くにさくロゴ
2021/05/13 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 国土交通委員会 第15号 令和3年5月13日
姉妹サイト
 
2021/05/13 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 国土交通委員会 第15号 令和3年5月13日

#1
令和三年五月十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     西田 実仁君     高橋 光男君
     榛葉賀津也君     芳賀 道也君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         江崎  孝君
    理 事
                足立 敏之君
                大野 泰正君
                青木  愛君
                杉  久武君
                浜口  誠君
    委 員
                朝日健太郎君
                岩井 茂樹君
                岩本 剛人君
                金子原二郎君
                清水 真人君
                鶴保 庸介君
                馬場 成志君
                牧野たかお君
                増子 輝彦君
                渡辺 猛之君
                熊谷 裕人君
                野田 国義君
                森屋  隆君
                高橋 光男君
                竹内 真二君
                室井 邦彦君
                芳賀 道也君
                武田 良介君
   国務大臣
       国土交通大臣   赤羽 一嘉君
   副大臣
       国土交通副大臣  渡辺 猛之君
   大臣政務官
       国土交通大臣政
       務官       朝日健太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        林  浩之君
   政府参考人
       厚生労働省大臣
       官房政策立案総
       括審議官     村山  誠君
       国土交通省海事
       局長       大坪新一郎君
       国土交通省港湾
       局長       高田 昌行君
       海上保安庁長官  奥島 高弘君
       防衛装備庁プロ
       ジェクト管理部
       長        萬浪  学君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(江崎孝君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、西田実仁君及び榛葉賀津也君が委員を辞任され、その補欠として高橋光男君及び芳賀道也君が選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(江崎孝君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、国土交通省海事局長大坪新一郎君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(江崎孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#5
○委員長(江崎孝君) 海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#6
○足立敏之君 おはようございます。自由民主党の足立敏之でございます。
 本日は、質問の機会を与えていただきまして、江崎委員長、各理事の皆様、各委員の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。
 私、建設産業分野の代表ということで、インフラ整備、防災、災害対応など取り組んできておりますけれども、本日はその経験を踏まえまして、海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部改正案、これにつきまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず、海運業についてお聞きしたいと思いますけれども、日本は資源エネルギーや原材料、穀物などを輸入して工業製品を輸出する貿易国であります。その日本の貿易の九九・六%は船舶による海上輸送、いわゆる外航海運が担っております。海上輸送は、資料一まず見ていただきたいんですけれども、コンテナ輸送、バルク輸送、その他の輸送に大別されます。それに加えまして観光客を運ぶクルーズ船も最近注目されておりますけれども、今回は海運業がテーマでございますので、コンテナ輸送とバルク輸送を中心に今日は質問をしたいというふうに思います。
 まず、コンテナの取扱量なんですけれども、国別に見ますと、一枚めくっていただきまして資料の二でございますけれども、二〇〇一年と二〇一八年を比較してみますと、アメリカ、シンガポールが二倍以上に伸びています。中国は実に五倍以上、それから韓国が三倍に伸びております。しかし日本は、一・七倍伸びているんですけれども、他国と比較すると相対的に伸びが低調で、順位としても四位から六位に下がってしまっております。
 また、バルク貨物ですね、ばら積みなんですけれども、次のページめくっていただきたいんですが、石炭や鉄鉱石などの取扱量ですけれども、二〇〇〇年から二〇一七年では、全世界では石炭は二倍以上、鉄鉱石は三倍以上に伸びておりますけれども、日本の取扱量を見ますとほとんど横ばいで、伸びていないのが実情であります。
 こういう我が国の外航海運についての現状と課題、今回の法改正でどのような措置が講じられるのか、海事局長に伺います。

#7
○政府参考人(大坪新一郎君) 委員御指摘のとおり、外航海運は日本の貿易量の九九・六%を担っておりまして、日本の発着貨物の六三・一%は我が国の外航海運事業者が輸送しています。
 また、我が国外航海運事業者の保有船腹量は世界第二位でありまして、日本の大手三社の船隊規模はそれぞれ世界十位以内に入っています。このように、我が国外航海運は世界的にも高いプレゼンスを維持しております。
 しかしながら、世界の経済成長の中で我が国発着の貨物のシェアは相対的に小さくなっておりますので、我が国海運事業者が今後成長していくためには、日本の荷主とは関係のない三国間の輸送を拡大するとともに、LNG輸送それから海洋資源開発分野などの新たな分野で海外の企業と戦っていくための総合的な国際競争力強化が必要となっています。
 このため、今回の法案では、外航海運事業者等が生産性向上に取り組む造船所において建造された高性能、高品質な船舶を導入する場合に、国土交通大臣が認定する仕組みを創設することとしております。この認定を受けた場合には、支援措置として、日本政策金融公庫を活用した長期低利融資や日本籍船に係る固定資産税の軽減措置の拡充などの措置を講じることとしております。
 こうした取組を通じ、我が国の外航海運事業者の国際競争力の更なる強化を図ってまいります。

#8
○足立敏之君 ありがとうございました。
 世界に伍していくためには、今お話のありました特定船舶だとか、それから外航海運の大型化ですね、船舶の大型化、こういったことにも積極的に取り組む必要があるんじゃないかなというふうに思っております。よろしくお願いしたいと思います。
 一方、外航海運の活性化も非常に重要ではありますけれども、国内で海上輸送を担当する内航海運、こちらの生産性の向上や事業基盤の強化も重要な課題だというふうに考えています。内航海運につきましては、事業者の九九・七%が中小企業というふうに承っておりまして、事業基盤が非常に脆弱であります。また、事業者と荷主という構造的な問題を抱えておりまして、事業者は荷主より弱い立場にありまして、荷主から一方的に運賃等を提示されるというようなことも多いと聞いておりまして、収益性の低いことなどがやはり課題となっているというふうに聞いております。
 内航海運の現状と課題、今回の法改正でどのような措置が講じられるのか、海事局長に承りたいと思います。

#9
○政府参考人(大坪新一郎君) 御指摘のとおり、内航海運業者のほぼ全ては中小企業でありまして、取り扱う貨物は主に鉄鋼、石油、セメントといった産業基礎物資でありますので、これらの荷主企業は寡占化が進んでおります。その下で、重層的に専属化、系列化せざるを得ないという事業構造になっておりまして、低い収益性を甘受している状況にあります。
 このような状況では、内航海運業者のみの努力では魅力ある産業とするための働き方改革や荷主との取引環境改善、内航海運の生産性向上を実効性のあるものにするには限界があると認識しています。
 このため、本法案においては、内航海運業者に対して船員の労働時間を考慮した運航計画の作成などを義務付けるとともに、荷主に対しては内航海運業者の法令遵守への配慮義務規定を設けることとしております。その上で、内航海運業者の違反行為が荷主の行為に起因する場合には、国土交通大臣が荷主に対して勧告、公表する制度を盛り込んだところです。
 また、荷主及び内航海運業者間の契約の書面化などにより、契約内容を見える化することで取引環境の改善を図り、適切な運賃や用船料の収受につなげたいと考えております。
 あわせて、船員雇用、配乗の効率化にも資する船舶管理業について登録制度を創設しまして、その活用を促すことで内航海運の生産性向上を図り、内航海運業の事業基盤を強化してまいります。

#10
○足立敏之君 ありがとうございます。
 今御指摘のありましたようなきめの細かい施策を講じていただいて、内航海運の事業基盤がしっかり整っていくように、是非ともお願いをしたいというふうに思います。
 次に、造船業について伺いたいと思います。
 御承知のとおり、日本は戦後世界一の造船国として、船舶建造量トップの座に君臨しておりました。私なんか昔学校で習ったときにそういうふうに聞いておりましたけれども、二十世紀末ぐらいから巨額の投資を背景に急成長してきました韓国にまず抜かれ、さらには国策として国営企業を中心に発展してきた中国にも抜かれ、現在日本は世界三位というような状況でございます。
 資料の四でございますが、そちらの方に世界各国の船舶建造量、造船量の推移を示しておりますけれども、先ほどお話ししたように、日本は韓国に抜かれ、中国にも抜かれてしまった、今三位の状況、そういうような状況であります。
 しかしながら、我が国の造船業というのは国内に生産拠点を有しておりまして、その部品のほぼ一〇〇%を日本のメーカーから調達していると、非常に裾野の広い産業だというふうに聞いております。そのため、地域の経済や雇用を支える大事な役割を担っておりまして、なくなっては困る産業と言えると思います。また、自衛隊や海上保安庁の艦艇を国内で建造し修繕するというような大切な役割も担っておりまして、安全保障上の観点からも決してなくならせるわけにはいかない産業だというふうに言えるのかと思います。
 造船業は、現在はコロナの影響によりまして、海運業の発注意欲の減退だとか新造船に関する商談の停滞、こういうことが原因となりまして低迷をしていると聞きます。しかし、今後の世界経済の回復に伴いまして中長期的には必ず拡大していくことが見通せる分野でもあり、それに伴って、大型船、あるいは先ほどありました特定船舶などの新造船拡大も期待できるというふうに考えております。
 したがって、現在の厳しい環境を何とか乗り越えて、持続的に発展できる造船業の環境を早急に整えることが必要だというふうに考えますが、日本の造船業の現状、課題などについて、海事局長に伺いたいと思います。

#11
○政府参考人(大坪新一郎君) 世界の造船市場を俯瞰しますと、今配付された資料四の二〇一〇年、一一年ぐらいに非常に棒グラフが高くなっておりますが、この辺りはリーマン・ショック前に新造船が大量発注されたことを表しておりまして、その後に需要が低迷した結果、膨らんだ供給能力が過剰になっているという今状態にありまして、このため船価のレベルが非常に低いというのが課題であります。
 この厳しい中で、韓国、中国は自国造船業への公的支援を大量に行いまして、また造船事業者の規模拡大、統合を進めており、この結果、我が国造船業は熾烈な国際競争を強いられています。加えて、昨年来の新型コロナの影響もありまして、新造船発注意欲が減退したということもあり、我が国造船業は手持ち工事量が激減し、かつてない危機的な経営状況となっています。
 一方、我が国造船業の強みとしては、部品のほぼ全てを国内で調達できること、それから建造する船舶の品質や環境性能の点で優れていることなどが挙げられます。課題としては、韓国、中国に比べて一事業所当たりの規模が小さく、建造能力に限りがあることから、大規模な発注への対応において差が生じる面もありまして、価格面でも厳しい競争を強いられていると認識しています。
 国土交通省としては、このような我が国造船業の強み、弱みを踏まえて、この危機を乗り越えて、世界屈指の国際競争力を有する力強い産業として成長し、安全保障の役割も果たすということのために、抜本的な施策を講ずる必要があると考えております。

#12
○足立敏之君 ありがとうございます。
 ところで、中国、韓国との競争におきましては、市場原理を無視するかのような両国の過大な公的投資が、公的支援が背景にありまして、日本は大変厳しい状況に置かれているというふうに聞いております。
 造船分野におきまして中国や韓国が優位にあるのは、国からの手厚い支援、これが背景にあると言われていますけれども、実際にどのような支援が行われてきたのか、海事局長に伺いたいと思います。

#13
○政府参考人(大坪新一郎君) 韓国においては、二〇一五年頃から、経営難に陥った特定の造船事業者に対して一兆円を超える巨額の公的支援が行われ、また信用力の低い造船事業者に対して市場では得られないような公的な保証を付与することによって受注を支援すると、こういったことが行われてきたと承知しております。
 日本政府としては、これら支援措置が市場を歪曲し我が国造船業に著しい損害を及ぼしているとして、韓国政府を相手に世界貿易機関、WTOの紛争解決手続に基づく申立て、いわゆる提訴を行っているところです。
 中国については、大手の造船事業者が国営であるという特徴があります。それらの公的支援については、大手国営造船事業者の会計報告に一部記載はあるものの、国の秘密が含まれる補助金は非開示とされておりまして、どのような政府支援が行われているか、つまびらかにはなっておりません。

#14
○足立敏之君 ありがとうございます。
 中国についてはちょっとよく分かりませんでしたけれども、韓国については市場を歪曲するような過大な公的な支援を行っているというのがよく分かりました。
 しかし、日本が韓国や中国に負けないように造船業を確保していくために同じような支援を行ってしまうと、これはイタチごっこということになってしまいますので、大きな問題になるというふうに思います。
 これからの日本の造船を考えたときに、今回の法改正で具体的にどのような支援を行うこととしているのか、また、それによりまして韓国や中国との競争に本当に勝ち抜けていけるのか、そういったところにつきまして海事局長から伺いたいと思います。

#15
○政府参考人(大坪新一郎君) 我が国造船業が、現下の厳しい状況を乗り越えまして世界屈指の競争力のある産業として成長していくために取り組むべき方向性としては、まず第一にコスト競争力の強化、それから第二に世界最先端の技術力の磨き上げ、この二点であると考えております。
 前者については、本法案及びこれに基づき講じる予算、税制、財政投融資等の支援措置の活用によって、造船事業者の事業再編や設備投資による生産性向上などを強力に推進し、コスト面での競争力強化を図ることとしております。
 後者については、海運の脱炭素化や自動運航船の実用化などの重要な技術開発分野について、本法案による技術開発の支援などを行うとともに、国際海事機関、IMOにおける環境や安全に係る国際基準の策定をリードして、我が国の高い技術力が客観的に公平に評価される国際市場環境を整備することによって、我が国の技術力の優位性を確保してまいります。
 これら総合的な対策を通じて、世界の経済成長によって増える海上輸送の量の増加、これを我が国の新造船需要として取り込みまして、長期的に発展することを可能とし、造船大国としての地位を堅持していくことを目指します。

#16
○足立敏之君 ありがとうございます。
 公正な競争に基づいて健全な造船市場が形成されるように、今おっしゃられたようないろんな施策を講じていかれると思いますけれども、引き続き御尽力をお願いしたいというふうに思います。
 今の話の中に、特定船舶のお話がありました。日本の強み、例えば品質が高い、環境性能が良い、そういう強みを生かした船舶を、今回、普及促進を図る制度を設けられるというふうに聞きました。これがきっかけとなりまして日本船舶の新造船がより増えていくことを期待したいと思いますけれども、この特定船舶についてどの程度のマーケットが期待できるのか、その辺につきまして海事局長に伺いたいと思います。

#17
○政府参考人(大坪新一郎君) 本法案においては、生産性向上などに取り組む造船所において建造され、安全や環境性能において一定の性能を有した高品質な船舶を特定船舶として、その導入に対して支援することとしています。具体的には、海運事業者などが特定船舶を導入する計画を国土交通大臣が認定する仕組みを創設し、日本政策金融公庫を活用した長期低利融資、日本籍船に係る固定資産税の軽減措置の拡充などの措置を講じることとしております。
 現在、これは二〇一七年から一九年度の平均ですが、国内造船所で建造された船舶のうち、この特定船舶の要件を満たす船舶は約二割となっています。今般の支援措置を通じて特定船舶の導入を促すことによって、二〇二五年をめどに約三割の普及を目指してまいりたいと考えております。

#18
○足立敏之君 ありがとうございます。
 日本の造船が更にやっぱり活性化していって、私たちが昔造船業に期待した、そういうまた状況が再びやってくるように御尽力をいただきたいというふうに思います。
 次に、港湾について伺いたいと思います。
 日本の貿易を支えているのが、一方で我が国の出入口の役割を担っている港湾であります。今回の法改正は造船や海上輸送の強化を目的とするものではありますけれども、港湾整備とは表裏一体のものだというふうに私は考えておりまして、そちらの方の整備もしっかり進めていく必要があるというふうに思っています。
 実は私、一昨年の十一月に、国交省で一緒に勤務した仲間と「荒廃する日本」という図書を出版をいたしました。日本のインフラ整備の遅れだとか老朽化の進展などに対する懸念、これを示させていただきました。港湾インフラについては港湾局OBの松原さんに担当していただいたんですけれども、そこで書いていただいたことをベースに今日は質問をさせていただきたいと思います。
 まず、日本の港湾のコンテナ取扱量を見ますと、お手元の資料五の方を見ていただきたいんですけれども、一九八〇年代半ばには神戸港、横浜港が世界十位以内に入っていました。その後、アジア地域の急速な経済発展とともに、中国の上海港や深セン港、韓国の釜山港などが飛躍的に成長しまして、二〇一九年の速報では、我が国最大の東京港でも三十四位、横浜港は六十一位、東京港と横浜港を合わせた京浜港という、ここにデータはありませんけれども、それでも二十位相当にしかならないと聞きました。神戸港は六十七位で、神戸港と大阪港を合わせた阪神港は二十八位相当だというふうに聞いています。
 これは、大型化するコンテナ船に日本の岸壁が追従できていないことが原因の一つと考えられます。大型船に対応できる水深十六メーター以上の岸壁は、中国には百八バースあると聞きます。韓国が四十バース、シンガポールが三十二バース、マレーシアが二十一バースであるのに対して、日本は十七バースと、大きく見劣りがしています。
 私、十五年前にシンガポール港を拝見したことがありますけれども、そのときにもその港の規模の大きさとか自動化の進展状況とか大変驚いた記憶がありますが、中国、韓国はそれよりも大きく上回るような状況だということで、驚いております。
 こうしたことが影響してコストやサービス面で後れを取ることとなって、韓国、中国と日本との間を比較的小さな船で運搬して、釜山港だとか上海港で、そういう巨大港で大型船に積み替えて欧米基幹航路で輸送をするというような形態がかなり増えてきているというふうに聞きます。その結果、結局、日本に立ち寄る欧米の基幹航路の船数が減ってしまっているというふうに考えられますが。
 資料七の方を御覧ください。日本の、欧米の航路の立ち寄り状況をこれで見て取れるんですけれども、日本に立ち寄る船の量が減少してきてしまっています。これは大変困ったことだというふうに思います。
 もう一枚めくっていただきまして、アジアの主要港湾のコンテナターミナルの規模、これをこの資料で示させていただきました。これ全部同じ縮尺でありますので、比較するとその差の大きさに皆さんも驚かれるんではないかというふうに思います。
 一方、バルク物流の方でございますけれども、やっぱりこちらの方も、大量輸送によるコストの削減を目的として大型化が進んでおります。
 次のページにバルク貨物の岸壁の資料を付けておりますけれども、日本のバルク貨物の岸壁は、民間企業が所有しているものが多い、さらには岸壁水深の浅いものが多い、老朽化も進んでいる、古くから造られているということなんですけれども、こういうような状況になっておりまして、日本でも、国際バルク戦略港湾ですかね、指定されて、港湾整備を進めるとともに様々な取組をしているというふうに伺っています。
 今後、こういう厳しい状況下に日本の港湾があることを踏まえますと、コンテナ輸送、バルク輸送に対してどのように対応していくのか、港湾局長に伺いたいと思います。

#19
○政府参考人(高田昌行君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、コンテナ輸送に関しまして、近年、スケールメリットを追求するための外航コンテナ船の大型化や寄港地の絞り込み等進展しておりまして、我が国の港湾の相対的な地位が低下しております。アジア各国におきましても大水深コンテナターミナルの整備が加速されていまして、水深十六メーター以上のコンテナ岸壁で比較しましても、私ども、大きく立ち遅れている状況になっております。
 現在、我が国では、横浜港等で水深十六メーター以上のコンテナ岸壁を新たに整備中であり、本年四月には、横浜港南本牧埠頭におきまして、日本最大の水深十八メーター岸壁二バースを含むコンテナターミナルの初の一体利用が可能となったところです。また、同埠頭において、非接触のデジタル港湾物流を可能とするCONPASの本格運用を開始し、今後、神戸港等の他港にも横展開を図る予定としております。
 しかしながら、昨今の新型コロナウイルス感染症等による物流への世界的な影響により他国での積替えによる遅延が生じており、輸送日数が短く安定性のある国際基幹航路が必要といった声がこれまで以上に聞こえております。
 また、バルク輸送につきましても、世界における資源、エネルギー、食糧需要の急増に対応しまして、パナマックス級以上のばら積み船舶の隻数が過去二十年で三倍以上に増加するなど、大型化が着実に進展しております。このため、石炭や飼料穀物のほぼ一〇〇%を海外からの輸入に依存している我が国としましては、企業の専用岸壁の老朽化も進む中で、これらの貨物も含め、安定的かつ安価なバルク貨物の輸入を確実に図る必要があります。
 国土交通省といたしましては、大型船に対応した国際コンテナ・バルク戦略港湾への集中投資等を通じた国際競争力の強化に取り組みつつ、国全体として効率的で安定的な海上輸送ネットワークの形成を通じて我が国の持続的な経済成長を支えてまいります。

#20
○足立敏之君 ありがとうございます。
 コンテナ輸送、バルク輸送、これが中国や韓国に比較して大きく後れを取ってしまっている状況にありますので、例えば国際コンテナ戦略港湾だとか国際バルク戦略港湾、こういったものの指定によりまして拠点を絞って、我が国の港湾を中国や韓国に負けないような水準に高めていく必要がまずあると思います。また、それだけではなくて、地方の現行の港湾の老朽化も進んでおりますので、きめの細かいサービスが維持できるように、そういったところの老朽化対策も併せて進めていっていただきたいというふうに思います。
 しかし、そのための予算でございますけれども、お手元の資料の十に示させていただきました。やはりここ二十年程度、公共事業予算削減の影響がありまして、港湾の整備が停滞しているというふうに言わざるを得ません。そのため、大型化への対応も遅れていますし老朽化への対応もおろそかになっているんではないかというふうに思いますが、港湾整備の予算の推移について、港湾局長の見解をお願いしたいと思います。

#21
○政府参考人(高田昌行君) お答えいたします。
 島国日本であります。大型船に対応したコンテナ・バルク戦略港湾への集中投資、地域基幹産業のサプライチェーンの強靱化に資する港湾投資、グリーン化に対応した洋上風力産業を支える基地港湾の整備等、未来への投資として行う必要があると考えております。
 また、我が国の港湾、総貿易量の九九・六%を取り扱い、港湾所在市区町村では全国の約二分の一を占める人口六千万人、製造品出荷額等約百五十兆円を擁するなど、国民の命と暮らしとを守るために、防災・減災、国土強靱化に必要となる港湾インフラの整備を加速する必要があります。
 こうした中で、老朽化した施設への対応に限って見ましても、今後三十年間で必要な全国の港湾施設の維持管理・更新費用として、国費に地方負担分を合わせた事業費ベースで六から八兆円程度を見込んでいるところです。
 こうした中、港湾整備事業に係る予算、国費につきまして当初予算ベースで見ますと、平成八年度の三千六百三十八億円をピークに減少し、昨今では若干の増加傾向にあり、令和三年度は二千四百十二億円となっております。
 また、平成三十一年度以降につきまして、国土強靱化関連予算等の大幅な積み増しにより、当初、補正合わせた十五か月予算ベースで三千百億円台にまで引き上げ、今年度においては三千三百七十五億円まで引き上げたところです。

#22
○足立敏之君 ありがとうございます。しっかり港湾整備予算を確保して、中韓に負けない港湾の整備が必要だというふうに思います。
 ところで、資料十一を御覧いただきたいと思いますけれども、アメリカでは、バイデン大統領が今後八年間で二兆ドル、すなわち二百兆円規模の公共投資を行うことを表明されています。それによりまして、港湾の改修などインフラの再生がなされることになります。アメリカだけではなくて、他の国でも同様に港湾インフラへの投資も進められるというふうに聞いております。
 日本のインフラを国際的にも恥ずかしくない水準にしていくために、この辺りで大きくかじを切って、船舶大型化の対応あるいは脱炭素化の推進など、先ほどお話のありましたような視点も併せて港湾分野の予算を拡大して整備を進めていく必要があると考えますが、赤羽国土交通大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

#23
○国務大臣(赤羽一嘉君) 委員お示しの例えば資料五の世界の港湾別のコンテナ取扱いの推移、これよく出る表ですけど、もう明らかなように、日本の港湾政策を本当に変えなければ本当に手遅れになるということは、もう随分前から言われてきたことがなかなか変わらないと。
 今、大型化、また脱炭素化の大きな変換を図るということ、まさにおっしゃるとおりだと思いますが、それに加えて、やはり私は、日本の国土を考えますと、率直に申し上げて、中国の百幾つもの港となかなか競争はできないというふうに思っています、後背地の経済力が全く違いますので。ですから、シンガポールですとか釜山、トランシップで中心にやっているところとどう負けないかということがまず大事なんではないかと。そういう意味では、私は、集約化とやっぱり一つ一つの港湾の生産性の向上、やっぱりこれに尽きると思います。
 シンガポール、よく出ますが、これ一九八〇年代はまだ全然どうってことないんですけど、これ、振り返りますと、私、前の職業からもよくシンガポールの港を見に行きました。かつてPSAでは、そこではすごい先端的だったんですが、一昨年、大臣就任した年末にも一度行って更に驚いたのは、世界のたしか五十以上の港湾の運営権をPSAインターナショナルがもう握っているんですね。ですから、全く進化の度合い、スピードが違うと。それを振り返りますと、PSAというのは、最初国営でやっていたのが一九九七年に政府が株主で民営化して、二〇〇三年には完全な民営化をしていると、もう大きくそこで世界に飛躍していったと。
 片や日本はどうだったのかというのは、強烈に反省しなければいけないと。国交省の港湾政策も、私が初当選した頃は集約化かオールジャパンで底上げかみたいな、そうした議論をずっとやっていて、明らかに私はそこは強烈に反省をする必要があるというふうに思っております。
 そうした意味で、予算を増やす努力をするのも大事なんですけど、それが大前提で、予算をどう使うのか、集中をして生産性を向上していくということを相当切り込んでやらなければ、まあ、同じ質問を延々とされて同じような答弁をしてくるということを繰り返して、高田港湾局長は前国会で匍匐前進でみたいなこと言っていましたが、そういうふうにならないようにしっかりと、本当に日本の港湾と海運は、まさに四方を海に囲まれた島国の我々にとっては生命線だというふうに思っておりますので、しっかりと対応していきたいと、こう考えております。

#24
○足立敏之君 ありがとうございます。
 日本が経済で一流を目指すのであれば、港湾や高速道路、空港もそうなんですけれども、交通インフラを一流にしていかなきゃいけないというふうに思います。
 引き続き赤羽大臣のリーダーシップでしっかりと進めていただくようにお願いをして、質問を終わります。ありがとうございました。

#25
○青木愛君 立憲民主・社民の青木愛です。
 海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案について、早速質問に入らせていただきます。
 日本は、四方を海に囲まれた島国、海洋国家です。そのような地理的条件の中で、日本の造船業は、戦後長い期間建造量世界一を誇り、日本経済と貿易を担い、また地域に根差した裾野の広い産業として地方の経済と雇用を支えてきました。造船業は、まさに日本の基幹産業です。また、海運業は、日本の輸出入を支え、国民経済の基盤となっております。
 一九八〇年代から韓国が、一九九〇年代から中国が新規の造船施設を次々に建設し、稼働させ、建造量を急速に伸ばしました。二〇〇〇年になりますと日本の一位の座は韓国に奪われ、二〇一〇年には中国が一位となり、日本は中国と韓国に次ぐ第三位になりました。
 現在、造船業、海運業も世界から厳しい課題を受けています。それは地球環境問題です。世界がカーボンニュートラル達成に向かう中、ゼロエミッションエンジン船の開発やデジタル化により、質の高い船舶の建造が求められています。このときこそ、技術大国日本が時代の最先端の要請に応え、世界をリードすべきだと考えます。
 このような観点から順次質問をいたしてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、造船分野の競争力強化についてです。
 日本の造船業は、中国、韓国に建造量で抜かれ、世界全体の新造船建造量は、二〇〇八年リーマン・ショックの後、二〇一一年をピークに落ち込んでおります。日本の造船業の現状と今後の建造量の見通しについてまずお伺いをいたします。

#26
○政府参考人(大坪新一郎君) 近年の世界の造船市場は、リーマン・ショック前に需要を超えた新造船の大量発注があり、ピークである二〇一一年の世界の建造量は総トン数一億トンを超えました。その後の発注低迷により、現在の世界の建造量は六千万トン程度にとどまり、船舶の供給能力の過剰が続いております。
 現在の日本の建造量のシェアは二二%ですが、船舶の供給能力過剰により船価水準が低いということに加えて、新型コロナの影響で船主の発注意欲が減退したこともあり、通常二年分を有することが一般的な手持ち工事量が約一年分になるなど、我が国造船業は危機的状況にあります。
 一方で、中長期的に造船市場を見通しますと、新興国を中心とする世界経済の成長に伴って、海上荷動き量は増加を続けています。また、リーマン・ショック前後に大量建造された船舶の代替建造の需要も発生すると予想しておりますので、二〇二五年以降、順次、新造船需要、世界全体の新造船需要の回復は期待されると認識しております。

#27
○青木愛君 期待もあり、見通しは暗くないという御答弁だったと思います。
 日本が建造量で韓国、中国に追い越された原因について、国際要因、国内要因、それぞれについてお伺いをいたします。

#28
○政府参考人(大坪新一郎君) 我が国造船業は、約二十年前までは世界全体の建造量シェアのトップを占めておりましたが、その後、韓国、中国に追い抜かれましたものの、依然として高い技術力や一定の生産規模は維持してきたところです。
 もう先ほど述べましたが、供給能力の過剰が続いている中で、韓国、中国は自国造船業への公的支援を行い、また造船事業者の規模の拡大、それから統合を進めており、我が国造船業は熾烈な競争にさらされています。加えて、我が国造船業の内部的な要因でもありますが、歴史的に造船所が各地に点在しておりまして、技術開発のための技術者のリソースの集約が進んでいないということがあります。
 また、韓国、中国に比べて一つ一つの造船所の規模は小さいので、近年の傾向となっている大規模発注、短い期間で多数の船舶を発注するということですが、こういった対応に不利な面があります。こうした我が国造船業固有の事情も現在の状況に至る要因になっているものと認識しております。

#29
○青木愛君 韓国、中国は、大規模な国の支え、国の支援があるということで、それに対して今後日本はどうしていったらよいのかということだと思います。
 海事生産性革命との関係でお伺いいたしますが、これまで国土交通省は、二〇一六年を生産性革命元年と位置付けて、船舶の開発、建造から運航に至る全てのフェーズで生産性向上を目指すというi―Shippingと、そして海洋開発市場の成長を我が国海事産業が獲得することを目指すj―Ocean、これを両輪とする海事生産性革命を強力に推進をしてきたと思います。
 この海事産業生産性革命と位置付けたi―Shippingとj―Oceanについて、その効果をお聞きしたいと思います。また、今回新たな支援策を打ち出したその背景、また更なる必要性は何なのか、その点について明確に御答弁お願い申し上げます。

#30
○政府参考人(大坪新一郎君) 海事産業の生産性革命は、船舶の開発、設計、それから建造、運航に至る全てのフェーズにおける情報技術の活用や、それから海洋資源開発における付加価値の高い製品、サービスの技術開発によって、主として個々の事業者の生産性の向上を図る取組であります。
 具体例を挙げますと、IoTを使った遠隔モニタリングによりエンジンの状況把握を行って、ビッグデータの活用によって故障の未然防止を可能とする技術が開発されておりますし、また船舶の性能を事前に正確に予測して新船形の開発期間を短くするといった取組も行われまして、これによって我が国の海事産業の生産性の向上には寄与してきたと認識しております。
 一方で、中韓の造船業、非常に生産規模を拡大しておりまして、こういう厳しい国際競争の中で、本法案においては個々の事業者の生産性向上を一層進めるだけではなくて、事業者間の協業や統合等によって複数の事業者が一体となって行う次世代技術の共同開発や、それから、造船所だけではなくて部品メーカーも含めたサプライチェーン全体の最適化、さらには、短い納期で多数の船舶建造を行う大規模発注への対応を複数企業が連携して行うと、こういったことを行えるように支援していくということを考えております。加えて、造船事業者、舶用メーカーの基盤強化のみならず、海運事業者に対しても高性能な新造船の発注意欲を喚起するための措置を同時に講じることにより、造船、海運の好循環を創出することを狙っております。

#31
○青木愛君 これまでも様々な支援策を打ち出してこられたということですが、なかなかそれでは中国、韓国にまだまだ追い付き、追い越すことができないという状況なんだろうと思いますが、今回のこの法改正で、事業基盤強化計画認定制度、これが導入されるわけであります。
 中国、韓国、日本、これまで厳しい国際競争を勝ち抜くために、会社の合併や分割、株式交換などを通して事業を再編し、また新たな生産方式や新たな原材料の使用により生産性を向上させるなどして事業基盤の強化を図ってまいりました。実際、韓国では二〇一九年三月に国内二位の大宇造船海洋が一位の現代重工業に合併され、中国では二〇一九年十一月に国内一位の中国船舶工業集団、CSSCと二位の中国船舶重工集団、CSICが統合し、新会社中国船舶集団を設立をしています。そして、我が国においても、生き残りを懸けた受注競争に挑むため、国内一位の今治造船と二位のジャパンマリンユナイテッド、JMUが二〇二〇年三月に資本業務提携を公表し、今年一月に新会社日本シップヤードが始動したところです。ほかにも再編の動きが激しくなっております。
 本法案で創設される事業基盤強化計画認定制度、これを通じて促進しようとする事業基盤強化の取組内容と造船業の成長に向けた更なる戦略についてお伺いをしたいと思います。

#32
○国務大臣(赤羽一嘉君) 我が国の造船業、先ほど局長からも答弁させていただいておりますが、かつては世界に冠たる造船業でありましたが、構造不況的なところもあるし、造船業だけではなくて、鉄鋼もそうですし、先ほどの港湾なんかも似たようなところございますが、中国、韓国が、安い労働力から始まって、加えて、独禁法ですとか国際社会の出資の在り方というある意味ではルールを我々が守っている中で、ちょっと語弊がありますけれども、そうしたことがないがしろにされている中で、相対的な日本の競争力を失ってきたというのが現実だというふうに思っております。
 そうした制約がありますが、やはり業界からは、どうしてもやっぱり集約をするから国としても支援をしていただきたいというような強い要望があり、造船業、海運業の重要さというのは、先ほどからるる答弁させていただいておりますように、島国である我々にとっては生命線だということでございまして、今回の法案の提出をさせていただいたところでございます。
 事業基盤強化計画認定制度というのは、もうまさに、一つはコスト競争力の強化、もう一つは世界最先端の技術力の磨き上げと、この二つの柱を進めていこうということでの新しい制度だというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございますが、コスト競争力につきましては、この法案のこの制度とともに、予算、税制、財政投融資等の支援措置の活用によりまして、造船事業者の事業再編、生産性向上を通してコスト面の競争力を図っていきたい、強化を図っていきたいと。今治造船がJMUとの資本提携をしながら、自動溶接ロボット等の導入に加えまして、今治造船とJMUが共同設計をするとか生産の分担をするということで競争力を向上させるという狙いがございます。
 また、後者の技術力の磨き上げにつきましては、海運の脱炭素化ですとか自動運航の船の実用化等の重要な技術開発分野につきまして、この本法案によりまして、国としても技術開発支援を行うとともに、国際海事機関でございますIMOの国際基準の策定も国としてリードしていくと、そうしたことで我が国の技術力の優位性を確保してまいりたいと、こう思っております。
 具体的には、例えば、燃費性能が劣る既存の船舶から優れた新しい新造船への代替建造が促進されるように、我が国の主導でIMOでの温室効果ガス排出削減ルールの策定に取り組むなど、我が国の技術面での競争力強化につなげてまいりたいと、こう考えているところでございます。
 いずれにしても、今回のこの法案の提出と、予算、税制等の支援措置によりまして、我が国造船業が世界屈指の競争力を有する産業として成長していけるように、我々は成長する可能性があるというふうに考えておりますので、全力で取り組んでまいりたいと、こう考えております。

#33
○青木愛君 赤羽大臣の御丁寧な答弁で、国としての考え方、よく分かりました。ありがとうございます。
 これからこうした大企業、事業再編とか生産性向上が図られていくと思うんですが、中小の造船事業者への支援ということについて伺わせていただきたいと思います。
 この厳しい国際競争の中で、この上位の企業は合併や資本提携などで競争力強化を図っていきますけれども、中小の造船事業者についても事業基盤強化、これが必要だと考えます。中小の造船事業者への支援についてお聞かせください。

#34
○政府参考人(大坪新一郎君) 中小の造船事業者は、我が国の物流や離島航路などを支える内航船を主として建造しておりまして、我が国経済活動や地域住民の生活に重要な役割を果たしています。
 本法案では、外航船を建造する造船事業者のみならず、こうした中小の造船事業者も対象としております。本法案に基づく事業基盤強化計画制度を通じて、設備投資などにより生産性を向上を図ると。この場合、必ずしも合併するとかそういうことは必要ではないんですが、単独であっても生産性向上を図る取組について、この基盤強化計画制度を通じて中小造船事業者を支援してまいります。
 また、あわせて、特定船舶導入計画に基づきまして、高品質な内航船を導入しようとする海運事業者に対しては、鉄道建設・運輸施設整備支援機構、JRTTの船舶共有建造制度を活用した内航船舶の建造支援を強化することとしております。
 国交省としては、本法案と予算、税制、財政投融資などの施策を総動員して、大手の造船事業者と同様に、中小造船事業者の事業基盤の強化を支援してまいります。

#35
○青木愛君 ありがとうございます。
 事業の再編が難しくても、生産性向上のみでの事業基盤強化によるそのメリットを得られるということを確認をさせていただきました。
 次に、先ほど来話が出ておりますWTOとの関連について伺わせてください。
 中国や韓国では国が造船業界に過度の支援を行っているということで、我が国は韓国造船業をWTO違反として提訴しました。今後の対応について、また、この度の本法案はWTO違反には当たらないのか、その点について確認をさせていただきたいと思います。

#36
○政府参考人(大坪新一郎君) 韓国においては、二〇一五年頃から特定の造船事業者に対して一兆円を超える巨額の公的支援が行われたほか、信用力の低い造船事業者への市場で得られないような公的な保証の付与による受注支援も行われています。このような支援措置が市場を歪曲し、我が国造船業に著しい損害を及ぼしているということは大変ゆゆしき事態でありますので、日本政府としては、二〇一八年に韓国政府を国際貿易機関、WTOに提訴し、日本の立場を表明しているところです。今後も、引き続き、我が国の立場を主張し、韓国政府による不当な支援が是正されるように取り組んでまいる所存です。
 また、本法案とそれに基づく支援措置については、支援制度については、あくまでWTO協定と整合する形において、我が国の海運造船業に対してその範囲内で最大限の支援を行おうとするものであり、WTO協定違反に当たるとは考えておりません。

#37
○青木愛君 あともう一点、造船業の事業基盤強化に際しての雇用関係についても伺っておきます。
 本法律案の事業基盤強化には、合併や会社分割など、事業構造の変更が含まれております。その際の従業員の地位について、事業基盤強化計画の認定基準には、従業員の地位を不当に害するものでないことと盛り込まれています。ほかにも、認定事業基盤強化事業者に対する雇用の安定等に関する努力義務規定や、労働者の雇用に関する事項について、国土交通大臣が厚生労働大臣と緊密に連絡をし、協力するとの規定が盛り込まれています。
 事業基盤強化において、従業員の地位が脅かされないよう、認定事業者をどのように監督をしていくのか、また厚生労働省とどのように連携をするのかお聞きをいたします。

#38
○政府参考人(大坪新一郎君) 御指摘のとおり、事業基盤強化計画については、本法案において当該計画が従業員の地位を不当に害するものではないということが認定要件の一つとして規定されております。
 具体的には、厚生労働省と緊密に連絡、協力しまして、従業員の推移の見込みに係る事業基盤計画の記載内容や、それから事業再編に関する労使間での協議内容などを両省において共有し、当該計画が従業員の地位を不当に害さないということを確認した上で計画の認定を行うこととしております。
 また、計画の認定後は、計画の実施状況を毎年確認するとともに、当初の計画と異なり従業員の地位が不当に害されている場合には計画の変更指示や認定取消しなどの対応を行い得ることとなっています。
 また、計画の実施段階においても、国や都道府県が失業の予防、就職のあっせん、職業訓練の実施などの措置を講じるよう努める旨、条文上明確にしております。

#39
○青木愛君 ありがとうございます。
 この事業基盤強化において、従業員の地位が不当に害されることのないようにしっかりとした御対応をお願いをしておきたいと思います。
 造船についてもう一点伺わせてください。洋上風力発電に関連する作業船についてでございます。
 今後、再生可能エネルギーの活用拡大に向けて洋上風力発電の推進に期待が高まっております。その際、SEP船を始めとする洋上風力発電に関する作業船の建造、造船業にとっての新規需要創出の観点からも重要と考えます。
 洋上風力発電に関連する作業船の建造に関する現状と今後の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。

#40
○政府参考人(大坪新一郎君) 洋上風力発電につきましては、国として、昨年十二月のグリーン成長戦略において、二〇三〇年までに一千万キロワット、二〇四〇年までに三千から四千五百万キロワットという高い導入目標が提示されており、今後の導入拡大が期待されます。
 これにより、洋上風力発電設備の設置工事に用いられるジャッキアップ可能な船舶、いわゆるSEP船と呼ばれる作業船や、これ以外にも建設工事やメンテナンスのための作業員輸送に用いられる小型の船舶など、洋上風力発電に関連する多様な船舶の需要が喚起されて、我が国造船業にとっても新たな建造需要の創出につながることが期待されます。現に、我が国の造船事業者においても、洋上風力発電の計画の具体化に伴ってSEP船の建造が進みつつあります。
 本法案に盛り込まれた造船事業者による事業基盤強化計画の策定においても、洋上風力を含む新たな事業分野に取り組もうとする場合を対象としています。本計画を国土交通大臣が認定した場合には、関連予算、税制、財政投融資を活用し、洋上風力等の新分野への進出のために必要な設備投資などの取組を支援することとしています。また、国土交通省としては、SEP船の建造が円滑に進むように、適用される安全環境基準についての技術的な助言などを行ってきているところです。
 このような取組によって、洋上風力発電の導入拡大、それから造船業を始めとする海事産業がこの新しい分野に参入できるよう、その支援にしっかり取り組んでまいります。

#41
○青木愛君 ありがとうございます。
 次に、海運分野の競争力強化についてお伺いします。
 特定船舶導入計画認定制度というものが導入されます。本法案では、供給側である造船分野においては造船事業者が作成する生産性向上や事業再編等に係る計画の認定支援制度を創出し、他方、需要側である海運分野においては海運事業者が作成する安全、低環境負荷で船員の省力化に資する高品質な船舶、すなわち特定船舶の導入に係る計画の認定支援制度を創設します。船舶の供給側と需要側の両面からの総合的な施策により好循環を創出しようというものです。そして、日本政策金融公庫等による長期低金利の融資、いわゆるツーステップローンや税制上の特例措置などの支援措置を受けることができるというものです。
 本法案で創設される特定船舶導入計画認定制度について、この特定船舶に求められる技術的な要件、ツーステップローンによる金融支援の対象となる案件及び今後の需要見込みについて、併せてお聞かせください。

#42
○政府参考人(大坪新一郎君) 本法案においては、海運事業者等が特定船舶を導入する計画を国土交通大臣が認定する仕組みを創設することとしております。
 特定船舶については、まず事業基盤強化計画の認定を受けた造船所において建造され、また環境負荷の低減、航行の安全、航海、荷役作業等の省力化に資する装置等を有する高性能、高品質な船舶であるということを要件としております。
 特定船舶のうち外航の船舶については、認定した計画に基づいて特定船舶を導入するに当たって、日本政策金融公庫を活用した長期低利融資や、日本籍船の場合は固定資産税の軽減措置の拡充などの措置を講じることとしています。日本政策金融公庫を活用した長期低利融資につきましては、大規模かつ中長期の資金が必要な案件であって、民間金融機関だけでは対応が困難と想定されるものを対象とすることを検討しております。
 現在のところ、国内造船所で建造された船舶のうち特定船舶の要件を満たす船は約二割となっておりますが、今般の支援措置で特定船舶の導入を促進し、二〇二五年をめどに約三割の普及を目指してまいりたいと考えています。
 また、特定船舶のうち内航の船舶については、この船舶を導入する場合に鉄道建設・運輸施設整備支援機構の船舶共有建造制度における共有分担率の引上げ及び利率の引下げ措置による支援を講じることとしています。現在、内航については特定船舶の要件を満たすものは約八%となっておりますが、今般の支援措置を通じて二〇二五年をめどに約一五%の普及を目指してまいりたいと考えております。

#43
○青木愛君 次に、海運分野の環境対策について質問をさせていただきます。
 造船業、海運業が厳しい国際競争の中で生き延びる、さらには世界をリードするためには、デジタル化の推進とゼロエミッション船の建造が鍵を握ると考えます。CO2削減についての国際ルールの状況や我が国の国際競争力強化を見据えた新技術開発、具体的には水素またアンモニアを燃料とするエンジン開発、またCO2回収技術などについて取組状況をまずお伺いをさせてください。

#44
○政府参考人(大坪新一郎君) 国際海運からのCO2を含む温室効果ガス排出削減に関しては、二〇一八年に国際海事機関、IMOにおきまして、二〇三〇年までに船舶の平均燃費を二〇〇八年比で四〇%以上改善する、二〇五〇年までにガス排出総量を二〇〇八年比で五〇%以上削減させる、今世紀中早期に船舶からの温室効果ガス排出量をゼロにする、この三つの目標が国際的に合意されているところです。
 この目標の達成に向けて、国土交通省は、我が国の海運、造船、舶用工業といった関係業界、それから大学や公的研究機関と連携しまして、国際海運のゼロエミッションに向けたロードマップを二〇二〇年三月に策定しました。現在はこのロードマップにより、民間において水素やアンモニアを燃料とする船舶用のエンジンの開発が進みつつあります。また、国土交通省も船舶からのCO2回収技術の開発を支援しているところです。
 特に、水素、アンモニアを燃料とするゼロエミッション船については、関係省庁と連携しまして、グリーンイノベーション基金の活用も検討しつつ、エンジンや燃料タンク、燃料供給システムに関する技術開発や実証を支援し、世界に先駆けて二〇二八年までの商業運航実現を目指しているところです。

#45
○青木愛君 こうした新技術開発に当たっては、国際ルールの動向が鍵となります。IMO、国際海事機関の主要なポストで日本人が働いていると伺っています。国際的なルール作りに向けた日本の取組方針についてお伺いいたします。

#46
○国務大臣(赤羽一嘉君) 今お話ございましたように、IMOでの交渉ですとかルール作り、日本が主導するというのは非常に重要だというふうに考えております。日本が主導して性能が正しく評価される合理的な国際ルールを構築していく、これは我が国の海事産業の国際競争力強化の観点から極めて重要だということを重ねて申し上げたいと思います。
 まず、IMOでの国際交渉につきましては、これまでも国交省と業界が連携をして綿密な準備を行った上で合理的な提案を行ってまいりました。IMOへの国別の提案文書数は日本が一位となっておるところでございます。また、IMOの事務局長ですとか、それぞれの委員会の議長等の主要ポストも日本人が獲得をして、円滑な審議に貢献していくということも重要な戦略というふうに考えておりまして、この事務局ポストにつきましては、日本の費用負担による若手職員の派遣も含めた形で人材育成を行っておりまして、幹部も含めたポストの獲得をしているところでございます。
 委員会の議長ポスト、これ各国の、加盟国の選挙で選ばれるわけでございますが、現在、国交省の職員が海洋環境保護委員会の議長を務めさせていただいておりまして、CO2削減などの主要な国際ルール作りも牽引させていただいているところでございます。
 いずれにいたしましても、この海の、海上の一つのルールを作っていく、主体的に我が国が頑張っていかなければいけないというふうに思っておりますので、こうした方針は継続して取り組んでまいりたいと考えております。

#47
○青木愛君 国交省の職員の方が国際機関で重要なポストで御活躍いただいているということは本当に心強く思いますし、また御活躍を心から御期待申し上げております。
 次に、外国法人等のクルーズ事業者等に対する報告徴収の方をまず伺わせていただきたいと思います。
 昨年、船内で新型コロナ感染が発症したダイヤモンド・プリンセス号事案やコスタ・アトランティカ号事案で外国法人等のクルーズ船の抱える問題があらわになりました。
 本法案では、外国法人等のクルーズ事業者等に対する報告徴収規定を創設することとしています。今後の国際クルーズ船の運航再開に当たっては、本法案の位置付けと国土交通省の取組、非常に重要になってくると思います。また、感染症対策について、クルーズ船の安全確保に向けた国際的なこちらもルール作りについて進めていかなければならないと思いますが、国交省としてどのように対応していくのか、お聞かせください。

#48
○政府参考人(大坪新一郎君) これまで国際クルーズ船は、インバウンド旅客の増加、それから寄港地における経済活性化といった効果を我が国にもたらしてきました。
 今般のコロナ禍の中で世界中のクルーズ船が運航停止を余儀なくされたことは誠に残念なことでありますが、安全、安心な運航のための環境整備を行った上で、国際クルーズ船の運航再開への取組を適切に進めていく必要があると認識しています。
 今後は、国内外の感染状況、それから水際対策の動向を踏まえて、関係省庁と連携し感染症対策について検討を進め、国際クルーズ用のガイドラインの整備に取り組むなど、必要な措置を講じてまいる所存です。
 さらに、中長期的には、関係国、国際クルーズの場合、様々な国が関係しますが、関係国やクルーズ船事業者が果たすべき役割を明確化する、そういった国際ルールについても外務省と関係省庁と連携して検討してまいります。
 御指摘のあった報告徴収ですが、これはまず第一歩としてやるべきことでありますが、本法案の中で、我が国に寄港する外国法人のクルーズ船事業者に対して国土交通大臣による報告徴収を可能とする制度を盛り込んでおります。実際にクルーズ船内で感染症が拡大した場合など、確実に情報を集めることができるように体制整備を図りたいと考えております。

#49
○青木愛君 今クルーズ船の方はほぼ止まっていますけれども、貨物の方はそれなりに動いているという関係者の話ですけれども、コロナ対策について伺うんですが、外航船舶が日本港に到着し、その時点で外国人の船員が任務を終え交代する場合、その船員が下船して、航空機でそれぞれの国に戻るということを伺いました。また、日本からも、その船にまた乗り込むために日本に航空機でいらっしゃるというふうに伺いまして、この際のコロナ対策どうなっているのか、大変今、水際対策気になりますので、この点についてお聞かせください。

#50
○政府参考人(大坪新一郎君) 今般、コロナウイルス変異株の流行に伴い、船員の水際対策が強化されておりますが、我が国に入国する船員のコロナ対策につきましては、検疫当局などから求められている入国時及び入国後の検査、それから自主隔離の実施、また、入ってくる場合には、空港から入ってくる場合には、入国後に公共交通機関を使用せずに移動、ほかの人と接触せずに船に直接行って船がそのまま出ていくと、また、船で入ってきた場合には、これも同じように、公共交通機関を使用せずに空港までに移動して飛行機で出国すると、このように徹底した対応を行っておりまして、それを前提に我が国における船員交代が可能となっているところです。
 円滑な船員交代を行うというのは、これは世界の海運全体の問題でありまして、日本だけではなく各国の協調的な取組も重要です。海事機関、IMOにおいては、この船員が下船した後飛行機で本国へ帰っていくという、そういう途中の感染防止等の措置について各加盟国が適切に実施することを求める決議も採択されています。
 国交省としては、この決議を踏まえて、引き続き、船員交代が円滑に行われるように、関係省庁と連携して取り組んでいくとともに、IMOなどにおける国際的な議論にも積極的に参画してまいります。

#51
○青木愛君 ここはしっかりとよろしくお願い申し上げます。
 次に、内航海運の生産性向上について伺っていきます。荷主勧告制度の運用です。
 本法律案では、内航海運業者の違反行為が荷主の行為に起因するものであると認められ、内航海運業者に対する命令又は処分のみによっては違反行為の再発防止が困難と認められるときなどにおける荷主に対する勧告・公表制度を設けることとしています。内航海運業者の違反行為のうちで、どのような場合がこの荷主の行為に起因するとして勧告、公表の対象になるのか、その内容についてお聞かせください。

#52
○政府参考人(大坪新一郎君) 具体例を申し上げますと、例えば、荷主が過密な運航の事実を認識しながらも内航海運業者に追加の運送指示を出して、その結果、内航海運業者が船員の過労防止のために必要な措置をとれず、輸送の安全の確保に関する命令、我々が出す命令ですが、これらの処分を受けた場合などが挙げられます。実際に荷主に対して勧告、公表を行うに当たっては、内航海運業者への監査によって得た情報、それから荷主との契約書、それから航海日誌等から荷主の行為を把握することとしております。
 いずれにしても、勧告、公表自体が目的ではなくて、内航海運業者の法令遵守の必要性について荷主に理解と協力をいただくということが重要と考えておりまして、荷主の理解醸成にしっかり国も取り組んでまいります。

#53
○青木愛君 それに関連しまして、船員の方々の働き方改革についてでありますが、二〇一九年の船員数は六万三千七百九十六人で、ピーク時の一九七四年の約二十七万八千人に比べて大幅に減少しています。年齢構成を見ますと、特に内航船員について、五十歳以上が約半数近くの四六・四%に上っており、三十歳未満の若年層が一九・二%で、高齢化が課題となっています。また、新人の内航船員の定着率は、二〇一五年の八五・〇%から二〇一九年の七八・九%へと減少する傾向が見られます。
 本法案で選任が義務付けられる労務管理責任者の具体的な役割について、また、新人内航船員の定着率に関する現状とその向上策についてお聞かせください。

#54
○国務大臣(赤羽一嘉君) 内航船員の従業員の状況等、今お話があったとおりでございますが、ただ、新規就業者数は実は増加傾向にあるのです。ただ、それに対して、若手船員の定着率がこの五年間で八五%から七九%への低下傾向があるというのは、これはまさに喫緊の課題だというふうに考えております。
 内航船員、言わずもがなでございますが、船内という閉鎖空間で二十四時間、少人数で労働と生活というのを繰り返す極めて特殊な労働環境でありまして、なかなか、そうした中での人間関係の維持ですとかが離職の原因になっているというふうに我々は分析をしているところでございます。
 こうしたことを何とか改善をしていきたいということで、今回提出させていただきました法案におきまして、適切な労務管理を行う体制をしっかり構築をすると、そうした上で労働環境の改善を図るということを考えて、使用者側で労務管理責任者の選任を義務付けるということでございます。今までは、多分、ややもすると、船長若しくは船長のそばの方がそうしたことを担いながら、なかなか難しい部分があったということで、陸側から労務管理を責任を持ってやっていただくと、そして船員一人一人の労働時間帯をしっかりと一元的に把握をしながら、船員の皆さんの健康状態にも考慮して、様々な相談にも乗れる対応ができるような体制をつくっていきたいと、こう考えておるところでございます。
 まさに船員、現下のコロナ禍におきましてはエッセンシャルワーカーそのものでございますし、先ほどからるる申し上げておりますように、大変重要な産業を担う、将来の担い手である若手の船員の皆様が離職することなく活躍できるような労働環境づくりをするということは非常に重要なことだと考えておりますので、今回の法案、是非成立をさせていただきたいと、こう思うわけでございます。

#55
○青木愛君 ありがとうございます。
 船の上という特殊な環境でありますので、是非安心して働ける環境を整えていただきたいと思っております。
 それでは、もう一点、カボタージュ規制について確認をさせてください。
 国内における人や貨物の輸送を自国船籍に限るというカボタージュ規制に関して、安全規則の緩い外国籍船によって国内の安全が脅かされる危険性が、国内海運業者の保護の観点から多くの国々で採用されているところでございます。このカボタージュ規制に関して、国土交通省の御見解をお伺いいたします。

#56
○政府参考人(大坪新一郎君) カボタージュ規制は、国家主権、安全保障の観点から、自国内の貨物又は旅客の輸送は自国の管轄権の及ぶ自国籍船に委ねるという国際的な慣行として確立した制度です。我が国においても、船舶法に基づいて、外国籍船による国内輸送は原則として禁止されております。平成三十年五月に閣議決定された海洋基本計画においても、安定的な国内海上輸送を確保するため、国際的な慣行であるカボタージュ規制を維持する旨記載されております。
 船舶法に基づいて国土交通大臣の特許を受けた場合には例外的に外国籍船による国内輸送も可能となりますが、この特許につきましては、まず、我が国における安定輸送の確保等の観点から支障を生じるものではないこと、第二に、日本の海上運送事業者による物品又は旅客の輸送に支障を生じるものではないことなどの審査基準に照らして、個別の事案ごとに慎重に判断を行うこととしております。
 このように、カボタージュ規制につきましては今後とも堅持してまいる所存です。

#57
○青木愛君 よろしくお願いいたします。
 様々な視点から質問させていただきましたが、やはり今全ての分野でカーボンニュートラルが要請されている中で、やはり日本は新技術の開発で世界に貢献、リードすべきだと思います。その点におきまして、是非、赤羽大臣には予算の使い道とともに、やはりその本体となる予算をしっかりと取っていただくように、我々も応援をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#58
○竹内真二君 公明党の竹内真二です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。感謝を申し上げます。
 早速、質問の方に入らせていただきます。
 初めに、世界的なコンテナ不足の問題について質問をさせていただきます。
 船による物資の輸送に欠かせないコンテナですが、米中貿易摩擦などに伴う荷動き低迷の懸念から、二〇一九年には新造コンテナの生産量が著しく低下しました。そこに新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が起きました。特にアメリカでは、自宅で使用する品物の巣ごもり需要が拡大する一方で、港湾や物流の労働者が外出を制限をされ、荷揚げ作業の遅れが発生し、沖待ちの船が増加しました。その結果、コンテナが回らなくなって、世界的に不足が生じる事態となったというふうに見られております。このコンテナ不足は、船の運賃高騰や輸送の不安定化をもたらし、日本でも部品の輸出などへの影響が出てきております。工業製品だけではなく、農産品の輸出等にも既に一部影響が出始め、その先行きが懸念をされております。
 そこで、国土交通省に伺いますが、世界的なコンテナ不足の今後の見通しを関係企業、団体等にしっかりと周知するとともに、対策を更に徹底していくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

#59
○政府参考人(大坪新一郎君) 国際海上コンテナ輸送につきましては、米中貿易摩擦等を受けましてコンテナの生産が低迷したことによってコンテナの総量自体が減少していたということ、それから、巣ごもり需要の拡大によって昨年七月以降のアジア発北米向けコンテナ荷動き量が急増したこと、また、北米西岸などを中心とする港湾混雑などによりましてコンテナ船の慢性的な運航遅延が生じて、空のコンテナがアジア地域に戻ってこないことなどの理由により、世界的なコンテナ不足の状況が現在発生していると認識しております。
 こうした状況を受けまして、国土交通省としては、二月五日付けで、荷主、物流事業者に対して、輸入コンテナの早期引取り、空コンテナの早期返却、輸送スペースの過剰な予約、直前のキャンセルの防止などへの協力を要請しまして、また、船会社に対しては、臨時船の運航、日本発着貨物の輸送スペースの確保、コンテナの新規調達の増加などへの協力を要請したところです。
 本要請も踏まえて、船会社では、臨時船の追加投入、それから船舶の大型化、新規コンテナ本数の追加、荷主においては、コンテナの共用による積載率の向上、シベリア鉄道や航空便などの活用、供給に余裕を持たせる在庫の確保などの動きが進んできています。
 さらに、四月二十三日には、重立った船社や荷主団体等が一堂に会したコンテナ不足問題の情報共有会合を関係省庁と共同で開催いたしました。本会合では、関係者間で現在の状況、取組内容、今後の見通しなどの情報共有を行うとともに、関係者間の連携の重要性が確認されたところです。
 国土交通省としては、引き続き、コンテナ不足の状況や影響を分析しつつ、関係者と連携して、円滑で安定的な海上物流の構築に向けて対応してまいります。

#60
○竹内真二君 今御答弁いただいたように、コンテナ不足というのがやはり様々な面で影響を及ぼしてきていますので、今対策等は様々取っていらっしゃるということなので、是非引き続き対応をお願いしたいと思いますが、やはり業者の中からは先行きまだまだ不透明だなというような声もいただいておりますし、海外での港湾の例えば人手不足等もまだ解消されていない港等もございます。是非、この不足の動向というのを引き続き注視していただいて、万全の備えをしていただきたいと思います。
 それでは、法案の方の質問に入らせていただきます。
 初めに、法律の改正が必要となった背景についてです。
 かつては、世界トップの座にあった日本の造船業ですが、今では通常二年分は必要とされる手持ち工事量が約一年になるなど、事業環境をめぐる厳しさが増しております。こうした現状はどのような要因によるものなのか、国土交通省の見解を伺います。

#61
○政府参考人(大坪新一郎君) 造船市場全体見渡しますと、二〇一〇年頃に世界全体で造り過ぎてしまったということで船腹が過剰になり、また、その後に新造船需要が低迷したことによって一旦膨れ上がった供給能力がそのまま残って能力過剰になっていたというのが全体的な市場環境であります。
 その中で、韓国、中国では、自国造船業の公的支援や造船事業者の規模拡大、統合が進められました。結果として、この造船、新造船市場では非常に船価が低い状態が続いており、我が国造船業は厳しい国際競争下にさらされています。また、短期的には、コロナ禍によって海運企業が新造船を発注しようという意欲が減退したこと、また、人の移動制限によって全く新しい顧客に向けての新造船の商談をすることが難しくなってしまったと、こういった停滞もありまして、このような複合的要因により二〇二〇年の受注量が大幅に減少しまして、通常二年以上必要な手持ち工事量が約一年というふうになっています。
 加えて、長い間の構造的な内部要因としましては、日本の造船所はどれも歴史が古く一つ一つの造船事業所の規模が小さいために、一度の短い期間で大量に発注して建造するという最近よく用いられる大量建造、多数隻建造に対応するところに課題があったというふうに認識しております。

#62
○竹内真二君 やはり、造船業が危機的状況となった要因としては、中国や韓国との競争激化という面は非常に大きいんだろうと思います。一方で、日本経済全体がやはり相対的にかつての勢いを失っている、こういう問題というのも影響もあると思います。
 日本の海事産業は、国内の荷主さんによる鉄鋼や石油などの依頼を受けて、日本の船会社が引き受けてそれを行うと、その船を日本の造船所で建造するという、そういうシステム、モデルというんですかね、そういうものを行ってきたと。かつては、日本の造船業は言わば安定した収入、受注というものが入ってくるというような仕組みができ上がっていたと思います。
 しかし、日本の経済成長が鈍化してくると、やはり少し事情が変わってくると。当然、日本発着の貨物量というのは相対的に減ってくるわけで、そこで、日本の船会社というのは、先ほどもありましたけど、第三国間の輸送の比率というのをやはり増やしていくというふうになるわけですね。そういう中で、やはり今までのそうしたモデルというのがだんだん壊れてきたというようなこともあるのではないかと思います。
 付け加えれば、この造船業に携わる人材という面もあると思います。かつて、世界的に高い水準の技術力や設計対応力というものがあったと思うんですけれども、これもやはり相対的に低下しているというふうに指摘されることもあります。実際に、かつての日本の造船業では考えられない納期の遅延といった事態も起きていると言われています。こうした危機的な状況の中で造船業の起死回生を図ろうというのが本改正案の目指すところだと思います。
 今回盛り込まれました予算、税制、財政投融資などの政策パッケージが実施されると、一割から二割程度とされる日本と韓国や中国との船価の差、これはどの程度縮小が見込めるのか、その政策効果についてお伺いしたいと思います。

#63
○政府参考人(大坪新一郎君) 我が国造船業が取り組むべき方向としては、世界最先端の技術力の磨き上げとともにコスト競争力の強化が重要であると考えています。本法案に基づき講じる予算、税制、財政投融資等の支援措置の活用によって、造船事業者の事業再編や生産性向上を強力に推進し、コスト面の競争力の強化を図ることとしておりまして、事業者によっては製造コストを約一割引き下げ得るものと想定しております。
 我が国造船業としては、このコストの引下げも当然必要なんですが、それに加えて、船の生涯にわたっての燃料コストの低さとか故障率の低さといった顧客にとってのライフサイクルバリューも追求していく必要があります。こういった顧客にとっての魅力は、日本の輸送、日本発着貨物向けの輸送だけではなく世界で勝負していく、世界の顧客を相手に船を売っていく上でも必要不可欠でありまして、そのための支援も今回の政策パッケージに含まれております。

#64
○竹内真二君 今、御答弁にありましたように、事業者によっては製造コストを約一割程度引き下げられるということも想定されているということですけれども、ここで渡辺副大臣にお伺いしますけれども、よろしくお願いします。
 今回のこの政策パッケージのスキームによって日本のこの造船業をどのように強化をされていくのか、副大臣の見解をよろしくお願いいたします。

#65
○副大臣(渡辺猛之君) 御質問いただき、ありがとうございます。
 我が国での建造船は、中韓に比べて船価が高い一方、燃費性能や実海域性能で優れているところであります。一般的に、船舶の発注においては、船価のみならず、建造船の品質を踏まえて総合的に判断されるものと考えております。
 一例ですが、台湾の海運会社ワンハイは、二〇一八年にJMUに発注し最近竣工した三千個積みコンテナ船の実海域性能が優れていたとのことで、本年一月、更に十二隻の同規模コンテナ船を同じくJMUに発注したことを発表いたしました。
 こうした我が国造船業の特徴も踏まえ、御質問いただきました今後取り組むべき競争力強化の方向性ですが、事業再編や生産性向上等の推進によるコスト競争力の強化に加えて、世界最先端の技術力の磨き上げにあると考えております。
 具体的には、将来の海運の課題であるゼロエミッション船や自動運航船の実用化等の重要技術の開発について、本法案に盛り込まれた事業基盤強化計画に基づき支援をしてまいります。
 さらに、国際海事機関、IMOにおける環境や安全に係る国際基準の策定をリードし、我が国の高い技術力が定量的に国際市場で評価される環境を整備することにより、我が国の技術力の優位性を確保してまいります。
 これら総合的な対策を通じて造船大国としての地位を堅持し、世界の成長を取り込み、発展を遂げることを目指し、取り組んでまいりたいと考えております。

#66
○竹内真二君 副大臣、ありがとうございます。
 生産性向上と技術力の磨き上げ、この二点を本当に両輪にして、是非取り組んでいただきたいと思います。
 もう一つ、競争力の強化ということで、これは要望にとどめますが、造船市場の公正な国際競争環境の確保ということもやはりしっかりと、先ほど来出ていますけれども、対応していただきたいと思います。
 特に、中韓両国の過度な造船業支援というのは是正が必要です。中国の支援というのは、先ほど海事局長からの答弁ありましたけれども、なかなか判然としない。一方、韓国では、経営難の造船会社に一兆円超もの公的支援を実施するなどして、競争環境がゆがめられています。日本が二〇一八年に世界貿易機関に提訴したのは当然でありまして、引き続き、この点についても政府の取組をよろしくお願い申し上げます。
 次に、船員の働き方改革についてお聞きします。
 内航貨物船の場合、一般的な船型であります船ですと、大体乗員の方というのは甲板部に三人、機関部に二人の計五人で乗船することが多いわけですけれども、船員の方々の仕事については、長期の連続乗船と特殊な勤務形態というものが指摘をされております。
 具体的に一年というスパンで見ますと、三か月間ずっと船に乗って一か月休むというのがよくある乗船パターンということでありまして、日々の勤務体制としても、深夜を含む当直を担当しなければならず、かなり大変な仕事となっています。当直以外にも、書類作りや貨物の積卸し、食事当番などの作業もあります。
 このため、内航船員の方々というのは、高齢化が深刻な状況が継続している中で、せっかく活発な取組の結果、先ほど大臣からもありましたように、新規の就労は若者も含めて増えてきているのですが、なかなか長続きをしないで離職をしてしまうケースが少なくないと。
 そこでお伺いしますが、この高齢化の進展と若者の定着が課題となっている内航船員について、人材を持続的に確保できる環境整備に向けてどのような対策を取られていこうとしているのか、お願いいたします。
 また、これは関連してお聞きしますが、新型コロナ禍での事業継続のために内航船事業者にどのような支援をしているのかもお聞きしたいと思います。

#67
○政府参考人(大坪新一郎君) 内航船員は、その四六%が五十歳以上となっておりますが、御指摘のとおり、近年では新規の就業者数が増加しまして、その結果、三十歳未満の割合は、平成二十二年度には一二・六%でしたが、令和元年度には一九・一%に増えています。このように若手の数は増えているんですが、若手船員の定着率が低下傾向であるということへの対策が喫緊であると認識しております。
 この若手船員の定着につきましては、内航船員の場合、船内という閉鎖空間で二十四時間少人数で労働と生活を繰り返すという特殊な労働環境にあることが影響しておりまして、若手船員の離職者に対するアンケート調査によれば、その理由は、長期間乗船、それから時間外労働の多さ、船内の人間関係などが離職の主な原因となっています。
 そこで、今般の法改正においては、各船員の労働時間などを一元的に把握して適切な労務管理を行う体制を構築の上、労働環境の改善を図るために、使用者側で労務管理責任者の選任を義務付けます。また、この労務管理責任者が船員、個々の船員からの労務相談に対応するほか、効率的に労働時間管理を行うシステムの開発などの取組も進めていくこととしています。
 また、内航事業者のコロナ禍における事業継続、それから雇用維持に向けては、雇用調整助成金や地方創生臨時交付金、政府系金融機関による資金繰り支援などの業界横断的な支援措置が政府全体で講じられておりまして、これらの措置が内航の事業者に活用されるように、地方運輸局における情報提供や事業者との個別相談を行っています。
 加えて、国内の旅客船事業につきましては、地域公共交通の機能確保のために措置された令和二年度第二次及び第三次補正予算を活用して、主として生活航路を運航する事業者に対し、その事業継続に対して支援を行っているところです。

#68
○竹内真二君 ありがとうございます。
 次に、海事分野におけるカーボンニュートラルの推進について質問いたします。
 政府は、二〇五〇年のカーボンニュートラルを掲げております。脱炭素社会の実現に向けた取組として洋上風力発電を積極的に推進していくべきと考えますが、洋上風力発電に関する本法案での政策的な位置付けについて説明をお願いいたします。
 また、本法案に盛り込まれております遠隔監視における船舶検査の簡素化というのは今後浮体式洋上風力発電施設にも適用されるべきと考えますが、国土交通省の見解をお伺いいたします。

#69
○政府参考人(大坪新一郎君) 洋上風力発電につきましては、国として、昨年十二月のグリーン成長戦略において再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札と位置付けられておりまして、国土交通省としても、洋上風力発電の導入拡大に向けて、関係省庁及び関係業界と連携して、積極的に取り組んでいるところです。
 洋上風力発電につきましては、我が国の造船事業者の高い技術力と知見を生かし、作業船の建造、それからモノパイル等の基礎構造物の鋼材加工、低コストで建造を運用できる浮体式洋上風車の開発などが可能と考えられるため、造船事業者にとっても新たな事業分野になり得ると考えております。
 本法案に盛り込まれました造船事業者などによる事業基盤強化計画の策定においては、洋上風力産業も含めて、新たな事業分野に取り組もうとする場合も対象としています。本計画を国土交通大臣が認定した場合には、関連の予算、税制、財政投融資を活用して、洋上風力などの新分野への進出のための必要な設備投資などの取組を支援可能となっております。
 また、本法案においては、遠隔監視により船舶の状態を監視して適切に整備が行われる場合に、船舶の検査を簡素化する制度を盛り込んでおりまして、これは、浮体式洋上風力発電施設についても適用可能と考えています。
 国土交通省では、現在、遠隔で浮体式洋上風力発電施設をモニタリングし、メンテナンスや検査を適切に行うためのガイドラインの作成に取り組んでいるところでありまして、今後、これらの成果を踏まえ、遠隔監視による検査の簡素化制度の適用に向けた検討を進め、洋上風力産業分野に取り組む事業者を制度面からも後押ししてまいりたいと考えております。

#70
○竹内真二君 今、ガイドラインも検討されて、適用に向けて進んでいかれるということですので、是非ともよろしくお願いいたします。
 次に、安全保障の面から質問いたします。
 本改正案では、造船法の法律の目的をより明確にしております。我が国の造船業に関して、「安定的な海上輸送の確保及び海洋の安全保障に貢献し、並びに地域の経済の活性化に寄与している」と明記されています。自衛隊の艦船や海上保安庁の船舶は、我が国の造船業によって建造や修繕をされており、まさに海洋の安全保障にこの高い技術力等を有する我が国の造船業がしっかりと貢献していると言っても過言ではないと思います。
 そこで、造船業の振興とともに尖閣諸島周辺海域等、我が国のこの周辺海域をめぐる情勢を直視すれば、海上保安庁の船舶について更に増強する必要があると思います。海上保安庁は、海上保安体制強化に関する方針に基づき船舶の整備を進めておりますが、船舶の体制強化を更に促進すべきではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。

#71
○政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。
 我が国周辺海域をめぐる情勢は、尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶による活動、あるいは日本海の大和堆周辺海域における外国漁船等による違法操業など、一層厳しさを増しております。
 こうした状況を踏まえ、海上保安庁では、平成二十八年十二月の関係閣僚会議において決定された海上保安体制強化に関する方針、これに基づき体制の強化を進めているところでございます。具体的には、巡視船等の整備について、これまでに大型巡視船十三隻、測量船二隻、大型練習船一隻の増強整備に着手しており、うち八隻が既に就役しています。なお、これらは全て国内造船所で建造しているところでございます。
 海上保安庁といたしましては、我が国の領土、領海を断固として守り抜くため、今後とも、海上保安体制強化に関する方針に基づく体制強化を着実に進め、領海警備に万全を期してまいります。

#72
○竹内真二君 是非よろしくお願いいたします。
 時間がなくなってまいりましたので、最後に赤羽大臣に質問いたします。
 我が国は、造船業、船舶工業、海運業に加え、研究機関や金融、商社などが密接に結び付いた海事クラスターというものを形成しております。このような多数の企業や関係機関が集積するようなフルセット型というのは、世界的にもまれだというふうにも伺いました。本改正案によって総合的な新たな支援策というものが講じられるわけですけれども、日本の造船業など海事産業が目指すべき方向性について、大臣の見解をお伺いいたします。

#73
○国務大臣(赤羽一嘉君) 今、竹内委員からのお話ございましたように、これまでは海事クラスターということで総合力を発揮しながら官民で海運業、造船業を支えてきたところでありますが、構造不況業種というか、中国、韓国の台頭の中で大変非常に厳しくなってきた。私の地元も、神戸も相当、三菱重工の造船がありましたので、その下に小さな造船の工場が三十年前ぐらいはたくさん選挙区の中にはありましたが、ほぼ、今は皆無になっている。
 私は、個人的にはその段階でもう造船業というのは我が国ではなかなか成り立たないのではないかというふうな認識もありましたが、実は大臣になりまして、今治造船の丸亀の工場だったと思いますが、足を運んで視察させてもらいまして、そうした認識を一掃をいたしました。それだけ製造業の中で、中国、韓国のこうした台頭と伍して、今世界の三本指で戦っている企業があったんだと。私は、今治造船というのは名前は知っていましたけど、想像を超えるスケールででして、大変、地域だけではなくて国内の青年の人材が今治造船で働くことを目指しながらしているし、技術力も、本当にAIですとか様々な試みもしながら、かつ巧みで、本当にスキルの部分も持っているということで、こうした意味では、客観的な海運業、造船業の重要性というのは先ほどるる答弁させていただきましたが、こうしたことは、やはり今回の法案を提出させていただきながら、いま一度、国が腰を定めて、官民力を合わせながら第二の海事クラスターというものを目指しながら、しっかりとかつての輝いた日々を取り戻す、また世界をリードできるような業界にしていかなければいけないと、こう考えております。

#74
○竹内真二君 大臣から力強い答弁をいただきましたので、是非引き続きのリーダーシップをよろしくお願い申し上げます。
 終わります。

#75
○室井邦彦君 維新の室井邦彦です。
 最初の質問は、海事産業の競争力の強化について、各、るる先生方御質問されておられますけれども、重複いたすところが多くあろうかと思いますけれども、御理解のほどお願いを申し上げておきたいと思います。
 まず、我が国の造船、海運分野において、我が国の新造船建造量の世界シェアは、先ほど来出ておりますけれども、中国、韓国に次いで第三位の二二%となっております。外航海運、また世界の海上荷動き量が前年度比二・六%であるのに対し、我が国の海上貿易量は前年度比一・四%減という状況であります。内航海運は、船舶と船員の二つの高齢化の構造的問題を抱えておる状況であります。
 海事産業の基盤強化に向けた対策が急務になっておるわけでありますが、貿易貨物として多くの物が世界中を行き来する中、外航海運が輸送する物量の七割から八割が資源輸送であります。電気製品、食料品、機械類、自動車、衣類等の製品輸送の場合は、資源の輸送とはまた違い、貨物の出発点から利用者の受取地に至るまで、単に海上輸送業者だけではなく、実に様々な関係者が関わりながら輸送をつくり上げ、サプライチェーンを構成、形成しているわけであります。
 全体の最適化に注意を向けて対策を講じていく必要があるわけでありますが、ことわざで、物流を制する者、世界を制する、物流を制する者が市場を制すると。この競争力強化に通ずると理解をしておりますが、海事産業のこの競争力の強化に対する赤羽大臣のまず御所見をお伺いをしたいと思います。

#76
○国務大臣(赤羽一嘉君) まず、海事産業の競争力強化というのは、まさに今、室井委員がおっしゃられていただきましたように、サプライチェーンそのものという、何というか、広い考え方で総合的に取り組んでいかなければいけないと思いますが、現実的には、日本各地域で製造したものを輸出する際に、本来であれば、神戸港でその荷物を集荷して外に、北米航路、欧米航路に出すということをこれまでしてきたことが、特に阪神・淡路大震災ということが契機となったという部分もかなり大きいんですが、それが随分釜山港に取られているというのが現実であります。
 これは私なんかも歯がゆくて、何でわざわざ釜山まで持っていかなければいけないのかと。それだけ釜山でトランシップした方が経済的なコストが、メリットがあるということなのかもしれませんが、まさにサプライチェーンそのものを、私は、いざというときのリスク対応とか、先ほど竹内委員からの話もあって、ちょっと答弁落としてしまいましたが、安全保障の面ということも含めて、この海事産業、造船業と海運業をうまく車の両輪として支えていかなければいけませんし、荷主の皆様にもそうしたことを御理解いただきながら、やはりオールジャパンの底上げということで、しっかりとそうした視点で、国交省の所管だけではなくて、産業界にも御理解をいただきながら力を付けていかなければいけないというふうに認識をしておるところでございます。

#77
○室井邦彦君 ありがとうございます。ひとつよろしくお力添えをお願いを申し上げる次第であります。
 続いて、技術力の開発、造船業の再生はこの言葉に尽きるという思いでございますけれども、これについて質問をさせていただきます。
 中国、韓国においては大手造船所同士が統合、買収により巨大化が進んでいっておるわけでありますが、我が国においてもこの業界編成が進みつつありますが、今後の国際競争に打ち勝っていくためには、今まで以上にスケールメリットを追求し人材集約を促進していく必要があると、このように感じております。
 これまで我が国造船業は、総合重工系の大手造船企業が業界を牽引してまいりました。事業規模の縮小という業界の構造変化に伴い、世界的に高い水準を誇ってきた技術力、顧客ニーズに応じた設計対応力が相対的に低下しつつあると指摘を受けているところでありますが、我が国の持つ技術開発力の強みを生かし、事業基盤を強化することが鍵を握ると考えますが、国土交通省として造船業の再生にいかにどう取り組んでいくのか、お聞きをしたいと思います。

#78
○政府参考人(大坪新一郎君) 我が国造船業においては、技術開発力という点では、従業員数に対する技術者の割合という面を全体で見ると韓国に負けているわけではないのですが、一方、中韓に比べて一事業所当たりの規模が小さくて、開発、設計を担う技術者が各社に分散しているという特徴がありまして、各社ごとの生産規模や、それから顧客ニーズに応じた設計の対応能力、各社ごとの設計対応能力に課題があります。このため、複数の造船事業者における協業や連携、統合等を推進して、我が国造船業の事業基盤の強化に取り組むことが重要であると考えています。
 実際、我が国造船業界においては、事業者間において今後の生き残りを懸けた事業再編の動きが活発化しています。例えば、三井E&S造船と常石造船では、本年十月に資本提携を行い、商船事業について両社の持つそれぞれの強みを生かすことで設計開発力やコスト競争力の強化に取り組んでいくこととしています。
 国土交通省としては、このような事業再編などの取組を支援していくために、本法案に基づいて造船事業者等が作成する事業基盤強化計画の認定制度を創設し、予算、税制、財政投融資等の支援措置を通じて事業者の取組を後押しして、我が国造船業の基盤強化に取り組んでまいります。

#79
○室井邦彦君 この日本の造船の技術力というのは、もう御承知のとおり、最初のきっかけはペリーが日本の国に渡来したと、このことから日本の造船業がきっかけになったということを聞いております。その間に、本当に日本の技術力というのは、造船業、驚くものがあり、八十年ほど前、八十一年前にはもう戦艦大和という巨大な造船を、自力で建造しておったという、武蔵、大和と古い話でありますけれども、もう八十年ほど前にそれだけの技術力と力があったと。
 戦争という異常事態が、環境がそうしたのかも分かりませんが、それだけの技術力を持った日本の国であります。私は本当に誇りに思っておりますし、こういう技術力は、まあいろんな事情があるでしょうけれども、韓国や日本に負け、ああ、日本じゃない、韓国とか中国に随分、大臣もおっしゃいましたけれども、歯がゆい思いがあるんです。
 ひとつこれも、当初はイギリスが、造船世界一を誇っていたイギリスから、日本の国が英国を抜いて世界一になったというのが一九五六年、昭和三十一年と聞いております。そういう数字だけ考えれば、もう下降線を行っているという、そういうことになるわけでありますけれども、単純な考えで申し上げましたけれども、ひとつ是非誇りを持って、自信を持ってこれから進めていっていただきたい、このことをお願いをいたしておきます。
 今度、世界経済の変化に対した外航の海運の政策の進め方についてお聞きをしたいと思いますが、資源を持たない日本の国、我が国は、国民生活を維持していくために必要とされる重要な資源、エネルギーの供給の大半を御承知のとおり輸入に頼っておるわけであります。海外の通商活動に経済活動の基盤を置く貿易立国の姿と理解をしております。
 我が国の経済成長率よりも高い水準で世界の海上輸送量が拡大傾向にある、また、その世界の成長を取り込む牽引車として我が国の外航海運が再生を果たしていくことが、強く我々が感じておる、望んでいるところでありますが、この新型コロナウイルス感染症拡大の収束が見通せず、世界の不透明感を強く感じておる中で、他方で、デジタル化の世界的潮流が社会経済に改革を、変革をもたらすと予測されておりますが、経済の著しい変化に対応した外航海運政策を打ち立てていくためには、PDCAサイクルを確保し、業界構造の転換を図ることが特に重要であると、このように考えるところでありますが、目まぐるしく変化する経済に対応する外航海運の政策の進め方のポイントについての御見解をお聞かせをいただきたいと思います。

#80
○政府参考人(大坪新一郎君) 我が国外航海運事業者は世界有数の船隊規模を有しておりまして、コンテナ、それから原油、LNGなどのエネルギー、穀物や鉄鉱石などのばら積み貨物など様々な貨物の輸送を総合的に行っておりますので、世界経済変動の影響は相対的に受けにくいような経営戦略を講じていると承知しています。
 しかしながら、外航海運業は世界単一市場で厳しい競争にさらされておりまして、三国間輸送、日本の発着貨物と関係ないところでの輸送を重視せざるを得なくなっています。この中で、我が国の事業者は、船舶の大型化やコンテナ船部門の統合などの取組を行ってきました。また、省エネ船やガス燃料船の導入によって、環境性能の向上等による競争力強化を図ってきました。これらに関連する技術開発や実証において、国土交通省は、関係省庁と連携して支援を行ってきています。また、我が国の外航海運事業者が安定的に船舶投資を行えるように、トン数標準税制や特別償却制度などの税制の特例措置を講じているところです。
 今後は、デジタル技術を活用した遠隔監視支援システムの開発、導入など安全性向上と効率運航のための更なる取組を支援するとともに、水素やアンモニア燃料の活用を含めたゼロエミッション船の段階的導入に向けて、関係省庁との連携の下、グリーンイノベーション基金の活用の検討を進めているところです。
 本法案による支援措置も活用して、高性能な船舶というハード面と、デジタル技術を駆使した安全、効率運航というソフト面の双方で日本の外航海運がその強みを最大限発揮できるように努めてまいります。

#81
○室井邦彦君 時間が来ましたのでこれで終わらせていただきますけれども、局長には、造船・舶用工業の分野における産学官の連携した人材育成についてというお尋ねをしたかったのでありますけれども、また次の機会にでもいろいろと御指導いただければ有り難いなと思います。
 これで終わります。

#82
○委員長(江崎孝君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会

#83
○委員長(江崎孝君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#84
○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。午後からもよろしくお願いします。
 法案に賛成の立場で質問させていただきますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 まず、造船業について赤羽大臣に御所見を伺いたいと思いますけれども、造船業については、まさに地方経済を支える産業としてしっかり守っていくというこの観点も非常に重要ですし、あわせて、先ほど来委員の先生方からも御指摘ありましたけれども、やっぱり安全保障の面でも日本の造船業というのはしっかり国際競争力を強化していくというのが非常に重要だというふうに考えております。
 そこで、大臣の御所見として、造船業の重要性、必要性についてどのような御所見を持たれているのか、この点に関して冒頭お伺いしたいと思います。

#85
○国務大臣(赤羽一嘉君) 我が国造船業は、良質な船舶の安定供給によりまして、我が国の経済活動と国民生活を支える上で不可欠な産業であります。また、私の私論かもしれませんが、国において製造業がしっかりと力を維持し続けるというのは大変国の在り方としても大事だというふうに考えております。また、今御指摘の安全保障の観点におきましても、我が国造船業は、我が国の艦船ですとか巡視船の全てを建造、また修繕をしておりますので、我が国の安全保障という観点からも社会基盤である、欠かせない社会基盤であるというふうに認識をしておるところでございます。そうした観点から、本法案におきまして、造船法の目的規定において、造船業が海洋の安全保障に貢献している旨を明記するということにさせていただいております。
 また、我が国造船業が引き続き我が国の安全保障上の重要な役割を果たしていくために、艦艇、官公庁の、官公庁船の建造基礎、基盤を強化するだけではなくて、やはり建造需要の多くを占める商船の分野においても国際競争力を強化することは重要だということでございます。
 これは、午前中、局長からの答弁もあったかと思いますが、三井E&S造船におきましては、艦船、官公庁船事業を三菱重工業に本年十月に譲り渡しまして、また、両者の技術、人材を生かしながら我が国の安全保障への一層の貢献を図っていく一方で、商船事業につきましても、本年十月に常石造船と資本提携の上、三井の技術力を生かしながら事業基盤の強化を図ると、こうした民間事業者同士の動きも活発化しておるところでございます。
 国交省は、この本法案におきまして、これも先ほどからも御答弁させていただいておりますが、事業基盤強化計画認定制度と、これと一体となりました予算、税制、財政、財投等の活用によりまして事業者間の協議等の取組を強力に後押しをするとともに、官民連携の強化によりまして官公庁船分野の海外展開も視野に入れて推進をしていきたいと、こう考えておるところでございます。あわせて、本法案では、海運事業者に対しましても、高性能の商船の発注喚起をするための特定船舶の導入計画の認定制度も創設をすることとしておりますので、これも、まさに海運と造船、一体となった支援をしっかりと行ってまいりたいと、こう考えておるところでございます。

#86
○浜口誠君 ありがとうございます。
 大臣が、造船業並びに海運業に対しても非常にやはり強い問題意識を持って取り組んでいただいているというところはしっかりと認識をさせていただきました。ありがとうございます。
 その安全保障の観点から、先ほど大臣の方からも少し御答弁にありましたけれども、防衛省の自衛隊と海上保安庁の艦船であったり巡視艇等の船舶について、日本の造船会社で建造、修繕しているという今の実態だということですけれども、今後についてもその調達方針を維持していただきたいと、しっかり日本の造船会社で国の安全保障に関わる船舶については対応していただきたいというふうに思っておりますので、現状と今後の調達方針含めて、防衛省と海上保安庁から御答弁いただきたいと思います。

#87
○政府参考人(萬浪学君) お答え申し上げます。まず、自衛隊につきましてお答え申し上げます。
 海上自衛隊の現状でございますけど、海上自衛隊が保有する主要な艦艇、護衛艦でございますとか潜水艦でございますけど、これらにつきましては、これまで全て国内の造船所において建造いたしております。
 今後の話でございますけど、防衛省としましては、調達の透明性、公正性の確保に留意しつつではございますけど、艦艇の特性を踏まえて適宜適切な調達の実施に努めてまいりたいと考えておりまして、そういう意味で、国内造船所の皆様には引き続き御協力いただきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

#88
○政府参考人(奥島高弘君) お答えいたします。
 海上保安庁が所有をいたします巡視船艇等、これにつきましては、造船会社の技術力などを確認した上で造船契約を結んでおり、これまで全て国内の造船所において建造をされております。
 今後につきましても同様の方針で建造を進めてまいるというつもりでおります。

#89
○浜口誠君 ありがとうございます。
 是非、自衛隊も海上保安庁も国内の造船会社への対応ということで、しっかり安全保障に資する対応をこれからも継続していただきたいというふうに思います。
 では、続きまして、海上運送法に関連してお伺いしたいと思います。
 まず最初に、渡辺副大臣の方にお伺いしたいと思いますが、今回、改正法の第七章におきまして特定船舶の導入促進を図るという部分がかなり織り込まれております。特定船舶の導入促進、非常に重要だというふうに私も思っておりますけれども、今回、この特定船舶を促進を図っていく、導入を進めていく、この狙いと意義についてまずはお伺いしたいと思います。

#90
○副大臣(渡辺猛之君) お答え申し上げます。
 四方を海に囲まれた我が国において、海上輸送は貿易量の九九・六%を担っており、日本発着貨物の六三・一%を輸送する我が国外航海運業は、経済活動や国民生活を支える基盤として極めて重要だと考えております。外航海運は現在も世界単一市場において熾烈な競争にさらされており、我が国の安定的な国際海上輸送の確保を図っていくためには、先ほど委員からも御指摘をいただきましたように、我が国の外航海運事業者の一層の国際競争力の強化を図ることが必要と考えているところでございます。
 こうした観点から、本法案におきましては、外航海運事業者等による特定船舶導入計画の認定制度を創設し、生産性向上等に取り組む造船所において建造され、安全、環境性能等の一定の性能を有した高品質な船舶の導入に対し金融、税制面等の支援措置を講じることとしております。
 こうした取組を通じまして特定船舶の導入を促進することで、我が国外航海運事業者の国際競争力の更なる強化を図るとともに、同時に、厳しい経営環境に置かれている造船業における建造需要の喚起にもつなげてまいりたいと考えております。

#91
○浜口誠君 ありがとうございました。
 そこでお伺いしたいんですけれども、日本の海運事業者の方がここ数年、新造船建造されていると思いますけれども、どれぐらいの規模の新造船を日本の海運業者の方が発注、造船しておられるのか、その実態と、その中で日本の造船会社で建造している割合どれぐらいになっているのか、直近の動向についてお聞かせいただきたいと思います。

#92
○政府参考人(大坪新一郎君) 我が国の外航の海運事業者は、近年、これは二〇一六年から二〇二〇年ですが、年間で四百隻程度の外航船舶を建造しておりまして、このうち八割程度が我が国造船会社で建造されております。
 また、我が国の内航の海運事業者ですが、近年、これは二〇一五年から一九年のデータですが、年間七十隻から九十隻程度の内航貨物船を建造しておりまして、その全てが我が国造船会社で建造されております。

#93
○浜口誠君 分かりました。ありがとうございます。
 今回、新たに特定船舶の導入計画認定制度というのが創設されます。これ、実際計画を作るのは、海運事業者の方が計画を作るということになると思いますけれども、国として何らかの計画策定への支援というのを行っていくのかどうかという点と、先ほど来議論がありますけれども、この導入計画の認定がなされた場合、国として支援策、具体的にどのような支援策をもって海運事業者の方の支援を行っていくのか。この二点についてお伺いしたいと思います。

#94
○政府参考人(大坪新一郎君) 本法案においては、海運事業者等が特定船舶を導入する計画を作り、それを国土交通大臣が認定する仕組みを創設しております。
 国土交通省としては、海運事業者等が導入を検討している船舶の仕様がこの特定船舶に該当するかどうかといった必要な助言を行うなど、計画の作成を積極的にサポートしてまいりたいと考えています。
 また、認定した計画に基づき海運事業者が特定船舶を導入する場合は、まず外航船舶に対しては、日本政策金融公庫を活用した長期低利融資や日本籍船に係る固定資産税の軽減措置の拡充、内航の船舶に対しては、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の船舶共有建造制度における共有分担率の引上げ及び利率の引下げなどを講じることとしております。
 こうした取組を通じ、海運事業者による特定船舶の導入を促進してまいります。

#95
○浜口誠君 ありがとうございます。
 是非、特定船舶の導入促進、国がしっかり支援することによってより一層進むことに期待をしたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 では、続きまして、船員の皆さんの働き方という観点で御質問したいと思います。
 日本の海上輸送、貿易量の九九・六%は海上輸送だというふうに言われていますし、また、国内の輸送においても四七・三%は内航の物流で賄われておるというのが実態です。
 こうした状況なんですけれども、船員の皆さんの年齢構成は、先ほど来委員の先生からもありましたけれども、五十歳以上の船員の方はもう四六%、約ですね、約半数という状況ですし、女性の船員の方は約二・六%しかいらっしゃらないと、こういう実態です。ただ、この海上輸送を支えていただいているのはまさに船員の皆さんです。船員の皆さんをしっかりと、働き方の面でも労働条件の面でも支援していくということは大変重要だというふうに思っております。
 そこで、現状の船員の皆さんの総労働時間の実態、あと年間の休日数、さらには有給休暇の取得日数、処遇水準、こういったものの現状どうなっているのかという点と、あと、やっぱり人材確保に向けてはこの労働条件を改善していく、船員の皆さんの労働条件を改善していくということは非常に重要な観点になってくるというふうに思っておりますので、その点についての国土交通省としての考え方をお聞かせいただきたいというふうに思います。

#96
○政府参考人(大坪新一郎君) 内航船員の労働条件につきましては、二〇二〇年六月の船員労働統計調査によれば、それぞれ平均で、総労働時間数は年間二千五十四・八時間、実際に取得した休日数は年間九十五・四日、有給休暇取得日数は年間十六・五日、臨時的に支給された報酬等を除いた月の報酬は四十七万三千九百九十六円となっています。
 陸との比較ですが、同じ時期の陸上労働者の労働条件等について、厚生労働省の各種統計調査によれば、総労働時間数は全産業では年間千九百七十六・六時間、運輸業、郵便業では年間二千百八十二・五時間、就業規則等で設定された休日数は年間百十六日、年次有給休暇の取得日数は年間十・一日、これ、一部の臨時手当を、臨時的な手当を含んだ、ただし賞与等を除いた月の給与額は三十三万六百円となっています。
 内航船員の場合は、おおむね三か月の乗船、それから一か月の休暇を繰り返す労働形態にありますので、その三か月の乗船期間中で比較しますと、その期間中の一か月の総労働時間は陸上労働者に比べて長い傾向にはありますが、年間を通して比較すれば、休暇が確保されて、年間総労働時間は全産業の平均よりは多いものの、運輸業、郵便業に比べれば少なくなっています。一方、内航船員の給与は、陸上労働者一般に比べて平均的にはおおむね三割程度高くなっている状況にあります。
 船員に関する人材確保については、二十四時間、労働と生活が一体となった船舶という特殊な労働環境の特性を踏まえまして、船員の働き方改革を進め、人材を持続的に確保できる環境を整備し、内航船員という職業をより魅力ある職業へと変えていくことが重要と考えております。

#97
○浜口誠君 ありがとうございます。
 労働条件の実態について御報告いただきまして、ありがとうございます。
 今後、やっぱり海運事業を維持継続させていくためには、やはりこの海運業を支える船員の皆さんを増やしていく、とりわけ若手船員の皆さんの定着を図っていくことが大変重要な取組になるというふうに思っております。
 先ほども、ほかの先生方の議論の中でも、若手船員、三十歳未満の若手船員の方はこの十年で一二%ぐらいから一九%ぐらいまで増えてきているんですね。さらに、新規の就業者の方についても、船員の新規就業者の方についても、十年前と比べると、十年前は年間で五百十四人ぐらいだったのが、今は九百六十二名ぐらいまで、約二倍近くこの十年間で増えてきているということなんですけれども。
 じゃ、この新規就業者数が増えてきているその背景として何があるのかということと、一方で、若手の三十歳未満の方は、増えてはいるんだけれども定着率は、従来は八五%ぐらいの定着率だったのが七九%まで減ってきているんですね。この定着率が下がってきている要因をどのように分析されているのか、この二点についてお伺いします。

#98
○政府参考人(大坪新一郎君) 委員の御指摘のようなこの増加の理由、内航船員の若者、若年層の増加の理由については、内航業界による積極的な若手船員の採用活動はもちろんのこと、従前より国としても業界との連携により新人船員の増加に向けた取組を進めてきているということも挙げられます。
 具体的には、一般の高校の卒業生を対象として海運事業者が連携して行っている短期の人材育成プログラムに対して支援を行っています。また、水産高校の学生を対象としたインターンシップの積極的な実施も行っておりまして、また、若手船員を計画的に雇用、育成する事業者に対する支援などにも取り組んでいます。
 一方で、御指摘のとおり、その若手船員の定着率が低下傾向にあります。この傾向については、やはり内航船員は船内という閉鎖空間で二十四時間、少人数、一般的な貨物船、一番数の多い貨物船では五人から六人程度ですが、少人数で労働と生活を繰り返すという特殊な環境であるということが影響しておりまして、若手船員の離職者に対するアンケート調査によれば、長時間乗船、長期間乗船、時間外労働の多さ、それから船内の人間関係等が離職の主な原因となっております。

#99
○浜口誠君 ありがとうございます。
 先ほど長時間乗船ですとか船内の人間関係とかでなかなか定着しないというようなアンケート結果もあるという御報告がありましたけれども、やはり、今後この若手の船員の方の定着率をどう上げていくかというのは、これ業界全体として取り組まなきゃいけない大きなテーマだというふうに思っております。
 今回の法改正の中では、労務管理の適正化を始めとする働き方改革を進めていくための内容が法改正の中にも織り込まれているというふうには認識はしておりますけれども、今後、このとりわけ若手の船員の方の定着率を上げていくための取組として、具体的にどのような対応を行っていくのか、国交省としての考え方をお伺いしたいと思います。

#100
○政府参考人(大坪新一郎君) 船員の定着率の向上を図るためには、労務管理を適切に行って、各船員の状況に応じたきめ細やかな対応を行っていく必要があります。
 そこで、本法案においては、各船員の労働時間などを一元的に把握して適切な労務管理を行う体制を構築の上、労働環境の改善を図るために、使用者側、陸側にいる使用者側で労務管理責任者の選任を義務付けることとしておりまして、その労務管理責任者は各船員からの労務相談に対応することとしております。
 また、効率的な労働時間管理システムということで、船の側から労働時間等のデータを陸にいる労務管理責任者に的確に送って情報をシェアできるような、そういうシステムの開発などの取組も進めていくこととしています。
 また、その労務管理の適正化の実効性を確保する観点からは、船員の労働時間は船舶の運航スケジュールに左右されますので、内航海運業者において船員の労働時間を考慮して運航計画を作成するということを義務付けることとしております。
 これらの取組を総合的に講じて、船員の労働環境改善を図り、若手船員の定着を図ってまいりたいと考えております。

#101
○浜口誠君 ありがとうございます。
 是非、本当に、若手船員の方の定着率、これからの海運事業を安定的に、そして継続させていくために非常に重要な取組だというふうに思っておりますので、引き続き業界挙げて取り組んでいただくことを要請をして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

#102
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。よろしくお願いいたします。
 船員の働き方に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 今回の法案は、過酷な労働実態にある船員の働き方を改革しようということが大きな柱の一つになっております。働き方を改善するには、実態をリアルに把握することが前提だというふうに考えます。船員の労働実態を把握するためには様々なやり方があると思いますけれども、やはり国としては、船員法などの法律に基づいて違法行為がなされていないかどうか監査をしていくということは当然重要になってくるというふうに思っております。
 そこで、まず、大坪海事局長に伺いますけれども、運航労務監理官による直近一年間の監査件数と処分件数について教えていただけますでしょうか。

#103
○政府参考人(大坪新一郎君) 国土交通省では、船員の労働条件、労働環境の適正な確保、航海の安全確保などを図るために、全国に配置された運航労務監理官が訪船して監査を実施し、船員法など関係法令に違反した船舶所有者に対して処分を行っております。
 令和二年度の運航労務監理官による監査は、船員の労務監査が三千二百六十二件、運航管理監査が千九百十九件の合計五千百八十一件が実施されております。このうち、船員労務監査の結果に基づく処分ですが、戒告が百十件、勧告が五十四件の合計百六十四件となっております。

#104
○武田良介君 今御答弁いただきました内容について、資料に付けました。監査件数については、今、令和二年の答弁いただきましたけれども、平成二十六年度から直近七年間の推移を資料一にしました。それから、処分件数について、直近五年間の推移を資料二に、国交省に提供いただいたとおり、そのまま示させていただきました。
 監査には二つあるわけですが、今御答弁にもありましたように、船員労務監査、これは船員法に基づいて行われる労働時間ですとか休日あるいは給与、こういった労働条件に関する監査。一方、運航管理監査、これは海上運送法だとか内航海運業法に基づいて行われる、言ってみれば、安全確保に関するその事業者の責任体制を監査するものだというふうに理解しておりますけれども、資料二の処分ですけれども、これ、ピンクのグラフ、船員労務監査、これによって明らかになった違反事例に対する戒告、勧告ということであります。
 これ、資料二ですけれども、左の方にずっと並んでいるそれぞれの項目、これは船員法の章立てに該当するものだということで御説明を受けました。例えば、上から四段目ですけれども、労働時間、休日及び定員、これは船員法の第六章に該当するんだと。これ、六章は、第六十条第一項で、船員の一日当たりの労働時間は八時間以内とするというふうに規定をしておりますし、第二項で、船員の一週間当たりの労働時間は、基準労働期間について平均四十時間以内とするというふうにしております。休日については、六十一条で、船舶所有者は、船員に与えるべき休日は、前条第二項の基準労働期間について一週間当たり一日以上とすると規定をしている。六十二条では、休日を与えられない場合の補償休日についても規定をしているという、こういうことになっているということを紹介しておきたいと思うんです。
 先ほど御答弁いただいた監査件数と処分件数についてですけれども、これまでこれらの数字は公表されてきませんでした。これまで公表されてきたのは、四半期ごとに、船員法などの関係法令に違反したその累計ポイントが百二十ポイントを上回った、そういう船舶所有者、これはその船舶所有者の名前を公表するということはやられてきましたけれども、全体としてどれだけ監査がされて、どれだけ違反があって、どんな違反だったのか、こういうのは明らかにされてこなかったわけですね。少なくとも、監査件数、処分件数ぐらい公表すべきではないかというふうに思いますけれども、局長、いかがでしょうか。

#105
○政府参考人(大坪新一郎君) これまで、監査結果の公表については、災害等の防止、法令の遵守、航海の安全の確保等を怠ることへの警鐘として、船員法等関係法令に違反し、一定の処分基準を超えた場合のみ、船舶所有者名、処分の理由、処分内容について四半期ごとに公表しております。
 今般の船員法改正を含めて、関係法令を遵守しない事業者が出ないように、今後も運航労務監理官による監査を着実に実施していくこととしておりますが、委員御指摘の監査件数、それから処分件数の公表については、どのような形で行うことが可能かについて今後検討してまいりたいと思います。
 留意すべき点としては、海運事業者の場合、陸上に比べて非常に数が少なく、事業者名を非公表としても、この件数、場合によってはこの件数の少ない件数だけ見れば、どの処分、どの事業者が処分を受けたかということが特定されてしまう可能性もあるという、そういう業界の特性もあります。そのようなことも踏まえて今後検討してまいりたいと考えております。

#106
○武田良介君 そもそも法令違反なんですよね。ですから、それは許さないという立場で対応することがどうしても必要になってくるだろうというふうに思いますし、今日、国交省に提出いただいて資料にさせていただきましたこういう数字も、これまで公表されてきませんでした。今、答弁ではこれからどういう形でできるか検討するということでありましたけれども、これも初めてのことになると思います。是非しっかり検討いただいて、件数だとか、この処分と監査の件数ですね、これぐらい明らかにするというのは是非できると思いますので、重ねてお願いをしたいというふうに思います。
 これ、船員の方々からは、処分件数が少な過ぎるんじゃないかという声が出ているんですね。船員の労働実態はもっと過酷で、処分されるような事案というのはたくさんあるんじゃないかという、今の数字が必ずしも実態を反映していないんじゃないかという、そういう指摘なんですね。
 そこで、監査の実態について確認をさせていただきたいと思うんですが、現在行っている監査というのは、その日に寄港する船舶を入港通報によって把握をして、何月何日の何時から何時までどの港に入港、停泊するかということが記載されているので、それで監査に入る時間的余裕がある船舶に対して実施をしているというふうに説明を受けました。監査の内容も、その事業の支障とならないように、一定時間を区切って、時には船員労務監査も省略をして行われるというふうに説明を受けました。
 これ、実態としてそういうことで間違いないでしょうか。

#107
○政府参考人(大坪新一郎君) 船舶の入出港の情報等に基づいて監査を決めているのは事実です。
 ただ、その際に、過去の監査履歴や処分の有無などを勘案して監査対象船舶を選定して船舶へ立ち入り、船員への聞き取り、法定書類の確認等を行っています。また、船内への立入検査の結果、必要があると認めた場合には陸上の事業場へも立ち入り、関係法令の遵守状況を確認しているところであります。

#108
○武田良介君 ちょっとお答えいただいていないように思うんですが、私が事前に説明を聞いたときには、例えば二時間とか三時間、その船に対して訪船して監査をすると。その際に、船内の施設なども確認をしなければならないから、二時間、三時間、全て、その労働時間、帳簿がちゃんと付いているかどうかとかですね、そういったことを監査することだけに充てるわけにはいかないんだと。だから、場合によっては簡略して、あるいは省略して省いてやることもあるんだというふうに説明を受けていますよ。そういうことでよろしいですか。

#109
○政府参考人(大坪新一郎君) 全ての法令に向けて全部の項目を、全て船内の備品から船員に関する記録簿の全てを見ているかということについては、時間の制約があるというふうに理解しております。
 ただ、実際に立ち入ったときには、労働時間及び休日の数の状況、船内における安全管理、衛生管理の状況、医薬品、衛生用品の備蓄状況などを確認しているということでございます。時間的制約があるということは事実だと思います。

#110
○武田良介君 法改正の前にこういう監査の実態、これまでどういう監査やってきたのかということも含めて明らかにしなければならないという問題意識で質問させていただいておりますし、こうした監査でどれだけ法令違反が摘発できたのか、ここが問題になってくるというふうに思います。
 交通政策審議会の船員部会が二〇一九年四月二十六日の会議で配付した資料、これ三に付けましたけれども、内航の業務実態調査の概要というのがあります。これは二〇一七年七月から九月までの間でありまして、対象の隻数が、貨物船が十七隻、タンカー二十四隻、対象の船員数も二百八十七人、八千八百九十七人日分の労働時間を集計したものということであります。
 この結果見ますと、資料の左下の方ですけれども、一日の総労働時間が十四時間を超えた船員が発生した船舶、その割合が貨物では三五・三、タンカーでは六六・七%というふうになっております。資料の二の処分件数から見ると、実態に開きがあるのかなというふうに思うわけですが、もちろん、これ一概に比べることはできないということは私も思っております。思っておりますけれども、実態として、現場を知る方の声としては、資料三にあるような、こっちの方が現実に近いんじゃないかというふうにおっしゃっているわけです。これまでの監査は十分だったのか、本当にそうなのかということを私ちょっと考えなければならないというふうに思うんですね。
 ここまでの議論も踏まえて、大臣に伺いたいと思うんですけれども、監査の重要性、当然重要だと思うんですが、その御認識と、また、今後こういった監査の実態を見直していく、そのお考えについてお答えいただきたいというふうに思います。

#111
○国務大臣(赤羽一嘉君) この監査自体が実態と乖離するんであれば、何のために監査をしているか分からないという話になりますから、そうしたことも踏まえて、本法案では、船長に任せ切りの体制を改めて、記録簿の作成、保存を陸上にいる使用者の義務として労務管理者の責任者を選任すると、そして適切な労務管理を行う仕組みを構築するということに、そうした法案の内容でお願いをしているところでございます。
 ちょっと細かいことでありますけれども、運航労務監理官の行う監査につきましては、これまでは実際に船舶を訪問しなければ記録簿を確認できませんでしたけれども、今後は陸上の事務所に立入り監査を行い、効率的な確認や指導を行うことが可能となりますが、それだけでは終わらず、そういうことが可能になりますが、船も訪問しながら、現場の状況と船員さんの特に生の声を直接に把握することも重要でありますので、しっかりとした正しい監査がして、究極的にはやはり船員の皆さんの働き方改革に資するように取り組んでいかなければいけないというふうに認識をしております。

#112
○武田良介君 今回の法改正でも、陸に労務管理責任者を置くというふうになっている。私やっぱり気になるのは、その詳細、労働実態をどう把握していくのかというのはこれから省令でということになるんですね。やっぱりそれがどれだけ実態を把握するものになっていくのか、こういった問題意識がありますから今日は指摘をさせていただきましたし、先ほども話がありましたように、現場の船員がもっと法令違反あるんじゃないかというふうに言っている。仮にそうだとすれば、船員の不足ですとかあるいは定着しないという課題もなかなか解決していかないということになりますから、この省令の中身も含めてしっかり見なければならないということを重ねて指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 最後、ちょっと時間がないんですが、この船員法を始めとした労働者として身に付けておくべき基礎知識の普及啓発ということについて質問させていただきたい。
 厚生労働省に来ていただきました。「知って役立つ労働法」というハンドブックを作成していただいておりますけれども、この作成することとなった経緯、またその活用の実績、どうなっているのか御説明をいただきたいと思います。

#113
○政府参考人(村山誠君) お答え申し上げます。
 御指摘のハンドブックは、平成二十一年に学識経験者や労使の実務者を参集して開催した研究会の報告書におきまして、労働関係法令を知ることは労使双方にとって不可欠であり、分かりやすさを最優先にしたハンドブック等を作成、配布するといった取組を強化すべきという御提言がなされたことを受けて、平成二十二年に作成後、労働法の改正状況を踏まえ、逐次改訂しているものでございます。また、御指摘のハンドブックの内容を就職を控えた学生や生徒の皆さんにも興味を持っていただけるように、漫画を取り入れ、ストーリー仕立てにして分かりやすく取りまとめたQアンドA冊子を平成二十七年より作成しております。
 このハンドブックとQアンドAは私どものホームページでダウンロード可能な形で公開いたしますとともに、特にQアンドA冊子につきましては、全国の大学、高校等の学校や、あるいは児童養護施設などのほか、新卒応援ハローワークを含めました公共の職業安定機関などにも配布しておりまして、令和元年度の配布実績は約八十三万部ということでございます。
 以上でございます。

#114
○武田良介君 国交省も船員向けにこれからこういうハンドブックと同等のものを作成をして、全ての船員、船員を目指す若者だとか学生、こういった方に行き渡らせることが必要ではないかというふうに思いますけれども、最後に大臣の御所見を伺いたいと思います。

#115
○国務大臣(赤羽一嘉君) 私は、目的は非常に大事だというふうに思いますが、その手段がそういう本がいいのかどうかというのは若干懐疑的でして、八十何万部配ったということよりどれだけ読まれたのかということの方が大事なんではないかと、これは個人的に感じた考え方でございます。別に否定しているわけじゃありませんし、厚労省のあれも私知りませんで、ホームページ繰ってみようかと思いますが。
 いずれにいたしましても、船員の皆さんがそうした基礎知識をよく理解をして、そして実態で、労働現場でそうはなっていないことについてやはり声を上げられるということが大事だというふうに思っておりますので、いずれにしても、御指摘の趣旨を踏まえて、効果的なというか、形でそうしたことを徹底できるように、それは当然やらなければいけないというふうに認識をしております。

#116
○武田良介君 パンフレットの作成を予定しているというふうに私事前にはお聞きをいたしました。その内容を充実したものにしていただいて、しっかり徹底していただきたいということを重ねてお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

#117
○委員長(江崎孝君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#118
○委員長(江崎孝君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、青木君から発言を求められておりますので、これを許します。青木愛君。

#119
○青木愛君 私は、ただいま可決されました海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会、日本共産党及びれいわ新選組の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。
 一 造船業・海運業への支援の実施に当たっては、我が国においてこれらの産業が担っている役割を考慮し、事業基盤や競争力強化の実現に必要な支援を確実に実施するとともに、我が国造船業の競争力が十全に発揮されるよう、国際市場における公正・公平な競争環境の確保に努めること。また、造船事業者に対しては、作業環境の安全性の向上や事業基盤の抜本的な強化に資するよう、税制上の措置など更なる支援策を講ずること。
 二 クルーズ船内における感染症等事案の発生時に報告徴収による迅速な状況把握を適切に行えるよう、外国法人等のクルーズ事業者等に対して報告徴収規定に関する周知を図るとともに、当該事案発生時における初動対応を迅速に行える体制を構築すること。また、将来的な国際クルーズの運航再開に向けて感染症対策のガイドライン策定支援等を適切に実施するとともに、関係省庁で連携してクルーズ船の安全確保に向けた国際的な議論において主導的な役割を果たすこと。
 三 船舶所有者が選任する労務管理責任者による船員の適正な労務管理に向けて、船員の労働時間を適正に記録するための取組支援など労働時間管理に係る環境整備を推進すること。また、船員の働き方改革については、その実効性確保のため、経済・社会情勢の変化に応じて適宜適切に制度見直しの検討を行い必要な措置を講ずること。特に、少子高齢化の下での船員の担い手確保の観点から、陸上の制度等も参考にして、船員の総労働時間や年間休日日数、処遇水準等について、船員の労働環境が陸上と比べ相対的に劣後することがないよう、船員の厳しい労働環境の解消、多様な働き方の実現等必要な施策を講ずること。
 四 内航海運業者が行う過労防止等の輸送の安全を確保するための措置が確実に実施されるよう、荷主等を含む関係者に対して、必要な勧告・指導等を行うとともに、適正な運賃・用船料の確保に向けた内航海運業の取引環境改善を進めること。また、内航海運業者に対しても新たに内航海運業の登録制度の対象となる船舶管理業者の活用を始めとする経営の効率化や新技術活用等を促し、内航海運業の生産性向上の取組を促進すること。
 五 内航海運暫定措置事業の終了に伴い、船舶の建造が容易となることによる船腹過剰等の事業環境の悪化を生じさせないよう細心の注意を払うとともに、脱炭素社会の実現に向けて、環境性能の高い船舶や新技術を導入した船舶の建造を一層推進すること。
 六 カボタージュ規制については、国内海運産業の安定的な海上輸送体制の確保の観点から、今後ともこれを堅持すること。
 七 造船業・海運業の次世代人材の確保・育成に向けて、造船業・海運業や船員に関する理解増進及び認知度向上のための情報発信の取組強化を行うとともに、船員の養成・教育機関、海洋教育及び大学等における産学連携の取組等に対する幅広い支援を進めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

#120
○委員長(江崎孝君) ただいま青木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#121
○委員長(江崎孝君) 全会一致と認めます。よって、青木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、赤羽国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。赤羽国土交通大臣。

#122
○国務大臣(赤羽一嘉君) 海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。
 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました各事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
 ここに、委員長を始め理事の皆様、そして委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝を申し上げます。
 誠にありがとうございました。

#123
○委員長(江崎孝君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#124
○委員長(江崎孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト