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2021/12/20 第207回国会 参議院 第207回国会 参議院 予算委員会 第3号 令和3年12月20日
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2021/12/20 第207回国会 参議院

第207回国会 参議院 予算委員会 第3号 令和3年12月20日

#1
令和三年十二月二十日(月曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十二月十七日
    辞任         補欠選任   
     石川 大我君     小西 洋之君
     里見 隆治君     矢倉 克夫君
     山本 香苗君     塩田 博昭君
     音喜多 駿君     片山 大介君
 十二月二十日
    辞任         補欠選任   
     小野田紀美君     三木  亨君
     本田 顕子君     上野 通子君
     吉良よし子君     井上 哲士君
     小池  晃君     大門実紀史君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 順三君
    理 事
                こやり隆史君
                藤川 政人君
                堀井  巌君
                山下 雄平君
                白  眞勲君
                森本 真治君
                杉  久武君
                浅田  均君
                山添  拓君
    委 員
                青山 繁晴君
                上野 通子君
                小川 克巳君
                岡田  広君
                片山さつき君
                佐藤 正久君
                進藤金日子君
                滝波 宏文君
                比嘉奈津美君
                藤木 眞也君
                丸川 珠代君
                三木  亨君
                宮島 喜文君
                宮本 周司君
                森屋  宏君
                山谷えり子君
                和田 政宗君
                石垣のりこ君
                打越さく良君
                熊谷 裕人君
                小西 洋之君
                田島麻衣子君
                福島みずほ君
                森屋  隆君
                塩田 博昭君
                矢倉 克夫君
                安江 伸夫君
                若松 謙維君
                礒崎 哲史君
                田村 まみ君
                浜口  誠君
                石井 苗子君
                片山 大介君
                井上 哲士君
                大門実紀史君
   国務大臣
       内閣総理大臣   岸田 文雄君
       総務大臣     金子 恭之君
       法務大臣     古川 禎久君
       外務大臣     林  芳正君
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        鈴木 俊一君
       文部科学大臣
       国務大臣     末松 信介君
       厚生労働大臣   後藤 茂之君
       農林水産大臣   金子原二郎君
       経済産業大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       損害賠償・廃炉
       等支援機構))  萩生田光一君
       国土交通大臣
       国務大臣     斉藤 鉄夫君
       環境大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       防災))     山口  壯君
       防衛大臣     岸  信夫君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 松野 博一君
       国務大臣
       (デジタル大臣)
       (内閣府特命担
       当大臣(規制改
       革))      牧島かれん君
       国務大臣
       (復興大臣)
       (内閣府特命担
       当大臣(沖縄及
       び北方対策))  西銘恒三郎君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (内閣府特命担
       当大臣(防災、
       海洋政策))   二之湯 智君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(少子化
       対策、地方創生
       、男女共同参画
       ))       野田 聖子君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(経済財
       政政策))    山際大志郎君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(科学技
       術政策、宇宙政
       策))      小林 鷹之君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(消費者
       及び食品安全、
       クールジャパン
       戦略、知的財産
       戦略))     若宮 健嗣君
       国務大臣     堀内 詔子君
   副大臣
       財務副大臣    大家 敏志君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  近藤 正春君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤井 亮二君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        榊  真一君
       デジタル庁統括
       官        村上 敬亮君
       復興庁統括官   林  俊行君
       総務省政策統括
       官        吉開正治郎君
       外務省総合外交
       政策局軍縮不拡
       散・科学部長   海部  篤君
       厚生労働省健康
       局長       佐原 康之君
       経済産業省大臣
       官房審議官    福永 哲郎君
       経済産業省産業
       技術環境局長   奈須野 太君
       資源エネルギー
       庁資源・燃料部
       長        定光 裕樹君
       国土交通省大臣
       官房長      瓦林 康人君
       国土交通省鉄道
       局長       上原  淳君
   参考人
       日本銀行総裁   黒田 東彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○令和三年度一般会計補正予算(第1号)(内閣
 提出、衆議院送付)
○令和三年度特別会計補正予算(特第1号)(内
 閣提出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(山本順三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 令和三年度補正予算二案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁黒田東彦君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#4
○委員長(山本順三君) 令和三年度補正予算二案に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 本日は、締めくくり質疑を五十分行うこととし、各会派への割当て時間は、自由民主党・国民の声五分、立憲民主・社民二十二分、公明党五分、国民民主党・新緑風会六分、日本維新の会六分、日本共産党六分、質疑順位につきましてはお手元の通告表のとおりでございます。
    ─────────────

#5
○委員長(山本順三君) 令和三年度一般会計補正予算(第1号)、令和三年度特別会計補正予算(特第1号)、以上二案を一括して議題とし、これより締めくくり質疑に入ります。山下雄平君。

#6
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。
 締めくくり質疑ですので、先週までの審議を踏まえて質問をさせていただければと思います。
 審議の中ではコロナ対策も多くの議論が交わされました。オミクロン株の海外での広がりを受け、岸田総理は先月末、水際対策を一か月程度強化するというふうに決断をされました。私はすばらしい判断だったというふうに思っております。オミクロン株の状況が現在も不透明な中、国内の医療体制などの充実とともに、この水際措置を今後どうしていくのかというのも一つの焦点だと思います。
 現在の水際措置を続けるのか、どのぐらい続けるのか、はたまた強化していくのか、次の判断のタイミングはどのくらいの時期を想定しておられるのか、総理大臣のお考えをお聞かせください。

#7
○内閣総理大臣(岸田文雄君) オミクロン株への対応については、この未知のリスクには慎重の上にも慎重でなければならないと考えまして、水際対策についても、G7の中でも最も厳しいレベルまで引き上げ、緊急避難的、そして予防的措置を講じているところであります。
 そして、今後についてですが、オミクロン株がある程度明らかになってきて、リスクの度合いが今までの経験の中で予想できる、こういった状況に至るまでは慎重な対応を続けなければならないと考えています。少なくとも年末年始の状況をしっかり確認した上で、その先について考えていきたいと存じます。
 まずは強い危機感を持って状況を把握する、その上で機動的、そしてスピード感を持って対応していきたいと考えます。

#8
○山下雄平君 状況に合わせた果断な対応を是非お願いしたいと思います。
 先週の審議では水田政策についても議論が交わされました。米の需給が緩む中、今回の補正予算でも水田関係にも多くの予算が計上されております。
 私の地元佐賀県では早い段階から需給を踏まえた生産に取り組んでおり、麦や大豆の生産が盛んです。今後の米の需給を安定させるため、そして食料安全保障の観点からも、麦、大豆などの生産をしっかり支援し、真面目に取り組んできた産地が報われる政策とすべきではないかと考えます。
 令和四年産に向けて、また将来に向けて、どのように作付け転換を図っていくつもりなのか、農林水産大臣のお考えをお聞かせください。

#9
○国務大臣(金子原二郎君) 今後の米対策についてのお尋ねでございますが、主食用米の需給と価格の安定を図るためには、令和四年産の主食用米につきましては三万九千ヘクタールの作付け転換が必要であります。
 令和四年産におきましては、飼料用米ばかりではなく、麦、大豆、野菜、子実用のトウモロコシ等の定着性や収益性の高い作物への転換が進むよう令和三年度補正予算の水田リノベーション事業を拡充して計上するとともに、水田活用の直接支払交付金につきまして、定着性や収益性の高い作付け転換の実現に向けた見直しや拡充を行いつつ必要額をしっかり確保することで、需要のある作物の生産に取り組む生産者が前向きに農業を続けていけるようにしっかり支援していく考えであります。
 また、現在、全国会議や産地ごとの意見交換会を通じまして、各産地において中長期的に目指す産地の姿を関係者間で共有し、計画的に作付け転換を進めるよう働きかけているところであります。これにより需要に応じた生産を推進してまいります。
 以上です。

#10
○山下雄平君 是非ともしっかりとした支援をよろしくお願いしたいと思います。
 先週の審議では、国鉄民営化以降の在来線の利便性が低下しているという問題も取り上げられました。私の地元佐賀県においても在来線が十六本減便になり、終着駅の短縮や無人駅も増えております。
 国土強靱化の観点からも、在来線が各地域で求められている役割を果たしていけるよう国として支援すべきだと考えますが、国土交通大臣のお考えをお聞かせください。

#11
○国務大臣(斉藤鉄夫君) お答え申し上げます。
 先週もこの問題取り上げられました。地方部では、人口減少、少子化やマイカー利用への転移等から利用者が大幅に減少し、鉄道がいわゆる鉄道の特性である高速大量輸送という機能を発揮できない状況になっているのは確かでございます。
 こうした中、議員御指摘のいわゆる在来線については、JR各社に対して、在来線運行に当たり直接助成を行うという仕組みはございません。ございませんが、今般の補正予算において、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の一環としてのJR各社の橋梁の防災対策や観光需要の喚起のための支援を盛り込んでおります。間接支援ということかと思います。
 国土交通省としては、持続可能な地域公共交通の実現に向けて、鉄道事業者と沿線自治体との一層の連携を促し、鉄道の維持、活性化に向けた取組を支援するとともに、利用者の視点に立って、より持続可能な地域公共交通の再構築を目指す取組についてもしっかり支援をしていきたいと思います。事業者と地域と国と一体となって、どういう取組ができるか検討してまいりたいと思っております。

#12
○山下雄平君 斉藤大臣の御地元の芸備線でも今年三月ダイヤ改正で減便になっておりますので、是非ともホームドアの整備支援と含めて、こうしたローカル線の維持にも御尽力いただければと思います。
 ローカル線の維持が難しくなっているのは、人口の地方の減少が大きな要因だというふうに思っております。
 地方から首都圏に人口が流入していって、特に若い女性が地元を離れて首都圏に移り住むという傾向が続いております。女性の転出超過が男性を上回っているのは、私の地元佐賀県を含めて三十六道県です。特に二十代前半が目立ちます。
 デジタル田園都市国家構想などを通じて、地方において女性が働きやすい環境、また、都会から地方に来た女性が生きやすい社会をつくっていくためには何が必要だと考えておられますでしょうか。政務官時代に共に仕事をしました野田大臣にお考えをお聞かせいただければと思います。

#13
○国務大臣(野田聖子君) その節大変お世話になりました。
 ずっと女性政策取り組む中で、今回、岸田総理の下、私は地方創生と女性政策、両方担当させていただいています。ぱっと聞くと別々なような政策ですけど実は一緒であって、やはり地方創生の中で、少子化が加速化する中で、やはり担い手である女性たちがどんどん消滅しているということが問題なんだろうと思っています。
 いろいろデータを調べていくと二つ理由があって、これまでは、ややもすると、都会に憧れて女性が地方を離れるという固定観念があったんですけど、実のところは、しっかりと学んで能力や技術を身に付けた女性が生かせる場所がない、収入が少ないということと、やはり固定的な、やはり男の方が地方においては若干優位であるみたいな空気感、その中でいたたまれず離れていくという女性が多いことも事実であります。
 じゃ、どう戻していくかというと、デジタル田園の中にもありますように、今、テレワークというのがある一定定着してきました。転職することなき移住ということを今取り組んでいるんですけれども、女性の方たちも、一度は東京で仕事を得た人が転職することなく帰郷できる、そして、自分のふるさとでテレワーク等々を通じてパフォーマンスを上げることができるような実務的な取組をしていかなければならないと思いますし、あとは、やはり地方議会に大変女性が少ないんですね。国会も少ないと言われて久しいんですが、地方議会はより少ないところが多いし、その先にある町内会、自治会のようなところも、ほとんどおさは男の方たちが務めているということで、足下から少しずつやはりバランスの取れた地域づくりをしていくという意識付けを若いうちからやっていくことが大事だと思います。

#14
○山下雄平君 これからも是非旗を振り続けていただければと思います。
 次に、国土交通省所管の建設工事受注動態統計調査についてお伺いします。
 事業者から提出されていた調査票を書き換えていたことが明らかになりました。書換えはかなり前から行われていた可能性があります。書換えが続いていた状況の中で、新たに推計手法の変更で工事の受注額の二重計上が行われるようになりました。二重計上は建設工事を多く見せかけるためだったのではないかというような疑いの目も向けられています。
 二重計上のきっかけとなった推計方法の見直しを始めたのはいつでしょうか、お聞かせください。

#15
○政府参考人(瓦林康人君) お答え申し上げます。
 建設工事受注動態統計調査の推計方法につきまして二重計上を生じさせることとなった変更を実施したのは、平成二十五年四月分の数値からでございます。

#16
○山下雄平君 第二次安倍内閣が発足してしばらくしたタイミングです。
 では、推計の変更方式を国土交通省として決めたのはいつでしょうか、お聞かせください。

#17
○政府参考人(瓦林康人君) お答え申し上げます。
 当該推計方法の変更につきましては、平成二十二年一月に省内に検討会を設置して議論を開始しまして、同年三月に結論を得て、必要な手続や準備を経た上で、平成二十五年四月分の数値から新しい推計方法に変更を行いました。

#18
○山下雄平君 菅直人内閣のときということです。
 我々与党も、そして以前の与党も、歴代の政権がこうした問題を見抜けなかったわけですので、国会として、政府が二度とこうした過ちを繰り返さないよう、再発防止に力を合わせていかなければなりません。
 最後に、拉致問題について伺います。
 土曜未明、先日まで家族会の会長を務めておられた飯塚繁雄さんが亡くなられました。心からお悔やみ申し上げます。
 その同じ日に、米国ではバイデン政権が太いパイプを持つエマニュエル氏が日本大使に就任することが決まりました。岸田総理は、計画されている訪米やエマニュエル大使との関係などを通じてどのように拉致問題を図るつもりなのか、お聞かせください。

#19
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 拉致問題は今の内閣におきましても最重要課題の一つであります。十四年間家族会の代表を務められた飯塚繁雄さんが御逝去されたこと、改めてお悔やみを申し上げ、御冥福をお祈り申し上げたいと思います。一刻の猶予もない、こうした課題であるということを改めて痛感しております。
 日米関係ということで言うならば、まずは、今調整しております日米首脳会談において両国の緊密な連携、首脳間で確認したいと思っております。そして、御指摘のエマニュエル氏、米国議会において駐日大使として承認をされたということです。エマニュエル氏、これはバイデン大統領の信頼が大変厚い方だと聞いております。こうした新しい駐日大使とも緊密に連携していくこと、これも重要だと思います。
 関係国としっかりと連携しながら、あらゆるチャンスを逃さず、全身全霊を傾けて課題に取り組んでいきたいと考えております。

#20
○山下雄平君 質問を終わります。ありがとうございました。

#21
○委員長(山本順三君) 以上で山下雄平君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────

#22
○委員長(山本順三君) 次に、森本真治君の質疑を行います。森本真治君。

#23
○森本真治君 おはようございます。立憲民主党の森本真治でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 ちょっと通告の前に、今朝のニュースで少し気になるニュースが二点ありましたので、厚労大臣と総務大臣の方にお伺いしたいと思います。
 厚労大臣、今朝、地元、私の広島の中国新聞の一面で、黒い雨体験者の救済について、高裁判決を受けて、現在、被爆者認定指針の改定作業が行われていると思いますが、その方針が固まって、近く広島県、広島市に提案すると今日記事がございました。
 厚労大臣、その内容について御説明ください。

#24
○国務大臣(後藤茂之君) 今、その内容については、広島県・市、関係者の皆様と十分に、八十四名の原告の皆様と同じような事情にあった方々の対応について、今調整中でございます。

#25
○森本真治君 その調整する内容を近々広島県、広島市に示すというような記事だったんですけども、ちょっとその事実関係を。

#26
○国務大臣(後藤茂之君) 今は調整中の段階で、そういう今後の日程等についてお答えのできるような状況ではありません。

#27
○森本真治君 年内にはある程度話をするというふうに伺っていたんですけども、次の協議の日程って決まっていますか。

#28
○国務大臣(後藤茂之君) できる限り関係者の皆様の御理解を得つつ、急ぎ進めていきたいと思っております。

#29
○森本真治君 判決の内容にしっかりと沿った、また、地元の意向も十分に反映した改定内容をまとめていただくことをお願いをさせていただきます。
 総務大臣、昨日ですけど、大阪のビル火災を受けて、全国の消防に対して雑居ビル三万棟に立入調査をするよう求め、そして、その結果を踏まえ再発防止策をまとめるという報道を見させていただきました。
 雑居ビル火災、これまでも何度か発生して、その都度消防庁でも検証はされていると思いますが、これまでもきちんと法令違反がないか等検討はしていると思いますが、改めて、点検する目的と、どのように対応するのか、お伺いします。

#30
○国務大臣(金子恭之君) お答え申し上げます。
 今回の緊急立入検査におきましては、火災時の避難経路の確保を重点的に検査をいたしまして、改善指導を行っていただくよう要請をしております。
 避難経路となる階段等に支障となる物件が置かれていないか等を確認をし、直ちに物件の除去を行わせることなどを行っていきたいと考えております。

#31
○森本真治君 専門家の意見としてでも、例えば雑居ビル、小さなビルでは、例えばスプリンクラーの設置の除外になっておるような建物などの課題などももう既に出ておりまして、場合によっては法改正等も含めてしっかりと対応していく必要もあろうかと思うんですが、その辺りについての御認識をお伺いします。

#32
○国務大臣(金子恭之君) 今後は、この事案の調査結果を取りまとめるとともに、有識者の検討会を立ち上げまして、調査結果を踏まえた必要な対応について検討してまいります。

#33
○森本真治君 是非しっかりと、専門家の皆さんも交えて、二度とこのような悲惨な事故が起きないように総務省消防庁としても御尽力いただくことをお願いをさせていただきたいというふうに思います。
 それでは、通告に従いまして、まずは核兵器のない世界の実現に向けて、総理、二〇一六年、あれからもう五年がたっておりますけれども、当時の岸田外務大臣も御尽力された、オバマ当時の米国大統領が広島を訪問された歴史的な日があったわけでございます。私も、あのときは参議院の本会議があったんで、平和公園に御招待もいただいたんですが、参議院議員は参加することはできませんでしたけれども、映像で見させていただいて、総理が外務大臣として原爆ドームをオバマ大統領に説明されている姿、今でも私、忘れることができません。あのとき、広島の人々、そして被爆者の方々が、核なき世界の実現に向けて第一歩が進んでいくんではないかと、そういう期待をした歴史的な日でもあったと思います。
 あれから五年がたちました。いろんな御苦労をされたことは重々承知をしております。ある意味、現実に心がくじけそうになることも総理自身もおありだったと思うんですが、総理となられました。改めて、この広島の思い、被爆者の思い、しっかりとこの核兵器のない世界の実現に向けて、これから総理としてしっかり取り組んでいただきたい。改めてのその決意もお伺いしたいと思います。

#34
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、核兵器のない世界を目指す際に、世界の政治指導者に被爆の実相に触れてもらうということは大変重要なことだと思います。
 二〇一六年当時、被爆から七十一年たっていたわけですが、現職の米国大統領に被爆地に足を運んでもらい、被爆者と直接言葉を交わし、資料館にも足を運ぶ、現職の米国大統領に目と心で被爆の実相に触れてもらったこと、さらには、唯一の核兵器使用国と、そして唯一の戦争被爆国の首脳が世界に向けて核兵器のない世界を目指すということについてメッセージを発したこと、これも大変大きな意義があったと思います。
 私自身、この被爆地広島出身の総理大臣として、核兵器のない世界に向けて全力を尽くす決意です。その中で、四年八か月の外務大臣の経験から、こうした大きな理想に向けて努力する際に、核兵器国を巻き込んでいくこと、これが不可欠であると思います。是非、日本としても、唯一の同盟国である米国と核兵器のない世界を目指すという理想について信頼関係をしっかりと醸成することによって、共に理想に向けて前進を図る、こうした取組をしっかり進めていきたいと考えております。

#35
○森本真治君 前進を図る取組を進めていきたいという答弁がありました。
 これまでも、日本政府、先ほどもありましたけれども、被爆の実相を伝えるため、海外からの指導者を広島訪問、さらには、逆に被爆者の皆さんに海外に行ってもらう、また海外での被爆展、その実相を直接語るというようなことも取り組んでこられました。また、賢人会議でありますとか、これは民主党政権から続いておりますが、軍縮・不拡散イニシアティブですね、NPDIなどの国際会議も主催を日本政府してまいりました。
 岸田政権となって、新たにまたこの核なき世界の実現に向けてまた一歩、様々な取組、積極的に進めていただきたいと思うんですけれども、具体的な取組として考えていらっしゃること、これ外務大臣になりますか、御答弁よろしくお願いします。

#36
○国務大臣(林芳正君) 我が国は、国連総会での核兵器廃絶決議の提出、また、今先生からお話のありました核軍縮の実質的な進展のための賢人会議、そして、この賢人会議のフォローアップの取組としての一・五トラック会合の開催、また、今お触れになっていただきました軍縮・不拡散イニシアティブ、そしてユース非核特使、これは今委員がおっしゃっていただいたように、被爆者の方が核特使として行っていただいておったわけですが、この次の世代の方にもこの役割を担っていただこうと、こういう被爆の実相を伝える取組、様々な取組を行ってきておるところでございます。
 今後も、核兵器のない世界の実現に向けて効果的な取組、引き続き実施してまいりたいと思っております。

#37
○森本真治君 何か今までの取組を御紹介いただいただけに終わったような気がしたんですけれども、新たにやっぱり岸田政権になって、この核兵器のない世界の実現に向けて更なる取組というものを是非考えていただきたいという思いでございました。
 是非、またこれ来年度に向けてもしっかりと様々な事業も御検討いただいて、これはまた聞かせていただきますので、総理もよろしくお願いいたします。
 年明けにNPT検討会議が予定されています。総理は出席されますでしょうか。

#38
○内閣総理大臣(岸田文雄君) NPT運用検討会議、前回六年前でありましたが、当時私は外務大臣を務めておりました。残念ながら、六年前の会議においては合意文書を作成するに至らなかった、大変残念な思いを持っております。NPT運用検討会議には強い思いを持っております。
 ただ、具体的なこの出席と日程については、まだ今調整中であり確定はしておりません。
 以上です。

#39
○森本真治君 報道では外務大臣の出席というようなこともありましたけれども、そこはもう決定しているんですか。

#40
○国務大臣(林芳正君) 私の出席につきましても、まだ調整中でございます。

#41
○森本真治君 現在、日本政府は、まずこの核軍縮に向けてNPT運用、NPT体制を重視するという立場を取られていらっしゃいます。
 この来年の会議では、日本が先導的な役割を果たして必ず成果を出していく、その強い決意で臨んでほしいと思いますが、具体的にどのような成果を出していこうとするのか、また、そのためには、どのような現在取組をそのためにされているのかということも御説明ください。

#42
○国務大臣(林芳正君) 今委員がおっしゃっていただいたように、NPT、これは国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石でございます。核兵器国も参加するこのNPT運用検討会議、これは先ほど総理から御答弁もありましたように、核兵器のない世界に向けて前進するための貴重な機会でございますので、意義ある成果を収めるべく様々な取組を行っております。
 例えばでございますが、各国が一致して取り組むことのできる共通の基盤を形成することで核兵器国と非核兵器国の橋渡しを行うために、今年も国連総会に核廃絶決議案、これを提出しまして、核兵器国であるアメリカやイギリス、フランスを含む様々な立場の国々から幅広い支持を受けてこの採択をされております。
 また、十二月九日でございますが、第三回の核軍縮の実質的な進展のための一・五トラック会合を開催しております。今回の会合でございますが、岸田総理が総理大臣として初めて参加をして冒頭挨拶行っていただいておるほか、NPT運用検討会議のスラウビネン議長候補、また中満国連事務次長兼軍縮担当上級代表も参加して、NPT運用検討会議のあり得べき成果について議論がなされておるところでございます。

#43
○森本真治君 ちょっと、議論の中身、こういう方向に持っていきたいというような思いですね、今もしお話しできる範囲で御説明をいただければと思いますが。

#44
○国務大臣(林芳正君) これ、中身はなかなか申し上げにくいところもあるわけでございますが、この会合で出た様々な御意見ですね、これをやっぱり本体のNPT運用検討会議の方にインプットしていかなければいけないということで、核兵器国や非核兵器国の双方の政府関係者とともに、先ほど申し上げましたスラウビネン同会議議長候補の参加を得ていただいて、その上で活発な意見交換を行ったわけでございます。
 こうした議論を踏まえて、本番の運用検討会議が意義ある成果を収められるように、共通の基盤の形成に貢献していきたいと思っております。

#45
○森本真治君 当然各国の賛同を得なければならない交渉事でございますけれども、やはり日本政府として、まずはこういう目標ですね、ここまでは何とかやるんだということを、その交渉をする前提としても、しっかりとそこは政府内でも確認をしていただいて、そしてしっかりと交渉にも臨んでいただきたい、そのように思います。
 これまでも予算委員会で何度か取り上げてこられておりますけれども、日米首脳会談の見通しですけれども、まだ見通しは、総理、立たないですかね。

#46
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今調整中であります。米国の国内事情あるいは新型コロナの感染状況等、様々な観点から調整をしているところですが、日米関係、我が国の外交・安全保障にとっても基軸となる関係でありますので、できるだけ早期に首脳会談実現したいと考えております。

#47
○森本真治君 報道等では、通常国会前の辺りというようなことで何とか調整ができないかというような報道もあります。ちょうどNPTの運用検討会議も行われているときでございますので、日米首脳会談そしてNPT運用検討会議ですね、共に総理が出席ができるように是非とも調整もしていただきたいと思います。
 総理はこれまで核兵器のこの問題への取組として、まず日米の信頼関係を優先すると述べられておりますけれども、この意味なんですけれども、ちょっとよく分からないんですが、日米両政府の信頼関係をつくっていくのか、岸田総理とバイデン大統領の信頼関係をつくっていくのか、どういう意味なんですか。

#48
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 核兵器のない世界を目指すという理想を一つ考えても、現実に核兵器国を動かさないと現実は変わらないということを強く感じています。そのために、まず日米関係において、バイデン大統領も自らの大統領選挙の最中に核兵器のない世界を目指すということを明言された大統領でありますので、その大統領と日本のトップとしてしっかり信頼関係をつくり、共に核兵器のない世界を目指すということを確認したいと思います。
 そして、あわせて、日米両政府においてこの厳しい安全保障環境の中で、共に両国民、両国の国民の命や暮らしをしっかり守る、こうした責任を果たしながら理想に向けてどう物事を進めていくのか、そういった点から信頼関係をつくる、こうしたことが大事であると考えております。

#49
○森本真治君 今の総理のお話ですと、バイデン大統領も核兵器のない世界に向けての思いがこれは共通して持たれているというような趣旨の答弁をされたということは、思いはもうある程度一致をしているところがあるんだというふうに思いますので、しっかりと会われて確認をして加速をしていただきたい、そういうふうにも思います。
 アメリカは来年初めにも新たな核戦略指針、NPRを策定する見通しであると言われています。バイデン大統領、先ほどからもありますけど、オバマ政権の副大統領でもあって、オバマ大統領の核軍縮路線から、この間アメリカはトランプ大統領時代に核兵器の実用化と流れが逆流していきましたが、再び、先ほどの話でもありました、核軍縮路線へと流れが戻るとの期待もあります。
 これは外務大臣でしょうか。アメリカのNPR、日本政府は、来年にも策定すると言われているNPR、どのような見通しを持っていらっしゃるでしょうか。

#50
○国務大臣(林芳正君) このNPRでございますが、これは、先ほど総理からもございましたように、まずは、このバイデン大統領と岸田総理との間での信頼関係と、これがまずあるわけでございます。NPRについては、まあ他国でございますので予断をすることは差し控えたいとは思いますが、先ほどお話がちょっとあったように、バイデン大統領、これは大統領の選挙の最中でもございましたけれども、核兵器のない世界に近づくために努力するという旨を明言をされておられるというふうに承知をしております。そういったこのバイデン大統領の考え方というものが背景にあってこのNPRというものが形作られていくものと、こういうふうに考えております。

#51
○森本真治君 十二月十八日のこれ共同通信だったんですけれども、カントリーマン国務省上級顧問、国家安全保障・不拡散担当の上級顧問ですが、インタビューでですね、記者会見で、核兵器の役割を縮小させることは政策的な選択肢ではなくて、条約上の義務だとバイデン政権は理解していると述べられていらっしゃいます。NPTの法的義務を履行しようとしなかったトランプ前政権との違いが強調されたという記事がありました。
 これも外務大臣でしょうか。今後、アメリカ側から核兵器の役割を縮小させる方針が示された場合、当然賛同し、他の核兵器国にも日本も先導的に働きかけということをやっていくという認識でよろしいでしょうか。

#52
○国務大臣(林芳正君) 先ほど総理からもお話があったとおりでございますが、核軍縮、まあこれはもう釈迦に説法でございますけれども、核兵器の数、そして核兵器が果たす役割、そしてさらに核兵器を保有する動機、この三つの低減が重要であるというふうに考えております。
 先ほどもちょっと申し上げましたが、NPRがどういうふうになるかということはまだでございますので、あくまで一般論ということでございますが、この我が国の周辺、質、量共に優れた軍事力が集中しておりまして、更なるこの強化や活発化、この傾向が顕著になっております。そうした意味で、現実に核兵器などの我が国に対する安全保障上の脅威が存在する以上、日米安全保障体制の下で核抑止力を含む米国の拡大抑止は不可欠でございます。
 そういった意味で、これも先ほど総理からお話があったとおりでございますけれども、この抑止力の維持強化を含めて、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら現実的に核の軍備管理・軍縮を前進させる、この道筋を追求していくことが適切であると、こういう考えに基づいて米国と引き続き緊密に連携していきたいと考えております。

#53
○森本真治君 そこで、もういつもですけれどもジレンマが発生してしまうという現実にぶち当たるわけでございますけれども、ただ、核軍縮を進めていく上で、核の、核兵器の役割を縮小させるということが重要だという答弁も前段ではあったわけでございます。
 ちょっと外務大臣、確認します。
 核の先制不使用も核兵器の役割縮小の中に入るということでよろしいですね。

#54
○国務大臣(林芳正君) いわゆる宣言政策ということでございます。これは様々な御意見があるところでございますが、先制不使用ということは、まあ、ある意味では先ほど申し上げたこの役割や保有する動機といいましょうか、役割なんでしょうか、この低減の方向ということではないかというふうに考えております。

#55
○森本真治君 まあいずれにしても、御答弁でも認識していらっしゃいました、バイデン大統領がやはり核軍縮、核なき世界の実現に向けての同じ方向を向いているというような趣旨の答弁をいただいたというふうに思います。
 万が一にも、そのアメリカのそういう方向に日本が足かせになるようなことだけは絶対になってはいけないということでございます。現実のもちろん安全保障の問題がありますが、核抑止ということがこの今の安全保障上どこまで有効なのかという様々な議論も行われている中で、総理始め外務大臣もしっかりと、アメリカ政府とも真剣に核のなき世界の実現に向けての観点での議論というものもしっかりやっていただくことを期待をしたいと思います。
 冒頭に、岸田総理から世界の指導者、被爆地訪問というような意義も述べられていらっしゃいました。今、広島県、広島市が二〇二三年のG7サミット、この広島開催を求めています。ここには、核兵器保有国、アメリカ以外の指導者もここには参加するということでございます。
 是非、岸田総理、このG7広島サミットの開催、さらにはバイデン大統領の被爆地訪問ということも今度の日米首脳会談でも是非要請をしていただきたいというふうに思いますが、総理のお考えをお伺いします。

#56
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、森本委員の方からこのテーマ取り上げて議論していただきました。
 先ほど来の議論聞いておりまして、やはり現実的な我が国の取組として、核兵器の数の低減と、そして役割の低減と、そして動機の低減、私はこれは三つの低減と申し上げておりますが、この三つを同時並行的に下げていくこと、これが現実的な取組であるということを改めて感じています。そして、そうした取組を進めるに当たって、世界の指導者に原爆の実相にしっかり触れてもらうということ、これは大変重要なこと、そして意義あることであると思います。
 お尋ねのあった二〇二三年のG7サミット開催については、これ今各自治体に対し誘致の希望を募っているところであります。現実、今三つの市が手を挙げているという状況でありますので、来年六月末にドイツで開催されるG7サミットまでに適切に判断したいと考えております。

#57
○森本真治君 もう繰り返しです。バイデン大統領がアメリカの大統領をされているときが、そして岸田総理が総理をされているときが、この核軍縮、核なき世界の実現に向けて大きなチャンスだということ、私は強くそのことはお伝えをさせていただきたいというふうに思いますので、是非ともこれからも、私も国会の立場から政府に対しては意見を申し述べさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 新型コロナ感染症対策についてお伺いします。
 これも、これは先週の金曜日、総理がオミクロン株の拡大を受けて包括強化策を発表したとの報道を見ました。ちょっとこれ、山際大臣の方になりますでしょうか、ちょっとこの包括強化策の概要について御説明ください。

#58
○国務大臣(山際大志郎君) 失礼いたしました。
 まず、総理の方からは、ワクチンの三回目接種に関しまして医療従事者と高齢者約三千百万人を対象に前倒しをすること、そして、検査については年内から全ての都道府県で予約不要の無料検査を開始できるように準備を進めること、そして、三番目といたしまして飲める治療薬、飲み薬でございますけれども、今週の専門家会合で可とされれば速やかに承認して、年内から医療現場に届けることでございます。

#59
○森本真治君 この強化策、三つの柱ということで今御説明いただいたんですが、ちょっと私が気になるのが人流、人の流れですね。今もうオミクロン株は市中に入ってきている状況で、これから感染拡大をするというのは過去の例から見ればもうこれはほぼほぼ予想が付くような状況の中で、今の三つは、医学的にとかですね、そういう中での対応ということはあるんですけれども、人の流れを、これまででしたら、例えば行動自粛というようなこと、時短とかですね、いろんな取組をされていたんですけれども、私も今週末、地元広島戻ったときに、ちょっと会合で市内出ました。相当な人出、久しぶりにタクシーがいないという状況でございました。
 これから忘年会シーズン、さらには年末年始、相当の人出がこれから予想されます。このところについては何も対応を取らなくてよろしいんでしょうか。

#60
○国務大臣(山際大志郎君) 先生のおっしゃるように、相当人は社会に出ているということを我々も承知してございます、忘年会、あるいはクリスマスシーズン、年末年始、帰省等々もございますので。先ほど申し上げた三つのことに基づいてというか、その前提としてですね、我々国民一人一人が、いわゆる基本的な感染症対策ですね、手洗い、うがい、手指の消毒、あるいは三密を避ける等々ということをしっかりやるということがまず大前提になってくると思います。
 そして、総理から金曜日にお示しをさせていただいたこと等々をやっても、それでもなお感染の再拡大が見られる場合には、専門家の意見を踏まえつつ、国民の理解を丁寧に求めながら、行動制限の強化を含め機動的に対応していかなくちゃいけなくなると思いますが、現時点においては、この感染状況を踏まえて、行動制限の緩和の取扱い、これを変更することは考えておりません。

#61
○森本真治君 私は通常国会まで議院運営委員会の理事をしていましたんで、緊急事態宣言とかまん延措置の発出のときに西村大臣、当時とよく議論をしておりまして、自治体の皆さんからもいろんな声があった中で、やはりそういう発出をする対応が遅い、自治体の方では早め早めに対応したいけれども、国の方が、一定の基準の中で、自治体の方から要望してもなかなかそれ発出してくれないというようなことが繰り返されたんですね。それで結局後手後手に回って、また感染拡大を招いたという苦い教訓があるわけですね。
 状況を見てそれから考えるでは私は遅いと思いますよ。感染拡大が広がっていったら一気に広がりますからね。その前に対応を取るということをしっかりと、やっぱり大臣、考える必要があると思いますよ、これもう年末になる前に今から専門家ともしっかりと議論して。もう一度お願いします。

#62
○国務大臣(山際大志郎君) それはもう先生おっしゃるとおりでございまして、専門家の皆様方ともコミュニケーションはしておりますし、また、地方自治体の皆様方とも密に連携を取りながら、岸田内閣で言っているように、特にオミクロン株、どういうものか分からないというところまだありますから、これは最悪の事態を想定して、早め早めにしっかり対応できるように臨んでまいりたいと思います。

#63
○森本真治君 やりますやりますという中で、あと、その判断、結果ということについても我々は厳しく国会の中でも見させていただきたいということをお伝えさせていただきます。
 ワクチンの接種について、先ほど山際大臣から少し方針示されましたけれども、堀内担当大臣、この三回目の接種について改めてちょっと、もうちょっと詳細に、この方針決まってきているんだと思うんですけれども、改めて御説明ください。

#64
○国務大臣(堀内詔子君) ワクチンの接種の前倒しにつきましては、重症化をしやすい高齢者施設の方々、それを優先に、そして医療従事者の方を優先に決めさせていただきました。

#65
○森本真治君 そこまで、決まっているの、今。重症化の方しか決まっていない、今。

#66
○国務大臣(後藤茂之君) 追加接種の範囲等については厚労省の所管でございますんで、私の方からお話をしたいと思いますが、高齢者の皆さんに対して重症化リスクが高いという方たち三千百万人を対象としまして接種間隔を前倒しするということは今、堀内大臣から答弁のあったとおりです。
 具体的には、医療従事者等や重症化リスクの高い高齢者施設入所者などについては接種間隔を二か月前倒しして六か月間に短縮する、それから、来年二月以降にその他の一般高齢者については接種間隔を一か月前倒しして七か月に短縮することといたしております。
 現状で全国民を対象に接種間隔の前倒しを行うことは、ワクチンの確保あるいは体制等を考えまして難しい状況でありますんで、そのことは御理解いただきたいと思います。

#67
○森本真治君 ちょっと整理しますけど、ワクチンの接種計画、供給の対応、接種計画をどうするかということは、これ、担当大臣ではなくて厚労大臣、担当大臣でいいんですよね。
 ちょっともう一度、この後の質問で大臣にはどのようなことを質問していいのかどうか、ちょっともう一度。

#68
○国務大臣(堀内詔子君) 私自身は、自治体への供給、そういったものを中心に担当させていただきまして、今回は、前倒しの配送計画五百万につきまして近日中に自治体にお知らせするということが今回の前倒しについての担当でございます。

#69
○森本真治君 配送計画を作って、自治体の方にそれを通知して、で、自治体の方でいろんなお困り事があった場合のその対応をするのは堀内大臣でいいんですか。

#70
○国務大臣(堀内詔子君) 前倒しをして自治体にお配りする配送計画をこれからいたします。そして、いろいろなお困りなことがありましたら、場合によってケース・バイ・ケース、お困りのケース・バイ・ケースでございますが、しっかりと厚労省と連携しながら自治体の皆様方の御意見をお伺いしてまいるといったのが私自身の役割でございます。

#71
○森本真治君 というのが、これ、一回目、二回目の接種のときに相当自治体が混乱したんですよ。私のところにもいろんな要請が来ました。そこを改善しないと三回目にも同じ混乱が起きる可能性があって、それを堀内大臣の責任で対応するということでよろしかったという今の御答弁だったと思いますので。
 一回目、二回目の接種の際、この自治体の混乱の声、政府にも届いたと思うんだけど、どういう声があって、今回の三回目接種に対してはどう対応されようとしているのか、お答えください。

#72
○国務大臣(堀内詔子君) 一回目、二回目の接種のときには、予約が停止になるなどといったことで国民の皆様方に御迷惑をお掛けしたことがあったと存じております。今回は早め早めにスケジュールをお示しして、そしてお配りするワクチンの接種に備えていただこうということになっております。もう既に四千百万回のワクチンについては、その配送計画をお示ししたところでございます。

#73
○森本真治君 もう、それぞれの各自治体ごとにはもう通知は行っているということでいいですか。各自治体ごと。

#74
○国務大臣(堀内詔子君) 都道府県ごとにまずお示しを申し上げているといったところでございます。

#75
○森本真治君 今回、交互接種ということが推奨というか、これをやりましょうというような話も出ている中で、もう既にいろんなまた心配の声も入ってきているわけでございますけれども、例えばモデルナ製とファイザー製、副反応の違いがあったり、場合によって、もう打ちたくないと、その副反応の強い方のワクチンは打ちたくないというような声もあるのは、私のところにもそういう方々が周りにいらっしゃいます。
 政府としての、しっかりこの交互接種の安全性であったりとか三回目接種の必要性について、これはやっぱり国民の理解を求める必要があると思いますが、これは大臣。

#76
○国務大臣(後藤茂之君) 今委員からお尋ねの交互接種の問題でございますが、先月十一月十五日の厚生科学審議会におきまして、諸外国の取組の状況や有効性、安全性に関する科学的知見を踏まえまして、一、二回目の接種に用いたワクチンの種類にかかわらず、メッセンジャーRNAワクチン、すなわち現在承認されているものでいえばファイザーとモデルナのワクチンを用いることが適当であるというふうにされております。
 例えば、英国で行われた研究等でも、交互接種をした場合の安全性と効果につきまして、例えば、接種後七日以内の副反応は安全性の面で許容されるという報告、効果についても、抗体価は十分上昇したというふうに報告されておりまして、安全性と効果の面で非常に有効だというふうに考えております。

#77
○森本真治君 恐らく多くの、繰り返しですけど、多くの国民の皆さんが、やっぱりちょっと副反応、前回、一、二回目のときもやはり副反応結構大変だったという声も多くて、もうちょっとああいう高熱とか嫌だなという方もよくいらっしゃる。特に、片方の方のワクチンはそれがひどい、まあかなりというようなことで、交互接種だともういいやというようなことで、配分も前回とはかなり割合も変わってきているというようなこともあります。
 しっかりと機会を通じて、安全性とか、このことも含めて、事あるごとに、やっぱり自治体任せにせずに、しっかりこの接種を、余り強制はできないかもしれないけれども、やはりその重要性については、これはもう大臣、厚労大臣も堀内大臣もですね、しっかりとやっていただくということが必要だというふうに思いますので、よろしくお願いをします。
 子育て世帯への給付についてでございますけれども、今回、この国会での予算委員会の議論の中でも、当初の方針が変更になって、三種類の選択肢を自治体の方に求める、で判断してもらうということになりました。当初の政策目的、このクーポンを活用するということの当初の政策目的だったと思うんですけれども、この方針変更したことによって、この政策的意義への影響ですね、広島も、クーポンを使おう、導入するという自治体が今のところないようです。また、全国的に、いろいろネットで調べましたけれども、一つか二つの自治体がたしかクーポンというようなこともあったかなと思いますが、ほとんどがもう現金になりました。
 これ、山際大臣でよろしいですか、そのことについてどうお考えになるか。

#78
○国務大臣(山際大志郎君) どの程度の自治体が現金で給付を行って、どの程度がクーポンになるかということはまだ全部分かっているわけではないんですけれども、どちらのやり方を選択していただいたとしても、我々の考え方としては、子供たちに対して子育て支援をしていきたいということでこれ始めたことでございまして、その趣旨というものは何も変わっておりません。
 ですから、その我々の考えている子供たちに対して支援をしたいということがしっかり行われるように、自治体とよりコミュニケーションを取りながらやりたいと思っております。

#79
○森本真治君 子供たちに使うために、より限定的に使えるようにということでクーポンの導入だったと思うんだけれども、もうそれが現金になると、どのように使われるのか、さらには貯蓄に回るのではないかという懸念もあってのクーポン導入だったと思うんですが、もうお願いベースでしかなくなったということですよね。それをやってくださいということですね。
 これはやはり政策的な意義という部分については大きな影響だと思うんですけれども、改めて大臣、よろしくお願いします。

#80
○国務大臣(山際大志郎君) もちろん、現金ということになれば、ある一定程度それが貯蓄に回るということも考え得ると思いますし、また、我々が考えているその子育て支援ということとは直接関係のないことに消費されるということもゼロではないというふうに思いますけれども、私たちとしては、しかし、そうはいっても、子供を育てていらっしゃる家庭にお配りをするわけですから、子育て支出というのは当然子育て世代には必要なものでございますので、それに使っていっていただけるようにしたいと思いますし、そういうふうに使っていっていただけるように期待したいと思っております。

#81
○森本真治君 我々も、やはり迅速性とか手間のことを考えたときに、やはり現金で速やかに、これはもう年度内にということを、できるだけということを優先して我々も現金ということを主張させていただいた経過もありました。当然、子供たちのためにそれを使おうというようなことについては我々としても責任があるわけでございますが、政府の方も我々の意見も取り入れてこのような対応にしていったということでございますが。
 このクーポンを導入する際に掛かる事務経費が大体九百億円というふうに当初計上されておりましたけれども、ほとんどの自治体が、今調べる限り、マスコミなんかも各県の自治体調べていますが、相当この経費については執行残というか、掛からないんではないかというふうに思うんですが、この経費を流用というかですね、例えば今対象外になっている子供たちに対して流用するというようなことは、大臣、これ是非やってもらった方がいいと思うんですけれども。

#82
○国務大臣(山際大志郎君) 繰り返しの御答弁になりますが、まだ地方自治体の中でどれほどの自治体がクーポンを利活用するか、あるいはクーポンIDのようなデジタルを利活用するかということも全部分かっているわけではありませんので、なので、現在のところ、その流用という言い方はおかしいと思いますが、対象外のことにそれを使っていくことは政府としては考えておりません。

#83
○森本真治君 まあ今はそうかもしれないけれども、ここは方針というか、ただ、これ相当お金がこれ使わなくなるという中で、もう今こういう状況の中で国民生活をしっかりと守っていくというのが第一優先であれば、年度途中でもそういうことも考えていくということも、今自治体の方でもう独自に対象外の方々にも自治体の財源でやるというところが出始めていますから、後からそれを措置するとか、そういうことも検討する必要があるんではないかというふうに思います。
 もう一つが、直接的なその子供たちのためということであったら、これ文科大臣になるかもしれませんが、私は、例えば今、給食費であったり学用品ですね、これは年度内のその例えばランドセルとかそういうこともあったし、今伺った、例えば修学旅行の積立てなどもできなくて修学旅行にも行けないというようなお子さん方もいらっしゃるのであれば、もうそこを保護者負担にしない、そういうところはもう財政的に国なり自治体がしっかり持つということが私は一番の子供と子育て世代への応援になる、子供たちのために使えるというふうに思うんですけれども、ちょっと山際大臣と調整してもらってそういうようなことも是非考えていただきたいんですが、文科大臣。

#84
○国務大臣(末松信介君) 現時点でなかなか明確、明快な答弁というのは難しゅうございます。
 家庭の状況にかかわりませず誰もが質の高い教育を受けられる状況を整備することは、先生おっしゃったとおり、大変重要なことだと思うんです。私自身は、経済格差が教育格差につながるというのは一番避けなきゃならぬことだと思います。それに従って今まで、幼児教育から大学教育まで無償化や実質無償化や減免や猶予や、いろんなことをやってまいりました。
 今先生お話ありましたけれども、このため、その義務教育の段階では、家庭の経済状況が厳しい児童生徒に対して市町村が給食費や学用品等を補助する就学援助を実施はいたしてございます。先生御承知のとおりです。そのうち、生活保護の対象となる要保護者への支援につきましては国が経費の二分の一を補助しており、これまで支出の充実を図ってございます。
 先生今お話がありました修学旅行費につきましても、単価は上げていっています。二万一千八百九十円を二万二千六百九十円、八百円上げました。オンライン学習通信費も、小中で一万円を一万二千円までこれ幅を上げてございます。そして、高等学校の段階におきましては、低所得世帯に対して学用品など授業料以外の教育費に充てるための高校生の就学給付金を支給しておりまして、その充実を図ってきているところでございます。
 先生今話がありました、給食費のことをおっしゃったと思うんです。私もいろいろと調べてみましたんですが、より幅広い対象者に支援をするべきという意見がございます。相当規模の追加的な財政支出が必要となりまして、私は、それこそ総理おっしゃるように、優先順位をやっぱり慎重に検討しなきゃいけないと思うんです。
 義務教育段階での給食費を完全に無償化した場合、少なくとも四千億円以上の予算が必要となります。厳密に申し上げましたら、年間、小学生、四万七千七百七十三円掛ける六百二十八万人で三千二億円、中学生で五万四千三百五十一円、年間です、二百五十四万人掛けて千三百八十億円。四千三百八十六億円、まあ試算ですよ、あくまで試算です、四千四百億円近いお金が掛かってくるということですから、私は、やはりこのことは先生も一緒に考えてもらいながら、全員で、与野党考えを共有しながらやっぱり進んでいかないと、この給食費に限っては、ここだけというのはなかなかまだまだ難しい問題があろうかと思ってございます。
 いずれにしましても、精いっぱい整備に努めて努力をいたしてまいりたいと思います。

#85
○森本真治君 今回は緊急措置というような感じで、コロナ対策ということで一時的なこと、そして例えばこの給食費などは恒常的な話ではあるけれども、そもそもそういう教育費なり子育てに掛からない、係るコストが元々掛からないそういう日本であれば、緊急的にこういうことで、しかももう場当たり的と言ったら語弊があるけれども、いろんな制度を設計していろんな課題が出てきて変更したりというような混乱は来さない。そういう面では、日頃からやはり国民の皆さんの生活をしっかりと、子供たちを守るということにしっかりと、これがやはり分配政策、新しい資本主義の中での私は岸田政権としての一つのやっぱり取組にもなっていくんではないか、そのことも申し上げたいというふうに思います。
 新しい資本主義についてもいろいろ議論がしたかったんですが、ちょっと時間が残り少ないんで、国交省データ書換え問題について斉藤大臣の方にお伺いします。
 この間、第三者委員会でしっかり検証すると、しかも一か月以内にですね。当然、これは通常国会、本予算審議の前には結果を出してもらって、我々は集中審議をしなければなりません。もう年末年始も入ります。土日も過ぎまして、二日、三日ありましたから、もう第三者委員会の概要固まっていると思いますが、御説明ください。

#86
○国務大臣(斉藤鉄夫君) まず初めに、かつての国土交通省所管の統計処理の中で不適切な処理があったということについてはおわびを申し上げます。
 総理からの指示を踏まえまして、統計の専門家だけではなく元検事や弁護士を入れた第三者委員会を私の下に立ち上げます。第三者委員会においては、経緯や原因の検証を行った上で一か月以内にまとめていただき、その結果を統計委員会に報告し、再発防止及び政府統計の信頼性確保に向け取り組んでいきたいと思っております。
 今、その設置に向け今どんな状況かということでございますが、具体的な検証事項や体制について今鋭意検討を進めているところでございまして、できるだけ早い時期にその体制を発表したいと、このように思っております。

#87
○森本真治君 総理から一か月以内という指示があって、先ほど申しましたとおり、もうこれ年末年始に入って、本当にこれ危機感を持って、スピード感を持って対応されないと、これは我々も年明け以降の国会、相当我々としても厳しい姿勢で臨まざるを得ないということだけは是非大臣にもお伝えさせていただいて、これは参考人の方で結構ですが、検証はどうせ第三者委員会でするんだけど、事実関係などはしっかり国会の方には説明してもらって、国会は国会として行政を監視しなければいけないという役割があります。
 一つだけ、これはちょっと資料も出していただきたいんで今答えていただければ。令和二年一月から令和三年三月のこの間の二つの基準のデータがありましたね。このデータでどのぐらいの差が出たんですか。そこだけちょっと、これは事実関係だから説明できるでしょう。お願いします。

#88
○政府参考人(瓦林康人君) お答え申し上げます。
 令和二年一月分から令和三年三月分の十五か月間の受注実績につきまして元請受注額の一月当たり平均でお示ししますと、新たに改善した方法による値は約五・八兆円、従前の方法による値は約四・六兆円となってございます。

#89
○森本真治君 これ、一か月で一・何兆円でしたね。ということは、十五か月、ここだけ見てももう十兆円以上の差が出ているわけですね。
 山際大臣、GDPに与える影響は軽微だというようなことも言われていましたけれども、これ、これだけでももう十兆円以上の差が出ていますよ。これ、相当な影響があるんじゃないですか。

#90
○国務大臣(山際大志郎君) この場でGDPの推計方法を話し出すと物すごく複雑なのでなかなか難しいんですけれども、当然生の値というものをそのまま使っているわけでもありませんし、そもそもこの受注統計を、それを使っている、GDPの推計に使っているわけでもないというのは以前から御答弁申し上げている次第でございまして、生の値は今のように月に一・何兆円ということ、私も今日初めて聞きましたけど、その話は。それが直接使われているわけではないので、最終的な計算をしていくと非常に軽微なものになるということでございます。
 もし詳しくということでございますれば、政府参考人あるいは私の方からまた御説明をさせていただきたいと思います。

#91
○森本真治君 終わりますが、最後に一言だけ。
 第三者委員会の検証は検証、だけどもそれが、今回のこの改ざん問題が与える影響というのはこれは国会でしっかりとやっていかなければならないということで、改めて集中審議ですね、この予算委員会、それは国交省だけではありません、影響が出てくる様々な関係者も招いての集中審議をお願いをして、質問を終わります。

#92
○委員長(山本順三君) 以上で森本真治君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────

#93
○委員長(山本順三君) 次に、若松謙維君の質疑を行います。若松謙維君。

#94
○若松謙維君 公明党の若松謙維です。どうぞよろしくお願いいたします。
 コロナ対策とワクチンについてお尋ねをいたします。
 先週、公明党医療制度委員会を開催し、新型コロナウイルスに対する高リスク及び免疫不全の方々に対する有用な予防薬として、米国でアストラゼネカ社AZD7442の緊急使用許可が承認されたことを学びました。
 中等症から重症の免疫不全の方々やアレルギーやその他疾患の治療等でワクチンを使用できない大勢の方々たちにとっては待望の予防薬であります。特例承認に向けた取組を早急に行うとともに、諸外国においてもニーズが高まりつつあるAZD7442の早期確保を行うべきと考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。

#95
○国務大臣(後藤茂之君) 今委員の御指摘がありましたように、アストラゼネカ社が開発している中和抗体薬AZD7442については、本年十二月八日に米国において緊急使用許可、EUAを受けたというふうに承知をいたしております。本剤の特徴は先ほど御指摘のあったとおりでございます。
 製薬企業から承認申請がなされた場合には、PMDAにおいて優先かつ迅速に審査を行いまして、有効性、安全性が確認されれば速やかに日本においても承認の手続を進めていく予定でございます。
 引き続き、医薬品を必要とする方々に速やかにお届けできるように、厚生労働省としても必要な支援を行いまして、早期の実用化、更なる確保に取り組んでまいりたいと思っております。

#96
○若松謙維君 新しい資本主義と新しい行政の役割について総理にお尋ねいたします。
 公明党は、人間主義の政治を貫き、人的資本、いわゆる未来への人的投資に積極的であり、岸田総理の掲げる人重視の新たな資本主義の実現に大いに期待いたします。
 そして、新しい時代を切り開くためには、社会全体の様々な新たな課題にチャレンジしていく必要があると考えます。このため、新しい資本主義を進める中で生じる様々な課題に対して、従来の縦割りを排して有機的に取り組む新しい行政組織の在り方を議論し、模索するべきではないかと考えますが、総理、いかがでしょうか。

#97
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、新しい資本主義を実現する際には様々な課題にチャレンジをしていかなければなりません。
 その中で、行政組織ということで御質問いただきましたが、そもそもこの新しい資本主義、十月に全閣僚で構成する実現本部を設置したわけですが、その本部においても縦割りを排し、政府全体として取り組む、こうした方針を確認しているところですが、その新しい資本主義の鍵でありますデジタルトランスフォーメーションについて、規制と制度と行政、この三つ、これ三位一体で改革を実現していくということでデジタル臨調において検討を進めているところです。
 その中で、その検討の一環として許認可手続や補助金申請など、デジタル時代に合った行政の在り方、これをしっかり追求していかなければならないと思っています。こういったこの仕掛けの中で、御指摘の行政についてもしっかり在り方を検討していきたいと考えております。

#98
○若松謙維君 総理の目指す新しい資本主義、いわゆる人重視政策は、人を大切にする社会や経済をつくるため、子育て、教育、少子化対策を国家戦略に据える必要があると考えます。また、十二月九日の衆議院本会議での我が党の石井幹事長の質問に対して、総理は、子供中心の行政を確立するための新しい行政組織を設置すると答弁されました。
 国会として、この新しい行政組織を、国、どのように戦略的に取り組むのか、また、現在創設を目指しているこども家庭庁はどのような組織を目指し、どのような役割を果たすのか、総理にお尋ねいたします。

#99
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 子ども・子育て支援は政府にとって最重要課題の一つであり、これまでも安定財源を確保しつつ、様々な支援を行ってきたわけですが、長期的視野に立って強力に進めていくための基盤として、子供目線に立って、そして縦割りを排した行政とすべく、司令塔となる新しい行政組織、これを設置することとした次第です。
 この新しい行政組織の取組ですが、司令塔機能ですとか政策立案機能の強化、さらには新規の政策課題への対応を図るとともに、子ども・子育て支援を一元的に実施する、こうしたこととしております。そして、新しい行政組織の発足を待たず、来年度より関係部局を増員し、子供政策、強力に進めていきたいと考えております。

#100
○若松謙維君 国家戦略でもあります子育て、教育、少子化対策は、国が主導するのみならず、地方でも自律的に推進する必要があると考えます。このため、今後の地方創生への主軸に子育て、教育、少子化対策を据えるべきではないか。
 例えば、妊娠、出産、子育て、教育等の子供をめぐる様々な問題に対応できるワンストップの窓口、仮称ですが、子供オールインワン部又は課を設置するなど、地方自治体が子供支援機能を充実強化させるためのサポートを国がしっかり行うべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。

#101
○内閣総理大臣(岸田文雄君) もとより、地方創生の観点から子ども・子育て支援を考える、こうしたことは重要であると認識をしております。そのために、結婚、妊娠、出産、子育てに関する地方自治体の取組を支援するために、この地域少子化対策重点推進交付金、こうした交付金を設けており、今回の補正予算においても三十億円計上しているところです。
 そして、この安心した子育てを可能にするためには、妊産婦に対する母子保健と子育て世帯に対する児童福祉、これを再編し、一体的に相談体制を、相談支援を行う、これが重要であると考えております。このため、市区町村による一体的な相談支援機能を有する機関として、これは仮称ではありますが、子供家庭包括支援センターを設置することとし、児童福祉法の改正について検討を進めているところであります。

#102
○若松謙維君 次に、デジタル田園都市国家構想について、その実現に向けて、産官学の協力による人材育成とその基盤整備を地域で推進することが重要と考えます。
 総理が先日訪問した福島県会津若松市、昨年十月三十日の参議院本会議で山口代表が、福島県をデジタル化実証推進県として先行拠点に位置付けるべきと問われまして、当時の菅総理が先行的な自治体の取組として十分配慮すると答弁された経緯があります。まさにこの好事例では、スマートシティーを推進して、関係人口を受け入れるハブセンターの整備を増やし、産官学の連携による人材育成を実際に進めております。
 デジタル人材を地方で育成、輩出するためには、会津のような先進的な取組に集中的に支援を行い、成功モデルとして全国に横展開することが総理の目指す構想実現への近道になると考えますが、総理、いかがでしょうか。

#103
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先日訪問いたしました福島県会津若松市では、ICTオフィス、AiCTを視察し、また、会津大学でデジタルを学ぶ学生の皆さんと車座対話、こうしたことも行わさせていただきました。このAiCTにおいては、数十社の企業が誘致され、全国から学生が集まる大学からベンチャー企業が生まれるなど、次々に新たなビジネスと雇用が生まれる、こうした好循環が実現されているということを実感して帰ってまいりました。
 こうした会津若松市の取組、これはモデルと言っていいと思います。そして、全国の地方都市に同様のモデルを展開する、そのための手法についてデジタル田園都市国家構想会議でこれを検討していきたいと思います。
 そして、こうした横展開を図るためにも、この先進的な取組を全国で実装していくためのこの基盤、デジタル基盤として光ファイバー、5G、こうした基盤をしっかり国として責任を持って全国に展開していく、こうした取組が重要であると考えております。

#104
○若松謙維君 国際教育研究拠点についてお尋ねをいたします。
 東京電力福島第一原発の廃炉を始め多くの課題を抱える福島の復興再生に向けて、国際教育研究拠点に寄せられる地元の期待は大変大きいものがあります。
 十一月二十六日、公明党復興加速化本部として帰還困難区域を抱える四市町を視察し、先日、内堀知事からも既存の各省庁施設の寄せ集めのスクラップ・アンド・ビルドではなく、新拠点で初めて取り組む目玉となる研究内容を打ち出すよう要請がありました。
 こうした地元の期待や要望を踏まえ、どのような研究拠点を目指し、福島の復興につなげていくのか、総理にお尋ねいたします。

#105
○国務大臣(西銘恒三郎君) 先生御指摘のように、先月の二十六日、福島県の内堀知事から私に対しまして国際教育研究拠点の具体化に向けた要請がございました。
 新拠点における研究につきましては、先月の二十六日、復興推進会議において、総理から関係大臣に対して、自らのプロジェクトとして国の内外に誇れる研究テーマの具体化を指示されております。現在、関係省庁一丸となって検討を進めているところであります。
 地元の高い御期待に応えるべく、まずは年度内、三月末までに基本構想において福島の夢や希望となるような拠点の姿をお示しできるように全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 以上です。

#106
○若松謙維君 本年三月十七日の予算委員会で、私は、災害時の避難所運営は物資の供給も行政任せで、その結果、被災地に我慢を強いると、こういう問題を指摘いたし、さらに、行政、民間企業やNPO等、多様な主体と災害発生前、発生時、発生後の連携をすることを前提として、より効率的で質の高い被災者支援が行われる行政づくりのため、内閣府主導で関係省庁、民間団体とじっくり中長期的に備えて検討する場を設置を求めました。
 その後どの程度検討が進んでいるのか、二之湯大臣、答弁お願いします。

#107
○国務大臣(二之湯智君) 自然災害が起きた場合、その被災地の復旧の段取りとかあるいは避難所の運営等については非常に難しい問題がいろいろとあるわけでございます。そのために、平時から非常時においてそういう準備をしておく必要があると思うわけでございます。
 防災対策は地方自治体だけではなかなか大変でございますから、この地縁団体等とかですね、あるいは福祉団体、さらにはNPOとかあるいはこの民間の団体とか、いろいろと密接に連携し協力しながらその非常時の体制を整えておかなければならないと、このように思っているところでございます。
 本年五月に取りまとめられた有識者会議の提言においても、避難生活に関する非常に高い技能を持ったボランティアやNPO等の団体と常に連携を深め協力をして、そして支援体制を確立していくことが非常に重要であると指摘されているわけでございます。
 先生御指摘の、より効率的で質の高い被災者支援の仕組みづくりを中期、長期的に検討する場につきましては、その設置に向けて、現在、有識者の御意見も伺いながら議題や論点等の整理を行っているところでございます。来年度の早い段階で検討の場が設置できるよう準備を進めております。
 以上でございます。

#108
○若松謙維君 ありがとうございました。

#109
○委員長(山本順三君) 以上で若松謙維君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────

#110
○委員長(山本順三君) 次に、浜口誠君の質疑を行います。浜口誠君。

#111
○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。おはようございます。
 まず最初に、日本銀行黒田総裁にお伺いしたいと思います。
 今、国、地方合わせた債務残高、約一千二百兆円まで膨れ上がっております。また、今回の補正予算についても、いわゆる赤字国債、約十九兆円ですね、財源を確保して編成していると、こういう実態にあります。一方、日銀の総資産については、対名目GDP比が足下では約一三五%と過去最大まで、こうなっております。
 そこでお伺いしますけれども、アメリカとかEUの中央銀行における総資産と名目GDP比、どのようになっているのか、その実態と比べて日銀の今の状況をどのように評価されているのか、総裁の受け止めをお伺いします。

#112
○参考人(黒田東彦君) 各国のこの中央銀行の総資産の名目GDP比率につきましては、比較可能な二〇二一年九月時点におきまして、米国のFRBが三六%、欧州のECBが六六%、日本銀行が御指摘のとおり一三五%であります。
 日本銀行を含めてどの国の中央銀行も、自国の経済、物価の安定を実現することを目的として、それぞれの置かれた状況に応じ、最も適切な政策運営に努めております。日本銀行の資産規模が近年大きく拡大しておりますけれども、これは二%の物価安定の目標の実現を目指して大規模な金融緩和を行っている結果であるというふうに認識しております。
 もちろん、総資産の拡大は日本銀行の財務にも影響を与え得るわけですので、それが、ただ、それがその金融政策や金融システムの安定のための政策の遂行力に影響するとは考えておりませんが、やはり日本銀行としては、引き続き、財務の健全性にも留意しつつ、適切な財政、失礼、適切な金融政策の運営に努めてまいりたいというふうに考えております。

#113
○浜口誠君 ありがとうございます。
 ほかの国と比べて非常に日銀の総資産の対名目GDP比高いという実態にあります。
 そこで、いわゆるテーパリング、量的緩和の縮小、出口戦略、どのように考えていくのか、この点をお伺いします。

#114
○参考人(黒田東彦君) 御承知のように、各国中央銀行は、ほとんど全て二%の物価安定の目標の実現を目指して金融政策を運営するということをしております。
 そうした中で、御案内のとおり、米国は消費者物価の上昇率が七%近くになっていると。それから、EUで、ユーロ圏ではですね、それが五%近くなっているということで、それぞれ、特にFRBはテーパリングを始めて、それを来年の三月ぐらいまでに終了するというようなペースに加速するということを決めたばかりであります。
 ただ、我が国の場合は、消費者物価の上昇率、今ゼロ%程度あります。これは、携帯電話通信料の引下げが約一・五%ぐらい物価上昇率を押し下げているわけですけれども、そういうことをいろいろ考慮しても、やはり実力としての、一時的な要因とかその他除いてみても、消費者物価上昇率は今のところ〇・五%ぐらいだと見ておりますので、二%の目標にはまだ相当遠いということでありますので、現時点でその正常化とかそういうことを、プロセスとか具体的な政策を考えるという時期ではない、まだ時期尚早だというふうに考えております。
 ただ、当然のことながら、二%に近づいていくという時点では、どのようにこの大規模な金融緩和政策から変えていくかと、調整していくかという正常化のプロセスが議論になると思います。
 ただ、先ほど申し上げたように、現時点では欧米と違いまして物価上昇率は極めて低い状況ですし、いわゆる予想物価上昇率も極めて低いということですので、まだまだ当分大幅な金融緩和を粘り強く続けていくというフェーズではないかというふうに考えております。

#115
○浜口誠君 やっぱり出口戦略もこれしっかり総理、考えていただく必要が当然あると思いますので、いろいろ御説明ありましたけれども、今後の状況を見ながら、出口戦略についても、政府、日銀でしっかり御検討いただきたいというふうに思っております。
 一方で、財政健全化についてはいろんな御意見あります。積極財政、MMTを主張される皆さんもおられますし、これまで同様の財政再建を求める声もある。また一方で、日銀が保有している国債の一部を永久国債化して現実的な第三の対応を探るような、こんな動きもあります。
 そこで、黒田総裁にお伺いしますが、日銀総裁として財政健全化についてどのようなお考えをお持ちなのか、お伺いしたいと思います。

#116
○参考人(黒田東彦君) もとより、この財政運営につきましては、政府、国会の責任において行われるものでありまして、具体的にコメントすることは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げますと、やはり中長期的に財政健全化について市場の信認をしっかりと確保することは重要であるというふうに考えております。
 金融政策は主としてこの金利を通じて経済、物価に働きかけるものでありますので、財政に対する信認が維持される下で安定的に国債金利が形成されるということは、日本銀行が適切な金融政策運営を行っていく上でも大事なことであるというふうに考えております。

#117
○浜口誠君 ありがとうございます。
 続きまして、話題変えます、燃料価格の引下げ。
 これは先回も議論させていただきましたけれども、やはり我々国民民主党も、十二月の六日にトリガー条項凍結解除法案を提出をしました。このトリガー条項が一番燃料価格の小売価格を引き下げるためには有効だというふうに思っております。ただ、政府はトリガー条項については否定的と。
 そこで、この小売価格を下げるためのもう一つの提案ということで、総理もお手元の資料あると思いますので御覧いただきたいと思いますけれども、これは、ガソリン始め燃料に課税されている実態です。いわゆる揮発油税と石油石炭税、こうした税に更に消費税が課税されて、いわゆるタックス・オン・タックス、二重課税というものになります。
 このタックス・オン・タックスをなくすだけで、ガソリンの価格において言えば、ここにあるように約六円、一リッター当たり小売価格を下げることができる。これ大変有効な手段だというふうに思いますので、是非、二重課税、タックス・オン・タックスの解消、これを是非やっていただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。

#118
○国務大臣(鈴木俊一君) 消費税が揮発油税等にも掛かり二重課税になっているのではないかという、そういう御指摘でございますが、揮発油税等の個別間接税は原価の一部を構成するものでありまして、消費税の課税標準である価格に個別間接税を含むという取扱い、これは国際的に確立したルールとなっております。そういうことを踏まえますと、このこと自体に特段の問題があるとは考えておりません。
 消費税は全世代型社会保障制度を支える重要な財源でございますので、消費税率を引き下げることは考えておりません。

#119
○浜口誠君 ガソリンだとか燃料に掛かっているタックス・オン・タックスだけなくしてくださいということなので、総理、いかがですか。

#120
○内閣総理大臣(岸田文雄君) タックス・オン・タックスということで申し上げるならば、今財務大臣から御説明させていただきましたように、国際的なルールを考えましても、二重課税、ガソリン税と石油石炭税に掛かる消費税の二重課税、これが特段問題があるというふうには考えておりません。
 要は、議論としてどういった政策が最も効果的なのかということだと思いますが、政府としては、できるだけ迅速にこの政策効果を発揮するためにも、そして、従来から申し上げております激変緩和措置、激変緩和措置、これを進めていきたいというふうに思いますし、その効果ということについては、小売価格の上昇が適切に抑制されるよう、全国数万の事業所を毎週調査して実効性を確保する、こうした取組とセットで行うことによってしっかりと効果を発揮していきたいと考えております。

#121
○浜口誠君 是非国民の皆さんの負担軽減という観点から、本当にこの燃料価格の抑制、引下げ、どうしていくのか、もう一度是非政府の中でもしっかり御検討いただくということを重ねて求めておきたいというふうに思います。
 それでは、次の話題に行きます。自動車のカーボンニュートラルについてお伺いしたいと思います。
 自動車について言えば、二〇三五年、新車全て電動車に二〇三五年までに切り替えていく、こういう方針が出されています。一方で、今、日本の発電分野、七五%火力発電です。さらに、雇用への影響ということを考えた場合には、電動化シフトと併せて、内燃機関、エンジン等の脱炭素化を図るEフューエルの開発ですとかあるいは水素エンジン、まさに幅広い選択肢を用意をしてそのベストミックスを考えていく、これが非常に重要ではないかというふうに思っておりますので、岸田総理、そして萩生田経産大臣、そして山口環境大臣、それぞれこの自動車産業のカーボンニュートラルについての御所見をお伺いしたいと思います。

#122
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、自動車産業のカーボンニュートラルについて、基本的な考え方ということについては今委員がおっしゃった考え方、これに私も同感であります。
 電気自動車等の電動化、水素、Eフューエル、こうしたあらゆる技術の選択肢を追求していく、これが基本的に重要であると考えております。二兆円のグリーンイノベーション基金等も活用しながら、幅広くイノベーション促していきたいと考えます。

#123
○国務大臣(萩生田光一君) 我が国の自動車産業のカーボンニュートラルの実現に当たっては、引き続き国際競争力を維持できるよう、電気自動車等の電動化に加え、合成燃料や水素の活用など、多様な選択肢を追求しながら戦略的に取り組んでいく必要があると思っております。
 具体的には、次世代蓄電池の開発に加え、例えば今先生おっしゃったEフューエルについて、二〇四〇年までの商業化を目指して、高効率な製造プロセスを確立するための技術開発や、二〇三〇年までに水素の供給コストを現在の六分の一程度に削減するため、液化水素運搬船を活用した海上輸送実証などを進めていきます。
 これらの目標の実現に向け、二兆円のグリーンイノベーション基金も活用しながら、それぞれの技術のイノベーションに官民挙げて取り組んでまいりたいと思っています。

#124
○国務大臣(山口壯君) 浜口先生御指摘のとおり、自動車産業のカーボンニュートラルの実現には様々な脱炭素技術の選択肢を追求することが重要だと思います。すなわち、電気自動車の方向というのもあると思いますけれども、その内燃機関を使ってハイブリッドあるいは水素自動車の方向というものもまた大事だと思っています。
 その意味で、環境省は、二〇三五年までの乗用車新車販売での電動車一〇〇%目標に向けて、今回の令和三年度の補正予算案にお願いさせていただいています新規事業によって、公用車や社用車にEVあるいはプラグインハイブリッドのこのPHEVを導入して、地域住民の足としてカーシェアにも利用していただく取組を進め、また、水素を使った燃料電池バスや燃料電池フォークリフトの導入支援や、あるいは水素内燃機関トラックの技術実証事業を実施します。
 ただ、この水素は若干大掛かりで、遠洋航海の船あるいは長距離のトラック、あるいは長距離のバス、あるいは長距離の列車、こういうものには有効のようですけれども、自家用自動車についてはこの電動車が世界の潮流という感があることも否めないかもしれません。
 日本の自動車産業として、カーボンニュートラルに向けた世界の大きな潮流の中で、自動車大国日本の堅持のために是非頑張っていただきたくて、環境省としても、関係省庁と連携させてもらいながら是非サポートさせていただければと存じます。

#125
○浜口誠君 ありがとうございます。今も、総理始め、ありがとうございました。
 今後、いろんな技術開発、莫大な開発投資必要になってくると思います。今、グリーンイノベーション基金二兆円規模ということですけれども、やはりここはもっと財政規模を拡大すべきだと。
 我々国民民主党は、こういったカーボンニュートラル関連で二十兆円規模の財政をやっぱり充てるべきだという提案もさせていただいております。引き続きしっかりと様々な開発支援、国挙げて応援していただくことを改めて求めておきたいというふうに思います。
 その一方で、この自動車は、LCAの考え方、ライフサイクルアセスメントで全ての工程における脱炭素化を図っていくことが大変重要だと思います。そのためには、中小企業、中堅企業を始め全ての工程に関わる企業の脱炭素化に向けた支援、これが大変重要に今後なっていくというふうに思っておりますので、このLCAの考え方に基づく脱炭素化支援の状況について、経産大臣と環境大臣にお伺いしたいと思います。

#126
○国務大臣(萩生田光一君) 委員御指摘のように、自動車の生産、利用、廃棄の全体で評価するLCA、ライフサイクルアセスメントでございますけれども、これを踏まえた脱炭素化が重要だと思っております。
 燃料製造や使用時のCO2を減らすため、蓄電池支援を通じた電動化の取組や再生可能エネルギーの導入拡大と、コストの低減等を通じたエネルギーの脱炭素化を進めてまいりたいと思います。また、車両の製造段階において、川上から川下まで、素材や部品を含めた自動車サプライチェーン全体の脱炭素化を進めることが重要です。
 今回の場合は、割と世界的な動きの中で、予見性を持ってそれぞれのメーカーの皆さんもいろんなことを考えています。間違っても、今まで一緒に物づくりをやってきた中小企業や地元の産業もしっかり連れていってもらわないといけないと思っておりますので、こういった技術も含めて、我々国として支援をしていきたいと思います。
 このため、今回の補正予算案で新設するものづくり補助金のグリーン枠や、カーボンニュートラル投資促進税制などによって、中堅あるいは中小企業の生産工程などの脱炭素化もしっかり積極的に応援してまいりたいと思います。

#127
○国務大臣(山口壯君) 御指摘のとおり、二〇五〇年のこのカーボンニュートラルに向けては、製品の原材料調達からあるいはリサイクルまでライフサイクル全体の脱炭素化を進めていくことが必要で、このためには、大企業のみならず、中小・中堅企業を含むサプライヤー全体の排出削減が重要だと考えています。
 そのためのソフト、ハード両面からの支援として、例えば自動車産業のサプライヤーも含めて、中小・中堅企業がどういうふうに排出削減に取り組むのかと、そういう相談に乗って、また、このガイドブックというものも作成して共有を図らせていただいています。
 また、令和三年度の補正予算案において、中小企業等のCO2削減型の設備の導入をこのCO2削減量に比例する形で支援する事業として新たにお願いさせていただいているところです。
 今後とも、こうした取組を通じて、中小あるいは中堅企業の脱炭素化の取組を後押しさせていただきたいと思います。

#128
○浜口誠君 最後にお伺いしたいと思います。
 内燃機関やエンジンを作る部品の企業の皆さんからは、やはり今回の動きを受けて、カーボンニュートラルを受けて、やはり不安の声も届いております。不安の声ですね、自分たちが作っている部品が将来なくなるんじゃないかと。
 こうした部品企業の皆さんに対しては、業態変更に向けた様々な投資を国としても応援していく、あるいは働く皆さんのいわゆる職業訓練ですね、リカレント教育やリスキリング、こういった公平な労働移行、失業なき労働移行ができるように国としてもしっかりサポートしていただきたいというふうに思いますが、最後に総理のお考えをお伺いします。

#129
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、関係しておられる中小企業・小規模事業者の方々については、事業転換の取組、これをしっかり支援しなければいけないということで、事業再構築補助金、こうしたものを活用して、今回の経済対策においてもしっかり支援をさせていただきたいと考えます。
 そして、今、職業訓練、この人材の方の話ですが、この産業構造の変化を踏まえた職業訓練の実施コースの設定等によって、地域の人材のニーズにしっかり対応した学び直しや職業訓練の支援を行って、円滑な労働移動、これも実現していかなければならないと思います。
 今回の経済対策においても、人への投資ということで施策パッケージ、総額で四千億を用意させていただきましたが、こうした取組等を通じて、こうした働く方々に対する不安にもしっかり応えていきたいと考えます。

#130
○浜口誠君 ありがとうございます。
 継続的な支援をお願いをして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。

#131
○委員長(山本順三君) 以上で浜口誠君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────

#132
○委員長(山本順三君) 次に、片山大介君の質疑を行います。片山大介君。

#133
○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。
 私はまず、先週末に公表されたワクチンの三回目接種の前倒しについて伺いたいと思います。
 対象者は、医療従事者やそれから施設の高齢者など、およそ三千百万人に上ります。それで、配付資料の一枚目でその内訳をちょっと書いたんですが、これ見ると、高齢者の中でもこれ二か月の前倒しや一か月の前倒しに分かれていますよね。これ国の在庫や海外からの供給との兼ね合いもあって対象をこのように絞るような形になったんだと思いますが、やっぱりそれでも、見ると分かりづらいですよね。
 それで、国のそのワクチンの配送計画は、この前倒しの計画とつじつまが合っているというか、合わせているんだけれども、これ実務を担う自治体の方は大変だと思うんですけど、そこはまずどのように考えているのかお伺いしたいんですが。

#134
○国務大臣(後藤茂之君) 今の配付された資料で整理されているとおりでございまして、運用の体制ということから考えますと、医療施設等につきましては、その施設単位での管理ができます。それ以外のことについて言えば、高齢者施設と施設以外という形で整理をして運用することになっております。

#135
○片山大介君 まあそうなっているんですけれども。
 それで、ただ、前倒しの期間というのは、イコール、これ、国の準備期間が短くなったということになるわけですよね、ああ、自治体の準備期間が短くなったということになるわけですよね。それで、自治体にとってみれば、打ち手の確保や接種券の配送など、そのリードタイムを短くしなきゃならなくなる。
 だから、自治体としての業務が大変になってくるんですけど、これ自治体への説明会、近々やるというようですが、いつ頃やる予定なのか、そして、その自治体の中には接種券の発送だとか打ち手の確保とか間に合わないところも出てくると思うんですけど、そういったときの対応をどのように考えているのか教えていただければと思いますが。

#136
○国務大臣(後藤茂之君) 自治体への説明会は、今週の金曜日に予定をいたしております。
   〔委員長退席、理事山下雄平君着席〕
 これまで、いろいろ前倒し、できるだけ早期にということで検討してまいりましたけれども、今、本当に片山委員が御指摘のとおり、自治体の体制の整備ということも非常に重要な問題で、そうした問題も併せながら安定的な執行ができるように図っていかなければならないと、そのように思っております。

#137
○片山大介君 例えば、大臣、じゃ、接種券の発送間に合わないような自治体の場合どのようにするんですか。どういうお考えですか。

#138
○国務大臣(後藤茂之君) 接種券が届かない場合ですね、間に合わない場合には、例外的には接種を可能といたしまして、後でその接種券をきっちり整理していただくことでよろしいということで、各自治体に対して事務運用の周知をいたしております。

#139
○片山大介君 いずれにしろ自治体の混乱は予想されるので、是非しっかりやってほしいですし、それから、供給という面でもやっぱり綱渡りにかなりなっていますよね。
 それで、今回、対象者に使われるファイザーのうち八百万回分というのはまだ輸入されてきていないんですよね。これ、契約上は来年一億二千万回分が入ることになっているというけど、具体的にいつかというのは決まっていないと。だから、これ、大臣は国のモデルナの在庫五百万回分使いますと、先ほど堀内大臣も言いましたけれども、言っている。それから、自治体に今残っている在庫八百九十万回分もこれ活用すると言っているんですけど、例えば、この自治体の在庫とか、これどう活用できるのか、これもう一回召し上げるのか、どう把握して活用するのか、そこら辺も自治体みんな気にしていると思いますけど、どうですか。

#140
○国務大臣(後藤茂之君) 自治体に既に既配付の分でお手元にある分については、それを改めてどこかへ集めるようなことはしないで、それぞれの自治体において、拠点等にある場合もあれば市町村にある場合もありますが、それを使っていただくということでお願いをいたしております。
 それから、八百万回分については、これは供給されることになっております。これは返事が企業の方から来ておりますので、そのことについてはまずは御安心をいただいて、我々としては、できる限り企業との間の交渉もしっかりやりまして、できるだけ早くに市町村の皆さんにワクチンの供給時期をお知らせしながら、先の見通しの付くワクチン接種ができるように努めてまいりたいと思っています。

#141
○片山大介君 例えば、堀内大臣、五百万回のそれはどういう段階で配送する計画か、言えますか。

#142
○国務大臣(堀内詔子君) 五百万回については近日中にきちっとお示ししようと思っております。そして、配送計画をお示しして配送してまいりたいと思っています。

#143
○片山大介君 是非しっかりやっていただきたいなと思います。
 それで、こういうときのために大切なのが各都道府県に割り当てられたワクチンの量を把握するこれV―SYSなんですけれども、システムなんですけど、今回の補正予算、これ五十七・一億円計上されていますが、これ何でこんなに掛かるのか教えていただけますか。

#144
○国務大臣(後藤茂之君) 今、片山委員が御指摘いただいたように、令和三年度補正予算額として五十七・一億円が今計上をお願いをしているわけでございます。
 この予算は、三回目の接種の前倒しに関する改修としては不要のものでございます。ただし、今後の接種のいろいろな体制整備のために、職域接種における接種計画の登録機能や小児用ワクチンの配分機能等、当初想定していなかったシステム改修を行うための予算でございます。一回目、二回目の接種で明らかになった課題をシステムとして改善するために計上しております。

#145
○片山大介君 要は、あれですよね、聞いたら、三回目の接種を想定していなかったということなんですよね。ですよね。どうぞ。

#146
○国務大臣(後藤茂之君) 時系列的に言えば、一、二回目を接種していたときに三回目のブースター接種が必要だったというふうには考えてシステムはつくっておりませんでした。

#147
○片山大介君 その後、これだけの多額の予算になりましたからね、まあ仕方ないと言えるかどうかですよね、ここはね。
 それで、あと、実際に今まだこれ改修しているというんですよね。だから、これが前倒しに間に合うのかどうか。それで、その一回目や二回目で指摘された不備というの、これ本当に直るのかどうか、使い勝手良くなるのか、これも現場にとって大切な問題なんですが、そこら辺どうでしょうか。

#148
○国務大臣(後藤茂之君) 接種の前倒しに関しては、今申し上げたシステムの改修は不要であるということでございますので、そのこととは分けて考えられると。
 それから、ちゃんとできるのかということについては、予算をこれだけいただいてやりますので、ちゃんとやれるようにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

#149
○片山大介君 是非ちゃんとやっていただきたいですし、それからあと、今回その前倒しから外れた人たち、例えばこれ職域接種なんかもそうですよね、こういう人たちについては今後は前倒しも検討していくことがあるのかどうか。これ、総理。
   〔理事山下雄平君退席、委員長着席〕

#150
○国務大臣(後藤茂之君) そうしたことについても検討をして進めていきたいと思っております。

#151
○片山大介君 是非、これだけの課題、今言っただけでもこれだけ課題があるので、是非しっかりやっていただきたいと思います。
 次に聞きたいのは、病院や高齢者施設での患者と家族の面会について聞きたいんですよね。
 これ、総理はおととい、報道写真展に行かれて、それで、コロナに感染した男性の家族が面会する場面の様子の写真御覧になったということですね。それで、この病院や施設での面会について、政府は先日、家族らとの面会を促す通知を出したんですよね。この通知の資料がこれ配付資料の二枚目なんですが、これ、ワクチン接種が済んでいることや検査で陰性であることを考慮した上で、できるだけ対面での面会の検討を促すように求めているとなっているんですよね。
 でも、通知では、ここにアンダーライン引いたんですが、各医療機関で検討することとなっています。実際のところは、現場ではその面会実施に踏み切れなかったり、依然として面会制限は厳しいといった声が多く聞かれるんですが、こういう実情を、総理、御存じですか。

#152
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 医療機関における面会、これは院内感染を防止するとともに、患者の方、また御家族の気持ちに配慮するという点で重要だと認識しております。そして、面会については、国では一律に面会について制限とかルール、こういったものを設けているものではないと承知をしております。
 その理由として、地域における発生状況ですとか、それから患者、御家族の体調、ワクチン接種歴、検査結果、こういった様々な要素がありますので、それぞれに丁寧に配慮した上で検討していただきたいという方針であるということは承知をしております。

#153
○片山大介君 総理、建前的にはおっしゃるとおりなんですが、ただ、それが実際にその現場レベルへ下りると、なかなかそれができないというのが現状なんですよね。
 国はほかにも、ワクチン・検査パッケージの活用としても面会を挙げています。それからあと、ワクチン接種や検査受けた人の都道府県をまたぐ自粛、都道府県をまたぐ移動というのは自粛要請にも含めていない、これも書いてある。だけど、実際に、地方の病院とか施設では東京に住んでいる家族の面会を禁止しているところだってまだまだ多いんですよね。
 だから、まずこういう現状を知っていただきたい。まずそこから始めるべきです。それが総理の聞く力だと思いますが、そこはどうお考えですか。

#154
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 私の親戚の中にも、委員おっしゃるように、面会制限を受けて、そして家族と会えない状況が続いている、こういった状況にある人間もおります。
 現実、大変な状況にあるということ、私も身近な例の中で感じているところであります。ただ、それに対して、一律のルールでということについてはなかなか難しい面もあるということは承知をしております。
 無料検査についても、委員も先ほど御指摘ありましたが、この医療機関での面会に際しての検査も、今回の無料での検査の実施の対象になるという形でできるだけ活用してもらうことによって、面会におけるより良い在り方について活用していただければと思っているところであります。

#155
○片山大介君 無料検査をこれから盛り込んでくれるという、これは私良かったと思います。ただ、あと、ほかにも国ができること何かといえば、例えば面会時のリスクの分析だとか、こういったことも国としては提供してあげる必要があるかなと思っています。
 これ、病院側の方も、実際に制限しているといっても、病院側の方も何か苦しい胸のうちだと言っていて、看護師さんなんかによると、家族からの要望に応えられないんでかえってストレスを感じたりだとか、家族の代わりに着替えを用意したりするなど、業務も増えているというんですよね。
 だから、これは何とかこういうのを改善できるように、負担を減らせるように、これは是非考えていっていただきたいと思いますが、最後に総理に一言聞いて、終わりたいと思います。

#156
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 面会というものの大切さに鑑みて、何ができるのか、これは是非厚労省を中心にしっかり考えていきたいと思います。

#157
○片山大介君 終わります。ありがとうございました。

#158
○委員長(山本順三君) 以上で片山大介君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────

#159
○委員長(山本順三君) 次に、山添拓君の質疑を行います。山添拓君。

#160
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 国交省建設工事受注動態統計のデータ改ざんについて伺います。
 資料をお配りしています。これは国交省が金曜日に提出した資料です。調査票の書換えを指南する内容でもあります。
 大臣、御説明ください。

#161
○国務大臣(斉藤鉄夫君) これは、平成二十四年に提出された資料、国交省が各都道府県の担当者に説明会を持っておりました、その説明会で提出された資料と認識しております。

#162
○山添拓君 平成二十五年以降、この文書を毎年出していたということですか。

#163
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 毎月、あっ、毎年、国土交通省が都道府県の担当者の方との説明会、開いておりました。
 毎年出していたかどうかについてはまだ確認を取れておりませんけれども、今鋭意確認中でございます。

#164
○山添拓君 この書換えの指示の結果として二重計上も生じていたわけですね。

#165
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回、問題は二つあると思っております。
 一つは、この書換えが、この統計を取り始めたのが平成十二年なんですけれども、いつからこういう未提出の業者の皆さんの後から遅れて出てきたデータをこういう形で書き直していたかどうか、書き直していたか、これはいつから始まったか、誰の指示でやったか、今鋭意調査中でございますけれども、まだ確認されておりません。
 もう一つの問題は、平成二十五年四月から、この書換えと同時に、統計委員会の指示もございまして、いわゆる平均で、他の業者の平均で出していた、その二重計上が始まったのが平成二十五年四月ということでございまして、ある意味で、先ほど委員がおっしゃった、このことが二重計上の一つのベースになっていたということはそのとおりだと思います。

#166
○山添拓君 この資料を見ますと国土交通省がふだん作成する資料の書式なんですけれども、どの部署が作ったものなんですか。

#167
○国務大臣(斉藤鉄夫君) この資料は国土交通省が作って説明会で使ったものです。(発言する者あり)国土交通省の中の統計を取り扱う部署がございます。その統計を取り扱う部署で、その説明会、全国の都道府県の担当者との説明会における説明資料として作ったものだと思います。

#168
○山添拓君 この資料、タイトルを見ますと米印から始まっていまして、「万が一、複数月で提出されてしまった場合について」というタイトルになっています。
 資料はこれだけではないと思うんですけれども、ほかにもありますね、一式。

#169
○国務大臣(斉藤鉄夫君) これは説明会の中の資料の一部でございまして、その平成二十四年のこの説明会で使われた資料はほかにもございます。このほかのページもございます。

#170
○山添拓君 ところが、金曜日から求めているんですが、ずっと提出されません。全体提出いただきたいと思います。
 委員長、お取り計らいください。

#171
○委員長(山本順三君) 後刻理事会で協議をいたします。

#172
○山添拓君 内閣官房に設置されていた統計改革推進室が今年十一月十二日に廃止されました。総理、なぜですか。

#173
○国務大臣(牧島かれん君) 行政改革を担当する立場から御答弁申し上げます。
 先般、岸田内閣の政策を推進していくため、新しい資本主義実現本部事務局など新たな体制を整えたことを機に、内閣官房に設置されている事務局である分室の整理統合を行うこととし、この中で、御指摘の統計改革推進室についても、政府統計に係る基本的な方針の策定から一定の期間が経過し、具体的な取組の実行段階となっていることから、その業務及び担当職員を行政改革推進本部事務局に引き継ぐこととしたものと承知しております。
 統計改革推進室については、政府全体におけるEBPM、証拠に基づく政策立案の定着、国民のニーズへの対応等の観点から、抜本的な統計改革及び一体的な統計システムの整備等を政府が一体となって強力に推進するために必要な検討を行うことを目的とする統計改革推進会議の事務局等を担当してきた組織です。
 近年の統計改革については、主に政府統計の体系的整備や利活用に関する諸課題についての実務的な取組を進めており、特にEBPMの推進と密接に連携して取り組んでいるところです。このため、今後はEBPM推進を担う行革事務局に統計改革推進室の業務を移管することとしたものです。

#174
○山添拓君 いろいろおっしゃったんですけど、推進室は今回のデータ改ざんは把握していたんですか。

#175
○国務大臣(牧島かれん君) 統計改革推進室として把握していたものではありません。

#176
○山添拓君 資料二ページを御覧ください。
 二〇一九年に体制が強化された分析的審査とは何ですか。

#177
○委員長(山本順三君) 答えられますか。(発言する者あり)御静粛に願います。

#178
○国務大臣(牧島かれん君) 分析的審査については、この担当を各府省に派遣されて、集計結果の公表前の分析的審査等を行うものと把握をしております。

#179
○山添拓君 その審査担当者は国交省にも配置されていましたか。

#180
○国務大臣(牧島かれん君) 各府省に派遣するものでございますので、その中には国交省も含まれます。

#181
○山添拓君 それでも確認できていなかったというのはなぜなんでしょうか。

#182
○国務大臣(牧島かれん君) 現時点では、事実確認を行っているところ、確認中でございます。

#183
○山添拓君 これは総理に伺います。
 明確な改ざんが放置されてきた、是正されずに来たというのは深刻だと思うんです。改革推進だとかいろいろ看板は掛けるけれども、しかし、政府全体に蔓延している腐敗というのは簡単には取り除けないということだと思うんです。
 政治の姿勢そのものが問われている、そういう認識は総理はお持ちでしょうか。

#184
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、こういった事態になったことについては大変遺憾なことであり、原因、そして経緯、こうしたものをしっかり検証し、再発防止を行い、そして信頼回復に努めなければならない、強く思っております。
 統計、これは現在、未来の国民に対する説明責任を果たすために重要である、また民主主義の根幹である、こういったことを強く思いますときに、しっかりとこの問題についても信頼回復に向けて努力をしなければならないと考えております。

#185
○山添拓君 政治の姿勢が問われているんだという認識をお持ちかということを私は伺ったんです。

#186
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まさにそういった、その意味を込めて今答弁した次第であります。

#187
○山添拓君 そうであれば、第三者委員会を待つまでもなく、必要な資料、求めている文書の提出ぐらいは直ちに行っていただきたいと思います。
 総理は、総裁選以来、非正規、女性、子育て世帯、学生を始め、コロナでお困りの方に給付金を届けると述べていました。非正規、女性を対象とする給付金はどうなったんでしょうか。

#188
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今回のコロナ禍において、特に女性の方々に対して、雇用あるいは暮らし、様々な形で深刻な影響が出ているということで、支援をお届けする対象として女性の皆さんも挙げさせていただいたということです。
 その支援がどうなっているかという御質問でありますが、これは、女性の方のみに着目した給付金というのは、現実、今回の経済対策の中にメニューとしては存在はいたしません。
 しかしながら、この非正規あるいは子育てなど、生活に困窮されている女性を含めてお困りの方々に支援を行うということで、住民税非課税世帯に対する支援、生活困窮者自立支援金、さらには子ども・子育て支援の給付金、さらには再就職や正社員化に向けた学び直しや職業訓練の支援、こうした様々なこの支援策、これ重層的に支援することによって女性の皆様方に対してもしっかりと支援を行っていきたいと考えているところであります。

#189
○山添拓君 少なくとも、公約どおり女性への給付金ということではないわけですね。
 非正規で仕事が減って、しかし、いろいろな給付金の対象とならずに生活困窮で食料支援を求めている、そういう女性の方、本当にいっぱいいらっしゃいますよ。いろいろ重層的にやると言うけれども、届いていないというのが現実です。
 そこで、総理に重ねて伺いますが、非正規雇用を含む年間の平均給与というのは、男性五百三十二万円、女性二百九十三万円、その差は二百四十万円に上ります。これ単純計算で、四十年働けば生涯に一億円の差が生じるということになります。どう認識しておられますか。

#190
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 詳細は厚生労働大臣から答弁があるとは思いますが、我が国のこの男女間賃金格差については、長期的には改善傾向にあるといいながら、今委員が御指摘のように、依然その差は大きい、改善を進めていかなければならない、こういった必要性については感じているところであります。

#191
○山添拓君 非正規を含む数で今金額をお示ししました。
 非正規雇用、正規雇用、それぞれの給与の格差というのは、厚労大臣、どれぐらいなんでしょうか。

#192
○国務大臣(後藤茂之君) 一般労働者のうち、正社員の男性の賃金を一〇〇としたときの女性の水準は七六・八ですが、一般労働者のうち、非正規の男性の賃金を一〇〇としたときの女性の水準は八〇・五でございます。

#193
○山添拓君 つまり、非正規同士でも女性は男性より低いんですよね。
 総理は十月、衆議院の代表質問で、男女の賃金格差は管理職比率や勤続年数の差異など複合的な要因があると述べていました。
 では、同じ役職同士、同じ勤続年数同士なら格差はないのでしょうか。厚労大臣、いかがですか。

#194
○国務大臣(後藤茂之君) 役職別の所定内給与につきまして、男性を一〇〇としたときの女性の水準は、部課長級、係長級、いずれの場合でも八〇を超えています。それから、勤続年数別の所定内給与は、男性を一〇〇としたときの女性の水準は、勤続年数十年未満では八〇を超えており、勤続年数十年以上では八〇を下回る七〇台となっております。

#195
○山添拓君 何かさっきから八〇を超えているとすごく高いような言い方されているんですけど、それ、二割以上低い、二割ぐらい低いということですから。これ複合的な要因という説明されてきたんですが、どの要素でも女性の方が低いということなんですよね。
 野田大臣に伺います。
 第五次男女共同参画基本計画では、男女の賃金格差の解消の一環として調査分析を行うとしています。いつまでに何をどのように行うんでしょうか。

#196
○国務大臣(野田聖子君) お答えいたします。
 我が国の男女間賃金格差については、今お話がありました管理職比率とか勤続年数の差異を始め様々な要因が指摘されていると承知しています。
 こうした中、内閣府においては、職種別や雇用形態別など様々な観点から政府統計の個票を活用して多角的な分析を行うなどにより、詳細な実態把握を進めていくこととしています。
 まず初めに、来年春頃の男女共同参画会議の専門調査会、そこにおきまして新たなデータに基づく議論をしていただけるように、引き続き調査分析を進めてまいります。

#197
○山添拓君 それは大事な分析だと思うんですが、職種別の分析だけで全体がつかめるわけではないと思います。
 総理に伺います。
 家事や育児は女性がやることだという性別役割分担、それを前提とした男性の長時間労働という従来からの構造的な問題、それに加えて、派遣労働の対象拡大など、コストカットを望む財界の求めに応じた労働法制の改悪が男女の賃金格差を一層深刻にしてきていると私は思います。そういう認識をお持ちでしょうか。

#198
○内閣総理大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、その固定観念に基づく役割分担、役割分担ですね、そういったこと、あるいは、仕事と生活の両立の難しさですとか、様々な要素が先ほど来御指摘があるような男女間の賃金格差につながっていると認識をしております。

#199
○山添拓君 労働法制を改悪し非正規化を進めてきた、それが一層深刻にしてきていると。この認識はいかがでしょうか。

#200
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 法制面等様々な取組が今日まで続けられてきましたが、依然、今申し上げたような点が存在し、そのことによって、また現実、男女間の賃金格差が存在する、これをしっかり受け止めて、今後引き続き努力を続けていかなければならない、このように認識をいたします。

#201
○山添拓君 勝手に生じているわけじゃありませんので、男女の賃金格差というのを深めてきた、格差を広げてきたその実態に目を向けるべきだと思います。
 女性活躍推進法では賃金格差の公表は義務ではなく、把握すら必須ではありません。
 現在、男女の賃金格差を把握する対象に選んでいる企業はどのぐらいでしょうか、厚労大臣。

#202
○国務大臣(後藤茂之君) 女性活躍推進法に基づき一般事業主行動計画を策定し、都道府県労働局に届出を行っている企業数は、九月三十日現在で、常時雇用する労働者が三百一人以上の企業では一万六千六百二十八社、常時雇用する労働者が三百人以下の企業で一万八百九十八社であり、合計で二万七千五百二十六社となっております。(発言する者あり)

#203
○委員長(山本順三君) 後藤大臣。

#204
○国務大臣(後藤茂之君) 行動計画の公表方法は、いろんな、厚生労働省が運営する女性の活躍推進企業データベースへの掲載や自社のホームページへの掲載など、各社の事情に応じて様々な方法があります。男女の賃金の差異を目標に掲げている企業を網羅的に把握し、その割合をお示しすることは困難ではございます。
 しかし、女性の活躍推進企業データベースに掲載されている行動計画の範囲で申し上げるならば、男女の賃金の差異、格差について目標を掲げている企業は少なくとも七社はあるということは確認できます。

#205
○山添拓君 二万数千社のうちの七社ですよ。ほとんどないに等しいわけですね。
 把握しなければ是正することもできないんじゃないでしょうか。

#206
○国務大臣(後藤茂之君) 男女の賃金の格差の差異について、一昨年の労働政策審議会においては、複合的な要因によって男女の賃金の格差は生じるので単純な企業間比較は難しく、一律に公表すると求職者の誤解が招くおそれがあることや、管理職比率と勤続年数の差異が既に必ず状況把握が必要な項目とされているというようなことで、直接これを把握する情報公表の対象にはなっておりません。
 ただし、こうした報告を求めている以上、女性の活躍推進企業データベースをより使いやすくすることや、届出の在り方の検討も含めて、御指摘の事業主の行動計画の内容の把握については今後改善の検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

#207
○山添拓君 格差を明らかにしたら誤解を招くと、だから把握もしなくていいという御説明になりかねないわけですが、諸外国では、男女の賃金格差是正のために賃金の透明化が行われています。野田大臣、例を御紹介ください。

#208
○国務大臣(野田聖子君) お答えいたします。
 イギリスにおいては、従業員規模が二百五十人を超える組織に対して男女間の給与差の詳細の公表の義務付け、二〇一七年から施行されています。フランスにおいては、従業員五十人以上の企業に対して男女別賃金などの公開の義務付け、これは二〇一八年から。ドイツにおいて、従業員が五百人以上の企業に対して男女平等及び同一賃金の現状に関する報告書の作成、公表の義務付け、これは二〇一七年から、などが行われているものと承知しています。

#209
○山添拓君 EU、欧州委員会は、今年三月、賃金の透明性を強化するための指令案を発表しました。その内容も御紹介ください。

#210
○国務大臣(野田聖子君) お答えいたします。
 EUでは、三月に欧州委員会が、男女間の同一労働同一賃金を確保するため、賃金の透明性に関する措置の提案を公表したものと承知しています。
 指令案には、従業員二百五十人以上の企業の雇用主に対し、企業内の男女の労働者間の賃金格差に関する情報の公開を義務付けることや、個々の労働者に対し一定のカテゴリーの男女別平均賃金水準に関する情報を請求する権利を認めることなどが含まれていると承知しています。
 男女間賃金格差の解消の観点から、今後もEUにおける動向等について注視してまいります。

#211
○山添拓君 この指令案には、労使紛争になった場合、差別がないと示す責任を雇用主に負わせる、立証責任の転換ということも含まれています。男女の格差一四%のEUで、その解消のために透明化が必要だとしています。
 総理に伺います。
 日本は正社員同士で二五%もの格差があります。透明化は日本においてこそより必要ではないでしょうか。

#212
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 日本においても、先ほど出ておりました事業主の行動計画の策定義務の対象拡大、そして情報公表の強化、こうしたものについても取り組んでいくべき課題であると思っております。

#213
○山添拓君 取り組んでいくべきなんですけれども、先ほどお聞きいただいたように、二万社の中で七社ぐらいしかそういう把握項目に入れていませんので、男女の賃金格差是正のために、企業に格差の把握と公表を義務付け、是正の計画策定を求めると、そういう仕組みが、より強化していくということが必要ではないかということですが、いかがでしょうか。

#214
○国務大臣(後藤茂之君) 男女の賃金格差については、先ほども御答弁させていただきましたが、女性活躍推進法に基づく情報公表の対象とは、管理職比率と勤続年数の差異を始め複合的な要因があるということで掲上はいたしておりませんが、いずれにしても、委員御指摘の男女の賃金格差の是正に向けて、改正女性活躍推進法の着実な施行や両立支援体制の整備、また、差別的取扱いの禁止、働き方改革、そのいろいろな労働政策の中でしっかり取り組むべき課題だというふうに認識いたしております。

#215
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 現状は今大臣から答弁したとおりでありますが、基本的な方針として、女性の活躍、女性の方々に活躍していただけるような情報公開の在り方についてしっかり考えていきたいと存じます。

#216
○山添拓君 しっかり考えていきたいではなく、具体的に対策を取っていただきたいのですが。
 コロナ禍で、低賃金の非正規雇用で働く多くの女性が仕事を失い、ステイホームが強いられる下でDV被害が急増し、女性の自殺の増加率は男性の五倍にも達しました。
 男女の賃金格差はジェンダー不平等の中心的な課題であります。正面から向き合い、是正する政治に転換するよう求めて、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#217
○委員長(山本順三君) 以上で山添拓君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて質疑通告者の発言は全て終了いたしました。
 以上をもちまして、令和三年度補正予算二案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────

#218
○委員長(山本順三君) それでは、これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。石垣のりこさん。

#219
○石垣のりこ君 立憲民主・社民を代表して、ただいま議題となりました令和三年度補正予算二案に対し、反対の立場から討論を行います。
 理由を述べる前に、まず、先週明らかになりました国土交通省による統計の書換え及び二重計上問題に触れないわけにはいきません。
 問題となっている建設工事受注動態統計はGDPの算出根拠にも用いられており、予算編成の前提となる国の基幹統計の一つです。公用文書の書換えと二重計上で数値が水増しされた事実は看過できないゆゆしき事態です。統計や公文書は民主主義の根幹を支える国民の公共財であります。政府は、第三者委員会に調査を丸投げするだけでなく、第一に、国民の代表機関である国会の場でこそ明らかにすべきであると強く申し上げます。
 こうした基幹統計の問題を見逃していた上に、国会の開会を拒否し続けてきた政府・与党、自公連立政権は余りにも怠慢と言わざるを得ません。立憲民主党は、半年以上前から補正予算の編成と国会の開会を要求してまいりました。政府・与党には猛省を促した上で、以下、本法案に反対する理由を申し述べます。
 まず第一に、必要な予算が計上されておりません。
 優先すべきは、新型コロナウイルス感染症から命と暮らし、そして事業を守ることであります。本補正予算には、我々が必要と訴えてきた医療機関や介護施設などへの抜本的な経済的支援がありません。また、観光関連産業や文化芸術、地域公共交通といった、度重なる感染拡大で大きな影響を受けた業種への支援も不十分です。米価下落の大幅な下落で疲弊する農家への支援も不足しています。さらに、ワクチンだけでは対応し切れない感染対策として重要なPCR検査の拡充の予算などが盛り込まれておりません。
 一方で、不必要な経費が計上されています。これが本予算に反対する第二の理由であります。
 子育て世帯への十万円相当の給付金支給に必要な事務経費は千二百四十七億円に上ります。このうちおよそ八割の九百六十七億円の事務経費は、給付金の半分の五万円をクーポンにしたことによって生じる余分な経費と言わざるを得ません。また、政策目的や効果が明確ではないマイナポイント第二弾に一兆八千億円もが計上されています。さらには、軟弱地盤の調査すらまともにできない辺野古基地の建設に八百億円の工事費など、到底賛成しかねる予算です。
 第三に、緊要性に疑義のある施策が盛り込まれていることも問題です。
 先端半導体の国内生産拠点の確保や大学ファンドの積み増しにそれぞれ六千億円が計上されていますが、経済安全保障の強化や科学技術立国の実現といった中長期的な課題に関する予算、また防衛装備品の購入などの八千億円も財政法上の趣旨に逸脱するとの批判は免れません。
 冒頭、予算の根拠ともなる基幹統計に重大な疑義が生じていることを申し上げました。改めて、国民の代表機関である国会の場でこそ説明責任を果たすことを申し上げ、私の反対討論といたします。(拍手)

#220
○委員長(山本順三君) 安江伸夫君。

#221
○安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。
 私は、自民、公明を代表し、ただいま議題となりました令和三年度補正予算案に賛成の立場から討論します。
 以下、主な賛成理由を述べます。
 第一の理由は、新型コロナウイルス感染症対策に必要な予算が盛り込まれている点です。
 病床確保等のための新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金、ワクチンの追加接種体制整備、接種の実施等に加え、飲み薬を始めとした治療薬確保など、医療提供体制確保等のために合計四兆四千七百八十三億円が計上され、第六波に備え、命を守る予算となっています。また、厳しい状況にある事業者、生活者等を支援するための予算が合計十四兆一千二百七十六億円計上され、人々に寄り添った力強い支援が可能となっている点を高く評価いたします。
 第二の理由は、ウイズコロナ下での社会経済活動の再開と次なる危機に備えるために必要な予算が盛り込まれている点です。
 新たなGoToトラベル事業、予約不要の無料検査の拡大に加え、感染症有事対応の抜本強化のために必要な予算として合計一兆七千六百八十七億円が計上され、社会経済活動の再開を力強く後押しする内容となっています。
 第三の理由は、未来社会を切り開く新しい資本主義を起動し、成長と分配の好循環を推進している点です。
 科学技術立国の実現、地方を活性化し、世界とつながるデジタル田園都市国家構想の推進、経済安全保障の強化など、我が国経済が今後大きく成長していくための予算として六兆二千五百七十九億円が計上されています。また、十八歳以下一人当たり十万円相当の給付や、看護、介護、保育、幼児教育など現場で働く方々の収入の引上げなど、人への投資の強化を柱とした分配戦略の予算が一兆九千九百五十二億円計上され、成長と分配の好循環を後押ししております。
 第四の理由は、防災・減災、国土強靱化の推進など安全、安心の確保のための予算が盛り込まれている点です。
 五か年加速化対策の予算を始め、人々の暮らし、命と暮らしを守るための予算が合計二兆九千三百四十九億円計上されていることは重要です。
 以上、主な賛成理由を申し述べました。
 コロナ禍で傷んだ経済を立て直すとともに、社会経済活動の再開を図るためにも本補正予算の速やかな執行を求めまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)

#222
○委員長(山本順三君) 田村まみさん。

#223
○田村まみ君 私は、国民民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました令和三年度補正予算二案に対し、反対の立場から討論を行います。
 まず、補正予算の審議中に、国土交通省による建設工事受注動態統計の改ざん事案が明らかになりました。この改ざんが行われていた中、二〇一五年のGDPは大きく増加しました。当時の安倍総理が掲げたGDP六百兆円の目標を達成するために改ざんしたのではないかとの疑念は拭えませんでした。
 予算編成の前提が崩れているのではないかという懸念は払拭されておらず、このことを指摘し、以下、補正予算案に反対する主な理由を申し述べます。
 反対の第一の理由は、補正予算の編成が法の趣旨にそぐわないことです。
 岸田総理は、十六か月予算の考え方で今年度の補正予算案と来年度の予算案を一体で編成し、万全の経済財政運営を行うと主張されています。
 しかし、補正予算の編成は、財政法第二十九条の規定により、法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行う場合のみに認められております。
 しかし、本補正予算には、防衛装備品の前払の実施、国際分担金及び拠出金、基金への支出など、緊要性を満たすか等の疑念が質疑では晴れませんでした。
 反対の第二の理由は、積極財政への転換が不十分な点です。
 本補正予算では、十八歳以下の子供に十万円相当の給付を行うため一兆二千億が計上されていますが、政策目的が曖昧な上、非効率な給付であるということが明らかになりました。
 子育て支援であれば所得制限を設ける必要はありませんし、これではコロナ禍の影響を受けた個人を迅速に救済することはできません。必要な人へスピードを持って届けるには、現金での全員一律の給付です。また、事業復活のための支援策の金額の上限が大変低く不十分であり、大胆な財政出動について踏み込み不足と指摘せざるを得ません。
 反対の第三の理由は、国民生活の支援に資する施策が乏しい点です。
 我が国の低迷する経済を好転させるため、時限的に消費税を五%へ引き下げるべきであります。
 また、ガソリン価格高騰への対策として、本補正予算では燃料油価格激変緩和対策として八百億円を計上していますが、多くの国民が実感でき、実効性ある対策とするためには、トリガー条項の凍結解除を実施すべきです。
 真に国民生活を支えるための取組を欠いていると言わざるを得ず、本補正予算には反対せざるを得ません。
 国民民主党・新緑風会は、対決より解決の姿勢の下、政策を先導、提案し続けていくことを申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)

#224
○委員長(山本順三君) 石井苗子さん。

#225
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
 私は、令和三年度一般会計補正予算(第1号)外一案について、反対の立場から討論いたします。
 まず第一に、追加歳出が約三十六兆円に上る本補正予算案は過去最大規模となっておりますが、その一方で肝腎の内容の質が置き去りにされていると言わざるを得ません。
 コロナ対策や経済対策の名の下で、効果が不透明な施策や緊急に手当てする必要性が乏しい事業などが火事場泥棒的に盛り込まれています。
 最たる例は、現金とクーポンの併用をめぐって迷走した十八歳以下への十万円相当の給付です。今本当に支援すべきは、コロナ禍で経済的に困窮している方々です。今回の給付は、マクロ経済対策なのか、困窮世帯への支援なのか、子育て支援なのか、政策の必要性や目的は今もって判然としておりません。親の収入に所得制限を設けながら全体の約九割の世帯が対象となっている、これをばらまきと言わずして何と言うのでしょうか。
 反対する第二点目は、本補正予算案には岸田総理が唱える新しい資本主義を起動させるための成長戦略と分配政策が盛り込まれていますが、成長戦略と位置付けられる施策は八兆円です。財政支出の僅か二割程度で、ここは、欧米などと比べますと、成長の道筋を描くために欧米では環境対策など集中的に資金を投じていますが、日本は規模もめり張りも戦略性も欠けています。人への投資や規制改革を通じ、産業の新陳代謝や労働者の移動を促す施策を深掘りし、技術革新や生産性の向上につなげない限り、日本の経済の地盤沈下は食い止めることができません。政府の成長戦略にはその重要性に視点がないと指摘しております。
 場当たり的な賃上げ政策、これもしかりです。成長を後回しにして分配に走るのは、これは本末転倒と言わざるを得ません。痛みを伴う構造改革や資源分配の見直しを断行し、経済成長に本腰を入れて取り組まなければ、コロナ後を見据えた成長競争に入っている世界で、日本はますます取り残されていくだけです。分配の原資は成長と改革で生み出すしかないことをしかと肝に銘じるべきです。
 以上を申し上げ、本補正予算案に対する私の反対討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

#226
○委員長(山本順三君) 山添拓君。

#227
○山添拓君 日本共産党を代表し、二〇二一年度補正予算案に反対の討論を行います。
 コロナ禍が長期化し、オミクロン株による感染第六波の懸念が現実となりかねない中、暮らしと営業、雇用を支える政治が切実に求められます。ところが、本案は、緊急に求められる個人や事業者への給付金が不十分であるだけでなく、大軍拡と特定企業への支援に大盤振る舞いする内容となっています。
 財政法上、補正予算による支出は特に緊要となった経費に限られます。GoToトラベル事業は一年にわたり停止中であり、二千六百八十五億円の追加経費は不要です。台湾の半導体メーカーによる工場建設を支援する四千億円、スパイ衛星推進、デジタルインフラ整備事業など、大企業支援が露骨です。マイナポイント事業の一・八兆円は、個人情報を差し出せば差し出すほどポイントを付与するというものであり、容認できません。
 補正予算として過去最大七千七百三十八億円もの軍事費が計上されているのは重大です。自民党が軍事費GDP比二%以上への増額を主張し、総理が敵基地攻撃能力の現実的な検討を表明する中、米軍兵器の爆買いと大軍拡で軍事費を膨張させるものです。四千二百八十七億円を占める歳出化経費は、ローン払いの前倒しであり、緊急性は全くありません。米軍辺野古新基地建設にかつてない八百一億円を計上しています。民意を無視し、軟弱地盤で完成しない工事を加速する理由はありません。
 一方で、緊急に必要というべき支援策は不十分です。個人に対する各種給付金は、非正規雇用で仕事が減った人など、必要な人に届きません。十八歳以下への十万円給付は、クーポンへの固執をやめ、全額現金にするべきです。持続化給付金の半分の予算額にすぎない事業復活支援金は倍加すべきです。看護、介護、福祉職員の賃上げ幅は現場の要求に見合う水準に遠く及びません。不要不急で不当な項目は撤回し、命と暮らしを支える予算へ抜本的に改めるべきです。
 国交省の建設工事受注実績統計で明らかなデータ改ざんが発覚しました。厚労省の統計不正後も是正されずに来た事実は極めて深刻です。
 森友公文書改ざんで自ら命を絶った赤木俊夫さんの妻、雅子さんが起こした国家賠償請求訴訟が請求認諾で突如終結しました。ふざけるなと言いたいと憤る雅子さんの声を総理はしかと聞くべきです。
 暮らしに冷たく、憲法を壊し、腐敗を重ねる政治はもうやめるべきだと強調し、討論といたします。(拍手)

#228
○委員長(山本順三君) 以上で討論通告者の発言は全て終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 令和三年度一般会計補正予算(第1号)、令和三年度特別会計補正予算(特第1号)、以上二案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕

#229
○委員長(山本順三君) 多数と認めます。よって、令和三年度補正予算二案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#230
○委員長(山本順三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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