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2021/12/09 第207回国会 参議院 第207回国会 参議院 本会議 第2号 令和3年12月9日
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2021/12/09 第207回国会 参議院

第207回国会 参議院 本会議 第2号 令和3年12月9日

#1
令和三年十二月九日(木曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二号
  令和三年十二月九日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る六日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。小西洋之さん。
   〔小西洋之君登壇、拍手〕

#3
○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之です。会派を代表して質問を行います。
 まず、コロナ対策。オミクロン変異株の出現、韓国、欧州での感染爆発など、コロナの脅威が続いています。この間の政府には、何が何でも救えるはずの命、暮らしと経済を守り抜くという使命感、執念が決定的に欠けていました。
 総理が所信演説で、スピード感を持って進めてきたと豪語したワクチン接種も、百六十名の治験を創意工夫もなく通常のプロセスで実施し、結果、欧米よりも約二か月遅れで接種が始まりました。この二か月がなければ今年の夏のデルタ株の猛威による悲劇も避けられたのではないか、総理の見解を伺います。
 日本は感染症の流行期である本格的な冬を迎え、それは高齢者のワクチン接種の効果が減少する時期と重なります。これは何か月も前から分かり切っていたことですが、厚労省によれば、全高齢者への三回目の接種を二回目接種の八か月後から六か月に前倒ししたくとも、ワクチンの継続的な供給のめどが立たないとしています。
 政府がファイザー社と三回目のワクチン接種のための、来年中の一億二千万回分の供給契約を結んだのは十月七日でした。このとき、世界の各国は既に六か月などに前倒しを実行していました。
 岸田総理に伺います。
 ファイザー社との交渉は、官僚が主張していた三回目は八か月後との方針をファイザー社に伝え、それを前提にしてしまったものではないのでしょうか。さらには、再交渉などによって、他のワクチンメーカーを含め、高齢者の三回目接種を前倒しにすることはできないのか、答弁を願います。
 日本は島国であるのに、政府の水際対策は失政の連続であり、政府分科会のメンバーでさえ、デルタ株の水際対策は最大の失敗と公言しています。
 現在、オミクロン株はあらゆる国から流入するおそれがあります。にもかかわらず、政府は、施設待機を入国地域に応じて三日から十日などに差を設け、しかも、あろうことか施設不足を理由に一部を自宅待機に切り替えています。さらには、PCR検査よりも大きく精度に劣る抗原定量検査を空港検疫に用いています。
 政府は、この度、総額五十五・七兆円の膨大な経済対策を準備しました。これを台なしにし、国民に大きな惨禍をもたらすオミクロン株などの流入、蔓延を阻止するために、なぜ待機施設の増強、PCR検査の実施等の水際対策を、このうちのほんの僅かの予算を使って実行できないのか。これが命と経済を何が何でも守り抜くという信念と執念に基づく対策なのか、総理の責任ある答弁を求めます。
 この間、度重なる医療崩壊によって多くの尊い命が失われました。
 なぜ、諸外国のようなコロナの医療体制がつくれないのか。国民の皆さんは唖然とされると思いますが、実は、日本にはコロナにだけ、その医療体制の構築のための法律がありません。他の全ての重大な病気には医療法、がん対策の特別法など体制構築の法律があります。
 では、どうやっているのか。厚労省が都道府県に事務連絡、すなわち行政通知を出して、頑張ってください、何とかつくってくださいと要請しているのです。そこには、国民の命、経済を守り抜くために、国も自治体も何の法的責任も負っていません。体制構築のルールやそれを検証する仕組みもありません。
 本来ならば、新型コロナ医療体制確保法という法律が必要なはずです。これを議員立法でと与党に働きかけましたが、実現できていません。やむを得ず、二月の特措法改正の際に附帯決議で、国が体制構築の基本方針を定め、都道府県が計画的な取組を行い、体制の実効性を検証し公表すること等を定めました。
 岸田総理に伺います。
 与党がやらないのであれば、内閣が法案を出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。もし出さないのであれば、私が起草したこの参院決議に基づく第六波に備える医療構築について、第五波における自宅療養者約十三万人、治療・入院等の必要者約二十三万人などの実態を踏まえ、現在どのような十分なる医療体制を構築しているのか、答弁を願います。
 また、日本が大規模な臨時病院の設置ができない最大のボトルネックである医療従事者の確保について、国民の保険料と税金に基づく健康保険法令上の医療従事者の責務を活用する、大規模接種の任務を終えた自衛隊の医官、看護官合計四百名余りにコロナ医療の訓練をお願いするなどが必要と考えますが、総理の見解を伺います。
 立憲民主党は批判ばかりしているという不当な誤った主張があります。私たちが政府の憲法違反や法律違反を追及するのは、その事案のためのみならず、真っ当な政治の下でなければ国民の命や暮らしを守る政策が行われないことが分かっているからです。
 コロナ対策でその重大な例をお示しします。
 特措法三十一条には、コロナ医療の構築のために都道府県知事が医療従事者に協力要請ができると書かれています。医療崩壊を阻止するための切り札の制度です。ところが、菅政権は昨年に各知事の問合せに対し、この条文はコロナでは使えないと回答をしました。その理由は、法律のガイドラインに「地域のほとんど全ての医療機関が診療を休止する」という要件があるからと西村大臣は答弁をしています。
 現に、大阪の吉村府知事は、特措法三十一条は使えないです、国とも協議しましたが、ガイドラインでかなり限定的な場面を想定しています、解釈論としては確かにそうかなとも思いますとの旨を本年一月十五日にツイートしています。
 パンデミックのために作られた特措法がコロナ医療に使えない、そんなおかしな話がと私が確認すると、厚労省の官僚は、確かに、「地域のほとんど全ての医療機関が診療を休止する」とはコロナよりもっと恐ろしいウイルスによって大阪府の医療機関が全滅するような場合などと説明をしました。
 こんな場合はどうすればいいのでしょうか。制度をつくったときの会議録などを調べる必要があります。ガイドラインを作った審議会の資料は今でも厚労省のホームページで見られます。
 その結果、「地域のほとんど全ての医療機関が診療を休止する」とは、空から大阪を見下ろしたものではなく、コロナに罹患した一人の大阪府民の目線で、その近隣の地域においてコロナ医療を提供する医療機関が一つもない場合に知事が医療従事者に協力要請ができるという、ごく当たり前のことを意味することが分かりました。それに初めて気付いたとき、担当の官僚の人は電話の向こうで、あっ、使えるという驚きの声を上げていました。そして、数日後には厚労省幹部が立憲民主党の部会で特措法三十一条はコロナに使えると明言しました。
 この当時、大阪が第三波に襲われていたときでした。吉村府知事は、三十一条が使えないと言われたので、二十四条という効力のない条文を無理やり使って必死に民間病院などへの協力を呼びかけていました。私は、直ちに三十一条が使えるという事実を吉村府知事に伝えるべく、知り合いの維新の議員にお願いをしました。伝達が容易でないと分かると、維新の馬場幹事長のお部屋に資料をお届けし、事務所を通じて丁重なお礼をいただきました。
 しかし、政府は最後まで自分たちの誤りを都道府県に伝えることなく、医療関係者の協力要請の条文を感染症法の法改正で新たに設けるというとんでもない対応に及びました。政府は、感染症法の法改正まで三十一条はコロナに使えないという見解を、吉村府知事を始めどの県のどの知事に伝えていたのですか。総理の答弁を求めます。
 岸田総理は所信演説で、アメリカやEUの新しい経済政策に触れながら、分配による成長、分厚い中間層、人への投資など、立憲民主党がずっと唱えてきた経済方針を大胆に使用しながら新しい資本主義なるものを唱えています。しかし、アメリカでは、企業増税を財源としたインフラ投資、富裕層の課税強化を財源とする子育て、教育支援などの財政出動が企図されています。
 一方で、新しい資本主義における唯一の具体的な分配政策というべき賃上げ税制の拡充は、第二次安倍政権が導入し、ほとんど効果が得られなかった制度の焼き直しにすぎません。岸田政権は、大企業や富裕層を対象とした増税などの真の分配政策に踏み込む決意があるのか、総理の見解を伺います。
 子供の命と尊厳を守る政策について質問します。
 本年の七月二十九日、福岡県中間市の私立保育園に通っていた五歳の男の子が送迎バスに取り残され、熱中症で死亡するという痛ましい事件が起きました。この事件は、園長による単独送迎、出席確認のカードの未回収、降車確認も出欠確認もなされないなど、幾つもの安全管理違反が重なったものでした。
 当日の朝、行ってきますと笑顔で手を振って乗り込んだバスの中で一人で閉じ込められ、どんなに苦しかったか、どんなに暑かったか、どんなに寂しかったか、どんなに怖かったかと思うと胸が張り裂けそうになりますとの母親の言葉に、多くの国民の皆さんが胸が潰れる思いにとらわれたものと思います。
 私も、せめてかけがえのない命に何か報いたいとの思いで関係省庁の皆さんにヒアリングをお願いしました。その結果、保育園には、実はこうした事故を防止するための法律による保育園安全計画がないことが分かりました。
 文科省が所管する全ての幼稚園には学校安全法に基づく幼稚園安全計画があります。しかし、厚労省が所管する保育園の児童福祉法にはこうした安全計画の策定義務がないのです。霞が関で最もレベルの低い行政通知の中で事故防止マニュアルの作成が触れられているだけです。両者とも同じ年頃のいたいけな子供たちを預かる施設なのに、こうした違いはあってはならないはずです。
 その結果、八月末の政府の再発防止の事務連絡は、保育園のためのものなのに、その参考に幼稚園安全計画の資料が添付されているという絵に描いたような縦割り行政がなされています。
 さらには、去る十二月二日に発表されたこども庁創設に関する政府の基本方針案においては、子供の事故防止はこども庁が担当することになっていますが、具体的な対策は消費者庁や内閣府の既存施策の充実のことしか書かれていません。
 野田聖子こども政策担当大臣にお伺いをいたします。
 私は、事件直後から二度にわたって、厚労省と内閣府の官僚の皆さんに、幼稚園と同様の保育園安全計画の策定を義務付ける法改正をお願いしました。もし着手してくれていれば、この臨時国会に法案が提出でき、制度の施行が来年の春の入園の時期に間に合ったと思います。
 しかも、園児を性犯罪から守る児童福祉法の改正案が次期通常国会に提出されるのに、その中では保育園安全計画は手付かずとなっています。どうか大臣のお力で厚労省を調整し、後藤厚労大臣とも協議をいただき、こども庁設置を待つまでもなく、来年の通常国会に保育園安全計画の法改正を実現していただけないでしょうか。亡くなった男の子とお母さん、全国の三万八千六百六十六か所の保育園に通う園児たちとその保護者のために、心よりのお願いを申し上げます。
 二〇一三年に立法されたいじめ防止法は、いじめ自死などの重大事態の事後対応の法律のように報じられていますが、それは大きな間違いです。
 いじめ防止法は、いじめ自死ゼロとするために、いじめの予防、早期発見、事案対処の三つの対策をめぐる学校現場の長年にわたる構造問題を解決すべく、複数の教職員が参加する学校いじめ対策委員会がチームの力で子供をいじめから救い出すこと、いじめが起きにくい・いじめを許さないクラスや学校づくりを計画的に行うための学校いじめ防止プログラムの実行などを定めた法律です。
 しかし、これらの要の対策が学校現場に浸透せず、自死事件の調査報告書には、法律と文科大臣の基本方針が求める対策さえなされていればとの趣旨の指摘が繰り返され、昨年からも、東京町田市の小学校六年生の女児の自死事件、北海道旭川市の中学二年生の女子生徒の凍死事件などが続いています。
 この度、旭川市の女子生徒の母親の、娘をどうすれば助けてあげられたか、今も分かりませんとのインタビューの言葉に胸が塞がる思いがいたしました。
 文科大臣の基本方針には、学校は、学校いじめ対策委員会の組織や役割などの対策について、学校のホームページで公開し、その内容を、必ず入学時、各年度の開始時に児童生徒、保護者に説明するとの旨が明記されています。この必ず説明するを含む記述は、立法者の私が文科省にお願いして入れてもらったものです。
 末松信介文科大臣に伺います。
 今日この瞬間も全国の多くの教育委員会や学校の職員がいじめ防止法を正しく理解せず、場合によっては関知すらせず、その下で、今この瞬間も多くの子供たちがいじめによって自死に追い込まれようとしています。
 校長の下の縦型社会であり、担任クラス制という縦割り社会でもある学校現場を変えるためには、全国の教職員と教育委員会の職員が文科大臣の基本方針を一度は通読していじめ対策の認識を根本から改善する、全国の学校いじめ対策委員会が過去の悲惨な重大事態のケーススタディーを行い、自らの責任と役割を具体的に認識する、子供たちに子供たちから見た学校いじめ対策委員会の存在やその役割の認知に関するアンケートを行うなどの、いじめ防止法の実効性確保に必要不可欠な対策を直ちに実施していただきますようお願いを申し上げます。
 災害対策を伺います。
 屋根を修理するなら、日が照っているうちに限る。総理の所信表明演説でのケネディ大統領の言葉の引用に思わず息をのみました。
 今から二年前、二〇一九年九月九日の台風十五号災害の際、安倍政権の失政、過ちにより、私の地元千葉で多数の家屋がブルーシートの設置がなされず、大きな被害が生じたからです。
 当時、外交防衛委員会所属であった私は政治的調整を行い、防衛省に二千名の自衛隊のブルーシート設置部隊を創設していただきました。しかし、それには政府の内閣府防災などによる大きな抵抗がありました。ブルーシート設置の災害派遣要請の発動から一週間後の九月二十二日の日曜日の夜、南房総の鋸南町にお願いして出していただいた増派要請をてこに、千葉県全県にわたっての増派を実現することができました。増派された自衛隊部隊は、たくましくブルーシートの設置を進めてくれました。防衛省はその任務を調整する事務官を二名、千葉県に派遣してくれました。
 しかし、千葉県内でブルーシートの設置が必要な災害弱者以外の一般家屋が約千七百軒あるのに、晴れ渡った青空の十月一日における自衛隊部隊の稼働はゼロ人という驚くような事態が生じました。これは、当時の森田県政が、自衛隊は高齢者などの災害弱者の家のみにブルーシートを設置し、一般家屋は設置しなくてよいという災害対策基本法、災害救助法にも違反する要請を行い、安倍政権もそれを追認していたからです。
 私はやむなく災害対策特別委員会で質疑を行いましたが、防災担当大臣が動いてくれることはありませんでした。私が防衛省にお願いし、現地の自衛隊は一般家屋もブルーシートを設置をしますと千葉県、内閣府に内々に意思表示してくれましたが、拒否されています。また、張ったブルーシートは剥がれます。屋根の本格修理まで張り直しも自衛隊はやりますと防衛省は国会答弁をしてくれましたが、内閣府が調整に動くことはありませんでした。南房総には今でも剥がれたブルーシートの朽ちた家屋があり、多くの救われた暮らしの一方で、救えたはずの多くの暮らしが失われました。
 岸田総理に伺います。
 コロナと同様に、災害対策にも救えるはずの暮らしと財産を何が何でも救い切る、そうした信念と執念に基づく実行が求められます。災害大国の日本にあって、寄せ集めの組織となっている内閣府防災の体制を、各省の優秀な官僚の併任を掛けて、いざというときに最大限の効力が発揮できるようにする、当時は派遣人数ゼロだった地方自治のスペシャリストである総務省の旧自治部局の官僚の皆さんを被災自治体への派遣要員として登録しておく、何よりも防災担当の政務三役は実務の能力に優れた人材を任命するなどの必要について、見解を伺います。
 また、将来に備えて、自衛隊の災害派遣任務の一環としてブルーシートの設置訓練を行っていただきたいと思いますが、総理の見解をお伺いします。
 次に、尖閣諸島問題について質問します。
 中国海警局による領海侵犯が増加しています。これに対し、海上保安庁は、地政的な利点も生かし、常に巡視船の数、火砲の数などで優位を保つ努力を続けているとしています。すなわち、尖閣諸島を守り抜く方策の要諦は、海上警察力の常時優勢の確保と現場の緊張緩和を導く外交努力です。
 ところが、海上保安庁には、その巡視船、航空機などの整備計画がありません。平成二十八年の関係閣僚会議申合せ、ページ数で僅か四ページ、尖閣警備に関する記述は僅か八行のぺらぺらの文書を毎年財務省に提出して、涙ぐましい予算要求をしています。その結果、尖閣警備の最新鋭の大型巡視船を停泊させる岸壁が足りない、多数の老朽船を抱えるなどの問題が生じています。
 こうした問題意識から、立憲民主党は、本年六月に、海上警察力の計画的整備による海上保安体制の強化と自衛隊との必要な連携を措置した領域警備・海上保安体制強化法案を提出いたしました。
 岸田総理にお伺いします。
 この間、報道によれば、自民党は、海上保安庁に軍事的役割を求める国防部会と海上警察力による対処を主張する国交部会が論争して、法案はおろか、政党としてのまとまった政策方針すら出せていないとのことです。政府として、法律により、あるいはせめて自衛隊の中期防衛力整備計画のように閣議決定により、尖閣を守り抜く海上保安体制の強化を貫くその強化計画を定める必要があるのではないでしょうか。総理の見解をお伺いいたします。
 昨日、十二月の八日は真珠湾攻撃から八十年となります。百年兵を養うはただ国家の平和を守るためである。百年兵を養うはただ国家の平和を守るためである。真珠湾攻撃を立案、指揮しながら、最後まで圧倒的な国力差のアメリカとの開戦に反対し、外交交渉に望みを託しつつ、開戦あり得べしと主張する部下を叱責した山本五十六長官の言葉です。
 そして、この日米開戦の果ての最大の惨禍である広島の原爆の慰霊碑には、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれています。広島市は、この碑文の「過ち」とは、核兵器の使用だけでなく、その原因となる戦争そのものを指すと説明しています。
 岸田総理は所信演説で、敵基地攻撃能力の保有の検討について初めて言明しました。一般に、敵基地攻撃能力には爆撃機、ミサイル兵器によるものなどが指摘されていますが、そうした敵基地攻撃能力のための実力は安保法制の下の集団的自衛権行使にも使用できることになるとお考えでしょうか。
 岸田総理は所信演説で、国民に丁寧に説明を行い、理解を得るための努力を尽くし、国民とともにある外交・安全保障を進めると述べました。
 これは、外交防衛委員会において、昭和四十七年政府見解の中の外国の武力攻撃という文言の曲解による九条解釈の基本的な論理の捏造という、法解釈ですらない不正行為による絶対の憲法違反である集団的自衛権行使の容認の追及などに対し、苦渋の答弁拒否を繰り返す外相時代の岸田総理と向き合ってきた私からすると驚きを禁じ得ないお言葉ですが、本来、他国領域への打撃力である敵基地攻撃能力は個別的自衛権の議論のはずが、それを保有しさえすれば集団的自衛権に使えるのであれば、完全に専守防衛の範囲を逸脱し、国の形を大きく変えることになります。
 テレビの向こうの国民の皆さんに分かるように、また、戦争の過ちは繰り返しませぬからとの慰霊の誓いがささげられた広島の原爆犠牲者に届くように、岸田総理の明確な答弁を求めます。
 文書通信交通滞在費の改革について質問します。
 立憲民主党は、十一月十七日の政治改革部会で、文通費の日割り、十月分の百万円などの国庫返納、領収書付き使途報告・公開を機関決定し、十二月七日に歳費法改正案を国会提出しました。
 このうち、総額三億円にも至る文通費の国庫返納は立憲が最初に提案させていただいたものであり、さらには、立憲案には、歳費の日割り支給の例外となっているこの度の衆院解散時の総額八千万円の衆院歳費の国庫返納、使途報告の透明性確保の条文も措置しています。
 一時期、立憲民主党が使途報告に後ろ向きなどという完全な誤解に基づく批判がありましたが、私は、法案担当の政治改革副部会長として、立憲民主党こそが真の改革政党であるとの思いで立案をさせていただきました。
 岸田総理には、自民党総裁として、この文通費の使途報告などの改革のリーダーシップを発揮していただきたいと願いますが、総理の決意をお願いいたします。
 なお、残念なことに、国会では、こうした行うべき国庫返納は容易に進まず、国民の皆様の良識からして疑問を持たれるような国庫返納が行われています。
 国民の皆さんは余り御存じないことかも思いますが、参議院議員にだけ適用される歳費の自主返納法というものがあります。これは、参院選挙区の合区で議席を失ってしまう自民党議員の救済という、当時、全てのマスコミが批判した究極の党利党略である二〇一八年の参院定数六増法の強行採決によって、参院議員の定数が六人増えた分のコストを現職の参議院議員がその歳費を自主返納して賄うという制度です。立憲会派は、そんな世界で唯一の恥ずかしい制度をつくるならと、衆参の議員の歳費の一律の引下げ法案を提出しましたが、否決されました。
 実は、当時、立憲会派の功績で、衆議院もできていない年間約二億円のペーパーレス化などのコスト削減の改革を実行、実現しています。実は、参院歳費の自主返納法はこの二億円の削減を前提に再提出されたものであり、毎年の返納の基準額はこの二億円分のげたを履かせることが前提になっています。このことは、当時、議院運営委員会などの審議に提出した私のコスト削減案の配付資料、あるいは当時の会議録などで明らかです。
 しかし、こうした事実を御存じないのか、日本維新の会の一部の議員の方々は、あくまでも完全な自主返納であり、自主返納を行わない議員や会派を批判してはならないという法案審議における自民党の発議者答弁に反し、自主返納を行っていない会派などに対して、違法ともいうべき批判を繰り広げています。
 なお、現在の自主返納の総額は年間約一・四億円ですが、この立憲会派の改革の力による、それをはるかに上回る二億円の削減、これは我が会派の五倍の二百十六名分の自主返納額に相当しますが、これがなければ、日本維新の会の先生方の自主返納額は途方もない金額になっているところです。身を切る改革を主張する前に、国会議員であるならば、まずは真の改革力によって国会経費、行政経費の正しい無駄の削減を堂々と実現をしていただきたいと、心より切に願います。
 本来は、貴重な代表質問でこのような問題を取り上げたくはありませんでした。しかし、日本政治がポピュリズムに陥るのを阻止しなければならない、戦前の教訓を筆頭に、ポピュリズムほど国民の皆さんに最大の不幸をもたらすものはない、私たちは堂々たる民主主義を守らなければならない、そうした信念で皆様に申し上げさせていただきました。
 私は、この度、参議院憲法審査会の会長代理、野党側の筆頭幹事を拝命しました。憲法審査会がまず取り扱うべき課題は、さきの通常国会で成立した改正国民投票法の附則が定める国民投票運動における放送局のCM規制、インターネット上の広告規制などの対処です。これらについて国民投票法の法改正がなされない限り、改憲発議は法的に許されないという附則の提案者答弁が確定しています。また、これと同趣旨の与党発議者の答弁もいただいています。
 さらに、そもそも国会法百二条の六の冒頭で定める憲法審査会の本来任務とは、憲法及び密接に関連する基本法制への調査、すなわち、立憲主義、法の支配の回復のための憲法違反や違憲立法の調査審議です。この点、我が参議院の憲法審査会においては、幹事会協議事項として、安保法制を始めとする第二次安倍政権以降の違憲行為の検証が積み上げられています。
 その上で、我々立憲民主党は、これら憲法尊重擁護義務に基づく任務を考慮しても、またそれと並行しても、なお国民にとって真に必要な憲法論議ならば、それを行う用意はあります。例えば、参議院の合区の廃止、衆議院議員が任期満了した際の大震災などにおける国会機能の確保については、憲法改正によらずとも、国会法及び公選法の改正によって解決する方策もあると考えています。
 以上を踏まえて、改めて総理の憲法改正に関する見解をお聞かせください。
 以上申し上げましたように、私たち立憲民主党は、批判のための批判などは一切行わず、むしろ政策提言にとどまることなく、国民の皆さんの命と尊厳を救うための政策を実現するために、法案提出のみならず、日々政府を動かす努力を全力で頑張っています。そして、現在の政府・与党ではどうしても実現することができない社会保障や経済政策などの構造転換を図る国家戦略を構想し、それを政権交代によって実現したいと懸命に努めております。
 一方で、私のかつての霞が関の同僚や後輩は、国民の命が懸かった野党議員の質問に対する答弁拒否の答弁書を心の中で泣きながら書いています。
 私も、かつて官僚として大臣答弁を何百本と書きましたけれども、私の時代には、今の政府が行っているような答弁拒否の答弁書を作る、そのようなことはただの一度もありませんでした。質問主意書の答弁案を内閣法制局に審査にお持ちすれば、内閣法制局から、答弁漏れである、しっかり答弁しなさい、そのような御指導もいただいておりました。
 安保法制以降、日本政府の中の法の支配が今、完全に崩壊をしています。子供たちにまともな民主主義を取り戻さなければいけません。まともな民主主義の下でなければ、正しい、命と尊厳を信念と執念を持って救う正しい政策は実現されません。そうでなければ、私たち国権の最高機関、立法府の責任を果たすことはできません。
 どうか、良識の府のこの議場に集う先輩、そして同僚の皆様に、どうかこれからの時代、この八年間の安倍政権、一年間の菅政権、そして今始まっている岸田内閣、今は残念ながら法の支配と立憲主義の否定は続いています。これを再生して、その同じ土俵の下で堂々と政策議論をして、国民の皆さんのための政策を実現していく、その立法府を取り戻す、そのための取組を皆様にお願いをしたいと思います。
 私たち立憲民主党は、子供たちにまともな民主主義を取り戻し、命と暮らしを守る政策を実現する新しい政治をつくる。その決意を申し上げまして、私の代表質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

#4
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 小西洋之議員の御質問にお答えいたします。
 ワクチン対策についてまずお尋ねがありました。
 新型コロナワクチンについては、研究開発や生産体制の整備への補助のほか、治験手続の効率化など、早期開発、実用化を目指し、国として必要な支援を行ってきました。
 特に、治験においては、海外臨床試験と並行して国内でも臨床試験を実施し、海外データと合わせて評価するとともに、承認審査を他に優先して迅速に行ったところであります。この国内治験については、国会の附帯決議において、政府に対して求められていたものと承知をしています。
 これまでの経験を踏まえ、現在、ワクチンや治療薬について、緊急事態に特別に使用を認めるための制度の在り方の検討を進めているところです。この結果も踏まえ、緊急時に、安全性の確認を前提としつつ迅速な薬事承認ができるよう法整備を行います。
 なお、新型コロナの感染状況については、ワクチンの接種状況のほか、感染防止対策や変異株の感染症等の、感染性等の様々な要素に影響されるものと承知をしています。
 ワクチンの三回目の接種についてお尋ねがありました。
 来年分のファイザーのワクチンの供給契約については、本年八月二十日の段階で、一億二千万回分の供給を受けることを前提に協議を進めている旨を公表し、その後、交渉を重ねた結果、十月七日に契約締結に至ったものです。この時点では、二回目の接種から八か月以降の方々に三回目の接種を行うという方針は決まっておらず、あらゆる可能性を考慮して、必要なワクチンを確実に確保する観点から交渉が行われていたと承知をしています。その後、足下では供給スケジュールの前倒し等について交渉を進めているという次第であります。
 三回目の接種に関しては、感染防止に万全を期す観点から、既存のワクチンのオミクロン株への効果等を一定程度見極めた上で、優先度に応じ、追加承認をされる見込みのモデルナ社のワクチンを活用して、八か月を待たずにできる限り前倒しすることとしております。
 水際対策についてお尋ねがありました。
 オミクロン株への対応については、未知の状況を踏まえ、水際対策において、専門家の意見も踏まえつつ、オミクロン株対応に限られた医療資源を集中して緊急避難的・予防的措置を講じているところです。
 その際、待機施設の確保については最大限努力をしており、本日時点で、先週土曜日から二千二百六十室を追加的に確保し、九千六百十室を運用しているところです。
 引き続き、待機者の増加に備え、地方自治体とも連携して、必要な待機施設の確保に取り組んでまいります。
 また、空港検疫でのPCR検査の実施については、大量の検査結果の判明までの待機時間を短くする必要があることから、迅速に結果が判明しPCR検査と一致率が高い抗原定量検査が現時点では最も適していると考えています。抗原定量検査では判定が難しい場合には追加的にPCR検査を行うなど、適切に対応しているところです。
 引き続き、強い危機感を持って状況の把握に努めるとともに、各国・地域の感染状況を踏まえ、機動的かつスピード感を持って必要な対応を行ってまいります。
 新型コロナに対応した医療提供体制についてお尋ねがありました。
 先般まとめた全体像に基づき、今後、感染力が二倍になった場合にも対応できる医療提供体制整備を進めてきました。
 具体的には、既にこの夏に比べて三割、一万人増の約三万七千人が入院できる体制を確保し、病床の確保と併せ、医療人材については、全国で約二千の医療機関から医師約三千人、看護師約三千人の派遣に協力いただけることとなっており、軽症者向けの宿泊療養施設も、今年の夏と比べて約四割増、一万九千室増え、約六万六千室となっているほか、自宅で療養する方が必要な診療を受けられるよう、全国で延べ約三万四千の医療機関と連携し、オンライン診療、往診、訪問看護等を実施する体制をつくりました。
 また、これまでのコロナ対応、新型コロナ対応を徹底的に検証し、司令塔機能の強化や医療資源確保など、危機管理を抜本的に強化することとし、来年六月までに、感染症危機などの健康危機に迅速、的確に対応するため、抜本的体制強化を取りまとめ、必要な法改正を行ってまいります。
 特措法第三十一条についてお尋ねがありました。
 御指摘の特措法第三十一条に基づく医療関係者に対する要請は、新型インフルエンザ等対策ガイドラインにおいて、病原性が非常に高い場合など、極めて緊急性の高い状況において行うことが想定されています。
 こうした特措法第三十一条の考え方については、令和三年一月に照会のあった大阪府にその旨文書回答を行っておりますが、他の都道府県に同様の文書回答を行っている事実は確認できていないと承知をしています。
 分配政策についてお尋ねがありました。
 今般の経済対策においては、新しい資本主義の起動に向け、成長戦略と分配戦略を車の両輪と位置付けて実行していくこととしており、そのうち分配戦略として、官が主導する形で人への投資を抜本的に強化する三年間で四千億円の施策パッケージの創設や、民間部門における賃上げ議論に先んじて、看護、介護、保育、幼稚園などの現場で働く方々の収入の継続的な引上げを盛り込みました。
 さらに、民間における賃上げを強力に支援するため、今般の税制改正において、賃上げ税制を抜本的に強化し、安倍政権時を上回る税額控除率、これを実現いたします。
 今後の税制の在り方については、経済社会構造の変化も踏まえながら、引き続き総合的に検討してまいります。
 内閣府防災の体制、自治部局の官僚の被災自治体への派遣等についてお尋ねがありました。
 近年の大規模災害時の政府の対応については、総理大臣の指揮の下、内閣府防災を始めとする関係省庁が、適切な役割分担の下で一体となって迅速な復旧と早期の復興に取り組んでおります。
 内閣府の防災担当には総理府、あっ、総務省の自治部局経験者を含む各省庁の職員が出向しており、その専門性や経験を生かして精力的に業務に当たっております。発災時には、内閣府防災担当のほか、関係省庁からも職員が被災地に派遣され、被災自治体と連携して災害対応を行っております。
 また、防災担当の政務三役については、適材適所で任命をしているところです。
 防衛省・自衛隊は、平素の訓練を通じて得られた成果を生かしつつ、効率的、効果的に災害派遣を実施しているところ、御指摘の点について現時点で特別な訓練が必要であるとは考えてはおりませんが、ブルーシートの展張を含め、過去の活動で得られた教訓、これは部隊間で共有してきていると承知をしております。
 引き続き、政府として、国民の生命、財産、暮らしを守るべく災害対応に取り組んでまいります。
 海上保安体制の強化計画を定める必要性についてお尋ねがありました。
 海上保安庁の体制強化については、平成二十八年に、厳しさを増す我が国周辺海域の情勢を踏まえ、関係閣僚会議において中長期的な方針が決定されています。
 その上で、この方針を踏まえつつ、刻々と変化する情勢に機動的に対応するため、毎年年末に関係閣僚会議を開催し、整備内容や優先順位を精査した上で、具体的な取組内容を決定しているところです。
 また、本年四月、自民党政務調査会からの緊急提言を受け、政府として、海上保安庁、自衛隊等関係機関の連携強化、海上保安庁の装備、人員の強化などの取組を推進しているところです。
 今後とも、海上保安体制の強化を段階的かつ着実に推し進め、我が国の領土、領海を断固として守り抜くとの決意の下、我が国周辺海域の領海警備、国民の安全、安心の確保に万全を期してまいります。
 敵基地攻撃能力についてお尋ねがありました。
 昭和三十一年の政府答弁において示したように、政府としては、例えば誘導弾などによる攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾などの基地をたたくことは法理的に自衛の範囲に含まれ、可能であるとしてきております。
 何よりも大事なことは、国民の命や暮らしを守るために必要なものは何なのか、こうした現実的な議論をしっかりと突き進めていくことです。
 ミサイル防衛についても、最近では極超音速滑空兵器や変則軌道で飛翔するミサイルなど、ミサイルに関する技術は急速なスピードで変化、進化しています。
 国民の命や暮らしを守るために何が求められているのか、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討してまいります。
 なお、個別の事態における我が国の対応については、憲法及び平和安全法制を含む関連法令に従って判断してまいります。
 文書通信交通滞在費についてお尋ねがありました。
 国会議員の文書通信交通滞在費の問題は、議員の政治活動の在り方と密接に関連する重要な課題であると認識をしています。このため、各党各会派がそれぞれのお考えを持ち寄ってしっかりと御議論いただき、合意を得る努力を重ねていただく必要があると思っております。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 憲法改正について、与野党の枠を超え、積極的な議論が行われることを心から期待いたしますが、憲法改正についての議論の具体的な内容については国会でお決めいただくことであり、内閣総理大臣としてお答えすることは控えたいと存じます。
 我々国会議員は、大きく時代が変化する中にあって、現行憲法が今の時代にふさわしいものであり続けているかどうか、その在り方に真剣に向き合っていく責務があります。そして、国会での議論と国民の理解、これは車の両輪であり、広く国会の議論、広く国民の議論を喚起し、理解を深めていくことが重要であると考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣野田聖子君登壇、拍手〕

#5
○国務大臣(野田聖子君) 保育所に通う子供の安全についてお尋ねがありました。
 事故で亡くなられましたお子さんに対しまして、謹んで哀悼の意を表します。
 幼稚園や保育所等においては、子供が安心、安全で健やかに育つことが重要です。重大な事故はあってはならないものと考えています。
 内閣府では、幼稚園や保育所等の各施設類型に共通する取組として、死亡等の重大事故が発生した場合の国への報告制度の整備や重大事故のデータベースの公開、事故防止のガイドラインの策定、有識者会議による重大事故の再発防止策の検討などを行っています。
 児童福祉法の改正については厚生労働省において検討されるべきものと承知しておりますが、私としましては、年内開催予定の重大事故防止策を考える有識者会議に対して、改めてより一層積極的な議論をしていただくよう依頼するとともに、新しい行政組織の設立に当たっては、子供の安全対策を更に強化していくことができるよう進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣末松信介君登壇、拍手〕

#6
○国務大臣(末松信介君) 小西議員にお答えいたします。
 いじめ防止対策推進法の実効性確保に必要な対策についてお尋ねがございました。
 いじめは決して許されないことでありますが、しかし、どの学校にも、どの子供にも起こり得るものであります。
 いじめの対応に当たっては、学校や教育委員会等の一人一人の教職員がいじめ防止対策推進法やいじめの防止等のための基本的な方針を十分に理解した上で、これらに沿って対応することが不可欠であると考えております。
 これまで文部科学省としては、各種会議や研修の場において、一つ、いじめを受けた児童生徒を学校が徹底的に守り抜くという姿勢や具体的な方針を伝えること、二つ目、いじめの未然防止のための組織的な取組の重要性などにつきまして、具体的な事例を用いながら繰り返し周知を図ってまいりました。
 一方、こうしたいじめ防止対策推進法等に基づく対応が徹底されていないと思われる事案が生じているのも事実でございます。このため、本年九月には、いじめの未然防止や積極的な認知、早期の組織的な対応などが徹底されるよう、改めて全国の学校、教育委員会等に対して周知を行ったところでございます。
 文部科学省としては、全国の教職員一人一人がいじめ防止対策推進法等に基づいた適切な対応を行えるよう、小西議員の御指摘も踏まえ、法の趣旨、内容について更なる周知徹底を図るとともに、各種教育委員会や学校現場の取組が一層充実するよう、これまで以上に支援をいたしてまいります。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────

#7
○議長(山東昭子君) 有村治子さん。
   〔有村治子君登壇、拍手〕

#8
○有村治子君 自由民主党の有村治子です。
 私は、自由民主党・国民の声を代表し、岸田内閣総理大臣の所信等に対し、質問をいたします。
 中国武漢での新型の感染症が報告されてから、ちょうど二年がたとうとしています。差し迫る公衆衛生の問題として、世界各国が相次ぐ変異株を警戒する中、政治、経済の文脈においても、日本や世界が感染症発生源である中国とどう向き合うのか、重い命題を突き付けられています。
 コロナ禍におけるこの二年、私は、特に経済安全保障、尖閣諸島を始めとする国境離島や沖縄、台湾を含めた海洋政策、科学技術政策についてアンテナを張ってまいりました。経済安全保障、科学技術政策、海洋安全保障の三分野は、いずれも米国と中国の緊張が高まる分野であり、日本の安全と繁栄を堅持するために避けては通れない分野だと考えています。
 同時に、統治の在り方として、自由、民主主義、法の支配、人権やプライバシーの尊重という価値観と、専制主義、覇権拡張主義、監視統制を強める効率重視の価値観が相克し、日本の立ち位置や真価が試される重要分野でもあります。
 深刻な危機に直面するときにこそ、各国の国柄や特徴、その本質が凝縮して浮き彫りになることがあります。我が国に関して言えば、平時、日本は世界で最も治安が良く、自由で豊かな国ではあるものの、一たび誰も予想だにしていなかったレベルの危機が生じると結構もろい、少なからずの脆弱性を抱えていることが露呈しました。
 平時の社会機能が安定し充実していることは日本の強みではありますが、ともすると平時の感覚や慣性から抜け出しにくく、機動力のある有事の対応が打ちにくい難しさがあります。
 世界中が欲しがり、各国が囲い込みに動き、法外なお金を積み増し、頭を下げてでも入手したい、できれば自国で内製化しておきたい製品を戦略物資と定義するならば、昨年はこのマスクが戦略物資となりました。
 一番安く、効率的に生産できる国に量産をさせ、できるだけ安価でタイムリーに輸入すればよいという経済合理性を重視してきた日本において、従来数円で入手できていた汎用品でさえ、他国に囲い込まれ、生産や流通をコントロールされてしまう現実を前に、医療安全保障という概念が切実な政治課題となりました。国民の命と健康を守るための急所を他国に依存するわけにはいかないという警鐘です。
 そこで、国産ワクチン開発について伺います。
 歴史に鑑みれば、破傷風菌、ペスト菌などの研究で国際的にも大きな功績を残された北里柴三郎氏など、かつて日本は感染症研究において世界に貢献できる実力を有していたはずです。事実、今でも薬を自国で開発できる能力を持つ世界有数の創薬国の一角を占めます。にもかかわらず、なぜ日本で国産ワクチン、治療薬がまだ開発できないのか、国民の多くが持たれる疑問です。
 幸い日本には経済力がまだあり、米国や欧州諸国から国民に必要な量のワクチンを何とか購入することができてはいるものの、国民一人当たりのワクチンを一体幾らで買わされているのか、その価格を公表してはならないと契約で厳しく規定されています。
 例えば、ヨーロッパで作られたワクチンを域外に持ち出すことに審査を課したEUの囲い込みもあり、ワクチンがいつ、どのくらい日本に入ってくるのか、そのめどが立たないことで大規模接種、職域接種等に協力をしてくださった国民皆様の善意が落胆に変わり、いっときは内閣支持率を下げるほど綱渡りの時期もありました。
 安全性、効果への信頼性にたけたワクチンの開発、量産にいち早く成功したフロントランナーは莫大な利益を手にし、誰にいつ、どのくらいのワクチンを幾らで供与するのか、その裁量権を持つ国や企業が世界に対して強大な交渉力、発言力、外交力を持ちます。ゆえ、先進国はこぞって、強い政治的意思と意図を持って、ワクチン開発の量産に巨額の公費を投入してきています。
 世界各地に軍隊を駐留させる米国は、感染症対策を一貫して重視しており、米中を始めとする各国は、生物化学兵器、テロへの対応力を含めて、まさに国の安全保障の一環として自国でのワクチンの開発を継続的に進めています。同時に、主要国は、国民の富をつくる成長分野として自国の創薬力を上げる産業政策をてこ入れしています。
 その一方、日本においては、そもそも公衆衛生のレベルが高く、他国を襲ったSARS、MERSのようなパンデミックが幸いにも国内で発生せず、また炭疽菌によるテロも起こっていません。皮肉にも、このような負の経験がなかったことが、結果として感染症に国家として備えるという力、警戒心を弱くしていたという反省があるかもしれません。
 日本のワクチン開発が、アメリカ、イギリス、中国、インドなどに後れを取った背景には一体どんな要因があったのか。感染症対策を純粋に公衆衛生の問題としてしか認識していなかった日本と、これを安全保障を基盤とする産業政策と捉え、日々怠りなく精励してきた国々との根本的な認識の違いが、危機に際しての機動力に差を付けたのではないでしょうか。経済合理性と危機管理のバランスをどのように調整し、国民の理解を得るのか、政治と行政の真価が問われているようです。
 ワクチンの開発は、安定した製品を最初に開発したトップランナーが格段に大きな利益を得る先行者利益が激しい特徴があります。トップランナーとなった企業や国は、国内外で大規模治験の協力を得ることができ、同時に、ワクチンの副反応や性別、年代、人種や民族による効果の違いや効力持続期間など、膨大なデータを集めることができます。
 このデータ自体が宝の山であり、当該製品が世界で使われれば使われるほどデータの信頼性も上がり、製品の価値が更に上がる。トップランナーが、技術力、交渉力、資金力のみならず、データにおいても覇権を握ってしまう構図をかいま見るにつけ、このワクチン開発や創薬が生き馬の目を抜くような熾烈な国際競争と国際協調の場であることを思い知らされます。
 投入する予算の規模、研究主体の競争優位、緊急時の政治、行政の意思決定スピード、使命感や公益性を懸けた産学官の連携など、まさに国家としての総合力が問われている分野であり、日本はこのチャレンジを受けて立つ体制を構築できるかどうかの分岐点に立っているのではないでしょうか。
 自由民主党は、さきの衆議院選挙に向けた公約の大きな柱として、経済安全保障の強化を掲げて選挙に臨み、自民党の各部会でその具体案を論じてきました。今回、ワクチン開発及び安定的な生産能力の確保、構築に向け、五千億円規模の予算を計上した国の意思を明確に支持いたします。
 その上で、経済安全保障担当大臣に伺います。
 ワクチン開発において日本がなぜ後れを取ってしまったのか、政府はこの手痛い経験をどう分析されておられるのでしょうか。
 また、先行者利益が大きいワクチンの開発において現在後塵を拝している日本が、それでもなお将来に向けて国産化にこだわっていく動機はどこにあるのか、納税者の理解が進むように御説明をください。
 加えて、この五千億円に上る予算によって、今後何がどう変わり、将来的にいかなる果実が国民にもたらされるのか。経済安全保障、医療安全保障の観点から、以上三点、小林大臣に伺います。
 自衛隊の任務とワクチン接種について伺います。
 今年七月、静岡県熱海市で大規模な土石流災害が発生した際には、延べ九千七百人の自衛官が現地に派遣され、救援活動等に従事されました。被災された方々、犠牲になられた御霊を悼み、救助に当たっていただいた皆様に心を込めて感謝の念を強めます。
 このとき、熱海に派遣された自衛官のワクチン接種率は僅か一割でした。猛暑の中、腰までつかるほどの泥やぬかるみと闘い、ただひたすら行方不明者の捜索や御遺体の収容等を行った自衛官が、接種を受けられないまま感染リスクが高い三密での救助活動を続けられたと思うと、何とも忍びない思いです。
 度重なる雨で地盤が緩み、二次災害の危険もある中で人命救助に当たる自衛官すら優先接種の対象となっていなかったことが、果たして適切だったのでしょうか。
 自衛隊の第一義的な任務は、我が国の防衛です。寝食を共にして警戒監視を続ける艦船や潜水艦は閉鎖空間が多く、より徹底したコロナ対策が必要なはずです。
 例えば、急遽の代替要員が確保しにくい中で国境監視を続ける海上保安官、長期にわたり洋上で離島防衛の任務に就く自衛隊艦船の乗組員、災害救助の前線に立つ自衛官等の緊急度、必要度を精査し、優先接種の仕組みを整えるべきだと考えます。自衛隊の最高指揮官であり、危機管理の先頭に立たれる総理のお考えを伺います。
 続いて、自衛隊の任務について伺います。
 日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す昨今、主たる任務以外の業務で自衛隊に負荷が掛かり過ぎていないでしょうか。例えば、口蹄疫や豚熱における牛や豚の埋却や、鳥インフルエンザにおける何十万羽もの鳥の殺処分、冬季国体スキー会場等への雪の設営。自衛隊にあれもこれもと出動を依頼することが半ば当たり前のようになってきていることを案じます。
 自衛隊派遣には規律ある原理原則があるはずです。自衛隊ならではの国防任務の重要性と大規模災害等での貢献に鑑みれば、自衛隊の主たる任務から遠く離れて相当な負荷を現場に強いる業務に自衛隊を駆り出すことは慎重に勘案されるべきだと考えます。どのような基準で自衛隊派遣を考えればいいのか、防衛大臣の御見解を私たち国民にお聞かせください。
 日本の稼ぐ力、国際競争力の凋落が指摘されている今、岸田総理は、成長戦略のトップに科学技術・イノベーション分野を明示されました。
 平時において今ほど科学技術力が国家の盛衰を規定する時代はかつてなかったのではないかと感じてしまうほど、先進国はこぞって科学技術分野に大胆な投資をしています。
 技術覇権と自国に有利な技術やシステムの国際標準化を狙う米国、中国、欧州はもちろんのこと、各国は大学院博士号を取得した優秀な人材を競い合って獲得しています。
 人口百万人当たりの博士号取得者数は、イギリスが三百七十五人、ドイツが三百三十六人、韓国が二百九十六、次いで米国が二百八十一、そのはるか後塵を拝する日本は、米国の半分以下であり、トップを走るイギリスの三分の一以下となる百二十人です。この二十年間で主要国が皆、国の繁栄を懸けて博士号取得者を増加させている一方、日本だけが博士号取得者数を減少させています。
 なぜこのような厳しい状況に陥っているのか。そもそも、日本においては博士課程に在籍する人を正当な対価を支払うべき専門家、社会の価値を創出する金の卵だと認識しているのか、それとも、授業料を払ってくれる学生、安く使える労働力とみなしているのか。すなわち、お金を払う対象なのか、お金をもらう対象なのか、多くの人にヒアリングを重ねても、いまだ判然としません。
 私自身、最近ふと気が付き、痛感をしているのですが、日本には、博士号取得者をどのくらい養成し、その専門性を国の活力ある未来のためにどのように活用するのかという定見、ビジョンともいうべき国家戦略が見当たりません。だからこそ、ポスドク問題のような研究者の深刻な就業問題が生じており、高度人材の海外流出も顕在化しています。
 国家公務員制度においても、博士号を取得した人材を積極的に登用し、その優れた専門性を行政組織の刷新に主体的に生かすインセンティブはほとんど機能していないように見受けられます。
 日本の科学技術力の下落に危機感を持つ自民党は、昨年から政府各府省に熱意を持って働きかけ、世界に伍する大学を支援する十兆円ファンドという新しい枠組みが創設されました。その一環で、この度の経済対策においても、博士課程に学ぶ学生が研究に専念できる環境を実現するための予算が計上されており、この十兆円ファンドは、日本の科学技術力の再起に向け何としても実効性を上げ成功させたい、希望の礎だと認識しています。
 日本が引き続き先進国の一角を占め、科学技術立国を名のろうと決意するのであれば、特に理工系の博士号取得者を大学研究職に限定せず、能力に見合う処遇で産業界や公官庁でも活躍できる、みんなに見える確かなキャリアパスを産学官が必死になって築くべきです。
 いやいや、博士号取得者なんて頭が固くて使いづらい、まだ修士号取得者の方が潰しが利いて使いやすいとの従来どおりの社会認識が続くようであれば、日本は科学技術の先頭集団から脱落し、中進国に甘んじることになるのも時間の問題だと認識します。
 経済安全保障の主要課題は、科学技術の戦略的優位を磨くこと、技術力を稼ぐ力に進化させ、実際に富を生んでいく仕組みを回すこと、日本や同盟国の先端機微技術が他者、他国から窃取されることを防ぎ、知的財産や国際競争力、軍民両用に使われ得る技術を守り抜くことです。これらを担う頭脳に、各国は、学術的な訓練を積んで高い課題解決能力を持つ博士人材を充てています。
 小林大臣、なぜ日本だけ博士号取得者が減り続けているのでしょうか。日本の大学が大学研究職のみならず社会のニーズに応え、実業界でも通用し、高く評価される博士人材を輩出できるよう抜本的に進化を遂げるためには一体何が必要だとお考えでしょうか。
 また、博士号を取り巻く極めて厳しい現状を直視し、日本が再び科学技術立国として世界に冠たる先端技術や産業競争力を回復するために、小林大臣の下で博士号に対する国家ビジョンを明確に打ち立てていただきたいと提案いたしますが、いかがでしょうか。科学技術担当大臣に伺います。
 今年六月十一日、この参議院本会議場において、世界保健機関(WHO)の台湾への対応に関する決議が採択されました。国権の最高機関である国会において、参議院を構成する全会派、すなわち自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会、日本共産党、沖縄の風、れいわ新選組、碧水会、みんなの党、そして各派に属しない議員も含めた総意として、全会一致で決議を可決しています。
 私自身も、筆頭発議者として決議案を提出し、与野党の心ある同僚議員とともに各会派の合意形成に向けて主体的に動きましたが、感染症の収束を願い、参議院が一致して国際防疫という世界的価値に向けての台湾参画の意義を訴え、意思を明確にできたことは本当に良かったと思っています。
 この決議は、日本政府に対し、台湾がWHOの年次総会にオブザーバーとして参加する機会が保障されるよう、関係各国に強く働きかけることを求めています。
 立法府の参議院が全会一致で日本政府に求めた重い要望を総理はどのように受け止められ、外務大臣は関係各国にいかに働きかけてくださるのか、御見解と方策を伺います。
 近年、この参議院決議と同じような趣旨で、台湾WHO参加を支持する決議や、中国政府による人権侵害に関する決議等が各地の地方議会において採択されています。その後、当該地方議員や議会関係者が、中国大使館の参事官や中国領事館の副総領事、政治部主任等を名のる人物から直接抗議や名指しで威圧されていることが報じられており、私自身も複数の議会関係者から証言を得ています。
 日本は、思想信条の自由、表現の自由を尊ぶ民主主義国であり、国会であれ地方議会であれ、議会の正統な手続にのっとった意思表明は、他国の干渉や圧力を一切受けることなく、あくまで自由意思に基づいて行われなければなりません。そうでなければ、他国政府による内政干渉を恒常的に許すことになり、これは健全な議会運営を毀損し、民主主義を脅かします。地方議会で不安を覚えながら奮闘している議会人に対する威嚇の実態を政府として把握し、中国当局によって行われている威嚇の実態を国民の前に公表すべきだと思います。
 地方議会の自由意思と安全を守り抜く日本政府の毅然とした態度こそ、我が国の民主主義や独立主権を堅持することにつながると確信をいたします。総理の御賢察を伺います。
 日本は、六千八百五十二の島々から成る海洋国家です。島が存在していることによって我が国の排他的経済水域が形成され、人々が安心して島に住むことで日本の領土、領海が保全され、国境や漁業権が守られていることを考えれば、島の数を正確に把握し所管することは国益に関わる大事な行政です。
 では、沖縄に島は幾つあるのでしょうか。沖縄県のホームページには百六十の島々が点在すると記述されている一方、海上保安庁調査に基づく政府見解では、沖縄の島の数を三百六十三と発表しています。現在、島の数え方にダブルスコア以上の乖離が生じています。
 海洋国家日本の領土、領海を守り、また、国際法で担保されている我が国の排他的経済水域における権益を維持するためにも、私はこれまで、政府発表と地元自治体で公表する島の数に大きな乖離があることは健全ではなく、見解を一致するべきだと幾度となく訴えてまいりましたが、正式な回答がなかなかいただけません。
 そこで、沖縄県は一体幾つの島から構成されるのか、政府の確立した最終統一見解を総理に伺います。
 次に、私がライフワークとしている保育、幼児教育、子育て支援について伺います。
 この度、総理は、新しい資本主義の実現に向けた分配戦略の一環として、看護、介護、保育、幼児教育などの現場で働く方々の収入の引上げを打ち出され、保育士等を対象に収入を三%、月額九千円引き上げることを表明されました。
 幼子の命と健康を日々守っておられる保育の現場は、感染症対策の三密を意識しながらも、泣く子をおぶって、だっこして、離乳食を口に入れて、嘔吐物の衛生管理も徹底しながら、人の濃密な関わり合いによって運営をされています。多くの国民が新型コロナウイルスにおびえていた昨年最初の緊急事態宣言下、全国の学校一斉休校のときでさえ園を開き続け、エッセンシャルワーカーの子女も含めて子供の心身を守った現場の貢献には本当に頭が下がるものがあります。
 総理が強いこだわりを持って打ち出された今回の国主導の処遇改善は、実際に先生方お一人お一人の手元に行き渡るような制度設計にしていただきたく、切にお願いを申し上げます。
 加えて、経済的な処遇改善だけではなく、幼児教育、保育に携わる先生方に対する社会的敬意が向けられるよう、引き続き社会を担う専門職に敬意を持った前向きな発信をしていただきたいと存じます。併せて総理の御見解を伺います。
 さて、日本は、来年五月十五日、沖縄が本土に復帰してからちょうど五十年という節目を迎えます。
 さきの大戦末期、戦闘を続ける力も果てた沖縄戦において、大田實海軍司令官は、東京の海軍次官に宛てて最後の打電をし、自決されました。「沖縄県民斯く戦えり、県民に対し、後世、特別の御高配を賜らんことを」と記された電文には、兵士のみならず、非戦闘員である老若男女が、着のみ着のまま必死に戦われた様子が克明に記されており、沖縄戦の熾烈さを今に伝えています。
 吉田茂首相が署名し、昭和二十七年四月二十八日に発効したサンフランシスコ講和条約によって、それまで米軍に代表される戦勝国によって占領統治を受けてきた日本は、晴れて独立国家としての地位を回復し、国際社会に復帰しました。日本の独立主権を回復した歴史的な日です。
 同時に、講和条約が発効したこの四月二十八日は、沖縄が奄美や小笠原とともに引き続き米国統治下に置かれ続けることが決定的になった日でもあり、沖縄においては複雑なお気持ちがあることにも真摯に心を添わせます。沖縄は、この日から更に二十年間、戦後から数えると実に二十七年もの長きにわたって米国の施政下に置かれました。
 昭和三十九年の東京オリンピックでは、米国統治下の沖縄から聖火リレーが始められ、翌四十年、内閣総理大臣として戦後初めて沖縄を訪れた佐藤栄作総理は、沖縄の祖国復帰が実現しない限り我が国にとって戦後は終わりません、この思いは日本国民全ての気持ちであり、本土の同胞を代表して、これを皆さんにお伝えしたくて私は沖縄訪問を決意いたしましたと那覇飛行場で演説をされています。
 沖縄においても、祖国復帰期成会や祖国復帰協議会等が結成されて復帰への機運が高まり、国民的悲願であった沖縄の本土復帰は、ついに昭和四十七年、一九七二年五月十五日に実現をしました。
 この沖縄復帰によってこそ、日本は四十七都道府県全てにおいて主権を回復したことになり、これは、真の意味で日本が国家としての主権回復をやっと成し遂げられた歴史だと言えるかもしれません。
 戦中戦後に沖縄がたどった歴史に思いを致し、沖縄と日本全体がお互いに深甚な努力を続けて実現したこの歴史を深く記憶にとどめ、来年の本土復帰五十年の節目が真に国民的理解のある沖縄繁栄の新たな出発点となるよう願っております。
 今月に入り、沖縄県議会においても、又吉清義議員や島袋大議員が沖縄復帰五十年の在り方について質問に立たれています。日本政府においては、沖縄県の意向に真摯に耳を傾け、沖縄としっかりと手を携え、日本の意思として沖縄本土復帰五十年の記念式典を最高位の真心を持って開催していただきたいと考えます。
 また、沖縄が琉球時代から培ってきた高い文化や、戦中戦後にたどった歴史への国民的理解を深めるため、政府におかれては、例えば記念切手の発行など、この数年で各省庁が実行できる記念事業を御検討いただきたいと提案をいたします。総理の御見解を伺います。
 以上、様々な分野の質問を重ねましたが、全ての質問に共通するのは、かけがえのない守るべき価値をしっかりと守り抜く日本の態勢が構築できているかどうか、そのための私たちの努力に不足なかりしかという素朴で根幹的な自問です。
 心休まるときもなく、日々コロナの難しい国家のかじ取りに向き合っておられる総理と岸田内閣の御活躍を念じ、日本の未来に向けて共に責任を負う与党自民党の役割を自らに言い聞かせ、自由民主党、有村治子の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

#9
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 有村治子議員の質問にお答えいたします。
 自衛官等に対する優先接種についてお尋ねがありました。
 新型コロナ、新型コロナワクチン接種は、生命、健康を損なうリスクの軽減や医療への負荷の軽減を目的としています。
 これを踏まえ、一、二回目接種の接種順位は、多くの患者と接触する医療従事者、重症化リスクの高い高齢者等から順次接種することとし、政府の分科会で議論を経て決定されたものと承知をしております。
 この予防接種の実施方針については、感染症による感染リスクや重症化リスク、ワクチンの供給状況、接種体制、また業務の特殊性、あっ、特性などを踏まえながら、優先する対象者を設けるかどうか、これも含めて総合的に判断していくものであると考えております。
 WHO総会への台湾のオブザーバー参加を支持する決議の実行についてお尋ねがありました。
 我が国は、国際保健課題への対応に当たっては地理的空白を生じさせるべきではないとWHOで一貫して主張をし、台湾のWHO総会のオブザーバー参加を一貫して支持してきました。
 特に、今回の新型コロナのような全世界に甚大な影響を与える感染症については、自由、透明、迅速な形で、台湾のようにコロナ対策で実効的な措置をとり成果を上げた地域を含め、世界各国・地域の情報や知見が広く共有されることが重要であると考えております。
 引き続き、台湾のWHO総会オブザーバー参加に関し、関係国と連携し、WHOに働きかけてまいります。
 我が国の地方議会への威圧についてお尋ねがありました。
 岸田内閣として、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を重視しており、この維持強化にしっかり取り組んでいきます。
 そうした観点から、仮に地方議会に対する他国からの不当な威圧や威嚇があったとすれば、そのようなことは断じて受け入れることはできず、政府としてもしっかりと注視してまいります。
 沖縄県に所在する島の数についてお尋ねがありました。
 御指摘の沖縄県ホームページの百六十の島々との記載は、面積一ヘクタール以上の島の数を記載したものと承知をしております。一方で、海上保安庁においては、外周〇・一キロメートル以上の島嶼数を調査し、沖縄県の島嶼数を三百六十三としており、この数字を政府としては幅広く用いております。
 いずれにしても、政府として、領土、領海を守り、排他的経済水域における権益を維持するため、引き続き政府一体となって国境離島の状況把握等にしっかりと取り組んでまいります。
 保育士等に関する処遇改善や社会的敬意についてお尋ねがありました。
 今般、新しい資本主義を起動するための分配戦略の柱の一つとして、まずは、国が率先して、保育、幼児教育の現場で働く方々の給与の引上げを行いますが、これまでの累次の処遇改善と同様、補助額を全額給与に、給与引上げに充てたことを自治体において確認する仕組みといたします。
 また、私自身、先月、保育所を訪問し、車座で保育士など現場の皆さんのお話を聞かせていただき、社会に欠かすことができない重要な役割を担っていると改めて認識をいたしました。
 子供の教育、保育を行う専門職である保育士や幼稚園教諭の皆様が社会的な評価を受けながら現場で生き生きと長く働くことができるよう、今般の処遇改善と併せて、職業としての魅力の発信、また、働き方改革や業務の効率化、こうしたものに取り組んでまいりたいと考えます。
 そして、沖縄復帰五十周年を記念する式典及び記念事業についてお尋ねがありました。
 来年、沖縄の本土復帰から五十年の節目を迎えます。沖縄復帰は、沖縄県民そして国民全体の悲願であり、まさに国家的事業として実現したものです。五十周年を契機に、沖縄の本土復帰の歴史的意義を想起し、沖縄の歴史に思いを致すとともに、沖縄の魅力や可能性を内外に発信することは重要であると考えております。
 また、私自身、初めて入閣を果たしたのが平成十九年の沖縄北方対策担当大臣であり、沖縄の本土復帰五十年を迎えることについて非常に感慨深い思いがあります。
 沖縄の本土復帰五十周年を記念する式典の開催については、沖縄県においても県議会において、国等と連携、協力して取組を進める等、答弁をされているものと承知をしております。政府としても、沖縄県等とも連携しながら検討してまいりたいと思います。
 さらに、各種の記念事業についても、本日の御提案も踏まえながら、政府全体として検討を進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣小林鷹之君登壇、拍手〕

#10
○国務大臣(小林鷹之君) 我が国で国産ワクチンの開発が遅れた原因、ワクチンの国産化を目指す理由、ワクチン開発等に関する補正予算の効果についてのお尋ねがありました。
 まず、産学官が力を結集しワクチン開発で先行した米国などとの違いは、パンデミック等の危機に対して平時から十分に備えていたか否かだと考えます。
 我が国では、近年の公衆衛生の向上に伴う感染症研究の相対的重要性の低下や、企業にとっての事業化予測の難しさなどから、産学が自らワクチン研究開発に取り組むインセンティブに乏しい状況にありました。また、政府も、ワクチンのような一見すると経済合理性の乏しい分野への投資や政策立案が不十分でした。こうしたことが国産ワクチン開発の遅れにつながったと認識しています。
 パンデミック発生時には、各国が自国民へのワクチン確保を図る中で、国民の生命を守るために必要な量を確保するという医療上の必要性に鑑みれば、国産ワクチンの実現は経済安全保障上重要な位置付けを持つものと考えています。
 このため、今回の補正予算案において五千億円規模の予算を計上し、今後の感染症危機に備えるための国産ワクチンの開発や製造を大きく前進させます。
 具体的には、新たな創薬手法による産学官の実用化研究の集中的な支援、世界トップレベルの研究開発拠点の形成、ベンチャー企業や生産設備の支援等により、産学官の総力を挙げて国産ワクチンの迅速な開発を目指します。
 平時から有事に備えた継続的な取組を進めることは、パンデミックの際に、でき得る限り我が国自身の意思と能力により国民の命を守るという観点から必要です。その上で、我が国のワクチンなどを海外に提供することができれば国際的な貢献となり、我が国の更なる国益にもつながります。こうした姿こそが我が国の経済安全保障が目指すべきところと考えており、しっかりと取り組んでまいります。
 博士号取得者の減少についてのお尋ねがありました。
 我が国で博士号取得者が減少し続けている要因としては、博士課程在学中の生活の経済的見通しが十分でないこと、アカデミアにおける任期なしの安定して研究できる若手のポストが減少していること、博士号取得者の企業や官庁等におけるキャリアパスが限られていることなどが、そうした指摘があると認識しております。
 しかしながら、本来、博士号とは、欧米ではドクター・オブ・フィロソフィーと言われるように、様々な科学的手法を用いて仮説と検証を繰り返しつつ、科学的、科学的手法を、科学的結論や発見を見出し、構想力ある考え方を示すことができるという専門性を示す資格です。
 大学におきましては、優秀で志ある若者を鍛え、このような専門性に裏付けられる能力を育むことが求められています。
 また、社会や産業構造が目まぐるしく激変する現在、博士号取得者がアカデミアのみならず、企業等で十分にその力を発揮することがこれまでになく強く必要とされています。
 政府としては、このような社会の構造的変化の中で、博士号取得者が社会のあらゆる分野で存分にその力を発揮することが何よりも重要であるとの明確な政策的方向性を持ち、博士後期課程学生への経済的支援の充実を図るとともに、社会の多様なニーズに応える大学院教育の構築や企業との連携による長期有給インターンシップの推進などの具体的な施策を、関係省と協力しつつ、確実に実行していくことが必要だと考えています。
 博士号に対する国家ビジョンについてのお尋ねがありました。
 ただいま申し上げたとおり、予測不可能な時代に、我が国において博士号取得者が、アカデミアだけでなく産業界を含めて社会全体で活躍することは、我が国の未来を切り開く上で極めて重要です。
 そのため、政府としては、この度の前例にない十兆円規模の大学ファンド等を通じまして、若手を中心とする研究者がじっくり腰を据えて研究に打ち込める環境をつくり、挑戦的な研究に打ち込めるよう、博士学生や若手研究者に対する支援の抜本的な強化を図るとともに、企業との連携による長期のジョブ型インターンシップなどの取組を進め、さらには知的好奇心を引き出し、探求的な学びを重視する初等中等教育の実現などの施策を講ずることとしております。
 今後も、有村議員の御指摘のとおり、第六期科学技術・イノベーション基本計画を踏まえ、大学が優秀で志ある博士号取得者を育成し、その力を各界において存分に発揮してもらうためのビジョンを明確にする必要があると考えておりまして、関係府省と連携しながらしっかりと取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣岸信夫君登壇、拍手〕

#11
○国務大臣(岸信夫君) 有村議員にお答えいたします。
 自衛隊の災害派遣等の在り方についてお尋ねがございました。
 自衛隊は、災害派遣について、緊急性、公共性、非代替性の三要件を総合的に勘案の上、事態やむを得ないと認める場合に実施しており、また、運動競技会への協力も任務遂行に支障を生じない限度において実施をしています。
 他方、近年、災害派遣活動の大規模化、多様化等により、当初予定していた訓練を行えず、訓練計画上見込んでいた部隊の練度の維持向上の達成に支障を来すこともありました。
 こうした点も踏まえて、地方自治体や関係省庁等との間で役割分担の明確化、連携協力を進めており、引き続き国民の安全、安心のための災害派遣活動を効果的、効率的、効果的に実施をしてまいります。(拍手)
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕

#12
○国務大臣(林芳正君) 有村議員からは、WH総会への台湾のオブザーバー参加を支持する決議の実行についてお尋ねがありました。
 国際保健課題への対応に当たっては、地理的空白を生じさせるべきではないとWHOでこれまでも一貫をして主張してまいっておりまして、台湾のWHO総会のオブザーバー参加を一貫して支持をしてまいりました。
 特に、今回の新型コロナのような全世界に甚大な影響を与える感染症については、自由、透明、迅速な形で、台湾のようにコロナ対策で実効的な措置をとり成果を上げた地域を含めて、世界各国・地域の情報や知見が広く共有をされることが重要だと考えております。
 こうした認識の下で、日本を含むG7各国は、本年五月のG7外務・開発大臣会合コミュニケにおきまして、世界保健機関の諸フォーラム及び世界保健総会への台湾の意義ある参加を支持するとの立場を表明しております。
 政府として、引き続きWHO等の場で日本の立場を明確に主張していくとともに、台湾のWHOオブザーバー参加に関し、関係国と連携し、WHOに働きかけてまいります。(拍手)

#13
○議長(山東昭子君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#14
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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