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2021/05/27 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 農林水産委員会 第14号 令和3年5月27日
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2021/05/27 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 農林水産委員会 第14号 令和3年5月27日

#1
令和三年五月二十七日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     高橋 克法君     馬場 成志君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         上月 良祐君
    理 事
                堂故  茂君
                藤木 眞也君
                山田 修路君
                田名部匡代君
                紙  智子君
    委 員
                高橋 克法君
                野村 哲郎君
                馬場 成志君
                林  芳正君
                舞立 昇治君
                宮崎 雅夫君
                山田 俊男君
                石垣のりこ君
                郡司  彰君
                森 ゆうこ君
                河野 義博君
                熊野 正士君
                高橋 光男君
                石井 苗子君
                舟山 康江君
                須藤 元気君
   国務大臣
       農林水産大臣   野上浩太郎君
   副大臣
       農林水産副大臣  宮内 秀樹君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       熊野 正士君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        笹口 裕二君
   政府参考人
       金融庁総合政策
       局審議官     天谷 知子君
       金融庁総合政策
       局審議官     屋敷 利紀君
       農林水産省経営
       局長       光吉  一君
   参考人
       農林中央金庫代
       表理事兼常務執
       行役員      八木 正展君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(上月良祐君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、金融庁総合政策局審議官天谷知子さん外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○委員長(上月良祐君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#4
○委員長(上月良祐君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に農林中央金庫代表理事兼常務執行役員八木正展さんを参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#5
○委員長(上月良祐君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#6
○委員長(上月良祐君) 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#7
○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。多分一年ぶりだと思うんですけれども、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。また、野上大臣には初めての質問でございますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 今回の法案を見ていきますと、普通、私どもこの委員会で審議するのは、いろんな法案があるわけですけれども、農林中金を対象にした法案というのは、ほかにも金融機関あるわけですけれども、一般の金融機関の場合は預金保険機構法で整理してありますが、農林中金だけは貯金保険機構ということで、農協なり、あるいはまた信連、あるいはまた農林中金、言わば俗っぽく言いますと、JAグループの信用事業を担当することの議論というのは今までの貯保法の改正の中でもやってきているんですけれども、今回初めて、農林中金を対象とした法案というのは初めてだなと大変不思議な気がしてなりませんが、その分、今日は農林中金の八木常務にも来ていただいておりますので、ゆっくりと聞きたいと思います。
 まず、一問目でございますが、六年前の農協法の改正のときは、大変、ここにおられる林先生とか私ども、この農協法の改正のときあるいはまた農協改革についての議論を党の中でも相当いたしました。そのときに、やっぱり中心的に、農協改革の中心的に議論がされていましたのが経済事業改革だったというふうに思っておりまして、当時、小泉進次郎さんが農林部会長で、小泉さんが農林中金じゃなくて全農の改革をされて、中心的にやっていただきました。
 言わば、トラクターが高いとかあるいは段ボールが高いとか肥料が高いとか、いろんなそういったような農家のサイドに立った議論になっておりまして、その後、御承知のように、この五年間の間に全農もそれから農林中金さんもそうですが、あるいは農協にしてもそうですけれども、この農協改革に五年間取り組んでまいりまして、その成果が上がってきているというふうに農水省の方でも評価をしていただいておりますし、また、余り評価しない規制改革会議までが、ある程度よくやってきているという評価もいただいているわけです。
 そこで、今申し上げました全農改革について、非常に目に見えた形で改革が進んでおりまして、よくマスコミもこれを取り上げてくれました。例えば低価格モデルのトラクターをやれと、こういう。そのときに出てきたのが、今のトラクターはレクサス型になって、必要でない部品までいっぱい付いていると、よって価格が高くなっているじゃないかと。この辺について全農はちゃんとやれという指示が出まして、全農がやりましたのが、三か年計画の中でこのトラクターを一千台まとめて発注すると、そして入札をさせるということで絞り込んでやった結果、二千二百十四台、一年間でトラクターが出まして、そして、そのおかげで、一社に絞り込んだ発注でありますから三割近い価格低下を勝ち取ることができたということでございまして、大変そのことが一番シンボリックに全農が最初に取り組んだ改革だったと思うんです。
 これにはやっぱり農家の皆さん方も大変喜ばれまして、そしてなおかつ、小泉進次郎さんがまた取り上げたのが肥料でありまして、おまえさんたちは五百五十の銘柄をやっているじゃないかと、何で絞り込まないんだと、同じようなのがいっぱいあるぞという話になりまして、これを二十四銘柄に絞り込んで、これも一割から三割の、肥料によっては違いますが、五百五十を二十四銘柄に絞り込んで、これも入札でやらし出したと。
 こんなのは普通の商社とかは考えられるんですけれども、なかなか全農はそういった取組が、外から言われてようやく本気になって動き出したと、こういうふうに私どもも理解しておりますし、やはりこの内部の改革も進んだなと、こんなふうにも思います。
 そのほか、いろんな、段ボールであるとかあるいは農薬であるとか、今申し上げましたようにいろんなものを絞り込んで、そして発注を入札制度に変えていった、そのことが非常に価格の低下に、価格を下げることに動いたと、こんなふうに思っております。
 ですから、全農は農協改革のシンボルみたいなことを言われておったんですけれども、全農協取り組んでおりますし、アンケート調査をやっても、よく農協は改革を進んでるよというような報告も受けております。
 ただ、見えないのが農林中金なんです。農林中金何やったかなというのもちょっと我々も分かりませんし、今日はいい機会でありますので、この農協改革にJAグループ全体で取り組んでいるわけですから、八木常務のところはどういったような取組をされたのか、まずそのことからお伺いをしたいと思います。

#8
○参考人(八木正展君) 農林中金の八木でございます。今日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
 野村先生の御質問にお答えさせていただきます。
 農林中金がこの五年間、どんな改革をしてきたかといったことかと思います。そんな中で、大変運用環境が厳しく続く中で、農林中金としましても、収益力の強化、業務の合理化、効率化と、こういった取組を行っております。
 令和五年までの中期経営計画におきまして、農林中金グループ全体で従業員の採用を抑制しながら、業務合理化、効率化で捻出した約六百人規模の人員を系統会員の現場力強化と農林中金の収益力強化のために再配置をするという計画を立ててございます。これまで約二年間で約四百人の再配置を実施いたしまして、このうち約二百二十人の農林中金の職員が延べ百七十三農協におきまして現場力強化に当たっております。
 具体的に申し上げますと、JAの営農・経済事業の成長・効率化プログラムというものがございまして、それの中身は、対象農協の営農・経済事業の事業分析を行いまして、経営課題の解決に向けて全農さんと連携しながらソリューションを提案する取組を進めてございます。
 また、貸出強化支援プログラムというものがございます。これは、対象農協に農林中金の職員が出向いたしまして、農業貸出しの提案力強化のための同行指導であったり、審査体制強化のための人材育成支援等を行ってございます。
 さらに、これとは別に、農林中金におきまして役員数を、ピーク時約二十一名おりましたけれども、三〇%減らしてございます。柔軟かつ迅速な業務遂行に向けた機動的な体制をするという目的でございます。
 さらに、業務の合理化、効率化の一環といたしまして、国内の十七営業所を昨年の三月末で廃止をしてございます。さらに、系統グループとの連携深化等を目的に、二〇二二年を目途に、全中さん、全農さんの近隣のビルに本店移転を行うことを決定してございます。

#9
○野村哲郎君 先生方はよく、委員の方々は御存じなんですけど、大体、県レベルにおいてはそういう、例えば各事業連別に、事業連というんですが、今あるのは、農林中金は有楽町にいるし、それから全共連は自民党本部の裏にあると。あるいは、ほかの部署は全部農協ビル内にいるということで、横の連携あなた方取れていないんじゃないですかといつも言っていたんです。県連では一つのビルの中に、ほとんどの県でも一か所にいるんですけれども。
 ですから、今、八木常務の方から御報告ありましたように、今有楽町にいるところから全中、全農等がいるそのビルの近くにもう移るんだという話で、非常にこれは、やっぱり横の連携を取るには同じところで、本当は一つのところに皆さんいた方がいいんでしょうけど、スペースの問題でできなかったということなんですが、要はワンテーブルで議論をしようと。非常に私はいいことだなと、ようやく県連並みに近づいてきたなと、こんな気がしてならないわけです。
 そこで、大臣の方にお伺いしたいんですけれども、いろいろ、毎年毎年この五年間の進捗状況については農水省の方に報告が、各連合会もそうですし、あるいは農協のもそうですが、全て報告が行っていると思いますが、どういう評価をされているかお聞かせいただきたいと思います。

#10
○国務大臣(野上浩太郎君) 野村先生には、今ほど来お話しいただきましたとおり、農協改革始め、日頃から農政の推進に大変御尽力をいただいておりまして、感謝申し上げたいと思います。
 農協改革につきましては、やはりこれは農業者の所得向上を図ることの原点を踏まえまして、これまで農協におきまして、お話のあった農産物の有利販売や生産資材の有利調達などの自己改革に取り組んできておりまして、農林水産省としても、自己改革は進展したと評価をしているところでございます。
 また、今、農林中金からも答弁がございましたが、農林中金におきましては、農協系の系統組織における収益力の強化や業務の合理化、効率化に向けまして、農協等の現場力強化と農林中金の収益力強化のための農林中金の人員の再配置ですとか、あるいは、全農等と連携をしつつ、農協の経済事業等の抱える課題の解決策等を提案しますJAの営農・経済事業の成長・効率化プログラム等に取り組んでおられると承知をしておりまして、これらは農協系統組織の収益改善などにもつながるものと認識をいたしております。
 今後、JAバンクにおきましては、JAバンクの中期戦略やそれを踏まえた農協ごとの個別計画を策定をしまして農業融資に取り組むこととしており、農業者向けの融資に関する目標設定ですとかあるいはコンサルティングの積極的推進も含めて、JAグループの総合力を活用しまして農業者の課題解決に取り組むものと承知をいたしております。
 農林水産省としましては、JAグループの自己改革の取組が実効あるものとなって農業の発展に寄与するものとなるように、必要な後押しをしてまいりたいと考えております。

#11
○野村哲郎君 久しぶりなものですから時間の配分が悪くて、あともう五、六分で終わりだなと思ってちょっと心配しているんですが。
 今、規制改革会議でも、あるいはその当時も、五年前、六年前も言われたんですけれども、農林中金は全く農家に対する融資が少なくて、ほとんど外国で稼いでいるんじゃないのかとか、あるいは農協も非常に農家に対する貸出しが弱いと、こういうことをよく言われました。
 今日は皆さん方に資料をお配りしておりますけれども、JAバンクといいますと、これは農協、それから信連、農林中金合わせてでありますけれども、JAバンクの農業関連融資というのはどのぐらいあるのかというのをよく御理解いただきたいのは、やっぱり系統金融機関でこれは二兆五千億、全体で五兆円なんですけれども、農業生産額が八兆円、まあ九兆円ちょこっとですけれども、その中で五兆円はこの農業関連融資が出してありますが、そのうちの半分、五二%を農協で出しておりますし、さらには政策金融公庫、国の財投を使って政策金融公庫も出しておりますが、こういう形で五兆円が農業関連の融資として出されていると。
 その中で、農協が、右っ側の表にありますように、五二%のうちの四五%は農協だと。それから信連、そして農林中金ということで、御存じのように農協は三段階になっておりまして、それぞれのところでの機能分担をしながらやっていると。一番農家に近いところの、当然でありますが、農協の融資がこういう形になっております。
 ですから、なかなかこの農協、農業関連融資が少ないじゃないかというお話がありますけれども、こういう形で農家の期待に応えているということはこの数字でもお分かりいただけるんじゃないかというふうに思っております。
 ただ、この農協改革以来、各農協も相当、農家のところに出向く職員というか、いろんなことで出前みたいな形でいろんな注文を聞いたり、あるいは苦情を聞いたりしながらやっておりまして、特に、先ほども八木専務の方、常務の方からありましたように、経済事業とやっぱり提携した融資というのを非常に取り組んでまいりました。
 これは全国的な統計はないんですが、私の鹿児島でいきますと、この農協改革に併せまして新たな資金をつくりまして、アグリメイク資金というのを鹿児島信連つくりまして、昨年で五十三億、単年度で融資をしております。これはもう当然、経済連なりあるいは農協の特に営農指導部門と連携しながら融資をしていると。
 ですから、そういう意味では、よく言われているのが、何だか住宅ローンだとか教育ローンばっかりに力を入れているんじゃないかというお話も聞くんでありますけれども、いやいや、その後いろんなそういう綿密な取組をし出したということだけは是非御理解をいただきたいと思います。
 それで、もう中身に入ります、時間ありませんから。前回のリーマン・ショックの後に、農林中金のその運用の仕方についていろいろ御批判がありました。特にこのCLOという言わばローン担保の証券に相当出していて、そしてそのことが言わば焦げ付いて、各JAから一兆九千億出資をしていただいて、そのときに自己資本比率が農林中金下がったんでありますが、全国の農協の方からのそういった資金を集めて、そして自己資本比率を上げた経過があります。
 率直に聞きますけど、昨日、総会が、総代会があったということでありますから、ここで教えていただきたいのが、このCLOですね、残高を、一番ピーク時と現在の残高を教えてください。

#12
○参考人(八木正展君) お答えいたします。
 現在、農林中金の保有残高は、三月末時点で約六・九兆円となってございます。ピーク時八兆円ということでございますので、それに比べると償還による減少傾向が継続してございます。なお、含み損はほとんどない状況ということでございます。

#13
○野村哲郎君 非常にこのCLOについては我々も大変心配しておりましたし、このことで全国のJAから一兆九千億の、まあ出資というよりも、出資という形だったんですけれども、そういった資金を集めながらやったと。そのときには農林中金の役員の方々が全農協を回って、そしてお願いしますと、初めて私は農林中金が頭を下げてきたんだなということを思ったんですが。普通の金融機関というよりもむしろ農協の一員になったなというところを評価したことがありますけれども、今は昔の農林中金じゃもうなくなっていると思います。だから、今後ともそういう気持ちで、やっぱり我々、JAグループの一員だという気持ちでやっていただきたいと、こんなふうに思っております。
 時間がありませんので、最後の質疑。一番気にしておりますのが、ここの今回の改正の中で私が気にしておりますのが、このTLAC債、TLAC。いわゆる今後G―SIBに選定されますと、TLAC債ということで、TLAC債というのか、TLAC規制というんでしょうか、これに、大体どのぐらいなのかというのを試算していきますと二兆円、二兆円を確保しなければならない、いわゆる資本の積み上げを行わなければならないというふうになってございますよね。
 そこで、前の、さっき言いましたCLOのときは各全農協から資金を集められたわけですけれども、これは農水省にも聞きたいんですが、TLAC債をどういう形で集めるというか確保するのか、そのことについては農林中金、そしてまた農水省の方にもお伺いしたいと思います。
 なぜそんなことを言うかというと、必ずこれは農協の自己資本比率に関わる話なんです。それで……(発言する者あり)はい。
 ということでございますので、止められましたので、是非お答えいただきたいと思います。

#14
○委員長(上月良祐君) 時間が参っておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

#15
○参考人(八木正展君) TLAC規制の詳細につきましては、今後、告示であったり監督指針で定められると認識してございます。したがいまして、規制要件を満たすためにTLACを誰からどの程度の規模で調達するか等につきましては、今後の主務省の御検討を踏まえて検討を進めてまいります。さらに、規制内容次第とはなりますけれども、会員からのTLAC調達を検討する場合には、会員の収益であったり財務への影響を十分に配慮して、御相談させていただきながら進めてまいりたいと考えてございます。

#16
○委員長(上月良祐君) 答弁は同様に簡潔にお願いします。

#17
○政府参考人(光吉一君) はい、かしこまりました。
 TLACに関しましては、今後、農林中金において、会員である農協等の意向も踏まえて検討がされるものと考えており、現時点で具体的なことが決まっているものとは承知しておりません。一般論として申し上げれば、農協につきまして、経営の健全性を自己資本の面から確保することは重要だというふうに考えております。

#18
○委員長(上月良祐君) おまとめください。

#19
○野村哲郎君 時間オーバーして、済みませんでした。

#20
○森ゆうこ君 立憲民主・社民の森ゆうこでございます。
 今、野村先生から御質問がありました。一体農林中金って何なんだろうと、済みません、表現が悪いんですけれども。いい言葉で言えば大変ユニークな、世界的に見てもこのような金融、そして総合事業ですよね、農林中金法第一条の目的に照らして、我が国の、もって我が国の農業の発展に寄与するということで、非常にユニークな組織であるというふうに思いますけれども、今回の法案を私が質問することになりまして、全く金融の分野に関しては素人でございますので、林先生、もしとんちんかんなことを言ったら御指摘をいただきたいと思います。
 今日は八木参考人にも来ていただいております。お忙しいところ、誠にありがとうございます。昨日、農林中金は決算を発表されまして、本当はもうちょっと早く発表していただければその内容をこの質問にも反映できたのではないかなというふうに思いますが、後で少し、答えられる範囲でお答えをいただきたいと思います。
 まず、大臣にお聞きしたいんですけれども、先ほどお話がありました、銀行等に関しては既に預金保険機構の関係の法律が改正されて、秩序ある処理の制度が整備されております。農林中金は、リーマン・ショック以前から国際的に活動する機関投資家として注目されておりまして、G―SIBの枠組みがスタートした当初から候補としてリストに入っていたわけでございます。
 なぜ今この法律を提出したのか。G―SIB選定、十二の指標があるわけですけれども、大きな変化があったんでしょうか。そのG―SIB選定の蓋然性が高まったと繰り返し御説明されているわけですけれども、その理由を具体的に御説明いただきたいと思います。

#21
○国務大臣(野上浩太郎君) 金融安定理事会でございますが、このグローバルな金融システム上重要な銀行でありますG―SIBの候補行である七十六の金融機関を対象としまして、総資産等の規模や外貨建て資産等の国際活動など五つの基準と、今お話しいただきましたとおり、その基準に該当する具体的な十二の指標につきまして、相対評価によってG―SIBを選定をしているところであります。
 G―SIBはこの相対評価によって選定されますので、農林中金がいつこのG―SIBに選定されるかということを具体的に言及することは困難なわけでありますが、農林中金は近年、総資産等の規模を拡大するほか、市場運用資産及び市場運用資産に占める外貨建て資産の割合を拡大させるとともに、オーストラリア、またオランダにおきまして子会社を設立をしまして海外拠点を拡充するなど国際的な活動も拡大してきておりまして、そういう意味でG―SIBに選定される蓋然性が高まってきていると認識をしているところでございます。

#22
○森ゆうこ君 もう少しストレートに聞きますけれども、例えば、先ほどのお話もありましたけど、CLO、これは世界一のプレーヤーなわけですね、CLO市場において。現時点においてはどうなのか、ちょっと確かな数字は分かりませんけれども。そういうことがこの蓋然性が高まった最大の理由なんでしょうか。

#23
○政府参考人(光吉一君) CLOにつきましては、数字自身は先ほど中金の常務からお話あったように、八兆に比べて何か減っているという状況でございますので、CLOを捉えて今回蓋然性が高まったというよりは、今大臣から御答弁ございましたように、総資産の規模等について増加していることなどが背景でございます。

#24
○森ゆうこ君 そもそもG―SIBに選定されることがいいことなのかどうか。いいことというか、要するに国際の金融規制というのは、この間、バーゼル1、2、3、結局日本にとっては新興する日本の金融機関を封じ込めるためにルールが改正されたというふうに解説する専門家もいますし、変な例えですけれども、例えばオリンピックで日本の選手が活躍をすると、水泳あるいはジャンプ。で、いいな、これからどんどんメダル取れるなと思うと急に国際競技のルールが変更されて、我々からすると明らかに日本人の活躍を封じ込めるような、そういう我々にとっては非常に不利なルール改正が行われるという、それにちょっと似たような側面もあるのではないかなというふうに思います。
 しかし、残念ながらルールはルールですので、そういうルールにならざるを得ないと。日本の力不足というんですか、そういうふうに決められた以上、ルールには従わなければならないということで、大手の金融機関の中には、意識をしてG―SIBに選定されないように経営をコントロールしているところもあるというふうにも伺っているんですね。
 それで、このG―SIBについて、選定された場合のメリット、デメリットについて農水省に伺います。

#25
○政府参考人(光吉一君) 農林中金がG―SIBに選定された場合には、農林中金に対してG―SIBに係る資本ルールでございますTLAC規制等が適用され、政府におきましては、今般の法律で御審議をお願いしておりますように、金融システムの著しい混乱が生じるおそれがある場合に農林中金の資産、負債の秩序ある処理を行える仕組みというのを整備するということになります。
 それらを通じまして、各国の金融当局ですとかあるいはほかの金融機関から、G―SIBに対する規制を満たした金融機関として農林中金が評価されることになります。
 これによりまして、農林中金が国際的な基準に対応した仕組みの下で継続的にその役割を発揮をいたしまして、その収益の還元を受けた農協等から農業者などへのサービスを安定的に実施していくことが期待されるところでございます。

#26
○森ゆうこ君 いや、別に更にその信用力を高めなくても、今日たくさんちょっと資料配っちゃったんですけれども、既に農林中金は名立たる機関投資家として、CLO、その二ページ目のウォール・ストリート・ジャーナルなんですけど、これは二〇一九年二月の記事ですけれども、CLO市場は、農林中金がそこに参加しないと、みんな様子見で動かないとまで言われている。だから、別にG―SIBに指定されなくても、国際的な信用力というのは、それは経営努力というか、リスク管理も徹底していらっしゃって、すばらしい人材を集めていらっしゃるということを、この記事を読むと、ああ、海外でもこう評価されているんだなと思うんですけれども、選定されなくてももう十分既に国際的な信用力はあると、こういうことなんだと思います。
 それで、TLAC規制について資料お配りをいたしました。
 規制なんですよ。だから、新たな負担が生じるんですね、G―SIBに指定されると。それで、この出資転換可能なローン等を積み増す必要がある。今ゼロだというふうにお聞きをいたしておりますけれども、三年以内に六%、六%以上確保する必要があると衆議院でも答弁されております。
 出資転換可能なローンとはどのようなものなんでしょうか。また、金額にして幾ら確保しなければならないんでしょうか。農水省、お答えください。

#27
○参考人(八木正展君) お答えさせていただきます。
 出資転換可能なローンとは、G―SIBに選定された場合に、TLAC規制で求められる要件を満たすTLAC適格負債のことを指していると認識してございます。具体的には、例えば万一経営危機等に陥った場合に、元本を出資に転換する特約が契約上に定められている借入金などを想定されます。
 なお、TLAC規制の詳細につきましては、先ほど野村先生のところでもお答えさせていただきましたけれども、今後、告示、監督指針で定められると認識しておりますので、このTLAC適格負債の必要な金額等につきましては、今後の主務省の御検討を踏まえて農林中金としましても検討を進めてまいりますということでございますが、先ほど野村先生からも約二兆円という話がございまして、国際ルールで定められている、定められます六%ということを仮定すれば、おおよそ二兆円規模の金額が必要になるというふうに想定されます。

#28
○森ゆうこ君 そういう意味で新たな負担なわけで、それはどのように調達をされるおつもりなのか、答えられる範囲で、先ほどの同じようなお答えになるのかもしれませんけれども。でも、この法案、成立するわけですよ。そして、蓋然性が高いと、G―SIBに指定される。そうすると、もう今から考えていらっしゃると思うんですけれども、どのように調達されるおつもりでしょうか。

#29
○参考人(八木正展君) 先ほども、やや繰り返しになりますけれども、今後、告示であったり監督指針で定められる等、これが決まらないとなかなか詳細が分からないという状況でございますが、会員の皆様に対しましては、将来的にTLACの調達に御相談を行っていく可能性があることを踏まえまして、TLACに係る国際ルール等の枠組みについて既に説明を行ってございます。
 会員からは、規制の詳細が固まり次第、TLAC調達の考え方を早めに伝えてほしいであったり、会員の収益や財務負担への影響等を十分に考慮して枠組みを検討してほしい等の要望を受けております。
 農林中金におきましては、今後確定いたしますTLAC規制の詳細を踏まえ、早めに考え方を整理した上で会員に丁寧に説明を行ってまいります。

#30
○森ゆうこ君 先ほども、専門家の話では、大手銀行、大手金融機関の中には、G―SIBへの選定というのは負担が、今約二兆円とおっしゃった、大変な負担になるわけでございまして、そういうことを、つまり規制強化されるわけですから、そういうことを避けるためにコントロールしていくということもやっているところがあるというふうに、又聞きで申し訳ないですが、いらっしゃるということなんですけれども、本音ではどうなんですか、G―SIBに選定されるということについて、農林中金さんはどう思われているんでしょうね。

#31
○参考人(八木正展君) 先ほど農水省の方からも選定基準等の話がありましたけれども、G―SIBの選定につきましては、候補となる七十六の金融機関が相対評価をされ、為替動向であったり他律的に決まる要素にも左右されるということでございますから、農林中金が将来G―SIBに選定される可能性があり得ると想定してございます。G―SIB選定は、国際金融システム上影響の大きい金融機関に対し、国際当局がより重点的に監督を行う枠組みであると認識しております。
 農林中金といたしましては、リスク管理を高度化しながら国際分散投資を継続させていただき、会員への安定還元の役割を果たしていく中で、仮にG―SIBに選定された場合には、適用される規制に整々と対応していくものであるというふうに認識してございます。

#32
○森ゆうこ君 CLOについて伺いたいと思います。
 まず、金融庁に伺いたいんですけれども、資料お配りしておりますが、ちょうど一年前、昨年の六月に、本邦金融機関の海外クレジット投融資の動向ということで、日銀と日銀レビューという形で提出をされております。そして、この発表に先立ちまして日銀と金融庁共同で調査をしているということでございますけれども、この調査、その発表ですね、このレビューを発表した目的と日銀と金融庁が合同調査を行った経緯、それから問題意識があってこういうことをされたと思うんですけど、それについて御説明ください。

#33
○政府参考人(屋敷利紀君) お答え申し上げます。
 国内では低金利や資金需要の低迷など厳しい収益環境が続く中で、近年、本邦金融機関は、利ざや確保のため、信用力が低い企業向けの貸出しであるレバレッジド・ローンや、それを裏付けとした証券化商品であるCLOへの投資を拡大してまいりました。
 こうした下で、金融庁と日本銀行は、本邦金融機関による海外クレジット投融資の実態やその金融安定面への影響について把握し、金融機関における適切なリスク管理を確保する観点から、海外クレジット投融資調査を実施し、その結果を取りまとめて昨年六月に公表したところでございます。

#34
○森ゆうこ君 このレビューを読んでいただくと分かるんですが、名指しこそしておりませんけれども、農林中金が突出してCLOを保有しているということについての警鐘を鳴らしたのではないかなというふうに思います。
 米国のボストン連銀総裁が、農林中金が自己資本に近い額のCLO投資を行っていたことについて、危機が起きれば大変問題になる、なり得るというふうに指摘をされているわけですけれども、海外の特定の金融商品の市場でまさにメーンプレーヤーなんですよ。メーンプレーヤーとなり、お配りした資料にも、ウォール・ストリート・ジャーナルにこれだけ書かれているわけですから、メーンプレーヤーとなって海外の金融当局からも注目されることについて、農林中金と監督当局はそれぞれどのように考えていらっしゃるでしょうか。

#35
○参考人(八木正展君) 農林中金の国際分散投資のモデルというのは、ここ二十年ぐらいずっと続けてきておりまして、高度化をしてまいりました。その間、リーマン・ショック等も受けて、教訓も踏まえてやってまいりましたけれども、やはり要諦はリスク管理かというふうに考えてございます。メガバンク等と同様に、運用資産全般の様々なリスクを軽量化した上で、金融市場の不測の事態を想定したストレステスト等を行って自己資本の十分性を確認してございます。
 その上で、CLOにつきましては、信用力の最も高いトリプルAの格付の商品に限定してございます。さらに、格付に依存することなく、投資時には裏付けとなる企業向けのローンのストレスシナリオ分析など、農林中金自身が実施してございます。さらに、投資後も定期的にモニタリング等を実施することによってリスク管理を徹底し、慎重な投資を実施してございます。
 こうした中、農林中金は、CLOも含め、債券、株式、クレジット資産等のバランスを取って運用しておりますが、これらは会員への安定的な収益還元の役割を果たすことを目的としてございます。
 農林中金と関係する海外当局の皆様につきましては、常日頃から農林中金の経営状況についてもコミュニケーションを重ねており、CLOについても投資方針であったりリスク管理の状況等、これまでも丁寧に説明し、御理解をいただいていると理解してございます。

#36
○政府参考人(屋敷利紀君) お答え申し上げます。
 グローバルなCLO市場におきましては、農林中央金庫を含む本邦大手行のシェアが相応に高いという点につきましては、委員御指摘のとおりと認識しております。
 また、委員御指摘のとおり、米国のボストン連銀のローゼングレン総裁を始め、国際的にCLO保有の潜在的リスクに関する指摘があったと承知しております。
 他方、農林中央金庫を含む本邦大手行は、総じて充実した自己資本基盤を有しており、ストレス下における自己資本の充実度についても確認しておりますほか、特にCLO投資につきましては、先ほど八木常務も御答弁されたとおり、本邦大手行が保有するCLOのほとんど全てがトリプルA格であること、CLOの商品設計において、リーマン・ショック以降、ダブルA格以下の証券化区分であるトランシェの割合を増やすなど、トリプルA格部分の毀損リスクは当時よりも抑制される構造となっておりますことから、期中における時価評価額の変動は大きくなる可能性はございますが、満期まで持ち切った場合の損失率は抑制されていると承知しております。
 もっとも、一般論としては、資産運用から生じる損失が自己資本等を毀損する潜在的なリスクにつきましては委員の問題意識を共有しているところでございますので、私ども金融庁といたしましても、内外の経済市場動向を注視するとともに、金融機関との対話を通じて実態を把握した上で、リスクテークに見合ったリスク管理体制の整備を求めるなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

#37
○政府参考人(光吉一君) CLOにつきまして、潜在的なリスクの御指摘もあると承知しております。
 他方、今、金融庁からもお話ございましたけれども、調査の結果について公表される中で、満期まで持ち切った場合の損失率が抑制されているとの評価なども聞いているところでございます。
 農林水産省としては、系統金融機関向けの総合的な監督指針におきまして、保有する資産のリスクに見合った管理体制の整備を求めているところでございます。通年検査などを通じまして運用状況やリスク管理体制を把握をしているところでございます。
 引き続き、金融庁と連携して、中金への必要なモニタリングや検査を通じてリスク管理の高度化を図ってまいりたいと思います。

#38
○森ゆうこ君 私、この法案の質問を準備するときに、一体誰が責任を持ってこの巨額のCLO運用というものについて目を光らせてくださっているのかなというふうに思いまして。
 ただ、お聞きしますと、金融庁がメーンとなって農水省も協力をして、そして通年検査ということでメガバンク同様に厳しく管理をしてくださっているということですし、先ほどのウォール・ストリート・ジャーナルを読んでいただければ、農林中金さん御説明になったように、むしろ格付会社より綿密に専門家を使って調査しているのかなという印象も受けますし。
 ただしかし、サブプライムローン、トリプルAの格付であっても危機が起きたわけですよね。非常に複雑に証券化されていて、一体元は誰が借りていたものなのか、どういうところに資金を供給していたものなのか、それがまるで分からないという複雑な、どんどん複雑になっていったということであのような危機が起きたということですので、CLOというのはサブプライムローンの企業版と言ってもいいと思うんですよね。サブプライムのときには、特に個人の住宅のやつだったと思いますけれども、そういう意味で非常に、大丈夫なのかなという、非常に巨額の資産を運用しているということで、やはりこれはこれからも注視していかなければならないと思っているんですけれども。
 八木参考人は先ほど、これ実は、私、こういう質問を通告してあったんですよ。五月十九日の衆院農水委員会で含み損益はほとんどないと答弁していらっしゃいますが、これは、含み損はない、しかし、リターンもほとんど確保できていないという意味かという通告をしたんですが、先ほど野村先生の質問に対して答弁変えられました。含み損はないと答弁をされたんですよね。ということは、これは衆議院の答弁は、含み損と言うべきところを含み損益と言ってしまったということなんでしょうかね。
 それで、満期償還して、そして保有額がピーク時よりも減ったということですけれども、そうすると、満期を迎えたものについて言いますと、それは相当な償還利益があったということでよろしいんでしょうか。

#39
○参考人(八木正展君) まず、議員御指摘の先日の答弁につきまして、一部誤解を招くような表現があったのではないかということで、先ほどの答弁では含み損はないというふうにさせていただきました。ただ、一般的には含み損益がないといった場合は益も損もないということで、損もないということで同じかとは思いますけれども、ただ、誤解を招いたことにつきましてはおわび申し上げたいというふうに思います。
 その上で、CLOというのは債券の形態の有価証券でございまして、約定に基づく利息収入と各時点で時価評価する場合の含み損益、この二つがございます。先日申し上げた含み損益という表現は、後者の部分の、三月末の時価評価した場合の含み損はほとんどないという意味でございます。
 一方で、前者の利息収入につきましては、金融政策の影響を受けにくい変動金利に基づく収益でございまして、全て案件での約定どおりの収入を安定的に確保してございますというとともに、先ほど、償還が迎えたときの償還益があるかといった御質問かとは思いますけれども、一般的には百円で返ってございますので、そこで益も損もないということでございます。

#40
○森ゆうこ君 それで、昨日、決算を発表され、二〇年度の決算を農林中金、発表されたわけでございます。経常利益三千百億円、大変良かったなというふうに思います。
 それで、これについて、昨日の決算についてなんですけれども、報道によりますと、この経常利益三千百億円は、これはFRBに感謝しなきゃいけないのかなというか、米国の金利政策によって外貨調達のコストが相当下がったということなのではないかというふうに思うんですけれども、この経常利益三千百億円、この大きな要因はどうなっているんでしょうか。

#41
○参考人(八木正展君) お答えいたします。
 増益の要因といたしましては、先ほど委員御指摘の米国の利下げに伴って外貨資金調達費用が減少したこと、さらには、金融市場の回復を踏まえまして、主にでございますけれども、株式の有価証券売却益を計上したことによるものでございます。

#42
○森ゆうこ君 それで、奨励金の問題があるんですけれども、巨額のもう百兆円以上あるその資産を使って、ほとんどが農協、JAバンク等を通じて農業者というよりは准組合員から集めたものがだんだん多くなってきているわけですけれども、非常に巨額の資金を集めて、そしてそれを運用して、それを還元すると。衆議院では、奨励金というのがいいのかどうかという御発言もありました。
 その奨励金を計画的に引き下げていくということで大変な影響が出ている。うちの地元、そのながおか越後農協というのは私の地元でございますので、大変な影響を受けているんですね。だから、ぱっと中金経常利益三千百億円というニュースを見た人は、何だと、奨励金を引き下げておいてこんな経常利益出ているのかと、自分たちこんな苦しくなっちゃっているのにと。
 一体で、いい悪いの判断は別として、こんなユニークな組織ないわけですよ。これだけ全国の農業者、JA支えてくれていて、そしてそこからお金が集まって、それを、今ゼロ金利、マイナス金利政策ですから、主に海外で運用して、非常に上手に名立たる機関投資家として利益を得て、そしてそれを還元するということで。でも、こんな利益出ているんだったら、奨励金、奨励金下げるってどういうことなんだという反発も出るんじゃないかと思いますけど、この点についてはいかがでしょうか。
 そして、奨励金というか、本来はもう少しドライでいいと思うんですけど、出資配当金とか、そういうこととするべきではないんでしょうか。奨励金は今後どうなるんでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

#43
○参考人(八木正展君) お答えさせていただきます。
 奨励金の見直しの方針につきましては、中長期的に安定した還元を持続できることを目的に、会員の皆様と協議して取りまとめたものでございます。
 あと、奨励金の意味でございますけれども、これは利息でございます。なので、決算で良い結果が出た配当とは別物ということの理解を、まずは御理解いただきたいということでございます。
 そんな中で、先ほど御説明したとおり、今期は大変良い決算だったということでございますけれども、中長期的に運用、調達を取り巻く環境というのは引き続き厳しいものと認識してございます。したがいまして、農林中金といたしましては、将来にわたる持続的な還元のために現在の見直しの方針を維持させていただきたいと考えてございます。
 一方で、会員への総還元という観点からは、奨励金に加えまして、単年度の利益が相応の規模となった場合には、利益規模に応じた配当について単年度ごとに検討をいたしております。ただし、具体的な配当水準につきましては、当年度剰余金を含む毎期の利益処分として、会員の代表者で構成されます総代会で決定されることになりますので、具体的な数字についてはお答えすることはできません。

#44
○森ゆうこ君 少なくとも増えるということでいいですか。その還元ということでの配当というか、そういうものについては、今年、これから、この経常利益三千百億円という誠に喜ばしい決算の結果を受けて、農協としても、各JAバンクとしても、あるいはそのそれぞれの総合農協としても、少し期待していいということでよろしいんでしょうか。

#45
○参考人(八木正展君) お答えいたします。
 前年度は約、経常利益一千億で百億の特々配当を出してございます。なので、決算規模が増えてございますので、それに応じた配当ということになりますが、具体的な金額についてはお答えを控えさせていただきます。

#46
○森ゆうこ君 それでは、法案の中身についてお聞きをいたします。
 百十条の二の我が国の金融市場その他の金融システムの著しい混乱が生ずるおそれがあると認められるときというのは、具体的にどのようなときなのでしょうか、簡潔にお答えください。

#47
○政府参考人(光吉一君) 本法案におきまして、主務大臣は、農林中金につきまして、今御指摘いただいたように、我が国の金融市場その他の金融システムの著しい混乱が生じるおそれがあると認めるときは、金融危機対応会議の議を経まして、資金の貸付け等や優先出資の引受け等の特定措置を講ずる必要がある旨の認定を行うとしております。
 具体的にどのような場合に認定を行うかという御質問でございますが、その時点時点における金融市場の状況に応じて適切に判断する必要があることから、あらかじめ具体的に申し上げることは困難ではございますが、例えば金融市場の変調などによりまして、金融機関の財務状況や資金繰りが悪化して市場取引が継続できなくなり、その影響が取引相手に連鎖することにより金融市場全体が機能不全に陥り得るような場合等に判断することとなると考えております。

#48
○森ゆうこ君 ちょっとまとめてお答えいただきたいんですが、第百十条の二で、ただし、農林中央金庫がその財産をもって債務を完済することができない場合はこの限りではないという条文でございますけれども、債務超過のおそれがある場合は、債務超過であればこの限りじゃないということなんですけれども、じゃ、債務超過のおそれがある場合は特定措置の対象なんでしょうか。それから、債務超過の場合の対処はどうなるんでしょうか。
 もう一つは、特定措置の発動期間中に農林中金が債務超過に陥った場合の対処はどうなるんでしょうか。
 もう一つ、預金保険制度における秩序ある処理との相違点はどうなんでしょうか。端的に言うと、最終的に農林中金を清算するという処理は行わないということでよろしいですか。

#49
○政府参考人(光吉一君) 失礼いたしました。
 何点か御指摘いただいたので、まとめてお答えをさせていただきます。
 債務超過のおそれがある場合に特定措置の対象になるかということでございますが、委員御発言いただきましたとおり、ただし書につきましては、その財産をもって債務を完済することができない場合はこの限りではないとしておりますので、債務超過に陥っておらず、そのおそれがあるという状況につきましては、このただし書に該当しないので特定認定を行うことができるものと考えております。
 次に、農林中金が債務超過となった場合にどのように対処するかということでございます。
 農林中金につきましては、農林水産業者の協同組織を基盤とする全国唯一の機関でございます。その役割を代替できる機関というものはほかに存在していないことから、今回の法律案につきましては、破綻の未然防止を重視した措置をとることとしております。
 具体的には、法案の内容になりますけれども、債務超過となる前の段階で資金の貸付け、優先出資の引受け等を行う、あるいは、先ほど来出ておりますTLAC規制に対応した出資のローン等によって防止措置を講じるということになります。
 それと、特定措置の発動期間中に債務超過となった場合というお話でございますが、この特定措置は、金融システムの著しい混乱が生じるおそれがあると認めるときに、農林中金に対しまして、業務の遂行並びに財産の管理及び処分の監視、これを行いながら自己資本の充実を図るために優先出資の引受け等を行うものでございますので、特定措置のまさに行っている最中に農林中金がその段階で債務超過となるような事態というのは想定し難いと思っておりまして、これらの措置を適切に講じていくことが重要と考えております。
 それと、預金保険法との違いということでございます。
 本法案については、基本的に平成二十五年に預金保険法が改正されたときの内容を踏まえたものとしておりますが、措置の対象となる金融機関の範囲と措置内容の一部は異なっているところです。
 具体的に申し上げると、措置の対象となる金融機関につきましては、改正預金保険法につきましては、銀行等の預金取扱金融機関など、そのほか保険会社、証券会社などを対象としており、本法律案につきましては、国際的な基準で定めますG―SIB選定の可能性がある金融機関は農林中金だけであることから、これを対象としております。
 措置内容につきましては、改正預金保険法につきましては、問題となった金融機関を別の金融機関に合併、事業譲渡させ、問題となった金融機関を清算し、救済した別の金融機関に預金保険機構が資金援助を行える措置が設けられておりますが、本法律案におきましては、先ほど申し上げたとおり、農林中金の役割を代替できる機関がほかに存在していないことから、農林中金をほかの機関に合併、事業譲渡させることを前提にした措置を設けているものではないところでございます。
 以上でございます。あっ、失礼いたしました。
 このように、本法律案につきましては、農林中金を別の金融機関に合併、事業譲渡させた上で農林中金を清算して、別の救済した金融機関に資金援助するといった措置は行わないこととしており、農林中金の自己資本の充実のため、資金の貸付け及び優先出資等の引受け等の措置を行うこととしているところでございます。

#50
○森ゆうこ君 清算はしない。
 いや、本当に唯一無二の存在なんですよ。本当に、農林中金、あなたは誰ですかというふうに思ったぐらい国際的にも活躍していて、物すごい機関投資家だと。いや、しかし、でも、やはり唯一無二の存在として、農林中金がなければこの信用事業というものも全国でJAさんたち、なかなか今のような形でできないということで、そういう意味では農協改革のその信用事業の改革というのは、規制改革推進会議が言っているような代理店にすればいいとかそういう簡単な話ではなくて、その特性、大切な、ここを守りながら、しかし、今のビジネスモデル続けることは困難ですからというふうに改革を進めていっていただきたいと思うんです。
 それで、大事なところはまだまだあるんですけれども、回収等停止要請なんですが、結局、この停止要請の対象として主務省令で定める権利の内容、要請に従わない組合が出てきた場合の対応、要請に従うことにより貯金の払戻しが困難になるような場合、貯金者保護はどのように行われるのか、そして、要請に従うことにより経済事業に必要な運転資金が不足する組合が出てきた場合はどうするのか。これ、唯一無二の存在ですから、ほかの金融機関とは対応がやはり異なるというふうに思うんです。
 それで、その次の質問ともかぶるんですよ、大臣。秩序ある処理によって農林水産漁業者を支える各組合の事業が滞って我が国の農林水産業に大きなダメージを与えるようなことになれば、本末転倒なんですね。そうならないようにやると、今幾つか聞きましたけれども、そういう措置が考えられていると思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。

#51
○政府参考人(光吉一君) 委員から今お話しいただいた場合でございますけど、特に、御指摘いただいたものの中で、例えば回収等停止要請があった場合に貯金の払戻しが困難になるんじゃないかということを特におっしゃっていただきましたけれども、先ほども申し上げましたとおり、これは要請でございますので、強制力を伴うものではございませんけれども、債権者としての権利を行使しない期間につきましては、法律におきまして、我が国の金融システムの著しい混乱が生じるおそれを回避するために必要な措置が講じられるまでの間というふうにしております。
 すなわち、これを行っている状況、行おうとしている状況は金融システムの著しい混乱が生じるおそれがある場合でございますので、当然でございますけれども、資金の貸付けなどや優先出資の引受け等の措置は迅速にこれは実施しなきゃいけないということなので、必要な措置が講じられるまでの間として債権者の権利を行使しない期間は短期間となるものと想定されています。
 ですから、例えば貯金の話についていえば、貯金保険法に基づいて貯金者に支払う保険金の仕組みなどがございます。あるいは、資金については系統の組織の中、あるいは一般金融機関から資金を調達するような取組も行われるものと思いますが、基本的には権利を行使しないと要請する期間は短期間と考えられることから、事業への影響が出るような事態というのは想定しにくいものと考えております。

#52
○国務大臣(野上浩太郎君) 今、この本法案に設けられております様々な措置につきまして御議論いただいたところでございますが、こうした措置が設けられることによりまして、農林中金が国際的な基準に対応した仕組みの下で、やはり、お話しいただきましたとおり、継続的にその役割を発揮をして、その収益の還元を受けた農協等が農業者へのサービスを安定的に実施していくことが期待されまして、農協等の事業の継続や我が国の農林水産業の持続性の確保にもつながるものと認識をいたしております。
 また、リスクにつきましても様々御議論いただいたところでありますが、モニタリングや通年検査等によりましてこのリスク管理体制の把握、必要な指導等をしっかりと行ってまいりたいと考えております。

#53
○委員長(上月良祐君) おまとめください。

#54
○森ゆうこ君 はい。
 あと、海外拠点の拡充について農林中金さんにお聞きしようと思いました。ケイマンに関連会社持っていらっしゃった、で、それ清算したのかどうか。一応二〇二〇年度中に清算というふうに言っておりましたし、それから、みずほ、それからクールジャパン機構と一緒につくった官民ファンドだと思うんですけど、これ、ガルフ・ジャパン・フード・ファンド・グループ、これもケイマンにございます。
 資料に記事をお付けしていますけれども、みずほ銀行はこの間、この租税回避ということについて、裁判で負けているんですよ。なので、農林中金にこの問題はないのかちょっと確認したかったということと、やはり農林中金、ユニークな存在で代わりはないと思うんですね。これまで培ってきた世界的な金融市場における信用力、それからリスク管理能力、そういうものを活用して、ただ単に、何というのかな、機関投資家として海外を拠点に活躍するのではなくて、輸出戦略、クール、何というんでしょうか、農水産物を輸出するときのためのそういうものをつくる、環境をつくる、そういうところにこそこれから積極的に活躍をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#55
○河野義博君 公明党の河野義博です。
 本法律案は、国際的に重要だと認められる主要な金融機関に対して適用される国際金融ルール、これに関しまして、この重要だと認められる国際金融機関に農林中金が指定される可能性が、蓋然性が高まっているということで、国内法を整備する担保法のようなものでございます。当然必要な措置でありまして、賛成であります。
 その観点から、まずは幾つか法案の中の論点で明らかにしておきたいというふうに思います。
 今回、秩序ある処理、いわゆる破綻処理の仕組みが明確化されるわけでありますけれども、預金保険制度における特定第二号措置のような破綻金融機関を最終的に清算される仕組みが設けていられない、いないという点でありまして、預金保険制度との違いを明らかにしながら、今回農林中金に適用される、本法律案の改正に伴って適用されることになるであろう秩序ある処理に関しまして御説明をいただきたいと思います。

#56
○国務大臣(野上浩太郎君) 本法律案は、基本的に平成二十五年の預金保険法の改正の内容を踏まえたものとしておりますが、措置の対象となります金融機関の範囲と措置内容の一部が異なっております。
 具体的には、措置の対象となる金融機関につきましては、本法案では、貯金保険法の対象である農水産業協同組合のうち国際的な基準で定めるG―SIB選定の可能性がある金融機関は農林中金のみであることから、これを対象としているのに対しまして、改正預金保険法の方では、銀行等の預金取扱金融機関のほか、保険会社ですとか証券会社等を対象としているわけであります。
 また、措置内容につきましては、本法律案では、農林中金の役割を代替できる機関がほかに存在しないことから、農林中金を他の機関に合併、事業譲渡させることを前提とした措置を設けていないということに対しまして、改正預金保険法では、問題となった金融機関を別の金融機関に合併、事業譲渡させ、救済した別の金融機関に預金保険機構が資金援助を行える、いわゆる特定第二号措置も設けているところでございます。
 このように違いはあるわけでありますが、預金保険法を踏まえまして、本法律案の資産及び負債の秩序ある処理に関する措置におきましては、主務大臣による措置の必要性の認定、また貯金保険機構による農林中金の業務の遂行並びに財産の管理及び処分の監視、貯金保険法による農林中金に対する資金の貸付け及び優先出資の引受け等の措置を講ずることとしておりまして、国際的な基準に適合したものとなっていると認識いたしております。

#57
○河野義博君 預金保険法も最終的には納税者負担もあり得るという前提で考えられていると思いますが、その点は相違ないということでよろしいでしょうか。

#58
○政府参考人(光吉一君) そうでございます。

#59
○河野義博君 最終的には納税者負担があり得るということでございました。
 その特定措置でありますけれども、どういうときに発令されるのかということはある程度明らかにしておくべきなんじゃないかなというふうに思っています。いつでもどこでも助けてもらえると思うとちょっと経営がうまくいかないかもしれませんので、明確な御答弁できないのかもしれませんが、この法律の中には我が国の金融市場その他の金融システムの著しい混乱が生ずるおそれがあると認められるときに発動されるというふうに記載があるわけですが、この著しい混乱というのはどういうことを念頭に置かれているのか。可能な限りで結構ですので、具体的な判断基準というのを議論しておきたいと思います。

#60
○政府参考人(光吉一君) 委員御指摘のとおり、主務大臣は、農林中金につきまして、我が国の金融市場その他の金融システムの著しい混乱が生ずるおそれがあると認めるときは、金融危機対応会議の議を経て、資金の貸付け等や優先出資の引受け等の特定措置を講ずる必要がある旨の認定を行うこととしております。
 具体的にどのような条件の場合にこの認定を行うかについてでございますが、その時点での金融市場の状況に応じて適切に判断する必要があり、あらかじめ具体的に申し上げることは困難ではございますが、例えば、金融市場の変調などによりまして、金融機関の財務状況や資金繰り、これが悪化をして市場取引が継続できなくなって、その影響が取引の相手に連鎖をして、金融市場全体が機能不全に陥り得るような場合などに判断することとなると考えております。

#61
○河野義博君 もうちょっと突っ込みたいところではありますが、次に行きます。
 万が一の場合、貯金保険機構による資金の貸付けや優先出資の引受けが行われることになります。どういった条件による貸付けや出資の引受けとなるんでしょうか。また、その際発生する費用というのは誰が負担をしてどのように賄われるのか、あらかじめお示しいただきたいと思います。

#62
○政府参考人(光吉一君) 委員御指摘のとおり、貯金保険機構は、農林中金から資金の貸付け等の申込みを受けた場合におきまして、必要があると認めるときはその必要な限度において資金の貸付け等を行うこととしております。
 具体的にどのような条件の場合に実施するかの御質問でございますが、これ、恐縮でございますが、先ほどと同じでございますが、その時点での金融市場の状況に応じて適切に判断することが必要であることから、具体的に特定して申し上げることは困難でございますが、預金保険法と同様でございますが、例えば、金融市場の急変によりまして金融市場の参加者の信用不安の連鎖、これが生じているような事態などにおきまして、農林中金の手元の現金が不足をして債務の履行が困難となって、取引相手のほかの金融機関にも影響を与えるおそれがあるような場合などにこの貸付け等について判断することとなると考えております。
 もう一点、また、主務大臣は、貯金保険機構から農林中金の優先出資の引受け等を行うかどうかの決定を求められたときは、貯金保険機構が取得した優先出資等の処分をすることが著しく困難であると認められない、認められる場合でないこと、農林中金が主務大臣に提出する経営の健全化のための計画の確実な履行などを通じて、経営の合理化のための方策と経営責任の明確化のための方策の実行が見込まれることといった要件の全てに該当する場合に限り決定をすることとなっております。
 これは具体的には、預金保険法と同様に、貯金保険機構が取得いたします優先出資などにつきまして、その処分が困難な契約内容となっていないかどうか、計画の履行等を通じまして人員削減、店舗統廃合によるコストの削減、役員の外部登用や経営陣の刷新などによるガバナンスの抜本的見直しの実行が見込まれるかどうかなどを踏まえて決定することとなると想定しております。
 そして、これらの費用につきましてでございますが、政府保証が付された借入れによりまして貯金保険機構が金融機関又は日銀から資金調達を行い、その資金を元にしまして貯金保険機構は農林中金に対する資金の貸付け等を行う旨の決定を行い、また、主務大臣は、優先出資の引受け等について行うべき旨の決定を行い、その後、健全性を回復した農林中金が貯金保険機構からの借入金の弁済や出資の買戻しを行うということにしております。
 ただし、主務大臣は、万が一農林中金の経営の健全化が計画どおり進まない場合等必要があると認めるときは、農林中金又は会員である農協などが納付すべき特定負担金に係る決定を行い、政府は、特定負担金のみで賄う場合に金融システムの著しい混乱が生じるおそれがあるときに限り補助することができることとしております。

#63
○河野義博君 るるありがとうございました。最終的にはステップインできるということなんだなというふうに思います。
 農林中金さんもお越しいただいておりますので、農林中金に伺います。
 農林中金が今回重要な金融機関と指定された場合、G―SIBに指定された場合は、TLACと呼ばれる規制に適合させなければなりません。出資転換可能な借入れを三年以内に六%確保するということになろうかと思いますけれども、これ、どのように調達するかとお伺いをした際、系統内で、組合の中で調達する方向性というふうに伺っておりますが、どういった金額やどういった条件で調達を行うおつもりか、スケジュール感と併せて御説明をいただきたいと思います。

#64
○参考人(八木正展君) お答えいたします。
 TLAC規制の詳細につきましては、先ほども申し上げましたけれども、今後、告示であったり監督指針に定められると認識してございますので、それに従いまして調達先であったり金額、条件等について主務省様の御検討も踏まえて検討を進めてまいりたいといった形になるかと思います。
 先ほど、冒頭の御質問のときにありましたけれども、仮に机上の計算をいたしますと二兆円規模になるかなということでございますけれども、こちらにつきましてもこれで確定したということではなくて、今後、告示であったり監督指針に定めるその内容をしっかり見極めた上で検討を進めていくと。
 その上で、会員の皆様には、こういった国際ルールの枠組みの中で、こういった法律も、貯保法改正も含めてあるといったことは御説明をしてございますし、その際に会員の皆様からは、詳細が固まり次第考え方を伝えてほしいであったりとか、会員の収益や財務負担への影響を十分に考慮して枠組みを検討してほしいといった要望を受けてございます。
 なので、この法律が通り、告示であったり監督指針が決まった、こういったことを踏まえて、早めに考え方を整理し、会員に丁寧に説明を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

#65
○河野義博君 なかなか優先出資だという、出資転換な借入れだというのもなかなか御説明難しかろうと思いますので、丁寧に是非お願いしたいと思います。
 この法律で質問に立つに当たって、現場の単協や中央会の皆さんの御意見を可能な限り多く伺ってまいりましたところ、法案そのものというよりは、やっぱり奨励金増やしてほしいというお声が圧倒的でありました。
 その上で、改めて農林中金法に、農林中金の目的とは、組合の協同組織を基盤とする金融機関としてこれらの協同組織のための金融の円滑化を図ること、言わば出融資をするということ、こういうことによって、農林水産業の発展に寄与し、もって国民経済の発展に資することを目的とすると書いてございまして、本業への出融資というのも、先ほど野村先生の御質疑の、御質問の際にもありましたけれども、今までもやってきていただいているし、先般の円滑化法の改正にもありましたように、やっぱり農林中金がしっかり前に出て今度出資も今まで以上にやろうとしていただいていて、本業に対する取組というのは今までも、これからもやっぱり変わらないだろうと思いますし、しっかりやっていただきたいというふうに思いますし、貸せ貸せと言われても貸す先がありませんというのも正直なところだと思います。そういった中で、奨励金も出さなきゃいけないという中で、やっぱり市場運用を安定的にやってきていただいているというのが実情だろうと思います。
 農林中金から農協への安定的な還元を行っていくためには、農林中金の収益力の更なる向上が期待されるところであります。そういった観点から、今後どのように農林中金として取り組まれていきますでしょうか。
 また、系統の対個人業務ですね、リテールの部門に関しましては、従来、円建ての預金業務がほぼ一〇〇%です。投資信託とか外貨預金とか、そういったことを始めとするリスク性商品なんかも取り扱うことによって現場の系統さんの収益も安定させるような取組も検討に値するんじゃないかなというふうに思っておりますが、農林中金としての方向性、また現場の系統をどういうふうに誘導していくか、指導していくかということに関してお伺いできればと思います。

#66
○参考人(八木正展君) お答えいたします。
 まず、農林中金の収益力強化という点につきましては、これは再三お答えしてございますけれども、リスク管理体制の高度化を図りつつ、収益性の高い投資機会の獲得であったり投資領域の拡大等を図ることによって収益力の向上に引き続き努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 そして、農協さん、地域における農協さんの役目としては、やっぱり一丁目一番地というのは農業の振興ということでございますので、農業融資等の強化を収益基盤、これを一生懸命農協さんと連携しながらJAバンク一体で取り組んでまいりたいと。
 さらに、その上で、組合員、利用者のライフプランに寄り添った適時適切な金融商品やサービスの提案、安定的な資産形成、資産運用等の提案に取り組んでまいりたいというふうに思ってございます。具体的には、貯金、決済、共済といった金融サービスに加えまして、投資信託であったり相続サービスの提供に取り組み、農協さんが運営するほかの事業のサービスとも組み合わせて、幅広い世代に総合事業ならではのサービスを提供してまいりたいと考えてございます。
 農林中金といたしましても、これらの農協の総合的な金融サービスの提供に対しまして、商品の拡充、システムの整備、人材育成等、全面的に支援してまいりたいと考えているところでございます。

#67
○河野義博君 全面的に支援をというお言葉をいただきました。
 まさに世界有数の金融機関のヘッドクオーターが農林中金なんだろうと私は考えています。その支店機能を担っていただいているというところだと思いますので、しっかりこれまで以上にコミュニケーション強くやっていただきたいなと思いますし、農林中金自体でも、運用利回りちょっと調べてみましたら、国際部門ではメガバンクを凌駕する運用成績を上げておられまして、具体的に申し上げますと、三菱UFJグループが国際業務部門の運用利回りで二・二九%、みずほは二・三%、SMBC二・五五%、対して農林中金は二・九%で運用できています。
 一方で、国内は、奨励金、奨励金の観点から、運用利回り、ほかと比べて低い状況にはありますけれども、こういった、金融機関、市場運用というのはもう一〇〇%、打率一〇〇%というのはあり得ませんので、どこかがもうかってどこかが損するというの当たり前な話で、でも全体のポートフォリオとして収益を上げていかなきゃいけないという命題に取り組む中で、トリプルAだからいいと言うつもりはありませんが、この低金利下で賢い運用をしていただいているんだなというふうに思います。
 でも、金利の情勢も変わってきましたし、アメリカはビットコインの乱高下というか、三分の一になっちゃいました。こういった影響が株価にも恐らく及ぶであろう、株価が動くと当然債券も動きますので。満期保有が条件ですが、期中には時価評価をせざるを得ない局面もあろうかと思いますので、いろんなところに、それは経営方針ですのでここで云々すべきではないと思いますが、今まで以上にうまくやっていただいて、奨励金も増やしていただくと現場も喜ぶんじゃないかなというふうに思います。
 最後に、これは農林中金と農林水産省両方に同じ質問で伺いたいと思いますが、残念ながら、一方で、系統内で横領とか不正流用とかそういった事件が、不祥事が見受けられるというのも事実だと思います。農林水産省として、また農林中金さんとしては、これまで系統に対しましてどのような指導を行ってこられたのか。また、こういった不祥事、撲滅させなきゃいけないと思います。どういうふうな取組を今後行っていかれるおつもりでしょうか。

#68
○国務大臣(野上浩太郎君) やはり農協は、組合員からの信頼を確立するために、法令等を厳格に遵守しまして健全かつ適切な業務運営を努めることが重要でありまして、農林水産省におきましては、不祥事が発生した農協に対して、原因等について明らかにさせて、再発を防止する体制づくりを求めております。
 また、不祥事根絶の観点から、これを未然に防止するために、適時適切な人事ローテーションの取組ですとか定められたルールに従った運用状況についての管理職による適時適切なチェックの実施状況など、内部牽制体制が機能しているかどうかについて、適切な確認、指導を行っているところでございます。
 農林水産省としましては、農協系統組織全体にです、国民の信用を失墜させずに組合員に必要なサービスを提供し続けられるように、引き続き適切に指導監督を行ってまいりたいと考えております。

#69
○参考人(八木正展君) お答えさせていただきます。
 JAバンクにおきましては、再編強化法に基づき定めた自主ルールであるJAバンク基本方針に基づき、農協において不正防止や法令遵守等の観点から必要な体制が整備されているかを信連、農林中金が毎年度モニタリングし、不祥事未然防止に努めております。これに加えまして、不祥事未然防止の観点から、JA経営層向けの内部統制の研修であったり、さらには実務者向けのコンプライアンス研修を充実させてきております。また、業務面での統制強化の観点から、現金の取扱事務の機械化等、多面的な対策を継続的に講じております。
 なお、不祥事が発生した場合には信連、農林中金に対し速やかに報告するように求めており、報告を受けた信連、農林中金は原因究明から改善取組まで指導を行い、再発防止に努めております。
 今後も現場の実態を踏まえた必要な措置を継続して検討し、JAグループ全体として不祥事の未然防止、再発防止に不断で取り組んでまいりたいと考えてございます。

#70
○河野義博君 農林水産業本業もしっかり応援していただきつつ、市場運用でも成果を上げていただいて、コンプライアンスをしっかり守って奨励金を増やしていただくということをお願いをして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#71
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
 本法案ですが、農林中金がFSB、これは金融安定理事会、からG―SIBに選定された場合に、農林中金に対して貯金保険機構が国際的な基準である資産及び負債の秩序ある処理に関する措置を講じられるようにするというのがこの趣旨だというふうに私の頭の中では結論付けているんですけれども、読んでいると英語ばっかりなので、ちょっとFSBというのは何だろうと思いますと、ほとんど、二十五か国で二〇〇九年に創立されたもので、代表が世界銀行とか国際決済銀行だとかというところ七か所から集まっているということで、外圧とは言いませんけれども、そこから、このG―SIBというのは一体何なんだろうかというと、これは、グローバルに、地球的に、世界的に、システマティカリーに、だからシステムとして、世界の決めたシステムとして、インポータントだから重要な、バンクということで銀行ですと勝手に言われているわけですね。
 今、農林中金は現在まだこのG―SIBには選定されていない、いないんですね。頭の体操みたいですけれども、もし国際的な基準に対応するための法改正を行っていない状態で農林中金がG―SIBに選定されるとなったらば、どのような影響、どのような悪影響があるのでしょうか、大臣、お答えください。

#72
○国務大臣(野上浩太郎君) 今御指摘いただきましたとおり、金融システムの安定に係る国際的な基準におきましては、グローバルな金融システム上重要な金融機関につきまして、金融システムの著しい混乱が生ずるおそれがあると認められた場合に、その資産及び負債の秩序ある処理に関する措置を講ずることができる仕組みを整備することが求められているわけであります。
 仮に、今御質問いただきましたとおり、法改正をしない状態でこの農林中金がG―SIBとして選定された場合でありますが、これは、やはり農林中金が国際的に求められているそのような仕組みがない金融機関として国際金融市場でも各国の金融当局からも評価されかねないという問題が生ずることになると考えております。

#73
○石井苗子君 国際金融市場で各国の金融当局からも国際的に求められている仕組みが整備されていない金融機関として評価されてしまうという悪影響があるわけですが、そのG―SIB選定の効果というのがありまして、括弧、大き過ぎて潰せないという問題を終結させるためにG―SIBはあるということで、株主や債権者にその損失を吸収させるというものが出てくるわけです。
 なので、次に質問しますが、そのG―SIBに選定されますと、選定された金融機関がTLACという規制の資本ルールに基づくわけですね。TLACは、トータル、全体的な、ロス、赤字、アブゾービングですから吸収、で、キャパシティーと。全体的に赤字に対する吸収する余地、余地力を残しておくということなんですが、この新たな資本を積み増すなどの対応が必要になるということです。
 この対応には金融機関側に負担も伴うのではないかと思うんですが、質問です。TLAC規制というのがどういうものであって、どのような対応が必要になってくるのか、手短にお願いいたします。

#74
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
 委員御指摘のTLAC規制は、リスクの程度に応じて資産を評価したものであるリスクアセットに対する比率で見まして、一つは、出資転換可能なローン等と要件を満たす自己資本によりまして一八%以上、二つ目は、出資転換可能なローン等のみで今申し上げた一八%のうちの三三%以上、すなわち六%以上を確保することが求められております。
 農林中金は、今申し上げた規制のうち、一つ目の一八%以上については既にクリアをしているものと承知していますが、二つ目の六%以上につきましては、G―SIBに選定された場合にはその後三年以内に確保する必要があると考えております。

#75
○石井苗子君 それ、二つ目に対応していないんですよね、まだね。だから、農林中金はTLAC規制のうちの出資転換可能なローンの確保は対応できていないということですよね。これ、今後しっかりやっていかないと、いろいろ腹積もりあるんでしょうけど、出資転換の社債のようなものをどうしていくかということで、二段構えで、二段目のところをこれからしっかりやっていっていただきたいと、対応をお願いしたいんでございますが。
 これは農林水産省に対しましても、今回の法律案に加えてTLAC規制についてこれ対応していかないと、かなり厳格に対応していかないといけないんじゃないかという危険性を感じているんですけれども、G―SIBに選定された場合、TLAC規制というのがあって、その規制に関して農林中金さんへの指導や監督というのをこれは見直されていますか。どんなふうにやっていらっしゃいますか。

#76
○副大臣(宮内秀樹君) お答えをいたします。
 既にG―SIBに選定されております三メガバンクに対しましては、追加的に課されておりますTLAC規制等の運用につきましては、まさに金融庁におきまして、銀行法に基づく告示でTLACの適正性を有するローン等の要件などの具体的な内容を定めまして、主要行等向けの総合的な監督指針でTLAC規制等を適用するに当たっての運用方針を示しております。
 農林中金に対するTLAC規制等の適用につきましては、これらの三メガバンクに係る対応を参考にいたしまして、農林中金法に基づく経営健全性を判断するための基準としてのTLACの適正性を有する出資転換可能なローン等の要件などを定める告示を新たに制定するとともに、TLAC規制等を適用するに当たっての運用方針を示す系統金融機関向けの総合的な監督指針の見直しを行うことといたしております。
 今後、農水省と金融庁におきましてこれらについての詳細を検討してまいりたいというふうに思っております。

#77
○石井苗子君 今後、金融庁と農水省で検討をしていくということですけど、これ蓋然性がひたひたと迫ってきていますので、早急にやっていただきたいと思います。これ、スピード感が必要だと思うんですが。
 そこで、今度は質問を農林中金さんにお尋ねいたします。
 農林中金は、現在G―SIBに選定されていない、いないので、このTLAC規制は適用されていないということですね。この段階でTLAC規制に対応するためには、先ほどからお話が出てくるように、多額の資金調達が必要になってきます。そこまでは分かりました。多額の資金調達には相当の準備が必要だと、私の頭ではそう思うんですけれども、新たに集めるとか、満期が来たら次はどうするのかとか、そういうやり方は当然腹積もりがおありになるのではないかと思っておりますが、G―SIBが選定された場合に農林中金としてはどのようにTLAC規制に対応する御方針をお持ちでしょうか。

#78
○参考人(八木正展君) お答えいたします。
 まずもって、G―SIB選定された場合に備えましてしっかり準備をしていきます。これはまず言っておきたいと思います。
 その上で、先ほどもありましたように、告示であったり監督指針に定められたこれをしっかり見た上で、調達先、金額、条件等について検討を進めてまいりたいというふうに思ってございます。
 さらに、これも繰り返しになりますけれども、農協等の会員につきましては既にこういった話を、事前に枠組みであったり話を進めてございますので、一定程度理解は進んでいるということでございます。ただし、もし仮に系統から取るといった場合になった場合には、十分に説明をし、丁寧に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

#79
○石井苗子君 ここのところがすごく大変だと思うんです。
 先ほどからよく出ているように、奨励金の問題だとか、農薬などを利子で買ったり、いろいろやってきているそのやりくりがあると思うんですね。丁寧に説明を農協などの会員の皆様にやるということなんですが、これ万全の準備をしておかないと、今回の法案ですけれども、一方で、金融機関が万が一の危機に陥った場合に備えた措置、さっき言ったように、大き過ぎて潰せないという問題を解決するためにというその一貫性を持った、金融機関が万が一の危機に陥った場合に備えた措置となっているんですが、最も大切なことは、金融機関が万が一にも危機に陥る事態とならないことだと思うんですけれども。
 農林中金につきましては、二〇〇八年の九月十五日です、アメリカのリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの経営破綻に端を発して連鎖的に世界規模の金融危機が発生したということですが、このリーマン・ショックに伴って農林中金も相当の打撃を受けたと思っておりますが、どのような損害を受けて、どう対応されましたか。リーマン・ショックで反省を踏まえて、運用方針の変更、どのように行いましたか。

#80
○参考人(八木正展君) お答えいたします。
 リーマン・ショック時に国際的な金融市場の混乱が継続かつ拡大したことによりまして、保有する証券化商品であったり株式等の価格が下落し、減損処理を行ったことを主因に、二〇〇九年三月期決算において約六千億円の経常損失を計上いたしました。こうした状況に対しまして、農協さん、信連等の会員に要請し、一兆九千億の資本増強に応じていただいたということによりまして、二〇〇九年三月末の自己資本比率は一五%超を確保することができました。
 会員からの大規模増資、大規模資本増強に先立ちまして、こうした事態を真摯に受け止め、財務・リスク管理手法の見直し、協同組織中央機関としての一層の機能発揮、これらを柱とする四年間の経営安定化計画を策定しております。その後、同計画に沿って安定的な資金運用を心掛けた結果、財務の改善が進展し、四年間の同計画を二年間で前倒し達成し、三年目からは新たな中期経営計画をスタートさせております。
 この間、リーマン・ショックの反省を踏まえ、個々の運用商品に係る投資基準の厳格化、モニタリング強化等のリスク管理高度化に取り組んでまいりました。今後もリスク管理の高度化に不断に取り組んでまいりたいと考えてございます。

#81
○石井苗子君 このように成績優秀だから、にらまれちゃうんですよね。そういうことで、リスク管理手法の見直しなどを行っていただけたということで、リーマン・ショックのような事態が繰り返すことがないようにしっかり対応してくださっているという話です。
 さて、次なんですが、金融市場の環境というのは、先ほどからお話が出ていますように、低金利であったり株式市場の変動幅の拡大など、厳しさがあると思います。そこにコロナが追い打ちを掛けているわけです。こうした中で、農林中金、このような環境を踏まえて、農協等から預かった資金を国際市場で運営して、奨励金という形で農協などに還元していると私は読んで理解したところでございますが、報道によりますと、平成三十一年ですから三年前ですか、奨励金の水準を引き下げております。
 先ほども質疑がありましたが、この奨励金の引下げというのは経営に、農協の経営に大きな打撃を与えていると思うんですけれども、奨励金の引下げについて、会員の方に事前にちゃんと説明できていたのかどうか。こういった全体の経営に与える影響、この引下げの影響をどのように捉えていらっしゃいますか。

#82
○参考人(八木正展君) お答えいたします。
 厳しい運用環境が続く中で、農林中金といたしまして、安定的、安定した収益還元を継続するため、令和元年度から四年間掛けて奨励金を段階的に引下げを行っているところでございます。このような対応を進めるに当たりまして、会員に対して会議等の場で説明を行い、事前の理解を得ながら丁寧に取り運んできました。農林中金等の収益の収益還元は農協の収益の柱の一つでありまして、その引下げは相応の影響となると考えております。
 このような影響を踏まえまして、JAグループ全体として、農林中金等の市場運用への過度に依存しない収益構造の確立をすべく、会員の経営基盤強化の取組を進めてございます。具体的には、個々の会員の事業環境に応じまして、農業融資等の強化、経済事業の収益力向上、業務の効率化、店舗再編等取り組んでおります。
 農林中金といたしましても、これら会員の経営基盤強化の取組に対し、最大限の支援を行ってまいります。

#83
○石井苗子君 御説明伺っていると教科書的に大変優秀なお答えなんですけれども、農協に対する影響というのはすごく大きかったと思っております。資料を一つ、二つ見させていただきました。レクも受けました。今、コロナの影響で、世界的に見ますと、アメリカもEUも金利かなり下げてきていて、株式の利益というのも出ていない状態なんですね。ですから、この運用というのをすごく頑張らなきゃならないと思うんですが。
 最後に、大臣にお聞きしますけど、私も、そもそも論というところを読んでみますと、ちょっとこちらを頑張っていただきたいなと思うのが、農協等に影響を与えるということが大きかった場合、農林中金には、リスク管理の徹底を前提としつつ、収益力の向上に取り組むという方向性なんですけれども、農林中央金庫法というのを読みましたら、目的というところに書かれているのが、農林水産業の発展に寄与するという原点に立ち戻り、農林中金の有する潤沢な資金を活用して、農林水産業や食品産業の投資、融資をもっと積極的に行うというふうな考えが述べられているんですね。
 そうしますと、その農林水産の発展のために百兆円借りるなんという人はいないわけですから、こういうことをしっかりとやっていくためにそもそもこの法律、農林中央金庫法というのがあるんだとしたら、最後に大臣から、この原点に立ち戻ってどのような取組をしていくのか、農業や関連産業への投資や融資の拡大に農林中金を始めとしてどういう取組をやって、今後の将来の日本の農業の展開に役立てていくおつもりなのかということを最後にお伺いします。

#84
○国務大臣(野上浩太郎君) 農林中金の令和二年の三月末現在の農業関連融資残高は約五千五百八十億円となっておりまして、これは、農協、信連と合わせたJAバンクにおける農業関連融資は約二兆五千八百四十九億円となっているところであります。
 また、投資円滑化法に基づいて農林中金が約二〇%出資する等によって設立されましたアグリビジネス投資育成株式会社におきましては、これまで農業法人等へ累計約百億円の出資を行っているところであります。
 このほか、農林中金におきましては、令和二年三月末現在、食品産業等向けの融資、これを約九千六百三十七億円、また食品産業向けの出資についても約九百三十七億円を行っているところであります。
 JAバンクにおきましては、今後、これはJAバンク中期戦略ですとか、それを踏まえた農協ごとの個別計画を策定をして農業投融資に取り組むこととしておりまして、今般改正をされました投資円滑化法も踏まえつつ、農業者向けの投融資に関する目標設定ですとか、目標設定ですとか、あるいはコンサルティングの積極的推進を含めて、JAグループの総合力を活用して農業者の課題解決に取り組むものと承知をいたしております。
 農林水産省としましては、JAバンクのこれらの取組が実効あるものとなるように、また農業の発展に寄与するものとなるように、必要な後押しをしてまいりたいと考えております。

#85
○石井苗子君 財務のプロというのは、運用に関して、株だとかエクイティーだとかメザニンだとかいろいろ考えてやる、数式を見れば分かるんですけれども、数式見れば分かるんですけど、私は農林水産委員会のメンバーとして、それをこの農水省なり農林中金が後押しして、日本の農業の関連産業の投資ということについて積極的にJAバンクが取り組んでくださっているんだったら、それを、必要な後押しというのを是非抜かりないようにやっていただきたいとお願いをして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#86
○舟山康江君 国民民主党の舟山康江でございます。
 法案審議の前に一問、五月二十五日に取りまとめられました「人・農地など関連施策の見直しについて」の中に位置付けられている農地所有適格法人についてお聞きしたいと思います。
 この中では、農地所有適格法人について、出資による資金調達を柔軟に行えるようにすると結論付けておりますけれども、この意味するところ、具体的にどういうことを言っているのか、教えていただきたいと思います。

#87
○国務大臣(野上浩太郎君) 農業の成長産業化、これを図るためには、農業者によります活発な事業展開を促していく必要があると考えております。一般的に、法人の場合には、積極的な事業展開を進めていくに当たりまして、融資以外に出資により資金を調達するケースがあるわけであります。ただ、一方で、法人の農地取得につきましては農業、農村現場におきまして様々な心配の声があることから、出資に関連して、農地所有適格法人要件の議決権要件によって農業関係者による農地等の決定権を確保しているところであります。
 先般、今御紹介いただきました五月二十五日に公表しました「人・農地など関連施策の見直しについて」、この取りまとめの中で、農地所有適格法人につきましては、地域に根差した農地所有適格法人が地元の信頼を得ながら実績を上げ、さらに農業の成長産業化に取り組もうとする場合、農業関係者による農地等に係る決定権の確保や農業、農村現場の懸念払拭措置を講じた上で出資による資金調達を柔軟に行えるようにしたところでございます。
 この見直し方向に基づきまして、やはり農業現場等の意見や懸念を踏まえつつ、具体的な内容等につきましては、検討して、年内を目途に取りまとめてまいりたいと考えております。

#88
○舟山康江君 確認ですけれども、その議決権要件の緩和云々ということは特に念頭に、今のところ念頭に置いていないという理解でよろしいんでしょうか。

#89
○国務大臣(野上浩太郎君) やはり法人につきましては、農業関係者による農地等に係る決定権の確保や農村現場の懸念払拭措置を講ずることが重要と考えております。具体的内容につきましては、農業現場の意見、懸念を踏まえつつ、年内を目途に取りまとめてまいりたいと考えております。

#90
○舟山康江君 ちょっと具体的な今検討状況、よく分からないんですけれども、現段階では議決権要件の緩和ということを念頭に置いているわけではないという理解でよろしいのか、ちょっともう一度だけお答えいただきたいと思います。

#91
○国務大臣(野上浩太郎君) 今ほども御答弁申し上げましたが、やはり農業者、関係者によってやはり農地等に係る決定権の確保がある、あるいは農業、農村の現場の懸念、これまでもこの委員会でも様々な御議論をいただいてまいりましたが、この払拭措置を講ずることが重要と考えております。具体的な内容については、この方向に基づいて、農業、農村の現場の意見や懸念を踏まえつつ、年内を目途に取りまとめてまいります。

#92
○舟山康江君 これまで規制改革推進会議農業ワーキンググループ等で、資金調達を柔軟にという切り口の中で、どうも法人のその議決権要件の緩和という動きがあるやに聞いておりますけれども、これまでのワーキンググループの議論の中でも、多くの農業者の方々が、法人経営の方々がですね、今のところ特に困っていない、出資によるこの今の方策、要は出資が足りない、だから要件を緩和してほしいという声は特段出ていないと私は拝見しております。議事録を読ませていただきましても、そのような声が多数ではないかと思っています。
 実際に様々な、農業に関しては、これ前の法案審議のときにもありましたけれども、いろんな融資があったり補助事業があったりということで、これは農林中金さんもいろんな融資も用意していると思いますけれども、基本的にはこういった様々な資金調達のメニューがある中で、なぜこの出資にこだわるのか、そしてその出資を考えたときに議決権要件の緩和ということにつながるのか、全く論理の飛躍と言わざるを得ませんので、是非、現場の声、現場の状況を踏まえた議論を重ねていただきたい、決して結論ありきで進めないでいただきたいということを重ねてお願い申し上げたいと思います。
 その上で、今ちょっと触れさせていただきましたし、先ほど石井さんの質問でもありましたけれども、私もやはり、農林中金の第一の目的は、これ、まず一条に目的が書いてあります。この中では、協同組織のために金融の円滑を図ることにより、農林水産業の発展に寄与し、もって国民経済の発展に資することを目的とするということで、やはり一義的には農林水産業の発展、そこに対するやはり融資、投資、資金の融通ということではないのかなと思っています。
 そういう中で、当然運用も必要ですので、国内外での金融市場における有価証券の運用等も行っているというのはこれ理解いたしますけれども、一方で貯貸率が非常に低い状況だと思うんですね。貸出しが少ないという状況にあると思います。更に言えば、海外投資の比率が余りにも高過ぎるんではないかという懸念もございます。実は私、大学で農業協同組合論講座というところに所属しておりまして、こういった農協金融の在り方についても学ばせていただきましたけれども、これ、かつてから指摘をされております。
 そういう中で、やはり本来、一条、目的に沿った金融の在り方、まさに民間金融とは違う農林中金ならではの在り方。ですから、この処理についてもです、今回の議論の不測の事態に備えた処理も違う扱いがされているということですから、そこについて、今の現状、そして今後の方向性について改めてお答えいただきたいと思います。

#93
○参考人(八木正展君) お答えいたします。
 まず、農林中金の、先ほどの、何度もこれも御説明しておりますけれども、市場運用を中心にやっているといったところで、規模でございますけれども、約六十一兆円となってございます。これを、適切なリスク管理の下、国際分散投資を通じて会員への安定的な収益還元の役割を果たしているということでございます。これによりまして農協等の経営の安定や農林水産業に貢献する取組を担っているというふうに考えてございます。
 一方で、農業融資残高につきましては、これも何度か御説明の中で出ておりますけれども、農協、信連含めたJAバンク全体で、二〇一九年度末時点で約二兆五千八百五十億円となってございまして、金額は六十一兆と比べると大変少のうございますが、この国内の農業関連融資の残高は約五割を占めているといった状況でございます。
 農林中金といたしましては、農協さん等と一体的な事業運営を行う中で、コンサルティング等も行いながら、農業者が必要とする融資を従来以上に積極的に行い、農業生産、販売の拡大や生産効率の向上等を支援してまいりたいと考えております。あわせて、いわゆるバリューチェーン企業、例えば加工流通関係や輸出関係企業等に対しましても積極的な投融資を行い、農業生産者の所得向上や食品産業分野の市場拡大につなげていきたいと考えてございます。
 このように、国際分散投資を通じた収益還元と、農協等と一体となった農業者関連産業に対する積極的な投融資、これを両輪といたしまして農林水産業の発展にしっかりと貢献していきたいと考えているところでございます。

#94
○舟山康江君 ありがとうございました。
 今お答えの中で、加工、流通、輸出等にも積極的に投融資を行っているということがありました。私、それに加えて是非更に積極的に取り組んでいただきたいと思いますのが、やはり人の確保、新規就農、人の確保というところではないのかなと思います。
 先ほど冒頭に紹介させていただきました「人・農地など関連施策の見直しについて」の取りまとめの中にも、やはり人の確保・育成が大事だという項目がかなり重点的に書かれております。新規就農、それから、それはもう地域の内外からしっかりと人を確保していくんだと。人がいなければ、加工も流通も営農も輸出もできません。そういった意味で、まさに現場に近いJAバンク、そして現場で農協さんがいろんな技術指導、それから農地の確保等取り組んでおりますけれども、やはりその資金提供も併せて、まあ農地の確保にはやっぱりお金も掛かりますし、人材育成にもそうです。
 そういう中で、こここそ農林中金、JAバンクの出番だという中で、この人材育成についてどのように取り組んできたのか、そして今後これから取り組んでいこうとしているのか、その基本的な方向についてお答えいただきたいと思います。

#95
○参考人(八木正展君) お答えさせていただきます。
 農協、信連、農林中金は、役割分担を行いつつ、担い手に対しましても必要な資金対応を行ってございます。
 その中で、農林中金は、規模の大きな担い手を中心に、生産規模の拡大であったり加工事業などへの進出、生産効率向上のための設備投資など、多岐にわたる融資のニーズへ積極的に対応しております。
 また、農林中金が出資してございますアグリビジネス投資育成においては、担い手の成長ステージに合わせた様々な出資メニューを用意してございまして、創業間もない担い手の自己資本の充実による財務安定化から法人化、経営規模拡大などの成長支援まで幅広く支援に取り組んでいるところでございます。
 こうした融資、出資に加えまして、担い手の所得増大を実現するため、経営課題を把握し、外部企業と連携して、バリューチェーンの構築など、その解決に向けたソリューションを提案するコンサルティング活動も今まで以上に充実してまいりたいと考えているところでございます。今後とも、国内の農林水産業の生産基盤維持、担い手の所得増大に向けました支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

#96
○舟山康江君 今の現状を見ますと、貯金残高に比べてやはりこの融資に回す、貸出しですね、貸出しに回している割合が低い、つまりはまだまだ余裕があるということだと思います。やみくもにこの回収に当たってのリスクが高いところに貸し出すというのは難しいかもしれませんけれども、ただ、やはり今後の農業の成長のため、担い手の確保のため、ある程度そこはリスクも勘案しながらしっかりと投資をしていただく、それこそ現場に近いJAバンクの役割だということをやはり第一義的、第一義的に基本に据えていただきたいと考えております。
 さて、もう既に何人かの方が質問されておりましたけれども、やはりいざというとき秩序ある処理が発動される、まあされないことにこしたことはないんですけど、その場合にやはり現場にどのような影響が及ぶのか、ここにしっかり留意していかなければいけないと思っています。そういう中で、まず、この秩序ある処理が発動された場合に債権の回収等を一旦中止すると、停止するという要請が出されるわけですけれども、一つはこれ、まずはなぜ要請なのか、従わない、要請に従わない場合に何か措置があるのか、ここについて教えていただきたいと思います。

#97
○政府参考人(光吉一君) 今委員御指摘のとおり、本法案におきましては、貯金保険機構は農水産業協同組合に関しましてその回収の停止等の要請を行うこととしております。
 これは、金融機関の間で資金を融通し合っている状況の中で、危機時に預貯金の払戻しなどによります債権回収等が一斉に行われると、農林中金が国際取引を行うのに必要な資金、これがショートするおそれがあるということから、返済不能となって金融システムの機能不全につながる事態を招くことを回避するという趣旨でございまして、預金保険にも同様の仕組みがございます。これにつきまして、これはあくまでそれぞれの主体の権利の話になるものですから、強制的にこれをやるものではございませんけれども、これを要請という形でそれぞれの方に求めているところでございます。
 それで、従わなかった場合にはということですが、これ強制的な措置ではございませんけれども、本件につきましては、あくまで強制ではございませんけど要請という形で、この趣旨につきましてきちんと機構から農協などにきちんと御説明をして、その御理解を得るように努めていくということだと思っております。

#98
○舟山康江君 要請とはいえ、できるだけやっぱり金融システムの安定のためにはしっかりと従っていただきたいということですけれども、今度は逆に、要請に従うことで会員組合の例えば経済事業に必要な運転資金等の不足ということもやはり生じ得るんではないかと思っています。
 そういう中で、会員組合、その要請に従うことで、農林中金だけじゃなくて会員組合にも影響が及ぶわけですから、そこへの影響の懸念がないのか、出た場合にどうするのか、その辺りどのようにお考えでしょうか。

#99
○政府参考人(光吉一君) この要請につきましては、債権者としての権利を行使しない期間、要請をするわけでございますけど、これにつきましては、我が国の金融システムの著しい混乱が生じるおそれを回避するために必要な措置が講じられるまでの間というふうにしております。
 すなわち、そのときの状況というのは、金融システムの著しい混乱が生ずるおそれがあるという状況でございますので、当然でございますけれども、資金の貸付けですとか優先出資の引受けなどにつきましてはもたもたしている暇はなくて、極めて機動的に迅速にやっていかなきゃいけない状態にあるわけでございます。したがいまして、そのいわゆる法律で書いております必要な措置が講じられるまでの間として債権者の権利を行使しない期間というのは短期間になるものと考えております。
 仮に、もし万が一、経済事業に必要な、委員御指摘のとおり運転資金などが不足するようなことがあれば、ほかの農協ですとか信農連あるいは一般金融機関から必要な資金を調達されることになると思いますけれども、先ほど申し上げたとおり権利を行使しない期間は短期間となるものと考えられることから、事業に影響が出るような事態というのはなかなか想定し難いのかなというふうには思っております。

#100
○舟山康江君 是非影響が出ないように、万が一のときにも措置できるようにしていただきたいと思います。
 貯金保険機構から資金の貸付け等を受けた農林中金は、最終的にはその場合には返済するということですけれども、その際に特定負担金という形で単協から徴収するということもできるようになっております。
 その際に、やはりこの特定負担金の負担若しくはその処理の在り方によっては、非常にやっぱり現場の農協に対してはそこ非常に大きな影響が出るのかと思いますけれども、その辺りどのように行われていくのか、今の方向性についてお答えいただきたいと思います。

#101
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、健全性を回復した農林中金が貯金保険機構からの借入金の弁済あるいは出資の買戻し等を行うこととなります。
 主務大臣が、農林中金がそういった弁済とか買戻しができない場合など必要があると認めるときには、委員御指摘のとおり特定負担金の決定ということになりますけれども、その負担率及び納付期間につきましては、農協等の財務の状況などを勘案して決定して行う必要があると考えております。

#102
○舟山康江君 是非安易に単協からの負担を求めることがないように、しっかりと農林中金さんには取り組んでいただきたいと思いますし、国としてもそういったチェックを、チェック機能を働かせていただきたいと思っております。
 最後になりますけれども、これまで多くの皆さんも質問されていました。やはりこの農林中金、この農業系金融機関の特殊性というところで扱いも特別な扱いになっているということがよく分かると思います。
 そういう中で、単位農協の信用事業の在り方について、規制改革推進会議等から、これまた信用事業見直しの提案を幾度となく受けているところであります。具体的に言えば、代理店化で十分ではないかと、こういった声がありますけれども、まさにこの特殊性を考えると一般の金融機関と同じ扱いは違うんだということ、私は本当にそこは強く確信しておりますけれども、改めて、その提案に対する大臣の御見解についてお答えいただきたいと思います。

#103
○国務大臣(野上浩太郎君) 今御質問いただきました代理店化についてでありますが、これは平成二十六年六月の農林水産業・地域の活力創造プランにおきまして、単位農協から農林中金、農信連へ信用事業譲渡を行って、単位農協に農林中金、信農連の支店、代理店を置くといういわゆる代理店方式の活用を進めるとされたところであります。
 これは、農協が農産物の有利販売ですとかあるいは生産資材の有利調達などの経済事業に重点を置いて事業を行えるようにするためには、農協の経営における金融事業の負担やリスクを極力軽くし、人的資源を経済事業にシフトすることができるようにすることが必要な場合もあるという趣旨で取りまとめられたものでありますが、農協の信用事業を農林中金や信農連に譲渡する仕組みにつきましては、これは、農協法や再編強化法におきまして必要な制度的な手当てを行い、これは農協が信用事業譲渡を選択できるよう措置をしているところであります。
 その上で、民間組織である農協がこの制度を使って農林中金や信農連に信用事業を譲渡するかどうかの決定につきましては、これはやはり組合員の意向を踏まえて農協自身、農協自らが行うべきであると認識をいたしております。

#104
○委員長(上月良祐君) おまとめください。

#105
○舟山康江君 はい。
 基本的にはその農協の自主的な判断だと思いますけれども、改めて、協同組合、日本の協同組合は、総合事業をしているからこそいろんなことに取り組める。信用事業、共済事業、そして営農指導、販売事業、こういったトータルの事業を行うために、やはりその一つとして信用事業も必要なんだということをやっぱり強く主張していただかないと、単に金融の理論だけで議論されるというのは違うということを改めて申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
    ─────────────

#106
○委員長(上月良祐君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、高橋克法さんが委員を辞任され、その補欠として馬場成志さんが選任されました。
    ─────────────

#107
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 私も法案について質問いたしますけれども、二〇〇八年のリーマン・ショックを受けて、主要な中央銀行、金融監督当局が参加をする金融安定理事会が設置をされました。
 資料を一枚お配りしておりますので、見ていただきたいですけれども、これ、二〇一一年に金融安定理事会が策定した金融機関の実効的な破綻処理の枠組みの主要な特性と言われる国際金融ルールです。これ、二〇〇八年のリーマン・ショックで大きくて潰せないというふうに言われた金融機関に大規模な公的資金を投入した反省からできたルールです。目的のところでは納税者負担の回避というのが赤字で書いてありますけれども、そして、各国の規制当局にはベイルインの実行等を求めています。
 そして、金融安定理事会は、グローバルな金融システム上重要な銀行をG―SIBとして選定することになったわけです。G―SIBに選定されるとどうなるのかということで、今回、国際金融ルールに沿って農林中金が行うことと、また政府が行うことということがあると思うんです。農林中金にはTLAC規制、現金化できる資本の積み増しということが求められることになるわけですけれども。
 そこで、農林中金さんに質問をしますけれども、これ、どのように対応されていくでしょうか。

#108
○参考人(八木正展君) お答えさせていただきます。
 これも繰り返しになりますけれども、TLAC規制の詳細につきましては、今後、告示、監督指針で定められると認識してございますので、その対応方向につきましては、今後、主務省の御検討を踏まえて検討を進めてまいります。
 また、規制内容次第となりますが、会員からTLAC調達を検討する場合には、会員の収益や財務への影響を十分に配慮して対応してまいりたいと考えているところでございます。

#109
○紙智子君 農林中金の自己資本比率が二三%ということで、これほかの大きなところと比較しても高い、大きいわけですよね、二三%。ですから、TLACに対応するだけの体力はあるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

#110
○参考人(八木正展君) お答えさせていただきます。
 二〇二一年三月末の農林中金の自己資本比率は、普通出資等ティア1比率が一九・八六%、総自己資本比率が二三・一九%となってございます。これは、自己資本比率規制等を満たすとともに、国際分散投資を安定継続するために必要な自己資本の量を確保している結果でもあります。仮にG―SIBに選定された場合は、自己資本比率規制とは別に、TLAC規制が適用されることになります。そのため、自己資本比率の高低、高い低いにかかわらず、TLAC調達が求められることになると認識してございます。
 農林中金といたしましては、国際的な責任ある金融機関として国内外の規制に対応することは当然なことであり、仮にG―SIBに選定された場合は、TLAC調達を含めて必要な規制に整々と対応してまいります。

#111
○紙智子君 農林中金さんはリーマン・ショックのときに約六千億円の損失を出したわけですよね。しかし、協同組合の言ってみれば底力を発揮して、全国の農協や組合員が一兆九千億円もの支援、資本増強を行ったというふうに聞いているわけです。それで、当時も公的資金投入論もありましたけれども、しかし、協同組合の自主自立の原則を貫いたんじゃないかなと思います。
 今、規制改革推進会議などからいろんな農協攻撃とか信用事業への攻撃がある中で、総合事業を行っているJA等を支援する、そういう高い使命感が必要になるんではないかと思いますし、協同組合の自主自立を貫くということが大事だというふうに思います。
 それで、政府の対応をめぐってなんですけど、再びちょっと配付した資料を見てほしいんですけれども、この③のところの当局の権限、ここには、経営陣の選解任などとともに、ベイルインを実行するというふうに書いています。
 金融庁にお聞きするんですけれども、このベイルイン、そしてベイルアウトという言葉について、その用語の説明をしていただきたいと思います。

#112
○政府参考人(天谷知子君) お尋ねのベイルイン、それからベイルアウトという用語についてでございますけど、これらの用語に確たる定義というものはないものと承知しておりますけれども、ベイルインという用語は、一般的に、金融機関が過少資本や債務超過等に陥った際に、金融機関の株主、債権者に損失を負担させることによって金融機関の資本再構築等を図ることを指すものとして使われております。
 一方、ベイルアウトという用語でございますけれども、一般的に、金融機関が過少資本や債務超過等に陥った際に、金融機関の株主、債権者に損失を負担させることなく、資本注入による資本再構築等を図ることで金融機関を救済することを指すものとして使われているところでございます。

#113
○紙智子君 今の説明のように、ベイルインというのは債権者や株主に負担をさせるということですよね。つまり、自力で再建していくという趣旨だと思います。それから、ベイルアウトについては株主、債権者に負担を負わせないということで、ここは言わば補助とか税金投入などもあるということだと思うんですね。
 そこで、改正案なんですけれども、ベイルインの実行に沿っているかどうかということで、第百十条の十二のところの、貯金保険機構は、特定認定に係る農林中金から資金の貸付け等の申込みを受けた場合に、必要があると認めるときは、当該貸付け又は債務の保証を行う旨を決定することができるというふうにあるわけですね。債務保証というのは、これ日銀から政府保証を付けて借りるということになるわけで、事実上、これ公的資金になります。
 それから、百十条の十七の特定負担金と、それから第百九条の補助ということでいえば、農林中金は、資金の貸付けなどを受けても足りない場合は、先ほども話ありましたけれども、会員である農協等に特定負担金を求めることができると。求めるんだけれども、それでも足りない場合は政府が補助するということを認めているわけですね。つまり、公的資金を認めていると。
 なぜこれ、ベイルインではなくて公的資金を投入することにするんですか。

#114
○政府参考人(光吉一君) 委員御指摘のとおり、この法律案におきましては、預金保険と同じでございますけれども、費用につきましては、政府保証が付された借入れによりまして、貯金保険機構が金融機関又は日銀から資金調達を行って資金の貸付け等を行うわけでございます。これらの費用につきましては、健全性を回復した農林中金が、貯金保険機構から借入金の弁済や出資買戻しを行って最終的に賄うこととなります。
 なお、その借入金の弁済などができない場合等必要があると認めるときに、農林中金や農協等が納付すべき特定納付金に係る決定というのが行われることになります。
 政府の補助につきましては、法律上書いてございますのは、特定負担金のみで費用を賄うとしたならば、農林中金や会員である農協の財務の状況を著しく悪化させ、金融市場その他の金融システムの著しい混乱を生ずるおそれがあると認められるときに限り、予算で定める金額の範囲内において、貯金保険機構に対し、当該業務に要する費用の一部を補助することができるとしているところでございます。

#115
○紙智子君 改正案は、これ法的ベイルインになっているでしょうか、それちょっとお聞きします。

#116
○政府参考人(光吉一君) ベイルインにつきましては先ほど金融庁から御説明ございましたけれども、金融機関が過少資本や債務超過等に陥った際に、金融機関の債権者や出資者に損失を吸収をさせ、金融機関の資本再構築等を図るためローンなど債権等を元本削減又は出資転換するものと考えます。
 委員御指摘のいわゆる法的ベイルインとは、この元本削減又は出資転換を法令上の根拠に基づいて強制的に実施するものと考えます。この法的ベイルインにつきましては、金融機関の資金調達や債権者の権利に多大な影響を及ぼすものであり、慎重な検討が必要であることから、預金保険法でもその規定は設けられておらず、今回の法律案においても預金保険法と同様にその規定は設けておりません。

#117
○紙智子君 預金保険法と横並びでという話があるんですけれども、国際的な金融ルールというのは自力で再建するということになっていると思うんですね。
 それで、公的資金の投入というのはモラルハザードを起こすということでの議論が一九九〇年代の金融ビッグバンの時代からずっとあったと思います。一九九八年の貯金法改正のときは財政・金融委員会で議論されていたようなんですけれども、この附帯決議を見ますと、そこには、安易に政府保証債務の履行が行われることがないようにとか、あるいは安易な救済措置につながらないようにという言葉があるように、かなりやっぱり慎重にこういう公的資金の投入の問題というのが議論されているというふうに思うんです。ところが、今回は、国際金融ルールがベイルインなのに、公的資金問題というのはスルーされているんじゃないかなというふうに思うんですね。
 さて、百十条の十四についてもお聞きするんですけれども、機構は、特定認定に係る農林中金から農林中金の自己資本の充実のための優先出資を引受け等の申込みを受けた場合、主務大臣に対し、主務大臣は総理大臣だと思うんですけど、主務大臣に対し、当該引受け等を行うかどうかの決定を求め、主務大臣は、農林中金の経営の合理化のための方策、経営責任の明確化のための方策の実行が見込まれる場合に当該引受け等を行う旨の決定をするものとするというふうに書いてあります。この経営の合理化とありますけれども、これはどういう合理化を求めることになるんでしょうか。

#118
○政府参考人(光吉一君) 委員御指摘のとおり、主務大臣は、農林中金から優先出資の引受け等を行うかどうかの決定を求められたときは、農林中金が提出いたします計画の確実な履行等を通じて、経営の合理化のための方策、経営責任の明確化のための方策、この実行が見込まれること等といった全ての要件に該当する場合に限り決定をすることとしています。
 具体的には、例えば、計画の履行などを通じまして、人員削減や店舗統廃合によるコスト削減、委員の、いや、失礼いたしました、役員の外部登用や経営陣の刷新等によるガバナンスの抜本見直しの実行が見込まれるかどうかなどを踏まえて決定することとなることが想定されます。
 これは、機構による出資の前提といたしまして、農林中金にも経営の健全性のための措置を着実に履行してもらう必要があることなどによるものでございまして、預金保険法と同様の要件を定めているところでございます。

#119
○紙智子君 農林中金を対象になんですけれども、やっぱり支援を受けるのだからリストラをしてもらうんだと、そういうことになると、単位農協などが主役の系統組織や協同金融にも国が介入することになっていくんじゃないかなというふうに思います。
 それで、もう一方、農林中金には利益をJAに還元をして経営安定化支援を行うという使命があるわけですけれども、これ、一九九〇年代の金融ビッグバンを経て低金利の時代に入って以降、農林中金は国内で運用益を確保することが難しくなって海外での投資にだんだん傾斜をしてきたと、で、ローン担保証券、CLO、レバローンに手を出すようになってきたということです。
 リーマン・ショックはトリプルAの商品も、さっきトリプルAで確保しているからという話があって、大丈夫だって話だったんだけど、リーマン・ショックのときはトリプルAの商品さえも投売りが進んで、連動してクレジット資産の価格も下がって、農林中金は損失を出したわけですよね。それなのに、どうしてレバローンに手を出すんだろうかという疑問が出されています。
 また、農林中金は二〇一九年から奨励金の削減計画を実行しているわけで、さっきもちょっと森さんが新潟の話ありましたけど、新潟のある農協では三億円の奨励金が削減されると。人件費に換算すると一割の職員減らすことになるし、十六の支店を三支店に削減するので、そうなると九市町村のうち農協がなくなる市町村が出てくると。中山間地域において唯一の買物ができる店舗やガソリンスタンドが不採算だといって切り捨てられてしまったら、これ生活できなくなるなと、こんな話も出ていますし、新潟だけではなくて、岩手なんかもやっぱり農協の支店を再編するという話だとか、この間、北海道に行ったときは、漁協でも支店の再編計画が進んでいるということを聞きました。
 それで、農協や漁協を回っていきますと、やっぱり余り分かって、知らないというか、急な話だとか、それから不便になるんじゃないかとか、いや、組合離れが進むんじゃないかというような不安や不信の声も出ています。
 二〇二〇年の食料・農業・農村基本計画の中には、農協系組織が農村地域の産業や生活のインフラを支える役割などを引き続き果たしながら、各事業の健全性を高めて経営の持続性を確保することが重要であるというふうにしているわけです。それで、奨励金の削減がこれ基本計画で示した総合農協の姿に影響を与えることになるんじゃないのかというふうに思うんですけど、これ、大臣、どうでしょうか。

#120
○国務大臣(野上浩太郎君) 農林中金によりますと、世界的な利ざやの縮小など資金運用環境の好転が見込まれない中で、農協等々の会員とも協議した上で、奨励金を令和元年度から四年掛けて段階的に引き下げていると、ところと承知をいたしております。
 今お話ありましたとおり、農協の事業収支は今後取り巻く環境が厳しさを増すと見込まれる中で、地域農業を支える農協経営の持続性を確保するためには、やはり経済事業の収益力向上を図っていくことが必要であると認識をいたしております。
 農林水産省としましては、農協が将来にわたってその事業を継続していけるように、各農協が中長期の収支等の見通しを適切に立てて、経済事業の収益力向上に取り組んでいく必要があると考えておりまして、この農協系統組織の取組をしっかりと後押しをしてまいりたいと考えております。

#121
○紙智子君 農協を始め系統金融は、これ政府の金融政策や農政に左右されると思うんですね。
 それで、安倍政権が進めてきたアベノミクス、異次元金融緩和で、ゼロ金利で、マイナス金融政策で収益が悪化したということもあるわけです。その一方で、先ほどからもいろいろ議論になっていますけれども、農産物の価格が下がっていて、先行投資しても元が取れないと。だから、投資したいけどお金借りられないなと、農協からお金を借りないという実態もあるわけですよ。
 農産物自由化政策がやっぱり農家の経営を困難にしているという側面もあるんじゃないかと、政府の金融政策、農政が農林中金の経営を困難にしているという側面もあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、これ、大臣、どうですか。

#122
○国務大臣(野上浩太郎君) 我が国の農業は、近年、人口減少に伴うマーケットの縮小ですとか農業者の減少、高齢化の進展など、厳しい状況に直面しておりまして、これに対応して生産基盤の強化や担い手の育成確保を進めることが重要であります。
 農林水産省としては様々な取組を進めておりますが、例えば、日本の強みを生かした輸出の拡大ですとか高収益作物等への転換、また、スマート農業の社会実装による生産性の向上や農地の集約、集積化等の施策を講じてきておりまして、こうした政策を通じて農業者の所得向上や農山漁村の活性化を図ってまいりたいと考えておりますが、こうした観点からも、農林水産業の発展に寄与するために、農林中金においても、JAバンク一体となって農林水産業や関連産業への出融資を強化していくことが重要と考えております。
 また一方、農林中金が農林水産業者の協同組織のために金融の円滑化を図るためには、やはりこの出融資だけではなくて、金融市場における有価証券等の運用等によって収益を還元をして、その収益の還元を受けた農協から農業者のサービスを安定的に実施していくことも重要であると考えております。

#123
○紙智子君 せっかくなので、最後に農林中金さんにもう一回聞きたいんですけど。
 やっぱり農林中金の経営というのは、政府の政策や金融情勢にも左右されるだけに、やっぱり農協組合員としっかりと信頼関係を築いて、その自主性を尊重していくということが大事なんじゃないかと思うんですけど、その点について、ちょっと最後に一言だけお聞きしておきたいと思います。

#124
○参考人(八木正展君) お答えさせていただきたいと思います。
 農林中金はまさに金融機関ということでございますので、金融機関という枠組みの中で、それぞれの規制であったり、もろもろのものに対応していく必要があるというふうに考えてございます。
 一方で、協同組織の中央機関という側面もございます。農協さんが地域で活躍できるように、また支持されるようにそれを後押ししていく、それも重大な使命だというふうに考えてございますので、この二つをきちっと結び付けて農協系統が繁栄できるように、農林中金といたしましても身を粉にして努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

#125
○紙智子君 系統金融は一般の金融機関からは敬遠されがちな組合員が、組合員の相互金融によって営農と生活の改善や向上を図ろうとするのが本来の姿だというふうに思うので、是非ちょっとそのスタンスで立っていただいてやっていただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。

#126
○須藤元気君 こんにちは。須藤元気です。
 本日の議題は農林中央金庫の国際金融ルールへの対応がテーマとなっている法案ですが、ルールに対応していくことはとても大切です。
 話は少し飛びますが、私、趣味で調理師の資格を今年取る予定でして、その後にフグの調理師免許を取ろうと思っています。何か政治家でフグがさばけたらいいなと思いまして、免許を取った暁には、私のさばいたフグを皆さんに食べていただきたいんですが、まあ嫌いな先生にはちょっとだけ毒を盛ったりするかもしれませんが、はい、冗談です。
 さて、このフグ調理師の制度には少し問題がありまして、本法案のテーマでもあるルールがはっきりしておりません。フグ調理師の資格は国家資格ではないので、都道府県によって条件や難易度が違います。筆記と実技の試験がある自治体もあれば、講習を受けただけでこの資格が取れるところもあります。名前の呼び方も違って、フグ包丁師、フグ取扱者、フグ処理師、フグ調理師などいろいろあります。そして、特段の定めのない限り、免許を取得した都道府県内のみでしか通用しません。このため、全日本ふぐ連盟は、政府に対して統一した制度、ルールを求めています。
 さて、この話は国際金融ルールに、対応に戻りますが、今回の法案は、農林中央金庫がG―SIBに選定される蓋然性が高まっていることを受けてのものと承知しております。
 そこでまず、今回の法改正の対象となっている農林中央金庫がどのような金融機関なのか、その設立の目的、業務の概要について農水省にお伺いします。

#127
○政府参考人(光吉一君) 農林中央金庫は農林中央金庫法に基づきまして、農協などの農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関といたしまして、これらの協同組織のために金融の円滑を図ることにより農林水産業の発展に寄与することを目的とする民間の金融機関でございます。
 農林中金は、これらの、この目的を達成するために、農協等会員の預金の受入れ、農協等会員に対する資金の貸付け、会員外であります農林水産業を営む者や関連産業に対する資金の貸付け、農協等会員の預金等の資金を活用いたしました有価証券の運用などを主な業務といたしておりまして、これらの業務により得られた収益を農協等に還元しているものと承知をしております。

#128
○須藤元気君 ありがとうございます。
 引き続き、法案について農水省に質問させていただきます。
 今回の法改正ですが、この改正の意義と概要について教えてください。

#129
○国務大臣(野上浩太郎君) 金融システムの安定に係る国際的な基準におきましては、グローバルな金融システム上重要な金融機関につきまして、金融システムの著しい混乱が生ずるおそれがあると認められる場合に、その資産及び負債の秩序ある処理に関する措置を講ずることができる仕組みを整備することが求められております。
 農林中金は、農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関として、国際的な活動の規模を拡大をして金融システム上の重要度が高まっておりまして、今般、国際的な基準に対応するために本法律案を提出した次第であります。
 このため、本法律案は、直接農業者を対象として何らかの措置を講ずるものではありませんが、これにより農林中金が国際的な基準に対応した仕組みの下で継続的にその役割を発揮をして、その収益の還元を受けた農協から農業者へのサービスを安定的に実施をしていくことが期待されるものと考えております。

#130
○須藤元気君 今回の措置の中に優先出資の引受け等の措置があるとのことです。条文を見ると、主務大臣は、農林中金が提出した経営の健全化のための計画の確実な実行によって、経営の合理化が見込まれることなどの要件全てに該当する場合に限るとされております。なぜこのような場合に限られているのか、その理由について農水省にお伺いします。

#131
○大臣政務官(熊野正士君) お答えいたします。
 主務大臣は、貯金保険機構から農林中金の優先出資の引受け等を行うかどうかの決定を求められたときは、委員御指摘のとおり、貯金保険機構が取得した優先出資等の処分をすることが著しく困難であると認められる場合でないこと、農林中金が主務大臣に提出する経営の健全化のための計画の確実な履行等を通じて経営の合理化のための方策及び経営責任の明確化のための方策の実行が見込まれることといった要件の全てに該当する場合に限り決定をすることとされています。
 具体的には、例えば貯金保険機構が取得しようとする優先出資等について、その処分が困難な契約内容となっていないかどうか、計画の履行等を通じて人員削減や店舗統廃合によるコスト削減、役員の外部登用や経営陣の刷新等によるガバナンスの抜本的見直しの実行が見込まれるかどうか等を踏まえて決定することとなることが想定されます。
 これは、本来、農林中金は会員等からの出資が基本である中、農林中金の自己資本の充実のために特別に貯金保険機構が引き受ける優先出資等については、機構が抱え続けるのではなく、適切に処分されることが望ましいこと、また、機構による出資の前提として、農林中金にも経営の健全性のための措置を着実に履行してもらう必要があることによるものであり、現行の金融危機対応制度や預金保険法と同様の要件を定めるものです。

#132
○須藤元気君 ありがとうございます。
 次に、農林中央金庫にお尋ねいたします。
 今回の法案は、農林中金が国際的な基準に対応するためとのことです。先ほど、森先生がスポーツのルールの変更に例えてお話をされていました。私が監督をしていたレスリング界においても、理事が替わるたびに、何か自国の選手が有利になるように露骨にルールが変更される問題があります。つまるところ、ルールを作った人間がゲームに勝つということです。
 ルール変更ではないですが、私も格闘家の頃、この国際的な基準で戦わなければいけないときがありました。UFCというアメリカのメジャーな大会なんですけれども、出場が決まったんですが、ここの大会は肘打ちの攻撃がありだったんです。しかし、私が戦っていた日本の大会は肘打ちの攻撃がないんです。やはりこの肘打ちの攻撃があると、近い間合いでも攻撃ができるので、戦い方が変わってきます。そのため、出場した多くの選手たちが、日本人選手が苦戦していました。私自身は運よく、いずれここが主戦場になると想定していたので、早い段階でそれに対応した練習をコーチにお願いしていました。
 同じように、この農林中金は、国際的な基準に対応するため、農林中金側からこの法案改正、法律案改正の要望を農水省にされたのでしょうか、教えてください。

#133
○参考人(八木正展君) お答えいたします。
 農林中金は、令和元年八月より法改正の必要性等につきまして、JA全中とともに、会員である農協、信連等に説明をしてまいりました。その上で、令和二年六月のJA全中理事会で決定いたしましたJAグループとしての政策提案において、国際金融規制に対応した法整備等を行うことを主務省に要望させていただいております。

#134
○須藤元気君 ありがとうございます。
 先ほど、農水省の答弁では、農林中金は農協等を基盤とする金融機関として、農協から預かった資産を金融市場等で運用、還元することを使命とされているとのことです。当たり前ですが、資産運用にはリスクも伴い、いつの間にか投機になってしまい、ギャンブル性が強くなったりしないものでしょうか。
 ギャンブルのテクニックでマーチンゲールというものがあります。御存じですかね。(発言する者あり)知らないですか。マーチンゲールはカジノ攻略法で知られており、FXなどでも用いられることがあります。マーチンゲールの特徴として挙げられるのは、理論上必ず勝つという点です。やり方はシンプルで、勝つまで賭け金を倍にしていくだけです。例えば、百円賭けます。百円で負けたら、次、二百円賭けます。二百円で負けたら、次、四百円賭けます。四百円で負けたら、次、八百円にします。八百円の時点で勝つと、負けた分を取り戻す、プラス百円になりますよね。ですから、どれだけ連敗が続いたとしても、一回の勝利で負け分がチャラになり、利益を出すことができるんです。
 私はこのテクニックを駆使してギャンブルでもうけていた時期があるんですが、しかし、ある日、このちまちま賭けるやり方がちょっと面倒くさくなって、これもっと大きく賭けてもうけようと思い、この法則から逸脱してしまい、取り返しの付かないぐらい大損した経験があります。理論上は必ず勝つこの法則は、私の欲によって崩れたんです。
 農林中金がこのような、私のような失敗をするようなことはもちろんないと思います。しかし、コロナ禍における不確定要素が多い中、念には念を入れていかなければいけないと思います。
 そこで質問ですが、現在、どのような資産をどれくらい持っていて、どのようなリスク管理体制の下で、そしてどのような方針で運用していくのでしょうか、教えてください。

#135
○参考人(八木正展君) お答えさせていただきます。
 農林中金の二〇二一年三月末の総資産は約百八兆円となってございます。このうち、貸出金が約二十二兆円、市場運用資産が約六十一兆となっております。貸出しでは、会員の皆様であったり、農林水産業者、事業法人、政府向けの融資などを行っております。また、市場運用では、グローバルな金融市場で国債、株式、社債などに投資を行ってございます。
 市場運用におきましては、中長期的な、安定的なリターンを目指したポートフォリオ運営を志向してございます。このポートフォリオ運営に当たりましては、メガバンクと同様に、リスク管理の高度化のための枠組み、こちらを整備しております。具体的には、目標収益と許容するリスクの種類と量を定め、コントロールしていく経営管理の枠組みを導入しており、こうした枠組みの中で様々なリスクを総体的に把握し、自己資本などと比較して管理する統合的リスク管理というもので行ってございます。

#136
○須藤元気君 ありがとうございます。
 是非そのお金を私に預けていただき、マーチンゲールで運用したいんですけれども。はい。
 我々の、この日本人の健康を維持するため、日本の食料、農業が維持発展していくことは極めて重要と認識しております。農林中央金庫はこれまで日本の食料や農林水産業の発展のためにどのような貢献をしてきたのか、そして今後どのような取組を行っていくのか、農林中央金庫としての御決意をお聞かせください。

#137
○参考人(八木正展君) お答えいたします。
 農協と農林中金は、一体的な事業運営を行う中で、規模等に応じながら、役割分担をしながら、農業者、食品関連企業等への融資等を実施しております。
 農林中金は、農協等による農業者等への融資をサポートするほか、農協等では対応できない大型案件等への融資、出資を行ってきました。加えて、会員から預かった資金に対しまして安定的な収益還元を行い、農協等の経営の安定や農林水産業に貢献する取組をサポートしております。
 今後も、農協等と農林中金が一体となって農業者への融資に取り組むとともに、いわゆるバリューチェーン企業、加工流通関係や輸出関係の企業に対し積極的に投融資を行い、農業生産者の所得向上や食品産業分野の市場拡大につなげていきたいと考えております。会員への安定還元に最大限の努力をすることも含め、各取組トータルで農林水産業の発展に貢献してまいります。

#138
○須藤元気君 ありがとうございます。
 この法律案を踏まえ、農林中央金庫が引き続き日本の食料・農林水産業の発展に貢献されることを期待しております。
 少し早いですが、私の質問を終わります。ありがとうございました。

#139
○委員長(上月良祐君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

#140
○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、農水産業協同組合貯金保険法の一部改正案に対する反対討論を行います。
 改正案は、農林中金がG―SIBに選定されることを想定し、貯金保険制度に秩序ある処理を追加するものです。G―SIBとは、グローバルな金融システム上重要な銀行、国際的な活動をする大規模銀行のことです。国際社会は、二〇〇八年のリーマン・ショックで大きくて潰せないと言われた金融機関に大規模な公的資金を投入した反省から、金融安定理事会を設置し、金融機関の実効的な破綻処理の枠組みの主要な特性と言われる国際金融ルールを定めました。目的には納税者負担の回避が、各国の規制当局にはベイルインの実行、つまり自主再建を求め、公的資金等で救済しないことを求めています。
 反対する第一の理由は、改正案には、自主再建ではなく公的資金を投入する仕組みが導入されているからです。法的ベイルインは採用されていません。また、支援が欲しければ農林中金にリストラを含む経営合理化計画の策定を求めるなど、協同金融に国が介入する仕組みがあるからです。リーマン・ショックで農林中金は約六千億円の損失を出しました。公的資金投入論もありましたが、全国の農協組合員が一兆九千億円もの支援、資本増強を行って農林中金を支えました。協同組合の自主自立を貫くことが大事だと思います。
 反対する第二の理由は、政府の金融政策や農政が日本の農業、系統金融を窮地に追いやっているからです。安倍政権が進めたアベノミクス、異次元の金融緩和でゼロ金利、マイナス金利で、農林中金の収益は悪化しています。農林中金が農協への奨励金、還元金を削減したために、人員削減や支店の削減が続いています。これでは農協が果たすべき農村地域の産業や生活のインフラを支えることはできません。さらに、農産物価格が低下し、農家の投資意欲が低下し、農協からお金を借りられない実態が進み、農産物自由化政策が農家の経営を困難にしています。
 農林中金は、政府の政策や金融情勢に左右されやすいだけに、農協組合員としっかりとした信頼関係を築き、その自主的な取組を尊重することが必要だと思います。
 以上述べて、反対討論とします。

#141
○委員長(上月良祐君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#142
○委員長(上月良祐君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#143
○委員長(上月良祐君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#144
○委員長(上月良祐君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査のため、来る六月三日に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#145
○委員長(上月良祐君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#146
○委員長(上月良祐君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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