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1951/05/08 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 本会議 第39号
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1951/05/08 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 本会議 第39号

#1
第013回国会 本会議 第39号
昭和二十七年五月八日(木曜日)
 議事日程 第三十八号
    午後再開議
 第一 食糧管理法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 道路法案(田中角榮君外二)名提出
 第三 道路法施行法案(田中角榮君外二名提出)
 第四 国際連合への加盟について承認を求めるの件
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 日程第一 食糧管理法の一部を改正する方立案(内閣提出)
 麦類の価格、米食率及び食管特別会計の不足金処理に関する決議案(松浦東介君外七十名提出)
 日程第二 道路法案(田中角榮君外二名提出)
 日程第三 道路法施行法案(田中角榮君外二名提出)
 日程第四 国際連合への加盟について承認を求めるの件
    午後二時三十四分開議
#2
○副議長(岩本信行君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○副議長(岩本信行君) 日程第一、食糧管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長松浦東介君。
    〔松浦東介君登壇〕
#4
○松浦東介君 ただいま議題と相なりました、内閣提出、食糧管理法の一部を改正する法律案に関しまして、農林委員会における審議の経過並びに結果の大要を御報告いたします。
 およそすべての物資は、需給の関係が緩和される段階に至りますれば、その統制のわくを順次撤廃して自由経済に移行しますことが、生産者、消費者の双方に便宜を與え、経済活動を刺激して、国民経済全体の発展に寄與するゆえんでありまして、自由党内閣はこの方針を堅持し、ここに数年来、ほとんどあらゆる物資の統制の撤廃を行い来つたのでありますが、事主要食糧に関しましては、それが国民生活をささえる基礎物資として、物価、賃金の動向を左右する最も有力な要素でありまするし、かつまた所要量の絶対的な不足の事情がありましたために、過去十数年間にわたり、原則として統制の方針を踏襲して今日に及んだわけであります。しかしながら、最近における国内食糧事情は、農民の増産努力と、輸入のおおむね順調なる推移によりまして、著しく改善を見ておりますことは、何人も否定できぬ事実であります。なかんずく麦類におきましては、公定価格とやみ価格とはほとんど近接し、配給辞退数量も月々相当量に上るありさまでありまして、その価格並びに需給関係は高度に安定を示し、今では、もはや、形式のみの直接統制の様式を残すことが、むしろ奇異に感ぜられることと相なつておるわけであります。客観情勢のかような推移に即応いたしまして、現実の事態から遊離した統制は、この際これを廃止し、新管理方式に改変すべく、政府よりこのたび食管法一部改正案を提出されて参つたのであります。
 しかしながら、麦類は米と相並んで、国民食糧を構成する二大農産物でありまするし、かつ国際的な商品でもありまする関係上、国内麦価の形式にあたつては、これを自由市場に放任いたしますことは、生産者の経済並びに消費者の家計に與える不安動揺が懸念いたされまするので、一方では生産配給価格についての統制を撤廃して、物量統制、マル公制度に伴う弊害を除去いたしまするとともに、他面、政府の市場操作による価格面の調整を通じて、安定した麦価の水準を維持することが望ましいのであります。行政上、財政上の適切な措置と相まつて、いかにせばこれらの現実的な要請を実現し得る法的基礎を確立できるかという点に政府の拂つた苦心があつたのであろうと想像され、それが本改正案の骨子となつて現われておるのであります。以下、法律案の細部並びにそれに伴う予算措置の概要を要約して申し上げることといたします。
 まず、今後は麦類についての供出、配給の制度は全廃し、マル公制度も撤廃いたします。しかして、国内産の麦につきましては、生産者または生産者の委託を受けた者からの売渡しの申込みに応じまして、政府はこれを無制限に買入れることとし、本年度予算において、その買入れ数量をおよそ八百万石と予定いたしております。その際の買入れの価格は、対米比価によつて決定した従前の方式を改めまして、今後は農業パリテイ指数に基いて算定される価格を基準とし、麦の豊凶係数や対米比価その他の経済事情を参酌いたしまして、米価とは一応別個にこれを定めることにいたしておるのであります。さしあたつて本年産の麦につきましては、買入れ基準の価格は二十六年度を基準とする農業パリティ指数に基くとのことであります。また外国から輸入する麦類は、従来通りすべて政府が買い入れ、これに対しては輸入補給金を出すことにしまして、それは二十七年度の予算におきましては約百三十七億円が計上せられておりますことは、一皆さん御承知の通りでございます。
 次に、政府の所有原麦または一部製品の売渡しは、毎月予定の計画に従いまして、一般競争入札、指名競争入札または随意契約によつて行い、その価格は、家計費を中心として、金利、倉敷料あるいは運賃等をも勘案してこれを定めることにいたしております。なおパン食等による食生活改善を促進いたしますために、学童給食用の原麦の売渡し価格につきましては特例を設けまして、食管特別会計の予備費の中から二十五億円ほどを充当する予定を立てておるのでございます。
 農林委員会は、四月十八日から本改正案の審議に入りまして、前後六回会議を開きました。四月三十日質疑を終了したのでありますが、その後、自由党並びに改進党の共同修正案が提出され、討論、採決に移り、結局修正案並びに修正部分を除いた原案は多数をもつて可決され、引続いて共同決議案が提出され、これまた多数をもつて可決され、しかしてこの決議に対して農林大臣より所見の開陳があつたのでありますが、その間における質疑応答の概要、修正案、討論内容、決議案の趣旨等について御説明いたしたいと思います。
 今回の改正が食糧管理制度上面期的な措置であることは、世のひとしく認むるところでありまして、委員会においても終始熱心な態度をもつて審議に当り、内容もすこぶる充実したものでありましたが、時間の都合もありますので、ここでは要点のみにとどめておくことを、あらかじめ御了承願います。
 まず麦価の新算定方式に関して、これが低麦価政策を意図するものではないか、こういうような議論がありました。これに対しましては、旧方式ではあまりに固定的であつて、かえつて不合理である、また価格パリティ方式を引続いて採用した理由は、一般物価の値上りを農産物価格の面から誘発せしめないためであり、また価格パリティの基準時として二十六年をとることは、農家の経済が二十五年よりもむしろ安定しているからであり、麦価は新方式によつて上昇する見込みであるというように説明をいたされたのであります。
 次に、裏の統制撤廃が米に與える影響についてでありまして、一方では米の供出に與える影響、他方では米食率に與える影響の二面から盛んに論議されたのであります。すなわち、米麦不可分論を主張する委員は、麦の統利撤廃が米の供出の強化となつて米作農家を圧迫しないか、また都市に対しては、米食率の低下となつて家計を圧迫しないか、ころいうようなことでありますが、これに対しまして、米の供出におのずから限度があるから、不当な供出の強化はあり得ないということ、また凶作の際には輸入を増加する方策をとり得ること、また現行米食率の維持は可能であり、かつ地域的なアンバランスは逐次是正するつもりであるということなどが答弁せられたわけであります。また外米の輸入事情は、価格が若干高騰の傾向にあるが、タイ、ビルマなどとの善隣関係の増進により、今後タイ政府直接操作可能の政府割当分の獲得ができる見込みであることが説明されたのであります。
 次に、麦の統制撤廃は大資本を擁護し、中小企業を圧迫する政策ではないかというような論点につきましては、大資本家のカルテル的な営利活動が許されない限り、特別会計の市場支配力でこれを抑圧し得ること、農民からの買いたたき等に対する心配は、農協の共同出荷態勢の育成強化または政府の無制限買入れ等の措置によつて十分防止できること、中小製粉・精麦企業に対しては随意契約による割当の売却方式で救済できることなどが述べちれたのであります。
 また食糧の絶対量が不足しているのであるから、計画的な統制経済を実行して、輸入を極力抑制し、国内自給度の向上に全力を盡すべきではないかというような意見に対しましては、現行統制方式はすでに行き詰まつているのであるから、むしろこれを改変して、同時に耕種改善であるとか、あるいは土地改良等による食糧増産対策を極力推進する方がよりよい政策であり、政府は目下食糧増産五箇年計画を研究中であるとの見解が示されたのであります。また農業協同組合が麦類の共同出荷を行います場合、国庫の余裕金を農林中央金庫に預託して、系統機関を通じて融資することとなつているのでありますが、これに対して中金がはたして円滑な融資を行うかどうかについて深刻な不安の念が表明されましたが、政府からは、この点については関係当局の間に連絡が十分とちれていて心配はないとの答弁があつたのであります。
 次にまた、新方式によれば、食管特別会計に必然赤字が発生し、消費者または生産者に転嫁されることはないかとの質問に対しましては、平年作ならば赤字は発生しない計算であり、また赤字がかりに出たとしても、翌年度に繰越して処理することが可能であり、独立採算制をくずすことなく運営できるというような意見が述べられたのでございます。
 次に自由党及び改進党の委員から共同で提出されました修正案でございますが、改進党の小林委員より趣旨の弁明が行われました。その内容は、「第四條ノ二第二項」、すなわち麦価の算定方式の規定の中に「麦ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」という字句を新たに挿入するという一点であります。今後における麦増産の成否は、価格の趨勢に影響されることは必然でございますが、市場価格が下落した場合において、農民はこれを自由市場に販売せず「むしろ政府に売り渡すことを選ぶでありましようが、この際政府の買入れ価格は一種の支持価格的な役割を果すのでありますから、その価格が翌年度の再生産を償い得るものであるかどうかは、きわめて重大な問題であります。そこで、多種多様の経営形態を持つわが国麦作農家に対して幾ばくの価格が再生産費確保可能であるかということは、将来の問題として残ることになるのでありますが、一応ここに政府に対して注意を喚起する意味において、かような規定を挿入する必要があるというのが、この修正案の提案理由であります。
 次に、討論の模様を御報告いたします。まず自由党は遠藤委員が代表されまして、統制はもはや国民にあきられているし、食糧増産にも悪作用がある、今回の改正措置は実体的内容を持つ新管理方式であつて、手放しの自由放任ではないとされて、反対論者の論点を一々具体的に反駁し、修正案並びに修正部分を除く原案に賛成、次に改進党は金子委員が代表されまして、今後単位農業協同組合の事業が伸びるか伸びないかは農村にとつて重大問題であるが、農協の販売事業のためには、支持価格と自由価格との幅が極力圧縮されることが必要である、また消費者のために消費者価格を引下げるべく二重価格制度の方向をとるべきであるとの前置きをせられ、次に提案する本年度の麦価形成等に関する決議案に対して、政府側から満足の行く明快な答弁が行われることを條件として両案に賛成するものであるという見解が示されたのでありますが、その決議案につきましては、後ほど御参考までに述べることにいたします。次に社会党を代表して石井委員は、公定価格と自由価格との価格差の縮小、配給辞退数量の増加は中間的な一時現象にすぎない、統制の撤廃には国内産食糧による需給度が安定することが前提要件であつて、現在は不確実な外貨資金による輸入に依存しているのである、しかもその條件は必ずしも有利ではない等の理由をあげて両案に反対され、次に日本共産党の竹村委員は、本案は国家独占資本による新統制方式であつて、食糧行政の植民地化をはかるものであるとの見地から反対、最後に日本社会党第二十三控室を代表されまして足鹿委員は、国際情勢は長期にわたつて緊張を続け、食糧事情は楽観できぬ状態であるにもかかわらず、麦類の生産は逆に減少を示しており、かつまた輸出国の事情も不安定である、統制の撤廃は一時的には農民を潤すであろうが、やがて商業資本に圧倒され、流通秩序は混乱して、生産をますます減退せしめるであろう等の理由により両案に反対されたのであります。
 次いで採決の結果、多数をもちまして可決せられたのであります。
 なお、先ほど言及いたしました決議案に関して、この際申し添えておくことにいたします。すなわち、食管法の一部改正のための政府原案並びに修正案の採決直後、修正案の内容を具体的に行政上、財政上の措置によつて実現し、あわせて消費者の負担を軽減する目的をもちまして、自由党並びに改進党の委員より、麦類の価格、米食率並びに食管特別会計の不足金処理に関する件につきまして共同決議案が提出されたのであります。本決議案に関しましては、改進党の小林委員が趣旨の弁明を行われましたが、同案の内容は、要約すれば、一、麦類の買入れ価格の決定にあたつては、昭和二十五年及び二十六年の麦価の平均を基準として、その再生産を確保するよう決定すること、なお麦類の売渡し価格は現行価格を維持すること、一、麦類の買入れ、売渡しにより食管特別会計に赤字を生じた場合、政府は一般会計より赤字補填を行い、これを生産者または消費者に負担せしめないこと、一、配給米食率を全国的に均一北すること、以上の三点であります。
 小林君に対しまして二、三の質問が行われ、引続いて討論に付しましたところ、社会党石井委員、日本共産党竹村委員、社会党第二十三控室足鹿委員よりそれぞれ反対意見が開陳されましたが、結局採決の結果は、これまた多数をもつて可決されたのであります。
 このとき、廣川農林大臣は、本決議案に関して特に発言を求められ、一、政府の麦類の買入れ価格決定にあたつては、昭和二十五年、二十六年の麦類価格の平均を基準として、再生産を確保する価格にいたしたいと思うこと、一、売渡し価格についても、消費者家計の安定の趣旨に基いて現行価格水準を維持するとともに、米食率の均衡化に努力すること、一、食管特別会計に赤字を生じた場合は一般会計より補填をなさんとするものであること、以上の諸点にわたり、本案の実施についてきわめて率直なる所信の表明がなされたのであります。
 きわめて簡單ではありますが、以上をもちまして食管法一部改正法案に関する御報告を終ります。(拍手)
#5
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。順次これを許します。井上良二君。
    〔井上良二君登壇〕
#6
○井上良二君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました食糧管理法の一部を改正する法律案の原案及びその修正案に対し反対の意見を表明するものであります。
 御承知の通り、本法律案は麦類の供出並びに配給統制を撤廃しようとするものであつて、わが国食糧政策の上に重大な変革をもたらすばかりでなく、主要食糧の増産と国民生活に直接影響するところもまたきわめて大きいので、ここに私は、次のような理由によつて政府原案に反対し、特にこの機会を通じまして、政府の食糧政策の無定見に対し重大な警告を発しておきたいと思うのであります。(拍手)
 政府は、昨年十月、来麦の統制撤廃を閣議で決定し、その実施方法まで公表したのでありますが、との政府の米麦統制撤廃方針に対して内外から起つた猛然たる反対の輿論に抗し得ず、政府は遂に閣議決定をたな上げせざるを得なかつた醜態を天下に暴露しましたことは、国民のひとしく知るところであ以ます。(拍手)ところが、政府は、この米麦統制撤廃の方針を中止して、わずかにここに半年を経過した今日、再び麦類の統制を撤廃せんとしているのでありますが、この六箇月の間に、主要食糧の需給状況は、国際的にも国内的にも一向好転しておらない。かえつて悪化の傾向さえありますのに、主要食糧の二大支柱の一本たる麦類をあえて統制撤廃せんとすることは、自由党内閣の資本家的政策の具体化であり、来るべき総選挙に対する党略的政策であるといわなければなりません。(拍手)
 政府は、麦類の統制を撤廃しても、わが国の食糧事情には何ら不安はないと楽観しているのでありますが、わが国の食糧の国内需給状況を見ますと、八千四百万の国民を養うためには、年間三百万トン、すなわち二千三百万石以上も不足し、年々多額の輸入補給金を投じて海外より主要食糧を輸入しておりますことは、諸君すでに御承知の通りでありまして、理に食糧事情が安定したと言つている政府みずからが、わざわざ本年度予算の中に食糧増産経費として総額四百億を計上し、三百五十万トンの外国食糧輸入に二百七十億の輸入補給金を支出して、ドル不足の中で、外米をトン当り二百ドルもの高価で買いあさつている事実は、いかに国内主要食糧が絶対不足しているかを、はつきり裏書きしているのであります。
 しかも一方、この不足する食糧を補給し、依存すべき世界的な食糧の状況を見ます場合、そこにもまた一抹の不安を抱かないわけには参りません。すなわち、世界的に米の生産量はようやく戦前に復帰したものの、主要生産国からの輸出量は極端に減少し、国際価格も、昨年トン当り百六十ドルから百七十ドルで買えましたものが、現在ではすでに二百ドルを上まわる価格で取引されている実情となつているのであります。また麦類にいたしましても、昨年度の世界的な不作がたたつたばかりでなく、生産そのものに地域的な不均衡があり、特に貿易がドル面で著しい制約を受けることも考えねばならず、国際小麦協定による小麦の割当にしましても、日本政府の希望する百二、三十万トンの割当を受け、昨年同様トン当り八十ドルで買い入れることはまつたく困難な実情にありますにもかかわらず、政府が、その統制方式や行政上の不手ぎわによつて生じているやみ食糧の横行と、配給辞退の増大を口実にして、いかにもわが国食糧事情が安定したるがごとく国民を欺瞞し、麦の統制撤廃を強行せんとすることは、世界的な食糧情勢に逆行し、国内食糧の需給状況を無視した暴挙といわねばなりません。(拍手)
 次に本改正法案は、わが国主要食糧の需給を混乱せしめ、麦を利潤追求の商品とすることによつて生産農民と消費者大衆を搾取の対象にする、陰險きわまる資本家的性格を持つていることと指摘したいのであります。(拍手)
 由来、わが国の食糧構成は、米麦二本建の構成となつており、米麦相互の関係は、車の両輪のごとく密接不可分の関係にあるにかかわらず、政府は、麦類を自由にしながら、米は依然として強制供出と配給統制を続けるという、矛盾きわまる食糧政策をとらんとしているのでありますが、これを農民の立場から見ますならば、同じ農民でありながら、麦作の場合は自分の思うように処分ができるにかかわらず、米作の場合は法の適用を受け、しかも低米価で強制供出に応じなければならないという不合理と矛盾を政府は農民に押しつけんとしておるのであります。政府は、主要食糧の一つである麦類の統制を撤廃しても「経済的にも社会的にも何ら不安がないというのならば、何ゆえに米の統制をも撤廃しないのか。米の統制撤廃を実行できないところに、わが国食糧の不安を雄弁に物語つているではありませんか。
 また、麦類が統制撤廃された場合、麦類が商品として自由取引されることになるので、市場の相場にうとく、資金、輸送、保管の施設などの準備ができていない農民が生産した麦を、営利を目的とする中間商人の思惑のままに買いたたかそうとする目的を持つておるのが本案のねらいであろうと、私はにらんでおります。政府が市場価格の暴騰を押えるため、手持ちの内外麦を市場に放出することにより、中間業者は農民から高く買つては採算がとれなくなるから、少しでも安く買い入れようとするので、農民が現在より高く麦を売り渡すことができるなどということは、おそらく不可能であろうと思います。(拍手)
 また政府は、麦類の最低価格を維持するため政府買入れを行うというのでありますが、政府が生産農民から買い上げんとする麦類の生産者価格は、従前通り農業パリティ方式で計算し、これに豊凶係数や多少の経済事情を参酌して決定されるのでありますから、政府が決定する最低価格は、麦の生産費を償い、拡大再生産を可能にする妥当な価格でないことは明らかであります。(拍手)しかも、政府が市場価格を操作するため、買い上げた麦類を安く売り拂うにあたつて、倉敷料、減耗、金利等を見込んで、国庫に赤字を出さないようにする場合、政府の買上げ価格もなるべく低目に押さえざるを得ず、政府もまた中間業者と一緒になつて生産農民から麦を安く買い取る努力をいたしますことは明白であります。(拍手)われわれは、麦の統制撤廃によつて、わが国の農民を、生産コストの低い外国農業との競争に追いやり、しかも農民が苦しい経営の中で生産した麦を中間業者に買いたたかすような政策は断じて承認できません。(拍手)
 一方、一消費者に與える影響は、きわめて重大な事態を招来するものと考えます。政府は、市場価格の騰貴を押えるため、手持ちの原麦を拂い下げると言つておりますが、原麦を拂い下げることによつて市場価格を安定させ得るなどという考え方は、誤算もはなはだしいといわなければなりません。統制撤廃後の市場価格決定権は、中間業者、すなわち商業資本の手に完全に握られ、しかもその中間業者は公益団体でもなく社会奉仕機関でもないから、利益を追求することは当然であります。もし政府の拂下げによつて彼らの利益がそこなわれると考えますならば、おそちく入札をいたさないでありましようし、あるいは他に市場価格を維持する方法をとるでありましよう。政府が抑い下げるのは原麦であつて、加工過程の長い麦類が消費者の手に渡りますころには、その効果はまつたく消滅し、消費者には重大な負担となつて、その生活を脅かすことは明らかであります。(拍手)
 かくのごとく、政府の麦の統制撤廃後の対策は、ことごとく的はずれであつて、このような対策では、政府が数百億に上る国費の支出によつて管理する原麦を、一部金融資本を背景とする中間業者のよき食いものに供するぐらいが関の山といわざるを得ないのであります。(拍手)しかも、この統制撤廃によつて麦の作付面積は、減少し、減産を来し、他方麦類が商品として思惑の対象となるため、ストックは増加し、外麦輸入量を増大させる結果、その補給金、金利、保管料等がより多く必要となるのであります。われわれは、厖大な国費を投入して海外から多量の食糧を輸入しながら、一方で麦の統制をはずそうとする政策は、低米価政策、低賃金政策、この二つの政策をもつて国内産米の統制に集約し、労働者と農民の犠牲の上に、あくまで巨大な独占資本を助成せんとする自由党内閣の資本家的保守反動の性格を、露骨に、かつ具体的に現わした政策であるといわざるを得ないの護あります。政府原案は、「以上指摘した通り、数多くの矛盾と不合理を含む麦類統制撤廃を行うためのものであり、これに対して提案されました修正案も、單に若干の抽象的字句を挿入したにすぎず、本質的には何ら修正の意味をなしていないので、これに対しても賛成するわけには参りません。
 また、この案が可決されました後に、本議場に、これに伴う決議案が提出されるそうでありますが、この決議案の提出の過程から考えて、しかもこの決議案によつて本案をごまかそうとするがごときは、断じて私どもは賛成できません。(拍手)決議案文に賛成される諸君は、何ゆえに法案として具体的に條文に挿入しないのか。(拍手)院議の決定によつて、今まで政府がほんとうに具体的に実行した例が一体幾らあるか。われわれ院議の尊重をやかましく言つておりながら、政府は院議をほとんど無視しておる現状にある。もし、この案に関連して本会議場に決議案を上程するとするならば、何ゆえに具体的に法案として提出しないかということを、私は申し上げたいのであります。(拍手)そういう意味から、われわれは遺憾ながら、この不純な、ごまかしを目的とする決議案には賛成するわけに参りません。
 わが党は、かねてより資本家的政策の上に立つ農民搾取の現行の統制方式に反対し、肥料、電力、石炭、鉄鋼、その他金融等の総合的な計画経済の一環として、わが国農業を国際的水準に引土げる條件を急速に整備し、これに件う、まつたく新しい、しかも民主的な米麦統制を行うよう主張して来たのであります。今や、わが日本は、長い間の占領から解放され、独立国として再出発したのでありますが、この狭い国土で、四千三百万の消費国民をいかにして養うかが何よりも重要な問題であります。従つて、政府は、この際全国民に対し、食糧の絶対不足をよく認識せしめ、日本経済再建の基礎として、食糧増産確保に必要な不動の国策を樹立し、勇敢に実行すべきであるにかかわらず、政府が、わが国農業経済を破滅に導き、消費国民の生活に重大な影響を與え、国家の経済と財政にも悪影響を及ぼす麦類の統制撤廃を強行し、わが国の食糧需給を撹乱して、独立日本の将来に重大な影響を與えんとしていることに対し、われわれはここに政府の責任を追究するとともに、本法案並びに修正案に対しては断固反対をいたすものであります。(拍手)
#7
○副議長(岩本信行君) 河野謙三君。
    〔河野謙三君登壇〕
#8
○河野謙三君 私は、自由党を代表いたしまして、本案に賛成の意見を述べるものであります。
 本案は、主食の大宗である米麦のうち麦類について、これまでの供出、配給統制を撤廃して、新たに市場経済の原則に立つて麦類の需給及び価格の調整をはかるための制度を設けるものであつて、世上伝えるところの統制撤廃にはあらずして、その内容とするところは統制方式の変更であります。従来の直接統制から間接統制への移行を意味するものであり、戰後の食糧政策上一期を画する重要な措置であります。
 言うまでもなく、現在の食糧の供出及び配給統制の制度が、戰時戰後を通じまして、食糧のきわめて逼迫せる事態に際しては、よく国民の食生活の安定をささえ、かつ国民経済の安定と復興に寄與して来た効果は、まことに大なるものがあつたと考えるものであります。しかしながら、かかる国家権力の介入による直接統制は、今日のごとく国民経済が漸次安定して参りますと、これがためかえつで経済の正常化を阻害するおそれも多分にあると思いますので、食糧の需給事情が許す限り、できるだけ早くこれを解除することの望ましいのは、議論の余地のないところであります。かくすることによりまして、農民に対しましては自由な経営への道を開き、製造、加工及び流通部面に対しましては競争原理に立つ合理的発展を促し、消費者各位に対しましては食糧の量及び質の自由の選択による購入の利便を與える結果となるのであります。これは、ひとり食糧としての問題ではありません。全体として国民経済の正常な発展に大いに役立つこともまた明白であります。しかし、事は食糧問題でありますので、その取扱いいかんは国民生活に直接影響するところきわめて重大でありまして、なおまた将来にわたる農業生産への影響も十分考慮いたし、いやしくも政党政派や、一片の利害関係等にとらわれるようなことがあつては断じてなりません。
 今日、麦類について見る限り、需給関係も価格の点もきわめて安定を見せていることは、御承知の通りであります。国内生産で不足する分を補う輸入食糧は、最近順調な回着と、明るい見通しを得るに至つたことは、一部の人が考えるような、将来に向つて何らの不安のないことは、お互いに御同慶の至りであります。これまでの権力による統制は、その目的を十分に果し、もはやこれを継続する何らの意味も必要もなくなつたと考えるのであります。この意味において、本提案はきわめて時宜に適した措置と考えるものであります。
 しかしながら、麦類の統制方式の変更によつて、今後の需給調整のために、いたずらに輸入食糧に依存したり、貴重な外貨をこれに充てることは、今後のわが国の経済の自立上望ましからぬことは明らかであります。いやしくも本措置によつて。農民の生産意欲を減退させ、麦類の減産を来すことのないよう、十分考慮が必要であることはもちろんであります。その点について、政府は食糧の自給力を高めるために、すでに増産計画を立てて財政支出を行う等の施策を講ずる意向でありますが、これとあわせて、より重大なことは、麦類の価格の問題であります。麦類の生産の増減は、価格政策に負うところがきわめて大きいのであります。農家の経済の安定から見ましても、また非常に重要であります。政府提案は、この点に関し、供出にかわる自由買入れの道を設け、農民の希望による売渡し申込に応じ、政府が無制限に買入れを行う措置をとり、農民に販路と最低価格を保証しております。なお、この場合の最低価格は、従来の価格決定の方式を改善して農業パリテイ方式に基いて算出した麦価を基準として、これに凶作に伴う所得の減少を補うため減收率を考慮するとと毒もに、消費市場における米麦比価を参酌してきめることにしております。このように政府の買入れ価格決定の方法が従来に比べて一段と改善され、しかもこれを最低価格として、農民に有利に販売でき得る機会を與える今回の買入れ措置の趣旨は、統制撤廃後の麦作経営の安定をはかり、その生産力を維持向上させる支柱として、まことに適切と考えるものであります。
 ただ、この際特に政府に望むことは、価格の具体的決定にあたりましては、本案の趣旨に照し、また農林委員会の決議及び米価審議会の要望に従つて、本年産麦の買入れ価格は、昭和二十五年、二十六年をパリティの基準年度とする等、再生産確保のため公正な価格を決定するよう切に望むものであります。
 次に、わが国今後の主要食糧の構成について考えますときに、戰前と趣きを異にし、麦類は主食の重要な地位を占めることは明らかでありますので、統制撤廃後において、いやしくも流通の円滑を欠き、価格の高騰を見るならば、消費家計は著しく脅かされることがありますので、政府は今後も輸入食糧を一手に管理し、あわせて内地産麦の買入れによつて、流通する麦類の約四分の三を政府は事実上コントロールし、いわば政府が独占的地位に立つて、随時必要量を市場に放出し、市価を公正な水準に維持しようとしているのであります。従つて、その際政府売渡し価格の基準は、国内産麦の買入れ個格に売渡しまでのコストを加えることを原則としておりますが、家計への負担増加とならぬように、家計費その也の経済事情を十分参酌してきめ、これを内外麦を通ずる標準価格として、外麦の国際価格とははつきりと切り離して国内価格水準をきめることにしておりますことは、消費者家計安定の趣旨に照して、まことに賢明な措置であると考えるものであります。(拍手)政府は、これが実施にあたつては、その趣旨を貫き、政府の本制度運用の不手ぎわから消費者の負担の増加とならぬよう、特段の配慮を望むものであります。特に中間経費については、十分検討を加え、公正を期せられんことを望むものであります。
 なお麦類の統制解除の後も、政府は米については現行の供出配給制度を持続する意向のようでありますが、これまで長い間、米麦を含めて農家保有量と消費基準量を保証され、これになれている国民は、麦類の統制解除により、米食率の地域的な不均衡を生じ、この維持に不安を抱く向きもありまして、ここから、統制方式について、井上さんのような米麦一体不可分論が行われることと考えるのでありますが、このような説をなす者は、事実に目をおおうもはなはだしいものであつて、今日米と麦は、世界的にも需給事情、貿易事情を異にしておりまして、わが国の食糧需給事情においても、米麦の海外依存の比重は著しく相違しております。政府の需給操作上の諸條件が著しく異なつており、その他食糧に対する国民的嗜好等を考慮すれば、米と麦の商品的性格はまつたくその趣を異にしているのでありますから、その需給及び価格の調整方法も、そのときの食糧情勢に即応して、米麦おのおのに適応するよう方策を立てるのがきわめて当然なことであり、かえつてそれにより、なお一層合理的、能率的な操作が可能と考えるのであります。従つて、現在現行統制方式を必要としなくなつた麦については新たな調整方式を採用して、米についてのみ現行統制方式を当分継続することが、現状より見て一層の改善進歩であつて、何らの不都合、不安のないことはきわめて当然のことであります。この点に関して、政府がなお一層国民に対して十分なる理解を徹底させる努力を拂うとともに、現行米食率の維持については、国民に安心を與えこるとが肝要であります。
 最後に、本案について反対の側に立つ諸君は、現行の統制方式に一致して反対しておりながら、いまだかつて一度として、これにかわるべき代案を示しておりません。(拍手)そうして、しかもなお本案に反対だというのは、一体どうしろというのだ。結局、何ら代案の持合せがなくて、いたずらに反対のための反対をするのは、党利党略以外の何ものでもありません。(拍手)そうして、生産農民の名において、また消費者の名において、やれ最低価格を保障しておらないとか、農業協同組合がこれによつて集荷が不可能になるとか、消費者家計を保障しておらないとか、米の配給率が下げられるとか、あるいはまた政府手持麦の売渡しにあたつては、大資本、大企業擁護の側に立つて中小企業を圧迫するとか、おおよそ本案の本質を誤り伝えること、これよりはなはだしいものはありません。(拍手)前段において申し上げました通り、農民に対しては再生産を保障する価格をきめて、無制限に政府が農民の売渡しに応ずることはきわめて明瞭であります。農協の集荷については、極力これに利便を與えるため、特に政府余裕金を引当てて金融すると、はつきり政府は約束いたしております。また消費者に対しては、かりに政府特別会計に一時赤字を出すことがあつても、現行消費者価格水準を維持することを約束しております。米の配給率を本案との関係において引下げるようなことのないことは、あまりにも当然であつて、ここにあらためて論ずるまでもありません。政府手持麦売渡しについては、大資本偏重を避けて中小企業擁護の立場に立ち、今後当分の間加工業者の加工能力を基準として割当て売却を行うと、政府はこれまたはつきりと言明しておるのであります。
 以上のように、本案に反対の諸君が疑点とされることは一々明快に解決されておる以上、生産農民にしろ、消費者にしろ、本案に反対する何らの理由はありませんし、輿論は本案を絶対に支持し、これが本院通過を期待していることと確信しております。もし本案に反対の者があるとすれば、それは現行統制方式の陰に不当な利益をむさぼる、ごく少数の加工業者並びにこれに準ずる者であると私は断言いたします。(拍手)この種の反対は、従来すべての統制廃止にあたつて、その都度あつたことで、国民経済の大局から見て、これらの業者に対しては、むしろ不謹愼を反省せしむべきであります。反対の声は、農家でもありません。消費者でもありません。こんなところにめるのであつて、それが農民の名において反対され、消費者の名において反対されることは、農民は迷惑千万であります。消費者は、いいつらの皮であります。
 これを要するに、本案に関しては、長きにわたり輿論に訴え、論議を盡すべきは盡し、修正すべきは修正してでき上つた案であります。従つて、輿論の絶対支持を受けておることを確信して、私は自由党を代表して本案に賛成するものであります。(拍手)
#9
○副議長(岩本信行君) 竹村奈良一君。
    〔竹村奈良一君登壇〕
#10
○竹村奈良一君 私は、日本共産党を代表して、ただいま上程されました食糧管理法の一部を改正する法律案に対し反対するものであります。
 この法律案の内容は、麦の統制撤廃ないし麦の新管理方式を採用するものでありますが、もちろん、われわれは、従来のごとき官僚統制を是認いたしているものではありまん。このたび政府が行おうとするところの麦の統制撤廃は、要するに政府の主張するがごとく、麦類の国内におけるところの生産増強を目的とするものでは決してなく、数百万トンに上る厖大な外国産麦の輸入を前提として、そのためには国民の血税たる二百七十億の多額な補給金を使い、これを外国農業恐慌の緩和のために支出することによつて、国内の麦類生産農民を極度に圧迫するという植民地支配政策がきわあて特徴的に現われた食糧行政の一環であるところに、反対の根本理由があるのであります。(拍手)従いまして、われわれとしては、この問題の根本を、国内食糧自給態勢をいかにして確立するかという観点から出発しなければならないのであります。
 占領下の六年余、占領政策を最も忠実に履行した自由党の政権担当以来、当然のことながら、この観点は放棄され、口に食糧自給を唱え、あるいは土地改良、灌漑、開拓等に若干予算を組むことによつて、植民地支配が露骨に現われるのをごまかそうと努力しておりますが、それでは一体農村の現実はどうなつているか。農民の生活は、日に日に窮乏に次ぐ窮乏の道を、前途にただ一つの光明も見出し得ずにたどつているのが、偽らざる農村の現実の姿であります。
 近ごろ、生活難かち娘を売る農民の数が、昭和初頭の不況時代さながらに、日一日と増加しつつあることは、商業新聞の社会面にも明らかであります。また農家の次、三男は希望を失い、失業者あるいは半失業者として、ちまたにあふれ、職を求めて職安に集まり、山林解放を叫び、土地を與ひえよと悲痛な要求を掲げて、生きんがための闘いを続けているのでありますが、これに対して、政府は、おのれの惡政をたなに上げて、恥知らずにも治安確保と称して、無慈悲きわまる警察権力による弾圧をほしいままにしているのであります。(拍手)
 占領政策及びその忠実なしもべである吉田自由党政府の反農民政策の結果は、農地の減少、耕作放棄の激増となつて、端的に正体を暴露しております。すなわち、敗戰直後の昭和二十一年と比較して、最近は実に二十二万町歩余りの耕地が減少しているのであります。鳴りもの入りで宣伝された農地改革は、遂に農民には何ものも與えず、土地を抵当に借金しなければならない農家、土地を売り拂わなければならない農家が、農林省の統計によつても、昭和二十六年度において九万一千八百七十件、二万一千十五町歩と、昭和二十四年に比べて、件数で七倍、面積で二倍半に上つているのであります。これが、今回の麦類統制撤廃の背後にある農村の実態であります。
 農民は、難局を何とかして切り拔けようとしていろいろな多角経営的な方法をとろうと試みております。しかし、そのことによつて生活は何ら改善することができず、かえつて貧窮の度を深めざるを得なくなることは、去る四月二十三日の衆議院農林委員会において、廣川農林大臣みずからも認めざるを得なかつたことをもつてしても明らかであります。
 一方、これに拍車をかけるように、アメリカ駐留軍の基地設定、警察予備隊の演習地等により、少くとも三万町歩に及ぶ農地、開拓地がすでに取上げられ、また取上げられようとしているのであります。しかも、行政協定によれば、アメリカ駐留軍基地周辺の権利、権力、権能等一切は、あげてアメリカ側にゆだねるようとりきめられているありさまで、これによつて基地周辺の農耕は、事実上極度の妨害を受けることは必至であり、食糧生産の激減は火を見るより明らかであります。かくして、ますます食料の外国依存度は高められ、日本農業生産力の破壊はますますはげしくなる。その現われは、本年度日本米の米食率は、不完全保有農家においては、すでに一年一人当り約二斗弱を切下げられ、消費者には、一日分ないし三日分が縮められ、労務加配米も外国産米に振りかえられ、農民には強く超過供出を要請されている。しかも、こうした政府の策によつても、おそらく本年度は、内地米二百万石は不足するのが今日の現状であります。先ほど、河野君は、本年度の米食率は心配ないと申されましたが、現実はかくのごとく、すでに米食率におけるところの切下げが公然と行われている。この事実を何とするかと言いたいのであります。(拍手)
 他方、この食糧の外国依存政策は、ドル資金の厖大な量を前提としているのでありますが、このドル資金なるものは、いわゆる特需の受注によつて獲得する以外に道がなく、いわば戦争政策に便乗して獲得されたドルである。今日、世界各国、各民族の中にみなぎる熾烈なる平和要望の声と、それに対立するアメリカの戰争放火者どもの意図する殺人兵器製造による景気の上昇策は、遺憾ながら、みずからの持つ矛盾と諸情勢によつて、もろくもくずれつつある現状にあり、わが国の、いわゆる特需景気も、また模花一朝の夢と化しつつあります。かくして、この特需の上に立つた輸入資金の不足から、国内の食糧不安は目前に追つているのであります。この食糧不安につけ込み、食糧確保を好餌に、政府の意図する戰争へ戰争への道を国民に強制する。これが今回の統制撤廃の背景をなすものであるといわざるを得ないのであります。
 かつて、帝国主義日本の支配者が、今日敗戰を生んだ大東亜主義の基礎に、商品市場の拡大と、安価な食糧獲得をえさにし、朝鮮、中国、東南アジアへと侵略戰争に国民をかり立てたかの歴史は、いまだ国民の記憶に新たなところであります。歴史は繰返す、初めは悲劇として、二度目は喜劇として、といわれる。侵略者の歴史をおろかにも繰返そうとする政府の恥ずべき意図をわれわれは粉砕し、次の方策を実行するならば、戰争政策によることなく、あくまで平和的な方法で食糧不安を解消できるのであります。
 国内食糧自給態勢確立のため、二千億余の軍事支出を農業生産に振り向け、山林、牧野その他一切の土地を解放することによつて八百万町歩に及ぶ開墾、干拓等を実施し、農村にあふれる次、三男の労働力を生産力に転化することによつて、彼らに仕事と生きがいを與え、食糧自給の根本的解決をはかることであります。国内麦生産を安定せしめるため、拡大再生産費を償う価格、つまり、政府のいうパリテイ価格ではなくして、少なくとも二十六年度におけるところの麦価――麦の再生産費は八千円といわれてありますが、こういうような値段で、農民の希望に応じて政府の無制限買入れを保証し、増産対策として、特に治山治水の徹底、畑地灌漑、地方培養、畑作機械化の促進、土壤の侵蝕防止等について根本的施策を即時実施すること。また、中国、ソビエト同盟との平和貿易を無制限に行い、戰争につながる向米一辺倒の貿易政策を即時とりやめ、国内平和産業を無制限に発展せしめることによつて、日本経済、日本農業の大々的発展拡大をはかること。
 以上のごとき諸理由により、国内麦流通量の四分の三、国内米流通量の四分の一を外国に依存し、その厖大な量によつて植民地的食糧行政を行い、農民には低い農産物価格を、勤労大衆には低賃金を押しつけることによつて、国民をあげて再軍備と戰争にかり立てようとする本法案に対してわれわれは絶対に反対するものであります。(拍手)
#11
○副議長(岩本信行君) 足鹿覺君。
    〔足鹿覺君登壇〕
#12
○足鹿覺君 ただいま上程されております麦類の統制撤廃を主目的とする食糧管理法の一部を改正する法律案並びに同修正案に対しまして、私は日本社会党第二十三控室を代表いたしまして反対の意見を述べんとするものであります。
 われわれは、従来から農民並びに消費者大衆の要求を代表いたしまして、民主的な食糧管理制度の確立を中心とする一連の食糧政策の実現を期し、農業、農民団体、生産者を代表する団体はもちろん、消費者を代表する団体とも一致協力いたしまして、今日まで全力を傾注して参つたのでありますが、一方、無謀な食糧統制撤廃を企図する政府に対しても、強くその反省を求めて来たのであります。しかるに、政府は、自由党の公約である主食の自由販売の一環としての麦類の統制撤廃をあくまでも強行して、誤つた公約の実現をなさんといたしておるのでありますが、この麦類の統制撤廃は、外国産食糧を大量輸入し、わが国農業を犠牲にして初めて可能であることは、われわれが今まで常に指摘し来つたところであります。しかも今日、不完全講和発効を契機として、国内外の諸情勢が、かかる輸入食糧に一方的に依存する政策の実現をすら許さない実情にあるとき、政府が再び本案の実現を期せんとすることは、農民に対しては低価格を強要し、消費者大衆に対しては、流通の混乱による市価の変動によつてますます家計を圧迫し、製粉その他麦加工業を営む中小企業者を崩壊せしめ、結局において大資本の利益に奉仕せんとする政策でありまして、本案はわが国食糧政策と農業政策の根本方針を誤るものとして、断固これに反対せんとするものであります。(拍手)以下、具体的にその理由を申し述べてみたいと存じます。
 まず第一に、今日の緊迫した国際情勢は相当長期にわたる可能性が強く、従つて食糧輸入事情は楽観を許さないと考えられることであります。まず米でありますが、かつて世界の三大米の輸出国といわれましたシャム、ビルマ、仏印は、いずれも、多かれ少なかれ、朝鮮と同様の内戰のため、生産、輸出は問題となりませず、シャムのごときは、世界情勢の不安にかんがみまして、三十万トンの国内備蓄を計画し、本年の輸出を八十万トンに押えようとしているやに伝えられているのであります。輸入商社筋の外米輸入見込みを見ましても、最大限七十万ないし八十万トンがせいぜいであろうといわれておるのであります。
 次に麦類の輸入についてでありますが、濠州におきましても、小麦と羊毛の生産の競合による小麦作付の減少、アルゼンチンの旱魃、カナダの雪害等によつて、戰前の三大輸出国の生産が著しく減少して、世界的に小麦の不作が本年度の麦類の輸入を困難ならしめている実情であります。しかも昨年度、ガリオアによる食糧輸入は大部分が麦でありまして、その額は実に七十万トンにも達しておるのでありますが、この戰後わが国食糧の危機を救つたガリオア資金も昨年九月限り打切られ、もはやこれに期待することは不可能となつたのであります。また、米買付上の他の障害はドル不足であります。このドル不足は、ドル地域を対象とする貿易はもちろんのこと、オープン・アカウント建をとる他の地域との取引上重大問題となりつつあるのでありますが、食糧輸入についても、事情はまつたく同様であります。かかるとき、麦類の統制を撤廃して、輸入食糧に対する依存度を高め、食糧輸入が著しくドルを不足せしめるがごとき政策は、嚴にこれを避くべきものであると信ずるものであります。
 かかる観点に立つならば、本米穀年度は、外麦の輸入さえも決して容易なものではなく、米のみならず、麦類の供給すら次第に不安な情勢に逢着する危險をはらんでいるというべきあります。さればこそ、過般、政府は、根本前農相を南方に派遣して、米の輸入懇請をせられたのではなかつたか。根本前農相の帰朝後の報告は、いまだ正式に聞いておりませんが、おそらくその見通しは、かんばしくなかつたのではないかと推定せざるを得ないのであります。(拍手)
 第二の理由といたしましでは、以上のような不安定な情勢のもとにおいては、政府の意図する一定価格による買上げ、売渡しの価格操作によりまする市場安定化政策は、食糧輸入の困難に加えるに、国内のインフレの進行及び麦加工業の操業度に現在相当の余裕のあることなどが要素となりまして、国内産の麦に対する業者の思惑買いによつて、政府の市場統制力が圧倒される可能性がきわめて強いということであります。すでに全国民が体験しております通り、肥料、飼料が自由になつたけれども、結果は不当な値段の暴騰によつて農民は泣き、大肥料メーカーや飼料業者に莫大な利益を独占せしめる結果を招来し、現に政府與党のうちにおいてさえ何らかの需給調整対策の必要が認められておるということは、政府の市場統制力の無力を実証して余りあるのみならず、自由経済の矛盾とその害惡を最も端的に表明したものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 第三の反対の理由といたしましては、麦類の統制を撤廃しても、市場価格に即応して利益を改める者は、農民ではなくて巨大な商業資本であるということであります。すなわち、麦の場合は、原料買付競争によつて一時的に農民を潤すであろうというがごとき見解もあるのでありますが、それは原料買付競争を通じて中小企業が大企業に圧倒される事態において終局し、かかる場合、生き残つた大企業は、原料麦の買付に対して一方的な支配を農民の上に確立するでありましよう。この商業資本に対抗して農家の利益を守るものは、農業協同組合を中心とする共同販売の機能でありますが、農協は、残念ながら、周知のごとく結成日なお浅く、しかも打続く赤字打開のために、目下再建整備の努力が展開されておる実情でありまして、勢い商業資本の暴威を許す結果となり、麦製品の価格の高騰に比べて、農家の手取りはそれほど期待できないということは明らかであるといわなければなりません。すなわち、これらの産業資本は、国内産の麦類に対しては買い控え、一方においては、政府放出にかかわる輸入麦の売渡しをも受けまして、結局麦類の政府買上げ価格を最高として維持し得るように、間接的に市場価格をも操作することとなり、結局農民は、非農民的な産業資本から、短かい混乱期に若干のおこぼれを受けたそのとたんから、今後においては、長期にわたる低価格安定という形で、大資本への隷属を余儀なくせしめられるということは、一点疑う余地もないと申さねばならないと思うのであります。(拍手)
 農民の真に欲しておりますものは、農業経営の安定と生活の安定でありまして、決して一時的な価格の高騰では断じてないのであります。なぜかなれば、価格の高騰がやがては倍加されて、自分の上に恐しい物価高や重い税金の形ではね返つて来るということは、従来における苦い体験を通じて、全国の農民はよく記憶しておるからであります。農民が統制をいやがつていると、よくいわれますけれども、それは戰時立法として出発した現行統制方式を問題としておるのでありまして、統制自体、計画経済自体を問題としておるのではないであります。食糧対策は長期かつ一貫した政策がとられるべきであります。いたずらに時の情勢によつてぐらぐらすることは許されないので、農業生産の増強の見地からも、農民生活の安定の上からも絶対必要でありまして、これこそが真の農民の要求であります。この意味からして、統制の中において再生産を保障する農産物価格政策と、これに関連する一連の立法を確立し、これが実現をはかることが真に正しいのであり、これこそが農民に対する親切な政策であると確信をいたしてはばからないものであります。(拍手)
 第四の理由といたしましては、国内産麦の政府買上げ価格の従来の対米比価による算出方法を、政府は今回廃しました。米価審議会の申入れを無視いたしまして、ことさらに低麦価に都合のよい昭和二十六年度を、新麦の価格決定の基準年次としてとつております。もしこの買入れ価格を市場が上まわる場合は、輸入補給金を付した外麦を国内市場に放出するがごとき価格調整の方式は、自由なる価格形成を制限し、国内産麦類の価格をさらに低位に抑制するのでありまして、本法案は、ただ單に自由市場における自由なる麦の流通をもたらすのみであつて、価格政策の矛盾を隠蔽せんとするところの欺瞞政策にほかならないと断定せざるを得ないのであります。(拍手)かかる価格政策によつては、国内における麦類を政府が期待するように増産に導くことはとうてい不可能なことはもちろんでありまして、政府の企図いたしておりまする麦類の対米比価の切下げによつて鋏状価格差を一層増大せしめ、かくして麦類の統制撤廃は、流通の混乱と農民経済の窮乏化に拍車を加える結果となることは明白であります。
#13
○副議長(岩本信行君) 足鹿君に申し上げます。申合せの時間が参りましたから簡潔に願います。
#14
○足鹿覺君(続) さればこそ、政府、與党の一昨年の湯河原会談以来、麦の作付は減少の一途をたどり、昭和二十五年に対して、二十六年は約七万町歩の減、二十六年に対して、本年は約四万三千町歩の減と予想せられており、合計十一万三千町歩の作付の滅となつているのであります。その原因が、前述のごとく、政府の麦類統制撤廃のかけ声と、二十六年産麦の対米比価の大幅切下げ等であることは疑う余地のないところでありまして、かかる麦類の作付減を来すがごとき事態を一方において行いながら、他方においては食糧増産十箇年計画を呼号するがごときは、矛盾もはなはだとく、農民を愚弄するものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 以上、これを要しまするに、われわれは、生産と消費、ひいてはわが国経済の全面にわたつて重大なる打撃を加える麦類の統制撤廃には絶対に反対するものであります。
 なお改進党は、従来の態度を急変いたしまして、第四條の二、第二項を若干修正し、また麦の価格及び食糧管理特別会計の不足金処理に関する三項目の附帶決議的條項を付して本案に賛成したのでありまするが、修正案はきわめて抽象的な字句を一応挿入したにとどまり、附帶條項もまた何ら政府を拘束する力のない一片の決議案にすぎないものでありまして、本案を改進党がのまんがためのゼスチュアであるといわれても弁解の余地はなく、その実効はとうてい期することはできないのでありまして、私どもは賛意を表することはできないのであります。
 最後に、わが党は客観情勢の的確な把握と、生産者と消費者の利益を基礎とした合理的な食糧政策、すなわち輸入食糧を最小限度にとどめ、国内農業生産力を向上し、ひいては食糧の国内自給度を高める、安定し、かつ一貫した食糧政策、国家の大胆な財政負担によつて二重価格制を強力に実施すべきであるということを、農民並びに消費者大衆の名において強く要求をいたしまして、私の反対討論を終る次第であります。(拍手)
#15
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立求めます。
    〔賛成者起立〕
#16
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#17
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、松浦東介君外七十各提出、麦類の価格、米食率及び食管特別会計の不足金処理に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#18
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 麦類の価格、米食率及び食管特別会計の不足金処理に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。吉川久衛君
    〔吉川久衛君登壇〕
    〔副議長退席、議長着席〕
#20
○吉川久衛君 私は、改進、自由両党提出の麦類の価格、米食率及び食管特別会計の不足金処理に関する決議案の趣旨弁明をいたします。
 まず、お手元に配付されてあります案文を朗読いたします。
   麦類の価格、米食率及び食管特別会計の不足金処理に関する決議案
  食糧管理法の一部改正に当り、麦価の公正な決定をしなければ麦類の生産を減退せしむるおそれがある事情にかんがみ、政府は、麦類の増産を確保するよう左の各項を実施すべきである。
  一 麦類の買入価格の決定に当つては、昭和二十三年及び二十六年の麦価の平均を基準として、その再生産を確保するよう決定すること。なお、麦類の売渡価格は、現行価格を維持すること。
   二 麦類の買入、売渡により食糧管理特別会計に赤字を生じたる場合、政府は、一般会計より赤字補てんを行い、これを生産者又は消費者に負担せしめないこと。
   三 配給米食率を全国的に均一化すること。
   右決議する。
案文は以上の通りであります。
 今回政府の食糧管理法の一部を改正する法律案の提案理由の説明によれば、わが国の食糧事情は終戦以来逐年著しい改善を見るに至り、食糧の不足から来る国民食生活の不安定や、これに起因してインフレを促進するといつた事態は次第に解消しつつあり、主食中、なかんずく麦類については、都市家計において価格が安定するに至るとともに、配給面においても相当数量の配給辞退が見られ、需給、価格とも顯著に安定を見るに至つた次第であるというのであります。すなわち、麦の統制撤廃が十分可能な食糧事情になつたと主張しておるのであります。
 しからば、食糧事情が好転したというならば、外国から米百万余トン、麦二百五十万トンもの輸入をあてにしなければならないという現状は、一体何を物語つているのでありましようか。トン当り二百ドル、石当り約一万一千円、国内産に比べて五割も高い食糧をなぜ買いつけなければならないのでしようか。由来、日本の食糧の輸入は最小限に切りつめ、外貨は生産財に使用するという建前が独立日本の政府がとるべき態度であるくらいのことは、私がいまさら申すまでもない常識であるはずであります。日本がアメリカの一州になりたつもりならいざ知らず、われわれは独立日本の門出に勇んでおるのであります。いたずらに日本商社の自由競争と無計画な買いあさりによつてつり上げられた外国産の食糧を買いつけるという状態にある現政府の態度の、どこに自主独立の精神があると言えましよう。(拍手)食糧需給の見通しについては、東北地方へ供米督励におもむかれた廣川農林大臣のとうとい御体験を通して、ほとんど何の收穫もなかつたことを立証されているではありませんか。供米の補正割当は、皮肉にも追加五十二万石、減額百二万石、差引五十万石の減と発表されております。政府の皮算用二百万石の超供の夢やいずこ、まことにもつてお気の毒の結末でありました。(拍手)
 今や国際情勢は、前途に暗雲低迷するかのごとき昨今、あらゆる努力を傾倒して食糧の自給確保の大方針を貫かなければ、国民の最小限度の生活安定を保持することができない現状にあるとき、再生産を確保する価格政策の樹立こそは喫緊の急務であると確信するのであります。(拍手)ところが、全食糧労働組合の本年の需給の見通しについての報告は、二十七米穀年度末における米の不足高は六十万トン、約四百万石に達するおそれがあるといい、その結果、麦類の配給で食いつなぎが行われない限り、端境期には、特に消費都市では、かつてのように遅配現象の再現を覚悟しなければならないと、警告を発しております。(拍手)
 根本前農林大臣や食糧庁の係官がビルマやタイへ急派されたことなども、いまだかつてない出来事であり、どうやら百万トンの米の輸入も、たぬきの皮算用ではないかとの疑問と不安すら国民に與えているやさきに、政府は、委員会その他における答弁に、米の需給について、輸入食糧、米麦合せて三百五十万トンとしても、なお米は百万石不足するが、一般配給量の削減はしないで済む見込みと言つておられます。全食糧の報告や、前述の不安な状態は幾多の重大なる疑いをはらんでおり、むしろ麦類統制撤廃を強行せんがために、單に数字的つじつまを合せたものとも思わせられる節があるのであります。(拍手)
 そこで、われわれは、まず政府にすみやかに国内産米を外米価格並の奨励金で追加供出せしめるとか、外米や外麦価格並の補給金によつて増産意欲を高揚せしめるとかによつて、この危機を打開するよりほか道のないことを勧告する次第であります。(拍手)少くとも再生産を確保する価格政策を立てて、食糧増産確保の道を講ずべきであります。しかして、麦の買入れ価格を引上げることによつて消費者の生活の脅威となつてはならない。そこで、政府の売渡し価格は現行価格を維持すること、すなわち、売渡し価格の抑制によつて、消費者大衆の生活の擁護と、農民へのはね返りを防遏しなければならないのであります。(拍手)かくすることが、生産農民も消費者大衆もともに喜ぶような施策となるわけでありまして、廣川農林大臣が農林委員会においてたびたび弁明されました言葉の通りの結果がここに期待できるわけであります。これが価格支持政策への一歩前進であつて、本決議案第一項の趣旨であるのであります。もちろん、そのためには食管特別会計に若干の赤字を生ずることは覚悟しなければなりません。これを一般会計から補償することは、社会保障制度の一環としても、先進諸国においてはすでに採用している政策であります。
 次に私はこの際政府に注意をしておきたいことは、麦の統制撤廃は米の統制撤廃の前提になるのではないかという心配を国民に與えていることでございます。私の推測では、六月一日から麦を統制撤廃いたしますと、来年の四月一日には米の統制の撤廃をやらなければならないような事態が来るのではないかと予想するのでございます。そうしますと、ことしの米の供出を済ませたあとで、四月一日から統制撤廃をいたしますと、米の値は相当に上ります。そうすると、価格が上つた米を消費する人々が生産するところの肥料であり、農機具であり、農薬であり、衣料であり、これらの品物は農民の必需物資であります。あるいは生産資材であります。こういうものが高い価格にはね上り、農民の売るものは安く、買うものは高いという、はさみ状の価格差がだんだんひどくなりまして、農民の生活を圧迫することをおそれるのであります。(拍手)
 そこで、政府は、米の統制撤廃をやらないということを、はつきりうたつていただくか、統制撤廃をやらなければならないとするならば、これに対しては各般の特別な施策を講じなければならないことを十分御銘記願いたいと思います。私は、反対なさる諸君の言うこともよくわかりますけれども、(笑声)しかしながら、各方面からこの主食の統制撤廃の問題を十分に検討するときに、究極する問題は価格問題に帰結するのであります。(拍手)そうして、政府並びに與党の諸君は、きわめて下手な言いまわし方をしておいでになる。(拍手)本問題は、麦の統制撤廃というような表現ではなくて、むしろ供出制度の改善と申しますか、管理方式の改善と言うべきであります。(拍手)すなわち、本決議案の内容を政府がそのまま断行なさるならば、管理方式の改善であり、いかなる人々も反対する理由はなくなるのであります。與党並びに政府の諸君は、今後この言いまわし方について、十分御注意を願いたいと思います。(拍手)
 最後に、麦の管理方式の改正に伴つて、配給ルートに乗るものは米だけになると、配給米食率の不均衡が生ずるわけであります。この配給米食率の不均衡が、往々にいたしまして社会問題、政治問題になることが予想されるので、政府は公正な原則に立つて、配給米食率を全国的に均一にされる必要が生ずるのであります。この不必要な混乱は、極力これを避けなければ、平和日本の建設は題目倒れになるのであります。われわれ改進党は、さきに食糧管理法の一部改正にあたり、法第四條の二項中に、買入れ価格決定に際して再生産を確保すべき趣旨の修正を提唱したのも、政府原案では作付転換、麦の生産減退等々の問題を心配をいたしましたので、この修正案の提出に至つたのでありますが、この修正に反対の諸君が抽象的であると言われることを、われわれも決して否定するわけではございません。そこで、この問題の裏づけとして、この決議案を提出するに至つたわけであります。(拍手)
 今までの決議案は、ただいま決議された御趣旨に沿うて政府は努力するでありましようというような政府責任者の答弁であつたのでございますが、もしも本日も、農林大臣が、先日の農林委員会の席上で申されましたような、あの明確なる断言がなされるとするならば、まさに前例を破るものであり、これは現政府が責任ある政治を行つているかどうかの一つのめどになるわけであります。また、この約束を、この決議を実現されないとするならば、政府は国会軽視の挙に出たといわれても弁解の言葉はございません。おそらく責任政治家廣川弘禪君は、必ずここで明確に断言され、それを実行に移されるであろうことを期待するものでございます。本決議案が採択され、政府がこれを忠実に実践されない限り、国民経済に及ぼす影響は実にはかり知れないものがあると思うのであります。国内の混乱を期待するもの、あるいは現在のまでの不合理きわまる統制の方式をそのまま是認されるものは別としても、真に国家国民を憂えるものは、必ず本決議案には御賛同いただけるものと信ずる次第でございます。
 以上をもちまして、私の提案理由の趣旨弁明といたします。(拍手)
#21
○議長(林讓治君) 採択いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#22
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。
 この際農林大臣から発言を求められております。これを許します。農林大臣廣川弘禪君。
    〔国務大臣廣川弘禪君登壇〕
#23
○国務大臣(廣川弘禪君) ただいま可決されました、松浦君外七十名提出にかかります麦類の価格、米食率及び食管特別会計の不足金処理に関する決議につきましては、食糧管理法の一部改正法律案に関する農林委員長報告においても明らかでありますが、その審議の経過にかんがみまして、政府といたしましては、十分その三項目の趣旨を尊重いたしまして、本院の期待に沿う所存でございます。(拍手)。
     ――――◇―――――
#24
○議長(林讓治君) 日程第二、道路法案、日程第三、道路法施行法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員会理事田中角榮君。
    〔田中街榮君登壇〕
#25
○田中角榮君 ただいま議題となりました道路法案及び道路法施行法案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を簡單に御報告申し上げます。
 両法案提案の理由並びにその要旨をまず申し上げますと、現行道路法は大正八年に制定されたまま、現在に至る約三十年間、ほとんど改正らしき改正を加えられることなく、わが国の道路管理の基本法として存続して参つたのでありますが、新憲法下、近代的な法律形態として不適当な幾多の点が明らかになりましたので、今回その全面的改正の要に追られた次第であります。その要点は次の通りであります。
 すなわち第一には、現行法を改正し、国道を一級国道及び二級国道にわけ、幹線の基準を明確ならしめたこと。
 第二には、国と地方公共団体の責任分野を明らかにするために、現行法の基礎をなしている道路は国の営造物という観念を改め、一級国道及び二級国道は国の営造物、その他の道路は地方公共団体の営造物という観念に改めたこと。
 第三には、前述の考え方に基き、現行法において各地方公共団体の長を道路管理者としているのを改め、一級国道及び二級国道については都道府県知事を管理者とし、都道府県道は都道府県、市町村道については市町村を管理者としたこと。
 第四には、近代交通の要請に応じ、道路の機能を十二分に発揮させるために、道路を占用しようとする者または道路上に車両を運行させる者に対する規定を整備いたしまして、道路とこれらの者との利益の調整についての現行法の不備を改正したことであります。
 第五には、現行法に道路の新設または改築に関する損失補償の制度がなく、一般民衆はもとより、管理者側におきましても不都合を生じて来たため、土地收用法で認める程度の損失補償を行い得る制度を規定したことであります。
 第六には、道路行政の完璧を期するために、新たに建設大臣の諮問機関として道路審議会を設けたこと。
 以上が道路濃案の改正の要点でありますが、道路法案を施行するための経過措置並びに関係法令の一部改正を道路法施行法案として規定いたしたわけであります。
 両法案は、四月十四日、本委員会に付託せられ、運輸委員会との連合審査一回を含め、前後五回にわたり愼重に審査いたしたのでありますが、その詳細は速記録に譲ることといたします。
 次いで、自由党淺利三朗君より修正意見が提出されました。すなわち、第一に、道路法案第六十二條における特別負担金の規定は、現段階においては時期尚早であり、受益者負掛金の制度と同時に考慮すべき性質のものであるから、第六十一條中「(修繕に関する工事を除く。)」を削り、あわせて第六十二條を削除すること、第二に、道路法案第八十九條における道の特例に関する規定は、北海道の道路に関する特例が資源の開発等のために認められる以上、それと同じ條件を有すると認められた内地の道路についても当然北海道と同様の特例を認めるべきであり、同條第一項の後段として「地勢、気象等の自然的條件が極めて惡く、且つ、資源の開発が充分に行われていない地域内の道路で政令で指定するものについても、同様とする。」を加えること、第三には、道路法案中には、道路の修繕に関する補助としては、第五十六條において、一級国道及び二級国道について認めているのみであるにもかかわらず、道路法施行法案第一條中において、道路の修繕に関する法律を廃止しているが、わが国道路の現況にかんがみ、国道以外の道路の修繕に対しても、当分の間国庫補助を継続せしめる必要があるから、道路法施行法案において、道路の修繕に関する法律の廃止をやめること等の修正案でありました。
 次に、討論を省略し、ただちに修正案について採決の結果、多数をもつて可決し、引続き修正部分を除く原案について採決の結果、多数をもつて可決し、本法案は修正議決すべきものと決した次第であります。以上、簡單に御報告申し上げます。(拍手)
#26
○議長(林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。池田峯雄君。
    〔池田峯雄君登壇〕
#27
○池田峯雄君 私は、日本共産党を代表いたしまして、道路法案に対し、簡單に反対の意見を述べるものであります。
 この法案は、議員提出の議案であります。しかしながら、その本質は、実は建設省案なのであります。建設大臣は、かつて、その車中談におきまして、議員立法を何らかの形において押えたいというような発言をして、本院において重大な問題になつたことは、諾君御承知の通りでありますが、建設大臣は、今度は手をかえて、建設省案を議員立法という形に扮装して、この道路法案を出して来たのであります。形式は議員立法、内容は官僚案、または議員立法に官僚のオーケーをとつたもの、こういう立法の方法を慣習とすることによりまして、実質的には議員を官僚独裁の隠れみの、道具にしようという腹黒い陰謀があるといういうことを、この際指摘しておきたいと思うのであります。これこそ、まさにアメリカの支配が官僚を通じて依然として議会を抑制せんとする陰謀であるということであります。議員諸公は断じて官僚の道具になるなかれ、議員の権限としてまつたく自由な日本人の立場から立法しなさい、しからずんば、議会はみずからその墓穴を掘ることになろうということを、私はこの際警告しておきたいと思うのであります。
 さて、本法案において注目される点は、国道をわけて一級国道と二級国道となし、さらに高度の技術と機械力を必要とするものと、しからざるものとにわけておるという点であります。一級、二級国道とも、その路線は建設大臣がこれを指定するのでありますが、その路線決定の一つの要件として、特定重要港湾、重要な飛行場、国際観光上重要な地点等があげられているということは、この法案がだれのために道路をつくる法案かを明瞭に物語つているものであります。しかして、これらの道路のうち、高度の技術、機械力を要するものは建設大臣が新築または改築を行い、他は都道府県知事がこれを行い、建設大臣が行うものについては国が三分の二を負担し、その他については国が二分の一を負担するのであります。
 高度の技術、機械力を必要とするという国道、都道府県知事をして行わせることが不適当なりとして建設大臣が行わんとする道路とは、そもそもいかなるものでありましようか。政府は、本年度予算中に、神戸・東京間のいもゆる彈丸道路の調査費二千万円を計上し、そのうち外国人技術者招聘旅費八十六万四千円を計上しているのでありますが、これは明らかに、アメリカの技術をもつて、アメリカ軍隊のための軍事輸送道路を日本人の税金でつくる計画であることは、一点疑う余地がないのであります。高度の技術と機械力を要し、建設大臣がこれを施工し、重要港湾や飛行場を結び、都道府県をしてその三分の一の事業費を負担せしめんとする国道の新築、改築とは、まさにこの彈丸道路のごとき軍用道路以外の何ものでもないと思うのであります。
 しかして、これらの道路の維持管理は、都道府県が都道府県民の負担によつてこれを行うのであります。これすなわち、日米行政協定による米軍の用に供する軍用道路を、アメリカには一銭も負担させずに、日本人の税金で新設または改装し、その費用を都道府県及び市町村にも負担させ、高度の技術を要するものとして、アメリカの土建業者に金もうけをやらせようというものであります。また、かかる軍用道路の場合は国が三分の二を負担するが、しからざる場合は国が二分の一しか負担しないと規定したことは、アメリカの飛行場基地がある都道府県の道路費負担と、基地のない県の道路費負担とに差別をつけて、都道府県をして争つて基地誘致運動をやらせよう、基地反対の運動をこの点から鎮撫しようというねらいを持つているということを指摘しなけければなりません。これは都道府県道あるいは市道についても同様のことが言い得るのであります。すなわち、府県道あるいは市道中、資源の開発、産業の振興、観光その他国の施策上特に道路を整備する必要があると認められる場合に限つて、予算の範囲内において、その道路の新設、改築に国は二分の一の補助をすることができることになつております。
 吉田政府の施策中最も重要な施策は、首相がしばしが言明せるごとく、日本を反共のとりでにすることであります。日本をアメリカのアジア侵略の基地となし、それに協力する日本の再軍備、これが吉田政府の最も重要な政策であることは、全世界隠れもない事実であります。従つて、都道府県道あるいは市道中、重要道路として国が二分の一を補助する対象となる道路は、アメリカの基地や警察予備隊の駐屯地を起点とする道路以外のものではないのであります。従つて、それ以外の道路の新設あるいは改築は事実上不可能になつて来るのであります。政府は、そうすることによつて、都道府県や市をして軍用道路の建設に片棒をかつがせよう、これに協力せざる府県や市の道路は、どんなに住民が不便を訴えようと、政府の関知ぜざるところである。道路をよくしたければ警察予備隊誘致運動をやれ、アメリカの基地建設に反対するな、こういうたくらみをもつて、アメリカの作戰計画に即応した道路網をつくり上げようとするのが、すなわち本法案のねらいなのであります。
 かくして、日本国民は、国民が必要とする道路はつくられず、警察予備隊やアメリカ軍基地中心の道路政策によつて農地をつぶされ、家を立ちのかされ、そうして、いりもしない道路のために税金や分担金をとられるという結果になるのであります。従つて、町村道のごときはまつたく顧みられず、日本人の多くは、泥濘ひざを没するがごとき惡道を、はだしで歩かねばならず、国を縦横に走るアスファルト道路は、軍用自動車や外国の高級自動車がわがもの顔に走りまわるということになるのであります。こうするのが本法案のねらいであります。
 日本共産党は、かかる植民地的、軍事的道路法案に絶対に反対するものであります。(拍手)
#28
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#29
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
#30
○議長(林讓治君) 日程第四国際連合への加盟について承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長仲内憲治君。
    〔仲内憲治君登壇〕
#31
○仲内憲治君 ただいま議題となりました国際連合への加盟について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を報告申し上げます。
 本件は、三月二十九日、内閣から衆議院に提出され、本委員会に付託されましたので、四月二日から五月七日に至る間、七回にわたり委員会を開き、愼重に審議をいたしました。
 政府当局の説明によりますれば、国際連合は、第二次世界戰争中、昭和二十年六月二十六日、桑港会議におきまして締結された国際連合憲章により設立された一般的安全保障機構であります。一般的安全保障機構としては、第一次世界戰争を終結した平和條約により設立された国際連盟が最初のものでありました。国際連盟は戰争を防止することができず、第二次世界戰争となりましたので、別個の新しい構想による一層強力な国際安全保障機構の設立が要望され、その実現を見たのが国際連合であります。国際連合は、米、英、仏、ソ、中国の五国を初め五十一箇国をもつて発足いたし、その後九国の加盟を承認し、現在六十箇国で構成されております。現在までに加盟をした諸国のうちで、連合国の旧敵国であるイタリア、オーストリア、フィンランド、ブルガリア、ハンガリ及びルーマニアの加盟が実現しておらないばかりでなく、アイルランド、ポルトガル、トランスヨルダン、アルバニア、外蒙古、セイロン、ネパール及びリビアのような国の加盟も実現しておりません。さりながら、加盟申請国の加盟問題を解決するために、国際連合では従来種々努力が行われております。わが国は、平和條約の前文で国際連合ヘの加盟を申請する意思を宣言し、連合国はこのわが国の意思を歓迎いたしております。政府としては、なるべくすみやかに加盟申請の手続をいたしたい所存であるので、国際連合憲章及び同憲章と不可分の一体をなす国際司法裁判所規程について承認を與えられたいというのであります。
 続いて、委員と政府当局との間に活発な質疑応答が行われましたが、その詳細は委員会議事録に讓ることといたしまして、ここには政府当局の答弁のうち注目すべき二、三の点を指摘したいと存じます。
 一、国際連合憲章第四條は、国際連合へ加盟する條件の一つとして憲章に掲げる義務を履行する能力があることを要するとしておるが、一国が軍備を有することは加盟の條件ではない。憲章に掲げる義務のうち問題となるのは、第二條五の、加盟国は国際連合が憲章に従つてとる行動について国際連合にあらゆる援助を與えるという点であり、この援助のうちには、軍備を有する国の場合には、実力による援助を含むこともちろんであります。この規定は、永世中立国の地位とは両立しないものと公式に認められてあります。永世中立国は、国際連合憲章の期待しておる義務に応じ得ない性格の国家であるとしております。しかし、その他の国は、軍備を有していない場合でも、可能なあらゆる援助、たとえば基地の提供または物資の調達の援助を與えることにより憲章の義務を履行することができる。現に、軍備なきアイスランド、パナマ、コスタリカのごときも、ひとしく加盟国となつている。
 二、国際連合への加盟の手続として、安全保障理事会が総会に対し加盟承認勧告をなすこととなつており、米、英、ソ、仏、中国のいずれか一国が反対すれば勧告が成立しないことになるから、この障害は絶対的であり、日本の場合もその危険がある。しかし、国際連合に加盟が認められる前でも、オブザーヴアー派遣のできるよう、国際連合事務総長との話合いを本件加盟申請と並行的に進めて行きたい。
 三、国際連合の経費は、総会によつて割当てられるところに従つて加盟国が負担する。各加盟国に対する経費割当の基準は各加盟国の国民所得とし、たとえば米国は三六・九、英国一〇・五、フランス五・七%となつており、わが国が加盟する場合には一・六ないし一・七六%で、本年度の年額としては七十六万ドルないし八十四万ドルが推定されることとなるとの趣旨の答弁がありました。
 続いて討論に入り、自由党佐々木委員、改進党並木委員、第二十三控室社会党武藤委員、労働者農民党黒田委員からそれぞれ賛成の意見が述べられ、共産党林委員から反対の意見が述べられ、討論終結の後採決に入り、本件は賛成者多数をもつてこれを承認すべきものと議決した次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#32
○議長(林讓治君) 討論の通告があります。順次これを許します。林百郎君。
    〔林百郎君登壇〕
#33
○林百郎君 私は、ただいま議題になつている国連加盟について承認を求めるの件について、日本共産党を代表して反対するものであります。
 この件につきましては、共産党を除いては各派が賛成を委員会ではしたのでありますけれども、この賛成した諸君が、口先だけの賛成であつて何ら誠意がないどころか、これに対して何ら責任を持つておらないということは、きようの出席議員を見ましても、衆議院の全議員は四百六十六名でありますが、このうち出席している議員は、先刻はわずか七、八十名でありました。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)このことは、明らかに三分の一の定足数を欠くのでありまして、いかに賛成の諸君が、賛成と口先だけで言つても、本日のこの議決は無効であることを、あらかじめ私は宣言しておきたいと思うのであります。(拍手)
 先ほど、大体人数を調査しましたが、自由党の諸君は、二百六十七名中大体五十名、それから改進党は、六十名のうち大体四名程度、それから右派社会党は、三十三、四名のうち、わずか二名、左派社会党は、十九名中一名、共産党だけは非常に成績がよく、(笑声)二十三名中十一名であります。この事実を見ましても、賛成の諸君が、実際自信がないのか、あるいはまつく口先だけだということは明らかであり、この決定はまつたく無効であることを国際的に明らかにするために、私は日本の国会の記録に、このことを明らかにしておくのであります。(拍手)このことが国際的に明らかになるならば、いかに自由党が恥をかくか、またいかに自由党が国際的に責任を追究されるかということを、あらかじめ私は警告しておくのであります。(拍手)
 そこで、まず第一に問題になりますのは、言うまでもなく、国連に加盟する條件の第一は、完全に独立した国であるということであります。独立した国でなくて国連に加盟するということは、まつたく不可能なことであります。しかるに、日本の場合を考えてみますと、占領軍が駐留軍と名を変えただけであつて、依然として日本を占領していることは、これは否定できないのであります。そして、事実上完全に外国の支配下にある国が、どうして主権平等の原則に基礎を置く国連に加盟することができるでありましようか。もしアメリカが真に日本の国連の加盟を支持し、また吉田内閣自体が、それを真に実現したいというならば、まず諸君は、国連へ加盟するというようなことを提案する前に、日本に駐留するアメリカの実質的な占領軍を即時撤退させること、そして日本の主権を完全にアメリカの手から日本へとりもどして、名実ともに独立国家にすることなくして、国連加盟の提案のごときは笑止千万なのであります。(拍手)
 さらに、アメリカがほんとうに日本の国連加盟を支持するというならば、国際連合加盟の国の間には、国連憲章に従つて主権平等の原則が尊重されることになつておるのであります。そして、国連憲章に明らかなように、国連加盟国相互の間には信託統治制度は適用がいということが、はつきりきめられておるのであります。従つて、アメリカが真に日本の国連加盟を支持するならば、国連憲章で禁止せられておる信託統治制度は、すみやかにこれは廃止すべきであつて、すなわち、沖繩、奄美大島、小笠原諸島に対する信託統治の要求は、ただちにこれを撤回して、その主権を即時かつ完全に日本に復帰させるべきであります。(拍手)このような国連憲章に従う具体的な処置の裏づけがない限り、いかに口先だけで国連加盟の提案をしようと、これは実際は、占領を継続することを合法化するための、あたかも日本が独立したような幻想を與える欺瞞手段にすぎないのであります。
 その次に、国連の加盟の第二條件は、諸君も御存じの通りに、大国一致の原則が守られなければならないのであります。言うまでもなく、国連を貫く精神は、第二次世界戦争における旧敵国であるところの日独伊などの軍国主義の侵略政策の再現を完全に阻止して、国際の平和と安全を確保するために、世界の平和について責任を持つ米、英、仏、ソ、中国などの常任理事国である五大国が互いに協力をすることであり、このために五大国に拒否権を認めておるのであります。要するに、国連を貫く根本的な精神は、大国一致の原則であります。しかるに、日米両国は、口では国連加盟を言いながら、実際は日米の反動勢力は、この国連の精神であるところの、協調一致すべき常任理事国であるソ同盟及び当然常任理事国でなければならない中華人民共和国、この二国を仮想敵として、日米安全保障條約と、行政協定による軍事同盟をとりきめておるのであります。それのみではなくして、日台條約……(「中ソ條約はどうだ」と呼ぶ者あり)中ソ條約というのがありますが、これは国連憲章によつて、旧敵国に対して国連加盟国がいかなる措置をとつても許されるということは、あなた自身、国連憲章で明らかに知つておるところじやないですか。ところが、旧敵国と常任理事国の一国が、大国一致の原則で貫かなければならないのに、常任理事国の二国を仮想敵とするかのような軍事同盟をして、しかも最近は日台條約を締結し、中華人民共和国に公然と挑戰をして、ソ同盟から引渡しを要求されておる細菌の戰犯石井元中将のごときを保護して、朝鮮戰線における細菌戰に事実上協力しでおるのであります。
 このように、明らかに五大国一致の原則に貫かれておる国連の機構をまつたく破壊するようなとりきめを一方でしておきながら、どうしてこのような国の国連加盟が、ソ同盟を含めての常任理事国の承認を得ることができましようか。こんなことは、三才の童子でも明らかであります。だからこそ、本日自由党の諸君は、もう国連に加盟することができないということがわかつておるから、このように熱意が全然ないのであります。このことは明らかであります。
 そこで、アメリカ並びに吉田政府が真に日本を国連に加盟させることを望むならば、まずなすべきことは、日本とアメリカとの問の単独講和はこれを廃棄する。さらにアジア侵略のための安全保障條約、行政協定を廃棄して、中国、ソ同盟をも含めて全面講和を締結すべきであります。このようなことをすることなく、これを完全に無視していながら、国連に加盟するというようなことは不可能なのであります。このように、吉田政府がアメリカ帝国主義者とともに国連憲章を無視し、国連の機構を完全に破壊するような犯罪を犯しているがゆえに、常任理事国の一国であるソ同盟としては、日本の国連加盟について拒否権を行使せざるを得ないことは、想像にかたくないのであります。このことは、すでに吉田政府並びにアメリカ自身もよく知り抜いている。委員会における政府の答弁によつても、ソ同盟の拒否権ということについては、当然これを予想しているのであります。それにもかかわらず、このような国連加盟の提案をする真意は一体どこにあるのであるか。
 まず、そのねらいの第一は、かりにソ同盟が拒否権を行使した場合に、ただちにこれを反ソ、反共の宣伝の口実として、日本国民を反ソ戰にかり出すための道具に用いようとしておるのであります。そのことは、委員会における自由党の諸君の討論を聞きましても、あるいは政府の答弁を聞きましても、口を開けばイタリアの例を出すのであります。イタリアの国連加盟についてソビエトが拒否権を行使したようなことを言つておるのであります。ところが、事実はどうであつたか。イタリアの国連加盟については、ソ同盟から人民民主主義国との一括国連加盟が提案されて、このソ同盟の決議案は、政治委員会では圧倒的に支持を受けたのであります。また総会においても、賛成多数を得たのであります。ところがアメリカは、人民民主主義国とイタリアとの一括国連加入について反対したために、過半数を得ることができずに、やむを得ずイタリアの国連加盟が不可能になつたことは明らかであります。従つて、イタリアの国連加盟の不可能であつたことは、アメリカが自分の支配下にある国だけを国連に加盟させようとしたこの利己心に基因しておることは、これは明らかであります。しかるに、日米反動勢力は、あたかもイタリアの国連加盟の不可能がまつたくソ同盟の責任であるかのごとく、これが妨害をしたことく言いふらしているのは、これは事実をしうるもはなはだしいのであります。
 このような提案をする第二のねらいは、国連の名のもとに、日本をアメリカの戰争政策に協力させる下準備として、日本の国連加盟を日米の反動勢力が提案しているのであります。今日の国連は、諸君も御存じの通りに、平和のための機構ではなくして、米英によつて、戰争政策を国連の名のもとに遂行する欺瞞的な手段に堕落させられておることは、国連におけるアメリカの態度を見なければ明らかであります。(拍手)もし真に国連を世界平和のとりでとして使うならば、なぜ中国の国連加盟をアメリカは拒否しておるのでありますか。なぜ原子兵器の製造の即時停止の提案をアメリカは拒否しておるのか。さらには、国連警察権行使の名のもとに、アメリカの朝鮮、台湾に対する侵略戰争を国連で認めておるのであります。アメリカは、自分の戰争計画遂行のために、諸民族の自主権を奪つて、これを自分の戰争政策遂行に賛成する投票の機械に堕落せしむるのみではなくして、さらには、自分の支配下の国々の物的、人的資源をあげて自国の戰争政策に協力させるために国連を利用しておるのであります。(拍手)このことは、吉田・アチソン交換文書にはつきり書いてある。しかも問題になるのは、朝鮮休戰会談が危機に臨んでおるときに、日本の国連協会の会長である佐藤参議院……。
#34
○議長(林讓治君) 林君、時間が過ぎております。簡單に願います。
#35
○林百郎君(続) 佐藤参議院議長の発表した国際警察軍の編成、すなわち、アメリカのための太平洋統一軍結成の構想によつても、このことは明らかであります。
#36
○議長(林讓治君) 林君、約束の時間が過ぎております。
#37
○林百郎君(続) だからこそ、われわれはこれに反対する。
 しかしながら、諸君、このアメリカの陰謀が、国連においてもだんだん反撃を受けておる。本年一月二十五日、国連政治委員会においては、ソ連の提案した決議案、すなわち、アルバニア、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、外モンゴールの人民民主主義国と、フインランド、アイルランド、イタリアその他の九つの資本主義国を同時に国連に加盟させるということを要求した提案が、アメリカの猛烈な反対を押し切つて、圧倒的な多数をもつて採択されておるのであります。六十箇国から成る政治委員会が、アメリカの猛烈な反対にもかかわらず、ソ連の重要な決議案を採決したのは、国連史上初めてのことであります。また同日、国連社会人道文化委員会は、アラブ及びアジア十一箇国が提出とたところの民族自決を基本的人権として認めて、これを国際人権宣言に含めるという決議案が、ソ連その他アジア、アラブの民族独立を闘いつつある平和勢力の三十三票の賛成と、アメリカ、イギリス、フランスその他西欧諸国のわずか九票の反対によつて、圧倒的に可決されておるのであります。このことは……。
#38
○議長(林讓治君) 林君、約束の時間が過ぎております。
#39
○林百郎君(続) 真に民族独立の味方となる国はどこであり、それを抑圧しようとしてやる国はどこであるかを明らかに示しておると思うのであります。
 私は時間が参りましたから結論を申します。そこで、日本においても、国民は今や吉田政府のアメリカへの屈従外交政策に対して……。
    〔「時間が過ぎた」と呼び、その他発言する者多し〕
#40
○議長(林讓治君) 林君、時間が過ぎております。
#41
○林百郎君(続) 外交政策に対して何らの期待も希望も持つていないのみか……。
#42
○議長(林讓治君) 林君、発言中止を命じます。――降壇を命じます。
    〔林百郎君発言を継続〕
#43
○議長(林讓治君) 降壇を命じます。
    〔林百郎君なお発言を継続〕
#44
○議長(林讓治君) 執行を命じます。
 佐々木盛雄君。
    〔佐々木盛雄君登壇〕
#45
○佐々木盛雄君 私は、自由党を代表いたしまして、国際連合への加盟に承認を與えることに賛成の見解を表明せんとするものであります。
 第一次大戰における深刻なる惨禍を浴びた人類が創造いたしました世界平和の殿堂は国際連盟であり、そうして二次大戰における戰史未曽有の損害をこうむつた人類が打立てましたものは国際連合でございます。さきの国際連盟にせよ、今日の国際連合にせよ、世界の平和と安全を確保することを目的としたものである点におきましては同じ理想の上に立つものではありますが、さきの国際連盟におきましては、アメリカが参加せず、日本、ドイツ、イタリアが相次いで脱落し、ソ連また除名され、しかも侵略国に対する有効なる制裁力を持たず、遂に国際連盟は砂上の樓閣としてついえ去つたのであります。この苦き経験にかんがみ、今日の国際連合には特に安全保障理事会を設け、侵略国に対しては、それが加盟国たると非加盟国たるとを問わず、軍事的制裁を行使すべきことを規定いたしておるのでありまして、国際情勢の現段階におきましては、国際連合をもつて世界の平和と安全を保障する最も理想的な機関といわなければなりません。敗戰によつて身に寸鉄を帶びざる日本が、その平和と安全を確保する最も有効なる方途が国際連合への参加であることはいうまでもないのであります。(拍手)
 日本は、さきに締結されましたサンフランシスコ平和條約並びに日米安全保障條約におきまして、国際連合への加盟を申請し、かつあらゆる場合に国際連合憲章の原則を遵守する旨を宣明いたしておるのであります。従つて、日本の国際連合への参加は、今日あらためて甲論乙駁すべきものではなくして、すでに昨年九月八日、サンフランシスコにおける平和條約並びに日米安全保障條約調印の日に確定いたしておるところでありますから、両條約を圧倒的多数をもつて承認いたしましたわが国会といたしましては、国際連合への参加にもまた圧倒的多数をもつて承認を與うべきことは論をまたないのであります。(拍手)ただ私は、この機会に、国際連合への加盟に関連する二、三の点について、一部国民の間に存在する誤解を解消するとともに、政府に対する希望を申し上げておきたいと思うのであります。
 まず第一には、国際連合への加盟と日本の再軍備との問題でございます。今日、一部国民並びに政党の間には、国際連合への加盟條件として、日本の再軍備を強調する向きがあります。もとより、国際連合憲章は、加盟国は侵略国に対して共同の軍事的協力を行うべきことを規定いたしておりますし、この軍事的協力こそが集団安全保障体制の特質であるとも言い得るわけであります。しかしながら、近代戦争の性格は、必ずしもいわゆる旧観念に基く軍備のみをもつて軍事的協力の單位とはしないのでありまして、軍備なき日本といたしましても、一朝有事の際には、あるいは港湾や基地その他施設の提供や、必要なる便宜の供與、あるいは経済制裁への参加等をもつて、加盟国としての国際連合憲章の義務をりつぱに遂行し得るのであります。
 自国を自国の手で防衛し得るに足る軍備を持つにあらざれば国際連合加盟国としての役割を果し得ないとして、日本の再軍備を国際連合加盟の先決條件なりと主張する向きもあります。しかし、近代戦争の性格は、同時に世界のいずれの一国たりとも、自己の軍備のみによつて自国を完全に防衛し得ないところにあるのでありまして、それゆえにこそ、集団安全保障機関としての国際連合が生れたわけであります。かりに、国民の耐えがたき犠牲をも顧みず、一部の主張するごとく、二十箇師団の軍隊を即時再建したといたしましても、それによつて完全に国土を防衛し得ないことは、今日のアジアの情勢によつて明らかなところであります。しかりとするならば、少くとも現段階におきましては、いたずらに極端なる再軍備論に狂奔するよりも、一刻もすみやかなる国際連合への加盟によつて個別的並びに集団的自衛を全うすることこそ、現下の急務と信ずるのであります。(拍手)
 次には、国際連合への加盟と永世中立との関係でございます。今日、一部国民並びに政党の間には、一面において永世中立を唱え、他面において国際連合への加盟を主張するものがありますが、これほど矛盾撞着のはなはだしいものはないのであります。かつての国際連盟時代におきましては、ルクセンブルグとスイスは軍隊を持つておりましたけれども、永世中立国家として、兵力制裁参加の義務を免除されておつたのであります。しかしながら、ルクセンブルグは第二次世界大戦において連合国に参加いたしましたので、今日では永世中立国ではなくなり、その結果、永世中立国はスイス一国となつたのでありますが、一九四五年四月、サンフランシスコにおける国際連合憲章作成会議におきまして、永世中立の地位は、安全保障理事会がとる軍事行動の原則と両立し得ないから、いかなる国も、永世中立の地位を援用して国際連合憲章の義務を逃れることはできないとの結論に到達いたしましたため、永世中立国であるスイスは、かつての国際連盟には加盟いたしておつたのでありますが、今田の国際連合には加盟できないことになつたわけであります。これによつても明らかなことく、国際連合の一員たらんことを欲するものが永世中立論を唱えるがごときことは、まさに論理の矛盾といわんか、愚かといわんか、いたずらに世道人心を惑わす以外の何ものでもないのであります。(拍手)また共産党の国際連合参加反対論のごときは、世界侵略の常習犯であるソ連をして……(「どつちが侵略しておるのだ」と呼び、その他発言する者あり)日本を侵略せしめんとする陰謀であることは言うまでもありません。(拍手)
 最後に、私は政府に特に要望しておきたいことがあります。政府は国会の承認を得て国際連合への加盟の手続を遅滯なく行うべきはもちろんでありますが、さりとて、日本の加盟が実現するまでには幾多の困難があり、なかんずく安全保障理事会におけるソ連の拒否権が最大の難関であろうと想像されるのであります。国際連合が発足以来、今日までの間において、ソ連が拒否権を行使すること実に五十数回、世界平和と安全を確保せんとする国際連合の機能は、ソ連の理不盡きわまる横車によつて常に甚大なる支障を来しておることは、世界周知のところであります。(拍手)従つて、自由主義国家陣営の日本に対する友好的な態度にもかかわらず、日本の国際連合への加入は、常任理事国たるソ連の拒否権発動に妨げられて、少くとも現状のままにおきましては不可能に近いほどの困難をも想定しなければなりません。しかしながら、たといソ連の拒否権行使のために加盟が認められない場合におきましても、現にイタリアはニューヨークの国際連合本部に連絡部を置き、国際連合と緊密に協力をいたしておるのであります。日本もいまだ国際連合加盟国ではないのでありますが、国際連合の専門機関である食糧農業機関、万国郵便連合、国際電気通信連合、国際労働機関、世界保健機関、ユネスコ等にすでに参加して、国際連合に協力いたしておるのであります。ゆえに、日本政府といたしましては、イタリアの場合のごとく、国際連合に対し日本連給部ないしオブザーヴアーの派遣をすみやかに実現し、国際連合の経済的、往会的、文化的活動に協力するとともに、世界の平和と安全のために国際連合への協力が実質上可能となる措置を講ずべきことを強く要請いたしまして、私の賛成討論を終る次第であります。(拍手)
#46
○議長(林讓治君) 並木芳雄君。
    〔並木芳雄君登壇〕
#47
○並木芳雄君 私は、改進党を代表して、本案に賛成の意を表明いたします。
 国連加盟については、四月二十八日、條約発効の日、本院において決議案を上程可決いたしました。わが改進党としても、その一日もすみやかならんことを願つてやまないものであります。しかしながら、現内閣のもとで、はたして国連加盟が促進され得るやいなやについては多大の疑問を抱かせられますので、今後の政府の外交方針に対し、強い要望を付しておきたいのであります。元来、国連加盟には二つの大きな障害が横たわつておつたのであります。その一つは、国連の義務と責任を果すために、自国の軍隊を持たなければ加盟ができないのではないかということでありました。もし、これが條件であるとしたなら、憲法において軍備を放棄した日本の場合、何らかの特例が認められなければ加盟ができないわけであります。この点、最初は明確ではなかつたのでありますが、このたびの本案審議において、自国の軍隊を持つことは條件でないということがはつきりしたのであります。また、たとい軍隊を持つても、国連の要請に従つて出動しなければならないという強制的義務を負うものでないこともはつきりしたのであります。
 そこで、ここに注意しておかなけなればならないのは、だからといつて、これをよいことにして、自分の国を自分で守るという自主的精神を忘れて、自衛力確立を怠るようなことがあつてはならないということであります。現内閣のように、性格のあいまいな警察予備隊をもつて事足れりとするがごときは、日本の独立精神を減殺する以外の何ものでもないのであります。また、警察予備隊なら海外に出さなくて済むが、軍隊にすれば海外に出なければならないから再軍備をしないのだと説く一部與党議員の説は誤りであつたことを指摘しておかなくてはなりません。予備隊であろうと軍隊であろうと、政府が出動させぬとの決意さえすれば、絶対に出さなくても済むのであります。国連から強制的に押しつけられることはないのであります。従つて、自衛軍隊を持つべきかいなかの問題は、国連から義務づけられるからとか、義務づけられないからとかの議論から全然かけ離れて、日本独自の立場からきめて行くべきであります。この点において、われわれは自主独立のために自衛力確立を急ぐべきであるとの見解を有するものでありますがゆえに、政府に対し特別の注意を喚起しておくものであります。
 国連加盟について、もう一つ大きな障害は、せつかく国連加盟の申込みをしても、ソ連の拒否権行使によつて実現できないのではないかという点であります。この点、政府はいかなる見通しを持つているかということを、繰返しただしたのであります。残念ながら、政府としては悲観的であります。ただ、何らかの便法がとられるのではないかと申しております。その便法とは、しからばどのようなものであるかという点になると、單に漠然たる気休めの観測にすぎないのであります。これには、われわれ大いに失望しているのであります。
 わが国は、今や占領下から解放されて、自主独立の外交ができるようになつたのであります。政府はすべからくソ連との外交折衝を展開して、もろもろの懸案を解決するとともに、ソ連をして拒否権を行使せしめることなく、わが国が堂々と国連に加盟できる道を開いて行かなければならないのであります。西欧諸国との友好関係を持続するとともに、アジア諸国との善隣外交の必要性については、これまた四月二十八日の決議に盛られておるのであります。現内閣に、この決議に答える熱意と方法があるかどうか。政府は、みずから民主主義、自由主義陣営を小さいからに縮めてしまつて、無理に共産主義陣営と対立せしめ、必要以上に一方的色彩を濃くしているきらいがあります。これは、最近の吉田首相の言動からも、また外務省から発表された「独立日本と世界の動き」を見ても、その感を深くするものであります。国連加盟の最大目標は、かかる両陣営の対立を緩和し、真に世界の平和をもたらすことにあるのでなくてはなりません。しかるに、現政府のごとき一方に偏した態度を固執するにおいては、かえつてこの対立を激化せしめるおそれがあるのであります。政府はよろしく自主性を発揮し、ソ連に対し要求すべき点は要求し、諸懸案解決に努力するとともに、国交打開をはかり、両陣営対立を冷却せしめることに重要な役割を果すべきであります。これがわれわれの念願であり、これが国連加盟によつて生ずる効果への期待であります。
 以上の希望條件を付し、賛成の討論を終りたいと思います。(拍手)
#48
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#49
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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