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1951/06/26 第13回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第013回国会 本会議 第61号
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1951/06/26 第13回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第013回国会 本会議 第61号

#1
第013回国会 本会議 第61号
昭和二十七年六月二十六日(木曜日)
 議事日程 第六十号
    午後一時開議
 第一 臨時石炭鉱害復旧法案(内閣提出)
 第二 航空機製造法案(内閣提出)
 第三 閉鎖機関令の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 連合国財産の返還等に関する政令等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 自転車競技法等の一部を改正する法律案(参議院提出)
 第六 議員風早八十二君懲罰事犯の件
 第七 議員林百郎君懲罰事犯の件
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 吉田内閣不信任決議案(北村徳太郎君外十二名提出)
 日程第六 議員風早八十二君懲罰事犯の件
 日程第七 議員林百郎君懲罰事犯の件
 日程第一 臨時石炭公害復旧法案(内閣提出)
 日程第二 航空機製造法案(内閣提出)
 日程第三 閉鎖機関令の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 連合国財産の返還等に関する政令等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 自転車競技法等の一部を改正する法律案(参議院提出)
    午後一時二十六分開議
#2
○議長(林讓治君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、北村徳太郎君外十二名提出、吉田内閣不信任決議案、及び井之口政雄君外二十二名提出、吉田内閣不信任決議案の両案は、いずれも提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際逐次議題となし、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 まず北村徳太郎君外十二名提出、吉田内閣不信任決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。北村徳太郎君。
    〔北村徳太郎君登壇〕
#6
○北村徳太郎君 私は、共産党を除く野党全部を代表いたしまして、ただいま上程されました吉田内閣不信任決議案の趣旨を弁明せんとするものであります。決議案は、
 衆議院は、吉田内閣を信任せず。
 右決議する。
というのであります。(拍手)
 吉田内閣の不信任に関しましては、多くの言葉を費す必要はないほどに、それは今や動かしがたい輿論であります。特に最近、吉田内閣の退陣要求は、世をあげての国民的常識であると申してよろしい段階に来ておるのであります。(拍手)わが国外交界の長老の人たる吉田茂翁は、まれに見る独裁者であり、またわが国会史上比類なき国会軽視者であることは、その政治並びに国会行動において顕著な事実であります。その吉田翁を首班とする吉田内閣の性格が、近代民主主義とはおよそ縁遠いものであることも、また論理の当然であるといわなければなりません。(拍手)しかも、なおかつ、私が以下吉田内閣不信任の理由を若干述べようといたしますのは、吉田内閣の相次ぐ失政の一斑を正確に国民の前に明らかにすることもまた必要であると信ずるからであります。(拍手)
 まず第一に、吉田外交の失敗でありまするが、吉田外交は秘密主義、独善主義をもつて貫きました。日本国としての自主性をまつたく喪失いたしました。日本は現に民主主義陣営に属しておりますから、その限りにおいて、米国等の政策に協力することも必要であると思う。しかし、独立日本が自主性の上に立つて米国の政策を批判してはいけないというりくつはない。吉田外交の自主性喪失の結果は、たとえば行政協定となつて現われております。行政協定に基いて、その後に起つて来た具体的な事実は、何よりも日本全国土を、どこでも、ほとんどほしいままに、無條件、無制限に基地化したことであります。
 吉田首相は、かつて国会で、軍事基地や再軍備は考えておりませんと明言されたのであります。しかし、それは真実ではなかつた。それは明らかに偽りでありました。(拍手)吉田内閣は、わが国自体がすでに侵略の危険にさらされておるということを言つて、この危機感を国民に大げさに宣伝することによつて、行政協定がいかに片務的、いかに屈辱的であつても、それが正当であるかのような理解を国民にしいようといたしたのであります。このようなやり方は、かつての日華事変、太平洋戦争前の日本軍閥の宣伝とまさしく軌を一にするものでありまして、国民を欺瞞することはなはだしいものであります。(拍手)行政協定の内容はたとえばアメリカ・フイリピン協定に比較してみましても、はるかに屈辱的な、独立国の体面を汚すものであります。また、このような基地化による圧迫は、現に地方の政治及び財政の上に早くも具体的に現われて参りまして、関係地方の知事や市長が困り果てて、すでに事実をあげて政府にその応急対策を迫つておることは周知の事実であります。
 さて、日本が民主主義陣営に属しておるということは、他の諸国を無視し、または他の諸国を無視してよいということではありません。しかるに、自主性を失つた吉田外交は、日本をしてアジアの孤児たらしめようとしておる。吉田内閣は、みずからかきねをつくることによつて日本の経済自立の通路をふさいでおるのであります。(拍手)この失敗の外交は、ひとり日本国の不幸であつたのみならず、日本国民の一部に反米感情を誘発したり、日本と米国との友好関係にみぞをつくつておるのであります。そしてまた、日本とアジア諸国、米国とアジア諸国の間にも大きなみぞを掘りつつあるのであります。
 吉田内閣の第二の失政は、その経済政策であります。吉田内閣は、不用意なる自由経済政策の強行によりまして、国民経済を弱体化し、社会不安を激化させたのであります。太平洋戦争によつて、一挙に巨大なる蓄積を失つた日本の経済は、戦後において、欧州諸国におけるような経済復興のための手厚い援助を受けることなく、むしろボーレー賠償案や生産制限措置等を通じて、その復興を抑制されたような点さえあつたのであります。そのようにして弱化した日本経済を、手放しで、国際的な経済競争場裡に裸のままで出発させるということがいかに無謀な政策であるかは多言を要せぬところであります。(拍手)日本経済は、たちまちにして、輸出の不振と、恐るべき経済破綻とに見舞われ、次いで朝鮮事変を神風として、もつぱら米国の軍拡経済に依存することとなつたのであります。他国の軍拡をあてにして国民経済を指導するなどということは、危険きわまる政策といわねばなりません。(拍手)日本経済は、このようにして、今や米国の意のままになる経済、米国の意思に反して何事もなし得ない従属的なものとなり下つてしまつたのであります。貿易においては、その必要を痛感しながらも、中国本土との貿易を禁じ、中小企業の広汎な荒廃を眼前にしながらも、何らの施策も行い得ないで、大企業と中小企業との落差を一層拡大し、ここに深刻な社会的問題をさえ引起していることは、諸君の御承知の通りであります。(拍手)
 戦争によつて著しく弱体化し、国際的に立ち遅れました日本経済の再建には、もとより急速なる資本の蓄積が必要であります。しかし、経済の本質は、国民生活の向上でなければなりません。資本の蓄積に性急の余り、国民生活を犠牲にするということは、本末を転倒した政策であります。(拍手)労働災害の頻発や、最近における労資紛争の激化は、まことにこのような経済政策における本質を忘却したことから起るところの当然の帰結と申さねばなりません。(拍手)また、このような経済政策における指導的な理念の忘却から、最近では国際的不況に対する日本の経済の弾力性喪失の恐るべき結果が生じつつあります。これらの事実は、自由党内閣が、長期の見通しと総合計画性を欠いた、その日暮しの自由放任政策で、手放しでもつて日本経済の崩壊過程を見送つているという現状を物語るものであります。(拍手)
 正しい政治は、何よりも人を高く物を安くという人命尊重を基軸とするものでなければなりません。すなわち、もし一人の飢える者があつても、おのれを罪するくらいの精神を持たずして国政を担当いたしますならば、それは免れて恥なしであります。東洋古来の政治道徳は、民をたつとしとなし、社稷これに次ぎ、君を軽しとなすと教えています。しかるに、今日の自由党政府の政治道徳は、吉田茂翁をたつとしとなし、自由党これに次ぎ、国民を軽しとなすを原則としているように見受けられるのであります。(拍手)
 民主政治の基礎は、いうまでもなく基本的人権の尊重であります。いうところの公共の福祉なるものも、要は、一人々々基本的人権がいかなる侵害からも守られることを意味するものと言つてよいのであります。しかるに、自由党政府は破防法案審議の際の答弁に見られるように、基本的人権と公共の福祉とをあたかも対立するかのごとくに解釈し、しかもその公共の福祉を代表するものは自由党政府自身であるかのごとき思い上つた態度を示しているのであります。(拍手)これは、安寧秩序の名のもとに一切の政府批判の言論を封殺した、かつての藩閥政府、軍閥政府の態度とまつたく異なるところがないのであります。(拍手)殷鑑遠からず、吉田内閣こそ、独立日本の民主政治に対してまず破壊活動をあえてする団体として、最初に規制さるべきものであります。(拍手)
 国会は国権の最高の機関である。占領下にあつては、その最高機関にもいろいろな制約が加えられたのは、やむを得なかつたところであります。しかし、待望の独立が実現して、国会が文字通り真の最高機関となつた今日、吉田首相のごとき国会無視、憲法無視の政治家を行政府の首長とせねばならぬとするならば、これこそ独立日本の国民にとつて耐えがたい不幸であると申さねばなりません。(拍手)憲法を無視して、実質的再軍備の既成事実をつくり、国権を濫用する治安立法をあえてしながら、しかも愛国心の高揚を口にし、また道義心の振興を国民に要求する吉田首相の独善ぶりは、それ自体愛国心をしぼませ、それ自体道徳心を根こそぎにするものと申さねばなりません。(拍手)
 反動内閣と称せられる吉田内閣のすべての施政は、主権在民の精神を忘れ、政府は万能、国民は無能という信念の上に行われているとしか思えないのであります。(拍手)すなわち、吉田内閣には行政あつて政治なし、この言葉はまさに吉田内閣のために準備せられた言葉であると断じてよいと思うのであります。(拍手)国民は常に治められるもの、取締られるものとしてのみ扱われているのであります。
 今や、吉田内閣の退陣を望む声は、たんぼの中からも、ちまたにも、工場の中からも、ビル街からも、さらには研究室の窓からも、家庭の台所からも、あらしのように沸き起りつつあります。(拍手)民の声は天の声であります。もしこの天の声を黙殺して、自由党内閣がこの上なお権力の地位に恋々たる態度を示しますならば、国民は議会政治の前途を見失い、生れたばかりの民主日本の態勢は音を立ててくずれ去るでありましよう。(拍手)今日のような暗い政治――ルーマニアのゲオルギユではありませんけれども、このままの日本の政治の暗さでは、国民待望のあけぼのを迎えずに二十五時に突入する危険をはらんでおるのであります。(拍手)この際かかる危機を救うただ一つの方法が残されている。それはほかではありません。この吉田内閣が、外交の失敗、積年にわたる秕政に顧み、すみやかに退陣するの一事あるのみであります。(拍手)
 以上が、吉田内閣を信任せざるゆえんであります。(拍手)
#7
○議長(林讓治君) これより討論に入ります。山口喜久一郎君。
    〔山口喜久一郎君登壇〕
#8
○山口喜久一郎君 ただいま上程されました内閣不信任案に対して、自由党を代表して反対の意思を表明しようと思います。(拍手)
 北村君が読み上げられましたる不信任案の主文及び思い上つた書生の空論的経済論等を集約いたしますれば、吉田内閣の不信任の理由は、積年にわたる内政の失敗と、独立後の外交に自主性を欠いたという点にあつたのであります。まず私が冒頭諸君に一矢を報いたいことは、およそ内閣の不信任案を提出さるる以上は、みずから吉田内閣にかわつて政権を担当するところの自信をお持ちであるかどうかということであります。(拍手)しかして、また、内閣不信任案提出の時期は、内閣に重大な失政があり、国民大多数の信頼が失われたときにのみその意義があり、かつその効力が発生するものであるということをも御承知であるかどうかということである。以下、順を追いまして、不信任案提出の理由が荒唐無稽であり、時期的に見ても失当なるゆえんを明らかにして、諸君の蒙を開かなければなりません。(拍手、笑声)
 すなわち、北村君は、吉田内閣成立以来三年有半の偉大なる功績を批判する前に、片山内閣、芦田内閣が何をなし、また何によつて短命に終つたかをこの際回顧される必要がある。(拍手)しかして、昭和二十四年の総選挙において、わが党が圧倒的大勝を博するや、諸君は、自由党はできもしない公約を羅列して国民をつつたんだという負け惜しみさえも言つたのであります。しかも、当時きびしかつたドツジ・ラインや経済九原則のもとにおいては、北村君が御自慢でこしらえられたるところの取引高税の撤廃、その他幾多の公約が実行できないであろうとさえも揶揄されたではありませんか。しかして、吉田内閣は、諸君の内閣同様、短命に終ることを期待されたはずであります。しかるに、何ぞはからん、われわれは幾多の困難を排除して、取引高税の撤廃はもとより、公約に盛られたあらゆる統制の排除、行政整理の断行、生産の増強、税制の改革、行政機関の改革等を断行したではありませんか。(拍手)われわれが公約に向つて忠実にこれを断行するや、諸君は、吉田内閣攻撃の辞柄に窮して、吉田内閣はいささか公約を実行し過ぎるの感ありとさえ言つておるではありませんか。(拍手)このたくましい実行力のもとに、今や庶政刷新の最後の段階にあるわが吉田内閣が、今ごろ退陣すべき理由はこれほどもないのであります。(拍手)
 また外政の面におきましても、歴史上比類なき成功を攻めた講和條約の締結には、諸君の中から苫米地全権さえも出たではありませんか。この講和條約の締結に基くところの対外的善後処置を急がねばならぬ、きわめて重大なる時機であります。また、通商航海條約のとりきめ、賠償、外債の処理を急ぐとともに、今期国会は独立後最初の国会であり、明治以来類例を見ざるところの審議すべき重要案件が山積しておることは、諸君すでに御承知の通りであります。しかるに、諸君は、参議院における一部のきわめて低劣なる議事妨害や審議遅延に狂奔する人々の非立憲的な行動を支援するかのごとく、またこのこと自体が政府の責任であるかのごとく吹聽し、これに便乗し、政府不信任の理由の一つに加うるがごときは、みずから審議権を軽視するものといわなければなりません。(拍手)国会の権威を失墜せしめんとするものは、むしろ諸君ではないか。厳粛な国民審判の前に、国民大衆から不信任を受けるものは、むしろ諸君であらなければならぬのであります。(拍手)
 かくのごとく論じ来れば、この不信任案は、諸君の自己陶酔、自己慰安の一環として、年中行事的野党攻勢の一つであるならば、これもよろしい。しかして、自己の無力と無能をいささかでもカバーすることに役立つこともよろしかろう。しかしながら、国民は愚かではありません。諸君の吹き鳴らす笛に国民はおどらぬではありませんか。最近、あるいは世間の、重要法案をすみやか議了して近き機会に国会を解散すべしとの声にも、われわれは耳を傾けております。また、これに傾けるのにやぶさかではありません。だが、諸君の渇望するところの吉田内閣不信任の声には、遺憾ながら国民がおどらぬではないか。むしろこれは、諸君のために悲しまざるを得ないのであります。このことは、諸君が吉田内閣にかわつて天下に号令する気魄なきことを国民諸君が十分知悉するがゆえであろうと私は信ずるのであります。(拍手)
 以上の観点から、内閣成立以来三年有半、内外に偉大なる功績をあげて今日に至つた吉田内閣を信任こそすれ、不信任の理由なきことを明らかにすると同時に、やぶから棒のように、理不盡にも火炎びんを投げつけて内閣不信任案を提出するがごとき、無知にして勇敢なる諸君の内閣不信任案に対しては、断じて反対いたすものであります。(拍手)
#9
○議長(林讓治君) 淺沼稻次郎君。
    〔淺沼稻次郎君登壇〕
#10
○淺沼稻次郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました吉田内閣不信任案に賛成の意を表明し、政府を彈劾いたしまして、即時退陣を要求するものであります。(拍手)
 ただいま、山口君から、時代離れをいたしましたところの反対演説を聞いたのでありまするが、吉田内閣は組閣をしてから三年六箇月になるのでございます。同じ水を同じ容器の中に三年六箇月も入れるならば相当腐るものであるということを、まず私は知つておかなければならぬと思うのであります。(拍手)そういう意味合いから、私は以下賛成の理由を申し上げてみたいと思うのであります。
 第一に、吉田内閣並びに吉田総理大臣の、憲法の精神を蹂躙し、国会軽視、一党独裁の政治は、日本に極左暴力主義並びにフアツシヨの抬頭を促進せしめつつあるからであります。(拍手)憲法は国家活動の源泉であります。あらゆる法律、政令は、この憲法を源泉として出で来つたものであります。何人といえども、憲法を軽視し、蹂躪し、ましてこれを否定することはできないのであります。憲法第九十九條には、「天皇又は攝政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と規定しておるのであります。しかるに、吉田内閣には、この憲法を軽視し、蹂躙し、ときには無視するがごとき行動があることを指摘しなければならぬのであります。(拍手)
 たとえば、憲法第九条には、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戰争と、武力による威嚇反は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」「前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戰力は、これを保持しない。国の交戰権はこれを認めない。」と規定してあるのであります。しかるに、吉田内閣は、自衛力漸増計画の名のもとにおいて、警察予備隊を保安隊に編成がえをなし、さらに保安庁吃設置し、第一幕僚長、第二幕僚長を置き、その軍隊化、戰力化を期しつつあるのであります。これ明らかに憲法違反の行為と言つても私はさしつかえないと思うのであります。
 参議院における委員会の答弁において、軍隊とは何ぞやという質問をなしたに対し、木村法務総裁は、原子兵器なきものは軍隊と言うわけには参らない、こういう答弁をせられるがごとき、あるいは吉田総理大臣が、自衛のためには戰力は保有できる、憲法違反にあらずとして答弁しながら、あとで取消したがごときは、明らかに頭隠してしり隠さず、(拍手)着物の下によろいを着ていることを表明すると言つてさしつかえはないと私は思うのであります。また、破防法の制定によつて、基本的人権たる言論、集会、結社の自由に制限を加え、団体活動の自由を制限するがごときは、明らかに憲法の精神を蹂躙するものであります。(拍手)さらに、地方自治法の改正によつて、特別区の区長を直接選挙から間接選挙にするごときは、明らかに憲法違反の行為といわなければなりません。
 さらに、吉田内閣、吉田総理大臣の会軽視の傾向は組閣以来のことでありまして、目に余るものがあるといわなければならないのであります。(拍手)たとえば、占領下におきまして当然立法事項にしなければならないものをポツダム政令にゆだねましたものは、食確法の改正、電気事業の分断、警察予備隊の設置等、枚挙にいとまがないのであります。
 しかも、独立後は二百八十四名の上にあぐらをかいて、一党独裁的国会運営をやつていることは、これは明らかに民主主義の否定であるといわなければならない。民主主義とは、相手方の存在を認め、相手方に言わせることは十分言わせて、そのあとにおいて結論をつけるのが民主主義でなければならぬと思うのであります。(拍手)しかるに、国会運営は、反対党の存在を全然無規いたしまして、自由党だけで会議を開くに至つては、言語道断といわねばならぬと思うのであります。吉田総理大臣は、衆議院の各種委員会並びに本会議には、要求しても出席をいたしません。
 さらに、六月二十日は第十三国会最終日であつたのであります。これが国を憂うる総理大臣でありまするならば、最後の日は、たといからだが悪くても、院内にとどまつて、この国会の動向を見きわめられるのが、総理大臣のとるべき態度であると思う。あなたは大磯に帰つて、そうして国会の動向は全然われ関せずという態度をとつたことは、それが総理の露骨なる国会無視の表現なりといわざるを得ないのであります。かるがゆえに、吉田内閣のこの憲法軽視、国会無視の傾向に対して断固反対をいたしますることが、退陣要求の第一理由であります。
 第二に、われらは吉田内閣の反動的立法に断固反対し、基本的人権と民主主義を擁護するために退陣を要求するものであります。(拍手)さきに述べたるがごとく、吉田内閣は、破防法の制定によつて基本的人権に制限を加え、さらに地方自治法の改正によりまして、住民から首長の直接選挙の権利を奪い、そればかりではなく、労働三法の改惡を行いまして、労働争議に労働大臣が権力をもつて関與し、しかも労働者の労働運動を擁護するところの法律を、労働者彈圧法規にすりかえんとしておるのであります。(拍手)さらに、治安維持の名によりましてデモ集会取締法案を提出、さらにはゼネスト禁止法案を用意しておるのであります。また、教育委員会法を握りつぶすことによつて教職員組合の分断の陰謀をやつておるといわなければなりません。(拍手)さらに、警察法の改正によりまして、国警長官並びに警視総監を総理大臣が任命し、各地方の警察長の指示権を総理大臣が確保いたしまして、警察国家を再来せんとする陰謀をめぐちしたということを指摘しなければなりません。(拍手)さらに、警察予備隊を保安隊に切りかえまして、しかも軍事国家を招来せんとする陰謀が内在しておるどいうことも、われわれは指摘しないわけには参らぬのでございます。(拍手)すなわち、ポツダム政治より独立治に移行する過程において、あらゆる反動立法をもつて、そうして日本の政治をして反動的な傾向、逆コースを歩ましておるということを指摘しなければなりません。かかる意味合いにおいて、これを防衛するために、吉田総理大臣の即時退陣を要求するものであります。(拍手)
 第三には、吉田内閣の冷酷無残なる経済政策であります。吉田内閣のその経済政策は、いうまでもなく、低米価、低賃金、労働者重税に貫かれた、金融資本強化の資本主義的自由主義経済であります。このことは、大蔵大臣の表現の中に私はよく現われておるだろうと思うのであります。すなわち、日本経済再建のためには中小企業者五、六人は死んでもかまわない、金持は米を食つて貧乏人は麦を食え、また遺家族に対しては燈明代程度というところに冷酷無残なる経済政策が表現されておると言つても過言ではないと思うのであります。(拍手)
 われわれは、形式的には独立いたしました。しかし、それは形式的でありまして、領土を考えてみますならば、幕末より小さくなつたのであります。幕末より小さき領土の中にあつて、われわれ八千四百万の人間が賠償を拂いながら生きて行かなければならぬのであります。これがためには、自由党の自由主義経済ではやつて行けない。すなわち、経済に計画性を與え、この計画経済を行うにあらずんば日本の経済の再建はあり得ない。(拍手)かかる意味におきまして、政策転換の意味合いよりして退陣を願わなければならぬと思うのであります。(拍手)
 次に、貿易政策の失敗について糾弾しなければなりません。日本は外国貿易の発展によらなければ経済自立が不可能な客観的情勢が存在するにもかかわらず、政府の貿易政策は失敗の連続であります。特に本年度の貿易見積りにおいて重大なる誤謬を犯しておるのであります。また特需の見積りにおいても同じ誤りを犯しております。経済安定本部がしばしば貿易計画数量を変更せざるを得なかつたことは、この誤りを証明しておると思うのであります。(拍手)しかも、貿易及び特需の見積りの見積りそこないの結果は、国内の業者に重大な負担を負わせることになり、業者の負担の最後のしわ寄せは勤労大衆に押しつけられて、操業短縮、賃金の遅配欠配は随所に現われておる。現在、勤労階級が民主的団結をもつてこれと抗争している姿を見失つてはならぬと思うのであります。(拍手)まだ、日英支拂協定が締結された当時、わが社会党は、これに強力なる反対をしたのであります。この協定が失敗であつたことは、今日もはや歴然たるものがあるのであります。このことはポンドは累積し、ポンド地域への輸出の制限をはからなければならぬような事態になつた。その結果は、外国貿易全体を萎縮させておるということになつたのであります。この責任を私は糾彈しなければならぬと思うのであります。(拍手)
 次に、国民政府と平和條約を締結することによつて中国を仮想敵国とすることになり、かつて日本経済を支えていた中国市場を完全に喪失し、中共貿易はきわめて困難な状態に立ち至つたのであります。
 次に、外交政策において自主性なきために、経済発展の自立の上にはなはだしい弊害をもたらしつつあるのであります。第一は、外資法の改惡によつて、外国資本のために日本を開放し、日本の民族資本に対する重大なる圧力が加わつておるということを指摘しなければなりません。(拍手)第二には、屈辱的行政協定の締結により、外国商社に日本の進出の大きな機会を與え、外国商社に関税を免除し、法人税を軽減するがごとき特権を與えた。かかる業者と日本の業者と対等に太刀打ちできるかどうか、このことは、ここで言う必要がないであろうと思うのでありますが、外国資本に寛大で、日本の業者を崩壊に導くものであるということは、まさに吉田さんの買弁性を現わしたものであると言つても断じて過言ではないと思うのであります。(拍手)
 第四には、吉田内閣の価格政策の失敗をあげなければならぬのであります。自由放任主義という建前から価格の統制をはずした。このことは、特に農家経済に重圧を及ぼし、農家は買うものが高く、売るものが安く、鋏状価格差の中に追い込められて、農家経済の貧困はますますはげしく、惡化し来つたのであります。このことは、最近発表されました安定本部の数字に見ても明らかであります。しかも、驚くべきことは、農家経済向上のための唯一の機関であり、農村民主化の支柱であつた農業協同組合に対し何らの助成策もとらず、これが崩壊をするままに放任しているのであります。その上、他方において、官制的な帝国農会に類した組織を育成せんとすることは、われわれは断じて承服できないのであります。(拍手)われわれは、かかる経済的諸政策を通じて、これらの中に、保安庁の設置、破防法その他労働三法改惡、再軍備と一連の関係があることを見出すものであつて、吉田内閣の反動性は、この経済の面にも顕著に現われておると言つて過言ではないと私は思うのであります。(拍手)
 さらに第五には、外交政策について申し上げなければなりません。このことにつきましては、北村君から申し上げたのでありますから、あえて重複を避けたいと思うのであります。すなわち吉田外交政策というものは、台湾政権との間に平和條約を結ぶことによつて、日本をアジアの孤見たらしめんとする傾向があるのであります。また、朝鮮動乱の傾向は判定できないものがあるのであります。この見通しをつけないうちに、いわば台湾政権との間に平和條約を結んだということは、大きな失敗であることを私どもは指摘しなければならぬのであります。(拍手)
 しかも、一言つけ加えておきたいことは、来る七月の二十八日までに撤退をすべき英連邦軍等の元占領軍部隊の処理についてであります。これについては何ら協定等が結ばれておらないのであります。私は政府の怠慢を責めないわけには参りません。すなわち、現在英連邦軍との間におきまして、当然締結をすべきものについて、政府の怠慢は――議会は今月一ぱいで閉会になるのであります。閉会になつたあとにおいて、これが結ばれてもおそい。従いまして、この間にやるのが政府のとるべき態度でなければならぬと私は思うのであります。(拍手)
 さらに第六点は、最近の世相に照して、私は吉田内閣の退陣を迫りたいと思うのであります。最近、日本の政治の動向の中には、力には力、武装には武装をもつて対抗せんとする傾向が、思想的に、さらに政治的に現われておることを見のがすことはできないのであります。この傾向は、率直に申し上げまして、一昨年の春、共産党の野坂理論に対してコミンフォルムの批判が加えられて以来、共産党は、その国際従属性、さらには暴力性が強化されて、愛せられる共産党より恐れられる共産党に転化したことは、見のがすことができない事実だろうと思います。(拍手)しかも、この傾向は、独立後の日本においてさらに増大しつつあるということに気がつかなければなりません。日本が独立してから三日目の五日一日、宮城前広場の騒擾事件以来、日本の国内においては、騒擾は騒擾を生んでおるのであります。デモはデモを生んでおるのであります。ストテイキはストライキを生んでおるのであります。しかも、その騒擾事件の中で、被疑者をさばく裁判所は、鉄條網によつて守られ、武装警官で守らなければ、正義の名においてさばく裁判の執行ができないのであります。(拍手)それが、あなたの治下において行われておるのであります。
 しかも、ここで私が指摘しなければならぬことは、最近かかる傾向が現われて来ることは、いわば共産党というか、極左暴力主義の意識的行動もなきにしもあらずと思うのでありますが、これに対して、吉田さんが力をもつて対抗するところに、ここに騒擾は騒擾を拡大して、騒擾の拡大再生産が行われておるのが、今の状態だと言つても過言ではないのであります。(拍手)すなわち、好むと好まざるとにかかわらず、日本の国内におきましては、極左暴力主義と、これを彈圧せんとする吉田内閣の反動政策が、国内に三十八度線を形成していると言つても、断じて過吾ではないと思うのであります。(拍手)この三十八度線が、ときには熱を発し、ときには火を吐く。これが宮城前の広場の事件となつて現われ、いわゆる岩之坂事件となつて現われ、吹田事件となつて現われ、新宿事件となつて現われておるのであります。しかも、その事件を中心として、日本人同士殺し合う姿が現われて来ておるのである。われわれが戰争を忌避するのは、人命が軽く扱われるから戰争がいやだというのであります。かるがゆえに、吉田さんの治下において日本人同士が殺し合つている姿を私は指摘しなければならぬのであります。(拍手)すなわち、この三十八度線解消のためにも、吉田さんの御退陣を願わなければならないと私どもは考えておるのであります。(拍手)
 最後に申し上げたいことは、独立日本の民主的再建のために、保守反動政権の存続を排撃する意味合いからして、御退陣を願いたいと考えておるのであります。日本は、四月二十八日から、連合国の管理と占領より解放されて、言葉をかえて申し上げますならば、六年八箇月の刑期を終えて独立国家となつたのであります。従いまして、この独立した国家において、三年半前にでき上つた政権が「やはり現在も政権を担当するということは――その使命は終つたということを、私は言わざるを得ぬのであります。(拍手)しかも、輿論と院内のの輿論と食い違いがありまして、最近現われました選挙の結果を考えてみますならば、吉田内閣凋落の姿が現われておるのであります。(拍手)昨年の十二月、高知県下において知事の選挙が行われた。そこにおいて、自由党の公認が破れ、野党側の推薦者が知事に当選したのであります。高知県は、吉田総理、あなたの選挙区であります。吉田総理の選挙区において自由党の公認が落ちるということは、一葉落ちて天下の秋を知る。自由党の凋落の姿は吉田さんの選挙区に始まると言つても過言ではないと思います。さらに、東京第六区の衆議院議員補欠選挙においては、自由党の公認を押えて、わが党の熊本虎三君が最高点をもつて当選したのは、日本のまん中東京においても自由党凋落の鐘は鳴るということを私は言わざるを得ぬのであります。(拍手)かかる意味合いにおいて、一日も早く退陣あらんことを切望するものであります。
 以上申し上げまして、私の賛成演説を終る次第であります。満場一致、可決確定あらんことを切望いたします。(拍手)
#11
○議長(林讓治君) 井之口政雄君。
    〔井之口政雄君登壇〕
#12
○井之口政雄君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま提出されておりまする不信任決議案に賛成するものであります。かつ、その貫徹に全力を盡して闘うことを誓います。
 ただいま、山口喜久一郎君は、この決議案の提出を、火炎びんが飛び込んで来たようにびつくりされましたが、おそらく自由党の代議士諸君みんなの心持を端的に現わしたものだろうと思います。吉田内閣四箇年の施政の跡は、国民が生活の安定を要望しているときに、首切りと失業を與えた。負担の軽減を望んでいるときに、重税と搾取の強化を與えた。国民が公僕としての官吏でなければならぬと言つているときに、鉄かぶととピストルと毒ガスで武装された警官を国のすみずみにまで配置してしまつた。かくして、遂に、敗戰後七年の間、日本の国民が夢の間も忘れることのできなかつた独立と平和の要望をしりぞけて、国民に、警察予備豫と、アメリカ軍の占領継続と、わが国の全領土をあげてアメリカ帝国主義のアジア侵略の基地に提供してしまつた。諸新聞は、吉田内閣の四箇年の施政の跡を、歴史の逆コースと呼んでおります。この逆コースは、われわれ日本の全国民を、アメリカ帝国主義の奴隷の地位にまで陥れてしまつたのであります。(拍手)
 世界平和と世界の全民族独立の強力なとりでとなつておるソビエト同盟の偉大なる指導者スターリン氏は、年頭に日本民族にあいさつを送つて自分らの国も多年にわたつて外国帝国主義からの侵略に悩んで来た、日本の国民が今日置かれている状態には心からお察し申し上げると、親善の手を差延べているのではないか。隣国の毛沢東氏またしかりである。日本国民は、敵はいずれか、味方はいずれであるかを、はつきりと見きわめなければならぬのである。吉田内閣は、この危機にあたつて、国民の希望を踏みにじり、アメリカ帝国主義に奉仕しつつあるのが現状である。
 吉田内閣は、英米との単独講和を締結し、遂にこの條約に批准させてしまつた。国をあげての全面講和の要求を無視して、国民から浮き上つた議会内の多数を頼んで押し切つてしまつた。個民投票に問うこともせずして押し切つてしまいました。そのために、日本国民は中国その他アジア諸民族、ソビエト同盟と平和を締結することが不可能となり、アメリカの日本占領は永続化され、日米行政協定の締結にあたつては、国会に諮ることさえもせず、岡崎氏とダレス氏の密室における相談で調印してしまつた。そのために、アメリカの占領者が日本の地図に赤線を引いて、それを日本政府に提出したなら、富士山といえども、すつかりとられてしまうような状態になつて来た。それら一切の地域に対しては、アメリカ軍の権利、権能、権力の一切が支配するというのだから、まつたくこうした哀れな状態に日本を置いてしまつたのであります。その罪は一体だれが負う。ここにいる吉田総理の罪でなければならない。(拍手)
 諸君は、呉市の市長が涙ながらに議会に提訴して来ている事実を知るや。去る一月から五月の十日までの間に、呉市において占領軍がなした傷害、強姦、住宅侵入、強盗、窃盗、器物破棄は二百十件に及んでいる。吉田内閣の單独責任において締結した行政協定は、今や日本全国の津々浦々において、こうした占領軍の犯罪行為を可能にしてしまつているのであります。婦人は操を守るために、人々は命と家財を守るために、国民は土地と農地と海を守るめに、みずから実力をもつて今や立ち上らないわけには行かなくなつているというこの事実は、吉田内閣の罪業の一つである。アメリカ帝国主義に向つては、まつたく足腰の立たぬのが吉田内閣、これはもはや退陣すべきである。
 アメリカ占領軍が朝鮮戰争に出動するや、その身がわりとして、警察予備隊と称する再軍備を開始した。これもまた吉田内閣の罪業の一つである。アメリカの武器や、古手の軍艦によつて、アメリカの操典類によつて、アメリカの雇い兵にすぎないところの軍隊が今や十一万人にも達し、さらに十八万人から三十二万人に達するところの計画が進められているのである。吉田内閣は、これを拒絶し得るところの性格を全然持つていないのであります。なぜか。全国の学生、青年が、自分らは二度と上海陸戰隊に行かぬぞ、インパール作戰にはもう立たぬぞ、アメリカのために何で朝鮮戰争に行くものかと、再軍備反対の運動を全国に起している今日、それをこん棒とピストルで彈圧しているのは吉田内閣ではないか。吉田内閣の存続を許す限り、陸に海に、アメリカの武器によつて日本国民は武装せしめられ、朝鮮に満州に、またまた細菌や原始爆彈を運ぶ役割を演ぜしめられることは明らかである。すでに水豊ダムの爆撃以来、日本の諸都市に防空演習が行われ出しているではないか。これ以上吉田内閣の存続を許すならば、戰争への道である。
 アメリカの占領より受けた援助と称するものは、積り積つて八千億円にも達した。これに戰前の負債を加算すると、米軍維持の費用、アメリカ軍の手先を勤めさぜちれる警察予備隊や武装警官の維持拡張費、朝鮮戰争への協力費、日本国民の負担は、直接これだけでも二千億円以上に達するのである。吉田内閣の存続する限り、これは軽減するどころか、ますます増加するのである
 アメリカの独占資本は、日本の鉄道、電信、発電、製鉄、機械製造、石油産業、娯楽金業に至るまで、今や完全に支配力を発揮するに至つている。この支配を放置するというくらいな、なまやさしいものではなく、吉田内閣の四箇年間の政策は、これをますます奨励し、助長し来つたのである。軍需産業を無制限に奨励したために、日本でつくつた彈丸が朝鮮民族を殺傷するという事態もつくり出している。しかも、それらの軍需産業はきわめて低利で――諸君が御存じの通り、きわめて低利で、それで不安定で、その工場で働く労働者の低賃金と過労と圧迫と就業の不安定は、戰時状態以上のものがある。(拍手)これみな吉田内閣の買弁的政治のなせる必然のわざだ。そのために、日本の民族企業、平和企業、中小企業等は崩壊の状態に立ち至つている。
 それのみでない。アメリカのごきげんを伺うために、アメリカのバトル法以上に中日貿易、日ソ貿易を禁止しだために、日本の貿易産業は火の消えたようになつているではないか。恐慌はますます深刻となつて来ている。失業と重税で、人民は苦痛のどん底に落ちている。農民の生活が年々窮迫の度を強めて来たことは、今や吉田内閣打倒の声が日本の国のすみずみにまで及んでいることからもつて立証することができる。(拍手)
 吉田内閣の政策で、地主はまた頭を持ち上げて来て、古い農村の支配権力を復活しつつある。釈放された戰争犯罪人や、公職追放解除者で、アメリカ帝国主義に御忠誠を勤める者は、どんどんと農村に入り込んで行つて、今農民を押えつける役割を演じている。小作料も上りつつある。税も安くならぬ。供出値段は、物価高騰の割合に上らぬ。自由販売になつて、麦は値が下り出した。野集をつくつても、肥料や労力の割に利益がない。副業はなくなる。養蚕はさつぱりいかね。くだものや茶でさえ、ソビエトで買つてやるというのに、貿易を禁止している。牛を飼うには飼料がない。アメリカからは、そこへ脱脂乳が来て、畜産もつぶれる。協同組合はどうだ、協同組合は、まるで赤字でつぶれそうになつている。なつていないものは、ボスに占領されてしまつている。耕地改良費、畜産費、災害復旧費なんていうものは、鼻くそしか組んでない。のみならず、これもみなボスのふところに入つているので、農民のふところには入らない。今や、実直な農民は、まつたく娘を売るか、むすこを予備隊にやるほかに道はなくなつてしまつているのである。今や、農村も八方ふさがりで、これも吉田内閣の買弁性のしからしむるところであつて、吉田内閣を倒すよりほかに今や道はなくなつているのであります。(拍手)
 日本の全国民は、今や再軍備に反対している。アメリカ人帰れ、破防法反対、吉田内閣打倒、これを叫び続けている。そうしない限り、日本民族の将来には希望もなければ、民族の団欒もあり得ない。国民は、メーデー以来、特に勇気を振い起して、これらの合言葉を押し立てて街頭におどり出して来ている。これが諸君の恐怖になつている。労働者といい、学生といい、一日として日本の全都市にデモンストレーションのない日はないではないか。三百万人にも及ぶ労働者の総罷業が、三回にもわたつて繰返されている。(「扇動じやないか」「討論をやれ」と呼び、その他発言する者あり)重税に悩んでいる納税者は、税務署に飛び込む火炎びんに喝采を送つているんだ。(拍手)これらの国民の声に、自由党、吉田内閣は、何をもつてこたえているか。アメリカ軍隊からピストルと鉄かぶとを借り受けて武装させ、かかれという号令で一齊射撃を浴びせかけているではないか。戰争前の警察国家の專制政治にも、警官が抜剣して一斉に切りつけるということはなかつたものだ。(拍年)国際間の戰争でも、毒ガスは使わない規約になつている。もはや、吉田内閣は、はつきりと人民を敵として、その前に立ちふさがつていることは、この一事をもつてしても明らかなのである。(「火炎びんはどうだ」と呼び、その他発言する者あり)
 これらの事実を、今度の国会はいよいよ法制化しようとしている。破防法しかり、集会デモ取締法、警察法並びに労働法改惡、刑事特別法、民事特別法、もう数え上げれば、一つとしてこの方針を追わない法案はなかつた。共産党は、これらの陰謀をあばいた。愛国の至情で、真の平和のために闘い続けた。すると……。(発言する者あり)するとだ、わが党の風早八十二・林百郎、この両君を諸君は懲罰にかけて、国会外に放逐しようとしたではないか。(「議題外だ」「議長注意」と呼び、その他発言する者多し)この自由党吉田内閣のやり方を見ても、もはや彼らが、国民の前に、公然と政策、言論をもつて、国会においてさえ闘い得なくなつているという事実を明らかにしている。吉田内閣は、今やまつたく国民の前に恐れおののいている。(拍手)
 反対党の議員を強引に国会から排除して、クーデターにひとしいことをせねば政権の維持ができなくなつて来ている。蒋介石や李承晩政権とまつたく軌を一にするに至つている。破防法を参議院で通過せしめるためには、不法な十日間の会期延長を強行してみたり、いわゆる―――――――――――――――して、暗黒政治を行つたりしなければやれなくなつている。自由党の内部混乱は、まさに末期的症状を呈しているじやないか。わが党のように、真の野党の立場に立つならば、われわれは内閣を不信任すると同時に、売国的サンフランシスコ條約を国内的に裏づける破防法も、吉田内閣とともどもに葬り芸らなければならない。
 この不信任案に寄せられた国民の支持は絶大である。全国民は言つている。吉田内閣を不信任し、打倒するために、われらすでに立つ用意ありと叫んでいるではないか。わが党は、この決議案に熱意と勇気をもつてこたえるために、ここに賛成の意を表するのであります。(拍手)
#13
○議長(林讓治君) 赤松勇君。
    〔赤松勇君登壇〕
#14
○赤松勇君 私は、日本社会党二十三控室を代表いたしまして、ただいま議題になつておりまする吉田内閣不信任案に対しまして全幅的な賛意を表するものでございます。(拍手)
 まず私は、吉田内閣の総退陣を要求いたしまする第一点の理由といたしまして吉田内閣の外交政策について一言触れおきたきたいと思うのでございます。私は、去る二月十四日、衆議院の予算委員会の総括質問におきまして、党を代表いたしまして、吉田内閣総理大臣に対しまして若干の質問を行いました。(「やおちよう質問じやないか」と呼び、その他発言する者あり)黙れ。黙つて聞け。――その際、私は吉田内閣総理大臣に対しまして、ダレス氏が来朝されまして、いわゆるダレス・吉田会談が行われ、その際、アメリカ側は、日本の間接侵略に対しては警察予備隊をもつてこれに充てる、さらに海と空の防衛に関してはアメリカが責任を持つてやる、こういう約束で、いわゆる二つの條約ができ上つたのでございますが、その平和條約及び日米安保條約の締結によつて、さらに日米行政協定によつて、いわゆるアメリカに軍事的便益の提供、航空基地の提供、あるいは国内の再軍備等――これは共産党のソ連一辺倒の立場と違つて、中立政策の立場から私は質問をしたのでありますが、そのような日本の防衛の問題に関しまして、内閣総理大臣として、どういう防衛の約束をアメリカとしているのであるか、そういう便益の提供は、必然にこれは第三次世界大戰を誘発するのではないか、こういう質問を行つたのであります。現に朝鮮におきましては、いわゆる国連によつて全然安全保障がされていないではないか。これに対しまして、当時、吉田内閣総理大臣は、今日の情勢のもとにおいてはやむを得ないんだ、アメリカを信頼する以外にやむを得ないんだ、こういう答弁をされたのでございます。私は、信頼だけでは日本の安全保障の裏づけにならない、この点を強く主張いたしまして、内閣総理大臣の再答弁を要求いたしましたが、遺憾ながら内閣総理大臣の答弁がございませんでした。
 今日、水豊ダムのアメリカ側の爆撃によりまして、その第三次世界大戰の危機は一段と深刻化して参つて来ておるのでございます。イギリス労働党は、イギリスの政府に対しまして、即刻アメリカの政府に対して極東において第三次世界大戰の発生しないように圧力をかけよという要求を国会において行つているのでありますが、両條約の締結によつて、次第に日本がアメリカの軍事基地と化し、さらには憲法に違反して再軍備が進めちれ、第三次世界大戰の危機が一段と深刻化して参つたのでございます。国民は、この重大なる国際情勢に直面をいたしまして、不安におののいておるのでございます。万一、中ソ友好同盟條約の発動によつて、日本国内の室襲というような事態が発生いたしましたならば、吉田茂個人がいかに腹を切りましても、日本民族の生命、この国土の安全を期するということは断じてできないのでございまして、従つて、このような一国に依存する、一国一辺倒の外交政策をこの際改めて、あくまでも日本を中立政策の立場に置かなければならぬという意味におきまして、われわれは吉田内閣の即時退陣を要求するのでございます。(拍手)
 第二の理由といたしましては、先ほど淺沼稻次郎君も若干触れておりましたが、日本経済の自立の問題でございます。御案内のように、アメリカ国会におきましては、まぐろ関税の問題は、いわゆる中共貿易の牽制によりまして、若干の讓歩をしたようでございまするが、依然として、一連の重要品目につきましては、アメリカは関税の引上げを考えでおる。関税障壁によつて、日本の国内産業の保護ができるでありましようか。さらにバトル法、あるいは政府の貿易慣例等によりまして、アジア貿易、なかんずく中国貿易はほとんど禁止の状態に置かれておるのでございまして、この貿易の極度の不振がはね返つて、今日の国内の国民生活の不安を助長しておるということを考えますときに、われわれは、軍事的意味のほかに、かような経済的理由におきましても、今日吉田内閣の退陣を要求しなければならぬのでございます。(拍手)
 さらに、国内における一連の反動政策につきましては、すでに各党が言及したところでございます。
 先ほど、自由党を代表して山口喜久一郎君がこの提案に反対をされたのでございまするが、その中に、吉田内閣が退陣をしたあと、時局の收拾、政局の收拾、後継内閣をどうするのだという非常な御心配があつたのでございますが、この点につきましては、御心配なさらなくとも、自由党の中には鳩山一郎氏もおるじやないか。鳩山はどうしておる。改進党には重光総裁もおるじやないか。淺沼書記長、鈴木委員長、みなおる。従つて、かような問題は、総選挙断行後、再び自由党が政権を掌握できるというような妄想、錯覚、思い上りの態度をもつて論じておるのである。(拍手)これは、すみやかに国会の解散を断行し、吉田内閣が総辞職を断行いたしまして、選挙管理内閣をつくつて、総選挙を通して国民の輿論を聞くべきであつて、今日自由党が一党專制独裁のかような主張をなすことは、断じて專断なりとわれわれは考えるのであります。(拍手)
 ことに、今日許しがたきことは国会法第十三條にからんで、吉田内閣の與党でございまするところの官由党の国会対策委員会におきましては、憲法第五十九條によりまして、すなわち国会を欠席開会のまま六十日間放置し、すべて衆議院で通過いたしました法律案の議決をそのまま有効化せんとするような決定が行われたようでありまするが、この自由党――吉田内閣の與党の決定こそ、現憲法が規定しており長いするところの二院制度を破壊するものでございまして、自由党の一党専制政治の集中的な現われといわなければならぬのでございます。(拍手)
 かかる意味におきまして、吉田内閣の三年数箇月に渡るところの相次ぐ失政、ことに今日の国際情勢の緊迫化につれましての再軍備の問題、あるいは憲法改正の問題、これらの重要なる諸点につきまして、ほとんど国会運営はできない、国会の議事は渋滯してできないというような状態のもとにおきましては、今日吉田内閣の諸政策をほとんど一歩も押し進めることはでき得ないのでございます。従いまして、吉田内閣はすみやかに総辞職をし、選挙管理内閣をつくつて、衆議院も即時解散を断行して、信を国民に問うことによつて、新たなる衆議院議員の手によつて今日の国政を執行すべきであるという見地から、われわれは、吉田内閣の即時総辞職、また即時国会解散を要求いたしまして、ただいま議題になつておりますところの吉田内閣不信任案に対しまして全幅的な賛意を表する次第でございます。(拍手)
#15
○議長(林讓治君) 先ほどの井之口君の討論中、不穏当の言辞があれば、速記録を取調べの上、適当の処置をとることといたします。これにて討論は終局いたしました。
 本案につき採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。北村徳太郎君外十二名提出、吉田内閣不信任決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#16
○議長(林讓治君) 投票漏れはありませんか。――投棄漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#17
○議長(林讓治君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
  投票総数 三百四十七
   可とする者(白票) 百十三
    〔拍手〕
  否とする者(青票)  二百三十四
    〔拍手〕
#18
○議長(林讓治君) 右の結果、北村徳太郎君外十二名提出、吉田内閣不信任決議案は否決せられました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 北村徳太郎君外十二名提出吉田内閣不信任決議案を可とする議員の氏名
   芦田  均君  荒木萬壽夫君
   有田 喜一君  石田 一松君
   井出一太郎君  飯田 義茂君
   今井  耕君  小野  孝君
   大西 正男君  大森 玉木君
   岡田 勢一君  川崎 秀二君
   河口 陽一君  北村徳太郎君
   吉川 久衛君  小林 運美君
   小松 勇次君  河野 金昇君
   佐伯 宗義君  坂口場主税君
   笹森 順造君  笹山茂太郎君
   椎熊 三郎君  高倉 定助君
   高橋清治郎君  竹山祐太郎君
   千葉 三郎君  床次 徳二君
   苫米地義三君  内藤 友明君
   中村 寅太君  中村 又一君
   並木 芳雄君  橋本 金一君
   長谷川四郎君  平川 篤雄君
   福田 繁芳君  藤田 義光君
   増田 連也君  松谷天光光君
   三木 武夫君  水野彦治郎君
   村瀬 宣親君  山本 利壽君
   吉田  安君 早稻田柳右エ門君
   淺沼稻次郎君  井上 良二君
   石井 繁乳君  石州金次郎君
   大矢 省三君  岡  良一君
   加藤 鐐造君  川島 金次君
   熊本 虎三君  鈴木 儀男君
   田万 廣文君  堤 ツルヨ君
   戸叶 里子君  土井 直作君
   中崎  敏君  前田榮之助君
   前田 種男君  松井 政吉君
   松尾トシ子君  松岡 駒吉君
   松澤 兼人君  三宅 正一君
   水谷長三郎君  門司  亮君
   山口シヅエ君  井之口政雄君
   池田 峯雄君  加藤  充君
   柄澤登志子君  木村  榮君
   今野 武雄君  田代 文久君
   田中 堯平君  高田 富之君
   竹村奈良一君  立花 敏男君
   梨木作次郎君  深澤 義守君
   山口 武秀君  横田甚太郎君
   米原  爽君  足鹿  覺君
   青野 武一君  赤松  勇君
   猪俣 浩三君  稻村 順三君
   勝間田清一君  上林與市郎君
   久保田鶴松君  佐々木更三君
   坂本 泰良君  鈴木茂三郎君
   田中織之進君  成田 知巳君
   福田 昌子君  武藤運十郎君
   八百板 正君  浦口 鉄男君
   岡田 春夫君  黒田 寿男君
   中原 健次君  小平  忠君
   寺崎  覺君  羽田野次郎君
   大石ヨシエ君  小林  進君
   佐竹 晴記君
 否とする議員の氏名
   逢澤  寛君  足立 篤郎君
   安部 俊吾君  青木 孝義君
   青木  正君  青柳 一郎君
   淺香 忠雄君  淺利 三朗君
   麻生太賀吉君  天野 公義君
   新井 京太君  有田 二郎君
   井手 光治君  池田正之輔君
   池田 勇人君  池見 茂隆君
   石原 圓吉君  石原  登君
   稻田 直道君  犬養  健君
   今泉 貞雄君  今村 忠助君
   今村長太郎君  岩本 信行君
   宇田  恒君  内海 安吉君
   江崎 真澄君  江花  靜君
   遠藤 三郎君  小川 平二君
   小澤佐重喜君  小高 熹郎君
  小野瀬忠兵衞君  小淵 光平君
   尾崎 末吉君  尾関 義一君
   越智  茂君  大石 武一君
   大泉 寛三君  大内 一郎君
   大上  司君  大澤嘉平治君
   大西 禎夫君  大西  弘君
   大野 伴睦君  大橋 武夫君
   大村 清一君  岡延右エ門君
   岡田 五郎君  岡西 明貞君
   岡野 清豪君 岡村利右衞門君
   奧村又十郎君  押谷 富三君
   加藤隆太郎君  鹿野 彦吉君
   鍛冶 良作君  魚田 幸吉君
   柏原 義則君  片岡伊三郎君
   甲木  保君  門脇勝太郎君
   金光 義邦君  上林山榮吉君
   神田  博君  川西  清君
   川野 芳滿君  川端 佳夫君
   川村善八郎君  川本 末治君
   河原伊三郎君  菅家 喜六君
   木村 公平君  菊池 義郎君
   北川 定務君  北澤 直吉君
   金原 舜二君  久野 忠治君
   倉石 忠雄君  栗山長次郎君
   黒澤富次郎君  小金 義照君
   小坂善太郎君  小平 久雄君
   小玉 治行君  小西 寅松君
   小西 英雄君  小峯 柳多君
   小山 長規君  近藤 鶴代君
   佐々木盛雄君  佐瀬 昌三君
   佐藤 榮作君  佐藤 重遠君
   佐藤 親弘君  坂田 英一君
   坂田 道太君  坂本  實君
   志田 義信君  清水 逸平君
   篠田 弘作君  島田 末信君
   澁谷雄太郎君  島村 一郎君
   庄司 一郎君  周東 英雄君
   鈴木 仙八君  鈴木 善幸君
   鈴木 正文君  關内 正一君
   關谷 勝利君  千賀 康治君
   田口長治郎君  田嶋 好文君
   田中伊三次君  田中 角榮君
   田中 啓一君  田中 彰治君
   田中  元君  田中不破三君
   田中 萬逸君  田中  豊君
   田渕 光一君  多田  勇君
   多武良哲三君  高木吉之助君
   高木 松吉君  高塩 三郎君
   高田 弥市君  高橋 英吉君
   高橋 權六君  高橋  等君
   高間 松吉君  竹尾  弌君
   橘  直治君  玉置 信一君
   玉置  實君  中馬 辰猪君
   圖司 安正君  塚田十一郎君
   塚原 俊郎君  辻  寛一君
   圓谷 光衞君  坪内 八郎君
   坪川 信三君  寺島隆太郎君
   飛嶋  繁君  苫米地英俊君
   冨永格五郎君  内藤  隆君
   中垣 國男君  中川 俊思君
   中野 武雄君  中村  清君
   中村 純一君  中山 マサ君
   仲内 憲治君  永井 英修君
   永井 要造君  長野 長廣君
   夏堀源三郎君  二階堂 進君
   西村 英一君  西村 直己君
   西村 久之君  根本龍太郎君
   野村專太郎君 橋本登美三郎君
   橋本 龍伍君  畠山 鶴吉君
   花村 四郎君  原田 雪松君
   平井 義一君  平澤 長吉君
   平島 良一君  平野 三郎君
   廣川 弘禪君  福井  勇君
   福田 篤泰君  福田  一君
   福永 一臣君  福永 健司君
   藤枝 泉介君  渕  通義君
   淵上房太郎君  船越  弘君
   古島 義英君  保利  茂君
   星島 二郎君  細田 榮藏君
   堀川 恭平君  本多 市郎君
   本間 俊一君  眞鍋  勝君
   前尾繁三郎君  前田 正男君
   牧野 寛索君  増田甲子七君
   益谷 秀次君  松井 豊吉君
   松浦 東介君  松木  弘君
   松永 佛骨君  松野 頼三君
   松本 善壽君  丸山 直友君
   三池  信君  三浦寅之助君
   三宅 則義君  水田三喜男君
   水谷  昇君  滿尾 君亮君
   南  好雄君  宮幡  靖君
   宮原幸三郎君  武藤 嘉一君
   村上  勇君  村上 清治君
   守島 伍郎君  森幸 太郎君
   八木 一郎君  柳澤 義男君
  山口喜久一郎君  山口 好一君
   山口六郎次君  山崎 岩男君
   山崎  猛君  山村新治郎君
   山本 猛夫君  吉田  茂君
   吉田吉太郎君  龍野喜一郎君
   若林 義孝君  亘  四郎君
     ――――◇―――――
#19
○議長(林讓治君) 次に、井之口政雄君外二十二名提出、吉田内閣不信任決議案を議題とするはずでありますが、ただいま北村徳太郎君外十二名提出の決議案が議決されましたので、審議を要しないものといたします。
     ――――◇―――――
#20
○福永健司君 議事日程順序変更の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、日程第六及び第七を繰上げ一括上程し、その審議を進められんことを望みます。
#21
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は変更せられました。
 日程第六、議員風早八十二君懲罰事犯の件、日程第七、議員林百郎君懲罰事犯の件、右両件を一括して議題といたします。
 風早八十二君及び林百郎君から一身上の弁明を求められでおりますが、本日は欠席されておりますから、棄権されたものと認めます。
 委員長の報告を求めます。懲罰委員長眞鍋勝君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔眞鍋勝君登壇〕、
#23
○眞鍋勝君 ただいま議題となりました、議員風早八十二君懲罰事犯の件及び議員林百郎君懲罰事犯の件の両件につきまして、委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
 風早君の事犯は、夫る五月六日の本会議における木村法務総裁のメーデー当日の騒擾事件の報告に対する風早君の質疑中における不穏当な発言に関するものであり、林君の事犯は、去る六月七日の本会議における中華民国との平和條約の締結について承認を求めるの件に対する同君の討論中における不穏当な発言に関するものであります。
 両件とも、去る六月十二日、院議をもつて付託されたものでありますが、本委員会は、前後五回にわたり委員会を開き、愼重に検討を行つた次第でありまして、まず各件について、懲罰動議提出者の中川俊思君及び佐々木盛雄君よりそれぞれ懲罰動議の趣旨説明を聞き、次に風早八十二君及び林百郎君からそれぞれ身上弁明を聽取いたしました後、動議提出者及び本人に対し種々質疑が行われ、応答がかわされた次第であります。
 質疑を終り、両件につきまして懲罰を科すべきやいなや、また科するとせば、いかなる懲罰を科すべきかについてお諮りいたしましたところ、自由党田渕光一君より、議員の言論の自由はもちろん尊重さるべきであるが、言論の自由に名をかりて、みだりに無責任な言辞を弄することは許されないところであり、林君はその発言中無札の言を用いて他を誹謗し、また風早君の発言中、虚構と捏造による言辞を用いたことは、いずれも議院の品位並びに議院の秩序保持の上からもきわめて不穏当と認め、この際両君に対し、いずれも国会法第百二十二條第二号の規定により公開議場における陳謝を命ずべしとの動議が提出され、また共産党梨木作次郎君から、風早君の五月六日の発言は、五月一日のメーデーの騒擾事件について政府の責任を追究し、抗議した演説であり、林君の六月七日の発言は、日華條約に対する反対討論であつて、およそ議員が国会において政府の責任を追究し、政策に批判を加えることは、特に野党議員として当然のことであり、これらの発言について懲罰に付されることは、憲法により保障された議員の院内における言論の自由を否定するものであつて、両件については懲罰を科すべきでないとの動議が提出されました。
 引続き討論に入り、自由党鍛冶良作君より、言論の自由はもとより尊重さるべきであるが、風早君の発言中において、メーデー当日の騒擾事件に対し、確たる証拠もなしに、虚構の事実を連ねて不当にこれを歪曲し、あまつさえ騒擾罪を懲悪せんとするかのごとき無責任な言辞を弄しておることは議院の秩序保持上許すべきでなく、また林君の発言中には、国会法第百十九條にいわゆる無礼の言を明らかに指摘することができ、さらに議会政治を否認し、暴力革命を是認するがごとき発言は、議員としてきわめて不穏当なことであるから、田淵君の公開議場における陳謝を命ずべしとの動議に賛成し、梨木君の動議に反対する旨の意見の開陳があり、共産党梨木仲次郎君より、風早君がメーデー当日の騒擾事件について述べた事実は、中央公論等の諸雑誌にも明らかに記載されておるところであつて必ずしも風早君の言辞を虚構とすることは当らない、人民の生命の安全を守るべき警察官が、かえつてむぞうさに人命を殺傷することは民主主義の破壊であり、これらの点を取上げて政府を追究した風早君の発言は、国会議員として当然の権利であり義務であつて、これは懲罰事犯とはすべきでない、また林君の日華條約に対する反対討論を懲罰にせんとするがごときは、反対党の言論をことごとく抑圧し、抹殺せんとするものであつて、民主政治の破壊であり、本件は懲罰を科す。べきではない、よつて田淵君の動議には反対する旨の意見の開陳がありました。次に改進党石田一松君よりは、風早君の懲罰事犯については、野党議員が多少與党議員を刺激する演説を行つたからといつて、これを懲罰に付するがごときは、特に議員の発言を保障した憲法の本旨に反するものであり、また風早君の発言が事実無根ということについての確証は何もなく、これを事実無根とすることは一方的断定であること、さらに風早君の不穏当な発言については、すでに議長の職権により速記録より削除されて処分済みであること、また議院外においては当然に許されておるような言論が、特に言論自由を尊重さるべき議院内部において懲罰に付されるというがごときは、はなはだしく矛盾であること、次に林君の懲罰に至つては、その発言中不穏当なるところはまつたく認められないこと、また動議提出者の趣旨弁明の中には、全文ことごとくが懲罰の対象たるべきものと信ずるとあるが、これでは共産党のよつて立つ思想、政策に対する懲罰であつて、言論の自由の破壊、民主政治の破壊である等の理由をもつて、両件についではいずれも懲罰事犯にあらずとする梨木君の動議に賛成し、田淵君の動議に反対する旨の意見の開陳があり、最後に日本社会党石井繁丸君より、風早君や林君の言論は、共産党の世界観に立つものであり、これらの言論を国会を通じて国民の前に訴え、国民の思想に対する批判力を養うことによつて民主政治の発展は期待し得るのであるから、かかる言論について、多少気にさわるからといつてこれを懲罰に付することは妥当ではない、よつて梨木君の動議に賛成、田淵君の動議に反対する旨の意見の開陳がありました。
 かくして討論を終りまして、各件について順次採決いたしました結果、議員風早八十二君懲罰事犯の件及び議員林百郎君懲罰事犯の件の各件は、いずれも国会法第百二十二條第二号の規定により公開議場における陳謝を命ずべきものと議決いたしたのであります。以下、委員会において起草いたしました陳謝文案を朗読いたします。まず風早君の陳謝文案を朗読いたします。
    陳謝文案
  昭和二十七年五月六日の本会議における木村法務総裁のメーデー当日の騒じよう事件の報告に対する質疑中、私が虚構とねつ造の言辞を用いましたことは、議院の品位を保持し、秩序を守るべき議員の職責上、顧みて、まことに申訳ありません。
  ここに誠意を披れきして衷心より陳謝いたします。
 次に、林君の陳謝文案を朗読いたします。
    陳謝文案
  昭和二十七年六月七日の本会議における中華民国との平和條約の締結について承認を求めるの件に対する討論中、私が無励と、暴力革命せん動の言辞を用いましたことは、議院の品位を保持し、秩序を守るべき議員の職責上、顧みて、まことに申訳ありません。
  ここに誠意を披れきして衷心より陳謝いたします。
 以上をもつて報告を終ります。(拍手)
#24
○副議長(岩本信行君) これより討論に入ります。梨木作次郎君。
    〔梨木作次郎君登壇〕
#25
○梨木作次郎君 私は、日本共産党を代表して、議員風早八十二君、同林百郎君の懲罰に対し、絶対反対するものであります。
 風早八十二君に対する懲罰の理由は、去る五月天日の政府に対する質問演説であります。同君は、この演説で、五月一日のメーデーに際し、警察の行つた暴逆につき政府の責任を追究し、抗議したのであります。日本の労働者、農民、学生、市長は、メーデー人民広場において、国民の生命財産を保護すべき警察が、労働者や学生を殺し、傷つけたといつて憤激しておるのであります。五月二十日、東京神田の共立講堂で、血のメーデー記念のタベに集まつた約四千の労働者、学生のはげしい抗議と怒りは、その端的な現われであります。ブルジョア報道機関のデマ宣伝にもかかわらず、メーデー事件の真相は、日本国民大衆の中に、いな、全世界人民の間にあまねく浸透し、普及しているのであります。たとえば、全世界の労働者七千万をもつて組織する世界労連や、中国の全国的な労働組合組織である中華全国総工会が、メーデー血の彈圧に対し抗議している事実によつても明らかであります。(拍手)日本の国の内からも外からも、吉田政府の暴逆に対し、あらしのごとき抗議が省き起つておる事実こそ、風早君の演説がまさしく人民の声を代表していた証拠であると思うのであります。(拍手)しかるに、自由党の諸君は、この国民代表の抗議の声を懲罰し

ようというのである。議会制度のもとで、反対党が政府を攻撃し、その責任を追究することが、何ゆえに懲罰されなければならないのでありましようか。これは明らかに反対党の存在を否定するものであります。それは民主主義の否定であり、議会制度の破壊であります。(拍手)
 次に林君の懲罰は、これまた六月七日、いわゆる日台條約の反対討論において、吉田外交を――――――一になり下るものと非難し、台湾の蒋介石一味と不法なる條約を結ぶごとに反対したことが、その理由となつておるのであります。懲罰の提案者佐々木盛雄君は、おくめんもなく、林君の反対討論全部が懲罰に該当すると主張し、日本共産党は非合法化すべきであると、かなり立てておるのであります。ここに、自由党が本件懲罰で何を意図しているかを余すところなく暴露しております。自由党の諸君は、日本共産党を非合法化したいのである。それだけではない。自由党吉田政府に反対する一切の勢力を抹殺したいのである。だからこそ、反対党の質問や討論に難くせをつけ、懲罰に付し、陳謝を要求し、応じなければこれを除名し、国会から追放しようというのである。かかる暴挙を許すことは、憲法の停止であり、これを破壊に導くものであると信じます。それは米日反動の軍事植民地的独裁政治の実現に奉仕するものであります。
 自由党の諸君が、国会の中で、風早、林両君の愛国的演説を懲罰せんとしておるとき、国会の外では何が起つておりますか。六月十八日、鈴木呉市長は国会議員をおとずれて、次のような陳情を行つております。すなわち、呉市では、毎日毎晩のごとく、駐留軍による強盗、強姦、暴行、傷害、放火などの不法行為が頻発し、一月から五月十日までで、その数が二百十件に及び、呉市は恐怖と暗黒の町と化しておる事実を、涙ながらに訴えております。諸君、これは呉市だけでの問題ではありません。われわれが日本を占領し、支配する米日反動の軍事植民地的独裁支配に対し、日本の独立と平和、民主主義と生活を守るための闘争を推し進めない限り、呉市の現実があすの日本前途の運命でないと、だれが保障し得ますか。(拍手)
 日本国民は、われわれ国会議員に何を望んでおるか。それはいうまでもなく、日本国民を侮辱し、搾取し、圧迫しておる米日反動の暴逆から日本国民を解放するために、国民とともに囲うことを望んでおるのである。風早、林の両君は、たとい自由党の諸君と政治的見解を異にしているにせよ、国会の内外において、日本の独立と平和、自由と生活のため献身的に闘つて来たことは、国会の速記録を見ただけでも明らかであります。しかるに、自由党の諸君は、両君が政治的な生命をかけて行つた演説に対し、陳謝せよと不可能を強制し、これを拒否すれば、院議無視と称して除名しようというのである。これは民主主義のもとでは最も唾棄すべき卑劣な策謀と断ぜざるを得ません。これは明らかに、日本国民の思想、言論の自由一切を奪い、日本国民を奴隷化せんとする破壊活動防止法をまず国会において具体化し、実施せんとするものであります。
 だが、しかし、諸君が破防法を制定しようとするその策謀は今どうなつておるか。破防法に対しては、三百万を越える組織労働者が、第一波、第二波、第三波ゼネストをもつて反対しておる。青年は血を流してまで破防法粉砕のために立ち上つている。全国の学生、教授、知識人、文化人も一齊に反対しておる。破防法の正体がわかるにつれ、最も広く国民の各界、各層を動かし、反対の気勢がますます熾烈となつている。これは日本の歴史にかつてなかつた一大国民的反政府闘争であります。この圧倒的な反対の輿論は、遂に参議院法務委員会をして破防法を否決せしめ、四日間にわたつて破防法上程を阻止せしめたではないか。かかる破防法反対の輿論は、とりもなおさず破防法の国会版であるところの本件懲罰に対する反対の声でもあることを、自由党の諸君は銘記すべきであります(拍手)
 日本の独立と平和、自由と民主主義を守るための言論を国会から追放することは、日本の国会が日本の国民のための国会ではなくなり、戰争と隷属の軍賛議会に堕落することであります。これを喜ぶ者は、アタリカ占領者とその一味だけであります。私は、諸君の日本人的な良心に訴え、本件懲罰に絶対反対されんことを要望いたしまして、私の討論を終ります。(拍手)
#26
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 まず、議員風早八十二君懲罰事犯の件を採決いたします。風早八十二君懲罰事犯の件委員長報告に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#27
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて議員風早八十二君懲罰事犯の件は委員長報告の通り議決いたしました。
 次に議員林百郎君懲罰事犯の件を採決いたします。林百郎君懲罰事犯の件委員長報告に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#28
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて議員林百郎君懲罰事犯の件は委員長報告の通り議決いたしました。
 これにて懲罰事犯の件は議了いたしました。
 ただいまの議決に基き宣告いたします。
 昭和二十七年五月六日の議場における議員風早八十二君の発言は不穏当のものと認め、同君に対し国会法第百二十二條第二号により公開議場における陳謝を命ずべきものと議決いたしました。
 昭和二十七年六月七日の議場における議員林百郎君の発言は不穏当のものと認め、同君に対し国会法第百二十二條第二号により公開議場における陳謝を命ずべきものと議決いたしました。
 よつて風早八十二君及び林百郎君に対し陳謝の意を表することを命ずるのでありますが、風早君及び林君はいずれも欠席いたしておりますから、適当の機会に議長よりこれを命じます。(拍手)
     ――――◇―――――
#29
○副議長(岩本信行君) 日程第一、臨時石炭鉱害復旧法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員長中村純一君。
    〔中村純一君登壇〕
#30
○中村純一君 ただいま議題となりました臨時石炭鉱害復旧法案について、通商産業委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 去る第七回及び第九回の両国会において、一般鉱害の復旧促進並びに今後の鉱害発生予防に関してそれぞれ決議がなされ、特に第九国会においては、国庫の負担において鉱害地の原状回復を断行すべく、すみやかに必要なる法律を立案すべきであると決議せられたことは、すでに御承知の通りであ参りまして、本法案は実にこれら本院の決議によつて立案せられたものであります。
 本法案は、明治時代以来累積している石炭及び亜炭の採掘による鉱害――その復旧費は約百十億円に上るものと推定せられておるのでありますが、これを今後十箇年間に一掃しようという画期的な臨時立法でありまして、その内容は主として次の五項目からなつております。
 まず第一は復旧費の負担に関するものでありまして賠償義務者である鉱業権者が、現行鉱業法による金銭賠償の限度まで負担するとともに、なお不足する部分は、国及び地方公共団体が一般公共事業の例にならつてこれを補助することを規定しております。
 第二は復旧事業団に関するものであります。すなわち、復旧事業団を設立して復旧基本計画の作成、納付金の徴收、事業費の支拂い等、復旧工事に関する一切の事務を担当させることにいたしております。
 第三は、事業団以外の復旧工事施行者に関する規定であります。すなわち、河川法、道路法等の法令によつて定められたもの、その他土地改良区、農業協同組合、地方公共団体あるいは賠償義務者の自己復旧等、復旧事業団以外の工事施行者が、それぞれ主務大臣の監督のもとに復旧工事を行うことに関する規定であります。
 第四は、農地及び農業用施設の復旧後の措置に関するものであります。すなわち、復旧工事が完了してもなお効用の回復が不十分であるものに対しては、事業団が補償金を支拂うとともに、再検査を求める道をも開いておりますほか、賠償義務者に対しては、復旧工事完了後は賠償義務を免除することを規定しているのであります。
 第五は、家屋、墓地等の復旧工事裁定に関するものであります。家屋、墓地等の復旧については、国の補助金は受けられないが、現行鉱業法においては、賠償金額に比して著しく多額を要しないときは原状回復を請求できることになつております関係上、これらの復旧工事に対する通商産業局長の裁定について規定いたしておるのであります。
 以上が本法案の内容の骨子であります。
 本法案は、去る四月八日、本委員会に付託せられ、同十一日提案理由の説明を聽取し、同二十一日より去る六月十九日まで約三箇月の間、前後七回にわたつて委員会を開き、なおこの間公聽会を開催して参考人の意見を聽取いたしましたが、政府原案のままでは、鉱害地の復旧を促進する上において種々遺憾の点なしとしないため、これが修正案の作成を地下資源小委員会に委託されたのであります。
 地下資源小委員会におきましては、中村幸八君が小委員長として、去る五月十六日より六月十七日まで九回にわたつて愼重審議を重ねたのでありますが、自由党と、自由党を除く他の各派との間に意見の相違を生じましたため、極力これが調整に努めたのでありますが、遂に意見の一致を見るに至らず、やむを得ず両者対立のまま小委員会はこれを打切り、十九日、本委員会を開催いたしましたところ、中村幸八君外十五名より自由党の修正案が提出せられ、多武良哲三君がその内容を説明せられました。また中村寅太君外八名より、改進党、日本社会党、日本社会党第二十三控室並びに日本共産党の共同修正案が提出せられ、その要旨並びに提案の趣旨について中村寅太君が弁明せられました。その詳細は速記録に讓ることといたします。
 かくて討論に入りましたところ、自由党を代表して中村幸八君が原案並びに自由党提出の修正案に賛成の意見を述べ、日本社会党今燈勇、日本共産党田代文久及び日本社会党第二十三控室青野武一の諸君は、それぞれ野党各派共同提案の修正案に賛成の意見を述べられました。
 採決の結果、自由党提出の修正案は多数をもつて可決せられ、野党各派の共同修正案は少数にて否決せられたのであります。
 次いで、自由党多武良哲三外十五名より附帯決議案が提出せられましたが、その内容は、鉱害の復旧を円滑に推進するため、鉱害復旧に関し特別の予算項目を新設すること、地方公共団体の負担軽減をはかるため、特別交付金について考慮すること、家屋、墓地の復旧に遺憾なきを期すること、公共施設に対する復旧補助金の返還義務を可及的に免除するよう措置すること、以上四項目を強く政府に要望するというのであります。
 採決の結果、この決議案は多数をもつて可決せられました。
 なお六月二十一日、本院において地方税法の一部を改正する法律案の参議院回付案を同意いたしました結果、本案附則第八項の地方税法の一部を改正する修正部分の條文を整理する必要を生じましたので、二十三日の委員会において再議に付し、あらためて修正議決いたした次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#31
○副議長(岩本信行君) 本案に対しては、中村寅太君外十六各から成規により修正案が提出されております。この、際修正案の趣旨弁明を許します。中村寅太君。
    〔中村寅太君登壇〕
#32
○中村寅太君 私は、野党各派を代表いたしまして、ただいま議題となりました臨時石炭鉱害復旧法案に対し修正案を提案し、その趣旨弁明をいたしたいと思います。
 この法律の目的は、国土の有効な利用及び保全並びに民生の安定をはかり、あわせて石炭鉱業、亜炭鉱業の健全な発達に資するため、鉱害を計画的に復旧することとしておるのであります。この法案の実施によつて、国土が有効に利用せられることになり、民生が安定せられることになるならば、まず鉱害による被害者が心からこの法案の成立を喜んで迎えなければならないのであります。しかるに、被害者は政府原案に対して幾多の欠陥を指摘してこれに反対し、ことに自由党の修正案に至つては、鉱業権者の圧力によつて生れたものであり、加害者たる鉱業権者の一方的な立場を守ることのみに終始しておる案であるということによつて、今日なお百三十万の被害民が断固として反対いたしておるのであります。(拍手)かくのごとく、被害者がこれを喜ばず、加害者である鉱業権者が喜んでこれの成立を期待しておるというところに自由党修正案の致命的な欠陷があることを指摘しなければなりません。われわれが、今日まで二箇月間にわたり、自由党の小委員諸君とともに、共同修正案をつくり出すべく努力を続けて来たにもかかわらず、今日の段階に至つて野党修正案を提出せなければならなくなつた原因もここに存するのであります。(拍手)
 そもそも本法が制定せられなければならないゆえんのものは、現行の鉱業法が、その賠償規定において原状回復の原則を確立せず、金銭賠償主義を規定しているために、鉱害問題の根本的解決ができず、年々歳々鉱害は累積し、遂に今日の重大なる結果を生ぜしめたのであります。この法案では、鉱業権者に一定の金額を納付させ、不足の分は国家がこれを助成して、鉱害地の効用を回復しようとするものであります。現在、ドイツ、英国等におきましては、すでに原状回復制度のもとに、鉱業権者が自力で効用回復をやつているのであります。わが国も、すみやかに鉱業法の賠償規定の改正を断行し、国家財政にたよることなく、農地及び農業施設はもちろん、家屋、墓地等一切の鉱害を完全に復旧せしめ、国民をしてこの悲惨なる鉱害から一日も早く救出するよう抜本塞源的な解決をなさねばなりません。この法案により、鉱害権者は一定の納付金を出せば、数年の後には完全に鉱害の責任からのがれることになつておるのであります。これでは、従来よりも賠償義務が軽くなつたとして、濫掘が助長されるという重大な弊害を伴つておるのであります。鉱害賠償の責任は原状回復によつてのみ初めて免責されるという観念に立脚せしめ、その採掘にあたつては、鉱害の予防措置、採掘方法等に万全の方策を講ぜしめるよう、指導と監督を一段と強化せなければなりません。
 かくのごとき見地に立つて、われわれは、この法案に対し、次のごとき修正を行おうといたすものであります。修正案の全文につきましては、議案書として提案しておりますから、その内容に讓ることといたし、大要を説明申し上げたいと存じます。
 まず修正の第一点は、第二條の第十一号に「学校」とあるを「学校並びに公用及び公共用建物」と改めたのであります。公衆と密接なる関係を有する公共建物は、学校と同様に復旧の対象として取扱うべきであるとの理由によります。
 第二点は、第五十三條の地方公共団体の負担を一割を越えない範囲にとどめることといたしたのであります。その理由は、賠償義務者または受益者が、納付金もしくは負担金を納付する能力なしと認められるとき、または賠償義務者が不明であるときは、地方公共団体はその維持管理を行う公共施設の復旧費の一部を負担することとなつているのでありますが、公共施設は、その管理区分によりそれそぞれ公共団体が維持管理しており、鉱害がなくとも、これら鉱業権者の物資輸送等によりまして損傷されることがはなはだしく、これが修復に要する経費のみを見ましても、年々多額の負担となつておるのであります。むしろこれらは被害者の立場にあるものと言えるのであります。ことに、最近地方公共団体の財政が極度に窮迫せる現状にかんがみて、本来ならば負担を一切免除すべきものであると考えますが、特別鉱害の先例もありまするによつて、一割限度の負担はやむを得ないものといたしたのであります。
 第三点は、第七十五條の本文に次の但書を加えることといたしました。「但し、豪雨、かんばつその他不測の天災に際し、当該農地が他の一般の農地に比して特別の損害を被つたときは、その限度において、なお、当該農地に係る鉱害は、消滅しないものとみなす。」その理由は、第七十五條において、農地または農業用施設について生じた鉱害であつて、復旧工事の完了により、本来有していた効用が完全に回復されておると認められた場合。あるいは未回復の場合におきましては、定められたる評価基準に従つて未回復の効用の価格を算定し、その金額が支拂われるときには、鉱害は消滅したものとみなすことになつているのであります。しかしながら、その一例を申し上げますと、五尺陷没しておる美田を、元の高さに上げるためには莫大な経費を要するので、三尺程度これを高めることにとどめて、あとはポンプによる排水施設によつてその効用の回復をはからんとするがごとき場合、この土地が本来有していた高さよりも二尺だけ低いため、豪雨等の際、他の一般農地に比し著しい損害を受ける危険を有しているのであります。この点の未回復に対する賠償は何ら補償されることなく、鉱害は消滅したものとみなすことに、政府原案も自由党修正案もなつているのであります。これは、憲法第二十九條に保障されている財産権の侵害なりといわなければなりません。この点は、この法案の重大なる欠陥でありまして、この未回復の限度においての鉱害は残るものといたしているのであります。この但書の文句は、與党、野党が一緒になつて共同修正案作成途中、自由党の小委員諸君をも含めて、一致してつくり出されたところの修正案であります。それが、今月自由党より提案せられている修正案から姿を消し、野党の修正案にのみ取上げられてあります点を、諸君は考えなければなりません。(拍手)この文句が自由党の修正案から突如として姿を消したのは、鉱業権者の圧力によつて消したものであるといわなければなりません。特に自由党の、ただいま委員長が読み上げました附帯決議の第四項には、公共施設の復旧補助金に関する返還義務を免除することをつけ加えております。これは、第九十二條に、国は補助金を交付した公共施設の復旧工事が完了したときは、その賠償義務者に対し補助金の返還を命ずることができる規定となつておるのであります。その総金額はおよそ三十億四千万円になる見込みでありまして、その内訳は、地方公共団体が二億四千万円、鉱業権者が二十八億円返還することとなつておるのを、何ゆえにこの二十八億円という莫大な金を鉱業権者をして返還せしめないように決議文をつけたのか、私は、この決議文をつけたところに、自由党の諸君が鉱業権者の圧力に応じておる姿が出ておると言えると思うのであります。(拍手)われわれは、この点については断固として糾彈せなければならない。
 第四点は、第七十八條の規定により、復旧不適地について支拂うべき金額を決定するときは、あらかじめ当該復旧不適地の所有者の同意を得なければならぬことといたしたのであります。およそ農民が農地に離れることは、親が子に別れるにひとしき愛着を持つものであります。これが日本農民の誇りでありこれあるがゆえに、今日終戰後六箇年にわたる食糧危機に際し、日本国民の食糧が確保せられて参つたものと信ずるのであります。(拍手)この農民にとつては生命にもかえがたき農地を、一時拂いでその権利を奪い去ろうとするときに、当該義務者の了解を得ること、承諾を得るというくらいのことは当然のことであつて、これを一方的に打切つて行こうとする自由党諸君の態度を、われわれは断じて糾彈せなければならぬと思うのであります。(拍手)自由党の修正案によりますと、單に市町村長の意見を徴するということになつておる。そういうことで、もしも君らの財産の権利を放棄させるときに、はたして承知するかどうか。ぼくは、この際自由党諸君のこの修正案の真意を了解するに苦しむのであります。
 第五点は、第七十九條において、鉱害が生じている家屋等に対して、賠償義務者をして事業年度ごとにその復旧計画を提出せしめ、これによつて復旧工事計画性を持たせ、工事の進捗をはからしめようといたしておるのであります。その理由とするところは、家屋等の復旧につきましては、政府原案並びに自由党の修正案によりますれば、農地並びに公共施設の復旧と異なり、通産局長の許可を受けたときに初めて協議裁定によつて復旧工事が施行せられるという、きわめて被害者に対して不親切な規定となつておるのであります。年々被害額が増大して倒壊の危険を感ずる家屋の中に居住して、その被害に対して何ら賠償を受くることなく、日夜きようきようきようとして不安と不便の中に生活をせなければならない現状は、重大なる社会問題といわねばなりません。人間のしんぼうにも限度があります。これらに対する不平不満は、やがて加害者に対して一時に爆発するおそれが生じておるのであります。かくのごときことになつては、わが国の基礎産業たる石炭鉱業の発達に重大なる支障を来すことは明らかであります。よつて、鉱害賠償義務者をしてすみやかに復旧の実をあげしめ、もつて民生の安定を期せんとするものであります。
 第六点は、第九十一條における農地または農業用施設の復旧に対する都道府県の補助金及び第九十四條の事業団の事務経費中、都道府県の負担を免除いたしたのあります。そもそも鉱業権の設定、施業案の認可等一切の許可監督権は国にありまして、都道府県には何らの権限もないのであります。福岡県を一例にとつて見ましても、農地の鉱害による米麦の減收は年間四億五千万円に達しております。生産県としての福岡権農民が、また消費県としての一般県民がこうむつておるところの打撃は甚大なものがあるのであります。
 さらに県財政におきましても、負担しておりますところの鉱害対策の負担金は年間五千万円に上つておるのであります。かくのごとく県及び県民は被害者の立場にありますから、これらに負担せしめることは不合理であるという見地に立つて、この点を免除しておるのであります。なほ、従来農地や農業用施設の一般災害復旧費に対しても都道府県が一割を負担しておつたものを、最近における地方公共団体の財政の窮迫事情によつて、昨年度よりこれを廃止されておるのでありますから、これらの事情を勘案いたしまして、この際都道府県には負担せしめないことにいたしたのであります。
 以上申し述べました野党修正案は、政府原案並びに自由党の修正案と比較いたしますときに、立法の目的である国土の有効利用、民生の安定、さらに石炭鉱業の健全なる発達の見地から見ましても、はるかに公正にして現状に即した最善の案だと信じておるのであります。自由党の諸君におかれまとても、行きがかりにとらわれることなく、鉱業権者の圧力に屈することなく、率直に、勇敢にこの野党の修正案に満場一致賛成せられんことを強く要望いたしまして、私の説明を終ります。(拍手)
#33
○副議長(岩本信行君) これより討論に入ります。小金義照君。
    〔小金義照君登壇〕
#34
○小金義照君 私は、自由党を代表いたしまして、臨時石炭鉱害復旧法案に関する自由党の修正案及び修正部分を除く原案について賛成の意を表せんとするものであります。(拍手)
 わが国の石炭鉱業による農耕地、その他の被害と、これに対する賠償の問題は、明治時代以来長い問の懸案でありまして、これが匡救策としては、第一に、昭和十四年に鉱業法を改正して、新たに章を設けて鉱業賠償の規定をいたしたのであります。爾来、逐次情勢に応じて対策を実施して来たのでありますが、戰時中の特別鉱害については、去る第七回国会において特別鉱害復旧臨時措置法を成立せしめて、その復旧に着手したのでありますが、その際、一般鉱害についてもすみやかにその対策を講ずべきことを要望し、さらに第九回国会において、現行鉱業件の成立に際しても、国庫の負担において鉱害地の原状回復を断行すべく、すみやかに必要なる法律を立案すべきであるとする附帶決議がありまして、本法案は、これらの一貫した鉱害地復円促進の念願に燃える国会の意思に基いて立案の上、提案せられたものであります。すなわち、本法案は、福岡県、山口県その他の被害地県民の長年にわたる切実なる要望にこたえ、農耕地、家屋、墓地ないしは水道、道路、学校等の公共施設の被害を計画的に復旧し、もつて国土の有効な利用及び保全並びに民生の安定をはかり、あわせて石炭鉱業及び亜炭鉱業の健全なる発達に資せんとするものであります。このために、鉱業権者に対しては、鉱業法の定むる限度まで賠償金を出させ、不足する部分は、国及び地方公共団体が、一般公共事業の例にならつてこれを補助することとなつておるのであります。
 この法律案の審議にあたりましては、あるいは多数の参考人の意見を聽取し、あるいはまた小委員会を設けて検討を加える等、できるだけよい鉱害復旧に関する基本法の成立に努力して来たのであります。四月上旬以来今日までの審議の経過を案ずるに、野党の諸君といえども、本法案の成立については、あえて反対しているものとは思われないのでありまするが、野党の諸君が、現行の法的秩序を無視した無責任な観念論を振りまわして、あまつさえ実現不可能な修正案を固執して自由党の修正案に反対しているのは、まことに奇怪千万な現象であると申さなければなりません。(拍手)すなわち、日本共産党と同調しておる野党連合の諸君は、事実を曲げて自由党の態度を誹謗し、特別鉱害復旧臨時措置法の場合と同様、超党派的な問題として処理せんとするわが党の努力を裏切つておるのであります。
 わが党の修正案と、日本共産党を含めた野党連合の修正案との最大の相違点は――この相違さえなければ、完全にわが党と同調できるのでありますが、要するに、農地の復旧工事完了後における洪水、その他不測の天災のため、一般農地に比べて特別の損害をこうむつた場合において、その農地につき、国庫の負担による特別の補助を行うか、あるいは、すでに所定の賠償の責務を果しておる鉱業権者に対して、なお無限に賠償責務を負担せしめることとするかに集約せられるのであります。しかして、この両案を比較するのに、野党側の主張する修正案は、安定性の比較的低い中小の鉱業権者または定着性のない一部の小さい鉱業権者ないしは租鉱権者を相手としてその責任を追究せざるを得ない場合に遭遇することも決して少くないのでありますが、野党の諸君も、この点はよく了承しておるはずであります。わが党の修正案は、かねて国会で附帶決議した通り、すべて国の特別助成を対象とするものでありまして、ほんとうに被害者に同情し、被害者の真の利益をこいねがうものならば、いずれの案をとるべきかは子供でもわかるはずであります。わが党の修正案は、かつての本院の院議を尊重して、附帶決議の趣旨をくみ、忠実に政府案を修正せんとするものであるのに、当時この附帶決議に同調せられた野党の諸君が、あえてこれに反対し、見苦しい、かようなビラや声明書などをお出しになることは、まつたく当らないものでありまして、ほんの少数の人に引きずりまわされておるものと見られるのであります。(拍手)野党側の修正案は、いたずらに日本の基礎産業に拂拭すべからざる不安を抱かしむることとなるのみであつて、要するに、かつては同調できた野党の諸君が、今は、たなごころを返すがごとく反対せられるのは、一部の地方民に媚態を呈する露骨なる選挙運動か、さもなければ、何か腹に一物あるものだと言われても、一言も弁解の余地はないではありませんか。
 論者はまた、ドイツ等においては鉱害に対して原状回復主義を実施しているものもあるから、その例にならつて、本法案においても、あくまで原状回復を固執すべしと主張せられるけれども、これは法律・歴史その他の国情の相違を無視した観念論にすぎません。本法案の審議の過程における野党の諸君の言行を見るのに、院議を尊重し、また被害者の要望にこたえる原案及びわが党修正案の通過の見通しがつき、法案不成立の不安が一掃するや、俄然態度を強硬にして、本案が必ず通過するものと安心して、反対せんがための反対論をもてあそんだものであると言われても一言もないようなありさまであります。(拍手)自由党が小委員会の案を裏切つたなどと言われまするけれども、あれは正式の小委員会の案でも何でもない。ただ少数の委員の私見の一部にすぎないではありませんか。これを取上げて物言いをつけなければならないとは、浅ましい限りだと言われても弁解はありますまい。(拍手)
 なお、野党側提出の修正案のその他の点について、提案者あるいは賛成者は、いろいろの説をなされまするけれども、ただいま私があげた最大の相違点一点が一致さえすれば、あとは全部附帶決議等でよろしいと言つたではありませんか。従つて、私はあえてこれらの点については論及する必要を認めません。特別鉱害復旧臨時措置法の制定といい、またこの法案の提案といい、ことごとくわが自由党の政策の実現でありまして、現地積年の要望にこたえる画期的な善政であります。反対党の諸君は、これにいろいろの難くせをつけて反対されておりますが、自由党なればこそ、かかる対策を講ずることができたのであることを思い知るべきであります。(拍手)
 これを要するに、私は、少数意見、または鉱害を種にしてもろもろのわざをなす少数の人たちの主張に何ら顧慮することなく、一日千秋の思いで本法律案の成立を期待している百数十万人に上る多数の人たちのために本法案の通過をはかることこそ国会の責務であると確信するものでありまして、反対論者の誘導におどる、きわめて少数の人たちを除いては、地元の人たちはことごとく自由党の修正になる本法律案の成立を熱望してやまないものであることを、諸君の前において、私はこれらの人たちにかわつて断言するものであります。しかして、私は、この私の断言が地元民の真の叫びであつて、反対せられる諸君の言い分が世人を惑わす盲言にすぎないものであるということを証拠立てるために、私に寄せられた多数の電報のうちから、次の二つだけをここでごひろう申し上げまして、諸君の猛省を促すものであります。よくお聞きください。「鉱害復旧法案は今国会においてぜひ通過成立するよう特別の御配慮をお願いいたします。福岡県知事杉本勝治」、次に「鉱害法案の今次国会通過につき特に御盡力請う。福岡県議会議長田中安蔵」、これはほんの一例でありますが、地元民がいかにすみやかに本法律案の成立をこいねがつておるかということがおわかりになるはずだと思います。
 なお、本法成立の後、不備があり、また修正を必要とする事態が生じた場合においては、当然これに即応した法律の改正または行政措置をとるべきものであることを付言して、私の賛成の討論を終ります。(拍手)
#35
○副議長(岩本信行君) 加藤鐐造君。
    〔加藤鐐造君登壇〕
#36
○加藤鐐造君 私は、ただいま議題になりました臨時石炭鉱害復旧法案に対する自由党修正案及び修正部分を除く原案に反対、中村寅太君外提出の野党修正案及び修正部分を除く原案に賛成するものであります。(拍手)
 この野党修正案は、五月十六日、地下資源小委員会において、自由党中村幸八君、淵上房太郎君らも明らかに同意いたしまして、満場一致被害者のため努力するよう申合せをいたした案と同一内容のものであります。(拍手)
 それを、わずか一箇月の後に、自由党だけがまつたく申訳的な附帶決議にこれをかえて、さらにまつたく別個の修正案を出すことになつたのであります。一体だれがこういうふうに自由党を変貌させたかという問題であります。福岡県出身の淵上房太郎君のごときは、その内容を十分に御承知のことと思います。今、小金義照君は、るる弁解の言辞を弄せられましたが、私は今日それを具体的に追究いたす必要はないと考えるのである。ただ、一晩のうちに自由党がこういう変貌をいたしたという事実は奇怪しごくであるということを申し上げておきたいと思うのであります。私は中村寅太君と重複することを避けまして、きわめて簡單に自由党修正案に反対の理由を申し上げたいと存じます。(拍手)
 その第一は、現行鉱業法が金銭賠償主義であるということであります。そうして、鉱業権者の賠償義務に対するところの無責任ということがまず第一にあげられなければならないと思うのであります。わが党が本法案に対する自由党の修正案に賛成できない理由は、自由党の修正案では、本法の最大自的でありますところの民生の安定、あるいは国土の有効利用ということを安全にはかり得ないということであります。何となれば、現行鉱業法において、鉱害賠償の責任者は鉱業権者であり、鉱業権者の責任において発生した鉱害の賠償を行うということは当然の義務でございます。そうして、鉱害賠償の責任は公正かつ適切になされねばならないと明記してあるのであります。もし現在において、鉱業権者がおのれの義務を公正かつ適正に行つておりましたならば、現在政府が発表しておりまする二百三十一億円という厖大なる鉱害が残つておるわけはないのである。自由党の副幹事長の中井君は、今やじつておられますけれども、平井君は福岡県出身として、そのことは常に指摘しておられるところであつたのであります。(拍手)公正かつ適切に賠償しなければならないということは、平井君や淵上君、あるいは高橋權六君といえども御承知のごとくであろうと思うのであります。農地はともかくといたしまして、家屋の鉱害について考えますると、いかに賠償形式が金銭賠償主義とは申せ、自分のうちがまさに倒壊寸前にあるのを、そのままにして、そこに住む者が、鉱業権者より賠償された金を家屋の復旧以外に使う者があるでございましようか。狂人でなかつたならば、そうした被害者がおるということは考えられないのでございます。結局、修繕するに足る十分なる金銭を賠償されなかつたがゆえに、うちのこわれるのを防ぐことができなかつたのでございます。先日の公聽会におきまして、杉本福岡県知事や行實直方市長が、今申し上げましたような悲惨なる事実を、悲痛な声をしぼつて公述しておられたことを、おそらく御出席の委員諸君は記憶しておられるであろうと思うのであります。被害者たちが公正適切な賠償を受けていないということは、この事実によつても明白であるのでございます。(拍手)このような不誠意な鉱業権者から罪のない被害者を守ると同時に、義務を履行しない加害者を十分取締ることが、われわれ国会に課せられたる神聖な任務であるとわれわれは痛感いたしますがゆえに、自由党の修正案に絶対に反対をいたすわけでございます。
 第二は、国が積極的に鉱害復旧を考えておらないということでございます。もし政府が本法案の対象でありますところの一般鉱害の復旧に積極的であるならば、まず第一に、鉱害復旧に関する予算を相当額計上すべきであると思うのであります。(拍手)すなわち家屋、墓地等の鉱害復旧については、家屋等が非公共的建物であるという理由によつて国庫補助の対象より除外するのみならず、農地関係以外の、一般公共施設の復旧に支出した補助金を、復旧工事完了後、賠償義務者より返還するというがごときは、第九国会において、新鉱業法の採決の際、鉱害賠償に関し議決した院議を無視したやり方であると思うのであります。これによつても、政府の態度に一片の誠意が認められないということが明らかでございます。(拍手)
 しかも、過日、本法案の審議の際に、委員の質問に答えて、政府委員は、いかに完全に鉱害を防止すべく努力して採掘しても、それはほとんど不可能で、地下を採掘すれば必ず地上に鉱害が発生すると答弁しておるのであります。いかに採掘方法を愼重にしても、必ず鉱害が発生するのであるならば、もはやそれは不可抗力であります。明らかに天災と同じ現象と断定しなければならないのであります。それを、政府が人為的災害であると、一方的にこれを認定して復旧の全責任を加害者たる鉱業権者に負わしめて、自己の責任を回避しておるということは、一方、一被害者の立場を無視したものであつて、不届きしごくであるといわなければなりません。結局、政府の不誠意と、鉱業権者の無責任ということが重なつて、たまたま自分の住む地下に石炭という資源があつたがために、多大の被害と深刻な不安を受けなければならぬという被害者の立場を考えますると、いかに運命の皮肉とは申せ、悲惨なる姿には同情の涙を禁じ得ないのであります。
 家は傾き、田畑は水につかつても、鉱業法の賠償規定が金銭賠償主義であるからということで泣寝入りにならなければならない、不便を忍ばなければならないという百三十余万の大衆を見捨ててよいかという問題であります。小金君は、ただいま、自由党は百三十万大衆の要望にこたえて、こういう修正案をつくつたとおつしやいましたけれども、私どもは、明らかにこれは、百三十余万の大衆の悲痛なる絶叫を無視して、きわめて少数の鉱業権者の輿望にこたえられたにすぎないと断言してはばがらないのであります。(拍手)法律は大衆を守るものであるという根本思想の上に立つて、良心に忠実でなければなりません。私は、この点において、自由党の諸君が、はたしてこの良心に忠実に行動せられたかどうかということを疑わざるを得ないのである。(拍手)われわれは断じてこれを黙視することはできない。
 さらに第三に、私は吉田内閣がいたずらに……。
#37
○副議長(岩本信行君) 加藤君に申し上げます。――加藤君に申し上げます。申合せの時間が参りましたから簡潔に願います。
#38
○加藤鐐造君(続) 承知しました。――第三の点を簡潔に申し上げまするが、吉田内閣は、いたずらにイデオロギー的自由主義経済に執着するの余り、鉱害復旧その他について順調に運営をしておりました配炭公団を、何らの対策なくして解散したのが、この間違いの第一歩であつたのでございます。それはすなわち重要地価資源政策の欠乏であり、もつぱら資本家本位の迎合策に終始した自由党の苦悶の姿でございます。(拍手)鉱業法が金銭賠償主義であることも問題の一つであります。鉱業法の賠償規定で鉱害被害者が救われますならば、この復旧法案のごとき單独立法は必要ないはずであります。本法を提出したところに鉱業法の欠陷を認め、政府は本法案によつて鉱業法の不備の点を補おうというのであります。しかしながら、私どもは、今申し上げましたように、この石炭鉱害復旧の臨時立法によつてはその欠陥が補われておらないという点に大きな不満を持つのであります。日本社会党は、野党修正案に示唆したところの、ドイツ、イギリス等におきまするように、鉱業法を原形回復主義に改める、原形回復主義に改めて、力及ばざる鉱業権者は、国がその責任にこたえる体制を整備して、重要地下資源産業の保護とともに、被害者救済の完璧を期しておるというのが、この修正案の趣旨でございます。かかる見地より、われわれは自由党修正案に反対し、野党修正案に賛意を表して、私の討論を終る次第であります。
#39
○福議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。これより本案に対する中村寅太君外十六名提出の修正案につき採決するのでありますが、本修正案中、第二條第六項第十一号を改正する点、附則第八項中、地方税法を改正する点は委員会の修正と同一でありますから、この共通部分を除いた他の修正につき採決いたします。中村寅太君外十六名提出の修正案中、委員会の修正と共通部分を除いた修正に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#40
○副議長(岩本信行君) 起立少数。よつて共通部分を除いた中村寅太君外十六名提出の修正案は否決されました。
 次に、委員会の修正と中村寅太君外十六名提出の修正案中共通の部分につき採決いたします。この共通部分に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#41
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて共通部分は可決されました。
 次に共通部分を除いた委員会の修正につき採決いたします。共通部分を除いた委員会の修正に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#42
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて共通部分を除いた委員会の修正は可決されました。(拍手)
 次に、ただいま修正議決した部分を除いたその他の原案につき採決いたします。修正部分を除いたその他の原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#43
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて修正部分を除いたその他の原案は可決されました。(拍手)
     ――――◇―――――
#44
○副議長(岩本信行君) 日程第二、航空機製造法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事多武良哲三君。
    〔多武良哲三君登壇〕
#45
○多武良哲三君 ただいま議題となりました航空機製造法案について、通商産業委員会における審議の経過並びに結果を概要御報告申し上げます。
 航空機の製造は、いまさら申し上げるまでもなく、戰後連合軍総司令官の指令によつて禁止されておつたのでありますが、今年三月八日付の覚書によりまして再び生産が認められ、航空機工業の全面的な活動の道が開かれたのであります。御承知のように、航空機工業は素材、部品、装備品等多岐にわたる関連生産部門の緊密な協力によつて構成されるピラミツドの頂点に位する典型的な総合機械工業であり、また設備、技術及び材料等においては、各方面を通じまして最高度の水準を要求されるものであります。しかるに、わが国の航空機工業は、戰後ただちに賠償工場に指定され、生産のための組織はことごとく解体せしめられ、終戰後七歳の間にわたつて、完全な空白状況に置かれたのであります。従いまして、この航空機工業を再建し、わが国の生産停止期間中に顕著な進歩発展を示した諸外国の航空工業の水準にまで達せしめることは、実に多難の限りというべきであります。そこで、航空機がわが国将来の文化、産業に貢献する大きな意義を考えますとき、航空機工業の生産技術の向上をはかり、航空機の品質及び性能を確保し、これを振興発達せしめんとするのであります。
 以上が本法案の提案要旨でありますが、なお内容を簡單に申し上げますと、第一に、航空機及び発動機、プロペラ等の製造または修理の事業につきましては届出制度にしたのであります。
 第二としましては、航空機工業は最高度の技術及び高性能の設備を不可欠とするものでありますので、製造または修理の設備及び方法について一定の技術士の基準を設けて、これを検査し、この検査に合格した設備及び方法により製造または修理を行わせることといたしたのであります。
 第三に、航空機及び発動機、プロペラ等の製造または修理を行つた場合には、検査に合格した設備及び方法によつて行われたものであることを通商産業大臣が確認または証明する制度を設けたのであります。
 第四点といたしましては、確認または証明のための検査につきましては、事務の簡素化及び迅速化をはかるため、原則として民間の専門家に委任いたすこととし、重要部分についてのみ国の検査官が検査することといたしたのであります。
 本法案は、五月十日、当通商産業委員会に付託せられ、越えて十三日、政府委員より本法案の提案理由の説明を聽取いたしたのであります。その後質疑に入り、本委員会においては、五月二十三日、六月四日の二日間にわたり行われたのであります。また運輸委員会との連合審査会を五月二十一日より開き、二十二日、二十七日、二十八日、三十日、六月二日と六回にわたり、政府委員と当委員会委員並びに運輸委員との間に熱心な質疑応答がかわされたのであります。なお本委員会におきましては、六月四日、参考人として川崎機械株式会社社長砂野仁君、新三菱重工業株式会社副社長荘田泰君、富士産業株式会社社長野村清臣君の三君を招き、参考意見を徴したのであります。
 以上の質疑のうちにおいて、自由党多武良哲三君、改進党高橋清治郎君並びに日本社会党加藤鐐造君より、各派一致して、航空機の生産行政は一貫的にあげてこれを通商産業省が施行するにあらざれば、今後長く行政の紛淆を来すのではないか、特に現実の問題としては、通産、運輸の二重監督となるのではないか、かくのごときことにならぬよう、関係者は特にみずからを自戒自粛すべき旨の発言があつたのであります。その詳細の内容につきましては会議録に讓ることといたしましたので、これを御参照願う、ことといたします。越えて六月十九日、討論を省略し、採決に入りましたところ、多数をもつて可決いたした次第であります。
 右御報告いたします。(拍手)
#46
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。横田甚太郎君。
    〔横田甚太郎君登壇〕
#47
○横田甚太郎君 一九三九年四月、政友会は、飛行機生産でたんまりもうけた中島知久平氏を総裁に迎えた。その後身の自由党が、今また飛行機をほしいと言い出した。航空機の製造は、終戰後、連合軍総司令官の指令で禁止となつていた。だが、アメリカは、みずから世界兵器廠をもつて任じ、軍需生産でたんまりもうけている連中が幅をきかしている国柄である。そのアメリカの占領軍が日本と連合国との世界平和のための誓いをいつまでも守らせる政策を持続できるはずがない。二十六年三月八日付の覚書によつて、航空機工業の再建を指示上、朝鮮戰争でつぶれた米軍飛行機の部分品と修理を要請して来た。ここまでやるかちには、国民生活を破壊したつてかまわない、アメリカの命令する兵器生産のために、日本の既存施設と資材の一切をあげて航空機製造をやり、軍需利得をあげてやろうというのが航空機製造法案のねらいだが、利にさといアメリカが、日本にもうけさせるような、ぼんくらなことをやるわけはないのだ。
 五月九日午前八時三十分よりの自由日本放送は、戰車を直すのに米国では二千三百ドルもするが、日本では七百五十ドルか八百ドルしかかからぬと言つている。日本で仕事をやらせると、費用は米国の二十分の一程度で十分である、きわめて安く、これは米軍陸軍省さえも信用しないほどに安く上ると報じている。それゆえにこそ、労働者の賃金は安く、農産物は不当な価格で強奪され、政治の腐敗は重税と差押えにすりかえられ、怒る国民大衆を押えるために、安保條約や行政協定、米軍の駐留や国民彈圧のための破防法を押しつけるのだ。これらはすべて、アメリカの国防のために日本の国民を搾取し圧迫する一連の施策である。外資は日本の経済を荒し、特需を秋まで続けてみろ、日本の産業はつぶれてしまうということは、自由党の通産委員さえが告白している事実である。(拍手)
 飛行機は文明の利器であり、たれでもがほしいものである、まして、日本は飛行機を飛ばせない野蛮国ではなかつた。戰前の日本では、多い年では、一九四四年のごとく、年間二万八千五百八十機の飛行機をつくつていた。だが、これらの飛行機はどんな役割を果したのであろうか。これをはつきり見きわめてからの航空機生産再開にしないと、日本とこの民族を、再び燃えたぎる鉄の火の海の中で原爆踊りをやらされつつ、白木の箱さえも保証しない世紀の悲劇のまつただ中で細菌地獄に浸らせられ、狂い死にさせられるのは必定だ。
 航空機生産再開のためには、政治のあり方が先決問題であり、自由党を倒すことがまず第一である。この解決なしには、航空機生産はかえつて害になる、なまなましい思い出があまりにも多くあり過ぎる。戰前、天皇制政権下の日本でつくられた航空機の名は皇軍機、と呼ばれていた。空で戰えば敵機を全滅させ、地を襲えば敵の地上基地に再起不能の大損害を與え、海に敵の戰艦を沈め、皇軍機は常に全機無事帰還したのである。翼を失い、プロペラを損傷しても、日本から飛び立つた天皇の飛行機は、大本営発表によると、決して敵地には撃墜されなかつたのである。朕います戰時統制下の日本の新聞の文字の上では、実に強い、無敵な、頼もしい飛行機であつた。軍艦マーチで、ラジオはその強さをほめたたえていたのだ。自由党の議員は、そのとき口をあけて見て喜んでいたのだ。日本の空は、これらの飛行機でしつかりと守られていたはずであつたが、治安維持法が制定され、さらにそれが改惡され、遂には調子に浮かれ過ぎた自由党の次の古きホープ、時の文部大臣鳩山一郎氏が、国体明徴だと狂い出してより、大学に赤の追放が始まり、憲法の解釈さえ、この世の国際通念で解釈しては危険な御時世となつた。
 政友会、自由党と名はかわれど、さすがに同じ政党に所属と、覇を争うだけあつて、吉田自由党政権下の再軍備論争も、また人間の常識で解釈してはいけない点なんか、そつくりそのまま、まつたく同じ論法で片づけられている。旧憲法は大御心の中に消え去り、大君に随順し奉つた、日本のうつし世には、人心を持つた者は生きて動くことさえできなくなつてしまつた。まつろわざるものは討ち平らげたまい、神の国の民草にぼけおわせてしまう以外に長らえる方法は許されなかつた。やおよろずの神の国の理論はけちで、平和を好む人間は住めなくなつた。破壊で世界を荒す戰犯理念以外はしやべれなくなつたのだ。
 このような、えたいの知れぬ精神主義の中で、どうして科学文明向上のためのよりよき地上の努力が続けられよう。日本の危機を告げ、戰争に反対する共産主義者の活動は迫害し、投獄と拘束と苦役をもつて報いたのだ。共産党彈圧後の日本は神風を待ち、天壌無窮、高天原の工場でつくられる豊葦原瑞穂国の飛行機に、ただ神風の奇蹟をかけていた。神の名はつけど、飛べない翼を持つ飛行機があまりにも多くなつて来た。神の子を名乗る国の日の丸の皇軍機は、B二九にあえばこれを避け、原子爆弾投下の惨劇には空の守りをいといて、日本の飛行機自体が空中戰から疎開していたではないか。
 日本の労力、日本の金を使いながら、日本国民に何の相談もなく、唯一無二、他を絶対にいれぬ偏狭な天皇制イデオロギーでつくられた天孫民族の飛行機は、広島、長崎に加えられた鬼畜にひとしいアメリカの攻撃のとき、一体何をしていたのだ。日本の人命財産を守つたか。日本の何を守つたのだやはり地上は人間が努力し、話し合うところであつて、神々がいばり、神の子が神聖をたてに、天皇不可侵、君主神権説を呼号し、国民を迫害彈圧するところでない事実を、高価な犠牲の中でわれわれは教えられた。われらはこのとうとい血の代価を今日こそ忘れてはならない。このように、いかなるときにも真実を語り、平和と正義のために闘い続けているのは日本共産党以外にないのである。共産党を迫害することは、国民の生気を奪うことであり、そうなつては、正しいことは知らされなくなり、暗黒そのものが復活するだけだ。今その道をまつしぐらに走つているではないか。そのかつての暗黒政治の支配下で、日本の政治は、「空だ男の行くところ」、「一機でも多く」の合言葉で、軍需生産のために国民をだまし、国民の財宝と人命を奪うことにのみ專念し、バケツの古手までかすめとつていたのだ。侵略のための軍需生産、この強奪行為さえも、供出だ、献納だと呼ばせ、国民のふところぐあいの悪くなる事実を決して国民自身に勘定させることを許さなかつた。(発言する者あり)お前帰つてパチンコでもして来い。
 天皇の航空機生産が、今度は日米経済協力にかわり、アメリカ兵器生産にすりかえられただけだ。日本の財を失い、日本の労力をしぼられ、低賃金と奴隷的労働はよりひどくなるのだ。しかも、この目標のない法案には、内需少く、育ちにくい航空産業をどうしても育成助長しなければならない日本の必要と策が何一つ明記されていない。物の本質を考えさせない天皇制政治は、日本にどのくらい害をなし、災いをなしたか。この中に眠つている者を占領ぼけというのだ。このぼけゆえに、全国から集められた日本人の金銀宝玉は、日銀の地下倉庫に、六年有余の間、アメリカ軍の銃剣のもとでとじ込められ、講和を待つていたはずだ。それが、日本の数で数えられる今日になつて、数も目方も多量に失われていると伝えられている。このような重大事があるのに、いまだ一切の公表さえはばかり、一片の抗議すらできないのみか、日本の財宝を守るための国民的一大反米問責運動を押しつぶしている。占領ぼけがこんなにも災いしていることを銘記したまえ。その責任を感ずるなれば、国民の自由闊達なる活動をのみはかるべきだ。破防法の制定は、日本国民の再度の去勢をねらつている。日本弱体化、占領ぼけ継続をねらい、国民を再び死の行進のために整列させているのだ。
 外人がばかと呼んでいた、飛び去つて帰りを知らぬ天皇陛下の特産品、自爆機のあつたことを君たちは知つているであろう。この殺人機に、多くの若き有為の学徒を乘せ、あの世への自殺に惜し気もなくやつたのはだれだ。かくも残忍な政治的責任の所在は徹底的に糾明されねばならぬのに、これを米日反動どもがごまかした。ここに学徒と現政権との対立があるのだ。かかる国民の奮起は、徹底的な戰犯の追究である。立ち上つた国民に、五月一日、人民広場で米兵がほりに投げ込まれて以来、警察予備隊はカービン銃を斜めに構え、日本人が日本人を殺すのろのろ演習を、暴鎭の名のもとにやらせられていると聞く。その背後には、アメリカ将校が、アメリカ国防と権益擁護のために、金で買われた傭兵がやる大衆殺戮演習を督戰しているというではないか。このようなばかな人命供出のために條約を結び、施設を準備し、アメリカ国防のために狂奔している現政府のむごいやり方は、戰時下に狂つていた暗黒政治より以上ではないか。政治家の根性も、政府の方針も、売国的になつている。鉄かぶととピストルの武装警官に治安を託す以外に自由党に何の政策があるか。
 国体明徴で心身ともに倒れていた鳩山氏も、朝に五百歩、タベに百五十歩と、よいよい歩きで、あすの政権目ざし自由党に返り咲こうとあがいている。岸信介、石黒忠篤、重光葵氏等が、戰犯解除者を連れて日本の政権をうかがつている。大橋氏は、きようのラジオ・ニュースで、国民彈圧のための、地にのろのろ演習、空に爆彈投下の飛行機がほしいと言い出した。町に旧軍人、戰犯の書籍は氾濫している。再軍備反対の連動は彈圧されている。中ソを仮想敵国とする反共、反中ソのための逆宣伝は、吉田政府を先頭に猛烈に行われている。戰前と比べて足りないのは、ただ人を殺し、人家を焼くための戰争兵器の国内生産が不足し工おるだけだ。
#48
○副議長(岩本信行君) 横田君に申し上げます。もうとうに申合せの時間が過ぎておりますから、簡潔に結論だけお願いいたします。
#49
○横田甚太郎君(続) これに資金と資材を注ぎ込もうと、その努力のための法律制定の一つがこの法案である。軍需生産は、人類の多数に死と、災厄、耐えがたき不幸をまき散らし、人類の文化と生活を破壊することによつて、ぼろもうけをする、のろうべき産業である。ゆえに、利にほうけたこれらの軍需産業家を、世界の識者は、昔から死の商人と呼び、さげすんでいた。われわれは、第二次大戰による日本の廃墟の中より、より大きな破壊を伴う新しき軍需産業を再建し、死の商人をはびこらせ、再び政党の首領に死の商人中島氏を継ぐものを迎えてはならない。文教を、再び戰争の名による大量殺人扇動者に渡してはならない。これこそ、再び日本の破壊を招来すること必然である。
 飛行機はほしい。われわれ日本の民主勢力は、日本国民の力を統一して、みずからの政府をつくり、必ずみずからの飛行機をつくり、空に楽しい人民文化を運ぶ巨大な航空文化を築く。それまで、吉田自由党政府のもとにおいては、一機の飛行機生産も許してはならない。自由党政権下、腐敗しやすい軍需産業を再建して何になる。むだではないか。印紙の変造は、一体何を物語つているのだ。コミツシヨンの向うところ、必ず降参しますと、降伏の軍使を先立てて、現在の日本で武器を持つ警察、警察予備隊、海上保安庁、官界、旧軍部関係者は、汚職のしとねを敷き、軍需産業再開を一日千秋の思いで待つているじやないか。こんな危険なことをやるより、平和産業の無制限発展と、その裏づけとなる日本と中ソの貿易復活に国論の統一をはかろうじやないか。関係国の繁栄を実現し、この政治的基盤の上に、対米交渉の根本的やりかえをやるのだ。日本と世界平和のために、この道をまつすぐに進もうではありませんか。それを妨害する降路をみずからつくり、朝鮮の空で、ミグによつて、こつぱみじんに破られたアメリカ空軍の再建のために、日本の施設と一切が運用されるのみの、恐ろしくもはかなき飛行機生産の手伝いと下請のための本法案には、日本共産党は絶対反対であります。(拍手)
#50
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#51
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#52
○副議長(岩本信行君) 日程第三、閉鎖機関令の一部を改正する法律案、日程第四、連合国財産の返還等に関する政令等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長佐藤重遠君。
    〔佐藤重遠君登壇〕
#53
○佐藤重遠君 ただいま議題となりました閉鎖機関令の一部を改正する法律案外一法律案につきまして大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず第一に、閉鎖機関令の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、閉鎖機関令に基く閉鎖機関の特殊清算が、総数千八十八機関のうち約二百六十機関を除いてはすべて結了し、閉鎖機関制度の当初の目的もほぼ達せられるに至つておりますことにかんがみまして、今回閉鎖機関制度をすみやかに終結させるため、清算未結了の機関のうち、民法、商法等の規定に基いて清算を行うのが適当と認められるものにつきましてはその指定を解除するとともに、平和條約の発効に伴いまして閉鎖機関の在外財産については、今後その返還及び清算の処理を要するものの増加が予想されることとなりますので、この際閉鎖機関の在外財産の処理に必要なる措置を定めることといたそうとするものでございます。
 本案につきましては、四月一日、政府当局より提案理由の説明を聽取し、数回にわたり質疑を行い、また特に参考人の意見を聽取する等、愼重審議を行つたのでありますが、質疑応答の詳細に関しましては速記録に讓ることといたします。
 次いで、去る十九日質疑を打切りましたところ、自由党の小山長規君より修正案が提出されました。
 修正案の内容は、原案におきましては、閉鎖機関の特殊清算の対象として、従来の国内資産のほかに在外債権及び債務を、含ませることとし、かつ国内留保資産をもつて在外債務を返済できることといたしておるのでありますが、修正案におきましては、さしあたり在外債務は特殊清算の対象に含ませないようにいたそうとするものであります。
 次いで、討論を省略の上、修正案及び修正部分を除いた原案について採決いたしましたところ、起立多数をもつて本案は修正議決されました。
 次に、連合国財産の返還等に関する政令等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、このたび締結されましたインドとの平和條約の規定に対応いたしまして、在日インド財産の返還または補償を行い得るようにするため、さきに法律としての効力を有するものとなりました連合国財産の返還等に関する政令及び連合国財産である株式の回復に関する政令並びに連合国財産補償法の規定に所要の改正をいたそうとするものでありまして、その内容は、わが国が平和條約に基いて財産の返還または補償の義務を負う国として、サンフランシスコにおいて署名されました日本国との平和條約第二十五條に規定する連合国のほか、今回のインド及び今後サンフンシスコ條約第二十六條の規定に基いて同様の條約を締結することのある相手国を、必要に応じ政令で定めてこれに加えることができるようにいたしますとともに、財産の返還または補償の請求期限等、これに関連する若干の規定を整備することといたしております。
 本案につきましては、去る十六日、政府当局より提案理由の説明を聽取し、昨二十五日、質疑、討論を省略の上、ただちに採決いたしましたところ、起立総員をもつて原案通り可決いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#54
○副議長(岩本信行君) まず日程第三につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#55
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
 次に日程第四につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#56
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#57
○副議長(岩本信行君) 日程第五、自転車競技法等の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事高木岩之助君。
    〔高木吉之助君登壇〕
#58
○高木吉之助君 ただいま議題となりました自転車競技法等の一部を改正する法律案について、通商産業委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のごとく、自転車競技法の目的とするところは、自転車産業の振興と地方財政の増收をはかるのにあるのでありますが、現行法施行以来、競輪の盛況に伴いまして、直接競走の施行による競走車並びに実用車の改良のほか、競輪の牧益から自転車産業振興費として支出を見ました金額は、昭和二十四年以降昨年度まで合計約七億二千万円に達し、商工中金その他の金融機関を通じての自転車産業に対する貸付金、中小自転車企業の共同施設費、自転車工業研究補助金あるいは自転車の輸出進行費等として、きわめて有効適切に使用されておる実情であります。また競輪施行者としての地方自治体の收益は、昭和二十六年度までに実に八十億円に達するのでありまして、これらは、各地方における住宅または学校の建設、保健衛生その他の公共事業に活用せられ、地方財政收入の緩和に貢献しているのであります。しかしながら、競輪は、その運営に当を得ない場合におきましては、社会風教上にも憂慮すべき結果を来すおそれのありますこともまた否定し得ないところであります。従いまして、これに対する対策としては、競輪施行者その他の運営関係者、選手等、監督指導に努めることはもちろん、運営が法につきましても、車券の発売方法、開催方法等、諸般の点に細心の注意を拂う必要があるとともに、不特定多数の観衆の理解、自制にまつところもまたきわめて大きいの一でありますが、これがためには、法規上相当の監督規定を設けることが必要と認められるのであります。まつて、現在実施中の措置に対し法的基礎を明確にすることによつて競輪の弊害を防止し、運営の一層の健全化をはかろうとするのであります。
 次に改正の要点を申し上げますと、第一に、競輪場内の秩序の維持並びに競輪施行者及び自転車振興会または競輪場所有者に対する監督に関する規定を明確にいたした点であります。
 第二といたしましては、自転車競技法並びに小型自動車法に基き、その運営より生ずる国庫納付金に関しまして規定を整備した点であります。
 第三点としまして、いわゆるのみ屋、取次業者等の車券購入にからまる不正行為の取締りに関する規定を整備した点であります。
 第四といたしましては、競輪場及び場外車雰売場の新設につきましては、通商産業大臣の許可を要することといたしたことでございます。
 第五は、本法運用に関し万支障なきように、通商産業大臣の諮問機関として競輪運営審議会を設定したのであります。
 以上が、本改正案提案の趣旨並びにそのおもなる改正点であります。
 本改正案は、参議院議員境野清雄氏外五十七名より提案せられ、当通商産業委員会に予備審査として六月十一日付託となり、越えて十四日、提案者を代表して参議院議員結城安次君より提案理由の説明を聽取したのであります。翌々十六日、本改正案が付託となり、翌十七日質疑に入り、二十日、二十四日と三日間にわたり、提案者境野清雄君並びに政府委員と当委員との間に熱心な質疑応答があつたのでありますが、その詳細なる内容は会議録に讓りますので御参照願います。
 六月二十四日、質疑を打切り、討論を省略し、採決をいたしましたところ、多数をもつて可決した次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#59
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#60
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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