煽動だ」と呼ぶ者あり)それならば、ひとつ自由党の諸君にそのわけを教えてあげまするが、なぜ労働者が諸君やこの内閣を信頼しないかといいまするならば、諸君は四月十四日付の毎日新聞をごらんになつたろう。この毎日新聞の輿論調査によれば、五〇・五%、すなわち国民の半数以上は、警察予備隊を軍隊だと思うという答えを出しておるのでございます。国民の半数以上が、警察予備隊は軍隊であると考えておるのに、ひとりこの内閣だけが、警察予備隊は軍隊ではありません、かようなごまかしを言つておりまするから、国民は現内閣に対しましては絶対に信頼をしないのでございます。
 アメリカの大審院判事のウイリアム・ダグラスは、こう主張しておる。これは政府の諸君もわれわれも十分に玩味しなければならぬところの言葉でございますが、ウイリアム・タグラスはこう言つている。世界に対するわれわれの偉大な影響は、どこまでも政治的なレベルの上で自由と正義を教え、また軍部の考えているような戰争によることなく、他に選ぶべき方途のあることを示す手段によつて達せらるべきものである、政治的処理こそへ平和を單に戰争と戰争の間にはさまれた神経過敏な幕合い狂言ではなく、世界の諸国民の間に永久に続く唯一の、方途である、こう言つて、力の平和を否定しておるのでございます。
 これは、ダグラスの言葉にまつまでもなく、神経過敏な幕合い狂言の、序幕であつて、日本では原爆を持たないから戦力ではないそれをしも戰力というなら、タバコも戰力に転用できる、こういう卓越した見識を持つた現政府当局の気違いじみた超人間的な頭脳と相まつて、ウィリアム・ダグラスの近代的な政治感覚とは反対に、フアツシヨ的暗黒政治への移行を、今や、徐々に、そして急速に続けておるのが現在の情勢でございます。
 私どもは、そういう意味に、おきまして、破防法にまつまでもなく、現行刑法によつて個々の犯罪は取締ることが十分できる、破壞活動防止法というような、憲法に反するとさえ思われる、かような法律を制定する必要はないという考えの上に立つて、これに反対をしておるのでございます。
 昨日、日本炭鉱労働組合が、いよいよ十人目、現内閣に対して反省を求めるための抗議ストを行うことを決定いたしました。政府はしばしば、今度の労鬪――労鬪とは、はつきり言つておきますが、労働法規鬪争委員会でございます。労鬪の今度のスト行為に対しまして、これは政治ストである、労働組合法によつて保護されないところの政治ストである。ごう言明しておりまするけれども、私が先ほど来申し上げましたように、今日政治と経済を、数学的に、また物理的に分離することができるか。そういうことが可能であるか。あらゆる労働者の持つておるところのすべての労働條件の改善やその向上は、今日の政治問題と結びついておるのでございます。一例をあげて言えば、政府がもし賃金統制法を国会に上程するという場合、この賃金統制法は個々の経営者の問題ではないと政府は言うかもしれないけれども、賃金統制法の制定によつて、労働者が労働組合法によつて保護されておるその労働條件は著しく制約または削減されるのでございます。従つて、その場合、労働者が、そのような政策をとる政府に対し、あるいはこれを通過させようとする国会に対して反省を求め、抗議するためのストライキを行うということは、断じて私は正当であり、労働組合法によつて保護さるべきストライキであるという確認の上に立つておるのであります。
 以上のような諸点によつて、私どもは破壞活動防止法案のこの国会通過をあくまで阻止いたしまして、政府にすみやかに撤回を要求いたしますると同時に、これをあえて通過させんとするならば、私ども総力をあげて鬪わんとするものでございます。
 ただ一点言つておきまするが、共産党の諸君から、先ほど来しばしばやじが飛んでおりまするけれども、われわれは、破防法に対する鬪いにおきましては、もりろん……
#23
○副議長(岩本信行君) 赤松君に申し上げます。申合せの時間が参りましたから簡単に願います。
#24
○赤松勇君(続) その政治的信條に従つてやつておるのでございます。但し、その労働組合の指導方針において、協力の政策において、われわれは共産党とは根本的にその立場をば異にしております。この点を明らかにしておく。
#25
○副議長(岩本信行君) 法務総裁木村篤太郎君。
    〔「今のは質問じやない」「撤回要求に対して答弁はいらない」と呼び、その他発言する者多し〕
#26
○副議長(岩本信行君) お靜かに願います。――法務総裁に申し上げますが、答弁はありませんか。――答弁はありますか。
    〔「答弁をさせろ」「そんなものに答弁してはいかぬ」と呼び、その他発言する者多し〕
#27
○副議長(岩本信行君) 法務総裁は、答弁はないそうであります。
 これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#28
○副議長(岩本信行君) 日程第一、昭和二十五年度一般会計予備費使用総調書(その2)外五件(承諾を求める件)を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長中垣國男君。
    〔中垣國男君登壇〕
#29
