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2021/05/21 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 本会議 第24号 令和3年5月21日
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2021/05/21 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 本会議 第24号 令和3年5月21日

#1
令和三年五月二十一日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二十四号
  令和三年五月二十一日
   午前十時開議
 第一 良質かつ適切な医療を効率的に提供する
  体制の確保を推進するための医療法等の一部
  を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第二 少年法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出、衆議院送付)
 第三 住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整
  備のための長期優良住宅の普及の促進に関す
  る法律等の一部を改正する法律案(内閣提出
  、衆議院送付)
 第四 子ども・子育て支援法及び児童手当法の
  一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
  付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、消費者被害の防止及びその回復の促進を図
  るための特定商取引に関する法律等の一部を
  改正する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。井上信治国務大臣。
   〔国務大臣井上信治君登壇、拍手〕

#4
○国務大臣(井上信治君) ただいま議題となりました消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 高齢化の進展、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた新たな日常における社会経済情勢の変化等により、消費者を取り巻く環境は大きく変化しています。そのような中で、消費者の脆弱性に付け込む巧妙な悪質商法による被害が増加しています。
 こうした状況を踏まえて、消費者被害の防止、消費者利益の保護を図ることは、我が国経済の健全な発展のためにも重要です。このような認識の下、消費者被害の防止及びその回復の促進を図るために、関連する法律を改正する次第です。
 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、特定商取引に関する法律について、詐欺的な定期購入商法への対策として、通信販売における契約の申込みに係る書面等への不実の表示や人を誤認させるような表示を禁止するなどの措置を講ずることとしています。また、売買契約に基づかないで送付された商品について、販売業者がその返還を請求することができる期間をなくすこととしています。さらに、消費者の利便性の向上やデジタル技術を活用した消費者利益の保護を図るため、販売業者等が契約締結時等に交付すべき書面の交付に代えて、購入者等の承諾を得て、書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供できることとしています。加えて、申込者等が契約の申込みの撤回等を電磁的記録により行うこともできることとしています。このほか、外国執行当局に対する情報提供制度の創設を行うとともに、新たに禁止する行為について罰則を定めるなどの措置を講ずることとしています。
 第二に、特定商品等の預託等取引契約に関する法律について、法律の規制の対象となる物品を政令で指定するものから全ての物品とし、法律の題名を預託等取引に関する法律に改めることとしています。また、販売を伴う預託等取引を原則として禁止するとともに、禁止に違反した者に対する罰則を定めることとしています。このほか、特定商取引に関する法律と同様に、書面交付に係る規定の見直しを行うなど所要の規定を整備することとしています。
 第三に、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律について、内閣総理大臣は、特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を適切に追行するために必要な限度において、特定適格消費者団体に対し、特定商取引に関する法律及び預託等取引に関する法律に基づく行政処分に関して作成した書類を提供することができることとしています。
 なお、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしています。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出いたしましたが、衆議院におきまして、クーリングオフを電子メール等で行う場合の効力の発生時期について修正が行われているほか、書面交付を電子化する規定について、施行の延期及び検討条項を追加する修正が行われております。
 以上、消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ─────────────

#5
○議長(山東昭子君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。岸真紀子さん。
   〔岸真紀子君登壇、拍手〕

#6
○岸真紀子君 立憲民主・社民の岸真紀子です。
 ただいま議題となりました消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案について、会派を代表して、井上担当大臣に質問させていただきます。
 冒頭、極めて残念なことを申し上げなければなりません。昨日の外交防衛委員会で、我が会派の白議員から答弁を求められていた中山防衛副大臣が委員会に遅刻しました。三原厚労副大臣に続いて、連日のような政務三役の遅刻です。あきれて物が言えません。
 一昨日のこの場での本会議で、菅総理大臣が、今後このようなことが起こらないよう、政府全体で気を引き締めて国会対応に当たることで、内閣総理大臣としての責任を果たしてまいりますと答弁されたすぐ翌日の遅刻です。気を引き締めてもいなければ、何の責任も果たしていないではないですか。
 もはや菅総理の任命責任にも及ぶ言語道断の事態であり、菅政権のおごり、緩み、たるみは目に余るものがあります。参議院の権威を汚す誠に恥ずべき行為であり、菅政権全体として猛省すべきです。万が一にも三度目があれば、猛省程度では済まないことになると申し上げ、質問に入ります。
 さて、COVID―19の拡大が続く中、受入れ病床の逼迫や医療従事者の不足などから、感染しても入院することができず、自宅待機を余儀なくされている方々が大勢おられます。その方々が待機中に亡くなられたというニュースを聞くたびに心苦しくてなりません。今現在も療養されている皆様にお見舞い申し上げますとともに、お亡くなりになられた方々に対し心よりお悔やみ申し上げます。
 感染したら適切な医療が受けられないのではないかという人々の不安は大きいのではないでしょうか。感染拡大を止めるためには、急速に感染が拡大している地域に早め早めにまん延防止重点措置や緊急事態宣言を出すことこそが必要な対策であるにもかかわらず、菅政権は、解除すべきではない時期に解除し、出すべき時期にちゅうちょし、結果として感染拡大を招いた責任は看過できません。
 そういった政策の失敗をごまかすかのようにワクチン接種を前面に押し出し、実務を担う自治体に対し、高齢者のワクチン接種を七月末までに完了せよというミッションを圧力によって課しているのではないでしょうか。希望する方が一日でも早く接種できる体制を整えることは必要ですが、一方で、こういった政府の発信が国民の意識に強く影響を及ぼし、ワクチン接種の予約が取れないことへの焦りを増長させているのではないでしょうか。
 そして、人々の不安感に付け込むかのようにワクチンの優先接種詐欺が発生しています。具体的には、五千円を支払えば必ず接種ができるように予約を代行するなどといった詐欺を疑う相談内容が増えています。ワクチンに関連する詐欺について、消費者庁の対応、対策をお伺いします。
 それでは、法案の質疑に入ります。
 本改正案は、消費者の保護の観点から改正するもので、安愚楽牧場事件やジャパンライフ事件等で問題となった悪質な販売預託商法による消費者被害の発生、拡大防止を行うための一定の前進であると認識しています。
 一方で、契約書面等の電磁的交付、いわゆる契約書面の電子化を可能とする内容が盛り込まれ、消費者被害を拡大させてしまうといった強い懸念があります。契約書面の電子化は、二〇二〇年十一月、内閣府の規制改革推進会議の下に設置された成長戦略ワーキング・グループにおいて、オンラインによる英会話指導契約など、特定継続的役務提供の契約書面の交付が書面でしか認められていないところを電磁的交付も認めるよう、事業者からの要望があったと承知しています。
 ところが、法律案では、事業者から要望のあった特定継続的役務提供だけでなく、特定商取引法の通信販売を除く各取引類型及び預託法においても、紙媒体による契約書面を交付しないことを可能とする結論に至った理由は何だったんでしょうか。法案に追加してまで盛り込む必要性、政策決定過程の妥当性をお伺いします。
 二〇一一年一月二十日に開催された高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部情報通信技術活用のための規制・制度改革に関する専門調査会において、特定商取引法の書面交付の電子化について、消費者庁は、消費者保護を後退させるにすぎず、事業者にとっても取引の安定性が害されることから、実施は困難であると回答しています。
 二〇一一年当時は、実施は困難としていました。消費者を守るという観点に違いができたのでしょうか。それとも、菅政権が掲げるデジタル化といった聞こえのいい言葉に踊らされたのでしょうか。そのために、消費者を守るという大事な観点が抜け落ちてしまったのではないでしょうか。お答えください。
 二〇二〇年に全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談の件数は九十三・四万件となっており、その内訳は、高齢者の相談件数が約三〇%、二十九歳以下の若者の相談件数が約一〇%となっています。高齢者と若者を狙う消費者トラブルは深刻です。
 こういった消費者被害に対応するためには、第三者による発見が重要です。例えば、独り暮らしの高齢者を対象とした悪質な訪問販売や電話勧誘販売による消費者被害は、これまでは家族やヘルパー等が契約書を発見することによって状況を把握し、被害の回復につなぐことができましたが、電子化が認められた場合、第三者が被害を発見することが困難になるおそれがあります。井上大臣は、このような懸念を払拭できるとお考えなのでしょうか。見解をお聞かせください。
 民法改正を受け、成年年齢が来年四月から十八歳に引き下げられます。これにより、未成年者が法定代理人の同意を得ないで行った契約は無効とする、いわゆる未成年者取消し権が十八歳、十九歳の方々には適用されなくなります。
 この間、立憲民主党は、消費者庁、法務省に対し、成年年齢引下げに係る未成年者取消し権の喪失への対応の要請を行ってきました。未成年者取消し権の存在は、悪質業者に対して未成年を契約の対象にしないという大きな抑止力になっていることを勘案すると、今後、十八歳、十九歳の若者が悪質業者のターゲットにされ、消費者被害が拡大する危険があります。
 成年年齢の引下げによる若者の被害防止対策について大臣はどのようにお考えか、お聞かせください。
 また、オンラインの利便性に慣れ親しんでいる若者であっても、スマホやパソコン等の画面で契約内容を十分に把握することができるかどうかは未知数です。むしろ、安易に電磁的交付を承諾してしまい、結果として、若者の消費者被害が増大するおそれがあるのではないでしょうか。大臣の見解を伺います。
 契約書面等の電子化は、購入者等の承諾を得た場合に限るとしているものの、具体的にどのような場合に承諾したとなるのかは法文化されておらず、政省令委任事項となっているため不明瞭です。
 私も経験がありますが、インターネット上のデフォルト設定で、企業からのメール配信を希望したいわけでもないのに、事業者が配信を希望する欄に事前にチェックを入れていて、大量のメールが送られてきた経験があります。同じように、契約書面等の紙媒体での交付から電子化するに当たっての承諾についても、あらかじめ承諾する欄にチェックを入れておかれるおそれがあります。
 また、訪問販売の際に、タブレット等の小さな文字で消費者が意図していないのに承諾するという欄に同意を求められてしまうなど、消費者に対し、承諾の効果等を理解し得る情報の提供がされるのかどうかの危惧もあります。衆議院の審査では、ウエブページ上やタブレットでチェックを入れる承諾を取ることは認めないことを検討したい旨の答弁がありましたが、検討するというだけでは不安が残ります。
 消費者が十分な理解をするための措置はどのように講ずるのか、実効性をどのように担保するのか、具体的にお答えください。是非、検討過程において消費者団体の意見を踏まえることをお約束ください。お願いします。
 契約書面等の電子化への不安はまだまだあります。一般的に、メールなどは、スマホやパソコン等の機器の不具合やサーバー等のトラブルから受信できなくなったり、迷子になったりすることもあり得ます。また、正常に受け取ったとしても、保存が適正にできなかったり、誤って削除してしまうことも考えられます。
 そうしたトラブルが発生した場合、契約の存否を争う際の立証責任は、消費者が負うのか、事業者なのか、どちらになるのでしょうか。また、再交付の場合、改ざんのおそれがありますが、どのように防ぐのか、お伺いします。
 私たち立憲民主党は、衆議院における審査で、契約書面等の電子化に関する規定の削除を求めてまいりました。協議の結果はまとまらなかったものの、当該規定の施行期日の一年延期と施行二年後見直し規定の新設等を内容とする修正案が提出され、全会一致で可決されました。この施行期日を一年から二年へと延長させたことにより、事業者への適切な指導、消費者への周知など、様々な準備をするための期間が確保されました。
 消費者庁として、施行期日までの間における、消費者の承諾の実質化や、電磁的方法による提供に関する政省令や通達等の具体的な取組をお示しください。
 また、施行期日までの間に政省令や通達等の内容についての合意形成が得られなかった場合、更なる施行期日の延期や電子化に関する規定そのものの削除を含め検討すべきであると考えます。消費者保護の原点に立ち返って是非検討していただきたいのですが、大臣の見解をお伺いします。
 特定商取引法の改正事項について伺います。
 購入の申込みをしていないにもかかわらず、一方的に商品を送り付け、相手方から商品の返送又は購入しない旨の通知がない場合は勝手に購入の意思ありとみなして代金を請求するいわゆる送り付け商法は、全国の消費生活センターに毎年度約三千件の相談があり、二〇二〇年度はCOVID―19に便乗したマスクや消毒液などの送り付け商法に関する相談が急増し、例年の二倍を超えています。本改正案により改善につながると評価できるものの、なぜ送り付け商法自体を禁止しなかったのでしょうか。その理由と、代金を支払ってしまった場合の救済方法を伺います。
 次に、預託法改正関連でお尋ねします。
 ジャパンライフなどの販売預託商法は、原則禁止ではなく全面禁止にするべきだったのではないでしょうか。本改正案では、内閣総理大臣の確認を受けた場合には例外的に販売を伴う預託等取引を認めるとなっていますが、事業者が政府のお墨付きを得たと宣伝することにより、消費者に誤った印象を与えてしまう可能性を否定できません。
 前総理主催の桜を見る会に出席したことを宣伝として利用したジャパンライフとは言いませんが、悪質な事業者により消費者被害を増大させる危険性があるのではないでしょうか。こういった懸念を払拭するためにも、内閣総理大臣の確認を厳格に行うことが必要となっていますが、消費者庁としてどのように対応するのでしょうか。
 最後に、特定商取引や預託等取引に関する契約の複雑化、巧妙な特殊詐欺、ネットによる通信販売など、消費者行政には複雑な問題が山積しています。消費者行政における執行力の充実を図るためには、地方消費者行政との連携は欠かせません。また、そのための地方消費者行政の体制強化と相談業務の実務を担う非正規で働く消費生活相談員の処遇改善と雇用の継続による専門性の向上が必須ではないでしょうか。政府としてどのような具体的取組を図っていくおつもりかお尋ねし、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣井上信治君登壇、拍手〕

#7
○国務大臣(井上信治君) 岸議員にお答えいたします。
 まず、ワクチンに関連する詐欺に関する消費者庁の対応についてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルスワクチンの接種が本格化する中、ワクチン接種の予約代行をすると市職員を名のった人が訪ねてきたなど、ワクチン接種に便乗した詐欺だと疑われる消費生活相談が寄せられております。
 消費者庁では、具体的手口などについて注意喚起を行うとともに、国民生活センターに新型コロナワクチン詐欺消費者ホットラインを開設して、相談体制を強化する等の対応を進めています。
 引き続き、相談件数や内容等を分析し、関係省庁とも連携しつつ、注意喚起等必要な対策を取ってまいります。
 次に、特定継続的役務提供以外の取引類型について、契約書面等の電子化を導入する必要性及び政策決定過程の妥当性についてお尋ねがありました。
 特定商取引法が書面交付義務を事業者に課している趣旨は、消費者保護の観点から、契約内容を明確化し、後日紛争が生じることを防止するためであり、これは特定継続的役務提供とほかの取引類型とで法律上異なるものではありません。紙での書面交付に加え、契約書面等の電子化を可能とする規定は、各取引類型に横断的に置くことが法理論的に整合的です。
 また、特定継続的役務提供以外の取引類型においても、契約書面の紛失を回避したい、電磁的方法による管理を希望するというニーズがあると考えます。
 こうしたことを踏まえ、今回の改正法案では、書面交付義務が設けられている全ての取引類型において、紙での交付を原則としつつ、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による交付を可能とする制度改正を行うこととしたものです。
 また、昨年末から、消費生活相談員や消費者団体の代表、有識者や事業者の代表等が委員となっている消費者委員会において本件について議論を行っていただき、消費者庁も議論に参加してきたところです。今般の改正法案は、こうした議論も踏まえたものであり、政策決定過程は妥当であったと考えております。
 次に、二〇一一年当時と異なる政策判断をした理由と現在の政府全体におけるデジタル化に関する議論との関係についてお尋ねがありました。
 今から十年前、二〇一一年当時と現在とでは、我が国の国民生活におけるデジタル化の状況は大きく変化しています。例えば、我が国の世帯ごとのスマートフォンの保有率は、二〇一一年の二九・三%から二〇一九年には八三・四%に上昇しています。また、我が国の電子商取引の市場規模も、二〇一一年の約八・五兆円から二〇一九年には約十九・四兆円と約二・三倍に拡大しています。
 このように、十年前と比較すると、国民の日常生活におけるデジタル化は急速に拡大、深化しており、そうした社会状況の大きな変化に即応した施策を講ずることが必要不可欠となっています。
 また、昨年来、新型コロナウイルス感染症対策が求められる中、極力人との接触を減らす等の新たな日常が模索され、自宅にいながらインターネットを利用する取引や手続の規定を整備する重要性は、いまだかつてなく高まっています。
 こうした状況下において、消費者の利便性の向上と消費者保護の両立を図る観点から検討を行い、今回、紙での交付を原則としつつ、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による提供を可能とすることや、クーリングオフを電磁的方法により行使することを可能とする制度改正を行うこととしたものです。
 これは、政府全体で進めているデジタル社会の形成を通じて国民の利便性の向上などに寄与するという政策にも沿ったものであると考えております。
 次に、契約書面の電磁的交付導入によって、第三者による消費者被害の発見が困難になるのではないかとのお尋ねがありました。
 契約書面が電磁的方法により提供されることで契約書面の散逸や廃棄の可能性は低くなり、高齢者から同意を取れば家族やヘルパー等がスマートフォンのメールフォルダを確認することができることから、見守り機能がより実効的となる側面もあると考えています。
 なお、御指摘の論点も含め、懸念の声が寄せられていることは承知しています。法改正の後、政省令などを検討する過程において、御指摘の点も含め、消費者保護の観点から万全を期すこととし、法律の施行までの間に消費者団体等から意見を聞いて、具体的な詰めを行ってまいります。
 次に、成年年齢引下げによる若者の被害防止対策についてお尋ねがありました。
 来年四月に迫った成年年齢引下げへの対応は、今年度の最重要課題の一つです。これまで、主として若年者に発生している被害事例を念頭に消費者契約法の改正などの制度整備を行ったほか、厳正な法執行、消費者教育の充実、消費生活相談窓口の充実、周知などに取り組んできました。
 成年年齢引下げまで残り一年となり、若年者に向けたあらゆる施策を講じる必要があります。若年者向け消費者教育については、三月に関係省庁と連携し成年年齢引下げに伴う消費者教育全力キャンペーンを決定したところであり、一層の取組の強化を図ります。
 また、若年者を含む消費者の脆弱性に付け込む悪質商法に迅速かつ厳正に対処するため、制度の見直しを絶えず行うほか、厳正な法執行など、更なる施策に引き続きしっかり取り組んでまいります。
 次に、契約書面等の電磁的交付導入による若年層の被害増加の懸念についてお尋ねがありました。
 契約書面等の交付義務は消費者にとって重要な制度であり、議員御指摘の若年層も含め、消費者利益の保護にも万全を期しつつ、社会や経済のデジタル化を踏まえた対応を取ることが極めて重要です。
 こうした観点から、今回の法改正により、紙での交付を原則としつつ、消費者の承諾を得た場合に限り、契約書面等について電磁的方法による提供を可能とするものです。
 具体的な制度、規制の詳細については、悪質事業者に悪用をされることが決してないよう、若年者も含め、消費者利益の保護という観点から、引き続き消費者団体など現場の声も丁寧に聞きながら、政省令等で詳細な制度の在り方を慎重に検討してまいります。
 次に、契約書面等の電磁的交付を行う際の購入者等の承諾の意味及びその保障についてお尋ねがありました。
 承諾を実質的なものとすることは極めて重要です。このため、消費者からの承諾の取り方については、承諾を得ていないにもかかわらず承諾を得たなどとする悪質事業者を排除する観点から、例えば、政省令等において、少なくとも口頭や電話だけでの承諾は認めない、消費者が承諾をしたことを明示的に確認することとし、消費者から明示的に返答、返信がなければ承諾があったとはみなさない、承諾を取る際に、その承諾によってどのような効果があるのか、どのような内容のことが電子メール等で送付されるのかを明示的に示す、このようなことを規定することが適切であると考えております。
 具体的には、承諾の取り方として、現時点では、例えば、ウエブページ上でチェックを入れるだけで承諾とすることは認めない、契約の相手方がデジタル機器に不慣れな一定の年齢以上の方の場合には、家族など契約者以外の第三者のメールアドレスにも送付させることなどを考えております。
 消費者保護の観点から万全を期すよう、政省令等を作成する過程において、消費生活相談の関係者等の意見を聴取した上で十分に検討を行い、具体的な規定等の在り方を詰めてまいります。
 次に、契約書面等の電磁的交付に係る契約の存否を争う際の立証責任及び改ざん防止措置についてお尋ねがありました。
 事業者が契約を前提として代金を請求をする場合、その契約の存否については事業者側に立証責任があります。
 また、電磁的方法による提供の具体的な方法については、後日の紛争を防止し、消費者利益を保護する観点から、電子メールでPDFファイルを添付する方法等に限定し、電子メールにURLを貼り付けてそこからダウンロードするような方法は、改ざん防止の観点からも認めないことが適切であると考えております。
 次に、施行期日までの間における政省令等の検討の進め方についてお尋ねがありました。
 法案成立後、施行期日までの間に、消費者の承諾の実質化や電磁的方法による提供の具体的方法の在り方などについて、消費者保護に万全を期すため、オープンな場で広く意見を聴取する検討の場を設けるとともに、消費者委員会でも議論していただきます。その中で、消費者相談の現場にいらっしゃる相談員の方などからも丁寧に意見を伺いながら、政省令等の具体的な内容について検討を進める方針です。
 次に、施行期日までに政省令や通達等の内容について合意が得られなかった場合に、契約書面の電子化を再考すべきではないかとのお尋ねがありました。
 今回の改正法案においては、紙での交付を原則としつつ、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による提供を可能とし、その詳細は政省令等で定めることとしています。
 その際、消費者団体などの御意見も十分に踏まえながら、決して消費者に不利益になることがないよう、政省令等の策定過程において詳細な制度設計を慎重に行う方針であり、施行期日までに御理解を十分にいただきながら、円滑に施行できるよう対応してまいります。
 次に、送り付け商法自体を禁止しなかった理由と代金を支払った場合の救済方法についてお尋ねがありました。
 売買契約が存在しないのに商品を一方的に送付し、売買契約の申込みをする行為は正常な事業活動ではなく、一方的に送り付けた商品について、代金を支払わなければならないと誤認させて代金を請求するような行為は、禁止するまでもなく、一種の詐欺行為です。
 また、送り付けを受けた消費者は、何ら売買契約を締結していないことから、代金の支払義務は一切負っておらず、相手にすべきではありません。仮に誤って代金を支払った場合、当該代金の返還を請求する権利があるため、いち早く最寄りの消費生活センターに御相談いただきたいと思います。
 次に、販売を伴う預託等取引を全面禁止とせずに原則禁止とした理由についてお尋ねがありました。
 今般の改正法案においては、過去に販売預託による大規模な消費者被害が発生したことも踏まえ、販売預託を原則として禁止しています。
 他方、憲法上の営業の自由との関係も踏まえ、消費者の財産上の利益が不当に侵害されるおそれがないと認められる場合に限り、あらかじめ内閣総理大臣の確認を受けた上で、例外的に行うことができるとしています。
 もっとも、確認についてはあくまでも例外的なものであり、契約の勧誘等の段階及び締結等の両方の段階でそれぞれ確認を行うなど、悪質な事業者による消費者被害を確実に防止するものとしております。
 次に、地方消費者行政との連携や体制強化、消費生活相談員の専門性の向上についてお尋ねがありました。
 消費者行政における消費生活相談の充実や法執行の強化のためには、国による地方消費者行政との連携や支援が重要です。
 消費者庁としては、これまでも、地方消費者行政強化交付金による支援等を通じ、地域において質の高い相談、救済を受けられる体制の構築や執行力の強化に向けた取組を行ってきました。
 また、消費生活相談員は、地域の現場において消費者からの相談等に直接対応するなど、地方消費者行政の最前線で重要な役割を担っています。
 消費者庁としては、いわゆる雇い止めの解消や処遇の改善に向け、地方公共団体に粘り強く働きかけを行うとともに、相談員の養成事業の強化、専門性の向上に向けた研修の充実など、重層的な対策により、相談員の方々が十分に力を発揮できる環境づくりに取り組んでまいります。(拍手)
    ─────────────

#8
○議長(山東昭子君) 柳ヶ瀬裕文さん。
   〔柳ヶ瀬裕文君登壇、拍手〕

#9
○柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文です。
 会派を代表して、消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案について質問いたします。
 このコロナ禍において、消費者の不安や弱みに付け込む悪徳商法が増加しており、その対処は焦眉の急となっています。また、約三十五年前の豊田商事事件を始め、安愚楽牧場事件、ジャパンライフ事件など、被害総額は一兆円、十九万人を超える被害者、販売預託商法による被害は繰り返されてきました。今回の法改正において、この販売預託商法の原則禁止、また詐欺的な定期購入商法への対策を強化することが盛り込まれていることは高く評価したいと思いますが、懸念される事項について以下質問をしてまいります。
 まず、販売預託商法について伺います。
 本法律案により、預託法が抜本改正され、販売預託商法が原則禁止されることになります。一方で、例外的に内閣総理大臣の二段階での確認をクリアすることで販売預託商法を行う道が残されています。
 消費者庁の検討会報告書で述べられたように、販売預託商法は、本質的に反社会的な性質を有し、行為それ自体が無価値であると断定する中で、このような例外を求めるということは、消費者庁として問題のない販売預託商法もあり得るという認識なのでしょうか。本改正案において、販売預託商法を全面的に禁止せず、例外的に販売預託商法をできる余地を残した理由について、大臣の見解を求めます。
 また、報道によると、販売預託商法で取引をしている事業者は現在も十から二十業者程度確認されているとのことです。こうした事業者も、二段階の確認を経なければ事業を継続できなくなるという認識でよいのでしょうか。既存事業者に対し、どのような対応をすることになるのか、井上大臣の見解を伺います。
 悪質な事業者を市場から追放し健全な市場を実現するためには、行政処分の厳格、迅速な執行が不可欠です。四回もの業務停止命令を受けたジャパンライフのように、業務停止命令を受けても何度も違反を繰り返す事業者が絶えず、行政処分の実効性に疑問符が付されています。本法律案により、行政処分の強化を図る点は評価いたしますが、まず、消費者庁として現行の特商法に基づく行政処分の執行状況とその実効性をどのように評価しているのかを井上大臣に伺います。
 また、本法律案により、個人事業者又は法人の役員が事業経営を実質的に支配する法人等である特定関係法人についても業務停止命令ができるようになりますが、こうした行政処分の強化の実効性をどのように担保し、消費者被害の防止につなげるのか、井上大臣の見解を伺います。
 次に、詐欺的な定期購入商法対策について伺います。
 本法律案により、近年急増している詐欺的な定期購入商法対策が講じられます。悪質な事業者への対処は不可欠ですが、健全な事業者にまで支障が出ることは避ける必要があります。消費者を誤認させるような表示を禁止、直罰化し、そのような表示によって申込みをした場合の取消し権が創設されますが、この誤認させるおそれをどうやって判断するのでしょうか。過剰規制となると、健全な事業者にとっては既存のシステム改修など過度の負担を強いるのみならず、ひいては事業者の営業の自由の侵害にもなりかねないと考えます。誤認させるおそれの判断基準の明確化や、違反表示の監視体制の整備が必要となると考えますが、井上大臣の見解を伺います。
 次に、送り付け商法について伺います。
 本法律案により、送り付け商法対策が講じられますが、販売業者が消費者に承諾なく商品を送り付け、代金を請求したり諾否の連絡を要求したりすること自体は禁止されず、また、行政処分の対象ともされていません。
 消費者庁は、事業者のインセンティブをなくすことで未然防止に資する制度となった旨答弁されていますが、悪質な事業者であれば、手を変え品を変え消費者をだまして代金を支払わせようとすると考えられます。これで本当に送り付け商法被害がなくなるのか疑問であります。何ら正当性のない商法である以上、そもそも禁止とし、行政処分も設けるべきと考えますが、そのようにしなかった理由、又はできなかった理由は何でしょうか。井上大臣の見解を伺います。
 契約書面の電子化について伺います。
 契約書面等の電子化については、消費者団体や弁護士会などから多数の反対意見、慎重意見が届いています。昨年十一月以降、唐突に丁寧な説明なく検討が進められ、十分な理解を得る努力をしてこなかったことについては猛省すべきであります。
 一方で、デジタル社会が進展する現状において、紙の書面の交付義務規制を残すことは、いたずらに消費者の利便性を損なうことになると考えます。悪質な事業者は、紙媒体であろうが電子媒体であろうが悪知恵を働かせるものであります。一部の悪質な事業者のために、消費者と善良な事業者の双方が不便を強いられることは、社会経済全体の損失となります。
 電子媒体だから駄目とするのではなく、選択の余地を残した上で、消費者被害のリスクを最小限にする方策を講じる方向性こそ適切な路線と考えます。井上大臣は、契約書面等の電子化において、消費者の利便性の向上と保護のバランスをどのようにお考えか伺います。
 契約書面の電子化の議論の発端は、規制改革推進会議において、特定継続的役務提供の事業者から電子化の要望があったことと承知しています。そもそも、特定商取引の七類型の中で、通信販売についてはもう既に電子交付が許容されており、特定継続的役務提供のみを追加する選択もあったのではないかと考えます。訪問販売などほかの類型にも認めた理由について、井上大臣の見解を伺います。
 また、ほかの類型にも認める以上は、それぞれの取引の特徴や消費者被害の実情を踏まえた制度設計を検討する必要があると考えますが、併せて伺います。
 また、契約書面等の電子化を認めるに当たり、最大のポイントは、消費者からの実質的な承諾の担保策にあります。口頭や電話だけの承諾は認めないと消費者庁は答弁していますが、では、消費者が本当に納得して承諾しているかどうかについて、どのような手段であれば問題ないと認めるのか具体的にお示しください。井上大臣の見解を伺います。
 以上で述べてきたように、本法律案においては様々な悪徳商法への対策が講じられることになりますが、これまでの歴史を振り返ると、消費者を欺く悪質な事業者と、それに対処する規制当局のイタチごっこが繰り返されてきました。今回の改正後も、新たな悪徳商法が生じたり、規制の抜け道を探る者が出てくることは容易に想像ができるものであります。そのような者には厳格、迅速に対処しつつ、法制度の不備を不断に見直すことは当然のこととして、根本的には、やすやすと事業者にだまされない賢い消費者を育成することこそが不可欠と考えます。
 今回の法改正を機に、消費者庁としてこれまで以上に消費者教育に力を入れて取り組んでいただきたいと考えますが、井上大臣の見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣井上信治君登壇、拍手〕

#10
○国務大臣(井上信治君) 柳ヶ瀬議員にお答えいたします。
 まず、販売預託商法を全面的に禁止せず、例外的に販売預託商法をできる余地を残した理由についてお尋ねがありました。
 今回の改正法案においては、過去に販売預託による大規模な消費者被害が発生したことも踏まえ、販売預託を原則として禁止しています。
 他方で、憲法上の営業の自由との関係も踏まえ、消費者の財産上の利益が不当に侵害されるおそれがない場合と認められる場合に限り、あらかじめ内閣総理大臣の確認を受けた上で、例外的に行うことができるとしています。
 もっとも、確認についてはあくまでも例外的なものであり、悪質な事業者による消費者被害を防止する観点から適切に運用してまいります。
 次に、販売預託を行う既存事業者への対応についてお尋ねがありました。
 販売預託に該当する事業を行っている事業者は限られており、販売預託を原則として禁止することによる一般的な事業活動に対する影響は限定的なものになると考えています。
 今回の法案は、悪質な事業者を排除した上で、内閣総理大臣の確認を受けた場合には、例外的に販売預託を行うことを可能とする制度としています。改正法の施行後においても販売預託を行うことを希望する事業者については、確認の制度に関する周知を行うなど、適切に対応してまいります。
 次に、現行の特定商取引法に基づく行政処分の執行状況とその実効性への評価についてお尋ねがありました。
 令和二年度の消費者庁など国による特定商取引法の行政処分の件数は八十九件となっています。
 消費者庁としては、現行法下においても、悪質商法の排除に向けて迅速かつ適正に対処していますが、法執行の実効性を図る観点からは、調査能力の向上を含めて制度の見直しも図っていく必要があります。
 法案では、特定商取引法について、個人に対する業務禁止命令の対象について、事業者への業務停止命令の前六十日以内において役員等であった者から業務停止命令の前一年以内において役員等であった者に拡大するなど、行政処分等を強化する内容を盛り込んでいます。
 消費者庁としては、現行法や改正法案も駆使し、法執行の実効性を更に高めてまいります。
 次に、改正法案に基づく行政処分の強化の実効性の担保と消費者被害の防止についてお尋ねがありました。
 本法案では、議員御指摘のとおり、業務禁止命令の対象となる役員等が命令前から既に命令の対象となる業務と同一の業務を特定関係法人において行っている場合等においてもその業務等を停止できるよう、行政処分の対象範囲を拡大する内容を盛り込んでいます。
 消費者庁としては、先ほども答弁した内容も含め、改正法による行政処分等の強化策を最大限活用するとともに、職員の調査能力を強化し、特定商取引法に違反する行為に対して、引き続き迅速かつ厳正に対処することで消費者被害の防止に努めてまいります。
 次に、通信販売において消費者を誤認させる表示等の判断基準の明確化、違反表示の監視体制の整備についてお尋ねがありました。
 改正法十二条の六第二項の、誤認させるような表示とは、例えば、定期購入契約において、最初に引き渡す商品等の分量やその販売価格を強調して表示し、その他の定期購入に関する条件を分かりにくいように小さな文字で表示する場合や、殊更離れた場所に分離して記載する場合などが該当するものと考えています。
 どのような表示が誤認させるような表示に該当するかについての詳細は、法の施行までに通達で明らかにし、消費者及び事業者の双方にとって透明性の高い分かりやすい制度としてまいります。
 法律違反となる表示については、現在も通信販売の専属の担当を設けて調査、監視を常時行っていますが、引き続き厳正に法執行を行い得る体制を整備する方針です。
 次に、送り付け商法の禁止や行政処分に関する規定を設けなかった理由についてお尋ねがありました。
 売買契約が存在しないのに商品を一方的に送付し、売買契約の申込みをする行為は正常な事業活動ではなく、一方的に送り付けた商品について代金を支払わなければならないと誤認させて代金を請求するような行為は、一種の詐欺行為です。
 その上で、送り付け商法については、特定商取引法で規制を設けている各取引類型とは異なり、そもそも正当性のない行為であり、行政処分を受けて業務改善等が見込めるような性質の業態ではなく、行政処分の対象とすることはなじまないものです。
 次に、契約書面等の電子化における消費者の利便性の向上と保護のバランスについてお尋ねがありました。
 今回の制度改正は、社会や経済のデジタル化を更なる消費者の保護につなげることを図りつつ、電子メールなどにより必要な情報を受け取りたい消費者のニーズに応えるためのものです。
 消費者委員会からも、デジタル技術を活用することにより、消費者の利便性の更なる向上を図るとともに、消費者の保護につなげることが重要である旨の建議をいただいています。
 消費者庁としては、今後、消費者団体等の御指摘も踏まえ、具体的な制度設計を進める中で、消費者の利便性の向上及び消費者利益の保護の両者の充実を図ります。
 次に、電子交付を認めるに当たり、訪問販売など他の類型にも認めた理由についてお尋ねがありました。
 特定商取引法が書面交付義務を事業者に課している趣旨は、消費者保護の観点から、契約内容を明確化し、後日紛争が生じることを防止するためであり、これは特定継続的役務提供とほかの取引類型とで法律上異なるものではありません。紙での書面交付に加え、契約書面等の電子化を可能とする規定は、各取引類型に横断的に置くことが法理論的に整合的です。
 また、特定継続的役務提供以外の取引類型においても、契約書面の紛失を回避したい、電磁的方法による管理を希望するというニーズがあると考えます。
 こうしたことを踏まえ、今回の改正法案では、書面交付義務が設けられている全ての取引類型において、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による交付を可能とする制度改正を行うこととしたものです。
 次に、取引の特徴や消費者被害の実情を踏まえた制度設計を検討する必要性についてお尋ねがありました。
 契約書面の電子化に係る制度設計に当たっては、御指摘のとおり、特定商取引法における取引の特徴やそれぞれの消費者被害の実情も踏まえた上で、政省令等を整備し、消費者保護にも万全を期した実効的な制度とすることが重要です。
 このため、法案成立後、オープンな場で広く意見を聴取する検討の場を設けるとともに、消費者委員会でも御議論いただき、消費生活相談の実情に詳しい相談員の方などから丁寧に意見を伺い、消費者の承諾の実質化や電磁的方法による提供の具体的方法の在り方を検討してまいります。
 次に、消費者から承諾を得る際の具体的な手段についてお尋ねがありました。
 契約書面等の電子化に対するトラブルを回避するため、承諾を実質的なものとすること、すなわち消費者が本当に納得して承諾をしていることを確保することは極めて重要です。このため、高齢者などデジタル機器に必ずしも慣れていない方々が不利益を被らないよう、政省令等で消費者保護の観点から万全な制度設計を行います。
 消費者からの承諾の取り方については、承諾を得ていないにもかかわらず承諾を得たなどとする悪質業者を排除する観点から、例えば、政省令等において、少なくとも口頭や電話だけでの承諾は認めない、消費者が承諾したことを明示的に確認することとし、消費者から明示的に返答、返信がなければ承諾があったとはみなさない、承諾を取る際に、その承諾によってどのような効果があるのか、どのような内容のことが電子メール等で送付されるのかを明示的に示すことなどを規定することが適切であると考えています。
 具体的には、承諾の取り方として、現時点では、例えば、ウエブページ上でチェックを入れるだけで承諾とすることは認めない、契約の相手方がデジタル機器に不慣れな一定の年齢以上の方の場合には家族など契約者以外の第三者のメールアドレスにも送付させることなどを考えております。
 次に、これからの消費者教育についてお尋ねがありました。
 社会のデジタル化や高齢化の進行、新型コロナウイルス感染症への対応、また令和四年四月からの成年年齢の引下げなど、経済社会環境が大きく変化する中で、消費者教育を通して消費者被害を抑止することは重要な政策課題です。また、食品ロスの削減や循環型経済社会の構築等、持続可能な社会の形成に向けて自立した賢い消費者として積極的に貢献していくことも必要となっています。
 こうした状況を踏まえ、若年層、高齢者等のライフステージに応じたきめ細かい消費者教育に一層力を入れて取り組んでまいります。(拍手)
    ─────────────

#11
○議長(山東昭子君) 伊藤孝恵さん。
   〔伊藤孝恵君登壇、拍手〕

#12
○伊藤孝恵君 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました法律案について質問いたします。
 十二年前の二〇〇九年五月二十九日、この議場で消費者庁設置関連法案が全会一致で成立しました。相次ぐ食品偽装や製品事故の対応や相談窓口はそれまで各省庁がばらばらに担い、消費者にとって不便なだけでなく、行政対応が遅れて被害を広げる一因になっていました。
 食品表示担当の農林水産省と衛生担当の厚生労働省が対策に二の足を踏んだために、多くの犠牲者を出したコンニャク入りゼリーによる窒息死亡事故はその典型例で、一歳六か月の赤ちゃんから八十七歳に至るまで、子供たちとお年寄りばかりが窒息により亡くなりました。
 ねじれ国会の中にあっても、これでは駄目だと与野党全党が知恵を出し合い、長い時間を掛けて修正協議を行い、八十八時間の審議と三十四の附帯決議を付けてようやく生まれたのが現在の消費者庁です。同年九月の発足記者会見で、初代大臣は、我が国の行政の在り方を消費者・生活者重視に大きく転換していくための突破口とすると語りました。
 数えること二十人目の大臣でいらっしゃる井上消費者担当大臣に、以下伺います。
 二〇〇九年以降、閣法、議法問わず、消費者庁に関連する法案は何本成立し、うち全会一致は何本だったかお答えください。その数字には消費者行政に対する立法府の意思が込められています。
 本法案の原案が衆議院で全会一致とならなかった最大の理由は、突如盛り込まれた契約書面等の電子化によるものです。大臣は質疑の中で、電子化に関する消費者からの具体的な要望の有無を問われ、何か具体的に、個別に、あるいは書面でといった要望はなかったんだと理解していますと、立法事実はない旨を認められました。
 消費者も消費者団体も、弁護士会や司法書士会、全国知事会も、誰も求めていない、日本訪問販売協会に至っては、要望はもちろん、業界内で議論すらしたことはなく、青天のへきれきだとまで言ったこの電子化は、なぜ改正事項となったのでしょうか。規制改革推進会議の要請があったというお答えは承服いたしかねます。彼らが求めたのは、オンライン英会話コーチの契約など極めて限定的な範囲です。
 これまで、不意打ちの勧誘や利益を強調する勧誘、提供される役務内容に関する誤認を防止するなど、そこに合理的理由があるからこそ、書面による交付は法定とされてきました。契約内容の警告機能やクーリングオフの告知機能によって、消費者被害を防止、救済する重要な役割を担ってきた書面交付を不要とするのであれば、当然、傍証が求められます。
 高齢者の契約における家族やヘルパーなど、第三者の視認による消費者被害の発見や被害回復の効果について、大臣はどのようにお考えでしょうか。訪問販売やマルチ商法、電話勧誘販売や預託取引など、消費者被害における過去十年の発生件数と被害者年齢の特徴、事件発覚の端緒等の傾向を示した上で、書面交付は必要なしとの結論に至った理由をお示しください。
 政府は、電子化は時代の潮流であり、契約書面等の電子化は消費者の承諾を前提とする、あくまで選択肢の一つなのだから問題はないとの認識でした。しかし、考えてみてください。まさに、消費者の承諾、それも納得ずくの承諾が事後的に争われる、それが悪徳商法による消費者被害というものです。この被害はなぜ後を絶たないのでしょうか。
 言わずもがな、それは特殊な心理状態に追い込んで承諾させる、契約締結に至らしめるのが悪質事業者の手口だからです。こうした事業者から、判断能力が低下傾向の高齢者のみならず、予備知識の乏しい若者などの被害を未然に防ぐことこそが消費者庁の最大のミッションだと考えますが、大臣の見解をお聞かせください。
 今回の法改正では、適切に承諾を得ずに電磁的交付をした場合は行政処分や罰則の対象になります。この適切に承諾を得ているかどうかは、誰が、いつ、どこで、どのように判断するのでしょうか。悪質事業者を相手に、消費者がその不適切性を立証するのは相当難しいと思われ、また、法の穴をかいくぐる能力にたけている悪質事業者とのイタチごっこに対抗できる調査能力や体制、ノウハウを今の消費者庁が内包しているとは到底思えませんが、大臣の御所見を伺います。
 二〇〇〇年十一月八日、IT書面一括法に係る国会審議において、当時の担当大臣は、契約をめぐるトラブルが現に多発している法律、例えばマルチ商法規制の訪問販売法等については、そもそも本法律案にはなじまない、ですから対象としないことにいたしましたと答弁されています。
 二〇〇〇年といえば、IT革命という言葉が流行語大賞にも選ばれた年です。今以上にデジタル化が喧伝された中にあっても、政府は従来からの一貫した方針を変えませんでした。それを覆した今回の判断です。よほどの理由、政府の方針転換があったのだと思います。理由を教えてください。
 この十年で、消費者リテラシーを含め、契約書面等の電子化を許容する環境が整ったのかといえば、むしろ逆で、コロナ禍で広がる困窮と混乱の中で高齢者が狙われ、デジタルデバイドは深刻化し、消費者被害の相談件数は右肩上がりです。
 給付金詐欺にワクチン詐欺、身寄りのないお年寄りが、ワクチンの予約を取ろうと一日中役所に電話を掛けてもつながらずに、誰にも頼めずに不安でいる中、予約を代行しますよと掛かってきた電話に飛び付いてしまう気持ちを、大臣、想像してください。
 スマホの保有率や電子商取引の市場規模、そんな数字を並べて電子化を正当する知恵があるなら、消費者被害に遭ってしまう一人一人の高齢者の孤独を、暮らしを想像し、対策を講じてください。
 政府は、電子化による被害が起きないよう、政省令で必要な対策を定めるとしています。その具体例として示されたのは、紙の書面で事前承諾を取るというものです。今まで紙で契約を取り交わしてきたものを電子化したいがために、まず契約の事前承認を紙で取り交わし、契約書自体は電子化する、まるでコントです。政省令でいかなる対策を備えるおつもりか、御説明ください。
 政府のデジタル化はどれもこれも手段が目的化しています。本改正案の目的でいえば、まさに法案名、消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特商法改正であるのに、いつの間にか電子化が目的になっています。もとい、それが消費者保護に資するものであればまだ救われるのですが、全くそうではないという声が現場からこんなにあふれているからこそ、我々は対案を提出し、再考を求めています。
 日に日に大きくなる懸念に対し、政府は、契約者が高齢者の場合は家族など第三者のメールアドレスにも送付させるなど、政省令や通達等において規定される承諾の実質化を図ることを検討されていると伺いましたが、悪質事業者は、ならばと、家族のいない高齢者を狙うでしょう。息子には相談できないという親心の隙間に付け込むでしょう。大臣、これらは十分な歯止めになり得るのでしょうか。
 手段が目的化してしまっている、この袋小路から抜け出る方法はただ一つ、本法案から契約の電子化規定を一旦削除し、消費者保護の観点から、消費者や消費者団体等の意見を聞く場を公で設け、あらかじめ政省令や通達等も含めた制度設計をした上で、法律案を見直すことです。大臣の見解を伺います。
 最後に、消費者庁と同時に発足した民間有識者による監視機関、消費者委員会について伺います。
 消費者委員会は、消費者問題を自ら調査審議を行い、必要であれば各省庁、内閣総理大臣にまで建議、勧告等を行うことができる組織です。
 十二年前、政権交代前夜の激動の中、与野党が衝突を封印し、共にこだわり抜いたのがこの消費者委員会であり、第三者機関として消費者庁から独立させ、消費者庁をも監視させることを目指したといいます。
 それが、いつの間にか、消費者庁から巧みに送り込まれた事務局長が中心となり、今回の電子化をバックアップしていた事実は看過し難く、先人の努力に連なる行政監視機能を果たせなかった大きな自戒があります。この消費者委員会内のガバナンスには課題があると考えますが、大臣の御所見を伺います。
 私は、DXの推進に賛成です。しかし、デジタル化というものは、自己に関するデータを自由に管理、処分できる権利、自己に関するデータを無断で分析、予測されない権利など、守られるべき権利、安心の下敷きがあって初めて利活用への理解が進むものだと思っています。そして、社会の実情を顧みないデジタル先導には、摩擦や犠牲が生じ得ることを忘れてはなりません。万が一にも高齢者にそれを強いることがないように、そのことを殊更強く申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣井上信治君登壇、拍手〕

#13
○国務大臣(井上信治君) 伊藤議員にお答えいたします。
 まず、消費者庁関係法案の成立数と全会一致の本数についてお尋ねがありました。
 二〇〇九年の消費者庁設置以降、今国会までに成立した消費者庁が主管省庁の閣法十三本と議員立法の三本、合計十六本のうち、衆議院及び参議院本会議で全会一致により可決された法律は十二本です。
 次に、契約書面の電子化が改正事項に入った経緯についてお尋ねがありました。
 国民生活におけるデジタル化は急速に拡大、深化しており、こうした社会状況の大きな変化に即応した施策を講ずることは必要不可欠となっています。とりわけ、昨年来、新型コロナウイルス感染症対策が求められる中、極力人との接触を減らす等の新たな日常が模索され、自宅にいながらインターネットを利用する取引や手続の規定を整備する重要性は、いまだかつてなく高まっています。また、紙よりもデジタル技術を活用して必要な情報を保存、閲覧し、やり取りする方がより便利であると感じる国民も増えているのではないかと考えられます。
 こうした状況も踏まえ、消費者庁において検討を行い、消費者の利便性の向上や消費者利益の擁護を図る観点から、特定商取引法等において、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による提供を可能とする改正を行うこととしたものです。
 次に、書面の第三者の視認による消費者被害の発見の効果についてお尋ねがありました。
 契約書面が電磁的方法により提供されることで契約書面の散逸や廃棄の可能性は低くなり、高齢者から同意を取れば家族やヘルパー等がスマートフォンのメールフォルダを確認することができることから、見守り機能がより実効的となる側面もあると考えています。
 なお、御指摘の論点も含め、不安の声が寄せられていることは承知しています。法改正の後、政省令などを検討する過程において、御指摘の点も含め、消費者保護の観点から万全を期すこととし、法律の施行までの間に消費者団体等から意見を聞いて、具体的な詰めを行ってまいります。
 次に、過去十年の消費者被害の発生件数と、契約書面の電子化を導入するとの結論に至った理由についてお尋ねがありました。
 十年前の二〇一一年度の消費生活相談の件数は、例えば、訪問販売に関するものが約九万五千件、連鎖販売取引に関するものが約一万件ありました。これに対して、二〇二〇年度の件数は、訪問販売が約七万五千件で漸減傾向にあり、連鎖販売取引に関するものは約一万件でほぼ横ばいです。また、訪問販売の消費生活相談の件数は六十歳以上を中心に各年代において、連鎖販売取引の消費生活相談は二十歳代を中心に各年代において寄せられております。
 事件の端緒については、消費者等からの申出や職権探知、公益通報など様々ですが、その傾向については今後の調査に支障が生じることからお答えを差し控えますが、このような消費生活相談の実態なども踏まえ、消費者庁において検討を行い、特定商取引法等において、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による提供を可能とする改正を行うこととしたものです。
 次に、なぜ訪問販売やマルチ商法等による消費者被害が撲滅されないのかとのお尋ねがありました。
 消費者庁では、訪問販売や連鎖販売取引等について、特定商取引法に違反し、消費者被害をもたらす行為に対しては、迅速かつ厳正に対処しているなど、悪質商法の撲滅に向けて取り組んでおります。他方、社会経済情勢の変化等により、消費者の脆弱性に付け込む形で悪質商法の手口が巧妙化し、それによる消費者被害が発生していることは事実です。
 消費者庁としては、厳正な法執行に加えて、消費者への注意喚起、御審議いただいている改正法案による制度改革などを講じることで、消費者被害の防止に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、高齢者や若年者の被害の未然防止についてのお尋ねがありました。
 加齢により判断力が低下した高齢者や、判断力が十分でない若年層を含め、消費者被害の未然防止に万全を期すことは消費者庁の最重要責務の一つと認識しています。
 厳格な法執行、法制度の充実強化、相談体制の整備、消費者への啓発など、消費者被害の未然防止のための施策を講ずる上で、消費者の年齢その他の特性に配慮し、多様化する消費者にきめ細かく対応してまいります。
 次に、承諾を得ずに電磁的交付をした場合に行政処分を行う際、承諾があったかをどのように判断するかについてお尋ねがありました。
 特定商取引法の解釈は、一義的には法令所管省庁において行うものであり、かかる判断を踏まえ、個別具体の事案に即し、行政処分であれば執行権限のある消費者庁及び都道府県において事実認定を行い、罰則の適用を含む刑事手続については捜査機関において適切に執行されるものと承知しています。
 法執行に関する個々の調査プロセスについては、今後の法執行に関する調査に支障が生ずるためお答えは差し控えますが、いずれにしても、法違反があった場合には、法令に基づき、迅速かつ厳正に対処してまいります。
 次に、法の穴をかいくぐる悪質事業者に対する消費者庁の調査能力などについてお尋ねがありました。
 法の穴をかいくぐることを企てるような悪質事業者に対して、法律に基づく取締りを強化していくことは極めて重要です。
 今回の改正法案においては、既に設立されている会社で同様の違反行為を行う場合の業務停止命令を新たに創設するとともに、個人に対する業務禁止命令に係る制度も強化するなど、時々の消費者被害の実態を踏まえ、抜本的な取締り強化策を盛り込んでいます。
 より巧妙化する悪質商法に対しては、こうした制度改革を行うほか、研修の強化等を通じた調査能力の向上や人事交流等による専門人材の確保などに常に取り組んでいく必要があると考えており、更なる執行強化に全力で取り組んでまいります。
 次に、政府方針を転換した理由についてお尋ねがありました。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けて新たな日常が模索される中で、経済社会のデジタル化は必要不可欠なものとなっています。
 そのような状況下において、政府全体におけるデジタル化の議論の中で、規制改革推進会議において特定商取引法の一部取引類型の契約書面等の電子交付についても取り上げられました。また、規制改革推進会議の事務局である規制改革推進室からは、各省庁の所管法における全ての民民手続の書面規制について、法改正が必要な事項の検討依頼がありました。
 これらを受け、消費者庁において検討を行い、消費者の利便性の向上や消費者利益の擁護を図る観点から、消費者の承諾を得た場合に限り例外的に契約書面等の電磁的方法による提供を可能とする改正を行うこととしたものです。
 次に、契約書面の電子化を許容できる環境かとのお尋ねがありました。
 この十年間で、我が国の国民生活におけるデジタル化の状況は大きく変化しています。そうした社会状況の大きな変化に即応した施策を講ずることが必要不可欠となっています。
 さらに、昨年来、新型コロナウイルス感染症対策が求められる中、極力人との接触を減らす等の新たな日常が模索され、自宅にいながらインターネットを利用する取引や手続の規定を整備する重要性は、いまだかつてなく高まっていると考えております。
 次に、ワクチン予約代行詐欺など、被害に遭ってしまう消費者の感情や孤独を踏まえた対策についてお尋ねがありました。
 高齢者を始め、新型コロナウイルス感染症の影響や経済社会のデジタル化の進展などに不安を覚える消費者は少なくありません。
 このような消費者の不安な心理に付け込んだ詐欺等は許されるものではなく、御指摘のワクチン接種をかたる詐欺被害の防止を含め、注意喚起、相談体制の整備、見守りの強化などの施策を通じ、消費者一人一人の気持ちに寄り添いながら被害防止策を講じてまいります。
 次に、政省令で定める対策の方向性についてお尋ねがありました。
 承諾を実質的なものとすることは極めて重要であり、政省令等で消費者保護の観点から万全な制度設計を行っていく方針です。
 消費者からの承諾の取り方については、承諾を得ていないにもかかわらず、承諾を得たなどとする悪質事業者を排除する観点から、例えば、政省令等において、口頭や電話だけでの承諾は認めない、消費者が承諾したことを明示的に確認することとし、消費者から明示的に返答、返信がなければ承諾があったとはみなさない、承諾を取る際に、その承諾によってどのような効果があるのか、どのような内容のことが電子メール等で送付されるのかを明示的に示すことなどを規定することが適切であると考えています。
 次に、政省令等で規定する承諾の実質化により十分な歯止めとなるかとのお尋ねがありました。
 消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法を可能とすることについて、それを悪用されないようにすることは極めて重要です。
 そのため、消費者からの承諾の取り方が重要な要素となると考えており、法律ではなく政省令で手続の細則を定めることによって、消費者トラブルや取引実態を踏まえて細かい制度の機動的な見直しが可能となるとともに、取引の特徴や契約当事者となる消費者の置かれている状況に応じて承諾の取り方を柔軟に規定することも可能となるなど、より手厚い制度設計を行うことが可能であると考えています。
 このため、消費者庁としては、政省令等による承諾の実質化は十分な歯止めとして機能するものと考えております。
 次に、電子化に関する規定を削除し、意見を聞く場を公で設け、法律案を出し直すことが適切ではないかとのお尋ねがありました。
 国民生活におけるデジタル化は急速に拡大、深化しており、こうした社会状況の大きな変化に即応した施策を講ずることは必要不可欠となっております。とりわけ、昨年来、新型コロナウイルス感染症対策が求められる中、極力人の接触を減らす等の新たな日常が模索され、自宅にいながらインターネットを利用する取引や手続の規定を整備する重要性は、いまだかつてなく高まっているところです。
 こうした状況を踏まえ、消費者のニーズに応えるとともに消費者保護も併せて図る観点から検討を行い、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による提供を可能とする制度改正を行うこととしました。
 消費者庁としては、法案成立後、オープンな場で広く意見を聴取する検討の場を設けるとともに、消費者委員会でも議論いただき、消費者相談の現場にいらっしゃる相談員の方々などから丁寧に意見を伺うこととし、それも十分に踏まえながら、消費者の承諾の実質化や電磁的方法による提供の具体的方法の在り方を検討したいと考えており、法律案を出し直すことは考えておりません。
 最後に、消費者委員会のガバナンスについてお尋ねがありました。
 消費者委員会は、消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策に関する重要事項等について自ら調査審議を行い、内閣総理大臣や関係各大臣等に対して建議を行うこと等を目的として内閣府に設置された第三者機関です。消費者委員会の委員は独立して職権を行うこととされ、会務を総理する委員長を中心として積極的に調査審議を行い、その任務を適切に果たしていただいております。
 消費者委員会が本年二月に発出した特定商取引法及び預託法における契約書面等の電子化に関する建議については、契約書面等による消費者保護等の機能を維持した上で、デジタル技術を活用した消費者保護を図る観点から委員の総意として取りまとめられたものであり、安易に電子化の推進を容認するものではないと承知しております。
 なお、御指摘の事務局長につきましては、委員長の命を受けて適切に局務を掌理していると承知しております。(拍手)
    ─────────────

