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2021/05/12 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 本会議 第21号 令和3年5月12日
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2021/05/12 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 本会議 第21号 令和3年5月12日

#1
令和三年五月十二日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二十一号
  令和三年五月十二日
   午前十時開議
 第一 国家戦略特別区域法の一部を改正する法
  律案(内閣提出、衆議院送付)
 第二 畜舎等の建築等及び利用の特例に関する
  法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 デジタル社会形成基本法案(内閣提出、
  衆議院送付)
 第四 デジタル庁設置法案(内閣提出、衆議院
  送付)
 第五 デジタル社会の形成を図るための関係法
  律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議院
  送付)
 第六 公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施
  のための預貯金口座の登録等に関する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第七 預貯金者の意思に基づく個人番号の利用
  による預貯金口座の管理等に関する法律案(
  内閣提出、衆議院送付)
 第八 地方公共団体情報システムの標準化に関
  する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、国土審議会委員の選挙
 一、子ども・子育て支援法及び児童手当法の一
  部を改正する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 この際、欠員中の国土審議会委員一名の選挙を行います。
 つきましては、本選挙は、その手続を省略し、議長において指名することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、国土審議会委員に難波奨二さんを指名いたします。(拍手)
     ─────・─────

#4
○議長(山東昭子君) この際、日程に追加して、
 子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#5
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。坂本哲志国務大臣。
   〔国務大臣坂本哲志君登壇、拍手〕

#6
○国務大臣(坂本哲志君) ただいま議題となりました子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府においては、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築するための改革を進めており、長年の課題である少子化対策を推進する一環として、待機児童の解消に向け、全世代型社会保障改革の方針に沿い、増大する保育の需要等に対応し、新子育て安心プランの実現を図るとともに、子ども・子育て支援の効果的な実施を図る必要があります。
 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、地域子ども・子育て支援事業のその他の子ども・子育て支援を行う関係機関相互の連携の推進に関する事項を市町村子ども・子育て支援事業計画において定めるよう努めるべきこととしております。
 第二に、特定教育・保育施設に係る施設型給付費等の費用のうち満三歳未満児相当について、事業主拠出金をもって充てることができる割合の上限を五分の一に変更することとしております。
 第三に、政府は、令和九年三月三十一日までの間、雇用する労働者の子育ての支援に積極的に取り組んでいると認められる事業主に対して助成金及び援助を行う事業ができることとしております。
 第四に、児童手当が支給されない者のうちその所得が一定の額未満のものに限り特例給付を支給することとする措置を講ずることとしております。
 最後に、この法律案は、一部の規定を除き、令和四年四月一日から施行することとしており、これに伴う必要な経過措置について定めるとともに、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
    ─────────────

#7
○議長(山東昭子君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。塩村あやかさん。
   〔塩村あやか君登壇、拍手〕

#8
○塩村あやか君 立憲民主・社民の塩村あやかです。
 私は、ただいま議題となりました子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問をいたします。
 今年の出生数は八十万人を割ることが先般の経済財政諮問会議で示されました。これは従来の政府予測よりも十年も早く、事態は深刻です。そんな中、日本の少子化に歯止めを掛けるために、この本会議場にいる私たちがまずは個人でもできることがあります。EBPMではっきりと示されました。
 それは、男性の家事、育児の参加です。
 この議場にいる多くの皆さんは、予算を付けることだと思ったのではないでしょうか。確かにそれも重要です。しかし、それと同様に相関関係があると示されたのが家庭内でのジェンダー平等です。実に興味深い結果です。
 東京大学大学院の山口慎太郎教授の調査、論考によれば、家庭内で男性の家事、育児負担割合が高い国ほど出生率が高くなっているとのことで、男性の家事割合を女性側が評価した統計によれば、日本は調査対象国の中で最低であり、当然、出生率も最低レベルでした。与野党を問わず、男性議員の皆さんは耳が痛いのではないでしょうか。
 さらに、欧州約二十か国の大人を対象とし、家族関係に注目をした追跡結果があります。今、子供を持ちたいと思っているかという問いに対する回答です。それによると、主な発見は三つあり、一つ目は、夫婦間で意見の一致が見られないことが少なくないということ、二つ目は、妻が子供を持ちたくないと思っているケースが男性よりも多いということ、そして三つ目は、夫が子供を持ちたいと思っていても、妻が同意しないことが多い国ほど出生率が低いということです。その原因は何か。ずばり、夫の子育て負担割合が低いということです。
 逆に、子育てにおける男女平等が進んでいる国ほど出生率としての結果が出ています。妻の負担割合に焦点を当てた政策が出生率の引上げに特に効果的とのことです。
 今日からでも遅くありません。是非、議場の男性の皆さん、日本の未来のために家事、育児に参画をしていただきたいと思います。この調査結果を聞いての受け止め、そして、更なる男性の家事、育児の参画の推進について、少子化担当大臣の決意を伺います。
 もちろん、少子化に有効な対策は、男性の家事、育児の参画だけではありません。衆議院でも議論に多くの時間を割いていましたが、子育て支援のために行われた公的な金銭的支出である家族関係支出も大事です。
 家族関係支出と出生率は正の相関関係があるということはよく知られています。日本はOECD諸国の中でほぼ最下位です。ここまで子育てに冷たい国だと気付いた今、なぜ、今回の改正では待機児童対策のために、国費の新たな投入ではなく、年収一千二百万円以上の高所得者を児童手当の特例給付の対象外とすることとしたのでしょうか。
 これでは、ただの子育て世代の中での予算の付け替えであり、予算は増えていません。国費の新たな投入の方が国難である少子化対策になると考えなかったのか、また、どのような調査、比較をして今回の政策決定を最終的にしたのか、科学的根拠、EBPMで坂本大臣、お答えください。
 民主党政権時に導入をされた子ども手当から今まで、辛うじて全世帯への給付を政府はしてきました。今回の改正では児童手当を受け取れない家庭が初めて発生し、六十一万人の子供に影響が出ることになります。大臣は児童手当は少子化対策と答弁をしていることからも、これは明らかに子育て支援の拡充とは逆行するもので、誤ったメッセージを送ったことになりますが、坂本大臣はこのような懸念をお持ちにならなかったのでしょうか。問いに明確にお答えください。
 四月九日の衆議院の内閣委員会にて、今回の児童手当の所得制限一部廃止を設けたことによって出生に抑制が掛かるのではないかと答弁もしています。民間の調査では、特例給付の一部廃止で第二子以降の希望は三二%から一二%へと激減をしました。これでは少子化対策ではなく、少子化を加速する政策に見えますが、限定的であったとしても、御自身で出生に抑制が掛かる政策を進める意義と効果を御説明願います。
 年収一千二百万円以上の方は年収四百万円の方の四倍の税金や社会保険料を払っています。所得制限で高校無償化の恩恵もなく、貸与型の奨学金も対象となりません。つまり、負担が受益を上回ってしまっている。子育て罰を受けているとの悲鳴が上がっています。そう言うと、坂本大臣は、三歳から五歳までの幼児教育の無償化や義務教育は無料、そして不妊治療の助成に所得制限をなくしたと毎回お答えになっていますが、幼児教育の無償化は現在の小学三年生以上の家庭は一切恩恵を受けられておりませんし、不妊治療の助成の所得制限撤廃は今年からということで、今お子さんがいる一千二百万円以上の御家庭の全員が恩恵を受けていません。
 幼児教育、保育の無償化の恩恵も受けられず、待機児童問題の当事者ではない世帯に対し、どのような支援を行うのか。また、社会政策において、所得制限を設けない普遍主義を取る政策と所得制限を設ける選別主義を取る政策について、政府は何を基準に政策を決定しているのでしょうか。坂本大臣に明確な説明を求めます。
 このほか、この法案には気になる点が幾つもあります。
 まず、児童手当法の附則第二条の改正です。
 所得制限の額は政令で定めることになっていますが、これでは国会を通す必要がなく、所得制限額が引き下げられて、児童手当や特例給付の対象外となる子供がどんどんと増える懸念が拭えません。今後、所得制限の引下げが行われる可能性はあるのか、お伺いいたします。
 児童手当法によれば、この法律による父には、母が懐胎した当時婚姻の届出をしていないが、その母と事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含むものとするとあります。
 現在は家族の在り方も多様化しています。父母が選択的夫婦別姓を支持しており、法律婚をしておらず、仕事の都合で別居をしており、財布も住民票も別の場合はどうなるのでしょうか。母の年収が一千二百万円を超えており、父の年収は六百万円、生まれた子供は父に認知され、父の戸籍に入り、住民票も父方にある、一つ一つの事象は結構あるケースです。この場合は児童手当が満額受け取れるということでよいか、実質的には何を基準に支給の判断をするのか、厚労大臣にお伺いをいたします。
 また、今回、多子世帯を勘案しなかったこと、世帯合算としなかった理由、そして今後の見直しはあるのか、坂本大臣、お答えください。
 次に、子ども・子育て支援法の第六十六条の三です。
 保育所等の運営費に充てるための事業主拠出金ですが、経済界と協議の上、拠出金の割合を六分の一を超えない範囲内から五分の一を超えない範囲内へと引き上げましたが、こちらは法律に明確に数字が記してあり、国会を通さないとこれ以上の引上げも引下げもできません。今後、出生率の低下により待機児童は確実に減少しますが、その場合、この事業主拠出金の引下げや廃止はあり得るのか、坂本大臣にお伺いをいたします。
 また、保育所不足の一番の原因は保育士不足で、その原因は給与水準が低いことです。また、その原因は委託費の八割を占めていた人件費の流用を認める弾力運用です。
 人件費の使途制限が大幅に規制緩和された結果、都内では株式会社の人件費の比率は約五割に低下しました。事業拡大に使われたり、経営者の数千万円もの私的流用を許してきました。結果として、補助金が多い都市部に進出し、保育士の賃金を抑えることで利益を出すことになり、国が公費を入れることで通知をする公定人件費と実際の年収に、東京では保育士一人に年間二百万円近い差も出ています。坂本大臣の受け止めと是正の必要性、お答えをください。
 大臣は、この通知改定によって自治体が各保育園の賃金水準を見る上での参考にでき、通知の金額と実際の金額の差について説明を求めることができるようになったと言いますが、自治体が保育士の賃金が適正かどうかを判断する監査基準にはしないと強調しています。坂本大臣に理由をお伺いいたします。
 本当に少子化対策をするのであれば、保育の質を担保する上での保育士の確保に直結をするこの問題こそ、少子化担当大臣がリーダーシップを取り、解決すべきではないでしょうか。自治体の監査項目に加えること、そして委託費の弾力運用に一定の縛りを掛けることが重要と考えますが、坂本大臣の考え、そしてリーダーシップの発揮は今後あるのかをお伺いいたします。
 附則十四条の二、子育て支援に積極的に取り組む事業主に対する助成制度の創設についてお伺いいたします。
 これまでもあったくるみん制度とより高い水準のプラチナくるみん制度を活用し、対象企業に助成金が支払われます。助成額は五十万円ですが、その使途は育児休業を取得する職員の代替となる職員を確保するための費用や短時間勤務やフレックス制度の導入、周知の費用などとのことですが、これは代替職員の人件費だけでも到底五十万円ではカバーできません。この五十万円の根拠を坂本大臣、お示しください。
 また、女性視点からすれば、もっと強力に取り組んでいただきたい少子化対策に寄与する政策があります。それは、無痛分娩の一般化を始めとした痛くない処置や婦人科検診の推進、不妊治療に関連をする流産手術の見直し、フリーランスの夫婦やカップルに対する育休支援等です。順を追って伺います。
 まず、無痛分娩を始めとした痛くない処置と婦人科検診についてです。
 日本でも無痛分娩は少しずつ増加をしていますが、出生数に占める割合は六%程度であり、フランスの八二%、フィンランド八九%、アメリカの七一%と比較をしても随分と少ないのが現実です。無痛分娩といっても完全に痛みを感じないというわけではなく、硬膜外麻酔で痛みを和らげ、母体の負担を軽減するものです。陣痛のトラウマがある女性は多く、出産に恐怖心があるという調査もあります。
 近年、関係者の尽力で安全性も上がり、無痛分娩は多くの女性たちが希望していますが、近くに対応病院がない、あったとしても費用がプラス十万円から二十万円も掛かるとのことで諦めています。この費用負担の軽減と安全な無痛分娩に必要な産科麻酔学の拡充は必須です。出産一時金の引上げも含めた支援が必要ではないでしょうか。
 日本の現状、そして無痛分娩に対する政府と厚労大臣の考えをお伺いいたします。
 婦人科検診は痛いということをどれだけの男性が御存じでしょうか。
 特に、乳がんのマンモグラフィー検査です。乳腺エコーだけでは発見できない乳がんもあり、マンモグラフィーは必要だと言われていますが、とにかく痛いため、翌年から検査を受けないという人もいます。二枚の圧迫板で胸を挟み、胸が板状に伸び切ったところでレントゲン撮影をします。痛いに決まっています。近年は、痛くないMRI検査、ドゥイブス法なども多く報道されています。MRIで行えば、胸をレントゲン技師に見られたり触られたりすることもなく乳がん検査ができ、しかも痛くありません。
 乳がんは女性がかかる最多のがんです。痛みで検査を受けないということがないよう、痛みのない検査の推進は重要と考えますが、取組と見解を厚労大臣にお伺いいたします。
 マザーキラー、母親殺しと呼ばれているのが子宮頸がんです。
 年間一万人が罹患し、約三千人が亡くなっています。私も感染当事者です。二〇一三年にショッキングな報道が出て以降、積極勧奨が控えられ、助かる命が奪われ続けています。近年は副反応の調査結果の発表や、地方議員の尽力もあって、少しずつお知らせを出す自治体も増えています。私は当事者だから申し上げますが、副反応を含めた正しい現状を認識し、子宮頸がんワクチンの接種と検診の両方で女性の命を守っていくことが重要と考えます。
 副反応に関する調査結果の政府の把握状況、地方自治体の動き、そしてこれらを踏まえた政府の分析と見解を厚労大臣にお伺いいたします。
 今回の法改正で坂本大臣は事あるごとに不妊治療の補助の所得制限を保険適用まではなくしたと答弁されています。その数十二回です。私は不妊治療の当事者でもあります。多くの方の声を基に、これまで国会で治療の実態を伝えてきました。中でも反響が大きかったのは、不妊治療では多くの女性が流産を経験し、その流産の処置は中絶と全く同じであり、いまだに多くが掻爬法で行われていることでした。
 今の時代に飲み薬での中絶、流産が認められていない先進国はほとんどありません。先進国どころか、OECD含めて七十七か国が承認しており、世界のスタンダードです。ここでも日本は何十年と遅れて女性たちの心身を傷つけてきました。坂本大臣はこの事実、御存じだったかをお伺いいたします。
 これまでの国会質疑の中で、流産・中絶薬である飲み薬は間もなく薬事申請が行われ、承認後、中医協で了解されれば、流産については保険適用と答弁をいただいています。女性の心身の負担軽減のため、不妊治療の保険適用と同時に、流産・中絶薬も保険適用すべきだと要望させていただいておりますが、坂本大臣の見解、そして今後の見通しを厚労大臣にお伺いをいたします。
 最後に、本気で少子化対策をするのであれば、非正規という不安定雇用者が四割に近い今、何をするのかが重要です。子育てにお金が掛かれば、当然のことながら不安定雇用の方は子供を持つということに積極的にはなれません。中絶の一因であり、少子化にもつながります。フリーランスは育休を取れば収入がゼロとなります。
 こうした実態を政府は調査、把握をしているのか、また、彼らに対し特別な施策が必要と考えているのか、今後の見解と取組を両大臣に伺い、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣坂本哲志君登壇、拍手〕

#9
○国務大臣(坂本哲志君) 塩村あやか議員の御質問にお答えいたします。
 男性の家事、育児参画につきましてお尋ねがありました。
 議員御指摘の、男性の家事、育児負担割合と出生率の関係に言及した研究があることは承知をしています。また、父親の育児への関わりについては、夫の休日の家事、育児時間が長いほど第二子以降の出生割合が高いという調査結果も出ています。
 父親が育児に関わることは、母親の子育て中の孤立感や負担感、仕事と子育ての両立の難しさが軽減され、子供を産み育てたいという希望をかなえやすい環境につながるものと考えています。
 少子化社会対策大綱では、男女が共に子育てに参画していく観点から、男性の育児休業取得や育児参画を促進するための取組を総合的に推進する方向を示しました。
 これらを踏まえ、厚生労働省において、男性の育児休業取得促進策について検討し、男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設等を内容とする育児・介護休業法の一部を改正する法律案を本国会に提出し、御審議いただいているところです。
 こうした取組も含め、少子化社会対策大綱に基づき、関係省庁と連携しながら、男女共に仕事と子育てを両立しやすい環境整備に取り組んでまいります。
 子育て支援の予算の付け替えについてお尋ねがありました。
 子育て世帯に対する支援としましては、これまでも幼児教育、保育の無償化などを行っており、さらに今般、不妊治療助成の拡充や、新子育て安心プランの実施による待機児童の解消などを行い、子育て世帯全体への支援を充実させてまいります。
 このうち、待機児童問題については、所要額を確保し、四年間で十四万人分の保育の受皿を整備することとしました。
 児童手当の特例給付の見直しにつきましては、このような総合的な少子化対策を進める中で、長年の課題である待機児童問題の最終的な解決を図るものであり、全体のバランスを考えた上での措置であることを御理解いただきたいと考えています。
 児童手当見直しの政策決定についてお尋ねがありました。
 子育て世帯全体の支援を充実する中で、待機児童問題については、四年間で十四万人分の保育の受皿を整備することとしており、この運営に必要となる追加費用については、議員御指摘の今般の児童手当の見直しにより生じる財源等に加え、企業からも一千億円を追加拠出していただき、所要額を確保しています。
 今般の児童手当の見直しにおいて、年収一千二百万円相当を基準としていることについては、他の制度等を参照しながら、総合的に検討した結果であります。
 具体的に、例えば、税制において配偶者控除を受けることができる年収の上限が一千百九十五万円となっていることや、保育料の所得判定区分のうち最も高い保育料が適用される区分が世帯年収一千百三十万円以上となっていることも参照しながら、総合的に検討したものであります。
 なお、関連する統計データを見ると、例えば、十五歳以下の子供がいる世帯の就業者である父母のうち、年収一千二百万円以上の方は、上位約二%となっています。
 子育て世帯に対するメッセージについてお尋ねがありました。
 先ほど御答弁いたしましたとおり、子育て世帯に対する支援としては、これまでも幼児教育、保育の無償化などを行っており、さらに今般、不妊治療助成の拡充や、十四万人の保育の受皿確保による待機児童の解消などを行い、子育て世帯全体への支援を充実してまいります。
 今回、年収一千二百万円相当以上の方の月五千円の特例給付を見直すこととしていますが、子育て世帯へのトータルでの支援は確実に拡充をされてきていると考えております。
 こうした子育て支援の充実をきちんと図っていくことで、子育て世帯が希望を持つことができる社会となるよう、国としてしっかりメッセージを発信してまいります。
 児童手当見直しの意義と効果についてお尋ねがありました。
 少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っています。今般の児童手当の見直しは、結婚支援の充実、不妊治療助成の拡充、男性の育児休業の取得促進など総合的な少子化対策を進める中で、年収一千二百万円相当以上の方に限り月五千円の特例給付を見直すものであり、あわせて、待機児童対策等の子育て支援を着実に進めていくこととしています。
 新子育て安心プランの実施による待機児童の解消以外にも、結婚、妊娠、出産、子育てのライフステージに応じた総合的な少子化対策に取り組んでまいります。
 無償化等の対象でない世帯への支援についてお尋ねがありました。
 子育て世帯が安心して子供を産み育てられるよう、しっかり支援していくことが重要です。本法案でも、子育て支援に積極的な企業への助成事業の創設や、所得の多寡や共働き世帯か否かを問わず、様々な地域の子育て支援を行う関係機関相互の連携の推進に関する事項を盛り込み、支援の拡充を図ってまいります。
 引き続き、子育てに希望を持つことができるような社会になるよう、各家庭の状況や子供の成長のステージに応じた子育て支援の充実を図ってまいります。
 所得制限の考え方についてお尋ねがありました。
 政府では、これまでも幼児教育、保育の無償化など、子育て世帯全体の支援を充実させてきているところです。例えば、幼児教育、保育の無償化や不妊治療助成の拡充については、所得の多寡にかかわらず、支援が必要な方に対して、その必要な支援を重点的に提供することとしています。
 一方、児童手当は、家庭等の生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的として現金を給付するものであります。全ての子育て世帯を支援の対象とするか、所得制限等により支援の対象を限定するかという点については、個々の制度の目的や支援方法などに応じて判断されるべきものと考えています。
 児童手当の所得上限額の見直しについてお尋ねがありました。
 今般、児童手当の給付の在り方を検討した結果として、年収一千二百万円相当以上の方の月五千円の特例給付を見直すこととしたところです。
 今般の見直しの基準は、本改正法案においては政令で定める額とされており、現在の児童手当法の本則給付と特例給付とを分けている所得制限基準額と同様に、政令で規定するものです。今後、特例給付の所得上限額のみについて見直しを行うことは、現時点では考えておりません。
 児童手当の支給判断の基準についてお尋ねがありました。
 児童手当は、法律上、児童を監護し、生計を同じくする父母のうち、いずれか児童の生計を維持する程度の高い者に支給することとされています。議員御指摘のようなケースについては、父母と児童の関係等を踏まえ、個別に判断することになります。
 多子世帯など、児童手当の今後の見直しについてお尋ねがありました。
 児童手当については、三歳から小学生までの第三子以降の多子に現在でも加算していますが、更に加算すること等、拡充の御意見や世帯間の公平性の観点から世帯合算の導入を求める重点化の御意見がありましたが、検討の結果、今回の見直しにおいては導入を見送ることとしたものです。
 改正法案では、附則に検討規定を設け、子供の数等に応じた児童手当の効果的な支給及びその財源の在り方や、支給要件の在り方について検討することとしています。その際には、少子化の状況を始め子ども・子育て支援に関する施策の実施状況、子育て家庭への影響等もよく注視しながら、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討してまいります。
 将来的に待機児童が減少した場合の事業主拠出金の取扱いについてお尋ねがありました。
 保育所等の運営費については、現時点では令和七年度にピークを迎えると見込んでいます。そのため、令和七年度までに必要となる運営費の追加所要額も含めて財源を確保したものです。
 令和八年度以降の事業主拠出金の取扱いについては、保育所等を利用する子供の数や将来の見通し等を注視し、事業主拠出金の収支や積立金の状況等を踏まえ、経済界とも協議しながら適切に対応をしてまいります。
 保育士の公定価格等と実際の年収との差や自治体による監査の基準についてお尋ねがありました。
 私立保育所への委託費につきましては、施設における運用の参考とするため、公定価格の改定に合わせて、予算積算上の事業費や管理費、人件費の内訳を通知で示しています。このうち人件費については、施設長、保育士といった職種ごとに地域区分別の年額人件費を示しているところです。
 通知で示す予算積算上の年額人件費と実際に支払われる人件費とで差がある理由として、職員の人数や経験年数、賃金体系等は保育所ごとに異なることや、例えば、委託費で算定されている職員数を超えて職員を雇用する保育所では、職員一人当たりの賃金が低くなる可能性もあることなどが考えられます。
 このため、自治体においては、管内の私立保育所における人件費の水準について確認する際の参考として、例えば、予算積算上の人件費と実際に支払われる人件費との差額の理由について保育所に説明を求めることなどが可能となります。一方で、監査基準として差額のみをもって単純に給与水準の適否について判断することは適当でないと考えます。
 人件費の監査や委託費の弾力運営に、弾力運用についてお尋ねがありました。
 先ほどお答えいたしましたとおり、通知で示す予算積算上の人件費と保育所で実際に支払われる人件費との差額のみをもって単純に給与水準の適否について判断することは適当でないと考えます。
 また、私立保育所の委託費の弾力的な運用については、適正な運営に関する一定の基準を満たすなど、保育の質に関する要件を満たすことを前提としているところです。
 委託費の弾力的な運用を行うに当たっては、必要な場合には都道府県が委託費の使途について確認し、保育士の処遇等に不適切な事例が明らかになった場合には改善を求める等、都道府県が指導を行うこととしており、こうした仕組みを通じて委託費の適切な運用に努めてまいります。
 中小企業に対する助成金等についてお尋ねがありました。
 五十万円という助成金額については、仕事と子育ての両立に資する取組を行う事業主を支援する他の助成金の水準も踏まえつつ、中小企業の取組を促進するためのインセンティブとなるよう、経済界とも協議をして設定したものであります。
 流産・中絶薬等についてお尋ねがありました。
 子供の数に関する希望がかなわない理由として、欲しいけれどもできないからを挙げている割合は二割を超えており、不妊に悩む方への支援を通じてその希望をかなえていくことが重要です。
 少子化社会対策大綱では、不妊治療への支援について、不妊治療に係る経済的負担の軽減、不妊治療と仕事の両立のための職場環境の整備などを盛り込んでおり、厚生労働省を始めとする関係省庁と連携しながら、不妊治療への支援の具体化に取り組んでいるところです。
 御指摘の飲み薬はいわゆる経口中絶薬のことと承知しており、欧米では医師の処方と経過観察が必要とされる医薬品とされていると伺っています。我が国における経口中絶薬の扱いについては、厚生労働省において専門的な見地から検討されるものと承知しており、今後の検討状況を注視してまいります。
 非正規雇用やフリーランスの方への子育て支援についてお尋ねがありました。
 少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っています。子供の数に関する希望については、子育てや教育にお金が掛かり過ぎる、これ以上、育児の負担に耐えられない、仕事に差し支えるといった理由で希望がかなわない状況があると認識しています。いわゆるフリーランスといった働き方については、仕事と子育ての両立も含め、様々な議論や課題があるものと承知しており、関係省庁における議論の動向を注視してまいります。
 引き続き、少子化社会対策大綱等に基づき、関係省庁と連携しながら、男女共に仕事と子育てを両立しやすい環境整備に取り組んでまいります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#10
○国務大臣(田村憲久君) シモムラ、塩村あやか議員にお答え申し上げます。失礼いたしました。
 無痛分娩についてお尋ねがございました。
 無痛分娩を含め、安全、安心な出産ができる環境を整えることが重要と考えております。
 医療保険制度では、出産に要する被保険者の経済的負担を軽減するため、健康保険法等に基づく保険給付として出産育児一時金が支給されております。この出産育児一時金は、分娩方法や実際の出産費用にかかわらず、一分娩当たり一定額を支給することといたしております。
 この支給額の見直しについては、昨年末の社会保障審議会医療保険部会の取りまとめを踏まえ、まずは産科医療補償制度の掛金引下げに伴い、本人の給付額を四千円増額するとともに、出産費用の実態把握を進め、費用実態を踏まえた支給額の検討等を行ってまいります。
 また、安全な無痛分娩の実施体制を整備するため、これまで無痛分娩関係学会・団体連絡協議会と連携し、無痛分娩に関わる医師等の医療スタッフに対する産科麻酔等に関する研修の実施や、無痛分娩取扱施設における無痛分娩の診療体制に関する情報公開等を実施してきたところであります。こうした取組により、無痛分娩の安全な提供体制の構築を進めてまいります。
 乳がん検診についてお尋ねがありました。
 がん検診については、特に症状のない方を対象とすることから、死亡率減少という利益が検査の偽陽性や過剰診断等の不利益を上回ることが科学的根拠に基づき明らかな検診方法について、専門家の議論を踏まえ、指針としてお示ししているところであります。できる限り多くの方に受診していただく観点から、痛みなどの身体的な負担を軽減することも重要と考えておりますが、乳がん検診について、現時点では問診及びマンモグラフィーが利益が不利益を上回る唯一の検診方法となっております。
 検診受診者にとって負担が少ないことも含め、より適切な検診手法等については国立がん研究センターが科学的根拠の収集に努めており、引き続き、より効果的な検診の在り方について検討してまいります。
 HPVワクチンの副反応等についてお尋ねがございました。
 HPVワクチンについては、平成二十五年度から定期接種化されておりますが、ワクチン接種後に多様な症状について報告があり、これらの症状の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切に情報提供ができるまでの間、積極的な勧奨を差し控えることとしたところであります。
 平成二十七年にHPVワクチン接種後の症状に関する疫学研究が行われ、ワクチン接種後に報告されている症状と同様の多様な症状を呈する者がワクチン接種歴のない者においても一定数存在したと結論付けられております。その後も、関係審議会において、ワクチンに関する医学的知見やHPVワクチン接種後に生じた副反応疑い症例について定期的に評価を行っており、有効性と比較して高いリスクを認められないとの評価が維持され、接種が継続されております。
 また、HPVワクチンに関する国民への周知について、これまでも審議会での議論を踏まえ、ワクチンに関するリーフレットを作成し、周知してきましたが、自治体及び国民への調査の結果、必ずしも十分に情報が行き届いていないことが明らかとなりました。このため、リーフレットを改訂するとともに、情報提供の更なる充実を図るため、市町村から情報提供資材を接種対象者等へ個別送付することとし、令和二年十月に自治体に対して通知したところであります。
 このように、HPVワクチンの安全性や情報提供等について審議会で議論してきたところであり、厚生労働省としては、審議会の議論も踏まえながら、引き続き必要な検討を進めてまいります。
 不妊治療後の流産において使用される中絶薬の保険適用についてお尋ねがございました。
 御指摘の飲み薬はいわゆる経口中絶薬のことと承知しておりますが、そのうちミフェプリストン及びミソプリストールについては、現在企業において治験中であると承知しております。今後、企業から薬事申請されれば、有効性や安全性などについて適切に審査を行ってまいります。
 また、薬事承認された医薬品について、企業からの薬価収載希望を受けて、中医協において薬価収載が了承されれば、胎児の死亡等による流産など、治療上中絶が必要な場合については保険適用となります。
 非正規雇用やフリーランスの方への子育て支援策などについてお尋ねがありました。
 少子化の背景について、子供の数に関する希望については、子育てや教育にお金が掛かり過ぎるといった理由で希望がかなわない状況があると承知いたしております。
 フリーランスの方々を含め、子育て支援策については厚生労働省や内閣府を始めとした各省が連携して対応しており、フリーランスの方々への対応についても政府全体として考えていくものと承知いたしております。(拍手)
    ─────────────

#11
○議長(山東昭子君) 佐々木さやかさん。
   〔佐々木さやか君登壇、拍手〕

#12
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
 私は、自民、公明を代表して、ただいま議題となりました子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 政府が発表した二〇二〇年の出生数は、速報値で約八十七万二千七百人。例年九月に公表される確定数は、前年の約八十六万五千人を下回り、過去最少を更新する見通しです。さらに、新型コロナウイルスの影響を強く受ける今年の出生数は、婚姻数や妊娠届数などから八十万人割れの見通しと試算されています。
 感染リスクを避けて妊娠、出産のタイミングを遅らせた方もいたのではないかと推測しますが、コロナ禍によって少子化に拍車の掛かることがないよう対策を行うべきです。
 理想の子供の数を持たない理由として、従来から子育てや教育にお金が掛かり過ぎることが挙げられています。コロナ禍による経済的な不安によって子供を持てないということがないようにしなければなりません。
 また、学校や保育園の休業などで女性の家事、育児の負担が増えた、DV被害が深刻化したなど、コロナ禍は子供を産む性である女性に対する負担や不安を増加させています。今こそ、失業や低所得などで困窮する子育て世代や若い世代への支援、女性に対する支援に力を入れるべきです。
 これまで、政府・与党として、全世代型社会保障の構築に向け、消費税増収分を活用した子育て支援、幼児教育、保育の無償化を始めとした教育費の負担軽減などに取り組んできました。さらに、昨年政府が策定した全世代型社会保障改革の方針には、不妊治療への保険適用や更なる待機児童対策などが盛り込まれています。
 コロナ禍の今、子育て世代、若い世代などへの支援について、改めて力強く発信していくことが重要と考えます。子育ての経済的な負担の軽減、妊娠、出産から子育てまでの切れ目のない支援、子育てと仕事の両立支援などに更に力を入れていくべきです。
 初めに、子ども・子育て支援に関する政府の取組の方針と少子化を克服する決意について、坂本大臣にお伺いします。
 次に、児童手当法の改正について伺います。
 本改正では、待機児童対策の財源確保のため、児童手当の特例給付について見直し、年収一千二百万円以上の世帯を対象から外すことにしています。なお、児童手当の所得制限の基準については、世帯合算ではなく、引き続き夫婦のうち所得の高い方とすることになりました。
 子育て支援に力を入れていくべきという観点からは、今回の特例給付の見直しは矛盾するのではないかとの指摘もあります。しかし、これによって大きな課題である待機児童対策を充実させるものであり、全体として子育て支援の拡充になるものと理解します。
 もっとも、希望出生率一・八の目標を実現し、少子化を克服するためには、今後、子育て支援に関する予算そのものを充実させていく必要があると考えます。今後の子育て支援に関する予算確保の在り方について、坂本大臣の見解を伺います。
 待機児童の解消については、昨年末、二〇二一年度からの四年間で新たに十四万人分の保育の受皿を確保する新子育て安心プランが策定されました。これまでの政府の待機児童解消に向けた取組により待機児童の数は減少してきているものの、女性の就業率は上昇傾向にあり、更なる保育の受皿の整備が必要です。
 保育の受皿確保のためには、保育士不足の改善が重要です。実際に現場で行われている保育内容、業務は高度であるにもかかわらず、それに見合う処遇、社会的評価がいまだ十分ではないという指摘があります。また、子供の健やかな育ちのためには、保育の質の確保、向上も同時に達成されなければなりません。
 新子育て安心プランを実行していくに当たり、必要な保育人材の確保をどのように行っていくのか、また、保育の質の確保、向上についてどのように取り組むのか、田村大臣に伺います。
 本法律案では、ゼロ、一、二歳児相当分の保育の運営費について、事業主拠出金をもって充てることができる割合を六分の一を超えない範囲から五分の一を超えない範囲に変更することにしています。そして、この変更による引上げ分は、新子育て安心プランの財源として待機児童対策に活用されることとなっています。
 今回、財源として、事業主拠出金の充当額の引上げをもって保育の運営費に充てることにした理由について、坂本大臣に伺います。
 本法律案には、雇用する労働者の子育ての支援に積極的に取り組んでいると認められる事業主に対して助成及び援助を行う事業を新たに設ける旨の改正が盛り込まれています。
 少子化の克服のために重要なのが、男性の家事、育児への参加の推進です。夫婦が二人目の子供を希望するかどうかは、男性の家事、育児への参加が影響しやすいと言われています。
 男性の育休取得率は、二〇一九年度で七・四八%にとどまっています。政府は、男性の育休取得率を二〇二五年までには三〇%に引き上げる目標を掲げており、強い覚悟で取り組む必要があります。今国会には、育休の分割取得など、男性の育児休業の取得を促進するための育児・介護休業法の改正案が提出されています。特に、育児が過酷な産後間もない時期に男性が育児休業を取得する、いわゆる男性版産休の普及にも期待したいと思います。
 男性が子育てに関わりやすい、参加しやすい職場、社会の雰囲気をつくっていかなければなりません。そのためには、企業の理解と取組が欠かせません。特に、男性の育児休業取得率が低い傾向にある中小企業での取組が課題です。本改正案による事業主に対する助成及び援助も、男性の家事、育児への参加、育休取得を後押しするものとすべきと考えますが、今回の助成及び援助によって期待される効果について、坂本大臣に伺います。
 本改正では、市町村が子ども・子育て支援事業計画において定めるよう努めるべき任意的記載事項として、子ども・子育て支援の提供に係る機関の連携の推進に関する事項を追加することとしています。
 コロナ禍により、子育て家庭の孤立の深刻化が問題となっています。様々な課題を抱える子育て家庭へのきめ細やかな支援を行っていくためには、地域で行われている子育て支援事業が相互に連携し、多機能型、ワンストップで対応していくことが重要です。本改正により、こうした連携がどのように促進されるのか、坂本大臣に伺います。
 また、多機能化に伴い、業務量の増加や専門性が求められるといった課題も想定されます。こうした課題への対応についても併せて伺います。
 子育て中の方から、今の日本は子供を産み育てづらいと感じているという声をいただきました。一つは、子育てに関する経済的な不安です。それに加え、核家族化した日本において、子供を育てるには周囲の理解と協力が欠かせません。子育てに協力的な社会制度、文化に変えていく必要があります。
 子供を安心して産み育てられる社会の構築を目指し、全力で取り組むことをお約束し、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣坂本哲志君登壇、拍手〕

#13
○国務大臣(坂本哲志君) 佐々木さやか議員の御質問にお答えします。
 子ども・子育て支援の取組方針と少子化克服に向けた決意についてお尋ねがありました。
 我が国の少子化の進行が深刻さを増す中、コロナ禍における結婚、出産の今後の推移についても危機感を持って注目をしていく必要があると考えています。少子化の背景にある個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む隘路の打破に強力に取り組むことが重要です。
 政府では、これまでも幼児教育、保育の無償化、高等教育の修学支援など、子育て世帯全体の支援を充実させてきたところです。
 さらに、今般、新生活への経済的支援を含む結婚支援、不妊治療助成の拡充を含む妊娠、出産への支援、待機児童の解消のための新子育て安心プランの実施や男性の育児休業の取得促進など、男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備など、新型コロナウイルス感染症を踏まえた取組も含め、結婚、妊娠、出産、子育てのライフステージに応じた支援策を全体として充実させることとしています。
 引き続き、少子化社会対策大綱等に基づき、必要な安定財源を確保しつつ、少子化対策を全体として確実に進めてまいります。
 子育て予算の増額についてお尋ねがありました。
 子育て世帯全体への支援を充実させていますが、このうち待機児童問題については、四年間で十四万人分の保育の受皿を整備することとしました。この運営に必要となる追加費用については、今般の児童手当の見直しにより生じる財源に加え、企業からも一千億円を追加拠出していただき、所要額を確保しています。
 総合的な少子化対策を進めていくための財源確保の方策につきましては様々な議論があると承知をしています。引き続き、少子化社会対策大綱等に基づき、必要な安定財源を確保しつつ、少子化対策を全体として確実に進めてまいります。
 事業主拠出金を保育所等の運営費に充てる理由についてお尋ねがありました。
 待機児童の解消を始めとする少子化対策は、社会全体で子育てを支援していくとの大きな方向性の中で取り組むべき課題です。その観点から、新子育て安心プランに基づく保育の受皿確保のために、経済界に対して事業主拠出金で一千億円の追加拠出をお願いしております。
 待機児童の九割はゼロ歳から二歳児となっており、ゼロ歳から二歳児の保育の受皿を整備することが、子供の預け先を確保する必要性が高い保護者のみならず、企業にとっても労働力確保に資すると考えています。このような観点から、ゼロ歳―二歳児相当分の保育所等の運営費に限り事業主に御負担をいただいております。
 事業主に対する助成及び援助を行う事業についてお尋ねがありました。
 企業において従業員に対する育児休業の取得を促進することは、従業員がその置かれている環境に応じた自らの選択に基づく子育てを行うことができる環境の整備につながるものであり、子育て支援として意義があるものと考えています。
 今回の助成制度は、従業員に対して育児休業の取得を促進するなど、子育て支援を積極的に行う事業主に対する助成を行うものであり、これにより、こうした支援を取り組もうとする事業主を後押しし、企業における子育て環境の整備を進めてまいります。
 市町村子ども・子育て支援事業計画の任意記載事項の追加についてお尋ねがありました。
 在宅で子育てを行う家庭等に、より効果的に支援を行っていくためには、地域の関係機関相互の連携の推進を図っていくことが重要です。そのため、本法案において、市町村計画において定めるよう努めるべき事項に、地域の子ども・子育て支援を実施する関係機関相互の連携の推進に関する事項を盛り込むこととしています。関係機関の連携を進めることで、子育て家庭の個別の状況を機関相互で共有し、家庭の状況に応じた必要な支援へと結び付けられることなどが期待されます。
 また、連携を進める上での課題については、令和三年度予算で拡充する利用者支援事業におきまして、巡回支援等を行うための新たな加算を創設することにより、業務量の増加に対応できる財政支援をすることとしているほか、加算の取得に当たりましては、研修を受講させるなどにより、必要な知識、経験を有する職員の配置を求める専門性を確保することとしております。こうした取組を通じて対応をしてまいりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#14
○国務大臣(田村憲久君) 佐々木アヤカ、さやか議員にお答え申し上げます。失礼いたしました。済みません。申し訳ありません。
 佐々木さやか議員にお答え申し上げます。失礼いたしました。
 保育人材の確保と保育の質の確保、向上についてお尋ねがありました。
 新子育て安心プランにおいては、魅力向上を通じた保育士の確保を一つの柱としており、保育補助者の活躍促進、保育士・保育所支援センターの機能強化など、総合的な保育人材確保対策に取り組みます。
 また、保育の質の確保・向上に関する検討会での議論を踏まえ、保育現場での質の向上の取組事例集や自己評価ガイドラインの作成、保育所職員等を対象とした研修など、保育の質の確保、向上に取り組んでまいります。(拍手)
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#15
○議長(山東昭子君) 高木かおりさん。
   〔高木かおり君登壇、拍手〕

#16
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
 私は、党を代表して、ただいま議題となりました子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案について、関係大臣に質問いたします。
 今回の児童手当法の一部を改正する法律案では、世帯の中で夫婦どちらか一方の年収が一千二百万円以上の場合、児童手当の特例給付の一部が廃止されるとのことです。新型コロナウイルスの流行が長期化する中で、過酷な環境に耐えながら子育てしている全ての子育て世帯にとって余りに不条理で、子育て支援に対し、誤った政府からのメッセージと受け取られても仕方ありません。これだけ新型コロナウイルスが蔓延し、国民の生活に大きな影響を与えているときに、今、児童手当の特例給付を廃止するべきタイミングなのでしょうか。
 憲法第九十条の規定により、会計検査院は決算検査報告を作成して内閣に送付しますが、国費の無駄遣いや不適切な経理などの総額が、何と平成三十年度は一千二億三千五十八万円、令和元年度は二百九十七億二千百九十三万円であったと報告書に記載されています。苦しい現状の子育て世帯へこれ以上負担を強いることに対して、国民の理解を得られるとは到底思えません。
 そこで、少子化担当大臣に伺います。これだけの無駄と不適切な処理がありながら、財源確保の努力もせず、今回、所得制限を設けて特例給付を廃止するのでしょうか。見解を伺います。
 共働き世帯が専業主婦世帯を上回ってから二十数年が経過しています。しかしながら、市場はまだまだ共働き仕様になっていないため、多岐にわたる環境整備が必要です。今回の特例給付廃止によって生み出される財源は、結局のところ、子育て関係の予算を待機児童解消に回して使うだけで、子育て世帯への支援は増えていないと考えます。
 子ども・子育て支援対策として消費税を増税したときに、当初約一兆円の財源を見込んでいました。しかし、確保できたのは七千億円で、残りの三千億円については確保されていません。
 少子化担当大臣に伺います。新子育て安心プランによって四年間で約十四万人の保育の受皿整備が叫ばれていることは承知しておりますが、そもそも、子育てに係る財源確保は予算全体の額を増やすべきではないでしょうか。政府の見解をお示しください。
 ユネスコによる統計によれば、二〇一八年における世界の公的教育支出・教育費の対GDP比率国際比較統計ランキングで、日本は百五十か国中百十三位であることは知られています。
 少子化担当大臣に伺います。特例給付を廃止ではなく、せめて減額という発想はなかったんでしょうか。見解を伺います。
 次のような不合理なケースも考えられます。例えば、夫が一千百万円、妻は一千万円の収入で子供二人の家庭の場合、所得の高い方を見たとき、一千二百万円に満たないので、この場合、特例給付の対象になります。
 少子化担当大臣、年収二千百万円の家庭ではもらえる、しかし、どちらか一方が収入一千二百万円以上の家庭ではもらえなくなる、この矛盾をどのように解釈したらよいのでしょうか。国民が納得できるように説明を求めます。
 今回、二つの法案をまとめて提出し、保育所の整備を確保するために児童手当の特例給付を削るというのは理解に苦しみます。都市部で特に深刻な待機児童問題は、各地域での連携を深め、保育所同士で互いに融通し合い、また、こうした保育所や自治体の声を国が積極的に聞くことによって解消へとつながっていくものと考えています。
 そこで、少子化担当大臣に伺います。総合的な少子化対策を進める中、全体のバランスを考えた上で児童手当の特例給付を見直すとのことですが、この総合的な少子化対策の中に保育士の確保や処遇改善は含まれているのでしょうか、お答えください。
 平成二十三年度分の所得税から、十六歳未満の方は扶養控除が受けられなくなりました。年少扶養控除はない、特例給付もない家庭が今回の改正法で生まれてしまいます。そもそも、平成二十四年に児童手当に所得制限が設けられ、当時、所得税及び個人住民税の年少扶養控除等の廃止の影響を踏まえ、そのときは特別給付が当分の間の措置として創設されたことは私も記憶しております。
 そこで、財務大臣にお尋ねします。特例給付を廃止するならば、年少扶養控除を復活させるという議論が政府の中であったのか、お答えください。
 少子化担当大臣にお聞きします。例えば、保育所の確保にはまだまだ財源が必要となった場合に、国会での議論をすることなしに、高所得の主たる生計維持者から世帯合算方式に変更はしないと約束できるでしょうか。また、今回、一千二百万円以上という所得制限の金額を、一千百万円、一千万円と基準を下げるというようなことはしないと明言していただけますでしょうか。さらに、特例給付そのものを廃止するということはないと考えてよろしいでしょうか。お答えください。
 少子化担当大臣に伺います。第五十六回子ども・子育て会議では、特例給付を廃止することには反対との意見があったと理解しています。こうした意見を打ち消してまで特例給付を廃止する本意は何か、見解を伺います。
 今、日本の人口減少は危機的な状況です。二〇一九年の出生数は前年比五万人減の約八十六万人で、政府の予想よりも二年前倒しで減少しています。人口減少がこれからも日本の経済、ひいては日本の国力に深刻な影響を与えることは言うまでもなく、少子化対策は我が国の未来において大変重要な課題であります。
 そこで、少子化担当大臣に伺います。来年の出生数は八十万人を割り込むとの見方も出てきています。今回の特例給付の廃止は国の政策としては逆行しているのではないかと考えますが、御見解をお聞かせください。
 少子化に歯止めの掛からない状況下の中、新型コロナウイルスの感染も加速しています。それによって、雇い止めなど雇用の問題も避けては通れず、経済的な不安を抱える子育て世帯において、果たして二人目、三人目の妊娠、出産を希望するでしょうか。
 子育てには本当にお金が掛かります。子供を持たない理由として、経済的な不安が大きな理由となっており、以前から我が党は教育の無償化を訴えてまいりました。教育費は家計をも逼迫し、高等教育においては、高額なため、やむを得ず修学を断念する場合もあります。コロナ禍においては特に深刻で、休学や退学を考えている学生がいることも聞いています。
 少子化担当大臣にお聞きします。この特例給付の廃止で出生にブレーキを掛ける可能性があると考えますが、御見解を伺います。
 我が党はこれまで、幼児教育から高等教育に至るまでの完全教育無償化や、児童税額控除型の給付付き税額控除、そしてゼロ歳から全ての国民に対して一律に定額給付するベーシックインカムの検討など、子ども・子育て支援策について提案してまいりました。
 私たちが生きている社会は、この瞬間にも変化しています。性別、年齢、障害、性的指向など多様な背景を持つ一人一人が自己の目標を実現できる社会形成が今求められています。
 子供たちも同様に、皆幸せになる権利を持っています。総理は、誰一人取り残さない社会というフレーズを使われていますが、今回、約六十一万人の子供たちは、この制度で異なる扱いになるのです。
 国の宝であり、将来を担う子供一人一人は平等であるべきだと強く訴え、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣坂本哲志君登壇、拍手〕

#17
○国務大臣(坂本哲志君) 高木かおり議員の御質問にお答えいたします。
 特例給付に所得上限を設ける理由や減額の発想はなかったのかということについてお尋ねがありました。
 予算編成においては、必要な分野に適切に予算を手当てしており、会計検査院からの指摘についても、一つ一つ改善策につなげ、その後の予算や会計事務などに反映させているものと承知しています。
 その上で、待機児童問題については、十四万人分の保育の受皿整備に向けて安定的な財源を確保する観点から、企業からも一千億円を追加拠出していただくとともに、児童手当の見直しにより生じた財源を活用することとしたものであります。
 今回、年収一千二百万円相当以上の方に対する特例給付を減額ではなく廃止することとしていますが、これは、総合的な少子化対策を進める中で、長年の課題である待機児童問題の最終的な解決を図るものであり、全体のバランスを考えた上での措置であることを御理解いただきたいと考えています。
 子育て予算の増額についてお尋ねがありました。
 子育て世帯に対する支援としては、これまでも幼児教育、保育の無償化などを行っており、さらに今般、不妊治療助成の拡充や新子育て安心プランの実施による待機児童の解消などを行い、子育て世帯全体への支援を充実させてまいります。
 このうち、待機児童問題については、四年間で十四万人分の保育の受皿を整備することとしました。この運営に必要となる追加費用については、今般の児童手当の見直しにより生じる財源に加え、企業からも一千億円を追加拠出していただき、所要額を確保しています。
 総合的な少子化対策を進めていくための財源確保の方策については様々な議論があると承知しています。引き続き、少子化社会対策大綱等に基づき、必要な安定財源を確保しつつ、少子化対策を全体として確実に進めてまいります。
 共働きで年収二千百万円の家庭の場合についてお尋ねがありました。
 今般、児童手当の給付の在り方を検討した結果として、年収一千二百万円相当以上の方の月五千円の特例給付を見直すこととしたところであり、世帯合算の導入は見送っています。現行の特例給付の基準と同様に主たる生計維持者の収入で判断することとしており、個別状況を踏まえて判断されることになりますが、仮に共働きで年収二千百万円相当の世帯であっても児童手当の対象となり得るものです。
 なお、改正法案では、附則に検討規定を設け、子供の数等に応じた児童手当の効果的な支給及びその財源の在り方や支給要件の在り方について検討することとしています。
 保育士の確保や処遇改善についてお尋ねがありました。
 保育士の確保や処遇改善は大変重要な課題であり、総合的な少子化対策を進める中で、これらの取組を実施しています。
 まず、保育士の確保については、厚生労働省において、保育士資格の取得促進、就業継続のための環境づくり、辞職者の再就職の促進、保育の現場と職業の魅力向上に総合的に取り組んでいると承知しています。また、保育士等の処遇改善については、これまでも平成二十五年度以降、月額四万四千円に加え、平成二十九年度からは技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施しているところです。
 引き続き、厚生労働省とも連携しながら、高い使命感と希望を持って保育の道を選んだ方々が長く働くことができるよう、必要な支援を着実に実施してまいります。
 世帯合算の導入や特例給付の見直し等についてお尋ねがありました。
 世帯合算については、今回の見直しでは導入しないこととしていますが、仮に実施する場合には児童手当法の改正が必要であり、国会で御論議いただくことになります。また、児童手当の給付の在り方を検討した結果として年収一千二百万円相当以上の方の月五千円の特例給付を見直すこととしたところですが、今後の特例給付の廃止や所得上限額の引下げのみを行うことは、現時点では考えておりません。
 子ども・子育て会議の意見についてお尋ねがありました。
 子ども・子育て会議におきましては、児童手当の見直しについて、昨年十二月から一月にかけて多くの委員から御意見をいただきました。委員からは、今回の特例給付の見直しに関しては、賛成や更なる見直しを進めるべきという立場の御意見が多かった一方で、特例給付の見直しに反対するとの御意見もいただいたところです。このような様々な御意見を踏まえつつ、政府として検討を重ね、本改正法案を提出させていただきました。
 特例給付の見直しの位置付けや出生への影響についてお尋ねがありました。
 先ほど答弁いたしましたように、子育て世帯に対する支援としては、これまでも幼児教育、保育の無償化などを行っており、さらに、今般、不妊治療助成の拡充や十四万人の保育の受皿確保による待機児童の解消などを行い、子育て世帯全体への支援を充実させてまいります。
 今回、年収一千二百万円相当以上の方の月五千円の特例給付を見直すこととしていますが、子育て世帯へのトータルでの支援は確実に拡充されていると考えております。
 こうした子育て支援の充実をきちんと図っていくことで、子育て世帯が希望を持つことができる社会となるよう、国としてしっかりメッセージを発信してまいります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

#18
○国務大臣(麻生太郎君) 高木議員から、年少扶養控除について一問お尋ねがあっております。
 年少扶養控除は、平成二十二年度の改正におきまして、所得分配再機能、いわゆる再配分機能の回復やら、控除から手当という考え方の下で、子ども手当の創設と相まって廃止をされております。
 その後、幼児教育、保育の無償化や待機児童の解消など、国として様々な少子化対策を行ってきたのは御存じのとおりですが、こうした現状を踏まえますと、今般の児童手当の特別給付の見直しに伴いまして年少扶養控除を復活させるということは考えておりません。(拍手)
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#19
○議長(山東昭子君) 矢田わか子さん。
   〔矢田わか子君登壇、拍手〕

#20
○矢田わか子君 国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。
 会派を代表し、子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 今回提出された法案は、子育て支援のための環境整備という趣旨ではありますが、既に昨年春より、コロナ禍にあって出生数並びに妊娠届出数は減少しています。また、妊娠したとしても、妊婦が休業した際の賃金保障の脆弱性や、産婦人科が本当にコロナ禍によって受け入れられるのかという問題、あるいは母親・父親学級の中止、さらには産後のフォロー体制の問題など、妊娠、出産、子育てに関する環境はますます厳しくなっています。単に保育所整備という待機児童問題への対応のみならず、必要な財源を確保して国を挙げてトータルで子育てを支援していく体制こそが今求められているのだと思います。
 このような状況の下で、子育てに関する二つの法案が束ねて国会審議にかかることになりましたが、幾つかの点で見過ごすことができないものがあり、以下、七点について坂本少子化担当大臣に質問いたします。
 まず、少子化問題を考える際に、日本は一体、いつから、なぜ子供を産み育てることを諦めなければならない国になってしまったのか、このことを明らかにしておかなければならないと思います。
 平成の時代に入り、女性の社会参加が飛躍的に進む中で、子育て期に女性が労働市場から離れ、子育てが終われば仕事に復帰するといういわゆるM字型カーブが緩やかになり、子供を育てながら仕事を継続していく女性が増えました。
 しかし、社会における性別役割分担意識は根強く残り、家事や育児といった家庭責任は大半が女性の肩に大きくのしかかるという状態が続いています。日本の育児期に働く女性は世界で一番睡眠時間が短いというデータもあるほど、仕事を持ちながら子供を育てることは過酷な生活を強いられるということでもあります。
 さらに、非正規労働が増加し、安定した雇用、安定した収入が得られない労働者が増えていく中で、結婚や出産、子供を諦めてきた人も少なくありません。
 このような子育て環境の問題、特に家事や育児の負担、女性に大きく依然として過度になっている現状が少子化の一因でもあると考えますが、少子化担当大臣、女性の雇用と生活についてどのような認識を持っておられるのか、御見解を求めます。
 次に、今回、児童手当制度が改正されますが、児童手当の本来の目的について伺います。
 政府の少子化社会対策大綱においては、児童手当は子育てに関する支援の一環とされており、ひいては少子化対策としても位置付けられています。待機児童対策としての財源捻出を児童手当の支給制限によるという今回のやり方、本当に少子化対策につながるんでしょうか。逆行するんじゃありませんか。実際、当事者である子育て世帯の多くがこの政策に反対し、私の手元には四万八千名を超える当事者の反対署名が届いております。
 この措置によって少子化がどのように改善されるのか、少子化担当大臣より明確に立法事実と政策効果の見通しを説明いただきたいと思います。
 次に、待機児童対策の財源捻出について伺います。
 我が国の子育て関連予算は令和二年度で五・九兆円しかなく、GDPに占める割合はたった一%にすぎず、OECD加盟国の中でも最下位のランクです。そもそも、子育て予算については主として一般会計より拠出すべきと考えますが、今回のように児童手当の財源を削ってこれを回すというやり方では、子育て予算の全体額が増える方向には進みません。
 政府は、新子育て安心プランにおいて、保育の受皿確保で令和七年度までに必要な追加予算として千四百四十億円を確保するとされています。このうち、ゼロから二歳児相当分の一千億については事業主の拠出金を充てますが、それでも四百四十億円の不足分が生じるとし、児童手当特例給付の見直しによってその財源を捻出しようとしています。しかし、これにより捻出される財源は三百七十億円にしかならず、しかも、システム改修費に二百八十九億円も掛かることになっております。残りの不足分どのように捻出されるのか、大臣より明確な説明をお願いします。
 次に、幼児教育無償化などに関する所得制限の問題について質問します。
 近年導入されたゼロから二歳児の保育料無償化や高等教育における入学金や授業料の減免措置は、子供二人の世帯で夫婦合算二百七十万円以下の低所得者層を対象とした政策であり、中間所得者層の多くは対象外となっています。本当にこれでいいのでしょうか。
 本年三月十五日の予算委員会でも、私は、この中間層に配慮されない冷たい所得制限の問題を指摘させていただき、菅総理からは、制度のはざまにある部分についてもしっかりと検討していきたいとの答弁がありました。どんな検討をしていただいたんでしょうか。少子化対策のためにも、本来子供を産み育てる潜在力を持っている中間層への支援について、所得制限の見直しと保育・教育費の軽減化につながるトータルパッケージ政策を打ち出す必要があると考えますが、総理大臣の答弁も踏まえ、坂本大臣の御見解をお願いします。
 次に、具体的に児童手当の所得制限の在り方について質問します。
 二〇一〇年、民主党政権下において、少子化の解消に向けて、社会全体で子育てを支援するという理念の下に、児童手当の所得制限を全て外した子ども手当制度が施行されました。また、このときに財源対策として年少扶養控除が廃止されましたが、トータルとして家計収入は増えることになりました。
 しかし、この後、所得制限を伴う児童手当制度が復活しましたが、年少扶養控除の撤廃は継続されたままとなりました。これによる家計への影響は所得階級ごとに違ってきますが、所得制限を強めるのであれば、当然、年少扶養控除は復活すべきです。
 政府としては、今回の法改正を含め、負担と給付の関係を試算され、国民に公表して理解を求めるべきであると考えますが、大臣の見解を伺います。
 関連して、特例給付の改正について伺います。
 二〇一二年の児童手当制度の改正において、所得制限により、標準世帯においては、どちらかの親の年収が九百六十万円以上の世帯には児童手当の給付が停止されました。それに代わって、特例給付として一律五千円の支給が決められました。この特例給付の支給の目的、何だったのでしょうか。その際の一律五千円という給付額、決められた根拠と併せ、大臣より説明をお願いします。
 少子化社会対策大綱において、児童手当は、多子世帯や子供の年齢に応じた給付の充実、重点化が必要と指摘しており、当然の意見だと思いますが、政府は、児童手当の目的を児童の養育に伴う家計の経済的負担を社会的に分担することとしています。
 私どもは、児童手当の政策目的は、低所得者世帯だけではなく、高所得者世帯を含む全ての家庭に及ぶものと考えます。現在、税制や社会保険制度で一定の所得再分配が既に機能していますが、児童手当を始め子育て制度において所得制限を厳しく適用すれば、更なる可処分所得の低下を招き、労働意欲にも影響することになります。今回の改正は、少子化対策の目的と整合性が取れているものとは思えません。大臣の見解を伺います。
 二〇一五年、安倍政権は、危機的な少子化の打開に向けて、希望出生率一・八を掲げました。しかし、子供は欲しい、でもお金が掛かる、育てるにはお金が掛かるんです、こういった言葉を何度聞いたことでしょう。一日も早く、子供を持ちたいと願う人がちゅうちょすることなく子供を産み、かつ育むことができる当たり前の社会、実現しなければなりません。
 一人親も二人親も、また、親の所得には関係なく子育て世帯を社会全体で支える、この思いを皆さんと共有したいと思います。
 最後に、今回の法改正に対する審議を、この国最大の課題とされる少子化問題を解決するための充実した議論とせねばならないとの強い決意を込め、私からの代表質問といたします。(拍手)
   〔国務大臣坂本哲志君登壇、拍手〕

#21
○国務大臣(坂本哲志君) 矢田わか子議員の御質問にお答えいたします。
 少子化の背景、要因についてお尋ねがありました。
 少子化の原因といたしましては、未婚化、晩婚化の進行や夫婦の持つ子供の数の減少等がありますが、その背景には、議員御指摘の家事、育児の負担が依然として女性に偏っている状況や、男女の仕事と子育ての両立の難しさのほか、経済的な不安定さ、子育ての中の孤立感や負担感、子育てや教育に掛かる費用負担の重さ、年齢や健康上の理由など、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っていると考えます。
 少子化社会対策大綱等に基づき、安定的な財源を確保しつつ、結婚、妊娠、出産、子育てのライフステージに応じた総合的な少子化対策に大胆に取り組んでまいります。
 児童手当の見直しの目的と効果についてお尋ねがありました。
 児童手当の見直しにつきましては、昨年五月に閣議決定した少子化社会対策大綱や全世代型社会保障検討会議の第二次中間報告等に基づいて検討し、年収一千二百万円相当以上の方は月五千円の特例給付の対象としないこととしたものです。
 一方で、待機児童問題については、四年間で十四万人分の保育の受皿を整備することとしました。この運営に必要となる追加費用については、今般の児童手当の見直しにより生じる財源等に加え、企業からも一千億円を追加拠出していただき、所要額を確保しています。
 今般の児童手当の見直しは、結婚支援の充実、不妊治療助成の拡充、男性の育児休業の取得促進など、総合的な少子化対策を進める中で、年収一千二百万円相当以上の方に限り月五千円の特例給付を見直すものであり、併せて待機児童対策等の子育て支援を着実に進めてまいります。
 新子育て安心プランの財源についてお尋ねがありました。
 十四万人分の保育の受皿確保に係る所要額一千四百四十億円については、企業から一千億円を追加拠出していただき、公費四百四十億円と合わせて所要額を確保しています。
 今般の特例給付の見直しにより公費ベースで約三百七十億円の財政効果が生じることとなり、国費分については安定財源を確保することとなります。不足が生じる地方負担分につきましては、利用者支援事業の国負担割合の引上げにより適切に確保してまいります。
 中間所得層への支援についてお尋ねがありました。
 子育てや教育に掛かる費用負担の重さが、子供を産み育てたいという希望がかなわない障壁の一つになっています。このため、これまでも幼児教育、保育の無償化や高校生等への修学支援など、中間所得層にも裨益する取組を進めてきたところです。
 さらに、今般、新生活への経済的支援を含む結婚支援、不妊治療助成の拡充を含む妊娠、出産への支援、待機児童の解消のための新子育て安心プランの実施や男性の育児休業の取得促進など、男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備など、結婚、妊娠、出産、子育てのライフステージに応じた支援策を全体として充実させています。
 引き続き、少子化社会対策大綱等に基づき、安定的な財源を確保しつつ、少子化対策を全体として確実に進めてまいります。
 制度改正による影響や特例給付の目的等についてお尋ねがありました。
 児童手当の特例給付は、平成二十四年に当時の子ども手当から現行の児童手当に移行する際に、子ども手当の財源として、年少扶養控除を廃止したことによる影響を一定程度緩和する目的で、所得制限に掛からない世帯とのバランスを考慮し、五千円を支給することにしたものと承知しております。
 それ以降も、幼児教育、保育の無償化を実施するなど、高所得者の方も含め、子育て世帯への支援は拡充してきていますが、各家計への影響や負担と給付の関係についてはそれぞれに異なり、一概には言えないものと考えています。
 今回も含め、制度改正の内容については、これまでと同様、国民の皆様に御理解いただけるよう、丁寧に説明をしてまいります。
 児童手当の目的と所得制限を設けることについてのお尋ねがありました。
 児童手当制度は、児童の健やかな成長に資することに加え、家庭等における生活の安定に寄与することを目的としています。
 今回、児童手当の見直しとして、年収一千二百万円相当以上の方を月五千円の特例給付の対象外としていますが、これは、様々な総合的な少子化対策を進める中で、長年の課題である待機児童問題の最終的な解決を図るものであり、全体のバランスを考えた上での措置であるということを御理解いただきたいと考えています。(拍手)
    ─────────────

#22
○議長(山東昭子君) 田村智子さん。
   〔田村智子君登壇、拍手〕

#23
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 本法案は、待機児童解消のため、今後四年間で十四万人分の保育の受皿を整備する、その財源確保のための改定だとされています。
 これまで私は待機児童問題を何度も国会で質問してきましたが、政府の説明にはいつも違和感を持ってきました。なぜ待機児童対策として受皿という言葉を使い続けるのでしょうか。
 東京都の保育ニーズ調査では、保護者が希望したサービスは、複数回答で、公立認可保育所が五割を超え、次いで私立認可保育所が約四割、幼稚園三割、その他施設やサービスは一割台以下です。多くの保護者が望んでいるのは、子供を安心して預けることのできる保育所であることは明らかです。安倍政権の下で七万人の受皿として企業主導型保育が急速に増えましたが、不正に補助金を受けた上、保育の責任を放棄した事業者が大問題にもなりました。
 もう受皿という言い方をやめて、保育所等整備と言うべきではないでしょうか。なぜ受皿と言い続けるのか、その理由と併せて厚労大臣の答弁を求めます。
 受皿という言葉は、保育の質を脇に置いた待機児童対策を象徴しています。初めて待機児童ゼロを掲げた小泉政権以来、定員超過、園庭のない保育所、株式会社参入を促すための基準緩和など、規制緩和が次々と行われてきました。こうした詰め込み保育は、新型コロナ感染症の下で深刻な矛盾を保育現場にもたらしています。
 これまでも、お昼寝では頭がくっつき合うほど狭い、そういう保育室でいいのかが問われてきましたが、新型コロナの下では子供の命と安全を守る基準と言えるのか、真剣な見直しが求められています。保育現場では、お昼寝のたびに保育室のテーブルや椅子を別の場所に移動させるなどの努力が続いていますが、密を避けられる状況にない、感染症対策でますます保育にゆとりが失われていくと苦悩する声が多々寄せられています。
 二歳児以降の活発に動き回る子供に対して、一人当たり一・九八平米、つまりは畳一畳分、これが保育室面積の最低基準です。一九四八年に定められてから一度も改善されていません。感染症対策を考慮した最低基準の見直し、とりわけ面積基準の改善は早急に行うべきではありませんか。厚労大臣、お答えください。
 また、待機児童対策は、保育の量とともに保育の質の向上を目指すことを政府としても明らかにすべきと考えますが、厚労大臣の認識をお聞きします。
 菅政権の下で作成された新子育て安心プランでは、保育士の確保策として短時間保育士の活用が打ち出されました。
 まず、確認します。従来、最低基準上必要とされる保育士について、常勤を充てるとしてきたのはなぜですか。保育の質を担保するためではありませんか。
 今回の規制緩和を図る通知でも、保育の基本は乳幼児が健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境の中で健全な心身の発達を図ること、保育所等の利用児童数が年々増加する中で従来にも増して保育士の関わりは重要、保護者との連携を十分に図るためにも、子供を長時間にわたって保育できる常勤の保育士をもって確保することが原則であり望ましいと述べています。子供の成長発達、保護者との信頼関係築く上で、保育士が入れ替わり立ち替わり働くことは本来望ましくないということではありませんか。
 ところが、この規制緩和によって、例えば、ある保育所で常勤保育士を確保することができず、やむを得ないと自治体が認めれば、全て短時間保育士とすることができるのではありませんか。政府は、臨時的、特例的な取扱いとしていますが、事業者に期限を区切って解消を求めることになっていますか。また、この特例には期限があるのでしょうか。待機児童がいる間は、延々と規制緩和が容認されるのではありませんか。
 常勤保育士を短時間保育士に置き換えても、公定価格は減額されません。これまでも、人件費割合が異様に低い保育所があることは国会で問題にされてきました。月給で働く常勤から時給の保育士に置き換えた方が人件費が安くなることは明らかで、事業者に短時間保育士の活用を促すインセンティブになることも懸念されます。そうならないという歯止めはどこにあるのでしょうか。
 そもそも、保育士不足は、その責任の重さに比べて保育士の処遇が低過ぎることが大きな要因ではありませんか。三月の予算委員会でも指摘しましたが、保育は女性が多く働く職種であり、家庭での子守の延長のように扱ってきた、そうした歴史的、構造的な問題にも切り込んで処遇改善が求められているのです。専門職にふさわしい処遇、経験が評価される処遇とすることこそ必要です。短時間勤務を基本的な保育士配置の中に持ち込むことは、こうした処遇改善に逆行し、逆に保育士不足を加速することにもなるのではありませんか。
 以上、厚労大臣の答弁を求めます。
 次に、児童手当法の一部改正法案について、坂本少子化対策担当大臣に質問します。
 本法案では、待機児童対策の財源確保を理由に、児童手当の特例給付に所得制限を設けることとしています。政府の試算では六十一万人の子供に対して児童手当がゼロになるのです。子供のための予算を削って待機児童対策に充てるというのは、子育て支援策として矛盾しているのではありませんか。子供に対する予算の財源は、社会全体の応能負担によって確保すべきではありませんか。
 また、そもそも日本は、子供に対する現金給付も現物給付も、子育て支援策の予算規模も、欧州などと比べて水準が低過ぎる、経済的負担への支援の弱さが、日本の少子化が改善されない大きな要因の一つだという認識はありますか。
 児童手当は、全ての子供を対象とした現金給付として唯一の制度であり、求められるのはその拡充です。現行制度は、三歳児までが月一万五千円、それ以降は一万円、そして中学卒業で打切りです。子供の年齢に伴う費用負担を見れば、子育ての経済的負担の実態にかみ合っていないとの指摘もあります。なぜ三歳を超えると減額なのか、なぜ中学生までで打ち切られるのか、少子化対策として抜本的な拡充の検討は行わないのか、坂本大臣の答弁を求めます。
 民主党政権で、子ども手当、高校授業料無償化を所得制限なく実施したことは、子供に関する施策の在り方を前進させるものだったと私は受け止めています。安倍政権によってこれらの制度が目の敵にされたことはとても残念です。また、幼児教育無償化、高等教育の低所得世帯への無償化が逆進性の強い消費税増税を財源とされたことも、子供支援策に分断を持ち込むものであったと思います。
 高校授業料無償化に所得制限が持ち込まれようとしていた二〇一三年五月、子供の貧困対策を求める集会で、定時制に働きながら通う高校生が次のような意見を表明しました。
 ほかの高校生の負担で、僕たちの授業料が無料になるというのはおかしい、学ぶことを権利としてほしい、高校に授業料という言葉も教科書代という言葉もなくなることを希望します。
 子供の基本的な権利を保障する施策は、平等に全ての子供を対象として行われるべきだと高校生が私たちに呼びかけたのです。この声に応える政治への決意を述べ、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣坂本哲志君登壇、拍手〕

#24
○国務大臣(坂本哲志君) 田村智子議員の御質問にお答えいたします。
 児童手当の予算の削減と子供のための予算の確保についてお尋ねがありました。
 子育て世帯に対する支援としては、これまでも幼児教育、保育の無償化などを行っており、さらに今般、不妊治療助成の拡充や、新子育て安心プランの実施による待機児童の解消などを行い、子育て世帯全体への支援を充実させてまいります。
 このうち、待機児童問題については、四年間で十四万人分の保育の受皿を整備することとしました。
 この運営に毎年度必要となる追加費用については、社会全体で子育てを支援していくとの大きな方向性の中で、今般の児童手当の見直しにより生じる財源等に加え、企業からも一千億円を追加拠出していただき、所要額を確保しています。
 児童手当の特例給付の見直しについては、このような総合的な少子化対策を進める中で、長年の課題である待機児童問題の最終的な解決を図るものであり、全体のバランスを考えた上での措置であるということを御理解いただきたいと考えています。
 子育て支援のための財政支出についてお尋ねがありました。
 国によって国民負担率などが異なることから、単純に比較することは適当ではありませんが、我が国の家族関係社会支出の対GDP比は、欧州諸国と比べて低水準となっていると指摘されています。総合的な少子化対策を大胆に進めていくためには、必要な安定財源を確保しつつ、効果的な少子化対策に、できることから速やかに着手することが重要だと考えています。
 政府では、これまでも幼児教育、保育の無償化、高等教育の修学支援など、子育て世帯全体の支援を充実させてきたところです。
 さらに、今般、不妊治療助成の拡充を含む妊娠、出産への支援、待機児童の解消のための新子育て安心プランの実施や、男性育児休業の取得促進など、男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備など、ライフステージに応じた支援策を全体として充実させることとしています。
 引き続き、少子化社会対策大綱等に基づき、必要な安定財源を確保しつつ、少子化対策を全体として確実に進めてまいります。
 児童手当の支給額や支給対象児童と、拡充の検討についてお尋ねがありました。
 児童手当は、昭和四十七年の制度創設から、支給対象児童や支給額を累次改正し、現在の制度となっています。
 平成十九年度には、小学校修了までの第一子及び第二子について月額五千円であったところ、ゼロ歳から二歳について一万円に支給額が拡充されました。また、平成二十四年度には、支給対象児童が中学校修了までとされました。
 本法案においては、附則に検討規定を設け、子供の数等に応じた児童手当の効果的な支給及びその財源の在り方や支給要件の在り方について検討することとしているところであります。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#25
○国務大臣(田村憲久君) 田村智子議員にお答えいたします。
 受皿という言葉についてお尋ねがありました。
 待機児童対策において、保育所等の設備、施設整備だけではなく、幼稚園の預かり保育や居宅訪問型保育事業など様々な保育の提供について受皿という文言を使用いたしております。
 いずれにいたしましても、保育の量的拡充と質の確保を両輪として進めてまいります。
 感染症対策を考慮した面積基準の見直しについてお尋ねがありました。
 感染症対策は施設の面積のみによるものではなく、今般の新型コロナウイルスの感染が拡大する中においても、各保育所では、消毒や換気など、必要な対策を行っていただいております。
 面積基準を単に引き上げることについては、これまで保育所を利用していた方が利用できなくなるおそれもあり、現時点ではその予定はございません。
 保育の量と質の確保についてお尋ねがありました。
 待機児童の解消に当たっては、保育の量的拡充と質の確保を両輪として進めていくこととしており、今国会の厚生労働委員会における私の所信表明においても、待機児童解消について、昨年末に定めた新子育て安心プランに基づき、保育の受皿確保に取り組むとともに、保育の質の確保、向上も図ってまいりますと述べたところであります。
 保育所に常勤の保育士を充てることとしてきた理由についてお尋ねがありました。
 子供の健全な心身の発達を図るためには、保育士の関わりが重要であり、また、保護者との連携を十分に図るためにも、子供を長時間にわたって保育できる常勤の保育士を確保することが原則であり、望ましいと考えております。
 三月十九日付けで自治体にお示しした短時間勤務の保育士の取扱いに関する通知においても、こうした考え方に変わりはない旨お示しをいたしております。
 短時間勤務の保育士の活用に関する取扱いについてお尋ねがありました。
 具体的な取扱いとしては、常勤保育士が確保できないことにより待機児童が発生しており、市町村がやむを得ないと認める場合に限り、不足する常勤保育士の限りにおいて、短時間勤務の保育士を充てても差し支えないこと、その際、常勤保育士の募集を適切に実施しているかを確認すること、常勤保育士の確保が可能となった場合には、本取扱いについて早期に解消を図ることとしております。
 各自治体においては、こうした要件を確認した上で、適切に運用いただきたいと考えております。
 短時間勤務の保育士の活用に関する歯止めについてお尋ねがありました。
 短時間勤務の保育士を活用する際には、同一労働同一賃金の観点から、同じくグループ担任を務める常勤の保育士の待遇との間に差を設けないなど、短時間勤務と常勤との間で不合理な待遇差を設けないこと、自治体による指導監査において、短時間勤務の保育士に対する処遇の適正性を確認することなどの留意点をお示しをいたしております。
 保育士不足の要因などについてお尋ねがありました。
 保育人材の確保に当たっては、処遇改善や業務負担の軽減など、様々な取組を総合的に行っていく必要があると考えております。
 一方、短時間保育士の取扱いについては、保育士不足で待機児童が発生しているやむを得ない場合の措置であるとともに、保育士が再就業する場合の希望条件として、勤務時間や雇用形態を挙げられている状況を踏まえたものであります。
 保育人材の確保と制度の適切な運用に引き続き取り組んでまいります。(拍手)

#26
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────

#27
○議長(山東昭子君) 日程第一 国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。地方創生及び消費者問題に関する特別委員長石井浩郎さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔石井浩郎君登壇、拍手〕

#28
○石井浩郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、地方創生及び消費者問題に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、産業の国際競争力の強化等に関する施策の総合的かつ集中的な推進を図るため、法人農地取得事業に係る農地法の特例措置の期限を二年間延長するとともに、建築基準法等の特例措置その他の国家戦略特別区域に係る法律の特例に関する措置を追加しようとするものであります。
 委員会におきましては、養父市における法人農地取得事業に対する評価、法人による農地取得に係る懸念、農地取得の特例制度のニーズと問題点の調査の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民の岸委員より反対、日本共産党の大門委員より反対の旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#29
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#30
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#31
○議長(山東昭子君) 日程第二 畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長上月良祐さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔上月良祐君登壇、拍手〕

#32
○上月良祐君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、我が国畜産業の国際競争力の強化を図るため、畜舎等の建築等及び利用に関する計画の認定制度を創設し、当該認定を受けた計画に基づく畜舎等に関する建築基準法の特例を定めようとするものであります。
 委員会におきましては、新法で特例を創設する理由、畜舎の技術基準及び利用基準の在り方、特例による建築費用削減の効果等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して紙理事より反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#33
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#34
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#35
○議長(山東昭子君) 日程第三 デジタル社会形成基本法案
 日程第四 デジタル庁設置法案
 日程第五 デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案
 日程第六 公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案
 日程第七 預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上五案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長森屋宏さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔森屋宏君登壇、拍手〕

#36
○森屋宏君 ただいま議題となりました五法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、デジタル社会形成基本法案は、デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進し、もって我が国経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現に寄与するため、デジタル社会の形成に関し、基本理念及び施策の策定に係る基本方針、国、地方公共団体及び事業者の責務、デジタル庁の設置並びに重点計画の作成について定めようとするものであります。
 なお、衆議院におきまして、是正が図られなければならない利用の機会等の格差の要因について、身体的な条件を障害の有無等の心身の状態に改めること、国及び地方公共団体が行う施策に公正な給付と負担の確保のための環境整備を追加すること等について修正が行われております。
 次に、デジタル庁設置法案は、デジタル庁を内閣に設置することとし、その所掌事務及び組織に関する事項を定めようとするものであります。
 次に、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案は、個人情報の保護に関する法律、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の関係法律について所要の整備を行おうとするものであります。
 次に、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案は、公的給付の支給等に係る金銭の授受に利用することができる預貯金口座をあらかじめ登録できることとするとともに、一定の公的給付の支給を実施するための基礎とする情報について個人番号を利用して管理できることとする等の措置を講じようとするものであります。
 最後に、預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案は、預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理に関する制度及び災害時又は相続時に求めに応じて口座情報を提供する制度を創設する等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、五法律案を一括して議題とし、総務委員会との連合審査会を行い、参考人から意見を聴取したほか、内閣総理大臣の出席を求め、質疑を行いました。
 委員会における主な質疑の内容は、これまでのIT政策の総括、デジタル庁設置の意義と今後の展開、デジタル人材の育成・確保策、デジタルデバイドへの対応策、個人情報保護とデータ活用のバランス、個人情報保護条例の取扱い、個人情報保護委員会の体制及び権限、マイナンバーの活用の在り方と給付金支給の迅速化、押印、書面の見直しの意義と課題等でありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民の小沼委員よりデジタル庁設置法案及び預貯金口座登録法案に賛成、他の三法律案に反対の旨、日本共産党の田村委員より五法律案に反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで、順次採決の結果、五法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、五法律案に対し附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#37
○議長(山東昭子君) 五案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。小沼巧さん。
   〔小沼巧君登壇、拍手〕

#38
○小沼巧君 立憲民主・社民の小沼巧です。
 私は、立憲民主・社民会派を代表して、デジタル庁設置法案及び公的給付迅速化のための口座登録法案に賛成、デジタル社会形成基本法案、デジタル社会形成整備法案並びに個人番号利用による口座管理法案に反対の討論を行います。
 新型コロナウイルス感染症が国内で確認されてからほぼ一年と四か月を過ぎまして、内外の情勢はますます混乱を極めているのであります。コロナ禍の収束は非常に重大なる問題であり、内外の政治はことごとくコロナ禍を中心として動いている。それゆえ、コロナ禍はいかに収束せらるるものであるか、その収束せらるる内容はいかなるものであるか。かかる全体像から鳥瞰した際、今般のデジタル関連法案がいかなる役割を果たし、また、いかなる部分では役割を果たさないのか。良識の府たる参議院議員諸兄姉におかれましては、DXやらUI、UXやらアジャイルやら、近頃のデジタル改革の熱狂に浮かれた抽象観念に惑わされることなく、いま一度、真剣かつ具体的に考えていただきたいのであります。
 さて、現総理大臣が、この壇上において、爆発的な感染は絶対に防ぐと令和二年十月二十六日に所信を述べ、感染症を一日も早く収束させると令和三年一月十八日に施政方針を述べた事実は御記憶のことと存じます。
 ところが、デジタル庁なる構想を華々しく祭り上げ、コロナ禍で苦しむ国民への個別対応に回れたはずの国家公務員を少なからず召し上げて法改正に専念させ、実に四十五か所ものミスを含む参考にならない参考資料を議員各位の脳裏へと蔓延させながら、今回の法案審議に至ったのであります。
 一体全体、デジタル関連法案が施行されると、いかなる問題がいかに解決されるのか、委員会質疑ではついぞ不明だったのであります。いわく、政府のシステムのつくり方が変わり、予算の最適化ができる。いわく、政府が事前に所得が低い家庭を知ることができ、迅速な給付が可能になる。一見なるほどと聞こえそうではありますが、私の見るところ、論点設定を間違っているのであります。
 予算であれば、財務大臣や行革担当大臣が設置されておる以上、制度としては相当に完備されておる。ゆえに、問題は制度ではなく、その制度を運用する人であります。
 また、何ゆえ国民が困窮しているかを突き詰めれば、いわゆるアベノミクスのてん末であるとともに、緊急事態宣言やコロナ禍の継続を許しているからである。
 完全新規の支援策が打ち出されるならまだ忍ぶべしといえども、既存の支援策の手順が少し変わるのみで、大したインパクトもない。自粛や禁酒や相互監視は今後も継続し、倒産、廃業、失業、自殺が増える混沌とした未来を変える切り札にもならない。論点設定を間違えば、間違った答えにしかたどり着けないことは自明であります。
 真に解くべき論点は、霞が関の政策のつくり方、業務処理のやり方というオペレーション課題であります。にもかかわらず、改革の名声を得ようと戦略課題として仰々しく祭り上げた過ちによって、様々な不満や不条理を国民心理に蔓延させている現実を政府は真剣に反省しなければならないのであります。
 持続化給付金の例を挙げれば、五〇%の売上げ要件を一%でも満たさねば問答無用で排除された。病に倒れて他界した父に代わって一家の生活を支えるため無理してお店を開いた家族経営の飲食店は、売上げゼロの令和二年五月は、書類上、父親が代表者で事業承継していないとの理屈で、死亡による事業承継特例は使えないと、助けを求めたのに一刀両断で切り捨てられた。何たる不条理でありましょう。
 デジタルとは、アナログとの対比で定義すれば、ゼロか一かの世界であります。本来、ゼロか一かのはざまで苦しむ不条理を正すことこそ国民本位の行政のデジタル化であると私は考えますが、いかがでしょうか。
 本法案は、かかる不条理を正す内容になっていないのであります。見たくない現実から目をそらし、デジタル化で万事解決するかのような幻想を振りまくのは、国民を欺く暴論であります。ゼロか一かの発想で機械的に処理するのではなく、様々な人間事情に思いをはせて柔軟に個別対応するべきであった。このことを、オンラインだの効率化だなどと叫びながらも長らく怠っている政府の姿勢は大いに戒めねばならぬのであります。
 デジタル庁が民間人材を大量に抱え込んだところで、しゃくし定規的な制度のはざまで苦しむ国民の不条理は救われるのか。答えは否であります。システムの裏には業務プロセスがあり、その理解と改善が真剣に検討されなければ、何が適切なシステム要件なのか定義すらされず、政策立案や住民に向き合う行政現場は機械やAIに翻弄されるばかりであります。
 現内閣が推進せんとする画一的なデジタル化は、義理と人情でもって多種多様な不条理を正すという経国済民の本義に背いているのみならず、現場の意見や担い手の業務プロセスを信頼していない、まさに権威主義そのものであります。
 幾ら誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化と美辞麗句を並べ立てても、申請を行う国民や申請を処理する現場や担い手が腹落ちしなくては、コンセプトはあっても実際の活動にはリンクしない。仏作って魂入れず、これまでの二の舞になることは確実であります。
 権威主義的に標準化を進めて例外を認めない改革は、現場での創意工夫を否定して国民の活力を失わせる亡国への道である。霞が関が全知全能であれば理解できるが、現実は異なるのであります。
 お断りいたしておきますが、私は決してデジタル改革に反対するものではない。改革すべき必要があるならば、速やかに改革をしなくてはならぬのでありますが、ただ近頃のデジタル化の熱狂に浮かれて、何か改革しなくては面目が立たない、DXの旗を立てんがために強いて不自然なデジタル改革をすることについては、私どもは断固として反対するものであります。
 かかる観点から、個別法案ごとに賛否理由の勘どころを申し述べます。
 デジタル庁設置法案は、行政サービスが複雑なコングロマリットと形容すべき事業であることに鑑み、既存組織とは全く異なる組織の論理の言わば出島としてスモールスタートを始めるものと理解します。これは、経営戦略として合理的であると考えられるため、賛成いたします。
 また、公的給付迅速化のための口座登録法案も同様に、言わば出島でのスモールスタートの一要素であり、その参加は自発的意思に立脚しているため、賛成であります。行く行くは給付付き税額控除や個人単位での給付に結び付くことを期待するものであります。
 他方、デジタル社会形成基本法案は、丁寧な議論を経たといっても、地方自治体の創意工夫を抑圧する危惧が残るのであります。
 確かに、情報システムの共同化又は集約自体が義務ではないこと、重点計画の策定に当たっては自治体職員や現場のオペレーションを重視して幅広く意見を聞くこと、かかる法令解釈をするのだという言質が取れたことは大いに歓迎すべきであります。しかし、検察官定年延長という閣議決定による解釈変更、このあしき前例が撤回されていない以上、立法府の意思を行政府がひっくり返すおそれが排除されたとは確信を持てず、あえて反対をするものであります。
 また、デジタル社会形成整備法案は、個人情報保護の懸念が残るのであります。
 確かに、監視社会や一元化の手段にはしないとの言質が取れたところは歓迎すべきではありますが、実際の担い手たる個人情報保護委員会の体制強化の中身は、ついぞ語られなかったのであります。センシティブな個人情報が、利便性という美名に隠れて、自らのあずかり知らぬところで悪用されないか、運用段階での具体論が固まっていない現状ではリスクを管理できないとのそしりを免れ得ず、これも反対するものであります。
 そして、個人番号利用による口座管理法案は、立法事実自体が机上の空論に聞こえるのであります。政府は、直近十年間の弊害の実例をまともに答弁できなかった。広報予算の膨張を正当化するためのロジックにしか聞こえず、もう一度考え直した方がよいとの叱咤激励の意味を込めて反対いたします。
 以上が、二法案に賛成、三法案に反対する勘どころであります。
 良識の府たる参議院議員諸兄姉におかれましては、党議拘束があることは重々承知しておりますが、ゼロか一かのはざまで苦しむ国民の不条理を正す内容となっていない本法案に対する態度をいま一度考え直していただくということをお訴え申し上げ、討論といたします。
 御検討のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

#39
○議長(山東昭子君) 徳茂雅之さん。
   〔徳茂雅之君登壇、拍手〕

#40
○徳茂雅之君 自由民主党の徳茂雅之です。
 私は、自民、公明を代表し、ただいま議題となりましたデジタル改革関連法案に対し、賛成の立場から討論を行います。
 冒頭、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対し、哀悼の意を表します。また、闘病を続けておられる皆様にお見舞いを申し上げます。
 先週、東京、大阪、兵庫、京都の四都府県に出されている緊急事態宣言は、今月末まで延長されました。愛知と福岡も追加されました。まん延防止等重点措置対象地域も八道県に拡大されました。
 感染拡大が続く厳しい状況の中、外出自粛要請に御協力をいただいている国民の皆様、休業要請などに応じていただいている事業者の方々、そして医療、介護の現場で懸命の尽力をいただいている関係者の皆様に心より敬意と感謝を申し上げます。
 世界デジタル競争力ランキング二〇二〇では、日本は二十七位、その上には、アジアではシンガポール、香港、韓国、台湾、中国、マレーシアが位置しています。これまでの経済地図を全く違ったものにするほどの破壊力を持っていると言われるのがデジタル化です。そのデジタル化において、二〇〇一年にIT基本法に基づきIT戦略本部を設置し、世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成を目指し、ブロードバンドインフラの整備を推進してきたにもかかわらず、我が国のデジタル競争力は信じ難い順位となっています。
 高速インターネット網を整備したとしても、デジタルの世界の技術開発は日進月歩であり、更なる高速、低遅延、同時接続を可能とする5Gサービスも登場しています。しかも、高速通信網は、人工知能、自動運転などの展開と深く結び付いています。絶え間ない努力によって技術競争とその展開で世界をリードしていかなければなりません。
 また、新型コロナウイルス感染症対策を進める中で、デジタル化の遅れが施策の速やかな実施の隘路になったことは、昨年の特別定額給付金の支給事務の遅れを見ても明らかです。今こそ、デジタル化の恩恵が社会経済、国民生活の隅々にまで行き渡るようにしなければなりません。
 そのためには、我が国は、新たにデジタル化の旗を高く掲げ、次の時代の原動力としていくという不退転の覚悟を示し、官民を挙げて総力を結集すべきであり、この法案はまさにその旗であります。私がこの法案に賛成する最大の理由は、まずこの一点です。
 我が国が社会のデジタル化で後れを取ってしまったのはなぜだったのでしょうか。最大の問題は、いわゆる縦割りという組織の壁だったのではないでしょうか。デジタル化は、あらゆるものが結び付くことでネットワーク効果を生み出し、幾何級数的に力を発揮します。それにもかかわらず、霞が関の中ではデータは共有化されず、同じ省の中でもシステムが局あるいは課ごとに発注されていることで、相互性が考慮されていないことも少なくありません。また、組織により個人情報保護の基準が異なれば、共通活用の支障ともなります。
 この状況を打ち破るには、強力な調整権能を有する組織が必要です。新たに創設するデジタル庁にはデジタル監を置き、官民問わずデジタルに詳しい専門家を集めます。来年度以降、国家公務員総合職試験ではデジタル分野が実施されます。民間企業の優秀なデジタル人材を念頭に置いた中途採用も始まっています。
 デジタルに詳しい専門家の目を通じて、必要な予算を大胆に一括計上します。省庁間調整が必要となれば、大臣の政治判断で迅速に解決することが可能です。
 これまでの官僚組織と異なり、強力な調整権限を発揮するデジタル庁を創設することにより、行政組織の縦割りを打破することこそ、私がこの法案に賛成する大きな理由の一つです。
 さらに、デジタル化を推進する上で何より大切なことは、誰もが取り残されないデジタル社会を実現することであります。デジタル化は、あくまで手段であって目的ではありません。国民生活を便利にしていくべきデジタル化が、逆に格差をつくり出しては本末転倒です。
 同時に、安全で安心できる誰にとっても使い勝手の良いデジタル社会でなければなりません。個人情報の悪用などの懸念があってはなりません。この点でも、高齢者や障害がある方、デジタルに苦手意識がある方にとって使い勝手の良い行政サービスの実現、身近な場所で身近な人からICT機器、サービスの利用方法を学べる環境づくりを推進する仕組みであるデジタル活用支援員制度という情報リテラシー向上に関する取組も充実されます。
 また、国民一人一人が安心して参加できるデジタル社会を形成するために、本法案においては、サイバーセキュリティーの確保、情報通信技術を用いた犯罪の防止、個人情報の保護等の措置が講じられなければならない旨の規定も整備されています。
 デジタル社会の構築に向け、核となるマイナンバーについても、これを活用した情報連携の拡大による行政手続等の効率化が図られることとなっています。マイナンバーカードを保有することの個人的なメリットが実感できるようになります。さらに、マイナンバーカードの電子証明書の発行、更新等についても、市区町村の窓口での事務手続に加えて、地域住民に身近な指定された郵便局でも取扱いが可能となり、利便性向上につながることとなります。公平公正な社会を実現するデジタル社会の基盤となるマイナンバーカードは、デジタル社会の言わばパスポートとしてますます認識されるようになるものと期待しています。
 以上、本法案に賛成する主な理由を申し上げました。議員各位の御賛同を賜りますことを強くお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。(拍手)

#41
○議長(山東昭子君) 伊藤岳さん。
   〔伊藤岳君登壇、拍手〕

#42
○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。
 私は、日本共産党を代表して、デジタル関連五法案に対する反対討論を行います。
 デジタル技術の発展と普及によって、行政等の業務や手続を効率化すること、国民生活の利便性を向上させることは大切です。しかし、それは、行政機関が保有する膨大な個人情報の利活用を国民自らが監視、監督できる法整備、体制整備と一体に行われなければなりません。
 しかし、本法案には、個人情報のビッグデータ化、顔認証などAIの普及の下での個人情報保護、個人の基本的人権尊重のための新たな規定も、その考え方さえも欠落しています。行政機関が特定の目的のために集めた個人情報をもうけの種として、本人の同意もないままに目的外利用、外部提供し、成長戦略や企業の利益につなげようとするものです。
 この間、官業の開放といって行政サービスの切り売り、民営化が推進されてきました。今度は行政が保有する個人情報まで営利企業へ開放しようというものではありませんか。公的部門の個人情報は、公権力を行使して取得されたり、申請、届出に伴い義務として提出されたりするものがほとんどです。だから、公的部門はより厳格な個人情報保護が必要とされてきたのです。守るべき個人情報をもうけの種とすることが行政の仕事と言えるでしょうか。
 反対理由の第一は、個人情報保護をないがしろにして、プライバシーを侵害するおそれがあるからです。
 政府機関等が本人同意を得ずにデータを外部提供できる非識別加工情報制度の実態が参議院の審議の中で浮き彫りとなりました。
 既に、国や独立行政法人は、大量の個人情報ファイルを非識別加工し、民間利活用の提案募集にかけています。横田基地騒音訴訟の原告の方々の情報や国立大学の学生の家庭事情、受験生の入試の点数まで、データ利用したい民間事業者からの提案募集の対象としてきました。
 データ提供された事実を本人に通知しないばかりか、私の情報は提供対象から外してほしいと要求しても、本人から自らの個人情報の利用の停止や削除について請求できる規定はないと平井デジタル改革担当大臣が認めています。幾ら特定の個人を識別できないように加工したものだと言い訳をしたところで、プライバシーに関わる情報を本人が知らぬ間に行政から民間へデータ提供するのがこの制度です。
 また、一昨年発覚したリクナビ事件のように、この間、プロファイリング、スコアリングが個人の人生に大きな影響を与える事態を引き起こしています。個人情報保護委員会は、厳格に対応すると言いつつも、結果として、個人の権利利益が侵害されるかどうかで対応すると繰り返し、作成している個人情報保護法二〇年改定のガイドラインにリクナビ事件を例示するとすら明言しませんでした。
 現行の個人情報保護法は、個人情報の範囲が狭く、閲覧履歴等の端末情報は保護されていません。プライバシーポリシーなど利用目的が公表されていれば、本人に自覚がなくても同意したとみなされます。インターネット上に残る個人のデータの削除、消去、利用停止といった忘れられる権利からは程遠く、プロファイリングに関する規定も明記されていません。
 個人情報の保護、権利保障の仕組みをAIなどデジタル技術の進展に対応させることが急務です。しかし、このデジタル関連法案にはこの観点が欠けています。個人情報は個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであり、プライバシーを守る権利は憲法が保障する基本的人権です。個人情報保護法は、個人の権利を明確にし、プライバシー権の拡充が必要です。どんな自己情報が集められているかを知り、不当に使われないように関与する権利、自己情報コントロール権、情報の自己決定権を保障することが今こそ必要です。
 さらに、本案は、個人情報保護法制の一元化により、地方自治体が独自に制定する個人情報保護の条例にも縛りを掛けるものです。匿名加工した個人情報を外部提供するオープンデータ化を都道府県や政令市に義務化し、条例による個人情報のオンライン結合の禁止を認めないとしています。
 個人情報保護の仕組みを切り捨て、市民が築き上げてきた保護のための制度を壊すことは許されません。
 また、政府は、マイナポータルを入口にして、個人情報を更に集積しようとしています。集積された情報は攻撃されやすく、一度漏れた情報は取り返しが付きません。政府だけでなく、地方自治体にも、医療、教育といった準公共部門にも利用させようとしているガバメントクラウドは、整備するデジタル庁のアクセス権は不透明なままで、システムの巨大化が更なる下請を生み出し、プライバシー侵害の懸念が拭えません。
 第二は、地方自治に対する侵害です。
 本案では、国と自治体の情報システムの共同化、集約を掲げており、地方自治体は、国がつくる鋳型に収まる範囲の施策しか行えないことになりかねません。
 現行の自治体クラウドにおいても、地方自治体のカスタマイズを認めないことが問題となっています。住民福祉の向上などのためにこれまで地方自治体が独自に実施してきた業務が、行政の効率化、財政健全化を理由に削られていくことは明らかです。
 また、強力な権限を持つデジタル庁は、国の省庁にとどまらず、地方自治体や準公共部門に対しても予算配分やシステムの運用について口を挟むことができるようになります。また、個人情報保護委員会が条例作りに関与できるようになっていることも重大です。
 自治体の独自施策を抑制させることは、地方自治への侵害であり、認めることはできません。
 第三に、国民にマイナンバー制度を押し付けようとしていることです。
 本案では、個人の預貯金口座のマイナンバーひも付けなどを盛り込んでいます。マイナンバー制度は、国民の所得、資産、社会保障給付を把握し、国民への徴収強化と社会保障費の削減を進めるものです。そもそもマイナンバー制度は廃止すべきです。
 委員会の質疑でも、また参考人質疑でも、今回の法案が監視社会につながる懸念が多数示されました。EUのGDPR、一般データ保護規則は、そうならないようデジタル化に対応した個人情報保護の強化を図るために作られました。また、EUでは、自分のデータを自分で管理するデジタル民主主義の取組、個人起点のデータ流通システムが始まっています。こういう方向にこそ、監視社会ではなく、真に人々の暮らしのためにデジタル化を生かす道があるのではないでしょうか。このことを強く指摘をしたいと思います。
 今、国民は新型コロナ克服のために苦闘中です。政府はコロナ対策に全力を傾注すべきときであることを強調し、討論とします。(拍手)

#43
○議長(山東昭子君) 柴田巧さん。
   〔柴田巧君登壇、拍手〕

#44
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりましたデジタル改革関連法案について、賛成の立場で討論いたします。
 我が国では、二〇〇〇年のIT基本法以降、デジタルガバメントを目指して幾つもの法律が制定され、計画が策定されてきました。また、この二十年の間、毎年約一兆円程度デジタル政策に投じられてきましたが、オンラインで完結できる行政手続は僅か七・五%と、デジタル化は進まず、オンライン利用率はOECD加盟国の中で最下位という不名誉な地位にあります。加えて、今回の新型コロナ禍で給付金の支給が大幅に遅れるとともに、保健所からの感染者の報告がファクスや手入力等旧態依然の方法で行われるなど、迅速な支援や業務処理が極めて困難であるという実態が浮き彫りになりました。このように、我が国はまさにデジタル敗戦を喫しています。
 そういう中、ようやく政府は行政のデジタル化に本腰を入れ出しました。遅きに失したとはいえ評価するものであります。なぜ敗戦と呼ばざるを得ない事態に甘んじてしまっているのか、よく検証し、反省をした上で、日本経済をアップデートするためにも、デジタル改革関連法案を成立させることは不可欠と考えます。
 以下、賛成する具体的な理由を述べます。
 まず第一は、我が党の提案により衆議院でデジタル社会形成基本法案が修正され、透明で公平公正な経済社会の構築がより可能になったことです。
 同法案の政府原案では、国及び地方公共団体の役割に関する規定が、国民の利便性の向上並びに行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上を挙げるにとどまっていました。これでは合理化のみが国や地方公共団体のデジタル施策の中心であるかのような印象を与えることから、我が党としては、国民の所得と資産を捕捉した上で、取るべきところから取り、手を差し伸べるべき方々にはしっかり手を差し伸べることのできる公正な給付と負担を確保すべきと提案をいたしました。そうしたところ、自民、公明の皆さんには御賛同いただき、三会派で修正案を提出、衆議院で可決されました。この修正により、透明で公平公正な経済社会の構築により近づける道が開かれたと確信をしています。
 賛成する第二の理由は、この法案が成立すれば、マイナンバー活用のグラウンドが広がることです。
 我が党は、当初より、透明で公平公正な経済社会の構築にはマイナンバーのフル活用が必要と主張してきました。
 本法案によれば、医師免許等国家資格に関する事務へのマイナンバーの利用が拡大され、添付書類の省略等による手続の簡素化、行政機関等における登録等の処理の効率化、登録情報の正確性の確保、最新化、マイナポータルを活用した資格証明などが可能になります。また、国民にとって公的給付への申請手続の簡素化、給付が迅速になることや、災害時や相続時に口座情報が提供されることにより、手続の負担の軽減等が実現します。
 しかしながら、全ての預貯金口座にひも付けされないことは大変残念であります。衆議院では、我が党と国民民主党が共同で全ての預貯金口座へのマイナンバーのひも付けを義務化する法案を提出をしましたが、与党も含めた多数に否決をされました。このことは、マイナンバーフル活用に向けて政府・与党の覚悟が欠如しているあかしだと言っても過言ではありません。
 行政の情報管理を効率化し、給付と負担の適切な関係に資するマイナンバー制度の趣旨からすれば、本来任意ではなく全ての預貯金口座にマイナンバーを付番すべきものです。中途半端な取り組み方では、日本のデジタル社会の未来を明るいものにはできません。我が党としては、引き続き、全ての預貯金口座へのマイナンバーのひも付け義務化を強く求めていきたいと存じます。
 賛成する第三の理由は、行政デジタル化の司令塔であるデジタル庁が設置されることへの期待です。
 これまでは、中央官庁のデジタルシステムは縦割りでばらばらである上、地方公共団体もそれぞれのシステムを有しており、有機的なつながりはおぼつかない状態でした。このため、本来ならば共通化、標準化できるシステムや事務が多くあるにもかかわらず、重複投資が長い間放置されてきただけではなく、組織間で連携させることが難しかったがために、給付金の遅延といった事態に陥ってしまいました。この反省の上に立ってデジタル庁が設けられます。
 デジタル庁は、デジタル社会の形成に関する司令塔として他の省庁への勧告権を持ち、強力な総合調整機能を有する組織とされています。また、基本方針を策定するなどの企画立案や、国、地方公共団体、準公共部門等の情報システムの統括、監理を行うとともに、重要なシステムについては自ら整備するものとされています。
 社会全体のデジタル化に向けて、行政の縦割り打破、大胆な規制の改革を行い、新型コロナへの対応において明らかとなった様々な課題を根本的に解決していくことを期待をします。そのためにも、デジタル庁は、行政業務を単にデジタルに置き換える旗振り役としてではなく、組織横断的に徹底した改革を推進する役割こそ果たすべきです。そして、行政の現場で非効率となっている業務プロセスや不合理な制度、慣行などを利用者視点から徹底的に見直し、仕事内容やサービスの課題を改善するなど、質を高めていかなければなりません。
 デジタルトランスフォーメーションがコーポレートトランスフォーメーションを導く新たな行政経営モデルを実現しなければ、日本に明るい未来はありません。供給者側の事情を優先する発想が変わらない限り、行政のデジタル化も規制分野のデジタル化も絵に描いた餅となり、そのツケは利用者たる国民が負うことになります。失敗を繰り返さないためにも、デジタル庁は国民起点で業務を遂行すべきであることを強調をしておきます。
 賛成する第四の理由は、審議を通じて、国民の行政手続コストを削減するために、明確な数値目標や工程表を策定することを政府が明らかにしたことです。
 行政のデジタル化を進めれば、行政業務の簡素化、効率化を実現するだけではなく、その手続コストが削減され、民間の活力を引き出して、経済の活性化を図ることができます。
 二〇一九年十二月に公表された経済産業研究所のレポートによれば、国の行政手続だけでも、民間は年間に作業時間三億三千三百三十七万時間を要し、金銭に換算すると八千二百八億円も掛かっているとのことです。したがって、行政手続コストを削減し、それらを本来投資すべきところに適切に振り向けられれば、民間は新たな価値を生み出していくことが可能です。
 しかし、いつまでに、どれだけ、そして、どのように手続コストを削減するのかは判然としませんでした。
 そこで、政府挙げてコスト削減に取り組むには、明確な数値目標を設定するとともに、実現に向けた具体的な工程表を策定すべきと本会議でただしたところ、菅総理は、今後、デジタル庁において全ての政府情報システムについて統括、監理を行う中で、具体的なコスト削減効果も含め、明確な数値目標や工程表を策定してまいりますと答弁をしました。
 やはり、目標とスケジュールがはっきりしなければ事は進みません。デジタル庁設置後、できるだけ早期に数値目標と工程表が策定され、それに基づき、政府全体でコスト削減の効果的な取組が実施されることを求めておきます。
 終わりに、まさに敗戦から立ち上がり、これがラストチャンスと位置付け、これまでにない取組を強力に繰り出して、我が国の新たな発展、飛躍を期すとともに、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル社会を今こそ構築しなければなりません。
 さいは投げられました。転換期にあるからこそ、小手先の微修正を繰り返すのではなく、また、びほう策の連続ではなく、未来のあるべき姿を大きく描き、その実現に向け大胆な改革を断行すべきであります。
 日本維新の会は、引き続き、このような考えの下、前例踏襲主義や縦割り行政、そして既得権を打ち破り、新たな時代の幕を開けるべく果敢に挑戦し続けることをお誓いをし、私の賛成討論といたします。
 ありがとうございました。(拍手)

#45
○議長(山東昭子君) 矢田わか子さん。
   〔矢田わか子君登壇、拍手〕

#46
○矢田わか子君 国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。
 会派を代表して、政府提出デジタル改革関連法案に関し、賛成の立場で討論をいたします。
 我が国では、二〇〇〇年にIT基本法が施行され、電子政府がスタートしました。約二十年が経過しましたが、その間、マイナンバー制度が整備され、電子申請システムも構築されたものの、行政の効率化、行政におけるシステムの統合化、そして何よりも国民の行政手続における利便性の向上という点に関し、大きな進展は見られませんでした。
 一方、IoT、ICT、ビッグデータ、5G、AIなど、デジタル技術は急速に進歩し、産業、経済、そして国民生活の中に様々なハードやシステムが実装され、大きな影響を与えています。
 デジタル技術に関して思い出すのは、私が総合エレクトロニクスメーカーに勤めていたときのデジタルビデオカメラの発売です。一九九五年、約二十五年も前のことです。海外出張の際にビデオカメラを持参しましたが、このビデオカメラは、当時、世界最小最軽量、世界初の手ぶれ防止機能が付いたものでした。アジア諸国はもとより、欧米諸国の方々からもとても珍しがられ、触らせてほしいとせがまれました。それほど我が国のデジタル技術力は先頭を走っていたのです。
 しかしながら、その後の我が国のデジタル分野における競争力の低下は、携帯電話、太陽光発電、半導体製造、ITプラットフォーマーの実情を見れば明らかであります。開発現場の技術者たちは世界最先端を走り続けるために命を削る思いで必死に走り続けてきたわけですが、一体何が間違っていたのでしょうか。次々と中国や韓国勢にシェアを奪われ、本当に悔しい思いを重ねながら、やはり民間企業の頑張りだけでは駄目なんや、政府による政策支援、法整備が進まなければ、幾ら技術が最先端でもグローバル企業には勝てないということを痛感しています。
 一方、行政におけるデジタル化という面を見れば、昨年来の新型コロナウイルス感染症対策において、隣国の中国、韓国、台湾を始め、世界のデジタル先端国から大きく後れを取っていることが明らかになりました。
 マイナンバーカードの普及率の低迷と複雑なパスワードによる特別定額給付金の窓口申請の混乱、オンラインによる持続化給付金申請システムの不具合、ICT教育の環境整備の遅れ、感染症対策に関わる保健所と医療機関のデジタル化の遅れなど、多くの課題が浮き彫りとなりました。これまでの電子政府の取組が中途半端なものであった結果と言わざるを得ません。
 今回のデジタル改革関連法案は内容的には必ずしも満足いくものではありませんが、一歩の前進が見込まれるものと考えます。しかし、審議において幾つかの課題が明らかとなり、以下、三点の課題に絞って今後の政府の善処を求めたいと思います。
 まず第一は、国民のプライバシーに対する不安や懸念にどう対応するのかということです。
 この課題は国民の政府への信頼と深く関連しているものであり、個人情報保護対策を徹底しなければなりません。今回、民間、国、地方、公的部門の全てにおいて個人情報保護の共通ルール化が図られますが、要配慮個人情報の扱いなどでより厳しい規制を掛けている地方公共団体の条例の趣旨が尊重されること、また、全体を一括して監視、監督する個人情報保護委員会の体制や権限の強化が必須であると考えます。
 第二には、自然災害や感染症流行など、不測の事態への対応能力の向上です。
 具体的には、迅速な支援金の給付など、安全、安心な暮らしの確保を可能にするために、マイナンバーカードの活用範囲を広げ、行政が様々なサービスを提供するとともに、行政手続の簡素化、利便性の向上を図ることが求められます。
 さらに、今回の新型コロナウイルス感染症においては、感染者の様々なデータを活用し、感染防止やワクチン接種の効率化につなげていかなければなりません。利用目的を明確にした個人情報の収集、活用の推進が求められます。
 そして三つ目には、税と社会保障の一体改革における公平公正の確保です。
 今回、国民の預貯金口座にマイナンバーの付番を推進する政府案の方向性については賛成します。しかし、政府案はあくまでも任意の付番になっており、中途半端であります。行政の情報管理を効率化し、情報共有により公正な負担と給付の確保を図るというマイナンバーの制度の目的に照らし合わせれば、本来全ての預貯金口座にマイナンバーを付番すべきと考えます。
 この点、国民民主党は、衆議院での審議において、金融機関に対し顧客からマイナンバーの提供を受ける義務を規定する修正案を提出しています。具体的には、金融機関がマイナンバーの提供を受けた場合には、預金保険機構を経由し、他の金融機関が管理する顧客の全ての預貯金口座にマイナンバーを付番するという仕組みの導入です。
 金融資産の保有状況は個人のプライバシーに属するものであるため、個人情報保護のための規定を強化した内容としましたが、これによって、コロナウイルス感染症の影響により雇用を失ったり生活が激変してしまった方々に、本人の申請がなくても所得、資産に応じて給付ができるプッシュ型の支援が実現することとなるんです。
 同時に、公平公正な社会保障制度や税制を実現していくために不可欠とされる、所得と資産の的確な把握が可能となります。今日の税制では、所得や消費に対する課税は厳格に行われますが、金融資産など資産に対する課税は税率が低く、金持ち優遇税制となっており、その改善が求められています。
 また、各種の支援金や社会保障制度では、所得制限が掛けられるものが多数あります。フローのみで支給、不支給が判断され、結果的に、資産家であっても、現在所得が少なければ手厚い給付を受けるという不公平極まりないケースも見られます。
 マイナンバーを全ての金融機関にひも付けし、個々人の資産にも配慮した課税や給付を行えば、格差を是正し、所得再分配機能の強化につながる給付付き税額控除制度導入の環境整備が進むものと考えます。
 改めて、全ての預貯金口座にマイナンバーを付番する制度こそが公平公正な社会保障制度の実現に必要であり、この制度の導入を強く求めたいと思います。
 以上、三点を指摘させていただきましたが、その他積み残された諸課題についても官民挙げて課題解決に取り組み、我が国がデジタル先進国として巻き返しを図ることができるよう、政府の政策展開を求めます。
 そして、今後、社会のデジタル基盤が着実に整備され、公的部門においては行政の効率化と住民サービスの向上が図られ、また、民間部門においては、科学技術の発展、競争力の強化、そして働き方の改革に資する政策が推進されることを切望します。
 デジタル化は、あくまでも手段です。この手段を最大限に生かし切れるのか、政府の手腕に懸かっています。コロナ禍、多くの国民が命、危険にさらしている、生活が困窮しています。デジタル化というこの手段、最大限に生かし切り、この国難を突破していただきますよう政府に強い要請を掛け、私の賛成討論といたします。(拍手)

#47
○議長(山東昭子君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────

#48
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 まず、デジタル社会形成基本法案、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案及び預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#49
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、三案は可決されました。(拍手)
 次に、デジタル庁設置法案及び公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案を一括して採決いたします。
 両案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#50
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、両案は可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#51
○議長(山東昭子君) 日程第八 地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長浜田昌良さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔浜田昌良君登壇、拍手〕

#52
○浜田昌良君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、国民が行政手続において情報通信技術の便益を享受できる環境を整備するとともに、情報通信技術の効果的な活用により持続可能な行政運営を確立することが国及び地方公共団体の喫緊の課題であることに鑑み、地方公共団体情報システムの標準化を推進するために必要な事項を定めようとするものであります。
 なお、衆議院において、政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする規定を附則に追加する修正が行われております。
 委員会におきましては、情報システムの標準化の意義、地方自治体のガバメントクラウド活用の在り方、情報セキュリティー確保の重要性と問題発生時の責任の所在、地方自治体のデジタル人材の確保に係る国の支援策等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して伊藤岳委員より反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#53
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#54
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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