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2021/05/25 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 文教科学委員会 第14号 令和3年5月25日
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2021/05/25 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 文教科学委員会 第14号 令和3年5月25日

#1
令和三年五月二十五日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     世耕 弘成君     馬場 成志君
     安江 伸夫君     高瀬 弘美君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 房江君
    理 事
                赤池 誠章君
                上野 通子君
                吉川ゆうみ君
                斎藤 嘉隆君
    委 員
                有村 治子君
                石井 浩郎君
                高階恵美子君
                馬場 成志君
                水落 敏栄君
                石川 大我君
                横沢 高徳君
                蓮   舫君
               佐々木さやか君
                高瀬 弘美君
                梅村みずほ君
                松沢 成文君
                伊藤 孝恵君
                吉良よし子君
                舩後 靖彦君
   国務大臣
       文部科学大臣   萩生田光一君
   副大臣
       文部科学副大臣  高橋ひなこ君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       三谷 英弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        戸田 浩史君
   国立国会図書館側
       館長       吉永 元信君
   政府参考人
       文部科学省大臣
       官房長      増子  宏君
       文部科学省初等
       中等教育局教育
       課程総括官    串田 俊巳君
       文部科学省高等
       教育局長     伯井 美徳君
       文化庁次長    矢野 和彦君
       経済産業省大臣
       官房審議官    小笠原陽一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(太田房江君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、安江伸夫さん及び世耕弘成さんが委員を辞任され、その補欠として高瀬弘美さん及び馬場成志さんが選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(太田房江君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 著作権法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学省大臣官房長増子宏さん外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(太田房江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(太田房江君) 著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#6
○赤池誠章君 自由民主党の赤池誠章です。
 昭和四十五年に制定されました著作権法の目的には、文化的所産の公正な利用と著作権等の保護をもって文化の発展に寄与するということが明記をされております。昨今のインターネットの急速な普及の中で、データ利活用や海賊版対策等、毎年のように頻繁に法改正をしております。
 その意味するところをどう考えたらよいのか、三谷文部科学大臣政務官から御見解を伺えればと思います。

#7
○大臣政務官(三谷英弘君) お答えいたします。
 委員御指摘のように、著作権法第一条に定めます目的は、法制定以来の著作権制度の基本理念を規定するものでございまして、その文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作権等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与するという考え方は現在においても極めて重要でございます。
 著作権制度は、この権利の適切な保護と著作物の利用円滑化のバランスを考慮しつつ、これまでにも見直しを随時行ってまいりましたが、特に近年はデジタル化、ネットワーク化や技術の進展により著作物の創作、流通、利用をめぐる状況は急速に変化をしており、これらに対応するためには不断の見直しを行っていくことが必要でございます。
 著作権法は、その目的を踏まえ、権利保護の範囲や利用者が適法に行い得る行為の範囲を明確に規定するものであるため、諸状況の変化に応じて、権利保護の範囲の見直しが必要となる場合には、関係者の理解を得ながら、公正な利用と権利保護のバランスに留意しつつ、立法府での御議論を経て規定の整備を行っていく必要があると考えております。
 このような状況を踏まえまして、近年は頻繁に法改正を行っており、今回御審議をお願いしております法改正も、まさに著作権の、著作物の使い勝手を良くしていくこととクリエーターへの対価還元、これを、この双方をいかに両立させるかという観点から進めさせていただくものでございます。
 今後とも、著作権法の目的をしっかりと踏まえつつ、社会の実態や変化に適切に対応できる制度となるように努めてまいります。

#8
○赤池誠章君 三谷政務官お話をいただきましたとおり、利用と著作権等の権利の保護という、このバランスというのは大変重要でございます。英米ではフェアユースという考え方の下で議論が行われ、裁判所に判例が積み上がっていくわけでありますが、我が国の場合は、法文に明記をすると、そして、国民代表である我々がしっかり議論をして、この利用と保護のバランスをしっかり見極めるということの意義ということは大変重要な意味を持つということを改めて理解をしたところでございます。
 今後ますますデジタル化が加速される中で、今年度から学校では一人一台の情報端末が配付されてきております。また、授業目的公衆送信補償金制度も今年度から実質スタートということになっております。是非、官民連携の下で、大変著作権法というのは、細かく書かれている、また理解するのが大変とか、年々改正いたしますので、しっかり、発達段階に応じて、学校段階から著作権教育の充実に是非力を入れていただきたいと存じます。
 次の質問に移らせていただきます。
 本国会での著作権法改正については、インターネットが普及して、コロナ禍という状況でもあることから、時宜を得た意義あるものだというふうに大変高く評価をするところでございます。
 そこで、まず図書館関係の改正内容二点に関しお伺いをしたいと存じます。
 改正に当たっては、図書館関係者や、当然権利者から事前に文化庁が聞き取って改正に当たったということを聞いております。具体的にどのような団体、どのくらいの数の団体聞き取って、主な意見はどういうものだったんでしょうか。
 また、今回の改正によって、多くの国民が当然利活用されることにはなると思います。特に活用が見込まれる利用者というのは、研究者というのは大きな対象者かなというふうに思っているところであります。そういった研究者の方々からどのような意見が上がっていたのでしょうか。そして、研究者を始めとした利用者をどのように管理し、具体的にどのようなサービスを提供し、その結果としてどういう効果を狙っているのか。
 さらに、インターネットの特色というのは国を越えてつながることでございます。海外からも利用できるように技術的にはなるわけでありますが、海外在住の研究者等から利用したいという声も上がっているところでもございます。そこにはどう対応していくのか。
 一方、一部の出版業者からは懸念の声も上がっているのも事実でございます。出版業界からの聞き取りを行ったのか、出版業への影響はないと言えるその理由についても、まとめて文化庁の見解をお聞かせください。

#9
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 まず、図書館等関係者及び権利者からのヒアリングについてでございますが、今回の改正については、文化審議会著作権分科会におきまして、図書館等の関係者といたしまして国立国会図書館、日本図書館協会など計五団体、権利者といたしまして日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本新聞協会、日本漫画家協会など計八団体に対して御意見をお伺いしております。
 図書館等の関係者からは主に、デジタル化資料の利用を希望する利用者が増加しており、今回の制度の見直しは図書館サービスの可能性を広げるものと考えられる、また、権利者の利益保護の担保を前提としつつ、利用者の利便性向上とともに、現場での運用基準の明瞭化による業務の円滑化と効率化を図ってほしいといった御意見がございました。
 また、権利者からは、例えば、図書館から電子データの送信がなされると、電子データが利用者以外に拡散されることが懸念されるとか、将来を含めた市場に影響を与えるような利用の拡大については慎重であるべきなどの御意見を頂戴したところでございます。
 また、想定される利用者及びその利用者からの意見の内容についてでございますが、図書館等の利用者として、若手研究者を中心に設立された図書館休館対策プロジェクトからも御意見を伺っており、研究上重要な文献、資料のデジタル化を進めることは、単なる利用者にとっての利便性の向上にとどまらず、学術研究の更なる発展向上にも貢献するものであり、高い公共性も有するといった御意見を頂戴しております。
 法改正により期待される効果についてでございますが、こうした関係者の御意見を踏まえ、今回の図書館関係の権利制限規定の見直しを行ったところでございます。この改正により、デジタルネットワーク技術の活用によって図書館等が保有する資料を簡便に入手できるようにすることで、コロナ禍のような予測困難な事態にも対応し、時間的、地理的制約を超えた国民の知のアクセスを向上させ、また持続的な研究活動の促進等にも資するものと考えております。
 海外からの利用の可否についてでございますが、海外からの利用の可否については、法律上、今回の図書館資料のメール送信等に関する送信先を国内に限っているわけではございません。しかしながら、個々の図書館等がその設置目的等に応じて送信先の範囲を判断することになるため、各図書館等によって異なってくるものと考えております。特に、公立図書館については、その設置目的や現行の複写、郵送サービスの利用実態を踏まえれば、基本的にその地域に居住する方々が主な利用者になると考えております。
 次に、出版業界からの聞き取りの実施及びその影響についてでございますが、今回の改正案は確かに出版業界に大きな影響を与え得るものであることから、出版業界の皆様と随時相談し、御懸念の点の把握及び対応策の検討を丁寧に進めるとともに、文化審議会におきましては、出版業界を代表いたしまして、日本書籍出版協会、日本雑誌協会からヒアリングを行ったところでございます。
 その際の御意見を踏まえ、改正案では、正規の電子出版等の市場を阻害しないよう厳格な要件設定を行うこと、データの不正拡散防止措置を講じること、図書館資料のメール送信等については補償金による対価還元を行うことなどの措置を講じることとしております。
 今後の具体的な解釈や運用につきましては、文化庁の関与の下、出版業界の皆様を含めた幅広い関係者の御意見を丁寧に伺いながら、適切なルール作りを行ってまいりたいと考えております。
 以上です。

#10
○赤池誠章君 ちょっとまとめて質問をしたので、一部抜けがあったのは、研究者を始めとした利用者をどのように管理するのか。ID、パスワード、住所、氏名、その辺のことを改めてお聞かせください。

#11
○政府参考人(矢野和彦君) 今まさに赤池先生からお話がございましたとおり、IDとか名前とか、そういったものをまず登録していただいて、その利用が例えばその決め事に反したような場合は利用を停止する、そういったような措置をとりたいというふうに考えております。

#12
○赤池誠章君 今後、様々な関係者からしっかり聞いて、一つの法案に取りまとめているのはよく理解をしたところであります。海外に関しては、法的にはできるけどまだ具体的にはということだと思うんですが、これやっぱり大きな意義を持つものだというふうに思っております。特に、研究者というのは、国内のみならず、日本研究というのは大変大事なテーマで、これは学術振興面でも、日本の国際貢献や日本をよく知っていただく面でも大変重要だと思っております。
 そういう面では、ID、パスワード、住所、氏名ではなくて、研究者というのは大学とか研究機関に必ず所属しているわけでありますから、そういったところでしっかり本人確認始めできると。それから、現在、経済安全保障ということも今議論をされていて、全ての国にどうぞというわけにはこれはなかなかいかないと。そういう面では、懸念の生じる、価値観が異なる、軍拡するような国に対してはより慎重な対応を今後もお願いをしたいと存じます。
 次に、法改正の二点目である放送番組のインターネットによる同時配信の権利処理の円滑化について質問をしたいと存じます。
 法改正に当たっては、図書館関係者と同様に、放送事業関係者や権利者から事前に聞き取りを行ったということであります。重ねて、具体的にどのような団体から聞き取りを行って、主な意見を教えていただきたいと思います。

#13
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 今回の改正につきましては、委員御指摘のとおり、文化審議会著作権分科会におきまして幅広い関係者からのヒアリングを行った上で検討を重ねてきたものでございますが、具体的には、放送事業者といたしまして、日本放送協会、民放在京キー局五社の計六者に対して、権利者といたしましては、日本音楽著作権協会、日本映画製作者連盟、日本文芸家協会、日本美術著作権連合、日本書籍出版協会、日本レコード協会、日本芸能実演家団体協議会、著作権隣接センターなどの計十九者に対して御意見を頂戴しております。
 まず、放送事業者からでございますが、例えば、同時配信等のサービスに当たっては、いわゆる蓋かぶせが生じないよう同時配信等を放送と同等に扱い、一括的な権利処理を実現すること、多様かつ柔軟な同時配信等サービスの可能性を担保し、かつ視聴者の利便性と視聴機会の拡大等を図る観点から、同時配信等の範囲について柔軟な内容とするよう配慮することについての御意見がございました。
 一方、権利者からは、例えば、放送事業者から同時配信等に係る対価が適切に支払われる必要がある、当事者間の契約実務やライセンス市場に悪影響を与えることのないよう十分な配慮が必要と、こういった御意見がございました。
 こうしたヒアリングを踏まえまして、丁寧に御意見を伺いながら検討を行い、放送番組のインターネット同時配信等における蓋かぶせにつきましては、著作権制度に起因する課題は基本的に全て解消することができ、この点について関係者からの一定の御理解が得られているものというふうに理解しております。
 以上です。

#14
○赤池誠章君 今、文化庁から蓋かぶせという言葉が出ました。一つの重要な言葉ということなんですが、なかなか国民の皆様方にとって、蓋かぶせと言っても、一体、うん、何を言っているのかとちょっと分かりにくいところがあるので、簡単で結構ですから、文化庁から蓋かぶせって具体的にどういうことか、御説明をお願いいたします。

#15
○政府参考人(矢野和彦君) 分かりやすく申しますと、放送での、例えばニュース番組では映像がちゃんと流れている、しかしインターネットで同時配信されたものについてはそこだけ著作権法の理由によりこれはお流しできませんといったようなものを御覧いただいたことがあるかと思いますが、これをいわゆる蓋かぶせというふうに申し上げております。

#16
○赤池誠章君 まさに同時送信ならではの新たな問題が出てきたということでありますので、その辺を権利処理の中で円滑化していくのが今回の法律の趣旨ということだと思います。
 その中で、コロナ禍の対策でも問題になったんですが、放送番組関係者の権利者の場合というのは、集中管理なさっているようなしっかり団体でまとまっているところというのは今回の権利の処理についてもまあいいんですけれども、やはりフリーランスとか個人とか、クリエーターの方々というのは様々な方々がいらっしゃると思うんですね。そういった方々の権利処理をどうするかというのも、これ大変重要なポイントになってくるのかなというふうに思っております。
 コロナ禍対策も文化庁大変苦労なさって、非常に頑張っていただいているとは思うんですが、やっぱりきちっと、緩やかな形でもまとまっていただくと、なかなか個人で全て対応というのは難しいわけでありますから、その辺、我々自民党の中の議論でも、やっぱりガイドライン的なものを作って自主的にしっかりまとまっていただくことが権利者、クリエーターにとっても利益になるのではないかという、そういう議論が行われました。
 若干、その辺、見解を改めて文化庁からお聞かせ願いたいと存じます。

#17
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 委員から御指摘がございましたとおり、利用者の利便性という面からも、できるだけその権利者に対して権利処理を行いやすくする、そういった観点から、例えば授業利用目的公衆送信の場合でありますとSARTRASという団体ができておりますが、そういった団体に権利を集約して利用者側からのアクセスもしやすくなる、あるいは権利者側に対しての分配もしやすくなる、こういったようなことを今後、この授業利用目的のみならずいろんな場面で活用していく、こういったことが重要になるかというふうに理解しております。

#18
○赤池誠章君 指定団体つくって後からでも払うというところと、クリエーターそのものの方々をやっぱりしっかりまとめていただくという、そういった趣旨を質問をさせていただきましたので、その辺も改めて御検討いただきたいと思います。
 最後の質問になりますが、今回の改正では、レコード、実演に関して、放送事業者からの権利者に対して新たに補償金を支払うことを義務付けているということであります。補償金の額はどのように決定していくのか。また、この制度の対象となるのは、集中管理等の対象となっておらず円滑に許諾を得ることが困難な権利者ということでありますが、このような権利者にどのように支払を行っていくのか。改めて、文化庁の見解をお聞かせください。

#19
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 本法案では、レコード及び実演に関しまして、事前許諾を不要としつつも、放送事業者から権利者に対して通常の使用料額に相当する補償金等を支払うことを義務付けているところでございます。
 この補償金等の徴収、分配は、一元的な窓口となる事業者を文化庁長官が指定することができるとしており、指定がなされた場合には、放送事業者は窓口となる事業者に対し両者で協議して決定した額の補償金を支払い、その補償金を窓口となる事業者が利用実績を確認の上、権利者に支払うということを想定しております。
 今回は、集中管理等の対象となっておらず、アクセスすることが困難な権利者が対象であるため、対価還元が実効的に行われるよう適切な運用が行われる必要があると考えておりまして、例えば実演、レコードの実績、利用実績についての照会を受け付ける窓口を設けるなど、権利者が放送番組での利用状況を把握し得るような運用が行われることが重要だというふうに考えております。
 総務省とともに関係者との協議を進め、本制度を通じて権利者が適切な対価を確実に受け取れるよう努めてまいりたいと考えております。

#20
○赤池誠章君 ありがとうございました。
 我が国の発展にとって著作権というのは大変重要でありますし、まさに国益に直結するものだというふうに考えております。
 引き続き、文化庁始め関係各位の御尽力を期待するとともに、我が党自民党といたしまして、また国会においても適宜適切な議論を続けてまいりたいと存じます。
 質問を終わります。ありがとうございました。

#21
○斎藤嘉隆君 立憲民主・社民、斎藤嘉隆です。今日もよろしくお願いをいたします。
 私、今日は、二〇一八年に改正をされた著作権法の三十五条について、とりわけ授業目的の公衆送信補償金制度に関わって、数点だけちょっと確認で質問させてください。
 資料一の方に概要の分かるものを用意をしましたが、これ、学校その他の教育機関で教育をする者と受ける者に対して、授業の過程の中で著作物を無許諾、無償で複製をすること、それから無許諾、無償又は補償金を支払った上で有償で公衆送信をすることが認められていると。四角の中に条文がある。第二項で、公衆送信は補償金が必要だと、こういうことなんですけれども、第三項で、当該授業を違う場所で同時に受ける者に送信する場合は適用しないと、こういうことが書いてあって、例えば遠隔授業で同時にリアルにタブレットなんかを使って授業を行うと、いろんな場所にいる子供たちに対して、こういったことは無償だと、無許諾でよいと、まあこういうことかなと思います。
 じゃ、授業目的で補償金が必要な公衆送信のケースって例えばどんなものがあるのか、端的にお答えいただけますか。

#22
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 今委員から御指摘ございましたとおり、著作権法三十五条第一項、第二項に規定がございますが、例えば、対面授業の予習、復習用の資料をメールで送信、対面授業で使用する資料を外部サーバー経由で送信する、あるいはオンデマンド授業で講義映像や資料を送信する、さらにはスタジオ型のリアルタイムの配信授業で同時中継で行って遠隔地の会場に送信する、こういった場合が無許諾かつ有償のケースに当たるというふうに考えております。

#23
○斎藤嘉隆君 そうなりますと、授業目的であっても今言われたみたいに公衆送信に該当するケースはかなり多くあって、一々そのたびに著作権者に補償金を支払うというのは現実的ではないので、これ、表二にあるように校種ごとに、例えば小学生一人当たり百二十円、中学生百八十円、高校生四百二十円、大学生七百二十円というように、各設置権者がこういったものを基本的にはSARTRASに支払って一々許諾を取る必要はないしということだろうというふうに思います。
 これ若干気になるのは、地域や校種によってこれはきちんと周知をされていて、去年はコロナの状況もあって休校もあったのでこの補償金の支払については免除をされているんですけど、今年の五月一日の時点の在籍者の数に応じてこういった有償というものが制度としてスタートしているんですが、これはもう周知きちんとされていて、ほぼ、ほとんどの校種でこの有償の支払がなされるという、こういう理解でよろしいですか。

#24
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 この公衆補償金制度の補償額について昨年の十二月に認可いたしておりまして、その認可の内容につきましては既に幅広く通知するとともに、市町村教育委員会、都道府県教育委員会、都道府県知事を通して通知をしているわけでございますが、また、ユーチューブ等を通してその制度の概要については周知してきたところでございます。
 それで、今お尋ねの数字ですが、今手元、これまだ八月まで手続がありますのであくまでも途中段階でございますが、小中学校、高等学校、大学の大体一八%ぐらいの機関が既に登録しているという状況でございます。

#25
○斎藤嘉隆君 最初の質問で次長おっしゃったようなケースというのは、どこの学校でも多分行われるんでしょう。ということは、多くの学校がこの登録をやっぱりしていないとおかしいのかなという気もするんですね。正直者がばかを見るような、ばかを見ると言うとちょっと語弊がありますけど、そういうような状況にならないように、別に、該当しないので別に有償である必要はないということならいいんですよ、ある地域の学校全てがね。そうでない場合には、やっぱりこういったもの、著作権保護の観点からも必要なので、引き続き周知しっかり図っていただきたいというのが一点と。
 私、ちょっと一個、この改正内容について認識違いをしていたので、ちょっと確認したいんですね。
 資料一の二ページ目を見ていただくと、該当する学校その他の教育機関として例えば教育研修センターなどが明示をされている。該当する例として、こういう研修センターが行う教員に対する教育活動あるいは教員免許更新講習などが明示をされている。普通に考えれば、私は先ほどの子供当たりの補償金の補償の範囲にこういったもの含まれると思っていたんです、含まれると思っていた。ところが、そうではなくて、資料の最後のページを見ていただくと、これはSARTRASのものなんですけど、こうした研修の場合は、講習の定員数に応じて必要な額を計算して期ごとに有償分を支払うというふうになっているんですね。
 今、教員の研修なんてほとんどリモートですよ。リモートで、対面のものはない。公衆送信を行っての講習も多々あると思うんです。
 そもそも、教員対象の研修に別途補償金の支払が必要だったのかというのは、ちょっと私はもう元々含まれていると思ったのでこういうものは必要ないという認識をずっとしておったんですが、そうではなかった。これ、三十五条で示されている元々の考えと若干違和感があるんですね。
 それに、リモートでやるとそもそも定員に限りがないわけですから、何人が受講するか分からないのに、そういう講座も多いのに、どうやって総数を確定させて、三十人当たりこれ三百円なんですよ、講座ごとに、講座ごとにですよ、それを計算して計画書を出して期ごとにやらなきゃいけないんだけど、そんな事務負担を自治体に掛けてですよ、このような制度に盛り込んでいくというのは現実的なんですか。
 これ、ちょっと要望なんですけど、送信回数に応じたとか、あるいは該当する研修の対象者の数に応じた包括的な契約とするなどの工夫を私すべきではないかなと思うんです。前期はもう時間的に無理だと思うんですけど、これ是非今後の課題として、これもう大変なんですよ。私も教育研修センターで指導主事もしていて研修の担当もしていましたけど、こんなことしろと言われても、もうちょっと見当も付かない、どれぐらいの事務負担になるのか。この点だけお答えいただけますか。

#26
○政府参考人(矢野和彦君) 今委員から御指摘がございましたとおり、教員研修センターが行う教員研修につきましては、児童生徒数に応じた年間包括料金が設定されている学校の授業と異なり、年間を通じて受講者数が定まるものではないため、講習ごとの定員数の合計を基準といたしまして半期ごとに算出する仕組みとなっているところでございます。
 このような補償金額を定める指定管理団体等の規定につきましては、昨年末に文化庁長官が認可し、本年四月から運用を開始したところでございます。まさにできたばかりの制度でございます。
 本規定は三年経過ごとに検討し、必要な措置を講じることとしており、御指摘いただいた点についても、今後の実施状況を勘案した上で、指定管理団体とともに検討してまいりたいと考えております。

#27
○斎藤嘉隆君 あっ、そう。ごめんなさい、三年見直さないと今おっしゃったの、次長は。
 お願いしますよ。これはちょっと、本当に大変なことになると思うんですね。教育研修センターだけではないかもしれない、ほかにも、ちょっと是非細かく見てください。こんなコロナの中で現場にそう過度な負担を掛けることが得策だとは思わないし、現実的でないと思うんですね。是非柔軟に、前期が無理ならば後期までに包括的な契約の在り方について検証するとか対応するとか、是非こういうのをお願いできませんか。大臣、いかがですか、この点。

#28
○国務大臣(萩生田光一君) 先生の御指摘、極めて重要でありまして、確かに新しい制度でありますし、今年四月から始まったばかりなので、前期はこれ間に合いません。しかし、次長答弁しましたように、三年後の見直し規定付いていますけれど、三年後に見直すんじゃなくて、まずこの一年、ちょっとやらせてみてください。
 といいますのは、中教審で教員の皆さんの免許の在り方や研修の在り方についても今深い審議をしていただいておりますので、少し大きな方向が見えた段階でそれに合わせて整理をしていきたいというふうに思っておりますので、今年度、一年様子を見て、その上で、並行しながら改善策を講じていきたいと思っています。

#29
○斎藤嘉隆君 ありがとうございました。終わります。

#30
○横沢高徳君 おはようございます。立憲民主・社民の横沢高徳でございます。
 本日は、著作権法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 質問、法案質疑に先立ちまして、一点大臣にお伺いいたします。
 今、いろいろなところでオリンピック・パラリンピックの議論がなされているところでありますが、私のところにもオリンピック・パラリンピックどうなるのと聞かれることもよくあり、国民の皆様、非常に関心も持って見ております。
 その中、代表内定選手に対して、SNSを通じて出場を辞退するべきとか、オリパラ関係者だけワクチン接種が優先されるのはどうなのかとか、コロナ禍の批判の矛先が選手に向けられるのは非常に心苦しく思います。
 スポーツを所管する大臣として、今改めて選手が安心して競技に打ち込める環境づくりが求められていると思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

#31
○国務大臣(萩生田光一君) 御指摘のとおり、東京大会の開催については国民の皆さんの間の中にも様々な御意見があることはそのとおりだと思います。しかし、アスリート個人に対して自分の意見を押し付けるかのようなやり取りというのは、私はいかなる理由があったとしても許されない、正当化されることではないというふうに思っております。
 我々としても折に触れて、そのようなことがなされないように、安心、安全な大会に向けて社会に対する発信もしっかり努めてまいりたいと思いますし、いずれにしましても、東京大会に向けてアスリートがもう安心して競技に打ち込めるように、ナショナルトレーニングセンターの利用継続ですとか、感染症対策の徹底、本番に向けたラストスパートの強化活動の支援などを含めて、文科省としてできることを全力で取り組んでまいりたいと思います。

#32
○横沢高徳君 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
 それでは、法案の質疑に入ります。
 著作権法の改正ということで、現場で想定されるちょっと細かい質問になると思いますが、一つ一つ質疑していきたいと思います。
 まず、図書館関係の改正案の提出の理由、改正案へのニーズについてお伺いいたします。
 今回の改正は、図書館に足を運ばなくても、ネットを使って自宅にいながら図書館の資料にアクセスすることを可能にしていく大きなきっかけになるものと承知しております。これは、コロナ禍で図書館が休館してしまい本が借りられないというケースや、病気や障害などにより物理的に図書館に足を運ぶことが困難な方々にとっては大変有意義と考えます。
 まず、今回の図書館関連の改正について、どのようなニーズがあり改正案を提出するに至ったのか、お伺いをいたします。

#33
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 図書館の権利制限規定につきましては、従来から、デジタル化、ネットワーク化に十分対応できていない部分があるのではないかという御指摘がございました。
 今般の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い図書館等が休館している場合、また委員から今御指摘がございましたが、病気や障害等により図書館等まで足を運ぶことが困難な場合、さらには近隣に図書館等が存在しない場合など、利用者、図書館等からインターネットを通じた図書館資料へのアクセスなどのニーズが今回のコロナウイルスで更に顕在化したということだというふうに考えておりまして、それらを踏まえ、今回の改正を行うこととしたものでございます。
 文部科学省といたしましては、今回の改正により、絶版等資料のインターネット送信及び図書館資料のメール送信等を可能とすることで、コロナ禍のような予測困難な事態への対応、地理的、物理的制約にとらわれない国民の知のアクセスへの向上、持続的な研究活動の促進等に資するものと考えております。
 以上でございます。

#34
○横沢高徳君 ありがとうございます。
 今メールで送信ということもありましたが、次に、著作物の一部分の解釈についてお伺いします。
 この改正により、図書館にある資料を自宅から簡単に入手できることになれば、本が売れなくなる可能性もありますし、本を書く作家さんや出版者など権利者にとっては、自らの権利や利益への制約となり得ることでもあります。改正案は図書館にある書籍の一部分についてメールで送ってもらうことを可能とするものと承知しておりますが、しかし一部分が意味するところは幅広く、数行であっても一部分ですし、数十ページある本であれば数ページが一部分になり得るかもしれません。
 この一部分というのはどの程度の分量を示すのか、お伺いいたします。

#35
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 実は、現行の紙の複製におきましてもこの著作物の一部分という文言が使用されてございまして、著作物の一部分は著作物の少なくとも半分を超えないものを意味するというふうに解釈されておりまして、今回の改正法、改正案におけるメール送信等においても、法律上の解釈としては同様の解釈になるものと考えております。
 一方、今回の改正案では、別途、著作権者の利益を不当に害することとなる場合には送信ができない旨の要件を設けており、この要件との関係で、一部分の要件を満たす場合であっても、送信が認められない場合や、一部分よりも狭い範囲での送信となる場合もあり得るというふうに考えております。また、補償金額の設定のいかんによっては、御指摘のように、二回に分けて全部を請求するといった行為を防止するということも考えられるというふうに思います。
 このような要件の具体的な解釈、運用につきましては、今後文化庁が関与しながら、中立的な第三者を交えて関係者としっかり協議してまいりたいと考えております。

#36
○横沢高徳君 それでは、不正の防止策についてお伺いいたします。
 今半分を超えないものという話もありましたが、一回で本の半分以下のデータを三回に分けて全部入手しようとすると丸々本が読めてしまうとか、また、入手したデータで海賊版を作成するなど、不正を働く人も出てくることが想像されます。
 このような不正行為を防止するための方法についてどのようにお考えか、お伺いいたします。

#37
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 本法案では、送信主体となる特定図書館等として、送信する際に作成されたデータについて目的外利用を防止し、又は抑止するための措置を講じることを要件とすると、そういったことができる図書館がメール送信ができるようになるということでございますが、そういう送信するデータについては不正拡散防止措置を講じることを求めております。
 また、利用者に対しては、氏名や連絡先等を当該図書館に登録することを要件といたしまして、不正利用防止のための規約への同意を求めることなども想定しております。さらには、受信した図書館資料のデータを不正に拡散させるなどの違法行為が行われた場合にはサービスの停止措置を行うなど、適切に対応することができるように考えております。
 各措置の具体的な内容につきましては、今後、幅広い関係者の意見を丁寧に伺いながら検討を行っていくことを予定しておりまして、文化庁といたしましては、図書館等において権利者の利益を不当に害するような不正な行為を防止するための適切な措置が講じられるよう検討してまいりたいと考えております。

#38
○横沢高徳君 不正はイタチの追いかけっこみたいになると思う、実際に運用をしてみないと分からないところもあると思うので、ここは適宜対応していただきたいと思います。
 次は、データベース構築の必要性についてお伺いいたします。
 図書館にある本全てが送信サービスの対象でないとすれば、どの資料が送信サービスの対象になるのか利用者に分かりやすく示される必要があると思います。図書館で実務に当たっている方にとっても、送信してよい本と送信できない本がすぐに調べられる、まあデータベース、全国共通なものが求められていると思いますが、全国統一的なものを国が構築することを考えているのか、国で整備していく考えがあるのか、お伺いをいたします。

#39
○政府参考人(矢野和彦君) 本法案におきましては、民間事業を阻害しないよう、著作物の種類や電子出版等の状況、図書館等における送信の態様に照らし、著作者の利益を不当に害することとなる場合には送信ができない旨の要件を求めている、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。この要件は、各図書館等において、送信されるデータの画質や分量など個別の送信ごとの事情を踏まえて個々に判断するということになります。
 もっとも、この要件を設けることにより、どのような場合に図書館資料の送信が認められるのかが不明確になることなどから、この要件の対象となる資料の範囲がより明確になるよう、文化庁の関与の下、幅広い関係者や中立的な第三者を交えてこの要件に関する具体的な解釈、運用を示すガイドラインを作成する予定としており、データベースの構築の必要性についても関連して議論することが考えられます。このガイドラインの作成に当たっては、各関係者の御意見を十分踏まえて合理的なガイドラインを作成するよう、文部科学省としても適切に対応してまいりたいと考えております。

#40
○横沢高徳君 それでは次に、補償金の水準についてお伺いをしたいと思います。
 文化庁からは、補償金額に関する基本的な考え方として、権利者の逸失利益を補填できるだけの水準にすることや補償金額の設定に当たっての考慮要素などが示されておりますが、実際に補償金額が幾らになるのかイメージが湧きにくいところもあります。
 補償金額の設定に当たり、国内市場における使用料の相場や、また諸外国における同様のサービスの相場を参照するとのことですが、現状どのような補償料の徴収を想定しているのか、お伺いいたします。

#41
○政府参考人(矢野和彦君) 補償金の決定手続は、指定管理団体が図書館等の設置者団体の意見を聞いて案を作成し、文化庁長官が文化審議会に諮った上での認可の判断を行うこととしております。
 その額については、図書館等への図書館資料のメール送信等がなされることによる権利者の影響の大きさに鑑み、基本的には権利者の逸失利益を適切に補填できるだけの水準とすることが適当であるというふうに考えております。このため、現時点では、著作物の種類、性質、送信する分量等に応じたきめ細かな設定を行うこと、年額などの包括的な料金体系ではなく、個別の送信ごとに課金する料金体系とすることなどを想定しております。
 具体的な金額につきましては、国内市場における使用料相場、例えば東京都の都立図書館の郵送複写サービスは、白黒一枚三十円、カラー一枚百三十円とされているところでございます。また、諸外国における同様のサービスの相場、これも例えばですが、ドイツでは、著作物の一〇%が上限というルールの下、一回当たり、公的機関や個人の場合には三・二七ユーロ、営利利用者の場合には十六・三六ユーロ、かなり高めの印象がございますが、そういったものを参照するとともに、図書館等における事務負担、円滑な運用への配慮といった点も加味しながら総合的に検討されるものと考えております。
 このような点を踏まえ、幅広く関係者の意見を丁寧に伺いながら、合理的な基準が策定されるよう対応してまいりたいと考えております。

#42
○横沢高徳君 それでは、送信サービスの普及の見通しについてお伺いをしたいと思います。
 これからこのサービスを普及するに当たって、全国でどの程度の図書館がこの送信サービスに取り組むのか、普及に向けての御見通しをお伺いいたします。

#43
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 現在複写サービスが行われておりますが、現在の複写サービスは公共図書館全体の九割程度、大学図書館全体の八割程度で実施されているものと承知しております。
 一方で、その今回の改正によるメール送信等については、権利者保護の観点から、責任者の配置や職員に対する研修の実施、利用者情報の適切な管理などの要件を満たす図書館等が実施できることとしております。これらの要件については、体制を整えるのが難しい小規模な図書館を除いては、多くの図書館等で御対応いただけるものと想定しているところでございます。
 文化庁といたしましては、今後、現場に過度な負担が生じないよう、合理的な制度の運用、簡素な事務処理スキームの構築などを検討し、多くの図書館において利用者のニーズを踏まえて利用されるように努めてまいりたいと考えております。

#44
○横沢高徳君 それで、いろいろ整備しなければいけない課題があると思うんですが、次に、国による予算措置の必要性について大臣にお伺いしたいんですが、送信サービスを実施する図書館には多くの業務がこれから生じてくることになると思います。これらの業務に対応する人員配置だったり業務管理のためのシステム構築には多額の予算が必要になってくると考えられます。全国知事会は、今回の著作権法改正案の提出に際し、公共図書館がこのサービスを行うための環境整備について、国による支援を求める要望書を大臣に提出しているところでございます。
 この法案を提出した政府の責任として、国として全国の図書館がこのサービスを行うために必要な予算を確保する必要があると考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

#45
○国務大臣(萩生田光一君) 図書館資料のメール送信等については施行までに二年間の準備期間を設けており、文化庁の関与の下、現場の実情を十分に踏まえつつ、関係者協議を進め、現場に過度な負担が生じない合理的な制度運用、簡素な事務処理スキームを構築してまいりたいと思っております。その際、送信対象資料の識別や補償金の取扱いを含め、円滑な処理が可能となるように、統一的なシステム構築についても検討したいと思います。
 このサービスの実施に必要な経費については、まず補償金の支払に要する費用はこのサービスの利用者に御負担いただくことを想定しており、これに加えて図書館等の手数料を利用者から徴収することは考えられますが、このほか実施に当たっての支援の必要性については、今後、図書館等の設置者からの御意見を伺いながら、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。

#46
○横沢高徳君 是非、必要な予算措置もしっかりと現場の状況を見ながら判断していただきたいと思います。ありがとうございます。
 では次に、放送番組のインターネット同時配信に関する改正についてお伺いいたします。
 まず、許諾推定規定についてお伺いしたいと思います。
 改正案では、著作物を放送で使うための許諾を得れば、権利者が明らかに同時配信等で利用を拒否していなければ同時配信等で利用も許諾したとみなす旨の規定が設けられていると承知しております。この規定によれば、例えば視聴者が撮影した映像をテレビ局に提供して、その視聴者提供の映像をテレビ放送で流す際に、同時配信等でも利用すると明示的に許諾を得ていない場合でも許諾があったものとしてインターネットで流すことができることになると思います。
 しかし、テレビで流れるのは一瞬なんですけれども、見逃し配信になると何度でも繰り返し再生されるということが想定されます。何度も再生されるのは困るという人も中には出てくると思います。権利者がどのように考えているのか分からないのに許諾したものと推定されてインターネット配信されてしまい、本意ではないということが起こってくる可能性もあります。
 放送事業者も、この規定があることによって、放送の許諾さえ得ればインターネット配信でも使えると思い、権利者に対してテレビ放送だけでなくインターネットで同時配信や見逃し配信しますという説明をしない場合も想定できると思います。
 放送事業者は放送の許諾と併せてインターネット配信の許諾を得るのが原則であって、許諾推定規定はやむを得ない事情があった場合に限定すべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。

#47
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 見逃し配信につきましては、私ども、大体想定しているのが一週間若しくは一か月ぐらいですので、回数には大体その辺でキャップははまるというふうに考えておりますが、今回新たに創設する許諾推定規定につきましては、権利者が契約時に見逃し配信を望まない場合には、見逃し配信を拒否する旨の意思表示を明確に行うことで見逃し配信が著作物等が利用されることを防ぐことが可能になるというふうに考えております。
 御指摘のような場合、どういう場合が考えられるのか。知識がなかったからなのか、あるいは知っていて、もし、こういう規定を知っていて明確に見逃し配信まで契約したのか、後から見逃し配信を望まなくなった、まあいろんなケースが考えられると思いますけれども、もしその見逃し配信を、後から見逃し配信を望まなくなる場合であれば、その場合には一旦、契約はやはり有効に成立しているということになりますので、その内容を変更するためには契約の相手方である放送事業者と改めて協議をしていただくという必要があるというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、この本規定の解釈、運用に当たっては、権利者に不利益が生じないようにすることが重要であるというふうに考えておりまして、今後、具体的な適用条件や運用について、総務省、文化庁の関与の下で、関係者間でガイドラインを策定するということといたしておりまして、契約に当たって留意すべき点も含めて、関係者の御意見を丁寧に伺いながら検討してまいりたいと考えております。

#48
○横沢高徳君 そうですね、この規定を設けることを機に、今まで以上にインターネット配信の許諾を得ることを徹底する必要があると思いますので、これは放送事業者にも周知徹底をお願いしたいと思います。
 それでは次に、例えば作曲者などの著作権者への適正な対価の還元についてお伺いをいたします。
 改正案は、放送番組のインターネット同時配信のみならず、見逃し配信についても権利処理の円滑化を図るものとしております。特に、見逃し配信は、視聴者が見たいタイミングで視聴したり、気になる場面を見返したりすることが可能であり、放送とは異なる利用形態と言えます。
 放送同時配信等は著作物の新たな利用形態であることから、放送とは別途、その利用の対価が作曲者などの著作権者に還元されるべきと考えますが、この点、御見解をお伺いいたします。

#49
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 著作権者の権利者に適切な対価が還元されるということは、将来にわたって良質な著作物を継続して生み出す環境を維持するためのものでございまして、我が国の文化の発展に寄与する重要なことというふうに考えております。
 一般的に、著作物の利用に伴う対価の支払は当事者間の交渉により決まるため、対価の支払の実態は必ずしも把握しておりませんけれども、見逃し配信を含めた放送番組の同時配信等については、放送とは別の利用行為として利用者に対し適切な対価が支払われるということが原則であるというふうに考えております。
 この点、例えば今回の改正で創設される許諾推定については、権利者に支払われた対価が明らかに放送のみの水準であれば、推定が覆り得る事情として考慮をされる場合があると考えております。
 また、今回の改正では、新たに同時配信等に関して権利制限を行う実演及びレコードについて、放送事業者から権利者に通常の使用料額に相当する補償金等を支払うことを義務付けております。この補償金等は、同時配信等の対価に相当するものであり、放送に係る対価とは別途支払う必要があります。
 補償金等の徴収、配分は、一元的な窓口となる事業者を文化庁長官が指定することができるとしており、指定された場合は、放送事業者は、窓口となる事業者に対し、両者で協議した決定した額の補償金を支払い、その補償金を窓口となる事業者が利用実績を確認の上、権利者に支払うということを想定しております。
 今回は、集中管理等の対象になっておらず、アクセスすることが困難な権利者が対象であるため、対価還元が実効的に行われるよう、適切な運用が行われる必要があるというふうに考えております。例えば、実演、レコードの利用実績についての照会を受ける窓口を設けるなど、権利者が放送番組での利用状況を把握し得るような運用が行われることが重要だと考えております。
 このため、総務省とともに関係者の協議を進め、本制度を通じて権利者が適切な対価を確実に受け取れるように努めてまいりたいと考えております。
 以上です。

#50
○横沢高徳君 法改正を機に、放送番組のインターネット配信に関わる適正な対価を著作権者に還元する仕組みがきちんと構築されるように、文化庁としてもしっかりサポートしていただきたいと思います。
 次に、三年後のフォローアップについてお伺いをいたします。
 改正案では、附則において、施行後三年をめどに施行状況に関するフォローアップを行い、その結果に基づいて必要な措置を講じるものとしております。フォローアップでは、この改正案によって本当に蓋かぶせ、先ほど赤池議員の質問にもありましたが、蓋かぶせが減ったのかとか、放送番組のインターネット配信の取組がどの程度進んだのか、権利者に適切な対価の還元がなされているかなど、様々な検証が必要と考えます。
 具体的にどのようなフォローアップを行うことを想定しているのか、お伺いをいたします。

#51
○副大臣(高橋ひなこ君) お答えいたします。
 同時配信等のサービスについては、現在試行的に行われているものが多く、今後本格化していくことを踏まえると、放送事業者にとって予見できない権利処理上の新たな課題が生じたり、サービスが拡充していく中で権利者へ適正な対価還元の課題が生じたりするなど、御指摘のような新たな課題が明らかになることも考えられます。
 このため、今回の改正法の附則第八条においては、施行後三年を目途として、同時配信等の実施状況や権利者への報酬等の支払の状況などを勘案し、フォローアップを行う旨の規定を設けております。
 今後、この規定に基づき運用状況の点検を行い、状況に応じた必要な措置を講じていきたいと考えております。

#52
○横沢高徳君 放送事業者、権利者双方にプラスの効果を生むような改正になるように、施行後もしっかりとフォローアップの対応をお願いしたいと思います。
 ちょっと時間がありますので、ちょっと図書関係に戻ってもよろしいでしょうか、済みません。通告の九番なんですが、利便性の向上の取組について、図書関係、質問したいと思います、一点。
 この送信サービスの利用申請をする際に、利用者は電子データが欲しい箇所を指定して申し込むこととなると思いますが、実際にその本を、図書の本を見てみないと、欲しい箇所のページなのか調べようがないと思います。欲しいページを確認するために結局図書館に行かなければいけないということになれば、自宅にいながら資料を入手できるという送信サービスの利便性が失われてしまいます。
 例えば、週刊誌のように目次がある本であれば、一回目は目次を請求して、欲しいページを二回目に請求すればいいんですが、小説のように目次がない本の場合、欲しいページを特定することが難しいと考えられます。
 現行の複写の郵送サービスも同じような問題があると思いますが、どのようにこれからメール配信で対応されていくおつもりなのか、お伺いいたします。

#53
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 図書館資料のメール送信等は、図書館等の利用者の求めに応じて行うことが要件となってございまして、図書館等の利用者におきましては、その求めの際に対象となる資料を特定する必要があるというふうに考えております。
 具体的に想定する主な場面といたしましては、論文などで引用されている文献につきまして、その引用箇所のコピーのメール送信等を図書館等に依頼する場面が考えられます。こういう場合は、図書館等の利用者において文献名やそのページ数は特定できることが多いと考えられます。
 他方、図書館等の利用者において書籍名が特定できていない、あるいは書籍名までは特定できているがページ数までは特定できていないという場合、今委員が御指摘のあったようなケースも想定されます。その場合は、図書館等に資料の送信依頼をする際の図書館等への問合せなどで特定していくことなどが考えられます。今でも司書がそういうような相談を受けている場合もあるというふうに理解しておりますが、実際の運用方法につきましては、今後、関係者間協議におきまして、現場の実情等を十分に踏まえつつ、利用者の利便性に配慮し、現場に過度な負担が生じない合理的な運用が構築されるよう検討してまいりたいと考えております。

#54
○横沢高徳君 ありがとうございます。
 著作権の問題は著作物の利用と保護のバランスが、バランスをいかに取っていくかが重要であると考えます。文化庁のしっかりとしたサポートをお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

#55
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかでございます。よろしくお願いいたします。
 今回の著作権法の一部を改正する法律案でございますけれども、国立国会図書館、またその他の図書館における蔵書、資料をメールなどインターネットで見ることができると、こういう改正が盛り込まれているわけでございます。本日も議論にもありましたけれども、コロナ禍など様々な時代の背景がございます。そういった変化の中で、利便性の向上という点、必要な改正であるというふうに思っております。
 しかしながら、私が申し上げたいのは、やはり権利者の保護の観点、それと先ほど申し上げた利便性というもの、これをやっぱりバランスを取っていかなければならないんだろうと思っております。
 特に、書籍というところで申し上げますと、この委員会でも私も度々、何といいますか、インターネット上のいろいろなデジタルとまたアナログ部分とのバランスが重要だということをいろんな場面で申し上げておりますけれども、書籍というところで申し上げると、デジタル化するということは、書籍へのアクセシビリティーの向上と、障害のある方が様々使いやすくなると、こういう点で非常に重要だと思っておりますけれども、他方で、この著作権というものが保護されないようになってしまうと、そもそもこの活字文化、読んでいただくための元々のこの活字というものがなくなっていってしまう、それは本末転倒であります。他方で、いろんな方にこの資料、本、そういったものを利用していただくということは今申し上げた活字文化の盛り上がりにも重要なものでありまして、ですので、やはりこのバランスを取っていくということが一番重要なのではないかなと思っております。
 そこで、まず国立国会図書館による特定絶版等資料のインターネット送信について伺いたいと思います。大臣に伺いたいと思います。
 今回、特定絶版等資料、このインターネット送信を可能にするわけでございますけれども、何が特定絶版等資料に当たるかどうか。この判断に当たりましては、私が先ほど申し上げたような利用者の利便性と著作者等関係者との権利者保護のバランス、これをしっかり図っていただきたいと思っております。この点について、文科大臣の御所見を伺いたいと思います。

#56
○国務大臣(萩生田光一君) 今回の図書館関係の規定の見直しにおいては、国民全体の情報アクセスや利用者の利便性の確保と権利者の利益保護のバランスを図ることは極めて重要であると考えております。
 御指摘いただいた特定絶版等資料について言えば、絶版になった書籍など国民の情報アクセスを確保する必要性が高い資料を対象とする一方で、近い将来復刻する蓋然性が高いと認められる資料を送信対象から除外し、権利者に大きな不利益を与えるおそれのある資料が含まれないようにしております。また、具体の運用に当たっては、現行の図書館向けの送信に関する運用を踏まえ、国会図書館と権利者団体との関係者協議により、対象となる資料の範囲や事前事後の除外手続などが定められることになります。
 これらを通じて、国民全体の情報アクセスの確保や利用者の利便性の確保と権利者の利益保護のバランスを踏まえた運用がなされることに努めてまいりたいと思います。

#57
○佐々木さやか君 その上で、ちょっと具体的なところについて文化庁に伺いたいと思います。
 今もありました特定絶版等資料というものはどういうものなのか、この定義。それから、対象をこれに限定をした趣旨というのは何なのか。そして、一般に入手することが困難な図書館資料、この具体例について教えていただきたいと思います。

#58
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 今回の改正におきましては、国立国会図書館による個人向けインターネット送信の対象は特定絶版等資料に限定しているところでございますが、この特定絶版資料は、絶版等資料のうち、著作権者や出版権者等から三月以内に絶版等資料に該当しなくなる蓋然性が高い、つまり、改めて出版されるといったようなことの申出があり、国立国会図書館の館長が当該申出の日から三月以内に絶版等資料に該当しなくなる蓋然性が高いことを確認した資料を除外したものと定義しております。
 このように資料の範囲を絶版等資料から限定している理由は、国民情報アクセスを確保する必要性が高い一方、基本的にその送信等により権利者に大きな不利益を与えることもないと考えられるためでございます。
 また、一般に入手することが困難な図書館資料に該当する例といたしましては、紙の書籍が絶版で電子出版等もなされていないような場合、これが一つ目です。将来的な復刻等の構想があるが現実化していないような場合、これが二つ目でございます。さらには、大学紀要、郷土資料等、最初からごく一部の、ごく少部数しか発行されていないような場合で入手が非常に困難な場合、こういったような場合を想定しているところでございます。

#59
○佐々木さやか君 今の御説明にもありましたが、三月以内に復刻等の予定があるものを除くというふうにされております。この点について、業界団体の方々から短い、期間がですね、ちょっと短いのではないかと、こういう御指摘があります。すなわち、復刻に当たっては半年前に決まるというケースも少なくないというふうに聞いております。
 そこで確認ですが、この三月以内とした趣旨は何なのかというところを伺いたいと思います。例えば半年後に復刻することが確定している場合に除外されないとするのは不合理ではないかと、こうした点について文化庁はどのように考えているのか聞きたいと思います。

#60
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 本法案におきまして、絶版等資料のうち送信対象から除外されるものを三月以内に復刻する蓋然性が高いというふうにしているわけですが、そういうふうに限定しているのは、一般的に出版予定日の三月前には具体的な出版計画が定まっていることが多い。一方、三月以内であればその後の出版計画が変更される可能性も低いというふうに考えられるところでございます。
 また、国民の情報アクセスの確保とのバランス、そういったものも考慮する必要があったということでございますが、仮に半年後に復刻することが確定している場合であっても、絶版等資料に該当する間は国民情報アクセスを確保するという観点も重要であるというふうに考えておりまして、法律上は国民の情報アクセスの確保と権利者保護のバランスを考慮して、三月より前に復刻等の予定が確定している場合を含めていないというところでございます。
 なお、実際の運用に当たっては、文化庁の関与の下、幅広い関係者を交えた協議が行われることとなっており、今後、関係者の意見等を十分に踏まえながら、議論が円滑に進むよう取り組んでまいりたいと考えております。

#61
○佐々木さやか君 今おっしゃったように、関係者間協議に基づく運用ということがなされるということでございますので、例えば出版者等からの御意見も十分重視をしていただいて、適切な検討、運用を行っていただきたいと思います。
 次に、何問か質問を飛ばしますけれども、図書館等による図書館資料のメール送信等について伺いたいと思います。
 今回の改正によって、図書館等による図書館資料のメール送信が可能となります。図書館等の利用者にとっては大変利便性が高まる一方で、不正利用などの目的外利用、これも懸念されるところであります。そこで、不正利用がなされたときの責任の所在を明らかにするためにも利用者を特定できることが重要であります。
 本法案では、氏名及び連絡先などを事前に登録することとなっておりますけれども、これにとどまらず、例えば成り済まし、また虚偽情報による登録の懸念、こういったことにも万全に対応していくことが必要ではないでしょうか。この点、文化庁、いかがでしょう。

#62
○政府参考人(矢野和彦君) 御指摘のとおりだというふうに考えておりますが、利用者の登録に当たり、成り済ましや虚偽の情報を登録するようなことがあってはいけない、あってはならないというふうに考えております。
 今回の改正案においては、利用者が受信した図書館資料のデータを不正に拡散させるなど違法行為が行われた場合には、対象利用者を特定し、適切に対応することで権利者の利益が不当に害されることを防止するため、当該利用者を登録、管理する措置を講じることを要件としているところでございます。
 通常、図書館サービスの利用においては利用者登録が必要とされており、その際、本人確認や住所確認等が行われるものと認識しております。また、本改正により、各図書館等においては、送信サービスを利用する際に不正利用防止のための規約への同意を求めることや、不正利用が判明した場合のサービスの停止措置が行われることなどを想定しているところでございます。
 文化庁といたしましては、図書館等においてデータの不正拡散防止に向けた適切な対応が行われるよう、制度の趣旨、内容について説明や啓発をしっかり行ってまいりたいと考えております。
 以上です。

#63
○佐々木さやか君 不正拡散防止の関係で、資料がデータ化されますので、これまでよりも更にこれが簡単に拡散されてしまう、そういうリスクが高まるかと思います。
 この不正拡散防止の措置というのは徹底すべきだと思いますけれども、海外に在住する者の登録も今回妨げられないと承知しております。国内の場合と同様に、海外の場合もデータの不正拡散防止の措置、これは徹底すべきだと思いますが、この点についてはどうでしょうか。

#64
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 図書館資料のメール送信等に関するサービスの利用については、先ほども御議論ございましたけれども、法律上、その送信先を国内に限っているものではございませんが、海外在住者への送信については、海外における不正拡散を実効的に防止し得るか、また送信先の国の法律との適用の関係など様々な課題がございますので、それらの検討を踏まえて実施の可否を判断する必要があるというふうにまずは考えております。
 一方で、本法案では、送信先が国内か国外かにかかわらず、図書館等が図書館資料を送信するに当たって、送信するデータについて不正拡散防止措置を講じることを法律上の要件といたしております。
 その具体的な措置の内容については、今後幅広い関係者の意見を丁寧に伺いながら検討を行っていくことを予定しており、文化庁といたしましては、図書館等において適切なデータの不正拡散防止措置が講じられるように検討してまいりたいと考えております。

#65
○佐々木さやか君 大臣に伺います。
 改正法三十一条二項ただし書における著作権者の利益を不当に害することとなる場合の具体的な解釈、運用につきましては、文化庁の下で幅広い関係者によってガイドラインを作成し、これに基づくものというふうに承知をしております。このガイドラインの作成に当たりましては、実態に即したきめ細やかな運用をしていただくためにも、先ほど申し上げたバランスを取っていただくことが重要かと思います。
 著作者、また出版界、こういった声も聞いていただいた上で御検討をお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

#66
○国務大臣(萩生田光一君) 本法案においては、著作物の種類や電子出版等の状況に照らし、著作権者の利益を不当に害することとなる場合には送信ができない旨の要件を設け、民間事業を阻害しないように担保することとしております。
 他方、この要件を設けることにより、どのような場合に図書館資料の送信が認められるのかが不明確になることや、不適切な利用を招くおそれもあることから、この要件の対象となる資料の範囲がより明確になるように、文化庁の関与の下、幅広い関係者や中立的な第三者を交えて、この要件に関する具体的な解釈、運用を示すガイドラインを作成する予定としております。
 このガイドラインの作成に当たっては、著作者を含む権利者や、御指摘の出版権者も含めた各関係者の実情を踏まえた御意見を丁寧に伺う必要があると考えておりまして、これらの御意見を踏まえて合理的なガイドラインを作成するよう、文科省として適切に対応してまいりたいと思います。

#67
○佐々木さやか君 次に、放送番組のインターネット同時配信に係る権利処理の円滑化について伺いたいと思います。高橋副大臣にお伺いしたいと思います。
 許諾推定規定がこの度創設されることとなりますけれども、権利者側から許諾推定規定がない現状におきましても、十分な説明がないままに実演家の許諾権が放送事業者に買い取られている事例が少なくない、こういう指摘がございます。こういった中で、権利許諾推定規定が導入されることにより、放送事業者が本来説明すべき契約内容の説明を怠るとの懸念が指摘されております。
 この指摘についての御認識及び権利者保護の方策について伺いたいと思います。

#68
○副大臣(高橋ひなこ君) 御指摘のように、許諾推定規定について権利者側から不正な契約の助長となる御懸念などが示されているのは承知しております。この規定は、時間的な制約など同時配信等の許諾を得ることが困難な場合を想定しており、そうでないときは契約を明確に締結していただくことが原則となります。
 今後、権利者に不利益が生じることがないよう、総務省、文化庁の関与の下で関係者間でガイドラインを策定することとしており、関係者の御意見を丁寧に伺いながらしっかり検討してまいりたいと思っております。

#69
○佐々木さやか君 よろしくお願いいたします。
 最後の質問になるかと思いますけれども、集中管理団体に著作権等の管理を委託している団体については法的知識とこれに基づく対応が期待できますけれども、そうした委託をしていないような個人に不利益が生じないような配慮が必要かと思います。
 今日、ほかの委員の先生からも御指摘あったかもしれませんけれども、例えばフリーランスのクリエーターの方、こういった方々は零細事業者であることが多いですので、こういった著作権について様々この情報をお持ちでない場合もあるかと思います。
 今回の許諾推定規定の創設に当たってはこういった方々への配慮も必要だと思いますけれども、この点いかがでしょうか。

#70
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 今委員から御指摘がございましたとおり、クリエーターが必ずしも著作権法の知識を十分に持ち合わせていない場合もございますため、許諾推定規定のガイドラインの策定に当たっては、関係者が理解しやすいようなQアンドAなどを盛り込むなど、十分に留意する必要があるというふうに考えております。
 また、ガイドラインの策定に当たっては、関係する権利者の御意見をよくお伺いしながら検討を進めるとともに、御指摘のような団体に所属していないフリーランスのクリエーターの方々の御意見も広く反映できるよう、パブリックコメントも実施する予定でございます。
 今後、ガイドラインが策定されましたら、関係者に規定の解釈、運用について十分に御理解いただけるよう、総務省とともにその周知に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。

#71
○佐々木さやか君 分かりやすいということでしたので、是非お願いします。度々、ちょっとこのホームページが分かりにくいとか、そういう御指摘をいただくこともありますので、しっかりお願いしたいと思います。
 以上で終わります。

#72
○梅村みずほ君 日本維新の会の梅村みずほでございます。本日もよろしくお願いいたします。
 さて、昨日から東京、大阪では大規模会場でのワクチン接種も始まり、大きな混乱もなく進んでいたことから、今後順調に接種も進んでいくものと期待をしております。一方で、各自治体に出されている緊急事態宣言は来月二十日まで延長となる様相で、依然として警戒を続けていかなければなりません。学校現場もそうです。子供たちへの感染力も従来よりも強い変異株に対し、緊張が続いているところです。
 本日議論されている著作権法改正案は、コロナ禍という非常時に対応するため、またデジタル化という時代の要請に応じるための措置であると存じますが、法案の質疑に入る前に、コロナ禍のデジタル化で学校現場が現在試行錯誤しているオンライン授業についてもお伺いしたく存じます。
 現在、大阪では、オンライン授業の実施に対して、公立小学校長が市長宛てに現場が混乱しているという旨の書面が送られ話題となっております。学校長の立場でいえば、そのお気持ちも大変よく分かる一方で、市長の立場でいえば、何とか子供、大人、全員の市民の命を守り抜きたい、感染者数を減らさなければならないという使命があります。また、文科大臣におかれましては、教育を所管するトップとして、教育現場に配慮したお言葉になるのも大変うなずけるところでございます。
 皆様それぞれのお立場に立ってみれば、どなたが悪いとかいうものでもなく、間違っているというのでもなく、皆様ぎりぎりのところで御尽力いただいていますので、何とか各所の折り合いを付けましてこの状況が進むよう、やはり、あらがえない必要性からむちゃも承知で進めてきた前倒しのGIGAスクール構想ではないのかなと思いますので、文科省の皆様にも、地方で摩擦が起きそうな場合は潤滑油として引き続きお力を賜れればと思っております。
 さて、目下取り急ぎお願いしたいのは、オンライン授業の出席停止扱いの見直しです。
 文科省が出されている各教育現場への通知に従った場合、コロナの感染不安を原因として自宅からオンライン授業に参加したとしても、出席停止扱いとなりまして出席になりません。もし自宅に既往症のあるおじいちゃん、おばあちゃんがいらっしゃった場合、子供が感染したときのことを考えると、やはり万が一のことを想定されると思うんですね。その万が一が起これば、僕のせいで、私のせいでおじいちゃん、おばあちゃんが亡くなってしまったんだというような重荷を負って生きていかなければいけないというリスクも視野に入ってくるわけです。
 そういった、感染していないが感染が不安なので休みたいという児童生徒が校長から合理的な理由があると判断されて自宅からオンライン授業で学ぶケースがあります。もちろん、授業にちゃんと付いてきているかどうか、理解しているのかどうかという確認も必要にはなってくるんですけれども、先生方も苦労しながらオンライン授業を提供して、子供たちも真面目に参加している、その場合はやっぱり出席扱いにしていただかなければ、何のために昨年、オンライン授業ができるようにGIGAスクール構想をスピード感を持って進めてきたのか分からないという声や、不登校の児童生徒は実はオンライン授業も出席扱いにできるんですね。不登校の児童生徒は出席扱いにできるのに、コロナ不安に対する登校自粛には認めないというのはおかしいという声が私の地元大阪では、大阪市長や寝屋川市長を始め多くの声届いております。
 寝屋川市などは、感染拡大を何としても食い止めようということで、かなり厳しい条件で学級閉鎖を行っているんですね。周知も徹底していまして、保護者なども大分理解をしていらっしゃるというふうに聞いております。出席停止扱いの日数が増えると、これ夏休みを潰して対面授業数を確保しなくてはならないのかなという心配の声も聞かれています。また、やはり子供たちがかわいそうだなと私は個人的に思っています。本人は元気で友達にも会いたいけれど、我慢して画面越しに一生懸命勉強しているのに出席にも欠席にもならない。
 オンライン授業でも先生方がその授業姿勢を確認できるのであれば出席扱いにすると大臣からおっしゃっていただけませんでしょうか。

#73
○国務大臣(萩生田光一君) 学校教育は、教師から児童生徒への対面指導、児童生徒同士の関わり合いなどを通じて行われるものであり、まずは学校において可能な限り感染リスクを低減させ、保護者の理解を得ながら、児童生徒が登校して学習できるようにすることが重要です。
 そのため、新型コロナウイルス感染症の影響による臨時休業や出席停止等により、やむを得ず学校に登校できない児童生徒は出席とはなりませんが、例えば同時双方向型のウエブ会議システムを活用するなどして、指導計画等を踏まえた教師による学習指導と学習状況の把握を行うことが重要です。
 また、こうした児童生徒については、やむを得ず学校に登校できなかった日数は欠席日数としては記録しないこと、一定の方法によるオンラインを活用した学習指導を実施したと校長が認める場合には、オンラインを活用した特例の授業として指導要録に記録すること、進級、進学、入試等において、例えば出席日数等により不利益を被ることがないようにすることなどをこれまで通知においてお示ししているところです。
 引き続き、各学校が十分な感染症対策を講じつつ、子供たちの健やかな学びが保障されるように、必要な支援などに努めてまいりたいと思います。

#74
○梅村みずほ君 御答弁ありがとうございます。
 大臣が対面の授業をとても重視されているというのは重々承知しております。けれども、やはりいつの時代も、教室にはいるんだけどグラウンドをぼうっと見ていたり、心ここにあらずでお絵描きしているというのも、私、過去の自分を振り返ってもあるわけなんですね。そういった、教室にいれさえすれば出席になる。一方で、画面を通していたら、一生懸命先生の話を聞き、メモを取り、問題を解いても出席にならないというのはやはりおかしいのではないかと思っております。
 大阪以外の自治体でも、例えば福岡市などでも市の責任においてオンラインも出席扱いにするとしているところが出てきております。
 文科省としては、先ほども申しましたが、対面でというこだわりもあるかとは思いますけれども、学習機会の確保という観点からすれば、まだまだ感染収束が見通せない現段階では、むしろオンライン授業を積極的に行ってもいいんだよと後押しするように御配慮いただき、対面とオンラインを状況に合わせてフレキシブルに行えるようにしていただきたく、もうそうですね、心からお願いしたいというところでございます。
 是非、ほかのいろんな自治体の首長、教育委員会の御意見も聞いていただきたい、このように思います。
 また、これは法案に関わることではないんですけれども、こうやって議場でデジタル化、オンラインの話をしていてつくづく思うのが、なぜこの国会だけは例外なのかということです。
 子供たちにオンライン授業を、企業の皆さんにはリモートワークをと、ずっと言ってまいりました。けれども、この議場にはパソコン一つ、タブレット一つ持ち込めないというのがおかしいですよねと何度も何度も、まあ皆様もまたかと思われるかもしれないんですが、私、訴えてまいりました。
 先日は、わざわざテレビ入りの決算委員会で菅総理大臣に、野党の一期生議員がぴいぴい言っても何も進まないんですと、国会のことは国会で決めるというのは分かっているんですが、お言葉いただけないでしょうかというふうにお願いしましたところ、菅総理大臣からも、総理といえど国会のことはほとんど口出しはできないんですという前置きがあった上で、国会でもペーパーレス化、デジタル化の議論が活発化することが大切だというふうにおっしゃっていただきました。
 そこで、委員長、委員会としては議運の方に是非進めてほしいということで意見を上げてくださっていると承知しております。そして、今日は議運委員長も委員としてこの議場にいらっしゃるわけなんですけれども、議運は大変お忙しい、本当にコロナ禍で大変お忙しいというのは分かっております。けれども、国民から見ると、なぜ国会だけは特別なのですかという目を、大変厳しい目を向けられております。
 このデジタル化だけではなくて、例えばオリンピック、何とか開催しようと政府も頑張っていらっしゃいますし、そこに向けて力を合わせていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。一方で、子供たちの運動会が中止になっているという現状もあります。自治体の決定、教育委員会の決定、学校の決定というのはあると思うんですけれども、文科省としては、オリンピックもやるんだぞと言っているのであれば、子供たちの運動会も何とか、こういうふうにやればできるよというふうに推し進めていただくとかですね、あとは、売店もですね、物を買うにも、キャッシュレスって今進めているはずなんですけれども、議員会館内の売店はキャッシュオンリーのお店もあるんです。
 なので、灯台下暗しといいますか、おらが村だけは別だというような感覚では到底国民には理解できないと思いますので、やはりいま一度、参議院文教科学委員会としては、子供たちに背中を見せるといいますか、やはりオンライン頑張ってねと言っている立場ですので、タブレットやパソコンを持ち込むというのをいま一度声を届けていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

#75
○委員長(太田房江君) ただいまの件につきましては、後刻理事会の方で協議をさせていただきます。

#76
○梅村みずほ君 済みません、無理を何度も言いますが、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
 さて、それでは法案の中身について質問させていただきたく思いますが、まずは、著作権法と、今回の著作権法とオンライン授業に関しましてお伺いいたします。
 授業目的公衆送信補償金制度は平成三十年の著作権法改正で創設された制度ですが、コロナによるオンライン授業の需要の高まりとそれに伴う著作物利用の増加に対応して、昨年四月末に施行を前倒しされたと理解をしております。
 昨年度は特例的に補償金の負担なく無償となっていましたが、指定管理団体に対してこの制度を利用しますと届出をした教育機関は具体的にどれぐらいありましたでしょうか。

#77
○政府参考人(矢野和彦君) 昨年度の数字でございますが、教育機関数でいくと大体三〇・四%の教育機関が令和二年度については登録しているということでございます。

#78
○梅村みずほ君 ありがとうございます。三〇・四%ということで、やはりかなり、相当数あったということですね。
 今年度から有償となっておりますけれども、私、先ほど斎藤委員からも御指摘ありましたように、どういう手続を取るのか、そしてスムーズに行えるのかどうなのかということで混乱を心配しておりました。その辺りに関しては斎藤委員の方から詳しくお話がありましたので割愛をさせていただきますけれども、財政措置に関しても気になっているところでございます。
 財政措置、大学などは運営費交付金などを充てているのかなと思うんですけれども、小中学校、地財措置で対応していらっしゃるのかなと思っているのですが、それで十分なのでしょうか、お伺いします。

#79
○政府参考人(矢野和彦君) 今委員から御指摘がございましたとおり、教育機関の設置者が負担する補償金については、認可された補償金額をベースとして、公立学校等については地方財政措置を講じ、国立大学等や私立学校等については運営費交付金や私学助成といった基盤的経費の令和三年度予算に補償金の支払に必要な経費を計上しております。
 本制度に基づく補償金負担は教育機関の管理運営に要する経費でもあり、オンライン教育のニーズが高まっていることから、来年度も引き続き必要な財政措置が講じられるよう、関係省庁と調整してまいりたいと考えております。

#80
○梅村みずほ君 ありがとうございます。今後ますます需要が高まってくると思いますので、予算措置よろしくお願い申し上げます。
 続いては、今回の法案の具体的な中身について、こちらもなんですけれども、今回の法改正によって、感染症蔓延下でも図書館へ出向くことなく研究目的の資料や絶版資料がインターネット、メールを介して自宅で閲覧できるようになります。あるいは、放送番組のネット同時配信などでも権利処理が円滑になり、いわゆる蓋かぶせも解消される。利用者や事業者にとってもストレスフリーですので、是非とも進めていただきたいと私は考えております。
 一方で、パブリックコメントなどを拝見しますと、御不安や反対の御意見もあるようでしたので、気になった点を質問させていただきたいと思います。
 図書館資料の送信サービスの実施における補償金導入についてお伺いいたします。
 昨年実施したパブリックコメントの中に、補償金反対の立場を示している図書館問題研究会常任委員会より、もし補償金が導入される場合には、現状行っている複写や郵送料金に比較して同等あるいはそれ以下の負担となるように料金体系を考えてほしい、補償金の徴収に当たっては、送信主体である図書館等の事務的負担の軽減に配慮した制度設計をしてほしいというリクエストがありました。
 もちろん、権利者のことを思えば補償金はあってしかるべきとは思いますけれども、当然、図書館にとっては負担となってきます。これまでは、お互いに事情を知っている者同士、日頃の関係性から丁寧なやり取りが期待できる図書館同士のやり取りでよかったものが、一般国民個々人を対象としたサービスになるわけですから、図書館の事務的な負担も当然大きくなると見込まれます。その上、補償金まで膨らむとなると、多くの現場にとっては苦痛であろうなというふうに思うところです。
 先ほど御答弁の中に個別にきめ細やかに料金を設定されるというお話がございまして、ケースによっては割とお高くなることがあるのかなというふうにお聞きしていたんですけれども、図書館としては不安になる御答弁だったのではないかと思いますが、その辺りの御負担、いかがでしょうか。これまでの郵送あるいは複写に係る料金を上回る可能性というのもあるのでしょうか。

#81
○政府参考人(矢野和彦君) 今回の改正法上、補償金の支払義務者は著作物の送信主体である図書館等の設置者を法律上の支払義務者と位置付けてはおりますけれども、実際の運用に当たっての補償金負担は、基本的に送信サービスの受益者である図書館利用者に御負担いただくということを想定しております。この点、今回の改正法附則におきましても、図書館等の設置者の補償金支払に要する費用を図書館利用者の負担に適切に反映させることが重要であること、その費用の円滑かつ適正な転嫁に寄与するため、国が広報活動を通じて国民の理解と協力を得るよう努めなければならないということを想定しております。
 補償金の実際の支払方法につきましては、現場の実情等を十分に踏まえて検討することが重要と認識しており、今後、関係者において、現場に過度な負担が生じないよう、合理的な運用や簡素な事務処理スキームを構築してまいりたいと考えております。また、補償金の、どの程度のレベルに設定するかというのも関係者とよく協議の上、適正な補償金を算定してまいりたいというふうに考えております。

#82
○梅村みずほ君 御答弁ありがとうございました。
 運用の段階で受益者である利用者に負担していただくことを考えていらっしゃるということで、私もそれがやはり一番だと思っております。その事務的な負担の軽減ということも併せて、引き続きの御検討をよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、こちらもパブリックコメントからなんですけれども、今回の法案の主要な登場人物とも言えます国会図書館の昨年末段階での御意見です。
 当館のシステムにおける技術的な制約上、プリントアウトするには送信先のパソコン等に印刷用の電子ファイルをダウンロードする必要があり、利用者による当該ファイルの違法な利用を実効的に制御できないということで、現段階ではストリーミングのみに限定すべきと主張されていましたけれども、その後の分科会などでどう折り合いを付けられたのか、お伺いいたします。

#83
○政府参考人(矢野和彦君) お答えします。
 本法案では、絶版等資料のインターネット送信に当たって、ストリーミング形式での資料送信とそのデータのプリントアウトについては可能とする一方で、ダウンロードを防止し、又は抑止する措置を講じることを求めております。これは、仮に資料のデータ自体が直接家庭などの端末に保存されることとなった場合、そのデータを不正に拡散させるなどの違法行為が行われ、権利者の利益が不当に害される危険性が生じることが懸念されるためでございます。
 この点につきまして、幅広い権利者、出版者からも将来的な復刻の可能性やデータの不正拡散等に対する懸念などを理由に強い反対が示されており、関係者の御意見を踏まえた対応をしております。
 なお、国立国会図書館からは、具体の送信形態に関する技術的な課題についての御指摘もいただいております。このため、具体的な送信形態については、システム上の実行可能性も考慮しながら、今後、国立国会図書館を始めとする関係者の意見等を十分に踏まえて検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上です。

#84
○梅村みずほ君 実行可能性ということで、やはりダウンロードできないことにはプリントアウトできないという利用者も多くいらっしゃると思いますので、その辺りの議論も引き続き進めていただければと思います。
 では、続きまして、要旨六番お願いしたいと思います。
 今年の一月に、大臣の顔写真を使って大臣のお名前を使って大臣のその肩書を使って偽アカウントから、共通試験が延期されますよというようなツイッターが上がりまして問題となりました。そういったサイバー空間での著作権、肖像権というものも大変問題になってきておりまして、文科省のアイコン、ロゴマークなども利用されるケースが相次いでおります。
 著作権、肖像権ということで、サイバー空間ではこの辺りの権利についてもよくよく考えていく必要があると思うのですが、萩生田大臣のお言葉を最後に求めて、質問を終わりたいと思います。お願いします。

#85
○国務大臣(萩生田光一君) 他人の顔写真や他人の作成したキャラクターなどをSNS上に無断で掲載する行為は、著作権侵害に当たる可能性があり、看過することができない行為であると考えます。仮にそのような場合においては、事案の内容にもよりますけれど、権利者が自らの権利保護のため、当該行為の停止などの請求や不法行為に基づく損害賠償請求等の民事上の措置を講ずることが考えられます。
 委員御指摘の事案、すなわち私の写真を無断で用いた虚偽のツイッターアカウントが存在した事案は認識しており、これは著作権や肖像権を侵害するものであると考え、問題のあるアカウントとしての処置を行っております。また、文科省の本音という虚偽のツイッターアカウントについては、昨日、委員の御指摘により初めて認識したものでありますが、速やかにしかるべき対応を取ることとしております。
 いずれにしましても、文科省としては、社会における正しい著作物の利用についての普及啓発が重要と考えており、例えばウエブ教材、インターネットの著作権の作成、周知などを行っているところであり、引き続きしっかりと対応してまいりたいと思います。

#86
○梅村みずほ君 ありがとうございます。終わります。

#87
○伊藤孝恵君 二〇一九年六月二十八日に公布、施行されました視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律、いわゆる読書バリアフリー法、これはマラケシュ条約批准に連なるものですが、先ほど書籍へのアクセシビリティーの質問をされた佐々木委員もまた私も法案提出者の一人でありまして、この読書バリアフリー法第十一条一項でも、著作権法第三十七条との関連、具体的には、第一項又は第三項の本文の規定により製作される視覚障害者等が利用しやすい特定書籍及び特定電子書籍等の製作を支援するため、国や地方公共団体は必要な施策を講じなければならないと定めました。
 まず、確認です。この三十七条における視覚障害者等のための複製、公衆送信が認められる者の等の解釈、例えばディスレクシア、教育用語では特異的学習障害、一般的には読み書き障害も入ると考えてよろしいのか、教えてください。

#88
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 著作権法第三十七条第三項では、視覚障害その他の障害を有する者のために書籍の音訳等を権利者の許諾なく行うということを認めております。この規定により、今委員から御指摘がございました読み書き障害等の発達障害や学習障害により視覚による表現の認識が困難な方々に対しても録音図書等の提供を行うことが可能であると考えております。

#89
○伊藤孝恵君 このディスレクシアというのは、文化とか言語とかに関わりなく発症する先天的な脳の言語中枢における器質的差異で、全世界人口の八%とも一〇%とも、英語圏での発現率は二〇%だという識者もいらっしゃいます。
 これ、治療法が確立されていないのと、見た目とか話しぶりでは分からないので、診断が遅れたりサポートを受けられないで学習面で支障を来すのみならず、不登校、自尊心の低下が深刻化するディスレクシアの子供たちがいるということです。
 この読み書き障害の子供たちを特に想定したものではありませんけれども、二〇一二年に文科省が小中学校の先生たちを対象に行った、通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査では、ASDやADHDとは違う、知的な発達の遅れはないものの、学習面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は四・五%、およそ四十五万人に上り、クラスに必ず一人か二人はディスレクシアの可能性がある子供たちがいるとの結果だったそうです。
 この全国調査を行った当時というか、最近までは、読み書き障害の子供たちへのパソコンの持込み等合理的配慮、教育現場における合理的配慮への理解というものが必ずしも徹底されているというものでもなく、また、周囲のお友達が、あの子だけパソコン使ってずるいみたいなこともあってなかなか進まなかったことがありますけれども、今一人一台端末がデフォルトになりましたので、次なる課題としてはUDフォント、音声コンテンツ等の基礎的環境整備です。
 最新のマルチメディアDAISY教科書というのはとても使いやすいと聞いています。しかし、これ無償で提供されているにもかかわらず、まだ使えていない子供たちだったり、導入していない自治体も多くございます。これ、やはり課題が顕在化していないからではないかというふうに思うんですね。
 このディスレクシアに関する調査ですが、厚労省はやっています。平成三十年に、発達障害者の顕在化されにくい読み書き困難についての実態調査として二〇一九年に調査をしておりますけれども、こちらの調査対象、残念ながら、これ全部十八歳以上なんですね。
 この中で、大人になっても苦手なことと学齢期の困難さというのの相関というのを見ることができるんですが、これ大臣にお伺いしたいんですが、このディスレクシア、国語には余り不自由のなかった子が、英語になったらそういった症状が発現するということもよく見られるそうです。読めない、書けないといった問題が急に英語になったら出てくるという症状があるそうです。
 この英語学習が三年生辺りで始まりますので、その三年生を対象に、例えば平仮名、片仮名、漢字、数字、英語、これらの読み障害、書字障害の出現頻度の調査、これ必要なんじゃないかというふうに思います。というのも、やっぱり現状把握しなければ、教員の理解、教育委員会の理解、支援策も進みませんし、これらのコンテンツ、教材の研究、普及なども進まないと思います。
 まず、この現状認識のために、ディスレクシアの調査、必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

#90
○国務大臣(萩生田光一君) ディスレクシアにつきましては、一定程度の児童生徒の中にいらっしゃるという統計上の報告を受けております。特に、今先生も御指摘いただいたように、今年四月からは小中学校、GIGAスクールがスタートしまして、私も先日、視察先で、読み書き障害で原稿用紙の中になかなか文字が収まらないお子さんが、パソコンで転換したら物すごい立派な作文を書いた事例を現場で拝見させていただいて、なるほど、こういうことにも利用できるということで自信を持ったところでございます。
 何年生のどういう段階でどういう項目をということは、教育現場の環境も変わったことも踏まえて、調査の必要性がないと言うつもりは全くございません。どういう段階でどういう調査をしてさしあげたら顕在化をしてくるのかということも含めて、ちょっと専門家とまた相談をしてみたいなと思います。

#91
○伊藤孝恵君 是非、特化した調査はございません、御検討いただければと思います。
 それでは、資料一を御覧ください。
 国立国会図書館の所蔵の資料、今五百三十万点で、うち古いものから二〇%程度、まあ百万強ですか、はデジタル化が完了しているそうです。年間二億円ぐらいの予算でやっていたんですけれども、令和二年度補正で四十五億円付いたので、四十万点が一気に進むというふうに聞いています。これ、電子書籍との関連で、一旦、一九六九年から二〇〇〇年までの国内刊行図書に限ってデジタル化を進めているんですけれども、それだけでも百七十万点あるので、まだまだ先は長いといったお話、事前にお伺いしました。
 これ、一口にデジタル化と言っても、ただ、本当に一点しかない貴重な国民の財産、図書のスキャンというのには技術が要る、大変な技術が要るそうです。こういった国内の技術者の育成ですとか、スキャナー業者、こういった方々のなりわいを守る、マーケットをつくるというのが非常に大事じゃないかというところを鑑みると、一気にどおんと、取れるときに予算どおんと取るのも必要ですけれども、予算と人員を計画的、また恒常的に確保して進める必要があるというふうに思います。
 令和三年度の予算二・七億円というふうにお伺いしました。今後、政府の予算のみならず、例えば、参議院、我がハウスには図書館運営小委員会がございますので、そこでの計画、残り百三十万点の完了までのマイルストーンをどうするんだとかですね、二〇〇一年以降の図書はどうするんだと。この電子書籍の実態、誰も把握しておりませんので、どういうこの電子書籍との整理をしていくのか、こういう検討が必要なんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。館長、じゃ、お願いします。

#92
○国立国会図書館長(吉永元信君) 当館では、資料と保存の利用の両立を図るために、図書や雑誌の所蔵資料のデジタル化を行ってまいりました。これまでに約二百七十六万点のデジタル化資料を提供しておりますが、予算上の制約もありまして、決して十分な数とは言えない現状でございます。
 コロナ禍を契機として、図書館資料のデジタル化、ネットワーク化の必要性を踏まえて、令和二年度補正予算におきまして四十四億円余のデジタル化予算を認めていただきました。
 当館といたしましては、一九六九年以降二〇〇〇年までに国内で刊行された図書約百七十万点のデジタル化が大きな目標ですが、これは、今回の著作権法改正により、図書館等に加え、個人への送信が期待できる絶版等資料が多く含まれると目されることを踏まえたものでございます。
 今般、中期ビジョンといたしまして国立国会図書館ビジョンを策定いたしまして、この五年間をデジタル化のシフト、デジタルシフトの推進期間としました。その重点施策の一つとして、所蔵資料のデジタル化を継続的に加速することを目指しております。
 これを契機に、引き続き、議院運営委員会の御指導を仰ぎながら、所蔵資料のデジタル化及び全文テキストデータ化を進めて、今般のコロナ禍で高まった利用者のデジタル化資料のニーズに応えていきたいと考えております。

#93
○伊藤孝恵君 館長、御答弁ありがとうございました。
 テキストデータもそうなんですけど、先ほどのディスレクシアの子供たち、やっぱり音声データというのも非常に重要な資料、知、知見になります。どうかそういったところも含めて進めていただければというふうに思います。
 続きましては、私、テレビ局で報道番組を制作していたときに、昔のCMとかを紹介するというようなことがよくありました。そのCMが描きたい時代背景を映していたりですとか、ニュースの主人公の昔の姿だったりというのがその中にあるというので、その際、連絡するのが、資料二ですね、このACC・CM情報センターというところに、あのCM使いますと、過去のCM使いますというふうに連絡するんですね。
 これ、事前に総務省や文化庁の方々ともお話ししましたけれども、皆さん、JASRACは知っているけど、このACC・CM情報センターというのは知らないというふうにおっしゃっておりました。なので、どういうことをするところかというと、業務内容のところ見ていただくと、CM情報センターはCMの著作権者ではありません、またJASRACのように権利者から委託を受けて著作権処理を委任されている立場でもありませんというふうにおっしゃっていて、ただ、広告主、広告会社、CM制作会社、音楽、出演者等、情報提供や事務手続を行うサービス機関ですと書いてあるんですが、実態としては、事務手続、自分たち、制作者、我々、テレビ局員の方がやります。自分で確認取ってくださいと言われるので、もうあらゆるところに一生懸命連絡をして、このCM使いたいんですけどというふうに確認を取りますが、お値段は、にもかかわらず、CM著作物活用料で一万一千円、CM使用同意確認事務手数料で二万二千円、合計三万三千円というところをここにお支払いしなければならないわけです。
 このCM著作物活用料というのがどこに行くかというと、何と、各権利者には配分されず、CMの文化的価値、社会的地位の向上並びにCM著作権に関する研究、調査、啓発、普及活動等の経費や、その他これらの目的を達成するために必要な事業経費として使われるそうです。ほとんど、事務手数料も、記者の側、制作者の側がやるんですけれども、これは通信、連絡、書類作成、資料収集などの事務経費として使われるということでした。
 この団体ホームページの限りでは、今回、本法案であるインターネット同時配信についての記述というのがなかったんですね。こういった番組の中で紹介されるCM、四角囲みで紹介されるようなCMについても今回の許諾推定は及ぶ、更なる権利処理とか追加費用というのは必要がないという認識で大丈夫でしょうか。

#94
○政府参考人(矢野和彦君) 今回の法案におきまして権利処理が円滑される放送同時配信等は、放送番組のインターネット配信のうち一定の要件を満たすものが対象となります。このため、放送番組や情報番組の中で広告宣伝ではなくCMをコンテンツの一つとして紹介するような場合も、放送番組での著作物の利用の一形態としてそれを同時配信する場合には今回の改正における権利処理の対象になるというふうに考えております。
 ですから、新たに追加措置が必要かどうかというのは、今後、何回か御答弁申しましたとおり、権利者と放送事業者との間でしっかりした話合いがなされる、そういうふうに考えております。
 以上です。

#95
○伊藤孝恵君 次長、ありがとうございました。
 この今回の改正案とかこの解釈、運用において、この点に限らずですけど、多くがガイドラインに委ねられているというところがあります。このガイドラインに委ねるとしても、いろいろなこういった事例もある、そういったところの、出版業界もそうですし、権利者もそうですし、放送事業者もそうですし、こういった団体もそうですし、この民民の合意も含めて、視野を広く、話を聞いて定めていただきたいということをお願いして、質問を終わります。

#96
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
 著作権法を改正する際、先ほど来議論ありますけど、何より重要なのは、その著作物の権利の保護と利用促進のバランスをどう取るかということだと思います。
 本改正案の放送番組の同時配信等に係る権利処理の円滑化について言えば、放送事業者というのは利用者であり、番組への出演者や著作者が権利者に当たりますが、この権利者に当たる放送番組に出演する実演家について言えば、元々出演契約等の交渉において基本的に立場が弱いという指摘が相次いでいるわけです。今回の改正では許諾推定規定というのが設けられるわけですが、これにより、同時配信などの放送の二次利用は推進される一方で、その分の対価が適正に支払われないままになるのではないかという懸念の声が上がっているわけです。
 改めて確認したいと思うんですが、この同時配信等の実施に当たり、実演家に適切な対価が支払われるということは必須だと思いますが、いかがでしょうか。

#97
○政府参考人(矢野和彦君) 御指摘のとおりだというふうに考えております。
 今回の改正では新たに、同時配信等に関して権利制限を行う実演について、放送事業者から権利者に通常の使用料額に相当する報酬や補償金を支払うことを義務付けております。この報酬や補償金は同時配信等の対価に相当するものであり、放送に係る対価とは別途支払う必要がございます。
 放送事業者が同時配信等を行うに当たっては、実演家を含む権利者に対して適切な対価還元が行われ、放送事業者と権利者の双方にとって有益となることが重要であるというふうに考えており、放送事業者においても同様の理解に立っているものと理解しております、認識しております。
 また、対価の支払は当事者間の協議で決定されますが、例えば今回の改正で創設される許諾推定規定については、権利者に支払われた対価が、明らかに放送のみ、インターネット送信の水準が考慮されていないという場合であれば、推定が覆り得る事情として考慮される場合があるというふうに考えております。
 文化庁といたしましては、こうした事情も考慮しながら、総務省とともに、対価の支払に関する放送事業者と実演家を含む権利者の協議が円滑に行われるよう努めてまいりたいと考えております。

#98
○吉良よし子君 適切に対価が還元されるべきであり、その同時配信等の分が上乗せされていないと思われるのであればその推定が覆され得るという大事な答弁だったと思います。
 ただ、現状を見てみると、本当にちゃんとそれが還元される仕組みができているかというのでいえば、この二次利用、様々多様に広がっているにもかかわらず、放送番組の再放送時の適切な対価すら支払われていないと、再放送時の報酬請求権というのもうまく機能していないという指摘もありますし、そもそも出演料が低いんじゃないかという指摘もあるわけです、実態もあるわけです。
 日本俳優連合などが主催する著作権法の勉強会では実演家の皆さんが次々と窮状を語っていて、とにかく出演料が低いんだと、そのことを正当化されてしまう根本には、俳優に対する法や制度が不十分だからじゃないかという声もありました。実際、この出演料の問題というのは、個別の事務所との契約関係かというと、確かにそういう側面もありますけど、それだけじゃなくて、このそれぞれの実演家が契約を結ぶ際の最低限のルールすら今の日本にはないという問題が根本にあるのは間違いないと思うんです。
 実際、この多くの実演家の役者の皆さんというのは、そもそもフリーランスになりたくてこの仕事を選んだわけじゃなくて、役者になるという道を選んだらそのままフリーランスの道を選ぶしかなく、そうしたら、労働者と違ってほとんど保護がなくて、最低報酬の取決めもないというような状態に追い込まれてしまっているわけです。
 先ほど、同時配信分含んだ報酬にならなかったらと言いましたけど、やっぱり最低報酬の取決めもない下で、今の出演料そのままに、いや、これは同時配信分も含んだんだと言われたときに、いや、違うでしょうと言える根拠が果たしてあるのかといえば、ない状態としか言いようがないと思わざるを得ないわけですね。
 やはり、こういうときにこのフリーランスを保護する制度、法律、必要だと思うわけです。衆議院での議論でも、まあ文化次長も、今の我が国文化芸術界の契約慣行についてどう見直していくか考えていきたいという答弁もありましたし、大臣からも、将来的には法律をきちんと整備していくこと更に必要というふうに答弁もあったと聞いていますけれども、私、やっぱり将来的にということじゃなくて、やはりこの著作権法を改正している今こそ、ネット配信どんどん進めていくよという今こそ、こうした同時配信などの機会にもちゃんと適切に対価が実演家に支払われる、そういう仕組み、法制度を議論すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

#99
○国務大臣(萩生田光一君) 映像実演の利用に当たっては適正な対価が実演家に還元されることは、将来にわたって良質な作品を継続して生み出す環境を維持する観点からも重要であると考えています。
 実演家の方々からは適切な対価が支払われていないとの御意見があると承知しておりますが、今回の改正により、同時配信等については報酬の徴収、分配がより実効的に行うことが可能となりますので、まずは今回の改正に伴う対価の支払について、放送事業を所管する総務省とともに、放送事業者と権利者の協議が円滑に行われるよう努めてまいりたいと思います。
 また、実演家の報酬額や分配については、当事者間の交渉力の違いや、それを背景とした契約慣行などが影響しているものと考えております。
 文科省としては、契約慣行や著作権に関する意識啓発などにより、実演家に適切な対価が支払われるような取組を進めてまいりたいと考えています。

#100
○吉良よし子君 是非前向きに進めていただきたいんです。法制度、法整備、進めていただきたいんですね。
 そもそも、実演家には録音権、録画権、放送・有線放送権、送信可能化権等認められていないという実態もあるわけです。やっぱり、放送番組の利用を促進するだけじゃなくて、こうした実演家を含むフリーランスの権利を保護する、適切な契約を結び報酬を得られるように文化庁が先頭に立たなきゃいけないと思うんですけれども、もう一度、大臣、前向きにお願いします。ペーパーじゃなく、思いをお願いします。

#101
○国務大臣(萩生田光一君) 気持ちは分かるんですけどね、あくまで民民の契約です。
 それで、やっぱり駆け出しのときって、不条理な条件でも、もう、一本でも舞台に上がりたい、一本でも番組に出たいと思いながら皆さん努力して、いつの日からは逆に、出てくださいと言われて高額な報酬をもらうことも可能なわけですよ。
 ですから、下積みのところだけ法律で保障しろと言われても、これまた民民の話なので難しいところはあるんですけれど、ただ、だからといって、そういう人たちが全くその将来が予想できないような、そういう職業であっては夢がなくなってしまうと思いますから、こういう様々な権利を整理していく中で、そういった分野で活躍をしたいという人たちも将来に希望をつなげるような、そういう環境は必要だと思うんですけど、直ちに法律をと言われると難しいかなというふうに思っております。

#102
○吉良よし子君 この間、フリーランス保護の必要性というのは国会全体で議論はされていることだと思うんです。大臣、今、下積みはとおっしゃいますけど、この間、そのコロナの中で芸術文化大変だというときに、芸術文化の裾野を守らなきゃいけないんだということを私、繰り返し申し上げてきたと思うんです。そういう意味でも、とりわけ不利な条件に置かれている、コロナに感染しても傷病手当すらもらえないような実態があるのがフリーランスですから、やはりそういうところを保護していく、支援していく対象にしていかなきゃいけない、それは政治の責任だということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 続いて、図書館の方の資料のインターネット送信に係る規定の見直しについても伺いたいと思います。
 今回、図書館資料のデータ送信を可能にするに当たり、補償金の制度が新たに設けられるということです。ただ、この水準をどうするのかというのもかなり大きな課題だと思うんです。余り高額になってしまっては利用者の負担になって利便性の観点から好ましくないですし、かといって、じゃ、余りに低額にしてしまうと、今度は権利者への補償という観点から不十分になるということで、まさにバランスだと思うんですけど、これ、本当に関係者間での議論丁寧にやる、特に権利者の理解、納得得られるように進めていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

#103
○政府参考人(矢野和彦君) 委員全く御指摘のとおりだというふうに考えております。
 補償金の徴収、分配については、図書館側の事務負担軽減を図るとともに、権利者への対価還元を確実に行うため、文化庁が指定する指定管理団体が一元的な窓口となって行う仕組みとしたいと考えております。
 この指定管理団体につきましては、図書等の著作物の公衆送信権を有する者や電子出版権を有する者の団体から構成することなどを要件として検討することとなります。
 補償金の額については、指定管理団体が料金体系や金額の案を作成し、それを文化庁長官が文化審議会に諮った上で認可の判断を行うということとしており、文化庁長官の認可に際しては、著作権者等の利益に与える影響等を考慮し、適正な額であるかを確認することとしております。
 また、補償金の額の設定に当たっては、基本的に権利者の逸失利益を適切に補填できるだけの水準とすることが適当であると考えており、具体の運用については、権利者を含む幅広い関係者の意見を丁寧に伺いながら、合理的な基準が策定されるよう対応してまいりたいと考えております。
 以上です。

#104
○吉良よし子君 幅広く丁寧に意見を聞きながらということでした。
 ただ、今回、この法案化に当たって、出版業界の皆さんから出版業を圧迫するという強い懸念の意見が出され、しかも、それについて意見交換なく法案提出に至ったんじゃないかという、意見交換が不十分だったとの指摘も出されているわけです。
 問題は補償金だけじゃなくて、そうしたデータ送信できる対象となる資料について、先ほど来も議論されているわけですけど、出版者の利益を損ねないためにはどこで線を引くかとか、その量や範囲を適切にしていくにはどうするのかというところについては、もう権利者の理解と納得が得られるように丁寧に対応しなきゃいけないわけです。現場の声をよく聞いて丁寧に議論をしていただきたいということ、重ねて求めておきたいと思います。
 次に、利用者の観点から、先ほどもありましたので確認にとどめますが、私の元にも、海外で活躍する日本研究者、日本資料専門司書らが外国人にも同様のサービスが提供されることを強く望んでいるとの声が届きました。
 確認します。この今回の送信サービスの送付先というのは、国内に限らず海外にまで可能になるということでよろしいでしょうか。

#105
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 図書館資料のメール送信等に関するサービスの利用については、著作権法上、その送信先を国内には限っていないというところでございますので、法律的には可能だということでございます。
 繰り返しになりますけれども、一方で、個々の図書館等はその設置目的等に応じて利用者の範囲を判断しているため、実際には各図書館等によって利用者の範囲は異なってくるものと考えております。特に公立図書館については、その設置目的や現行の複写、郵送サービスの利用実態を踏まえれば、基本的にその地域に居住する方々が主な利用者になると考えております。当該地域に居住してきた方が海外赴任等により海外からの、海外からメール送信等の申請を行うことも想定されますが、そのような個別の場面については、当該図書館等の設置目的等を踏まえて各図書館等においてその取扱いが決められることになるというふうに考えているところでございます。

#106
○吉良よし子君 可能になるということですので、丁寧に柔軟に対応していただきたいと思います。
 もう一点聞きたいのは、今回、ネット送信求める声というのは、新型コロナ感染の拡大の下で図書館が休館したことで、特に大学院生、研究者から出されたものと承知していますが、こういう声を踏まえれば、大学院生や研究者の皆さんの一番身近な大学図書館で取組進めること必須だと思うんですが、この場合、図書館がデータ送信行う場合、コピーガードの付加とか電子透かしなどの技術措置なども条件になっているわけですが、大学図書館の職員数、もうこの間、十年前に比べ二割減少、運営費一割減っているという現状を踏まえると、人や予算の面で制約があるのじゃないかと、やっぱり法改正だけじゃなくて、財政支援必要だし、運営費交付金、私学助成の拡充、この点からも進めなきゃいけないんじゃないかと思いますが、最後に大臣、是非お願いします。

#107
○国務大臣(萩生田光一君) 図書館資料のメール送信等については、施行までに二年間の準備期間を設けており、文部科学省の関与の下、現場の実情を十分に踏まえつつ関係者協議を進め、現場に過度な負担が生じない合理的な制度運用、簡素な事務処理スキームを構築したいと思っております。
 このサービスの実施に必要な経費については、まず、補償金の支払に要する費用はこのサービスの利用者に御負担いただくことを想定しており、これに加えて、図書館等の手数料を利用者から徴収することは考えられます。
 このほか、実施に当たっては、実際上の具体的な支援の必要性は現時点では明らかではありませんが、いずれにせよ、引き続き、各大学の継続的、安定的な教育研究活動に支障を来さぬよう、国立大学法人運営費交付金や私学助成といった基盤的経費の確保にもしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

#108
○吉良よし子君 そうじゃなくても大学、資料費が足りないという声も聞いておりますので、是非、運営費交付金等の充実、改めて求めて、質問を終わります。

#109
○舩後靖彦君 れいわ新選組、舩後靖彦でございます。今日もよろしくお願いいたします。
 著作権法の一部を改正する法律案の質疑に入る前に、昨年六月四日の本委員会で質問いたしました、読書バリアフリー法の環境整備のために出版関係者との検討の場を設けることと、その後の進捗状況について質問させていただきます。
 代読いたします。
 読書バリアフリー法が施行され、二年がたちます。昨年七月に、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画が策定されました。経済産業省の下に設置された検討会において、出版社からのテキストデータの提供に関する課題や方法などについて検討され、つい先日、報告書が発表されました。
 そこで、まず、この間の検討内容と方向性についてお伺いいたします。

#110
○政府参考人(小笠原陽一君) お答え申し上げます。
 令和二年七月、文部科学省及び厚生労働省により策定されました読書バリアフリー基本計画では、出版社によるテキストデータの提供の具体的な在り方について必要な議論を行っていくため、出版関係者との検討の場を設けるとされております。
 これを受けまして、経済産業省では、令和二年度、今御指摘のありました読書バリアフリー環境整備のための電子書籍市場等の拡大に関する検討会を設置し、出版社からのテキストデータ提供の促進等を図るため、その障壁となる課題解決に向けた方策について議論してまいりました。
 令和二年度の検討会では、出版社からのテキストデータの提供に関する今後の出版業界の取組として、アクセシブルな書籍の整備状況が把握できるデータベースの構築、テキストデータの取次ぎを行うサポートセンターの設置、テキストデータ抽出等に関する基準の整備等が取りまとめられまして、令和三年度から着手していくこととなっております。

#111
○舩後靖彦君 代読いたします。
 ありがとうございます。
 昨年の委員会でも申し上げましたが、私は、ページをめくって本を読むことができないだけでなく、眼球の動きにも困難があり、縦書きの文字はほぼ読めません。そのため、本を断裁して一ページずつスキャンしPDFにしてもらい、パソコンで文字を読み取れる機能を使い、音声変換して聞いています。
 資料一を御覧ください。
 これだけの手間を掛けてようやく本が読めるわけです。しかし、読み取りには誤変換があります。また、図版があったり複雑なレイアウトだとブロックごと飛んでしまうこともあります。視覚障害者、盲聾者、難読症、肢体不自由、私のように眼球の動きに障害がある人など、読書に困難を抱えている人を想定しますと、やはり様々な形式に変換が可能なテキストデータを出版社から提供していただくのが最善の方法と実感しています。
 私の知っている限り、二〇〇〇年前後から、既に本にテキストデータ請求券を付け、紙の本を読めない読者にテキストデータを提供している出版社もあります。そのうち一社は、著者との出版契約時にテキストデータ提供の承諾を得るようにしています。そして、取引先の会社から、資料二にあるレイアウト編集のためのデザインデータ、印刷用のPDFデータ、デザインデータから抽出したテキストデータの三点セットを手数料を払って提供してもらいます。請求券が送られてきた場合、利用者に著作権遵守の確認をした上でメールでテキストデータを送付しています。このように、二〇〇〇年以降のほぼ全ての書籍のテキストデータ提供を可能にしている出版社もあります。
 かつてのように、技術的に点字図書、拡大図書、録音図書、対面朗読などの手段しかない時代とは違い、電子書籍にしても紙の本にしても、デザインの基本はデジタルデータなわけです。誰もがアクセスできるテキストデータから障害の状態に合わせた様々な使い方を展開することが読書バリアフリー環境の整備に向けて必須と考えます。
 出版業界の取組を加速化するために、どのような方策が出されているのでしょうか。

#112
○政府参考人(小笠原陽一君) お答えを申し上げます。
 読書バリアフリー法の目的である視覚障害者等の読書環境整備を進めるためには、出版社から視覚障害等の方々に対するテキストデータの提供を促進していくことは大変重要であるというふうに認識しております。
 他方、令和二年度に実施した出版関係者へのアンケート及びヒアリング調査結果によりますと、組み版からのテキストデータの抽出については、複雑なレイアウトからの抽出、外字の変換、あるいは図表等の抽出など課題があることが明らかになったところでございます。
 令和二年度の検討会では、これらの課題解決のため、先ほど申し上げたテキストデータ抽出等に関する基準の整備を進めるとともに、経済産業省において令和三年度も引き続き検討会を設置し、出版関係者との議論を継続することとしております。
 委員御指摘のテキストデータのワンソース・マルチユース転換も含めまして、出版社からのテキストデータ提供に関する議論を加速させてまいりたいというふうに考えております。

#113
○委員長(太田房江君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#114
○委員長(太田房江君) 速記を起こしてください。

#115
○舩後靖彦君 代読いたします。
 人は一人では生きていけないとは、ある盲聾の方の言葉です。私もそう思います。
 そこで、大臣にお考えいただきたいことは、我々障害者が読書文化を享受するためには何が必要かということです。いかがでしょうか。

#116
○国務大臣(萩生田光一君) 障害種によってもいろいろ対応は変わってくるんだと思いますが、今、例えば先生のような方がテキストデータを活用しながら自分なりにその読書の環境を整えているというお話を聞きました。いろんな方がいらっしゃると思いますので、あらゆる人たちがこの読書にアクセスができる環境というのを国として一つでも前進させていくことが必要だというふうに思っております。

#117
○舩後靖彦君 代読いたします。
 ありがとうございます。
 検討会では、ロードマップとアクションプランを整理し、次年度以降の各主体の取組について整理すると伺っています。誰もが自由に本を読み、情報にアクセスする権利の保障のため、実効性のあるアクションプランにしていただくよう、重ねてお願いし、著作権改正法案の質問に移ります。
 まず、図書館関係の権利制限規定の見直しについてお伺いいたします。
 コロナ禍で図書館が使えない状況が続きました。今回の改正では、公共図書館等が調査研究用に図書館資料の一部をメール等で利用者に送信できるとしています。この場合は、利用者の事前登録、コピーガード措置を講じる一定の条件を満たす図書館のみが対象など、権利者保護のための条件が定められています。しかしながら、図書館で閲覧、コピーするだけでなく、資料の一部であってもスキャンデータを入手できれば何部でもプリントアウトは可能です。
 また、データの共有、流出の懸念もあります。これは今回の改正で一番懸念されるところです。専門書を出している出版社は中小出版社が多く、部数も少ないため、こうした不正利用によって出版社、著者に不利益が生じると、専門書、研究書の出版活動の低迷を及ぼしかねません。
 改正案では、公衆送信に伴う権利者の不利益補填のために図書館の設置者が権利者に補償金を支払うとしています。補償金の金額、支払方法については、不利益を被る可能性のある権利者の意見を主要な業界団体からだけではなく幅広く聴取する必要があると考えます。この点について御見解をお聞かせください。

#118
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 補償金の徴収や分配を行う指定管理団体は、今回の制度改正によって影響が出る可能性のある図書等の著作物の公衆送信権を有する者の団体や電子出版権を有する者の団体で構成することが指定の要件となっております。
 この指定管理団体は、図書館等の設置者団体の意見を聞いて補償金の料金体系や金額の案、分配の方法等を作成することとなっており、補償金の額については文化庁長官が文化審議会に諮った上で認可の判断を行うこととしております。
 文化庁におきましては、文化審議会での審議の際に、指定管理団体及び図書館等設置者団体双方の意見を聴取することを想定しており、権利者を含めた各関係者の幅広い意見を十分に踏まえた補償金額、支払方法となるように、御指摘も踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

#119
○舩後靖彦君 代読いたします。
 ありがとうございます。
 補償金の徴収、支払を一括管理する指定管理団体の公平性、透明性を担保するために、どのような仕組みが取られるのでしょうか。

#120
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 指定管理団体は図書等の著作物の公衆送信権を有する者の団体や電子出版権を有する者の団体で構成されますので、当該団体が補償金額を決定するに当たっては、図書館等の設置者団体の意見を聞いた上で案を作成し、文化庁長官が文化審議会に図った上での認可を判断することとしております。
 この制度では、図書館等は、個々の送信実績を正確に把握、管理することが可能であるため、より確実に個々の権利者に補償金を分配することが可能であると考えております。
 さらに、指定管理団体の運営に関しては、実際に指定管理団体が補償金関係業務を開始しようとするときは、補償金の分配に関するルールを定めた業務執行規程を定め、文化庁長官に届け出なければならないということとしております。
 文化庁長官は、補償金関係業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、指定管理団体に対し、報告や帳簿等の提出を求めることができ、さらに、執行方法の改善のため必要な勧告をすることができるとしております。
 必要に応じて、これらの措置により指定管理団体の業務執行が適正になされるよう対応してまいりたいと考えております。

#121
○舩後靖彦君 代読いたします。
 ありがとうございます。
 次に、放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化についてお尋ねします。
 スマホやタブレットでいつでもどこでもネット配信番組が見られる現在、ましてコロナ禍で自宅でインターネット動画を見る時間が増えた今、放送番組の再活用に当たって一括で円滑な権利処理が行えることは利用者、放送事業者側にとってはいいことだと思います。一方、放送番組の出演者等の権利者にとっては、特段に同時配信への意思表示をしていなければ、放送の許諾をしたことで同時配信の二次使用も認めたということになってしまいますと大変な不利益になるのではないかと懸念します。
 許諾推定規定の運用に当たっては、著作物の利用に当たって著作権者の許諾を得るという著作権法の大原則がなし崩しになることのないよう、ガイドラインを策定していくことが重要だと考えますが、この点について御見解をお聞かせください。

#122
○政府参考人(矢野和彦君) 全く委員御指摘のとおりだと考えておりますが、著作物の利用に際して著作権者の許諾を得るということは、これ著作権法の大原則でございます。
 今回新たに創設される許諾推定規定は、例えば時間的な制約により同時配信等の具体的な契約を交わすことができない場合や同時配信等の可否を明示的に確認できないような場合など、同時配信等の権利処理が困難な場合に利用されることを想定した規定でございます。このような事情がない場合には、同時配信等で用いることを明示した契約を明確に締結していただくという原則に立ち返るということが重要であるというふうに考えております。
 今後、権利者にとって不意打ちとなることのないよう、不意打ちとなるようなことのないよう、具体的な適用条件や運用について総務省、文化庁の関与の下で関係者間でガイドラインを策定することとしており、関係者の御意見を丁寧に伺いながら検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

#123
○舩後靖彦君 代読いたします。
 ありがとうございます。
 あらゆる文化芸術は、その担い手、著作権者の人格権、財産権が適正に守られてこそ私たちはその成果を享受でき、生活を豊かにすることができます。ネット時代の要請に応え、著作権法が改正されていくことは当然のことですが、著作権法の大原則を損なうことのないよう、法改正後の運用についても注視してまいりたいと存じます。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

#124
○委員長(太田房江君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 著作権法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#125
○委員長(太田房江君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#126
○委員長(太田房江君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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