2021/12/17 第207回国会 参議院
第207回国会 参議院 予算委員会 第2号 令和3年12月17日
#1
令和三年十二月十七日(金曜日)午前九時二分開会
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委員の異動
十二月十六日
辞任 補欠選任
佐藤 正久君 小野田紀美君
木戸口英司君 石川 大我君
矢倉 克夫君 里見 隆治君
田村 まみ君 足立 信也君
石井 苗子君 鈴木 宗男君
片山 大介君 音喜多 駿君
大門実紀史君 紙 智子君
十二月十七日
辞任 補欠選任
上野 通子君 本田 顕子君
長谷川 岳君 山谷えり子君
藤井 基之君 岡田 広君
三木 亨君 佐藤 正久君
足立 信也君 田村 まみ君
鈴木 宗男君 石井 苗子君
紙 智子君 吉良よし子君
田村 智子君 小池 晃君
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出席者は左のとおり。
委員長 山本 順三君
理 事
こやり隆史君
藤川 政人君
堀井 巌君
山下 雄平君
白 眞勲君
森本 真治君
杉 久武君
浅田 均君
山添 拓君
委 員
青山 繁晴君
上野 通子君
小川 克巳君
小野田紀美君
岡田 広君
片山さつき君
佐藤 正久君
進藤金日子君
滝波 宏文君
比嘉奈津美君
藤木 眞也君
本田 顕子君
丸川 珠代君
三木 亨君
宮島 喜文君
宮本 周司君
森屋 宏君
山谷えり子君
和田 政宗君
石垣のりこ君
石川 大我君
打越さく良君
熊谷 裕人君
田島麻衣子君
福島みずほ君
森屋 隆君
里見 隆治君
安江 伸夫君
山本 香苗君
若松 謙維君
足立 信也君
礒崎 哲史君
田村 まみ君
浜口 誠君
石井 苗子君
音喜多 駿君
鈴木 宗男君
紙 智子君
吉良よし子君
小池 晃君
国務大臣
内閣総理大臣 岸田 文雄君
総務大臣 金子 恭之君
法務大臣 古川 禎久君
外務大臣 林 芳正君
財務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(金融)
) 鈴木 俊一君
文部科学大臣
国務大臣 末松 信介君
厚生労働大臣 後藤 茂之君
農林水産大臣 金子原二郎君
経済産業大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(原子力
損害賠償・廃炉
等支援機構)) 萩生田光一君
国土交通大臣
国務大臣 斉藤 鉄夫君
環境大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(原子力
防災)) 山口 壯君
防衛大臣 岸 信夫君
国務大臣
(内閣官房長官) 松野 博一君
国務大臣
(デジタル大臣)
(内閣府特命担
当大臣(規制改
革)) 牧島かれん君
国務大臣
(復興大臣)
(内閣府特命担
当大臣(沖縄及
び北方対策)) 西銘恒三郎君
国務大臣
(国家公安委員
会委員長)
(内閣府特命担
当大臣(防災、
海洋政策)) 二之湯 智君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(少子化
対策、地方創生
、男女共同参画
)) 野田 聖子君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(経済財
政政策)) 山際大志郎君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(科学技
術政策、宇宙政
策)) 小林 鷹之君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(消費者
及び食品安全、
クールジャパン
戦略、知的財産
戦略)) 若宮 健嗣君
国務大臣 堀内 詔子君
副大臣
財務副大臣 岡本 三成君
財務副大臣 大家 敏志君
厚生労働副大臣 佐藤 英道君
政府特別補佐人
内閣法制局長官 近藤 正春君
事務局側
議事部長 金子 真実君
常任委員会専門
員 藤井 亮二君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 藤井 敏彦君
内閣官房内閣審
議官 内山 博之君
内閣官房内閣審
議官 加野 幸司君
内閣官房内閣情
報調査室次長 柳 淳君
内閣官房令和3
年経済対策世帯
給付金等事業企
画室次長 小野平八郎君
内閣府大臣官房
総合政策推進室
長 笹川 武君
内閣府地方創生
推進室次長 黒田 昌義君
内閣府政策統括
官 榊 真一君
内閣府男女共同
参画局長 林 伴子君
デジタル庁統括
官 楠 正憲君
デジタル庁統括
官 篠原 俊博君
総務省大臣官房
地域力創造審議
官 馬場竹次郎君
総務省自治行政
局長 吉川 浩民君
総務省情報流通
行政局長 吉田 博史君
法務省民事局長 金子 修君
法務省訟務局長 武笠 圭志君
出入国在留管理
庁次長 西山 卓爾君
公安調査庁次長 横尾 洋一君
外務省大臣官房
国際文化交流審
議官 曽根 健孝君
外務省大臣官房
審議官 岡田 恵子君
外務省大臣官房
参事官 實生 泰介君
外務省アジア大
洋州局南部アジ
ア部長 加納 雄大君
外務省欧州局長 宇山 秀樹君
厚生労働省健康
局長 佐原 康之君
厚生労働省職業
安定局長 田中 誠二君
厚生労働省保険
局長 浜谷 浩樹君
経済産業省大臣
官房審議官 福永 哲郎君
経済産業省通商
政策局長 松尾 剛彦君
経済産業省産業
技術環境局長 奈須野 太君
資源エネルギー
庁資源・燃料部
長 定光 裕樹君
中小企業庁事業
環境部長 飯田 健太君
国土交通省大臣
官房政策立案総
括審議官 高田 陽介君
国土交通省鉄道
局長 上原 淳君
国土交通省自動
車局長 秡川 直也君
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本日の会議に付した案件
○令和三年度一般会計補正予算(第1号)(内閣
提出、衆議院送付)
○令和三年度特別会計補正予算(特第1号)(内
閣提出、衆議院送付)
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#2
○委員長(山本順三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。令和三年度一般会計補正予算(第1号)、令和三年度特別会計補正予算(特第1号)、以上二案を一括して議題とし、昨日に引き続き質疑を行います。小野田紀美さん。
#3
○小野田紀美君 自民党の小野田紀美です。早速、まず新型コロナウイルスにおける水際対策について伺います。
空港検疫始めてから、ここでちゃんと陽性と分かって隔離できた人はいいんですけど、大丈夫だねって擦り抜けた後に実は陽性でしたという人が今まで何人いるのか、それはどういう人たちなのか、新規入国者なのか、帰国者なのか。
ここね、保健所に来る陽性者の情報と空港検疫の情報というのが突合できていなかったんです、ずっと。なので、一回擦り抜けると、この陽性になった人が空港の擦り抜けた人なのか普通の市中の人なのかが把握できていない、この問題をずっと指摘してきたんですけど、この問題は今どうなっているのか、人数把握できているのか、お教えください。
#4
○国務大臣(後藤茂之君) 今、小野田委員から御指摘のありました、空港検疫の検査時点で陰性であったものの、その後陽性と判明した事例の件でございまして、このことについては、こういう事例がもちろんございまして、こうしたものをしっかりと見ていく必要があるという認識を持っております。しかし、今、現状においては、当該陽性者が入国前から感染したことによるのか入国後に感染したことによるのか判別のできないケースも多く、また、これらの詳細を分析することが困難であるという状態でございます。
一方で、先生の方からも今御提案まであったのかどうかは分かりませんけれども、御指摘の情報管理をしっかり進める、パスポート番号とか、そういうことを進めながら、HER―SYSと併せながら、そういうようなことを今仕組みとしてはつくることといたしまして、その照合をすることは可能となっておりますけれども、今現在、そのシステムが残念ながらまだ十分に使われている状況に至っていないというのが現状でございます。
#5
○小野田紀美君 ということで、把握できていないんです。で、その入ったときにはもうかかっていたのかそうじゃないのかというのは、もうその発症の日数とかもいろいろ計算できると思うんですけど、そもそも、一回入ってから陽性になった人が空港検疫を越えてきた人なのかそうじゃないのかという情報の把握もできていないようでは、水際対策が成功しているか失敗しているかが、一切データをもって証明できないんですよ。
なので、この今、ずうっと私言っていたんです、パスポートナンバーとつないでくれと一年半以上言っているんですけど、まだ仕組みができていない。
パスポートナンバーだけじゃ駄目で、外国人であろうが日本人であろうが海外から帰ってきたときのウイルスリスクというのは変わらないので、日本人に関しても、空港検疫の情報と陽性者、保健所の情報を突合できて連携できる仕組みがない限り、何かどうも水際対策って、何かやばそうだから閉めますとか、いけそうだから開けますみたいな、そういうその根拠に基づかない雰囲気で政策を決めると、国民、不安になるんですよ。
なので、空港の検疫は成功していますということをきちんと示すためには、空港検疫を擦り抜けて陽性になった人は何人いますよというデータを示さない限り、ここ安心してもらえないんです。
なので、この水際対策をデータに基づいてやるために、これから開いていくために、開いても空港検疫が機能していますというのを証明するためには、この陽性者情報と検疫の情報の突合、データ連携、そして情報公開しかないと私は思っております。
総理、お答えをお願いします。
#6
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、水際対策においてデータをいかに把握して、そして、関係者の間でしっかりそれを共有して連携を図って、そして、なおかつこの情報を公開していく、こうしたこの取組は、国民のこの不安を取り除くという面においても大変重要だと思います。そして、今委員の御指摘のような対応、ちょっと実務としてどうなのか、この点もちょっと踏まえて、今、官房長官の下にタスクフォースを設けておりますので、そこで一度検討してもらいたいと思います。
#7
○小野田紀美君 ありがとうございます。これずうっと言い続けていて、HER―SYSにそういったそのパスポートナンバーとの連携というのは、最初、国民健康保険と、保険のところしか項目なくて、でもそれ強制じゃないので、任意でやってもいいよ、できる仕組みはつくるよというんですけど、やっていないというのがあるんです。
このオリパラアプリに、当初、パスポートナンバーと空港検疫の情報連携というのを入れるという条件だったんですけど、それ安心して待っていたら突然削除されて、それが連携がつながらないというのが続いているんです。
ここ、本当に早急に、国民が安心したデータに基づいて水際対策に信頼を置いてもらえるような仕組みというのをつくっていただきたいと強く要望いたします。
続いて、デジタル社会に向けた情報管理、情報連携の諸課題なんです。
まず、パネルを御覧ください。(資料提示)
マイナンバーについてちょっと誤解が、最初、導入のときにネガティブキャンペーンされ過ぎたせいで、赤色の一元管理だと思っている人がすごい多いんですよ。これ、情報は国が全部一気に所管していて、一個漏れたら芋づる式に全部漏れるんだというような国民の勘違いがかなり広がっております。
そうじゃないんだと、青色の分散管理なんだということを是非これお示しいただきたいので、説明お願いします。
#8
○政府参考人(楠正憲君) 御説明申し上げます。マイナンバー制度におきましては、制度及びシステムの面で各種の対策を講じております。
具体的には、取り扱う者に対して漏えい防止対策等の安全管理措置を義務付けておりまして、個人情報保護委員会を通じて必要な指導を行っております。
また、行政機関等の保有する個人情報は一元管理をせず、各行政機関等で分散管理を行い、情報連携の際にも機関ごとに異なる符号を利用して、個人情報が芋づる式に引き出せないような仕組みとしております。
さらに、マイナンバーカードにつきましても、カードのICチップの中には、年金や税といった具体的なその機微な情報は記録をせずに、また、チップの中に入っている情報を取り出そうとすると、チップそのものが壊れるというような仕組みとしております。
このように、個人情報の保護に十分配慮しているということになります。
よろしくお願いします。
#9
○小野田紀美君 今、資料を配っていただいております。これ、御説明いただいたとおり、分散管理でございますので、このネガティブな誤解は早急に解いて、マイナンバー制度に安心していただきながら、なおかつマイナンバーカードの普及に努めていきたいというふうに私も思っております。
このマイナンバーカードと保険証の一体化というのを今進めているんですけれども、ちょっと当初の予定とずれが生じていると思うので、最新のスケジュール感をお伺いしたい。
そして、医療機関の窓口にこの機械が全部そろった暁にはこれは旧来の保険証は廃止するということでよろしいのか、お聞かせください。
#10
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。オンライン資格確認、いわゆるマイナンバーカードの保険証利用の導入につきましては、本年三月から本格運用を開始することを目指して準備を進めてまいりましたけれども、その過程で、保険者の加入者データの確認、修正作業の遅れ、あるいは、世界的な半導体不足を原因とするパソコン不足などによる医療機関等における導入準備の遅れといった課題が判明いたしました。このため、これらの課題に対応した上で、本年十月から本格運用を開始したところでございます。
厚生労働省といたしましては、令和五年三月末までにおおむね全ての医療機関等での導入を目指すとしております政府目標を実現すべく、医療機関等に対するアンケート調査あるいはヒアリング等を通じまして導入に係る課題等を把握しながら、導入の加速化に今全力で取り組んでいるところでございます。
また、マイナンバーカードの健康保険証利用を促進するにはできる限りの多くの方々にマイナンバーカードを取得していただくことが必要でありまして、まずはその令和四年度中までにほとんどの住民がカードの保有を実現すべく、関係府省で協力しながら全力で取組を進めております。
また、従来の健康保険証で資格確認を行っておる訪問看護、柔道整復等におきましても、マイナンバーカードを保険証として利用するための環境整備が必要であると考えております。このため、オンラインで資格確認をするための仕組み構築に向けて、研究等の取組を現在進めているところでございます。
健康保険証の在り方につきましては、こうした環境整備の状況等を踏まえながら今後検討してまいりたいというふうに考えております。
#11
○小野田紀美君 今後検討してまいりたいという御答弁だったんですけど、これ、すごい問題があって、今のその健康保険証って顔写真も付いていないしチップもないんです。つまり、不正な貸し借りっていうのが横行しているのはありまして、なので、マイナンバーみたいに顔も写真があってチップがちゃんとあってという保険証にデジタル化によってセキュリティーをアップしていくというのはとても必要なことなんですね。ただ、これ経過措置の間、二枚持てますよというのを永遠にやられると、じゃ、俺はマイナンバーカードの中に保険証入ってるからこっち使うわと、これおまえ貸してやるよとか、これ売ってやるよということができてしまう仕組みになってしまうんです、ずっと併用で持ち続けることができたら。
これを私、厚労省に数年前に指摘したら、しいって言われたんです、そういう悪い使い方できるのは余り表で言わないでくださいって。そうじゃないでしょうと。私ごときが考え付くような悪事は、悪いことしようと思っている連中、もうみんな考えていますから。必要なのは、抜け道を余りばらさないでくださいじゃなくて、抜け穴を塞いでくれという話をしているんです。
なので、この併用というのは絶対にし続けてはいけないし、経過措置の後は一体化すべきだというふうに思うんですけど、厚労大臣、お願いします。
#12
○国務大臣(後藤茂之君) まず、マイナンバーカードの健康保険証としての利用を行うことで、カード自体を使うことで本人確認の精度が増すということはもう委員の御指摘のとおりですから、そのこと自体は成り済ましの防止につながります。で、残ったカードもあったらということなんでございますけれども、こうした健康保険証の在り方自体も環境の整備と併せて検討していくことだと思います。そのためには、マイナンバーカードの保険証利用を進めるために、おおむね全ての医療機関での導入を、令和五年三月までに導入をしていくということになっているんで、まずはこのことに全力を挙げた上で、先生の御指摘のようなことも踏まえて、全体としての見直しを進めていきたいと思います。
#13
○小野田紀美君 割と前向きな御答弁でうれしい限りなんですけど、このデジタル化によってセキュリティーが向上していくんですけれども、結局、ほかのことに関しても、旧来のものと一緒に併用し続けたら余り意味がないので、デジタル担当大臣、是非、このデジタル化の中で、旧来のものと新しいものをずっと併用していくんじゃなくて、一本化が必要だというこういうお考え、是非お示しいただけませんでしょうか。#14
○国務大臣(牧島かれん君) 小野田委員御案内のとおり、マイナンバーカードは、対面でもオンラインでも本人確認ができるデジタル社会のパスポートという存在でございます。この健康保険証だけではなく、ハローワークカード、運転免許証、在留カードなど、各種の資格証明書としてマイナンバーカードを利用できるようにしていきたいというふうに考えております。マイナンバーカード利用後の従来の資格証の在り方は各制度を所管する省庁において検討されるべきものではありますが、デジタル・規制改革・行政改革担当大臣としては、マイナンバーカードへの一体化というデジタル化による利便性の向上及び業務の効率化をしっかりとお伝えをして、連携して進めていきたいというふうに思っております。
#15
○小野田紀美君 デジタル大臣の本当にリーダーシップ、頼もしく思います。よろしくお願いします。そして、総理からも是非、こういったその健康保険証とマイナンバーカード、マイナンバーカードが普及するのを待ってとか言っていたら、結局、卵が先か鶏が先かになるので、やっぱりゴール地点は決めてそこに向かってやっていくんだという、この一体化に向けた意気込みをお願いしたいと思います。
#16
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今関係大臣から答弁がありましたように、それぞれの立場から委員おっしゃるように一つ大きな目的に向けてそれぞれ努力をする、政府一体となってこの取組を進めるべくしっかり努力をさせていきたいと思います。#17
○小野田紀美君 よろしくお願いいたします。次に、住民票と住所が違うという問題に関して、本来、住民票の住所と、登録しているところと本当に住んでいるところって一致しなくてはいけないという決まりになっているんですけど、なかなかそれが一致していないというケースが散見されます。
それ、どのぐらいいらっしゃるのか。また、異なっている場合、どうやってそれを見抜いて、どんな対処をするのか。今まで何かそのペナルティーとか実際にあれば、その状況も教えてください。
#18
○政府参考人(吉川浩民君) お答えいたします。住民基本台帳法上の届出をすべき人のうち届出を行っていない人の数は、これは把握しておりません。
市町村におきましては、教育委員会や選挙管理委員会などからの通報や様々な事務を処理する過程において疑義が生じたことなどをきっかけとして行います居住実態等に関する調査、あるいは定期的に行う調査によりまして住民票の記載事項に誤りなどがあることを知ったときは、市町村長が職権で住民票の記載や抹消を行うこととされております。
虚偽の届出をした者や正当な理由なく届出をしない者は過料の対象となります。この場合、市町村長は管轄の簡易裁判所へ通知することとなっております。令和二年中における虚偽の届出に係る通知件数は百五十件、正当な理由がなく法の規定による届出をしなかった者に係る通知件数は四万一千三百六十五件となっております。
#19
○小野田紀美君 ということで、実際、結構みんななかなか守れていないという状況があるんです。この状態を放置していると、正確な住民サービスを受ける上でも、司法手続の際にも結構問題になりまして、弊害が出るんですね。法律に定められている以上守らなきゃいけないというふうに思うんですが、なかなかこの新しい暮らし方においては難しいところもあると思います。この対処方法をどのように考えていらっしゃいますか。総務大臣、お伺いします。
#20
○国務大臣(金子恭之君) 今局長からお話はしましたけれども、住民基本台帳は基本的には住民が正しく届出を行っていただくことを前提とした制度となっております。一方で、この届出がされない場合であっても、市町村が住民の居住実態等に関する調査などを行い住民票の情報に誤りがあることを知ったときは、職権で住民票の記載や抹消を行うこととされております。総務省としては、住民基本台帳の正確性を確保することは非常に重要なことであると考えており、これまでも届出制度の周知啓発や適切な調査の実施等を市町村に対して要請してまいりましたが、引き続き正確性の確保に向けた取組を行ってまいります。
#21
○小野田紀美君 本当に、市町村が調査することというふうになっているといえども、なかなかこれ本当に難しいと思うんです。学生さんのパターンもあるし、あと、今、週末移住とか多様な暮らし方というのができている中で、現行の住民票と住所が完全一致していなきゃというのはなかなか厳しい場合もあると思うんですけれども、例えば、私が区議会のときに事件になった、生活保護を複数の自治体で受けていたとか、そういうその居住実態とかが把握できていないというところはかなり問題が、弊害が生じてくるので、やっぱりその住民票の住所と核となる住所というのはきちんと合わせた上で、例えばサブ住所があるんだったらそれを登録しておくとか、自治体が一々調査しなくても登録して管理ができる仕組みというのを今後検討していっていただきたいと要望いたします。続いて、その弊害の一つ、司法手続なんですが、これ、住民票の住所に裁判書類を送って届かなかった場合は公示送達という手段があるんです。そういう場合、公示送達、送って、本来法律で住民票と住所を合わせておかなきゃいけないんだから、届かなかった時点で法律違反なんだから、はい、もういいよ、公示送達って言ってくれたらいいんですけど、そういう裁判所とそうじゃないところ、要は、本当に住んでいないんですかと。土日、平日、朝昼晩、本当にいないかチェックして、ガスメーターもチェックしてレポート書かないと公示送達にはしませんよとか、いろいろ裁判所によってこのやり方が違うんです。これだと、例えば養育費とか面会交流とか調停しようと思っても、相手方に結局住所が分からなくて諦めるという例が続出していまして、何とかしなきゃいけないと。
やっぱり国民がひとしく司法を利用できる権利を阻害していると思うので、せめて法務省として、例えば子供の利益を阻害するような公示送達の場合、裁判所によってその条件が違うみたいな地域格差というのはやはりなくすべく努力をすべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#22
○国務大臣(古川禎久君) この公示送達の件につきましては、委員もこれまでも熱心にお取組をいただいております。御指摘いただいていますとおり、特に、子の利益に関する家事事件について、この司法手続の利便性を高める必要があるということはよく承知をしておりまして、御指摘を真摯に受け止めていきたいと思っております。
この公示送達、法制審の家族法制部会におきましても、法制上の課題について検討がなされております。子の利益の観点から、スピード感を持って審議が進められることを期待しているところです。
また、この現行法上も、現行法の枠内におきましても、裁判所の書記官がこの実務上の知見や経験を共有しておくということは非常に重要なことだというふうに思っておりますから、私どもも最高裁判所にその御指摘の問題意識というのは伝達をしております。そして、裁判所における研修等の取組にも法務省として協力をしていきたいというふうに考えています。
#23
○小野田紀美君 是非よろしくお願いいたします。次に、国籍の把握と通知について伺います。
日本に二重国籍者、多重国籍者というのは何人いるでしょうか。
#24
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。日本国民であってそれに加えて外国の国籍をも有する人の数ということですが、結論を先に申し上げますと、外国の国籍を有する日本国民の数を正確に把握するということが難しい状況にございます。
その理由ですが、外国国籍を有するかどうかという問題は、我が国の政府として独自に認定する立場にはなく、当該外国がその法令や解釈に従って判断されます。例えば、日本人であって外国において外国の国籍を取得する原因としては、出生とか認知とか婚姻とか、その国の制度によっても違いますが、そのようなきっかけとなるような事実関係を日本として正確に把握できるという状況になっていないということでございます。
また、外国、今度、外国の国籍を喪失するという場合も、必ずしも日本に連絡がされるというわけではないので、二重あるいは多重国籍の日本人がどの程度いるかということを法務省として正確に把握できていない状況にございます。
#25
○小野田紀美君 ということで、把握できていません。日本では、法律で厳格に二重国籍というのは禁止されています。なんですけど、日本国民の多重国籍の状況、情報の把握も管理もできない。それは今難しい状況というのはるる御説明いただきましたけれども、把握と管理できずして法律を守らせることというのはできないと思うんです。
これやっぱり是正していかなくてはいけないと思うんですけど、法務大臣、いかがでしょうか。
#26
○国務大臣(古川禎久君) 我が国の国籍法では、基本的に重国籍を認めておりません。そして、重国籍者につきましては、一定の期限までにいずれかの国籍を選択するよう国籍選択義務というものを課しております。しかしながら、ただいま民事局長から御答弁申し上げましたように、法務省がこの実情を正確に把握するということは大変困難なのが実情であります。国民の皆様に、御自身が重国籍者であることに気付き、また、国籍選択義務を負っているということを認識していただくということが重要だというふうに思っておりまして、この点、法務省としましても、この重国籍となるケース、あるいは国籍選択義務のあるということを周知を図ってきたところでございますけれども、今後も引き続き広報に努めていきたいというふうに思っております。
#27
○小野田紀美君 法務省で把握することは困難だから自分で是非というふうに言われたんですけど、実際問題、私が二重国籍問題で大変皆様に、本当に国民に御不安と御迷惑をお掛けしたのを申し訳なく思っているんですが、自分自身で把握することが難しいというのが今の一番の問題なんです。お手元に資料を配っています。二枚目ですね。これ、私の戸籍謄本をもう配らせていただきました。そこに国籍選択というのがあって、平成二十七年十月一日って、これ私、私は選挙前にちゃんとやっていたんですけど、この選択日というのを書かれて初めて私は国籍を二重に持っていたんだというのを戸籍謄本に示されたんですよ。これ、選択をするまでは私の戸籍謄本にこんなもの一切書いてなくて、アメリカ国籍を持っていることすら戸籍謄本では分かりませんでした。
そもそも、例えば選挙に出るとき戸籍謄本で日本国籍の証明するんですけど、そこにすら二重国籍載っていなかったら、どうやってそれを防ぐんだよというのは本当疑問なんですが、まあそれはおいておいて、おいておいたとしても、自分自身がこの自分の状態を戸籍謄本を見ても把握できないというのは本当に困るんです。
例えば、あるハーフの方から相談を受けたんですけど、ハーフだけど二重国籍だと知らなかったと。例えば外務省とか二重国籍では勤務できない場所に就職しようと思っていて、いざ就職しようと思ったら、あなた二重国籍ですよと言われて、えっとなって困ったというようなこともありました。
以前は通知を送っていたはずなんです。私も母から、大きくなったらどっちか選ばなきゃいけないんだよと、ただ、そのときには選びなさいよという紙が来るというふうに役所で言われたから、その紙が来たらちゃんと選ぶんだよというふうに言われてきて、二十になって届かない、二十二になって届かない。届かなかったんです、結局。で、どうしていいか分からなくてそのままになってしまって、結果、違法状態になってしまったということがありました。
これ、過去送っていたはずなんですけど、何でやめちゃったんですか。
#28
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。確かに、委員御指摘のとおり、法務省では、昭和六十三年から平成十六年度末まで、国籍選択期限が過ぎた後に国籍選択をしていないと推測される者に対して国籍選択をする必要がある旨の通知を発出していました。平成十七年度からはこの通知を行っていないのですが、その理由は、昭和五十九年に創設された国籍選択義務について一定程度定着し、理解が進んだと考えられたこと、当時、通知を発出していない者からの届出も含めて、通知数を上回る国籍選択に関する届出数があったことがその一つの徴憑と考えられました。また、事務の負担も大きいということを踏まえまして、個別の通知をやめ、ホームページを充実するなどの方法により周知するという方法を選択したものということになります。
#29
○小野田紀美君 ホームページ充実されても、自分が二重国籍だと思っていなかったらそんな手続しようと思わないし、そのホームページ見ようとも思わないんです。これ、私みたいに顔でおやっと分かる人はいいんですけど、分からない人に、親に何も聞いていない人は、本当に自分、何にも分からないうちに違法状態になっているという悲劇を招いてしまうんですよ。で、私たちの二重国籍問題がすごい大きく取り上げられた翌年、国籍選択者すごい増えたんです、やった人が。つまり、みんな何をしていいのかも分からない、自分がどういう状態なのかも分からないという不安を抱えて、あっ、私、違法状態だったんじゃんというので慌てて手続をしたという人がいるのはやっぱりその数字を見ても事実なので、これは、周知もうできていると思いましたというのはちょっとどうかなと思いますし、過去にそうやって事務手続が煩雑というのはあったかもしれないけど、把握して送っていたという実態があるということは、やっぱりできていたわけですよ、昔は。なので、このグローバル化社会の中でこれ非常に重要なことで、国籍というとすぐ何か差別だ、差別だとかと言う人もいるんですけど、人種差別撤廃条約にも、締約国が行う国籍の有無という法的地位に基づく異なる扱いは条約の対象にはならないと。つまり、国籍と差別は違うと。国籍はあくまで制度の話であって、法に定められている以上、それが機能するようにやるというのを国がすることは当然のことなんです。
日本人ってどうも、国籍をそんなに選んだりするというのがないから国籍ちょっと軽く考えているんじゃないかと思うんですけど、国籍って本当に重いんです、実際自分がそうなって思うんですけど。国籍というのは、ルーツがどこにあるかとかじゃなくて、その人の命の責任を最終的にどこが持つかというのが国籍だと私は思っています。だから、グローバル化が進もうが、誰がその命の責任を最後に取るのかというのはやはり国籍なので、日本がこういう法律を定めた以上、守れるような仕組み、本人がせめて分かれる仕組みというのを早急にやっぱり復活させるなり、何か新しい海外との連携も含み模索するなりしていただきたいと思います。
総理、そう法律に決められているけど全然守れないと、知らずに本人が違法行為になってしまうこの状態、是正したいんです。何かお考えありませんか。
#30
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今のやり取り聞いておりまして、要は、国としても国民の皆さんの国籍について十分把握できていない、そして国民の皆さん方もその国籍ということについて十分把握するその手段がない、双方向でこの国籍ということについて確認ができない状況になっている、こういった事態について、やり取りを聞いておりまして、現実はそうなんだということを理解いたしました。その中で、実務としてどうすることができるのか、ちょっと今、これは是非、法務省始め関係者との中でいま一度検討してもらいたいと思います。具体的にどうするかはそうした議論を踏まえて考えていきたいと存じます。
#31
○小野田紀美君 ありがとうございます。実際自分が手続をする上でいろいろな問題点というのがほかにもありましたので、これはまた改めて掘り下げていきたいんですが、今日は皆さんに是非課題を共有してほしくて質問いたしました。ありがとうございます。続いて、経済安全保障と労働力の問題です。
人手不足を本来、機械化や生産性向上であるとか待遇の改善、国内人材の活用で補う努力を十分しないうちに、何か最近人手足りないんだ、じゃ、ちょっと海外人材に頼ろうかみたいな風潮があるのを私はちょっと憤っておりまして、結果、コロナで往来が途絶えたときどうなりました。本当に困ったんです、各業界。
今海外では、労働力の確保というのは経済安全保障の一つだという認識の下に活動されていらっしゃる政府もあります。これ、我が国の政府はどう考えているのか、経済安全保障に資する労働力確保とはどのようなものであるべきなのかというのを、経済安全保障大臣、お伺いします。
#32
○国務大臣(小林鷹之君) まず、一般論として申し上げますと、安定的な労働力の確保というのは我が国経済の持続的な成長の観点からは重要だと考えております。また、優れた技術力やあるいは特殊技能を持つ人材をできる限りの策を尽くして自国で確保していくということは、我が国の経済構造の自立性の向上という観点からは私も非常に重要だと考えています。さらに、経済安保の観点から申し上げますと、我が国が有する技術や情報を守って、その流出を防止していく、そのことが必要となってきておりますが、例えば外国からの労働力の受入れに際しては、このような保全の観点を受け入れる企業やあるいはその団体の方々にしっかりと認識していただくことが必要であると考えておりまして、政府としてもこの点について御理解をいただくための取組をしっかりと進めてまいります。
#33
○小野田紀美君 お願いいたします。ゼロトラストで海外人材を使っていくということはそれ重要なんですけれども、やっぱりその労働力自体を国内で確保できないということ、機械化も全然していかないという今の状態は非常に問題だと思っています。
給料や労働環境、例えば特定技能にしても、日本人と同等以上の給料だから安い労働力ではありませんという人いるんですけれども、そもそも人手不足の業界とそうじゃない業界の賃金の格差を見たときに、そこが安ければ、それは結局安い労働力を入れていることに変わりはないし、その業界がビジネスモデルを転換していったりとか進歩していく、進化していくということができないと。このまま労働環境の改善ができないまま目先だけごまかしていたら、十年後には外国人材も日本の企業は選ばなくなります。ほかにもっと待遇いいところあるんですもの。
やっぱり国内で選ばれるような業界、そして働きやすい業界に人手不足の業界をしていかないといけない。労働力なくして経済は成り立たないので、ここがやっぱり、国内でそのところにしっかり押さえていく、環境を改善していくということが経済安全保障であると考えますけれども、総理、どうでしょうか。
#34
○内閣総理大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、経済の持続的な成長のためには安定した労働力の確保が必要です。その際に、まずは国内において労働力を確保する、これを考えていくのだと思います。ですから、まずは国内において働き方改革など労働される方が働きやすい環境整備に努める、あるいは成長分野において人材育成を図っていく、こうしたことも大事だと思いますし、また、今回の経済対策の中においても、人に対する投資ということで三年間で四千億の施策パッケージ、用意をさせていただきましたが、こういった取組を通じて国内において人材を育成していく、こうした取組は重要であると考えます。
#35
○小野田紀美君 ということで、国内での努力を十分せぬままに、じゃ、特定技能二号を拡充していこうとか、そういう議論に安易に行くのは私は反対だというふうに申し上げて、次の質問に参ります。永住資格の継続的な確認制度導入の必要性についてです。
他国もそうなんですけど、永住資格を取得した後、例えば長く海外に出る、ほとんどいないという、居住実態がないとみなした人の永住資格というのは剥奪されます。これ、ほかの国でも当然のことです。
日本では、居住実態のない永住外国人をちゃんと把握できていますでしょうか。
#36
○政府参考人(西山卓爾君) もとより、永住者の在留資格を許可した方の出入国の情報については把握をいたしておりますが、委員御指摘のような、個々の永住者がどのぐらいの期間本邦に在留していないかという観点での情報の把握、管理はいたしておりません。#37
○小野田紀美君 ということなんですね。例えば、永住資格取って住民票を置いて海外に戻って、児童手当が振り込まれているかどうかだけ確認しに一年に一回日本に戻っているというような報告があったりとか、あと、居住実態もなく、だから収入に応じた納税もしていないけど、住民が受けれる利益だけを不正に得ているというような報告も来ています。
例えばイギリスなんかだと、三百六十五日のうち百何十日以上住んでいないと居住実態があるとみなさないというふうになって資格剥奪になったり、そういう把握をする仕組み、そして審査する仕組みというのがあります。
永住資格というのは、取得するときに条件があるんですね。例えば自分で生活できていますかとか、そういうのがあるにもかかわらず、一度取ると、その後の更新時に条件を満たし続けているかの審査が日本ではありません。ほかの国ではあります。シンガポールなんかは、更新時に、労働、納税を行っているのか、永住者の資格要件を満たしているかというのを、カードの更新のたびにきちんと審査しています。
日本では、世界的に見てあり得ないんですけど、外国人への生活保護も起こっていますよね。ということは、永住資格を取りさえすれば、後は本当にその永住の条件だったり自活できているかというのもチェックされないままに資格が永遠に使われてしまうということが起きています。
労働者とか外国人を早くに入れている国はちゃんとこれに対応し得る仕組みに変更したり変えたりしているので、日本でも、本当に居住実態があるのか、そして資格要件から逸脱していないかというのを確認する仕組みというのが絶対に必要不可欠だと思います。法務大臣、いかがでしょうか。
#38
○国務大臣(古川禎久君) お答えいたします。永住許可に際しましては、入管法上、素行が善良であること、そして生計を立てられること、国益に合致することという条件に適合することが必要だとされておりますし、現状においても慎重な審査を実施しているところです。
一方、現行法令上、この永住許可を受けた後に、許可時に必要な要件を満たさなくなったということをもって許可が取り消されるという仕組みにはなっておりません。
委員のこの御指摘も踏まえながら、この許可後の在留状況を継続的に管理する仕組みを構築するかどうか、こういう是非を含めて検討を進めていきたいと思っております。
#39
○小野田紀美君 今現在はそういう仕組みになっていないんですけれども、やはりその実態をしっかり見ていく。永住権って、永住権と言う人いるんですけど、権利じゃなくて資格なので、資格である以上、やはりその資格を満たしているかというのは確認が必要です。ほかの国はやっている、その例を見ながら今後是非検討をしていくように私から要請を申し上げます。最後に、放送をめぐる課題についてお伺いします。
NHKが受信料の徴収に関して、ちょっと私いろいろ憤りがあるんですけれども、今若者を中心にテレビを見なくなっています。私も二十年テレビ持っていません。今、十代、二十代なんて半数以下です、テレビを持っているのは。そんな状態の中で、これから受信料をキープできないんじゃないかと、だったらネットから取っちゃえばいいじゃんみたいな風潮がちょっとあるというように耳に聞こえてきておりまして、NHKがネットから受信料を取ろうとするって、これ私はけしからぬと思いますけど、総務省、どうでしょうか。
#40
○国務大臣(金子恭之君) 受信料については、NHKが公共放送としての社会的使命を果たすために必要な費用を広く国民・視聴者に公平に御負担いただくため、NHKの放送を受信できるテレビを設置した方を対象としております。インターネットを通じたコンテンツ視聴の急速な拡大などの環境変化を踏まえた今後の受信料の在り方については、幅広く国民・視聴者の皆様からの御理解を得る必要があると考えております。総務省といたしましては、御指摘のようなテレビを設置していない方を新たに受信料の対象とすることは現時点で考えておりません。
#41
○小野田紀美君 現時点ではというところがすごい引っかかったので、永続的に考えないでいただきたいというふうに思います。これ、受信できる人に払ってくださいというのが今の仕組みなんですよ。ネット、それ広げたら、じゃ、世界中でネットつなげる人からみんな取るんですかというおかしなことになるんです。世界中見れるのに日本人だけが払うんですかということになるので、制度として成り立たないと思うんです。
今でも皆さんの払った受信料で、例えば中国人向けの五十チャンネルネット無料放送とかというのをNHKはやっているんですよ、七百コンテンツみたいなやつとか。それもやっぱり日本人の方から、何で俺たちの受信料で払っていない人に無料で見られるんだというようなクレームが来たりしているので、やっぱり公平性ということを考えると、同時放送、ネットと同時放送するときに今はどうしているかというと、本契約をしていない人がネットでNHKを見ると邪魔が入るんですよ。要は契約している登録をちゃんと入力しないと見れないというか、スクランブル化ができています。こういうスクランブル化こそ私は目指していく、すべきだと思うので、安易な、取れるところから取ろうというような拡大はもう絶対阻止していただきたいというふうに強くお願いを申し上げます。
最後に、NHKの国際広報の効果検証について、国の予算から海外の広報発信の委託料としてNHKにお金が出ていると思います。その金額と、何の目的でその予算を計上しているのか、そしてその効果をどのように検証しているのか、お答えください。
#42
○政府参考人(吉田博史君) お答えいたします。国際放送につきましては、総務大臣がNHKに対し、放送法の規定に基づき毎年度国際放送の実施を要請しております。これは、邦人の生命、身体、財産の保護に関する事項、国の重要な政策に係る事項について放送することにより、我が国の放送に対する正しい認識を培うなどのためのものでございます。この要請につきましては、その実施に要する費用を国が負担することと放送法上なっており、令和三年度予算では三十五・九億円を計上しているところでございます。
また、効果検証につきましては、NHKにおいて社会的使命を行う公共放送として、また国際放送の目的を達成するため、自ら適切な効果検証を行っていただくことが必要であると考えております。具体的には、毎年度、NHKがテレビジョン国際放送であるNHKワールドJAPANの認知度や日本についての理解度などを海外調査しており、その結果を国際放送番組の編集に生かしているものと承知しております。
#43
○小野田紀美君 自らやってどうにかなる問題ではないと思うので、やっぱり予算を出した以上、国としてその予算がきちんと効果的に使われているのかというのを確認する制度というのは私は非常に重要だと思います。日本の立場をしっかり出すというところなんですが、例えば慰安婦の問題とかで在外邦人の子供さんたちがいじめられていると。要は、日本のスタンス、日本の説明というのがなかなか広がっていかない中で、こういったお金を掛けた広報活動というのは非常に重要なんです。在外邦人の誇りを守るためにも、在外邦人の、何というんでしょう、友情関係を更に広げていくためにも大事なんですけれども、ここの効果、認知度を見たって、その番組があるねとかが重要なんじゃなくて、その結果、日本の主張がちゃんと広がっているのかというところを検証しなければこの予算を使うことは意味がないと思うので、是非そこの活動をちゃんとチェックしていただきたいというのを総務大臣にお願いしたいです。
#44
○国務大臣(金子恭之君) 御指摘の国際放送の効果検証につきましては、まずは放送の実施主体であるNHKにおいて、我が国に対する正しい認識等を培うなどの国際放送の目的に照らしつつ、適切に実施いただくことが必要でありますが、NHKが現在実施している調査、検証に加えて、総務省としましても、NHKの予算や決算の提出時に付する総務大臣の意見において、NHKに対し、国際放送に関するこれまでの取組の成果について具体的な指標を用いて分析した上で今後の方針を取りまとめるよう求めるなど必要な対応を行ってまいりたいと考えております。#45
○小野田紀美君 NHKに関しては、不法行為を行っている人をかばって国が悪いかのような番組を作ったりですとか、どうも日本の印象を悪くするようなことばっかりしている印象が私の中にはあるので、是非これちゃんとチェックしていただきたいし、テレビを見ている方たちもテレビが言っているから本当だと思い込まない方がいいですよ。自分でちゃんといただいた情報はネットとかでも調べて、本当かなという疑いの眼を持ってテレビを見ていくということもこれからの情報リテラシーのところで大事だと思いますので、この放送に係る問題に関しても引き続きやっていきたいと思います。今日は、皆様にいろいろな日本の諸課題を共有したくて、ちょっと浅いところをなめる質問になってしまいましたけれども、それぞれの問題、引き続き取り上げてまいりたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
終わります。
#46
○委員長(山本順三君) 以上で小野田紀美さんの質疑は終了いたしました。(拍手)─────────────
#47
○委員長(山本順三君) 次に、山本香苗さんの質疑を行います。山本香苗さん。#48
○山本香苗君 おはようございます。公明党の山本香苗でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。まず、コロナ対策についてお伺いをさせていただきます。
ワクチンはコロナ対策の要です。
総理は、今月六日の所信表明演説におきまして、既存ワクチンのオミクロン株への効果等を一定程度見極めた上で、優先順、優先度に応じ、追加承認されるモデルナを活用して、八か月を待たずにできる限り前倒しする意向を表明されました。
本日にもこの接種前倒しを決定すると報じられておりますが、現状いかがでしょうか。
#49
○国務大臣(後藤茂之君) 今御指摘のとおりで、先ほど山本委員から御説明のあったとおりのその方針で、今政府としては最大の努力でなるべく早い決定に向けて作業を進めているところでございます。オミクロン株に対する一定程度の知識、効果等の見極めという部分につきましては、現時点で、例えば米国ファウチ大統領首席医療顧問からは、ファイザー社又はモデルナ社のワクチンを用いて追加接種することでオミクロン株に対する効果が十分得られるとか、英国健康安全保障庁からは、ファイザーワクチンの追加接種二週間後の発生予防効果は七五%程度であったとか、国立感染研究所からは、英国健康安全保障庁の報告を引用しながら、ファイザー社のワクチンを追加接種することでオミクロン株に対する一定の発症予防効果が得られるとする一方で、本報告は発症予防効果についての評価であり、重症予防効果に対するワクチンの有効性は更なる検討が必要と、このような内外での新しいオミクロンに対する、ワクチンのオミクロンに対する効果についての分析も進んでいることを申し上げたいと思います。
#50
○山本香苗君 ある一定程度の効果を見極めたというのは、近々見極めるということでございますけれども、優先度に応じ前倒しを実施すると。具体的に、じゃ、その前倒しの対象はどうなるんでしょうか。#51
○国務大臣(後藤茂之君) 優先度に応じてというところは、具体的にどういう方からということを明確にお示しし、できるだけ早期に進めたいと思っております。#52
○山本香苗君 とにかく地方自治体の方からは、高齢者施設等から早くやりたいと、前倒し実施させてもらいたいと、その場合、接種券が来ていなくてももう全員やらせていただきたいという、そういったお声も上がっております。是非そうした運用も確保していただきたいと思います。ただ、前倒しをするとしても、希望するワクチンが届かないのではという声が地方自治体から数多く寄せられております。自治体へのワクチン配送スケジュールはいつ見直されるんでしょうか。
#53
○国務大臣(堀内詔子君) 先ほど来お話が出ておりますように、ワクチンのオミクロン株への効果、ワクチンの供給力などを踏まえた上で、優先度に応じて一定程度の国民への前倒しを検討しているところでございますが、前倒しに伴う自治体へのワクチン供給についても検討中という状況でありますが、前倒しの範囲とかそれから方法、そういったものが決まり次第、必要となるワクチンは、速やかに自治体への供給の見通しをお示しするとともに、前倒しに必要な量のワクチンを必要な時期に供給させていただきたい、そのように思っております。#54
○山本香苗君 確認でございますが、今、様々前倒しの方針が決まった後には確実に、ワクチンが現場で足りないというようなことは絶対に起こさないということでよろしいでしょうか。#55
○国務大臣(堀内詔子君) 繰り返しになりますが、前倒しに必要なワクチンについて、前倒しの範囲や方法がしっかり決まりました後は速やかにその必要な量をお届けさせていただきたい、そのように思っております。#56
○山本香苗君 この点が一番、自治体の皆さん方、心配されているんですね。是非ともここは、総理、ファイザーの方にもお電話されたと伺っておりますけれども、ここはしっかり国が責任を持ってやっていただきたいと思います。実際、もうとにかくファイザーを多く支給してほしいと、もう全部ファイザーにしてもらいたいと、そのような自治体から多くのお声いただいています。
ただ、今、明確になっている来年三月末までのこのファイザー約二千万回分とまたモデルナ約一千七百万回分、合計三千七百万回分のワクチンが配送されて、自治体ごとにファイザーとこのモデルナが六対四という形になると。他方で、一回目、二回目ファイザー打った方とそしてモデルナ打った人の割合というのは九対一なんですね。そうなると、すなわち相当数の方に交互接種をお願いしなければ迅速な接種は実現できないわけです。こうした事実を国が責任持ってちゃんと国民の皆様方に説明すべきだと思うんです。
また、交互接種、今回初めてなんですね。交互接種の安全性、有効性などに関する科学的知見をできる限り収集して、国民の皆さんに御理解いただけるように、地方自治体じゃなくて国が先頭に立って積極的かつ丁寧に説明すべきだと思いますが、後藤大臣、いかがでしょうか。
#57
○国務大臣(後藤茂之君) 昨日、モデルナ社の新型コロナワクチンの追加接種の薬事承認が下りまして、厚生科学審議会においても、三回目の接種のワクチンとして使用することが正式に認められております。交互接種につきましては、英国で行われた研究等でも、接種が七日以内の副反応は安全性の面で許容されるという報告が正式に出されましたし、効果についても、抗体価は十分上昇したというふうに報告も出ているところでございます。
こうしたワクチン交互接種の安全性の問題も含めまして、先生御指摘のとおり、国としても新たなリーフレットを作成いたしまして、自治体と連携しながらしっかりと交互接種、確かに、おっしゃったように、御希望のワクチンのとおりにいかない場合であっても、交互接種、ファイザーが足りないときにモデルナを使っていただく。そうした形で、身を守るための交互接種進めていくようにしっかりと広報をいたしたいと思っております。
#58
○山本香苗君 国が幾ら前倒しをせよと号令掛けても、接種の実施主体は自治体です。既に多くの自治体から、現在の準備状況から前倒しは非常に厳しいというお声もいただいております。三回目接種を前倒しするに当たって国としても最大限サポートしていただきたいんですが、総理、いかがでしょうか。#59
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の三回目のワクチン接種についてできるだけ前倒しをするということを申し上げているわけですが、その前倒しのやり方、方式、具体的な進め方、これについて政府としてまず早急に確定し、具体化、具体的に説明しなければならないと思います。そして、その上で、先ほど来の議論の中で、交互接種の安全性、こういった安全性についても国民の皆さんにしっかり説明をしていかなければならない。そして、それに応じてしっかりワクチンの量を確保できるようにしっかり取り組んでいかなければならない。そして、自治体をしっかりサポートする観点から、三回目の接種の費用についてもこれは全額国が負担するということ、これも明らかにさせていきます。その上で、自治体としっかり連携をしながらこうした全体を進めていく。こうした丁寧な取組を政府としても行っていきたいと考えております。
#60
○山本香苗君 できるだけ早く丁寧に自治体の方に御説明いただきたいと思います。この夏の第五波では過去最大の感染者数を記録いたしまして、各地で保健所業務が逼迫しました。そのため、何日たっても保健所から連絡が来ないといった事態が相次ぎまして、保健所から連絡が来ないままお亡くなりになった方もいらっしゃいました。
保健所では、医療機関から陽性患者が発生したという届出を受けた後に、保健師ら専門職の方々が、生年月日だとか住所だとか勤務先だとか本人情報、また、基礎疾患、濃厚接触者を特定するための行動歴などを細かく聞き取る積極的疫学調査というのを行っているわけですが、この調査、最低でも一人一時間程度掛かります。せき込む方もいらっしゃって、聞き取り難しいときもあるそうです。
そこで、大阪の枚方市保健所では、第六波に備えて、この九月から、患者本人又は家族が本人情報や現在の症状等、基本情報をオンラインで入力できる仕組みを始めました。発生届が出されたら、すぐさま専門職以外の事務職員が患者さんに電話して、スマートフォン、パソコンを使えますかと聞いて、使えますと言ったら、市のホームページの専用フォームから基本情報を入力してもらっているんですね。十五分程度で終了できまして、これまで九割以上の方が利用していると伺っております。これによって患者さんがより保健所と早くつながれるんです。そして、療養方針決定までの時間を大幅に縮小できたと伺っております。同様の取組は神奈川県でもスタートしていると伺っておりますが、是非こうした取組を、もちろん保健所の体制強化も必要なんですが、人が確保できないんです。こうした仕組みを是非全国で導入できるようにしていただきたいと思います。
と同時に、これ、いい仕組みなんですけど、先ほど大臣おっしゃったHER―SYS、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システムですね、これに取り込めないんです。インポートできないんです。なので、わざわざ一回出して手入力で入れているということで保健所の負担になっています。是非システム改修していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#61
○国務大臣(後藤茂之君) 今、山本委員から大変に実態に即した御議論をしていただきまして、保健所の体制整備を進めること、非常に重要だというふうに思っております。今御提案のありました、保健所が実施する積極的疫学調査のうち、本人の氏名、健康状態といった基本的事項を御本人にウエブ上で自ら入力していただくと。そして、保健所において、発症の経緯、専門的視点からのいろんな確認情報を日常的に利用しているHER―SYSと自動的に連携させるという先生からの御提案は非常に有効な対応案だというふうに感じております。技術面、費用面、課題などもございますんですけれども、しかし、HER―SYSに実装できないかどうか、早急に検討していきたいと思っております。
#62
○山本香苗君 ありがとうございます。コロナで多くの方がお亡くなりになられました。改めまして、心からお悔やみを申し上げます。
昨年七月、厚生労働省と経済産業省に共同でコロナでお亡くなりになられた方の御遺体の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドラインを策定していただきました。しかし、御遺体を取り扱っている事業者全てにこのガイドラインが行き渡っているわけではありません。そのため、御遺体を非透過性納体袋に収容していない事業者もありまして、二次感染等のリスクも懸念されています。
じゃ、何で行き渡っていないのかということなんですが、実は、御存じの方もいらっしゃると思いますけれども、御遺体の取扱いについての法的規制がないんです。どこでどういう事業者がこの御遺体を取り扱っているのか、実態把握できません。このガイドラインのみならず、国から通達等を出しても周知できないんです。そのために、御遺体を適切に取り扱う事業者の届出制を求める声が、葬祭事業者始め消費者団体、中小企業団体、地方団体、地方自治体から上がっています。
御遺体への対応に当たっては、公衆衛生の面のみならず、お亡くなりになられた方の尊厳を守り、御遺族が安心してお見送りができるようにすること、私何よりも重要だと思っております。そのためには、御遺体を適切に取り扱う事業者の届出制は最低限必要だと考えておりますが、厚生労働省のお考えはいかがでしょうか。
#63
○副大臣(佐藤英道君) 御指摘のガイドラインは、新型コロナウイルス感染症により亡くなった方の最期の場面に尊厳を持って携わりながら適切な感染対策を講ずることを目的として策定したものであり、当省においても積極的に周知を努めてきたところであります。御遺体の保管、管理については、現在、我が国において、新型コロナウイルス感染症の蔓延に加えまして、今後見込まれる高齢者数の増加を踏まえれば、公衆衛生上の視点からも事業者等の届出制等を含めた検討が求められている状況にあるものと承知をしているところであります。
一方で、議員御指摘のとおり、現状では御遺体の保管、管理の具体的な取扱いについて法的な規制が設けられておりません。その実態についても詳細に把握されていないところでありますので、厚生労働省としましては、まずは国内の実態や諸外国における御遺体の取扱いのルールに関して調査することを検討してまいりたいと思います。
#64
○山本香苗君 ネット広告によるトラブル等も多く発生しておりますし、是非まず国内の実態を把握をしていただきたいと思います。海外におけるルールということなんですが、実は主要国でルールがないのは日本だけだそうでございます。是非よろしくお願い申し上げます。次に、コロナによって困窮されている方々の支援についてお伺いいたします。
まず最初に、住民税非課税世帯等に対する十万円の臨時特別給付金について。
この給付金は、住民税非課税世帯に加え、令和三年一月以降コロナの影響を受けて家計が急変し、住民税非課税世帯と同様の事情にあると認められる世帯も対象となるとのことですが、申請が必要です。できる限り簡単な手続で迅速かつ円滑に支給していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#65
○国務大臣(山際大志郎君) ただいま委員御指摘のいわゆる家計急変世帯に対しての支給でございますけれども、具体的には令和三年、ですから今年の一月以降の任意の一か月の収入を年収換算、すなわち十二倍いたしまして、世帯全員が、世帯員全員が住民税非課税基準を下回る場合には給付対象といたします。その他、収入で見て基準を満たさない場合には控除を適用した後の一年間の所得での判定も可能とする方向で検討してございます。これを地方自治体と今運用につきまして検討しているところでございまして、例えばですけど、給与明細のようなものだけでも判定できるような非常に簡易な方法でやれるように今準備をしているところでございまして、できるだけ早期に給付ができるようにしてまいりたいと思っております。
#66
○山本香苗君 家計急変って、今、令和三年一月以降と言われたんですが、一月からいつまでが対象となりますか。#67
○国務大臣(山際大志郎君) 様々な手続等々も勘案いたしまして、来年、令和四年の九月の末日までを対象といたします。#68
○山本香苗君 といたしますと、例えばですね、今年どうにかぎりぎりやってきたけど、年末で仕事がなくなって収入がゼロになったと、来年に入って一か月の収入が激減し、年収換算したらすぐこの住民税非課税世帯と同様と認められる場合というのは、すぐ申請できるんでしょうか。そういった場合、どういった書類が必要になるんでしょうか。#69
○国務大臣(山際大志郎君) お答えとしては申請できます。その際に必要なものは、先ほども申し上げましたけど、一か月の収入とその十二倍の額を記載していただくということですが、一か月の収入ということですね。さらに、その月の給与明細書の帳簿の写しやあるいはそうした書類がない場合は預金通帳などでも、その写し、収入額が分かる書類を添付していただければ、それを判定基準といたしまして使えるように、簡易なものにしてまいりたいと思っております。
#70
○山本香苗君 非課税かどうかの判定についても分かりやすい方法をお示しされると伺っているんですけれども、障害者、未成年、寡婦又は一人親については所得が百三十五万円以下であれば非課税となります。是非これも加味していただきたいと思いますし、併せて令和三年度未申告者については非課税世帯とみなしていただきたいと思います。といいますのも、申告拒否しているケースは別なんですが、未申告者の多くは日雇労働者であったり、収入がないので申告をする必要がないと思っている方や、また収入がない引きこもり状態の方々など、この未申告って、救わなきゃいけない方々が多いと思うんです。是非この点についても、大臣、どうでしょうか。#71
○国務大臣(山際大志郎君) 今御質問のありました障害者の方、未成年者、寡婦、一人親の方につきましては、所得ベースで年間百三十五万円以下、これ給与収入ベースで年間二百四・三万円以下ということになりますが、であれば、これは住民税均等割が非課税となってございますので、この制度の対象になります。なので、判定方法等を分かりやすくお示しをしてまいりたいと思います。また、未申告の方につきましても、これは申請書に住民税非課税であるということを宣誓していただくような欄がありますので、そこを記入していただくことにおいて支給対象になるようにしっかりやってまいりたいと思っております。
#72
○山本香苗君 DV等特別な配慮を必要とする場合、住民票と異なる自治体で給付金を受け取れるようになっているということでございますが、是非当事者の方々に分かりやすく御説明していただきたいと思います。また、DV以外に特別な配慮を必要とする場合は何なのか。例えば、コロナ禍において虐待や非行、貧困などの背景から家に帰ることができない、家に居場所がない若い女性たちの存在が浮き彫りになりました。こうした女性たちも対象にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#73
○国務大臣(山際大志郎君) そういった皆様方も、結論から申し上げますときちんと対象にしてまいりたいと思っております。少し制度に関わることなので読み上げさせていただきますが、配偶者暴力防止法に基づく保護命令が出されていること等によりDV等避難者であることが確認された場合は元の世帯から独立した世帯として扱うことといたしまして、所得要件を満たす場合には避難先自治体において給付を行う方向で検討してございます。
それに準じまして、その後段の質問に対するお答えですけど、例えばその虐待を受けて措置入所をしている児童等や、今の女性の話ですが、貧困や虐待により民間シェルターに避難されている方々につきましても、住民票を居住地に移していない場合が存在しているため、DV等避難者と同様の独立した世帯として取り扱いまして、給付金の対象にする方向で検討をさせていただいております。
#74
○山本香苗君 給付を担う自治体の負担も考えなければなりませんが、コロナでお困りの方々に届けると、これが一番大事なことだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。コロナ禍におきまして、緊急小口資金等の特例貸付けの貸付件数が物すごく増えました。現在に至るまで、貸付件数三百万件超えています。この特例の返還開始時期は実は来年四月と迫っていたのですが、今回、これ再来年一月以降という形に後ろ倒しをするとともに、返還免除の要件が明確化されました。
そこで、佐藤厚生労働副大臣にお願いがございます。この返還免除、都道府県の社協が、社会福祉協議会が判断することとなっておりますけれども、全国統一した公平な運用を担保していただきたいと思います。また、返還開始後に、返還免除の要件に該当するにもかかわらず、借受人が申請してこないケースが考えられます。開始後にこの自治体だとか自立相談支援機関が返還免除要件に該当する状況を把握した場合は、都道府県の社会福祉協議会に意見具申するなど、この返せない人を追い込むようなことがないようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#75
○副大臣(佐藤英道君) 御指摘のありました緊急小口資金等の特例貸付けにつきましては、返済開始時に借受人及び世帯主が住民税非課税である場合等におきましては返済を免除できることとしておりますが、返済開始時には住民税非課税ではなく返済免除の対象とならないケースにおいても、返済期間中の状況の変化に応じたきめ細やかな対応が必要であると考えております。このため、返済期間中に返済が困難になった場合の対応として、返済開始後に借受人及び世帯主が住民税非課税となった場合は残債を一括して免除すること、また、死亡や失踪宣告、生活保護の受給、重度障害者の認定、自己破産等の一定の要件を満たす場合には残債の全部又は一部を免除できることとしておりまして、その取扱いについて先月通知でお示ししたところであります。
今後、返済が開始される中で、実施主体である都道府県の社会福祉協議会が返済免除の判断に迷う事項については、借受人の実情や実務の負担等を踏まえながら、関係機関との連携を含め、連携方法を含め、必要に応じて返済免除の判断基準や考え方を改めて示すなど、統一的な取扱いの確保に努めてまいります。
#76
○山本香苗君 このように、全国の社会福祉協議会の現場では、この間、何百万人もの方々を特例貸付けで支えながらコロナで一気に急増した生活にお困りの方々の支援を続けています。しかし、社会福祉協議会の常勤職員って僅か四割で、貸付け以外の人的体制ってほとんど変わっていません。この間、過酷な業務により離職した方もおられます。コロナでお困りの方々の生活再建をしっかり支援するとともに、誰一人取り残さない地域づくり、これをしていくために社会福祉協議会の常勤職員、また増員というのは不可欠だと思っております。
そのため、是非とも地方交付税措置を大幅に拡充していただきたいんですが、いかがでしょうか。
#77
○国務大臣(後藤茂之君) まずは、社会福祉協議会の皆様には、コロナ禍において、委員御指摘のとおり、緊急小口資金の特例貸付けの対応を始め、地域福祉の中心的な存在として日々御奮闘いただいていることに心から感謝を申し上げたいと思います。そして、社協の実施体制でございますが、緊急小口資金等の特例貸付けのほか、生活困窮者自立支援法に基づく自立支援相談等を担っていただいているその事業については、実施体制は国や自治体からの補助や委託費などにより確保されていると承知をいたしております。
また、市町村社協に対しては、地域福祉活動の要として福祉活動専門員の配置を依頼しておりまして、その費用については、従前補助金で対応していたものを、平成十一年度からは地方交付税において措置をいたしております。
少子高齢化、核家族化の進展に伴いまして、地域福祉を推進していく上で社協に求められる役割はますます高まっているというふうに考えておりまして、現在、総務省ともよく連携しながら進めてまいりたいというふうに思っております。
#78
○山本香苗君 金子総務大臣の御地元の熊本県人吉市の社会福祉協議会の方々も、貸付けのみならず、災害対応で大変頑張っておられました。大臣からも御答弁をお願いできますでしょうか。#79
○国務大臣(金子恭之君) ありがとうございます。社会福祉協議会におきましては、従来から生活困窮者の自立支援に御尽力をいただいているところでございますが、コロナ禍においてその役割はますます高まっていると認識しております。
総務省としては、困窮者自立支援や福祉活動専門員の設置等に要する経費について地方交付税措置を講じてきております。引き続き、厚生労働省と連携し、勤務実態等の把握に努め、適切に対応してまいります。
ありがとうございます。
#80
○山本香苗君 ありがとうございます。この、今回、緊急小口資金等特例貸付けを借り切った一定の世帯等に対して三か月最大三十万円給付する生活困窮者自立支援金というのを再支給するとともに、この緊急小口等初回の総合支援資金を借り終えた一定の困窮世帯にも再貸付けに代えて支援金を給付することとなりました。
そこで、三点お願いがあります。
新規に対象となる方並びに再支給の対象となる方に対して個別通知していただきたい、また、今月中に申請受付を開始してできる限り早く支給をしていただきたい、またあわせて、再支給については手続をもう抜本的に簡素化していただきたい。三点、以上お願いいたします。
#81
○副大臣(佐藤英道君) 新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金については、今般の経済対策におきまして、初回の総合支援金を借り終えた一定の困窮世帯にも自立支援金を支給できるようにするとともに、自立支援金の支援期間中に求職活動等を誠実に行ったにもかかわらず、なお自立への移行が困難である方について、一度に限り再支給を可能とすることとしたところであります。対象となる方に着実に支援を届けるため、新規又は再支給の対象となり得る方に対し、可能な限りプッシュ型での御案内を早期に実施していただくこととしており、既に対応いただいている自治体もあると承知しております。
さらに、再支給の申請受付に関しても、各自治体において準備ができ次第順次開始していただくことにしておりまして、既に受付を開始している自治体もあると伺っております。
また、御指摘の再支給の手続の簡素化につきましては、初回の自立支援金と同一自治体への申請の場合には、初回の自立支援金の支給履歴や口座情報等を確認するための書類について、自治体の判断により省略することを可能としております。
是非、こうした取組を通じて、支援対象となる方に着実に支援を届けてまいりたいと思います。
#82
○山本香苗君 この生活困窮者自立支援金の収入要件、資産要件は厳しいんです。対象はそのせいで大変限られております。その上、今お話ありましたが、月二回以上ハローワークで職業相談等を受ける、原則週一回以上求人先へ応募を行う、また求人先の面接を受ける、こうした求職活動も要件となっています。自営業やフリーランスの方であってもこの要件を満たさなくてはなりません。支援金をもらうためだけに形だけ求職活動を行うと、これがどれだけ屈辱的なことか。実際窓口で、こんなことまでしてお金をもらいたくないと怒って帰られた方もおられると伺いました。皆さん誇りを持って働いておられます。
そして、こうした自営業やフリーランスの方々にとって必要なのは、求職活動じゃなくて経営相談なんですね。コロナ後を見据えてどう事業を再生していくのか、それとも畳むのか、廃業の相談も含めた経営相談を受けることこそが必要なんです。
是非、自営業やフリーランスの方々については、求職活動じゃなくて、こうした経営相談を行う、受けることをもって求職活動とみなすといったような運用改善を図っていただくことはできないでしょうか、大臣。
#83
○国務大臣(後藤茂之君) 新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金は、個別事業の継続等を図るための給付ではなく、生活保護に準ずる意味で、困窮世帯に対して個人の生活を支えるためにつくられているものでございます。自営業やフリーランスの方についても、転職までは求めないものの、当面の生活を早期、確実に成り立たせるためにアルバイト等の副業を含む求職活動等を行う前提として自立支援金の給付を行わせていただいております。御提案の自営業の方の経営相談をもって求職活動要件とみなすことができないのかという点でございますけれども、経営相談への参加が自立支援金の、先ほど申し上げました政策目的である早期かつ確実な生活再建につながるかは一概に言えないということ、それから、自営業の方以外、つまりサラリーマン、雇用者の求職活動をしている方との均衡、不平等の問題もあるように思います。そういう点を勘案して、今、こうした自営業等の方の経営相談をもって求職活動要件を満たしたものとみなすことは難しいというふうに考えております。
ただし、事業者については、自立支援金の要件と全く関わりなく事業復活支援金等の支援もございますし、それから、自立相談支援機関においても、こうした方々からの相談に対して必要に応じて各種事業との連携等もしっかりと全体的に御相談に乗るように、各省、関係省庁と連携して周知徹底を適切に行ってまいりたいというふうに思っております。
#84
○山本香苗君 その支援の現場から、支援の実態と、支援と実態が乖離していると、見直してほしいと、そういう声が上がっております。これじゃ、救いたい、本来、救えない、救わなきゃいけない人が救えません。是非、運用の実態を把握をしていただいて、新たな支援の在り方というものを是非御検討いただきたいと思いますので、強く要望しておきます。次に、求職者支援制度についてお伺いしたいと思いますが、この制度は、総理も何度も御紹介されておりますように、月十万円の給付金をもらいながら無料の職業訓練を受講できる制度で、雇用保険の資格がない方、また、失業手当の受給期間が終了した求職者に加えて一定の収入以下の在職中の方も対象となっており、今回新たに転職せずに働きながらスキルアップをしようという方も対象になると伺っております。御関心のある方は、是非これを最寄りのハローワークに行って御相談いただきたいと思います。枠は十分あります。
そういう中で、ただ、この制度は、失業手当を受けている方、対象外です。失業手当が月十万円に行かない方も対象外なんですね。そのために、失業手当が終わるまで訓練を受けられないといった声が上がっておりまして、後藤大臣、是非制度の見直しを図っていただきたいと思います。
#85
○国務大臣(後藤茂之君) 求職者支援訓練につきましては、近年、受講者のニーズの多様化等によりまして失業手当の受給資格者が求職者支援訓練の受講を希望するケースが増加してきていると、その実態は十分に認識しております。このため、現在、労働政策審議会におきまして、失業手当の受給資格者が求職者支援訓練の受講をする場合にも給付日数の延長や通所手当の支給を可能とすることについて御議論をいただいているところでございます。
こうした議論も踏まえまして、改正案の提出も含めて必要な対応を図ってまいりたいというふうに思っております。
#86
○山本香苗君 ありがとうございます。次に、コロナ禍において生活が厳しい方々が増えているにもかかわらず、最後のセーフティーネットであります生活保護は余り増えていません。この理由として、役所におけるいわゆる水際作戦と言われるものがよく批判をされておりますが、本当に制度そのものに問題はないんでしょうか。
本来受給できるべき人が受給できていない背景は一体何なのか。コロナ禍における生活保護のこの運用実態というものを是非調査をしていただきたい。最後のセーフティーネットとして機能しているかどうか把握していただいて、制度の見直しにつなげていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#87
○国務大臣(後藤茂之君) 生活保護が必要な方に対して、確実かつ速やかに保護を行うことが重要だと思っております。コロナ禍におきまして、保護の申請権の侵害や、侵害と疑われるような行為自体も厳に慎むこと等を留意事項として随時福祉事務所に対して周知徹底をいたしているところでございます。一方、生活保護の現場の実態については、現下の状況における困窮者の状況を調査研究する事業を実施しているところでありまして、これらも活用してしっかりと実態把握にも努めてまいりたいというふうに思っております。いずれにしても、生活保護が最後のセーフティーネットとして機能が果たせるよう、まさに先生の御指摘のとおりでございます。運用の在り方も含め、次期制度改正に向けて、令和五年でございますが、検討してまいりたいというふうに思います。
#88
○山本香苗君 コロナ禍において様々課題がありましたけれども、顕在化いたしましたが、住まいを失ったり、家賃を払えず住まいに不安を抱えている多くの方々の存在が浮き彫りになりました。住まいがなければ、制度があってもつながれません。また、働きたくても働けません。そして、ステイホームという中で、そのステイするホームすらなくて命すら脅かされるという状態もございました。そうした中で、総理の「岸田ビジョン」、読ませていただきました。その中に、世界で広く行われている家賃補助や住宅手当などについて検討していく必要があるという一文がございました。コロナ禍で顕在化したこの住まいに対するニーズというものを踏まえて、空き家など既存のこの施設もフル活用しながら、この住宅手当というと、もう斉藤大臣のところの国土交通省もぐっと腰が引けるんですね。これ、住宅って本当大事なんですよ。
この住宅手当だけとは言いませんが、これもひとつきちっと岸田内閣において創設をしていただきたいと思いますし、それ以外の様々なこの住まいのセーフティーネットを強化するため、再構築するために御尽力いただきたい。そのために関係省庁で検討の場を立ち上げていただきたいんですが、総理、いかがでしょうか。
#89
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 私の、私が本の中に書いた住宅政策の重要性というのは、世界的に中間層の再構築を図る中にあって、この中間層にとって最も大きな負担は住宅費と教育費であると、この二つの支援が重要だという文脈で申し上げたところでありますが、ただ、委員の御質問、この住宅のセーフティーネットということについて、住まいというのはこれは生活の基盤であります。コロナ禍の中で困窮されておられる方々にとって、このセーフティーネット、大変重要であるというこの指摘はそのとおりだと思います。検討に当たって、国土交通省、厚生労働省を始めこの関係省庁、関わる関係省庁多岐にわたると認識をいたします。是非、関係省庁一体となって、こうしたこの連携した上での対応を考えていかなければならないと思います。そうした取組を進める上で工夫をしてみたいと思います。
#90
○山本香苗君 工夫というのは、検討の場を立ち上げていただけるということでよろしいんでしょうか。#91
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 検討の場、どういった検討の場をつくってそういった課題に立ち向かうのか、そういった観点からふさわしい検討の場の在り方について考えます。#92
○山本香苗君 総理、是非来年度、そういった形で検討の場を立ち上げていただきたいと思っております。住まいの問題は別にお金の話だけじゃなくて、もう保証人の問題、緊急連絡先がない、また、死後事務委任を、死後事務を委任できる人がいない身寄り問題もあります。こうした問題も併せて検討していただく場という形でございますので、喫緊の課題だと思います。野田大臣にお伺いいたします。
先日、生まれつき両腕がない中学三年生の女の子にお会いしました。彼女は足の指を使って上手に文字も書けます、パソコンも使えます。そして今、彼女は来春の高校受験を控えて、お母さんと一緒に学校説明会巡りしています。受験できるのかどうか、その際どういった配慮をしてもらえるのか、入った後に安心した学校生活を送れることができるのかどうか、一校一校聞いて回っているんですね。
一生懸命彼女たちの話を聞いてくれる学校もありましたけれども、試験時の配慮は一切しないと、入学後の配慮も困難である、支援者など部外者が校内に入るのもやめてほしいといった対応をした学校もあったと伺いました。高校進学当たり前の時代に何でこんなつらい目に遭わなくちゃいけないのかと。
また、高校進学できたとしても、これ、通学にこの障害福祉サービス使えないわけです。みんなと同じように普通の高校に通いたいだけなんです。だけど、障害があるというだけで、もう至る所壁だらけなんですね。
今、子供政策の新たな行政組織創設の議論がなされておりますけれども、こうした壁を子供や子育て当事者の視点からぶち破っていくような組織になるんでしょうか。子供政策を子供の視点から変えていくと、そして、子供政策のパラダイムシフトを起こすと、これこそが新しい組織の創設する意義じゃないかと思っているんですが、野田大臣、いかがでしょうか。
#93
○国務大臣(野田聖子君) 私も毎日壁にぶち当たっております。子供をめぐる様々な課題に適切に対応するため、子供目線に立って、いわゆる縦割りを排した行政進めていかなければならないといつも思います。
子供政策の推進に向けた新たな行政組織体制、これについては、子供を中心に据えて、子供視点に立った強い司令塔機能の発揮や現場感覚の伴った政策立案実施が可能になります。また、年齢による切れ目とか省庁間の縦割りを排して、新規の政策課題や隙間事案の対応、そして、就学前の全ての子供の育ちの保障、学童期、思春期の子供への支援、さらに、子供や若者、家庭に対するアウトリーチ型、伴走型支援、プッシュ型の情報発信を実施していくことを想定しているところです。
児童の権利に関する条約、まあこれ、皆さん御存じですが、の前文の考え方は、子供は家庭環境の下、幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされているところです。
こども家庭庁という名称は、子供の健やかな成長にとって家庭における子育てをしっかり支えるということが子供の幸せにつながるという趣旨であり、「こどもまんなか」社会を実現するための新たな組織を創設するという基本的な考え方は変わっておりません。
#94
○山本香苗君 今、新たな組織の名称をめぐってのお話もありましたけれども、一部報道等で、伝統的な家族観の押し付けとか家族のいない子供は切捨てといった批判がなされておりまして、私、本当に悲しくなりました。新しい組織は、今、野田大臣がおっしゃっていただいたように、子供を真ん中に据えて、子供の幸せを実現するために子供も支援するし家族も支援していくんだと、そういうものであって、親御さんのいない子供たちも、もちろん外国ルーツの子供たちも、そして無戸籍や無国籍の子供たちも、全ての子供たちの育ちを支えていく組織になるんだということを、我々もこれからもしっかり言っていきたいと思いますが、大臣、どうですか。
#95
○国務大臣(野田聖子君) 重ねて申し上げたいと思います。まず、児童の権利条約を批准して久しいんですけれども、それに伴う国内法というのはこの国に存在していなかった。今回、こども庁を創設するに当たっては、懇談会の皆様方がその趣旨をしっかりと中心に据えて、やっぱり全ての子供、障害の有無もなく、それぞれの子供がこの国で、まあ基本的には、権利条約の下では家庭にいるのが望ましいけれども、そうでない困難な子供たちもいます。その子供たちを家庭が支えるように努力すること、そして、それがかなわなければ社会、そして国、国自体が家庭として全ての子供を幸せにする、そういう義務を持つんだということが今回の趣旨だと思います。
#96
○山本香苗君 それを実現するに当たって、総理、是非とも、是非とも新しい組織に移管する定員を大幅に上回る体制と予算の大幅な拡充をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。#97
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 組織、定員ということについて申し上げるならば、これは新しい政策課題への対応、また司令塔機能、政策立案機能、そういったこの機能の強化に必要な人員ということを考えても、移管する定員を大幅に上回る体制を是非目指したいと思います。そして、新しい行政組織の発足を待たず、来年度より体制、増員をして、子供政策を強力に進めていきたいと考えます。そして、この子供政策の安定財源確保についても、この社会全体での負担の在り方を含め、幅広く検討を進めたいと考えます。
#98
○山本香苗君 もう一つ総理に続けてお伺いします。十一月十二日に、総理は、デジタル化に向けた人材を育成するため三年間で四千億円のこの政策パッケージを創設すると、そして、民間、政府が一方的に中身を決めるのではなくて、民間企業や個人のアイデアを広く募りたいとおっしゃいました。
そこで、具体的に提案をしたいと思います。
今、建設現場で現場監督が不足しています。その理由として、仕事が多い、残業が多いということが挙げられておりますけれども、現場監督の仕事の半分は書類業務なんですね。積算、見積書の入力、施工要領書、図面作成、修正、もう様々書類がもうあって、これらを現場監督の仕事から切り出して、サテライトオフィスでサポートする建設アシストという新しい職域というものを導入することによって生産性が向上し、現場監督の残業時間を七割近く減らしたという実例もあるそうです。この業務にはCADをベースにしたITスキルが必要なんですけど、そのあとはもうOJTでできるということなんです。
現在、この建設アシストに対するニーズが増えておりまして、就職氷河期の方や子育て中の女性や外国人だとか、建設業の経験がない方々もたくさん活躍されていらっしゃいます。
これはあくまで一例です、一例なんですが、デジタル人材を育成していくといった場合に、今まで当たり前とされてきたこと、この例でいうと、現場監督は現場のこと何でもしますよという常識を見直して、そして新しいこのビジネスモデルをつくって、そこに人材を育成していくと、こういう形、こういう戦略でやっていかなくちゃいけないと思うんですが、総理、いかがでしょうか。
#99
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 人への投資についてしっかりと政府として支援をしていくこと、これはもちろん大事ですが、具体的に、人への投資を行ってどのように活躍していただくのか、その点まで思いを巡らすことが重要だと思います。今委員の方から新しいビジネスモデルという御指摘がありましたが、まさにそういった観点からこのビジネスモデルが大事だという御指摘だと思います。
今回、三年間で四千億程度のこの施策パッケージを用意いたしましたが、この予算と併せて、これをどのように活用するかということを広くこの民間の企業あるいは働いている皆さんから公募しようという仕掛けをセットで用意いたしました。是非、企業や労働者の皆さんから具体的なこのビジネスモデル、どのようにこの予算を活用するのか、こうしたアイデアを広く募ることによって、すなわちその現場の企業とか労働者の皆さんのニーズに合ったこうしたビジネスモデル、提案いただいて、そういったこのアイデアを生かすために予算をしっかり活用していきたいと考えています。
#100
○山本香苗君 何で申し上げたのかといいますと、このままでいくと、三年間で何人訓練受けましたというだけで終わりそうなんですね。訓練したけどちゃんと安定した雇用につながらないんじゃないかと、そこを大変懸念しておりますので、是非、その公募も含めて、民間の知恵を使いながらやっていただくという新たな仕組みを是非取り入れていただきたいと思います。最後に、経済安全保障について伺います。
総理は、新たな経済安全保障戦略などに経済安全保障の考え方を位置付けていくことを示されておりますが、現行の国家安全保障の概念の中に経済安全保障は含まれていたはずです。なのに、なぜ今の今まで国家安全保障戦略の中に経済安全保障は含まれていなかったのでしょうか。
#101
○国務大臣(松野博一君) お答えをいたします。かつて経済安全保障は、国家安全保障上の課題として十分認識をされていなかった側面があるかと思います。近年、AIでありますとか量子など革新的な技術が出現する中、安全保障と経済を横断する新しい課題が国家安全保障上の重要課題である経済安全保障の問題として広く認識をされてきたと考えております。
#102
○山本香苗君 いや、入っていたわけですけど、概念的にはですね、ちゃんとそこを明確化してこなかったことも一つの要因だと思うんです。そこで、次期通常国会に経済安全保障に係る新しい法案を提出すべく作業が行われていると承知しておりますが、その中で、経済安全保障の概念、定義は明確化されるんでしょうか。
#103
○国務大臣(小林鷹之君) 法案の内容につきましては、現在有識者会議を立ち上げておりまして、経済界ですとかアカデミアの様々な分野の有識者の方々に御議論をいただいているところでございます。この有識者会議ですとか閣僚級の経済安全保障推進会議、こうしたところでのその議論を踏まえながら、法案策定に向けた準備は加速してまいりたいと考えています。その上で、まず一般論として申し上げますと、絶えず変化する国際情勢ですとか、あるいは厳しさを増す安全保障環境を踏まえまして、我が国として、まずは我が国自身の主権、独立の維持、そして経済発展を通じた更なる繁栄、また基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持、擁護、こうした国益を守っていくことがますます重要になってきております。特に、国際情勢の複雑化あるいは社会情勢の、社会経済構造の変化に伴いまして、外交、防衛はもとより、経済上の措置を講ずることによって様々な課題に対処する必要性が増してきていると考えています。
こうした変化にしっかりと対応していくためには、我が国の経済構造の自律性をしっかりと確保していくことと、我が国の技術などの他国に対する優位性ですとか、ひいては国際社会にとっての不可欠性、この獲得に向けて取組を推進していくことが重要であると考えておりまして、そのための経済施策を総合的、また効率的に推進していくことこそが経済安全保障の中心にある考え方だと捉えております。
こうした観点から、具体的なその経済安全保障の取組につきましてはしっかりと考えてまいりたいと思います。
#104
○山本香苗君 経済安全保障をめぐる大きな焦点の一つ、半導体でありますけれども、半導体はスマホや車、家電製品、医療機器、防衛システム、もうありとあらゆる電子機器の中に使われているわけでありますが、半導体を、経済だけでいえば高品質で低コストで生産できる国で作ればいいとなるけれども、安全保障の観点から見ると緊急時にも安定的に調達できるかなどが重要となってくるというわけでありまして、このように経済を安全保障の観点から捉え直す経済安全保障は、先ほど大臣からもおっしゃっていただきましたとおり、高度な技術や、また戦略物資をめぐって米中始め各国の間で競争が激しさを増す中で、ますます重要性が高まっていると私も認識をしております。ただ、ただ、経済安全保障の概念、定義は、今お話しいただいても、具体的じゃないんですね、抽象的なんですね。どこまでが対象となるかはっきりしないわけです。経済安全保障って、時に規制を伴います。政策としての射程やこの制度設計が不明瞭なままでは、国民生活や経済活動に過度の萎縮等の弊害を招きかねません。
是非この経済安全保障の概念を早期に明確化していただきたい。最後にお伺いします。
#105
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど委員の方から国家安全保障と経済安全保障の関係について御指摘がありましたが、少なくとも八年前に我が国で作った国家安全保障戦略の中には経済安全保障という言葉は入っておりません。先ほど官房長官からありましたように、近年、AIとか量子とか、また委員御指摘の半導体ですとか、その経済と安全保障にまたがる課題が注目を集め重要性が指摘をされてきた、こうしたことであったと思います。そして、これから経済安全保障、この国家安全保障という観点からも、また経済の成長という観点からも、これは大変重要な課題であると認識をしています。
是非、この経済安全保障のこの定義、しっかりしろという御指摘でありますが、この度新たに経済安全保障推進会議、これを設置いたしました。ここでの議論もしっかり踏まえ、省庁横断的にどう扱い、どう取り組むのかも含めて、しっかりと政府として議論を尽くしていきたいと考えます。
#106
○山本香苗君 終わります。#107
○委員長(山本順三君) 以上で山本香苗さんの質疑は終了いたしました。(拍手)─────────────
#108
○委員長(山本順三君) 次に、里見隆治君の質疑を行います。里見隆治君。#109
○里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。限られた貴重な時間でございますので、早速本題に入ります。
まず、子育て、教育の支援策についてお伺いいたします。
公明党は、子育て、教育を国家戦略にと訴えてまいりました。まず、今回の子育て世帯に対する給付についてでございます。
これまでの衆参予算委員会の議論を通じて、相当柔軟に対応いただいていること、私も評価をしておりますけれども、まだ解消されていない点がございます。給付を決定する基準日というのがありまして、今回の給付は今年の九月三十日とされています。そうしますと、その後十月以降に、仮にでありますが、対象の世帯の御夫婦が残念ながら万一離婚されてしまったというようなケース、例えば御主人が従来どおりの受給をされる一方、転居されて、その上でお子さんを養育するお母さんが受給されないと、そうしたケースが発生してしまうのではないかという心配がございます。
一人親家庭を支援されている方から直接お伺いをいたしました。離婚前後は収入や生活が大変不安定で、ただでさえ非常に厳しい状況であると、離婚後に移転した先での自治体でも受給できるようにあらゆる手だてを考えていただきたいと、そのように懇願をされました。
そこで、野田大臣にお伺いいたします。
野田大臣は、女性活躍、こども政策、孤立・孤独、子供の貧困、地方創生、これは本当に広く担当いただいております。この質問は野田大臣にしかお答えいただけないんじゃないかと、そのように思いまして、例えばですけれども、私の御提案は、地方創生臨時交付金の自治体での活用と、こうしたことも含めて、その方策について野田大臣のお考え、教えていただきたいと思います。
#110
○国務大臣(野田聖子君) お答えします。新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、これは、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援すべく、各自治体において地域の実情に応じてきめ細かく必要な事業を実施していくものであります。今御指摘の一人親のその転居直後の様々な困難等々ありましたけれども、子育て世帯への臨時特別給付金を含めて、各府省のコロナ関連の制度に対する上乗せとか横出しといった支援施策についても、各自治体の御判断で地方創生臨時交付金を活用することは可能です。
いずれにしても、子供たちが安心して過ごせる社会、女性が活躍できる社会、孤立、孤独を生み出さない社会の実現に向けて、各自治体において必要な支援をしっかり行っていただくことが重要と考えています。
#111
○里見隆治君 野田大臣、ありがとうございます。これを受けて、自治体でもこの臨時交付金を活用して、上乗せ、横出し、この離婚のケースだけではなくてですね、工夫をして、自治体の実情に応じて工夫をいただきたいと思います。
次に、総理にお伺いいたします。
先ほども山本香苗議員からの質問に御答弁いただきましたが、こども家庭庁、大変期待をしております。ただ、これ、行政体制の充実も重要ですけれども、具体的な、そこで何を行うのか、給付、行政サービスの充実が伴ってこその体制整備だと思います。先ほどの離婚をされた場合、こうしたケースのように、従来の担当部局それぞれがばらばらではなく、そのはざまを、隙間を埋めていくと、こうしたことが、きめ細かな対応ができてこそのこども家庭庁だと思います。
今回の十万円の、隙間なく支給する制度を構築するとともに、令和四年度以降も恒久的な子育て支援策の充実に向けて御努力いただく必要があると思います。総理のお考えをお伺いします。
#112
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、今回の子育て世帯への給付、これは、コロナ禍においてお困りの方に迅速にこの支援を届けるという観点から、十万円の現金一括給付など選択肢を用意した上で、柔軟な対応をさせていただきました。しかし、今後は長期的な子供支援というものを考えていかなければいけない。そこで新しいこの行政組織も必要となってくるわけです。この新しい体制の下で、是非この必要な安定財源の確保も含めて子供政策を進めていく、こうした取組は重要であると考えます。社会全体での負担の在り方も含めて、是非幅広く検討を進めていきたいと考えます。
#113
○里見隆治君 しっかりとこのこども家庭庁に魂、政策も入れていくと、この決意で進めていただきたいと思います。次に、マイナンバーカードの普及と利活用についてお伺いをいたします。
一人最大二万円のマイナポイント事業第二弾、これは、例えばこれまでも石川県加賀市などで、マイナンバーカードの普及率が大変高い自治体がございますが、そうしたポイント制度を活用して実績を積み上げていると、こうした好事例からも相当の効果が期待できると考えております。
現在のマイナンバーカードの普及率は全国で四割程度と伺っておりますけれども、今後どのぐらいのスピードでこの交付率を上げようとしているのか、これ総務大臣にお伺いしたいと思いますけれども、加えまして、今回は、健康保険証とひも付けした場合のポイント加算七千五百円分、また銀行口座の登録によるポイント加算、同様に七千五百円分、これについてはいまだ時期が明示されておりませんので、これについても早急に時期をお示しいただきたいと思います。
総務大臣、今後のマイナンバーカードの普及に向けた見通し、スケジュールをお示しいただけますでしょうか。
#114
○国務大臣(金子恭之君) 里見委員からのお話のとおり、マイナンバーカードについては、現在、人口に対する交付割合が約四割であるところでございます。マイナポイント第二弾を強力な後押しとしながら、令和四年度末までにほぼ全国民に行き渡ることを目指して、政府全体で全力で普及促進に取り組んでまいります。マイナポイント第二弾につきましては、補正予算の成立が前提ではありますが、カードを新規に取得された方などに対するポイントの申込み、付与を来年一月一日から開始したいと考えております。
その他のポイントにつきましては、厚生労働省が健康保険証利用登録分を、デジタル庁が公金受取口座登録分と全体のシステム改修を担当しております。現時点で時期を明示することは困難ではありますが、両省庁と連携し、できるだけ早期に開始することとしたいと考えております。
#115
○里見隆治君 ありがとうございます。公明党には離島振興対策本部という離島振興の活動を行っている本部がございまして、私、事務局長を務めさせていただいております。先日、兵庫県姫路市の瀬戸内海に浮かぶ家島諸島、これ山口環境大臣のお地元だと伺っております、お伺いいたしてまいりました。そこで清元姫路市長さんからお伺いしたわけですが、医師として離島などへき地医療も担ったその経験から貴重な御提言をいただいております。
離島や中山間地で救急車やドクターヘリで病院に救急搬送される場合、都市部よりも時間が掛かりますが、この救急搬送されている時間帯を有効に活用することが大事だということでございます。具体的には、今後、患者さんの健康診断の情報やレセプト、処方箋情報、電子カルテ情報など健康保険証とデータ上連携できるようになった場合に、健康保険証とマイナンバーカードをひも付けできれば、より迅速、円滑な救急活動ができると、そういうお話でありますし、その後の病院への搬送、治療も的確に行えるということでございます。
このため、緊急、救急業務においても、救急隊員がマイナンバーカードから医療情報を確認できるような環境整備が重要だと思います。こうした点、今後どのようにお進めいただけるか、総務大臣にお伺いいたします。
#116
○国務大臣(金子恭之君) 里見委員には現場の生のお声をお伝えいただきまして、ありがとうございます。救急隊がマイナンバーカードを活用して傷病者の搬送に必要な情報を早期に把握できれば、より迅速にかつ円滑に活動ができることとなります。そこで、来年度、救急隊が薬剤情報などの医療情報を閲覧する実証実験を、地域特性を考慮し、複数の消防本部において行いたいと考えております。また、並行して、この救急業務におけるマイナンバーカード活用の横展開についても検討を行いたいと考えております。
厚生労働省と連携して、これらの取組が早期に実現できるよう努めてまいります。
貴重な御意見、ありがとうございます。
#117
○里見隆治君 総務大臣、是非よろしくお願いします。そして、これ実証実験、来年度やっていただいて、これを全国展開していただけるよう期待をしております。次に、水道の老朽化対策について伺います。
補正予算には、防災・減災、国土強靱化対策が盛り込まれております。中でも、文字どおりライフラインとなっている水道管の耐震化、老朽化対策を早急に進める必要があります。
記憶に新しいところでは、本年十月に和歌山市の六十谷水道橋、川に架かった橋ですね、の崩落事故は記憶に新しいところです。これを契機に、公明党として強く要請し、厚労省に耐震化費用を補助する新たな事業を創設いただきました。
また、先ほど申し上げました離島、家島の現地で住民の皆さんと対話集会を開きまして、住民の皆様からのお声をいただいております。
本土側の赤穂市から瀬戸内海の海底を通って離島に水を送る海底送水管、これ四十年とされる法定耐用年数の期限がもう非常に近く迫っている、これを設備更新のための財政支援の拡充をと、そういうお話でございました。
全国に目を向けますと、離島などを持つ四十七の水道事業者が海底送水管を持っていまして、その総延長は何と三百五十キロということでございます。多大な費用も掛かりますし、また離島を抱えるところでは財政力も厳しいと、更新への支援を是非ともというお願いをいただいております。
厚生労働省、この点いかがでしょうか。
#118
○国務大臣(後藤茂之君) 今、里見委員御指摘の水管橋の事故を受けまして、その断水被害の大きさに鑑みまして、災害対策の観点からも、水道橋に特化した補助事業を創設させていただきました。また、離島において、海底送水管によってのみ送水している場合に、そのルートが断たれますと島全体が断水化する。その重要性に鑑みまして、海底送水管の更新に対する補助事業も今年度から創設し、支援を行っております。
水道橋、海底送水管による水をお届けしている離島などの地域に対しても安定して水道を御利用いただけるように、引き続き支援を進めてまいります。
#119
○里見隆治君 大臣、お願いいたします。これ、海だけではなくて山も大変です。私、地元愛知県でございますが、奥三河と呼ばれる中山間地では、やはり水道の老朽化、更新が進まないという課題を何度も伺っております。
全国の現在の水道管の老朽化の状況、パネルで、また配付の資料で御覧いただきたいと思います。(資料提示)
水道管は法定耐用年数が四十年とされていまして、このグラフは、全国の上水道の総延長のうち法定耐用年数四十年を超えてしまった上水道の割合、これを経年化率というふうに呼んでおります。平成十八年に六%だったのが、十二年間で一七・六%に上昇しておりまして、それだけ老朽化が進んでいるということを意味しております。今の水道施設の整備のペースではこの老朽化のスピードに追い付かないというのが現状であります。
今年度から五か年加速化対策ということで推進をいただいておりますが、この中で水道施設整備の更なるスピードアップ、これを図っていただきたいと思いますが、厚労大臣、よろしくお願いします。
#120
○国務大臣(後藤茂之君) 水道の老朽化対策及び耐震化という観点から、平成三十年の改正水道法におきまして、水道事業者等に対しまして、長期的視点に立った水道施設の計画的な更新を行うこと、更新に関する費用も含む水道事業の収支の見通しの作成、公表について新たに努力義務を設けております。また、今、里見委員から御指摘の五か年加速対策では、上水道管路の耐震化対策を推進するということになっております。水道管の耐震化に係る国庫補助、また水道の耐震化計画等策定指針の作成、周知等も行っておりまして、こうした水道事業者等への財政的、また技術的な支援を通じて着実に水道の更新に努めてまいりたいというふうに思っております。
#121
○里見隆治君 水道はまさにライフラインそのものでございます。大臣、是非お進めいただきますよう、よろしくお願いいたします。次に、斉藤国土交通大臣にお伺いいたします。
鉄道駅バリアフリー料金について、鉄道事業者が一乗車当たり最大十円程度の上乗せをして、その徴収額を活用してホームドアやエレベーターの設置などの整備に充てるということを検討中だというふうに伺っております。
これまでのバリアフリーの推進の国の予算は、これはしっかりとこれまでどおり確保いただいた上で、鉄道利用者の理解も進めながら進める必要が、理解も得ながら進めていただく必要があると考えますけれども、斉藤大臣、いかがでしょうか。
#122
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 鉄道駅のバリアフリー化は、全ての人が安心、安全に鉄道を利用できるということで大変重要な施策だと考えております。現在、本年五月に閣議決定された第二次交通政策基本計画を踏まえ、利用者の皆様の薄く広い負担により鉄道駅のバリアフリー化を進める枠組みとして新たな料金制度の創設を検討しております。
国土交通省としては、都市部における本料金制度の活用に加え、引き続きバリアフリー推進のための予算の確保に努め、その予算は地方部において支援措置を重点化することにより、全国の鉄道駅のバリアフリー化を加速してまいりたいと考えております。
また、本料金制度の活用に当たっては、鉄道事業者に対し、通学定期券は本料金の対象外にするといった家計負担への配慮や、バリアフリー設備の整備計画や実績の公表など、透明性の確保に、その料金がきちんとそこに使われているという透明性の確保により鉄道利用者の理解を得てまいりたいと考えております。
#123
○里見隆治君 大臣、あわせて、この鉄道料金とバリアフリー対策を結び付けるということになりますと、鉄道料金の障害者の割引、これを従来に増して御配慮いただかなければならないと考えています。実は、これ御存じの方多いと思いますけれども、また知らない方もいらっしゃるかもしれません、身体障害者や知的障害者に比べて精神障害者の運賃割引については普及が遅れているという現状がございます。特に大手の鉄道事業者ではなかなか進んでいないという現状があります。
この際、バリアフリー料金と同時並行で普及されるように当局としても鉄道事業者に働きかけていただくべきと考えますけれども、斉藤大臣、いかがでしょうか。
#124
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 障害者に対する鉄道の運賃割引は、これまで鉄道事業者の自主的判断によって行われてきたところでございますけれども、平成二十八年の障害者差別解消法の施行や、令和元年の通常国会において精神障害者の交通運賃に関する請願が採択されるといった動きもあり、国土交通省から鉄道事業者に対し、精神障害者割引の導入について理解と協力を求めてきたところです。今、それに求めて、それに応じて対応くださっている鉄道事業者も増えてきております。国土交通省としましては、今回のバリアフリー料金の導入も含め、あらゆる機会を通じて鉄道事業者に対し精神障害者割引の導入について理解と協力を求め、更なる普及を図ってまいります。
#125
○里見隆治君 斉藤大臣、これは本当に精神障害者の皆様、また団体からも強く長年御要望いただいている案件です。是非、これはチャンスだと思っております、前にお進めいただきますようお願いいたします。次に、自動車産業における脱炭素の取組支援についてお伺いいたします。脱炭素化に向けた自動車産業の在り方についてでございます。
日本での自動車産業における脱炭素化、これは欧州が進めるような、全てを電気自動車にすれば問題が解決するというような単純なものではありません。なぜなら、日本の電力の七割が化石燃料由来でありますので、発電方法を変えなければ脱炭素にはなりません。自動車産業は、裾野まで視野に入れると五百四十万にも及ぶ労働者と、そして日本が培ってきた技術の集積とも言えると思います。
そこで、電気自動車の分野で、もちろん諸外国と競争に勝てる開発を早急に進める、これはもちろんでありますけれども、例えばガソリンの代わりに合成燃料、また水素エンジン車を開発、実用化すれば、今の日本のエンジンの技術も、また、これまでこうした技術を担ってきた人材も生かすことができ、日本型の脱炭素化を推進できると思います。
こうした技術開発、そして事業転換に汗する事業者を政府として強力に支援すべきと考えますけれども、経産大臣の御所見をお伺いいたします。
#126
○国務大臣(萩生田光一君) 自動車産業の脱炭素化に向けては、我が国の自動車産業が引き続き国際競争力を維持できるよう、電気自動車等の電動化に加え、合成燃料や水素の活用などの多様な選択肢を追求しながら戦略的に取り組んでいく必要があると思っております。このため、二兆円のグリーンイノベーション基金も活用し、合成燃料や水素などの技術のイノベーションを促し、商用化を早期に実現してまいりたいと思います。また、脱炭素に伴う産業構造の変化に際して、地域の中小サプライヤーが新たに電動車部品の製造に挑戦するといった前向きな事業転換の取組についても、事業再構築補助金など、今回の補正予算案によって積極的に支援をしてまいりたいと思います。
#127
○里見隆治君 大臣、よろしくお願いいたします。次に、エネルギー価格高騰対策についてお伺いいたします。
国内でエネルギー価格高騰の影響を受けるトラック事業者、施設園芸などの農業、そして地域公共交通、漁業者など各分野、生活でお困りの方々への支援を強力に進めていただく必要がございます。その上で、今回の補正で追加されている新型コロナ対応地方創生臨時交付金については、公明党としても強く主張いたしまして、地方公共団体が感染症対策により影響を受けた事業者や生活困窮者の灯油等の補助を行う場合にはこの交付金を活用することも可能であるという旨、政府の経済対策に明記をいただきました。
これによって、例えば、燃料の価格上昇に伴ってその価格上昇分を荷主からこの運賃に反映させるための価格交渉、これを行っている間でもトラック運送事業者のコストがかさんでしまいます。この間のコスト相当分を行政が支援することで運送事業者に対して激変緩和措置をとるといったことも可能だと思います。
これは、今日はもう時間がありませんので、野田大臣に本当は御質問する予定でしたけれども、こうした活用事例ですね、地方にしっかりとお示しをいただきますようにお願いいたします。
加えて、これは総理にお伺いいたします。
実は、このエネルギー価格高騰対策というのは、所信表明ではあえてなのか触れられていませんでしたが、目下の重要課題の一つだというのは間違いないと思います。世界中で脱炭素社会への取組が進む中で、エネルギー価格の高騰のトレンドが続くという見方もありまして、場合によっては更なる予備費の活用など、今後機動的に対応する必要があると思いますけれども、岸田総理の御所見をお伺いいたします。
#128
○内閣総理大臣(岸田文雄君) このエネルギー価格の高騰対策、これは、コロナ禍に対する対応としても、また経済の再生にとってもこれは重要な課題であります。これについては、既に政府として、業種別の対策、あるいは急激な値上がりに対するこの激変緩和事業を年内に執行するなど対策を明らかにしているところでありますが、今後とも、この状況をしっかりと把握した上で、重要性に鑑みて機動的に対応していく、こういった観点は重要であると考えます。是非そのように政府全体として取り組んでいきたいと思います。
#129
○里見隆治君 まさに、この価格の高騰、これは我々もまだ予期できない部分がございます。是非機動的な対応ということで、予備費も視野に入れてお願いいたします。次に、賃金引上げについてお伺いいたします。
冒頭、子育て、教育についてお伺いしましたが、まさにそのサービスを担う人材確保、処遇改善が喫緊の課題であります。岸田大臣も何度もおっしゃっていただいているとおり、保育、幼児教育、看護、介護、障害福祉分野の処遇改善、これしっかりと進めていただきたいと思います。
当面の収入増への対応は今回の補正で措置されていますけれども、これ、私大事だと思うのは、来年の十月以降の対応、これを本予算でどういうふうに予算で組んでいくのかと。これ、今までの高齢者増、自然増の分とは別途用意をいただく必要があると思います。公的部門の処遇改善、その裏付けとして来年度以降もしっかりと財源確保していく、その御決意、またお考えを総理にお伺いいたします。
#130
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の看護、介護、保育、幼児教育、こうした分野における給与の引上げ、これは継続的なものにしていかなければならないと思います。まず、当面、御指摘のように、補正予算によって二月に前倒しし、そして九月までこうした取組を実施いたします。それから先ですが、これは予算編成過程の中でこの安定財源を確保するということであります。委員の方から特別枠という御指摘もありましたが、この予算編成の過程においては、高齢化に伴って増加する医療・介護費の中で分配の在り方について考える、こうした考え方で政府としては取り組んでいきたいと思います。
ただ、その先、その後、更に引き上げるという部分については、公的価格評価検討委員会において議論をいただき、年末までに中間整理を明らかにし、適切に対応していきたいと考えております。
#131
○里見隆治君 これは、わざわざ厚労省ではなくて内閣官房、岸田総理の下でそうした検討会議を開いていただいていると。まさにこれは政府を挙げて進めるということですから、今までの厚労省予算枠だけで収まり切れないものは政府全体で進めていくと、その姿勢で臨んでいただきたいと思います。もう時間が最後限られておりますので、一点だけ。
現場からの声で、この介護職員特定処遇改善加算と、これ現行も様々な改善加算について努力をいただいているんですが、これ、なかなか事務手続などがあって進められないということがあります。これ、しっかり現場で使っていただき、そして横展開できる、そうした工夫が必要だと思いますけれども、後藤大臣、この点いかがでしょうか。
#132
○国務大臣(後藤茂之君) 介護職員等特定処遇改善加算につきましては、事務の簡素化等を令和二年四月より図っておりまして、改善加算と特定処遇改善加算の手続の一本化や添付書類の簡素化等、事務の簡素化を図っております。また、今回の措置に対しましても、こうした措置を十分に適用していけるように、またもう一つは、そもそも他の職員にも一定の処遇改善が行うことができるよう、柔軟な運用を進めてまいりたいと思っております。
#133
○委員長(山本順三君) 足立、ああ失礼、里見隆治君。#134
○里見隆治君 ありがとうございます。里見隆治でございます。もう一点ですね、これ、介護、福祉分野、民間だけではなくて、中小企業への波及と、そして、中小企業にしっかり取り組んでいただくためには下請取引等の改善ということも必要だと思います。
この点、経産大臣から、この分野、中小企業分野でどのように賃上げについて取り組んでいかれるか、御答弁お願いいたします。
#135
○国務大臣(萩生田光一君) 中小企業の賃上げのためには、賃上げの原資を確保すべく、生産性向上、下請取引の適正化などを進めることが重要だと思っております。生産性向上に向けて、今回の補正予算案におけるものづくり補助金等において、例えば、赤字であっても生産性向上に取り組み、賃上げを行おうとする事業者の補助率を引き上げる特別枠を設けるといった支援策を盛り込んでおります。
さらに、下請取引の適正化に向けてパートナーシップ構築宣言の拡大に取り組んでおり、私からも先日、経団連の十倉会長に対して、経団連企業の皆様には是非とも漏れなく宣言を行っていただくようお願いをしたところです。
今後、宣言企業の下請取引の状況について調査するなど、実効性の向上に向けたフォローアップにも取り組んでまいりたいと思います。
#136
○里見隆治君 これ、まさに、宣言すると宣言しっ放しと。これ、宣言することも大事ですが、その後のフォローアップ、これが大変重要だと思います。是非、萩生田経産大臣のリーダーシップでこの賃金引上げ、しっかりと経済界に広めていただきますようお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
#137
○委員長(山本順三君) 以上で里見隆治君の質疑は終了いたしました。(拍手)─────────────
#138
○委員長(山本順三君) 次に、足立信也君の質疑を行います。足立信也君。#139
○足立信也君 国民民主党・新緑風会幹事長の足立信也でございます。よろしくお願いします。今日はほとんど議論がもう出ていないんですが、十八歳以下の、総理、お願いしたいんですけどね、十万円給付の件です。
三通りあるということで、自治体、地元にも問い合わせても様々対応が出ている中で、政府がかなり主張し、こだわった所得制限もなくなるわけで、これを是非、全国の自治体が何を選択したかということを、その結果を是非この委員会に示してほしいんです。報告していただきたいんです。そのことをお願いできますか。
#140
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 政府としてもこのコロナ対策として重要な政策だとしてお示しをし、自治体に御協力をいただきながら進める政策でありますんで、その政策がどのように実行されたか、それについて確認する、これは当然、政府の責任として重要であると認識をいたします。それを確認して、したことについてお問合せいただければ、政府としてそれを報告する、これは当然のことではないかと存じます。#141
○足立信也君 委員長においても、報告については、是非、予算委員会で受け入れて、検討していただきたいと思います。#142
○委員長(山本順三君) 後刻理事会において協議をいたします。#143
○足立信也君 ちょっと午前中の時間が中途半端ですので、順番を少し変えさせていただきます。三番の原油価格高騰から行きたいと思います。今週の小売価格、私の地元の大分では百七十四円三十銭です。軽油は百五十一円十銭。先ほどのはレギュラーガソリンです。そして、灯油は十八リットルで二千二十四円、今週です。
皆さんには資料四として今週の全国小売価格をお示ししておりますが、そこで、現在のレギュラーガソリン、軽油、灯油の全国平均小売価格は幾らなんでしょう。そこで最高値と最安値は幾らなんでしょうか。
#144
○国務大臣(萩生田光一君) 資源エネルギー庁の石油製品価格調査では、十二月十三日の時点のレギュラーガソリンの全国平均価格は一リットル当たり百六十五・九円です。そのうち最高値は長崎県の百七十六・九円、一番安いのは岩手県の百五十九・四円です。軽油の全国平均価格は一リットル当たり百四十五・九円。そのうち最も高いのは長崎県の百五十七・八円、安いのは埼玉県の百三十七・九円。
灯油も言った方がいいですか。灯油の店頭販売価格は、全国平均価格は一リットル当たり百六・九円です。そのうち沖縄県が最も高くて百二十四・〇円、安いのは山形県の九十九・七円です。
#145
○足立信也君 ありがとうございます。明らかに西高東低なんですね、この金額は。そこで、我々が非常に気にしている三か月間、三か月前はどうだったんだろう、これ資料五に示しております。
三か月以上、これが、まあレギュラーガソリンに限って言いますが、百六十円以上、超えているというのは、幾つの都道府県があるんでしょう。
#146
○国務大臣(萩生田光一君) 同様の石油製品価格調査によりますと、レギュラーガソリンの月平均店頭価格が九月から三か月連続で百六十円を超えているのは十二都府県でございます。#147
○足立信也君 そのうちの半分が九州、沖縄なんですね。しかも、九州、沖縄ということになりますと、生活の糧であるわけです、油がですね。それもありますし、今年は米の価格が非常に下がりましたね。三十キロ当たり五千円台から六千円。これ、一キロに直すと水よりも安いという状況の中で、次はハウスで頑張るぞという農家の方にとっては、この燃料費、重油代がまた高い。踏んだり蹴ったりだという状況になっているわけです。
パネル一をお願いします。(資料提示)これは、原油から残油処理を行った後の、一番右側にあるのが、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油、重油等々の割合を示しています。
政府が補正予算で八百億円を計上している対策、これはこの図でいうとどこに有効になってくるんでしょう。
#148
○国務大臣(萩生田光一君) ガソリン、灯油、軽油、重油に対して効果を出すことができると思っております。#149
○足立信也君 その政府の対策の説明を、じゃ、していただけますか。#150
○国務大臣(萩生田光一君) この度、補正予算で皆さんに御理解をお願いしております制度は、月平均が百七十円を全国で超えた場合に、石油の元売に対して一定の補助金を支出をするというものでございます。精製前の元売に対してお金を入れることによって、精製後作られるこういったガソリン、灯油、軽油、重油、いずれも一定の値下げの効果を示すことができる、こういう仕組みでございます。#151
○足立信也君 百七十円を超えたことは今までは全国平均小売価格はないと思うんですけれども、今までは、この状況、その条件に合致したことはあるんでしょうか。#152
○国務大臣(萩生田光一君) 御指摘のように新しい制度でございますので、過去に百七十円を超えたことはございましたけれども、今まではこういった制度もございませんでしたので、それに対しての対応策を持っておりませんでした。#153
○足立信也君 油は別に燃料だけではなくて、皆さんよく御案内だと思いますが、ナフサのところからビニールやプラスチック、あるいは繊維というものができてくる。その大本の原油のところの対策だということは分かるんですが、今まで一度も、この直近の数か月で一度もその百七十円はないと。ただ、我々としてはですね、消費者としては、生活者としては、生活の糧であるのは一番やっぱり割合大きいのはガソリン、軽油、灯油なんですね。ここに対して、消費者に対してどういう手当てが必要なのかということがやっぱり問われているということなんです。私どもは、やはり、先ほど百六十円を三か月以上超えているのはもう十あるんだと。その人たちは、何の対策もなくずうっと我慢しているわけです。私たちが申し上げたいのは、やっぱりトリガー条項です。三か月以上、百六十円以上。それ今凍結されていますけど、この解除がどうしても必要だということを申し上げているんですが、大本の原油のところの卸の話ではなくて、消費者、生活者から見た場合に、現場の価格、小売価格を何とかしてほしいという思いに対してはどう思われますか。
#154
○国務大臣(萩生田光一君) 私、就任の日に岸田総理からこのことを指示を受けまして、直ちに作業に入らせていただきました。国民の皆さんの生活を思う気持ちは今先生おっしゃったのと同じでございまして、例えばトリガー条項も一つの案として検討させていただきました。しかし、トリガー条項の場合は、百六十円を三か月以上超えた場合の翌月からの発動ということになりますと、就任した十月から、途中から確かに百六十円を超えた状態が続いているんですけれど、これどんなに早くても二月の頭からの発動ということになります。したがって、この年末年始を何とか皆さんに安心感を与えたいということで考えたのが今回の補助制度であります。
先ほど先生、農家の例を示されました。おっしゃるとおりでございますが、例えばビニールハウスですとか漁船の燃料費については別途元々ある基金もございまして、それが既に発動されておりますので、既存のメニューで業界にしっかり手当てをするのと同時に、今回新しく年末を安心して見通せる制度としてつくらせていただいたのがこの制度でございます。
ちなみに、トリガーの場合には、軽油に対してはインセンティブがございますけれども、灯油に対しては対象になっておりませんので、足下で考えていただくならば、この年末年始を国民の皆さんの燃料費を少しでも下げようという思いは皆さんに御理解いただけるのではないか、こう思っております。
#155
○足立信也君 先ほど、三か月前百六十円以上だったところを挙げていただいたのはそういう理由なんです。もう三か月以上ずっと、まあ十二都県の話がありましたけど、やっぱり苦労されているという件。それから、重油に関しては、これは個人当たりではないですね。そこが大きな問題です。やはり、どうしてもそこは、消費者、生活者の視点でいかないと。もう今までも我慢してきたわけですから。しかも、発動要件をどうも満たしそうにないと、百七十円以上。これはコロナの影響が非常に大きいとは思いますけどね。予算は計上しているけど、どうも発動要件はないような中、全体に係る話よりも、やはり消費者、生活者に近いところでの支援というのが必要だということを私は申し上げたい。これは、この件はまた後で浜口さんがやられると思いますので、次に行きます。
国交省の基幹統計の建設工事受注動態統計、この改ざん事案ですけど、国会中継を見ておりましたけれども、どうも令和二年度からの話が多かったですが、これは二〇一三年度から、八年以上前から二重計上している話ですよね。
これは誰の指示で、どのような理由で改ざんをさせたんでしょうか。
#156
○国務大臣(斉藤鉄夫君) お答えいたします。まず初めに、国土交通省所管の建設工事受注動態統計調査において、かつて不適切な集計方法が行われていた、取られていたということは大変遺憾であり、心からおわびを申し上げます。
その上で、どういう経緯でこの二重計上等が行われていたかということでございますが、今、我々としても今いろいろと調査をしておりますが、まず総理の指示を受けまして第三者委員会を立ち上げ、これは統計の専門家及び法律の専門家も含めて第三者委員会を、私、国土交通大臣の下に立ち上げて、経緯や原因の検証を行い、一か月以内に取りまとめていただくということをしたいと思っております。
ある意味で大変遺憾な調査が行われていたということは事実でございまして、この原因をしっかり調査していきたいと思っております。
#157
○足立信也君 全国で八年以上やられていたということは、本省からの指示であることは間違いないですね。(発言する者あり)#158
○委員長(山本順三君) 足立信也君、恐縮ですけど、もう一度質問をお願いします。(発言する者あり)斉藤国土交通大臣。
#159
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 失礼いたしました。質問をちょっと聞き逃して、大変失礼をいたしました。平成元年十一月に会計検査院から、令和元年十一月に会計検査院から注意を受けるまで、提出がなかった業者の遅れて提出されたその月々の受注額について、提出月にまとめて提出するようにと、このように指示を出していたのは国土交通省の指示でございます。
#160
○足立信也君 国土交通省の指示であったと、これはもう明らかなことなんですが、実は統計の問題というのは、私も何度もやりましたが、毎月勤労統計はこれデータの集め方がルール違反だった。それから、裁量労働制の問題は都合のいい解釈ができるデータだけ集めていた。でも、今回は改ざんなんですよ。極めて重い。一か月間待ってくれという話ではなくて、これ、本省の指示で全国でやられていたということは明らかです。その影響がどこにあったのか。これ、やめましたね、まず。やめましたね。やめた理由、どういう影響があるからこれは駄目なんだということを考えてられるんですか。
#161
○国務大臣(斉藤鉄夫君) このやめた理由は、かつての集計方法では実態を示すことができず精度が低いものとなっている旨、会計検査院から令和元年十一月に受けた指摘を踏まえて、この方法をやめました。いずれにいたしましても、第三者委員会にしっかり検証していただき、その結果については統計委員会に報告して、再発防止及び政府統計への信頼性確保に向け取り組んでいきたいと思っております。
#162
○足立信也君 答弁では影響がないって繰り返されたGDPのことなんですが、私、三年前にこの件を質問しているんです。二〇一六年の七―九からGDPの算出基準が変更されましたね。これは一連の流れだと私は思っているんです。二〇一五年を基準の変更前と後で比較すると、実は、国連対応、国連に合わせた、世界基準に合わせた対応分の上乗せが二十三・九兆円で、その他の上乗せが七・三兆円あったんです。その他のものの大きなものは、中食と外食の扱い、そして建設投資なんですよ。ここがその他の項目で非常に多くGDPが割り増しされているんです。それで見直したら、民主党政権時代はその見直しによってマイナスになって、安倍政権のときは増額になっているんです。こういう理由があるんですよ。明らかにGDPに対して影響を及ぼしているんです。これね、こんな統計は建設の充実とかじゃなくて張りぼての建設ですよ。張りぼてのこれ統計ですよ。
ということが、大きい影響があるから、そこで総理にお願いしたいのは、八年間その方法でやってきた。じゃ、八年間、正しい方法でやった場合の、これ、去年は両方提示したっておっしゃいましたね、昨年度はね。これ、八年分、正しい方法のものと提示してもらえますか。
#163
○国務大臣(山際大志郎君) 昨日も御答弁の中で申し上げましたが、GDPに対してどのような影響が出てくるかということに関しましては、まずは国土交通省の方でこれに対してきちんと対応して、そして、もちろんそのGDP統計に関わる基の数字が変わってくれば、当然それに基づいて対応するということになります。ですから、我々としては、まずは国土交通省の対応を見守りたいと思っております。
#164
○足立信也君 国土交通省がGDPに対する変化というものを出しますか。#165
○国務大臣(山際大志郎君) これは、今お答え申し上げましたとおり、GDPの推計値を計算していくときにこの国土交通省が提出する統計の値というものを使っているわけですね。ですから、そこの部分が国土交通省において訂正をされるというものが出てくれば、当然、我々としては、それに基づいてGDPの計算をするということになります。#166
○足立信也君 先ほど質問の趣旨、八年分、これをきっちりその違いというものを示されますか。#167
○国務大臣(山際大志郎君) これは当然、正確性を期すものですから、過去に遡ってもきちんと、その値が変わってくるものがあれば、それに関して計算したものは公表するのは当然だと考えております。#168
○足立信也君 変わってくるに決まっているじゃないですか、改ざんしていたんだから。それを戻したら、過去のものがどう違っていましたかというのを公表するのは当たり前じゃないですか、総理。これはやるべきですよ。やらないと、ずっとごまかされている。世の中に三つのうそがあるというのは何度も言いましたけど、単純なうそ、真っ赤なうそ、政府の統計。ここは正さなきゃどうしようもないですよ。総理、約束してくださいよ。
#169
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、こうした事態を招いたこと、これは大変遺憾なことであり、これは深刻に受け止めなければならないと思います。その上で、先ほど来委員の方から御質問がありました、誰の指示だったのか、その経緯等についても御質問がありました。これらも含めて国土交通省のありようをしっかりと明らかにしなければならない、そして、その信頼性ということを考えた場合に第三者でしっかりと見なければいけない、そういったことで第三者委員会での検討を指示したところでありますが、こうした国土交通省のありようをしっかりと確認し、そして実態が、実態との乖離等が明らかになったならば、そういった事態についてしっかりと説明させていただく、これは政府として当然やるべき態度であると考えます。
#170
○足立信也君 山際大臣がおっしゃったのが、違いがあればという、そんな条件の問題じゃないんですよ。正しいことでやったのと今までとの、それは両方出すべきだって言っているので、今の総理の答弁は両方出しますということだったと思います。その理解でよろしいですか。#171
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 国土交通省の第三者委員会、さらには総務省の統計委員会、この第三者機関において実態が明らかになり、それがこの統計、今まで出された統計の結果と違いがあったならばそれをしっかりお示しする、それは当然のことではないかと思います。#172
○足立信也君 これは、ですから、先ほど言いましたように、GDPの見直しの流れの中の一つだと私は捉えているんですよ、ずっと。何とかGDPを上げたいんだと、増やしたいんだということの中で本省の指示でやった一つのことなんですよ。これはその他のところに非常に濃く表れていると私は思いますよ。で、これは、やっぱりその遠因として、遠く原因として、なぜ八年間も続いてきたのか。やっぱり森友学園のこの報告書の、まあ公文書の改ざんですね、この改ざんで政治家は誰も責任を取っていないから、こういう改ざんが統計においても、今までとは質が違いますよ、これ、書き直したんですから、こういうことが起きているんだと私は思います。これは、来年、通常国会前半の大きなテーマだと思いますので、資料等を含めてもう一度しっかり検討したいと思います。
で、次は補正予算です。やっぱり補正予算、財政法二十九条においても、私が気になるのは、やっぱりどうしても気になるのは、基金への積み増し、そして緊要かどうかですよ。
そこで、二点に絞って、基金は、私は全部悪いわけじゃないと思っています。科学技術のこととかですね、これは必要です、継続性が。中国に比べたら、科学技術教育の予算は十六分の一ですよ。これは必要だと思うんだけれども、基金である以上、これは補正予算でやる以上、枯渇する危険があるものでしょう。この基金の中で、積み増しする中で枯渇する危険のあるものって何ですか。
#173
○国務大臣(鈴木俊一君) 今般の補正予算において、基金関連予算といたしまして、合計で五・二兆円計上をいたしております。既存のものが三十二基金、四兆円、約四兆円、それから新規のものが六つ、約一・一兆円であります。積み増しについてお話がございましたが、一例を挙げますと、中小企業等事業再構築促進基金につきまして、基金残高は一兆一千四百六十八億円でありますが、既に約一兆一千億円のこの支出が見込んでいる、見込まれていることから、令和三年度補正予算におきまして六千百二十三億円を積み増しをしたところでございます。
今般の補正予算における基金関連予算は、基金事業の性格や内容にもよりますけれども、足下の状況や執行見込み等を踏まえまして、追加的な資金が必要となる事業について、経済対策等に基づきまして迅速に対応する必要があると判断されたものを計上をいたしているところでございます。
#174
○足立信也君 今一つ例が出ましたけど、補正予算である以上、今年度中にもうぎりぎり枯渇する可能性があるということを私は例示してくださいと言って、今のところ一つです。今年度中にどうしてもこれを積み増す必要があるという判断なんですね、今年度中に使うと。#175
○国務大臣(鈴木俊一君) 補正予算におけます基金関連予算でありますが、基金事業の性格や内容にもよりますけれども、足下の状況や執行見込み等を踏まえて、追加的な資金が必要となる事業について、経済対策等に基づき迅速に対応する必要があると判断されたものを計上しておるところでございます。ただし、基金事業は各年度の所要額をあらかじめ見込み難く、弾力的な支出を行うという性質を有するものでありまして、様々な要因により執行状況が変動し得るわけでありまして、今後の執行の見通しについて確たるところをお示しすることが難しいということは御理解をいただきたいと思います。
財務省といたしましては、基金事業の必要性や有効性等を適切にフォローアップするとともに、引き続き基金シートの公表等を通じまして、PDCAや見える化を徹底して適正な執行に努めていくこと、これが重要なことであると考えております。
#176
○足立信也君 十六か月予算であるとか十五か月予算であるとか、こんなの自民党が作った新語であって、これ、予算、憲法上も法律上もこういうのは正しいやり方とは言えないですよ。どうしても緊要だ、枯渇するんだというのであれば、それは考えなきゃいけないと思います。じゃ、もう一つ、その防衛予算、これは防衛力強化加速パッケージの中で、例えば防衛装備品の前金払い、隊員の生活、勤務環境の改善、衛生機能の強化等々で五千二百四十九億円。これって緊要なんですか。
#177
○国務大臣(岸信夫君) 我が国の周辺の安全保障環境を考えてみますと、周辺国の軍事力の強化を含めて、大変これまでにないスピードで厳しさを増しているわけであります。この中で、国民の命と平和な暮らし、そして領土、領海、領空をしっかり守り抜いていかなければなりません。変化する国際情勢に迅速に対応し、国家の安全保障をしっかり確保するために、令和三年度に実施すべき特に緊要な事業に要する経費として七千七百三十八億円を計上しているところであります。#178
○足立信也君 全てが緊要だという内容の答弁だったと思いますけど、私はちょっと具体的な例を挙げて本当に緊要なのはどれですかって聞いたんですけど、まあ御覧の方はお分かりのように、そういう区別は余りできていないということだろうと思います。ちょっと戻りますけど、文科大臣、これ通告はちょっとしていないんですが、さっきの大学ファンドの話です。
これっていうのは、三年間運用してその利益によって大学へ還元する。これ現場では、そんなファンドに頼るよりも直接大学に支援してもらった方がはるかに安定的に仕事ができる、研究ができるという声が強いですよ。これ、三年間、ファンドの運用で損、損失が出た場合は、その分大学に回るお金は減るんですか。
#179
○国務大臣(末松信介君) 今、JSTにその委託をして運用していただくわけなんですけれども、おおよその試算は出ておりますけれども、試算というのは、三年後からこれは運用を開始をするわけなんですけれども、平成六年ですね、(発言する者あり)ああ、令和六年から開始をするわけですけれども、そこのところについて、今、先生からの御指摘につきましては明確にちょっとお答えすることはできませんけれども、最低運用益としては三千億、三%ですね、これは確立して、そして、そのためにどこに、大学にこれを交付していくかということにつきましては、来年の法律で決めていく、再来年の法律で決めていくということになってございます。ちょっと明確には今答えることはできません。#180
○足立信也君 総理、これは先ほどファンド運用の結果という話をしたんですが、最低限の確保はするんだということについて、先ほど私が現場、私も大学に十年ぐらいは勤めていましたので、あっ、もっとか、それで、安定的にこれは、この国の科学技術発展のためにもそこは安定的に最低限は確保するんだという意思でこの大学ファンドを組むという理解でよろしいですか。#181
○内閣総理大臣(岸田文雄君) もちろん、大学の研究等に対しては、基本的な資金、競争化資金、従来から様々なこの支援の仕組みがあるわけですので、こうしたこの体制はしっかりと維持をいたします。それに加えて、今回、大学自体の大学改革等も抱き合わせる形で新たに大学ファンドも用意し、より効果的にこの資金を使ってもらう体制をつくり、研究開発、イノベーション、しっかり盛り上げていこうというのがこの経済対策の大きな趣旨であると考えています。
#182
○足立信也君 ちょっとかみ合わないですけど、現場は安定的な支援を求めているということだけ肝に銘じていただきたいと思います。ちょっと障害者雇用についてお伺いします。
弱者にとって非常に厳しいコロナ禍だということは皆さん共通の認識だと思います。障害者の夢を実現するためにも法定雇用率を上げました。コロナ禍の前後で障害者の雇用率というのはどうなっているんでしょう。障害者の雇用そのものはどうなったんでしょうか。
#183
○国務大臣(後藤茂之君) お尋ねの雇用障害者数五十七万八千人、実雇用率二・一五%となっておりまして、過去最高を更新いたしております。また、法定雇用率を達成していない企業の割合は五一・四%でございます。一方で、産業別に雇用状況を見ますと、主に宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業の業種では雇用障害者数が減少しておりまして、新型コロナによる影響が一定程度あるものと考えられます。
このため、あっ、その事実の確認まででよろしいでしょうか。はい。
#184
○足立信也君 先ほど言われたのはいつのデータでしょう。二〇二〇年度のデータでは、就職件数は一二・九%減少しているというデータがありますけれども、先ほどは増えているという話がありましたけれども、実際は減っていますよね。いつのデータで。
#185
○国務大臣(後藤茂之君) 令和二年六月一日現在のデータでございます。#186
○足立信也君 法定雇用率が今先ほど五一・数%とおっしゃいましたが、この変化はどうなんですか、前後、コロナの前後で。#187
○国務大臣(後藤茂之君) 五一・四、令和二年、前年の令和元年が五二・〇、三十年が五四・一でございます。落ちてきております。#188
○足立信也君 御案内のように、これを不足する障害者一人につき月五万円、年間で六十万円という納付金制度があります。これコロナ禍の影響で年々下がっているということですが、この納付金に対する猶予制度というのはあるんでしょうか。
#189
○国務大臣(後藤茂之君) 障害者雇用納付金に対しての納付金の猶予があるかということでございますけれども、事業主からの申請に基づきまして、令和二年二月一日から令和三年一月三十一日までに納付期限が到来する納付金を対象に、障害者雇用納付金の納付を一年以内に限り猶予する措置を講じております。#190
○足立信也君 衆議院の議論でもありましたけど、これは、猶予を一年間、それから社会保険料、厚生年金保険料、健康保険料、それも一年間の猶予になっていると思います。ただ、これ裏を返すと、猶予をしてしまったがために、将来の年金受取額が減るであるとか障害者雇用に影響を与えるとか、これ両面があるんですね。両面があるということを理解しつつも、しつつも障害者雇用は進めていく、あるいは年金保険料の納付は上げていく、猶予をしつつもですよ。しかし、今それが一年分の猶予で今上乗せになっていますから、過大になっているわけですね。しかし、それは守っていかないと将来の年金受取額に影響してくるという両面があるというのが非常に大事な問題だと私は思っています。そういうことを加味しながら、この猶予と、それが上乗せになる場合は一体どうなるのかと、それが将来にどう影響してくるのかというところまで含めてしっかり制度設計をしてもらいたい。必ずしも猶予だけが全て正しいわけではないと、私はそう思います。
残りは、新型コロナについてはたっぷり午後からやらせていただくということを申し上げていきたいんですが、ちょっと少しだけ時間があるので総理にお伺いします。
これまでの検証をしっかりして、そして六月までに対策をという話がありましたね。これについては、今後予想される第六波というのはその検証に基づいた対策ではないという理解でよろしいんでしょうか。
#191
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 検証ということを申し上げるならば、六波に対する備え自体も、今日までのコロナ対策の様々なこの経験、対応、これをしっかり検証した上で、病床の確保、医療人材の確保、そして予防、検査、早期治療のこの流れの強化、こうしたものを行っている、こうしたことであります。そして、より中長期的な視点から、これまでのコロナ対策を振り返った場合にいろいろと検討しなければならない課題、人材抑制、あっ、人流抑制ですとか、あるいは国と地方の関係ですとか、また司令塔機能の問題ですとか、こうした問題については六月までしっかり検討をし、法改正も含めてしっかり対応したいというように考えております。
共に今日までの経験をしっかり踏まえて取り組んでいると考えております。
#192
○足立信也君 私の検証と比較しながら、午後、議論したいと思います。#193
○委員長(山本順三君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十四分休憩
─────・─────
午後一時開会
#194
○委員長(山本順三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。令和三年度補正予算二案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。足立信也君。
#195
○足立信也君 午前に引き続き、よろしくお願いします。大阪の火災で二十七人が心肺停止状態だということです。外科医としてだけではなく、速やかに回復されることを心よりお祈りしたいと、そのように思います。
アルファ株もデルタ株も、検疫で最初に見付かってから市中感染まで三週間です。オミクロン株も、昨日陽性だった方がオミクロン株かどうか今問い合わせたら、デルタ株ではないということが分かったそうです。三週間、それから全てが置き換わるまで四か月、アルファ株もデルタ株も一緒です。つまり、そういうことなんです。コロナウイルスは年に二回ピークがあるということを認識しておいてもらいたいと思います。
ところで、第五波が急速に収束した理由はどこにあると考えていられるでしょうか。五の三に行きます。
#196
○国務大臣(後藤茂之君) 第五波が急速に収まった理由については、専門家の間でもまだ分析が進んでいるところではございますけれども、ワクチンの接種が進んだこと、また、国民が三密などのそうした対応を小まめにしっかりとやっていただいたということだということについては共通して言えるのではないかと思っております。#197
○足立信也君 第五波で急速に減ったのは、感染者ですか、有症状者ですか。#198
○国務大臣(後藤茂之君) 今申し上げたのは感染者でございます。#199
○足立信也君 パネルを御覧ください。日本の感染者数が少ない、一桁以上、十分の一だと。しかし、検査数分の感染者数、感染率、これは変わりません。感染者数は十分の一、検査ももっと、千人当たりで見ると十分の一です。検査を十倍すれば、感染者が十倍になるかもしれない。日本は他国と違って、無症状者、これは、パンデミックの原因は、潜伏期あるいは無症状者がスプレッダーになることです。これを調べていないということです。
第五波で急激に減ったのはどういう人たちですか。
#200
○国務大臣(後藤茂之君) 今の先生の御指摘を踏まえて申し上げれば、陽性の患者さんで、あるいは陰性でも検査によって判明をした方たち、それが先ほど申し上げた数字でございます。#201
○足立信也君 つまり、行政検査でPCR陽性者の方々が減ったんです。日本のこの検査システムで、発病率、つまり感染者分の発症する方、これは出せますか。
#202
○国務大臣(後藤茂之君) 新型コロナウイルス感染症と判断された方については発生届の届出が義務化されておりますので、診断時点において、発症、せきなど何らかの症状を有している割合は把握可能でございます。#203
○足立信也君 それでは、日本のこのデータで発症率というのは出せるんですかと聞いています。#204
○国務大臣(後藤茂之君) 本年七月から十月までに陽性となった感染者のうちのHER―SYS上で発症、症状ありとされている方たちは、ワクチン二回接種済みの場合四〇から五〇、ワクチン未接種の場合は六〇から八〇ということになっております。#205
○足立信也君 日本のこの行政検査の検査対象というのは、有症状者、当初は七度五分以上が四日間以上、で、その濃厚接触者。しかし、今年になって濃厚接触者は非常に絞られて、検査も本人の判断に負うところが大きい。つまり、全体の感染者数というのは日本では分からないんですよ。そこを言っているんです。#206
○国務大臣(後藤茂之君) 今お尋ねになっている範囲内でできる限りお答えをしようと思っていることで、先生の御指摘について言えば、全ての国民を検査しているわけではないので、そのことはそういうことだろうというふうに思います。#207
○足立信也君 ということは、重症化率、死亡率、感染者数分のですね、これも日本では分からないということですね。#208
○国務大臣(後藤茂之君) 言葉の定義によるんだと思いますけれども、少なくとも、検査をする、それは行政検査に限らず民間での検査も含めて報告義務がありまして、上がってまいります。そういう中で、検査をした結果として、そのサンプルという中でのそれぞれのデータを有症率とか感染率とかと言うことはできますが、そういうことで、政府としては、感染者、有症者というのを捕捉したものについて整理をさせていただいております。#209
○足立信也君 既に悉皆調査ではなくてサンプリング調査で日本は語っているということは今はっきりしたわけです。総理、今後、無料検査をやっていくんだと。この無料検査というのは、日本の統計上、この感染者数のこの統計上反映されますか。
#210
○国務大臣(後藤茂之君) 統計の中に行政検査以外の自費検査も、行政検査ではありませんけれども自費検査も含めて、協力の得られた医療機関や民間検査機関で実施された自費検査も含んでそういう数字を出すように、そしてなるべく広く取り扱うように取り組んでおります。#211
○足立信也君 そうじゃないでしょう。現状は、いろんな自治体がやっている検査等で陽性だった人は行政検査でPCR検査を受けてくださいと、そして陽性だった人の数が出ているんじゃないですか。#212
○国務大臣(後藤茂之君) 民間検査等で陽性となったものも合わせて入れております。#213
○足立信也君 実態とは違いますよ。多くの方がそれを分かっていられると思います。ここでごまかしてもしようがないんですよ。サンプリングになっているということなんです。そこで、なぜ急激に第五波が収束したか。これはワクチンが普及したからです。発症率が減ったからです。だから、有症者数が急激に減ったから、感染者数じゃないですよ、有症状者数が急激に減ったから第五波は収束したんです。これが正しい。
であるならば、三回目のワクチン接種です。これ、ワクチンの効果は、免疫に関しては液性免疫と細胞性免疫というのがあって、細胞性免疫は六か月も保たれます。液性免疫、つまり抗体のところが落ちてくる。今回、オミクロン株は人の細胞にくっつくところが十五か所変異している。三十分の十五。だから感染しやすいんじゃないかという話になっているわけです。
ところで、三回目のワクチン打つべきか打たないべきか、多くの人が悩んでいますよ。二回目で大変な副反応があったという方、相談に来ますよ。かかりつけ医に相談したら、いや、打った方がいいんじゃないかな、いや、それだけひどかったらやめた方がいいんじゃないかと言われる。次に行くと別のことを言われる。本人の判断なんかできないんですよ。そこで参考になり得るのが、今自分がどれだけの抗体を持っているかですよ。
この抗体検査も総理の言う無料検査に入りますか。
#214
○国務大臣(山際大志郎君) 無料の検査には入りません。#215
○足立信也君 多くの方が困ってますよ。一度も打てない方もいる、感染したことがある方もいる、二回目大変だった方もいる。自分の抗体が今どうなのかというのを知りたいですよ。それが根拠になるんですよ。なぜやらないんですか。勝手に自分の判断で、自己責任だって言うんですか。やらない、それはもう決定したことなんですか。ずっとそうなんですか。
#216
○国務大臣(山際大志郎君) 私どもの理解では、この検査を行うことによって、ある意味、不安に思っていらっしゃる方々、あるいはワクチンを理由があって受けられない方々、あるいは、感染が拡大しつつある、そんなステージにおいて都道府県の知事さんたちが検査を広げるためにやる、そのためのものとして考えておりますので、目的としては感染が蔓延することを防止するためのものでありますけれども、ある意味、その抗体を検査するということになれば当然血液検査ということになるんだと思いますので、そこまでのものを政府として行う状況ではないというふうに判断しているということです。#217
○足立信也君 不安とおっしゃるけど、一番不安なのは、自分が今どういう状態なのかを知らないからですよ。不安かどうかというのは、データがきちんとあって、それを判断するかどうかですよ。判断できる状況にあるかどうかですよ。そのことが大事だと思いますよ。ところで、ワクチンの供給の件ですけれども、大分県は接種券の有無を問わず優先順位を付けて接種を、三回目の接種をするように知事が決めました。これは二〇〇九年の新型インフルエンザのときとほとんど対応が同じです。
国が統制管理するよりも、流通を速くしたいんだったら、数が確保されていたら、接種券関係なしに、自治体に、あるいは卸を通じて供給するような体制に改めた方がいいんじゃないですか、スピード感が大事であれば。
#218
○国務大臣(後藤茂之君) 今回、接種券を基本的に作っていただくということで、接種券を通じてブースター接種をお願いするということで考えております。ただし、接種券がなくても、どうしても必要、まあ必要というか必要でないというか、逆ですね、接種券がないことがやむを得ない場合についてはそれを認めるというふうに扱いを考えております。#219
○足立信也君 御案内のように、検疫というのは国内体制を整えるためのある意味時間稼ぎであります。ただ、三週間たてば市中感染、四か月で置き換わると、この認識は持っていただきたい。そんな中で、医療従事者の確保、医療機関の確保。ベッド数の確保はおっしゃいましたけど、従事者の確保というのは、結局、医療機関も含めて、日本は二、三、四の法則というのがあって、公立、公的なベッド数は三割しかないんですよ。そこを公的機関で、あるいは公的医療機関で補うというのは非常に難しい話なんです。
ところで、やっぱり行政と医療関係者のコミュニケーションが何よりも大事なんですよ。東京の医療機関への要請はどうも今年の八月だった。大分は去年の一月から連絡調整会議してますよ。
この医療従事者の確保、何が一番大事で、何をやるべきか。お答えどうですか。
#220
○国務大臣(後藤茂之君) 今先生から御指摘のあったように、地域医療の中でどういうその体制が取れるかということでございますので、地域における協議、非常に重要でございます。今回の全体像の作成におきましても、それぞれの都道府県におきまして、地域像、地域の中でどういう対応ができるか、先生の御指摘のとおりだと思います。
#221
○足立信也君 ウイルスの特性というのは、変異を繰り返す、コロナは二週間に一回、だんだん弱毒化して、でも感染力は強まるというのが大体進化の方向性なんです。今回のオミクロン株は、私の私見ですが、感染力は高い可能性があるけど、どうも毒性は下がっている可能性がある。これは季節性のインフルエンザに近づいていく前兆じゃないかという捉え方もあります。そうした場合に、今このコロナウイルスだけが全て無料、自己負担なしと。ワクチン、検査、医療。これは、そのうちこの出口を見付けないと、ほかの感染症、もっと多くの患者さんがいる感染症に対しては医療保険上の自己負担があるのに、これはいつまで続けるかって目安がありますか。
#222
○委員長(山本順三君) 時間が来ておりますので、端的にお願いいたします。#223
○国務大臣(後藤茂之君) 感染症法上、無料の行政検査というのが決まっているわけでございますけれども、こうした無料検査の範囲等については、感染状況等を踏まえて、専門家の方々の意見も聞きながら今後検討していくものと思っております。#224
○足立信也君 終わりにします。楽観的なことを申し上げましたけれども、今はこれは確固たるデータがあるわけではない。ですから、手洗い、マスク、そして換気、この冬、年末年始を是非乗り越えていただきたいと、そのように思います。
以上で終わります。
#225
○委員長(山本順三君) 以上で足立信也君の質疑は終了いたしました。(拍手)─────────────
#226
○委員長(山本順三君) 次に、浜口誠君の質疑を行います。浜口誠君。#227
○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。今日はよろしくお願いしたいと思います。まず、成長分野の投資について岸田総理にお伺いしたいと思います。
カーボンニュートラルとかデジタル化の投資、これは今後の日本にとっての成長には欠かせない分野だというふうに思っております。こうした成長分野の投資に欧米諸国は戦略的な大胆な投資を打ち出しております。
例えばですけれども、グリーン投資ですとか、あとインフラ投資という形で、アメリカは五年間で一兆ドルです、約百十三兆円。EUは十年間で一兆ユーロ、これ約百二十兆円です。これだけ大胆な投資をしているんですが、一方で、日本はグリーンイノベーション基金、カーボンニュートラル投資、十年間で二兆円です。あと、グリーンエネルギー戦略関連で一千七百十億円と。規模が欧米と比べればもう二桁違う、規模が極めて小さい、こういう実態にあります。
カーボンニュートラル、まさに国家間の覇権争いです。この競争に勝っていくためには、やはり日本においてももっと大胆に成長分野に投資をしていくべきだというふうに思いますけれども、岸田総理の考えをお願いします。
#228
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、カーボンニュートラルを始め、日本の成長戦略を考えた場合に、こういったこの重要な分野に思い切った投資をしていかなければならない、これはそのとおりだと思います。そして、他国との比較において金額、桁が違うんではないか、御指摘がありました。金額の大きさ、これも我々しっかり考えなければいけないと思いますが、ただ、各国のこの取組見ますと、その予算によってこの対応する中身にも大分違いがあるというのも現実だと思います。
我が国のこの取組、二兆円のこのグリーンイノベーション基金を用意したわけですが、この中にあっては、水素とかアンモニアとか半導体とかあるいは電池、こういった分野を盛り込んでいる。こうした焦点を当てた分野については産業界からも評価されている部分はあると思います。是非、こうした内容において、例えば補正予算においても自動車の電動化支援ですとか大規模電池、蓄電池製造拠点への支援ですとか、こういったものを盛り込ましていただきました。
委員のおっしゃるように、額も大事ですが、中身、これもまた大事でありますので、両面からしっかりと支援を考えていきたいと思います。
#229
○浜口誠君 ありがとうございます。是非、大事な分野ですので、しっかりとした投資戦略をこれからも練り上げていただきたいと思います。
続きまして、自動車の電動化に対してのインフラの整備状況、お手元の資料を是非総理も御覧いただきたいと思います。(資料提示)
萩生田大臣にお伺いしたいと思います。
この資料にあるように、EV用の充電器、そしてFCV、燃料電池車用の水素ステーション、現状そこに書いてあるとおりです。普通充電二万一千か所程度、急速充電は七千九百基程度、水素ステーション百五十基程度です。国は二〇三〇年目標でそれぞれ十二万基、三万基、一千基というような計画を置いております。
でも、足下では、水素ステーション、県内に一か所もないところが四十七都道府県のうちに十二県もあると、こういう実態もあるわけです。
この二〇三〇年に向けて、インフラ整備、電動車向けのですね、どのようにしていくのか、萩生田大臣にお願いします。
#230
○国務大臣(萩生田光一君) 電気自動車や燃料電池自動車の導入拡大に向けては、充電インフラ、水素ステーションの整備が極めて重要です。今回の補正予算案では、充電インフラについては、高速道路などで充電混雑を解消するための取組や、普及が遅れている集合住宅への設置を中心に進めていくこととしております。また、水素ステーションについては、特に先生御指摘の未整備地域において低価格帯の小型水素ステーションを新たに補助対象に追加するなど、支援措置を拡充することを予定しています。
以上のように、今回の補正予算案では、現在の電気自動車等の普及状況の中で特にインフラが不足している地域や場所を中心とした整備を集中的に進めていくこととしておりまして、今後、二〇三〇年に充電インフラ十五万基、水素ステーション千基程度の目標達成に向けてインフラ整備を加速してまいりたいと思っております。
#231
○浜口誠君 水素ステーションの空白県はいつなくなりますかね。萩生田大臣、お願いします。#232
○国務大臣(萩生田光一君) 御指摘の十二県については、これは国が場所を特定してここへ造りなさいという性格のものじゃないので、今回のこういった予算を上手に使っていただいて、それぞれの県で対応していただくことを期待しています。#233
○浜口誠君 今、今後しっかり取り組んでいくという答弁いただきましたけれども、補正予算で充電器の設備関係は百二十五億円しかない、当たっておりません。一方で、アメリカは五十万基の充電設備を整えるために八千三百億円の投資計画を打ち出しています。余りにも、やっぱりこういう分野を見ても、先ほどの説明と実際の投資額の乖離が大きいというふうに思います。総理、どうですか。
#234
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、米国においては五十万基の充電設備に予算が投じられているということです。そして、我が国の現状については委員御指摘のような状況でありますが、我が国においても二〇三〇年までに現在の五倍となる十五万基の充電設備を整備する、こういった目標を掲げております。こうした五十万基と十五万基、これ国土の面積から考えた場合に多い少ないという判断はあるかもしれませんが、我が国においてもこうした意欲的な目標を持ってしっかり設備を充実させていきたいと考えております。
#235
○浜口誠君 萩生田大臣、いかがでしょうか。#236
○国務大臣(萩生田光一君) 今総理がお答えになったとおりでございまして、確かに数字の上で比較しますと物すごく劣る感じがするんですけど、我が国の目標十五万基、これ、道路の総延長を踏まえて比較した場合、米国は百キロ当たり八基である一方、我が国は百キロ当たり十二基になりますので、結果は米国より水準は高まるということにもなると思いますので、そこを目指していきたいと思います。#237
○浜口誠君 是非、充電設備、電動車を普及させるためには基礎的なインフラになりますので、しっかりと計画的に取り組んでいただくことを改めて求めておきたいと思います。では、続きまして、自賠責保険の繰戻しについてお伺いしたいと思います。
大変重要なテーマですので、まず斉藤大臣にお伺いしますけれども、自賠責保険の繰戻しのこれまでの状況と、あと、被害者とその御家族からどういった要望が来ているのか、その点、御説明をお願いします。
#238
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 平成六年度及び七年度に自動車安全特別会計から一般会計へ合計一兆千二百億円が繰り入れられました。その後、平成八、九、十二、十三、十五年度に合計六千九百二十一億円が一般会計から特別会計に繰り戻されました。また、平成二十九年の大臣間合意に基づき、平成三十年度から令和三年度まで四年間連続で毎年繰り戻され、その額も増額しているところです。その結果、令和三年度末までに七千九十億円が繰り戻され、令和三年度末の繰入れ残高の見込みは六千十三億円となっております。被害者団体の皆様からは、私も先日お会いをいたしましたけれども、いろいろな御要望、また、参加いただいております有識者会議におきましても様々な御意見をいただいておりますが、特に、被害者家族の高齢化に伴う介護者なき後も視野に入れて、将来にわたって安定的、継続的に被害者救済を実施できるようにしてほしいと強く御要望をいただいております。
#239
○浜口誠君 是非、総理も資料を、②を御覧いただきたいと思います。今、ありがとうございました、詳しく御説明いただいて。
この自賠責保険の繰戻し、もう二十七年前に繰り入れられたものがまだ六千億円返ってきていないと。被害者家族の方も本当高齢になって、将来のやっぱり安心、安定のためには早く特別会計に繰り戻してほしいと、こういう要望をずっと続けているんです。しかしながら、今、繰戻し額も少なくて、積立金を切り崩しながら被害者救済事業を行っていると、こういう実態にあるんですね。
斉藤大臣と鈴木大臣のところにも被害者の方、行かれたと思います。是非、被害者家族の方からの要望を、増額、繰入れの、繰戻しの増額をしてほしいということと、あと、今後、大臣間の合意を行うことになると思いますが、そのときには、返済の計画、ロードマップを明示してほしいと、さらには、合意の間は繰戻しを継続して、そして繰戻しの目安金額もはっきりと示してほしいと、切なる要望が届いています。
是非、斉藤大臣と鈴木大臣、この問題に対してどう取り組むのか、御所見をお伺いしたいと思います。
#240
○国務大臣(鈴木俊一君) この件につきまして、令和四年度予算の繰戻し、それから、令和五年度以降ですね、その先の繰戻しの見通しにつきまして、一般会計の財政事情を踏まえつつも、何よりも事故被害者とその御家族の皆さんが不安なく将来の生活を過ごせるようにするという観点から、誠意を持って、予算編成過程において、引き続き国土交通省と真摯に検討してまいりたいと思います。#241
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 一般会計からの繰戻しは極めて重要であると認識しております。そして、今御審議いただいているこの補正予算の中にも、一般会計からの繰戻しが行われるよう要求し、一般会計から約八億円の繰戻し計上をさせていただいております。
今財務大臣からお話がございましたように、これからの返済計画、ロードマップを明確にして、合意期間中の繰戻しの継続、繰戻し額の目安の提示ができるよう、国土交通省といたしましてもしっかり財務省と協議をしてまいりたいと思っております。
#242
○浜口誠君 岸田総理の御見解を是非お伺いしたいと思いますけれども、是非被害者家族に寄り添った対応を岸田政権でやっていただきたいと思いますが、いかがですか。#243
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の状況については、被害者の皆様方の支援を安定的に、そして継続的に行うという観点から大変重要な問題であると認識をいたします。是非、御指摘の点も含めて、国土交通省、財務省、しっかりと調整をさせたいと思います。#244
○浜口誠君 直近の繰戻し額の平均は、平成三十年、四年間繰戻しあるんですけれども、四十億円です。返済されていないのは六千億円ですから、このペースでいくと六千億円返すのに百五十年掛かってしまいますよ。もう既に二十七年待っているんですよ。総理、もう一度、両大臣に、もう決着付けて、岸田政権で全てこの問題はもう解決しようと、そういう指示出してください。
#245
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 自動車事故の被害者の方々の支援に滞りがあってはならないと思います。その観点から、現状どういった問題があるのか、その点も考えながら、この繰入れについてもより前向きに、現実的に、国土交通省、財務省、両省でしっかり調整をさせたいと思います。(発言する者あり)繰戻し、繰戻し額について、国土交通省そして財務省、しっかりと調整をさせたいと思います。#246
○浜口誠君 是非、国交省、財務省、両大臣ですね、新しい合意を結ぶときには、先ほどの総理答弁も踏まえて、被害者とその御家族にしっかりと応える協定を結んでいただきたいと、覚書を結んでいただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。では、続きまして、整備士不足についてお話ししたいと思います。
自動車整備士の皆さんは本当に重要な仕事を担っていただいております。直近の有効求人倍率、全国平均四・五倍、総理と斉藤大臣の御地元の広島だと六・七倍の有効求人倍率です。非常に人手不足の分野になっています。
この自動車整備士の重要性、そして自動車整備士不足の認識について、まずは斉藤大臣の御見解を伺いたいと思います。
#247
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 自動車整備士は、専門的な知識と技能を持って自動車の点検整備を行う国家資格に基づく職業であり、安全、安心な車社会の維持のために不可欠な存在でございます。しかしながら、自動車整備業においては、有効求人倍率が四・五〇倍となっているほか、自動車整備士養成施設の入学者数が過去十五年間で半減し、自動車整備士を志す若者が減少しているなど、人手不足の状況にございます。
こうした中、今後は、自動運転車、自動運転の車、それから電気自動車など新たな技術が急速に普及していきますので、自動車整備士に求められる専門性や知見は一層高度かつ必要不可欠なものになっていくものと認識しております。
国土交通省といたしましても、自動車整備士がこのようなプロフェッショナルとしてすばらしい職業であるということを周知徹底、PRさせていただきながら、整備士不足の解消に向け全力で頑張っていきたいと思っております。
#248
○浜口誠君 ありがとうございます。この問題は今年の三月の予算委員会でも議論させていただきまして、政府の方からは、自動車整備士の皆さんの仕事を新しい3Kの仕事に変えていきたいと、こういう御答弁もいただいております。新しい3Kというのは、一つ目のKは給料です、処遇を上げるということですね、二つ目のKは休暇、働き方を変えていく、三つ目のKは希望を持たせるような仕事にしていくと、こういうお話いただきました。私の方からは、企業も頑張っています、自動車整備士不足に対応するために、整備学校に行っている学生に企業独自に給付金というか奨学金をつくって応援したりしている企業もあります、そういった企業に補助金だとか税制面でしっかり支援してほしいと、こういう提案もさせていただきました。
国交省として、この自動車整備士の皆さんを新3Kの仕事にするためにどのような取組をしてきたのか、お伺いしたいと思います。
#249
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 新3K、給料の底上げ、休暇などの働き方改革、希望を持てる仕事、この新3Kに向けて、自動車整備業界が自動車整備士にとって魅力あるものであることが人材確保の観点からも重要と考えております。このため、国土交通省では、今年度におきましても、業界団体と連携して、一つには、整備事業者向けの人材確保セミナーを開催し、自動車整備士の処遇改善の重要性を説明しております。二つ目に、若者に自動車整備士の仕事や魅力を伝えるポスターやパンフレットの作成をしております。三番目に、自動車整備士の社会的貢献度の高さなどについて校長などに直接PRする高校訪問も行っているところでございます。今後は、整備学校における新技術への対応等を支援することを検討しております。
国土交通省といたしましては、安全、安心な車社会を将来にわたって実現していくことができるよう、引き続き関係団体とも協議しながら、人材確保に向けた取組を進めてまいります。
#250
○浜口誠君 その結果、具体的に年収水準とか働き方はどのように変わりましたかね。結果はどうなったのか、データがあればお示しいただきたいと思います。#251
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 整備士の皆様の年収ですけれども、平成二十三年が年収三百七十四万円が徐々に上がってまいりまして、令和二年度で三百九十六万円ということでございますけれども、全労働者の平均よりも下回っております。#252
○浜口誠君 まだ、三百九十六万円まで来ましたけれども、全労働者平均より三十七万円年収まだ低いんです。まだまだやらなきゃいけないという課題だというふうに思っておりますので、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。その一方で、自動車整備士の皆さんからは、働き方改革という観点から、車もどんどん進化しています、電動化ですとか自動運転とかですね、こういった中で、整備の在り方というのも抜本的に見直してほしいと、今のままじゃなくて、整備項目だとか頻度だとか、もうスクラップ・アンド・ビルドをしっかりやってほしいと、こういう声もいただいておりますので、検討状況をお伺いしたいと思います。
#253
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 道路運送車両法に基づく車検や点検整備は、自動車の安全、環境性能を適切に維持するために極めて重要な制度と認識しております。最近の自動車は安全機能の高度化等が進んでおり、例えば装置の異常を車両自らが診断するような、いわゆるセルフチェック機能も実用化されております。このような状況を踏まえ、自動車の高度化に伴う安全確保策の在り方を検討するため、国土交通省は本年八月に検討会を設置し、自動車整備業界からの御意見も伺いつつ、車検時の確認方法の見直し等について検討を進めております。
具体的には、自動車のセルフチェック機能を活用した確認方法の合理化、例えば、タイヤ空気圧を監視するシステムが搭載された車両の場合、当該システムの確認によりタイヤ空気圧の測定を必要としないこと等を検討しております。
国土交通省といたしましては、自動車の安全、環境性能の確保を前提としつつ、引き続き、車検や点検整備が合理的なものになるよう、したがって、働き方改革につながるように努めてまいります。
#254
○浜口誠君 その議論の中で、具体的な課題認識みたいなのは何か示されている項目はございますでしょうか、車検制度の中でですね。いろいろ現場からは、やはり従来のやり方が変わっていなくて残業が増えていると、こんな指摘もいただいておりますので、何か具体的な事例がありましたら御紹介いただきたいと思います。#255
○政府参考人(秡川直也君) お答えいたします。先ほど大臣からタイヤ空気圧の話がありましたけれども、そもそもの自動車の部署で機能が変わってきているという部分がありますので、もうチェックしなくていいような項目というのは、そこは省略して、ポイントをチェックするとか、そういうやり方というのがいろんな箇所でできるんじゃないかということで今検討しているというところでございます。
#256
○浜口誠君 是非、現場の意見も聞いて、しっかりとした対策を取っていただきたいと思います。総理にお伺いします。
是非、自動車整備士の皆さんの声を聞いていただきたいと思います。車座対話やっておられると思いますけれども、是非整備士と車座対話やっていただけないでしょうか。
#257
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 社会のグリーン化、デジタル化が進む中で、車社会、自動車業界、間違いなく大きく変化します。それを支える大切な役割を果たしておられる自動車整備士の皆様方、業界の皆様方、是非直接声を聞かせていただく場を持ちたいと思います。#258
○浜口誠君 是非その状況を理事会の方に御報告いただきたいと思いますので、委員長、お願いします。#259
○委員長(山本順三君) 理事会で協議をいたします。#260
○浜口誠君 三月のときも、当時の菅総理からは、政府挙げてこの自動車整備士問題、課題があれば解決に向けてしっかり応援していくという答弁をいただいております。是非、改めて、岸田総理から自動車整備士の皆さんに対しての、今後の政府全体の支援についての是非メッセージをいただきたいと思います。
#261
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 日本の社会そして自動車業界は大きく変わると申し上げましたが、これからも間違いなく日本の経済を支える大きな役割を果たされます。それを支える自動車整備業界の皆様方が、先ほど委員の方から3Kというお話もありましたが、意欲を持って期待を持って仕事に取り組むことができるように、政府としてもしっかり環境整備に努めていきたいと考えております。#262
○浜口誠君 是非よろしくお願いしたいと思います。大事な取組だと思います。最後、トリガー条項についてお尋ねします。
なぜトリガー条項を発動しないのか、是非この点をお伺いしたいと思います。
#263
○国務大臣(萩生田光一君) 石油製品価格の高騰対策としては、とにかくスピード感を持ってこの年末に対応できることをやろうということを総理とも相談をしました。このため、業種別の対策の強化、既に始まっているビニールハウスですとか漁船のエネルギー代、こういったものに加えて、時限的、緊急避難的な激変緩和事業を行うことにしました。この事業は、条件を満たせば年内からいつでもスピーディーに適用可能であることと、元売に対して原油価格の上昇分を支給することで、トリガー条項では対象にならない灯油ですとか重油、これ例えばクリーニング屋さんですとかお風呂屋さんなどにも使っていただくことができますので、今回はこの制度を使わせていただくということを今皆さんにお願いしているところでございます。
#264
○委員長(山本順三君) 時間が来ておりますから、おまとめください。#265
○浜口誠君 はい。多くの国民の皆さんはトリガー条項を発動して小売価格のガソリンや軽油の値段下げてほしいと、多くの皆さんがそう思っておられるということを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
#266
○委員長(山本順三君) 以上で浜口誠君の質疑は終了いたしました。(拍手)─────────────
#267
○委員長(山本順三君) 次に、音喜多駿君の質疑を行います。音喜多駿君。#268
○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。岸田総理、御就任、改めて誠におめでとうございます。
岸田内閣は従来の慣例にとらわれない抜てき人事が行われておりますが、我が党も先般、新体制が発足をいたしました。幹事長には藤田文武、二期生の衆議院議員、そして党の政調会長には僣越ながら私が就任をさせていただきました。(発言する者あり)ありがとうございます。政治経験は皆様には全く及びませんが、党の政策責任者として、臆することなく、正面から議論させていただきたいと思いますので、本日はよろしくお願いをいたします。
私からは、補正予算案に入る前に、公文書と統計データの改ざん問題について何点かお伺いをいたします。
私たち日本維新の会は、安倍政権にも菅政権にも是々非々の姿勢で対峙をし、時には与党の補完勢力とやゆされるほど、その施策を高く評価することもございました。そんな私たちが、これだけは絶対に許せない、これは駄目だと繰り返し指摘をしてきたことが公文書の改ざんと廃棄です。なぜならば、公文書あるいは正確な統計データというのは、まさに民主主義の根幹だからです。行政や権力者が正確な情報を公開しなければ正しい政策が立案できないのはもちろんのこと、何回選挙をやっても有権者が正しいリーダーを選ぶことができません。
この決定的な重要な公文書管理に対して、安倍政権も菅政権も抜本的な再発防止策は講じませんでした。そして、今回も、重要な公文書である国交省の統計データの改ざんが発覚しました。岸田内閣には、このような事態が二度と起こらない対策を、精神論や人間によるチェックではなくて、仕組みで講じていただきたいんです。
今回の統計データ改ざんも、職員が鉛筆で書かれたデータを消しゴムで消して改ざんしていると、信じられない行動が報じられています。こうしたことを防ぐ方策の一つが何よりデジタル化です。デジタルで集計しデジタルで保管をする、これが再発防止の第一歩であると考えます。
ところが、我が国の公文書のデジタル化は口にするのも恥ずかしいほど遅れています。なので、確認させていただきますが、行政文書ファイル等のうち、電子媒体、デジタルで保有している割合を伺います。またあわせて、今後のデジタル化の具体的な目標をまず担当にお伺いいたします。
#269
○政府参考人(笹川武君) お答え申し上げます。行政文書のデジタル化の割合、目標ということでございます。
内閣府が把握しております直近の数値では、各行政機関において新規に作成、取得された行政ファイル、行政文書ファイル等のうち電子媒体により保有している割合、平成二十七年度は七・三%、二十八年度七・七%、二十九年度八・二%、三十年度一〇・九%、そして令和元年度は一五・一%ということでございます。
私どもといたしましては、各行政機関においてデジタル化が進むように、デジタルを前提とした文書管理を進める、電子媒体による作成、取得を基本としていく、そういうことで現在ガイドラインの改正なども取り組んでいるところでございます。
引き続きよろしくお願いいたします。
#270
○音喜多駿君 まさに二年前のこの予算委員会で同じ質問をしたとき、デジタル化の進捗は今答弁にあったように八・二%でした。二年たって一五%、二倍になったと喜ぶことは全くできません。(資料提示)このパネル資料にもありますように、これは、ほぼもう一〇〇%になっている海外に比べても異常に遅れていると言わざるを得ません。諸外国のように早期の完全デジタル化を目指す必要があります。
このデジタル化に重要な役割を是非果たしていただきたいのが、鳴り物入りで発足をしたデジタル庁です。紙媒体を想定した現行の文書、データ管理の枠組みは時代に適合をしていません。それ自体を変革し、ブロックチェーン技術やタイムスタンプ、電子署名など、あらゆる手段を用いて改ざんを防止する具体策をデジタル庁が提案をして実行していく必要があります。
そこで、公文書の総デジタル化、そして改ざん、廃棄防止など、デジタル化を通じた適切な公文書管理について、デジタル庁がその職責として積極的に関与するべきと考えますが、デジタル大臣の見解をお伺いいたします。
#271
○国務大臣(牧島かれん君) 今委員御指摘のとおり、公文書のデジタル化は文書管理を確実かつ効率的に行う上で大変重要なものと私どもも考えております。政府としては、平成三十一年に決定した基本的な方針を踏まえ、作成する行政文書は電子的に管理することを基本とし、作成から移管、廃棄までのプロセス全体を通じた電子化を目指すなど、取組や検討を進めております。
また、改ざんの防止については、平成三十年から各省庁が利用する文書管理システムで一度決裁を経た案件について事後修正できない仕組みを導入するなど、対応を講じてきております。
デジタル庁としては、行政のデジタル化を強力に推進していく立場から、文書管理システム等の関係システムの統合的な整備を進めてまいります。また、この文書管理制度を所管する内閣府を始めとする関係府省庁と連携し、デジタルを活用した確実かつ効率的な公文書管理の実現に貢献してまいりたいと存じます。
#272
○音喜多駿君 今御答弁あったように、各省庁が今ばらばらのシステムを使っている、これも問題点の一つなんです。内閣府をサポートしていただくというのは本当重要なんですけれども、これ全府省横串で横断する取組を進める必要がありますので、是非デジタル庁がより積極的な関与を深めていただきたいと思います。
そして、岸田総理、安倍政権から連綿と続く公文書やデータの改ざん、廃棄に対して、現状の公文書管理法に基づくやり方では不十分なことは、これはもう明らかです。
我が党はこれまでも、公文書の永久保存を義務付け、最新のブロックチェーン技術などを用いた改ざん防止措置を明記する公文書管理法の改正案、そして、独立性と専門性を持って公文書を管理する公文書院を設置する法案を議員立法で提出をしています。また、開示請求を恐れて逃げるように官僚が廃棄をする、あるいはそもそも公文書を残さないというこういう体質を改めるために、機密文書には一定の不開示期間を設ける、こういう具体的な提案も行っています。
総理、安倍政権、菅政権が積み残した負の遺産に正面から対峙し、必要であれば法改正も行って、総デジタル化による永久保存、改ざん防止や機密文書には不開示の期間を設けるなど、公文書に係る抜本的な制度改革に取り組まれる覚悟はないでしょうか。総理の見解をお伺いいたします。
#273
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 公文書管理というのは、現在そして将来の国民に対する説明責任を果たす、そして、委員も御指摘になったように、民主主義の根幹として大変重要な取組であると思います。政府としては、これまでルールの見直しですとかあるいはチェック機能の整備ですとか、こうした取組を続けてきたわけですが、今御指摘があったように、デジタル化というのは大変大きな決め手になる取組ではないかと私も思います。
デジタル庁が今年発足をした、行政のデジタル化を進めているわけですが、その中にあって、公文書管理のデジタル化もデジタル庁を中心にしっかり進め、検討をし、そして進めていきたいと思います。
法改正について御指摘がありましたが、まずはそういったデジタル化をしっかり進めるべく検討をした上で、必要であれば法改正についても考えるということを政府としても進めていきたいと思います。
#274
○音喜多駿君 デジタル化については前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。是非、岸田内閣から公文書の改ざんは一件たりとも起きなくなったと、そのような改革が起こるように取り組んでいただきたいと思いますので、心よりお願いを申し上げます。
次に、補正予算案に関連し、いわゆる十万円給付の問題について改めて私からも幾つか質問と提案をさせていただきたいと思います。
結論から申し上げますと、私は今回の十万円給付をめぐるこの混乱を契機として、岸田総理、岸田内閣には是非地方分権に真剣に取り組んでいただきたいと考えています。
御案内のとおり、我が党や地方自治体からの要望を受けて岸田総理は五万円分のクーポンの取扱方針を転換し、一括の現金給付などをお認めになりました。この判断を我々は是といたしますが、現場は大いに振り回され、自治体は過剰な事務負担を背負うことになってしまいました。
この問題の根幹は、政府が自治体の現場の苦労を知らないこと、そして国が地方自治体に口を出し過ぎるところにあります。
我が党の浅田均参議院議員が先週の本会議で、十万円給付事業は市区町村の自治事務か、それとも法定受託事務かと質問をしたところ、総理は明確にこれは自治事務であるという旨を答弁されました。
では、一般論として、裁量が認められる自治事務であれば国が介入する余地というのは相当に限られるはずですが、自治事務の場合、国は地方自治体にどこまで介入できるのか、まず総務省の見解をお伺いいたします。
#275
○政府参考人(吉川浩民君) お答えいたします。地方自治法において、自治事務については、法定受託事務に比べて国の関与の基本類型が限定されております。
なお、自治事務であっても、その経費を国が補助するいわゆる補助事業のように、その政策目的に応じて補助金の交付要綱などにおいて対象経費等の要件が定められるものもございます。一般論としては、こうした場合であっても地方の意見や地域の実情を踏まえることが重要と考えております。
#276
○音喜多駿君 ちょっと確認させていただきたいんですが、原則として、自治事務においては、国の関与は是正の要求まで、これは総務省のホームページにも記載があることですが、これ間違いございませんか。答弁求めます。#277
○政府参考人(吉川浩民君) お答えいたします。地方自治法におきまして、法定受託事務、また自治事務に対する関与の基本類型というのが定められておりまして、その中におきまして自治事務については法定受託事務と比べて強い関与は基本類型として設けられていないということでございます。
#278
○音喜多駿君 何かどうしてもお答えいただけないようなんですけれども、これ、パネル資料は、これは総務省のホームページから引っ張ってきた資料を私が作り直したものです。総務省のホームページには、法定受託事務と異なり、あくまでこの自治事務というのができるのは、国からできるのは原則是正の要求まで、是正の要求までとはっきりと記載がございます。強制力を持たせる、ペナルティーを与えるということはできないはずです。内閣府が先般大阪府に対して現金支給の場合は五万円分の財政措置をしないという見解を一旦示されたこと、これは行政法上の是正の命令、ペナルティーと言えるものであり、私は違法性が高いのではないかと思っています。実際、大阪市は、内閣府のこの見解で対応が二転、三転せざるを得ず、手戻りによる多大な事務負担が今も発生しています。
自治体が現金給付を選択した場合に国が財政措置をしないと、今回のケース、こういう通達をしたことは、することは行政法上は不可能であって、このような見解示したことは不適切、越権行為であった可能性が高いと考えますが、担当大臣の見解、こちらをお伺いいたします。
#279
○国務大臣(山際大志郎君) 先生、まず確認させていただきたいことは、岸田内閣として、聞く力を持って、最初お示ししたものから、皆さんの御意見というものを柔軟に取り入れて、現金で給付することができることになっているということ、まずこれだけは確認させていただいた上で、十二月三日に我々の方から地方自治体に対してお示しをさせていただいた文書についてお話しされているんだと思うんですが、そこには修正をしていくということもきちんと書かれているわけですね。やはり何か議論する上でのたたき台が必要であったものですから、それまでの政府の、こういう形で組み立てようと思っていたものをそこにお示しをさせていただいたということなので、それからは変わっているということなんです。それで、御質問に対してのお答えになりますけれども、先ほど総務省の方からお答えさせていただいたように、自治事務であったとしても、その経費を国が補助するいわゆる補助事業については、その政策目的に応じて補助金の支給要領等において対象経費等の要件を定めること、これは可能でございますので、その要件をしっかりお示しをして、その要件に合致しないものには補助事業にならないということだと思います。ですから、その条件に合致している限りはしっかり補助金はお支払いするということだと思います。
#280
○音喜多駿君 今大臣冒頭申し上げたように、この方針転換をしていただいたこと、これについては我々も是として評価をさせていただいております。その上で、この是正の要求というところを解釈するところに私は見解の相違があると思いますけれども、我々がここにこだわっているのは、これが一事が万事だからであります。今回の一連の対応は、国があたかも地方自治体を自分たちの下請機関であるとみなしている、その価値観を端的に表しているものではないかと私たちは危惧をしています。地方分権の名の下に機関委任事務制度が廃止をされて自治事務が誕生したのは二〇〇〇年のことです。それから二十年以上たっても、いまだにこの中央集権システム、この幻想に取りつかれて執着をしている政府、そしてこの国の態度には私は極めて大きな問題が山積していると思っています。
ここでもう一つ、非課税世帯への現金給付についてもお伺いをいたします。
これもコロナの初期からずうっと言われているところでありますが、困窮者を非課税世帯と定義をしてしまうと、支援が行き届かない。非課税世帯ではないものの、例えばぎりぎりのところで生活をしているこのボーダーの方々には給付が届きません。これは、マイナンバーの整備などを怠ってきた今の日本政府には、残念ながらタイムリーに困窮者を把握する力はありません。そうであれば、画一的にまず非課税世帯と給付を決めるのではなくて、最も市民の実態を把握している自治体に給付の対象やその支給方法を任せる、国は財政措置だけを行う、こうしたやり方の方がまだしも望ましいやり方であると考えますが、担当大臣の見解をお伺いいたします。
#281
○国務大臣(山際大志郎君) この点につきましても、国が経済対策の一環として行うと決めたものでございますから、国として交付要領等において給付対象者や給付金額等について一定の要件を定めることは必要だと、このように思っております。ただ、委員御指摘のように、本当にお困りの方々に一日も早くこのお金を支給したいという思いは一緒なものですから、そこで、国が持っている仕組み等々で一番迅速性のあるものというので、この住民税非課税世帯というものを今回我々としては選択をさせていただいたということでございます。
#282
○音喜多駿君 その仕組みにおいて、やっぱり細かい方まで拾い切れていないという問題点は極めて大きく残ってしまっているわけです。これは完璧ではないことは国も認めていると思います。そして、今日も他の委員と議論がありましたが、家計が急変した世帯、家計急変世帯もこれは対象者になっています。しかしながら、この家計急変世帯の定義、定義はある程度お示しいただいていますけれども、この判定方法が定まっていないため、多くの自治体が今ほとんど何もできない状態で足踏みをして待っています。子育て世帯十万円給付は、これはニュースや国会で大きな話題となったために、政府にまさに早期の決断、方針転換をしていただきましたが、むしろもっと困っている、早く欲しいと言っているのはこちらの対象者であると、その可能性も極めて大きいと思います。
ですから、この急変世帯の定義や判定方法についても、政府が決めるのを自治体に待ってもらうというのではなくて、まずは各自治体が考える、急変世帯に十万円をいち早く届けてもらう、そして国はそれに従って、支出した分を、支出をされた分を言い値で財源措置をする。これこそが、自治事務における国庫補助事業の在り方としても、困窮世帯をいち早く救う方法としても、最もスムーズ、スピーディーで理にかなっていると考えます。
この困っている方の救済、一刻を争います。全額予算措置をすると、急変世帯措置の定義、対応は自治体に、自治体が決めていい、任せると、今この場で御決断いただけないでしょうか。大臣の見解をお伺いします。
#283
○国務大臣(山際大志郎君) 何といいましょうか、もちろん現場のことを一番分かっていらっしゃるのは地方自治体の皆さんであることは事実だと思います。しかし、どの方が困窮世帯であられるのか、本当に困っているのかというところは、やはりそれ、予算を伴ったものになりますので、それを全て各地方自治体の権限で決めていくというのであると、そもそも予算額を幾らにするかということも決まってこないと。すなわち、どちらの方が迅速性があるかという話になった場合に、これは地方自治体が独自の財源を持って独自のアイデアでやられるということであれば非常に迅速に済むと思いますが、我々は国全体として、お困りの方々に対してどう対応するかということをこれまで考えて、その中でもなるべく迅速に行えるようにするにはどうすればいいかということを工夫した上で、今回このような形で御提言を、御提案をさせていただいているということでございますので、でき得る工夫は全てやってまいりますが、しかし、全て自治体の方にお任せするというのは少し趣旨が違うというふうに考えます。
#284
○音喜多駿君 御丁寧な答弁いただきまして、幾つか論点があると思います。もちろん全て任せるわけではなくて、急変家計の世帯という一定の定義を国がしていただいた上で、あとは地方自治体に一定程度任せる、これは私は役割分担の範疇だと思いますし、平時と緊急時の区分というのもあります。今大臣おっしゃったことは、確かに平時であれば、きちんと予算を決めて自治体と相談してというやり方あるかもしれませんけれども、これ危機のときには、ある程度これはアクセルを踏んでまずは助けるということも、発想もこの国には私は必要だと思いますので、この点は引き続き提案をしていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
そして、岸田総理、新型コロナの今回の対応で、中央集権の限界というのは、私はやはり一定程度明らかになっていると思います。地方分権の改革、これを改めて強く推し進めるべきです。最初ボタンを掛け違えたとはいえ、地方の声を聞いて方針転換をされた岸田総理の聞く力には多くの地方自治体が注目し、また期待もしています。今や地方分権はほぼ形骸化し、平成二十五年に設置をされた地方分権改革有識者会議も、今、年に数回行われるだけで、活発とは言い難い状況です。
そこで、岸田総理のリーダーシップで地方分権を進めていくおつもりはありませんか。具体的には、矢継ぎ早に様々な会議体を立ち上げていく中、この地方分権についての会議体も総理が音頭を取る組織へと改めて衣替えを行うことなどが考えられますが、総理の見解をお願いいたします。
#285
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、先ほど来の御質問、やり取りを聞いておりまして思いますのは、委員御指摘のように、こうした制度を具体的に当てはめた場合に適用されない方がおられる、こういった現実はそのとおりだと思います。だから、先ほどの子育て世帯に対する給付金、あるいは住民税非課税世帯への給付金、緊急小口資金であったり困窮者支援、困窮者自立支援金等、様々な制度を重層的に用意したというのは、そういった現実の、現実においてより幅広い方に支援を届けようという工夫の下に経済対策をつくったということです。そして、現実は、今回の経済対策についてはそうでありますが、ただ、地方自治のありようについていま一度よく考えてみるべきではないか、こういった指摘は大変重要な御指摘だと思います。
その中で、政府においては、この地方分権改革、私自身を本部長とする地方分権改革推進本部があり、この体制の中でこの地方自治について考えていきたいと思いますが、あわせて、今新しい取組としてデジタル田園都市国家構想実現会議という会議体もつくりました。
これ、切り口は違うかもしれませんが、地方がいかに自らの判断で未来を選び取るか、デジタルという手法を使って未来を選び取るか、こういった考え方に基づく会議体でありますので、この辺りもしっかり活用する中で、地方自治のありようということについて政府においてもしっかり考えていきたいと存じます。
#286
○音喜多駿君 丁寧な答弁いただきまして、感謝をいたします。私たち日本維新の会は、地方に、大阪を中心に首長が多数おります。私も地方議会出身です。住民に近いところで見ていると、歯がゆい思いが非常にあります、ここをこうすれば助けられるのにと。もちろん皆さん一生懸命考えてくださっていると思いますが、特にこういう緊急時のときに地方の力をどう使っていくのか、これを是非いま一度御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
この給付金事業に関する質問の最後に、岸田総理に一つ提案がございます。
政府は、原則はクーポンという姿勢は堅持をされています。目的を絞ったクーポンに一定の狙いがあることは理解をいたします。しかしながら、そのクーポンの効果を最大限発揮させるためには、単発の事業で終わらせるのではなく、継続的に使える仕組みが必要です。
岸田総理は、クーポンにして配る意義を、地域の創意工夫を促し、民間事業者の振興や新たな子育てサービスの創出が期待されると繰り返し答弁をされています。しかしながら、単発五万円の施策では、民間事業者の振興や新たな子育てサービスの創出にはなかなかつながりません。一回こっきりのクーポン事業のために商品やシステム開発をすることは民間事業者にとって割に合わないからです。
一方で、月々一万円でも長期的に継続することが分かっていればどうでしょうか。まさに、民間事業者たちはその一万円クーポンを使い先として選んでもらうために月々一万円コースと、こうした新たなサービスや商品を開発します。まさに岸田総理の狙いどおりのことが起きる可能性が高いわけです。
そして、手前みそではありますけれども、私たち維新の会が行政運営の一端を担っている大阪市では、このパネルの資料ですね、塾代助成事業として月々一万円の支給施策、これが軌道に乗っています。学習塾、家庭教師、文化・スポーツ教室など幅広く使えるクーポン、教育バウチャーがあり、平成二十四年の先行実施から着実に実績を積み重ね、住民からも非常に高い評価を得ています。これをもし岸田総理が取り入れて、予算措置をして全国で導入すれば、内閣と与党の支持率は大幅に上がってしまうので私たちとしてはすごい困ってしまうんですけれども、それももう本望ですよ。
是非、総理、どうしてもこのクーポン活用した子育て、教育支援とおっしゃるのであれば、一過性の支援にとどまらず、この大阪における塾代助成のような中長期的かつ継続的な施策を講じる、そのための財源も真剣に確保をする、こうしたことが望ましいと考え、提案いたしますが、総理の見解をお伺いいたします。
#287
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、クーポンの政策について、中長期的に、また継続的な取組を進めることの意味ということについては、今お話を聞いていて、なるほどなと思う部分もあります。そして、今回のクーポンについては、選択肢として用意をしているわけですが、このクーポン事業を選択する自治体には、創意工夫をし、そしてそれを地域の活性化につなげていただく、それを政府としてもサポートするということになるわけですが、是非その自治体においては、今回の取組を一つのきっかけとしていただいて、それを継続的な事業を実施していただく。こうした継続的な事業を実施していただく一つのきっかけになれば、これはまた一つ大きな意味があるのではないかと思います。
是非様々な工夫を凝らして、クーポンはクーポンで政策的な意味がある、これは再三申し上げているところですが、そのメリットをどう地域が工夫、地域において工夫をし生かしていくのか、こうした姿勢は大事なんではないかと考えます。
#288
○音喜多駿君 一定の評価をいただきまして、ありがとうございます。地域が継続するためにはやはり財源も必要になりますので、その点、国の支援も含めて改めて御検討いただければ幸いでございますので、よろしくお願いいたします。次に、視点を変えて、社会保険料についてお伺いをいたします。
我々がコロナの経済対策で昨年から常に訴えてきましたのが減税と社会保険料の免除です。とりわけ、現役世代に対する社会保険料の負担増は我が国経済の最大のボトルネックです。
次のパネル資料を御覧ください。
厚生年金や健康保険、介護保険などの保険料値上げによって、四十代サラリーマンがもらえるはずの給料から天引きされる社会保険料は、平成十六年からの十五年で二十万円増加し、約一・三倍になりました。このような社会保険料の値上がりは、現役世代を直撃する事実上の増税と言えるものです。しかし、増税であればまだしも国会などで議論が尽くされる一方で、社会保険料の値上がりは必ずしもそうではありません。
例えば厚生年金の標準報酬の等級追加、これは大本は法令に基づくとはいえ、その後は政令で定めて負担増が決定できるわけです。結果的に、政策の意思決定として社会保険料の値上がりを選択しやすい、現役世代に安易に負担が押し付けられやすい状況になっており、これは私は財政民主主義の観点からも問題が大きいと考えておりますが、まず総論として、こうした現状への総理の所見をお伺いをいたします。
#289
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 高齢化が進み、そして社会保険料の負担が増えてきているということは、この現役世代の可処分所得を押し下げるという意味で、これは重く受け止めなければならないと思います。ただ、この財政民主主義の観点からも問題ではないかということでありますが、我が国はこの社会保障について保険方式を取っているわけですが、これはあくまでも法律に基づいて我が国の社会保障制度の方式を決めているわけですから、そういった点で、この財政民主主義に反するということではないと思います。
できるだけこの民意、多くの国民の皆さんの思いを酌み上げる形でこの制度を維持していく、こういった姿勢は大事なんではないかと考えます。
#290
○音喜多駿君 年金の法律改正が行われたのはもう十五年以上前と。ただ、それに従って着々と状況に応じて値段が、保険料が上がっていくと。やはりこういう状況はいささか私は問題が大きいと思いますし、税と保険料は制度趣旨が違うということもありますが、取られる側の視点に立つと、各種保険も強制加入である以上、税と保険料に区別はありません。こうした前提に立って、各論について幾つか御質問をしていきたいと思います。
目下のところ、現役世代の負担増が心配される保険料の一つが雇用保険料です。コロナ不況による雇用調整助成金の支出、財源不足に対応するために保険料の引上げ見込みが報じられました。
次の資料、パネルを御覧いただきたいんですが、雇用保険は、財政再建に係る経緯などもあり、国庫負担が、今、本来の十分の一に下がっています。そして、雇用調整助成金は、本来なら事業主のみの負担、保険料で補う制度です。
今回のコロナ禍による雇用保険財政の悪化について、働いている側には原因はほとんどなくて、その対策、助成金支出の影響で被雇用者側、現役世代が負担を増やされるのは制度の趣旨に明確に反していると思います。
今回の補正予算で約二兆円が雇用保険財政の安定に配分されたことは理解をいたしますが、来年度以降についても、現役世代を直撃する雇用保険料の安易な値下げに、値上げを、安易に値上げするのではなくて、まずこの特例で減らされている国庫負担の見直し、ここから考えるべきだと考えますが、担当大臣の見解をお伺いいたします。
#291
○国務大臣(後藤茂之君) 雇用保険財政については、音喜多委員御指摘のとおりで、令和三年まで保険料率及び国庫負担割合を暫定的に引き下げている中で、このコロナ禍での雇用調整助成金の特例措置への対応等もありまして大変厳しい状況になっております。そのため、今回の補正予算においては、雇用調整助成金等の財源確保、雇用保険財政の安定を図るために、一般会計から労働保険特別会計雇用勘定に二・二兆円の繰入れを行うことといたしております。
今後、御指摘のありました一般会計の繰入れも踏まえ、労使の負担感も考慮しつつ、保険料や国庫負担を始め令和四年度以降の安定的な財政運営の在り方について、予算編成過程の中でしっかりと結論を出してまいりたいというふうに思っております。
#292
○音喜多駿君 是非、この国庫負担の見直しも含めて、現役世代の負担増、これが最後の選択肢となるように慎重な検討を進めていただきたいと思います。最後に、年金保険料の議論です。
衆議院の予算委員会にて我が党の藤田文武幹事長からも問題提起を行っておりますが、現行の年金制度、特に国民年金の綻びはもはや誰の目にも明らかです。
岸田総理は、総裁選や著作などで、国民年金と厚生年金について財政を一元化すると発言をされています。厚生年金から国民年金勘定への財政調整、これは政府の基本方針なのでしょうか。これは、とりわけ会社勤めの現役世代に対する不利益変更にもなりかねないと考えますが、総理の現時点の見解をお伺いいたします。
#293
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、私が本等で申し上げている点、今御指摘いただきましたが、本だけではなくして、総裁選挙においても度々申し上げたこの年金に対する考え方ですが、この今の厚生年金をできるだけ拡大することによって、働き方によって不公平が生じるというような事態を避けていく、勤労者皆保険制度というようなセーフティーネットをしっかりつくっていく、こうしたことが大切であるということを申し上げました。ちょっと御指摘の点、私の表現が不十分なのかもしれませんが、御指摘の点も含めて、今申し上げたことを訴えさせていただいてきたところであります。御指摘のように、この厚生年金から国民年金勘定への財政調整という問題、これはいろいろな課題がありますので、それとは、私が訴えてきたこの年金改革の考え方、これは違うという、異なることを言っているんだということは申し上げたいと思っております。
#294
○音喜多駿君 後から制度変更をするということになれば、天引きされている保険料が別のことに使われることになりかねないわけですから、これは相当な説得力が必要になると思います。そもそも政府は、消費税を増税することでこの今の年金含む社会保障を持続可能にするとしてきました。我が党は政府に対しては、消費税の減税、これを繰り返し提案していますが、総理からも財務大臣からも、社会保障の財源であるために減税はできないと、こういう答弁が返ってきます。でも、現実は、今見てきたように、傷んだ制度を使い続けることで増税とともに社会保険料負担も上がり続けていて、本当に消費税分が社会保障に充当されているかは疑わしい状況であります。
時間がないので一問飛ばして、最後に総理にお伺いしたいと思います。
こうした社会制度の、社会保障制度の抜本改革案について我が党は、さきの解散・総選挙において、もう破綻がほとんど確実な年金などの社会保険制度はやめて、税財源を中心とした最低所得保障制度、いわゆる給付付き税額控除や又はベーシックインカム、これを核とする社会保障制度改革を提唱しています。
総理は、全世代型社会保障構築会議、これを立ち上げられましたが、この我々が提案する最低所得保障制度、ベーシックインカムあるいは給付付き税額控除を含む社会保障制度の抜本改革案、これを是非、イの一番に議題にかけていただきたい、いただくべきと提案いたしますが、総理の見解を最後にお伺いいたします。
#295
○内閣総理大臣(岸田文雄君) もちろん、議論ですから何かを制約するものではありませんが、御指摘のベーシックインカムという点については、我が国が社会保険方式を取っているということを考えますと、制度を移行した際に、移行期、様々な課題があるなと。従来、社会保険方式において安心を得てきた方々との公平性ですとか、いろんな課題があるなということは思います。また、給付付き税額控除、こういったことになりますと、所得や資産の正確な把握、こういった点において現実いろいろ問題もあるのかなとは思います。こうした議論、決して排除するわけではありませんが、私自身は、全世代型の社会保障制度ということで、できるだけ社会保障を支える側を増やすことによって現役世代の負担を、負担の増加を抑制していく、こういった姿勢で社会保障制度の持続可能性を考えていきたいなとは思っております。議論は、いろいろな議論を期待するところであります。
#296
○音喜多駿君 総理がおっしゃる意味も分かります。現在の制度の上にどう修正していくかということも一案、我々の抜本改革案も一案だと思います。時間が参りましたが、今後も是非このような建設的な議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
#297
○委員長(山本順三君) 以上で音喜多駿君の質疑は終了いたしました。(拍手)─────────────
#298
○委員長(山本順三君) 次に、鈴木宗男君の質疑を行います。鈴木宗男君。#299
○鈴木宗男君 岸田総理、念願、待望の総理就任、おめでとうございます。お父上が一番喜んでおられるんでないかと思います。お父上には、私自身も、昭和五十八年から亡くなるまでの平成四年まで大変お世話になりました。いつもにこにこされて人情味のあるお方でした。今総理を見ながらも何となくお父さんの姿を思い起こして、私は本当に良かったなと、こんなふうに思っております。そこで、総理、私はお父上からこんな話を聞きました。平成二十年七月、自分は旭川の師団に学徒動員で行かされた。(発言する者あり)昭和二十年です、昭和二十年、一九四五年です。そこで、(発言する者あり)ちょっと、大した話じゃないから、あんた余計なこと言わないで。そこで、総理のお父さんはこう言ったんです。一か月後、広島に原爆が落ちた、もし自分が広島に行っていたならばどうなっていたかということ、それを考えるとぞっとする、人生はちょっとしたことで大きく変わるものだということをしみじみ言っておられました。そして、こう言っていました。戦争はあってはならない、核兵器は使われてはならないということを言っておられました。
私はその言葉を考えるとき、総理も核兵器廃絶に日本の立場として外務大臣時代からもしっかり考えておられますけれども、私は、総理、ここで、せっかく岸田総理が誕生したんですから、核禁止条約締約国会議に日本はオブザーバー参加して、核保有国を抱き込む、核保有国を土俵に上げる、これが日本の役割ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#300
○内閣総理大臣(岸田文雄君) ありがとうございます。今委員の方から御指摘がありました父の旭川での話、私もよく何度も聞かされました。改めて私も、核兵器のない世界を目指す、こうした大きな目的に向けて努力をしなければならない、強い覚悟を持っております。外務大臣時代からも、これが私のライフワークであると確信をして取り組んできた課題でもあります。
そして、御指摘の核禁条約オブザーバー参加ですが、私は、核禁条約というのはまさに核兵器のない世界に向けての出口に当たる重要な条約であると思います。今言われている核禁条約に検証手段をしっかり備えたならば、核兵器のない世界を実現する大きなツールになると確信をしています。
ただ、現実、核兵器国は一国もこの条約には参加していない。私は外務大臣四年八か月やる中で、核兵器のない世界を目指すために、核兵器国を動かさなければ現実は一歩も動かないという厳しい壁に何度もぶち当たって悔しい思いをしてきました。この理想を目指すために、現実を動かす、そのためには核兵器国を動かさなければならない。唯一の戦争被爆国として、それを責任とし、の責任としてそれを行うとしたならば、せめて唯一の同盟国である米国を動かす、世界最大の核兵器国である米国を動かす、こうしたことを日本としてやらなければならない、このように思っています。
ですから、理想に向けて前進する際に、まずは米国との信頼関係、これをしっかり築いた上で前進を図っていく、これがこの現実を動かす上で大変重要だと思っております。ですから、オブザーバー参加、もちろん大事ですが、日本としては、まず米国との核兵器のない世界を目指す上での信頼関係、これをしっかりと構築していくところから始めていきたいと思っております。
#301
○鈴木宗男君 日本とアメリカは同盟国でありますから、まずアメリカを抱き込むということは大事だと思いますね。ただ、総理、日本は唯一の被爆国であります。その被爆国の日本がオブザーバー参加して物を言うと、世界に与える影響は大きいと思うんですよ。その上でも、是非ともこのオブザーバー参加というのをお考えおきいただきたい。心からお願いをする次第であります。
総理は、聞く力が一番だ、特技だと言われます。聞いた以上、総理、結果を出さなくては政治ではないと思いますね。この点についての見解はいかがでしょうか。
#302
○内閣総理大臣(岸田文雄君) おっしゃるとおりであります。聞くのは何のために聞くかということであります。最後結論を出すために聞くわけでありますから、しっかり聞いた上で最後決断すべきことは決断する、それが政治だと思っております。#303
○鈴木宗男君 あわせて、総理、私は私なりの政治経験の中で、物を言える人はまだいいんです。世の中言えない人がいます。声なき声であります。私は昭和五十八年初当選したとき、私の心友、私の言うシンユウは心の友ですが、松山千春さんが私にこう言いました。宗男さん、政治家は声なき声に寄り添わないといけませんよ、こう言われました。私は三十九年間、この言葉をしっかり胸に刻んで生きてきております。是非とも総理にも声なき声に私は向き合っていただきたい、こう強く希望するものですが、いかがでしょうか。#304
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 政治にとって国民の声、大変重要でありますが、その中で、特に声なき声をいかに受け止めるか、これは最も大切な課題の一つだと思います。様々な形で声なき声を聞かなければなりません。私もこれで十分だとは思いませんが、総理就任からできるだけ多くの方々の声を聞かせていただこう、現場に足を運ばせていただこうということで、車座対話というのを続けさせていただいています。様々なこの切り口から声なき声を聞かせていただけるよう、努力は続けていきたいと考えております。#305
○鈴木宗男君 総理、くれぐれもよろしくお願いをいたします。そこで、今、この国会でも大きな問題として取り上げられました文書通信交通滞在費であります。
これ、財務大臣にお伺いしますけど、予算は参議院、衆議院、院が財務省の事務方と協議をして、予算としてまとめられますね。この文書通信交通滞在費、北海道も沖縄も東京も一律百万円なんです。これは公平でしょうか。財務大臣、どういうお考えでしょう。
#306
○国務大臣(鈴木俊一君) 公平かどうかということを今ちょっとにわかにすぱっと答えられないわけでありますけれども、この文書通信交通滞在費につきましては、国会議員の歳費、旅費及び手当に関する法律、歳費法の九条におきまして、月額百万円を受けると、一律の金額がその法律の中に具体的に規定をされておりまして、従来、財務省はこの法律に基づいて予算措置を今日までしているということでございます。#307
○鈴木宗男君 財務大臣、その百万円、これ、たまたま立法府が出すものですから、財務省の事務方、旧大蔵省の時代から手付けないんですよ。それで、議運では一応議論はするけれども、そのまま要求どおりの数字なんですよ。今、国会議員はみんな、JRのパスももらっていれば飛行機のクーポンももらっているんです。だから、私がなぜ公平かと聞いたのは、東京の人は格段に、通信費も滞在費も、あるいは旅費、さらには交通代って掛からないんですよ。査定権のある財務省がなぜ、財政規律を言うならばですよ、無駄をなくしましょうという感覚で切り込まないかということを私は財務大臣に聞いているんですね。
そこで、大臣、これ時間ありませんから、これだけで私は議論するつもりないけれども、もう来年の予算も来週決まります。再来年に向けて、ここは、私は財政規律も大事だと思っています。その意味でも、公正公平もまた大事だ、何よりも、国民の、十三日のNHKの世論調査では、六五%が、使途の公開だ、見直しをすれという声なんですよ。その声に寄り添うのが私は政治だと思うんです。そのことを強く財務大臣にお願いしたいんですけれども、いかがでしょう。
#308
○国務大臣(鈴木俊一君) 宗男委員の、鈴木委員のお気持ちはよく分かりました。ただ、実際のところにおきまして、先ほど申し上げましたとおり、法律で一律に百万円と書いてあるのを、財務省において、北海道、沖縄とか遠い人は幾ら、それから東京の人は幾らと、そういうふうに査定するというのはなかなか難しいわけでありまして、やはり元の法律を、これは議員立法でできていると伺っておりますので、そこの法律を変えていただくということが、まずは手順としてはあるのではないかと思います。
#309
○鈴木宗男君 この点、総理、総理の答弁も各党会派の議論を待ちたいと言っていますけれども、議院内閣制です、与党が政権取っているんですから、岸田総裁が、内閣総理大臣が国民の声に応えよう、これは見直しをしようと言えば動く話なんですよ。この点、再来年の予算に向けて、私はしっかり議論すべきだと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。
#310
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今財務大臣からありましたように、この制度は議員立法をスタートとする制度であり、なおかつ、この内容として議員活動そのものに大きく影響するものであります。議会での各党会派の議論が重要になってくるわけですが、国民の声、今委員からもこの御指摘がありました。こういったことを受けて、国会議員として各党各会派、真剣にどうあるべきなのか議論をしっかり尽くしていただくこと、これは私の立場からも強く期待をしたいと思っております。
#311
○鈴木宗男君 総理もしっかり自民党に、与党にまた声掛けをしていく、それが改革の基になると、こう思うし、国民のためになると、あるいは理解を得られると、こう思いますので、よろしくお願いします。林外務大臣にお伺いをいたします。
私はこれ、日ロ両国は、様々な合意を積み重ねた上で今日に至っていると思っております。そして、様々な信頼関係を得るための、ビザなし交流を始め、あるいは日ロ地域交流等もやってきましたですね。
まず最初に、来年のビザなし交流、あるいは二年遅れている地域交流年、これは今どんな見通しなのか、あるいは来年に向けてどういう考えなのか、お知らせをいただきたいと思います。
#312
○国務大臣(林芳正君) この四島交流事業でございますが、この二年間にわたり実施できていないということが大変残念でございます。現時点では、ロシア側は新型コロナの状況、これを理由にして事業の再開に応じていないわけでございますが、我々としては北方の墓参や四島交流などの事業、これ重要であるということで、可能な限り早期に事業を実施できるように、日ロ政府間や双方の実施団体間で協議を継続していきたいと考えております。最近の首脳電話会談や外相電話会談でも岸田総理や私からこうした考えを伝えまして、早期の事業実施を働きかけているところでございます。
また、鈴木先生から日ロ地域交流年についてもお尋ねがございました。
二〇二〇年一月から二〇二一年十二月、まさに今月でございますが、これまでの期間となっていたわけでございますが、新型コロナの影響で多くの行事がオンライン形式で実施されるか、あるいは延期や中止、余儀なくされております。日ロ双方の関係者の声も踏まえまして、御指摘のとおり、この期間を二〇二二年末まで一年間延長することといたしました。オンラインを活用したイベントなど三百三十件以上交流行事が行われているところでございますが、来年も、新型コロナの状況を踏まえながらでございますが、日ロ双方で、可能な限り交流の機運を維持できるように、工夫を行いながら事業を進めてまいりたいと考えております。
#313
○鈴木宗男君 林大臣、是非とも、元島民の皆さん方も平均年齢八十六歳です。もう人生限られておりますね。墓参もできないことを非常に悲しんでおりますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。岸田総理、岸田政権においても、安倍総理が二〇一八年の十一月十四日、シンガポールでいわゆるシンガポール合意をいたしました。これが私は平和条約締結交渉のスタートラインだと、新しいですね、という認識でありますし、ロシア側もそういう受け止めで来ておりますが、この安倍政権のとき決めたこのシンガポール合意、これは平和条約交渉のスタートラインだ、継続しているんだという理解でよろしいでしょうか。
#314
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 二〇一八年のシンガポール合意を含め、これまでの両国間の諸合意に基づいて日ロ交渉を進めていく、これは安倍総理の時代の方針と全く変わっていないと認識をしております。#315
○鈴木宗男君 岸田総理、シンガポール合意を含めこれまでの諸合意となると、ロシアの受け止めは、あれ、日本はまた新しい提案をするのかという懸念を持つんですね。五六年宣言もありました、あるいはイルクーツク声明もありました。様々な合意を踏まえた上で、安倍総理はシンガポール合意に持っていったんですよ。だから、これまでの諸合意を踏まえ、シンガポール合意が成りました、それをしっかり継続していきますというのが正確ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#316
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 二〇一八年のシンガポール合意は大変重要な合意だと思います。しかし、二〇一八年のシンガポール合意後も、安倍総理自身、この二〇一八年のシンガポール合意を含め諸合意に基づいてという表現を使っていたと記憶しています。たしか、先日もそれを確認いたしました。その方針は全く変わっていないということを申し上げております。#317
○鈴木宗男君 総理、私の知る限り、今の安倍総理の言い方は一回だけ国会で言っているんですよ。その後は触れていないんですね。だから、ちょっと温度差があるんでないかと受け止めている嫌いがあるわけですよ。だから、私は今、正確を期すために言ったんでありますけれども。もう一度お尋ねしますけれども、要は、二〇一八年の十一月十四日のシンガポール合意を踏まえて日ロ交渉をしっかり、平和条約交渉はやっていくという御理解でよろしいですね。
#318
○内閣総理大臣(岸田文雄君) はい、安倍総理時代の方針と変わりはないということを確認させていただきます。#319
○鈴木宗男君 私は、岸田総理に是非とも歴史をつくっていただきたいと思っております。林外務大臣とのコンビで是非とも歴史の一ページを飾っていただきたい。そのためにも、乾坤一擲の対ロ交渉をしていただきたいと心からお願いをいたします。官房長官にお聞きします。
アイヌ政策についてですけれども、十一月二十四日、官房長官も総理も北海道アイヌ協会の方にお会いしたと思います。そのとき、エカシとかフチという表現があったと思います。これは、アイヌの高齢者が悲しい思いをしてきたから、この人らが生きているうちに一回でもいいから喜ばす政策、結果を残していただきたいという話があったと思うんですね。
そういった意味で、官房長官がこれはアイヌ政策の責任者でありますけれども、アイヌ政策に取り組む決意をお示しをいただきたいと思います。
#320
○国務大臣(松野博一君) お答えをいたします。十一月二十四日に北海道アイヌ協会理事長を始め役員の方々が来訪されまして、岸田総理と私に御挨拶をいただいたところであります。私からは、岸田政権は多様性が尊重される社会の実現を目指しており、アイヌ政策推進の方針はこれまでと全く変わりがなく、アイヌの歴史、文化等の普及啓発、生活向上対策、アイヌ政策推進交付金を活用した地域振興、産業振興などの様々な施策を引き続き総合的に推進していく旨申し上げたところであります。
今後とも、アイヌの方々の御意見を十分にお聞きをして、アイヌ政策を着実に進めてまいります。
#321
○鈴木宗男君 官房長官、是非ともよろしくお願いします。差別と偏見のあったことは事実なんです。私、北海道ですから。そして、政府も二〇〇八年まではアイヌ民族を先住民族と認めなかったんです。当時、私、一人会派でした。一人で三十六本質問主意書を出して、アイヌ民族は日本における先住民族かと詰めて、福田内閣のときでしたけれども、政府がやっと認めてくれたんです。それから、安倍内閣のとき、菅官房長官がアイヌ新法の制定をやってくれました。ウポポイも一年前倒しでやってくれました。それで今日に至っていますので、是非とも総理も官房長官もアイヌ民族に対する政策をしっかりやっていただきたいと思います。
古川法務大臣にお尋ねいたします。
ウィシュマさんが亡くなって大きな社会問題になりました。平成十九年以降で入管施設で十七名も外国人の方が亡くなっております。私はこれは異常でないかと思いますけれども、法務大臣、いかがお考えでしょうか。
#322
○国務大臣(古川禎久君) お答えいたします。入管収容施設は、大切な命をお預かりする施設であります。したがいまして、被収容者の健康の保持、あるいは死亡事案などがゆめゆめ生じないよう、処遇全般についてこれ適切に行うよう、それが出入国在留管理行政を預かる私どもの責任だというふうに考えております。
これまで何件か、この不幸にして死亡事案というのは発生しておりますけれども、しかし、それぞれの個別の内容、具体的な事情はそれぞれまちまちであります。
現在、今年三月、名古屋におきまして発生しましたウィシュマさん、ウィシュマ・サンダマリさん、本当にこれはあってはならない、実に悲しい出来事でございました。決して二度とこのようなことを起こしてはならないという決意の下に、その後の調査報告書をしっかりまとめておりますけれども、そこで示された改善事項、これを今鋭意着実に実行しておるところでございます。十二項目あるうちの五項目は既に実施済み、残りについても鋭意今実行しているところでございます。
いずれにしましても、この全ての職員とともに、改善策の着実かつ継続的な実行に、私が責任を持って、リーダーシップを取って取り組んでいきたいと思っております。
#323
○鈴木宗男君 古川大臣の決意を披瀝されましたので、信用していますので、しっかりやってください。あわせて、古川大臣、入管施設、今でも畳ですね。これは私は国際的なスタンダードになっていないと思いますよ。外国人を受け入れるんですから、やはりソファーを置くとか何か改善すべきだと思うんですよ。カルチャーショックに陥っていますね。そういう話も聞くんですよ。
だから、そういった施設の見直しについてはどうでしょう。
#324
○国務大臣(古川禎久君) 平成十九年以降に新設しました施設では、先生御指摘のように、ベッドとかテーブルというように、そういう生活様式に合わせてあります。ただ、それ以前は、畳の居室もあるものですから、ここは寝具としてマットレスを支給する、貸与するなどして、できるだけ外国人の風俗、習慣に沿うような形での生活様式をするようにしております。例えば食事にしてもそうです。やはり、その宗教、あるいは生活、習慣などによって、いろいろそれに合うように工夫を続けております。いずれにしましても、この生活様式、外国人の生活、外国人の風俗、習慣に配慮した生活様式を整えていくように、これも努力をいたします。
#325
○鈴木宗男君 古川大臣、法務省のホームページはまだ畳の図しか写っていませんから、私はそれホームページで見て今言ったんですよ。ただ、テーブルある施設もごく一部です。大方はまだ畳ですから、その点しっかりチェックして、これも予算に反映させてほしいなと思っていますね。
防災担当大臣にお尋ねいたします。
一番切迫性の高いのが、千島海溝、日本海溝沖の地震だと言われております。これに対する防災・減災対策はどうなっていますでしょうか。
#326
○国務大臣(二之湯智君) お答えいたします。内閣府におきましては、令和二年四月に、日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震が発生した場合の最大クラスの震度分布、あるいは津波高等の推計結果を発表いたしました。
その後、中央防災会議のワーキンググループを設置いたしまして、北海道、東北地方における積雪寒冷地特有の課題を踏まえた被害想定等についてこれまで九回検討を行ってまいりました。被害想定については、関係自治体とも連携しながら、年内には公表いたしたいと思っております。
今後、この公表結果を踏まえて、関係省庁とも連携しながら、防災教育や訓練の充実、あるいは避難路、避難施設の整備、建物等の耐震化等の防災対策をしっかりと推進して、被害の軽減に努めてまいりたいと思っております。
#327
○鈴木宗男君 しっかり、一番切迫性が高いのは、首都直下でもなければ南海トラフでもないんです。千島海溝が一番の切迫性が高い地震と言われていますので、お願いします。そこで、今、九回会議も開いた、年内に公表したいと、被害想定ですね。来週二十一日にはもう国会が終わりますから、二十一日国会終わると同時に公表されると解釈してよろしいですか。
#328
○国務大臣(二之湯智君) まだいつという日は確定をしておりませんけれども、できるだけ早くそのようにしたいと思います。#329
○鈴木宗男君 大臣、年内の公表といったら、大体仕事二十四日で終わっちゃうんですよ。そうなれば、閣議はいつあるかといったら大体計算できますね。そうすると、二十一日が一つのタイムリミットだと思いますけれども、どうです。#330
○国務大臣(二之湯智君) 鈴木先生のそういう意見を参考にいたしながら、そういう公表をいたしたいと思います。#331
○鈴木宗男君 年末ぎりぎりに心配掛けるよりは早め早めに、備えあれば憂いなしですから、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。岸田総理、最後にお尋ねします。
人種差別は人権問題でしょうか。あわせて、アメリカの黒人差別は人権問題でしょうか。お尋ねします。
#332
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 自由、民主主義とともに人権は普遍的な価値であり、そして人種差別に、失礼、人種による差別、これは許されるものではないと考えております。#333
○鈴木宗男君 時間がありませんから私は細かく言いませんけど、私は、黒人差別をしている、悲惨な事件、事故が起きていますね、そのアメリカが特定の国に対して強く出る、それは一つの考えではあろうかと思いますけれども、私からすれば、黒人差別をしている人が人権問題を声高に言っていいのかなという思いもあります。ここは私は、それぞれの国の歴史や文化、様々な積み重ねがありますから、しっかり踏まえて人権問題は議論すべきだと思っているんです。その上で、オリンピックが来年の二月開かれます。外交ボイコットということを言う人もいますけれども、私は、日本は大人の対応をすべきだ。オリンピックはスポーツの祭典であります。平和の祭典であります。平和を目指すためにあの大きなイベントがあるんですね。そういった意味では、日本も私は協力すべきは協力すべきだというのが私の考えでありますけれども、総理のお考えはどうでしょうか。
#334
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、自由、民主主義、人権あるいは法の支配、こうした普遍的な価値を我が国そして我が国の政府はしっかりと大事にしてきましたし、これからも尊重いたします。他の国に対してもこうした普遍的な価値を守るべく働きかけていかなければならない、こういった立場であると思います。その中で、北京オリンピックへの対応ということでありますが、これについては、この日本の外交的な立場等様々な点を勘案した上で、国益に基づいて自ら決定すべきことであると思います。適切な時期にこれを判断したいと考えます。
#335
○鈴木宗男君 どうぞ総理、賢明な御判断を、まさに国益と将来に向けた日本の姿勢を示す上での御判断をいただきたいと思います。終わります。
#336
○委員長(山本順三君) 以上で鈴木宗男君の質疑は終了いたしました。(拍手)─────────────
#337
○委員長(山本順三君) 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。#338
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。国交省の統計書換え問題についてお聞きをします。
建設工事受注動態統計調査の改ざん、これは、業者に無断で調査票を書き換えさせるとか、過去分の実績を提出された月の実績に足し上げる、誰が見ても統計をゆがめる異常なものだと思います。
先ほど大臣は国交省の指示で始まったと認めましたが、いつ、どなたが指示したのか、なぜこんなことを始めたのか、お答えください。
#339
○国務大臣(斉藤鉄夫君) まず、改めまして、国土交通省が所管する統計調査におきまして、かつて不適切な集計方法が取られていたということについて心からおわびを申し上げます。平成十二年に開始された本統計について、かつて都道府県に対し、複数月の調査票がまとめて提出された場合に提出月の調査票に数字をまとめる等の修正をお願いしていたことは事実でございますけれども、どの時点から誰の指示で行っていたかという点については確認をすることができておりません。
一方、平成二十五年に現在のように調査票の提出がなかった事業者について一定の受注があったものとして推計する方法を取るまでは、時期のずれは生ずるものの、二重計上が生ずるものではありませんでした。平成二十五年からはまた二重計上という問題が生じておりますけれども、それもどの、誰の指示で行っていたかという点についてはまだ確認が取れておりません。
いずれにせよ、これらの問題、総理の指示もございまして、統計の専門家だけでなく法律の専門家も加えた第三者委員会を私の下に立ち上げ、経緯や原因の検証を行い、一か月以内に取りまとめていただきたいと思っています。まずは、第三者委員会にしっかり検証をいただいた上で、その結果を踏まえ、統計委員会に報告し、再発防止及び政府統計の信頼性確保に向け取り組んでいきたいと思っております。
#340
○小池晃君 いや、第三者委員会という問題じゃないと思うんですよ。だって、これ都道府県に書換えを指示したんですから、これ、それを指示した公文書があるはずでしょう。担当者に聞けばすぐ分かるじゃないですか、当時の。何でやらないんですか。#341
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今、それも含めて、どういう経緯で、またどういう理由でそういう指示を行ったのか、この点についてもしっかりと検証をしていきたいと思っております。#342
○小池晃君 これ始まった頃というのは太田昭宏さんが大臣じゃないですか。その後ずっと公明党の大臣やっているわけだから、問い合わせればいいじゃないですか。すぐに分かるでしょう。これ、絶対にこの書換えを指示した文書ってあるはずですよ。なければ全国でこんなことやるわけないんですよ。これ出してください。
#343
○国務大臣(斉藤鉄夫君) その平成二十五年前後の、そのなぜそういう指示を出したのか、指示を出したことは確かでございます。その経緯、理由、これは第三者委員会等できっちり精査をし、御報告を申し上げたいと思っております。#344
○小池晃君 文書のこと全く答えてないです。#345
○国務大臣(斉藤鉄夫君) そのどういう文書があったのか、またどういう経緯でそういう指示がなされたのか、これは大変ゆゆしき問題だと我々も認識しておりますが、そこはしっかりと、検証に堪えられるようなしっかりとした組織で検査をし、皆様にお示しを示させていただきたいと思っております。#346
○小池晃君 全体像を明らかにしてくれと言っているわけじゃないんです。第三者委員会で全面的に検討するんじゃなくて、まず、それ始まったときの文書は誰の名前で出したんですかと、その文書を出してくださいと言っているんです。誰の名前で出したのか、文書を出す、すぐできるじゃないですか。#347
○国務大臣(斉藤鉄夫君) その文書の存在も含めて、その検証委員会で、第三者委員会で調査をしたいと思っております。(発言する者あり)#348
○委員長(山本順三君) 斉藤国交大臣。#349
○国務大臣(斉藤鉄夫君) それらの文書があるかどうかも含めて、検証委員会できちっと報告をさせていただきます。#350
○小池晃君 文書ありますってさっき言ったんですよ。だから、当然あるでしょう、だって。なきゃおかしいでしょう。文書なしで都道府県に一斉にこんな指示できるわけないじゃないですか。当然あるでしょう。だから、それ出してくださいと言っているんですよ。
#351
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 私自身、その文書を知りません。報道で、いわゆる文書ではない、その図というのは見ましたけれども、その真偽も含めて検証委員会で、文書の存在も含めてきちっと報告をさせていただきたいと思います。#352
○小池晃君 知らないって無責任過ぎませんか。これだけ大問題になっているんですよ。真っ先に調べるべきでしょう、こういうことを始めたときの。文書なしにやっていたら、それこそ大問題だ。あるに決まっているんですよ。それを出してくださいと言っているんですよ。約束してください。
#353
○国務大臣(斉藤鉄夫君) その文書をしっかり捜してみますけれども、私自身その文書を見ておりません。もしありましたら提出をさせていただきます。#354
○小池晃君 もう極めて無責任だと思いますよ、この対応は。真相を解明する気がないのかと。反省とかと言うけど、全然反省していない。それから、毎月勤労統計の改ざんを受けて二〇一九年一月に一斉点検した。そのときに何でこれは明らかにならなかったんですか。
#355
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 平成三十年でいわゆる勤労統計が問題になったときに、統計委員会の指示を受けて国交省が所管する九つの基本的な統計について検査をいたしました。そのとき、三つ改めたところがあるわけでございますけれども、この受注動態調査につきましては、そのときにこの件はピックアップできなかったと、指摘されなかったと、上がってこなかったということでございます。#356
○小池晃君 なぜかと聞いたんですけど。#357
○国務大臣(斉藤鉄夫君) そのことも今調べておりますが、これも第三者委員会でしっかりと検証していきたいと思っております。#358
○小池晃君 駄目ですよ。これ第三者委員会というレベルの問題じゃないですよ。その以前の段階で国交省として責任持って調べる、大臣が先頭に立って調べる問題じゃないですか。いまだにそれが分からない、こんな無責任なことで許されると思いますか。
#359
○国務大臣(斉藤鉄夫君) もちろん国交省としてしっかり我々も調べておりますけれども、しかし、第三者性を持って説得力のある調査結果を出していきたいと、この意味で、総理から統計の専門家だけでなく法律の専門家も含めた第三者委員会で徹底的に検証して、するようにと、こういう指示があったところでございます。#360
○小池晃君 総理ね、国交省から全て資料を出させると、そういう指示出してください。#361
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど大臣の方からも、資料を調べて、あったならば提出するという発言があったと記憶しております。国交省においてもしっかり実態把握に努めることは大事だと思いますが、ただ、より国民の皆さんに納得してもらうために、第三者委員会での調査を私の方から指示をしたということであります。
#362
○小池晃君 今みたいな資料すら出せないんだったら国民が信頼できるわけないんですよ。まずやるべきことはそこじゃないですか。持っている資料を出す、どういう経過か明らかにする、その上で第三者委員会で、どういう問題点があったのか、どういう責任があったのかを解明していくというのが筋じゃないですか。全くやっていない。それから、これだけ明らかな書換えを一斉点検で見落としている。総理ね、やっぱりこれ全ての統計をもう一度見直すべきじゃないですか。
#363
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今回の、まずは今問題になっているこの国交省の統計について自ら調査をし、そして第三者委員会でも調査をし、原因、経緯をしっかり明らかにし、そして、その上で必要であればほかの統計についてもしっかり調査を行っていくと、これが順番だと思います。まずは今回の統計についてしっかり経緯や原因を明らかにし、再発防止のために何をしなければいけないのか、これを明らかにすることが第一歩であると思っています。
#364
○小池晃君 一斉点検で見落としているんですから、この一斉点検が信用できないんですよ。だから全面的にやるべきだと。当然じゃないですか。それにも背を向ける。大体、こういう統計や文書の改ざんというのは安倍政権のときからある。桜を見る会の名簿はシュレッダー、自衛隊のイラク派遣日誌は隠蔽、裁量労働制のデータ改ざん、森友、加計問題での公文書改ざん、虚偽答弁。
総理ね、公文書というのは、統計というのは、これは民主主義の基礎です。国民のための公共財です。政権の都合に合わせて改ざん、隠蔽することなど許されないという認識はありますか。そして、こうした安倍政権時代からの異常な体質に徹底的にメスを入れてうみを出し切るべきではないでしょうか。
#365
○内閣総理大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、公文書あるいは統計というものは、現在、未来の国民に対する政府の説明責任を果たすために重要なものであり、民主主義の根幹であると思います。こうした大切な統計あるいは文書に関する様々なこの不祥事についてしっかり反省し、二度とこうしたことが起こらないためにはどうしたらいいのか、これを真剣に考えていく。私の政府においてもしっかりそれを行っていきたいと考えます。
#366
○小池晃君 しっかり反省し、二度と起こらないと、起こさないということの関係で、森友問題について聞きます。赤木俊夫さんの妻、雅子さんが国を訴えた裁判。財務大臣、なぜこれまでの主張を突然翻して裁判を終わらせたんでしょうか。
#367
○国務大臣(鈴木俊一君) まず、この度、国の責任を認めるに当たりまして、改めまして財務省を代表して、高い志と倫理観を持ち、真面目に職務に精励していた赤木俊夫さんに改めて哀悼の誠をささげますとともに、御遺族に対しては、公務に起因して自死という結果に至ったことにつき、心よりおわびを申し上げ、謹んでお悔やみを申し上げます。今回認諾をいたしました訴訟は、赤木氏が公務による心理的、肉体的負荷を原因として亡くなったことに関する損害賠償請求訴訟です。財務省としては、本年十月の口頭弁論期日において原告側の主張の全体像が示され、その内容も踏まえて方針を検討した結果、国の責任は明らかとの結論に至りました。
したがって、いたずらに訴訟を長引かせることも適切ではなく、国の責任を認め、少しでも早く賠償を行うことが適切と考え、認諾、つまり国の損害賠償義務を認める判断に至ったものであります。
真相究明につきましては、国としては訴訟の中で、これまでも裁判所の訴訟指揮に従いつつ、いわゆる赤木ファイルなど訴訟審理に必要な資料を裁判所に提出し、今般の認諾に際しましても、新たな資料の提出を含め、原告の求めに可能な限り対応するなど、できる限り丁寧な対応に努めてまいりました。このように国としては誠意を持って本件訴訟に対応してきたと認識しております。
また、情報公開に係る別途の訴訟に関しましては引き続き係属中でございますので、真相究明についても、裁判所の訴訟指揮に従い、今後とも真摯にその中で対応してまいりたいと思っております。
#368
○小池晃君 法務省に聞きます。今まで国を被告とする民事訴訟で認諾したのは何件で、どのような事案でしょうか。
#369
○政府参考人(武笠圭志君) お答え申し上げます。お尋ねの件につきましては、過去に請求の認諾をしました事案を網羅的に把握していないため、全てをお答えすることは困難でございますが、その上で、調査の結果判明した限りでありますが、今回の近畿財務局職員の御遺族が提起された国家賠償請求訴訟を除き、国を被告とする訴訟において国が請求の全部又は一部を認諾した事案としては、少なくとも四件存在することを確認しております。(発言する者あり)申し訳ございません。その概要でございますけれども、一つは、検察官が起訴後に接見に関する指定をしたことにつきまして損害賠償を求めた事案、それから海難事故の被災者の遺族等が遺骨の返還等を求めた事案、それから無罪判決を受けた元厚生労働省局長が損害賠償を求めた事案、そして、特定非営利活動法人が行政機関の保管する情報の公開に関する法律に基づいて開示請求をしました行政文書を開示しない決定につきまして損害賠償等を求めた事案でございます。
#370
○小池晃君 最後の四件目は日米合同委員会の議事録の情報公開ですね。いずれも事案の詳細が明らかになるのを避けるためのものばかりなんですよ。訴状では、この裁判の第一の目的は、なぜ赤木俊夫氏が自殺に追い込まれなければならなかったのか、その原因と経緯を明らかにする点にあるというふうに書かれているわけですね。
財務大臣、原告が求めた原因と経緯が明らかになったと思いますか。
#371
○国務大臣(鈴木俊一君) 御遺族が損害賠償請求に併せて訴訟を通じて赤木氏の関与を含めた文書改ざんの真相究明などを目的としていることは、訴状などを通じて承知をいたしております。赤木氏の自死の経緯につきましては、訴訟において、国としても、これまでも裁判所の訴訟指揮に従いつつ、公務災害認定に関連する資料などを裁判所に提出し、今般の認諾に際しましても、自死の経緯について、国側としての認識をできる限り詳細にお示しした準備書面を提出するなど、できる限り丁寧な対応に努めてまいりました。
また、今般の認諾によって、赤木氏が当時様々な業務に忙殺され、本省からの決裁、決裁文書改ざん指示への対応を含め厳しい業務状況に置かれていたことを自死の原因として、国としてその責任をしっかり認めたところでございます。
このように、国としては誠意を持って本件訴訟に対応してきたところでありますが、現在、御遺族が国に対して提起された別途の訴訟が係属中であるところでありまして、引き続き、裁判所の訴訟指揮に従い、真摯に対応してまいりたいと考えてございます。
#372
○小池晃君 今の説明だったら、業務が忙しかったから自死したということじゃないですか。じゃないでしょう。改ざんを強要されたから自死されたんでしょう。明確に言ってくださいよ、そこ。そこの責任認めているんでしょう。それ明確に言ってください。#373
○国務大臣(鈴木俊一君) 本件訴訟は、赤木氏が公務による心理的、肉体的負荷を原因として亡くなったことに関する損害賠償請求についての訴訟であり、国としてその損害賠償請求に応じる、応じるべき責任が存在することを全面的に認めたということであります。その上で、決裁文書の改ざん等の一連の問題行為については、佐川元理財局長が方向性を決定付け、近畿財務局の職員の抵抗にもかかわらず本省理財局の指示により行われたものであること、赤木氏の自死については、赤木氏が当時様々な業務に忙殺され、御自身も強く反発された本省からの決裁文書改ざん指示への対応を含め厳しい業務状況に置かれる中、病気休職、さらには自死に至られたものであることといった事実関係の大筋につきまして、国としては争うべき点はなくて、財務省としてもその責任を痛感をしているところであります。
#374
○小池晃君 総理は今回の認諾という方針、いつ知ったんですか。#375
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 十四日夕刻に損害賠償請求を全面的に認める旨報告を受けました。#376
○小池晃君 私は昨日、赤木雅子さんと電話でお話をしました。総理は真摯に向き合うと言うけど、ならば、なぜ裁判の場で真摯に向き合ってくれなかったのか、証人尋問ということも今後求めたいと思っていた、裁判の打切りというのは真摯に向き合うやり方かと怒っておられましたよ。総理、この声にどう応えますか。
#377
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、私からも、赤木さんが亡くなられたこと、そして、御遺族の思いを思うときに痛恨の極みであり、改めてお悔やみを申し上げる次第でございます。その上で、今回財務省から、損害賠償の責任を全面的に認める、こうした報告を受けたわけですが、この件については、私は総理大臣就任から、就任したときから、森友問題について、裁判所の裁判指揮に基づいてできるだけ丁寧に対応するということを指示してきました。
よって、今回報告を受けた際にまず確認したことは、この財務省の裁判所に対する態度でありました。今回の裁判において、まずは公務災害認定に関する資料、さらには、いわゆる赤木ファイル、これについては提出をし、真摯に対応してきたということ、さらに、今回責任を認めるに当たって、赤木さんが亡くなった経緯について、できるだけ、できる限り詳細に記載した書面、さらには御遺族が説明を求めた項目について新たな資料の提出も行った、こうした財務省の対応について確認をいたしました。こうした対応を行ったという報告を受けた次第です。
そして、その上で、私の方から二点財務省に指示を出させていただきました。一点は、先ほど財務大臣からもありましたように、御遺族とは、本件とは別に、別途訴訟が継続しています。この継続している訴訟についても引き続きしっかり丁寧に対応するということ、そして、森友学園問題については今後も様々な場において真摯に説明をし尽くしていくこと、この二点を確認した上で、今回の件について承知をしたということであります。
#378
○小池晃君 今日十六時に赤木雅子さんは財務大臣に抗議文を届けると報道されています。赤木さんは、国に対して、俊夫さん亡くなったことを認諾したことについて謝罪すべきだと、認諾するようになった経緯や理由を説明すべきだとおっしゃっているんです。総理、説明を求められた場合は真摯に説明を尽くしていくと、衆議院でも昨日も述べられた。雅子さんに会って謝罪と説明すべきじゃありませんか。
#379
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げたように、別途訴訟が進んでいます。被告と原告の関係にあるということから、直接お会いすることについては私自身慎重でなければならないと考えております。#380
○小池晃君 じゃ、真摯に説明を尽くす、どうするんですか。御本人は全く納得していない、私も、多くの国民も納得していない。これに対してどう対応されるんですか。今の説明で納得しませんよ、雅子さんは。#381
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申しましたように、あらゆる場を通じて説明責任を果たしていくよう指示を出した。私自身も、こうした国会の場等を通じて、様々な場を通じて説明責任を、様々な要求に応じて応えていかなければならないと思っております。#382
○小池晃君 口では説明責任を果たすと言うけど、具体的には何もしないじゃないですか。証人申請することに多分なったであろう人たち、こういう方々を国会に招致する、これ必要じゃないですか、総理。国会が決めることじゃ駄目ですよ。真摯に対応するんだったら、そういう役割を総理として果たしてください。#383
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 私の立場からあらゆる機会を捉えて説明努力を続ける、これは今申し上げたとおりであります。ただ、国会の招致ということについては、これは国会が御判断することであります。私の立場から何か申し上げることは控えます。#384
○小池晃君 とにかくね、真摯にやると言いながら、結局具体的なことは全部否定するんです。これ、安倍、菅政権と同じじゃないですか。近畿財務局長美並義人氏、理財局総務課長中村稔氏、国有財産審理室長田村嘉啓氏、統括国有財産管理官池田靖氏、そして、当時ですけど、当時の理財局長佐川宣寿氏、以上五人の参考人招致を求めます。#385
○委員長(山本順三君) 後刻理事会で協議をいたします。#386
○小池晃君 オミクロン株について聞きます。これまで入国された方の中で、オミクロン株陽性が判明した方は何人でしょうか。そのうち、入国時には陰性で三日目以降に陽性が判明されたのは何人でしょうか。
#387
○国務大臣(後藤茂之君) 十二月六日から十二月十二日までの間に入国された方で、検疫での検査で新型コロナウイルス陽性と判明した人数は八十九人。このうち、到着時で検査で判明した人数は六十人、三日目以降の検査において判明した人数は二十九人となっております。#388
○小池晃君 陽性者、オミクロンを含む陽性者の三割は入国時陰性なんですね。これは空港検疫を擦り抜けている可能性があるわけです。厚労省、こうした実態についてどう認識していますか。問題点感じていらっしゃいませんか。#389
○国務大臣(後藤茂之君) 新型コロナウイルスには十四日間の潜伏期間があることから、空港到着時の検査で陰性であっても、その後陽性が判明するケースは一般的にはあり得るというふうに思います。したがって、全ての入国者の皆様に、仮に入国時の検査が陰性であっても十四日間の自宅での待機をお願いしまして、その間は公共交通機関を使わないよう要請しているところであります。また、オミクロン株の陽性が確認された場合には、同乗者全員を濃厚接触者として取り扱い、保健所と連携して定期検査や施設待機等の措置を講じるということにいたしております。
#390
○小池晃君 それは分かるんですけど、三割が擦り抜けているという実態、ゆゆしき事態ではないですか。その認識です。#391
○国務大臣(後藤茂之君) 今申し上げたとおりだと思っておりますが、十四日間の待機、これは十四日間の潜伏期間があることからでございまして、今我々の運用としては、こうした運用でリスク管理の点から見ても対応しているところでございます。#392
○小池晃君 いや、その十四日間って言いながら、一日目、二日目に人と会っちゃって、それで市中感染の可能性出てきているわけでしょう。総理、やっぱり今の三割が擦り抜けているという、これ、現状何とかしないといけないんじゃないですか。総理の認識を聞きます。
#393
○内閣総理大臣(岸田文雄君) オミクロン株については、未知のリスクを持つものであるということから、慎重の上にも慎重を期さなければならないということで、G7の中でも最も厳しい水際対策を我が国として用意をさせていただいています。御指摘の点、今後、このリスクの度合いが明らかになり、また、この感染の状況を確認した上で、専門家の意見も聞きながら、適切に機動的に対応していくことは重要であると考えます。
#394
○小池晃君 ちょっと何か余り危機感がないように思うんですね。ウイルス量少ない場合、抗原定量検査では、これは陰性になる場合はあり得ると、これもう常識です、これは。やっぱり三割が入国時に陰性だというのは、これはやはり憂慮すべき事態で、私は、より感度の高いPCRに切り替える、これはもうせめてこのくらいは、もうこれは世界の先進国はみんなそうですよ。こうすべきじゃないですか、総理。
#395
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 空港での検査については、大量の検査を迅速に行わなければいけないという要請に基づいて、検査を進める際にどの検査方式が最も適切なのかという観点から、現状、この抗原定量検査、これを行っているところであります。もちろん、この抗原定量検査、判定難しい場合にはPCR検査で追加的に確実を期しているということであります。現状に、現実的に対応するためにこうした方式を取っていると承知をしております。
#396
○小池晃君 私は、水際対策は限界あると思います。しかし、やっぱり少しでも擦り抜けを防いで国内での市中感染を遅らせるというのが政府の責任だと、ならば少しでも感度の高い検査に変えていくと、当然やるべきじゃないですか。#397
○内閣総理大臣(岸田文雄君) もちろん、PCR検査自体、どんどんとその技術が進歩しています。大量に迅速に検査をするという要請に一致する、こうした技術の開発ができたならばPCR検査導入するということも検討すべきだとは思いますが、現状において最も大量に迅速に検査をする要請に応えられるのは今行っている方法であると認識をしております。#398
○小池晃君 空港にPCRの解析機を置けばすぐできる話なんですよ、これは。やっぱり、やるべきことをやっていない。このままだと本当に、岸田政権の水際対策が不十分で感染が早まったというふうに言われることになりますよ。これは見直すべきだということを申し上げたい。その上で、やっぱり医療体制の確立が待ったなしだと思います。厚労省に聞きますが、感染患者受入れの確保病床を公表されましたが、総数は幾らか、そのうち国立、公立、公的病院などの割合を示してください。
#399
○国務大臣(後藤茂之君) 先般取りまとめました全体像におきまして、この夏に比べて約六千床増の約四万六千床の病床を確保いたしました。そのうち公的病院については、国立病院機構、NHOが約三千、地域医療機能推進機構、JCHOが約一千、そして、合計一万五千床であり、全体の三分の一ぐらいでございます。#400
○小池晃君 これだけの役割を果たしている公立・公的病院、四百三十もの病院を名指しで統廃合、地域医療構想の名で二十万床の急性期病床の削減。総理、パンデミック対策の逆行じゃないですか。#401
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まずコロナ対応について、最悪の事態に備えて病床をしっかり用意しなければいけない、これはもう間違いないところであり、この夏の経験を踏まえて、今現在三万七千人が入院できる体制、これを確保したところであります。そして一方、御指摘のこの地域医療構想でありますが、当然のことながら、これは病床、病床の削減あるいは統廃合ありきではありません。より効率的な地域の医療を実現するために、地方自治体と連携しながらこうした体制を考えていくべき課題であると認識をしております。
#402
○小池晃君 統廃合ありきでないというなら、四百三十の病院名指しにする、あるいは二十万床急性期病床を削減する、こういう数値目標を撤回すべきじゃないですか。#403
○国務大臣(後藤茂之君) 地域医療構想の下で四百三十の病院の視点が今申されましたけれども、これはそれぞれの地域医療構想の中で人口構造の変化や地域の医療ニーズに合わせて決めていただくことです。一定の基準で改めて検討をしていただく病院を数値的にお示しはしておりますが、そのことによりましてその地域、数値目標に従って統廃合をするということではございませんし、五十三万床の急性期の病院も、これもその数値、その数量を統廃合しろということではなくて、それぞれの地域において機能の分担をしていただくということで考えております。#404
○小池晃君 いや、それぞれの地域で考えるんだったら、数値目標要らないじゃないですか。それぞれの地方で決めて、それでやっていけばいいじゃないですか。何で数値目標が要るのかと聞いている。総理、今のじゃ駄目だから。
#405
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど来委員の方から数字を挙げておられますが、先ほども答弁させていただいたように、最初から数ありき、削減ありきではないと承知をしております。地域のニーズに合わせて、そして医療の高い質を維持し、なおかつ効率的な体制をつくる、これがこの地方、地域医療構想の基本的な考え方であると認識をしております。#406
○小池晃君 撤回しなければ、結局統廃合ありきになっちゃうんですよ、数があったら。実態、数も全然根拠がない。(資料提示)二〇一五年の地域医療構想を策定した時点での急性期病床は、これ高度急性期も含めて七十六・五万床だった。それを、今話あったように五十三万床まで二十万床削減するという、そういう計画でしたが、その後の実態を見ると、七十三万床、七十一万床、七十万床、病床削減進んでいませんよね。理由を。
#407
○国務大臣(後藤茂之君) これまで地域の医療関係者の皆様方には御尽力をいただいているわけでありますけれども、足下は新型コロナ対応等もありまして、関係者による協議が進んでいないという、二年間は進んでいないという点もあります。医療機能の再編に当たりましては、患者、住民の理解が得られるように丁寧に検討を進めることと、病床機能の転換をする場合にも、しっかりと転換後の機能に適応した医療従事者、そうしたものをセットで考えるということで、地域の様々な対応を我々としては求めておりますし、データの提供、地域医療介護総合確保基金による財政支援等もそのために行っているところであります。
#408
○小池晃君 これ足下じゃないんです。この間の一貫した傾向なんです。五十三万床に急性期病院するのは無理ですよね、現実に不可能ですよね。お答えください。#409
○国務大臣(後藤茂之君) そこは、人口が徐々に減ってくること、また人口構成が変わっていくこと、そういったことを含めて、できる限り丁寧に地域と議論をしていただくということでございます。もちろん、それも二〇二五年の、あっ、済みません、聞かれていないのに答えてしまいました。二〇二五年を目標年としてやっている計画作業でございます。
#410
○小池晃君 二〇二五年までに人口構造がそんな急激に変化するんですか。これ、どう考えたってこのトレンドだったら難しいでしょう。総理、厚労省は決めたところだから言えないのかもしれない。総理、政治家として、やっぱりこれは現実的にはなかなか難しい数字になってきていると。
#411
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げたように、数ありきではない、削減ありきではない、これが基本だと思っています。人口が減少していく地域において、地域のニーズに合わせて、なおかつ高い医療を維持し、そして効率的な医療を実現する、これが地域医療構想の基本であると考えております。
#412
○小池晃君 急性期病床がなぜ減らないのか、ニーズがあるからなんですよ。やっぱり地域に必要なんですよ。だから、こんな計画作ったってそういうふうに進んでいないんです。しかも、コロナパンデミックは、医療体制の強化を、重要性を浮き彫りにした。日本医師会の横倉前会長は、コロナ感染拡大を受けて、何とかそれを持ちこたえることができたのは、そのスピードの遅さが良かったと理解している、我が国の医療提供体制は、ある意味で無駄に見えていたものが今回の感染では非常に役に立ったとおっしゃっている。私、そのとおりだと思うんです。
今の地域医療構想には、感染症対策、しかも全く仕組まれていない。これからもパンデミック繰り返しやってくると考えるべきだ。そのためには医療提供体制には十分な余裕を確保することが必要だと思うんですよ。
総理ね、国民の命を守ることが最優先であれば、今の病床削減計画は、これは見直すと明言していただきたい。
#413
○内閣総理大臣(岸田文雄君) こうしたコロナ禍の様々な状況も踏まえて地域のニーズというのは確認しなければならない。その際に、この自治体との連携は重要であります。自治体としっかり意思疎通を図りながら、現実どうあるべきなのか、これからこの地域医療構想についてもしっかり考えていかなければならない、このように思います。#414
○小池晃君 しっかり考えていかなければいけないと。だったら見直さなきゃいけないと思いますよ。そういう議論をやっていきましょう。医療提供体制に余裕がないと感染症有事には備えられないというのは、もう医療界の一致した意見ですから、是非そういう方向で進むことを求めます。病床削減計画は撤回をしていただきたい。
それから、総理は、介護、保育などで働く人々の賃金を当面月九千円、コロナ医療に携わる看護師の賃金、月四千円引き上げると。しかし、コロナ対応しているのは看護師さんだけではない。ほかの職員にも配分、これしていい仕組みということになっていますから、一人当たりの賃上げ額というのは、これは限りなく下がっていくことになってしまうと思います。
これ、ほかの分野でも同じで、野田大臣にお聞きしますが、私、都内で働く保育士の話聞いたんですけど、九十三人の園児を受け入れて、国の配置基準では保育士十人、実際にはそれ以上必要なので、パートも含めて二十五人働いていると。しかし、国のお金は配置基準分しか出ないから、手元に届くのは一人九千円ではなくて三千円程度だと。こういうことが起こり得る仕組みなんですよね。
#415
○国務大臣(野田聖子君) お答えします。令和三年度補正予算案において、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、今お話あったように、保育士や幼稚園教諭等について、収入を三%程度、月額九千円引き上げるための措置を来年の二月から九月までの間実施することを盛り込んでいます。
補助額については、これまでの処遇改善等加算と同様に、公定価格上の配置基準に基づいて算定することになりますが、他の職員にも一定の処遇改善を行うことができるよう、施設が独自に配置している職員も含めて柔軟に配分することを可能とする予定、つまり可能にしているわけですね。
このために、今おっしゃったように、各職員個人の改善額にばらつきが生じる、生じ得るところですけれども、こうした点を含め、混乱なく実施できるよう、地方自治体、事業者に対して丁寧に説明をしていきたいと思っています。
#416
○小池晃君 今私が言ったようなことが起こり得るということですね。#417
○国務大臣(野田聖子君) そう申し上げました。#418
○小池晃君 この保育士さんの月収は二十七万円。もう全く余裕がなくて、九千円では話にならないと本人はおっしゃっていますよ。九千円にもならないわけで、大幅賃上げということを言っておられます。元々日本は、医療、介護、保育などケア労働の労働者は、労働条件極めて劣悪だと。全労連、日本医労連などが医療・介護・福祉労働者五万四千八百六十六人にアンケートやっています。その結果、生活実感からの賃金不足額、平均で月四万二百八十五円。
総理、一桁違うんですよ。やっぱりこの今の実態の切実な声に応えるべきじゃないですか、総理。
#419
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の賃上げについて、いわゆる公的価格と言われている部分について、国が責任を持ってこの今回の補正予算等を通じて引上げを行い、そして、その後、安定的にこの引上げを維持するために、年末、予算編成の中で財源をしっかり確保していきたいと思います。そして、足りないという話がありましたが、その後、こうした現場の方々の賃金引上げについては、公的価格評価検討委員会において議論を行い、年末までに中間整理を行い、それを踏まえて更なる引上げについても考えていきたいと思っております。
#420
○小池晃君 看護師さんたちの強い願いというのは、人員を増やしてほしい、そして賃金を抜本的に引き上げてほしいと。日本の病床当たりの看護職員配置数は、OECD加盟三十五か国で三十位です。現在の看護師配置基準は最高で七対一、患者七人に看護師一人。しかし、これは平均ですから、常に七対一ではありません。しかも、これだけでは対応できませんから、重症者の多い病棟の三割以上が五対一、六対一ということで実際は配置しています。
集中治療室の配置基準は患者二人に看護師一人。でも、実際は一・五対一以上になっています。しかも、コロナの患者には、人工呼吸器を装着していれば患者一人に看護師一人、ECMOを装着していたら患者一人に看護師二人というのが実態です。
日本看護協会は、診療報酬改定して、高度な急性期医療を提供する病棟では五対一看護、これを加算を設けて、集中治療室では一・五対一看護を新設すべきだと提案しています。これが現場の切実な声。
ところが、財務省は、診療報酬をちゅうちょなく下げようと。コロナ診療で頑張ってきた人たちにこんなひどい仕打ちはないと私は思う。財務省は、自然増五千四百億円あるから、これで医療従事者の二・五%の賃上げができるんだと言っている。
厚労大臣、自然増というのは全て人件費に回せますか。
#421
○国務大臣(後藤茂之君) 高齢化や医療の高度化による、いわゆる自然増により医療費は増えていくということになります。他方、これに伴いまして設備投資や増員等の費用も同時に必要になると考えられます。このうち、どの程度の賃上げなのか、どの程度の設備投資なのか、そういうことは医療機関により異なると思いますが、自然増で賃上げを全部賄えるのかという御質問に対しては、それは無理だろうと思います。
#422
○小池晃君 なかなかいいこと言うじゃないですか。そのとおりなんですよ。これ、財務省の言っていることはフィクションの上にフィクションを固めることですよ、これは。あり得ない。医療というのはコロナ受入れの病棟だけで支えられているわけではありません。全ての医療機関がそれぞれの地域においてそれぞれの役割を分担する中で、全体として新型コロナ対応しているわけです。コロナ医療と通常医療の両立が可能な医療体制をつくる、そのためにきちんと診療報酬を充てていく、これが国民の命を守るためにはどうしても必要だと私は思います。もちろん、患者負担を下げるということも併せて私たちは要求します。
自民党の国民医療を守る議員の会、十二月七日に総理に、診療報酬の大幅なプラス改定を求める提言を出されました。この議員の会長は加藤勝信さん、ついこの間までそこに座っていた人です。総理、加藤勝信さんと小池晃とが同じことを言っているんだから、これやるべきじゃないですか。当然これは今のコロナ対応で必要な手だてだと。是非、診療報酬、必要な手当てをするということを明言いただきたい。
#423
○内閣総理大臣(岸田文雄君) お答えいたします。診療報酬について御質問いただきました。
診療報酬につきましては、物価、賃金の動向、医療機関の経営状況、あるいは国民負担等、様々な観点から議論しなければなりません。実際様々な御意見をいただいております。しっかりと予算編成過程の中で検討をしていきたいと考えております。
#424
○小池晃君 党派を超えた声に応えていただけませんか。党派を超えた声に応えると。#425
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 様々な声をいただいております。先ほど言った諸案を、諸点をしっかりと勘案しながら予算編成過程の中で検討いたします。#426
○小池晃君 コロナ禍で貧困と格差が広がっている中で、政府にできる賃上げが最低賃金の引上げです。これ、経済財政諮問会議に出された資料ですが、主要国の最低賃金水準は欧米などで最近引き上げられていて、コロナ禍でも引き続き引き上げられていて、日本の水準は国際的に低いと言われています。骨太の方針二〇二一では、感染症下でも最低賃金を引き上げてきた諸外国の取組も参考にして、感染拡大前に我が国で引き上げてきた実績を踏まえて、早期に全国加重平均千円と言っていたんですが、総理の答弁はこの間、この前段の感染症下でも最低賃金を引き上げてきた諸外国の取組を参考にしてと言わなくなっちゃったんですが、何でですか。
#427
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 済みません、答弁上、ポイントを、ポイントに絞って発言をいたしましたが、御指摘のように、骨太の方針二〇二一には、感染症下でも最低賃金を引き上げてきた諸外国の取組も参考にして、感染症拡大前に我が国で引き上げてきた実績を踏まえて、地域間格差にも配慮しながら、より早期に全国加重平均千円とすることを目指す、こう書いてあります。私もこういった趣旨で発言した次第であります。
#428
○小池晃君 だったら正確に言ってほしいんですよね。これ、諸外国の取組参考にしてってすごい大事なんですよ。感染拡大前の我が国の実績だと大体年率三%です。実際に、今年の時給二十八円というのはその範囲なんです。昨年は一円しか上げていないんです。三%のペースだと、全国平均が千円超えるのは三年後です。今年最低の八百二十円が千円超えるのは七年後の二〇二八年なんですね。
一方で、感染症下で引き上げてきた諸外国の取組、例えばイギリスは今年六・六%引上げ、ドイツは八・八五%引上げ。これ参考にして、例えば日本が七・五%引き上げたら、来年、全国平均は千円になります。
私は、諸外国を参考にして、第一歩として、全国どこでも時給はせめて千円に。総理、これ直ちに実現すべきじゃないですか。
#429
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 諸外国を参考にしながらも、各国とも経済状況は様々であります。我が国の来年度の具体的な賃上げについては、我が国の経済状況も踏まえながら、最低賃金法に定める手続にのっとって、厚生労働省の審議会で議論し、決定することになっています。こうした手続を経て我が国のこの賃金を確定したいと思っております。#430
○小池晃君 成長と配分の好循環、配分が大事だと言っていませんでしたか。これ、まさに配分の大事な面じゃないですか。これ、経済状況と言うけど、やっぱり、まずはやっぱり国民の暮らしですよ。そこを支えて、消費活発になってこそ経済は豊かになっていくと。私は、時給千円にとどまらない千五百円という目標を明確にしていくべきだし、そのために中小企業、これをしっかり支援すべきだと思いますが、それは後で議論したい。先ほど総理は地域間格差に配慮すると言いましたが、地域間格差広がっていますよ。十年で二倍以上。東京の時給千四十一円に対して、高知、沖縄は時給八百二十円、その差は二百二十一円です。時給二百円違えば、これフルタイムで働いたとして、年収で四十万円も違ってくる。
総理ね、地域間格差に配慮しているとおっしゃったけど、違うんじゃないですか。
#431
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 最低賃金法では、各地域における労働者の生計費、賃金、企業の賃金支払能力を考慮して決定するとされています。御指摘のような地域間格差はあるわけですが、一方で、標準生計費を考えた場合、東京都は十二万六千円、沖縄県は九万七千円であります。こうしたこの違いもあるということも勘案しながら、それぞれ地域別最低賃金を決定することになっていると承知をしております。
#432
○小池晃君 今総理、標準生計費持ち出したけど、厚労大臣、最低賃金の基準は標準生計費ですか。違うでしょう。#433
○国務大臣(後藤茂之君) まず、最賃を判断する場合には、労働者の生計費、賃金、通常の事業の賃金支払能力の三つで判断をいたします。生計費については、生活保護を下回らない水準となるよう配慮するという運用になっておりまして、中央最低賃金審議会では、生計費に関しては、生活保護のほか、各都道府県の人事委員会が作ります標準生計費等の資料を踏まえて公労使で議論をしているということでございます。#434
○小池晃君 だから、生計費の基準は標準生計費じゃないですよね、生活保護基準でもないですよね。#435
○国務大臣(後藤茂之君) 参考にしているということでございます。#436
○小池晃君 違うんですよ、基準じゃないんですよ。それで、実際でいうと、例えば鹿児島県労連が鹿児島県内の最低生計費の調査、実態調査やっている。二十五歳の単身者でアパートの家賃三万四千円、駐車場月三千円。これ、時給換算だと千五百八十四円です。八百二十一円で人間らしい生活、厚労大臣、できると思いますか。
#437
○国務大臣(後藤茂之君) 今申し上げた生計費を考慮するに当たって、今のような基準で判定をいたしております。政府としては、最低賃金の全国的な引上げを行いまして、より早期に全国加重平均千円を目指していくということでございますが、現在のところ、こうした判断基準を持って、こういう基準で議論をいたしております。#438
○小池晃君 答えてない。こういう実態の中で、地方に行ったら生活掛からないって言うけど、家賃は安いかもしれないけど、公共交通機関は発達していませんから、交通費なんか物すごく、車代とか駐車場代とかお金掛かるんですよ。コンビニのおにぎりはどこ行ったって同じ値段なんですよ。公的料金は全部、全国同じなんですよ。コンビニのアルバイトのパート代はこれ最低賃金で違うのに、おにぎりは全部同じ。
これ、自民党の最低賃金一元化議連はこれ一元化すべきだと言っていますよ。最低賃金水準が低い区分の地域では、最低賃金の引上げによって雇用が有意に増加して生産性も向上したと、これ内閣府がそういう調査している、これを基に全国一律最低賃金制を取る、を自民党の議連が提案している。
世界でも、見てください、地域別の最低賃金制度を取っているのは、ILOによれば、中国、カナダ、日本、インドネシア、四か国。世界の多数は全国一律です。
総理ね、狭い国土の日本で四十七都道府県全部最低賃金が違うと、これは余りに不合理だと私は思う。やっぱり地域格差是正、地方創生と言うなら、決定打が全国一律最賃ではないかなと。これ踏み出すべきじゃないですか。総理、総理が手を挙げている。
#439
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員の方から今、全国一律の最低賃金、自民党の中でも議連があるではないかとおっしゃいましたが、議連もありますが、それに反対する考え方もいっぱいあるということも申し添えておきます。その上で、その上で、全国一律の最低賃金とすることにおいては、特に地方において中小企業を中心に人件費が増加する、経営が圧迫される、結果として雇用が損なわれる、こういったことにもなりかねない、これは慎重に検討する必要がある課題であると認識をしております。
#440
○小池晃君 中小企業支援は、この問題では決定的だというのはそのとおりだと思う。何が必要か。これ見てください。法人税と社会保険料事業主負担の、これ比べると、大企業では確かに法人税の負担の方が多いですね。負担が、の方がでもない、負担はかなり多い。しかし、中小・中堅企業では社会保険料が法人税の三倍程度、特に資本金二千万円以下の小規模企業では社会保険料が法人税の五倍。
私は、中小企業支援をやる、中小企業の賃上げをやるというのであれば、これだと。実効性ある支援策として、これは日本商工会議所なども求めています。社会保険料の事業主負担をこれ補填する、これ真剣に検討すべきじゃないですか。それが一番私は実効ある賃上げ対策になると思いますが、総理、いかがですか。
#441
○国務大臣(後藤茂之君) 社会保険料を引き下げることができればもちろん可処分所得は上がるわけではありますけれども、社会保険料の事業主負担分を単に公費で肩代わりするだけでは持続的な賃上げ、そして持続的な社会保障、持続可能な社会保障にはつながらない。そういうことで、今回、政府としては、幅広い国民の所得と給与を引き上げていくことを消費喚起、更なる成長を生み出すという成長と分配の好循環ということで、公定価格による呼び水、民間に御協力いただいた賃上げ、経済社会全体の雰囲気をつくる中で賃上げをしていく、そういう道筋で考えております。
#442
○小池晃君 何言っているか全然分からなかった。何で社会保険料の事業主負担を軽減、軽減って、そこを穴空けるわけじゃないですよ、公費で負担すると、支援すると。だって、賃上げ減税で二兆円使って、ほとんど効果なかったじゃないですか。その二兆円をここに使うと、これが一番賃上げに効果的じゃないかと言っているんですよ。どうですか。
#443
○国務大臣(後藤茂之君) 持続的な賃上げにつながらないというふうに申し上げました。#444
○小池晃君 なぜですか。#445
○委員長(山本順三君) 後藤厚労大臣。(発言する者あり)いやいや、いいですよ。どうぞ。もう指名していますから。#446
○国務大臣(後藤茂之君) 事業主負担分を公的に肩代わりするということだけでは持続的な賃上げは起こらないと思います。事業主負担分を肩代わりするだけだからです。(発言する者あり)#447
○委員長(山本順三君) 後藤厚労大臣。#448
○国務大臣(後藤茂之君) 単に事業主負担分を公費で肩代わりするだけでは持続的な賃上げにはつながらないというふうに申し上げております。(発言する者あり)それが、いや、それがまさに物の考え方そのものでございます。#449
○小池晃君 答弁書、答弁書出したじゃないですか、理由をちゃんと書いたやつを。なぜ持続的にならないのかと、それを言ってくださいよ。#450
○国務大臣(後藤茂之君) ちょっと私、答弁書のことまでは分かりませんのですが、もう少しかみ砕いて申し上げれば、社会保険料の負担軽減分の使途というのは企業の裁量でもありまして、必ずしも企業の生産性に直接つながるものとも限りませんので、そういう意味では永続的な賃金引上げにもならないということを申し上げました。#451
○小池晃君 これ、驚くべき答弁だと私思いますよ。要するに、企業負担軽減しても軽減分の使途は企業の裁量だと、だから生産性が向上せず、賃上げに結び付かないと言っているんですよ、厚労省は。じゃ、賃上げ減税も同じじゃないですか。賃上げ減税して、企業の裁量だと、これで減税しても、全然違わないですよ。同じロジックを当てはめたら、賃上げ税制、賃上げのために税制で支援することは全く意味がない、企業の裁量だということになりませんか。
#452
○内閣総理大臣(岸田文雄君) それは当たらないと思います。賃上げ税制というのは、そもそもこの賃上げそのものに焦点を当てて、それを評価して税制優遇を与えるわけですから、今回の賃上げ税制、今まで効かなかったではないかという発言もさっきありましたが、今回、より、この対象とする者についても新規労働者を外して継続的な労働者に限るとか、そして控除率を引き上げるとか、より効果的な賃上げ税制を用意しました。それは全て賃上げに焦点を当ててこれ使うわけですから、これが効果がない、さっきの話とは同じだというのは当たらないと考えます。#453
○小池晃君 分かりました。だったら、フランスは低賃金の労働者の賃金引き上げた企業に社会保険料の軽減をやっているんですよ。これならいいということですね。#454
○国務大臣(後藤茂之君) 政策を各国それぞれ違う制度で整えておりますので、各国の制度の一部だけを切り出して比較することも難しいと思います。#455
○小池晃君 真剣に最低賃金引き上げようという気がないんじゃないですか。中小企業を賃上げをやろうという気がないから、こういう答弁になると私は思う。真剣に考えるべきですよ、中小企業の賃上げのために社会保険料を活用する、検討課題だと。当たり前じゃないですか、総理。
#456
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、賃上げを実現するためにどういった政策手法を使うか、それは国のそれぞれの判断であります。最低賃金引上げ、これは政府としてもしっかりと考えていきます。先ほど来、全国一律の最低賃金、これは問題があるということを申し上げています。これまでも最低賃金について毎年三%程度の引上げを政府としても主導してきたと振り返っています。最低賃金の引上げそのものを否定しているものではありません。
#457
○小池晃君 社会保険料をそのための政策目的として検討すべきじゃないかと言っているんですよ。#458
○内閣総理大臣(岸田文雄君) ですから、賃上げのためにどういった政策手段を使うのか、それは国によって判断が違いますと。そして、我が国として、今の政府としては賃上げ税制、さらには補助金における優遇ですとか、あるいは下請に対するしっかりとした監視ですとか、こういった手法を通じて賃上げを実現しようということを提案させていただいているということであります。#459
○小池晃君 全然、岸田さんって何か答えているように見えて全然答えていないですよ。だって、僕が言っているのは、社会保険料を、賃上げのやっぱり政策目的のために社会保険料の軽減ということを検討すべきじゃないかと。一切答えていない。答えてください。国によって違うからとかって言うけど、それは国によって違うでしょう。でも、日本でそういったことを検討課題にすべきじゃないかと。
#460
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 社会保険料の増加の抑制に努めるということについては、我が国としてもしっかり取り組んでいます。これは全世代型の社会保障ということで、支え手を広げるということで持続可能な制度をつくる、そのことによってこの社会保障の負担の増加を抑えている、こういった手法は取っています。あわせて、賃上げについては先ほど申し上げた手法を取っています。国によって、これ目的を達するための手法、様々であります。これを同一に論ずることは難しいと考えております。
#461
○小池晃君 全く駄目ですね。やっぱり、最低賃金制度の第一の目的というのは、これは労働者の生活の安定です。そのためにあらゆる政策を動員すべきだと私は言っているんですよ。そのために、社会保険料というのはその政策を動員する上で非常に重要な要素ではないかと。是非検討していただきたい。
参議院に聞きますが、選択的夫婦別姓の導入、法制化、議論の促進を求める自治体からの意見書はこの三年間でどれだけ届いていますか。
#462
○参事(金子真実君) お答えいたします。参議院に提出のありました選択的夫婦別姓制度に関する意見書のうち、お尋ねの導入、法制化、議論に関するものにつきまして、各意見書の件名により確認いたしました件数となりますが、平成三十一年、令和元年は四十四件、令和二年は五十八件、令和三年は昨日までの受理分として百三十二件となります。
以上でございます。
#463
○小池晃君 年々増加をしています。これは選択的夫婦別姓・全国陳情アクションが調べたもので、これまでに十一都道府県議会、それから十二の政令指定都市議会を含めて三百七件、これが国会に送られています。
こうした中で、選択的別姓ではなくて通称使用の拡大、つまり結婚前の氏を併用することを拡大しようという動きがあるわけですが、しかし、通称使用の拡大というのは様々な問題をもたらしていると思います。どういう問題が生じているか、お答えください。
#464
○政府参考人(林伴子君) お答え申し上げます。旧姓の通称使用の拡大につきましては、政府におきましてこれまで二十年以上にわたり取組を進め、最近ではほとんどの国家資格等で旧姓使用が可能となるようにしたところでございます。一方で、本年九月の男女共同参画会議の計画実行・監視専門調査会を始め様々な場で旧姓の通称使用の限界や課題も指摘されているところでございます。
例えば、本人だけでなく企業、行政にとってもコストや事務負担が大きく経済的にマイナスであるという指摘、また、パスポートは旧姓併記が可能となっておりますが、航空券やビザは戸籍名なので現地で混乱するなど、海外での仕事や生活に支障があるという指摘、また、戸籍名と通称を使い分けることによりマネーロンダリングなど悪用の懸念があるという指摘、また、離婚、再婚により旧姓が複数ある人も多くなっているということ、さらに、名前は個人の尊厳やアイデンティティー、人権に関わるものであり、旧姓の通称使用では根本的な解決にならないという指摘など、指摘をいただいているところでございます。
#465
○小池晃君 大変よく分かりました。通称使用、すなわち二つの名前を持つというのは、これは世界で通用しない、まさにガラパゴス的なやり方だと思うんですね。二つの名前を管理するというのは、これ、企業にとっても実務的にもコスト面でも大きな負担になるだけであります。今もお話ありましたが、マネーロンダリングなどの犯罪の危険も言われています。ゆうちょ銀行は旧姓使用を禁止しています。何よりもこれは人権の問題だ。
野田大臣、結婚で夫婦同姓を強制させる今の制度そのものが人権侵害だと私は思いますし、女性にとっては結婚で姓を変えること自体が大きな負担になる。さらに、通称使用の拡大というのはそれに輪を掛けて大きな負担と多大なコストを生むと思います。選択的夫婦別姓の導入以外に道はないと思いますが、お話しいただきたい。
#466
○国務大臣(野田聖子君) 平成八年に法制審議会が答申を出しているわけですね。そこで選択的夫婦別氏、別姓を導入しようということで、約四半世紀たっています。私の率直な感想、ここ近年ようやく国会の中でも盛り上がってきているのかなと。これまでは賛成をする方の推進がささやかに起きていたけど反対をされている方がよく分からなくて、最近は明確にこういう理由で反対しているというお声を上げていただいているので賛否が見えてきて、議論に、ようやく議論として成り立ってきているのかなというふうに感じています。
そこでやはり、その議論を通じて感じたことは、国民に様々な不安や誤解を、この平成八年の法制審、法制審議会の答申、起きているなと。
例えば、高齢者、年配の方たちは、選択的と言っているんだけど名字を変えなきゃいけないのかしらという不安を感じている方も実際におられますし、また、戸籍もばらばらになるというふうに思われているんだけど、別氏も同氏も戸籍は一つというふうに平成八年は決めてあるとか、そんなような様々なことがあることと、もう一つ、やっぱり世界的にこれまでも名前を二つ持つという国はどこにもなくて、今は通称使用ということで、だからということはあるけど、これ法律にしたところで国際社会には通用しない法律ができてしまう。通称使用というのは、あくまでもこの法制審議会で、平成八年、これから別氏に向かって取り組んでいきましょうという、暫定的に、やっぱり旧姓を名のりたい人のための通過の措置みたいなところがありましたので、そこら辺のところをしっかり御説明申し上げて、一人でも多く、女性活躍のみならず、これ男性も名字を変えると大変な負担になります。うちの夫も野田姓に変えて非常に負担を感じていて、私に腹を立てています。
そんなこともあるので、しっかり取り組んでいければと思っています。
#467
○小池晃君 大変説得力のある話をしていただきました。今回の総選挙で当選した自民党衆議院議員二百六十一人のうち、朝日新聞、東大谷口研究所などのアンケートで、反対、どちらかといえば反対と言った人は七十三人なんですね。自民党の中でも少数派なんです、これ。二百六十一人のうち七十三人。自民党の中でも、これ意外な人がどちらかといえば賛成と。萩生田大臣なんか、どちらかといえば賛成とされているんですね。
だから、そういう意味でいうと、何を恐れているのかと私は総理に言いたい。何より総理は選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟の呼びかけ人なんですよ、呼びかけたんですよ。やっぱり政治家として、呼びかけた責任果たすべきではありませんか。
#468
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、私自身、こうした選択的夫婦別氏制度について議論するということ、これは大変重要なことであり、こうした多様性を大切にする社会において大いに議論する、これは大事なことであると考えて御指摘のような態度も取ったわけでありますが、そして、実際、国会議員の中でこうした選択的夫婦別氏制度、これ賛成している議員もたくさんある、たくさんいる、これも承知をしています。ただ、私自身のこの思いを申し上げさせていただくならば、この制度、これは、国会議員がこの制度を利用するのではなく、広く国民全体がこれ受け入れる制度であります。
そういった点で考えましたときに、私、地元広島でありますが、広島の地域において車座でお父さんやおじいさん、お父さんやお母さんたちと話する中でこういった議論をしていますと、子供が三人いるけれど、この子供の氏はどうなるんだろうか、誰が決めるのか、いつ決めるのか、あるいは変更が利くんだろうか、こういったこの議論で随分盛り上がります。
こういった姿を見ておりますと、国民一般にこの問題についてこの理解、どうなんだろうか、まだまだ議論しなければいけない部分はあるのではないか、こういった点を考えたときに議論をすることは大事なんではないか、こんなことを思って私自身の態度を申し上げているところであります。
#469
○小池晃君 子供の氏の問題というのはもう決着付いている問題、これは法制審で基本的な案出していると。しかも、今だって、事実婚の人だって子供の名前違ったりするけど、何の問題も起こっていないんです。世界でも何の問題も起こっていないんです。やっぱりそういったことを理由にして、議論する議論すると言うけれども、道を塞ぐのでは日本は進まない。だって、選択的夫婦別姓だからね。強制するわけじゃないんだからね。今は強制的夫婦同姓ですからね。選択的夫婦別姓にして困る人なんていないんですよ、やりたい人がそういうふうにするという制度なんだから。何をためらっているのか。私はちょっとがっかりした、今の岸田さんの答弁。
ちょっと、やっぱりそれ説得してください、野田大臣。岸田さんにちゃんとこの制度の意味をちゃんと説得してください。野田さん、ちょっと一言。
#470
○国務大臣(野田聖子君) 総理は総理のお立場で、やはりしっかりと不安、不満をクリアしていこうという御努力の最中。私はもう四半世紀前から取り組んでいるので、そこら辺はクリアされているので。先ほどの子供の件につきましても、法制審議会の答申ではもう既に、その当時からですね、子供の氏は結婚の際にあらかじめ決めておき、子供は全員同じ氏を名のるというふうに一応原案示されているところなので、そういうのをしっかりと広めていくことが大切だと思います。
#471
○内閣総理大臣(岸田文雄君) あのですね、多くの国会議員、小池委員を始め多くの国会議員が理解されているということ、これは決して否定するものではありません。しかし、多くの国民の声、名もなき声を聞いたときに、本当にみんな理解しているのか、私はその辺に確信が持てないということを申し上げているわけであります。是非そういった感覚も大事にした上で、決して議論を否定しているわけではありません。是非、社会的な雰囲気を是非盛り上げるよう、これは努力する必要があるのではないかと認識をしております。
#472
○小池晃君 どんな世論調査やったって六割以上の方が選択的夫婦別姓には賛成だと言っています。今、機運としては、何でこれだけ時間掛けてきたのに進まないんだと。もう本当に、みんなやっぱりじくじたる思いでいますよ。議論しましょうよ、じゃ。国会に法案出して、そこで議論しようじゃないですか。党議拘束外してもいいよ。やっぱり、これをきちんと実現するのは、私は国会の国民に対する責任だというふうに思います。これを前に進めると。呼びかけたのに今みたいなことを言っていたら駄目ですよ。無責任だ。きちんと国会で議論して早く結論出すということを求めたい。
総理はあの十月の所信表明で、敵基地攻撃能力という言葉を使いませんでした。自民党の総選挙政策にも敵基地攻撃という言葉はありませんでした。ところが、今国会の所信表明演説では、敵基地攻撃能力の検討を進めると初めて表明した。
小野寺元防衛大臣は、攻撃、反撃、敵基地という言葉が入ると先制攻撃のような間違った印象を与える危険性があるとおっしゃっている。私は、間違った印象じゃなくて、敵基地攻撃というのは先制攻撃そのものだと思っていますが、総理は、先制攻撃という印象を与える危険性もいとわず、なぜ踏み込んだんですか。
#473
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、いわゆる敵基地攻撃の議論については、私自身の態度は全く変わっておりません。この今厳しい安全保障環境の中で、極超音速飛翔兵器あるいは変則軌道ミサイル等、技術が刻々と進化する中にあって、我が国の国民の安心、安全を守るためにはあらゆる選択肢を排除せず議論するべきであるということをずっと申し上げてきております。そして、いわゆる敵基地攻撃についても、これは昭和三十年代から続く長い歴史のある議論ではありますが、状況はどんどんと変化をしている。長い、古い議論ではありますが、決して現代的な議論でないということはないと考えております。
是非、これは今、先制攻撃、憲法、あるいは専守防衛、国際法、こういった観点からしっかりと議論した上で現実的な対応を考えていくべきであると私は思っております。
#474
○小池晃君 敵基地攻撃能力というのは一体どういうものか。防衛大臣に聞きますが、敵基地攻撃、一般的にどのようなオペレーションを必要とするんでしょうか。
#475
○国務大臣(岸信夫君) 政府としては、これまで、いわゆる敵基地攻撃のためには、あくまで一般論としてですけれども、移動式のミサイル発射機の位置をリアルタイムに把握するとともに、地下に隠蔽されたミサイル基地の正確な位置を把握し、まず防空用のレーダーや対空ミサイルを攻撃して無力化し、相手国の領域、領空における制空権を一時的に確保した上で、移動式ミサイル発射機や堅固な地下施設となっているミサイル基地を破壊してミサイル発射能力を無力化し、攻撃の効果を把握した上で更なる攻撃を行うといった一連のオペレーションを行う必要があるという旨答弁をしております。他方、これは一つの例であって、例であってですね、これに限られるものではないと考えております。いずれにせよ、急速なスピードで変化をしておりますミサイルの技術などに対しても、国民の命、暮らしを守るために何が求められているのか、いわゆる敵基地攻撃能力も含めて、あらゆる選択肢を排除せずに現実的に対応していきたいと考えています。
#476
○小池晃君 いろいろとおっしゃったんですけど、これ、答弁、以前、河野防衛大臣も答弁されている。今まあ同じ中身でお話しされたと思うんですけど、他国の領域においてというのを冒頭で河野大臣は言っていますが、それはそれでいいんですよね、いいんですね。うなずいていらっしゃる。これね、一発ミサイルを撃つという話じゃないんですね。相手国の領域にまで乗り込んでいって、ミサイル基地をしらみ潰しに攻撃をする。さらに、制空権を確保して、地下施設も含めて大規模な攻撃を行う。
総理ね、これ、もう全面戦争に発展するような話なんですよ、これ、このオペレーションというのは。私は、こんなものが憲法九条の下で認められるわけがないと思いますが、いかがですか。
#477
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、敵基地攻撃、いわゆる敵基地攻撃能力の議論は、昭和三十一年の鳩山内閣における判断、これを政府としてずっと引き継いでいます。法的にこれは合致するものである、憲法等の法的な観点からこれは可能であるという判断をしているところであります。これ、そして、状況が変化する中にあって具体的にどのような対応をするのか。お示しいただいたのも一つの例ではありますが、これは様々なパターンが考えられると思います。そして、あくまでも、憲法、国際法、あるいは専守防衛、あるいは先制攻撃にならない、まあこれは国際法の話になりますが、こういった点をしっかりクリアした対応を考えなければいけない、これは当然のことであると思っています。
#478
○小池晃君 これを一つの例だというふうに総理大臣が認めたことを私は重大だというふうに思います。防衛大臣に聞きますが、こうした今御答弁されたオペレーションを実行するためにはどのような装備体系が必要になるんでしょうか。
#479
○国務大臣(岸信夫君) いわゆる敵基地攻撃のための具体的な装備体系については、一概に申し上げることはできないと考えております。#480
○小池晃君 このオペレーションをやるために必要な装備体系というのは何なのかって言えませんか。#481
○国務大臣(岸信夫君) 先ほどの件は一つの例でありますので、一概に一般的な一般論として申し上げることはできないということを申し上げておるわけです。#482
○小池晃君 一つの例というのは別に前提として僕は言っているので、この一つの例のオペレーションを、じゃ、実効たらしめる装備体系は何なのかと、それは言えないんですか。おかしいじゃないですか。これ、かつての答弁で、二〇〇三年三月、守屋武昌防衛局長、装備体系について、まあ一つの例としてです、これもね。第一に敵の防空レーダー破壊能力、第二に航空機の低空進入能力、第三に空対地誘導弾又は巡航ミサイル、第四に敵基地に関する正確な情報収集能力の四つが必要だというふうにおっしゃっている。
このオペレーションの中身でいうと、それ、さらに、この後いろんな発展もあると思うので、移動式ミサイル発射機の位置をリアルタイムで把握するなんて、これのためには早期警戒衛星だって必要になるでしょう。
そういうことを、これは装備体系としては当然出てくるんじゃないですか。いかがですか。
#483
○国務大臣(岸信夫君) 先ほどの例について用いられる装備品としてはあると思いますが、一概には申し上げられないと思います。(発言する者あり)#484
○委員長(山本順三君) 岸防衛大臣。#485
○国務大臣(岸信夫君) 先ほど例を用いましたけれども、この目的のためにどういう装備品を用意すればいいか、こういうことについては一概に申し上げることはできないと思います。#486
○小池晃君 この一連のオペレーション、これは一つの例だとおっしゃったけれども、じゃ、これを実効たらしめる装備体系というのはどういうものかということで、私はかつての答弁を言ったんですけれども。こういうものなんじゃないですかと、この守屋局長の答弁したときのもののような、そういったものも一つの装備体系として、それは認めるんですかと。#487
○国務大臣(岸信夫君) その時点での答弁を差し上げたものだと思っておりますけれども、状況は刻々変化があると、あります。その中で、現在、一概に装備を申し上げることはできないということを申し上げたわけです。#488
○小池晃君 その時点ではそうだったということは、その後はもっと、もう莫大な装備体系が必要になるということなんですよ。一体どれだけの費用が掛かるか、もう想像もできない世界だと。総理は先ほどから、極超音速滑空兵器、変則軌道で飛翔するミサイル、そういったことを言って、おっしゃっていますが、こうした開発競争の背景に一体何があったのだろうか。
防衛大臣ね、我が国の弾道ミサイル防衛、いわゆるBMDについて、今回の補正予算での予算額、それから平成十六年からこれまでの累計の予算額、お答えください。
#489
○国務大臣(岸信夫君) 弾道ミサイルは、一たび発射されれば極めて短時間で我が国に到達し、国民の生命、財産に甚大な被害を与えるおそれがあることから、弾道ミサイル防衛能力を可能な限り迅速に強化していく必要があります。このため、令和三年度補正予算案においては、BMD関連経費として約六百四十三億円を計上しております。平成十六年度予算から令和三年度補正予算案までの累計で約二兆七千八十六億円を計上しております。
#490
○小池晃君 これ、BMD導入時の国会答弁では整備費全体で八千億から一兆円程度と言っていたわけですね。ところが、これはもう三倍近くに膨れ上がっている。米国のBMDシステムに日本も加わって、それが他国の対抗策を招いて、まさに軍事対軍事の悪循環の中で、私は、極超音速滑空兵器などの非常に危険な兵器の開発に進んできているということではないかと思うんです。総理、私は、こういう中で、この軍事対軍事の悪循環でいいのだろうか。ところが、それを更に敵基地攻撃能力の保有、ここまで踏み出した。もう一層歯止めなき軍拡競争になっていく。
総理は今回、あえて敵基地攻撃能力も含めて防衛力を抜本的に強化していくと、こう強調しています。これは、日本も打撃力を持って、これまで専守防衛と説明してきた政策を変えるということになるんじゃありませんか。
#491
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、急速に変化する安全保障環境、極超音速滑空兵器を始めとするミサイル技術の進化、これに対して、政治の立場から国民の命や暮らしを守らなければいけない、これは当然の責務であると思っています。そのために何が必要なのか、予算にも盛り込ませていただいているわけです。あわせて、先ほど来御指摘いただいております敵基地攻撃の部分に関しては、先ほどお示しいただいたこと、一例だと申し上げましたが、これは様々な議論を行う中の一つの例だということを申し上げています。我が国としては、この国家安全保障戦略、私は八年ぶりに一年掛けてこれ改定をしていきたいと思っておりますが、その議論の中で、この国民の命や暮らしを守るためにどういった対応が必要なのか、どういった取組が必要なのか、これをしっかり議論したいと申し上げております。その中で、このいわゆる敵基地攻撃能力を始めあらゆる選択肢をしっかりと検討したいということを申し上げています。
その議論の中で、憲法やあるいは専守防衛、国際法、こうしたものと照らしてしっかりと実現可能な制度がこの議論の中で確定したならば、盛り込むことができたならば、それにふさわしい装備を用意するというのが物の順番であると思います。
まずは、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、そうした真摯な議論を行っていきたいと思っています。(発言する者あり)
#492
○小池晃君 全然真っ当じゃないと思いますけど。後ろから真っ当だと言ったけどね。私が言ったことは、やはりこの間のこのミサイル防衛構想を始めとする、もう本当に歯止めなき日本の軍拡、そしてアメリカ、まあ世界各国の軍拡ということが軍事対軍事の悪循環になって、それがやっぱり危険な状況を、この北東アジアのような、もちろん北朝鮮のミサイル開発って、これ断じて許されませんよ。国連決議違反ですよ。しかし、そういう中で、やはりそれに対して軍事で対抗するというやり方がやっぱり非常に危険な状況をつくってきたんではないかと、そこを見直す必要があるんじゃないかと言っているんですが、いかがですか。
#493
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 国際社会の中で自由や民主主義を始めとした普遍的な価値をしっかり守りながら、しっかりと国際秩序の安定のために努力をする、これは大変重要なことであります。加えて、環境や軍縮を始めとする地球規模の課題において汗をかくことによって国際社会において存在感を示していく、これも外交において大切なことだと思いますが、もう一つ外交・安全保障において大切なことは、緊迫するこの安全保障環境の中にあっても国民の命と暮らしを守るために十分なこの備えはどうなのか、そのために何が必要なのか、こういった議論も政治の立場からしっかり行っていくということ、これは重要であると認識をしております。
#494
○小池晃君 国民の命を守るというふうにおっしゃいますが、こんな大軍拡の道を進んでいったら国民生活を支える予算、更に圧迫される、諸外国の更なる軍拡、これに応えていけばますます国民の命と暮らしが脅かされるということに私はなると思います。自民党の国防部会、外交部会などの合同部会、合同会議で防衛省が文書を配付をしております。私、入手いたしました。これを見ると、今回の補正も含めて六兆円、防衛費、防衛装備費、大幅な増額ということが書かれ、防衛関係費の大幅な増額ということが書かれています。中期防は五年間で総額初めて三十兆円を超える、そういう方向だと、検討されているというふうに報道されています。
専守防衛という政策を変えないと言いながら、実際には、F35、護衛艦「いずも」の空母化、長距離巡航ミサイルの導入、そして軍事費GDP二%以上の大軍拡、その中で先制攻撃も辞さない、そういう大転換をしようとしている。
安保法制に続く憲法の平和主義、立憲主義を破壊する、そういうやり方は許さない、憲法そのものの破壊も許さないという立場で頑張り抜く決意を表明して、私の質問を終わります。
#495
○委員長(山本順三君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十四分散会