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2021/10/13 第205回国会 参議院 第205回国会 参議院 本会議 第4号 令和3年10月13日
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2021/10/13 第205回国会 参議院

第205回国会 参議院 本会議 第4号 令和3年10月13日

#1
令和三年十月十三日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第四号
  令和三年十月十三日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男さん。
   〔山口那津男君登壇、拍手〕

#3
○山口那津男君 公明党の山口那津男です。
 私は、公明党を代表して、岸田総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 コロナ禍との闘いが続く中、国民の期待を背負い、岸田新内閣が誕生しました。新政権の発足に先立ち、自民党と公明党は新たな連立政権合意を結び、謙虚な姿勢で真摯な政権運営に努めるとの自公連立政権の原点を踏まえるとともに、国民の命と健康、雇用と暮らしを守る政策を着実に実現することでコロナ禍を克服し、力強い日本の再生を成し遂げるという新政権の取組方針を確認しました。
 また、コロナ対策や経済再生を始め子育て、教育支援、脱炭素社会、防災・減災対策、外交関係の強化など直面する重要課題に対して着実に結果を出し、感染収束に御協力いただいた国民の皆様にお応えしていくことが新内閣に課された責務です。
 総理が述べられている国民の声を聞く政治、これは私たちが最も大切にしている政治姿勢です。この一年九か月余り、コロナ禍との闘いの中で、公明党は、地方議員と国会議員のネットワークを生かし、生活現場の声を政府に届け、ワクチン接種や療養体制の改善、効果的な治療薬の活用促進など、一つ一つ政策を実現してきました。
 コロナ禍で浮き彫りになった、危機に際して脆弱な政治・行政システムの変革を大きく前に進めるためにも、国民生活の窮状に寄り添い、問題の核心を的確に捉えた政策を国民の理解を得ながら迅速に進めていく必要があります。
 社会の閉塞感を打ち破り、日本の将来展望を開くため、公明党は岸田内閣の取組を支え、力強い日本の再生に全力を挙げてまいります。
 以下、総理が所信表明で述べられた三つの政策の柱に沿って質問をいたします。
 初めに、総理が政策の第一に挙げられた新型コロナ対策について伺います。
 緊急事態宣言がようやく解除されましたが、総理が述べたとおり、危機対応は常に最悪の事態を想定した備えが重要であり、第六波の流行も想定した対策に万全を期す必要があります。引き続き、希望する方へのワクチン接種を着実に進めるとともに、効果的な治療薬の開発、普及に全力を挙げるべきです。
 公明党は、自宅療養者など軽症者の重症化予防に効果のある抗体カクテル療法をより多くの場所で使用できるよう政府に求め、当初、入院に限られていたこの治療は、宿泊療養施設、外来、そして往診へと投与の場が拡大しました。感染拡大が落ち着いた今こそ、こうした治療が、新たに承認された抗体薬も含めてそれぞれの地域で速やかに実施できる体制を整えておく必要があります。
 さらに、より強力な変異株や新たな感染症にも対応できるよう国産のワクチン、治療薬の開発、実用化を強力に支援することが急務です。
 コロナ禍で苦しんでいる事業者や生活困窮者などを守る支援策も必要です。
 雇用対策では、雇用調整助成金等の特例措置を実施していますが、感染状況を踏まえながら、引き続き十分な水準を確保していただきたい。
 また、パート、アルバイトなどシフト制で働く方については、休業手当が支払われていない場合に、休業支援金・給付金により引き続き生活を支えていくとともに、今後、より安定した雇用に結び付けていく取組が重要です。事業者を守り抜く資金繰りにも万全を期すため、公庫による実質無利子、無担保融資は来年以降も当分の間、継続すべきです。また、既往債務の再度の条件変更など、事業者の要望に沿った最大限柔軟な対応を徹底していただきたい。
 子育て世帯に対しては、令和二年度第二次、第三次補正予算により子供食堂等の支援を通じて見守り体制の強化を行っていますが、是非恒久化していただきたい。
 総理は、政策の第二に新しい資本主義を掲げ、成長と分配の好循環を実現すると述べられました。公明党も、本格的な経済再生に向けて、新たな成長の源泉となるデジタル化やグリーン化への投資を通じて潜在成長力を高め、その成果を賃金などに広く分配し、家計の所得水準を向上することが重要だと考えます。
 コロナ禍では、非正規雇用労働者等の収入が大幅に減少するなど、所得格差の問題が浮き彫りとなりました。所得格差の是正には成長と分配の好循環を支える賃上げが不可欠であり、その鍵を握るのは、雇用の七割を支える中小企業です。
 一方で、売上げの大幅な減少や今月から実施されている最低賃金の引上げに伴い、中小企業からは更なる支援を求める声が寄せられています。生産性向上に向けた各種補助金等の大幅な拡充や、所得拡大促進税制等の支援、価格転嫁対策など、中小企業が賃上げしやすい環境整備を強力に支援すべきです。
 中小企業への賃上げ支援を始め所得拡大と格差是正にどう取り組むのか、総理に伺います。
 コロナ禍を機に、デジタル化やグリーン化などの社会変革が進みつつあります。公明党は、こうした取組を生活の隅々まで浸透させるとともに、コロナ禍で落ち込んだ消費の回復につなげることが重要と考えます。
 具体的に、新たなマイナポイント事業の創設を提案します。私たちの暮らしを便利で豊かにするデジタル社会の実現は、その基盤となるマイナンバーカードの普及が不可欠です。本年九月一日現在、その交付率は三七・六%と、十分に行き渡っている状況とは言えません。
 そこで、マイナンバーカードの取得やキャッシュレス決済の普及促進と同時に、消費を喚起する対策として、カードを保有している方やこれから取得する方に対し、幅広いサービスや商品の購入に使えるマイナポイントの付与を提案します。ポイントを購入した場合にプレミアムを付与する従来の仕組みを改め、一人三万円分のポイントを直接付与する新たなマイナポイント事業の創設を求めます。
 二つ目に、グリーン社会の実現に貢献する製品を普及すると同時に、消費を喚起する対策として、電気自動車や燃料電池自動車、省エネ性能の高い住宅の購入支援制度を一層拡充するとともに、今後は、家庭用の太陽光パネルや蓄電池の導入支援制度も創設すべきと考えます。これらの消費喚起策について、総理の答弁を求めます。
 厳しい経営状況が続いてきた観光や飲食産業とともに、輸送需要が激減する中にあっても、国民の暮らしや経済活動を支えてきた地域公共交通への支援にもしっかり取り組まなければなりません。
 緊急事態宣言が解除され、ワクチン接種が進む中、政府は、今後の感染対策と社会経済活動の両立を図るため、観光や飲食、イベント参加など行動制限の緩和に向けて、ワクチン・検査パッケージを活用した新たな仕組みの検討を進めています。
 観光や飲食産業からは、GoTo事業再開を望む声が上がっています。再開に当たっては、あくまでも感染収束を前提として、パッケージの活用を含め感染防止対策の維持、徹底が不可欠です。加えて、ワクチン接種をしていない方々が不利益や不当な差別を受けることがないよう十分な配慮が必要です。これまでの教訓を生かした創意工夫を盛り込み、安全、安心の観光産業の復興の原動力として、新たなGoToキャンペーンを実施していただきたいと思います。総理の答弁を求めます。
 総理が成長戦略の第一に掲げた科学技術立国について伺います。
 今月五日、プリンストン大学の上級研究員である眞鍋淑郎さんがノーベル物理学賞を受賞されました。地球温暖化を予測する地球気候モデルの開発が評価されたもので、気候学分野での物理学賞の受賞は初めてであり、歴史的な快挙です。好奇心から始まった研究が気候変動問題など人類が直面する課題の解決に大きく貢献したことを考えると、基礎研究の重要性を改めて認識するとともに、多くの人々に夢と希望を与える科学技術の基盤強化を未来への投資として強力に推進することが重要です。
 本年創設された大学ファンドを早期に十兆円規模へ拡大するなど、若手研究者等が基礎研究を始めとした研究に専念できる環境づくりを是非とも進めていただきたい。
 科学技術立国の発展を支える若手研究者の支援について、総理の答弁を求めます。
 公明党は、成長戦略の一環として、人への投資が重要であり、産業構造の転換や格差の是正を図るためにも、リカレント教育や職業訓練を強力に支援すべきと考えます。
 非正規雇用等で働く方については、生活費として月十万円を受給しながら無料で職業訓練を受けられる求職者支援制度による支援が行われています。コロナ禍でシフトが減少したパート、アルバイトの方が働きながら訓練を受けやすいように、収入要件や出席要件の緩和など特例措置も実施されています。より多くの方が受講し、デジタル分野を始め希望する就職へとつながるよう、制度の拡充が必要です。総理の答弁を求めます。
 総理は、分配戦略の中で、子育て世帯への支援を表明されました。
 公明党が推進した幼児教育、保育、私立高校授業料、大学など高等教育の三つの無償化により、我が国の家族関係支出の対GDP比は、二〇一五年の一・三一%から二〇二〇年には一・九%程度へと増加し、OECDに加盟する先進諸国の平均値である二・一%に近づきつつあります。
 一方で、少子化が加速化し、児童虐待、いじめ、不登校、貧困、自殺など、子供と家庭をめぐる様々な課題が多様化、複雑化しています。誰もが安心して子育てができ、十分な教育を受けられるように、子育て、教育支援を国家戦略に据えて強力な支援を行うべきです。ライフステージに応じて必要な支援策をきちんと整え、その全体像を示すことが子育てへの希望のメッセージとなり、安心につながります。例えば、出産費用は年々増加傾向にあるため、その実態を把握した上で、出産育児一時金の増額を行うべきです。
 不妊治療については、公明党が一九九八年に党の政策として保険適用を掲げ、現在の助成制度の創設、拡充をリードしてきましたが、この保険適用が来年四月から実施される予定です。保険適用となる治療や検査の範囲などについて検討を急ぐとともに、働きながら治療ができる環境づくりを更に進めていただきたい。
 政府が本年閣議決定したいわゆる骨太方針には、不妊治療への保険適用や出産育児一時金の増額に向けた検討が、公明党の提言も踏まえ、明記されました。新内閣において是非実現すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。
 公明党は、前回の衆院選公約において教育の負担軽減を掲げ、幼児教育や高等教育の無償化を前に進めてきましたが、今後は中間所得世帯も含めた教育費の無償化を段階的に拡充すべきと考えます。
 また、教育の負担軽減とともに、子供たちが安心して学べる環境整備も重要な課題です。本年の通常国会では、公明党が主導した、わいせつ行為などの性暴力を行う教員から子供を守るための法律が成立しました。この新法に基づき、わいせつ等による免許状失効者の情報を閲覧可能にするデータベース整備等の取組を着実に進めることが必要です。あわせて、保育士や塾講師などの子供と接する職種においても、わいせつ行為の対策強化の検討を求めます。
 教育費無償化の拡大と性暴力から子供を守るための対策強化について、総理の答弁を求めます。
 コロナ禍の影響により、文化芸術関係者は、早くから公演等の自粛を余儀なくされるなど、大きな影響を受けています。その文化芸術を支える方々への支援を実施するため、公明党は関係者から現場の声を直接伺い、その声を政府に届け、文化芸術団体等に最大二千五百万円を支援するアーツ・フォー・ザ・フューチャーや、十八歳以下の子供たちが無料で舞台等を鑑賞できる機会の確保などを推進してきました。
 引き続き、関係団体やフリーランス、舞台技術スタッフの方々が活動を継続するための支援を充実していただきたい。文化芸術活動への継続支援について、総理の答弁を求めます。
 総理が政策の第三に掲げた国民を守り抜く外交・安全保障について伺います。
 総理は、地球規模の課題に向き合い、人類に貢献し、国際社会を主導する覚悟と、核兵器のない世界を目指す考え方を明確にされました。広島出身の総理は、外務大臣時代、現職の米国大統領として初めてとなるオバマ氏の広島訪問に尽力されました。唯一の戦争被爆国として、核保有国と非保有国の真の橋渡し役を担い、現実的かつ実践的な取組を更に積み重ねていただきたい。
 公明党は、核廃絶への機運を高めている核兵器禁止条約について、締約国会合への日本のオブザーバー参加を強く求めます。そして、中長期的には、日本が同条約を批准できるような安全保障環境を創出していくべきと考えます。
 また、核保有国に対して核軍縮を進める義務を負わせている核兵器不拡散条約、いわゆるNPTの進展も重要です。来年一月に開催予定のNPT運用検討会議では、懸念とされる核保有国の関係悪化や核兵器の近代化の進展などを課題として議論し、透明性の向上及び信頼醸成につなげる体制づくりや核兵器をめぐるリスクの低減などについて、各国が共に取り組むことのできる実質的な措置を見出していただきたい。その成果を踏まえ、核兵器禁止条約と互いに補完し合いながら、実質的な核廃絶への道筋を示していただきたいと思います。
 持続可能な開発目標、SDGsの達成に向けた取組も重要です。コロナ禍により遅れが余儀なくされましたが、達成目標年の二〇三〇年に向けて、より一層加速させることが求められています。公明党の提案で実現した全世界に公平にワクチンを供給する国際的枠組み、COVAXファシリティーへの参加もSDGsの取組の一つです。このように各国が協力して行動を起こすとき、SDGs達成に向けた取組を着実に軌道に乗せることができると確信します。
 貧困、教育、労働、環境、ジェンダー平等などの課題解決に向けた取組を加速化していくため、政府は、自治体、企業、市民社会、そして国際社会との協力を深めるべきです。誰一人残さないとの考えの下、SDGs達成に向けた取組を進めていただきたいと思います。核兵器のない世界とSDGs達成に向けた取組について、総理の決意を伺います。
 総理は、地方活性化に向けた基盤づくりに向け、積極的な投資に言及されましたが、その中でも最優先すべきは防災・減災、復興の取組です。
 自然災害の脅威は、温暖化の影響によって以前にも増し、風水害が深刻化し、迫りくる大規模地震や火山災害への対策は待ったなしです。加えて、コロナ禍との複合災害への対応など、新たな課題も生じています。これまで以上に国と地方、官と民がしっかりと連携、協働し、新技術や過去の教訓を生かすことが重要です。
 また、我が国の危機管理対応力を総点検、強化するとともに、ハード、ソフト両面にわたる防災・減災対策をより一層進めなければなりません。防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に盛り込まれた流域治水やインフラ老朽化対策など、様々な取組の完了時期については可能な限り前倒しを求めます。
 東日本大震災を始め近年の災害で被災された方々にしっかりと寄り添い、支援の取組に全力を尽くし、発災前を上回る創造的復興を進めて被災地の発展につなげることが重要です。総理の御決意を伺います。
 災害時、自力で避難が難しい高齢者や障害者等の避難対策や被災者支援は、引き続き重要な課題です。
 本年改正された災害対策基本法では、要支援者の避難先や経路等を事前に定める個別避難計画の作成が市町村の努力義務として規定され、新たにその作成経費も措置されました。個別避難計画は、災害時だけではなく、平時における地域福祉の強化や、孤立を防ぐ観点からも重要な取組です。
 一方、コロナ禍での自宅療養者等の避難対応や生活支援など新たな課題も生じており、行政負担が増大しています。これらの課題にも対応し、被災者支援の質を向上させるため、個別避難計画と連携し、地域の福祉団体や福祉専門職、自治会、NPOやボランティアなど多様な主体が効果的に連携、協働できるよう、平時と災害時をつなぐ地域の防災福祉の仕組みづくりが重要と考えます。総理の答弁を求めます。
 所信表明の中で、総理は、多様性が尊重される社会、全ての人が生きがいを感じられる社会について言及されました。
 人口減少やコロナ禍の影響により地域公共交通の維持が一層厳しさを増す中、買物や通院など日常生活に不自由を強いられる高齢者や障害者など交通弱者の方々に対する移動支援の強化が喫緊の課題となっています。地域の実情に応じて、コミュニティーバスやデマンドタクシーの導入、公共交通機関の利用割引など移動支援の拡充について、国は一層の後押しを図るべきです。
 また、東京五輪・パラリンピック大会を契機に、ハード、ソフト両面から大きく進んだバリアフリー化を更に推進することも重要です。一方、公共交通機関における障害者用ICカードや精神障害者割引、ウエブによる障害者用乗車券の予約、決済などの実施の現状は一部の事業者に限られており、更なる対応が求められます。
 高齢者等に対する移動支援の拡充とバリアフリー化の更なる推進について、国土交通大臣の答弁を求めます。
 本年三月、各国における男女平等を数値化したジェンダーギャップ指数が発表され、日本は百五十六か国中百二十位という結果となりました。
 一つの要因として、近年、国民の関心が高まっている選択的夫婦別姓制度の有無が指摘されており、法務省によれば、夫婦別姓が選べない国は日本だけです。結婚により改姓するのは九六%が女性であり、女性の活躍促進という観点から、婚姻後の仕事のキャリア維持など様々な理由で、希望する夫婦がそれぞれの姓を変えることなく結婚できるよう、制度導入を実現すべきと考えます。
 また、性的少数者に対する課題解決も重要です。現在、我が国には、自治体におけるパートナーシップ認定制度は進んでいるものの、その根拠法がありません。こうした状況の中、さきの通常国会において超党派の議連で議論を重ねてきた理解増進法案が与野党で合意に至りました。性的指向と性自認に対する差別、偏見、不適切な取扱いを解消し、多様性を尊重する社会の構築に向けた第一歩となる法案であり、早急な成立が求められます。
 選択的夫婦別姓制度の導入や理解増進法案など、ジェンダーギャップの解消に向けた取組について、総理の御決意を伺います。
 総理が所信表明の中で触れなかった重要課題について、何点か質問いたします。
 本年六月、千葉県八街市で飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に衝突し、児童五人が死傷する痛ましい事故が発生しました。
 事故を受けて全国で実施した通学路の総点検結果を踏まえ、歩道の設置、拡充やガードレールの整備など、危険箇所への対策を講じる際は、子供目線と地域住民の声に配慮した安全対策を進めていただきたい。また、事故を起こした飲酒運転のトラックが自家用車と同じ白ナンバーであったことを踏まえて、一定台数以上の白ナンバー車両を有する事業者に対してドライバーのアルコール検知を義務付けるなど、飲酒運転の事故を根絶するための取組を強化すべきです。
 子供の命を守る通学路の安全対策について、総理の答弁を求めます。
 政治家に対する国民の信頼なくして政治を進めることはできません。
 先般取り沙汰された公職選挙法違反などを起こした国会議員の歳費等の取扱いは、これまでも度々問題視されてきました。公明党は、これらの国会議員の歳費等について、勾留された場合は支給停止、当選無効となった場合は返納を義務付ける骨子案を取りまとめ、八月末の与党骨子案の策定にも尽力してきました。
 議員の不祥事が相次ぐ中、政治家自らが襟を正す姿勢を示していかなければなりません。政治と金の問題を二度と起こさないために、速やかな法改正を始め不断に政治改革に取り組むことが重要であると考えますが、総理のお考えを伺います。
 結びに、一言申し上げます。
 長期にわたるコロナ禍との闘いは、いまだ終息に至らず、引き続き国民の命と生活を守る政策を最優先で進めなければなりません。また、コロナ禍でスタートした我が国のデジタル化やグリーン化の取組は緒に就いたばかりであり、総理のリーダーシップの下、こうした社会変革の歩みを緩めることなく、力強く前に進めていくことが必要です。
 公明党は、自民党とともに、国民と対話し、国民との信頼関係を築きながら、コロナを乗り越えたその先に希望と安心の未来が展望できるよう、日本再生へ不断の取組に挑戦してまいります。そのことを改めてお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

#4
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 山口那津男議員にお答えいたします。
 まず、新型コロナワクチンと治療薬についてお尋ねがありました。
 新型コロナワクチンについては、希望する全ての方へのワクチン接種を十一月の早い時期には完了することを目指し、着実に進めてまいります。
 また、より強力な変異株や新たな感染症にも対応できるよう、国産ワクチンを含め、産学官の研究開発を集中的に支援するとともに、国内外の治験環境や製造拠点の整備、薬事承認プロセスの迅速化などに取り組みます。
 中和抗体薬ロナプリーブについては、必要な量の確保を図り、これまで三万六千人の方々に投与をしてまいりました。投与後の観察体制が確保されていること等の一定の要件を満たした医療機関での外来投与を可能としており、今後も治療薬をより活用しやすくするために、現場の声もお聞きしながら検討してまいります。
 加えて、自宅で使える飲み薬はコロナ対策の大きな決め手です。国産の経口治療薬の研究開発などを積極的に支援するとともに、国民の安全、安心を確保できるよう、治療薬の確保に最大限取り組んでまいります。
 雇用維持、事業継続、生活支援についてお尋ねがありました。
 新型コロナから国民の暮らしを守り抜く、このことを最優先に、雇用調整助成金の特例措置や休業支援金・給付金、実質無利子、無担保融資を当面年末まで実施と柔軟な対応の徹底、そして、地域子供の未来応援交付金の活用及び子供食堂等による見守り体制の強化などの支援、行ってまいりました。
 今後も新型コロナ対応は喫緊かつ最優先の課題であり、引き続き、先の見通しが立つように雇用、生活支援に取り組んでいく必要があります。
 新型コロナで大きな影響を受ける方々を支援するため、総合的かつ大胆な経済対策を策定いたします。選挙後、速やかに決定して補正予算を提出いたします。そして、補正予算提出、失礼、補正予算成立までの間も雇用、暮らしを守るための支援に万全を期していくとともに、必要な対策は新型コロナ予備費などを柔軟に活用してまいります。
 中小企業が賃上げしやすい環境整備についてお尋ねがありました。
 まず、中小企業が賃上げの原資をしっかりと確保できるよう、生産性向上に取り組む中小企業を事業再構築補助金等の補助金等により支援してまいります。また、生み出された利益が中小企業に残るよう、下請取引に対する監督体制の強化などにより大企業と中小企業の共存共栄を推進してまいります。
 さらに、法人税について、労働分配率の向上に向けて、現在、一千億円規模の賃上げに積極的な企業への支援の抜本的強化、検討してまいります。
 以上を通じて、成長と分配の好循環を実現し、国民が豊かに生活できる経済、つくり上げてまいります。
 消費喚起についてお尋ねがありました。
 マイナポイント事業は、現在、本年十二月末までを事業期間として実施中であり、今月十日までに約二千三百六十万人の方に御利用いただいているところです。
 また、グリーン社会の形成に向け、電気自動車、燃料電池自動車等の導入支援や、グリーン住宅ポイント制度等による省エネ性能の高い住宅整備の支援、家庭用の太陽光パネルや蓄電池などによる住宅のゼロエネルギー化に向けた支援を行っているところです。
 御提案を含め、今後、与党の議論も踏まえながら、政府内においても検討を進めてまいります。
 GoToキャンペーンについてお尋ねがありました。
 足下では感染者の数は落ち着いていますが、楽観視はできません。様々な事態を想定し、ワクチン接種や医療体制の確保など対応策の全体像を早急に示し、徹底的な安心確保に向けた取組を進めていくことが最優先です。
 同時に、電子的なワクチン接種証明の積極活用や検査の拡充など、新型コロナと共存を図り、通常に近い社会経済活動を取り戻していくための取組も進めてまいります。
 その中で、GoTo事業については、ワクチンそして検査パッケージの技術実証等の結果を踏まえ、ワクチン接種証明や検査の活用による安全、安心の確保を前提とした仕組みに抜本的に見直すとともに、週末の混雑回避の工夫や中小事業者への配慮などについても検討してまいります。
 具体的な開始時期あるいは内容については、感染状況などを十分に踏まえながら慎重に考えてまいります。
 若手研究者等が研究に専念できる環境づくりについてお尋ねがありました。
 眞鍋先生とは先日オンラインで面談をいたしましたが、科学技術立国を目指す政府として、今後もノーベル賞につながるような基礎研究力を確保していくため、若手研究者等がじっくり腰を据えて研究に打ち込める環境をつくることが何よりも重要だと考えます。
 具体的には、十兆円規模の大学ファンドの設置のほか博士課程学生への経済的支援、若手研究者の自由な発想による挑戦的な研究への支援などを実施いたします。これらの取組を通じ、我が国の研究力が世界と伍するよう強化してまいります。
 リカレント教育、職業訓練への支援についてお尋ねがありました。
 議員御指摘のとおり、デジタル分野を始めとする成長分野の人材育成を促進することは重要であると考えます。
 このため、技術革新と産業界のニーズに合ったスキルを身に付けていただくため、デジタル分野等における職業訓練の実施などを通じてリカレント教育を推進しているほか、収入が一定額以下の方を対象に、職業訓練と併せて月十万円の給付金を支給する求職者支援制度を実施しており、これらの支援により、多くの方がデジタル分野を始め希望する職業に、失礼、希望する就職につながるよう取り組んでまいります。
 子育て、教育支援についてお尋ねがありました。
 子育て、教育支援については、これまでも安定財源を確保しつつ、ライフステージに応じた様々な支援を充実させてきたところであり、今後も子育てや教育の支援を促進いたします。
 御提案いただいた出産育児一時金については、費用実態を踏まえた支給額の検討等を行ってまいります。
 また、子供を持ちたいという方々の気持ちに寄り添い、その切実な願いに応えるため、不妊治療の保険適用を来年四月からスタートすることとしており、現在、保険適用に向けて専門家による議論が行われているところです。
 国民が安心して不妊治療を受けることができるよう具体的な制度設計を進めるとともに、不妊治療のために利用可能な休暇制度の導入等を行う中小企業事業主への助成金を支給するなど、不妊治療を受けやすい職場環境整備の推進を行ってまいります。
 次世代の人材育成に力を入れてきた公明党とともに、子供を産み育てやすい社会の実現に向けて、子供の視点に立った施策、しっかりと推進してまいります。
 また、教育費無償化の拡大などについてお尋ねがありました。
 子供たちの誰もが、家庭の経済事情にかかわらず、質の高い教育を受けられるチャンスが平等に与えられ、個性や能力を最大限伸ばせるようにすることが必要です。
 教育費の負担軽減については、安定財源を確保しつつ、幼児教育、保育の無償化や私立高校の実質無償化、高等教育の無償化を着実に実施してきました。高等教育の無償化の中間層への拡充については、その実施状況の検証を行い、中間所得層の進学の状況等を見極めつつ、機会均等の在り方について検討してまいります。
 さらに、子供の性被害は、被害者の尊厳を著しく踏みにじり、その心身に長期にわたり重大な悪影響を及ぼすものであり、断じてあってはならないと考えます。
 このため、性暴力から子供を守るための対策の強化については、子供に性暴力を行ったことにより教員免許状が失効した者の氏名や失効の事由などを記録するデータベースの整備などの取組を着実に進めてまいります。
 また、教育・保育施設等や子供が活動する場で働く際に性犯罪歴がないことの証明書を求めることを検討するなど、保育士や塾講師等の教員以外の子供と接する職種についても、関係者、関係省庁がしっかり連携して、子供を性被害から守る取組をしっかり進めてまいります。
 文化芸術活動への継続支援についてお尋ねがありました。
 国難と呼ぶべき状況に、呼ぶべき現状において、人々の心を癒やし、勇気付ける文化や芸術の力が必要であり、困難にあってもその灯は絶対に絶やしてはならないと考えます。
 このため、コロナ禍の影響を受ける文化芸術団体への支援については、これまで、令和二年度補正予算を活用して、公演等の実施やキャンセル費用の支援、子供に無料で鑑賞機会を提供する舞台公演の支援を行ってまいりました。これら団体を通じた事業により、その公演等に関与するフリーランスや技術スタッフにも支援を届けることとしております。
 政府としては、今後とも、厳しい状況にある文化芸術活動の支援強化に取り組んでまいります。
 核軍縮とSDGs達成に向けた取組についてお尋ねがありました。
 我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。
 核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約です。しかし、現実を変えるためには核兵器国の協力が必要ですが、同条約には核兵器国は一か国も参加をしておりません。
 御指摘のような対応よりも、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力していかなければなりません。こうした考えから、私自身、核兵器国も参加するNPT運用検討会議を重視しており、前回、六年前と異なり、次回こそは核兵器のない世界に向けて意義ある成果が得られるよう、関係国と緊密に連携して取り組んでまいります。
 SDGsの達成に向けては、日本の高い科学技術の知見を活用しつつ、誰一人取り残さないとの考えの下、保健や気候変動を始めとする様々な地球規模課題の解決を目指し、オールジャパンの取組を通じ、国際社会を主導してまいります。
 防災・減災、復興についてお尋ねがありました。
 近年、災害が激甚化、頻発化する中、本年も、七月以降長雨が続き、静岡県熱海市の土石流災害を始め甚大な被害が各地で発生をしています。さらに、先週七日の千葉県北西部を震源とする地震では、負傷者が出たほか鉄道の脱線や水道管の破損による漏水の発生などの被害が生じています。
 こうした災害から国民の生命と財産を守り抜くため、新技術や過去の教訓を生かしながら、ソフト対策とハード対策を効果的に組み合わせ、防災・減災、国土強靱化の取組、強化していくことが不可欠です。加えて、被害者の生活となりわいを一日も早く取り戻すことができるよう、被災者に寄り添った支援を行うことも重要です。
 このため、昨年決定した五か年加速化対策を含めた防災・減災、国土強靱化を着実に進める中で、緊要性に応じ流域治水やインフラ老朽化対策などの加速を図るなど、これまで以上に取組を効果的かつ強力に推進してまいります。
 さらに、危機管理対応について不断の見直しを図るとともに、東日本大震災からの創造的復興に向けた国際教育研究拠点の整備など、被災地のより良い復興に政府一体となって全力で取り組んでまいります。
 高齢者や障害者等の個別避難計画と連携した地域の防災福祉の仕組みづくりについてお尋ねがありました。
 高齢者や障害者等の避難対策の実施に当たっては、行政に加え、地域の福祉団体や福祉専門職、自治会、NPOなど、多様な主体と連携することが重要だと考えます。
 政府としては、被害対策基本法、失礼、災害対策基本法の改正で市町村の努力義務とされた個別避難計画の作成に、地域の防災・福祉関係者と連携して取り組むことを促すため、計画の具体的な作成手順の提示、優良事例の全国的な共有などの支援を行っております。
 引き続き、災害時はもちろん、平時においても地域の防災・福祉関係者など多様な主体と効果的に連携、協働できるよう取り組んでまいります。
 選択的夫婦別氏制度や理解増進法案についてお尋ねがありました。
 私が目指すのは、多様性が尊重される社会であり、若者も高齢者も、障害のある方もない方も、男性も女性も、全ての人が生きがいを感じられる社会であります。
 選択的夫婦別氏制度については、政府として、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、更なる検討を進めてまいります。
 また、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見、これはあってはならないと考えており、理解増進法、増進法案についても、議員立法として熱心に御議論されているものと承知をしております。
 いずれにせよ、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向け、引き続き、多様な国民の声を受け止め、しっかりと取り組んでまいります。
 通学路の安全対策及び飲酒運転対策についてお尋ねがありました。
 千葉県八街市における事故を受けて、政府では、本年八月四日に、通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策を策定いたしました。通学路対策については、全国の小学校を対象に通学路の点検を行い、その結果を受けて対策を検討しているところであり、子供の視点や地域の事情にも配慮しつつ、今般の経済対策において更に推進してまいります。また、飲酒運転対策については、安全運転管理者にアルコール検知器を活用した酒気帯びの有無の確認を義務付けるなど、飲酒運転根絶に向けた取組、推進してまいります。子供のかけがえのない命を守るため、この緊急対策を着実に推進してまいります。
 歳費法の改正についてお尋ねがありました。
 公明党が歳費法の改正について具体的な考え方を示し、議論を呼びかけておられることにまずもって敬意を表したいと思います。
 政治家は、国民の負託に応えていかなければならず、常に襟を正す姿勢を示していかなければならないことは言うまでもありません。国会議員の歳費の在り方については、政治活動の自由と密接に関連していることなどから、各党各会派がそれぞれのお考えを持ち寄って御議論いただくべきものと考えていますが、自民党総裁としてあえて申し上げれば、党内での議論が進むよう促していきたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕

#5
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 山口那津男議員より、高齢者等に対する移動支援の拡充とバリアフリー化の更なる推進についてお尋ねがありました。
 バスなどの地域の公共交通については、人口減少、少子化、少子高齢化の進展に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響等により、その経営環境は厳しい状況が続いておりますが、高齢者や障害者などいわゆる交通弱者の方々を含め、日常生活のための移動の手段をしっかりと確保していくことが必要です。
 そのため、従来より、バスや離島航路等の生活交通の確保維持について、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえつつ支援を講じているところでございますが、今後とも高齢者の方々などに十分配慮し、地域の実情も踏まえ、コミュニティーバスやデマンドタクシーの導入、公共交通機関の利用割引など、自治体とも連携して支援の充実に努めてまいります。
 また、障害の有無にかかわらず、全ての方々が便利に安心して公共交通機関を利用できる社会を目指し、ハード、ソフト両面でバリアフリーの取組を推進してまいります。
 御指摘のあった障害者用ICカードや精神障害者割引の導入、ウエブによる障害者用乗車券の予約、決済の実現といった当事者の利便や負担軽減に資する施策について、事業者に対する要請や実務的な検討を行うなど着実に進めてまいります。(拍手)
    ─────────────

#6
○議長(山東昭子君) 片山虎之助さん。
   〔片山虎之助君登壇、拍手〕

#7
○片山虎之助君 日本維新の会の片山虎之助です。
 質問に先立ち、新型コロナウイルスによりお亡くなりになられた方々にお悔やみを、現在治療されている方々にお見舞いを申し上げます。
 また、コロナ対策の現場で奮闘されている医療従事者を始めとする関係の皆様の御尽力に感謝を申し上げます。
 それでは、我が党を代表して、岸田総理に質問いたします。
 岸田総理、第百代の内閣総理大臣御就任おめでとうございます。コロナ禍を始めとする国難の中でのかじ取りですが、国家国民のためベストを尽くされますことを期待いたします。
 我々日本維新の会は、岸田政権に対しても、これまでの政権と同様、是々非々主義で対してまいります。良い案には賛成、悪い案には反対、反対の際にはできるだけ建設的な対案を示します。国会改革には引き続き先導的な役割を果たし、現在我が党独自で行っている身を切る改革は今後も続けます。我が党の姿勢について、総理の御所見があればお伺いします。
 今回の衆院選は、十四日解散し、十九日公示、三十一日投開票の日程です。当初の想定より一週間前倒しです。現行憲法下で解散から投開票まで一番短かったのは第一次中曽根内閣の二十日間、今回は十七日間ですから三日短い。日程は天皇の国事行為の一つなので、実質的な決定権は内閣にあり、したがって総理にあると言ってもよいのでしょうが、実はこれも解散権と同じように総理が全てを自由にすることには議論がないわけではない、相場観もあり、しっかりした理由が要ると私は思います。なぜ前倒しされたのか、選挙管理上問題はないのか、総理、明らかにしてほしいと考えます。
 総裁選では、任期中の憲法改正を目指し、努力すると総理は決意を語っています。我が党は、教育の完全無償化、地方分権、統治機構改革、憲法裁判所の設置の三項目につき早々に憲法改正案を提示しましたが、国会では一度も審議されたことはありません。国会の憲法審査会は、残念ながら活発に機能しているとは言い難い状況です。是非、与党が推進力となって国会で議論し、それを契機に国民的議論を起こしていただくよう、自民党総裁としての総理にお願いします。いかがですか。
 さて、さきの国会において、私は、内閣による憲法改正案の国会提出は可能であるだけでなく、現在の日本国憲法も内閣が改正案を提出して行われた、次の改正も内閣提出を選択肢にしたらどうかと質問いたし、前総理の答弁をいただきました。国民の関心を高め、国会での議論を活発化するために、内閣にも一役買ってもらうべきだと私は今も考えていますが、いかがですか。
 新型コロナの感染者数は全国的に減少し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置も全て解除となりました。一応の収束状況に国民は喜んでいるものの、リバウンドがありそうだと心配もしきりです。今後、コロナはどう推移すると政府は見ているのか、第六波は来るのか来ないのか、来るならいつ来るのか、それは何をどう準備すればよいのか、見通しを分かりやすく御説明ください。
 昨年来のコロナ対策について、政府はこれまで一度もいわゆる総括、検証はしておりません。それだけのゆとりがなかったのかもしれませんが、しないから後手後手だとか右往左往だとか、厳しい評一色でした。できれば一区切りごとに総括する、検証する、反省も加えて以後の対策に生かす、できるだけオープンに、今からでもやったらいいと思いますが、いかがですか。
 我が党は、コロナ対策に早くから関心を持ち、政府に対しても九回にわたり数々の提言をしてきました。最終の提言の重立った何点かを申し上げますので、総理の御所見をお聞かせいただきたい。
 第一に、いわゆる野戦病院などで勤務する医療従事者を確保するために、強制力を伴った命令が出せるように特措法等の改正を行う。当然、そのための補償は行います。第二、軽症者対策強化のためのかかりつけ医の活用と、好評の抗体カクテル療法の処方範囲を更に緩和してこれを活用する。第三、感染防止と経済復興の両立やワクチン接種のインセンティブのため、ワクチンパスポート、陰性証明書の導入をし、この活用を拡大する。ただし、人権等には十分な配慮が必要です。四、ワクチンの三回接種、ブースター接種と言われておりますが、この体制の整備、あるいは実行であります。
 前年度のコロナ関連予算は実に三十一兆円が繰り越されている。使われていない。次期補正予算は三十兆円以上必要だとの声もいろいろと出ている。関係予算というのは、特にコロナ関係予算は早急かつ有効に執行されてこそ意味がある。計上されるだけで使われないというのは本末転倒です。関係者は心してほしいと思いますが、一方、政府高官が今のコロナ予算がばらまき合戦のようだと批判して、いろいろと問題になっています。コロナ対策予算及びその執行について、総理の御所見を伺います。
 コロナの状況が落ち着いた段階で膨大なコロナ関係予算は経理を区分し、東日本大震災時のように特別の財源調達をする。あのときには特別な税をつくりました、国税も地方税も。国会議員、国家公務員等の給与を二年間カットしました。日本郵政株等の売却も行いました。今回そういうお考えはありませんか。
 国と地方の役割分担を特措法上、より明確にすることは全国知事会等のかねてからの要望ですが、緊急事態宣言の発令等でも収束できない最悪の事態には、徹底した人流抑制策も可能とするロックダウンについても提案がありました。人権制約等の問題もこちらにもありますが、検討するお考えはありますか。
 飲み薬のコロナ治療薬は、自宅療法でも使いやすく、コロナ収束の切り札になることが期待されます。米国の製薬メーカーで年内の承認を目指すとの報道があり、ワクチンと同じく国際的な争奪戦になるおそれがあります。我が国も遅れないように調達や承認手続を急ぐべきではありませんか。また、国産製薬メーカーでも同様の動きがありますので、これも同様です。いかがですか。
 さて、岸田総理の成長戦略について伺います。
 総理はかねてより、新しい日本型の資本主義、成長と分配の好循環をつくると表明され、総裁選では分配なくして次の成長なしと述べられました。しかしながら、我が国経済はいまだに長期停滞の様相であり、優先課題は、小さいパイの分配もさることながら、パイ自体を大きくすることにあると言われております。格差是正は重要で取り組むべき課題ですが、成長の果実がなければ分配はできず、格差是正の実現度も低くなります。ならば、十分なセーフティーネットを伴いながら、成長に必要不可欠な民間の活力と競争を活用すべきではないと考えますが、いかがですか。
 総理は、同じ文脈で小泉改革以降の新自由主義的政策を転換することも宣言されました。しかし、そもそも我々は、小泉政権以降今日まで、新自由主義的政策なるものが本当にあり、実行されたのか、疑問を持っております。
 私も小泉政権下で閣僚を務めましたので、世間から新自由主義的だという批判が幾つかありましたが、内閣も私自身もそれを認識したことはほとんどありませんでした。総理は、小泉政権以降、具体的にどんな新自由主義的な政策が行われたと考えているのでしょうか。
 いわゆるアベノミクスは、第一の矢である金融緩和、第二の矢である財政出動は実行され成果を上げましたが、第三の矢である成長戦略、構造改革は腰折れをし、その結果、安倍元総理の任期中は我が国の潜在成長率、労働生産性上昇率は低位にとどまりました。続く菅政権は、アベノミクスを継承したものの、コロナ対策に忙殺され一年余りで交代し、いまだアベノミクス第三の矢である成長戦略、とりわけ規制改革は不十分のままというのが定説です。改めて、総理のアベノミクスに対する評価、それをどう修正されようとしているのか、伺います。
 今後の日本経済成長のためには、アベノミクスで飛ばなかった三本目の矢、すなわち民間の活力を生かし、前例を打ち破る規制改革を始めとする構造改革を思い切って進めることです。しかし、総理は、現在ある成長戦略会議や規制改革推進会議の廃止、改組に言及されています。これは、それらの政策の後退を意味するのではと危惧する意見も聞きますけれども、廃止、改編の狙いをお伺いします。
 大平政権時代に地方活性化策として田園都市国家構想が唱えられ、関係省庁でももろもろの推進策が熱心に検討されたことを思い出されます。私もその一人でした。この構想は情勢変化もあり大きな広がりを見せずに終わりましたが、今回は岸田総理によって新たに強力なデジタルを頭に付けての復活となりました。有力な地方活性化の一つとして、今後どのように具体化を推進されるお考えでしょうか。
 前政権の置き土産で、こども庁創設に向けた検討が進み、野田担当大臣も任命されました。もとより、こども庁が全ての子供問題を所管するわけではなく、目的に応じて必要な組織の切取りになりますが、その範囲はこども庁が何を目指すかによって決まります。それをはっきりさせることが肝要で、その基本がないと単なる組織いじりとなり、ポストや人員等を増やしただけで終わるという批判を受けることになります。こども庁は本年末までに基本方針を策定すると聞きますが、これまでの方針を変えるのか変えないのか、改めて総理の御所見を伺います。
 総理は総裁選の中で、感染症有事の際に、国、地方を通じた強い司令塔機能を有する健康危機管理庁の創設を主張されました。しかし、問題意識は分かりますが、詳細は分からない。その組織がどのような業務を所掌し、厚労省など既存の省庁や現在のコロナ対策あるいはワクチン担当の特命大臣との関係はどうなるのか、屋上屋ではないのか。また、平常時からこれらの業務を厚労省などと切り離すことができるのか、医療行政や医薬品行政との連携に支障を生じないのか。逆に、非常時のためだけにこれだけの組織と人員を抱えるとすれば無駄にならないか。さらに、地方自治体との関係はどうなるか。これらの答えがなかなか出せないとすれば、健康危機管理庁新設は息の長い課題だと。外国の事例等も参考にしながら慎重に検討することが妥当だと私は考えますが、いかがですか。
 厚労省分割についてでございますが、厚生労働省は省庁再編時から、予算も仕事量も巨大になり過ぎ、雑多の集合体になるおそれ、分割、見直しは避けて通れないなどと一貫して指摘され、今回のコロナ問題でもそれがまた顕在化し、自民党総裁選でも論争となりました。今回のコロナ禍で、検査拡大、ワクチン接種、病床確保などに的確さを欠いた大きな原因は厚労省のマネジメントの在り方にあるという意見も少なくありません。しかし、厚労省の行政は感染症対策のみならず、国民の命と暮らしに幅広く直結しているだけに、下手にいじるわけにはいかない。さらに、分割でないけれども複数大臣制という提案もある。厚労省の分割案は慎重に検討すべきが基本と思いますけれども、一方、急がなければならないという認識もある。総理の御所見を伺います。
 我が国外交の基軸は日米同盟、したがって、安全保障政策の基本は当然に日米安保。自衛隊の領土防衛も米軍が出動するまで持ちこたえるのが最低限の前提です。今やグループで安全保障を行う時代に入ったからこそ、逆に国民に自国を守る自主自立の気概がなくて、またそれを裏付ける相当の自衛力がなくて、他国民がどこまで本気になってくれるのか疑問です。今後は、日米安保は堅持しつつも、国民の同意の下になだらかな自主・共同防衛の道を選択していく決意が必要だというのが私の持論ですが、いかがでしょうか。
 総理は、かつて自身のツイッターで、いわゆる敵基地攻撃能力については、敵のミサイル発射能力そのものを直接打撃し、減衰させることができる能力を保有することが必要と述べ、前向きな姿勢を示されました。それでは、具体的にどのような形でいつまでに敵基地攻撃能力を構築するのか、具体的な内容とロードマップについてお伺いしたい。
 対中関係を考える際、自由で公正な貿易、投資、競争に関する多国間の経済連携協定による安全保障という観点も極めて重要です。TPP11の参加国については、覇権国家と見られる中国の参加については慎重かつ戦略的に対応すべきである一方、価値観を同じくするイギリス、台湾の参加は積極的に後押しし、自由主義経済圏の拡大と経済安全保障の強化に努めるべきであるという意見が多いのは当然です。総理の御所見を伺います。
 アフガニスタンへの自衛隊派遣について、その撤退過程において、邦人や協力者の救出がほんの僅かにとどまったことは初動対応の失敗であり、遺憾です。機動的な行動が起こせなかったことに法律上の制限や実施上の限界なども指摘されており、有事の際に邦人を適切に救えるよう、自衛隊法の改正やガイドラインの見直しが急がれると考えますが、総理の御所見を伺います。また、同様の事態が発生することが予想される台湾有事についても明確な指針を定めておくべきだとも考えますが、いかがですか。
 東京オリパラは、原則無観客となり、残念でした。日本の魅力と底力を世界へ発信する次の機会は、二〇二五年大阪・関西万博です。コロナ禍とドバイ万博一年延期の影響もあり、参加国の誘致活動が難航していると聞きますが、大阪・関西万博の成功に向けてどのように取り組んでいかれますか。
 総理は聞く力をアピールされています。有力な政治家で聞く力を本当に持っている人は多くない。どうか、総理の特技として、今後ともしっかり国民の声を聞いて、しっかり国政に生かしていただきたい。
 そこで、広島出身の総理として、地元の熱望に耳を傾けていただくことがあります。既に御指摘もありましたが、それは、核兵器の保有や使用の全面禁止を全世界にアピールすることが唯一の戦争被爆国である日本の責務だと自ら真剣に考えて実行することです。いかがですか。そして、核兵器禁止条約については、まずオブザーバー参加をすることから始める。総理の御所見を伺います。
 今や、世界も日本も大きく動き、パンデミックも全人類の英知と努力により、ようやく収束の方向に向かいつつあります。我が党は、アフターコロナの新しい時代を切り開き、真の維新改革を全国に実現するため、引き続き全員、全力で邁進することをお約束し、私の代表質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

#8
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 片山虎之助議員の御質問にお答えいたします。
 まず、日本維新の会の姿勢についてお尋ねがありました。
 我々政治家は、政策を実現するため真摯に努力を続け、国民の負託に応えていかなければなりません。また、常に自らを省みる必要があることは当然です。日本維新の会が、そうした観点から、率先垂範して国会改革や身を切る改革を続けてこられていることについて、敬意を表したいと思います。
 今後も、与野党の枠を超えて、活発な議論を共に行っていくことを期待いたします。
 衆議院選挙についてお尋ねがありました。
 コロナ感染症の状況は、現在落ち着きを見せているとはいえ、先行きについては不透明であり、多くの国民がいまだ大きな不安をお持ちです。このため、国民の信を問うた上で、一刻も早く大胆で思い切ったコロナ対策、経済対策を実現していきたいと考え、可能な限り早い時期に総選挙を行うことといたしました。
 また、選挙事務に問題のないよう、準備期間を考慮して、今月四日に具体的な選挙期日について表明したところです。政府としては、各選挙管理委員会と連携し、総選挙の準備を進めており、その管理執行に万全を期してまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 様々な論点について建設的な議論を重ね、憲法のあるべき姿を最終的に決める主権者である国民の皆様の理解を深めていくことは、与党であると野党であるとを問わず、私たち国会議員の責任ではないかと考えます。
 議論の進め方などは国会でお決めいただくことであり、内閣総理大臣としてお答えすることは控えますが、憲法審査会において、与野党の枠を超えて、これまで以上に活発な議論が行われることを期待いたします。
 新型コロナの見通しと、これまでの対策についてお尋ねがありました。
 新型コロナについては、足下では感染者数は落ち着きを見せているものの、楽観視はできません。危機管理の要諦は、常に最悪の事態を想定することであり、感染が落ち着いている今こそ、様々な事態を想定し、徹底的に安心確保に取り組んでまいります。
 病床と医療人材の確保、在宅療養者に対する対策、ワクチン接種など、様々な事態を想定した対応策の全体像を早急に国民にお示しするよう三大臣に指示したところです。コロナ病床が十分に稼働しなかったことなど、この夏の反省も踏まえ、今週中に全体像の骨格、指示いたします。
 同時に、これまでの対応を徹底的に分析し、何が危機管理のボトルネックだったのかを検証します。そして、司令塔機能の強化や人流抑制、医療費、医療資源確保のための法改正、国産ワクチンや治療薬の開発など、危機管理を抜本的に強化してまいります。
 特措法の改正についてお尋ねがありました。
 新型コロナに対する医療提供体制の強化については、病床と医療人材の確保、在宅療養者に対する対策など、対応策の全体像を早急に国民にお示しし、徹底的に安心確保に取り組みます。
 同時に、これまでの対応を徹底的に分析し、何が危機管理のボトルネックだったかを検証します。そして、司令塔機能の強化や人流抑制、医療資源確保のための法改正など、危機管理を抜本的に強化します。
 また、いわゆる抗体カクテル療法については、投与後の観察体制が確保されている医療機関での外来投与等を可能としており、今後も治療薬をより活用しやすくするために、現場の声もお聞きしながら検討してまいります。
 さらに、感染対策と日常生活の両立に向け、ワクチン・検査パッケージの技術実証を進め、この結果を踏まえて、具体的な運用の在り方、早急にお示ししてまいります。
 新型コロナワクチンの三回目の接種については、早ければ本年十二月から開始することを想定してしっかりと準備を進め、円滑な実施に万全を期してまいります。
 コロナ対策予算とその財源調達についてお尋ねがありました。
 新型コロナに対しては、累次の補正予算及び令和三年度予算において、医療体制の構築や事業の継続、雇用の維持のための支援など、国民の命と暮らしを守るために不可欠な支援を実施してきました。令和二年度から令和三年度予算への繰越しについても着実に執行が進んでおります。その上で、新型コロナで大きな影響を受ける方々を支援するため、速やかに経済対策を策定することといたしました。
 私の経済財政運営の方針は、危機に対する必要な財政支出はちゅうちょなく行い万全を期す、経済あっての財政であり、順番を間違えてはいけない、経済をしっかり立て直す、そして、財政健全化に向けて取り組むです。御指摘のコロナ関係予算の財源の在り方についても、こうした方針に基づいて検討する必要があると考えております。
 いわゆるロックダウンの導入及び飲み薬のコロナ治療薬の調達や承認手続についてお尋ねがありました。
 危機管理の要諦は、常に最悪の事態を想定することです。この方針に基づき、まずは、病床、医療体制の確保や在宅療養者の対策強化などの全体像を早急にお示しし、徹底的に安心確保に取り組んでまいります。
 欧米諸国で行っているような高額の罰金を科す厳しいロックダウンについては我が国になじまないと考えますが、これまでの新型コロナ対応を徹底的に分析し、何が危機管理のボトルネックだったかを検証の上、司令塔機能の強化や人流抑制など、危機管理を抜本的に強化してまいります。
 自宅で使える飲み薬はコロナ対策の大きな決め手です。世界で複数の治療薬の開発が進められており、企業からの承認申請を優先かつ迅速に審査を行い、有効性、安全性が確認されれば、速やかに承認の手続を進めてまいります。
 また、国産の経口治療薬の研究開発などを積極的に支援するとともに、国民の安全、安心を確保できるよう、経口薬の確保に最大限取り組んでまいります。
 成長戦略等についてお尋ねがありました。
 アベノミクスは、デフレでない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大しました。我が国経済の成長、そして体質強化に大きな役割を果たしました。
 他方、世界における一九八〇年代からの新自由主義的な政策に伴い、各国において格差の拡大が生じたということが指摘をされています。新自由主義的な政策には様々な捉え方があるとは思いますが、市場原理主義あるいは優勝劣敗、こうしたことに偏重した成長を目指す冷たいイメージがあります。
 私が目指すのは、成長と分配の好循環による血の通った成長です。新しい資本主義の実現に向け、成長も分配も目指し、単に市場に任せるのではなくて、官と民が共に役割を果たしながらあらゆる政策を総動員していくものであります。
 成長戦略としては、例えば、科学技術立国の実現に向けて、大学のガバナンス改革、民間企業の投資を応援する税制、実現いたします。また、デジタル田園都市国家構想の実現に向けて、地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こしてまいります。同時に、働く人への分配機能の強化を図るとともに、看護、介護、保育などの現場で働いている方々の収入を増やしていくなど、分配戦略も推進をいたします。
 こうした新しい資本主義のビジョンの具体化を図るため、新しい資本主義実現会議を創設いたします。また、デジタル改革と規制・制度改革を車の両輪として一体的に改革を推進していくべく、そのための適切な推進体制、用意してまいります。できるだけ多くの方々に成長の果実を実感していただける経済社会をつくってまいります。
 地方活性化策としてのデジタル田園都市国家構想についてお尋ねがありました。
 地方は、高齢化や過疎化などの課題に直面しています。まさに地方こそ、介護や農業、観光を始めデジタル技術を活用するニーズがあります。
 このため、地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こします。デジタルインフラの整備、データを活用したスマート農業などを進め、地方と都市の差を縮めるデジタル田園都市国家構想、取り組むことで地方を活性化してまいります。
 子供政策についてお尋ねがありました。
 新たな子供政策の在り方について、その基本理念や目指すべき方向性を、現在有識者会議において御議論をいただいているところです。また、子供をめぐる様々な課題に適切に対応するため、子供目線に立って縦割りを排した行政の在り方、検討いたします。
 これらについて、従来からの予定どおり、年末までに基本方針を決定することとしており、可能であれば来年の通常国会に法案を提出するというスケジュールを念頭に検討を進めてまいります。
 健康危機管理の司令塔強化についてお尋ねがありました。
 私は、コロナとの闘いの中で司令塔機能の強化が必要だと申し上げてきたところであり、将来の危機管理のためにも取り組まなければならない課題です。
 足下のコロナ対応に万全を期しつつ、同時に、各大臣の役割分担も含め、これまでの対応を徹底的に分析して、国と地方の役割分担も含めて何がボトルネックであったかを検証し、危機管理における行政の在り方を含めて検討し、我が国の危機管理を抜本的に強化していきたいと考えます。
 厚生労働省の分割についてお尋ねがありました。
 厚生労働省については、新型コロナ対応を含め多岐にわたる行政分野を担当していますが、現役世代の減少という社会構造の変化を踏まえれば、社会保障施策と雇用施策を一体的、横断的に実施できる組織であることが適切であると考えています。同時に、時代に応じ要請される行政課題に合わせ、しっかりと対応する体制を確保することは重要であると認識をしており、その観点から、不断に必要な見直し、検討してまいります。
 日米同盟と我が国の防衛の在り方についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、我が国の領土、領海、領空、そして国民の命と財産を断固として守り抜く覚悟です。そのために、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画の改定に取り組みます。その中で、海上保安能力や更なる効果的措置を含むミサイル防衛能力など、防衛力の強化に果敢に取り組んでまいります。
 一方で、我が国の外交・安全保障政策の基軸は日米同盟です。私が先頭に立って、インド太平洋地域、そして世界の平和と繁栄の礎である日米同盟を更なる高みへと引き上げてまいります。
 敵基地攻撃能力についてお尋ねがありました。
 政府としては、これまで、弾道ミサイル防衛体制を整備してまいりました。一方で、迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことができるのかといった問題意識を持っています。最近では、我が国周辺において極超音速滑空兵器や変則軌道で飛翔するミサイルの開発が進められていると見られます。
 こうした状況下で、政府においては、更なる効果的な措置を含むミサイル防衛能力について、様々な観点から検討してまいります。
 TPPについてお尋ねがありました。
 TPP11は、ハイスタンダードでバランスの取れた新しい時代のルールを世界に広める意義があり、単なる通商協定にとどまらず、これからのインド太平洋地域の経済秩序にとり、大変重要な役割を果たすものと考えております。
 したがって、TPP11への加入申請を行っている国・地域がTPP11の高いレベルを完全に満たす用意ができているか、まずはしっかりと見極める必要があると考えます。特に、中国については、貿易慣行に関して様々な意見があると承知をしています。
 我が国としては、戦略的な観点や国民の理解も踏まえて、TPPの議論を主導し、自由で公正な経済秩序づくりに積極的な役割を果たしてまいります。また、こうした観点からも、経済安全保障分野において同盟国、同志国と協力していきたいと考えます。
 在外邦人等の救出についてお尋ねがありました。
 政府としては、希望する邦人等がアフガニスタンから迅速かつ安全に出国できるよう取り組んできました。また、現地職員等の出国に向けた外交努力を継続しており、これまでに三百名を超える日本関係のアフガニスタン人が出国を果たしました。
 その上で、今回の教訓や様々な指摘を踏まえ、必要な検討を行っていきたいと考えます。
 台湾有事という仮定の質問にお答えすることは差し控えます。その上で、一般論として申し上げるならば、政府としては、あらゆる事態において適切に対応できるよう、平素から不断に検討をしているところです。
 二〇二五年大阪・関西万博の成功に向けた取組についてお尋ねがありました。
 大阪・関西万博は、新型コロナを乗り越えた先の新たな時代に向けた国家プロジェクトであり、地域の魅力、日本の科学技術を世界にアピールし、地域活性化等を通じた強い経済の実現につながる絶好の機会です。昨年十二月に閣議決定した基本方針に沿って、様々な取組を進めてまいります。
 各国への参加招請については、新型コロナの影響が続く厳しい状況の中でも、既に五十七か国、五国際機関から参加表明をいただいており、着実に進展しています。十月に開幕したドバイ万博などあらゆる機会を捉え、オールジャパンでしっかりと進めてまいります。
 これに加えて、未来社会の実験場の具体化と企業参画の促進、インフラの整備、全国的な機運醸成など、万博の成功に向けて政府一丸となって取り組んでまいります。
 核兵器禁止条約についてお尋ねがありました。
 我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。
 核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約です。しかし、現実を変えるためには核兵器国の協力が必要ですが、同条約には核兵器国は一か国も参加しておりません。
 御指摘のような対応をするよりも、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力していかなければなりません。唯一の同盟国である米国の信頼を得た上で、核兵器のない世界の実現に向けて共に前進していきたいと考えております。(拍手)

#9
○議長(山東昭子君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議

#10
○副議長(小川敏夫君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。大塚耕平君。
   〔大塚耕平君登壇、拍手〕

#11
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
 会派を代表して、総理の所信に対して岸田総理に質問いたします。
 冒頭、コロナ禍でお亡くなりになった皆様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、闘病中の皆様にはお見舞いを、医療関係者やエッセンシャルワーカーを始めコロナ対策に御協力をいただいている全ての皆様には心から感謝を申し上げます。
 第百代内閣総理大臣への就任に祝意を表します。おめでとうございます。しかし、日本は内外共に厳しい状況にあります。山積する諸課題に適切に対応することを強く求めたいと思います。
 初めに、コロナ対策についてです。
 総理は所信において、常に最悪の事態を想定すると述べました。どのような最悪の事態を想定しているのか、具体的にお答えください。
 また、何が危機管理のボトルネックだったのかを検証するとも述べました。現時点でボトルネックの原因をどのように認識しているのか、伺います。
 国民民主党は、コロナ対策の柱として、第一に検査の拡充で見付ける、第二に感染拡大防止で抑える、第三に経済社会活動との両立で動かすというコロナ三策を提言しています。その内容に沿って質問します。
 検査の拡充に関して、所信では、予約不要の無料検査を拡大と述べましたが、総裁選の際には、予約不要の無料PCR検査所の拡大、簡易な抗原検査など在宅検査手段の普及促進、学校現場での定期的検査の実施を約束しました。所信で述べた無料検査にそれら三つが含まれているのか否か、それぞれどのような内容をいつまでに準備するのか、具体的に説明願います。
 国民民主党は、家庭内感染防止のための無料自宅検査を可能とすること、陰性証明を持ち歩けるデジタル健康証明書の創設、運用を提言しています。この二つについて、総理の考えを伺います。
 所信では、電子的なワクチン接種証明の積極的活用にも言及しました。その具体的内容を御説明ください。
 次に、感染拡大防止に関して、総理は総裁選で野戦病院等の臨時医療施設開設と大規模宿泊施設借り上げ、国公立病院のコロナ重点病院化、地域の開業医への協力要請を掲げました。所信では言及していません。三点とも実行するのか否か、伺います。
 また、第六波が発生した場合、この三点について、第五波までの対応と比べ何をどのように改善するつもりか、お答えください。
 国民民主党は、さらに、民間病院の受入れ指示法制化や被災者健康支援連絡協議会の枠組みを活用した医療従事者確保、抗体カクテルの自宅投与等を提言しています。総理の考えを伺います。
 経済社会活動との両立に関して、総理は、地域、業種を限定しない事業規模に応じた給付金支給を約束しました。これは国民民主党が提出済みの法案と骨子は同じなので賛同しますが、選挙後の特別国会に閣法を提出するのか、あるいは法律なしの行政裁量で行うのか、方針を伺います。
 非正規、子育て世帯への給付金支給も約束しました。支給基準や支給額を具体的に御提示ください。
 総裁選では、このほかに女性、学生困窮者、及び学校休校に伴い仕事を休まざるを得ない親も対象にすると述べました。こうした皆さんも支給対象に含むのか否か、含む場合の支給基準、支給額について伺います。
 無利子、無担保、いわゆるゼロゼロ融資の返済が始まると、多くの借り手が苦境に陥ります。国民民主党は、税、保険料の猶予延長と減免措置の拡充、消費税納税猶予を提言しています。昨年四月の本会議で安倍元総理に申し上げたとおり、コロナ禍の経済苦境は融資では解決しない、猶予ではなく減免が必要なのです。
 融資返済や税、保険料猶予分の減免措置、並びに消費税納税義務事業者の納税猶予について、総理の考えを伺います。
 次に、政策全体について伺います。
 総理が十月三十一日投開票を宣言した総選挙において、国民民主党の政策は、第一に積極財政に転換、第二に給料が上がる経済を実現、第三に人づくりこそ国づくり、第四に国民と国土を危機から守る、第五に正直な政治を貫く、この五つが柱です。これらに関連して伺います。
 まず、政策全体の大前提についてです。
 総理は、総裁選の中で、成長の果実は一部の人間にとどまっている、格差を埋めていかなくてはならないと指摘する一方、所信ではアベノミクスの三本柱である大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略を推進すると述べました。
 アベノミクスの骨格を維持すれば、同じ結果になるのではないでしょうか。アベノミクスのどの部分を維持し、何を変更するのか、成長の果実が広く行き渡らなかった原因、格差が生まれた原因について、総理の認識を伺います。
 総理は、分配が不十分であったことに総裁選や所信を通じて繰り返し言及しました。アベノミクスが始まって約一年後、フランスの社会学者トマ・ピケティ博士の著書「二十一世紀の資本」が日本でもベストセラーになり、国会論戦でも何度も取り上げられました。ピケティ博士は二〇一五年一月の日本記者クラブでの講演で、アベノミクスによって、格差が広がる一方で低成長が続く最悪の事態になり得るという趣旨の発言をしました。
 ピケティ博士の予測が的中したような現状ですが、同時に博士は、賃金を含む国民所得に比べて資本や資産の蓄積の多い経済では資産課税にウエートを置く方が望ましいこと、税率の累進度の高い税制下では格差拡大や低成長にはなりにくいこと等の趣旨の見解を述べました。
 総理の目指す新しい資本主義とは、不十分だった分配がしっかりと行われる資本主義、ピケティ博士が推奨していたような資本主義であるのか、伺います。
 総理は、新自由主義的政策の見直しを明言されました。新自由主義は金融資本主義と表裏一体です。また、現在の日本は中国に代表される国家資本主義という潮流とも対峙しています。
 これらを踏まえ、新自由主義の定義に関する総理の認識、総理が目指す新しい資本主義と国家資本主義、金融資本主義との関係について見解を伺います。この部分は官邸官僚の答弁案ではなく、政治家として、内閣総理大臣として、御自身の考えを是非お聞かせください。
 国民民主党の積極財政に転換という方針に関連し、総理は所信で、経済あっての財政であり、順番を間違えてはならないと述べました。この考えには賛同します。
 国民民主党は、分配政策を進めるために、雇用者側にインセンティブ付けをすること、看護師、保育士、幼稚園教師、介護士等、不当な低賃金を余儀なくされている職種の給料を政策的に引き上げること、さらには、所要の産業政策及びコロナ対策等を行うために積極財政以外に選択肢はないと考えます。総理の所見を伺います。
 日本は約三十年間、実質賃金が上がっていません。国民民主党は、給料が上がる経済を実現するため、名目賃金上昇率が物価上昇率プラス二%程度に達するまで積極財政で産業政策と家計第一の経済政策を支えることを目指しています。総理の受け止め方を伺います。
 給料が上がる経済を実現するため、国民民主党は、AI、デジタル、カーボンニュートラル等の民間設備投資が劇的に進むよう、投資額以上の償却を認めるハイパー償却税制の導入を目指します。
 科学技術や産業の最先端の動向は民間企業や技術者こそが熟知しています。民間の自発的かつ真剣な設備投資を大胆に支援することがハイパー償却税制の狙いです。総理の所見を伺います。
 所信では、科学技術分野の人材育成、先端科学技術の研究開発への大胆な投資と述べましたが、具体的に何をやるのか、あるいはこれから考えるのか、伺います。
 カーボンニュートラルに関して、米国が主導するESG投資、欧州が主張するライフサイクルアセスメント、中国が注力する排出権取引、いずれもそれぞれの思惑や戦略が内包されています。カーボンニュートラルを目指しつつ、いかに世界を先導し、自国の技術や産業や雇用を守るかが問われています。達成すればよいという単純な話ではありません。合成燃料を使った内燃機関、高効率火力発電やアンモニア発電、日本が先行する技術の活用や主導権確保が重要です。
 カーボンニュートラルに向けた総理が考える国家戦略、及びG20、COP26において日本はどのような主張をするのか、その方針を伺います。
 安倍元首相、カン、菅前首相の九年間も、失礼いたしました、菅前首相の九年間も、結果的に日本の科学技術や産業競争力は主要国に劣後しました。日本の科学技術力、産業競争力の現状認識、諸外国に劣後した原因、今後のキャッチアップの具体策について、総理の考えを伺います。
 半導体産業についても伺います。次世代半導体の研究開発や工場の国内誘致等、支援をどのように行うのか、総理の考えを伺います。
 台湾TSMC等の工場誘致は歓迎するものの、それは、日本自身の技術が劣化していることの証左でもあります。演算用CPUの世界最先端の回路線幅は五ナノメートル以下ですが、日本の技術は四十ナノメートルという信じられない状況です。国際分業といえば聞こえはいいですが、実態はそうではありません。半導体を含む重要産業技術の向上のためにどのような戦略、施策、予算措置を講じるおつもりか、伺います。
 所信において、スタートアップの徹底支援、新たなビジネス、産業の創出を進めると述べたことに関連して伺います。
 宇宙物理学者スティーブン・ホーキング博士は、生前、次のシンギュラリティー、すなわち非連続な技術革新は二〇二一年頃と述べていました。まさしく今何かが起きているかもしれない、そういう局面です。
 今年は、米国の民間企業が一般人を宇宙に打ち上げる時代になりました。中国は、来年、独自の宇宙ステーションを完成します。米国や中国のプラットフォーマーや韓国の通信会社、イスラエルのIT企業等は、メタバースに一気に力を入れ始めました。こういうことに対する認識、日本としての取組に言及のない所信であったことは残念です。
 日本は有人宇宙飛行に独自に取り組むつもりはないのか、メタバースについての認識、またそうした分野の技術開発を政府として支援しないのか、総理の考えを伺います。
 産業政策に関連して、為替について伺います。
 現在、徐々に円安が進みつつあります。特に、インフレ率を加味した実質実効為替レートは一九七〇年代前半並みに低下しています。円安進行の原因と影響及び為替安定策について総理の認識を伺います。
 少し視点を変えて伺います。
 総理は所信において、株主、従業員、取引先の三方よしという表現を使いましたが、そこには消費者、ユーザーの視点が欠けています。例えば、低所得者への負担が大きい消費税制や、消費税による事実上の二重課税が発生している自動車税制は、分配政策の観点から大いに問題があります。
 現在の消費税制や自動車税制が適切であるか否か、総理の認識を伺います。
 所信では、中間層再生も掲げていますが、そのためには税、社会保険料の重い負担を是正する必要があります。中間層の税、社会保険料負担の軽減策について総理のお考えを伺います。
 次に、人づくりこそ国づくりに関連して伺います。
 国民民主党は、三歳からの義務教育化及び教育無償化を目指しています。それらの財源は惜しむことなく、教育国債を新設して調達することも提言しています。総理の受け止め方を伺います。
 また、教育政策を含め、日本の喫緊の課題に取り組むための財源捻出の一つの手法として、日銀保有国債の一部永久国債化を提言しています。総理の認識を伺います。
 所信では、所得に応じて出世払いを行う仕組みを含め、教育費や住居費への支援を強化すると述べました。これは具体的に何を言っているのか、御説明ください。奨学金のみならず、住居費を学生に支給することを表明したのか、伺います。
 国民民主党は、国民と国土を危機から守るために、広い意味での安全保障政策強化を目指しています。経済安保担当閣僚を置いたことは評価したいと思います。
 国民民主党は、さらに、食料安全保障等の観点から、農業者戸別所得補償制度の復活、環境加算導入なども提言しています。米価下落が続き、日本の農業の持続性が問われる中、総理の考えを伺います。
 国民民主党は、自分の国は自分で守るとの理念に基づき、自立的な安全保障体制確立を目指しています。総理が総裁選で言及し、所信にはなかった点を幾つか質問します。
 第一に、グレーゾーン対応です。国民民主党が目指す海上保安庁の任務に領土保全を加える海上保安庁法改正、情報収集、警戒監視活動を明記する自衛隊法及び海上保安庁法改正について、総理の所見を伺います。
 第二に、台湾情勢です。多数の中国空軍機が台湾防空識別圏に進入し、米欧等の海軍と海上自衛隊が共同訓練や共同行動を行っていることを含め、台湾海峡及び台中関係に関し、現在の事実関係及び総理の対処方針を伺います。
 第三に、香港、ウイグル及びロシアの野党指導者等の人権問題です。国民民主党は、人権侵害制裁法、いわゆる日本版マグニツキー法成立を目指すとともに、人権侵害に対する情報開示等の法制度骨子案を発表しています。香港、ウイグル、ロシア問題等にどのように向き合うのか、総理の方針を伺います。
 ロシアに関し、所信では、領土問題の解決なくして平和条約の締結はないと明言しました。北方領土は我が国固有の領土と発言できるのか、総理に伺います。安倍元首相と同様に、あえて固有の領土の表現を避けるのならば、その理由とともに、いつから固有の領土と表現できなくなったのか、伺います。
 所信では、韓国に対して適切な対処を強く求めていくと述べました。韓国司法当局が元徴用工訴訟に関して日本企業の差押資産の売却命令を出した件を含め、韓国にどのような適切な対処を求めていくのか、伺います。
 北朝鮮による拉致問題に関しては、最重要課題であり、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意を述べました。安倍元首相も菅前首相も結局有言不実行となりました。拉致問題に取り組む総理の戦略、方針、決意を伺います。
 国民民主党は、正直な政治を追求しており、年金や財政についても国民の皆さんに正直に実情を開示することが重要と考えます。そのためにも、国会内に年金や財政の将来推計を客観的に行う経済財政等将来推計委員会を設置することを提言しています。総理の考えを伺います。
 所信では、財政単年度主義の弊害是正に言及しました。憲法改正や財政法改正を念頭に置いているのか、総理の考えを伺います。
 明日、衆議院を解散すると伺っています。国民民主党は、改革中道政党として、「動け、日本。」、対決より解決を合い言葉に、正直な政治、偏らない政治、現実的な政治を追求し、総選挙においても、諸課題に真摯に向き合うことを申し上げ、最後に、総理は今回の解散で国民の皆さんに何について信を問うのかを伺い、代表質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

#12
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 大塚耕平議員の御質問にお答えいたします。
 まず、新型コロナ対応における危機管理や検査体制の強化、ワクチン接種証明の活用についてお尋ねがありました。
 新型コロナ対策については、今週中に、どのような事態を想定するか、公的病院の専用病床化を含めた病床確保策など、対応策の全体像、骨格を指示いたします。
 段階的な行動規制の緩和に向け、日常生活の中でスムーズに検査ができるよう、検査の拡充も重要な課題であり、冬に向け、再度の感染拡大に備えてインフルエンザ流行に伴う需要も勘案しつつ、予約不要の無料検査の拡大、抗原検査キットの家庭や学校での活用の促進など、この御指摘の三点も含めて検査体制、更に強化してまいります。
 さらに、ワクチン接種証明は年内を目途にデジタル化を実現すべく検討を進めてまいります。
 第六波が発生した場合の対応策についてお尋ねがありました。
 九月初めには感染の急拡大にコロナ病床の稼働が追い付かず、多くの方々が不安を抱える事態となりました。総裁選では、そうした事態を決して起こさないよう、臨時の医療施設等の確保や公的病院の専用病床化など、病床と医療人材の確保を掲げさせていただきました。
 これらの対策や中和抗体薬の投与体制の整備など、在宅療養者に対する対策を含め、組閣に際し、対応策の全体像を早急に国民にお示しするよう三大臣に指示をいたしました。第六波への備えも含めて、今週中にその骨格、指示をいたします。
 同時に、これまでの対応を徹底的に分析し、何が危機管理のボトルネックだったかを検証いたします。そして、司令塔機能の強化や人流抑制、医療資源確保のための法改正など、危機管理を抜本的に強化をいたします。
 御提案いただいたこの病床、人材の確保策や在宅療養の体制強化については、こうした政府の方針と方向性を一にするものであると考えております。
 給付金支給や猶予返済、失礼、融資返済の減免措置などについてお尋ねがありました。
 新型コロナで大きな影響を受ける方々を支援するため、総合的かつ大胆な経済対策を策定することとしており、総選挙後、速やかに決定できるよう、政府としてしっかりと検討を進めてまいります。
 その中で、大きな影響を受ける事業者に対し、地域、業種を限定しない形で事業規模に応じた給付金を支給いたします。
 また、新型コロナの影響により苦しんでおられる非正規雇用、子育て世帯など、お困りの方々を守るための給付金などの支援も実行していきます。その際、可能な限りプッシュ型で迅速な給付を行っていきたいと考えます。
 また、臨時休校によって仕事を休まざるを得なくなった保護者に対しては、休暇期間中の所得減少に対する手当て、これを行っております。
 また、政府としては、官民の金融機関に対して、既存の融資の返済猶予などについてできるだけ柔軟に対応するよう配慮を要請するとともに、税、社会保険料の納付が困難な方々に対しては猶予の仕組みを設けており、引き続きこうした取組、続けてまいります。
 新しい資本主義とアベノミクスとの関係についてお尋ねがありました。
 アベノミクスは、デフレでない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大しました。国民みんなの稼ぎである総雇用者所得も増加しました。このように、我が国経済の成長あるいは体質強化に大きな役割を果たしたと認識をしています。
 その上で、この成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現を目指します。成長の果実をしっかりと分配し、広く国民の所得を上げていくことで初めて次の成長が実現します。成長も分配も実現するために、官民協働してあらゆる政策を総動員します。
 新自由主義の認識につきまして御質問がありましたが、この新自由主義的な政策には様々な捉え方があるとは思いますが、市場原理あるいは競争原理、優勝劣敗、こうした考え方に偏重したという評価が多くあります。
 私が目指すのは、そうした単に市場や競争に任せるのではなく、官と民が共に役割を果たしながら成長を実現し、そして果実をできる限り多くの方々に所得という形で実感いただける、こういった社会を目指していきたいと存じます。一部の者が富や成長を独占するような国家資本主義あるいは金融資本主義とは考え方が異なると思っております。
 経済財政政策の在り方についてお尋ねがありました。
 私の経済財政運営の方針は、危機に対する必要な財政支出はちゅうちょなく行い万全を期す、経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない、経済をしっかり立て直す、そして財政健全化に向けて取り組んでいく、こうした順番を考えております。
 こうした方針に基づき、先日の閣議において新たな経済対策の策定を指示したところであり、総選挙後速やかに決定できるよう、政府としてしっかりと検討を進めてまいります。
 あわせて、働く人への分配機能の強化、看護、介護、保育などの現場で働いている方々の収入増等を通じて、官民協働して、成長の果実をしっかりと分配し、広く国民の所得を上げていくことで成長と分配の好循環による新しい資本主義を実現することを目指してまいります。
 先端科学技術分野への投資や人材育成についてのお尋ねがありました。
 科学技術立国の実現は、私の成長戦略の第一の柱です。諸外国との熾烈な国家間競争を勝ち抜くため、デジタル、グリーン、人工知能などの先端科学技術の研究開発への投資を官民が協働していくことが極めて重要です。そうした分野においてイノベーションを担う人材の育成も急務です。
 御党の御提案も含めて、支援の手法には様々な議論がありますが、政府としては、そうした分野における民間企業の投資を促すため、必要な税制措置を講じてきたところであり、今後も民間による取組をしっかりと支援してまいります。
 また、十兆円規模の大学ファンドの設置などにより、若手研究者への支援や基礎研究への十分な投資、確保してまいります。
 こうした取組を通じて、官民が共に役割を果たしながら成長戦略を実行してまいります。
 カーボンニュートラルに向けた国家戦略とG20、COP26への我が国の対応についてお尋ねがありました。
 カーボンニュートラルを実現するためには、技術革新による産業・エネルギー構造の転換が必要です。このため、グリーンイノベーション基金等により、水素を始めとした革新的技術について、研究開発から社会実装まで継続して支援してまいります。
 あわせて、二〇三〇年度温室効果ガス削減目標の確実な達成に向け、徹底した省エネと再エネの最大限の導入に向けた取組、地域の脱炭素化や国民のライフスタイルの変革の推進など、あらゆる施策を総動員し、持続可能で強靱な脱炭素社会、構築してまいります。
 地球温暖化対策を進めることは、経済成長とそして国民生活、共に恩恵を受けるということにつながる、こういった意識を国民の皆様と共有したいと考えております。この実現のため、クリーンエネルギー戦略を策定し、強力に推進をいたします。
 気候変動問題を始めとする世界の重要課題について、各国の連携を通じて前進を図る上で、G20、COP26、極めて重要な機会であると認識をします。
 我が国は、カーボンニュートラルの実現に向けた取組を強力に推進し、パリ協定の目標である脱炭素社会の実現に向けて、国際社会を主導する覚悟であります。
 日本の科学技術力及び産業競争力の現状認識等についてお尋ねがありました。
 科学技術力については、イノベーション力や研究力の相対的な低下、デジタル化の遅れなどが顕在化してきており、今後十年間が極めて重要であると認識をします。
 また、産業競争力についても、成長投資が不十分なことにより、新しい稼ぐ力を生み出せていないことがあります。日本企業が付加価値を高めるためには、デジタルやグリーンといった成長力のある分野に積極的に投資をする必要があります。
 このため、官民が連携して重要課題に対応することが必要です。今後五年間の研究開発投資額の目標を官民合わせて百二十兆円と定めるほか、十兆円規模の大学ファンドの設置などにより、若手研究者への支援や基礎研究への十分な投資を確保いたします。
 また、研究開発税制により民間投資を誘発してまいります。
 あわせて、二兆円のグリーン基金や投資促進税制など、あらゆる政策を総動員して推進してまいります。
 半導体については、先端半導体の国内製造基盤の確保、研究開発等を推進してまいります。
 宇宙飛行については、官民連携の下、宇宙輸送システムの実現に向けた研究開発等の取組、進めているところです。
 さらに、様々なサービスが仮想空間上で提供されるメタバースを始めいつでもどこでも安心してデータやAIを活用して新たな価値を創出する、こうしたことを目指していきたいと思います。
 なお、為替動向について御質問もありましたが、為替動向についてはコメントすることは控えさせていただきたいと思います。
 税及び社会保険料負担の軽減策等についてお尋ねがありました。
 消費税や社会保険料は、社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源と位置付けられており、全世代型社会保障制度を支えるために重要であると考えます。
 自動車関連諸税は、国、地方の行政サービスに係る貴重な財源です。消費税の課税標準である価格に揮発油税等の個別間接税を含むという取扱いは、国際的に確立した共通のルールとなっていると認識をしております。
 税や社会保障について、これまでもそれぞれ負担能力を踏まえた仕組みとなるよう見直しを行ってきたところですが、今後とも、その在り方について、経済社会情勢の変化も踏まえながら負担能力等もしっかり念頭に置き、検討を続けていく必要があると考えております。
 教育無償化などについてお尋ねがありました。
 御指摘の教育無償化などについては、消費税引上げの使い道を変更し、幼児教育、保育の無償化、大学の無償化をしっかり財源を確保しながら実現しているところです。今後、大学卒業後の所得に応じて返還を行う、言わば出世払いを行う仕組みを含めて教育費、住居費の支援、強化してまいります。
 また、住居費については、子育て世帯の住宅取得、リフォーム支援、入居可能な賃貸住宅ストックの拡大など、子育てしやすい住環境整備に係る支援の充実強化に加え、生活困窮世帯への住居確保給付金に万全を期すことで子育て世代を支えていきます。
 こうしたことにより、子育て世代を支え、幼児教育から大学に至るまで、所得に左右されず、誰もが質の高い教育を受けられる環境をつくってまいります。
 なお、教育国債あるいは日銀保有国債の一部永久国債化などの財源に関する御指摘がありましたが、これらはこの安定財源の確保、あるいはこの財政の信認確保の観点から慎重に検討する必要があると認識をしております。
 食料安全保障についてお尋ねがありました。
 食料の安全供給に、供給を将来にわたって確保していくことは、国家の国民に対する最も基本的な責務の一つです。この責務を果たしていくためには、国際競争や災害にも負けない足腰の強い農林水産業を構築していく必要があり、輸出力強化、デジタル技術の活用、地域ブランドの確立による高付加価値化など、農林水産業の成長産業化、進めてまいります。
 御指摘の旧戸別所得補償制度のように米への助成を基本にするのであれば、米の需要が年々減少する中で過剰作付けを招きかねず、需要のある作物への転換が進みません。これでは農家の所得向上につながらないと考えます。
 米については、需要に応じた生産、販売を推進し、野菜などの需要のある作物への転換に取り組む産地を支援することを基本とし、当面の需給の安定に向けて、新型コロナによる需要減に対応する十五万トンの特別枠を新たに設け、飲食店、子供食堂等への米の販売、提供を支援してまいります。
 また、農業の有する多面的機能を維持していくため、日本型直接支払制度により、環境負荷の軽減、環境保全に効果の高い有機農業等の農業生産活動を支援するなど、農業、農林水産業の生産力向上と将来にわたる持続可能性の確保、両立させてまいります。
 こうした施策を着実に進めていくことで、食料安全保障の確立を図ってまいります。
 いわゆるグレーゾーン事態における対応、台湾情勢及び人権問題についてお尋ねがありました。
 武力攻撃に至らない侵害に適切に対応するためには、警察機関と自衛隊との連携が極めて重要であり、現行の法制の下、海上警備行動等の発令手続の迅速化を図ったほか、海上保安庁等の、等関係機関の対応能力の向上、情報共有、連携の強化、各種訓練の充実など、必要な取組を推進しています。
 また、今後の具体的な取組については、法整備が必要であるという声もあります。その中で、各機関の連携を充実させ、円滑にさせるために必要なものがないか、訓練等を通じてなお一層検討を進めてまいります。
 政府としては、今後とも、あらゆる事態を想定し、我が国の領土、領海、領空、そして国民の生命と財産を断固として守り抜くという強い覚悟を持って、冷静かつ毅然と対応してまいります。
 両岸関係については、経済分野を中心に深い結び付きを有している一方で、その軍事バランスは全体として中国に有利に変化しており、その差は年々拡大する傾向が見られます。中国軍機の台湾防空識別圏内での行動についても注視をしております。
 台湾海峡の平和と安定は極めて重要と考えており、台湾をめぐる問題が当事者間の直接の対話により平和的に解決されることを期待するというのが政府の従来からの一貫した立場です。
 同時に、御指摘のものも含めて、同盟国や同志国との間で共同訓練をすることを通じ、自由で開かれたインド太平洋の維持強化に向けた取組、進めてまいります。
 また、国際社会において普遍的な価値である自由、基本的人権の尊重、法の支配が、中国やロシアにおいても保障されることが重要だと考えます。
 私の内閣では、人権を始めとした普遍的価値を守り抜くことを重視しています。深刻な人権侵害については、省庁横断的に取り組むとともに、米国などの同盟国、同志国と緊密に連携してしっかりと声を上げてまいります。
 その上で、人権侵害を理由に制裁を科するような法整備については、幅広い理解が重要との観点から超党派での議論が進んでいると承知をしています。その議論をよく見守るとともに、これまでの日本の人権外交を踏まえ、引き続き検討してまいります。
 北方領土、韓国、拉致問題についてお尋ねがありました。
 北方領土は我が国が主権を有する島々です。政府としてこの立場には変わりがなく、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるというのが日本の一貫した立場であります。表現について御質問がありましたが、この北方領土が置かれた状況についての法的評価については一貫をしております。
 ロシアとの平和条約については、次の世代に先送りせず、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの方針です。二〇一八年のシンガポールでの合意を含め、これまでの両国間の諸合意を踏まえてしっかりと取り組んでまいります。
 日韓関係は非常に厳しい状況にありますが、このまま放置することはできません。国と国との約束を守ることは国家間の関係の基本です。日韓関係を健全な関係に戻すべく、御指摘の旧朝鮮半島出身労働者問題については、韓国側が日本側にとって受入れ可能な解決策を早期に示すよう強く求めてまいります。
 日本の内閣においても、失礼、私の内閣においても拉致問題は最重要課題です。拉致被害者の御家族も御高齢となる中、拉致問題の解決には一刻の猶予もありません。
 私自身、就任後早速、米中ロなど各国首脳と電話会談を行い、拉致問題について直接提起をいたしました。米国バイデン政権を始めとした関係国と緊密に連携しつつ、私自身、金正恩委員長と直接向き合うチャンスを逃さず、全力で取り組んでまいります。
 経済財政等将来推計委員会の設置及び財政単年度主義の弊害是正についてお尋ねがありました。
 院内における機関の設置については、国会において御議論いただくべき事柄であり、政府としてお答えすることは控えたいと思いますが、その上で、政府として、経済財政諮問会議において、専門的、中立的な知見を有する学識経験者なども参加する形で経済財政運営について議論を行っております。
 御指摘の経済や財政の見通しについては、内閣府において経済財政諮問会議の議論を踏まえた上で、過去の実績や足下の経済状況に基づいた現実的な想定の下で作成をしているところです。また、年金の将来推計については、専門家の議論を踏まえて客観的に作成しております。
 財政の単年度主義の弊害是正については、企業に長期的視点を求めることと同様、国もより長期的な視点に立った戦略的な財政運営が重要です。
 科学技術の振興や経済安全保障、重要インフラの整備など国家的課題に対して、憲法や財政法等を踏まえた一年ごとの政策立案サイクルに加え、中長期的な視点を持って国家戦略を練ることにより、計画的な財政措置を行ってまいります。
 そして、衆議院の解散についてお尋ねがありました。
 コロナ感染症の状況は現在落ち着きを見せているとはいえ、先行きについては不透明であり、多くの国民がまだ大きな不安を持っています。このため、国民の信を問うた上で、一刻も早く大胆で思い切ったコロナ対策、経済対策を実現していきたいと考え、可能な限り早い時期に解散を行うこととした次第であります。(拍手)
    ─────────────

#13
○副議長(小川敏夫君) 小池晃君。
   〔小池晃君登壇、拍手〕

#14
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 会派を代表して、岸田文雄総理に質問します。
 総理は所信表明演説で、国民の声を真摯に受け止め、形にする、信頼と共感を得られる政治が必要と述べました。しかし、森友公文書改ざんについて再調査すべきという世論にも、桜を見る会についての安倍元総理の説明に納得できないという世論にも背を向けたままで信頼と共感が得られるとお考えか、お答えください。
 森友公文書改ざんを強いられ自死された赤木俊夫さんの妻、雅子さんは、総理への手紙に、岸田さんなら分かってくれると書いた理由をこう述べています。
 総裁選のとき、岸田さんは最初、再調査をするような発言をしていました。でもすぐに変わりました。誰かから何か言われたんでしょうか。本当は再調査すべきだと思っているから最初そう言ったんだと思います。正しいことが正しいと言えない社会はおかしい。それが誰より分かるはずだから、こう書きました。
 この声をどう受け止めますか。総理は、国民の声が政治に届かない、政治の説明が国民の心に響かないとし、今まさに日本の民主主義が危機であると述べられましたが、このままでは安倍、菅政権と何も変わりません。民主主義の危機打開など到底望めないのではありませんか、お答えいただきたい。
 新型コロナウイルス感染症をどう抑え込むか、政治の最大の課題です。
 日本共産党は、ワクチンと一体での大規模検査、医療、保健所への支援、そしてまともな補償という三本柱での対策を求めています。
 感染の伝播を断ってコロナを封じ込めるには、大規模、頻回、無料の検査体制確立が必要です。いつでも誰でも無料でPCR検査が受けられるようにすべきです。職場、学校、保育所などでの自主検査を大規模かつ無料で行えるように国が思い切った補助を行うべきです。見解を伺います。
 昨年、厚生労働省は、PCR検査の拡大が医療崩壊を招くとする文書を配布して検査抑制を図りました。しかし、全く逆に、必要な検査を怠ったことが感染を拡大させ、医療崩壊を引き起こす要因となったのです。
 総理は、厚生労働省による検査抑制策の誤りを認めますか。根本的に清算し、国の責任による大規模検査の推進へかじを切るべきではないか。お答えください。
 全国の保健所は、自民党政権の行革路線の下、九〇年代の八百五十二か所から四百六十九か所へ、半分に減らされました。その結果、感染拡大の際に保健所の業務が逼迫し、検査で陽性と判定された人に保健所からの連絡すら届かず、自宅で重症化するなどの事例も相次ぎました。
 総理、保健所の削減がコロナ対応の大きな障害になったことを反省し、コロナ対策の最前線で奮闘する保健所の予算を抜本的に引き上げ、保健所の数も職員の数も大幅に増やすべきではありませんか。
 総理は、公立・公的病院の統廃合計画について、病床の削減や統廃合ありきではないと答弁しました。しかし、自公政権が地域医療構想に基づいて二十万床の急性期病床を減らす計画を立て、骨太の方針でその強化、促進を掲げているのは紛れもない事実です。
 岸田内閣が本当に医療難民ゼロを実現しようというなら、それに反する地域医療構想と骨太の方針、消費税収を使った病床削減の仕組み、とりわけ急性期病床を削減、縮小する計画を直ちに撤回すべきです。答弁を求めます。
 コロナの下で、国民の生活と営業の疲弊は深刻です。
 総理は所信表明演説で、大きな影響を受ける事業者に対し、地域、業種を限定しない形で事業規模に応じた給付金を支給しますと述べました。規模に応じた給付金や対象拡大は、かねてから我が党を含む野党が要求してきたものです。持続化給付金、家賃支援金の再支給だけでなく、中身の改善、拡充を直ちに実現していただきたい。
 また、総理は、非正規、子育て世代など、お困りの方々を守るための給付金も実行すると述べました。我が党はコロナで収入が減った人に対する十万円の暮らし応援給付金を提案していますが、今全ての党が給付金を出そうと言っているのであります。コロナで困っている人たち全てに今すぐ給付金出しましょう。答弁を求めます。
 コロナ禍で米価の大暴落が農村を襲っています。昨年と比べ二割から三割下落し、一俵一万円を下回る銘柄も続出し、このままでは米が作れなくなるという悲鳴が全国の農村に広がっています。先人から営々として受け継ぎ、人々の命や我が国の歴史、文化を支えてきた米作りが崩壊しかねない深刻な事態だという認識が総理にはありますか。
 今回の大暴落は、直接的にはコロナ禍による過剰米が原因です。米価の回復には、過剰米を政府が買い入れ、市場から隔離する以外にありません。北海道と東北六県の農協中央会会長を始め全国知事会、米どころの自治体や地方議会も一致して求めています。
 総裁選で総理は、市場隔離を含めた十分な支援を検討するとしていましたが、国会で示したのは十五万トンの特別枠で支援というもので、これでは米価下落は止められません。即効性のある対策は、過剰米の政府買入れによる市場隔離です。制度の趣旨に合わないなどと言っている場合ではありません。明確な答弁を求めます。
 過剰在庫を理由に史上最大の減反拡大を米農家に押し付ける一方で、この期に及んでも国内需要の一割にも及ぶ七十七万トンものミニマムアクセス米の輸入を続ける。こんな不条理ともきっぱり決別すべきではありませんか。お答えください。
 総理は所信表明で、新自由主義的な政策については、富める者と富まざる者との深刻な分断を生んだと述べました。
 そのとおりです。それがまさにアベノミクスの九年間だったではありませんか。
 二〇一二年以来、大企業の経常利益は一・六倍、株主への配当金は一・八倍となり、報酬一億円以上の役員数は二百九十五人から五百四十四人と二倍近くになり、内部留保は八年間で百三十三兆円も増加しました。その一方で、実質賃金は年収ベースで二十二万円も減ったのです。
 総理は、アベノミクスが富める者と富まざる者の分断を生んだことを認めますか。富裕層と大企業ばかりが富を増やし、格差を拡大させたアベノミクスを反省し、経済政策を転換すべきではありませんか。
 格差を拡大している大きな原因が、日本の不公平税制です。
 日本の所得税の現状は、累進課税とは名ばかりで、実際には、所得が一億円程度を超えると負担率が逆に下がります。株取引に対する税率が極めて低いからです。
 株式売却益に対する日本の税率は、所得税一五%、住民税五%。これに対して、アメリカ・ニューヨーク市の場合には、国税だけで最高二〇%、州税と市税を合わせれば三二%を超えます。しかも、バイデン政権は国税分の最高税率の五%引上げを提案しており、実現すれば合計で三七%を超えます。日本の株取引への税率の低さは、経済同友会やOECDからも指摘され、その引上げが提案されてきました。
 総理が分配なくして次の成長なしと言うのであれば、なぜ先送りをするのか。優先順位が下がったのはなぜなのか、お答えください。
 消費税増税は家計に大きな打撃を与え、そのたびに消費が落ち込みました。そこにコロナ禍が重なり、戦後最悪の消費の落ち込みで、日本経済は深刻な危機に陥っています。
 世界では、コロナ危機から暮らしと営業を守るために付加価値税の減税を実施又は実施予定の国が六十二か国に上っています。経済危機の打開のためにも、格差是正のためにも、消費税を五%に引き下げるべきではありませんか。答弁を求めます。
 ノーベル物理学賞を受賞される眞鍋淑郎さんは、気候変動は新型コロナウイルスなどとともに人類の危機だと訴えています。世界中で若者たちが中心になって、地球の未来を守ろうと真剣な取組が広がっています。
 総理は、昨日も脱炭素社会の実現に向けて国際社会を主導すると述べましたが、G7の中で唯一石炭火力からの撤退期限を持たない国です。総理は、これでどうして国際社会を主導できるというのでしょうか。
 国連は、石炭火力からの計画的な撤退を強く要請し、グテーレス国連事務総長は、日本など最も豊かな国々に石炭火力発電から二〇三〇年までの段階的な廃止を求めています。
 今月末には、国連の気候変動枠組条約第二十六回締約国会議、COP26が迫っています。我が国は石炭火力からいつ撤退するのか、その期限を明確にお答えください。
 ジェンダー平等が当たり前となる社会をつくることも政治の責任です。
 総理は、三月に発足した自民党の選択的夫婦別姓制度を早期に実現する議員連盟の呼びかけ人に名を連ねていました。ところが、今では、国民の間に様々な意見があり、引き続きしっかりと議論すべきと、早期実現とは程遠い対応です。半年前に早期実現を呼びかけながら、手のひらを返した対応は余りに無責任ではありませんか。
 今やどの世論調査でも選択的夫婦別姓の導入への賛成意見が多数です。幅広い国民の理解にもかかわらず、導入を阻んでいるのが自民党内の強硬な反対派です。
 総理の聞く耳というのは、国民の声ではなく、党内反対派に対するものなのでしょうか。政治家として、自らの言動に責任を持つべきではありませんか。答弁を求めます。
 最も身近な性暴力の一つであり、性犯罪である痴漢被害への対策について聞きます。
 これまで痴漢は、ささいな問題、あるいは女性が注意すれば済むこととされ、多くの被害者が泣き寝入りさせられてきました。しかし、その実態は非常に深刻です。
 昨年、我が党の東京都委員会ジェンダー平等委員会が行った痴漢被害のウエブ調査では、初めて被害に遭った年齢が十八歳以下という回答が七割を超え、中高校生の、通学中ほぼ毎日被害に遭うという回答も目立ちました。
 痴漢は、子供、未成年への性暴力でもあるのです。
 被害の後、電車に乗ろうとすると過呼吸になり仕事を辞めた、頻繁なフラッシュバックに苦しみ続けているという声も多数寄せられました。被害が一人一人の人生に大きな苦しみをもたらしていることを私たちは重く受け止めるべきではないでしょうか。
 電車に乗る。道を歩く。そんな当たり前の日常が性暴力の危険にさらされていることを、政治が無視し、軽んじていいのか。痴漢被害に本気で取り組むことを政治の課題にすべきではありませんか。お答えください。
 今、高校生、大学生の皆さんが始めた「本気の痴漢対策求めます」というオンライン署名が広がっています。ここで求められているのは、国の責任による痴漢の実態調査です。
 国が本格調査に乗り出すことは、この問題が、決して迷惑行為というような問題ではなく、政治の責任で根絶しなければならない性犯罪であることを明らかにするメッセージともなります。実態調査の必要性について、この問題に取り組む人々に勇気と希望を与える答弁を求めたいと思います。
 沖縄名護市辺野古での米軍新基地建設に関して聞きます。
 政府が、沖縄戦最後の激戦地である本島南部から遺骨の混じった土砂を採取して新基地建設の埋立てに使おうとしていることに、全国の自治体で反対の意見書が可決されるなど、怒りの声が広がっています。沖縄戦遺骨収集ボランティア、ガマフヤーの具志堅隆松代表は、自民党総裁選の立候補者全員にこの問題についての公開質問状を出しましたが、誰一人として回答しませんでした。
 具志堅氏は記者会見で、回答すらなくがっかりした、戦没者に対する救済の意識を持っていないと思える、そういう人がこれから先、日本の国をリードすると思うと、残念というよりも非常に悲しいと述べています。総理はこの声にどう応えますか。
 南部からの土砂採取計画は、軟弱地盤改良のためとして、政府が設計変更申請で盛り込んだものです。戦没者を冒涜し、遺族の心情を踏みにじる土砂採取計画は撤回し、設計変更申請は取り下げるべきではありませんか。
 沖縄県民は、日米両政府が普天間基地の全面返還で合意してから四半世紀、一貫して新基地建設に反対の意思を示し続けてきました。県民投票では、辺野古の埋立てに反対が七割を超えました。総理、この県民の声に真摯に応えるべきではありませんか。
 辺野古新基地建設の断念、普天間基地の閉鎖、撤去の決断を強く求めるものです。
 総理は所信表明で、被爆地広島出身の総理大臣であると語りながら、広島の悲願である核兵器禁止条約について一言も触れませんでした。
 核兵器禁止条約の発効へ国際社会を動かしたのは、核兵器は人類と共存できないという被爆者の訴えでした。総理は、昨日の答弁でも、核兵器国が一か国も参加していないとして、条約への参加に背を向けました。しかし、核兵器の非人道性をどの国よりも理解する唯一の戦争被爆国がやるべきことは、核兵器禁止条約に参加をして、そして、世界の国々や世界の市民とともに核兵器国に核廃絶を迫ることではありませんか。お答えください。
 被爆者であるサーロー節子さんは、広島出身の首相ということでこれまで以上に世界からは注目される、市民や被爆者の声に耳を傾け、リーダーシップを発揮してほしいと求めています。総理はこの声にどう応えますか。被爆地出身の総理大臣にふさわしい世界への発信と行動が求められていると思いませんか。
 そのことを強く求めて、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

#15
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 小池晃議員の御質問にお答えいたします。
 まず、森友学園問題の再調査についてお尋ねがありました。
 近畿財務局の職員の方がお亡くなりになられたこと、これは誠に悲しいことであり、残された御遺族のお気持ちを思うと言葉もなく、静かに、謹んで御冥福をお祈り申し上げます。
 御指摘のお手紙は拝読いたしました。その内容についてはしっかりと受け止めさせていただきます。
 その上で、本件については、民事訴訟において法的プロセスに委ねられており、その裁判の過程において、裁判所の訴訟指揮に従いつつ、丁寧に対応するよう財務省に対して指示を行ったところです。
 いずれにしても、森友学園問題については、財務省において捜査当局の協力も得て事実を徹底的に調査し、自らの非を認めた調査報告、取りまとめております。また、会計検査院も二度にわたる検査報告を国会に提出をしております。さらに、第三者である検察の捜査も行われ、結論が出ているものと承知をしております。
 本件については、これまでも国会などにおいて様々なお尋ねに対し説明を行ってきたところと承知をしており、今後も必要に応じてしっかりと説明をしてまいります。
 大事なことは、今後、行政においてこうした国民の疑惑を招くような事態を二度と起こさないことであり、今後も国民の信頼に応えるために、公文書管理法に基づき文書管理を徹底してまいります。
 また、桜を見る会については、必要な調査が行われ、国会の場などでも繰り返し説明がなされてきたものと承知をしております。
 いずれにしても、国民の信頼と共感を最優先にする政治姿勢を堅持し、丁寧な対応を積み重ねることで、真に国民が必要とする政策を取り込んでいく、こうしたことによってのみ民主主義の危機、乗り越えていけるものと信じております。
 新型コロナの検査についてお尋ねがありました。
 検査については、これまで、症状の有無にかかわらず、医師が必要と判断した方などが確実に検査を受けられるよう、検査の充実、図ってまいりました。
 段階的な行動規制の緩和に向け、日常生活の中でスムーズに検査ができるよう、検査の拡充も重要な課題であり、冬に向け、再度の感染拡大に備えて、インフルエンザ流行に伴う需要も勘案しつつ、予約不要の無料検査の拡大や抗原検査キットの職場や学校等での活用の促進など、検査体制を今後更に強化してまいります。
 保健所の機能強化及び地域医療構想についてお尋ねがありました。
 保健所数の減少は、平成六年に制定された地域保健法に基づき、住民に身近な保健サービスの市町村への移譲や、保健所の機能強化を図るため、施設設備の拡充を図りつつ、所管区域を二次医療圏等とおおむね一致させることなどにより集約化が進んだものと認識をしております。
 その上で、今般の新型コロナ対応を踏まえ、感染症対応業務に従事する保健師の増員など、適切に地方財政措置を講じてきております。
 また、全国の保健所業務の好事例を示すなど、保健所業務の効率化も併せて進めており、引き続き、新型コロナ対応の中心となる保健所の体制強化に努めてまいります。
 地域医療構想については、人口構造の変化を踏まえ、地域の医療ニーズに合わせ、質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指して取り組むものです。こうした観点から、地域での合意を踏まえ、自主的に行われる病床の減少に対して支援を行っています。
 病床の削減や統廃合ありきではなく、地域の実情を十分に踏まえつつ、地方自治体等と連携して検討を進めてまいります。
 給付金支給についてお尋ねがありました。
 新型コロナの影響を受けた事業者や、この影響により苦しんでおられる方々に対する支援に万全を期すことは喫緊の課題であると認識をしています。
 このため、大きな影響を受ける事業者に対し、地域、業種を限定しない形で事業規模に応じた給付金、支給いたします。また、新型コロナの影響により苦しんでおられる非正規雇用、子育て世帯など、お困りの方々を守るための給付金などの支援も実行してまいります。
 先日の閣議において新たな経済対策の策定を指示したところであり、総選挙後、速やかに決定できるよう、政府としてしっかりと検討を進めてまいります。
 米価下落対策についてお尋ねがありました。
 政府備蓄米は、不測の事態に備えて一定量の国産米を保有することを目的としており、これを需給操作のために運用することは制度の趣旨に合わないものと考えております。
 新型コロナによる米価の下落は深刻な課題であると認識しており、当面の需給の安定に向けて、新型コロナによる需給減に対応する十五万トンの特別枠を新たに設け、飲食店、子供食堂等への米の販売、提供を支援してまいります。
 また、米のミニマムアクセスは、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉において全加盟国の合意の下に設定されたものであり、その中止は困難であると考えます。
 格差についてお尋ねがありました。
 アベノミクスは、六重苦と言われた旧民主党政権の経済苦境から脱し、デフレではない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大しました。国民みんなの稼ぎである総雇用者所得も増加しました。このように、我が国経済の成長、体質強化に大きな役割を果たしました。
 その上で、世界における一九八〇年代からの新自由主義的な政策に伴う格差の拡大に目を向け、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現を目指すことが重要であると考えています。成長の果実をしっかりと分配することで初めて次の成長が実現します。成長も分配も実現するために、官民協働してあらゆる政策を総動員いたします。
 金融所得課税の見直しについては、成長と分配の好循環を実現するための様々な分配政策の選択肢の一つとして挙げてまいりました。分配政策として多くの方策を用意してきましたが、賃上げに向けた税制の強化や下請対策の強化などをまずやるべきであると考えております。
 いずれにせよ、今後の税制の在り方については、国民の様々な御意見を踏まえ、政府や与党の税制調査会の場で御議論いただきたいと考えております。
 消費税については、社会保障の財源として位置付けられており、当面、消費税について触れることは考えておりません。
 石炭火力発電についてお尋ねがありました。
 エネルギーをめぐる状況は各国で千差万別です。資源が乏しく、周囲を海で囲まれた日本において、安全性、自給率、経済性、環境適合を満たす単一の完璧なエネルギー源がない現状では、多様なエネルギー源を活用することが重要です。しかしながら、石炭火力は二酸化炭素の排出量が多いため、電力の安定供給を確保しながら、石炭火力の発電比率をできる限り引き下げていかなければなりません。
 そのため、二〇三〇年に向けて、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めるとともに、二〇五〇年に向けて、水素、アンモニアやCCUS等を活用することで、脱炭素型の火力に置き換える取組を引き続き推進してまいります。
 選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。
 選択的夫婦別氏制度の導入については、国民の間に様々な意見があると承知をしております。私は、政治家として選択的夫婦別氏制度の、制度に賛成の方の声にも反対の方の声にもしっかりと耳を傾けてきたつもりであり、それらの声を踏まえた上で、本件は引き続きしっかりと議論すべき問題であると考えているところであります。
 政府としても、選択的夫婦別氏制度について、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、更なる検討を進めてまいります。
 痴漢被害への対策についてお尋ねがありました。
 まず、痴漢は犯罪であり、決して許されるものではありません。特に電車内における痴漢については、今後も徹底した取締りを行うなど、厳正に対処してまいります。
 また、今年度、内閣府において、痴漢を含む若年層の性暴力被害の実態調査、これを行う予定にしております。政府については、性犯罪・性暴力対策の強化の方針に基づき、令和四年度までの三年間を集中強化期間として、性犯罪・性暴力対策の強化を進めてまいります。
 普天間飛行場の辺野古移設についてお尋ねがありました。
 変更承認後の埋立土砂の調達先については、現時点で確定していないと承知をしています。
 さきの大戦で凄惨な地上戦を経験した沖縄では、今なお戦没者の御遺骨の収集が進められており、御遺骨の問題は大変重要です。こうしたことを踏まえ、埋立土砂の調達については防衛省が適切に判断すると考えます。
 また、変更承認申請については、沖縄防衛局において有識者の助言を得つつ十分な検討を行ってきたと承知をしております。沖縄県において適切に対応していただけると認識をしております。
 世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければなりません。これは地元の皆様との共通認識であると思います。
 日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策です。この方針に基づき着実に工事を進めていくことこそが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながるものです。これからも、丁寧な説明、対話による信頼を地元の皆さんと築いてまいります。
 核兵器禁止条約についてお尋ねがありました。
 被爆地広島出身の総理大臣として、核兵器のない世界の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。
 核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約です。しかし、現実を変えるためには核兵器国の協力が必要ですが、同条約には核兵器国は一か国も参加しておりません。
 御指摘のような対応よりも、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力していかなければなりません。唯一の同盟国である米国の信頼を得た上で、核兵器のない世界を実現するために共に前進していきたいと考えております。(拍手)
    ─────────────

#16
○副議長(小川敏夫君) 森ゆうこ君。
   〔森ゆうこ君登壇、拍手〕

#17
○森ゆうこ君 立憲民主党副代表の森ゆうこでございます。
 私は、立憲民主・社民の会派を代表して質問いたします。
 岸田総理、御就任、誠におめでとうございます。偏狭なナショナリズム、今だけ、金だけ、自分だけ、そんたく政治、もう飽き飽きなんです。穏健な保守を代表する岸田総理に御期待を申し上げております。
 今年八月、新型コロナウイルスに感染し、自宅療養中だった妊婦の方が、入院先が見付からず、一人自宅で出産、赤ちゃんが亡くなるという本当に痛ましい事件が起きました。私は三人子供を産み育てましたが、たった一人で出産するなんということは想像したことはありません。どんなに怖かったでしょう。どんなに苦しかったでしょう。胸が詰まる思いです。
 私たちは、オリンピック開催下で感染爆発し、医療が崩壊の危機に瀕している、そんな状況から国民を救いたい。国会を開いて迅速に対応することを何度も強く求めました。いえ、懇願しました。でも、自民党は、公明党は、政府は応じてくれませんでした。
 私は、参議院予算委員会の野党筆頭理事です。岸田総理、予算委員会、開きませんか。一年前の今頃も感染は小康状態で、でも第六波は必ず来ます。そして、苦境にあえぐ生活者、事業者はもう限界なんです。今審議をして予算を通さなければもう間に合わない。そう思いませんか。見解をお願いいたします、総理。
 野党の修正が反映された特措法の改正によって臨時医療施設はいつでも開設できるのに、菅政権は国主導で開設しても医療従事者の確保が困難だと言ってきました。しかし、オリンピック対応の医療従事者は七千人も集めました。なぜ、オリンピックのために集められて、自宅で放置されているコロナ感染症患者を救うためには集めることができないんでしょうか。総理、教えてください。
 消費税を使って公立・公的病院を削減する地域医療構想はもうストップしませんか。安倍、菅政権は、コロナ禍で病院のベッドを増やさなければいけないのに、ベッド数を削減するという支離滅裂な政策を進めてきました。こんなばかげたことはもうやめませんか。
 コロナ感染症が発生した去年の一月から今年七月までの間、一体、公立・公的病院のベッドを何床減らしましたか。幾ら予算を使いましたか。総理、具体的な数字でお答えください。
 この際、支離滅裂な政策をやめて、科学的根拠に基づいた合理的な感染対策に転換しませんか。新型コロナウイルス感染症の主たる感染経路は空気感染。これが今の世界の常識です。WHOやCDCも認めています。八月十八日に日本の科学者たちが最新の知見に基づいたコロナ感染症対策を求める科学者の緊急声明を出し、空気感染を前提に対策を取るように提言しました。
 こうした指摘を踏まえ、空気感染を前提に、高性能の不織布マスク装着や換気の重要性を国民に周知し、熱交換換気装置などの導入を支援したり、公共交通機関等における換気対策を支援すべきであると考えますが、総理の見解を伺います。
 岸田総理の答弁に驚きました。アベノミクスの自慢話の中で、さっきもありましたけど、六重苦と言われた旧民主党政権の経済苦境とか民主党政権の失敗から学んだとか、まるで安倍元総理が乗り移っているようで、全然岸田さんらしくないですよ。民主党政権はたったの三年ですよ。もう十年近くたつのに、まだ民主党の悪口を言わないと自分たちを正当化できないんですか。結局、悪口を言っただけで、アベノミクスの評価にはストレートに答えませんでした。総理、アベノミクスは成功したんですか、失敗したんですか。はっきり御答弁ください。
 過去二十年間、時給の変化、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、主要先進国各国では六〇から八〇%増加しました。しかし、日本だけが九%も下落しているんです。庶民の生活が苦しいままでは、経済が良くならないのは当たり前じゃないですか。
 この二十年間のうち、ほとんどの期間は自民党政権でした。主要先進諸国が大幅に時給を増加させている中で、なぜ日本だけが時給が上がらずマイナスになったのでしょうか。総理、その理由をどう分析されていますか。お答えください。
 岸田総理は、新自由主義からの転換を高らかに主張されていたと思いますが、この間の答弁で、本当に転換する気があるのかどうかよく分からなくなってきました。弱肉強食、市場原理万能の新自由主義から決別するのですか、しないのですか。どちらなのか、はっきりと御答弁ください。
 新自由主義からの決別を国民に分かりやすく示すならば、新自由主義の旗振り役であると多くの国民が認識している竹中平蔵氏と決別することをお勧めします。総理、いかがですか。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、国の政策に大きな影響を及ぼしてきた規制改革推進会議、国家戦略特区ワーキンググループなどのいわゆる官邸会議の構成員は、選挙で選ばれたわけでもなければ、利益相反や守秘義務について定めた国家公務員倫理規程が必ずしも適用されません。このような無責任な体制を改めるべきではありませんか。総理の見解を伺います。
 総理、分配を重視するというなら、なぜ庶民減税を行わないんですか。立憲民主党は、消費税五%への時限的減税、所得税の減税を提案しています。分配のために減税をすべきではないですか。なぜ減税を行わないのですか。理由をお答えください。
 分配を重視するというのであれば、庶民への負担増は厳に慎むべきではないでしょうか。来年度後半からは、後期高齢者の窓口負担が二倍になります。来年の十月からは、子育て罰の厳罰化とも言われた児童手当特別給付の削減が行われ、新たに所得制限が設けられます。
 若い人たちから、子育てと両立しながら綱渡りで一生懸命働いて税金も保険料も真面目に納めているのに、働いて収入が増えると児童手当さえも削られる、何でこんないじめを受けなきゃいけないんだという怒りの声が数多く寄せられました。これらは我々の反対を押し切って決められましたが、いずれも中止すべきではないですか。総理の明快な御答弁を求めます。
 中小・小規模事業者への追い打ちもやめてください。消費税一〇%への増税の言い訳として軽減税率が採用され、インボイス制度の導入が予定され、今月から申込みも始まっています。
 地域の中小事業者や税理士会からは、インボイス制度で取引過程から排除されたり廃業を迫られたりする免税事業者が生じる、とりわけ中小・小規模事業者にとってはインボイスの発行、保存に係るコストが大きな負担になるといった問題が指摘されています。中止してほしいという要望を地元でもたくさん受けています。総理、どう対応されるんでしょうか。
 ところで、所信表明の中にあったクリーンエネルギー成長戦略とはどのようなものなのでしょうか。総理、昨年の十二月に二〇五〇カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略は策定済みですが、クリーンエネルギー成長戦略とグリーン成長戦略はどのように違うのでしょうか、お答えください。多分、原発を推進するという意味じゃないかと私は思っているんですけど。
 総理の所信表明には人口減少という言葉がありませんでした。二〇二〇年の出生数は八十四万人、これは、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口より三年も早いペースです。
 ちょうど十二年前、民主党政権の時期は、第二次ベビーブーム世代がぎりぎり出産適齢期でした。少子化、人口減少を食い止める最後のチャンスでした。民主党政権では子ども手当を創設しましたが、当時の野党自民党からは、子育ては自己責任だろう、ばらまきだと猛烈な批判を受け、子ども手当は頓挫しました。
 安倍元総理は、子ども手当によって民主党が目指しているのは財政を破綻させることだけではなく、子育てを家族から奪い取り、国家や社会が行う子育ての国家化、社会化です、これは実際にポル・ポトやスターリンが行おうとしたことですなどと、ばかばかしい批判を展開しました。
 第三次ベビーブームは幻に終わりました。自民党の責任じゃないんですか。これからは親になる世代の人口が少なくなります。これから出生率が上がったとしても、出生数を増加に転じさせることは極めて困難です。この冷徹な事実を総理は認識していますか。国の存続の危機ではないですか。総理の認識をお答えください。
 私たち立憲民主党は、チルドレンファースト、社会全体で子供の育ちを支えるという理念の下、子ども・子育て予算を倍増します。子ども省を創設します。出産費用を無償化します。児童手当の所得制限撤廃と対象の拡大を行い、義務教育の学校給食を無償化、高校授業料無償化の所得制限を撤廃します。まだまだあります。従来の自民党の考え方を転向しないと、このような大胆な政策は実現できません。安倍元総理が乗り移っているように見える岸田総理にできますか。明快な答弁を求めます。
 また、地域に根差した農林水産業、中小・小規模事業者の後継者不足などが深刻です。総理は、こうした地域の人口減少にどのように向き合いますか。
 私たちは、地域の潜在力を生かした自然エネルギー立国、多面的機能を十分に発揮できる農林水産業、農山漁村など、地方が活力に満ちあふれるような産業政策を実現していきます。
 野田聖子大臣にお聞きします。
 岸田総理は、多様性が尊重される社会を目指すと言いながら、選択的夫婦別姓、LGBT、ジェンダー平等についてほとんど意味のない答弁を繰り返しています。どうなっているんですか。これでいいんですか。
 自民党は、選挙公約から選択的夫婦別姓という言葉さえ削除しました。賛成の人と反対の人の意見をよく聞いて、反対の人の言うことを聞いたということなんですかね。
 参議院予算委員会の小ばなしをさせてください。
 昨年一月二十九日、武漢からチャーター機で初めて邦人が帰国したとき、まだコロナ政府対策本部は設置されていませんでした。昼休みに当時の加藤厚労大臣になぜ設置しないのかと聞いたところ、上が聞いてくれない、森先生から働きかけてほしいと頼まれ、午後の審議開始直前、翌日に対策本部を設置することが大臣席でのミニ閣議で決まりました。加藤さんからは大変感謝され、私は笑顔で、一つ貸しなと言いました。
 感染症二類相当の施行日前倒しも、最高裁の判例を探してサポートしました。マスクの買占め、高値転売防止に使える法律に提案したときには、使える法律を提案したときには、衛藤消費者担当大臣からわざわざお礼に来られました。
 誤解していただきたくないんですが、私は、野党の働きに感謝をしろとか、もっと褒めてくれと言っておるわけじゃないんです。政府対策本部の設置に始まり、法律の適用、現金給付の法案などなどなどなど。実は手を取り足を取り、野党が政府のお尻をたたきながら、後手後手であっても何とか対策を実施してきたのが実情なんです。
 しかし、自民党からは事あるごとに、憲法に緊急事態条項がないからコロナ対策がうまくいかないと言われました。
 冗談でしょう。こんな無能な政権に、国会の審議なしに法律と同一の効力を持つ緊急政令の制定権を認める緊急事態条項などを与えたら、一体どうなっていたでしょう。憲法改正の口実が欲しかったとしても、余りにもお粗末です。
 総理は御自身のお考えとして、憲法改正、特に緊急事態条項の創設をどうしても進めたいのですか。お答えください。
 二〇〇二年九月十七日に北朝鮮が拉致を認め、五名の拉致被害者の方々が帰国されて以来、ただの一人も拉致被害者の帰国は実現せず、拉致被害者の方々の消息に関する新たな情報もなく、何の道筋も付けられないまま十九年が経過しました。
 私は、二〇〇五年に横田めぐみさんの御両親と一緒に、韓国の故金泳三元大統領の御自宅で、金正日総書記のナンバーツーで北朝鮮から亡命した黄長ヨプ氏と会談し、北朝鮮が死亡と発表していた拉致被害者が生きている、めぐみさんは生きていると確信しました。
 残念ながら、横田滋さんは昨年帰らぬ人となり、お元気なうちにめぐみさんと再会を果たしてほしいというみんなの願いはかないませんでした。今、拉致問題の解決に一刻の猶予もないという言葉の重みを痛感しています。
 この度の生方衆議院議員の誠に許し難い発言について、立憲民主党拉致問題対策本部長として心からおわびを申し上げます。
 立憲民主党は、昨年の結党後、直ちに拉致問題対策本部を立ち上げ、私が本部長となり、枝野代表にも参加していただき、これまで、家族会、救う会、特定失踪者問題調査会、関係者の皆様としっかりとお話を伺い、緊密に連携を取り、運動を共にしてまいりました。我々は、拉致被害者が生存していると信じています。北朝鮮による拉致問題は主権と人権の重大なる侵害であり、早期に全ての拉致被害者が帰国できるよう全力で取り組んでまいります。
 総理は、御自身が外務大臣を務められた時期もあったこの間、拉致問題について何の成果も得られなかった事実をどのように総括されていますか。その上で、どのようにしたらこの状況を打開できるとお考えですか。具体的にお答えください。
 拉致問題は最重要課題であるはずなのに、なぜ専従の担当大臣を置かないんでしょうか。横田早紀江さんは、いつまでたっても本気でないのかなと落胆されています。総理の見解を伺います。
 岸田総理、今まさに我が国の民主主義そのものが危機にあると訴えてこられました。安倍元総理の百十八回の国会虚偽答弁や、公文書の改ざんが行われ自殺者まで出たのに政治家が誰も責任を取らないことは民主主義の危機かという辻元清美衆議院議員の極めて具体的な質問に対して、総理はこう答えられました。
 国民の声が政治に届かない、政治の説明が国民の心に響かない、こういった状況を捉えて、今まさに我が国の民主主義そのものが危機である、このように申し上げた次第です。
 意味が分かりません。
 このように、国会において内閣総理大臣が質問にまともに答えない、これこそが民主主義の危機ではないですか。総理、明確にお答えください。
 河井案里前参議院議員の裁判の過程で、河井克行元法務大臣が業者を雇い、架空の人物を名のったブログ記事で対立候補のイメージ悪化を狙った投稿をするなどのネット工作を行ったことが分かりました。日本でも、選挙に勝つためにお金を使い、業者を雇ってネット工作を行っているという事実は、陰謀論の類いと思っていたが本当だったのかと人々を驚かせました。しかも、自民党の法務大臣です。
 これは民主主義の危機ではないですか。総理、お答えください。
 自民党本部から河井陣営に渡った政党交付金を原資とする一億五千万円がネット工作による世論操作に使われていたとすれば、選挙という民主主義の根幹を税金を使ってゆがめたことになります。
 総理、一億五千万円がネット工作に使われていなかったと断言してください。お答えください。
 今、同僚の小西、杉尾両参議院議員が行った発信者情報開示請求手続により、重要な問題が明らかになってきました。国会質疑の動画を編集して、本来の意図とは全く違う内容のフェイクニュースをつくり上げ、拡散し、野党を攻撃してきたツイッターアカウントの運営者が法人であることが分かりました。しかも、バズフィードニュースの調査によれば、その法人は、自民党の議員や支部との、自民党の支部との取引があることも分かりました。
 間もなく解散・総選挙が行われます。総理、今回の選挙では、お金を使ってネット工作を行い、選挙の結果を不当にゆがめるような卑劣な行為を自民党の議員に行わせないとこの場でお約束いただけませんか。総理の明確な御答弁をお願いします。
 今だけ、金だけ、自分だけ……

#18
○議長(山東昭子君) 森さん、時間が来ております。

#19
○森ゆうこ君(続) 一部の人だけが得をするそんたく政治はもうやめましょう。政治の変える、政治を変えるのは主権者の皆さんです。そう訴えて、この場での質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

#20
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 森ゆうこ議員の質問にお答えいたします。
 新型コロナ対応の予算についてお尋ねがありました。
 新型コロナの感染が落ち着いている今こそ、様々な事態を想定し、徹底的に安心確保に取り組んでまいります。
 医療提供体制については、病床、医療人材の確保、在宅療養者に対する対策など、対応策の全体像を早急に国民にお示しするよう、コロナ病床が十分に稼働しなかったことなど、この夏の反省も踏まえ、今週中にその骨格、お示しいたします。
 国民の切実な声を踏まえ、新型コロナで大きな影響を受ける方々を支援するため、総合的かつ大胆な経済対策を策定いたします。総選挙後、速やかに決定して補正予算を提出いたします。また、補正予算成立までの間も事業や雇用、暮らしを守るための支援に万全を期していくとともに、必要な対策を、新型コロナ予備費などを柔軟に活用してまいります。
 総選挙後、速やかにこうしたコロナ対策あるいは経済対策、思い切って行うために、早期にこの総選挙をお願いした、お願いすることを表明させていただいた次第であります。
 臨時の医療施設の開設等についてお尋ねがありました。
 臨時の医療施設については、地域の実情を踏まえ、各都道府県において開設いただくものであり、全国各地で設置が進んでおり、現在、二十五都道府県の四十五施設となっております。この夏に病床が逼迫した状況も踏まえ、新型コロナの感染が落ち着いている今こそ、様々な事態を想定し、徹底的に安心確保に取り組んでまいります。
 医療提供体制については、病床と医療人材の確保、在宅療養者に対する対策など、対応策の全体像を早急に国民にお示しするよう指示を出し、今週中にその骨格、示させていただきます。その中で、臨時の医療施設や医療人材の確保にもしっかりと取り組んでまいります。
 また、御指摘の政策については、質の高い医療を効果、効率的に提供できる体制を構築するため、地域での合意を踏まえ、自主的に行われる病床の減少に対する支援を行うものです。開始初年度である昨年度に支給対象となった公立・公的病院の病床数は約一千百床、予算の執行額は約二十億円であります。
 いずれにしても、公立・公的病院の在り方については、病床の削減や統廃合ありきではなく、地域の実情を十分に踏まえつつ、地方自治体と連携して検討を進めてまいります。
 科学的知見に基づく新型コロナ対策についてお尋ねがありました。
 昨年七月に、WHOが新型コロナの感染経路に関する見解として、特に室内の密集した空間等でのエアロゾル感染のリスクについて発表しており、我が国としてもそうした知見も踏まえて対応してまいりました。
 議員が指摘、議員が提案された不織布マスクの装着方法や具体的な換気の手順については、既に国民に周知しているところです。
 また、御提案の熱交換換気装置などの導入についても、令和二年度第三次補正予算や地方創生臨時交付金等を活用し、既に公共交通機関等においても導入を支援させていただいております。
 アベノミクスと賃金の推移についてお尋ねがありました。
 アベノミクスによって、デフレでない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大しました。我が国経済の成長、そして体質強化に大きな役割を果たしました。
 賃金については、OECDの時給のデータによれば、過去二十年の変動率はマイナスですが、二〇一二年以降の八年間ではプラス二%に転じております。賃金が伸び悩んでいるのは、雇用が増加する中で、相対的に賃金水準の低いパートで働く方の比率が上昇したことなどが要因となったと考えております。
 今後とも、最大の目標であるデフレからの脱却に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進に努め、その上で、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現、目指してまいります。
 働く人への分配機能の強化、看護、介護、保育などの現場で働いている方々の収入増などを通じ、成長の果実をしっかりと分配し、広く国民の所得を上げていくことで初めて次の成長が実現いたします。成長も分配も実現するために、官と民が共に役割を果たしながら、あらゆる政策を動員いたします。
 新自由主義についてお尋ねがありました。
 新自由主義的な政策には様々な捉え方があると思いますが、市場原理あるいは競争原理に偏重したという評価が多くあります。
 私が目指すのは、そうした単に市場や競争だけに任せるのではなくして、官と民が共に役割を果たしながら成長を実現し、そしてその果実をできる限り多くの方々に所得という形で実感していただける社会です。そうした社会に向けて、成長と分配の好循環による新しい資本主義、実現してまいります。
 また、人事に関わる御質問がありました。
 人事に関わるお答えは差し控えるべきだとは思いますが、御指摘の規制改革推進会議や国家戦略特区ワーキンググループについては、議論の透明性の確保に努めるなど、法令にのっとりオープンなプロセスで進められており、これは無責任という御指摘は当たらないと考えております。
 そして、消費税、所得税の減税、後期高齢者の窓口負担の見直し及び児童手当の見直しについてお尋ねがありました。
 消費税については、社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置付けられており、当面、消費税について触れることは考えておりません。
 所得税の減税については、所得税を負担されていない低所得者の方には効果が及ばない等の課題があると考えております。
 全ての世代の方々が支え合い、安心できる持続可能な全世代型社会保障の構築は待ったなしの課題です。
 前通常国会で成立した七十五歳以上の高齢者の方の窓口負担割合の見直しに当たっては、経過的に負担増を抑える措置を講ずることとしており、こうした措置を含め、法律の円滑な施行に努めてまいります。
 年収一千二百万円以上の者に対する月額五千円の児童手当の見直しは、総合的な少子化対策の中で全体のバランスを考えて行うものであり、御理解をいただきたいと考えております。
 インボイス制度についてお尋ねがありました。
 インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであり、その円滑な移行を図る観点から、免税事業者を含めた事業者の準備のため、軽減税率の実施から十年間の十分な経過措置を設けています。今後とも、制度の円滑な移行に向けて周知広報など必要な取組、進めてまいります。
 クリーンエネルギー戦略とグリーン成長戦略についてお尋ねがありました。
 気候変動対策は地球規模であり、かつ喫緊の課題です。岸田政権においても、二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年のマイナス四六%という削減目標を維持し、その実現に向けてエネルギー政策や成長戦略、策定をしてまいります。
 グリーン成長戦略に基づき、既に二兆円のグリーンイノベーション基金などを活用して、大規模水素サプライチェーンの構築に必要な研究開発と社会実装に向けた具体的な動き、始まっております。
 二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年のマイナス四六%という削減目標の実現に当たっては、温暖化対策のみならず、電力価格の抑制や安定供給の観点から、再エネ一本足打法というのは現実的ではありません。そのため、再エネのみならず、原子力、水素などあらゆる選択肢を追求することで、将来にわたって安定的で安価なエネルギー供給を確保し、更なる経済成長につなげていく、これがこのクリーンエネルギー戦略の趣旨であります。
 グリーン成長戦略、エネルギー基本計画も踏まえつつ、こうしたクリーンエネルギーの選択肢をしっかりと追求し、経済成長につなげていくこの戦略策定をしていきたいと思います。これにより、野心的な削減目標の実現を目指すとともに、国民生活の向上と企業投資の後押し、強力に推進してまいります。
 子供政策と地域の人口減少についてのお尋ねがありました。
 戦後、我が国の合計特殊出生率は低下傾向となっています。特に、今般の出生数や婚姻数の減少については、新型コロナの感染が拡大する中で、多くの方が日常や将来に不安を感じ、結婚行動や妊娠行動に、妊娠に少なからず影響を及ぼした可能性があるものと認識をしています。
 こうした長年にわたる我が国の課題である少子化対策、さらにはこの人口減少、こうした課題も含めて、子供をめぐる様々な課題に適切に対応するため、子供目線に立って縦割りを排した行政を進めていかなければなりません。
 こうした行政の在り方について、年末までに基本方針を決定し、可能であれば来年の通常国会に法案を提出するというスケジュールを念頭に検討を進めてまいります。
 また、地域の人口減少への対応として、農林水産業分野では、農林水産業の成長産業化を進めるとともに新規就農等を支援してまいります。あわせて、中小企業等の後継者不足に対応するため、マッチング支援等による円滑な事業承継を進めてまいります。
 緊急事態条項の創設など、憲法改正についてお尋ねがありました。
 憲法改正については、国会でお決めいただくことであり、この具体的な内容について内閣総理大臣としてお答えすることは控えますが、様々な論点について建設的な議論を重ね、主権者である国民の皆様の理解を深めていくことは、私たち国会議員の責任ではないかと考えております。
 今回の新型コロナウイルス感染症への対応を受けて緊急事態への備えに対する関心が高まる中、与野党の枠を超えて、これまで以上に活発な議論が行われることを期待いたします。
 北朝鮮への対応についてお尋ねがありました。
 私が外務大臣時代の北朝鮮とのやり取りの詳細については控えますが、北朝鮮との関係において、二〇一四年、当時のアジア大洋州局長をストックホルムに派遣し、北朝鮮側とぎりぎりの交渉を行いストックホルム合意を成立させるなど、様々な取組を試みてまいりました。
 私の内閣においても、拉致問題は最重要課題です。拉致被害者の御家族が御高齢となる中、拉致問題の解決には一刻の猶予もありません。私自身、就任後早速、米中ロなど各国首脳との電話会談を行い、拉致問題について直接提起をいたしました。米国バイデン政権を始めとした関係国と緊密に連携しつつ、私自身、金正恩委員長との、委員長と直接向き合うチャンスを逃さず、全力で取り組んでまいります。
 拉致問題担当大臣については、政府一丸となった取組が重要であり、そうした観点から内閣官房長官に兼務させることといたしました。
 民主主義の危機等についてお尋ねがありました。
 一昨日の衆議院本会議では、民主主義の危機について説明をさせていただきました。あわせて、国民の信頼と共感を最優先する政治姿勢を堅持し、丁寧な対話を積み重ねることで、真に国民が必要とする政策に取り組んでいくことによってのみ民主主義の危機は乗り越えられていけるものと信じているということも申し上げたところであります。私自身、自分の言葉で丁寧に説明させていただいたと考えております。
 また、選挙運動や政治活動については、公職選挙法などに定めがあります。我が党の議員に限らず、それぞれの議員や候補者がそれらのルールに従って発信をし、選挙運動を行い、政治活動を行うべきであるということ、これは当然のことであると考えます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣野田聖子君登壇、拍手〕

#21
○国務大臣(野田聖子君) 森議員にお答えします。
 岸田総理は、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向けしっかりと取組を進めると述べており、同じ内閣の一員として、多様性が尊重される社会を目指してまいります。
 選択的夫婦別氏制度を含む夫婦の氏の在り方については、昨年末閣議決定した第五次男女共同参画基本計画において、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、更なる検討を進めることとしており、男女共同参画や女性活躍の推進の観点から、私は担当大臣としてしっかりと進めていきたいと考えています。
 また、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないことです。
 男女共同参画は日本政府の重要かつ確固たる方針です。また、国際社会で共有されている規範です。第五次男女共同参画基本計画及び今年の六月に策定した女性活躍・男女共同参画の重点方針二〇二一に基づき、政府全体として全力で推進してまいります。(拍手)
    ─────────────

#22
○議長(山東昭子君) 片山さつきさん。
   〔片山さつき君登壇、拍手〕

#23
○片山さつき君 自由民主党の片山さつきです。
 冒頭、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げます。また、闘病中の方、後遺症に悩む方にもお見舞いを申し上げます。
 私は、自由民主党・国民の声を代表して、岸田総理大臣の所信表明演説について、コロナ禍という国難を乗り越え、対外的には国益を毅然と主張、確保し、内にあっては豊かで暮らしやすく一体感のある富国・共生社会をつくるとの国家観に立って、質問をさせていただきます。
 まずは、第百代総理への御就任、心よりお祝い申し上げます。
 今から三十二年前、広島JCの気鋭のリーダーでいらした岸田総理と西日本初の女性税務署長として広島におりました私がお会いする機会を得させていただいたのが、つい昨日のようでございます。
 それから時は流れて、二〇一七年には、岸田自民党政調会長に経済産業分野担当の政調会長代理としてお仕えさせていただきましたが、広島の代表的な地場産業である自動車等製造業とその膨大な数の下請、安芸の宮島等世界遺産の観光産業、中国地方随一の飲食街等、中堅・中小事業主の息遣いを常に御自分のこととしてお聞きになり続けて政策に生かされていることに改めて感銘を受けました。
 しかし、総理、日本全国の景気はまだら模様と言う方もいますが、かなり厳しい状況です。ホテル、旅館もタクシーもバスもコロナ前のマイナス五割から九割減、もみじまんじゅうの売上げも七割減です。これらのコロナ直撃業種に加えて、全国各地で商工会議所、中小企業団体中央会、持続化補助金や給付金を手伝ってくださっている税理士会や行政書士会、地銀、信金、信組の方々とまさに膝を交えて、この数か月、状況把握に奔走してまいりましたが、雇用調整助成金の特例と無利子、無担保融資で何とか今日まで持ちこたえてきている大量の企業、事業主の命綱が、今手を打たないと年内にも切れてしまうかもしれません。
 私が委員長を務めさせていただいている金融調査会地域金融小委員会では、一年近く掛けまして継続的に、料理飲食、おすしや麺類、食品やお酒の卸、冠婚葬祭・イベント団体、観光・リムジンバス、タクシー、全国ホテル協会、日本旅館、直接窮状を何度もお伺いしてきました。
 まずは、大前提として、コロナ禍による売上げの減少は経営責任ではありません。コロナ前に黒字だった借り手は、その状態で信用査定してほしい、六千万ないし三億円の限度額まで借りられるようにしてほしい、あるいは、コロナ禍進行中の事業年度について、借り手から求められたなら返済要求を一切行わないでほしいなどをこの一月から政府に要請し、緊急事態やまん延防止等の再発令のたびに念押し、この八月にも申入れを行っております。
 日本公庫の無利子、無担保融資と、私たちが政府に御提言してつくっていただいたいわゆる民間金融機関のゼロゼロ融資の累計は、今日五十三・一兆円に達しており、昨年のゴールデンウイークには本当に休日御返上で窓口を開けて対応していただきました現場職員の皆様には心から感謝を申し上げます。
 しかし、このうち大半の四十三兆円は昨年内に貸されておりまして、特に今年の夏頃から運転資金が底をついている、追加融資を借りようとしても断られたりカットされる例が多いと言われてきております。残念ながら、金融庁に調べてもらうと、これは資金ニーズがそれほどないということになってしまうんですが。
 三月に一旦打ち切りましたゼロゼロ融資の四月からの後継であります伴走支援型融資は、信用保証の付与が一〇〇%でないんで、今年出てきた借り手の決算の赤字が余りに大き過ぎて、担当者が萎縮してしまって貸せない、コロナで正確な数字が出せないのに事業計画の提出が必要なのはきつい、あるいは、出してはみたが信用保証協会にカットされたなどなどなどなど、特に、観光地域の金融機関のトップからは、事実上のゼロゼロ融資の部分的な再開、あるいは雇用調整助成金の特例をコロナから抜け出す見通しが付くまで、少なくとも来春ぐらいまでの延長、事業再構築補助金の倍増なども求められております。
 さらに、全国あらゆる食のジャンル九万件のお店の要望を取りまとめている日本飲食団体連合会からは、収入の数倍から十倍を超えるような過剰債務化してしまう場合に、債務の負担軽減、事業再生スキームも切望をされております。
 コロナは限りなく空気感染に近いエアロゾル感染との御指摘が強まる中、更なる換気、空気清浄、空間除菌等、追加的な設備投資も営業の本格再開に伴って当然必要になってまいりまして、元々売上げがダウンしてきつい状態の事業主ばかりですから、ここも助成をしないと恐らく無理でしょう。
 今申し上げたように、直接国民各位から承ったお声を形にする実行力こそ自民党の強さであります。今は財政指標の一時的な悪化をこだわるんではなく、コロナで傷んだ人、企業を回復させる財政出動を行うべきときだ、これは私が昨年OECDのグリア事務総長に質問をして直接答えていただいたOECDのトップの言葉なんです。ですから、まさにこれは岸田総理が所信表明でおっしゃった経済あっての財政であって、総理、正しいんです。是非信念を貫いて大型経済対策をつくっていただきたいと思います。
 岸田総理が御指示された経済対策の中で、感染症拡大によって明るい展望が持てない様々な業界、そしてコロナ禍の影響を受けやすい女性や非正規労働者の方々など、困難に直面している国民の皆様への大胆な対策や需要喚起策をどのように講じていくおつもりでしょうか。また、全国知事会など地方六団体から非常に要望の強い二兆円規模を超える地方創生臨時交付金の追加も含めて、総理のお考えを具体的にお聞かせください。
 日本で唯一外務大臣と防衛大臣を御兼務された御経験を持つ総理に、我が国を狙うミサイル攻撃の阻止についてお伺いします。
 北朝鮮は、核施設での再稼働の兆候、弾道ミサイルや巡航ミサイル、さらには九月二十八日に発射したと主張している極超音速ミサイルなど、挑発行為を止める気配が全くありません。
 昨年末、政府は、レーダーの覆域や対空火器の射程の外から侵攻部隊に対処するために、千キロ射程の陸海空用のスタンドオフミサイルの開発について閣議決定をしております。
 しかし、北朝鮮が巡航ミサイル、極超音速ミサイルで迎撃システムに打撃を与えた後に軌道を変動できるよう弾道ミサイル攻撃を加えることができるような、そんな準備までも進めているかもしれない中、迎撃システムだけで国民を守り抜けるのでしょうか。
 二〇〇三年の暮れに弾道ミサイル防衛システム導入を閣議決定したときに、私は財務省サイドで担当しておりましたが、当時、飛行高度地上僅か数十キロのミサイルなど全く想定外でした。まさにゲームチェンジャーが現れており、大変な脅威であります。岸田総理は、総裁選中、敵基地攻撃能力は有力な選択肢であり、国民の命や暮らしを守るため議論したい旨発言され、所信表明でも、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防の改定方針を打ち出されました。
 そこで、具体的に、より長い射程を持つスタンドオフミサイルや無人機、移動式発射台を検知できるレーダー、さらには電磁波などの敵基地攻撃能力の保有についてどのようにお考えでしょうか。
 また、北朝鮮の挑発的行為をやめさせるためには、国際社会が一丸、一致して国連の安保理から更に強いメッセージを打ち出すことができるようにすべきですが、このことも含め、総理のお考えをお聞かせください。
 拉致問題、そして弾道ミサイル発射等の挑発的行為に対処する上では、韓国との関係は極めて重要です。しかし、日韓関係は旧朝鮮半島出身労働者や元慰安婦をめぐる問題で冷え込んでおります。東京オリパラでも、選手村の食事について、福島県産を食べないよう指導するというあってはならない理不尽極まりない行動も見られたところです。
 関係改善のためには、韓国側が旧朝鮮半島出身労働者や元慰安婦をめぐる問題を解決するための行動を取る必要があります。しかし、韓国の地裁で日本企業の資産売却命令が下されるなど、一九六五年の日韓請求権協定で解決済みにもかかわらず、国際法を無視する対応が続いております。
 岸田総理は外相時代、タフな交渉の末、慰安婦問題日韓合意で最終的かつ不可逆的に解決されることを確認するというところまで至らせました。総理となられた今、我が国の原理原則を曲げることなく、毅然とした態度を取り、日本企業の利益を守ることを大前提に、日韓関係を再び未来志向のレールにどのように戻していくおつもりでしょうか、お伺いします。
 私は、昨年の予算委員会で、中国の国家安全維持法の施行を受けて香港の国際金融都市としての地位が必ず揺らぐであろうから、日本が香港の高度人材をきちっと受け入れて、もう一度国際金融センターを目指してはどうかと質問し、骨太の方針等にも世界、アジアの国際金融ハブとしての国際金融センターの実現を目指すと明記していただいております。
 自民党の外国人労働者等特別委員会においても、一体何がボトルネックとなってきたのかを集中的に詰めまして、高度な金融知識を持つ外国人材を呼び込む方策も提言にまとめさせていただきました。既に全部英語で対応できるワンストップの受入れセンターは設置され、東京はこれを機会にグリーンファイナンス市場やシティ・オブ・ロンドンとの協力を模索し、大阪は神戸とも連携しつつ推進委員会を設立、福岡では香港の資産運用会社を含む海外企業二社を既に誘致しております。この国際金融都市への岸田総理の推進方針をお伺いします。
 香港で国際金融機能維持への懸念が大きくなった要因は、自由、民主主義、人権の尊重、法の支配といった人類共通の理念、普遍的価値が貫徹されない、しっかりと守られないことへの不安と恐怖です。そして、世界を見渡せば、新疆ウイグル自治区、チベット、内モンゴル自治区、ミャンマーなどでは、信教の自由への侵害、閣僚や中銀トップまでの強制収監、そして獄中死までも報じられるなど、深刻な人権侵害が発生しております。今こそ毅然とした態度を示していかなければなりません。これらについては、参議院でも是非何らかの決議を行うことができればと望む次第です。
 ウイグルやチベット、香港、ミャンマーなどでの人権侵害、弾圧への我が国の対応について、総理にお伺いします。
 中国による尖閣諸島沖の接続水域への進入が続いております。尖閣諸島を守る会の顧問を長年務めておりますので、同志の方々からは緊迫した映像が都度都度入ってきております。
 日本の主権を侵害し、国際法に違反しているこの行為に、海上保安庁は領海外への退去を求め続けていますが、海上保安庁で一千トン以上の大型巡視船は六十九隻。これに対し、今や人民解放軍傘下となった中国海警局は昨年末で百三十一隻と二倍であり、しかも、この十年近くで三倍以上に増強しております。武器使用権限を明記した海警法も今年二月に施行されている中で、尖閣諸島周辺海域や南シナ海における一方的な現状変更が着々と試みられているのです。中国の海洋進出に危機感を持つ国との連携強化などを通じた外交努力の強化はもちろんですが、ヘリコプター搭載が可能な大型巡視船の増強や初めての無人航空機の導入など、海上保安庁の装備の強化に一層取り組むべきと考えますが、総理の御所見をお伺いします。
 経済安全保障上、データやサーバーをどこに置くのかは非常に重要な問題となってきております。
 このデータ・サーバーローカライゼーションの問題につきましては、私も国会で確認質問をさせていただき、TPP、WTO、日米デジタル貿易協定いずれにおいても、ガバメント、つまり国、地方の政府、準行政による発注や安全保障上に関わる発注には例外規定が設けられ、国産や国内設置を条件とすることも理論上は可能となっております。
 DFFT、データ・フリー・フロー・ウイズ・トラストの大原則を高らかに掲げつつも、後ほど触れさせていただく5Gネットワークや高速WiFi網を張り巡らして自動運転、配送、GIGAスクール、遠隔医療を総合的に進めるスーパーシティ構想では、サイバー攻撃の危険性を意識した経済安全保障に配慮して、元々高い技術を有している日本の情報通信系企業の活用と競争力の一層の強化、所信表明でもお触れになったデータセンターの国内整備などを図ることが不可欠ではないでしょうか。この点についての総理のお考えを伺います。
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響でインターネットを介したコミュニケーションやサービスが増加し、これに伴いコンピューターや通信機器市場が活況化、半導体需要も急速に拡大し、世界的に供給力不足が露呈いたしました。また、感染症拡大による工場の操業の停止や、米国や日本における工場の火災や停電事故も一時的に不足に拍車を掛けております。半導体は産業の米と呼ばれてきましたが、5Gやデジタル、人工知能の時代におきまして、死活的な重要な戦略基盤技術として、産業の心臓であるとの発想に転換すべきときではないでしょうか。
 台湾や韓国、中国などは人材育成や企業の回帰誘致、産業育成策の導入を、米国や欧州は、アジアへの依存を軽減するため、自国の生産能力強化に加えて、企業に対する生産拠点誘致を実施しております。このような状況を受けて、具体的にどのような手段を用いて国内に半導体のサプライチェーン、生産拠点を取り戻していかれるおつもりでしょうか。総理のお考えをお伺いします。
 二〇五〇年までに脱炭素社会を実現し、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするとの日本の目標は、総論として内外で非常に高く評価されています。しかし、現場のレベルでは、この先十年の事業転換や雇用維持に不安の声も聞かれるのが現実です。そうしたお声を踏まえて、先月、自民党に自動車立地議員の会を立ち上げさせていただきました。
 関連産業を含めて、自動車産業の就業人口は約五百四十万人、輸出総額の二割、研究開発投資三兆円と、我が国の経済と雇用を支える屋台骨であるということを考えれば、EV、電気自動車のみの一本足打法ではなくて、動力源と水素などのエネルギーを最適に組み合わせて多様な道筋を示すことで、お関わりになっている方々や地域の不安を和らげ、明るい展望が持てるカーボンニュートラル化を示すことが不可欠ではないでしょうか。
 二〇五〇年カーボンニュートラルは、全ての国民が共感を持って取り組まないととても達成できないような国民的社会運動目標でもあり、エンジン周りの部品産業が円滑に事業転換できて、そこで働く方々が失業なく労働移動できるような道筋を政治が責任を持って示さなければ、腰砕けになってしまうおそれすらあります。
 そこで、地域の自動車サプライチェーンに携わる皆様が前向きにカーボンニュートラルに取り組んでいけるような総合的な戦略について、総理にお尋ねいたします。
 二酸化炭素と水素を合成して製造するEフューエルは、大気中の二酸化炭素を直接分離回収する技術などにより二酸化炭素を資源として利用するカーボンニュートラルなエネルギーであるとともに、我が国の優れた内燃機関エンジンや現有のガソリンスタンドネットワークを活用できるという圧倒的な利点があります。岸田内閣では、このEフューエルの技術開発支援、あわせて、ガソリンスタンドを含めた既存のエネルギーインフラの維持発展をどのように進めていかれるのでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。
 将来に明るい展望を持つことができなければ、自動車産業を支える技術者や技能者のなり手がいなくなる懸念があります。特に、今般、車検などを行う国家資格、自動車整備士の担い手不足、そのことによる問題が顕在化し、深刻となっております。
 また、総理が所信表明でおっしゃられたエッセンシャルワーカーの中でも、介護、保育等には構造的な低賃金状況が存在し、ほかにも、社会や生産活動を支えているあらゆる業種において将来の展望を示すと同時に、早急に給与や勤務体制などの改善など、処遇改善を進めるべきと考えます。所信表明でおっしゃった公的価格評価検討委員会の具体的な内容を含めて、どのように取り組まれるお考えでしょうか。
 介護、保育、タクシーやバス、トラックのドライバー、あるいはリサイクル、清掃や様々なエッセンシャルワーカーの皆様の御努力に向けた岸田総理の力強いメッセージと具体的な政策をお願いいたします。
 将来にわたって日本社会全体を活力あふれる国にしていくためには、地方創生を何としても成し遂げなければなりません。私が地方創生と規制改革などを兼ねた閣僚を務めさせていただいたときに、地方創生には最先端技術を用いた都市を地方につくり、地方創生と規制改革の住民へのメリットを見える化しようと考えるに至りました。都市のデジタル化や先端技術の導入を行うためには、各省庁縦割りの個別の未来技術の実証特区といった個別最適ではなくて、市民目線で町を丸ごと人生百年安心な、ありたき未来の都市にする全体最適な町づくりこそが適していると考えて、スーパーシティ構想に至ったわけです。その後、国家戦略特区法改正として成立いたしました。二〇二一年骨太の方針、成長戦略では、スーパーシティを起点に、スマートシティ重点整備地域を選定、二〇二五年度までに全国に何と百か所と、更に拡大路線が描かれるようになっていますが、都市DX、デジタルトランスフォーメーションを全自治体に広げることができれば、まさに岸田総理の目指されるデジタル田園都市国家をつくり上げることができるはずです。同時に、地方でのDX人材の育成を進めることができれば、東京にしかなかったはずの良い職場、高等教育の場が地方でも十分に可能ということになり、過度な東京一極集中のベクトルが変わるはずです。
 地方移住がなかなか進まない背景には、お子さんの教育環境、医療や介護への御不安がありますが、これも、遠隔教育やオンライン診療、遠隔診療でハイレベルなサービスを受けることができるとなれば解消ができるはずです。まさに岸田総理が御提唱なさるデジタル田園都市国家構想の実現こそ、スーパー・スマートシティ構想の着実な推進の延長でやり遂げることができるはずです。
 北海道から沖縄まで三十一もの自治体が非常に熱心に応募してきておられて、第二次の締切りは明後日十月十五日です。提案自治体と国との連携の下、早期に区域指定すべきと考えますが、岸田総理は、デジタル田園都市国家構想の実現に向けて、スーパーシティ・スマートシティ構想をどのように活用していかれるおつもりでしょうか。お伺いします。
 日本で成長戦略の核となるべきデジタル化がなかなか進まない要因は、その担い手となるデジタル人材の絶対量が不足し、かつ、その七割がITベンダー内に偏在していることにあります。デジタル競争力ランキング、人材のデジタル技術スキルが世界主要六十三か国中六十二位という惨状に強烈な危機感を感じまして、デジタル社会推進本部の下、デジタル人材育成・確保小委員会をやらせていただき、まとめられたものが骨太の方針にも盛り込まれております。
 内容は、二〇二五年度までに官民で百七十五万人の養成のため、スキルの標準設定、オンライン教育サイト、コンテンツ、標準カリキュラム、OJTプログラムなどを提供し、産官学金で人材を交流させる社会全体のデジタル人材育成の基盤となるようなデジタル人材プラットフォームを構築し、地域ごとに特色のある産業構造や大学に配慮し、地域包括DX推進拠点を設けること等で、既に日本中あちこちで挙がり始めております。
 そこで、新政権においてデジタル田園都市国家構想を進めるに当たり、極めて重要なデジタル人材の育成を具体的にどのようにお進めになるお考えでしょうか。その際、地方大学や地域産業創生交付金、地方創生推進交付金の拡充や教育訓練給付、公共職業訓練、求職者支援訓練、人材開発支援助成金、生産性向上支援訓練等について、デジタル分野への重点化を行ってデジタル人材の育成を強力に後押しすべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。
 総理所信表明の第四の柱は、人生百年時代の不安解消です。健康寿命の延伸を受けて、元気で働く御意思のある方々には、定年以降も現役時代の技術、技能、経験、そしてお知恵を生かして貢献していただくことが大変重要です。
 百歳以上の高齢者の方々は今や八万六千五百十人、人生百年は現実となりました。中小企業では、既に六十五歳を超えて七十歳以降も元気なうちは働いてほしいという流れになってきています。今や自分で定年を選ぶ時代で、機械的に定年、年齢で定年を迎えるという形は、今日だんだん時代にそぐわなくなってきているのではないでしょうか。
 さらに、高齢者の方々のお仕事の内容も変わってきています。従来、全国七十万人を抱えるシルバー人材センターでは、高齢者のお仕事というと植木の剪定や清掃、駐輪場管理といった軽作業が中心でしたが、ホワイトカラー層が現役時代に培ったパソコンスキル等をアップデートできれば、地域のデジタル化の推進力となります。
 また、地域社会を支えてきた全国約三十万の自治会、町会、町内会は、まさに総理が所信表明でおっしゃったこの国のかたちの原点の一つであります。しかしながら、役員の高齢化、若年層の未加入、新型コロナの影響などにより運営や存続が困難な状況にあるとの悲痛な声が、今年の二月、全国市議会議長会から寄せられました。
 この御要望、提言に大きな勇気をいただき、背中を押されまして、自民党議員連盟、自治会、町内会、町会を応援する会をこの六月に立ち上げさせていただき、今般、岸田総理にも御加入をいただきまして、現在、会員議員が優に百名を超えております。
 日本のデジタル人材が集中していると言われるITゼネコンからは、累積恐らく十万人規模のOBが退職後地域に戻っておられ、もしもこの方々を自治会、町会、町内会に巻き込むことができれば、村井純教授がかねてから御提言のDXお助け隊として地域のデジタル化を支える大きな力となり、総理がおっしゃる誰も取り残さないSDGsなデジタル化の成功の鍵となってまいります。
 このように、地域のデジタル化も老壮青と地域コミュニティーのきずなの力を呼び起こすことで進めていくしかないとの認識の下、地域のデジタルリテラシーの向上、デジタルを活用した助け合いを進めるために、岸田政権において、シルバー人材センターや自治会、町会、町内会という既存の組織にどのような新しいお役割を期待していくのか、御見解をお聞かせください。
 台風、そして長期の前線停滞による千ミリ級の雨量は残念ながら常態化している、多くの首長、議員の方々とお会いするたびこういう話になります。かねてから進めてきた河川水系の強靱化は一定奏功してはおりますが、堤防などの整備があと僅かというところで間に合わなかったり、あるいは想定を上回る水害の激甚化、頻発化により堤防が壊れたり、水が堤防を越えていなくても内水氾濫が多発しております。
 このため、防災・減災、国土強靱化計画の拡充は急務でございまして、地域のきずなやデジタルを生かした避難行動、災害レッドゾーンとイエローゾーンのすみ分けの強化、福祉との連携など、組織横断的な災害対応などにも併せて取り組むべきと考えますが、岸田内閣での防災・減災、国土強靱化について、財政や税制の面も含めての御方針を伺います。
 女性活躍の担当大臣も拝命していた一年間、女性が生きづらさを抱えている組織、地域、社会、そして国のままでは、そもそも持続可能性はないとつくづく痛感いたしました。
 そこで、多様な困難に直面する女性に対する支援等に関する関係府省連絡会議を立ち上げさせていただき、横串の強化をしていただいております。
 全ての女性が、自らの希望に応じて個性と能力を十分に発揮できる社会の実現を目指して、地方創生、女性活躍双方のシナジー効果を意識しながら、指導的地位に占める女性の割合の向上、理工系女性人材、いわゆるリケジョの育成、そして継続就業のための両立支援体制の整備、男性の意識や暮らし方の変革、女性に対するあらゆる暴力の根絶に取り組ましていただきました。
 ただし、いずれも全く道半ばであり、更に強力に施策を展開していかなければなりません。今回の新型コロナウイルス感染症の拡大により、非正規の女性雇用者は男性の二倍以上減少し、また、自殺者数も女性の方が深刻化しているということのように、女性に大きな精神的、経済的負担を及ぼす問題も露呈してきております。
 他方、女性のデジタル人材へのニーズは潜在的にはとても高く、国際的に見ても、デジタル職はオンラインやテレワークなどお時間の融通が利きやすいものですから本来女性向きでもあるとも考えられているのですが、下請の低賃金が本当に大きなネックとなっております。
 先日、静岡で中堅IT企業経営者に、大手ITゼネコンが二百万円で請け負ったプログラミングはここには八十五万円で下りてきますと言われて、生々しく、ショックを受けました。これではそもそも情報工学系への道を諦める若者が男女共に出てきても当然で、下請取引の是正はこの分野において全く急務であります。
 いずれにしても、総合的に見て、女性が直面する困難な課題を政府として縦割りを一切排して全力で解決していくという決意を感じられるような政策や、それに伴う予算ですね、そこへの反映が岸田政権においては絶対に不可欠と考えます。
 総理の固い御決意と御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

#24
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 片山さつき議員の御質問にお答えいたします。
 まず、経済対策についてお尋ねがありました。
 新型コロナで大きな影響を受ける方々を支援するため、総合的かつ大胆な経済対策を策定することとしており、総選挙後、速やかに決定した上で補正予算を編成し、年内成立を目指し、経済対策による支援等をできるだけ早期にお届けしたいと考えております。
 その中で、大きな影響を受ける事業者に対し、地域、業種を限定しない形で事業規模に応じた給付金を支給するとともに、新型コロナの影響により苦しんでおられる非正規、子育て世帯などお困りの方々を守るための給付金なども支援、実行してまいります。
 また、ワクチン接種証明等を活用し、安全、安心を確保しながら社会経済活動の再開を図ってまいります。
 地方創生臨時交付金については、各自治体の執行状況や、今後の感染状況、経済の回復状況の見通しなども踏まえつつ、よく検討してまいります。
 なお、補正予算成立までの間も、新型コロナの感染状況や、企業や暮らしに与える影響には十分目配りを行い、必要な対策を行うために、新型コロナ予備費などを柔軟に活用してまいります。
 敵基地攻撃能力及び北朝鮮に関する外交努力についてお尋ねがありました。
 政府としては、これまで弾道ミサイル防衛体制を整備してきております。一方で、迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と暮らしを、命と平和な暮らしを守り抜くことができるのかといった問題意識を持っています。最近では、我が国周辺において、極超音速滑空兵器や変則軌道で飛翔するミサイルの開発が進められていると見られます。
 こうした状況の下、政府においては、更なる効果的措置を含むミサイル防衛能力について様々な観点から検討を進めてまいります。
 また、北朝鮮による核・ミサイル開発は断じて容認できません。これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は我が国と地域の平和と安全を脅かすものであり、我が国を含む国際社会全体にとって深刻な課題です。我が国としては、今後とも、日米、日米韓で緊密に連携するとともに、国際社会と協力しながら北朝鮮に対し、圧力を掛けつつ、安保理決議の下で全ての義務に従うことを求めてまいります。
 日韓関係についてお尋ねがありました。
 北朝鮮への対応を始め、地域の安定にとって日韓、日米韓の連携は不可欠です。日韓関係は非常に厳しい状況にありますが、このまま放置することはできません。国と国との約束を守ることは国家間の関係の基本です。日韓関係を健全な関係に戻すべく、日本の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を強く求めてまいります。
 国際金融都市の推進方針についてお尋ねがありました。
 我が国において国際金融センターを実現するには、まずは我が国自体がビジネスを行う場として魅力的な国家となるべく、総合的な環境整備を行っていく必要があります。そのため、特に金融関係者から要望が強い税制の抜本的な見直しを行うとともに、海外の人材がビジネスを容易に開始できるよう、海外資産運用業者の参入手続の簡素化、在留資格の特例の創設、英語によるワンストップでの支援窓口の創設といった取組、進めてきました。
 今後、より多くの海外の金融業者を日本の金融資本市場に呼び込むことができるよう、引き続き政府一体となって国際金融センターの実現に取り組んでまいります。
 中国、ミャンマー等での人権侵害への対応についてお尋ねがありました。
 私の内閣では、人権を始めとした普遍的価値を守り抜くことを重視しており、基本的人権がいかなる国においても保障されることが重要と考えます。
 こうした観点から、先般の日中首脳電話会談では、香港、新疆ウイグルといった懸案について習近平主席に率直に提起をいたしました。また、ミャンマーにおける現状を憂慮しており、引き続き、ミャンマー国軍に具体的な行動を求めつつ、事態の打開に向けて取り組んでまいります。
 深刻化する国際社会の人権問題については、省庁横断的に取り組むとともに、米国などの同盟国、同志国と緊密に連携して、しっかりと声を上げてまいります。
 尖閣諸島についてお尋ねがありました。
 中国海警船による接続水域内での航行及び領海侵入等が相次いでいることは極めて遺憾です。先般の首脳電話会談においても、私から習近平国家主席に対し、我が国の懸念について率直に提起をしたところです。南シナ海についても、力を背景とした一方的な現状変更の試みに強く反対をいたします。
 政府としては、米国を含む同盟国、同志国とも連携しつつ、中国に対し、今後とも、ハイレベルの機会も活用し、主張すべきは主張し、具体的な行動を強く求め、冷静かつ毅然と対応してまいります。
 また、尖閣諸島を始めとする我が国周辺地域の厳しい状況を踏まえ、政府としては、平成二十八年に決定した海上保安体制強化に関する方針に基づき、議員御指摘の大型巡視船の整備や海上保安庁の装備の強化を進めるとともに、自衛隊と海上保安庁の連携強化など、海上保安能力の強化を進めてまいります。
 スーパーシティ構想における日本企業の活用等についてお尋ねがありました。
 スーパーシティ構想は、地域のデジタル化と規制改革を行うことにより、二〇三〇年頃の未来社会の先行的な実現を目指すものです。この構想を推進するに当たり、AIなどの先端技術の活用とデータの安全な管理の双方を実現するため、高い技術力を有する企業の積極的な活用を図ることとしております。また、データセンターの国内立地については、経済安全保障の観点も踏まえつつ、防災力の向上、自動運転等による地方の課題解決の実現など、最適地を促してまいります。
 半導体についてお尋ねがありました。
 デジタル化が急速に進展する中、半導体はあらゆる分野に使われる言わば産業の脳であり、半導体の安定供給体制の構築は非常に重要です。今後の経済対策においても、他国に匹敵する措置を講じ、先端半導体の生産拠点の日本への立地を推進することで、半導体のサプライチェーン強靱化にしっかりと取り組んでまいります。
 自動車産業のカーボンニュートラルに向けた取組についてお尋ねがありました。
 自動車産業は、我が国の経済と雇用を支える屋台骨です。我が国の自動車産業が引き続き国際競争力を維持できるよう、電気自動車や燃料電池自動車、燃料の脱炭素化などの多様な選択肢を追求しながら、自動車産業のカーボンニュートラルの実現に向けて戦略的に取り組んでまいります。
 Eフューエルは、我が国がこれまで培ってきたエンジン技術やガソリンスタンドなどのインフラの活用が可能であり、今後十年で集中的に技術開発及び実証を行い、二〇四〇年までの商用化を目指してまいります。また、ガソリンスタンドは重要な社会インフラであり、電気自動車へのエネルギー供給も担う総合的な拠点とするなどの取組、進めてまいります。
 社会や生産活動を支えているあらゆる業種の処遇改善についてお尋ねがありました。
 まず、コロナ禍において、我が国の介護、保育、運輸などの現場を支えてくださっているいわゆるエッセンシャルワーカーの方々に深く感謝を申し上げます。
 こうした皆さんの収入を増やしていくことは、私の分配戦略の大きな柱です。看護、介護、保育等の賃金が公的に決まる分野については、公的価格評価検討委員会を設置し、公的価格の在り方を抜本的に見直します。加えて、バス、タクシー、トラックについては、デジタルトランスフォーメーションの推進、長時間労働の是正、トラックの標準的な運賃の周知、浸透を進め、ドライバーの労働単価、労働条件の改善を図ってまいります。
 引き続き、政府全体として日本経済全体の生産性の底上げや取引関係の適正化など、賃上げしやすい環境づくりを強化してまいります。
 スーパーシティ構想についてお尋ねがありました。
 スーパーシティ構想は、地域のデジタル化と規制改革を行うことにより、二〇三〇年頃の未来社会の先行的な実現を目指すものです。この構想の実現に取り組むことは、地方からデジタルの実装が進み、地方が活性化する、すなわちデジタル田園都市国家構想の実現につながるものです。
 デジタル人材の育成についてお尋ねがありました。
 政府においてもデジタル人材の採用を進めるほか、経済界や教育機関等との協力、機関等と協力して、地方におけるデジタル人材の育成の取組と連携してまいります。
 具体的には、デジタル人材のスキルを可視化するための標準を整備するとともに、どこからでも受講できるオンライン教育サイトの整備、実践型の研修プログラムの提供、促進してまいります。
 その際、デジタル分野の人材育成に当たり、離職者向け職業訓練におけるデジタル分野のコース設定の促進、企業によるデジタル人材育成を支援するための助成、中小企業の生産性向上のためのデジタル人材育成の支援などに取り組み、デジタル関連プログラムを強化してまいります。
 地域のデジタル化に向けたデジタル分野のOBの活用についてお尋ねがありました。
 人生百年時代を迎え、元気で意欲のあるデジタル分野のOBの方々に、言わばデジタル推進委員として地域のデジタル化を支える力となっていただくに当たり、地域の既存の組織を有効に活用することも重要です。
 例えば、シルバー人材センターにおいてデジタルに詳しい会員が地域の高齢者を支援している事例を紹介しております。
 また、自治会、町内会等は、住民相互の連絡、防災、防犯、防災等の地域活動に取り組む重要な役割を担っており、地域活動にデジタル技術を取り入れることにより、より一層多様な住民の参画を得て地域活動が行われることが期待されます。
 地域のデジタル化を推進し、全ての方がデジタル化のメリットを享受できるよう取り組んでまいります。
 防災・減災、国土強靱化についてお尋ねがありました。
 近年、災害が激甚化、頻発化する中、本年も、七月以降長雨が続き、静岡県熱海市の土石流災害を始め甚大な被害が各地で発生をしています。さらに、先週七日の千葉県北西部を震源とする地震では、負傷者が出たほか、鉄道の脱線や水道管の破損による漏水の発生など、被害が生じています。
 こうした災害から国民の命と財産を守り抜くため、防災・減災、国土強靱化の取組を強化していくことが不可欠です。
 このため、昨年決定した五か年加速化対策を含め、ソフト対策とハード対策を効果的に組み合わせ、財政、税制の両面から防災・減災、国土強靱化を強力に推進してまいります。
 先週八日に指示した新たな経済対策においても、国民の安全、安心の確保を柱として掲げており、その一環として防災・減災、国土強靱化についてもしっかり盛り込んでまいります。
 女性が直面する課題への解決についてお尋ねがありました。
 長引く新型コロナの影響により、支援を必要とする女性が誰一人取り残されることがないよう、一人親に対する職業訓練、デジタル人材の育成や配偶者暴力に関する相談体制の充実等の対策を実施してまいります。また、非正規雇用者に女性が多いといった構造的な問題により、新型コロナの影響が特に女性に強く表れています。
 あらゆる分野における女性の参画拡大や、仕事と子育てが両立できる環境の整備を始め女性活躍に関する取組を着実に進めていく必要があります。
 女性活躍の取組は各府省にまたがるものであり、女性が直面する困難な課題について、必要な予算の確保を含め、縦割りを排して、政府全体で一つ一つ全力で解決をしてまいります。(拍手)

#25
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれで散会いたします。
   午後三時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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