くにさくロゴ
2021/05/18 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 内閣委員会 第19号 令和3年5月18日
姉妹サイト
 
2021/05/18 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 内閣委員会 第19号 令和3年5月18日

#1
令和三年五月十八日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     三宅 伸吾君     岡田 直樹君
     伊藤  岳君     市田 忠義君
 五月十七日
    辞任         補欠選任
     市田 忠義君     吉良よし子君
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     岡田 直樹君     山田 修路君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         森屋  宏君
    理 事
                酒井 庸行君
                徳茂 雅之君
                木戸口英司君
                平木 大作君
                矢田わか子君
    委 員
                大家 敏志君
                岡田 直樹君
                古賀友一郎君
                高野光二郎君
                山田 修路君
                山田 太郎君
                山谷えり子君
                和田 政宗君
                小沼  巧君
                塩村あやか君
                杉尾 秀哉君
                石川 博崇君
                柴田  巧君
                高木かおり君
                吉良よし子君
                田村 智子君
   国務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(少子化
       対策))     坂本 哲志君
   副大臣
       文部科学副大臣  丹羽 秀樹君
       厚生労働副大臣  山本 博司君
   大臣政務官
       財務大臣政務官  元榮太一郎君
       厚生労働大臣政
       務官       大隈 和英君
       厚生労働大臣政
       務官       こやり隆史君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮崎 一徳君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      難波 健太君
       内閣府子ども・
       子育て本部統括
       官        嶋田 裕光君
       文部科学省大臣
       官房審議官    蝦名 喜之君
       厚生労働省大臣
       官房審議官    岩井 勝弘君
       厚生労働省子ど
       も家庭局児童虐
       待防止等総合対
       策室長      岸本 武史君
   参考人
       NPO法人子育
       てひろば全国連
       絡協議会理事長  奥山千鶴子君
       日本大学文理学
       部教授      末冨  芳君
       株式会社大和総
       研金融調査部主
       任研究員     是枝 俊悟君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
    ─────────────

#2
○委員長(森屋宏君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、三宅伸吾君及び伊藤岳君が委員を辞任され、その補欠として岡田直樹君及び吉良よし子さんが選任をされました。
    ─────────────

#3
○委員長(森屋宏君) 子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、まず、NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長奥山千鶴子さん、日本大学文理学部教授末冨芳さん及び株式会社大和総研金融調査部主任研究員是枝俊悟君でございます。
 この際、参考人の皆様方に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 皆様方から本日は忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にしてまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、奥山参考人、次に末冨参考人、そして是枝参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べをいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと思います。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おき願います。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず奥山参考人からお願いをいたします。奥山参考人。

#4
○参考人(奥山千鶴子君) ありがとうございます。
 おはようございます。NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長の奥山と申します。この度は、このような機会で発言させていただくこと、誠にありがとうございます。
 私は、二〇〇〇年、平成十二年より、横浜市にて乳幼児を育てている親たちで商店街の空き店舗を借りて親子の交流の場を立ち上げたところからスタートしております。このような親子の交流の場の運営は研修やネットワーク化が必要だと、二〇〇七年、平成十九年に子育てひろば全国連絡協議会を創設いたしました。
 まず、私は、今回の子ども・子育て支援法並びに児童手当法の一部を改正する法律案について賛成しておりますとともに、今後は更に拡充をしていただきたいと考えております。その理由を資料に基づいて御説明いたします。
 資料をお開きください。
 まずは、新型コロナウイルス感染拡大により表出した課題を御覧ください。
 これは、地域にこれまであった課題が改めて可視化された、表出された現状であるというふうに捉えております。妊娠期・産後家庭の孤立・支援不足、二、就園前の家庭の孤立・所属感のなさ、三、気楽に相談できる体制整備の脆弱性、四、圧倒的な地域子ども・子育て支援の不足、五、信頼できる情報の把握と発信、六、困難な家庭がより困難に、格差の拡大というのが課題だと思います。
 次に、御覧ください。妊娠期から包括的子ども・子育て支援施策を構築するために四つのことを少しお話をさせていただきたいと思います。以下の一、二、三、四です。詳細についてこれから述べさせていただきたいと思います。
 そして、今後の、次のパワーポイントですが、目指すべき姿として、子供が生まれることで子育て家庭は地域コミュニティーを再確認する、再認識すると思います。特に、初めての子育て家庭や転入者の孤立を防ぐ視点が重要であること、それから、産前産後、子育て支援サービスを権利としてしっかり保障し、確実に提供できる体制整備が必要であること、地域コミュニティーや地方自治体は、地域資源を拡充し、多様な主体をネットワーク化しながら、市民協働の視点で体制づくりを展開していく必要があるというふうに思っています。そのためには思い切った財源の確保と体制整備を進めていただきたいというふうに思っています。
 それでは、先ほど御紹介いたしました四つの部分について、一つずつちょっとお話をさせていただきたいと思います。
 まずは、妊娠期から地域とのつながりをつくる支援サービスの拡充、権利としての保障という部分です。
 ここに一、二、三、四というふうにございますけれども、なかなかその母子保健の分野の充実というのがこれから求められると思っています。
 親の学習機会であります両親学級も、最近の調査によると、自治体主催のもので約二割程度というふうになっております。就労家庭が増えておりますので、土日開催やネットの申込みなどが必要ではないかと思っています。
 さらに、産前産後のサポート事業の拡充ですけれども、こちらについては地域人材での実施が可能だというふうにされておりますが、取組の自治体がまだまだ少ない現状かと思います。
 それから、産後ケア事業ですね、こちらも年々増えてはきているんですけれども、デイケア、ショートステイ、どちらも利用条件が結構限定されており、全ての方が利用できる状況にはなっていないかと思います。
 そして、産前産後家事・育児支援ヘルパー派遣、これは私どもも担わせていただいておりますけれども、非常にこちらもニーズが高いのですが、実施自治体が三割程度というふうになっていて、これからの充実が求められる分だというふうに思っております。
 次のパワーポイントが、市町村における子育て支援と母子保健の概要が書かれているものなんですけれども、ここの産後ケア、産前産後サポート事業、こちら、それから真ん中にあります子育て支援施策、ここを、この黄色い部分ですね、この辺りを私ども担わせていただいておりますけれども、この母子保健と子育て支援をつなぐ子育て世代包括支援センター、こちらの充実というのも非常に重要になってくるというふうに思っております。この辺の体制整備が今後更に求められるというふうに思っております。
 次のページですけれども、今回、この子育て、前のページですけれども、先ほどの御説明した、子育て世代包括支援センターというものを紹介をさせていただきましたが、今回の市町村子ども・子育て支援事業計画に定める任意的記載事項の追加によって、子育て世代包括支援センターに関わる利用者支援事業等の拡充や、各事業間の連携の推進に関する事項が追記になったことというのは、そういう意味で非常に重要な点だというふうに捉えております。
 次に、パワーポイント、子ども・子育て支援の機能と支援の整理を御覧ください。
 二〇一五年よりスタートしました子ども・子育て支援法に基づく事業推進は、三歳以上のお子さんに対する幼児教育、保育の無償化などにより、親の就労の有無に関わらない幼児教育、保育の保障につながったというふうに思っておりますが、三歳未満児に関しては、いまだ親の就労の有無による支援サービスの差が大きいと感じております。
 全ての子育て家庭に対する支援の対個人給付においては、今回改正となる児童手当も入っておりますけれども、この中で限られた財源をどういうふうに配分するか、現物支給、現金給付のバランスを考えた場合にどちらを手厚く配分すべきかと考えた場合には、先進諸国の国においてもやはり現金給付より現物給付の方が充実しているというふうに考えております。
 また、経済的に厳しい困難家庭においては、子供たちが質の高い幼児教育を受け、安心して子育てができるよう配分がなされるべきというふうに考えております。特に、私は立場から、今後は三歳未満児に対する現物支給の充実がまずは大事であり、全体として包括支援の充実が大事であるというふうに考えております。
 したがいまして、特例給付の対象者で高額な年収の者を支給対象外として保育等の現物支援の拡充に活用することについては理解をするものです。もちろん、これで十分ではないことはこの資料の中でも明らかなものであり、更なる子ども・子育て支援の予算の確保が求められるというふうに考えております。
 次に、就学前児童が活用している幼児教育、保育の利用者割合を御覧ください。
 最新の情報のデータになっております。保育園に通っていらっしゃる方、幼稚園に通っていらっしゃる方、こども園に通っていらっしゃる方、この黄色い部分がいわゆる推定未就園児ということで、私ども地域子育て支援が主に対象としている層なんですが、ここもまだかなり多いわけです。育休を取得されている方も含めて、この部分についての支援というのが、今回ちょっと御紹介させていただきます多機能型子育て支援という形で拡充を求めるものでございます。
 それでは、次を御覧ください。
 就園前の家庭の居場所、支援サービスの包括的支援ということです。一、二、三ということで、三つほど御説明をさせていただきます。
 おめくりいただきまして、まずは子育て支援拠点の整備ということです。
 この多機能型子育て支援拠点ということなんですが、まず、子育て支援拠点というのは、子育て支援センターとか、子育てひろばとか子育てサロンというふうに呼ばれることも多いんですけれども、全国に七千五百か所以上で開催されておりまして、保育所、認定こども園、公的施設、児童館、いろんなところで併設されるなどして実施をされているというものです。親子が相互の交流を行う場を提供し、子育てについての相談、情報の提供、助言その他の援助を行う事業という内容になっております。この写真は、私どもが運営しておりますどろっぷサテライトの写真です。
 そして次のページ、どのような機能があるのかと、多機能型子育て支援拠点ですけれども、まずは親子の交流の場に来ていただくことで、この通い慣れた場所で相談も受けられる、それから一時預かり等の場所も併設されているというところもあります。それから、ファミリー・サポート・センター事業ですとか訪問型の支援、こういったところが、拠点に来たついでに登録ができるとかサービスにアクセスできるというのは非常に重要だと思っています。また、赤ちゃん訪問などでつながった人たちが拠点に一緒に来ていただける、そういうことで、いろんな方とのつながりの中で多機能的な支援を繰り広げられるという利点があるというふうに思っております。
 次に、支援効果なんですけれども、私どもが厚生労働省の調査研究でさせていただいたところなんですが、利用者に対しての支援効果については、拠点だけを利用されている方、複数のサービスを利用されている方で支援効果を見たところ、やはり多機能的な取組を活用して複数のサービスを利用している併用者の方が相対的に高い支援効果が見出されたという結果となっております。
 次に、(2)一時預かり事業の拡充と利用の権利保障についてです。
 ここが私は本当に拡充していただきたいと思っている部分なんですね。これは少子化社会対策大綱の目標として、令和元年度の目標というのが千百三十四万人というのが出ていますけれども、実態としましては五百二十一万人分ということで、これは幼稚園、保育園、認定こども園に行かれていない方を想定をしますと、本当に年に二日ぐらいしか、まあ百万人という数で言えばですね、この程度しかないわけですよね。本当に突発的なこともありますし、願わくは、本当に週に一回三時間でも、定期で、就労に限らず保育にアクセスできるということが子供たちの健やかな成長にも必要ではないかなというふうに思っているところです。
 そして次に、ファミリー・サポート・センター事業です。
 これは地域の人材による地域住民の支え合い活動なんですけれども、今回、厚生労働省の方も、このファミリー・サポート・センター事業が拠点等と連携した場合の加算でありますとか、それから、一事業者だけではなくて支所をセッティングすることができるということで、やはり地域の担い手を掘り起こすということが非常に重要になってまいりますので、多様な担い手にそのコーディネート機能をお任せいただくことで地域の人材発掘につながるというふうに捉えております。これは小学校の六年生まで対応できる事業ですので、本当に地域における実家機能を果たしていく重要なものだというふうに思っております。拡充を求めたいと思います。
 次に、三番ですが、気軽に相談できる体制整備と支援のコーディネート強化ということで、やはり相談支援というのは非常に重要になってきます。
 特に、子育て世代包括支援センターのケアマネジメント力をアップしていくということと、母子保健と子育て支援の連携をしっかりと取っていくということが求められていると思います。自治体によっては、やはり母子保健と子育て支援、保育の間にかなり縦割り的な要素があって連携がなかなか進まないという課題があると思います。これを今回の法制度でも連携よく進めることで支援の幅を広げていただければというふうに思っております。
 利用者支援事業につきましては、次のページに詳細がございます。グラフも見ていただければと思うんですけれども、まだいわゆる総合型である基本型は八百五か所にすぎません。そして、母子保健型も千三百三十ということで、全ての自治体が設置しているわけではないということになります。
 子育て世代包括支援センターの現状というところを見ていただきますと、今申し上げたとおり、母子保健型と基本型の連携というのが非常に重要だと思うんですが、まだ取組の自治体が二割程度というふうになっておりますので、この辺りの推進というのも考えていただければと思っております。
 そして四番目が、利用者主体の情報提供の部分です。
 コロナ禍で一部ICT活用が進んだ面もありますが、一部にすぎないというふうにも感じております。相談支援をしっかり行うためには、対象者がいつどの程度来ていたのか、相談内容はどういう内容だったのか、しっかりデータを示す必要があります。そのためには、施設利用者の入退館システム、相談支援のための記録支援アプリの開発など、それからまた、両親教室やピアサポートなど当事者向けのプログラムはウエブで申込みができるようになるなど、やはりもう少しICT活用の促進が求められるというふうに感じております。
 以降の取組につきましては、認定NPO法人びーのびーのの実践報告になっておりますので、お目通しいただければ幸いです。特に、産前産後ヘルパー派遣事業は月間百五十件以上、ファミリー・サポート・センター事業は月千件を超えるコーディネートを実施しています。それでもニーズに追い付いていないというふうに感じております。
 最後になりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、出産したばかりの子育て家庭はより厳しい状況に置かれています。里帰りもできず、呼び寄せもできない。この状況を若い世代が見て、家族を持とうと思うでしょうか。この国の将来を考えたときに、これまでと同じようなスピードでは間に合わないと感じております。困窮家庭、所得の低い家庭や何らかの困難を生じている家庭、さらには、どのような家庭においてもそのような困難はいつでも生じる可能性があることを前提に、全ての家庭を包括する支援体制を至急構築する必要があると考えております。
 したがいまして、子ども・子育て支援のための財源確保は喫緊の課題であり、待ったなしだと思っています。人生のスタートの時期、ここに対して諸外国は一番力を入れているところだと思いますので、我が国においても与野党を超えての知恵の結集をお願いして、私の意見陳述を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。

#5
○委員長(森屋宏君) ありがとうございました。
 次に、末冨参考人にお願いいたします。末冨参考人。

#6
○参考人(末冨芳君) 皆さん、おはようございます。日本大学の末冨でございます。
 本日は、全ての子供を大切にする子供・家族対策、子供の貧困対策について意見を申し述べさせていただきます。
 私は元々、教育学、特に教育行財政を専門としておりますが、二〇一四年より内閣府の子供の貧困対策に関する有識者会議委員も務める中で、子供政策全般への専門的知見も深めてまいりました。また、参議院の文教科学調査室の客員研究員でございますので、このように参議院での参考人の機会を与えていただきましたこと、大変感慨深うございます。
 また、ヤフーオーサーとして記事も執筆しておりまして、相当数の国会議員や官僚の皆様にも児童手当の特例給付廃止に関する記事は御参照していただいていると仄聞しております。このテーマにつきましては、夏までに光文社新書より本を上梓する予定でございますので、いましばらくお待ちください。
 なお、本日は、この件はごく一部の内容にすぎず、前半では子供・家族対策、後半で子供の貧困対策についてお話をさせていただくことにいたします。
 資料は駆け足で説明してまいりますので、御確認なさりたいことは御質問いただけますと幸甚に存じます。
 それでは、スライドの二番に参ります。
 なぜ全ての子供を大切にすると銘打ったのかと申しますと、それは、日本の子供、家族への支援が低所得層に限定され過ぎており、所得にかかわらず困難を抱える子供や保護者たちに開かれづらいという課題があるためです。私が理事を務めております子どもの貧困対策センター、公益財団法人あすのばの貧困の当事者の若者たちは、貧困とは貧と困で成り立っており、困り事を抱える全ての子供、若者に貧困対策が開かれてほしいという願いを持っております。
 スライドの三番に参ります。
 言い換えれば、全ての子供を大切にする普遍主義、ユニバーサルアプローチが大事だということであり、その根底には、子供の権利を大切にし、実現をしていく日本への進化が急がれるという現状がございます。児童の権利条約には、所得により支援に違いを生じさせてよいとはどこにも書いてありません。むしろ、子供の権利が奪われている子供を一人もいないようにすることが児童の権利条約批准国である我が国におきましても当然重要なことであるはずです。
 スライドの五に飛びます。
 それでは、スライドの五以降は、本次の改正について意見を申し述べてまいります。
 まず、ゼロから二歳への保育ニーズの対応において、事業者拠出金の引上げと保育機会を拡充することは大変重要です。ただし、それのみでは出生数増への効果に限界があることも既に国内研究では判明をしております。また、子育て関係機関の連携協力の推進も、先ほど奥山参考人がおっしゃられましたように、特に重要だと思われます。
 じゃ、それでは、スライドの六に参りたいと思います。
 事業主の助成制度につきましては良い制度であろうと存じますが、効果は限定的かと存じます。子育てする女性の賃金、昇進、雇用機会差別という意味での本来の子育て罰、チャイルドペナルティーの改善のためには、女性を冷たく差別する悪質事業者を減らすことの方が重要だからです。国土交通省におきます自動車事業者のネガティブ情報の公開、検索システムのように、子育て罰企業の公開、検索ができれば、速やかな改善が可能になると判断いたします。
 スライドの七に参ります。
 児童手当の特例給付廃止につきましては、この場におられる議員の皆様で、これはすばらしい政策だ、是非実現すべきだとおっしゃられる方は誰もおられないのだと信じております。排除される子供と親への説明責任、不公平性、恐怖喚起など、多くの課題がございます。
 スライドの八に参ります。
 今次改正の問題点であります、特に子供の生まれ年や世帯間の不公平性の回避のためには、まず、児童手当の特例給付廃止は三歳入園時からの、幼児教育無償化フル適用世代以降の順次導入とし、高所得層も利用可能な支援制度を拡大していくことが重要です。
 例えば、日本学生支援機構の二種奨学金の所得制限撤廃は今すぐにでも可能でありましょうし、教育の無償化については虐待等の被害者の若者にも適用することもできるはずです。
 スライドの九に参ります。
 児童手当の廃止につきましては、財務省での議論で、夫婦合算年収九百十万円あるいはそれを下回る中所得層まで将来的には廃止の対象となるのではないかという恐怖喚起を子育て世帯、そして子供を持つことを考えている若者世代にも引き起こした可能性がある点で少子化対策と矛盾します。特に、該当する世帯は人口集住地域である都市部に集中しており、今後の出生可能性がある若い世代に対しての恐怖喚起という点で政策効果に大きな疑問を感じております。
 山田昌弘中央大学教授の指摘されるとおり、日本の若者は思慮深いリスク回避的な行為者であり、奨学金返済や、自分が、パートナーが奨学金返済をしなければならなかったり、子供に将来大学進学がさせたりできないんじゃないかというふうに、家計が苦しくなるようなら、そもそも結婚も出産も選択いたしません。個人の利益だけを考えれば、結婚しない、子供を持たないことが合理的選択になっている日本の政治、社会構造が非婚化、無子化を引き起こしています。
 それでは、スライドの十一に進みながら、このような日本のありようをどのように改善すればよいのか考えてまいりましょう。
 スライドの十一に参ります。
 そもそも我が国の少子化対策の限界は十年以上にわたって専門の研究者から指摘されてきました。増税忌避社会の中で、企業は女性親にも男性親にも賃金、昇進、雇用機会の不利を課し、与野党合意なき政策の迷走の中で、子供が忌避される日本社会を改善できないまま現在に至っています。子供や親に優しく温かい日本への進化がまだできていません。
 なお、山田昌弘教授もメンバーであります財務省財務総合研究所の分析は政府内における少子化対策検証としては現時点で最も的確なものであると私自身は判断しておりますが、官邸、内閣府、あるいは財務省内での横串を刺す能力が十分であれば本次改正のような法案には至らなかったのではないかとも判断いたします。
 こども庁等の議論もにぎやかに報道されておりますが、これを機会に、先進国最少、最弱の官僚、公務員機構を拡充し、適切な政策サイクルを実現いただけると、子供、家族のための政策がすぐに実現されていくはずです。
 スライドの十二に参ります。
 本次改正の混乱は、日本の少子化対策がブレークスルー、進化の前段階に到達したためでもあるというふうに見ることもできます。ここから、更なる支援の切下げなのか、それとも子育て支援が一層充実する優しい日本になっていくのか、固唾をのんで見守っているのが子育て世代や子供を持ちたい若い世代の現状であろうと判断いたします。
 スライドの十三番に参ります。
 後ほど是枝参考人の方から詳しくお話があるのではないかと思いますが、年収八百万円以上の現役世代では、そもそも受益が負担を下回り、その中でも子供を産み育て、日本の現在にも未来にも貢献しています。この層をないがしろにすることは日本の未来を閉ざすことでもあります。
 次のスライドに参ります。
 では、このような子育て世代を冷遇する日本をどのように変えることができるのでしょうか。私が本日示します答えは、少子化対策を子供・家族対策に進化させることです。出生率、出生数の回復を目的とする少子化対策は、私のような子育てする女性にとっては産めよ増やせよ政策であり、長年耳がたこになるほど聞かされており、正直うんざりしている面もございます。また、政府や企業の上から目線、男性目線なのではという批判があることは皆様も御承知のことかと思います。
 それに対し、日本の家族政策の専門家でおられる落合恵美子京都大学教授、衆議院与党参考人の秋田喜代美東大教授も共通して指摘しておられるのは、子供と親、家族の幸せを当事者目線で実現することが、結果として子供たちがこの社会にたくさん生まれてきてくれる近道だということです。
 スライドの十五に参ります。
 子供・家族対策に進化をするということは、本次改正のような切下げ型の政策ではなく、子供給付の総合パッケージ化を実現することでもあります。児童手当、年少扶養控除と教育の無償化を組み合わせつつ、全ての子供を大切にする方向で、必要な財源を与野党で合意形成しながら実現することが必要であり、そうできると私は信じています。政府の取組だけでなく、企業の変容、子ども・子育てに優しい日本の大人への意識、行動変容も必要でしょう。
 スライドの十六に参ります。
 これは、左側が中高所得層の声、右側が低所得層の声になります。所得にかかわらず、日本での子育てはつらく厳しいものになっております。私が本日この場に参っておりますのは、国会の場で声を上げることができない子供や親たちの声を届けるためでもあります。支援が受けられないので離婚を考えている、もやしや雑炊しか食べられない、この声を放置して、子供や親に優しく温かい日本、出生数や出生率が改善する日本になるのでしょうか。
 スライドの十七に参ります。
 私の友人の前田晃平さんという三十代のお父さんからの御著作も是非紹介させてください。日本のパパは先進国で突出して育児も家事もできていません。先進国で一番の制度が日本にあるにもかかわらずです。日本政府は私たち現役世代に対する投資をひたすらけちってきましたと当事者のお父さん自身が嘆いておられます。子育て自己責任論をなくし、支え合い、子育て投資をし、成長する日本への改善策も示しております。
 女性にとりましても、出産前後から子育て期は心身共に本当につらい時期であり、必要なのはお金の支援だけではありません。特に、リーダー層の日本の男性方には意識や行動を変容いただき、男女の子育て当事者、子育てや結婚を考える若者の政策決定参画や、政府DXを通じた迅速な当事者ニーズの把握や政策改善が政策の精度を上げるための必須の条件であると考えます。
 スライドの十八に進みます。
 子供・家族政策について必要な財源の例はこちらにまとめました。重要なのは、二〇一二年、教育の無償化実現の基盤となった税と社会保障の一体改革と同様に、子供・家族対策に必要な財源について与野党合意をいただくことです。それこそが、与野党にかかわらず、日本の未来そのものである子供に責任を負う国会議員の果たすべきお務めなのではないでしょうか。
 それでは、ここからは子供の貧困対策について申し述べます。スライドの二十にお進みください。
 平成三十一年、子どもの貧困対策法改正におきましては、参議院の内閣委員会でも非常に有益な議論と可決をいただき、大変ありがとうございました。改めてお礼を申し上げます。
 一方で、改善課題もございます。スライドの二十一に参ります。
 教育の支援につきましてはかなり前進いたしましたが、入学時、進学時の支援の切れ目の改善については引き続き取り組む必要がございます。
 スライドの二十二番に参ります。
 教育の前に、衣食住、ライフライン支援、また保護者の孤立や就労上の子育て罰の早急な改善も必要です。
 スライドの二十三に進みます。
 こちらの方は、子供の乳幼児期から成人期までの切れ目のない支援を図式化したものになります。奥山参考人が先ほどおっしゃられましたように、多機能型の支援が乳幼児期から子供が育ち社会で活躍するまで伴走し、プッシュをしながらですね、プッシュ型の支援につなげながら進められることが望ましいというふうに考えます。それが優しく温かい日本社会への転換を支える政策にもなります。
 スライドの二十四に参ります。
 我が国における子供の貧困対策として今すぐ実現すべきことをリスト化いたしました。児童扶養手当の二人親困窮世帯適用、児童手当の低所得世帯の高校生への延長は急がれます。そして、先ほども申し上げましたが、教育の支援では、受験時の切れ目の支援を、既に国は動き始めておりますが、自治体でも拡充いただきますよう、こちらにいらっしゃいます与野党の議員の皆様にもどうぞよろしくお願い申し上げます。何度も申し上げますが、困窮世帯の親、特に女性親への就労支援や賃金差別も改善が必要です。
 次のスライドに参ります。
 衣食住、電気、ガス、水道や、医療に事欠く子供たちが日本には一、二割程度おります。このような子供たちがゼロになれば、我が国の貧困対策は一定のゴールを実現できたことになります。そのためには、二十六ページに参りますが、一人親、二人親も包摂する子供の貧困対策が必要になります。世帯類型にとらわれない支援が必要です。
 スライドの二十七に進ませていただきます。
 近年の分析で明らかになっているのが、貧困層の中でも特に厳しいディーププア層と呼ばれる人々の存在です。簡単に計算しますと、我が国に十五万世帯のディーププア層が存在します。これらの世帯は必ずしも生活保護を受けられているわけではなく、どのような生活実態であり、どのような支援が必要なのか、解明と政策の充実が最も急がれる人々になります。
 スライドの二十八に参ります。
 子供・家族対策と同様に、当事者の声や参画を大切にした意思決定が必要となります。
 スライドの二十九番に参ります。
 なぜそのようなことを申し上げるかと申しますと、大人だけでは子供たちの実態は十分に酌み取れないということでございます。
 それでは、最後のスライド、三十に参らせていただきたいと思います。
 最後に申し上げたいのは、子供、若者や親の当事者参画とともに、政府DXの推進は、子供、保護者のニーズ把握やプッシュ型支援などの迅速な支援を支えます。子育てサポートのオンライン化も可能になるでしょう。ただし、国、地方共にデータサイエンティストは余りに不足しており、中央政府内ですら横串が刺さっていません。原因は予算と人員の不足にあります。子供の貧困対策の担当もこのコロナの中で一名減員になっており、大変体制が心配されるところでございます。新省庁の議論はとても重要なことですので、是非、与野党挙げて、子供・家族対策とそれに必要な予算額、公務員数の確保をいただくこともお急ぎください。
 最後に、これらの子供たち、それから親たち、家族の対策のために必要な予算と人員の確保を改めて強くお願いし、意見陳述を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。

