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2021/06/04 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 本会議 第28号 令和3年6月4日
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2021/06/04 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 本会議 第28号 令和3年6月4日

#1
令和三年六月四日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二十八号
  令和三年六月四日
   午前十時開議
 第一 重要施設周辺及び国境離島等における土
  地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関
  する法律案(趣旨説明)
 第二 原子力の平和的利用における協力のため
  の日本国政府とグレート・ブリテン及び北部
  アイルランド連合王国政府との間の協定を改
  正する議定書の締結について承認を求めるの
  件(衆議院送付)
 第三 大西洋のまぐろ類の保存のための国際条
  約を改正する議定書の締結について承認を求
  めるの件(衆議院送付)
 第四 国際航路標識機関条約の締結について承
  認を求めるの件(衆議院送付)
 第五 自然災害義援金に係る差押禁止等に関す
  る法律案(衆議院提出)
 第六 国家公務員法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第七 航空法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出、衆議院送付)
 第八 プラスチックに係る資源循環の促進等に
  関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第九 地方公務員法の一部を改正する法律案(
  第二百一回国会内閣提出、第二百四回国会衆
  議院送付)
 第一〇 全世代対応型の社会保障制度を構築す
  るための健康保険法等の一部を改正する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一より第一〇まで
 一、国会職員法及び国家公務員退職手当法の一
  部を改正する法律案(衆議院提出)
 一、国際経済・外交に関する調査の中間報告
 一、国民生活・経済に関する調査の中間報告
 一、原子力等エネルギー・資源に関する調査の
  中間報告
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 日程第一 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。小此木八郎国務大臣。
   〔国務大臣小此木八郎君登壇、拍手〕

#3
○国務大臣(小此木八郎君) ただいま議題となりました重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案につきまして、趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、近年、我が国を取り巻く安全保障をめぐる環境が不確実性を増している状況に鑑み、我が国の安全保障等に寄与することを目的として、防衛関係施設、海上保安庁の施設等の周辺並びに国境離島及びその周辺の有人離島の区域内にある土地等の利用状況を調査するとともに、当該土地等がこれらの機能を阻害する行為の用に供されることを防止するための措置について定めるものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
 第一に、政府は、重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本的な方針を定めることとしております。
 第二に、内閣総理大臣は、重要施設の敷地の周囲おおむね一千メートルの区域内及び国境離島等の区域内の区域で、その区域内にある土地等が当該重要施設又は当該国境離島等の機能を阻害する行為の用に供されることを特に防止する必要があるものを注視区域として指定することができることとし、注視区域内にある土地等の利用の状況についての調査を行うこととしております。
 第三に、内閣総理大臣は、注視区域内にある土地等の利用者が当該土地等を重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為の用に供し、又は供する明らかなおそれがあると認めるときに、当該利用者に対し、当該土地等を当該行為の用に供しないこと等を勧告するとともに、正当な理由がなくその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該措置をとるべきことを命令することができることとしております。
 第四に、内閣総理大臣は、注視区域に係る重要施設又は国境離島等について、その機能が特に重要であり、又はその機能を阻害することが容易であって、他の重要施設又は国境離島等による代替が困難である場合には、当該注視区域を、特別注視区域として指定することができることとし、特別注視区域内にある一定面積以上の土地等について、所有権等の移転等をする契約を締結する場合には、原則として、その当事者があらかじめ内閣総理大臣に届け出なければならないこととしております。
 第五に、内閣府に、土地等利用状況審議会を設置することとしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年三月を超えない範囲内で政令で定める日としております。
 以上が、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────

#4
○議長(山東昭子君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。和田政宗さん。
   〔和田政宗君登壇、拍手〕

#5
○和田政宗君 自由民主党の和田政宗です。
 自由民主党・国民の声を代表し、ただいま議題となりました重要土地等調査法案について、小此木担当大臣に質問いたします。
 ここ十数年、自衛隊基地周辺などで外国資本による土地の購入が明らかになっています。長崎県対馬市の海上自衛隊基地や北海道の航空自衛隊基地周辺の土地や森林が外国資本に購入され、国境離島でも、外国企業による利用計画が不明な土地購入に、地元から憂慮の声が上がっています。
 これまでの法体系では、誰が何の目的で購入したのか、国として調査することができない状況でした。しかし、我が国の安全保障上重要な施設の周辺から、有事の際、直接的な妨害活動のみならず、電波による妨害行為がなされるだけでも、国防上致命的な状況に陥りかねません。気が付いたときにはもう手遅れで、我が国の存続や国民の生命が重大な危機にさらされるという事態は避けなければなりません。
 このような状況では、我が国と国民を守り抜くことはできないと危惧し、こうした脅威に対する法律を整備しなくてはならないと、私は同僚議員とともに訴えてきました。
 政府から提出された本法案をこの参議院本会議で議論できることに、ようやくここまで来たかという思いです。同時に、施行の状況を踏まえて、今回講じられる措置の実効性を確認し、更なる対応についても検討していかなければならないと考えています。
 そこで、長い間の議論を踏まえ、防衛関係施設、海上保安庁の施設や重要インフラ、そして国境離島等を守り、日本の安全保障環境への脅威を取り除いていくという大臣の決意をお伺いします。
 米国やオーストラリアなどでは、安全保障上重要な土地の所有等に一定の規制や制限を掛ける法律を制定しています。安全保障にとって重要な施設や土地の周辺での土地買収や利用に対して何らかの措置を講じていくことは、厳しさを増す国際環境からも国と国民を守るための世界的な常識です。この点について、大臣の見解を伺います。
 今回の法案により、重要施設周辺の私権、私の権利が厳しく制限されるという意見がありますが、そうではないと考えます。
 事前届出は、一般の土地関係法令でも求められることがあります。そして、本法案における利用状況調査において、罰則規定がある土地利用者等からの報告徴収も、現況調査を行い、行政機関や地方公共団体等に対して既に保有している情報の提供を求めた結果、なお必要があるときと限定されています。さらに、勧告や命令において、機能を阻害する利用や行為が何であるかについても、具体的に示されることとなります。
 このように、私権の制限は必要最小限度かつこれまでの法体系ともバランスが取れているものであり、一般の住民の皆様の平穏な生活や営みに支障はないと考えていますが、大臣の見解を伺います。
 土地関係法令による規制は、宅地建物取引業法に基づく重要事項説明として、契約の前に説明を受けることとなります。本法案による事前届出についても、重要事項説明の中に位置付けて、義務の説明を確実に当事者に伝えるなど、関係行政庁の協力を得て、この規定の実効性を高めるべきと考えます。この点について、大臣にお尋ねします。
 今回の法案により、各省庁や地方公共団体が所有している公簿等の収集、土地等の利用者等からの報告徴収を行うことができるようになり、より正確かつ具体的な土地及び建物の利用状況の把握が可能となります。これらの情報は、個人情報保護の観点から適切に管理されることになると考えていますが、大臣の御所見をお聞かせください。
 本法案では、勧告、さらには命令、それにも違反した場合に罰則が規定されています。しかし、それでも機能阻害行為が排除されないおそれがあります。その際、我が国の安全保障を守るために、売買契約の無効や政府による強制的な買収等の措置も検討する必要があるのではないかと考えますが、この点について大臣の考えをお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小此木八郎君登壇、拍手〕

#6
○国務大臣(小此木八郎君) 和田議員から六問の御質問をいただきました。順次お答え申し上げます。
 まず、私の本法案に臨む決意について御質問をいただきました。
 我が国の防衛関係施設等の周辺や国境離島等において外国資本が土地を買収していることは、安全保障の観点から長年問題視されてきた課題です。
 我が国の安全保障をめぐる内外情勢は、近年厳しさを増しています。安全保障を確保するためには、土地の管理を含め、万全の対策を講ずる必要があると考えます。
 本課題については、国会や地方議会でも議論されてきたほか、全国各地の地方公共団体からは、安全保障の観点から土地の管理を求める意見書が提出されています。
 本法案は、土地に関する安全保障上の懸念が現実のものとなることのないよう、土地等を利用した重要施設等の機能阻害行為を未然に防ぐために必要なものであり、本国会で御審議の上、是非とも成立させていただきたいと考えております。
 その上で、法案成立の暁には、私が先頭に立って、施行に向けた準備を確実に進め、国民生活の基盤の維持、我が国の領海等の保全、そして安全保障の確保に全力で取り組んでまいります。
 次に、諸外国の対応との比較について御質問をいただきました。
 世界の主要国では、従来から軍事施設周辺の土地、建物の利用、取得を規制しています。これに加え、近年、米国、豪州及び英国は、安全保障上重要な土地等に関し、それらの取引規制にまで踏み込んだ法改正を行いました。
 それらの取組の背景、経緯や運用の詳細は、安全保障上の機微情報を含むため開示されておりませんが、それぞれの法改正は、個別具体的な事案ではなく、安全保障上のリスクを念頭に置いて行われたものと承知しております。
 こうした状況の下、我が国としても、安全保障上の懸念が現実のものとなる前に、土地等を利用した安全保障の観点から重要な施設等の機能を阻害する行為については、その利用を適切に規制する必要があります。
 本法案は、こうした基本認識に立って取りまとめて、この通常国会に提出しているものであります。
 次に、私権制限との関係等について御質問をいただきました。
 安全保障の確保という大義の下、過度に私権を制限することはあってはなりません。本法案は、我が国の安全保障と自由な経済活動との両立を図るとの基本的な考え方に立って取りまとめたものであります。
 本法案は、公簿の収集等によって安全保障上の重要な土地等の利用状況の調査を行った上で、防衛施設等の機能を阻害する土地等の利用が明らかになった場合に限って、その利用の中止を勧告、命令する等の措置を行うことができる枠組みとしております。このため、本法案に基づく措置は、国民の皆様の平穏な日常生活や経済活動を妨げることはないものと考えています。
 次に、本法案に基づく事前届出と宅地建物取引業法の重要事項説明の関係について御質問をいただきました。
 宅地建物取引業法においては、宅地建物取引業者に対し、契約締結の判断に大きな影響を与える重要事項について、売買契約成立までの間に買主に説明することを義務付けていると承知しています。
 本法案との関係では、特別注視区域において一定規模以上の土地等の買主等に義務付けられる事前届出について、重要事項説明の対象とすることを検討しています。
 また、地方公共団体や不動産業関連団体等にも御協力をいただき、制度の趣旨、求められる対応等について分かりやすく周知広報に努めてまいります。
 次に、個人情報の保護について御質問をいただきました。
 本法案に基づく調査では、不動産登記簿や住民基本台帳等の公簿の収集等を通じて個人情報を取り扱います。このため、第三条において、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の関係法令にのっとり、その保護、管理に万全を期すことを確認的に定めています。
 調査によって収集する個人情報は、内閣府に新設する予定の部局が責任を持って管理します。具体的には、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づき、例えば、目的外使用は行わない、情報漏えい対策を講じるなど、厳格な管理を徹底してまいります。
 最後に、取引制限や強制的な買収等の検討についての御質問をいただきました。
 本法案は、重要施設等の機能を阻害する行為を防止するため、土地等の利用状況を調査した上で、必要に応じ土地等の利用について規制を行おうとするものであります。
 一方、そうした機能阻害行為としての土地等の利用を防止するために土地等の取引を規制する、あるいは収用によって所有を規制するといった私権制限の程度が強い措置を設けることについては、昨年開催した国土利用の実態把握等に関する有識者会議においても御議論いただきました。その結果、有識者会議の提言では、今般の制度的枠組みの実施状況、有効性等を見極めた上で、安全保障をめぐる国際情勢、諸外国の取組等も踏まえ、慎重に検討していくべきとされたところであります。
 こうした提言を踏まえ、本法案では、当面、土地等の利用状況の調査及び利用規制の枠組みで対応することとしました。その上で、御指摘のあった強制的な買収等の措置については、附則第二条に規定する五年後の見直しにおいて、更なる政策対応の在り方について検討してまいります。
 以上です。(拍手)
    ─────────────

#7
○議長(山東昭子君) 木戸口英司さん。
   〔木戸口英司君登壇、拍手〕

#8
○木戸口英司君 立憲民主・社民の木戸口英司です。
 ただいま議題となりました重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案につきまして、会派を代表して質問いたします。
 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言は、東京都、大阪府など五月末とした期限が六月二十日まで延長され、沖縄県も含め十都道府県で継続されることとなりました。菅総理が短期集中をうたって四月二十五日に始まった宣言は、週末ごとに対象地域の追加と延長を繰り返し、宣言の効果への疑念と総理の言葉への不信感は、国民の協力へのモチベーションを著しく低下させているのではないでしょうか。
 急速に置き換わる変異ウイルスの拡大を抑え込み、二十日に宣言解除できるのか。影響がとりわけ大きい飲食業等、事業者は持ちこたえられるのか。菅総理の七月末までにワクチンの高齢者接種を終わらせるとの大号令は実効性があるのか。多くの国民の懸念や不安を置き去りに突き進む東京オリンピック・パラリンピックは本当に開催できるのか。
 この局面で、六月十六日、国会を閉じるのでしょうか。専門家や自治体との意思疎通と役割分担がいまだ不安定な政府に一任し、国会を延長しないとすれば、国会の存在意義そのものが問われます。
 今回の土地規制法案について、防衛施設の保安を徹底するのは当然であり、外資による土地買収への懸念も理解できます。しかし、本法案は私権制限を伴い、懲役を含む刑罰が科せられます。このような重要法案をなぜ会期末ぎりぎりになって参議院に送ってきたのか。恣意的な運用がなされるおそれをそのままに、政府に白紙一任することはできません。
 衆議院内閣委員会において、立憲民主党は、私権制限に歯止めを掛けつつ法の実効性を高めるよう慎重審議を求めてまいりましたが、審議僅か十二時間、委員長職権で打ち切られたことは言語道断です。参議院での審議時間の確保を理由としたようですが、会期末まで二週間を切る中で、審議不十分の生煮え法案を安易に送ってこないでいただきたい。
 規制される行為も、政府による調査の範囲も、その詳細は明示されないまま、安全保障を盾に政府は説明責任を忌避していると言わざるを得ません。参議院では、法案の不備を明らかにするまで、十分な審査をいたしましょう。参考人質疑も連合審査も当然必要です。時間が足りなければ、国会を延長しましょう。
 これまで、国境離島や防衛施設周辺等における土地の所有、利用をめぐって安全保障上の懸念が指摘され、二〇一〇年、和歌山県議会から国に対し、外国資本等による土地の売買や適切な管理体制を構築するための法整備に取り組むことを求める意見書が出されて以来、複数の自治体議会から同様の意見書が提出されています。また、二〇一三年の長崎県対馬市議会、二〇一四年の北海道千歳市議会において、各市に所在する自衛隊基地等の周辺土地が外国資本に取得されていることが問題提起されてきました。政府は、二〇一三年、国家安全保障戦略を閣議決定し、国家安全保障の観点から国境離島、防衛施設周辺等における土地所有の把握、状況に努め、土地利用等の在り方について検討するとの方針を示しています。
 本法律案提出まで時間を要した経緯について、小此木大臣に伺います。
 また、外資による土地取得が問題視されてきた水源地周辺は調査、規制の対象外となりますが、地方の要請に応える法案となっているのか、所見を伺います。
 衆議院内閣委員会の質疑において、本法律案の立法事実について、小此木大臣からは、我が国の安全保障をめぐる内外情勢が近年厳しさを増しているとの答弁がありました。この認識は我々も共有するところですが、国家安全保障戦略による方針が打ち出されて八年が経過し、この間、同様の認識が政府から繰り返される一方で、本法律案は、骨太の方針二〇二〇で方針が出されてから、昨年末のたった三回の有識者会議、窮屈な日程の中での国会提出と、拙速感が否めません。
 現在の我が国を取り巻く安全保障環境に対し、本法律案の果たす意義と実効性について、岸防衛大臣の説明を求めます。
 防衛省は、国家安全保障戦略の方針を受け、二〇一三年から四年間、約六百五十の防衛施設の隣接地について、不動産登記簿等の一般に入手可能な資料により調査を実施しております。登記簿上の名義人が外国籍の者である土地が認められたとしながら、実態上の所有者と登記記録上の所有者の不一致や、不動産登記簿の地目以上の利用実態までは把握できないなど、調査に限界があるとの指摘がされてきました。
 当時の調査の総括について、防衛大臣に伺います。
 本法律案による調査には、第六条の現地・現況調査、第七条の公簿収集、第八条の報告徴収と、第十三条の特別注視区域における事前届出制度に加え、重要施設を所管又は運営する関係省庁、事業者や地域住民の方々から機能阻害行為に関する情報を提供いただく仕組みも今後検討すると答弁しています。第二十二条では、内閣総理大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関に対し、資料の提供、意見の開陳その他の協力を求めることができるとあります。
 内閣官房から示された防衛関係施設における注視・特別注視区域の候補は、注視区域で約四百数十か所、特別注視区域で約百数十か所に上っています。これら区域の調査に当たり、関係行政機関は防衛省・自衛隊であり、自衛隊による住民に対する直接的調査への協力要請が行われる懸念があります。このような現地・現況調査が行われるとすれば、自衛隊法においてどの規定によることになるのでしょうか。
 本法律案の目的の達成のための自衛隊による住民への直接の調査がどの範囲まで許されると考えるのか、防衛大臣の見解を求めます。
 本法律案は、法案中の懸念や定義が一義的ではなく曖昧であり、政府の裁量の幅が大きくなっている点が問題です。
 法案では、重要施設や国境離島等への機能阻害行為に対して、行為の中止を勧告し、正当な理由がなく勧告に従わない場合には命令をすることができ、命令に従わない場合の罰則も規定されています。しかし、どういった行為が機能阻害行為に当たるかは、法律には明記されていません。
 政府は、閣議決定をする基本方針に機能阻害行為を例示する考えを示していますが、本法律案が国民の権利を制約する内容を含んでいることからすれば、少なくとも政府が答弁している機能阻害行為については例示として法律に盛り込むべきと考えますが、小此木大臣の見解を伺います。
 重要施設等の機能の阻害に使用されている物件に対し撤去など実効性ある措置をとることはあり得るのか、また、どのような規定によるか、伺います。
 本法律案で定義する重要施設の三類型の一つに生活関連施設があります。この生活関連施設は、国民生活に関連を有する施設であって、その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるもので政令で定めるものとされており、具体的な施設の指定は政令に委任されています。
 政府は、原子力関係施設と自衛隊が共用する空港を生活関連施設として政令で定めることを検討しているとしています。
 本法律案が国民の権利を制約する内容を含んでいることからすれば、機能阻害行為の例示の必要性と同様に、指定の基準を明確にするため、少なくとも政府が答弁している施設については例示として法律に盛り込むべきではないかと考えますが、小此木大臣の見解を伺います。
 本法律案では、国民の権利と自由に及ぼす影響が懸念されています。
 例えば、沖縄県は県土そのものが有人国境離島である上に、多くの在日米軍基地を抱えています。大多数の沖縄県民が本法律案に基づく調査や規制の対象となり、本法律案の曖昧な定義や基準のために県民が知らぬ間に監視下に置かれてしまうこともあり得ます。本法律案には、土地等の所有者や利用者の利用状況を調査するため、利用者その他の関係者に情報提供を求める規定があり、従わなければ処罰されます。基地等の監視活動や抗議活動をする知人や協力者の個人情報の提供を迫られることで、地域や市民が分断されることとなり、市民運動や住民運動の自己抑制、萎縮につながりかねません。
 本法律案の規定による措置の実施に当たっては、憲法が保障する思想や表現の自由、団結権、団体行動権といった国民の権利と自由が不当に制限されるようなことがあってはならないと考えますが、小此木大臣の見解を伺います。
 第八条では、内閣総理大臣は、注視区域内にある土地等の利用者その他の関係者に対し、当該土地の利用に関し報告又は資料の提出を求めることができることとし、報告若しくは資料の提出をしなかった場合の罰則規定が設けられています。
 罰則が規定されている以上、関係者としてどのような者がその対象となり得るのか法律上明確でなければ、国民に対する罰則の告知として不明確であり、また、行政による恣意的な処罰のおそれが排除できない点で、罪刑法定主義に反するのではないでしょうか。どのような者が該当し得るのか法律に例示列挙を規定する考えはありませんか。小此木大臣の見解を伺います。
 また、報告徴収についての罰則規定は削除すべきと考えますが、小此木大臣の見解を伺います。
 注視区域及び特別注視区域は、内閣総理大臣が指定し、官報で公示することとされています。具体的にはどこが該当するのでしょうか。衆議院において、防衛省からは、該当する自衛隊施設のリストは作成したとしつつ、内閣委員会理事会には、全体像の分かる資料は提出されませんでした。防衛省の答弁によれば、このリストを公表した場合、我が国の防衛戦略構想の一端を示すことにもなりかねないとし、安全保障上の懸念を理由とされています。
 本法成立後、官報で公示される区域リストについて、安全保障上の懸念から法案審査の段階で公表できないとすることに合理的理由は見出せません。充実した審議のためにも施設リストを示すべきと考えますが、提示しない理由と併せ小此木大臣の見解を求めます。
 本法律案では、注視区域及び特別注視区域の指定について、経済的社会的観点から留意すべき事項を基本方針に定めるとしています。この経済的社会的観点から留意すべき事項とは、具体的にどのようなことを想定しているのでしょうか。
 市ケ谷の防衛省を特別注視区域の対象から除外するとの報道について、答弁では、決定した事実はないとしています。法定された指定の要件、すなわち重要施設機能の阻害の容易性や代替困難性などが認められるにもかかわらず、基本方針に定められた留意事項によって結局指定されないことがあり得るのであれば、法律も国会での議論も骨抜きにできてしまいます。恣意的な運用のおそれのある経済的社会的観点から留意すべき事項の文言は削除すべきと考えますが、小此木大臣の見解を求めます。
 第十三条は、特別注視区域内にある土地の売買契約などにより所有権等が移転する場合に、契約に先立ち内閣総理大臣に届け出ることを義務付けています。この義務に違反し、事前届出をしないで売買契約を締結した場合について、罰則規定が設けられています。このような事前届出制度は、所有権の自由な移転を妨げるものであり、私権に対する重大な制約となります。
 私権制限を正当化する理由として、国家の安全保障という漠然とした保護法益を挙げることで説明ができているのでしょうか。事前届出制による制限を正当化する十分な根拠が示されないとすれば、届出義務に違反した場合の罰則規定は削除すべきではないでしょうか。小此木大臣の見解を伺います。
 また、国家の安全保障という抽象的な法益を保護するためであれば、事後の届出を要求することでその目的は達成できるのではないでしょうか。事後届出制に改める考えはないか、小此木大臣の見解を伺います。
 有識者会議の提言では、土地の所有、利用に関する情報を一元的に把握、管理する組織、体制を整備すること、全国各地の土地等の所有、利用に係る情報を収集するに当たっては、公簿等の収集を始め膨大な業務量が想定されるとし、必要な人員、体制や予算を確保し、万全の備えを行うことを要請しています。この法律により新たに生じる膨大な業務の実地体制をどのように確保するのでしょうか。我が国の安全保障に関わる本法律案の性質上、また、個人情報保護の観点からも調査の民間委託などは慎重にすべきと考えますが、小此木大臣の見解を伺います。
 法案の根幹の詳細は成立後の基本方針で示すとするのでは、議論の前提が成り立たず、立法府としての責任が果たせません。政府には誠意ある答弁を求め、改めて委員会での十分な審議時間確保を要求し、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小此木八郎君登壇、拍手〕

#9
○国務大臣(小此木八郎君) 木戸口議員から十問御質問いただきました。順次お答え申し上げます。
 まず、本法律案提出に時間を要した経緯及び地方の要請に応えているかを御質問いただきました。
 御指摘のとおり、我が国の防衛関係施設等の周辺や国境離島等において外国資本が土地を買収していることは、安全保障の観点から長年問題視されてきた課題です。
 政府は、御指摘の二〇一三年の国家安全保障戦略を踏まえ、防衛施設の隣接地や国境離島の領海基線の近傍の土地について所有状況等の調査を行いました。しかしながら、これらの調査は不動産登記簿等の資料の確認にとどまり、土地利用の実態を十分に把握するには至りませんでした。
 こうした状況を踏まえ、政府は、令和二年七月の骨太方針二〇二〇において、安全保障等の観点から、関係府省による情報収集など土地所有の状況把握に努め、土地利用、管理等の在り方について検討し、所要の措置を講ずる方針を閣議決定し、国土利用の実態把握等に関する有識者会議を開催して、いかなる対応が適切か検討を行い、本法案を取りまとめたところであります。
 また、全国各地において、外資による水源地周辺の土地の取得に懸念が示され、適切な管理体制を構築するための法整備を求める意見書が出されてきたことは承知しております。一方、水源を涵養する森林や農地については、現行の森林法や農地法において、既に土地取得の際の許可や届出等といった措置が講じられております。
 有識者会議の提言においても、既存の措置があることを踏まえ、これらの土地を対象とすることについては慎重に検討していくべきとされ、防衛関係施設の周辺や国境離島の土地は、最優先で制度的枠組みの対象とすべきとされたところであります。これらを踏まえ、本法案において、水源地については対象としないとしたところであります。
 次に、機能阻害行為について御質問いただきました。
 機能阻害行為について、例えば、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置、領海基線の根拠となる低潮線に影響を及ぼすおそれがあるその近傍の土地の形質変更などが該当し得るものと考えています。
 機能阻害行為として具体的に想定している行為については、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な態様が想定されます。このため、特定の行為を普遍的、代表的な機能阻害行為として法案に例示することは必ずしも適当ではないものと考えています。
 いずれにせよ、閣議決定される基本方針において、可能な限り具体的に機能阻害行為の例示をお示ししたいと考えています。
 次に、機能阻害行為に対する措置について御質問をいただきました。
 本法案においては、勧告を受けた者が、正当な理由がなく、勧告に関わる措置をとらなかったときは、その措置をとるべくことを命令することができるほか、命令に違反した者には罰則が科せられることとしています。
 また、例えば、施設機能を阻害する構築物の撤去等を命令した場合において、その命令が履行されないときは、行政代執行法に基づき、内閣総理大臣が自ら構築物を撤去する形で代執行を行うことができるものと考えています。
 本法案の目的を達成し得るよう、重要施設等の機能を阻害する行為が認められた場合には、これを是正するために本法案に基づく措置を適切に実施してまいります。
 次に、生活関連施設について御質問いただきました。
 生活関連施設に関してどのような施設を対象とするかについては、国際情勢の変化、技術の進歩、運用状況等に応じ、柔軟かつ迅速に検討を続けていく必要があります。
 このため、政府の責任において、迅速かつ適切に具体的な生活関連施設の類型を定められるよう、法律の規定として、その機能を阻害する行為が行われた場合に、国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるものという範囲を設けた上で、政令で定める仕組みとしたものであります。
 次に、本法案に基づく措置と国民の権利や自由との関係について御質問いただきました。
 本法案は、安全保障等の観点から、防衛関係施設等の周辺や国境離島等の土地等の利用状況を調査し、必要に応じてそれらの機能を阻害する利用を規制しようとするものであります。
 このため、御指摘のあった基地等の監視活動や抗議活動に参加している方々について、そうした活動への参加を理由に、本法案に基づく調査を行うことやその行動を制限することはありません。
 また、本法案の第三条において、運用上も、本法案に基づく措置は、機能阻害行為に利用されることを防止するために必要な最小限度のものとなるように実施する旨を明記しています。
 いずれにせよ、本法案に基づく措置により、憲法で保障された国民の権利や自由が不当に侵害されることはないものと考えております。
 次に、第八条の報告徴収について御質問いただきました。
 第八条の報告徴収等は、土地等の利用状況を把握するために行うものであり、その対象者としては、土地等の利用状況を知り得る者が該当します。
 具体的には、報告徴収等の対象となるその他の関係者については、条文上で例示されている土地等の利用者のほか、土地等の利用状況を知り得る者として、例えば、土地等の利用者が法人である場合その役員、土地等の利用者との契約等により、当該土地等における作業、工事等に従事している下請業者等を想定しております。
 対象となる土地等の利用状況を知り得る者は、個々のケースによって様々であると考えられ、その他の関係者について具体的に例示することは必ずしも適当ではないと考えています。
 また、御指摘のあった報告徴収に関する罰則規定は、報告徴収の実効性を担保し、必要な情報を確実に収集されるために必要なものであります。この罰則については、他の類例も参考としつつ定めたものであり、削除することは考えていません。
 次に、区域指定と対象施設のリストの開示について御質問いただきました。
 御指摘のあった防衛関係施設の候補リストは、自衛隊の各施設の役割とその重要性の評価をうかがい知る手掛かりとなり得るものであり、我が国の安全保障上、開示することが適切でないと考えております。
 具体的な区域の指定については、法施行後に、個々の重要施設の周辺や離島ごとに法律の要件や基本方針の内容に照らして評価し、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、必要最小限の原則を踏まえ、判断することとしています。
 次に、基本方針に定める経済的社会的観点から留意すべき事項について御質問いただきました。
 注視区域又は特別注視区域の指定は、指定に伴う社会経済活動への影響を安全保障上の要請に基づく合理的かつやむを得ない範囲に限定する必要があると考えます。閣議決定する基本方針において、そうした考えを明らかにするため、御指摘のあった法第四条第二項第二号に規定する経済的社会的観点から留意すべき事項を示すこととしたところであります。
 その具体的な内容について、例えば、重要施設の周辺に密集市街地が形成されている場合、その区域における社会経済活動への影響、施設機能の阻害行為の兆候等の把握が困難であるかどうかといった重要施設の周辺の実情、重要施設自体の形状や周辺区域における地形、国有地の所在状況などを考慮し、区域指定の要否、区分、範囲を判断するという考え方を明らかにすることを想定しております。
 具体的な区域の指定については、先ほど申し上げたとおり、法施行後に、個々の重要施設の周辺や離島ごとに法律の要件や基本方針の内容に照らして評価をし、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、必要最小限の原則を踏まえ、判断することとしています。
 こうした枠組みの下、御指摘のような恣意的な運用のおそれはないものと考えており、その文言を削除する必要はないと考えております。
 次に、特別注視区域における事前届出制度について御質問いただきました。
 本法案では、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していることを踏まえ、重要施設及び国境離島等の機能を阻害する行為の防止に資する措置として、特別注視区域における事前届出制度を導入することとしております。
 特別注視区域にある土地等については、機能阻害行為の兆候を可能な限り早い段階で発見し、適切に対応する必要性が特に高いと考えられます。
 機能阻害行為を未然に防止する観点からは、土地等の所有状況を逐次把握し、機能阻害行為の着手、実行が可能となる契約締結時から、空白期間を設けることなく、本法案に基づく措置を適時適切に講じられるようにする必要があると考えております。
 仮に、御指摘のあった事後届出制とした場合には、機能阻害行為に着手、実行した後で届出がなされ、本法案に基づく措置を講ずる機会を逸するおそれもあることから、適当ではないと考えています。
 また、御指摘のあった事前届に関する罰則規定は、事前届出制度の実効性を担保し、必要な情報を確実に収集するために必要なものであります。この罰則については、他の類例も参考としつつ定めたものであり、削除することは考えておりません。
 最後に、執行体制の整備について御質問いただきました。
 本法案に基づく調査や利用規制等は、内閣府に新設する部局が行うこととしております。法案成立後、関係省庁とも調整しながら、必要となる体制の在り方について検討を進めていく考えです。
 なお、不動産登記簿の収集などに際して、効率性の観点から、外部委託を活用することも考えられます。その場合であっても、当然のことながら、委託契約において秘密の保持に関する条項を設けるなどして、情報の管理をしっかりと行ってまいります。
 私からは以上です。(拍手)
   〔国務大臣岸信夫君登壇、拍手〕

#10
○国務大臣(岸信夫君) 木戸口英司議員にお答えをいたします。
 まず、我が国の安全保障環境に対する本法律案の意義及び実効性についてお尋ねがありました。
 本法案は、土地等の利用により、安全保障上重要な施設に対する機能阻害行為が行われるというリスクに対応することを目的としているものと承知をしています。
 我が国を取り巻く安全保障環境が不確実性を増している状況に鑑みれば、こうしたリスクがあるものと考えており、事後的な対応では安全保障上、取り返しの付かない事態となるおそれがあるものと認識をしています。
 この点、本法案による各種措置は、安全保障上のリスクとなる機能阻害行為を未然に防止できるものであり、防衛関係施設の機能発揮を万全にする観点からも意義があるものと考えています。
 次に、隣接地調査の総括についてお尋ねがありました。
 防衛省は、二〇一三年十二月に策定された国家安全保障戦略により、防衛施設の隣接地調査を継続的に行っています。
 この調査は、不動産登記簿等の一般の方でも入手可能な資料のみにより登記名義人の氏名及び住所等を確認する手法で隣接地の所有者を把握しているところ、実態上の所有者と登記記録上の所有者とが一致しない場合もあるなど、土地の所有者を把握するには一定の限界があるものと認識をしています。
 その上で、本法案は、防衛省が行っている調査と比較して、対象及び手法の両面で大きく充実するものであり、防衛関係施設の機能発揮を万全にする観点から意義があるものと考えています。
 最後に、防衛省が本法案における調査に協力する場合の法的根拠及びその範囲についてお尋ねがありました。
 一般論として、防衛省設置法第四条第一項第三十四号において、法律に基づき防衛省に属された事務が所掌事務として定められており、これを根拠として防衛省・自衛隊が他の法律に定められた事務を実施することはあり得るものと考えています。
 その上で、本法案に基づく現地・現況調査の具体的な協力の在り方について、内閣官房において検討中であり、防衛省としての具体的な協力の体制は決まっていません。
 したがって、本法案における調査に防衛省が協力する場合の範囲について現時点でお示しすることは困難ですが、本法案第三条において、本法案に基づく措置は必要な最小限度のものとなるようにしなければならない旨定められており、本法案に基づく調査についても当然適用されるものと認識しております。
 以上です。(拍手)
    ─────────────

#11
○議長(山東昭子君) 三浦信祐さん。
   〔三浦信祐君登壇、拍手〕

#12
○三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 ただいま議題となりました重要土地等調査法案について、公明党を代表して質問いたします。
 近年、厳しさを増す安全保障環境下で、国民の皆様の生命と財産を守るために必要な法整備と体制の確保を図ることは政治の責任です。
 ワクチン接種が進む世界では経済回復軌道が鮮明になる中、日本の土地や不動産で割安感が生じ、世界資本の投資が集中する状況も想定されます。経済回復を図ることは当然ですが、自由経済の日本にあって、経済安全保障上、国土保全上、抑止力としての役割を果たす必要な対策を講じることが今こそ重要です。
 我が国の国境離島や安全保障上重要な防衛施設周辺等における土地の所有と利用について、国民の皆様の懸念や不安を取り除く必要性が増しています。本法案は我が国の安全を阻害する行為を防止することを目的とし、政府による土地所有と利用状況を把握できる法的根拠の整備であり、公明党は安全保障上重要な法整備として成立を期すべきと考えております。
 一方で、安全保障と経済活動のバランスは重要で、両立させなければなりません。極度に経済活動等を萎縮させるような過度な調査や過剰な私権制限を抑制することも必要です。そこで、両立を実現するために、小此木担当大臣に質問いたします。
 まず、公明党の主張により、総則の第三条に、本法律の規定による措置を実施するに当たっては、個人情報の保護に十分配慮し、必要最小限度のものになるようにしなければならないと義務規定が明記されました。法解釈、基本方針への反映、運用への指針となるため、重要な意味を持ちます。第三条の目的と意義、運用の在り方、加えて、調査により得られる個人情報の管理の考え方について、小此木担当大臣に伺います。
 次に、本法案では、重要施設等の周辺における土地等の利用状況を調査することとしています。土地取引の大半は金融機関、ファンド等が融資を行い、その際、借入れ目的を把握していると承知しております。本法案との関係において、不要な経済活動の阻害を避ける視点で、金融機関等は借入れ目的の把握について新たな責務を負うことはないと考えます。金融機関に借入れの目的の徹底や政府への情報提供などの義務を課すことはないことを明確にすべきですが、小此木担当大臣の御見解を伺います。
 調査、規制の対象区域として注視区域と特に重要なものを特別注視区域と設定しています。第四条に基本方針を定めるとしている中、類型に該当すれば自動的に全て指定することがないよう、経済的社会的観点から留意するとの規定を公明党として求め、当初案から追加をされました。この追加した意義と基本方針に与える効果、運用へ及ぼす考え方について、小此木担当大臣に伺います。
 土地利用者が報告や資料提出に応じない、また、特別注視区域内での土地取引での事前届出をしない、さらに、土地利用の中止命令に違反した場合、第七章に基づく罰則を科すとしています。何が罰則に該当するかの明確さと適切な量刑であることが重要です。今回の罰則規定の内容の程度とその合理性について、小此木担当大臣に伺います。
 最後に、安全保障上必要以上の情報公開は求めるべきではないものの、本法案は罰則を伴う経済活動の規制を持つことから、運用に際して可能な限り透明性の確保が必要です。本法律に基づく措置の趣旨、内容の周知広報を図るとともに、運用実績を公表するなど透明性確保へ向けた政府の取組について、小此木担当大臣の御所見を伺います。
 基本方針を適切に作成し、実効性ある運用による抑止力の効果を発現することで、国民の皆様の安全、安心を確保できるよう政府に求め、質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣小此木八郎君登壇、拍手〕

#13
○国務大臣(小此木八郎君) 三浦議員から五問の御質問をいただきました。順次お答え申し上げます。
 まず、法第三条の意義や個人情報の管理等について御質問をいただきました。
 第一章総則の第三条には、この法律の規定による措置を実施するに当たっては、個人情報の保護に十分に配慮しつつ、必要最小限度のものとなるようにしなければならないとする、本法案全体に通じる基本的な考え方を規定しております。
 すなわち、本法案の運用は、法の目的である重要施設等の機能を阻害する行為を防止するために真に必要な範囲で行い、国民の日常生活や事業者の経済活動に与える影響を最小限にとどめるという政府の方針を明らかにしています。
 この方針に沿って、例えば、土地等の利用状況の調査に当たっては、内閣府に新設する予定の部局による公簿の収集を中心とし、土地等の利用者にとって負担となる報告徴収は限定的に行います。
 また、本法案に基づく調査や利用規制の対象となる区域の設定に当たっても、その指定に伴う社会経済活動への影響を勘案し、安全保障の観点から適切な対応が求められる区域、範囲に限定します。
 そして、調査の過程で取り扱う不動産登記簿等の個人情報については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の関係法令にのっとり、その保護、管理に万全を期してまいります。
 次に、本法案における金融機関等の責務について御質問をいただきました。
 本法案は、重要施設の周辺等の土地等の利用実態を調査し、重要施設等の機能を阻害する行為が認められる場合に、その土地等の利用者に対し、当該行為の中止の勧告、命令を行うこと等を定めるものであります。
 本法案に基づく調査等の対象となる土地等の取得、取引には、資金提供の形で金融機関等が関わるケースも想定されますが、本法案は、そうした立場にある金融機関等に特段の責務や対応を求めるものではありません。
 一般論として申し上げれば、金融機関等は土地等に係る融資の可否を判断するため、その資金使途を確認しているものと承知しています。しかしながら、本法案は、金融機関等に新たな責務や対応を求めるものではありません。仮に、融資の対象となった土地等が、融資判断の際に確認した使途とは異なり、機能阻害行為のために利用されたことが明らかになったとしても、そのことについて本法案との関係で金融機関の対応が問題になることはありません。
 次に、経済的社会的観点に係る規定の意義と運用について御質問をいただきました。
 本法案は、安全保障と自由な経済活動の両立を図ることを大前提としています。このため、注視区域又は特別注視区域の指定は、指定に伴う社会経済活動への影響を安全保障上の要請に基づく合理的かつやむを得ない範囲に限定する必要があると考えます。閣議決定する基本方針において、そうした考えを明らかにするため、御指摘のあった法第四条第二項第二号に規定する経済的社会的観点から留意すべき事項を示すこととしたところであります。
 その具体的な内容は基本方針で定める予定ですが、現時点では、例えば、重要施設の周辺に密集市街地が形成されている場合、その区域における社会経済活動への影響、施設機能の阻害行為の兆候等の把握が困難であるかどうかといった重要施設の周辺の実情、重要施設自体の形状や周辺区域における地形、周辺区域における地形、国有地の所在状況などを考慮し、区域指定の要否、区分、範囲を判断するという考え方を明らかにすることを想定しています。
 この経済的社会的観点から留意すべき事項を踏まえて評価した結果として、土地等の取引に関する事前届出が必要となる特別注視区域の指定では、法定するその要件に該当する区域であっても、注視区域として指定することがあり得るものと考えています。
 いずれにせよ、具体的な区域の指定については、法施行後に、個々の重要施設の周辺や離島ごとに法律の要件や基本方針の内容に照らして評価し、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、必要最小限の原則を踏まえ、適切に判断してまいります。
 次に、罰則規定の内容、合理性等について御質問をいただきました。
 本法案に基づく罰則としては、第一に、重要施設等の機能を阻害する土地等の利用の中止命令を受けてなおこれに応じなかったときには、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すること、第二に、土地等の取引の契約に先立つ届出、すなわち事前届出を行わなかったとき又は虚偽の内容を届け出たときには、六か月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処すること、第三に、土地等の利用に関する報告等の求めに応じなかったとき又は虚偽の報告を行ったときには、三十万円以下の罰金に処することを定めています。
 これらは、いずれも本法案に基づく措置の実効性を担保し、法目的を達成するために必要な措置です。そして、それらの内容は、類似する他法令の前例を踏まえ、慎重に検討を行った上で決定しており、過度な水準になってはいないと考えています。
 最後に、本法案の措置に、その周知広報及び運用の透明性確保に向けた取組について御質問いただきました。
 本法案において、土地等の利用者が政府の措置に対し罰則に担保される形で求められる対応は、第一に、機能阻害行為としての土地等の利用に対する中止の命令への対応、第二に、特別注視区域における土地等の取引に係る事前届出、第三に、土地等の利用に関する報告等の求めに対する対応です。
 まず、法施行までに、それらの措置の趣旨、考え方、対応の手続等について、広く国民や事業者の皆様はもとより、地方公共団体、不動産業関係団体等に対しても周知広報を徹底してまいります。
 その上で、区域内で平穏な日常生活を送る住民の方々、あるいは通常の経済活動を行う事業者の方々も対象となり得る特別注視区域における事前届出については、行政関係の手続に不慣れな方であっても円滑に事前届出を行っていただけるよう、届出書類の簡素化、記載マニュアルの作成、内閣府における相談体制の整備などに向けた検討を進めてまいります。
 また、不動産取引を仲介する事業者の方々に御協力をいただき、宅地建物取引業法に基づく重要事項説明として、対象となる土地等の買手に対し、事前届出の手続について説明していただくことも検討してまいります。
 加えて、本法案に基づく措置の実施状況について、政府としてしっかり説明責任を果たしていくことは極めて重要であると考えます。このため、本法案の運用の透明性を確保する観点から、毎年、本法案に基づく措置の実施状況の概要を取りまとめ、国会を含め、広く国民の皆様に対して公表することとし、その旨を閣議決定する基本方針において明らかにする方向で検討してまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────

#14
○議長(山東昭子君) 柴田巧さん。
   〔柴田巧君登壇、拍手〕

#15
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案について、小此木大臣に質問します。
 自衛隊や海上保安庁の施設、原発など重要インフラ施設の周辺や国境離島といった安全保障上重要な土地を敵対的な国家や勢力等から守ることは、世界では当たり前のことです。ところが、我が国では土地取得を規制する法律がなかったために、安全保障上の要衝地が外国資本や外国人等に野方図に買い荒らされてきました。
 このため、日本維新の会は、政府・与党に先駆けて、平成二十八年の秋の臨時国会を最初に、今国会を含む五国会にわたり、国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律案を参議院に提出をしてきました。我が党は、このようにどこの党よりも早く、そして強い問題意識を持ってこの問題に取り組み、しかも、本法律案以上に厳しい措置を含む法案を提出し続けてきました。
 そこで、まず、これまでの我が党の取組と提出した法案の率直な評価を求めるとともに、今回の法制の生命線である実効性について、政府法案と維新提出法案の内容を比較し、どちらがより担保されると考えるか、併せて小此木大臣にお伺いをします。
 さて、政府・与党も重い腰を上げ、今般ようやく法案を提出しました。一歩前進です。しかし、幾つも懸念があります。その一つは、特に重要度の高い土地、つまり特別注視区域の取引について、事前審査制度はなく、取引自体は自由にできてしまうことです。
 法案では、事後に瑕疵が判明すれば是正措置がとられますが、取引成立から問題判明までの空白の時間に、我が国の重要な施設、土地をめぐって、悪意の土地取得者の背後に存在するであろう国家やテロ組織が何か仕掛けてきたら、後の祭りです。法案は事前届出を義務付けてはいますが、あくまでも届出にすぎず、取引後に実態について調査することになっています。
 これでは、安全保障上重大な懸念や問題を惹起しかねない取引を未然に防げません。事前届出を義務付けるとともに、問題がある場合は、取引前に変更、中止の勧告や命令を出し、事前に防いでこそ意味があるのではありませんか。大臣にお尋ねをします。
 法案では、調査方法として現地・現況調査を認めることとしていますが、土地及び建物の内部に立ち入って調査を行える権限までは与えられていません。これで本当に敷地内や建物内で重要施設の機能を阻害する行為がなされる事態を事前に察知し、未然に防ぐことができますか。
 土地等利用状況調査を実効性あるものにするには、立入調査等、強制力のある調査を可能とすべきです。今後、法改正を検討する考えはありますか。併せて大臣の見解を求めます。
 さて、法案においては、事前届出を受けて取引前に不審な購入予定者が判明した場合や、取引後に問題が分かったケースなど、国が必要に応じて当該物件を買い取る制度が盛り込まれています。
 しかし、買取りのお願い、提案を所有者にできるにすぎず、加えて、その諾否についても所有者の任意であり、強制力はありません。例えば、取引前に悪意の購入予定者への所有権移転を阻止するために所有者に国への売却をお願いしても、買値は適正価格の提示となり、悪意の購入予定者が値をつり上げ、国による介入の妨害阻止に動くことは察しが付きます。取引後に所有者、物件に瑕疵が発覚した場合も同様です。今回の法施行前に外国資本等に既に購入されている重要施設周辺の土地についても、所有者に国への売却を求めることはできますが、所有者には応じる義務はなく、断られて万事休すです。
 このように、勧告や命令に従わない者から土地等に関する権利の買入れができない場合、重要施設の施設又は国境離島等の機能を維持することは困難となります。
 そこで、実効性を担保するため、国家安全保障上特に重要であり、国が直接管理すべき場合には、強制力がある収用、使用を可能にすべきではありませんか。お伺いをいたします。
 ところで、法案により網が掛けられるのは新規取引のみであり、既に外資等に押さえられてしまっている要衝地については、現状変更のために国が所有者に買取りをお願いできるだけで、断られてしまったら終わりです。そこで、法施行前の取引についても、強い権限で調査、是正を可能にするスキームが必要ではありませんか。お尋ねをします。
 次に、法案に基づく土地利用規制の国際法上の根拠についてお聞きをいたします。
 我が国は、WTO、世界貿易機関のサービス貿易に関する一般協定、GATSに署名する際、外国人等による土地取引については留保条件を付けなかったため、GATS第十七条により、外国人等に対して内国民待遇を与えなければならない義務を負っているとされています。一方で、GATS第十四条の二では、安全保障上の必要があれば、外国人等への差別的待遇を例外的に認めています。
 小此木大臣は、衆議院の質疑において、法案はGATSに整合的なものとなっていると答弁をしていますが、これはあくまで国際法上の根拠としては、内外無差別原則を規定している同十七条を踏まえたものであり、同十四条の二の規定に基づくものではないということですか。安全保障上のリスクに対応するという意味では、同十四条の二の規定を根拠とすべきとも考えられますが、大臣の御見解をお伺いをします。
 法案の提出に至る経緯として、政府は、外国資本による土地の取得について、地域住民の不安が広がり、法整備などを求める意見書の提出があったことなどを挙げています。
 一方、法案第五条第五項及び第十二条第五項では、内閣総理大臣は、注視区域や特別注視区域の指定後速やかに関係地方公共団体の長に通知する規定は置かれていますが、内閣総理大臣が指定する際に関係地方公共団体から意見を聴取する規定は置かれておらず、適正な手続が定められているとは言えません。
 地域の実情を正確に把握しているのは当該地域の地方公共団体であることから、指定する際には、関係地方公共団体の長からあらかじめ意見を聴取することをしっかりと法律上位置付けるべきではありませんか。
 この点について、衆議院の質疑では、政府は、指定を行う前に関係地方公共団体と意見交換を行うことを基本方針に明記する方向で考えていると答弁をしていますが、法律に規定した上で手続の適正性を確保すべきではないでしょうか。大臣の見解をお伺いをします。
 ところで、衆議院の質疑において小此木大臣は、現時点において市ケ谷の防衛省や海上保安庁の施設、原発などの重要インフラの周辺について特別注視区域の対象から除外することを決定した事実はないとした上で、法案に基づく注視区域又は特別注視区域の指定に当たっては、指定に伴う社会経済活動への影響も勘案しつつ、個々の区域ごとに指定の要否、区分等を慎重に判断すると答弁をしました。これでは、政府自ら特別注視区域に該当し得る要件として挙げている、その機能が特に重要であり、他の重要施設による機能の代替が困難であるものを対象から外すこともあり得るということになってしまいます。そういう判断は、法案の趣旨、目的に本当に合致しますか。小此木大臣の見解を求めます。
 次に、附則にある検討についてお聞きをします。
 法案では、法の施行後五年経過時に施行の状況に検討を加え、必要に応じて見直しを行うとしています。しかし、悠長に構えて現状を五年も放置していていいわけがなく、その間に外国資本等があの手この手で日本の要衝地を買い続けることになりかねません。また、法が施行されたとしても即座に効力を発揮するわけではありません。特別注視区域の個別指定、告示は煩雑な作業となり、半年から一年ほどの時間を要するとされています。したがって、不備が明らかになれば迅速に法改正等を行うべきではありませんか。大臣にお尋ねをいたします。
 最後に申し上げます。
 静かなる国土への侵攻を見逃してはなりません。我が国は、今まで余りにもお花畑全開でした。日本の平和と安全を確保するため、今こそ毅然と行動していくときです。
 日本維新の会は、引き続き、そういう考えに基づき提案、提言をし続けていくことをお誓いし、私の質問といたします。
 ありがとうございます。(拍手)
   〔国務大臣小此木八郎君登壇、拍手〕

#16
○国務大臣(小此木八郎君) 柴田議員から九問の御質問をいただきました。順次お答え申し上げます。
 まず、日本維新の会の提出法案と本法案の比較等について御質問いただきました。
 日本維新の会が、平成二十八年以降、累次にわたり安全保障上重要な土地等の取引規制に関する法案を提出されていることは承知しております。
 日本維新の会の法案は、今般の法案に先立ち、安全保障の観点から土地等を管理する法的枠組みを導入しようとするものであり、このことは私として大変意欲的な取組であると認識しております。
 その内容は、防衛施設等の周辺や国境離島に所在する土地等の取引を規制するものとなっており、防衛関係施設等の重要施設や国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を規制する本法案とは措置の内容が異なります。
 このため、両者の実効性について一概に比較することは困難でありますが、本法案では、安全保障の観点からリスクのある土地等の利用状況を調査した上で、機能阻害行為としての土地等の利用に対し中止等の勧告、命令を行います。さらに、特にリスクが高い特別注視区域内の土地等の取引を随時に把握するための事前届出を義務付けること等の措置を講ずることとしており、全体として十分な実効性が確保されているものと考えます。
 次に、土地等の取引規制について御質問をいただきました。
 土地等の取引に関する事前審査及び規制について、昨年開催した国土利用の実態把握等に関する有識者会議での提言では、あらかじめ規制の基準や要件を明確に定めることが困難であり、慎重に検討すべきとされたところであります。
 この提言を踏まえ、本法案では、土地等の取引の事前審査及び規制を行ういわゆる取引規制は導入しないこととし、重要施設等の機能を阻害する土地等の利用が判明した場合、その利用の中止等の勧告、命令を行う利用規制の枠組みを採用することといたしました。
 また、特別注視区域では、取引の事前届出を通じて土地等の所有状況を逐次把握し、利用状況に関する追加的な調査を行うとともに、必要に応じて国がその土地等の買取りに努める措置も設けております。これらの措置を的確かつ機動的に実施することによって、安全保障上のリスクとなる重要施設等の機能を阻害する行為の防止に万全を期してまいります。
 次に、本法案に基づく調査の在り方について御質問をいただきました。
 まず、御指摘の立入調査については、有識者会議の提言において、対象となる者の負担が大きいことから、調査の手法としては、現地・現況調査や公簿の収集等までの対応とすることが適当とされたことを踏まえ、本法案では導入しないことといたしました。
 一方、本法案に基づく調査では、不動産登記簿や住民基本台帳等の公簿収集、現地・現況調査に加えて、土地等の利用者等からの報告徴収を行うこととしております。
 また、防衛関係施設等の重要施設を所管する関係省庁や当該施設を管理する事業者等から、機能阻害行為の兆候等に係る情報提供を受けることも想定しているところであります。
 このように、多様な方法を通じて具体的な実態把握を行った上で、適時適切に利用規制を実施することによって重要施設等に対する機能阻害行為の防止に努めてまいります。
 なお、本法案の附則第二条には、五年後の見直しに係る規定を置いております。その過程では、本法案の執行状況や安全保障をめぐる内外情勢などを勘案しつつ、御指摘の点を含め、更なる政策対応の在り方について検討してまいります。
 次に、国による収用、使用について御質問をいただきました。
 御指摘のあった強制力がある収用等の措置については、有識者会議の提言において、今般の制度的枠組みの実施状況、有効性等を見極めた上で、安全保障をめぐる国際情勢、諸外国の取組等も踏まえ、慎重に検討していくべきとされました。
 このため、本法案では、そうした強制力のある収用は導入しないこととし、重要施設等の機能を阻害する土地等の利用に対し中止等の命令等を行う利用規制の枠組みを採用したところであります。
 政府としては、土地等の利用状況の調査と利用規制を柱とする本法案によって、安全保障上のリスクとなる重要施設等の機能阻害行為の防止に努めてまいります。その上で、附則第二条に基づく五年後の見直しの中で、御指摘の措置の要否を含め、更なる政策対応の在り方について検討してまいります。
 次に、法施行前の取引への対応について御質問いただきました。
 本法案に基づく調査及び利用規制は、法施行前に取引が行われた土地等を含め、重要施設等の周辺又は国境離島等の対象区域に含まれる全ての土地等が対象となります。
 本法案の第二十三条に規定する国による土地等の買取り等は、国の努力義務であり、国からの申出に対する諾否は土地所有者等の判断に委ねられます。
 御指摘のあった立入調査や強制力のある収用は、先ほどお答えしたとおり本法案では導入しておりませんが、附則第二条に基づく見直しの過程では、それらの要否を含め、検討してまいります。
 次に、本法案とWTO・GATSの関係について御質問をいただきました。
 重要施設等の機能を阻害する行為については、その主体が外国人、外国法人であるか、又は日本人、日本法人であるかにかかわらず、適切に対処することが必要であります。このため、本法案は、調査や利用規制の対象を外国人、外国法人の利用者に限定しない内外無差別の枠組みとしております。
 その結果、WTOのGATS第十七条が規定する内国民待遇義務に整合的な制度となっており、御指摘の同第十四条の二の規定する安全保障のための例外を援用する必要はございません。
 次に、区域指定に係る地方公共団体との意見交換について御質問をいただきました。
 我が国の安全保障のための措置は、国が責任を持って判断し、実施することが必要です。
 このため、注視区域等の指定については、政府として、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、指定の要否、範囲等について慎重かつ適切に判断、決定することとしており、法律上、関係する地方公共団体との意見交換の手続については規定しておりません。
 一方、本法案に基づく措置を実施するに当たり、地域住民に身近な地方公共団体の理解、協力を得ていくことは重要であります。このため、区域指定を行う前に、十分な時間的余裕を持って、関係する地方公共団体としっかり意見交換を行っていく考えであります。
 次に、区域指定について御質問をいただきました。
 注視区域又は特別注視区域の指定に当たっては、指定に伴う区域の社会経済活動への影響を安全保障上の要請に基づく合理的かつやむを得ない範囲に限定する必要があると考えております。
 実際の区域指定については、法施行後に、個々の重要施設の周辺や離島ごとに法律の要件や基本方針の内容に照らして評価いたします。そして、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、重要施設等の機能阻害行為を防止するという法目的の確実な達成を前提として、それぞれの指定の要否、区分等について慎重かつ適切に判断してまいります。
 最後に、五年経過時の見直しの規定について御質問をいただきました。
 本法案附則第二条では、新法である本法案に基づく土地等の利用状況の調査や、利用規制としての勧告、命令、特別注視区域における事前届出等について、それぞれの実施状況、効果、社会経済活動への影響等を検証するために要する期間を考慮して、法律施行後五年経過時に見直しを行うこととしております。
 政府として、本法案に不備があるとは考えておりませんが、一般論として、法案検討時に前提としていた状況が大きく変わった場合には、この見直し規定の期間にかかわらず、必要な見直しをすることはあり得ると考えております。(拍手)
    ─────────────

#17
○議長(山東昭子君) 大塚耕平さん。
   〔大塚耕平君登壇、拍手〕

#18
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
 会派を代表して、ただいま議題となりました重要土地等調査法案について、小此木担当大臣に質問します。
 この法案を政府が提出しなければならないのは、日本の土地売買規制が甘く、土地の所有や利用に関する情報が適切に収集、管理されていないからと言えます。
 そこで、まず、日本の国土のうち地籍調査未了地、所有者不明土地、外国人所有地の面積及び全体に占める割合を伺います。
 日本はWTOに加盟しており、不動産取引は内外無差別が原則です。しかし、諸外国には土地私有を認めない国もあります。当該国で日本の国民や企業が土地私有を認められない一方で、日本では当該国の国民や企業による土地私有が可能であるという非対称性、非相互主義を前提としています。政府は、この点についてどのような認識に基づいて今回の法案を提出しているのか、担当大臣に伺います。
 なお、非対称性、非相互主義についてWTOは何も規定しておらず、しかも、非対称性、非相互主義を前提とする国がWTO内の影響力を増していることは大きな問題であることを指摘しておきます。
 外国資本、外国人が日本の土地を取得する動機として、営利、投機のほか、資産隠し等の目的も増えています。
 日本は不動産取得情報の秘匿が相対的に容易で、保有コストが低く、海外ペーパーカンパニーや日本のダミー法人を介することで、本国税務当局に捕捉されずに保有することが可能だからです。こうした状況は看過できません。
 さらに、日本の防衛・海保施設、米軍基地、原発等の周辺土地を実質的に外国資本、外国人が保有する場合には、別の意図があり得ることにも留意が必要です。
 それらの点について、どのような基本認識で法案を提出したのか、担当大臣に伺います。
 法案は、国境離島等と重要施設周辺の土地を扱っています。法案要件に該当する国境離島等は約五百七十と推定しますが、うち第二条三項一号に定める基線を有する離島数及びそのうち土地取引が行われる可能性がある離島数をお答えください。
 自衛隊施設、海保施設、米軍基地以外の重要施設については、同条二項三号に規定されています。条文上の国民生活に関連を有する施設、その機能を阻害する行為及び国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるものの定義を伺います。
 政府は、既に一定の調査結果を蓄積していると聞きます。法案要件に該当する土地所有及び所有予定事例が全国で何件ぐらいあるのか、伺います。
 日銀に勤務していた経験上、中央銀行や民間金融機関のシステムセンターも重要施設に該当すると考えますが、担当大臣の認識を伺います。
 法案に定める特別注視区域における事前届出等の国による対応が遅きに失したため、既に多くの道府県で届出を課す独自の条例が制定されています。
 水源地である森林、ソーラー用地、産廃用地等の外国人による買収が特に問題になっています。これらは法案第一条の法目的に掲げる国民生活の基盤に該当する土地と考えるか否か、担当大臣の認識を伺います。
 また、条例制定済みの道府県数と具体名、及び条例の内容と今回の法案の内容のどこが同じでどこが異なるのか、お答えください。
 これらの道府県条例制定の背景は、国土利用計画法第二十三条第一項の届出制では、水源地を含む森林等の外国資本による所有対策として十分な効果がないためです。今回の法案で条例をカバーし切れない、すなわち、引き続き条例に頼らざるを得ない部分が残ることは、今回の法案は内容的に不十分ということではないでしょうか。所見を伺います。
 また、対象土地の利用規制にとどめ、取得規制に踏み込まなかった理由についても伺います。
 第四条に定める基本方針について伺います。
 二項二号から五号では、注視区域及び特別注視区域指定や調査、勧告及び命令等に関する基本的な事項を定めるとしていますが、一号だけは重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地利用防止の基本的な方向を定めるとしています。基本的な事項と基本的な方向を使い分けている理由及びその定義を伺います。
 二号では、経済的社会的観点から留意すべき事項を含むとの括弧書きが付されています。その趣旨とともに、法目的と経済的社会的観点の調整をどのように行うのか、伺います。
 第十条では、勧告等に従うことで損失を被る土地所有者への補償を規定していますが、同条第一項ただし書ではこの限りではない、すなわち補償しないと定めています。どのような場合には補償しないのか、国民の皆さんに分かりやすく事例を示して説明してください。
 第二十一条では、内閣総理大臣が施設機能、離島機能の阻害行為防止のために他の法律に基づく措置が必要と認める場合、所掌大臣に当該措置の速やかな実施を求め、実施状況の報告を求めることができると定められています。なぜ命令することができるではないのでしょうか。そもそも、こういう規定がないと所掌大臣が措置を講じない場合があるということでしょうか。条文の意味及び背景について伺います。
 第二十三条では、施設機能、離島機能の阻害行為防止のために国が適切な管理を行う必要がある場合に、国は土地の買取り等の必要な措置を講ずるように努めるものとすると、努力規定になっています。なぜ、措置を講じなければならないとの義務規定にしていないのか、その理由を伺います。
 次に、参議院情報監視審査会との関係を伺います。
 審査会規程第一条において、情報監視審査会は、行政における特定秘密の運用を常時監視するための組織と定められています。
 同審査会が取り扱う特定秘密とは、特定秘密保護法第三条第一項に規定するものであり、その内容は同法別表に明示されています。別表には、防衛、外交、特定有害活動防止及びテロリズム防止に関する事項の四つが掲げられ、二十三項目に細分化されています。
 今回の法案が想定する情報は、参議院情報監視審査会の対象、すなわち特定秘密保護法の対象である特定秘密に該当すると考えてよいか、担当大臣に伺います。併せて、特定秘密保護法別表のどの項目に該当するのか、お答えください。
 以上の質問に対する答弁を踏まえた上で、法施行後は、情報監視審査会に対してどのような情報をどのようなタイミングで、どのように報告するのか、伺います。
 法案では、内閣法、内閣府設置法も所要の改正を行い、内閣府内に担当部署を置くこととしています。具体的な規模と人材拠出の省庁、国家安全保障局との関係等、現時点で想定していることをお答えください。
 アジアには、日本の競争相手、安全保障上緊張関係にある国、相手がいなかった高度成長期、バブル時代の幻想から目覚め、国民に対する説明責任を果たしつつ、現実を直視した有効な経済安全保障体制を構築することを求め、質問といたします。(拍手)
   〔国務大臣小此木八郎君登壇、拍手〕

#19
○国務大臣(小此木八郎君) 大塚議員からいただいた御質問に順次お答えいたします。
 まず、地籍調査未了地、所有者不明土地、外国人所有地の面積及び割合について御質問をいただきました。
 我が国の国土のうち、国有林等を除いた地籍調査の対象地に占める地籍調査が未了の土地は、令和元年度末時点において約四八%、約十四万平方キロメートルであると承知しています。
 また、所有者不明土地については、その総面積や割合は政府として把握できていないと承知していますが、平成二十九年度に実施した地籍調査対象となる筆数ベースで申し上げれば、不動産登記簿から直ちに所有者の所在が判明しなかった土地が約二二%、市町村の調査の結果、最終的に所有者の所在が判明しなかった土地が約〇・四%であると承知しています。
 なお、現行制度においては、国は土地の所有者の国籍を調査する法律上の権限を有しておらず、国土全体において外国人が所有する土地の面積やそれが全体に占める割合を把握しておりません。
 次に、土地の所有に関する相互主義等に関して御質問をいただきました。
 安全保障の観点から、国として、土地を管轄する制度の在り方に関し、御指摘のような相互主義に関わる議論、指摘があることは承知しております。
 一方、防衛関係施設等の重要施設や国境離島等の機能を阻害する行為については、その主体が外国人、外国法人であるか、又は日本人、日本法人であるかにかかわらず適切に対処することが必要であるとの考えに立ち、本法案は内外無差別の枠組みとしております。
 なお、国土利用の実態把握等に関する有識者会議の提言においては、我が国の法律に基づいて設立された会社であっても、実質的な所有者や支配者が日本人ではないケースもあり、土地の所有者の国籍のみをもって差別的な取扱いをすることは適切でないとされたところであります。
 次に、外国資本等による重要施設等の周辺土地の取得に関する基本認識について御質問いただきました。
 安全保障をめぐる内外情勢は厳しさを増しており、御指摘のあったような防衛関係施設等、安全保障上重要な施設の周辺の土地を利用し、それらの施設の機能を阻害する行為が行われるリスクは高まっているものと認識しております。
 また、外国資本による防衛関係施設等の周辺の土地の買収は、国会や地方議会でも議論されてきたほか、全国の地方公共団体から、安全保障の観点からこの土地の管理を求める意見書が提出されており、対応の必要性は広く議論されてきたところであります。
 安全保障の確保は国の重大な責務です。本法案は、土地等を利用した重要施設等の機能阻害行為を未然に防ぎ、安全保障上のリスクを回避することを目的として取りまとめたものであります。
 次に、本法案の対象となる国境離島等について御質問をいただきました。
 本法案における国境離島等としては、第二条第三項において、領海基線を有する離島である国境離島に加え、有人国境離島法に基づく有人国境離島地域を構成する離島である有人国境離島地域離島を規定しています。第二条第三項第一号に規定する国境離島のうち、我が国が現に保全、管理を行っているものは四百八十四島あります。このうち、例えば無人であって民有地が所在するものは四十島あります。
 一方、御指摘のあった土地取引が行われる可能性がある離島については、土地取引は所有者の意向によりますので、政府としてその規模感をお答えすることは困難であります。
 次に、第二条第二項第三号の規定について御質問をいただきました。
 まず、本法案第二条第二項第三号の国民生活に関連を有する施設とは、日常生活に必要なインフラを提供するなど、国民生活に必要な施設を指しております。また、その機能を阻害する行為とは、生活関連施設が有する国民生活の基盤としての機能の正常な発揮に支障を来し得る行為を指しております。さらに、国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるものとは、その施設が有する機能に照らして、機能の正常な発揮に支障が生じた場合に、国民の生命、身体又は財産に広範又は甚大な被害が生ずるおそれがある施設を指しております。
 次に、政府の過去に行った調査と法案の要件に該当する土地の所有事例について御質問をいただきました。
 まず、政府として、これまでに、重要施設の周辺及び国境離島等を対象として、重要施設等の機能を阻害するような土地等の利用の状況に関する包括的な調査は行っておりません。一方、防衛省や内閣府は、従来、防衛施設の隣接地や国境離島の領海基線の近傍の土地について所有状況等の調査を行っております。ただし、それらの調査は、不動産登記簿等の一般に入手可能な資料による確認など限られた情報の把握にとどまっており、詳細な利用実態までは把握できなかったものと承知しております。
 本法案に基づく調査等の対象となる具体的な区域の指定については、法定する手続に沿って指定の要否、範囲等を判断していくこととしております。このため、現時点において対象となる土地等の規模感をお答えすることは困難であります。
 次に、中央銀行や民間金融機関のシステムセンターの取扱いについて御質問をいただきました。
 本法案では、重要施設として、防衛関係施設、海上保安庁の施設及び生活関連施設の三つの類型を掲げております。このうち、生活関連施設については、その具体的な施設の類型を政令で定めることとしており、現時点では、原子力関係施設及び自衛隊が共用する空港を指定することを想定しております。
 生活関連施設の類型については、国際情勢の変化や技術の進歩等に応じ、検討を続けていく必要があると考えておりますが、現時点において、御指摘のあった中央銀行及び民間金融機関のシステムセンターを政令で指定することは想定しておりません。
 次に、国民生活の基盤について御質問をいただきました。
 御指摘のあった水源地である森林、ソーラー用地、産廃用地については、個々の土地によって状況が異なるため、本法案における位置付けについて一概にお答えすることは困難ですが、その所在状況によっては、第一条に規定する国民生活の基盤に該当し得るものと考えております。一方、本法案に基づく措置の対象は、安全保障に直接関係する防衛関係施設、生活関連施設等の重要施設の周辺や国境離島等としているところであります。
 次に、土地取引の事前届出に関する条例を定めている道府県について御質問をいただきました。
 水資源の保全等を目的として、水源地域における森林等の土地取引について事前届出義務を課すこと等を内容とする条例を定めている道府県は、令和二年十月末時点において、政府として把握しているものとして十八道府県であります。具体的には、北海道、秋田県、山形県、茨城県、群馬県、埼玉県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、三重県、滋賀県、京都府、徳島県、宮崎県であると承知しています。
 次に、条例と本法案との違いについて御質問をいただきました。
 本法案は、安全保障の観点から、防衛関係施設等の重要施設や国境離島等が有する重要な機能を阻害する土地等の利用を防止することを目的として、土地等の利用状況を調査した上で、機能阻害行為として土地等の利用が判明した場合に中止等の勧告、命令を行うこととしています。
 条約の内容は道府県ごとに異なっており、失礼、条例の内容は道府県ごとに異なっており、それらと本法案の違いについて一概にお答えすることは困難ですが、条例には、例えば、水資源の保全等を目的として、水資源、水源地域における森林等の土地取引の事前届出義務のほか、水源地域内における開発行為の事前届出、取水に係る許可制度等を定めているものがあると承知しております。
 次に、本法案と条例の関係について御質問をいただきました。
 水源涵養機能を有する森林については、現行の森林法において、国土の保全等を目的として、土地取得の際の事後届出、大規模な開発行為に係る許可制度等の措置が講じられています。御指摘の条例は、こうした制度を前提とした上で、地域の特性に応じて水源となる森林等の保全を図るための独自の取組であると考えております。
 有識者会議の提言においては、森林法のような既存の措置があることを踏まえ、水源地の取扱いについては、これらの土地を対象とすることについては慎重に検討していくべきとされました。また、防衛関係施設の周辺や国境離島の土地は、まず最優先で制度的枠組みの対象とすべきとされたところであります。
 本法案は、こうした状況を踏まえ、安全保障に直接関係する防衛関係施設等の周辺や国境離島等を対象として必要な調査、利用規制を行うものであり、内容に不十分な点があるとは考えていません。
 次に、取得規制を導入しなかった理由について御質問をいただきました。
 御指摘のあった取得規制とは、一般に、土地等の取引を事前に審査し、安全保障の観点からリスクがあると認められる土地等の取得を規制する枠組みであると認識しております。
 こうした取得規制について、有識者会議の提言では、あらかじめ規制の基準や要件を明確に定めることが困難であり、慎重に検討すべきとされたところであります。政府としては、この提言を踏まえ、本法案では取得規制は導入しないことといたしました。
 次に、基本方針の内容について御質問をいただきました。
 御指摘のあった第四条第二項の基本的な事項と基本的な方向は、いずれも基本方針に定めるべき事項として規定しているものであり、この点で、それらが異なる意義を有するものではありません。
 第四条第二項第一号の重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本的な方向としては、我が国の安全保障をめぐる内外情勢について記述した上で、本法案に基づく措置の趣旨、必要性、措置を行うに当たっての基本的な考え方を示すことを考えております。
 次に、第四条第二項第二号に規定する経済的社会的観点から留意すべき事項の趣旨について御質問をいただきました。
 本法案に基づく区域指定に当たっては、我が国の安全保障と自由な経済活動の両立を図る観点から、指定に伴う社会経済活動への影響を勘案することが必要であると考えます。
 このため、基本方針には、御指摘のあった第四条第二項第二号の規定を踏まえ、重要施設の周辺における密集市街地の形成状況等の地理的特性など、区域の指定に関し、経済的社会的観点から留意すべき事項を盛り込むこととしております。
 次に、法目的と経済的社会的観点の関係について御質問をいただきました。
 第四条第二項第二号に規定する経済的社会的観点から留意すべき事項は、先ほどお答えしたとおり、対象区域の指定に当たって、指定に伴う社会経済活動への影響を勘案する趣旨を定めたものであります。
 具体的な区域の指定の過程では、重要施設等の機能阻害行為を防止するという安全保障上の必要性と経済的社会的観点から留意すべき事項を総合的に勘案します。そして、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、法目的を確実に達成することを前提として、指定の要否、範囲等について慎重かつ適切に判断してまいります。
 次に、損失補償を行わない事例について御質問をいただきました。
 本法案第十条は、内閣総理大臣の勧告、命令によって受けた損失に対する補償について規定したものでありますが、そのただし書において、損失補償の対象とならない場合について規定しております。
 具体的には、他法令に基づく許可の申請が必要な行為について、その申請が却下されたにもかかわらず、その行為を行い、本法案に基づく勧告、命令の対象となった場合等に、勧告等に従ったことによって損失を受けたとしても損失補償の対象としない旨を規定しています。これは、そうした場合には補償を行う必要性が乏しいと考えられることによるものであります。
 例えば、国境離島の低潮線保全区域において、低潮線保全法に基づく許可申請が却下される場合における海底の掘削行為が本法案に基づく勧告、命令の対象となるケースが想定されます。
 次に、第二十一条の規定の意義について御質問をいただきました。
 第二十一条では、内閣総理大臣が、機能阻害行為を防止するため、関係大臣に対し関係法令に基づく措置の実施を要請すること、その実施について報告を求めることができることとしております。
 仮に第二十一条の規定がなくても、本法案に基づく事務を所掌する内閣総理大臣が、各行政機関の長に対し、その所掌事務の範囲内で事実上の要請を行うことは可能です。しかしながら、第二十一条の規定のように法令上の特別の定めがない場合には、この事実上の要請を行った後の対応は各行政機関の裁量に委ねられることになります。そこで、第二十一条の規定を設け、機能阻害行為を防止するために関係大臣が実施すべき措置について内閣総理大臣が関与できるようにしたところであります。
 次に、第二十三条の土地の買取り等について御質問をいただきました。
 本法案では、国が土地等を義務的、強制的に買い取る制度は設けておりません。これは、有識者会議の提言において、土地等の収用など、私権制限の程度が強い措置を設けることについて慎重に検討していくべきとされたことを踏まえたことによります。
 一方、有識者会議の提言では、安全保障の観点から、政府として、リスク顕在化への備えとして前広に対応することが求められるとして、土地の買取りを申し出る措置を設けておくべきとされました。
 こうした経緯を踏まえ、御指摘のあった第二十三条においては、強制性のない努力規定として、国による土地の買取り等の措置を盛り込んだところであります。
 次に、本法案の運用に当たって取り扱う情報に関し、特定秘密との関係等について、それぞれ御質問をいただきました。
 まず、特定秘密は、特定秘密の保護に関する法律において、防衛、外交、特定有害活動の防止、テロリズムの防止に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものと定義されています。
 一方、本法案に基づく調査では、土地等の利用者等の個人情報や土地等の利用状況に関する情報などを取り扱うことを想定していますが、それらの情報は、いずれも先ほど申し上げた特定秘密には該当しないものと考えております。
 このため、本法案に基づき取り扱う情報に関して、御指摘のあった情報監視審査会に報告する事項はないものと考えております。
 最後に、執行体制について御質問をいただきました。
 本法案に基づく調査や利用規制等は、内閣府に新設する部局が行うこととしております。御指摘のあった担当部局の規模や、いずれの省庁から人材を集めるのかといった執行体制に関する点については、法案成立後、関係省庁とも連携、調整しながら、必要となる体制の在り方について検討を進めていく考えであります。
 また、本法案の運用のベースとなる基本方針の策定については、我が国の安全保障をめぐる内外情勢を踏まえて定める必要がございます。このため、その策定は、国家安全保障局と内閣府に新設する部局が連携してその任に当たることとしております。(拍手)
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#20
○議長(山東昭子君) 田村智子さん。
   〔田村智子君登壇、拍手〕

#21
○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案について質問いたします。
 本法案は、政府が安全保障上重要とする全国の米軍基地、自衛隊基地、海上保安庁の施設、原発などの周囲約一キロメートル、また国境離島を注視区域、特別注視区域に指定し、区域内の土地、建物の所有や利用に関する調査、利用の制限、特別注視区域内の不動産取引の事前届出の義務付けなどを行うものです。
 日本国憲法は、自由に居住地を選択し、土地や建物を所有する権利を保障しています。この基本的な権利を、国家が安全保障の名の下に直接制限する違憲立法であることを冒頭、指摘しなければなりません。拙速な議論は断じて許されないことを強調するものです。
 まず、立法事実についてお聞きします。
 衆議院の審議で、政府は、自治体からの不安の声があるとして十六件の意見書を根拠としましたが、それらは、森林や水源地などが外国資本に買収され乱開発されるのではないかという危惧、また過疎地域での人口減少の下での不安であり、本法案の根拠となり得ないことは明らかです。
 そもそも、外国資本による土地所有は、観光立国、インバウンドなどの経済政策の結果です。この法案は、外国からの投資の呼び込みという政府の経済政策の転換を目的としているのでしょうか。
 また、地方自治体の意見書に、基地周辺や国境離島の住民を対象に、土地、建物の利用状況を監視してほしいという要望があるのでしょうか。漠とした不安に乗じて、国家が国民監視のフリーハンドを得るための立法ではありませんか。小此木大臣の答弁を求めます。
 法案では、内閣総理大臣は、特別注視区域を含む注視区域の土地、建物の利用状況について調査を行うとし、所有権、賃借権を持つ者に加え、その他関係者も情報収集の対象としています。一体、誰を対象とした調査なのでしょうか。
 例えば、防衛省の周辺一キロメートルには、住宅、商業施設、大学、教会などもあります。所有者だけでなく、居住者、商業施設の従業員、大学の教員、学生、教会に礼拝に訪れる方などは含まれますか。私が例示したうち、調査の対象とならないことが法文上明らかとなる者はいるのでしょうか。
 調査のために内閣総理大臣が自治体や国の行政機関に情報提供を要請した場合、自治体等は、氏名、住所などを提供するものとするとしていますが、これは義務規定でしょうか。また、その他政令で定めるものとはどのような情報が想定されるのでしょうか。
 衆議院の審議で、小此木大臣は戸籍簿が含まれると答弁していますが、戸籍簿は身分関係を公証する書類です。土地所有者や賃借権者の親類縁者まで情報収集の対象とするのですか。
 調査の目的は、重要施設等の機能を阻害する行為、そのおそれのある行為を目的とした土地等の利用をやめさせることだとしています。
 行為の調査は、日常的な行動監視が必須ではありませんか。内閣府には地方組織は存在しません。実際には、警察や公安調査庁、自衛隊が収集する情報を活用するのですか。その際、重要施設等に設置された監視カメラでの顔認証による行動監視もできるのでしょうか。小此木大臣及び岸防衛大臣の明確な答弁を求めます。
 このように収集された情報は、内閣府で管理され、個人ごとのデータベース、個人情報ファイルとして分析の対象とするのではありませんか。本人から個人情報の開示、訂正、削除要求があった場合、応じますか。
 調査に基づき、土地等の利用目的が重要施設の機能を阻害する行為、そのおそれのある行為であると内閣総理大臣が認める場合、利用をやめるよう勧告及び命令することができるとしています。これは特定の行為への措置に限定されるのか、それとも土地、建物の利用そのものをやめるよう求めることも含まれるのでしょうか。
 阻害する行為、そのおそれのある行為とは何か。例えば、米軍基地に飛来する戦闘機やヘリコプターの撮影は、騒音や低空飛行など基地被害の把握のために市民団体や報道機関が現に行っています。部屋の窓にカメラを設置していることをもって阻害あるいはそのおそれと判断されることはありませんか。
 勧告に従わなかった利用者は懲役二年以下又は二百万円以下の罰金という刑事罰が科せられますが、不服申立ての規定がないのはなぜでしょうか。阻害行為ではないと主張する場合、どのような救済の仕組みがあるのでしょうか。
 勧告等による措置で損失が発生した場合、補償するとしていますが、その損失補償は当事者と内閣総理大臣との協議とされ、協議が調わない場合、双方が収用委員会に損失補償の裁決を申請できるとしています。不服申立ても第三者機関によるあっせんさえも条文上規定せず、一方的に国が損失の額まで決められることになれば、国家権力による一方的な私有財産の利用制限も可能となります。憲法が規定する財産権の保障との関係はどのように検討されたのか、以上、小此木大臣、お答えください。
 特別注視区域内の土地、建物の売買等契約について、契約当事者は内閣総理大臣に氏名、住所、売買物件の所在地、面積、利用目的などの情報をあらかじめ届け出ることを義務付けています。届出を怠っただけで、懲役六か月以下又は百万円以下の罰金という刑事罰まで科しています。
 我が国の土地、建物の売買は自由取引が原則であり、土地、建物を取得した場合の登記も、法的には義務付けられていません。
 では、特別注視区域に指定されると、なぜ売買契約の事前届出が義務付けられるのでしょうか。また、土地の所在地であり都市計画などの主体である自治体への届出ではなく、内閣総理大臣への届出とするのはなぜか、区域指定の要件、指定の期間はどのように定めるのか、事前届出を要する土地、建物の規模をどのように想定しているのか、そして、事前届出を怠っただけで懲役刑まで科さなければならないほどの問題とは何か、以上、小此木大臣の具体的かつ明確な答弁を求めます。
 私有財産の売買及び利用について、これほど厳しい規制を行おうというのに、その対象区域がどこになるのか、いまだ明確な答弁がありません。
 防衛省は、候補リストを作成しているが、安全保障上の懸念があるとして提示せず、公表する場合にも、一覧性のある公表にならないように配慮すると衆議院で答弁しました。法案では、注視区域、特別注視区域は官報によって公示するとしています。この規定と矛盾するのではありませんか。
 米軍基地や自衛隊基地周辺に居住する国民にとって、私有財産や日常生活にも重大な影響を与えることになります。速やかに候補リストを提示すべきではありませんか。防衛大臣の答弁を求めます。
 また、機能が阻害された場合、国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められる生活関連施設について、原子力発電所を挙げていますが、鉄道、ダムなどの水源地、電気、通信、水道、ガスなどの施設へと拡大することはないのか、小此木大臣、お答えください。
 戦前戦中、要塞地帯法や軍機保護法などにより、軍事施設や軍需工場などの周辺で写真撮影やスケッチをしただけで、国民はスパイ扱いされ罰せられました。また、国民の不安をあおり利用することで民主主義が壊される歴史は国内外で繰り返されています。この法案はまさに不安に乗じた国民監視法であり、廃案にするために全力を尽くす決意を述べ、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小此木八郎君登壇、拍手〕

#22
○国務大臣(小此木八郎君) 田村議員からいただいた御質問に対し、順次お答え申し上げます。
 まず、本法案は外国からの投資の呼び込みという政策の転換を目的としているのかという点について御質問をいただきました。
 経済活動のグローバル化が進展する中、外国資本による対内投資は、イノベーションを生み出す技術やノウハウをもたらすとともに、地域の雇用機会創出にも寄与するものであり、我が国経済の持続的成長に資するものと考えています。
 他方、本法案は、安全保障の観点から、重要施設の周辺等の土地の利用状況を調査し、重要施設等の機能を阻害する行為が認められる場合に利用規制を行うものであり、海外からの投資を規制することを目的としたものではありません。(発言する者あり)ありません。したがって、本法案は、外国資本による対内投資の促進といった政府の経済政策の転換を図ろうとするものではありません。
 次に、自治体の意見書における要望等について御質問をいただきました。
 御指摘のような基地周辺や国境離島の住民を対象に監視をすることを求める要望はありませんが、全国各地の地方公共団体からは、安全保障の観点から土地の管理を求める意見書が提出されております。
 本法案は、そうした社会的な要請も踏まえ、安全保障の観点から重要施設の周辺等の土地等の利用実態を調査し、重要施設等の機能を阻害する行為が認められた場合に土地等の利用規制を行うものとして取りまとめたものであり、御指摘のあった住民の方々を監視するものではありません。
 第三条には、本法案に基づく措置は、個人情報の保護に十分配慮しつつ、土地等が重要施設等の機能阻害行為に利用されることを防止するために必要最小限度のものとなるようにしなければならないと定めております。政府として、本法案の目的を逸脱して住民の方々の情報を収集することはありません。
 また、制度運用の適正さを確保する観点から、生活関連施設に関する政令の改廃、対象区域の指定、勧告の実施などについては、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で判断することとしております。
 したがって、国民監視のフリーハンドを得るための立法という御指摘は当たらないものと考えています。
 次に、土地等利用状況調査の対象者について御質問をいただきました。
 本法案に基づく調査は土地等の利用状況を把握するために行うこととしており、所有権、賃借権といった権原に基づく利用者の情報やその利用状況を把握することとしております。
 御指摘のあった住宅の居住者については、所有権、賃借権といった権原を有していなければ、その者が権原に基づく利用者と共同して機能阻害行為を行っている場合等を除き、調査の対象とはなりません。また、商業施設の従業員、大学の教員、学生、教会に礼拝に訪れる方についても同様に、土地等について権原を有していなければ、原則として調査の対象とはなりません。このような調査の対象者の範囲については、法案第六条から第八条までで規定しております。
 次に、利用者等に関する情報の提供について御質問をいただきました。
 本法案に基づく調査では、不動産登記簿、住民基本台帳、戸籍簿など、複数の公簿を収集し、土地等の利用者等を正確に把握することとしております。
 調査の一環として行う公簿の収集の実効性を確保するため、第七条第二項の規定により、内閣総理大臣からの情報提供の求めを受けた関係地方公共団体等に対し情報提供を義務付けております。御指摘のあった第七条第一項の政令で定めるものとしては、本籍、国籍、生年月日、連絡先等を規定することを検討しております。御指摘のあった戸籍簿については、例えば、不動産登記簿上の所有権の登記名義人が死亡していることが判明したときに、相続人を把握するために提供を求める場合もあると考えております。
 次に、本法案に基づく調査の内容及び手法について御質問をいただきました。
 本法案に基づく調査としては、不動産登記簿等の公簿等の収集、土地等の利用者等からの報告徴収、現地・現況調査がありますが、これらの調査は、いずれも内閣総理大臣、具体的には内閣府に新設する部局が行うこととしております。
 この調査は、注視区域内にある土地等の利用状況を把握するためのものであり、御指摘のあった日常的な行動監視を行うものではありません。その上で、本法案に基づく調査において、警察や公安調査庁が保有する情報を活用することや、それらの機関に情報の収集を依頼することは考えていません。
 次に、防衛関係施設を所管する防衛省については、例えば、機能阻害行為の兆候等に係る情報提供をいただくことや、現地・現況調査において必要に応じて防衛省及びその地方支分部局に協力を依頼することが考えられます。防衛省を含め、関係省庁等の協力の在り方など、具体的な調査の進め方については、法案成立後、施行に向けた準備を行う中で検討してまいります。
 なお、御指摘のあった、重要施設等に設置する監視カメラでの顔認証によって行動監視を行うことは考えていません。
 次に、本法案に基づく調査によって収集された個人情報の分析と開示請求等への対応について御質問いただきました。
 本法案に基づき収集した土地等の利用者等に関する情報については、内閣府に新設する部局が管理し、本法案の目的を達成するために必要な分析を行います。
 また、調査によって収集した個人情報について、本人から、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づき、開示、訂正又は削除の請求がなされた場合には、同法の関連規定に定めるところにより開示等が行われることとなります。
 次に、勧告及び命令の内容について御質問をいただきました。
 本法案に基づく勧告及び命令は、土地等が重要施設等の機能を阻害する行為の用に供されることを防止するために特定の行為の中止等の対応を取ることを求めるものであります。
 機能阻害行為は、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な類型が想定されることから、勧告及び命令の内容について一概にお答えすることは困難ですが、例えば、一般的な日常生活や事業活動の場として土地等を平穏に利用すること自体は、勧告及び命令の対象にならないと考えております。
 次に、重要施設の機能を阻害する行為について御質問をいただきました。
 重要施設に対する機能阻害行為については、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な態様が想定されるため、想定する行為の類型を網羅的にお示しすることは困難ですが、例えば、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置が該当し得るものと考えております。
 御指摘のあった注視区域内にある土地等において単に戦闘機やヘリコプターを撮影する行為であれば、機能阻害行為として本法案に基づく勧告、命令の対象にはならないと考えております。
 次に、勧告、命令の対象者に対する救済の仕組みについて御質問いただきました。
 本法案では、重要施設等の機能を阻害する行為としての土地等の利用に対し、中止等の勧告を行った上で、勧告を受けた者がその勧告に係る措置をとらなかった場合に命令を行うこととしております。この勧告には、罰則は設けておりません。また、行政処分にも該当しないことから、不服申立て等の対象にはなりません。
 一方で、命令については、不利益処分に当たることから、本法案に特別の規定は置いておりませんが、一般法である行政手続法に基づき、命令の相手方となる者に対してあらかじめ弁明の機会を付与した上で、その命令を行うことの当否を判断することとなります。その上で、命令に不服がある場合は、行政不服審査法に基づく不服申立てや行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟を行うことが可能であり、それらの枠組みによって対応することとなります。
 次に、損失補償、財産権との関係等について御質問をいただきました。
 本法案では、勧告や命令を受けた者が勧告等に係る措置をとったことにより損失を受けた場合に、通常生ずべき損失を補償することとしております。
 この損失補償については、内閣総理大臣と損失を受けた者が協議を行い、また、協議が成立しない場合には、第三者機関である収用委員会による裁決を申請することも可能としております。このため、一方的に国が補償の額を決めるとの御指摘は当たらないものと考えております。そして、本法案に基づく損失補償は、憲法第二十九条第三項とも適合するものであると考えております。
 次に、事前届出についての御質問をいただきました。
 安全保障の観点から特にリスクが高い特別注視区域にある土地等については、機能阻害行為の兆候を可能な限り早い段階で把握し、適切に対応する必要性が大きいものと考えます。
 このため、特別注視区域では、取引の事前届出を通じて土地等の所有状況を逐次把握し、機能阻害行為の着手、実行が可能となる契約締結時から、空白期間を設けることなく、本法案に基づく措置を適時適切に講じられるようにする必要があると考えます。
 我が国の安全保障のための措置は、国が責任を持って判断をし、実施することが必要であることから、この事前届出の受理を含め、本法案に基づく措置は内閣総理大臣が行うこととしております。
 特別注視区域の指定については、重要施設又は国境離島等のうち、その機能が特に重要なもの又は阻害することが容易であるものであって、他の重要施設や国境離島等による機能の代替が困難であるものについて行うこととしております。その指定に当たり、期間を定めることは想定しておりません。
 事前届出の対象となる土地等の規模については、第十三条第一項において、二百平方メートルを下回らない範囲で政令で定める規模以上のものとしております。政令で定める具体的な面積要件については、今後検討し、法施行までに決定する予定であります。
 事前届出を通じて必要な情報を確実に収集するため、届出義務に違反した場合には懲役刑又は罰金刑を科すこととしております。この罰則は、先ほどお答えした意義を有する事前届出の実効性を担保するために必要不可欠なものであると考えます。
 最後に、生活関連施設の対象となる施設の類型について御質問をいただきました。
 第二条第二項第三号に規定する生活関連施設については、具体的な施設の類型を政令で定めることとしております。
 現時点においては、原子力関係施設及び自衛隊が共用する空港を政令で指定することを想定しており、御指摘のあった鉄道施設、ダムなどの水源地、原子力発電所以外の発電所、通信施設、水道施設、ガス施設を指定することは想定しておりません。
 政令で指定する施設の類型については、安全保障をめぐる内外情勢等に応じ、引き続き検討してまいります。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣岸信夫君登壇、拍手〕

#23
○国務大臣(岸信夫君) 田村智子議員にお答えいたします。
 まず、重要施設等の機能を阻害する行為の調査についてお尋ねがありました。
 本法案に基づく調査としては、不動産登記簿等の公簿の収集、土地等の利用者等からの報告徴収、現地・現況調査がありますが、これらの調査については、内閣総理大臣の権限として行われ、内閣府に新設する部局が一元的に実施する予定と承知しております。
 これらの調査のうち、現地・現況調査に際しては、必要に応じて重要施設等の所管省庁及びその地方支分部局が協力することも想定されますが、具体的な協力の在り方については内閣官房において検討中と承知をしています。
 防衛省としては、本法案は、防衛関係施設の機能発揮を万全にする観点から有意義なものと、意義があるものと考えており、必要に応じて内閣官房、内閣府と適切に連携してまいります。
 最後に、注視区域及び特別注視区域に該当する自衛隊施設のリストの提示についてお尋ねがありました。
 注視区域及び特別注視区域に該当する自衛隊施設のリストは、周囲からの機能阻害行為を特に防止する必要があるとの防衛省としての評価を踏まえて、列挙した施設が一覧性をもって把握できるものとなります。
 このため、このリストを公表した場合、防衛省が特に守りたい自衛隊の施設の数や配置が総体的に把握され、自衛隊の能力をより容易に推察することが可能となるものであり、かつ、防衛省が全国で特に守りたい重要な施設の現時点の配置を示せば、我が国の防衛戦略構想の一端を示すことにもなりかねません。
 したがって、これら安全保障上の懸念を踏まえ、現時点の自衛隊施設の注視区域及び特別注視区域の候補リストを公にすることは差し控えます。
 また、御指摘の官報による公示との関係については、区域の指定に当たり、周囲からの機能阻害行為を防止し得るだけでなく、一覧性のある施設の公表にならないよう配慮するなど、適切に対応してまいります。(拍手)

#24
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────

#25
○議長(山東昭子君) 日程第二 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
 日程第三 大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
 日程第四 国際航路標識機関条約の締結について承認を求めるの件
  (いずれも衆議院送付)
 以上三件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長長峯誠さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔長峯誠君登壇、拍手〕

#26
○長峯誠君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、英国との原子力協定改正議定書は、英国による欧州原子力共同体からの脱退に伴い、英国において適用される保障措置が変更されること等を踏まえ、現行協定を改め、英国で新たに適用される保障措置等について定めるものであります。
 次に、大西洋まぐろ類保存条約改正議定書は、同条約の対象にサメ、エイ類等の板さい類を追加し、紛争解決及び漁業主体に関する規定を追加すること等を定めるものであります。
 最後に、国際航路標識機関条約は、国際航路標識協会を国際機関とするため、国際航路標識機関を設立すること及びその運営について定めるものであります。
 委員会におきましては、三件を一括して議題とし、英国における保障措置の実施体制、原子力協定改正議定書により日英の原子力協力が促進される懸念、マグロ類の地域漁業管理機関における台湾の地位、国際航路標識協会の国際機関化に当たり議論となった点等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終え、討論に入りましたところ、日本共産党の井上理事より、英国との原子力協定改正議定書に反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、順次採決の結果、英国との原子力協定改正議定書は多数をもって、大西洋まぐろ類保存条約改正議定書及び国際航路標識機関条約はいずれも全会一致をもって、それぞれ承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#27
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 まず、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。
 本件を承認することに賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#28
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本件は承認することに決しました。(拍手)
 次に、大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び国際航路標識機関条約の締結について承認を求めるの件を一括して採決いたします。
 両件を承認することに賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#29
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
 よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
     ─────・─────

#30
○議長(山東昭子君) 日程第五 自然災害義援金に係る差押禁止等に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。災害対策特別委員長新妻秀規さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔新妻秀規君登壇、拍手〕

#31
○新妻秀規君 ただいま議題となりました法律案につきまして、災害対策特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、自然災害義援金に係る拠出の趣旨に鑑み、自然災害の被災者等が自ら同義援金を使用することができるよう、その差押えを禁止する等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、提出者衆議院災害対策特別委員長より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#32
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#33
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#34
○議長(山東昭子君) 日程第六 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長森屋宏さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔森屋宏君登壇、拍手〕

#35
○森屋宏君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、国家公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げるとともに、役職定年による降任及び転任並びに定年前再任用短時間勤務の制度を設けるほか、六十歳を超える職員に係る給与及び退職手当に関する特例を設ける等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、定年引上げに伴う定員管理の在り方、本法律案と民間の取組との関係、役職定年制の意義及び課題等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本維新の会の柴田委員より反対の旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#36
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#37
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#38
○議長(山東昭子君) 日程第七 航空法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長江崎孝さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔江崎孝君登壇、拍手〕

#39
○江崎孝君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、国土交通大臣による航空運送事業の基盤強化に関する方針の策定及び必要な支援の実施、危険物等所持制限区域に立ち入る旅客等に対する保安検査の受検の義務付け、無人航空機の機体の安全性の確保及び操縦を行おうとする者について行う技能証明に係る制度の創設、運輸安全委員会による無人航空機に係る事故等の原因を究明するための調査の実施等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、航空ネットワーク確保に資する支援の在り方、航空保安体制の実効性の確保、無人航空機の安全な利活用の推進等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して武田良介委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#40
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#41
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#42
○議長(山東昭子君) 日程第八 プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。環境委員長長浜博行さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔長浜博行君登壇、拍手〕

#43
○長浜博行君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、プラスチックに係る資源循環の促進等を図るため、市町村による再商品化及び事業者による自主回収、再資源化の促進のための制度を創設するとともに、プラスチック使用製品廃棄物の排出抑制等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、ワンウエープラスチック製品の使用の合理化の在り方、プラスチック使用製品の削減を進める必要性、一括回収の市町村への影響と支援策の在り方、再生素材や代替素材の利用促進を支援する必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#44
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#45
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#46
○議長(山東昭子君) 日程第九 地方公務員法の一部を改正する法律案(第二百一回国会内閣提出、第二百四回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長浜田昌良さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔浜田昌良君登壇、拍手〕

#47
○浜田昌良君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、地方公務員の定年の基準となる国家公務員の定年が段階的に引き上げられるとともに、管理監督職勤務上限年齢による降任及び転任並びに定年前再任用短時間勤務の制度が設けられること等を踏まえ、地方公務員に係る管理監督職勤務上限年齢による降任及び転任並びに定年前再任用短時間勤務の制度を設ける等の措置を講じようとするものであります。
 なお、衆議院において、施行期日を令和四年四月一日から令和五年四月一日に改めること等を内容とする修正が行われております。
 委員会におきましては、定年を段階的に引き上げる理由、役職定年制により降任等をした職員の職務内容、全ての地方公共団体において遅滞なく定年引上げを行う必要性、定年の引上げ期間中における新規採用及び定員管理の在り方等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#48
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#49
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#50
○議長(山東昭子君) 日程第一〇 全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長小川克巳さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔小川克巳君登壇、拍手〕

#51
○小川克巳君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、全世代対応型の社会保障制度を構築するため、健康保険等における傷病手当金の支給期間の通算化、育児休業中の保険料の免除要件の見直し及び保健事業における健康診断等の情報の活用促進、後期高齢者医療における窓口負担割合の見直し等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、後期高齢者の窓口負担割合の在り方、健診結果等の個人情報保護方策、医療扶助におけるオンライン資格確認の運用の在り方、現役世代に対する更なる負担増を抑制する必要性等について、菅内閣総理大臣にも出席を求め質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民を代表して打越さく良委員より反対、国民民主党・新緑風会を代表して田村まみ委員より賛成、日本共産党を代表して倉林明子委員より反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#52
○議長(山東昭子君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。打越さく良さん。
   〔打越さく良君登壇、拍手〕

#53
○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。
 私は、会派を代表し、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。
 討論に先立ち、感染症禍において東京オリンピック・パラリンピック開催に突き進む菅総理及び菅内閣の姿勢について苦言を呈します。
 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、開催するとしても、何のために開催するのか明確なストーリーとリスクの最小化をパッケージで話さないと一般の人は協力しようと思わないと述べられ、国民の理解が必要との認識を示されています。
 ところが、菅首相は、過日の厚生労働委員会で国民の命と健康を守ることより五輪を優先させることはないと私に答弁されましたが、そのリスク評価を行うことについて明言せず、尾身会長の御懸念には答えていません。
 また、総理は平和の祭典であるとの認識を示されていますが、選手にはワクチン接種がなされても、国民にはまだワクチンが行き渡っていない状況で開会を迎えるオリンピック・パラリンピックは、むしろ分断と格差の象徴になりかねません。
 多くの報道で指摘されているように、五輪成功による熱狂の余韻冷めやらぬうちに衆院解散を打って勝利し、その後の自民党総裁選は無投票で乗り切るというシナリオがあるとすれば、国民の納得は決して得られないでしょう。
 さて、反対の理由の第一は、本法律案が全世代対応型をうたい、現役世代への給付が少なく、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの構造を見直すとしながらも、その実態は、現役世代の負担増を抑制するとの名目の下、後期高齢者のみに七百二十億円もの負担増を押し付けることばかりが突出した、その場しのぎのびほう策にすぎないからです。
 一方、限界に近づいているとされる現役世代の本人負担は僅か月額三十円の減であり、負担軽減には全く寄与していません。その反面、公費負担は九百八十億円もの減少が見込まれています。国の財政事情を優先させた、全世代対応型とは名ばかりの看板倒れ法案と言わざるを得ません。また、財政影響に係る将来推計が二〇二五年までしか考慮されていないこともその場しのぎであることを証明しています。
 なお、そもそも現役世代への給付が少ないのは、医療に対する需要の違いからして当たり前であり、これを世代間対立のように捉えることは適当ではありません。
 反対の理由の第二は、本法律案が後期高齢者の受診抑制による財政縮減効果を見込んだ法案であるということです。
 本法律案では、長瀬効果による受診抑制効果が九百億円と見積もられています。しかし、窓口負担が高いためや償還払いなどを嫌って高齢者が受診をためらったりすれば、必要な医療が受けられないことになります。また、そのために症状が悪化したり慢性化したりすれば、医療費がかさむばかりでなく、高齢者のクオリティー・オブ・ライフをも阻害することになるのです。
 厚生労働省が巨額化、複雑化する健康保険財政の指標に九十年近くも前の二次関数式をいまだに使用しているのは、高齢者を標的とした医療費抑制を強調するためだけであり、高齢者いじめそのものでありましょう。また、厚生労働省が医療費の効率化に資する実証的な研究を怠っていることは無責任としか言いようがありません。
 反対の理由の第三は、医療扶助におけるオンライン資格確認について、福祉事務所やケースワーカーの方々から導入が拙速ではないかとの懸念があることです。
 マイナンバーカードが普及しない中での事実上の強制が行われれば、マイナンバーカードの取得の支援も行わなくてはいけない上、マイナンバーカードを持たない方には旧来のやり方を併存しなくてはならないので、仕事はむしろ増えるという御指摘や、精神疾患をお持ちの方や認知症の方などに頻回受診対策は一律には当てはまらないなど、現場の実態を無視しているとの声が上がっています。ケースワーカーの負担軽減やその前提となる増員もないままでは、現場が混乱することは必至です。
 反対の理由の第四は、本法案が将来的な見通しや抜本改革への視点を全く欠いていることです。
 抜本改革の必要性は、制度改正ごとに指摘されてきました。ところが、本法律案は、附則において、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築する観点から、社会保障制度の改革及び少子化に対処するための施策について、その実施状況の検証を行うとともに、総合的な検討に着手し、その検討の結果に基づいて速やかに法制の整備その他の必要な措置を講ずるなどと言い訳めいた言及があるばかりです。本法案は抜本改革先送りの欠陥法案であると断ぜざるを得ません。
 田村厚生労働大臣は、国民の理解を得るには時間が掛かるとの答弁を行っていますが、法案提出そのものが時期尚早であったことを正直に吐露されたものと考えます。
 反対の理由の第五は、立法府での議論が不十分なことであります。
 衆議院において、野党が十分な質疑時間の確保を求める中、五月七日の厚生労働委員会で、突如、質疑終局、討論省略、直ちに採決との動議が自民党から出され、あろうことか委員長がこれを認めてしまったために可決された経過があります。このことによって、立憲民主党が提出し、審議中であった高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案は、採決もされないまま衆議院にとどめ置かれたままです。
 立憲案は、保険料の賦課限度額を引き上げ、後期高齢者の中で特に高所得の方に負担をお願いすることによって、公費の投入と併せ、政府案の見込みと同程度、現役世代の負担を軽減することを目的としたものでした。これは、政府案で懸念される高齢者の受診抑制による重症化などを防止するために必要な改正であり、与党側からも傾聴に値するものと評価が得られておりました。したがって、立憲案を可決の上、本院で審議が行われるべきものでありました。審議時間、また審議内容とも不十分なままの政府提出法案を可決する前提はないのです。
 このように、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案は、財政的な側面に主眼を置いた小粒で場当たり的なものにすぎません。
 菅総理は、六月一日の本院厚生労働委員会で、世界に冠たる我が国の社会保障制度、この制度を次の世代に引き継いでいくことは私たち世代の極めて重要な役割であると述べられました。確かに、我が国の保険証一枚で誰でも、いつでも、どこでも医療機関にフリーアクセスが可能な国民皆保険制度は世界に誇り得る制度です。
 しかし、本法律案は、このフリーアクセスを実質的に抑制し、必要な医療の提供を怠るものであり、必ずや将来に禍根を残すことになるでしょう。
 国民本位、患者本位の医療の実現のためには、医療のみならず社会保障全般にわたる制度横断的な一体改革を行うことが不可欠です。そのための長い目こそが政治に求められています。
 抜本改革の名に値する国民本位の健康保険制度実現のため、賢明な議員各位におかれましては、何とぞ本法律案に反対されることをお願いして、私の反対討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

#54
○議長(山東昭子君) 倉林明子さん。
   〔倉林明子君登壇、拍手〕

#55
○倉林明子君 私は、日本共産党を代表して、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 初めに、オリンピック開催は、感染爆発を招く大きなリスクがあるとともに、医師、看護師の派遣、特別な病床の確保など、コロナ封じ込めと命を守る医療への多大な負荷となるものです。
 IOCバッハ会長は、誰もが幾らかの犠牲を払わないといけないと発言しましたが、五輪を強行するために失ってよい命などありません。
 総理は、責任回避はやめ、専門家の警告を聞くべきです。開催国の政府として、国民の命に責任を負う立場から、直ちに中止を決断し、あらゆる力をコロナ収束に集中させることを求めるものです。
 本法案に反対する最大の理由は、七十五歳以上の高齢者へ医療費窓口二割負担を導入することです。
 対象となる方々からは、年金は減るのに心細くて仕方ない、年七万円の医療費が倍になれば受診控えも考えなあかん、長くない人生なのにひどい仕打ちなど、不安と憤りの声が寄せられています。
 高齢者の負担は医療費の窓口負担だけではありません。全世代型社会保障の名の下に、年金は減らされ、医療も介護も次々と負担が増やされました。
 後期高齢者医療の保険料は、二〇〇八年の制度実施以来値上げが続き、一人当たり年七万六千七百六十四円にもなります。低所得者への軽減措置も廃止、縮小され、生活を圧迫しています。滞納者は二十二万人、短期証二万二千人、滞納による差押えは年間七千四百件にもなっています。
 介護保険料は、発足時の二倍以上になり、利用料も二割負担、三割負担が導入されました。今年八月からは施設に入所する低所得者の食費等の負担が増えることになります。
 政府は、二割負担による受診抑制により医療給付費が一千五十億円減ると試算しています。年を重ねるほどに複数の病気を抱える高齢者にとって、通院や薬を減らすことは病状悪化に直結します。必要な医療が受けられなくなることを前提に、容赦なく負担増を強いることは、高齢者の命を削り、尊厳を脅かすものであり、断じて許されません。二割負担導入は断固撤回すべきです。
 政府は、負担の二倍化を正当化する口実に、現役世代の保険料負担の軽減を強調します。しかし、今回の高齢者の負担増によって現役世代の負担が減るのは一人当たりに換算すれば月三十円にすぎません。
 最も削減されるのは、国、自治体の公費一千百四十億円です。現役世代の負担減を口実にして、公的な社会保障費の削減を推進するものにほかなりません。この間、減らしてきた高齢者医療の国庫負担割合を元に戻すことこそ急務です。
 厚労大臣は、委員会審議の中で、現役世代の負担軽減策を問われ、安定的な制度にするためにはびほう策では難しいと答えられました。二割負担、三割負担の対象の拡大や、医療費負担の在り方に預貯金など金融資産を勘案することを含め、限りない負担増と給付抑制を宣言するものです。高齢者の人権をこれ以上侵害することは断じて容認できません。
 大企業、富裕層への行き過ぎた減税が貧富の格差を広げ、社会保障や医療の財源を損なったことでパンデミックに弱い社会になっていたとの批判、反省の下、企業や富裕層に応分の負担を求める動きが今各国で広がりつつあります。負担能力に応じた負担というなら、減税と株高でコロナ禍でも莫大な利益を得ている大企業や大資産家に応分の負担を求め、高齢者を始め全ての世代の社会保障の大幅拡充に踏み出すことを求めるものです。
 第二に、国民健康保険の都道府県運営方針に法定外繰入れの解消、保険料水準の統一を記載させることは、国保料の値上げ圧力を法定化するものにほかならないからです。
 国民健康保険は、高齢者や疾病を抱えた方が多く、医療費が増加する一方、無職、非正規労働者など低所得で保険料の負担能力の弱い方たちの加入が増え、構造的な問題を抱えています。加入者は、ただでさえ被用者保険より極めて高い保険料負担を強いられてきました。だからこそ、国民皆保険の最後のとりでとして、自治体は様々な負担軽減策や法定外の繰入れにより保険料の値上げを抑える努力をしてきました。それを国が禁じれば、保険料は更に高騰し、現役世代を含めた住民の命と健康、暮らしを脅かすことは必至です。地方自治体が住民の福祉のために行う施策に対し国が廃止しろと強制することは、自治権を侵害するものです。
 第三に、生活保護利用者が医療扶助を利用する際、マイナンバーカードによる資格確認を原則とすることです。医療保険におけるオンライン資格確認は任意であり、生活保護利用者にだけ強制し、自己決定を否定することは、権利侵害にほかなりません。
 厚労省は、審議の中で、利用者を説得するとしながらも、要件ではないので強制ではないと明言しました。であるなら、強制ではなく、利用者の同意がなければ医療券は使えること、利用者の意思に反した説得はすべきでないこと等を生活保護手帳等に明示するなどの徹底を求めるものです。
 厚労省は、生活保護の申請は権利です、ためらわず自治体に相談をと呼びかけています。それでも、住まいを失い、所持金が数百円になっても、生活保護だけは受けたくないという方たちがたくさんいます。生活保護の要件ではない扶養照会や、無料低額宿泊所や施設入所の強要が利用を遠ざけています。
 マイナンバーカードに対する忌避感情は当然のものです。マイナンバーカード所持の強要が生活保護のハードルを更に高くするものになってはなりません。
 生活保護利用者に対し新たに差別的な措置を導入することには断固反対するものです。今必要なのは、限界を超えている自助の強要をやめ、権利にふさわしい利用者本位の制度に見直すことです。
 第四に、保険者が求めた場合、事業主に労働安全衛生法による健康診断情報の提供を義務付けることです。健診情報という機微な個人情報であるにもかかわらず、本人同意の担保はなく、自己情報のコントロール権が阻害されかねません。
 EUでは、個人の権利として本人が同意を撤回した場合などのデータの消去権、いわゆる忘れられる権利が規定されているだけでなく、取扱いを制限させる権利、プロファイリングを含め、取扱いに異議を申し立てる権利などが保障されています。こうした基本的な権利規定なしに、情報収集が先行することは重大な問題です。
 コロナ禍、雇用状況は悪化を続け、高齢者も、その生活を支える家族、現役世代も厳しい生活を余儀なくされています。今やるべきは、思い切った負担軽減、生活への手厚い支援であることを求め、討論といたします。(拍手)

#56
○議長(山東昭子君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────

#57
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#58
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#59
○議長(山東昭子君) この際、日程に追加して、
 国会職員法及び国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#60
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長水落敏栄さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔水落敏栄君登壇、拍手〕

#61
○水落敏栄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、一般職の国家公務員に準じて、国会職員の定年を段階的に年齢六十五年に引き上げる等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#62
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#63
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#64
○議長(山東昭子君) この際、国際経済・外交に関する調査会長から、国際経済・外交に関する調査の中間報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#65
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。国際経済・外交に関する調査会長鶴保庸介さん。
    ─────────────
   〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔鶴保庸介君登壇、拍手〕

#66
○鶴保庸介君 国際経済・外交に関する調査会における中間報告につきまして、その概要を御報告申し上げます。
 本調査会は、三年間の調査テーマを「海を通じて世界とともに生きる日本」とし、活動の二年目においては、三つの具体的な調査項目、すなわち「海洋資源・エネルギーの確保など海洋の利活用及び開発の在り方」、「海洋環境をめぐる諸課題及び取組の在り方」及び「我が国が海洋立国として国際社会を牽引するための取組と役割」について、相互の関連性に留意しながら調査を進めてまいりました。この間、十七名の参考人から意見を聴取し、質疑を行ったほか、委員間の意見交換を行い、これらを中間報告書として取りまとめ、去る二日、議長に提出したところであります。
 以下、議論の主な内容を御報告いたします。
 まず、海洋資源・エネルギーの確保など海洋の利活用及び開発の在り方並びに海洋環境をめぐる諸課題及び取組の在り方のうち、極域をめぐる諸課題への取組については、北極における国際的秩序及び学術分野での取組、極域における環境問題、北極海航路の展望と開発支援の在り方などの議論が、また、海洋における生物の多様性の保全と生物資源の持続可能な利用に向けた課題と取組については、生物多様性分野等における我が国の国際貢献の在り方、生物多様性に関連する政策の評価及び課題、持続可能な海洋をめぐる取組などの議論がなされました。
 次に、海洋環境をめぐる諸課題及び取組の在り方並びに我が国が海洋立国として国際社会を牽引するための取組と役割のうち、洋上風力発電やゼロエミッション船など脱炭素社会に向けた取組と課題については、我が国の洋上風力発電の普及及び産業育成強化に向けた取組、洋上風力発電事業の採算性及びコスト、ゼロエミッション船開発及び我が国造船業の今後の戦略などの議論が行われました。
 続いて、海洋環境をめぐる諸課題及び取組の在り方のうち、海洋環境の保全及び海洋気象に関する諸課題への対応については、海洋プラスチックごみ問題をめぐる取組、船舶による海洋環境汚染問題、海洋気象観測システムに関する課題などの議論が交わされました。
 さらに、我が国が海洋立国として国際社会を牽引するための取組と役割のうち、海洋の安全確保等に向けた課題と取組については、国連海洋法条約に基づく海洋法秩序をめぐる現状、中国海警法や尖閣諸島、東シナ海、南シナ海をめぐる問題の対応策、海洋人材の確保と活用に向けた方策などの議論が、また、海洋に係る教育及び人材育成の現状と課題については、日本人船員及び女性船員の育成、確保に向けた取組、学習指導要領等における海洋教育の充実策、海洋教育の実践における連携の在り方などの議論が繰り広げられました。
 最後に、委員間の意見交換においては、今後の調査に向け、基本的な考え方のほか、海洋安全保障・法の支配と外交、海洋環境保全、海洋再生可能エネルギー、海洋人材の育成、確保、北極海等に関し、取り組むべき課題等について所見が述べられました。
 今後、活動の三年目においては、こうした意見等に留意しながら、最終報告に向け、広範多岐にわたる海の諸課題における相互の関連性を踏まえつつ、現場の声にも耳を傾け、更に充実した調査を進めてまいる所存であります。
 なお、今般のコロナ禍のため、本調査会の活動に制約が生じており、オンラインの活用による調査の可能性も指摘されているところですが、この点に関しましては、本院における検討の進展に期待をしたいと思います。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
     ─────・─────

#67
○議長(山東昭子君) この際、国民生活・経済に関する調査会長から、国民生活・経済に関する調査の中間報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#68
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。国民生活・経済に関する調査会長芝博一さん。
    ─────────────
   〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔芝博一君登壇、拍手〕

#69
○芝博一君 国民生活・経済に関する調査会における中間報告について御報告を申し上げます。
 本調査会は、第二百回国会の令和元年十月四日に設置され、三年間の調査テーマを「誰もが安心できる社会の実現」と決定し、鋭意調査を進めております。
 二年目は、調査会のテーマのうち、「困難を抱える人々への対応」について調査を行うこととし、「子どもをめぐる課題」、「外国人をめぐる課題」、さらには「新型コロナウイルス感染症による国民生活・経済への影響」、「社会的孤立をめぐる課題」及び「生活基盤の安定に向けた課題」について参考人から意見を聴取し、質疑を行いました。その後、委員間の意見交換を行い、今般、参考人の意見を基にした主要論点の整理を含む報告書を取りまとめ、去る六月二日、これを議長に提出をいたしました。
 以下、主要論点を中心に御報告を申し上げます。
 まず、子どもをめぐる課題について、特別支援教育の体制整備及び就学先を選択するに当たっての相談の充実、性被害を防ぐための取組と性教育の充実などに関する意見がありました。
 次に、外国人をめぐる課題については、多文化共生社会の実現、外国人の子供の教育機会を確保するための就学の義務化、外国人労働者の受入れ制度の在り方などに関する意見がありました。
 また、新型コロナウイルス感染症による国民生活・経済への影響については、商店街、中小小売商業者に対する支援の在り方、働き方の多様化に即した社会保障制度の見直し、普遍主義的な社会保障制度の検討などに関する意見がありました。
 続いて、社会的孤立をめぐる課題については、高齢者が社会参加できる場をつくることの重要性、引きこもり及びヤングケアラーへの支援の在り方などに関する意見がありました。
 最後に、生活基盤の安定に向けた課題については、一人親世帯の養育費確保に向けた国の関与の在り方、女性の就労支援と多様な働き方ができる環境の整備、子供の自殺対策として早急に求められる取組などに関する意見がありました。
 コロナ禍により、弱い立場に置かれている人々がますます厳しい状況に追い詰められており、更なる対応を早急に進める必要があります。
 本調査会といたしましても、これまでの議論を踏まえ、誰もが安心できる社会を実現するために、最終取りまとめに向けて引き続き調査を進めてまいりたいと考えております。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
     ─────・─────

#70
○議長(山東昭子君) この際、資源エネルギーに関する調査会長から、原子力等エネルギー・資源に関する調査の中間報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#71
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。資源エネルギーに関する調査会長宮沢洋一さん。
    ─────────────
   〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔宮沢洋一君登壇、拍手〕

#72
○宮沢洋一君 資源エネルギーに関する調査会の中間報告につきまして、その概要を御報告申し上げます。
 本調査会は、三年間の調査テーマである「資源エネルギーの安定供給」のうち、二年目は「資源の安定供給等」について調査を行い、中間報告書として取りまとめ、去る六月二日、議長に提出いたしました。
 その内容は、地域偏在など資源をめぐる国際動向、資源開発の新たな可能性、コロナ後及びカーボンニュートラルに向けての新しいエネルギー政策についての参考人からの意見聴取と質疑、政府からの説明聴取と質疑、委員間の意見交換、そしてこれらの議論の主要論点別の整理でございます。
 主要論点の主な内容は、次のとおりです。
 第一に、鉱物資源の安定供給等については、鉱物資源をめぐる国際動向、鉱物資源の安定供給確保、海洋鉱物資源、鉱物資源と環境、鉱物資源リサイクル、鉱物資源の技術開発、そして、資源の確保及び資源分野における人材育成を取り上げております。
 第二に、気候変動とカーボンニュートラルについては、カーボンニュートラルに向けた取組、原子力発電、再エネ、省エネ、火力発電と技術開発、カーボンニュートラルと経済社会、国際動向と国際協力を取り上げております。
 本調査会といたしましては、以上を踏まえ、更に調査を進めてまいりたいと考えております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)

#73
○議長(山東昭子君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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