#14
○議長(山東昭子君) 大門実紀史さん。
   〔大門実紀史君登壇、拍手〕

#15
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。会派を代表して質問します。
 本改正案は、全体としては消費者保護のために必要な改正ですが、昨年末、急遽盛り込まれた書面交付の電子化は大問題です。今まで、訪問販売やマルチ商法など消費者被害の多い取引に関しては、契約書は紙の書面で交付することが義務付けられてきました。ところが、今回の改正案では、業者がメールなどで送り付けた電子書面に承諾のボタンを押せば契約が成立したことになります。
 井上大臣は、先ほどから、本人の承諾、同意を得た場合に限り、電子契約を認めると繰り返していますが、今までの詐欺事件は全て本人同意の上に契約した上でだまされてきたのです。
 今回の法改正のきっかけとなったジャパンライフ事件では、全国のお年寄りを中心に、約一万人の被害者から二千百億円ものお金がだまし取られました。手口は、磁気治療器などの預託販売とマルチ商法でした。
 しかし、ほとんどのお年寄りはだまされていることに気付かず、家族がお金が減っていることを不審に思い、たんすの中を調べたらジャパンライフの契約書が見付かり被害が発覚したという事例が数多くありました。また、契約書が紙で残っていたからこそ、弁護士さんたちがジャパンライフを訴えることもできました。紙の契約書が様々な場面で実際に消費者被害を食い止めてきたのです。
 スマホの小さな画面で膨大な契約書を確認することは、高齢者にとって容易ではありません。スマホやタブレットに保存された契約書を周囲の人が発見することも難しい。消去してしまう可能性もあります。また、一定期間内に契約書をダウンロードしないと消えてしまう方式も現在広く行われています。そんな中で悪徳業者に電子書面での契約を許すなど、やくざに凶器を与えるようなものです。
 現在、百六十を超える全国の消費者団体、弁護士会などから、書面交付の電子化に反対する意見書が上がっています。消費者庁提出の法案に対し、現場からこれだけの反対の声が上がるのは前代未聞、消費者庁始まって以来のことです。
 井上大臣、日夜、消費者相談の現場で御苦労されている方々から猛反対されるような法案を提出したこと自体、消費者担当大臣として既に失格ではありませんか。答弁を求めます。
 消費者庁では、たくさんの有能な職員が真面目に働いています。にもかかわらず、この間の消費者庁は、今回の法改正を含め、消費者団体の皆さんからの信頼を失ってきています。消費者庁をつくるために運動した弁護士や各団体の方々からは、こんなはずじゃなかったという声が多く聞かれます。その原因は、ひとえに歴代の消費者担当大臣と消費者庁の幹部が消費者保護の立場に徹し切れなかったことにあります。
 この消費者庁のていたらくは、ジャパンライフ事件の頃から始まり、そして今回の書面交付の電子化にまで引き継がれています。
 私が二〇一七年に入手した消費者庁の内部文書によれば、消費者庁は早くからジャパンライフの悪質商法を把握していたにもかかわらず、二〇一四年に軽い行政処分を行っただけで放置していました。国会やマスコミが取り上げ始めると慌てて行政処分を連発しましたが、既に被害は大きく拡大しており、腰の引けた消費者庁にジャパンライフの営業を止めることはできませんでした。結局、ジャパンライフが営業を停止したのは、二〇一八年二月に被害者弁護団が破産手続の申立てを行ったからでした。
 ジャパンライフの悪質商法を早くから知っていながら、被害の拡大を防止できなかった消費者庁の責任について、井上大臣はどうお考えか、答弁を求めます。
 消費者庁がジャパンライフに及び腰だった背景には、ジャパンライフと政治家との関係がありました。私が入手した内部文書には、国会議員などへのお中元リストとともに、ジャパンライフへの立入検査は、政治的背景による余波が懸念される、与党と相談の必要ありなどと記された文書がありました。消費者庁の幹部が政治家とジャパンライフとの関係をそんたくしていたことが分かります。
 そのジャパンライフが、お年寄りをだますために最大限活用したのが、二〇一五年二月に安倍前首相がジャパンライフの山口隆祥会長へ出した桜を見る会への招待状でした。被害者弁護団には、あの招待状を見て信用した、安倍さんの名前にだまされたなど、被害者のお年寄りの声がたくさん寄せられています。
 井上大臣は、安倍前首相の招待状が被害の拡大に活用されたことをどうお考えか、消費者担当大臣としての見解を示してください。
 ジャパンライフが破綻した後、私は、その時々の消費者担当大臣に対し、事件を総括するとともに、反省するとともに、今後の被害防止のために特商法、預託法などを改正するよう求めてまいりましたが、どの大臣も、消費者庁の対応は問題なかった、法改正は必要ないの一点張りでした。
 しかし、二〇一九年九月に就任された衛藤晟一大臣は、同年十一月の委員会での私の質問に対し、結果的に言えば消費者庁はジャパンライフの被害を防ぐことができなかったと率直に反省の言葉を述べられた上で、預託法などの改正についても、その方向で走っていきたいと明確に答弁をされました。そして出てきたのが消費者保護を前進させるいい内容の改正案の骨子でありました。ところが、衛藤大臣の後の井上大臣がその改正案に書面の電子化を入れ込んで、せっかくのいい改正案に泥を塗ってしまったのです。
 そもそも、井上大臣はなぜ書面の電子化を入れたのか。複数の関係者からヒアリングをして分かりました。当初、事務方は規制改革推進会議から要望のあったオンラインの英会話教室など一部の事業者だけに契約の電子化を認めることを考え、井上大臣に報告したところ、大臣から、言われたことだけやるのではなく、自ら進んで全部やれと指示をされ、特商法における全ての契約を電子化することになったということです。委員会でこのことを大臣にただしましたが、言葉を濁してまともに答えようとされませんでした。
 改めて聞きます。菅総理がデジタル化、すなわち紙をなくすことを看板に掲げる下で、あなたは、消費者よりも総理の方向を向いて、紙をなくした成果を示したかったのではありませんか。だから、特商法にまで書面の電子化を入れ込んだのではありませんか。明確な答弁を求めます。
 しかし、その菅総理は、三月二十六日の財政金融委員会で私の質問に対し、特商法の書面の電子化については承知していなかった、指摘があったので検討させてもらいたいと答弁されました。つまり、菅総理でさえ望んでいないことをあなたが勝手にやってしまったのです。三十日の同委員会では、麻生財務大臣も私に、御指摘のとおりだ、井上大臣に大門先生に相談したらどうかと言っておいたと答えました。いずれにせよ、菅総理や麻生さんからの指示は、政省令でしっかり歯止めを掛けなさいということだったと聞いています。
 しかし、政省令では被害の拡大を確実に防げる保証はありません。先ほど大臣が、政省令であれこれをやる、これをやったらどうかと言われたのは、全て私が消費者庁に提案した内容であります。しかし、それでも政省令で確実に防げる保証はないんです。ですから、本気で被害防止を考えるなら、そんな小細工を弄するより、書面電子化の部分をきっぱり法案から削除すべきではありませんか。
 井上大臣の猛反省と書面電子化の削除を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣井上信治君登壇、拍手〕

#16
○国務大臣(井上信治君) 大門議員にお答えをいたします。
 まず、契約書面等の電子化に反対する声がある中で改正法案を提出したことについてお尋ねがありました。
 国民生活におけるデジタル化は急速に拡大、深化しており、こうした社会状況の変化に即応した施策を講ずることが必要不可欠です。とりわけ、昨年来、新型コロナウイルス感染症対策が求められる中、極力人との接触を減らす等の新たな日常が模索され、自宅にいながらインターネットを利用する取引や手続の規定を整備する重要性は、いまだかつてなく高まっております。
 こうしたニーズを踏まえ、デジタル化のメリットを生かし、消費者の利便性を向上させる施策を展開していくことが重要です。同時に、消費者保護の視点も重要であり、デジタル技術によって消費者トラブルの防止を図り、更なる消費者の保護につなげることにより、消費者の利便性の向上と消費者利益の保護をバランスよく一体として実現していくことも求められております。
 このため、今回の改正法案においては、紙での交付を原則としつつ、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による提供を可能とする制度改正を行うこととしました。
 改正法案が成立した暁には、消費者相談の現場の声などを真摯に聞きながら、悪質事業者が悪用したり、高齢者等デジタル機器の利用に不慣れな方々が不利益を被らないよう、万全な制度設計を行っていく方針です。
 次に、ジャパンライフの悪質商法による被害の拡大の防止に関する消費者庁の責任についてお尋ねがありました。
 ジャパンライフ社に対しては、消費者庁において、平成二十八年十二月から一年間で四回にわたって厳しい行政処分を行うなど、悪質な法違反事件として全力で取り組んでまいりました。
 また、ジャパンライフ事件に代表される販売預託に対して抜本的に対策強化を図る観点から、消費者庁の有識者検討会において販売預託を原則禁止すべきとの方向性が初めて示され、直ちに法制化作業を行い、販売預託を原則として禁止する内容を盛り込んだ改正法案を国会に提出したところです。
 このように、消費者庁としては、迅速かつ厳正な法執行と制度改革を通じ、責任を果たしてきたと考えております。
 次に、桜を見る会の招待状についてお尋ねがありました。
 桜を見る会の個々の招待状や推薦元については、個人に関する情報であるため、招待されたかどうかも含めて従来から回答を差し控えていると承知をしております。
 次に、特定商取引法の通信販売を除く全ての取引類型において契約書面等の電子化を行う理由についてのお尋ねがありました。
 特定商取引法が書面交付義務を事業者に課している趣旨は、消費者保護の観点から、契約内容を明確化し、後日紛争が生じることを防止するためであり、これは特定継続的役務提供とほかの取引類型とで法律上異なるものではありません。紙での書面交付に加え、契約書面等の電子化を可能とする規定は、各取引類型に横断的に置くことが法理論的に整合的です。
 また、特定継続的役務提供以外の取引類型においても、契約書面の紛失を回避したい、電磁的方法による管理を希望するというニーズがあると考えます。
 こうしたことを踏まえ、今回の改正法案では、書面交付義務が設けられている全ての取引類型において、紙での交付を原則としつつ、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による交付を可能とする制度改正を行うこととしたものです。
 次に、電子化に関する規定を削除すべきではないかという点についてお尋ねがありました。
 国民生活におけるデジタル化は急速に拡大、深化しており、こうした社会状況の大きな変化に即応した施策を講ずることは必要不可欠となっております。とりわけ、昨年来、新型コロナウイルス感染症対策が求められる中、極力人との接触を減らす等の新たな日常が模索され、自宅にいながらインターネットを利用する取引や手続の規定を整備する重要性は、いまだかつてなく高まっております。
 こうした状況を踏まえ、消費者のニーズに応えるとともに消費者保護も併せて図る観点から検討を行い、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による提供を可能とする制度改正を行うこととしました。
 消費者庁としては、法案成立後、オープンな場で広く意見を聴取する検討の場を設けるとともに、消費者委員会でも議論いただき、消費者相談の現場にいらっしゃる相談員の方などから丁寧に意見を伺うこととし、それも十分に踏まえながら、消費者の承諾の実質化や電磁的方法による提供の具体的方法の在り方を検討してまいりたいと考えており、書面の電子化に関する規定を法案に明記することが必要と考えております。(拍手)

#17
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────

#18
○議長(山東昭子君) 日程第一 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長小川克巳さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔小川克巳君登壇、拍手〕

#19
○小川克巳君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、医師の長時間労働等の状況に鑑み、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するため、医師の労働時間の短縮及び健康確保のための制度の創設、各医療関係職種の業務範囲の見直し等の措置を講ずるとともに、外来医療の機能の明確化及び連携の推進のための報告制度の創設、地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組に関する支援の仕組みの強化等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、医師の時間外労働規制の在り方と地域医療への影響、医師が仕事と出産、子育てを両立できる環境の整備、感染症対応の視点を踏まえた地域医療構想の見直しの必要性等について質疑を行うとともに、参考人より意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民を代表して田島麻衣子委員より反対、日本共産党を代表して倉林明子委員より反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#20
○議長(山東昭子君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。田島麻衣子さん。
   〔田島麻衣子君登壇、拍手〕

#21
○田島麻衣子君 立憲民主・社民の田島麻衣子です。
 私は、会派を代表し、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案に関し、反対の立場から討論を行います。
 我々が政府提出案に反対する理由は、地域医療構想に関して、政府の対応や法案の規定に大きな問題があるからです。
 本法律案では、地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組の支援として、消費税財源百九十五億円を活用し、国が病床機能再編支援事業の運営全額を負担することとするほか、再編を行う医療機関に対する税制優遇措置を講ずるために必要な認定制度を置いています。
 ここで言う地域医療構想は、新型コロナウイルス感染症拡大前の状況に基づくものです。現在も国がコロナ禍で深刻な状況にあり、今後も医療需要の増大が見込まれるにもかかわらず、こうした視点を欠いたまま公立・公的病院の病床機能の重点化見直しや再編統合が先行して進むことは問題です。
 二〇一九年九月には、各自治体の地域医療構想調整会議の議論の活性化を図るためとして、公立・公的病院を名指しする四百二十四リストを国は公表しました。病院のリストはその後修正されて、現在は四百三十六となっております。
 公立・公的病院は、地域医療の確保のために、過疎地などにおける医療や、感染症、救急、災害などの不採算医療の提供など、重要な役割を担ってきました。新型コロナウイルス感染症の対応においても、令和三年一月三十一日現在、四百三十六リストで示された病院のうち、二百五十病院が新型コロナウイルス患者を受入れ可能と表明し、百九十一病院が実際に新型コロナウイルス患者を受け入れています。
 こうした点を受けて、我々は、以下の点を強く述べてまいりました。
 すなわち、新型コロナウイルス感染症の拡大、最重要課題は医療提供体制の強化にあるのではないか。また、今の日本に必要なのは、ここで一度立ち止まって、これまでとは違う視点を加え、今後の地域医療体制をどのように構築していくのかを考えることではないか。そして、そのためにも地域医療構想の再検討が必要であるのではないかと。
 こうした問題意識に基づいて、我々は、地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組の支援に係る改定規定の削除などを盛り込んだ法律の修正案を衆議院で提出してまいりました。
 地域医療構想そのものを否定するわけではありません。しかし、まずは四百三十六リストを撤回するとともに、地域医療構想をゼロベースから再検討し、地域医療構想全体の方針を示すことが先ではないでしょうか。
 今行うべきは病床削減ではありません。医療人材の確保や病床の確保など、新型コロナウイルス感染症の影響により経営が苦しい医療機関に対して支援を行うことであると強く申し上げます。
 また、この法案は、女性医師の働き方に着目をした対応が十分に取られていない点で問題です。
 全医師に占める女性医師の割合が増加傾向にあることはとても喜ばしいことです。特に近年は若年層における女性医師が増加しており、三十歳から三十九歳の勤務医の三一%、二十九歳以下では三六%が女性医師と言われています。しかし、彼女たちのワーク・ライフ・バランスを支える職場環境の整備は非常に遅れていると言わざるを得ません。
 参議院の厚生労働委員会での質疑では、全国における病院の院内保育の実施状況は、二〇一七年の時点でも半数以上の五六%が未実施であることが明らかになりました。
 さらに、法律上、育児休業が当然取得できるにもかかわらず、育児休業制度の規定のない医療・福祉分野の事業所が一六%もあることが分かりました。育児休業制度の規定がなければ、幾ら法律上取得が可能であっても、実際問題として育児休業を取得するのは容易ではありません。
 厚生労働省に対し、女性医師を始め子育て世代の医療従事者が仕事と子育てを両立できる環境を整備するように強く求めます。
 また、この法案は、過労死基準をはるかに上回る時間外の上限規制を、医療機関に勤務する医師に対して国が事実上認めてしまっていることも今後の重要な検討課題です。
 本法律案で厚生労働省が定める医師の時間外労働の上限は、通常の過労死基準をはるかに上回る年千八百六十時間となっています。参議院の厚生労働委員会における参考人の意見陳述では、過労によるうつ病で自ら命を絶ち、労災と認められた小児科医の御遺族の方からお話を伺いました。
 医療機関に勤務する医師も働く人間の一人です。地域の医療提供体制に影響を及ぼすことがないように、国が必要な支援を行いながら勤務医の働き方改革を更に進めていく必要があることを強く指摘したいと思います。
 最後に、皆さんに一つ問題提起をしたいことがあります。それは、どのような人材が明日の日本を担っていくべきかという問いかけです。
 医学部入試で女性差別があったとして大きな社会問題になったのは二〇一八年のことです。女子学生は志願票などの採点を意図的に減らされていたと聞いて驚かれた方は決して少なくないと思います。
 しかし、医学部入試で差別をされていたのは女子学生だけではありませんでした。その後の第三者委員会の調査報告書で明らかになったのは、大学卒、大学院卒、そして社会人の男性も、浪人を三回続けていた女子学生と同じくゼロ点の配点を受けていたという事実です。
 個人的な話になって恐縮ですが、私が国連職員として歩み始めたのは三十歳も目前のときでした。決して早いときではありません。大学を卒業後、民間企業に就職をしたときには、なぜ初めから自分の目標に向かって努力をしなかったのかと随分悩んだことを覚えています。
 また、その後、NPOに転職をするために仕事先を辞めると決めたとき、周りからは信じられないと言われました。なぜ信じられなかったのか。それは、日本は、一度決められたレールから外れてしまうと、もう元には簡単には戻れないからではないでしょうか。
 こうした人生の道のりは私を随分強くしてくれましたし、同じように人生の岐路に立って足がすくむ人々の気持ちが分かるようになりました。
 医業は仁術と言われます。病気で苦しむ人々を救うのが医者ですから、そのとおりです。さきの医大入試の不正で明らかになったように、こうした仁術に当たる人々が、高校で優秀な成績を収め、ストレートで医大に合格した人のみでよいのでしょうか。むしろ、社会人を一度経験した後に悩みながらも医学を志すと決めた人、こうした様々な人生経験を経て、人の苦しみや悩みを理解する多様な人々がいることの方が患者の皆さんのためになるのではないでしょうか。
 失敗しない最善の方法は挑戦をしないことです。活力ある社会をつくるには、失敗を忌み嫌い、避けるのではなく、失敗からの学びこそ大事にする価値観、たとえ少しくらい人生の寄り道をしても、再び活躍のチャンスが開かれる社会が必要であると思います。
 コロナで社会の在り方が大きく変わり、令和の時代にふさわしい生き方や働き方を誰もが模索する今こそ、何歳でも失敗を恐れずに果敢に挑戦できる社会の大事さを申し上げ、また、コロナ禍で社会が疲弊する今こそ地域医療構想の再検討の必要性を強く申し上げ、私の反対討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

#22
○議長(山東昭子君) 倉林明子さん。
   〔倉林明子君登壇、拍手〕

#23
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私は、日本共産党を代表して、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 本法案に反対する第一の理由は、新型コロナ感染症の拡大による医療の逼迫が全国に広がる中で、消費税を財源とした補助金で病床の削減を支援することを法定化することです。
 地域医療構想を実現するために、昨年度の補助金によって全国で二千七百床が廃止されました。そのうち、現在深刻な病床不足に陥っている大阪府は百二十三床、兵庫県は七十九床です。今年度は、消費税を財源に百九十五億円が計上され、削減される病床数は単純計算をすれば一万床規模に上ります。
 病床を削減すれば、連動して地域で働く医師や看護師の体制後退にもつながります。一般病床が一万床削減されれば、医師千六百人、看護師五千八百人という規模で影響が出るのです。この事実に、正気の沙汰とは思えないと厳しい批判が寄せられています。
 コロナ危機が明らかにしたのは、重篤化しても入院できず、高齢者施設や自宅で亡くなる方が相次ぎ、命の選別が迫られる、余りにも脆弱な医療体制です。その最前線で闘う公立・公的病院を今、病床削減することなど絶対に許されません。
 そもそも、地域医療構想が目指す二〇二五年の病床必要量は、新興感染症のパンデミックを想定せず、高度急性期、急性期を中心に約二十万床も削減するものです。新興感染症の感染拡大時、一般医療と両立し、命が守れる必要病床数は一体どれだけなのか、再検証が求められています。
 病床削減のための補助金は廃止し、その予算はコロナ禍で苦闘する医療機関、医療従事者に回すべきです。四百三十六の公立・公的病院を名指しして病床削減を求める再編統合リストは撤回するよう強く求めます。
 新たに医療計画に位置付ける新興感染症拡大時の医療提供体制は、病床削減計画はそのままに、パンデミック時は施設、人員を迅速に切り替えろというものです。
 しかし、そのやり方が破綻していることは明らかです。余裕の全くない現場では、看護師不足で確保病床すら稼働できず、医師は過労死ラインの数倍という過重な労働で治療に当たっています。救える命を守れない事態をこれ以上生まないために、必要な人員、施設を一定規模常時確保することを感染症対策の基本とすべきです。
 第二に、本法案は、医師の過労死を容認するものにほかならないからです。
 政府は、全ての勤務医に年九百六十時間という時間外労働上限を設けるとともに、それを超える医師が勤務する医療機関について特定労務管理対象機関として指定、年千八百六十時間を上限とする特例を認めようとしています。九百六十時間は過労死ライン、千八百六十時間はその二倍に当たります。現状の異常な働き方を合法化し、医師の過労死の増加につながるものであり、到底容認できません。
 本法案は、千八百六十時間を上限とする医師に対し、追加的健康確保措置として、面接指導、連続勤務時間制限、勤務間インターバル規制、代償休息を実施することを求めています。
 しかし、前提となる労働時間管理について厚労省が行った調査では、約半数の勤務医について客観的な労働時間管理ができておらず、過労死ラインを超えて働く医師ほど時間外労働時間を正確に申告しておりません。申告できる残業時間が制限されているなど、ガイドライン違反すら横行しています。
 厚生労働大臣は、適切な労働時間の管理は使用者の責務だと答弁していますが、法案には正確な労働時間を把握するための担保はありません。逆に、副業、兼業を行う医師は自己申告を基本としています。正確な時間管理なしに医師の命は守れません。最低限、客観的な時間把握を義務付けるべきです。
 医師の長時間労働は、女性医師が出産や子育てを機に常勤医師を続けることができない要因にもなっています。異常な働き方を前提とする環境こそが、女性医師を差別する構造を生んでいます。
 また、医師の長時間労働は、患者の命も危険にさらす可能性があります。日本外科学会の調査によれば、医療事故、インシデントの原因に過労、多忙が八割を超えています。医療の質を守り、女性医師への差別をなくし、医師のワーク・ライフ・バランスを実現するためにも、勤務医の労働環境の改善が必要なのです。
 医師の働き方改革のために、医師の増員は欠かせません。
 政府は、将来の人口減を見込めば医師は供給過剰になるとして、医師数を抑制しようとしています。しかし、高齢者の増加に伴う医療需要は想定されておらず、労働時間も週六十時間と過労死ラインを前提にするなど、前提条件そのものが実態と懸け離れたものとなっています。需給推計を見直し、医師を抜本的に増員すべきです。
 第三に、医師不足に対応するため、タスクシフトを推進、医師養成課程を見直すことです。医師、看護師の絶対的不足は明らかであり、それを放置したまま侵襲性の高い医療行為の業務移管を進めれば、医療の質、安全性を脅かしかねません。
 今回、法案によって新設される重点外来のうち、一般病床二百床以上の病院は、紹介状なしの初診の場合、窓口定額負担の徴収が新たに義務付けられます。窓口負担の拡大は、地域によっては通院先をなくしてしまう可能性もあり、受診抑制を招きかねません。
 また、定額負担の額は保険給付から外し、それ以上の額を上乗せするというものです。国が不要不急とみなす医療を保険給付から外すことなどが示唆されています。国の財政を理由として保険給付の範囲を削減する、保険免責制の本格導入に道を開くなど、決して許されることではありません。
 以上、本法案は、コロナ禍、ぎりぎりの地域医療提供体制から更に病床を削減するとともに、医師不足を放置して過労死を招く長時間労働を容認するものです。コロナ禍で奮闘する医療現場からは、使命感だけでは安全は守れない、働き続けられない、悲痛な声が上がっています。
 医療崩壊の現実を踏まえるのであれば、国民が安心して医療を受けられる体制の強化のため、医師、看護師の抜本的な増員、医療提供体制の拡充こそ急務であることを指摘し、討論といたします。(拍手)

#24
○議長(山東昭子君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────

#25
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#26
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#27
○議長(山東昭子君) 日程第二 少年法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長山本香苗さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔山本香苗君登壇、拍手〕

#28
○山本香苗君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、成年年齢の引下げ等の社会情勢の変化を踏まえ、年齢満十八歳以上二十歳未満の特定少年に係る保護事件について、虞犯をその対象から除外し、原則として検察官に送致しなければならない事件についての特則等の規定を整備するとともに、検察官送致の決定がされた後の刑事事件の特例に関する規定は、特定少年には原則として適用しないこととする等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、本法律案の立法事実、特定少年に関する原則逆送対象事件の範囲の妥当性、特定少年に対する推知報道の禁止を一部解除する理由、特定少年に対する家庭裁判所調査官の調査の在り方、犯罪被害者への支援を充実させる必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民を代表して真山理事、日本維新の会を代表して清水理事、日本共産党を代表して山添委員、沖縄の風を代表して高良委員、碧水会を代表して嘉田委員より、それぞれ本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#29
○議長(山東昭子君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。真山勇一さん。
   〔真山勇一君登壇、拍手〕

#30
○真山勇一君 立憲民主・社民の真山勇一です。
 会派を代表し、少年法等の改正案について、反対の立場から討論をさせていただきます。
 反対の理由は明確です。改正の理由が全く見出せないからです。
 衆議院そして参議院での審議を通じて、上川法務大臣からも法務省の政府参考人からも、なぜ今回の改正が必要なのか納得のいく答弁を全くしていただけませんでした。何度も何度も求めましたが、法改正を必要とする立法事実は示されませんでした。
 改正理由の一つとして、少年による犯罪の実情ということが挙げられています。しかし、現行の少年法は非常によく機能していることを法務大臣も法制審議会もはっきり認めています。上川法務大臣が自ら答弁されているように、少年犯罪は大きく減少しており、凶悪犯罪も激減しているのが現実です。従来からの更生保護行政の成果もあって、状況は大いに改善してきているのです。それなのに、なぜ今、わざわざこれを後退させるのか、全く理解に苦しみます。
 本改正案の大きな柱は、十八歳、十九歳を特定少年として区別することです。この年代の少年は可塑性に富み、更生や教育の効果が高いと言われていることは法務大臣も認めていらっしゃいます。人間の脳は二十五歳頃まで発達を続けるという研究結果もあります。諸外国のように、むしろ少年法の適用年齢を引き上げて、更生と教育の取組を強化するということならまだ分かりますが、その逆をやる理由は全く道理に反しているのではないでしょうか。
 十八歳、十九歳の特定少年の事件も全件家庭裁判所への送致が維持されることだけは一応の評価ができますが、少年であると言いつつ、その一方で、処罰は成人と同じようにするというのです。こうした改正がなされることに、十数年間保護司をしてきた私としては、少年たちに寄り添ってきたこれまでの努力が否定され、ばかにされているような気すらします。
 上川大臣は、今年三月の京都コングレスにおいて、日本の保護司制度をローマ字のHOGOSHI、HOGOSHIとして世界に広め、世界保護司デーを設けると宣言されました。しかし、あくまでもこの改正案を成立させるのであれば、もう一度京都コングレスをやり直して、日本の更生保護行政を後退させるという旨を全ての参加国に伝え、釈明すべきだと思います。
 もう一つの大きな改正理由として、成年年齢の引下げ等、社会情勢の変化が挙げられています。これが今回の改正案とどう関係があるのか、最後まで明快な答えは示されませんでした。成人として参政権など権利行使が認められることと、本人の健全育成のために国家が必要な措置をとることは、本来別問題ではないでしょうか。
 法律上の成年年齢が十八歳に引き下げられても、お酒やたばこ、公営ギャンブル等は二十歳まで禁じられています。これは、本人の健全な発育を考えてのことであり、全て自己責任として解禁しようなどという論議はナンセンスと言えます。十八歳になったからといって直ちに行為責任を問うことはせず、本人の健全な育成を考慮し、国家として更生及び教育に力を尽くすことの方が、むしろ現行の法体系と矛盾なく整合するのではないでしょうか。
 理由もない改正だからというだけではありません。大いに弊害があることも懸念されています。これも私たちが反対する理由です。
 特定少年は検察に逆送致されます。原則として、短期一年以上の刑に当たる事件は、一律に検察への逆送の対象になります。これは、現行の故意による被害者死亡という条件から大幅に拡大され、極めて広い範囲の犯罪が含まれることになります。現行では、対象者の立ち直りを考慮し、家庭裁判所がきめ細かい処分を行うことを考えていますが、今後は一律で検察に逆送致されるというのです。再犯防止の点からも逆効果になることは明らかですが、法務省からは納得のできる説明はありませんでした。
 無論、改正後の第六十二条第二項ただし書には、短期一年以上の罪であっても逆送致をしない例外事案もあり得るとの規定もありますけれども、どんな例外があり得るのか、今も判然としません。恣意的判断や社会的圧力によって判断がゆがめられる余地があるのであれば、欠陥法案と言うほかはありません。
 特定少年に対する保護処分も大きく後退します。現行では、個々の少年の健全な育成を重視して、犯情の軽重を問わずに保護を要する、保護を優先するとしていますが、これが大転換されます。改正案では、特定少年に対する保護処分は、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内とされました。もはや要保護性は重視されないのでしょうか。少年法の理念や更生保護制度、再犯防止制度の根幹を台なしにする法改正には、断固として反対いたします。
 推知報道禁止の解除規定も大問題です。本改正案では、特定少年が公判を請求された時点で実名での報道が認められることになりますが、その理由は全く不明です。実名報道によって、少年犯罪への抑止効果があるわけではありません。刑事裁判所の事実審理の結果、家庭裁判所への移送もあり得るとされています。また、審理の結果、無罪になる可能性も否定できません。しかし、起訴された時点で既に広く推知報道がなされてしまっているのです。社会復帰を支援する家族の生活にも著しい困難をもたらし、帰住先を失うことで、対象者の更生を妨げるおそれもあります。こうした推知報道による回復不能の事態に対する救済措置、回復措置等について、法務省の具体的な実効策を示すことはありませんでした。
 事件報道の中で被害者の名前が報道されるのだから、加害者も、特定少年であったとしても名前を報道されるべきという意見があるのは承知しています。しかし、本来なら、被害者本人と御遺族の心情や生活の立て直しに配慮して、加害者の実名報道を推進するのではなくて、被害者側についての報道を抑制することを検討すべきではないでしょうか。少なくとも、被害者側の十分な救済策を用意すべきですが、それをしないで、ただ加害者に社会的制裁を加えても、被害者側には何も良いことはありません。
 特定少年から虞犯を除外することも大いに問題です。少年は全て要保護性に基づく処分が必要だというのがこれまでの少年法の趣旨でした。司法の現場に携わる人々には、虞犯とする家庭裁判所の司法手続は選択肢として極めて有効であり、セーフティーネットの役割を果たしているという主張に耳を傾けてください。特に、虞犯の女子少年には、虐待とか精神疾患など大変切実な問題があるのです。それなのに、具体的な代替策をつくることなく、一方的に虞犯から除外するというのは余りにも乱暴で無慈悲です。
 特定少年に不定期刑が適用されなくなることも反対理由です。少年は成長発達の途上にあり、教育による更生や改善が期待されるからこそ、幅のある刑期で柔軟な対応を可能にしています。特定少年も本人の個別事情に応じた処遇により、教育、更生の可能性が高まるはずですが、今回の改正でこれができなくなるのです。不定期刑の適用が除外されると、有期刑の上限は三十年になります。十八歳、十九歳の特定少年が長期間の刑に服した場合、社会復帰を著しく困難にしかねません。
 さらに、社会復帰をした後、仕事を探す際の資格制限排除の特例が適用されなくなります。現行法は、資格制限からできるだけ早く少年を解放し、本人の更生を助けることを目的にしています。しかし、これが撤廃されると、特定少年の将来の選択肢は狭められてしまいます。一生を左右するほどの大問題ですが、法務省はどれだけの資格がこの制限対象になるのか、厳密な検討をせずに本改正案を提出しました。怠慢と言わざるを得ません。何百、何千もの資格が対象になるかもしれないという説明がなされたんですけれども、何百、何千あろうとも、その全てをきめ細かく精査して法案を提出すべきでしょう。そうしたことが誰一人取り残さないということにつながっていくのではないでしょうか。
 このように、本改正案は、少年の立ち直りや更生保護を大きく後退させるものです。菅政権は国民の命や人生を軽んじていると言われても仕方がない内容です。会派として到底賛成できないということを申し上げて、私の討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

#31
○議長(山東昭子君) 清水貴之さん。
   〔清水貴之君登壇、拍手〕

#32
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之です。
 会派を代表して、ただいま議題となりました少年法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論をいたします。
 十八歳、十九歳は成人なのか、少年なのか。この単純な問いに答えを出さないまま、彼らを新たに特定少年なる言葉でくくり、いびつで不安定な存在に据えているのが今回の法案の姿ではないかと、四月二十三日の本会議、この場にて指摘をさせていただきました。まさに決められない大人たちの問題であると。
 来年四月には、民法改正により、成人となる年齢が十八歳に引き下げられます。公認会計士や医師免許などの国家資格に基づく職業に就く道が開かれ、裁判員裁判の裁判員を務めることも可能となる人々が、犯罪に手を染めたときには特別扱いすることが認められることが、果たして公正な法制度だと言えるのでしょうか。
 選挙権を有し、投票行動で政治や社会を変えることもできる十八歳、十九歳が、罪を犯したときだけは少年として扱うことが理にかなっていると言い切れるのでしょうか。
 政府の曖昧な措置では、民法で新たに成人に加わる世代に大人としての責任を感じてもらうための明確かつ有効なメッセージにならないのではないかと思います。
 御長男を暴力事件で亡くし、その後、少年犯罪被害当事者の会代表として活動されている武るり子さんが、衆議院法務委員会の参考人質疑にて述べられた言葉を御紹介いたします。
 私たちは、子供を殺された後もずっと、加害少年は可塑性に富んでいる、加害少年はこれから先も生きていかなければいけない、将来があり、未熟だから保護しなければならない、そんな言葉を何度も何度も聞かされてきました。そのことが大切なことだとは分かっていますが、そのことを理解するのに大切なもの、被害者の視点が欠けていると思います。加害者が自分の罪と向き合い、その重さを分かること、そして責任を果たしていくことがなされていないことが問題なのです。
 この言葉を聞いて、本法案の改正においても被害者側の視点が不十分であると感じるのは私だけではないのではないかと思います。加害少年への教育や更生の機会、これはもちろん大切です。しかし、加害者から被害者に対する謝罪や償いが十分なされているとは言えないのも現状です。武さんは、私たちが経験をしていることは、加害者も親も逃げ得が許され、誰も責任を取ろうとしない姿なのです、だから少年法改正を言い続けているのですとも述べられています。
 このような状況ですから、世論調査を行うと、少年法の適用年齢引下げに賛成、つまり、加害少年にはもっと厳しく臨むべきだと答える方が多数を占めるのだと思います。
 委員会審議でも尋ねましたが、被害者側の感情を少しでも和らげることができるよう、加害少年がしっかりと謝罪の気持ちを伝える、また、賠償責任を果たしていくことを担保できるような制度をつくっていくべきではないかと強く感じています。そのことが加害少年の真の更生にもつながるのではないでしょうか。
 本改正案は、法制審議会の部会で審議をし、総会において全会一致で採択された答申に基づくものであると政府は繰り返し述べています。しかし、その法制審議会の委員の選定が果たして公平公正なものであるかは甚だ疑問です。
 平成十一年に閣議決定された審議会等の組織に関する指針には、委員等の資格要件について、行政への民意の反映から、原則として民間有識者から選ぶものとするという一文があります。また、審議会等の運営に関する指針には、府省出身者の委員への任命は厳に抑制すると記載されています。
 では、今回の法改正の基となった法制審議会の委員の構成はどのようになっているでしょうか。
 親会の法制審議会ですが、こちらは会長を除く委員十九名のうち、府省出身者、関係者は二名、議決権のない幹事三名は全て法務省の局長など府省関係者。よって、割合でいいますと、約二三%が府省出身者になります。
 さらに、実質的に法案の中身を審議してきた法制審議会少年法・刑事法部会を見てみますと、こちらは委員十八名のうち五名が府省出身者になります。幹事に至っては十六名中十三名が役所からです。全体では半数を超える五一%が身内の府省関係者で占められています。犯罪被害者の立場から参加されたのは、先ほど御紹介した武るり子さんお一人です。
 確かに、委員の資格要件には、国の行政機関職員を属人的な専門的知識及び経験に着目して委員等とすることは排除しないとありますが、あくまで原則民間有識者、例外として国の行政機関職員であるはずです。
 そのように偏った委員構成によってまとめられた審議会答申に基づき、改正案は作られました。そのため、法案が審議会の全会一致で採択された答申によってできたものだと胸を張られても、本当に民意を反映したものであるかどうか疑問しか残りません。ただでさえ、今の仕組みですと、政府側の意に沿う委員を選定することも可能なわけですから、原則は原則としてきっちりと維持すべきです。
 今回の法制審議会、部会だけではなく、政府には様々な審議会が設置されますが、例外規定を自分たちの都合のよいように解釈して利用するのではなく、やはり原則を当然のこととして、公平公正な審議会運営に当たるべきであることを改めて強く指摘させていただきます。
 推知報道の禁止の解除についても、委員会審議にて度々取り上げられた論点です。社会復帰を困難にするといった指摘がある一方、犯罪の抑止になるといった意見もあります。
 ただ、条文である少年法第六十一条は昭和二十三年に改正された当時そのままで、推知できるような記事を新聞紙その他の出版物に掲載してはならないとされています。新聞紙その他の出版物です。政府の見解としては、同条もインターネット上の情報を含むとのことですが、インターネットによって一瞬にして情報が拡散される現在、改めて推知報道に関するインターネット上の扱いをしっかりと定める、さらには罰則規定について考えるなど、時代に即した議論が必要だと思います。
 附則において、五年経過後の検討や所要の措置規定が入っていますが、その時点で改めて、決められる大人としての議論がなされることを期待はしますが、現時点では、これまで述べてきた理由により、私のこの討論は反対討論とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

#33
○議長(山東昭子君) 山添拓さん。
   〔山添拓君登壇、拍手〕

#34
○山添拓君 日本共産党を代表し、少年法等改正案に反対の討論を行います。
 冒頭、名古屋入管でスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった事件について述べます。
 発熱や嘔吐など体調不良で十分食べることができず、外部の病院では点滴や入院の必要性も指摘されていました。にもかかわらず収容が継続され、必要な治療を受けられないままに命を落としました。あってはならないことです。
 来日した二人の妹さんは、姉が大好きだった国でこんなことになり耐えられない、明らかに都合の悪いことを隠そうとしているように見える、納得できない、ビデオを見ずして母親に報告できないと話します。映像記録を直ちに開示すべきです。
 入管庁が真相解明に背を向ける中、世論と運動が大きく広がり、政府は入管法改定案の今国会成立を断念しました。当然です。
 同時に、入管難民行政は抜本的な改善を求められています。野党は本院にそのための法案を提出しています。全件収容主義を改め、収容は裁判所が認めた場合に限り、その上限期間を設ける、難民認定は入管から独立した機関で行う、国際人権の水準に見合った真の制度改正を強く求めるものです。
 以下、少年法改定案の反対理由を述べます。
 本法案は、十八歳、十九歳の少年について、形式的には少年法の適用対象としながら、新たに特定少年と規定し刑罰化を図り、実質的には少年法の適用を除外する範囲を広げ、少年の健全な育成という基本理念に反する事態をもたらそうとするものです。
 そもそも、立法事実が欠ける法案です。少年事件はピーク時の十分の一に激減しており、凶悪化しているわけでもありません。法制審でも、国会審議においても、現行少年法とこれに基づく保護処分は有効に機能しているとの評価が繰り返し語られました。質疑の中で大臣自身も、本法案は少年事件の厳罰化を図るものではないと答弁しています。
 唯一の立法事実は、公選法や民法の年齢引下げと合わせるというものです。しかし、法制審で委員を務めた橋爪隆参考人が述べたとおり、これは論理必然ではなく政策判断です。
 少年院収容者の約六五%が中卒、高校中退者で、被虐待経験のある者は、本人が申告しただけでも男子で三五%、女子で五五%に上ります。発達障害や知的障害があるにもかかわらず、専門的な治療や療育を受けられなかった少年も少なくありません。こうした実態を置き去りに、来年四月に迫った成年年齢引下げをにらみ、期限ありきで進めたことに厳しく抗議するものです。
 この下で、本法案は、少年法制に数々のゆがみをもたらすものとなっています。
 少年事件は、家裁調査官がきめ細かな社会調査を行い、個々の少年の心情や境遇など要保護性を見極め、少年院送致や保護観察といった処遇を決める基礎とします。
 本法案は、事件を家裁から検察官に送り返し、成人と同じ刑事処分を行う原則逆送対象事件を大幅に拡大しようとしています。新たに短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を対象にすると言いますが、法定刑の重さを基準に一律に逆送とすることは、少年一人一人に寄り添う少年法の基本原則に反しています。
 子供の権利擁護活動に携わってきた弁護士の川村百合参考人は、二〇〇〇年改正で原則逆送事件が創設された現行法の下でも、調査官調査が弱体化、変質してきたと批判しています。少年の健全育成にそぐわない調査が更に広がりかねません。
 本法案は、事件を家裁の保護処分に付す場合に、少年院送致などの期間の上限を犯情の軽重を考慮して定めることとしています。しかし、犯情は成人の量刑に用いられる概念であり、要保護性に応じて教育的措置を行う少年法の保護処分とは相入れません。犯情の軽重で処遇が決まることになれば、要保護性に関する調査官の社会調査や少年鑑別所の心身鑑別は形骸化することが懸念されます。保護処分の処遇は、刑事処分の考え方ではなく少年法のルールの下で決めるべきです。
 本法案は、十八歳、十九歳を虞犯の対象から外します。虞犯とは、犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入りすることなどの虞犯事由があり、かつ将来罪を犯すおそれがある場合をいい、十八歳、十九歳で少年院送致となる少年もいます。
 元小田原少年院長の八田次郎氏は、次のように述べています。少年非行は減少しているが、不登校、引きこもり、いじめ、自殺、虐待は著しく増加し、貧困、競争の問題もある。少年らの生活環境は良好とは言えず、むしろ生きづらい社会になっている。抑圧が強く、少し外れると同調圧力によってバッシングされる。居場所を失った少年に、大人が甘言を弄して近づき、犯罪に誘っていく。虞犯は、少年らの生きづらい社会のセーフティーネットとして機能しており、最後のとりでである。
 虞犯は、児童養護施設における保護のように任意の措置とは異なり、強制力を用いた矯正教育であることに意義があり、法務省も、少年の保護、教育上、一定の機能、役割を果たしていると答弁しました。十八歳、十九歳を少年法の適用対象としながら虞犯の対象から外すのは、立ち直りの機会を必要とする少年に冷たい法案だと言わなければなりません。
 このほか、十八歳、十九歳の事件について、起訴時点で推知報道が解禁され、資格制限の緩和措置も適用しないなど、事件を刑罰化することに伴い、多くの点で更生と再犯防止、立ち直りのための少年法の意義を後退させています。加えて、本法案は被害者の権利保護を強めるものでもありません。
 元非行少年の大山一誠参考人は、自らの体験を切々と語りました。両親が離婚し、着るものも食べるものにも困り、母の暴力に苦しみ、同級生に暴力を振るい、中学生になり非行に走り、十八歳で起こした傷害事件で少年院送致となったこと、刑務所とは異なり進級制の少年院では、問題を起こせば一か月単位で出院が延びていくこと、五十手前の法務教官が十代の自分たちと本気になって毎日一緒に走り回ってくれたこと、そうした中、単独室で内省していたとき、耳元で、何のために生まれてきたんだという声が聞こえ、心を入れ替える決意をしたこと、まさに育ち直りというべき体験です。
 本法案は、十八歳、十九歳からこうした成長発達の場を奪い、少年の健全育成のために重要な機能を果たしてきた少年法制を大きくゆがめるものです。
 五月六日、家裁調査官を三十八年務めた伊藤由紀夫さんが亡くなりました。生前、本法案について論じた書物で次のように述べています。統計的には、非行は十六歳が一番多く、十七歳以降は減少します。すなわち、十八、十九歳で非行から脱していないのは、相当多くの問題を抱えており、どう処遇、手当てしていくのかを考えさせられる、ある意味、貴重なケースです。そこを改正案では、刑事処分優先として保護処分の可能性を狭めてしまう。実務経験者としては、十八、十九歳の実態を見ていない、そこが一番許せないし、本当は十八、十九歳の健全育成について考えていないんだなと、非常に悲しい思いを持ってしまいます。
 有効に機能している現行少年法を、立法事実もなく変える必要はありません。家裁調査官を増員し、様々な背景を持つ少年の性格や環境を丁寧に把握できるよう社会調査を充実させ、個々の少年の要保護性に応じた処遇を適切に行う体制整備が求められています。
 少年を含む若年者やその保護者の苦難に寄り添い、生きづらさを解消する政治こそ必要であることを強調し、討論とします。(拍手)

#35
○議長(山東昭子君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────

#36
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#37
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#38
○議長(山東昭子君) 日程第三 住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長江崎孝さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔江崎孝君登壇、拍手〕

#39
○江崎孝君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備を図るため、区分所有住宅に係る長期優良住宅建築等計画の認定手続の見直し、長期優良住宅維持保全計画の認定制度の創設、登録住宅性能評価機関の活用による長期優良住宅建築等計画の認定に係る審査の合理化、特別住宅紛争処理の対象の拡大等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、既存住宅の流通促進に向けた取組、共同住宅における長期優良住宅の認定手続の変更及び既存住宅の認定制度の創設による効果、長期優良住宅の認定基準における自然災害の取扱い等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#40
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#41
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#42
○議長(山東昭子君) 日程第四 子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長森屋宏さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔森屋宏君登壇、拍手〕

#43
○森屋宏君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、総合的な少子化対策を推進する一環として、施設型給付費等支給費用のうち一般事業主から徴収する拠出金を充てることができる割合の引上げ等を行うとともに、児童手当が支給されない者のうちその所得の額が一定の額未満のものに限り特例給付を支給することとする等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、児童手当の特例給付に所得制限を設けることの是非、新子育て安心プランによる待機児童対策の妥当性、子育て支援等の少子化対策の在り方等につきまして質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民の木戸口理事より反対、日本維新の会の高木委員より反対、国民民主党・新緑風会の矢田理事より反対、日本共産党の田村委員より反対の旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#44
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#45
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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