#7
○委員長(森屋宏君) ありがとうございました。
 次に、是枝参考人にお願いいたします。是枝参考人。

#8
○参考人(是枝俊悟君) よろしくお願いいたします。是枝俊悟と申します。
 スライドの一ページ目にお示しのとおり、大和総研にて証券税制を中心とした金融制度や税財政の調査分析を行っているほか、女性や男性の働き方や子育てへの関わり方についてもライフワークとして研究しており、情報発信を行わせていただいております。今年より、東京都男女平等参画審議会の委員も務めさせていただいております。
 私自身、長男の誕生の際に約二か月、長女の誕生の際に約一か月の育児休業を取得させていただき、妻とともに共働きで子育てを実践中でございます。長男が四歳、長女が二歳で、妻もフルタイムで働いている状況で、今この場に立たせていただいているのも、保育所が整備され、保育所の先生方が私たちの子供を見ていただいているおかげであります。そういった点から、本日意見を述べさせていただきます。
 本日述べさせていただく意見は、所属する機関を代表するものではなく、一研究者及び一当事者の意見とさせていただければと存じます。
 それでは、二ページに意見概要をお示ししております。
 まず、概要を述べさせていただきますと、増税など追加的な安定財源の確保が難しい中で、子ども・子育て予算に係る支援について、予算について、より重点化すべきところに組み替えていくべきではないかと思っております。
 過去十年ほどにおいて、先生方の努力のおかげで子ども・子育て支援の予算は大きく拡充されました。これに加えて、労働環境の改善も相まって、出産後も継続して働く女性というものの数は大きく増加したところでございます。これによって、子育て世帯の世帯収入は増加傾向にありまして、高所得の共働き世帯の数も増えてきたというところです。
 幼児教育無償化による保育料の軽減については、特に共働きで世帯収入の高い世帯ほど相対的に大きいものとなりました。他方で、なおも待機児童というものは存在し、雇用が不安定な方ほど保育園に入りづらいという状況にあり、保育園に入れないから、なお雇用が不安定になるという悪循環も残っているところでございます。
 こうした背景を踏まえますと、待機児童解消に向けた財源の確保のために、企業にも一定の御負担をお願いする中で、高所得の世帯に現在の児童手当や特例給付の一部を譲っていただくようにお願いすべきではないかと存じます。ただし、その際の所得制限の線引きについては、現行の主たる生計の維持者という考え方ではなく、世帯合計の所得で行うことが適当ではないかと思っております。
 それでは、三ページを御覧ください。三ページは、日本の家族関係支出の推移と、国際比較をしたものでございます。
 二〇一〇年頃においては日本の家族関係支出は対GDP比で一・二%ほどでありまして、OECD諸国の中でかなり最下位に近い水準でございました。しかしながら、近年の育児休業給付の拡充や取得者の増加、また二回の消費税率引上げ実施とともに保育の受皿拡大や幼児教育無償化が行われたことがありまして、足下、二〇二〇年度は、私どもの推計ではございますが、GDP比一・九%弱と推計されるところで、OECD平均の、二〇一七年の数字にはなりますが、二・一%程度にかなり近い水準になってきたというところでございます。
 国民負担率がOECD平均に満たず、財政赤字が非常に大きい、財政が非常に薄氷の上を歩み続けている我が国において、安定的な財源の確保なしにこれ以上家族関係支出の総額を大きく増やすというのは難しい現状にあるかと思っております。
 四ページ、御覧いただけますでしょうか。四ページは、保育所の定員数と育児休業取得者の推移について見せたものでございます。
 二〇一〇年から二〇二〇年にかけて保育所定員数は二百十六万人から二百九十七万人に八十一万人、枠が増加いたしました。六歳未満の児童の人口に対する割合としては、三四%から五三%に一九ポイント上昇したところでございます。
 これにあわせて、二〇〇九年から二〇一九年にかけて女性の育児休業取得率が大幅に上昇したところでございます。女性の育児休業取得率といいますと、一般的に用いられている調査では、在籍者、職場の在籍者に対する女性の育児休業取得者の割合で八割から九割と報道されているのが一般的かと存じますが、出生数、子供が生まれた数に対する育児休業給付金を受給した女性の割合というもので測りますと、これは二〇〇九年時点で一七%の水準で、足下、二〇一九年にようやく四一%まで上がってきたというところです。現在、男性の育休が政策課題としてされているところですが、女性の育休取得率も実はまだ四割ほどしかないというのが現状でございます。
 育児休業を経ることができれば、出産の直前まで職場にとどまり、産休、育休という過程を経ることができれば、平均して百五十万円ほどの育児休業給付金を受け取ることができるのですが、職場にとどまることができない、自分の希望の場合もあるのかもしれませんが、何らかの事情によって一度仕事を離れてしまうということとなりますと、その後、仮にすぐに保育所を利用して職場復帰する、再就職するようなことがありましても、これだけの額の支援がいただけないということになっているところでございます。
 現在は四一%の方が育児休業取得してそのまま職場に戻ってくるということができるようになっておりまして、少しずつですが、妊娠、出産する女性が産前産後休業、育児休業を取得し、保育所を利用しながら職場に復帰するということが一般的な社会ができつつあるというのが現状でございます。
 そうした中で、子育て世帯の世帯年収がどのように変化したかというのが五ページのスライドでございます。五ページのスライドでは、三十代の子育て世帯、夫が三十代で夫婦と子から成る世帯の世帯年収の分布の変化を示してございます。
 出産を経ても正規雇用のまま就業継続できるという女性が大きく増えたため、特に三十代、未就学児の持つ共働きの子育ての世帯で世帯収入が大きく増加しているところでございます。特に二〇〇七年から二〇一七年にかけて、世帯年収が一千万円以上を得る三十代の子育て世帯の割合は六・九%から九・九%に三ポイント上昇しているというところでございます。夫婦とも年収五百万円ずつを得れば世帯年収は一千万円になる、こうした働き方は十年ほど前であればなかなか実現が難しかったのですが、今着実に増えてきているというところでございます。
 六ページは、幼児教育無償化による保育料の負担軽減についてでございます。
 従来、認可保育所や子ども・子育て支援新制度に基づく幼稚園の保育料につきましては、高所得世帯ほど高いという応能負担の原則、そしてまた、保育時間が長いほどより高くなると、幼稚園より保育園の方が保育料が高いという応益負担、応能負担、応益負担の原則で設計されていたものでございます。こちらにつきまして、二〇一九年十月より三歳以上は一律に無償化されることとなりますので、従来と比べた家計の負担の軽減額は特に共働きで世帯年収の高い世帯で大きくなったというところがございます。
 七ページは、待機児童数の推移でございます。
 待機児童数は近年減少傾向にありますが、二〇二〇年度の年初においてもなお一万人以上存在するところでございます。自治体による保育所利用者の選考においては、求職中の者よりも現に就業している方が優先されることとなりますので、雇用が不安定な世帯ほど保育所を利用しにくく、保育所を利用しにくいからこそより雇用が不安定になるという悪循環に陥りやすい状況にございます。
 保育所という現物給付、育児休業給付という現金給付というのがあり、主に雇用の安定した高所得の共働き世帯に偏ってきた面があるのではないかと私は考えております。OECD諸国に比べてまだ少し少ない水準ではありますが、それほど遜色のない水準まで総額が拡大してきた中、財源を配分する際には、今まで支援が行き届いていなかった世帯に重点化していくという視点が大事ではないかと思っております。こうした中、待機児童解消に向けて追加の財源が必要となる中で、企業にも一定の負担をお願いしていることを踏まえれば、高所得の子育て世帯に少し既存の給付を譲っていただけないかというふうに思っております。
 次のページが、共働き世帯と片働き世帯の税、社会保険料の負担について述べたものでございます。
 日本の税制は個人単位の課税になっておりまして、個人単位の収入で累進税率を適用するものでございます。このため、同じ世帯収入であれば共働き世帯の方が税負担が少なくなるという、共働きに優しい制度設計になっております。よく配偶者控除や第三号被保険者があるから日本は専業主婦世帯を優遇しているのではないかと言われるところなんですが、同じ世帯年収であれば共働き世帯の方が税負担が少ない、むしろ専業主婦世帯の方に厳しい税制、社会保障制度であると言えることができるかと思います。
 児童手当の所得制限につきましても、主たる生計の維持者の所得で行うため、共働き世帯の方がより世帯収入が高くとも満額の児童手当を受給できるという構図にございます。
 例えば、資料でお示ししている表では、同じ小学校の子供一人で世帯年収一千万円の世帯で、夫のみが年収一千万円を得る世帯と夫婦とも年収五百万円ずつを得る世帯の税負担の比較したものですが、こちらは片働き世帯より共働き世帯の方が年五十一万円税負担が少ないということになっております。加えて、児童手当においても所得制限の対象となるか否かにより年六万円の差が生じることとなりますので、手取り収入では合計で五十七万円の差にもなっているというところでございます。
 こうした中、待機児童解消に向けた財源の確保のために現在の児童手当や特例給付を見直すということであれば、その際の所得制限の線引きは、主たる生計の維持者の所得で行うのではなく、世帯合計の所得で行うことが適当ではないかと思っております。
 夫婦共働きで小さい子供がいると、毎日の生活が本当に大変だと思います。私自身、妻とともに四歳と二歳の子供を育てる中で、仕事を何とか早く終えて家事、育児を必死で回す、そんな生活をやっております。目が回りそうな毎日の中でこれだけ必死に頑張っているのに、何で頑張ったら児童手当を削られるのかという声も友人などからたくさんいただいているんですけれども、でも、一歩立ち止まって考えていただけないでしょうか。
 私たちは、保育所や育児休業給付などの支援をいただいたおかげで今共働きを実現できているということでございます。そして、夫婦とも正規雇用で働き続けている世帯というのは全世帯のうちかなりの上位所得層でございます。先ほど末冨先生からの御発言にありましたが、年収八百万円以上の現役子育て世帯で受益より負担が大きいということはある種当然なのではないかと思っております。平均よりも世帯収入がある世帯において受益の方が大きいとしたら、一体その負担は誰がしなければならないというところでしょうか。
 私自身も世帯年収で見れば高所得層に分類されるとは思いますが、少子化対策を充実させていくためには、こうした人たちが自分の子供だけではなく社会全体の子供を育てるためにもう少し負担を受け入れていく必要があるのではないかと思っております。
 以上で私の説明を終わらせていただきます。

#9
○委員長(森屋宏君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#10
○徳茂雅之君 自由民主党の徳茂雅之でございます。
 本日は、三名の参考人の皆様には、緊急事態宣言下にもかかわらず、本院の参考人質疑に御出席いただき大変ありがとうございます。
 また、先ほど三名の参考人の皆様からは、大変示唆に富む有意義な意見陳述を頂戴しました。是非これから国政に向けて、国政の中でもしっかりと受け止めて生かしてまいりたいというふうに思います。
 それでは、早速質問に移らせていただきます。
 まず、三名の参考人にお伺いするんですが、いわゆる出生数がここなかなか少子化対策をしているにもかかわらず戻ってこないということでございます。一昨年は出生数が八十六万五千人ということで、前年より五万人以上減少。令和二年でありますけれども、人口動態統計速報で、やはり前年より二万五千人減ってきていますと。さらに、昨年は妊娠届数も四万人減少してきています。これは大きな影響としては、当然、昨年は新型コロナ感染症が拡大してきたということで、いろんな面で、出産を控える、そういう行動もあったのかなというふうに思いますけれども、その結果、恐らく今年も大幅に出生数が減少するものと想定されています。
 先ほど申し上げましたとおり、今後、新型コロナ感染症に対しては、ワクチン等によってある程度それがコントロールできるようになれば、このコロナの影響がある意味解消して出生数が戻ってくるとも考えられますけれども、また一方で、新たな生活様式の定着でありますとか、あるいは出産、あるいは子育てに向けたある意味国民の意識の変化、こういったところ、あるいはライフスタイルの変化等でそれが戻ってこないということもあり得るのかということで、三名の参考人の皆様に、アフターコロナにおけます、ある意味出産、育児に対する国民の意識がどういうふうに変わっていこうとするのか、それぞれお考えがあれば御意見をいただきたいというふうに思います。

#11
○参考人(奥山千鶴子君) 御質問ありがとうございます。
 今まさに私たちも非常に心配な状況だというふうに私自身も認識しております。ですから、まさに今、子供と、それから家族、子育て家庭に対してしっかりと国、政府が応援しているんだというメッセージを出すチャンスではないかと思います。それは、メッセージだけではなくて、具体的な施策というものを講じていく必要があるというふうに思っております。
 例えば、先ほども表出した課題でも述べさせていただいたのですけれども、このコロナ禍で里帰り出産ができなくなりました。私たちの地域でも、一昨年との比較でいえば、五割が里帰りされていた方が四割になり、それから親の呼び寄せもできなくなったというところで、夫婦だけでやり切ったという方たちが結構増えてきております。
 ですから、そういった親族間の手伝いがあるという前提としたものではなくて、しっかりと社会がそこを応援していくんだという施策を通じたメッセージを今だからこそしっかりと打ち出す必要があるのではないかというふうに考えております。
 以上です。

#12
○参考人(末冨芳君) まず、出生数につきましては、我が国の場合、統計学的に婚姻数の影響を受けることが分かっております。すなわち、一番最初にするべきなのは婚姻と出産を促進するための支援策でございます。
 具体的には、婚姻に際して自治体によっては一時金支給をするところも出てまいりました。日本の場合、住宅に係る費用が大きゅうございますので、新居に入居できる一時金等の支援は大変有効であると思います。同時に、出産健診費用の完全無償化というものも有効な手だてとなると考えられます。
 差し当たり以上です。ありがとうございます。

#13
○参考人(是枝俊悟君) 出生数がなかなか戻ってこないというところでございますが、第二子以降の出産の可否を決めている大きな要因としては、父親がどれだけ育児に関わっているかということに大きな関係があるという研究が出ております。
 新型コロナウイルスの感染は非常に厳しいものをもたらしましたが、一方で、在宅勤務やテレワーク、時差出勤などが大きく普及した契機になったということでもあるかと思います。私のまだ実感値にすぎませんが、保育園に送り迎えする父親も大きく増えたように感じておりまして、夫婦で一緒となって子育てをするということ、環境整備につながるとしたら、これは出生率回復の契機にもなり得るというところだと思っております。
 以上です。

#14
○徳茂雅之君 ありがとうございました。
 最後、是枝参考人から、むしろこの新型コロナによるある意味巣ごもりというんですか、在宅率の上昇がむしろ少子化に対して有効であるというのは、かなり示唆に富むような御意見だなというふうに拝聴いたしました。
 ある意味政府を挙げて新型コロナ対策に全力を尽くしている、まさに国難を乗り切るために全力を尽くしているわけでありますけれども、そのアフターコロナの時期に静かなる国難とも言える少子化が置き去りにならないようにしっかり取り組んでまいりたいというふうに思いました。
 それでは続いて、先ほど、最初に奥山参考人からと思いますが、現金支給と現物支給の在り方について少し御意見ございました。
 国民負担率の国際比較を見ますと、日本は欧米諸国と比べるとアメリカを除けば恐らく低め、ある意味国民の負担というのは低く出ているんだろうというふうに思っております。ある意味しっかりとした給付をするためには財源をどこから取ってくるかという観点が一つあろうかと思います。
 昨年末示された全世代型社会保障改革の方針の中でも、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障の構造を見直しということで、ある意味少子化対策にかじを切ったというふうにも捉えられるわけであります。
 その中で、引き続き、待機児童の解消に向けて十四万人分の保育の受皿を確保する、まさに現物支給をしっかり取り組んでいこうという方針が出されているわけでありますけれども、結婚、妊娠、出産、子育てというある意味ライフステージの中で、それぞれ、ある意味現金がいいのか、あるいは現物がいいのかということについて何かお考えがあれば、また三名の御参考人の皆様から御所見をいただきたいと思います。

#15
○参考人(奥山千鶴子君) 御質問ありがとうございます。
 先ほども申し上げたのですが、限られた今財源の中でまずはしっかりと充実させなければいけないということについては、現物支給の方をまずしっかり対応していくということだと思います。
 子ども・子育て支援法ができたときに、やはり幼児教育、保育のところについてはしっかり充実をさせていくということで、かなり財源を投入し、拡充してきたというふうに思っております。その中で、私は、地域子育て支援の立場から、まだ幼稚園、保育園、認定こども園に行っていない御家庭についても、次のステージではしっかりと現物給付を提供してほしいという思いでこの間御意見をさせていただきました。
 今回もまだ、母子保健分野のこと、それから就労ではない子育て家庭の子供の保育保障、こういったものにも切り込んでいかなければいけないというふうに思っておりますので、まずは、現物支給のところの充実ということをまずは充実していただきたいというふうに考えております。
 以上です。

#16
○参考人(末冨芳君) 現金給付か現物給付かにつきましては、まず所得層によってそのニーズが異なるということを申し上げておきたいと思います。当然のことながら、女性の就業促進のためには現物給付であるゼロから二歳の保育の保障は重要でございますが、低所得層におきましては、その前に、衣食住を支える現金給付自体が先進国と比較して大きく不足してございます。であればこそ、現金給付の拡充を優先していただきたいのが低所得層に対してです。
 一方で、中高所得層につきましては、今次法案の肝でもありますゼロから二歳への保育機会の拡充というものは急がれます。ですので、中高所得層、比較的生活が安定しております層につきましては、当然、現物給付の優先度が高められるというふうに考えております。
 財源の問題につきましては、私もスライドの十五ページ等に書いておりますが、幅広く子育てをしない世代も含めての負担というものを考えない限り、この問題は、現金給付か現物給付かという子育て世帯において本来二者択一になるべきでないものを二者択一にしてしまうという課題を発生させてしまっております。幅広い財源の議論こそ是非政治の場で活発に行われるべきであろうと考えます。
 以上です。

#17
○参考人(是枝俊悟君) 現物給付、保育所や一時預かり事業などの現物給付はなるべく幅広くユニバーサルに提供する一方で、現金給付につきましては、家庭全体への支援ということになりますので、所得などによってめり張りを付けて行うといったようなことがよいのではないかと思います。

#18
○徳茂雅之君 ありがとうございました。
 末冨参考人から択一ではないということで、やはり現金か現物かというのは、どこに給付をするのか、もちろん財源の問題もありますけれども、給付する対象に合わせて、しかも、先ほど申し上げた、ある意味いろんなステージに合わせて対応していく、考えていくことが必要じゃないかというふうに思いました。ありがとうございます。
 それから、待機児童の解消のためにいろいろ取り組んできている結果、先ほど是枝参考人の資料にもあったかと思いますけれども、かなり都市部以外では待機児童が解消されてきたのではないかなと。これは、ある意味これまでの間、例えば待機児童解消加速化プランでありますとか、昨年までありました子育て安心プラン、そして今年度から始まっています新子育て安心プランということで、いろんな面で、政府あるいは自治体の取組含めて、あるいは関係者の取組が実を結んできたんだろうというふうに思います。
 今回も更に十四万人の待機児童の受皿を拡大を目指していくということでありますが、こういった量の拡大を最後どこまでやっていくのかと。これから量の拡大とともに、例えば幼児教育の内容の充実でありますとか保育士の育成でありますとか、質の拡大をどのように、質の充実をどのように取り組んでいくのかということをこれ組み合わせてやっていくべきではないかというふうに思いますが、現状どのようにお考えか、これも三名の参考人にお伺いしたいと思います。

#19
○参考人(奥山千鶴子君) ありがとうございます。
 そうですね、待機児童の数もその勢いが少し緩和されてきたようなデータなども示されているというふうに思います。多分、駅近い保育所のニーズが高かったり、少し駅から離れているところについては空きがあったり、ちょっとバランスなどもあるのかなというふうに思います。
 一方で、やはり多分、地域の保護者の方については、保育園の質ということについては非常に関心が高いと思います。我が子のためにやはり質の高い幼児教育、保育を受けたいということがありますので、今、その保育士の確保というのも大事ではありますけれども、新型コロナ感染の関係で昨年の研修機会というのが、保育士の研修機会、キャリアアップ研修の機会がなかなか得られなかったというふうに聞いておりますので、そういった研修の受講の機会の拡充ですとか、それから、やはり現場では国の基準よりも保育士の数を多くして対応しているというふうには思うんですけれども、その努力ということをしっかりと予算等にも反映させていくなど、質の向上についてしっかりと拡充していく、充実させていく必要があるというふうに考えております。

#20
○参考人(末冨芳君) 量の拡大と質の保証の両立策ということですけれども、まず量的な拡大を支えるためには保育士の確保が重要であろうと思われます。
 幼児教育の無償化のときに、私も子供が保育園児でしたが、ママ友同士の声で聞かれたのは、保育士さんの待遇改善を先にお願いしたいということでございます。本当に日々献身的に働いていただいております。ただ、その際に、一律というのも何かおかしいと。今、保育士が確保できないので、自治体によってはかなりの優遇策は設けておられますけれども、できれば働き続けてキャリアアップをすることが待遇改善につながる職場であってほしいと思っております。
 私自身は今中央教育審議会で教育の質の向上にも関わっておりますが、教員と保育士は同じような課題を抱えております。すなわち、研修を積んだ者がより高い待遇を得られるような仕組みですね、評価やあるいは待遇改善の仕組みというものを官民の枠を超えてつくっていただくということが重要かと思います。
 例えば、イギリスではいっとき、標準俸給表というものを公立あるいは民営かかわらず、こうしたスキルを持つ人はこの程度の待遇ですよという標準的な給料を示して、待遇改善を目指されていたことがあるんですよね。日本の場合にも、例えば、そうした目安を作ることで、どの設置形態にもかかわらず、より良い支援が可能になると思われます。
 あわせて、十五ページに少し書かせていただきましたけれども、義務教育段階では、現在、学校と保護者、地域の連携によるコミュニティ・スクールという仕組みをつくっております。これにより、地域と学校で子供を支え合うという意味では大変大きな進歩が起きた地域もございます。
 就学前教育につきましても、保護者、園と自治体などの協働を行う就学前のコミュニティ・スクールといったような、みんなが子供を一緒に考えて、どう良くしようかというような場をつくっていくことも重要かと存じます。
 以上です。

#21
○参考人(是枝俊悟君) 保育の量の拡大、質の充実、どちらも重要だとは思っております。
 ただ、特に待機児童の残っている都心部で、特にゼロ歳、一歳につきましては、利用者一人当たりの公費負担額が物すごく大きいという実情もございます。ゼロ歳、一歳につきましては、育児休業給付をより多くの方に支給する、育児休業給付又は保育所の利用のいずれかの利用で、どちらかで世帯をしっかり支えていくという発想も必要なのではないかなと思っております。
 以上です。

#22
○徳茂雅之君 時間が参りましたので、これで質問を終わります。

#23
○塩村あやか君 立憲民主・社民の塩村でございます。
 参考人の皆様、本日はお忙しい中、そして緊急事態宣言の中、本当にありがとうございます。
 参考人の皆さんの話を参考にしながら、少し質疑をさせていただきたいというふうに思っております。
 私は、子育て応援パッケージという政策を提案をさせていただいております。それは、基本的に保育費を含めた教育費の負担を減らしていくということと、中学校などの給食の無償化とか、産後ケア、ネウボラ、必要なサービスを用意して、親の所得が関係なく、必要な人が必要なときに使えるというものです。
 これは、親の所得関係なく使えるということは普遍主義で、非常に私は重要であるというふうに考えています。サービスですので必要な人しか使えませんし、子供に支援で差が付くというのは私は決してよくないというふうに考えています。これは奥山参考人の考え方と多分似ているんだろうなというふうに思います。
 今回の法改正なんですが、これはサービスではなくて児童手当ということで、まさにお金の部分が一番クローズアップされている法案だというふうに思うんですが、考え方は私同じで、基本的に支援をする子供と支援をしない子供をつくらないということが大事だというふうに考えています。
 そして、それ以前に、日本の家族関係支出なんですが、OECD諸国の中でも低いと。先ほど是枝参考人の方から、二〇二〇年度辺りだと、この辺りとか少し上がるのではないかという図が示されましたが、やっぱりそれを見てみても、コロンビアとかスロバキアとかチリとかリトアニアを抜かしたにすぎないということで、私は実はまだまだではないかなというふうに思っているところです。ですから、まずはしっかりと国が予算を取ってきて予算を増やしていくということが、少子化は国難という今、一番重要ではないかなというふうに私は考えているところです。
 そこで、各委員に本法案についてお伺いをしたいというふうに思っています。
 今は平時ではなくて、少子化は国難の時代です。同じ子育て世代の中から予算を付け回して、新たな予算を取るのではなくて、付け回して今回保育所の対応しているわけなんですが、私は、どちらかと、新たな予算で対応することと、皆さんにお伺いしたいのは、新たな予算で対応することと、どちらが本当に少子化対策になるのかと。平時ではなくて、今本当に国難というふうに言われている中で、予算の付け回し、限られた予算の中でというと、それで確かに納得をしてしまいがちなんですが、今だからこそしっかりと政治が頑張って新しい予算を取ってくると、これが大事ではないかなというふうに思っているんですが、どちらが少子化対策に本当になっていくのか、私たち政治が頑張らなくてはいけないのか、御意見があれば教えてください。
 結論から先に教えていただけると幸いです。

#24
○参考人(奥山千鶴子君) 今現状ではその新たな予算が確保できていないということなのかなというふうに理解しております。
 もちろん、私自身もこれまで、現物給付にしろ現金給付にしろ、子供の分野にしっかりと投入されるということを求めてまいりました。ただ、今、今回、この現状の中において、そのバランスにおいてどうしたらいいのかという議論だというふうに思っています。
 そういう中で、やはり高額所得者のところにつきましては、今日の内閣府の資料でも金融資産が非常に大きいということも示されておりましたし、本当にもうそこのところは難しいところではありますけれども、現状ではこのような選択だったというふうに理解しております。
 ただ、何か検討規定という形で、今後も更なる検討を加えていくというふうに検討規定が入っているということですので、是非とも引き続き検討をしていただければというふうに思っております。
 以上です。

#25
○参考人(末冨芳君) 私自身は、やはり子育て世代を超えた広い国民負担というものを今考えるべき時期に来ていると思われます。
 先ほどおっしゃられましたとおり、親の所得によって支援から排除される子供たちを生むこと自体が、子どもの権利条約批准国である我が国において望ましい状態かと言われると、そうではありません。親が金持ちだからといって、決して子供が十分なケアを受けられているかというと、そうではない場合もございます。
 また、家族給付に、家族関係の支出につきましては、OECDのファミリーデータベースを用いますと、やはり現金給付よりは現物給付に偏って充実をしてきたという我が国の特徴がございます。それは待機児童対策を優先していただいた結果でもございますが、現金給付は決して十分ではないということも国際的には言えると思います。
 なお、高所得層の児童手当を削っていいという発想自体が、実はグローバル化の中ではかなり危険であるということを申し上げておきたいと思います。既に我が国よりも高所得層で高学歴層の子育てカップルを積極的に移民として受け入れるアジア諸国は現れております。そうした国に我が国の貴重な納税者を流出させることは、全体最適の観点から申し上げれば、全くもって危険であるということを強く懸念しております。
 現に私の友人たちも、日本にこれ以上住んでいる理由がないのではないかということを今回の特例給付の廃止を見て言い出す者も現れており、コロナが落ち着けば急速に流出が進む、若しくはワクチンの先進国に積極的に移民をしていく子育て層を拡大させることだけはどうしても食い止めたいと思っております。
 この国が全ての子供を大切にしてほしいと申し上げておりますのは、我が国の成長を支えるためでもあるということを御理解いただければと存じます。
 以上です。

#26
○参考人(是枝俊悟君) 少子化について非常に国難だということだと思いますが、一方で、財政も非常に国難の状況にございます。こういう状況で新たな増税策等を取ることができないのであれば、現状、再分配を行うということも致し方ないのではないかなと思っております。
 先ほど、支援をする、しない子供をつくってはならないということだと思いますが、児童手当も親に対する給付ということになり、親が子供に幾らお金を使えるかというのも自由である中で、高所得世帯と低所得世帯の差を少なくするという観点からは、高所得世帯に少し譲っていただくということがあってもよいのではないかと思っております。
 一方で、親が高所得世帯だからといって必ずしも子供に十分なケアがなされない可能性があるという塩村先生の御指摘もごもっともだと思います。
 例えば、私は、末冨先生が提言されたように、日本学生支援機構の有利子貸与奨学金については所得制限を撤廃してよいのではないかというように思っております。親が高所得だからといって必ずしも親の希望する進学先でなければ支援しないよというふうに言われてしまっては、子供が十分な進学の機会が保障されないこともありますので、貸与の奨学金につきましては高所得層であったとしても利用する道を担保していただきたいと思っております。
 以上です。

#27
○塩村あやか君 ありがとうございます。
 私、ちょっと今回非常に強い懸念を持っていまして、一点目は、これまで、民主党政権が子ども手当を始めたときから、何かしら全ての子育て世代に給付はしていたわけなんですよね、いろいろ分けながら。それはもう普遍主義であります。今回初めて、支給しないというところを取って、選別主義を取る国になってしまったわけなんですよね。この事実は私非常に重たいと思っておりまして、先ほど末冨参考人がおっしゃっておりましたが、高所得の方たちが海外に流出をするのではないかと。既に私の友人も海外に行ってしまっております。この国で子育てをするのは決していいことではないという判断で行ってしまっているんですよね。この辺りをしっかり私たち考えていかないと、高所得の人たちについては高所得だからこそ切ってもいいとかいうそういう話ではなくて、根本的なところから私はしっかり考えていかなきゃいけないなというふうに思っております。
 ちなみになんですが、三歳から五歳までの幼児教育の無償化とか義務教育は無料とおっしゃっていましたが、小学校三年生以上の家庭は一切恩恵を受けられておりませんし、よく国会でもう一つ答弁があるのが、不妊治療とかも所得制限をなくしたと言いますが、これは今年からなので、現在全員が受けられていないというところがあるんですね。
 ですので、支援がある意味逆に偏ってきていて、その格差も開いていくというか、逆に、逆の意味で開いていくような形にもなってきますから、こっちがあるから、じゃ、今度こっち取って、こっちがあるから今度こっち取ってとやっていると、何かどんどんどんどん回しているだけになってしまいますから、やっぱり根本的に子育て支援を私は見直していかなくてはいけないなというふうに思っています。
 そこで、皆様にこの法案についてもう一点お伺いをしたいというふうに思います。
 今回、大きなメッセージを子育て世代に送ったというふうに私は思っています。それは、今お話をしたとおり、選別主義に切り替わってしまったという国になってしまったことなんですね。
 私自身も今この仕事をしておりますから、どちらかというと一千二百万円以上の方に入ってくるんですが、今、私、不妊治療中です。この法案が出て、あっと思ったんですよね。すごいいろいろ懸念していて、それで、不妊治療している中で、やっぱり駄目だったという結果で今子供がいないんですけど、この数か月でまた駄目だったということになりまして、そのときにある種ほっとした部分もあるんですね。これだけ子育て支援が行ったり来たりする中で、私自身の仕事も今は高所得だけれども安定しているわけではありませんから、この先どんなふうにこの国が子育て支援を切り替えていくのかって、非常に不安定だなというふうに、もう不安なんですね。
 そうした点から、いろんなメッセージを、今回の法案改正でこれに気付いた方はいらっしゃると思うんですが、どのようなメッセージを受け止めたかとか、受け止める人がいるかという点で懸念点があれば教えてください。

#28
○参考人(奥山千鶴子君) そうですね、懸念点ということなんですけれども、本当に全体として見たときに、現物給付とそれから現金給付ということ、これからもっともっとこの国では充実をさせていかなければいけないということだと思うんですけれども、そのバランスの中において、それで、現物給付、特にまだまだ保育のところの質、それから量とともに拡充しなければいけない。そちらの方をまずは優先をして、そして、これからまた、これで十分だというふうに私も思っておりませんので、更なる拡充というのをしていっていただいて、そのメッセージというのを、このコロナ禍、アフターコロナを見据えてしっかりと発信していくことが必要だというふうに思っております。
 以上です。

#29
○参考人(末冨芳君) 私自身は、スライドの七番で心理学上の恐怖喚起という言葉を用いておりますが、選別主義への移行というのは、今後どこまで所得制限が切り下げられるか、まずは、合算千二百万円のラインにいつ切り下げられるかという恐怖感を子育て世帯及び子供を持ちたいと考えている世帯に与えているという点が一番の課題であろうと思います。
 もうこれ以上切り下げないのだと分かっている制度的安定性が見通すことができれば必ずしも恐怖メッセージではないわけですが、財務省の議論では、当初、合算九百十万円という高校無償化と同じラインで線引きをし、支援から排除するということが言われてしまい、アナウンスメント効果を生んでしまいました。すなわち、現在の子育て世帯は、恐らく第一子を産んでいても、第二子、第三子の産み控えは生じます。それとともに、そもそも結婚して子供を持つかどうかの選択を控える、コロナの中でそれが加速しているという状況になっているという点で大変危機感を覚えております。
 以上です。

#30
○参考人(是枝俊悟君) まず、全体としてやはり非常に予算も厳しい、財政も厳しい中で、重点化していくべきところに重点化していくというメッセージなのではないかと思います。
 先ほど塩村先生も、高所得の方もいつ低所得に陥るか分からないということではありますが、結果的に低所得に陥ったならば当然支援の対象になるということになりますので、その時点で高所得を稼いでいる方に一定の負担をお願いするということは決して恐怖というものではないのではないかなと思っております。
 以上です。

#31
○塩村あやか君 ありがとうございます。
 最後にお伺いしたいんですが、出産は婚姻数に相関するということなんですよね。今、日本は明らかに、共働き世帯のうち正規雇用の方は二割程度しかいないわけで、私は正社員にこだわっているわけではないんですが、日本がこの先も家族関係支出が低いままであるとすると、雇用政策も含めての子育て支援の見直しが必要ではないかというふうに考えているんですが、御意見があればお願いします。

#32
○委員長(森屋宏君) どなたにお聞きします。皆さんですか。

#33
○塩村あやか君 皆さんに、はい、済みません。短くて済みません。

#34
○参考人(奥山千鶴子君) ありがとうございます。
 そうですね、やはりいろんな理由があって離職をするということがあるとは思うんですけれども、できれば企業においても働き続けられる環境というのをしっかりと整えていただきたいというふうに思いますし、それから、事情があって辞められた方についても今後しっかりと保障していくような、若しくは地域の現物給付、現金給付、この辺りのバランスというものも考えて支援していく必要があるというふうに考えております。
 以上です。

#35
○参考人(末冨芳君) 非正規労働者の雇用及び賃金、待遇の改善につきまして急務であると考えます。同時に、我が国でも長く同じ職にとどまることが難しい社会になっておりますので、給付付きの就業の支援といったものも、より高度な職でより高い所得を稼いでいただくためには必要かと思います。
 セーフティーネットが生活保護以外にないというのは、我が国は非常に特殊な社会の一つでして、そこからきちんと生活を立て直し、より良い暮らしにつなげていくための階段状の丁寧な支援というものを再度考える必要があろうかと存じます。
 以上です。

#36
○参考人(是枝俊悟君) とにかく親の就労により世帯収入を増やしていくということが重要だと考えております。
 近年、子供を産んだ母親の約四割が出産前産後休業や育児休業を経て就業を継続しているところですが、この割合を更に引き上げられるようにしていく、四割から六割、七割と高めていく、また、結婚、出産を経て一度仕事を離れた女性に対しても、スキルを持ってより高い賃金水準で再就職できるよう、教育訓練給付金を活用した資格取得なども進めていくことも大変重要だと思っております。

#37
○塩村あやか君 終わります。ありがとうございました。

#38
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。
 本日は、三名の参考人の先生方、大変お忙しい中、また緊急事態宣言の直下の中にもかかわりませずお足をお運びいただきまして、大変貴重な御意見陳述いただきましたことを心から感謝を申し上げたいというふうに思います。
 まず、奥山参考人に幾つか御質問させていただきたいと思います。
 今日御指摘いただきましたとおり、今回の法改正によりまして、市町村の五年に一度の支援事業計画に、任意ではありますけれども、関係機関相互の連携ということが盛り込まれました。このことによって、子育て家庭の個別の状況を関係機関で情報共有をしていくことができるということ、また、その状況に応じたきめ細やかな適切な支援を届けるということができること、また、奥山先生もやってこられた多機能型の支援によって利用家族が総合的な支援を受けることができるようになるということ、様々な可能性が広がることがもう大変私も期待をしております。
 その中で、幾つか今日も御例示いただきましたけれども、どういったその関係機関の連携、あるいは多機能型の支援というものが、今後、各市町村が、まあ任意ではありますけど、展開していく上で進めていくべき今の日本の社会の現状に合った支援であるかということについて具体的に御教示いただければ大変有り難いと思います。

#39
○参考人(奥山千鶴子君) 御質問ありがとうございます。
 まずは、その母子保健分野と子育て支援、保育、こういったところの切れ目ない支援ということが、言葉上では最近よく出てくるわけですけれども、じゃ、実際にそれが各市区町村でうまくできているかというと、まだまだ心もとない感じがしております。
 高齢者の方でいえば地域包括支援センターという形でワンストップで対応しているかと思いますけれども、子供のところでも、子育て世代包括支援センターというのがこの三月までに全ての自治体で設置してほしいということだったわけですけれども、まだ数字としては全てというふうにはなっていないようです。こういった拠点、そしてその拠点の中で、全ての妊産婦に対して対応をして、その中で、特に支援が必要な方については子育て期若しくは学齢期まで対応していくという体制づくりというのが求められていると思います。
 一方で、妊娠期にそんなに大変でなくても、途中で大変になる方もいらっしゃるわけです。そういう、いつ経済的に厳しくなったり支援が必要になるかというのは分からないですから、そういう意味で、ポピュレーションアプローチで全ての家庭というのを包括的に支援していく必要があるというふうに思っております。
 そういうことでいえば、母子保健分野とまず子育て支援分野、これが自治体によっては部署が分かれていて連携がなかなか進まないというふうにも聞いておりますので、今回、この連携という形の中で本当に具体的にケースの共有も含めて進められるということを期待しております。
 そして、子育て期なんですけれども、子育て期も、先ほどもお話ししましたとおり、まだ保育園、幼稚園、認定こども園に行かれてない家族に関しては非常に地域資源が乏しいという点がございます。ですから、一定程度の、就労に限らない、子供の保育保障というのもこれから考えていただきたいと切に願っているわけですし、それから、保育所に入所されても、なかなか仕事が、時間が掛かる、終わる時間がなかなか終われないということで、そのときのお迎えに行く人材としてのファミリー・サポート・センター事業ですね、この部分というのは地域人材でされていますけれども、非常に長くお付き合いすることができるわけです、乳幼児期から小学校の高学年までですね。なかなか若い世代は実家に戻るということがもう難しいわけです。そういう意味で、その住んでいる地域において地域人材によって支えられるという仕組みでございますので、こういったところが今回の改正により、より充実していくというところを期待しているというところです。
 以上です。

#40
○石川博崇君 ありがとうございます。
 母子保健分野と子育て分野の連携、まだまだ希薄であるという点、私も全く同じ実感でございます。
 特に、今回、十三事業、いわゆる十三事業の関係連携は進むんだと思うんですけれども、例えば産後うつについて、母子保健法が改正されてこの支援は充実いたしましたけれども、こういった子育て包括、日本版ネウボラを通じた連携ということをどう進めていくのかということは非常に大きな課題だと思っております。
 昨年、筑波大学の松島みどり准教授が実施した調査では、出産後一年未満の母親のうち、産後うつの可能性がある人がおよそ二四%に上っていると、通常の発症率に比べて二倍以上という衝撃的な調査結果を発表されておりました。
 今回のこの法改正で、関係機関相互の連携を進める中で、この産後うつ対策、ここがどのように進むのか、子育て包括支援センターとの連携も含めて、奥山理事長からお考えをいただければと思います。

#41
○参考人(奥山千鶴子君) ありがとうございます。
 まず、そのうつ対策の前に、出産前の両親教室というのがございますけれども、これが重要だというふうに考えております。
 やはり今、夫婦そろって出産前に、親になること、出産後の生活をイメージするために両親教室ということで学びの機会というのが非常に重要になってきているんですが、全体として開催回数が減ってきているというようなデータが出ております。通常、三回シリーズで、三回ぐらいやって、三回目は地域の会場としてということで、私どもの地域子育て支援拠点等で三回目を実施して地域になじませていくというような取組などもしている自治体もあるんですが、多くは、今、就労家庭も多いですし、お忙しいこともあり、それからクリニックで受けられる方も多いという中で、自治体の開催が非常に一回とか短い時間に限られてくるんですね。
 さらに、保護者の皆さんにお聞きしますと、もちろん沐浴ですとか、それから夜泣きの対応だとか、赤ちゃん、だっこするとか、そういうことも大事なんですけれども、先輩パパ、ママとの交流が非常に役に立ったというお話があるんですね。
 ですから、産前から夫婦共に出産後の家庭のイメージを共有する、そして先輩方から話を聞かせていただく、ピアサポートの関係性を構築するような、そういう学びの機会をもっともっと入れなければいけないと思います。そのことによって、男性も女性のうつということについて学びを深め、産後のサポートができる。もちろん、育休の拡充というのも重要だと思います。一か月男性が育休取るだけでも、その影響というのは子供が小学校に入るまで長く続くというようなお話もありますので、私としては、その産前産後の学びの機会の拡充と、それから育休をしっかりとパパも取るというところ、この辺りをしっかりやっていくことで産後うつを予防的に対応していく必要があるというふうに考えております。
 以上です。

#42
○石川博崇君 ありがとうございました。
 続きまして、末冨参考人にお伺いしたいと思います。
 末冨参考人は日頃から、現在、我が国国内では子供に関する個別法がばらばらに存在しているけれども、それに理念法として、上位法として子供基本法を制定すべきだという御主張をしていただいております。私、全く同意でございます。子どもの権利条約の精神にのっとった、子供の目線に立った理念というものを我が国で打ち立てていかなければならないのではないかというふうに思っております。
 東京都では今年三月に、議員提案の東京都こども基本条例、これが成立をいたしました。東京都が子供の目線に立った政策を総合的に推進する体制を整備する、その責務を明らかにしたということで、非常に自治体の取組としても先進的な条例になったんではないかというふうに思っております。
 国レベルで、こうした子どもの権利条約の精神にのっとった、幅広い、整合性を持って各施策が推進していくための基本法の制定について、末冨参考人の御意見、御所見をお伺いできればと思います。

#43
○参考人(末冨芳君) ありがとうございます。
 資料の三ページ目に当たると思いますけれども、我が国では児童の権利条約を批准してもう二十五年が経過いたしますが、まだ子供の基本法というものはできておりません。これが必要でございますのが、特に子供の貧困対策、それから虐待対策の推進のためでございます。
 具体的に申し上げますと、我が国の子供の貧困対策や虐待対応はイギリスを参考にしながら進められることも多うございます。イギリスは一九八九年にチルドレンアクト、子供法を制定し、子供の権利の尊重をあらゆる子供に対して保障しております。であればこそ、日本でも理念法としての子供基本法、そして子供の権利を国と地方で守る仕組みというものも併せて将来的には制定が望まれていくというふうに考えております。
 特に、今回の法改正、それから参考人の皆様方の意見で申し上げれば、やはりどのような世帯、それからどのような子供もリスクを持ちながら生きていくのが現代社会でございます。そうしたときに、世帯属性や所得にとらわれずに、あらゆる子供、若者が支援につながる、それから親も支援につながれるということが大事で、それを支える基本法としての子供基本法の制定は急がれると考えております。
 コロナの中で子供や若者の自殺も増えており、それから虐待の件数も過去最高になりました。だからこそ、今急ぐのはまず子供の尊厳と権利、命を大事にする子供基本法であり、それに下支えされれば、あらゆる子供の政策、それから家族の政策というものが充実していくというふうに考えております。
 重要な御質問、大変ありがとうございます。

#44
○石川博崇君 ありがとうございます。
 もう一点、末冨参考人にお聞きしたいのは、今日、特例給付の見直しについて参考人から手厳しい御指摘を様々いただいたところでございます。
 御案内のとおり、昨年、九百六十万超で世帯合算という案について様々政府・与党間で議論された結果、世帯合算は見送る、千二百万超という所得水準にするという結論となり、今回の法改正となっております。そもそも保育の受皿拡充のための財源を子育て施策の財源から取るのかということについて、私も正直、自分自身も腑に落ちない点があるのは事実でございます。現実的な議論の結果となったということですけれども。
 是非、末冨先生にお伺いしたいのは、この世帯合算という考え方についてどう考える、所得水準の問題ではなくて、世帯合算という考え方についてどう考えるのかということについてお伺いしたいと思います。
 是枝先生からも様々御指摘があったところですけれども、そもそも共働きをしていらっしゃる御家庭、経済的な理由によって共働きしていらっしゃる御家庭が非常に多いということ、また、希望出生、希望する子供の数が得られていない最大の理由が教育費の経済的負担であるということから考えると、この世帯合算という考え方は逆に少子化を促進してしまうことになるんではないかという気もいたします。
 末冨先生、それからあわせて是枝先生からも、このことについての御意見をお聞かせいただければと思います。

#45
○参考人(末冨芳君) まず、スライドの七ページにつきましては、大変厳しい内容でございますのであえて説明は差し控えさせていただきましたが、少し補足をさせていただければと思います。
 まず、私自身は、所得制限自体を子供に関する支援につきましてはすべきでないと、基本的に、薄くて構わないので普遍給付を維持しながら、低所得世帯により手厚くということを理想としております。ただし、当然のことながら、受益と負担のルールの間には公平性が求められます。それは、私自身が財政も専門としている研究者であればこそ、このラインは譲れないというふうに考えております。
 でありますから、実は私自身は、もしも、ほかの制度につきましてです、同様に世帯合算するのかしないのかという議論が起きれば、世帯合算をしながらのルール作りというものが不可欠であろうと考えております。理由は、多様な働き方を促進するという意味において、我が国の経済成長にプラスの効果をもたらすからです。それは子供や家族にとってもメリットになるからです。逆に、現在のように、片働き世帯ですね、私の表には夫が働くことになっておりますが、専業主夫ですね、夫の方が家庭にとどまるケースも含めて、様々なライフスタイルに対応した受益と負担のルールというものをもう一度考える必要があるということで、専業主夫、男性女性共にという世帯が不当に負担が大きくならないようなルール作りというのは当然必要であろうと考えております。
 ただし、繰り返しになりますが、それを子育て世帯に導入するということは、やはりこの国の少子化対策全般にとって、それから子供・家族政策にとっては全く望ましくないということは改めて申し上げたいと思います。
 以上です。

#46
○参考人(是枝俊悟君) まず、様々な給付について対象を考えていく際には、やはり世帯の所得ということで考えていく必要があるのではないかと思います。日本の税制自体も個人単位の課税になっているので、それも併せて、世帯で考えるべきなのか、個人で考えるべきなのか、税、社会保障全体の中でどのぐらいの世帯の人に負担を求めるのかということを考えたとき、やはり現状、共働きの世帯の負担は非常に軽くなっているところですので、そこにもう少しだけ負担をお願いする余地があるのではないかなと思っております。
 また、世帯で見たときに、子供の数による考慮というのも再度検討する必要があるのかなと思っております。現在、児童手当の所得制限基準について、子供一人当たり、増加する当たり所得を年三十八万円増加させるという計算式でやっておりますが、こちらは扶養控除ということで、最低生活費には課税しないという所得税の考え方から端を発する、本当に最低限の費用ということとなっております。住民税非課税世帯などかなり所得の低い世帯に対して給付を行う際にはこうした考慮でもよいのかもしれませんが、高校無償化や児童手当など、かなり所得の高い世帯において世帯人数を勘案する際には扶養控除相当額では不十分ではないかなと思っております。
 国際的には、貧困率の計算などを行う際にも等価所得又は等価可処分所得を使うことが一般的ですので、例えば世帯年収千二百万円の四人世帯と同様の世帯所得ということを考えるのであれば、等価所得六百万円、三人世帯で年収千三十九万円、五人世帯で千三百四十二万円といったぐらいに線を引くのが妥当ではないかなと思っております。
 以上です。

#47
○石川博崇君 ありがとうございました。
 時間が来ましたので、終わらせていただきます。

#48
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
 本日は、三人の参考人の皆様、コロナ禍におきまして本当にお越しいただき、先ほどは貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。
 まずは、奥山参考人に伺いたいと思います。
 本当に、今この日本社会の中で、この数十年、子供と家族の状況というのが本当に大きく変化したなというふうに思っています。先ほどから話に出ていますように、専業主婦世帯を共働き世帯が数の面でもう追い越していると。それがここ最近ではなくてもう十数年たっているというような状況で、そこに制度等が追い付いていない。また、支援の手がなかなか、拡充はしていってはいただいているんですけれども、もっとより支援をしていかなければいけないというのが今の現状だというふうに認識をしております。
 また、今日、男性の育児に参加をする点ですとか、また地域での子育て支援、そういったところは本当に重要で、やはり特に私が今回ちょっと資料等を見させていただいて驚いた点が、やはり自分が生まれた地域、市区町村以外のところで子育てをしているという母親が七二・一%もいるということなんですね。やはり知らない土地で初めての出産、育児を迎えるという方々にとっては、本当にこれが、地域での支えるという視点が大変重要だというふうに改めて思いました。
 そういう中で、先ほど、家事・育児支援などもまだまだ自治体三割程度しかない、そういったいろいろなまた支援がこれからどんどん増やしていかなければいけないという中で、今、この多機能型地域子育て支援拠点、また、こちらの資料にも書いていただいております、そうですね、多機能型支援実施拠点、この中で、小学生から大学生、また、その年代、様々な年代が関わっていくということだと思うんですが、この中で、私の地域で以前、高校生、地域の高校と子育てひろばがコラボをして、家庭科の一環で、子供たちの、その乳幼児のお母さんと子供、そして高校生が入り交じって時間を過ごすという、そういったものがあったんですけれども、残念ながら数年で立ち消えてしまったということなんですね。
 この家庭科という中で、これはなかなかいろいろな問題もあるのかもしれませんが、女子と男子で技術と家庭科というような分け方を今までしていたような時代もありました。そういう中で、そのときもほとんどが女子生徒だけが参加をしていたんですけれども、そういった教育の中で、地域、それから、いろいろ自治会ですとか子供会、ありとあらゆるところが関わっていくということが大変重要だと思っていて、これは共通認識だと思うんですけれども、なかなかそれが具体化していない部分も地域によってはあると。そこをクリアしていくためには、どういったところを課題として挙げて具体化をしていく、この点で何か御所見があればお聞かせいただきたいというふうに思います。

#49
○参考人(奥山千鶴子君) 御質問ありがとうございます。
 本当に課題認識が非常に近いというふうに思っております。
 まずは、産前産後のヘルパー派遣事業なんですけれども、これについて非常にニーズが高いというのを私たちも実感しているんですけれども、今のところ、国の方は多分多胎児以上の方々についての補助というのをされていると思うんですけれども、それ以外は各自治体が取り組んでいるという状況だと思うんですね。ですから、これはもう普遍的に国の方がもう少し補助していただけないと各自治体が取り組みにくいのではないかというふうに感じております。
 それと、今、最後に御指摘いただきました高校生との赤ちゃんとの触れ合い体験交流、こういったものなんですが、実は高校は、家庭科の授業が二単位の学校と四単位の学校がたしかあると思います。多くの進学校はなかなか家庭科の時間が取れないというのが現状ではないかと思います。そういった意味で、できれば義務教育の間に、小学校、中学校の間にそういう経験をすることが非常に重要であり、家庭科の教科の改正の中で、子供理解という形で、小学校でも中学校でもそれを促進するというか、教科に入ってきたというふうに認識しております。
 ただ、実際の触れ合いではなくて、例えばビデオ学習ですとか教材学習という学校も多いと思いますので、できれば、本当に赤ちゃんと触れ合うだけで子供たちは大きく変わるんですね。最初、その取り組む前にアンケートを取りますと、子供たちというのは、何かうるさいとかそんなイメージで話していた子供たちが、もう本当に子供がかわいいと、赤ちゃんがかわいかったとか、だっこしてとても柔らかかったというふうに体験談を話してくださいます。この変化というものを家庭科の先生と共有して、これを毎年やろうというふうに進んでいる学校もあれば、全くできていない学校もあるという、かなり地域差があるということですので、これについては教育委員会とそれから地域子育て福祉、こういったところとの連携が更に必要な部分というふうに感じておりますので、今日いただきました御指摘、共感しておりますので、是非進めていきたいというふうに感じております。
 以上です。

#50
○高木かおり君 ありがとうございました。
 私もそこで体験をさせていただいて、やはりおっしゃっていただいたように、なかなか核家族だったり、高校生ぐらいになると小さい赤ちゃんと触れ合う機会がほとんどなくて、そこで、例えば愛情であったりとか、虐待につながらないような、いろいろ学校では学べないようなそういった視点も大変重要だったのかなというふうに思っておりますので、是非進めていっていただきたいというふうに思います。
 それでは次に、末冨参考人に伺いたいと思います。
 先ほど、この資料の九ページにもございます、日本人の今の少子化対策としまして、このリスク回避行動ということを御指摘されていたかと思います。山田昌弘教授の著書の中にもあったかと思います。今、子供を持つ、また結婚をするということに対して大変恐怖感を覚えてしまうような、今、日本社会の価値観といいますか、そういったところがある。ここをしっかりとクリアしていかないと、幾ら少子化対策という、お金の、金銭的な部分、そこだけ、また、そこをしっかりと議論しないでいろいろな子育て施策だけをやっても、やはりこういった根底に根付く意識ですね、こういったところをしっかりクリアできるような対策をやらなければいけないんじゃないかというようなお話だったかと思います。
 そしてまた、それに加えて、この八百万以上の受益と負担が見合っていないというような問題、これに関してもう少し御所見ありましたら、詳しくお聞かせをいただきたいというふうに思います。

#51
○参考人(末冨芳君) ありがとうございます。
 まず、リスク回避行動については日本人の国民性とも呼ばれる大変難しい問題でございまして、様々な社会調査でどうしてもそのように出てしまうものなんですよね。この部分を簡単に変えることができないとしても、子育て世帯についての社会意識ですね、子供や子育て世帯についての社会意識をもう少し政府広報や国民運動で変えていっていただきたいんです。
 具体的に申しますと、私もベビーカーを蹴られたことが二回ございます。それは余りにもひどいと思いました。泣きました。ただし、それを社会として容認してしまっているというのが日本の現状であると思います。例えばですけれども、子育て応援条例を制定しておられる自治体さんもありますが、応援しましょうで終わっているんですよね。子育てに対して一層温かくなければならないと、絶対に冷たい仕打ちをしてはならないんだということが日本においては余りにも希薄だと思います。
 逆に、イギリスにおきましては、私も、大人だけで行くときと子供と一緒に行くときと、はっきり態度が違います。大人だけで行くと、ただのアジア人として待遇していただきますけれども、子供を連れていくと、もう世の中の皆さん方が温かいんですね。どこから来たのとか荷物持ってあげるよというふうに、もう様々なサポートをいただけます。それは、たとえ学会に連れていこうが、あるいは普通にマーケットで買物していようが、本当に違うんですね。
 ということで、社会の側、子供を持たない大人の側が変わっていくということで、ああ、この社会で子供を持つということがきちんと祝福されているんだということがはっきり分かるというようなことにも是非政府のお力をいただければと思います。
 ただ、現実的な制度設計といたしましては、既にこれまで申し上げたとおりで、やはり子供を安心して育てられる制度設計をこういうふうにつなげていっているんだという、より明確なメッセージが重要かと思います。
 実際に、男性の育休・産休制度についてはもう先進国トップになっていると、この事実は意外と知られていないことと、コロナの中でも我が国の乳幼児死亡率は先進国で最も少ない、非常にすばらしい水準なんですね。こういった子育て先進国にもなり得る日本というものもより一層情報発信をしていただいた上で、子育て世帯、若い世代への金銭的な支援というものも充実していただければ、出生数、出生率も回復しますし、何よりも子育てをしていて幸せだと実感できる社会になると存じます。
 以上です。

#52
○高木かおり君 続けて末冨参考人に伺いたいんですけれども、子供の貧困という中で、やはりそういうなかなか声を上げれない、そういったところを浮き彫りにしていかなければいけないという課題があると思います。
 先ほどのお話の中でも、子供たちの、まあコロナも影響しているかと思いますが、子供たちの自殺が増えているですとか、そういった声を上げれない子供たち、そういった課題を少しでも支援していくという中で、スクールソーシャルワーカーですとかスクールカウンセラーという専門職があるかと思います。その相談体制、しっかりとこの窓口をつくっていくということも重要だと思うのですが、なかなか非常勤の方が多いということもありますが、この点、常勤化をしていくということについてはどういう御所見をお持ちなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

#53
○参考人(末冨芳君) ありがとうございます。
 私も、内閣府の子供の貧困対策の委員として、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの常設化、国庫負担職への移行というものは常々強く申し上げております。ただし、やはり財源が確保できないことと、それから、今までは学校や自治体によって役割が安定しなかったということがございます。それは非常勤雇用ともセットになっております。
 ただし、昨年の秋の行革事業レビューで、子供の貧困と虐待のデータベースをつくってそれを実際にプッシュ型の支援につなげていきましょうというような河野担当大臣の御発言もあったかと存じますけれども、内閣府もそうしたデータベースの運用構築に向けて動いております。
 その際に、では誰が支援をアレンジしていくのかということになれば、当然のことながら新しい職が必要になると。その役をスクールソーシャルワーカー、そして心理的な支援、医療的支援も含めてスクールカウンセラーとの分担体制を置き、自治体と教育委員会の配置モデルをつくれば、現実に政策は動くものだというふうに考えております。
 大変な重要な御質問ありがとうございました。

#54
○高木かおり君 ありがとうございました。
 最後に、是枝参考人に伺いたいと思います。
 今日、片働き世帯、それから共働き世帯、そういった中でのいろいろと御所見をいただいたかと思います。その中で、考え方として、帰属所得ということがあると思います。この点についてもう少し詳しく御所見を伺いたいと思います。

#55
○参考人(是枝俊悟君) 御質問ありがとうございます。
 従来、日本が個人所得課税制度を取っていて、共働き世帯よりも片働き世帯の方が同じ世帯収入であれば税負担が重いという考え方は、帰属所得によって説明されると考えられてきました。
 帰属所得というのは、収入、キャッシュの収入はないけれども、その収入があるのと同等の生活水準があるよという考え方です。専業主婦世帯の方で家事、育児に専念することができる方がいる場合は、同じ世帯年収であれば、家事、育児に専念して、市場で買えばお金が必要となる保育サービスや家事サービスなどを提供することができる、家庭内で提供することができるため、その分ある種所得が高いものとみなし、税金を負担する能力が高いだろうと考えて、それゆえに同じ世帯年収の共働き世帯よりも片働きの世帯の方がより多くの税を負担すべきだという考え方が旧来から受け入れられてきたというところでございます。
 ただ、昔はそうだったというところはあるんですけれども、近年、育児休業給付金だとか、あるいは保育所、認可保育所の利用につきましては、実際の経費よりも大幅に少ない利用者負担ということとなっております。三歳以上については無償化されました。学童保育につきましても、財政の負担が大きくされているところでございます。そうした支援を受けながら共働き世帯が所得を実現しているということで考えますと、帰属所得で説明できる差はより小さくなっているのではないかと存じます。
 ここ十数年ほど、特に片働きの世帯の高所得世帯ばかり負担を求める施策が続いてきたところですが、私は、そろそろ共働きの高所得世帯にも一定の負担をお願いする時期に来ているのではないかと存じます。
 以上です。

#56
○高木かおり君 ありがとうございました。時間が参りましたので、終わります。

#57
○矢田わか子君 国民民主党の矢田わか子と申します。
 今日は、参考人の皆さん、お忙しい中、本当にありがとうございます。
 まず奥山参考人からお話をお聞きしたいと思います。
 子育てを支える地域コミュニティーについてのお話が中心だったと思うんですけれども、私も自分自身が本当に地域の人に支えられて何とか両立してきた人間でございまして、まだファミリー・サポート事業がないときに近所に名刺持って回ったんですよ、何とか助けてくださいと、厚かましいお話ですけれどもと。その方々と本当にもう、息子もようやく大学生になりましたけど、国会議員になってからも一人大阪に置いてきて、地域の人が支えてくれて子育てができてきたという人間であります。
 したがって、今日のお話すごく共感するんですけれども、まず一点は、妊産婦に対するこのコロナ禍における不安が広がっているというところについて、おっしゃるとおり、両親学級がことごとく中止になっていて、先週の内閣委員会でも、そうしたことについてオンラインでもっと進められないのかということを政府にも問うているんですけれども、なかなかやはり、地方自治体の裁量で決められるものなので、政府二分の一負担してもらえるということで、妊産婦総合事業で予算も付けてもらっているんですけど、やっぱりその自治体の意識によってやらないというふうなところもあります。
 そのような中で、やはり核家族化も進み、かつ妊婦が孤立し、妊娠の段階からやはり不安が高まっていて出生率も減っているんですが、今後やはりこのコロナ禍もう少し続くという前提の中で、どういうふうにやはり地域全体でのコミュニティー活動を加速していったらいいのかということがお聞きしたいんですね。
 それは、もう一方で、子育てのみではなくて、奥山先生も御推奨のとおり、やはり高齢化社会に入って、対高齢者に対しても障害者に対してもということで、地域全体の福祉ガバナンスというんですか、をつくっていくことが重要だというふうにも考えておりますので、今回、法律六十一条の改定によってしっかりとその子育てを行う機関と連携を強化みたいなことが法文化されるんですけど、ここに対する期待とともにお答えいただければと思います。

#58
○参考人(奥山千鶴子君) ありがとうございます。
 まさに、ただいまのコロナの感染下において非常に心細い思いをしている妊娠期の家庭にどのようなメッセージを届けるのかというのは非常に重要だというふうに思っております。クリニック等での両親学級も閉鎖になってしまっており、また出産時も立会いなどが制限されるなど、そういう意味で本当に心細い思いで出産されている、臨まれている方が多いというふうに思います。
 そんな中で、今もお話がありましたが、オンラインを活用した両親教室というのも幾つか例が出てきていると思います。私どもも、オンラインの両親教室を土曜日に開催したり、実は夜間に開催したりしております。両親教室というのはもちろん御夫婦共に参加するわけですが、就労をされている家庭でうまく土曜日に御夫婦ともがそろわれる家庭ばかりではないと思います。そういう意味で、夜にオンラインでやったときにはリビングからくつろいだ形で御夫婦で御参加いただけるなどのメリットがあったというふうに理解しております。
 そういう意味で、やはり、こういったピンチではありますけれども、いろんなICTの活用によって、申込みなども電話というのはもうやめていただきたいですよね、働いている方は電話するのは大変ですのでね。そういう意味では、ネットで申込みができるような、そういう促進策というのも是非進めていただきたいというふうに思っております。
 それと、やはりこの連携というのは言うはやすしで非常に難しいというふうに思っています。ですから、今回支援計画の中にこの連携というのをどういうふうに取り組んでいくのかというのは、是非毎年毎年その取組具合というのをチェックし、また、うまく進まれている自治体があれば、そういうモデル自治体という形で是非推奨して皆さんにも御紹介をするなど、そういったような対応を是非進めていただきたいというふうに思っているところです。
 以上です。

#59
○矢田わか子君 ありがとうございます。
 続いて、末冨参考人にお伺いしていきます。
 末冨参考人、現物支給と現金給付であればやっぱり現物の方に重きをというふうな話がありましたけれども、どちらの観点からもちょっとお聞きしていきたいんですけど。
 今回、所得制限掛かって、実際には何も享受できない層が出てくるということでもあるんですけれども、末冨参考人は多分ゼロ支援の世帯というのはやはりつくるべきではないというふうに御主張されているんだと思いますが、そうしたときに、お金は無理でも、例えば現物支給ということを充実させて、例えば学校の、義務教育の完全無償化、給食費とか副教材費ですね、これ連合で調べたところ、小学校では年間十万円程度、中学校でも年間十八万程度掛かるという試算が出ておりまして、こうしたものはもうとにかく教育を受ける段階においては親の所得にかかわらずというふうな考えもあると思うんですけれども、子供を持つことの恐怖感ということもおっしゃっている中で、今は高所得でも、分からない、先行き分からないわけですよね。
 そのような中で、しっかり現物支給というところを私も充実、基本はしていくべきではないかというふうに思っているんですが、その辺りのお話を一つ聞かせていただきたいのと、もう一つ、現金のことは、今、一人親か二人親かということの差ではなくて、本当に困窮しているところに本当は手当てしなくちゃいけない。今、ちょっと試算を私もしているんですけれども、二人親でも実際に、働けない、御病気でとかいう人もたくさんいらっしゃるわけですよね。したがって、何か今の時代で見ると、一人親だから年収二百七十ですか、以下だったら四万三千円もらえて、二人親でも二百七十万以下で百万円しかないのにもらえてないというような家庭も実際お金で見るとあるわけですね。
 したがって、一人親のみを対象としている児童扶養手当の考え方を残すよりも、児童手当として合算というか包含して、所得に応じた段階的な支給というのも一つ考えられると思うんですが、この辺りについてのお考えをお聞かせください。

#60
○参考人(末冨芳君) まず、前提としまして、現物給付か現金給付かは、先ほど申し上げましたとおり、所得層によって優先度が違うという話はさせていただきました。
 その上で御質問に答えさせていただきますと、現物給付におきましては、義務教育の完全無償化はどうかということなんですが、実は現状でも自治体間の副教材費格差、給食費格差が大きいので、私自身はこの分野の専門家でもあるわけですが、ナショナルスタンダードをつくることが極めて難しい分野でもございます。
 現実には、教育費というものは大学生時がピークです。専修学校時がピークになります。二人子供が同時に専修学校、大学に通うと、恐らく家計の所得の八、九割方が子供の授業料に消えていくんですね。それは高所得世帯であっても同じです。高所得世帯の方が支援がない分、日本学生支援機構の奨学金も借りられない分、実は民間のローンしか使える支援がないという御家庭を私は何組も目にしてまいりました。それが納税に対してこの国が報いるやり方なのかということは、大学教員として強く疑問に思っております。
 であればこそ、実は後ろの方に無償化のピークを持ってきていただきたいんですね。具体的に急がれるのは、どちらかというと、高校の無償化の普遍的な仕組みというものの方が急がれます。大学入試に際して、そもそも受験料がかなり高いです。それは、やはり私の勤務しております日本大学も含めて、ちゃんと頂戴せざるを得ませんので、高いと。入学金の壁も非常に高いということで、高校生の間になるべくそれを貯蓄したい、若しくは、それが無理であるからこそ、現在の高所得家庭は児童手当を積み上げて、貯蓄にしてぜいたくだとおっしゃいますが、あれは子供たちが大学に行くための進学費用として大事に大事に、我が家もそうですけれども、ためています。それをちゃんと実態として明らかにしていただいた上で、恐らく、もしも現物給付を急ぐのだとすれば、高校の無償化の十一万八千八百円の普遍的な仕組みを優先させていただきたいと考えております。
 それから、変動が激しいということにつきましてはおっしゃるとおりで、私のスライドの二十六ページにお示ししましたように、一人親、二人親で現金給付に差を付けるべきではないというのは、こちらは私が理事をしております公益財団法人あすのばという子供の貧困対策団体の実態調査でも明らかになっております。
 将来的には、児童手当、児童扶養手当は一体化しながら、所得に応じてきめ細かく、特に、今日申し上げた言葉で言えば、ディーププア層により手厚く、そして、今ですと住民税非課税で切れてしまう仕組みが多いんですが、住民税非課税からもう少し生活に余裕が出るまできめ細かい階段にしていただきたいんですね。今だとずばっと切れてしまう。私たちは、専門家は崖と呼んでいますけど、崖じゃなくて階段にしていただくと、より多くの世帯が生活を安定し、見通しながら子供を育てていけると。それは日本人のリスク回避志向にとても合ったやり方だと思いますので、どうぞ崖ではなくて階段をということをお願いしたいと思います。
 以上です。

#61
○矢田わか子君 ありがとうございます。
 その上で、是枝先生、子供を育てている世帯で、高所得者層から低所得者層に対して何らかのというふうなことの御趣旨が中心だったと思うんですけれども、ただ、高所得者層をどこに位置付けるのかというのはすごく大事な視点だと思っていて、おっしゃるとおり、欧州諸国のように平方根を用いた試算をした方が私もいいというふうに基本は思っていますが、この千二百万ラインと言われる、三人扶養で今千二百が、政府出してきているラインが本当に妥当なのかということを見なくちゃいけないというふうに思います。
 末冨先生もおっしゃったとおり、一方で、これ、本当は児童手当だけじゃなくて、子育て全体をやっぱり見たときに、やはり負担と給付のバランスということで、税はたくさん納めていると、三角形でいくと、税金はばあんと下の方が大きいわけですね。今度、社会保障は逆三角形で、給付する方は圧倒的に少なくなっている。それは全部ラインがあるからです。
 ほかは、今回だけ、確かにおっしゃるとおり、片方のどちらかの親なんですが、ほかの給付の段階は、幼児教育の無償化しかり、それから高等教育もそうですが、合算ですよ。合算二百七十万円以下ラインというのがあって、したがって、大学なんかは、おっしゃるとおり、二百七十、三百、三百八十とだんだん段階的に減っていき、三百八十万合算で超えたら何もありませんという、そこからの階段何もないんですよね。
 ということは、この逆三角形のこの享受する部分が極めて教育の部分については薄いとも言えるわけなんですね。それでも、高所得者の世帯がやはり低所得者を、その中でですね、子育てしている世帯同士でやるべきなのかと。であれば、もっと広げて、高所得者でも子供のいない世帯も全部広げた上でのいわゆる負担。したがって、例えば累進課税を強化するとか、そちらの方が妥当性が私はあるんじゃないかというふうに思っているんですが、この辺りについてのお考えをまずお聞かせいただきたいのと、もう一点は、出産の女性のことについても触れていただいていたので、実際には、結局、女性の育児休業取得率は四割です。これはなかなか知られていないことですけど、四割なんですね。
 なぜかというと、結局、是枝先生、育児休業給付金をというふうにおっしゃるんですけど、御承知のとおり、雇用保険で賄っているものですから、納めていない、申し訳ない、非正規の女性たち圧倒的に多いんですよね。自営業も多いんですよ。そういう人たちは全く育児休業給付金もらえる対象ではないということにも私は問題があるというふうに思っています。ましてや、出産前後の産前産後給付金すらもらえないんですよ、国保だと。そこら辺にも手当てをしていかないと、仕事辞めざるを得ないという人たちに対する給付が何もない、つながっていかないわけです。だって、休んでいる間無給ですから。その辺りについても御意見があればお伺いします。

#62
○参考人(是枝俊悟君) ありがとうございます。
 矢田先生おっしゃるとおり、比較的所得のある世帯について、もちろん子供のいない世帯も含めて全般的な所得税の累進強化、少し累進度を強化するような形で負担をお願いしていただくということも必要なのではないかと存じます。
 一方で、家族関連給付の予算規模につきましては、OECD諸国よりまだ少し少ない水準ではありますが、総額としては増えてきたところでありますので、子育て世帯、政策内における再分配もある程度必要になってくるのではないかと存じております。
 女性の育児休業給付がまだ受け取っている方が四割しかいらっしゃらないということで、受け取れない理由として、雇用保険に加入していないから、あるいは産前産後給付については健康保険制度について加入していないからということがありますので、こちらについては、まず社会保険の適用拡大を推進していくということが非常に大事だと思っています。
 その上で、なお、フリーランスの方などについては、何らかの保険料を徴収するという形になるかとは存じますが、育児休業給付に相当するものを、産前産後給付に相当するものを支給できないか検討していく必要があると思います。
 以上でございます。

#63
○矢田わか子君 ありがとうございます。
 私は、やはり本来であれば、保有資産も含めた、きちっと管理をした上で、どこの家庭に実際には多くの社会保障を配分すべきなのかという論議が必要だと思っています。今回のデジタル法、そこまで行きませんでしたので、基本的には今フローだけを見ての給付ということが主なんですけれどもね。
 その上で、是枝さん、もう一つだけお願いします。
 そうした収入ということしか今ありませんけれども、やはり税と社会保障の負担と給付のバランスについて、是枝先生はどのようにお考えでしょうか。

#64
○委員長(森屋宏君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

#65
○参考人(是枝俊悟君) おっしゃるとおり、フローの収入だけで賄うわけでなく、ストックの部分も含めて考えていく必要はあるかと思います。
 ただ、税と社会保障ということで考えると、高齢者向けの給付につきましては、給与所得控除と公的年金等控除が両方使えるといったようなものがありますので、フローの収入の中でも所得税についてもう少し負担いただく部分について改善するところもあるのではないかと思っております。

#66
○矢田わか子君 質問を終わります。ありがとうございました。

#67
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 今日はありがとうございます。
 今日、私、ちょっと大きなところでお聞きをしたいんです、せっかくの参考人質疑ですので。
 そもそも児童手当とはどうあるべきなのか、その議論がないままに財源云々の話にちょっとなっちゃっているように思うんですね。一言財源について言えば、この間少子化で児童手当に係る予算そのものがどんどん減っているんですよ。二〇一六年から一七年で二百三十億、そこから以降、三百億、四百四十億、三百二十億と。だから、それを財務省にお返しせずに待機児童対策などに充てればいいということもあり得るわけで。
 ですから、大変、今日、財源確保に皆さんいろいろ御心配いただいたんですけれども、財源確保は幾らでもやりようというのは私はあると思うので、ちょっとそれは一旦おいておいて、日本の唯一の、全ての子供を対象とする児童手当制度というのは今後どういう未来像、将来像を目指すべきであるのかということを三人の方にお聞きしたいと思います。

#68
○参考人(奥山千鶴子君) 御質問ありがとうございます。
 私も子ども・子育て支援法の設立のところからずっと関わらせていただいて、もう本当にこの国が子供と家庭支援について、サービスもそれから現金給付も非常に心もとないという中で、社会保障と税の一体改革の中で、社会保障の中に子供の分野も位置付けて、しっかりとそこに財源が投入されることというのを期待してまいりました。
 今まだ途中だというふうに思っています。当時、一兆円強の予算必要だという話の中で、まだ三千億足りないんじゃないかという議論もあります。そんな中で、十分であるとは私も本当に思っておりません。ただ、先生方といろいろ議論したときに、そうあっても、現物のサービスの拡充をまずは推進していこうという合意の中で進めてきたということですので、まだ現金の個人給付の部分、それからサービス、現物支給の部分もまだまだ十分ではなく過渡期であるというふうに思っております。
 そういった中で、児童手当を考えたときに、もちろん普遍的なものだというふうに思うんですけれども、これが本当に子供のためにしっかりと使われるかどうかということについて確認をしていく必要もあるのではないかなというふうに思っています。
 また、諸外国は、この児童手当についても、金額が非常に恵まれている国もあれば、広く薄くというような国もあって、その中で日本は現物と現金の給付のバランスをどういうふうに取っていくのか、まだまだ議論の途中だというふうに思っておりますので、私自身も勉強させていただきながら、これからしっかりと両方が拡充されるよう願ってやみません。
 以上です。

#69
○参考人(末冨芳君) 児童手当につきましては、我が国の政府が子供たち、それから親たちに与えるメッセージとして最も重要なものであるという判断をしております。であればこそ、私は、一貫して普遍給付を維持しながら、低所得層に手厚い、きめ細かい階段をというふうに申し上げてまいりました。先ほど、子供自体が減少しているという中で財源を確保することは可能だとおっしゃっていただきましたけれども、全く思いは同じでございます。
 私のスライドの十五ページにもありますが、そもそも婚姻数や出生数というものが当初予測されたよりはるかに悪化している中では、恐らくですが、今回のような形で児童手当の特例給付廃止をする必然性があるのかどうかということも含めて、実は、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングに基づけば、再推計をし、本当に千二百万円で線引きをしていいのかということについては再考の余地があろうかと思っております。
 あわせて、子供に使う予算については、イギリスの例を申し上げれば、リングフェンスと言いまして、財源、この部分の財源は必ず子供たちのために使うという包括型の予算になっており、他の用途への転用は許されません。そうした財源の使い方ですね、限りある予算の付け替えも大事ですが、子供たちのために必要な予算をきちんと推計に基づきながら最低限毎年これだけは確保していくといったような見通しの立った予算の使い方ということも必要であろうというふうに考えます。
 それから、先ほど奥山参考人もおっしゃられましたが、子供のために使われているのかどうかという点でいえば、やはり地域での伴走型の支援が要ると。監視型というよりは、家計の管理能力がかなり低い場合がございます。それは、非正規で使い潰されて、やっぱり、うつの中で一生懸命子育てしておられる家庭なんかはもう家計のバランスとか考えられません。逆に、そうしたところに乳幼児期あるいは周産期から丁寧な支援が入っていくことで、あっ、食事は自治体のケアサポートが受けられるんだとか、あるいはおむつも届くんだというふうに安心する中で、初めて家計管理能力は上がって子供のことを考える余裕が出てくるんですね。
 だからこそ、子供のために児童手当が使われる日本というのは、実は乳幼児期から、あるいは周産期からのきめ細かい支援ができる日本でもあるということは申し添えさせていただきたいと思います。
 ありがとうございます。

#70
○参考人(是枝俊悟君) そもそも財源というものをおいておいてということであるならば、次代の社会の児童の健やかな成長に資するということですので、親の所得に関係なく給付できれば最も良いとは思っております。ただ、もっとも、財源があればという前提にはなります。
 民主党政権下において、年少扶養控除を控除から手当ということで、児童手当を拡充する形で改正が行われたことは一定の評価をすべきだとは思っております。それまでの年少扶養控除制度ですと、所得控除ですので、より所得の高い人ほど掛ける税率分だけ実質的な支援が多くなるという状況になっておりましたので、年少扶養控除を改正して児童手当、定額型の児童手当にするということで、特に所得の低い世帯については支援額が増加したということになりますので、これは年少扶養控除に戻すというようなことはあってはならないと思っております。
 以上です。

#71
○田村智子君 今の件で末冨参考人にもう一問お聞きしたいんですけれども、確かに子供の貧困の対策というと、一人親家庭というところにこの間ずっと議論が集中してきたようにも思うんです。このコロナ禍でも、やはり一人親家庭のところには児童扶養手当に上乗せしてすぐにお金をというふうな仕組みを取ってやってきた。だけど、確かに世帯数から見ても、二人親のところの貧困対策をやらなければ子供の貧困対策にはならないわけですね。規模からいってもそうならないというふうに私も認識しています。
 そうすると、この児童手当という制度がもっと子供の貧困の対策にどう生かされていくのかということに注目をした検討ということも必要になってくるんじゃないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

#72
○参考人(末冨芳君) 私のスライドの二十六、二十七ページに関連しての御質問であると思います。
 まず、二十七ページの方から参りますけれども、我が国は、おっしゃるように、実は相対的貧困の世帯数は二人親の方が多うございます。ただし、一人親も、特に母子世帯も多いということで、そのバランスは拮抗しているわけですね。とはいえ、絶対数としては二人親困窮世帯が多く、この度、非常に画期的な二人親困窮世帯を含む子育て世帯の給付金をもう与野党挙げて実現いただいて、本当に感謝しております。願わくば、二十六ページの方に戻りますけれども、二人親の困窮世帯、特に多子世帯です、二人親多子世帯の苦しさというのが群を抜いており、かつ支援のなさも異常です。
 この児童手当につきましては、やはり手厚くといった際に、先ほど是枝参考人が高所得世帯の例で子供数をとおっしゃいましたけれども、実は低所得世帯の場合も同様に、子供数が多い、特に三人以上世帯につきましての加算。で、児童扶養手当も同じなんですね。児童扶養手当は二人目から急にすごい冷遇されていく仕組みなんですが、実は逆で、子供数が増えるほどいろいろお金が掛かってくるということにもなりますので、特に三子以降ですね、この世の中で子供をたくさん産んで育ててくれている、所得にかかわらずという世帯については、もう、何というんですかね、全員無償化で、児童手当を上げていいぐらいだと実は私は思っているんですが、特に低所得世帯につきましては、児童扶養手当、それから児童手当を今以上に積み増ししながら、多子に手厚い、第三子以降に手厚いという支援をしていただくと、かなりの生活水準の改善とそれから貧困率の改善がダイレクトに実現できるということになります。それは、子供たちが衣食住やライフラインに不自由せず、安心して自分の行きたい進路に行ける、それで日本社会で活躍してくれる日本の到来を意味します。
 以上です。

#73
○田村智子君 ありがとうございます。
 それから、奥山参考人にお聞きしたいんですけれども、私も、子育てにおいて多機能な拠点を持っていろんな支援がやられていくことというのはとても大切なことだと思います。今の御説明の中で、一時預かりがなかなか利用実績が伸びていかないという御指摘がありました。
 私、そこには、安心できるサービスなのかとか、安全性がどうであるかとか、やはりこの間、有資格ではない方が預かりをすることでの事故というのが残念ながら起きてしまって、そのときに自治体が、例えばファミリー・サポート・センターなんかですと、コーディネートの役割しかないものだから、事故が起きたときには結局当事者同士の話合いという形になってきて、公的にそういう問題どうするかというところがなかなか整理されてきていないんじゃないかというふうに思うんです。
 その辺りの問題意識をお聞きしたいと思います。

#74
○参考人(奥山千鶴子君) 御質問ありがとうございます。
 まずは、一時預かり事業とファミリー・サポート・センターのような地域人材でやるのと、少し分けて考えた方がいいかなというふうにも思っております。
 一時預かり事業に関しましては、多分九割以上が保育所や認定こども園で実施されておりますので、基本的には保育士さんを中心とした一時預かり事業になっております。ただし、本園の、いわゆる保育所、認定こども園の本体の事業が非常に保育士さん、大変な状況ですので、それとともに、一緒に地域の方々のための一時預かり事業を併用していくというか、一緒にやっていくというのが多分大変なんだろうというふうに思っています。
 というのは、一時預かりの場合、時間が保護者によっては、例えば十時から二時とか、お昼寝の時間とか、やはり本体保育の方との関係でどうしても受入れ枠が少ないという現状があるわけなんです。ですから、横浜市もそうなんですが、乳幼児一時預かり事業に特化した事業で一時預かり専用施設を持つというのが非常にいいんですけれど、そうしますと、今度は場所代というか、そういった家賃補助がないというようなことで、また自治体の持ち出しなんということになるんですね。
 ですから、いろいろ原因があります。いろいろ加算もしていただいているんです、この間ですね。ですけれども、人材不足等も含め、それからコーディネート、申込みやキャンセル対応、こういった事務的なところもかなり手を取られるということもあって進んでいないというのが現状かというふうに認識しております。
 一方で、ファミリー・サポート・センター事業なんですが、確かに個人同士のやり取りにはなるんですけれども、やはりそれを超えてのメリットというのが大きいというふうに感じています。八割以上が、七割から八割が幼稚園、保育園、認定こども園、放課後児童クラブの送迎という形になっておりますので、短時間ではあるんですけれども、保護者の手が足りないところをサポートしている状況です。
 さらに、最近は、安心のための研修のもちろん義務付けもありますし、それから、心配な方は拠点のようなところで預かっていただく、一対一で。要するに、皆さんがいる前で預かっていただくことで、スタッフも介入できますし、預かり手の方も、安心して預けられる、相性がうまくいったら、おうち、御自宅で預かるなど、そういったきめ細かなサポートをするようになってきていますので、その辺りの研修の強化も含めて、しっかりと進めていただきたいというふうに認識しております。
 ありがとうございます。

#75
○田村智子君 最後、是枝参考人、せっかく男性で育児休業を六か月お取りになったということですから、こんな支援があったらと思ったことを率直にお話しいただければと思います。

#76
○参考人(是枝俊悟君) ありがとうございます。
 取得時間も一か月と二か月で合わせて三か月ですので、十年後から見れば、こんな短い男性もいたんだと非難をされるんじゃないかなとも思っております。
 やはり、夫婦、二人親世帯に限った話にはなりますが、男女で協力して子育てをしていく中で軽減される負担というのも非常に大きいと思っております。企業の中でも、やはり今般の働き方改革の中で残業時間の上限に罰則を設けることができたといったこともございますし、少しでもやはり子育てができる就業時間にしていく、働き方の環境を整えていく、それによって夫婦で力を合わせて子育てしていくという環境を進めることが少子化対策になるのだと思っております。
 特に、所得の高い世帯については、自分たちの、夫婦間の不満を政府にぶつけて更なる手当をというふうに言っているのではなく、やっぱり自分たちの中で何とかするという、特に所得の高い世帯については、夫婦間の負担のバランス若しくは外部のサービスの活用などで頑張っていくことも大事なのではないかなと思っております。
 以上です。

#77
○田村智子君 ありがとうございました。終わります。

#78
○委員長(森屋宏君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様方に一言御礼申し上げます。
 本日は、参考人の皆様方には、目の回るような忙しさの中、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時十五分開会

#79
○委員長(森屋宏君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、岡田直樹君が委員を辞任され、その補欠として山田修路君が選任をされました。
    ─────────────

#80
○委員長(森屋宏君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府大臣官房審議官難波健太君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#81
○委員長(森屋宏君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ─────────────

#82
○委員長(森屋宏君) 休憩前に引き続き、子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#83
○高野光二郎君 自由民主党の高知県・徳島県選出の高野光二郎でございます。
 先週は、妊婦についてワクチンを積極的に受けていただく、打っていただくべきだということの主張をさせていただきました。今回、子供について、ワクチン接種についてお伺いしたいというふうに思っております。
 米ファイザー社のコロナワクチンは、接種年齢が今まで十六歳以上でございましたが、五月十日にアメリカ食品医療品局が適用年齢を十二歳から十五歳へ引き上げました。さらに、生後六か月から十一歳も既に治験に着手をしておりまして、本年九月には学童や未就学児の治験データを提出するとしております。その上で、日本国政府は翌十一日に、我が国の適用年齢を十二歳から十五歳に拡大することに向けてファイザー社と協議をしていると発表されました。また、米モデルナ社におきましても、本年三月十六日、十二歳未満の治験を開始、十二歳から十七歳までと生後六か月から十一歳の年齢層で治験を始めております。
 変異株が拡大することによりまして子供たちの感染が増えている、これはもうデータで明らかであります。日本では本格的にコロナが発生をして約一年たちますが、感染者数、変異株は増加をした上で、またあの厳しい暑い夏が迎えようとされております。しかし、今回はワクチンがあります。子供たちは、猛暑の中マスクを着けて、自分よりも、体よりも大きいランドセルを背負って、習い事の荷物を背負って登下校し、放課後も感染症対策によって友達とほぼ遊べていません。また、児童同士のやり取りは減り、自宅ではスマホとかタブレットばっかりです。学校行事でもイベントのほとんどが中止、延期になっています。
 子供は、自らの生活や行動のほとんどを自分が決めて生活することはできません。また、どんなに苦しかろうが、つらかろうが、自らで解決することが困難な場合が多く、保護者の養育、保育に委ねられております。
 文科省の丹羽副大臣にお伺いします。
 今後、日本で十二歳から十五歳までと併せて十二歳以下への接種も、幼稚園から中学校までを所管する文部科学省が厚生労働省と連携し、幼年期、幼児期へのワクチン接種の積極的な推進を図るべきと私は考えております。いかがでしょうか。

#84
○副大臣(丹羽秀樹君) お答えいたします。
 委員おっしゃるように、子供たちも学校現場また家庭で、今回のこの感染症対策において非常に不自由な生活をしているということは十分に承知いたしております。その上で、学校での教育活動を円滑に行っていくためには、児童生徒等や教職員の感染を防ぐことが重要だと考えます。
 ワクチン接種の対象範囲や接種の在り方等につきましては、厚生労働省を中心に政府全体で連携して検討されるものというふうに考えております。
 文部科学省といたしましても、厚生労働省と連携し、学校や教育委員会等への情報提供など、ワクチン接種に関して必要な対応を進めていきたいと考えております。

#85
○高野光二郎君 ありがとうございました。
 厚生労働政務官にお伺いします。
 日本では、結核や風疹等のワクチンなど、感染症のほとんどは定期接種は五歳までに接種を行いまして、インフルエンザワクチンは生後六か月から受けられます。
 安全性を見極めた上で幅広く園児へのワクチン接種を図るべきと考えますが、厚生労働大臣政務官にお伺いします。

#86
○大臣政務官(大隈和英君) 御質問ありがとうございます。お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、子供たちにとってまた暑い夏を迎えるということで、大人はある程度の自分たちの判断で行動することができますが、子供にとっては、本当に判断のできない、非常に大きなストレスを抱えて、私自身も公私共に、この変異株の流行も含めて、感染の動向というものを注視しているところでございます。
 御指摘のワクチンに関しましてですけれども、新型コロナのワクチンにつきましては、現在、米国で、十二歳から十五歳の者に使用できるように、FDAの方から緊急使用許可というものが出されたことは承知しております。そして、私たちの、我が国におきましては、十六歳以上を接種対象と現在しておりますけれども、このFDAに提出されました十二歳から十五歳の接種に係るデータに基づいて、我が国でも医薬品医療機器総合機構に添付文書の改定に向けた相談がなされているところでございます。
 有効性、安全性が確認されれば添付文書が改定され、その改定によりまして接種対象者が十二歳から十五歳に拡大された場合には、新型コロナワクチンの臨時接種の枠組みを十二歳以上に拡大するかどうか、厚労省の審議会において議論をしていただくことになっております。
 また、御承知のとおり、ファイザーで今、生後六か月から十一歳の子供たちに対しての治験が進行中でございまして、今後、十二歳未満の治験データ等についても、それが得られましたら、薬事上の手続を含めて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

#87
○高野光二郎君 大隈和英大臣政務官はまさに専門家でございますが、コロナワクチンにおいても、ファイザー社製は、九割の接種者が変異株七種類と従来株に対するウイルスを無力化する中和抗体を保有するという調査研究が出ております。このようにウイルスに対する中和抗体を保有できるようになりまして、ワクチンの有効性が明らかになっていることも申し述べたいというふうに思っております。
 坂本哲志少子化担当大臣にお伺いさせていただきます。
 我が国の最大の課題は人口減少、少子化であり、コロナは早期に克服すべき国難であります。十二歳以下のワクチン接種の実施に向けて河野太郎ワクチン担当大臣や厚生労働省とも調整をし、少子化担当大臣としてリーダーシップを是非発揮していただきまして、早期の実現に向けて取り組んでいただきたいと思います。決意についてお伺いさせてください。

#88
○国務大臣(坂本哲志君) 新型コロナワクチンの接種の対象範囲や接種の在り方につきましては、その有効性、安全性の観点から、現在、厚生労働省におきまして検討がされていると承知をしております。
 私といたしましても、保護者が安心して子育てできる環境整備は大切だというふうに考えておりまして、厚生労働省における検討の結果を踏まえ、政府全体の方針に沿って対応してまいります。

#89
○高野光二郎君 ありがとうございました。
 続きまして、市町村子ども・子育て支援事業計画についてお伺いします。
 本法案によりまして、平成二十七年度から五年を一期とする市町村ごとの子ども・子育て支援事業計画を策定して、現在、令和二年度から第二期の計画を実施中であります。基本理念では、子ども・子育ての支援は、父母その他の保護者が子育てについて第一義的な責任を有すると明記をされています。家族、学校、地域、職域その他の社会のあらゆる分野において全ての構成員が各々の役割を果たすとともに、相互に協力して行わなければならないと定めております。
 ここで内閣府にお伺いをいたします。
 今回の法改正によりまして、関係機関の連携強化により、地域の子育てサービスを利用する保護者や事業者にどのようなメリットが生じるのか、伺います。また、この連携、協力を推進するために、国として市町村に対しどのような支援を行い、後押ししていくのか、お伺いをいたします。

#90
○政府参考人(嶋田裕光君) お答えいたします。
 在宅で子育てを行う家庭等により効果的に支援を行っていくためには、地域の関係機関相互の連携の推進を図っていくことが重要だと考えております。
 このため、今回の法改正によりまして、市町村計画において定めるよう努めるべき事項といたしまして、地域の子ども・子育て支援を実施する関係機関相互の連携の推進に関する事項を盛り込むこととしております。これによりまして関係機関の連携を進めることによりまして、保護者の方々にとっては家庭の状況に応じた必要な支援をよりきめ細かに受けることが可能になり、一方で、事業者の方々にとっては子育て家庭の個別の状況を機関相互で共有できて、ニーズに応じたより適切な支援の提供が可能になるものということが期待されます。
 市町村における取組を、こうした取組を支援するために、令和三年度予算におきましては、利用者支援事業の拡充でありますとか、ファミリー・サポート・センター事業の地域子育て支援拠点等との連携の強化などの予算も新たに設けたところでございまして、国としても地域における各子育て支援の実施者の連携協力を図ってまいります。

#91
○高野光二郎君 続きまして、保育園、幼稚園等の質的な環境整備についてお伺いします。
 この法案審議によりまして、より、ほかの委員の皆様のことも勉強させていただいたんですが、保育園や幼稚園の設置や運営についての質について改めてその重要性を私自身も認識をいたしました。
 その上で、この土曜日、日曜日を使いまして、私の選挙区である高知県の保育所、複数です、あと保護者についてヒアリングをいたしました。それを少し御紹介させていただきたいと思います。
 例えば、子ども・子育て支援制度が始まってどうだったのかということに関しましては、失礼、幼保無償化について、幼保無償化が令和元年十月から開始をされていますが、それについてどうだったかということに関しましては、メリットは、保護者の負担が減りました、未納者がいなくなりました、徴収や事務量が減りました、ゼロ歳から二歳を受け入れることで園児数の減少に一定の歯止めが掛かりました、これがメリットですね。デメリットとしましては、無償化により入園希望者が増えた一方で、そもそも保育士不足のため結果として待機児童が増えましたとか、公定価格が決められているため収入減となりました、第一子がゼロ歳から二歳の保護者は若い世代が多く、所得水準もそもそも低い、無償化を希望する方が多いですが、無償化の対象にならない理由を大変多く尋ねられます。
 そして、子ども・子育て支援新制度につきましては、メリットが、処遇改善加算がⅠとⅡに分けられまして、保育士等が離職はしなくなった、少なくなったということを言っておりました。デメリットに関しましては、園児ごとに副食費等の計算が異なるため事務仕事が大変に増えた、また、新制度は福祉と教育の一体的な改革でありまして、制度が複雑過ぎる、法律が異なり、園児の処遇など市町村格差が生まれ、特別支援や耐震改修等への行政支援も差があり過ぎる、こういった声がありました。また、延長保育や土日保育を希望する保護者が急増して、開園から閉園まで預ける家庭が増えたということがございました。
 保護者の負担を社会全体が支える形で実現した幼保無償化ですが、幼保無償化をすることによって保護者等の意識も当然変わってきます。また、コロナ禍という長期のストレス社会の中で、過剰に保育園や幼稚園等に対して保育、養育等について要求するケースも散見をされています。そのことで保育士等の過剰労働につながり、運営に影響しているケースも少なからずありました。
 内閣府にお伺いいたします。
 幼保無償化や子ども・子育て支援新制度によって生じた影響と、現場の声を大切にしながら自治体等から丁寧に課題を拾い上げ、今後の取組に生かすべきと考えますが、所見をお伺いします。

#92
○政府参考人(嶋田裕光君) お答えいたします。
 令和元年の十月から実施されております幼児教育、保育の無償化に関しましては、実務を担う地方自治体との連携が大変重要であるというふうに認識しておるところでございます。
 このため、平成三十年の十二月でございますけれども、国と、国はこれ、内閣府と文部科学省、厚生労働省でございますが、それと地方自治体のハイレベルによる協議の場を設けるなどいたしまして、地方自治体との丁寧な議論を積み重ねてきました結果、本制度はおおむね順調に実施されているというふうには認識しております。
 今後とも、本制度に関する様々な課題あると思いますけれども、それにつきましては地方自治体からよくお話を伺いながら連携を深めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

#93
○高野光二郎君 ありがとうございました。よろしくお願いします。
 また、ヒアリングにおいて少子化対策の有効策として統一して上がってきた要望が、やはりゼロ歳児から二歳児の幼児教育、保育の無償化について住民税非課税世帯以外にも拡大をしてほしい、これがやはり生の声でございます。
 坂本哲志少子化担当大臣、ゼロ歳児から二歳児の幼児教育、保育の無償化について、少子化対策としても住民税非課税世帯以外にも対象を拡大すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

#94
○国務大臣(坂本哲志君) 幼児教育、保育の無償化では、ゼロ歳から二歳児については、待機児童の問題もあることから、その解消に最優先で取り組むこととして、住民税非課税世帯を対象としているというところでございます。
 我が国では、子育てに係ります経済的負担が少子化の要因の一つというふうに考えられております。保護者の所得にかかわらず、ゼロ歳から二歳児の保育の無償化を求める声があることは十分に認識をしているところでございます。
 ゼロ歳から二歳児の保育の更なる支援につきましては、少子化対策や乳幼児期の生育の観点から、安定財源の確保と併せて今後検討することにしています。

#95
○高野光二郎君 待機児童、一歳児、二歳児の話がございましたが、少しそれについても御質問させていただきたいと思います。
 人口推計年報によりますと、令和二年四月現在の待機児童の状況は、零歳児が九・九%、一歳児から二歳児が七七・二%、三歳児以上が一二・九%となっております。零歳児は育休を取得する親が多いですが、一歳、二歳児になると、企業の育休が明け、入園希望が一番多く重なる時期になるため、待機児童の割合も多くなるとしております。やはり今後は年代別の待機児童解消に向けた具体的な施策が必要だと考えます。
 厚生労働省にお伺いします。
 今回の法案改正も踏まえ、今後、一歳児から二歳児への待機児童解消に向けて受皿や保育士を増やす等対策を打っていくべきであると考えますが、政府としての見解や今後の見通しについてお伺いいたします。

#96
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
 御指摘の一、二歳児の待機児童の解消に向けまして、平成二十七年度からの子ども・子育て新制度において、三歳未満の児童を対象とする小規模保育などの地域型保育事業を法定化するとともに、保育の受皿整備を進めてまいりました。こうした取組の結果、一、二歳児の待機児童数は、平成二十七年度の一万六千六百三十六人から令和二年度では九千六百三人となるなど、着実に減少したところでございます。
 今後でございますが、昨年十二月に取りまとめました新子育て安心プランにおきまして、令和三年度から令和六年度末までの四年間で約十四万人分の保育の受皿を整備するとともに、マッチング支援を強化するため、保育コンシェルジュを活用したきめ細やかな支援や巡回バス等による広域通園の取組の充実などを行っていくこととしております。また、あわせまして、保育士が生涯働ける魅力ある職場づくりを推進をいたしまして、職業の魅力を広く発信することで保育士の確保を図ることとしております。
 こうした取組を通じまして、できるだけ早く一、二歳児を含む待機児童を解消してまいりたいと考えております。

#97
○高野光二郎君 いろいろ子供に対しての調査が最近出てきておりますが、その中で気になった調査があります。
 四月十二日に公表されました保育中の子供に罰を与えるといった不適切な保育についての調査結果で、昨年三月末までの一年間に全国の九十六の自治体で三百四十五件の不適切な保育が確認をされております。特に目立ったのが、罰を与える、乱暴な関わりで、六十の自治体が確認。次いで、一人一人の人格を尊重しない関わりが四十六の自治体、物事を強要するような関わり、脅迫的な言葉掛けが四十五の自治体で確認をされました。このほか、性的虐待、園児の置き去り、子供の訴えに対応しない、そういった例もありました。
 厚生労働省にお伺いします。
 初めての調査でありますが、今まで存在、潜在化していた問題でありまして、市町村において都道府県との連携も踏まえて早急に是正改善に向けての強力な取組が必要であると思いますが、決意についてお伺いします。

#98
○政府参考人(岸本武史君) 保育所における虐待を含む不適切な保育につきましては、令和二年度子ども・子育て支援推進調査研究事業におきまして調査研究を実施いたしまして、先月、御指摘の報告書が調査実施団体から公表されたところでございます。
 本調査研究におきまして、全都道府県及び市区町村に対して初めて実態調査を行ったわけでございますが、不適切な保育が確認された自治体は、回答があった自治体のうち九・〇%、九十六自治体、件数は全国計で三百四十五件でございました。また、不適切な保育が確認された自治体のうち九割の自治体におきましては指導等の是正のための対応を取っているということでございましたが、ガイドラインやマニュアルなどの作成に至っているということはごく一部でございました。
 こうした調査結果も踏まえまして、公表した報告書におきましては、関係者の役割分担や連携体制を整理し、未然防止や発生時の対応についての手引きをまとめました。また、自治体における取組事例集などを盛り込んだところでございます。
 本報告書の内容については各自治体に周知をしたところでございますけれども、引き続き、各自治体において関係者の連携体制の構築や適切な対応を図られるように、私どもとしてもしっかり周知や支援に努めてまいりたいと考えております。

#99
○高野光二郎君 やはり、今まであった話が前に出てきたということで、潜在化している例もたくさんあると思います。
 今回の法案をしっかりと改正する上で、関係する例えば市町村であるとか県であるとか、保護者であるとか保育施設であるとか、そういったテーブルにこういった課題をしっかりと出して、共有してお互いを補完をするような、そういった取組を努めていただくことを心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#100
○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾でございます。質問の機会をいただきましてありがとうございます。
 子ども・子育て政策について坂本大臣に伺います。
 大臣、本法案の質疑でも、社会全体で子育て支援をする、社会全体で子供を育てる、こういう趣旨の答弁をされていますけれども、これは大臣自身がこういうお考えなのかどうか、聞かせてください。

#101
○国務大臣(坂本哲志君) 私もそのように考えております。

#102
○杉尾秀哉君 かつて民主党政権時代、私は永田町にはおりませんでした。取材する側でしたけれども。当時の政権の目玉政策だった子ども手当に徹底的に反対して潰そうとしたのが自民党でした。
 そのときに自民党が何と言っていたか。自民党が進める政策は自ら努力する人を国が応援することが基本であり、子育ても一義的には家庭でなされるべきもので、民主党は子供を社会全体で育てることを第一義とし、私たちとは考え方が大きく違う、こういうふうに党のホームページの中に書かれております。さらに、高収入世帯に、これは子ども手当等の支給だと思いますけれども、財政的余裕はありませんと、こういうふうにも書いてある。
 児童手当の所得制限、それから今回の特例給付の一部廃止にもつながる考え方ですけれども、これは菅総理もまさにそうだと思うんですけれども、子育てでも自助を強調し、子供は家庭で育てるのが自民党の伝統的な考え方だったんじゃないですか。どうですか、坂本大臣。

#103
○国務大臣(坂本哲志君) 自民党の方にも様々な考えがあると思いますけれども、時代の変化とともに、社会全体でやはりそれぞれ子供を支えていく、育てていく、そういう考えが一般的になってきているんだろうというふうに思います。

#104
○杉尾秀哉君 これは介護もそうだと思いますけれども、子育てもそうです。一義的には家庭で担う、いわゆる家族主義が自民党の伝統的な考え方だと思います。長く続く自民党政権下で、この後質問しますけれども、出生率の低下がずっと続いてまいりました。いろんな要因あると思いますけれども、そこにも一因があると、こういう指摘がある。
 ところが、今の発言を聞いていても、それは政策を転換したと、考え方を基本的に転換したと、こういうことでよろしいんですか、大臣。

#105
○国務大臣(坂本哲志君) 政府の方ではこれまでも、幼児教育、保育の無償化、あるいは高等教育の修学支援など、子育て世帯全体の支援をこれまで充実をさせてきたところでございますので、こういった延長線上に今の政策もあるというふうに考えます。

#106
○杉尾秀哉君 基本的に考え方変えたということでいいんですね。
 ちなみに、坂本大臣、そのときに子ども手当についてどういうことを書いていたのか。子ども手当は日本で働く外国人の母国に残してきた子供にも支払われる、例えば、アラブの石油王が一夫多妻制の国に残してきた子供が三十人いればそうなる、また、牧師さんが難民の子供を救うために百人の子供と養子縁組をすれば百人に手当が出る、民主党の子ども手当は人気取りの政策にすぎないと、こういうふうにブログで書いています。今でも見られます。
 大臣、こういうふうに書いたの覚えていますか。ありもしないような例を挙げて子育て世代の期待を潰そうとする、していた、こんな人が少子化担当できるんですか。どうですか。

#107
○国務大臣(坂本哲志君) 当時、仮の話としてそういう話が党内の方で様々に論議をされていたということは事実でございます。そして、先ほど言いましたように、社会の変化とともに、様々な形で社会全体で育てるというような政策としての延長線上の姿になってきているというふうに思っております。

#108
○杉尾秀哉君 君子豹変するんだったらいいんですよ。だけど、そういう過去をきちっと総括してくださいよ。こんなありもしないことを書いて、それで徹底的に反対していたじゃないですか。あのときに、子ども手当が正しかったかどうか、制度設計、それはいろんな問題あったでしょう。ただ、そういうことをしれっとこういうふうに、あっ、それは前の政策です、前言ったことです、そんなことを言っていた人がいます。これ、少子化担当大臣としてきっちり総括してください。
 ちなみに、伺います。大臣は子育て政策についてどういう哲学をお持ちでしょうか。

#109
○国務大臣(坂本哲志君) 先ほどから言っておりますように、社会全体で育てるもの、そして、やはり家庭も同時に責任を持つもの、そういうことで子供、子育てを、育てていくべきであるというふうに思っております。

#110
○杉尾秀哉君 そういうふうに担当大臣がおっしゃるんだったら、自民党のホームページからも削除した方がいいですね。少なくとも御自身のホームページのこういう記述は切った方がいいと思いますよ。
 もう一つ伺いますけれども、今資料でお配りしました。これはもう有名なグラフですので皆さん頭の中に入っていると思いますが、一応おさらいです。
 新生児、戦後間もなく、いわゆる第一次ベビーブームの時代ですけれども、年間新生児の数、二百七十万人近くありました。二百六十万人の後半でございました。しかし、これ後ほど聞きますけれども、今や九十万人を切って八十万人台も割ろうとしている、かつての三分の一です。この急激な少子化の原因について、大臣は根本的な原因どこにあるとお考えでしょうか。

#111
○国務大臣(坂本哲志君) 少子化の原因、様々なものがあるというふうに思っております。
 未婚化、晩婚化の進行や夫婦の持つ子供の数の減少等がありますが、その背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っているというふうに考えております。
 例えば、若者の経済的な不安定さや長時間労働、あるいは出会いの機会の減少、男女の仕事と子育ての両立の難しさ、こういった様々な隘路があるというふうに考えております。

#112
○杉尾秀哉君 そもそも日本は子供を産みやすい国なのか、育てやすい国なのか、根本的な疑問があります。
 大臣自身はどういうふうにお考えでしょうか。

#113
○国務大臣(坂本哲志君) 私は三人の子供を育ててまいりましたけれども、育てがいのあることも考えてまいりましたし、なかなか厳しい面もあるというふうに考えて子育てをしてまいりました。

#114
○杉尾秀哉君 御自身の経験あると思います。私は二人、女の子ですけれども、もう大きくなっておりますけれども、実感としてはそういうことありますが、ただ、客観的に見ると、やっぱり日本って子供を産み育てにくい国じゃないかと思うんですよね。先ほどの参考人の質疑の中でもありましたけれども。
 資料をお配りしました。資料二です。
 1more Baby応援団と、こういう公益財団法人がございまして、去年行いました夫婦の出産意識調査によりますと、約七割の夫婦が日本は子供を産みやすい国にも子供を育てやすい国にも近づいていないと、こういう結果が出ているんですよね。つまり、出産、育児環境の不安に改善が見られていないと。
 また、この調査では、下の方のグラフなんですけれども、第二子以降の出産をためらう、いわゆる二人目の壁についても調査をしております。ほぼ四分の三の人が二人目の壁は実際に存在すると、こういうふうに回答している。調査開始以来、八年連続で七割以上を占めているということでございます。
 大臣は、こうした現実を御存じなのか、また、二人目の壁をつくる最大の要因と、解消に近づけるためには何が最も有効と考えるのか、御答弁ください。

#115
○国務大臣(坂本哲志君) 理想の子供の数を持たない理由として経済的な理由あるいは育児の負担を挙げる割合は、希望する子供の数が増えるに従ってその割合が高くなっているものと認識しております。また、夫の家事、育児への協力が得られないからを挙げる割合は、特に第二子以降を希望する場合の障壁となっているものと認識をいたしております。
 父親の育児への関わりにつきましては、夫の休日の家庭育児時間が長いほど第二子以降の出生割合が高いという調査結果も出ています。父親が育児に関わることは、母親の子育て中の孤独感、孤立感や負担感、仕事と子育ての両立の難しさが軽減され、子供を産み育てたいという希望をかなえやすい環境につながるものと考えております。
 そういうことで、少子化社会対策大綱では、男女が共に子育てに参画していく観点から、男性の育児休業取得や育児参画を促進するための取組を総合的に推進する方向を、これまで方向を示しました。
 これらを踏まえまして、厚生労働省において、男性の育児休業取得促進について検討し、男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期におけます柔軟な育児休業の枠組みの創設等を内容とする育児・介護休業等法の一部を改正する法律案を本国会に提出し、御審議をいただいているところであります。
 こうした取組も含め、少子化社会対策大綱に基づきまして、安定的な財源を確保しつつ、ライフステージに応じた総合的な少子化対策を大胆に取り組んでいきたいと思っております。

#116
○杉尾秀哉君 男性の育児の参加の時間が長いほどその御夫婦の子供の数が多いというのは、これは有名な話です。私もずっと前からその話は聞いておりました。
 私もマスコミにおりまして大変忙しかったので、この中にもいらっしゃいますけれども、子育てに余り関わることができなかった、それは大きな反省材料としてあります。その分、今一生懸命、時間があるときは食事を作ったりなんなりかんなりしているわけですけれども、そういう個人的なことはさておきまして、ここには引用していなかったんですけど、同じ調査で、産み育てやすい国に近づいていないと思う理由、これ最大の理由は社会制度が整っていないということで、これは保育制度の充実とかこういうのが、これは七五%なんですけど、その後の項目見たら、みんなお金なんですよ。給与が低い、保育、学校に掛かるお金が高い、日常の生活費が高い、自身の老後のお金が心配、塾や習い事の費用が高い、こういうふうになっている。
 非正規雇用がこれだけ増えて、一人当たりの給与所得も減って、何とかかんとか共働きでかつかつやっているけれども、一人目は何とかなっても、二人目、三人、四人となったら到底無理と、こういうことですよね。
 それからさらに、さっきもちょっとありましたけれども、社会が子連れ、子育てに冷たいという、これも三四%近くある。これは社会全体の問題で、先ほど大臣は一生懸命男性の育休取得の話をされましたけれども、確かにそういう法案も出ておりますが、これは非常に一面的です。これは政策自体を大きく変えていかなきゃいけない。
 それから、さっき指摘しましたけれども、自民党の伝統的な家族主義の子育て、もう駄目なんですよ。あれだけ民主党の、家族、社会全体で子供を育てる、あれだけ反対していた政党がころっと十年でこれだけ言い方変えているわけですから、ここは真剣になって本当取り組まなければ事態は危機的です。
 ちなみに、二〇一九年の出生率、まだ出ておりませんけれども、あっ、これは一・三六です。二〇二〇年、まだ出ておりません。
 そこで、安倍政権の七年間で一・四一の出生率が一・三六まで〇・〇五ポイント下がりました。あれだけ安倍首相が悪夢、悪夢と言っていた民主党政権で、三年間で〇・〇四ポイント上がりました。安倍政権は、希望出生率一・八の実現を柱とする、これはまだ安倍さんが総理大臣のときですけれども、少子化対策大綱を五月に策定しております。これは菅政権でも堅持されているということでよろしいか。そして、ここで掲げられている希望出生率一・八の実現、二〇二五年までの実現は可能なのか、また実現に至る道筋、これ教えてください。

#117
○国務大臣(坂本哲志君) 我が国の少子化の進行は深刻さを増しております。危機的な状況であるというふうにも受け止めております。
 少子化の背景にあります個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む隘路の打破に強力に取り組んでいかなければならないというふうに思っております。
 昨年策定いたしました少子化社会対策大綱におきましては、個々人が結婚や子供についての希望を実現できる社会をつくっていくことを基本的な目標として掲げております。こうした希望をかなえる希望出生率一・八の実現に向けまして、安定的な財源を確保しつつ、様々なライフステージに応じた総合的な少子化対策に大胆に取り組むことで、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む隘路の打破に強力に取り組んでまいりたいと思っております。

#118
○杉尾秀哉君 大胆に取り組んだ結果が今回のあれですか。特例給付の一部廃止ですか。これが大胆な政策の答えですか。そもそも一・四一を一・三六に七年間掛けて下げた政権がどうやってこれから二〇二五年までに一・八に上げるんですか。
 今の説明、全く説明になっていません。もう一回答えてください、ちゃんと。同じ答弁駄目ですからね。

#119
○国務大臣(坂本哲志君) 今回もそうですけれども、この間もそうですが、新生活への経済的支援を含む結婚支援、さらには不妊治療への支援など、妊娠、出産への支援、そして待機児童の解消のための新子育て安心プランの実施や男性の育児休業の取得促進など、男女共に仕事と子育てを両立できる環境整備、こういったものを実施をしてきているということであります。

#120
○杉尾秀哉君 何回も言いますけど、全く答弁になっていません。もっと事態は危機的です。
 これは、この委員会でも衆議院でも出ましたけれども、これ、二〇一九年の出生率、九十万人を割って八十六万五千人になった。これ、八十六万ショックということで有名になりました。二〇二〇年の出生率、速報値で八十七万二千人、これも話に出ました。ただ、これ、海外在住の日本人とか日本在住の外国人の数が含まれておりますので、日本在住の日本人の数を示す確定値もっと少なくなる、これはもう間違いないです。コロナ禍で事態がより危機的になっています。
 確定値の今のところの推計はどれぐらいですか。

#121
○政府参考人(嶋田裕光君) お答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症が流行する中で、婚姻件数や妊娠届出数について減少傾向が見られておりまして、そうした中で厚生労働省から公表された人口動態統計速報によりますと、昨年、二〇二〇年の一月から十二月までの出生数の速報値は、二〇一九年と比較して二・九%の減少となっております。妊娠から出産までの期間を踏まえますと、二〇二〇年十二月頃から新型コロナウイルス感染症の影響が出始めるものだと考えております。
 具体の出生数の見込みについては予断を持って言及することは控えさせていただきますけれども、我が国の少子化の進行が深刻さを増す中で、新型コロナウイルス感染症の流行が結婚行動や妊娠活動に少なからず影響を及ぼした可能性があるものと受け止めておりまして、今後の推移についても危機感を持って注目をしていく必要があるものと考えております。

#122
○杉尾秀哉君 今言いませんでしたけど、七十八万人程度じゃないかと、こういうふうに民間で推計されています。大体そんなものでしょう。
 大体七十八万人程度、八十万人切るということになると、これ、これまでの推計で、一・三六の出生率のまま行って何年ぐらいに八十万人を割ると、こういうふうに推計されていましたか。

#123
○政府参考人(嶋田裕光君) ちょっとそのような数字、推計については持ち合わせてはおりません。

#124
○杉尾秀哉君 ごまかさないでくださいね。二〇三〇年頃ですよね。つまり、十年早まっているんですね、少子化が。ついこの間百万人切ったと思ったら、今度八十万人切るんですよ。これ本当に危機的ですよ。さっきから何度も出ています。これはもう与党の方も野党も全員同じ認識だと思います。にもかかわらず、それに対する答弁が、さっきから何度も何度も言って、全然危機感が、大臣、感じられないんですよ。そもそも安倍総理、前回の解散・総選挙、二〇一七年の解散・総選挙、国難突破解散と言って、国難の一つに少子化挙げました。あのときよりも事態は更に深刻度を増しています。少子化緊急事態宣言出したらどうかと、こういう衆議院の中でも質疑がありました。まさにそれぐらいの事態だと思います。
 そして、これぐらいの少子化が進んでいくと、これからの話になりますけれども、保育所のこれからの例えば待機児童対策も、今までの対策のままでいいのか、いろんなところに波及してくると思うんですよね、いろんな社会保障の費用なんかにしてもそうですけれども。そういう緊急事態を、これこそ、もちろんコロナは緊急事態宣言ですけれども、これこそ緊急事態宣言。これは、国を挙げて、国会挙げて、そして政府挙げて、官民挙げて取り組む課題なんじゃないですか。それぐらいの意識ありますか。そういう発言、坂本大臣、これまでされましたか。どうですか。

#125
○国務大臣(坂本哲志君) 少子化社会対策大綱の中では、国民共通の困難というような表現をしております。まさに私たちも危機感を持って、そしてこれまでも対処をしてきましたし、これからも対処をしているところでございます。

#126
○杉尾秀哉君 それぐらいの答弁、答弁書読まないで答えていただけませんか。御自身の言葉で語っていただけませんか。そもそも、さっき書かれたようなこんなブログを平気で載せるような人ですよ。そういう人が本当に少子化担当として務まるのかという、私はそういうふうに思います。
 そういう中で、今回のこの児童手当の特例給付廃止ですけれども、今、自民党さんも子ども手当、ああ、ごめんなさい、こども省ですか、検討されている。私どもも元々言っていたし、各党の方でも、子ども・子育て政策、そういった組織論の話ありますけれども、そういう組織論の前に、例えばこういう直近のこの児童手当の特例給付とか、こういう問題で、さっきもありましたけど、誤ったメッセージを出すようならば、これは少子化を更に加速させることになりかねません。さっきの参考人の意見にもありました。こうした現実を前提にして、今回の法案の特例給付の一部廃止について幾つか具体的に質問してまいります。
 特例給付が一部廃止される基準、これは皆さんもよく御存じですけれども、年収一千二百万。これは、御承知のように、世帯収入ではなく夫婦どちらか収入が多い方と、こういうことになりますよね。例えば、夫の年収千三百万円で専業主婦の家庭は特例給付を受けられません。一方、共働きで夫婦それぞれ年収が一千万円ずつ、世帯収入が二千万円の場合は特例給付を受けられます。しかも、特例措置の一部廃止で捻出された三百七十億円は、保育所の受皿整備の充当に充てられます。
 ちなみに、高所得世帯は、重い税負担に加えて、さっきもこれも話出ておりましたけど、高校無償化など様々な教育支援受けられません。奨学金の制限の話もございました。
 こうした専業主婦世帯と共働き世帯の不平等というのは、負担と支援の公平性、それから教育の機会均等、こうした観点からも大問題だと思いますけれども、政府としての正式の見解、聞かせてください。

#127
○政府参考人(嶋田裕光君) お答えいたします。
 子育て世帯につきましては、負担能力に応じて税や社会保険料を御負担いただくとともに、政府として必要な子育て支援を行っていますけれども、それぞれの対象者につきましては、制度の趣旨、目的等を踏まえて設計されているものと承知しているところでございます。
 児童手当の世帯合算につきましては、世帯間の公平性の観点から導入を求める重点化の御意見が、先ほどもありましたけれども、そういうような御意見がある一方で、導入した場合の共働き世帯への影響等があるとの御意見もありまして、検討の結果、今回の見直しでは導入を見送るものとしたものです。
 一方で、今回の法律改正では、専業主婦世帯も含めた支援となります子育て支援を行う機関間の連携を進めるということも盛り込んでおるところでございます。また、不妊治療助成の拡充なども行うこととしており、共働き、片働きを問わず、かかわらずトータルでの支援は拡充しているところでございます。
 今後とも様々な世帯の状況に応じた支援を行ってまいりたいと考えております。

#128
○杉尾秀哉君 今、導入した場合の共働き世帯への影響という一言で片付けられましたけれども、説明になっていないと思いますね。不公平で不平等だと、これは誰がどう考えてもそう思いますよ。そして、先ほど参考人の意見にもありましたように、二人目の壁の解消に完全に逆行しています。
 資料三、御覧ください。
 このアンケートによりますと、特例給付の一部廃止について、三分の二近い人が不平等だと、こういうふうに回答している。また、今回の改正が決定した場合、二人目以降の子供を希望する気持ちが三二%から一二%に二〇ポイントも低下しています。実際、第二子、第三子が欲しかったんだけど悩んでしまう、幾らもらえるか計算していたのに、先ほど話がありました、将来の子育てのためにせっせとためておくと、こういう考え方の人もいるでしょう。とにかくお金が掛かる。本当にその悲痛な声がいろんなところで次々と寄せられています。
 そこで、坂本大臣に伺いますけれども、今回の法改正、先ほどからるるお話しされました、本当に少子化対策にそれだけ危機感を持っていらっしゃるのならば、何でこんなその逆行するような天下の愚策を提案してきたのか。希望出生率一・八の実現、これ下ろした方がいいと思いますよ。だって、実現できないんだから。ますます遠ざかっているんだから。しかも、コロナ禍で出生率がもっと下がるんだから。そんな意味のない希望出生率一・八の実現なんか下ろして、もっと地に足を付けた、こういう身近な政策からきちっとやってもらえませんか。更なる出生率の低下を招きかねない、というか招きます。
 何でこんな法案出したんですか。説明してください。

#129
○国務大臣(坂本哲志君) その前に、希望出生率につきましては、あくまでも希望出生率でございます。若い世代では、男女共に九割近くの方々がいずれ結婚をするということを希望しておられます。また、未婚者そして既婚者のいずれにおいても、平均して二人程度の子供を持ちたいとの希望を持っておられます。希望出生率は、こうした若い世代の結婚、子育ての希望が実現した場合に想定される出生率のことでありまして、一定の仮定に基づき算出するとおおむね一・八程度になるということでございますので、これを御理解いただきたいというふうに思います。
 それから、少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っています。今般の児童手当の見直しは、結婚支援の充実、不妊治療助成の拡充、男性の育児休業の取得促進など、高所得者も含め総合的な少子化対策を進める中で、年収一千二百万円相当以上の方に限り月五千円の特例給付を見直すものでありまして、あわせて、待機児童対策等の子育て支援を着実に進めていくということとしております。
 新子育てプランの実施によりまして、待機児童の解消以外にもライフステージに応じた総合的な少子化対策に取り組むことによりまして、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む隘路の打破に取り組んでまいります。

#130
○杉尾秀哉君 最初に希望出生率一・八についての説明ありましたけど、こんな数字、何の意味もありません。子供を持ちたい平均の数が一・八人、それの数字出してどういう意味があるんですか。現実問題として出生率が上がらなかったら少子化対策の意味ないじゃないですか。少子化が進んで、それが全ての問題かと言われれば、いろんな、社会をつくり替えるとかいろんな考え方あると思いますので。ただ、こういう希望出生率一・八の実現みたいな全く中身のない数字を出して何かやっている感を見せるのはやめてください。
 さっき冒頭に御紹介しましたけど、基本的に子育ては自助だということを自民党はずっとおっしゃっていた。高所得世帯に、先ほども、手当を出すようなそんな余裕はないんだと言っていました。今回の政策もその一環ということでよろしいんですか。

#131
○国務大臣(坂本哲志君) 繰り返しになりますけれども、高所得者も含めて総合的な少子化対策を進める中で、今回の、年収一千二百万円相当の方に限り月五千円の特例給付を見直すものということであります。

#132
○杉尾秀哉君 同じ答弁の繰り返しなんですけれども、結局二人目以降を希望する気持ちが半分以下にまで下げている、こういう逆インセンティブが与えるような政策に対する全く説明になっていません。
 不妊治療に年齢制限撤廃するだけでどれだけ少子化対策になるんですか。(発言する者あり)ああ、年齢じゃない、収入制限、済みません、になるのかという問題ありますけれども、それともう一つ、これ、歴史的に見れば、今回特例給付が廃止されると、控除の代わりに手当が全くなくなっちゃうと、こういうことです。これは、民主党時代に、さっきも話出ていました控除から手当へのスローガンということで、十六歳未満の扶養控除、年少扶養控除を廃止して、代わりに新設したのが子ども手当、後の児童手当だったということで、この何がしかの、確かに六万円しかないかもしれませんけれども、それの分も含めてなくなるということになると、丸々これはもう丸損、丸損という言葉がいいかどうか分からないですけれども、丸損になっちゃうわけですよね。
 これ、国家による国民への詐欺とか物すごい厳しい書き込みがネット上なんかも飛び交っているんですけど、これはどうですか。

#133
○国務大臣(坂本哲志君) 年少扶養控除につきましては、所得制限のない子ども手当の創設に合わせて廃止されたものでありますけれども、特例給付が導入された平成二十四年度以降、幼児教育、保育の無償化を実施するなど、高所得者の方も含め子育て世帯への支援は拡充をしてきております。そのため、今回、年収千二百万円相当以上の方に対する月額五千円の特例給付を廃止したとしても、必ずしも年少扶養控除を復活しなければならないというものではないというふうに考えております。

#134
○杉尾秀哉君 もう一つ。一〇%の消費増税の目的の一つに待機児童の解消というのがあったと思います。これ、政府広報を見ても真っ先に書いてあります。大々的に書いてあります。
 ところが、今回、消費税増税の大義名分に掲げた待機児童解消のために、別の財源、つまり児童手当の中の特例給付、これを持ってこようとしている。本当は消費増税で待機児童を解消するはずだったんじゃないのと、こういうことなんですけれども、これも詐欺だと言って騒いでいる人たちがたくさんいます。どうですか。

#135
○国務大臣(坂本哲志君) 消費税財源を活用した二兆円の経済政策パッケージに基づきまして、令和二年度までに子育て安心プランによりまして保育の受皿を整備してきており、この受皿の運営に要する費用については引き続き消費税財源を活用をしてまいります。
 こうした取組の中で着実に待機児童が減少してきていますが、一方で、今後更なる女性の就業率の上昇が見込まれることから、今般、新子育て安心プランに基づきまして、令和六年度末までの四年間で約十四万人分の保育の受皿を確保することとしたところであります。
 新子育て安心プランによりまして待機児童問題の最終的な解決を図るため、今後も、厚生労働省と連携しながら、各自治体の取組をしっかりと支援してまいりたいと考えております。

#136
○杉尾秀哉君 先ほどからネットの中でいろんな意見が飛び交っているということを申し上げましたけれども、今回の法改正にも子育て世代からいろんな意見が上がっております。私もざっと目を通しましたけれども、真っ二つに分かれちゃっている。年収千二百万円もあったらしようがないでしょうと、こう言う人もいる。その一方で、先ほど私が幾つか紹介したような、やっぱり幾ら何でもこれはおかしいじゃないかと、こういうふうな、これは国民の分断を助長しているようにも見えるんですけれども、どうですか。

#137
○国務大臣(坂本哲志君) 先ほども申しましたけれども、子育て世帯に対する支援といたしましては、幼児教育、保育の無償化や、不妊治療助成の拡充、そして新子育て安心プランの実施によります待機児童の解消など、高所得者の方を含めた様々な支援策を充実をさせているところであります。
 今般の年収一千二百万円相当以上の方の児童手当の見直しは、このような総合的な少子化対策を進める中で待機児童問題の最終的な解決を図るものでありまして、全体のバランスを考えた上での措置であるということを御理解いただきたいというふうに思います。

#138
○杉尾秀哉君 待機児童問題、最終的に解決した方がいいというのは、これは誰も異論はございません。ただ、その待機児童対策ということが余りに強調され過ぎているがゆえに、そのほかの犠牲がたくさんあるということで、そのうちの一つがこうした二人目の壁というのを物すごく高くしていると、こういうことにも現れています。
 例えば、同じ千二百万年収といっても、仮に四人お子さんがいらっしゃる場合は、これ四人子育てすると大変ですよね。家計は多分赤字になっちゃいますよ。しかも、将来的な教育資金を考えると、これはとてもとても三人、四人はやっぱり無理と。
 私は東京に勤務をして東京の会社で仕事をしておりましたけれども、私、系列のテレビ局の皆さんとも仕事することが多くて、系列の局の方は、やっぱりお子さんが大学とか行くと、やっぱり東京とか中京圏とか関西圏とか遠いところに行かせる。そうすると、まず学費、そして生活費、様々もろもろを含めると、これちょっと親はもう借金しないと、とてもとても二人、三人と自宅以外の大学には到底やれないというのが実態でございました。
 これ仮に四人の子育てをするとなると、これ家計はもうかなり早い段階から赤字になっちゃう。産めば産むほど不安が募る制度、今のような現状というのは、例えば先ほど紹介したような、日本は子供を産み育てやすい国かと言われれば、到底そうというふうには言えない。
 これ有名な話ですけれども、出生率を一・七弱ぐらいから二まで一回持ち上げたフランスもまた最近ちょっと下がっているみたいですけど、所得制限が家族手当の場合はございません。支給は一人目がなくて二人目以降で、三人目以降になると増額される、これも有名な話でございます。
 仮に特例給付を一部廃止するというならば、子供の扶養人数、それからそれに係る負担というのをもっと考慮するような制度設計があってしかるべきなんじゃないですか。どうですか。

#139
○国務大臣(坂本哲志君) 多子世帯におきましては、子育てなど様々な面における経済的負担の重さが指摘されております。児童手当につきましても、多子世帯への給付を拡充すべきというような御意見があります。
 改正法案では、附則に検討規定を設けました。子供の数等に応じた児童手当の効果的な支給及びその財源の在り方や支給要件の在り方について検討することとしております。その際には、少子化の状況を始め、子ども・子育て支援に関する施策の実施状況、そして子育て家庭への影響等もよく注視しながら、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討してまいりたいと考えております。

#140
○杉尾秀哉君 これは早く検討した方がいいというふうに思います。今回、これだけ負のメッセージを出すわけだから、正のメッセージを早く出さないと、さっきから何度も申し上げているように、本当に少子化にとってますます厳しい状況になりかねない。
 さらに、今回の改正、これもさっきちょっと出ておりましたけれども、今回は夫婦どちらかの一方の収入で決まりますけれども、将来的に夫婦合算の世帯収入に切り替えてくるんじゃないかと、こういうふうな懸念がかなりたくさんあります。この可能性はあるんですか、それともないですか、どっちですか。

#141
○国務大臣(坂本哲志君) 今御指摘いただきました世帯合算につきましては、世帯間の公平性の観点からは導入を求める重点化の御意見がありました。その一方で、導入した場合の共働き世帯への影響等があるとの御意見もありました。検討の結果、今回の見直しでは導入を見送ることとしたものであります。
 改正法案では附則に検討規定を設け、子供の数等に応じた児童手当の効果的な支給及びその財源の在り方や支給要件の在り方について検討することとしております。その際には、少子化の状況を始め、子ども・子育て支援に関する施策の実施状況、子育て家庭への影響等もよく注視をしながら、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討してまいります。

#142
○杉尾秀哉君 今回は見送ることとした。元々これ政府案が出したときにも、最初はこれ夫婦合算だったんじゃないですか。どうですか。

#143
○政府参考人(嶋田裕光君) 政府部内でもいろいろな御議論がございましたけれども、最終的には今回は世帯合算を見送ることといたしたものでございます。

#144
○杉尾秀哉君 最初は合算だったということなんですよね。ところが、いろいろ与党の中で協議があってこういう形になったと聞いていますけれども、今の答弁を聞いても、将来的に合算になる可能性が極めて高いというふうに理解をされても仕方がないというふうに思います、全然否定されないわけだから。
 これは、本当に将来的にちゃんと考えなきゃいけなくて、さっき児童手当の意味という、そういう質疑もありましたけれども、単なるこれ、その特例給付を一部廃止するという問題にとどまらない、物すごく大きな問題を今後にもはらんでいると思います。ちなみに、元々日本は子ども・子育て政策の関係の予算が少ないというのは先ほども出ていたとおりでした。
 菅総理が臨時国会、これは前の、去年ですけれども、所信表明演説で、長年の課題である少子化対策に真正面から取り組み、大きく前に進めると、こういうふうに大見えを切ったわけですけれども、その中で出てきたのがこうした特例給付の一部廃止。これ、子育て政策の本気度そのものが問われているんです。間違った負のメッセージを国民に出しているんじゃないか、本気で取り組むと言った菅総理の言葉、そういう受け止め方については大臣はどうお考えですか。

#145
○国務大臣(坂本哲志君) 菅総理そのものとして、あるいは菅政権になりまして、不妊治療助成の拡充や、さらには新子育て安心プランの実施による待機児童の解消などを行い、子育て世帯全体への支援を充実しているところであります。
 そういう状況で、この中で、待機児童問題につきましても、四年間で十四万人の保育の受皿を整備をすることで最終的な解決を図るということにしたところであります。

#146
○杉尾秀哉君 今その待機児童対策しかお話がないんですけれども、ただ、先ほども申し上げましたように、これ、急激な出生率の低下、少子化で、保育ニーズもそう遠くない時期に減少に転じるわけですよ。しかも、待機児童問題というのも地域によって偏在が大きいんですよね。
 で、保育制度の在り方そのものについての検討が不十分なんじゃないか、こういうふうな指摘があります。今回の特例給付の一部廃止もそうですけれども、現在の政府の対策も、今再三答弁があったように、待機児童問題に特化している感がある。しかし、保育ニーズ、先ほどの質問にもありました、これ減少に転じることを念頭に、これ、待機児童の在り方、それから保育ニーズの質的、量的変化の対応について考えるべき時期だというふうに思うんですけれども、これについての政府の考え方を教えてください。

#147
○政府参考人(岩井勝弘君) 新子育て安心プランにおきましては、市町村が今後の保育のニーズを踏まえて策定した計画の積み上げ値を踏まえるとともに、女性の就業率の上昇にも対応できるものとして、令和三年度から令和六年度末までの四年間で約十四万人分の保育の受皿を確保することとしております。
 また、保育ニーズは各地域によって様々であるため、新子育て安心プランでは、地域の特性に応じた支援を柱の一つとして位置付け、保育ニーズが増加している地域については、新子育て安心プランに参加する自治体への整備費等の補助率のかさ上げ、マッチングの促進が必要な地域については、保育コンシェルジュによる相談支援の拡充や巡回バス等による送迎支援の拡充を行うとともに、人口減少地域の保育の在り方については、今年度新たに厚生労働省子ども家庭局に地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会を設置し、中長期的な視座に立った検討を行うこととしているところであります。
 各地域においてニーズに沿った保育の提供ができるよう、今後とも必要な支援に努めてまいります。

#148
○杉尾秀哉君 今回の質問に当たって、保育現場の声、先ほどの方もありましたけれども、私も聞いてこようと思って聞き取りをしてまいりました。地元の長野の幼保連携型認定こども園の方なんですけれども、その中でやっぱり最も切実だったのが、主にやっぱり人材不足からくる保育所の過重労働と精神的ケア、これ働く人のですね、待遇を含めた職場環境改善の必要性。とりわけ最大の原因が職員の配置基準にあって、これ戦後間もなくから基準が変わらない中で、園児や家庭へのきめ細かい対応が求められる一方で、行政からの指示が増えて職員の負担が増す一方だと、こういうふうにおっしゃっている。
 現行の、三歳から五歳児の子供三十人から三十五人に対し職員一人という基準ではもう対応できないと。また、給付金は職員の配置基準に沿ったものとなるので、三十人を二人で見るなど対応する場合は、非正規の職員の人件費をその園の中で自力でやりくりするしかない、経営が圧迫されていると、こういうことですが、小学校でもこの度三十五人学級が実現することとなりました。
 保育の現場でもずうっと長くこういう配置基準が続いてきたわけですけれども、特に三歳から五歳児の基準を子供十五人に対して職員一人にするなど、職員の負担を半減させる配置基準の見直しが強く要望されております。これは、保育の質向上のためにも実現が急務と考えておりますけれども、政府としての認識を伺います。

#149
○政府参考人(嶋田裕光君) お答えいたします。
 保育士の配置の改善を図ることは、保育の質の向上を図る観点から重要と考えております。
 職員配置の改善につきましては、三歳児の配置改善に関しましては平成二十七年度から取り組んでおるところでございますが、一方で、〇・三兆円超の質の向上事項に含まれております一歳児とかあるいは四、五歳児の配置改善についてはまだいまだ未実施ということになっているところでございます。
 これらの実施につきましては、各年度の予算編成におきまして必要な財源の確保に努めてまいりたいと考えております。

#150
○杉尾秀哉君 今、その予算を確保することを努めるというふうに答弁されましたけれども、いつになったら実現できるんですか。その見通しはあるんですか。どうですか。

#151
○政府参考人(嶋田裕光君) 現段階で確たることは申し上げられませんが、いずれにしろ、まず各年度の予算編成過程で検討してまいりたいと思います。

#152
○杉尾秀哉君 検討するじゃなくて、もっと前向きな答弁できませんか。さっきも言いましたけど、小学校の三十五人学級実現するんですよ。
 で、その保育士さんも、潜在保育士さんというんですか、今、いわゆる看護師さんの潜在看護師の問題も出ておりますけれども、潜在保育士さん九十五万人いると、こういうふうな推計があるそうです。
 あるテレビ番組を見て、潜在保育士さんのアンケートをしておりました。今よりも収入がどれぐらい増えたら保育士の本来の、本来のというか、その資格を持っている職にもう一回戻りますかといったら、五万円ぐらいからぼちぼち増えて、一人十万円だったらほぼ、ほとんどの人が保育士戻りたいですと、こういうふうに言っているんです。
 元々子供が好きだから保育士の資格を取っているという人が多いから、あとはやっぱり待遇の問題だけですよ。そこの問題がクリアすれば人的な問題というのはクリアできると思うんですけど、どうですか。

#153
○国務大臣(坂本哲志君) 財源の問題につきましては、安定的な財源を確保すべく今後も努力をしてまいりたいというふうに思います。
 それから、保育の質の向上につきましては大変重要な課題であると思っております。保育所の公定価格では、子ども・子育て支援新制度が施行されました平成二十七年度に、社会保障と税の一体改革によりまして、〇・七兆円の充実事項として三歳児の職員配置の改善や保育士等の三%の処遇改善を実施をしたところでございます。
 〇・三兆円の質の向上事項につきまして、これまで、保育士の二%の処遇改善、そして栄養管理加算の充実、栄養士の雇用等をした場合に週三日程度の費用を措置するというものでありますが、こういうことを行いながら、各年度の予算編成においても可能なものから実施をしてきたところでございます。
 保育の質の向上を進めることは重要と考えておりまして、引き続き必要な財源の確保に努めてまいります。

#154
○杉尾秀哉君 これは、これから量よりも、量ももちろん今は足りないわけですけれども、質、ますます重要になってきますので、これはその財源確保をこちらの方に次第にウエートを落としていって、現実に合わせて、こんな形で予算編成をしていただきたい。
 それから、私が聞き取りした中で、今、先ほど話もありましたけれども、子供に関する政策を一体化することについて、これについては現場の声としても大賛成ですと、こういうふうにおっしゃっているんですが、特にこの幼保連携型の認定こども園の場合は、内閣府、厚労省、文科省から同じような通達とか指示が三か所から来るので、これもう大変だと、整理してもらえませんかと。これは別にこども庁つくらなくてもできるはずなので、こういったその現場への指示、それから通達の在り方、これ見直すつもりないですか。

#155
○政府参考人(嶋田裕光君) お答えいたします。
 幼保連携型認定こども園に対しまして国から発出する通知等につきましては、その内容に鑑みまして、内閣府、文部科学省、厚生労働省の三府省が連名で発出すべきものは発出すると、その形で発出するとともに、各府省から発出する場合であっても、あらかじめ三府省で共有、調整するなどによりまして適切な運用に努めておるところでございます。
 また、通知等を発出するに当たりましては、ポイントを一枚紙に、一枚目に簡単に示すなどによりまして通知の趣旨を明確にするとともに、既存の通知等を改正する場合は修正箇所を明確にするなどの工夫をしておるところでございます。
 引き続き、関係府省等の間で十分連携しながら、関係自治体や幼保連携型認定こども園を含めた認定こども園にとって分かりやすい周知等に努めてまいりたいと考えております。

#156
○杉尾秀哉君 そのこども庁というのか何というのか分かりませんけれども、これはやっぱり現場の意見を確実に聞きながら慎重に議論を進めてくださいと、こういう要望が寄せられておりますので、最後に申し上げます。
 最後の一問なんですけれども、これ、組織論が先行する以前に、先ほど、日本は子供にとって住みやすい国かと、こういうふうな疑問があると言いましたけれども、これ、組織論以前に、子供のニーズを吸い上げて政策に反映する独立した監視機関、まあ監視機関という言い方は分かりませんけれども、子供機関と言ってもいいかも分かりませんけれども、必要だと、こういう議論があります。先日、日経新聞にも出ておりました。
 これ、イギリスに子供コミッショナーと呼ばれるような制度があるというふうに聞いております。これ、日本財団が去年の秋、提言書を出しているんですね。大臣、こういう制度、御存じでしたか。
 そして、子供にとって生きやすい社会にするために、これがその少子化対策にもつながるわけなので、こういったことも含めて、子供の視点に立った子供政策、子育て政策、こういうことを検討してみませんか。いかがですか。

#157
○国務大臣(坂本哲志君) 英国の子供コミッショナー制度は、独自の調査権限を持ちまして、制度の改善を提言する機能を持つものとして、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド、それぞれ置かれているものと承知しております。日本でいえば公取委みたいなところもあるんだろうというふうに思っております。
 一方、我が国におきましては、自治体レベルで、例えば川崎市とかあるいは兵庫県の川西市とか、こういった先行的な取組も見られるところでございます。
 令和元年に成立をいたしました児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案の附則の検討規定に基づきまして、児童の権利を擁護する仕組みの構築その他の児童の意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されるための措置の在り方について検討するものとされておりますので、これに基づきまして、厚生労働省におきまして、子どもの権利擁護に関するワーキングチームを設置をしてこれらの検討が進められているものと承知しております。

#158
○杉尾秀哉君 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

#159
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。今日は質問の機会いただきまして大変ありがとうございます。
 まず、この新型コロナ禍における子育て支援の在り方について質問をさせていただきたいというふうに思います。
   〔委員長退席、理事徳茂雅之君着席〕
 昨年、全国認定こども園協会が行った緊急アンケートの調査によれば、就学前の家庭全体の中で、在宅での子育てを行っている可能性の高い地域子育て支援拠点利用者の方々の方が子育て生活での困難を抱えているという割合が高い傾向が見られたところでございます。
 本日午前中、参考人としてお越しいただいた奥山NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長の下でのひろば全協主催の緊急ブロック会議では、様々な課題や要望も示されました。相談業務はメールでは限界がある、ボランティアを含めて地域の人材活用が難しい、また、オンライン活用の基準が不明である、オンライン活用のための研修が足りない、オンライン利用からリアルな交流の場へのつなぎ、移行のための工夫が必要などの要望が出されたところでございます。
 こうしたコロナ禍にあって子育て支援を地域で必死になって取り組んでくださっている様々な要望に対して、政府はどのように対応するのか。あわせて、今回の法改正によりまして、午前中も議論ございましたけれども、各関係機関の連携が進むことによりまして、きめ細やかな支援に結び付くことが期待されるわけでございます。
 在宅での子育て支援にどのような効果が見込まれるのか、坂本担当大臣の御所見を伺いたいと思います。

#160
○国務大臣(坂本哲志君) 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして対面での事業実施が難しい状況もあることから、地域子育て支援拠点事業等におきまして、職員が都道府県等の実施するオンライン研修の受講や、あるいはオンラインを活用した相談支援の実施のために必要となるICT機器の導入等を支援しています。
 委員御指摘の地域子育ての支援拠点の事業におけるオンライン相談に係る支援の方法につきましては、関係団体の意見も踏まえつつ、厚生労働省とも連携して検討してまいりたいと思っております。
 また、在宅で子育てを行う家庭等に、より効果的に支援を行っていくためには、地域の関係機関相互の連携の推進を図っていくことが重要であります。本法案でも、市町村計画の記載事項を改正しているところであります。
 これによりまして、子育て家庭の個別の状況を機関相互で共有し、家庭の状況に応じた必要な支援へと結び付けられることが期待をされているところであります。

#161
○石川博崇君 是非力強く取り組んでいただければというふうに思います。
 このコロナ禍において、出産後、産後うつのリスクが増えることが指摘をされております。
 昨年十月、午前中も触れましたが、筑波大学の松島みどり准教授らが実施した調査では、出産後一年未満の母親二千百三十二人のうち、産後うつの可能性のある方がおよそ二四%に上りました。一般的に産後うつが発症率一〇%と言われているのに比べて、このコロナ禍では倍以上に増えているという結果でございます。
 新型コロナの影響で、人と接触の機会、外出の機会、これが極端に少なくなったこと、収入の落ち込みなど経済的な不安が影響しているというふうにも見られております。また、この調査で興味深いのは、産後うつの可能性があるとされた母親のうち、三分の二が自分自身がうつ状態にあるという認識ができていないということも分かっております。
 こうした自覚がない産後うつを患っているお母さん、母親に対しても積極的な支援を行うべきというふうに考えておりますけれども、山本厚労副大臣の御見解をお願いできればと思います。

#162
○副大臣(山本博司君) 本改正案では、子育て家庭の個別の状況を関係機関相互で共有し、家庭の状況に応じた必要な支援へと結び付けることを目的として、市町村計画におきまして定めるよう努める事項に、地域の子ども・子育て支援を実施する関係機関相互の連携の推進に関する事項が盛り込まれたと承知している次第でございます。
 厚生労働省としては、自覚なく産後うつを患っている母親への支援は大変重要なものと考えておりまして、体の回復や精神状況の把握のため、産後二週間、産後一か月などの時期の産婦に対する健康診査に係る費用を助成をしている次第でございます。
 この産後健診におきましては、産婦の精神状況につきまして客観的なアセスメントを行うことによりまして、産後うつのリスクを早期に発見する機会になるものと考えております。さらに、自治体におきましても実施している新生児訪問におきまして、その母親に対しまして精神的支援を行うことも求めております。
 加えて、産後うつなどの不安を抱える妊産婦に寄り添った支援を行う観点から、母子の心身のケアを行う産後ケア事業につきまして、本年四月から施行いたしました改正母子保健法を踏まえまして、事業の全国展開に踏まえた予算の拡充を行っております。
 令和二年度が二十七億円ですけれども、令和三年度は四十二億円に拡充している次第でございまして、今般の法改正の趣旨も踏まえて、保健医療や福祉の関係機関とも連携しながら、産後うつを患っている母親に対しましての支援、しっかりと取り組んでまいります。

#163
○石川博崇君 是非よろしくお願いいたします。
 産後うつに関連いたしまして、先般、報道で、父親の産後うつの事例が報告されておりました。孤立する母親を支えるためにますます重要になってくるのが父親の役割であります。特にコロナ禍では、父親の育児参加、これが母親の孤立を防ぐ最後のとりでになると言われております。しかし、産後における父親が頑張り過ぎてうつになってしまうという、そういう事例も報告されている中、政府として支援も行うべきと考えております。
 政府としては、成育医療等基本方針、また少子化社会対策大綱、この中で夫のうつについても盛り込まれていると承知しておりますけれども、厚労省と内閣府の取組を御説明いただければと思います。

#164
○政府参考人(岩井勝弘君) 安心して妊娠、出産、子育てをできるようにするためには、父親への育児の参加を促しつつ、育児参加する父親への支援を行うことが重要であります。
 令和三年二月に閣議決定した成育基本法に基づく成育医療等基本方針においても、父親の産後うつが課題として挙げられ、母親に限らず父親を含めた身近な養育者への支援も必要であることについて社会全体で理解を深めていくことが必要とされております。そのため、健やか親子21を通じ、その普及啓発を行っているところであります。
 また、令和三年度予算による新規事業として、産後うつなどの不安を抱える父親に寄り添った支援を行う観点から、出産や子育てに悩む父親への相談支援等の実施などに取り組んでいるところであります。

#165
○政府参考人(嶋田裕光君) 夫のうつの問題でございますけれども、父親が育児に関わることは、母親の子育て中の孤立感や負担感、仕事と子育ての両立の難しさが軽減され、子供を産み育てたいという希望をかなえやすい環境につながるものと考えているところでございます。一方で、議員の御指摘のように、男性の育児参画の促進に伴いまして、父親が不安や悩みを抱えるケースもあるものと認識しておるところです。
 このため、少子化社会対策大綱では、男女が共に子育てに参画していくという観点から、男性の育児休業取得や育児参画を促進するための取組を総合的に推進する方向を示したところでございます。その取組の一環として、妊婦と父親になる男性が共に妊娠、出産への理解を深め、協力して子育てに取り組めるよう、両親学級の充実など、父親になる男性を妊娠期から側面支援をすることなどを盛り込んでいるところでございます。
 引き続き、関係省庁と連携しながら、男女が共に子育てに参画し、安心して子供を産み育てられる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

#166
○石川博崇君 ありがとうございます。
 今回の法改正によりまして、市町村の子ども・子育て支援事業計画、これに関係機関相互の連携の推進ということが盛り込まれることになりました。これによって各自治体がきめ細やかに、それぞれの家庭の実情に合わせた支援が進むことを期待をいたしますし、我々としても、それをしっかり地方議員の皆様とも連携をして後押しをしていきたいというふうに決意をしているところでございます。
 今回の改正では、待機児童対策の財源として、児童手当の特例給付を見直し、財源として充てることとなりました。当初、政府の中では、年収九百六十万円以上の児童手当の特例給付の全廃、また、共働きの場合には夫婦収入の世帯合算を導入する案というものも一案として検討されていたところでございます。
 公明党としましては、子育て世帯の家計への影響は最小限にしなければならないということを強く訴え、与党・政府内部での調整の結果、結果として所得水準の見直し基準額は一千二百万円まで引き上げられ、また世帯合算は見送られたという結果となったところでございます。引き続き、現行の夫婦のうち所得の高い方を基準とするということになりました。
 今回、法改正の中には、この点、児童手当について検討規定が置かれることになりましたので、引き続き議論をしていくということになりますけれども、特に世帯合算についてはくれぐれも慎重な検討が必要と考えております。
 国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、共働きで働いておられる母親の半数以上は、仕事をしたい最大の理由として経済的理由を挙げておられます。子供の教育費、あるいは生活費のためにやむを得ず共働きを選択している方々が大変多いというのが実態です。また、夫婦の予定子供数が理想子供数を下回る理由としても、最も多いのは子育てや教育にお金が掛かり過ぎるということでございます。
 今回、こうした実態も踏まえて、世帯合算の導入は子育て支援の在り方から外れるというふうに考えられ、見送りが決まったものでございます。仮に特例給付の廃止や世帯合算が導入されていれば、子育て世帯の経済的負担が大変重くなり、少子化に一層拍車を掛けたことと懸念されたわけでございます。
 今後、検討するに当たって、こうした状況、実態を踏まえて極めて慎重に行っていただきたいというふうに考えておりますけれども、坂本大臣の御所見を伺いたいと思います。

#167
○国務大臣(坂本哲志君) 児童手当の世帯合算につきましては、世帯間の公平性の観点から導入を求める重点化の御意見、一方で、導入した場合の共働き世帯への影響等があるとの御意見、双方がございました。検討の結果、今回の見直しにおきましては導入を見送ることとしたものであります。
 また、特例給付を支給しない対象を年収一千二百万円相当以上の方としたことにつきましては、他の制度等を参照しながら総合的に検討した結果でございます。
 改正法案では、委員先ほど御指摘されましたように、附則に検討規定を設け、子供の数等に応じた児童手当の効果的な支給及びその財源の在り方や支給要件の在り方について検討することとしております。その際には、少子化の状況を始め、子育てや教育に要する費用の支援など、子ども・子育て支援に関する施策の実施状況、また子育て家庭の状況やそれに与える影響等もよく注視しながら、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討してまいりたいと考えております。

#168
○石川博崇君 子育て家庭への影響等をよく注視しながらというふうに大臣からおっしゃっていただいたこと、重く受け止めておきたいというふうに思います。
 また、今回の検討過程では、多子世帯に対する支援の在り方についても検討状況となっております。扶養親族一人につき三十八万円ずつ基準額が上下されるこの児童手当でありますけれども、多子世帯ほど大変重い教育費の負担がございます。日本政策金融公庫の調査によれば、高校入学から大学卒業までに掛ける教育費用は子供一人当たり九百六十五万円と、非常に高額となっております。特に、この高校入学からというのは児童手当の対象でないということに踏まえても、多子世帯の教育費の負担は家計にとって極めて重いということが明らかでございます。
 今回の改正案の附則第二条に、先ほど大臣も触れていただきましたけれども、児童の数等に応じた児童手当の効果的な支給及びその財源の在り方並びに児童手当の支給要件の在り方について検討を加えると規定をされております。この児童の数に応じた児童手当の支給、これは是非とも検討を進めていただきたいというふうに思いますが、この同じ文章の中で、その財源の在り方、また児童手当の支給要件の在り方、これが一緒に記されているというのは非常に気になるものでございます。
 この多子世帯への支援の在り方の拡充に当たっては、この児童手当の財源をそのまままた流用するようなことはしないということも是非念頭に置いていただいて検討いただきたいというふうに思いますけれども、政府の御見解を伺いたいと思います。

#169
○政府参考人(嶋田裕光君) 少子化社会対策大綱でも盛り込まれておりますように、多子世帯への配慮、これは重要だというふうに考えております。
 御指摘の改正法案の検討規定におきましては、児童の数等に応じた児童手当の効果的な支給及びその財源の在り方を検討することとされておりまして、少子化の状況を始め、子ども・子育て支援に関する施策の実施状況、さらには子育て家庭への影響等もよく注視しながら、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討してまいりたいと考えております。

#170
○石川博崇君 この点は今後ともしっかり議論をしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、残された時間でヤングケアラーの取組について伺ってまいりたいと思います。
 昨日、政府のヤングケアラー支援に向けたプロジェクトチームが取りまとめをしていただいたことが大きく報じられております。
 ヤングケアラーは、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで本人の育ち、また教育に影響があることから、実態の把握あるいは支援の強化、これが急務の課題でございます。菅総理も、ヤングケアラーにつきまして、病気がちの親を幼い頃から世話したり、障害のある兄弟の面倒を見ることにより、学校に通えない、友達と遊べないなど、子供らしい暮らしができないことは大変つらいことだと思っていますと、そういうふうにおっしゃっていただいております。
 令和三年、今年の三月、厚生労働省、文部科学省が連携をして先ほど申し上げましたプロジェクトチームを立ち上げ、共同議長に山本厚労副大臣に就いていただいておりますけれども、このプロジェクトチームを立ち上げた意義につきまして、まず御所見をいただきたいと思います。

#171
○副大臣(山本博司君) ありがとうございます。
 今委員お話ありましたヤングケアラーにつきましては、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで本人の育ちや教育に影響があるといった課題がございますけれども、なかなか家庭内のデリケートな問題であることや、本人や家族に支援が必要である認識がないといった理由から、支援が必要であっても表面化しにくいという構造になっていた次第でございます。そのため、先ほど、ヤングケアラーの方々、認知症の祖父母を介護するとか、障害のお母様とか、様々、このヤングケアラーを早期に発見して支援を行うためには、福祉、介護、医療、教育、こういった様々な分野が連携することが重要でございます。
 そこで、関係機関の連携をより一層推進し、ヤングケアラーの支援につなげる方策につきまして検討を進めるために、本年三月、私と丹羽文部科学副大臣を共同議長とするプロジェクトチームを設置し、この分野横断的な検討を進めることにしたものでございます。

#172
○石川博崇君 PTを立ち上げられて、精力的に議論を行い、また当事者の声も聞きながら進めてこられたこと、敬意を表したいというふうに思います。
 昨日、このプロジェクトチームで取りまとめがなされたものと承知をしております。これが具体的に今後どのような支援につながっていくのか、併せて山本厚労副大臣に伺いたいと思います。

#173
○副大臣(山本博司君) 本年三月に設置しました私と丹羽文部科学副大臣を共同議長とするPTにおきましては、三月から四月にかけまして、関係者へのヒアリング等を通じまして、早期に発見して適切に支援につなげるための方策について検討を進めてきたところでございます。
 また、四月には実態調査ということで、五・七%、十七人に一人という、中学生でございますけれども、一つの教室に二人ぐらいいるという、こういう実態調査も途中で発表させていただきました。
 昨日開催のPTにおきましては、今後講ずるべき施策を取りまとめた次第でございます。
 具体的には三つの柱になっておりまして、早期発見、早期把握ということでございますけれども、福祉、介護、医療、教育機関の職員等に対する研修、さらには地方自治体における実態調査等によりまして、ヤングケアラーの早期発見、把握をするということが一点目でございます。それから二点目は、様々な施策の中でも、ピアサポート等の相談支援、また子供の介護力によらない適切な福祉サービスの運用、さらにはヤングケアラーがいる家庭への支援の在り方の検討等の支援策の推進。そして三番目には、広報啓発等を通じた社会的認知度の向上、こういったことの内容を盛り込んだところでございます。
 このうち、運用等でできるものにつきましては今年度から取り組むとともに、来年度の予算要求につきましても検討を進めてまいりたいと思います。

#174
○石川博崇君 ありがとうございます。
 三つの柱ですね、そのうちの一つが早期発見、把握、実態調査等を行っていただくということでございます。このヤングケアラーの問題、それぞれの御家庭の抱えておられる実情がございますので、是非、その実態調査に当たっては丁寧に行っていただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。
 昨年度、このヤングケアラーの実態に関する調査研究が行われまして、中学生、高校生に対して、家庭の世話をしている状況の有無について質問をしたところ、中学二年生で五・七%、全日制高校二年生で四・一%、定時制高校二年生相当で八・五%に比べて、通信制の高校生が一一%という状況が明らかになりました。
 特にこの通信制高校生、また定時制高校に通うヤングケアラーの割合が極めて高いという状況でございますが、その要因について文部省の所見を伺いたいと思います。

#175
○政府参考人(蝦名喜之君) お答えを申し上げます。
 全ての児童生徒が家庭環境に左右されず豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるようにするためには、支援が必要な児童生徒を早期に発見し、適切な支援につなぐことが重要であると考えてございます。
 今回の調査におきましては、議員今御指摘いただきましたとおり、特に世話をしている家族がいると回答した全日制高校二年生が四・一%であったのに対しまして、定時制の高校生は八・五%、通信制の高校生は一一%となっており、全日制高校に比べていずれも高い傾向にあることが明らかになっております。
 この理由につきましては、今回の調査においても、例えば通信制高校への進学の理由として、家族の世話や介護と両立しやすいことという項目が一定数挙げられているといったようなこと、それから、柔軟な学習形態が可能な定時制高校、通信制高校に在籍することで家族の世話や介護と学業が両立しやすくなることが一因であるというように推測をされるところでございます。
 文部科学省といたしましては、厚労省との共同プロジェクトチームにおいて策定した取りまとめに基づきまして、支援が必要な児童生徒を早期に発見し、適切な支援につなぐことができるよう、ヤングケアラーに関する教職員の理解の促進やスクールソーシャルワーカーの配置の充実に努めてまいりたいと考えております。

#176
○石川博崇君 是非よろしくお願いいたします。
   〔理事徳茂雅之君退席、委員長着席〕
 あわせて、同じ調査になりますけれども、通信制高校に通うヤングケアラーの、そのうちの六五・三%がほぼ毎日家族の世話をしているという結果でございますし、また、二四・五%は一日七時間以上世話に費やしているということでございます。また、四〇・八%が自分の時間が取れないと回答し、そういった過酷な状況にもかかわらず、その中の六三・三%が相談先を持っていない、まあ相談をしていないということが明らかになっております。
 こうした調査の結果を踏まえますと、このような通信制高校に通うヤングケアラーの孤立は突出しておりまして、この懸念を払拭するためにも特に手厚い支援が必要だと考えております。
 山本厚生労働副大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。

#177
○副大臣(山本博司君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘のように、今般の実態調査によりますと、世話をしている家族がいると回答した者のうち世話の頻度をほぼ毎日と回答しましたのは、通信制高校生は六五・三%、全日制の高校二年生は四七・六%ですので、かなり高いわけでございます。また、平日一日当たりに世話に費やす時間を七時間以上と、こう回答しましたのは、通信制の高校生は二四・五%、全日制高校生、二年生の場合は一〇・七%ですので、約二倍以上となっている次第でございまして、この実態調査からも、通信制高校生に重い負担が掛かっている実態は、認めるのは、御指摘のとおりでございます。
 こうした通信制高校生を含めまして、ヤングケアラーを孤立させないということは、大変取組は重要であると認識しておりまして、そのためにも、例えば福祉、介護、医療、教育等の関係者による早期発見、こういった施策が必要であると思います。さらには、当事者のピアサポート等の悩み相談の支援、こういったことも含めまして、孤立しがちなヤングケアラーに必要な支援が届くようにしっかりと取り組んでまいります。

#178
○石川博崇君 是非よろしくお願いいたします。
 このヤングケアラーへの支援につきましては、各地方自治体でも取組が進んでおります。兵庫県の神戸市では、全国でも珍しいヤングケアラーの専門相談窓口を六月から設置する予定というふうに伺っております。また、埼玉県では、教職員の方々への研修を行って、欠席がちになってきた、あるいは忘れ物が多い、こうした子供たちのSOSの兆候、これを見逃さないように研修を進めるというふうに伺っております。
 政府として、こうした各自治体が取組を進めているヤングケアラー支援の好事例、これを収集し、そして横展開を図っていくことが極めて重要なんではないかというふうに考えますけれども、山本厚労副大臣の御所見をいただきたいと思います。

#179
○副大臣(山本博司君) PTにおきましても、そうした当事者のそれぞれの取組、各自治体の取組の例ということでヒアリングをした次第でございます。
 その意味で、神戸市における専門相談窓口の開設の事例であるとか、埼玉県における教職員向けの研修等におきましても、こうした地方自治体においての先進的な取組が行われている次第でございます。その意味では、委員御指摘の好事例をこの各地方自治体に横展開をするということは大変効果的だと思っている次第でございます。
 厚生労働省としては、このヤングケアラー支援の在り方等につきまして、今年度、モデル事業ということで検討をしている次第でございます。その成果を各地方自治体に周知することによりまして、各自治体における取組、これを推進をしてまいりたいと思います。

#180
○石川博崇君 是非ともよろしくお願いいたします。
 今回の子ども・子育て支援の法律改正によりまして、先ほど申し上げましたけれども、それぞれの地域における取組が大きく進むことを期待をしております。また、その関係機関相互の連携によるきめ細やかな支援策、あるいは総合的な支援策、また情報の共有、これが進むことで、それぞれの御家庭の実情に合った支援というものが進められなければなりません。
 この法改正をてこにして、こうしたきめ細やかな支援を一層努めていくことをお誓い申し上げまして、少し時間早いですけれども、終了させていただきたいと思います。
 大変にありがとうございました。

#181
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
 まずは、通告に従いまして、病児・病後児保育について伺っていきたいと思います。
 この病児・病後児保育といいますのは、子供が病気になったとき、病院、保育所に一時的に預かってくれるという国の制度であります。これは、一時預かりとして受け入れてくれる病院、保育所の協力なしにはもちろんこれ成り立ちません。
 子育て世帯におきましては、本当にいつ子供というのは熱を出したり病気になったりするというのは、本当にいつもどきどきしながら子育てをしているという方は多いと思うんですけれども、こういったこの病児保育、これに関しては今年度も、子ども・子育て支援新制度、これに予算の方も拡充していっていただいているということで、大変是非ともしっかりと拡充はしていっていただきたいんですけれども、何点か御質問をさせていただきたいと思っています。
 これケースとしては少ないかもしれませんけれども、これ以外に、看護師さんが保護者の自宅に、子供がいるその自宅に訪問するという形もありますけれども、大体はそういう例えば保育所に併設されている、そういったケースが多いかと思います。そういった中で、この急な子供の病気に対してこれはセーフティーネットとなっているわけですけれども、これ国として、地方自治体がやっているとはいえ、国としてこの今の現状をどういうふうに需要と供給を把握されているのか、まずはお答えください。

#182
○副大臣(山本博司君) ありがとうございます。
 この病児保育事業につきましては、子供が病気の際の保育ニーズに対応するための非常に重要な事業であると認識しております。厚労省としても、各市町村における取組を支援するために、事業に要します経費の補助、これを行っている次第でございます。
 この交付金の交付実績によりまして、毎年度の全国の実施状況を把握しております。令和元年度では、病児保育の実施箇所数三千三百七十四か所、年間利用児童数約百八万二千人となっている次第でございます。
 また、子ども・子育て支援法に基づく、市町村が今後のニーズを踏まえて策定した計画、これは第二期子ども・子育て支援事業計画でございますけれども、各地域における令和六年度までの需給見込み、これも算出しているわけでございますけれども、そうしたことも踏まえまして、この必要なサービスが提供されるように支援をしてまいりたいと思います。

#183
○高木かおり君 御答弁ありがとうございました。
 元々この病児、もう一つ病後児保育、これ含めると、かなりそもそも運営というのが厳しいと言われているかと思います。これは、例えば利用者さんは、具体的に言うと、前日に、大体子供というのは急に病気になったりして、その本当のもう高熱が出ていて大変な状況のときはもちろん医療機関にかかるわけですけれども、少し落ち着いた状態、ただ保育所には行けない、こういった状況のときですので、前日、もう直近で予約が入るわけですね。その後、急にまた熱が下がったり、やっぱりその利用者さんの都合で、祖父母にやはり預けるのでといってキャンセルが入ったりもしてしまいます。これに対して、いろいろあるかとは思いますけれども、やはりその病児保育をされているような医療機関ではキャンセル料を取らなかったり、そういった大変不安定な運営であるということなんですね。そこに加えて、今コロナ禍の中で大変この利用者が減っているというふうにお聞きをしております。
 この収入面についてちょっと伺っていきたいんです。
 この病児保育、この制度はでも本当に意義があるものではあるんですが、この病児保育を運営していくということに対して、やはり、これ今、各医療機関、病児保育によっていろいろと差はあるとはいえ、七、八割減少しているというところもお聞きをしております。
 この病気の子供たちがコロナ禍で外出を控えたり、そういったことで数が減っていくということはいいことではあるんですけれども、やはりこの運営をしていく側からすると、これ補助金はこの利用者数に応じて適用されるわけで、利用されるわけで、この加算単位というのが、やはりこの利用者が減少することによって収入減に直結してしまうということがあるかと思います。
 大変これ存続が危うくなっていくと。これ本来ですと、利用者も徐々に徐々に近年伸びていっている中で、どんどん拡充をしていっていただきたいというお願いをしたいんですが、まずはその存続ができるようにしっかりとやっていかなければいけないということで、今日は、今日資料添付もさせていただいておりますけれども、病児保育事業の単価見直しについてなんですね。これを、しっかりとこの存続をまずはさせていく、そしていずれは拡充をしていくということで、政府としての課題、それをどのようにクリアをしていくのか、この単価の見直しについても補足説明を入れながら、是非御見解を伺いたいというふうに思います。

#184
○副大臣(山本博司君) 私も、四国を回って病児保育の方々の経営されているお話も聞かさせていただきながら、今委員が言われている御指摘というのは、その部分があると思います。
 病児保育事業に関しましては、感染症の流行、また病気の回復による、今ありました突然の利用キャンセル、これによりまして、利用児童数の変動が大きくて経営が不安定にあると、こういう指摘があるわけでございます。
 その意味で、平成三十年度予算におきまして、運営費の基本単価の充実、これを図るとともに、利用児童数に応じた加算につきましても、年間利用児童数が二千人を超える場合の補助単価、これを新たに設定するなど、上限を見直して、利用児童数に応じた加算を行うなどの拡充を図ったところでございます。
 また、今委員が御指摘されている今日提出されている資料でございますけれども、この令和三年度におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえながら、提供体制を安定的に確保するために、事業実施に最低限必要なこの事業費相当が確保できるように、利用児童数によらない基本単価の引上げなどの見直しを行ったところでございます。
 具体的には、病児対応型では一か所当たり今まで約五百万でしたけれども、約それを二百万上げて約七百万にした形でございます。看護師、保育士一人分を、最低限必要な事業相当を確保できるようにこうした基本単価を引き上げたわけでございます。
 こうしたことも含めまして、引き続き、地域におけるこの病児保育事業の提供体制の確保におきまして必要な支援、今後とも行ってまいります。

#185
○高木かおり君 是非よろしくお願いします。
 今回のこの単価見直しは本当に良かったなというふうに思っておりまして、そもそもが、先ほど申し上げたように、運営がなかなか厳しくて、地域でもこの病児保育って、もう一つは病後児保育も含めてなんですが、やはりこれ働く子育て世代にとってはすごく心強い事業なんですよね。それが今、繰り返しで申し訳ないですけれども、これを存続をしていくということはすごく重要で、なかなかそもそもが手を挙げていただきづらいということもお聞きをしておりますので、ここは踏ん張って国が支援をしていっていただきたいというふうに思います。子育て世代のセーフティーネットということでお願いをしたいと思います。
 続いて、このコロナ禍において、この病児保育ではコロナにかかったお子さんを預かるということはないというふうには聞いているんですが、なかなか無症状であったりとか、そもそもの感染症対策というのをこの病児保育の中でどのように対応されているのか、この点について伺いたいと思います。

#186
○副大臣(山本博司君) 病児保育事業を実施するに当たりましては、看護師や保育士等の職員を配置するほか、病児保育の専用スペースを設置した上で、この児童の静養、隔離のための機能を持つ観察室などの病児の受入れを行っておりまして、他の児童への感染に配慮するように求めている次第でございます。
 また、病児保育を利用する場合には、事前にかかりつけ医に児童を受診させることにしておりまして、施設と保護者の協議の上でこの受入れの決定をすることになっております。この際、必要に応じて、児童の症状や処方内容等を記載した連絡票がございますけれども、これを作成し、症状の確認を行うことになっております。
 さらに、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けまして、補正予算におきまして、職員が感染症対策の徹底を図りながら業務を継続的に実施していくための補助、これを行っている次第でございまして、引き続きこの感染症対策を講じるための必要な施策を進めてまいりたいと思います。

#187
○高木かおり君 ありがとうございます。
 この病児保育は、事前に、そもそも利用する前に、きちんと子供一人一人のいろいろな既往症ですとかアレルギーの有無ですとか、そういったこともしっかりとまずは提出をして、今おっしゃっていただいたように、医療機関と連携をしてきちんと対応していっていただいているということであると思います。この子育て世帯、特に忙しい働く保護者にとっては、こういった病児保育でのいろいろな知識をそういったところで得られるという観点からも大変私としては重要な事業であるというふうに思っておりますので、是非とも今後も存続、拡充をお願いをしたいというふうに思います。
 それでは、次に参りたいと思います。
 今日、通告、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーということでございます。
 午前中も参考人質疑の中でもこのスクールソーシャルワーカーの役割等もお聞きをさせていただいて、改めて重要な点であるなというふうに私自身も思っているところなんですが、今、いじめや不登校、それから問題を起こしてしまう児童、これは、問題を起こす子というのはやっぱり問題を抱えている児童なんだという視点が重要なのかなというふうに思っております。子供の心の問題だけではなくて、家庭での親との関わりですとか生活環境、こういったことも、やはりいろいろな要素が複雑に絡まっているというふうに考えた方がいいのかもしれません。この児童に耳を傾けて問題を解決する身近な存在というのがスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーということになってくるんだと思うんですね。
 このスクールソーシャルワーカー、これは、約十年ほど前に、スクールカウンセラーがあってスクールソーシャルワーカーという、連携をする役割のスクールソーシャルワーカーができたということなんですけれども、今日はこの人材確保についてちょっと伺いたいと思います。今どのようにこの対策を行っているのか、まずはお答えください。

#188
○副大臣(丹羽秀樹君) 学校におきまして、貧困など様々な課題を抱える児童生徒に対して福祉の専門家として支援を担うスクールソーシャルワーカーの配置の充実を図るということはとても重要なことであります。
 スクールソーシャルワーカーにつきましては、原則といたしまして、社会福祉士や精神保健福祉士等の福祉に関する専門的な資格を有する者から自治体において選考することとされており、毎年、スクールソーシャルワーカーに占める福祉に関する有資格者の割合は増加いたしております。専門性の向上性が図られる状況であると考えており、令和元年度におきましては、約六一%が社会福祉士、また三二%が精神保健福祉士の資格を有しております。
 加えて、各自治体におきましてスクールソーシャルワーカーの専門性を向上させるため研修も実施されておりまして、文部科学省におきましてもこの研修に要する経費等を支援しているところでもございます。
 引き続き、スクールソーシャルワーカーの地域の実情を踏まえた重点配置の充実とともに、研修等を通じましたスクールソーシャルワーカーの質の確保にも努めていきたいと考えております。

#189
○高木かおり君 是非とも、その質の向上も、そして人材確保ということも非常に重要になってくると思います。
 後ほどまた申し上げたいとは思うんですけれども、スクールソーシャルワーカーもスクールカウンセラーもまだまだ数は足りていないというふうに思っております。この人材を確保、それから育成していくという中で、研修等もおっしゃっていただいたのかと思いますが、このスーパーバイザーという点ですね、このスーパーバイザーの、ちょっとこれ質問通告がきちんと伝わっているかどうか分からないんですが、このスーパーバイザーについて、どのように研修のときですとか連携をスクールソーシャルワーカーさんの質を上げていくときに関わっていただくのか、その点というのがもしお答えいただけるようであればお願いできますでしょうか。

#190
○政府参考人(蝦名喜之君) お答えを申し上げます。
 スクールカウンセラーのスーパーバイザー、それからスクールソーシャルワーカーのスーパーバイザー、両方ともできる限りの人数を確保できるようにということで、令和三年度の予算案におきましては、スクールカウンセラーのスーパーバイザーについて九十名、それからスクールソーシャルワーカーのスーパーバイザーについて九十名、同じく九十名ずつですが、の配置が可能となるように予算措置を行ってございます。
 こうしたスーパーバイザー、様々な域内のスクールカウンセラーだったらスクールカウンセラーの活動内容について全体を熟知する立場にございますので、そうした実際のスクールカウンセラーの活動、あるいはスクールソーシャルワーカーの活動をベースにして、それを域内で横展開をしていくといったようなこと、それから、優良事例についてその域内で共有をするといったようなことなどが期待をされるところでございます。
 各都道府県などにおいて、これらスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの研修などにおきましても指導的立場として活用いただいていることと思います。そうした実例をしっかりと域内に根付かせていくといったような大事な役割を担っているものと思います。

#191
○高木かおり君 ありがとうございました。
 このスクールカウンセラーにしてもスクールソーシャルワーカーにしても、やはりこの質を上げていくというのはすごく重要だと思っておりまして、そこで、やはりこのスーパーバイザーという存在、これは大変重要だと思っておりますので、是非ともその点についてもお願いをしておきたいというふうに思います。
 それから次に、これは端的にお伺いをしたいんですが、相談者が実際にこのスクールソーシャルワーカー、スクールソーシャルワーカーの方に会うまでにどのような手続で行われるのか、少しその辺を紹介していただければと思います。

#192
○政府参考人(蝦名喜之君) お答えを申し上げます。
 まず、スクールソーシャルワーカーの配置の形態といたしましては、一人が一つの学校を担当する単独校型と言えるようなものがございますほか、学校からの要請に基づき教育委員会などから派遣をされる派遣型と言われるような形態のものなど、学校や地域の実情に応じて自治体において柔軟に運用されているというのが実情でございます。
 相談者がスクールソーシャルワーカーと相談をする日程の調整を行うとした場合には、今ほど申し上げました単独校型ということであれば、基本的に、非常勤の形ではあれ、学校、その学校を根城といいますか、ベースにしてございますので、スクールソーシャルワーカーが勤務する日に相談者が直接相談をして具体的な相談、更に詳細な相談の日程を決めるといったようなことが可能でございます。一方、派遣型の場合は、学校等、あるいは場合によっては教育委員会を通じて、いつそこに派遣されてくるかということ等の日程を調整した上で具体的な相談の日程を調整するということとなると考えております。
 スクールソーシャルワーカーの活動内容等に関しては、文科省としてガイドラインを作成をいたしまして、学校におけるチーム支援体制の構築などについて毎年教育委員会の担当者などへ周知をしているところでありますけれども、スクールソーシャルワーカーによる支援が必要な場面で必要な限り適切になされるように、地域の実情に応じた、例えば量の問題で言えば重点配置の充実などを図りながら相談体制の整備に努めてまいりたいと考えてございます。

#193
○高木かおり君 ありがとうございます。
 要望にとどめさせていただきたいんですけれども、やはり、今はスクールソーシャルワーカーのお話をさせていただきましたが、これ似て非なるものであって、当然、スクールカウンセラーは子供の心の問題を聞いてカウンセリングをする、このスクールソーシャルワーカーの役割としては、やはりいろいろな関係機関と連携をする、そして問題解決をしていくということになるかと思います。このスクールカウンセラーの方にもやはり、ちょっと次に質問することとも関連するんですが、やはり学校での、教師が子供の問題というか、先ほど問題を抱えている子の話もしましたが、どこまで気付いてあげられるか、それは教師だけの役割ではなく、当然地域ですとかいろいろな方々が関わってくると思うんですけれども、そういった、まずどういうふうに取っかかりとして、スクールカウンセラー、そしてまたその連携をしてスクールソーシャルワーカーへつないでいくのか、この点も是非ともきめ細かな支援をお願いをしたいと思います。
 続いて、先ほど石川委員の方からもございましたヤングケアラーの件です。
 これ本当に私も、今回初めて国の方で実態調査も行われ、こういった問題が浮き彫りになりました。先ほど数値の方、いろいろと御紹介もありましたけれども、私も同じようなお話、質問させていただこうと思っていたんですが、やはりこれ、相談をしたことがないという子たちが、中学生で六七・七%、高校生でも六四・二%という数字も出ています。
 このヤングケアラーという言葉、なかなか今、テレビの報道や新聞などで今言われて、こういった実態があるのかということであったと思います。声なき声をこれ浮き彫りにして拾っていくというのはすごく難しいところで、これに関して、先ほど意義については御説明をいただきましたが、福祉、医療、教育、介護、こういった多分野がしっかりと連携をしていく、そして、これ早期発見、その実態調査、まずできたということは大きな意義だったと思うんですね。
 そこで、先ほどからお話に出ているこのスクールソーシャルワーカー、これがどのようにこのヤングケアラー対策に対して役割として期待されるのか、その点についてまず伺いたいと思います。

#194
○副大臣(丹羽秀樹君) ヤングケアラーにつきましては、昨日、厚生労働省の山本副大臣とともにプロジェクトチームの中で様々な対応策をまとめさせていただきました。これ、家庭内のデリケートな問題であり、表面化しにくいというお話もございました。学校を含む関係機関がしっかりと連携して適切な支援につなげることが重要であると考えております。
 例えば、学校の授業のときに、一限目に子供が寝ていて、どうして寝ているのと先生が聞いたら、昨日おうちのお手伝いしてと、ああ、そう、偉いねと、それで終わったら、もしかしたらその子供は介護をしているかもしれない、そういったところにつながらないわけですよね。だから、やはり教師の面もしっかりとそういうところをウオッチしながらやらなきゃいけないというふうに思っております。
 本年三月から、先ほども言いましたプロジェクトチームの中でヒアリングを様々行いまして、また、そのヤングケアラーの御当人の方々からもヒアリングをさせていただき、御当人というか経験者の方々からもヒアリングをさせていただきまして、支援策について検討させていただきまして、報告書において、スクールソーシャルワーカーの関連では、そのスクールソーシャルワーカーの配置を支援し、福祉部局に、必要な支援につなぐための教育相談体制の充実を図ることについて盛り込まさせていただいております。
 文部科学省におきましては、この報告書に基づいて、学校において把握されたヤングケアラーについて、スクールソーシャルワーカーを十分に活用した支援策の充実に今後も努めていきたいと考えております。

#195
○高木かおり君 是非、この問題の背景というのは、子供だけではなく、当然、このヤングケアラーに関しては、家庭の問題、親であったり祖父母であったり、そういった抱える問題というのは多岐にわたると思います。是非とも子供の視点に立って支援の方を広げていっていただきたいというふうに思います。
 また、これ、子供たちの心のケア、またこの環境に関しては、学校のスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、そこだけでは足りない部分もあるのではないかというふうに思っております。この点についてはどのような対策を行いますでしょうか。お聞かせください。

#196
○政府参考人(蝦名喜之君) お答えを申し上げます。
 学校において、様々な課題を抱える児童生徒に対して、心理の専門家であるスクールカウンセラーや福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーなどを始めとする教職員が関係機関とも連携協力をしまして、個別の児童生徒の状況に応じてチームで支援を行うということは大変重要なことであると考えています。
 文科省におきましては、令和三年度の予算案におきまして、スクールカウンセラー、それからスクールソーシャルワーカー等の配置の拡充を行い、学校における相談体制の整備を進めるとともに、児童生徒の抱える問題の解決に向けては、児童福祉機関や児童相談所などの専門機関との連携促進をしっかりと図っていただきたいということを各自治体に対してお願いをしているところでございます。
 引き続き、児童生徒の心のケアのためには、学校等の相談機能を高めるということに加えまして、学校だけでこれを抱え切れるものではないという認識に立って、関係機関ともしっかりと連携協力を図っていくことが大変重要だと認識しております。

#197
○高木かおり君 ありがとうございました。是非ともお願いをしておきたいと思います。
 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、最後の質問に入らせていただきたいと思います。
 チャイルド・デス・レビューについてでございます。
 このチャイルド・デス・レビューというのは、子供の予防できる死亡を減らすための死亡登録・検証制度ということで、欧米では既に導入されているということで、死亡統計の一つであることは周知されているかとは思います。
 このチャイルド・デス・レビューなんですけれども、我が国でも、これ二〇一七年の改正児童福祉法の附帯決議で、虐待死の防止に資するよう、あらゆる子供の死亡事例について死因を究明するチャイルド・デス・レビュー制度の導入を検討するということから現在に至るかと思います。そして、昨年度は、予防のための子供の死亡検証体制整備モデル事業、こういったことも成育基本法に基づいての事業というふうに理解をしております。
 そういった中で、やはりこの今回の事業は、標準化されたフォーマット、すなわち死亡調査票を作成して、そこに、医学的死因に加えて、家庭、家族環境、それから養育状況など、こういったものを、社会的原因を収集していって死因を多角的に検証していくと。そのデータは各都道府県で蓄積をされていって、最終的には国へ、予防可能な子供の死亡を減らす目的のためのデータということになって、社会に、子育て世帯へも還元されるというふうに想定をしておるわけですが、そこでちょっと質問をしたいと思います。
 このCDRのデータの収集、それから分析をするに当たって、標準化したフォーマット、この死亡調査票の開発、このCDRの核と、その開発というのはCDRの核となるというふうに思っているんですが、このモデル事業で調査検討されている死亡調査票を用いて、どのようなステップでこの死亡検証していくのか、御説明いただけますでしょうか。

#198
○副大臣(山本博司君) 子供が不慮の事故等により亡くなるケースがある中で、効果的な予防策を導き出し、予防可能な子供の死を防ぐということは大変重要であると考えております。
 そのために、厚生労働省におきましては、令和二年度から七つの府県で、予防のための子供の死亡検証、CDR体制整備モデル事業、これを実施しております。令和三年度においても引き続きモデル事業を継続しているところでございますけれども、このモデル事業におきましては、医療、行政、保育、教育等の関係機関に対しましてデータ収集の協力を依頼をするということ、また、関係機関は標準化をしたこの死亡調査票に死亡事例の医学的、社会的情報を記載するということ、また、整理されたこの死亡調査票に基づいて、関係機関によって構成される多機関検証ワーキンググループを開催し、死因の調査を実施すると、こういう手順で予防策を今検討しているところでございます。

#199
○高木かおり君 ありがとうございます。
 今コロナ禍で進めていくということも大変なことだというふうには思っておりますけれども、このCDRを構築していくためには、なかなか、まあ当然ですけど、単年度というふうにはいかないと思います。実働させるためにも少なくともこのモデル事業は五年ですとかそういった長期の期間を要するのではないかというふうに思いますけれども、今後の調査研究に向けた展望というのを再度副大臣の方からお答えいただけますでしょうか。

#200
○副大臣(山本博司君) 今答弁いたしましたとおり、このCDRにつきましては、昨年度は七自治体でモデル事業を実施しておる次第でございまして、令和三年度におきましても、引き続きこのモデル事業、継続しているところでございます。
 あわせまして、厚生労働科学研究におきましても、CDRの調査研究、これは、わが国の至適なチャイルド・デス・レビュー制度を確立するための研究、こういったことの研究も実施をしている次第でございまして、こうしたモデル事業、また調査研究の実施状況を踏まえまして、関係省庁とも連携しながら今後の制度化に向けて検討を行ってまいりたいと思います。

#201
○高木かおり君 繰り返しありがとうございました。
 是非とも、これ制度化させるためには、民間の医療機関なんかともしっかりと協力をしていただかないと進まない部分もあるのかと思います。これは、国も文科省も厚労省も内閣府もしっかりと一元化、最終的には一元化というようなことも考えられるのかなというふうにも思っておりますが、この死因究明と同様に、このチャイルド・デス・レビュー、CDRについては私も今後も注視していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 時間が参りましたので、終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

#202
○矢田わか子君 国民民主党、矢田わか子です。よろしくお願いしたいと思います。
 午前中、参考人の質疑の際にも触れました、やはり税の負担と社会保障の負担と給付のバランスということを中心に少し冒頭聞きたいと思います。
 二〇二〇年の五月に第四次の少子化大綱が策定されています。それを受けて、今回、男性育児休業を、参画するという育児・介護休業法も厚生労働委員会の方で論議がされて、改正をされていきます。
 一方で、この内閣府中心でやってきている児童手当の見直し、少子化大綱ができたにもかかわらず、私は、その大綱を受けての最初の取組としては余りにもやはり強烈なマイナスイメージになってしまったのではないかという懸念を持っています。
 やはり、先ほど来から出ているとおり、少子化対策ということで国が全力を挙げて、まあ希望出生率ですか、これずっと使ってきている数字ですけれども、一・八に向けてやりますという宣言をする年にもかかわらず、児童手当、改正と言っていますけど、実際には対象外の人をつくるということの改正になります。したがって、もう少し過去を振り返って、なぜそういうことになってしまったのか、少し整合性を取りたいというふうに思っています。
 資料一に、過去からの変遷、前回も出しましたが、もう少しブラッシュアップをして、所得制限や扶養控除の関係も含めて提示をさせていただいております。特に、余り触れられていないんですが、年少扶養控除とともに実は特定扶養控除という問題も私は複雑に絡んでいるというふうに思っています。
 この特定扶養控除ですが、十六から十八歳のところに積んでいた金額上乗せ分を、今回、今回というか、前回の改正のときに廃止を一緒にしています。年少扶養控除とともに、十六から十八の上乗せ分二十五万を改正していて削除していたということでありまして、本当であればここも含めて復活を私は求めたいというふうに考えております。とにかく、これを見ていただいたら分かるとおり、かなり複雑なんですね。
 もう一つ、資料二についても一緒に御覧いただいて、資料二の方が更に年収別に区切った、この税の方の控除をいかに複雑怪奇にやっているかというものであります。
 まず、審議官でいいんですけれども、これ、平成三十年度の税制改正で、所得金額の調整控除として十五万引下げをしていますよね。このラインが八百五十万、この八百五十万の根拠を教えてください。

#203
○委員長(森屋宏君) どちらですか。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

#204
○委員長(森屋宏君) 速記を起こしてください。

#205
○大臣政務官(元榮太一郎君) 八百五十万円という金額の理由ですが、給与所得控除の上限を八百五十万円と定めたことが理由となります。

#206
○矢田わか子君 給与所得控除と絡めて八百五十万をこのときに設定をしたということですが、それ以降ずっと八百五十万から九百六十万のラインのみ、この控除が生きているんですね。生きているにもかかわらず、ここに対しては要するに児童手当もお支払をしてきたということですね。したがって、この資料二に基づけば、かなりここのラインだけが、ゼロから十五歳を持つここだけが手厚い。控除もあるし、支給もあるという、まあ不整合というか、バランスが取れていない設計になるということをまずもって認識いただきたいというふうに思います。
 では続いて、この扶養控除、残念ながら、特定扶養控除について、上積み部分、平成二十二年度からこれ三十八万ということにしたわけですよね、二十五万分を削減したということなんですけれども、ここについてなぜ削減したのか、お願いします。

#207
○大臣政務官(元榮太一郎君) この特定扶養控除の引下げでありますけれども、平成二十二年度改正において、高校の実質無償化に伴いまして、この十六歳から十八歳までの控除額を引き下げたものであります。

#208
○矢田わか子君 では続いて、平成三十年度に、二十三歳未満の扶養者がいる場合、最大十五万円の控除をする所得金額調整控除を創設しています。この十五万の根拠を教えてください。

#209
○大臣政務官(元榮太一郎君) この給与所得控除における所得金額調整控除でありますけれども、平成三十年度改正で給与所得控除の上限を引き下げた際には、この子育て世代等には負担が生じないようにするという趣旨でこの控除を設けております。

#210
○矢田わか子君 要するに、その子育て世帯には配慮しましたよと、税制的にということだというふうに思いますよ、思います。けれども、全体的な絵を見たときに、ここの児童手当とか、税のことだけではなく、先ほど来の委員の質問にもあるとおり、ほかも含めてやっぱり見なくちゃいけないというふうに思います。
 去年、おととしですよ、年初、要するに、大学生いわゆるお金掛かるからということで、これ、ばんと引いてくださるような仕組みになっているわけですよね。ところが、一方で、そこに対してのいわゆる無償化については当然所得合算で、しかも二百七十万円以下というかなり低いラインの人しか手当が受けれないというような実情になっています。
 私が何を申し上げたいかというと、大臣、手当てをするというところに対して政府の思想が感じられないということなんですね。きっちり子育て支援をするということなのであれば、やっぱり公平で、かつきちっと見える化をしなければ、こんな複雑怪奇で、たまたま八百五十から九百六十万に入った人はラッキーという感じで、控除もされるし手当ももらえるけれども、そうじゃない方々は、税と手当の関係だけでいってもこれ分からないわけですよ、当事者としては。したがって、もう少し思想を持つべきではないかということをまずもってお願いをしたいというふうに思います。
 今回、この児童扶養手当、結局児童手当を所得制限を掛けていくということの流れからしても、先ほど来出ているとおり、なぜ、じゃ世帯合算にしなかったのかということも、これ、ほかとの整合性を見れば明らかなんですね。ほかの子育てに対する給付なり控除というのはほとんどが、幼児教育無償化、高校、それから大学、全て世帯合算なんですよ。ところが、これだけいきなり大黒柱モデルが出てくる。これはなぜだったんですか。

#211
○政府参考人(嶋田裕光君) この児童手当制度創設、昭和四十七年でございますけれども、このときは主たる稼得者をベースにして基準を定めるということになっておりまして、その歴史を引き継いでいるものでございます。
 世帯合算につきましては様々な御議論があったということで、また引き続き検討事項というふうにされているところでございます。

#212
○矢田わか子君 何かまあ反対が多かったからつじつま合わせをしたようにしか私には思えないんです。
 やっぱり思想が要ると思います。私は反対なんです、大黒柱モデルをいつまで続けているんだろうかと。共働きが七〇%超えているんですよ。女性活躍、女性も頑張って働きましょうと政府旗振っている一方で、いつまでも大黒柱モデル続けていくんですかということの思いはありますけれども、それでずっと今まで、近年組んできたのであれば、やっぱりここだけ世帯合算せずして片方の大黒柱をというような思想になったことは、やはりちょっと整合性が取れないなと思っています。
 私自身は、できればパラで、当然一人一人の働き方ということを本来は見ていくべきだというふうに思いますので、子育て層にしてもですね。大黒柱とは言いません、どちらか一人扶養を主担当とするところについて、全部の制度について変えていくべきではないかなというふうに思いますが、坂本大臣、こういう、坂本大臣は少子化担当大臣でもありますので、所管として、そこだけでではなくて、厚労省とか財務省も含めて、トータルとしてパッケージで、やはりこの子育て政策、少子化を改善するための子育て政策として整合性が取れたこの設計図を描くべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

#213
○国務大臣(坂本哲志君) 私としましては、現金給付、現物給付、そして幼児教育、保育の無償化、さらには少子化担当として様々な、結婚支援も含めて、全体的なバランスの中で政策を遂行しているというふうに考えております。

#214
○矢田わか子君 ちょっと残念ながらお答えになっていなくて、遂行しているじゃなくて、やっぱりトータルパッケージとして思想を貫いた設計に変えていくべきではないでしょうかということを、大臣、お答えいただければと思います。

#215
○国務大臣(坂本哲志君) 政策としては、パッケージとして整合性が取れているというふうに思っております。

#216
○矢田わか子君 大臣、私は大臣の応援隊でいるつもりなんですよ。やはりしっかりと、内閣府子ども・子育て本部があるわけですから、今現在、与党を含めて今こども庁の創設って動いているんですけど、じゃ、こども庁ができて今できないものって何なんでしょうか。

#217
○国務大臣(坂本哲志君) こども庁については現在党の方で論議をされておりますので、それを注視したいというふうに思っております。

#218
○矢田わか子君 こども庁、私もそれは期待はしますけど、本来だったら、こども庁ができなくても、坂本大臣がいらっしゃるんですから、きちっと内閣府の子ども・子育て本部でイニシアチブを取ってやれることがあるんやないですかと思うわけですよ。そこを是非明らかにしていかないと、せっかくほかのこども庁という、済みません、山田さんがいらっしゃるのに申し訳ない、それはそれなんですけど、箱ができたって同じこと起こりますよというふうに思っているわけでございます。済みません。
 じゃ、次に行きます。
 では、先進国、ほかの国で実際出生率上げているところの国を見ていきたいと思います。資料三におまとめをしています。
 ドイツ、スウェーデン、所得制限はありませんということでありますし、フランスも所得に応じて段階的に減額する方式取っています。イギリスは所得によって児童手当に課税する方式を取っています。所得制限を課すのであれば、やはり、何ですか、一つの線引きをして、それ以上は不支給とするのではなくて、激減緩和措置とる方法も検討すべきではないかというふうに思っています。
 そもそも千二百万というラインは、これは嶋田統括官にお聞きしたいんですけれども、どういう根拠で出てきたものであり、今、三人モデルで千二百万という報道ばかりが流れていますが、これは変えるのに法律改正必要なんですか。

#219
○政府参考人(嶋田裕光君) お答えいたします。
 特例給付の見直しの件の千二百万円のラインにつきましては、これは他の税制等々あるいは保育料とのバランスを考えて、他の制度を参考にさせていただいたものでございます。ただ、その見直しに当たりましてのやり方でございますと、これは政令事項でございます。これは特例給付のラインが九百六十万という、そういうラインもこれは政令で定められておるものですが、それと整合性を取っているものでございます。

#220
○矢田わか子君 ということは、そういう大事なことが法律改正なく政令でさらっとやってしまえるということですよね。
 そして、何で五千円という金額の改正も法律改正要るんですか。

#221
○政府参考人(嶋田裕光君) 五千円という金額については法改正が必要でございます。

#222
○矢田わか子君 分かりました。じゃ、ラインについては政令でやれるということで、今の現在のモデルが三人扶養千二百万ということですよね。
 そこで、千二百万は三人モデルということですが、ですから、二人、一人、逆に四人、五人と増えていく、それによってそれぞれ、たしかピッチが三十八万刻みというふうに聞いております。三十八万の根拠を教えてください。

#223
○政府参考人(嶋田裕光君) この三十八万円は、所得税の基礎控除等も三十八万円という、その数字をいただいているものでございます。

#224
○矢田わか子君 その所得税の三十八万のピッチがこれもういつから定められたかともう一度遡らないといけないんですけど、本当に三十八万で、憲法に規定されている最低限の生活を営む上での金額で正しいのかどうかということの見直しも私は必要ではないかと思っています。
 欧米諸国では、平方根を一人扶養している家族に対して掛けて、それを削減していくというやり方をしていますよね。その辺りも含めて、やはりその対象所得のピッチ、金額幅を広げていけばもっと激減緩和にもつながるというふうに思います。
 いずれにしましても、この図、資料三のように、その欧米諸国、先進国でしっかりと少子化対策をして実際にこの出生率上げている例に倣ってこういう措置がとれないのかということについては、大臣、いかがでしょうか。

#225
○国務大臣(坂本哲志君) これまでもトータルパッケージとして少子化対策をやってまいりました。そして、やはり安定した財源が必要でございます。これからそれぞれの政策の年度の中で安定した財源を獲得しながら、しっかりとした少子化対策を継続的に進めていかなければいけないと思っております。

#226
○矢田わか子君 やっぱり先進諸国で、実際フランスでは一旦、出生率二%を超え、一八年現在一・八七ですけれども、実績上げています。スウェーデンについても一・七五まで行っている、ドイツ一・五七ということで。それぞれやはり、特にスウェーデンは私すばらしいなと思っているのは、その支給月額を見ていただくと、一子、二子と増えれば増えるほど一人当たりの手当も増えていくんですよね。したがって、多子世帯、政府が配慮しなければということで少子化大綱の中にもうたわれている多子世帯に対する配慮もしっかり埋め込まれたような制度になっています。
 この諸制度について諸外国のを参考にされるおつもりはありませんか、大臣、ということを問いました。

#227
○国務大臣(坂本哲志君) それぞれの国で、まあ我が国もそうですけれども、社会状況あるいは国民の負担率が違いますので、一概に比較をして、それを、それに対して様々な考えを持つということではなくて、我が国がやってきた、あるいはやっているこの少子化対策というものに対して今後もしっかり財源を、安定した財源を確保して、そして継続的にこの少子化対策を進めてまいりたいというふうに思っております。

#228
○矢田わか子君 私、先週の質疑で大臣に、少子化対策、子育て世代に一番大事なキーワードは安心じゃないですかということを申し上げました。安心なんですよ。これから先、特にコロナで不透明感が広がる中で、所得なんてどうぶれるか分かりません。かつ、やはりそういった不確定なものに頼るのではなくて、どんな所得になろうが、どういう状況になろうが、しっかりと国は皆さんの子育てをサポートしますというメッセージが今のような時代だからこそ必要なんじゃないのかというふうに思うわけです。是非、その辺りも加味していただきながら、法律改正は進むのかもしれませんけれども、様々なこの第四次の少子化対策にうたわれたことをしっかりと実現をしていただきたいということの御要請をしておきたいと思います。
 三番目に、多子世帯についてということになります。と、もう一つ、デジタル化の活用です。
 多子世帯については、今回の法改正の附則の中にもうたわれているとおり、この検討事項、第二条の中に、子供の数に応じた児童手当の効果的な支給、その財源の在り方云々ということで記載されていますので、加味されていくことというふうに理解をしておりますが、このデジタル改革関連法案が成立したということにおいて、これをいかに活用していくのかということも私は大きなポイントになるんじゃないかと思います。
 秋からデジタル庁がいよいよスタートします。行政のデジタル化進めていく中で、現況届の省略化のみではなくて、本当に今、子育てしている世帯が幾ら収入があって、本当はストックもなんですよ、幾ら貯金があって、どういう状況にあるのかということをしっかりと把握した上で、所得と資産の的確な把握を行った上での、本当は、本当に必要な人に対する、すぐ、即のその手当支給とかを考えていかなくちゃいけないんじゃないかと。支援という意味です、これは。支援が必要なんじゃないかというふうに思います。
 こういうデジタル化の活用についてはいかがお考えでしょうか。

#229
○国務大臣(坂本哲志君) 児童手当制度では、児童手当法第二十六条及び児童手当法施行規則第四条に基づきまして、保護者等の受給者が毎年六月一日から三十日までの間に現況届を提出することを義務付けています。これによりまして、各受給者について前年の所得等の状況や六月一日における児童の監護の状況等を把握しまして、支給要件を満たしていることを確認をいたしております。
 今般、マイナンバー制度を活用した情報連携の進展を踏まえまして、受給者の負担軽減等を図る観点から、受給者に対して現況届の届出を一律に義務付けることはしないこととしています。これによりまして、多くの方につきまして現況届を不要とすることが可能であり、自治体にその旨周知をしているところであります。
 このほか、少子化社会対策大綱におきまして、子育て世帯の負担軽減、利便性向上等に向け、ICT等の科学技術の成果を含む新たなリソースを適切に活用してまいりたいというふうに思っております。
 マイナンバー制度における情報連携を活用した国民の負担軽減、行政コスト削減等への取組も含め、大綱を推進する立場として各省庁における取組を促してまいりたいと思っております。

#230
○矢田わか子君 午前中の論議にもあったんですけれども、コロナ禍で大変な御家庭も多い中で、でも、ストックとして資産がたくさんあるにもかかわらず、今現在一人親だからとかフローが少ないからということで給付を行っていただいていますが、私の知り合いにも、先立たれて、でも、何億も資産があるにもかかわらず、一人親やから毎回毎回五万来るねん、もらっといてええのんという人もおるわけですよね。だから、やっぱりちゃんとした緊急性のあるものはしっかりと、本当はそういうこともひも付けをして、要る方に、必要な方に出さないといけないと思いますし、一方で、二人親でも、二人、親いるけれども、どちらも病気で、全く資産もフローもないという方には行き渡らない、こういうこともあると思います。
 平時のときの政府のメッセージとして、効率的にやるもの、公平的にやるものと、是非、緊急時と、デジタル化活用をお願いして、質問に代えます。
 ありがとうございました。

#231
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 十三日の質問に続いて、待機児童対策の鍵となる保育士の確保策についてお聞きします。
 新子育て安心プランは、魅力向上を通じた保育士の確保と銘打って、その施策の柱に短時間勤務の保育士の活躍促進ということを位置付けたんです。待機児童が存在する市町村において各クラス常勤保育士一名必須との規制をなくし、それに代えて二名の短時間保育士で可とするという規制緩和だと参考資料、説明資料に書いてありますね。これ、十三日の質問でも詳しく取り上げました。このような規制緩和が私は保育士にとって魅力向上といって打ち出されること自体に本当に違和感を感じざるを得ないわけですね。
 この短時間勤務の規制緩和の理由として、厚労省の参考資料では、東京都保育士実態調査報告書(令和元年五月公表より)というふうにして、保育士が再就業する場合の希望条件(複数回答)、勤務時間七六・三%、雇用形態(パート、非常勤採用)五六・〇%というふうに説明をしているんですね。つまり、保育士を一旦辞めた人がもう一度保育士に戻ろうとするときには勤務時間での希望が強いと、雇用形態ではパートや非常勤を望んでいると、だから短時間保育士というふうに出してきたということなんです。
 私、この調査の詳細、東京都のホームページで見ました。全体百二十四ページに及ぶ報告書で、是非、坂本大臣にも、もういっぱい保育士の声や、保育士辞めた人、保育士資格あるけど保育士にならなかった人の声もいっぱい出てきているから見てほしいんですけれども、これ、保育士資格登録者を対象に行われたもので、一万五千三百五十八人から回答を得ています。
 この中で、保育士を辞めた人が再就職時の希望条件として挙げたのは、確かに上位が通勤時間、勤務日数、勤務時間、これ複数回答でいずれも七割を超えていて、その次に給与等、これは六割台なんです。資料で、大変細かい数字で済みませんが、お配りをしています。
 それでは、希望する就業日数や時間についてどう回答しているのか。保育士就業経験あり、つまり保育士だったけど辞めた人ですね、週五日勤務を希望するのが最も多くて五三・一%、就業時間も一日七時間から九時間を望む人が一番多くて五〇・一%なんです。資格は持っているけれども保育士として働いた経験がないという方で見れば、週五日勤務を希望する人は六二・四%、一日七時間から九時間を希望する人が五九・五%、しかも雇用形態は正規雇用を希望するという回答が八割を超えているわけですね。
 私、この調査から言えるのは、多くの人が短時間保育士としてではなくて、一日八時間程度、週五日という働き方、つまりは常勤の保育士としての就業を希望しているということが見えてくるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

#232
○政府参考人(岩井勝弘君) 令和五年、あっ、失礼いたしました、令和元年五月に公表されました東京都保育士実態調査におきましては、過去に保育士として就業したことのない方が保育士として就業する場合には、正規職員雇用のみを希望する者は五割強であり、パート、非常勤雇用のみ希望する者が五割弱となっております。また、過去に保育士として就業したことのある方が保育士として再就業する場合には、正規職員雇用のみを希望する者は約四割であり、パート、非常勤雇用のみ希望する者が約六割となっております。
 なお、今般の短時間勤務の保育士の取扱いにつきましては、常勤保育士が確保できないことにより子供を受け入れられず、待機児童が発生しており、市町村がやむを得ないと認める場合の措置であるとともに、同調査におきまして、過去に保育士として就業したことがある方が保育士として再就業する場合の希望条件として、勤務時間や雇用形態、これパート、非常勤採用が挙げられている状況も踏まえたものであります。

#233
○田村智子君 根拠として挙げる調査としては、本当に私はいいところだけつまみ食いしたように思えるんですよね。短時間を望んでいないですよ。
 だって、希望する労働条件、更に詳しく見てみると、保育士就業経験ありの方、年収三百万円以上を希望する方が五割を超えるんですよ。就業経験なしの方では年収三百万円以上を希望する方は六割を超えていて、そのうち四百万円超を希望するのが三六・六%に上りますよ。
 再就業の条件として勤務日数、勤務時間を挙げている人は確かに多いです。しかし、それは短時間保育士なら働きたいという人が多いということじゃなくて、残業が当たり前だったり、有給休暇が取れなかったり、土日の休みが取れなかったり、そういう長時間労働にならないということを希望している。そして、年収でいえば、保育士として働いて経済的に自立できるということを望んでいる。逆に言えば、勤務時間は長い、それなのに給料安い、そういう働き方はしたくないというのがこの報告書の中から見えてくると思うんですけれども、いかがでしょうか。

#234
○大臣政務官(こやり隆史君) 委員お示しをいただきました東京都保育士実態調査におきましては、例えば保育士さんが退職された理由といたしまして、最も多いのが職場の人間関係であるということでありますけれども、そのほかにも、給料が安い、あるいは仕事量が多い、労働時間が長いなどが上位に挙げられておりまして、先生御指摘のとおり、労働条件の改善と処遇の改善、これ併せて推進していくことが重要であるというふうに認識をしております。
 厚労省といたしましては、労働条件の改善については、保育士さんの業務負担軽減のための保育補助者の雇い上げであるとか、あるいはICT化のためのシステム導入、労務管理の専門家による巡回支援や相談窓口の設置等、取組を行っているところでございます。
 また、処遇の改善につきましては、二〇一三年以降、月額約四万四千円、これは約一四%のベースアップによる処遇改善のほか、二〇一七年度からは、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施してきたところでございます。
 引き続き保育士の労働環境の改善に努めてまいりたいというふうに考えております。

#235
○田村智子君 ですから、短時間を希望しているんじゃない、長時間勤務をどう解消するかなんですよ。
 資料の三枚目から、ベネッセ次世代育成研究所が行っている幼児教育・保育についての基本調査、抜粋いたしました。これ、二〇一八年の調査結果ですけれども、二〇一二年との比較調査になっています。開所時間、幼稚園、保育所共に二〇一二年から一八年の六年間で明らかに長くなっています。公営の保育所で平均開所時間、十時間五十七分から十一時間二十五分へ、私営では十一時間五十一分から十二時間二分へ。
 私が保育園に子供を通わせたのは一九九六年からですけれども、その当時というのは六時とか六時半でした、終わるのが。二人目が保育所に通う頃、二〇〇〇年代の初めですね、延長保育が夜七時までになり、さらに八時までになるという、本当に開所時間がどんどん長くなっていったんですね。それは、保護者の要求はあったと思います。私も何度か八時までとお願いして、これなかなか大変ですよ、親も、八時まで預けるというのは。でも、これは逆に、保育所がそこまで預かってくれるから自分の残業もそこまでできるという、こういう悪循環にもなっていったというふうにも思うんですよ。
 こういう傾向が進む下で、二〇一五年の子ども・子育て支援制度の発足時には、保育所に対して十一時間の開所を義務付けた。子供の受入れが朝八時からであれば、夜七時までは開所しなければならない。こういう長時間保育が当たり前という制度設計が行われたことが保育士の長時間勤務の要因になったというふうに考えますが、いかがでしょう。

#236
○政府参考人(嶋田裕光君) お答えいたします。
 保育標準時間の公定価格は、週六日、一日十一時間の開所を想定して積算しておりまして、平成二十七年度の子ども・子育て支援新制度施行時に、十一時間の開所に対応するために、新制度以前の延長保育事業の基本分と同等の内容を公定価格に組み込むとともに、一日三時間分の非常勤保育士の人件費を追加しているところでございます。
 一方で、一日十一時間開所というお話でございますけれども、これは公定価格における利用可能な最大限の枠として設定しているものでございまして、実際の開所時間については一律に一日十一時間の開所を義務付けてはおりません。また、子ども・子育て支援新制度施行以降、子ども・子育て支援新制度施行以前と同様に、利用者の就労実態等に応じて開所時間を短縮することは可能となっておるところでございます。
 地域の実態に合わせまして適切に保育所の運営を行っていただきたいというふうに考えているところでございます。

#237
○田村智子君 これ、制度設計が十一時間開所時間ということを、これ、そういう制度設計にしたんですもの、それで公定価格とかも見ていったわけでしょう。ただし、その十一時間を八時間勤務でどうするかということを考えないような、十一時間子供がこうやっていると、それに対しての子供の人数に対するお金しか付けなかった。ここにすごい矛盾が今来ているわけですよね。
 この十一時間の開所時間というのは、今言ったみたいに十一時間保育なんですよ。子供の朝の受入れの準備とか職員会議とか、あるいは行事の準備とか、子供が帰った後にやるような時間というのはこの中に含まれていないので、実際の保育所の業務というのはこれを超えて行われることになる。それだけ保育士の皆さんの長時間労働にもなる。ところが、その分も公定価格では見る仕組みがないという、こういう状態ですよね。こういう開所時間を義務付けたということが、十一時間開所ということがやっぱり保育士にどういう負担をもたらしたのかということの検証を私はやることが必要だというふうに思います。
 次に、短時間保育士は非正規雇用です。これ以上非正規雇用を保育の現場の中に増やしていっていいのかという問題を考えてみたいんです。
 短時間保育士が保育士配置の中にカウントされるようになったのは一九九八年の規制緩和からです。このとき、公立保育所の運営費国庫負担分、これ一般財源化され、併せて地方交付税総額も抑制をされた。これらの政策がとりわけ公立保育所を様変わりさせています。
 資料の、ベネッセの次世代育成研究所の資料、もう一度戻りますけれども、雇用形態ごとの保育士が占める割合、公営の施設、保育所、幼稚園、認定こども園、ここで非常勤の割合というのが民間施設よりも高いんですよ。明らかに高いんです。しかも、一貫して公立施設は非常勤、非正規の割合は増加傾向なんです。
 保育者全体の中で非正規雇用の割合がどれくらいか。公立保育所、四六・六%の公立保育所が六割台から七割台が非正規雇用なんです、保育者全体の。三一・一%の公営の保育所が非正規雇用の割合が四割台から五割台。これ、私立、私営の施設では、四割から五割台が一番多くて三一・一%で、次いで二割未満、二七・二%なんですね。
 そうすると、一九九八年の規制緩和、そして公立保育所への直接補助金の廃止、特にこれが公立保育所の保育士の働き方に大きな影響をもたらした、雇用を非正規化していったというふうに考えますが、いかがでしょう。

#238
○政府参考人(岩井勝弘君) 短時間勤務の保育士の取扱いにつきましては、保育の質の確保に留意しつつ、従来より、これまで最低基準上の保育士定数は全て常勤の保育士としていたものを平成十年に二割までは短時間勤務の保育士を充てることを可能とし、平成十四年には、常勤の保育士が各組に一名以上配置されている場合には割合を問わず短時間勤務の保育士を充てることを可能としてきたところでございます。
 一方、保育士の就業形態の変化につきましては、共働き家庭の増加や経済情勢の動向など様々な要因が考えられ、一概にお答えすることは困難と考えます。

#239
○田村智子君 明らかに公営でこれだけ非正規増えている。これはちょっとよく見る必要あると思うんですよね。
 ただ、このベネッセの調査ってとても興味深くて、実は公営で非正規で働くその半数はフルタイムの非正規なんですよ。私立でも三割は、非正規の三割はフルタイムで働いているんですよ。だから、本当に人件費の抑制でしかないですよね。本当はちゃんと保育士として、常勤として働きたくても非正規って場合もあるんじゃないかと思えるわけですね。
 私、こういう非正規が、公立の保育所の中で非正規の方がどういうふうに働いているかというのを以前国会の中で取り上げました。本にもなっていたものも紹介したんです。同じフルタイムで働いているのに正規と非正規で処遇が全く違う。職務に違いも付けなければならないんです。そうすると、お昼寝のときなど、保育士常勤の方が布団よろしくねと声を掛けると、非正規の保育士、あるいは保育者ですね、有資格でない方もいらっしゃるので、そうすると、布団の上げ下ろしとか備品の整理とか力仕事はそういう人がやると。そうすると、上下関係ができて、それが職場の人間関係を難しくすると。あるいは、保護者とのやり取りを始め、常勤が担う職務は責任を重くしますよね、処遇が違うんだもの。それなのに常勤の人数が足りない。子供に向かう以外の時間で過密労働、長時間労働、常勤の保育士にどんどん押し付けられていく。
 先ほど説明ありました東京都の調査、保育士として仕事を辞めた理由のトップは職場の人間関係。これは、非正規雇用を増やしてきたことの影響も私は検証が必要だというふうに思います。
 そして、これ以上の規制緩和で非正規雇用の割合を増やしていいのかなんですよ。そういうことをやると、保育士は低賃金の職種だ、仕事は大変なのに給料安い、雇用形態や処遇の違いが職場の人間関係にも悪影響を与える、こうやってますます保育士不足に拍車を掛けることになるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

#240
○政府参考人(岩井勝弘君) 三月十九日に自治体にお示しいたしました短時間勤務の保育士の取扱いに関する通知におきましては、常勤保育士が確保できないことにより、子供を受け入れられず、待機児童が発生しており、市町村がやむを得ないと認める場合に限ることに加え、当該保育所に勤務する常勤保育士よりも著しく低い処遇水準での募集が行われていないなど、常勤保育士の募集を適切に実施しているか確認すること、常勤職員など一部の職員に業務の負担が偏ることがないよう、周辺業務の効率化や分担を含めた保育所全体としての業務マネジメントが行われるよう留意することなどとしており、引き続き制度の適切な運用に取り組んでまいります。

#241
○田村智子君 議論がかみ合っているのか本当よく分からないんですけれども、大臣にお聞きしたいんですよ。
 本当は保育士というのは以前は女性の平均賃金を引き上げる存在だったんですよ、公立保育所がしっかり人を雇っていたから、そして公私間格差是正の補助金があったから。ここが崩されてきて、今や女性全体の職種の、全体の平均賃金を下回るという職種になってしまったんですよね。
 東京都の先ほどの調査にはいっぱい声が出てくる。保育士にならなかった理由、給料等が希望に合わなかった、責任感が求められ、かつ体力も必要な重労働であるにもかかわらず、立場や年収が低く、長く働くのには不安があると。一方で、子供の成長に日々関われるという、本当はやりがいもあると思っている。そのやりがいが処遇の問題で奪われる。保育士の配置の人数が少なくて、いっぱいの子供を見なくちゃいけなくてやりがいが奪われる。
 やっぱり公定価格なんですよ。まともな公定価格付けて、長時間勤務解消する、人の配置もしっかりやる、このことが一番保育士不足解決の近道だと思いますが、いかがですか。

#242
○国務大臣(坂本哲志君) 御指摘いただきました保育士の配置改善、そして処遇改善を図ることは本当に重要だと考えております。
 配置改善につきましては、三歳児に対する配置を二十対一から十五対一に改善するための加算を平成二十七年度から実施しているところです。また、処遇改善につきましては、平成二十五年度以降、月額四万四千円に加えまして、平成二十九年度からは、先ほど厚労省からも報告ありましたけれども、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施をしているところでございます。
 未実施の一歳児と四、五歳児の配置改善や更なる処遇改善につきましては、委員今言われましたように、やりがいを持って働けるよう、各年度の予算編成におきまして必要な財源の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。

#243
○田村智子君 本当にもうこれ以上遅らせることのできない課題だということを指摘しておきたいと思うんです。
 私、前回も、短時間保育ということ、また規制緩和をすると人件費を値切ることでもうけようとする事業者にインセンティブを与えてしまうんじゃないかという問題提起をしました。なぜこういう問題提起をするのか。
 一番最後の資料を見ていただきたいんですけれども、残念ながら、社会福祉法人を含めて不適切支出、これが、東京都の調査の中からの抜粋で週刊朝日がまとめたものなんですけど、本当にひどいんですよ。政党支部への支出をしているとか、エステ代を支出しているとか、公費を扱う事業者としての適格性を欠くものが保育所の委託を受けていると言わざるを得ないような事例が現に見受けられるというふうに思うんです。
 それで、この表の一番上に名前が出ている南流山福祉会、これ流山市に保育所があり、都内に二か所保育所を運営する社会福祉法人だったんですね。昨年、巨額の不払賃金の支払を求める訴えによって、運営費、委託費、差押えとなったんです。この社会福祉法人が運営する三つの保育所で運営継続が危惧される事態となりました。その一つ、足立区の新田三丁目なかよし保育園、ここ、昔は、以前は公立保育所で、民間委託された保育所なんですけど、慌てて区が直営に戻して保育を継続するなど、本当に深刻な問題が発生をしています。
 この法人を監督するのは千葉県なんですね。千葉県は特別監査、勧告、その公表も行っています。経過を簡潔に説明していただきたいと思いますのと、それから、運営の委託費の差押え、こういうのがほかにあったかどうか、お願いします。

#244
○政府参考人(岩井勝弘君) 御指摘の南流山福祉会につきましては、令和三年四月まで千葉県が所管する法人でありましたが、同法人においては、平成二十五年頃、福利厚生費等の過剰支出などの不祥事が発覚し、法人運営の方向性に関して理事間の対立が顕在化いたしました。平成二十八年には、理事の再任手続が行われていないことが発覚し、千葉県により仮理事が選任される事態となり、令和二年には、解雇されながら勤務を続けていた元職員から未払給与の請求訴訟が提起され、法人側が敗訴したほか、計算書類の無届け、無公表や役員報酬の不適切支給など、法人運営に著しい問題を抱えていたことから、平成二十八年度以降、所轄庁である千葉県において指導がなされてきたと承知しております。
 所轄庁である千葉県庁に確認いたしましたところ、御指摘のとおり、平成二十八年に特別監査を行い、理事の再任手続が適切に行われていないことを確認した上で、平成二十九年三月に当時の理事長を含め仮理事の選任を行ったことが事実であります。
 また、南流山福祉会の理事会に千葉県及び流山市の職員、あっ、失礼いたしました。委託費についての差押えにつきましては、社会福祉法人を所管している立場でございますので、把握しておりません。

#245
○田村智子君 お答えいただけますか、差押えの事例。

#246
○政府参考人(嶋田裕光君) お答えいたします。
 保育所の運営費の差押えを受けた事例につきましては、南流山福祉会以外は承知をしておりません。

#247
○田村智子君 これ、異例中の異例なんですね。
 二〇一五年度決算を二年遅れで出してくる。二〇一七年度以降の決算は提出できない状態。その大きな理由は、役員への貸付金が巨額になっていることなんですね。要は、根拠なくその当時の理事長が勝手にお金を持ち出していたということなんですよ。流山市議会の会議録見てみますと、この役員貸付金の累計は、二〇一六年度で約三千五百万円、二〇一七年度は更に増えて約三千八百万円。
 この当該法人は、この当時の問題の理事長と前任者との間で理事任命の有無を争う裁判もあって、この当時の問題となっていた理事長は理事選任の取消しの判決が確定をしていたんですよ。千葉県は、この判決への対応として、二〇一七年三月、仮の理事というのを選任します。ところが、この問題となった理事長を含めて仮の理事にしちゃった。そして、この仮の理事たちがこの問題となった理事長をまた理事長にしてしまったんですよ。だから、運営上大きな問題を引き起こしている当の本人を役員としてまた選任をしてしまう、理事長としてしまう、これをただただ手をこまねいて見ていたに等しいわけですね。
 千葉県や流山市は、二〇一七年三月以前から、法人の財務状況や運営などの把握のために立入りの特別監査行っていたのではないんでしょうか。また、二〇一六年度以降、県や市は理事会や評議員会にオブザーバーとしても出席していたのではありませんか。

#248
○政府参考人(岩井勝弘君) 千葉県、所轄庁であります千葉県庁に確認いたしましたところ、平成二十八年に特別監査を行っております。また、理事の再任手続が適切に行われなかったことを確認いたしまして、当時の理事長を平成二十九年三月に仮理事の選任を行ったことは事実でございますが、千葉県庁に確認しましたところ、当時、当該理事長の不適切な支出等の事実は明確に把握できていなかったとのことでございます。その後、経常的に監査に入っておるという状況でございます。

#249
○田村智子君 今ちょっともう時間が来ちゃうんでこっちから言いますけれども、二〇一六年からは理事会、評議会に千葉県、流山市とも一回も欠かさずに参加をされているんですよ。特別監査にも入って財務状況も把握していた。なのにこんな不適正を把握できなかったのか。これはちょっと通らないと思うんですよね。
 二〇一七年八月末に第一回目の勧告をしたけれども、きちんと改善されないまま二〇二〇年に再度の勧告をする。勧告が履行されないので公表という事態に至って、今日に至っているんですよ。
 行政が関与していた間にも総額で十数億円の委託費が決算もできない法人に支払われてきた。対応が余りにも遅いと思います。しかも、監督もできていません。本来だったら役員解職も含めた対応が可能だったにもかかわらず、現在に至るまで事実上放置されているということだと思うんですね。
 これ、とても千葉県の関与の仕方が適正だというふうには私には思えないんですけれども、こやり政務官、いかがでしょう。

#250
○大臣政務官(こやり隆史君) 先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、千葉県、様々な場面で関与をしてきております。
 平成二十八年以降、社会福祉法に基づきまして五回の実地調査を行っており、様々な課題について把握をし、仮理事の選定、文書指摘や改善勧告、あるいは改善勧告に従わない旨の公表等により指導が行われてきたものと承知をしております。こうした一連の指導の結果、現在、事業譲渡等が行われて、法人の経営再建が進められてきたというふうに認識をしているところでございます。
 先ほど委員も御指摘がございましたけど、当該社会福祉法人は、こうした経営再建の結果、拠点の縮小により本年四月より東京都足立区に所管が変更となっておりますが、引き続き、社会福祉法に基づく適正な法人運営が確保されることになるように、当該法人の状況を注視しながら、法人所管庁である足立区に対しまして必要な情報交換あるいは必要な助言に努めてまいりたいというふうに考えております。

#251
○田村智子君 最後に坂本大臣にも一言いただきたいんですけど、これ公費ですから、それで、公費として出したものが結局ボーナスも払われないとか給与未払で訴えが起こされているという事態ですからね。これは、本当に適正な支出ができていないところに委託費渡し続けたという事案ですから、こういうことを起こさないための本当に監督が行政によってしっかり行われなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

#252
○国務大臣(坂本哲志君) 社会福祉法人南流山福祉会におきまして理事長の地位について争いが生じた、そして法人内部の管理が適正にされず、決算の遅延など不安定な運営状況となっていること、さらには元職員への給料未払による委託費を差し押さえられる事態が生じたこと、こういったことは委託費の適正な運用や安定的な保育の実施の観点から不適切であると考えております。
 法人監査あるいは改善勧告については今厚労政務官から言われたとおりでありますが、委託費の運用や保育が適切に実施されるためには、法律上の権限に基づいて地方自治体が指導監督を十分行うことが必要であり、内閣府といたしましても、自治体に対しまして、適正な支出についての自治体からの保育所等への周知に加えまして、支出の適正性を指導監査の重点項目とした上で、不適切な事例に対しては改善勧告を求めることなど、必要な措置を徹底していただくよう、引き続き機会を捉えて依頼をしてまいりたいというふうに思っております。

#253
○田村智子君 残念ながら不適切な事例があるんです。で、不適切でないものでも、法人が別の事業に委託費を使うということが許されちゃっているんですよ。株式会社であれば配当金に回すことまで許されちゃっているんですよ。そういう下で短時間勤務ということを、短時間保育士ということをやることの意味ということを是非重大視していただきたいと思います。
 終わります。

#254
○委員長(森屋宏君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト