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2021/06/16 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 本会議 第32号 令和3年6月16日
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2021/06/16 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 本会議 第32号 令和3年6月16日

#1
令和三年六月十六日(水曜日)
   午前零時十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第三十二号
  令和三年六月十六日
   午前零時十分開議
 第一 議院運営委員長水落敏栄君解任決議案(
  吉川沙織君外一名発議)(前会の続)
 第二 重要施設周辺及び国境離島等における土
  地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関
  する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一及び第二
 一、中央選挙管理会委員の指名
 一、法務局、更生保護官署、入国管理官署及び
  少年院施設の増員に関する請願外二百六十三
  件の請願
 一、委員会及び調査会の審査及び調査を閉会中
  も継続するの件
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 日程第一 議院運営委員長水落敏栄君解任決議案(吉川沙織君外一名発議)を前会に引き続き議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。吉川沙織さん。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔吉川沙織君登壇、拍手〕

#3
○吉川沙織君 立憲民主党の吉川沙織です。
 私は、ただいま議題となりました水落敏栄参議院議院運営委員長解任決議案に対し、提案の理由を御説明申し上げます。
 本会議先例二〇六号、「委員会の審査を終わった案件は、議院の議決により議事日程に追加する場合を除き、次会の議事日程に記載する」。
 十四日夕刻の議院運営委員会理事会において、さらには内閣不信任決議案提出後に開会された議院運営委員会理事会において、最大会派からは全く提案のなかった重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案(閣法第六二号)の今回の緊急上程は、先例上、そして国会の議事運営の常道からすれば、これに外れるものであると言わざるを得ません。
 今回、突如として提案されたこの緊急上程は、予算案や年度末の日切れ議案など、例外的に認められるべきものです。委員会で瑕疵なく採決された議案であれば、それぞれの賛否は別にして、次の本会議の議事日程になることが原則であり、理解をします。ただ、十六日は会期末予定日であることからしても、その本会議の議事日程として正常な形で議会運営をすべきではないでしょうか。本法案の採決を扱う議事日程を緊急上程で強行的に追加されるのではなく、十六日の本会議で通常どおり扱いさえすれば、それぞれの賛否は別にして、原則に従って正常に扱うことができるのです。
 先ほどの議院運営委員会理事会においても、先例上も次の本会議が原則であることを申し上げ、その本会議で扱いましょうと幾度も提案させていただいたにもかかわらず、今回強行的に議事運営の常道から外れた形で議事日程の追加をされるのであれば、そして、それを議院運営委員長が容認なさるのであれば、議院運営委員長に対する解任決議案を出さざるを得なかったのです。
 しかも、十四日夕刻の議院運営委員会理事会においては、最大会派から驚くべき提案がなされたのです。それは、法的拘束力を有し、全てに優先するとされる解釈と慣例が定着している内閣不信任決議案が提出されたとしても、十五日十時の本会議を定刻どおり開会し、内閣委員長解任決議案を扱いたいという提案でした。
 内閣不信任決議案は、仮にですが、可決されれば憲法第六十九条の規定により内閣は解散か総辞職を選択せざるを得ないものであり、その議案が提出されれば、その処理が行われるまで衆参共に本会議や委員会を開会すること自体行われていません。この国会運営のルールが確立して以降は、当然、院の構成に関わるからといって先に処理した例も見当たりません。国会運営のルールが確立する前、昭和二十年代、三十年代の例はあったとしても、今は内閣不信任決議案が処理されるまで参議院の本会議、委員会が動かないのは、その性質に鑑み、当然ではないでしょうか。
 そういった過去の例を調べも検討もせず、国会運営の慣例をいとも簡単に覆す提案を幾度も続け、最終的に三回目の議院運営委員会理事会でようやくあり得ない提案を撤回し、本会議開会に至ったのですが、法規、先例を重視する私自身にとっておよそ信じ難い議院運営委員会理事会でした。これまで議会の先人が積み上げてきたルールを顧みない、あり得ない前例を最大会派自らが作ってしまうところだったためです。
 立法府に身を置く議会人は、議会の先人の知恵で積み上げられてきた法規、先例を大事に議会運営に携わるべきであると考えます。もちろん、法規と違って、先例は時代によって変わっていく側面もあるでしょうし、墨守するものでもないと思います。しかし、先例は法的拘束力を有しないものの、これまでの議事運営の積み重ねであり、議会の先人の知恵の結果であり、十分尊重すべきものであると思います。
 最近は、どちらかといえば政略的配慮を優先し、先例をないがしろにする傾向があるのではないでしょうか。新自由主義的発想での議会運営は、その都度態度を決めればいいとするルールなき議会運営につながるおそれもはらんでいると思っています。土地利用規制法案の緊急上程も、十四日夕刻の議院運営委員会理事会の提案も、まさにルールなき国会運営そのものです。
 土地利用規制法案については、その趣旨と必要性について理解はします。今から十年前、平成二十三年、当時の民主党は、外国人による土地取得に関するPTを設置し、外国人や外国資本による土地買収について規制策を検討し、実際に法改正を行っている経験があるからであり、規制の必要性については同意するところです。なお、本法案は、外国資本の土地購入を規制するものではありません。
 土地利用規制法案は、与党内でも協議が難航したために、内閣自らが定めた閣法提出期限に今国会唯一提出遅延するほど課題が多く、会期末まで二週間を切った中、会期内には十分な審議期間の確保も見通せない中、残念ながらこのような形になることも予想されましたので、六月三日の議院運営委員会でも審議入りには慎重な立場で意見表明を行いました。
 六月八日の内閣委員会の質疑でも明らかにしましたが、参議院の審議期間の確保については、昭和四十八年三月十九日、昭和四十九年五月十日、各会派代表者懇談会での議論を踏まえ、参議院議長が衆議院に対し、二十日間の参議院の審議期間の確保について申し入れたことを端緒とし、昭和五十七年二月二十四日には、参議院改革協議会の答申で、また平成八年十二月十六日の参議院制度改革検討会の答申において、二十日間の審議日数の確保を衆議院に申し入れています。
 衆議院で使用される重要広範議案という概念もありますが、これは申入れ当時にはなかった、平成十一年以降に使われている言葉です。土地利用規制法案が安全保障の観点から国民の権利を制約し、義務を課そうとするものであることからすれば、平成八年までの申入れ当時における重要議案に本法案は該当するものであり、本院での十分な審議期間の確保が必要であったと考えます。
 私は、立法府と行政府の関係については、これまで束ね法案や包括委任規定を問題として、五年半前から議院運営委員会理事会、本会議や予算委員会、質問主意書等で再三にわたり指摘してきました。束ね法案は、法律案を束ねることによって国会審議を形骸化するとともに、国会議員の表決権を侵害しかねないものであること、包括委任規定を含む法律案は、細目的事項を具体的に明示せずに実施命令の根拠規定を法律に設けようとするものであり、法律による行政の原理の意義を埋没させるおそれがあるとともに、立法府の空洞化、これを招来しかねないといった問題を抱えているものです。
 国会は、憲法上、国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関として、法律による行政の根拠である法律を制定するとともに、行政執行全般を監督する責務と権限を有しています。国会の憲法上の責務と権限を侵害しかねないような束ね法案と包括委任規定については、立法府と行政府の関係が改めて問われている今こそ、与党か野党かは関係なく、行政府に対して厳に慎むべきと主張すべきではないでしょうか。
 今回、このような形で緊急上程してまで成立させたいという土地利用規制法案には、典型的な包括委任規定が包含されています。法第二十四条、「この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、内閣府令で定める。」とするものです。
 法律を実施し、又は施行するため必要な細目的事項を定めるいわゆる実施命令については、憲法第七十三条第六号、内閣府設置法第七条第三項、国家行政組織法第十二条第一項に基づき、個別の法律による特別の委任がなくとも制定することができるとされていますが、実際には多くの法律において実施命令の根拠規定が設けられています。
 例えば、本法案と同じように内閣府令の委任を置いている法律の一つとして、平成十六年に全部改正された信託業法があります。第八十九条、「この法律に定めるもののほか、この法律の規定による免許、登録、認可、承認及び指定に関する申請の手続、書類の提出の手続、記載事項及び保存期間その他この法律を実施するため必要な事項は、内閣府令で定める。」と内閣府令で定めるべき事項を具体的に書いてあります。
 実施命令の定立には個別法による授権は必要ないとされていても、具体的に規定する事項を明示することが法律による行政の原理の趣旨に鑑みても適当であり、ある意味では、我が国の法律の圧倒的多数が閣法である中でも維持されてきた行政府の矜持でもあるように思います。
 ところが、近年、書類の記載事項といった具体的な事項には一切触れることなく、この法律に定めるもののほか、この法律を実施するため必要な事項は内閣府令で定めるなどとする包括委任規定を置こうとする法律案が増加しているところであり、この傾向には危惧を抱いています。
 実施命令において規定することができる事項は法律を実施するために必要な細目的事項に限られるとされていますが、包括委任規定の文言には実施命令で規定するべき事項が具体的に記載されていないため、実際に実施命令が制定されるまでは、果たして本当に法律を執行するための細目的事項に限られているのかどうか、必ずしも明らかではありません。もしかしたら、実質的に国民の権利を制限したり国民に義務を課したりすることとなるような事項が定められるかもしれないという懸念は常に付きまとい、将来的にどうなるか分からない不安を抱えることになります。
 包括委任規定に関しては、束ね法案と併せて国会質疑や質問主意書等でただした後、一旦その件数は減りました。ただ、閣法において包括委任規定の存在を認めれば、その内容を具体的に何を定めているか、委員会質疑のたびに確認してまいりました。それは、立法府として、立法府の審議の場で明らかにするのが筋であるためです。このような視点から見ると、土地利用規制法案第二十四条においては、何一つとして具体的な例示がなされていません。
 六月八日、内閣委員会での質疑において、土地利用規制法案第二十四条の包括委任規定、「この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、内閣府令で定める。」とする、必要な事項とは何かお伺いいたしました。そうしましたら、内閣官房から、「現時点におきまして、この規定に基づき、この法律の実施のために必要な事項として法執行上の手続的な事項を、具体的にこういうことを定めるということを内閣府令で定めるということは想定していない」との答弁があったのです。
 まさか、想定を一つもしていないとの答弁が返ってくるとは予想だにせず、愕然としました。立法府の一員としては、何らの想定すらしていないのであれば、この規定を設ける必要性、根拠は全くなく、これはまさに立法府権の侵害そのもので、白紙委任も甚だしいことだからです。
 これまで、先ほども申し上げましたとおり、包括委任規定を置こうとする条文があれば、そしてその法律案を認めれば、各府省庁に国会質疑を通じて確認してきましたが、具体的な手続事項として全て想定はありました。それすらないとすれば、包括委任規定である法第二十四条は撤回すべき条文であると強く指摘せざるを得ません。
 先ほども述べたとおり、実施命令は個別の法律による特別の委任がなくても制定することができるとされていますが、実際には、どのような事項を実施命令で定めることとするのかを具体的に明示した規定が法律に設けられてきました。法律を実施し、又は施行するため必要な細目的事項を定めるという名目で何でもかんでも実施命令に落とし込むことを可能としてしまうのでは、法律による行政の原理の意義が埋没していき、国会による立法行為が空洞化してしまいかねません。
 本法案は、時間不足で詳細を詰め切ることができなかったためなのか、本来であれば法律で規定するべきであるような事柄であっても基本方針で定めることとされるなど、全体として法律による規律密度が低いと言わざるを得ません。このため、法律による行政の原理から逸脱することがないか、強く危惧します。
 しかも、法律案自体がこれだけ不明瞭であると、後になって本来は法律で定めるべき内容が定められていないことが判明し、下位法令でそれを無理やり補うこととなり、結果的に第二十四条の内閣府令が国民の権利を制限したり、国民に義務を課したりすることになるのではないかと非常に懸念しています。
 事実、平成二十五年に成立した新規制定法において、最初に法律で規定した条文が不十分であったがために、政省令に委任する事項が度を過ぎて、最終的に平成二十九年に改正を余儀なくされた閣法があります。これも法制定時の規律密度が余りに低かったことに起因するものですが、当該法律は私権制限を伴う法律ではありません。ここは今回の法案と決定的に違う点です。国民の私権を制限し義務を課す、しかも刑事罰まで規定されている法案である以上、可能な限り法律で具体的に規定する、そのような法律を制定するのが立法府としての責務です。これらの問題を見過ごしたまま本会議の運営を正常ではない形で押し進めようとする議院運営委員長に解任決議案を出さざるを得ませんでした。
 本法案の問題点についてこれまで申し上げましたのは、包括委任規定、ただ一点のみです。ほかに運用上懸念される事項を挙げれば枚挙にいとまがありません。
 私は、六月八日の内閣委員会で九十分間の質疑に立ちましたが、主たる論点を挙げたのみで、時間が足りず、まだまだ質疑すべき事項、そして先ほどから繰り返し申し上げてきた立法府の審議の場で明らかにすべき事項がまだまだ残されています。にもかかわらず、当初、最大会派から提案すらなく、先ほど委員会採決したばかりの土地利用規制法案を議了案件として扱うことの議事日程の追加を容認されてしまったため、残念ながら議院運営委員長に解任決議案を出さざるを得なかったのです。原則の例外である緊急上程という形で議事日程を追加することは容認できません。
 土地利用規制法案について、今後の運用に大きな懸念のある包括委任規定一点に絞ってのみ指摘申し上げてまいりましたが、規制が私権制限を伴うこと、規制対象が条文に明示されていないことなど、包括委任規定以外にも問題や課題が山積しています。
 今回の議事日程の追加は、与党か野党かは関係なく、充実した審議期間の確保を衆議院に申し入れてこられた参議院の議会の先人の思いを踏みにじるものであると申し上げ、水落議院運営委員長の解任を求めて、私の提案理由の説明を終わります。(拍手)
    ─────────────

#4
○議長(山東昭子君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。高橋克法さん。
   〔高橋克法君登壇、拍手〕

#5
○高橋克法君 自由民主党の高橋克法です。
 自民、公明を代表いたしまして、ただいま議題となりました水落敏栄議院運営委員長解任決議案に対し、断固反対の立場から討論をいたします。
 今回、一部野党が提出した解任決議案は誠に不可解なものであります。水落議院運営委員長による議院運営のどこにも解任の理由はありません。これまでも、水落委員長は、広く与野党理事から意見を聞き、十分な議論を重ねて丁寧に委員会を運営されてきました。
 重要土地等調査法案を理由に掲げておりますが、それであれば、内閣委員会において、野党の要求であった内閣委員会と外交防衛委員会の連合審査、そして参考人質疑も開催をし、衆議院を上回る審議時間を確保して質疑を充実させてきた上で採決されてきた法案を、議了案件として本会議で採決しない理由などどこにもありません。内閣委員長の報告を受けて、その上で粛々と本会議で参議院としての意思を示すことこそが、良識の府参議院が築き上げてきた議会制民主主義の姿ではないでしょうか。
 それを、法案の採決を阻止するために、全くもって非のない議院運営を行ってきた水落議運委員長の解任決議を提出するとは、余りにも理不尽極まりないものと言わざるを得ません。
 また、委員会での審議を通じて、今回の重要土地等調査法案は、私権保護とバランスを取りながら、安全保障上のリスクがある土地等の利用状況を調査した上で、必要に応じて防衛関係施設等の機能を阻害する土地等の利用に一定の規制を課すことを柱としており、我が国の安全保障をめぐる内外の諸情勢の中で必要不可欠なものであることは明らかになっております。
 それにもかかわらず、本会議での採決を止めるために解任決議案を提出するとなれば、これまで参議院で培ってきた委員会審査というやり方を踏みにじることになってしまいます。
 水落議運委員長は、戦時中、雪深き越後の地に生をうけ、二歳半で父親を戦争で亡くされました。その後、戦没者遺族として厳しい戦後の復興期を過ごされました。一家の大黒柱を失ったことで、お母様は夜明け前から深夜まで働きづめで生計を支えられていました。また、御自身も働きながら学校に通われたと伺っております。厳しい青春でしたが、持ち前の忍耐と努力で勉学に仕事に無我夢中で取り組まれ、また、同じ境遇の仲間と働けること、そして、お母様に仕送りができることが一番の喜びであったと伺っています。
 その後、自らの体験を踏まえ、ありふれた幸せを奪っていった戦争を憎む気持ちを胸に、二度と戦争を繰り返さないという戦争遺族の声を国政に届けるため参議院議員となり、昼夜問わず邁進してこられました。
 高齢化する戦没者遺族が元気なうちに御遺骨を祖国にお迎えすべく、遺骨収集を国の責務とした議員立法、戦没者遺骨収集推進法の取りまとめと成立に向けて尽力されました。
 若い世代の方々に平和の尊さを伝えることにも汗をかいておられます。今回の新型コロナウイルス感染症の中、不安が絶えない大学生の方々に向けて、国会議員の一人として、思うような大学生活を送ることができない学生の皆さんに心からおわびを申し上げるとともに、このような状況下で、学生の皆さんが戦没者遺児である自分の体験に触れることで、当たり前と思われる平和な社会の尊さを考え、家族を始め周囲の方々との出会いに感謝し、与えられた時間を大切に、何事にも前向きに挑んでほしいと謙虚に伝えておられたインタビューが私には印象的でありました。
 これまでの委員会でも、常に与野党の言い分に真摯に耳を傾けて、お互いに歩み寄ることができるよう丁寧に、そして誠実に職責を果たしてきた委員長の姿勢はどこにおいても変わらないと強く感じております。しかし、一部野党は、公正中立な運営を続けてきた水落委員長に解任決議を提出したのであります。本当に悲しみでいっぱいであります。
 重ねて申し上げますが、水落議運委員長の人柄や実績は多くの方々から尊敬をされております。全く解任決議案に理由はありません。そのことをはっきりと示すためにも、圧倒的な多数で否決されるべきであると申し上げて、私の反対討論といたします。(拍手)

#6
○議長(山東昭子君) 白眞勲さん。
   〔白眞勲君登壇、拍手〕

#7
○白眞勲君 立憲民主・社民の白眞勲でございます。
 私は、会派を代表いたしまして、ただいま議題となりました議院運営委員長水落敏栄君解任決議案に賛成する立場から討論をいたします。
 今、与党議員からこの決議案に対して、誠に不可解だとのことでしたが、今日はこれから私がゆっくりと説明いたしますので、しっかりと聞いていただきたい、そういうふうに思うわけでございます。
 私は、参議院議員として長年にわたって本院に貢献してこられた水落敏栄議院運営委員長に対する解任決議案に賛成することは、同じ参議院に身を置く者として誠に残念でなりません。議員会館のエレベーターでお会いする水落委員長は、いつも円満で本当にすばらしい方だと尊敬をしておりました。更に言わせていただければ、私が取り組んでおります戦没者の遺骨のDNA鑑定についても、陰になりひなたになり応援をしてくださった恩人でもあります。ですから、この悲しいお役をしなければならない私も本当にかわいそうです。
 水落委員長は、かつて議院運営委員会で自民党の筆頭理事を務められました。それまで、ややもすれば対決モードで険悪となっていた議院運営委員会理事会において、当時の水落筆頭理事は、お互いに妥協できる点がないか、一致点を真摯に探り合う姿勢が際立っていたと聞いております。そのような政治姿勢をお持ちで、信頼を集めていた水落委員長は、調整過程、話合いのプロセスを何よりも大事にされていたはずなのですが、なぜ今回このような事態を招くことになったのか私には不思議で、なお信じられない思いであります。
 今、国会の議院運営委員会においても、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案、いわゆる土地利用規制法案が参議院に付託されるまでは、ふだんどおり円満な議事運営であったと聞いております。ところが、この法案を与党の求めに応じて粛々と議院運営委員会で本会議趣旨説明を採決し、その後の混乱を引き起こす原因をつくり出し、菅総理のG7から帰国した途端、更に豹変し、委員長職権の極めて不適切な濫用をし始めました。
 一昨日の議院運営委員会理事会開会について、両筆頭の合意が出ていないにもかかわらず、理事会開催を委員長判断で決定した点は、断じて許せるものではありません。委員長は就任時に、誠心誠意務めさせていただくと挨拶されました。これが委員長の誠意なのでしょうか。一体何があったんでしょうか。
 水落委員長の解任決議が出される発端となったいわゆる土地利用規制法案は、当初から多くの問題点が指摘され、衆議院内閣委員会で不正常な状態で議決され、荷崩れ状態で送られ、参議院が要求する十分な審議日数を確保できないことが明らかな状態でありました。
 この法案については、我が国の安全保障等に寄与するという目的には共感できるものの、その目的を達成する手段の実効性に疑問があること、指定対象となり得る施設等の範囲が曖昧であることなどなど、言い出したら枚挙にいとまがないわけで、特に、国会を唯一の立法機関と規定する憲法の趣旨に反する、先ほど吉川議員も言った典型的な包括委任規定が含まれている点も看過できません。
 参考人質疑においては、与党側が推薦した政府の有識者会議の委員も務めた参考人でさえも、条文案を読むだけでは様々な臆測が広がるおそれがあることを痛感した、しっかりと議論していかなければ国民の様々な解釈を呼んでしまうと懸念を指摘しております。また、別の参考人も、戦前、明治三十二年成立の要塞地帯法でさえ、測量や撮影など違法行為が法律に具体的に明記されていた点を指摘しつつ、戦前でも明確に書いてある、全てを閣議決定や政令なら国会は要らないとまで言い切っています。
 さらに、本法案は、与党内でも協議が難航したために閣議付議期限に間に合わず、提出遅延となったといういわく付きの法案です。それを二週間足らずでどのように審議しろというんでしょうか。二院制の意義を没却するものであり、参議院軽視も甚だしく、怒りを覚えるものであります。このような状況は、議院運営委員長の立場であった水落委員長であれば十分に御承知だったはずです。
 そして、重ねて私がここで指摘したいのは、水落委員長が先代の内閣委員長であったという厳然たる事実であります。参議院の内閣委員会が常時ほかの委員会の数倍もの法案を抱え、審議日程が厳しい中で綱渡りの運営を強いられている、問題点の多い対決型の法案も多く扱っている、そのことをリアルな実体験として御存じの方であります。
 残り会期が二週間余りという状況で、当初の法案提出予定から大幅に遅延した上、衆議院で更なる質疑を求める声が上がる中、異常な形で採決されたような法案を委ねればどうなるのか、十分想像できる方であります。それを、型どおりに多数をもって本会議の趣旨説明聴取の決定を許し、委員会に送ってしまう、その判断、不作為の責任は極めて重いと断じざるを得ないのであります。
 それでも、本会議趣旨説明質疑でなされた十分な質疑を求める声を受け、内閣委員会では、衆議院ではなかった連合審査、参考人質疑が行われるなど、厳しい状況の中、知恵を絞り合い、少なくとも一昨日、状況が一変するまでは良識の府参議院にふさわしい審査が重ねられてきており、この点には参議院は頑張ったと胸を張っていいんじゃないでしょうか。
 今までるる申し上げたことは、水落委員長の本来のお気持ちではないですよね。きっと誰かの指示でこのような強引な運営を強いられたんだと、やむを得ずやられたものだと、深い同情を禁じ得ません。水落委員長、一体、誰の指示でやらされたんですか。おっしゃってください。そうでなくても、菅内閣の下で人知れず相当な御苦労をされていたものだと拝察いたします。
 そもそも、今の内閣においては、聞いたことにまともに答えない大臣、例えば、朝御飯は食べたかと聞かれ、パンを食べたことを隠して御飯は食べていないとわざと論点をずらし答弁する、いわゆる御飯論法を駆使する大臣や官僚、さらに、何を聞かれても国民の命と健康を守っていく一辺倒で、国民の命を危険にさらしてでも五輪を開く理由はと我が党の枝野代表が核心に迫る質問にも、限られた時間の中で、当時、私は高校生でしたから始まる、六四年オリンピックのノスタルジーに浸って、バレーボール、東洋の魔女やマラソンのアベベの活躍を持ち出して、いまだに記憶は鮮明です。
 まだまだありますよ、大臣におなりになる前に、委員会質疑の最中にタブレット端末で巨大なワニが歩いたり大蛇にかみつかれたりする動画を約五分間見続けた方がこの度大臣になって、今度は、請負先の企業について、一発、遠藤のおっちゃん辺りを脅しておいた方がいいよ、ちなみに遠藤という方は請負先企業の社長のことらしいですが、そうした発言した大臣がいたり、審議に立て続けに二人の副大臣が遅れるという前代未聞の恥を知らない出来事が起きたり、もっと続けさせてください、東北新社の外資規制違反をめぐる質疑で、答弁席に向かう総務省幹部に、武田総務大臣の前を通ったときに、武田大臣が記憶がないと話し、総務省幹部も答弁で記憶はございません。このようなとんでもない内閣に付き合う水落委員長を始めとする参議院与党幹部の皆さんに対してもお気の毒に感じております。
 ただ、そうはいっても、与党の皆さん、このような強引な国会運営で一体いいんでしょうか。官邸からお願いされ、衆議院から送付されてきたものをそのまま右から左へ流す、しかも、それは国民の不安が大変強いもので内容も不十分、与党推薦の参考人でさえ本法案の懸念を表明している。このようなことをしていれば、参議院の存在意義が否定されてしまいます。あなた方がしていることは、自己を否定し、参議院は必要ありません、官邸や衆議院の追認機関ですと言っているようなものじゃありませんか。そんなはずないですよね。
 参議院は熟議の府、良識の府であります。にもかかわらず、このようなことを続けていれば、自分の首を絞めることにはなりませんか。与党の先生方、御自身の胸に手を当てて、なぜあえて厳しい選挙を戦い政治家になったのか、初心に返るべきだと思います。
 最後に、このような水落委員長の職権を悪用し横暴かつ民主主義のルールを無視した国会運営に強く抗議し、猛省を強く促し、議院運営委員長水落敏栄君解任決議案の賛成討論とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

#8
○議長(山東昭子君) 倉林明子さん。
   〔倉林明子君登壇、拍手〕

#9
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 会派を代表し、議運委員長水落敏栄君解任決議案に対する賛成討論を行います。
 賛成する理由は、参議院の審議を通じ、重大な問題点を持つことがいよいよ明白になった土地利用規制法案であるにもかかわらず、強引に成立させたい政府・与党に加担しているからにほかなりません。その象徴が、議運理事会派の強い反対を押し切って、合理的理由もなく緊急上程までして強硬に法案採決を急いでいることです。
 そもそも、この法案は、参議院で審議に入るべきではありませんでした。私は、去る六月三日の議運委員会において、翌日から本会議で審議入りしようとすることに反対の意見表明を行いました。
 一つは、同法案の持つ問題点が余りにも大きいことです。立法事実は存在しないこと、法案の核心部分がことごとく政府に白紙委任されていること、これでは、国民のプライバシー権、市民活動の自由が侵害されるおそれが大きく、刑罰まで科す立法においてあり得ないと、指摘です。
 もう一つは、憲法と国民の権利に関わる重大な法案であるにもかかわらず、会期残り僅かな短期間で審議し成立を図ろうとするなど絶対に認めることはできないということでした。
 参議院は、重要議案の参議院における審議期間は原則として最低二十日間を確保すると、二十日間ルールを掲げていることも指摘しました。改革協の答申に盛り込まれた与野党合意の原則です。にもかかわらず、衆議院では、僅か十二時間の審議で、参考人質疑も連合審査も行われず、会期が残り二週間程度しかない時点で参議院に送られてきたのです。
 本来、二十日間ルールに照らせば、参議院では審議に入れないというべきでした。ところが、水落委員長は、与党の言うがままに審議入りを進めました。水落委員長は、この与野党一致の原則に立ったイニシアチブを発揮することなく、与党にくみし、与党の数の多数による判断に委ねたのです。水落委員長は、土地利用規制法案の扱いの最初で、参議院として取るべき道を踏み外したと言わなければなりません。
 今、振り返ってみて、私の指摘は的外れではなかったと、その後の参議院における審議を見て痛感しております。法案の持つ重大な問題、矛盾が深刻な形で浮き彫りになっているからです。
 法案の核心部分をことごとく政府に白紙委任する大問題は一層リアルに露呈しました。一例を挙げれば、機能阻害行為とは何かという肝腎なことが法律に規定されていない問題です。刑罰の対象となる行為であるにもかかわらずです。政府は、閣議決定で例示すると言いますが、それは政府の判断次第ということです。しかも、例示した以外は対象にならないのかとの問いには、必ずしも断言できないという答弁です。驚きです。
 罪となるべき行為は法律に明示しなければならないのではないですか。刑罰法定主義、この原則さえ踏み外している法案であることなど、様々な問題点が一層明らかになりました。
 衆議院で行われなかった参考人質疑が参議院では行われ、参考人の意見は、参議院としてこの法案をどう扱うべきかを考える上で非常に重要なものとなりました。象徴的だったのは、与党推薦の参考人からさえ条文の見直しを含めた意見が出されたことです。プライバシー権や個人情報の保護の観点から、新たな懸念材料というものが生まれては決していけない、そこを払拭するための歯止め機能、どういう条文が入れば少しでも担保できるのか、是非実現していかなきゃいけないと。もちろん野党推薦の参考人からは、法案の重大な問題、欠陥が指摘されました。三名の参考人全員が立法化に対する懸念、注文を示したのです。この参考人の貴重な意見を無視するなどあってはなりません。
 参議院の果たすべき役割は、衆議院の極めて不十分な質疑時間にとらわれることなく、こうした参考人の指摘を受けて、徹底した審議を尽くすべきでした。それもしないままに採決された法案を、理事会派の反対を押し切って与党の言うがままに緊急上程で本会議採決を職権で強行するなど到底認められません。
 決議案の理由にあるように、緊急上程は、予算案や年度末の日切れ議案など例外的に認められるものであり、原則は次の本会議の議事日程にすべきものであります。
 こうした原則を踏み外し、強引な運営を進める水落委員長は、再考の府である参議院の議会運営の要としての職責を果たしておらず、円満かつ公正中立な議会運営に当たるべき議運委員長の職にふさわしくない、このことを指摘し、討論といたします。(拍手)

#10
○議長(山東昭子君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────

#11
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 青木愛さん外五十六名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の皆さんは白色票を、反対の皆さんは青色票を、御登壇の上、投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕

#12
○議長(山東昭子君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕

#13
○議長(山東昭子君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕

#14
○議長(山東昭子君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十六票  
  白色票           六十五票  
  青色票          百七十一票  
 よって、本決議案は否決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────

#15
○議長(山東昭子君) これにて休憩いたします。
   午前一時十四分休憩
     ─────・─────
   午前一時四十六分開議

#16
○議長(山東昭子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第二 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長森屋宏さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔森屋宏君登壇、拍手〕

#17
○森屋宏君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、我が国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ、重要施設の周辺の区域内及び国境離島等の区域内にある土地等が重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為の用に供されることを防止するため、基本方針の策定、注視区域及び特別注視区域の指定、注視区域内にある土地等の利用状況の調査、当該土地等の利用の規制、特別注視区域内にある土地等に係る契約の届出等の措置について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、外交防衛委員会との連合審査会を行ったほか、参考人から意見を聴取いたしました。
 委員会における主な質疑の内容は、本法律案の意義及び立法事実、区域指定の対象として想定される重要施設及び国境離島等、区域指定に関し留意すべき経済的社会的観点、重要施設及び国境離島等の機能を阻害する行為の例及びその例示の在り方、土地等利用状況調査の対象範囲、本法律案により国民の権利を過度に制約する懸念等でありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民の木戸口理事より反対、日本維新の会の高木委員より賛成、日本共産党の田村委員より反対、国民民主党・新緑風会の矢田理事より賛成の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#18
○議長(山東昭子君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。木戸口英司さん。
   〔木戸口英司君登壇、拍手〕

#19
○木戸口英司君 立憲民主・社民の木戸口英司です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案に対し、反対の立場から討論いたします。
 私は、防衛施設の保安を徹底するのは当然であり、外資による周辺の土地買収に安全保障上懸念があるとの認識に立っています。だからこそ、代表質問において、本法律案の十分な審議と政府による誠意ある答弁を求めました。それは、時間を重ねるだけにとどまらず、衆議院の審議で全く明らかとされなかった規制等の内容、私権制限の歯止め、安全保障上の実効性等について明確化していくことを求めたからです。
 内閣委員会において、衆議院で開かれなかった外交防衛委員会との連合審査や参考人質疑も行いました。しかし、政府答弁は不安定さが一層増し、不明瞭で、欠陥法案であることが明瞭となってきました。
 昨日の理事会で、衆議院内閣委員会と同様に、合意なく委員長職権で質疑終局、採決の提案がされたことは到底容認できません。
 本法案が重要法案であるにもかかわらず、参議院で審議入りしたのは六月四日、会期末まで二週間を切った中でした。参議院は、審議を十分尽くすため、重要議案の参議院における審議時間は原則として最低二十日間を確保することを衆議院に求めてきました。それをほごにする法案の扱いに参議院軽視は極まり、加えて、参議院自ら熟議の府であることを放棄したと断じざるを得ません。
 本法案は、とても質疑終局、採決の段に至っておらず、即時廃案、再検討の上、出し直しするべきです。
 反対の理由は、まず、国民生活の基盤の維持並びに我が国の領海等の保全及び安全保障に寄与するという本法案の目的を達成する実効性に大きな疑問符が付くことです。
 本法案では、重要施設の敷地の周囲おおむね千メートルの区域内及び国境離島等の区域内で、機能を阻害する行為を防止する必要があるものを注視区域として指定し、土地等の利用状況についての調査を行うこととなります。そもそも、重要施設の機能阻害行為は千メートルの区域内にとどまるのでしょうか。大きなリスクとなっているサイバーテロ等は、その区域の土地利用調査で防止できるのでしょうか。
 自衛隊や米軍、海上保安庁の施設、原発や軍民共用空港等の生活関連施設という施設目的も伴うリスクも異なる施設と区域を一つの法案で調査、規制することが本法案の整合性と実効性を著しく低下させていると言えます。
 本法案が成立すれば、全国各地の土地等の所有、利用に係る情報を収集することとなり、膨大な人員、体制、予算と時間を要することとなります。安全保障上の実効性を確保するという観点で一度立ち止まり、法案を検討し直すべきではないでしょうか。
 問題となるのは、注視区域及び特別注視区域の指定対象となり得る重要施設並びに国境離島等の範囲が明示的でないことです。
 政府によれば、防衛関係施設の注視区域候補が四百数十か所、特別注視区域候補が百数十か所、海上保安庁の施設については百七十四か所中二か所、国境離島等では、領海基線を有する国境離島四百八十四島、有人国境離島地域離島百四十八島が指定の候補とされています。沖縄県内の有人離島については全てこの中に含まれると小此木大臣は答弁しています。
 このように広範な区域指定の可能性があるにもかかわらず、対象となる重要施設の範囲は曖昧で、生活関連施設の範囲はどこまで広がるか分かりません。政府は、現時点で政令で指定することを考えているのは、原子力関係施設と自衛隊が共用する空港の二つの類型であるとしていますが、それを法案に書き込むことは拒みました。
 この点、本法案の前提となった政府の有識者会議の構成員だった与党側の参考人ですら、生活関連施設の範囲について、この条文案を読むだけでは様々な臆測が広がるおそれがあるということを審議プロセスを見て痛感した、そこはしっかりとこれから議論をしていかなければ国民の様々な解釈を呼んでしまうと思ったとおっしゃったことは看過できません。
 また、対象となり得る防衛関係施設のリストも、安全保障上の理由から提出されていません。しかし、区域指定の際には官報に公示されるのですから、結局、隠しようがないのです。
 市ケ谷にある防衛省本省の、指揮中枢機能を有し、特別注視区域指定候補の最たるものですが、経済的社会的観点からの配慮として、周辺の市街地を特別注視区域に指定しないことを与党審査の段階で合意したと報じられています。港区などの都内、国内各地に所在する在日米軍施設をどこまで指定するかも今後の米側との協議次第です。こんな法律を認めてよいのでしょうか。
 沖縄県は、県土そのものが有人国境離島である上に、多くの在日米軍基地を抱えています。大多数の沖縄県民が本法律案に基づく調査や規制の対象となり、本法律案の曖昧な定義や基準のために県民が知らぬ間に監視下に置かれてしまうこともあり得ます。本法律案には、土地等の所有者や利用者の利用状況を調査するため、利用者その他の関係者に情報提供を求める規定があり、従わなければ処罰されます。基地等の監視活動や抗議活動をする知人や協力者の個人情報の提供を迫られることで、地域や市民が分断されることとなり、市民運動や住民運動の自己抑制、萎縮につながりかねません。
 また、本法律案では、地方公共団体の長等に対し、注視区域内の土地等の利用者等に関する情報の提供を求めることができるとされ、その範囲は政令に委ねられています。政府は、注視区域内の土地等の利用者等の広範な個人情報を本人の知らないうちに取得することが可能となり、本法律案には個人情報の保護に十分配慮しつつとの規定はあるものの、プライバシー権等を侵害する懸念は残されています。
 さらに、二年以下の懲役と二百万円以下の罰金という罰則規定のある命令の対象となり得る重要施設や国境離島の機能を阻害する行為の例が法案に示されていません。行政による恣意的な運用、処罰のおそれが排除できず、罪刑法定主義の点で大きな欠陥です。
 政府は、機能阻害行為の例として、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置、国境離島等については、領海基線の根拠となる低潮線に影響を及ぼすおそれがあるその近傍の土地の形質変更等が該当し得ると答弁していますが、これも法案に書き込むことを拒みました。
 政府は、予見可能性を確保する観点から、閣議決定される基本方針において可能な限り具体的に機能阻害行為を例示するとしています。内外情勢の変化に即応するためとして、法律はおろか、政令でさえなく、基本方針に例示するという対応は、政府は機動的と表現していますが、余りに白紙委任的な法案であり、とても賛成できません。
 法案第六条は、「内閣総理大臣は、注視区域内にある土地等の利用の状況についての調査を行うものとする。」と規定しています。調査対象者も手法も調査事項も限定されていません。
 調査手法としては、公簿収集や報告徴収以外にも、政府は、重要施設を所管又は運営する関係省庁、事業者や地域住民から機能阻害行為に関する情報を提供してもらう仕組みを今後検討するとしています。これでは調査が無限定に広がりかねません。法の目的の範囲内で必要最小限度の措置を行うことが規定されているというだけでは、歯止めになる保証はないではありませんか。
 第二十二条では、「内閣総理大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関に対し、資料の提供、意見の開陳その他の協力を求めることができる。」とあります。全国の防衛関係施設・区域の調査に当たり、関係行政機関となるのは防衛省・自衛隊であり、自衛隊による住民に対する直接的調査への協力要請が行われることが想定されます。
 政府の説明によると、土地等利用状況調査のうち、現地・現況調査は第二十二条に基づき、内閣総理大臣が防衛大臣に対し協力を求めることがあるとし、防衛省は補助的な事務を担うもので、補助的な事務の一部、例えば現地への地理的な案内、移動のための車両の提供等は自衛官が行うこともあり得るとしています。しかし、本法律案の目的達成のための自衛隊による住民への直接的な現地・現況調査がどの範囲まで許されるのか、その範囲が拡大していく懸念は捨て切れません。
 国民が政治に求めているのは、主観的願望ではなく、科学的根拠と客観的事実に基づいた責任ある判断と明確な説明です。コロナ対策、オリパラの開催判断、そして本法案に共通する、この道しかないと突き進む政府の態度に国民は不信感と危険性を感じています。
 リスクの適切な評価と対策を国民に示していくことが政治の責務であり……

#20
○議長(山東昭子君) 木戸口さん、時間が経過しております。

#21
○木戸口英司君(続) その責務を果たせないとすれば政権を降りてもらうしかありません。
 コロナ対策のためにも国会の延長を求め、立法府の矜持から、これだけの課題をそのままに法案を成立させることには絶対に反対であることを申し上げ、討論を終わります。(拍手)

#22
○議長(山東昭子君) 高木かおりさん。
   〔高木かおり君登壇、拍手〕

#23
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案について、賛成の立場で討論いたします。
 討論に入る前に、一言申し述べます。
 国民の皆様には不要不急の外出をお願いしているコロナ禍において、このような多額の税金が掛かってしまう深夜国会になってしまったことは残念でなりません。果たして国民の皆様の理解が得られるのでしょうか。ますます政治不信につながってしまうのではないか、大変懸念をしております。
 それでは、討論に入ります。
 我が国の防衛施設周辺あるいは国境離島において、外国資本が土地を買収していることは十数年前から指摘されていました。本来ならば、国家の安全保障という観点から土地取得を規制する法律が既に施行されていてしかるべきであり、希薄な危機管理意識から放置されてきた感は否めません。
 政府が重い腰を上げたのは平成二十五年十二月の国家安全保障戦略を踏まえて行われた防衛省の調査からです。平成二十九年度からは内閣府海洋事務局によって国境離島の調査が行われました。しかしながら、これらの調査は不動産登記簿の資料確認にとどまり、利用実態を把握するまでには至りませんでした。その後、令和二年七月の骨太方針において、土地利用、管理の在り方について所要の措置を講ずることが閣議決定され、有識者会議も立ち上がり、今回の法案審議にやっとたどり着きました。
 日本維新の会は、五回にわたって政府案より実効性が担保されていると確信するに足る適切かつ厳格な重要土地取引規制に関する法案を提出してまいりました。早くから高い問題意識を持って取り組み、訴え続けてきたことが、今こうして国会での議論に結び付いたと自負しております。
 以下、賛成する理由を述べます。
 第一の理由は、安全保障に関わる防衛施設周辺や国境離島の土地等の取引について、規制を設けることが可能になったからです。
 衆議院で閣議決定される前の与党協議の中で、法案内容が更に後退しかねないとの判断の下、日本維新の会は即座に小此木大臣に申入れを行うとともに、衆議院内閣委員会の理事会においても修正案を提示いたしました。
 その結果、残念ながら修正には至らなかったものの、注視区域及び特別注視区域の指定に当たっては、地方公共団体の意見を聴取すること、また、重要施設等の機能を阻害する行為を中止させることが困難であることに鑑み、収用を含めた措置の在り方を検討すること、そして、指定対象に重要施設の敷地内の民有地を加えることの三点について、附帯決議に明記することがかないました。我が国の安全保障を考える上で、一歩前進と捉えております。
 附帯決議の明記事項について、我が国を取り巻く安全保障の内外情勢が厳しさを増していく中で、その重要性を政府が認め、法律上にしっかりと位置付けられ、そして効果を十分に生み出していくものと確信しているところであります。
 賛成する第二の理由は、本法案が成立することによって、我が国の領土の実態を把握することができるからです。
 今までの不動産登記簿等の調査方法のみでは、土地の利用実態までを把握するには限界がありました。我が国領土の侵食をし続ける静かなる悪意ある者の土地取得を食い止めるには、政府も、可能な限り対象区域を指定し、スピード感を持って利用状況の調査を進め、機能阻害行為としての土地等の利用を適時適切に発動するように準備を整え、実態把握を行う必要があるとの答弁もあり、その認識に立っているものと理解できます。
 本法案では、不動産登記簿等の収集に加え、現況調査、土地等の利用者からの報告聴取規定が盛り込まれました。しかし、与党からも委員会で指摘されていましたが、本法案には立入調査の規定がありません。機能を阻害しているか否かの判断に立入調査は必要不可欠です。本法案の附則第二条の五年後の見直しを待たずに、実態に合った調査方法として立入調査の再検討を政府に要求します。また、収用という強制力を伴った利用制限の検討も忘れてはなりません。
 賛成する第三の理由は、我が国が多くの島を有する海洋国家としての安全保障の在り方を政府が本法案で示したことへの期待です。
 参議院本会議での本法案の趣旨説明の冒頭で、安全保障に寄与することを目的として、防衛関係施設、海上保安庁施設周辺、そして国境離島及び周辺の有人離島の区域内にある土地の利用状況を調査し、機能阻害行為を防止するための措置を定めるものと小此木大臣は説明されました。重要施設周辺の土地取引のみならず、国境離島を本法案に盛り込んだことは、国境離島における有事を想定したものと理解します。
 我が国は現在、保全、管理できる国境離島は四百八十四島あり、この中には尖閣諸島も含まれております。この尖閣諸島は無人島であり、国有、私有が混在していることについて、さきの参議院内閣委員会でも確認することができました。排他的経済水域を含んだ場合、世界で六位の面積を有する海洋国家日本としては、これら島嶼部に対する侵攻に対処していかなくてはなりません。無人島である尖閣諸島へのドローンによる侵攻など、あらゆる事態を想定した国の防衛の在り方が問われていると考えます。
 最後に、国際社会はコロナ禍にあって、まさに混沌とした状況が日増しに強くなってきている感は否めません。中国は、我が国固有の領土である尖閣諸島に対する領海侵入を繰り返しています。ジェノサイドと非難されるような少数民族等に対する人権侵害は、明らかに国際社会のルールから逸脱しています。台湾への軍事的威圧等もしかりです。南シナ海の南沙諸島海域における人工島建設など一方的な現状変更、海洋進出への試みも国際法上許されるものではありません。
 他方、民主国家であるはずの韓国にしても、我が国固有の領土である竹島を不法に実効支配し続け、国際協調に反する態度を強めています。
 日本維新の会は、我が国の安全保障に対し、今後も毅然たる態度と行動で臨むための提言を続けてまいりますことをお誓い申し上げ、私の賛成討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

#24
○議長(山東昭子君) 山添拓さん。
   〔山添拓君登壇、拍手〕

#25
○山添拓君 日本共産党を代表し、土地利用規制法案に反対の討論を行います。
 本法案は、憲法が保障するプライバシー権や財産権など基本的人権を脅かし、罪刑法定主義にも反するなど、重大な懸念を幾つも抱えています。
 審議すればするほど問題点が浮き彫りになる中、与党は昨日夕刻以降、突如、採決ありきで議事を押し進めるに至りました。これ以上審議すれば政府が説明不能に陥るのを恐れるかのように強制終了しようとする姿勢は断じて許されません。説明できない法案は国会の責任で廃案にするべきです。
 本法案は、土地や建物の利用状況調査を名目に幅広い市民監視を可能とするものであり、その歯止めがありません。調査や情報収集の対象は誰なのか、条文上の制限がないことを政府も認めました。あらゆる人が対象となり得ます。
 職業や収入、交友関係やSNSでの発信など個人に関わる情報について、土地利用と関係なければ調査対象とならないといいます。しかし、関係があるかどうか判断するのは調査する側であり、条文上も限定はありません。
 総理が必要と認める場合には、公安調査庁や自衛隊情報保全隊、内閣情報調査室などから情報提供を受けることも条文上排除されていません。小此木大臣や内閣府が想定していないと幾ら繰り返しても、条文に歯止めがない以上、何の担保もないのです。
 二〇〇三年、自衛隊のイラク派兵に反対する市民の活動が情報保全隊により監視され、公にしていない個人情報まで収集されていました。日本共産党が二〇〇七年に公表した文書には、市民や市民団体の集会、署名活動、デモなどの情報が事細かに記録され、イラク派兵と関係しない労働組合や市民団体の活動も広く監視対象とされていました。
 こうしたプライバシー情報の収集や保有は、仙台高裁で違法と断罪されたものまであります。ところが、防衛政務官は、個別具体的な内容は答えられないと言うだけで、同様の情報収集活動を続けている可能性も否定しませんでした。いかなる理由で監視対象と定めるのか、防衛省は手のうちを明かすことになるとして答弁を拒みました。まるで市民を敵視するかのようです。
 岐阜県大垣市では、巨大な風力発電計画への住民運動を恐れ、警察が脱原発運動や平和運動をしていた市民の個人情報を収集し、電力会社と共有し、運動を潰す話合いまで行っていました。警察庁はこれを通常行っている警察業務だと開き直っています。
 権力による市民監視と情報収集は、プライバシー権に余りに無頓着なまま行われ、デジタル化で一層の深刻化が懸念されます。この下で本法案は、総理の一存により更なる情報収集と一元的な管理を可能とするものであり、第三者によるチェックや歯止めの仕組みはありません。
 与党推薦の吉原参考人が、この法案ができることで新たな不安が国民の間に呼び起こされては決していけない、どういう歯止めができるのか考えなければいけないと述べました。なぜこの指摘を一顧だにしないのですか。
 政府は、役所や事業者、地域住民から情報提供を受ける窓口をつくるといい、密告まで推奨するつもりです。あらゆる手段が総動員されようとしています。
 利用規制の対象となる注視区域、売買等の届出義務が罰則付きで課される特別注視区域、いずれも無限に広がり得ます。自衛隊や米軍の基地のほか、生活関連施設として原発や軍民共用空港を政令で指定するといいます。しかし、条文上の限定はなく、大臣はその理由を、内外情勢の変化に応じて重要性が変化し得るからと説明します。
 では、現在の安全保障情勢をどう捉え、なぜ原発を対象とするのか、世界一安全とうたう新規制基準で対処できない機能阻害とは何なのか、説明はありません。
 生活関連施設は、国民保護法施行令に定めるように発電所や水道施設、一日十万人以上が利用する駅、放送局や港湾、空港、河川管理施設など幅広く指定され得ます。政令で幾らでも拡大できるとしていることは、国会の関与をあえて排除しようとするものと言わざるを得ません。
 沖縄では、戦後、米軍が銃剣とブルドーザーと呼ばれる強制的な土地収用を繰り返し、住民が追い出され、基地あるがゆえの被害が今日なお続いています。本法案は、その被害者である沖縄県民を監視の対象にしようとするものです。
 連合審査会で沖縄県の伊波議員が指摘したように、普天間基地を擁する宜野湾市は、市民の九割、九万人が一キロ圏内に居住します。加えて、沖縄は、国境離島としてその全島が注視区域とされかねません。安全保障の名の下に、どこまで権利侵害を重ねるつもりなのですか。
 勧告、命令、罰則の対象となる機能阻害とは何なのか、法律に定めはありません。予見可能性を確保するために閣議決定で具体的に例示すると言いますが、では、例示した以外は対象とならないのかといえば、必ずしも断言できないとの答弁です。罪となるべき行為は法律に明示されなければならない、罪刑法定主義の原則に反しています。
 本院で法案審議が始まった今月四日、沖縄県の北部訓練場で抗議活動を行うチョウ類研究者の宮城秋乃さんが家宅捜索を受け、パソコンやビデオカメラなどを押収されました。米軍から返還された訓練場跡地には、薬きょうや空き缶など廃棄物が散乱し、県警に通報しても回収されない、一帯が世界自然遺産に登録されようとする中、これでよいのかと抗議するために廃棄物の一部をメーンゲート前に置いたことが威力業務妨害などに当たるとされたものです。
 米軍が原状回復を怠ったことは不問に付し、またいで通れる程度の空き缶などを並べた宮城さんは強制捜査と連日の取調べ、余りにも恣意的です。半田参考人は、この事例を本法案の先取りだと指摘し、何が機能阻害行為に当たるかは認定する側のさじ加減一つだと批判しました。そのとおりではありませんか。
 馬奈木参考人が戦前の要塞地帯法の条文を紹介しました。何人といえども、要塞地帯内水陸の形状を測量、撮影、模写、録取することを得ず。戦前の法律でさえ規制対象は明確でした。しかし、濫用され、国民の自由は奪われ、破局に至るまで戦争に駆り立てられたのです。
 今、日本国憲法の下で国民の権利を制限するのになぜ政府にフリーハンドを与えるのかと問われ、大臣が答弁に立とうともしなかったのは、本法案がいかに危ういものであるかを示しています。歴史の教訓を想起するべきであります。
 大臣は、五年後の見直しで、機能阻害行為を理由にした強制接収、収用手続を含めた検討も否定しませんでした。戦後制定された土地収用法は、軍事や国防のための収用を認めていません。戦争の反省に立つものです。軍事的な安全保障のために再び国民の私権を制限しようとすることは憲法の平和主義に反すると言うべきです。
 大臣は、本法案の立法事実を外国資本による不動産購入を契機とする不安、リスク、懸念と表現しました。しかし、これまで安全保障上の懸念が生じたケースは確認されていません。漠然とした不安を根拠もなく重視すれば、疑心暗鬼が広がります。馬奈木参考人が述べたように、特定の国を潜在的な脅威であるかのように扱うとすればヘイトにも近いと言うべきです。
 安全保障上の懸念を持ち出せば何でも通ると言わんばかりに、基本的人権を脅かし、市民監視を強める法案を、時間がない中、提出しておきながら、ごまかしの答弁を意図的に繰り返し、参考人質疑や野党の指摘も無視して採決を強行するなど、断じて許されません。
 「#土地規制法案を廃案に」というツイートが今この時間も十三万七千を超えて増え続け、この審議もインターネットで注視されています。
 本法案は廃案しかないことを重ねて指摘し、討論といたします。(拍手)

#26
○議長(山東昭子君) 矢田わか子さん。
   〔矢田わか子君登壇、拍手〕

#27
○矢田わか子君 国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。
 私は、会派を代表し、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案に対し、賛成の立場から意見を述べます。
 本法律案は、自衛隊施設などの防衛関係施設や原子力発電所などの生活関連施設を重要施設とし、あわせて、国境離島について、それぞれの機能が阻害されないよう、土地の利用状況の調査や土地取引の届出、さらには機能阻害行為の是正を勧告、命令できることを規定するものであります。
 以下、賛成する理由を三点述べます。
 まず第一に、社会の変化に応じた土地制度の改善に資するものとなっていることであります。
 今日、少子高齢化や地方の過疎化が進む中で、各地で空き地や空き家が急増し、所有者不明の土地も増加しつつあり、今日の土地制度が社会の変化に対応できていない実情があります。今国会においては所有者不明土地の対策として民法と不動産登記法が改正され、相続登記や所有者の住所変更登記の義務化が図られるなど一定の前進が見られました。しかし一方で、国土保全のための対策は今後ともより強力に推進されなければなりません。
 一方、近年、外国人や外国法人による土地購入が増加しており、近隣住民の不安を募らせているという土地制度における新たな課題も生じています。特に、防衛施設の周辺や国境離島において外国人による不透明な土地取引も行われ、安全保障上の懸念も示されています。
 この問題については、二〇一一年、民主党政権時代に、民主党内に外国人による土地取得に関するPTが設置され、東日本大震災の直後に、森林、国境離島、防衛施設周辺、エネルギー施設周辺などについて、土地の所有情報収集の整備や、外国人の土地取得を規制する立法化の検討などが提言されました。この提言から十年が経過しましたが、ようやくその提言の理念の一部が法案化されたものと理解いたします。
 我が国の土地制度と土地法制が時代の変化に対応できなくなり、特に、土地所有情報の的確な把握と森林など国土の保全、そして土地の有効活用と安全保障の確保という様々な観点から土地法制の整備は早期に行われる必要があり、本法案はこの法整備の一翼を担うものとして位置付けられていると考えます。
 賛成する第二の理由は、我が国の安全保障の機能を高め、国益を守ることにつながるからです。
 今日、安全保障をめぐって科学技術の進展とともに各国間の情報戦は一段と活発化しており、サイバーセキュリティー対策の推進とともに、最先端技術情報や防衛関係情報をいかに守っていくかが大きな課題となっています。これらの対策とともに、我が国の土地所有や土地利用の実態についても安全保障対策の対象とし、取引情報の一元化や情報管理をより徹底していく必要があります。
 防衛については、軍備の面のみに目が向きますが、こういった外国人による土地取得への対応は国益をめぐるサイレントな攻防であり、今こそこれまでの対応の遅れを取り戻し、将来にわたり国土から得られるべき果実を確保していく必要があると考えます。
 賛成する三つ目の理由は、我が国の経済発展と安全保障の両立に資するものとなっているからです。
 海外からの対日投資の促進は、我が国経済の安定的成長に必要なものであり、今後とも外国人や外国資本の自由な経済活動を保障しながら、一方で、国益を損ね、安全保障の確保に逆行するような行動に関しては厳しく規制していく必要があります。
 土地はそもそも公共財であり、日本人、外国人にかかわらず、土地を所有する権利とともに、次世代につないでいくための土地活用と保全の義務を負っています。本法案が、外国為替及び外国貿易法や森林法などとの連携を図りながら、経済活動と安全保障の確保に資する機能を発揮することを強く求めます。
 以上、賛成する理由を述べましたが、一方で、この法案については、内閣委員会での審議において二つの課題が明らかになりました。一つ目は法の立法事実と実効性確保の課題、二つ目は人権侵害への懸念という課題です。
 特に、人権確保に関しては、法執行上の要となる注視区域の指定基準や機能阻害行為の類型が法案に明記されず、具体的には総理大臣が決定する基本方針や政省令に委ねられ、注視区域における調査対象や調査方法あるいは個人情報の扱いが不透明なまま残されています。このことで、自衛隊施設の周辺住民や県内の多くの地域が注視区域となる沖縄では、基地との関わりを持つ住民への監視体制が築かれ、人権とプライバシーの侵害が起こるのではないかとの不安が高まっています。
 これらの懸念を払拭するために、国民民主党が衆議院に提出した修正案のように、政府は基本方針に基準等を明示すべきでありましたが、残念ながら、いまだ明確にはなっていません。
 次善の策として、せめて政省令の制定過程を見える化し、土地等利用状況審議会の議事録を公開するとともに、随時国会報告を行うべきであり、これらのことを必ず実行していただくようお願いいたします。あわせて、土地利用調査に当たっては、対象となる住民の皆さんに丁寧な事前説明を行い、必要な協力を得られるよう責任を持って取り組んでいただきたいと思います。
 本法案については、既に述べてきたように、多くの事項が政省令に委ねられ、法の実効性についても不透明であることの指摘がなされていますが、一方で、安全保障政策に一〇〇%はありません。だからこそ、現世代は未来の世代に何ができるのかを考え、まずはアンテナを高く立て、調査し、今までできていなかった国土の現況を正確に把握することも大切な一歩となります。あらゆる方面から少しずつ法規制を求め、未来に生きる子供たちの世代に安心、安全な日本を残していけるよう、私たち立法府がたとえ僅かな一歩でも責任を果たしていかなければならないと思います。
 本法案に基づく政策の遂行に当たり、懸念に対する丁寧な説明など、政府の真摯で的確な対応を求め、私の賛成討論といたします。(拍手)

#28
○議長(山東昭子君) これにて討論は終局いたしました。
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#29
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#30
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
 これにて休憩いたします。
   午前二時二十九分休憩
     ─────・─────
   午前十一時三十一分開議

#31
○議長(山東昭子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、中央選挙管理会委員の指名についてお諮りいたします。
 内閣から、欠員中の中央選挙管理会委員一名の任命について、本院の議決による指名を求めてまいりました。
 よって、これより中央選挙管理会委員一名の指名を行いたいと存じます。
 つきましては、中央選挙管理会委員の指名は、議長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#32
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、中央選挙管理会委員に小宮山洋子さんを指名いたします。
     ─────・─────

#33
○議長(山東昭子君) この際、日程に追加して、
 本日法務委員長及び厚生労働委員長から報告書が提出されました法務局、更生保護官署、入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願外二百六十三件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#34
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
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    ─────────────
   〔審査報告書は本号末尾に掲載〕
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#35
○議長(山東昭子君) これらの請願は、委員長の報告を省略して、両委員会決定のとおり採択することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#36
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 よって、これらの請願は両委員会決定のとおり採択することに決しました。
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#37
○議長(山東昭子君) この際、委員会及び調査会の審査及び調査を閉会中も継続するの件についてお諮りいたします。
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#38
○議長(山東昭子君) 本件は各委員長及び各調査会長要求のとおり決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#39
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 よって、本件は各委員長及び各調査会長要求のとおり決しました。
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#40
○議長(山東昭子君) 議事を終了するに当たり、一言御挨拶申し上げます。
 今国会では、新型コロナウイルス感染症対策を始めとして、刻々と変化する国内外の重要課題について、熱心な議論が交わされました。
 また、各会派の御尽力により、参議院改革協議会が設置されました。今後、会派間において活発な議論がなされ、着実に改革の歩みが進むことを期待しております。
 参議院として、今後とも国民の一層の期待に応えられるよう、議員各位の御協力をお願いいたしまして、私の挨拶といたします。(拍手)
 これにて散会いたします。
   午前十一時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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