○中垣國男君 ただいま議題となりました昭和二十五年度一般会計予備費使用の件外五件の事後承諾を求める件につきまして、決算委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 各議案の内容を概略御説明いたしますれば、昭和二十五年度一般会計予備費の予算額は四億五千万円でありまして、このうち昭和二十五年五月十二日から同年十一月二十日までの間に使用いたしました二億一千五百十余万円につきましては、すでに第十回国会において承諾済みでありまして、今回承諾を求めて参りましたのは、昭和二十六年一月十七甘から同年三月二十三日までの間に使用されました六千八百余万円についてであります。そのうちおもな事項は、参議院議員補欠選挙及び住民投票に必要な経費、地方公共団体の一般選挙の啓発宣伝に必要な経費等であります。
 次に、昭和二十五年度各特別会計の予備費予算額は三百二十五億三千余万円でありまして、このうち昭和二十五年五月十二日から同年十二月二十六日までの間に使用いたしました百二十一億九千四百余万円につきましては、同じく第十回国会においてすでに承諾済みであり、その後昭和二十五年十二月二十七甘がら昭和二十六年三月二十七日までに予備費を使用いたしました分は、外国為替、厚生保険、国立病院、農業共済再保険、森林火災保険、国有林野事業、貿易、郵政事業、電気通信事業の九特別会計で、その使用した総額は八十五億四百余万円であります。そのうちおもな事項は、預かり金償還及び外国為替売拂い收入の拂いもどしに必要な経費、輸入為替売拂い收入の拂いもどしに必要な経費、健康保險給付費に必要な経費、農業共済再保險金に必要な経費、外国政府に対する特殊債務の償還に必要な経費、電信電話施設等の災害応急復旧に必要な経費、電信電話事業設備に必要な経費等であります。
 次に、昭和二十五年度特別会計予算総則第六條並びに昭和二十五年度特別会計予算補正(特第1号)総則第四條の規定に基き、予備費使用の例に準じて予算を超過して支出いたしました特別会計は、厚生保険、外国為替の二特別会計でありまして、その内訳は、同予算総則第六條の規定に基いて、厚生保険特別会計において支出しました保險給付は必要な経費八億七百二十万円と、同予算補正総則第四條の規定に基いて外国為替特別会計において支出いたしました外国為替等の買取りに必要な経費二百六十五億二千五百万円であります、
 次に昭和二十六年度一般会計予備費の予算額は十億円でありまして、このうち昭和二十六年五月一日から同年十二月七日までの間において使用された額は八億一千五百九十余万円であります。そのうちおもな事項は、多摩東陵御造営等に必要な経費、裁判所庁舎その他風水害復旧に必要な経費、行刑施設その他風水害復旧に必要な経費、国立大阪大学医学部附属病院緊急補修に必要な経費等であります。
 次に、昭和二十六年度各特別会計の予備費予算額は二百二億三千八百六十万余円でありまして、そのうち昭和二十六年五月十五日から同年十二月一十五日までの間に使用されましたものは、外国為替資金、造幣庁、印刷庁、厚生保険、国立病院、食糧管理、国有林野事業、輸出信用保險、郵政事業、電気通信事業、労働者災害補償保険の十一特別会計であります。その使用総額は三十二億七千百八十余万円で、そのうちおなも事項は、外国為替資金特別会計において清算勘定の記帳手数料支拂いに必要な経費、厚生保險特別会計において業務取扱いに必要な経費、食糧管理特別会計において集荷委託費に必要な経費、国有林野事業特別会計において風水害復旧に必要な経費、電気通信事業特別会計において電信電話事業設備に必要な経費、電信電話施設の災害応急復旧に必要な経費等であります。
 次に)昭和二十六年度特別会計予算総則第七條の規定に基き、予備費使用の例に準じて予算を超過して支出いたしましたものは、国営競馬特別会計におきまして、国営競馬支拂金に必要な経費七億六千百余万円でございます。
 以上が各議案の大要でございます。
 決算委員会は、これら六件に関して、三月二十五日政府当局の説明を聴取の上、愼重審議をいたしたのでありますが、四月十五日に至り審議を了し、討論を省略の上採決に入り、多数をもつて、いずれも承諾を與えるべきものと議決いたした次第であります。
 以上御報告いたします。(拍手)
#30
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。井之口政雄君。
    〔井之口政雄君登壇〕
#31
○井之口政雄君 私は、日本共産党を代表して、ここに提出された昭和二十五年度一般会計予備費使用総調書(その2)外五件の承認を求める件につき、承諾を與え得ない旨を明らかにしたいと思うのであります。
 わが党は、敗戰以来各年度に編成された予算に対して、その人民抑圧のきびしいゆえんを指摘して、承認を與えることのできない旨を極力主張して参りました。このたびの二十五年度一二十六年度の予備費使用につきましても、またますますその本質は濃厚化されております。人民大衆、わが国民大衆の見たる共産党は、断じて承認を與え得ないものであることは明らかであります。
 ここに議題となつている二十五年度の一般会計特別会計の予備費は、当年後半の分でありまして、一般会計予備費にして六千八百余万円、特別会計にして八十五億四百万円の分についてであります。今、前者を見まするに、政府の閣議は、これらの国民の血税からなつている六千八百万円を不可欠緊急な費用として、参議院議員補欠選挙に一千七百万円、選挙の啓発宣伝と称するものに一千八百万円、アジア競技大会へ選手を派遣する、に一千万円などと、多額の金を支出しているのであります。選挙管理委員会などというものが、今日地方ボスに占められて、公平な選挙管理ができなくなつておることはいうまでもありません。選挙の宣伝などというものは、まつたくその当時の與党・自由党並びにそのまた與党の面々に有利にしかなされないものであることは、これまた明らかであります。いくら宣伝に予備費を濫費しても、有権者のほとんど四〇%もしくは五〇%の棄権者を見ておること、この一事をもつてしても明らかであります。日本の国は独立を失つていながら、世界競技大会に選手を派遣して、さもさも日本のかくかくたる国成を発揮しているがごとき幻想を抱かしめるために、自由党の売国的政策をごまかそうどするなど、さもしい料見であることは明らかであります。わずか数隻の連合国軍用般の検疫費用に三百六十万円を支出するくせに、日本全国の予防接種の経費には、それよりも少い三百十三円しか出していないのは、これらの売国性を明ちかに現わしておる。
 さらに二十六年度の一般会計予備費の使用は八億一千五百九十万円に及んでおりますが、吉田内閣も、もうこのころになると、恥も外聞もない、売国的政策に推し進んでいるのでありまして、多くの愛国者を投獄し、日本の独立と平和と、日本全人民の政治的自由を叫び続けている共産党の機関紙や、その他の言論機関を弾圧し続けて来ていします。本予算の点においても、一千数百億の終戰処理費を依然として拂い続け、警察予備隊という軍事費を新たに公然と三百五十億も予算面に組むやら、海上保安庁の予算を軍事化するやら、さらに外地引揚げの業務をそつちのけにしておいて、朝鮮水域で掃海、敵前上陸その他の直接軍事行動に四千四百万円の補助を出しているというようなこともあります。従つて、それに呼応して、この年度の予備費の支出もまた、国家地方警察関係庁舎のために二千万円、監獄の復旧拡充に約四千万円、人民をこんな棒でなぐつたり、ピストルで打抜いたり、牢獄にほうり込んだり、そういうことに熱心になつているのが自由党の政府である。
 特に目立つ支出は、朝鮮戰争でアメリカ軍の敗色が濃くなつて参りまするや、予備費の支出にまでも手を伸ばして来て、約九千万円、一億に近い金で航空路線の拡張が急速にたくらまれてみたり、事もあろうに、予備費から、連合国軍労務者あつせん業務の費用や、海上保安庁船舶の修理費などを画しているのであります。特に特徴的なものがあります。これは、かの日本を―――ためにサンフランシスコまで出かげて行つた全権団三十四名分の費用であります。予備費支出の分として計上されているのは約四百三十万円ぐらいになつています。あまり少い、おかしいと思つてよく調べてみますと、海外拂いの予算二十億のうちから、その四十分の一に当る五千百九十万円が支出されている。日本の実業家諸君が、モスクワの経済会議に出かぼる旅券の下付を願い出た際に、外貨がないとかなんとかいう理由でこれを許可いたじませんでしたが、日本の全土をあげてアメリカの軍事基地に無制限に――するためにサンフランシスコまで出かけた費用が、合算して五千五百万円にも及んでいるのであります。
 予備費から出された四百二十八万円という金は、日本国内で、これらの使節三十数質に身仕度金として前渡しされた分になつておりまして、吉田全権ほか各全権の身支度金は、一人当り二十万円、ちようだいしている状態であります。くつや洋服もずいぶん高くついているようである。それに、サンフランシスコに行けば、海外拂いの方から、旅費はもとよりのこと、宿泊料一日当り一万二千九百六十円、日当一日当り四千三百二十円が支給され、交際費として一千五百六十万円を支給されておる。これらがシヤンパンやウイスキーに化けたことは、もとよりであります。
 サンフランシスコの宴会場で、はなやかなシヤンデリアのもとで不夜城の宴を張つて、全権諸君は和気あいあいと観談され、和解と信頼の実をとりかわされて来られたでありましようが、わが民族は、完全にこれで――――帝国主義の奴隷となり下り、日本の独立の歴史はここに幕をとじようとし、日本人は世界の中で最も安い人的資源として、――――帝国主義者の―――――の傭兵にされようとしているのであります。
 予備費は、さらにこのサンフランシスコ会議の前後に一千万円以上の支出を行つて、ごきげんを取結ぶために、日本古美術の展覧会をサンフランシスコにおいて開いております。こういうこともよく記憶していただきたい。
 弱き者よ、お前の名は吉田政権なり。マツカーサー氏は、日本人は十二才の子供だ、権力者の前には盲従する習性があると言われておる。その批判は、吉田政権のまさに甘受せねばならぬ批判でありましまう。日本人としての自覚を持つている国民は、皆歯ぎしりしている。ゆえに、わが党は断固としてこういう予備費の使用に賛同することはできません。(拍手)
#32
○副議長(岩本信行君) これにて議論ぼ終局いたしました。
 六件を一括して採決いたします。六件の委員長の報告はいずれも承諾を與えるべきものと決したのであります。六件は委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#33
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて六件とも委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#34
○副議長(岩本信行君) 日程第二、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う電信電話料金法事の特例に関する法律案、日程第三、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基(行政協定の実施に伴う電波法の特例に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます電気通信委員長田中重彌君。
    〔田中重彌君登壇〕
#35
○田中重彌君 ただいま議題となりました二つの法律案につきまして、まず日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う電信電話料金法等の特例に関する法律案に関し、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、去る四月三日内閣提出にかかるものでありますが、その提案理由とするところは、現在連合軍に対する電気通信サービスは連合軍総苛令部の指令に基いてなされているのでありますが、講和條約発効後は、合衆国軍隊に対しては、行政協定第七條によつて、国の機関に対する條件よりも不利でない條件で提供することとなるので、これがため電信電話料金法及び電話設備費負担臨時措置法の特例を設けるとともに、電信電話料金法の一部に必要な改正を加えるために本案を提出したというのでございます。本法案の内容について申し上げますれば、まず特例に関する規定としては、アメリカ合衆国の軍隊の用に供する電信及び電話に関する料金は、電信電話料金法の規定にかかわらず、行政協定の定めるところによることとするとともに、アメリカ合衆国の軍隊の加入申込みまたは増設機械には電話設備費負担臨時措置法を適用しないこととしようとするものでございます。また電信電話料金一法の一部改正といたしましては、同法別表の電話に関する料金について、新たに外国語で取扱う市外通話に対する加算額を定めるとともに、行政協定に関する打合せの経緯にかんがみ、市外線專用料の官庁等専用の低額料率の現行適用範囲から警察予備隊等を除外して、国家地方警察もしくは自治体警察、または国もしくは自治体の消防の機関の用に供するものに限ることとし、警察予備隊等に対するものは一般専用の料金に改めようとするものであります。しかして、との法律の施行期日は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約の効力発生の日としているのであります。
 以上、法律案の概略につき御説明いたしたのでありまするが、電気通信委員会におきましては、本月三日、本案の付託を受け、翌四日以降数回にわたつて委員会を開き、政府の提案理由を聽取し、引続き質疑を行つたのであります。
 質疑応答の内容といたしましては、行政協定の関連規定とその解釈の問題、駐留軍の施設する電信電話に対する電信法の適用の有無の問題、駐留軍の用に供する電信電話について、講和條約発効前後におけるサービス提供の範囲の差異、收入料金額の増減及び料金の支拂い方法、料金負担の帰属の問題、行政協定に基くとりきめの折衝経過の問題、国連軍の用に供する電信電話に関する法的措置の問題、その他幾多の点をめぐつて行われたのでございまするが、その詳細は会議録に讓ることといたします。
 かくて委員会は、十五日質疑を終了し、ただちに討論に入つたのでありますが、討論に際し、自由党を代表して高塩三郎君は、安全保障條約及び行政協定の趣旨に照し本案を適当であると認め、行政協定に基く具体的とりきめにあたつて、政府の遺漏なき措置を希望して賛成の意見を述べられ、改進党を代表して推熊三郎君は、行政協定が国会の承認を経ずして決定されたことに関し根本的な疑義を有するものであるが、本法律案そのものは緊急に何らかの措置を必要とする事項であり、その内容も、さまで国民の権利を侵害するおそれあるものでないから、これに賛意を表する旨を述べられ、日本社会党を代表して松井政吉君は、基本的に反対なる安全保障條約及び行政協定の実施に伴う本法律案に反対なること、行政協定が不平等の基礎の上に決定され、ことにその第七條が、公共性の深い国内諾事業について合衆国軍隊に優先的利用の権利を認めている結果、防衛支出に関する国民負担を重からしむるおそれあること、本案は警察予備隊、日本国有鉄道等の負担増加を顧みないものであることの三点を指摘して反対の意見を表明され、日本共産党を代表して田島ひで君は、行政協定の不平等性をとなえて反対の意見を述べられたのであります。
 委員会は、次いで採決の結果、多数をもつて本案を原案通り可決いたしたのであります。
 次に、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う電波法の特例に関する法律案に関し御報告を申し上げます。
 本法律案は、去る四月九日内閣提出にかかるものでありますが、その提案理由とするところは、講和條約発効後)安全保障條約によつて駐留するアメリカ合衆国の軍隊の用に供する無線局の設置運営等については、その設置者が外国政府またはその代表者であるため、電波法第五條の定める無線局免許の欠格事由に該当する場合を生ずるばかりでなく、これらの無線局は、その性格に照し、電波法の規定をもつて直接規律し監督することは妥当でないと認められるので、これがため電波法の特例を設ける必要があるというのであります。
 本案の内容は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第一條の目的を遂行するため、アメリカ合衆国がその軍隊の用に供する無線局については、電波法の規定にかかわらず、安全保障條約第三條に基く行政協定の定めるところによることとしようとするものでありまして、その施行期日は安全保障條約の効力発生の日としているのでございます。
 電気通信委員会におきましては、本月九日、本案の付託を受け、同十四日及び十五日に委員会を開き、政府の提案理由を聽取し、引続き質疑を行つたのであります。
 質疑応答の内容といたしましては、駐留軍の用に供する無線局の周波数、電力等に関する問題、行政協定の折衝の経過等の諸般の関係にわたつて行われたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
 かくて委員会は、十五日質疑を終了し、討論を行つたのであります。討論に際し、自由党を代表して高塩三郎君は、安全保障條約及び行政協定の趣旨にかんがみ本案を必要妥当なるものと認めて賛成の意を表され、改進党を代表して椎熊三郎君は、行政協定の成立経過については遺憾の点があるが、本法律案そのものは必要やむを得ざる措置であるとして賛意を表され、日本社会党を代表して松井政吉君は、本案をわが国内の電波規正に治外法権的な立場をつくるおそれあるものとして反対の意見を述べられ、日本共産党を代表して田島ひで君は、行政協定の不平等性をとなえ、本案に反対の意を表されたのであります。
 委員会は、次いで採決の結果、多数をもつて本案を原案通り可決いたした次第でございます。
 以上御報告を申し上げます。(拍手)
#36
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。田島ひで君。
    〔田島ひで君登壇〕
#37
○田島ひで君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程になりました二法案に反対いたすものでございます。
 本法案は、いかにも事務的な簡單なもののようでありまするが、この二法案の前提となるところの行政協定にまつで、日本の電気通信事業が、日本の国民の手から永久に米軍の支配下に置かれるという重大な問題が隠されているのでございます。
 第一に、行政協定第一條、第二條、第七條等では、日本の通信機関や電波がどうなるかといいますと、今後無制限に駐留する米軍基地において、無期限に駐留する米軍によつて有産的に使用され、その費用は国民の血税によつてまかなわれるのであります。無線局の設置、運営についても、行政協定と、この電波法の特例に関する法律案によりますと、電波の国内法が完全に無視されることになるのであります。すでに愛知県下の依佐美送信所では、旧帝国海軍の潜水艦基地としての無線局が再建信されております。ここからは、五百キロワツト、十七・四キロサイクルという強力な電波が出されておりますので、搬送電話回線で妨害を受けるものは、日本全国にわたり、全国四百回線にも及ぶといわれているのであります。電通省当局も、その対策には悲鳴を上げ始めておりまして、もしこの濃外除去の工事をやるといたしますと、これだけでも数千万円の費用を要し“料金値上げ等の公衆負担どなるのは必至でございます。また横浜西方の上瀬谷には、建設工事費二百五十万ドルの大通信基地がつくられています。このように、日本全国至るところに米軍の通信基地がつくられるのでございます。
 さらに市外電話ケーブル工事、超短波無線工事は、軍事基地を結び着ける幹線を通じて強化され、特に朝鮮事変以後、米軍が使用する長距離回線だけでも十万キロを越えております。市外電話が半身不随となつている、まつたく破壊状態になつでおる、政府自身の資料にもこう明記されております。朝霞、座間、千歳、三沢、仙台、相模原の駐留地や、立川、横田、横須賀、佐世保、呉などの、全国にわたるアメリカの陸海空軍基地その他の通信施設は、現在まつたく軍の支配下にありますが、さらに行政協定によれば、厖大なアジア作戦の駐留米軍が、日本政府より不利でない條件で優先的に支配権を持つというのでございますから、現在の状態まりもさらに一層施設提供が増加することは明らかであります。
 さらに第六條によりますと、すべての非軍用及び軍用の通信体系が、一切米軍と協議せずに、日本政府独自ではどりにもならなくなるではないかという私の質問に対しまして、驚くことに、政府は、この行政協定の第六條は、日本文がはつきりしていないんだ、英文の方を見ると、そうではないということがわかるというような、まつたく人を食つた、無責任な答弁をいたしております。また二十四條では、緊急事態のときには、電気通信事業が完全に米軍に接收、支配されることになるのでありますが、大臣はそのまうなことは絶対にないと言つてみたり、またそのときは協議の上でとりきめることになるだろうなどと答えたり、終始その答弁は明確を欠いて、混乱し切つていたのでございます。
 第二には、行政協定の結果、日本の電通労働者は、今までより一層強く、米軍と職制の二重の圧迫下に置かれることになります。このことは、基地における労働者だけでなく、米軍の回線のあるところには必ず米軍がやつて来て、日本の労働法、国家公務員法でさえ労働者の権利や基本的な人権はこれを保障しておりますのに、まつたく無視され、かつてに日本の労働者を強制労働に服させている。このような非人道的な、野蛮な状態につきましては、政府みずから認めているのであります。
 現に、青森県下三沢の米空軍基地における電通省の電話中継所は、保通信隊の監督下に置かれまして、建物の窓はすべて鉄格子がはめられ、出勤退庁のときだけ扉を開き、防空壕は米軍用だけであつて、従業員にはなく、空襲のときでも職場を死守せよと命ぜられております。また立川特別局や川崎局では、米軍が夜間通信するために一夜勤から日勤に続く三十六時間労働が行われ、従業員は続々病に倒れておるのであります。このような奴隷労働の状態は、十五條四項によつても、別に相互の合意によつて、今後依然として継続さることになるのであります。
 以上のように、これらの行政協定こそは、まつたく日本の通信行政と通信事業をあげて米軍にささげるところの身売り証文にすぎないのであります。(拍手)政府は、行政協定の通信サービスについての具体的な内容の説明を求めますと、ただ、わかりません、今後対等の立場でとりきめをいたしますと繰返すのみでございます。行政協定によつて絶対的至上権を持つところの御主人と奴隷との間で対等の交渉ができるなどとは、まつたくナンセンスでございます。電通大臣初め、政府の答弁が、このように終始混乱し、明確を欠いておりましたのは何かといいますと、おそらくダレス・吉田、ラスク・岡崎間んで、国会の議にもはからず押し切つてしまつたところの行政協定については、吉田内閣の閣僚であるところの電通大臣すら、ほんとうの内容を知らされない。だから、行政協定の理解に苦しむのは真意でありましよう。
 最後に、日本の電気通信事業は、今日電話だけでも三百万の増設を必要といたしておりますのに、線路、交換機械、局舎など基礎設備の荒廃と、米軍へのサービスの結果、まつたく行き悩みの状態でございまして、加入申込みを受けたものだけでも、それが開設されないというのが、現在三十五万に達しているということを、大臣みずから告白しているのでございます。この上、植民地的不正、汚職に荒され切つておる電通事業を、政府は行政協定締結後の機構改革に基いて、満州電信電話会社と同じような日本電信電話公社や日本通信建設会社などという、自由党のドル箱買弁会社にかえようとしているのでございます。
 ここに上程されました二法案は、このような行政協定をまつたくうのみにし、原爆と細菌で極東の平和を撹乱する―――――――――、日本の通信事業に絶対権を持つ上に、日本の政府機関と同じ格安の料金でアメリカ語の特殊サービスの提供をさせたり、電話加入や増設機械設置については、日本国民からは総額三十五億の加入者負担をさせておきながら、米軍には日本政府並にただで、従つて日本人の負担でやろうという、まことに虫のよい特例法でございます。これらの日本の電気通信事業を―――――、まつたく破壞状態に陥れる、このような状態に対して、真に日本の通信事業を守ろうとするところの愛国者に対しましては、先ほど上程されましたような破壞活動防止法というような法律案をもつてこれを彈圧しようとしておるのであります。
 今や、サンフランシスコで結ばれましたところの両條約並びに行政協定に塞ぐ植民地的彈圧法である破壞活動取締法案に対しましては、日本の労働階級を初め、全国民が一大民族的な反抗運動に立ち上りつつあるのでございます。日本共産党は、これらの全国民とともに、日本の通信事業を日本人の手がら奪い、――――帝国主義者の―――――の道具として、彼らの意のままにまかせて破壞に導くところの本二法案には、行政協定を含む屈辱的両條約とともに絶対に反対するばかりではなく、今後これらの廃棄に向つて、廃棄するまで断固として鬪い取ることをここに誓つて反対の意とするものであります。
#38
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#39
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#40
○副議長(岩本信行君) 日程第四、千九百二十七年九月二十六自ジユネーヴで署名された外国仲裁判断の執行に関する條約の締結について承認を求めるの件、日程第五、国際計数センターの設立に関する條約の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長仲内憲治君。
    〔仲内憲治君登壇〕
#41
○仲内憲治君 ただいま議題となりました二つの條約案件に関し、外務委員会における審議の経過並びに結果について一括して報告申し上げたいと存じます。
 まず千九百二十七年九月二十六日にジユネーヴで署名された外国仲裁判断の執行に関する條約の締結について承認を求めるの件について報告申し上げることといたします
 仲裁判断とは、当事者間の仲裁契約に基いて、仲裁人が仲裁手続により、当事者間の民事上の紛争について行りた判断のことでありまして、わが国におきましては、民事訴訟法第八編にこれに関する規定があります。
 仲裁判断につきましては、第四回国際連盟総会の承認を得て、一九二三年にジユネーヴで仲裁條項に関する議定書が締結されておりまして、わが国も、一九二八年六月四日にこの議定書の批准書を国際連盟事務総長に寄託して締約国となり、昭和三年條約第三号として公布いたしておるのであります。しかして、本議定書の締約国は、わが国を加えて二十八管国となつております。
 本議定書兵、第一に、仲裁に付託することを定める民事、商事に関する約定の効力を国際的に承認し、第二に、自国領域内で行われた仲裁判断を執行する締約国の義務について規定しておりますが、仲裁判断の国際的効力を保障することについては何らの規定がなされていないのであります。従いまして、本議定書におけるこの欠陷を補促して、仲裁判断の国際的効力を保障するために、締約国が一定の場合に外国で行われた仲裁判断を執行する義務を負うことについて規定する国際的約定の締結が要望され、国際連盟経済委員会に属する法律家委員会の起草にか遜るこの條約が、一九二七年上月二十六日に第八回国際連盟総会の採択を得て、ただちに議定書の署名国の署名のために開放されたのであります。しかして本條約は、一九二九年七月二十五日から効力を生じており、締約国は二十二箇国でありまして、議定書の当事国の大部分を含んでおるのであります。
 わが国は、当時議定書の署名国ではありましたが、仲裁判断に関して各国の主義及び法制が相違しているため、この條約によつて多くの効果を期待することができないと、いう見解によりて、この條約の締結国とはならなかりたのであります。しかし、わが国は、平和條約署名の際の宣言におきまして、本條約の当事国となる意思を表明しておりますので、本年二月四日、本條約に署名を了しており、批准を経ますれば、本條約第八條によりまして、批准書寄託のときから三箇月後に、わが国については効力を生残ることになります。さらにわが国といたしましても、戰後仲裁制度は著しい発達を遂げ、仲裁判断の執行について国際的協力を行うことが望ましい段階に達しておりますので、この條約に加入することの意義は深いわけであります。
 本條約案件は、三月十九日に本委員会に付託されましたので、本委員会は三月二十日より数日にわたり愼重に審議いたしました。その内容については、これを委員会議録に讓ることといたします。
 次に議題となりました国際計数センターの設立に関する條約の締結について承認を求めるの件に関し報告申し上げます。
 本條約によつて設立される国際計数センターとは、一九四六年十号以来、国際連合経済社会理事会において審議中の国際研究所設立計画のうち最初に具体化されたものでありまして、その本部をローマに置き、その下に電子計数機等の近代的計数装置を備えた一箇以上の計数研究所を世界各地に設立して、計数に関する科学上の研究及び教育並びに計数の分野における諮問的業務及び計数的業務を行うことを任務とする国際機関であります。
 特殊な機械装置によつて複雑な統計や計算を行う計数機械は、ヨーロッパにおいては古い歴史を有するといわれておりますが、驚異的な発展を示したのは最近二、三十年来のことであります。現在においては)リレー式のもの、または微分方程式などを簡單に解く電子計数裝置など多数の種類がありますが、その最も進歩したものによりますと、従来数年間を要した計算も、わずかに数時間で解決できるといわれております。しかし、機械の性能の向上とともに裝置も複雑になり、型も大きくなるので、優秀な電子計数機械の製作費は約百万ドルといわれ、科学研究設備や経済力の貧弱な国が、各別にしれを設置することはきわめて困難な現状であります。ユネスコが国際協力によつて本センターを設立し、加盟国がその便益を享受し、その進歩に貢献することを企図したゆえんは、ここにあるのであります。
 わが国におきましても、この高性能の計数裝置がないため、天文学、数学、統計学、物理学、化学、生物学等の基礎科学を初め、工学、特に橋梁、建築、造船等の研究及び工業方面に非常に支障を来しているのであります。従いまして、ユネスコの国際計数センター設立会議への招待がわが国にもたらされましたとき、わが学界、技術界はこの計画を歓迎し、センターの計数研究所の一をわが国へ招致することを強く要望したのであります。
 本條約締結のための会議は、昨年十一月二十六日より十二月三日までパリにおいて開催され、條約案の審議終了の後、十二月六日に同條約は署名されたのであります。同会議への参加国は、わが国を加えて二十箇国、オブザーヴァーを出席させた国は米英等七箇国でありました。わが国の見解としては、本部が置かれるヨーロッパのみに計数研究所を設置した機構であるべきではなく、公平な地理的配分に基いて、将来他の地域にも計数研究所を設置することを予想した機構としなければならないことを強く主張し、計数研究所の招致に対するわが国の強い関心を表明したのであります。わが国には電子計数裝置がないために、解くことのできない、また解き得ても、多くの労力と日数を要する複雑な計数問題が各種の科学及び技術分野に山積しており、そのため学術及び産業一般の発展は大いに阻害されているのであります。わが国は、センターに加盟すれば、これらの計数問題の解決を計数研究所に無償で依頼することができるほか、研究者の養成、各種資料の入手によつて、計数裝置の研究を一段と進歩せしむることができるから、将来わが国に優秀な計数裝置を製作することも有望となると考えられるのであります。その他諸種の計数問題を解決することによつて学界及び技術界が受ける間接的利益も少くないと思われるのであります。
 本年二月末日現在、本條約に署名した国は、わが国を含めて十箇国でありますが、本條約は、その第十四條第二項、第三項の規定によりまして、所定の手続を経て十箇国が当事国となつたときに効力を生ずることになつております。なお本條約附属書によれば、加盟した場合のわが国の分担金は五千米ドル相当額であるとのことであります。
 本案件は、去る二月二十九日に本委員会に付託されましたので、本委員会は四月二日、十一日、十六日にわたり愼重に審議を重ねました。その審議の内容については、これを委員会議録に讓ることといたします。
 両條約案件に関しての政府当局に対する質疑終了の後、両案件を一括して議題となして討論に移り、自由党の佐々木委員、改進党の並木委員並びに日本社会党の戸叶委員よりそれぞれ賛成の意見、日本共産党の林委員より反対の意見が述べられて討論を終結、両條約案件を一括して採決の結果、本委員会は賛成者多数をもつて両條約案件を承認することに決定いたした次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#42
○副議長(岩本信行君) 両件を一括して採決いたします。両件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#43
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両件は委員長報告の通り承認するに決定しました。
     ――――◇―――――
#44
○副議長(岩本信行君) 日程第六、平和條約の実施に伴う民事判決の再審査等に関する法律案、日程第七、平和條約の実施に伴う刑事判決の再審査等に関する法律案、右両案を一括しで議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員会理事押谷富三君。
    〔押谷富三君登壇〕
#45
○押谷富三君 ただいま議題となりました平和條約の実施に伴う民事判決の再審査等に関する法律案、平和條約の実施に伴う刑事判決の再審査等に関する法律案の二案につき、一括して委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず民事判決の再審査等に関する法律案について申し上げます。
 平和條約によりまして、戰時中連合国人を原告または被告としてわが国の裁判所が裁判したものについて、当該連合国人が訴訟手続において十分な陳越ができなかつた場合にこれを再審査し、裁判の結果、損害を受けたものについては、その者を裁判前の地位に回復せしめるか、または公正衡平な救済を與えることとなつたのであります。また議定書によりますと、手形、小切手等の流通証券の引受けまたは支拂いのための呈示期間、拒絶証書作成期間等の期間が戦争中に経過し、かつ連合国人が戦争中に呈示をしなかつた場合には、平和回復後呈示等の行為ができるようにするため、平和條約の効力発生の日から三箇月以上の期間が與えられなければならないことになつているのであります。本法律案は、これらについて必要な措置をとるものであります。しかして再審は、わが民事訴訟法の再審の方法によつて行うこととし、終局判決は平和條約が効力を生ずるまでにあつたもので、かつその判決が昭和十六年十二月八日以後に確定した場合といたしております。不服申立期間は、條約が発効してから一年以内であります。また地位の回復または救済の手続につきましては、連合国人を当事者とする訴訟事件の実情等をも考慮して、別に法律で定めることといたしております。なお流通証券の引受けまたは支拂いのための呈示期間等につきましては、ヴエルサイユ條約実施の際における先例にならいまして、平和條約の効力発生の日から六箇月と定めたのであります。
 次に刑事判決の再審査等に関する法律案について申し上げますと、この法律案も條約に基くものでありまして、連合国人が日本の裁判所で有罪の言渡しを受けた場合において、その連合国人が訴訟手続において十分な陳述ができなかつたものについて、刑事訴訟法の再審の請求ができることとしたのであります。なお裁判は、原判決当時の事実及び刑罰法令に基いてすることといたしました。裁判の結果、連合国人が原判決により損害を受けたことが明らかになつたときは、国はその者を原判決前の地位に回復させるか、または公正衡平な救済を與えることになつておることは、民事の場合と同様であります。
 この両案に対する質疑応答の内容につきましては、速記録によつて御承知を願いたいと存じます。
 かくて、討論を省略、採決の結果、多数をもつて政府原案の通り可決いたした次第であります。
 右御報告を申し上げます。
#46
○副議長(岩本信行君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#47
○副長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
 本日はこれにて散会いたします
    午後四時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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