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2021/06/08 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 内閣委員会 第25号 令和3年6月8日
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2021/06/08 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 内閣委員会 第25号 令和3年6月8日

#1
令和三年六月八日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月四日
    辞任         補欠選任
     山添  拓君     市田 忠義君
 六月七日
    辞任         補欠選任
     岡田 直樹君     宮島 喜文君
     小沼  巧君     吉川 沙織君
     市田 忠義君     山添  拓君
 六月八日
    辞任         補欠選任
     宮島 喜文君     清水 真人君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         森屋  宏君
    理 事
                酒井 庸行君
                徳茂 雅之君
                木戸口英司君
                平木 大作君
                矢田わか子君
    委 員
                大家 敏志君
                古賀友一郎君
                清水 真人君
                高野光二郎君
                宮島 喜文君
                山田 太郎君
                山谷えり子君
                和田 政宗君
                塩村あやか君
                杉尾 秀哉君
                吉川 沙織君
                石川 博崇君
                柴田  巧君
                高木かおり君
                田村 智子君
                山添  拓君
   国務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(男女共
       同参画))    丸川 珠代君
       国務大臣     小此木八郎君
   副大臣
       内閣府副大臣   赤澤 亮正君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        和田 義明君
       防衛大臣政務官  松川 るい君
   事務局側
       議事部長     金子 真実君
       常任委員会専門
       員        宮崎 一徳君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       松田 浩樹君
       内閣官房内閣審
       議官       木村  聡君
       内閣官房領土・
       主権対策企画調
       整室土地調査検
       討室長      中尾  睦君
       警察庁警備局長  大石 吉彦君
       外務省大臣官房
       参事官      石月 英雄君
       林野庁森林整備
       部長       小坂善太郎君
       国土交通省不動
       産・建設経済局
       次長       吉田  誠君
       海上保安庁総務
       部長       宮澤 康一君
       防衛省大臣官房
       政策立案総括審
       議官       川嶋 貴樹君
       防衛省防衛政策
       局次長      大和 太郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
〇重要施設周辺及び国境離島等における土地等の
 利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○内閣の重要政策及び警察等に関する調査
 (政治分野における男女共同参画の推進に関す
 る法律の一部を改正する法律案に関する件)
    ─────────────

#2
○委員長(森屋宏君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動につきまして御報告いたします。
 昨日までに、岡田直樹君及び小沼巧君が委員を辞任され、その補欠として宮島喜文君及び吉川沙織さんが選任をされました。
    ─────────────

#3
○委員長(森屋宏君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官松田浩樹君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(森屋宏君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ─────────────

#5
○委員長(森屋宏君) 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小此木国務大臣。

#6
○国務大臣(小此木八郎君) おはようございます。
 ただいま議題となりました重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案につきまして、趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、近年、我が国を取り巻く安全保障をめぐる環境が不確実性を増している状況に鑑み、我が国の安全保障等に寄与することを目的として、防衛関係施設、海上保安庁の施設等の周辺並びに国境離島及びその周辺の有人離島の区域内にある土地等の利用状況を調査するとともに、当該土地等がこれらの機能を阻害する行為の用に供されることを防止するための措置について定めるものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
 第一に、政府は、重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本的な方針を定めることとしております。
 第二に、内閣総理大臣は、重要施設の敷地の周囲おおむね一千メートルの区域内及び国境離島等の区域内の区域で、その区域内にある土地等が当該重要施設又は当該国境離島等の機能を阻害する行為の用に供されることを特に防止する必要があるものを、注視区域として指定することができることとし、注視区域内にある土地等の利用の状況についての調査を行うこととしております。
 第三に、内閣総理大臣は、注視区域内にある土地等の利用者が当該土地等を重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為の用に供し、又は供する明らかなおそれがあると認めるときに、当該利用者に対し、当該土地等を当該行為の用に供しないこと等を勧告するとともに、正当な理由がなくその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該措置をとるべきことを命令することができることとしております。
 第四に、内閣総理大臣は、注視区域に係る重要施設又は国境離島等について、その機能が特に重要であり、又はその機能を阻害することが容易であって、他の重要施設又は国境離島等による代替が困難である場合には、当該注視区域を、特別注視区域として指定することができることとし、特別注視区域内にある一定面積以上の土地等について、所有権等の移転等をする契約を締結する場合には、原則として、その当事者があらかじめ内閣総理大臣に届け出なければならないこととしております。
 第五に、内閣府に、土地等利用状況審議会を設置することとしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年三月を超えない範囲内で政令で定める日としております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。
 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願い申し上げます。
 よろしくお願い申し上げます。

#7
○委員長(森屋宏君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#8
○高野光二郎君 おはようございます。高知県・徳島県選出の自由民主党の高野光二郎でございます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、平成十九年、長崎県対馬市で、海上自衛隊対馬防衛隊の周辺土地を、同隊の隣接地約三千坪が島民名義、日本人の島民名義で韓国資本に買収をされています。同隊の主な任務は、対馬近海、対馬海峡を航行する艦船の監視を行っていたり、国防上の領土保持を始め、航海や漁業等の安全を確保するため、極めて重要な責務を担っていただいております。
 同じく、北海道新千歳空港近く、航空自衛隊基地に近い森林を中国資本が購入をしております。千歳航空自衛隊は、日本の北端を防衛する第二航空団を配置しており、また新千歳空港の民間機も含める航空管制を自衛隊が一元的に担っております。
 我が国の領空に侵犯のおそれがある他国の侵入機に対して航空自衛隊が緊急発進で対応するスクランブル発進は、平成二十八年度から令和二年度まで五年間で九百四十一回を数えておりまして、これらも極めて重要な任務であります。
 北海道では、資産の保有などを理由に中国を中心に外国資本が購入する森林が年々増えております。現在、我が国の法律では、これらの土地や施設の取得、開発、利用の実態等を調査すらできません。本法案を成立することで、調査、把握し、不測の事態においても未然に対応することが可能となります。これは主権国家として当然であり、今までどうしてなかったのか、私はそのように考えております。反対に、この法案が仮に成立をしても、調査によりまして機能阻害行為として認められない正当な行為におきましては、政府が指定する重要土地であっても、土地や施設の取得や使用には全く制限や規制を掛けるものではありません。
 そこで、小此木八郎大臣にお伺いします。
 本法案の立法事実、社会的、経済的、科学的事実は何か、安全保障上のリスクが高まっている現状において本法案の重要性は強く認識するところでありますが、国民に分かりやすく丁寧に御説明をいただきたいと思います。

#9
○国務大臣(小此木八郎君) ありがとうございます。
 今、高野委員がお話しされましたこの国を取り巻く安全保障上の懸念、あるいはそれをめぐる環境の厳しさが増しております。安全保障上重要な土地を使用した防衛関係施設や国境離島等の機能を阻害する行為が行われるリスクは高まってきているものと認識しています。この課題については国会や地方議会でも議論されてきましたほか、全国各地の地方公共団体からも安全保障の観点から土地の管理を求める意見書が提出されておりまして、国の政策対応に対する社会的な要請は高まってきていると、これも認識しております。
 近年、諸外国では、軍事基地周辺の土地取得の事前審査や取引中止命令など、土地の管理に関する法制度が強化されています。こうした状況を踏まえて、政府は今般、我が国において初めて安全保障の観点から土地等を管理する制度を導入するものとして本法案を取りまとめました。
 安全保障上のリスクがある土地等の利用状況を調査した上で、必要に応じて防衛関係施設等の機能を阻害する土地等の利用を規制することを柱とするこの法律は、我が国の安全保障をめぐる内外情勢の中で必要不可欠なものであると認識しており、早期の成立をお願いしたいと提出をいたした次第でございます。

#10
○高野光二郎君 大臣、丁寧な御説明ありがとうございました。必要だと思います。
 内閣官房にお伺いをします。
 本法案の目的では、重要施設等及び国境離島等の機能を阻害する土地等の利用の防止としています。改めて、対象の施設や土地はどのようなものがどれくらいあるのか、お伺いします。
 その上で、国民はもとより諸外国に対しても、規制対象となる施設や住所等を明確にして、阻害行為の抑止のためにも意識啓発、注意喚起すべきだと考えております。
 本法案は、外国人、外国資本による重要土地、施設の買収、所有による不適切な取組のみがピックアップされているように私は感じておりますが、日本人や国内法人も同様であります。安全保障に係る重要施設や土地の機能阻害行為に対しての調査や罰則を、土地の所有者や利用者が仮に法律に違反を該当したとしましても、罰則に至る前の勧告において、知りませんでしたとか、日本語分かりませんでは話にもなりません。
 本法案における重要土地の指定の告知等は、指定解除も含めて官報に掲載されるとお伺いしています。しかし、土地の指定や、及び指定解除への更新等の即応性も必要でありまして、官報に載せるだけでは注意喚起や抑止を図るためには不十分でありまして、誰に何をどのように伝えるかを、徹底した意識や情報発信の充実が必要であります。もちろん、日本語だけではなくて外国語、ロシア語、韓国語、中国語、こういったもので注意喚起をすべきであると考えますが、いかがでしょうか。

#11
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 まず、本法案の対象となります重要施設及び国境離島等の御説明でございます。
 重要施設の周辺や国境離島等については、法律の要件や基本方針の内容に照らして、個々の区域を評価させていただきます。そして、新たに設置する土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、指定の要否、範囲等をそれぞれ判断していくこととしております。したがいまして、現時点におきまして本法案の対象区域は決定していないところでございますけれども、その前提で、本法案の検討に当たり対象区域として想定した重要施設の周辺、国境離島等の考え方をお答えいたします。
 まず、防衛関係施設に関しては、機能を阻害される用に供されることを特に防止する必要があるとの要件に該当し得る部隊等の活動拠点となる施設、部隊等の機能支援を行う施設、装備品の研究開発等を行う施設、我が国の防衛に直接関連する研究を行う施設といった合計約四百数十の施設の周辺が注視区域として指定の検討対象になり得るものと考えております。
 また、機能が特に重要なもの又は阻害することが容易であるものであって、他の重要施設による機能の代替が困難であるものとの要件に該当し得る指揮中枢機能及び司令部機能を有する施設、警戒監視、情報機能を有する施設、防空機能を有する施設、離島に所在する施設といった約百数十の施設の周辺が特別注視区域として指定の検討対象になるものと考えております。
 なお、防衛関係施設のうち在日米軍施設・区域については、自衛隊施設の周辺区域の指定の考え方等を踏まえ、管理者である米軍との間で詳細を確認した上で区域指定を検討する必要があるものと考えております。
 海上保安庁の施設は合計百七十四施設でございます。このうち、法律に規定する重要施設としては、領海等の保全の機能を担う施設に限定する方針でございます。当面は、尖閣諸島周辺海域における領海警備を担当する第十一管区海上保安部及び石垣海上保安部の二施設の周辺を対象区域として指定する必要性、緊急性が高いと考えております。
 生活関連施設につきましては、対象とする類型を政令で定める仕組みでございます。政令制定に当たっては、その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるものについて、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で判断してまいります。現時点では、原子力関係施設及び自衛隊が共用する空港の二類型を政令指定することを検討しております。政令指定の段階において、区域指定の対象となり得る施設の周辺の取扱いを個別に精査する予定でございます。
 次に、国境離島等につきましては、領海基線を有する離島のうち、我が国が現に保全管理を行っている国境離島、合計四百八十四島に加え、有人国境離島法に基づく有人国境離島地域を構成する離島である有人国境離島地域離島、合計百四十八島がございます。これらの国境離島等の中から区域指定を個別に検討してまいることとなります。
 いずれにいたしましても、具体的な区域の指定については、先ほど申し上げましたとおり、法定する手続に沿って適切に進めてまいりたいと考えております。
 その上で、委員から、区域指定、区域解除などにおいての情報発信について御質問がございました。本法案に基づく各種措置の周知広報は重要な課題であるというふうに認識いたしております。委員御指摘のとおり、本法案に基づく官報公示だけでは必ずしも十分ではないと考えております。このため、政府のホームページ等を活用する、あるいは地方公共団体、関係する業界団体等の御協力をいただきながら、本法案の趣旨、考え方、対象区域の範囲、土地等の利用者等に求められる手続等について広く国民や事業者の皆様に対し分かりやすい周知広報を徹底してまいりたいと考えております。
 本法案に基づく措置が安全保障の観点から行われることを踏まえ、周知広報活動の中では、外国人、外国法人も視野に入れた情報発信の多言語化についても併せて検討してまいりたいと考えております。

#12
○高野光二郎君 ありがとうございます。
 自衛隊施設と国境離島のリスト公開について質問いたします。
 現在、注視・特別注視区域の候補リストが作成されていると思いますが、自衛隊など防衛施設関連や国境離島四百八十四島の一覧については公表を差し控えるという旨の衆議院でも答弁をされています。
 改めて、なぜ防衛関連施設の候補リストや国境離島四百八十四島の公表をしないのか、内閣官房と防衛省にお伺いします。

#13
○政府参考人(川嶋貴樹君) 防衛省でございます。お答え申し上げます。
 御指摘のリストでございますけれども、当該リストは、防衛省として、周囲からの機能阻害行為を特に防止する必要があるとの評価を行い、列挙した施設が一覧性をもって把握できるものとなってございます。
 このため、このリストを公表した場合、防衛省が特に守りたい自衛隊の施設の数や配置が総体的に把握され、自衛隊の能力をより容易に推察することが可能になるものと考えてございます。また、自衛隊の各施設の役割とその重要性は安全保障環境の変化に応じ変わり得ることから、防衛省が全国で特に守りたい重要な施設の現時点での配置を示せば、我が国の防衛戦略構想の一端を示すことにもなりかねません。
 これらの安全保障上の懸念を踏まえ、現時点での自衛隊施設の注視区域及び特別注視区域の候補リストを公にすることは差し控えさせていただきたいと考えてございます。

#14
○政府参考人(中尾睦君) 国境離島につきましてお答えをさせていただきます。
 申し上げるまでもございませんけれども、我が国の領土、領海保全のために国境離島は極めて重要でございます。政府としては、それらに対する不当な法的、物的侵害への対処には万全を期したいと考えておるところでございます。その観点から、国境離島全島のリストの公開は、そうした行為を誘発する安全保障上の懸念があることから、これまでもその全体像は公表してございません。
 改めて、本法案における区域指定の対象となり得る国境離島四百八十四島を取りまとめたリストを公表することは差し控えさせていただいているところでございます。

#15
○高野光二郎君 ありがとうございます。
 その後の、まあ調査をするには、指定があって調査があって、その後のプロセスの一連に関わることでありますので、今の御説明で私は十分に理解、納得をいたしております。
 続きまして、国のその利用規制と権限についてお伺いします。
 本法案の仕組みは、国が所有者の同意、あくまでも同意があった上で土地等を買い取ることになると承知をしておりますが、これはあくまでも所有者自身の申出や合意が必要絶対条件でありまして、既に所有、購入している土地や建物等を国が差し押さえる、取り上げる権限は本法案には明記されておりません。私は安全保障上の観点から不十分だと考えております。
 内閣官房にお伺いします。
 仮に、命令に背いて土地を手放さずに罰則を受け入れられたとしても、引き続き所有はできます。開発や利用を規制することもできない。国としてその土地や建物の所有者や利用者に対し、断固、機能阻害行為を排除する命令や差押えもできません。安全保障上の観点から不十分だと考えますが、政府の見解をお伺いします。

#16
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 本法案は、重要施設等の機能を阻害する行為を防止するため、土地等の利用状況を調査した上で、必要に応じて土地の利用規制を行うものでございます。
 土地等を利用した機能阻害行為を防止する措置としては、土地等を収用するといった所有規制も考えられるところでございますけれども、そうした私権制限の程度が強い措置を設けることについても、昨年開催いたしました国土利用の実態把握等に関する有識者会議において御検討いただいたところでございます。この有識者会議の提言において、今般の制度的枠組みの実施状況、有効性等を見極めた上で、安全保障をめぐる国際情勢、諸外国の取組等も踏まえ、慎重に検討していくべきとされたところでございます。
 これをも踏まえて、本法案では、当面土地等の利用状況の調査及び利用規制を中心とする枠組みを採用したところでございます。
 なお、本法案には、附則第二条として、五年後の見直しに係る規定を置いております。その過程では、本法案に基づく措置の実施状況等を検証した上で、御指摘のあった措置の要否を含め、更なる政策対応の在り方について検討していく考えでございます。

#17
○高野光二郎君 ありがとうございます。
 機能阻害行為には、施設の特性などにより様々な行為が想定をされます。そのため、現時点で具体的かつ全てを網羅して政府が示すというのは難しいと考えます。むしろ、政令で定める基本方針によって、情報通信や科学技術や機器の開発など、時代によって新たに想定され得る機能阻害行為を、情報収集、分析を行い、順次先進的に更新していくことが私は重要だと考えています。
 内閣官房にお伺いします。
 現時点で想定している機能阻害行為とはどのような行為を想定しているのか、お伺いします。

#18
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 機能阻害行為につきましては、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な態様が想定されるため、委員御指摘のとおり、想定する行為の類型を網羅的にお示しすることは困難でございます。
 その上で、例えば、重要施設については、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置、国境離島等については、領海基線の根拠となる低潮線に影響を及ぼすおそれがあるその近傍の土地の形質変更等が該当し得るものと考えております。
 予見可能性を確保する観点から、これらの類型は閣議決定する基本方針においてできるだけ分かりやすく例示していくことを予定いたしておるところでございます。

#19
○高野光二郎君 私、市ケ谷の防衛省が対象土地、建物に入らないというのは大丈夫かなと思うんですね。例えば、二〇一五年四月に首相官邸の屋上に放射性物質を搭載したドローンが落下をして、偶然官邸にいた職員が見付けて、その後に警視庁に連絡をして対応した。やっぱり緩いんですよね。だから、これは今後要望としてしっかりと検討していただきたいというふうに思います。
 罰則についてお伺いします。
 本法案では、注視区域内にある土地等の利用者に対する命令違反の場合、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金、若しくは両方のペナルティーを科すとしています。
 諸外国ではどうか。米国は、命令無視の場合、二十五万ドル、日本円で約二千七百万円の罰金を設けています。オーストラリアは、命令無視の場合、懲役十年かつ、又は二億八千万円の罰金を科すようになっております。
 本法案の罰則は重いと指摘をする方々もいらっしゃいますが、そもそも土地や建物を取得や維持する金額はもっと多いはずです。また、諸外国の実態を踏まえる罰則を考えると、軽過ぎるのではないかと私は思います。
 そこで、お伺いします。本法案の目的に十分に成果が上がらない可能性も考えられますが、罰則の金額と懲役刑の設定根拠と妥当性について政府にお伺いします。

#20
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 委員お触れになりました諸外国とは法体系や安全保障をめぐる環境が異なることから、罰則の程度について一概に比較、評価することは難しいのではないかというふうに考えておるところでございます。
 その上で、本法案で定める罰則は、本法案に基づく措置と類似する措置が講じられている国土利用計画法、国土調査法等といった我が国の法令の前例を踏まえ、違反との見合いで適切な法定刑を定めたものと考えておるところでございます。

#21
○高野光二郎君 今回の法律は対象がその土地や建物の半径一キロ平方メートル以内ということでございまして、その根拠についてお伺いします。
 五月二十七日の参議院外交防衛委員会において、注視区域の規制範囲の施設周辺のおおむね一キロ平方メートルにした理由について、銃器の有効射程距離なども参考にしていると政府参考人が答弁しています。また、政府においては、有識者会議において、過度な負担防止の観点から、施設から一定の距離で範囲を設定したともお伺いをしています。
 今回、規制範囲を一キロメートルで設定した基準、理由をお伺いをします。あわせて、今回の、一キロ平方メートルで基準範囲を設定されておりますが、施設の特性や施設の周辺、地理状況も踏まえて今後の施行状況を分析し、状況によっては柔軟な見直しを行っていくべきだと考えますが、政府の見解をお伺いします。
 スナイパーライフルは、二〇一七年にカナダ人スナイパーが三千五百四十メートル成功、狙撃しているんですね。更に言えば、フィンランド人も二・五キロメートルを三秒で撃ち抜いて、三人そこで致命傷を負わせて射殺をしているんですね。ドローンなんかもかなり進化していて、そのプログラミングはもう小学生ができる、そういったレベルでございます。一キロメートルでは、私、少ない、狭い。いかがでしょうか。

#22
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 まず、先ほど触れさせていただきました有識者会議の提言では、調査等の対象となる防衛関係施設等の周辺の範囲について、予見可能性の確保の観点から、過度な負担防止、失礼しました、予見可能性の確保や過度な負担防止の観点から、施設からの一定の距離で範囲を設定していくことが適当であるとされたところでございます。
 これを踏まえまして、重要施設の周辺区域については、その機能を阻害する行為が相当に懸念される範囲として、その敷地からおおむね一千メートルの区域を対象とすることとしたところでございます。その範囲で対象区域を指定した上で適切な調査及び利用規制を行えば、物理的な機能阻害行為には相当程度対応することが可能であるというふうに考えております。
 なお、このおおむね一千メートルという距離を設定するに当たっては、銃器の有効射程距離等も参考としておるところでございます。
 まずは、この法案に基づく、この法案に規定する距離の範囲内で調査及び利用規制を徹底していくことが肝要ではないかというふうに考えております。その上で、附則第二条に基づく五年後見直しでは、それらの実施状況を検証した上で、御指摘のあった距離の是非も含めて、望ましい制度の在り方について検討してまいりたいと考えております。

#23
○高野光二郎君 正直、検討すべきです。アメリカは、重要な拠点施設から最大百六十キロメートルの範囲が注視区域に設定をされておりますので、十分に検討していただきたいと思います。
 済みません、問い八を最後に移させていただきまして、問い九にさせていただきたいと思います。
 自衛隊を所管する防衛省、海上保安庁を所管する国土交通省にお伺いします。
 本法案が整備されることにより、自衛隊や海上保安庁の皆さんが重要な責務を遂行する際にも私は大変有意義であると考えますが、所見をお伺いします。

#24
○政府参考人(川嶋貴樹君) 防衛省でございます。お答え申し上げます。
 防衛省におきましては、平成二十五年以来、防衛施設に隣接する土地所有の状況について計画的に把握するための調査を行ってまいりました。しかしながら、この調査は対象が防衛施設の隣接地に限られるとともに、調査の手法も、基本的に現地調査や利用状況の調査は行っておらず、不動産登記簿等の一般の方誰でも入手可能な資料のみによりまして登記名義人の氏名及び住所等を確認しており、実体上の所有者と登記記録上の所有者とが一致しないという場合もあるものと認識してございます。
 そういう防衛省がやってまいりましたこれまでの隣接地調査と比較いたしまして、本法案には、施設周辺の対象範囲の拡大、あるいは調査手法の充実、利用規制に係る措置の新設、こういった重要な内容が含まれておりまして、防衛施設の機能発揮を万全にする観点から大変意義があるものと考えてございます。
 以上でございます。

#25
○政府参考人(宮澤康一君) お答えいたします。
 本法案は、重要施設等の機能を阻害する行為を防止するために、土地等の利用状況を調査し、必要に応じて利用規制を行うものと認識しております。
 海上保安庁としましては、本法案は、我が国の領海警備の基盤である海上保安庁の施設の機能発揮を万全にするという観点から意義があるものと考えております。

#26
○高野光二郎君 ありがとうございます。
 都道府県と市町村との役割分担と連携についてお伺いします。
 安全保障上重要な土地や建物の施設の管理は、指定地域や地区の数を考慮しても、この法律が成立後、新たな設置をする内閣府の専門部署三十人だけでは足りないというふうに思っています。小此木大臣も衆議院の御答弁で、本法案に基づく措置を実施する際も、地域の住民に身近な地方公共団体の理解、協力を得ているとおっしゃっております。
 内閣官房にお伺いします。
 本法案においては、全国あらゆる箇所で区域指定を行うことも踏まえ、地域の関心や影響もあることから、地方公共団体の意見を尊重し、連携を強化すべきであると考えますが、政府の認識についてお伺いします。

#27
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 我が国の安全保障のための措置は、国が責任を持って判断し、実施すべきものと考えております。
 一方、本法案に基づく措置を実施するに当たりましては、地域住民に身近な地方公共団体の理解、協力を得ていくことは重要であるというふうに考えております。このため、本法案の対象となる区域の指定を行う前には十分な時間的余裕を持って関係する地方公共団体としっかりと意見交換を行っていく考えでございます。
 また、対象区域は全国各地に広がりますことから、地方公共団体の協力もいただき、本法案に基づく各種措置の趣旨や考え方、措置の対象となる地域の住民や事業者に求められる手続等について丁寧な周知広報活動に取り組んでいく考えでございます。
 さらに、地方公共団体や地域住民等から対象区域における土地等の利用状況に関する幅広い情報提供をいただく窓口を内閣府に設置することも検討しているところでございます。

#28
○高野光二郎君 今日は林野庁にもお越しをいただいておりますが、とにかく地方から最も多い声、危惧されているのは、やっぱり水源林が買われている、こういったお話でございます。
 森林法の第二十五条の第一項第一号に規定されている水源涵養を目的とした保安林、水源涵養保安林と承知をしております。この水源涵養保安林は国土森林面積全体の四割弱を占めておりまして、平成二十二年から毎年林野庁が調査をしていただいております。
 森林全体ではなく、法的に根拠があるが、水源涵養保安林であると指定も行いやすく、重要土地として、水、酸素、土壌、持続可能な日本を次世代につなぐことが私はこの水源林に求められているというふうに考えております。このように、重要土地だけではなくて、日本国土の四分の三を占める森林やその地下の水源を求めた外国からの買収の話もあるのも事実でございます。
 小坂森林整備部長にお伺いします。
 外国から水源林が狙われている危惧の声が多いのも事実でありますが、農林水産省として、詳細な調査に至った経緯と、調査結果をどのように受け止めて、今後どのように対応していくのか、お伺いします。

#29
○政府参考人(小坂善太郎君) お答えいたします。
 農林水産省におきましては、外国資本による森林買収について、平成二十一年頃から新聞報道等、各方面で取り上げられまして、水源林の買収が目的ではないか等の懸念があった、高まったことから、平成二十二年から調査を行っているところでございます。
 初回調査の対象とした平成十八年から直近の令和元年までの累計で、居住地が海外にある外国法人又は外国人と思われる者による森林買収の事例として二百六十四件、二千三百五ヘクタールの森林買収を把握し、公表しているところでございます。このうち、議員御指摘の水源涵養保安林につきましては、五件、九十七ヘクタールと、割合としては小さい結果となっているところでございます。
 これまで把握した事例を見てみますと、件数が多い市町村は、北海道のニセコ町、倶知安町、蘭越町といった順になっております。また、取得目的を見ますと、資産保有、別荘用地、住宅用地といった順になっており、いわゆる地下水の取得を目的とした事例の報告は受けておりません。
 一方、森林法におきましては、森林の保全を図るため、保安林や林地開発許可等の制度が措置されているところでありまして、これらの外国資本による森林買収について、取得後の動向について都道府県に確認を依頼しておりまして、その結果、無許可開発のような森林法上特に問題となるような事例の報告も受けているところではございません。
 今後とも、都道府県を通じた毎年の調査を継続し、取引の状況を注視するとともに、森林法の林地開発許可制度や保安林制度等の確実な運用を図ることにより森林の適切な保全を図ってまいりたいと考えております。

#30
○高野光二郎君 小坂さん、私ね、農林水産省はその現場の市町村とか県の実情をちゃんとよくいつも理解をして一緒に協働してくれている私は省庁だと思っているんです。皆さんのその答弁、多分、部下の方が書いたと思うんですけど、決して狭くないですよね。二千三百平米といったら新国立競技場三百個分。やっぱりそういった意識を持って今後対応していただきたいと思いますし、十八の道府県が水源地域の保全に関する条例を独自に定めて独自に規制をしているということも踏まえて、今回のこの法案がちゃんと成立をした後には、この水源地の重要性を農林水産省から是非内閣府に発信をしていくべきだというふうに私は考えておりますので、よろしくお願いします。
 続きまして、現時点で本法案の生活関連施設としての法令で定めることを検討しているのは、一、原子力関係施設、二、自衛隊が共用する空港の二類型で承知をしております。
 内閣官房にお伺いします。
 本法案で指定された土地や施設を守る法律であると承知をしていますが、国土強靱化、これ小此木大臣が担当でございますが、安全保障上特に重要な水源林を私は今後検討、入れる、検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

#31
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 水源涵養機能を有する森林については、現行の森林法において、国土の保全等を目的として、土地取得の際の事後届出、大規模な開発行為に係る許可制度等の措置が講じられているものと承知しております。
 昨年開催いたしました国土利用の実態把握等に関する有識者会議の提言においても、森林法のような既存の措置があることを踏まえ、これらの土地を対象とすることについては慎重に検討していくべきとされ、また、防衛関係施設の周辺や国境離島の土地はまず最優先で制度的枠組みの対象とすべきとされたところでございます。
 これを踏まえまして、本法案では、防衛関係施設等の重要施設の周辺や国境離島等に所在する森林を除き、森林そのものについては調査や利用規制の対象とはしないところとしたところでございます。
 一方、委員御指摘のように、広い意味での安全保障の観点から、水源地としての森林を本法案の対象にすべきではないかとの御意見があることは承知をいたしております。本法案附則第二条には五年後の見直し規定を置いております。その見直しの過程では、本法案に関連する他法令の執行状況、安全保障をめぐる内外情勢等を勘案しつつ、水源地としての森林の取扱いを含め、更なる政策対応の在り方を検討していく考えでございます。

#32
○高野光二郎君 最後に小此木大臣にお伺いします。
 本法案は、注視区域、特別注視区域もそうでございますが、まず、一、指定、そして調査、そして公簿収集、そして報告徴収等、ここで虚偽だったりだとか資料提出を拒否すれば罰金三十万円です。そして、それに従わなければ勧告をします。そして、命令をします。
 さらに、衆議院の附帯決議では、指定については、当該区域に属する地方公共団体の意見を聴取する旨を基本方針に定めることと衆議院の附帯決議で決議をされています。また、同様に、指定後、国会に速やかに報告することと附帯決議にあります。
 私は、これらのプロセスの適正を客観的に得ることは重要だと考えますが、しかし一方で、全国で多数の指定区域が想定をされておることを踏まえ、安全保障上の想定し得る危険性の優先度や対応の即応性を考慮、六百あるわけですから、それを一個ずつ、どこからやるのも踏まえて考慮すべきであるというふうに考えています。
 危機は突発的、緊急的に発生することが多いです。防衛関連施設の候補はたくさんありますが、今後の設置予定の内閣府の三十人規模の担当部署だけでの対応は、厳格な適正は重要だが、各プロセスのスピード感も私は重要だと考えています。大臣、お考えをお伺いします。

#33
○国務大臣(小此木八郎君) 高野委員のおっしゃることは十分認識いたします。
 冒頭申し上げたように、我が国の安全保障の環境の厳しさが増している状況を鑑みれば、可能な限り、この法施行後ですけれども、早急に対象区域の指定を行った上で、スピード感を持って土地等の利用状況の調査を進めて、機能阻害行為としての土地等の利用規制を適時適切に発動できるように準備を整える必要があると考えています。
 そのためには、まず、内閣府に新設する予定の部局において必要な人員体制を整備するとともに、防衛省など重要施設を所管する省庁及びその地方支分部局との連携体制を構築するということも重要であります。
 その一方で、全国各地に広がる区域の指定やそこでの調査には相当程度の業務量が予想されることから、対象区域の指定や調査事務は、リスクの違いに応じためり張りを付けて計画的に進めることを検討してまいります。
 また、調査に当たっては、個人情報の取扱いにしっかりと留意し、例えば、一般に公開されている不動産登記簿の収集、整理など、事務の一部を民間に委託することを含め効率化を図る、そういう方策も検討いたします。
 その上で、私として、安全保障上のリスクとなる重要施設等の機能を阻害する行為を防止するという法目的を達成するためには、国民の皆様から、本法案によって導入する新たな制度への信頼、これいただくことも重要であると考えています。このため、本法案に基づく措置の実施状況の概要について毎年国会を含めて広く国民の皆さんに公表するなど、制度運用の透明性の確保、この向上にも真摯に取り組んでまいります。
 以上です。

#34
○高野光二郎君 以上で終わります。ありがとうございました。

#35
○吉川沙織君 立憲民主党の吉川沙織でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本法案は、安全保障の観点から、重要施設等の周辺区域内の土地等がその重要施設等の機能阻害行為に使用されることを防止するため、区域を指定して調査や利用規制、事前届出制を実施しようとするものであります。
 本法案の趣旨と必要性について理解はいたします。ただ、法律の目的の達成のためには実効性を確保する必要性があること、これらの規制が私権制限を伴う以上、規制対象を明示し、内容を最小限にとどめる必要があるということは言うまでもありません。
 しかしながら、本法案においては、土地等の利用規制の実効性が乏しい上、衆議院段階の審議において政府答弁は法的安定性を欠き、条文には法で規定すべき内容がほとんど書き込まれていません。法律による行政の原理がないがしろにされている条文となっているため、本法案の背景や全体的な立て付けを確認した後、それぞれの条文の問題点をただしていくことといたします。
 本法案は、内閣自らが定めた内閣提出法律案の国会提出期限に間に合わなかった今通常国会唯一の国会提出遅延法案でございます。
 内閣提出法律案には予算関連法案と非予算関連法案とがありますが、まず、予算関連法案の国会提出期限はいつであったのかを内閣官房に伺います。

#36
○政府参考人(松田浩樹君) お尋ねの今国会におきます予算関連法案につきましては、本年一月の閣議におきまして、政府として閣議決定の期限を二月九日としておったところでございます。

#37
○吉川沙織君 閣議で決めたのは一月十五日で、その日に議院運営委員会理事会も開会をされて、私も議運の理事会で一月十五日の日に予算関連法案の締切りは二月九日と内閣から聴取をいたしました。
 では次に、非予算関連法案の国会提出期限はいつであったのかを内閣官房に伺います。

#38
○政府参考人(松田浩樹君) 非予算関連法案の閣議決定の期限は三月九日でございます。

#39
○吉川沙織君 一月十五日の議院運営委員会理事会において、この法案については非予算関連法案であると聴取をいたしました。
 今、内閣官房から非予算関連法案の国会提出期限は三月九日と答弁があり、これは内閣自らが定められた期限でございます。
 では、実際にこの法案が国会に提出された日付について参議院事務局に伺います。

#40
○参事(金子真実君) 三月二十六日でございます。

#41
○吉川沙織君 この国会、六十本以上の法案が提出されておりますけれども、唯一、内閣自らが決められた期限に提出が間に合わなかった法案でございます。
 事実、三月九日の議院運営委員会理事会において、本法案のみ国会提出が遅れる旨、内閣から私自身も報告を受けました。
 本年一月十五日の議院運営委員会理事会において内閣から国会提出予定として説明された法案のうち、唯一遅れたのがこの法案。では、なぜ、この法案、国会提出が遅れたのか、大臣にお伺いいたします。

#42
○国務大臣(小此木八郎君) 与党において様々な議論がされてきたものと承知しています。
 もう少し突っ込んで申し上げれば、この国の安全保障に関する厳しさが増してきたということを申し上げてまいりました。それを調査するということが一つの大きな目的でありますけれども、その調査する中で、先ほど委員がおっしゃいましたように、国民の生活の私権の制限に関わることもあり得るということの議論がされてきたと承知しています。
 熱心かつ丁寧に議論をいただいたところだと思いまして、三月二十六日の提出になってしまい、提出期限を過ぎてしまいましたことは国会に対して大変に御迷惑をお掛けしたと思っております。

#43
○吉川沙織君 大臣から今、遅れた理由答弁いただきましたけれども、内閣提出法律案が国会に提出される前に、どの閣法においても与党審査がなされるのはすべからく当然のことであって、そこで私権制限や安全保障のバランス、その期限までに与党内で協議して、期限に間に合うように出すのが本来の閣法提出の在り方ではなかったのではないかと思います。
 一月十八日に召集された今国会の会期末は、来週六月十六日です。与党内でも意見の隔たりがあり、協議が難航したために国会提出期限に間に合わず、今国会唯一の提出遅延となるほど課題が多い法案の審議入りについては、会期末が来週と迫る中、十分な審議期間の確保の観点からも問題です。
 まず、事実関係として、参議院事務局にこの法案が審議入りした日付について伺います。

#44
○参事(金子真実君) 六月四日に参議院本会議において本法律案の趣旨説明聴取及び質疑が行われております。

#45
○吉川沙織君 今、参議院事務局から答弁ございましたとおり、審議入りは六月四日です。六月十六日が会期末でございますので、二週間を切っている中であり、その審議入りは議院運営委員会で多数をもって採決で決められたものです。
 後議の院、先議は大体衆議の場合が多いです。後議の院であることが多い本院は衆議院に対して、十分な審議期間の確保について、歴代参議院議長が衆議院に申し入れたり、参議院改革協議会でも議論されたりしてきました。
 その内容について参議院事務局に伺います。

#46
○参事(金子真実君) お答えいたします。
 参議院の審議期間の確保につきまして、昭和四十八年三月十九日及び昭和四十九年五月十日、各会派代表者懇談会での論議を踏まえ、議長が衆議院に対し、二十日間の参議院の審議期間の確保についての配慮方を口頭で申し入れております。
 また、昭和五十七年二月二十四日の参議院改革協議会の答申において、「審議を充分尽くすため、重要議案の参議院における審議期間は、原則として最低二十日間を確保する。」とされております。
 また、平成八年十二月十六日の参議院制度改革検討会の答申において、「充実した審査及び調査を行うには、審議時間を十分に確保すべきである。特に重要議案については、これまでも二十日間の審議日数の確保を衆議院に申し入れてきたところであるが、改めて衆議院にこの旨の確認を求める必要がある。」とされております。
 以上でございます。

#47
○吉川沙織君 本院は参議院でございます。衆議院が優越する事項も多うございますが、中でも二院制を取っている我が国において、参議院で熟議の府、良識の府として、様々な課題や問題点があるのであれば、まず充実した審議期間がなくてはそれはかないません。
 今、参議院議事部長の答弁の中で、特に重要議案という、こういう言葉がありました。現在、衆議院で使用されております重要広範議案という概念は平成十一年以降のものですので、今参議院事務局から答弁があった当時にはなかった概念です。
 本法案は、規制が私権制限を伴うこと、その規制対象が条文に明示されていないことなど、問題や課題が多く、充実した審議期間の確保は必須であり、特に重要な議案であると言って過言ではないと思います。本法案の提出は残念ながら遅延し、会期末は来週に迫る中、内閣委員会としては今日が初めての審議であり、十分な期間、会期延長していただければいいですけれども、もしなければ極めて厳しいと指摘せざるを得ません。
 そこで、今度は、本法案が十分なプロセスを経て提出されているかどうか、事実から確認をしてみたいと思います。
 衆議院でこの法案が審議入りしたのは五月十一日の衆議院本会議です。大臣はこう答弁されています。申し上げます。「骨太方針二〇二〇において、安全保障等の観点から、関係府省による情報収集など土地所有の状況把握に努め、土地利用、管理等の在り方について検討し、所要の措置を講ずる方針を閣議決定しました。」と答弁されています。
 骨太方針二〇二〇を閣議決定した日付について、大臣にお伺いいたします。

#48
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 骨太方針の二〇二〇でございますが、これを閣議決定させていただきましたのは令和二年七月十七日でございます。
 以上でございます。

#49
○吉川沙織君 骨太方針二〇二〇を受け設置されたのが、国土利用の実態把握等に関する有識者会議と承知しております。
 では、この有識者会議が設置されたのはいつですか、教えてください。

#50
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘ございました国土利用の実態把握等に関する有識者会議でございますが、これを小此木領土問題担当大臣の下に令和二年十月二十九日に設置させていただいたところでございます。
 以上でございます。

#51
○吉川沙織君 骨太方針二〇二〇が閣議決定されたのは昨年七月十七日、本法案のベースとなった有識者会議は昨年十月二十九日、つまり、前政権から現政権になってしばらくして有識者会議が設置されたということだと思います。
 大臣は、五月十一日の衆議院本会議において、こうも答弁されています。申し上げます。「本法案のベースとなった有識者会議の提言は、こうした幅広い議論を経て取りまとめていただいたものです。」と。
 では、こうした幅広い議論がどの程度、どの回数行われたのか。有識者会議の開催日についてお伺いいたします。

#52
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘ございました国土利用の実態把握等に関する有識者会議の開催日でございますが、第一回が令和二年十一月九日、第二回が同年十一月二十五日、第三回が同年十二月二十二日でございます。
 なお、本有識者会議の提言につきましては、十二月二十四日に取りまとめられまして、座長から小此木大臣に手交していただいたところでございます。
 以上でございます。

#53
○吉川沙織君 普通、他府省庁で様々な法案が出されるときに、いろんな大臣が諮問する会議とか基礎となる何とか審議会っていっぱいありますけど、一年とか、長けりゃ二年ぐらい掛けて充実した審議、その下にワーキンググループを置いたりして、それでそこから答申が出て、法案の基礎が作られます。
 これ三回しかやっていない、それで合っていますか。

#54
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 開催させていただきましたのは先ほど御答弁させていただいた三回でございますけれども、いずれの回も大変委員の先生方からは精力的な御議論をいただいたところと、このように承知してございます。
 以上でございます。

#55
○吉川沙織君 三回しかやっていなくて、その三回の会議の中で委員の先生方からは精力的な御議論と答弁ございましたけれども、開催時間見たら、全部一時間半若しくは一時間。挙げ句の果てに、後で直しておいていただきたいんですけど、三回目の議事要旨、開催時刻のところ、記載ミスがございます。直しておいてください。
 たった三回の開催に終始し、第二回の議事要旨二ページには、内閣府副大臣がこうおっしゃっています。「委員の皆様のご議論を踏まえ、更に検討を進めていきたい。」と挨拶されているんですけど、第三回目が行われた翌々日には、さっき答弁ありましたけど、提言が公表されています。
 大臣の本会議、衆議院本会議の答弁で本法案のベースとなったとされている本提言に関してパブリックコメントやったんでしょうか。

#56
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘ございました本法案の閣議決定に先立つパブリックコメントの取扱いでございますが、これは行っていないところでございます。
 なお、行政手続法の規定上も、法律案そのもの自体はパブリックコメントの対象にはなっていないと、このように承知してございます。
 以上でございます。

#57
○吉川沙織君 提言に関してはとお伺いしましたので、質問に対してお答えいただければと思います。
 では、国会提出前に有識者会議は三回、パブリックコメントは実施されていない。では、この法案、仮に成立した場合、この規制は不動産取引について影響があります。衆議院段階の答弁で、不動産取引に与える影響について可能性は低いとか小さいとかとの答弁がなされていますが、注視区域、特別注視区域に指定されれば、これは重要事項説明の対象となり、地価に影響が出ることは必至です。
 本法案の国会提出前に不動産関係者との意見交換は行われましたでしょうか。

#58
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 昨年開催いたしました有識者会議におきましては、不動産取引を含め、正常な経済活動に極力影響を与えない制度の在り方という観点からも御議論いただいたところでございます。そして、国民の権利との関係に十分留意しつつ、新しい立法措置による実効的な枠組みを整備することについて御提言をいただいたということでございます。
 お尋ねございました不動産関係の業界団体との意見交換についてでございますが、有識者会議におきまして、土地、不動産関係にお詳しい委員からも御意見を伺っていたこと、あと、中身に入りますけれども、取引そのもの自体を規制するという制度を盛り込んでおりませんで、既存制度との比較からいたしましても不動産取引等に大きな影響を与えることは想定されなかったこと、そういった理由から、基本的な仕組みが固まった閣議決定後に意見聴取をさせていただいたところでございます。
 具体的には、四月以降でございますけれども、不動産取引の実務を担っておられる方々が加入される複数の不動産関係団体、不動産関係の業界団体と意見交換を行わせていただきましたが、その際、特に制度に対する懸念等は示されなかったということでございます。
 今後とも、本法案の円滑な施行に向けまして、業界団体とは引き続き意見交換、連携を行ってまいりたいと、このように考えてございます。
 以上でございます。

#59
○吉川沙織君 私、伺いましたのは、本法案の提出前に不動産関係団体と意見交換を行ったかどうかだけです。今答弁あったのは、有識者会議の委員の中にその分野に詳しい人がいたからとか、そういったことしか答えていないんです。
 法案提出前に伺ったかどうかを聞いています。それだけ答えてください。

#60
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 意見交換をさせていただいたのが四月以降でございますので、法案提出前にはやらせていただいておりません。

#61
○吉川沙織君 それだけ答えていただけると有り難かったんです。
 なぜこの問いを立てたかといいますと、五月二十八日の衆議院内閣委員会で大臣がこう答弁されているんです。「法案の枠組みが固まった四月以降、複数の不動産関係の業界団体とも意見交換を行ったところ、制度に対する懸念等は示されておりません。」と。重ねて質疑者から、有識者会議段階では不動産関係者から聞いていないんですかと問われて、大臣は、「そのとおりでございます。」、そうですとおっしゃっています。
 国会に法案を提出する前、関係する団体や地方公共団体の声も聞くのは当然のことです。本法案による規制が不動産取引に影響するとの答弁、小さいとか、たとえ低いとかであったとしても、固定資産税等、地方税収にも影響する可能性は否定できません。
 それでは伺います。今回は聞いたことだけにお答えいただけると有り難いです。本法案の国会提出前に広く地方公共団体から意見聴取を実施されましたでしょうか。

#62
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘ございました地方公共団体との意見聴取でございますが、これは法案の検討段階で意見交換をさせていただいているところでございます。
 以上でございます。

#63
○吉川沙織君 どういった地方公共団体と意見交換を行われましたか。

#64
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 防衛関係施設が所在いたします地方公共団体などと意見交換を行わせていただいたところでございます。
 以上でございます。

#65
○吉川沙織君 これもなぜお伺いしたかといいますと、五月十一日の衆議院本会議の大臣、それから五月二十八日、衆議院内閣委員会の大臣が、有識者会議での議論に加え、防衛関係施設が所在する地方公共団体と意見交換を行ったと答弁されているんです。
 でも、この本法案は、防衛関係施設のみならず、生活関連施設の中で、既に明確に答弁されている原子力関係施設でありますとか自衛隊と共用する民間空港は明確に例示されています。その辺とは意見交換を行っていないということでよろしいでしょうか。

#66
○政府参考人(木村聡君) 御指摘ございました生活関連施設のうち、原子力関係施設でございますが、それに関連する地方公共団体との意見交換はこれまで行っておらないところでございます。
 以上でございます。

#67
○吉川沙織君 ちょっと聞き取れなかったです。行ったんですか、行ってないんですか。(発言する者あり)

#68
○委員長(森屋宏君) もう一回。木村内閣審議官。

#69
○政府参考人(木村聡君) 大変失礼いたしました。
 原子力関係施設の関連する関係地方公共団体とは意見交換を行っていないということでございます。
 以上でございます。

#70
○吉川沙織君 今まで概観させていただきましたとおり、本法案の提出過程においては、法案の骨格を検討する有識者会議は僅か三回の実施にすぎず、パブリックコメント、規制の影響を受ける可能性のある関係者からの意見聴取は実施されていないか、全くもって十分ではない。安全保障と私権制限のバランスを取るセンシティブな法律の立案に当たって、十分な議論が尽くされて国会にこの法案が提出されたのかという点について疑義がございます。
 このような問題意識を前提として、以下、法案の内容について、その実効性が本当にこれで上がるのかどうか、行政監視の観点から質問いたします。
 まず、法律全体の立て付けで気になるところについてお伺いします。
 これまで私は、細目的事項を具体的に法律の中に定めずに実施命令の根拠規定を法律に設けようとする包括委任規定について、国会質疑や質問主意書などにおいて、束ね法案と併せて五年半前から繰り返し取り上げてまいりました。繰り返し私がこの立法府の場で取り上げて指摘しているのは、包括委任規定は、立法府の審議権を空洞化させるだけでなく、法律による行政の原理を、原理の意義を埋没させかねず、何より実質的に国民の権利を制限し、又は義務を課する懸念があるからです。
 本法案の第二十四条は何と書いてあるかといいますと、「この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、内閣府令で定める。」と規定されていますが、ここに細目的事項は何ら具体的に示されることなく内閣府令に丸投げするものであって、まさに典型的な包括委任規定です。なぜ本法案にこのような包括委任規定を盛り込んだのか、その理由を大臣にお伺いいたします。

#71
○国務大臣(小此木八郎君) 第二十四条ですが、この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は内閣府令で定めることを規定しています。
 この規定は、国民の権利利益の制限等を直接の内容としない手続的な事項を定めるに当たり、その根拠を明確にするとともに、その法形式を明らかにするために置いたものであります。

#72
○吉川沙織君 手続を定めるというのであれば具体例を書くべきだと思います。それはそうかもしれませんし、現時点で具体的でないということであったとしたら、そもそも法律として全体の立て付けが不明確ということになります。委任規定があるにもかかわらず詳細が決まっていないとすれば、それは危惧されますし、この場で明らかにすべきだと思います。
 今、二十四条を読み上げていただきましたけど、例えば同じように内閣府令の委任を置いている法律の一つとして信託業法がございます。この八十九条は、「この法律に定めるもののほか、この法律の規定による免許、登録、認可、承認及び指定に関する申請の手続、書類の提出の手続、記載事項及び保存期間その他この法律を実施するため必要な事項は、内閣府令で定める。」と、内閣府令で定めるべき事項を具体的に書いてあります。
 実施命令の定立には個別法による授権は必要ないとされていても、実際にはどのような事項が実施命令で定められるのか、具体的にこれまでは明示されてきました。これは法律による行政の原理の趣旨に鑑みても適当でありますし、我が国の法案は圧倒的多数が内閣提出法律案が占める中で維持されてきた私は行政府側の矜持だと思っています。
 法第二十四条には、「この法律の実施のため必要な事項」と書かれていますが、伺います、内閣官房。現時点で政府が想定している必要な事項とは何か、立法府の審議の場である程度明らかにしておく必要があると考えるため、具体的に明らかにしてください。

#73
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘ございました第二十四条の必要な事項でございますけれども、現時点におきまして、この規定に基づき、この法律の実施のために必要な事項として法執行上の手続的な事項を、具体的にこういうことを定めるということを内閣府令で定めるということは想定していないということでございます。
 以上でございます。

#74
○吉川沙織君 今、まさか想定していないという答弁が返ってくると思っていなくて、ちょっと私、立法府側の立場の者として非常につらいです。想定していないのであれば、これはまさに立法府権の侵害そのもので白紙委任も甚だしいです。立法の在り方としてそもそも問題があると言わざるを得ません。
 本法案には政令に委任する条項も少なからず見受けられますが、その政令の中に詳細を内閣府令で定めることとする条項を設けることは想定されているかどうか、内閣官房にお伺いいたします。

#75
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 お尋ねございました本法律案に盛り込んでございます政令、この中で内閣府令に再委任ということについてのお尋ねでございます。
 現時点での検討状況についてお答え申し上げますと、現時点におきまして、政令において内閣府令に再委任をするということを想定している具体的な事項はございません。今後の検討の中で、他の府省令を引用する必要がある場合など、技術的な必要性等に応じまして規定の一部を府省令に委任することはあり得るということでございますが、現時点では具体的には想定しないということでございます。
 以上でございます。

#76
○吉川沙織君 再委任、政令の中で改めて内閣府令にということは将来的にあり得るということでございました。
 では、この命令については、行政手続法、その第六章においてこの命令等に係るパブリックコメントについて定めています。行政機関が命令等を制定するに当たっては、事前に命令等の案を示し、その案について広く国民から意見や情報を募集しなければならないとされています。
 本法案の第二十四条に言う内閣府令及び本法案に基づき定められる政令において委任される内閣府令はこのパブリックコメントの実施を必要とする命令等に該当するのか、明らかにしてください。

#77
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 本法令に基づき定めます内閣府令、特に二十四条について御指摘ございましたけれども、これに、本法案に基づきます内閣府令の策定に当たりましては、その委任根拠が法律であるか政令であるかを問うことなく、行政手続法の規定に基づきまして必要なパブリックコメントの手続をさせていただきたい、このように考えているところでございます。
 以上でございます。

#78
○吉川沙織君 じゃ、例えば行政手続法第二条第八号が命令等の定義をし、同号イで「法律に基づく命令又は規則」としていることもあって、今の答弁踏まえますと、法案の第二十四条の内閣府令はこれに該当するという解釈でよろしいでしょうか。

#79
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 二十四条に基づきます内閣府令は、先ほども御答弁させていただきましたけれども、現時点において具体的に中身想定してございませんので、先生からいただきました御指摘についてこの段階ではお答えするということが困難でございますが、いずれにいたしましても、この府令を定めさせていただきますときには、行政手続法の規定に従いましてパブリックコメントをさせていただくと、このように考えているところでございます。
 以上でございます。

#80
○吉川沙織君 行政手続法第三条第二項はパブリックコメントの適用除外というのを定めています。場合によっては乗らない、このパブリックコメントの手続にすら乗らない可能性があります。
 第二十四条は、先ほどから申し上げておりますとおり、包括委任規定そのものであり、例示もなければ具体的な想定もないそうです。全く今後どうなるか想像もできません。その上、仮に行政手続法のパブリックコメントに乗らないとすれば、内閣府令の内容、今は想定がなかったとしても、今後、法が仮に成立してしまって、原案どおり、今後施行されて、内閣府令の内容に問題がある内容が制定されることになったとしても、それを国民が指摘する機会を得られないまま適用されてしまうおそれがあるということになります。
 ここで、大臣に伺います。
 本法案は、これまで申し上げたとおり、時間不足で詳細を詰め切ることができなかったからなのか、本来であれば法律で規定するべき事柄であっても、全て基本方針で定めますとされるなど、全体として法律による規律密度が低いと言わざるを得ません。このため、法律による行政の原理から逸脱することがないか、非常に懸念されます。
 政府は、実施命令は、法律を実施、施行するための細目的事項しか定めることができず、実質的に国民の権利を制限したり国民に義務を課したりするようなことはできないと説明します。しかし、法案自体がこれだけ不明瞭ですと、後になって、本来法律で定めるべき内容が定められていなかったということで、下位法令でそれを無理やり補うということになり、結果的に第二十四条の内閣府令が国民の権利を制限したり国民に義務を課したりすることにならないか危惧します。
 そのようなことはないと明言してください。大臣。

#81
○国務大臣(小此木八郎君) 言い方が重なるかもしれませんけれども、地方議会あるいは地方、あるいは私たち議員がこの十年近くの間、地元を歩いて、先ほど水源地の話等々ございましたけれども、そういう不安もこれ感じてきた、これは事実でありまして、それを法制定をしてもらいたいという議会からの、地方からの声もございました中での遅れた法案提出となりましたけれども、しっかりと政令で定めること、そしてその不安を解消するためのことについてはしっかりと前に進めてまいりたいと思います。

#82
○吉川沙織君 大臣、せっかく答弁立っていただいたんですけど、全く違うお答えでございましたので、もう残念ですが、内閣官房はちゃんと答えてください。

#83
○政府参考人(木村聡君) お答えさせていただきます。
 御指摘ございました法案の第二十四条でございますけど、こちらにつきましては、国民の権利利益の制限等を内容としない手続的な事項について内閣府令で定めることができる旨を規定するものでございます。
 この内閣府令におきまして、国民の権利を制限し又は義務を課す規定を定めることはできないものと認識しているところでございます。
 以上でございます。

#84
○吉川沙織君 私、実はこの点、平成三十年五月三十一日の参議院総務委員会で質問しておりまして、当時の内閣法制局長官ともやり取りをしています。
 ただ、ここに具体的事項が何一つ例示をされていないと、実際に私たちの目に触れるまで国民の権利を制限したり義務を課するようなものが定められるかもしれないというおそれは常に付きまとうことになりますので、このような条文の書き方はよろしくないということを申し上げて、本法案の具体的内容に入りたいと思います。
 平成二十三年、今から十年前、当時の民主党は、外国人による土地取得に関するPTを設置し、外国人や外国資本による土地買収について規制策を検討し、実際に法改正を行った経験がございます。ですので、本法案の趣旨については理解をいたします。
 ただ、先ほどから申し上げておりますとおり、私権制限を伴う以上、規制対象を明示し、その内容を最小限にとどめる必要があること、法律の目的の達成のためには実効性を確保する必要があるとの観点から質問いたします。
 今回、重要施設等の周辺区域内の土地等が、その重要施設が、機能阻害行為に使用されてしまうことを防ぐため、区域を指定して、調査、利用規制、事前届出を行うとするものですけれども、では、区域指定の前提となる重要施設の定義について伺います。

#85
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘ございました重要施設の定義についてでございますが、こちらは法案の第二条第二項で定めさせていただいているところでございます。
 三つの類型ございます。一つが防衛関係施設ということで、この中には自衛隊の施設と米軍の関係施設、これが含まれているところでございます。二つ目の類型が海上保安庁の施設でございます。三つ目が、重要関係、失礼しました、三つ目の類型が生活関連施設でございます。この生活関連施設につきましては、私ども通称重要インフラ施設と呼んでおりますけれども、その具体的な施設の類型は政令で定めるところとしておりまして、現時点では原子力関係施設及び自衛隊が共用する空港を指定することを想定させていただいているところでございます。
 以上でございます。

#86
○吉川沙織君 改めて確認をさせてください。
 本法案は、重要施設の周囲で機能阻害行為を特に防止する必要がある区域を注視区域として指定することになります。
 今答弁あったんですけれども、改めて確認させてください。重要施設のうち、防衛関係施設については、機能阻害行為を防止する必要があると考えられる施設、二つ教えてください。

#87
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 防衛関係施設に関しまして、機能を阻害される用に供されることを特に防止する必要があるという要件に該当するものということでございますけれども、私ども、四つの類型が該当するのではないかと考えてございます。
 一つ目といたしまして、部隊等の活動拠点となります施設、二つ目といたしまして、部隊等の機能支援を行います施設、三つ目といたしまして、装備品の研究開発などを行います施設、四つ目といたしまして、我が国の防衛に直接関連する研究を行う施設、これらが該当するものと考えてございます。
 なお、在日米軍の施設・区域につきましては、自衛隊施設の周辺区域の指定の考え方などを踏まえまして、その取扱いをきちんと管理者であります米軍との間で詳細を確認した上でその取扱いは決定するという必要があるものと考えているところでございます。
 以上でございます。

#88
○吉川沙織君 今お伺いしましたのは、重要施設のうち、防衛関係施設については自衛隊施設及び在日米軍施設・区域でいいということをお伺いしたかったんです。それで間違いありませんね。

#89
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおりでございます。

#90
○吉川沙織君 先ほどの答弁引きますと、五月二十一日の衆議院内閣委員会で政府参考人が答弁していることも踏まえますと、在日米軍施設については重要施設に当たり得る施設が想定されますけど、区域として指定されるかどうかは、在日米軍に確認し、土地等利用状況審議会の意見を聞いて決めるということだと思います。
 ここで、本法案の十二条についてお伺いします。
 十二条において、注視区域のうち、施設機能が特に重要なもの又は施設機能を阻害することが容易で代替が困難な特定重要施設については、その注視区域を特別注視区域として指定できることとされています。
 機能の観点から伺います。特定重要施設に該当するものとして、防衛関係施設ではどのような機能、機能別に、指揮中枢機能とかそういうのが当たると思うんですけど、それについてお答えください。

#91
○政府参考人(木村聡君) お答えさせていただきます。
 防衛関係施設に関しまして、特別注視区域の要件でございます、機能が特に重要なもの又は阻害することが容易であるものであって、他の重要施設による機能の代替が困難であるものというものの要件に該当するものでございますが、私どもの四つの類型がこれに該当するのではないかと考えているところでございます。
 一つ目といたしまして、指揮中枢機能及び司令部機能を有する施設、二つ目といたしまして、警戒監視、情報機能を有する施設、三つ目といたしまして、防空機能を有する施設、四つ目といたしまして、離島に所在する施設、こういったものが該当するのではないかと考えているところでございます。
 なお、在日米軍施設・区域の取扱いにつきましては、先ほどの注視区域と同様に改めて取扱いを検討する必要があるものと考えているところでございます。
 以上でございます。

#92
○吉川沙織君 今答弁で指揮中枢機能や防空機能とかいろいろありましたけれども、じゃ、この特別注視区域の指定が想定される、今答弁があった司令部機能、警戒監視機能等を有する自衛隊施設の具体例を地名を幾つか挙げてお答えください。衆議院の内閣委員会の理事会に提出された資料に書いてあります。幾つかお答えください。

#93
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘をいただきました指揮中枢機能又は司令部機能を有する施設の例でございますが、例えば、防衛省市ケ谷庁舎、朝霞駐屯地、横須賀基地、横田基地がこれに該当するものと考えているところでございます。
 もう一点ございました警戒監視、情報機能を有する施設でございますが、こちらにつきましては、与那国、対馬、稚内等の施設がこれに該当するものと考えているところでございます。
 以上でございます。

#94
○吉川沙織君 今、指揮中枢機能又は司令部機能を有する施設として市ケ谷等が具体的地名として挙げられました。
 では、ここで防衛省に伺います。
 例えば、防衛省の市ケ谷地区は防衛省本省のほか自衛隊の部隊が所在しますが、政府は防衛省市ケ谷地区の機能をどのように評価していますか、お伺いいたします。

#95
○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。
 まさに市ケ谷に関する御質問ということで、指揮中枢機能を有する施設、これは全国の部隊の運用に係る指揮を行う機能を有する施設ということで一つだけ、指揮中枢機能、一つだけというのは防衛省が持っている施設の中で一つだけの機能として市ケ谷を挙げてございます。

#96
○吉川沙織君 五月二十六日の衆議院内閣委員会において川嶋政府参考人は市ケ谷の機能を具体的に答弁されています。それをお答えください。

#97
○政府参考人(川嶋貴樹君) 市ケ谷につきましては、先ほど申し上げましたとおり、全国の部隊の運用に係る指揮を行う機能を持っております。また、それに加えまして、例えば情報本部等が所在しており、政策判断や部隊運用に資する情報支援を実施するため、各種事態の兆候を早期に察知し、必要な情報を収集する機能というのも併せて有していると考えてございます。
 同時に、現在、市ケ谷にはPAC3を運用する航空自衛隊第一高射隊が配置されてございまして、自衛隊の部隊のみならず、我が国の政経中枢等を防護する機能を有していることから、防空機能をも併せて有する施設であると考えてございます。

#98
○吉川沙織君 五月二十六日の衆議院内閣委員会において川嶋政府参考人は、指揮中枢機能、司令部機能、情報関係機能、防空機能をお答えになっています。
 ここを踏まえてお伺いいたします。防衛省市ケ谷地区は特定重要施設に該当し得るかどうか、お伺いいたします。し得るかどうかで結構です。

#99
○政府参考人(川嶋貴樹君) 以上申し上げたとおり、想定し得るものと考えてございます。

#100
○吉川沙織君 それでは、本法案第四条について伺います。
 注視区域、特別注視区域の指定に関し基本方針で定める事項として、区域指定に関し、「経済的社会的観点から留意すべき事項を含む。」とされています。
 大臣に伺います。
 この経済的社会的観点とは何でしょうか。改めて伺います。

#101
○国務大臣(小此木八郎君) 本法案は、安全保障と自由経済活動の両立を図ることを大前提としています。このため、注視区域又は特別注視区域の指定は、指定に伴う社会経済活動への影響を安全保障上の要請に基づく合理的かつやむを得ない範囲に限定する必要があると考えております。閣議決定する基本方針においては、そうした考えを明らかにするために、法第四条第二項第二号に規定する経済的社会的観点から留意すべき事項を示すことにいたしました。
 その具体的な内容ですが、基本方針で定める予定でありますが、現時点で、例えば、重要施設の周辺に密集市街地が形成されている場合、その区域における社会経済活動への影響、施設機能の阻害行為の兆候等の把握が困難であるかどうかといった重要施設の周辺の実情、重要施設自体の形状や周辺区域における地形、国有地の所在状況などを考慮して、区域指定の要否、区分、範囲を判断するという考え方を明らかにすることを想定しております。

#102
○吉川沙織君 そこで、内閣官房に伺います。
 今、大臣は、衆議院で、阻害行為の兆候等の把握の困難性、重要施設の周辺の実情、地形、国有地の所在状況、密集市街地の形成や分布とおっしゃいましたが、この中に、不動産取引件数の多さも経済的社会的観点に含まれるということでいいでしょうか。答弁されていますけどね。

#103
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 先ほど大臣からも御答弁させていただきましたけれども、重要施設の周辺に密集市街地が形成されている場合に、その区域における社会経済活動への影響ということでございますので、御指摘の点も含まれていると考えているところでございます。
 以上でございます。

#104
○吉川沙織君 不動産取引の件数も五月二十八日になって初めて実は答弁されているんです。
 衆議院の審議では、防衛省市ケ谷地区が本法案の特別注視区域に指定されるか否かが議論されました。
 これまでの答弁を拝聴する限り、防衛省市ケ谷地区のように指揮中枢機能を担う特に重要な防衛関係施設であっても経済的社会的観点から特別注視区域に指定されない可能性があり得るという、こういう今までのやり取りを勘案するとそうなってしまいますが、そうなんでしょうか。

#105
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 個別の区域の取扱いにつきましては法律の中で定めさせていただいています手続に従って判断をさせていただくことになりますので、事市ケ谷の取扱いについてお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思いますけど、一般論で申し上げますと、経済的社会的観点から留意すべき事項に配慮した結果として、法律上の要件、特別注視区域の要件に該当するものであっても、その評価した結果として注視区域としての指定になるということはあり得るということでございます。
 以上でございます。

#106
○吉川沙織君 じゃ、仮に特別注視区域にならないとして、注視区域には最低限、だって防衛省の本省ですよ、それすらならないということはあり得るんでしょうか。あり得るかどうかで結構です。

#107
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 重ねての答弁になって恐縮でございますが、市ケ谷の取扱いについてはちょっとお答えができないのでございますけれども、一般論で申しますと、特別注視区域の要件に該当するところが、経済的社会的観点から留意すべき事項に配慮した結果、注視区域として指定されないということも論理的にはあり得るということでございます。
 以上でございます。

#108
○吉川沙織君 五月十一日の衆議院本会議と六月四日の参議院本会議で大臣は、特別注視区域の指定では、法定するその要件に該当する区域であっても、注視区域として指定することがあり得るものと考えていますと、二回だけ、実はこの審議の中で二回だけその答弁をされています。
 ですので、特別注視区域の要件を、これまで概観してきたとおり、満たしています。でも、特別注視区域に仮に指定されず、注視区域に該当するとすれば、焦点は特別注視区域と注視区域の規制の違いだと思います。
 本法案に基づき実施される規制について、注視区域と特別注視区域でどのような違いがあるか、端的にお伺いいたします。

#109
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 注視区域に係る規制といたしましては、土地等の利用者等に対する勧告及び命令の制度が設けられてございます。
 特別注視区域につきましては、注視区域でもございますものですから、注視区域に係る規制がそのまま適用されますほか、特別注視区域固有の規制といたしまして、土地等の取引に係る事前届出制度、第十三条でございますが、これを設けさせていただいているところでございます。
 以上でございます。

#110
○吉川沙織君 今答弁ございましたとおり、注視区域と特別注視区域の規制内容の違いとしては、事前届出の義務付けの有無です。
 では、これ、特別注視区域に事前届出を義務付ける趣旨とは何でしょうか。

#111
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 特別注視区域は、一般的に安全保障上のリスクが特に高い、そういう区域だというふうに認識してございます。したがいまして、その所有、利用の実態につきましては、できるだけ随時に把握をして、もし万が一のことがございますれば、機能阻害行為に係る利用の中止等の勧告、命令をできるだけ速やかに発動させていただくと、そういう必要性が高いものと思っております。そういった観点から、取引の実態をしかるべく把握させていただく制度として事前届出制度を導入させていただいたということでございます。
 以上でございます。

#112
○吉川沙織君 まあ安全保障上のリスクの高さに鑑みて、状況を適時に把握し、機能阻害行為を事前に防止する、この目的だと思います。
 指揮中枢機能を担い、ほかのたくさんの機能も有している防衛省市ケ谷地区は、特別注視区域に仮に指定されない場合、市ケ谷地区は安全保障上のリスクが低いか、事前届出により状況を把握し、機能阻害行為を早期に防止する必要がないかと評価されていることになります。
 特定重要施設は、先ほど要件答弁いただきましたけど、ほかの重要施設による代替が困難であるものとされています。防衛省市ケ谷地区の機能はほかの施設で代替可能なんですか。

#113
○政府参考人(川嶋貴樹君) 市ケ谷の機能につきましては、まさに防衛本省が所在し、防衛大臣も、副大臣、政務官もおられます。また、大臣を補佐する内部部局や幕僚監部、統合幕僚監部等もございます。また、情報本部もございます。今々の状況ですとPAC3というものも動いてございますので、なかなかこれをほかの基地で代えるというのは困難が伴うのではないかと考えてございます。

#114
○吉川沙織君 これまで答弁のあった防衛省市ケ谷地区の役割からすると、特別注視区域の要件は、法定、十分に満たしていると思います。仮に、密集市街地だから、事業者数が多いから、不動産取引件数が多いからといった観点から注視区域の指定にとどまるとすれば、国防の中枢機能を担う施設ですら特別注視区域に入らないということになります。特別注視区域を指定してまで守りたい特定重要施設の概念が揺らぎ、法解釈の安定性を欠くことになります。
 ここで申し上げたいのは、一方で、注視区域と特別注視区域の規制の違いというのは、答弁いただきましたとおり、事前届出の有無だけです。取りあえず注視区域で十分という考えならば、事前届出の効果が問題となります。事前届出の効果や影響を検証し、特別注視区域の仕組みの必要についてまずは議論を尽くすべきではないかと思います。
 法施行五年後の見直しの検討規定まで設けているのですから、現段階では注視区域だけを内容とする法案にして、提出をし直して、施行状況を検証し、改めて特別注視区域を内容とする法改正を提案するのが、大臣が繰り返し答弁している本法案第三条に言う必要な最小限度の措置だと思います。
 ここで、防衛省か内閣官房になるか分かりませんけど、お伺いします。
 今後、本法案が仮に成立し施行されれば、特別注視区域が官報公示で個別に指定されることになりますが、衆議院内閣委員会の質疑では、区域指定に当たって一覧性ある公表にならないよう配慮する旨、答弁がなされています。
 お伺いいたします。一覧性のない公表って具体的に何なんでしょう。

#115
○政府参考人(川嶋貴樹君) お答えをいたします。
 官報に告示する際に、当然審議会でもんでいただくということもあるわけですけれども、そういうときに、ある一地方の防衛施設が、例えば北海道でも九州でもいいんですけれども、ある一地方の防衛施設がばんと一遍に出てくるとか、あるいは、ある種の機能を持っているものがばんといっときに審議され官報に告示されてくるというようなことがないように様々工夫を凝らしてまいりたいと考えておる次第でございます。

#116
○吉川沙織君 ばっと出てこないように配慮するということでしたけれど、これ余り申し上げたくないんですけど、結局、官報公示された内容を抽出して整理すれば、一覧性持ったリストって幾らでも作れます。防衛省の今の答弁は私理解し難いです。
 事前届出を怠れば刑事罰の対象となることもあり得ることを考えれば、対象区域を明示して、届出の必要性につき周知徹底すべきが私は筋だと思っています。
 機能阻害行為について、大臣は繰り返し、国民に対し予見可能性を確保することが必要である旨答弁されています。この注視区域や特別注視区域の指定に関しても、どの施設の周辺が規制対象になるのか、これこそ一覧性をもって示さなければ、国民に予見可能性あるとかないとかいう議論にならないと思うんですけど、大臣、御所見あればお願いします。なかったらいいです。

#117
○国務大臣(小此木八郎君) この問題については、法施行後しっかりと枠組みを決めて、審議会の意見を聞いた上で決めていきたいと考えておりますので、その方向で今調整をしております。

#118
○吉川沙織君 どこのエリアがその対象になるかによって、特別注視区域になれば、これ、事前届出を怠ると刑事罰の対象で罰則があります。実効性が、先ほどから申し上げておりますとおり、実効性がある意味疑わしい一方で、一覧性なく分かりやすいとは言えない公表の仕方で国民や事業者の社会経済活動を制約するというのはバランスを欠くのではないかと思います。
 ここで、本法案の調査事項について伺います。
 本法案では、特別注視区域内にある土地等の利用状況の調査、土地等利用状況調査を行うとされています。土地等利用状況調査における調査事項のうち、所有者等に関する情報とは何かを伺います。

#119
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘いただきました土地等利用状況調査は、注視区域内におきます土地等の利用状況を把握するために行わせていただくものでございます。第七条におきまして、内閣総理大臣は、調査の一環として、関係行政機関の長等に対しまして、氏名、名称、住所その他政令で定める情報の提供を求めることができるということにさせていただいているところでございます。
 なお、この第七条におきます政令で定めるものといたしましては、利用者などの本籍、国籍、生年月日などを規定することを検討しているところでございます。
 以上でございます。

#120
○吉川沙織君 法七条関係ですけど、もう一個、特別注視区域内の土地等の所有者移転等については事前届出が義務付けられていますが、この事前届出を行う事項のうち、当事者に関する情報とは何でしょうか。

#121
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘ございました事前届けにおきます届出者に関する本人の情報についてでございます。
 第三条第一項第一号に掲げてございます取引の当事者の氏名や住所のほか、同条同項第五号の内閣府令で定める事項として、土地等の譲受人、買われる方でありますけれども、この国籍を届けていただくということを想定しているところでございます。
 以上でございます。

#122
○吉川沙織君 今、政令と内閣府令で国籍という言葉が出てきました。
 条文では、土地等利用状況調査、特別注視区域に関する届出事項に関し、所有者等の氏名、住所は明示されていますが、国籍は見当たりません。しかしながら、本法案の概要説明資料、ポンチ絵の方を拝見いたしますと、調査事項として所有者等の国籍、事前届出事項として国籍と明記されています。
 所有者等に関する調査事項としてここまで国籍、国籍書いておきながら、条文に明記しなかった理由を教えてください。

#123
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 所有者に関する情報として、まず重要と考えられます氏名、住所につきましては、代表的なものとして法律に明記させていただいたところでございますが、その他情報ということで、政令で定めることを想定しております国籍というものにつきまして、今先生お手元にございます概要資料の中に記述をさせていただいたということでございます。
 以上でございます。

#124
○吉川沙織君 概要に書いて、なぜ条文に書かなかったのか。
 第二回の、三回しか行われなかったうちの第二回の有識者会議の議事要旨拝見いたしますと、誰が発言したか分かりませんけど、三ページに、「調査項目としては、国籍の確認も必要。」と書いています。
 本法案のベースとなった有識者会議で国籍の確認が必要とされ、ポンチ絵にもわざわざ明記しているにもかかわらず、何で書かなかったんですか。理由があるなら教えてください。

#125
○政府参考人(木村聡君) 重ねての答弁になって恐縮でございますけれども、利用者等に関する情報として、代表的なものが氏名、住所ということでございますので、まさに代表的なものとして法律上明記させていただいております。
 一方、国籍につきましては、安全保障の観点からそういった情報を把握するということについての重要性、これ有識者会議でも御指摘を賜ったところでございますけれども、氏名や住所との比較におきますと代表性がいささか低いのではないかと、こういう観点から政令で定めるということで今想定しているということでございまして、他方、有識者会議でも御指摘を賜りましたものですから、概要資料の中では政令で規定することも明らかにするということで、今お手元の資料にはお示しをさせていただいているということでございます。
 以上でございます。

#126
○吉川沙織君 本法案は、別に国籍問わず、多分ですけど、我が国国民が知らない間に対象になり、私権制限をされ、場合によっては刑事罰も科される、そういう法案になっています。条文に書いていないのに、わざわざポンチ絵で国籍を強調するということに私は違和感を感じますし、恐らく内外無差別の枠組みの関係もあって条文には明記しなかったんだと思いますが、ここから、調査の関係についてもう少し詳しく伺います。
 本法案第六条は、内閣総理大臣による注視区域の土地等利用状況調査について定めることとしていますが、この調査の趣旨について大臣にお伺いいたします。

#127
○国務大臣(小此木八郎君) 土地等利用状況調査ですが、この調査は、土地等を利用した重要施設等の機能阻害行為が行われることを未然に防ぐため、注視区域内にある土地等の利用状況を把握するために行うものであります。
 調査の在り方としては、まずは不動産登記簿、住民基本台帳等の公簿情報の収集により土地等の所有者や利用目的に係る情報を把握し、その上で、利用の実態を現に確認する必要がある場合には現地・現況調査を行い、さらに、利用の実態について不明な点がある場合には土地等の利用者等から報告徴収を行うこととしております。

#128
○吉川沙織君 今六条について伺いましたけど、八条は、土地等利用状況調査のためなお必要があるときは、注視区域内にある土地等の利用者その他の関係者に対し、報告徴収等ができると規定されています。
 報告徴収等の対象となる土地等の利用者その他の関係者について確認します。

#129
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 第八条に規定する報告徴収等の対象となるその他の関係者につきましては、土地等の利用者のほか、土地等の利用状況を知り得る者として、例えば、土地等の利用者が法人である場合のその役員、土地等の利用者との契約等により当該土地等における作業、工事等に従事している下請業者等を想定しているところでございます。

#130
○吉川沙織君 大臣は五月十一日の衆議院本会議で、「重要施設を所管又は運営する関係省庁、事業者や、地域住民の方々から機能阻害行為に関する情報を提供いただく仕組みも今後検討いたします。」と答弁されました。
 この答弁の意味するところと、根拠となる条文がどれなのか、地域住民の方々から情報提供いただく仕組み、これについて教えてください。

#131
○国務大臣(小此木八郎君) この機能阻害行為が行われるおそれがあるか判断するに当たっては、まずは不動産登記簿、住民基本台帳等の公簿情報の収集、現地・現況調査、利用者からの報告徴収を、これを通じて収集する情報によって土地等の利用者やその利用状況を総合的に勘案いたします。その上で、多様な方法を通じて具体的な実態把握を行い、本法案の実効性を確保すべく、本法案第六条に基づく注視区域内にある土地等の利用の状況についての調査の一環として、重要施設を所管する関係省庁及び当該施設を運営する事業者等からの情報提供を受けることなども検討しております。

#132
○吉川沙織君 地域住民の方々というのは、今、等とおっしゃいましたけど、その等の中に入るということでよろしいでしょうか。そうなんですけど。

#133
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおりでございます。

#134
○吉川沙織君 地域住民の方々から情報提供してもらう仕組みの本法案における根拠が土地等利用状況調査について定める第六条と政府が解釈しているとしても、この条文から、地域住民の方々から情報提供をもらうという、全く読み取れません。第六条は何て書いてあるかといいますと、「内閣総理大臣は、注視区域内にある土地等の利用の状況についての調査を行うものとする。」としか書いていないから、どこをどうやっても読み取ることができません。
 また、第八条の報告徴収の対象となるその他関係者に、衆議院段階の審議で大臣は、近所のおじいちゃんは当たらないと答弁されています。
 刑事罰の対象ともなり得る機能阻害行為に関し地域住民から情報提供してもらう仕組みの根拠を本法案第六条に置いた根拠、趣旨、教えてください。分からなければ結構です。

#135
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘ございました第六条の調査は、幅広い調査を行わせていただくというための基本的な規定として置かせていただいているところでございます。住民の方、あるいは重要施設を所管する省庁などから機能阻害行為の兆候等に係る情報提供をいただくということも想定してございますが、これは、政府が行います調査の一環としてそういう情報をお寄せいただいたときにその情報も勘案させていただくという趣旨で、この六条が根拠として説明されるということをお答えさせていただいているところでございます。
 以上でございます。

#136
○吉川沙織君 いや、この条文でそこまで私、どう考えても読み取れません。
 どっちにしても、この法案では情報収集を行うということですので、この本法案に基づき収集した土地等の利用者等に関する情報について、衆議院段階で、関係行政機関の協力を得つつ、所要の分析を関係行政機関の間で行うこともあり得ると答弁されています。
 そこで、内閣官房に伺います。
 情報の分析に当たっては、新設される内閣府の部局と関係行政機関が個人情報を共有することになります。政府は、関係行政機関の協力を得て行う分析の根拠として、第二十二条、関係行政機関等の協力を示していますが、まず、行政機関で個人情報を共有する根拠法とその条文を教えてください。

#137
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 今委員御説明いただきましたとおり、本法案第二十二条の規定により、必要な限度で、新設する内閣府の組織が関係行政機関との情報を共有した上で、その協力を得つつ、所要の分析を行うこともあり得ると考えておるところでございます。
 行政機関が保有する個人情報の保護等に関する法律におきまして目的外利用等は行ってはならないとされているところでございまして、本法律の施行の目的の範囲内でそのような関係機関との協力を行うというものと考えておるところでございます。

#138
○吉川沙織君 今、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律が根拠法だと伺いましたが、その条文を教えてください。(発言する者あり)

#139
○委員長(森屋宏君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#140
○委員長(森屋宏君) 速記を起こしてください。

#141
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第八条が根拠規定かと考えております。

#142
○吉川沙織君 八条が根拠であるとするならば、これ、利用目的以外の目的のために個人情報を行政機関内部で利用してはならない。仮に情報共有することがあるのであれば、第八条第二項第三号に定める相当な理由が、相当な理由のあるときとなりますが、相当な理由とは何でしょうか。

#143
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 まず、提出しております本法案の第二十二条でございますけれども、まさに本法律の目的でございます重要施設等の周辺の土地において機能を阻害する行為を防ぐという法目的がございます。その法目的を達成するために所要の調査を行いながら必要に応じた情報交換をしていくということを御説明しているつもりでございます。
 その際には、まずは、まさに一般法でございます行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の範囲内で行う必要があって、まさにその相当な理由というのは、この本法案の目的といたします重要施設等の周辺の土地が機能阻害の用に供されることを防ぐというその目的の範囲内ということかと考えております。

#144
○吉川沙織君 この新しい今審議している法案の目的の達成のためという、こういうお題目が掲げられると、実はこの行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律というのは、利用目的が同一で、そこが一緒であればどこまででも実は行政機関内で個人情報が共有されてしまいかねない、こういう法、条文の立て付けになっています。今回、個人情報保護法制、新しくなっていきますけれども、一番緩いのが行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律ですので、これは、私たちが、当人があずかり知らないところで関係行政機関に私たちの情報が共有されていくという、こういう懸念をはらみます。
 そこで、一つ提案したいと思います。
 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、マイナンバー法は、個人番号の利用範囲が第九条において具体的に列挙されています。本法案に基づく土地等利用状況調査では、地域住民からの情報を含め様々な個人情報を収集することになり、当人があずかり知らないところで関係行政機関に情報が共有されることにもなります。本法案も、マイナンバー法第九条を参照し、どのような場合に関係行政機関と情報共有を行うのか列挙すべきではないかと思いますが、大臣、御感想あればお願いします。なければ結構です。(発言する者あり)

#145
○委員長(森屋宏君) 吉川沙織さん。

#146
○吉川沙織君 やっぱりどのようなものが行政機関内部で情報共有されるのかというのは、列挙しておやりになった方が国民からの信頼を得られるのではないかと思います。
 関係行政機関で情報が共有されるということは、本法案第二十二条で関係行政機関の協力について定められています。で、これってまた別の問題がございます。
 衆議院の審議において、関係行政機関として自衛隊が情報収集を行うことがあるとされていますが、この根拠条文について、六月四日の参議院本会議で防衛大臣は、防衛省設置法第四条第一項第三十四号と答弁されました。
 防衛省設置法第四条第一項第三十四号について、条文を伺います。

#147
○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。
 防衛省設置法第四条第一項第三十四号において、「前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき防衛省に属させられた事務」と規定されてございます。

#148
○吉川沙織君 今おっしゃっていただいた条文で、本法案における情報収集に自衛隊が協力する、どうやってもこれも読めないです。法律による行政の原理が本法案では残念ながらないがしろにされていると言わざるを得ません。
 ここで、機能阻害行為に関する既存法律との関係性についてお伺いします。
 本法案における機能阻害行為については、衆議院の審議においては、法施行後に決定される基本方針に行為類型を例示する旨、繰り返し答弁がなされています。しかしながら、国民に対し予見可能性を確保する観点、何よりこの立法府の審議の段階で想定されるものについては明らかにすべきとの観点から、この場で例示できるものをお答えください。大臣、大丈夫でしょうか。

#149
○国務大臣(小此木八郎君) 機能阻害行為については、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な態様が想定されるため、議員御指摘のとおり、想定する行為の類型を網羅的にお示しすることは困難でありますが、例えば、重要施設については、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置、重要施設の通信能力に支障を来す電波妨害、国境離島等については、領海基線の根拠となる低潮線に影響を及ぼすおそれがあるその近傍の土地の形質変更等が該当し得るものと考えております。
 予見可能性を確保する観点から、これらの類型は閣議決定する基本方針においてできるだけ分かりやすく例示する予定でございます。

#150
○吉川沙織君 今大臣から、構造物の設置、国境離島における低潮線近傍地の形質変更や電波妨害が答弁としてありました。
 電波法では、電波妨害行為を行うような無線局を総務大臣の免許を受けずに開設した場合に不法開設として違法となり得ますが、準備行為の段階では電波法違反ではありません。
 他方、衆議院段階の答弁を拝見いたしますと、本法案では、準備行為の段階で防衛関係施設に対する電波妨害行為を行う明らかなおそれがあれば勧告、命令の対象となります。
 例えば、電波妨害の準備行為として妨害電波を発射可能なアンテナの設置のみの場合、これ無線機器は接続されていません。これは該当し得るということになりますが、そういう理解でよろしいんでしょうか。

#151
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 委員御指摘いただきましたように、本法案の勧告、命令の条文におきましては、機能を阻害する又は阻害するおそれが明らかな場合というふうな形で条文を策定しておるところでございます。具体的にどういう行為が該当し得るかどうかはまさにケース・バイ・ケースになってこようと思いますけれども、委員お触れになりましたように、可能性としてはあり得ると思っております。
 ただ、これもデュープロセスの関係からいえば、勧告を打つに際しましては、勧告を発動するに際しましては、第三者、中立公平な立場から成る審議会の意見を聞いた上で行うという手続も設けさせていただいているところでございます。

#152
○吉川沙織君 機能阻害行為の例示として電波妨害行為を殊更におっしゃっているのでお伺いしています。
 総務省が整備している電波監視システムは、遠方方位測定設備、不法無線局探索車、短波監視施設、宇宙電波監視システムなど、電波発射源の方位等を測定して不法無線局の位置等を測定していますが、この法案では明らかなおそれがある準備行為の段階で勧告、命令の対象とするんですけど、これ、準備段階というか、無線機器接続されていなくて電波発射されていません。電波が発射されていない準備段階で、誰がどのように明らかなおそれ確認するんでしょうか。これ大事だと思うので教えてください。

#153
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 本法案に基づく調査では、不動産登記簿や住民基本台帳等の公簿収集、現地・現況調査に加えて、土地等の利用者等からの報告徴収を行うこともできることとなっております。また、防衛関係施設等の重要施設を所管する関係省庁からの機能阻害行為の兆候等に係る情報提供を受けることもあり得ようかと考えております。
 このように多様な手法を通じて、準備行為を含めて具体的な実態把握を行った上で適切に利用規制を実施することによって重要施設等に対する機能阻害行為を防いでいくということでございます。

#154
○吉川沙織君 準備行為段階で明らかなおそれがある場合は、この法案では勧告や命令の対象になり得ると答弁されているんです。で、電波妨害を類型の一つに挙げていて、電波を発射していれば監視システムに引っかかって摘発もできますが、そうでなければ誰がどうやって判断するのか。
 例えば、今回、面積要件、特別注視区域では二百平方メートル以上の土地等について事前届出が義務付けられますが、妨害電波を出す設備というのは、二百平方メートル以下の土地どころではなく、車でも設置可能ではないかと考えるんですが、これ実効性あるとお考えでしょうか。実効性あるかないか、今のところ検討中か、どれか、お答えください。

#155
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 法案全体の実効性はあると考えてございます。
 御指摘ございました面積要件でございますが、これは事前届出制度の対象外となる面積の基準を政令で定めさせていただくものでございます。これは……(発言する者あり)以上でございます。

#156
○吉川沙織君 電波妨害って様々な手法がございます。あからさまなアンテナを置いて、さあ、つないで電波発射するぞというのもあれば、去年十二月十六日、総務省が不法無線局の開設者を摘発しているんですが、これ、ダンプに免許を受けずに無線機を設置して、不法無線局を開設したとして摘発されています。
 ですから、二百平方メートルとかいろんな基準設けましたけど、結局、その準備行為で明らかなおそれがあるときも勧告、命令の対象とするということになっています。
 で、機能阻害行為の例示として、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置、低潮線近傍地の形質変更、電波妨害等が示されているが、今指摘した電波法はもちろん、航空法には構造物除去の規制があります。低潮線保全法には行為規制があります。
 既存の法律に規制があり、これらは罰則規定も置いてあります。だから、既存法律がどのような規制を持っていて、どのような罰則を置いているのか、そして、それらの法律がなぜ準備段階で罰則としないのか、そういった既存法律と整理というのはこの法律の制定過程の中でなさったのか、なさっていないのか、教えてください。

#157
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 本法案が重要施設等の周辺の土地等で機能阻害行為を防ぐことを目的としておりまして、所要の指定対象区域において調査をいたしました結果において他の法律の規定に基づく措置の実施に関する事項が出てまいりましたら、法案の第二十一条の規定によります、他の法律に基づく措置の実施を内閣総理大臣が所管大臣に対して求めることができるという規定を置いております。
 なお、この既存法で対象となりにくい準備行為段階ということであっても、機能阻害行為を防ぐことは重要でございますので、本法案で八条の、失礼しました、本法案の勧告、命令の対象としているという体系でございます。

#158
○吉川沙織君 第二十一条は、既存の法律で対応できるものであって、これ駄目だからこの法律をもって強い勧告権限でこれちゃんと取り締まってくださいねということだと思います。でも、今回の法律というのは、既存の法律では範囲外としている準備行為段階をおそれとして、明らかな、勧告、命令の対象とするものですから、既存、既に存在する各規制法で必要な規制がなされている中で、区域指定により対象区域を限定するとはいえ、機能を阻害するおそれをもって勧告、命令するのは、私権制限として最低限、最小限と言えるのか疑問です。機能を阻害するおそれのあるケースについて具体的に網羅すべきだと思います。
 政府は、先ほどから答弁ありますが、基本方針において可能な限り例示するとしていますが、命令に違反したときに罰則の対象となる以上、本来、法律において行為類型を明示すべきであるし、基本方針でいずれ示すのであれば、この立法府の審議の段階で可能な限り例を提示し、説明責任を尽くすべきではないかと思います。
 今、電波法に基づく電波妨害の事例を引いてやり取りをさせていただきましたけど、電波発射していない状態で誰がどのように明らかなおそれを確認するのかといった点についてすら明確な答弁がありませんでした。
 さっきから、これもう土地等利用状況審議会で判断いただくという答弁繰り返されましたけれども、本法案は、この内容を具体化する政令の制定、基本方針の策定に当たって土地等利用状況審議会の意見を聞くので、政府のみの判断ではありませんよと繰り返し答弁されています。本法案が仮にこのまま成立してしまえば、法律が適正に執行されていくかどうか、恣意的な運用がなされないかはこの土地等利用状況審議会次第と言っても過言ではありません。
 この委員にどのような方を想定しているのか、お答えください。

#159
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 土地等利用状況審議会の委員については、法律、国際情勢、内外の社会経済情勢、土地等の利用及び管理の動向等に関して優れた識見を有する者から、内閣総理大臣が任命することとしております。
 具体的な人選につきましては、公平中立な立場から制度全体の適切な運用を担保していただくことを基本として、法律の施行までに検討を進めてまいりたいと考えております。

#160
○吉川沙織君 個人情報を同じように扱うほかの法律を参照しますと、例えば個人情報保護法では独立性が確保された個人情報保護委員会が置かれています。
 個人情報保護法における個人情報保護委員会の人選に関し、個人情報保護法第六十三条第四項について教えてください。第四項について教えてください。

#161
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 現行の個人情報保護法第六十三条の第四項でございますけれども、委員長、委員には、個人情報の保護及び適正かつ効果的な活用に関する学識経験のある者、消費者の保護に関して十分な知識と経験を有する者等が含まれるものとすることを規定されているものと承知しております。

#162
○吉川沙織君 本法案は、土地等利用状況審議会の委員の想定は、「法律、国際情勢、内外の社会経済情勢、土地等の利用及び管理の動向等に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。」。他方、独立性の高い個人情報を扱う個人情報保護委員会の人選は、個人情報保護法第六十三条第四項にもって、今例示は幾つかしかおっしゃいませんでしたけど、かなり細かく、一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、例示が、どういう知識を持っている人かというふうに例示がされています。しかも、これは国会の同意を求めることとなっています。
 本法案では、政令や区域指定、基本方針など、法の内容の詳細について土地等利用状況審議会の意見を踏まえ決定されるという立て付けになっています。審議会は法律の実際の運用に大きな影響を与える存在です。また、罰則にもつながる可能性のある勧告に当たっても審議会の意見聴取が行われることとされておりますことから、法律の適正な執行に当たって土地等利用状況審議会の役割は重要です。
 この委員の任命について、本法案においても個人情報保護委員会並みの規定を設け、また国会同意人事とすべきが、私は、もうこれだけ土地等利用状況審議会の意見を伺った上でという答弁が衆議院段階でも何度も繰り返されている以上、そうすべきだと思うんですが、大臣、御感想があればお願いします。なければ結構です。

#163
○国務大臣(小此木八郎君) 委員の任命についてですが、本法律の趣旨、目的に照らして内閣総理大臣が責任を持って判断するものとして、国会同意人事とはしておりません。
 審議会の委員任命に当たっての国会の同意は、内閣から独立した機関、いわゆる三条委員会、公正取引委員会ですとか国家公安委員会等がございますが、いわゆる八条委員会のうち、常勤の委員会がいるもの、行政処分に対する不服申立ての審査を行うものが一般的であり、本法案には適合しないと考えております。

#164
○吉川沙織君 なぜせめて国会同意人事にすべきではないかと申し上げたかといいますと、衆議院段階で、何か決めるとなったら、何か質問があれば、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で政令を決めます、勧告、命令決めます、区域指定やりますという答弁がありましたので、そこまでおっしゃるなら、法の適正な執行が最後そこにもし仮に委ねてしまうことになるのであれば、せめて国会の関与が必要だという思いでお伺いいたしました。
 本法案の具体的な内容は政令や基本方針に委ねられていることが余りにも多いです。そもそも、これまで取り上げてきましたとおり、実効性ある規制内容かとの懸念とともに、行政裁量の余地が余りにも大きいために、法律の適正な執行が確保されるのか疑念を払拭するには全く至っていません。本法案が原案どおり成立してしまった場合、適正な執行に当たって土地等利用状況審議会が果たすべき責任は非常に大きく、単なる追認機関となることがあってはなりません。
 大臣にお伺いいたします。
 土地等利用状況審議会の役割に鑑み、審議会における議事は原則公開とし、透明性を確保すべきだと思います。また、有識者会議のような粗い粗い議事要旨ではなく、詳細な議事録公開をすべきですし、そうでなければ、立法府として、せめて議事録の公開がなければ行政監視を十全に果たすことができませんので、御見解をお伺いしたいと思います。

#165
○国務大臣(小此木八郎君) 広く国会を含めまして国民の皆さんにも公開していくように努めてまいります。

#166
○吉川沙織君 内閣官房、いかがですか。

#167
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 大臣からも御答弁させていただきましたけれども、できるだけ透明性を確保していくということで、先生の御指摘いただきました点も含めまして、審議会の運営の在り方、しっかりと検討させていただきたいと考えてございます。
 以上でございます。

#168
○吉川沙織君 五月二十六日の衆議院内閣委員会で木村政府参考人はこう答弁されています。合っているかどうか、教えてください。
 「可能な限り議事内容を公開したいと考えている」、これおっしゃっています。また、「審議内容を公開する場合におきましては、要約のみならず、議事録を公開することも検討してまいります。」と衆議院内閣委員会で答弁されていますけど、間違いありませんでしょうか。

#169
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおりでございます。
 以上でございます。

#170
○吉川沙織君 今、コロナ禍において、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針分科会、これは議事録が一言一句公開をされています。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に関して国会報告が行われる場は議院運営委員会でございますが、その場で私自身も質疑に臨ませていただくときは、それらの議事録を拝読した上で臨んでいます。
 今回の法案、仮に原案どおり成立してしまうようなことがあるならば、せめて、土地等利用状況審議会、これだけ繰り返し答弁されているのですから、議事内容、もちろん勧告や命令に当たる部分は、五月二十六日の衆議院内閣委員会でも答弁されていますとおり、個人情報、対象者が含まれるので、そこは非公開とすることについては同意しますけれども、それ以外の議事内容については必ず一言一句議事録公開するということでよろしいでしょうか。

#171
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 議事内容、必ずしも今想定できない部分ございますけれども、大臣の御答弁を踏まえまして、できる限りの透明性確保ということで、議事録の取扱いについてもまたしっかり検討させていただきたいと考えてございます。
 以上でございます。

#172
○吉川沙織君 有識者会議の議事要旨が余りにも粗いものですから、ちょっと気になって念を押させていただきました。
 立法府は、内閣提出法案について条文を基に議論し、運用上の課題や懸念を払拭し、より良い行政運営につなげていく役割を担っています。しかしながら、これまで概観してきましたとおり、本法案は余りにも法律に書き込まれていないことが多過ぎるため、法律による行政の原理がないがしろにされています。本法案の必要性は理解します。だからこそ、条文に明記すべき項目は明記し、包括委任規定ではない形で法案の提出し直しを強く求めまして、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。

#173
○委員長(森屋宏君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十三分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会

#174
○委員長(森屋宏君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、宮島喜文君が委員を辞任され、その補欠として清水真人君が選任をされました。
    ─────────────

#175
○委員長(森屋宏君) 休憩前に引き続き、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#176
○石川博崇君 こんにちは。公明党参議院議員の石川博崇でございます。
 今日からこの参議院内閣委員会で審議入りとなりましたこの重要施設周辺の土地利用状況の調査及び規制に関する法律案、安全保障上重要な我が国の施設の周辺あるいは国境離島等の土地の利用状況を政府が一元的に把握をする、また施設の機能を阻害するような行為を未然に防ぐ規制を設ける法律でございます。
 我が国を取り巻く安全保障環境は極めて厳しいものがございますし、また経済のグローバル化、さらには我が国国内における外国資本の経済活動が一層近年活発になってきている、こうした現状を踏まえれば、極めて重要な安全保障上の意義を有すると考えております。
 一方で、民間の健全で自由な経済活動への規制というものは必要最小限にとどめる必要があり、仮に基地周辺の住民の負担が過剰に増えることということになれば、基地周辺の地域住民の皆様の御協力と御理解の下で円滑な任務に当たっている各地の自衛隊基地が住民から忌避されるような、いわゆる迷惑施設になってしまう、このようなことがあっては断じてならないというふうに考えております。
 私自身、不肖、党内のプロジェクトチームの座長を務めさせていただき、そのような観点を踏まえながら、法案の党内での取りまとめに当たり、また政府との調整にも当たってきたところでございます。安全保障上の重要な意義を踏まえつつ慎重に法案の中身を精査をさせていただいて、本法律案に基づく調査や規制が基地周辺住民の皆様の自由やまた権利に及ぼす影響を最小限の範囲に限定する必要があること、また、対象施設・区域の厳格化、機能阻害行為に対する勧告・命令基準の厳格化など、政府・与党間の協議が行われてきて必要な修正も行われたところでございます。
 本日は、この委員会での質疑を通じまして、こうした政府・与党の間でどのような協議が行われてきたのかを明らかにするとともに、法案の目的あるいは内容、そして安全保障上の意義と自由な経済活動の非常に難しいこのバランスを確保する内容となっているということを国民の皆様にしっかりと理解していただけるよう努めてまいりますので、政府には丁寧かつ明快な説明をお願いしたいというふうに思います。
 まず、小此木大臣にお伺いをいたします。
 本法律案は、今申し上げましたとおり、安全保障の観点から、我が国の防衛関係施設の機能を万全とすることを目的としております。特に、近年、世界のパワーバランスが急激に変化する中にあって、我が国を取り巻く安全保障環境は極めて厳しさを増していると言わざるを得ません。また、同時に、各国間の経済的な相互依存関係が複雑化し、また経済的要因が安全保障を大きく左右し得る状況になっているというふうにも認識をしております。いわゆる経済安全保障の視点が今極めて重要な中にございます。
 本法案はこうした経済安全保障の確保の観点からも重要な意義があるというふうに考えておりますけれども、小此木大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

#177
○国務大臣(小此木八郎君) 石川委員御指摘のように、経済安全保障、非常に重要な問題だと思っています。
 外国資本による防衛関係施設等の周辺や国境離島等の土地の取得について、そこを拠点として防衛関係施設等の機能を阻害する行為が行われるリスクが安全保障の観点から懸念されてまいりました。近年、安全保障の裾野が経済、技術分野に急速に拡大する中にあっては、経済活動の一環として行われる対内投資についても、国の安全等を損なうおそれがあるものについては国として投資に適切に対処する必要がございます。
 こうした観点から、株式取得を通じた対内投資については、外為法に基づく審査制度に関し、二〇一九年、外為法が改正され、より小規模の株式取得を審査対象とするなど、国の安全等の観点からの審査制度が強化されました。
 他方、土地等の実物資産の取得を通じた対内投資については、安全保障の観点から、その実態を把握し、個々の投資案件のリスクに応じて適切に対応する制度的な枠組みはいまだ整備されていないという認識でございます。
 こうした状況を踏まえて取りまとめた本法案は、安全保障上重要な土地等の利用状況を調査した上で必要な利用規制を行うとするものであって、経済安全保障の観点から、我が国にとって望ましくない事態を未然に防止する重要な政策手段の一つになるものと考えております。

#178
○石川博崇君 ありがとうございます。
 こうした重要な意義を有するこの法案に対して、残念ながら、立法事実がないという御批判が一部ございます。確かに、これまでの政府の調査によれば、自衛隊基地あるいは米軍基地の隣接地を対象に登記簿で土地の所有者を調査した結果、外国人と類推される方による土地の所有は七筆にとどまったということ、また、国境離島の領海基線の近傍の土地についても調べた結果、氏名、住所といった外形から外国人等の所有が明らかになった事例は確認されていないという結果が出ております。
 しかし、それだけで立法事実がないというのは余りに極論だと私は思います。学説によれば、立法事実とは、単なる客観的な事実や状態を指すものではなく、立法的判断の基礎となる事実、すなわち外部環境や国民、住民の意識の変化などが含まれるとされております。
 今回の法整備に即していえば、外部環境という面では、これまでに我が国において外国資本による広大な土地の取得が実際に現に発生している状況があること、また、諸外国では安全保障の観点からこうした土地等の投資管理を強化する動きが見られていることなど、我が国においても安全保障に影響を及ぼし得る投資が行われる可能性があることを考えれば、こうした外部環境の面からの立法に必要な判断の基礎となる事実があるというふうに言えると思います。
 また、国民、住民の意識の面では、国境離島や防衛施設周辺等における土地の所有、利用をめぐって長年国民の間で懸念や不安が広がってきていること、また国民の代表で構成される国会においてもそうですし、また住民の代表で構成される地方議会でも対応の必要性が広く議論をされ、法整備を求める意見書が数多く全国の地方公共団体から提出されていること、こうしたことも挙げることができると思います。
 このように、国境離島あるいは防衛施設周辺等における土地の所有、利用について、安全保障上のリスクを未然に防止する必要性、また国民、住民の間で問題意識が高まっている状況を評価いたしますと、本法律案の必要性を支える十分な立法事実はあると私は考えておりますけれども、小此木大臣の御見解をいただきたいと思います。

#179
○国務大臣(小此木八郎君) 政府といたしましても、私といたしましても、立法事実はあるものと考えております。
 しかしながら、本法案が想定する機能阻害行為に当たる事実が過去にあったかどうか、いつ、どこで、どのような態様で行われたかということについては、これまでも御質問いただきましたが、お答えを差し控えてまいりました。それを明らかにすることは、安全保障上の脆弱性を自ら明らかにし、類似行為を誘発しかねないことから、適切でないと考えております。
 一方で、委員御指摘いただきましたけれども、安全保障をめぐる内外情勢は厳しさを増しており、防衛関係施設など安全保障上重要な施設の周辺等に所在する土地等を利用する形で重要施設等の機能を阻害する行為が行われるリスクは高まってきているものと認識しております。こうした中、安全保障の確保は国の最大の責務であり、政府は、将来の安全保障上のリスクを回避するために万全の対応を講じておく必要があると考えてまいりました。
 我が国の防衛関係施設等の周辺や国境離島等において外国資本が土地を買収していることは安全保障の観点から長年問題視されてきた課題であり、国会や地方議会でも議論されてきました。これは、安全保障の観点から土地等を管理することの必要性について広く国民の皆様が問題意識を共有されたことを示しており、そうした社会的な要請があることも本法案の必要性を裏付ける重要な要素の一つであると考えております。

#180
○石川博崇君 是非今の点、これからも丁寧に国民の皆様に御説明をしていただきたいというふうに要望させていただきたいと思います。
 続きまして、今回の法案に第三条で盛り込まれました留意規定についても小此木大臣にお伺いをしたいと思います。
 本法案は、安全保障上重要な土地等の利用について実態調査や規制を行うことを目的とするものでありますが、そのための調査や規制は不必要に広範かつ過度なものであってはならないと思います。
 政府・与党の間での協議の中で我が党は主張させていただいたのは、必要最小限度の原則及び個人情報の保護への配慮規定、これを盛り込むべきだということを訴え、結果として総則の第三条に盛り込まれることとなりました。当初、政府の方ではこれを雑則に加えるという案もありましたけれども、最終的にこの総則の第三条に留意規定として盛り込まれたことは高く評価をいたします。
 この規定の意義を伺うとともに、個人情報の適正な管理についての小此木大臣の見解をお伺いしたいと思います。

#181
○国務大臣(小此木八郎君) 御指摘のとおり、第一章総則の第三条ですが、この法律の規定による措置を実施するに当たっては、個人情報の保護に十分配慮しつつ、必要な最小限度のものとなるようにしなければならないと規定しております。
 これは、本法案に基づく措置によって生ずる国民の皆様の様々な社会経済活動への影響を安全保障の観点から必要最小限の範囲にとどめるということでありまして、すなわち、本法案に基づく調査や利用規制は重要施設等の機能を阻害する行為を防止するとの法目的のために真に必要な範囲で限定的に行うという、法案全体を貫く運用の基本原則を明らかにしたものであります。
 また、土地等の利用状況の調査の過程では利用者等の個人情報を取り扱うことになるため、特に個人情報の保護に十分配慮することも併せて確認的に明記しております。この規定を踏まえ、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の関係法令にのっとり、その保護、管理に万全を期してまいります。

#182
○石川博崇君 今回、この必要最小限度の規定、そして個人情報保護に関する留意規定が総則の第三条に加えられたことによりまして、この法案全体を貫く運用の基本原則というふうになったものと認識をしておりますので、今後の運用に当たっては、そこに是非とも留意をしていただきたいというふうに思っております。
 続きまして、第四条第二項第二号では、基本方針に定める事項として注視区域及び特別注視区域に関する基本的な事項を規定しておりますが、ここで、指定に関して午前中も議論がございました、経済的社会的観点から留意すべき事項を含むこととされております。
 この規定は、当初の政府原案にはなかったものでございますけれども、大都市の市街地にある施設周辺には、相当数の土地所有者が規制の対象に該当することとなります。その方々というのは、冒頭申し上げました、自衛隊の基地に御理解をいただき、そして健全な経済活動を営んでいる方々が大半でございます。そうした方々に大きな影響を与えることが懸念されたところでございまして、そのことから区域指定に当たってはこの経済的社会的観点から留意すべきという規定が盛り込まれたところでございます。
 基地周辺住民の皆様が日常的に行っている土地等に関する取引はその大部分が善意の経済活動であることに鑑みれば、極めて重要な意義を有する文言であると考えますけれども、今後の運用方針とともに、小此木大臣の御所見を伺いたいと思います。

#183
○国務大臣(小此木八郎君) 改めて申し上げますけれども、本法案は、安全保障と自由な経済活動の両立を図ることを大前提としております。このため、注視区域又は特別注視区域の指定は、指定に伴う社会経済活動への影響を安全保障上の要請に基づく合理的かつやむを得ない範囲に限定する必要があると考えております。御指摘のあった法第四条第二項第二号における経済的社会的観点から留意すべき事項とは、そうした基本的な考え方を閣議決定する基本方針に明記する方針を示すものとして規定しております。
 次に、その運用の考え方についてお答えしますと、例えば土地等の取引に関する事前届出が必要となる特別注視区域の指定に当たっては、法定するその要件に該当する区域であっても、経済的社会的観点から留意すべき事項に照らして評価した結果としてその区域を注視区域として指定することがあり得るものと考えております。

#184
○石川博崇君 続きまして、いわゆる重要インフラ施設についても内閣官房にお伺いをしたいと思います。
 第二条第二項第三号では、有識者会議の提言でいうところのいわゆる重要インフラ施設に該当する生活関連施設が定義されております。この定義について、政府の原案では、当初、国民生活に著しい影響を及ぼすおそれがあると認められるものというふうに定義されておりましたけれども、これでは施設の対象が曖昧で範囲が広範に広がる可能性があるということから、安全保障の観点から真に必要性が認められる施設のみを対象とするよう定義が厳格化されたところでございます。
 その意義についての政府の見解を、また現在どのような施設を対象とすることを想定しているか、また対象と考えていない施設は何なのかも併せて、これまでも答弁されていることでございますが、政府の見解を改めてお伺いしたいと思います。

#185
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 第二条第二項第三号に規定してございます生活関連施設につきましては、対象とする施設の類型を、安全保障をめぐる内外情勢、技術の進歩等に応じまして継続的に検討する必要があるものと考えてございます。このため、政府の責任におきまして適切かつ機動的に具体的な類型を定められますよう、政令で定める仕組みとさせていただいているところでございます。
 一方、その類型が無際限に広がることのないよう、政令で指定する範囲につきましては、条文上、その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるものという限定を設けさせていただいているところでございます。このため、国民生活に関連を有する生活関連施設でございましても、その施設が有する機能の正常な発揮に支障が生じた場合においても、国民の生命、身体又は財産に広範又は甚大な被害が生ずるおそれがあると認められない施設は政令で指定することができないということとなります。
 現時点におきまして、この政令で指定することを想定しておりますのは、原子力関係施設及び自衛隊が共用する空港でございます。それ以外の施設、例えばということで申し上げますけど、放送局でございますとか鉄道関係の施設、これらは国民保護法が対象とする施設の類型でございますけれども、本法案に基づく政令の指定対象とすることは現時点においては考えておらないということでございます。
 他方、安全保障をめぐる内外情勢は刻々と変化いたします。将来の情勢のいかんによりましては、原子力関係施設及び自衛隊が共用する空港以外の施設類型を政令で指定することもあり得ると、このように考えているところでございます。
 以上でございます。

#186
○石川博崇君 今御答弁いただきましたとおり、機能が阻害される行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあると認められるものという規定になったということ、改めて我々もよくよく認識をしながら、今後政令で定めていかれることになりますけれども、注視をしていきたいというふうに思っております。
 続きまして、機能阻害行為について質問をさせていただきたいと思います。
 第二条第四項及び第五項では、防衛関係施設等の重要施設の施設機能と国境離島等の離島機能について定義をしております。それぞれの機能、具体的にどういった内容を指すのか、改めて御説明をいただければと思います。

#187
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 本法案の対象となります重要施設のうち、防衛関係施設につきましては、我が国周辺におきます情報収集、警戒監視及び偵察活動、領空侵犯や領海侵入といった我が国の主権を侵害する行為に対する措置、我が国に対する武力攻撃への対応等の拠点でございまして、我が国を防衛する基盤としての機能を有しているものと考えてございます。
 次に、海上保安庁の施設についてでございます。海上保安庁の施設につきましては、領海に侵入いたします外国政府船舶、排他的経済水域で我が国の同意なく海洋調査を行う外国船舶への退去、中止要求等を行います領海警護等の拠点でありまして、我が国の領海等の保全に関する活動の基盤としての機能を有しているものと考えているところでございます。
 続きまして、生活関連施設についてでございますが、生活関連施設は国民生活に必要な生活インフラを提供する重要なインフラ施設を想定してございまして、国民生活の基盤としての機能を有しているものと考えているところでございます。
 次に、国境離島等についてでございます。国境離島等は、国土面積をはるかに超える広大な管轄海域を有する我が国が、領域主権を行使し、また排他的経済水域及び大陸棚におきまして海洋資源開発等の主権的権利等を行使するための限界を画する基礎、あるいは、さきに申し上げました領海等の保全に関する活動の拠点としての機能を有しているものと考えているところでございます。
 近年、自国に有利な国際秩序、地域秩序の形成や、地域における影響力の拡大を目指した、政治、経済、軍事面での国家間の競争が激化する中で、我が国を取り巻く安全保障をめぐる環境が不確実性を増しているものと認識してございます。こうした中で、御答弁申し上げましたこれらの機能はいずれも国民生活の基盤の維持並びに我が国の領海等の保全及び安全保障にとって必要不可欠なものであると、このように考えているところでございます。
 以上でございます。

#188
○石川博崇君 御丁寧な御答弁ありがとうございます。
 機能について今御説明いただいたわけですけれども、今、最後におっしゃっていただいたとおり、いずれも国民生活の基盤の維持並びに我が国の領海等の保全及び安全保障にとって必要不可欠な機能ということで今回列挙していただいたところでございます。
 この中で、第二条第五項に定める離島機能のうち、有人国境離島地域離島については、領海等の保全に関する活動の拠点としての機能と定義されているところでございます。この点、当初、政府の原案では、領海等の保全及び利用に関する活動の拠点としての機能として、利用も含まれておりました。
 しかし、仮に領海の利用に関する活動拠点まで範囲を広げることになりますと、例えば本来の安全保障との関係が薄い一般の漁港なども、施設の周辺の土地まで対象になるということでありまして、このため、最終的にはこの利用の部分は削除をされて、領海の保全に関する活動の拠点のみとなったわけでございますが、この意義について政府の見解を伺いたいと思います。

#189
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘いただきました法第二条第五項第二号は、有人国境離島地域離島の離島機能につきまして、領海等の保全に関する活動の拠点としての機能と規定しているところでございまして、御指摘ございましたように、領海等の利用は含まれておらないところでございます。
 これは、本法案の目的でございます我が国の領海等の保全及び安全保障に照らしまして、有人国境離島地域離島に関して阻害を防止すべき機能を真に必要なものに限定するという考え方を条文上明確にさせていただいたことによります。これによりまして、例えば漁業など、経済活動の場として領海等を利用する活動の拠点としての機能は本法案の対象にならないということでございます。
 以上でございます。

#190
○石川博崇君 ありがとうございます。
 続きまして、同じく機能阻害行為の関係で、施設機能や離島機能を阻害する行為の内容は今後基本方針に具体的には定められることになるわけでございますが、これは罰則付き、命令違反等に対しては罰則が科せられるということになりますので、機能阻害行為の該当性、ある程度具体的に例示をしていく必要があると考えております。
 どのような行為がこの機能阻害行為として記されていくことになるのか、特に一般の方が行う日常生活上の行為は機能阻害行為に該当することはあり得ないというふうに考えておりますけれども、その点いかに考えているか、御説明をいただければと思います。

#191
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 機能阻害行為でございますが、機能阻害行為につきましては、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じまして様々な態様が想定されるものと考えてございます。
 このために、想定いたします類型、行為の類型を網羅的にお示しすることは困難でございますけれども、例えば、重要施設に関しましては、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置など、国境離島等に関しましては、領海基線の根拠となります低潮線に影響を及ぼすおそれがあるその近傍の土地の形質変更などが該当し得るものと考えているところでございます。
 こうした機能阻害行為につきましては、本法案の第四条第二項第四号の規定を踏まえまして、法施行後に閣議決定する基本方針におきまして想定される行為類型を分かりやすく例示させていただくということとしております。
 なお、御指摘のございました一般の方の日常生活につきましては、例えば、一般的な日常生活や事業活動の場として土地等を平穏に利用すること自体は機能阻害行為として勧告及び命令の対象にはならないものと考えているところでございます。
 以上でございます。

#192
○石川博崇君 この機能阻害行為に対しては、第九条で中止の勧告、命令、これが規定されているわけでございますが、この九条には、読み上げますと、「内閣総理大臣は、注視区域内にある土地等の利用者が当該土地等を重要施設の施設機能又は国境離島等の離島機能を阻害する行為の用に供し、又は供する明らかなおそれがあると認めるとき」というふうに記されております。
 様々、衆議院でも、また今日の午前中も議論があったわけでございますけれども、この機能を阻害する明らかなおそれがあると認めるときに中止の勧告、命令を行うことができるわけですけれども、当初、政府の原案にはこの明らかなという文言はなく、機能を阻害する単なるおそれがある場合に勧告、命令が発せられるという文言でございました。
 最終的にこの明らかなという文言が追加されて、顕著な蓋然性を必要とするよう基準が厳格化されたわけでございますが、この明らかなという文言を追加することでどの程度機能阻害行為に該当する基準が明確になったのか、政府に確認をしたいと思います。

#193
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘ございました明らかなおそれがあると認められるときとは、具体的な行為の態様に照らしまして、機能阻害行為が行われる蓋然性が社会通念上、一般に認識される程度に顕著に認められる場合をいうものと、このように考えてございます。この規定によりまして、そうした蓋然性が顕著に認められない場合は勧告、命令は行われないこととなるということでございます。
 以上でございます。

#194
○石川博崇君 社会通念上、一般に認識される程度に顕著に認められるということでございます。しっかりこの答弁を踏まえて対応をお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 本法律案では、土地等の利用の状況の調査あるいは売買取引の事前届出の対象となる範囲について、その周辺おおむね千メートルを上限とする範囲で指定することとされております。午前中の審議にもありましたが、米国等の範囲に比べるとかなり抑制的とも考えられます。
 この区域の範囲につきましては、有識者会議の提言にもありますとおり、距離の基準を全国一律に設定することは必ずしも適当ではなく、安全保障の観点から、施設の性格やその区域の地理的な特性等を総合的に勘案し、ケース・バイ・ケースで柔軟に設定し得る仕組みとしておくことというふうに提起されております。
 この本法案の目的を達成しつつ、善意の経済活動とのバランスを取り、必要最小限の範囲にとどめる必要があると考えますけれども、この上限千メートルの考え方について、どのように区域を設定していくのか、考え方について御説明いただきたいと思います。

#195
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 具体的な区域の設定に当たりまして、施設の敷地からの距離の範囲をどのように設定するかということにつきましては、法施行後に法定する手続に沿って適切に決定をさせていただくということになりますが、第三条に規定いたします必要最小限の原則に鑑みまして、対象施設の全てについて例外なく一律におおむね一千メートルの範囲を指定するということは考えていないところでございます。
 例えばでございますけれども、施設の周辺に大きな河川等がある、あるいは国有地が広がっているなど周辺区域の地理的特性でございますとか、あるいは施設の特性などのいかんによりましては、おおむね一千メートルよりも短い距離の範囲で区域指定を行うこともあり得るものと、このように考えているところでございます。
 以上でございます。

#196
○石川博崇君 また、この法律案に基づく措置を実施するに当たりましては、区域指定にミスがあってはならないというふうに考えております。
 過去に、ドローン規制法に基づく飛行禁止、禁止飛行区域の指定の際、規制されないはずの場所を規制範囲としたり、あるいは図面に含まれていない地名が記載されたりするなどのミスが報道されております。当時の報道によりますと、ミスが発覚した際、防衛省からは、範囲の設定の際に必要な現地確認を行っていなかった、あるいは地図だけを見て設定していたケースが多かった、各施設で設定作業にばらつきがあったことが原因であったと説明されているところでございます。
 本法案に基づく区域指定は、全国各地の重要施設、国境離島等が対象になるわけでございますから、相当な件数に上ることが予想されておりますので、それだけにミスが発生する可能性も高まってまいります。このようなことが起きないよう、どのように対処して区域指定を行う方針なのか、政府の見解をお伺いしたいと思います。

#197
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 本法案に基づきます調査等の対象となります具体的な区域の指定につきましては、法施行後に、まず、内閣府に新設する予定の部局におきまして、個々の重要施設の周辺や離島ごとに法律の要件や基本方針の内容に照らして評価をいたしまして、指定の対象となります区域の案を作成いたします。その後、作成した案につきまして重要施設を所管する関係省庁等と協議をさせていただきますとともに、土地等利用状況審議会の意見を聴取した上で区域を指定することとなります。
 この点、法定外の手続ではございますが、法定する手続と並行いたしまして、対象となります区域の案につきましては、必要に応じて関係する地方公共団体等と当該地方公共団体が管轄地域に所在する対象区域に関しまして意見交換を行うことも想定しているところでございます。
 その上で、全国各地に広がります対象区域につきましては、第三条に規定いたします必要最小限の原則を踏まえて、政府として、個々の区域の指定の要否、注視区域又は特別注視区域の区分、施設の敷地からの距離的範囲等について最終的な判断を行うものでございます。そして、決定された対象区域は官報で公示させていただきますほか、関係する地方公共団体にも通知をさせていただくということでございます。
 政府といたしましては、こうした一連の手続を慎重かつ適切に行いまして、御指摘ございましたようなミスでありますとかあるいは区域指定に伴う混乱が生ずることのないよう、細心の注意を払いながら対象区域の指定を進めたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

#198
○石川博崇君 この点、くれぐれも細心の注意を払って取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、報告徴取の規定についてお伺いをしたいと思います。
 第六条から第八条では、第九条の規定に基づく土地等の利用の中止勧告、命令を判断する前提となる注視区域内にある土地等の利用状況の調査あるいは報告徴収について規定がなされているところでございます。
 当初の政府原案では、土地等に対する報告徴収をいきなり行うことも可能な文言となっておりましたけれども、政府・与党間の調整協議によりまして、政府がまず公簿等による調査を尽くした上でなお必要があると認めるときに限って利用者等からの報告等を求めることができるというふうに規定がなされました。
 住民、周辺住民の皆様や土地の利用者に過度な負担を掛けない観点から重要な文言であるというふうに評価をしておりますが、このように二段構えの規定ぶりとした趣旨について政府の御説明をお願いしたいと思います。

#199
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘ございました報告徴収は、公簿等の収集とは異なりまして、土地等の利用者等の方に対して応答義務を課すものでございます。御指摘の点につきましては、土地等の利用者等の負担に配慮する観点から、公簿等の調査の結果、なお必要があると認められるときに限ってこれを行うという考え方を条文上明確に規定させていただいたものでございます。
 公簿等の収集に加えて報告徴収を行う場合といたしましては、例えばでございますけれども、最新の所有者が登記されていないなど公簿の情報だけでは土地等の所有者や利用者が判然としないような場合、あるいは、土地等の所有者や利用者が活動実態のない法人であり、その法人以外の第三者による利用が推認される場合など、土地等の利用実態を正確に把握するために追加的な調査が必要な場合が想定されるものと考えてございます。
 以上でございます。

#200
○石川博崇君 この報告徴取の規定につきまして、ちょっと通告の順番と違いますが、お伺いをしたいのは、土地等利用状況審議会の役割についてでございます。
 この土地等利用状況審議会の役割、法定化されているものとしては、勧告等を行う前に意見を述べること、また、土地の指定に関して審議をすること等が法定化されておりますけれども、この勧告と同じく、同じ罰則付きの報告徴取に関しては土地等利用状況審議会の役割というのは明記されておりません。バスケットクローズの中で読み込むことは可能というふうに考えておりますけれども、この報告徴取も罰則付きということを考えると、必要に応じて事前にこの土地等利用状況審議会に付議をした上で実施をすることも検討すべきではないかと考えますけれども、政府の見解をお伺いしたいと思います。

#201
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 八条に規定をしております、第八条に規定しております報告徴収等につきましては、公簿等の調査の結果なお必要があると認めるときに限って行うものであること、そしてまた、土地等の利用を制限するものではないということから、条文上、その実施に当たりまして土地等利用状況審議会の意見を聞くこととはさせていただいていないところでございます。
 一方で、第十四条第二項第五号におきまして、この審議会は、生活関連施設に係る政令の改廃など、法定する付議事項以外にも本法案の運用に係る重要事項を調査審議し、必要に応じて意見を述べることができるということとさせていただいているところでございます。このため、例えば第八条に基づきます報告徴収についても、すべからく報告徴収に先立ちまして審議会に付議するというわけではございませんけれども、例えば、これ、法定付議事項でございます勧告に先立ちまして事実関係を最終確認するケースでありますとか、報告を求める事項が多岐にわたりますなど対象者の負担が大きくなるおそれがあるケースでは、その必要性、妥当性につきまして任意に審議会に付議し、その意見を聞いた上で報告徴収を行うこともあり得ると、このように考えているところでございます。
 以上でございます。

#202
○石川博崇君 あり得るという御答弁をいただきました。ありがとうございます。
 続きまして、特別注視区域の定義についてお伺いをしたいと思います。
 第十二条では特別注視区域の要件、定義につきまして規定されているところでございますが、当初、政府の原案では、施設機能、離島機能の重要性又は脆弱性、この二点が要件とされておりました。その後、政府・与党間の協議の過程で、これらの要件に加えまして、代替困難性、この要件が加わることになったわけでございますが、その意義及び具体的な指定対象をどのようにこの規定によって含まれることになるのか、政府の御見解を伺いたいと思います。

#203
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 特別注視区域におきましては、一定面積以上の土地等の取引について事前届出制を導入させていただくこととしております。第三条に規定しております必要最小限の原則の下で、事前届出の手続負担に鑑みますれば、特別注視区域の指定は安全保障等の観点から特に必要性が大きい区域、すなわち国民の皆様にそうした手続負担をお願いすることが真にやむを得ないと認められる区域に限定することが必要であると考えてございます。
 このため、特別注視区域は、重要施設及び国境離島等につきまして、その機能が特に重要である又はその機能を阻害することが容易であるということに加えまして、御指摘ございましたその機能の代替が困難であるという要件を設けるということにさせていただいたところでございます。これによりまして、特別注視区域の指定につきましても、安全保障の確保と経済の自由のバランスに配慮した必要最小限の措置になるものと、このように考えているところでございます。
 以上でございます。

#204
○石川博崇君 今御説明あった特別注視区域の定義ですけれども、この特別注視区域におきましては、御案内のとおり、一定面積以上の取引に限定するとはいえ、土地等に関する所有権の移転に当たっては、売手、買手、双方から国に対して、氏名、住所、利用目的など法律で定める事項のほか、内閣府令で定める予定の国籍などの事項を届け出ることとされております。
 この一定面積の下限、二百平米と今されておりますけれども、これは下限でございます。より広い面積を定めることが法文上可能となっておりますけれども、下限をまずこの二百平米とした理由についての御説明、それから、具体的な面積要件は政令に委任されておりますけれども、どのように今後基準を定めていくのか、考え方について御説明をいただきたいと思います。

#205
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘をいただきました特別注視区域におきます事前届けにおける面積要件についてでございます。この要件は、相対的に取引頻度が高いと考えられます小規模物件の取引を事前届出の範囲から除外をいたしまして、区域内の住民や事業者の方々の負担をできる限り軽減するということを目的としたものでございます。
 法案におきます下限値としての二百平方メートルという基準でございますが、これは住宅金融支援機構が提供いたします固定金利型住宅ローン、フラット35の利用実績を参考とさせていただいたものでございます。令和元年度の利用実績に関する調査によりますれば、当該住宅ローンを利用して購入された一戸建て住宅のうち敷地面積が二百平方メートル未満であるものは、全国では全体の約六二%、東京都では全体の約九五%を占めているところでございます。こうしたデータを踏まえまして、一般的な一戸建て住宅に係る取引の相当程度が事前届出の対象外となる水準として二百平方メートルということとさせていただいたところでございます。
 政令で定める具体的な面積要件につきましては現時点では決定してございません。今後、安全保障の観点からの要請と手続負担のバランス、土地等の取引の実態等を勘案しながら、いかなる水準が適切か検討を行い、法施行までにしっかりと決定をさせていただきたいと考えてございます。
 以上でございます。

#206
○石川博崇君 この事前届出制の創設によって地価に影響があるんではないかという、懸念する指摘もあります。
 今日国交省に来ていただいておりますけれども、地価を決定する要素というのは様々なものがございます。この事前届出制が地価の形成、土地の取引にどのような影響を及ぼすと国交省として考えているのか、見解をお聞きしたいと思います。

#207
○政府参考人(吉田誠君) お答え申し上げます。
 不動産の価格、一般的に、当該不動産の使用、収益、処分することの価値を反映するものでございます。
 本法案の事前届出制度でございますが、既存の制度であります国土利用計画法あるいは公有地の拡大の推進に関する法律に基づく届出制度にありますような譲渡制限期間が設けられておらず、これら既存の立法例と比べてもより権利制限が少ない制度となっていると承知しているところでございます。
 このようなことを考えますと、本法案による事前届出制度につきましては、通常の不動産の利用としての使用、収益、処分を制限するものではないと考えられますところ、地価やあるいは不動産取引に影響を及ぼす可能性は小さいと考えているところでございます。

#208
○石川博崇君 また、この事前届出に関して、衆議院での質疑では、政府は届出の提出先は内閣府に新設する部局を予定しているということでございまして、対象者の利便性を確保する観点から、郵送によるほか、オンライン届出を導入することについても検討していく方針と説明しております。
 官民双方のコストの負担を考慮しますと、今後、デジタル三原則の、デジタル原則の下で行政手続のオンライン化が実現すれば、こうしたコスト負担は大きく軽減されることが期待されますけれども、どのように対応を考えているのか、御説明をいただきたいと思います。

#209
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘ございましたように、事前届出の提出先は内閣府に新設する部局を考えてございます。
 その具体的な手続につきましては今後検討する予定でございますけれども、対象となる区域内の住民や事業者の方々の利便性を確保いたします観点から、郵送による届出のほか、パソコン、スマートフォンによりますオンライン届出を導入することについても検討していきたいと考えてございます。
 また、行政関係の手続に不慣れな方でありましても円滑に事前届出を行っていただけますように、事前、失礼しました、届出書類の簡素化でありますとか、あるいは記載マニュアルの作成、内閣府における相談体制の整備等についても併せて検討してまいります。
 さらに、不動産取引を仲介する事業者の方々にも御協力をいただくということも考えてございます。具体的には、宅地建物取引業法に基づきます重要事項説明として、対象となる土地等の買手に対しまして事前届出の手続について御説明をしていただくということも検討したいと考えているところでございます。
 以上でございます。

#210
○石川博崇君 時間が参りましたので、今日はこれで終わりたいと思います。残した質問、また次回やらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

#211
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
 本日は、重要土地等調査法案について質問をさせていただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事徳茂雅之君着席〕
 まず初めに、先日の内閣委員会でも申し上げたことでございますけれども、今、中国の海警局の船が本当にこの我が国の領土の尖閣諸島周辺の接続水域、それから領海への侵入を繰り返しております。六月四日時点でも、この接続水域には過去最高の百十二日間侵入したと報道で取り上げられているところであります。
 そして、あした九日には、オーストラリアとの外務・防衛担当の閣僚協議がオンラインで開催されるとお聞きしています。そこでは、東シナ海、南シナ海における中国の海洋進出について話し合われるというふうに聞いております。
 また、我が国の友好国である台湾ですね、これは、東日本大震災のとき我が日本に義援金という形で支援をしていただいた友好国である台湾周辺領域にも中国は海洋進出として人工島を造設するなど勢いを増しているということは、皆さんも御承知のとおりだというふうに思います。
 そしてまた、重ねて申し上げますと、イギリスで十一日、この十一日から開催されますG7サミットでも中国をめぐって議論がされるというふうに報道されておりまして、欧米との連携でいかに実効性を伴った実のある議論が展開されるのかと私自身大いに期待しているところでございます。
 そして、加えて、韓国は竹島への実効支配や、先日の内閣委員会でも申し上げたんですけど、五輪のボイコット運動、こういった我が国に対しての威圧を日に日に繰り返していると。
 改めて、我が国の主権を脅かす中国、それから韓国に対して毅然とした態度で臨んでいただくことを政府に改めて要求をしておきたいと思います。
 我が日本維新の会は、平成二十八年の臨時国会から、国家安全保障上重要な土地における取引について規制すべき趣旨の法律案を参議院に五回提出をさせていただいているわけですけれども、この国土を守る確固たる問題意識を持って、そして今回、この法案やっと提出されたなというふうに思っているところで、一定の評価はしたいとは思うんですけれども、まだまだ懸念する点がございますので、以下、順次質問をしていきたいというふうに思います。
 今日午前中に、この法案がなかなか進んでこなかったというようなお話、吉川委員の方からもありましたが、ここ、まず確認のために、質疑に入る前に小此木大臣に改めてお聞きをしたいんですが、本法案、三月二十六日、衆議院の議案として受理されて、衆議院の内閣委員会には五月十一日に付託されている。その後、二十八日に可決をされているわけですけれども、これ確かに、閣法が委員会に付託されるまで二か月ぐらい要していて、ほかにもそういった法案はあるかと思うんですけれども、国家の安全保障上、今回極めて重要な土地取引の法案だと思っているならば、どうしてこれがもっと早くに提出することができなかったのかと。
 ちょっと中身の質問に入る前に、改めて大臣にお聞きしたいと思います。

#212
○国務大臣(小此木八郎君) 本法案につきましては、この内閣委員会でこの法案が今日議題になる以前から各委員にも様々御質問をいただきました。おっしゃったように、諸外国からの脅威、日本の安全保障をめぐる様々な環境の変化、これも申し上げてまいりましたし、示されてきたと思いました。
 こうした状況が十年来続いてまいりまして、ただ、こうした状況を踏まえて、政府は、昨年七月の骨太方針二〇二〇において、安全保障の観点から、関係府省による情報収集など土地所有の状況把握に努め、土地利用、管理等の在り方について検討し、所要の措置を講ずる方針を閣議決定し、国土利用の実態把握等に関する有識者会議を開催して、いかなる対応が適切かどうか、これを検討を行ってまいりました。そして、午前中も答弁いたしましたように、この法案について、安全保障の確保ということと自由な経済活動のそのバランス、このことについて与党内でも熱心な議論をいただいてまいりました。
 今日、三月二十六日の国会提出ということになりましたことについては国会に御迷惑をお掛けしましたと申し上げましたけれども、何とぞ御審議の上、成立をするために、私どもも一生懸命努力をしてまいりたいと存じます。

#213
○高木かおり君 今こうやって審議をしているわけですから、前向きな議論はしていきたいと思っております。
 この私権の制限、それから個人情報への配慮、これ当然のことだとは思うんです。ただ、国家が有事となった場合の対応、これはやっぱり本気で検討しないといけない。これ繰り返しになりますけれども、やっぱりこういったことがなかなか決められないということでは、本当に何か有事があったとき、これで危機管理、この危機管理体制が本当に機能しているのかなというふうに不安に思ってしまうんですね。
 また、どれほどこういったことを遅らせてきたのかという認識をやっぱり政府には持っていただきたい。この間にでも悪意を持った者が我が国の国土を買い取ってきているのかと想像しますと、もう身震いがしてしまうと。遅きに失した感は否めないなと。やはり国家のために実のある議論をしていきたいというふうに思っております。
 政府は、特別注視区域内にある土地等の売買について事前届出をしないで行った場合には罰則を掛けることを検討しているわけですが、これ契約は有効としているわけです。罰則が存在するということは違法行為を行っているということを意味するわけなんですが、結局、売買契約は成立してしまうと。この不自然さを感じていないのか、政府に問いたいと思います。

#214
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、事前届出に関する罰則については、特別注視区域の土地等の取引に関し、届出をせずに売買契約を締結した場合や虚偽の内容を届け出た場合等について六か月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処することを定めております。
 一方、この事前届出は特別注視区域内の土地等の権利移転の実態を常時把握することを目的とする措置であることから、仮に事前届出義務に違反した場合であっても、私人間で締結された契約の効力に影響を及ぼすものではございません。
 本法案では、重要施設等の機能を阻害する土地等の利用の中止の勧告、命令を行うほか、国による土地の買取りの申出等を行う等の措置を講ずることとしており、全体として制度の実効性を担保することとしております。

#215
○高木かおり君 何回聞いてもなかなか納得しづらいんですけれども。
 特別注視区域内にある土地等の売買契約書を事前に届けると、これ簡単に言うんですけど、相当な交渉をした上で両者の合意に基づいて成立している売買契約書というものというのは、既に所有権の移転の意思を持って行っている法律行為であるというふうに思っています。
 で、内閣総理大臣に提出せよとしているんですが、政府の事前届出という概念は、一般で言うところの事後報告に近いものになっているんではないかなと思います。政府は気が付いておられるのかどうか分からないですが、実際の不動産取引というのは売買契約書を見せろという段階ではもう遅くて、政府の見解を実務の世界に合わせていうと、事前届出を確実にするには、売買を行おうとするときにやっぱりもう内閣に相談に伺うぐらいのことを想定しなければこの実効性が担保できないんじゃないか、事前に相談窓口のようなところに相談をしないと本当の意味での事前届出にならないんじゃないかなというふうに思うんですが、この点について再度お聞きしたいと思います。

#216
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 特別注視区域内の土地につきましては、一般的に、安全保障上、常時その状況を把握しておく必要性が高い地域、区域というふうに認識をいたしております。したがいまして、仮に委員御指摘の事後届出といたした場合にはまさにタイムリーな情報の把握の機会を逸してしまうということで、事前の届出制度を導入するものでございます。
 一方で、自由な経済活動を阻害してはならないという観点も踏まえまして、この売買契約の届出を直前ということでも構わないという制度設計にさせていただきました。これは先ほど申し上げましたとおり、この事前届出は、特別注視区域内の土地等の権利移転の実態を随時把握するという目的のためにかような制度にしておるところでございます。

#217
○高木かおり君 では続いて、衆議院での審議の際、附帯決議の十六にも加えられましたけれども、重要施設の敷地内の民有地について、これは四月五日の決算委員会のときにも大臣にはお聞きをさせていただいた点なんですけれども、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
 注視区域及び特別注視区域の対象にすべきだと考えます。なぜ対象としないのか、再度御見解を伺いたいと思います。

#218
○国務大臣(小此木八郎君) 繰り返しになりますけれども、防衛関係施設内の民有地を含め施設の敷地は、施設の管理者である防衛省が既に所有権又は利用権に基づき管理を行っています。それらが施設の機能を阻害する行為のために利用されるとは通常想定されないことから、本法案の対象としておりません。
 一方、防衛関係施設が民有地を囲む形で設置されている場合、その施設内に所在する民有地は、重要施設の敷地の周囲おおむね一千メートルの区域内に位置するものとして本法案に基づく調査等の対象になり得ます。
 防衛関係施設など重要施設内に所在する民有地を含め、具体的な区域指定の取扱いについては、法施行後に法定する手続に沿って適切に判断してまいります。附則第二条に規定する五年後の見直しでは、注視区域及び特別注視区域の対象に重要施設の敷地内の民有地を加えることの要否を含め、更なる政策対応の在り方について検討してまいります。

#219
○高木かおり君 土地利用に支障が生じていないと想定しているという答弁いただきましたけれども、やっぱり一般的な感覚として、仮に悪意ある者が所有した場合のことを考えると全く違和感ないというふうにまでは言えないんじゃないかなというふうに思うんです。敷地内、施設内の民有地が右から左へと所有権が移転していくということ、これ政府としても安全保障上、違和感を感じていただきたいなと。ですので、今後、是非、検討に入れていっていただくということでしたので、お願いをしておきたいというふうに思います。
 続きまして、これも衆議院の附帯決議に入っております、区域指定をするに当たっては地方公共団体への意見の聴取は重要なプロセスというふうに考えているが、政府の見解を伺いたいと思います。

#220
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 我が国の安全保障のための措置は、国が責任を持って判断し、実施することが必要と考えております。このため、注視区域等の指定については、政府として、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、指定の要否、範囲等について慎重かつ適切に判断、決定することとしており、法律上、関係する地方公共団体との意見交換の手続については規定しておりません。
 一方、委員御指摘のとおり、本法案に基づく措置を実施するに当たり、地域住民に身近な地方公共団体の理解、協力を得ていくことは重要であると考えております。このため、区域指定を行う前には十分な時間的余裕を持って関係する地方公共団体としっかり意見交換を行っていくことを考えているところでございます。

#221
○高木かおり君 五年後の見直しでは是非条文化していただきたいと要望しておきます。
 次に、政府は周辺区域を公示で指定するとしておりますが、検討から公示に至るまで一体どれぐらいの期間考えているのか、例えば一年ぐらいを想定しているのか、政府の見解を求めたいと思います。

#222
○政府参考人(中尾睦君) 具体的な注視区域等の指定の時期についての御質問でございます。
 法施行後に法律の要件や基本方針の内容に照らして個々の区域を評価いたします。そして、関係省庁との協議、土地等利用審議会への手続を経て、指定の要否、区分、範囲を決定した上で、その結果を官報で公示することとしております。今ほど申し上げましたとおり、注視区域等の指定を行う前には関係する地方公共団体との意見交換も行うことを予定しております。
 こうした手続を丁寧に行っていく必要があることから、現時点で法施行から区域指定の公示までに要する期間を定量的に見通しをお示しすることは難しいかなと思っておりますが、他方で、我が国の安全保障をめぐる内外情勢は厳しさを増しております。本法案の運用は可能な限り早期にする必要があると考えており、本法案を成立させていただくとの前提で申し上げれば、法律公布後一年三か月を超えない範囲内で政令で定める全面施行の日以降できるだけ速やかに、法定の手続を経て、最初の区域指定について官報で公示を行うことを目指してまいりたいと考えております。

#223
○高木かおり君 はっきりと今の段階では言えないというのは理解をいたします。
 一年三か月ぐらいという数字が出てきましたけれども、もちろん慎重にやっていただかないといけないのは重々もう承知の上なんですが、やはりこれ期間が長いとこの規制なく売買契約がどんどん進んでしまうという、そこはもう御承知のとおりだと思うんですが、この売買契約を助長させないようにしっかりここをできるだけ早くやっていただけることを強く要望しておきたいと思います。
 続きまして、立入検査について、有識者からも出ていましたけれども、附則第二条でも検討規定が設けられていることから立入検査についても検討していくものと考えますが、この政府の見解を問いたいと思います。

#224
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 御指摘のあった立入調査につきましては、有識者会議においても議論をいただいたところでございます。有識者会議の提言においては、対象となる者の負担が大きいことから、調査の手法としては現地・現況調査や公簿の収集等までの対応とすることが適当とされたことを踏まえ、本法案では立入調査は導入しないことといたしております。
 一方、本法案に基づく調査では、不動産登記簿や住民基本台帳等の公簿の収集、現地・現況調査に加え、土地等の利用者等からの報告徴収を行うこともできることとしております。また、防衛関係施設等の重要施設を所管する関係省庁等から機能阻害行為の兆候等に係る情報提供を受けることも想定をいたしております。このように多様な方法を通じて具体的な実態把握を行った上で、適時適切に利用規制を実施することによって重要施設等に対する機能阻害行為の防止に努めてまいりたいと考えております。
 なお、本法案の附則第二条には五年後の見直しに係る規定を置いております。見直しの過程では、本法案の執行状況や安全保障をめぐる内外情勢などを勘案しつつ、御指摘の点を踏まえて、御指摘の点を含め、更なる政策対応の在り方について検討してまいりたいと考えております。

#225
○高木かおり君 これ、立入調査なしに機能を阻害しているかどうかを判断するというのが実際難しいのではないかなというふうに思うんです。むしろ、立入調査がないと、機能を阻害していないのに阻害していると誤った認定をしてしまうということがないのかどうか、こういった点も懸念するところなんですね。
 ただ、これ、ちょっと時間の関係上、御質問いたしませんが、やはりこの政府案の考える調査方法、現地での現況調査、それから、つまりこれ、外から見てみるということですよね。これで分からなかったら不動産登記簿や住民基本台帳のデータレベルも調べる。それでも分からなければ所有者から聞き取って、ここまでは分かるんですけど、このときに立入調査をやっぱり行わなければ、実際に、先ほど申し上げたように、判断が付きかねるんではないかというふうに思う点から、この立入調査ということを是非とも検討をしていただきたいというふうに要望をして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、罰則の実効性についてでございます。
 一般論として、機能を阻害する利用に対しての中止の勧告、命令に従わない場合は罰則を科せることができるとしていますが、これ、国外から来た外国人の場合、どのように罰則を掛けるのか、簡単に御説明ください。

#226
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 本法案では、注視区域内にある土地等の利用状況を調査した結果、重要施設等の機能を阻害する土地等の利用が判明した場合には、その利用の中止等を勧告、命令することができ、この命令に違反した者には罰則を科すこととしております。仮に、本法案に基づく命令に違反した者が外国人であっても、日本人と同様に本法案の罰則が適用され、刑事罰を科すことが可能でございます。

#227
○高木かおり君 では、国外に逃亡したということを想定してみたいと思います。
 罰則を掛ける前に国外に逃亡したらどうかまでを想定しているのかどうか。ちょっと分からないんですけれども、国外に逃亡した場合、犯罪人引渡条約を締結していない国の場合には事実上罰則を掛けられないという現実があります。これは他の事例を見ても同じことが言えるんだと思うんですが、政府としては、国外逃亡まで想定して罰則の掛け方を検討しているのか、お聞かせください。

#228
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 まず、仮に本法案に基づく命令に違反した者が国外に逃亡した場合であっても、本法案の罰則は適用されます。
 他方、一般論として申し上げれば、委員御指摘ございましたとおり、本法案に基づく命令に違反した者が国外に逃亡した場合、その者が再入国しない限り、その者に罰則を科すことは困難であるというふうに認識いたしております。そのような場合には、その者が本邦に再入国した際に科刑のための手続が確実になされるよう、関係当局と適切に連携していく必要があろうかと存じます。

#229
○高木かおり君 そもそも計画的に行っているような場合、悪意ある者がどういった行動をするか分からない、国外に逃亡するということ、可能性もなきにしもあらずということで、先手を打った対応を是非求めたいというふうに思います。
 ここから、国境離島についてお聞きをしていきたいと思います。
 まず、尖閣諸島には私有地があるのか、ある場合、その私有地は本法案の調査、利用規制の対象となるのか、政府に伺います。

#230
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 尖閣諸島には私有地が所在するものと承知しております。また、尖閣諸島に属する離島のうち、領海基線を有する離島については法案第二条第三項に規定する国境離島等に含まれます。
 一方、本法案に基づく調査等の対象となる具体的な区域の指定については法施行後に法定する手続に沿って決定することとしており、現時点において尖閣諸島の取扱いについて予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきます。

#231
○高木かおり君 安全保障上言えなくても、この尖閣諸島のうち、無人島であっても私有の島がある以上、この島が悪意ある者と売買される可能性というのは否定できないのかなというふうに思います。国境離島の防衛上、調査、利用規制の対象とすべきであるということは指摘しておきたいというふうに思います。
 では、この尖閣諸島のうち、領海基線を有しない島があるのかどうか、お答えください。

#232
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 尖閣諸島には領海基線を有しない離島が存在するものと承知しております。

#233
○高木かおり君 今、尖閣諸島のうち、領海基線を有しない島があるということですけれども、幾つあるのかという調査は行っていらっしゃいますか。

#234
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 尖閣諸島のうち、領海基線を有しないものは二つあるものと承知しております。

#235
○高木かおり君 二つあるということでございましたが、重ねて質問させていただきたいと思います。
 今この質問で明らかなことは、調査をしていないから分からないということがあるのかもしれません。領海基線を確定させるということは重要なことであると承知をしております。
 ただ、本土と領海基線の間にある島々の形状ですとかこの状態を調査していないということは、我が国の国境離島の安全保障に関わる問題であって、政府におきましては、この尖閣諸島のうちの領海基線を有しない島に対しても海上保安庁や内閣府がこれしっかりと連携をしていただいて徹底的に調査は行うべきだと私思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

#236
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 まず、本法案との関係においては、先ほど来申し上げておりますとおり、領海基線を有しない離島であって、有人国境地域離島、失礼しました、有人国境離島地域離島にも該当しない、すなわち法第二条第三項に規定する国境離島等に該当しない離島については、本法案に基づく区域対象、それから調査等の対象とはならないというものでございます。
 なお、従前から、委員御指摘のとおり、海上保安庁や内閣府が連携いたしまして国境離島等についてしっかりと所要の措置を講じることは今後も引き続き大事なことであるというふうに考えております。

#237
○高木かおり君 今回の法案には、調査対象ではないということなんですが、今御答弁いただいたように、大変重要な点だということは今共通認識だと思いますので、是非とも今後、冒頭から申し上げているような、国際情勢ということもあります、安全保障上の観点から、是非ともしっかりとこの点については調査を強く要望しておきたいというふうに思います。
 続きまして、買取り制度についてお聞きをしたいと思います。
 基線を持つ私有地の島のうち、国防上特に注視する区域については買取りは視野に入れないのか、また、この買取り制度はどこまでを想定しているのか、政府の見解を問いたいと思います。

#238
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 本法案におきましては、第二十三条において、国に対して、国が適切な管理を行う必要があると認められる注視区域等の土地等の買取り等について努力義務を定めております。これは、有識者会議の提言において、安全保障の観点から、政府として、リスク顕在化への備えとして前広に対応することが求められるとして、土地の買取りを申し出る措置を設けておくべきとされたこと等を踏まえて措置したものでございます。
   〔理事徳茂雅之君退席、委員長着席〕
 第二十三条に基づく土地等の買取りについては、重要施設の機能を阻害する行為の用に供されることを防止するため国が適切な管理を行う必要があると認められる場合に必要に応じて行うこととされており、現時点において特定の離島の土地等を買い取ることは想定しておらないところでございます。

#239
○高木かおり君 今、買取りの点をお聞きをしましたけれども、今回の法案では、この買取りのための予算化を政府はしていないということなんですよね。国境離島の買取りについて余りこれ真剣に考えてこなかったという表れなんじゃないかなというふうに私は思ってしまうんです。
 なぜこの本法案で予算化しなかったのか、もう一度政府に問いたいと思います。

#240
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 まず、予算との関係の御質問でございますけれども、本法案は、成立後、政令及び内閣府令の作成、基本方針案の策定、区域指定の選定などを行う必要があるため、令和四年度の施行とすることを予定した法案でございます。このため、令和三年度の予算関連法案とはしておらないところでございます。
 また、買取りの措置につきましては、先ほど申し上げましたとおり、努力義務規定として創設させていただいておりますけれども、従前このような規定はございませんでしたので、今後、この法律に基づいて必要な場合は買取りの申出ができるという新しい制度を創設するというものでございます。

#241
○高木かおり君 今回の法案は、この調査をするということで、今の実態を、どういった状況なのかという実態調査をしていくということがポイントなんだということで、今後、国としても調査をした上で検討をしていくということなのかなというふうに受け取りました。
 買取り条項も結局、ただ、今のままではお願いレベルにしていて、法案で規定している以上、やっぱりそれを実行し得るための最低限の予算化は必要だというふうに思うんですね。この段階で予算化していないということは、買取り条項は事実上機能しないということを政府が自ら言っているようなものになってしまうので、国防というビジョンをしっかり持っていただいて次につなげていっていただきたいというふうに強く要望させていただきたいというふうに思います。
 続きまして、行政代執行について問いたいと思います。
 勧告、命令に従わない場合、その機能阻害行為の排除として一般法の行政代執行で排除することは可能と、六月四日の本会議、大臣は答弁をされました。この行政代執行が出てくる場面、これはどのようなことを想定しているのか、見解を伺いたいと思います。

#242
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 本法案においては、勧告を受けた者が正当な理由がなく勧告に係る措置をとらなかったときは、その措置をとるべきことを命令することができるほか、命令に違反した者には罰則が科せられることとしております。
 命令が履行されない場合においては、行政代執行法に基づき代執行を行うことができる場合があるものと考えており、例えば、施設機能を阻害する構築物の撤去等を命令した場合において、その命令が履行されないときに、内閣総理大臣が自ら構築物を撤去することが想定されるものと考えております。
 重要施設等の機能を阻害する行為が認められた場合には、これを是正するため、まずは本法案に基づく措置を適切に実施することが基本であると考えておりますが、更に対処が求められる場合、行政代執行法による代執行を行うことも検討させていただきたいという趣旨でお答えしているものでございます。

#243
○高木かおり君 再質問させていただきますが、行政代執行はあくまで本人に代わって行うことですので、排除するだけを意味していて、その土地の利用権までを国が取得するには、我が日本維新の会が主張している、附帯の十四に加えていただいたんですが、この収用することが本法案の趣旨とも合致するんではないかと、本法の第九条を確実に実行するためにはそういった考えはいかがなものかと、その政府の見解を問いたいと思います。

#244
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 土地収用の措置についての御質問かと存じております。
 この点、有識者会議の提言において、今般の制度的枠組みの実施状況、有効性等を見極めた上で、安全保障をめぐる国際情勢、諸外国の取組等を踏まえ、慎重に検討していくべきとされたところでございます。このため、本法案では、そうした土地収用は導入しないこととし、重要施設等の機能を阻害する土地等の利用に対し中止等の命令等を行う利用規制の枠組みを採用したところでございます。
 政府といたしましては、土地等の利用状況の調査と利用規制を柱とする本法案によって、安全保障上のリスクとなる重要施設等の機能阻害行為の防止に努めてまいりたいと考えております。その上で、附則第二条に基づく五年後の見直しの中で、御指摘の措置の要否を含め、更なる政策対応の在り方について検討してまいりたいと考えております。

#245
○高木かおり君 この収用というのは私権制限を伴って、またこれすごく時間も掛かることであって、なかなかこの私権制限ということを考えると、今回の法案に関しては、やっぱりこの私権制限と安全保障のそのバランスというようなお話もありますが、やはりここはしっかりと対応していかなければならないと思うんですね。
 行政代執行だと、本人に代わって行政が当該行為、例えば撤去作業をするだけなんですが、安全保障上必要な場合、あくまで必要な場合にはこういった収用という手段を講じなければいけない場面というのが出てくるのではないかと想定するんです。そういったときに、いざというときのためのそういった手法、そういったものもしっかりと考えていただかなければ、そういった安全保障の観点からきちんとした対応ができないんではないかというふうに思っておりますので、是非ともこの点も踏まえて今後検討していっていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。
 そして最後に、竹島についても触れたいというふうに思います。
 我が国の領土である竹島も国境離島が四島存在することを認めておりますけれども、現在、韓国が常駐し実効支配をしている状況の中で、この法案をどういうふうに適用していくのか、政府の見解を求めたいと思います。

#246
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 竹島の国境離島については、本法案第二条第三項に規定する国境離島等に含まれます。
 なお、実際に対象区域を指定するか否かについては、法施行後に新たに設置される土地等利用状況審議会の意見を聴取するなど、法定する手続に沿って決定することとしており、現時点において予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと考えております。

#247
○高木かおり君 なかなか、実効支配されているという事実の中で、どういうふうに政府として対応していくのか、これ極めて政治的要素が強いということは承知をしております。なかなかこれについて御答弁というのは難しいのかなというふうには思っているんですけれども、やはりこの我が国の固有の領土である竹島についてはこれ慎重かつ毅然とした対応を是非ともしていただきたいというふうに思います。重ねて要望をしておきたいと思います。
 そしてまた、この竹島、それから尖閣諸島に関してなんですが、ちょっと登記の問題をお聞きしたいと思うんですね。
 この尖閣諸島の国有地の島については、これ国有地として国交省として登記されているというふうにお聞きしているんですけれども、これについてはいかがでしょうか。

#248
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 御質問いただきました尖閣諸島の島のうち国有化されておるものにつきましては、委員御指摘のとおり、国土交通省の行政財産等、幾つか形態はあり得るかもしれませんけれども、そのような形で登記がなされているものというふうに理解をしております。

#249
○高木かおり君 それでは、先ほどから出ています竹島、これについては登記されていないというふうに聞いているんですが、それは本当でしょうか。

#250
○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の登記の件について外務省として有権的にお答えする立場にはございませんが、竹島に関する不動産登記記録は存在しないものと承知しております。

#251
○高木かおり君 もしそうであるならば、この登記を例えばツールとして、日本の領土であるということを対外的に例えば示すというような考え、この登記することによって、まあ国内的ということにはなると思うんですけれども、国内的ではありますけど、我が国の領土であるという再認識が我々できるんではないかというふうに私見で考えているんですけれども、この点について政府の御見解をいただけますでしょうか。

#252
○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の登記の件については外務省として有権的にお答えする立場にはございませんが、竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに我が国の固有の領土でございます。
 外務省としましては、竹島問題については、国際法にのっとり冷静かつ平和的に紛争を解決するという考えに基づき様々な検討、準備を行っておりますが、委員御指摘の点について具体的にお答えすることは、竹島に関する我が国の今後の対応等に影響を及ぼし得ることから差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、外務省としましては、竹島問題について、国際法にのっとり冷静かつ平和的に紛争を解決するという考えに基づき適切に対応していきたいと考えております。

#253
○高木かおり君 この件は際どいところを聞いているのかなというふうには思っております。
 ただ、この点を投げかけたというのは、登記していなくてももちろん竹島は日本の領土であるということは間違いないと承知しておりますし、これは周知の事実だと思っているんですね。
 ただ、この登記というのを一つのツールとして領土問題を考えていくきっかけになればいいんではないかと。登記が目的ではなくて、登記という手段を通じて何らかのメッセージというのを、国民の皆様にも分かってほしい、伝えていきたい、そういった趣旨もあってこの登記の問題をちょっと取り上げさせていただきました。ありがとうございます。
 今回の法案は、重要施設を守るための土地の実態調査の、実態把握のための調査と、そのための保全措置を定めたもので、領土、領海に力点が置かれておりますけれども、例えば対領空侵犯を想定した場合、侵入する者を捕捉するレーダーサイト等の機能発揮を万全にする必要があるというふうに考えるんですが、この本法案の意義を含めて問いたいと思います。

#254
○政府参考人(川嶋貴樹君) 防衛省でございます。
 防衛省・自衛隊は、領空侵犯のおそれがある航空機を発見した場合等には、戦闘機を緊急発進させるなどの対領空侵犯措置を実施してございます。対領空侵犯措置を有効に実施するため、防衛省は各種のレーダー等を整備し、常に我が国周辺空域を監視しているところでございます。
 その上で、本法案における個々の区域の指定につきましては、個別の施設の特性やその施設がある地域の状況を踏まえ、安全保障等の観点から、必要最小限の原則の下、真に必要性が認められる区域につきまして、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で指定されることになるものと承知しておりますが、防衛関係施設のうち、レーダーサイト等の警戒監視、情報機能を有する施設は、本法案に定められます機能が特に重要なもの又は阻害することが容易であるものであって、他の重要施設による機能の代替が困難であるものとの要件に該当し、特別注視区域の指定の検討対象となり得るものと考えてございます。
 防衛省といたしまして、本法案は、レーダーサイトを含む防衛関係施設の機能発揮を万全にする観点から極めて意義があるものと考えておりまして、今後とも内閣官房と適切に連携してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。

#255
○高木かおり君 やはり日本国そのものの安全保障につながる今回の法案、重要な法案だというふうに考えております。
 先ほど御答弁いただきました、詳しく御答弁いただきましたけれども、この空からの対処についても、政府にはしっかりと積極的に検討もしていっていただきたいというふうに思っております。
 以上、いろいろと今日質問をさせていただきましたが、この国土の保全を考えた場合には、やはりこの森林法での外国人の所有を制限していないのかですとか、水源を取られていることを国は認識しているのかとか、いろいろな問題、まだ多々ございますけれども、政府に問いたい部分はありますが、ちょっと今回はもう間もなく時間が来てしまいますので今日は質問はこれにて終わりたいと思いますけれども、日本維新の会は、六月の二日、国民民主党と共同で、自衛隊法及び海上保安庁法の一部を改正する領域警備強化法案を衆議院に提出いたしました。自衛隊の警戒監視活動や武器使用の基準を定めて、領海警備を強化するためのこれ法案です。
 本法案についてはやっと第一歩が踏み出せたという思いであります。何度もこれ私繰り返し申し上げていますけれども、やはりこれ将来的には、きちんと国を守っていく、領土、領海、領空、しっかりと守っていくために、きちんと我が国として国民の皆様の安心、安全を守るためにもやっていかなければ、何をおいてもやっていかなければならないテーマだというふうに思っておりますので、是非とも、今後、将来的には維新案も加えていただいて、更なる強化の法律にする覚悟を持って、安全保障と国の国土の利用について今後も主張をさせていただきまして、私の質問を終わります。
 本日はありがとうございました。

#256
○矢田わか子君 国民民主党・新緑風会、矢田わか子です。
 我が国を取り巻く安全保障環境がこのように大きく変わってくる中で、この法案自体の重要性については十分に私どもも認識をしております。ただ、民主党政権のときにこの法案の意義を元々提案させていただいてからもう既に十年近く経過しているわけです。その間何をしてきたのかという正直な気持ちもあります。
 先ほど来の質疑聞いていても、一方で、この刑事罰が掛かる、そういう取引上の事前届出の義務化等ですね、利用規制も行われるわけですので、やはりこの私権制限を含む内容であるということから、日常のやはり経済活動に支障を来すような悪影響があってはならないという観点もあるかと思います。加えて、この法律の目的を達成するに当たって、やはり行政の在り方とこの私権制限とのバランスいかに取っていくのかということが私は一番重要なことになるのかなというふうに思っております。
 その上で、何回か質疑がありますので、今日は、まず立法事実と、それから法が施行されて以降の実効性の担保についてお伺いをしていきたいなと思います。
 まず、立法事実なんですけれども、結局この安全保障上課題があるからということで今回当然出てきたわけなんですが、外国人が自衛隊の基地とか米軍基地の周辺に土地を所有することによって、防衛関係の業務に妨害行為、あるいは監視、スパイ行為が頻繁に行われているような事実、あるいは近い将来そういった活動が展開されるその予見があるのかどうかについて、まず防衛省からお答えいただきたいと思います。

#257
○大臣政務官(松川るい君) お答えします。
 防衛省は、平成二十五年十二月に策定された国家安全保障戦略により、防衛施設に隣接する土地所有の状況について把握するためのいわゆる隣接地調査を継続的に行っているところ、これまでの調査の結果、自衛隊施設及び米軍施設との隣接地のうち、住所が外国に所在し、氏名から外国人と類推される方の土地が七筆確認されています。
 この調査の結果から、自衛隊施設及び米軍施設周辺の土地の利用によって自衛隊や米軍の運用等に具体的に支障が生じているような事態は確認できない旨、国会等でお答えしておりますが、本法案が想定する機能阻害がなかったと予断するものではありません。
 本法案で想定している機能阻害行為が過去にあったのかとのお尋ねについては、その有無も含め、いつ、どこで、どのような態様で行われたかをお示しすることは、安全保障上の脆弱性を自ら明らかにし、類似行為を誘発しかねないことから、適切ではないと考えています。
 いずれにせよ、本法案には、防衛省の隣接地調査と比較して、対象及びその手法の両面で大きく充実するものであり、防衛関係施設の機能発揮を万全にする観点から大きな意義があるものと考えています。

#258
○矢田わか子君 本法案は特に、こうした立法事実があるのかということは指摘されているので、予見されるものだけでもやはり列記をして、国民に分かりやすくお示しするべきだと私は思っています。
 一般的に言えば、業務の監視や撮影、通信妨害、それから妨害電波の発信、航空機に向けてのレーザーの点射とか、それから情報提供者、協力者への接近など等も挙げられると思いますので、やはりまずは国民の方々にこういう可能性もあるので是非御理解いただきたいという発信をしないと、なかなか同じ答弁の繰り返しでは、何、立法事実ないじゃないかというところばかりが声として大きくなる、そんな懸念もお伝えしておきたいと思います。
 それから、二つ目の立法事実確認ですが、周辺住民の不安大きくなっているという事実があるのかどうかということです。基地の周辺における外国人の土地の取得が住民の不安の声を高めているという事実、あるいは今後住民の不安を増幅するような状態を把握されているのかどうかということについて、是非お答えをいただければと思います。

#259
○国務大臣(小此木八郎君) これも繰り返しになってしまいますが、防衛関係施設等の周辺において外国資本等による目的不明の土地の買収は、安全保障の観点から長年問題視されてきた課題であります。
 本課題については国会や地方議会でも議論されてきたほか、全国各地の地方公共団体からは安全保障の観点から土地の管理を求める意見書が提出されていると、これも事実でございます。
 こうした社会的な要請があることも必要性を裏付ける重要な要素の一つとして、防衛関係施設等の周辺の土地等をめぐる安全保障上のリスクに対応するため、本法案を取りまとめてまいりました。

#260
○矢田わか子君 こちらも同じなんですけれども、国民目線に立ったときに、やっぱりちょっと分かりやすく広報しないと、防衛省というと物すごく抵抗感が、済みませんが、あるんですよね、何をしようとしているんだというような。
 ですから、ちょっと私も考えてみたんですけれども、例えば、強固な建物がいきなりできて、様子が、中の様子全く分からないし、怪しい建物が建てられてちょっと不安だなというような住民の声とかですね、怪しげな人物がその基地の周辺をうろついて、不安で不気味だと感じる住民がやはりいらっしゃるんだということだとか、自衛隊の隊員と不審な外国人との間でトラブルや争いが起きて、住民が巻き込まれる、巻き添えになるような事態に周りの住民が不安を感じているようなケースとか、有害物質と言われる化学物質のようなものを所有、保管しているような様子が見受けられる方が水源地や井戸にうろうろしていて、そういう何か不安を住民の方が感じているとか、ちょっと例は良くないかもしれないですが、いろいろ想定されるものがあって、多分、防衛省であれば過去の報告等も受けていらっしゃると思うんです。
 そういうものをちょっと、何ですかね、分かりやすくアニメーション化して皆さんに、こういう事態もあるので、想定をして私たちは手を打つんだというふうな、何か発信をしていかなければ、今のままではなかなか御理解が広がらないんじゃないかなということを懸念しております。
 それから、三つ目の立法事実で、少し例を出したいと思います。
 千歳市議会による課題提起ということなんです。外国人による自衛隊基地周辺の土地取得に対する懸念、不安については、資料一にお示しをしました。八年前の二〇一三年の九月十二日の長崎県対馬市議会で取り上げられまして、以降、幾つかの議会で取り上げられています。その内容は、往々にして外国人の土地所有に関する実害を訴えるものではなくて、将来的な懸念を指摘する程度のものでありました。
 具体的に、七年前、二〇一四年の六月十一日に北海道の千歳市議会で取り上げられたものを確認していきたいと思います。こちら、別紙の資料二に、公開されている市議会議員と市長との具体的なやり取り、議事録を掲載させていただいております。
 航空自衛隊千歳基地と新千歳空港から約三キロの隣接地に中国企業が七・九ヘクタールの大規模な土地を取得したという事実がこの議員から指摘をされております。中国資本によって購入されたこの約八ヘクタールというものは大体東京ドーム二つ分の大きさであります。この問題を取り上げた市議会議員は、国民保護の観点から問題提起をしなければならないとして政府の法整備を求めたというものですが、特に住民の不安や具体的に問題が生じていることを指摘したものではないんです。
 一方で、市長の答弁は、新千歳空港の滑走路南端に近接する苫小牧市域内の森林約八ヘクタールが外国資本に取得されたことを確認していますと、また、利用目的は資産保有のためとされているとの情報提供を得たところでありますと答え、北海道庁が重要施設百三十七か所について国民保護の観点から周辺三キロメートル圏内の森林を対象に調査を行っていますということを紹介されています。
 そこで、資料三ですが、北海道庁が外国人による森林所有の実態を調べた調査結果について、該当する市町村に自衛隊の施設があるかどうかを私の事務所で調べてみました。結果は、自衛隊の施設と買われた森林の距離関係、ちょっと分からなかったんですけれども、結果、丸付けてあるところですね、札幌市、千歳市、恵庭市、倶知安町、登別町、函館、上富良野町、足寄町、標津町、九つの市町村がこれに該当をいたしました。
 全体的にこの面積が二千九百四十六ヘクタールということで、結構大規模なんですよ。まあ、山手線の内側の面積の半分ぐらいですか、ぐらいの土地を既に外国人、特に中国とか、香港が多いんですけれども、取得をされているというような実態です。
 多くは、観光開発、それから投資用の森林取得とも捉えられていますが、政府はこのような自衛隊施設がある市町村の外国人土地所有、どのように評価されているのか。この市議会のやり取りの中では、市長からは、北海道から国に対し、危機管理の観点から、外国資本等による重要な施設周辺などの土地取引について法令の整備を要請しているというような言葉もありますが、どのように捉えられているのか、お答えください。

#261
○国務大臣(小此木八郎君) 北海道庁による調査の結果によれば、自衛隊施設のある市町村において外国資本等による森林の取得が確認されていると承知しています。委員のおっしゃったように、九市町ございます。また、これらの森林の利用目的については、主に資産保有、別荘用地、あと不明などであると承知しています。
 一般論として、目的が明らかでないと考えられる外国資本等による土地取得が安全保障上のリスクとなるかどうかは直ちには評価はできないと考えておりますが、他方で、我が国の防衛関係施設やその周辺、国境離島等で外国資本が土地の買収を行っていることは安全保障の観点から長年問題視されてきた、度々申し上げてまいりました。この課題、この課題は国会や地方議会でも議論されてきました。全国各地の地方公共団体からは、安全保障の観点から土地の管理を行うための法整備を求める意見書もおっしゃいましたように出されています。
 今般の法案は、こうした社会的要請も必要性の一つとして、安全保障上取り返しが付かない事態となる前に取りまとめたものということでございます。

#262
○矢田わか子君 日本においてやっぱり対日投資促進策というのがあって、海外の方たくさん投資してくださいというふうな政策を取ってきたことは事実でありまして、その経済効果という意味で評価をしているのか、それとも、やはり安全保障上これは憂慮すべきものなのかというところが難しい点だというふうに思います。
 その上で、確かにこの北海道、莫大な森林があって、投資目的でたくさんの方々が森林買われているということは事実でありますので、利用目的が明確でないこの外国人の土地所有については、やっぱり住民にとっては、何で買いはったんやろうかと、分からないままでは不安を覚えるということでもあるのだと思いますので、重要施設への影響があるなしにかかわらず、外国人の土地所有の実態把握、所有者、所有目的、土地開発の状況の確認というのはやはり常時行っておくべきではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

#263
○国務大臣(小此木八郎君) この十年で地方から様々な声が聞かれたというのも事実でありまして、先ほども、国会議員一人一人もそういう現状を目の当たりにしてきたということ、そして、十年前は外国からの、例えば日本に来られるお客様が数百万人、今コロナ禍でぐんと減ったことは事実でありますけれども、三千万人を超えるような数字も昨年出てまいりました。その中で、やはり性善説に立って、経済を潤わすということはもちろん歓迎すべきことでありますが、残念ながら、残念な土地取得、その売買、その利用というものが、非常に意味の分からないというか不明なところ、これを是非調査しなければならないという目的に立った法律の立案でございます。

#264
○矢田わか子君 私は、この点においてはやはり本法律の立法事実というのは一部確認できるのではないかというふうに評価をしているところです。
 一方で、もう一点、外国人の土地所有の非対称性、非相互主義ということが立法事実になるのか確認をしていきたい。
 代表質問でも、我が党の大塚耕平議員が代表質問させていただいたとおり、やはりこの外国人の土地所有、非対称性どうなのかというところで一枚、表を作りました。④の表であります。
 世界貿易機構、WTOの一般協定第十七条で、自国の国民、企業と外国の国民、企業を等しく扱う内国民待遇が規定されています。基本的に日本では、外国人の土地所有が認められ、自由に売買取引ができ、登記手続や固定資産税の納付が適切に行われていれば全く問題ないとされています。
 外国人の、一方で、土地所有の規制に関して海外の事例は、簡単にまとめてみたんですけれども、実に多くの国が準拠法を持ちながら、そしてまた土地投資に関する法律等も引用しながら、やはり一部規制を掛けている、管理をしているというような状況になっています。基本的には、国の軍事施設など重要施設周辺、それから国内の個人、法人の取得を含め事前届出制や許可制、中止命令などの規制も掛かっています。これは、WTO協定の第二十一条で、安全保障のための例外として認められているものであります。
 一方で、北海道でも、先ほどのように、森林の購入よく見られる中国について、資料の一番右端に記載したとおり、土地所有は国家所有か集団所有になっているんですね。外国人や外国法人は合併企業であっても土地の所有ができず、投資プロジェクトを通じるなど、条件付で開発権や使用権を得るということになっているわけです。さらに、土地使用に関しても、用途制限、厳格な登記手続、譲渡、貸与の制限など、厳しく管理を中国はされているということであります。
 こういった日中の非対称性を解消するという意味においても今回の法律は立法事実があると言えるのかどうか、お答えいただけますか。

#265
○国務大臣(小此木八郎君) 矢田委員のお話は認識、理解いたします。
 安全保障の観点から、土地を管理する制度の在り方に関し諸外国の制度との非対称性を問題視する指摘があることは、これまでも私たちにも発せられました。
 一方、本法案は、土地の利用により安全保障上重要な施設の機能阻害行為が行われるというリスクに対応することを目的として取りまとめたものであり、御指摘の非対称性の解消、これを問題としているわけではございません。
 なお、これらの機能阻害行為については、その主体が外国人、外国法人であるか、又は日本人、日本法人であるかにかかわらず適切に対処することが必要であり、本法案は内外無差別の枠組みとしているところであります。
 この点、国土利用の実態把握等に関する有識者会議の提言においても、我が国の法律に基づいて設立された会社であっても実質的な所有者や支配者が日本人でないケースもあり、土地の所有者の国籍のみをもって差別的な取扱いをすることは適切でないとされたところでございます。

#266
○矢田わか子君 大臣の御答弁は、衆議院の方でも議事録で読ませていただいているんです。
 ただ、大臣、おっしゃるとおりかもしれませんが、やっぱりこの非対称性の解消ということを目的とする今回の法律だと言った方が私たちも納得しやすいわけですね。
 他国もこれだけの規制を掛けて、しっかりと安全防衛上、様々に他国からの土地の購入については管理をしているということでもありますので、別にガット協定に違反するわけではなくて、例外措置として認められていることですので、ほかの国が様々な法規制をする中で、ガット協定違反ではなくて、整備をしてきた実態を見れば、日本だってやらせてもらって当たり前じゃないかという見方も私はできると思っているので、ちょっと是非その点は、ずっと同じ答弁で、私たちは内外規制掛けるものじゃなく国外も国内の人も一緒だよというメッセージはいいんですけれども、でも一方で、諸外国はこういったことをしているという前提の下で是非御対応を考えていただきたいし、その方が今回法律を変える意味なり目的がある程度明確になるのではないかと私は思います。
 大臣、いかがですか。

#267
○国務大臣(小此木八郎君) 今回、今私が申し上げたとおりでありますけれども、様々な外国の在り方、日本は日本としての在り方もございます。改めて議論を重ねていくことについて私は止めることではありませんので、そういったものについては、日本の国益、そして日本人を守るということが第一義であると考えながら進めてまいりたいと思います。

#268
○矢田わか子君 おっしゃっていただいたとおり、やはり私は、今回の法律何のために整備するのかというと、当然、日本人なり守るためなわけです。安全保障上というのが一番の立法事実だというふうに思いますので、そこは是非揺るぎのないようにしていただきたいと思います。一部、立法事実もないのに日本人を取り締まるんじゃないかというような声もあるわけですから、そうじゃないわけですよ。安全保障なわけですよ。だから、防衛省も参考人で今日もお呼びしているわけなので、是非そこの強調はしていただかなければというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 五つ目、離島における外国人の土地所有の問題について確認していきます。
 具体的な課題に戻りますが、離島において外国人が土地を所有することによって、例えば周辺を航行する船舶の監視、離島に置かれた自衛隊や米軍の施設の、違法性に気付いて、監視や通信傍受などのアプローチを図る、若しくは所有する敷地を利用してスパイや不法入国者が自由に出入りできるというような、そんな実態があるのかどうかということについてお答えください。

#269
○大臣政務官(松川るい君) お答えいたします。
 離島に所在する自衛隊施設のうち、例えば対馬については、外国資本による土地所得の報道等があった海上自衛隊対馬防備隊の隣接地等について不動産登記簿等を調査いたしました。加えて、奄美について申し上げれば、陸上自衛隊奄美駐屯地及び瀬戸内分屯地、海上自衛隊奄美基地分遣隊及び瀬相連絡所、航空自衛隊奄美大島分屯基地についても隣接地調査を計画的に行っているところであります。
 これらの隣接地調査等の結果から、防衛施設周辺における土地の所有等により自衛隊の運用等に具体的に支障が生じるような事態は確認できていませんが、本法案が想定している機能阻害行為が全くなかったと予断するものではございません。

#270
○矢田わか子君 先ほどお配りした一枚目の資料の対馬や奄美の市議会で出ているとおり、やはり有人国境離島においても様々なこの問題が出ているわけです。
 これは市議会でのやり取りですけれども、長崎の対馬市議会では二〇一三年九月に、やっぱり不安なわけですね、現行法では外国人に対する土地購入の規制はできないけれども、国等へ働きかけが必要ではないかというような声が出ているということや、奄美もそうなんですけれども、観光客も増えているけれども、外資系企業が土地を獲得するためいろいろな手を使っていますと、対応が必要じゃないかということで、現行法上ではまだ対応が難しいので、実態把握など進めてくださいというような要望も出ているということですので、是非こうしたお声も聞かれながら対応策を講じていただきたいし、これ自体がまた立法事実に一つなるわけですので、その立法事実になるよということをお示しするのが今私たち、この国会の中の、立法府としての役割なわけです。
 だから法を作るんだということを示していかなければいけませんので、是非、今日、五つですね、立法事実になるんじゃないかと思われる点を今日質疑させていただきましたので、課題整理をお願いしたいなと思います。
 では、次の問題に行きたいと思います。法が執行された後の効果ということも含めて、あっ、済みません、もう一問ありました。もう一問は、重要インフラ施設、生活関連施設での安全確保の件についてお伺いしていきます。
 この生活関連施設についても、先ほど来のやり取りをお聞きしていても、今後政令で規定されるということでありますが、具体的な施設について、資料五を御覧ください。これは、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律施行令ということで、いわゆる国民保護法と言われているものですね、この第二十七条で列記された施設について書かせていただいております。
 下の黄色い方は、ドローンの飛行規制に関する、重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律で規定されている対象施設を書かせていただきましたが、これと同様なものになるのではないかという想定をしています。
 小此木大臣、この重要インフラ施設については、先日の本会議で私たちの大塚の質問に対して、原子力関係施設及び自衛隊が共用する空港を政令で指定することを想定しており、鉄道施設やダム、水源地、原子力発電所以外の発電所、通信施設、水道施設、ガス施設を指定することは想定しておりませんと答弁されていますが、本当ですかということなんですね。これらの施設については、例えば都市ガスのタンクとか大きな駅、そしてNTTの中継所、何らかの事件が起これば大きな影響が生活に出る施設でもあります。
 もう一度お聞きしますが、この生活関連施設、どういうところを想定されていますか。

#271
○国務大臣(小此木八郎君) これも繰り返しになりますが、本法案は、有事を想定する武力攻撃事態等における措置を定める、委員がおっしゃいました国民保護法とは異なりまして、平時を想定しています。その前提で、防衛関係施設、重要インフラ施設等の周辺の土地等の利用について必要な措置を講じ、あらかじめそれらの機能を阻害する行為を防止しようとするものであります。
 このため、本法案では、生活関連施設の定義について、国民保護法の生活関連等施設よりも限定的に規定しております。具体的には、国民保護法には置かれていない、その機能を阻害される行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるものと規定しています。
 こういったことを踏まえ、現時点においては原子力関係施設及び自衛隊が共用する空港を生活関連施設として政令で指定することを想定しており、御指摘のあった鉄道、ガス、通信施設等の類型を本法案に基づく政令の指定対象とすることは考えておりません。
 他方、安全保障をめぐる内外情勢は刻々と変化いたします。将来の情勢のいかんによっては、原子力関係施設及び自衛隊が共用する空港以外の施設の類型を政令で指定することはあり得ます。

#272
○矢田わか子君 その機能を阻害する行為というのがまた問題になっているわけなんですけれども、何か事が起こったときに重大な被害が、国民生活に影響するおそれがあるところをいわゆるこの生活関連施設と定め、それは重要施設になっていくわけですので、だからといって確かにむやみやたらに広げてくださいというものではありませんし、有識者会議でもそこの意見に対しては、むやみやたらに広げず、ただ、安保をめぐる国際情勢や軍民両用の技術の急速な変化に即時対応できるように、しっかり優先度の高いものから順次、そして機動性を持って変更できるようにというふうなことが指摘されておりますので、是非、私たち、国民に対しての説明責任もありますので、立法事実ということでまたいえば、こうしたところに何か起こったときに皆様の生活にすぐ影響を与えることになるので、しっかり私たちはその周辺の土地も含めて何も起こらないように調査していくんだよという方が素直に入るわけですよね。
 余り狭過ぎる、狭過ぎると言うとおかしいんですけど、余りにもここにある国民保護法と乖離したような施設だけを指定すると、立法事実が本当にあるのかということ、また声になりますので、是非その辺りも加味して検討いただければと思いますし、大臣、もう一つ、有識者会議では海底ケーブルの陸揚げ局も指定されていますが、これも入るんじゃないんでしょうか。

#273
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 委員御指摘いただきました有識者会議の提言では、海底ケーブルも検討の対象にしてはいかがかという提言はいただいております。私ども、この提言も踏まえまして、関係省庁共々検討を重ねておるところでございます。その上で、従前から、この陸揚げケーブルについては引き続きの検討とさせていただきたいと思っておりますが、現時点では政令で類型を指定することを予定しているものを原子力関係施設と自衛隊が共用する空港の二類型ということで、現在の検討状況はそういうことだということでございます。

#274
○矢田わか子君 有識者会議からは提案あったけれども、今のところは入れておりませんということですね、はい。
 いずれにしても、これ法律が施行されてから有識者会議なり、じゃない、審議会か、開いて意見を聞いて決めていきます、政令で決めますというのが物すごく多いんですよね。したがって、やはりどうなるんだろうかというところが私たち不安なわけなので、しっかりやはりそこは明らかにしていただいて、できれば国会で報告もしていただきたいですし、そういう指定をしていくときに一般の国民からの公募による意見聴取も行っていただかないと、やはり民主的統制が取れないというふうに思います。全部、取りあえず法律の外側だけ決めるので、中身は後で政府で政令でやっていきますと言われても、納得できない部分あると思いますので、是非、国民とのコミュニケーション、若しくは国会の中での、やっぱり立法府としての機能ということをしっかりと加味していただいた上で進めていただきますよう、お願いを申し上げておきたいと思います。
 続いて、法の実効性に移りたいと思います。
 まず、外国人によるスパイ活動やテロの防止に関する効果について聞いていきます。
 法律の施行において、どこまでこの国の、我が国の安全保障に対する対策、効果を上げるのかという点が極めて重要でありますし、どういう論議が行われているのか、是非お聞きしていきたいという観点です。
 軍事の専門家の意見では、プロのスパイやテロリストは、土地や建物を自分の名義で購入して、そのために登記をしたり税金を納めるようなことは絶対しないとされております。大体は短期で賃貸マンションを借りるかホテル住まいで、しかも日本人名義で借りる方法を取るということでありまして、また、水源地から毒物を流すというテロ行為を行う危険性があるとしても、わざわざ水源地の土地を買って、そこに行って実行に移さなくても、闇に隠れて水源地に移動して毒物を流せばそれで事足りるわけですので、この目的のために土地を購入するなんということはまああり得ないわけであります。
 かえって身元が割れて、土地購入したら、というようなことも考えられますが、専門家のこのいろんな文献を読んでいるとそういう意見がある中で、土地の所有のチェックに膨大な労力を掛けてテロ行為などを防止するよりも、外国人の短期のアパート、マンションの賃貸などを不動産業の協力を得ながらチェックした方が実効性があるんじゃないかというようなことも意見として言われていますが、この点はどうお考えでしょうか。

#275
○国務大臣(小此木八郎君) 安全保障の観点から、リスクのある重要施設等の機能を阻害する行為については、先ほど申し上げましたが、その主体が外国人、外国法人であるか又は日本人、日本法人であるかにかかわらず適切に対処することが必要であり、本法案は内外無差別の枠組みも取っています。その上で、本法案に基づく措置の対象は権原に基づく利用者等であることから、賃借権に基づき土地等を利用している者も本法案の調査及び利用規制の対象となり得ます。
 いずれにしても、本法案では、安全保障の観点から、リスクのある土地等の利用状況を調査した上で、機能阻害行為としての土地等の利用に対し中止等の勧告、命令を行い、さらに、特にリスクが高い特別注視区域内の土地等の取引を随時に把握するための事前届出を義務付けております。
 これらの措置を講ずることとしており、全体として十分な実効性が確保されているものと考えております。

#276
○矢田わか子君 中国では、報道によると、今、国家安全省で外国の諜報機関対策を企業に義務付けるという、そういう反スパイ安全防止活動規定ですか、施行されたというような報道もあります。機密情報を持つ企業に対してスパイ活動の防止対策を打つと。
 ありとあらゆることを諸外国はやっていますので、ちょっと小此木大臣の担当ではないかもしれませんが、防衛省におかれても少し検討を進められた方がいいんじゃないかなというふうに思います。
 それから、都市における注視区域における土地利用の実態把握の困難性についてお伺いしていきます。
 自衛隊関連の施設、米軍の関連施設のうち市街地に存在する施設について、実際に土地利用の実態の調査をするにはやはり困難が伴うのではないかということで、例えばということで午前中の質疑にも出ていたと思いますが、資料六に東京都内の自衛隊関連施設の主要なものを列記させていただきました。いずれも市街地にあり、調査対象を一キロ以内に限定したとしても、土地の権利関係、取引関係、ましてや、土地の所有者が実質的に誰なのか、外国人なのかどうか判明しないのではないかなと思います。
 市ケ谷の防衛施設、参議院の宿舎からすぐなので、私も自転車でこの間、土日、行ってきましたけど、莫大なこの施設ですよね。広い広大な土地の中に、午前中ありましたとおり、やはり指揮の中枢機能がそちらにあるということとか、PAC3の防空機能も有するということでもありますので、やはり、ほかの施設で代替不可能な重要なやはり土地だと思いますし、特別注視区域に私は値するところなんじゃないかなというふうに思いました。
 ただ、ここにしても、あと目黒の駐屯地も、目黒も本当に市街地ですので、本当に一キロ以内に何筆の登記、土地登記があるのかということをまず本当はお聞きしたいぐらいなんですが、これは安全保障の観点から正確な調査をしていくというのは本当に大変な作業でもあります。
 また、調査の対象とならない賃貸による外国人の居住については、住民登録をしていなければ実態すらつかめないというふうに思いますが、どのようにしてこの実態把握をされていくのか、まずお答えください。

#277
○政府参考人(中尾睦君) お答えいたします。
 注視区域ないしは特別注視区域にいかなる施設の周辺区域を指定するかは、従前から御説明申し上げているとおり、法施行後に所定の手続を経て決定するため、現時点では決まっておりません。
 まず、注視区域、特別注視区域を問わず、調査につきましては、従前行えなかった公簿等の収集を内閣総理大臣ができることとして、関係行政機関、地方公共団体に公簿の提供を求めることができるということで、従来はともすれば登記簿しか見られなかったところを各種公簿で所有の実態を把握し得るような措置を講ずることとしております。また、現地・現況調査、あるいは必要に応じて報告徴収を取りながら、所有の実態、それから利用の実態、これを可能としていく、そういう制度的枠組みを本法案で整備しようとしているところでございます。

#278
○矢田わか子君 まだしっかり調べるすべがないということなんだと思うんですけどね。
 ただ、やはり、先ほども申し上げたとおり、代替が利かない本当に重要施設が集まっている地域であることは事実なんですよね。だから、この難しさをどのように乗り越えるのか。私たちが本当にもう一度元の目的に戻れば、この法律を施行することによってこの国の安全を、国民の安全を守るためにやるわけなので、ここ重要施設にもかかわらず調査も何もせず、ちょっと例外ですよというのが本当にいいのかどうかということも含めて、是非防衛省には考えていただきたいというふうに思います。何か、何のためにやるのかというところにまた戻ってしまうんですね、余りにも曖昧にし過ぎると。だから、是非ここは受け止めていただき、五年間ある中でどのように担保していくのか、是非前向きに検討いただきたいと思います。
 最後の質問、セキュリティーについてお伺いをしていきたいと思います。

#279
○委員長(森屋宏君) 申合せの時間が来ましたので。

#280
○矢田わか子君 あっ、時間が来ました、はい。じゃ、また残りの質問は次回に回させていただきます。
 ありがとうございました。

#281
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 法案について伺います。
 どこが対象で何が罰則の対象となるのか明確ではない、恣意的な運用が幾らでも可能な危険な法案だと考えます。
 法案の必要性を基礎付ける事実、立法事実として政府が挙げますのは、先ほど来お話ありますように、長崎県対馬市で海上自衛隊周辺、また北海道千歳市で航空自衛隊の基地の周辺がそれぞれ外国資本に取得され、市議会で議論がされたというものであります。全国各地で意見書が上がっているとも説明されてきました。しかし、地方自治法に基づく意見書は最近のものまで含めても十八件にとどまります。当の対馬市や千歳市の議会では意見書は上がっていません。
 大臣に伺いますが、対馬市や千歳市は、自治体としては政府に何か意見を寄せているんでしょうか。

#282
○国務大臣(小此木八郎君) 衆議院でもお答えしたんですけれども、同様の質問をいただきました。
 千歳市議会での議論を北海道、東北の知事会が受け取る形で、国がそれを取りました。九州、対馬の話におきましては、熊本県議会あるいは福岡県議会が対馬の市議会の議論を受け取って、そして国に送られたと、こう承知しております。

#283
○山添拓君 重ねて伺いますが、対馬市や千歳市から直接何か政府に働きかけがあったというわけではないわけですか。

#284
○国務大臣(小此木八郎君) それぞれ、北海道東北知事会、そして福岡県、熊本県議会がそれぞれの市議会の議論を受け取って、こちらに送られたと承知しております。

#285
○山添拓君 ないわけですね、対馬は長崎県ですから。
 この二つについて、安全保障上の懸念がある事態は生じたんでしょうか。

#286
○政府参考人(川嶋貴樹君) お答え申し上げます。防衛省でございます。
 防衛省におきましては、平成二十五年以来、防衛施設の隣接地の調査というものをやってきてございます。対馬についてももちろん隣接地ということで調べてございますけれども、その所有者から防衛省が何らかの害をなしたと言われるようなことは確認できておりません。ただ、本法案における機能阻害がなかったと予断するものではございません。
 以上でございます。

#287
○山添拓君 あるんだかないんだかよく分かりませんけれども、そういう事態は少なくとも確認できていないという答弁であろうかと思います。
 対馬は韓国資本によるホテル買収がきっかけでした。千歳では中国資本による土地購入ですけれども、これはむしろカジノ目当ての購入ではないかと指摘をされています。立法事実として具体的に挙げられている二つの事例が、二つとも機能阻害などの理由にはなっていない、そういう事態には至っていないということであります。
 大臣は衆議院で、この法案は、不安、リスク、懸念があるからだと、安全保障上そのような気持ちになる不安やリスクや懸念があり、それは今までの調査では払拭し切れないから提出したのだと、このように答弁されています。
 これまで安全保障上具体的に問題になった例はないけれども、今後そうなるかもしれない、そういう不安がこの立法事実だということですか。

#288
○国務大臣(小此木八郎君) 安全保障の確保は国の最大の責務であって、政府は将来の安全保障上のリスクを回避するために万全の対応を講じておく必要があると考えます。
 我が国の防衛関係施設等の周辺や国境離島等において外国資本が土地を買収していることは安全保障の観点から長年問題視されてきた課題であり、先ほどのその千歳や対馬の話もございますが、国会や地方議会でも議論されてきました。これは、安全保障の観点から土地等を管理することの必要性について広く国民の皆様が問題意識を共有されたことを示しており、そうした社会的な要請があることも本法案の必要性を裏付ける重要な要素の一つであると考えております。
 他方で、ごめんなさい、本法案が想定する機能阻害行為に当たる事実が過去にあったかどうか、いつ、どこで、どのような態様で行われたということについてはお答えを差し控えてまいりました。私は立法事実はあると思っておりますが、それを明らかにすることは、安全保障上の脆弱性を自ら明らかにし、類似行為を挑発しかねないことから、適切でないと考えております。

#289
○山添拓君 要するに、そういう不安があるからだとおっしゃるわけでしょう。

#290
○国務大臣(小此木八郎君) 不安、懸念、リスク、こういったものがあります。しかし、機能阻害行為についてはお答えを安全保障上の観点から差し控えてまいりました。

#291
○山添拓君 いや、不安やリスクとおっしゃるんですけど、今多くの国民が抱えている不安やリスクといえばコロナ禍で東京オリンピックやることですよ。その方がよっぽど不安だと思うんですね。現実的で具体的な不安やリスクに対しては向き合わず、抽象的で漠然とした不安を理由に危険な法案を通すと。これ許されないことだと指摘しなければなりません。
 防衛省は既に二〇一三年以降六百五十の防衛施設の隣接地について調査を行い、内閣府も二〇一七年から国境離島で海岸線近くの調査を行ったとされます。しかし、法案の基になった有識者会議の提言では、こうした調査では詳細な利用の実態等は必ずしも十分に把握できなかったとの指摘があるとされています。
 法案は、要するに、現状ではできないとされている調査や情報収集をより広範に、より掘り下げて行う、それが目的で出されたものだと理解してよいですか。

#292
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 先生から御指摘ございました、かつて防衛省あるいはその内閣府で行いました調査は、不動産登記簿等一般に公開されている情報を基に調査を行ったものということでございまして、今回私ども本法案で御提案申し上げておりますのは、そうした公簿の収集でございますけれども、これ、内閣府以外の他省庁が保有しております公簿も収集できるようになるということと加えまして、さらに、必要に応じて報告徴取を掛けさせていただくということで、従来行っておらなかった手段もできるようになると、こういうことでございます。
 以上でございます。

#293
○山添拓君 私はそこに法案の最大の狙いがあると思うんです。調査や情報収集の強化という点です。
 重要施設の機能阻害行為を防止するためだと言いますが、機能阻害行為やそのおそれがあるかどうかというのは、恒常的にかつ幅広く情報収集していなければつかむことはできません。調査や情報収集は広範な対象に及び、氏名や住所を始め多くの個人情報を収集することが想定されています。対象者に分からないように秘密裏に情報収集することもあるでしょう。プライバシーを脅かす事態が容易に想像されます。
 大臣に伺いますが、政府は法案策定に当たって、プライバシー権の保護についてどのような検討を行ったのですか。

#294
○国務大臣(小此木八郎君) 本法案第三条において、この法律の規定による措置を実施するに当たっては、個人情報の保護に十分配慮しつつ、必要な最小限度のものとなるようにしなければならないとの規定が設けられております。また、本法案における調査は土地等の利用状況を把握するために行うものであり、条文上もその旨を明記しており、この目的以外の情報収集を行うことはございません。
 なお、こうした調査を行う過程で収集した個人情報については、内閣府に新設する部局が一元的に収集、管理することとしており、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づき、例えば目的外使用は行わない、情報漏えい対策を講じるなど、厳格な管理を徹底してまいります。
 なお、御指摘のあったプライバシー権の保護については、昨年、内閣官房で開催した国土利用の実態把握等に関する有識者会議において、過度な私権制限や個人情報の不適切な収集が行われることのないよう、目的に即した抑制的な制度設計とすることが求められるとの提言をいただきました。

#295
○山添拓君 法案の三条を挙げられましたけれども、それは公明党が意見して入れたんだとさっきおっしゃっていたじゃないですか。政府の原案にはなかったものだと指摘をされておりました。
 それから、有識者会議での議論ですが、これは吉川議員から指摘があったように三回しか行われていませんが、その議事概要を見ても、プライバシー権を議論した形跡はありません。
 内閣官房に伺いますけれども、有識者会議の中で、プライバシー権の保護、その在り方について正面から論じた、そういう内容にはなっていませんよね。

#296
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 プライバシー権の取扱いにつきましては、先ほど大臣からも御答弁させていただきましたように、有識者会議の方では、過度な私権制限や個人情報の不適切な収集が行われることのないよう、目的に即した抑制的な制度設計とするということが求められるという御指摘をいただいているところでございますが、この有識者会議そのもの自体は率直な意見交換をしていただくということで、議事概要という形で公表させていただいているところでございます。
 以上でございます。

#297
○山添拓君 ですから、その議事概要の中にはプライバシー権なんということは出てこないわけですよ。
 この下で法案はいかに広範な調査や情報収集を可能とするものになっているかという点について質問していきたいと思います。
 法案の四条二項は、注視区域内にある土地等の利用の状況についての調査に関する基本的な事項をこの法案の成立後に基本方針で定めることにしています。どのような内容を想定していますか。

#298
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 基本方針におきましては、閣議決定させていただきます基本方針におきましては、調査の手法について規定をさせていただくということにしているところでございます。
 具体的には、四条二項、第四条第二項第三号の注視区域内にある土地等の利用の状況等についての調査に関する基本的な事項といたしまして、調査に当たっての基本的な事項として、例えば収集した個人情報の適切な管理の在り方について定めること、あるいは、調査の対象者の範囲といたしまして、第七条及び第八条に規定いたします、その対象となる方の範囲の考え方、調査の手法といたしまして、方法といたしまして、公簿の収集でありますとか報告徴収等の具体的な方法、こういったことを規定するということを想定しているところでございます。
 以上でございます。

#299
○山添拓君 その基本方針は、改定するに当たって法改正は不要で、閣議決定のみで変えることができます。つまり、内閣の一存で調査の基本的事項を自由に変えることができる。国会や国民に諮ることなく、閣議決定のみです。
 その調査はいかなる範囲で行われるのか。資料をお配りしておりますが、法案の六条は、内閣総理大臣は、注視区域内にある土地等の利用の状況についての調査、土地等利用状況調査を行うものとするとしています。利用の状況ということは、会社であればそこで働く人、駅や空港、ホテルや飲食店であれば従業員やお客さん、病院や福祉施設なら職員や入所者、この土地や建物を利用するあらゆる人がその対象には入り得るわけですね。

#300
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 本法案第六条は、注視区域内にあります土地等の利用状況を調査する旨規定してございますが、この調査は土地等の利用状況を把握するために行うものでございまして、本調査に基づく調査におきましては、利用者、そして利用状況について調査するということとさせていただいているところでございます。
 土地等の利用状況について調査する、で、必要がある場合には、土地等の利用者以外の方ということで申し上げますと、例えば、権原に基づく土地等の利用者と共同で土地等を利用している方でありますとか、あるいは土地等の利用者が法人である場合のその役員についても調査を行うことが想定されているところでございます。
 以上でございます。

#301
○山添拓君 いや、土地や建物を利用する人というのは、権原がある人、賃借人や、あるいは共同で利用する人、会社の役員だけではないはずですね。日常的にそこに勤めている人やお客さんとして利用する人、利用しているという意味ではそうした人も入るんじゃないんですか。

#302
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 本法案で基づきます調査の対象となります方は、何らかの権原に基づいて利用されている方ということでございます。
 以上でございます。

#303
○山添拓君 調査の対象については、条文上そのように限定はされていないですね。(発言する者あり)

#304
○委員長(森屋宏君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#305
○委員長(森屋宏君) 速記を起こしてください。

#306
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 調査の対象となります土地とその利用者についてでございますが、法案の第四条第二項……(発言する者あり)

#307
○委員長(森屋宏君) 委員長の許可を得て。
 どうぞ、木村さん。

#308
○政府参考人(木村聡君) 第四条第二項第四号でございますけれども、注視区域内にある土地等の利用者ということで、そこに括弧書きを付けさせていただいていますが、「所有者又は所有権以外の権原に基づき使用若しくは収益をする者をいう。」という形で規定させていただいているところでございます。

#309
○山添拓君 今の説明は、勧告や命令の対象ですよ。勧告や命令の対象は利用者に限ると法律上なっていますけれども、調査の対象はそんな限定ないじゃないですか。(発言する者あり)

#310
○委員長(森屋宏君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#311
○委員長(森屋宏君) 速記を起こしてください。

#312
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 先生御指摘ございましたように、第六条の土地等の利用状況につきましては、注視区域内にある土地等の利用の状況についての調査を行うものとするということでございますので、その条文には利用者の定義を置かせていただいておりませんけれども、例えば、第七条、利用者等の関係情報の提供につきましては、その利用者に関する情報の提供をいただくということで、その利用者の概念を規定させていただいておりますし、あわせて、第八条、報告の徴収等につきまして、同様に利用者という規定を置かせていただいているところでございます。
 以上でございます。

#313
○山添拓君 六条の調査の対象には限定がないということでありました。
 調査する内容、対象事項についてはいかがでしょうか。例えばその利用者なり、あるいはそこを使っている人ですね、その職業や収入、資産状況、親族関係や交友関係、活動歴や、あるいはSNSなどネット上での発信、こうしたものは調査対象に入りますか。

#314
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 この本法案に基づきます調査はあくまでも土地等の利用について調査をさせていただくというものでございますので、今御指摘、種々ございましたけれども、それが土地の利用と直接関係なければ対象にはならないということでございます。
 以上でございます。

#315
○山添拓君 そのような限定は法律上はどこにも書かれていません。関係するかどうかを判断するのは調査する側でしょうから、調査をした上で関係するかどうかという判断をされていくことになるんでしょう。
 この六条の調査は内閣総理大臣が行うことにされています。実際には内閣府に新設する部局が担うといいますが、したがって、ここでは、六条の調査の主体としては、公安調査庁や自衛隊の情報保全隊は主体にならないのだと答弁をされております。
 しかし、法案では、六条の調査のために、必要な場合には、七条に基づき関係機関に情報提供を求めることができるとされています。関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関とあります。この関係機関には、公安や情報保全隊、あるいは内閣情報調査室や警察庁なども入るんでしょうか。また、ここに言うその他執行機関には公的機関以外も含まれ得るんでしょうか。

#316
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 法案の第七条でございますけれども、土地等の利用状況を把握するために、土地等の利用者や利用目的を特定するための情報を収集する趣旨の規定でございます。
 この点に関しまして幾つかの機関についてお尋ねございましたけれども、警察でありますとかその他、公安調査庁でございますが、これらが関係行政機関の長ないし関係地方公共団体の執行機関に含まれ得るということは、条文上は排除されていないところでございます。
 もっとも、この法案に基づきます調査におきまして、おっしゃいましたような機関が保有する情報を活用することや、それらの機関に情報の収集を依頼することは考えていないということでございます。
 以上でございます。

#317
○山添拓君 排除はされないということでした。
 そこで、公安や情報保全隊が情報提供の依頼を受けて新たに調査した情報を総理に提供する、これも妨げられないですね。

#318
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 重ねての答弁になりますけれども、本法案に基づく調査におきましては、警察でありますとか様々御指摘ございました機関が保有する情報を活用することや、それらの機関に情報の収集を依頼させていただくということは考えていないということでございます。
 以上でございます。

#319
○山添拓君 そうじゃありません。条文上のことを聞いているんですよ。
 公安や情報保全隊など様々な機関が情報提供の依頼を受けました。しかし、その段階ではその情報を持ち合わせていないと。そこで、新たに調査をしたと。調査し、あるいは情報収集した内容を総理に提供する。これは可能ですよね。(発言する者あり)

#320
○委員長(森屋宏君) じゃ、速記止めてください。
   〔速記中止〕

#321
○委員長(森屋宏君) 速記を起こしてください。

#322
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 御指摘ございました警察等の機関でございますが、これは条文上、関係行政機関の長ないし関係地方公共団体の執行機関に含まれ得るということは、これ条文上排除されていないところでございますが、重ねての答弁になりますけれども、本法案に基づく調査におきまして、それらの機関が保有するあるいは取得する情報を活用することでございますとか、内閣総理大臣の方からそれらの機関に情報の収集を依頼させていただくということは考えていないということでございます。

#323
○山添拓君 ちょっと質問したことを受け止めていただいておりませんけれども、排除されないということではあろうかと思います。つまり、総理大臣が必要だと判断すれば、自治体であれ自衛隊であれ、必要な情報を提供しなければならないと。元々情報を持っていればそのまま提供するでしょうし、保有していなければ新たに情報収集すると。要するに、情報収集の主体は限定がないと、六条と七条を組み合わせて読むとそういうことになるかと思うんです。
 情報収集される客体はどうでしょうか。法案の七条は、注視区域内にある土地等の利用者その他の関係者に関する情報とあります。その他の関係者とは何なのかと。ここでは、例えば不動産会社やビルの管理業者、あるいは購入時に融資をした金融機関、法人であればその取引先、出入り業者。土地や建物の利用状況を知り得る人はすべからく含まれ得ると、こういうことでしょうか。

#324
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 土地等の利用者につきましては、先ほども御答弁させていただきましたように……(発言する者あり)はい、権原を持っておられる方ということでございますが、それ以外の関係者の方ということで対象になりますのは、土地等の利用状況について調査する上で必要がある場合、それら利用者以外の方、例えば権原に基づく土地等の利用者と共同で土地等を利用している方でありますとか、土地等の利用者が法人である場合のその役員についても調査を行うということを想定しているところでございます。
 以上でございます。

#325
○山添拓君 想定とおっしゃるんですけれども、それについても条文にあるわけではありませんから、誰を対象にするかということも法律上の限定はないに等しいということになります。
 情報収集する内容はどうでしょうか。法案には、氏名又は名称、住所その他政令で定めるものとあります。その他政令で定めるものは、先ほどお話ありましたが、本籍や国籍や生年月日、あるいは、衆議院では連絡先、こう答弁されております。
 大臣に伺いますが、国籍や連絡先が分かれば機能阻害行為のリスクというのは把握できるものなんでしょうか。土地や建物を購入した、取得した人が外国人や外国資本であれば更なる調査が必要だということになっていくんですか。

#326
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 国籍につきましては、安全保障上のリスク、機能阻害行為のおそれというものを判断する重要な情報の一つだと考えてございますけれども、これだけで機能阻害行為の有無を判断するわけではなく、様々な調査の手法を組み合わせて適切に判断をさせていただくと、こういうことでございます。
 以上でございます。

#327
○山添拓君 要するに、これだけでは足りないと。ですから、情報収集の内容についても条文上の限定はないということになります。
 さらに、法案は八条で、利用者その他の関係者に対して、利用に関する報告又は資料の提出を求めることができるとし、違反すれば罰則まで科しています。
 所有者や賃借人が自分の家や事務所で何をしているかということは、第三者にとやかく言われる筋合いはない事柄です。例えば、ペット禁止のアパートでペットを飼っていると。それは、大家さんに聞かれるなら分かりますけれども、総理大臣に教える筋合いはないと思うんですね。
 なぜ罰則まで科す必要があるんですか。

#328
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 報告徴収に係ります罰則規定は、この報告徴収そのものの実効性を担保し、必要な情報を確実に収集するための規定でございまして、機能阻害行為を防止するという法の目的のために必要なものであると考えているところでございます。
 以上でございます。

#329
○山添拓君 所有者や賃借人本人がその情報提供など、報告や資料提出を拒んだ場合には、それら以外で利用状況を知り得る者、機能阻害行為が行われているかどうか知り得る者がその他関係者として対象になってくると思います。その可能性は否定できないですね。

#330
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 重ねての答弁になりますけれども、報告徴収の対象となるその他の関係者についてのお尋ねかと存じますが、土地等の利用状況を知り得る者ということでございまして、例えば土地等の利用者が法人である場合のその役員でありますとか、あるいは土地等の利用者との契約等によりまして当該土地等における作業、工事等に従事している下請業者の方などが想定されるものと考えてございます。

#331
○山添拓君 それは想定だけで限定がないと。もう何度も同じことを言わなければなりませんが、条文上そうなっております。知り得る者であれば、その他関係者だということで対象になってくると。それは実効性を確保するために罰則を科すというわけですから、これは刑罰で脅して密告を奨励するということになっていきます。
 調査や情報収集に関する条項はこれだけにとどまりません。二十二条には、内閣総理大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長などに資料の提供、意見の開陳その他の協力を求めることができるとあります。
 この法律の目的を達成するため必要があると認めるとき、これはどんな場合ですか。

#332
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 これは、法律の目的に定めてございます、機能阻害行為を防止するという目的を達成するために必要があると認められるときと、こういう解釈でございます。

#333
○山添拓君 要するにまあ何でもありですよね。
 機能阻害行為がある、あるいはそのおそれがある、そう認めたときには更なる報告、資料提供や意見の開陳など、何でも協力を求めていくことができるということになります。
 大臣は、この間の審議で、調査の対象は所有者や賃借人に限定される、あるいは怪しい人でなければ対象にならないと言われるんですけれども、そんな限定は法律上どこにもないんですよね。
 政府は本法案の審議の中で、法案に条文上の限定がないのに、想定していないという答弁を繰り返しています。今もおっしゃいました。しかし、それは現時点で想定していないというだけであって、国内外の安全保障情勢が変われば変わり得ると、こういうことではないですか。大臣、お答えいただけますか。

#334
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
 報告徴収につきましても、その他の措置につきましても、法三条の中に必要最小限の原則というのを規定させていただいていますので、その点につきましては抑制的に必要最小限の範囲でやらせていただくと、こういうものだと考えているところでございます。
 よろしくお願いします。

#335
○山添拓君 必要最小限かどうかを判断するのは調査する側、集める側ですから、それは何の歯止めにもならないですよ。
 安全保障情勢が変われば、状況が変わったのだといって、当時は想定していなかったけれども今は想定する、こういうふうに説明を変えられることになると思うんですね、だって条文上歯止めがないわけですから。いや、むしろその歯止めなく拡大し得ることを目的とした法案だと言うべきだと思うんです。内外の諸情勢の変化に対応し得るためだと大臣も繰り返し述べられているわけですから、柔軟に対応するために幾らでも拡大できるような内容になっていると言わなければなりません。
 これは大臣に伺います。
 法案は、不安、リスク、懸念が立法事実だと大臣自身が答弁されています。そうなりますと、この注視区域内の土地や建物について一度調査すれば終わりということにはならない可能性があると思うんですね。六条に言う調査、これは周期的に行うことを想定しているんでしょうか。だとすれば、その周期はどのぐらいですか。

#336
○国務大臣(小此木八郎君) それはまだ一度も調査をしたことがありませんので、この法案に基づいてですね、その調査によるということであります。

#337
○山添拓君 本会議では、土地等の所有状況を逐次把握するとおっしゃっています。常時監視していく、周期的に、そういう可能性は否定できないですよね。

#338
○国務大臣(小此木八郎君) 調査をすることによって様々な把握があり、また把握しにくい場合も出てくるかと存じます。

#339
○山添拓君 お答えいただいていないんですけれども、周期的に調査あるいは恒常的に調査をしていないと利用状況については把握できないのではありませんか。機能阻害行為あるいはその明らかなおそれというのは、一度調査したら終わりとはならないんじゃありませんか。

#340
○国務大臣(小此木八郎君) 継続的な調査というのはあり得ると存じます。

#341
○山添拓君 調査をし続けることになるわけですね。
 私がこうして懸念を示すのは──あっ、何かありますか。

#342
○国務大臣(小此木八郎君) 調査をした結果、その行為そのものが、仮に悪辣なものがあるということについてまだそこに不安が残る場合は継続的なものがあるということであります。

#343
○山添拓君 いや、そうではなく、機能阻害行為やそのおそれというのはいつ生じるか分からないという説明なんでしょう、不安やリスク、懸念というのは。今日は大丈夫だったから明日も大丈夫とはならないと、だから不安だといって調査されるんじゃないんですか。一度調査したら終わりなんですか。

#344
○国務大臣(小此木八郎君) 機能そのものが一定のものとは限らない、いろんなことに、その防衛施設の中で様々な、安全保障上お答えできない部分もたくさんございますけれども、一定的なものであるとは限らないということについては、調査の継続あるいは複数回ということはあり得ると考えます。

#345
○山添拓君 その調査の対象について、主体も客体も、あるいは調査対象の内容も方法についても法律上の限定がないということを指摘してまいりました。
 私が懸念を示すのには理由があります。権力による長期的な情報収集、プライバシー侵害には実例があるからであります。
 資料の二ページから四ページを御覧ください。
 二〇〇三年、自衛隊のイラク派兵に反対する活動を行っていた市民が自衛隊の情報保全隊により監視され、情報収集されていました。我が党が二〇〇七年六月に公表した百六十六ページにわたる文書では、市民や市民団体の集会、署名活動、デモなどの情報が事細かに記録され、イラク派兵に反対する国民を国内勢力と呼び、その行動を反自衛隊活動と表現していたことが明らかになりました。これは戦慄を覚える内容だと思います。
 監視されていた東北六県の市民百七人が国に対して監視の差止めと損害賠償を求めて提訴しました。仙台高裁は、二〇一六年二月二日、原告一名についてプライバシー権を侵害した違法な監視行為だと認め、国に賠償を命じました。国は上告せず、高裁判決は確定し、賠償金が支払われました。
 防衛省に伺いますが、松川政務官でよろしいでしょうか、上告を断念したのは違法な監視行為であることを認めたからですね。

#346
○大臣政務官(松川るい君) お答えいたします。
 御指摘の事例につきましては、自衛隊情報保全隊による監視活動の停止等を求めた裁判について、防衛省としては、控訴審判決の内容について国の主張の一部が裁判所の理解を得られなかったものと受け止めています。
 自衛隊情報保全隊は、自衛隊員の情報保全に関する規律違反などがないよう、部隊の運用等に係る情報保全業務に必要な情報の収集、整理を任務としておりますが、この判決を踏まえ、今後とも自衛隊情報保全隊が防衛省・自衛隊の所掌事務、任務の範囲内で関係法令に従って適切な方法で情報収集等に努めるよう改めて徹底してまいります。

#347
○山添拓君 判決で理解が得られなかったとおっしゃるんですけれども、上告されなかったわけですから違法な監視行為だと認めたことになるかと思うんです。
 情報保全隊のいかなる監視行為が判決では違法とされたものだと認識していますか。

#348
○大臣政務官(松川るい君) 自衛隊情報保全隊は、自衛隊員の情報保全に関する規律違反などがないよう、部隊等の情報保全業務に必要な情報の収集、整理を任務としております。
 これらの業務は防衛省の所掌事務の範囲内で行っていますが、自衛隊情報保全隊の個別具体的な活動内容に係る事項については、これが明らかになった場合、今後の情報保全活動に支障を来すおそれがあることから、お答えは差し控えさせていただきます。

#349
○山添拓君 もう判決で明らかになっていますから。何が違法と認定されたのか、判決でです、それはお答えいただけると思うんですよ。

#350
○大臣政務官(松川るい君) お答えいたします。
 平成二十九年三月に、御指摘の判決等々を踏まえまして三月に発出した自衛隊情報保全隊の運営の基本方針において、個人情報の適切な取扱い等のコンプライアンスの確保を図るため、関係法令に関する教育内容の充実を図るとともに、部隊における指導を徹底することを定めました。(発言する者あり)

#351
○委員長(森屋宏君) 速記止めてください。
   〔速記中止〕

#352
○委員長(森屋宏君) 速記を起こしてください。

#353
○大臣政務官(松川るい君) お答えいたします。
 御指摘の事案におきましては、個人情報の適切な取扱い等のコンプライアンスが問題となったと承知しております。

#354
○山添拓君 その具体的な内容については、例えば、資料の二ページを御覧いただきたいと思うのですが、シンガーソングライターであった原告がイラク派兵反対の路上ライブを行いました。それが駐屯地の近くで自衛隊員の家族が利用する店でもあったので、隊員や家族に悪影響が生じ得るから、そういう理由で監視が始まったものだと裁判上も認定されています。
 判決は、原告が行ったのはライブ活動であって、自衛隊若しくは隊員に対しての直接的な働きかけを伴う行動とは言えず、原告がライブ活動を行ったこと及びその内容について情報を収集すれば、原告が公にしておらず、また、一般的に公になっていなかった本名及び職業、勤務先を探索する必要性は認め難い、プライバシーに係る情報として法的保護の対象となるべき本名及び職業、勤務先について探索して取得、保有し、結果としてそれが明らかになっており、同原告のプライバシーが侵害されたとして、プライバシーに係る情報の収集、保有が違法だと認めています。そういう内容ですよね。

#355
○大臣政務官(松川るい君) お答えいたします。
 御指摘のありました事案につきまして、プライバシー侵害が認定された原告一名に対しては、司法の判断を尊重し、既に賠償金十万円の支払を完了しているところであります。

#356
○山添拓君 同様の情報収集活動は今はやめたんですか。

#357
○委員長(森屋宏君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#358
○委員長(森屋宏君) 速記を起こしてください。

#359
○大臣政務官(松川るい君) お答えいたします。
 自衛隊情報保全隊は、自衛隊員の情報保全に関する規律違反などがないよう、部隊等の情報保全業務に必要な情報の収集、整理を任務としております。
 これらの業務を防衛省の所掌事務の範囲内で行っていますが、個別具体的な活動内容については、明らかになった場合のこと、支障を来すことがあることから、お答えは差し控えさせていただきますが、繰り返しになりますが、防衛省の所掌事務の範囲内で適切に行ってまいります。

#360
○山添拓君 いえ、何か改めたことはないんですか。判決で違法とされたプライバシー侵害、これ違法とされたのは一名だけですけれども、ほかのあらゆる活動について相当な批判が広がったわけですよね。それを受けて改めた点はないのかと。

#361
○大臣政務官(松川るい君) お答えいたします。
 先ほども少し触れさせていただきましたが、判決の結果を受けまして、平成二十九年三月に発出した自衛隊情報保全隊の運営の基本方針におきまして、個人情報の適切な取扱い等のコンプライアンスの確保を図るため、関係法令に関する教育内容の充実を図るとともに、部隊における指導を徹底するということを定めております。
 以上です。

#362
○山添拓君 今御指摘のあった、平成二十九年、保全隊の運営の基本方針は、資料の五ページから七ページにお示しをいたしました。どんな資料かと思いましたので提出をいただいたものです。ほとんど黒塗りなんですが、表紙を除くとこれは僅か二枚です。僅かに読める部分にあるのが、今政務官答弁された、関係法令に従って適切な方法で情報収集等に努めるよう監督する、あるいは、個人情報の適切な取扱い等、コンプライアンスの確保を図るため、関係法令に関する教育内容の充実を図る、部隊における指導を徹底する。これ、何ら具体的な改善になっていないと思うんですよ。
 これを指導するというだけで、判決の内容について、例えば情報保全隊の中で共有し、このような収集の在り方、情報収集の在り方、適切だったのかどうかと、これ共有するようなことはあったんでしょうか。

#363
○政府参考人(大和太郎君) お答え申し上げます。
 情報保全隊を含めまして、あらゆる自衛隊の部隊がその任務遂行に当たりまして関係法令を遵守することは当然の前提であります。
 その上で申し上げれば、情報保全隊における個人情報の適切な取扱いを含むコンプライアンスについては、毎年、陸上自衛隊において教育及び検査を行っています。また、防衛省においては、不正行為や非違行為の発見、是正や未然防止を図るために、公益通報者保護制度を設けております。また、職員の職務執行の適正を確保するため、防衛監察本部による防衛監察を実施しております。情報保全隊も当然この対象になっております。
 これらにより情報保全隊の適切な業務遂行が担保されていると考えていますが、今後とも、情報保全隊が防衛省・自衛隊の所掌事務、任務の範囲内で関係法令に従って適切な方法で情報収集等に努めるよう改めて徹底してまいります。

#364
○山添拓君 この監視対象は、イラク派兵の反対運動だけではありませんでした。例えば、保健生協による医療費負担増凍結を求める運動、労働組合や市民団体による国民春闘や年金改悪反対、消費税増税反対、小林多喜二の展示会など、監視対象は四十一都道府県で二百八十九の団体、個人に及びました。共産党や社民党、当時の民主党や連合系労働組合などアルファベットで分類され、一週間ごとに集計がされていました。参加者の顔が分かる距離から写真を撮影し、市民の住所も確認する。判決で違法とされたのはそのごく一部にすぎません。
 防衛省に伺いますが、こうしたこのとき監視対象とされた団体や個人は何を端緒として監視の対象とされたんですか。

#365
○政府参考人(大和太郎君) お答え申し上げます。
 本件の訴訟で提示された文書につきましては、防衛省として対外的に明らかにしたものではないことから、陸上自衛隊情報保全隊が本件文書を作成したか否かも含め、国として認否できないという立場は変わっておりません。
 当該文書に記載されていた内容が事実であることを前提とした質問にはお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

#366
○山添拓君 いまだにその文書の存在についても、判決ではもう情報保全隊以外に作るところはないだろうということで認定されていますが、お認めになりません。
 では、一般論で構いません。情報保全隊は何を端緒に団体や個人の情報収集を行うのですか。

#367
○政府参考人(大和太郎君) 繰り返しの答弁にはなりますが、自衛隊情報保全隊は、自衛隊が情報保全上の規律違反をしないように外からの働きかけについて調査するということであります。
 今御質問にありましたような何を端緒に我々の活動が行われるのかということは、手のうちを明らかにすることになりますので、誠に申し訳ございませんが、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

#368
○山添拓君 要するに、手のうちを明かすことになると答弁されましたが、これ、情報保全隊が必要と認めた場合には、その者については何の歯止めもなく調査対象に、情報収集の対象になっていくということであります。
 もう一点、別の角度から伺います。岐阜県警大垣署による市民監視事件について警察庁に伺います。
 中部電力の子会社が巨大な風力発電を計画し、これに懸念した地元の住民が勉強会を開きました。大垣署はこれを機に、地元住民二人と脱原発運動や平和運動をしていた市民二人の氏名、学歴、職歴、病歴などの個人情報、地域の運動で中心的な役割を担っている法律事務所に関する情報を会社側に提供していました。その際の議事録、会社が作った議事録が裁判所の証拠保全で会社から出てきました。
 資料八はその内容を記したものです。ここには、大垣警察の発言として、大垣市内のある人物を名指しして、反対運動がこのような人物とつながると厄介になると思われる、大々的な市民運動へと展開すると御社の事業も進まないことになりかねない、大垣警察署としても回避したい行為であり、今後情報をやり取りすることにより、平穏な大垣市を維持したいので協力をお願いするなどと記されております。
 公安委員長はこの行為を通常行っている警察業務だと国会で答弁してきました。現在も同様の認識でしょうか。

#369
○政府参考人(大石吉彦君) 御指摘は七、八年前のことと承知しておりますが、岐阜県大垣警察署が、公共の安全と秩序の維持に当たるという責務を果たすため、管内に所在する事業者の担当者と会っていた事案を指しているものと承知しております。
 事案の個別具体的な内容については今後の警察活動に支障を及ぼすことがありますことからお答えを差し控えますが、過去に通常行っている警察業務と答弁したことにつきましては、警察は公共の安全と秩序の維持という責務を果たす上で必要な範囲において警察活動を行っている、このような活動をそのように表現したということでございます。

#370
○山添拓君 大垣警察によるこうした行動についても通常の警察業務だということであります。
 大臣に伺いますが、情報保全隊であれ警察であれ、こうして日常的に市民を監視し情報を収集しています。公安や内調も同様だと思います。それ自体がプライバシー侵害であり大問題ですが、今度の法案は、総理の一存によって更に情報収集を可能にし、また、今はばらばらに存在している情報を総理の下に集約する、そこに意味があると思うんです。
 伺いますが、憲法判例では、プライバシー情報についての自己決定権、自己情報コントロール権を憲法上のプライバシー権の重要な内容だとした判決が出されています。プライバシーに関わるいかなる情報をいかなる範囲で開示するか、それは本人が決めることだと、そういうことです。ですから、やましいことがないなら勝手に調べられても問題ないということにはならないと思うんですね。
 大臣にはプライバシー権についてのこのような認識はありますか。

#371
○国務大臣(小此木八郎君) 自衛隊の保全隊の話、あるいは大垣警察署の話を出されましたけれども、本法案に基づく調査は土地等の利用状況を把握するためのものであって、この目的以外の情報収集は行えないことから、憲法で保障された国民の権利や自由が不当に侵害されることはないと考える中で提出をさせていただきました。

#372
○山添拓君 プライバシー権についての大臣の認識を伺いました。

#373
○国務大臣(小此木八郎君) これは憲法で保障された国民の権利だと存じます。

#374
○山添拓君 しかし、その大事なプライバシー権についての認識は決して内実を伴ったものとは言えないと思うんです。
 この法案は重大なプライバシー侵害を招きかねないものですが、誰が、誰を対象に、いかなる範囲の情報について、いつ、どのように調査、情報収集を行うのか、条文上何の限定もありません。全ては総理のさじ加減で、あらゆる機関を動員でき、あらゆる情報を一元化できる、それを可能にするものです。これは市民監視そのものだと言わなければなりません。
 そのことを指摘して、質問を終わります。ありがとうございました。

#375
○委員長(森屋宏君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────

#376
○委員長(森屋宏君) 次に、内閣の重要政策及び警察等に関する調査のうち、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の一部を改正する法律案に関する件を議題といたします。
 本件につきましては、理事会におきまして協議をいたしました結果、お手元に配付してありますとおり、草案がまとまりました。
 この際、草案の趣旨及び主な内容について御説明申し上げます。
 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が三年前に施行されてから今日に至るまで、政治分野への女性の参画は徐々に進んできてはおりますが、依然として諸外国と比べると大きく遅れている状況にあります。
 本法律案は、こうした現状に鑑みて、政治分野における男女共同参画をより一層推進するため、政党等の自主的な取組を促進し、国及び地方公共団体の施策を強化しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、政党等の取組を促進するため、政党等の取組項目の例示として、候補者の選定方法の改善、候補者となるにふさわしい人材の育成、セクハラ・マタハラ対策の実施を明記しております。
 第二に、国及び地方公共団体の施策を強化するための具体的施策を明記しております。すなわち、環境整備に関する施策の例示として「家庭生活との両立支援のための体制整備」を明記し、実態調査の対象に「社会的障壁の状況」を加え、人材の育成等に関する施策の例示として「模擬議会、講演会の開催の推進」を明記しております。加えて、セクハラ・マタハラ対策の重要性に鑑みて、研修の実施など、その発生防止に資する施策を講ずるものとする規定を新設しております。
 第三に、政治分野における男女共同参画の推進についての基本原則として、衆議院、参議院及び地方公共団体の議会並びに内閣府、総務省その他の関係行政機関等が、適切な役割分担の下で、積極的に、政治分野における男女共同参画の推進に取り組むことを追加しております。
 第四に、現行法において、「努めるものとする」として国及び地方公共団体に課せられている努力義務規定を、「ものとする」として義務規定とすることにより、それぞれの責務を強化しております。
 第五に、この法律は、公布の日から施行することとしております。
 以上が本法律案の草案の趣旨及び主な内容であります。
 それでは、本草案を政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の一部を改正する法律案として本委員会から提出することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#377
○委員長(森屋宏君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、本会議における趣旨説明の内容につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#378
○委員長(森屋宏君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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