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1947/11/23 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第64号
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1947/11/23 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第64号

#1
第001回国会 本会議 第64号
昭和二十二年十一月二十三日(日曜日)
    午後二時三十四分開議
        ――――――――――
 議事日程 第六十三号
  昭和二十二年十一月二十三日(日曜日)
    午後一時開議
 第一 昭和二十二年度一般会計予算補正(第七号)
 第二 昭和二十二年度一般会計予算補正(第八号)
 第三 昭和二十二年度特別会計予算補正(特第三号)
 第四 経済力集中排除法案(内閣提出)
 第五 持株会社整理委員会令の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 政府職員に対する臨時手当の支給に関する法律案(内閣提出)
        ――――――――――
        
#2
○議長(松岡駒吉君) 諸般の報告をいたさせます。
    〔参事朗読〕
 委員会に付託された議案は次の通りであります。
 (内閣提出) 造船事業法を廃止する法律案
  十一月二十一日
     運輸及び交通委員会に付託
 (内閣提出) 北海道に在勤する政府職員に対する越冬燃料購入費補給のための一時手当の支給に関する法律案
  十一月二十一日
     財政及び金融委員会に付託
 (内閣提出)内務省及び内務省の機構に関する勅令等を廃止する法律案
 (内閣提出) 地方財政委員会法案
 以上二件 十一月二十一日
         決算委員会に付託
 (内閣提出) 最高法務廳設置法案
 (内閣提出)民法の改正に伴う関係法律の整理に関する法律案
 以上二件 十一月二十二日
         司法委員会に付託
    〔朗読を省略した報告〕
一、昨二十二日から次の議案は委員会の審査を省略されたい旨の要求書を受領した。
  西尾官房長官不信任に関する決議案
         江崎眞澄君外一名
        ――――――――――
#3
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 第一 昭和二十二年度一般会計予算補正(第七号)
 第二 昭和二十二年度一般会計予算補正(第八号)
 第三 昭和二十二年度特別会計予算補正(特第三号)
#4
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、昭和二十二年度一般会計予算補正(第七号)、日程第二、昭和二十二年度一般会計予算補正(第八号)、日程第三、昭和二十二年度特別会計予算補正(特第三号)、右三案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員長鈴木茂三郎君。
   ――――――――――
 昭和二十二年度一般会計予算補正(第七号)に関する報告書
 昭和二十二年度一般会計予算補正(第八号)に関する報告書
 昭和二十二年度特別会計予算補正(特第三号)に関する報告書
 [以上都合により最終号の末尾に掲載]
   ――――――――――
  [鈴木茂三郎君登壇]
#5
○鈴木茂三郎君 ただいま議題となりました昭和二十二年度一般会計予算補正(第七号)、同じく(第八号)及び昭和二十二年度特別会計予算補正(特第三号)に関する予算委員会の審議並びにその結果について御報告申し上げたいと存じます。
 この三つの補正予算のうち、一般会計の第七号、特別会計の特第三号、これは本年度追加予算の中心となるものでありますが、第八号は、一般会計における既定経費を約十五億円節約いたしまして、そのうちから十三億円余を追加支出しようとするものであります。
 本年度追加予算の編成方針並びにその概要については、先般本会議におきまして大藏大臣から詳細な御説明があり、これを中心として質疑應答が行われたのでございますから、私はあらためてここで御報告する必要はないと存じて、これを省略いたします。しかしながら、本年度予算は御承知のようにばらばらに提案されてまいりまして、從つて、各種予算を一應とりまとめる意味において、報告の第一といたしまして、補正予算のごく概要を申し上げたいと存じます。
 まず一般会計予算補正(第七号)は、歳入歳出とも八百五十六億円余、第一号から第八号までを通計いたしますと、九百二十一億余円になり、これを当初予算に加えますと、一般会計は総計二千六十六億円余に上る勘定でございます。
 この補正第七号の歳出における重要なものは、何と申しましても御承知の通り終戰処理費でありまして、補正予算としましては四割二分三厘、当初予算と通計いたしましても、なおかつ三割一分一厘を占めるという重い負担となるのでございます。連合軍側においては、その給與、食糧、衣料またはガソリン等を直接御負担になつておるのではございまするが、しかも、わが財政上の負担は軽からざるものがあるだけでなく、これらは一般の財政支出や復金の融資などと相まつて、物と金の両面からインフレーションを助長する要因ともなるおそれのあるものでございます。
 歳出においては、このほか官公廳職員の特遇改善費、すなわち当初予算において千二百円基準で計算されたものが、その後千六百円に引上げられ、今回さらに千八百円基準に改訂されたため支出増加となつたというようなぐあいに、物價の引上げに伴う歳出の自然増加による費目が多いのでございます。
 このほか新しい歳出の費目としては、農業生産調整費、失業手当及び失業保險費等のごとく法律の実施に伴うものとか、災害の復旧費及び貿易資金繰入、復興金融金庫出資金、特別会計の赤字負担等、いわゆる健全金融の建前から一應一般会計の負担に計上することになつているものなどが、注目すべき費目と考えられるのであります。ただ遺憾に思われますことは、まつたくやむを得ざる事情に基くとはいえ、片山内閣の特殊な性格を顯現せしめた積極的な政策が歳出の上に計上されたものの少いやに見受けられることであります。
 次に歳入につきましては、政府はいわゆる健全財政なるものを堅持する方針から、財源を普通歳入に求めることとなり、高額所得の税率を引上げ、さらに酒税、物品税、入場税等の間接税の引上げを行い、さらに不足する部分を非戰災者家屋税という特別税の創設、タバコ値上げによる専賣益金の増収等によつて補い、一般会計としては赤字公債を発行しないで、さらに進んでは当初予算に組んであつた四十八億円余の交付公債を中止することになつているのであります。かような次第で、いきおい國民の一般の税負担は、やみの利得を除いては、ほとんど極限に到達したやに見え、從つて、特に勤労階級の負担は耐えがたいまでの重さを加えてきたようにもうかがわれるのであります。
 次には、特別会計の補正特第三号についてでありますが、当初二十四を数えました特別会計の数は、新たに失業保險特別会計及び船員保險特別会計の二つを加えまして、合計二十六となつております。これらの特別会計におきましても、一般会計におけると同樣の事情から、補正予算特第一号、第二号を加えますと、歳入においては千八百九十七億円余、歳出においては千六百六十二億円余となり、これを当初予算の特別会計と通算いたしますと、歳入が四千四百八十六億円余、歳出が四千七億円余ということになるのであります。
 特別会計について一言申し上げたいことは、政府においては、事業会計については独立採算制の建前をとりまして、しかも新物價体系を堅持するため運賃または料金引上げを避ける方針をとりましたので、経営上の赤字が免れがたいことになり、そこで、建設費の方は生産的な支出であるとの考えからこれは公債によつて賄い、損益勘定の赤字はなるべく借入金によらないで、一般会計から合計八十五億円を繰入れることになつているのであります。
 さて、以上、一般会計と特別会計の追加予算概要について、一應大まかにとりまとめて申し上げたのでありますが、この二つを、当初予算をも加えて通計いたしますと、本年度予算の総計は歳入六千五百五十二億円余、歳出六千七十三億円余という莫大な数字に上るのであります。もつとも、未だ二重勘定を除いた純計予算はわかつておりません。しかし、この厖大な予算の実行に伴う政府の財政資金計画によりますれば、一般会計の普通歳入、特別会計における公債または借入金、地方債、復興金融金庫の債券等を合計いたしますと、三千四百億円余という数字に上ります。これだけの財政資金を必要とする。これは國民総所得の三分の一以上に該当するわけでありますが、これは政府が吸收する所要資金だけでありますから、政府が民間に放出する分を差引きますと、政府が必要とする資金はおよそ一千百億円を超えるものと推定されるのであります。いずれにいたしましても、本年度予算の実行がなみなみならぬ困難に直面していることを認めざるを得ないのであります。
 こういう重要な予算案を審議いたしますについて、予算委員会は審議のための一般質疑及び各党の代表質問を七日間にわたつて行いましたほか、分科会を開いて、さらにこまかい点にわたつて審議を行い、公聽会を開いて、國民の代表たる公述人並びに学識経驗者の意見を聽取するなど、愼重なる審議を行つたのであります。
 委員総会における質疑應答のうちのおもな問題を取上げて申しますと、総括的な問題としては、追加予算の健全性の問題、追加予算とインフレーションの関係、千八百円ベースと物價体系の問題等が論議され、歳入面におきましては、徴税速度と收支の不均衡及び滯納額増加とその対策、大衆課税の問題、申告納税制の問題、非戰災者特別税、專賣益金増徴の問題、脱税防止の方策及び税務機構の改革等が問題となり、歳出面におきましては、終戰処理費の内容及び負担の限度、政府出資金の可否、科学研究費、六・三制予算、災害復旧費、開拓費、行刑費等増額の問題、官公吏の待遇改善と財源の問題、経費の削減と行政整理の方針等が問題となり、その他特別会計と独立採算制、地方財政窮迫化の対策、さらに明年度予算編成方針いかん、こういう問題が取り上げられて質疑が行われたのであります。
 そこで、これらの質疑中の若干のものについて、かいつまんで質疑應答につき御報告いたしますと、第一に、この追加予算は資本家階級のための支出が多く、大衆関係の支出は総支出の一割に満たない。しかも、無理に均衡をとつたため、收入は最も捕捉しやすい間接税や勤労所得税に集中されている、こういう質問に対して、政府側からは、資本家本位の予算を編成する考えでなく、大衆生活安定のために、乏しい財源の中からいろいろと配慮したが、もちろん十分とは考えていない、國家再建のためにしばらく御辛抱願いたい、こういう答弁がございました。
 第二に、政府は現在の物價体系及び千八百円ベースの維持はできないではないか、官公吏の待遇を改善しないのか、財源さえあれば中労委の裁定を考慮するか、こういう種々の質問に対しまして、政府側から、現在の物價体系内部の調整をはかつて、この体系そのものを大きく変動させない考えである、これを破壊しない限り給與の引上げは可能であるが、その前月繰上げは現行法規上できない、あるいは財源という制約と物價体系を維持するという前提條件で、中労委の裁定についてはできるだけ考慮するとのお答えがございました。
 第三に、この予算の実行にあたつて、支出は物價騰貴によつて不足するおそれがあるとともに、歳入徴收の困難に伴い諸般の問題が激化するのではないかとの質問に対しまして、政府は、いろいろと長い御答弁がございました。第三・四半期の收支の程度に租税が徴收できるか、目下檢討中であるが、收支不均衡の万一の場合の準備として、大藏省証券の発行限度を四百億円に引上げ、あるいは貯蓄の増強に努めて、予想される巨額の公債発行に対処したい、こういう御答弁がございました。さらにこれに関連して、滯納額の増加、脱税防止、やみ所得の捕捉の困難及び税務機構の欠陷等の問題については、滯納額増加の理由は、財産税等の更正決定の事務繁忙のために所得税の滯納処理が遅れたことと、申告納税制度による所得税の更正決定には二、三箇月の時間的ずれが技術的に免れがたいということにある、こういう御答弁であり、また滯納処理を迅速にし、滯納利子の引上げを行い、脱税防止については、從來の罰則を強化し、今後は脱税事実については摘発、警告及び告発をするやみ所得の捕捉については、第三者通報制、探聞調査、帳簿檢査、こういうものを活用し、また消費生活の面から押えて、本人からの聽取をも併せ行つていきたい、税務機構の改善拡充については、とりあえずでこぼこ調整その他税務官吏への給與を増額する等の待遇の改善に着手しているが、今後の増額については政令によるか、法律によるかは檢討中である、その他講習会の開催、人材の抜擢、人員の増加等を実行する一方、國民納税運動を促進したい、こういう御答弁がありました。
 第四に、歳出の面については、終戰処理費に関しまして、昭和二十一年度中に余分に支拂われている部分はどうするか、その國民経済に占める負担の限度はどこにあるか、朝鮮向け資材費等の措置いかん、公定價格でこの予算を実行し得る確信があるかどうか、こういう質問に対しまして、政府は、余分に支拂つているものはこれを回收する、負担限度の問題は、これを計上するに際して、極力金銭及び資材を減額してあるが、その資材が生産を圧迫しないように、貿易回轉基金によつてその輸入を懇請中であり、朝鮮向資材の点は、講和会議において決定すると思うが、現在は立替拂である、公定價格による支拂の実行については、進駐軍側の計画が途中で変更されないこと、割当通り資材がまわつてくれば遂行されると思う、こういう御答弁を得たのであります。
 第五に、復興金融金庫への政府の出資金及び復金債券の消化の問題でございますが、政府側から、復興金融金庫の出資は復興金融債券の発行額を減額するためにやつたものだが、この債券の発行高がインフレの要因とならないように、保証融資制や市中銀行による共同引受制その他を通じて市場消化に努めたい、こういう御答弁がございました。
 最後に第六に、明年度予算に対する用意はどうか、こういう質問に対して、政府側からは、明年度予算の提出時期については、明年度予算は片山内閣としての最初の本予算であるから、十分國会と連絡をとつて編成したい、ただ異常の経済状態が続いているために、不本意ながら本年中に提出することは不可能と思う、こういう意味の答弁がございました。
 第三は、公聽会における各種の公述人または学識経驗者によつて述べられましたところの、本追加予算に対する國民を代表する意思と見らるべき意見の大要でございます。予算の審議に愼重を期するために、ただいま申し上げましたように、十一月十一日、十二日の二日にわたつて公聽会を開催いたしまして、学識経驗者、産業及び金融界の代表、労働組合関係の代表、一般の公述人から意見を聽取いたしたのでありますが、その大要は、大体次のようにお聽きすることができたのであります。
 ます追加予算全体の批判といたしましては、これは單に形式的な均衡がとれておるというだけのことで、國民経済全般としての総合的見地から編成されていない、これではますますインフレーションがひどくなるおそれが多い、殊に新規財源として増税及び新税が行われる上に、高率のタバコ値上げが行われることになつておる、また七月の新物價体系と給與水準を維持することは不可能であるという意見を非常にたくさんお聽きすることができたのであります。
 歳出につきましては、一方で赤字温存の経費を増大しながら、他方で現行給與水準を維持しようというのは無理である、また失業対策費等の社会的支出が不十分である、こういう意見も多数にございました。歳入面につきましては、國民の税負担が限度に近い、徴税の比較的容易な勤労所得税や間接税等大衆課税の重みがますますひどくなつて、大所得ややみ利益が負担を免れている、この傾向は、現在の政府徴税機構が不完全であるために一層こういう情勢が激化されておる、この分では、租税滯納や脱税のため年度末には巨額の歳入不足が生じるという意見が支配的でございました。
 それではこれに対していかなる対策があるかと申しますと、歳出の面においては、行政機構の合理化はどうしても行わなければならない、また歳入の面においては、新税を創設するよりも、税務官吏を優遇するとか人員を増強するなど徴税機構の拡充強化を行い、租税の滯納や脱税を取締らねばならないとの見解が一般的でございました。なお、このほかに一部の意見といたしまして、價格差益金は收納の方法を改めれば予定の三倍に増加できるという見解、石けん、甘味料、砂糖などを專賣品にせよとの意見、開拓事業は國営にすべしとの主張、國会に國費節約委員会のような制度を設けて國費節約を監督せよとの意見など、その他注目すべきいろいろな意見を公聽会においで聽くことができたのでございます。
 第四は、かくのごとき愼重なる審議の結果に基く結論たる討論の情勢と、採決の結果に関する御報告でございます。まず討論の概要を申し上げます。社会党の中原健次君は、この追加予算によつて大衆負担が過重となることなど数点を指摘されて、昭和二十三年度すなわち來年度の予算編成に対する政府への注意を喚起して、本案への賛意を表されました。次に鈴木正文君は、自由党を代表して、本予算はすでに一部破綻した千八百円の基準の基礎の上につくられ、また本予算の施行によつてインフレへの加速度加えるとの前提に立つて、行政整理と企業整備の断行、税制の改革等七項目にわたる意見を述べ、さらに補正予算第七号中、物品税の減税、酒類配給公團、農業生産調整費等の歳入歳出削減による六億円余の減額に関する修正案を提出されたのであります。次に押川定秋君は、民主党を代表して、行政整理の必要を述べ、予算実行において極力收支バランスに努力すべき事を要望して本案に賛成され、次に川野芳滿君は、國民協同党を代表して、新しい物價体系の改訂、公約した政策の実行等八つの希望條件を附して本案に賛成され、次に第一議院倶樂部を代表して東井三代次君は、金融健全化、予算に科学性を與えること等の五つの條件を附して、これまた本案に賛成され、野坂參三君は、共産党を代表して、この予算はインフレーションを激成し、また大衆の犠牲を要求するものであるからその他の理由で、予算の返上を主張されたのであります。
 かくて討論を終り、採決の結果、自由党の西村久之君提出の修正案は少数にて否決、原案、すなわち昭和二十二年度一般会計予算補正(第七号)、昭和二十二年度一般会計予算補正(第八号)、昭和二十二年度特別会計予算補正(特第三号)、これについて採決した結果、多数をもつて可決いたしました。自由党の庄司一郎君、共産党の野坂参三君は、それぞれ少数意見を保留されました。
 なお御報告の最後に、此の際一言申し上げたいことが二つございます。第一は、委員長より予算委員会に報告をいたしまして了承を求めた附帶決議の件でありますが、これは理事会における一應の意向として、本案を可決するにあたり、三項目の附帶條件、すなわち「今次追加予算に関し、時間的制約のため、審議條支障の少くなかつたことに鑑み、政府は占領下の事態等をも勘案し、予算編成に関しても國会の意向を反映せしめ、また審議にあたつては修正等をもなし得る時間的余裕をもたしめるよう努力すること」を含む三項目の條件を決定したいとの議がございました。しかし、かような政府への希望的條件を附するような慣例は、國会の権威の低かつた旧憲法下における議会の悪慣習であるとの有力なる見解もあつて、これをとりやめることにいたしました。しかし、この問題につきましては、やむを得ざる特殊の事情のため予算の編成が遅れて、分科会を中心とする十分なる審議の結果の必要に基く修正その他國会の意思を予算に反映することのできない今日の情勢に鑑みまして、政府に警告を與えて、今後適当なる方法により、予算の編成の過程において可能な限り國会の意思を予算の編成に際して反映せしめたい、こういう委員長の報告を予算委員会の委員諸君の御了承を得たというのが第一点でございます。
 第二点は、この予算委員会の開会前後に、委員長または委員諸君は、國民の各方面から、この予算に関連いたしまして、書面または口頭をもつてたくさんの人々から陳情を受けているのでありますが、これらの陳情のうち、もつともと思われる問題については、委員長及び委員会においても努力をいたしましたので、一應その結果についてこの機会に御報告をしておきたいと存じます。すなわち、
一、寒冷地における官公吏の燃料に関する手当は、一両日中に予算案を補正第九号として提案する。
一、六・三制の残額七億円、干害対策費、災害復旧費の若干額は、これまた補正第十号として財源の確保を得て提案する。
一、官公吏の生活の問題については、中労委の裁定に基き、これまた政府においてできる限りの措置を講ずる。
一、映画などの入場税は、來年度の歳入予算の上に大衆的課税にならないように努力する。
一、非戰災者家屋税について、廣島、長崎のごとき特殊の地域については特別の考慮を拂う。
 こういうように、それぞれ政府の御了承を得た次第であります。
 たいへん長くなりましてございますが、予算委員会における審議の経過並びにその結果に対しまする委員長の御報告は、以上をもつて終了いたします。(拍手)
#6
○議長(松岡駒吉君) 少数意見者報告。野坂參三君。
 昭和二十二年度一般会計予算補正(第七号)、昭和二十二年度一般会計予算補正(第八号)及び昭和二十二年度特別会計予算補正(特第三号)に関する少数意見報告書
 [都合により最終号の末尾に掲載]
 ――――――――――
  [野坂參三君登壇]
#7
○野坂參三君 私は、日本共産党を代表しまして、今日上程された補正予算、これに対する反対の意見及びこの予算を政府に返上してもう一度やり直してもろう、こういう意見を申し述べたいと思います。
 まず第一に私たちの反対する理由は、今委員長からも報告がありましたように、公聽会におけるほとんど大多数の公述人諸君及び委員会における各種の党の代表者の発言の中でも、また政府から提供されました資料とかあるいは政府責任者の若干の答弁の中にも、一致して認められていることは、結局、この補正予算というものはインフレを助長するものであるということ。大藏大臣は健全財政と申されますが、しかし、この大藏大臣の声は、大衆の中のただ一人にすぎない。大多数の者は、これは不健全な――ある責任ある、また日本でも有数な財政学者といわれている人の言葉によれば、日本の財政史の上でこれほど不健全な財政はないということがいわれている。なぜ一体こういうことが起るかと申せば、私は二、三この点について申し述べたいと思います。
 第一に、政府の方では今度の予算をつくる上において、それの基礎としては國民所得を九千億円、こういうふうに見積つておられます。これは一つの私たちの見方から見れば、大きなインチキであります。どうしてこの基準が出たかと申しますと、これは昭和十年のその時の國民所得を百五十六億円、こう見積もつて、これの六〇%、これが今年度の実質的國民所得ということになつております。九十四億円、これが今年度の実質的國民所得ということになつておるのであります。
 さて、この六〇%、これが問題である。(「倍じやないか」「いや生産だ」と呼び、その他発言する者あり)生産が六〇%である。そうしますと、この六〇%はどこから出るかといえば、たとえば鉱工業の生産を見ましても、この期間には、わずかに三〇%ないし四〇%にすぎない。ところが、ここでは六〇%である。そうしますと、鉱工業以外の、たとえば商業方面その他におけるものを、八〇、九〇、こういうふうに大きく見積もつている。こういうことはあり得ない。こういうふうに大きな水が盛られている。これがすなわち九十四億。
 ところが、この九十四億の実質國民所得というものが、政府の計算によりますと、突然九千億に上つている。これは何かといえば、その期間における物價の騰貴ということであります。しかし経済白書には、明らかにこの期間における物價の騰貴は六十五倍ということになつている。なぜ一体百倍になつているのか。この問題について、私は委員会において政府当局者に聽きましたが、政府当局者は遂に答えることができなかつた。なぜ百倍にしたか、これを答えることができない。これはすなわち、九千億というものはでたらめである、いいかげんにつくられている、これを証明している。
 ところが、この九千億、これを土台にして今度の予算をつくつて、これが健全財政、健全財政と言つている。私たちの計算では大体において日本の今日の國民所得を一千数百億円超過するような大きな予算が組まれておる。これは私だけの意見ではありません。大内教授も、公聽会において同樣なことを申されておる。ただこれを否定するのは政府だけです。
 そのほか、この委員会におきましては、たとえば今税金の問題で、未納金が厖大なものに上つておることは皆さん御承知のこと、そこで、これをどうして埋めるかと質問した。結局大藏証券にもつていく。この大藏証券は、今委員長の御報告もありましたように、四百億に上る。これはどういう結末をつけるかということを、私は委員会で質問しました。結局これは日銀の背負いこみだと言つておる。これがすなわち、日本銀行の紙幣を発行しなければならないことになる。
 さらに復金債の問題があります。これが五百五十億ありますが、しかしこの中で、大藏大臣の御意見では、これを今まではほとんど大多数日銀の負担でやつておつたが、今後は市中銀行にこれを消化させる方法をとる。それがために利回りも考慮する。で私は、政府の当局者に聽きました。市中銀行で一体いくら消化できるかというと、大体一割程度、前に一割、今度も一割、そうすると大体二割が市中銀行において消化できる。あとの八割は、やはり日本銀行へもつてこなければならない。政府の当局者は、やはりこれは日本銀行の負担になると言つておる。ここからやはりインフレが出てきます。
 そのほか土木工事費の問題、あるいは千八百円ベースは必ず破綻しなければならない、こういうようなところからも、必ずインフレーションが起つてくる。第二次、第三次の追加予算は必至である。今日の新聞を見ましても、もう政府当局としては第二の追加予算を今考慮されておるという。たとえば、官公吏の給與の問題とか、あるいは災害復旧の問題とか、六・三制の問題、これについて五十億ないし百億の新しい追加予算を準備されておるということである。これ自体すなわち追加予算の第一歩にすぎない。そうして今年、來年にかけては必ず第三、第四の追加予算は必然だと思う。
 また和田安本長官の方でも、この年末には千九百二十億の日銀の紙幣は出るだろう、これ以上は多分出ないだろうということを強調されましたが、しかし、数日前参議院の公聽会で川北日銀副総裁が申されたのは、そうでない。二千億をはるかに突破するに違いない、二千九十一億になるだろうということを、日銀の責任者が申されておる。ただ和田安本長官だけが千九百二十億円を過ぎないと言つておる。しかし、現実はそうじやない。どんどん紙幣は増加してくる。これが來年三月になれば、あるいは二千数百億、あるいはある人の意見によれば三千億に達するかもしれない。すなわちインフレはどんどん進んでおる。
 私は皆樣に御注意を喚起したいことは、今年の春ごろまでは、日本のインフレの状態は、たとえば日本銀行の紙幣の増加額は、物價の増加額に大体において並行していましたが、しかし、春ごろから異状を來して、日銀の紙幣の増加と物價とは、物價の方がはるかに上まわつてきておる。これはすなわち惡性インフレ、すなわち第一次世界大戰後のあのドイツのような惡性インフレが、われわれの目の前にあることを示しておると思うのです。私はこの問題を考えますときに、今度の予算は明らかに日本の経済を破綻させる性格をもつた予算であると思う。この意味におきまして、私はこの予算に反対するのであります。
 第二の問題としましては、これは先ほど鈴木委員長からも申されましたが、今度の予算は大衆に負担を非常にかけるものである。たとえば間接税を見ましても、これが税收の半分以上を占めておる。これはみな大衆課税である。ところが、直接税の中にはどうかと申しますと、たとえば勤労所得税、事業所得税、そのほかずつと大衆課税に類するものを計算してみますと、直接税の中で六〇%位は大衆的な性格をもつておる。ここでもやはり大衆の負担になつてくる。しかも問題になるのは、この直接税の中で源泉課税的なもの、たとえば勤労所得税、ああしたものは嚴重にとることができるが、そのほかのものにおいては、常に脱税がやられておる。そこで、結局結論としては、この税制の中において間接税が大多数を占め、直接税の中でもやはり大衆課税が大多数を占めておる。ここを見ましても、いかに今度の予算というものが大衆課税的な性格をもつておるかということを明瞭に示しておると思うのであります。これが第二の理由。
 第三の理由としましては、この予算全体、これを見た場合において、資本家擁護の性格が非常に強いこと。また現実にインフレがどんどん進む。この予算においてインフレがますます進んでくる。これ自体から日本の資本家はもうけることができる。実質賃金は下る。物價は上る。從つて、ここに利潤が上つてくる。これすなわち資本家擁護の財政といわざるを得ない。
 さらに歳入を見ましても、一方では、先ほど申しましたように大衆課税の性格がありますが、資本家に対して課税的な性格をもつている、たとえば法人税、こういうものは、わずかに四十二億。價格差益金、これは全財の代表者の言はれるところによると、價格差益金は、日本で今とろうと思えば三百億あるだろうといわれている。しかし、政府はわずかに六十億しかとつていない。その他脱税の追徴金とか隠匿物資処理費とか、こういうものが、ほとんど計算されていない。すなわち、やみ利得者はちやんと保護するようにでき上つておる。
 また歳出の方面を見ますと、これは歳入とは逆で、たとえば終戰処理費は別個としましても、價格差補給金とか船舶運営の補助金とか、貿易資金とか、復興金庫出資金とか、そのほか、こうした大体において事業家を援助するような歳出が、全歳出の七三%を占めます。これは私たちの計算ですが、さてそれでは、この歳出の面で一体いくら勤労者の方面に出ておるかと申しますと、先ほど委員長は、直接に大衆に出ているようなものはわずかに一〇%にすぎない、こういうふうに申されましたが、私のはそれ以上間接に関係するようなものを計算して見ますと、大体二七%ある。すなわち歳出の方面では、資本家擁護的なものが七三%ある。大衆に多少でも関係のあるようなものは、わずかに二七%。
 これを見ましても、今度の予算というものが、歳出歳入を見て、いかにこれが大衆の生活をますます窮迫化し、他方においては、金持の連中にとつてはこれはある援助が與えられる、こういう性格をもつておる予算であるかということがわかる。これが、私がこの予算に反対する第三の論点であります。
 第四には、この予算を見まして、半分以上が生産的でない方面に使われています。しかも、この財政政策全体を見ますと、積極的に今日の日本のこの破壊された状態を回復し、また將來に何か見透しのあるような政策が少しでもここでは盛られていない。積極的な面は少しも出されていない。この問題に関して、今日の日本の危機を切り抜けるためには、断固たる政策をとるべきである。今までのような、いい加減な彌縫策でやれば、結局日本はじり貧――じり貧ではない、あるいは亡國の状態になるかもしれない。これは今度の予算を見れば、よくわかります。
 私はこの場合において、共産党が今まで主張したこと、これはここでは申し上げません。ただ、今総理大臣を送られている社会党の諸君が、この春の選挙の時に主張されたこと、これだけでも、もし行われるならば、このインフレの状態はこうまでなつてこなかつただろうし、このような予算も出されなかつたはずだと思います。
 たとえば、社会党の政策を見ますと、第一に、資本家補給金を廃止しようということを述べておる。われわれも賛成です。ところが、今度の予算はどうであるか。逆ではないか。また第二に、社会党の方面では戰時公債の利子を一年間にたな上げということを主張されたが、今度はどうか。これが少しも盛られていない。また社会党は選挙の時に、一枚看板として新円大口所得者に対する重税を課すると言われたが、一体これがどこにあるのか。少しもない。また社会党としては、第二次財産税ということも主張された。これも、もちろんない。また社会党は、金融機関の國家管理、こういうことを主張された。しかし、これももちろん載つておりません。これは民主党との連立の関係上出されないのだということを、いつも申されます。しかし、私が社会党の総理大臣である片山総理に予算委員会で聽いたところによりますと、結局社会党は、今度のこの内閣では社会主義というものはやらない。もしやるとすれば、ちびりちびりやつていく。そこで私は、一体どういう風におやりになるのかと申しましたところ、今出たところの法律案で、政治的方面におけるいろいろな社会主義の基礎をつくる、こういう意味のことを申された。それはどういうものかと申しますと、これは結局社会党がつくつたのではなく、前から新しい憲法に附属したいろいろな法案があり、これを今出されたのに過ぎない。またここで特に注目すべきは、片山総理は國家公務員法というものを出したではないかと言われたのでありますが、私は、この國家公務員法ほど日本の官公吏が反対した法律はないと思う。この國家公務員法は彼らを縛り付ける惡法であると、彼らが徹底的に反対した。これを社会党は提出したことを誇りとしている。私は時間がありませんので、これ以上申しません。
 最後に申し上げると、結局この予算全体を見た場合において、インフレはますます激成される。國民大衆の生活はますます窮迫する。日本の経済的な再建はできない。できないだけではない。私は日本の経済力がさらに弱つてくると思う。特にきよう上程されようとする経済力集中排除法案、これは、私がこの前ここで述べましたように、日本の経済力を分散して、日本の経済力をますます低下させる。その結果はどうかと言えば、結局日本の國の経済が、外國にすべて頼らなければならないことになつてくる。言い換えれば、民族の独立が危くなる。こういう性格をもつた法案である。
 この意味におきまして、私は共産党を代表しまして、明かにこの予算に対して反対を述べると同時に、政府側におきましても、この予算を再編成してもろう、こういうことを要求して、私の討論の演説を終りたいと思います。(拍手)
#8
○議長(松岡駒吉君) 修正案の趣旨弁明。西村久之君。
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 昭和二十二年度一般会計予算補正(第七号)に対する修正案(西村久之君提出)
 [都合により最終号の末尾に掲載]
  ――――――――――
  [西村久之君登壇]
#9
○西村久之君 私は、日本自由党を代表いたしまして、修正案の内容について趣旨弁明をいたさんとするものであります。
 まず修正案の大要について御説明を申し上げます。歳出につきましては、産業経済費中、農業生産調整費一億九千五十九万四千円という額を修正全削せんとするものでありまして、行政共通費のうち、これに関連しております経費見積額三万九千円を、同じく修正減額をいたさんとするものであります。なお、政府出資金中四億二千五百万円を修正減額いたしまして、修正総額を六億一千五百六十三万三千円となさんとするものであります。歳入につきましては、租税收入中物品税におきまして、追加増税額分、すなわち六億一千八百万円を全削いたしまして、前年度剰余金において二百三十六万七千円を増額修正して、修正総額を六億一千五百六十三万三千円となさんとするものであります。以下、内容について詳細に御説明申し上げたいと存じます。
 農業生産調整費は、御承知の通り、ただいま本会議において審議中の臨時農業生産調整法に基きますところの所要経費であり、地方の市町村農業調整委員会に対する補助金額が大半を占めておるのでありまして、その額は一億八千三百四十九万円と相なつておるのであります。しかしながらこの内容は、各市町村に十五名の委員を配置し、事務員一人を置いて調整委員会の構成をなそうとする経費であるのでありまして、何ら農業方面の他に関係の累を及ぼすべき費用でないのであります。しかも、この生産調整法なるものは、皆さんの御承知の通り中央よりの命令法でありまして、非民主的であり、この法案が通過いたしますがごときことがありますならば、日本の農村民主化は根底より破壊される惡法であると信ずるがゆえに、これに要しまする経費の必要を認めませず、ここに全削せんとするものであります。もちろん、農村の民主化をはかり、農民の健全なる発達を期しまするためには、地方に優良なる技術員配置の必要があり、これに要する補助等の費用の増額は、政府において適切妥当なる方途をとられんことを望む者であります。
 次に歳出につきまして、政府出資金中四億二千五百万円を減額せんといたしますゆえんのものは、酒類配給公團、飼料配給公團、油糧配給公團等配給公團に対しまする今後の支出見込予定の基本金に充当せんとしておるものでありますが、これも本年度中にその経費の必要を認めませんがために、経費節約の見地よりこれを修正せんとするものであります。
 次に歳入において、物品税追加増税額全額六億一千八百万円を全削せんとする理由は、今日のごとく國民家計費に赤字を出す生活苦境の際におきましては、生活必需物品に対する減税をはかるべきが当然であると思うのであります。にもかかわりませず、反対に増税をはからんとするこの矛盾は、何としてでも私どもはこれに應じ得ないのであります。殊に最低賃金千八百円ベースを堅持せんとする折には、生計費の重圧となりまするところの間接税の軽減をはかることが妥当なりと信じて、これを修正いたさんといたしておるのであります。これを要約いたしまするならば、不要不急の資はすべからくこれを節約し、生活費の重圧となる物品税のごとき間接税は、能う限り減税すべきものであるとの見解のもとにおいて修正をいたさんとしておるのでございます。
 予算総会におきまするところの各委員の質疑内容より見ましても、ただいま委員長の報告のごとく、間接税の重圧を受け、國民生活の基礎を破壊する意味の御意見ばかりであつたと思うのであります。しかしながら、お口で間接税の軽減を叫ばれますよりも、まず、提案中の予算案において、單刀直入、その氣持を表わすべきが私ども議員に與えられたる責務と、私は痛感いたしておるのであります。(拍手)
 政府は、追加予算編成にあたりまして、わが國の経済状況が空前の危機に直面をし、生産は沈滯不振に陷り、通貨膨張の結果物價が暴騰し、その結果國民生活はいよいよ深刻な貧窮状態にあえいでおることをお認めになつておるのであります。また財政状況におきましても、新財源に乏しく、租税の滯納が相当額に上り、財政の建直しにはすこぶる困難な実情にあることをも率直にお認めになつておられるのであります。しこうして、この経済危機を克服するために、國民生活の安定と重要生産の振興等に留意して編成に当つたことを述べられておるのでありますが、五箇月余を要して編成された追加予算は、前代未聞の厖大なる財政経済の破局予算でありまして、先ほど委員長からお述べになりました通りに、本年度の追加総歳出歳入予算額は八百五十六億余万円と相なり、本年度の本予算と通計いたしますならば、実に本年度中の総予算額は二千六十六億余万円と相なつておるような尨大な追加予算を組まれたのであります。
 その原因と申しますのは、ほかに何もないのであります。片山内閣がとられましたところの高物價政策がこの原因をなしておると私は申し上げても過言でないと思います。(「ヒヤヒヤ」拍手)しかるに、今日物價はなお高騰をたどりつつある状態であります。またさらに物價水準を引上げなければならないはめに陷るような形勢をたどられつつあるのであります。
 私は、常に政府の言われる通りに、物價はいかなる場合でも値上げをすることはよろしくないと信じております。ある一定の物價は、その限界線において抑えまして、物價の維持ができる政策をやらなければ、物價と賃金の惡循環は断じて断ち切ることができないということを信じて疑わぬものであります。さようにしてつくられましたところの予算でありまするがゆえに、片山内閣も、かく民衆に負担の加重を來すようなことはお考えにならなかつたでありましようが、やむを得ず、誤つた高物價政策のために、大衆國民を苦境にあえがなければならないようなどん底に陷らしめておるということを断言してもはばからないのであります。(拍手)
 御承知の通り予算は数字の羅列ではないのであります。歳入も確実であり、歳出もまた生産に役立つものでなければなりません。ところが、その歳入の内容を檢討いたしてみますると、先ほど來るるお述べになりました通りに、大衆課税が非常に重くなつております。大藏大臣は、この議場におきまして、直接税と間接税との関係の率を七対三だと言われておるのであります。私は、総括的にこれを比較して申すべき筋合いのものでないと思うのであります。増税をはかりました増税率について、私は比較論難してみたいと思うのであります。
 なぜかと申しますと、今回増税の結果によつて國民が負担を受けますところの直接税と間接税との比率は、逆に直接税が三であり、間接税が七となるのであります。これにタバコの値上を國民大衆轉嫁税なりと推定いたしますときには、実に驚くなかれ、直接税一に対して間接税は九という割合に相なると思うのであります。なぜかと申しますと、直接税たるところの所得税の増税額は、予算額中三十八億余万円にほかなりません。しかるに、間接税の増税たる酒の増税ですら九十七億余万円であります。それに今私が軽少ながら修正をせんとする物品税の六億余万円、入場税の十億余万円、これを合わせますと、増税額だけで所得税は三十八億であり、間接税は百二十億になんなんとする態勢になるのでありますから、私の申し上げました通りに、逆に三対七の比率によつて増税をはかられておるという結果になるものだと信ずるものであります。これにタバコの税を加えますならば、先ほど申しました通りに一対九の比率になりますがゆえに、異口同音に間接税の高いといわれることは、われわれが認めまいといたしましても認めざるを得ない増税率に相なつておると信じて疑いません。
 この意味におきまして、先ほど申しましたように、世の中は非常に窮屈なる――家庭は赤字にあえぐ今日の状況から鑑みまして、私どもは家計費の一部を補うと申しますか、一部のたしにでもなるようにということを考えまして、物品税の増税分に対してなりでもここに修正をいたしまして、そうして、その修正の恩恵を受けるところの家計を救済していく、こういうことが最も適切妥当でなかろうかと信ずるのであります。
 口に税金が高い、間接税が高いということを呼ばわれましても、出てまいつておりますところの予算に対して筆を染めないで、口で言うだけでは、その効果は断じてあるものではありません。口に言わずして、予算の上について、皆さん各位が國民のためになるように予算を経理されてこそ、初めて健全なる財政となり、りつぱなる予算になるものだということを信じて疑いませんがゆえに、ここにあえて軽少ながら修正意見を提出いたしまして、皆さんの御批判を仰ぎ、願わくば全会一致をもつて御賛成あらんことを念願いたしまして、私の修正意見にかえる次第であります。(拍手)
#10
○議長(松岡駒吉君) 討論の通告があります。順次これを許します。加藤シヅエ君。
  [加藤シヅエ君登壇]
#11
○加藤シヅエ君 ただいま議題となつております追加予算に対しまして、私は社会党を代表して一言意見を述べさしていただきます。
 まず第一に申し上げたいことは、われわれは決してこの追加予算に満足していないということであります。このことは、すでに予算委員会におけるわが党からの質疑討論において十分盡してありますので、ここでは簡單にその要点だけを指摘しておきます。
 この追加予算案は、第一に、これはインフレーションに追いかけられてでき上り、しかも、この予算の施行によつてインフレをさらに助長するおそれのあることであります。第二に、支出の目的が著しく資本救済の臭味の強いことであります。第三に、その当然の結果として、社会党の政策が隅の方に小さくちじこまつていることであります。第四に、いわゆる形式的な健全財政の犠牲として、勤労大衆に過重な負担を求める傾向の強いことであります。また手続の上からはいろいろの事情もありましようが、会期ぎりぎりのところで提出されたので、國民の納得のいくように十分審議する余裕を與えられなかつたことであります。もし時間にゆとりがあれば、徹底的にこれを修正したいところであります。しかし御承知の通り、現下の非常事態におきましては、一日の愉安はたちまち全國民の経済の崩壊を招來し、勤労大衆の生活は危機に追い込まれるような事情にあります。この瞬間におきまして、われわれに與えられた任務は、いかにしてこの当面の危機を切り抜けるかにあります。
 予算の内容を見ればおわかりのように、この追加予算は、敗戰國の予算としての特質が次のように現われております。第一に、終戰処理費と賠償撤去費が、本予算と追加予算との合計において総支出の三〇%を越えること。第二に、戰爭と敗戰とによつて直接または間接に被害を受けた氣の毒な方々に國家から救援の手をさし伸べる費用として、生活保護法、引揚者関係費、災害扶助費、失業手当及び失業保險費、國立病院等の物件費、それから引揚者を運ぶ船舶に対する船舶運営会補助費等が、六・七%を占めております。第三に、戰爭と敗戰の惨害から起ち上るための復興費用が、公共事業費、義務教育費、住宅復興資材費、農地改革費、農業生産調整費、外國貿易業者來朝費、試驗研究所物件費及び地方分與税分與金等で、本予算と通算して一七%に及んでいること等であります。
 このように、戰爭と敗戰の跡始末と、これから起ち上るための費用は、全体の五四%にも達しているのであります。残りの四六%は、大部分がインフレーションの結果支出せざるを得なくなつた給與改善費とか、特別会計の赤字を埋めるための経費とか、インフレの激化を抑制しようとする價格調整費や政府出資金等でありますが、これがまた、かえつてインフレを上昇せしめる危險を孕んでいるのであります。概観いたしまして、戰爭の惨害を速やかに解消して國民経済の復興をはかる経費がわずか一七%しかないことは、この予算の特色をなしており、まことに遺憾に堪えません。
 この追加予算を通じて見たわが日本の國民生活の現状は、実に暗澹たるものがあります。しかしわれわれは、日本國民の自負心に訴えて、過重な負担であるとはいえ、敗戰日本の責任完遂のための経費、または最低の生活に足りない給與であるとはいえ、解決すべき問題は、勇敢に解決しなければならないと思います。(拍手)すなわち政府は、歴代内閣の失政の後を受けて乱脈の限りを呈している配給機構を整備しなければならないと思います。(拍手)
 政府は配給の確保によつて、家計の赤字を歎く幾千万の主婦にこたえねばなりません。物價の上昇を極力抑圧して、俸給の少きを痛憤する俸給生活者の無言の抗議に報いねばなりません。重税と資金難及び資材難にあえぐ中小商工業者に、減税と融通の途を開いてやらねばなりません。そして、これらの勤労階級の肩にかかつている重荷を一つ一つとり除き、それをやみ利得者と脱税者の頭上にのせてやらねばなりません。(拍手)
 この追加予算は、かかる方策と相まつて初めて実行されるものと信じております。われわれがこの予算に不満足であることを率直に表明しながら、これを容認するゆえんも、ここにあるのであります。しかし、社会主義政策の実現を理想とし、またこうした政策を徐々にでも実現することなくしては危機を突破し得ないと信ずる私どもは、目下編成中の明年度予算については、百パーセントわれわれ勤労階級のための政策を織りこむことを要求するものであります。(拍手)
 ところで自由党からは、七項目の警告及び相当手きびしい御批判がありました。われわれすらも不満をもつている有樣ですから、御意見はごもつともと存じます。しかし、実のところ今度の追加予算は、前内閣の編成されました本予算が手のつけようのないインフレ財政に基くものであつて、(拍手)その跡始末のため非常な犠牲を拂わされたものであることを、國民全体として十分認識していただきたいと存じます。予算委員会の席上、自由党の鈴木委員が、栗栖藏相の苦衷を諒とされたことは、おそらくこの間の経緯を十分御了承の上のことと存じます。
 共産党は、この予算がインフレを激成し、大衆に犠牲を要求するものであるとの理由で、予算の返上を主張されているようであります。しかし、さし迫つた今日の危局におきまして、予算返上を主張して予算の成立を妨げたとしたら、一体いかなる事態が生じるか。(拍手)十二月一日に政府の支拂うべき終戰処理費とか、官公吏の皆さんへの給與の財源をもたない現実を野坂委員は御承知の上で発言されたかどうか、私は疑いたいのであります。(拍手)年末を控えて、多数の官公吏がいかに生活苦にあえいでいるかは、共産党の方々が口を開けば必ず第一に取上げられる問題のように存じております。さればこそわれわれは、少からぬ不満をもちながらも、この追加予算を承認し、片山内閣が組閣後はじめてわが党内閣の予算を編成することになる明年度、すなわち昭和二十三年度予算を通じて、少しでもよいものにすることに力を注ぎたいと存じております。
 何としても、インフレの防止と生産力の回復が基本であります。(発言する者多し)私どもは、社会党政策の実現を眼目とする明年度予算の編成を政府に要求するとともに、とりあえず当面焦眉の急に迫られている勤労階級の生活苦の解決並びにやむを得ざる緊急問題に対処するため、本追加予算に賛成の意を表明するものでございます。(拍手)
#12
○議長(松岡駒吉君) 鈴木正文君。
  [鈴木正文君登壇]
#13
○鈴木正文君 提出された本補正予算案に対して、自由党の意見を表明いたします。
 今回の補正予算は、本年七月に実施された新物價体系の影響を受けて本予算を修正せざるを得なくなつてきたところに根本的の理由があるということは、大藏大臣の説明を待つまでもなく明瞭な点であります。
  [発言する者多し]
#14
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#15
○鈴木正文君(続) 從つて、補正予算を通観して、國家活動の上にも、あるいは民間企業の上にも、何ら積極的復興の意図も方式も盛られておらず、單に擬制的な数字の上における健全財政の形骸だけが並べられておられるというのが、大体においてこの予算の性格であり、こうした結果に陷つたことは、予算編成の出発点から見て当然なのであります。
 しかも、この補正予算は、大藏大臣の呼号するところの健全財政とは大よそ反対に、予算それ自身が遂行されていくところの過程において、その編成の基礎となつておるところの新物價体系を突き崩して、第二、第三の物價体系の制定を、安本当局の説明いかんにかかわらず、必ず余儀なくするところの性質をもつておると同時に、本年度中にも第二、第三の補正予算を提出せざるを得なくなる必至の性格をもつておるのであります。こういう重大な自己矛盾を内藏している予算なのであります。その理由は、大体次の通りであります。
    [発言する者あり]
#16
○議長(松岡駒吉君) 討論者が声を傷めているときは、つとめて靜粛に願います。
#17
○鈴木正文君(続) まず、この補正予算における歳出のなかで、終戰処理費、賠償施設処理費、價格調整費、公共事業費、その他補助的の性質の面に支出されるものを合わせますると、約八百億円に達するのでありまして、追加予算額九百二十一億円の大部分を占めておるのであります。これが直接に生産増強の面に働かないということは、性質上やむを得ないと思うのであります。さらに政府が中央労働委員会の裁定に從うといたしましたならば、ここにも同じ性質の百億円前後の資金の放出がある。
 これに対して、歳入の方はどういう形で健全財政のつじつまを合わせておるか。大藏大臣は、過般衆議院におきまして、当初・補正両予算を通じて二千六百六十億円の歳入のうち、租税收入によるものが、補正分六百三十七億円、当初予算から通算いたしまして千三百三十二億円であつて、歳入のうち租税の占める分は、追加予算のみで六九%、当初予算を通算いたしまして六五%である、それから租税のうち直接税と間接税との比率は七対三になつておるのであるから、まさに健全財政に間違いはない、こういう説明をしておられるのであります。しかし、租税体系の内容を見るならば、わずかに非戰災者税、非戰災者家屋税などのほかは、いずれも平面的、機械的に税率の引上げを行つたというにすぎないのでありまして、同時に一方においては、自然増收を歳入と見合う程度に勝手に数字を羅列したという形をとつておるのであります。最近の國際経済機構の中における根本的の変化というふうなものに対應するところの税制の改革あるいは行政の整理というふうなことを断行しようとするところの氣魄は、どこにもその片鱗さえも現われておらない予算なのであります。(拍手)
 私どものしばしばすでに指摘いたしましたように、上半期においてさえ租税は予定の三割前後の大滯納を來しておる。これに追加予算に示されたところの厖大な租税、これを一挙に本年の下半期において徴收するといたしましたならば、おそらくそれは千億円を越す巨額な額になろうと思うのであります。大藏大臣のしばしば言われた、極力努力するという程度のことで克服される筋ではないのでありまして、あるいはまた税務官吏の特遇改善――むろんわれわれも、かくのごときは即刻実現すべきであると思つているのでありまするが、しかし、この程度のことを実行したからといつて、この根本的に無理のある租税体系、そしてすでに飽和点を突き破つてしまつているところの國民の租税力、この二つの大きな穴を埋めるというようなことは、とうてい期待することはできないと思うのであります。(拍手)從つて、年度末までにこの方面から生ずるところの政府の支拂超過額というものは、相当厖大なるものがあり、数百億円に達するのではないかと私どもは思うのであります。加うるに、さきにも申しました通りに、明年早々あるいは本年中にも、政府は新たに追加予算を提出しなければならなくなるであろうと思うのであります。これらの面を総合しただけでも、健全財政はすでに單純な徴税の面においても、明らかに算術的にさえも破れ去つているのであります。(拍手)
 さらに一層根本的な破綻は、大藏大臣が予算の編成の基礎としたと言われるところの物價体系の破綻の中にあるのでありまして、この予算そのものが、自分で物價体系を必然的に破綻せしめていくであろうという要素を多分に含んでいるという点に、重大なる破綻の根因があると思うのであります。
 一体、千八百円ベースはこれを堅持するかどうかというふうな議論が行われ、政府は今日でも堅持する、堅持すると言つておりまするが、すでにまつたく崩壊し去つていることは、私が詳しく申し上げる必要もないと思うのであります。政府もおそらく、実は千八百円ベースの崩壊ということは認めておられると思うのであります。もつて端的に申しますならば、本年の七月にそれが決定されて以来、一瞬といえども、この千八百円ベースというものは現実に存在し得なかつたのでありまして、まつたく安本の作文的――足のない幽霊的数字にすぎなかつたのであります。(拍手)
 この予算は初めから存在しないところの千八百円ベース、あるいは、またかりに百歩を讓つたといたしましても、すでにその予算の編成当時においてまつたく破れ去つているところの千八百円ベースを基礎として作成したと、これは大藏大臣も言つておられる通りでありますが、そういう矛盾の上に立つているところの予算であり、しかも予算自身が、その予算の遂行にあたつて、このベースを加速度的に破壊していくというところの矛盾した性質を予算自体の中に内藏しているのであります。
 では、どこにそういつたところの性質が内藏されているか。第一に、無理な機械的徴税によりまして滯納を生じ、数百億円の政府支拂超過が生ずるという大藏大臣の弁明にかかわらず、日銀によつてこの赤字が跡始末されなければならないということになるのは必然であります。ここに財政インフレの大きな素因が横たわつておると申さなければならない。
 それから復興金融金庫でありますが、復興金融金庫に対する政府の出資は、百億円ということになつておる。それではたして日本の産業の重要なる部面がもちこたえ得るでありましようか。とうてい、そんなことはあり得ないのであります。おそらく、これに加えて四百億円前後は、このルートから放出されなければならなくなるということは、必至だと思うのであります。これを復興債券で賄うといたしましても、今日この情勢の中で、市中で四百億円前後の復興債券が消化されるということは、常識的にも考え得られないのであります。千億円以上の税を、この下半期において、大藏大臣の言うがごとく、つつがなく徴收しながら、しかも一方において、四百億円前後の債券をも無事に市中で消化するというふうなことが、望み得るはずはないのであります。
 しかも復金というものは、当初の使命であるところの産業復興の金融というよりも、むしろ今日におきましては、救済機関としての金融に忙殺されておる現状であつて、これらの資金が生産の増加というような積極的な面に向けられないことは、わかりきつておるのであります。復金というトンネルを通して、インフレ助長の危險というものは多分に遺されておるのであります。財政資金の膨脹からくるところの産業資金への圧迫は、おそらく大藏大臣がいかに説明されましようとも、この復金のトンネルを利用することによつて何らかの赤字のつじつまを合わせざるを得なくなることは、必然のことだろうと思うのであります。
 次に、今後必ず提出されるであろうと思われるところの追加予算から、相当量の支出が予想される。その額を算定することはできないけれども、おそらく、今提出されておるところのこの追加予算に近いところのものが現われてくるおそれがあるのであります。
 以上を併せて考えまするならば、大藏大臣の言うように、赤字による日銀券の増発はやらないなどということは、考えてみることも、また言われることも勝手でありますけれども、現実の情勢と照らし合わせまして、とうていでき得るはずがないのであります。そうして、政府の支拂い超過と民間金融に対する日銀の支拂い超過とを一緒にして考えましたならば、おそらく巨額な、場合によつては千億に近いというような数字が現われてくるということは、だれでも考え得るだろうと思います。千億になるかならないかは別として、おそらくそういう巨額な数字が現われてくるということは確かであります。以上が、大藏大臣の呼号されるところの健全財政、健全金融の、やがておそらく近い將來において露呈されるであろうと予想される実態なのであります。こういう状態のもとにおいて、インフレの高進、物價の急騰というのは必至であるだろうと思うのであります。
 一方生産の面は、例年下半期において下降する。特に石炭、電力の現状をもつてしたならば、例年よりも急カーヴを描いて下降するであろうと思う。物資との見合いにおいても、インフレ高進は当然拍車をかけられざるを得ない情勢にあるのであります。こうした情勢においては、経済白書に盛られたところの國家財政と企業と家計、この三つの総合性というものが、はたして保たれるでありましようか。
 大藏大臣は、間接税増徴を極力避けて、そうして大衆負担を軽減したいといつておられる。補正予算についてみても、所得税、非戰災者税、家屋税その他直接税系統のものは、合わせて三百八十億円にすぎないのでありまして、これに対しまして、間接税は大ざつぱに計算いたしましても約二百億円、これにタバコ專賣の收入二百五十九億円、こうしたことを見合いましたならば、大衆の負担がこの予算によつて軽減されるという大藏大臣の説明をそのまま受取ることは、とうていでき得ないはずであります。
 それから鉄道、通信等の上にも、赤字が、しばしば政府の説明されたように残つておる。七十五億円を一般会計から補給しておるけれども、しかしながら、なお莫大な赤字が残されておる。通信料の値上げ、鉄道運賃の値上げは必至であろうと思うのであります。それが大衆課税の性質をもつものであることも、言うまでもないところでありましよう。これらの点から総合いたしまして、千八百円ベースはすでに完全に破れ去つておるのであります。裸の王樣の話のように、政府部内でも、だれもが、それは破れておるということは承知しきつておるにもかかわらず、破れていない、破れていないと騒ぎ立てておるだけのことでありまして、千八百円ベースの上に立つた予算というふうなものは、今日の情勢においては、まつたく意味がないと言わざるを得ないのであります。予算編成の基礎になつたところの千八百円ベースが完全に崩れ去つておる。さらに予算等を実行するにあたりまして、加速度的にこれが破れていく。大内教授の言うがごとく、石橋財政と比べても、はるかにインフレ的の惡予算であると同時に、わが國に今日までに現れたところの最も性格破綻のインフレ高進予算であるという結論に達せざるを得ないのであります。
 しかしながら、われわれもまた、今日日本の直面しているところの内外の微妙な関係、そういつたものに対する配慮におきましては、これは他党と同樣、決してその点において欠けるところはないつもりであります。大藏大臣の苦衷をも、一應は諒といたします。特にこの中には、終戰処理費も含まれております。それから今日の日本の政治及び経済の空白的実情を考えるとき、この予算に対しまして根本的の態度をとり、返上とかあるいは大修正とかいうふうな方向をとることは、相当考えるべきであると思う。最初にわれわれ自由党から提出いたしましたように、最少限のもとに修正案を附し、その他の部分につきましては、諸般の事情を考慮いたしまして、やむを得ずこれを認める。これが補正予算に対しまする日本自由党の意見であります。以上、表明いたします。(拍手)
    [「休憩」と呼ぶ者あり]
#18
○議長(松岡駒吉君) この際、暫時休憩いたします。
    午後四時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時三十九分開議
#19
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。長野重右ヱ門君。
    〔長野重右ヱ門君登壇〕
#20
○長野重右ヱ門君 私は、民主党を代表いたしまして、ただいま上程せられておりまする昭和二十二年度一般会計補正第七号、第八号並びに特別会計第三号に対しまして、先ほど委員長の御報告がありました通り、政府原案に賛意を表しまするとともに、修正案並びに少数意見に反対の意思を表するものであります。(拍手)
 われわれは、追加予算が必至のものであるということになつてまいりまするとともに、わが國現下の財政金融の状況と國民経済の実情がまことに樂観を許さざるものがある現状に鑑みまして、國民経済に及ぼしまするその影響も眞に重大なるものありと考えて、大なる関心をもつてこれが注視をいたしてまいつたのであります。一ころは、追加予算の総額が歳出において千億円、これを補填いたしまするためには、五百億円の赤字さえ生まなければならないのではないかと言われておりましたものが、御承知のように歳出九百二十五億二千二百万円、歳入九百七十四億二千六百万円に結末がついたのであります。
 現下の日本の状態を考えまするとき、過般、大藏大臣は財政演説において、貿易再開を見るわが國にとりましては、國際的なる援助を期待するために、健全財政を確立して國際信用を回復することを考えなければならないとお述べになつたのであります。私どもも、まつたく同感でありまして、本追加予算案が一たび國会に提出いたされまするや、委員会におきましては、いろいろと論議をいたされたのであります。一部の人は、この追加予算を評して、收支の均衡をとることに重点をおいて、ために生産面が圧迫せられて、生産的意義が少い、すなわち、日本経済の再建には何らの役に立たないと批評されておるのであります。はたして、そうでありましようか。
 もちろんわれわれは、予算のバランスが形式上とれたからといつて、いわゆる黒字の予算であるからといつて、健全財政であるということはできません。しかし、なおインフレの前途に警戒を要すべき幾多の点のあることは認めます。さりながら、一般会計追加予算において四十九億円の歳入超過を計上して本予算案におきまする赤字を消して、鉄道、通信に七十五億円、あるいは預金部資金に十億円をまわしたということは、追加予算の編成の方法としては、私どもいまだかつてそれを聞き及んでおらぬのであります。いわゆる前例のない努力が拂われておるのであります。このような措置によりまして、一般会計、特別会計を通じて、当初予算を含めて総合的健全財政を確保いたしましたことは、十幾年來のことであります。
 殊にこの予算の編成にあたりましては、幾多の前提條件があります。この追加予算の編成を必要といたしましたることについては、大体三つの前提條件があると思う。一つには、インフレの進展による物價の騰貴、二つには、社会政策費の増大、三つには、賠償撤去の実現がこれによつて必要とせられたのであり、考えようによつては、深くこれを檢討いたしますると、すなわち吉田内閣がつくられました当初予算の評價替だということができるのであり、多分にその性格を含んでおる。(拍手)
 自由党の諸君は、先ほど來修正意見をお出しになつて、いろいろと論議をせられました。それを承つておりますると、まつたくおのれらの内閣によつてつくつたその当初予算を棚上げにして、いろいろ論議せられておりますることについては、断固反対せざるを得ないのであります。(拍手)私は財政当局の努力を、政党政派を離れて高く評價しなければならないと考えるのであります。
 なお、この機会に二、三の点を申し上げまして、政府当局の注意を喚起いたしておきたいと思うのであります。その第一は歳入の面でありまするが、國家財政を立てまする上に、國民所得というものをもつと深く考えていかなければならないのではなかろうか。すなわち、その第一といたしましては、この予定せられたる歳入をはたして確保することができるであろうか。また本年の國民所得に対する負担は飽和点に達している、限度に達していると考えるのでありまして、これに対して何とか打開の抜本的なる方策を立てなければならぬのではなかろうかと思うのであります。
 当初予算を含めましたところの租税は千三百三十二億四千万円でありまして、総歳入の六三%に相なつております。本年度の國民所得は、八千五百億円あるいは九千億円と、いろいろ唱えられまするが、八千五百億円と仮定をいたしまするときに、この割合は一五・七%にあたります。これに官業の收入あるいは本予算、追加予算を加え、五百五十四億七千万円を加えますと、この割合は二二・一%となつて、このほかに地方税等を加味してまいりますと、國民所得に対しまするところの割合は、二四%ないし二五%ということになつてまいるのであります。
 もちろん、計算の方法にもよりまするが、私の計算によりますと、昭和九年、十年、十一年、この三箇年の國民一人あたりの平均負担は十一円二十八銭七厘と記憶いたしております。ところがこれに対して、本年はまさに二千百九十九円三十九銭でありまして、これを他との比率を求めますと、賃金は御承知の通り二十七倍、物價は六十五倍、國民の負担は百九十五倍のアンバランスであります。
 國民個々に対するところの課税について十分考えなければならぬことは、もちろんであります、やみ所得をどうして押えていくか、脱税を徹底的にどうして取締まるかということは、税務当局の責任であります。所得の階級が混乱いたしているからといつて、負担の重圧が農民や勤労階級、中小企業にかかる、すなわち、正常なる所得者に負担の重圧がかかるということについては、政府は十分の考究をいたさなければならないのであります。しかも間接税負担が、いわゆる徴税技術の面からこれに依存する傾向があり、大衆課税のこれらの問題につきましては、どこどこまでもやみ所得を捕捉し、そうして渾身の勇を揮つて政府はこの國家財政のために、國民生活の安定のために努力を拂わなければなりません。
 また、これだけの税金がとれるかどうかということについては、委員長報告その他の同僚諸君のお話にもありましたように、現在百億円が溜つている。これから僅かの間に千七十億円をとらねばならぬという状態で、はたしてこれがとれるかどうか。もし、とれないということになつてまいりますならば、すなわち、國家財政の歳入出のずれというものは、またぞろ日銀に依存しなければならないのであり、大藏証券の増発となつて、インフレーションを高揚いたしてまいりますことは言うまでもありません。四月から十月に至りますところの日銀券の増加額、その八二%が政府取引であり、その重点が歳入出の時間的ずれであるということを考えましたときには、政府はこれらに対して多大の努力を拂わなければならぬと私ども考えるのであります。
 しかも、これを解決いたしていきまする上には、納税思想の徹底であるとか、あるいは現在の徴税組織を根本的に整備しなければなりません。過般來、財務官吏の特遇改善の問題がありました。われわれはいち早く、これを委員会において政府当局に速やかに改善することを要望し、政府また速やかに改善することを言明いたしておるのであります。これには何ら異議はありません。他の官僚と比較して、財務の官僚が非常に低いということも、私どもは認めたのであります。しかし、十一月十九日の讀賣新聞におきまする、佐原税務署の、謝礼を寄こせば手加減を加えるという記事は、大藏大臣はおそらくお読みになつたと思う。総理大臣もお読みになつたと思いまするが、このことについては、すでに檢察廳が発動いたしたそうであります。どれだけ國民に暗い影を投げたかということ、すなわち官紀の粛正を速やかにやらなければならないということは、総理大臣もお氣づきになつたであろうと思います。
 税を円滑に徴收いたしまする上には、どこまでも國民的感情をよく考えなければならないのであります。國民が得心して國家の危機に赴くように、これを進めていかなければなりません。戰時中國民が毛虫のようにきらつたものに、勤労動員署と警察署があります。今日におきましては、御承知のように警察署は、内務省の解体によつて画期的なる警察機構が生れんといたしておりまするが、ひとり税務署のみ放擲せられておるのでありまして、この財務官吏の民主化ということを取上げるには、今日よりよい時はないのであります。
 要するに今度の予算が、先ほどいろいろお述べになつたように、形式的均衡はとれていても実際的には赤字だと言われるゆえんはどこにあるかと申しますると、國力に比較してこれが過重なりや否や、國家財政の赤字が形式的なると否とにかかわらず、企業や家政に轉嫁されることのないようにということに主眼がおかれてあると思うのであつて、深くわれわれとしては、今後の國家財政の上に考えていかなければならない問題だと思います。
 第二には歳出の問題でありまするが、この歳出を実行に移す場合の政府の決意であります。私はただ簡單に、先ほど二、三の人がお述べになつたように、物價体系が崩れておる今日、このマル公價格でやれるか、こんなものはやれないじやないかと、頭ごなしにそれを非難しようとするものではありせん。もちろん、そうした注意を喚起することも必要ではあります。しかしながら、政府が深い決意をもつておりまするならば、私はやれることだと思う。やれるだけでなくして、また政府の決意いかんによつては、いわゆる新物價体系を維持し、流通秩序の確立がはかり得られるものであると確信いたしておるのであります。何となれば、政府支拂は一切マル公であります。
 これは、九月十二日の連合軍からの指令に基くこともちろんでありまするが、政府の支拂は材料用品及び労銀すべて公定價格で支拂うという、この法律案が今國会に出されております。やがて、これは議決せられるでありましよう。こうして政府が公定價格一本で行くのだということになつてまいりますると、あるいは業者は、それならば賣らないということにないてまいつて、一般行政がやれないという事態も起つてくるかもしれぬ。建設に、修理に、その他政府事業は一時中止しなければならないということが起るかもしれません。現に進駐軍の土木事業などで契約のできない部面があちらこちらに起つておるということも御承知であります。
 この物價体系をいろいろと議論をする人がありますが、今申しましたような、こんな状況が起りましても、政府自身が非常なる決意をもつて――すなわち政府は、日本最大の物資と労務の支拂所であります。一般会計だけでも二千余億円であり、特別会計、地方公共團体あるいは公團の購入資金というものを入れてまいりますと、日本の総需要の半額は、おそらく政府でもつて支拂うのではなかろうかと思います。そういたしますと、政府がこの大なる決心のもとに、大事業者としてその法律に恥じざる確固たる態度でマル公嚴守をされますることは、特殊なる企業は別として、惡徳の民間事業はあるいは立ち行かなくなるようにもなり、今申しましたように、政府は一時この事業を執行することが困難になるかも存じません。
 しかし政府は、新聞によりますと、これらの問題については、すでに連合軍の好意と援助を懇願せられたということであります。また総理の談話として、連合軍関係の需要は、政府は万難を排してでも調達しなければならぬという決意を披瀝いたされておるのであります。すなわち、政府の腰が碎けなかつたならば、公定價格を維持し、政府みずからやみ買根絶の決意を示すこと、今日よりよき時期はなかろう。諸般の情勢上、ブラック・マーケットの仕事もだんだん狹められております。政府の強行こそ、インフレ克服の一つの條件であります。
 また、いろいろな歳入における面も考慮を拂わなければならぬと信じております。地方分與税を減額いたされましたが、この問題につきましては、私どもまことに遺憾であります。地方財政を一層困難ならしめ、財政金融の矛盾を激化いたしますとともに、地方財政の健全化を政府みずから破壊しておることになります。
 また歳入の増加をはかります上においては、先ほど委員長報告にもありましたように、この價格差益金の問題であります。今回の計上は六十億円であります。これは御承知の通り所管が物價廳にあり、大藏省との連絡でやつておるのでありますが、その事務的経過を考えてみますと、なお檢討を要するものがあつて、相当の増收をはかり得るものである、こう考えておるのであります。
 第三には、健全財政堅持のために、すなわち生産増強、民生安定のために、企業の合理化と行政整理というものを取上げていかなければならないと思います。これについては、追加予算にその片鱗が現わされております。政府当局もしばしば、非常なる決意でもつて進むということを表明いたされております。齋藤國務相は、この間参議院の労働省設置に関する委員会において、官吏は二分の一か三分の一かに減らすことができる、それで仕事に何らの不自由は來さないのである、ただ、それをやつていくには強い力が必要であるということを言われておるのであります。日本経済の再建、企業の合理化、赤字に悩むこの企業整備を余儀なくされておりますときに、國家がひとり行政整理を避けることはできないのでありまして、民間の企業整備を促進する意味からいつても、政府またみずからこの範を示して行政整理をやらなければなりません。
 國会は先ごろ、國家公務員法を議決いたしたのであります。これによる新しい官廳機構の改革と、國家公務員に関する新官僚制度とが併行して、民主國家にふさわしい行政組織を築き上げていかなければなりません。またさしあたつて問題といたしまして、國家の赤字財政ということも取上げていかなければなりませんが、われわれは、この問題を進捗いたしまする上において、ただ單純なる首切りをやれと言うのではない。すなわち、その受入態勢を十二分に考慮して、時間的にも速やかに、この問題を政府みずからが勇敢に進めていく必要を認めるのであります。
 第四には、産業資金の問題であります。これはいろいろ綜合資金計画との面もありますが、復金に対してたつた四十億円を計上されておるのであります。もちろん、諸般の情勢上やむを得なかつたという点もありましよう。しかしながらこの復金の債券が現在市中に消化されておらないで、大部分が日銀のしよいこみになつておることも御承知でありましよう。何とか発行の條件に適正なる改正を施しまして、これが消化が出來るように考える余地はないか。また復金支拂保証の拡大であります。この七月からこの制度は行われたのでありますが、この復金保証制度を拡大いたしまして、一般銀行が貸出ををやる場合、復金に依存しないように進めていくことも考えていかなければならないことだと思います。それとともに、政府が現にやらなければならないのは……
#21
○議長(松岡駒吉君) 申合せの時間がまいりました。
#22
○長野重右ヱ門君(続) この復金の融資に対する問題であります。これに対しましても、政府は十二分に監査を励行せられまして、國民から非難を受けることのないようにいたされたいと考えるのであります。
 修正意見等に対しましても、いろいろ意見を開陳いたしたいと思いますが、時間がまいりましたので、はなはだ残念でありますが、結論にはいります。
 この追加予算を眺めますときに、残されたる問題として六・三制の問題あるいは災害対策の問題等があります。今日物價と賃金の惡循環をたち切るための唯一の途は、食糧の満配にあることは言うまでもないのでありまして、耕地の復旧改良、すなわち水害、冷害、旱害に対して速やかなる処置をおとり願いたいと思うのであります。もちろん、政府はいろいろと追加予算にも御計画に相なつておりますが、ここで相当額を勇敢に御計上願いたいと考えます。私どもは、かくして追加予算を深く掘り下げてまいりますときに、すなわち日本経済のあり方を率直なる氣持で眺めますとき、生産は進まない。物價は上る。インフレは進行する。生活は安定しない。どうすればいいか。ただ國民的の協力あるのみであります。
 千八百円ベースの問題もあります。もちろん、われわれもよくわかるのであります。しかしながら、この物價体系を崩して千八百円ベースが改訂せられますならば、その犠牲者の大なるものは誰か。勤労階級が大なる犠牲者であるということを考えますときには、私は、これらの問題については、十分の注意と、そうして勤労、いわゆる労働の生産性を高揚する、これを熱望いたしまするとともに、それらの人々が安んじて生活のできる態勢を整えていかねばならないと考えるのであります。(拍手)
 今日の國家財政、世界経済の情勢がどうなつておるかということに対しましては、深く申し上げる必要はありません。御承知の、去る十七日開会されましたるアメリカの特別議会におきまして、トルーマン大統領は、このインフレ対策のためには物價抑制が唯一の途であつて、世界のためにやらねばならぬと強調しております。英國もまた往年の英國ではなく、一大危機に見舞われておるのであります。われわれは、こうしたときにおいてこそ、すべてが一致結束、もつてこの國家の危機を突破しなければならないと考えておるのであります。(拍手)
 先ほど述べられましたあの修正意見のごときは、全体を考えざるところの――その眞意那辺にあるやを疑わざるを得ないのであります。(拍手)断乎排撃せざるを得ないのであります。
 私は以上申し上げまして、原案に賛成の態度を明確にいたし、修正案に対する反対の意見をまた明確にいたすものであります。(拍手)
#23
○議長(松岡駒吉君) 河口陽一君。
    [河口陽一君登壇]
#24
○河口陽一君 本日上程の追加予算に対しては全面的な意見はありますが、そのうち特にわが日本農民党といたしまして默過でき得ざるものに、農業生産調整費の一億九千五十九万四千円があります。本歳出は、もちろん農業生産調整費に基くもので、過去における供出の不手際を是正するの考えにほかならないのであります。立法の精神は、あくまで農民を主体におかず、官僚勢力の温存にほかならないのであります。かようなことで食糧の増産供出を確保されるというお考えのもとに本予算の通貨を望まるるところに、私は根本的な間違いがあると思うのであります。(拍手)農民に対し新しき挑戰的法であると言わざるを得ないのであります。(「ノーノー」)
 絶対量の不足せる日本の現下の食糧問題の解決は、消極的なる供出制度の強化では不可能で、どうしても積極的なる増産確保のための科学的技術の飛躍的向上強化によつて必然的に起きる増産意欲、供出意欲によらなければならないと考えられるのであります。從つて、予算は消費面を極度に圧縮いたしまして、生産面に重点をおくことを私は主張いたすのであります。
 この見地よりいたしまして、本予算に一億九千余万円はさらに増額をいたし、それを悉く食糧増産のために、科学的技術指導費に轉用いたしまして、食糧の飛躍的一大増産をはかり、もつて混迷せる現下の食糧の不安を一掃するの施策を立てるに同意せられんことを望み、自由党修正案に賛成をいたして、終りといたします。
#25
○議長(松岡駒吉君) 船田享二君。
    [船田享二君登壇]
#26
○船田享二君 ただいま議題とせられております追加予算案に関しまして、私は、現在のような困難な事情が山積している状態のもとに、あくまでも健全財政の建前を堅持する予算案の作成に成功したということにつきましては、政府のなみなみならぬ苦心を多といたしまして、その功績を認めたいと思うものでありまして、國民協同党を代表して賛意を表するとともに、修正意見及び少数意見に対しては反対の意を表わしたいと思うものであります。(拍手)
 言うまでもなく、このたびの追加予算案は、ほとんど当初予算に匹敵するほどの厖大な額を計上するものであるばかりでなく、その予定する支出の面におきましては、直接に生産増強に役立つよりも、むしろ單に消費的性質を有するものが巨額に上つているのでありまして、その支出予算を実施するにあたりましては、特に嚴重な注意をもつてこれを実施せぬ限りは、いよいよインフレーションを高進せしめる危險が十分にあると考えられます。また收入の面において、予定される各種の税收入の面において、予定される各種の税收入がはたして予定通りの成果を收め得るか否かは、はなはだしく疑わしいのでありまして、現に、すでに本年の初頭からの税收入の実績は、思わしからぬ状態にあるのであります。
 かような状態において、必要やむを得ないという理由で支出が行われるにおきましては、特にインフレ激化の原因がつくられるものでありまして、予定收入額の確保、殊に税收入の確保のために特に政府の努力を必要とすることは、申し上げるまでもないことと存じます。また急を要する支出であるにもかかわらず、健全財政の方針の犠牲となりまして、予算面から削除され、あるいは大幅に削減を受けた費目も少くないのであります。さらに、健全財政の建前が國家財政の面に限られまして、そのために地方財政あるいは金融面の負担が加重されるに至るというおそれのあることも、必ずしも否定できないと思うのであります。
 しかしながら、こういうような点に関しましては、すでにこの追加予算案をめぐりまして繰返し論議が行われ、政府もまた十分この点について考慮すべきことを約していることでもありまするので、われわれは今あらためてこれについて詳しく意見を述べることを避けますとともに、政府職員の給與の支拂いのため、あるいは急を要する土木費の支出のため、その他この予算案の成立が急を要する状態にあることを顧みまして、次の数点について特に政府の善処を要望し、本予算案に賛成したいと存ずる次第であります。
 すなわち第一には、税收入の確保と税の負担の公平化という立場から、政府は脱税及び滯納を嚴重に取締つて、不当な新円所得の捕捉に努めるともに、勤労大衆及び中小工業、中小商業並びに農村に対する負担を過重ならしめぬようにいたしまして、これによつて全國民の納得を求め、その協力を得ることについて、万全の方策を講ずることがこれであります。しかも、それとともに、速かに税務官吏の増員と特遇改善に努めまして、徴税費を適正化し、他方においては、税務官吏の不正行爲については特に嚴重な取締りを励行し、官紀粛正に努めるべきこと、これであります。そうしてさらに進んでは、税制の根本的改革に対する準備を整えるべきことを要請するものであります。
 第二には、終戰処理費、賠償施設処理費の経理について十分に注意し、殊に公定價格による支拂いは嚴守することであります。
 第三は、速やかに行政機構の簡素化、行政整理を断行いたしまして、行政費の節約に努めることであります。しかし、それとともに失業対策に万全を期すべきことは申すまでもないことでありまして、しかも、いわゆる失業対策は單に失業者の救済にとどまるべきではなくして、積極的に失業者を生産面に就職せしめるものたることを要することは申し上げるまでもないことでありまして、政府がこれについて速やかに総合的な対策を確立し、実行に移すことを要請したいと思うのであります。
 第四は、六・三制の実施に要する経費中の不足額の支出について速やかに予算的措置を講ずることでありまして、これにつきましては、あらためて申し上げるまでもないことと存じますが、同時にわれわれは、來年度以降において今回のような混乱を來さぬように十分注意して、新学制の完全な実施に必要な経費の支出ができるように今から政府が万全の方策を講ずるよう要望してやまない次第であります。
 第五は、災害復旧費の増額について速やかに予算的措置を講ずることでありまして、これについてもまた、今詳しく述べることは避けたいと存じます。
 第六は、速やかに根本的治山治水及び水利の対策を確立して、その実施に要する経費の支出に努めるとともに、土地改良費、開墾費の支出によつて、開拓事業の円滑なる進展と食糧増産に遺憾なきを期することがこれであります。
 第七は、ひとしく食糧の確保増産のために速やかに農業技術の研究指導の体制を確立し、その実施に要する経費の支出に努めることでありまして、この同じ立場からわれわれは、殊にせつかく原案において盛られておりまする農業生産調整費と関連する農業技術の向上のための一億九千五十数万円を削除しようとする修正案には強く反対する次第であります。(拍手)
 最後に、金融機関補償金の支出繰延べによつて農業会などの解散の円滑な実施に支障を來すことのないように十分に注意すべきであると主張するものであります。
 國民協同党は、これらの希望條件を付しまして本追加予算案に賛成するものでありまするが、將來の問題といたしまして、われわれは、予算案の編成にあたつては十分に國会の意思が尊重せられ、予算案の檢討のために十分な時間的余裕のおかれ得るようにするために、政府が万全の策を講ずべきことを特に強く要請するものであります。(拍手)
#27
○議長(松岡駒吉君) 大神善吉君。
    [大神善吉君登壇]
#28
○大神善吉君 本年度の追加予算編成につきまして、今日の日本の経済状態はいかに逼迫しておるか、また社会情勢はいかに紊乱しておるかということを考えまして、追加予算のすべてに対しまして大なる意見をもつておるのでありますが、この予算を編成することは、今の場合まつたくやむを得ないものと私は考えまして、賛意を表するものであります。(拍手)
 しかしながら、この厖大なる追加予算のうち、不肖私が最も頭を悩ましました一点は、大衆課税であります。間接大衆税であるタバコの値上げ、これに対しましては眞向から反対せざるを得ないのであります。千八百円ベースをもつて十一月には黒字を出せると言うたあの安本長官が――この嗜好品の経済は、家庭におきましては三十分の一が普通である。三十分の一としまするならば、タバコは一箇月間少くとも六十円をもつて終らなければならぬと思うのであります。しかるに、現在の十本五十円は、おそらく千八百円のほとんどを食い潰してしまうのではなかろうかと思うのであります。
 しからば、國民はタバコを吸わなければいいではないかということになりまするが、タバコを吸わなかつたならば、政府の予算が成り立たない。(笑声)それでは、國民に対し手を切り、足を切つて、なおかつまだお前たちは生きておるのかというような結果になるのではなかろうかと思うのであります。少くとも官業事業におきましては、國民に最も安價に、最も國民に安易に與えるものをもつて官業事業としなければならぬのであります。しかるに、むしろ官業事業によつてますます物價を引上げつつある現状は、まつたく私は反対せざるを得ない。
 また現在の内閣におきまして、片山首相はインフレ防止を叫んでおられましたが、むしろ、インフレを高揚しておる現在であります。片山首相は、國民に対して耐乏を要求し、かつまた道徳の高揚を叫ばれたのであります。私は非常に賛意を表しておつたのでありますが、一向これを実行に移すことが現在できないのである。言行不一致をもつて道徳の高揚を叫ぶことができるでありましようか。私は少くとも片山首相に対しましては、最も敬意を表しておる一人であります。しかしながら、言行不一致は道徳の高揚を破壊する大罪であると考えるのであります。
 また片山首相は、新円階級より徴税をする、重税をとるということを仰せになりました。そのときに社会党の諸公は拍手をもつて迎えられたことは、目新らしいことであろうと思う。しかるに、新円階級というものをいかなる点にもつていつておられるか、御存じあるのかないのか、おそらくなかろうと思う。御存じあるならば、新円階級から金をとる方法はいくらでもあると思うのであります。
 いわゆる新円階級より徴税するということは――現在の日本の國情におきまして、新円階級はやみ屋よりないのであります。やみ屋よりないと私は断言してもいい。なぜならば、現在営業しておる者は、税務署が調査に調査をして、きつちりしておると思う。本年度は五千人の増加をして調査をしておるくらいでありますから、当然であるのでありまするが、やみ屋の懐ろにはいつておる金の調査ができておるのでありましようか。やみ屋においてはじめて私は新円階級ということを叫ぶことができるであろうと思うのであります。このやみ屋からいかにして取立てるかという問題であります。このやみ屋が現在ほとんど納税をしていないことは、私が言うまでもないことであります。
 このやみ屋の集まるところは、やはり汚い所に寄るのであります。この汚い所に寄る者は何であるかと申しますると――あの料理飲食店が裏口営業をしておるということを、閣僚のある人からも話があつたようでありまするが、これを考えましたときに、裏口営業をさせるくらいならば、表口営業を堂々ととやらして、納税せしめるのが当然であろうと私は思うのであります。(「それが自由党だよ」と呼ぶ者あり)裏口営業をさせておいて、それが自由党とか何党とかという考えは、予算を編成する上において頭のなさがはつきりとわかるのである。少くとも國民に耐久を叫び、道徳の高揚を強調するならば、國民のすべてに釈然として納税をせしむるようにしなければならぬと私は思うのであります。
 現在、商工省において電氣を消しておる。電氣を消しておる所と消さない所とあるが、この電氣を消しておる方は料金を値下げすることもならず、電氣がついておる所と、ついていない所の不均衡は、そのままにしておる。これがほんとうのくらやみの生活であろうと思う。(笑声)くらやみの生活をさせるよりも、明るい政治を行うて、國民を釈然とならしめなければならぬと私は思うのであります。
 しかるに、現在は國民のすべてが、今日はどうなるか、明日はどうであろうかという不安を呈しておるのは、不肖私が言うまでもなく、議員諸公がみんな責任をもつ今日の議会の進行振りを見たならば、はつきりわかるであろうと思うのである。少くとも國民に現在滯納のあるということを、あなた方は御承知であるか。滯納しておるというのは、國民のすべてが喜んで納税をしないということである。少くとも現在の日本の再建をせんとするならば、政府と國民が一致して、どんな耐乏をしてでも喜んで納税をして、國家の再建に向つて立直らなければならぬと私は思うのであります。しかるに、政府の現在のやり方では、國民が政府そのものに対して信用をおとしておるのであろうと私は思うのであります。でありますから、どこまでも國民の代表たる資格を忘れないで、議事の進行をしていただきたいと思うのであります。
 また六・三制におきましても、七億円の予算はただちに実行せられるかもわかりませんが、あとの七億円につきまして、片山首相の文化國家という見地からいきまして、あとの七億円を同時に実行してもろうことを切望いたしたいのであります。
 大体におきまして、東井議員より五項目に対しましての條件を附し、これに賛意を表しておられますので、不肖大神も、インフレの高揚性、大衆課税性、公定價格の嚴守、六・三制、水害、旱害等の約束を果してもろうこと、現在の予算の編成が科学性を欠いておるという点におきまして、この点を特に御注意願つて、私は賛意を表する次第であります。(拍手)
#29
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。
 まず、昭和二十二年度一般会計予算補正(第七号)に対する西村久之君提出の修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  [賛成者起立]
#30
○議長(松岡駒吉君) 起立少数。よつて西村久之君提出の修正案は否決せられました。
 次に、昭和二十二年度一般会計予算補正(第七号)に関して採決をいたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  [賛成者起立]
#31
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 次に、昭和二十二年度一般会計予算補正(第八号)及び昭和二十二年度特別会計予算補正(特第三号)の両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通りに決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  [賛成者起立]
#32
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第四 経済力集中排除法案(内閣提出)
 第五 持株会社整理委員会令の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 政府職員に対する臨時手当の支給に関する法律案(内閣提出)
   ――――――――――――――
#33
○議長(松岡駒吉君) 日程第四、経済力集中排除法案、日程第五、持株会社整理委員会令の一部を改正する法律案、日程第六、政府職員に対する臨時手当の支給に関する法律案、右三案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長北村徳太郎君。
  ―――――――――
 経済力集中排除法案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の末尾に掲載]
  ―――――――――
 持株会社整理委員会令の一部を改正する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の末尾に掲載]
  ―――――――――
 政府職員に対する臨時手当の支給に関する法律案(内閣提出)に関する報告書
 [都合により最終号の末尾に掲載]
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  [北村徳太郎君登壇]
#34
○北村徳太郎君 ただいま議題となりました経済力集中排除法案について、財政及び金融委員会における審議の経過並びに結果の概略を御報告申し上げます。
 まず政府原案についてでありますが、政府はすでに財閥の解体、独占禁止法等の実施をいたしておりますけれども、わが國の現状を見まするに、これら各般の措置が必ずしも所期通りの効果をあげているとは言いがたい点があるのであります。すなわちここにおいて、目前に堆積いたしました過去の軍國主義的ないし封建主義的経済の残滓ともいうべきいわゆる経済力の集中をできるだけ速やかに排除するのでなければ、私的独占禁止法等による恒久的措置についても、とうてい所期の効果を期待し得ないと思うのであります。從つて、経済力の集中排除は経済の民主化の基礎をつくるのがその目的でありますから、いたずらにわが國の産業経済をこまかに解体、分解するものではなくして、それはまた將來の民主的秩序に相應ずる経済の合理的な再編成を行うという積極的作用をもつものでなければなりません。もとより経済力の集中排除は、わが國産経済に相当の変動を與え、また國民の権利に重大な影響を及ぼすものであり、またさらに政府機関に相当大幅の委任をしようとするものでありますから、そのやり方いかんによりましては、経済界はあるいは不安動揺に陷り、企業の萎微、生産の沈滯、金融の梗塞等のおそれがないとは言えないのであります。從つて、その運用はきわめて愼重でなくてはなりません。
 この法律は、本文二十七條と附則一項から成つております。以下、その内容の一班を申し上げますと、第一條はこの法律の目的を規定し、第二條ではこの法律における用語を定義いたしております。また指定の対象となる経済力の集中は、第三條の各号にあります通り、独占的性質の企業、関連性のない事業を兼営する企業、役員の兼任、株式の保有等の方法で、他の企業を支配する企業、カルテル、シンジケート、トラスト等の制限的もしくは独占的な協定、契約等、さらに個人または家族の富の集中で独占的企業を支配するもののいずれかに該当するものであつて、かつこの法律施行の日において現に存するもの及び昭和二十年八月一日からこの法律の施行の日前において存したものが対象となるのであります。
 この指定を行うのは持株会社整理委員会でありまして、第六條各号に掲ぐる事項その他必要な事項を考慮し、指定の具体的基準を定めてこれを公示し、昭和二十三年九月三十日までの間に指定を行うのでありますが、経済界に與える不安等を考慮し、なるべく短期間に終るようにしたいというのであります。指定は、文書で利害関係人に通知して行うことになつておりまして、利害関係人には、当該会社その他の團体または個人、株主、債権者、社債権者のほかに、当該会社の從業員も含んでおります。利害関係人が多数で、個々の通知が事実上困難な事情もありますので、通知は公告して行うこともできることとなつております。指定につきましては、ある特定事業について指定を行わないといつた意味の、適用除外の規定は別にありませんが、國、地方公共團体、公團、労働組合については指定を行わないことになつております。またこの法律は、配給統制に関する法令の適用を妨げるものでないことが規定の上に明らかにされております。指定された経済力の集中を公共の利益のために排除することが必要と認められるときは、持株会社整理委員会は当該会社その他の團体または個人に対して、その排除の措置をとらなければなりません。しかし、指定されたものについて必ずしも全部が全部排除の措置がとられるとは限らないのでありまして、指定されたものについて檢討の結果、排除の措置をとる必要のないことが明らかになれば、指定の取消が行われることになつております。
 次に第七條第二項は、持株会社整理委員会の権能の態樣について並列的に掲げておりますが、排除の典型的な進行はおおむね次の通りになるのであります。まず持株会社整理委員会は、会社その他の團体または個人に対して経済力の集中の指定をいたしまして、それが公共の利益のために排除されねばならないときは、これに対して排除の計画、すなわち企業再編成計画あるいは財産処分計画の提示を求めます。提示を求めて計画の提出がなかつたとき、または計画が著しく不適当であつた場合には、持株会社整理委員会はみずからこれらの計画を作成することができます。排除の計画を承認しまたは作成しようとするときは、その指令案を文書で利害関係人に通達します。この通達は、公告してこれを行うことができるのであります。指令案を通達した日から十五日を経過したのちに、持株会社整理委員会は利害関係人に対し聽聞会を開き、指令案に対する異議の申立や意見の具申を聽き、これに必要な変更を加えて決定することができるのであります。指令を決定したときは、決定指令を利害関係人に文書で通達し、または通達にかわつて公告しなくてはなりません。持株会社整理委員会の指令の決定に際して、事実の認定が実質的な証拠を基礎としていない場合または実質的な証拠を採用していない場合は、利害関係人は決定指令が通達または公告されてから六日以内に、内閣総理大臣に対して不服の申立ができることになつております。内閣総理大臣は、利害関係人の不服が至当であると認めるときは、事件を持株会社整理委員会に差し戻すのであります。また、右の不服申立の期間及び不服申立のあつた場合は、その事件が確定するまでの間は当該決定指令の執行は停止されます。
 次にこの法律は、公正取引委員会について数個の規定を設けております。この法律が独占禁止法とその目的、作用を異にしていることは、今までの説明で明らかにしていると思うのでありますが、第十六條の規定中の「他の法令」の中には、当然に独占禁止法を含んでおり、また第二十七條には、独占禁止法の規定はこの法律の規定によつて変更されることがない旨の規定があります。この二つの法律は、それぞれの目的に從つて独自に運用されるのであります。しかしながら、この法律は独占禁止法とその目的、繋りにおいて密接でありまして、その発動の対象において実際上競合する場合があります。そこで、持株会社整理委員会が再編成計画の承認その他の処分の指令案を承認しようとするときは、その指令案を公正取引委員会に対して通達し、公正取引委員会は、その指令案について独占禁止法の規定と違反する場合は、その旨を持株会社整理委員会に指示し、その支持に基いて、持株会社整理委員会はこれを変更することができ、また公正取引委員会は決定指令の執行を掌り、決定指令の変更の申立を受け、持株会社整理委員会は職権の一部を公正取引委員会に委任することができるのであります。持株会社整理委員会は臨時的機関でありますから、一定期間ののち、この法律の職権を公正取引委員会に移すこと等の規定を設け、独占禁止法とこの法律の調整ないし関係を明らかにするようにしているのであります。
 最後に、第二十一條ないし二十五條は罰則の規定となつております。
 次に、この法律と企業再建整備法との関係でありますが、この法律の第十二條に、企業再編成計画による債権者、株主等の権利の変更に関する規定があります。しかし、この法律による企業再編成計画は、企業を実体的な見地から再編成していくのが目的であり、またその内容であります。從つて、この再編成計画による債権者、株主等の権利の措置等企業の経理面の処置は、すべて企業再建整備法または金融機関再建整備法等に委ねるのを適当とし、このため必要とする法律案は、目下審議中であります。以上が本案の要旨であります。
 本案は、去る十月六日本委員会に付託されましたが、商業委員会及び鉱工業委員会とも関連がありますので、連合審査会を開き、十八日、政府より本案についての説明を聽取いたしましたが、この法案は、その内容が公共の福祉のためとは言いながら、企業上の権利の制限であり、産業界に與える影響も大きいので、経済界各方面よりそれぞれの権威者の出席を求め、それらの諸君から忌憚のない意見をきくことといたし、懇談会を開きました。第一回は十八日、日本鉱業株式会社常務取締役の三間安市君、大日本麦酒株式会社專務取締役山本爲三君、化学労働組合全國協議会幹事久保田誠君、三菱化成の常務取締役桑田時一郎君、経済團体連合会長の石川一郎君の諸君よりそれぞれ意見の開陳があり、これに対し、委員諸君よりいろいろ質疑がありました。
 次に二十二日には、三共製藥会社の社長塩原禎三君、帝國銀行頭取の佐藤喜一郎君、日本製鉄の社長三鬼隆君の諸君に、また二十八日には、持株会社整理委員会より笹山委員長の出席を求め、同じく懇談会を行いました。大体この三回の懇談会で、参考に聽くべき意見の範囲もほとんど盡すことができたかと存じますので、十月二十九日より三回にわたり、政府委員に対して質疑にはいりました。以下、その主なるものについて、きわめて簡單に御報告申し上げます。
 まず委員より、ポツダム宣言受諾以降、財閥の解体は政令をもつて行われたが、独占禁止法以下少くとも許された範囲内において、今後この法律を運用する者は日本政府でなければならないが、これらを運用する場合において、なおかつ財閥解体と同じような圧力をもつて、この法律の上をいくような指令を発するものかどうか、また先般來、独禁法、企業再建整備法、集中排除法と、相次いで一連の法律が出たが、これらをもつて仕上げができると思うか、それともまだまだ出さねば解決できないかどうかという二点について質疑がなされましたが、これに対し政府当局より、経済力集中排除法案は形式的には一應法律で制定されるとはいうものの、その背景には、極東委員会の対日占領政策に関する基本原則があるので、実際の運用においては殆ど政令によるものと変らないだろう、また後者の問題は今はつきりは答えられないが、復興のための企業、会社の経理面の措置は再建整備法で、企業面は集中排除法で、また恒久的な措置はすでに定められた独禁法で行うわけで、大体この辺で山が見えているのではないかという氣がするとの答弁がありました。
 次に、巷間傳えられる三百ばかりの企業対象を分割した場合、税收の方面に多大の影響を與えると思うがどうか、またこの法案の実施により、再編成後は公正自由な取引ということが建前になるので、その結果再び大きなものが出てくるということが考えられるが、さういうものに対しては、本案はいかなる関係をもつものであるかとの質問がありました。第一点については、現実の問題として制限会社あるいは特定会社等はほとんど利益をあげていないから、さう大きな狂いはないと思うし、第二点に関しては、この法案自体では未だそこまで考えていないが、独禁法の方では公正なる競争が許されてゐる、ただそれが再び公共の利益に反するほど大きくなつて、独占的な支配力をもつようなことになればいけないというのであつて、独禁法の事業能力の較差ということに触れない限り、大きくなることは許されるであろうとの答弁がございました。
 次に、合理的な再編成の合理的ということは、現在の実情を対象とするのか、それとも將來展開さるべき世界経済との関連において考えるのかといふ点を質しましたところ、政府は、その再編成したものが後に合理的な経営になるようにということは、平時の経済状態を想定し、そのときにおけるあり方が合理的になるようにという考え方であるから、外國貿易等も予想されている今日は、そうしたことも頭に入れて檢討しなければならぬと思つているとの答弁がありました。
 また化学工業の分野では、二、三の工場が一つの單位になつている場合が多く、これを分割すると全体の工場が成立しなくなるが、これは工場單位でいくのか、もしくは企業の成立する総体を一括して考えるのかについて質疑があり、これに対し政府より、工場が別であつても、互に有機的な関連性の上に立つている場合は、それらが同一経営内にある方が合理的であるから、そういう点が立証されるならば分割されることはないと思うとの答弁がありました。
 次に、もしこの法案によつて種々の水平的な結合あるいは垂直的結合が分割されるとすれば、そのために採算不能になり、脱落していく企業が相当ありはしないかとの質問が行われ、政府委員より、本法案は産業の合理的な再編成を所期している、單に採算不可能だからといつて、それを切捨てることにはならぬよう、あらゆる努力をしたい、特にそれを分割して、分割したために相互に品質を惡くするとか、原價が高くなるとか、あるいは経理上非常に不健全な状態になるというごとき場合が考えられるならば、かかることは絶対になきよう努力し、その点については、業者の方でも確実にして詳細なる資料をもつていろいろ答弁されると思うが、それを十分くみとつて、合理的な分割のしかたをしたいと考えている、しかし、もし國民経済全体の立場から、しかも平和的に日本経済を再編成するために絶対にそれに應ずる物資が必要であるが、その物資が今の経済状態では採算不能だというような場合には、資材なり資金の特別な措置を講じて、生産の供給力に十分に見込みのあるように努力をしなければならないと思う、ただ平和的に再編成するのであるから、かつての軍事経済のもとに必要としていたような企業全部が全部現在の状態において必要だということは言えないと思うとの答弁がありました。
 次に、持株会社整理委員会に勤労階層の代表者をも加えることによつて、これを眞に民主的なものにする意向はないかという点と、持株会社整理監査委員会の概況の二点について質疑がありましたが、これに対して政府より、まず委員会の職員について申し上げると、委員はもちろん、部長程度まで一切財閥関係の者は不適当とされている、ただ有價証券とか金銭的なものを多く扱わなければならない関係上、大銀行の職員等が多く來ているし、また委員会は永久的な機関でないから、若い人を養成してかかるという時間的余裕がないので、なるべく直ぐに間に合うような、訓練のできた適任者をとる方針であるので、現にそういう人が非常に多いが、みな勤労者である、なお勤労者方面との連絡については、理論的でなく実際の経驗ある方をという意向から、本年六月大阪の金正米吉氏に任命があり、この方を通じていろいろ事情を伺うことにしているが、今後機構の改革にも大いに努力していきたいと思う、また後者についてであるが、これは國会議員をもつて構成されているが、委員会が内閣総理大臣の所管に属し、一つの政府の代理機関という形になるので、それ自体が一つの行政機関的な性格を帶びる、これについては、今まで若干あいまいな点があつたが、今度提出予定の改正案では、監査委員会を國会の代表者が構成することは行政と立法との混淆になるから、これを廃止することにしたいと考えてゐる、さうなると、國会との関係であるが、その場合は、直接に内閣総理大臣の監督に属している機関を、総理大臣についての審査、監査という形において、國会自体で審議していただくことになると思うとの答弁がございました。
 その他具体的な問題について種々質疑應答が交されましたが、詳しくは会議録に讓ることにいたします。
 かくて、本案に対する論議もほとんど盡され、昨日各派より共同の修正案が提出され、各派を代表しまして、自由党の塚田委員から、経済力の集中排除はその目的が過度の経済力の集中排除にある点から、字句の上でもこれを明確にいたしておくべきであろう、單に経済力の集中排除でなく、その経済力の過度に集中せられた場合にこれを排除するのである、過度の経済力の集中を排除するというように修正すべしという修正意見が出ました。かくして、討論を省略いたしまして採決の結果、ただいまの修正案のように修正議決をした次第であります。
 なお、本法の実施期間が一箇年となつているのでございますが、その間の経済界の不安を早く除く必要がある、一日も早く指定を終りまして、いたずらに経済界に不安を與えないようにすることを特に強くここに附言いたしまして、以上、経済力集中排除法案の審査の経過並びに結果を申し上げた次第であります。
 次に、持株会社整理委員会令の一部を改正する法律案の審査の経過並びに結果につきまして、ごく簡單に御報告いたします。
 本改正案につきましては、御承知のごとく経済力集中排除法案と不可分の関係にありまして、経済力集中排除法案が制定施行せられることになりますと、それに伴つて、その実施は持株会社整理委員会が担当いたすことに相なつておりますので、これに應じて持株会社整理委員会令の一部を改正する必要が生ずるのであります。改正の形式につきましては、同委員会令が最高司令官の覚書に基いて、昭和二十年勅令第五百四十二号、すなわちポツダム勅令として公布せられておりますので、その改正は法律の形式をもつてなされる次第であります。
 この改正案の概略を申し上げますと、第一に、持株会社整理委員会の目的及び業務に、経済力集中排除法の施行に関する事項を加えたこと。第二に、同委員会が委員長、常務委員、監査委員及び平委員より構成されていたのを、監査様式の変更に伴つて、このうちの監査委員を廃することにしたこと。第三に、持株会社整理委員会の経費は、從來同委員会が持株会社及び指定財閥家族から讓り受けました株式その他の財産から生ずる配当等の收入及びそれらの財産を換價処分して得ますところの代金を持株会社及び財閥家族に引渡す前に、所要額を差引いて必要経費に充当するとともに、委員会はこれらの者以外の者から株式の議決権の行使を委任せられているので、それについて手数料を徴收することとなつております。この点、実質においては変りはないのでありますが、法文上、これらの收入を手数料として徴收し得る旨を明確に規定したこと。さらに、今回の経済力集中排除法によつて増大した事務のうち、主として企業に関連する純行政的性質の事務については、その経費相当額は國庫より予算をもつて交付することとし、委員会の経費は、手数料とこの交付金をもつて支弁することとしております。第四は、持株会社整理委員会に対する監査について、從來内閣総理大臣の監督の下に持株会社整理監査委員会が設けられ、同委員会の業務の運営を監査することになつていたので、不必要と認めて之を廃止し、整理委員会は直接内閣総理大臣の監督に属する旨を明らかにしております。
 本改正案は、去る十一月十四日本委員会に付託されたのでありますが、初めに申し上げました通り、経済力集中排除法案と一連不可分の関係にあり、從いまして、持株会社整理委員会の構成機能についての審査も、集中排除法案と同時併行的に行われましたので、重複をさける意味で、この際政府当局との質疑應答の概略の御報告は省略いたしたいと存じます。ただ経済力集中排除法案の趣旨はともかくとして、運用に関しましては、將來日本の経済再建に重大なる影響がありますので、細心の注意をもつてなさるべきものでありまして、これを担当し、全権を掌握しておると見てよいのが持株会社整理委員会そのものであり、從つて、この委員会の構成、機能は非常な影響力をもつものでありまして、この点に鑑み、政府当局に対し、持株会社整理委員会の委員の人選については特に愼重にすべしとの意味から重要な質疑が行われ、各委員より、新しい権限の増大とともに、その人選の標準をかえて、すなわち從來財閥解体事務を主としていたが、今回の改正により産業、生産方面に、また企業の再建方面に大きく影響するので、從つて、これに最も適した学識経驗のある者の中より廣くこれを求め、相当増員して経済力集中排除法の適正な運用を期するよう、十分愼重の考慮を拂われたい旨の強い要望がありました。
 昨日午後、集中排除法案の採決の後本改正案の討論に入り、自由党周東委員より、特に次の二点について、本法の運用に関し強い要望があつたのであります。その第一点は、持株会社整理委員会委員の選任または増加の場合において、新たに附け加えられるところの委員会の職能権限に副うよう十分に考慮すべきこと。第二点は、新たにその権限を拡大された委員会は、相当に多額の讓り受けをしたり、あるいは讓り受けをする財産をもち、巨額の財産権移動に関する実効的立場に立つのであるから、それについて委員会の委員長または会計を掌る委員、職員等については、たとえば会計法の出納官吏に準ずるがごとき不当支出等の場合における賠償責任等責任に関する規定を置くことが至当であるという意見でありまして、これはいずれも本法運用上の最も重要な点であり、きわめて妥当適切なる意見と考えられますので、特にここに附加して御報告しておきたいと存じます。
 かくして討論を終局し、採決にはいりまして、全会一致をもつて本改正案は原案の通り可決確定いたした次第であります。以上をもつて報告を終ります。
 なお、議題に供せられております政府職員に対する臨時手当の支給に関する法律案について、財政及び金融委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、本案の内容を簡単に申し上げますと、政府職員の給與は月收平均千六百円を基準としていたのでありますが、本年七月の新物價体系の樹立に伴い、給與水準もこれに應じて引上げることが適当であると認め、七月以後の給與については、千八百円水準によつて補正予算が組まれた次第であります。しこうして、新給與体系の確立に至りますまでには未だ時日を要しますので、それまでの應急的措置として、千六百円水準と千八百円水準との差額二百円を毎月支給するのが適当との考えから、さきのその七月ないし九月分合計六百円を支給されましたが、十月以降も同樣の措置をとりたいとの意味から、この法律案が提出された次第であります。
 この法律案によります、臨時手当の支給方法といたしましては、前回の法律とはいささかその基準を改めまして、各人の現に受けております俸給、暫定加給、暫定加給臨時増給、臨時家族手当及び臨時勤務地手当の合計額千六百円分の二百円、すなわち八分の一を支給することにしたのであります。
 この措置によりまして支給を実施いたしますため必要な予算額は、概算いたしますと大約一般会計一億二千二百余万円、特別会計二億四千七百余万円、合計三億六千九百余万円でありまして、この金額は、十、十一月分については、すでに一般会計補正予算第五号及び特別会計補正予算特第二号に計上し、残りの十二月以後の分につきましては、目下審議中の一般会計補正予算第七号及び特別会計補正予算特第三号に計上いたしております。なおこの金額のほかに、地方負担により地方職員に支給せられる金額が約九千八百余万円でございますので、この分も合計いたしました四億六千八百余万円というものが、今回の措置により官公職員に給與せらるべき月総額と相なるわけであります。
 本案は、昨二十一日政府より提案理由の説明を聽き、ただちに審議にはいり、二、三質疑が行われましたが、これは前回に論議を盡し、すでに國会の議決を経た法律第百十九号の延長でもあり、政府職員の最近の生活の実情をもくみとり、これを諒とし、討論省略、採決の結果、全会一致をもつて原案通り可決いたしました。簡單でございますが、以上御報告申し上げます。(拍手)
#35
○議長(松岡駒吉君) まず経済力集中排除法案につき採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  [賛成者起立]
#36
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
 次に持株会社整理委員会令の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに御賛成の諸君の起立を求めます。
  [賛成者起立]
#37
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 政府職員に対する臨時手当の支給に関する法律案は、委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#38
○議長(松岡駒吉君) よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 これにて議事日程は終了いたしました。次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後六時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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