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2021/06/08 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 経済産業委員会 第9号 令和3年6月8日
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2021/06/08 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 経済産業委員会 第9号 令和3年6月8日

#1
令和三年六月八日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月四日
    辞任         補欠選任
     宮島 喜文君     青木 一彦君
 六月七日
    辞任         補欠選任
     青木 一彦君     今井絵理子君
     森本 真治君     小沼  巧君
 六月八日
    辞任         補欠選任
     阿達 雅志君     宮崎 雅夫君
     今井絵理子君     舞立 昇治君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         有田 芳生君
    理 事
                青山 繁晴君
                加田 裕之君
                宮本 周司君
                礒崎 哲史君
                岩渕  友君
    委 員
                阿達 雅志君
                今井絵理子君
                江島  潔君
                佐藤  啓君
                高橋はるみ君
                舞立 昇治君
                松村 祥史君
                宮崎 雅夫君
                小沼  巧君
                宮沢 由佳君
                里見 隆治君
                高瀬 弘美君
                新妻 秀規君
                石井  章君
                浜野 喜史君
                ながえ孝子君
                安達  澄君
   国務大臣
       経済産業大臣   梶山 弘志君
   副大臣
       経済産業副大臣  江島  潔君
   大臣政務官
       経済産業大臣政
       務官       佐藤  啓君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 秀樹君
   政府参考人
       内閣府地方創生
       推進事務局審議
       官        桜町 道雄君
       金融庁総合政策
       局参事官     石田 晋也君
       厚生労働省大臣
       官房審議官    富田  望君
       林野庁林政部長  前島 明成君
       経済産業省大臣
       官房審議官    中原 裕彦君
       経済産業省大臣
       官房審議官    矢作 友良君
       経済産業省大臣
       官房審議官    安居  徹君
       経済産業省大臣
       官房審議官    柴田 敬司君
       経済産業省大臣
       官房審議官    三浦 章豪君
       経済産業省経済
       産業政策局長   新原 浩朗君
       経済産業省経済
       産業政策局地域
       経済産業グルー
       プ長       濱野 幸一君
       経済産業省貿易
       経済協力局長   飯田 陽一君
       経済産業省貿易
       経済協力局貿易
       管理部長     風木  淳君
       資源エネルギー
       庁省エネルギー
       ・新エネルギー
       部長       茂木  正君
       資源エネルギー
       庁電力・ガス事
       業部長      松山 泰浩君
       中小企業庁事業
       環境部長     飯田 健太君
       中小企業庁経営
       支援部長     村上 敬亮君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(有田芳生君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、宮島喜文さん及び森本真治さんが委員を辞任され、その補欠として今井絵理子さん及び小沼巧さんが選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(有田芳生君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府地方創生推進事務局審議官桜町道雄さん外十六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(有田芳生君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(有田芳生君) 産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#6
○青山繁晴君 皆様おはようございます。
 本日は、危機のさなかにもかかわりませず、感染症対策上、規定いっぱいの九人の主権者の方々に傍聴に来ていただいています。心から敬意と感謝を申し上げます。傍聴人のためにも、党利党略のためではなく、国益のために徹して質問いたしたいと思います。
 本日は、先ほど委員長から宣言がありましたとおり、産業競争力強化法等の改正をめぐっての審議であります。産業競争力強化法は、私たち経済産業委員会の委員にとってはごくおなじみの法律でありますけれども、残念ながら主権者の方々にそう浸透しているという法律でもないと思います。より問題なのは、中小企業、零細企業の経営者の方々あるいは従業員の方々も含めて、産業界にも、非常にそういう部門が充実している大企業なら別ですけれども、そういう余裕のない企業にとっては、最もこの法律の支援が必要な企業にとっては、私がヒアリングした限りでは余り知られていないということがあります。その命題を根っこに置いて質問してまいりたいと思います。
 そもそも、この法律の名前にもなっています産業の競争力とは一体何なのかということであります。一般的に言うと、最近一番言われるのが生産性を上げましょうと、それに十分な需要を見出して最終的な収益力を高めるということなんですけれども、一番大切なのは実は十分な需要の確保ということであります。需要の確保がなければ、幾ら生産性を上げても、売り先がなければ産業は成立しないのは当然のことであります。
 その観点から、そもそも今回の改正の契機、きっかけを考えますと、私は信念を持って武漢熱と、武漢から始まった感染症であることをあえて強調しておりますけれども、その感染症の広がりによって、現在の危機に対応することと、それから、終わらないパンデミックはありませんので、終わった後にどのように新しい産業の在り方を決めるかということを考えるために改正しているわけです。
 しかし、皆さんよく御存じのとおり、主権者の方々も痛切に感じておられるとおり、国産ワクチンがいまだに登場しておりません。日本は技術立国でありまして、例えば今回のモデルナなどは創薬ベンチャーの典型でありますけど、日本にも創薬ベンチャーは実はあります。例えば大阪大学と、あるいは東京大学と連携している創薬ベンチャーもあるわけですけれども、一番早くて年内ぎりぎりではないかと見られます。その遅れを考えますと、要は、感染症といういつ来るか分からない危機が生み出すところの、幸か不幸か生み出すところの需要に対しての備えが産業界にも、あるいは投資家の方々にも、あるいは政府にもできていない、今もできていないということが実は問題の根幹であると考えます。
 すなわち、日本の規制が過剰であるということはこの産業競争力強化法の前身の法律の時代からずっと叫ばれてきたわけでありますけれども、実は、単に規制が過剰というだけではなくて、要はその規制、日本的な規制がいつ来るか分からない安全保障上の危機というものに目を向けていなかった、現在も向けていると言い難いということがあります。そして、そのことは実は日本の既得権益の闇の深さとつながっている面があると、私は民間専門家の時代から問題提起をいたしてきたわけであります。
 すなわち、もうあると分かっている需要、だんだん減っていてもこれぐらいの需要は見通しが立つというものでなければ、既得権益というのはそもそも成り立たないんです。国民を守るために、あるいは国益を守るために、来るかどうか分からないけれども、自分たちの利益を二の次にしてでもそのことに備えるという考え方が、いわゆる既得権益にはありません。これすなわち根源の病だと考えます。
 この法改正の本当の願い、本願は、そこに切り込むことにあるのではないかと愚考いたすわけですけれども、これは非常に政治的な命題でありまして、梶山弘志経産大臣にお答えをお願いしたいと思います。

#7
○国務大臣(梶山弘志君) 委員御指摘のように、今回のコロナ禍でも明らかになった課題ではありますけれども、民間企業が不測の事態に柔軟、迅速に対応できるための環境整備、また不測の需要に対応できるための環境整備は、政府の役割であると考えております。
 今後も、コロナ禍のような突発的な需要の変革やグリーン、デジタルが進展をする中で、技術や消費者の意識など、これまでの延長線上にない非連続な変革への対応ができるようにしていくことが必要不可欠であります。このため、今委員からも言及がありました規制改革、研究開発、設備投資、企業買収などの未来への投資を積極的に行うことでイノベーション力を高めていくことが重要と認識をしております。
 特に規制改革につきましては、本法案において、期間や参加者を限定すること等により規制の適用を受けずに革新的な技術等を活用した実証を迅速に行い、規制改革や社会実装の実現を図るサンドボックス制度を恒久化することとしたところであります。
 グリーンにつきましては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、企業の野心的な挑戦を後押しする呼び水として、過去に例のない二兆円の基金を造成をしたところであります。また、本法案で措置するカーボンニュートラル投資促進税制のほかに、規制改革、標準化、国際連携などあらゆる政策を総動員し、未来への投資を促進をしてまいります。
 また、デジタル改革につきましても、政府全体として、デジタル庁の創設、5G促進やマイナンバーデータ利活用の促進に加えて、本法案で措置する税制による民間でのデジタルトランスフォーメーションの促進など、幅広い政策を通じてデジタル化を進めてまいります。
 経済産業省としては、引き続き、予算、税制、法律による措置を総動員することによって、将来の競争力を確保するために必要な中長期的な投資の促進や事業環境の整備を進めることで、不測の事態への対応を含め国全体の対応力を高めてまいりたいと思っております。
 特にデジタルのところは、産業インフラというか、生活のインフラでもあるんですね。そこをしっかりとやらないと、やっぱり海外との競争力に伍して企業が生きていけないということにもなりますので、そういったものをしっかりと今回は徹底をしていく、さらにまた、民間の投資を呼ぶための手だてということもしっかりと分かるように対応してまいりたいと思っております。

#8
○青山繁晴君 今、梶山大臣から御自分の言葉で答弁をいただきました。ありがとうございます。今おっしゃいました、例えば規制の在り方、投資の在り方、同感でありますので、是非その精神を具体化していただきたいと思います。
 さて、第一問目ではいつあるか分からない需要について述べたんですけれども、逆に必ず大きな需要がある分野がありまして、それは言うまでもなくエネルギーであります。そのエネルギーについて非常に画期的な今転換が世界的規模で行われているのは皆さん御承知のとおりで、中心の一つが水素とアンモニアであります。
 今日は限られた時間ですから、一つ水素に絞りますと、今政府、経産省も含めてのことだと思いますけど、資源エネルギー庁を中心に取り組んでいる水素の在り方、再生可能エネルギーから取り出す水素の試みもなされていますけれども、先日、公共放送たるNHKで大々的に放送していたのも、オーストラリアの褐炭ですね。褐炭は石炭の中でも一番質が低いです。今、石炭が非常に苦しい時代に入っておりまして、褐炭は売る先がないと、使い道がないという状況にもある中で、褐炭から実は水素が取り出せることは間違いありませんから、それをまた例によって輸入しようというのが、はっきり申して、あたかもとても良いことかのように伝えられていたわけです。
 オーストラリアと連携するのはとても大事ですけれども、どのような連携があってもエネルギーだけは自前でやらなきゃいけないというのが本来の国家の在り方でありまして、日本はずっと資源がないということをここにいる誰もが、あるいはやがてこの動画や議事録を御覧になる日本国民のほぼ全員が日本には資源がないということを教わってきたんですけれども、それは実は地上産出の資源だけであります。人類は、当然取りやすい地上から、陸上から資源を取り出してきましたけれども、今や、水圧と人が呼吸できないという大きな壁のある海洋資源、具体的に言うと海底や海中の資源に目を向けるだけではなくて、取り出せるようになってきました。
 水圧というのは恐ろしいもので、具体的には防衛機密に関わりますから言えませんけれども、日本の世界第一の潜水艦であってもおよそ数百メートルまでしか潜れません。千メートルを超える潜水艦というのはあり得ないです。水圧はそれほど恐ろしいものでありますが、例えばAUVですね、オートノーマス・アンダーウオーター・ビークル、要するに海中ロボットですと、私自身が実験に携わった範囲で申せば、既に五千メートルの海底に到達をしてそこから資源を取ってくることが、まだ試験的ですけれども、できています。したがって、海の資源の時代に変わると、日本は、これも周知のごとく、海の広さでいうと世界第六位、国連加盟国だけで百九十三か国ある中で第六位ですから、大変な隠れた資源大国、資源のポテンシャル、潜在能力を持っているわけです。
 水素に話を戻しますと、今名前だけは有名になったメタンハイドレート、中身が知られているというのはおよそ言い難いんですけれども、名前は知られるようになりました。それだけでも大きな前進ですけれども、メタンハイドレートは化学式がCH4でありますから、当然水素を取り出すことができます。そうしますと、この需要ということに話を戻せば、必ずエネルギーの需要はあるので、まずこの自前資源の大きなものであるメタンハイドレートから水素を取り出して、更にもう一点、実はこれ、輸出ができると思われます。
 メタンハイドレートの賦存量はまだ調査中でありますけれども、私も国会議員になる前は協力していたわけですけれども、まだ調査中でありますけれども、相当な量の水素が取れることはほぼ間違いがない見通しになってきました、この半年ぐらいで特に明らかになってきたわけですけれども。そうすると、輸出する、資源を輸出するという第二次世界大戦に負ける前からは考えられなかったことができる。これぞ産業競争力を強化する根幹の一つだと思いますが、佐藤政務官にこの点をお伺いしたいと思います。

#9
○大臣政務官(佐藤啓君) お答えいたします。
 御指摘のように、水素ですけれども、やはり発電、それから産業、運輸など幅広い分野の脱炭素化を可能とするカーボンニュートラル実現に向けた鍵でございます。水素は、御指摘がありましたように、再エネを活用した水の電気分解といった方法で製造する方法もございますし、また褐炭や天然ガス等の化石燃料からの製造など、多様な製造手段が存在をしています。水素の供給確保を図る上では、国内の資源を活用した製造基盤を確立していくことが重要であると考えております。
 このため、現在、福島県において、世界最大級の水電解装置を活用して、再エネを活用した大規模な水素製造技術の実証を進めているところであります。今後、商用化に向けて、水電解装置の大型化、また耐久性の向上等を通じた更なる低コスト化に取り組んでまいります。
 そして、御指摘あった、まさに海の資源の一つでありますメタンハイドレートでございますけれども、国際情勢に左右されない安定した国産エネルギー源であり、二〇二七年度までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されることを目指して技術開発を推進中でございます。生産コストが十分に低減し商業化されれば、自国で調達できる水素の製造源の一つの選択肢になり得るものと認識をしております。
 こうした取組を通じて、国内での水素製造基盤の確立に向けて取り組んでまいります。

#10
○青山繁晴君 ありがとうございます。
 今、佐藤啓政務官が正確におっしゃったとおり、あと僅か六年後、六年後に商業化。商業化というのは、実は実用化とちょっと微妙にまた違うんですよね。商業化というのは政府中心の調査研究から民間に下ろすということでありますから、実際に私たちが使えるようになる、例えば車の燃料としての水素を使えるようになるにはそこから更に数年掛かると思いますけれども、でも、それであっても、例えばアメリカのシェールガス、シェールオイルの三十五年前後掛かったことから考えると、これ主権者の方々になかなか厳しい指摘をいつもいただくんですけど、実はまだ早い方なんですよね。したがって、日本の非常に新しい希望でありますから、是非、官民連携で取り組んでいきたいと考えております。
 次に、冒頭申しましたが、この法律の知名度と、知名度もそう高くないと思いますが、具体的な中身がなかなか知られていないことがあります。一方で、この法律というのは、要は企業の側が存在と使い方を知っていないと生かされないという法律です。要は、規制法じゃありませんから、励ますための法律なんで。
 したがって、特に企業家の方々に、零細企業に至るまで、もう一回言います、そういうこの法律を研究したりする人材を置く余裕のない企業にも十分理解していただいて活用されるように周知徹底はどうやるのかというのをできるだけ具体的に教えていただきたいと思います。政府参考人でお願いします。

#11
○政府参考人(新原浩朗君) お答えいたします。
 昨日、委員の方から御指摘をいただきまして、私ども、中でスタッフ含めて議論をいたしました。御指摘のとおりで、潜在的な利用者の方にその具体的な使い方というのが届いていないという現状は大変問題だというふうに思っております。
 幾つかの方向でちょっと議論をしたんですが、一つは、税制支援については、申請する企業から事前にきめ細かく計画作りなんかについてもお話をさせていただいて、一緒に作っていくような形を取りたいというふうに思っております。そのために、在来やっております横割りの中小企業団体に対する説明だけではなくて、業界ごとにきめ細かな説明を行っていくというふうに今回はさせていただこうと思っております。それから、地域についても、地方単位での説明会の開催なんかも考えていきたいと思っております。
 それから二点目の方でございます、二点目について、ベンチャー企業への支援のようなものが多く含まれております。この辺は中小企業団体の運用がなかなか伸びていないところでもございますので、ベンチャーが特に多く参加している団体、これ、これまで説明をしていなかったところを含めて、そういうところをリストアップしまして、それから、最近、コワーキングスペースといってベンチャー企業の方が入居するようなスペースがあります、そういうところにも積極的に出かけていって説明会なんかをさせていただこうと思っております。
 それから三つ目、中小企業支援でございますが、在来の商工会、商工会議所のような商工団体を通じるほかに、市町村と連携をしてきめ細かな周知を図っていくようなことを考えたいと思っております。
 最後に、ホームページについて、何か自分の、私はこういう企業なんだけどと打ち込むと使える支援策が何か出てくるようなもの、そういうものを作って分かりやすいようにしていくということ、さらには新聞とか雑誌のようなメディアにも積極的に出て説明をさせていただくということを考えていきたいと思っております。
 以上のこと、あと委員の御指摘も踏まえながら、しっかりした広報をさせていただこうと思っております。

#12
○青山繁晴君 今のお答えは、正直、僕の期待以上でした。いえ、お世辞は申しませんので。
 おっしゃるとおり、まず攻めの広報ですよね。ホームページ開いていますから好きな人はアクセスしてくださいじゃなくて、こっちから市町村も生かして、あるいは団体、今までおっしゃったとおり、接触していない団体も使って、こちらからにじり寄っていって押しかけていってお話をするという、これ本来の通商産業省なんですよね、実は。
 次の質問で言おうかと思ったんですけど、橋本内閣の省庁再編のときに経済産業省と、経済という包括的な格好いい名前付けたためによく分かんなくなったというのが民間時代からの僕の痛感しているところなんですよね。本来の通商産業省というのは、産業の方に自分から押しかけていってでも励ますということをやっていたわけですから、そこに立ち返るようなお話が含まれていたと思うので、ありのままに、与党だからではなくて、是非やっていただきたいと、不肖ながら協力もいたしたいと受け止めました。
 さて、今少し話出したんですけれども、議員の中でも若い方は当然御存じないかもしれませんが、経産省は元々は通商産業省という非常に分かりやすい名前だったわけですよね。それで、僕は記者時代に、民間の専門家になる前の記者時代、経済記者の時代に聞かされた話が、トヨタが、今をときめくトヨタが初めてクラウンという乗用車を造ったと。当時、観音開きのドアですよね。その観音開きのクラウンをアメリカの高速道路に、船便で持っていって高速道路走らせたら、あっという間に止まってしまったと。アメリカの高速道路って日本と違って高架じゃないことが多いですから、路肩、道端に、草地に止めて、トヨタの技術者が落涙、涙をこぼしたりしたと。そのときに一緒にいて励ましたのが通商産業省の官僚であって、まだ始まりじゃないかと。そういう日本人の横を、昔アメ車って言いましたけど、今でも言うか、アメ車、大きなアメリカの車がびゅんびゅん飛ばしていって、その風に当たりながら励ましたのが今のトヨタにつながっているというのが本来の通商産業省、通産省の良き面、全部がいいわけじゃないけれども、良き面だったと理解しております。
 ところが今は、あれから長い年月経て、今は、ついこの間、そのトヨタの豊田章男社長、自工会会長がお話をされまして、電気自動車、いわゆるEVにしろという話ばっかりだけれども、今の車が全部EVになったらその電気どうするんですかという問題提起をなさいました。その問題提起だけじゃなくて、その言わば直後に富士スピードウェイで、私も下手なレーシングドライバーで、ホームコースなんですけれども、その富士スピードウェイ、世界最高速の第一級のサーキットにおいて、水素を直接燃料にする車を世界で初めて走らせて完走しました。それで、周回によっては普通のガソリンエンジン車よりもタイムが良かったです。
 何をやろうとされているかというと、ヨーロッパは御承知のとおりもうEV、EVで、要はモーター、モーターですよね。エンジンはもう全部駄目だという方向に一斉に走り出しているわけですけれども、あえてそこに異を唱えて、今のエンジン、そのまま使って水素を燃料にするか、あるいはEフューエル、二酸化炭素と水素によって作る新しい合成燃料、それだと要はカーボンフリーですから今のエンジン使える、今までの技術の蓄積も使える、更に雇用は失わないと、日本の築き上げてきたアドバンテージもつくれるということを問題提起、まあ体張って、豊田章男社長はレーシングドライバーですから体張って自分で運転されて示されたわけですね。
 僕は、もうつくづくかつての通産省と立場が逆になっていると思ったわけですよね。それだけで言うわけじゃないですけれども、やっぱり省庁的なことってありますから、経産省は民を励まし支えるというレゾンデートル、存在理由をやや失っているんじゃないかというきつい問題提起ですけれども、きついですから、大臣にお聞きしたいと思います。お願いします。

#13
○国務大臣(梶山弘志君) コロナ禍による影響も含めて経済成長や産業の競争力の源泉は大きく変革をしていると認識をしております。特に、グリーン、デジタルの両分野はかつてない大変革を世界経済にもたらしておりまして、欧米、中国を始め世界各国で両分野における競争力の強化に向けて、官民総力を挙げて取り組んでいるのが現状であります。
 今、トヨタさんの話が出ましたけれども、グリーンとデジタルにおいても新しい商品や新しいサービスというものがやはり出てくる可能性がある、そういった中でしっかりと経済産業省の役割も果たしてまいりたいと思っておりますけれども、経済産業政策を立案するには、経営、事業戦略や世界の技術動向などについてこれまで以上に民間企業と丁寧にコミュニケーションを図り、民間企業を可能な限りサポートしていくことが重要であると認識をしております。
 その上で、国としても、時には世界各国の政策動向を踏まえて、成長投資を引き出すためのインセンティブ設計や事業環境整備など、民間企業の動きに先駆けて提示をしていくことも必要であると思っております。
 このグリーン成長戦略において、当然、担当の部署はありますけれども、経済産業省全体で議論をしていこうということで、昨年から始まっております。特に若手の方、二〇五〇年にまだ現役として残っている方々を中心に議論をしていただいている。そして、この前、そのお話も聞きましたけれども、再び強い成長軌道にという言葉が今まで入っていたんですけれども、我々、成長の成功体験がないって言うんですね。やはり、そういうことも含めて、視野も広げて、も含めてやっぱり考えていかなくちゃならないということと、そういった中で、過去の成功例にとらわれずに対応していくということ、非常に重要なことであると思っております。
 自動車の件も言及をされましたけれども、大気中に地球温暖化ガスを排出しなければいいわけでありますから、Eフューエルであろうと水素エンジンであろうと、それはいいということなんですね、私の考え方は。ですから、これはルール決めということで、ヨーロッパの国々でも、アメリカのほかの州、カリフォルニアを除く州においてもいろんな議論が今なされているという認識をしております。そういった中で、国も先頭に立って、ルール決めという点ではほかの国々とやり取りをしなくちゃならない、その中で産業政策というものをしっかりつくっていかなくちゃならない。
 自動車に限らず、グリーン、デジタルの中で日本が初めて技術を世界中に出すというような形で取り組んでいければと思っておりまして、そういった中でグリーン成長戦略というものを組ませていただいております。

#14
○青山繁晴君 ありがとうございます。
 今の梶山弘志大臣の御答弁には非常に大事な点が幾つも含まれておりました。例えば、成功体験のない世代にこそやるべきを伝えて伸ばしたいとおっしゃって、これはとらわれないことだということをおっしゃいました。そのとおりなんですよね。
 明治維新以来、残念ながら我が国は成功体験にとらわれる癖があって、敗戦を経ても、なぜ戦争になってしまったかという原因追及はしても、なぜ負けたかの原因追及はほとんどしてこなかったのがこの七十六年間でありますから、その成功体験をとらわれずに生かすということができていないということは非常にあると思うんです。したがって、大臣からそのお考えいただいたのは非常に意を強くします。もう一回言いますが、与党質問だから言っているんではありません。
 しかも、梶山大臣がさっきおっしゃったのは、要は、空中にカーボンといいますか、環境を悪くするものを排出しなければいいんだとおっしゃったんですが、そのとおりなんですよね。これ、本当は国際社会では元々エミッションフリーと言っているわけですから、エミッション、すなわち排出ですから。カーボンニュートラルという言葉も分かりやすくて、総理が、菅総理が大きな国家目標として打ち出されたことですから、とても大事な用語でありますけれども、本当はカーボンだけじゃなくて、要は空中に自然大気と違うものを新たに出さないという根幹だと、そういう認識を示されたことだと思います。それ自体も非常に意を強くしました。
 それから、大臣はさらに、日本から世界に初めて出していく技術というものを追求したいとおっしゃいました。まさしくそのとおりで、この間の富士スピードウェイの、水素を直接燃料にして、今までのエンジンであれほどの高速で、しかも耐久レースに出ましたから、あの長時間ピットクルーの作業だけでもったというのは、物すごくみんなびっくりしたんですよね、世界中の車の関係者が。日本ですと、何か大会社の社長が自分で運転したという話題物にされていますけど、実はそれ、物すごく久しぶりに世界に通用する日本の新技術が姿を現しかけているということですから、その大臣の御認識は物すごく励まされるものだと思います。是非、この法律を生かしてそのようにしていただきたいと思います。
 今のお話に関連しまして、もう一度申しますと、この産業競争力強化法の今回の改正というのは、民をエスコートするという本来の目標に良い意味で立ち返るものだと理解しております。グリーン、デジタル、それは肝腎要ですけれども、それだけだと言わば時流に乗るようなところがあって、時流に乗るだけだと、ヨーロッパはもうEVで走っているから日本もそのまねっこするんだというふうになりがちですけれども、そうではなくて、先ほど大臣もあえてお触れになったとおり、Eフューエルを使い、あるいは水素を使い、既存のエンジンを活用した新しい車、エミッションフリーの車を開発することの支援をする。じゃ、それを具体的にどうやるかということを、これは具体策として政府参考人にお伺いしたいと思います。

#15
○政府参考人(安居徹君) お答え申し上げます。
 電気自動車、また水素エンジン、Eフューエルなどの合成燃料にはそれぞれ長所と短所がございます。現時点ではカーボンニュートラルを実現するための完璧な技術はないものと考えられております。
 例えば、電気自動車につきましては、充電インフラが一定程度普及しているけれども、航続距離が短く、充電時間も長いと。したがって、充電池等の技術革新によります航続距離の拡張や充電時間の短縮が更なる課題として残るわけでございます。一方、水素エンジンやEフューエル等の合成燃料、これまで培ってきたエンジン技術が活用可能というメリットございますものの、コストや製造技術の確立が課題でございます。
 このように、蓄電池や合成燃料に関するイノベーションの進展に加えまして、我が国を取り巻く資源エネルギー事情など不確実な要素を踏まえますれば、委員御指摘にもありますように、当面は特定の技術に限定するのではなく、水素やEフューエルを含めた様々な選択肢を検討していくことが必要でございます。
 こうした考えの下で、我が国自動車産業の国際的な競争力を維持強化することができるよう、引き続き、関係者の御意見を丁寧に伺いながら、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた施策に取り組んでまいりたいと考えております。

#16
○青山繁晴君 今、政府参考人、非常に具体的におっしゃっていただいて、ありがとうございます。
 その中で一点だけ主権者のためにお話ししておきますと、おっしゃったとおり、水素、Eフューエルは今のところコストが弱点なんですよね。そのコストから考えますと、先ほど言いました自前資源のメタンハイドレートから水素を取り出すというのが物すごく意味を持つわけです。
 その上で、何かこの委員会で毎回やっている気がしますけど、もう一回手を見てもらうと、海底がありまして、海面がありまして、さっき言いましたのは海底の話なんですけど、メタンハイドレートは元々天然ガスが凍っているものにすぎませんから、比重が軽いので上に上がっていくわけです。そうすると、こういうふうに柱状になっていて、それを今メタンプルームと呼んでいるわけですよね。この途中に人工膜を置いてやると、潮流とかをうまく調整しながら人工膜を置いてやると、そこにどんどんたまっていくだけです。これ、実は今、自然界ではたまらないで上に上がっていますから、やがて溶けて、大気に出て、実はメタンというのは地球温暖化効果がCO2の二十五倍前後ありますから、実はむしろ温暖化に自然状態の方がオンしてしまっているわけですよね。それを途中で捕まえると、一気圧の地上に上げてくると自然に溶けますから、それで普通に天然ガスになって水素も取り出せるわけで、常識的に考えると、海の底を掘ったりしないから環境影響が物すごく少ないし、漁家の方々との調整も極めて楽になるし、コストが全体にすごく下がるという利点がありますから、これは質問項目に予定していなかったですけれども、先ほど政府参考人からコストという問題提起ありましたので、是非ここも、梶山大臣を始め、御考慮いただきたいと思います。
 さて、残り時間、あと二つ三つお聞きしたいんですけれども、一つは、言おうかどうしようか迷ったんですけど、あえて申しますと、今、自由民主党の内部ですけれども、済みません、党の話で、衆参両院議員六十七人という大人数で構成している護る会というものがあります。日本の尊厳と国益を護る会、略称護る会なんですが、先日、というか先月ですね、総理に、菅総理に経済安全保障の強化を求める緊急提言というのを行って受け取っていただきました。加藤官房長官を通じて受け取っていただきました。その中の第一条、これ実は十七か条あるんですが、十七か条あるのは偶然です。かの十七か条憲法と同じになりましたが、偶然十七か条になって、その第一条が日の丸半導体の再興なんですよね。
 産業競争力の強化というのは、国産半導体の復興なくして、復活なくしてあり得ないです。したがって、その取組の具体策、政府参考人にお聞きしたいと思います。

#17
○政府参考人(風木淳君) お答えいたします。
 経済安全保障をめぐりましては、国際的に各国が、委員御指摘ありましたけれども、機微技術管理を強化するとともに、半導体を始めとした重要技術の開発や国内生産基盤の囲い込みの動きを強めていると認識しております。日本が主要国に後れを取ることなく経済安全保障を確保するためには、コロナ禍でも顕在化しましたが、サプライチェーンや重要インフラに係る脆弱性を克服するとともに、重要技術に係る優位性を確保すべく、各施策を統合的に進めることが重要であります。
 御指摘の半導体についてですが、デジタル化やグリーン化が進む中、コンピューターから家電、自動車などあらゆる機器に使用される半導体は、経済社会を支える極めて重要な基盤部品であるというふうに考えております。経済安全保障や産業全体のサプライチェーン強靱化の観点から、その重要性は増しております。
 このような状況を踏まえて、今年の三月より有識者をメンバーとした検討会議を開催いたしまして、半導体に関する新たな産業政策の議論を進め、六月四日、先週の金曜日でございますが、戦略を公表したところでございます。特に、日本に製造能力がない先端半導体については、生産拠点の日本への立地を推進することで確実な供給体制の構築を図っていきたいと考えております。
 現時点で具体的な取組についてお答えをすることは差し控えますが、様々な政策の選択肢を検討し、必要に応じ、法律や予算、税制など各種政策の要求等の調整を進めていきたいと考えております。

#18
○青山繁晴君 今の御答弁の中の生産拠点というのはまさしくキーワードだという共通認識を持ちます。研究開発だけじゃなくて、自国で生産できるということを是非重視していただきたいと思います。
 さて、この法の全体ですね、この法の全体をちょっと目がくらくらしながら全部読み込みますと、ちょっと一点引っかかることがありまして、中小企業が中小企業にとどまっているのは良くないことだという固定観念がやや感じられるんですね。しかし、ベンチャーって片仮名は、簡単に言うと中小零細企業のことです。意欲的な中小零細企業のことをベンチャーと呼んでいるので、MアンドAや再編というきれいな名前の下に、中小企業の最大のメリット、むしろ、規模が小さいこと、小さいからよく動けるということを失わせるという間違いがひょっとして含まれていないかというのが非常に気に掛かるところであります。
 中小零細企業が大企業には決してできないことをやる、それをこそ支援する産業競争力強化法であって、経産省であってほしいと思いますので、大臣、お答え願えますでしょうか。

#19
○国務大臣(梶山弘志君) いつも申し上げますけど、中小・小規模企業というのは多種多様であり、それぞれの地域やまた業界等でそれぞれの役割を果たしているということであります。そして、日本の経済の屋台骨でもあると思っておりますので、しっかりと支えていかなければならないと思っております。
 中小企業白書の分析で、中小企業にとどまりたいと考える企業のうち約二四%が、中小企業の方が創造的な活動がしやすいということをとどまりたい理由として挙げております。このように、規模が小さいゆえの小回りを生かして、外的環境の変化にも即応し、新事業を展開していこうとする中小企業も数多く存在をするわけであります。
 ただ、中小企業はなかなかやっぱり資金面で調達が難しい部分もあります。そこをしっかりと支援をしていくということ、これはベンチャー支援にもつながり、スタートアップ支援にもつながると思いますけれども、そういったことも含めて対応していくことによって革新的な技術を生み出すベンチャー企業も創出されると考えておりまして、本法案では、創業に係る信用保証制度を産業競争力強化法に一本化して事業者の利便性を高めております。加えて、研究開発を支援する補助金や事業再構築補助金などで支援をしていくということでありまして、大企業もある、そして中堅企業もある、中小企業もあって、それが有機的に結び付いてしっかりとした経済をつくるということが目標であります。

#20
○青山繁晴君 すばらしい御答弁、ありがとうございました。
 時間が来ましたので、ここまでにいたします。ありがとうございました。

#21
○小沼巧君 立憲民主・社民の小沼巧です。
 経産委には久々に、約一年ぶりぐらいでございますが戻ってまいりました。今日もどうぞお手柔らかによろしくお願いしたいと思いますし、同じ茨城の梶山大臣と議論するのは今日で十三回目となるわけでございます。また、かつての上司の先輩たちの胸を借りて議論させていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 青山先生から様々な議論を聞いておりましたけど、非常に懐かしいなと思っておりまして、経済安全保障の話も出ましたが、そういえば私は経産省の志望動機のまさに一丁目一番地としてやっておったところでありました。そういったところの中で産業競争力の強化法等の六本の束ね法案ですね、審議になっておるわけでありますが、あえて生意気をお許しいただいて申し上げれば、額面どおりに説明を信じることができるほど従順な状況には私なっていないのでありまして、その点いろいろと聞いてみたいと思うところがあります。
 まず、法案の審議の前提として幾つかお聞きしたいと思いますが、私も一応、経産委員会でやるということなので、ちょっと条文の勉強をしてみようということで、逐条解説、コンメンタールですね、勉強しようと思って見ました。諦めました。何でかというと、古いんですね。二日前の令和三年六月六日時点で逐条解説のホームページをたどってみたところ、最終更新が最初に産競法ができたときにとどまっておりまして、現在の最新の条文を反映していないのであります。
 例えば、四条二項、これは、などの定義がありましたけれども、そういったことは消えておって、逐条解説をホームページ上で見ても、正直な話、今の本当の条文、改正案も含めて現行法令を議論しているのか、どうにもこうにも自信がなくなってしまったということなのであります。周知広報を徹底していくというようなお話も先ほど答弁でございましたけれども、元々の足下がおろそかになっておるのではないかと、このように疑問として思わざるを得ないのであります。
 この点、政府参考人で構いませんので、何ゆえに逐条解説が最新、正確ではないのか、この後、対応策があるのだとすればどのように考えておるのか、この点について御説明をお願いします。

#22
○政府参考人(新原浩朗君) 委員御指摘のとおり、この産業競争力強化法の逐条解説は当初の立法時に作成しただけでございまして、平成三十年の法改正については作っておりません。
 これは、ちょっと先ほどの青山委員との質疑とも関係するんですが、かなり逐条解説は難しくて、その条文をユーザーの方が読み込んでいって、そのあれを読んで政策を判断するというのは非常に難しいという感じが立法当初以降ございました。そこで、そういうニーズを踏まえまして、事業者の目線で政策をどう使えるのかというふうな解説の方に、説明資料の方に重点を移しまして、そして平成三十年の法改正のときについては、この法律の条文ではなくて施策の内容について分かりやすい資料を作成して、説明会の場で事業者に配付して、使い方については説明を行うという形にシフトをいたしました。
 これは、それでも、先ほどの御質疑にありましたように、十分政策の内容が知られていないという御批判があるわけでございます。そこは我々更に強めていかなきゃいけないと思っておりますけれども、そういうことで、そちらの方に重点を移したということでございますので、今回も、先ほどちょっと答弁させていただきましたように、とにかく分かりやすい、事業者の人が使えるのか使えないのかよく分かるような資料を作って、そして業界団体別の説明会とか、あるいはいろんな場できめ細かく事業者の方に手が届くように、まあ届くようにですね、そこの情報提供にどちらかというとウエートを置いていきたいと思っております。

#23
○小沼巧君 じゃ、ホームページにニューと赤文字で書いておきながら、最新版かのような誤解を与え続けるというのは、何かしら改善、ちょっとでできると思いますので、やった方がよいと思いますので、一つ御提言申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、今国会で私、内閣委員会の方で主でやっておりましたので、経産委員会にかかっておる法案なんかは余り詳細には見ておりませんでしたけれども、余り思い出したくもないようなことでありますが、条文、参考資料等々のミスが続出しているということでありまして、この法案も、法文自体が「若しくは」というのが「若ししくは」ということになったまんま与党審査等々も経て閣議決定をしておるというまんまでございました。聞くところによると、間違った条文のまま閣議決定しておるわけでありますが、それを修正する閣議決定というのはしていないというような状況で今日の審議に臨んでいるわけであります。
 お伺いしたいのは、この理由なのであります。閣議決定した条文案が間違っていた、にもかかわらず、それを撤回、訂正しないまででも法案審議が成り立っている、この理屈が、正直役所で働いておった経験からしてもどうも分からないのであります。この点についての御説明をお願いできますでしょうか。

#24
○政府参考人(新原浩朗君) 御指摘のとおりでございまして、この国会に提出させていただいた産業競争力強化法等の一部改正法案、条文案に四か所、それから条文以外の参考資料に二十か所の誤りがあることが判明をいたしました。今回の誤りの原因は、この法律案の作成プロセスで最終的な法律案の確認が不十分であったことが原因であるというふうに私ども認識をしておりまして、国会に法案を提出して御審議を仰ぐ立場の政府として大変申し訳ないと思っておりまして、心からおわび申し上げたいと思っております。
 それで、修正方法でございますが、御指摘のとおり正誤で対応させていただいているというところでございます。ただ、全国会議員の方にきちっと届くように、院内の議案課の方から衆参の全議員に対して正誤通知をさせていただいております。それから、参考資料の誤りについては、私ども経産省がお配りしたものなので、経産省で責任を持ってお配りをした先生方のところに正誤表を配付させていただいて御説明をさせていただいたということでございます。それから、ホームページ上でも謝罪をするとともに正誤について掲載させていただいたところでございます。
 再発防止策にしっかりと取り組み、今後このようなことがないようにしっかりと対応していきたいと思っていますので、是非御理解いただければと考えております。
 それから、最後に一点、これはもう私が担当局長として申し上げると、答弁は以上のとおりなんですけれども、とにかく事業者の皆さんに御迷惑をお掛けしたくないというのが私非常に強くございます。これはもう我々が間違ったことなので、もう我々に全責任があるわけでありますが。この中には、例えば中小企業なんかで、先ほども事業再構築補助金について、飲食とかで若干、中小企業の定義の上の部分について交付をするための規定も入っておりますし、それから中小企業の固定資産税をゼロにする基盤となる政策も入っております。そういうところを一刻も早く確定させていただきたいというところの思いもあったのは事実でございます。ですが、委員もその辺も含めてちょっと御理解いただければというふうに思っております。

#25
○小沼巧君 まず、誤解していただきたくないのは、別に謝罪を求めているわけではないのであります。間違っていることがあれば速やかに訂正するということは人間であれば普通のことだと思いますので、別にそこに対しての話というのは要らないのであります。
 聞きたいのは、閣議決定したものを正誤表を配ることによって国会で適切に審議されていることになっておるのでありますが、分からないのは、じゃ、閣議決定の意味って何だったのか正直よく分からぬわけですよ。しなくてもいいんじゃないですかね。正誤表配っていいんだったら、そもそも法案を出すときの閣議決定って一体何なのか、ここの理屈が分からないので、その理屈を説明してほしいというような内容でありますので、この点についてお答えをもう一度お願いします。

#26
○政府参考人(新原浩朗君) もちろん、私どもの同僚が委員と接触させていただいたときに、前例というのは議論にはならないというふうにお伺いしたと聞いておりますけれども、そういう前例で政府としてやってきているというところもございます。
 それから、もちろんのことながら、今回修正するに当たって、政府内はきちっと意思疎通をして、もちろんのことながら各閣僚とも、実態上、したがって、その各メンバーはちゃんと了知した状態にはなっているわけでございます。ただ、大きな違いは、実態のことを申し上げれば、閣議に付するための時間ということはございます、これは手続がございますので。それと、やはり今申し上げたコロナ禍での緊急性というところはあるわけでございまして、今日も大変お忙しい中、これだけの時間を、審議のお願いをしているわけでございますけれども、そういうその時間等の問題、それから事業者に少しでも迷惑を掛けたくないという問題、そういうところも感情的にはあるということは御理解いただければと思います。

#27
○小沼巧君 済みません、ちょっとかみ合っていないですね。その感情面というのも分かるんですよ、もちろんよく分かるんですよ。
 閣議決定がいかに大変か、法案作成を行うに当たっての各省協議がいかに大変か、重々承知しておるつもりでありますが、聞きたいのは、閣議決定であったものを、訂正せずに正誤表だけで何ゆえに適切にこの国会に審議されておるのか。正直、役所の一年目にたたき込まれたことからすると、全くよく意味が不明なわけでありまして、この説明というのを聞きたいのであります。前例でということの答弁繰り返しておりましたけれども、あしき前例が積み重ねておったらそれは直さなければいけない。
 これは正直党派を超えてやるべきことだと思いますけれども、そこに関しての、更に、更々問いになってしまっておりますが、何か御説明ってできますか。できなければちょっと理事会で御協議いただきたいと思うんですが、局長、いかがでしょうか。

#28
○政府参考人(新原浩朗君) 政府と立法府との関係でいうと、正規にここを修正申し上げるということで公文書を出して、政府の方から立法府の方に修正をさせていただきたいと、提出法案についてということは公文書をきちっと出しているわけでございます。
 そういう意味で、政府として曖昧な状態で今日審議をお願いしているわけではないと。立法府に対してはこういう修正の下で審議をお願いしたいということは出させて、きちっと正規に出させていただいているということはちょっと御理解いただければと思います。

#29
○委員長(有田芳生君) 小沼さん、今の御質問について、後の質問もおありでしょうから、ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議させていただくことでよろしいでしょうか。

#30
○小沼巧君 はい、よろしくお願いいたします。そのことを申し上げようと思っておりました。ありがとうございます。
 それでは、早速法案につきまして議論をしてまいりたいと思います。
 先ほど、青山先生からも、かつては通産省と、まさにMITIと言われておって、今はMETIですね、呼ばれておるところでありますが、まさに私も入るときに、かつてノートリアスMITI、マイティーMITIと呼ばれて、日本経済成長の牽引役と言われておったところがあったんだが、今は必ずしもそうはなっていないよねというような問題意識を五月の十七ですかね、決算委員会で梶山大臣とも議論をさせていただいたところであります。
 さて、そういった中で、今回の出してくる法案、六本の束ね法案になっておりまして、いろいろ頑張っていることは重々承知であります。会社法等の関係、様々なところで、いわゆる協議が難航するであろう法務省等々との議論を踏まえた上で、合意を踏まえた上で、今回の法案になっているということでありますので、それはそれで評価をしたいというか、御努力に敬意を表したいというところでありますが、六本の束ねであるがゆえに、今回の法改正の目玉、それがいまいちよく分かりにくくなっているというところが正直なところであります。
 全体の法案鳥瞰したときに、目玉となる政策、そしてその理由は一体いかなるものであるか、この点について大臣からの御見解をまずお願いできますでしょうか。

#31
○国務大臣(梶山弘志君) コロナ禍は全産業に一律の影響を与えているわけではありません。大きな悪影響を受けている企業がある一方で、利益を伸ばしている企業もあるという背景があります。
 こうした中で、産業競争力を強化していくために、飲食や宿泊など悪影響が出ている分野については、ポストコロナに向けた新たな取組や業態転換といった事業再構築を支援する必要があります。同時に、コロナ禍の下でも経済を牽引しているデジタルやグリーンといった成長の潜在可能性のある分野については、将来に向けた積極的な成長戦略を進めていく必要があります。このように、コロナ禍の経済への多様な影響を踏まえて、今般、この法案を提出をしたものであります。
 具体的には、カーボンニュートラルを進めるための省電力性能に優れたパワー半導体、電気自動車等向けのリチウムイオン電池など、脱炭素化効果が高い製品の生産設備、生産ラインへの最新設備の導入や最新鋭の熱ボイラー設備の導入など、生産工程等の脱炭素化を進める設備に対する税額控除一〇%の投資促進税制、全社レベルのデジタルトランスフォーメーション計画に基づくクラウド技術を活用したデジタル関連投資に対する税額控除五%等の投資促進税制、厳しい経営環境の中で赤字でも努力を惜しまずに事業再構築等に向けた投資を行う企業に対する繰越欠損金の最大一〇〇%への控除上限額の拡大、中小企業から中堅企業へ成長する企業を支援策の対象に追加するための措置など等を講じることとしております。

#32
○小沼巧君 税とか欠損金とかファイナンス系のところだなということを伺い、理解をいたしました。
 それで、また改めてもう一回、前回の質問の繰り返しになってしまうのでありまして恐縮でありますが、いま一度大臣の口から明確に聞いてみたいなというところが、先ほども出てきましたカーボンニュートラル、ものの経済効果、経済雇用効果なのであります。
 六月の二日の成長戦略会議の資料、提出された資料、拝見しておりましたけれども、経済効果と雇用効果については精査中ということで引継ぎになっておるのでありまして、にわかに成長戦略だということで宣伝されておりますけれども、果たしてそれを信頼して足るものであるのかということが、この精査中ということだけ聞いちゃうとよく分からないと、自信を持って信じることはできないということは、正直な印象を持っておるところであります。
 改めて、その精査中の中身であるとか成長戦略と信じるに足る中身になっているのか、その経済雇用効果について大臣の口から、今の言える範囲で構いませんのでおっしゃっていただければと思います。

#33
○国務大臣(梶山弘志君) 二〇五〇年のカーボンニュートラルに伴ってイノベーションを通じて成長が期待される分野について、その経済効果は二〇五〇年に百九十兆円、二〇三〇年に九十兆円、また雇用効果は二〇五〇年に千五百万人、二〇三〇年に八百五十万人と試算をしたところであります。現在、グリーン成長戦略の更なる具体化を行っており、今委員が言及されたとおり、六月二日の成長戦略会議において案をお示ししたところであります。
 経済雇用効果の試算については、更なる具体化を踏まえて現在精査中であるということは、他省庁から出てくるその具体的な計画というものもあるということで、それらも含めて、そしてプラスだけではなくてマイナスの部分も含めてどうなっていくか。最初に決めたときには、やはり投資とその売上げ等ということで、まずは経済効果ということで出させていただきましたけれども、半年たって深掘りをしていくことによって、またさらに他省庁の分野もありますし、また様々な変動もあるということの中で今精査をしているということであります。
 今月内を目途に、これらの試算結果も含めたグリーン成長戦略の成案を得る見込みであります。

#34
○小沼巧君 誠実な御答弁ありがとうございました。
 まさに雇用効果のところは、初めて出てきたのかな、国会の中でと思ったところであります。これだと数字を一律に決めてそれだけだということじゃなくて、ちゃんと議論をして、適切なのか適切じゃないのかということを議論をして、その内容を真摯に高め合っていくということ、これが極めて重要なことなんだろうなと思っておりますので、今回のいただいたことなどをきっかけにまた議論をさせていただければ幸いだと思っております。ありがとうございます。
 さて、大臣の口からいみじくも、まさに痛みの面とかマイナスの面とかということも出てまいったところでありますので、ここについて少し、一つ二つお伺いしてみたいなと思っております。
 産業の競争力の向上、まさに業界を超えた事業再編とかということも今回の成長戦略及び法案の中で元々うたわれておるのでありますけれども、確かにプラスの面というのはたくさんあるのであろう、グリーンとかデジタルとか、しかし同時に、マイナスの面というのもやっぱりあるんだろうと思っております。業界、新事業の開始というプラスの面もあれば、カーボンニュートラルとかというのであれば、例えば既存の事業を廃止、縮小しなければいけないかもしれない、同じものを作るにしてもプロセスとかオペレーション自体を根本的に転換しなければならないかもしれない。
 様々なそういったところがあると思いますけれども、この業界再編、これに対する痛みの部分、ないしはマイナスの部分、このインパクトというのは一体どの程度であると見込んでおられるのか、この点についての御説明をお願いできますでしょうか。

#35
○国務大臣(梶山弘志君) デジタル成長による経済効果について、二〇一七年の情報通信白書によれば、IoT化と企業改革等が進展した場合に、IoT、AIは需要創出と相まって、二〇三〇年に実質GDP百三十兆円の上積みを実現することができると試算をされております。
 また、雇用への影響についてということですが、経済産業省が二〇一九年に公表した資料では、IT関連市場の成長によりIT人材の需要は着実に増加をしており、二〇三〇年には四十五万人のIT人材が不足すると試算をしております。一方で、企業のDXを通じたAIやIoTを利活用ということになると、例えばバックオフィスにおける業務が減少するなどの就業構造の転換が生じる可能性があります。
 デジタル成長を実現するとともに、こうした人材の需給ギャップを解消し、デジタル成長を雇用につなげるには、企業におけるデジタルトランスフォーメーションの推進、IT人材の育成、その能力の可視化などを進めていくことが重要であります。
 このため、経済産業省では、企業のDXを促進する観点から、デジタル時代の経営のための実践すべき事柄をまとめたデジタルガバナンスコードの策定、そして、情報処理促進法に基づいて、DXへの取組の準備ができた企業を認定する認定制度を創設するとともに、IT人材の育成に向けて能力を可視化する情報処理技術者試験の実施や、AI、データ等の先端分野の高度な能力を習得できる講座を第四次産業革命スキル習得講座として認定するなど、各種取組を進めてまいりました。
 今般の産業競争力強化法改正案において、コロナ禍で加速するデジタル化への対応として、デジタル技術を活用した企業全体の変革を後押しするために、税制や金融等による支援を行う仕組みを措置をしております。
 それぞれの業界についてですけれども、これ、それぞれの業界、また企業において中期の経営方針、経営戦略という形で出てくるかとは思いますけれども、今業界ごとにやると、大体企業が特定、大体の特定ができてしまう、そういったものが企業の競争力に影響するということもあって、デジタルもそうですけれども、グリーン成長戦略の中でも、そのマイナス面での企業ごとの、また産業ごとの評価というのは、現時点ではコメントは差し控えさせていただきたいと思っております。

#36
○小沼巧君 分かりました。ありがとうございます。
 まさにそのマイナス面のところというのは、現時点ではおっしゃるとおりのところ、重々理解をいたしますが、ただ、その面については、今後の実際の法の仮に運用を執行されるということになったときには真剣に考えていかなければならない大きな問題だと思います。
 IT人材とかいろいろ言いますけれども、正直、それは何をもってIT人材と定義されるのかということもこれから詰めなければいけないと思いますし、多分皆さん同床異夢になっているようなところがあると正直思うんですね。その点の議論は詰めていただきたいなと思います。
 とりわけ、まさに雇用のマイナス部分をどう成長産業というところに移し替えていくのか、公正に雇用の移行をさせていくのかということは極めて重要な観点になると思います。働くということだけでも、地域に産業として根付いている場合も重々あると思いますし、単純にお金を稼いでということのみならず、自分のアイデンティティーみたいなこととして位置付けている場合もあろうと思いますので、この点の雇用の公正な移行の在り方をどう真剣に具体化して考えていくのか、機動的に直していくのかということについてはしっかりと御検討いただきたいと思いますし、何かあれば引き続き議論をしてまいりたい、このように思います。
 その労働の話、働き方の変える話が出ましたので、早速この労働市場対策ということについてももう一つ二つお伺いしてまいりたいと思います。
 どちらかというと、これはまず厚労省の話なのかもしれませんけれども、労働市場対策、まさに業界再編が起こったときにマイナス面をどううまくソフトランディングしていくのかということが重要になってきますが、量と質に分けて議論をさせてください。
 量というのは、先日、ながえ先生ですかね、労働市場対策に対する対GDP比の公的支出額の議論をやっておりましたけれども、答弁があったところであります。この量の面について、具体の数字は先日厚労省から説明があったところでありますが、その評価、つまり、アメリカとかメキシコに次いで下から三番目のことになっておる状況でありますけれども、これで十分だと思うのか、その評価について厚労省の方から現状の認識、お伺いできればと思います。

#37
○政府参考人(富田望君) お答え申し上げます。
 OECDがGDPに占める労働市場政策への公的支出について国際比較を行った二〇一七年のデータベースがございまして、こちらによりますと、日本の労働市場政策の総額は、これは日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、スウェーデンという中の比較で申し上げますと、その七か国の中で五位と。対GDP比で申し上げますと六位と。総額は五位で、GDP比だと六位というふうになっていると承知しております。
 この評価でございますけれども、その評価の前提といたしまして、欧米諸国におきましては職業資格の取得など入職前の訓練が重視され、既に能力を持った人の雇用が求められる仕組みというふうになっているのに対しまして、我が国におきましては、新卒一括採用によって企業内でのOJTを中心に労働者の訓練が行われているというふうなこと、このような雇用慣行や職業訓練制度が異なっておりますので、一概にこの調査をもって他国の比較を評価することは難しいと考えております。
 いずれにしましても、労働者が安定した雇用に就けるような施策を講ずることは重要でございますので、公的職業訓練も含めまして、私どもとしましても様々な取組を進めてまいりたいと考えております。

#38
○小沼巧君 御答弁ありがとうございます。
 量の話についてはまさに同感であります。隣の芝生はどうしても青く見えるものですから、量だけで云々かんぬんするというのは、これはちょっとそれだけでは議論としてはまだまだ深まりようがないなと思うところでありますので。では、質ですね、クオリティーのところについて聞いてみたいと思いますが。
 先日申し上げた、御説明申し上げた資料なんかを見ますと、どうやらクオリティーの面でもそれなりによろしくないという評価がOECD平均などでも出されているようであります。仕事とかスキルに関連した訓練ないしは学習をしにくい環境にあるのだと、このような指摘がなされているわけでありまして、例えば、市場ニーズに合った技能とか能力の学習の機会の多さは極めて低かったりするし、効果への期待、学習したこと、訓練したことの効用の大きさに対する期待度も結構低い水準にあるということにもなっておりまして、こういうような指摘があります。
 このような指摘に対してのどのような御見解なり評価をなさるのか、この点、御説明をいただけますでしょうか。

#39
○政府参考人(富田望君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の資料だと思うんですけれども、二〇一九年のOECDの報告書、スキルを理解する、将来に備える成人学習制度というふうなものがございまして、ここにおきますと、成人学習と労働市場のニーズの整合性を各国間で比較した指標が掲載されておりまして、その中では、調査対象となったOECD加盟国の中で日本は御指摘のとおり最下位というふうなことになっております。
 この評価でございますけれども、調査項目というのがございまして、例えば、将来のスキルのニーズの評価とか、やっぱりジョブに対応したような項目があったりする。そして、先ほど申し上げましたように、要するに、我が国と欧米諸国との雇用慣行ですね、ジョブを中心にするのかどうかとか、そういうふうな違いもございますので、そこは留意が必要だと思いますけれども、いずれにしても、我が国においても産業界のニーズに合った訓練の設定というのはもちろん重要だというふうに考えておりますので、その観点からニーズを反映する取組を行っております。
 例えばですけれども、中央レベルでは、労使団体、教育関係団体、経済産業省等の関係省庁等が参画する中央訓練協議会において、人手不足分野や成長分野など全国的な今後の人材ニーズの方向性を踏まえ重点分野の設定を議論しているほか、都道府県レベルでも、中央訓練協議会等において議論された方向性も踏まえつつ、地域訓練協議会において、地域の産業界、訓練実施機関、労働局等の各構成員がそれぞれの役割を十分に果たしながら、地域の人材ニーズに対応した実施分野や規模の設定などについて必要な議論を行っているところでございます。
 今後成長が見込まれるデジタルやグリーンなどの分野における産業界のニーズに対応していくことは重要でございますので、引き続き、関係省庁との連携も含めまして、人材ニーズの把握と、それに対応した職業訓練が実施されるように努めてまいりたいと考えております。

#40
○小沼巧君 まさに、その産業界からのニーズのインプットも大事だよねということでありましたので、その点について経産省の方から御説明をお願いします。

#41
○政府参考人(新原浩朗君) 本件につきましては、委員先ほど御指摘されましたように二つ問題が大きくあると思っておりまして、一つは、教える内容が、教育の内容が産業界のニーズと合っているかどうかという問題、もう一つの問題は、教えられたときにちゃんとそれを評価して職業を得られる、職が得られるのかどうかという問題、二つあると思っております。
 それで、教育の内容については、これまでは一応その産業界のニーズを確認する方法というのがありまして、さっきの富田審議官のところでやっている地域訓練協議会というのがあるんですが、その場で、地域訓練協議会というのがありまして、産業界のニーズを把握する場がございます。公的職業訓練についてはそれを、そのカリキュラムはその意見を参考にしながら作成しているという実態がございます。
 ただ、今日委員が御指摘いただいているように、このグリーンとかデジタルとか、今後この大きな世界的な産業構造転換が起きてくるわけでございまして、こういう場合にはこの不連続な動きがありますので、新たなニーズについてきめ細かく把握していくということは必要だろうと思っております。それはその産業構造転換の方に責任を負っている経産省の方がきちんと厚生労働省さんに話をしていって、お願いをしていかなきゃいけない点も多いだろうと思っておりますので、その連携は強化していきたいというふうに思っております。これが一点目です。
 二点目は、学び直しをしたときに、そのスキルアップが労働市場においてやっぱり正しく評価されるようになることが重要であると思っております。
 先ほど富田さんが答弁された中にもあるように、ともすると、日本の場合、新卒一括採用、終身雇用制なので、いかにノウハウがあってもなかなか中途で、途中段階で雇っていただけないというふうなこともございました。この辺については、やっぱり年齢とか学歴とか性別とかいうそういう属性によらずに、本人が能力とか経験を積んでいけば適切に評価されるような市場をつくっていくということも大きな課題だと思っておりまして、この点についても産業界にしっかりと働きかけていきたいと思っております。

#42
○小沼巧君 御答弁ありがとうございました。
 まさにその連携、ともすれば、これはあなただからこちらは関係ないみたいなことになってポテンヒットになるということ、これが非常に怖いところでありますので、今の御答弁、非常に勇気付けられるところかなと思いますので、この点しっかりとやっていただきたいと思いますし、何かしら私の方でも観察している中で、もし気付くことがあれば議論を物申してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 さてもう一つ、中小・中堅企業のところについても議論を一つだけさせていただこうと思いますが、何となく感覚的には中小企業を脱却して中堅企業になって社会貢献するんだ、売上高等々なるんだということは分かるのでありますが、いまいちこの政策的意義というのがどういうことを思っていらっしゃるのか、ちょっとしっくりきていないところがありますので、この点、中小企業から中堅企業に成長することの政策的意義について、現在のお考えを御解説をお願いします。

#43
○政府参考人(飯田健太君) お答え申し上げます。
 今御指摘ございました中小企業から中堅企業へということを支援するわけでございますけれども、まず、狙いでございますけれども、中小企業から中堅企業に成長した企業の多くは、まず資本金を増加させて事業を拡大すると、その上で従業員を増加させていくというような実態にございます。
 したがいまして、本法案では、こうした規模拡大のパスに沿って中堅企業に成長する企業を応援するというために、資本金によらずに中小企業の定義よりも従業員基準を引き上げた新たな支援対象類型を創設するということにしたものでございます。
 この新たな支援対象類型、中小企業から中堅企業に成長した事業者の九割以上をカバーしているということでございますので、こうした企業群を支援することによりまして、中堅企業に成長して海外で競争できるような企業を生み出すことになるんじゃないかというふうに考えてございます。
 その効果でございますけれども、具体的には、三つの計画、今回あるわけでございますけれども、経営力向上計画、経営革新計画、地域経済牽引事業計画、この三つの計画認定制度を御活用いただいて、金融支援などを講じることによりまして、中小企業から中堅企業に成長する企業数を年間三百から四百社程度に増加させることを目指すというのが、これが直接の目的でございます。
 一方で、委員から、昨日いろいろお話しさせていただいたように、地域経済への影響ということについても御指摘あったと聞いておりますので、ちょっとその点についても付言させていただきたいと思います。
 こういった海外で競争できる企業について見てまいりますと、例えば二〇一二年と二〇一七年の企業活動基本調査ってあります。これを見ていきますと、やはり従業員数の伸びも、海外に直接輸出を開始した企業につきましては、従業員数の伸び数、伸び率が大きくなっておりまして、国内での雇用を増加させるという、そういう実態にございます。
 また、計画の承認段階で、例えば経営革新計画の承認に当たりましては、給与支給総額が向上するということも求めております。また、あるいはその地域経済牽引事業計画の承認に当たりましては、地域の事業者との取引額が増加すると、こういったことも考えてございまして、地域経済にもしっかり効果が及ぶように努めてまいりたいと思っております。

#44
○小沼巧君 昨日丁寧にちょっと問取り、何かし過ぎちゃったかなということを反省しておりまして。
 まさにそうなんですよね。いや、農林水産業の文脈で物申しておきたかったのは、八年間で輸出を二倍にするという目標を掲げておって、確かに二倍になったんですよね、農林水産業は。だけれども、農業、農村の所得はどれだけ八年間で増えたかといったら三割であった。しかし、その三割の内訳というのも財テクみたいなものが中心でありまして、結局、輸出なり売上げトップラインの二倍というものが地域の雇用なり経済に反映させていかなかったんじゃないのかというアナロジーから考えるとどうなのかということを議論したかったのでありますが、その点もちゃんと考えているということで、先んじて言われてしまいましたので。分かりました。ありがとうございます。
 十五分程度残っておりますので、それでは、これまでの法案、様々なことをやっているのは重々承知ですが、これまでの歴史の教訓といいますか、過去の英知を振り返って、税制優遇、金融支援、様々な計画認定といったものが果たして本当に効果があるのかと、その過去の反省、教訓を踏まえたものになっているのかということについて、幾つか事例を挙げて議論をさせていただければと思っております。
 まず、この産競法、日本再興戦略、ジャパン・イズ・バックというものが形成されて、その成長戦略、アベノミクス三本の矢の一本として実施をするということでありました、当時三つの過剰、三つのゆがみを正すということでやっておりましたが、それが平成三十年の法改正で行われて、また今日、令和三年のこの時代においても法改正を行うということで、様々節目があったんだろうと思います。GDPなのか開業率なのか生産性なのか、様々あろうかと思いますけれども、それぞれのこの産業競争力強化法に関連することについて、節目ごとの目標達成状況はいかなるものであったのか、仮に達成されていない状況があったのであればその原因はいかなるものであるのか、この点についてどのように教訓を見出しておられるのか、このことについて御解説をお願いいたします。

#45
○政府参考人(新原浩朗君) まず、このバブル経済崩壊後の過剰設備、過剰債務を背景にして、委員御指摘のとおりで、その解消を図ることを目的として、当時選択と集中と言っていたわけでございますが、中核的事業の選択と集中を促す事業再編支援を盛り込んだ産活法を一九九九年に制定をいたしました。これが第一段階の目的でございます。
 それから第二段階、これは二〇一三年でございますが、デフレマインドを一掃する大胆な金融政策という第一の矢、それから、湿った経済を発火させるための機動的な財政政策という第二の矢に加えて、民間投資を喚起するための成長戦略として、先ほど言及されました日本再興戦略を第三の矢として策定をいたしました。これ、ウエートを置いたのは規制改革などを強力に進めることで、それが目的でございまして、このために二〇一三年に産業競争力強化法を制定したわけでありますが、その中でもグレーゾーン解消制度なんかを創設をいたしました。
 それから、第三段階が二〇一八年でございまして、第四次産業革命の急激な進展に対応するために、政府として、三年間の生産性革命集中投資期間というのを設定をいたしました。これは、生産性向上特措法を制定して、いわゆる、当時コネクテッドインダストリーズというふうに言っていたものでございますが、その形成を打ち出しまして、同時に、リスクマネーの供給ということが非常に重要だということで、産業競争力強化法改正しまして、産業革新投資機構、JICというのを設置して、イノベーションを促進する、リスクマネーの供給を拡大するといった措置を講じてきたところでございます。
 これを一つ一つちょっと区切ってあれするのは難しいんですけれども、うまくいったところ、そうでないところ、ちょっと全体として申し上げますと、この三本の、三つの中の法律だけをちょっと切り取って効果をお答えするのは難しいわけでありますが、まず実質GDP、当時議論があった実質GDPでいいますと、九九年度の四百七十三・三兆円だったものが、この三つの経過を経て、二〇一九年度には、一応ここは過去最大となったわけでもございますが、五百五十一・五兆円というのを達成しております。これは無論のことながら、コロナ禍の前までの成長でございます。それから、日本企業の業績でございますが、企業全体の経常利益、これは一九九九年度の二十六・九兆円から二〇一九年度に七十一・四兆円まで、設備投資が一九九九年度の三十五・八兆円から二〇一九年度には四十三・二兆円まで拡大をいたしております。そして、労働市場について申し上げますと、二〇一二年からコロナ禍前の二〇一九年にかけて、就業者は四百四十四万人拡大をいたしました。これ、女性や高齢者を含めて、労働参加率が四九・二から五三・二%に上昇したことが大きいと考えられます。それから、総額、働く方の報酬総額も、これに伴って二十一兆円雇用者報酬も増加をいたしました。
 ただ、審議でも議論になっているように、一人頭の実質賃金、これは微増でございまして、それから労働分配率は必ずしも改善していないというところがございます。この辺のところは、今日も需要の話がありましたけれども、ここの辺りをきちっとやっていかないと次の成長につなげるような需要の拡大というのは難しいのかなというふうに思っております。
 その中で、今般の法改正についてはグリーン、デジタルといった両分野を成長分野として支援をするということで、これ、日本だけではなくて世界的な大変革が起きているわけでございますので、官民総力戦ということになろうかと思います。支援分野はこの二分野に重点を置いて措置を講じていくと、総動員をしていきたいというふうに考えておるところでございます。

#46
○小沼巧君 分かりました。
 目標に対して、実質の、歴代の数字については今御解説いただきましたけれども、これももう事細かには申し上げませんが、名目GDP、実質GDP、幾らを、成長率を目指すと言っていた、二%とか三%と言っていましたけれども、それは達成できていないということが現状であると思います。トリクルダウンを起こそうというような構造も極めてやりにくくなっていった。経常利益、利益は増えるかもしれないんだけれども、それが設備投資に回るかといったら、必ずしも回り切ってはいないということが残念ながら日本経済が置かれている現実の姿なんだろうなと思います。
 そこに税とか金融、規制改革といったところの有効打が有効打たり得るのかということは真剣に考えなければいけないと思いますし、まさに需要をどのように開拓するのか、まさに好循環とかというお話もおっしゃっておりますけれども、それがどのように今回の法改正を契機として、ないしは、これだけで全てではないと思いますけれども、一助となっていくのかなということを是非とも深めて議論をしてみたい、このように思うわけでありますが。
 その観点から、平成三十年の五月十五日の参議院経産委員会において附帯決議がなされておりました。附帯決議の第一項めのところであります。企業収益の改善が、雇用の増大、賃金上昇、消費拡大につながる好循環を生み出していくために、成長戦略を着実に実行するとともに、その効果を検証し、不断の見直しを行うことと、このような附帯決議がされていたところであります。国会の、立法府の意思でありました。
 この点について、現状、政府はどのような検証を行い、結果、その検証内容が今回の法改正にどのように反映されているのか、この点についての御説明をお願いいたします。

#47
○政府参考人(新原浩朗君) 御指摘のとおりでありまして、これまでの産業競争力強化法、一連の措置の中で十分な民間投資を引き出せていないというところはあろうかというふうに思っております。
 今回は、そういう意味で、一連の立案の過程の中でも、カーボンニュートラルであれば二兆円の基金とか一〇%の税額控除とか、デジタル改革であればデジタル庁の創設とかマイナンバー、データ利用の利活用とか、そういう幅広い政策を進めてきたということでございます。
 もちろん、そういうことで、これまで、実際火が付いていないじゃないかということは御指摘あろうかと思いますけれども、今回についてはそういうことで全力を尽くしていきたいというふうに思っております。

#48
○小沼巧君 ふと疑問に思ったので、これは通告していない更問いなんですが、もうかるんだったら税制優遇とか金融支援とかなくても勝手に投資するんじゃないでしょうか。この時代においては、金融、金利なんかも極めて低いような状況でありますので、投資しないということはどうも考えられない。そういう状況で税額控除とか金融支援というのは一体どのような意味があるのか、政策効果として本当に比較考量した上で有効打なのか、極めて私としては疑問と思っています。
 通告しておらず、大変恐縮なんですが、この点についての御見解をいただければと思います。

#49
○政府参考人(新原浩朗君) まず、大きな流れでいくと、これちょっと、ちゃんと省内できちんと詰めた上での答弁ではないわけですけれども、やっぱり、バブルというのはやっぱり大きな爪痕を残しているというふうに思っておりまして、我々が非常に経産省全体としても腐心しているところ、あるいは若手の行政官も非常に思っているところというのは、これだけ世界経済なり日本経済が大きく動いているにもかかわらず、どうして研究開発とか新製品が出てくるとかいうところが十分日本では出てこないんだろうかと。
 我々の歴史というのは、新しい製品とか新しいサービスを開発することによって、資源がない、ある部分が、先ほど御審議もあったわけですけれども、基本的にそういうない中で、人が新しいものを開発して生きてきたわけですね。ところが、OECDの調査なんかだと、新製品とか新サービスの開発している企業の比率は今やOECD加盟国の中で最下位になっているわけでございます。そこのところは、大きく言うと、やっぱり、バブルのところでいろんなリスクを取った投資が行われていたのが、あれが崩壊することによって、やややっぱり守りになって、短視眼になっているというところはあるんだと思うんですね。
 先ほど、大臣が、若い人が成功体験がないということを言われましたけれども、私もすごくびっくりしたのは、若い方が、アメリカのように長視眼でなければならないというふうに言われたので、これは我々の世代から見ると、長視眼というのは日本の専売特許じゃなかったのかなというふうにも思うわけですね。そういうふうになってしまっているところについて、何とか変えていかなければならないと思っているわけです。
 今回は、この大きなデジタルとグリーンの流れに取り残されると、不連続な沈下が起きるだろうというふうに思っておりますので、経産省としては大臣筆頭に、こういう支援措置だけではなくて、グリーンの計画であるとかあるいは半導体の計画であるとか、そういう全体のビジョンを提示して、官民挙げて何とかその構造を変えていきたいということでやっているということで、そのための呼び水として予算とか税を使わせていただいているという理解でございます。

#50
○小沼巧君 通告していないにもかかわらず、ありがとうございました。
 まさに、そういったところも含めて議論をしていかなければいけないと思いますし、これも大臣に最後、済みません、通告していないんですけれども、今の答弁踏まえて、私なりの私見を申し上げますと、デジタルとかグリーンに浮かれない方が正直よいのではないかなという気もしているんですね。何でかというと、戦略ということを真剣に考えると、私も戦略コンサルの方に首突っ込んでおりましたから、考えると、グリーンとかデジタル、みんな、はやっている、世界で。じゃ、みんな投資するじゃないですかと。みんな投資するところに同じように投資しておったところで、持続的な、構造的な競争優位が形成できるかといったら、多分無理ですよ。だって、みんな同じことやるんだから。
 本来、日本企業の強みというのは、例えば、よく言われる、カイゼンみたいなことがよく言われておりましたけれども、やっぱり一朝一夕ではまねできない小さな工夫の積み重ね、これが積み重なっていって、それこそまねできないような状況になっているからこその極めて複雑な、分解もよく分からないような複雑性ということになっているんだと思うんですよ。そういったことを一個一個、企業の現場、様々な現場で積み重ねてきたことがかつての日本経済の強みであったのかなと、このように思うんですね。
 でも、今、世の中見てみると、一律でデジタルだとかということで、みんなそこに向かわせようとしている。働き方改革とかということに目を転じてみても、副業とかそういったこと、これが正直現場の改善になじむのかなといったら、正直私は疑問に思っているところもあります。
 こういった点も含めて、通告しておりませんので、明確な答えというのはないと、そこまでは求めませんけれども、大臣として、この点もしっかり検討した上で、今後、この法律が仮に施行されれば、ちゃんと真剣にこの点にも向き合って考えていくと、その省内においてもけんけんがくがくの議論をしていくということぐらい、気合答弁で構いませんので、おっしゃっていただければと思うんですが、いかがでしょうか。

#51
○国務大臣(梶山弘志君) この件は、グリーン、デジタルというのは継続的に議論をしていくべきことだと思っております。そして、浮かれることなくということで、そのとおりだと思いますし、デジタルに関してはもう産業基盤なんですね、世界共通の産業基盤。そこで、表面的なところだけ日本は、ちょっと言葉が過ぎるかもしれませんけれども触ってきた。もっと深掘りした上で同じようなビジネスの環境というものをつくらなければならないということで、取り組まなければならない課題としてのデジタル。グリーンというのは、これから取り組んでいくやはり共通の認識という中で、日本がいかに今度は、今委員がおっしゃったように、深掘りした技術開発ができるか。
 一つのことだけを例えば欧米で考えているとすると、我々はたくさん手法がありますよ、選択肢がありますよ、結果としてそのCO2、地球温暖化ガスを大気中に排出しなければいいんでしょう、そういったことも逆に見せることができるんではないかと思っておりまして、そういったものをしっかりと対応していくことを常に議論をしていく。そして、省内の議論の体制も、この法律のみならず、やはり二〇五〇年に向けて、二〇五〇年がゴールではありません、そこから先にまた新たなベストミックスがあるかもしれないということも含めて、常に議論をしていくべきことだと思っております。

#52
○委員長(有田芳生君) 小沼さん、時間ですので、おまとめください。

#53
○小沼巧君 はい。
 時間になりましたので終わります。どうもありがとうございました。

#54
○新妻秀規君 公明党の新妻秀規です。今日は質疑の機会をありがとうございます。
 最初に、大臣に、動画などを活用した分かりやすい制度の周知についてお伺いをしようと思います。
 今回の法律案、グリーン、デジタルの流れの加速、またベンチャーの育成など様々な目標の下に設計されたものであって、後に支援制度として結実していくことになると思います。また、コロナ禍の下、経産省からも、持続化給付金だったり、あるいは一時支援金だったり、また事業再構築補助金だったり、またJ―LODliveのイベント、文化芸術関係の支援だったり、様々な支援措置が講じられておりました。
 ここで、特に私が課題だなと感じているのが、この制度の説明が分かりにくいということなんですね。私も、とりわけ文化芸術関係でやはりいろんな御要望いただく中で、自ら、どういうふうに支援するようになっていたっけと、まずは自分でホームページを確認します。でも、ついこの前、経産省の方から説明していただいた資料が見当たらないとか、そういうことがよくありまして、また、制度の内容ももうちょっと分かりやすく工夫できないかなというふうに文書自体に感じることも多々あります。
 一方で、こうした様々な経産省の支援制度についても、民間の方の動画のサイトに分かりやすい説明がいろいろ様々載っかっておりまして、そういうものを活用している人も多いんじゃないかなというふうに思うわけなんです。
 今回の制度を活用してもらうにしても、またコロナ禍の様々な支援策も本当に必要な人に届けていかせるためにも、やはり中小の事業者の方にちゃんとこの制度が分かってもらえなければ意味がない、せっかくいい制度つくっても使ってもらえなきゃ意味がないわけなんです。
 例えば、持続化給付金だったり、こうした制度につきましては、申請サポート会場とかいろんな措置、コールセンターとかいろんな措置がとられてきたんですけれども、是非ともこの動画、これに注目をしていただきたいなというふうに思います。中小の経営者の方もやはりスマートフォンを持っていらっしゃいますし、こうした動画を活用していらっしゃいます。やはりこうしたものを活用することによって、今回の制度にしてもコロナ禍の様々な支援制度についても、本当に必要な方に行き渡る、そのためにこうした取組を是非とも展開していただきたいんですけれども、大臣の所見をお願いいたします。

#55
○国務大臣(梶山弘志君) 委員御指摘のとおり、動画を含めた制度利用者の特性に応じた広報を行う必要があると考えております。必要な事業者の方がしっかりと支援策を利用できる環境を整備することが重要と認識をしております。
 この一連のコロナ禍での支援策につきましても、そういう御要望もいただきまして、都度改善を図っているところでありますが、より丁寧にしようとすることが逆に複雑化している場合もあるような気がいたしますので、簡潔に分かりやすくということで、それをモットーに考えてまいりたいと思っております。
 今回の法改正では様々な措置を講じていますけれども、グリーン、デジタルに関する税制支援等については、申請する企業からの事前相談を受けながら計画を作り込んでいくことになるために、各業界団体単位できめ細かな説明を行うとともに、地方単位での説明会の開催なども行ってまいりたいと思っております。
 また、ベンチャー企業支援については、ベンチャー企業が加入する団体、コワーキングスペースでの説明会なども実施をしてまいりたいと思っております。このほか、中小企業支援については、商工会、商工会議所などの商工団体を通じるほか、市町村などと連携してきめ細かく周知をしてまいりたいと思っております。制度利用者に応じた周知に努めてまいりたいと思っております。
 また、コロナ禍における補助金等の広報についても、一時金については、一時支援金については、制度の概要をまとめたチラシを登録確認機関を含めた団体に設置をすること、そして事業者の方々が申請しやすいように詳細な申請手順を印刷可能な形でホームページに掲載をすることなど、事業者の立場に立った分かりやすい広報に努めているところであります。
 今委員から御言及のありましたJ―LODliveにつきましても、申請手続に関する動画を補助金事務局のトップページに表示できるように変更するとともに、一対一の個別相談会を継続して実施するなど、事業者が申請しやすい環境整備をしてまいりたいと思います。
 引き続き、必要な方に必要な支援をお届けできるよう、事業者の立場に立った分かりやすい広報に努めてまいりたいと思いますので、何かありましたらまた御指摘をいただければ改善をしてまいりたいと考えております。

#56
○新妻秀規君 今まさに大臣がおっしゃった、この事業者の立場に立った改善を継続的に行っていただければ有り難く存じます。
 続きまして、産業競争力強化法の一部改正についてまずは伺いたいと思います。
 まず、デジタル技術を活用した全社レベルでのビジネスモデルの変革、いわゆるDXの計画、すなわち事業適応計画の認定におきまして、特に重視されるのはどういう要件なのかについて御説明をお願いします。

#57
○政府参考人(新原浩朗君) 御指摘の政策の趣旨でございますけれど、デジタル技術を活用した企業全体の変革を私どもDX、デジタルトランスフォーメーションと位置付けておりまして、そうした取組を後押しするため、この計画の先にDX投資促進税制というものを創設したものでございます。
 これを実現するためには、各事業部門ごとの既存システムの単純な入替えとか、単なるソフトウエアの導入ということでは駄目だと思っておりまして、いかに、先ほどの議論でもあったところですが、新商品、新サービスの開発、あるいは新たな生産、販売方式の導入を通じた経営改革を進めていくか、実現していくかということがポイントだと思っております。
 このために重要な要件としては、第一に、社内外とのデータ連携が容易になり、また、全社的な経営の視点での改革を進めるために、クラウド技術の活用とかDX認定の取得といったデジタル要件を定めております。二つ目に、経営戦略の変革を促すために、取締役会での議決をした上での全社的なDXの計画の策定、これ企業変革要件といっていますが、そういうものを要件として定めているところでございます。

#58
○新妻秀規君 次に、新たな日常に向けた事業再構築に関する事業者の事業計画認定制度の創設等について伺います。
 この事業適応計画の認定において、事業再構築に向けた投資を促すためにどのような制度設計になっているのか、御解説お願いします。

#59
○政府参考人(新原浩朗君) 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた厳しい経営環境の中でも、事業再構築を進める、それに向けた投資を取り組んでいく方々を支援したいというのが趣旨でございます。
 このため、この法案では、赤字でもカーボンニュートラルとかデジタルトランスフォーメーション、あるいは事業再構築に向けた投資を行う企業に対して、繰越欠損金の控除上限額を、原則二〇二〇年度と二〇二一年度のコロナ禍で生じた欠損金については、最長五年間、現行の五〇%から最大一〇〇%まで引き上げることとしているところでございます。
 御指摘の要件でございますが、この際、対象となるものとして、研究開発投資、それから有形無形の固定資産投資、それから企業の合併、買収その他戦略的取組への出資、それから人的投資、構造改革投資といった事業再構築に向けた投資を対象とするということで、この辺についてインセンティブを掛けていきたいというふうに思っております。

#60
○新妻秀規君 次は、プロジェクト型の規制のサンドボックス制度の恒久化について伺います。
 まず、外国での広報活動の取組と外国企業の制度の活用について伺います。
 この参議院経済産業委員会における生産性向上特別措置法案に対する附帯決議、これ、三年前の五月十五日、二〇一八年のことでありましたけれども、この附帯決議には、海外の事業者の革新的な技術やビジネスモデルの実証実験を誘致するため、海外での広報活動にも積極的に取り組むこと、このように記されております。
 この留意事項に関して政府はこれまでどのような取組を行ってきたのか、また、外国企業の活用状況はどのような状況にあるのか、答弁をお願いします。

#61
○政府参考人(新原浩朗君) 御指摘のとおり、附帯決議がございまして、サンドボックス制度については、国内事業者のみならず、海外の事業者による制度の活用を支援するために幾つかの対策を講じてまいりました。
 一番目に、ジェトロの、海外企業からの相談窓口をジェトロに位置付けまして、英文での情報、英語での情報発信を行ってまいりました。それから第二に、外国企業とか外資系企業を対象とした対日投資セミナー、あるいは国際的なオンラインイベントなどの開催の機会に、このサンドボックス制度について制度紹介を行ってまいりました。それから第三に、日本政府の英語版の動画チャンネルがあるんですが、そこでのこのサンドボックス制度の紹介、あるいは外国メディアなんかについても積極的にインタビューに答えるという形で取材への協力を行ってまいりました。ということでございます。
 実際にも、このサンドボックスの窓口に、国内だけではなく、外国企業からの実際に相談を受けたケースは結構な数出ております。残念ながら、認定を受けた二十件の実証計画の中に事業者として外国企業は含まれていないんですけれども、今後とも制度の周知徹底に取り組んで、そういう外国の事業者についても相談にきめ細かく対応してまいりたいと思っております。

#62
○新妻秀規君 そうですね、是非とも活用事例が出るように、今おっしゃったような工夫を重ねていただきたいと思います。
 次に、新技術等効果評価委員会について伺います。
 この規制のサンドボックス制度と新事業特例制度の活用による経済全般への効果に関する評価などを行います新技術等効果評価委員会を内閣府に設置することと、この法案でしております。
 この委員会を新たに設置することとした理由は何でしょうか。また、この委員会は、生産性向上特別措置法に基づいて設置された革新的事業活動評価委員会と、役割、権限にどのような違いがあるのでしょうか。また、委員数、メンバー構成をどのように想定し、さらに、この委員会の中立性、公平性、透明性をどのように確保していくのか、答弁をお願いします。

#63
○政府参考人(新原浩朗君) 御指摘のとおり、これまで生産性向上特別措置法において革新的事業活動評価委員会というのを設置しておりました。
 この設置目的でありますが、規制でございますので、各省庁の所掌範囲を超えた大局的な見地から、専門的、独立的な評価に基づく意見を主務大臣に対して述べるというために内閣府に設置したものでございます。
 それで、今般、本改正法案でサンドボックス制度を産業競争力強化法に移管して恒久化いたしますので、この委員会についても産競法に移管し、機能を維持することが必要だと判断をいたしました。
 その際に、産競法には、ちょっと細かい話ですが、事業実施段階の事業者に対して規制の特例措置を適用する新事業特例というものが別途ございます。ここについても、必要に応じてですけれど、委員会の意見を聞くことができるようにしようということになりまして、そうなりますと、新事業についての規定が入りますので、名称を新技術等効果評価委員会に変更したものでございます。
 したがいまして、委員会の役割、機能については基本的に在来のこの革新的事業活動評価委員会を踏襲するというふうに考えておりまして、この委員会については、在来、委員十五人以内で組織し任期一年というふうにした上で、均衡の取れた構成にするとか、直接利害関係を有する議員は審議及び議決に参加させないとか、営業上の秘密を除いて原則として議事の記録、資料は公開するとかいうルールを決めておりまして、これを踏襲していきたいというふうに考えております。

#64
○新妻秀規君 次に、大型ベンチャーへの民間融資に対する債務保証制度の措置について伺います。
 革新的技術研究成果活用事業活動を実施するために必要な資金を貸し付ける業務を行う指定金融機関等とありますけれども、これにはどのようなものを指定することを想定しているのか、また、政府が指定金融機関等を指定することで、じゃ、事業者にとってどんなメリットがあるのか、これについて答弁願います。

#65
○政府参考人(新原浩朗君) ベンチャー企業の資金調達は株式発行によることが一般的でございますが、最近、量産を行う大型ベンチャー企業が出ておりまして、大規模な資金調達が必要なケースが多くなってきております。この場合には融資についても資金調達のニーズがあるというふうに考えております。
 一方で、金融機関側にとってみますと、ベンチャー企業の融資というのは、事業が非常に見通しが不確実で担保能力も少ないと、担保資産も少ないと、リスクが高いということで、一部の事例を除き一般には行われてきませんでした。ということで、今般、新たにベンチャー企業に対する債務保証制度を創設して、そして、この制度の対象となる金融機関を指定するという形にしております。
 これは、一番大きな理由は、ベンチャー企業側にとって、どこに行けばこの債務保証付きの融資が受けられるのかということを明らかにしておくということだと思っておりまして、それが迅速な資金調達の実現につながるものと考えております。
 それから、ベンチャーに対する融資でございますので、ちゃんと金融機関側が継続的にこういう貸付けを行っていただく能力、体制、意思があるかということは確認をさせていただいた上でというふうに考えております。

#66
○新妻秀規君 次に、国内ファンドによる現行の海外投資五〇%規制の適用除外に関してお伺いします。
 この適用除外によって、国内ファンドによって海外企業などのリスクテークを促進してしまうんじゃないか、こういう懸念もあると思うんですけれども、これについて政府の認識はいかがでしょうか。

#67
○政府参考人(新原浩朗君) この規定の趣旨でございますけれども、日本企業と例えばアジアなんかの外国の企業あるいはスタートアップといったところが事業提携とか統合を通じまして日本企業のオープンイノベーションを促進する、つまり、先ほどから議論になっていることは、日本企業のカルチャーを変えて、さらに企業変革の促進をしたり海外進出を促進していくということが目的になっております。
 ということでございますので、この本特例で国内ファンド、LPSといっていますけれども、これの海外投資上限を緩和するに当たっては条件を付しておりまして、日本企業と海外企業との事業提携、統合といった我が国企業が関与するオープンイノベーションを行うことが必要条件としております。
 例えば、国内ファンドに投資をしている日系事業会社とファンドの投資先の海外企業との間での業務提携、あるいは国内ファンドの投資先の日系ベンチャー企業と海外ベンチャー企業とが共同で事業開発を目指すとかというように、高い生産性の実現とか新たな需要の開拓に向けて国外の事業者と日本の事業者が一緒にやることによって日本の競争力強化に寄与することが認められるものに限ってこの大臣認定をすることにしておりまして、外国企業一般に対する投資に対しては上限を緩和しないということにしております。というような扱いでございます。

#68
○新妻秀規君 次に、株式対価のMアンドAにおける株式買取り請求の適用除外について伺います。
 この適用除外について、株主の権利制限じゃないかという声もあるかと思うんですけれども、これについてはどうお考えでしょうか。

#69
○政府参考人(新原浩朗君) 現行の法律では、事業再編計画に従って株式を対価とするMアンドAを行う場合には、MアンドAに反対している買手の企業の株主は、その保有する株式を買い取ることを企業に請求できることとしております。これがありますと、金銭を用いるものですから、金銭を用いずにMアンドAを行うことができるというこの株式対価MアンドAのメリットが減少するという議論がございました。そこで、本法案では反対株主の買取り請求を適用除外といたしました。
 ただ、委員が言われたとおりでございまして、これが株主の権利制限につながらないかという議論は確かにございます。ということで、この法案の中では、反対株主の買取り請求の適用除外について、法律上、当該認定事業再編事業者が金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社である場合に限定している、つまり上場企業に限定しているということでございます。その意味は、上場企業の株主は保有する株式を市場で容易に売却できるということで、株主の利益の配慮の観点からここに限定をさせていただいたということでございます。

#70
○新妻秀規君 次に、日本のMアンドAの環境整備について、課題について伺います。
 中小企業のMアンドAにおいて大きな役割を果たしている機関として事業引継ぎ支援センターが挙げられると思います。ただ、やっぱり認知度がなかなか低いと、また、都道府県によって支援体制にばらつきがあるという、そうした声があって、足並みをそろえてほしいという要望もあります。
 このセンターは、親族内承継を取り扱っていた事業承継ネットワークと統合されて、この四月に事業承継・引継ぎ支援センターとして再出発となりました。これを機に、中小企業に対する情報発信を強力に推進をして、認知力の向上を図り、また中小企業のMアンドAに対する理解の促進をしっかり図っていただきたいと思いますが、どのように取り組まれますでしょうか。

#71
○政府参考人(飯田健太君) ありがとうございます。お答えいたします。
 御指摘のとおり、事業引継ぎ支援センターでございますけれども、今年の四月に事業承継・引継ぎ支援センターと名称変更いたしました。
 この事業引継ぎ支援センターでございますけれども、設立以来十年間で約五千件の成約を実現してございます。特にこの近年、二〇一七年度から二〇年度にかけてはこれ倍増する形になってございます。
 ただ、今委員御指摘ございましたけれども、本センターの認知が十分に広がっていないということも事実でありまして、そういった調査結果もございます。また、MアンドAそのものについての理解もやはりまだまだ進んでいないということもそのとおりかと思います。
 中小企業庁におきましても長年この課題取り組んでいるわけでございます。近年のことだけ少し御紹介させていただきますが、昨年の三月、中小M&Aガイドラインを作成いたしました。MアンドAの基本的な事項を示すとともに、MアンドAの具体例を漫画なんかも交えて解説したハンドブックを作成をいたしました。全国四十八センターを通じて約三万部配布しておるというところでございます。セミナーなども開催しております。
 それから、今統合の話ございましたけれども、センターの統合に合わせまして、今年の四月に親しんでいただけるようなロゴマークみたいなものも作成をしたところでございます。
 また、今年度におきましては、このセンターやMアンドA自体の理解促進に向けて、これまで各センターによる個別の広報活動をやってきたわけでございますけれども、これに加えまして、新聞、ラジオ、ウエブメディアなどを通じた広報活動を全国的に大規模に行ってまいりたいと思っております。
 それから、都道府県によってセンターの活動内容に差があるという、そういう御指摘もございました。今年の四月に取りまとめた中小M&A推進計画というものがございますけれども、この中で、センターの業務のまず標準化を図る、それから、全国十か所の地域本部に中小機構の中小企業アドバイザーを新たに二十五人配置して伴走支援を行うと、こういった活動を通じて本センターの底上げを図るということを行ってまいりたいと思っております。

#72
○新妻秀規君 是非こうしたニーズを踏まえてしっかり更に取組を拡大していっていただければと思います。
 次に、中小企業等経営強化法と地域未来投資促進法の一部改正について伺いたいと思います。
 まず、中小企業から中堅企業への成長環境の整備について伺います。
 中堅企業への成長支援につきましては、二〇一六年に施行されました中小企業等経営強化法で、資本金十億円以下又は従業員数二千人以下を含む中小企業者等が経営力向上計画の認定対象とされました。また、昨年改正されました地域未来投資促進法におきまして、事業の拡大などによって中小企業者の要件を満たさなくなった事業者についても、承認地域経済牽引事業計画の実施期間中最大五年間は引き続き中小企業者であるとみなすいわゆるみなし中小事業者という扱いによって、中小企業信用保険法の特例を始めとする支援措置を受けることが可能になりました。
 この改正案では、規模の拡大を通した労働生産性の向上を図るため、資本金によらない新たな対象類型、特定事業者を創設しまして、従業員のみを基準として支援対象を拡大することとされております。
 そこで、地域未来投資促進法では、現行のみなし中小事業者の規定をみなし特定事業者の規定に改正することによって、この計画の期間中に従業員規模を拡大して特定事業者の要件を満たさなくなっても途切れることなく支援を受けられることとされていますが、こうした規定がない中小企業等経営強化法に基づく支援は、計画期間中に特定事業者の要件を満たさなくなれば打ち切られることとなってしまいます。
 中小企業等経営強化法においてみなし特定事業者の概念を導入し、切れ目のない支援を実現すべきとも考えられますが、そのようにしなかったのはなぜか、お答えください。

#73
○政府参考人(飯田健太君) お答えいたします。
 今御指摘ありましたとおり、昨年成立した成長促進法におきましてこのみなし中小企業者の制度を導入したわけでございますけれども、今回の改正におきましても、ただいま委員から御指摘ありましたとおり、地域経済牽引事業計画の承認を受けた場合には、特定事業者の定義から外れても最大五年間は継続して支援するというみなし特定事業者制度に見直すということにいたしました。
 この趣旨でございますけれども、この地域経済牽引事業計画につきましては、この計画は、主に中堅企業への成長途上にある中小企業の利用が期待されているということでございまして、実態的に最もなじむというか、最も利用される可能性が高いということで判断してつくったわけでございます。
 他方で、今回の改正をきっかけといたしまして、この計画以外の計画の利用を通じて中堅企業に成長するという、その実例が増加してきて、このみなし特定事業者制度のニーズが高まるということも想定されるわけでございます。
 今後の状況を見ながら、こういったことについて適時適切に検討を行ってまいりたいと思っております。

#74
○新妻秀規君 是非とも、現状を踏まえたそうした見直し、必要であれば行っていただければというふうに思います。
 次に、地域未来投資促進法のこれまでの評価と今後の取組方針について伺います。
 この地域未来投資促進法は、二〇一七年、その前身であります企業立地促進法の支援対象が製造業中心となっていたため、製造業の産業集積の形成には一定の効果があった一方で、地域経済への波及効果については十分でなかった、この反省から改正されたという経緯がございます。
 しかし、改正後の地域経済牽引事業計画の承認の内訳も依然として製造業が大多数という状況ですが、これまでの制度についての評価と今後の取組方針について伺います。

#75
○政府参考人(濱野幸一君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、各地域に十分な経済的効果を及ぼす事業を創出するためには、製造業の産業集積のみならず、非製造業も含め観光資源や特産物といった様々な地域特性を活用した幅広い事業を創出することが重要と考えてございます。
 こうした背景の下、企業立地促進法を地域未来投資促進法に改めまして、地域特性を活用して地域に経済的効果を及ぼす事業の創出を支援してまいりました。
 二〇一七年七月の法施行から三年半余りが経過をしました。二〇二一年三月末の時点で承認された地域経済牽引事業計画は二千七百六十四計画となってございます。これらの計画の実施を通じ、少なくとも総額約四兆円の設備投資が生じていると承知をしてございまして、地域の成長発展の基盤強化につながっているものと認識しているところでございます。
 こうした地域経済牽引事業計画のうち製造業に関する計画は約九割を占めてございまして、非製造業に関する計画が少ないことは委員御指摘のとおりでございます。この理由の一つといたしまして、製造業の事業者は企業立地促進法の制定時から制度を活用してございまして、制度の活用方法を十分認識している一方で、非製造業の事業者への制度活用に関する周知広報には課題があると認識をしてございます。
 他方、これまでの法律の運用を通じまして、非製造業の地域経済牽引事業計画も着実に生み出されてございまして、例えば、タクシー事業者と地元のワイナリーが連携をして観光客の一層の誘致に向けた発信強化や観光ルートの創出を行う事業、また、土産物小売業者と地元の日本酒製造事業者等が連携をしまして、地元独自の文化であります日本酒等の魅力を発信する拠点を整備しつつ、土産物などの商品を販売する事業なども存在をしてございます。
 このため、引き続き、全国各地の地方経済産業局が地域に密着しながら様々な業種の活用ニーズを丁寧に聞き取るとともに、非製造業の事業者が制度を活用するイメージを広く浸透させていくための先進事例等を含めまして、積極的な周知、広報に一層努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

#76
○新妻秀規君 今の御答弁、大変重要だと思います。やっぱり、これまで支援制度を使ったことがない人にどうやって知ってもらうかというのは、先ほど冒頭に大臣にも訴えさせていただきましたけれども、動画とかあらゆる手段を通じて、使ったことがない人に是非ともアプローチしていただきたいと思います。要望です。
 次に、従業員を削減する企業が出てきてしまうんじゃないかという懸念について伺います。
 二〇二三年三月末のこの経過措置の期間が終わった後に支援対象から省かれてしまう中小企業者においては、従業員数の条件をクリアすれば得られる特定事業者向けの優遇措置を受けることを目的として常時使用する従業員を減らしちゃうんじゃないか、こういう懸念もあると思うんですが、これについてはいかがでしょうか。

#77
○政府参考人(飯田健太君) お答えいたします。
 御指摘の点につきましては、私どもも法律の策定のプロセスの中でもいろいろ考えたところでございますけれども、実態を見てまいりますと、現状、自分の会社を中小企業に該当させるために従業員を抑制するという傾向は見られません。
 例えば、製造業の中小企業の定義は、中小企業基本法では資本金三億円以下又は従業員三百人以下と、こうなっておるわけでございます。このうち既にその資本金が三億円を超えていて従業員だけで中小企業にとどまっているという企業群の従業員数の分布を確認をいたしましても、例えば従業員基準のすぐ手前の二百九十一人から三百人のところで突出して高くなって止まっているというようなその実態は、傾向は見られていないところでございます。
 こうした観点から、今回、御指摘のように支援措置を受けるために従業員数を減らす企業が出てくるということが基本的に想定されないという前提で、という考えの下にこのような特定事業者の定義をつくったところでございます。

#78
○新妻秀規君 ただ、今後の推移をしっかり見定めていただきたいなということは要望しておきたいと思います。
 次に、制度の変更の周知について伺いたいと思います。
 経営革新計画、経営力向上計画、また地域経済牽引事業計画の、この三つの計画の認定制度の対象から除かれる場合についても、これら三つの計画の認定制度以外の一般的な中小企業者支援策については引き続き対象となるとされています。しかし、事業者の側からすれば、具体的にどんなような支援メニューが活用できなくなって、引き続き使えるメニューは何なのか、ちょっと分かりにくいというそういう懸念もあります。
 支援対象から除外されるこの企業群に対する支援策の在り方の広報、周知、徹底する必要があると思いますが、どのように取り組まれていかれますでしょうか。

#79
○政府参考人(飯田健太君) お答えいたします。
 今御指摘いただきましたけれども、特定事業者に含まれない中小企業につきましても、今やっております事業再構築補助金でございますとか、あるいは通常の日本公庫による融資、信用保証、こういった一般的な中小企業支援策は引き続き活用可能ということで、これは委員の御指摘のとおりでございます。このような支援は引き続きしっかりと継続してまいりたいと思っております。
 その上で、特定事業者から外れる中小企業への影響を緩和するためには、今も御指摘ありましたけれども、二〇二三年の三月末までは引き続き特定事業者向けの支援が受けられるという経過措置を設けてございます。この経過措置の期間をしっかり活用いたしまして、御指摘の広報、周知をきちんと行ってまいりたいと思っております。
 具体的には、これらの考え方や措置事項につきまして、まず、経営力向上計画の認定実務を行っている各業所管省庁の地方支分部局、あるいは経営革新計画や地域経済牽引事業計画の承認実務を行っている都道府県などを通じた周知を行ってまいりたいと思っております。あわせて、各地の商工会、商工会議所等の支援機関からも周知を行ってまいります。
 さらに、中小企業庁では、中小企業向けの国の支援策をオンラインで一括して検索できるミラサポプラスというサイトがございます。この運用をして利用しながら、制度の変更についても積極的に発信してまいりたいと思っております。
 御指摘のとおり、特定事業者から外れる中小企業に正確な情報が行き渡るように、いろいろなアイデアもいただきながら徹底的に周知を図ってまいりたいと思っております。

#80
○新妻秀規君 是非とも丁寧に混乱なく周知をしていただきたいというふうに思います。
 次に、中小企業によるデューデリジェンス、すなわち事業承継前のこの財務状況などの調査について伺いたいと思います。
 経営力向上計画の認定要件にデューデリジェンスの実施を加えることとした狙い、また期待される効果は何なのか、また、この計画についてのみ、経営力向上計画についてのみデューデリジェンスの実施を求めることとした理由は一体何なのか、また、このデューデリジェンスはどのような者に対して依頼し実施してもらうということを想定しているのか、これについて御答弁お願いします。

#81
○政府参考人(飯田健太君) お答え申し上げます。
 MアンドAに当たりましてデューデリジェンスの実施が非常に重要であるわけでございますけれども、なかなか中小企業のMアンドAで掛けられるコストが限界があるといったような理由でデューデリジェンスを十分に行えない、行ってもなお簿外債務などが発生するリスクというものは認識されておりまして、これが中小企業のMアンドAが進まない一つの要因とも言われております。
 このため、本法案では、MアンドAを実施した後の損失を回避するために行うデューデリジェンスを経営力向上計画へ記載できることといたしまして、その計画の認定を受けた場合には、信用保険や債務保証の対象になったりでございますとか、あるいは準備金を積み立ててその金額の損金算入を可能とするというような措置を講じております。
 この経営力向上計画についてのみデューデリジェンスの記載を認めるということにした理由でございますけれども、MアンドAにより取得した経営資源を活用するということが経営力向上を図る重要な手段であるということに加えて、MアンドAというものは規模拡大ですとか成長促進ですとか事業承継ですとかもう多様な目的のために活用されるわけでございますけれども、これになじむという計画ということで見ますと、この経営力向上計画というのは、経営能力の強化それから経営の向上を図る事業活動を広く対象にしてございます。中小企業の成長を促進する基本的な計画認定制度ということとして広く活用されることを想定しておりますし、実態的にもそのようになってございます。こうしたために、この計画に位置付けるということにしたわけでございます。
 それから、デューデリジェンスの実施の主体でございますけれども、財務や法務などの分野ごとに実施されることが一般的だと承知しております。したがいまして、税理士や公認会計士、弁護士などのそれぞれの分野の専門家に依頼して実施することを想定しております。こうした専門家の方々の活用に要する費用の一部を補助する補助金も併せて措置しているところでございます。

#82
○新妻秀規君 それでは、最後の質問に参ります。
 下請中小企業振興法の一部改正について、振興事業計画の承認制度の改善について伺います。
 この振興事業計画の承認実績は、一九七〇年、もう五十一年前ですか、の法施行以降、十二の計画にとどまっています。船舶関係が十件、自動車の部品関係が二件、こういう低調な状況にあるわけです。この原因をどのように分析されているのか。また、この乏しい活用実績にあるこの振興事業計画を廃止することとしなかったのはなぜなのか、またこの計画制度を続けるメリットをどのように考えていらっしゃるのか、御答弁をお願いします。

#83
○政府参考人(飯田健太君) お答え申し上げます。
 振興事業計画、下請振興法の振興事業計画でございますけれども、元々の趣旨でございますけれども、親事業者と下請事業者とが一体となりまして下請事業者の施設又は設備の導入、あるいはその共同利用施設の設置、技術の向上及び事業の共同化など下請中小企業の振興に関する事業を行う場合に、親事業者と下請事業者が計画を作成、申請し、主務大臣の承認を受けることによって、計画を作成した中小企業者が金融支援措置を受けられるなどの制度でございます。御指摘のとおり、一九七〇年の法制定以来、十二件の承認実績というふうになってございます。
 これ、この計画の作成なんですけれども、現行法におきましては、その事業協同組合その他の団体が行うこととされてございます。他方、近年、親事業者と下請中小事業者との取引において見受けられる課題、具体的には支払サイトの短縮の問題でございますとか現金化、それから金型の廃棄の問題、こうしたことにつきましてはその親事業者と個別の中小企業者との取引における課題でありまして、この団体による計画の作成、承認になじまない状況になっているんじゃないかというふうに考えております。
 そのため、本改正によりまして振興事業計画の申請要件を見直して、組合などの団体によらず単独又は複数の下請事業者でも親事業者と協力して振興事業計画の作成を行うことと、可能といたしました。先ほど申し上げました振興事業計画の内容自体は今日でも通用するというか、必要な措置だと思っております。
 それから、加えまして、振興事業計画の使い勝手の改善という観点からは、支援策の方も充実させることにいたしました。従来は、中小企業信用保険法の特例として流動資産担保保険の付保限度額の別枠等などの特例措置の支援策を講じていたんですけれども、流動資産を担保とする場合には不動産などと比べて資産価値に対する担保評価が低いといった、こういった課題が指摘されております。したがいまして、新たに普通保険、無担保保険、特別小口保険などの付保限度額の別枠などの特例措置も追加することといたしました。
 こうした措置によりまして、下請中小企業などに資金ニーズの存在する早期代金支払のための支払サイトの短縮、受発注システムの整備、金型の保管料、廃棄料の支払、金型情報のデータベース化、システム化などが一層進むことが期待されております。こうした措置によりまして、引き続き振興事業計画制度の利用促進を図ることによりまして、下請中小企業が親事業者の協力を得て取引適正化の課題を解消していけるように促してまいりたいと思っております。

#84
○新妻秀規君 御答弁ありがとうございました。
 やはり、時代は本当に急速なピッチで動いていますので、この制度も常にやっぱり継続改善が求められているんだろうなというふうに思います。私どもとしても、またそうした声、キャッチしまして、またしっかりお伝えをしていきますので、制度の更なるブラッシュアップと、また分かりやすい広報に是非とも努めていただきたいということを重ねてお願い申し上げまして、私からの質問といたします。
 ありがとうございました。

#85
○石井章君 日本維新の会、石井章でございます。
 産業競争力強化法の一部を改正する法律案について御質問したいと思います。
 今回の法案は束ね法案で、一把からげての法案ということで認識しておったんですけれども、今回の中身を見ますと、非常に一本一本が、中小企業の方々に浸透すれば非常に、今GDPも下がっています、コロナの中で下がっていますけれども、これがばねになって、しっかりこの法案が浸透すればまた経済状況が良くなるというような思いを持ちながら、今、新妻先生の質問などに対して、いろんな項目の質問をしました、丁寧な答弁だったので非常に勉強になりました。ありがとうございました。
 それでは、中小企業の設備投資の促進ということから質問に入りたいと思います。
 まず、先週の参考人質疑につきまして、学習院大学の滝澤教授からは、日本の労働生産性はG7で最下位であるというような御説明がありました。その原因の一つとして、企業の投資が停滞し、設備の老朽化が進んでいるということであります。その上で、生産性を向上させるためには新しい技術を取り入れた設備投資の促進が肝要だと強調されておりました。また、川口の商工会議所の伊藤参考人は、売上げが上がることが見込まれないときに設備投資を行うのは中小企業にとって容易でないといった旨の御意見があり、将来の日本産業の復興のためにはこうした部分にこそ政府の支援が必要であると痛感したわけであります。
 今回の法律案では、先端設備等導入計画の制度が生産性向上特別措置法から中小企業等経営強化法に移管されて恒久化されます。中小企業が労働生産性の向上や設備投資などの計画の認定を受けることで財政支援や税制優遇などが受けられますけれども、このうち、投資した設備の固定資産税の減免期間は令和四年度末までで、時限措置となっております。
 そこで、質問したいと思いますけれども、先端設備等導入計画には一・五兆円分の設備投資が盛り込まれておりますが、更に固定資産税の減免について恒久化することも検討してはどうかと考えます。
 また、政府は、この先端設備等導入計画やものづくり補助金、さらには事業再構築補助金などによって中小企業の前向きな設備投資を促そうというもくろみだと思いますが、それがしっかり中小企業まで届けば効果が出ると思うんですけれども、そこになかなか、直球勝負で効果が出るのかどうか、その辺が難しいかなと思います。
 そして、中小企業の積極的な未来への投資を後押しするために、本法案も含めてあらゆる政策を総動員することが求められると考えますが、大臣の御見解をお伺いします。

#86
○国務大臣(梶山弘志君) 御指摘の先端設備等導入計画に基づく固定資産税の特例は、本計画に基づく設備投資について、市町村の判断により、新たに投資される設備に係る固定資産税を三年間に限って最大でゼロにするものであります。平成三十年六月に施行されて以来、令和二年度末までに五万件超の計画を認定し、約一・六兆円の設備投資が見込まれているところであります。
 一方で、固定資産税は市町村財政を支える重要な基幹税でありまして、税収の安定的な確保が重要であることも事実であるため、本特例措置の恒久化等には慎重な判断が必要であると承知をしております。
 ただし、多くの中小企業等が新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中、事業再構築を含め、生産性向上に向けた新規投資を切れ目なく支援するために、適用対象に事業用家屋と構築物を追加した上で、適用期限を令和四年度末まで延長していることは強調させていただきたいと思います。
 経済産業省としては、本税制だけでなく、ものづくり補助金を始めとする中小企業生産性革命推進事業や事業再構築補助金など様々な支援策を講じているところであり、引き続き中小企業等の前向きな設備投資を全力で支援をしてまいりたいと考えておりますが、結局、需要をつくるということ、設備投資をしっかりと促進をしていくということでありますから、委員のお考えも含めて、いろいろと総動員で考えてまいりたいと思っております。

#87
○石井章君 ありがとうございます。
 固定資産税については国の方で指定した額もありますけれども、実は各市町村で、固定資産税の優遇面は固定資産税審議会で、新たな企業が設備投資をした場合に、例えば三年間減税する、あるいは五年間やると、これは各市町村で決めております。ですから、そういったものの呼び水になればいいかなと思います。
 そこで、本法律案は、脱炭素化投資に係る部分に利子補給の規定が措置されていることをもって予算関連法案として位置付けられております。利子補給は初年度、令和三年度は二億円が措置されておりますが、その積算の根拠をまずお伺いしたいんですが、そして、令和四年度以降も利子補給に関する予算を計上する必要が出てくると思われますけれども、令和四年度以降の必要額の見通しについて、副大臣、御答弁願えますか。

#88
○副大臣(江島潔君) まず、この本法律案で創設をする利子補給制度でございますけれども、これ、事業者の中長期的な環境対応を促すための融資手法であります、このサステナビリティー・リンク・ローンの国内市場における足下の実績を参考にさせていただきまして、一件当たり二百五十億円の融資規模、そして年間で十六件の事業を支援をするということを想定をしているものであります。
 令和三年度についてでありますけれども、これは法律の施行のタイミングを勘案しまして、半年間で八件の事業を支援をすることを想定をしております。二千億円の融資に対しまして〇・一%の利子補給を半年分行うために必要な金額としては一億円を予算計上をしております。また、本制度を運用するためには、日本政策金融公庫において長期にわたる融資を管理するためのシステム整備を行う必要がありますので、この政策金融公庫に対する予算としてのそのための経費を一億円を計上しまして、合計二億円を本制度のための予算としてこの令和三年度に計上しているものであります。
 令和四年度以降についての御質問でございますが、今申し上げましたように、この令和三年度は二千億円規模、そして令和四年度、令和五年度はそれぞれ、フルの年間ですから、四千億円規模、合計でこの三年間で一兆円規模の融資に対しての利子補給を行うことを想定をしております。
 今後必要となる毎年度の予算額でありますが、これは、実際に支援対象となるこの融資の規模、あるいは融資期間などによって異なってきますので、現時点においては明確にお答えすることは難しいという状況です。仮に全ての融資が十年間の融資期間であることなどの一定の想定の下で計算をいたしますと、最大で毎年度十億から二十億円程度の予算が必要になるかと想定されます。

#89
○石井章君 ありがとうございます。
 続きまして、カーボンニュートラル実現への事業適応計画の認定は誰がどのように行うのか、また、計画には炭素生産性を向上させる方法など企業の重要情報が含まれる場合も多く、その取扱いには注意が必要と思われますけれども、この点についてお伺いいたします。

#90
○副大臣(江島潔君) 今回創設をされますこの事業適応計画の審査、それから認定でありますが、計画に記載された事業の分野に応じてその事業を所管する大臣が行うという仕組みになっております。そのため、今御指摘いただきましたこの事業適応計画の審査に際しまして得られた情報ですが、所管大臣の監督の下で国家公務員法上の守秘義務が掛かった各省庁の職員が適切に取り扱うということになります。したがいまして、この審査事務を民間委託をするというようなことは予定をしておりません。
 また、したがいまして、この企業の重要情報が含まれている場合であっても、この守秘義務が掛かった各省庁の職員のみで審査を行うことによりまして、機密保持が保たれるようになっております。

#91
○石井章君 ありがとうございます。
 続きまして、中堅企業への成長促進ということで、その分野で質問したいと思います。
 本法案では、中小企業の中堅企業への成長促進を支援するために、特定事業者という新しい支援対象を設けておりますが、特定事業者には資本金の額の条件がなく、従業員の数が基準となっております。例えば、製造業であれば従業員五百人以下ならば特定事業者とされます。そして、中小企業等経営強化法における中小企業等の本業の磨き上げを支援する経営力向上計画と新事業への挑戦を応援する経営革新計画、さらには地域未来投資促進法における地域経済牽引をする中小企業等の創出を目指す地域経済牽引事業計画について、それぞれの対象を特定事業者とすることにしております。
 そこで、経営力向上計画、経営革新計画、地域経済牽引事業計画の三つの計画制度に限って支援対象を中小企業者から特定事業者に変更することとしたその理由についてとその意義についてお伺いします。また、一部の補助金についても対象を特定事業者とすることを検討しているということでありますけれども、どのような補助金を想定しているのか、お伺いします。

#92
○副大臣(江島潔君) もう委員御案内のとおりでありますが、この現行の中小企業者の範囲というのは、まず資本金とそれから従業員、これを用いて課してあるわけでございます。例えば製造業の場合には、資本金三億円以下又は従業員が三百人以下のいずれかの要件を満たせば中小企業という定義に当てはまるわけであります。この中で、中小企業からこの中堅企業に成長した企業の多くが、まず、この資本金を増加させつつ事業拡大していって、そしてその上で従業員を増加させるというルートを取っているわけであります。
 したがいまして、この本法案では、このような規模拡大パスに沿って成長する企業を応援をする制度として、この特定事業者という新しい支援類型を創設をしたところであります。この特定事業者は、まずこの資本金基準によらずに、中小企業の定義よりも従業員基準を引き上げた支援類型でというふうになっております。
 中小企業の成長を支援をするこの計画認定制度でありますが、委員がお示しをいただきました、昨年成立したこの成長促進法におきまして、成長段階に応じて地域経済牽引事業計画、それから経営革新計画、そして経営力向上計画のこの三計画に整理統合をしております。今回創設したこの特定事業者は中小企業の成長を応援する制度であることから、これらの三計画の支援対象を中小企業者から特定事業者に変更をするものでございます。
 このような支援処置をとることによって、昨年の七月に閣議決定された成長戦略フォローアップに盛り込まれております中堅企業に成長する企業が年四百社以上というこの目標達成に向けて、中小企業のこの前向きな取組が促されるものと考えています。
 また、この補助金についての御質問でございますけれども、今申し上げましたこの年四百社以上、この中堅企業を成長させるという目標達成をするために、本法案で処置する金融支援に加えましてこの補助金による支援も有効だと考えております。既に事業再構築補助金では資本金十億円未満の中堅企業を支援をしているところでありますが、これに関連しまして、今現在どのような補助金について支援対象を中小企業者から特定事業者に変更するかについては検討中というところでございます。

#93
○石井章君 ありがとうございます。
 特定事業者として新たに支援対象となる企業の数が大体五千七百社という報道もあります。また、それが正しいのかどうか、そして特定事業者としての新たに支援対象となる中小企業は、今回の改正によって、資本金の額では中小企業でありますけれども、先ほどおっしゃったように、従業員の数などによって三つの計画制度の対象外となる事業者の方もあります。それらの見込み数について具体的な数、特に業種別にもし教えていただければ有り難く思います。また、特定事業者に該当しない企業に対する支援策について御説明お願いします。

#94
○副大臣(江島潔君) 平成二十八年度の経済センサスによりますと、今回の改正によって新たに支援対象に含まれるのは、全業種で見ると、委員御指摘のとおり約五千七百社となります。業種別に申し上げますと、製造業、建設業、運輸業等では約八百社、それから卸売業で約千社、サービス業で約二千三百社、小売業で約千六百社、このようになっております。
 また、対象に含まれないことになる中小企業は、全業種で見ると四千八百社ございます。こちらも業種別で申し上げますと、製造業、建設業、運輸業で約千二百社、卸売業で約三百社、サービス業で約千九百社、そして小売業で約千四百社というふうになっております。
 また、特定事業者の対象に含まれないこととなる中小企業も、二〇二三年の三月までは特定事業者向けの支援を受けられることを、これを経過処置として設けております。
 また、今後、この特定事業者に該当しない中小企業に対する支援策についての御質問も頂戴しましたが、この特定事業者という仕組みは規模拡大のパスに沿って中堅企業に成長する企業を応援するという、こういう趣旨の制度でありまして、規模拡大に資する支援策に限って適用するというのが今回の仕組みとなっております。
 したがいまして、取引の適正化、それから事業継承支援とか、それから災害・危機対応といった規模拡大以外を目的とする中小企業支援策も当然ながらたくさんメニューがございます。このような支援策については、引き続きこれは中小企業者を対象としておるところであります。このため、この特定事業者の対象から外れる中小企業者であっても、例えば事業再構築補助金、それから通常の日本公庫による融資や信用保証などなどの一般的な中小企業支援策につきましては引き続き活用いただくことが可能となっています。
 このような制度の変更について今後も積極的に発信をしていきまして、利用者の皆様への周知を図っていきたいと考えております。どういうことをするかといいますと、例えば地方経済産業局における説明会を開催をしたり、あるいは、全国の商工会、商工会議所等の支援機関へのチラシの配布、それから、先ほどもちょっと出ましたが、中小事業が目的に応じた各省の支援策を一括で検索できるミラサポプラスというサイト、これへの掲載、これらの手段を総合的に活用しながら積極的な情報発信を行ってまいりたいと思います。

#95
○石井章君 ありがとうございます。
 今、江島副大臣がおっしゃった中には、事業再構築の補助金が一兆二千億前後ぐらいで予算が措置がされています。ずっとこれ、一月頃からやるぞやるぞ、出るぞ出るぞと言っていたんですが、なかなか型が決まらなくて、出たのが遅くて、五月の連休明けまでシステムダウン等も含めて掛かってしまったと。
 しかし、これはある意味、最初、中小零細事業者の皆さんが今回のこの再構築は、まあ茨城弁で言えばですよ、おらっちは無理だなとかですね、うちの企業は無理だっぺって言っているところが多かったんです。ところが、だんだんだんだんやっていくうちに、調べていくうちに、いや、従業員五人ぐらいの会社でもやり方によっちゃ、コロナで売上げが減っているということが前提でありますが、これはしっかり利用できると。しかも、一回、二回、三回、四回ぐらいまではしっかり、振り落とすだけが仕事じゃなくて、振り落としたらまたもう一回挑戦してもらえるという気持ちが梶山大臣にはあるということなので、大臣のお膝元の茨城県は、日立は大企業が多いですけれども、日立から左の常陸大宮とか大子の方は中小零細企業が非常に多いところでありますから、そういったところの人たちもしっかり、ああ、あれは工業団地の人たちが利用するもんじゃなくて我々も利用できるんだという気持ちになってきているんですね。
 これはやっぱり、一つには、資金の需要に関しても、足下を見ながら、しっかり、政府系金融機関のコロナ禍の資金もしっかり国民の皆さんに使ってもらおうということで、十二月まで大臣の英断で延ばしていただきました。そういったことも含めて、ああ、国はちゃんと我々見ていてくれるんだなと。しかも、再構築など、これはすばらしい中身です。ですから、そういったことを含めて、国民に期待の持てる、今回の法案はこれで質問は終わりなので、梶山大臣に御見解をお伺いしたいと思います。

#96
○国務大臣(梶山弘志君) まず、今、石井委員がおっしゃったように、今回の制度を利用していただくには、地域の認定支援機関、特にやっぱり金融機関の働き場所だと思うんですね。地域の実情を知っている金融機関を始めとする認定支援機関がしっかりとこの制度を理解をした上で、また事業者に対する周知ということも、そして一緒に歩んでいくということも大変重要なことだと思っております。
 そういったことも含めて、生産性を上げていくチャンスだと思いますので、是非御利用いただきたいと思いますし、今複数回ありますので、しっかりふるった後にもしっかりまた下にふるいがありますから、そこで残れるようにしっかりみんなで頑張っていただきたいと思っております。

#97
○石井章君 ありがとうございました。終わりにします。

#98
○委員長(有田芳生君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会

#99
○委員長(有田芳生君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、今井絵理子さん及び阿達雅志さんが委員を辞任され、その補欠として舞立昇治さん及び宮崎雅夫さんが選任されました。
    ─────────────

#100
○委員長(有田芳生君) 休憩前に引き続き、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#101
○浜野喜史君 国民民主党の浜野喜史でございます。御質問をさせていただきます。
 経済産業の安定発展に大切な電力の安定供給についてお伺いいたします。
 経済産業省は、今年の夏、冬は電力需給が厳しくなるとしております。五月にこうした発表があった際、私は少々驚いたというのが正直なところでございます。
 五月二十五日に開催されました総合資源エネルギー調査会電力・ガス基本政策小委員会におきまして、近年、火力発電の休廃止が相次いでいること等により供給力が減少していることが理由であるとの説明がありました。その背景には、卸電力市場の取引の拡大及びFITで支援する再エネ電気の量の拡大に伴い、取引価格が低迷し、発電事業をめぐる事業環境が悪化しているということが挙げられております。
 そこで、お伺いいたしますけれども、この二つの事象ですね、卸電力市場の取引の拡大、そしてFITで支援する再エネ電気の量の拡大がなぜ取引価格の低迷につながっているのか、御説明をいただきたいと思います。

#102
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
 近年、卸電力市場の市場取引が拡大してございまして、現在、電力需要全体の約四割に達する状況でございます。先ほど委員から御質問ございましたこの価格低下との関係でございますけれども、まず、卸電力市場が拡大、活性化すること自体は、自由化された市場に参入する新電力等の電力調達が容易になっていくという意味で役割はあるわけでございますが、同時に、その発電事業者がより競争的な価格での電力販売、市場への供出ということを可能にすることになるわけでございまして、このことが更にこうした活性化を促すために、我が国における大半の発電所を保有する旧一般電気事業者の方々が、余った電力の全量を原則限界費用ベースで市場に投入する自主的取組を実施しているということも承知しているところでございます。
 このような形で競争的な価格での電力、電気というものが市場に供出されていくということが自由化によって進められてきていることによって市場が拡大し、同時に価格の低下が起こっているという、これがまず第一にあると存じております。これに加えまして、委員も御指摘がございましたように、再エネの拡大ということが、これに拍車といいますか、更に後押ししているものだと考えてございます。
 近年、FIT制度で買い取られて急速に導入拡大が進んでおります再エネでございますけれども、これは燃料を投入することなく限界費用ゼロで市場に提供することが可能なものでございまして、また、FIT制度の下で送配電事業者によって買い取られました再エネというものは卸電力市場に〇・〇一円パー・キロワット・アワーという下限値で提供されることになるわけでございます。こうした非常に安価な形で市場供出が可能なFITをベースとした再エネの電気というものが多数国内に発電されているということが、更に市場が安い状況になっていると。
 こうしたことから、近年では、春とか秋とか気候が温暖で電力需要が小さい時期においては市場価格が、こま単位で申し上げますと、昨年でいうと二百六十六こま〇・〇一円のこまが生じているというように、全体としての価格の低下につながっているというふうに認識してございます。

#103
○浜野喜史君 御説明いただきましたとおりなんですね。正確に御説明いただいたというふうに思います。
 その上で、ちょっと重複いたしますけれども、私なりの表現を加えて実情を御説明させていただきますと、新電力が約七百者参入しておられます。そのうち五百者ほどがビジネスを実際問題されているというところでありますけれども、そのほとんどは電源を持たずに、主に卸取引市場で電力を調達して顧客に販売をしておられます。これが成り立っておりますのは、大手電力が自らの顧客に供給する電力を除き、余力の全量を限界費用で卸取引市場に供出しているからであります。
 限界費用ということは、燃料費だけで、資本費、人件費は算入を認められておりません。電力自由化を成り立たせるために、まあ自主的取組というふうに松山部長はおっしゃいましたけれども、こうした対応が大手電力に実質的には求められていると、こういうことになります。
 加えて、これも御説明いただきましたとおりですけれども、一般送配電事業者は義務として固定価格、FITで買い取った再エネ電力を卸電力市場で必ず売る必要があるために、実質的に値段は付けずに、いわゆるゼロ円入札を行っております。これが松山部長がおっしゃった〇・〇一円での入札ということになるわけであります。言わば、値段を問わない入札を行っているということになるんだろうと思います。大手電力からの燃料費だけで格付けされた電力とFIT電力の大量のゼロ円入札で、卸取引所で約定される価格は低位に引き付けられる傾向があります。
 こうした中で、大手電力からすれば、稼働率の低い設備を保有し卸取引市場に電力を供出することは、資本費を回収できないという負担が継続することに加えて、新電力との競争条件を悪化させることから、経営としては合理的な行動とならないということになります。稼働率の低い設備の休廃止が経営として合理的な対応となる、こういうわけだと思います。つまり、電力システム改革、電力自由化、再生可能エネルギー大量導入の当然の帰結が今年の夏、冬の厳しい需給見通しであると、こういうことが言えるんだろうと私は思っております。
 電力の安定供給を確保するための対策を措置せず、システム改革を推進したことに問題があったのではないかというふうに考えますけれども、御見解をお伺いいたします。

#104
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
 この電力システム改革、自由化でございますけれども、これも年を重ねて様々な形で実施してまいってきてございますが、これは低廉でかつ多様な電力サービスを実現するために競争というものを通じた形で促進していくためのもので、これは大変重要なものだというふうに考えてございます。また、先ほど御説明申し上げた、背景にございます再生可能エネルギーの導入ということにつきましても、電力部門の脱炭素化というカーボンニュートラルに向けた目標を実現していく上では大変重要なものだと考えているところでございます。
 一方で、委員御指摘のございましたように、競争の促進ということ、そして同時に、天候とか日夜によってその出力が変わってしまいます再生可能エネルギーの導入ということが与える、市場に対する若しくは電力需要に対する影響というものもあるわけでございます。
 この進み行く改革の実施の状況に応じまして、この大前提となります電力の安定供給、そのためのシステムの在り方ということについては、私ども電力需給の検証をしっかりと毎度毎度行っていきつつ、その稼働率の低下に伴って必要となります、中長期的に必要となる供給力や調整力を確保するための容量市場の導入といった様々な改革措置を努めてまいったところではございます。
 一方で、御指摘ございましたように、先般広域機関から発表されました夏、冬の電力需給の検証においては、近年の火力の休廃止の拡大等によって安定供給の懸念が生じ得る状況というような見込みもあるところでございます。梶山大臣からは早急に対策を取りまとめるよう指示を受けているところでございまして、五月二十五日の審議会において必要な対策の方向性を取りまとめたところでございます。
 本来、電力事業というものは、電力市場というものは自由な形で事業参入、運営を行って、多くの事業者の方々の参入を促す状況にすることが適当であるわけでございます。一方で、安定供給、同時に事業の状況というものが継続的に実施できていくようにするために、その状況に応じた形での改革ということは努めてまいらなければならないと思っているところでございまして、御指摘ございましたような卸市場の価格の大幅な下落と市場取引の拡大という状況に鑑みた際の必要な供給力の確保のための対策、これを今の段階において追加的に講じ、課題に対処していかなければならないと、こういうことでしっかりと対応を進めてまいりたいと考えてございます。

#105
○浜野喜史君 御説明あったように、追加的な対策ということなんですけれども、本来であれば、こういうことが検討されて措置された上で、やはり電力システム改革を進めていくということがやはり本来の姿であったのではないかということは指摘をせざるを得ないというふうに思います。
 その上でお伺いいたします。五月二十五日の電力・ガス基本政策小委員会において示されました二〇二二年度以降に向けた構造対策の基本的考え方の中で、短期的対策として電源の退出防止が挙げられております。この電源退出防止ということの名の下に、先ほど申し上げたような経営としての合理的な対応が否定されるようなことはあってはならないと私は考えるんですけれども、大臣の見解をお伺いいたします。

#106
○国務大臣(梶山弘志君) 自由な市場における競争を通じて、事業者が経営努力で効率化、合理化を進めることで電力コストの最大限の抑制に努めることは重要なことだと考えております。発電部門については一九九五年に参入を自由化し、さらに電力システム改革による競争の促進等を通じてこうした効率化を進めてきたところであります。
 しかしながら、こうした競争の進展の結果、昨今、卸電力市場価格が長期的に低減傾向となり、発電をめぐる事業環境が悪化し、火力発電等が多数休廃止するに至っております。経年火力が増加する中で、供給力不足の懸念は今後も継続する見込みであり、過度な電源退出を防止する仕組みを検討しているところであります。
 具体的には、二〇二四年度以降における容量市場の創設に加えて、国において休廃止が予定されている電源を確実に把握するための調査を行い、電力の安定供給に与える影響を評価し、電力需給上問題が生じる場合には電源維持費用を支払う仕組みの制度検討に着手をしたところであります。
 自由化された市場の中において、基本的には、発電事業の休廃止の判断についても各発電事業者の経営判断の一環として行われるべきものと考えております。一方、競争を通じた効率化を追求するに当たっても、電力の安定供給を確保することは大前提です。こうした公益的課題にどう対応していくのか、規制、インセンティブ双方からどのような対策が望ましいのか、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

#107
○浜野喜史君 答弁いただきましたように、仮に退出の防止ということを要請するようなことになれば、適切な補償ということについても検討いただいているということであります。是非、それはもう当然のこととして検討をお願いしたいと思います。
 同じく、五月二十五日の電力・ガス基本政策小委員会において示されました基本的考え方の中で、長期的対策として、新規電源投資についての長期間固定収入を確保する仕組みの導入というものが挙げられております。極めて重要な検討課題だというふうに理解をいたしております。検討の進め方、方向性につきまして御説明をいただきたいと思います。

#108
○国務大臣(梶山弘志君) 電力市場が自由化された中で、取引価格が不安定となり、発電事業者にとって長期的な投資回収の予見可能性が低下することから、近年、発電所の新規投資が停滞をし、設備年齢も高経年化しているというのが現状であります。持続的な電力の安定供給を確保しつつ、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現していくためには、老朽電源に依存し続けることは困難であることから、脱炭素化を前提として電源の新規投資を促進していく必要があります。
 このため、三月に開催されました資源エネルギー庁の審議会において、現行の容量市場とは別に、二〇五〇年カーボンニュートラル目標と安定供給の両立に資する新規投資に対して長期間固定化した容量収入を得られる仕組みをお示しし、委員からおおむね賛同の御意見をいただいたところであります。こうした電源投資を促進するための制度としては、昨日に開催されました審議会において議論の中間取りまとめ案が了承されたところですが、今後、制度の具体的な対象、建設リードタイムの考慮の方法などについて検討していくことになりますが、引き続きスピード感を持って検討してまいりたいと考えております。

#109
○浜野喜史君 卸電力市場の価格の低下や稼働率の低下によりまして電源の維持管理の費用が困難になっているという、こういう状況を考えれば、電源の新規投資はかなりハードルが高くなっているものと推察をいたします。新規投資につながる実効ある対策を求めておきたいと思います。
 電力の関係、これで最後にいたしますけれども、同じく五月二十五日の電力・ガス基本政策小委員会におきまして、小売電気事業者に課している供給力確保義務の在り方を改めて検討する方針が示されました。卸市場を通じた供給力確保に限界があることも踏まえ、中長期的な制度のあるべき論として、七百者を超える小売電気事業者に対して一律の供給力確保義務を課すことが妥当かどうか、諸外国の例を参考にしつつ、多角的な観点から検討、分析を行うとのことでありますけれども、その検討の方向性について説明を願います。

#110
○国務大臣(梶山弘志君) 小売全面自由化が行われた後においても電力の安定供給を確保することができるように、電気事業法に位置付けられた事業者はそれぞれの立場に応じて安定供給に向けた責任を担っており、委員御指摘のとおり、小売電気事業者が自らの顧客の需要に応じた供給能力の確保義務を負っております。
 二〇一六年に小売全面自由化を実施して以降、新電力による電力市場への参入は拡大をし、現在、小売電気事業者数は七百二十二者、これ五月末の時点でありますけれども、新電力の市場シェアは二割を占めるまでになってきております。
 新電力の中には、特に自ら電源を保有して供給力をあらかじめ確保することはせずに、卸電力市場における前日スポット市場からの調達への依存度が高いものも多いと、が多いのが現状であります。
 この冬の電力需給の逼迫、卸電力市場価格の高騰の際には市場で売り切れ状態が継続して発生したことから、特にこうした前日スポット市場からの調達依存度の高い新電力が供給力を確保できない事態が生じました。こうした事態は、小売事業者に対して供給力の確保を担わせることを通じて電力システム全体の供給力を確保するという仕組みに課題があることを示したものと考えております。
 今後、市場取引の拡大が見込まれる中で、電力システム全体としてどのような安定供給に必要な供給力を確保していくべきか、今回の冬の需給逼迫の教訓も踏まえつつ、海外における例も参考にしながら検討を進めてまいりたいと考えております。

#111
○浜野喜史君 小売事業者が供給力確保義務を果たすことは、電力の安定供給のために極めて重要であるというふうに考えております。一定程度の相対取引や取引所での長期の商品による調達を義務付ける等の制度整備も含めて検討されるよう求めておきたいというふうに思います。
 次に、中小企業政策についてお伺いをいたします。
 今年一月、中小企業政策審議会制度設計ワーキンググループにおきまして中間報告書が取りまとめられております。本取りまとめにおきまして、中小企業・小規模事業者に期待される役割を、地域コミュニティー型、地域資源型、サプライチェーン型、グローバル化の四類型に整理をし、成長や支援の在り方を検討するということになっております。
 四つの類型に整理をした理由、考え方について御説明いただきたいと思います。

#112
○政府参考人(飯田健太君) お答え申し上げます。
 中小企業は多種多様でありまして、業種、地域ごとに役割も在り方も違うと。したがって、それぞれの役割に応じた支援を行っていくことが重要ということでございますけれども、具体的にそれはどういうものなのかというのを御議論いただきましたのが今御指摘ございました中小企業政策審議会制度設計ワーキンググループでございます。その中で、中小企業に期待される役割、機能を四つの類型に整理いたしまして、その類型に合致した支援の在り方についての御議論が行われております。
 まず、類型について、四つ御説明申し上げたいと思います。
 まず最初でございますけれども、例えば移動式のスーパーを展開して買物難民の解消とビジネスを両立した持続可能な仕組みを構築する事業者、こういった方々のように、地域の課題解決と暮らしの実需に応えるサービスを提供する役割、これは地域コミュニティー型というふうに一つ目は言っております。
 それから、二つ目でございますけれども、地域資源型ということでございまして、これは地元の産品を活用した商品を開発してブランド化あるいは域外の販路開拓を行う事業者のように、地域資源などを活用して良い物、サービスを高く提供して付加価値向上を実現する役割の皆さんでございます。
 それから、三つ目でございますけれども、独自技術を用いてサプライチェーンの中で活躍して生産性向上を実現すると、これサプライチェーン型と呼んでおります。
 それから、四つ目でございますけれども、グローバル展開などによりまして中堅企業に成長して高い生産性を実現する、こういった方々をグローバル型と呼んでおります。
 以上この四つの類型でございますけれども、これらに、それぞれにつきまして支援の形も異なるだろうというふうに思っております。
 まず最初の地域コミュニティー型あるいは地域資源型でございますけれども、これアンケート取りますと、非製造業の七割ぐらいの方が自分がその二つのどちらかに該当するというふうに御認識のようでございます。意欲ある小規模事業者を国と地方自治体が連携して支援する、自治体連携型補助金などによって応援していきたいと思っております。
 それから、サプライチェーン型あるいはグローバル型ということでございますけれども、同じアンケート調査見てみますと、中小企業はこの二つに該当すると言っている方々、製造業の約半数はそういった方々だというふうに御認識をしておられます。こういった方々、中堅企業への成長を通じて海外で競争できる企業を増やしていくということの観点から応援ということでございまして、昨年、中小企業成長促進法におきまして、日本公庫が中小企業の海外子会社に直接融資を行うことができるクロスボーダーローンというものを措置いたしました。また、今回の法案におきまして、中堅企業に成長する企業を応援するための新しい支援対象類型の創設も盛り込んだところでございます。
 そうはいいましても、この四つの類型、あくまでも中小企業の役割を大まかに分類したものでございます。実際の支援に当たりましては、個々の中小企業の役割に応じてきめ細かく対応してまいりたいと思っております。

#113
○浜野喜史君 いろいろ説明いただいたんですけれども、なぜこの四類型に整理をしたのかという説明がなされていないというふうに私は思ったんですね。この報告書に行き当たったときに、議論の経過があるんだろうということで議事録も見てみましたけれども、特に類型、四類型に整理した理由、考え方も記述されておりませんでした。
 更に遡ること二〇一九年の十一月二十二日のまち・ひと・しごと創生会議の資料の中で初めて四類型というものが出てきているんですね。出てきているんですけれども、なぜ四類型なのかという説明が、説明者の当時の牧原副大臣からも説明されたわけではないということなんですね。
 やっぱり、この四類型に整理をして支援の在り方を検討するというこの考え方が何なのかと。私は、これをおかしいというふうに批判しているわけでもないし、批判する、何といいますか、力もないんですけれども、四類型に整理するならするで、その考え方のプロセスといいますか、そういうものが明示される必要があるというふうに思うんですけれども、いかがですか。

#114
○政府参考人(飯田健太君) ありがとうございます。お答えいたします。
 やはり、四つの類型ということで、どういう形でするかというのはあるんですけれども、やはり地域の中小企業の実態に即して見てみたときに、成長している企業あるいは活躍している企業、頑張っている企業というものを見たときに、この四つが典型例だということでそのように措置されたというか、整理されたんだというふうに認識してございます。

#115
○浜野喜史君 是非、政策検討をするに当たっては、なぜそういう考え方に至ったのかという是非考え方の、何といいますか、記述をしっかりしていただいて説得力を付けていただく、そしてまた、場合によってはそれを我々も建設的に批判もさせていただくと、こういうこともやれればなというふうに思っております。
 次に、デジタル化についてお伺いいたします。
 端的にお伺いして、このデジタル化への対応ということが今回の法改正の大きな柱ともされているわけですけれども、デジタル化をどう成長につなげていくのか、改めて御説明をいただければと思います。

#116
○政府参考人(三浦章豪君) お答え申し上げます。
 世界各国はコロナ禍でも新しい時代に向けて動きを加速しつつあり、日本においてもグリーン、デジタルといった成長の潜在可能性のある分野に焦点を当てて積極的な成長戦略を推進することが必要と考えております。
 こうした観点から、六月二日の成長戦略会議で示された成長戦略実行計画案におきましてもデジタル化が項目の一つとして掲げられ、未来志向のデジタルトランスフォーメーションを大胆に推進し、成長の原動力とするとともに、専門人材の強化を図り、全国民にデジタル化の恩恵を届けるとされたものと承知をしております。
 経済産業省としても、デジタルトランスフォーメーションの推進に向けて、本法案によりデジタル関連投資に対する税額控除五%などの投資促進税制を措置するなど、企業の取組を後押ししてまいります。また、本法案で講じる措置以外にも、デジタル人材の育成、若しくは安全、安心な5Gインフラの整備など、環境整備を進めてまいります。
 引き続き、成長戦略会議の下、関係府省で連絡してデジタル化を推進し、経済成長を目指してまいりたいと考えております。

#117
○浜野喜史君 また議事録も拝見して考えてみたいと思うんですけれども。極めてもっともらしいんですけれども、どういう経路で成長を目指しているのか、デジタル化ということについての私の理解が及んでいないということなのかも分かりませんけれども、そんな感じがいたします。
 そこで、例えば、前回の委員会におきまして、グリーン化に関してこういう答弁がございました、どなたからだったかというのはちょっと忘れましたけれども。例えば、製鉄技術において石炭還元から水素還元に変わったと、これもう先端的な技術なので、それが国際的に採用されていくということ、加えて、国際的にそのグリーン化プロセスで生産された、提供されたサービスが選好されていくということになれば外需を獲得できると、そういうことが成長につながるんだという説明がなされましたですね。
 それはそれとして、私は、一つの例としてこれは成長に結び付くという理解ができたので参考になったんですけれども、このデジタル化に関しては、そういった類いの、何といいますか、例えばこういうことが成長につながるんだという説明にちょっと行き当たったことがないので、更に少し、このデジタル化に理解の及んでいない私に分かるような形で是非御説明をいただければと思いますけれども、いかがでしょう。

#118
○政府参考人(三浦章豪君) デジタル化がどのように具体的に役立ってくるのかということでございます。
 デジタル技術の活用というのは企業の生産性向上、競争力に直結する重要な課題である一方、デジタル技術というのはやっぱりあくまで道具でございまして、その使い方も多様であるということで、その使い方は企業各社でいろいろとお考えをいただくという話になってくるのかなと思っております。
 具体的にということでございますが、例えば、各企業の競争力に直結する重要な要素でございます顧客ニーズを迅速かつ正確に把握をする、若しくはその顧客の本質的なニーズを踏まえた新しい製品、サービスを実現していく、製品の開発や製造のリードタイムを抜本的に短縮する、こういったことがデジタル技術、データを活用することによってやはり従来とは違う次元で可能になってきているんではないかというふうに考えておりまして、自社で実現したい、経営上実現したい課題というのをデジタル技術で解決していくことにより個別の企業の競争力というものが強化されていくというのが基本的なパスというか道筋だというふうに考えております。

#119
○浜野喜史君 また議事録も拝見して考えてみたいと思います。
 デジタル化についてこれで最後にしまして、もう質問を終えますけれども、昨年十二月のデジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の取りまとめを見て、非常にこれ違和感を私感じました。
 三つほどちょっと考えてきたんですけれども、時間がありませんので一つだけ取り上げさせていただきますと、DXの推進は企業の成長戦略に依存するものであり、一義的には企業個社の問題と言える。他方、日本において各企業におけるDX推進に向けた行動変容がなされると言い難い状況にある。このような企業の行動変容が進まない理由は、生活習慣病のアナロジーで理解が可能である。誰しも、一般論としてメタボリックシンドロームの状態よりも痩せている方が良いことは理解している上、生活習慣病のリスクについても理解しているが、自分自身は健康だと信じている。企業のDXについても同様で、DXが必要だと理解はしていながらも、行動変容できていない企業は多いという記載があるが、やはり私、余りにも上から目線であって、企業行動全てを変える必要があるという前提に立っておられるような記述なので、ここはやはり極めて問題だというふうに私は感じたんですけれども、御見解をお示しいただければ幸いでございます。

#120
○政府参考人(三浦章豪君) 先ほども申し上げたところでございますけれども、各企業のDX、デジタルトランスフォーメーションについては、それぞれの企業において自社戦略の一環として考えていただくと、こういう話だと認識しておりますけれども、その推進が全体として我が国経済の成長にも大きな影響があるということで、政府としても企業のDXを加速させる必要があると考えております。
 また、企業がDXの恩恵を最大限享受するというためには、業務の一部にそのデジタル技術を入れるということだけではなく、企業や部門の壁を越えてデジタル技術の活用を検討していくということが重要だと考えております。
 例えばということで申し上げると、天然ガスの供給事業者がその設備の保守点検に関して、従来自社で行う日々の日常点検のデータと請負事業者が行う精密点検のデータというのは別々に管理をしていたと。これを統合して管理、分析することで、今まで見過ごされていた日常点検での微妙な変化というものが、その精密点検で発見されるより大きな問題というのと実は結び付いているんだと、こういうのが見えてきたというような事例がございます。
 そういったその取組を実現するためには、企業ごと、部門ごとの縦割りを排除して、最先端のIT技術を導入し、技術を使いこなすための人材を育成し、業務のやり方を抜本的に見直すといった、企業全体の大きな変革、すなわち行動変容が必要になってくるのではないかというふうに考えているということでございます。
 御指摘のその記述でございますけれども、昨年、DXに向けた企業の取組状況を分析したところ、そうした全社的な取組が推進できているという企業が五%程度にすぎないという実態も明らかになってきたということを踏まえまして、ちょっと上から目線という印象を与えたとすれば大変恐縮でございますけれども、どちらかというと我々の強い危機感を表明したものと御理解いただければと考えております。
 経済産業省としては、今般御審議いただいている産業競争力強化法の改正法案におきまして措置するDX投資促進税制の活用などを通じ、我が国企業のDXの推進に今取り組んでまいりたいと考えております。

#121
○浜野喜史君 終わります。

#122
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
 初めに、コロナ対策に関わって質問をします。いわゆるウッドショックの問題です。
 新型コロナウイルスによって米国や中国で住宅需要が増加をして木材の需要が急増していることで、国内の木材流通量の減少と価格高騰が続いています。これによって、住宅の建設で基礎を造ってもらってもその先の作業を進めることができないということで、悲鳴が上がっています。
 事業者の方々からは、四十五年やってきたけれどもこんなこと初めてだと、材木屋さんに駆け回ってもらって一棟分何とか確保してもらわないと何にもすることができない、期限までに家が建たなければ施主に土下座をしてでも謝らなければならないとか、材木屋に発注をしたんだけれども、納入期日が示されずに、値段が幾らになるか分からないというふうに言われた、とんでもない請求書が来たらどういうふうに帳尻を合わせて施主に請求するかを悩んでいる、こうした声も寄せられています。
 入荷の見通しが立たないという声があります。これ、木材の国内での流通状況を随時調査を行って公表するべきではないか、そして木材の流通量の適正化、便乗値上げや買占めなどの監視を行う必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。

#123
○政府参考人(前島明成君) お答えいたします。
 我が国の製品等需要の約五割を占めます輸入木材につきましては、米国や中国の木材需要増大等を背景に、原産国における産地価格が高騰し、輸入量が減少しております。
 また、輸入材の代替といたしまして国産材製品の引き合いも強くなっておりまして、国内の加工工場も既に稼働率を上げて対応しておりますが、品目によっては製品市場で価格が競り上がるなど、原木も含め全体的に木材価格が上昇しているところでございます。
 こうした状況におきまして、正確な情報を把握し需給の変動に適切に対応することが重要と考えております。
 四月十四日に、川上から川下までの関係団体による意見交換を実施いたしまして、情報共有を図るとともに、四月三十日には、関係団体に対し、実需に基づいた適切な発注や過剰な在庫保有の抑制、これらに関連した木材流通に係る情報提供、こういったことに対する協力要請を行ったところでございます。
 さらに、需給の状況は地域によって差異がありますことから、川上から川下までの関係者から成る全国七地区における地区別需給情報連絡協議会を五月二十七日以降、九州地区から順次開催しているところでございます。
 輸入材の動向や国産材の需給動向につきまして情報共有を図りつつ、不足する材を代替するために生産品目を転換する事例を共有するなど、関係事業者間における対応策の検討を促しているところでございます。
 さらに、輸入材からの転換も含めた需要の拡大に向けまして、更なる国産材の安定供給体制を構築することが重要と考えております。川上から川下までの信頼関係の下、効率的なサプライチェーンの構築を推進していく考えでございます。

#124
○岩渕友君 建築現場の関連業者というのは非常に多いわけですよね。なので、家が建てば関わる業者がみんな潤うんだけれども、作業が止まればその影響が広がって、地域経済にも甚大な影響を及ぼすということになります。
 この林野庁や国交省との連携って非常に重要だというふうに思うんですけれども、同時に、これコロナによって中小の建築関連事業者が苦境に立たされているということから考えれば、経済産業省としても対策重要だと思うんですね。大臣に伺うんですが、どのような対策が行われているでしょうか。

#125
○国務大臣(梶山弘志君) 新型コロナウイルス感染症の影響で、米国での郊外の住宅産業が、住宅需要が高まるとともに、世界的な物流の制限による木材流通の逼迫等が生じた結果、ウッドショック問題と呼ばれるように、輸入木材の価格が高騰しており、木材のユーザーである国内住宅メーカー等の調達にも影響が及んでいるとの報道があることは承知をしております。経済産業省としては、木材の需給を担当する林野庁や住宅施策の担当をする国土交通省と連携して、輸入木材の流通の状況やその影響について情報収集に今努めているところであります。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響による木材流通の逼迫等を通じて売上げが減少するなど苦しい環境にある中小・小規模事業者に対しましては、雇用調整助成金の特例の延長、政府系金融機関による実質無利子無担保融資の上限枠の引上げ及び延長、ビジネスモデルの転換等に活用いただける持続化補助金といった各種支援策を講じているところでありますけれども、こうした施策を活用しながら、新型コロナウイルスの影響を受ける国内関係事業者に対して必要な支援をしてまいりたいと思っておりますし、先ほど申しましたように、国土交通省と林野庁と連携を取りながら、今後どういった形の支援が必要なのか、また、どういった、地域ごとの状況というものもしっかりと調べてまいりたいと思っております。

#126
○岩渕友君 事業者の方々からは、その中小建設関連事業者を月次支援金などの支援策の対象に加えてほしいとか、地方創生臨時交付金の事業者支援枠の使途として住宅リフォーム助成制度など中小建設関連事業者向けの施策に活用できないかとか、あと、工期の遅れとか原材料の高騰によって経営の見直しなど、施主との、その契約額の見直しなどで施主との合意を取り付ける上での助言を行うための相談窓口を設置してもらえないかとか、いろんな要望来ているんですね。なので、従来の対策だけではなくて、コロナでこうした事態になっているということで、こうした要望も踏まえていろいろ検討をしていただきたいというふうに思っています。
 次に、法案に関わって聞きます。
 産業競争力強化法は、産業活動における新陳代謝を促すための措置を講じるということで、事業再編の取組について計画を策定し、認定をされれば登録免許税の減税といった税制優遇などの措置を受けることができます。
 産競法施行以降の事業再編計画認定件数は何件か、そして認定計画を受けた企業の従業員数は計画の開始前と終了後でどう推移しているか、教えてください。

#127
○政府参考人(新原浩朗君) 本制度開始、二〇一四年の一月二十日施行でございますが、それから二〇二一年三月三十一日までの事業再編計画の認定件数は八十四件でございます。また、これらの事業再編計画における従業員数の計画値の変化でございますけれども、これちょっと、個社のものがちょっと若干企業秘密に触れるものがありますので、昨日の委員の御指摘を踏まえまして、同僚に合算をしてもらいました、数字をですね。それで、ちょっと急遽しましたのでチェックが十分でないかもしれませんけれども、計画開始時点で三十八・五万人、合計値ですね、それから計画終了時点で四十・四万人で、これ全体値としては一・四万人の増加となっております。
 ただ、これ増加しているからいいというふうに、という議論ではないと我々思っていまして、計画値が増えているからいいとか減っているから悪いとかいうことでもなく、事業再編が行われなかった場合にどうなったのか、つまり、行われなかったら、もし企業存続が危うくなったとすれば、これ元も子もないということでございますので、そういう中での議論だと思っています。
 ちなみに、増加している要因をちょっとざっと見てみますと、新規採用を予定している場合とか、それから統合、計画上の統合があるような場合があるということで、必ずしも、そこのところはそういうものがあるということをちょっと御認識いただきたいと思います。

#128
○岩渕友君 増えているという話だったんですけど、実態はどうかということを見ていきたいと思うんです。
 シャープを例に見ていきたいと思うんですけど、シャープが認定を受けているのは二〇一五年の六月二十三日なんです。実施期間は一五年の六月から一八年の三月までなんですけれども、計画では従業員数を一万七千五百二十九人から一万四千七百四十人に削減するところなんですけれども、実際には、終了時期には一万三千二百六十一人になって、二〇年の三月期には一万八百六十二人まで従業員数が大きく減っているんですね。
 この計画の登録免許税の減税額の試算は幾らになっているのか、そして八十四件の認定計画に対する登録免許税の減税額試算は幾らになっているでしょうか。

#129
○政府参考人(新原浩朗君) 一点、私、引き算のときに、さっきちょっと間違って申して、計画開始時点で三十八・五万人、計画終了時点で四十・四万人でございますので、差が一・九万人の増加ということで、一・四と申し上げたのを訂正させてください。
 今の御質問でございますが、平成二十七年六月に認定を受けたシャープの事業再編計画に関わる登録免許税の軽減額、これ公表資料から推計できる資本金の額の増加に関わる登録免許税の軽減額を試算したものでございますが、三・九億円でございます。
 これに対して、全体ですね、全企業についてこの登録免許税の軽減額、これは二〇一四年一月二十日から二〇二一年三月三十一日まででございますが、これも同じように推計をいたしますと、四十二・六億円でございます。

#130
○岩渕友君 減税されているのはこれだけではないわけですよね。
 大臣は、衆議院の質疑の中で、事業再編計画の認定に当たって、従業員の地位を不当に害するものではないことを要件にしていると、こういうふうに答弁をしているんですけれども、出向とか転籍などによって賃金や労働条件は悪化していないのかなど、実態をどのようにつかんでいるでしょうか。

#131
○国務大臣(梶山弘志君) 委員御指摘のとおり、事業再編計画の認定に当たっては従業員の地位を不当に害するものでないことを確認することとされています。
 この認定基準に基づいて、事業再編に関係する事業者の労働組合等と協議により十分に話合いを行うことや、事業再編計画の実施に際して雇用の安定等に十分な配慮を行うことを求めております。具体的には、主務大臣は、厚生労働省と連携した上で、事業再編計画の申請の際に、経営陣から労働組合等に対して事業再編計画の内容を説明した結果など、従業員に対する通告や形式的説明ではなく、労働者側との調整状況を記載した書類や事業再編計画の実施期間中における採用、退職計画などを整理した表を添付していただき、それらを主務大臣が確認することとしております。
 このように、従業員の地位を不当に害するものではないことについては複数のプロセスを経た上で判断をすることとしておりますけれども、具体的な例かな、あとは、具体的な例についてはちょっと参考人から。(発言する者あり)

#132
○岩渕友君 計画のときに書類を添付してもらうということだったんですけれども、実態がどうなっているかということをやっぱりちゃんと調査しなければ、従業員の地位を不当に害するものではないということをどうして言えるのかということになってくると思うんですね。これ、しっかり実態つかむ必要があると思います。
 結局は、そうはいったって、従業員の数減っていると。これ、リストラを減税で支援するというものになっているんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

#133
○国務大臣(梶山弘志君) 競争環境や需給構造の変化などに伴って、企業の事業には栄枯盛衰が生じること自体は避けられないことであると思っております。個々の企業が必要な事業構造改革を先送りし経営不振の事業を放置し続ければ、そうした事業に張り付いている資金や人材といった経営資源の価値が大きく毀損をし、更に取引先企業などのステークホルダーも含めて経済全体に悪影響を及ぼすおそれがあります。
 事業再編計画を含む産業競争力強化法の施策は、企業が成長の期待できる事業分野に資金や人材等の経営資源を振り向けていくことを支援することで、国全体での産業構造や就業構造の転換の円滑化を目指すものであります。事業再編の過程で個別企業の従業員数が削減されることもありますけれども、個別企業のリストラ自体を支援する政策ではないということであります。
 なお、企業が事業構造改革を行う過程において、個別の状況によっては失業の発生など痛みが全く生じないとは言えません。このために、政府全体として、失業保険や職業訓練の実施など、必要なセーフティーネットの確保も行ってきているところであります。
 経済産業省としては、引き続き、企業の事業構造改革を推進することで労働生産性を引き上げ、賃金を引き上げられる環境を整備し、成長と分配の好循環の実現に全力を傾けてまいりたいと思っております。
 労働移動は必ずやはりあると思っております。そういったときに、しっかりと職業訓練、またリカレント教育等ができて、そしてそれに対するセーフティーネットがあるような形にしていく、今後これからのその社会もそういった形での整備、制度整備をしてまいりたいと思っております。

#134
○岩渕友君 今いろいろ答弁いただいたんですが、結局、事業再編の裏でリストラが行われている下でリストラ支援策を講じるということは、更なる人減らしを加速させるということにつながるわけですよね。
 労働者がリストラされる一方で、大企業は巨額の内部留保をため込んでいるわけです。コロナ禍の今こそこの内部留保を活用をして労働者を守れということを大臣からも大企業に強く求めてほしいということをここでも述べておきたいというふうに思います。
 次に、中小企業に関わって質問をします。
 安倍前首相の下で閣議決定をされた骨太方針二〇二〇に基づいて、昨年十二月に成長戦略会議は本法案の基になった実行計画を取りまとめています。菅首相が設置した成長戦略会議には、中小企業再編論を展開するデービッド・アトキンソン氏が首相から任命された委員として加わっています。
 中小企業再編論というのは、中小企業の低生産性の原因はその規模にあると、規模拡大が見込めない小規模企業は退出するべきだというものです。けれども、中小企業の生産性が低いのは規模が小さいからだというんだけれども、中小企業の生産性、果たして低いのかということで、中小企業政策審議会基本問題小委員会制度設計ワーキンググループの中間報告書で中小企業の生産性について何と述べているか、該当している部分を読み上げてください。

#135
○政府参考人(飯田健太君) お答えいたします。
 御指摘いただきました中小企業政策審議会制度設計ワーキンググループ中間報告、該当箇所を読ませていただきます。
 中小製造業の実質労働生産性の伸びは、年率三から五%を記録しており、大企業の伸びと遜色ない水準である。しかしながら、価格転嫁力指標の伸び率がマイナスであるがゆえに、中小企業の労働生産性(一人当たり名目付加価値額)の伸び率が一%程度に低迷していることが分かると書かれております。

#136
○岩渕友君 製造業ということなんですけれども、実質労働生産性の伸びは大企業の伸びと遜色のない水準だということです。
 そこで、資料を御覧いただきたいんですけれども、この資料は二〇二〇年版の中小企業白書なんですけれども、ここにも同じこと書かれているんですね。中小企業の生産性向上を妨げているのは、大企業に比べて価格転嫁力が弱くて利益を確保することができないことに原因があるというふうにしています。
 中小企業家同友会全国協議会が三月三十一日に発表した会長談話を見ると、国際的に見て必ずしも付加価値生産性が高くない大企業からのしわ寄せもあって、低工賃での取引を余儀なくされているケースも多く、名目の労働生産性は伸び悩んでいるのが実情だということで、実行計画にも織り込まれている大企業の対応も含め、あるべき取引条件を目指していく必要があるというふうにしています。
 中小企業がきちんと価格を転嫁できるように大企業への規制を強化するべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

#137
○国務大臣(梶山弘志君) 中小企業の生産性を上げる中で、今委員がお話になったようなこと、価格の転嫁ですね、例えば人件費が上がる、また、税が上がったときにそれを転嫁できるかどうかということ、それは非常に大きな課題だと思っております。
 価格決定方法の適正化、型取引の適正化、支払条件の改善、知的財産、ノウハウの保護、働き方改革に伴うしわ寄せの防止、こういった課題についてしっかり議論をして解決を図っていくという中で、今、中小企業とまた大手企業のトップも集まってもらって、こういった形でしっかり話合いの協議の場を持つというような、そして、これらそれぞれの課題の解決方法について宣言をしていただくというような取組をしております。
 二千社を目標に、その大手企業の方で、親事業者という方で宣言をしてもらう努力を今しているということで、現場でいろんなことが起こっているんですね。やはり経営者がそれを把握する、又は経営者がしっかりと認識するという点で、この宣言は非常に効果があるものだと思っておりますし、今挙げた五項目を改善することによって中小企業の生産性というものも上がってくるものだと考えております。

#138
○委員長(有田芳生君) 岩渕さん、おまとめください。

#139
○岩渕友君 下請振興法の改正、これは当然、強化は当然だと思うんですけれども、あくまで振興法なので、不公正な下請いじめとか不公正な価格転嫁に対する強制力がないということで、下請代金法の改正など、公取との連携した下請構造の実態に即した規制の強化を求めて、質問を終わります。

#140
○ながえ孝子君 碧水会のながえ孝子です。
 先日の参考人質疑の中で、伊藤参考人が、必ずしも中小企業の生産性が低いとは思わない、価格が安いからだという指摘をされました。
 確かに、以前、中小企業庁がしました下請中小企業の取引条件の改善に向けた調査の中で、取引単価の引上げにより収益が改善した場合、従業員の賃金を引き上げると回答した企業が七一・六%に上っています。
 先ほどの岩渕委員の質問、それから大臣の御答弁聞いておりまして、やっぱり取引環境の改善、これは中小企業の生産性の向上につながる価格の問題は大きいなと、それをどうするかという問題なんですが、伊藤参考人も、そのパートナーシップ構築宣言、大臣がおっしゃったこれを活用することを提言としておっしゃっておりました。
 これ、業界ごとに自主行動計画の策定というのはやっておりますけど、業界ごとになりますと余りに大きいのでちょっと遠い感じがするので、実際各社が社長名で宣言をしていくパートナーシップ構築宣言というのは効果が期待できるかなと思っております。先ほども、二千社を目指してこれをやっていくんだ、展開中ということなんですが、宣言をしてくれる大企業を増やすためのインセンティブが大事かなというふうにも思っております。
 ですので、これ補助要件に盛り込むとか、あるいは積極的に公開すると何かメリットがあるというような、これからのパートナーシップ構築宣言の活用についての展開を教えてください。

#141
○政府参考人(飯田健太君) お答え申し上げます。
 今委員からも御指摘ありました、先ほども大臣からも御答弁いただきましたけれども、やはり大企業と中小企業の共存共栄関係の構築、それから下請取引におけるしわ寄せの防止、こういった実効性を高めていくためには、こうした取引に大企業の経営者をしっかりと巻き込んでいくことが効果的だというふうに考えてございます。
 こうした趣旨から、これらに重点的に取り組むことを企業の代表者が宣言するパートナーシップ構築宣言について求めておりまして、六月七日時点で千百五十六社に宣言いただいており、今委員からも御指摘ありましたとおり、今年度中に二千社の宣言を目指しているところでございます。
 広げていくためでございますけれども、これまで、梶山大臣を始めとする関係閣僚の方々、あるいは経団連会長、日本商工会議所会頭、連合会長をメンバーとする未来を拓くパートナーシップ構築推進会議、これを二回開催するなど、官民挙げて宣言への参加公表に向けて周知や働きかけを実施してきたところでございます。
 続いて、インセンティブでございますけれども、令和三年度の当初予算におきまして、企業間連携やサプライチェーンの効率化を図りますものづくり・商業・サービス高度連携促進事業や省エネ補助金の審査の際に、宣言企業に対して加点措置を講じているところでございます。このほかにも、例えば、先ほどお話で御指摘ありました伊藤参考人も指摘されていたんですが、繰越欠損金の控除上限の特例を利用する企業にも宣言を推奨するなど、引き続きパートナーシップ構築宣言への参加公表企業数の拡大に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

#142
○ながえ孝子君 是非、インセンティブの強化を図って、その輪を広げていっていただきたいなと思います。
 同じく参考人質疑で木内参考人が、東京一極集中を是正していくことが生産性を高めることにつながるんだという指摘もされました。特に、今コロナ禍でオフィスを分散させようとか、テレワーク環境も整ってきて、本社機能を地方に移してみようかという動きもありまして、各自治体も関心を高めてきているところです。
 それで、これ内閣府にお伺いしたいのですけれども、インセンティブとなる地方拠点の強化税制、これについては地元の愛媛県からも要望を預かっているのでお聞きをしたいと思います。例えば、東京の二十三区から地方へ本社機能を移転するとオフィス減税と雇用促進税制が受けられます。その要件で、法人全体の従業員数は減っては駄目だということなんですが、なるべくこのハードルを下げて、移転先の増加数で判断するようにしてほしいという要望があるんですが、この点についてのお答えと、それからこれをもう少し強化して、補助制度など拡充の考えはありますか。

#143
○政府参考人(桜町道雄君) お答え申し上げます。
 地方拠点強化税制のうちの雇用促進税制におきましては、従業員数の増加に応じた税額控除の要件といたしまして、法人全体で増加した従業員数を上限としているというのは委員御指摘のとおりでございます。また、本要件につきましては、法人全体ではなく、地方拠点で増加した従業員数を上限に見直すべきだという、こういう御意見が存在することも承知をいたしているところでございます。他方で、これも今委員御指摘になったと思いますけれども、地方拠点強化税制のうちオフィス減税につきましては、これは地方拠点において常時雇用従業員が五名、中小企業の場合は二名以上増加していれば適用可能だという、こういう制度になってございます。
 こうした点も踏まえつつ、本税制の今後の在り方につきまして、先ほどおっしゃっておられました補助金を含めました企業の地方拠点の強化策につきましては、愛媛県を始めとして地方自治体、それから企業の御意見、ニーズ等を勘案しながら、関係省庁とも相談しながら、引き続き検討してまいりたいと考えてございます。

#144
○ながえ孝子君 是非、各自治体からの要望も届いていると思いますので、前向きに御検討をいただければと思います。やっぱりインセンティブの強化というのはすごく大きいので、企業にとって、お願いをいたします。
 では、続いて、新たな日常に向けた事業再構築支援について伺いたいのですが、事業再構築補助金を例にまずお話をさせていただきます。
 これ、国の予算規模は一兆円を超える規模感で、補助上限も六千万円とかあるいは一億円という思い切った規模でやっております。ですが、地方の大多数を占める中小企業、あるいは小企業、小規模事業者というのは、これ規模が大き過ぎて手をよう挙げぬというところなんですね、先ほど石井委員からもありましたけれども。なので、自治体独自に自治体版の事業再構築支援事業というのを立てまして、新たな取組を促すように中小企業とか意欲ある経営者を支援しているところです。
 愛媛県を例えで出しますと、予算規模は十一億円余り、補助金額は五十万円以上百万円以下、採用予定は一千件しかできないという状態なんですね。愛媛県の中小企業・小規模事業者というのは四万四千社を超えております、なんですけれども、限界なんです、財政的な限界がありまして、私も地元で経営者の皆さんのお話を聞くと、大きいけど、たくさんくれるけどハードルが高い補助金よりは、小さいんだけれども使い勝手がいい、すぐ手が届きやすい補助金をたくさんつくってくれた方がうれしいということなんです。で、それは自治体の出番です。
 ですので、以前にも大臣にお願いをいたしました、現場のニーズにきめ細かく応えたそういう支援策を、申請も簡単でスピーディーで、そして手の届きやすい支援策を自治体がたくさん打てるように、国からの地域独自の取組への財政支援を重ねてお願いしたいと思います。
 以前も申し上げましたが、この法案について最後の質問になると思うので、大臣の御決意をお願いします。

#145
○国務大臣(梶山弘志君) まず、経済産業省では、令和二年度第三次補正予算において総額一・一兆円の事業再構築補助金を措置をいたしました。これの規模が大きいというお話もありますけれども、規模に応じて持続化補助金等もございます。ですから、そういった点での御利用もあると思っております。
 ただ、あと、地元でのというか、地方でのそういったものに関しての支援ということでありますけれども、やはり地方から手を挙げていただくということが大切で、私どもが、これがあります、地方でやってくださいというよりも、こういう政策をしたいんだというときに、地方創生の臨時交付金であるとか、また総務省の交付金であるとか、そういったものの中で対応していくということにもなりますし、私どももしっかりと中小企業関係であれば支援をしてまいりたいと思っております。
 ただ、地方がやはり具体的な設計はしていただくというのがやはり地方自治の在り方だと思っておりますので、そういった中で支援をさせていただきたいと思います。

#146
○ながえ孝子君 ありがとうございます。是非、これもやる気のある自治体を応援をお願いしたいと思います。
 さて、先日の委員会で、中小企業の生産性を高めるためには事業承継の応援をする、経営者の新陳代謝といいましょうか、それを是非というふうに提案を申し上げました。
 今年三月に日本商工会議所がまとめたアンケートによりますと、事業承継の問題として経営者が挙げているのは後継者への株式の譲渡が最も多くて、その中でも一番の障害としているのが、譲渡の際の相続税、贈与税が高い、これが七割です、で、後継者に株式買取り資金がないというのが六割。期待される事業承継税制なんですけれども、この事業承継税制、これを使うことの障害は、十年間の時限措置であり今後どうなるか不明という答えが最も多くて、四五%を超えています、およそ半数ですね。そのほか、納税猶予の取消しのリスクといった制度の不確実性が挙げられています。
 それと、もう一つ私が気になりましたのが、承継を考えているという経営者のうち、事業承継税制の利用を検討している、あるいは準備中だという企業が一六から一八%、これ後継者が実際決まっているかいないかによって数字がちょっと違うんですけれども。一方で、検討はしたんだけれども利用しないと答えている企業が二〇%ほどあります。だから、期待したほど利用しようという動きが伸びていません。
 この理由をどう分析して、これからどう対応しようと思っていますか。

#147
○政府参考人(飯田健太君) お答えいたします。
 事業承継税制、株式の関係でございます、法人版ということでお話しさせていただきます。
 平成三十年度の税制改正におきまして抜本拡充を行いまして、利用の件数は増えてはきてはおります。ただ、御指摘のとおり、日本商工会議所のアンケート調査で、検討したけれども利用しないという御回答が二割あったということも承知をしております。
 株式の承継というものは、やはり家族の財産承継に関する問題でございますので、どうしてこう少ないのかということの要因を一概に分析することは非常に難しいことだとは思っておりますけれども、例えばその事業承継税制の制度に合った形での事業承継が行われているのかどうかといったことでございますとか、あるいは、その足下では、新型コロナウイルス感染症の影響による経営の悪化でその事業承継の時期を後ろ倒しにする中小企業も少なくないということもあろうかと思います。
 しかし、この事業承継、経営の改善のためにも非常に有効な場合が多いと思っておりますので、様々な形で普及に努めてまいりたいと思っています。
 一つは、先ほども議論あったんですが、全国四十七都道府県に設置した事業承継・引継ぎ支援センターにおいてプッシュ型の事業承継診断を行いまして、事業承継ニーズの掘り起こしを行うでございますとか、あるいは無利子無担保融資による事業継続の下支え、今も御議論ありました事業再構築補助金による事業再構築の後押し、こういったことにも取り組んでおりまして、こういった取組はコロナ禍においても積極的に事業承継に取り組める環境の整備にもつながるんじゃないかと思っております。
 こうした取組を進めることで、円滑な事業承継の推進に向けて引き続き全力で取り組んでまいりたいと思っております。

#148
○ながえ孝子君 私も専門家である税理士の方に聞いてみました。何が利用を思いとどまらせているのかといいましたら、例えば、猶予された贈与税は、相続時に贈与のときの価格により相続財産と合算して相続税を計算するということなんですね。ですから、相続時に評価が下がっていれば不利になります。これから、コロナのこともあって、赤字企業あるいは収益の伸び悩む企業も増えてくる中、これ見合わせる要因になっているという点ですね。
 それから、継続届出書の提出を、最初は五年間は毎年ですよね、これずっとやっていかなければならないという事務負担が大変、などなどありますが、一番は制度が複雑過ぎて分からない、使いにくいという声なんですね。実際これを利用しようと思ったら、専門家の力を借りて、十分な事前準備の時間も必要となります。さっき答弁の中でもありましたように、コロナの今やらなくていいだろうといいましょうか、後ろ倒しにしてしまうというところがあろうかと思います。ハードルが高いんですね。
 重ねて、猶予がされても、状況が変わって、承継後、例えば後継者が代表者でなくなったり、あるいは後継者が取得した自社株を他人に譲渡したら、これ納税猶予は打ち切られて、一括して納税しなくてはならなくなります。その際、第三者であった場合には、これ贈与税は高い税率になって、かつ相続税は二割加算の対象になるということなので、つまり、この制度を使うと、いいこともあるんだけれども、後継者の経営方針は制約を受けることになります。人生も縛られることになります。そんなこと考えたら、第三者巻き込んで迷惑掛けるよりも、何か廃業の方がすっきりしていていいんじゃないかというような話になることが多いんだそうです。ですから、せっかく中小企業の事業承継を応援しようとできた制度ですから、やっぱりいろんな声を聞いて改善をしていっていただければと思います。
 是非使おうと思う制度にしてもらうと、使うことをきっかけに中小企業の経営者の方も中長期の経営計画立てたりとか、そういったメリットも生まれてまいりますので、是非改善をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょう。

#149
○政府参考人(飯田健太君) お答えいたします。
 この税制でございますけれども、やはりあくまでも事業承継を後押しして事業継続を図ることを目的とするということでございまして、事業の継続というのがやはり、相続税を軽減するという形で、今一般にその負担される方もいる中での軽減になりますので、やはりその事業を継続するというある種公益的な目的を達成していただくということが要件になって求められております。したがいまして、雇用の一定水準の維持でございますとかそのような要件も、委員今御指摘あったようなことも求められているところであります。
 こういったほかの相続税や贈与税の負担者との課税の公平性と円滑な事業承継を集中的に促進して事業継続を図るという趣旨のバランスを取って措置したものでございますので、やはりその事業の継続ということに関わる幾つかの事柄につきましては、制度の目的や趣旨に照らしてやはりしっかり確認しなければならない点だとは考えております。
 ただ、やはり多くの中小企業がこの税制を御活用いただけるように私どもも長年にわたり努めてまいりまして、制度の利便性を高めるという観点から幾つかやっております。税制適用後に五年間で平均八割以上の雇用を維持するという要件を緩和をしたりでございますとか、あるいは経営環境の変化によって会社を譲渡、解散した場合にその負担を軽減する措置を講じたりですとかやっておりますけれども、引き続き、非常に足下の中小企業の厳しい状況、あるいはそれが中小企業の事業承継に与える影響もしっかり注視していきながら、円滑な事業承継を後押ししてまいりたいと考えております。

#150
○ながえ孝子君 難しい点はいろいろお伺いはしたんですけれども、大変だとは思いますけれども、できるだけ分かりやすく、経営者の方が魅力を感じるような制度にお願いをしたいと思います。
 それでは、続いて金融庁にお伺いをしたいのですが、中小企業にとって地域の金融機関との関係構築というのはとても重要な問題です。
 金融庁では金融機関の評価基準を、これまでの収益とか安全性だけでなくて、地域の経済にどれだけ貢献しているかという視点を盛り込んだように転換をされました。金融仲介機能のベンチマーク導入をして、各金融機関のホームページでの公開を求めてきました。これ、中小企業にとっては従来の担保、保証ありきの融資ではなくて、事業内容あるいは将来性も見てくれるんだという共存共栄に向かっての希望が持てるような転換だったと思います。
 今、各金融機関のホームページでは、私もいろいろのぞいてみたんですけれども、それぞれに独自の中小企業支援の在り方ですとか地域との連携などのアピールをされておりまして、これは、経営者にとっては自分のところの問題解決を一緒にやってくれるところはどこなんだと選ぶときのすごく参考になるかなというふうには思います。とはいえ、とはいえですね、下請の問題と同じように、やっぱり長年の慣行といいましょうか、やっぱり一気にこれをムードをがらっと変えていくというのにはまだまだこれからだなというふうにも思っております。
 そこで、この金融仲介機能のベンチマークの活用を含めて、この後、中小企業とともに地域の金融機関も輝いていけるようにどんな展開をお考えでしょうか。

#151
○政府参考人(石田晋也君) お答え申し上げます。
 金融仲介機能のベンチマークというものは、金融機関が自身の取組の進捗状況ですとかあるいは課題等について客観的に自己点検、自己評価を行い、金融仲介の質を一層高められるように平成二十八年に当庁が公表したものでございます。
 このベンチマークの活用によりまして、金融機関自らが金融仲介の取組の進捗状況や課題などを自己評価し金融仲介の質を高めていくこと、また、各金融機関が金融仲介の取組を積極的かつ具体的に開示することによって事業者による金融機関選択の一助にすることが期待されるとともに、私ども当局といたしましても、各金融機関との間でベンチマークも活用した金融仲介の取組状況に係る対話を行いまして、各金融機関による金融仲介の質を高めていけるようにその取組を促してきているところでございます。
 金融庁といたしましては、引き続き、金融機関がこうしたベンチマークも活用しつつ金融仲介機能を発揮することで、事業者の付加価値向上を図り、地域経済の発展に貢献していくことができるよう、その取組を今後とも一層促してまいりたいと考えております。

#152
○ながえ孝子君 これ、すごく熱心な銀行もあればそうでないところもあったりとかいろいろ温度差もあるんですけれども、で、同じ金融機関の中でも、じゃ、現場の本当に一人一人に行き渡っているかというとなかなかそうでないところもあろうかと思います。でも、これは大事なことだと思いますので、これからもそういう周知徹底と、これを何かうまく活用する、経営者側ではローカルベンチマークというのを持っていますので融合するとか、また新しい展開で中小企業の生産性向上につながる施策をこれからもお願いして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#153
○安達澄君 無所属の安達澄です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 産業競争力強化法の改正案ですけれども、重要な柱の一つにグリーン政策があります。そのことも踏まえ、本日は、今月二日に公表されました成長戦略実行計画案についてお聞きいたします。
 公表されている資料を基に質問します。成長が期待される産業十四分野の中の一つ、水素についてであります。最終的には水素と鉄鋼業との関連についてもお聞きしたいと思っております。
 成長戦略では、水素は発電、産業、運輸など幅広く活用されるカーボンニュートラルのキーテクノロジーとされています。まずはその量、ボリュームについてであります。
 現在、国内に流通する水素の量ですね、これは今、全部で数百トンと認識しています。もし間違っていれば御指摘いただきたいんですけど、その数百トンのレベルから、国内の水素導入量の目標を、二〇三〇年には一気に三百万トン、そして二〇五〇年には二千万トンとなっています。相当に高い目標だなと推察しますけれども、既に多くの業界が政府の二〇五〇年カーボンニュートラルの方針の下、動き始めています。是非とも、この水素の分野についても国のリーダーシップとその実行力に期待するところですけれども、一方で素朴な疑問があります。
 その水素の潜在需要ですけれども、発電タービン、FCトラック、燃料電池ですね、そして水素還元製鉄など、合計すると年間で一千八百万トンから二千三百万トンというふうに推定しています。最大で二千三百万トンということですから、今のその政府の目標二千万トンとは三百万トンの差があるんですが、そこで政府参考人の方にお聞きします。この足りない差分ですけれども、これは経済産業省としてはどのように考えていらっしゃいますか。誤差の範囲ということになるんでしょうか。

#154
○政府参考人(茂木正君) 今委員から御指摘ありました水素の導入量ということでございますが、まず最初にちょっとお話がありました今の水素の需要量というのは、大体年間でいうと百五十から二百万トン弱ぐらいというふうに承知をしています。
 それで、今後水素を導入を増やしていくということで、今二つ数字の言及ございましたが、まず二千万トンの方は、これは将来の二〇五〇年における水素導入量の目標ということになっています。それで、この導入量の目標でございますが、これは発電ですとか運輸分野ですとか、こういう分野で今使われている燃料と比べて競争し得るぐらいのコストに下げていくために必要な供給量として、二〇五〇年に二千万トンぐらいの供給量がないとこういった分野で今の燃料と競合できるレベルになってこないということで、この二千万トンという数字をはじき出しています。
 それから、需要側の数字でございますが、こちらは、例えば言及ありました水素発電ですとか、それからFCトラックですとか、それから水素還元製鉄、この三つの分野では、二〇五〇年における潜在需要量というのは出していますが、これはそれぞれ一定の仮説を置きまして算出したものでありまして、これ外的な要因でかなり変動し得るということですが、一定の幅で数字をお示ししています。
 導入目標と需要ということなので完全に一致はしておりませんが、私どもとしては、今申し上げた三つの水素発電とか運輸分野ですとかそれから水素還元製鉄に限らず、今後需要が増大してくるということになれば、これは供給源を多様化することによって海外からの調達する水素量を増やしていったり、あるいは今後増大してくる国内の再エネがございますので、この再エネから電気分解をして水素を製造するという拠点を造っていくことで国内供給量を増やしていくと、こうしたものを組み合わせながら、需要に応じた安定的な水素供給というのを確保してまいりたいというふうに考えています。

#155
○安達澄君 ありがとうございます。
 今少しお話も出ましたけれども、次は、じゃ、その水素のコストについてなんですけれども、今現在は一ノルマル立方メートル当たり約百円というふうに認識しています。それが二〇三〇年には三十円、そして二〇五〇年には二十円以下と目標を資料の中では設定しています。
 そこで、業界として最も水素を消費するであろう日本の鉄鋼業界ですけれども、燃料を石炭から全て水素に置き換えた場合ですけれども、年間で約七百万トンを消費するというふうに試算されています。先ほどの二〇五〇年の政府導入目標の二千万トンの三分の一を占めるわけですけれども、分かりやすく容積で表現すると、東京ドームの六万個分の水素を使うということになるんですが、その鉄鋼業は、現在の燃料である石炭の代替として水素を使用するには、一ノルマル立方メートル当たりで八円程度じゃないとコスト的な負担が発生するというふうに言われています。業界ではパリティーコストと呼んでいますけれども。
 先ほどの政府の今の数字は二十円以下ということになっていますが、ここでまたお聞きしますけれども、二倍以上の大きな開きがあるわけですけれども、この価格差についてはどのようにお考えでしょうか。

#156
○政府参考人(茂木正君) まず、今委員から御指摘ございました鉄鋼業界が、これは既存の原料であります石炭と同程度のコストになる水素供給コストというのを試算されておりまして、その数字が一定の仮説の下で八円パー・ノルマル立米ということになるということは私どもも承知をしております。
 グリーン成長戦略の中でも、二〇五〇年に二十円以下にするというのが私どもの目標になっています。これは先ほどの二千万トン導入をすると二十円ぐらいに下げていけるということと符合しているわけですが、これは、あくまでもこの二十円というのは一つの目安でありまして、これを下回ってこないと発電も含めてほかの分野でも競争的なものになってこないということで、まずこうした目安を設けさせていただいているということでございます。
 既存の化石燃料に対してやはり十分な競争力を有する水準までコストを引き下げていくということが、やはり産業分野でも水素を広く利活用していくためには重要であるというふうに思っております。
 このため、経産省では、この水素供給コストを下げていくために必要不可欠になる、これは大規模なサプライチェーンの構築ですとか、先ほど申し上げました水電解装置の大型化によるコストダウンですとか、こういった支援をしてまいりますし、加えて、光触媒による水素の製造ですとか、あるいは高温ガス炉等の高温熱源を活用した革新的な水素製造技術、こうした新しい技術開発も行いながら水素供給コストの低減を図っていくことで、これ鉄鋼業界の皆様にも水素を通じた脱炭素化につなげていけるように支援をしていきたいというふうに考えています。

#157
○安達澄君 ありがとうございます。
 この水素供給に関しては、もう鉄鋼業自らでやれることには限界があると思います。大量の水素を安定的に安価に確保する環境整備は、政府の支援なくして無理だと思います。その環境が整わないと、水素還元製鉄という全く新しい技術の話も絵に描いた餅になりますので、是非水素に関する環境整備、量、価格、そして安定性ですね、に向けた政府の努力を強く求めたいと思います。よろしくお願いいたします。
 そして次に、同じく成長戦略実行計画案の資料の中で、二〇五〇年時点の鉄、ゼロエミ鉄ですね、つまりゼロカーボンの鉄の世界市場規模を約五億トン、四十兆円というふうに推測されています。
 政府参考人の方にお聞きしますけれども、この数字の出どころ、そして、その二〇五〇年の鉄の供給に関する世界の全体図といいますか、粗鋼生産量であったりカーボンの使用有無とか、そういうこの五億トンの持つ意味合いが分かる御説明をいただければと思います。

#158
○政府参考人(安居徹君) お答え申し上げます。
 今御指摘ありましたように、政府のグリーン成長戦略におきましては、二〇五〇年時点での製造工程CO2排出量が実質ゼロである鉄鋼、いわゆるここではグリーンスチールと呼んでおりますけれども、世界の市場規模が最大約五億トンと見込んでおります。これは、国際エネルギー機関、IEAでございますけれども、二〇二〇年に発表したエネルギー技術見通し二〇二〇、これにおけます、いわゆる技術でいいますと、直接還元製鉄ですとかCCUS、これ炭素を利用したり貯留したりするという技術でございますけれども、これを活用した次世代高炉などによる生産量等を基に、いわゆるそのグリーンスチールの生産量が五億トンであると推計したものであると承知しております。

#159
○安達澄君 ありがとうございます。
 このIEAがどういう推測をちょっとされているか分かりませんが、例えばこの二〇五〇年のいわゆる全世界の粗鋼生産、需要が、これは日本鉄鋼連盟とかが出している数字ですと二十七億トンという数字があります。ですから、何でしたっけ、カーボンフリースチールが五億トンであるんですけれども、一方で粗鋼生産は二十七億トンということで、どうでしょう、五分の一程度ということになるかと思います。
 成長戦略に載せているこの五億トンという数字なんですが、そのIEAが公表しているといえども、私はこれをぽんと載せるべき適切な数字なのかどうかというところに非常に疑問を感じています。経産省が二〇五〇年にどのような絵を描いた上で置いてある数字なのかが分かりにくい、誤解を与えてしまうんじゃないかなというふうに思います。
 どういうことかというと、まず、世界は今もう横一線で人跡未踏の技術である水素還元製鉄の製造に向けて今研究開発を行っています。中国、欧州では実験炉もできているようですし、特に中国がもう国家プロジェクトとして製鉄業の強化に乗り出してきています。
 その鉄の生産量の半分以上は中国であります。これは二〇二〇年の粗鋼生産ですけれども、世界全体で十八億六千四百万トン、そのうち中国が十億五千三百万トンですから、全体の五六%を占めます。ちなみに日本は、ちょっとコロナの影響もあって、ふだんはおおよそ一億トンなんですけど、二〇二〇年は八千三百万トンでした。仮にその中国が、カーボンゼロの鉄、すなわち水素還元製鉄の技術開発に成功したならば、成長戦略に今記載されている五億トンという数字よりははるかに大きいはずだというふうに考えるのが自然だと思います。でも、そうなっていないということは、その中国は、カーボンゼロではなくて、従来どおり石炭を使用した二酸化炭素を排出する鉄を大量に造り続けるという、そんな二〇五〇年の姿を映している数字、五億トンとも言えるかと思います。
 そうすると、何とか技術開発に成功して、その結果五億トンの鉄を生産している国からすると、まあ日本が是非真っ先に成功する国であってほしいんですけれども、莫大な研究開発費や時間と人も掛けてカーボンゼロスチールを生み出したのに、従来技術のものが使われ続ける、それでビジネスが成り立つというのは、フェアな競争ルールが成立していない、頑張った人が報われない、そんなふうにも読める数字だなと思います。
 繰り返しになりますけれども、IEAの数字云々というよりも、この数字では恐らく経産省も鉄鋼業界を説得できない、議論もかみ合わない数字を載せているんじゃないかなというふうに思います。これだけスピード感のある時代ですから、約三十年後の二〇五〇年のことを予測するのは極めて困難な話ではありますけれども、経産省の描くそのビジョンですね、産業をどうしたいのかという考えが見えない、見えにくい数字が成長戦略の中で語られるというのは、私は良くないなというふうに思っています。
 改めてというか、参考人の方にお聞きしますけど、その五億トンに対する考え、今私が言ったのというのはどうですかね、間違えているのか、どのように思われますか、率直な意見として。

#160
○政府参考人(安居徹君) お答え申し上げます。
 IEAが発表いたしました五億トンという中には、全世界の需要量、十数億だか二十億トンという御指摘ございましたけれども、五億トンというのはその一部であるということであります。ただ、その内訳が国別に分かれているわけではございませんので、半分以上は従来型の高炉が存在するという前提に二〇五〇年にはなっております。我々が想像するところには、インドや中東などの新興国における現在の製鉄技術を踏まえると、そういった数字になるのかなというふうに考えております。
 二〇五〇年におきましては相当程度従来型の高炉があるということでございますが、同じIEAの見通しにおきまして、二〇七〇年度の、二〇七〇年の時点という見通しもございまして、こうした新興国においては、水素還元製鉄の新しい製鉄方法が普及して、世界の鉄鋼生産のほぼ全てがグリーンスチールになるという見通しというか目標というか、というものがIEAにおいて二〇七〇年度示されておるということでございます。
 こうしたことを踏まえますと、このような状況におきまして、我が国においては、できるだけ世界に先駆けて脱炭素に貢献する製鉄技術をいち早く確立して、これを新興国とも協調しながら世界に広めていくということによりまして、ゼロカーボンスチールというか、グリーンスチールの世界市場の拡大とか普及に前倒しで貢献できるのではないかというふうに考えております。

#161
○安達澄君 ありがとうございます。
 成長戦略に載っている数字ですので、やっぱり民間からすると、そういう数字を見てやっぱり右往左往することもありますので、是非やはり経産省としての意思ですね、それをちゃんと載せるようにしていただきたい。ないのであれば載せない方がいいと思います。是非そこをよろしくお願いしたいと思います。
 ちょっと話変わりますけれども、カーボンニュートラルというのは、そもそも地球温暖化対策が出発点だと思います。このまま行くともう地球がもたないので、世界で協力し合って、特に先進国中心に二酸化炭素を始めとする温暖効果ガスを減らしていこうということだと思いますけれども、ただ、先週三日のこの経産委員会で、森本議員への山下政府参考人の答弁、先ほど浜野さんからもありましたけれども、二〇五〇年に向けた鉄鋼業についておっしゃっていたことなんですけれども、ゼロカーボンスチールの商品こそが競争上位で市場を獲得するとか、ゼロカーボンスチールの製造技術自体も他国に先駆けて先行すれば市場を獲得するというお話は、もう地球環境というよりも、勝者総取りとも言える経済覇権戦争にかなり寄ったものだなとも思います。
 ただ、その発言が間違っているということでは決してなくて、国の経済、産業を担当される方としてはもう当然のお考えだと思います。加えて、民間は、資本主義の下では、やはり利益を追求するのがもう最大の使命ですし、熾烈な競争をして勝ち抜いてもうける、そうしないともう会社が潰れる、きれい事の世界ではないというのはもう重々承知しています。
 ただ、やはりその経済を超えた政治としての役割もあるんじゃないかと思います。食いぶちはつくったが地球がもたなかったと、もしこんなことが起こったら、もうこれは誰の責任かというと、企業や個人というよりは世界の政治家の責任じゃないかとも思うんですけれども、そこで、最後に梶山大臣にお聞きいたします。
 ややちょっと極論、きれい事に聞こえるのはもう承知ですけれども、CO2を大量に出して地球環境に負荷を掛ける、でも、重要な素材などの分野については競合よりも協調の観点に立って、世界レベルで共同研究開発を進める方がいろんな投資も無駄にならずに、本来のグリーンの目的も達成できるんではないかと思いますけれども、民間はこのような発想にはもう決してなりません。政治でしか解決できない問題ですけれども、梶山大臣は経産大臣として、そして政治家としてどのようにお考えになるか、お聞かせください。

#162
○国務大臣(梶山弘志君) まず、先ほどの五〇年の、二〇五〇年のグリーンスチールの量なんですけれども、これは業界ともしっかりと話をしております。鉄鋼連盟とも話をした上で、その上で数値を出させていただいているということであります。IEAの数値は引用しておりますけど、そういう形であります。
 カーボンニュートラルの動きは国際的な共通課題であり、特にCO2を多く排出する鉄鋼業については、今後の取組を進めていく上でCO2削減という目標を関係国で共有して連携を図ることは極めて重要と認識しております。
 具体的には、G20参加国等で鉄鋼の過剰生産能力問題を議論する鉄鋼グローバルフォーラムにおいて、既に本年四月の官民合同会合で各国の脱炭素に向けた取組の共有化を、共有等を行ったところであります。
 ただ、この鉄鋼グローバルフォーラムで、やはり生産調整等についてなかなかやっぱり合意をしない国もあるということでありまして、将来のまた市場をどう取っていくかということも含めてですけれども、ただ、共通の課題は、やはりCO2をいかに減らしていくか、水素還元製鉄というものをいかに導入をしていくかということで、今大競争というか、国際間で、やはり国が支援しながらこういった技術開発を行っているところであります。
 協調すればいいというんですけど、最後、シェアの問題も出てくるという中で、それぞれがやはり技術開発によって自分がそのシェアを取りたいという思いもある中で、それがまたインセンティブにもなって技術開発をしているというのが現状だと思っております。
 ただ、二〇七〇年頃には、先ほど言ったように、これが成功すれば業界全体で共有の技術としてやっていくということも含めて考えられるのではないかと。まずは、疑心暗鬼でそれぞれの国が連携していくというよりも、まずはそれぞれの国とその業界全体で技術開発をしていくというのが現状だと思っております。

#163
○安達澄君 ありがとうございました。以上で終わります。

#164
○委員長(有田芳生君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

#165
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表し、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案に対し、反対の討論を行います。
 産競法は、その前身である産活法以来、株主資本利益率、ROEの向上を最優先とした大企業のリストラ、人減らしを支援することで、株主資本主義、株価資本主義を推し進めてきました。
 本法案は、この間の構造改革と規制緩和、そしてアベノミクスによって多国籍企業の競争力が強化される一方、国民の暮らしや雇用を破壊してきた実態に何の反省もないばかりか、更にコロナ禍に乗じたリストラを推進するものであり、断じて容認できません。
 反対理由の第一は、グリーン社会への転換、脱炭素を名目に原発の永久活用を進め、再生可能エネルギーの導入を阻害するものとなるからです。
 東京電力福島第一原発事故から十年ですが、原子力緊急事態宣言は発令中であり、被害はなお深刻かつ継続し、拡大しています。今政治がなすべきは、原発事故の痛苦の反省と教訓を踏まえ、原発ゼロの道に踏み出すことです。老朽原発の再稼働や新型原発の開発など、いつまで原発にしがみつき続けるのでしょうか。来年、ドイツは全基廃炉にしますが、なぜ日本にはできないのでしょうか。省エネ、再エネ中心のエネルギー政策への大転換を強く求めます。
 第二の理由は、コロナ禍を奇貨とした大企業のリストラ、事業再編、MアンドAの促進が一層の雇用破壊と中小企業、地域経済の切捨てを招くからです。中小企業の足腰を強くするといいながら、規模拡大を目指し、中堅企業に成長する事業者への支援の重点化によって、地域経済の担い手、雇用の支え手として必死に踏ん張る小規模事業者の淘汰をもたらしかねません。今やるべきは、誰一人取り残さないために中小企業・小規模事業者への支援を拡充強化することです。そして、コロナ禍のしわ寄せが集中するフリーランスが人間らしく働く権利を保障することです。
 反対理由の第三は、規制のサンドボックスの恒久化が将来にわたり国民の日々の暮らしの場を企業の実験場とし、際限なき規制緩和をもたらすことになるからです。雇用や労働に関わる労働法制の規制緩和や国民の安心、安全、命に重大な危険を及ぼすことにもなりかねません。
 以上、反対討論といたします。

#166
○委員長(有田芳生君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#167
○委員長(有田芳生君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、礒崎さんから発言を求められておりますので、これを許します。礒崎哲史さん。

#168
○礒崎哲史君 私は、ただいま可決されました産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会及び碧水会の各派並びに各派に属しない議員安達澄君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 成長戦略の柱である脱炭素化やデジタル社会の実現に向けた取組が早期に実効を上げられるよう、本法律案で措置される認定事業適応事業者に対する税制等の支援措置はもとより、あらゆる政策を総合的に活用すること。特に、中小企業による脱炭素化やデジタルトランスフォーメーションに向けた取組に対しては、伴走型支援を含めた、よりきめ細かな支援策を講ずること。
 二 新たな日常に向けた企業の事業再構築が円滑に進むよう、本法律案で措置される計画認定制度の迅速かつ効果的な運用に努めること。また、中小企業等による事業再構築を推進するため、中小企業等事業再構築補助金の活用に当たっては、認定支援機関による積極的な事業計画の策定支援の確保を図ること。
 三 産業競争力強化法及び中小企業等経営強化法等に規定される多数の計画認定制度による事業者支援策については、利用実績や政策効果の検証を適切に行うとともに、利用者のニーズを踏まえた実効性のある制度となるよう、整理統合等を含めた見直しの検討を適時に行うこと。
 四 中小企業に関する制度改革に当たっては、中堅企業への成長を果たす企業の増加に向けて支援の更なる拡充を図るとともに、地域の経済や雇用を支える中小企業・小規模事業者が切り捨てられることなく、また従業員の適切な賃金水準が確保されるよう、必要な予算措置も含め、十分な支援措置を講ずること。
 五 我が国のイノベーション促進に向けては、規制のサンドボックス制度の一層の活用を促すとともに、効果的なベンチャー企業支援策を多面的に講ずること。
 六 下請中小企業取引機会創出事業者の認定制度の運用に当たっては、経済産業大臣による報告徴収等を通じた監督を徹底することにより、認定事業者による取引の公正性や透明性の確保に努めること。
   また、相対的に立場の弱い中小企業・小規模事業者及びフリーランスの労働者等の権利が不当に侵害されること等がないよう、いわゆる「下請Gメン」の体制強化を含め、引き続き、適正な取引環境や労働環境の整備に向けた検討を進めること。
 七 債権譲渡における情報システムを利用した第三者対抗要件の特例の運用に当たっては、認定事業者に対して、情報システムに係る厳格なセキュリティ要件の設定や二重払いの事前防止措置等を求めるとともに、制度の悪用が生じることのないよう、関係省庁と連携し、利用者の保護に万全を期すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

#169
○委員長(有田芳生君) ただいま礒崎さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#170
○委員長(有田芳生君) 多数と認めます。よって、礒崎さん提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、梶山経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。梶山経済産業大臣。

#171
○国務大臣(梶山弘志君) ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

#172
○委員長(有田芳生君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#173
○委員長(有田芳生君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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