くにさくロゴ
2021/04/28 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 憲法審査会 第1号 令和3年4月28日
姉妹サイト
 
2021/04/28 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 憲法審査会 第1号 令和3年4月28日

#1
令和三年四月二十八日(水曜日)
   午前十時二十六分開会
    ─────────────
   委員氏名
    会 長         林  芳正君
    幹 事         石井 準一君
    幹 事         石井 正弘君
    幹 事         西田 昌司君
    幹 事         藤末 健三君
    幹 事         那谷屋正義君
    幹 事         白  眞勲君
    幹 事         西田 実仁君
    幹 事         松沢 成文君
    幹 事         矢田わか子君
    幹 事         山添  拓君
                赤池 誠章君
                有村 治子君
                磯崎 仁彦君
                衛藤 晟一君
                岡田  広君
                片山さつき君
                古賀友一郎君
                上月 良祐君
                佐藤 正久君
                中川 雅治君
                中曽根弘文君
                古川 俊治君
                堀井  巌君
                舞立 昇治君
                山下 雄平君
                山田  宏君
                山谷えり子君
                石川 大我君
                打越さく良君
                江崎  孝君
                小西 洋之君
                杉尾 秀哉君
                福島みずほ君
                伊藤 孝江君
                平木 大作君
                矢倉 克夫君
                安江 伸夫君
                浅田  均君
                東   徹君
                足立 信也君
                浜野 喜史君
                吉良よし子君
                山下 芳生君
                渡辺 喜美君
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     山下 芳生君     井上 哲士君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         林  芳正君
    幹 事
                石井 準一君
                石井 正弘君
                西田 昌司君
                藤末 健三君
                那谷屋正義君
                白  眞勲君
                西田 実仁君
                松沢 成文君
                矢田わか子君
                山添  拓君
    委 員
                赤池 誠章君
                有村 治子君
                磯崎 仁彦君
                衛藤 晟一君
                岡田  広君
                片山さつき君
                古賀友一郎君
                上月 良祐君
                佐藤 正久君
                中川 雅治君
                中曽根弘文君
                古川 俊治君
                堀井  巌君
                舞立 昇治君
                山下 雄平君
                山田  宏君
                山谷えり子君
                石川 大我君
                打越さく良君
                江崎  孝君
                小西 洋之君
                杉尾 秀哉君
                福島みずほ君
                伊藤 孝江君
                平木 大作君
                矢倉 克夫君
                安江 伸夫君
                浅田  均君
                東   徹君
                足立 信也君
                浜野 喜史君
                井上 哲士君
                吉良よし子君
                渡辺 喜美君
   事務局側
       憲法審査会事務
       局長       岡崎 慎吾君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基
 本法制に関する調査
 (憲法に対する考え方について)
    ─────────────

#2
○会長(林芳正君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。
 本日は、憲法に対する考え方について意見交換を行います。
 まず、各会派から意見表明を行った後、委員間の意見交換を行います。
 全体の所要は一時間四十五分を目途といたします。
 発言時間につきましては、経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らしますので、あらかじめ御承知願います。
 また、御発言は着席のままで結構でございます。
 なお、委員間の意見交換において発言を希望される方は、各会派からの意見表明の間にあらかじめ氏名標をお立てください。
 それでは、まず各会派一名ずつ、各七分以内で御意見を順次お述べいただきたいと存じます。
 石井正弘君。

#3
○石井正弘君 自由民主党の石井正弘です。
 本日、本審査会においてようやく憲法論議が行われるに至りました。開催に当たって御尽力いただきました関係各位に対しまして、まずもって敬意を表する次第であります。
 まず、憲法改正について申し上げます。
 我が国は、施行後七十四年が経過する日本国憲法の下で、今日の自由で民主的な社会を築いてまいりました。しかし、内外の社会環境や価値観が大きく変化する中、一度も改正を経ていない現行憲法には、内容的に現代社会にそぐわない部分が生じていることも事実ではないでしょうか。
 この点、我が党は、四項目、すなわち、一、自衛隊の明記、二、緊急事態対応、三、合区解消、及び四、教育の充実を取り上げて党内論議を行い、本審査会での議論のためのたたき台として、条文イメージ、たたき台素案の形で世に示しております。
 この四項目のうち、まず、我が参議院の在り方に関わる最重要課題である合区解消について触れます。
 参議院の発足当時とは異なり、近年では人口減少と一極集中が進行し、極度の人口偏在が生じました。その一方で、最高裁は、国会議員の定数配分について、より厳格な人口比例を求めています。その結果、地方選出議員の減少、参議院議員選挙での合区などの重大な問題が生じております。
 私の知事時代の経験からいたしましても、参議院においては、政治的、社会的に重要な意義を持つ都道府県の住民の意思を集約的に反映させることが重要と思います。
 投票率を低下させるなど、国政への参加意欲をそぐ合区の解消はまさに喫緊の課題であり、投票価値の平等と地域の民意の適切な反映との調和という観点から、憲法上の対応をしていくことは必須であります。
 次に、他の項目についてです。
 自衛隊の明記につきましては、北朝鮮のミサイル発射や中国の海洋進出など、我が国を取り巻く安全保障環境が緊迫の度合いを増す中、法治主義、立憲主義の観点から、国防の要たる自衛隊の違憲論の解消は必要不可欠と言えます。
 緊急事態対応につきましては、近年、自然災害が多発している我が国ですが、今後三十年以内に七割程度という高確率での発生が想定される南海トラフ地震や首都直下型地震などの災害緊急事態に際し、迅速に対処する必要が高まってきております。
 教育の充実については、近時、格差の拡大が指摘される中、教育が重要なテーマとなっており、我が党では教育や子育て政策に一体的に取り組むこども庁設置の検討も始めていますが、家庭の経済事情にかかわらず、より高い教育を受けられる環境の整備は、将来世代の未来を切り開く上で欠かせません。
 以上の四項目は、まさに今、国民に問うにふさわしいテーマです。
 もちろん、本審査会における議論のテーマはこの四項目に限られません。若干の私見を述べさせていただきますと、今般のコロナ禍や今後発生し得る未知の感染症の蔓延などの緊急事態への対応、さらにはデジタル化の進展への対応は、憲法についても新たな問題を提起していると思います。緊急事態対応への感染症の位置付けをどう考えるのか。
 また、憲法第五十六条は議院の定足数について三分の一以上の出席と定めています。しかし、感染が急速に広がってくる中で必要な立法を行っていくためには、本会議に出席する議員の数を極力少なくすることも検討が必要かと思います。デジタル社会形成の進展の中で、国会についてもオンラインによる審議や採決の可能性について議論していくことが必要ではないでしょうか。
 これら新たな課題についても速やかに憲法審査会において議論を進めるべきであると考えますが、これ以外にも各会派からテーマを積極的に御提案いただき、国民のため、全会派そろって議論してまいりたいと存じます。
 次に、現在衆議院で審査中の憲法改正国民投票法案、いわゆる七項目案について申し上げます。
 七項目案は、商業施設等への共通投票所の設置や洋上投票の対象の拡大など、平成二十八年に当該部分について全会一致で成立したと言える公職選挙法改正と同様の内容を国民投票法に反映させるものです。投開票手続に関する内容ですので、本院に送付され本審査会に付託された暁には、速やかに審議を行った上で採決に付すべきです。この点、今月の世論調査では、今国会中に採決すべきとの回答が半数以上を占めている調査もあり、国民の支持も得られていると考えます。
 なお、野党から主張されているCM規制等につきましては、七項目案とは異なり、国民投票運動は自由にという国民投票法の基本理念と国民投票の公正、公平性とのバランスに十分留意をしながら慎重に検討すべきテーマでありますので、七項目案の採決の後、腰を据えて議論を重ねるべきと考えます。
 最後に、本審査会の運営について申し上げます。
 憲法は国民のものです。憲法について国民の皆さんに御自身のお考えを深めていただくことは大変重要です。そのためにも、本審査会を毎週定例日に開催をし、真摯な議論を国民の皆さんにお示しすべきであると訴えて、私の発言を終わります。
 ありがとうございました。

#4
○会長(林芳正君) 小西洋之君。

#5
○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之でございます。会派を代表して、憲法に対する考え方を述べます。
 立憲民主党は、昨年九月の党綱領において、立憲主義と熟議を重んずる民主政治を守り育て、命と暮らしを守ると宣言し、自由、多様性、共生社会等から成る基本理念を掲げ、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を堅持し、立憲主義を深化させる観点から未来志向の憲法議論を真摯に行うと定めています。そして、この参院では、平和、自由、平等、共生の理念を党宣言に掲げる社会民主党と会派を共にしています。
 この立憲主義の深化のため、昨年十一月に憲法論議の指針を取りまとめ、そこでは、論議の基本姿勢として、立憲主義に基づき権力を制約し、国民の権利の拡大に寄与するのであれば、憲法に限らず、関連法も含め、国民にとって真に必要な改定を積極的に議論、検討する、検討に際しては、立法事実の有無を基本的視座とする等と定めています。そして、集団的自衛権行使容認を違憲と断じるとともに、それに基づく自衛隊加憲論を退け、さらには臨時国会召集義務違反、衆院解散権の濫用等々の安倍政権下での重大な違憲行為の列挙とその防止策などを論じています。
 また、国民の人権保障のために、LGBTの方々などの社会のあらゆる場面での差別の解消、高等教育の無償化、地方自治の推進、コロナ禍を含めた緊急事態における国家の役割とその立憲的統制について、既存の法制度の改正で対処できることを念頭に、立法事実の有無について検討を行うなどとしています。
 そして、これら憲法論議の指針の記載事項の多くは、本年三月に取りまとめた党基本政策において、情報アクセス権などの知る権利の保障の強化、プライバシー権の基本的人権の明確化、共謀罪の廃止及び取調べの可視化、参議院の合区解消、各種選挙の被選挙年齢の拡大、ジェンダー平等などの理念に基づく国政選挙でのクオータ制の導入等々を明記するとともに、この間、野党共同による選択的夫婦別姓法案、婚姻平等法案、LGBT差別解消法案などの立法行為を積み重ねています。
 続いて、我が憲法審査会の在り方について意見を申し上げます。
 最初に、平成二十六年の国民投票法改正の際に与党も賛成の上で議決された当審査会附帯決議の第一項から三項において、立憲主義及び憲法の定める国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義に基づいて、徹底的に審議を尽くす、立法措置によって可能とすることができるかどうか、徹底的に審議を尽くすと明記されていることの共有を呼びかけたく存じます。特に、第三項は、憲法改正の必要性及び合理性に係る立法事実がないものは改憲論議の対象としないことを意味しますが、参院の合区廃止、衆議院議員が任期満了した後の大震災などでの国会機能の確保について、憲法改正によらずに、国会法及び公選法の改正によって解決する方策の議論もあるところであります。
 また、我が憲法審査会の在り方は、当然、憲法及び国会法の規律も受けます。憲法九十九条は、当審査会に集う全ての議員に憲法尊重擁護義務を課しています。そして、国会法百二条の六は、日本国憲法及び憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行うと定めています。
 憲法とその基本法制に係る調査に最大の憲法問題である憲法違反が含まれるのは当然の理であります。すなわち、私たち憲法審査会は、違憲の解釈やそれに基づく立法などの調査審議について、憲法、国会法上の法的責務を負っていることを共有させていただきたく存じます。
 そして、まさにこの実践として、平成二十八年十一月、二十九年十二月、三十年二月の本審査会においては、当時の民進党会派委員より、昭和四十七年政府見解の中の外国の武力攻撃の文言の曲解による政府の九条解釈の基本的な論理の捏造という、法解釈ですらない不正行為による憲法違反である集団的自衛権行使容認の検証、憲法九条の基本法制である日米地位協定の下の権利侵害の検証、立憲主義及び平和主義に係る各党各会派の見解の討議、国民投票法のCM規制などに係る参考人質疑の実施等々の幹事会協議事項が提出されております。
 林会長におかれましては、過去三回の民進党会派からの要求について、改めて幹事会協議事項とすることをお願い申し上げます。
 他方、その後の約三年間の間も、本審査会で調査審議すべき重大な憲法違反が生じています。平成三十年、国政調査権の妨害たる決裁文書の改ざん、三十一年、圧倒的多数の県民投票を無視しての辺野古埋立続行の地方自治の本旨のじゅうりん、令和元年、準司法官たる検察官の違法な定年延長などによる三権分立の毀損、昨年の学問の自由を侵害する日本学術会議の違法な任命拒否等々であります。
 憲法がよって立つ原理たる立憲主義及び法の支配が破壊され、途切れることのない違憲行為で国民の自由、権利が奪われ、議会政治が破壊されている現状下で、何ゆえにそれらに関知することなく我々国会議員がこの憲法審査会の場で改憲議論を行うことが許されるのでしょうか。それは、憲法、国会法、附帯決議に反する行為であるとともに、主権者国民に対し責任ある態度と言えるのでしょうか。
 最後に、衆議院で審議中の与党の国民投票法改正案について付言します。
 平成十九年、二十六年の本参院審査会の附帯決議では、CM規制はメディア関係者の自主的な努力を尊重するとあります。すなわち、国民投票法の立法者である船田元先生が先週二十二日に、CMの自主規制を条件に法案を作ったと発言されているように、我が参院憲法審査会でも自主規制を前提に、繰り返し法案が審議、可決されているのであります。その前提が根底から覆るのであれば、インターネットも含めCM規制の在り方を議論し、必要な措置を講じることが必要不可欠であり、これを放置しての国民投票法改正は許されません。さらに、両附帯決議には重要な複数の宿題事項があることを付言します。
 また、平成二十八年の公選法改正を単純に並行移入した与党案は、国民の投票環境を後退させる欠陥法というべき問題があります。繰延べ投票の告示期限の短縮では、台風襲来の日曜日の翌日の月曜日の国民投票の実施の周知を全主権者に徹底できる、場合によっては平日に国民投票を実施するとの誠に苦しい説明がなされ、期日前投票所開設の規制緩和では、現にその後の各地の国政選挙で投票機会の減少が見られるところです。本法案は撤回、修正を行う必要があることを、良識の府の存立に懸けて強く申し上げる次第です。
 結びに、国難のコロナ禍において、憲法十三条の尊厳尊重、二十五条の生存権の確保がなされず、今日明日の衣食住に事欠く国民、必要な検査、医療などが受けられない国民、自宅療養等で投票権が行使できない国民等が多数生じています。国難下の国会議員の役割は、必要火急の改憲の立法事実が認められない不要不急の改憲論議を行うことではなく、憲法の理念、規範を具現化し、国民を救う立法の実現などに全力を挙げることであることを申し上げ、私からの意見表明とさせていただきます。
 ありがとうございました。

#6
○会長(林芳正君) ただいまの件につきましては、後刻幹事会において協議をいたします。
 西田実仁君。

#7
○西田実仁君 久方ぶりにこの憲法審査会が開催されました。林会長、与野党の代表幹事を始め各会派の御尽力に感謝申し上げたいと思います。
 まず、憲法に対する考え方について述べさせていただきます。
 二院制についてです。
 日本国憲法の特徴の一つは、衆参の国会の位置付けだと考えます。参議院は、予算の議決などごく一部を除いて衆議院と同様の権能を有しております。憲法上の権能に加えて、法律上においても、臨時会、特別会の会期及び国会の会期の延長の決定を除いて、参議院には衆議院と同様の権能を与えております。
 さらに、二院制を取る国においても珍しい、参議院の緊急集会が設定されております。衆議院が解散して不存在の場合でも、国会の権能を代行させるために、憲法五十四条において参議院の緊急集会を定めております。もちろん、参議院の緊急集会には後に失効の可能性があるとはいえ、参議院単独でも国会の権能を行使することができる意味は大きいと思います。
 それが可能なのは、参議院が衆議院と同様に全国民の代表だからであります。それゆえ、参議院の選挙制度においても、憲法が求める投票価値の平等を追求することは当然のことであります。昨年の最高裁の合憲判決も、投票価値の平等を追求する参議院の更なる改革姿勢を前提としたものであることは、今後、選挙制度を議論する場でも強調してまいりたいと思います。
 ここで、現在衆議院において議論されております国民投票法改正案についての我が党の考え方も確認しておきたいと思います。
 現在国会に提出されております投票環境向上のための国民投票法改正案は、与野党の間でも大きな異論はないものと認識しており、早期の成立を図るべきと考えます。
 その上で、政党等による国民投票運動期間中のテレビ、ラジオやインターネットを含む有料広告規制については、表現の自由と国民の知る権利をできる限り尊重すべきである一方、国民投票運動の公正公平の確保という観点も踏まえて議論をしていくべきであると考えます。
 コロナ禍と憲法について考察をしたいと思います。
 今はコロナ克服のために思い切った財政支出が必要なことは言うまでもありませんが、将来世代のために財政規律にどのような責任を果たしていくべきかについても、いずれ真剣に議論されなければならないとも考えます。
 憲法九十一条には、「内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。」と定めております。財政状況の報告が、国会のみならず、国民に対しても報告することが求められているのは、国民主権への配慮であると解されております。国民への財政状況の報告は、単なる報告にとどまらず、その趣旨は、主権者たる国民に財政の状況に対する認識を深めてもらうことにあるはずであります。
 その意味から、私は、国会に、できれば参議院に、行政府から独立した将来推計をする財政機関を置くべきであると考えております。今から八年前に、ここにおられる林会長を中心者に、超党派で、国会に独立将来推計機関の設置をとの共同提言を取りまとめました。ただ、憲法九十一条には、国民に財政状況を報告する主体として内閣を置いている中、なぜ国会に独立した財政機関を置くことが可能なのか。この論点については、独立財政機関の任務が予算、法律の審議、議決のために有益な情報を得ることにあると見るならば、憲法四十一条の立法権、八十三条の財政処理権、あるいは予算議決権に含まれ、ひいては国権の最高機関性を根拠にして国会の所管とすることも可能との学説がございます。
 諸外国においては、既に二十六か国において独立財政機関を設置しております。財政規律を図る手段として、行政府から独立して財政の将来に関する調査分析を行い、財政の持続可能性や財政リスクの評価を行う必要性が認識されているからでありましょう。
 これまで私は、行政監視の視点からこうした独立財政機関の必要性を認識してきてまいりましたが、最近の専門家の研究では、九十一条など憲法規定を根拠に独立財政機関の必要性を説く学説が見られるようになっております。すなわち、佐藤幸治「日本国憲法論」第二版、昨年九月でありましては、諸外国において独立財政機関をつくって財政規律を図ることに真剣に対処しようとする動きをしてきた上で、国民への財政状況報告が主権者たる国民の状況認識を深める意味を持つためには、日本でも早急にこうした試みに取り組む必要があろうと勧めております。
 経済同友会におきましても、憲法六十条の国会における予算議決権を根拠に、国民に対する説明責任を果たすべきとして、行政府とは異なる角度からの予算の内訳や経済前提の検証を行う予算の審議機能を強化する重要性を指摘しております。
 そして、その機能を担うべきは参議院と提起しております。すなわち、参議院は、内閣に対する信任を決議する責務を負わないという意味で議院内閣制と一線を画しており、また、六年の任期が保障されるなどから、独立財政機関は参議院に設置することが望ましいとしております。PHPの統合機構改革研究会においても同様に、参議院に設置すべきとしております。
 あくまで私見ではありますが、参議院に期待される役割の一つとして、憲法にその根拠を見出すことができる独立財政機関を参議院に設置し、財政の持続可能性、また財政リスクの評価する機能を挙げておきたいと思います。
 今後の議論の深化を求めていきたいと思います。
 以上です。

#8
○会長(林芳正君) 松沢成文君。

#9
○松沢成文君 日本維新の会の松沢成文です。
 言論の府として、良識の府として、国民に開かれた議論が求められる参議院憲法審査会が、平成三十年二月以来、何と三年以上にわたり実質的審議が行われてきませんでした。このような参議院の存在意義すら問われる異常事態に対して、日本維新の会は繰り返し林会長に開催の申入れを行ってまいりました。何度要請しても開催されないため、私たちはさきの国会で、林会長の指導力と決断力に問題ありとして会長不信任動議まで提出し、審査会の開催を強く求め続けてきたのであります。
 本日、こうして審査会が開催されることは一歩前進ではありますが、憲法に関連する問題は山積しています。懸案の国民投票法改正案を早期に成立させ、具体的に憲法改正の議論を進めていくべきです。そのためにも、今後は毎週水曜日の定例日には必ず開催して積極的に審議を図り、国会議員としての責務を果たさなければなりません。まずは、そのことを会長、各会派、委員の皆様に要請します。
 さて、現行憲法は、施行から七十四年を経て、時代の変化に対応できていません。一字一句変わっていない憲法の改正は時代の要請であり、時勢を受けて国会が発議し、国民投票をもってそれを果たすことが立憲主義の真の姿だと考えます。
 日本維新の会は、平成二十八年三月、教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所の設置の三点に絞り込んだ憲法改正原案を国民に発表しており、それらを軸に改憲を提起していきたいと考えています。
 教育の無償化は、国民の教育を受ける権利に関し、経済的理由によってその機会を奪われない旨を明確にし、教育の機会均等を保障する教育立国を実現することを国是にしようという改憲案です。
 次に、統治機構改革は、地方分権改革に、地方分権国家に改革するために、地域主権の本旨を明確化し、道州制を導入し、地方自治体の権限を強化する改憲案であります。
 さらに、三つ目の憲法裁判所の設置は、法令の抽象的合憲審査、具体的合憲審査、そして機関争訟審査の権限を有する憲法の番人を新たに設けて、立憲主義を確立しようという改憲案であります。
 ほかにも改正すべき条項、加えたり削除したりすべきと考える条項は幾つもありますが、日本維新の会は、まずこの三項目を改憲原案として提起しています。ほかの会派の皆さんも、この審査会に改憲項目を積極的に提起していただき、審議を促進していきましょう。そして、合意を得たものから国民投票に付し、国民の皆様の判断を仰いでいくべきです。
 それと同時に、昨年来、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、それに対応するには憲法上どのような課題があるのか、現行憲法に規定されていない緊急事態条項創設の必要性も含めて審議し結論を得ることは、喫緊の最重要課題であります。
 折しも、現在、新型コロナウイルスの変異株が世界規模で猛威を振るい、百年に一度とも言われる国難に直面しています。新型インフルエンザ特措法に基づいて三度目の緊急事態宣言が発令中ですが、今後、第四波に続き第五波が到来するのは不可避とも言われています。
 いかなる緊急事態下においても、法律の制定、予算の議決及び政府の統制といった国会の機能を維持することは、緊急事態に適切に対処するために必要不可欠であります。
 こうした状況の中で、諸外国の議会では、新型コロナ禍への対応として、オンライン審議を導入した例も多いと聞いています。
 一方、我が国では、オンライン出席が憲法五十六条一項が定める本会議の定足数、総議員の三分の一以上の出席に含まれるかどうかという論点があるところであり、議論が進んでおりません。
 また、阪神大震災や東日本大震災の際には、法律で地方選挙を延期し、首長と議員の任期を延長できましたが、国会議員の任期延長は、憲法四十五条及び四十六条を改正しなければ対応できません。
 さらに、現在適用されている特措法においても、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の中で、私権制限の在り方が議論になっています。憲法十三条に基づく抽象的な公共の福祉概念に頼ることなく、より具体的な制限事由を憲法に明記すべきであるとの指摘もあり、緊急事態における人権制約の在り方についても早急に議論する必要があると考えています。
 したがって、現下の状況に対応するためには、憲法における緊急事態条項の創設、国会機能の停止を防ぐための憲法解釈の確立を図ることは、まさに国民を守り、国家を存続させるための喫緊の課題であり、その議論を進め結論を導くのは立法府の責務であります。
 各世論調査でも、コロナ禍を体験して、緊急事態条項創設への国民の関心も高まっています。大規模地震など自然災害に加えて、感染症と複合災害への備えも欠かせません。自民党も改憲案四項目の一つに掲げておられます。今こそ与野党が建設的に議論する環境を整えるべきです。そのためにも、定例日には必ず審議を促進していきましょう。
 最後に申し上げます。
 国の最高法規である憲法の在り方を議論し、必要であれば改憲案を提示し、主権者である国民の判断を仰ぐという行動は、国会議員に課せられた崇高な使命です。この国民からの負託に応えられるよう、日本維新の会は先頭に立って行動することをお誓い申し上げ、私の意見発表といたします。
 ありがとうございました。

