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1951/04/26 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 本会議 第36号
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1951/04/26 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 本会議 第36号

#1
第013回国会 本会議 第36号
昭和二十七年四月二十六日(土曜日)
 議事日程 第三十五号
    午後一時開議
 第一 積雲寒冷單作地帶振興対策審議会委員の選挙
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 日程第一 積雪寒冷單作地帶振興対策審議会委員の選挙
 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法案(内閣提出)
 日本国との平和條約第十五條(a)に基いて生ずる紛争の解決に関する協定の締結について承認を求めるの件
 国民健康保険再建整備資金貸付法案(内閣提出)
 統計報告調整法案(内閣提出)
 国有財産特別措置法案(内閣提出)
 国民貯蓄債券法案(内閣提出)
 設備輸出為替損失補償法案(内閣提出)
 塩専売法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 国有財産法第十三條の規定に基き、国会の議決を求めるの件
    午後二時三十六分開議
#2
○副議長(岩本信行君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○副議長(岩本信行君) 積雪寒冷単作地脅振興対策審議会委員佐々木秀世君及び松浦東介君から辞任の申出がありましたので、この際同審議会委員の選挙を行います。
#4
○福永健司君 積雪寒冷單作地帶振興対策審議会委員の選挙については、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。
#5
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議な」」と呼ぶ者あり〕
#6
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて議長は、積雪寒冷單作地階振興対策審議会委員に宇野秀次郎君及び鹿野彦吉君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#7
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#8
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者、あり〕
#9
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法案を議題といたします一委員長の報告を求めます建設委員長松本、一郎君。
#10
○松本一郎君 ただいま議題となりました、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。本法案は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基いて締結された行政協定になり、日本国はアメリカ合衆国に対し、安全保障條約第一條に掲げる目的の遂行に必要な施設及び区域を提供することとなり、この義務を履行するため、アメリカ合衆国軍隊の必要とする土地等の使用または收用手続について必要な規定をなし、もつて條約の遵守と私有財産権との調整をはかることをその趣旨といたしたものであります。すなわち本法案の適用は、ごく少数の場合を想像するものでありまして、大部分の場合は土地、家屋の所有者または、使用者の納得に基く合意の使用を希望するものであつて、かつそれが和解と信頼の精神によつて締結ざれたる平和條約並びに安全保障條約の理想の道に通ずるものと考えます。
 建設委員会といたしましては、去る四月十年、本法案が付託されて以来、六回におたり委員会を開催いたしましたほか、法務委員会あるいは経済安定委員会と連合審査をも行い、愼重なる審査を重ねた次第であります。
 次に、その審議に際し問題となりましたおもな点につき簡單に御報告申し上げます。
 第一は、第三條の規定中、適正かつ合理的とあるのは、いかなる意味であるか、またその認定はだれがこれを行うのかという質問に対しましては、適正かつ合理的とは、客観的に見て安全保障條約第一條に掲げる目的に合致していると認定できることでありまして、その認定につきましては、日本国とアメリカ合衆国との合同委員会において、両国が対等の立場において審議いたしました上、本法案の定めるところにより、内閣総理大臣がこれを行うのであるという答弁がありました。
 第二は、建物の使用または收用の場合、その所存権者と賃借権者とのいずれに契約をするのかという点に関しましては、所有権者との直接契約と、賃借権者から転借する場合との二つの形が想像されるが、いずれの場合であつても、双方ともよく話合いをいたした上、問題の起らぬように善処し、かつまた権利の所在が不明確な場合においては、明確な方を対象といたして処置する方針であるという答弁でありました。
 第三は、先般岡崎国務大臣とラスク特使との間に交換されたる書簡の中に、従来使用されておる施設または区域で、平和條約の発効後九十日以内にその使用の協定が成立しない場合、継続してその使用を許す旨明記されているが、本職案は附則2において、六箇月以内における一時使用のみしか考えられない、この矛盾をいかにして調整するかという点に対しましては、行政府としては、本法の規定により処理したいみ答弁でありました。
 かくして討論に入り、日本社会党を代表して前田榮之助君より、日本共産党を代表して池田峯雄君より、改進党を代表して村瀬宣親君より、また日本社会党第二十三控室を代表して田中織之進君よりそれぞれ反対の討論がありました。自由党を代表して西村英一君より賛成の討論があり、引続いて採決いたしました結果、多数をもつて原案通り可決いたした次第であります、
 以上、簡單ではありまするが、経過を御報告申し上げます。(拍手)
#11
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。順次これを許します。村瀬宣親君。
    〔村灘宜親君登壇〕
#12
○村瀬宣親君 私は、ただいま上程せられました、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法案に対し、改進党を代表して反対の意を表明せんとするものであります。
 本法案は、日本に駐留するアメリカ合衆国軍隊の必要とする土地、建物等の使用または収用手続につき特例を設けて、それらの使用権または所有権を政府に取得し、これをアメリカ合衆国軍隊に提供せんとする目的をもつて立案せられたものでありまするが、われわれは、日米安全保障條約第三條により政府に委任された米軍の配備規律の範囲を越え、吉田内閣の専断によつで、国会の承認を経ずして締結された行政協定そのものに対し、国家の主権と国民の権利を制限し、独立国の威信を失墜するおそれありとして峻烈なる批判を加え来つたのであります。はたせるかな、今日に至つて、かかる法案を提出し、国民に多大の不安を與えるに至つた政府の責任はきわめて重大といわねばなりません。
 そもそも連合国による日本の占領は、明後二十八日平和條約の効力発生とともに終了し、徴発に基く施設及び区域の合衆国軍隊による使用もまた同時に終了し、従つてその後は、合衆国軍隊による施設、区域の使用は、それぞれの政府が平和條約、安全保障條約及び行政協定に基いて有する権利を條件として、両政府間の合意に基いて新たに発足すべきものであることは、行政協定第二條に明記せられたところであつて、日米安全保障條約は、集団安全保障という両国の共通の利益のために、互いに相手方を信頼して、その基礎の上に結ばれたものである以上、この安全保障條約を実施するための行政協定も、当然日米両国民間の神前を助長するものでなければなりません。しかるに、本法案は、伝家の宝刀としての効用を期待してつくられたものであつて、その意図するところは、駐留軍の威圧によつて、土地、建物等の使用または收用を暗黙のうちに強制せんとする結果となるのであります。
 以下、反対のおもなる理由の二、三を申しますならば、第一には土地に関する限り、ことさらに鬼面人を驚かすがごとき、かかる法律によらずとも、現行の土地收用法をもつて十分目的を達することができるものであります。政府は、駐留軍の存在が臨時的一時的のものであるから、その前提に立つて本法案をつくつたと言うのでありまするが、もちろん、われわれもまた、わが国の国力が充実し、国際情勢の好転を祈るとともに、わが国の自衛態勢を確立して、一日も早く駐留軍の引揚げを希望し、名実ともに独立を完成したいと念願するものであります。政府の施策は、かかる国策の根本方針に対しても無為、無策、無定見であつて、今日の状態をもつてしては、いつの日に駐留軍を必要としなくなるか、前途の見込みはまつたく五里霧中であります。従つて、本法第九條、第十條等において、土地等の使用期間を一箇年ごとに契約するがごときは実情に即せざる規定であつて、政府がかつてに一年と決定しておきながら、使用期間の更新の結果、三年以上にならなければ、所有者がら收用の請求があつても、これを受付けないというがごときは、所有者または使用者に対し不当なる権利の侵害といわねばなりません。ことに一時的、臨時的と称しながら、本法案の名称を臨時措置法としないで、特別措置法と名づげておるところを見ても、本法の適用期間が相当長期におたることを政府みずから認めている証拠であります。
 さらに政府は、土地收用法は土地の收用を主とし、使用を従として規定しているが、駐留軍の要請は使用を主とし、収用を従とするがゆえに本法制定の必要があると言うのでありますが、合衆国軍隊の駐留が何年続くかわからない現状においては、土地等の所有者または使用者の身にとつては、使用も収用も大差ない結果となるのであつて、これは何らの理由にもならないのであります。
 また本法第三條には、「土地等を駐留軍の用に供することが適正且つ合理的であるときは、この法律の定めるところにより、これを使用し、又は收用することができる。」と規定しておりまするが、適正かつ合理的であることを何人が決定するか、いかなる手続によつて現在合衆国軍隊に施設及び区域が提供ざれりつつあるかを知るならば、この規定は単なる空文にひとしいことがわかるのであります。(拍手)すなわち、独立とともに徴発方式による施設の使用をやめて、両国政府の合意によることとし、発効前に予備作業班をして検討せしめ、予備作業班で解決できなかつたものは合同委員会に引継いで、九十日以内に完了させることとし、この合同委員会は日米両国政府代表各一名で組織せられ、各代表者の下部機関として、一名または二名以上の代理及び職員団が設けられ、さらに所要の補助機関及び事務機関を置くこととなつておりまするが、これらの予備作業班または合同委員会のとりきめが行われたとき、これをくつがえすことがきわめて困難なるのみならず、かりにこれが可能としても、これを決定する者は終局において総理大臣であつて、駐留軍のために土地、建物等を使用または收用する者と、それが適正かつ合理的であると判定する者とが同一人であるという結果になるのであります。
 さらに最も重要なことは、本法と農地との関係であります、現在駐留軍に使用されている民有地は、一億四千五百万坪に及んでおります。さらに今後、合衆国軍隊の移動や新兵器の出現によつて、新たなる演習地や射撃場を要求されるかもしれません。これがため農地または開拓地を接収される事態が生ずるのではないかと、関係農民の不安と動揺ははかり知れないものがあるのであります。終戰以来、莫大かる国費と、血のにじむ労力をつぎ込んで、言うやく営農の道を見出し、開拓地を墳墓の地と定めて食糧増産にいそしんでいる農民に対し、本法の成立は多大の不安と恐怖を與えずにはおきません。ことに駐留軍の射撃場については、特殊の恐怖を付近農民に與えているのであつて、かつての日本軍は一発必中の狙撃に熟練することを目標としたのでありますが、今日の米軍においでは、物量本位のやり方で、一分間にできるだけ多数の彈丸を発射するという射撃方法を目標としておりまするから、自然流彈の被害もはなはだ多く、接收地外においても、近傍の農民は安んじて農耕に従事することのできない実例もあるのであります。
 また昭和二十三年、米軍が富士の裾野に演習場をつくりましてから、ブルトーザーで付近一帯を掘り返したために、立木も芝生もなくなつて、山村の農民は炭を焼くこともできず、たちまち生業に窮したのであります、当時、離作料は出すが、立木の損害は農牧が解除になつた後でなければ支拂えないというので、長い間問題になつておりましたが、これは最近特別の措置として、立木の補償の中間拂いをして一応解決いたしました。しかし、かかる矛盾は、本法律案によつても、いささかも解消されておらないのであります。
 最後に、本法最大の欠陥は、附則2において、現に駐留軍の使用している土地、建物等で、この法律施行の日から九十日を経過した後、なお必要があるときは、さらに六箇月までこれを使用することができるという規定であります。この規定は、二の異なつた誤りを犯しております。その一つは、国民の私有券をかつてに六箇月間侵害せんとするものであり、他の一つは、ラスク・岡崎両代表の交換公文の末尾の條項を一方的に国内法で廃棄せんとする国際信義の責任をいかにするかという問題であります。
 これを要するに、かかる法案の出現は、行政協定の不手ぎわの結果で易りて、他の国内法との関連においても、木に竹を継いだような支離滅裂の法文が多く、かくては国民に、依然として占領の延長であるかのごとき感を與え、いたずらに対米感情を悪化せんとする煽動に好餌を與える結果となるのであります。ゆえに、私は、條約上の義務を履行するには、土地については現行の土地收用法により、建物その他の施設については簡單なる便法を講ずることが日米両国和解と信頼を深めるゆえんなりと信じ、あえて本法案に反対するものであります。(拍手)
#13
○副議長(岩本信行君) 受田新吉君。
    〔受田新吉君登壇〕
#14
○受田新吉君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法案に対し、断固反対の意思を明らかにしたいのであります。
 御承知の通り、日本国と米国との間に行政協定が締結されまする以前から、土地、建物その地の施設の使用、接收は重大な問題として、全国民注視の的となつておつたのでありまするが、これは被占領下のやむを得ない現象として、好むと好まざるとにかかわらず、容認しないわけには参らなかつたのであります。すなわち、すでに駐留軍によつて使用、接收されました土地、建物等は全国で広大な面積に及び、特にこれが農地、開拓地及びそれに付属するところの民家の場合には、食糧増産は心ちろんのこと、被接收農家に致命的な打撃を與えるものとして、関係農民等は必死の反対をして参つたのであります。講和條約はいまだ効力を発せず、行政協定のとりきめもいまだ決定されな当時といたしましては、関係者もただ涙をのんでこれに従うほかなかつたのであります。われわれもまた、全国民を代表するところの国会議員として、すべては行政協定によつて解決せられ、対日平和條約の基本どなつた平等の精神によつて必ずや適切妥当な措置が講ぜられるものと、唯一の期待を行政協定にかけておつたのであります。民心に多大の不安を與え、国民感情をいたずらに刺激することも、行政協定締結までの一時的現象として、ただ耐え忍んで参つたのであります。
 ところが、いよいよ締結されました行政協定は、われわれの期待をみごとに裏切つたのであります。その締結にあたりまして、われわれは、同協定が日本国民の所有する諾権利に著しく制約を與えるばかりでなく、協定全般を通じまして、まるたく屈辱的な内容に終始しておる点を強く指摘し、しかん協定締結にあたつては、当然国の最高機関である国会におつてその承認を得なければならないにもかかわらず、政府がかつてに協定を結んだことは、国民の忠実な公僕であるべき行政府のとるべき態度ではなく、明らかに憲法に違反する行為でもありまするので、われわれは政府の猛省を促すとともに、憲法違反の行政協定締結に断固反対いたして参つたのであります。
 ところが、政府は、われわれのこの至当な要求に応ずることもなく、憲法違反の疑義さえ存在するこの協定を遂に締結し、国民の期待を完全に裏切り、吉田屈辱外交の真価を遺憾なく発揮したのみでなく、今またその屈辱協定の上に立つて、国民の所有する土地、建物等を合衆国軍隊の使用に提供するたあの本法律案を提案いたしまして、屈辱の上に屈辱を重ねようといたしておりますることは、不可解きわまる措置といあなければならないのでありまして、政府は一体日本国民のために存在しているのであるかどうかということさえ疑わざるを得ないのであります。(拍手とこの法律案の基礎となつておりまする行政協定そのものが国民の意思を何ら反映せず、むしろ国民の強い非難を浴びておりまする以上、その上に立つて立案された本法律案のごときは、審議すること自身がむだであるといわなければならないのでありまして、われわれは、ここにおいて本法律案の内容に触れる前に、まず本法律案の提案そのものに反対いたすものであります。
 反対の第二の理由といたしましては、この法律が国内法の規定を越え、国民の財産私有権に重大な脅威を與えることであります。土地の收用につきましては、御承知の通り、そのこと自身が当然必要とされる限りにおいて、現に国内法として存在する土地收用法の規定によりまして、十分その目的を果し得るのであります。わざわざこのような別個の法律を定めまして、国内法に優先せしめようとすることは、断じて賛成するわけには参りません。もし政府が、長い間の占領下の行政方法を、独立した日本にそのまま適用いたしまして、米軍の力を借り、不当に国民の権利を侵害しまうとするのであれば、吉田内閣は独立後の政権を担当する資格がまつたくなく、いつまでも主体性を回復し得ざる内閣として、まさに言語道断、国民によつて徹底的に批判されなければならないのであります。われわれは、この種の措置は、あくまでも現存国内法の規定により、国民全体の意思を尊重してこれを実施することを、強く主張するものであります。
 次に、法案の内容にもまだきわめて非民主的かつ不合理な点が多々見受けられるのであります。すなわち、土地、建物等の使用、接收にあたつては、異議の申立てどころか、不服の申立てすらできないという、まつたく一方的な方法によつてこれが行われるのであります。そもそも国民の財産権の保護は、新憲法の第二十九條によつて明らかに保障されておるのであります。これを一方的に接收するなどということは、独立国として最も恥ずべき行為であり、規定であるとやわなければなりません。また、時使用の場合、土地その他の施設が著しく原形からかえられてしまいましても、これを原形に直さず、そのまま返還される場合もあり、結論において、接收あるいは使用されたものは泣寢入りするほかないという法律が、―体どこの独立国に存在するのでございましようか。われわれは、どうしても駐留軍が必要とする施設をあえて提供しないというのではなくて、その場合最も民主的な方法で、関係者がすべて納得できるようにしてこれを提供すべきであると信ずるのであります。
 すでに本院におきまして再三取上げられましたことく、全国で接收され、または接收を予定されております農地や開拓地は約一万五千町歩になんなんとてておりまして、そのため、農民、特に開拓者の生活は根底から脅されている現状であります。開拓者が長い間営々と築き上げました、その血と汗の結晶の土地を、今ここで接收し使用するがごときは、人道にももとる行為といわなければならぬのであります。しかるに、被占領下であるがゆえに、ただ黙つてその農地を提供し、講和発効とともに必ず土地が返つて来ることを信じて待つておりました開拓民に、今與えられたものは、農地でなくして、その農地を一方的に取上げるというこの法律案なのでございます。
 われわれは、日本経済の独立が経済の自立にあり、経済自立の大前提は食糧生産の増大にあると思うのでありまして、農地の接收は、この国策に反するところの最大なものにほかならないのでありますまた私有財産の接收によつて微妙なる国民感情が生れますならば、せつかく平和條約によつて日米間の修好状態が回復しようとするこの際、この一点からその修好状態がぐつがえされるという危險すらあると思うのであります。われわれは、日本の完全な独立を念願いたしまして、あらゆる諸外国との親善によつて世界永遠の平和樹立を念願し、これを最大目標としておりますがゆえに、以上申し上げました理由に基きまして、本法律案に対して断固反対せざるを得ないのであります。(拍手)
 なお最後に、吉田自由党内閣は、ここにきめて非民主的な方法によりまして、引続きかかる法律案を国会に提出いたしまして、その特権性を遺憾なく発揮しつつあるということは、今や民心の離れた、まさに風前のともし火の前にありますところの自由党の性格を遺憾なく露呈したものといたし幸して、今後自由党代議士諸君の前に嚴正な審判が下されるであろうことを、ここに一言御注意申し上げまして、本法案反対の討論を終りたいと思うのであります。(拍手)
#15
○副議長(岩本信行君)  池田峯雄君。
    〔池田峯雄君登壇〕
#16
○池田峯雄君 われわれ日本共産党は、本法律案に絶対反対であります
 日本国民は、占領下、多くの農地、多くの建物を―――のために奪われたのである。大部分の国民は、占領下だからしかたがない、講和になれば返してもらえると思つてあきらめていた。しかし、それはまつたくむなしい希望であつた。―――はそのまま居すわるのであります。半永久的に日本を――するのであります。本法律案は、その引続き駐屯するアメリカ軍隊のために、日本人の土地や建物を強制的に收用せをする法律なんであります。これまで、一部の国民は、あまりの仕打ちに憤激しながらも、―――の命令だから、政府もまあ言うことを聞かなければならぬだろう、しかたがあるまい、こう思つていた。ところが、今度は、政府がみずから日本の法律で、アメリカの兵隊のための土地や建物を無慈悲に強制收用するのであります。これがこの法律なのであります。
 農林省では、全国農民の激烈な反対運動を緩和する止めに、被接收農家標準一町一反のものに対し二百万円の補償をする、全国の新聞にこういう発表いたしました。しかし、これはまつたく虚偽の宣伝であります。当の責任者である岡野国務大臣は、昨日私の質問に答えまして、そんなことは、いまだかつて閣議にかけられたこともございません、私も存じておりません、こう答弁しているのであります。まさにこれば、まつたくあの廣川たぬき和尚の放言の最も惡質なものだといわなければならないのであります。(拍手)
 さて、こうして、はかりしれない無数の農民の犠牲の上につくられた軍事基地及びその周辺で、われわれは一体何を見ることができるのであろうか。アメリカの軍人に春を売る数限りないパンパンの群れであり、B二九の墜落にまりて燒失、破壞した無残な部落の姿であり、王者のごときアメリカの兵隊にこき使われる奴隷のような日本人労務者の姿である。農地は踏み荒され、何人かの農民は、実弾射撃演習のために現に殺されているではないか。ここでは、すでに防空訓練が行われ、準戦時体制に入つておる。毎日この基地から飛び立つ飛行機は、朝鮮に爆彈を運んでおる。こうした基地がある限り、国民の頭上に爆弾や燒夷彈が再び降り注ぐであろう。
 こうした基地をそのまま残し、さらに無制限に拡大し、増加しようとする條約が、どうして安全保障條約なのであるか。どうして平和條約なのか。こんな條約に基いたこの法律に対して、どうしてわれわえは賛成することができるでありましようか。(拍手)だから、今や全国の農民は、基地のための農地の接收に対しへ猛然たる反対運動に立つておりますこの基地周辺における農民の合言葉は、ヤンキー・ゴー・ホームということなんだ。だから、この鬪いは、必然的に吉田政権打倒、両條約破棄の鬪いに発展せざるを得ないのである。政府は今破壞活動防止法案を国会に上程しているが、実にこの基地反対の鬪争を中心とする平和と完全独立のための鬪いを彈圧するためにこの破壞活動防止法案を提出しておることは、まつたく明らかなことなんである。
 しかし、これらの鬪いを力によつて彈圧することは絶対に不可能であります。日本人の血潮は、アメリカのために土地をとられることに対して無條件に反発し、本能的に熱い高鳴りをもつてこたえるのである。民族の誇りを失つたやつばらに対して、限りない憤りをもつて立ち向かうのである。私もまた民族の誇りをもつて、アメリカに墳墓の地をとられる者の憤りをもつて、この法律に反対するものであります。(拍手)
#17
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案、の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#18
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#19
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、日本国との平和條約第十五條(a)に基いて生ずる紛争の解決に関する協定の締結について承認を求めるの県を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます一
#20
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 日本国との平和條約第十五條(a)に基いて生ずる紛争の解決に関する協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長仲内憲治君。
    〔仲内憲治君登壇〕
#22
○仲内憲治君 ただいま議題となりました、日本国との平和條約第十五條(a)に基いて生ずる紛争の解決に関する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本協定案は、四月十四日、内閣から衆議院に提出ざれ、本委員会に付託されましたので、十六日、二十三日及び二十六日の三回にわたり委員会を開き、愼重審議をいたしました。
 政府当局の説明によりますれば、連合国及びその国民の財産の返還及び補償については平和條約第十五條(a)に規定が設けられており、また保障の実施のため連合国財産補償法が第十二臨時国会において可決され、法律として公布されております。しかし、この場合、政府で平和條約及び連合国財産補償法の規定に従つて連合国財産の返還または補償に関し措置をとりまし、ても、当該連合国がこれに満足しないため紛争が生じることのあることが予想されるのでります。そこで、平和條約第二十二條は、同條約の解釈または実施に関する紛争の解決について、特別請求権裁判所への付託または他の合意された方法によることを予想しておるのであります。この協定案は、これら紛争を、日本国政府が任命する委員一人、当誹連合国政府が任命する委員一人及び両政府の合意によつて任命される第三の委員の三人の委員からなみ委員会に付託して解決するための手続を設定することを目的としております。この協定は、平和條約に署名した連合国のうち希望するものと締結することになつております。なお連合国財産補償法においては、日本政府と当該請求権者の所属する国の政府との間に特別の協定がある場合には、再審査のだめ設置ざれる連合国財産補償審査会に対する再審査請求に関する規定を適用しないこととなつておるとのことでありました。
 次に、本件につき委員と政府当局との間に質疑応答が行われましたが、その詳細については委員会会議録により御了承を願いたく、そのうち政府側の応答において注目すべき二、三の点をあげますれば、一、連合国財産補償法により補償を受ける連合国は、四十八箇国のうちごく一部であつて、おもなる利害関係国はイギリス、アメリカ、オランダの三国であり、おそらくこの三国とは当委員会の設置を見ることとなるであろうが、その他の国との関係においては、利害関係はきわめて少いので、委員会の設置までに至らなくて済むであろう。二、連合国財産補償法により補償を受け得る連合国人にるいては種々限定されており、大体戰時中敵国人として行動の自由を、束縛された人の財産またば戰時中日本政府がとつた戦時特別措置の対象になつ九財産についてだけ補償をすることとなつており、かつ返還と補償の問題は、過去六年以上の占領管理期間中に、連合国総司令部の指令に基いて大部分解決済へである。三、連合国財産補償金の総額は大体二百七十億円で、米国約百五十億、イギリス約八十億、その他の国約四十億と推定され、一会計年度で百億円を見積られておる。四、本協定はいまだ協定案にすぎないが、米国、イギリス、オランダ等の利害関係の深い連合国の間に十分な意見の交換が行われ、そのために意外の時日を要し、ここに最後的妥結に達したわけであるので、これ以上協定案の内容につき変更があるようなことは予想されない等の点でありました。
 続いて討論に入り、自由党北澤委員、改進党並木委員、日本社会党戸叶委員からそれぞれ賛成の意見が述べられ、日本共産党林委員かち反対の意見が述べられ、討論を終結の後採決に入り、本件は賛成者多数をもつて原案の通り外務委員会において承認すべきものと議決した次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#23
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#24
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。
     ――――◇―――――
#25
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、国民健康保険再建整備資金貸付法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#26
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 国民健康保険再建整備資金貸付法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員会理事亘四郎君。
    〔亘四郎君登壇〕
#28
○亘四郎君 ただいま議題となりました国民健康保険再建整備資金貸付法案について、厚生委員会における審議の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。
 国民健康保険は、昭和十三年実施以来その重要性を認められ、現在保険者数約五千余、被保険者数約二千四百万人を数えておりますが、多くの保除者には診療報酬の未拂いがあり、事業の運営は決して容易ならぬ現状であります。よつて、この診療報酬の未拂いを解消し、国民健康保険の再建整備を助成するため。資金を貸し付けようとするのが、政府の本法案提出の理由であります。
 本法案のおもなる内容は、第一、昭和二十六年度末までの未拂い診療報酬につき、貸付の要件に該当する保険者に対し、昭和二十七年度から昭和二十れ年度までの三箇年間に貸付金を貸し付けること、第二は、貸付の要件として、保險料收納割合が百分の七十以上、一部負担割合が百分の五十以下等であること、かつ保險料收納割合が年度ごとに次第に向上することを要件としたこと、第三は、貸付金については、五年以内のすえ置き期間を含み十年以内とし、年利六分五厘の元利均等年賦の方法により償還すること等であります。
 本法案は、三月二十五日、本委員会に付託せられ、同月二十七日政府より提案理由の説明を聽取した後、特に小委員会において愼重審議が続けられたのでありますが、その内容につきましては速記録により御承知を願います。
 二十五日質疑を終了し、本日の委員会において、共産党を除く各派共同提案の修正案が提出されたのであります。すなわち
   国民健康保険再建整備資金貸付法案に対する修正案、
  国民健康保険再建整備資金貸付法案の一部を次のように修正する。
  第八條第一項中(「据置期間を含む。)」を「当該次年度から三年間の据置期間を含む。)」に改め、同條第二項を次のように改める。
 2 貸付金の据置期間は、貸付を受けた年度における貸付の期間及び当該年度の次年度から三年間とし、据置期間中は、無利子とする。
 附則第一項を次のように改める。
 1 この法律は、公布の日から施行する。青柳委員より以上の修正案の趣旨弁明がありました。
 次いで、修正案と原案を一括して討論に入りましたところ、改進党を代表して金子委員より希望を述べて賛成の表明があり、社会党を代表して岡委員より次の希望を述べられたのであります。一、政府はすみやかに社会保障制度審議会の勧告に基き国民健康保険組合の給付費に対し大幅の国庫補助を断行すべきこと、二、国民健康保険組合の経営内容についてはすみやかに十分なる調査を完結し、その将来の運営についではできるだけ統一あらしめるよう努力すること、三、貸付においては貸付條件たる保険料收納率は五〇%に引下げて、当面の危機を救うとともに、保険者負担の大幅経減をはかること、四、国保組合と保健所との連絡を密にし、当該町村の予防衛生の向上に努めること、以上の希望を付して賛成の意見の表明があつたのであります。なお共産党を代表して苅田委員より反対の意見が述べられたのであります。次いで、まず修正案の部分について採決に入りましたところ、修正案は多数をもつて可決すべきものと決せられ、修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、多数をもつて原案通り可決すべきものと決せられた次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#29
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#30
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつで本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
#31
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたじます。すなわち、内閣提出、統計報告調整法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#32
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 統計報告調整法案を議題といたします。委員長の報告を求めます内閣委員長八木一郎君。
    〔八木一郎君登壇〕
#34
○八木一郎君 ただいま議題となりました統計報告調整法案について、内閣委員会における審査の経過並びに結果を簡單に報告いたします。
 本法案は、内閣に属する行政の一つとして、民間から直接または間接に求める各種の統計報告に関し必要な調整を行い、民間側の負担軽減と行政の能率化をはからんとするものであります。しかし、この調整は、もつぱら統計技術士の見地から必要とする限度にとどめ、関係行政機関の権限を侵害しないように留意するとともに、異議申立ての道も開かれておるのであります。また調整はすべての統計報告に及ぼされるものではなく、徴集方法や報告様式が法律または政令で定められているとき、並びに統計法に規定されている指定統計調査についてはいずれも適用を除外しており、その他行政機関の特殊な事情等により適用を除外すべきものについては政令に委任いたしておるのであります。なお、現に法令に基いて徴集方法及び報告様式を定めて徴集している統計報告は、政令で定める場合を除くほか、本法案施行後三年間は統計委員会の承認を要しないことといたしておりますほか、統計法に所要の改正を行つております。以上が本法案の要旨であります。
 本法案は、四月三日、本委員会に付託され、政府の説明を聞き、質疑を重ね、四月二十人目、討論を省略して採決の結果、多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 右報告申し上げます。(拍手)
#35
○副議員(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#36
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よりて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#37
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、国有財産特別措置法案、国民貯蓄債券法案、設備輸出為替損失補償法案、塩専売法の一部を改正する法律案、国有財産法第十三條の規定に基き、国会の議決を求めるの件、右五件を一括して議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#38
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 国有財産特別措置法案、国民貯蓄債券法案、設備輸出為替損失補償法案、塩專売法の一部を改正する法律案、国有財産法第十三條の規定に基き、国会の議決を求めるの件、右五件を一括して議題といたします委員長の報告を求めます。大蔵委員長佐藤重遠君。
    〔佐藤重遠君登壇〕
#40
○佐藤重遠君 ただいま議題となりました五件につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を概略御報告申し上げます。
 まず第一に、国有財産特別措置法案について申し上げます。この法律案は平和條約の発効に伴い、賠償指定国有財産の解除及び連合国軍の管理しておる国有財産の返還が予想されますので、これに対処して、これら厖大な国有財産を公共の利益の増進、民生の安定、産業経済の振興等に有効適切に寄與させるため、終戰後早急の際において、旧軍用財産等の応急的転活用を目的として制定されたる旧軍用財産の貸付及び讓渡の特例等に関する法律の趣旨をさらに拡充強化しで、国有財産の処理の促進をはかるための特別の措置を講じようとするものでありまして、国有財産の無償貸付、減額讓渡または貸付、無償讓與、條件付売拂いまたは貸付、機械器具の交換、管理の委託及び売拂い代金の延納について国有財産法の特例を設けることといたしております。
 この法律案につきましては、三月十二日、政府当局より提案理由の説明を聴取し、爾来、前後九回にわたつて質疑を行い、また四月十八日には地方行政、通商産業及び決算の各委員会と連合審査を行う等、愼重審議を重ねたのであります。質疑応答の詳細については速記録に讓ることといたします。
 次いで、本案に関しましては、二十二日、自由党の佐久間徹君及び宮原幸三郎君よりそれぞれ修正案が提出せられました。まず佐久間徹君より提出された修正案の内容は、本法律案においては、国有財産を社会福祉法人に対して減額譲渡または貸付ができるのは災害復旧の場合に限られており、従つて、きわめてまれな場合しかこれが適用を見ることがないのではないかと考えられますので、これを改めまして、生活保護法または兒童福祉法に基いて、保護施設または福祉施設の修理、改造、拡張または整備の費用に対して都道府県が補助することができる場合についても同様に減額讓渡または貸付ができることといたそうとするものであります。次に宮原幸三郎君より提出されました修正案の内容の第一点は、公共団体に無償貸付ができる臨港施設中に、さん橋及び上屋を明記すること、第二点は、交換機械器具の評価についても政令で定めることを明らかにするとともに、その交換差金について延納の特約ができるようにすること、第三点は、この法律の施行が遅れた関係上、社寺境内地処分中央審議会を再び設置する規定を設けたことであります。
 次いで、さらに質疑を続行の結果、本二十六日討論に入りましたところ、松尾トシ子君は社会党を代表し、また高田富之君は共産党を代表してそれぞれ反対の旨討論されました。
 次いで、両修正案及び修正部分を除く原案について採決いたしまいたところ、起立多数をもつて本案は修正議決されました。
 第二に、国民貯蓄債券法案について申し上げます。この法律案は、新たに国民貯蓄債券を発行するここにより浮動購買力を吸收するとともに、これによつて得た資金を、電源開発を中心とずる資源開発及び経済再建に緊要なる産業の建設資金の一部に充てようとするものでありまして、その内容を簡略に申し上げますと、第一に、この債券ほ、政府が直接発行することとし、その発行については、毎年度純増が百億円を越えない限度にとどめることとしております。第二に、この債券の発行による收入金は資金運用部資金として管理することとし、発行及び償還に関する経費は資金運用部特別会計において負担することにしております。第三に、この債券は無記名式で、割引の方法により売り出すものとし、額面金額は一万円以下となつております。また償還期限は五年といたしておりますが、発行後一定の期間を経過したものについては、所持人の請求に応じて買上げ償還ができるようにいたたしおります。最後に、この債券の売りさばき、償還、買上げ等に関する事務は主として郵便官署で取扱うことといたしておりますが、相互銀行、信用金庫、その他政令で定める金融機関及び証券業者も大蔵大臣の委託を受けて売りさばき事務を取扱うことができることといたしております。
 本案につきましては、愼重審議の結果、本日討論に入りましたが、社会党を代表して松尾トシ子君及び共産党を代表して高田富之君はそれぞれ反対の旨討論されました。
 次いで採決いたしましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。
 第三に、設備輸出為替損失補償法案について申し上げます。本法律案は、重要物資の輸入の確保に貢献する設備輸出の促進をはかるために、設備を本邦から輸出する者が外国為替相場の変更に伴つて受ける損失を補償する制度を確立しようとするものでありまして、その内容を簡單に申し上げますと、政府が為替相場損失を補償する契約を締結することができる場合を、その設備輸出が重要物資の輸入市場を国際收支上有利な地域へ開拓し、また国際收支上より有利な地域へ転換することに役立つと認められるような場合に限定し、なおこの場合、契約総額の限定を百億円とし、契約期間は五年以内といたし、これに伴いまして補償料、補償契約に基く補償金の交付及び為替利益の納付、補償契約の解除、補償契約と輸出信用保険等との関係等について所要の規定を設けております。本案につきましては、審議の結果、本日討論に入りましたが、共産党を代表して高田富之君は反対の旨を討論されました。
 次いで採決に入りましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。
 第四に、塩專売法の一部を改正する法律案について申し上げますこの法律案は、新たに鯨、にしん、その他政令で指定する漁獲物の塩蔵用塩について特別価格を設け、これらの塩蔵関係食品を低廉な価格で供給できるようにいたそうとするものであります。本案につきましては、審議の結果、本日討論を省略の上採決いたしましたところ、起立総員をもつて原案の通り可決いたしました。
 第五に、国有財産法第十三條の規定に基き、国会の議決を求めるの件について申し上げます。現千代田グランドは皇居外苑の一角にありまして、皇居外苑を公共福祉財産といたしました際、普通財産として残されていたものでありますが、これを今回外苑の一環として整備運営いたそうとして本案が提出されたものであります。
 本案につきましては、特に参考人の意見を聽取し、審議の結果、本二十六日質疑を打切り、討論に入りましたところ、島村一郎君は自由党を代表し、また内藤友明君は改進党を代表して、それぞれ希望條件を付し賛成の意を述べられ、高田富之君は共産党を代表して反対の旨討論されました。
 次いで採決いたしましたところ、起立多数をもつて本件は可決されました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#41
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。深澤義守君。
    〔深澤義守君登壇〕
#42
○深澤義守君 ただいま上程になりました五法案のうち、塩專売法の一部を改正する法律案を除く四法案に対しまして、日本共産党を代表して反対討論をいたします。
 第一に国有財産特別措置法案でありますが、本法案は、公共の利益の増推と、民生の安定と、産業の振興等に旧軍用財産等の国有財産を有効適切に使用することを目的としいるものでありまして、一見反対の余地がないように見えるのであります。しかしながら、旧軍用財産は、日本国民が日本軍国主義の権力によつて収奪された、血と涙の結晶であります。従つて、この国有財産は、国民に対して、日本の平和的な再建のために、民生の安定及び社会政策的施設のために、無償で国民に還元することが当然の措置であると考えるのであります。しかるに、先般政府が提出いたしましたところの、日本国とアメリカ合衆国との間の安保條約第三條に基く行政協定の実施に伴う国有財産の臨時特例に関する法律案によりますれば、合衆国軍隊が必要とする場合においては無償でこれを提供し、その返還が行われた場合においても、原状回復及び補償の請求権を放棄するということになつているのであります。
 日本の独立を奪い、日本を戰争の危険に巻き込むところの外国軍隊に対しましては、このような優遇措置を與えておきながら、本法案においては、日本国民の医療施設や社会福祉事業施設、学校、公民館、図書館、博物館、職業補導施設、公営住宅等に使用する場合においてさえ時価評価をいたしまして、その五割以内を減額して讓わ渡し、または貸し付けるようになつているのであります。また戰争の犠牲を受けましたところの戰災者及び引揚者、遺家族等が国有財産を住宅及び耕作地等に使用している場合において、これに対しまして終戰当時にさかのぼつて使用料を徴收し、拂下げに際しましても、時価評価によつての拂下げが行われているのであります。
 このように、外国軍隊に対しましては優遇を與え、日本国民に対しては、かくのごとく冷遇をしているのであります。これが和解と信頼の講和の姿であり、これが吉田内閣のいうところの自由と独立の姿であります。このように、外国軍隊に対しましては主人に仕える使用人のごとく、日本国民に対しましては奴隷に対する主人のごとき態度をもつて臨むのが吉田内閣の態度であります。本法案の趣旨もまたそこにあるのであります。国民の利益と幸福を念願するわれわれは、断じてこの法案に対して賛成することはできないのであります。
 第二に、国有財産法第十三條の規定に基き、国会の議決を求めるの件についてでありますが、本法案の、皇居外苑の一角四千五百数十坪にわたるところの範囲は、東京の千代田区役所の管理のもとに、千代田区の区営運動場として一般都民に使用されているのであります。しかるに、この運動場を再び皇居外苑として還元しようとするのが本法案の趣旨であります。
 われわれは、皇居外苑は国民の広場として広く国民の集会や福祉のために十分利用すべきものであると考えるのであります。民主日本の姿こそ、そういうぐあいに使用すべきであると考えるのであります。しかるに、政府は、この皇居外苑のメーデー使用を禁止し、今また都民の運動場を禁止せんとしているのであります。しかるに、一方においては、二重橋附近におきましては、毎日毎晩警視庁の予備隊の訓練が行われていることは、皆さんすでに十分御承知であります。政府は皇居外苑を平和的に使用することは禁止し、軍事警察的に使用することを奬励している。これは逆コースの現われであり、天皇制復活の要望に基くものであることは明らかであります。この意味合いにおきまして、本法案に対しまして、われわれは断じて反対いたします。
 第三に国民貯蓄債権法案でありますが、本法案は、電源開発を中心とする資源の開発及び緊急の産業の建設資金業充てるために、零細な国民の貯蓄によつてこれをまかなわんとするものであります。このたびの単独講和によつて、日本はアメリカの軍事工場として急速にその態勢を整える必要上、電源開発と軍事産業の建設に、吉田内閣は血眼になつているのであります。吉田政府は、そのために国民に対して重税を押しつけ、労働者を食えない賃金でこき使い、農民に対しては低米価で供出を強制し、なお足らずして、赤字公債的なこの国民貯蓄債券を発行いたしまして、国民を徹底的に裸にしようとするのが、本法案の目的であります。これはまさに、竹本軍国主義が戰争中に戰費調達のために国民に強制いたしました戦時公債的な性格を持つているものでありまして、国民を愚弄するもはなはだしいのであります。
 第四に、設備輸出為替損失補償法案であります。本法案は、東南アジアに対しまして日本の機械設備を輸出して、東南アジアから重要原材料を輸入し、日本の軍事産業を充実し、アメリカの軍事的要請にこたえんとする、いわゆる東南アジア開発計画の破綻を意味するものであります。イギリスは東南アジア地域に対しまして重要原材料を日本に輸出することを禁止する措置を講じているとわれわれは聞いております。その結果としてポンド過剩となりまして、日本経済の大問題となつて、その解決ははなはだ困難な状態にあります。その上に、ポンド貨の変更によりまして輸出は行き詰り、今や日太経済において百数十の商社の倒産整理となり、厖大な不拂い手形の発行となり、経済恐慌が具体的に進行しているのであります。これはまさにアメリカ一辺倒の結果であります。
 われわれは、通商の国際的自由を確保いたしまして、日本経済の発展を期する必要があると考えるのであります。その見地から、先般開かれましたモスクワの国際経済会議へ参加いたしまして、中共を含めたアジア諸国及びソ同盟との通商友好関係を復活するために努力をいたしまして、日本経済の前途を切り開く必要があることは当然であります。しかるに、吉田内閣はこれを拒否いたしまして、アメリカに対して忠実な使用人の態度を示したことは、良識あるところの国民の顰蹙にたえないところであります。(拍手)このような吉田内閣の政策こそが、本法案を制定して、国民に対して損失のしりぬぐいをさせる結果となつたのであります。このような状態の中で、経済はいよいよ萎縮し、国民はいよいよその負担の過重に苦しまなればならないのであります。この日本経済の破滅的状態を救う道は、アメリカの東南アジア開発計画の下請人であることを即時にやめること、そうして、ただちに中共貿易を再開し、日ソ貿易を復活すること遺骸にないのであります。
 以上の理由によりまして、共産党は四法案に対して反対するのであります。(拍手)
#43
○副議長(岩本信行君) これにて討論は結局いたしました。
 まず国有財産特別措置法案につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#44
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
 次に国民貯蓄債券法案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#45
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
 次に設備輸出為替損失補償法案及び国有財産法第十三條の規定に基き、国会の議決を求めるの件の両件を一括して採決いたします。両件を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#46
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両件とも委員長報告の通り可決いたしました。
 次に塩專売法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 明後二十八日は午後二時から特に本会議を開きます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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