くにさくロゴ
2021/05/21 第204回国会 衆議院 第204回国会 衆議院 文部科学委員会 第15号 令和3年5月21日
姉妹サイト
 
2021/05/21 第204回国会 衆議院

第204回国会 衆議院 文部科学委員会 第15号 令和3年5月21日

#1
令和三年五月二十一日(金曜日)
    午後一時十分開議
 出席委員
   委員長 左藤  章君
   理事 青山 周平君 理事 池田 佳隆君
   理事 小渕 優子君 理事 神山 佐市君
   理事 原田 憲治君 理事 菊田真紀子君
   理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君
      安藤  裕君    石川 昭政君
      上杉謙太郎君    尾身 朝子君
      大串 正樹君    佐藤 明男君
      櫻田 義孝君    繁本  護君
      柴山 昌彦君    谷川 弥一君
      中村 裕之君    根本 幸典君
      馳   浩君    福井  照君
      古田 圭一君    三谷 英弘君
      村井 英樹君   山本ともひろ君
      岡本あき子君    吉良 州司君
      寺田  学君    中川 正春君
      谷田川 元君    山内 康一君
      吉川  元君    笠  浩史君
      古屋 範子君    鰐淵 洋子君
      畑野 君枝君    藤田 文武君
      白須賀貴樹君
    …………………………………
   文部科学大臣       萩生田光一君
   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君
   文部科学大臣政務官
   兼内閣府大臣政務官    三谷 英弘君
   政府参考人
   (文部科学省総合教育政策局長)          義本 博司君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育局長)          瀧本  寛君
   文部科学委員会専門員   但野  智君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
 辞任         補欠選任
  船田  元君     佐藤 明男君
  下条 みつ君     岡本あき子君
同日
 辞任         補欠選任
  佐藤 明男君     船田  元君
  岡本あき子君     下条 みつ君
    ―――――――――――――
五月十八日
 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(木村弥生君紹介)(第八二〇号)
 同(青山周平君紹介)(第八四七号)
 同(伊藤忠彦君紹介)(第八四八号)
 同(池田佳隆君紹介)(第八四九号)
 同(重徳和彦君紹介)(第八五〇号)
 同(鈴木淳司君紹介)(第八五一号)
 同(根本幸典君紹介)(第八五二号)
 同(古川元久君紹介)(第八五三号)
 同(牧義夫君紹介)(第八五四号)
 同(松田功君紹介)(第八五五号)
 同(本村伸子君紹介)(第八五六号)
 同(八木哲也君紹介)(第八五七号)
 同(今枝宗一郎君紹介)(第八六四号)
 同(大西健介君紹介)(第八六五号)
 同(大河原雅子君紹介)(第八六七号)
 同(笠井亮君紹介)(第八六八号)
 同(工藤彰三君紹介)(第八六九号)
 同(近藤昭一君紹介)(第八八三号)
 同(宮本徹君紹介)(第八八四号)
 同(遠藤利明君紹介)(第八八八号)
 同(馳浩君紹介)(第八八九号)
 同(関健一郎君紹介)(第八九七号)
 同(大塚高司君紹介)(第九一三号)
 同(篠原豪君紹介)(第九一七号)
 同(笠浩史君紹介)(第九一八号)
 同(吉田統彦君紹介)(第九八八号)
 同(早稲田夕季君紹介)(第九八九号)
 同(山尾志桜里君紹介)(第一〇一六号)
 同(中山展宏君紹介)(第一〇二七号)
 国の責任による三十五人以下学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(中川正春君紹介)(第八三八号)
 同(青柳陽一郎君紹介)(第八九〇号)
 特別支援学校の設置基準策定に関する請願(中川正春君紹介)(第八三九号)
 同(笠井亮君紹介)(第八七〇号)
 学校現業職の民間委託を推進するトップランナー方式の撤回、学校現業職員の法的位置づけに関する請願(小川淳也君紹介)(第九〇六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 文部科学行政の基本施策に関する件
 教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律案起草の件
 教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する件
     ――――◇―――――

#2
○左藤委員長 これより会議を開きます。
 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省総合教育政策局長義本博司君及び初等中等教育局長瀧本寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

#4
○左藤委員長 教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、馳浩君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本共産党及び日本維新の会・無所属の会の五派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。浮島智子君。

#5
○浮島委員 ただいま議題となりました教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律案の起草案につきまして、提案者を代表して、趣旨及び内容について御説明申し上げます。
 教員による児童生徒に対する性暴力等は、児童生徒の権利を著しく侵害し、児童生徒に対し生涯にわたって回復し難い心理的外傷などの影響を与えるものであり、決して許されるものではありません。令和元年度には、大変残念ながら、百二十一名の公立学校教員が児童生徒に対するわいせつ行為を理由として懲戒免職となりました。被害を受けた方々の心情に思いを致せば、このような教員が教壇に戻ってくるという事態はあってはなりません。しかしながら、現行の教育職員免許法は、このような教員であっても、一定の期間が経過すれば、形式的な確認で再免許を授与しなければならない仕組みとなっており、これを改めるとともに、教員による児童生徒に対する性暴力等の防止等を図るなどの必要があります。
 本案は、このような状況を踏まえ、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する施策を推進するものであり、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、教育職員等は、児童生徒性暴力等をしてはならないと禁止規定を定めることにより、教育職員等が児童生徒性暴力等を行うことは法律違反であり、懲戒処分の対象となることを明確にしております。なお、児童生徒性暴力等とは、現在の運用上、児童生徒等に対する性暴力等として懲戒免職処分の対象となり得る行為を列挙して定めており、被害を受けた児童生徒等の同意や、当該児童生徒等に対する暴行、脅迫等の有無を問いません。
 第二に、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、基本指針の策定、教育職員等や児童生徒等に対する啓発を始めとする教育職員等による児童生徒性暴力等の防止、早期発見、対処に関する措置について定めております。この中で、児童生徒性暴力等を行ったことにより免許状が失効した者等の氏名、失効・取上げの事由等の情報を記録したデータベースについて、国が整備することを定めております。
 第三に、児童生徒性暴力等を理由として禁錮以上の刑に処され、又は懲戒免職、解雇となって免許を失った教員に対する教育職員免許法の特例等を定めております。この特例により、わいせつ教員に対する免許の再授与は、改善更生の状況などその後の事情により再び免許を与えることが適当であると認められる場合に限り、認められることになります。
 この審査は、都道府県教育職員免許状再授与審査会の意見を聞いて、加害行為の重大性、本人の更生の度合い、被害者及びその関係者の心情に照らして総合的に判断されることになり、その判断に必要な資料は申請者側が提出する必要があります。このような仕組みを通じて、適格性を有しない教員が再び教壇に立つことを防ぐものとなっております。
 第四に、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 なお、児童生徒等と接する業務に従事する者の資格及び児童生徒等に性的な被害を与えた者に係る照会制度の在り方等に関する検討事項を設けております。
 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
 教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――

#6
○左藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。岡本あき子君。

#7
○岡本(あ)委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。
 冒頭に、昨日から続く大雨について、住民の命を守るために頑張ってくださっている方々に敬意を表したいと思います。特に、子供たちの命と健康、コロナ禍でも御尽力いただいている文科関係の皆さんに本当に感謝を申し上げたいと思います。
 さて、本法案ですけれども、これまで御準備いただきました馳先生、浮島先生、牧先生始め関係する皆様の熱意と御努力に改めて感謝を申し上げたいと思います。この法律によって、欠格事由の条件に加えて、免許再交付の審査を行い、いわゆるわいせつ教員等を実質二度と教壇に立たせないようにする、本気で子供たちにとっての利益を優先する法律になることを期待したいと思います。
 さて、私ども、資料一のとおり、立憲民主党として中間報告を出させていただいております。一ページめくっていただいて、資料一の二の二行目に、私たちは、わいせつ教員そして保育士と書かせていただいております。当然、幼稚園教諭の免許も対象であれば、保育士免許についても同様に制度に組み込んで、同じような条件にするべきだと考え、制度設計も進めているところです。保育士免許についても速やかに対象とするべきです。
 これは、本法案では、第七条で「施行後速やかに、」となっていますが、施行後を待たずに、法案が成立したら、あるいはもう今からでも、この保育士の免許について、法施行に間に合うくらいの勢いで保育士免許も対象とする制度をつくるべきではないでしょうか。お答えください。

#8
○牧委員 岡本委員にお答えを申し上げます。
 馳先生、浮島先生を中心に検討が進められてきた、それと並行して、立憲民主党も、子ども・子育てPTで、大西座長そしてまた岡本事務局長の下で検討が進められてきたことは承知をいたしております。
 御指摘のとおりだと思います。子供に対するわいせつ行為があってはならないということは、これは教員に限られた問題じゃなくて、子供と接する全ての職業に従事する者についての問題であるというふうに思います。
 中でも保育士、乳幼児の生活における保育所の位置づけというのは、これは児童生徒の生活における学校の位置づけと同様に、お子さんたちが日常生活の大きな部分をそこで過ごすわけでありますから、保育士によるわいせつ行為の防止というのもまた重要な課題であるということは認識を共にするものであります。
 ただ、この残された僅かな会期の中で、今こうしている間にもわいせつ教員が教壇に立っているというようなことを考えると、これを速やかに、まず法律を成立させて施行させなければならないという思いは、与野党を超えて一致するものであります。そういう中で、まず、取りあえずは教員、この免許に関わる教員を対象とした今回の法案をまとめさせていただいた次第であります。したがって、教員免許が必要な幼保連携型の認定こども園は対象に入っているということであります。
 おっしゃるとおり、今回、附則の第七条二項において資格の在り方の検討が政府に対して義務づけられているわけですけれども、これは、おっしゃるように、施行後速やかにということじゃなくて、公布されたらもうその日から検討を進めるということ、これを妨げるものではありませんので、すぐにでも検討を進めていきたいということを思っております。
 まとめていただいた立憲民主党の中間報告の中にも、保育士の欠格事由の厳格化、それから、わいせつ行為等を行った保育士の登録の原則禁止を提言しておりますので、この法律ができたら、政府においても速やかに検討していただきたいと考えております。

#9
○馳委員 けさ、自由民主党でも、青少年健全育成特命委員会で、新たに性暴力対策のPTをつくりました。私が座長となりまして、まさしく日本版DBS制度も含めて、この附則、検討の、七条の二項を始め、こういった様々な課題を引き続き検討していくことを決めました。
 当然、超党派の皆さん方にもお声がけをして、共によりよい制度になるように取り組んでまいりたいと思います。

#10
○岡本(あ)委員 心強い御発言、ありがとうございます。子供たちの安全、命を守るためには、与野党関係ありませんので、全面的に協力し合って、いいものをつくり上げていきたいと思います。
 DBSの制度、いわゆる犯罪履歴照会制度のようなものも、こちらも直ちに検討を始めなければいけないと思っています。時間がないので、これは言うだけにさせていただきます。
 先ほど、こども園に関しての御発言がありました。幼保連携型こども園に関しては、幼稚園の教諭の資格を持っている方と保育士の資格を持っている方が同じ現場にいらっしゃいます。もし同じ施設で同じ事件が起きたときに、この法律だけでは、幼稚園教諭は二度と職種に復帰できないけれども、保育士の方は同じ施設で同じ行為があったとしても保育士として仕事に就くことを開いている状態になりますので、是非この点は速やかにお願いしたいと思います。DBS制度も併せて速やかにということを申し添えたいと思います。
 そして、質問を一個飛ばしますけれども、第十四条では、「何人からも児童生徒性暴力等により自己の身体を侵害されることはあってはならないことについて周知徹底を図る」となっています。これは非常に重要で、特に児童生徒にとっても、正しい理解を受けるということは重要だと思っています。
 その意味で、包括的性教育についても、性暴力から身を守り、助けを求める知識も含めて、この点、非常に重要だと思います。過去に、性教育を行った教員がわいせつ教員となる、結果とすればそれは正しくはなかったんですが、そういう事例もございました。
 この法律の重要性を見ても、しっかり、包括的性教育、曖昧にではなく正しい知識を子供たちにとって身につける学習そのものだと考えますが、この点、並行して力を入れるべきだと思います。お答えいただけますでしょうか。

#11
○馳委員 第十四条の規定をした理由は、児童生徒は何人からも性暴力を受けない、人としての尊厳を守らなければいけないということ、それを、教育を通じて、特に学習指導要領に基づいて、児童の発達に応じた段階的な性教育が必要なものと考えております。
 今回、立法に当たって、ヒアリングにおいても、実は被害者、当事者からもお話を伺いまして、されたときは何をされているか分からなかった、時間がたつに従ってその大変さをよく理解した、当時は声を上げられなかった、こういうことでありました。
 そういったことのないように、今、内閣府と文科省からも、生命(いのち)の安全教育といった資料、また教材が出されておりますので、そういったことを活用して、どの児童生徒も、被害者にも加害者にも、そして何よりも傍観者にもならないように、そういった教育を充実していくことが必要である、こう認識しています。

#12
○岡本(あ)委員 ありがとうございます。
 是非、子供たちにとっても、自分の体のことを理解して、成長に応じて正しい知識を身につけて、被害者にも加害者にもならない、その点、大変重要だと思います。
 時間がないので、最後にまとめて大臣に伺わせていただきます。
 この法律、動き出す、萩生田大臣も会見で熱い思いをさんざんおっしゃってくださっておりました。
 ただ、これは、事実関係をいかに公正に確認するか、この点が非常に重要になります。医療、心理、福祉、法律の専門家の関わりはもちろんですが、第三者がどう見るのかという視点も非常に重要だと思います。
 この公正性が担保されることをしっかり基本指針に明記していただきたいということと、あわせて、教育環境の中では、被害を打ち明けられたときの対応方法の研究、教育職員、これは非常勤の講師も当然含まれます、そういう方々への研修、人的体制の強化、そもそも空き室等で犯罪が起きるという事実があることで、死角をつくらない学校の設備、環境整備も大変重要になると思います。その意味では十分な予算と環境整備が必要となると思います。
 是非、大臣にもこの法律に向けての思いをお話しいただければと思います。お願いします。

#13
○萩生田国務大臣 第十九条では、教育職員等による児童生徒性暴力等を受けた事実があるとの報告を受けた学校の設置者は、専門家の協力を得つつ、事案について必要な調査を行うこととされております。
 今、先生御指摘になったように、正しい聞き取りというのは極めて重要な視点だというふうに思いますので、具体的な事案が発生した場合は、例えば、法律に詳しい弁護士や児童生徒性暴力等に詳しい医師、臨床心理士等の協力を得ることにより、より精緻な聞き取りや被害者に配慮した対応も可能となり、公正な事実確認につながるものと思っております。
 こうした専門家に期待される役割や、専門家による調査協力の在り方、公平性、中立性の確保の留意点などについて、今後、文部科学大臣が定めることとなる基本指針等を通じてしっかり示してまいりたいというふうに考えております。
 あわせて、相談体制の整備や、研修の充実、学校内での環境整備なども含め、教育職員等による児童生徒性暴力等を未然に防ぎ、また、被害を受けた児童生徒等を守るための取組については検討していく必要があると考えております。
 本法案が成立することになれば、法案の趣旨や各規定等を十分に踏まえつつ、関係府省や教育委員会等と連携しながら、児童生徒性暴力等の防止等のために必要な取組を、予算措置も含めしっかりやっていかなくてはならない、こう思っております。

#14
○岡本(あ)委員 ありがとうございました。
 この法律の速やかな施行、そして実効が上がる制度として、何よりも子供たちの命と安全に最優先で取り組むこと、これには私たちも全面的に協力をして、そして政府機関と協力し合って行動に移していくことをお約束申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#15
○左藤委員長 次に、畑野君枝君。

#16
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
 教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律案を超党派で起草し、提出した一人として、萩生田光一文部科学大臣に質問をいたします。
 本法案は、教育職員による児童生徒性暴力等が児童生徒等の尊厳や権利を著しく侵害し、生涯にわたって回復し難い重大な心理的外傷その他の心身に対する影響を与えるという観点から、教育職員等に児童生徒性暴力等を禁じるとともに、教育職員免許法の特例として、都道府県教育委員会に裁量権を与え、児童生徒性暴力等を行った教育職員等に対して教員免許状の再授与を拒否することができるとしたものです。
 教師と教え子の関係を利用した性暴力は、成長途中の子供の一生を左右する深刻なダメージを子供に与え、発達、生存の権利や個人の尊厳といった子供の権利を著しく侵害する行為です。
 このいわゆるわいせつ教員根絶法案に関わり、政府に幾つか伺います。
 まず、懲戒処分等に際し、学校の設置者が専門家の協力を得て行う調査は、事実関係を客観的に確認し、公正かつ中立な調査が行われるよう、第三者機関による調査や通報者の保護、事実誤認による教育職員への救済措置など、全国的な基準を定める必要があるのではないでしょうか。
 また、調査をするに当たっては、何よりも被害者の立場に立ち、児童生徒等及びその保護者の負担を軽減することも重要です。
 私は、二〇一七年の性犯罪に係る刑法改正に当たり、教師と生徒等の関係性を利用した性的行為について質問をいたしました。被害を受けた子供の心理的な負担を軽減するための面接の在り方やケアについて対策を求めてまいりました。
 関係機関の連携による面接の一括化や適切な質問項目の設計、公費による代理人その他必要とされるスタッフ、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー等を置くこと、また、専門家の養成など、財政措置も含め、適切な調査方法、調査項目の速やかな構築が必要ではないでしょうか。いかがですか。

#17
○萩生田国務大臣 これは、成立をした暁には、十九条にも示されているように、学校の設置者が専門家の協力を得て調査を行うことに関して、法律に詳しい弁護士や児童生徒性暴力等に詳しい医師、臨床心理士等の協力を得ることにより、より精緻な聞き取りや被害者に配慮した対応も可能となり、公正な事実確認につながるものと考えています。
 文科省としては、本法案が成立することになれば、こうした専門家に期待される役割や、専門家による調査協力の在り方、公平性、中立性の確保等の留意点、通報した者がそのことをもって不利益な取扱いをされないこと等について、今後、私、文部科学大臣が定めることとなる基本指針等を通じてしっかりお示しをしてまいりたいと考えています。
 また、こうした調査に当たっては、被害を受けた児童生徒に十分に配慮して対応する必要があると考えています。ただでさえ精神的に傷ついている被害者の子供たちに、親御さんが聞く、担任の先生が聞く、校長先生も入ってくる、保健の先生が聞く、ソーシャルワーカーが入ってくる、これじゃ本当に参っちゃうと思うんですね。
 ですから、そういったことも含めて、せっかく皆さんで温かい法律を御審議いただいていますので、成立した後は、そういった、例えばヒアリングの在り方なども、是非しっかり研究をして、子供たちのことも考えていかなきゃいけないと思っていますので。
 やらなきゃならないことはたくさんあるなと思いながら、議員の皆さんの御努力に敬意を表したいと思います。

#18
○畑野委員 大臣もおっしゃっていただいたように、子供の立場で、是非、具体化を進めていただきたいと思います。
 次に、都道府県教育職員免許再授与審査会においては、被害者の立場からの意見を反映させるために、保護者の立場の審査員を選出するとともに、審査の過程において、被害経験当事者、被害者そのものはなかなかつらくて出られないということがありますので、サバイバーの方とか、保護者、支援者、児童精神、児童心理の専門家等の意見を聞くことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

#19
○萩生田国務大臣 本法案では、児童生徒性暴力等を理由として禁錮以上の刑に処せられ、また、懲役免職、解雇となって免許状が失効した者に対する免許状の再授与に当たっては、都道府県教育委員免許状再授与審査会の意見を聞いた上で、加害行為の重大性、本人の更生度合い、被害者及びその関係者の心情等に照らして総合的に判断されることとなると承知しています。
 この審査会については、教員免許状の再授与審査において重要な役割を果たすものであり、文部科学省としては、法案の規定による文部科学省令等において、委員適任者の例や、具体的な審査のプロセス、観点等を含めて、関係者とも相談しながら、しっかりと検討した上でお示ししてまいりたいと考えております。

#20
○畑野委員 そこで、更に伺います。
 七生養護学校の性教育に対し教職員らが処分された事件は、最高裁で処分取消しが確定しましたが、性教育を行うことについて現場で萎縮が起きてはならないと思います。萩生田大臣の御認識を伺います。
 また、児童生徒性暴力等を予防、早期発見、保護、支援するためには、その前提として、児童生徒及び教育職員等は、何が児童生徒性暴力等なのかを理解していなければなりません。発達段階に応じた性教育が行われる必要があります。
 萩生田大臣が御答弁されたように、時代の流れを踏まえ、性教育の在り方を検討するということですが、そのためには、包括的性教育を教育課程に位置づけることなど、地道に研究、実践を続けてきた専門家の声を聞くことや、性教育にブレーキをかける、中学校での妊娠の経過については取り扱わないなどの学習指導要領の規定の見直しの検討を求める声がありますが、いかがお考えでしょうか。

#21
○萩生田国務大臣 性に関する指導については、児童生徒の発達の段階に応じた指導が重要であり、個々の児童生徒の発達の過程は、その保護者や日々の指導を行っている学校において把握されているものと考えています。
 各学校においては、引き続き、保護者の理解を得ながら、児童生徒の発達段階に応じた適切な指導に努めていただき、子供たちの成長を支えていただきたいと考えています。
 また、学習指導要領の見直しについてお尋ねがありましたが、性に関する指導の在り方については、子供たちが接する情報環境の変化など、まさに今御指摘いただいたように、時代の変化を踏まえて、専門家の意見も聞きながら検討していく必要があると昨日答えたばかりなんですけれども、引用していただいてありがとうございます。
 まさに時代がどんどん変わっていますので、指導要領の中でどの学年で何というよりは、いろんなことをやはり俯瞰して、子供たちには知識を持ってもらわなきゃいけないと思っています。これは是非、専門家の皆さんを交えて検討してみたいと思っています。

#22
○畑野委員 大変大事な御答弁を萩生田大臣から伺いました。是非、専門家の皆さんの声を聞いて御検討いただきたいと思います。
 最後に、保育士、そして、放課後児童クラブ、放課後等デイサービス、ベビーシッター、部活動の外部コーチ、塾講師、高等専門学校の教育職員などは対象となっておりません。十八歳未満の高等専門学校の学生は児童生徒等の定義に含まれているのに、その教育職員はこの法律には含まれていない。
 これらは、性被害の防止の観点から、日本版DBSなど、照会制度を導入することを含め、早急な検討が必要ではないかと思いますが、いかがですか。

#23
○萩生田国務大臣 これは提出者に聞いていただいた方がよろしいと思うんですけれども。
 七条第一項で、教育職員等以外の学校において児童生徒等と接する業務に従事する者による児童生徒性暴力等の防止に関する措置の在り方等について、また、同条第二項では、児童生徒等と接する業務に従事する者の資格の在り方だけでなく、児童生徒等に性的な被害を与えた者に係る照会制度の在り方等について、政府への検討が義務づけられているものと承知しています。
 こういった本法案の規定を踏まえてなされる政府としての検討に、成立をされれば、積極的に協力していきたいと考えています。

#24
○畑野委員 子どもの権利条約に基づいて、子供たちを性被害から守るために、財政措置を含め、しっかりと具体化をし、進めていただくように求めて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

#25
○左藤委員長 これにて発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

#26
○左藤委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#27
○左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

#28
○左藤委員長 この際、青山周平君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本共産党及び日本維新の会・無所属の会の五派共同提案による教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。谷田川元君。

#29
○谷田川委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
    教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する件(案)
  児童生徒等を守り育てる立場にある教育職員等が児童生徒等に対してわいせつ行為を行うことは、決してあってはならないことである。
  わいせつ行為等により処分を受けた教育職員等の数は近年増加傾向にある。また、わいせつ行為を行ったことにより懲戒免職処分を受け、教育職員免許状が失効した教育職員等が、処分から三年を経過すると再び免許状の授与を受けることが可能となっているため、再び教育職員等として採用される事例も発生している。
  このような状況を踏まえ、本委員会において、児童生徒性暴力等の禁止について定めるとともに、特定免許状失効者等に関する情報に係るデータベースの整備等の措置等について定め、あわせて、特定免許状失効者等に対する教育職員免許法の特例等について定めること等を内容とする教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律案を起草する運びとなった。
  政府は、同法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一 教育職員等のみならず、何人も児童生徒等に対してわいせつ行為を行うことはあってはならないことに鑑み、保育士についても実態把握を進めるとともに、保育士資格についても特定免許状失効者等に対する教育職員免許法の特例と同様の仕組みを検討すること。
 二 教育職員等以外の職員、部活動の外部コーチ、ベビーシッター、塾講師、高等専門学校の教育職員、放課後児童クラブの職員等の免許等を要しない職種についても、わいせつ行為を行った者が二度と児童生徒等と接する職種に就くことができないよう、児童生徒等に性的な被害を与えた者に係る照会制度が必要である。その検討に当たっては、イギリスで採用されている「DBS制度」も参考にして、教育職員等のみならず児童生徒等と日常的に接する職種や役割に就く場合には、採用等をする者が、公的機関に照会することにより、性犯罪の前科等がないことの証明を求める仕組みの検討を行うこと。
 三 児童生徒等に対するわいせつ行為を行う可能性が高い者を教壇に立たせないことが重要であることから、小児性愛が疾病として診断基準等が確立されているとはいえない現状に鑑み、小児性愛についての研究に関する支援の拡充を検討すること。また、児童生徒性暴力等を行った教育職員等に対する更生プログラムの開発等についても支援を行うこと。
 四 児童生徒等が教育職員等による児童生徒性暴力等を受けたと思われる事案が発覚した際の事実確認の手続に関し、被害児童生徒等への負担に十分に配慮し、かつ、そもそも教育は本来的に教育職員等と児童生徒等の信頼を基盤とすることに留意した上で、関係機関における役割分担の明確化を図るとともに、具体的な調査方法や客観的な判断基準を定めるなど、本法の安定的な運用を図ること。
 五 性被害にあった児童生徒等及びその保護者の負担を軽減するため、関係機関の連携による面接の一括化や適切な質問項目の設計、被害にあった児童生徒等が調査に適切に応じられるための支援その他スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等を置くなど、適切な調査方法・調査項目の速やかな構築を講じること。
 六 学校の設置者が専門家の協力を得て行う調査に関しては、事実関係を客観的に確認し、公正かつ中立な調査が行われることを旨とし、第三者による調査や通報者の保護、事実誤認による教育職員等の救済措置など、厳格な運用のための全国的な基準を定めること。
 七 教育職員等、地方公共団体の職員その他の児童生徒等からの相談に応じる者による児童生徒性暴力等に係る通報に関し、当該通報を行った者が不利益な扱いを受けることがないよう、公益通報者保護制度と同様の教育職員等を保護するための制度の構築について検討すること。
 八 私立学校の教育職員等については、児童生徒等が教育職員等による児童生徒性暴力等を受けたと思われる事案が発覚した後、処分の決定がなされる前に依願退職する事例が見受けられ、その場合には教員免許状が失効しないことを踏まえ、退職前に適正かつ厳正な処分が行われるように徹底するとともに、私立学校の教育職員等による児童生徒性暴力等への対応策について更に検討を行い、必要に応じて措置を講じること。
 九 児童生徒性暴力等を未然に防止するため、空き教室の解消など学校施設の改善を図るとともに、全ての児童生徒等に目が行き届くよう、教育職員等の多忙や疲弊を改善するための人的配置及び人材確保に努めること。
 十 児童生徒性暴力等の防止のための児童生徒等に対する啓発に当たっては、性被害を防止、早期発見、保護・支援するための学校現場での教育内容及び方法を研究、開発し、教育職員等と児童生徒等の双方が安心して学習に取り組める環境を整備すること。
 十一 都道府県の教育委員会は、特定免許状失効者等に対する免許状の再授与に当たっては、専門家等の意見を聴き、審査が公正、公平に行われるよう留意するとともに、国は、審査に関して全国で統一的な運用がなされるよう、指針等の策定その他の支援を行うこと。
 十二 都道府県教育職員免許状再授与審査会等の設置・運営やデータベースの整備、調査・啓発、必要な人材の確保など、本法の効果的な運用に当たり十分な予算を確保すること。
 十三 データベースの整備等に関して、児童生徒性暴力等の処分と、他の処分は明確に区別されることとし、データベースに記録される事由は児童生徒性暴力等による処分のみとすること。
 十四 教育職員等のみならず何人によるものであれ、児童生徒等へのわいせつ行為は、被害を受けた児童生徒等の心身に大きな傷を残すものであるので、文部科学省を始めとする関係機関は、児童生徒等を性被害から守るために連携を図り、児童生徒等の権利利益の擁護に資する必要な取組の実施に万全を期すこと。
  右決議する。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

#30
○左藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

#31
○左藤委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。
 この際、ただいまの決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。萩生田文部科学大臣。

#32
○萩生田国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

#33
○左藤委員長 お諮りいたします。
 本決議の議長に対する報告及び関係各方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#34
○左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る二十六日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト