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2021/06/01 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 経済産業委員会 第7号 令和3年6月1日
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2021/06/01 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 経済産業委員会 第7号 令和3年6月1日

#1
令和三年六月一日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     高橋はるみ君     島村  大君
 五月三十一日
    辞任         補欠選任
     青木 一彦君     高橋 克法君
     島村  大君     高橋はるみ君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         有田 芳生君
    理 事
                青山 繁晴君
                加田 裕之君
                宮本 周司君
                礒崎 哲史君
                岩渕  友君
    委 員
                阿達 雅志君
                江島  潔君
                佐藤  啓君
                高橋 克法君
                高橋はるみ君
                松村 祥史君
                宮沢 由佳君
                森本 真治君
                里見 隆治君
                高瀬 弘美君
                新妻 秀規君
                石井  章君
                浜野 喜史君
                ながえ孝子君
                安達  澄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山口 秀樹君
   参考人
       日本商工会議所
       中小企業経営専
       門委員会共同委
       員長
       川口商工会議所
       会頭       伊藤 光男君
       株式会社野村総
       合研究所エグゼ
       クティブ・エコ
       ノミスト     木内 登英君
       学習院大学経済
       学部教授     滝澤 美帆君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(有田芳生君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、青木一彦さんが委員を辞任され、その補欠として高橋克法さんが選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(有田芳生君) 産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、日本商工会議所中小企業経営専門委員会共同委員長・川口商工会議所会頭伊藤光男さん、株式会社野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト木内登英さん及び学習院大学経済学部教授滝澤美帆さんでございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、伊藤参考人、木内参考人、滝澤参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず伊藤参考人からお願いいたします。伊藤参考人。

#4
○参考人(伊藤光男君) 日本商工会議所の中小企業経営専門委員会共同委員長で川口商工会議所会頭の伊藤でございます。どうぞよろしくお願いします。
 埼玉県川口市で従業員九十名の鋳鉄製品を作る伊藤鉄工株式会社を経営しております。本日は、このような貴重な機会を賜りまして、御礼を申し上げる次第でございます。
 最初に、商工会議所の概要について申し上げます。
 商工会議所は、今から百四十三年前の一八七八年に渋沢栄一翁が東京商法会議所を設立したのを皮切りに、現在では全国に五百十五か所設立されております。会員は、商店街のお店から上場企業まで、規模や業種を問わず、地域内の事業者を包括した公的性格を持つ地域総合経済団体です。地域に密着した民間組織でありながら、国や県など行政が進める施策を代行する役割を担っており、全国百二十二万の総会員を擁しております。
 私が所属する川口商工会議所は、埼玉県川口市にございます。江戸時代から鋳物や植木などの産業が盛んで、その後、住宅都市化が進み、本当に住みやすい街ランキングで二年連続一位を受賞した、人口六十万の中核都市です。
 川口商工会議所には約八千の会員がおりまして、全会員に今回のコロナで緊急調査あるいは電話による聞き取りを実施し、現状把握と支援に努めております。こうした対話を通じて、各給付金や補助金など支援策の案内、利用促進を図っているところです。
 また、コロナ禍の影響で売上げが五割以上減った事業者が業種を問わず半数以上あり、直近三月末の調査でも商業、建設業は依然厳しく、製造業では仕入価格の上昇を危惧するなど、先行きを不安視する事業所が多数でございます。このほか、資金繰りや商談、販路拡大施策などの要望を受けております。
 こうしたニーズに応えるため、川口商工会議所では、コロナ対策のガイドブックをこれまで四回発行し各種施策を紹介するとともに、個別相談窓口を設置して、事業所に寄り添った支援を続けてまいります。
 私が社長を務めている伊藤鉄工は、経営理念に、徳をもって業を成し、信をもって営むを掲げ、日本での物づくりにこだわりを持って、鋳鉄を主材料に自家製品の製造、販売を行っております。
 弊社の経営課題は大きく三つございます。
 一つ目は、市場規模が全盛期の六割の大きさへと縮小していく中、いかに経営していくかです。弊社では、一、新市場に向けた商品開発、二、現市場の新商品開発、三、現商品の販売地域の拡大を行い、何とか二五%程度の売上げ減でとどまっております。市場縮小への対応としてMアンドAなどの企業再編も視野に入れておりますが、中小企業にとってはハードルが高いと感じております。
 二つ目は、老朽化した設備の更新に伴う資金調達です。今年八月の更新に向けまして、現在、政府系金融機関に相談をしております。
 三つ目は、デジタル化に伴う人材、資金不足です。設備投資を含め生産性向上には必要不可欠なことではありますが、すぐには解決できない課題です。
 現場の中小企業からお願いしたいのは、ものづくり補助金やIT補助金の増額、グリーン対応補助金の新設など、各種補助金の拡充、新設です。特に弊社では、キューポラから電気炉への変更など、脱炭素効果の高い設備への転換補助金の新設を希望しております。
 なお、弊社の紹介など、お手元の参考資料に詳しく記載しておりますので、後ほど御覧いただければ幸いでございます。
 次に、現下の中小企業の業況について申し上げます。
 新型コロナウイルスの完全な収束が見通せない中、地域経済社会の基盤として雇用のみならずコミュニティーを支える中小企業・小規模事業者は、昨年来、未曽有の影響を受け続けており、極めて厳しい経営環境に置かれています。
 コロナ禍の影響が長期化し、緊急事態宣言等が更に延長される中、度重なる営業時間の短縮や休業要請を受けている飲食店、大型商業施設などとその取引先、さらに国民の消費や外出、移動意欲の減退などの影響を受ける観光、サービス業などにおいて業績回復が見込めず、疲弊感が増しており、先行き不透明な状況が続いております。
 中小企業の経営者の心が折れずに事業継続に希望を持つことができるよう、切り札として期待されるワクチン接種の加速化や医療体制の早急な充実化を含め、感染症対策と経済活動の両立により一層取り組んでいただくことが急務です。何よりの経済対策はワクチン接種だと思います。加えて、中小企業の事業と雇用の継続を支えるため、自治体の協力金や支援金、資金繰り支援等による事業継続支援が何より不可欠です。
 こうした観点から、最低賃金につきましては、昨年度と同様に現行水準を維持すべきと考えます。また、企業自身も、コロナ禍からの再起に向け、外部環境の変化や新しい消費者ニーズに対応するため、ビジネスモデルの転換や生産性向上に積極果敢に挑戦していかなければなりません。さらに、アフターコロナに向けた我が国の競争力強化を見据え、カーボンニュートラルや、さらに加速するデジタル革命、海外へのビジネス展開に中小企業が対応できるよう、後押ししていただくことも極めて重要です。
 続いて、中小企業政策に関する基本的考え方を申し上げます。
 中小企業の実態はまさに多種多様です。きらり光る技術や製品を持ち、サプライチェーンの中で重要な役割を担ったり、グローバル展開していたりする大きめの中小企業もあれば、逆に、外部環境の変化に小回りを利かせ機敏に対応するため、あえて規模的な成長を追求せず、事業の持続的な成長を図りながら、身の丈に合った経営を選択している中小企業も多くいます。
 中小企業庁は、先般、こうした多種多様な中小企業を、持続的成長を志向し地方創生を支える地域コミュニティー型と地域資源型、そして、中堅企業に成長し海外での競争を目指すサプライチェーン型とグローバル型の計四つの類型に整理し、それぞれの役割や機能に応じた成長や支援の方向性を示したところです。
 民間調査によると、中小製造業ではサプライチェーン型とグローバル型を目指す企業が合わせて約半数ありますが、中小非製造業では地域コミュニティー型を目指す企業が半数強あり、小規模事業者に至っては地域コミュニティー型と地域資源型を目指す企業が大多数の八五%を占めております。
 また、業種によっても生産性の傾向は異なっています。製造業や情報通信業では従業員規模が大きいほど労働生産性が高くなりますが、小売業や飲食・サービス業では従業員規模が大きくなってもそれほど生産性は変わらない傾向にあります。
 中小企業政策においては、こうした多種多様な中小企業の実態を十分踏まえた上で、各施策のバランスを取りながら、地域経済と雇用の担い手である中小企業の持続的発展と足腰の強化に向けて、力強く後押しいただくことを期待します。
 次に、今回の法律案について意見を申し上げます。
 まず、産業競争力強化法関係についてです。
 グリーン社会への転換やデジタル化への対応について、今般、認定企業への税制措置や金融支援が盛り込まれたことは時宜を得たものと考えます。中小企業にとって使いやすい制度となるよう期待するとともに、今後、中小企業向けの予算措置を充実いただければ幸いです。
 次に、事業再構築についてです。
 コロナ禍において、経営改革に取り組む企業向け繰越欠損金の控除上限を引き上げる特例や金融支援もまさに時宜を得ているものと考えます。事業再生の円滑化について、事業再生ADR等の私的整理手続から法的整理手続への移行の円滑化は、今後、コロナ禍の影響を受けた企業における私的整理の増加が想定され、本措置が盛り込まれたことを評価いたします。
 なお、法律事項ではありませんが、中小企業の事業再生の円滑化に向けて、中小企業の実態を踏まえた私的整理ガイドラインの早期策定や、債務整理時に経営者が個人破産に陥らないようにするための経営者保証ガイドラインの廃業特則が必要と考えます。
 続いて、中小企業等経営強化法関係についてです。
 新たな支援対象類型の創設により、中小企業から中堅企業への成長途上にある企業群を新たに支援対象に加えることは、企業規模拡大を志向する中小企業にとって心強い制度だと思います。また、中小企業経営資源集約化、いわゆるMアンドAの税制や、中小企業とともに連携して事業継続力強化に取り組む中堅企業向け金融支援なども時宜を得たものと考えます。
 最後に、下請中小企業振興法関係についてです。
 下請取引の適正化に向け、今般の法改正とともに、執行の強化を期待しています。
 なお、法律事項ではございませんが、取引適正化に向けた取組を個社ごとに自ら宣言するパートナーシップ構築宣言について、弊社も昨年七月にいち早く宣言いたしました。現在、約千百五十社が宣言しておりますが、政府が掲げた今年度中の二千社の目標に向けて、官民挙げて周知や働きかけを実施する必要があると思います。
 例えば、先ほど言及した繰越欠損金の控除上限の特例を利用する企業は、コロナ禍の影響で赤字に陥った厳しい経営状況にありながら、事業再構築に挑み、黒字転換して成長することを目標にしています。是非、こうした企業が特例を利用する際に、パートナーシップ構築宣言の公表を推奨して、グリーン化への取組やデジタル化への対応を応援していただきたいと存じます。
 結びに、全国五百十五の商工会議所では、経営支援力を更に向上させつつ、行政、議会やほかの支援機関との連携を強化し、中小企業・小規模事業者の活力強化と地域経済の活性化に尽力してまいる所存でございます。引き続きの御支援をお願い申し上げます。
 私からの発言は以上です。ありがとうございました。

#5
○委員長(有田芳生君) ありがとうございました。
 次に、木内参考人にお願いいたします。木内参考人。

#6
○参考人(木内登英君) よろしくお願いします。
 野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内です。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、このような貴重な機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
 私は、エコノミストという肩書を持っていまして、長い間、経済見通しを作るようなそういう仕事、あるいは金融市場の予測、そして日本銀行に五年間勤務しましたときには主に金融政策を見ていたということで、どちらかというとマクロ経済と金融が専門でありまして、本法案に関連します分野に特に専門性があるわけではないですけれども、お役に立つかどうか分かりませんが、精いっぱいよろしくお願いいたします。
 さて、本案については、正直お話をいただくまではそんな詳しくは承知していなかったんですけど、改めて確認させていただきますと、時宜を得た非常に良い内容なのではないかなというふうに思っております。コロナ禍という比較的短期の課題への対応と、ポストコロナの成長、日本経済の再生という、少し中長期の課題を、一体的な対応をして課題を解決しようという発想自体は非常に共感できる部分がございます。
 私も、こういった観点から、コロナを、コロナという逆風を逆手に取ってむしろ日本経済強くしていこうと、できるんじゃないかということを昨年辺り言ったこともありました。
 例えば、デジタル化、法案にも関係しますが、デジタル化、特にデジタル通貨などは経済の効率化に貢献するんではないかなと思っています。
 それから、政府が長年取り組んでこられた東京一極集中の是正と。これもコロナをきっかけに動き出したという面がありまして、これも日本経済全体からすると生産性を高める効果があるというふうに思っています。
 それから、サービス業あるいは中小企業の構造改革と。これもコロナによる打撃を受けている業種でありますけれども、むしろそれを逆手に取って構造改革を進めていくことで日本経済全体の生産性を高める、人々の暮らしを良くするということに貢献していくというふうに思っています。
 この三つには含まれておりませんが、本法案でも非常に深く関わっておりますカーボンニュートラルの実現とそれを支援していく施策というのは非常に重要だというふうに思っています。地球温暖化対策は、もはや選択するものではなくて、当然やらなきゃならないという課題だというふうに思います。それは日本だけじゃなくて、世界の人々が将来にわたって安全に生活をしていく、自然災害ですとか生態系の変化などで我々の、国民の生活が脅かされることがないように将来にわたって地球への負荷を和らげていくという観点から非常に重要だと思っていますし、それに取り組むことは将来の世代にツケを回さないという観点から重要な現代世代の、我々の世代にとって重要な責任であるというふうに思っています。
 ただ、二〇五〇年カーボンニュートラル、あるいは二〇三〇年度CO2排出量四六%削減という目標は非常に意欲的であって、簡単に達成できないということも確かであります。例えば、再生可能エネルギーの利用拡大のため、しかもコストを下げる形で利用拡大を進めていくためには、今ある技術、イノベーションじゃないものが出てこないと、もしかしたら五〇年カーボンニュートラルの達成は難しいかもしれないと。そういう意味でいいますと、本案に含まれていますように、関連する投資を支援するということは重要だと思いますし、さらに、水素、アンモニアの発電ですとかCO2の回収処理技術など、まだ今の時点で分からない技術をいかに引き出していく、そういう支援をするかという、少しミクロになりますけども、そういう政策も目標達成のためには非常に重要なのかなというふうに思っております。
 そして、企業の対応はかなり、カーボンニュートラル、地球温暖化対策については非常に前向きになってきております。これは株主からの要請、圧力もあるということでありますが、政府の掲げる目標以上に前倒しでカーボンニュートラルの達成を目指すという企業が非常に多く出てきております。
 企業が積極化してきているというのは非常によろしいわけですけども、一方でやっぱり国民の理解も高めると、これも必要ではないかなというふうに思います。カーボンニュートラルの達成のためには、電化を推進することと再生可能エネルギーでの発電を拡大する、この二つが重要だということであります。
 ただ、再生可能エネルギーは、いろんな理由から日本での再生可能エネルギーでの発電はコストが高くなっております。こういう中で電化を進める、そして再生可能エネルギーでの発電の比率を高めていくということになりますと、少なくとも近い将来はかなりコスト負担が高まる、コスト増になっていくと。それは、固定価格買取り制度の下では国民の負担になっていくということですので、やはり国民の理解も必要だと。また、環境ですとか景観の観点から、太陽光、風力発電、地熱発電には住民の厳しい目もあるというのが現実だということを考えますと、やはり国民の理解を高めるというのもこれから非常に重要になっていくというふうに思いますし、それについての政府の取組にも期待したいというふうに思っています。
 温暖化対策は一時的なブームで終わっては決していけないものでありまして、次の世代の活動にいかに引き継いでいくかと、これも重要な点かなと、非常に長いプロジェクトになるわけですので、この点も非常に重要だと。そうした観点からしますと、先般、改正地球温暖化対策推進法で二〇五〇年のカーボンニュートラルが明示されたということは非常に評価できることではないかなと思っております。
 さて、お手元の資料に少し沿って残りの時間でお話をさせていただきたいと思います。
 一ページ目を御覧いただきたいと思いますが、日本経済が直面する最大の問題は、生産性上昇率が低下する、潜在成長率が低下を続けていると、この点にあるのではないかなと思っています。これは推計方法いろいろありますが、ここのグラフにありますのは日本銀行の推計している潜在成長率とその内訳になっております。
 潜在成長率が低いと、例えば企業の先行きの成長期待が下がるわけですので、設備投資も抑えてしまう、雇用も抑えてしまう、賃金も抑えてしまうと、結果的に物価も上がらないという状況につながってくると。そして、生産性、労働生産性上昇率が高まらないとなりますと、我々の先行きの生活が余り明るい展望は持てないと。我々の何か物を買うときの購買力、実質所得、実質賃金で決まると。実質賃金の上昇率は分配に変化がなければ労働生産性上昇率で決まるということですので、この労働生産性上昇率が、高めていくというのが一番重要な課題なのではないかなというふうに思っています。
 生産性を高めるというと、市場主義、市場至上主義とか批判を浴びることもあるんですけど、そうではなくて、全ての人が先行き明るい展望、将来に明るい展望を持つためにはやっぱり生産性を高める必要があるというふうに思っています。
 こちらのグラフで御覧いただきますと、潜在成長率が下がっている大きな理由は、実は人口減少ではなくて、この赤い部分、TFPと書かれていますが、全要素生産性、つまりイノベーションとか労働者の質などによる生産性上昇分が近年かなり下がってきているということがあります。もちろんこれ、計算上は残差で出てきますので、誤差もあるので、すごく強い答えは、結論は得られないんですけれども、恐らくそういうことは起こっているんだろうというふうに思います。ですから、そこを高めるというのが非常に重要になっていくというふうに思っています。
 ちなみに、金融政策ではこの生産性上昇率を高めることはできませんし、財政でも、一時的な需要増加ですと一時的な効果に終わってしまう、あるいは、将来、先行きの需要を前借りするというような効果にもなってしまいますので、そういう政策ではなかなか生産性上昇率を高めることができないということでありまして、もう少し構造改革あるいはミクロの政策が重要と、この点が本法案が深く関わっている部分ではないかなというふうに思っています。
 二ページ目を御覧いただきたいと思います。
 先ほども少し申しましたが、コロナを奇貨として生産性を高めるというのが非常に重要で、三つ掲げております。つまり、コロナという逆風を生かして、逆手に取って、むしろ将来の成長につなげていくと、生産性の上昇、あるいは潜在成長率の上昇につなげていくという発想が重要だと。
 デジタル化はこれは既に政府が取り組んでいることでありますが、中でも、やや私の専門分野に入っていくんですが、キャッシュレス化とか、あるいは信用力が高い中銀デジタル通貨の発行などを通じてキャッシュレス化を前に進めていくというのも一つ重要な生産性向上策になっていくのかなと思います。
 三ページ目に海外の研究結果を載せておりますが、現金を廃止して全てキャッシュレス化を進めていくということになりますと、GDPの一・二%ぐらいのコスト削減になってくるという計算もあります。もちろん、現状ですと、キャッシュレス化を進めることによって感染リスクを下げるというような効果ももしかしたらあるかもしれないというふうに思っています。
 デジタル通貨というのは重要かなと思っていますが、ただ、多くの人がまだまだ利用していないというのが日本の現状でありまして、その一つの理由が、信用力の低さであったり、ITリテラシーの低さだったり、そういうところだと思います、があると思いますので、中央銀行が発行することによって信用を高めると、あるいは、多くの人が取り残されないように、使うように支援すると。これはなかなか民間のビジネスとしては難しいので、その観点から、中銀デジタル通貨の発行は検討すべきだというふうに思っています。
 五ページ目を御覧いただきたいと思います。
 二つ目が、東京からの一極集中の是正ということでありまして、昨年の春以降、東京からの人口流出が進んできていると。ただ、非常に強い、太い持続性のあるトレンドかどうか分かりませんので、まだまだ支援が必要じゃないかなと。
 例えば省庁の地方移転などは、それに伴って企業が移転する、人が移転するということにもつながってきます。あるいは、ネットワークを各省庁間でつないでいくということになれば、物理的に近くにいる必要もありませんので、地方への省庁移転が促され、大企業もあるいは学校もそれに従っていくという形になるのではないかなと期待しています。
 六ページ目になりますが、人口が余り集中すると生産性が落ちてくるというような研究があります。OECDで見ますと人口七百万人がその分岐点とされていまして、東京はもう既に人口はその倍になってきているということからすると、あるときまでは人口が集中することによって生産性を高め、実質賃金が上がるということで、東京が日本をリードする、日本経済リードするという局面はあったと思いますが、現状は、むしろその時期は越えて、右側のグラフになりますが、むしろ生産性は頭打ちになってきているということだと思いますので、地方にまだ眠っているいろんな生産資源、人的資源も含めてですが、活用していくというのは、日本経済の活性化にとって非常に重要だと思います。
 そして、最後になりますが、七ページ目になります、サービス業・中小企業の生産性、まあこれはお二方の参考人、お二方が御専門ということなので多くは申し上げませんけど、一点だけ、少しだけ申し上げたいと思います。
 このサービス業、あるいはサービス業は中小企業の割合が高いということなのでサービス業・中小企業と申し上げますが、これはコロナで一番打撃を受けている業種ということなんですが、この一番打撃を受けている業種は、国際比較で見ても非常に生産性が低い業種だというふうにされてまいりました。ですので、ここのカテゴリーの企業の構造改革といいますか、生産性を高めることによって、日本経済全体の生産性を高めて、人々の生活の見通しを明るくするというのは重要かなと思います。
 こちらのグラフにありますのは、アメリカと比較した場合の各業種の日本の生産性上昇率ということで、非常に低いわけでありますが、例えば卸、小売、飲食、宿泊でいいますと、アメリカとの差は非常に大きいんですが、四分の一を埋めるだけで日本全体の生産性は八・三%も上がると。まあこれは単純計算でありますので、単に人を減らして失業者を増やせばいいということではもちろんなくて、新たに生まれる需要に対して人も迅速に動いていって高い生産性を維持するというようなことが重要でありますが、単純計算からいっても、この生産性の低い分野の生産性を上げることで日本経済の生産性全体を高める近道になっていくのではないかなと思っています。
 八ページ目になりますが、最低賃金の引上げについては、私はちょっと慎重に考えた方がいいんじゃないかなというふうに思っていまして、やはり雇用への悪影響とかも考えられるところであります。
 あるいは、最低賃金を引き上げて中小企業を淘汰していくような議論もありますけれども、それは非常に乱暴な議論だと思います。低い賃金で成り立っている業種の中にも我々の生活に欠かせないビジネスも多いということですので、ここについては慎重に考えるべきであって、むしろ生産性が高まることによって自然に賃金が上がってくる、それに応じて最低賃金も適切な水準まで上げてくるという流れが非常に重要だと思っています。
 最後の九ページ目になりますが、中小企業が退出というか廃業していく場合には、生産性が低いからというふうに考えられがち、生産性上昇率が低いからと考えられがちなんですけれども、実は、退出していく中小企業の生産性上昇率は残された企業よりも高いという研究結果があります。つまり、それが退出することによって中小企業全体の生産性上昇率が下がってしまうというマイナスで出てくるということがあります。
 これは仮説ではありますけれども、やはり優良な中小企業であっても、後継者不足などによって廃業を余儀なくされているというケースが多いと。ということは、中小企業の生産性向上の一つの策としては、優良企業がそういった後継者不足などの問題によって廃業を強いられるということがないようにしていくということも非常に重要で、本法案にも含まれておりますが、MアンドAによって、MアンドAをサポートすることによって経営資源を集約化していって、生産性、競争力を高めていくというのも非常に重要だなと思っています。
 あるいは、民間の取組としては、地方銀行などもこのマッチングを非常に積極的にビジネスの中に取り組んでおります。現在、地方の銀行も広域連携によっていろんな情報を交換する、共有するということが増えてきておりますが、まだまだ十分ではないということですので、日本全体で情報を共有することによって適切なMアンドAあるいは事業承継が進むということもこの生産性向上には非常にプラスだというふうに思っています。この観点からも、本法案の考え方あるいは施策には非常に重要な点が含まれているのではないかなと思っています。
 以上になります。

#7
○委員長(有田芳生君) ありがとうございました。
 次に、滝澤参考人にお願いいたします。滝澤参考人。

#8
○参考人(滝澤美帆君) 学習院大学の滝澤美帆と申します。本日は、このような機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
 私の専門、マクロ経済学でして、主に生産性に関する研究を行っておりますため、本日は、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案に関しまして、主に生産性の観点から意見を述べさせていただければと思います。
 お配りいただきましたレジュメの一ページ目の1)、日本の生産性という箇所を御覧ください。
 産業競争力とはという定義を確認したんですけれども、産業活動において、高い生産性及び十分な需要を確保することにより、高い収益性を実現する能力というふうに定義をされています。そのため、生産性の改善というのがこの産業競争力を向上させるための主たる方策と考えることができると思いますが、御承知のとおり、日本の生産性は低迷しております。
 生産性、非常にシンプルな指標でして、インプットとアウトプットの比率というふうに計測されますけれども、何をインプットと取るのか、何をアウトプットと取るのかで幾つか種類がございます。最もよく用いられますのが、付加価値を労働投入量で割った労働生産性というものです。
 一国全体の付加価値の総和であるGDPを人口で割った国民一人当たりGDP、こちらも労働生産性の指標の一つですけれども、こちらにありますように、日本生産性本部が公表している労働生産性の国際比較二〇二〇によりますと、日本の国民一人当たりGDPはG7の中で最下位が続いています。さらに、就業者一人当たりで計測すると韓国にも抜かれている状態です。
 お配りしたレジュメの一ページ目の下の部分の図ですけれども、こちらは産業別の労働生産性水準をアメリカと比較した結果をお示ししております。こちらを見ますと、ほとんどの産業でアメリカの労働生産性水準を下回っていること、製造業の水準はアメリカの七割程度、サービス業についてはアメリカの五割にも満たないといった結果がデータにより示されております。一国全体のデータを見るだけでは分からないことが、このような産業別のデータを見ることで分かってまいります。特にサービス業、この図では青で示していただいていますけれども、この青い部分、サービス業といっても水準はそれぞれであるということも分かります。
 ここまでの話をまとめますと、産業競争力を向上させるには生産性を向上させる必要がありますが、近年生産性が低迷していること、特に、先ほど木内参考人も御指摘でしたけれども、サービス業においてはアメリカと比較するとその差が大きいということが分かります。
 しかしながら、サービス業の生産性を国際比較するときは、サービスの質を調整できていないのではないかと、日本のサービス業の提供するサービスに関する質というのは非常に高くて、人をたくさん使ってきめ細やかなサービスを提供することで、結局は分母の労働投入量をたくさん投入しますので、計測上労働生産性が下がっているだけで比較するに値するのかといったような議論もございますけれども、ただ、サービスの質だけでは埋めることができない歴然たる差が存在しているということも分析を進める中で分かってまいりました。
 つまり、この結果というのは、生産性を向上させる余地が日本においてはまだ十分にあると言い換えることができると思います。
 続きまして、一ページおめくりいただきまして、二ページ目です。2)、日本におけるビジネスダイナミズム指標という箇所を御覧いただければと思います。
 近年、欧米諸国は、日本よりは状況は良いとはいえ、成長は鈍化していると言われています。こうした先進国における低成長、いわゆる長期停滞とビジネスダイナミズムの関係に注目が集まっています。
 簡単に申し上げますと、過去数十年のトレンドとして、市場の集中度、マークアップ、利益率、労働分配率、新規参入率、退出率、そういったものがどうなっているのかを分析するのがビジネスダイナミズムに関する研究です。
 ニューヨーク大学のトマス・フィリポン教授は、市場集中度の上昇、つまりは、これは市場での企業間競争、企業間における競争度合いの低下を意味しますけれども、これに加えて、平均的な利益率の上昇など複数のビジネスダイナミズム指標を確認しながら、アメリカ経済における停滞の主因が一部の大企業のシェア拡大が過度に進んだことにあるといった指摘をされています。
 重要な事実として、こうしたアメリカにおけるビジネスダイナミズムの停滞の主因として指摘されております市場競争度の低下というのは、日本においては基本的には観察されていないということです。
 二ページ目には市場集中度の指標でありますハーフィンダール指数をお示ししております。完全に市場が独占状態であるとこの指数一〇〇〇〇になりますけれども、値が大きいほど市場が集中している、つまり競争が低下しているといったように解釈できる指標です。この日本のハーフィンダール指数はこの十年で低下しています。つまり、アメリカの結果と異なり、競争度合いが高まっているということです。
 これに関しましては更に分析を現在進めているところではございますけれども、日本では、産業の集中度と生産性の伸び率の間に正の関係が認められています。この結果につきましては、メカニズムをこれから解明する必要があるものの、私どもといたしましては、良い集中の余地が多く残されている、日本企業には残されている可能性を示唆するものではないかと考えています。
 先ほど申し上げましたフィリポン教授の研究においても、例えばウォルマートの例を基に、集中度の上昇が生産性の改善につながったという事例が示されています。しかしながら、一方で、アメリカにおいては行き過ぎた集中がイノベーションと成長を阻害しているというのが彼の主張です。
 ですから、このように、日本は競争度合いが上がりながらも経済が低迷しているという一方で、アメリカは市場が集中していることで経済が低迷しているという結果が示されているので、日本とアメリカの状況の違いというのを理解した上で産業競争力の強化に向けたあるべき政策の検討を進めることが重要と思われます。
 そうしましたら、次のページ、三ページ目を最後に御覧ください。
 産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案に関連しまして、その他幾つか私の研究とも関連するポイントを述べさせていただきます。
 まず、一、グリーン社会への転換、二、デジタル化への対応ですが、御承知のとおり、日本は設備投資、長らく停滞しております。これにつきましては、金融緩和政策を長く続けてきた日本で資本蓄積を刺激する更なる緩和余地が乏しいとか、大企業が貯蓄の使途として生産の海外移転などが進んだと、そういったような要因が指摘されていますが、なぜ投資が増えないのかと、そういう因果関係については今後詳細な分析が望まれている分野です。
 ただ、投資を促進して資本ストックの蓄積を進めることで経済の供給力が高まることが期待されますので、設備投資促進税制、DX投資促進税制、金融支援などによって設備投資が促進されることが必要であろうと思います。しかしながら、前提として、こうした税制ですとか金融支援策の効果を正しく評価した上で政策立案に活用するという姿勢が同時に求められるものとも思われます。
 また、設備投資によって新しい技術が体化された資本を効率的に使用する必要があります。設備の年齢をビンテージという言葉で申しますが、日本はこのビンテージが上昇しているというデータがございます。つまり、平均的には古い設備で財やサービスの供給が行われているということです。新しい技術を体化した設備を用いることで効率的に財やサービスをつくることができます。特に中小企業では資本装備率の低さがかねてより指摘されておりますので、設備を増強することで労働生産性を上げる余地は十分にあると考えています。
 また、設備だけでなくて新しい技術を使いこなすことができるように、人への投資、人的資本の蓄積も同時に重要になってくると思われます。
 次に、三、新たな日常に向けた事業再構築についてです。
 日本は、これまでも、必ずしもアメリカなどと比べて新規参入率等が高かったわけではないのですが、かつては高い経済成長率を実現してきました。その成長の要因の一つが既存企業の製品開発力であったと言われています。既存の企業が製品転換を行ったり、生産する製品を新たに加えたりする活動が成長の源泉であったとも言われています。例えば、フィルムメーカーだった企業がデジタルカメラを製造するようになり、化粧品まで作るようになったりと、そういった具合です。こうした機会が数多くもたらされるような事業再構築の支援が期待されます。
 そして、最後に四番目ですけれども、中小企業の足腰強化についてです。
 こちらは言わずもがなですが、先ほど伊藤参考人の御発言の中にもありましたが、中小企業といっても様々で、それぞれのタイプに適した支援が必要となります。中小企業支援策は数多くございますけれども、政策的な資源、非常に限られている中で、支援の際にはまず事業の計画がしっかり立てられているかなど、適切なスクリーニングが重要と考えられます。
 そして、コロナ禍においてエビデンスに基づかない政策立案がいかに世論に受け入れられないかを見ても明らかですけれども、こうした支援を行うだけでなくて、支援の後にはデータを用いた適正な効果分析を行って、それに基づく政策立案を行うという一連のサイクルの確立が重要と思われます。
 私からは以上です。御清聴ありがとうございました。

#9
○委員長(有田芳生君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#10
○加田裕之君 自由民主党、加田裕之でございます。
 本日は、産業競争力強化法改正案につきまして、三名の参考人の先生方からお話をお伺いすることができました。本当にお忙しいところ、貴重な御意見賜りましてありがとうございます。
 そして、共通しているのは、やはり三名の先生方の、今回のこの改正というものは時機を得ているということ、そしてまた、それをしっかりと課題解決するには、コロナ禍であります今、短期的な対応というものもそうですし、長年やはり日本が抱えておりました課題というものをこの時機にしっかりと克服しなければいけないということであります。
 それぞれの参考人にお伺いしたいと思うんですが、まず伊藤参考人にお伺いしたいと思います。
 まさに「キューポラのある街」、川口ということで、吉永小百合さんのあの映画が封切られたときは、オリンピックが始まる二年前のまさに高度経済成長の時代でした。そしてまた、伊藤参考人が入社された昭和五十年というのは、まだその雰囲気を残しながらですが、オイルショックを経験した中での、また会社の在り方が問われた時期でありました。
 実際、インタビュー記事をちょっと読ませていただいたんですけれども、三代目の社長ということであるんですけれども、実際、科学と実践というのを両輪の輪でやらなければいけないという考えで、そして、大学院の方では、金属だけではなく機械工学全般に学ばれ、堤信久先生の下ではVプロセスの研究もされていたということであります。
 実際、私は、その物づくりとか、まさに鋳造の業界の方におかれましても、職人の技というもの、たくみの技というものも大変大切であると思いますが、入社された辺りから作業を自動化するという、ある意味経営革新といいますか、経営の改善というものに取り組まれてきたと。
 なかなか、その中で、私、ちょっとお伺いしたかったのが、現場の三現主義ですね、現場があって現物があって、そして現実を捉えることが物づくりにとって大切であるという言葉でありました。一つ一つの物事、事象というものが、できるもの、できないものというものもあると思うんですが、やはりこれからの時代、今回のこの法律改正におきましても、商工会議所の在り方もそうですし、会社一つ一つの在り方も求められると思いますので、その辺のところにおきまして、参考人が考えるこれからの中小企業の支援策の在り方、今回の法律を通しましてのコロナ後のポストコロナを見据えた上での中小企業の在り方というものについてお伺いしたいと思います。

#11
○参考人(伊藤光男君) 私も話しましたように、中小企業って様々で、それぞれ類型に分けましたけれども、類型によって施策が違うんですね。例えば、私のところみたいに成熟している産業にいるところは、先ほど設備投資の話もありましたけれども、なかなか設備投資できないんです。あれ、基本的に設備投資をやって量が増えれば、習熟曲線じゃないですけど、生産高が倍になれば二割コスト下がるんですね、ということで、二割生産性上がるわけです。だけど、成熟した市場においてはなかなかそういうようにならないということです。
 それで、中小企業の伸びていく産業に行っているところの施策と、それから、成熟しているところと違うと思うんですね。成熟しているところではものづくり補助金みたいに設備投資の新規にするというのが必要だと思います。我々の鋳造の方で見ますと、日本の生産性、現場、海外の現場行っても低いと思えないんですよ。ただ、ただ中国は圧倒的に新しい機械ですよ。日本は本当に古い機械を使っているというのが現実ですね。
 ですから、やっぱりその辺を変えていくというのが一つ重要かなというふうに思いますし、あともう一つは、やはり大手と一緒にやっているところというのは海外展開でかなり伸びているところがあります。それから、新しい産業、やっぱりそちらの支援をしていただいて、そこに中小企業が入っていけるような、我々が一緒に参画できるような政策があれば、政策というかそういうふうになれば全体として良くなると思うんですけれども。

#12
○加田裕之君 ありがとうございました。
 続きまして、木内参考人にお伺いしたいと思います。マクロ経済、金融のプロとしまして御説明いただきました。
 ちょうど昨年の十二月の方におきましては、ちょうど時事解説の方で、二〇二一年は攻めの経済政策への転換に期待ということで、まさに今回の法案のような形での消費者行動変容が産業構造を変えるということを題材にいたしまして、これからの行動変容というものが産業構造転換を促す原動力となるということを言われておりました。実際問題、これを奇貨といたしまして、コロナウイルス問題を逆手に取ってより潜在力を高めることに成功した経済というものを日本は目指すべきであるということを言われておりました。
 その中で、やはり私も地方議会を経験しておりましたので、先ほどの参考人のお話の中におきましては、東京一極集中の是正、今、東京は転出超過という形では来ていると思うんですが、私はこれ、コロナがある程度収まりつつなりますとリバウンドを起こしてしまうんではないかという危機があります。
 それとあと、実際問題、平成の大合併とかいろいろ行われた中で、いろいろ県庁所在地とか合併をした町においても、ミニ東京みたいな役所のあるところ、市役所のあるところ、県庁所在地、そういうところにまさにミニ東京化し、そこに一極集中していくおそれがあるんではないかと。それをしっかり防ぐためにはどのような、今回の法案を通して、恐らく答えは一つではないと思うんですが、様々な形でこの法案を通しまして、どのような形の方策を取っていけばいいのか、木内参考人にお伺いしたいと思います。

#13
○参考人(木内登英君) 今の御質問とちょっとその前の段階でおっしゃられていた行動変容のお話をちょっとだけさせていただきますと、恐らくコロナ問題が収束しても個人の行動は元には戻らないということであります。つまり、対人型サービスへの支出はコロナショック前よりも下がるんだと思いますね。その分ほかのところに消費を回すということで、こういった消費の行動変容がいわゆる産業構造の変化をもたらすと。どれだけスピーディーにこの産業構造の変化に企業あるいは労働者の移動が追い付くかと、これがコロナショック以降の回復のペースを決めていくということで、日本はそういう企業とか労働者のモビリティーは概して低いので、残念ながらほかの国よりもコロナショック後の改善ペースは緩やかになりがちだと、なってしまう可能性があると思います。ですので、政策的にはそうじゃないふうに持っていくということが重要です。
 現状ですと、まだ打撃を受けた企業を助けるという政策が重要な局面ではあるんですけれども、収束後には、競争力を失った企業がほかの業態に転換していく、これを支援する政策、あるいは働く人がほかの業態に転職していくというのを支援する職業訓練であったり、この法案にも関係あるかもしれませんが、リカレント教育なども重要になっていくということで、どこかの時点で政策の軸というか重点を非常にダイナミックに変化していくことが必要だというふうに思っています。その一つの、何ですかね、要素として、東京一極集中の是正というのもあるだろうと。
 リバウンドが起こるんじゃないかというのは、これはどこの地方自治体の方もそういう懸念を持っていらっしゃいますですね。つまり、東京近辺、例えば千葉とか神奈川とか埼玉辺りでは、確かに人が移動するという動きが出てきますし、あと企業が移動、移転というのも出てきているということですけれども、コロナ問題が一巡したら流れも止まってしまうんじゃないかということを皆さん警戒していると。
 それは、もしかしたらそのとおりかなと。喉元過ぎればみたいになってしまっては困るので、やっぱり一つの政策としては、私はやっぱり省庁の地方移転を進めるというのが一つかなというふうに思っています。流れを逆転させないためには省庁が移っていくと。それに伴って、企業移転だけではなくて重要な部門を地方に移転していって、地方で優れた人材を新たに採用していくということも重要だと思います。
 そして、東京に人口が流入しているかなりの部分は、地方から若い女性が東京に来て、そこで学校に行き、そのまま東京で就職して家庭を持つという流れになっていますので、やはり学生にとって非常に魅力のある学校あるいはキャンパスが地方にあるというのが重要だというふうに思っています。
 そういう点からすると、まず政府が省庁の地方移転などでリードする形で、さらに企業、大学を引っ張っていって魅力のある地方にしていくということが東京一極集中の是正にとって重要であり、それは日本経済全体からすると、今使われていない埋もれたいろんな生産資源、地方に埋もれている生産資源を活用するという点で重要だということだと思います。ですから、自然体だけでこの流れが定着するか分からないので、やはり政策的に強くサポートすることが重要かなというふうに思っています。

#14
○委員長(有田芳生君) 加田さん、時間が参りましたので質疑をおまとめください。

#15
○加田裕之君 はい。
 済みません、本来でしたら滝澤参考人に、ちょうど東洋大学の経済学部教授時代に日米独英仏五か国との比較、コロナの前とそして今回のコロナの後ということでお伺いしたかったんですが、また別の機会のときに是非よろしくお願いします。
 以上で終わります。

#16
○宮沢由佳君 立憲民主・社民の宮沢由佳と申します。
 参考人の皆様には、本当にお忙しい中、とても丁寧な内容で教えていただきまして、本当に本日はありがとうございます。
 では、早速質問に入らせていただきます。
 伊藤参考人に伺いたいと思います。
 たくさん資料を用意していただいてありがとうございました。とても勉強になりました。この中で四ページにもわたってパートナーシップ構築宣言のことに触れられていて、ここの感想も細かく、中小企業の声ということで御説明いただいているんですけれども、これはかなり効果があるということで載せていただけているのかとは思うんですけれども、もう少しその効果の詳細、できれば中小企業の声、そしてもしかして課題があるとすれば課題も教えていただきたいと思います。お願いいたします。

#17
○参考人(伊藤光男君) パートナーシップ宣言の背景にあるのは、世耕プランというか中小企業の適正な取引というのが、取引慣行というのがやっぱり重要だと思うんです。そういう意味で、大手の方々にもそういうのに入っていただくということが重要だと思いますし、現実にそういう取引慣行ができるようになるように官民挙げてやっていかなくちゃいけないというように思っています。そういう意味で、そのパートナーシップ宣言を使ってというか利用してというか、それでお互いのことを理解して適正な取引に持っていくと、こういうことができればということで思っています。
 難しい点は、やっぱりそうはいってもなかなか、商売ですから、現実的にその価格改定や何か難しい。特に、ティア1や何かはいいんですけれども、ティア2、ティア3という状況になると、なかなかそれが機能してこない部分があるんで、ですから、やはり一つには、その大本のメーカーさんや何かが、そうなるように、やはりある程度の行政指導的なものも必要かもしれません。

#18
○宮沢由佳君 ありがとうございました。
 それでは次に、木内参考人に伺いたいと思います。
 今、加田委員からも質問がありましたけれども、私もこの東京の過度な人口集中が経済効率の低下につながっている可能性というところ、大変驚いたんですけれども、OECDによれば人口七百万人が分岐点ということなんですけれども、この中身をもう少し詳しく知りたいなと。
 実際に、私、山梨県の人間なんですけれども、山梨県から東京を見ると、大変人口も多くて、もうまさにまだまだ盛り上がって、まだまだ経済が上がっていくのかというように思ってはいたんですけれども、この経済効率の低下ということ、もう少し教えていただければと思います。

#19
○参考人(木内登英君) 詳細については実はよく分からないところがありますが、一般的に考えられているのは、やはり生活環境がまず悪化してしまうと、例えば交通渋滞であったり、通勤のときの満員電車であったり、そして例えば託児所などが不足すると。その結果として、恐らく東京ではほかの地域よりもずっと出生率が低くて、いわゆる日本の出生率低下を東京がリードしてしまっているという面があると。さらに、生活環境の悪さが、いわゆるモラールの低下というんですかね、勤労意欲の低下につながっていくと、可能性としてはこういうところが考えられます。
 六ページ目の右側のように、データはちょっと限られますけれども、東京都の生産性はほかの地域の生産性よりは高いんですけれども、生産性の上昇率はかなり鈍化してきていまして、今や日本の生産性上昇率の足を引っ張っているというのが東京だということだと思います。
 そこからしますと、もう繰り返しになりますけれども、例えばリモートなどでいろんなビジネスがつながる時代になれば、企業同士が近くにいていろいろ情報をすり合わせる必要もないですし、企業が霞が関の近くにいて省庁との調整をする必要も必ずしもなくなってくるということですので、やっぱりデジタル化、リモート化というのが一つ後押しする形で、距離的に近くにいると非常に生活環境とか悪くなりますので、分散することによって、恐らく働き手のモラールも高まって、それもやはり生産性上昇につながっていくんじゃないかなというふうに思っています。

#20
○宮沢由佳君 ありがとうございます。
 もう一つ、その七百万人が分岐点ということについても、もし、知っている範囲で教えていただけますでしょうか。

#21
○参考人(木内登英君) 私が分析したわけではないので、OECDが世界の大都市の分析を進めた結果、七百万というのが一つのめどになっていって、そこまではつまりある程度集中した方が生産効率が高まって実質賃金が高まると、でも、あるところまで行くと弊害が出てしまうと。この数値からすると、東京は既にその二倍まで人口が集中していますので、恐らくいろんな弊害が既に起こっているのだろうなというふうに思っています。

#22
○宮沢由佳君 ありがとうございました。
 私たちの、見た目だけではなくて、見えないところでいろんな弊害があるということで、大変勉強になりました。ありがとうございました。
 それでは、滝澤参考人、ありがとうございます。女性の参考人がいるということで大変うれしく思っております。
 まず伺いたいのは、こうした税制や金融支援策の効果を正しく評価した上で政策立案を活用するという姿勢が求められているということで、まさにそのとおりだなということを感じておりますけれども、ここのところをもう少し教えていただけますでしょうか。

#23
○参考人(滝澤美帆君) 御質問いただきましてありがとうございます。
 まさに、今御指摘いただきましたエビデンスベースドのポリシーメーキングというのが非常に重要であると。そこは、アカデミック、我々研究者の知見を存分に生かしていただいて、それが果たして政策の効果なのか、自然体に、政策を行わなくても企業等が成長したかどうか、そういう因果関係の分析をしていくことで、さらに今後どういうふうに政策を行っていけばいいのかということが分かりますので、それを繰り返し、先ほども申し上げましたが、していくということが重要だと思います。
 そのときに、様々経済学の、統計学といいますか、手法が開発されていますので、それを利用していただくということが重要だと思いますし、既に中小企業庁等でもものづくり補助金に関してそうした科学的な手法を使って効果があったというようなことを実証されているというふうに思いますので、今後もそうした分析がどんどん進められることを期待しております。

#24
○宮沢由佳君 ありがとうございます。
 それでは、もう一点質問させていただきたいんですけれども、中小企業の足腰強化についてなんですけれども、四つの類型の中で地域資源型それから地域コミュニティー型について、ここのところを私も大変興味を持っているところなので、ここの足腰強化についてもう少し詳しく教えていただければと思います。

#25
○参考人(滝澤美帆君) 今御指摘いただきました地域資源型、地域コミュニティー型というのは、地域経済を支える非常に重要なパートを占める中小企業かと思います。この資源型とコミュニティー型でまたサポートの仕方が変わってくると思います。
 コミュニティー型、非常にイメージとしては小さい企業、中小企業をイメージしておりますけれども、そうしたところであっても、例えば商店街のようなイメージで、お隣さん、お隣のお隣さんと一緒に何か、例えば材料等を共同で調達するですとか、できる限り効率化を進めていくことで生産性を上げる余地というのがまだあると思いますし、そうした知識というのをアドバイスするということが政策的に重要かなと思っています。
 地域資源型、こちらはもう少し地域のインフラを活用するというようなイメージだと思いますけれども、こちらも、先ほど私が申し上げたことと重複いたしますが、やはり資本設備ですね、そちらをどんどん新しいものに替えていくということが必要で、そこに資金制約がもしあるような状況であれば、そこの最初の段階は政府が支援していくということが重要かなというふうに思います。
 以上です。

#26
○宮沢由佳君 以上で終わります。ありがとうございました。

#27
○里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
 三人の参考人の先生方、本日は貴重な御意見等を賜りまして、ありがとうございます。
 それでは、早速、まず伊藤参考人にお伺いをしたいと思います。
 私、地元愛知県岡崎市でございまして、今日、参考資料にも岡崎市のオカビズと言われる地元のサポートサービス御紹介いただいておりまして、やはり私、先ほど、コロナ禍での様々な政府からの支援策、そしてものづくり補助金、IT補助金のお話もありましたが、大事なのは、こうした経済的、財政的支援、これはもちろん現金等の給付ということは大事ですけれども、先般の政府との質疑でもあったんですが、こうした給付金をもらうための計画の策定、あるいは事業転換等の経営支援、相談、こうしたそのプロセスそのものが大変重要であるという政府からの答弁もありまして、全くそのとおりだなと。
 その支援をするまさにリソース、これは地域にあっては商工会議所の皆様方だというふうに思っております。そうした意味で、この単なる現金給付以外のソフトな面での支援策の重要性、また、なかなかこの日本社会全体として、これは商工会議所さんのみならず様々な中間的な団体というのが会員数が減ったり、これは人口減少等にもよるんだと思いますけれども、今までのこの人口減少、それに伴う会員数の減少ということに対して、こうしたソフトの相談あるいは経営支援という観点からむしろ皆様方の役割というのは非常に重要になってきていると。また、これを見直されて、これはもしかして会員増にもつながっていくんじゃないかと、そうしたことも考えられます。
 そうした意味での商工会議所の皆様の地域におけるそうした意義、そして今後皆様がどういう役割を果たしていかれるか、その点をもう一つ深掘りして教えていただければと思います。

#28
○参考人(伊藤光男君) まさに今コロナの中で、ある意味ではいろんな支援の窓口になったり、アドバイスをしたり、あるいは実際に書き物をしたりするということを会議所が手伝っていることによって、会員が非常に減らないというか維持しているというか、少し増えてきている状況があります。ですから、こういう支援にはそういうのが必要だというように、何ですか、補助金にしろ何にしろ、やっぱりバックアップの支援がないと駄目だと思います。
 それで、うちでも、もの補助と省エネといただいたんですけれども、省エネは全く難しいですよね、ドキュメント書くのが。あれ普通できないと思いますよ、中小企業で。ですから、やはりそういう場合には、簡単にしていただくのは一つ重要ですけれども、もう一つは、やはり会議所が手伝うということも非常に重要じゃないかというように思っています。

#29
○里見隆治君 ありがとうございます。
 また、先ほどの意見陳述の中で、産業競争力強化法に関する御説明の中では、更なる中小企業支援向けの予算措置等をお願いするということでありましたけれども、現在も様々な財政支援、また税制、金融面の支援策、メニュー的にはそろっていると思いますけれども、さらに何が足りないのか、どこを手当てするべきなのか、加えて教えていただければと思います。

#30
○参考人(伊藤光男君) 私どもでやっぱり考えているのは、二〇三〇年のカーボンの話ですよね。そうすると、私のところはキューポラというのでコークス燃やして鉄を溶かしていますけれども、これは電気炉にしないと駄目だろうということで、もう今から計画をしています。
 それから、そういうエネルギー多消費型の例えば鍛造ですとか金型プレスですとか、そういうところもかなりエネルギー使うわけですね。それで、それが全部電気でやっているかというと必ずしもそうじゃないんで、それを全部電気にしていくということになると思います。そうすると、その企業その企業によって違いますけれども、かなり中小企業にとってはその設備投資というのが、それはお金を生む投資じゃないですからね、大変になると思うので、だからその辺は是非国として考慮していただくというのは重要かなというように思います。

#31
○里見隆治君 貴重な御意見ありがとうございました。また、今後の予算等にもしっかり反映させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 続きまして、木内参考人にお伺いをしたいと思います。
 今日御説明いただいた中で、それぞれ論点、興味深く拝見、拝聴しましたけれども、その中で、資料でいただいている三ページ目の、現金廃止がGDPを一・二%押し上げるという、具体的な数値をもってお示しをいただいておりまして、これ、マクロ的にはそうだと思うんですけれども、一昨年十月の消費税率引上げ、八%から一〇%に引き上げた際に、様々なクレジットカードの導入等、政府としても支援策を講じ、ポイント還元等による対策もやったわけですが、なかなかミクロで見ますと、各企業さん、これに乗っていただける方もいらっしゃいますが、やはり手数料等の関係、あるいは今までの商慣行等の影響があってか、なかなかこれに乗っていただけないという企業の皆さんも、特に商店等いらしたかと思います。
 これをマクロ的にこれが効果があるんだということがあれば、もうこれ政策的にきちんとミクロに落とし込んでいくという政策が求められるかと思いますけれども、こうしたボトルネックをどのように除去、除いていくべきか、木内参考人のお知恵をいただければと思います。

#32
○参考人(木内登英君) キャッシュレス化自体は、やはり効率化、経済の効率化を助けると思いますし、いわゆる身近なお金の支払というところでデジタルを使うことによってデジタルの社会全体になじんでいく、そういう入口、ゲートウエーになっていくんじゃないかなというふうに思っています。
 それを後押しする要因として、一つはコロナというものがあります。つまり、衛生面から現金、紙幣を使うことに対する抵抗が出てきて、身近で見ても、例えばコンビニとかでも自分で精算するというのが非常に増えてきています。
 それに対して障害となっているのが、一つはおっしゃられた手数料というものがありますね。スマートフォン決済の場合は個人に対してはほぼ無料で提供されているのが現状だと思いますが、店については加盟店の手数料が掛かって、これクレジットカードも同様であります。さらに、店側の問題としては、それが入金されるまでに半月に一回とか一か月に一回とかで、資金の流動性の問題が出てくると。こういうことを解決していくことがキャッシュレス化を進めることにとって重要だと。
 ただ、これについては既に制度は変わる方向にありまして、いわゆるスマートフォンの決済業者が直接全銀システムという銀行間の決済システムを使うことができるようになっていく、しかも、その全銀システムの銀行間の手数料が今年の十月から半減するということになります。ですから、そうすると、その安くなった分、店側の加盟手数料を下げることができると。そうすると、もっとスマホ決済を使えるような店が増えていくと利用者側も非常に便利になっていくということなので、十分かどうかは分かりませんけれども、キャッシュレス化を前進させるような環境としては、このコロナという逆風を利用するということと、実際に銀行の決済ビジネスにスマートフォン業者などが入って、より安く決済ができるような環境に今なろうとしていますので、そこに、済みません、もう一点ですが、さらに、スマートフォン決済が広がらない一つの理由としては、ITのリテラシーの問題とか、あるいは信用力、システム障害に対する不安とかがありますので、それについては、中央銀行がデジタル通貨を出して、デジタル通貨というのはほぼスマートフォン決済になると思いますけれども、それもキャッシュレス化を後押しし、経済の効率を高め、経済の生産性を高めるための一つの案ではないかなというふうに思っています。

#33
○里見隆治君 ありがとうございます。
 滝澤参考人にもと思ったんですが、済みません、ちょっと時間の関係で、また別途の機会と思っております。
 どうもありがとうございました。

#34
○石井章君 日本維新の会、石井章です。
 今日は参考人の皆さん、忙しい中、ありがとうございます。
 まず、伊藤参考人にお伺いいたします。
 今回の改正案で、下請中小企業振興法の改正が盛り込まれておりますけれども、下請取引の適正化という観点で、今回の改正法案やこれまで近年政権が取り組んでこられた部分でどの点が評価ができるのか、他方、どういった点がまだ足りないと率直にお考えになっているのか、まず一点、お伺いします。
 それで、特に中小企業には大切な、特に今回のコロナ禍の中で、前安倍政権の昨年の年度当初のときに、中小企業向けの実質無利子無担保融資を行ってまいりました。非常に中身が整っておりまして、中小企業でも申込みしやすい、あるいは貸す方も貸しやすかったということだったんですが、今年の三月で一旦切ってしまいまして、私は、予算委員会や今年の経済産業委員会において、もうとにかく質疑の場で再三にわたって経済産業大臣にもう一度復活すべきだということで話したところ、梶山大臣の英断によりまして、中小企業庁及び財務省の方から、五月二十五日付けでもう一度復活すると、しかも十二月末までやると、民間企業のいわゆるセーフティーネット四号、五号を利活用した融資を復活、ということは、政府系に関しては来年の三月までやると思いますので、そういった点について、政府への施策の要望も踏まえて、もし御意見いただければと思います。

#35
○参考人(伊藤光男君) まず、下請取引の関係ですけれども、まず一つ、例えば現金化につきましては、もう大手の自動車会社はほとんどティア1には現金で払うようになっています。ですから、それが一つ。
 それから、いろんな人に、鋳造業とか聞きますと、大手のところで一応話には乗ってくれると、値上げや何かのですね。例えば、エネルギーとか原材料に関しては話には乗ってくれると、必ずしもそれが全部通るわけじゃないですけど。それから、型取引に関しては、その型の保管料はなかなかくれないけれども、金型、木型を引き揚げてくれると、要らないものを選別してくれる。それによって借りていた倉庫が借りなくて済むようになるということで、かなり下請法の関係に関しては効果が出つつあるというように思います。ですから、更に一層、中小企業庁さん始め、そちらから特に大手のところに働きかけていただければというように思います。
 それで、これは言っていいかどうか分からないですけど、自動車関係は早かったんですけど、電気関係は遅いというんですよね。その業種によってもやっぱり違うみたいです。
 それから、無利子無担保の融資に関しましては、これは一過性ということで出したと思うんですよね、一過性の、もう緊急事態で。ところが、これだけコロナが長引くというように思っていなかったということで、これをまたやっていただくというのは非常に重要だと思います。というのは、これから返済が始まりますから、非常に大変、中小企業はですね。
 それで、これ、川口の金融の関係に聞いたんですけれども、都市銀行とか大手の銀行は貸しましたよという話だけなんですけど、信用金庫とかそちらの方の話は、もう貸してすぐにリスケジュールの話が出ているのもあると言うんですね。
 ですから、やはり、ちょっとこれだけコロナが長引いていますので、やはり貸していただくのも一つ重要ですけれども、やっぱりリスケジュールに応じていただけるような、まあ多分かなり今応じていただいていると思うんですけれども、それをやっていただくことが、その本当に中小で、例えば食堂とか、お金に困っているところは必要だというように思います。

#36
○石井章君 ありがとうございます。
 続きまして、木内参考人にお伺いいたします。
 木内参考人は、自分のコラムの中で、業態転換、MアンドA、ITなどを通じ、個々の企業の生産性向上が、それが向上であるというふうにコラムでお書きになっておりますけれども、今回の改正法案には、近年の中小企業の政策、これらの三つの柱という観点から見た場合にどのような部分が評価できるか、またこの部分は政策的に不十分だという点がありましたら、率直な御意見をお伺いいたします。

#37
○参考人(木内登英君) 政策としては、今はやっぱりコロナで被害を受けている企業を助けるというセーフティーネットの政策が非常に重要だと思っています。ただ、コロナが収束した後には、恐らく、消費者がもう一回、例えばサービス業の場合は、消費者がもう一度企業を選ぶという、そういうのが始まるんだと思いますね。今だと、魅力のあるレストランにもみんな行けないということですが、感染が収束してくると選択が始まるということですね。これはやはり、それに応じて企業側も対応しなくちゃいけませんので、競争力を失ったと考える企業は業態転換をしていくというのがやはり必要になっていくと。ですから、レストランも、例えばテークアウト中心のビジネスにしていくと。
 それを後押しするのが重要だということで、本法案にもありますけれども、例えば、MアンドAを通じた経営資源の集約であったり、業態転換であったりということは非常に重要な政策になっていくというふうに思っています。ですので、本法案に関連するところでいうと、やはりMアンドAを支援するという、税制面から支援するというところが非常に重要になっていくのかなというふうに思っています。
 ただ、これは、もう少しコロナ問題がある意味収束してからそういう政策が重要なので、現状は先ほどのその無利子融資なども含めて、まだやっぱり企業を一生懸命支えなくちゃいけないと。つまり、この企業がコロナ後も日本経済を引っ張っていくような重要な競争力のあるいい企業かどうかというのはコロナが収束してみないと分からないということなので、そうなった時点で、やっぱり、企業の業態転換とか人の移動を教育、職業訓練などで促していく政策がやはり重要だというふうに思っています。

#38
○石井章君 滝澤参考人に一点だけお伺いします。
 梶山経済産業大臣は、マークアップ率のことでいろいろ発信しています。滝澤参考人は、先ほど、良い集中でもってそれらを可能性を示唆するというようなことでありますけれども、日本はG7の中で最も低いということでありますが、何か滝澤参考人が指摘する良い集中を促すための具体的な政策イメージがあればお願いいたします。

#39
○参考人(滝澤美帆君) ありがとうございます。
 最初の段階で私も良い集中が大事だということを申し上げたんですけれども、それとセットで、仮にその集中によって職が失われるようなことがあった場合、そこをまずケアすると、そこのケアをまずしてから良い集中が起こるというようなことが重要だということを改めて申し上げたいと思います。
 そうした上で、恐らく集中のために重要になってくるのは規制等の問題があるかと思います。産業によってそれぞれ何が規制になっているのかと十分検討する必要があるかと思うんですけれども、それをもし事業者の方々にアンケート等を取って、それが規制、競争度を、産業の集中を阻害するようなものになっているんだとしたら、それを除いていくということが重要だと思います。

#40
○石井章君 ありがとうございました。終わりにします。

#41
○浜野喜史君 国民民主党の浜野喜史でございます。
 参考人の皆様方、本日は誠にありがとうございます。
 まず、滝澤参考人にお伺いしたいと思います。私の基礎的な理解が足りてないがゆえの質問になるかも分かりませんけれども、率直に御見解をお伺いできればと思います。
 労働生産性の向上ということについて、政策の目標とすべきなのかどうかということについての私の疑問でございます。労働生産性は結果であって、目標とすべきなのは付加価値の向上ということ、この一点を据えて政策を議論していくということが私は適切なんではないかなというふうに思うんですけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

#42
○参考人(滝澤美帆君) 御質問ありがとうございます。
 まずは付加価値の向上が重要だというふうに私自身思いますけれども、生産性を考えるときにインプットとアウトプットというようなことを申し上げました。そのときに、インプットが日本は足りないですね、人も減ってきて、労働時間も少なくなってきていますから。そうしますと、限られた資源でどれだけ付加価値を生み出せるかという、そういった観点が重要だということを申し上げております。
 以上です。

#43
○浜野喜史君 ありがとうございました。
 滝澤参考人にもう一点お伺いしたいと思うんですけれども、今年の四月二十八日の日経新聞において滝澤参考人は論説をお出しになっておられました。その中で、労働市場の流動化が重要ということを指摘されておられます。それがどのような内容をイメージされておられるのか。
 その上で、一方で、今日も御説明ありましたように、人的資本の蓄積が重要だということも指摘されておられるわけです。労働市場の流動化とこの人的資本の蓄積というのはそれぞれ逆行するといいますか、いうものになりかねないんではないかなというふうに思うんですけれども、見解をお伺いいたしたいと思います。

#44
○参考人(滝澤美帆君) 御指摘ありがとうございます。
 労働市場の流動化のイメージなんですけれども、現行、日本は非常に失業率が他国と比べると低い水準に抑えられております。その中で、有効求人倍率というのを見てみますと一を超えていて、マッチングというんですか、求職と求人がうまくマッチングできていないという状況があります。特に、いろんな産業で数字を見てみますと、非常に有効求人倍率高いところ、低いところというのがあります。そこのマッチングをよりうまくしてやるというのが私の労働市場の流動化のイメージです。
 二点目、人的資源の蓄積とこの流動化というのが相反しないかと。まさに御指摘の点そうだと思うんですけれども、人的資本を蓄積していくことで先ほどおっしゃったような付加価値の増大というのが達成されますから、流動化されつつも、人々が個人で人的資本を蓄積できるようにサポートしていく、個人レベルで支援していく、その中で適材適所で企業間、労働が移動できる、そういったことが重要になってくると思います。
 以上です。

#45
○浜野喜史君 ありがとうございました。
 次に、木内参考人にお伺いしたいと思います。
 政府は、デジタル化とそれからグリーン化ということを成長分野と位置付けて、成長を何とかつくり出していきたいと、こういう考え方に立っております。私もこのデジタル化とグリーン化を是非成長に結び付けられるようにできればいいなという立場でありますけれども、ただ一方で、デジタル化というのはプロセスの効率化ということであって、必ずしも付加価値を増やすというものでもない、むしろGDPを減らす方向に働く可能性すらあると、こういう指摘もあります。
 加えて、グリーン化につきましても、サービスを提供する、また製造するプロセスはグリーン化されるわけですけれども、生み出される製品に変化が必ずしもあるわけじゃない、付加価値の向上を必ず生み出すといったようなものではないというふうに思うんですね。そういう状況をどのように受け止めておられるのか。
 その上で、グリーン化、デジタル化を成長に結び付けていくためにどのような方策が必要というふうにお考えか、木内参考人の御見解をお伺いしたいと思います。

#46
○参考人(木内登英君) デジタル化とグリーン化というのは、二つの目標として掲げてはおりますが、やや性格が違うという点はそのとおりじゃないかなというふうに思っています。
 デジタル化については、やっぱり効率化、生産性の向上に資するものだということだと思っていますが、単純に人に置き換えられていくということでいいますと、その分失業者が生まれて、社会構成上はむしろ悪くなってしまうということがあり得るというふうに思います。
 ただ、実際は、効率化によってそこで働く人の実質賃金が上がるということ自体が新たな需要を生みますので、その新たな需要がまた産業構造の変化を生み出していくわけですので、それに対して柔軟に企業、労働者が対応していくということになれば、それが付加価値をやっぱり生むという、そういうことにつながっていきますので、決してGDPを下げるということではなくて、GDPあるいは潜在成長率を高める一つのきっかけにはなるんではないかなと思っています。
 一方、グリーン化については、果たして成長率を高めるのかどうかについては、今の時点でいうと正直言って分からないということだと思います。これは、企業にとってやはりコスト、負担の部分があるわけです。ただ、それとは別に、やっぱり地球全体の観点からすると、もうやらないという選択肢はないということなので、できるだけ経済にプラスになるようにしていくと。
 そのときに、一般的によく言われているのは、新たなCO2削減のための投資、あるいは新たな技術を生み出すための投資自体が、投資自体はもちろん需要を生み出しますので、それが追加的な付加価値を生むと。
 更に言いますと、恐らく日本が目指すのは、地球温暖化対策は世界全体で行われますので、先端技術を日本が握っていればそういった設備を海外に売ることができるということで、自分の国で地球温暖化対策を進めるだけではなくて、新しい技術、設備を海外に輸出することによって付加価値を増やしていく、そういうような取組が重要になってくるのではないかなと思います。

#47
○浜野喜史君 ありがとうございました。
 最後に、伊藤参考人にお伺いいたします。
 中小企業政策をめぐりましては様々な説が交錯しているということも言えようかと思います。一つには、中小企業部門の成長力を高めるために重要な視点は企業の新陳代謝であって、一律の保護ではなく、事業者の状況や判断に応じて廃業や開業を促す支援も有望であるという説もあります。一方で、中小企業は年十万社の規模で廃業しており、既に新陳代謝は行われているといったような見方もございます。
 それぞれ見方が分かれるところなんですけれども、伊藤参考人は実情をどのように捉えておられるのか、御見解をお伺いしたいと思います。

#48
○参考人(伊藤光男君) 新陳代謝というもの、中小企業を一くくりにできるという話ではないと思うんですよね。
 例えば、地域型のそういうお店とかであれば、人口が減ればやはり減らざるを得ない部分があると思いますし、例えば製造系でいいますと、現状では例えば建設機械だとか農業機械とか、そちらの方が非常に増えているわけですね、輸出型ですけれども。ですから、そういうところの企業というのは、人も増えているし売上げも増えていると、だから、ちょっと一概には言えないんですけれども。
 ただ、川口の現状でいいますと、例えば、川口の銀座商店街というのがあるんですが、そこの七〇%ぐらいはテナントになっていますね。ですから、元々の商売やめて大家さんになっていると、だから、企業としては存続しているというような状況は確かにあります。ですから、マーケットとか、人口が一番ですけれども、やっぱりマーケットが変わればそういう新陳代謝というのは当然起きてくるわけで、というように思いますけれども。

#49
○浜野喜史君 ありがとうございました。終わります。

#50
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
 本日は、参考人の皆様、本当にありがとうございました。
 まず初めに、伊藤参考人、木内参考人、滝澤参考人にそれぞれ三つの点についてお伺いをしたいと思います。
 本法案で、先ほど来話題になっている中小企業の足腰の強化が掲げられていて、コロナ禍を奇貨とした産業の新陳代謝が掲げられていますけれども、事業再構築を通じてリストラであるとか中小企業の淘汰や整理が進むんじゃないのかといった懸念の声もありますよね。
 日本の中小企業の実質労働生産性が世界でもトップクラスだということで、社会経済的存在意義というのが非常に大きいものがあると思います。中小企業政策審議会制度設計のワーキンググループの中でも、中小製造業の実質労働生産性の伸びは年率三から五%を記録していて大企業の伸びと遜色ない水準だと、こういうふうにもなっています。なんですけれども、二〇二〇年度版の中小企業白書を見ますと、中小企業の生産性向上を妨げているのは、大企業に比べて価格転嫁力が弱くて利益を確保することができないことに原因があるんだというふうにしています。
 これ、価格転嫁力がないのはどうしてなのか、その原因をどういうふうにお考えになるか。構造的な問題があるのではないかというふうに思うんですけれども、考えをお聞かせいただきたいというのが一つ。
 そして、生産性を上げるということであれば、中小企業、立場が弱いので、価格転嫁できるように大企業であるとか親企業への規制を強化するべきだと思うんですけれども、どのようにお考えかというのが二つ。
 そして、三つ目なんですけれども、中小・小規模事業者は、非常に厳しい地域を支えたり業界を支えたりしていて、もうかるかどうかということではなくて、やっぱり必要とされている、非常に重要な役割を果たしています。冒頭、伊藤参考人もちょっと触れられていたんですけれども、小さくてもきらりと光る技術で海外でも認められるような中小企業もありますし、小規模だからこそ多様なニーズであるとか需要の変化に対応することで社会に貢献をしている事業者も多くいます。
 中小企業の生産性が低いのは規模が小さいことに原因があるんだと、規模拡大が見込めない小規模企業は退出するべきだと、こういった意見もあるんですけれども、規模の拡大だけを求めるということでその重要な役割や技術を持っている中小企業がなくなるようなことがあれば、それは日本経済にとっても大きなマイナスになるんだというふうに思うんですね。この点で参考人がどうお考えになるかという、この三点についてそれぞれお聞かせください。

#51
○委員長(有田芳生君) では、まず伊藤参考人。

#52
○参考人(伊藤光男君) まず、中小企業の伸びで、価格転嫁の話ですけれども。
 私は、サービス業はちょっと違うかもしれませんけれども、製造業において生産性が低いのは、本当にそうなのかなと思うんですよ。やはり価格が安いんじゃないかということで考えています。そういうことで、今回、適正な取引ですか、それはやっぱり重要なことだと思います。ですから、もちろんその親会社の国際競争力というのもあるわけで、じゃ、無尽蔵に高くていいというわけではないですけれども、やはりその辺が重要だと思います。
 それで、その三番目とも関係してくるんですけれども、規模の関係ですけど、例えば鋳造業でいうと、ドイツと日本は大体生産量一緒なんですよ。でも、ドイツは、ドイツの鋳造会社というのは日本の半分。だから、規模が倍ということですよね。規模がある程度大きいと何でいいかというと、価格交渉力が出るわけです。というのは、その親会社に対してのその下請さんのシェアが大きければ、やっぱり話合いになるわけですよ。でも、シェアがちっちゃければ、別にやめられたって構わないよというと、価格交渉力ない。ですから、やはりある程度の規模というのも必要かもしれない。でも、それは、じゃ、そうじゃないところをやめさせるんじゃなくて、やっぱりMアンドAだとかそういうので統合する、そのマーケットによってはそういうことも必要だというように思います。
 それで、適正取引でその売上げを上げるというのは非常に重要だと思うんですけれども、ただ、それは役所が指導するのはいいですけど、法律でつくったりとか、これは自由競争ですから、やはりそこまで規制を強化するというのはちょっと自由主義の経済の基本にそぐわないというように私は思っていますけれども。

#53
○委員長(有田芳生君) 次に、木内参考人。

#54
○参考人(木内登英君) 新陳代謝自体は健全な経済活動の結果として常に起こり得るということだと思いますけれども、政策的にそれを強く推し進めるのはやっぱり慎重に考えなくちゃいけない点もあると思います。
 最初にも申し上げたんですけれども、例えばこういう意見もあるわけですね、最低賃金を引き上げることによって低い賃金でしか成り立っていない企業は退出を促すと。ただ、これはやっぱり非常に危険な考え方で、それぞれ業種によって生産性も違いますし、仕事のタイプも違うわけでありますので、一律に賃金の水準で企業の生死を決めていく、政策的に決めていくというのは、これは非常にリスクのあることなのかなと。むしろ、これも最後に申し上げた点なんですけれども、プレゼンテーションの中で申し上げた点なんですけれども、退出する企業の生産性上昇率は残された中小企業の生産性上昇率よりも高いという結果が出ていますので、優良な競争力を持つ企業が倒産に追い込まれる、廃業に追い込まれる、これを防ぐというのが非常に重要な生産性向上策になっていくということだと思います。それについては、例えば後継者不足だったりということであれば、それを後押しするような政策の助けは必要なのかなと思っています。
 価格競争力については、価格競争力を助けるというよりは、価格支配力を助けるというよりは、競争力を高める、生産性を向上させること自体が価格支配力を高めていくということですので、そちらの方を後押しするというのが重要だと思います。
 規模については、これは業種、企業によって多分違うと思います。規模を大きくすることによって競争力、生産性を高めることもできるし、規模が大きくなることによってむしろ失われてしまう特性もあるということですから、業種、企業によって状況は異なるということだと思いますが、ただ、規模が大きくなることを妨げるような税制になっているんであれば、そこはやっぱり再考の余地はあるんじゃないかなというふうに思います。
 以上です。

#55
○参考人(滝澤美帆君) 私から申し上げることで一つ重要なキーワードがあるとすると、差別化だと思います。
 基本的に差別化できているような財であれば、ある程度バーゲニングパワーは持てると思いますので、ユニークな財、差別化された財というのを生産する努力というのが必要です。ただ、ここで、長い取引慣行の中でそうした価格を抑えられているといったような状況があるのだとすると、そこは変えていく必要があると思います。経路依存性があってその取引慣行が変えられていないというのであれば、今、先ほど来話に出ていますけれども、パートナーシップ構築宣言等で変えていく必要があろうというふうに思います。
 二点目、大企業の規制を強化すべきかという件に関しましては、私は反対です。なぜなら、そうした規制を強化することで大企業は更に海外に進出する可能性もあります。世界で見て生産拠点をどこに配置すればいいかということを、最適化考えるはずですので、日本の中でそうした規制を強化することというのは、優良企業は海外に出てしまう。その結果、更に大企業からのスピルオーバーが起きないといったような悪循環に陥りますので、規制を強化するよりはサプライチェーン全体で、大企業、中小企業、協力するという体制が必要だと思います。
 三点目、規模が大きくなればいいかということ、私、そうは思いません。やはり差別化できている財であれば需要が付くと思いますので、必ずしも規模を大きくする必要はなくて、そうした差別化された財で、国内だけではなくて海外からの需要も呼び込む、中小企業であってもそうしたポテンシャルはあるというふうに考えております。
 以上です。

#56
○岩渕友君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

#57
○ながえ孝子君 碧水会のながえ孝子と申します。
 今日は、三人の参考人の皆様、とても示唆に富んだお話をいただきまして、どうもありがとうございました。
 そうしましたら、まず、木内参考人にお伺いをいたします。
 中で、優秀な中小企業の廃業を防ぐことだというようなお話がありまして、私もこの事業承継をサポートする経営者を、新陳代謝をいかに支えていくかということがすごく一方大事じゃないかなと思っていたので、すごく理解を深めることができました。ありがとうございます。
 それで、その中で、いかにうまくマッチングをやるかということで、地方銀行、地域の金融機関のマッチング力に期待するというお話もありました。このマッチング力だけじゃなくて、中小企業にとってはやっぱり地域の金融機関といい関係をつくるということは物すごく、資金力がそもそも弱いところがありますので、大事なことだと思います。なんですけれども、なかなかこれがうまくいかないといいましょうか、何か木内参考人の方からいい例ですとかお考えがありましたらお聞かせください。

#58
○参考人(木内登英君) ちょっと御参考になる話ができるかどうか分かりませんけれども、私も地方銀行と関わりを持つ中でやっぱり感じていますのは、地方銀行は非常に多くの情報を持っているということなんですが、その情報が必ずしも生かされていないというふうにも感じています。
 従来、例えば地方銀行が持っている情報、取引先等の情報というのは、取引先の信用リスクを測るために使われているというような情報なんですが、恐らくそれだけじゃなくて、新しいビジネスを提案することだったり、この事業承継のような形でマッチングをすることだったりと、もっと非常に付加価値を生むような使い方ができるのではないかなというふうに感じております。それをすることによってもちろん経済の活性化にもなりますし、地方銀行の収益を高めることにもなっていくと。
 事業承継でいいますと、マッチング、つまり情報を持っている銀行同士がつながると。同じ例えば県の中でマッチングというのはできるわけですが、ただ、遠くにいる企業がこの企業を買いたいとか、この企業の経営者として名のりを上げるというケースもあるわけです。ただ、地方銀行は基本的にはやっぱり地方の情報しか持っていませんので、そういう意味では、広域に連携していくというのがお互いが持っている情報の価値を高めて、その地域だけじゃなくて日本経済全体の成長に貢献するのではないかなと。
 残念ながら、地方銀行というのは、やっぱりその地域の、何ですかね、城主みたいなところなので、なかなかうまく連携ができない。最近は広域の連携ができてきたとはいえ、まだまだそんな広くないわけでありますので、そうだとしますと、例えば金融庁あるいは政府が広域に連携して情報の交換ができるように仕組みをしていくということが起これば、その情報が非常に大きな価値を生んでいくと、そういうような施策も重要なのかなというふうに思っております。

#59
○ながえ孝子君 ありがとうございます。
 では、続いて伊藤参考人にお伺いしたいのですが、やっぱり中小企業にとってその地域の金融機関とのいい関係を構築する重要性ありますのと、それから、マッチングの話もございましたように、現場の感覚でその構築のためにこういう後押しが必要だとか、何かお考えがありましたら教えてください。

#60
○参考人(伊藤光男君) マッチングというか、いろいろ今、金融機関でも地方のマッチングビジネスというのはやっているんですけれども、必ずしもうまくいっていないんじゃないかというように思います。
 それで、ちょっとMアンドAというか、そちらの話でいきますと、中小企業同士がくっつくというのは非常に難しいと思うんですね。一つは、その借入れ、借金の問題があったりですね。ですから、買う方が全部それを引き受けなくちゃいけないというのはちょっと現実的じゃないのかなというように思いますし。どうですかね、例えば同業での連携等々もあるんですけれども、その辺もやはり、そちらのお金というか、資金の関係とか、そちらがやっぱり結構効いてきて難しいのかなという気がしますね。
 事業承継であれですけれども、難しいのは、サラリーマンの人がその会社をやってくれって社長に言われても、家族が反対するわけですよ。その家屋敷を抵当に入れて、そんなリスクを負うんですかと、そういう話がありますので、ですから、その辺のところをきちっと整理していかないと、今そういうような方向になっていますけれども、整理するような、いかないと、なかなか難しいと思いますね。
 ちょっと答えになっているかどうか分かりませんが。

#61
○ながえ孝子君 重ねてなんですけれども、そのマッチング支援だけじゃなくて、金融機関というのはいかに資金力を支えてくれるかというところで、かつてに比べると地域の金融機関も、この地域で生き残りを考えていかないといけない時代になったので、中小企業といかにウイン・ウインの関係をつくるかというところに視点は向いているようには思うんですけれども、その点で何か希望されることといいましょうか、ありますか。

#62
○参考人(伊藤光男君) 一つ、私、いいことをやっているなというのは、ある都市銀行、地方銀行なんですけど、副業、今、大手の会社の方の副業の話やっていますね、その方と我々中小とマッチングさせているんですよ。
 すると、例えばデジタル化に関しても、圧倒的に中小企業はそれを導入するときの人材と使いこなす人材がいないわけですよ。ですから、そういう人材をそういうマッチングさせていくようなことがもっと進めば、中小といえどもデジタル化が今までよりできやすくなるというふうに思います。そういうマッチングや何かはこれから非常に有益じゃないかと思いますけれども。

#63
○ながえ孝子君 どうもありがとうございます。
 それでは、滝澤参考人にお伺いしたいのですが、お話の中で事業再構築、新たな日常に向けた事業再構築の中でも、これまで既存企業が自分のところの製品開発力を成長の源泉にというお話がありまして、そうなんだと、いきなり新しい突拍子もないことって人間考え付かないですけど、持っている力を少し大きくしていくということはすごく大事かなと思いました。
 そういう点で、それを促すような再構築支援が期待されているという御指摘だったんですけど、具体的にはどういったことが考えられますか。

#64
○参考人(滝澤美帆君) ありがとうございます。
 まさに、おっしゃられたように、新しいプロセスで生産をするとか新しい財を生産するようになる、あるいは既存の財にまた新しい財が加わって更に付加価値が向上できるというプロセスが期待されていると思うんですけれども、そのときに、先ほども申し上げましたが、もちろんアイデア、人々のアイデアも大事なんですけれども、新しい機械を使ってということでまた何かが生み出される可能性もありますので、設備投資というのが重要になってくると思います。
 それから、先ほど来申し上げていますが、人への投資というのがバブル期と比べるとかなり激しく減っています。企業が教育訓練投資に支出する金額もかなり減っていて、無形の人材資産、人的資産というのがかなり減っておりますので、そこを企業もサポートしていくということと、先ほども申し上げましたが、個人レベルで教育訓練を受けられるような機会というのを今後も伸ばしていくことというのが重要だと思います。
 以上です。

#65
○ながえ孝子君 ありがとうございます。
 もう一つ教えていただきたいんですが、私はこれは競争力をアップさせると信じているんですけど、女性の企業の中での管理職ですよね、みんな増やしていきたい、いこうという掛け声は大きくなっているんですけれども、なかなか増えてまいりません。そういったところで、滝澤参考人の何かお考えとかアドバイスありましたら教えてください。

#66
○参考人(滝澤美帆君) ありがとうございます。
 先ほど価格転嫁力のところでも申し上げたんですけれども、経路に依存して何か物事が進んでいくということがあると思います。ですから、意思決定のプロセスも、それまでと全く同じものだと変化がなかなか起こりにくいというのがあります。
 女性の管理職に関しても、このままですと、自然体ですとなかなか増えないという状況があると思いますので、何か外的なショックを加えることでそれがまた経路を変えるというものがあると思いますので、私自身何か数値目標を持つということに対して強いアレルギーは全くなくて、この機会に何か数値目標を持って達成できるようにというふうにしていくことが重要だと思います。

#67
○委員長(有田芳生君) ながえさん、おまとめください。

#68
○ながえ孝子君 はい。
 いろいろいいお話をありがとうございました。終わります。

#69
○安達澄君 無所属の安達澄と申します。
 今日は貴重なお話をどうもありがとうございました。大変勉強になりました。
 滝澤さん、伊藤さん、木内さんの順番でお聞きしたいと思います。
 まず、滝澤さんにお聞きします。
 先ほどの話の中で、EBPMの話が出ました。エビデンスに基づいた政策立案と、私もそれはもう非常に重要だと思うんですけれども、経済産業省も昨年度数千万円の予算を付けて、まさに今いろいろ調査研究して、まだ緒に就いたばかりなんですけれども、そういったものをベースにして政策立案という時代になってきています。
 先ほどの話で思ったんですけど、確かに大学にはそういういろんな研究があったりデータがあったりという、現時点ではそういう省庁とかとの連携をしてそういうEBPMを行っているということはないんでしょうか。

#70
○参考人(滝澤美帆君) ありがとうございます。
 私の理解では、なかなか協力ができていないというのが現状だと思います。
 個人レベルで、例えば私のような者が科学研究費補助金をいただいて、科研費をいただいて、それを通じて政府が持っているデータを申請して個人レベルで研究をして、それをどこかで公表するということですので、御指摘のとおり、私どもの知見を何かに生かせるようなメカニズムといいますか、そういうものを今後確立していくとよいのかなというふうに思います。

#71
○安達澄君 ありがとうございます。
 それに加えて、重ねてですけれども、例えば海外とかはその辺ってどうなんでしょうか、そういう政策を行うときにアカデミックとのそういう連携とかですね。

#72
○参考人(滝澤美帆君) ありがとうございます。
 特に、聞いた話によりますと、例えばイギリス等では、統計部門に非常に人が十分、日本と比べるとたくさん人がいて、そこには例えば統計学を勉強した方々等が張り付いていて、データ、政府のデータを活用して迅速に、今回のコロナのときにもですね、こうした方がいいんだ、ああした方がいいんだというようなことをアドバイスできる機関があると、そういう人材が十分、日本と比べると十分いるという話は伺ったことがあります。

#73
○安達澄君 ありがとうございました。
 じゃ、次に伊藤さんにお聞きします。
 伊藤さんからいただいた資料の中で、川口市の経済動向という欄に、今回のコロナの対応でいろんな努力をされたという中で、いろんな支援金、補助金、支援策を行われていろいろアンケートも取られて、その中でこういった回答があると。各種支援策の情報過多による認知度低下が浮き彫りになったというふうにコメントがあるんですけど、非常にもう分かる話でもあるんですが、これちょっと具体的にどういうことなのかを教えていただければと思います。

#74
○参考人(伊藤光男君) 国、県の支援策があるほかに、川口市の場合には川口市独自の支援策があって、ですからその辺が、いろいろな情報があるんで、必ずしもその受け手が整理できていないというか、その辺でそういうことになっているというように思っています。

#75
○安達澄君 国も一生懸命、県も一生懸命、市も一生懸命やろうとすると、やっぱりどうしてもそういうことが起こると思うんですが、確かに受け手側からすると、もう何がどうなのか違いも分からない、重複もあったりというのもあると思います。
 じゃ、国、県、市はどうしていけばいいと思われますか。どうすることが助かりますか。

#76
○参考人(伊藤光男君) ただ、一方で、電話で、八千社全部電話したんですけれども、支援策知らない人も結構いるんですよ、一方で。ですから、会議所の役割というのは、ある意味両方の方にワンストップステーション的に、会議所に相談すれば整理して教えてもらえるとか、そういうことができれば整理できると思います。
 いろんな国、県、市でそういう支援がいただけるというのは有り難いことだと思うんです、基本的には。ですから、それをどこかで整理する、交通整理というか、それは会議所でやるのが一つの役目かなと。

#77
○安達澄君 分かりました。ありがとうございます。
 じゃ、最後、木内さんにお聞きいたします。
 経済予測等が御専門ということで、ちょっと率直にお伺いしますけど、木内さんは、例えば五年前、十年前、今のこの日本がこういった状況であるというふうに予測をされていたのか。それは、予測どおりであれば、じゃ、逆にちょっと五年後、十年後を教えていただきたいんですけど、もし外れていたとするならば、何が想定外だったというふうに木内さんは思われるか、御自身の予測と今実態について、その差について教えていただければと思います。

#78
○参考人(木内登英君) 五年前、十年前に中期的な予測をしていたわけでは実はないんですけれども、振り返ってみると、やっぱり思ったよりも例えば成長率のトレンド、例えば潜在成長率などはやっぱり低いというのが過去の見通しと比べた場合の現状ではないかなというふうに思っています。
 途中でも、先ほどもお話しさせていただいたんですが、人口減少だからというのは、それは必ずしも成り立たないんだと思うんですね。実際に潜在成長率が落ちている大きな背景として、全要素生産性の寄与度が落ちているということがあるわけですね。じゃ、それは例えば日本の労働者の質がすごく落ちてきているのかと。教育が時代に追い付いていないと、これはもしかしたら少しあるかもしれません。ですので、リカレント教育だったり職業訓練とかはやっぱり重要だというふうに思います。あと、企業のイノベーションが落ちているのかということですけれども、ほかの国と比べると、特に技術を生み出す力が急激にやはりこの五年、十年落ちてきているようには見えないと。
 そう考えると、何がやはり潜在成長率、生産性上昇率が落ちてきている背景かと考えますと、やっぱり成長期待ということじゃないかなというふうに思うんですね。その成長期待の中には、もしかしたら人口は減少するから国内市場は余り有望ではないということで、投資をするのであれば、あるいは人にお金を投資するのであれば海外だという傾向が特に製造業、グローバル企業の間では強まったということですので、それを逆転させるような成長期待を国内で生むというのがやっぱり重要なのかなというふうに思っています。私、日本銀行にいたときにはインフレ期待を高める政策というのはよろしくないという主張をしていたんですが、成長期待を高める政策はやっぱりこれはいいんじゃないかなというふうに思っています。
 その点でいいますと、実は昨年、一昨年前まで期待していたのはインバウンドということなんですね。潜在成長率はもちろん経済の供給側で決まるものではあるんですけれども、強い需要が一時的じゃなくて継続的に進むという期待が本当にしみ込めば、企業は更新投資を超えてもっと投資をすると。投資をすることによって、今そこで生まれている新しいイノベーションが生産活動に入ってきますので、生産性上昇率も高まるということです。ですので、成長期待を高めるということ自体が、結局は潜在成長率、生産性上昇率を高め、人々の実質所得を高めていくということだと思います。
 残念ながら一旦頓挫してしまいましたけれども、インバウンド需要というのはやっぱり一つ重要だと思いますし、もう一つでいうと、やっぱり出生率を高めると。それは二十年後には労働供給の増加につながっていくんだと。それが非常に信頼性の高い形でそういうメッセージが出れば、企業というのは前倒しで投資をしたり雇用を増やしたりしますので、実際に出生率が高まって労働供給が増えるまでに二十年掛かるかもしれませんけれども、その前の段階で企業は期待が高まることによって投資を前倒しすると、それ自体が前倒しで潜在成長率を高めることになるということで、成長期待をいかに高めていくかというのが一番重要ではないかなというふうに思っています。

#79
○安達澄君 ありがとうございました。以上で終わります。

#80
○委員長(有田芳生君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
 本日は、長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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