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2021/12/16 第207回国会 参議院 第207回国会 参議院 予算委員会 第1号 令和3年12月16日
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2021/12/16 第207回国会 参議院

第207回国会 参議院 予算委員会 第1号 令和3年12月16日

#1
令和三年十二月十六日(木曜日)
   午前八時五十分開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         山本 順三君
    理 事         藤川 政人君
    理 事         白  眞勲君
    理 事         森本 真治君
    理 事         浅田  均君
    理 事         山添  拓君
                青山 繁晴君
                上野 通子君
                小川 克巳君
                岡田  広君
                片山さつき君
                こやり隆史君
                佐藤 正久君
                進藤金日子君
                滝波 宏文君
                比嘉奈津美君
                藤木 眞也君
                堀井  巌君
                丸川 珠代君
                三木  亨君
                宮島 喜文君
                宮本 周司君
                森屋  宏君
                山下 雄平君
                山谷えり子君
                和田 政宗君
                石垣のりこ君
                打越さく良君
                熊谷 裕人君
                小西 洋之君
                田島麻衣子君
                福島みずほ君
                森屋  隆君
                塩田 博昭君
                杉  久武君
                竹谷とし子君
                矢倉 克夫君
                若松 謙維君
                礒崎 哲史君
                浜口  誠君
                矢田わか子君
                石井 苗子君
                片山 大介君
                田村 智子君
                大門実紀史君
    ─────────────
   委員の異動
 十二月六日
    辞任         補欠選任   
     塩田 博昭君     安江 伸夫君
     竹谷とし子君     山本 香苗君
     矢田わか子君     田村 まみ君
 十二月十五日
    辞任         補欠選任   
     打越さく良君     宮沢 由佳君
     小西 洋之君     木戸口英司君
     田島麻衣子君     有田 芳生君
     田村 智子君     伊藤  岳君
 十二月十六日
    辞任         補欠選任   
     岡田  広君     藤井 基之君
     山谷えり子君     長谷川 岳君
     有田 芳生君     田島麻衣子君
     宮沢 由佳君     打越さく良君
     伊藤  岳君     田村 智子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 順三君
    理 事
                こやり隆史君
                藤川 政人君
                堀井  巌君
                山下 雄平君
                白  眞勲君
                森本 真治君
                杉  久武君
                浅田  均君
                山添  拓君
    委 員
                青山 繁晴君
                上野 通子君
                小川 克巳君
                岡田  広君
                片山さつき君
                佐藤 正久君
                進藤金日子君
                滝波 宏文君
                長谷川 岳君
                比嘉奈津美君
                藤井 基之君
                藤木 眞也君
                丸川 珠代君
                三木  亨君
                宮島 喜文君
                宮本 周司君
                森屋  宏君
                山谷えり子君
                和田 政宗君
                有田 芳生君
                石垣のりこ君
                打越さく良君
                木戸口英司君
                熊谷 裕人君
                田島麻衣子君
                福島みずほ君
                宮沢 由佳君
                森屋  隆君
                矢倉 克夫君
                安江 伸夫君
                山本 香苗君
                若松 謙維君
                礒崎 哲史君
                田村 まみ君
                浜口  誠君
                石井 苗子君
                片山 大介君
                伊藤  岳君
                田村 智子君
                大門実紀史君
   国務大臣
       内閣総理大臣   岸田 文雄君
       総務大臣     金子 恭之君
       法務大臣     古川 禎久君
       外務大臣     林  芳正君
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        鈴木 俊一君
       文部科学大臣
       国務大臣     末松 信介君
       厚生労働大臣   後藤 茂之君
       農林水産大臣   金子原二郎君
       経済産業大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       損害賠償・廃炉
       等支援機構))  萩生田光一君
       国土交通大臣
       国務大臣     斉藤 鉄夫君
       環境大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       防災))     山口  壯君
       防衛大臣     岸  信夫君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 松野 博一君
       国務大臣
       (デジタル大臣)
       (内閣府特命担
       当大臣(規制改
       革))      牧島かれん君
       国務大臣
       (復興大臣)
       (内閣府特命担
       当大臣(沖縄及
       び北方対策))  西銘恒三郎君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (内閣府特命担
       当大臣(防災、
       海洋政策))   二之湯 智君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(少子化
       対策、地方創生
       、男女共同参画
       ))       野田 聖子君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(経済財
       政政策))    山際大志郎君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(科学技
       術政策、宇宙政
       策))      小林 鷹之君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(消費者
       及び食品安全、
       クールジャパン
       戦略、知的財産
       戦略))     若宮 健嗣君
       国務大臣     堀内 詔子君
   副大臣
       財務副大臣    大家 敏志君
       国土交通副大臣  渡辺 猛之君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  近藤 正春君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤井 亮二君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       三貝  哲君
       内閣官房内閣審
       議官       内山 博之君
       内閣官房内閣審
       議官       岡本  宰君
       内閣官房デジタ
       ル田園都市国家
       構想実現会議事
       務局審議官    新井 孝雄君
       内閣官房デジタ
       ル田園都市国家
       構想実現会議事
       務局審議官    内田 幸雄君
       内閣官房令和3
       年経済対策世帯
       給付金等事業企
       画室次長     小野平八郎君
       内閣官房令和3
       年経済対策世帯
       給付金等事業企
       画室次長     林  幸宏君
       内閣府大臣官房
       審議官      難波 健太君
       内閣府大臣官房
       審議官      黒瀬 敏文君
       内閣府地方創生
       推進室次長    黒田 昌義君
       内閣府政策統括
       官        榊  真一君
       内閣府男女共同
       参画局長     林  伴子君
       デジタル庁統括
       官        村上 敬亮君
       復興庁統括官   由良 英雄君
       復興庁審議官   岡本 裕豪君
       総務省自治行政
       局長       吉川 浩民君
       総務省自治財政
       局長       前田 一浩君
       総務省自治税務
       局長       稲岡 伸哉君
       総務省政策統括
       官        吉開正治郎君
       出入国在留管理
       庁次長      西山 卓爾君
       外務省大臣官房
       国際文化交流審
       議官       曽根 健孝君
       外務省総合外交
       政策局長     岡野 正敬君
       外務省総合外交
       政策局軍縮不拡
       散・科学部長   海部  篤君
       外務省アジア大
       洋州局長     船越 健裕君
       外務省アジア大
       洋州局南部アジ
       ア部長      加納 雄大君
       外務省北米局長  市川 恵一君
       外務省中東アフ
       リカ局長     長岡 寛介君
       文部科学省初等
       中等教育局長   伯井 美徳君
       文部科学省高等
       教育局長     増子  宏君
       厚生労働省大臣
       官房審議官    本多 則惠君
       厚生労働省健康
       局長       佐原 康之君
       厚生労働省職業
       安定局長     田中 誠二君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    山本 麻里君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    田原 克志君
       農林水産省大臣
       官房長      横山  紳君
       農林水産省農産
       局長       平形 雄策君
       農林水産省経営
       局長       光吉  一君
       水産庁長官    神谷  崇君
       経済産業省大臣
       官房審議官    蓮井 智哉君
       経済産業省大臣
       官房審議官    福永 哲郎君
       資源エネルギー
       庁省エネルギー
       ・新エネルギー
       部長       茂木  正君
       中小企業庁経営
       支援部長     佐々木啓介君
       国土交通省大臣
       官房政策立案総
       括審議官     高田 陽介君
       国土交通省大臣
       官房危機管理・
       運輸安全政策審
       議官       島田 勘資君
       国土交通省水管
       理・国土保全局
       長        井上 智夫君
       国土交通省鉄道
       局長       上原  淳君
       国土交通省航空
       局長       久保田雅晴君
       国土交通省国際
       統括官      山上 範芳君
       観光庁長官    和田 浩一君
       防衛省大臣官房
       政策立案総括審
       議官       川嶋 貴樹君
       防衛省防衛政策
       局長       増田 和夫君
       防衛省整備計画
       局長       土本 英樹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○令和三年度一般会計補正予算(第1号)(内閣
 提出、衆議院送付)
○令和三年度特別会計補正予算(特第1号)(内
 閣提出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(山本順三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が四名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に堀井巌君、山下雄平君、こやり隆史君及び杉久武君を指名いたします。
    ─────────────

#4
○委員長(山本順三君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、予算の執行状況に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#5
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#6
○委員長(山本順三君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 令和三年度補正予算二案審査のため、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#7
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────

#8
○委員長(山本順三君) 令和三年度補正予算二案に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 本日及び明日の質疑は総括質疑方式で三百三十一分行うこととし、各会派への割当て時間は、自由民主党・国民の声八十分、立憲民主・社民百六分、公明党四十分、国民民主党・新緑風会三十五分、日本維新の会三十五分、日本共産党三十五分、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。
    ─────────────

#9
○委員長(山本順三君) 令和三年度一般会計補正予算(第1号)、令和三年度特別会計補正予算(特第1号)、以上二案を一括して議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。財務大臣鈴木俊一君。

#10
○国務大臣(鈴木俊一君) 令和三年度補正予算の大要につきましては、既に、本会議において申し述べたところでありますが、予算委員会での御審議をお願いするに当たり、改めて御説明申し上げます。
 最初に、一般会計予算の補正について申し上げます。
 歳出においては、総額で三十五兆九千八百九十五億円を計上しております。その内容としては、コロナ克服・新時代開拓のための経済対策に基づき、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る経費に十八兆六千五十九億円、ウイズコロナ下での社会経済活動の再開と次なる危機への備えに係る経費に一兆七千六百八十七億円、未来社会を切り拓く新しい資本主義の起動に係る経費に八兆二千五百三十二億円、防災・減災、国土強靱化の推進など安全、安心の確保に係る経費に二兆九千三百四十九億円を計上しております。
 また、国債整理基金特別会計への繰入れとして二兆二千六百八十二億円、地方交付税交付金の増額として三兆五千百十七億円等を計上するとともに、既定経費を一兆五千六百六十五億円減額しております。
 歳入においては、租税等の収入について、最近までの収入実績や企業収益の動向等を勘案して六兆四千三百二十億円の増収を見込んでおります。また、税外収入について、一兆三千五百十六億円の増収を見込むほか、前年度剰余金六兆一千四百七十九億円を計上しております。
 以上によってなお不足する歳入について、公債を二十二兆五百八十億円発行することとしております。
 この結果、令和三年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対して歳入歳出共に三十五兆九千八百九十五億円増加し、百四十二兆五千九百九十二億円となります。
 また、特別会計予算につきましても、所要の補正を行っております。
 財政投融資計画につきましては、経済対策を踏まえ、科学技術立国の実現に向けた積極的な投資を促進するとともに、防災・減災、国土強靱化を推進するため、九千二百二十一億円を追加しております。
 以上、令和三年度補正予算の大要について御説明いたしました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いを申し上げます。

#11
○委員長(山本順三君) 以上で令和三年度補正予算二案の趣旨説明は終了いたしました。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#12
○委員長(山本順三君) 速記を起こしてください。
 これより質疑に入ります。白眞勲君。

#13
○白眞勲君 おはようございます。立憲民主党の白眞勲でございます。
 岸田総理、まず、改めて御就任おめでとうございます。
 総理は、歴代の総理が事実と異なる答弁を繰り返し、あるいは長話をしたり、いわゆる御飯論法と言われる答弁を批判されたりしましたけれども、総理は聞く力をアピールされているということですね。我が党の泉健太新代表も追及一辺倒ではなくて提案重視の方針を打ち出しており、是非今までとは一味違った有意義な議論をこの参議院予算委員会でもしていきたいと思いますが、総理の御見解いかがでしょうか。

#14
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 私も、御指摘のように、聞く力、国民との対話、こうしたものを大事にしていくということを申し上げてまいりました。是非、国会の議論においても、こうした聞く力あるいは対話、こうしたものを大事にしながら丁寧に取り組んでいきたいと存じます。
 有意義な議論ができるよう誠心誠意努力いたしますので、御指導よろしくお願いを申し上げます。

#15
○白眞勲君 すばらしい御答弁ありがとうございます。
 ところがですね、早速有意義な議論をしていこうと思ったやさきに、昨日二つの大きなニュースが飛び込んでまいりました。これ、やらないわけにいかなくなっちゃったんですね。
 まず、財務大臣にお聞きいたします。赤木さんの件です。
 これ、どういう意味でしょうか。

#16
○国務大臣(鈴木俊一君) この度、国の責任を認めるに当たりまして、財務省を代表して、高い志と倫理観を持ち、真面目に職務に精励していた赤木俊夫さんに改めて哀悼の誠をささげますとともに、御遺族に対しては、公務に起因して自死という結果に至ったことにつき、心よりおわび申し上げますとともに、謹んでお悔やみを申し上げます。
 本件訴訟は、赤木氏が公務による心理的、肉体的負荷を原因として亡くなったことに関する損害賠償請求訴訟であります。財務省においては、本年十月の口頭弁論期日において原告側の主張の全体像が示され、その内容も踏まえての方針を検討した結果、国の責任は明らかであるとの結論に至りました。
 したがって、いたずらに訴訟を長引かせるのも適切ではなく、国の責任を認め、少しでも早く賠償を行うことが適切と考え、認諾、つまり国の損害賠償義務を認める判断に至ったものであります。
 財務省としては、今後二度とこうしたことを起こさないよう、文書管理の徹底はもちろん、組織風土の改革などを引き続き全力で推進し、信頼の回復に努めてまいりたいと思っております。

#17
○白眞勲君 財務大臣、今、国の責任は明らかであるというふうにおっしゃっていました。つまり、政府は今回、全面的に非を認めたということでよろしゅうございますね。

#18
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほど申し上げましたとおり、この訴訟は、赤木氏が公務による心理的、肉体的負担を原因として亡くなったことに関する損害賠償請求訴訟でございます。このことについて国の責任を認め、認諾したということであります。

#19
○白眞勲君 私が聞いているのは、全面的に非を認めたということでよろしゅうございますね。つまり、赤木さんの奥様が御主張なされたことは全てそのとおりであるということでよろしいということですよね。

#20
○国務大臣(鈴木俊一君) この訴訟は、先ほど申し上げたとおりのこの損害賠償訴訟であります。それについて国の責任を全面的に認めたということでございます。

#21
○白眞勲君 総理にお聞きいたします。
 この件、総理としてはどのようにお感じになっていますでしょうか。

#22
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、今財務大臣からありましたように、この損害賠償請求については全面的に認めたということでございます。このことにつきまして、まず、赤木さんがお亡くなりになったこと、御遺族のお気持ちを考えますときに痛恨の極みであり、まず心よりお悔やみを申し上げる次第でございます。
 その上で、この件につきましては、私も総理大臣就任以来、できるだけ丁寧に対応しなければならない、こうしたことを申し上げてきました。よって、この裁判所の訴訟指揮に従って、公務災害認定に関する資料あるいはいわゆる赤木ファイルと言われている資料、こうしたものをしっかりと丁寧に対応し、その指揮に従うということ。さらに、今回のこの損害賠償を認めるに当たりましても、赤木さんが亡くなった経緯についての詳細を記した書面、さらには御遺族の皆様方が求められた項目について新たな資料も含む可能な限りの対応をした、これをまず確認した上で、二つ私の方から申し上げました。
 この訴訟と併せて、御遺族とは、この訴訟とは別に、この本件とは別に、あれは、情報公開に関する訴訟が今継続しています。この情報公開の訴訟、この別に進行している訴訟についても引き続き丁寧に対応する、これを改めて指示を出したところでありますし、あわせて、今後この森友学園問題についても真摯に説明責任を果たしていかなければいけない、この二点について私の方から改めて指示を出したということであります。
 こうしたことも申し添えた上で、しっかりと政府としてこの問題について真摯に向き合っていきたいと考えております。

#23
○白眞勲君 今総理から、真摯にこの問題に関わっていきたいというふうにおっしゃいました。また、説明責任も果たしていかなきゃいけないと、そういうふうにもおっしゃっていただきました。
 赤木さんの奥様が、これまで真相が分からなくなってしまったと、これでですね、これでは真相が分からなくなってしまったとお思いになっているようですけれども、政府として全面的に非を認めたならば真相究明には徹底的に応えるというのが筋だと思いますが、総理、いかがでしょうか。

#24
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今も申し上げさせていただきましたが、御遺族の方とは、本件とは別途情報公開に関する訴訟、これは継続中であります。その訴訟においてまず丁寧に引き続き向き合っていかなければいけない、対応していかなければいけない、これがまず重要だと思います。あわせて、この問題について説明を求められた場合に真摯に説明を尽くしていく、こういった姿勢が大事だと考えております。

#25
○白眞勲君 是非、赤木さんの奥様が納得できるような、そういう説明というのをお願いしたいというふうに思います。
 続きまして、国土交通省、建設受注統計の書換えが行われた事実が明らかになった件につきまして、昨日衆議院の答弁でこの事実をお認めになっていただいたわけなんですけれども、これ極めて重大な事案であるというふうに私は考えております。
 今朝の記事によると、統計データの書換えは国交省の職員が今年の三月まで自ら書換えを行っていたということが今日記事で出ていますけど、これは事実でしょうか。

#26
○国務大臣(斉藤鉄夫君) まずは、国土交通省所管の統計においてかつて不適切な集計方法が取られていたことは大変遺憾なことで、心からおわびを申し上げます。
 先ほどの御質問でございますが、会計検査院から指摘を受け、令和二年一月分の受注実績の集計からは、提出期限後に提出された調査票については、一旦精査した上で、翌年度において一旦記録した前年度の数値を修正することにより正確に反映させています。言わば改善された方法で令和二年一月分から行っております。ただし、令和二年一月分から令和三年三月分までについては、同じ基準で対前年の比較ができるよう新たに改善した方法による集計と従前の方法による集計の両方を行うこととし、双方のデータをホームページで公表しています。
 したがいまして、令和二年一月から改善された方法はスタートしておりますが、従来の方法は、前年度と比較するため、これは統計、前年度との比較ということも一つの大きな要素ですので、その従来の方法はある意味でダブる形で令和三年三月まで、これは年度ごとにデータを取る場合もありますし、年末に取ることもありますので、十五か月間重複して調査した期間があるという意味でございます。これは、ですから、前年度との比較、令和元年度の比較のためにあえて従来の方法でも調査を行ったということでございます。
 この従前の方法による集計を行うに際し、令和二年一月の時点で都道府県に対しては書換えなどの作業の依頼は撤回していたため、一時的に必要な作業は国交省において行わざるを得ませんでした。本年四月からは新たに改善した方法による集計のみ行っているため、そのような作業はもはや不要となり、現在は行っておりません。
 なお、昨日、岸田総理から次のような指示をいただきました。統計の学者のみならず、元検事などを入れた第三者委員会を大臣の下、立ち上げ、国土交通大臣の下立ち上げ、徹底的に検証し、一か月以内にまとめ、統計委員会に報告し、他の統計の信頼回復に寄与させることと、こういう指示をいただきました。統計の専門家だけでなく、法律の専門家も加えた第三者委員会を私の下に立ち上げ、経緯や原因の検証を行い、一か月以内に取りまとめていきたいと、このように思っております。
 まずは第三者委員会にしっかり検証いただいた上で、その結果を踏まえ、統計委員会に報告し、再発防止及び政府統計の信頼性確保に向け取り組んでまいります。

#27
○白眞勲君 つまり、国交省が書換えを、国交省の職員が書換えを行っていたという事実はあるということですね。

#28
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 令和二年、令和三年度におきましては、従来の方法と、それから会計検査院の指摘を受けて新しい方法、あっ、令和二年度におきましてはですね、令和二年一月からは二つの方法が併存していたということになります。古い方法を継続させたのは令和元年度との比較のために、これ、対前年度の比較というのは統計の非常に大きな要素となります。そのために行った、同じ手法で行った。今はそれはやっておりません。そのために、それまで各県に依頼していた言わば書換えを国土交通省の中で行っていたということでございます。

#29
○白眞勲君 総務省にお聞きします。
 この原票ですね、これ法律的には公用文書になりますよね。

#30
○国務大臣(金子恭之君) お答えいたします。
 そのとおりであります。(発言する者あり)はい、そのとおりでございます。

#31
○白眞勲君 国交大臣にお聞きします。
 それ、消しゴムで消したということですね。

#32
○国務大臣(斉藤鉄夫君) そういう事実関係につきましては、今回、第三者委員会を立ち上げてしっかり検証をしていきたいと思っております。

#33
○白眞勲君 昨日テレビでやっていましたよ、東京都の職員さん、消しゴムで消しているシーンを。だから聞いているんですよ。
 もう一回答えてください。

#34
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回なぜこういうことが起きたのか、またどういうことが行われていたのか、そのこともしっかりと第三者委員会で検証をしていきたいと、このように思っております。(発言する者あり)

#35
○委員長(山本順三君) 斉藤国交大臣。

#36
○国務大臣(斉藤鉄夫君) そういう報道があるのは我々も承知しております。そういうこと、我々自身としてはまだこれを掌握をしておりませんが、そういうことがあったのかどうかも含めて厳正に調査をして御報告させていただきたいと思います。

#37
○白眞勲君 これ、原票を消しゴムで消したのはまずいんじゃないんですか。子供にもこんなこと恥ずかしくて言えませんよ。そんなの当たり前の話じゃないんですか。これ、改ざんそのものだと思いますよ。総理、どうですか。

#38
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 現場でどのようなことが具体的に行われていたか、これは私は直接承知しておりませんが、その点も含めてしっかり事実を確認をした上で、こういった、まず、こういった事態が起こったこと、これは大変遺憾なことであり、この経緯やあるいはこの原因、こういったものをしっかりと検証を行い、再発防止を行い、そして信頼回復につなげなければならない。
 そういったことから、先ほど国交大臣から申し上げたように、この第三者委員会、この内部の人間だけではなくして、検事OBや弁護士を始めとする第三者委員会でしっかりとこの経緯や原因を検証し、一か月以内にそれをしっかりまとめるように私の方から指示を出したという次第であります。

#39
○白眞勲君 総務大臣にお聞きします。
 昨日、この件、報道で知りました、これ以上のことは分からないという御趣旨の答弁がありましたけれども、覚えていらっしゃいますよね。

#40
○国務大臣(金子恭之君) そのとおりであります。

#41
○白眞勲君 これですね、ところが、総務省、平成三十一年一月二十四日に基幹統計の点検及び今後の対応についてという報告書を出しているんですけど、そこの二ページ目には、建設工事統計ということで、誤記載があり、公表値が実態よりも大きい値で公表されていることが判明したって総務省の書類に書いてあるんですよ。
 これ知らないわけないんじゃないんですか。どうなっているんですか、これ。

#42
○政府参考人(吉開正治郎君) お答え申し上げます。
 今先生から御指摘のありました一斉点検の際に数字の誤りがあったというのは、これは別の統計でございまして、これは桁の誤りがあったということで数字の訂正があったものでございます。本件とは別でございます。

#43
○白眞勲君 本件とは違うということは、別の誤りもあったということですね、じゃ。

#44
○政府参考人(吉開正治郎君) 別にあったと申しますのは、一斉点検を行いました際に全府省の統計を点検いたしまして、数字の誤りですとかそういったものを全て申告していただいたと、その中に先生が御指摘の統計もあったということでございます。

#45
○白眞勲君 あわせて、総務省にお聞きします。
 原票を改ざん、書換えしたら、消しゴムで消したりしたら、これは法律違反ですね。

#46
○政府参考人(吉開正治郎君) お答え申し上げます。
 先生、統計法のことをおっしゃっているんだと思いますけれども、国交省において今後事実確認が第三者委員会の下で行われると聞いておりますので、その中でどういうことが行われたのかですね、報告を受けまして検討してまいりたいというふうに思います。

#47
○白眞勲君 もう一回お聞きします。
 本件というよりも、一般論として私は聞いております。一般論として、原票ですね、こういう、法的には公用文書になりますよね、これ、総務省ね。公用文書の書換えのした原票は法律違反にならないんですかと聞いているんです。

#48
○政府参考人(吉開正治郎君) 消しゴムで消していいのかということでございますれば、どういう意図でですね、どういう意図でというか、どういう目的でそういう行為が行われたということも確認しなければなりませんけれども、一般論として適切ではない可能性があると思います。

#49
○白眞勲君 公文書ですよね。公文書だということですよね。公用文書ですね。公用文書の書換えは法律違反ですかと聞いているんですよ、これ、一般論として。

#50
○政府参考人(吉開正治郎君) 一般論として申し上げれば、公文書の改ざんということでありますれば、それは公文書管理法違反ということになると思います。

#51
○白眞勲君 これ、法律違反ですよ、要は。公文書を大量に改ざんしているわけですよね。書換えしているわけですよね。これ、我々は法律違反だと思います。
 それで、会計検査院の指摘で都道府県には通知を出しておいて、それで今度は国交省がそれをやっていたとなったら、法律違反としてもより悪質じゃないんでしょうか。国交大臣、お答えください。

#52
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 先ほど申し上げましたように、今回、従来の方法で行っていた統計、その令和元年度の統計を意味あらしめるために令和二年度で同じ手法でデータを処理する必要がある。令和二年度につきましては一月から改善された方法でやっているわけですけれども、そういう統計学的な必要性もあり、その作業をしたということでございます。
 それまで都道府県にお願いしていた作業を国土交通省の方で行ったということでございまして、そのことがどういう意味を持つのかということも含めて第三者委員会でしっかり検討していきたいと思っております。

#53
○白眞勲君 いや、ですから、会計検査院が、これはやっちゃいけませんよという通知を出している、あっ、会計検査院からそういう指摘を受けて通知を出したわけですよね。それにもかかわらず、同じ手法でやる必要があるという認識だったって今お答えになったわけですよ。ということは、会計検査院の指摘を無視したということじゃありませんか。

#54
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 令和元年十一月頃、会計検査院から指摘を受けました。したがいまして、令和二年の一月から改善された方法で行ったわけでございます。
 その上で、国土交通省の判断で、従来の方法による令和元年度の統計を意味あらしめるために令和二年についても従来の方法で国土交通省自ら行ったと。これ、統計学上の判断だと、このように思っております。

#55
○白眞勲君 それ、統計学上の判断がおかしいんじゃないんですか。
 最初から駄目ですよといったら、その前に遡って全部直さなくちゃいけないんですよ。それをベースに、またそれで国交省がそれを合わせて、都道府県をやめて今度は自分たちでやったら、その改ざんされたデータをそのまま生かした形になったら、これ、統計学的な必要な作業にはなりませんよ、これは。全くもってでたらめになりませんか。私が言っているのはそれなんですよ。おかしくないですか。
 国交大臣も分かっていて言っているんだと思いますよ、僕は。おかしいなと思いながらしゃべっているんじゃないかと思うんですが、どうですか。

#56
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今、私申し上げましたのは、統計学、統計を取る上で、前年度の比較、変化がどういうふうになっているか、どのような変化を及ぼしているかということも一つの大きな意味がございます。
 そういう意味で、この令和二年度については、改善された方法と従来の方法、両方やって、もし、そこでもし、並行してやることによって連続性を持たせたということでございます。そこでもしやらなかったとしたら、令和元年度と令和二年度の間に大きな断絶があって比較ができなくなる。そういうことも含めまして、今回、第三者委員会でしっかりその点についても検証してもらいたいと思っております。

#57
○白眞勲君 いや、それ違いますよ。間違った手法があったならば、そこから直していかなきゃいけないんですよ。間違った手法はそのままおいておいて、今は正しい手法だからと、その間は改ざんしていますというのは、これは国民の理解を得られないと思いますよ。違いますか、それ。
 もう一回、どうですか、国交大臣、役人からそう言われたからそれをしゃべっていないで、国交大臣としてのお言葉でしゃべってもらいたい。おかしいと思うんならおかしいと言ってもらいたいですよ、それは。

#58
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 令和二年一月から改善された方法で行っております、それは確かでございます。
 その上で、従来の方法も、一年間といいますか十五か月間重ねて行って従来の統計手法との連続性を図ったということでございまして、私はそこで、いわゆる二つの方法でこの十五か月間方法が併存したというのは決して、ある意味で、統計学上意味があると、このように思っています。

#59
○白眞勲君 今、宙ぶらりんの情報って御自身がおっしゃっているわけですよ。宙ぶらりんの情報になっちゃ駄目でしょうと私は思いますよ。
 ちょっと、総理、どうですか、今の議論聞いていて、どう思われます。

#60
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 統計において二重計上が行われた、これはあってはならないことであります。そして、令和元年の十一月に会計検査院の方から指摘を受けて、令和二年一月からこれ、この修正をした、手法を変えた、改めた、こういったことであります。今の議論は、要は、その手法を改めた前後を比較する際にどういった手法を取るべきであったか、こういった議論だと思って聞いておりました。
 国交大臣の方からは実際に行った手法を説明したわけですが、それについて委員の方からこうあるべきではないか、こういった指摘を受けた。ですから、統計自体は指摘を受けて改めたわけですが、その改めた前後をどう比較するのか、それについてどうあるべきであったかという議論だと思って聞いておりました。

#61
○白眞勲君 今月、今年の三月まで公表されたデータは全て二重計上で水増しされたデータ、つまり二つのデータが併存していたということですよね。もう一回確認です。

#62
○政府参考人(高田陽介君) 御答弁申し上げます。
 先ほど大臣から御答弁をさせていただきましたとおり、令和二年一月分からは、新しい改善された方法での集計を行っているところでございます。
 一方、令和元年までは古い集計方法で行っていたということでございまして、令和二年に全く新しい方法に変えてしまいますとそことの比較がうまくできなくなるということもございますので、並行いたしまして、その古い改善前の方法の集計も併せて行っていたということでございます。(発言する者あり)

#63
○委員長(山本順三君) 高田総括審議官。

#64
○政府参考人(高田陽介君) お答え申し上げます。
 先ほど大臣からも御答弁ございましたように、以前の、かつての集計方法というものは、遅れて提出された調査票につきまして提出された月に計上するということをしていたということでございまして、そういった適切ではない運用を行っていたということでございますけれども、そういったことを踏まえまして、令和二年一月分以降は改善をされた方法による集計も、集計を始めたということでございます。
 ただ一方で、ちょっと繰り返しになって恐縮でございますけれども、令和元年まではそうした運用を行っていたということになりますので、いきなり令和二年に運用を変えてしまいますと前後の比較が難しくなると。他の要因もございまして、併せまして集計、推計方法の変更なども行ったということもございますので、大きく数値が変わってしまうということもございますので、前後の比較が難しくなるということでございまして、以前の方法と同じ方法のデータも併せて集計として公表していたということでございまして、基本、令和二年一月からはもう適切な数字も、数字を出していたということでございます。ただ、あわせて、不適切な方法ではございました以前の方法と同じ方法も踏襲しつつデータを出していたというものでございます。

#65
○白眞勲君 つまり、この三月までは水増しされたデータといわゆる本当のデータを併存させていたということでよろしいですね。もう一回確認。

#66
○政府参考人(高田陽介君) お答え申し上げます。
 改善前の調査方法につきましては、会計検査院で御指摘をいただきましたとおり、提出をされた月に、実際に受注があった月のではなく提出された月の調査票のデータをあわせて載せていたということはございまして、それは令和元年までは行っていたということでございまして、令和二年一月以降は正しい数字を出しつつ、あわせまして、以前の方法に従ったデータも併せて出していたというものでございます。

#67
○白眞勲君 極めて問題があるやり方だと私は思います。
 つまり、そうすると、この過去八年間と言われているその間はその水増しされたデータを基に経済指標を作っていたということになりませんか。最近は併存しているということだけれども、令和二年一月までの経済指標は間違ったデータで作られていたということですね。

#68
○政府参考人(高田陽介君) 他の統計への影響につきましてちょっと御答弁は差し控えさせていただきますけれども、いずれにいたしましても、本統計につきましては会計検査院からの御指摘もいただいたということで改善を図ったということでございます。

#69
○白眞勲君 じゃ、総務省にお聞きします。そういうことでよろしいですね。

#70
○政府参考人(吉開正治郎君) GDP統計についてのお尋ねでございますので、これは総務省が所管をしておるわけではございませんので、はい。

#71
○白眞勲君 じゃ、内閣府、どうなんですか。

#72
○国務大臣(山際大志郎君) 御質問がGDPについてのことですよね。
 GDPのことをまずお答えいたしますが、GDP統計上、建設投資額の推計に当たりましては、今回問題のあった建設工事受注動態統計は直接的には使用しておりません。
 この受注動態統計を基に国土交通省が作成している工事出来高の統計である建設総合統計等は用いてございます。このため、今回の事案が仮に国土交通省の建設総合統計に影響する場合には間接的にGDP統計にも影響が及ぶ可能性はありますが、その影響の程度は、仮にあったとしても現時点では軽微と考えております。
 GDP統計は推計段階で利用可能な統計情報を前提に推計しているものでありまして、現時点で数字を精査する追加的な情報はございません。
 いずれにいたしましても、今後の国土交通省の対応を注視してまいりたいと存じます。

#73
○白眞勲君 影響は軽微でいいんですか。軽微でも、正確なデータじゃないというのは問題があるんじゃないんでしょうか。
 それと、政府の月例経済報告の基礎資料に使われていますよね。

#74
○国務大臣(山際大志郎君) 軽微であるかどうかということについてですね、それの評価をしているわけではなくて、現段階において、現段階においてはですね、軽微なものと考えているという事実を申し上げただけでございます。
 それと、後段の方の月例経済報告につきまして、これは、おっしゃっているように、建設工事受注動態統計についても統計の一つとして用いてございます。

#75
○白眞勲君 つまり様々なところに影響を及ぼしているわけですよね。
 それで、今年一月に公表された政府経済見通しのGDPはこの誤ったデータに基づいて作成されたんではないんでしょうか、どうでしょうか。

#76
○国務大臣(山際大志郎君) 政府といたしましての経済見通しの作成におきましては、御指摘の国土交通省の建設工事受注動態統計を用いて先行きを推計しているものではございません。したがって、成長見通しに大きな影響があるとは考えておりません。引き続き経済見通しの策定作業を進めていきたいと存じます。
 ただし、本件の動向については引き続き注視をしてまいります。

#77
○白眞勲君 これ、総理にお聞きしますけど、今、第三者委員会を国土交通大臣の下でとおっしゃったんだけれども、これ、独立した第三者委員会つくった方がいいと思いますよ。やっぱり国交省だけじゃ、どうしてもやっぱりそんたく始まっちゃうんじゃないかと思うんですね。やっぱりこれは独立した第三者委員会、そういったことが必要なんじゃないんでしょうか。

#78
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、第三者委員会につきましては、構成メンバーとして検事OBですとか弁護士ですとか法律の専門家を含めた外部の人間にしっかり参加してもらって検証してもらうということを考えております。
 そして、あわせて、これは総務省の中にありますが、これは統計委員会というものがあります。これは統計の専門家による第三者委員会です。この総務省において議論をする第三者委員会でありますこの統計委員会での議論、これを併せて進めることによって、より実態にしっかり迫っていく、こうしたことをやっていきたいと考えております。

#79
○国務大臣(金子恭之君) ただいま総理から御答弁がありました国土交通省の第三者委員会で精査をし、再発防止に努めていただくわけでございますが、総務省といたしましても、統計の専門家でございます第三者委員会である統計委員会におきまして、総務省における建設工事受注動態統計調査に関する過去の対応を含めて精査するとともに、国土交通省に対する人的、技術的な支援も含め、所要の対応を取ってまいりたいと考えております。

#80
○白眞勲君 今年の一月に公表された政府経済見通しのGDPというのは、この発表されたそのどっちのデータでやっているんですか。つまり、水増しされたデータでやっているのか、そうじゃないデータでやっているのか。どっちなんですか。

#81
○国務大臣(山際大志郎君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、そもそも経済の見通しにこの統計は使っていないということでございます。

#82
○白眞勲君 これ、設備投資とか住宅投資、公共投資の項目が実際より高くなっている可能性があることからして、その政府の経済見通しのGDPに影響を及ぼしているんじゃないんでしょうか。

#83
○国務大臣(山際大志郎君) もちろん、経済見通しというのは総合的な判断をするものでございますから、GDPが無関係かと言われれば、そうではありませんので、全く、全くそのGDP関係していないわけではありませんけど、見通しというものを立てていく上でこの統計の値を使っているわけではないというファクトを申し上げた次第です。

#84
○白眞勲君 ですから、私が申し上げたのは、基礎的なデータが間違っているから、それに基づいた形で誤った経済見通しを立てている可能性があるんじゃないかというふうに言っているんですね。
 そうじゃないと、それは、誤ったデータかどうかがはっきり、今の段階ではまだ、第三者委員会を今立ち上げるところなんですね、まだ立ち上げてもいないわけですね。そういう中で、政府の経済見通しというのがはっきりと今言ったように影響がないということが言い切れるのかということです。

#85
○国務大臣(山際大志郎君) 繰り返しの答弁になりますが、経済見通しそのものはこの統計のデータというものを使って作っているわけではございませんので、今のところ、この経済見通しを変える必要はないと、今のところですよ、考えておりますけれども、それは、委員がおっしゃるように、経済の指標を見ていくという上でGDPというのは非常に重要な指標でございますので、全く無関係かと言われれば、そうではございません。
 ですので、これから国土交通省のやっていくことをきちんと注視していかなくてはいけないと、このように思っているというふうに御答弁申し上げたわけです。

#86
○白眞勲君 つまり、政府の経済見通しというのは全く関係のないものではないと。
 財務省にお聞きいたします。一月の経済見通しで本年度の予算、計上しますね。

#87
○国務大臣(鈴木俊一君) 消費ですとか、一部の項目を使って計算しているということだそうです、一部。

#88
○白眞勲君 いや、経済見通しを聞いております、政府の。
 一月の経済見通しで今年度の本予算というのは決めているんですよね、一月の時点でということです。

#89
○国務大臣(鈴木俊一君) GDPが全てではなくて、一部、鉱工業生産でありますとか、先ほど申し上げたものでありますとか、そういうものを使ってやっているということです。

#90
○白眞勲君 つまり、様々なものをデータに使っているということですけど、そうすると、経済見通しというのは、何というの、経済予測じゃなくて政策目標とこれまで答弁されていましたが、それでよろしゅうございますね。

#91
○国務大臣(山際大志郎君) おっしゃるとおりに、経済見通しそのものは、予算を編成する上において、それに基づいて予算等々考えていっていただかなくてはいけないものですから、通常、今年であれば来年度の予算を作っていく上でのものになりますので、その前に見通しをお示しをして、それに基づいて財務省等々でしっかりものを作っていただくというものになっております。

#92
○白眞勲君 テレビを見ていらっしゃる方はだんだん分かんなくなっていく、私も分かんなくなりそうな感じがするんですけど、要は何を言いたいかというと、この改ざんされたデータというのが全部に関連し合っちゃって、今年の予算にも影響を受けていないかどうかまだ分からないという状況になっているということが今の御答弁で私ははっきりしたと思っているんですよ。そういうことだということになると、これは問題があるんじゃないかな。つまり、このいわゆる本予算にまで影響を及ぼしているということに結果的になっているんじゃないかということを私は言っているわけなんですね。
 そう言うと、当然この現時点で執行されているというのは誤ったデータでこの現時点の本予算が執行されていることになりませんか。そうすると、この補正予算もそれに対して誤ったデータを基に補正予算も付けられている、そういうふうになるんじゃないのかなというふうに思いますけど、総理、どうですか。

#93
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほどから各大臣説明しているように、様々なこの影響があると、ある可能性があるということについては御指摘のとおりだと思いますが、予算ということを考えますときに、少なくともこの補正予算、今御審議をお願いしている補正予算に当たって、御指摘の建設工事受注動態統計、これは積算に当たって使用していないということは確認をしております。ですから、補正予算そのものについては引き続きしっかりと審議をお願いしたいと考えております。

#94
○白眞勲君 いや、影響し合っているということは今お認めになっているんですよ、皆さんが。関係ないということはないんですよ、これは。だから私は申し上げているんです。だから、それはおかしいと私は思いますよ。影響していないというその証明がないですよ、それでは。全部のデータ、このデータからどんどんどんどん広がっているということは間違いないんですね。
 ちょっと、こればっかりやっていると時間がどんどんたっちゃって、ということでございますので、ちょっとこれ、ちょっと別の観点聞きます。十万円の件です。
 そもそもこの補正予算、十万円のための予算が計上されてきているのですけれども、この補正予算、補正予算十万円の、この合計幾らですか、これは。これは財務省お答えください。

#95
○国務大臣(山際大志郎君) 先生の御質問の趣旨は、ゼロ歳から十八歳までの……(発言する者あり)十万円のということですね。
 これに関しましては、まず予備費を充てている部分がありますので、それを抜かしますと一兆二千百六十二億円でございます。

#96
○白眞勲君 財務省にお聞きします。
 今年度のコロナ予備費、あと残りどれぐらいありますか。

#97
○国務大臣(鈴木俊一君) 一・八兆円です。

#98
○白眞勲君 そうすると、一・二兆円、補正予算付かなくても予備費一・八兆円の中から予備費使えば、今でもすぐこれ十万円出せるんじゃないんですか。どうなんですか。

#99
○国務大臣(山際大志郎君) そもそも予備費はコロナ対策に使うために積んであるものですから、これから一月、二月、三月に何か起きたときにはその予備費を使うということになります。そのために予備してあるということですので、原則としてはそちらに使っていただくということでございます。一方で、この子供たちに対しての支給というのも、コロナの影響によって子供たちも苦しい状況に置かれていることがあるから、それを支援しようということでこの予備費を使うことにしたわけでございますので、その内数として使えないわけではないという判断を我々したということでございます。
 そもそも私たちは、まずは迅速に、年を越せるように五万円の給付をして、その後、補正予算でしっかりと予算の裏打ちを付けて、その上で更に年末、あっ、失礼いたしました、年度末、そして年度初めにそれぞれ子供たちにとって様々入り用なものに対して手当てをしようと、そういうコンセプトで始めたものでございますのでこのような予算の形になっていると御理解いただければと思います。

#100
○白眞勲君 いや、私はそうは思いませんね。まあこれは考え方の違いかもしれないけど、ちゃんと、予備費でちゃんと取っていて五万円使っているんだったら、残り五万円もそこから配慮すればよかったと私は思っております。そうしないと、クーポン、クーポンと言っているよりも、今すぐに出せる金額が十万円になるんじゃないんでしょうか。
 それと同時に、この所得九百六十万円云々と、まあ細かく言いませんけれども、これは今年収入がなくなっちゃう人たちは対象にならないということでいいですよね。

#101
○国務大臣(山際大志郎君) 御質問の趣旨がちょっと明確ではないんですけれども、今年九百六十万円未満に下がってしまった方ですね、これは十月一日というのを一つ基準にしておりますので、その段階で、おっしゃるように、その以降ということですね、その以降、十月以降収入が減ってしまったという方に関しては、おっしゃるように対象にならないということになります。

#102
○白眞勲君 いや、私が聞いているのは、十月以降じゃなくて、去年のデータ、去年一年間のデータというふうに認識しているんですが、もう一回ちょっと答弁してください。これきちっと、これ重要なところですから、ちょっときちっと答弁してください。

#103
○国務大臣(山際大志郎君) 失礼いたしました。
 児童手当のデータは去年のものでございますので、今年はその先生のおっしゃるとおりです。

#104
○白眞勲君 これ、総理、問題なんですよ。これ、コロナ予算なんですね。コロナ予算で、コロナで減収された方といっても、今年減収された方は、今おっしゃる、離婚された方とかなんかも含めて、対象にならない方が相当いらっしゃるということなんですね。
 ちなみに、もらえないお子さんというのは何人いらっしゃるんですか。

#105
○国務大臣(山際大志郎君) 約一割程度、百二十万世帯と言われていますので、子供の数というよりは世帯になりますけど、百二十万世帯程度というふうに言われております。(発言する者あり)ちょっと調べさせてもらっていいですか、子供の全体の数は。

#106
○委員長(山本順三君) 山際国務大臣。

#107
○国務大臣(山際大志郎君) 世帯数で百二十万世帯、大体二百万人程度になります。

#108
○白眞勲君 これ、総理、五万円のクーポンとか、まあ現金も含めてだけれども、これ二百万世帯なんですよ。つまり、あっ、ごめんなさい、二百万人なんですね。二百万人ですから、もらえない方々一人五万円ずつ配ると一千億でしょう。九百六十億円のクーポンの手数料を考えたら、よっぽど、あと五万円、つまり一千億、約一千億追加したら全員に配れますよ。そっちの方がいいんじゃないんですか。どうですか。

#109
○国務大臣(山際大志郎君) 先ほども御答弁申し上げましたように、私たちは、まず、この年末を越す、年を越すのは本当大変だということを考えて、先行させて五万円を支給するということ、そして、子育てに対して直接的に、より直接的に使っていただこうというアイデアでこの政策をつくって、年度末と年度初めに使っていただこうということでございました。
 その後、委員も御指摘のとおり、御案内のとおりに、地方自治体の皆さんと丁寧に対話をする中で、地方自治体の皆さんから現金での給付というものも考えてほしいという話があったものですから、その一連のプロセスの中で、今委員がおっしゃっているような、十万円を給付するということも政府としてやっていただけるようにしようというふうに決断をしたということでございますので、その委員がおっしゃっている、事務経費が一千億近く掛かるから、それをむしろ年齢、失礼しました、所得制限を撤廃してそこに充てるべきではないかというのは、元々私たちが考えていたことと少し違うので、これはこれでやらせていただきたいと思っておりますし、また、クーポン等々も利活用しようという自治体もありますから、ですから、そこにはやはり事務経費が必要になってくるというふうに考えております。

#110
○白眞勲君 いや、ですから、今まではそうだったけど、どんどん今、今回も変更しているじゃないですか、皆さんの意見聞いて。だから、それだったらもうクーポン全部やめちゃって全部現金にして、その九百六十億円はもう今までいわゆるもらえなかったお子さんたちにもあげたらどうですかという提案なんです。どうぞ。

#111
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の十万円の給付につきましては、様々なこの御指摘、議論の中で、御案内のように選択肢を用意させていただきました。それを、元々、給付については予備費を使って迅速に支給するということ、そして、よりお困りの方にこの給付を届けるという点、こういった点から制度設計を行ってきたわけですが、御指摘のように、この制度の対象外の方がおられる、そういった点については、これは謙虚に受け止めなければならないと思います。
 だからこそ、今回ですね、この十万円給付だけではなくして、様々な給付、住民税非課税世帯に対する給付ですとか、あるいは緊急小口資金の特例貸付けですとか、あるいは求人、いや失礼、求職者支援制度ですとか、あるいは生活困窮者自立支援金の期間の延長とか、様々な政策をこれセットでこの経済対策の中に用意をさせていただきました。
 こうした様々な政策を重層的にこれしっかり執行することによって、この一つの制度では、これ、その制度の対象にならない方が出てくる、これは御指摘のとおりですが、そういった方々も様々な政策を組み合わせることによってできるだけこの隙間に落ちないように、できるだけ多くの方、広く支援できるように、この経済対策全体の中で工夫をしているということであります。

#112
○白眞勲君 ですから、私が申し上げているのは、迅速にとおっしゃっているんだったら予備費を早く使っちゃってくださいよと、で、補正予算にコロナ対策をもう一回つくった方がいいんじゃないかということなんですね、もう一つはね。
 それと同時に、今総理もお認めになったように、なかなかそこで行き渡らない人たちもいますよね、それにはほかのやつがあるからそれで頼むよ、じゃなくて、できる限りそういう人たち、お子さんたちはみんな平等にちゃんとやっていった方がいいんじゃないんですかということを私は申し上げているんですけど、まあこれ以上の答弁はあれでしょうから、ちょっと核兵器禁止条約についてお聞きいたします。
 これ、総理、オブザーバー参加には非常に慎重姿勢です。何でですか。

#113
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、核禁条約は、核兵器のない世界を目指すに当たって出口に当たる大変重要な条約であると私も認識をしております。
 ただ、核禁条約には核兵器国は一国も参加をしていない。私も外務大臣の経験の中で、核兵器のない世界を目指すに当たっては、核兵器国そのものを動かさないと現実は変わっていかない、こうした厳しい現実に何回もぶち当たった大変残念な思いをいたしました。
 よって、これ核兵器国を核兵器禁止条約にいかにつなげていくのか、これが現実を動かす最大のポイントであると思います。よって、オブザーバー参加ということについても、それはそれで意味があると思いますが、核兵器国を本当に動かそうとしたならば、特に日本の場合は、唯一の同盟国であるアメリカを動かそうとしたならば、まずはこのアメリカと核兵器のない世界に向けての信頼関係をしっかり築くところから始めなければならない、こういったことを申し上げているところであります。

#114
○白眞勲君 ということは、総理はオブザーバー参加に本当は参加したいんだということですよね。

#115
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 私は、核兵器のない世界という理想をしっかりと追求したいということを申し上げています。その大きな目標にたどり着くためには、今、私たち日本が置かれている立場から、どのような努力をすることによってこうしたこのスケジュールを、プログラム、スケジュールを考えていくのか、この道のりを考えていくのか、こういったことを真剣に考えなければならないと思っています。
 その際に、今現状においてやるべきこと、これは、このアメリカ・バイデン政権、バイデン大統領もその大統領選挙の最中に自ら核兵器のない世界を目指すということを明言されている大統領でありますので、この大統領との信頼関係をつくることから現実を動かすことが大事ではないか、このように申し上げております。

#116
○白眞勲君 今の総理のお言葉ですと、オブザーバー参加したいから早くバイデン大統領と会ってその辺話がしたいよというふうに私は取りました。
 ですから、これをバイデン大統領にも話ししてみて、それでオブザーバー参加に参加しますということを表明されるんじゃないかなとも思えなくはないんですけど、その辺どうですか。

#117
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 私が目指すのは核兵器のない世界というこの理想であります。そのために、現実的に具体的に何をするかということを考えているわけです。別にオブザーバー参加、これありきということでは考えておりません。核兵器国を動かすために何をするのか、これをしっかり考えたいと存じます。

#118
○白眞勲君 いや、私が言っているのは、この米国との信頼関係を構築することに努めていきたい、そう常々おっしゃっているということからして、そうすると、信頼関係ができたら、この例えば三月の締約国会議がありますね、核禁条約の締約国会議、その前辺りで、誰かの、与党議員の何か質問とか、あるいは記者会見でオブザーバー参加しますというふうに話すんじゃないかなって、それを期待しているんですけど、どうでしょうか。

#119
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 現実を動かすために何をするのか、それをしっかり考えたいと存じます。オブザーバー参加については今のところ具体的には考えておりません。

#120
○白眞勲君 今のところということでございましたので、そういうふうに受け止めさせていただきました。
 そこで、北京オリンピック休戦決議についてちょっと聞きます。
 これ、無投票で採択されました、国連総会で。日本は共同提案国にならなかった、その理由は何ですか。

#121
○国務大臣(林芳正君) 十二月三日でございますが、国連総会において、スポーツとオリンピックの理念を通じた平和でより良い世界の構築決議、いわゆるオリンピック休戦決議が、今委員からお話があったように、コンセンサスで採択をされております。
 今般のオリンピック休戦決議は、国連加盟国に対して北京冬季大会の期間中の休戦を求めるものでありまして、我が国としても休戦の実現を期待をしております。我が国は、この各国の動向、諸般の事情、総合的に勘案して共同提案国にはならなかったわけでございますが、本件決議の趣旨に鑑みて、採決に当たってはコンセンサスには参加をしたところでございます。
 いずれにしても、我が国として、北京冬季大会がオリンピック及びパラリンピックの趣旨、精神にのっとって平和の祭典として開催されることを期待しております。

#122
○白眞勲君 全然理由になっていない。何でですかと聞いているんです、僕は。共同提案国にならなかったのは何でです。これ、日本のとき、東京オリンピックの際には百八十六か国も共同提案国になりましたよね。
 オリンピック大臣、ちょっと、いますか。オリンピック大臣、それでよろしゅうございますね。

#123
○国務大臣(堀内詔子君) はい、さようでございます。百八十六か国でございました。

#124
○白眞勲君 オリンピック大臣にお聞きしますけど、東京オリンピックの際には、日本が一生懸命、これ提案国を増やしたと聞いているんですよ。その関係で世界中の国々がほとんど入ったと聞いているんですね。自分のときは入れと言っておいて隣の中国には入らない、これおかしくないですか、お答えください。

#125
○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたように、今回入らなかったというのは、各国の動向、諸般の事情を総合的に勘案して共同提案国にならなかったわけでございます。
 なお、全国連加盟国百九十三か国中、共同提案国入りしなかったのは、アメリカ、英国、豪州始め二十か国に上っておるというふうに承知しております。

#126
○白眞勲君 じゃ、外務大臣にお聞きしますが、東京オリンピックのときと北京オリンピックのときの休戦決議に何か決定的な違いがあるんですか。

#127
○国務大臣(林芳正君) これは、先ほど申し上げましたように、この各国の動向、諸般の事情を総合的に勘案をしたということでございます。個々の決議への対応の詳細についてはお答えすることは差し控えたいと思います。

#128
○白眞勲君 じゃ、外務大臣、もう一回お聞きします。
 東京オリンピックと北京オリンピックのこの休戦決議に何か決定的な文言の違いがありますかと聞いていました。

#129
○国務大臣(林芳正君) 失礼いたしました。
 この休戦決議は、国連加盟国に対して、二〇二二年の北京でのオリンピック開催の七日前からパラリンピック終了の七日後までの期間中、選手や関係者等の安全な移動、アクセス、参加の確保、さらにその他の措置を通じた大会の安全の開催を求めるものということでございますから、大宗今までのものとは変わっていないと承知しております。

#130
○白眞勲君 変わっていないで、何で諸般の事情があるんですか。全然それ理解できません。どういう諸般なんでしょうか。

#131
○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたように、この各国の動向等諸般の事情を総合的に勘案して共同提案国にはならなかったということでございます。

#132
○白眞勲君 いや、ですから、諸般の事情の中身聞いているんですよ。いろいろな事情があるから諸般なんでしょう。だから、その諸般の事情についてお聞きしています。

#133
○国務大臣(林芳正君) 我が国は、各国の動向など諸般の事情を総合的に勘案したということでございます。

#134
○白眞勲君 つまり、ほかの国が参加していないのがいたから私も参加しなかったということでよろしゅうございますか。

#135
○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたように、この二十か国が共同提案国入りしていないということ等、各国の動向などですね、諸般の事情を総合的に勘案したということでございます。

#136
○白眞勲君 岸田総理、この決議の提案国にならなかったことは知っていらっしゃいましたか。

#137
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 外務省から報告を受けました。

#138
○白眞勲君 どうお感じになりましたか。

#139
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど来外務大臣の方から諸般の事情という説明をさせていただいておりますが、米国、英国、インド、豪州始め二十数か国が共同提案国にならなかった、その現場においてはですね、いろいろなやり取りがあったんだと想像いたします。
 ただ、結果としましては、これは、この決議につきまして、採決に当たってはコンセンサスで採決が行われています。これには日本も参加をしております。ですから、結論としましては、日本も採択に当たってコンセンサスに参加をしたということを聞いております。

#140
○白眞勲君 岸田総理は、北京オリンピック、行きたい気持ちはありますか、それとも行きたくないんでしょうか、お答えください。

#141
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 北京オリンピックに行きたいか行きたくないか、いろいろ皆さん、お立場によっていろいろ御意見はあるかと思いますが、今のところ私自身は参加することは予定はしておりません。

#142
○白眞勲君 これ、総理、今、外交ボイコットという話題が世界各国でいろいろありますけれども、人権侵害を行っている中国に対して強力な圧力というふうにこの外交ボイコットはなると思いますか。

#143
○国務大臣(林芳正君) この北京冬季大会への日本政府の対応につきましてでございますが、今後、適切な時期に諸般の事情を総合的に勘案して判断をいたすということにしております。
 いずれにしましても、日本としては、北京冬季大会がオリンピック及びパラリンピックの趣旨、精神にのっとって、平和の祭典として開催されることを期待をしております。

#144
○白眞勲君 いや、平和の祭典として期待しているならば、休戦決議、やっぱり提案国になるべきだったと思いますけれども。
 私は、国益の判断からどうするかは、それは総理御自身の私は判断だと思いますから、それは尊重したいというふうに思いますが、報道によりますと、何か、橋本組織委員会委員長や室伏スポーツ庁長官やIOCの山下会長を派遣して、派遣することは検討して、閣僚は送らないともあるんですけれども、私は、これボイコットするならする、しないならしない、日本はどっち付かずというのが一番僕は良くないと思うんですね。どっちからも僕は信頼されなくなっちゃうんじゃないかなというふうに思うんですけれども、日本政府としてはボイコットはするのかしないのか、これははっきりした方がいいと思うんですけど、その辺はどうでしょうか。

#145
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 外交ボイコットという言葉ですが、これは各国とも正式に使っている国、使っていない国、様々だと思います。アメリカですら公式のこの声明の中には外交ボイコットという言葉は使っていないと承知をしております。
 ですから、これは、こうした言葉を使う、使わない、これは様々だと思いますが、我が国としましては、適切な時期に諸般の事情を勘案し国益の立場から自ら判断するということが重要であると私は認識をしております。

#146
○白眞勲君 拉致問題に関してお聞きしたいと思いますが、全ての拉致被害者の一日も早い帰国に向けて、条件を付けずに金正恩総書記と直接向き合う決意だと総理は常々述べられていらっしゃいます。
 ここで、条件を付けずにというのがちょっと引っかかるところなんですけれども、拉致、核、ミサイルは、これは話すということでよろしゅうございますよね。条件を付けずにといっても、条件ほかに付けない、要は、条件の中には、拉致、核、ミサイルは入っている、入っているということですよ、あっ、入っていないということですよね。条件を付けずにということは、それは条件とは関係なくやっぱり話さなくちゃいけないというふうに、ということですよね、金正恩氏と会う場合は。

#147
○国務大臣(林芳正君) 条件を付けずにということでございますが、この条件を付けずにとは、北朝鮮の核、ミサイル、そして最も重要な拉致問題の解決に向けて、相互不信の殻を破って金正恩委員長と直接向き合うという決意をより明確な形で述べたものと、こういうふうに理解しております。

#148
○白眞勲君 総理、ですから、拉致問題、拉致、核、ミサイル問題は、これはもう当然、金正恩氏と会ったら話すということでよろしゅうございますよね。

#149
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 条件を付けずに向き合うというのは、あらゆるチャンスを逃すことなく、私自身、直接、金正恩委員長と向き合い、そして議論をするという姿勢を表現したものであると認識をしております。

#150
○白眞勲君 そうしますと、あらゆるチャンスという中に、もしかしたらこの北京オリンピックに金正恩氏が来るかもしれない。そうしたら、やっぱりこれは総理は北京に行って、そういうチャンスがあるんだから、ああ、言っていること今聞いていなかったかな。もう一回言いますよ。
 要は、この北京オリンピックに金正恩氏がもしかしたら来るかもしれない。プーチン氏は来るって表明された。金正恩氏も来た場合には、これいいチャンスだと思いませんか。つまり、あらゆるチャンスを逃さずにと今おっしゃったわけですから、当然、岸田総理としましてはそういうチャンスを逃さずに、私は、中国も人権状況ということをアピールする立場からも、もしかしたらそういうテーブル用意してくれるんじゃないのかなと私は思いますよ。ですから、そういった面では会うということでよろしゅうございますか。

#151
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、仮定に基づいて申し上げるのは控えなければならないと思いますが、今の委員の御発言で言うならば、北朝鮮問題においてあらゆるチャンスを逃さないということと、北京オリンピックに出席するかどうかという問題、これは、基本的にこれは別問題であります。これは、それぞれしっかりと検討すべき課題であると考えます。

#152
○白眞勲君 そうです、仮定の質問なんです。
 でも、菅総理は、東京オリンピックのときに金正恩氏が来たら会う気はあるかと聞いたら、いい機会だと思うとおっしゃっているんですね。ですから、私はいい機会だと思いますよ。ただ、それを選択するのは総理御自身の判断だと思う。どうでしょうか。

#153
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今申し上げたように、北京オリンピックへの出席あるいは対応の問題と、北朝鮮に、北朝鮮問題においてあらゆるチャンスを捉えるという問題、これは別の課題であると認識をしております。これを結び付けるというような仮定の問題、仮定のこの話にお答えすることは控えたいと存じます。

#154
○白眞勲君 アフガニスタンから退避を希望した日本大使館やJICAの現地職員らが現在何人入国しているのか、お答えいただきたいと思います。

#155
○国務大臣(林芳正君) アフガニスタンの情勢が悪化した後、政府として様々な外交努力を継続してきておりまして、現在までに我が国の支援を受けて四百八十九名の日本関係のアフガニスタン人が本邦に到着をしております。
 また、現時点での数でございますが、約百四十名の大使館、JICA現地職員等が引き続きアフガニスタンからの出国を希望しているものというふうに考えております。

#156
○白眞勲君 法務大臣にお聞きします。
 日本に来られたこのような方々の、現在どのような資格でいらっしゃるのでしょうか。

#157
○国務大臣(古川禎久君) お答えいたします。
 短期滞在で滞在している方が約二百十名、全体の約四三%です。特定活動で滞在している方が約百八十名、全体の約三七%です。留学で滞在している方が約七十名、全体の約一三%ということになっております。

#158
○白眞勲君 法務大臣、この方々は、アフガニスタンにそのままとどまっていたら迫害の危険性があるから来られたんだと思うんですけど、退避されたんだと思うんですけど、つまり難民ということでよろしゅうございますか。

#159
○国務大臣(古川禎久君) これは難民ということで認定してのということでございませんで、これはアフガニスタン、大使館関係者あるいはJICAの現地職員、こういう日本の政府と関わりある方々がこのアフガニスタンの政情不安をきっかけに退避をされるということに当たって、我が国として、政府として受入れを積極的に進めるわけですけれども、その際、在留資格というものについては積極的に柔軟にこれを与えて退避を進めるという、そういう趣旨でございます。

#160
○白眞勲君 ですから、政治的な迫害の危険性もあるんじゃないのかなと私は思うんですけれども、そういうことがあるからこそ退避されたんじゃないのかなと思うんですけれども、その辺は、法務省としてはそういう認識ではないということでよろしゅうございますか。

#161
○国務大臣(古川禎久君) 政情不安でありまして、様々な事情があるというのは承知しております。しかし、いわゆる難民認定というこの手続を踏んで難民として受け入れたということではございません。

#162
○白眞勲君 今、短期が四三%でしたっけね。ということになりますと、これ三か月ですよ、三か月したら帰ってねという意味ですよ。そういうことでいいんですか。

#163
○国務大臣(古川禎久君) この短期の方々、大半はJICAの現地職員及びその御家族の方々ということになっておりますけれども、この方々、短期でございますが、順次御希望に基づいて特定活動という在留資格へ変更させていただくということを予定しております。

#164
○白眞勲君 テレビ見ていらっしゃる方は特定活動といっても何のことか分からないと思うので、ちょっと説明してくれませんか。ちょっと、簡潔で結構です。

#165
○国務大臣(古川禎久君) 我が国は、この出入国在留管理行政に当たりまして、外国人が本邦に入国するに当たりまして、在留資格という資格を与えて入国を認めております、在留を認めております。
 その際、その在留資格の中には様々種類がございますけれども、そのうちの一つとして特定活動という項目がございまして、そういう特定活動という在留資格を与えることによって、退避、そして我が国における在留を認めているということでございます。

#166
○白眞勲君 いや、ですから、特定活動の中身を簡潔にお話しいただきたいと思っているんです。

#167
○政府参考人(西山卓爾君) 特定活動は、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動ということでございます。

#168
○白眞勲君 いや、簡潔過ぎますよ。特に指定する活動は何ですか。

#169
○政府参考人(西山卓爾君) まさに申し上げたとおり、個々の外国人それぞれにつきまして、特に認める必要があると考えた場合に、法務大臣がその活動について指定をした上で、特定活動ということで、例えば六か月在留を認めるというものでございまして、例えばでいけますれば、例えばですけれども、外交官の家事使用人であるとか、あるいはワーキングホリデーであるとか、そういったものが挙げられます。
 以上です。

#170
○白眞勲君 これ、総理、今後、アフガニスタンに限らず、いろいろな人道上の対応が必要となる局面というのは私出てくるような気がするんですね。
 先日、自衛隊法についても検討するという答弁をされましたよね、この退避を希望される方に関して。だから、そういうことのみならず、退避希望者が一体誰になるのかとか、つまり、奥さんはいいのか、お子さんまでいいのかとか、お孫さんもいいのかとか、あるいはどのように支援をしていくのか。これ、韓国の場合においては、救出したアフガン人の生活費や定着支援金、教育面での支援については、難民に比べて少し多めの配慮がなされるということを法務部長官が発表しているんですね。
 ですから、そういったことというのは、今のうちから政府として総合的にきちんと対応を検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

#171
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、委員の問題意識、これは重要だと思いますが、ただ、退避が必要となるケース、これはかなり今まで振り返ってもいろんなケースがあります。アフガニスタンのようなケースもありました。そして、二〇二〇年は武漢からの新型コロナの感染拡大による退避というのもありました。さらには、二〇一六年はバングラデシュ・テロ事件が発生して退避という点がありました。
 ですから、これいろんな理由がありますし、現地の状況が様々でもありますので、これ問題意識は重要だと思いますが、これはやっぱりケース・バイ・ケースで対応せざるを得ないのではないか、少なくとも平時からルールとかマニュアルを一律に作ることはなかなか難しいのではないかと認識をしております。

#172
○白眞勲君 ただ、基本的な考え方というか、そういったことは必要なんじゃないかな、何となく全体的な一つの骨はやっぱり作っておく必要はあるんじゃないかと思います。その辺はどうでしょうか。

#173
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 一律に何か決めるというのは難しいと今申し上げましたが、委員のお持ちのような問題意識に基づいて、平素から対応について政府の中において議論をする、意思疎通を図っておく、こういったことは行ってもいいのではないかと私は思います。

#174
○白眞勲君 前向きな答弁ありがとうございました。
 次に、日米韓の連携についてもちょっと聞きたいなと思っているんですね。まあ、日本と韓国、今歴史的な認識のいろいろな様々な問題についていろいろ難しいことも抱えていますが、総理の基本的な考え方として、韓国に対してはどういう思いを持っていらっしゃるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

#175
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 韓国は重要な隣国であり、特に東アジアにおけるこの緊迫した安全保障環境等を考えましたときに、日米韓の協力、こうしたことも大変重要でありますし、重要な隣国として経済等様々な市民レベルでの関係も深い、こうした国であると認識をいたします。

#176
○白眞勲君 続きまして、ちょっと、じゃパネルを見ていただきたいと思います。皆様のお手元の二ページ目になります。(資料提示)
 今日はラジオで聞いていらっしゃる方もいらっしゃるので少し読み上げますけど、これは今から三十五年前に、一九八六年、昭和六十一年に自民党が北海道新聞に出した広告です。ちょうどその一年後に、広告を出したと思われる広告と言った方がいいかもしれませんね。ちょうどその一年後に当時の国鉄が分割・民営化される前、恐らく道民の心配を払拭するために自民党が出した広告だとは思いますけれども、これ読みますと、タイトルが「国鉄が…あなたの鉄道になります。」ということで、民営分割御期待ください、全国画一からローカル優先のサービスに徹します。これ、ローカル線なくなっちゃっているんですね。明るく、親切な窓口に変身します。人いないじゃないですか、今。七割が今、無人駅です。親切どころか人いない。今大変ですよ、今、ローカル線というか、もう無人駅だけじゃなくて、人がいるところでも猫を駅長にしてもらったりして、それで涙ぐましい努力をしているところがいっぱいあるわけですよ。楽しい旅行を次々と企画している。これは企画してくれているでしょう。じゃ、会社間をまたがって不便にならない、運賃も高くならない。そうかもしれない。ブルートレイン、一つも今ありません。ローカル線もなくなりません。なくなっちゃった。
 これ、総理、今の自民党総裁として、この広告見てどう思いますか。あのね、私は別に、自民党の当時の北海道の人たちが、これはうそを言おうと思ってやったんじゃないと思いますよ。そうだと思っていたと思う。別に、別にかばうわけでも何でもないんだけれども。でも、実際問題、現実的には今三十五年たったらこんな状況になっておりますよということに対して、現在の自民党総裁としての総理はどういうふうにお考えでしょうか。

#177
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、鉄道というもの、高い公共性を持ち、地域の経済や生活にとって大変重要な存在であると思います。ただ一方で、御指摘のように、地方においては、特に北海道においては厳しい現実があり、経営等を考えましても大変な状況にあるということを認識いたします。ですから、このバランス、これが大事だということを改めて感じます。御指摘のこの長い歴史を振り返りましても、是非未来に向けて、この二つのバランスを取るべく政治として責任を、しっかり責任を果たしていかなければならない、このように考えます。

#178
○白眞勲君 力強い御発言、ありがとうございます。
 防衛大臣にお聞きします。
 国防上の観点から、鉄道の位置付けというのはどうでしょうか。

#179
○国務大臣(岸信夫君) 自衛隊は、まず、北海道に多くの部隊を駐在させております。これは、訓練環境にも優れているという理由もありますけれども。ただ、これらの部隊を例えば南西地域に展開をするというときに、これを迅速にできるようにしておくということは大変重要なことであると思います。この際、例えば鉄道でいいますと、青函トンネルとかを利用するなど実際にしておりまして、こうした観点からの鉄道の機能というものは有用であると考えております。

#180
○白眞勲君 防災担当大臣にお聞きいたします。
 防災上の観点から、鉄道の位置付けとその重要性についてお願いいたします。

#181
○国務大臣(二之湯智君) 災害時における鉄道のこの重要性、支援物資の輸送などについては極めて重要な問題だと、このように認識しております。例えば、南海トラフの地震に、発生に備えて平時から鉄道施設の耐震改修あるいは防災・減災対策を講じるとともに、交通機能が寸断することのないよう、鉄道を含めて、代替輸送や迂回路、代替路の確保など、災害に強い交通ネットワークの構築を進めております。
 委員御指摘のとおり、鉄道も交通インフラの一つとしても重要な役割を果たすことが期待されておるところでございます。引き続き、国土交通省等関係省庁と連携し、災害に強い国土づくりに努めてまいりたいと、このように思っております。

#182
○白眞勲君 環境大臣、環境面からの鉄道の位置付けとその重要性についてお願いいたします。

#183
○国務大臣(山口壯君) 二酸化炭素排出量の観点でいえば、鉄道は自家用自動車に比べて非常に小さいと。一つの指標では自家用自動車が百三十三に対して鉄道が十八ということで、この鉄道の利用促進は温室効果ガス削減の重要な対策であると認識しています。

#184
○白眞勲君 国土交通大臣、どうでしょうか、ヨーロッパとかでは、あっ、斉藤大臣はすごく鉄道に対しては御造詣が深いと私は聞いております。斉藤鉄夫ということでね。欧州では近頃夜行列車なんかも復活を遂げているとも聞いておるんですけれども、こうした組織なんかのこうしたことと、取組と、我が国への示唆についてどうお考えなのか、ちょっとお聞かせください。

#185
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 欧州委員会の統計によれば、コロナ前の二〇一五年から二〇一九年の五年間、鉄道の旅客輸送量は毎年増加しており、着実な増加傾向を示している。それから、いわゆる夜行列車が復活をしてきている。また、旅行で、列車を使った旅行も増えていると、このように認識しております。
 欧州委員会が昨年十二月に発表した持続可能なスマートモビリティー戦略においても、脱炭素化を進める上で鉄道の利用拡大が重要と位置付けられていると承知しております。

#186
○白眞勲君 これ総理、いかがでしょうか。この鉄道というのは、防衛、環境、防災、そしてもう一つは、総理もそうだけど、鉄道って歩くでしょう、駅を。駅に着いて歩くじゃないですか。健康にもいいんですよ。地方だと、やっぱり車で、二、三百メートル先のコンビニまで車で行っているわけです。ところが、鉄道に乗るということは歩くんですよ。
 私ね、この国会でも、先生方でも、結構お年を召した先生方がみんな元気なのは、結構国会の中を歩き回っているからかなというふうに思うところあるんですよ。やっぱり健康に非常に重要なんです、これ本当そうなんですよ。みんな笑っているけど、本当にそうだと思うんですね。
 ですから、車でなく鉄道を利用することによって、やっぱりこれは、幹線部分はやはり国が責任を持って線路を維持するということもそろそろ考えなきゃいけないんじゃないんだろうか。上下分離方式とか言いますが、線路の維持は国がやりましょう、走らせる列車はそれぞれの会社がしましょうみたいな、国がインフラ部分、JRは列車の運行といった上下分離方式の導入を含めて、一定の役割を担う持続可能な鉄道経営の在り方、これ、専門家を交えて審議会でそろそろ根本的に議論していく必要性があるんじゃないか、そういうふうに私は思うんですね。
 これが、当時の自民党の先輩方に対する今の総理のそのスタンス、私は、特に道民や四国、九州の皆さんに対するそういうスタンスをしっかりとこれから三年ぐらいを目途に国家プロジェクトとしてやったらいかがか、どうでしょうか。

#187
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、鉄道というもの、経済、あるいは市民生活、防災、あるいは環境、さらには健康、様々な分野で大きな役割を果たす存在であると思います。
 一方で、地方においては、人口減少ですとか少子化等、様々なこの制約の中で厳しい状況にある。先ほど申し上げたようにこの両立を図らなければいけないわけですが、御指摘の上下分離方式、あるいは三セク方式、さらには運休路線とバスを組み合わせたBRTなんて取組もあるやに聞いております。
 こうした様々な知恵を絞って、両立を図るべく政府としてもしっかり考えていく、これは大変重要な姿勢、取組だと認識をいたします。どういった議論ができるのか、工夫をしてみたいと思います。

#188
○白眞勲君 総理、ありがとうございます。
 自民党の藤川理事は、お孫さんとよく、知っていますか、「桃太郎電鉄」って知っていますか。これ、ゲームなんですよ。桃鉄と言うのだそうですけど、これゲームソフトで、桃鉄って鉄道会社の運営をモチーフにしたボードゲームのゲームなんですけど、鉄道の線路が廃止されちゃったらどんどんなくなっちゃう。そうすると、このバージョンアップじゃなくて、バージョンダウンなんだよ、これ。こういうのは良くないわけです。
 ですから、是非、鉄道は人や物、物資じゃなくて、お孫さんとの交流も含めて、私たちの夢や希望も運んでいる、これ十分に認識して、是非、今の観点を考えて是非お願いしたい。それを皆さんにも、そうでしょう、皆さん。皆さん賛成と言っていますので、是非よろしくお願いします。
 ありがとうございました。

#189
○委員長(山本順三君) 以上で白眞勲君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────

#190
○委員長(山本順三君) 次に、木戸口英司君の質疑を行います。木戸口英司君。

#191
○木戸口英司君 岸田総理、そして鈴木財務大臣を始め閣僚の皆さんにはどうぞよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、先ほども質問ありました国交省統計書換え、どうも大臣の答弁が分かりづらい、伝わってこないところがあります。少し確認をさせていただきます。
 一九年十二月まで、国交省の指示で、都道府県に書換えを指示していたと。そして、二〇年一月から二一年三月までは都道府県からは正しい統計が上がってきたと。しかし、国交省において、これまで書換えが行われてきた統計の手法を踏襲していたと。
 これは結局、国交省による、この間、書換えということでよろしいでしょうか。

#192
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 令和二年一月からは正しい手法、改善された手法で統計を取っております。その間、令和二年一月から令和三年三月までは、国土交通省で従来の手法でデータを取っておりました。

#193
○木戸口英司君 それが分かりづらいんです。書換え、改ざんでよろしいですか。

#194
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 令和二年一月から令和三年三月までは、国土交通省の中でその遅れて提出されたデータについての書換えが行われていたということでございます。

#195
○木戸口英司君 何か、先ほどから理由を説明しながら、大臣、何か正当化するような話に聞こえるんですが、統計法上不適切だったということでよろしいですか。

#196
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 決して正当化しているわけではございません。
 令和元年まで間違った方法で統計を取ってきた、これは認めた上で、そして令和二年一月からは正しい方法、改善された方法で統計を取っております。ただ、令和元年まで取ってきた方法との、そのデータとの比較という意味で、令和二年から令和三年三月まで十五か月間、従来の方法でデータを取ったと。それは、令和元年との比較のために、その比較ができるために取ったということでございます。

#197
○木戸口英司君 ですから、比較のために必要だったというふうに聞こえるんです。それでよろしいんですか。

#198
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 決してそれが正しい方法という認識の下でやっていた、正当化しているという意味ではございません。
 ただ、先ほど来申し上げているように、従来取ってきたデータ、前年との比較のために、この令和二年一月から十五か月間、正しい方法とそして従来の方法と、両方の方法でデータを取ったということでございます。その理由は、先ほど来申し上げているように、令和元年までのデータと比較をするというためでございます。

#199
○木戸口英司君 いやいや、ですから、間違った統計同士を比較するという理由がよく分からないんです。分からないというか、その答弁が間違いだと思いますよ。比較ではなくて、これまでの統計を正当化するために、大きく激変させないようにごまかすためにやっていたんじゃないですか。

#200
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 令和二年一月から令和三年三月までは、あくまで新旧二つの方法で並行して集計を行ったということでございます。
 古い集計方法で行うに際し、どのような方法で行ったのか、またそれが妥当であったのかなどについて、第三者委員会でもしっかり検証をしていきたいと、このように思います。

#201
○木戸口英司君 大臣、その比較が必要だったという認識なんでしょうか。ごまかしたと、これまでの統計と合わせなくちゃいけないという、そういう認識だったという、大臣はそういう考えには立ちませんか。

#202
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 統計の連続性の観点から、令和二年度の値を令和元年度と比較するために、その前年度との比較という意味では、同じ手法で比較するということが必要であったため、間違っていたということを認識した上で、その手法で取ったときに前年度とどういうふうに違っているかというために取ったということでございます。
 ですので、令和二年一月からは改善された手法でも取っております。

#203
○木戸口英司君 総理も同じ認識ですか。

#204
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 令和二年一月にこの方式を切り替えた、そして、今大臣の方から令和三年三月まで古い方式のこのデータも取ったという説明をさせていただきましたが、少なくとも、委員がおっしゃるように、これ、従来の方式を正当化させるためとか隠蔽させるためにこれをやったのではないという説明をさせていただいていると、今聞いておりました。
 これは、あくまでも、この事態の変化、これ、どれだけ物事が変化しているのか、これを比較するためにこうした手法を取ったということで、方式自体は、従来までは間違いなくこれは不適切であったわけです。そして、改めなければいけないということで改めたわけです。この不適切であったということは、もう絶対にこれ否定することができませんし、大変遺憾であったということ、これは重ねて申し上げた上で、これを決して隠蔽するためにこういったことをしたのではないという御説明をさせていただいていると、今聞いておりました。

#205
○木戸口英司君 ですから、その理由についてはこれから第三者委員会でしっかりと調査されるんだと思いますけれども、総理の印象としても、そういう、正当化はしていないけれども比較のために必要だったという、そういう説明を納得されていますか。

#206
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今申し上げたように認識しておりますが、まさに委員おっしゃるように、その点も含めて、その経緯ですとか原因について第三者委員会で、国土交通省においても新たに検察OB、法律の専門家も踏まえた第三者委員会をつくり、そして総務省においても統計委員会という第三者委員会においてしっかりこれ検証をし、そして再発防止に向けて、そして信頼回復に向けて努力をしていかなければならないと認識をいたします。

#207
○木戸口英司君 先ほど国交省からの説明で、その理由は、前年と大きく数字が変わる、そういう答弁がありました。大きく数字が変わるというのは、どの程度、どういう数字が変わるという見込みだったんでしょうか。

#208
○政府参考人(高田陽介君) お答え申し上げます。
 ちょっと、大きい小さいということが、どれぐらいであれば大きい小さいというのは、ちょっと一義的に、一元的にお答えするのは難しいということでございますけれども、先ほどちょっと、いずれにしましても、ちょっと、大臣から御答弁をさせていただいておりますとおり、令和二年一月分の受注実績の集計からは正確にデータを反映させるような運用を始めていたということでございますけども、対前年の比較ができるように従前の方法についてもホームページで公表しているわけでございます。(発言する者あり)

#209
○委員長(山本順三君) 高田陽介国土交通省総括審議官。

#210
○政府参考人(高田陽介君) 申し訳ございません。
 ちょっと、どう、大きくというところをどのようなちょっと文脈で申し上げたかというところもちょっと、でございますけれども……(発言する者あり)

#211
○委員長(山本順三君) 答弁を続けてください。

#212
○政府参考人(高田陽介君) はい。
 先ほど答弁申し上げた点につきましては、大きく変わる、大きく変わると申し上げましたのは、別途、この令和二年から三月、あっ、三年のこの修正を行う段階において、併せまして推計方法の改正も行っているということでございまして、そういった文脈でちょっと答弁を申し上げたというものでございます。

#213
○木戸口英司君 ですから、大きく変わる可能性を感じて、そして統計手法を変えなかったと、書換えをしたと、国交省でですね。そうすると、もう比較のためというもう前提が崩れるんじゃないですか。やはり、数字を合わせたい、そういう意識の下に行われていたということではないでしょうか。
 もう聞いても答えられないということです。その中で、GDPへの影響ということを聞くと、何か影響は小さいということにされてしまうと。本当にそうなんでしょうか。
 もう一度、GDPへの影響、大臣、いかがでしょうか。

#214
○国務大臣(山際大志郎君) もちろん、これは委員御案内のとおりでございますけど、GDPは広くあまねく我々の生活、活動、全てを網羅した上で出してくる値でございますから、建設の分野というものは大事なものではありますけれども、そもそもポーションとして最大のものではないというのは御理解いただけると思うんです。
 その上で、先ほども御答弁申し上げましたように、GDPへの計算をしていくときに、この統計の値を直接利活用している、直接使っているわけではないものですから、ですから、そういう意味においても、今の段階で大きくは影響しないというふうに考えていると。
 しかし、それは枕言葉で、今の段階ではという話がありまして、やはりこのある意味マクロ経済の指標として非常に重要なものでございますので、それを作っていく上においては、しっかりと国土交通省がこれからやることを私たちとしては注視した上で、適正にやらなくてはいけないことが出てきたらしっかりやると、そういうことでございます。

#215
○木戸口英司君 こうして、統計の在り方、またGDPへの影響、そしてもちろん、統計への信頼、また経済対策、まあ補正予算もですね、影響が出る可能性があるということで、集中審議をこの件について委員長に求めたいと思います。

#216
○委員長(山本順三君) 後刻理事会において協議をいたします。

#217
○木戸口英司君 先ほど十万円給付に係る問題について質疑があったところでありますけれども、方針をめぐる経過、混乱を極めたと言っていいと思います。
 自治体、国民への説明を丁寧かつ迅速に行っていただきたいと思いますが、まず総理からお伺いいたします。

#218
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 子育て世帯への十万円の給付につきましては、多くの自治体の関係者から様々な意見をいただき、また国会においても、与野党、多くの議員から御議論をいただきました。それを踏まえて、今、政府においては、三つのパターンを用意し、そして、昨日、各自治体に対しましてQアンドAという形で文書を発出させていただきました。是非、これにつきまして引き続き丁寧に自治体を始め関係者の皆さんと説明を重ね意思疎通を図って対応を進めていきたいと考えております。

#219
○木戸口英司君 私、思い出すのは、昨年の四月ですね、新型コロナウイルス感染症対策をめぐり、当初、困窮世帯限定の三十万円給付とされて、補正予算案は既に閣議決定されていたと、それにもかかわらず、一律十万円給付にするという方針に転換されたこと。この三十万円給付案を取りまとめたのが当時の岸田政調会長だったと記憶しております。
 岸田総理が関わる中で、給付金をめぐり二回連続で方針が大きく転換されたという事実があります。これに対する所感をお伺いしてよろしいでしょうか。

#220
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 給付金については、様々な意見があり、様々な議論があり、そうしたこの議論の結果をしっかり受け止めて結論を出したということでありました。
 ただ、御指摘のように、結果として自治体を始め関係者の皆さんに混乱を与えたということであるならば、これは謙虚に反省をしなければいけない点だと思います。是非、今後この混乱を来すことがないように丁寧な作業を続けていきたいと考えております。

#221
○木戸口英司君 過ちては改むるにはばかることなかれと、私もそう思います。しかし、政策変更をめぐる経過の総括と説明責任に努め、改善に向けていくことは絶対的に必要です。
 政治における政策決定過程、政と官における政策検討過程、国と自治体とのコミュニケーション、国民のニーズの的確な把握、これら問題があったんではないかという認識の下で検証し、次に生かす考え、いかがでしょうか、総理。

#222
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今回の給付金の議論については、この衆議院選挙が行われ、そして年末までの限られた期間にできるだけ早くお困りの方に給付を届けたい、こうした思いで様々な作業を続けてきました。この限られた中での議論の中で様々な皆さんの御意見を踏まえて柔軟なこの制度設計に心掛けたわけでありますが、その間のこの経緯について、御指摘のような点、しっかりと踏まえ、我々として、それを検証し、反省し、今後にしっかり生かしていきたいと思います。

#223
○木戸口英司君 課題として、支援を要する世帯、個人に速やかに給付金を支給する仕組み、そしてシステムの構築と、これはまだまだ課題があると思います。また、所得制限を設けるかどうかという、そのこと自体もあるわけですけれども、公平性をより高めるために、主たる生計者で見るか世帯で見るかなど、こういった課題も制度上あります。
 これ、与野党を超えて検討を急ぐべき課題が多いと思いますけれども、総理、いかがですか。

#224
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今回の給付金についても児童手当という仕組みを使って迅速な支給を考えたわけですが、この今回の給付の仕組み、さらには児童手当の仕組み等について様々な意見がこの議論の中で出されてきた、これはしっかり受け止めなければならないと思います。そういった努力は大事だとは思いますが、ただ、一つの制度で全ての方々を網羅して支援をするというのはなかなか難しいものがあります。
 ですから、今回も、住民税非課税世帯に対する給付ですとか、緊急小口資金の延長ですとか、求職者支援制度ですとか、様々なこの制度を重層的に用意する形で、できるだけ幅広くお困りの方を支援しよう、こういった全体の仕掛けを考えたわけです。一つ一つの制度もしっかり議論しながらも、そういった様々な工夫、重層的な工夫でより幅広い方々を支援する、こうした体制をつくっていきたいと考えております。

#225
○木戸口英司君 我々立憲民主党も、様々困っている皆さんに対する支援、そして国民の皆さんを支える支援、いろんな方策を考え、また提案をしております。是非、今回の混乱のようなことにならないように、与野党を挙げて、そして国会を挙げて対策を検討すると、そういうことが必要ではないかということを強く申し上げたいと思います。
 では、予算編成、これは二〇二二年、来年度ですね、予算編成の基本方針が政府から発表されました。経済あっての財政として、コロナ禍で積極的な財政出動を続ける姿勢を鮮明にしております。総理の基本的な考え方をお伺いをいたします。

#226
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 予算編成の基本方針ですが、十二月三日の日に決定をいたしました。その中で、基本的な考え方として、まずは経済あっての財政であるということから、まずは経済の立て直しをしっかりやっていく、そして、その上で財政健全化に向けても取り組んでいく、こうしたことを、こうしたことをまず確認した上で、コロナ対策に万全を期し、困っている方々にしっかり支援を行い、そして経済の再起動について取組を進めていく。この骨太の方針二〇二一で示した考え方に基づいて、めり張りの利いた予算とする、いわゆる十六か月予算という考え方において、令和三年度補正予算と令和四年度当初予算、これを一体で編成する、こういった考え方を基本方針の中で示した次第であります。

#227
○木戸口英司君 この政府方針には、まずは経済をしっかり立て直す、そして財政健全化に向けて取り組んでいくと、今総理答弁にもありました、とありますけれども、これまであった聖域なき歳出改革という文言は消えております。そういう意味では、財政健全化という言葉は残りましたけれども、少しトーンダウンしているという感じもいたします。
 総理の考え方とこれは合致しているのか、改めてお伺いいたします。

#228
○内閣総理大臣(岸田文雄君) その点については、順番を間違えてはならないということを再三申し上げております。今は緊急事態であり、国民の命、暮らしが懸かっている、こういった非常時でありますので、これはやるべきことは全てやらなければならない、これは日本のみならず世界中においてそういった姿勢で経済財政政策が進められていると認識をしております。そして、そうしたこのコロナ禍を乗り越えた後、経済をまず回復させなければいけない、その次が財政だと、この順番を申し上げております。
 今、足下において、このコロナ対策に全力を注ぐということと中長期的に財政を再建するということ、これは決して矛盾するものではないと考えます。是非この順番に従って、国民の命を、暮らしを守るために、経済財政政策、しっかり進めていかなければならないと考えております。

#229
○木戸口英司君 矛盾はないということ、そういう答弁でありました。
 総理は、党の財政健全化の会議では、財政は国の信頼の礎だと財政再建の重要性を語ったということが報道されております。現在、この信頼の礎は保たれているという考えでよろしいでしょうか。

#230
○内閣総理大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、財政は国の信頼の礎であります。そして、それを評価するのは、市場であったりあるいは国際社会であります。その信頼をしっかりつなぎ止めることが政治の役割として重要だと考えております。
 今現在、日本の財政に対する信頼、各国との、各国との、各国の経済財政政策との比較においてもしっかり信頼は維持されていると私は認識しております。

#231
○木戸口英司君 そして、この同じ会議で、総理は、財政健全化を考える姿勢は政治の大きな責任だということもおっしゃっております。その上で、経済対策と中長期的な財政健全化は決して矛盾しないと、まあ先ほど答弁あったとおりですね、と述べておられます。今後、プライマリーバランスの黒字化の目標に関して検討されるということも出ておりますけれども、このことに対する基本的な考え方を総理にお伺いいたします。

#232
○国務大臣(鈴木俊一君) これまでの新型コロナ対応、それから今回の経済対策を入れた補正予算の編成によりまして、足下の財政状況がより一層厳しさを増すということはこれは事実でございます。一方で、今後経済が持ち直していく中で、コロナ対応の政策的経費は縮減をしていく、それとともに税収等は増加していく、そういうことが見込まれるため、財政状況の悪化はこれは一時的なものであると考えております。
 引き続きまして、プライマリーバランス、これは二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標の達成、これに向けて財政健全化に向けた取組を進めてまいりたいと思っております。

#233
○木戸口英司君 自民党内でも、この経済あっての財政ということと、聖域なき歳出改革と、まあ路線対立というところと言っていいのか分かりませんけれども、様々な考えがあると承知しております。私は、危機に対する必要な財政支出はちゅうちょなく行うと、そのことについては大きく賛成をいたします。
 しかし、この今回の一般会計歳出総額百七十五兆円超、二〇年度のですね、そして今年度、補正予算も加えると百四十二兆円超、あっ、先ほどは二〇年度ですね、そして今年度は百四十二兆円超になる見込みということで、大変な額になっております。
 その効果、やはり国際的な信頼と信用ということもありましたけれども、財政出動の額というよりも、その効果によって今後の財政効果ということが国民の信頼であり、あるいは国際的な信頼であると私は考えるんですが、やっぱりその効果を徹底検証して、そして見直しをしていくということ、そのことが見えないところが、大きな信頼、そこに関わってきているんじゃないかと思いますけれども、所見をお伺いいたします。

#234
○国務大臣(山際大志郎君) 委員がおっしゃっていることはごもっともだと思います。ですので、この経済対策、効果を上げていくためにもスピード感を持って執行する、あるいは様々な支援を国民の皆様に、現場の声を反映させて柔軟に対応しながらお届けしていくということが重要だと考えております。
 また、先ほど財政のことに関しても、経済財政諮問会議で各分野に関してしっかり議論を進めておりまして、改革工程表を年内に取りまとめる予定でございまして、それに基づいて適切かつ効果的な支出を推進してまいりたいと思っております。

#235
○木戸口英司君 じゃ、それでは山際大臣に重ねてお伺いいたしますけれども、資料一です。(資料提示)
 政府は、年初の経済見通しで実質成長率四・〇%を掲げていました。七月の年央試算では三・七%の実質成長とかなり高い数字。で、今年中、ですから今月中にということですけれども、コロナ前の水準に回復するとしています。この見通しは達成できる見込みでしょうか。

#236
○国務大臣(山際大志郎君) おっしゃるとおり、この七―九、表にありますように、七―九のGDPが相当下がりました。これはもちろんデルタ株が相当猛威を振るったということがあるんですけれども、その後、現在の状況として、先行き不透明なんですけれども、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れのリスクというのがまずあります。また、新たな変異株が出現してきたということもございます。それから、それらを通じて、感染症による内外経済への影響、これを注視していかなくてはいけないと我々見ております。
 こうした下振れリスクへの対応や足下の前向きな動き、実際には景気、あっ、消費は上向いているという動きもありますので、こういった前向きな動きを持続的な景気回復につなげていくためにこの経済対策をスピード感を持って実施していくことをやっているわけでございまして、このことを通じて一日も早く経済を成長軌道に戻していきたいと思っております。
 先ほども申し上げましたけど、経済見通しそのものに関しましては、そういうことと、最新のデータというものが出てまいりますので、それらを加味した上で、来年度の予算を概算決定する前にきちんとお示しをしたいと考えております。

#237
○木戸口英司君 この見込みをただ批判するわけじゃありません。意欲的な見込みとしてこれを達成するためにどう取り組んでいくかということが大事であって、そしてまた、途中途中の検証がやっぱり大事だということ。そのためにも、これまで国会も開かずに、今回補正予算を経済対策として今年度初めてこうして対応するわけでありまして、この目標達成のために、やはりこの年間、どう国会として、政府として対応するかということ、大変足りなかったんじゃないでしょうか。どうでしょうか。

#238
○国務大臣(山際大志郎君) 政府といたしましては、予算、今年度の予算ですね、今年度の予算を通じて経済対策というのはこれまでもやってきたというわけでございまして、その予算そのものが大きく不足をするというようなことがあるならば、確かにその予算を更に加える等々の議論というものを国会で御審議いただかなくてはいけないというふうに思いますが、今、この状況であっても、きちんとその予算の範囲内で様々な施策というものが行われているわけでございまして、そういう意味では政府はしっかりこれまでも頑張ってきたというふうに思いますし、国会で御議論いただくに当たっては、今回の経済対策に基づく補正予算をしっかり御議論いただいた上で次に備えるということでよいと思っております。

#239
○木戸口英司君 では、それでは改めて、コロナ禍からの回復、今なかなか足踏みしている状況で、資源価格も高騰し、為替の先行きも見通せない状況です。オミクロン株の感染拡大の懸念もあります。経済状況に関する認識を、そしてこれからどういう展開になるか、それが今回経済対策にどのように反映されているか、基本的な考え方をお伺いいたします。

#240
○国務大臣(山際大志郎君) これも繰り返しになるんですが、現在の経済の状況について少し申し上げますが、我が国経済は、本年九月末に緊急事態宣言が解除され、経済社会活動の水準が段階的に引き上げられていく中、個人消費等を取り巻く厳しい状況が徐々に緩和されつつあるものの、持ち直しの動きには弱さが見られ、政策による下支えが必要な状況にあるとされております。
 加えて、先行きに関しましては、半導体不足などの供給面での制約や原油等の原材料価格の高騰が輸出や生産を始め我が国経済の下振れリスクとなっていると。また、委員御指摘のように、多くの国で確認されておりますオミクロン株を始め新型コロナウイルス感染症による内外経済への影響を注視する必要があると。
 このことを受けまして、先行きが不透明な中、下振れリスクへの対応策を盛り込んだ新たな経済対策を着実に実施することでコロナ禍で傷ついた経済を立て直し、自律的な経済成長を実現していきたいと、これが方針でございます。

#241
○木戸口英司君 今のような分析を踏まえてということになるわけですけれども、今回、新時代開拓のための経済対策ということで銘打って過去最大規模の補正予算が編成されて、また来年度予算の編成に今向かっているということでありますけれども、規模感は分かるんですけれども、規模を重視する結果、むしろその規模感が伝わってこない、何に重点的に取り組むのかということがもうひとつ伝わってこない。
 効果的な予算と言えるのかどうか、予算編成に向け、めり張りという言葉を総理も使っておりますけれども、今後予算編成に向けて今の状況を踏まえてどういう考えで予算編成に向かうか、改めて総理の考えをお伺いいたしたいと思います。

#242
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、今回の経済対策、そして御審議をお願いしている補正予算においては、まずはコロナ対策に万全を期す、そしてコロナ禍で困っておられる方にしっかり支援をさせていただく、そして来年に向けて経済の再起動に向けて必要な予算を盛り込む、そしてあわせて、災害あるいは安全保障において国民の安心、安全という観点で必要な予算を盛り込むということで、今回の経済対策、補正予算、こうした大きな柱を中心にめり張りある内容に仕上げることができたと考えております。
 そして、先ほども十六か月予算と申し上げましたが、是非、平成三年度補正予算と平成四年度本予算、これを十六か月予算と考えて、来年に向けて一日も早い経済の再起動に向けて道筋がつながっていくよう、しっかりと予算面から考えていきたいと思っております。

#243
○木戸口英司君 それでは、財務大臣にお伺いいたしますけれども、会計検査院が報告した決算検査報告、新型コロナウイルス対策事業の無駄と遅れが判明しております。布マスク八千万枚の余剰、そして約六十五兆円のうち未執行額が三割超の約二十二兆円と。補正予算編成に当たって検証と改善はなされたのか、お伺いいたします。

#244
○国務大臣(鈴木俊一君) コロナ予算の執行が進んでいないのではないかという趣旨の御質問だと思います。
 新型コロナ対策につきましては、感染の影響が不明な中、万全の対応を期さなければならない、そのために十五か月予算として切れ目ない支援を行うべく十分な予算を措置したなどの事情もありまして、予定した年度内に支出に至らなかったものがございます。令和三年度へ繰り越されました予算においては、GoToトラベル事業等を除きまして、おおむね着実に執行が進んでいると承知をいたしております。
 今般御審議をいただいております補正予算につきましては、成立後、各省庁において早期の執行に努めていただくべきことであることは言うまでもありませんが、一方で、早期の執行を急ぐ余りに内容の精査なく支出を行うことは適切ではないと考えております。
 財務省として、執行を担う各省庁とよく連携をいたしまして、事業の状況等を確認しながら、予算の効果的、効率的な執行を促してまいりたいと思っております。

#245
○木戸口英司君 やはりこういうことが指摘されている中で、こうして巨額の補正予算から予算編成と続いていくということ、この辺りがやはり信頼ということに関わってくるんだと思いますので、しっかりと説明責任を果たしていただきたいと思います。
 その上で、総理は所信表明で予算の単年度主義の弊害を是正すると決意を示しておりますけれども、この考え方、お示しいただきたいと思います。

#246
○内閣総理大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、予算の単年度主義の是正ということを申し上げております。
 もちろん、この予算の単年度主義、これにも意味があったわけですが、昨今の我が国を取り巻く環境、そして我が国に突き付けられた課題、こういったことを考えますときに、環境の問題においても、また経済安全保障という課題においても、より長期的な視点が必要だということを強く感じております。
 こうした課題において、基金等を通じて複数年度にわたるこの支援を行っていく、こうしたことは大事ではないかということから、御指摘のような主張をさせていただいているということであります。

#247
○木戸口英司君 基金のメリットは私も承知しておりますけれども、国会の監視が届きにくいんですね。無駄に支出される、あるいは支出されずに無駄に積み上がる可能性と、こういった検証についてはいかがでしょうか。

#248
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、基金について、しっかりとこの目を注いでいかなければならないと私も思います。
 こうしたことから、行政事業レビューの枠組みの下で不断の適正化に取り組むとともに、今般のこの経済対策においても、多年度にわたって取り組む施策についてはKPIを設定し、そしてPDCAのこの取組を推進することで、基金の効果的、そして効率的な運用、活用、しっかり努めていきたいと考えております。

#249
○木戸口英司君 それでは、新型コロナウイルス対策についてお伺いをいたします。
 オミクロン株が急拡大しております。総理は危機管理を行う司令塔組織の立ち上げということをおっしゃっておりますけれども、どういった問題意識から、そして、いつこれに取り組むんでしょうか。

#250
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 新型コロナ対策については、まずは、現状、第六波への備え、最悪の事態を想定して、慎重の上にも慎重に対応していかなければならないという考えに基づいて、今、水際対策、病床の確保を進め、そしてこの予防、検査、そして早期治療、この流れをしっかりしたものにしなければいけないということでワクチン接種と検査と経口治療薬のこの整備に努めているわけですが、こうした現状に対するしっかりした支援と併せて、これ、将来のことを考えますと、こうした感染症を始めとする緊急事態にしっかり備えていく体制自体も考えていかなければいけない、中長期的な視点も大事だということで、一つは人流抑制、そして国と地方の関係、そしてもう一つが今御指摘になられました司令塔機能、この三点についてこの中長期的な課題として体制をつくっていかなければいけないということで、来年六月をめどに、こうした三点を中心にこの我が国のこの体制をしっかり考えていきたいと考えております。そして、必要であるならば法改正もしっかり考えていくということを今この政府として考えているところであります。

#251
○木戸口英司君 今までの司令塔組織として課題があったという認識だと思います。
 それでは、厚労大臣にお伺いいたしますけれども、病床確保について、入院受入れ者数は今回のピーク時の約三割増と、約三・七万人分を確保したとされております。しかし、病床数を増やしても本当に稼働できるのか、その点確認をさせていただきたいと思います。

#252
○国務大臣(後藤茂之君) 今委員御指摘のとおり、この夏に比べて約三割、一万人増の三万七千人の入院できる体制を全体像の中でお示しをいたしました。
 この実効性を確保するために、具体的には、公立・公的病院に法律に基づく要請を行いまして専用病床化を進めること、都道府県に対しましては、個別の病院名を明らかにして新たな病床計画を策定させていること、それから、要請が行われてから確保病床が実際に即応化するまでに夏、時間が掛かったことから、期間等を明確にしてしっかりと書面を締結することで実効性を確保すること、それから医療体制の稼働状況を徹底的に見える化するということで状況を公表する、こういう形で確実に準備した病床が稼働する体制を取っていくように、全体像では全国の都道府県とともに計画を作っております。

#253
○木戸口英司君 確認いたしますけれども、今年の夏は東京都でも病床を増やしたんですけれども、使用率が六五から七〇%ぐらいでも逼迫の危機に陥ったという状況がありました。まあいろいろ改善されたということですけれども、こういうことがもうないということでよろしいですか。

#254
○国務大臣(後藤茂之君) 基本的には、計画を作成するときには大体各県とも八割ぐらいは病床が即応体制に取れるようにということで計画を作っていただいております。そして、そういうことがしっかりと守られるように文書でそうしたことを確認しておりますので、一〇〇%即応ということは体制整備のためにそれはできませんけれども、少なくとも、この夏、本当に、病床を準備していたのにもかかわらず、それがなかなか使えなかった事態を大きく解決できるものと思っております。

#255
○木戸口英司君 この病床や医療人材確保に対して、国や自治体が迅速に必要な要請、指示できる法的措置を検討するとしています。どのような措置を想定しているのか、国の強制力で効果が見込めるのか、お伺いいたします。

#256
○国務大臣(後藤茂之君) 医療従事者、また病床確保等につきまして、現在、感染症法十六条の二の規定に基づきまして、医療関係者に対して協力要請を行ってまいりました。
 政府としては、今後の危機、感染症危機に対応できるように、個別具体的な規定についてどういうふうに見直していくかということについては未定でございますけれども、いずれにしても、個々の医療機関の経営リスク、そうしたものに十分配慮しながら、病床や医療人材の確保を国や自治体が迅速に行っていけるための仕組み、平時から感染症有事に備える取組について実効性のある対策を講じるように法的措置を速やかに検討してまいりたいというふうに思っております。

#257
○木戸口英司君 私は、やはり国の役割は大きいと思いますけれども、強制力というよりも国と地方の役割と連携の新たな構築ということがまずは重要だと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金二兆一千三十三億円が計上されております。病院経営が非常に厳しい状況であります。病院経営の実態についてどのように把握されているか、お伺いいたします。

#258
○国務大臣(後藤茂之君) 医療経済実態調査によりますと、一般病院の損益率、令和元年度ではマイナス三・一%でございます。令和二年度においては、新型コロナウイルス感染症関連の補助金を除きますとマイナス六・九%になっております。新型コロナウイルス感染症関連の補助金を含めるとプラス〇・四%ということになっておりまして、医療機関に対する財政支援、今委員から御指摘をいただきました緊急包括支援交付金等をしっかりと投入をしていくこと。また、新型コロナ患者の診療に当たりましての診療報酬を大幅に引き上げる対応してまいりましたけれども、様々な財政的な支援も行ってきております。
 今後とも、御指摘いただきましたように、医療機関が経営上のリスクを払拭できるように、しっかりと医療提供体制、支援の必要なところに目配りをしていきたいと思っております。

#259
○木戸口英司君 まさに医療機関の経営は支援金等により支えられている状況で、中長期的な財政支援というのは本当に必要だと思います。
 そこで、総務大臣にお伺いいたしますけれども、地方において、過疎地域、不採算地区ですね、を抱える自治体では、地域医療を担う公立病院を維持するために繰出金が多額となっている状況があります。地方財政措置の拡充をこういった観点で図っていく必要があると考えますけれども、いかがでしょうか。

#260
○国務大臣(金子恭之君) お答えいたします。
 総務省としては、感染症の影響による資金不足に対して起債できることとしたほか、不採算地区病院への特別交付税措置の引上げなど、個々の公立病院の運営に支障が生じないよう対策を講じたところでございます。
 今後とも、実態を踏まえつつ、地域医療確保のために適切に取り組んでまいります。

#261
○木戸口英司君 非常に厳しい状況です。是非、総務省でも地方に寄り添って取り組んでいただきたいと思います。
 その上で、新型コロナウイルス感染拡大による病床確保の厳しさ、これ、病院経営の悪化の根幹に、医師不足、そして医師の地域偏在、診療科偏在の問題があると考えます。対策、二〇一八年に改正医療法、医師法が成立しておりますけれども、この対策の検証をお伺いいたします。

#262
○国務大臣(後藤茂之君) 今委員御指摘いただきましたように、地域における医師の偏在、診療可能な医師を確保していくということは非常に大きな課題になっております。
 平時から医師確保計画を作りまして、医師偏在対策等を実施いたしております。特に、この新型コロナウイルス感染症への対応ということからいきますと、医療機関を超えた人材の移動、派遣に対して大きな支援を行っております。
 また、十二月七日に発表いたしました保健・医療提供体制確保計画におきましては、医療人材の応援派遣を全国約二千の病院から医師約三千人の派遣ということで、各都道府県が派遣医師の登録をしてもらっております。
 こうした医療従事者の応援派遣が円滑に実施できるようにしっかりと派遣調整機能を強化するための補正予算を盛り込んでおりまして、今後とも、先生御指摘のとおり、しっかりと取り組ませていただきたいと思っております。

#263
○木戸口英司君 今、体制、対策として派遣調整等ありましたけれども、なかなか実効性が見えてこないという声が強いです。都道府県主体の偏在対策に限界があるとも言われております。国の主体的関与、そしてその仕組みが必要であって、医師不足地域への財政支援、併せて強めていくことが急務だと思いますけれども、厚労大臣、いかがでしょうか。

#264
○国務大臣(後藤茂之君) 本当に先生のおっしゃったとおりで、しっかりと地域の医療提供体制を支えていくために、どうやって派遣を、体制を整えるか、また、そもそも偏在対策をどうしていくか、日本の医療制度を考えていくときに重要な課題だと思っております。

#265
○木戸口英司君 この骨太の方針二〇一八で、将来的な医学部定員の減員に向け、医師養成数の方針について検討するという方針が打ち出されております。医師養成の在り方については、現状の医師不足と医師偏在の解消、そして二〇二四年からの医師、医療従事者の働き方改革を踏まえて検討するべきではないでしょうか。厚労大臣、いかがでしょうか。

#266
○国務大臣(後藤茂之君) 医師の養成につきましては、医学部の枠組み等については文科省の所管ではございますけれども、現在、どういうふうに医師不足に対応するかということで取り組んでおりますのは、地域枠のお医者さんが、お医者さんというか学生を採っておりまして、この地域枠のお医者さんたち、これを、どうしても医師の試験あるいは専門の試験を受けるようなところを除きまして、六年分ぐらいは少なくとも地域の、地域枠の地域にしっかりと働いていただくような形で地域の医療偏在を直す取組、そんなことも取り組んでいるところでございます。

#267
○木戸口英司君 やはり、養成数もこれから減っていくということであれば医療現場に非常にマイナスのメッセージになると考えますので、しっかりと検討して、むしろ増やしていくという方向が必要だと思います。
 コロナ前から、地方では医師不足、医師偏在で医療崩壊と言われてまいりました。コロナによって、都市部においても、この医療崩壊、これはやはり医師不足が大きな要因だということがはっきりしたわけです。やはり、地域医療を支えていくと、維持していくと、そして地方の命と安心、安全を守られるようにということで、基本的なやはり法制定、例えば地域医療基本法ということを考えていく必要があるんじゃないかと、地方からもそういう提案が上がっておりますけれども、総理、こういう考え方、いかがでしょうか。

#268
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 我が国においては、従来から、医師不足、医師の偏在、この医療を考える際に大きな課題でありました。そして今、コロナ禍の中で改めて私たちの国の医療を考え直し、また見詰め直さなければいけない、こうした時期を迎えています。
 こういったとき、改めてこのありようについて政府としても考えていきたいと思います。そのために具体的にどうするか、是非厚労大臣中心にしっかりと検討していきたいと思います。

#269
○木戸口英司君 それでは、ワクチン接種についてワクチン担当大臣にお伺いいたします。
 三回目、追加接種がスタートしております。ファイザー製ワクチン、そしてモデルナ社製ワクチンは昨日承認されたということでありますけれども、実務を担う自治体からは、そこの、両社のワクチンですね、具体的な配分量、そして配送スケジュールについて早期に示すことが求められております。
 もう示されている分は結構ですので、その後の、一月以降ですね、一月までは示されていると思いますが、その見通しについてお伺いいたします。

#270
○国務大臣(堀内詔子君) 前倒しの範囲の検討結果を踏まえた必要量のワクチンをきちっと自治体にお届けできるように、また、迅速な情報提供を行うことにより自治体に混乱が生じないように、関係省庁や自治体と緊密に連携してしっかりとこれからも取り組んでまいりたいというふうに思っております。(発言する者あり)

#271
○委員長(山本順三君) 堀内国務大臣。

#272
○国務大臣(堀内詔子君) 済みません、一月までの発表させていただいておりますが、そのワクチンについては、これから二社を合わせると来年分として一億七千万回の供給を受ける契約を締結済みであって、総量として来年分の、二〇二二年分のワクチンはしっかりと確保できている見込みでございます。
 しっかりとこれからまた、四月以降についても、前倒しの優先範囲の結果とかそういったものを全て勘案した上で、自治体に、判明次第、きちっと決めさせていただき次第お知らせをしてまいりたいというふうに思っております。

#273
○木戸口英司君 調達の総枠は大筋で合意できているということは言われております。これから世界的な争奪戦ですね、オミクロン株も広がっているわけですので。供給は計画どおりになるかということ、その点を、じゃ、御説明ください。

#274
○国務大臣(堀内詔子君) きちっと調達させていただいてからは、しっかりと供給をなるべく早く、迅速にやってまいりたいというふうに思っているところでございます。
 供給の約束は、きちっと来年度分は一億七千万回分契約させていただいているところでございます。そして今、手持ちの部分についても、お出しする部分についてはきちっと発表させていただいているところでございます。これから先についても、供給があり次第、調達ができ次第きちっと供給してまいる、そのスケジュールを発表してまいりたいというふうに思っております。

#275
○木戸口英司君 前の大臣も、このワクチン接種が始まったときに、総枠は決まっていたけれども、いつどのぐらい入ってくるか、それが分からずに、そして自治体も非常に混乱したということがあったわけで、自治体もそのことを一番懸念しているわけです。大丈夫かということをもう一度確認したいと思います。

#276
○国務大臣(後藤茂之君) ワクチンを調達する仕事は厚労大臣がやっておりますので、調達の点について申し上げますと、今、総枠は一億二千、五千とそれぞれ決まっておりますけれども、ファイザーの方は平均的に入ってくると、モデルナの方は上半期に入ってくると。
 しかし、毎月毎月どのぐらいの供給量が果たされるかということについては、これは適時入ってまいります。そういう量を管理しながら、堀内ワクチン担当大臣は、その見込みをしっかりと踏まえながら、責任を持って供給量の管理をし、そして地方にそれをつなげていると、そういうことでございます。
 全力を尽くしてワクチンの獲得に取り組むとともに、供給の方も堀内大臣とともにしっかりやっていきたいと思っております。

#277
○木戸口英司君 今回、一回目、二回目と違うのは、交互接種ということが言われていることです。その中で、自治体が、どういう体制で準備すればいいかということがまた不安になっているわけであります。そこに対するしっかりとした説明ということについて、どのようなことを配慮していきますでしょうか。

#278
○国務大臣(後藤茂之君) 申し訳ありません。前倒し接種や優先接種の所管も厚労省でございますので、出しゃばって出てきているわけじゃないんでお許しをいただきたいというふうに思っております。
 それで、前倒しにつきましては、新しいオミクロン株の特徴、あるいはワクチンや薬に対する効果を一定程度見極めた上で、優先順位を付けながら、ワクチン供給量、また各市町村の供給をしっかりとしていただける体制、そうしたものを勘案しながら、できる限り早くに前倒しをするということが政府の方針でございます。

#279
○木戸口英司君 じゃ、ワクチン担当大臣にお伺いいたしますけれども、大臣の記者会見で、二回目接種から八か月を前倒しにするということを言いながら、これまで示した配送数、配送計画に変更はないとしています。
 じゃ、ワクチン担当大臣は、これから早期接種に向けて何に取り組むおつもりですか。

#280
○国務大臣(堀内詔子君) 今後、前倒しの優先順位がきちっと決まりまして、そしてお配りする段になった場合には、今、在庫としてモデルナが二千二百万のうち千七百お配りする、そういった配送計画はもう立っておりますが、残り五百万個、あっ、五百万回分、その分について、きちっと優先順位に応じてお配りしていくということにしていきたいと思っております。

#281
○木戸口英司君 じゃ、交互接種の件に話戻りたいと思います。
 国民も、ちょっとどういう状況になるか、まだ分かりかねている部分があると思いますので、国民に対して、交互接種、なぜ必要なのか、また安心なのか、そして効果はどうかということ、これは厚労大臣にお伺いいたします。

#282
○国務大臣(後藤茂之君) 交互接種につきましては、ワクチン二回接種後、時間がたつにつれまして感染防止効果がどんどん落ちてくる、そして重篤度を防ぐ、重症化防止効果、それから発症防止効果、こういうものは案外残りますんですけれども、それでもそういう効果が薄れてくるということでございますので、三回目のブースター接種、追加接種をしていただくことが重要だと思っております。
 そのときに、その交互接種をする、これは今それぞれ製薬会社の方からも、交互接種についても三回目の接種でワクチンの抗体価上がるという、そういう報告も今出てきておりまして、少なくとも、メッセンジャーRNAのそういうワクチンについて、つまり、それは今、日本が認可する、しているところからいえば、ファイザーとモデルナのメッセンジャーRNAのワクチンをこれを交互接種をしていただく、そのことを推奨をするということで考えております。

#283
○木戸口英司君 では、またワクチン担当大臣に戻りますけれども、この交互接種があるからこそ、自治体では早く、ファイザー社、モデルナ社、どのぐらいにいつ届くのかということを知りたがっているわけです。そのことにどのように応えていくかということを私、先ほどから答弁として期待しているんですけれども、いかがでしょうか。

#284
○政府参考人(内山博之君) お答えいたします。
 三月までの供給は既にお示しをしていますので、交互接種の結果も踏まえて、交互接種の結果、それから前倒しの結果も、検討の結果も踏まえて、四月以降についても早急にお示しできるように努力をさせていただきたいというふうに思ってございます。(発言する者あり)

#285
○委員長(山本順三君) いいですか。
 それでは再度、木戸口英司君。

#286
○木戸口英司君 いや、大臣、ですから、一月までの配送はもう数字が出ております。その後から本格的になるわけですね。一般のまず希望者、国民に三月以降どんどん進んでいくわけで、その見通し、分かり次第ということはそのとおりかもしれませんけれども、やはりどういう見通しなのか、しかも、早く、前倒しという話が出ているわけですから、配送数一切変わらないということを明言している中で、ワクチン担当大臣としてどのようにこれから早期接種に向けて取り組むかという話が今聞こえてこないんですが、いかがでしょうか。

#287
○国務大臣(堀内詔子君) 接種を八か月、二回目接種完了から八か月の見通しで、最初、きちっと配送計画を、三月の末までの分のお話を地方自治体様たちにはさせていただいております。
 これから前倒しということになりますが、どのような範囲の方を、どのような方を優先して前倒しということがきちっと結果が出てからでないとこちらとしても配送計画をお知らせすることができない中で、その結果を待って迅速にどんなふうに前倒しをして配送していくかをきめ細かくお伝えしてまいりたいというふうに思っているところであります。(発言する者あり)

#288
○木戸口英司君 まあ、明瞭という与党から声がありましたけれども、これを見ている自治体関係者の皆さんで明瞭と思っている方がいらっしゃるでしょうか。不安が広がっているんではないかと思いますけれども、もうしっかりと取り組んでいただきたいと。
 夏に向けて非常に混乱があったと、そして、自治体からははしごを外されたという言葉まで出たわけです。まあ、あれだけ前大臣、一生懸命やったと思いますよ。だけれども、それだけコミュニケーションとしていろいろそごがあったということは事実だと思いますので、非常に不安を感じております、今。しっかりやっていただきたいと思います。
 それでは、次の質問に入ります。
 米価について農水大臣にお伺いいたしますけれども、米価下落が非常に厳しい状況になっております。現状認識をお伺いいたします。

#289
○国務大臣(金子原二郎君) お答えいたします。
 新型コロナによる米価の下落の対応は重要な課題であると認識しておりまして、当面の需給の安定に向け、産地や生産者の保管や長期計画的な販売を支援するなど、十分な対策を行うことといたしております。

#290
○木戸口英司君 資料を配らせていただいております。
 これは岩手県庁で作った資料ですけれども、令和三年度産米の収入額と生産費の差額ということで、五ヘクタール未満の経営体で収入額が生産費を下回ると。つまり赤字、この赤いマークのところは赤字です。しかも、この五ヘクタール未満の全経営体に占める割合は、岩手県全経営体の九〇%、九〇%の経営体で赤字になるという実態です。
 こういう状況を農水大臣は把握されていますでしょうか。これ、岩手県だけじゃなくて全体としてということです。

#291
○国務大臣(金子原二郎君) 岩手県の資料は初めて見させていただきました。
 状況についてはいろいろと御意見を賜って把握をいたしておりまして、今回の対策につきましては、全農の集荷団体が卸と外食事業者などと一緒になってですね、連携をして行う長期計画的な保管、子供食堂への提供や外食などへの販売促進などを支援して、需給の安定に向けた販売環境の整備を行うものであります。
 本政策によりまして、対象数量である十五万トンにつきましては、主食用米が既存の市場に流通することを一定期間抑制することができるため、その期間内において販売環境が整備されることが期待されています。
 また、本事業は、全農などの集荷団体や卸、外食事業者などの需要者などと一緒になって市場に影響を与えないように連携して販売することによりまして、保管料の全額について支援を行いつつ、適切な仕向け先及びタイミングを、タイミングを判断して実施されるものと考えております。
 以上です。

#292
○木戸口英司君 このコロナ影響緩和特別対策、今農水大臣から紹介ありましたけれども、この効果に非常に疑問が言われております。農業団体からは米の市場隔離が要請されてきたわけですけれども、この対策で米価回復の効果ということはあるんでしょうか、伺います。

#293
○国務大臣(金子原二郎君) 本対策はあくまでも全農などの集荷団体や卸、外食事業者などの実需者などが行う販売努力を最大限支援するものであり、この点において政府備蓄米の運用を通じた需給操作や価格の下支えという意味での市場隔離とは異なるものであります。
 その上、本対策によりまして、対象数量である十五万トンについて、主要米、主食用米の既存の市場に流通することを一定期間抑制することができるため、その期間において市場隔離と同等の効果が、効果が生じるものと考えております。

#294
○木戸口英司君 まさに、今のこの経営の見通し、赤字がこれだけということでありますので、まさに営農の危機だと私は思っております。その中で、農水省の動きが鈍いと、あるいは全く応えてくれないという農業者の諦めの気持ちが非常に強まっていること、農水大臣が今、答弁の中ではそういった思いが伝わっていない、にじみ出ていないということを強く思います。
 この資金繰りの非常に厳しい状況が見通せるんですけれども、資金繰り支援について、その対策をお伺いいたします。

#295
○国務大臣(金子原二郎君) 今回やった対策については、ある一定の団体からも一応評価は受けております。ただ、これから予算措置をしてやって行う事業でございますので、その推移を見守っていただきたいというふうに思っております。
 資金繰りの問題につきましては、令和三年度の米価変動の影響を受けた農業者を支援するための資金繰り対策として、農林漁業セーフティネット資金等の融資の円滑化や貸付当初五年間無利子等に、無利子化等による支援を行うことにいたしております。既に貸付けが行われた融資に対しましては償還猶予などの措置が適切に講じられるよう金融機関等に要請したところであります。
 引き続き、これらの施策を通じてきめ細かな支援を実施してまいりたいと思います。
 以上でございます。

#296
○木戸口英司君 まあ無利子融資も大切ですけれども、まあ借金ですよね。
 お伺いいたしますけれども、事業復活支援金が今回示されております。コロナ禍で大きな影響を受ける中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主に、地域、業種を限定しない形で事業規模に応じて支給することとしておりますけれども、これは農林水産業も対象になりますでしょうか。

#297
○国務大臣(萩生田光一君) なります。

#298
○木戸口英司君 是非、農業者あるいは水産業者も非常にコロナで影響出ておりますので、使いやすいように、そういう仕組みをお願いしたいと思います。
 来年の需要見通し、生産量、適正生産量、そして今年に比べてどのぐらいの減少になるか、農水大臣に説明をお願いいたします。

#299
○国務大臣(金子原二郎君) 米の需要量の見通しにつきましては、十一月十九日の食料・農業・農村政策審議会食糧部会におきまして、令和三年七月から令和四年六月までの主食用米等の需要量を七百二万トンから七百六万トンという見通しをお示ししています。
 これは、直近の米の販売量が対前年同期比で増加していることや、令和三年産の相対取引価格は令和二年産米より下落していることが需要に及ぼす影響を踏まえたものであります。
 米の需要拡大につきましては、輸出の促進や、パック御飯、米粉による新たな需要拡大への支援のほか、米飯学校給食の推進、定着や、米と健康に着目したシンポジウムの開催、SNSを活用した情報発信などによりまして、米の消費拡大の機運を高める政策を今後実施してまいりたいと思います。

#300
○木戸口英司君 この需給見通し、これがまた過大となれば、産地が二二年産で作付け転換しても、需給均衡がまた崩れてしまいます。やはり、需要拡大策、今お話ありましたけれども、しっかりと取り組んでいただくことと、しかし、この米政策自体が非常に、転換されてから厳しいこの米作りの現場があるわけです、先ほど申し上げたとおりですね。やはり、全体の検証、そして見直し、それが求められているんではないでしょうか。所見をお伺いいたします。

#301
○国務大臣(金子原二郎君) 過去の検証を含めていろいろと検討するということになってくると、まあ昔の戸別所得の問題があるわけなんですね。こういった戸別所得の問題等についての御意見もあるということもいろいろとお聞きをいたしております。
 そういった中で、例えば、じゃ、戸別所得をどうするかというふうに考えたとき、この戸別所得制度の、昔の戸別所得補償制度のように米への助成を基本とするのであれば、十分な国境措置がある米への助成を行うこととなり、他の農産物の生産者や他産業、納税者の理解が得難いというふうに思っております。米の需要が年々減少する中で過剰作付けを招きかねず、需要のある作物への転換が進まない結果、農家の所得向上につながらないと考えておるものであります。
 旧戸別所得制度を実施した時期を含めまして、行政による生産数量目標の配分を行っていたときであっても主食米の過剰作付けが発生しており、自らの経営判断により需要に応じた生産、販売を着実に推進することが今後重要だと考えております。

#302
○木戸口英司君 では、時間となりましたので、残りは午後にしたいと思います。

#303
○委員長(山本順三君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会

#304
○委員長(山本順三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 令和三年度補正予算二案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。木戸口英司君。

#305
○木戸口英司君 では、引き続きお願いをいたします。
 それでは、質問、ALPS処理水の海洋放出について、経産大臣中心にお聞きをいたします。
 十一月末、福島第一原発で雨水散水トラブルの不祥事が発生したとされております。この事態の説明を求めます。

#306
○国務大臣(萩生田光一君) 今回の事象は、構内にたまった雨水について、通常なら濃度を分析して安全性を確認した上で散水するべきところ、過って分析前の雨水を散水したものです。なお、散水した水自体は規制基準を大幅に下回っており、構内の放射線の数値に有意な変動は見られず、環境への影響もないと聞いております。
 しかしながら、東京電力は福島第一原発の廃炉に向けて漁業関係者を始めとする関係者の理解や信頼を得ていく必要があり、こうしたミスはあってはならないものと思っております。

#307
○木戸口英司君 こういう大きなまた事態が起きてきたということで、今月一日に、全漁連は東電幹部を呼び付けて厳しい抗議文を突き付けたとされております。
 東電のガバナンスの問題ということでありますけれども、改めて、この東電のガバナンス、これ本当に大丈夫なんでしょうか。政府の受け止めを改めてお伺いいたします。

#308
○国務大臣(萩生田光一君) 経産省としては、東京電力に対し、徹底した原因究明と抜本的な再発防止対策を行うよう求めたところでありまして、これを受け、東京電力では、同様のミスを防げるように、まずは作業員の教育をしっかりやっていただいているというふうに承知しております。

#309
○木戸口英司君 随分簡単な答弁に聞こえましたけれども、三号機建屋の地震計故障放置、柏崎刈羽原発での重大なテロ対策不備が判明して、規制委から事実上の運転停止命令が出ております。繰り返される東電のこういった不祥事、もう止まりません。
 今度、IAEA、大臣もこの間会談をされたということですけれども、調査、そして安全性評価が進められるということです。第一原発に派遣が来年中と、そして安全性評価の報告をまとめるということになっておりますけれども、こういった東電のガバナンスの問題も評価の対象となるということでしょうか。大臣の受け止めをお伺いいたします。

#310
○国務大臣(萩生田光一君) IAEAは、先生御承知のように独立した機関でありますので、運営をされる東電のある意味様々なコンプライアンス等を含めた評価というものを当然客観的に見られることになると思います。

#311
○木戸口英司君 それでは、復興大臣にお伺いをいたします。
 汚染水、まあ処理水ですね、ALPS処理水が海洋放出されるということで、復興への影響、どのように捉えておりますでしょうか。

#312
○国務大臣(西銘恒三郎君) ALPS処理水の海洋放出が被災地の復興の妨げにならないようにすることが極めて重要であると認識をしております。
 このためには科学的根拠に基づいた安全性の正しい情報を届けることが極めて重要であり、復興庁としましても、インターネット、ラジオ等、多くの媒体を通して効果的な情報発信に努めております。また、風評払拭に加えて、復興を後押しする観点から、被災地の地元産品や観光名所といった地域の魅力を伝える取組なども行っております。
 いずれにしましても、政府一丸となって、決して風評影響を生じさせないという強い決意の下、徹底した科学的な情報発信など、風評対策に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。

#313
○木戸口英司君 復興の影響ということをしっかり捉えて、やはり復興大臣は、この問題にむしろやっぱり阻止するぐらいの気持ちでやっていただきたいと思います。
 経産省、関係者の理解ということなしには行わない方針、これを堅持していると言っておりますけれども、この約束はほごにされているんではないですか。

#314
○国務大臣(萩生田光一君) 漁業関係者の方々など、地元を始めとした関係者の皆様の御理解を得られるよう努力し続けることが大切だと思っております。
 福島県漁連の皆様からも、本年四月の基本方針の決定以降、処分の必要性や処理水の安全性、風評対策の内容などについて御説明の機会を度々いただいているところです。
 基本方針や本年八月に取りまとめた当面の対策に盛り込んだ施策を着実に実施し、できるだけ多くの皆様の御理解をしっかりいただけるように努力してまいりたいと思います。

#315
○木戸口英司君 全漁連から要請が五項目出されておりますけれども、この要請五項目について説明をいただきたいと思いますし、この五項目に対してしっかりと取り組んでいるのか、全漁連から理解を示されているのか、お伺いいたします。

#316
○国務大臣(萩生田光一君) 今年四月に全漁連から申入れをいただいた五つの項目に対しては、しっかりと回答すべく関係省庁とともに慎重に検討しているところです。
 八月に取りまとめた当面の対策には、国民への説明の徹底や安全性の確実な確保、風評影響による万一の需要減少に対応するための基金の造成など、御指摘に応える対策が既に含まれていると考えておりますが、これらに加え、どのような対応が必要か、漁業者の皆様の声を直接伺いながら検討を重ねてきたところでございます。
 こうした声を踏まえ、更に関係省庁間で検討を深めてまいりたいと思います。

#317
○木戸口英司君 時間となりましたので、拙速な放出ありきの方針を見直すべきだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

#318
○委員長(山本順三君) 以上で木戸口英司君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────

#319
○委員長(山本順三君) 次に、宮沢由佳さんの質疑を行います。宮沢由佳さん。

#320
○宮沢由佳君 立憲民主・社民の宮沢由佳です。本日は質問の機会を与えていただき、ありがとうございます。
 私からは、岸田総理がコロナ禍における国民の不安に本気で寄り添っているのかどうか伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
 今、この予算委員会を全国の多くの国民の皆様がテレビやラジオなどを通じて視聴されていらっしゃいます。ありがとうございます。
 これは、この国のリーダーである総理や各大臣の方々がどんなお考えをお持ちで何をしようとしているのか、それぞれの生の言葉でお聞きになりたいのだと思います。
 まさに、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて多くの国民が苦しんでいる中において、大きな不安があり、この先がどうなるのか、何が起こっているのか、様々な不安に対して日本のリーダーがどう応えていくのかを知るためでもあります。
 事前に用意した原稿を読む記者会見や記者の質問に答えることも重要ではありますが、私たち野党からの耳に痛い質問に答えながら、それでも逃げずにしっかりと議論していくことは、国の未来のために必要不可欠です。しかし、政府・与党はその議論を避けています。野党との議論から逃げていると言ってもよいかもしれません。なぜなら、六月の通常国会が閉じてから百九日間も国会を開かず、五か月間も審議を行わず、ここまで議論を避けてきました。多くの不安や疑問がある中で国会において議論をしないということは、国民に対する裏切りと言わざるを得ません。
 二〇一一年三月十一日、東日本大震災が起きた年は、当時は民主党政権であり、私はまだ議員ではありませんでしたので詳細は経験しておりませんが、民主党政権は通常国会を七十日間延長した上、通常国会が閉会してもすぐに臨時国会を開くなどして、ほぼ一年を通して国会が開いているという通年国会を行いました。そこでは緊急対応はもちろん、国民の不安や疑問、要望を応えるために多くの議論が交わされました。
 今回のコロナウイルス感染症の影響は、国会を通年で開くほどの緊急事態ではないとの御判断なのでしょうか。
 我が党の泉健太代表も代表質問で、今年六月の、立憲民主党は、このまま国会が閉じればコロナ対策に空白が生じるとして会期延長と三十三兆円の補正予算を提案しました。しかし、政府・与党は耳を貸すことなく、第五波の感染爆発が起きました。この臨時国会で補正予算を提出するというのは余りに遅過ぎたと思いませんかと質問していますが、岸田総理は残念ながらお答えになりませんでした。議論を避けて、大型の予備費頼みでコロナ対応してきたことが感染爆発を引き起こし、必要な人たちに十分な支援が行き渡らず、格差が広がることになってしまったのではないでしょうか。少なくとも、アベノマスク保管費用六億円という誰が聞いてもあきれてしまう事態は、しっかりとした議論とそれに基づく誠実な対応があれば防げたはずです。
 立憲民主党は、これまでコロナ対策に関して、同僚議員が国民に寄り添うための質問、提案を行い、多くの法案を提出してきました。国会を開いて議論すべきであったと思います。
 コロナウイルス感染症が発生してここまで三名の総理の下で国会が積極的には開かれず、議論の場が非常に少なかったことに対して、安倍政権、菅政権において要職を担われてきた岸田総理の見解を伺います。通常国会の会期延長もせず、また総選挙後の特別国会を三日で閉じ、また今まで国会を開かなかった理由を併せてお答えください。

#321
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、委員おっしゃるように、国会での議論、これは誠に重要なものであります。この国会につきましては、国会でお決めいただいた議事については、閉会中審査等、その都度誠実に政府としても対応してきたと考えております。
 そして、夏、大変厳しい状況にあった、このことは御指摘のとおりであります。それに対し政府として、コロナ対策あるいは生活や事業の支援、様々な対策を行ったわけですが、この対策の財源として、補正予算という議論もありましたが、この際には、前年度からの予算の繰越金と、そしてコロナ予備費においてこうした対策を行った、こうしたことでありました。
 しかし、その後、このコロナの影響、引き続き続いております。こうした状況に対して補正予算の必要があるということで経済対策をつくり、そして今国会において補正予算の審議をお願いしているということであります。
 是非、この国会の議論を通じて、国民の命、暮らし、事業を守るための経済対策、補正予算、是非成立をさせていただき、国民の元に届けていきたいと考えております。

#322
○宮沢由佳君 私は、国民が待ち望んでいる、野党とそして与党との、また政府との議論が活発に行われる通年国会にするべきだったと思っています。
 パネルを御覧ください。(資料提示)
 二〇二〇年は小中高生の子供たちの自殺が四百九十九人となり、過去最高になりました。深刻な状況です。政府は、二〇二二年夏頃をめどに自殺総合対策大綱を策定するとしていますが、現在着手している緊急対策があればお答えください。特にコロナ禍における子供を含む若者と女性の自殺者、自殺者総数増加への対策も併せてお答えください。

#323
○国務大臣(後藤茂之君) 宮沢委員の御指摘のとおり、令和二年の自殺者数は十一年ぶりに増加しておりまして、女性、そしてまた小中学生、過去最多となっております。
 自殺の原因は様々な複合的な原因があると考えております。女性の原因、動機を見ますと、健康問題、家庭問題、経済・生活問題、勤務問題、小中学生の原因、動機を見ると、学校問題、家庭問題等が挙げられております。
 厚生労働省では、令和二年度第三次補正予算予備費を活用いたしまして、自殺を考えている方に対する電話相談、そして心と心をつなぐSNS相談等、また、やむを得ず職を失った方への就労支援や生活資金でお悩みの方への支援を行っております。
 引き続き、自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して総合的な自殺対策を進めていきたいと考えております。

#324
○宮沢由佳君 自殺総合対策大綱では、先進諸国と比べて高い日本の自殺死亡率を先進諸国の水準まで減少させることを目標としているそうですが、二〇一〇年以降、十年連続で減少してきた取組も評価しなければいけません。
 その最も効果的だった取組についてお伺いします。

#325
○国務大臣(後藤茂之君) 自殺対策は、いろんな対策を総合的に組み合わせて行うことが必要だろうというふうに思っております。
 例えば、自殺対策関連の相談体制の充実、あるいは職場におけるストレスチェック、メンタルヘルス対策、学校におけるスクールカウンセラーの配置など、関係省庁と連携して総合的にお一人の方たちをしっかり支える、そういう体制を取っていくことが必要だというふうに思っております。

#326
○宮沢由佳君 政府は、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指すと言います。どのような社会の実現ですか、総理にお聞きします。

#327
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど厚労大臣からも答弁させていただきましたように、自殺に追い込まれてしまう要因については、経済的な理由あるいは健康的な理由あるいは社会とのつながり、様々な要因が指摘をされています。こうしたことから、これ自殺というのは、これは社会全体として考えなければいけない、多くの関係者がこの大きな重たい課題に向けて真剣に向き合っていかなければいけない、こういった課題であると思います。
 ですから、この御指摘の自殺、「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現」、これ自殺対策基本法にそういったこの文言が入っているわけでありますが、こうしたこの問題を社会全体として幅広い、幅広い関係者がこの問題について取り組んでいく、こういった社会のありようを考えていかなければいけない、こうしたことではないかと認識をいたします。

#328
○宮沢由佳君 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、日本国内でうつ病、うつ状態の人の割合が二倍以上に増加しました。OECD、経済協力開発機構の調査によると、日本でうつ病やうつ状態の人の割合は、新型コロナウイルスが流行する前は七・九%でしたが、二〇年には一七・三%と二・二倍になりました。OECDは、特に若者、独り暮らしの人、社会経済的地位の低い人、失業中の人は精神的苦痛の割合が高まった、逆に、リモートワークを含め制限中に働き続けることができた人は、少なくとも新型コロナ危機の初期段階ではうつ病や不安が低かったと述べています。
 精神的な不調や精神疾患に伴う経済損失はGDPの四・二%以上に相当し、うち三分の一以上は雇用率の低下や生産性の低下によるものだそうです。OECDは、そうした損失は各国政府が適切な医療ケアを行い、雇用対策の充実を図ることで多くは回避できると述べています。
 厚生労働大臣にコロナ禍のうつに関する医療ケアについてお伺いします。

#329
○国務大臣(後藤茂之君) うつ病の患者の増加傾向については先生の御指摘のとおりでありまして、昨年九月に厚生労働省が実施いたしました調査では、約六割の方が新型コロナウイルス感染症の拡大の中で様々な不安を感じておられ、国民の心身に大きな影響が出ているというふうに認識をいたしております。
 それを前提に、厚生労働省として、認知行動療法の普及を図るなどうつ病の医療の充実に努める、それから精神保健福祉センターにおける心のケアに関する相談対応の強化を図る、またストレス解消法に対する周知徹底を図るなど、しっかりと国民のメンタルヘルス支えていくように取組を進めてまいりたいと思っております。

#330
○宮沢由佳君 多くの方々がコロナ禍の影響によって精神的にも追い込まれています。今こそ、先ほど厚労大臣もおっしゃいましたカウンセラー、ソーシャルワーカー、精神保健福祉士などの活用により、国を挙げてメンタルケアに取り組む必要があると思います。
 経済対策も重要、しかし国民の心のケアも重要、総理の見解を伺います。

#331
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 昨年九月の厚生労働省の調査においても六割、約六割の方が新型コロナの拡大の中で様々な不安を感じておられるということであります。国民の心のケア、大変重要だと認識をいたします。
 そして、今回のこの経済対策の中にも、心身の不調を感じた方が医師ですとかあるいは精神保健福祉士等の専門知識を持った職員から支援を受けられるようにということで、まず精神保健福祉センター等の相談体制を整備する、こうした予算も盛り込んだところであります。是非この重要性を認識して、しっかり取り組んでいきたいと考えます。

#332
○宮沢由佳君 ありがとうございます。しっかりと進めていただきたいと思います。
 次のパネルを御覧ください。小中学校の不登校の児童の生徒数です。
 文部科学省の発表では、二〇二〇年度に、病気や新型コロナウイルス感染回避などを除き、年間三十日以上登校しなかった小学生は前年度比一八・七%増の六万三千三百五十人、中学生は同三・八%増の十三万二千七百七十七人、いずれも八年連続で増え、半数以上が九十日以上欠席しています。
 増加の要因についてどのように分析して、どのように対応しているのか、文科大臣にお聞きします。

#333
○国務大臣(末松信介君) 先生御指摘されましたけれども、令和二年度の国公私立の小中学校における不登校児童生徒数は約十九万六千人、前年度が十八万一千人でございまして、前年度より約一万五千人増加をいたしております。
 新型コロナウイルス感染症の影響下の下で、その増加の原因が考えられます。外出自粛の影響によりまして生活環境が大きく変化して生活リズムを乱しやすい状況があったと。私の知り合いも、大体五時半に起きてクラブ活動に行っていたんですけれども、八時半に起きるということで、随分基本的生活習慣が乱れたという話を伺っております。それと、交友関係を築くことが難しかった子供や登校する意欲を持ちにくい子供たちがいたという可能性、様々な要因が考えられます。
 以上でございます。

#334
○宮沢由佳君 済みません、対応についてもお聞きしました。

#335
○国務大臣(末松信介君) 文部科学省としましては、様々な悩みや課題を抱える児童生徒を早急に把握をしまして、そして適切な支援につなげていくために、心理の専門家でありますスクールカウンセラーや福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカー等が教員と連携しまして、個々の児童生徒の状況に応じた支援チームをつくることで体制を進めるとともに、二十四時間子供SOSダイヤルの周知であるとか、SNSを活用した相談体制の整備の促進など、支援、相談体制の整備を進めておりまして、令和四年度概算要求におきましても更なる充実に向けて拡充を要求しているところでございます。
 加えて、教育支援センターにおける相談支援体制の強化であるとか、不登校特例校の手引の作成、周知など、不登校児童生徒の多様な教育の機会の確保に取り組んでいるところでありまして、文部科学省としましては、不登校児童生徒のこれらの支援の更なる充実を図ってまいりたいと、努力をしたいと思っております。

#336
○宮沢由佳君 ありがとうございます。
 ただ、日本全国の相談支援センター、また心の支援センター、教育支援センターで予約をすると一年待ちという返事が返ってくるところが多数あるそうです。是非、文科大臣からしっかりと人数の支援、そして予算の支援を行っていただいて、一年待っては子供の課題は変わってしまいます。是非対処をお願いしたいと思います。答弁お願いします。

#337
○国務大臣(末松信介君) 財務大臣の前で答弁しておりますけれども、できるだけの努力をいたしてまいりたいと思います。方向性は同じだと思います。

#338
○宮沢由佳君 ありがとうございます。是非お願いします。
 総理の見解もお願いします。

#339
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 子供の自殺ということで申し上げるならば、子供が自ら命を絶つ、こうしたことはあってはならないことであり、これは重く受け止めなければならないと思います。
 今、文部科学省の対応については文科大臣から説明がありましたが、それ以外にも、厚生労働省においても相談体制を拡充するとか、あるいは児童虐待については児童相談所あるいは市町村のこの相談支援体制、こういったものを拡充するなど、厚生労働省を始め他の役所においてもこうした課題に取り組んでいるところであります。
 是非、政府全体としてこの問題をしっかりと取り上げ、取組を進めていきたいと思います。

#340
○宮沢由佳君 力強い御返答ありがとうございます。是非お願いいたします。
 次のパネルを御覧ください。小学校及び中学校のスクールカウンセラーの配置状況です。
 青い部分は週四時間以上、オレンジが週四時間未満、灰色が不定期配置、黄色は配置なしです。つまり、例えば小学校ではスクールカウンセラーの配置が一週間に四時間未満が約八割。私の知り合いが勤めている小学校は、二か月に一回、半日しかスクールカウンセラーが来ないと言っていました。二か月に一回では学校の様子も分かりませんし、問題が起きてもすぐに対応できません。先ほど御答弁の中にもスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置が述べられていましたけれど、実態は週に四時間、一週間に四時間ですよ。
 これについて、この配置について伺いたいと思います。文科大臣、お願いします。

#341
○国務大臣(末松信介君) 御指摘のとおり、学校保健統計調査のデータについては承知をいたしてございます。
 先生、今用意をしていただきました事前資料でございますけれども、確かに、第三期のこの教育振興基本計画におきましては、まず述べられているのは、配置時間の充実等、学校における専門スタッフとしてふさわしい配置条件の実現を目指すとされております。
 このことを踏まえまして、国の予算ではスクールカウンセラーを週一日四時間配置でできる事業規模に加え、いじめや不登校の課題に応じた重点配置を行う予算を確保しているところでございます。
 今御指摘があったとおり、ある学校では十時間ぐらい行くところもあります、ある学校ではゼロというところもあるわけなんですけれども、一日、一週間に四時間を確実に確保しなきゃいけないと。
 データのとおり、全公立小中学校におきまして、スクールカウンセラー、小学校では二万校ございます。中学校区では今一万校ということになっておりますけれども、週一回四時間を確実にというんですけれども、それを更に増やしていきたいという、この思いを考えておるところでございます。
 文部科学省としては、学校現場におけるニーズにできるだけ対応できるように精いっぱいの努力をいたしてまいりたいと。平成四年度のこれは概算要求もいたしておりますので、それこそよろしく御支援のほどお願いを申し上げたいと思います。(発言する者あり)ああ、令和です、失礼しました。古い男になって済みません。

#342
○宮沢由佳君 文科大臣から力強い御答弁いただきましたけれども、一週間に四時間を一週間に八時間にすると力強くおっしゃいましたけれども、一週間に八時間の配置で子供たちの様子が本当に分かるんでしょうか。養護教諭の複数配置も含めてしっかりと予算を取っていただきたい、子供たちのために本気で動かしていただきたい、心からお願い申し上げます。
 本年において、子供の自殺数、二〇二一年一月から七月までに自殺した児童生徒の数は暫定値で二百七十人で、二〇二〇年の同時期を既に二十九人上回っています。年々増加する子供の自殺者数に歯止めを掛けるためにも、子供の心や生活環境を把握し、対応する人員を増やすこと、これが必要だと思います。
 先ほど申し上げたように、養護教諭の複数配置、そしてまだまだ足りない教職員の配置、そして専門職員の配置、これに岸田総理から力強い御答弁を求めます。

#343
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 子供たちへの投資、これはすなわち未来への投資だと思います。
 こうした観点から、是非学校の現場の声はしっかり聞きながら、この教職員定数、必要な教職員定数を確保する、さらには教育予算を充実させる、こうした取組はしっかりと進めていかなければならないと存じます。是非そういった観点から予算についても考えていきたいと思います。

#344
○宮沢由佳君 是非お願いいたします。子供の命を守ってください。
 関連して、教育に関する補正予算についても伺います。
 今回の補正予算案では、学校等の感染症対策支援として三百三十一億円が計上されています。現場の声を伺うと、支援の効果はあったが、周知不足や購入品の制限、現場の希望が反映されていなかったなどの問題点がありました。現場の先生方が必要とするものが行き渡るようにどのように周知されますか、教えてください。

#345
○政府参考人(伯井美徳君) お答えいたします。
 御指摘の補正予算案でございますが、今後、学校の設置者に対して本事業の説明、周知等を行ってまいりますが、学校の感染症対策については、校長の裁量で迅速かつ柔軟に対応することができるように、その本事業の趣旨について実施要領等に分かりやすく示すとともに、教育委員会等を対象とした様々な会議において重ねて説明を尽くしてまいりたいと考えております。
 補正予算が成立した場合、速やかに本事業の執行を進めてまいりますが、各学校のニーズを踏まえた執行となるよう、設置者に対して丁寧な対応を求めてまいります。

#346
○宮沢由佳君 各校のニーズを踏まえてお願いいたします。
 次に、GIGAスクール構想の推進について伺います。
 学校現場のお話を聞くと、一定以上の児童生徒が一度にネットワークにアクセスできない、通信速度が遅いなどのインターネット環境改善の声をよく聞きます。
 そこで伺いますが、GIGAスクール運営支援センター整備事業の内容と、センターによってインターネット環境が改善されるのか、特に通信環境の安定化や全国全ての学校が同じ通信環境となるのか、お答えください。

#347
○政府参考人(伯井美徳君) お答えいたします。
 一人一台端末の円滑の運用を支える運用面の更なる支援ということで、文部科学省としては、御指摘いただきました民間事業者を活用して学校のICT運用を支援する体制を広域的に整備したいというふうに考えております。
 具体的には、学校への支援をワンストップで担うGIGAスクール運営支援センターを各都道府県等に緊急整備いたしまして、専門性の高い支援を安定的に提供する体制を構築することとしております。
 そのため、まずは本事業を活用して民間事業者によるネットワーク環境の総点検を全国の学校で実施して課題を特定して、その上で点検結果に応じた応急対応を実施していくというふうに考えております。
 なお、学校外のネットワークに課題がある場合、早急な改善が困難なケースもございますが、まずは点検を実施して、学校外の要因も含めて実態を把握すると、それが重要であるというふうに考えております。
 文科省としては、こうした取組を通じて全国の学校において児童生徒が安定したネットワーク環境の下でICTを活用した学習を円滑に実施できるよう、必要な環境整備をスピード感を持って対応していきたいと考えております。

#348
○宮沢由佳君 ネットワークの全国一斉点検というふうに今お伺いしましたけれども、インターネットの通信速度など地域格差が出ている以上、点検及び改善は早急に行うべきだと思いますが、いつ頃一斉点検を行うのでしょうか、また、いつまでに行うのでしょうか。

#349
○政府参考人(伯井美徳君) これは、今御説明しました運営支援センターの予算を補正予算に計上しておりますので、補正予算が成立した場合には速やかに事業執行いたしまして、年度内を目途に各学校で総点検が実施できるような体制を進めてまいりたいと考えております。

#350
○宮沢由佳君 質問です。困ったことがあれば、子供たちからでも家庭からでもセンターへ問合せはできるのでしょうか、お答えください。

#351
○政府参考人(伯井美徳君) ただいま御説明いたしましたGIGAスクール運営支援センターの事業におきましては、各自治体の判断にもよりますが、端末の持ち帰り時に子供や家庭から直接問合せをする仕組みについても支援をしていきたいと考えております。

#352
○宮沢由佳君 大臣にお聞きします。
 高校へはどのように対応されるのでしょうか、お答えください。高校、お願いします。

#353
○国務大臣(末松信介君) 失礼いたします。
 文部科学省としましては、義務教育段階において一人一台の環境で学んだ生徒が高校に進学をした後も同様の条件で学べる環境を整えることが大変重要であるという議論をいたしてございます。
 高校における端末整備につきましては、一人一台整備に係る経費の三分の一相当について地方財政措置を講じてまいりました。また、昨年度からは、経済的に困難な御家庭の高校生には、設置者が貸与する端末の整備に係る支援を行ってきたところでございます。そういう状況でございます。
 あわせまして、高校のICT環境の整備につきまして、こうした国の取組が行われてきた中で既に各県の主体的な整備が進んでいる実態がございます。もう一つ、普通科とか工業科とか農業科、総合学科とかいったところで、教育内容が非常に多様でして、異なっておりますので、必要となる端末のスペックも実は異なってまいります。そういうことを踏まえながら設置者が適切に判断をして、それを国ができるだけ支えていくという、そのように考えておるところでございます。
 現在、高校の端末整備につきましては、全四十七都道府県で一人一台環境を整備するという方向性を掲げておりまして、地方交付税措置や新型コロナウイルスの感染症対応の地方創生臨時交付金等を活用しまして整備を進めていることを承知をいたしております。
 自治体によりましては、保護者負担によります端末購入、BYOD、ブリング・ユア・オウン・デバイスですね、に係る家庭の負担軽減等に取り組んでおりまして、こういった事例の周知も含めて引き続き整備を促してまいりたいと思います。
 佐賀県なんかは一応全部整備が終わっているんじゃないかなという、非常に自治体によって力の入れ方が異なっております。できるだけ平均が取れるように支えてまいりたいと思っております。

#354
○宮沢由佳君 できるだけではなく、地方自治体によって格差が生まれないように、また家庭の環境によって格差が生まれないようにしっかりと支えていただきたい、これを強くお願い申し上げます。(発言する者あり)分かりましたと心強い御返答、ありがとうございます。よろしくお願いします。
 ICT支援員の雇用について、二二年度まで地方財政措置がなされていますが、二三年度以降の支援員の配置と拡充についてはどうなるのでしょうか、お答えください。

#355
○国務大臣(末松信介君) GIGAスクール構想によりまして整備された一人一台の端末が十分に活用されまして、教師が日常的にICTを用いたその授業が行えるようにしていくには、ICT支援員の役割が極めて重要でございます。学校現場も訪ねましたら、生徒も大変ですけれども、教える先生が大変というのが圧倒的に声が多いんです。そういうことであります。
 これまで文部科学省としては、平成三十年度から令和四年度まで、教員のICTに向けました環境整備五か年計画におきまして、地方財政措置を講じるなどを通じましてICT支援員の配置を促進をいたしてまいりました。目標水準は四校に一人ということで、ずっと巡回をするわけなんですけれども、令和五年度、二〇二三年度以降は、ICT支援員の配置の促進策につきましては、現段階で決定していることはありませんけれども、地方自治体とか学校現場からの要望も踏まえまして、また先生も今御意見をいただきましたので、今後そのことを念頭に置いてしっかりと取り組んでいきたいと思います。
 一方で、地域によってはそもそもそのICT支援員による専門的な人材が不足しているんですよ、これは。その方々を実は育成しなきゃいけないと、つくらなきゃいけないということになっていますので、偏在もございます。このため、GIGAスクール運営支援センター整備事業におきましては、日常的なICT運用支援に加えて、教職員、先生方や地域の支援人材育成のための取組を可能にするように考えてまいりたいと思います。
 文部科学省としましては、こうした取組を通じて、学校のICT運用を支えるサポート体制の更なる充実に取り組みます。よろしくお願いします。

#356
○宮沢由佳君 よろしくお願いいたします。
 文部科学省の令和三年十一月三十日までのコロナ感染状況についての報告によると、学校内感染は低く抑えられているように思います。この報告に関して大臣は現状どのように認識しているでしょうか。学校内感染を低く抑えるための衛生マニュアルなどの成果だと思いますか。

#357
○国務大臣(末松信介君) 衛生管理マニュアルは大変大きな貢献をしたと思ってございます。非常に分厚い書類であります。
 令和二年の六月一日から令和三年の十一月三十日までの間に文部科学省に報告のあった児童生徒のうち、感染状況を見ますと、感染者数は八万七千八百三十八人のうち学校内感染は約九%で七千七百七十八人です。家庭内感染に比べて低く抑えられております。
 これはもう学校の設置者や先生方が子供たちに、随分そのマニュアルに沿いまして、手洗い、やはりうがい、換気といったことを随分心掛けたということ、そのことを思っております。それと並行して、専門家の方々を招いていろんなことをお聞きになっておられますので、私は現場の努力が非常に今日を支えたというふうに思います。

#358
○宮沢由佳君 大臣の今の答弁にちょっとほっとしました。マニュアルのおかげだとおっしゃったら、かみつこうかと思っていたところなんですけれども。
 まさに、マニュアルは必要です。でも、それを実施するのは教職員です。本当に涙ぐましい努力をして、そして、ただでさえ業務が多いところを、この衛生関係、本当によく先生方が努力された結果だと私も思います。今後どのように対応していくか、教えてください。

#359
○国務大臣(末松信介君) 今後のことでありますけれども、まず、社会全体で新型コロナウイルス感染症の対策に取り組む中で、学校においても児童生徒の日常的な健康観察、体温測定であるとか学校施設の消毒など、様々な対応に御尽力をいただいております。こうした中で、国が行った調査の結果に基づいて、業務量が増えたとの回答がやはり、小中学校、八割を上回っております。聞きましたら、増えたと答えた小学校が七千八百五十二校、四一・二%、どちらかと、増えたと答えたところが六千八百九十四、三六・二%ですから、約八割がそう答えておるということで、感染症の影響が長引く中、子供たちの不安などに寄り添いつつ、学校の感染症対策と子供たちの学びの保障の両立に取り組んでいただくことに改めて感謝を申し上げたいと思います。
 文科省としましては、教職員の皆さんが子供たちの教育にしっかり注力できるように継続的な支援を行っていくことが重要であると認識をしております。このため、先ほど申し上げました消毒作業なんか、ある面では外注による、活用できる、感染症対策の支援ができると思うんですね。それと、教員の業務支援員、スクールサポートスタッフというような存在が大変大きくなってまいりました。増員を我々も考えて要求をいたしているところでございます。それと、学校における感染症対策につきまして、基本的な考え方は今申し上げた衛生管理マニュアルで示しておりますが、例えば、申し上げたように、消毒なんかで教職員の負担が過重にならない取組を改めて考えてみたいと思ってございます。
 文科省としては、引き続き、感染症の地域の状況を見ながら対応に努めたいと思います。
 以上です。

#360
○宮沢由佳君 コロナ禍における対応やポストコロナにおいても、子供たちの個性を尊重し、子供たち一人一人に向き合うためにも、現場の先生方、関係者の声を伺いながら、教職員定数の改善、教育予算の確保は緊急の課題だと思いますが、岸田総理はどのようにお考えでしょうか。

#361
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今委員の御指摘の課題においても、教職員の定数、そして教育予算の充実、これは大変重要な課題であると思います。是非政府としても充実に向けて努力をしたいと存じます。

#362
○宮沢由佳君 努力をお願いいたします。
 関連して、大学生の支援についても伺います。
 コロナを理由に大学生の中退、休学が増えています。中退者は、令和二年四月から八月までは三百八十五人でしたが、令和三年の同時期には七百一人。休学は、令和二年八月末時点で二千六百七十七人から、令和三年八月末時点で四千四百十八人となっています。大変な増え方です。学生の非常に厳しい状況が推察されます。
 現状認識について伺います。
 今回の補正予算案で、政府は、あっ、現状認識についてまず伺います。大臣、お願いします。

#363
○国務大臣(末松信介君) お答え申し上げます。
 文部科学省では、新型コロナウイルスのこれ影響を受けまして、学生の修学状況を調査いたしております。
 このうち、中退者の数につきましては、今年度の四月から八月までの状況を昨年度と比較をいたしまして、全体として僅かに減少しています。四百六十人マイナスです。うちコロナを、ただ、理由とした中退者数は増加をしております、三百十六名で。また、休学者につきましては、全体として今年度若干増加、三千八百二十一人であります。コロナを理由とした休学者数も実は増加をしておりまして、千七百四十一人プラスでございます。
 中退、休学の背景としては、やはり経済的困窮が最も多い理由となっております。
 文科省としましては、コロナ禍の学生への経済的支援につきまして、これまで、高等教育の修学支援新制度及び貸与型奨学金につきまして、家計が急変をした場合、随時申込みを受け入れるなど、きめ細かな対応はいたしております。加えて、今般の補正予算案において、コロナ禍で学生の学びを継続するための緊急給付金も計上しているところでございます。
 以上です。

#364
○宮沢由佳君 この緊急給付金については、一人十万円を、六十七万人に、対象者を六十七万人としています。
 まず、対象者の六十七万人の内訳と算出方法、そして自宅生へ支援が行われるのか、衆議院の予算委員会でも聞かれましたけれども、もう一度お願いします。

#365
○政府参考人(増子宏君) お答え申し上げます。
 六十七万人の算出根拠でございますが、まず、高等教育の修学支援制度が対象とする低所得世帯の学生が三十四万人ございます。それ以外に、昨年度の学生支援緊急給付金の実績を踏まえまして、修学支援新制度の利用者以外の学生について三十三万人を見込んでおりまして、合わせて六十七万人を対象としているところでございます。
 それから、自宅生も対象になるのかということでございますが、まず高等教育の修学支援新制度の対象者につきましては、自宅生、自宅外生を問わず支給することとしております。また、それ以外の学生につきましては、自宅生であっても、大学等が修学の継続が困難になっていると判断した場合には給付金を支給するということにしておりますので、この点につきましても大学等にしっかりと周知したいと考えているところでございます。

#366
○宮沢由佳君 個人の状況等様々な要因があり、一概には言えませんが、コロナを理由とした中退、休学が増えていることは、政府の支援策が行き渡っていない、支援が十分でない、又は対象外となっている多くの学生も苦しんでいるのではないかと推察いたします。
 そこで、提案ですが、大学授業料減免の拡充、給付型奨学金を始めとする修学支援制度の大幅拡充まで大胆に踏み込んで継続的に支援を行い、学生の不安を払拭すべきだと考えますが、総理の御所見をお願いします。

#367
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今御指摘の緊急給付金、六十七万人へのこの給付金に加えまして、政府としましては、これまで低所得者世帯への学生に対して、給付型奨学金五十万人分、授業料減免五十万人分、さらには無利子、有利子の貸与型奨学金、所得に連動した返還や返還額の減額、こうした取組を進めているわけですが、しかし、まだまだ厳しいという声、随分と聞きます。
 政府としましても、こうした高等教育の無償化等の取組を着実に進めていきたいと考えます。

#368
○宮沢由佳君 しっかりとお願いいたします。
 次に、子供の貧困についてお伺いします。
 子供の貧困の指標について、令和になってからどのようになっているのでしょうか。令和二年度に内閣府で子供の貧困に関する実態調査が試行的調査に行われています。調査結果の公表は今年七月に予定されていましたが、政府のコロナ対応等で公表が遅れており、今月中めどとなると伺いました。コロナ禍で役所も大変忙しい事情は重々理解いたしますが、補正予算の審議に関して、どのくらいの予算が必要かを判断し行政を監視する上で、数値は絶対必要です。統計データの書換えは言語道断ですが、データが出てこないことも問題があると思います。
 子供の貧困率は、平成三十年度は国民生活基礎調査によれば一三・五%となっています。速報値でも結構ですので、何か問題がなければ大臣が把握されている最新の数値を教えてください。

#369
○国務大臣(野田聖子君) 国民生活基礎調査における子供の貧困率は三年ごとの大規模調査で集計されており、次回については、今年一年間の所得について来年調査が実施される予定です。
 現在把握できている最新値は、平成三十年の所得から算出された一三・五%となっています。

#370
○宮沢由佳君 平成三十年のデータしかないということです。
 内閣府の子供の貧困状況を見ると、令和元年度、二年度の数字が記載されている指標と、平成二十八年のままの指標があります。どうしてこのように公表された指標の年次がばらばらなのでしょうか。総合的に対策を検討できません。改善をお願いしたいのですが、大臣、いかがでしょうか。
 また、作業が大変なのは分かりますが、三年都度と言わずに、ITをもっと活用するなど、もっと早く様々な指標を国民に提示できるよう、私たち議員も知恵を出し合っていきたいと思いますが、いかがでしょうか。

#371
○国務大臣(野田聖子君) 御指摘のとおり、子供の貧困対策を実施していく上で、置かれている状況の実態把握をすることは大変重要であります。
 今、全国調査を本年初めて実施をし、そして、現在最終的な取りまとめを行っていて、今月中に公表する予定にしております。七月、御指摘のように七月と言っていたのが十二月になったのは、集計の精査や分析を丁寧に行いたいという思いです。
 ここでは、新型コロナウイルスの拡大によって収入が低い世帯等の生活実態を含めて今の現状が明らかになると考えていますが、他方、そこを待つのではなく、もう常に総理と車座に参加したりする中で切実な現場の声は聞いておりますので、しっかりと貧困対策、重要性を痛感し、取り組んでいきたいと思います。
 今回の補正予算案に対しても、そういうことを踏まえて、実態をお伝えいただく中で、地域子供の未来応援交付金、これもう既にあるわけですけれども、今回の補正予算案で大幅に拡充をして、子供の居場所づくりについては自治体に対する補助率を十分の十の事業、そういう創設のための経費というのも盛り込んでいるところです。
 しっかり連携しながら取り組んでまいります。

#372
○宮沢由佳君 一人親支援についても手元に平成二十八年の数字しかありませんので、数字を基に伺うことができません。現状を踏まえて、総理、御所見をお願いいたします。

#373
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 一人親に対するこの支援ということですが、政府においては子供に対する、子供の貧困対策に関する大綱、これに基づいて様々な対策、総合的な対策を行っているわけですが、一人親に対する職業訓練中の生活費の支援ですとか、幼児期から高等教育段階まで切れ目のない教育費負担の軽減ですとか、こうした取組を進めているわけですが、これらをより一層強化していきたいと考えます。

#374
○宮沢由佳君 やはり少しでも数値を発表していただいて、それに基づいた支援を立てていってほしいと思います。
 今回の補正予算案において子供一人当たり十万円の給付を行うとしていますが、昨年も二回給付が実施され、今回も行われるように、政府の対応を見ても、もはや単発ではなく一人親家庭などへの継続的な支援が必要なことは明らかです。もちろん二人親家庭でも、子供たちが安心して育ち学べる環境整備も喫緊の課題です。
 総理は、一人親家庭や二人親家庭で支援を必要としている方々へ今後どのような支援と対策を行いますか、教えてください。

#375
○国務大臣(後藤茂之君) 支援が必要な子育て家庭のために、今御指摘もありました職業訓練中の生活費を支援する高等職業訓練促進給付金の給付拡大、それから一人親家庭住宅資金貸付けの創設、そうしたことを行っております。
 また、二人親、低所得世帯の子供たちが安心して育ち学べる環境を支援するための生活困窮者自立支援制度における子どもの学習・生活支援事業によって、子供たちへの居場所づくり、日常生活の支援、親への養育支援、そうしたことを実施してきておりまして、今後とも、先生の御指摘等も踏まえて子育て家庭への支援に関する施策、しっかり充実してまいりたいと思っております。

#376
○宮沢由佳君 しっかりお願いいたします。
 次に、子供の政策に関連して、発達障害を持つお子さんについて質問いたします。
 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律によって、発達障害を持つ子供への合理的配慮義務があります。文部科学大臣、公立は義務、私立は努力義務と伺っていますが、現状はそのとおりでしょうか。
 改正法の、法改正の施行によって、今後、民間にも義務化されます。実際に学校に通っている子供たちにとって、公立か私立かの違いは関係ないと思います。私立に通う子供たちも当然、合理的配慮の義務化が行われると考えますが、義務化に際してはいろいろと支援も含めてやるべきこともあると思います。子供たちの立場に立って早急に実施するようにお願いします。
 文科大臣、施行に向けての取組について伺います。いつから改正法を施行するのか、大臣の答弁を求めます。

#377
○国務大臣(末松信介君) お答え申し上げます。
 令和三年六月四日に、障害を理由とする差別解消の推進に関する法律の一部を改正する法律が公布されました。私立学校を含めた事業者による社会的障壁の除去の実施に係る必要かつ合理的な配慮の提供について、努力義務から義務へと改める旨が規定されたところでございます。
 そして、文部科学省といたしましては、私立学校において合理的配慮を充実させるための支援が重要であると考えてございますが、国立特別支援教育総合研究所におきましては、合理的配慮の実践事由の検索ができるデータベースの開設であるとか、私立学校等の、私立高校等の教員の専門性向上のための研修等に係る経費の補助など、そういった取組を今行っているところであります。
 引き続き、障害のある子供を受け入れる私立学校への支援に取り組んでまいりたいと、そのように思ってございます。

#378
○国務大臣(若宮健嗣君) 委員の方から、いつ頃その法律が施行される予定かということで御質問をいただきましたので、お答え申し上げます。
 本改正法、公布の日から起算をして三年を超えない範囲ということで規定されてございます。改正の施行に関して、まずは、障害者政策委員会での御議論を踏まえまして、政府全体の方針となります基本方針、これを改定する必要がございます。その上で、この基本方針の改定を受けまして、各省庁において所轄分野を対象といたしました対応指針を見直すということになるほか、各地方自治体におきましても、相談体制の整備、これにも様々な対応が必要となってまいります。
 今後、これらの取組あるいは国民の皆様方全体への周知啓発といった施行前に必要となる準備をしっかりと行った上で、できるだけ早く施行に向けて取り組んでまいりたいと、このように思っております。

#379
○宮沢由佳君 よろしくお願いします。
 子供の貧困などの背景に、失業、収入減、仕事や健康などへの不安、孤立などがあります。抱えている困難は人それぞれですが、その困難を自己責任とせず、誰一人取り残されない政策や支援が必要です。困っている人、弱い立場にいる人のために政治があります。自己責任を押し付けない、支え合える社会を実現しなければなりません。
 総理は、まずは自助努力を尽くすべきとお考えでしょうか。

#380
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 自助努力の精神、これはこれで重要なことだと思いますが、同時に、これ、市場に、市場あるいは競争、こういったものが行き過ぎたものになってはならない。この市場や競争が行き過ぎたことによって、格差あるいは貧困、こうしたことが生じてしまっている、こうした問題意識を私自身持っております。
 是非、こういった点も考え合わすときに、お互いに支え合う社会を目指す、あるいは官と民が共に協力して目的を果たす、こういった社会をつくっていくことも大事であると考えます。

#381
○宮沢由佳君 次に、保育士について伺います。
 私も保育士として働いていました。岸田総理は、保育士と聞いて浮かぶ総理のイメージ、どのようなものでしょうか。

#382
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員も保育のお仕事に関わられていたと承知をしております。
 私も先月、保育所、足を運ばせていただきまして、車座で保育士の方々と意見交換をさせていただきました。
 どんなイメージを持っているのかという御質問でありますが、子供の人間形成にとって極めて重要な時期に子供の保育を行う、こうした専門職でいらっしゃる、この社会として欠かすことのできない重要な役割を担っておられる、こうした姿を実際に意見交換する中で改めて感じた次第です。
 生き生きとこうした方々が仕事ができるような環境整備に努めなければならない、このように思っています。

#383
○宮沢由佳君 総理に御理解いただいていることはとても心強いです。
 しかし、実際、保育士の社会的イメージとそして仕事内容は懸け離れています。ある最近の調査では、全国の保育士や栄養士など二千二百四十九人へのアンケート調査によると、保育士に仕事を辞めたいと思ったことがあるかという質問をしたところ、いつも思っているが一二%、過去十年間で最高になったそうです。
 コロナ禍でも休園できず、保育士は、感染の危機を感じながら働き、慢性的な人手不足で疲れているところにコロナ対応業務が増え、たまった疲労が回復できないまま蓄積された状況が続いています。しかも、低賃金です。
 政府は、保育士等を対象に収入を三%引き上げる措置を行うとしています。これは是非やっていただきたい。
 その上で伺いますが、この保育士への措置は今後恒久的なものとするお考えでしょうか。恒久的な措置としていただきたい。と申しますのは、閣議決定されたコロナ克服・新時代開拓のための経済対策には、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を三%程度引き上げる措置を来年二月から前倒しで実施すると記載されています。
 保育料はほぼ公費負担です。この措置が時限的なものであれば、今回の措置の期限後は、保育料から引上げ分を支払わなければなりません。今後の保育料の公費負担分によっては、その後の賃上げ効果が継続される取組は経営者の自助努力ということにもなりかねません。これでは経営者によって対応が異なるようなことになり、真に保育士等への処遇改善とは言えないと思います。また、利用者へ結果的に転嫁するようなら、子育て支援とは逆行します。さらに、関連して、今回の措置は公定価格を決める際の人件費を三%ほど引き上げる措置です。保育士等に直接政府から支払われるわけではありません。民間の保育士等の給与引上げをどのように担保するのでしょうか。
 担当大臣、併せて御説明ください。

#384
○国務大臣(山際大志郎君) 全体の引上げについて、私の方から先にお答え申し上げます。
 今委員からお話ございましたように、この補正予算において来年の二月から前倒しして賃上げを行っていくわけでありますが、御心配のように、これを継続的な、持続的なものとしていくために、来年度の予算の編成過程において恒久的なものになるように、持続的になるように予算措置をしてまいります。
 さらに、その後の引上げについては、この安定財源の確保と併せた道筋を含めまして、今、公的価格評価検討委員会で議論していただいております。この委員会の方から年末までに中間整理取りまとめていただくことになっておりまして、それに基づいて持続的なものになっていくように配慮してまいりたいと思っております。

#385
○宮沢由佳君 しっかりとお願いいたします。
 今回の措置により、保育園で、保育所で働かれている会計年度任用職員の給与引上げはどうなるでしょうか。お答えください。

#386
○国務大臣(野田聖子君) 今般の経済対策補正予算案における保育、幼児教育などの現場で働く方々の給与の引上げの措置については、私立の施設と同様、公立保育所の保育士も対象となり、常勤職員だけではなく会計年度任用職員も対象に含まれます。

#387
○宮沢由佳君 総理、岸田総理は、参議院代表質問において、幼児教育の現場で働く方々の給与引上げを行いますが、これまでの累次の処遇改善と同様、補助額を全額給与引上げに充てたことを自治体において確認する仕組みといたしますとおっしゃいました。その方法について具体的に伺います。

#388
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、これまでの累次の処遇改善と同様に、施設に対して給与改善の計画や実績報告の提出を求める等によって補助額を全額給与引上げに充てたことを自治体においてしっかり確認する仕組み、これを用意したいと考えています。

#389
○宮沢由佳君 しっかりお願いします。
 また、処遇改善と併せて、岸田総理は、職業としての魅力発信、また、働き方改革や業務の効率化に取り組むと言われました。どのように取り組むのか、具体的に伺います。

#390
○内閣総理大臣(岸田文雄君) こうした魅力発信も、処遇改善と併せて大変重要な課題であると認識をしています。
 具体的には、SNSなどによる保育の魅力発信ですとか、あるいは労務管理の専門家による巡回支援ですとか、ICT化の推進によって業務負担を軽減するという形でより職場環境を改善していくとか、こうしたことによって、このイメージを、その魅力をしっかりと発信していくことが重要であると考えます。

#391
○宮沢由佳君 保育所職場へのIT活用を是非進めていただきたいと思います。
 そして、もう一つ提案ですけれども、岸田総理、お時間があれば是非保育士体験をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、ジェンダー平等について伺います。
 まず、女性の登用について伺います。
 岸田内閣は、女性閣僚を三名登用していますが、政府自ら国民に女性活躍推進をアピールするために、もっと女性を閣僚に登用すべきだったのではないでしょうか。誠に僣越ですが、ここにいらっしゃる三名の女性大臣を始め、御党や公明党さんにもたくさん尊敬のできる、かつ政策通の女性議員がたくさんいらっしゃいます。いかがでしょうか。

#392
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、閣僚は三名女性の方に務めていただいておりますが、それ以外にも、私の、内閣総理大臣補佐官ですとか、あるいは党、自民党においても政調会長あるいは組織運動本部長など、要職を女性の方にお務めいただいているということであります。ただ、各国に比べますとまだまだこうした女性の活躍の姿、少ないという指摘は謙虚に受け止めなければならないと思います。
 御指摘のように、与党にも優秀な人材、老壮青、豊富におられます。是非、適材適所で活躍していただけるように努力を続けたいと思っております。

#393
○宮沢由佳君 岸田総理にとって女性活躍とは何でしょうか。お答えください。

#394
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 女性活躍とは、全ての女性が自らの希望に応じてあらゆる分野でその能力を発揮することができる、こうした社会であると思っています。
 全ての人が生きがいを感じられる、個性あるいは多様性、こうしたものを尊重する社会を実現するためにこうした女性活躍は大変重要であると認識をしております。

#395
○宮沢由佳君 総理は所信表明演説の中で、所得を引き上げるための鍵は男女が希望どおり働ける社会づくりだと述べました。そのために、女性の就労の制約となっている制度の見直しを掲げました。
 女性の就労の制約となっている制度とは何でしょうか。

#396
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 様々な課題があるとは思いますが、例えば社会保険の適用に関わる問題、例えば百六万円の壁等のこうした問題、さらには育児休業制度の在り方など、こうしたことを指摘した次第であります。
 こうした問題にしっかり取り組むことが女性の活躍、より御活躍いただくために重要な課題であると認識をしております。

#397
○宮沢由佳君 二五三五という数字があります。国は二〇二五年までに国政や地方選挙の候補者に占める女性を三五%に高める目標を掲げていますが、どのように達成するのでしょうか、御説明ください。

#398
○国務大臣(野田聖子君) 女性は日本の有権者の約五二%を占めています。ですから、政治分野における男女共同参画の推進というのは、政治を的確に民意を反映させる観点から極めて重要だということです。
 議員立法で、二〇一八年、平成三十年なんですけれども、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が施行されて、実はこの間初めての衆議院選挙がありました。残念ながら、候補者に占める女性の割合は一七・七%、そして当選者に占める女性の割合は前回よりも低下して九・七%という結果となりました。また、参議院、皆さんの女性議員の割合は二三%ということになっています。これは国際的に見て非常に低い水準であるわけです。
 先ほどの政治分野における男女共同参画推進に関する法律の二条においては、男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指すと言っています。これは、先ほど申し上げたように、有権者の五二%が女性ということで、実社会に反映する政治の役割ということを考えれば、極めて合理的なことだと思っています。
 そして、今年六月に改正をしまして、各政党は、候補者の数に関する目標設定、それに加えて新たに候補者の選定方法の改善等自主的に取り組むよう努めるものとされたところ、内閣府含む関係行政機関が適切な役割分担の下でそれぞれ積極的に取り組むべきことも規定されています。内閣府では、この法律を踏まえて、まず、数値目標の設定等の自主的な取組の実施を各党に働きかけていきます。
 そして、それとともに、地方議会、地方議会も非常に男女比が悪いわけでありますけれども、両立支援に係る会議規則の整備、そして各議会における取組の見える化、事例調査を踏まえたハラスメント防止研修、これは、女性に極めてセクハラが多いということで候補になることをためらったり、選挙で非常に厳しい思いをされるのは女性が多いということを踏まえて、教材の作成等の環境整備を通じて地道に取組を後押しすることによって目標の達成に向けて取り組んでいきたいと思います。御理解いただきたいと思います。

#399
○宮沢由佳君 是非進めていただきたいと思います。
 一方、企業などの指導的地位に占める女性比率目標を修正した経緯があります。二〇二〇年に三〇%高めるとしていたのに、三〇%に高めるとしていたのに、二〇二〇年代の可能な限り早期に三〇%と、何とゴールポストを動かしました。その理由についてお答えください。

#400
○国務大臣(野田聖子君) 今御指摘のとおり、残念ながら女性活躍推進法に基づく取組の中で二〇三〇は達成しませんでした。その理由は様々だと思いますが、やはりまだまだ、指導的地位は男性がずっと担ってきた、それに対して女性が担うことに対する空気感、おそれに対する空気感というのが非常に大きいのではないかと思います。ですから、昨年末には、閣議決定した第五次男女共同参画基本計画でこの取組を一層加速させるような施策を、取組を入れたところです。
 先ほども申し上げたように、地方議会においては、ためらいのもとになっているハラスメントを防止するための様々な教材の作成、環境整備を始めてもらっていますし、また、経済分野では、改正女性活躍推進法、これに基づいて、来年四月からは一般事業主行動計画の策定及び情報公開義務の対象、これを常用労働者百一人以上の企業に拡大いたします。これによって、企業にもいいプレッシャーを掛けて、女性をしっかり、女性の指導者をつくっていかなければならないといういいプレッシャーをつくっていけるよう取り組んでいきたいと思います。
 こういう取組を通じて、二〇三〇年代には指導的地位にある人々の性別に偏りがない社会を目指していきたいと思います。そして、二〇二〇年代の可能な限り早い時期に指導的地位に占める女性の割合が三〇%程度になることを目指します。

#401
○宮沢由佳君 それでは、総理の二五三五の実現についてお伺いしたいと思います。
 真剣に取り組まなければ、女性を重要な意思決定の場に加えようとする世界の潮流から取り残されてしまうと思います。総理、二五三五、必ず実現するとの決意をお願いします。

#402
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げたように、女性の活躍によって多様性、個性が尊重される社会をつくっていく、こうしたことがこの経済社会の持続可能性にもつながっていくと考えます。そういった観点から、女性の方々にも重要な意思決定の場に加わっていただくこと、これは重要であると考えます。是非、そういった観点から、御指摘の二五三五、これ一つの大きな課題だと捉えて努力を続けていきたいと考えます。

#403
○宮沢由佳君 日本では、最近、子育て罰という言葉が取り上げられています。子供を一人産むたびに生活が苦しくなり、まるで罰を受けているようだというものです。元々、国際的に子供のいる女性の賃金が低くなる現象があり、チャイルドペナルティーと呼ばれていたものです。一方、北欧では、子育てボーナスという言葉があるそうです。子供を一人産むたびに様々な支援が受けられて、まるでボーナスを受け取っているようだというものです。
 岸田総理には、日本が子育て罰の国ではなく、子育てボーナスの国と言われるように努力していただきたいと思いますが、御所見をお願いします。

#404
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、社会として子育て罰ではなくして子育てボーナス、こうした状況になるということが未来に希望を持って社会を考える上でも大変重要な感覚、取組ではないかと考えます。御指摘のような子育てボーナス、こうした雰囲気が日本にも現出することはすばらしいことだと思います。
 しかし、そのためにも一つ一つ政策を積み上げていかなければならないと思います。是非努力をいたします。

#405
○宮沢由佳君 今、岸田総理から子育てボーナスの国を目指すとおっしゃっていただきました。そのためにはやはり女性の活躍も進めなければいけません。そして、今コロナ禍で苦しんでいる労働者、そして多くの雇用者のため、労働者、また多くの生活者のために努力をしていくことを私も決意を申し上げ、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#406
○委員長(山本順三君) 以上で宮沢由佳さんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────

#407
○委員長(山本順三君) 次に、有田芳生君の質疑を行います。有田芳生君。

#408
○有田芳生君 立憲民主党沖縄県連の有田芳生です。
 今日は、日本の外交と安保問題、その中でも特に沖縄の辺野古の新基地建設問題、さらには拉致問題についても中心的にお話を伺っていきます。
 まず、総理に伺います。
 総理は所信表明演説の中で、新型コロナの水際対策について、外国人の入国について触れられておりますが、この所信表明演説のその後どういう変化があったのか、この全世界を対象に停止することを決断いたしましたは、これからどのぐらい想定されているんでしょうか。お答えください。

#409
○内閣総理大臣(岸田文雄君) オミクロン株への対応については、この未知のリスクに対して慎重の上にも慎重に対応しなければならないということで、水際対策、緊急避難的予防措置として講じております。
 いつまで続けるかということですが、これはやはりオミクロン株の実態がより具体的に分かってきて、リスクの度合いが今までのその経験、経験の中でもある程度予想できる、こうした状況に至るまでは慎重な対応を続けていかなければならない、このように思っております。

#410
○有田芳生君 総理のこの方針の前になるんですけれども、これは外務省にお聞きをしますけれども、十月三十日、成田に二十代のアメリカの海兵隊員が到着いたしました。コロナのPCR検査を行いましたけれども、その一連の経過についてお話しください。

#411
○政府参考人(市川恵一君) お答え申し上げます。
 在日米軍からの連絡によれば、十月三十日に成田空港に到着した在沖米軍の関係者が検査で陽性と判明したということでございます。同人は翌三十一日に沖縄へ移動し、米軍施設内で隔離措置を受けたと承知しております。
 当該事案につきましては、発生直後に日本政府側から米側に対し遺憾の意を伝えるとともに、事実関係の調査、再発防止及び当該関係者の適切な処分を強く申し入れたところでございます。これに対して米側からは、事案の詳細を調査の上、アメリカ統一軍法典に基づき処罰を行ったと、また、今回の事案を深刻に捉えており、国内の全米軍に対し感染拡大防止措置の遵守の徹底について改めて注意喚起を行ったと、このような説明を受けているところでございます。
 日本における感染拡大防止の徹底のために在日米軍と緊密に連携し、引き続き適切に対応してまいりたいと思っているところでございます。
 以上でございます。

#412
○有田芳生君 このキャンプ・フォスター所属の二十代の海兵隊員は、成田に着いたときに沖縄に行くと言っていましたか。言ってないですよね。何と言っていましたか。

#413
○政府参考人(市川恵一君) 米側との関係もございまして、先ほど申し上げた以上の詳細についてはお答えを差し控えたいと思いますけれども、いずれにしても、米側は非常に今回の事案を深刻に捉えておりまして、事案の詳細を調査の上、しかるべく処分を行ったということでございます。
 以上でございます。

#414
○有田芳生君 この米兵は、成田に着いて、横田基地に行くと言っていたんじゃないですか。違いますか。それが何で沖縄に行ったんですか、民間機で。

#415
○政府参考人(市川恵一君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、米側との関係もあり、これ以上の詳細はお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

#416
○有田芳生君 民間機で、成田に着いてPCR検査をやった、だけど、その結果を待たずに、米軍基地に行くという約束を守らずに民間機で翌日、その夜はベンチに寝ていたんですけれども、翌日民間機で行った。その周りに日本人いたんじゃないですか、何人も、何十人も。

#417
○政府参考人(市川恵一君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、米軍との関係もあり、これ以上の詳細についてのお答えは差し控えたいと思います。
 いずれにしても、米側は本件事案の詳細を調査の上、しかるべく処分を行ったと、今回の事案を深刻に捉えており、詳細を調査の上、しかるべく処分を行ったということでございます。

#418
○委員長(山本順三君) 市川恵一北米局長。

#419
○政府参考人(市川恵一君) 重ねてで恐縮でございますけれども、米側との関係もあり、これ以上の詳細は差し控えたいと思いますけれども、いずれにしても、米側としては本件を深刻に捉えており、しかるべく処分を行ったという説明を受けているところでございます。(発言する者あり)

#420
○委員長(山本順三君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#421
○委員長(山本順三君) 速記を起こしてください。

#422
○政府参考人(市川恵一君) 私どもも水際措置の重要性というのは十分理解しているところでございますし、アメリカとの関係で常にその点は常に強調し、遺漏のなきように常に意思疎通をしているところでございますし、だからこそ、本件につきましては、遺憾の意を強く申し入れるとともに、調査、再発防止、適切な処分を強く申し入れたということでございまして、その中で米側は、詳細に調査の上、統一軍法典に基づき処罰を行ったということ、それから、本件事案を深刻に捉えているというような回答があったところでございます。
 ただ、それ以上の詳細につきましては、米側との関係もあり、お答えを差し控えさせていただければ幸いでございます。

#423
○有田芳生君 米側の処分は当たり前なんですよ、軍紀違反ですから。だけど、成田から、PCR検査をやって、結果を見ずに、結果は陽性だった、沖縄に飛んで、沖縄に行くという約束もしていないのに沖縄に民間機で行って、海軍病院でもPCR検査で陽性というのが出ているでしょう。だけど、民間機で飛んでいるんだから、そこには日本人の乗客がいっぱいいたわけですよ。
 濃厚接触者が何人いたんですか。明らかにしてください。

#424
○政府参考人(市川恵一君) 誠に恐縮でございますけれども、我々、水際措置の重要性は十分理解しているところでございますが、詳細については、米側との関係もあり、これ以上差し控えて、差し控えさせていただきたいと思います。

#425
○有田芳生君 民間機に乗っていて、濃厚接触者は二十七人いたんです。これもう基本的な問題ですよ。そして、一人一人に連絡を取って、結果的に、私が調べた段階では七人の人は分からない。そのままなんですよ。その後どうなったか分かりません。だからお聞きしたかったんです。
 だけど、これは米軍の軍紀違反の問題なんだけれども、同時に日本人の健康と命に関わる問題ですから、外務大臣あるいは総理、この事実関係をいずれ明らかにしていただけませんか。

#426
○国務大臣(林芳正君) 今局長から答弁をしたとおりでございますが、先ほど来答弁をいたしておりますように、在日米軍と連携して引き続き適切に対応してまいりたいと思っておりますが、この個別の案件については、日本の措置は要請というふうにしておりますが、向こうは今先生がおっしゃったように義務でございますので、処分されることは周知しているということでございます。
 したがって、感染防止拡大の徹底のために引き続き適切に対応してまいりたいと、こういうふうに思っております。

#427
○有田芳生君 総理、事実関係。日本人の問題なんです。米兵が処分されたという、それが一つなんだけれども、同時に、濃厚接触者がいて、私が知っている限り七人の行方は分からないまま。その後どうなったか分からないって、これは国民全体の健康の問題に関わってくるわけでしょう。だから、事実関係だけでも、外務大臣と御相談なさって、いずれ明らかにしていただけませんか。

#428
○国務大臣(林芳正君) 総理とも御相談をしながら、どういうことができるのか検討させていただきます。

#429
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど来答弁の中で、米軍との関係があるのでという答弁が繰り返されていますが、委員御指摘のように、これは国民の命や健康にも関わる問題です。何ができるのか、今外務大臣から答弁させていただいたように、外務大臣とも検討してみたいと思います。

#430
○有田芳生君 外務大臣にお聞きをします。
 総理の水際対策で、外国人が今、日本に入国することはできない。だけど、米兵たちはいかがですか。

#431
○国務大臣(林芳正君) これは厚労省を中心として今の水際措置が行われているというふうに承知をしておりまして、私ちょっと手元に今、御質問、今すぐお答えするものを持ち合わせておりませんが、今お話のあった件は十月三十日というふうに先生おっしゃいましたので、今回の対応の前であるということでございます。

#432
○有田芳生君 違うんですよ。
 日米地位協定の九条二項によって、米兵は米軍基地に飛行機であるいは軍艦で来たとき自由に出入りできるでしょう。

#433
○政府参考人(市川恵一君) お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘になりましたけれども、地位協定上、日米地位協定九条第二項で、米軍の構成員は旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外されているところでございます。

#434
○有田芳生君 検疫も免除されていますね。

#435
○政府参考人(市川恵一君) これは日米合同委員会の合意というのがございまして、日本の民間空港から米軍人等が入国する場合には米軍関係者に対しても日本政府による検疫が行われてございます。
 米軍の施設・区域において入国する場合には米政府の方針に整合的な、あっ、済みません、米軍の施設・区域において日本に入国する場合には米側の検疫手続によることとなっておりますが、在日米軍からは、水際対策を含む日本政府の方針に整合的な措置をとるという説明を受けているところでございます。

#436
○有田芳生君 去年、沖縄の国際通り、米軍たちがいっぱいいる時期がありました。独立記念日で、基地から出てきた方々だったと思います。
 御承知のように、沖縄の基地でもクラスターが発生した。だから、どこかの国から基地にやってきて、どこかの国でコロナに感染していたのか、あるいは国際通りなど沖縄の街を歩いて感染したのか、分からないんですよね。そういうことに対してどういう対策が取られているんですか、米軍基地では。

#437
○政府参考人(市川恵一君) お答え申し上げます。
 米軍関係者の我が国への入国につきましては、水際措置を含む日本政府の方針に整合的な措置をとるという説明を受けてございます。具体的には、入国する米軍関係者に対する移動制限の義務付け、空港から自宅等への移動について公共交通機関の利用の禁止、移動制限措置終了時のPCR検査の義務付けなどの厳格な措置を実施していると承知しているところでございます。
 先ほど外務大臣からお答え申し上げましたが、日本の措置は要請であるのに対して、在日米軍の措置は義務でございまして、違反する米軍関係者はアメリカ統一軍法典などに基づき処分されるということが周知されているところでございます。
 いずれにしましても、日本における感染拡大防止の徹底のため、在日米軍と連携して引き続き適切に対応してまいりたいと思っております。

#438
○有田芳生君 十月三十日のケースでいえば、日本にやってきてコロナに罹患をして、そして処分されたって、それは遅い話ですよ。やっぱり水際で対策することが必要であって。
 これは日米地位協定の問題ですから、事件、事故の問題など、しばしば沖縄では問題になりますが、外務大臣、二〇一八年の七月に全国知事会が地位協定の抜本的見直しを日米両政府に提案しましたけれども、独立国家として、外務大臣、そういう方向も真剣に考える必要があるんじゃないでしょうかね。いかがですか。

#439
○国務大臣(林芳正君) 米軍がとっておる措置につきましては、今局長から答弁したとおりでございます。
 日米地位協定でございますが、この協定の合意議事録等を含んだ大きな法定枠組みでございまして、政府としては、やはり事案に応じて効果的にかつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じ、一つ一つ具体的な問題に対応してきておるところでございます。そうした取組を積み上げることによって、日米地位協定のあるべき姿、これを不断に追求をしてまいりたいと思っております。

#440
○有田芳生君 日米地位協定の問題は、事件、事故などが起きるたびに度々問題になることですから、やはり抜本的に我々、与党、野党を超えて考えていかなければならない歴史的課題だというふうに思います。
 次に、日米首脳会談についてお聞きします。
 外務大臣にお聞きをしますけれども、日米、岸田・バイデン首脳会談というのは見通しはどんなものでしょうか。この間お話しなさりましたよね、アメリカ側と。

#441
○国務大臣(林芳正君) 先般、イギリスでのG7外相会合出席の際にブリンケン国務長官と会談をいたしまして、できるだけ早期の総理訪米の実現に向けて調整を続けていくことで一致をしたところでございます。

#442
○有田芳生君 総理にお聞きします。
 二〇二一年、今年の四月十六日、新たな時代における日米グローバルパートナーシップ、菅・バイデン共同声明と言っていいと思いますけれども、今後、岸田総理がバイデン大統領と会談をしたとき、この菅・バイデン共同声明が基本となると理解してよろしいですか。

#443
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の四月の共同声明を基本としながら会談をしていくことになると思います。
 就任後、首脳電話会談、バイデン大統領と行いましたが、その際にも四月の日米首脳共同声明を踏まえ緊密に連携していくこと、こういったことで一致をしている次第であります。

#444
○有田芳生君 防衛大臣にお聞きをします。
 今年の十一月二十九日、アメリカの国防総省がグローバル・ポスチャー・レビュー、いわゆるGPRの概要を発表しましたけれども、その内容は今後のアメリカの世界戦略にどのような展開をうたっているでしょうか。

#445
○国務大臣(岸信夫君) このGPRですけれども、これは、世界各地における米軍の態勢を評価するとともに、今後の米軍の態勢の検討に関する指針を示すものであります。本見直しは、同盟国やパートナーと緊密に連携しつつ、米軍のインド太平洋地域へのコミットメントをより一層強化し、中国や北朝鮮の抑止に貢献していくという米軍、米国の姿勢を明確に示しているものだと評価しております。
 政府としては、インド太平洋地域の平和と安定に一層貢献していくという米軍、米国の方針を評価しており、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米同盟の抑止力、対処力の一層強化していくため、引き続き米国と緊密に連携を取ってまいります。

#446
○有田芳生君 もう一問続けてお聞きしますけれども、米軍再編の中で、例えば、沖縄の海兵隊は、グアムであるとかオーストラリアであるとか、そういうところに展開する方向で動いてきましたけれども、この新しい方針において、在日米軍基地あるいは沖縄の基地に変化はあるとお考えでしょうか。

#447
○国務大臣(岸信夫君) これは、GPRにつきましては、在日米軍再編を含めて、在日米軍の態勢に関する記述はございません。また、影響がない旨の米側からの説明を受けているところであります。
 普天間飛行場の代替施設建設については、日米同盟の抑止力の維持、普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたときに、辺野古が、辺野古への移設が唯一の解決策であり、米軍とも累次にわたりこのことを確認してきておるところでございます。
 防衛省としては、引き続き、地元の皆様との御理解を得る努力を続けながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現してまいりたいと考えております。

#448
○有田芳生君 防衛大臣には後でまたお聞きをしますけれども。
 私は、十一月に三度目の辺野古の視察に、海上から、そして近くの高台から見てまいりました。サンゴがきれいで、本当に魚もきれいで、この紺碧の海、そこにあの大きな基地が造られようとしていることに改めて唖然といたしました。
 一冊の本を御紹介いたします。上間陽子さんという琉球大学の教授、「海をあげる」という本ですけれども、これは、本屋大賞、御存じだと思いますけど、本屋大賞ノンフィクション賞の大賞を取ったんです。沖縄の著者がそういう本土も含めた賞を取るというのは、二十四年前の目取真俊さんが芥川賞を取って以来の快挙なんですよね。全国で今感動が広がっている。NHKの「おはよう日本」でも放送されました。そして、歌手で俳優の星野源さんとの対談も、上間陽子さん、なされました。星野源さんについて言えば、新曲の「不思議」という曲があるんだけれども、その内容についてもこの本からインスピレーションを得たという、非常に全国に感動を及ぼしている本なんです。
 この上間陽子さんが、NHKの「おはよう日本」、あるいは星野源さんとの対談の中で、この本は本土への果たし状だという思いで書いたと、そういう内容なんです。だから、星野源さん、この本を読んで、沖縄の人たちが日常的にどんなことを考えているんだろうか、そして沈黙する理由は何だろうか、それがよく分かったと感想を述べていらっしゃるんです。
 時間の関係で、パネルにはしておりませんが、委員の皆様には文章を紹介しておりますので、ちょっと急いで読ませていただきます。「アリエルの王国」という最後の方の章なんですけれども、三年前の十二月十四日、辺野古の海に土砂が投入された日の内容です。上間さんです。
 「着替えを済ませた娘は私のお布団に移ってきて、「まだ夜? 朝来た?」と尋ねてくる。「まだ真夜中だから眠ってね。かーちゃん、今日は辺野古に行く」と言うと、「風花も一緒に行く」と娘が言う。「今日は、海に土や砂をいれる日だから、みんなとっても怒っているし、ケーサツも怖いかもしれない」と言うと、娘はあっさり、「じゃあ、保育園に行く」と言う。」。
 その次ですね。
 「暗闇のなかで、娘は私に「海に土をいれたら、魚は死む? ヤドカリは死む?」と尋ねてくる。
「そう、みんな死ぬよ。だから今日はケーサツも怖いかもしれない」」。
 娘の髪をなでてから、「ついに一二月一四日が来てしまったと目を閉じる。」。
 これが多くの沖縄の人たちの気持ちなんです。
 沖縄の県民投票が行われて、シングルイシューで、七二%の県民が辺野古に基地は造らせないという意思を表明した次の日に安倍政権は土砂を投入した。この悲しみが沖縄には広がっているんです、今も。だから、そのために、私は行けるときには何度でも現地に行くようにしている。
 それで、今からお聞きしたいのは、安倍総理にもお聞きをしたんですけれども、総理、それから外務大臣、それから防衛大臣、それから国交大臣、それぞれのお立場で沖縄に関わっていらっしゃいますけれども、もし辺野古に行かれたことがあったならば、あの自然についてどう思っていらっしゃるかということ、簡単に感想をお聞かせ願えますでしょうか、お一人ずつ。

#449
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 私も、二〇〇七年には沖縄担当大臣として、二〇一三年には外務大臣としてキャンプ・シュワブを訪問し、そして建設予定地を視察させていただきました。それ以外にも、党の政調会長の時代等を通じて何度も辺野古周辺に足を運ばせていただきました。大変美しい自然に囲まれた環境であるということを行くたびに感じて帰ってまいりました。

#450
○国務大臣(林芳正君) 私は、防衛大臣在任中の二〇〇八年八月でございますが、辺野古とそれから普天間飛行場、現場を視察させていただきました。辺野古はキャンプ・シュワブの中の高台から見させていただきまして、本当に自然の豊かな地域であるということは今でも記憶をしております。
 それから一方、普天間飛行場周辺の土地も実際に歩いてみましたが、小学校がございまして、結構臭いがするんですね。臭いがする中で、もう小学校の生徒さんたちはもうそれに慣れていらっしゃるのか、私は少し臭いが気になりましたけれども、この臭いを余り気にすることなく走り回っておられるという姿を見せていただいて、やはり一日も早い全面返還に向けて全力で取り組まなければならないと感じたところでございます。

#451
○国務大臣(岸信夫君) 昨年の十月にキャンプ・シュワブを訪問いたしまして、辺野古の埋立工事の進捗状況を確認するとともに、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現すべく、辺野古移設に向けた工事を着実に進める決意を新たにしたことを記憶しております。
 それで、工事の事業者であります沖縄防衛局においては、関係法令に基づいて、環境保全に最大限配慮しながら工事を進めているものと承知をしております。

#452
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 五年前の二〇一六年九月に党のキャンプ・シュワブ視察に参加して行ってまいりました。また、そのほか、私、党の中の沖縄二十一世紀委員会委員長、沖縄担当でございましたので、周辺には何回か行かせていただいて、いろいろな方との意見交換もさせていただいてまいりました。その都度いろいろな感想を持ったところでございますが、記録に残っているものとしては、視察団、党の視察団で行ったときに、報道機関に対して、沖縄県民の方の声を聞きながら、また、日米の協力、抑止力維持も考えながら考えていかなくてはいけないという感想を述べております。

#453
○有田芳生君 辺野古の基地の具体的な問題についてはこれから細かくお聞きをしますけれども、まず、総理に本気でお願いがあるんです。
 今、土砂の埋立てが続いておりますけれども、補正予算にも入っている。あの沖縄戦の最も激しかった地域の沖縄南部、沖縄県民だけではなくて、日本全国からの日本兵の遺骨、それから米兵の遺骨もまだ二百三十九人未収容なんですよね。それから、朝鮮半島出身者の戦没者数は分からない、厚労省も。
 だから、そういう状況の下で、今でもあの糸満南部の地域からは遺骨が出てくるんです。出てくるんです、今もなお。だから、そこの土砂を辺野古の海に使うというのは、これはやめるべきだと思うんです。
 総理も、二日前の衆議院の予算委員会の中で、重要な問題だと認識していると答弁なさりました。認識しているならば、ここで、少なくとも南部の土砂は使わないと約束していただけませんか。

#454
○内閣総理大臣(岸田文雄君) この辺野古での工事につきましては、御案内のとおり、現在、変更承認申請について不承認処分を受け、沖縄防衛局が国土交通大臣へ審査請求を行っているわけでありますので、そのさなかであります。
 その変更承認後の土砂の調達先について私の立場からコメントするのは控えたいと思いますが、それでも、先ほど申し上げたように、さきの大戦で凄惨な地上戦を経験した沖縄において、この御遺族の問題、御遺骨の問題、これは大変重要であるという認識、これは強く持っている次第であります。

#455
○有田芳生君 遺骨土砂反対は全国の地方自治体にも広がって、北海道から沖縄までどんどん増えている現実がある。これ、総理の一言で、南部地区の土砂だけは使うのをやめようとおっしゃっていただけませんか。

#456
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 地元の皆様方、様々な関係者の声はしっかりと聞かせていただきます。ただ、今、審査請求を行っているさなか、私の立場からコメントは控えます。ただ、重要性については強く認識している、繰り返して申し上げているとおりであります。

#457
○有田芳生君 審査請求しているのは事実ですけれども、この補正予算に八百一億円、辺野古地区の土砂投入予算が入っているでしょう、やるつもりなんでしょう。やらないんだったら、この補正予算八百一億円要らないじゃないですか。違いますか。

#458
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 普天間飛行場、世界で最も危険な普天間飛行場のこの危険を除くため、日本の安全保障の観点からしても、唯一の解決策が辺野古への、辺野古での建設であると考えております。そういったことから、予算においても、こうした取組を進めるということでこの項目を盛り込ませていただいております。
 そして、先ほどおっしゃった土砂の問題については、先ほど申し上げた思いを強く持っているということを答弁させていただいた次第であります。

#459
○有田芳生君 だけど、審査請求をやっているから工事ができないというんだったら、補正予算の八百一億円の辺野古側の土砂の問題なんというのは必要ないじゃないですか。

#460
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 審査請求をやっているから工事を、工事ができないと申したんではなくして、審査請求をやっている最中であるから、私の立場からその点についてコメントするのは控えなければならないということを申し上げている次第であります。

#461
○有田芳生君 じゃ、もう一つ伺いましょう。
 総理あるいは防衛大臣、先ほどから辺野古が唯一だとおっしゃっている。これ、菅・バイデン共同声明の中にもそういう文言が出てきますけれども、なぜ辺野古が唯一なんですか。唯一の理由を教えてください。

#462
○国務大臣(岸信夫君) 普天間の辺野古をめぐる問題の原点というものは、普天間が市街地に位置し、住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる飛行場のこの危険性を一日も早く除去すべきだということだと思います。
 その上で、移設を沖縄県内で行う理由については、在沖の海兵隊を含む在日米軍全体のプレゼンスや抑止力を低下させることができないということ、それから、沖縄が南西諸島のほぼ中央にあり、かつ我が国のシーレーンにも近いなど、地理的、戦略的な重要性を有していること、司令部、陸上部隊、航空部隊、後方支援部隊を一体的に運用することにより、優れた機動性、即応性を保つ米海兵隊の特性を低下させることはできないことなどが挙げられています。
 また、具体的な移設先としては、滑走路を含め所要の地積が確保できること、既存の米軍の施設・区域を活用でき、その機能を損なわないで移設し得ること、移設先の自然環境、生活環境に最大限配慮し得ることなどを総合的に勘案し、辺野古への移設が唯一の解決策であると結論に至ったところであります。
 いずれにいたしましても、普天間飛行場の危険性の除去と辺野古移設に関する政府の考え方や沖縄の負担軽減を目に見える形で実現するという政府の取組について丁寧に説明し、地元の皆様の御理解、御協力を得られるように粘り強く取り組んでまいります。

#463
○有田芳生君 普天間も、輸送機はもう岩国に移転をして、もう基地機能もどんどん変わってきているんですよ。だから、現実というのは日々変化がある。自然に配慮してとおっしゃっているけれども、サンゴは死んでいる、ジュゴンはいなくなった、環境破壊がずっと続いているんですよ。
 だから、その時々の合理的な判断であっても結果的に間違うことがあるというのが、戦争に負けた日本の教訓じゃないですか、歴史的な。だから、立ち止まるときは立ち止まって、これはちょっと合理的じゃなくなったなということがあれば、やはりそこから考えるべきなんです。
 じゃ、防衛大臣に伺います。軟弱地盤というのは何ですか。

#464
○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。
 まず冒頭、沖縄県が不承認処分の理由の一つとして、委員御案内のとおり、大浦湾側の地盤に関することを挙げておりまして、沖縄防衛局におきまして審査請求の手続中のため、詳細についてコメントすることは差し控えさせていただきます。
 その上で、従来より御説明しているとおり、御指摘の大浦湾側の地盤につきましては、沖縄防衛局においてこれまで土質調査により土の層の一つである粘性土の層が分布していることを確認しているところ、一般的で施工実績が豊富な工法によって地盤改良工事を行うことにより十分に安定性を確保し、護岸等の施工が可能であるということを確認しておるということでございます。

#465
○有田芳生君 ちょっとパネルを見ていただけますでしょうか。(資料提示)
 その軟弱地盤というところは、ちょっと細かいかな、B27の地点なんですけれども、そこが水深九十メートルのところまでマヨネーズ状なんですよね、マヨネーズ状。ここに今何を造ろうかとしているかというと、コンクリートの護岸なんです。もし仮にできたとしても、仮にですよ、できたとしても、これは専門家の調査によっても、震度一の地震で崩れるんですよ。崩れるんです、できたとしても、仮に。
 だから、ここで本当に建設が進められるのかという、防衛大臣でもいいし政府参考人でもいいですけれど、何でその一番焦点のB27の地点でボーリング試験やらないんですか。何度も何度も国会でも問題になってきた。何でですか。

#466
○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。
 審査請求の手続の点については先ほど御答弁申し上げたとおりでございますので、詳細についてコメントすることは差し控えさせていただきますが、その上で、従来から御説明しているとおり、有識者で構成される技術検討会におきまして、B27地点、委員御指摘のB27地点を含めた大浦湾側の土の強度の設定につきまして適正なものであるとの御意見をいただいておりまして、これまで実施した土質調査は、護岸等の構造物の設計を行うに当たり十分なものであると考えているところでございます。

#467
○有田芳生君 間違いなんです。一番問題になって、国会でも何度も何度も議論になってきて、専門家たちも、どうしてこの一番大事な疑惑のB27の地点でボーリング調査をしないんですか。周り三か所でやりました。七百五十メートル先ですよ、百五十メートル先ですよ、そこが大丈夫だからこのB27も大丈夫だと。論理的にもおかしいじゃないですか。違いますか。

#468
○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のB27の地点の関係でございますが、これもこれまで国会でも御答弁しておるところでございますが、キャンプ・シュワブ北側の海域におきまして、これまでボーリング調査、CPTと申します電気式コーン貫入試験、音波探査、室内土質試験等の土質調査を行いまして、地層の構成や強度等を把握してきたところでございまして、御指摘のB27の地点についても、こうした土質調査の結果からその地盤の特性を十分に把握できるものと考えております。
 また、技術検討会におきましても、土の強度の設定方式等について、委員の方々、技術検討会の委員の方々に対して説明を行いましたが、この技術検討会の委員の方からは、土の強度の設定方式について、国土交通省港湾局が監修する港湾の施設の技術上の基準・同解説に沿った適当なものである、適切なものであるとの御意見をいただいているところでございます。
 このため、これまで実施したボーリング調査等は、具体的な設計を行うに当たり十分なものであると考えておるところでございます。

#469
○有田芳生君 違うんです。沖縄県の承認撤回に対して国土交通大臣が行政不服審査請求の審査のために依頼した日下部治東工大名誉教授の鑑定書、御存じですか。御存じですか。
 詳細検討では、追加調査が必要、地盤調査、土質試験の追加の可能性と指摘しているんです。しかし、防衛局はこの日下部鑑定書を技術検討会に提出すらしていないんですよ。都合の悪いものは提出しない、それで工事を強行しているんですよ。
 震度一で崩れるようなものをこれから造るんですか、莫大な予算掛けて、沖縄の人たちがずっと悲しみを持って反対しているのに。どうなんですか、この報告書、握り潰しているんじゃないですか。

#470
○国務大臣(岸信夫君) 様々な御意見というものはあるとは思います、承知をしておりますけれども、その上で、沖縄防衛局において審査請求の手続中ですので、今は詳細についてコメントは差し控えますけれども、従来より御説明しているとおり、地盤改良は具体的な設計も踏まえて必要な深度まで施工するものであって、必ずしも十分に固く安定した土層である基盤に達する深度まで地盤改良を施工しなくても構造物等の安定性を確保することは可能であります。
 本事業においては、これまでの検討を踏まえて、最も深いところで水深、水面下約七十メートルまで地盤改良を行うことで構造物等の安定性を十分に確保できることを、有識者で構成されている技術検討会にお示しし、確認をいただいておるところであります。
 以上です。(発言する者あり)

#471
○委員長(山本順三君) 土本英樹整備計画局長。

#472
○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。
 先ほどから累次御答弁申し上げましているとおり、我々といたしましては、まさに技術検討委員会という、この専門家の先生方にしっかりこの本件について、委員御指摘の点についてもしっかり諮って御議論いただいたところでございます。
 で、結論的に申しますと、その御議論の結果、五回、これまで、失礼いたしました、六回、この技術検討会、委員会を開いておるところでございますが、そのうち複数回、本件についても御議論いただいた結果、決してこの私が先ほど申し上げたようなやり方というものは間違ったものではないということが我々としては言えるということで、そこで我々としてはこのやり方で大丈夫だという確証を取ったところでございます。

#473
○有田芳生君 都合の悪い日下部鑑定書は技術検討会にすら提出しなかったんじゃないですか。いい情報ばっかりでどんどんどんどん工事を進めていっている。
 だけど、今、七十メートルのところまで工事をなさると言ったけれども、日本でこれまで六十五メートルのところしか工事できていないんですよ。それ以上の技術ないのに、どうやって工事やるんですか。

#474
○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。
 まず冒頭、またちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、今、沖縄防衛局におきまして審査請求の手続中のため、詳細についてコメントすることは差し控えさせていただくと、この前提の下で、これも従来より御説明しておりますとおり、地盤改良は具体的な設計を踏まえ必要な深度まで施工するものでございまして、必ずしも、必ずしも十分に固く安定した土層である基盤に達する深度まで地盤改良を施工しなくても構造物等の安定性を確保することは可能であるというところでございます。
 本事業におきましては、これまでの検討を踏まえまして、最も深いところで水面下約七十メートルまで地盤改良を行うということで構造物等の安定性を十分に確保できることを、有識者で構成される技術検討会にお示しし確認いただいているところでございます。

#475
○有田芳生君 七十メートルの工事なんて日本で今までやったことないんですよ。韓国で一回やっただけですよ。そして、ましてや、七十七メートルとかいろんな数字出してくるけれども、そんな工事をできる船もないし技術もないんですよ、人類には。そこで何でそんな合理的判断をせずにどんどんどんどん工事を進めるのかというのは、根本的な疑問なんですよね。
 しかも、何度もおっしゃっていますこのB27地点が本当に大丈夫だというんだったら、ボーリング調査、今からやればいいじゃないですか。これから、沖縄だって裁判闘争を覚悟しているんですよ。裁判闘争になれば二年ぐらい掛かりますよ。このB27地点でボーリング調査、自信があるんだったら、半年でできますから、今からやりませんか。

#476
○国務大臣(岸信夫君) 有識者で構成されておりますこの技術検討会においても、B27地点を含めた大浦湾側の土の強度の設定について適正なものであるとの御意見をいただいております。
 これまで実施した土質調査は、護岸等の構造物の設計を行うに当たり十分なものであると考えておるところでございます。(発言する者あり)

#477
○委員長(山本順三君) 御静粛に願います。

#478
○有田芳生君 自信があれば、これからでも、時間があるんですから、堂々とB27地点でボーリング調査をやって、ここは安全です、基地が建設できますという証拠を出してくれればいいじゃないですか。それをやらないというのは、やっぱり後ろめたいものがあるんですよ。
 更に言えば、今、沖縄県が審査請求の問題にとらわれていますけれども、その是正の指示が行われても知事は取消し訴訟を提起することができて、設計変更の承認というのは知事の裁量ですよね。だから、裁判になったって、知事のその裁量を否定できるような判決なんというのは普通ならば出ないんですよ、普通ならば。だから、もしこれから沖縄県が国と裁判闘争ということになっていけば、知事の裁量を否定できないならば、辺野古の基地の建設というのはもうほとんど不可能に近いところまで今来ているんです。
 そのことを強調して、また質問する機会がありましたらお聞きしますけれども、時間がないんで、大事な拉致問題についてお聞きをします。
 今年の九月十二日、新潟日報。横田滋さん、早紀江さん、めぐみさん、そして二人の弟さんが暮らしていた新潟の新聞、新潟日報。九月十二日というのは日朝首脳会談から十九年目に近いところ。このとき、新潟日報の原崇論説編集委員が横田早紀江さんにインタビューをして記事をまとめました。
 長い年月が流れても事態が動かないのは、そもそも事態を動かそうとしていないのではないかとも想像してしまうというのが早紀江さんの思いなんです。そして、駆け足で紹介しますけれども、「政治家の気概いずこ」、最重要課題と掲げてくださっていたのであれば、未解決の最重要課題のために、もし健康などが好転したのであれば、元首相の肩書や人脈を駆使して行動できないものでしょうか、例えば北朝鮮に乗り込もうとしたり、北朝鮮に空港や国境で押し返されたりとか、なりふり構わず動くことはできないのでしょうか、そういった一つ一つの行動の積み重ねが、世界へ発信され、何かが変わるきっかけになるような気がするのです、日本の気概とでも言ったらいいのでしょうか、何が何でもという姿勢を見たいのです。
 これは横田滋さんもずっとおっしゃっていた。何か動くことで変化が起きるんだから、そのチャンスをつかもうじゃないかという呼びかけなんです。
 もう一つだけ、自分をも振り返る思いで紹介しますけれども、これまでに何人もの首相や拉致担当相とお会いしました、失礼を承知でちょっと厳しいことを言わせていただければ、今も昔も、与野党問わず多くの政治家は、拉致問題について頭の中では大事だとお考えくださっているのかもしれませんが、命懸けといいますか、本気の行動というものが見えてこないのです。
 だから、本気の行動を総理先頭にやろうじゃありませんか。そのときに、今日、白委員も質問されましたけれども、条件を付けない首脳会議、総理はあらゆるチャンスを捉えてという表現をされました。だけど、安倍総理も菅総理も、歴代の総理はあらゆるチャンスをつかもうとして頑張ってこられたと思うんです。だから、そういう意味では、条件を付けない首脳会談というのは、言葉は新しいけれども、二〇一九年の五月初めに安倍総理が始められましたけれども、それから何にも動いていない。
 前回、安倍総理にお聞きをしたときに、このパネル、同じものを使います。もう最後のところだけですけれども、首脳会談という話が出て期待した、早紀江さんたちも。だけど、それから何も動かない、静かなままだということが、一番下ですけれども、書いてあるんです。
 二〇一九年五月の初めに安倍総理が条件を付けない首脳会談を言って、そして、それから九か月後にこの産経新聞の紙面で早紀江さんは自分の思いを書かれました。それからもう二年半ですよ。条件を付けない首脳会談、静かですよね、動かないですよね。だから、これをどう動かすかというのが岸田政権の重要課題だと思うんです。
 そして、外務大臣にお聞きをしたい。
 国会の中では、与党の中にも野党の中にも、日朝平壌宣言なんてもう要らないんだ、あるいはストックホルム合意なんか要らないんだという意見あるんです。だけど、歴代、安倍政権も含めてですけれども、菅政権、岸田政権も日朝平壌宣言とストックホルム合意というのはこれからも守っていくと、そういう立場ですよね。その理由をお聞かせください。

#479
○国務大臣(林芳正君) 二〇〇二年の九月の日朝平壌宣言でございますが、この日朝双方の首脳の議論の結果として、日朝関係の今後の在り方を記しました、両首脳により署名された文書でございまして、これ北朝鮮側も否定をしておらないわけでございます。
 二〇一四年の五月のストックホルム合意は、拉致問題は解決済みとしていた北朝鮮との間で、それまでずっと閉ざされていた交渉の扉を開けて、北朝鮮が拉致被害者を始めとする日本人に関する全ての問題を解決する意思を表明させたという点で有意義であったと考えております。そういった意味で、引き続きストックホルム合意は有効であるというふうに考えております。
 我が国としては、この日朝平壌宣言において確認された事項が誠実に実行されることが何よりも重要であると考えておりまして、また、北朝鮮に対してストックホルム合意の履行を求めながら、一日も早い全ての拉致被害者の帰国を実現すべくあらゆる努力を傾注してまいりたいと思っております。

#480
○有田芳生君 二〇一四年五月、ストックホルム合意、あのとき総理は外務大臣でいらっしゃった。私も質問したことを覚えておりますけれども。あのストックホルム合意の、二〇一四年の秋から翌二〇一五年の初めにかけて北朝鮮側が、政府認定拉致被害者の田中実さん、そして北朝鮮に拉致された可能性を排除できない金田龍光さん、生存情報を何度か通達してきていますよね。

#481
○国務大臣(松野博一君) お答えをいたします。
 北朝鮮による拉致被害者や拉致の可能性を排除できない方については、平素から情報収集等に努めていますけれども、今後の対応に支障を来すおそれがありますので、具体的な内容についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

#482
○有田芳生君 政府認定拉致被害者の田中実さんが生存しているという情報を得ているのに、なぜ今後の対応、支障を来すんですか。もうあれから七年ですよ、七年。田中さんはもう七十ですよ。あの国でどうやっていらっしゃるのか、情報をつかんでいますか。何で聞かないんですか。序列があるんですか、拉致被害者に。

#483
○国務大臣(松野博一君) 繰り返しになりますけれども、情報収集に努めてはいますけれども、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、具体的な内容についてお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

#484
○有田芳生君 情報収集ではありません。政府が、北朝鮮から二〇一四年の秋と翌年に政府認定拉致被害者の田中実さんが生存しているという情報が来たならば、本当かどうか確認すべきじゃないんですか。

#485
○国務大臣(松野博一君) お答えをいたします。
 情報収集を含め様々な対応について努めているところでございますけれども、それぞれの対応につきましては、今後の方向、進め方に関して支障を来すおそれがあるということでお答えを差し控えさせていただきたいということでございます。

#486
○有田芳生君 田中さんも金田さんも神戸のラーメン店の同僚でした。
 私は、田中さんの同級生にも会ってきました。もう担任の方はお亡くなりになりましたけれども、田中実さんは生きているということが分かったならば、やはり一時帰国でもしてもらって、私たちは苦労したねと羽田で迎えたいんだという思いが今でもあるんです。
 だけど、北朝鮮から生存しているという通達があっても、何度もあっても、日本政府はそれを、あったかどうかも分からない、今後の対応に支障を来すと言うけれども、もう七年、元気なのかどうかも分からない。人命の問題でしょう、これは。一人からでも取り戻すという、そういう方向が必要なんじゃないですか。総理、いかがですか。

#487
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の情報に対してどう対応したか、こういったことについては具体的に申すことは控えますが、御指摘のように、例えば順番があるんではないか、序列があるんではないか、そのように委員おっしゃいましたが、そういったことは決してございません。拉致被害者の方、全ての拉致被害者の方を帰国させる、こうした目的は、目標は、今までもこれからも変わることはないと信じております。

#488
○有田芳生君 序列がないならば、田中実さん、金田龍光さん、本当に生きていらっしゃるのかというのは北朝鮮側と交渉をしてそれを確認をして、本人たちがどういう意向をお持ちなのか聞くのが日本政府の当然の態度だと思うんです。
 ましてや、田中実さんは北朝鮮で日本人女性と結婚しているという情報はあるんです。その日本人女性というのは誰なのか、拉致被害者なのか、これは重要な問題ですよ。だから、そういうきっかけを有効に使いましょうというのが、ずっと横田滋さんが強調してきたことなんです。動くことでいろんなことが出てくるんだと、そういう立場取っていただけませんか。

#489
○国務大臣(松野博一君) 総理から答弁をさせていただきましたけれども、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく全力を尽くしております。おりますけれども、それに至る道筋、プロセスについて言及することについては差し控えさせていただきたいと思います。

#490
○有田芳生君 終わります。ありがとうございました。

#491
○委員長(山本順三君) 以上で有田芳生君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────

#492
○委員長(山本順三君) 次に、藤井基之君の質疑を行います。藤井基之君。

#493
○藤井基之君 自由民主党の藤井基之でございます。自由民主党・国民の声を代表して質問をさせていただきます。
 質問に入る前に、今般の感染症パンデミックでお亡くなりになられました方の御冥福をお祈りいたしますとともに、療養を続けておられます方に対し、心よりのお見舞いを申し上げます。
 本日、私にとっては通例のとおりなんですが、新型コロナウイルス感染症対策を中心に質問させていただきますが、まず一番最初に、国民にとって関心の高い、十八歳までの子供への十万円相当の給付についてお尋ねをしたいと存じます。
 私ども参議院自由民主党では、世耕幹事長を座長にして、政審会長の私が座長代行として、不安に寄り添う政治のあり方勉強会というものを一昨年秋から進めております。今は、コロナ禍の不安に焦点を当てて、子供の貧困でありますとか、あるいは教育支援、食料支援等に取り組んでおりますNPOの方々からお話を伺っております。
 そこでは、子供の貧困、一人親世帯の貧困という問題はコロナ禍で可視化されたというふうに言われております。コロナによる経済的な損害は、被害は、観光やイベント、飲食業など、働くパートやアルバイトで生活を支えている人たち、彼らの収入が大きく減り、子育て中にあっては子供に食事も与えられないこともあるという、そういう話が多々聞こえてまいります。例えば、クリスマスなのにお菓子を買ってあげられない、公共料金の支払も不安だと、年末年始という華やぐ時期なのに子供に何もしてやれなくて苦しいと。こういった状況に日々接しているNPO法人の方からは、年末を迎えて一日も早い支援策が必要との要望を受けております。
 今回、政府は、子供たちへの給付に当たって最大限柔軟に対応するとし、昨日でしょうか、三つの選択肢を自治体に通知したと承知をしております。この選択肢を増やした判断というものは、私ども参議院自民党で聞き取ったような子育て世代、子供たちの厳しい状況や声を念頭に置いて決断し、困難な状況にある方々にできるだけ早期に、できれば年内に対策を講じたい、総理の強い思いが表れたものなのでしょうか、総理にお伺いしたいと存じます。
 あわせまして、経済対策においてどのような困窮者対策を講じているのか、これについても御答弁を願いたいと思います。

#494
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、この経済対策においては、お困りの方々に対して一日も早くこの支援を届けたいということで、この様々な対策を重層的に用意をいたしました。御指摘の十万円の給付、これもその一環であります。迅速に届けたいということで、コロナ予備費を使い、プッシュ型で児童手当の仕組みを使って給付を考えたということであります。そして、様々な御意見、そして国会での議論を経て、柔軟な制度設計を行わなければならないということで、三つの選択肢を用意したということであります。考え方につきまして、昨日、QアンドAの形で自治体に対してお示しをさせていただいた、こうしたことであります。是非、自治体とも意思疎通を図りながら、こういった対策をしっかり進めていきたいと思います。
 そして、困窮されている方々にどういった支援を用意しているのかということでありますが、この十万円の給付、これも一つ大きな取組でありますが、それ以外に、住民税非課税家庭に対する給付ですとか緊急小口融資の延長ですとか、それから求職者支援制度ですとか、様々な制度を用意して、できるだけ幅広いお困りの方々に対する支援を用意するという、この経済対策の全体像をつくり上げたということであります。

#495
○藤井基之君 ありがとうございました。
 加えまして、もしも時間がありましたら後で追加的に質問させていただきたいと思いますが、国民の中には、このような政府が一生懸命頑張って検討された内容は実は伝わっていないと、知らないという実は国民の方もいらっしゃるわけでして、そういった場合、やはり情報提供の在り方を考えなければ、私はテレビを見たことがありませんとか新聞も読んだことがありませんと、そういった方も結構いらっしゃるということを踏まえて対応を取っていただきたいと思います。
 それでは、コロナウイルス感染症に、質問をさせていただきたいと思います。
 もう早いものでございまして、中国武漢で最初の感染報告があってからもう二年がたとうとしております。この間、全世界で感染が広がりまして、感染者数は二億七千万人を超えております。死亡者も五百三十一万人を超えました。日本におきましても、感染者数は約百七十三万人、死者は一万八千人に上っております。(資料提示)
 お手元の資料一でございますが、我が国における新規感染者の発生というのは、このように波を打つように上がって、増えたり減ったり増えたり減ったりということを繰り返しておりました。そして、本年の七月初めから九月末にかけては、一日の新規感染者数が二万人を超える感染状態となりました。医療提供体制が逼迫し、自宅療養者に容体が急変しお亡くなりになるという大変悲しい事態も発生しました。この表の山になっている黄色のところです。そして、ちょっと薄い字で申し訳ない、薄い線で申し訳ないんですが、点線で、右肩にずっと上に上がっている点線がございます。これは、下にサイテーションしてありますように、我が国におけるワクチン接種の進行の状況を示しております。
 ここにありますように、我が国のワクチン接種というのは、実は今年の春からスタートをいたしました。ということは、先進国と比べますと実は遅いスタートだったと言えると思います。ところが、皆様方の努力あるいは国民の協力等々もありまして、実は現在、全国民の七九%に当たる一億人以上の方がもう既に一度は接種をしている状況になっております。そして、二回目の接種を終わった方、この方々も八〇%近くになっているという、ちょうど真ん中のところに、右肩上がっている数字でございますが、この数字が現在の接種の状況になってまいります。
 このような接種が伸びていっている状況と、そして感染が若干落ち着いてきているような、そういう感じを見た場合、やはりそうだと、ワクチン接種をすれば一定の、社会は集団免疫を獲得できるんじゃないかと、こう言われていた。我が国のこの状況を考えたときに、接種の状況が、ワクチン接種の状況が八〇%近くなっているじゃないか。そして、感染状況がこのように抑えられている状況を考えますと、ひょっとすると私どもが夢に見ていた集団免疫、それが獲得できたのではないかという説はいかがでしょうかと思います。
 あわせまして、そういうふうな、甘過ぎるということであれば、どうこの状況を考えて、何によってこのような感染が抑えられているのか、感染状況の推移とワクチンの接種状況の進行、あるいは政府のコロナ対策、これらについて現時点で総理はどのように評価をなさって総括されているか、それについてお伺いしたいと思います。

#496
○国務大臣(後藤茂之君) 感染者数の減少について、厚生労働省の専門家会議による評価では、多くの市民、事業者、感染対策に御協力いただいたこと、ワクチン接種率が向上したことなどがその要因として挙げられております。
 御指摘の集団免疫とは、一般的には、人口の一定割合以上の方が免疫を持つと、感染患者が出ても他の人に感染させにくくなることで感染症が流行しなくなる状態のことであるというふうに認識しております。
 繰り返しになりますけれども、感染者数の減少については、本当に国民の多くの皆様の御協力、そして複合的な要因であろうというふうに思いまして、集団免疫を獲得したかどうかというような専門の評価、専門家の評価はいまだなされておりません。
 いずれにしても、今後とも、オミクロン株の感染防止に万全を期す観点からも、三回目のワクチンの接種の推進やマスクの着用等の基本的な感染対策の周知徹底等を図ってまいりたいと思っております。

#497
○藤井基之君 ありがとうございます。
 今、集団免疫の獲得というのは判断が難しいという、それからそんなに簡単じゃないだろうという話で、確かにそういう説も多いのでありますが、ただ、報道によりますと、中国の専門家の方が、中国では本年内に集団免疫獲得できるんじゃないかという見込みを述べられたという報道も伝わってきておりまして、中国の現状を鑑みますと、日本の方がはるかに、今の時点で見れば非常に感染を抑えているんだと思っておりまして、この理論というのが実際にどうなるかということについては専門家の判断を委ねたいと思っております。
 これはちょっと視点を変えさせていただきますが、令和元年と令和二年の死亡者数の数を比較したものでございます。本来、この資料を出しますと、まず知っていただきたいのは、令和二年ってすごかったということなんです。何がすごかったかというと、令和二年、死亡者数が減ったんですね、我が国。二十年ぶりです。二〇〇〇年以来となります。何でこんなに減ったんだろうかと専門家の方はいろいろ解析をなさっております。
 ここにありますように、少し色を変えて書きましたが、その減っているところというのは、対前年増減にありますように、肺炎の数がすごく減っている。それから、インフルエンザの死亡者数が減っていることなんですね。これが大きく効いておりまして、逆に新型コロナウイルスは若干増えてきていると、こういう状況でございます。ですから、肺炎とかインフルエンザの呼吸器疾患が減少したために死亡者数が二十年ぶりに減ったんですよというのがこの表です。
 じゃ、これはひょっとしてコロナ対策の副次的な効果があったからこのような結果になったのではないかという説もあります。ただしかし、これについては、どうも今年になるとどうも違った様子になっていると。これが、その右側に少し書いております、点線の後に書いております数字なんですが、今年はコロナ感染者が増えるとともに、老衰だとか心疾患も増加しておりますし、自殺者も増えております。インフルエンザについては引き続いて非常に少なくなっている実態です。
 こういった状況に対しまして、国立感染研究所、この今年の一月から七月まで、超過死亡という、直接的な、コロナでよって亡くなったわけじゃないけれど、その関連的な、当然予測された死亡よりははるかに大きくなった、死亡していると、それが超過死亡が増えているという言い方をいたしますが、今年の一月から七月までの解析によると、これまでの推移と比べて大きく伸びてきている。実は、昨年までの六千三百五十人程度のものが今年三万四千四百八十三人へと増えたと、こういうコメントを国立感染研究所は出しております。
 このコロナの感染症の影響とも考えられる超過死亡というものについて、先ほどコロナに対する死亡率、日本は非常に少なくなっているということを申し上げましたけど、実はその側面的なところまで入れると、コロナの影響ってかなり大きな影響を社会にもたらしている、そういうことが言えるんじゃないかと思うんですが、この超過死亡の問題についてどのようにお考えになるか、御答弁をいただきたいと存じます。

#498
○国務大臣(後藤茂之君) 藤井委員は大変専門家でいらっしゃるので、分析が専門的に質問をしていただいておりまして、本年九月十日に公表しました人口動態統計によりますと、二〇二〇年の死亡者は前年に比べて八千三百三十八人減少いたしました。死亡数は高齢化の影響で例年増加しておりましたけれども、十一年ぶりの減少でございます。
 死因別に見ると、その主な要因としては、肺炎やインフルエンザなどの呼吸器系の疾患による死亡、また心疾患や脳血管疾患など循環器系の疾患による死亡の数が大きく減少したことが挙げられております。
 本年一月八日、一月から八月までの超過死亡数は例年の同期間と比べて最多となっておりまして、その要因の一つとして新型コロナウイルスの影響が専門家から指摘されているところでございます。

#499
○藤井基之君 ありがとうございます。
 今こういう状況ですから、政府は非常に次の感染の波が来る前にやれることを全てやっておこうという総理のお考えだと思いますが、非常にスピード感を持った対策を講じられております。すばらしいことだと思っています。
 ただ、そういった措置をとっているさなかでございますが、新型変異株といいましょうか、その問題が出て、世界各国の感染が広がってまいりました。
 日本におきましても、先月の二十八日にナミビアからの入国した外交官について水際検査で陽性を確認し、同行家族二人を含めて指定施設で停留をさせました。その後、この外交官の検体からオミクロン株が検出し、同じ飛行機の乗客全員を濃厚接触者として取り扱い、市中への広がりを防ぎました。現在、私が知っている範囲で、空港検疫で三十二例のオミクロン株感染者が報告されておりますが、日本国内における市中感染はゼロというふうに伺っております。すばらしいことだと思っております。
 一方で、諸外国の状況を見ますと、かなりオミクロン株の感染が広がっているようでございます。WHOの事務局長の話によりますと、オミクロン株は世界で七十七か国で確認されたという話を私も伺っております。
 改めてお尋ねしたいと思います。この水際作戦というものについては総理のかなりリーダーシップがあったというふうに伺っておりますが、この水際作戦の基本方針について総理から改めて答弁をいただきたいと存じます。

#500
○内閣総理大臣(岸田文雄君) オミクロン株の世界的な感染拡大を受けて、我が国としても水際対策、しっかり整備していかなければならないと認識するところですが、オミクロン株についてはまだ、この実態の把握、そのリスクの大きさ、まだ十分できて、把握できていない、こうした状況にあります。よって、この段階においては慎重の上にも慎重を期さなければならないということで、水際対策も緊急避難的な観点からこのG7諸国の中でも最も厳しい対策を講じさせていただいております。
 引き続き、実態の把握ができるまではこうした慎重な体制を続けていかなければならない、このように考えております。

#501
○藤井基之君 今総理から、このオミクロン株についてはまだ分からないことが多いというお話を伺いました。
 厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。
 それでは、逆に言いますと、現在までに得られたデータでこのオミクロン株の特性というものについてどのように認識をされているかをお伺いしたいと思います。

#502
○国務大臣(後藤茂之君) 今、国立感染所等においても、実験データ、それから疫学的データについてもまだまだ十分な情報が足りないということでございます。今、世界でも、例えば製薬メーカー、あるいはいろいろな団体、WHO等もいろいろ途中経過の議論をいたしておりますけれども、国会の場で特に正式にまだまだ評価についてお話をできるような状況ではないということでよろしくお願い申し上げたいと思います。

#503
○藤井基之君 ありがとうございました。
 今、パネルには、新型コロナウイルスにおける変異株というものについて、どのような経緯をたどって出ているかということを示しております。これにあります、今お尋ねしているのは一番下にありますオミクロン株について、これは右に最も早く検出した時期が表示してありますけれど、今年の秋になって出てきたばかりのものでございます。ですから、今大臣の御答弁にありましたように、なかなかはっきり分からないことが多いよねと、こう言われたのはそのとおりだと思っております。ただし、最近データがかなり出てきておりまして、少しずつその特性が分かってきているというふうにも思っております。
 ここに五つの変異株を示しました。これは、WHOがVOC、いわゆる懸念される変異株として出した五種類でございますが、このうち、世界的な感染の状況からいいますと、最初のアルファ株という、これイギリスで発見されたものでございますが、これの伝染性が強くて、これがかなりイニシアチブを持って感染を進めた。そして、その次に出てきているのがデルタ株と言われる、これが今、世界的にいうとデルタ株が多分一番ペネトレートしているんだろうと思います。そして、それが少しずつオミクロン株に変わりつつあるんだろうというふうに、そういう状況を考えた場合に、オミクロン株に対する現行ワクチンの有効性について、この評価は難しいかもしれませんが、とすると、現在はまだデルタ株が主流だとするならば、感染の状況、そうすると、現在のワクチンというものの効果というのはある程度分かっているわけだと思うんですが、これが現行ワクチンの接種を急いでいる一つの理由ではないかと思いますが、厚生労働大臣の御見解をお伺いしたいと存じます。

#504
○国務大臣(後藤茂之君) 今の委員御指摘のように、これまでのワクチンにつきましても時間の経過に従いまして感染防止力は落ちてくると、そして重症化防止効果あるいは発症防止効果、こうしたものについては半年はもつだろうということがこれまでのデルタ株を始めとしたある程度性状の分かっている新型コロナに対する評価でございます。
 そういうことを前提に、もちろん前倒しを考えるブースター接種の議論も少し前から始まっておりました。今回、オミクロン株がこうした形で、まだ性状がしっかり分からない状況の中で、しかし、相当に感染力も強い。感染力が強いということは、感染をされると重篤化された方たちが医療施設等をいっぱいにすると、そういう事態を考えまして、もう少しできる限りの情報を確認したところで、例えば全体としてのワクチンの供給量だとか、あるいは地方自治体の準備の状況だとか、そうしたことも踏まえた上で、できる限りの前倒しを優先順位を付けてやっていくという議論に今ブースター接種の議論はなっております。

#505
○藤井基之君 お互いに手探りの状況で質問をし、答えをするというので何ともまどろっこしい感じがしますけど、今申し上げましたように、現行のワクチンというものはどちらかというとデルタ株に対してかなり効力を持っている、だから今急いでやるんだということを申し上げました。
 私、お尋ねしたいのは、次は、今度新しく出てきているオミクロン株に対して現行のワクチンの有効性はどう考えるか。それについて、今大臣からちょっとコメントありましたように、例えば発症予防に対する効果はどうか、あるいは重症化に対する予防効果、それらについてもしも知見がありましたら御披露いただきたいと思うんですが、いかがでしょう。

#506
○国務大臣(後藤茂之君) 先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、オミクロン株についてはここでお答えできるような知見をまだきちっと持っておりません。
 ただし、ワクチンを作りました製薬企業等では三回目の接種には効果があるということ等発表をいたしておりますけれども、そのことについてもいろいろ判断をさせていただいて、ワクチンの効果、完全にオミクロン株に対する効果を見極めることはできないと思います。しかし、ある程度の情報を踏まえて、そしてなるべく国民のリスクを少なくして、国民に安心していただけるようにできる限り早くに接種を進める決断をさせていただくということが政府の方針でございます。

#507
○藤井基之君 ありがとうございます。
 昨日の夜なんでしょうか、厚生労働省におきましては、そのブースター適用というものにおいて、モデルナのワクチンについてもその認可の方向を決めたという情報に接しております。
 厚生省は、このブースター効果に対する承認といいましょうか、その手続に入ったということですが、そうなりますと、モデルナのワクチンというのはブースター接種に対していつ頃から使われることになるんでしょうか。分かる範囲でお答え願えませんでしょうか。

#508
○国務大臣(後藤茂之君) 先生御承知のように、まずブースター接種をするにも薬事承認に追加の薬事承認が必要になりますので、厚科審でまずブースター接種の薬事承認を取るということになります。それは、我々が政府として決めることではなくて、専門家の皆様に決めていただくことになります。それが出れば、できる限り早くに特例承認を行って、そして、十二月にもし特例承認が下りるということであれば、ブースター接種は早速、今既に相当数のワクチンをお配りしてございますので、早速ブースター接種、一月からでも始めるということでございます。

#509
○藤井基之君 私が接している報道によれば、もうこの認可の方向性ということが決まって、二十四日にもクリスマスプレゼントでモデルナのこの接種、ブースター接種の承認が下りるんだというふうに報道では言われております。今、大臣はそこまでおっしゃられなかった、年内という言葉がありましたけど、私はクリスマスプレゼントが国民はもらえるんだろうと期待をしております。
 総理にお尋ねをしたいと思います。
 このブースター接種、三回目の接種というものについて、これまで総理は所信表明におきましても、承認されたらモデルナも活用して、八か月を待たずに接種をすると、そしてそれを、可能ならできる限り前倒しをしますと、そういうふうに表明をなさっております。
 これまでのワクチン接種の経験を踏まえてこのブースター接種をいかに進めていくお考えなんでしょうか。漠然としたものでも結構でございますから、総理のお口からお願いをしたいと存じます。

#510
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、ワクチン接種につきましては、当初、八か月以降の、二回目の接種から八か月以降の方々から順次接種をすることを原則としておりましたが、感染防止に万全を期す観点から、できるだけ前倒しをするということを表明させていただいております。
 このワクチンについては、先ほど来議論になっておりますモデルナ社のワクチン、そしてファイザー社のワクチン、この二社のワクチンを合わせると、来年分として一億七千万回分の供給を受ける契約、これは締結済みでありますので、こうしたワクチンをしっかり確保し、具体的にこのワクチンを確保する努力をしながら、一方で、これ多くの自治体に御協力をいただかなければなりません。自治体の体制等もしっかり勘案しながら、この接種のスケジュールをしっかり作っていかなければならないと思います。
 できるだけ早期にこうした具体的なワクチン接種のこの取組の全体像を確定し、できるだけ早期に自治体の皆様方にそれをお示しし、スムーズにこうした三回目の接種が進むよう努力をしていきたいと考えております。

#511
○藤井基之君 ありがとうございます。是非ともそのような方向でお願いをしたいと思っております。
 これもお答えがどこまでできるのか私存じませんけれど、モデルナの製品が認可を受けるとするなら、ブースターに対して、ファイザー社製の製品とモデルナ、二社のワクチンを使うことが可能になってくると考えます。この際、これ衆議院でも質疑が出ておりましたが、この場合、二種類あったときですね、このブースターの接種を、私はこっちがいい、ファイザーがいい、あるいは私はモデルナがいいと、そういう意見が出得ると思うんですね。
 そうしたときに、今までの政府の御答弁の中心がですね、供給がこうなっているからこっちが多いかもしれないとかですね、ということよりも、私は、この二つというのは効果がどうなのかとか副作用がどうなのかと、そちらから国民に対してちゃんと説明する必要があると思っておりますが、これらの効果、ブースターとして使った場合、ファイザーの製品とモデルナの製品というのは違いがあるのか、それとも双方同様と考えていいのか、これについても厚生労働大臣の見解を伺いたいと存じます。

#512
○国務大臣(後藤茂之君) ちょっと、いろいろ御質問の御通告が余りないものでありますから、少し、(発言する者あり)いえいえ、非常に本質的な質問ばかりでございまして、私が対応しなければいけないんですけれども。
 一つだけ最初にちょっと訂正をさせていただきたいと思うんですけれども、先ほどちょっと、二十四日とかいろいろおっしゃっておられたので、何のことをおっしゃっているのかちょっとよく分からなかったという事情もありますけれども、薬事承認、ブースター接種の追加承認についてですね、薬事承認ですね、そのことについては、薬食審を開きましたので、それについてはもう即承認をいたしました。
 質問はちょっとお願いいたします、もう一度。

#513
○藤井基之君 端的に申し上げますけど、ブースター接種をするときに二つの製品が供給されるとなったときに、つまり、被験者の方、国民の方は選べますかということ。選ぶときの基準が今までは、どうも政府側の御説明は、供給がこうなっているから選び方がどちらが多くてどちらが少ないという、そういうお答えを聞いているけど、そもそも効果とか副作用とかで見たときに違いがあるのかどうですかということをお尋ねいたしました。

#514
○国務大臣(後藤茂之君) 大変失礼をいたしました。
 ブースター接種につきましては、個別のワクチンの承認につきましてはそれぞれ後から追っかけておりますが、その前に審議会の方で、ブースター接種については、メッセンジャーRNAの二つのワクチンについてはこれは認めるべきだという結論が出ておりまして、そういう意味では、どちらのワクチンを打っていただいてもいいという状況になっております。
 特に厚生労働省の方でどちらの方がいいとか悪いとか、そういうことを申し上げていることではございませんが、従来ファイザー、ファイザーで打った方がファイザーで打ちたいとか、いや、今度はどちらにしてみようとかいうようなことは、選択は、いわゆる予約の自由はあるという意味で選択はございます。ただ、供給制約等もありますので、できれば打てるワクチンで打っていただければよいというふうに思っております。

#515
○藤井基之君 ありがとうございました。
 今お話があったように、ブースター接種に対しては、厚生労働省の薬審の方も、今でもこれは十八歳以上というふうに対象がなっているわけです。でも、世界では、例えばアメリカにおいては、ブースター接種をもっと年齢を下げて十六歳までも構わないよという、そういう判断をもう既にアメリカのFDAなんかはしているわけですね。
 そういう状況があるわけですが、日本においてもこのようなブースター接種の年齢対象を下げるような、そういった検討というものを厚生労働省としてはなさっているんでしょうか。どうでしょう。お答えができる範囲で結構です。お答えを願えますか。

#516
○国務大臣(後藤茂之君) 五歳から十一歳までの子供のワクチンの接種でございますけれども、(発言する者あり)ブースター接種の……。

#517
○委員長(山本順三君) では、ちょっと一旦席に戻ってください。

#518
○藤井基之君 繰り返しますが、ブースター接種でモデルナの製品が申請されて、先ほど中薬審に認可されたと言われた。それは十八歳以上は対象になっているんですよ、そうですよね。ですから、その十八歳以上となっているけど、世界によっては十六歳以上の方も接種できますよという、そういった判断を示している国もあるわけです。
 ですから、日本においてもそういった方向への判断という、あるいはそういう検討をなさっていますかということをお尋ねしました。

#519
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
 ワクチンの追加接種につきましては、厚生科学審議会というところで議論をしております。こちらでは、今、初回で子供のことについては議論しておりますけれども、追加接種につきまして、十八歳以下までやるかということについてはまだ十分な議論はされておりません。

#520
○藤井基之君 それで、先ほど厚生労働大臣が御答弁を始めていただきました、年少者といいましょうか、いわゆる若い方に対する接種の問題について質問をさせていただきたいと思います。
 この図は、先ほどの一番で示した実は出典と同じ出典なんですが、見方が、角度を変えてこれを図表にしたものです。何かといいますと、年代別に見た接種率の割合を示しているんですね。ですから、割合ですから絶対的な数字ではないということに対する注意が要るんですが。
 ここにありますように、今年のお正月の頃からやっぱり割合が高かったのは、このダイダイ色の六十歳以上の方々、この接種が非常に高い数字なんですね。そして、それが下がってまいります。そして、それに対して、一方、増えてきているのは、例えば十二月の数字のところ見ますと、濃い色の線、棒グラフが右肩が上がってきているわけですが、これは十代以下の方を示しているんです。
 つまり、年少者に対してどうして接種を進めるようにするかという一つの根拠というのはここにあるんだろうと思っております。今まで接種対象の年齢が、最初は十八歳、その次十六歳、その次十二歳と、こうだんだん下がってきているわけですね。今、世界では、その下の年齢層、例えば南アの今回のオミクロンの感染なんて五歳から以下の人も感染しているという話が結構出ている。そうなると、これから先、このワクチン接種というもの、日本におきましても年齢層の低い方々に対してどうするのか。それについて厚生労働大臣の御判断、あるいは御見解を伺いたいと思います。

#521
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
 今、十一歳未満の小児に対するワクチンの接種につきましては、厚生労働省に設置します厚生科学審議会、こちらで議論を今行っているところでございます。

#522
○藤井基之君 この先、非常に年齢層の低い方々に接種を進めるとなったとき、それが必要だと分かっても、例えば親御さんがどう判断されるか、あるいは御本人がどう判断されるかという、これなかなか難しいところがあります。
 先般示されました成育医療センターの調査によると、小学生の五五%は接種をすぐに受けたいと言っている、保護者も七割の方が子供への接種を希望していると、そういう調査の結果もあるわけです。ですから、小さい子供さんが一概に注射嫌だと言っているわけでもないんですね。
 ですから、これから先、そういった方々にも接種をしなきゃいけないという社会的要請が強くなったときに、行政庁はそういった方々に対して的確な情報提供をしなければならないと思っておりますが、それに対するお考えがありましたら御答弁を願いたいんですが。

#523
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
 今、厚生科学審議会というところで議論をしておりますけれども、議論に当たりましては、情報をしっかりオープンにして、また、ワクチンでありますので、メリット、デメリットございます。特に、小さなお子さんに接種する場合、この点については非常に慎重にやる必要があるとも考えておりますので、十分な審議、そしてまた審議の情報について国民の皆さんにお知らせするということに心掛けてやっていきたいと考えております。

#524
○藤井基之君 次に、治療薬についてお尋ねさせてください。
 総理は、一つの切り札、いわゆる切り札としてですね、口から飲むお薬というのを何とか早く実用したいというふうにおっしゃられています。私もそのとおりだと思っています。
 古い話なんですけど、我が国で、文政五年というから一八二二年なんですが、その年の秋、日本ではコレラがはやりました。世界的にはやったんですけど。そのとき、実は、当時の薬業産業の集積地っていうのは実は大阪の道修町というところなんです。今も薬の問屋がいっぱいあるところなんです。そこの薬種組合が、今考えると中身がはっきり分からないんですが、虎の頭の骨が入ったような丸薬、虎頭殺鬼雄黄圓丸とかというお薬を作りました。そして、それに併せて疫病よけの張り子の虎を配ったという記録が残っております。
 ですから、病気に苦しむ人々が頼りにする、待っているというのは、今も二百年前も違わないんだろうと思うんです。まさに今でも、国内における患者さん、あるいは世界の患者さんは、飲み薬、早く世に出してもらいたいと思っているわけです。それについてお伺いしたいと思います。
 経口治療薬の早期実用化に向けて政府はどのように対応しようとしているのか、総理にお伺いしたいと存じます。

#525
○国務大臣(後藤茂之君) 新型コロナウイルス感染症に対する経口薬については、世界で複数の治療薬の開発が進められておりまして、政府として既に百六十万回を確保いたしております。年内実用化を目指して、薬事承認が行われ次第、速やかに医療現場にお届けをしてまいります。
 国内企業が開発している経口薬を含め、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬の研究開発や医療機関の治験などを積極的に支援しております。このうち国内企業が開発している経口薬は複数あり、その中には、現在、国内二、三相試験が実施中のものもございます。それらの経口薬の臨床試験の完了時期は、感染状況にもよるため一概にはお答えしかねるものの、厚生労働省としても必要な支援を行うとともに、臨床試験データが得られ、企業から申請があった場合には優先かつ迅速に審査を行い、有効性、安全性が確認されれば、速やかに承認の手続を取りたいと思っております。

#526
○藤井基之君 ありがとうございます。
 今お話がありましたけど、実は、経口避妊薬も、あっ、ごめんなさい、経口の治療薬も世界の製品の方が早いんですよね。国内開発もありますと今大臣おっしゃられましたけど、それよりもっともっと早い、例えばメルク社がもう既に日本政府に対して申請をしているわけですよね。その方が常識的に考えたら早く認可されるだろう。しかも、これはもう政府は承認の暁には百六十万回分ですか、もう入手のお約束をされているというものです。
 なぜ国内開発が後手後手を踏むのかと、ワクチンのときもありました。これは、一つには、私は、我が国における有事における法制度が欠けているからじゃないかと思っております。これについては、総理も今まで所信なんかでお話しになっていますけど、法制面を含めた対応というものが必要だということで、特に今多くの製品が外国から来る場合、特例承認制度が使われているわけですね。まさに特例的に承認します。
 ところが、この特例承認というのは、外国で使われている商品に対しては特例承認ができる。ところが、日本で、世界で使われていない、日本で初めてといったら、この商品に対する特例承認制度というのはないんですね。ですから、日本がどうしても遅れてしまうんじゃないかと。
 ですから、これから国内製品の実証化を早くするためには、法制度を含めた検討が必要だと思っております。これは、総理も法制面を含めた検討をしていますということを今までも発言なさっておりますが、この法制面の検討等がどのような状況になっているかということを厚生労働大臣に伺いたいと思います。

#527
○国務大臣(後藤茂之君) 先生今御指摘になられましたように、日本の特例承認制度は、外国で承認されたワクチンや製品に、医薬品に限られて適用になります。そうなりますと、どうしても外国で承認した後に日本での治験をした後の承認ということになります。
 そういうこともありまして、今、緊急時に日本においても新たな承認の制度、今検討中でございまして、法制化に向けて進めてまいりたいというふうに思っております。

#528
○藤井基之君 ありがとうございました。
 是非、有事の際必要な法制度というものを早急に用意していただきたいと思っております。それの法案審議については積極的な参画をさせていただきたいと思っております。
 我が党の代表質問におきまして、日本の博士課程へ進む進学者が減ってきているというお話をさせていただきました。実は、薬学領域についても同様でございまして、新薬関係の研究をする、そういった薬学の博士号を取った、大学院を終わった人々、この方々が実は数が非常に減ってきているのが今実態でございます。これはまさに、明日の創薬研究の人的資源が枯渇する心配があるということになる。
 私は、こういった大学院を、博士課程、これらの方々に対する支援といいましょうか、そういったものが大切だと思っておりますが、文部科学大臣の御見解を伺いたいと思います。

#529
○国務大臣(末松信介君) 御指摘をいただきまして、ありがとうございます。
 我が国の創薬力強化のためには、将来のイノベーションを担う科学技術分野の人材育成を強化することが必要でありまして、そのためには優秀な若者が博士課程に進学するというキャリアパスを充実させる必要がございます。
 しかしながら、先生御指摘のとおり博士課程への進学者は減少しておりまして、進学を断念する理由として経済的事情を挙げた者が約四割、就職の心配を挙げた者が三割強であるとの調査報告もありまして、この事態は将来の我が国の国際競争力の低下を招きかねない状況であります。
 このような状況を打破するためには、文部科学省としましては、令和三年度から創薬に関わる分野も含めまして広く博士課程学生への経済的支援の抜本的な拡充に取り組んでおります。また、あわせまして、日本医療研究開発機構等を通じまして、若手研究者の優先的採択など若手支援のための取組を実施をしているところでございます。
 それにしましても、十月に東大の医科学研究所に参りまして、藤井総長立会いの下で六人の博士課程の研究員と話合いをいたしまして、感染症の研究をなさっておられるんですけれども、そのことを聞きましたときに、生活は何とかできるけれども結婚はできないという話でありまして、大変印象的なことをおっしゃいました。厳しい事情が分かったところでございます。しっかりと取り組んでいきたいと思います。

#530
○藤井基之君 文科大臣にもう一度お出ましを願いたいと思っております。
 今、これ、パネル、お配りしましたのは、実は日本におけます都道府県別に見た薬剤師さんの人口当たりの人数なんです。それを都道府県別に見ております。一番少ないのはどこかというと、全国平均を書いている表でいうと右の端から二つ目、沖縄県でございます。沖縄は来年復帰五十年、五十周年を迎えるわけですが、この五十年間、沖縄には薬学を教える学部も大学もありません。そして、沖縄島においては薬剤師不足が非常に問題になっているということでございます。
 こういった状況を受けまして、沖縄県におきましては、県民の方を対象にして薬学部設置の署名運動が行われておりまして、二〇一八年に約十万人の署名を添えて、当時の国立の琉球大学が移転する経緯がありましたが、そこで薬学部設置を要望をいたしております。この決着はまだ見られておりません。また同様に、現在、県北の十二の市町村が運営する公立の名護市の名桜大学というんでしょうか、そこに対しても要望をしているということです。
 沖縄が本土復帰して五十年間ですが、薬学教育が一切行われたことがないわけでして、そして、沖縄から例えば本土に来て教育を受けたら、その方々はもう沖縄に戻らないというんですね。ですから、どんどんどんどん減ってきている。これが今の実態なんです。
 こういった状況を考えた場合、この五十周年ということを機会に、本土並みの教育を受けられるような環境を沖縄にも用意すべきだと思うんですね。文部科学大臣のお考えを伺いたいと思います。

#531
○国務大臣(末松信介君) お答え申し上げます。
 沖縄県におきまして薬剤師が不足しているという現状につきましては、文部科学省も認識をいたしております。全国平均十万人当たりの薬局・医療施設に勤務する薬剤師数は、全国平均百九十人ですけれども、沖縄県百三十九・四人ということで最下位でございます。したがいまして、薬学部の新設に関する要望があることも承知をいたしております。
 先生に申し上げたいことは、薬学部の新設につきましては、現在、政府としては抑制を掛けているものでは全くございません。各大学がそれぞれの教育理念や目標や地域における人材需要などの社会的ニーズを踏まえた上で、必要となる専任教員数、施設、設備等を確保するなど、主体的な計画を組んでいただく必要がございます。
 現在、沖縄県におきましては、先ほど先生、話ありました名桜大学ですね、この県内の大学における薬学部の新設について調査研究を実施しているとも承知をいたしております。
 文部科学省としては、こうした調査研究に協力をするとともに、沖縄県下の大学から相談があった際には丁寧に助言し、積極的な必要な支援を行ってまいりたいと思います。加えて、席に戻りましたら、この委員会終わりましたら、西銘大臣にも厳しくお話を申し上げたいと思ってございます。
 以上でございます。

#532
○藤井基之君 ありがとうございます。このテレビ、沖縄の皆さんも見てますから、今のはちゃんと記録に残っていると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、寒くなってまいりましたので、感染症の問題で、自然災害が多いし、冬になってきて避難所でのいわゆる感染症対策、これについてお伺いしたいと思います。
 冬場というのはなかなか、寒いので換気することも大変だと。密閉度は高くなります。そして、飛沫も飛散しやすくなってくると。ですから、通常の気象のいいときと比べて冬場のこの避難所の感染症対応、特にいろいろな対応が必要なんだろうと思っております。二之湯防災担当大臣にお伺いしたいと存じます。

#533
○国務大臣(二之湯智君) 専門家の藤井先生には釈迦に説法でございますけれども、避難所においては、密接、密集、密封の三つの密を避けて感染防止に十分留意する必要がございます。このため、避難所の運営に当たっては、手洗い、消毒、マスクの使用など基本的な感染症対策、パーテーション等を活用した避難スペースの、避難者スペースの十分な確保、さらに避難所における十分な換気、さらに、宿泊療養施設等に避難できない感染者があった場合には一時的な避難スペースとして一般の避難所とは別な建物を確保する必要があることなど、今まで自治体への助言、指導に当たってまいりました。
 御指摘の、これから新しい変異株等の対応についても、これまでの新型ウイルスの感染対策の徹底が重要であると厚生労働省に確認しているところでございます。
 内閣府としては、より一層の徹底が図られるよう、避難所を開設する市町村への助言、指導など、関係省庁や自治体と連携し、避難所の新型コロナウイルス感染症対策に努めてまいります。

#534
○藤井基之君 ありがとうございました。
 今御答弁いただきました二之湯大臣と末松大臣が中心になりまして、昨年、私ども参議院自民党政審室には地方議会からの意見書に関するワーキングチームというのをつくらせていただきました。そして、そこで提出された地方議会から受け付けた、受理した意見書というのは六千五百四十六件ございました。これを事務的に整理させてみますと、その数のうち全体の三分の一というのは、実はこれ新型コロナウイルス感染症に対する要望等の内容なんです。今、G7のトップになったワクチン接種率を誇りますけれど、これも全国の地方公共団体の力があればこそのものだと思っております。
 地方議会からの意見書の意義をどのように捉えているのか、総務大臣にお伺いしたいと存じます。

#535
○国務大臣(金子恭之君) お答えいたします。
 地方自治法の規定により、地方議会は、地方自治体に関係のある事柄について、意見書を国会や関係行政庁に提出することができることとされております。これは、地方議会が住民を代表する機関であることを踏まえ、国などの政策に権限を有する機関等に対し意見表明を行う手法として設けられているものでございます。

#536
○藤井基之君 意見書の意義については分かりました。
 ここで要望の多かったワクチン、いやコロナ対策について、これは先日、各省庁の方々と御意見伺ったら、いわゆる財政対応というのは私の省庁じゃありませんという消極的な権限争いが繰り返されたので、これはもう聞かないでいこうと思っております。
 最後に一つお尋ねしたいと思います。中国の人権問題に対する対応でございます。
 香港、チベット、新疆ウイグル自治区などの人権問題。これについては、米国、英国等は北京五輪に対する政府高官の派遣を取りやめることを明らかにしております。
 先日、総理はオンラインで開催された民主主義のためのサミット……

#537
○委員長(山本順三君) 時間が参っておりますので、おまとめください。

#538
○藤井基之君 はい。さっと読みます。
 深刻な人権についてしっかりと声を上げていくということを呼びかけられたということを理解しております。是非その方向で対応を取っていただきたいと思います。
 済みません。終わります。

#539
○委員長(山本順三君) 以上で藤井基之君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────

#540
○委員長(山本順三君) 次に、長谷川岳君の質疑を行います。長谷川岳君。

#541
○長谷川岳君 自由民主党、北海道の長谷川岳です。
 早速質問に入らせていただきたいと思います。
 今年四月、七月よりですね、北海道内百六十市町村を回りまして、コロナ対策、そしてアフターコロナの町づくりの意見交換を行ってまいりました。市町村の評価の大半はワクチン接種でありました。スピード感ある接種体制に感謝する声が多くありました。改めて、岸田政権、そして礎をつくっていただきました菅前政権にも敬意を表したいと思います。
 一方で、二万人以下の人口規模の小さい市町村、ここは、町の飲食店の時短は、もうこれは実質の営業閉鎖に近いと、そういった声が多くありまして、十万人以上の町の早期ワクチン接種を含めたコロナ対策、そして二万人以下の市町村のコロナ対策というものは今後変えていく必要があるのではないかと思いました。
 岸田政権において、まず何よりも傷んだ市町村の経済対策、そして地域のコミュニティーの復活、そしてコロナ後の新しい日本の成長戦略、この観点で質問したいと思います。
 まず冒頭でございますが、雇用調整助成金が果たす役割について伺いたいというふうに思います。
 様々な報道も出ておりますけれども、雇用調整助成金につきまして、そもそもの意義と意味、そして誰を対象としたものかを含めて総理の明確にお答えをいただきたいと思います。

#542
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 雇用調整助成金ですが、雇用保険法上の事業であり、雇用保険の保険事故であるこの失業を防いで雇用の安定を図る、これを目的として実施されるものであります。

#543
○長谷川岳君 ありがとうございます。
 そこで、今日は総務省の統計局の労働力調査に基づいてお尋ねをしたいと思います。パネル一を御覧になっていただきたいというふうに思います。(資料提示)
 折れ線グラフで完全失業率、そして棒グラフで就業者数を示しております。この折れ線グラフを見ていただきますと、今、岸田政権におきましては、完全失業率二・七%に抑えられております。高く評価されるべきことだと思います。
 一方で、この完全失業率と雇用調整助成金との関係についてお尋ねをしたいと思います。
 この二・七%、雇用調整助成金が入った上での、雇用を保つ上での数字だと思いますが、仮にこの雇用調整助成金がない場合はどれぐらいの完全失業率の数値になるか、厚労大臣に伺いたいと、そのように思います。

#544
○国務大臣(後藤茂之君) 雇用調整助成金による完全失業率の抑制効果について、今一定の仮定の下に推計をさせていただきました。先生の御指摘だったんでやってみましたが、相当の幅を持って見る必要があるものの、雇用調整助成金等の支給により、二〇二〇年四月から十月の完全失業率が二・六%ポイント程度抑制されたと見込まれております。

#545
○長谷川岳君 この雇用調整助成金によってこの失業率というものの抑制効果が出ているという話を大臣から伺いました。
 今、政府では、雇用調整助成金、来年三月までとなっておりますけれども、この雇用調整助成金をなくした形でこの低水準というものを三月以降も維持できるとお考えでおるか、総理に伺いたいと、そのように思います。
   〔委員長退席、理事堀井巌君着席〕

#546
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、雇用調整助成金については、これまで前例のないこの特例措置を講じて雇用の維持、支援してきたところですが、今般の経済対策において、雇用調整助成金の特例措置、令和四年三月まで延長する、これに加えて、この経済対策の中に、人材育成の強力な推進に取り組むため、この人材、人への投資を抜本的に強化するため、三年間で四千億円規模の施策パッケージを新たに創設するなど、様々な施策を用意いたしました。
 二・七%、これを維持できるかということでありますが、こうした様々な施策を通じて是非この低い水準を維持するようしっかり努めていきたいと考えております。

#547
○長谷川岳君 パネル一、もう一度御覧ください。今度は棒グラフの方を見ていただきたいというふうに思います。
 懸念材料として、この直近の二〇二一年十月の調査結果を見ますと、対前年の月から三十五万人、就業者数の減少が見られます。この点について、厚生労働大臣、どのようにお考えか、伺いたいと思います。

#548
○国務大臣(後藤茂之君) 足下の二〇二一年十月の就業者の数の動きを見てみますと、前年同月と比較しまして三十五万人の減少となっております。その産業別では、宿泊業、飲食サービス業などで大きな減少が見られております。
 こうした背景には、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、感染状況の変化に応じて人流が抑制され、それに伴いまして社会経済活動が停滞したことなどが考えられると思います。足下の雇用情勢については引き続き厳しさが見られるという認識でございます。
 厚生労働省としては、引き続き雇用と暮らしを守るために必要な対応を全力で進めてまいりたいというふうに思っております。

#549
○長谷川岳君 コロナ禍ではこの就業者数も非常に懸念されることでありますし、何よりも非正規雇用、ここの数字には出ないんですが、非正規雇用の方々のシフトが最近増えていません。低賃金のままぎりぎりの状態が続いているということも、大臣として何らか手を打たれるべきではないかということを要望としてさせていただきたいと思います。
 次に、パネル二を御覧になっていただきたいと思います。
 総務省統計局の労働力調査の主な産業別就業者数、一年前からの増減という形になります。この労働力調査によりますと、コロナ禍における産業別就業者数としては、この宿泊業、そして飲食サービス業、それから卸売業、小売業、そして生活関連サービス業、娯楽業が圧倒的に数字が低いことがこの労働力調査で分かります。
 この減少幅上位三産業のデータに基づいて、この経済対策あるいは補正予算案ではどのような対策を講じられているか、まずは経済の再生担当大臣から伺いたいというふうに思います。

#550
○国務大臣(山際大志郎君) 委員御指摘のとおりに、特に飲食サービスにおいて、しかも非正規の女性の雇用が相当失われてきたというのがデータで出てございます。ですので、これは一つの政策でそういう方々を全てサポートするということは不可能なので、大変多くのものを複合的にやらせていただいてまいりました。
 まず、そのお店というものに焦点を当てれば、協力金、今まで、まん延防止等重点措置だとか、そういうときの協力金等々ありましたし、また雇用調整助成金、先ほどのお話もございました。あるいは、中小企業の地域、業種を問わない事業復活支援金もございますし、無利子無担保のゼロゼロ融資と言われるようなものも続けてございます。あるいは、住民税非課税世帯への十万円給付というようなこともありますし、様々なメニューはあるんですけれども、おっしゃるように、これからどうするかということについては、この今回の補正予算を通して、この政策を通して、その次の段階で更にきめ細かく見ていかなくてはいけないと思っております。

#551
○長谷川岳君 落ち込みの特に大きい宿泊業に対してはどうか、観光庁長官に伺いたいと思います。

#552
○政府参考人(和田浩一君) お答え申し上げます。
 観光産業については、新型コロナウイルス感染症の影響によるインバウンドの落ち込みなどによりまして極めて厳しい状況に陥っており、インバウンドが回復基調に戻るまでの間、しっかりとお支えしていく必要があると考えております。
 そのため、新たな経済対策においては、需要喚起策のほか、地域一体となった宿や観光地の再生、高付加価値化、また、デジタル技術を活用した宿泊施設による顧客管理の高度化、さらには、地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出などに対する支援を盛り込むなど、投資喚起、またデジタル化などの観点も含め、観光産業を多面的に支援していくこととしております。
 今後も、その時々の経済動向等に応じて必要な支援を継続的に実施できるよう、適切に対応してまいります。

#553
○長谷川岳君 今お話をいただきました宿泊業、サービス業については、数値が低い大きな要因として、やはりインバウンドがまだ回復していないということだと思います。オミクロン株等も含めてインバウンドが復活しない中で、コロナ対策予算というのは、インバウンドが従前の水準に戻るまで続ける認識を総理がお持ちかどうか。インバウンド、アウトバウンドがコロナ対策の予算の今後の一つの基準になることが明らかではないかと。総理のお考えを伺いたいと思います。

#554
○内閣総理大臣(岸田文雄君) インバウンド、アウトバウンド、この観光関連産業を含めて事業者の皆様方の事業の継続と雇用を守り抜くこと、これは強い決意を持って臨まなければならない課題であると認識をいたします。
 この今回の経済対策においても既に手厚い支援を講じているところです。観光関連では、GoToキャンペーン等の国内の需要喚起の事業、これは準備をし、状況を見ながら、こうしたこの対策を再開するタイミングを計っていきたいと思っておりますし、また、このインバウンドについては、そのポストコロナの時代、これをしっかり見据えて、観光地の再生、あるいは高付加価値化に向けた宿泊施設の改修等の支援、こうした予算も盛り込んでいるところであります。

#555
○長谷川岳君 ありがとうございます。
 次に、コロナ対策における中小企業支援及び中小企業・小規模事業者の皆様を支える支援者、つまり、商工会あるいは商工会議所の支援体制について伺いたいと思います。
 今回の補正予算においては手厚い支援が行われると認識をしています。
 パネル三を御覧になっていただきたいというふうに思います。中小企業関係補正予算案というものを一覧として経産省からいただいております。この中で、事業復活支援金、あるいは事業再構築補助金、あるいは資金繰りの支援、そして、「がんばろう!商店街」事業など多岐にわたっております。
 しかし、この一方で、地元の皆さん、地域歩きますと、メニューが多いと。非常に有り難いんだけど、どのように申請をしたらいいんだろうかというような、迷う事業者の皆さんがほとんどであります。
 特に、市町村の商工会、商工会議所には、会員事業者の皆様から相談も殺到をしています。問合せあるいは申請のお手伝い、そして、採択若しくは不採択のフォローやあるいはクレーム処理も全て請け負っていただいているだけではなくて、市町村の臨時交付金を使った事業者支援に対しても大きく関わっていただいております。市町村の商工会、商工会議所、まさに今パンク寸前だと、そのような認識を持ちました。
 コロナ前に地域経済を支えた事業者の皆さん、ホテルや旅館、土産物店あるいは観光地、待ったなしの支援策が求められている中で一刻も早く支援策というものをお届けすることが非常に重要であると、そのように考えています。
 それと同時に、中小企業・小規模事業者の皆様を支えるこの支援者、すなわち商工会、商工会議所の皆さんがしっかりと企業の悩み、それから希望を共有をしてこの新しい一歩を踏み出すということが重要であると考えております。
 コロナ禍と今とは、やはり平時ではなくて、まさに今は非常時であります。通常ですと三位一体改革、地方分権、非常に重要な取組である一方、この非常事態においては、平時とは異なって、現場の声を真摯に向き合うことが重要であります。すなわち、コロナ禍において、地方自治体任せでなくて、国、商工会、商工会議所に対してしっかりと支援を行っていく必要が、必要であるというふうに考えておりますけれども、補正予算ではどのようになっているか経産大臣に伺いたいと、そのように思います。

#556
○国務大臣(萩生田光一君) 中小企業の抱える課題を把握し、各種支援策をお届けするためには、身近な支援機関である商工会、商工会議所の役割は極めて大きいものだと認識しております。
 このような状況を踏まえ、商工会、商工会議所の体制強化等を支援するため、この度の補正予算案においては、事業環境変化対応型支援事業として百三十億円を計上しました。
 本事業では、事業者の抱える経営課題の解決や各種申請のサポートなど企業に寄り添った伴走支援を実施するため、商工会、商工会議所等の支援団体に相談員を追加で配置をし、相談体制の強化などを実施する計画であり、今後も中小企業の相談体制の強化に取り組んでまいりたいと思っております。

#557
○長谷川岳君 ありがとうございます。
 総理がおっしゃる新しい資本主義を起動して成長と分配の好循環を実現し、経済を自律的な成長軌道に乗せていくこと、これはウイズコロナ、アフターコロナの重要な政策であると、そのように思います。
 成長と分配の好循環の中軸を担うのは、やはり日本の事業者九九・七%を占める、担う中小企業、そして小規模事業者であり、この皆さんを支援する商工会、商工会議所、この現場をしっかりと支えることが重要であると思いますが、改めて総理にも伺いたいと、そのように思います。

#558
○内閣総理大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、このコロナ禍を乗り越えた先の経済の再生を考えた場合に、成長と分配の好循環を実現して新しい経済モデルをつくっていかなければならないと思っております。その際に、成長においても分配においても、中小企業あるいは小規模事業者の方々、経済の中心において、また、地方において大きな役割を果たしていただかなければならないと思っています。
 中小企業等が成長においてもしっかり役割を果たせるように、また、分配においても、従業員に対する給与所得の引上げができる大企業と中小企業の関係を構築するとか、この政府の立場からも、成長と分配両方で中小企業・小規模事業者の方々が活躍していただけるような環境を整備をしていかなければならない、このように思っています。
 そして、おっしゃるように、この中小企業あるいは小規模事業者を支える大切な存在である商工会、商工会議所に対して政府も地方自治体とともにしっかりと支援をしていく、こういった姿勢は重要であると認識をいたします。

#559
○長谷川岳君 総理、ありがとうございます。
 最近、この中小企業庁の補正あるいは支援メニュー、かなり外注が、やはりメニューが多くなってきています。その中で、商工会議所あるいは商工会の全国のネットワークの活用というのは非常に重要だということを申し添えさせていただきたいというふうに思います。
 次に、アフターコロナの日本の成長戦略について伺いたいと思います。
 パネル四を御覧になっていただきたいと思います。
 このパネル四、実は、アフターコロナの日本の大きな成長戦略として、カーボンニュートラルの実現というのは非常に重要であります。北海道は、鈴木直道知事を先頭に、四十七都道府県に先駆けてカーボンニュートラルの地方版と言われるこのゼロカーボン北海道というものの実現を掲げまして、今、カーボンニュートラルと地方の成長、それから農業、漁業、林業と地域エネルギーの循環に全力で取り組んでいるところであります。
 そこで、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、環境大臣に伺いたいというふうに思いますが、この二〇五〇年に日本のカーボンニュートラル、すなわち温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするということを実現するためには、日本の各地域に地域特性を踏まえた取組を着実に積み重ねていくことが重要だと考えております。今年の六月に政府は地域の脱炭素のロードマップというのを作成をしまして、この中で脱炭素の先行地域というものを創設するという考え方を打ち出しました。この脱炭素の先行地域の考え方、取組内容について伺いたいと思います。

#560
○国務大臣(山口壯君) 今、長谷川委員のおっしゃられた脱炭素先行地域、先般、イギリスのグラスゴーでCOP26でまとまったこの一・五度目標、これを実現するためには二〇五〇年のカーボンニュートラルがどうしても必要、それに先立って二〇三〇年にこの四六%とか、温室効果ガスの目標も掲げているところです。
   〔理事堀井巌君退席、委員長着席〕
 そうなると、どういうふうにそれを実現するかという点では地域の脱炭素化が非常に重要なこととなってきます。そして、環境省としては、この脱炭素先行地域という概念を掲げて、これは脱炭素への意欲と実現可能性の高い地域において、二〇五〇年を待つことなく、前倒しでカーボンニュートラル達成を目指される全国のモデルとなる地域というイメージです。
 その意味で、環境省として、地域脱炭素・再エネ推進交付金というものを来年度の概算要求にも盛り込ませていただいて、この脱炭素先行地域づくりに取り組まれる意欲的な地方公共団体をしっかりと支援させていただく所存です。これは、実は脱炭素化プラス地方の成長戦略、町おこしという意味も持っている極めて重要なものとして積極的に推進させていただく所存です。

#561
○長谷川岳君 ありがとうございます。脱炭素の先行地域というのは地方の成長戦略だとおっしゃっていただきまして、まさに私も同感でございます。
 この脱炭素の先行地域、日本全体でどの程度選定されるものなのか、また、そのうち来年度にはどの地域が、どういう地域がいつ頃に選定される見込みなのか、伺いたいと思います。

#562
○国務大臣(山口壯君) お尋ねの脱炭素先行地域、これ来年度から二〇二五年度までに少なくとも百か所これを選定させていただきたいと思っています。目指したいと思っています。場合によっては百か所以上という気持ちもあります。これは、初年度には少なくとも、来年度ですけれども、少なくとも二十から三十地域の選定を想定させていただいています。
 できるだけ多くの先行地域を選定させていただきたいし、その意味で地域の脱炭素化の取組を全国で加速化していきたいと思います。その意味で、北海道がゼロカーボンということをいち早くおっしゃっていただいたことは本当に心強いし、歓迎させていただきたいと思います。
 その手続的には、一月から脱炭素先行地域の募集を開始させていただいて、来年のですね、そして来春、春頃に第一弾を選定させていただきたいと思っています。
 御地元の北海道を始めとした多くの地方公共団体に脱炭素先行地域に手を挙げていただくことで、地域の脱炭素ドミノ、こういうことも起こしていきたいなというふうに思っております。

#563
○長谷川岳君 ありがとうございます。意欲的な取組を表明いただいたことに感謝申し上げたいと思います。
 今、来年度二十から三十というような、選定するという御答弁がありました。モデル的な取組の支援という意味では、この対象地域が限定されるということはもうよく理解をしています。一方で、日本全体でいうと、千七百四十一市区町村ございます。そして、北海道は百七十九市町村あるんですね。このカーボンニュートラルを実現をさせていくためにはこの社会全体が取り組んでいかなければならない、そのように思います。
 脱炭素の先行地域を参考にしながらできるだけ多くの市町村、市区町村でこの取組を促していくためには、取組に対する経費に対して地方財政上のこの財源手当てというものもこれから十分に行っていくことが必要だというふうに思います。
 例えばなんですが、このゼロカーボン推進債といった新しい地方債のメニューというものを設けて、その償還に当たっては高い率での地方交付税の措置率を行っていくというふうな考え方もこれから必要ではないかというふうに思います。例えば、地域資源を生かした再生可能エネルギーの導入、あるいは脱炭素を売りにしたこの企業団地、あるいは物流基地の整備、それから電気自動車、水素自動車といった次世代の自動車の導入、あるいは国の補助事業の自治体負担分に対しての財政措置を行うことが考えられると思います。
 環境省、そして経産省、先ほど答弁いただきましたが、だけではなくて、やはり地方自治体を所管する総務省という役所がこの脱炭素の取組に対してしっかりと地方財政措置を行うということは、これ国の本気度を示す大事なメッセージになるのではないかと思いますが、政府の見解を総務大臣に伺いたいと思います。

#564
○国務大臣(金子恭之君) 長谷川委員には、総務大臣政務官、総務副大臣として総務省が御指導いただきました。引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 地域における脱炭素への取組は、地方の成長戦略としても重要ですし、国全体の取組を足下から支える重要な取組と考えております。本年十月に閣議決定された地球温暖化対策計画においても、自治体に対し率先的な取組が求められており、総務省としても後押しを行ってまいります。
 長谷川委員の御提案も参考にさせていただき、令和四年度に向けて、地域脱炭素の取組に対する地方財政措置の充実強化を検討してまいります。

#565
○長谷川岳君 少し興奮して立ってしまいましたが、失礼しました。
 ありがとうございます。大臣がこのような、やはり自治体が、地方が引っ張っていく、先ほど山口環境大臣も言われましたが、地方戦略なんだと、成長戦略なんだということを併せながら、この総務省、環境省、そして経産省と共に進めていっていただければというふうに思います。
 次に、日本における再生可能エネルギーの大幅な増加を図るために期待できるエネルギーというのは、やはり洋上風力というのが非常に高い可能性があるのではないかというふうに考えております。特に、一千万キロワットを優に超えるポテンシャルを持つ北海道、東北における洋上風力の導入を一刻も早く進めることが二〇三〇年の四六%の削減、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に必要だというふうに思います。
 そのために、北海道の最大の電力需要地であります、北海道とそれから最大の電力需要地であります関東を結ぶ海底直流送電網、そして北海道内の送電網の増強が不可欠だと思います。
 この度の補正予算案では、海底直流送電網の調査費が五十億円盛り込まれたと承知をしています。具体的にどのような調査を行うのでしょうか、また、整備決定の判断を行う、いつ頃を予定しているのか、経産大臣に伺いたいと思います。

#566
○国務大臣(萩生田光一君) 今先生御指摘のように、再エネ主力電源化に向けて、北海道の立地として果たす役割ってすごく大きなものがあると思います。既に風力発電は国内最大量を発電をしていただいていますし、また太陽光の面積も非常に大きなものがある。
 加えて、今お話のあった洋上発電、洋上風力ですね、それから地熱などにも非常に野心的な取組をしていただいているんですが、北海道では自然発生した再生エネルギーをそのまま消費地として使い切るだけのポテンシャルは逆に残念ながら今はないわけですから、それを大消費地である東京などに送ってくるというのは大変有り難い話であります。
 本来、青森を経由して東北を通ってと、こういうふうに思ったんですけれど、それではやっぱり容量が足りないということなので、これ思い切って長距離にわたる海底直流送電網などの整備を検討したいというふうに思います。そのための、補正予算においては、本年度より海底ケーブルの敷設に関する調査を行って、整備に適した海域、また施工方法などについて具体的に検討してまいりたい、こう思っているところです。

#567
○長谷川岳君 ありがとうございます。
 カーボンニュートラルを社会全体で進めていくためには、多くの人が利用する移動、それから輸送手段の脱炭素化というのも非常に重要だと考えております。自家用車はもとよりなんですが、バスなどの公共交通機関、あるいはトラックなどの輸送機関の脱炭素化であります。
 この度の補正予算案の中でも、電気自動車あるいはその充電設備の購入補助などが盛り込まれていると承知しています。しかし、移動、輸送手段における水素の活用も国は一層強力にアシストすべきではないかと考えております。なぜなら、水素というのは航続距離も長くパワーもあるという、電気自動車とはまた異なる特性があるからであります。例えば、自家用車だけではなくて、水素を使ったバスやトラック、あるいは重機の活用などを進めるべきではないでしょうか。移動、輸送手段における水素の活用をどのように考えておるのか、またどのように推進しようとしているのか、経産大臣に伺いたいと思います。

#568
○国務大臣(萩生田光一君) 政府としては、移動、輸送手段の脱炭素化に向けて様々な選択肢を追求しております。今朝ほど白委員の方からは北海道の鉄道の重要性について御指摘がありましたので、それも私は重要な一つだと思っています。
 一方、二〇三五年までに新車販売で、電気自動車、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車、そして水素を活用した燃料電池自動車で一〇〇%にするという野心的な目標を掲げております。これらの普及に向けて、購入支援や充電、水素インフラの整備をしっかりと進めていきたいと思います。
 また、水素の活用は移動、輸送手段の脱炭素化に向けた重要な手段の一つであり、このため、例えば今般の補正予算案において、北海道に豊富に存在する余剰再エネなどからクリーン水素を製造するための水電解装置の導入支援を盛り込んだところです。これらを総合的に進めることで運輸部門の脱炭素化と水素社会の実現を図ってまいりたいと思います。

#569
○長谷川岳君 ありがとうございます。明快にお答えをいただいたこと、感謝申し上げたいというふうに思います。
 輸送、それから移動手段の一つとして航空機もございます。新型コロナがなかなか収まらない中で、いつ航空需要が戻ってくるか見込めないところでありますが、そう遠からず、何とかこのオミクロン株も解決をしながら、インバウンド客が来日することを非常に願っております。その準備をしていかなければならないというふうに思います。
 この日本の魅力を高めるためには、観光に関連する分野でも脱炭素を進めていくことがこれから必須だと思います。観光客への日本への入口というのは、何といっても航空機でございます。ポイントとなるのは航空機の燃料でございます。SAFと言われておりますけれども、化石燃料を用いない持続可能な航空機燃料へのシフトというのを日本も早く行っていかなければならないというふうに思います。
 日本における今のSAF、言わば持続可能な航空機燃料の開発、利用はどのような状況にありまして、どのような課題というものを抱えているのか、また、それを、この課題に解決してSAFを普及させるためには政府としてどのように取り組んでいくのか、航空政策、詳しい渡辺国土交通副大臣に伺わさせていただきたいと思います。

#570
○副大臣(渡辺猛之君) 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けまして、ただいま委員御指摘の航空分野の脱炭素化は喫緊の課題であると認識をしております。国土交通省では、令和三年三月に航空機運航分野と空港分野のCO2削減に関する有識者検討会をそれぞれ立ち上げ、検討を進めてまいりました。
 航空機運航分野におきましては、この十二月十日に第四回検討会を開催をし、バイオジェット燃料などのCO2削減効果のある航空燃料、いわゆるSAFの導入促進や、機材、装備品への新技術導入などの課題について今後の取組等を盛り込んだ工程表を取りまとめたところでございます。この工程表に基づきまして、SAFについては、二〇三〇年の本邦航空会社の燃料使用量の一〇%をSAFに置き換えるという目標の下、資源エネルギー庁、燃料供給事業者等と連携した国産SAF開発の促進、サプライチェーンの構築等の意欲的な取組を進めてまいりたいと思います。
 さらに、今後、中長期的に導入が見込まれます水素航空機あるいは電動化といった新技術につきましても、国土交通省として、早期の実用化に向けて国内製造事業者における開発段階から積極的に関与したいと考えております。

#571
○長谷川岳君 ありがとうございました。開発段階から関わる、非常に重要な言葉であると思います。是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に、北海道における一次産業の問題について、課題について伺いたいと思います。済みません、北海道にお付き合いをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 パネルの五を御覧になっていただきたいというふうに思います。今北海道内の観光客が激減をしている中で、実はその観光客の皆さんが激減して、宿泊だけではなくて、道内の砂糖やあるいは道内の業務用の脱脂粉乳、バターとか、この消費が激減をしておるというこのグラフでございます。
 北海道の、グラフを見ていただきますと、北海道の観光客数、新型コロナの拡大を受けまして大きく減少しています。令和二年度の宿泊者数はコロナ禍前の平成三十年の六割減、それから道外からの観光客数は八割減になっています。同じように、棒グラフの後ろの面グラフを少し見ていただきますと、この道内向けの砂糖とか道内業務用の脱脂粉乳とか、実はバターの販売実績も、コロナ禍前の平成三十年度を基準とした変化率をこれ表しておりますが、いずれもこれ観光客の皆さんが買うお土産を中心として、このお菓子などにも使われておりますが、観光客数の減少と同じように販売量も激減をしているというのがこのグラフでは一目瞭然ではないかというふうに思います。
 全国の今、農業者の皆さん、この米あるいは砂糖、バター、そしてこの脱脂粉乳など多くの農畜産物の販売環境の悪化に非常に苦しんでおります。来年スタートを予定していますGoToトラベル事業にも、観光支援と併せてこの農畜産物の需要喚起、それから販売対策についても徹底していただく必要があるのではないかと思います。特に、直近では、国内経済活動はまだ活発化して、ようやく少しずつ活発化してきておりますけれども、インバウンドが元の水準に戻るまでまだ時間が掛かります。それから、観光事業関係、それから一次産業の従事者にとっては、これは本当に死活問題になります。
 そして、このコロナ禍の収束というのはやはりインバウンドが再開する、そして元の水準に戻るまでという認識で取り組んでいただきたいと思いますが、是非国とも万全にその意識の認識の中で対応していただきたいと思いますが、金子農林水産大臣に伺いたいと思います。

#572
○国務大臣(金子原二郎君) お答えいたします。
 新型コロナウイルスの影響で観光業が落ち込み、乳製品等の需要が減少したことから、在庫は高水準になっております。また、年末年始には生乳の廃棄も懸念されており、業界挙げてその回避に向けまして消費拡大策の取組を進めているところであり、年末に向けて更なる対策を検討してまいりたいと思います。
 観光業と食の需要は密接に関係していることから、コロナ禍の影響がなくなるにはインバウンド需要の回復が重要であると認識しております。特に北海道では、稲作、畑作、野菜、酪農、畜産など多様な農業が展開されておりまして、これが北海道経済の基幹産業となっているばかりではなく、我が国にとっても重要な食料基地となっている、役割を担っているというふうに考えております。
 コロナの影響を受けた農林水産業に対しまして、引き続き、資金繰りや新たな販路開拓への支援等によりまして経営継続を支援してまいりたいと考えております。

#573
○長谷川岳君 ありがとうございます。
 大臣から今、年末に更なる対策を検討という前向きの言葉をいただいたことに感謝を申し上げたいというふうに思います。
 また、今年、農林水産省は、環境負荷軽減の推進の一環として、みどりの食料システム戦略というものを作成をいたしました。このみどりの食料システム戦略の中に、消費者を含めた関係者の行動変容と理解促進という言葉が書かれています。この言葉は経済安全保障の観点からも非常に重要であると考えます。
 ある新聞社の調査で、コロナの状況の中において国産の農畜産物の重要性に気付いたという国民が多かったという結果が出ています。まさにこれは経済安全保障であります。この国民全体、自国の農水産物に対する理解を深め消費をする、そして農漁業者はそれに対して安定供給していく、この当たり前のサイクルを再構築する政策予算というのが必要だというふうに思います。
 自国の農水産物をしっかりいただくということが、厳しい局面を迎えたですね、に対して強い一次産業の経営につながると考えておりますが、大臣の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

#574
○国務大臣(金子原二郎君) 国民に対し将来にわたって食料を安定的に供給するためには、国内農業の生産基盤を維持強化し、国内で生産できるものはできる限り国内で生産していく必要があります。
 また、国土の保全などの多面的機能の発揮を含めた国内農業の重要性につきましては、国民が認識を共有し、国産農産物の積極的な選択など、具体的な行動変容に移していくことが重要であると考えております。特にコロナ禍においては国産農産物を消費することの重要性が再認識されたところであり、そのための施策を更に進めてまいりたいと考えております。

#575
○長谷川岳君 コロナ禍において更に施策を進めていただける、お願いを申し上げたいというふうに思います。
 次に、北海道太平洋沿岸側の、沿岸の赤潮による漁業被害の支援について伺いたいと思います。
 パネル六を御覧になっていただきたいと思います。これは、広尾、それから釧路、釧路町、この太平洋岸約五百キロに及ぶ海の底でございます。
 これ見ていただくと、ウニはもう白くなっています。白いというのはもう死んでいるというものであります。それから、ケガニが、これよく見ていただくとひっくり返っておりまして、下の絵は、サケのえらがプランクトンの影響で通常は赤いものが呼吸できずに白くなっています。それから、タコですね。それから、下はサクラマス。こういったウニやサケ、サクラマス、タコなどの大量死による沿岸のこの漁業被害というのは相当深刻な状況になっています。
 赤潮の被害というのは、今回実は、北海道で赤潮が起きるというのは誰もが思っていなかったんですが、どうもロシアから来るセリフォルミスという新しい、低温、低水温にも強い、新しい、もうこれは外来種と言っていいと思うんですが、このようなプランクトンの影響を受けまして、ウニはもう壊滅的な損害。それから、ナマコ、ツブ、タコ等も既に被害が生じておりまして、これ普通、資源回復までウニは四、五年掛かります。ですから、これ一回死ぬと、あと四年ぐらいは市場になかなかこのウニが戻ってこない。多分、皆さんも、最近おすし屋さんへ行くとウニがないということに気が付くんではないかというふうに思われますが、まさにこういった、ウニには四、五年掛かる。それから、ツブは七年掛かります。そういった数年間にわたる、漁業経営の被害だけではなくて、水産加工とか流通などの地域経済を取り巻く状況の悪化も非常に懸念をされております。
 今般の補正予算案において、この農林水産省の方から十五億円に上る緊急対策が措置をされ、赤潮による漁業被害を受けた漁場の回復を目的とした単年度での事業が図られることになりました。そしてまた、総務省からは交付税措置率のかさ上げをいただきました。両金子大臣に厚く御礼を申し上げたいというふうに思います。
 しかしながら、ウニの資源、あるいは赤潮により壊滅的な状況となっている地域では、これ今年で終わるわけではなくて、ずっとこれしばらく続きます。毎年、そうであっても、この種苗の放流、それから小さいウニを放流するということも重ねていかなければなりません。
 赤潮を要因とする深刻で広範囲な漁業範囲、北海道は先ほど申し上げたとおり初めての経験する事態でありまして、この長期的にも大きな影響を及ぼすと想定されているところでありまして、漁業者の皆さんの生活を支え、守るためにも複数年の予算措置が必要だと考えます。また、新たな被害が想定されるような魚種、例えばツブとかタコとか、昆布も変色をしておるところがございまして、こういった具体的な魚種への支援策の検討が必要だというふうに思いますが、金子農林水産大臣、どのようにお考えか、漁業者の皆さんへのメッセージをお願いしたいというふうに思います。

#576
○国務大臣(金子原二郎君) お答えいたしますが、今般の赤潮被害の発生を受けまして、農林水産省といたしましては、十月に武部副大臣などを現地に派遣いたしました。
 その際、漁協の組合長など地元の関係者から、ウニについては四年程度の影響があり、さらに、ツブ、タコ、ケガニ、昆布などへの影響が拡大、サケの回帰の減少を懸念する声があったと報告を受けております。重く受け止めておりまして、今回の漁業被害に対しましては、漁業共済等により減収の補填を行うほか、令和三年度補正予算案に盛り込んだ北海道赤潮対策緊急事業により、北海道庁とも連携をしながら、赤潮の発生源の究明や漁場回復の取組への支援を行っていくこととしております。
 今後、ツブやタコを含め、どのような魚種についてどの程度の被害が発生、拡大するかを注視してまいりますが、今後とも現場の状況を丁寧に把握した上で、漁業者が安心して漁業経営を継続できるように農林水産省はしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 以上です。

#577
○長谷川岳君 漁業者が安心してという言葉をいただきました。よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。
 最後の質問の題材として国土強靱化、不都合な情報を地域の皆さんと共有する大切さについて伺いたいと思います。
 パネル七を御覧になっていただきたいと思います。日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の対策について伺います。
 政府において巨大地震モデル検討会を設置し、地震による津波高の検討を行い、令和二年の四月に浸水想定を公表しました。これ、浸水想定の公表をした全国の中で、今分かりやすく釧路市というものを例えばという形で出させていただいております。今回、この一例としての釧路市に関する浸水想定を基に質問をしたいというふうに思います。
 例えば、この釧路市の例では、津波高などがどのように想定されているのか、具体的な説明をお願いしたいというふうに思います。

#578
○政府参考人(榊真一君) お答え申し上げます。
 御指摘の釧路市につきましては、釧路市沿岸の沖合における代表地点で地震発生から十六分後には高さ三十センチメートルの津波が到達し、三十三分後には高さ八・三メートルの最大波が到達すると想定をされております。
 最大沿岸津波高は、釧路市三津浦地点で二十・七メートルと想定をされております。また、釧路市役所におきましては、地震発生から三十四分後に津波による浸水深が最大で五・九メートルに達するとされ、釧路市内では海岸線から内陸部の十キロメートル以上の範囲まで津波による浸水の影響があり、市街地を含む約九十平方キロメートルの範囲が浸水する可能性がございます。
 この浸水想定範囲には、JR根室本線や国道三十八号なども含まれておりますことから、広範囲にわたって大きな被害が生じる可能性がございます。

#579
○長谷川岳君 政府は今、浸水想定について被害想定も検討している最中と聞きますが、これ北海道の真冬の最悪の暴風雪の条件の中で想定した避難行動などへの影響、どのような認識でいるのか、お答えをいただきたいと思います。

#580
○政府参考人(榊真一君) お答え申し上げます。
 北海道、東北地方では、特に冬場は積雪寒冷の影響により避難に時間を要することや低体温症のリスクがあることなど、積雪寒冷地特有の課題がございます。
 避難行動について申し上げますと、条件の厳しい冬の深夜に地震が起こった場合、夏の昼間に比べて、積雪等の影響により避難速度が六割程度にまで低下するほか、避難の際には防寒対策を取る必要があることから、その準備にも倍以上の時間が掛かると言われております。
 また、避難路や避難施設につきましても、寒さや風による低体温症などの被害を防止するための施設の在り方などについて検討を加える必要があり、さらに、北海道の地理的特性を踏まえれば、渋滞や事故による逃げ遅れ等に配慮しつつ、自動車による避難を検討することも必要となってまいります。
 このような積雪寒冷地の特性を踏まえつつ、現在、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループにおいて防災対策について検討を行っているところです。

#581
○長谷川岳君 今後発表される被害想定、住民にとって決して易しいものではない、不都合な情報だと受け取られるかもしれませんが、不安をあおることなく正しい情報を発信することが大事だと思います。
 被害想定、いつ頃公表される予定か、大臣に伺いたいと思います。

#582
○国務大臣(二之湯智君) 日本海溝、千島海溝によって予想される被害は、非常に発生頻度は低いものの、堤防等では防御できない、そういう津波が来るということが予想されるわけでございます。このような津波に対する住民避難を中心とした対策がこれから必要になってくると思います。
 地震の発生後、住民の方々に速やかに避難行動を取っていただくためには、平時からの地域や学校での防災訓練や防災教育が必要となってまいります。
 また、避難路や避難施設については、北海道は寒うございますから、屋根や壁を設けるなど冬の雪や寒さを考慮した対策を進めることで避難に要する時間を短くするとともに、防寒機能を確保することが必要になってまいります。
 なお、この被害が大きい大きいということを公表する際には、余り住民に不安な気持ちを持たすというようなことはこれまた避けなければならないわけでございますから、深刻な不安だけが独り歩きすることのないようにしなければならないと思います。
 今後、関係自治体とも連携しながら、年内には被害想定を公表したいと考えております。地域の住民の皆さんに対して関係自治体が適切に情報を正しく伝達し、対策が早期に講じられるよう、内閣府としても必要な支援を行ってまいります。

#583
○長谷川岳君 ありがとうございます。年内に公表という話をいただきました。
 この度、総理を始め各大臣に明確な答弁をいただきました。答弁にとどまらず、事業者、地域住民の皆さん、一次産業の従事者の皆さん、明確なメッセージをいただけたと思います。感謝を申し上げます。
 特に、日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震の被害想定については、政府があえて不都合な情報を公表することは相当覚悟が要ることだと思います。しかし、地域の市町村に正しく伝え、真っ正面から向かい合う姿勢こそが一番信頼される政府の在り方だと思います。そのスタンス、その姿勢を岸田政権は是非とも持ち続けていただきたいと申し上げまして、質問を終えさせていただきます。
 ありがとうございました。

#584
○委員長(山本順三君) 以上で長谷川岳君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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