#10
○会長(林芳正君) 矢田わか子君。

#11
○矢田わか子君 国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。
 国民民主党・新緑風会として、一、本憲法審査会の運営、進め方、二、国民投票法改正案への対応、三、憲法改正についての基本的な考え方、この三つの観点より意見を述べさせていただきます。
 一つ目に、憲法調査会の運営についてであります。
 憲法審査会は、立法府に属する国会議員が、国民が持つ様々な意見、主張を背景に、それぞれの議員が考え方や意見を相互に出し合い、議論を深めていく場であります。憲法の条文の改正に関わるテーマは多岐にわたっており、個々の条文や提案される改正案に対しても賛否両論があり、中には防衛、安全保障など国論を二分するものもあります。このため、憲法審査会においては定期的に会議を開催し、現行憲法に関する様々な論点に関し意見交換や外部の有識者からのヒアリングなどを通じて知見を深めていく必要があると考えます。
 二つ目に、国民投票法改正案への対応についてです。
 衆議院での審議の中で、七項目の改正内容に加え幾つかの論点が提起されていますが、衆議院で採決が行われた場合には、参議院としても、議院運営のルールにのっとり、法案審議に対応すべきと考えます。課題が残っていれば、参議院の主体性を発揮して参議院で修正を図るか、次なる国民投票法の改正論議で解決するという姿勢で臨むべきではありませんか。
 特に、一、国民運動の自由性と公平性の確保のためのCM規制やネット広告の規制の在り方、二、憲法改正国民投票運動における外国人寄附受領の規制の在り方、三、最低投票率の設定の課題、四、障害者や高齢者、激増する単身赴任者、海外在住者などへの投票機会を保障するための具体的措置などについては、参議院での審議においても議論を深め、法改正や附帯決議などで対応できるのではないかと考えます。
 三つ目に、国民民主党として、憲法全体にわたる改正議論について紹介いたします。
 党としては、昨年秋から精力的に学識者と一般市民の方々を交えた議論を十二回にわたり行ってきました。主なテーマとしては、一、個人の尊厳を全うするためのデータ基本権、二、地域の尊厳を全うするための地方自治の拡大、三、国家の尊厳を全うするための統治機構の改革であります。
 特に、統治に関する議論としては、これまでも国会運営において問題視されてきた衆議院の解散権の制約や臨時国会の召集期限の明記、そして法令等の合憲性や違憲性を審判する憲法裁判所の設置なども議論を重ねてまいりました。この課題は、我々国会議員の活動において直接関わる課題であり、この場で大いに議論すべきと考えております。
 こうした国民対話を踏まえて、国民民主党としては昨年末に、シン・憲法改正草案を議論していくための討議素材を確認し合いました。今後も、国会での審議状況も参考にしながら、党として更に議論を深め、改正案をまとめていきたいと考えております。
 せっかくの機会でもありますので、これまで議論に関し特筆すべきものを三点紹介させていただきます。
 一つ目に、情報化、デジタル化の人権に与える影響についてであります。
 まず、憲法改正議論において、社会、経済、国際的環境、そして国民生活の大きな変化から、人権そのものの在り方を考えなければならないと思います。終戦から七十六年が経過し、我が国の産業構造も就業構造も、そして生活基盤も大きく変わり、国民の権利意識も変わってきました。その中で、IT技術、AI、ビッグデータなどデジタル技術の発展によって、国や地方公共団体のみならず、個々の企業までもが国民の多岐にわたる個人情報を取得し、個人の意思形成にも影響を与えることができる世の中になりました。その結果、我が国において民主主義そのものが変質するのではないかとの議論もあります。党の議論において、憲法が規定する各人権についても、社会変化に合わせた見直しが必要との意見が出されております。その一つが、デジタル化された個人情報を自らがコントロールできるデータ基本権の確立であります。
 二つ目に、グローバル化が与える影響への対応についてです。
 このグローバリズムの時代にあって、国境を越えて個人の人権が制約されたり、個人の利益や安全が侵害される場面が生じていますが、どのように個人の権利と財産を守り、我が国の民主主義を守っていくのかという国内問題に限らない視点も憲法改正議論に含めるべきであることを指摘させていただきます。あわせて、この問題は平和問題、安全保障政策とも関連し、国際情勢の変化にどのように対応していくのか、非常にセンシティブな課題でありますが、国民的議論を深めていくべき課題であることも指摘をいたします。
 三つ目に、国民の分断、格差問題への対応についてです。
 我が国では、様々な分野において格差が拡大、また在日外国人や難民申請者、女性、障害者などに対する差別や権利侵害が残存しています。本来、憲法が持っている国民国家の統治という方向と逆行する国民を分断する側面が顕著になっています。時代の変化とともに人権の範囲を拡大しながら、国民の統合に資する憲法改正の在り方についても検討すべきと考えます。
 以上のような論点について、この憲法審査会でそれぞれの立場を超え、問題の本質に向き合った議論を交わしていくべきと考えます。具体的にこの箇所とここの箇所を改正したいというのであれば、国民の皆さんが正しい選択と判断ができるように、取られた選択肢、例えば自衛隊の憲法条文への明記がどのような影響をもたらすのか、的確な情報、知見を国民の前に正直に提示するという議論の進め方が重要であると思います。
 憲法審査会が、新たな時代、新たな課題を踏まえ、この国の形、新しい働き方や新しい生活の仕方をデザインするという、そのような議論ができる場となることを期待し、国民民主党としての意見といたします。

#12
○会長(林芳正君) 山添拓君。

#13
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 新型コロナが世界的に猛威を振るい、国内で三度目の緊急事態宣言が出される中、憲法施行から七十四年を迎えようとしています。憲法前文は、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」とうたいます。この理念を実現する政治が切実に求められています。
 憲法審査会は、二〇〇七年、改憲に執念を燃やす第一次安倍政権が、改憲手続法を強行して設置したものです。改憲原案を発議し、審査する機関であり、ここでの議論を進めることは、勢い改憲案のすり合わせに向かいかねません。日本共産党は、国民世論が改憲を求めない中、審査会を動かす必要はなく、動かしてはならないと考えます。
 安倍氏は、政権に復帰した二〇一二年以降、絶えず憲法審査会での改憲論議をあおってきました。二〇一七年五月三日には、九条に自衛隊を明記する改憲案を唐突に打ち出し、二〇二〇年と期限を切って進めようとしました。安倍政権を継承した菅首相も、審査会での議論を期待する、それが国会議員の責任だとまで述べています。しかし、行政府の長である首相が国会に改憲論議を押し付けるのは、憲法九十九条の憲法尊重擁護義務にも三権分立の原則にも反する異常な姿であり、道理がありません。
 改憲ありきの異常さは、改憲項目の変遷にも表れています。安倍氏が当初主張したのは、九十六条改憲でした。国会発議のハードルを下げてしまおうという狙いはあけすけであり、改憲論者からも裏口入学と批判されました。九条に自衛隊を書き込む改憲案は、国民の支持を得るどころか九条改憲を許すなという世論と運動が大きく広がり、安倍氏が掲げた二〇二〇年改憲はとうとう実現できませんでした。すると、今度は、コロナ対応を理由に緊急事態条項だと言います。何が何でも改憲をしようとする余り、そのテーマは目まぐるしく変遷してきました。しかし、世論調査で政権に改憲を期待すると答える人は数%にすぎません。だからこそ、安倍氏は首相退任に当たり、国民的な世論が十分に盛り上がらなかったと述べたのであり、菅首相も訪米中のインタビューで、現状では非常に難しいと認めなければならないと述べざるを得ませんでした。その事実を正面から受け止めるべきです。
 安倍、菅政権は、明文改憲の策動と並行し、乱暴な憲法破壊を続けてきました。集団的自衛権の行使容認の閣議決定の末に、安保法制、戦争法を強行し、秘密保護法、共謀罪など数々の違憲立法を推し進め、日本学術会議への人事介入で学問の自由をも踏みにじっています。とりわけ安保法制の下で九条の破壊が新たな段階に進みつつあります。
 日米首脳会談の共同声明は、日米軍事同盟の一層の強化を掲げ、そのために日本政府は防衛力の強化を約束し、際限のない軍拡に突き進もうとしています。同時に、声明は、中国への対応についても、台湾海峡の平和と安定の重要性についても、日米同盟強化の文脈に位置付けました。この下で、政府は、台湾有事の際、安保法制に言う重要影響事態や存立危機事態を認定することも検討しているといいます。戦闘地域で自衛隊が米軍に後方支援したり、集団的自衛権を行使して参戦したりすることが現実となりかねません。
 日米両国が台湾問題に軍事的に関与する方向に進むことは断じて許されません。軍事対軍事の危険な悪循環に陥るのではなく、違憲の安保法制を廃止し、九条を生かした自主独立の平和外交へと歩みを進めるべきです。核の傘、抑止力への依存を改め、核兵器禁止条約に参加すべきです。
 現在、新型コロナの感染拡大と医療崩壊の危険を招いているのは憲法のせいではありません。無為無策で対応能力を欠く菅政権のコロナ対策が事態を深刻にしています。
 憲法に緊急事態条項を創設すべきという議論があります。内閣の一存で国会の機能を止め、法律に代わる命令を出すようになればどうなるか。人権の制限と抑圧の危険はもとより、政府への異論や批判が封じられかねません。
 コロナ危機の一年、国民が声を上げ、野党も提案し、一人十万円の現金給付を始め、支援策の拡充、生活困窮者や女性、学生などへの対策を進める力となりました。アベノマスクやGoToキャンペーン、開催ありきの東京五輪など、事実と科学に基づかない政治をただす上でも、国会審議は極めて重要です。緊急事態条項は、危険で無用です。
 衆院議員の任期満了が近づく中、感染拡大で選挙ができない懸念も論じられます。しかし、衆議院解散中は参議院の緊急集会で対応することが憲法五十四条二項に明記されています。選挙ができないほどの感染状況を懸念するなら、何より感染の封じ込めに全力を尽くすべきです。コロナ危機に便乗して改憲論議をあおるのは究極の火事場泥棒だと言わなければなりません。
 なお、個人の尊重に最大の価値を置く憲法の下で、投票価値の平等の実現は大前提です。合区解消を理由に一票の較差を容認することは、参議院の民主的正統性の基盤を崩し、権限縮小の議論に結び付きかねません。国民の政治参加をひとしく保障する選挙制度こそ実現すべきです。立憲主義と法治主義に反し、民主主義を軽んじる強権政治は終わりにすべきです。
 憲法を生かし、命と暮らしを守り、個人の尊厳、多様性の尊重とジェンダー平等の社会を実現する政治へ、政権交代で転換する決意を述べ、意見表明とします。

#14
○会長(林芳正君) 渡辺喜美君。

#15
○渡辺喜美君 みんなの党、渡辺喜美です。
 三年数か月ぶりでこの審査会が開かれるということでありますが、今、日本の憲法体制は様々なチャレンジを受けております。例えば、尖閣がそうであり、台湾海峡もそうであります。コロナ対応というのも、これは一種の戦争であります。そういった日本の憲法秩序、体制が危機に瀕しているときに、この憲法審査会というものが国会にあってなぜ三年数か月も開かれなかったのか。国会の不作為と言われてもやむを得ないかと思います。
 私は自由社会を信ずる者であります。自由社会というのは、力の強い者がやりたい放題やっていいのかといったら、そうではありません。自由社会の最大の倫理は、力の強い者が自己抑制をするということにほかなりません。自由社会で最も力の強いのは国家でありますから、国家が自己抑制をするというのが自由社会を守る国家の任務でもありますし、憲法秩序の根幹にあることだと思います。
 さて、いわゆる戦後レジームと言われるものは占領期においてつくられたという常識がございます。世の中には、常識には反するが真実であるということがあるんですね。占領期につくられた戦後レジームの中に、実は戦時体制、昭和十五年頃つくられたものが相当紛れ込んでしまっていると。
 まあ見てきたような口を利いて済みませんけれども、例えば今でも行われております月給袋から自動的に税金を徴収するというのはいつ頃できたか、昭和十五年なんですね。その二年ほど前に、企業は競争するな、国家目的に奉仕しなさいというお触れが出されます。そして、戦費調達の徴収代行というものを昭和十五年から始めた。当時、ナチス・ドイツがやっていたことなんですね。
 日本は、当時、革新官僚と言われる国家社会主義の人たちとコミンテルンが同居をしていると。同じ内閣、例えば近衛内閣には全く右と左が一緒にいるなんというすさまじい時代だったんですね。そういうときに、官僚統制、中央集権型のシステムというのが完成をいたします。
 戦前の日本はごく普通の資本主義の国でありました。地方には、相当アバウトではありましたけれども、財源があったんですね。まあ外形標準課税みたいなやつですよ。しかし、昭和十五年、企業を徴収代行義務者とする源泉所得税とともに、地方配付税という制度がつくられました。今の地方交付税であります。まさに中央集権型財政構造が確立をしていくわけであります。
 戦前の日本には、四百ほどの電力会社がありました。戦争遂行のためには、これを九つにまとめて、地域独占を与えて、そして国家統制を行うと、九電力体制というのが昭和十五年につくられました。マッカーサーの時代にやったのは、形の上で民営化をするということだったわけであります。
 事ほどさように、あの時代の名残というものが相当今日なお残っている。菅内閣は、こうした戦後レジームに紛れ込んだ戦時体制の打破に努めておられると私は理解をしております。
 例えば、一県一紙。新聞社というのは、各県一つでいいんだと、五大紙というのが当時認められました。今、この五大紙が地上波テレビのほぼ独占状態になっております。電波オークションというのは、先進国だったらどこでもやっている話でありますが、中国とか北朝鮮はやっておりません。日本もその一つであります。
 日本のこうした統制型のシステムが、今コロナの中でデジタルフォーメーション、DX、これ、この中で相当厄介なことになりつつあるんですね。デジタル社会というのは、御案内のように、デジタル共産主義と言われるほど親和性が、社会主義や共産主義と非常に近いものがある。
 イスラエルの歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリさんとお読みするんでしょうか、言っていましたけれども、今、体温とか外側から監視していますけれども、皮下監視ができるようになったらどうするんですかと。皮下監視というのは、例えばウエアラブル端末を着ければ簡単にできちゃうんですね。そうすると、国民が一体どのような感情を今持っているのか、怒っているのか、喜んでいるのか、瞬時に分かるということであります。
 まさに、これは自由社会の憲法体制が今危機に瀕していると言っても過言ではありません。こういった議論を是非この憲法審査会を頻繁に開催することによって行っていただきたいと思います。
 以上です。

#16
○会長(林芳正君) 以上で各会派の意見表明は終了いたしました。
 次に、委員間の意見交換を行います。
 一回の発言時間は各三分以内でお述べいただきたいと存じます。
 なお、発言が終わりましたら、氏名標を横にお戻しください。
 西田昌司君。

#17
○西田昌司君 自民党の西田昌司でございます。
 私は、憲法審査会、何度か発言させていただいておりましたけれども、三年数か月ぶりにまた開かせていただいて、発言の機会を与えていただいて、大変有り難く思っております。
 私が申し上げたいのは、まず、憲法、護憲、改憲、いろんな意見ありますけれども、そもそも憲法は一体いかなる経緯でできたのかというこの歴史的事実の共有がまず憲法を議論するには第一、一番大事なことだと思っています。
 それはつまり、この憲法を作ったのは、占領中にGHQが占領目的を完遂するために作ったという歴史的事実があるわけですが、当時もそういうことは一切報じられることがなかったと。それは、当然、占領中いわゆる報道規制がされておりましたから、その事実は伏せられてきたわけであります。
 そして、それが、今日が四月二十八日ですが、これは、昭和二十七年の四月二十八日というのが、サンフランシスコ講和条約が発効して主権が回復する日になるわけでございます。あしたから主権が回復したということでありますが、それまでの間は一切そういう議論ができなかった。回復してから七十年近くたちますが、実はそういうあの占領時代の政策のことについてはほとんどまともに議論も報じもされていません。
 特に、この憲法問題の一番問題は、九条があるのに何で自衛隊があるのかという問題が一番ありますが、これは当然、作った当時は戦争を絶対させないと、武力放棄というのが米軍、アメリカの目的であったと。朝鮮戦争以降は、日本にもう一度再軍備を要請して、アメリカの要請によって作られたと。そこから憲法と自衛隊とのそごが生じているわけでありますが、ここも含めて、要するに、なぜそういうものができたのかということをもう一度国民が共有する必要があります。
 最後に、最近によく言われる財政再建、財政法四条の話でありますけれども、これも元々昭和二十二年に作られておりまして、占領中に米軍の方から、日本がかつて戦争したときに巨大な国債を発行して戦争をやったじゃないかと、それをさせないために財政法が作られたという事実も認識していただくと、今コロナとの闘いで多大の予算を講じることになっていますが、ここはしっかりと、このコロナに勝つためにも、我々が財政法の枠組みを超えてしっかり議論をしていかなければならないと思っております。
 以上です。

#18
○会長(林芳正君) 福島みずほ君。

#19
○福島みずほ君 立憲・社民共同会派の福島みずほです。
 現在、コロナ禍の状況で国民の命と暮らしはどうでしょうか。年越し大人食堂相談会や様々な相談会に具体的に行きました。生きたくない、死にたくないけど死んでしまう、生きたいけれども生きられない、地面の底が抜けるような人たちに実にたくさん会ってきました。
 今、憲法改正論議をしているときでしょうか。憲法二十五条が保障する健康で文化的な最低限度の生活の保障、憲法十三条が保障する個人の尊重とそして幸福追求権などがまさに侵害をされている。政治がやるべきことは、この憲法が保障されている国民の権利をまさに実現していくことではないでしょうか。PCR検査もろくすっぽせず、支援も不十分なまま、単に緊急事態宣言を三度出し、国民の生活を苦しめる、国民の命と暮らしをまさに救おうとしない、保障しようとしない、憲法を理解しない、そんな政治はやめるべきであって、憲法論議の段階ではないと思います。
 そして、憲法破壊も本当に進んでいます。学術会議のメンバーに対するまさに拒否は、憲法二十三条の学問の自由を侵害しています。表現の自由を保障した憲法二十一条への侵害も深刻です。そして、憲法九条、これも破壊が続いています。
 二〇一五年、戦争法、安保関連法、そして現在、教育予算よりも防衛予算が上回る、五兆三千億円以上あります。敵基地攻撃能力保有の議論、そして日本の武器が海外輸出することを認めることなど、憲法九条破壊が進んでいます。辺野古の新基地建設は地方自治の本旨を踏みにじっています。
 そういう中で、また差別も横行しています。女性差別、外国人差別、障害者差別、LGBT差別、部落差別、アイヌ差別などなどの差別です。これらの差別を撤廃することを憲法は強く求めています。
 そんな中、先日札幌で、同性婚を認めないことは憲法十四条に反するという判決が出ました。まさに憲法を生かせと裁判所は言っているわけです。それこそ国会が実現すべきことではないでしょうか。ジェンダー平等を求める声も、憲法十四条、十三条を求める声です。そして、生存権求める声も、憲法二十五条を求める、保障してくれということです。これらの憲法価値を生かしていくことこそ国会の責務であると思います。
 そして、先ほどもありましたが、憲法改憲ありきのために目まぐるしくテーマが変わっている、そのとおりだと思います。自衛隊に関する自民党の案は何が違憲かが分かりません。また、公職選挙法で解決すべき問題を憲法に持ち込もうとしています。緊急事態条項、これは戒厳令下につながるものであり、意味がありません。教育の無償化や教育の充実は、今でも憲法の下で、条約の下でやればいい話です。
 憲法改正の国民投票法改正法案には根本的な欠陥があります。CMが二週間前まで全く自由であることと、最低得票数の保障がないことなどです。これらの欠陥を抱えたまま、これに議論することなどできません。
 国会が求められているのは憲法価値の実現であり、憲法改正など、このコロナ禍で、このすさまじい状況で誰も望まない、国民は望んでいないということを申し上げます。

#20
○会長(林芳正君) 伊藤孝江君。

#21
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。発言の機会をいただき、ありがとうございます。
 まず、憲法審査会の在り方について意見を申し述べます。
 今日の憲法審査会は三年二か月ぶりです。開催に向けて幹事の皆様に御尽力をいただいたこと、ありがとうございました。ただ、これだけの長期間、憲法審査会が開かれなかったことは率直に言って残念ですし、国民に広く理解を得ることは困難だと思います。今日を機会に憲法審査会が継続して開かれるようにお願いをいたします。
 憲法審査会で取り上げることができるテーマは憲法改正だけではなく、それ以外にも多くあり、今日もいろいろな意見表明がなされております。憲法審査会の進め方として、今日のような持ち方だけではなく、具体的なテーマを決めて、それに対する意見交換、討論を行うという方法も検討いただきたいと思います。
 私自身は、憲法審査会が持つ役割、大きいものと考えております。特に、このコロナ禍において、国民一人一人が憲法や法律、政治が自らの生活に関係があると感じることが増えたのではないかと思っております。個人の行動や経済活動への規制、またそれに対する補償、罰則の在り方など、海外諸国と日本の違いが大きく報道もされています。日本の自粛要請等を弱いと見るのか、国民の権利、自由の保障を踏まえた対応と見るのかなど、我が国の対応や法制度の根本にある憲法の考え方を知った方、また憲法に対する受け止めに変化が生じた方がいると思っています。
 ただ、憲法については、まだまだ憲法改正の議論の土台となる客観的な情報が必ずしも国民の皆様の間に広く伝わっていないというふうにも感じています。同性婚やデジタル社会における人権など、新しい課題も現れています。憲法改正の前提ということだけではなく、このような課題も踏まえ、主権者として政治に関心を持ち、社会の在り方などを考えるためにも、国民一人一人が憲法の考え方や憲法上の価値観を知ることが重要と考えます。
 そのために、国から幅広い情報提供がなされ、また議論の過程が公開されることが求められております。かかる観点から、今後は継続して憲法審査会が開かれ、憲法に関連する様々な議論に関する議論を、課題に関する議論を重ねていくことを望んでおります。
 新型コロナ対策においても、まだこれから続く、対策が続く中で、これまで以上に感染が拡大することも想定して、国会が迅速かつ適切な対応をなし得るよう議論を深めておく必要があるのではないでしょうか。
 例えば、憲法制定時に想定されていなかったオンラインによる本会議や委員会審議への出席、投票を可能とするのかという点があります。この現実に直面する可能性のある論点について、速やかに、かつ丁寧にこの審査会で議論を進めていく必要があるというふうに考えます。
 また、最後に、合区解消の議論に関連をして、一票の、あっ、済みません。終わります。

#22
○会長(林芳正君) 浅田均君。

#23
○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。
 今回は緊急事態宣言下での憲法審査会であるということを、皆さん、認識を共有していただきたいと思います。緊急事態宣言が発令されている地域あるいはまん延防止等対策措置が発令されている地域で人々はどういう暮らしをしているのかということを念頭に置いて発言させていただきたいと思います。
 我が方、松沢委員からも、この緊急事態に関して発言がありました。私は、この際注目したいのは、私とは全く思想、信条が違う、そういうイタリア人思想家の発言内容に賛同できる主張があるということでございます。ジョルジョ・アガンベンという思想家でありますが、この発言の契機となっているのは今回のパンデミックです。イタリアでも、規模は全然違いますけれども、本質的には日本と同様のことが生じています。感染者が多数発生してロックダウンが繰り返される、そういう権利の侵害に当たることが生じているということでございます。
 彼が言うには、以下要約、引用させていただきますが、ブルジョア民主主義者は、ブルジョア民主主義の諸パラダイムを彼らの諸権利、議会、憲法もろともに惜しみなく捨て去ろうと決めた。その代わりに彼らが置こうとする新たな諸装置をかいま見ることはできるが、それらは当の者にさえ依然明瞭ではない。彼らが課そうとしている大変容を定義付けるのは、その変容を可能にした道具に当たるのが、新たな法典ではなく、例外状態だということである。例外状態とは、つまり、憲法上の保障の数々を単純に宙づりにするということである。これは、一九三三年にドイツに起こったことと幾つかの接点を共有している。そのとき、新首相アドルフ・ヒトラーは、ワイマール憲法を形式上は廃止することなく例外状態を宣明したが、その例外状態は十二年にわたって続いたのである。ここまでがジョルジョ・アガンベンの引用でございます。
 今まで諸委員から様々な意見が表明されておりますけれども、今回のパンデミックと言われる事態を契機に、この例外状態、先ほども申し上げましたけれども、国民の権利が侵害されている等、緊急事態宣言、憲法との関係を明確にするために、今こそ、このコロナ禍だからこそ、憲法についての議論が必要であるということを申し述べさせていただきたいと思います。
 終わります。

#24
○会長(林芳正君) 山谷えり子君。

#25
○山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子です。発言の機会をありがとうございます。
 憲法は国の基、新しい時代を切り開くため、憲法改正が必要です。改正国民投票法を審議し、前に進めましょう。自民党は、四項目の、自衛隊の明記、緊急事態対応、合区解消、教育充実の条文イメージを出しています。他の政党もいろいろ意見集約をされているところでありまして、具体的議論に入るべきだと思います。日本国憲法の不備、欠陥について考えることは、立憲主義の視点から大切です。
 今回、コロナ禍で日本人は立派な振る舞いを、まあ一部例外はあるとしても、されています。しかし、十分かといえば不安はある。コロナ禍でも厳しいロックダウンなどの措置がとれません。クラスターで国会の定足数が満たせなくなる事態や、大地震、大災害、感染症拡大などにより国政選挙の適正な実施が困難になったときにどうするか。憲法には緊急事態条項がないため、不安を訴える国民がいます。公益と人権のバランス、政府の裁量権について、被害を最小化し、危機を克服する議論をするのは国会の務めであります。私は、国家公安委員長、防災大臣などを務めまして、議論の必要性を強く感じております。
 憲法は、昭和二十一年十一月三日に公布、昭和二十二年五月三日施行、七十五年改正されなくて時代に合わなくなっていることを一般の人々にも広く知られるようになりました。身近な問題として多くの人が考えるようになっています。
 バイデン大統領が、オバマ政権で副大統領時代に、憲法は我々アメリカ人が起草したと発言しています。今日は主権回復記念日です。昭和二十七年から六十九年の歳月が過ぎています。主権のなかったときに作られ、その後、一度も改正できないのは異様です。
 時代、状況は大きく変化しています。新しい時代を切り開き、自由と繁栄のため、前向きに議論することが求められています。実際、都道府県、地方議会の約九割が憲法議論を求め、国民世論も議論を期待する方が七割おられます。
 機は熟しています。緊急事態対応の議論について、平成二十六年十一月、共産党を除く与野党七党、議論に前向きの考え方を示しました。平和主義、国民主権、基本的人権を大切にし、活発な議論をし、参議院憲法審査会、毎週開くべきと考えております。

#26
○会長(林芳正君) 打越さく良君。

#27
○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。
 感染症が拡大している今こそ緊急事態下の憲法の在り方について議論すべきであるとの御意見が出されています。しかし、私にとってそうした御意見は、まさに緊急事態宣言下の現状を利用して、全く緊急性のない改憲に向けた議論を進めようと主張されているとしか思えません。
 そもそも政府は、感染症が拡大した昨年春から現在に至るまで一体何をされてきたのでしょうか。安倍政権、続く菅政権は、この一年間、感染症に対して何ら有効な対策を講じることなく、GoToトラベルなどで感染拡大を惹起し、時機を逸した緊急事態宣言の発令や、変異ウイルスの拡大状況を無視した緊急事態宣言の早期解除によって感染を更に拡大させ、医療体制の逼迫を招いた上に、ワクチン確保の失敗により予防接種計画の大幅な変更を余儀なくされるなど、その失政の連続によって現在の状況を招いたと言えるのではないでしょうか。一年前から適時適切な対応を取っていれば、こうした緊急事態宣言の発令に至る状況は回避されていたのではないでしょうか。
 まさに、現状は、政府が後手後手の対応によって憲法二十五条の義務を果たせないことによって引き起こされた緊急事態であり、そうした状況を奇貨として憲法改正の議論の契機とすることは断じて容認できないと考えます。
 また、憲法の緊急事態条項の創設や緊急事態における人権制約の在り方を議論すべきであるとの御意見がありました。
 私は、そうした御意見の背景には、緊急事態下での迅速な政策遂行を理由に、国民の代表機関である国会の関与をできるだけ弱め、政府による権限や政策決定の裁量を拡大強化させようとする狙いがあるものと感じざるを得ません。一度そうした政府の権限が強化されれば、為政者は緊急時と称してその権限を最大に振り回すおそれがあり、その結果、国民の権利や自由は脅威にさらされることになります。非常時であるからこそ、民主的プロセスを強化し、議会の関与をより強めることによって権利や自由を擁護していくことこそが必要であり、民主主義のシステムを守っていくことが私たち国会議員に負託された責任、責務であると考えます。
 万が一にもそのような方向性を見誤って、政府の権限強化に向けた議論を進めるお考えであれば、それは議会人としての矜持を捨て去ってしまうものであると言わざるを得ません。逆に、私たち国会議員は、そうした議論に対しては毅然とした姿勢で立ち向かわなければならないのではないでしょうか。
 以上です。

#28
○会長(林芳正君) 安江伸夫君。

#29
○安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。発言の機会をいただき、ありがとうございます。
 今後、当審査会の皆様と議論を深めることができればと考える憲法上の論点につきまして、以下三点述べさせていただきます。
 第一に、民主主義の基盤を強固なものとする主権者教育の意義についてです。
 昨今、あらゆる選挙において、若年層の投票率の低迷など、政治参画の希薄性が指摘されています。その原因については様々指摘されているところですが、国の在り方を最終的に決定する権能が国民に存するという原理、すなわち国民主権の原理とその価値が正しく認識されていないことも大きな要因の一つと考えます。
 この現状は、多種多様な意見が反映されて初めて真価を発揮する民主主義の機能が脅かされていると言っても過言ではありません。そこで、民主主義の基盤をより強固なものとする主権者教育が重要と考えます。
 一方で、この主権者教育には、政治的中立性の課題や発達段階への考慮を始め、その在り方については様々な議論があるところです。
 こうした問題意識の下、主権者教育の憲法上の価値やそのあるべき姿は、国民主権原理と密接に関連するものとして当審査会で論ずるにふさわしいテーマと考えます。
 第二に、デジタル社会に対応した人権についてです。
 今やデジタルツールは社会生活上の重要インフラと言っても過言ではありません。とりわけデジタルプラットフォームを介した情報伝達、経済活動は今後ますます重要性を増し、利活用される裾野も拡大していくことは間違いありません。
 その上で、周知のとおり、これに付随した人権上の課題が多数指摘されています。例えば、SNS上の誹謗中傷、フェイクニュース等の問題を受けた表現の自由等の在り方、あるいはデジタルプラットフォームを介した取引における営業の自由等の在り方がその代表的なものです。また、超情報化社会にあって自らの情報を管理等する権利につき、その憲法上の位置付けなどの議論は不可欠と考えます。
 最後に、国際協調主義の今日的な意義についてです。
 日本国憲法は、平和主義を基本原理としています。同時に、憲法前文等に表象されているとおり、我が国憲法は国際協調主義も理念としてうたっております。そもそも一国のみの平和はあり得ません。昨今の国家間対立の深刻化、国際的な人権課題、あるいは気候変動問題など、世界的な課題が山積している現在において、この憲法上の国際協調主義の今日的な意義も当審査会で論ずべきテーマと考えます。
 以上、所見の一端を述べさせていただきました。今後、当審査会におきまして、様々な憲法上の論点につき積極的な議論の機会が持たれることを強く求め、私の発言とさせていただきます。
 ありがとうございました。

#30
○会長(林芳正君) 東徹君。

#31
○東徹君 日本維新の会の東徹です。
 参議院憲法審査会では、三年二か月にわたり実質的な議論が行われなかったことは、参議院としての怠慢であり、恥ずべきことであります。与野党筆頭会派である自民党と立憲民主党におかれては強く反省を求めておきます。今後は、開催されなかった三年二か月を取り戻すべく、毎週審議を行うことをお願いいたします。
 統治機構の改革について述べさせていただきます。
 新型コロナウイルスの感染が拡大してから一年がたちました。この間に分かってきたことは、国と地方の役割分担や責任の所在が曖昧で不明確であり、迅速な対応を妨げている上、感染が都道府県の枠を超えて広範囲に広がることから、都道府県単位の対応では限界があることも明らかになりました。
 我が国は、少子化による人口減少が止まっておらず、二〇五三年には一億人を下回るという推計があります。既に県の人口が中核市並みで、広域自治体として適当な人口規模を持っていないところもあり、更に人口減少が進めば広域自治体の在り方が問題になることは明らかです。四十七都道府県では多過ぎるのです。
 我が国は、一八七一年に廃藩置県によって三府三百二県となり、その後、統合が進むなどして、一八八八年に現在と同じ四十七の都道府県になりましたが、実は、一九〇三年には、交通機関の発達を受け、府県区域の拡張を図ることを目的に更に一道三府二十四県に再編する案がありました。これは、一九〇四年の日露戦争の勃発などにより、再編法案は提出されず幻に終わりましたが、当時から四十七の広域自治体ありきではなく、様々な事情を考慮してその時代に合った広域自治体の在り方が検討されていたことを示しております。
 道州制については、最近全く議論されなくなりましたが、国会で議論を行うべきであります。新型コロナという未曽有の危機に直面して我が国の抱える課題は明らかになったことから、今こそ道州制の導入や都道府県の在り方を考えるべきだと思います。
 自民党は、三年前に、議員定数六増という、合区によってあふれた議員の身分保障を行う、人口減少の中ではあり得ない法律を強引に成立させました。県によっては人口減少によって中核市並みとなっており、合区は当然のことであり、必然の流れであります。
 合区解消には断固として反対することを申し上げさせていただき、私の意見とさせていただきます。
 ありがとうございました。

#32
○会長(林芳正君) 吉良よし子君。

#33
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
 私は、三度目の緊急事態宣言が出され、国民の命と生活が危機に瀕している今、改憲原案の発議を任務とする憲法審査会は動かすべきではないということを強調したいと思います。
 とりわけ緊急事態宣言慣れなどと言われる中、憲法に緊急事態条項を盛り込むことや、より強制力を持った法令を求める声が飛び交っていますが、とんでもありません。むしろ、今感染者の増加に歯止めが掛からないのは、慣れや気の緩みのせいではありません。慣れたんじゃなくて、もう政府の信用が尽きたんだ、匿名のブログでこんな投稿がありました。政府の言うことに付き合っても、事態は何も改善されない一年だったというのです。
 最初の感染拡大から一年以上たった今なおPCR検査すら徹底できていません。病床の確保が困難で、自宅待機で急変する方も後を絶たないのに、消費税を財源に、百九十五億円も掛けて、一万床もの病床と、医師千六百人、看護師五千八百人を削る法案を押し通そうとしています。憲法二十五条でうたわれている健康で文化的な最低限度の生活を保障しようとしない政府・与党の無策と悪政に対する失望が国民に蔓延し、政府への信頼が失墜しているのは間違いありません。
 さらに、今回の緊急事態宣言では、まともな補償もなく、前回より厳しい要請に怒りや疑問の声が相次いでいます。
 一日二十万円の協力金で休業要請を出された百貨店からは、一日の売上高は数億円規模、全く話にならないという声が出され、無観客開催を要請された遊園地からは、真意を測りかねるとの声が出されています。午後八時以降の時短要請だけではなく、ネオン消灯や酒類提供の禁止まで求められた飲食店関係者からも、これまでの努力は何だったのか、酒の出せない居酒屋に客は来ない、飲食店ばかり悪者にしてきて状況が何か改善したのか、中途半端な対応でコロナの抑え込みに失敗しても、誰も謝らないし責任も取らない、私たちがいつまでも黙って従うと思ったら大間違いだなどの声が上がっています。
 政府が感染を抑えられない一方で、影響の長期化により多くの人が困難に直面し、不安を抱え、働く権利や営業の自由、学ぶ権利、生存権や財産権、個人の尊厳、そして幸福追求権が脅かされていることこそが問題です。検査の戦略的拡充、医療機関への支援と病床確保、自粛とセットの十分な補償、いずれも必要なのは改憲ではありません。憲法二十五条を始めとした憲法の理念を実現する政治こそが必要です。
 憲法に基づいた権利保障のために全力を挙げることこそ必要だと主張し、発言といたします。

#34
○会長(林芳正君) 佐藤正久君。

#35
○佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。意見表明の機会を与えていただき、ありがとうございます。
 今回のコロナ対応を見て多くの国民が改めて感じたことは、日本は新たな事態、想定外の事態に弱いということではないでしょうか。災害対応の法律一つ取っても、事態が起きてから法律を逐次整備し改正してきた歴史があります。将来新たな感染症が発生したときに、今の感染症法等で対応できるのか、強制力が弱い水際対策で大丈夫かと疑問を持っている方も多いと思います。
 想定外や新たな事態に適切に対応し、国民の命を救うためには、憲法に緊急事態条項を入れておくことが重要です。想定外のことが起きる可能性があるのに何もしない、あるいは今の法律の枠内で対応できると強弁しても国民の命を守れない場合がある、これは無責任だと思います。憂いなければ備えなしも駄目だし、憂いあれども備えなしはもっと無責任だと思います。
 また、今の憲法には、戦争の放棄は書いてあっても、国防や自衛のことは書いていない。いざ戦争になったり非常時にどうやって国民を守るのか明記されていない。すなわち、平時のことはいろいろ書いてあっても、有事や非常事態にどうやって対応するのか、対応の包括的な原則が書かれていません。
 さらに、自衛隊と警察の大きな違いは、自衛隊は主権を守り、警察は治安を守ることにあります。国の根幹に関わる主権を守る自衛隊が憲法に支配されていない。最高指揮官たる総理大臣が欠けたときに誰が代わりをするかという規定もない。
 自衛隊は軍隊かという質問を国会でやると、政府は、軍隊でないと答える。では何かというと、自衛のための必要最小限の実力組織、武力行使ができる組織という答弁になります。ただ、国際的にどうなるかというと、他国と同等の武器使用はできませんが、私の経験上も、捕虜としての取扱いや地位協定含め、他国の軍隊と同じように扱われることも多いと思います。
 インド洋での海上自衛隊による補給支援も、憲法との関係で国会でも議論になり、一時法が失効し再開される際、派遣隊司令は、憲法違反と言われた我々にも意地と誇りがあります、日本のために頑張ってまいりますといって出港しました。私も、二度の派遣時、憲法違反、憲法違反と言われ、胸にぐさりと刺さりました。
 自衛隊の憲法上の曖昧さをなくし、自衛隊の方々が名誉と誇りを持って主権を守り抜く任務を遂行できるよう、我々国会議員は自衛隊についてこの憲法審査会で議論をし、自衛隊をどのように憲法に明記すべきか一案を国民に示し、主権者たる国民に判断してもらう、そういう場を提供することは我々の責務だと思います。
 以上です。

#36
○会長(林芳正君) 石川大我君。

#37
○石川大我君 立憲民主・社民の石川大我です。
 ICT技術の進展や現在の感染症の拡大状況を踏まえて、国会におけるオンライン審議の可否やその可能性に関する議論が行われ始めています。
 この問題について、憲法第五十六条第一項の出席要件や、第五十七条第一項の公開原則との関係などから、憲法改正に向けた論点として位置付けた主張がなされています。
 確かに、現下の状況に鑑みると、国会審議の在り方について、オンライン審議やオンライン投票など、その多様化を模索するための議論の必要性を否定するものではありません。
 しかし、今この問題について憲法改正に絡めた議論をする必要はあるのでしょうか。感染症拡大による国会機能の維持が懸念される中で、現在の国会における取組は果たして十分なものと言えるでしょうか。
 いまだに本会議場や委員会室では、国会議員やその他の出席者が密集した状況での中での審議が行われることもあり、感染症対策に向けて改善すべき点はまだまだ多く存在しています。そうした課題の多くは、各党間での協議によって迅速かつ弾力的に改善できるものであり、必要があれば国会法や議院規則の改正で柔軟に対応することも可能なのではないでしょうか。我々としては、まずは感染症予防に対する知見を十分深めた上で、国会内で考えられるだけの感染症対策を徹底的に行うことが必要と考えます。
 ところが、こうした対策を十分に行わず、足下の問題を解決しないまま、いきなり憲法改正の文脈の中で憲法条項の見直しを視野に入れたような議論を進める必要性や緊急性があるとは到底思えません。コロナ禍で苦境に陥っている国民の方々のために、今我々が何を最優先に取り組んでいかなければならないのか、改めて考えなければならないのではないでしょうか。
 同性婚について申し上げます。
 憲法二十四条について、同性婚制度は想定されていない、あるいは改憲しないと同性婚制度はつくれないとの主張があります。果たしてそうでしょうか。十三条、個人の尊重、幸福追求権、十四条、法の下の平等を考えれば、同性婚はむしろ現憲法下で要請されていると言えます。札幌地裁では、法の下の平等に反するとの違憲判決も出ました。速やかに民法を改正し、婚姻における平等、同性婚を法制化すべきと考えます。
 ありがとうございました。

#38
○会長(林芳正君) 足立信也君。

#39
○足立信也君 国民民主党・新緑風会の足立信也です。
 国権の最高機関である国会においては、国の最高法規である憲法の論議は、国民とともに不断にすべきだと私は思います。むしろ責務だと思います。
 先ほど我が党の矢田幹事からありましたが、昨年、我々としては、まず論点整理というものを行いました。現行憲法の基本的人権の尊重、国民主権、平和主義、これは堅持する。それに何を加えるか、目標のようなものを定める必要があるだろう、それが個人の尊厳、地域の尊厳、国家の尊厳、それを目標として定めていくべきではなかろうかという議論になりました。
 そこで、今日は、時間の関係上、二点だけ、基本的人権の尊重と国民主権について申し上げます。
 憲法上、日本国民については、別に法律で定めると書かれております。しかし、外国人の人権に関しては明文化されておりません。このグローバル社会の中で、外国人の人権というものをどう考えるか。私は、憲法上明記すべきだと思います。
 昨今の中国やウイグルやミャンマー、香港、いろいろなことがございますけれども、私どもとしては定める必要性があるだろうと、これが基本的人権に関することです。
 国民主権の具現化という意味では、選挙制度です。
 先ほどありましたが、参議院においては、今後、改革協議会、あるいは選挙制度の専門委員会が設置されると思いますけれども、最高裁が参議院に求めているのは、一票の持つ投票価値の平等です。機会の平等ではありません。ということは、奇数区が存在するということは十分あり得ることです。それも含めた議論をやるべきです。もう一度繰り返します。最高裁が求めているのは、一票の持つ価値の平等です。
 その点からまた考えますと、衆議院の選挙制度。参議院は三年に一回選挙があります。衆議院は、計算しましたら、二年六か月で一回選挙があります。これを通分すると、国政選挙は一年七か月に一回あります。これだけ頻繁に選挙があると、大胆な方向転換や将来を見据えたような政策を打ち出すことが非常に困難です。びほう策にとどまってしまう可能性が高いです。
 私が申し上げたいのは、七条解散の制限あるいは認めないということも含めた議論、これをすべきだと思います。この国においては、国政選挙が頻繁にあり過ぎることが方向性を決定するに当たって制約を加えていると私は思います。
 以上、二点申し上げます。

#40
○会長(林芳正君) 白眞勲君。

#41
○白眞勲君 立憲民主・社民の白眞勲でございます。今日は、発言の機会をいただきまして、ありがとうございました。
 最初の自民党の意見表明について、ちょっとどうしても疑問だなと思ったので発言させていただきました。
 私は、平成二十八年十一月に、この憲法審査会の場で自由民主党が平成二十四年四月に発表した日本国憲法改正草案についてお聞きしましたところ、中川雅治委員より、平成二十四年の草案は、平成十七年新憲法草案を踏まえて、その時点での最良の案としてまとめたものであるが、今後も議論を重ねて憲法改正の考え方を更に整理して、更にバージョンアップしていく必要があるとの説明がありました。
 その後、四年以上経過しましたが、現在自民党の改正案はどのような状況になっているのか、先ほどの説明ではさっぱり分かりません。具体的には、現在自民党のホームページに掲載されている、先ほど御説明ありました憲法改正四項目案、平成二十四年、当時最良のものと発表された憲法改正草案との関係は一体どのようになっているのかな、さっぱり分かりません。
 具体的には、例えば安全保障分野でいえば、平成二十四年草案では、憲法九条の二で国防軍等を新設する案が示しましたが、そこでは内閣総理大臣を最高司令官とする国防軍を保持するとされていたんですが、今回の四項目案ではその国防軍はどこか行っちゃって、名称も自衛隊に戻って、実力組織として自衛隊を保持するという内容になっています。要するに、この二つの整合性、改正案の整合性どうなっているんだろうか。
 また、かつて自民党は、平成二十四年草案を二十一世紀にふさわしい、あるべき憲法の姿と自画自賛されていました。それが、まだ二十一世紀、二十年しかたっていないのに、もう何かどこか行っちゃっています。その内容が大きく変貌しているのであれば、何とも理解に苦しむところであります。うがった見方をすれば、憲法改正の具体的な中身はともかく、まずは改憲ありきという前のめりな姿勢が露呈してしまったのではないかとも思っております。
 あと、緊急事態についても一言申し上げます。
 日本国憲法は、国家権力を制限することにより国民の自由と権利を保障することを基本理念としているわけですけれども、それにより立憲主義に立脚しているわけです。国民の国家からの自由を確立し、国民の権利と自由を保障するための最高規範が憲法であるはずです。
 ところが、その立憲主義を破壊し、国家権力の濫用を許すような憲法改正を理想とする主張は、憲法改正の理念と全く相反するものであると言わざるを得ません。まさに、内閣の独裁を許す極めて危険な内容だと思います。
 菅政権の度重なる失政によって引き起こされた現状を捉えて、あたかも現行憲法に欠陥があるかのように主張されているのは、まさに議論のすり替えと評せざるを得ません。
 以上でございます。

#42
○会長(林芳正君) 他に御発言はございませんか。──他に御発言もないようですから、以上で意見交換を終了いたします。
 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午前十一時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト