くにさくロゴ
2021/05/11 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 農林水産委員会 第11号 令和3年5月11日
姉妹サイト
 
2021/05/11 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 農林水産委員会 第11号 令和3年5月11日

#1
令和三年五月十一日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月三十日
    辞任         補欠選任
     山田 修路君     渡辺 猛之君
 五月六日
    辞任         補欠選任
     渡辺 猛之君     山田 修路君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         上月 良祐君
    理 事
                堂故  茂君
                藤木 眞也君
                山田 修路君
                田名部匡代君
                紙  智子君
    委 員
                高橋 克法君
                野村 哲郎君
                林  芳正君
                舞立 昇治君
                宮崎 雅夫君
                山田 俊男君
                石垣のりこ君
                郡司  彰君
                森 ゆうこ君
                河野 義博君
                熊野 正士君
                高橋 光男君
                石井 苗子君
                舟山 康江君
                須藤 元気君
   国務大臣
       農林水産大臣   野上浩太郎君
   副大臣
       農林水産副大臣  宮内 秀樹君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       熊野 正士君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        笹口 裕二君
   政府参考人
       内閣府規制改革
       推進室次長    黒田 岳士君
       農林水産省生産
       局長       水田 正和君
       国土交通省大臣
       官房審議官    黒田 昌義君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(上月良祐君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○委員長(上月良祐君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に山田修路さんを指名いたします。
    ─────────────

#4
○委員長(上月良祐君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府規制改革推進室次長黒田岳士さん外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#5
○委員長(上月良祐君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

#6
○委員長(上月良祐君) 畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#7
○藤木眞也君 おはようございます。自民党の藤木眞也です。よろしくお願いします。
 今回の畜舎の建築基準の緩和ということで、私も、昨年政務官をやっているときにこの話、生産局の皆さんから何度となく説明を受け、私なりの見解を述べさせていただきながらすり合わせてきたという経過もございます。大変畜産現場の方には喜ばしいことだと思いますし、今回の畜舎の建築基準の緩和は規制改革推進会議が発端となり実現したものだと聞いております。
 今回のような現場実態を十分踏まえた規制改革は今後も必要だと思いますが、他方、三月に開催された規制改革推進会議農林水産ワーキング・グループでは、委員が生乳のいいとこ取りは当たり前だと受け取れるような発言をしたり、軽々に組織の見直しに言及するなど、酪農家の皆さんの現場の実情で、約五十年掛けて改良を加えながら現在まで取組を進められてきたこの制度、一部の意見が発端になり、法律を変え、うまくいかないからといって組織の仕組みが悪いといったような発言まで出てくると。大変理解に苦しむ発言が政府の重要な会議、会議体で行われています。
 また、別の会議では、兵庫県養父市の国家戦略特区で、経営面積全体の五・五%に当たるたった一・六ヘクタールしか農地取得されておらず、残りは全てリースで営農されているにもかかわらず、十分に効果があったと、到底理解ができないような誇張された意見も出されていたりします。
 やはり、今回の畜舎の建築基準の見直しのように、やはり現場から相当な意見が出て、そういったところを基軸に議論を進めていただくということは大いに結構なんですけれども、しっかり幅広く現場の実態、声を踏まえた議論をしていただきたいし、特定の人のためだけでなく、多くの生産現場の人のための規制改革が進むよう、事務方として内閣府は行き過ぎた意見が出ないようにするなど適切な会議運営をすべきだと考えます。大変、やはり専門委員の方に言いにくい部分あろうかと思いますけれども、できれば一定程度の調整を行っていただくなど、お取組がいただけないかという考えをお聞かせいただければと思います。

#8
○政府参考人(黒田岳士君) お答え申し上げます。
 規制改革推進会議は内閣総理大臣が任命した有識者の会議でございまして、民間有識者の立場から、当該規制が経済社会の変化の中で妥当性を有するものか否かを自由に議論し、規制改革に向けた端緒、発端として規制を所管する省庁に再考、検討を求めるものでございます。実際に規制改革を行うに当たりましては、会議の議論を踏まえながら、規制所管官庁が当該規制を取り巻く状況を判断し、責任を持った対応が行われているところでございます。
 会議のメンバーには、専門委員として農業の関係者もいらっしゃいますし、会議の議論のプロセスにおきましては、議題に応じて、委員とは別に実際の現場の方をお呼びして御意見をお伺いすることも行っております。
 こうしたことを通じて、委員の方々に現場の御意見をしっかりとお伺いした上で御議論、御審議いただくなど、今後とも適正な会議運営が行われるよう努めてまいります。

#9
○藤木眞也君 おっしゃっていることは十分理解いたしますが、やはり私たちも、一歩下がって見てみますと、どちらかというと何か偏ったような委員の方々が入っていらっしゃるんじゃないかなというふうに感じることもございます。是非そういったこと、改善をお願いできればと思いますし、特に牛乳の問題は、生産調整を行わなければいけない実態が業界全体にあるということです。
 一度お産をすると三百五日前後の搾乳をしなくてはいけない搾乳牛が、季節を問わず、また需要期、非需要期にかかわらず、牛乳は毎日生産されるものです。そういった中で、やはりこの北海道の方に一定の我慢をいただいて、都府県の酪農を守って、できるだけ産地に近いところで牛乳を供給していくというような、非常に優れた私はバランスを持った制度だと思います。
 こういったところを、やはり現場の方々が努力の中でつくってこられたところを何かいとも簡単に市場原理で、いいとこ取りはいいんだというような発言があると、これまで真面目に守ってこられた方が非常に不愉快に感じられる点が、私もたくさん意見を聞いています。是非その辺を基本に置きながら今後検討を進めていただければなというふうに思います。
 内閣府の方は、これで質問終わりますので、帰っていただいて結構です。

#10
○委員長(上月良祐君) 内閣府黒田次長は御退席いただいて結構です。

#11
○藤木眞也君 それでは、畜舎の法案の質問に入らせていただきます。
 先ほども言いましたけれども、政務官の当時からこの問題には取り組ませていただきました。特に、私自身も畜産業を営んでおりまして、これまでに七度、畜舎等を建設も経験をしております。
 そしてまた、震度七を二度経験した熊本地震の経験もしてそれなりに地震に対しての見地もある中で、できればうちの牛舎を見てくれということを役所の方にも何度もお話をさせていただきました。熊本地震、私の記憶では、五十数棟の畜舎が崩壊をしております。全て木造瓦ぶきの畜舎でありまして、鉄骨牛舎は一棟も崩壊をしていないということもこれまた熊本地震で明らかになっております。やはり、屋根の瓦の重みというのが非常に建物に対して大きく地震には影響するんだなということを感じました。
 そしてまた、熊本というところは、鹿児島、宮崎と変わらず台風の常襲地帯でありまして、風速五十八メートルを超える瞬間最大風速を経験するような地域であります。台風と地震に関して言えば、やはりある程度の建築基準でも私は大丈夫なんじゃないかなというような気持ちを持ちながら畜産をやっておりました。非常に畜舎のコストというのも急激に上がっております。特に、平成十七年の姉歯設計の偽装問題ですね、あの事件以降、相当この建築に対しての基準が厳しくなっています。
 私のところの牛舎を例に挙げますと、千二百平米ほどの一棟になるんですけれども、姉歯設計前に建てる牛舎であれば五千万前後で建っていた畜舎が平成二十二年に建てたときには七千八百万と、やはり一・五倍ほどの価格が上がったという点は、相当確かに強固なものにはなっていますし、柱もとんでもなく大きいものにはなっていますけれども、実際、地震をどちらも受けているんですが、どちらの被害も一緒だということを考えると、特に問題はないんじゃないかなというのを思っていましたし、平成十七年以前に、私が建てた牛舎でいくと一番古いやつは昭和六十一年なんですけれども、これは農水省の低コスト推進牛舎に選ばれていました。八百平米ほどの畜舎なんですが、七百万も掛からないで建築が済んでいます。柱も相当細いんですが、その畜舎も熊本地震に耐えました。
 やはり、鉄骨という建物は相当私は地震には強いんだろうと思いますし、折れることが余りないということでやはり地震に耐えれるんだなということが明らかに、まあ私なりに思っています。逆に木造はやはり柱が折れるということも想定しなくてはいけないということもありますので、これまでどちらかというと鉄骨よりも木造の方が広く建築基準法に照らし合わせなくても建てられるというような、非常に私は矛盾をしているなという点が今回改善されるということで、大変畜産農家にとっては待ちに待った私はこの法律の改正になるんだろうと思っております。特に、輸出に向けて各国と価格競争をやらなければいけないときに、相当、数千万単位で建築費が下がっていくというのは、やはりこれは大きいなというのを私は感じております。
 そういった点で、今後、政省令等々でいろいろと農水省は小さい部分まで詰めていかれるんだと思います。制度の詳細の検討状況について、農林水産省のお考えをお聞かせいただければと思います。

#12
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 今、藤木委員からお話のございました、御質問のございました新制度の検討状況ということでございます。
 具体的基準等につきましては、これは主務省令で、省令で定めるということになっているところでございますが、この新制度は畜舎等の利用方法に関する基準と構造等に関する基準、これ技術基準と言っておりますが、この利用基準と技術基準の組合せで安全性を担保する、これによりましてその構造等の技術基準を建築基準法よりも緩和するということを可能とするものでございます。
 具体的には、これは緩和された構造等の基準、これをB基準と言っておりますが、これにつきましては、そのまれに発生する地震、震度五強程度でひびが入るなどの損傷はしても畜舎としての利用には問題が生じない強度とすることとしております。建築基準法では損傷もしないということになっておりますが、この法律におきましては、損傷はしても畜舎としての利用には影響がないという程度にするということとしております。
 具体的には、建築基準法上では柱を含めた部材の基準強度に安全係数というものを設けておりまして、余裕を持った計算ができるという形にしておりますが、この新制度におきましてはこれを設定せず、部材の持つ強度を満度に使うということを検討しているところでございます。
 このような考え方を取ることによりまして、部材の持つ強度について、余裕を持たせてはいないものの、ごくまれに発生する震度六強から七の地震に対しましてもぎりぎりの強度は有するということでございます。利用基準と相まって安全性を確保することとしつつ、構造に係る部材の削減を可能にして畜舎の建築コストの削減を図ると、こういったものでございます。
 また、基礎の基準につきましては、建築基準法上は、建築物が傾かないようにするため、基礎について凍結する深さよりも、凍結深度と申しておりますが、これよりも深く根入れをするということとされておりますが、平屋の畜舎等であれば仮に傾きが少し生じても畜産経営の活動には支障が生じないと考えることから、この法律案においてはこの凍結深度を規定しないということとしていると、規制しないということとしている。
 これらの利用基準と技術基準の具体的な内容は主務省令で定めることとしておりまして、今後、畜産農家や専門家などの意見も踏まえ策定していく予定でございますが、この法律案によりまして畜舎の建築等に係る畜産農家の皆様の負担を軽減して、我が国の畜産業の国際競争力の強化と、そして畜産の振興が図られるよう検討してまいりたいと考えております。

#13
○藤木眞也君 是非、やはり最近の屋根の材料、非常に近年軽くなってきていると思います。木造でも瓦でなければ相当屋根が軽くなって、やはりこの地震からの災害も免れるんじゃないかなというふうに思います。これが造って壊れるような牛舎であっては困るわけですが、一定程度の決まりの中で進めていただけるように是非お願いをいたします。
 また、これもあるんではないだろうかというような心配をする話ですが、私の自宅も熊本市内からでも二十分ぐらいで車で行けます。そして、高速道路の入口に十分掛からないぐらいのところに立地をしている関係で、畜舎を建てるときに必ず言われていたのが、貸し倉庫に変えるんじゃないですかということをよく言われておりました。
 今回、この法律が緩和されることによって、建物が建てやすくなって、畜舎を建てたつもりが知らない間に貸し倉庫に変わっていたとか、ほかの用途に使われることのないように、是非この辺は、もう元々、根本的な問題なんですけれども、この辺のくさびをしっかり打っていただきたいなというふうに思います。こういったところをどのようにお考えか、お聞かせいただければと思います。

#14
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 この法律案でございますが、第二条の第一項に規定する畜舎と堆肥舎を対象として建築基準法の特例を設けるものでございます。そのため、法律の第七条第三項において、畜舎等の用途を変更して畜舎等以外のもの、つまり、畜舎、堆肥舎以外のものとしてはならないという規定を設けておるところでございますし、また、法律の第七条第二項におきまして、この利用基準に従って畜舎などを利用しなければならないという規定を設けておるところでございます。こうした規定に違反した場合には、都道府県知事による措置命令の対象となるところでございまして、具体的には、畜舎などの用途の変更や利用方法の改善に関する命令のほかに、当該畜舎等の使用の禁止、使用の制限その他当該違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができるということとしております。
 さらに、この法律案におきましては、省令で定めるところによりまして、当該畜産農家は畜舎等の利用状況について定期的に都道府県知事に報告をいただくとしているほか、都道府県知事は必要に応じて当該畜産農家等に対しまして報告徴収や立入検査等を行うことができるということとしておりまして、こうしたことによりまして遵守状況の確認を行いまして、畜舎等の適正利用の徹底を図ってまいりたいと考えております。

#15
○藤木眞也君 是非、悪用を避けていただければというふうに思います。
 また、いろいろと制度ができると現場までなかなか落とし込みがうまくいかないというのがいろいろな場面でこれまでもございました。今回の畜舎法の改正も、私の周りでもいつからなんですかという問合せ非常に多いです。来年の四月一日からですよというお話をすると、やはりそれまで待とうと言われている方も相当今全国でいらっしゃいます。
 是非、新たな制度が現場まで十分に浸透されなければ、緩和された基準を利用できないことが起きるというふうにも思います。この新たな制度の周知徹底について、お考えをお聞かせいただければと思います。

#16
○副大臣(宮内秀樹君) お答えをさせていただきます。
 この本法律案は、建築基準法による従来の基準とは異なり、緩和された基準によって畜舎等を建築するということを可能にするというものでありますので、畜舎等の建築に当たって畜産農家に新たな選択肢を提供するものであるということでございますので、是非、この新制度を是非活用していただきたいと、こういうように思っておるわけでありまして、畜産農家や設計を行う建築士の方々、こういう方々の関係者に対して内容を丁寧に周知していくことが重要であるというふうに考えております。
 具体的には、関係団体や都道府県を通じましての説明会を開催するなどによりまして、本法律案と建築基準法の基準の違いや新制度活用のメリット等について丁寧に説明していくとともに、本法律案の施行後には、本法律案によって建築等された畜舎等の事例の周知によりまして新制度の活用を促してまいりたいというふうに考えております。

#17
○藤木眞也君 ありがとうございます。
 やはり、この建築士の方の理解度というのが相当現場には大きく左右するんだろうと思います。徹底した説明をお願いできればなと思います。
 もう一問あったんですけれども、時間がちょっと足りないようです。
 先ほど牛舎の屋根は軽い方がいいんだということもお話しさせていただきましたけれども、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けては、やはり太陽光というのも一つ、大きな取組の一つかと思います。
 我が家でもですね、考えてみますと、建屋面積だけでも二・四ヘクタール畜舎がございます。屋根の面積でいけばもっと広くなるということでありますので、二メガ以上のパネルが並べられるんだなということを考えると、やはりこれは有効活用していく必要もあるのかなというふうに思います。しっかりこの辺も整合性考えていただいて、農林水産省の方で御検討いただければということを最後にお願いさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

#18
○石垣のりこ君 立憲・社民会派の石垣のりこでございます。
 畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律案について、会派を代表して質問させていただきます。
 新法ということですので、一応まずは立法事実の確認からさせてもらいます。
 本法律案の提案理由説明には、近年の経済連携協定の締結による関税削減等により畜産物の価格の低下が見込まれるとあります。現時点での畜産物への価格の影響についてはどのように認識していらっしゃるでしょうか。野上大臣、お願いいたします。

#19
○国務大臣(野上浩太郎君) 近年の経済連携協定の締結に伴います関税削減による畜産、国産の畜産物の影響につきまして、影響試算では、輸入価格や為替が一定である等の前提を置いた上で、関税削減に伴い輸入畜産物の価格が下落することで国産畜産物の価格も下落すると見込んでおります。
 一方で、直近の国産畜産物の価格は、一部の品目におきましてコロナの影響によって下落をしたものの、年度後半から回復をして堅調に推移をしており、これまでのところ、経済連携協定の締結による関税削減が国産畜産物の価格に影響を与える、与えている状況にはないと考えておりますが、輸入畜産物の価格は、これ関税率のみならず、為替や天候あるいは国内外の需給動向など様々な要因によって左右をされますので、関税削減によって必ずしも畜産物の価格が下落するわけではありませんが、農林水産省としては引き続き畜産物の需給あるいは価格の動向について注視をしてまいりたいと考えております。

#20
○石垣のりこ君 現状ではほぼ影響は出ていないという御認識ということですが、実際に物は入ってきているわけで、影響が出ていないというよりかは、影響が出ないように様々な支援策等を講じて数字上で影響が出ていないということが一応確認できるということであると思います。実際にアメリカ産の牛肉、セーフガードが発令されるということで、非常に厳しい状況、二〇三三年には九%まで下がるということで、価格の下落が見込まれるという想定の下で動いていらっしゃるということです。
 法案提出理由としては、この法律を作ることによって畜舎建築のコストを抑えることができるということが示されているんですけれども、この本法案によって建築基準法の適用除外で最も建築コストを削減できるであろうB基準というのが設定されていますが、このB基準で畜舎を建築した場合、現行と比べてどのぐらい削減が図られるんでしょうか。モデル畜舎での試算などありましたら、具体的な数字を示していただければと思います。

#21
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 御指摘の建築コストの削減でございます。これにつきましては、既に建築基準法の基準で建築済みの畜舎につきまして、この新法に基づく基準で設計し直すことにより試算をいたしたところでございます。
 御指摘のB基準で建築をした場合でございますけれども、その試算の結果、部材の強度を見直すことによりまして、柱、鉄骨、生コンクリートなど畜舎の構造に係る部材につきましては、その使用量について、鉄骨については、鉄骨畜舎の場合は約一割、木造畜舎の場合は約三割が削減できる事例が見られたところでございます。これによりまして、畜舎の構造に係る部材の費用は鉄骨で約一割、木造で約三割まで削減できる可能性があると考えております。
 また、畜舎の工事費全体で見ますと、その構造に係る部材の費用は削減可能になりますけれども、畜舎の建築工事費全体には、構造に係る部材以外の部材、例えば屋根ですとか壁ですとかそういったものの費用ですとか、さらには工事に係る人件費など、この構造基準の見直しで削減することが難しい費用が含まれておりまして、これらを含めました建築工事費全体で見ますと、このB基準によりまして、鉄骨畜舎では一ないし二%が削減可能、木造畜舎では三ないし六%が削減可能と考えているところでございます。
 また、基礎につきまして、凍結深度より深く根入れしなくてもよいという形で見直すことによりまして、工事費全体の一ないし三%の削減となった事例が見られたところでございます。
 これらを合わせまして、合計でございますけれども、鉄骨畜舎につきましては建築工事費全体の二%から五%の削減、木造畜舎につきましては工事費全体の四%から九%の削減が見込まれるという試算になってございます。このため、例えばこのモデルでございますけれども、建築工事費全体が一億三千万円の面積一千八百平米、平方メートルの木造畜舎におきましてこの建築工事費を最大九%削減ということになりますと、約一千二百万円の削減ということになるところでございます。

#22
○石垣のりこ君 具体的な数字をありがとうございます。
 畜舎の建築基準が緩和といいますか、建築基準法の適用除外になって少し建築費が抑えられるという話を畜産農家の方にしますと、具体的に幾らぐらいになるのかということで、やっぱりすぐにコストについての御質問がありましたので、具体的な目安を示していただけるのは非常に分かりやすいと思うんですが。当初、でも、説明、理由説明を伺っていると、もう少し幅としては削減率があるのかなと私は印象として持っていたんですが、実際のところ、鉄骨だと二%から五%、木造でも四%から九%ということで、消費税分ぐらいかなというような、そういう数字を今出していただきました。思いのほか、それほどやっぱり削減できるところがないのかなと。
 これ、これまで建築基準法に基づき行う畜舎等の建築等に係る負担が畜産業の経営実態から見て大きくなっているということで提案理由に示されていますけれども、実際のところ、この畜舎のコストというのは生産コストのうちどのくらいを占めているんでしょうか。

#23
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 畜舎の生産コストが、あっ、建築コストが生産コストに占める割合ということでございます。
 これ、生産費調査がございます。その中で、生産コストに占める畜舎の建築コストの割合について、令和元年の畜産物生産費統計の調査でございますけれども、例えば酪農におきましては、生乳百キロ当たりの生産費の全国平均値でございますが、生産費の合計、いわゆる費用合計が一万八百四十七円であったのに対しまして、建物費は二百四十八円ということになっております。これを計算いたしますと、生乳の生産コストに占める建築コストといたしましては約二・三%ということになるところでございます。

#24
○石垣のりこ君 これ、畜種によっても随分違うんですけれども、お渡ししている二枚目の三番の資料を御覧いただきたいと思いますが、令和元年畜種別生産費の主要項目の構成割合です。これを見ていただくと、これ、まとめに掲載されている円グラフなんですけれども、この生産コストの内訳見ていただくと、この建物費というのがそもそもカウントされているのが、統計の数字としては建物費というのはあるんですが、出されているのがこの二つしかないんですね。そのほかのところに全部収められている、ごく僅かな数字なわけです。
 三枚目の方に具体的に酪農、畜産における生産費に占める建物費の割合が数字として示されていまして、どのぐらいの割合を示しているかというと、先ほど御説明にもありました一例を含め相当低い建物費であるということです。この費用をもって国際競争力の強化に資するというのを、どこまで説得力を持った数字として言えるのかということは非常に疑問です。
 これ、じゃ、ここを見て、これ生産コストを下げましょう、そのために、それによって国際競争力を上げていきましょうというときに、何を下げたらいいかというのを御覧いただければ、一番掛かっているのは、素畜費掛かっているところも結構ありますけど、やはり飼料費ということになると思います。
 これ、生産コスト削減を掲げるのであれば、やはり飼料費を下げないことには余り意味もないと思うんですが、御見解はいかがでしょうか、野上大臣。

#25
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 今申し上げました生産費調査の建物費でございますが、この中で建築費といいますのは、先ほど申し上げました工事費用ですね、これをその耐用年数で割ったものでございまして、木造では十七年、それから軽量鉄骨では二十五年という長い期間使用するものでございますので、それで割りまして計算をいたしまして、その一年当たりを出し、また一頭当たりを出しているところでございますので、そういう意味では全体に占める割合というのは大きくはございませんが、実際に畜舎を建築する場合には多額の工事費が一度に掛かるということでございます。先ほど申し上げました、例えば面積千八百平米の木造畜舎で一億三千万円と掛かった事例がございますので、最大九%の削減でありましても一千二百万円の削減となり、この畜産経営にとって効果は大きいと考えているところでございます。
 それから、議員おっしゃる、御指摘のとおり、コスト削減のためには飼料費を下げるというのは非常に大きな効果があるというふうに考えておりまして、そちらの方はそちらの方でしっかりと対応してまいりたいと考えております。
 先ほどございましたように、畜産、酪農におきまして生産コストに飼料費が占める割合は高い割合になっているところでございまして、特に今、輸入飼料が高値で推移をしているということもございます。こういった状況も踏まえまして、輸入飼料に過度に依存している状況から脱却をして、国内の飼料生産基盤に立脚した足腰の強い生産に転換して飼料費の削減を図ることは極めて重要なことというふうに考えているところでございます。
 国産飼料の増産に向けましては、草地基盤の整備によります草地の生産性向上ですとか、飼料用種子の安定供給ですとか、あとはコントラクターですね、こういったものによりまして飼料生産組織の作業の効率化を図って運営強化を図る。それから、放牧とか、こういったものも推進をしてまいりたいと。こういった取組を推進するとともに、それから、配合飼料の製造費それから輸送費、こういったものの低減につきましても、農業競争力強化支援法に基づきまして、配合飼料メーカーの工場とか飼料の卸売・小売業の再編合理化、こういったものも進めているところでございます。
 農林水産省としては、こうした取組を総合的に展開をいたしまして、飼料費の低減を図る取組、これをしっかりと進めてまいりたいと考えております。

#26
○石垣のりこ君 いろいろ御説明ありがとうございます。
 飼料を増産していって飼料自給率を上げていくという、そういう方向にあることは分かりますが、目標として掲げられているのは、現在の自給率二五%に対して三四%まで上げていくという、非常に目標としては厳しいものであると思いますので、なかなかこれが現実的なものではないのではないだろうか、もっともっと力を入れていかなくてはいけないのではないかと思います。
 畜舎の建築に関しては、平成十年以来、これ資料の一枚目にありますけれども、建築基準法の下で緩和措置が度々ととられております。これまでの規制緩和でどのぐらい実際のところ畜舎建築のコスト削減が図られてきたという、これまでの評価はどうなっていますか。

#27
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 畜舎の建築基準でございますが、委員お尋ねのとおり、これまで建築基準法の下で緩和措置講じられてきております。平成九年の三月に、当時の建設大臣の認定を受けました畜舎設計基準によりまして、一般の建築物より建築基準が緩和されると、こういったことなど、この建築基準法の下での緩和措置でございます。
 これまでのこういった緩和によりまして、例えば、北海道におきまして、積雪荷重の緩和によりまして部材の使用量が二割から三割程度削減可能になっております。それから、南九州におきまして、風荷重の緩和ですね、風です、これの緩和によりまして部材の量が、部材の使用量が一割から二割程度削減可能となっているところでございまして、こういったことから一定のコスト削減効果があると、出ておるところでございまして、これまでこの畜舎の建設において活用されてきたと認識しております。

#28
○石垣のりこ君 これまでも建築基準法の緩和によって畜舎は建築コストをできるだけ抑えるようにはしてきたけれども、現状はこのとおりであると。
 今回、これまでのような建築基準法の緩和措置ではなくて、建築基準法の特例として新たに技術基準と利用基準を設けて新しい法律を作るという立て付けになっておりますけれども、そのような仕組みというか形を作ることにしたのは、取ることにしたのはどうしてでしょうか。

#29
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、これまでは建築基準法の下で畜舎の特性を踏まえて告示改正などにより緩和をしてきたことでございますが、そういったやり方で実現することが可能な範囲でやってきたということでございますが、今回、さらに、近年建築コストが増加をしているという中で畜産農家などから更なる基準緩和を求める声がありました。
 それから、やはり昨今の国際経済環境の変化などに対応するため国際競争力の強化という観点からの必要性と、基準緩和の必要性というものが高まってきているということを踏まえまして、その建築基準法の基準を更に緩和することを可能とするため、緩和をすることを希望する畜産農家の方がその構造等の技術基準に加えまして一定の利用基準を遵守する計画を作成いたしまして、その計画を都道府県知事が認定することで、この二つの基準が相まって安全性を確保するという新たな仕組みをつくることといたしました。
 このような仕組みにつきまして、建築基準法はそもそも利用基準というような考え方は取っていないということ、また、建築基準法は、建築物について、その建築主の希望にかかわらず、一定の構造等の基準を適用すると、こういう制度でございますので、こういった建築基準法の体系の下で今回の措置を講ずるということは困難であることから、建築基準法とは別に法律を作ることとしたというものでございます。

#30
○石垣のりこ君 建築基準法における技術基準の緩和では対応できない、すなわち建築基準法の第一条にあります生命と財産を守るという最低基準というのがございます。これはあくまで技術基準として新しい法案は満たせないということになると思います。その目減り分を利用基準、ソフト基準で補うという立て付けにしたということだと思います。
 そこで、建築基準法所管省庁であります国土交通省に伺いたいと思いますけれども、本法案を特例として適用除外を認めたというのはどのような理由からでしょうか。

#31
○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。
 農林水産省さんから御説明がございましたとおり、畜産業の国際競争力の強化を含めまして、畜産業を成長産業化していくためには更なる建築コストの引下げということが求められていると認識をしております。
 このため、一昨年、令和元年の六月におきます規制改革推進会議におきまして、農林水産省におきまして新たな畜舎建築基準等のあり方に関する検討委員会が立ち上げられまして、私どもとしても御協力をさせていただきながら、その検討を踏まえまして、令和二年の七月に閣議決定されました規制改革実施計画におきまして、農林水産省は、国土交通省と連携して、市街地から離れて建設される畜産業に要する、用に供する畜舎等を建築基準法の適用の対象から除外する特別法について、所要の法律案を整備することとされたところでございます。
 こうした背景の下で、新制度の対象となる畜舎につきましては、省力化機械の導入等による人の滞在時間を制限すること、平屋建てとし居住のための居室等を設けないこと、市街化区域及び用途地域以外への立地を条件として、都市部での立地を認めないことといった利用基準を法令上追加的に要求し、それを都道府県知事が認定することを前提に、建築基準法が求める地震に対する構造安全上、構造安全性を更に緩和した技術基準を適用したとしても総合的な畜舎の安全性が確保されるということとしていると理解しております。
 このように、畜産業の国際競争力の強化を図る法目的を実現するため、畜舎に限定した仕組みを全ての建築物を対象とした建築基準法で措置することはできないということでございますので、建築基準法とは別に法律を作り、認定を受けた畜舎については建築基準法を適用除外とする仕組みとしたということでございます。
 以上でございます。

#32
○石垣のりこ君 その提案理由の背景として国際競争力の強化というのが掲げられておりまして、もちろんそういう背景があることは事実だとは思いますけれども、やっぱり建築の世界における憲法とも言える建築基準法を適用除外にする、その担保として、安全性の担保として利用基準を定めるというところで、国土交通省としては、一応その憲法の適用除外というのはこれちょっと大きな問題というかハードルを越えることになると思います。そのことの理由として、畜舎という利用の目的の特性上、建築基準法の適用除外、新しい基準を認めるということであれば分かるんですが、コストを削減するため、競争力を強化するためという、経済効率優先ということが第一義的に掲げられることに対して、私はそれで本当にいいのだろうかという疑問を持っております。
 そういう意味で、改めてその点の問題を指摘させていただきたいと思うんですけれども、建築基準法は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低限の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図ることを目的とした法律だと認識しております。そのように目的にも書かれております。
 本法案の設定する技術基準では建築基準法におけるその目的を担保できないという認識でよろしいでしょうか。あくまで技術基準における評価です。

#33
○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。
 新基準の、新制度の技術基準につきましては、地震に対する畜舎の構造安全性につきまして、建築基準法が求める技術基準と比較すると緩和する方向という内容であるというふうに理解をしております。
 ただ、農林水産省さんから答弁がございましたとおり、今回の新制度の対象となる畜舎につきましては、人命確保に配慮した利用基準を法令上追加的に要求をいたしまして、それを知事が認定することを前提といたしまして、基準法が定めます、求めます地震に対する構造安全性というのを更に緩和した技術基準を適用したとしても、総合的な畜舎の安全性が確保されるというふうに理解しているところでございます。
 以上でございます。

#34
○石垣のりこ君 利用基準というのは、もちろんその定めること自体の必要性というのはあると思うんですけれども、どこまで守られるか一定分からないという非常に曖昧なところでもありますし、自己責任の部分が大きくなると思います。そういうところで、やはり建物自体の技術基準の安全性を一定確保しておく必要性というのが確実にあるということで、それは、いわゆる人が居住する住居、公共施設等までの堅牢さは要らないけれども、だからこそ、畜舎だから建築基準の適用外を認めるという、畜舎だからという理由であれば合理的な理由として理解できるんですが、やはり、競争力の強化、コストが削減されるからといって安全性と経済性をてんびんに掛けるような法律の提案というのは、これは非常に筋が悪いと私は思います。
 今までのこの話の中で、本法案の基準で浮く経費は試算では建築費の大体四%から九%、五%から九%であるということ、生産費のうち最も多くを占めるのは圧倒的に飼料費で、あとは素畜費、人件費というのは多くて三割程度と、建物費は生産費の項目として、これは耐用年数で割るということもありますけれども、主なものとしてはカウントされていないということ、本法案の技術基準は現行の建築基準法で可能な限り緩和してきた基準も満たさない技術基準であるということ、ということが明らかになったわけなんですけれども、野上大臣、本法案、立法事実としての根拠に乏しい、あるいは適切ではないと思いませんか。御見解お願いします。

#35
○国務大臣(野上浩太郎君) 畜産業においては、国内外の需要に応える供給を実現をしていかなきゃならない、また増頭、増産を進めて生産基盤強化に取り組む必要があります。特に酪農におきましては長時間労働が課題となっておりますので、省力化機械の導入によりましてこれを改善する必要があります。
 そういう中で、畜産業においてはこの畜舎等は必須の施設でありまして、増頭したり搾乳ロボット等の省力化機械を導入したりする場合には畜舎を新築又は増築、改築する必要がありますが、やはり近年、建築資材や工賃単価が高騰しておりまして、畜舎等の建築費用が増加していることから、先ほども話がありましたが、建築基準の緩和をしてほしいという要望が農家からも上がっている状況であります。
 このような状況を踏まえて今般この法律案を提出したわけでありますが、この法律案によりまして、農家の皆様にとっては緩和された基準となるため、畜舎の建築コストが削減ができる。先ほど、鉄筋で二から五%、木造で四から九%という話がありましたが、それに加えまして、構造等の技術基準の審査が不要となる面積の大幅な引上げが可能となりますので、審査に掛かるコストを削減できることに加えまして、建築確認等々、その手続期間が短くなることで、その分早く畜舎等が利用可能になる等のメリットが考えられると思います。
 また、建築コスト等の削減に伴ってほかに使えることになった資金を活用しまして、省力化の機械を導入するなどによって労働時間を削減をして、経営コストの削減を図ることも可能となると考えております。
 この新制度を活用いただくことで、所得の向上や労働負担の軽減が図られることになることを期待しているわけであります。

#36
○石垣のりこ君 生産費に占める割合として表に出てこない数字であっても、実際、皆さんからもお話ありましたように、建て替えに必要ということで、まとまった金額が負担になるということは事実であると思います。なので、畜産農家の方の負担が実際に建築費用として大きいものであることは否定できません。
 そういう意味でも、畜舎等を住居と同等の堅牢な基準で造らなくてもよい、緩和できる基準はもう少し緩めるという法案の内容自体に反対するものではないんですが、本法案の提案理由としては、国際競争力強化のためという大義ではなくて、あくまで畜舎における建築基準の在り方として、畜舎という特性上、必ずしも建築基準法の技術基準を適用しなくてもよいという合理的な理由であることが本来の提案理由としてあるべきだと考えます。
 増頭、省力化機械の導入といった大規模化を前提とするような経済効率優先の立法目的ではなくて、あくまで畜舎であるから技術基準のランクを下げるのであって、その結果、中小・家族経営の畜産農家であれ、営農を続ける上で負担の大きい畜舎の建築に掛かる費用が軽減されるというメリットがあるのであって、今後関税がどんどん削減されることは決まっておりまして、価格競争にさらされることは避け難い畜産農家にとって国際競争力強化にもつながるということではないのでしょうか。
 この法案の立案過程には、御多分に漏れずといいますか、先ほど藤木委員からもお話がありましたように、規制改革推進会議での議案があり、それを受けてのワーキンググループでの話合いがあり、また検討委員会での意見聴取があります。今回の畜舎の規制緩和自体は悪いとは思いませんが、現行の建築基準法にのっとった建築も選択できるという仕組みもありますので、その点は非常に考えられているなというふうには理解しております。
 しかしながら、何度も申し上げるように、命と財産を守る最低の基準という原理原則から経済効率を理由に技術基準を逸脱してもよいという前例をつくることに対しては、非常に異を唱えたいと思います。安易な経済至上主義にくみしないでいただきたい、法律の提案理由であっていただきたかったなというのが私の意見です。
 そのように指摘した上で、法案の具体的な内容について時間が許す限り質問をしていきたいと思います。
 B基準について主に伺ってきましたけど、A基準、これは建築基準法の同等の技術基準とあるんですが、これ全く同じではないんでしょうか。変えるとすればどのような基準を変えるか、教えてください。

#37
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 A基準でございますけれども、A基準は、利用基準といたしましては、畜舎内で宿泊しないといった簡易な利用基準と、それから技術基準につきましては、建築基準法の基準に準じた技術基準、この組合せで考えているところでございます。
 技術基準について、A基準の技術基準について現行の建築基準法と異なる点ということでございますが、先ほど申し上げました中で、A基準でありましても、基礎の凍結深度の問題につきましては、これはA基準でございましても、平屋の畜舎等であれば仮に多少の傾きが生じても畜産経営の活動には支障が生じないと考えることから、この凍結深度の規定についてはA基準においても規定しないということ、規制しないということを検討しておりますが、この点が現行の建築基準法とは異なるところでございます。
 それから、畜舎等に使用する部材についてでございますが、建築基準法上は、主要な部材についてはJIS規格などに適合したものか、あとは国交大臣の認定を受けたもの、これに限定されているということでございますけれども、新制度におきましては、JIS規格でない部材等であって海外とかの規格で使用されているというものにつきましては、基本的に使用を認める方向で検討していきたいと考えておりまして、この点、この二点が異なるところでございます。

#38
○石垣のりこ君 凍結深度ということで、またA基準、B基準、それぞれ省令で定められるとは思うんですけれども、建築基準法の、現行のですね、新耐震基準でも、震度五強程度の数十年に一度の頻度で発生する地震、あるいは震度六強から七に相当する数百年に一度程度の極めてまれに発生する地震という想定で定められているわけです。
 しかし、近年、この想定をはるかに超える頻度で震度五強クラスの地震起きております。私の地元宮城などは、ここ最近、二月には最大震度六強、三月、五月と震度五クラスの地震が起きています。数十年、数百年に一度どころか、もう数か月に一度、頻発しているということになります。こういう点も加味して、本当に安全な基準であるかということはしっかり精査していただきたいと思います。
 本法案、アニマルウエルフェアの観点からというのは検討されていらっしゃるんでしょうか。例えば、技術基準の緩和による動物の安全性の確保についての検討、利用基準の遵守による動物へのケア、観察時間の減少などにつながる可能性についてはどのように考えていらっしゃいますか。

#39
○副大臣(宮内秀樹君) お答えをいたします。
 本法律案は、建築基準法の特例としての構造等の技術基準を緩和するものでありまして、利用基準と技術基準の組合せにより畜舎等としての安全性を確保するものであります。
 一方で、良好なアニマルウエルフェアは、畜舎そのものではなくて、畜舎内に設置される家畜を収容する設備、いわゆるケージ等や日頃の飼育管理により実現されるものでありまして、また、利用基準及び技術基準は畜舎等の安全確保を目的としたものであることから、アニマルウエルフェアの実現に直接関係するものではないというふうに考えております。
 技術基準の緩和につきましては、新制度のB基準は建築基準法の基準よりも緩和された基準に基づく建築等を可能とするものですが、例えばまれに起きるような地震、震度五強程度で畜舎が損傷はしても倒壊はしない強度にまで構造等の基準を緩和することを考えておりまして、家畜の生命を軽んじているというものではないというふうに考えております。
 また、本法律案では、利用基準の一つといたしまして滞在者数及び滞在時間の制限を設けることとしておりますけれども、当然のことながら、この制限によって適切な飼養管理が行えない事態が発生するようなことがないように制度設計をすることが重要であるというふうに考えております。そのために、昨年、当省が実施しました畜舎に滞在する人数及び時間についての調査の結果も踏まえまして、安全性の確保を可能としながら適切な飼養管理を行えるように、今後具体的な基準を専門家や畜産農家の意見を踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。
 なお、滞在時間制限を達成するため省力化機械が導入されれば、搾乳や給餌といった作業の省力化につながることで生じた時間を利用いたしまして、アニマルウエルフェアへの配慮を含めた家畜の飼育管理の充実を図ることができるというふうに考えております。

#40
○石垣のりこ君 作業をする人には何時間以内ということは言えますけれども、動物はここから何時間以内に出ていけというわけにはいかないので、ずっとそこにいるのが動物でございますので、しっかりとこれも検討していただきたいなというふうに思います。
 地震、台風により本法案が適用された基準で建築された畜舎等に被害が生じた場合、これまでの基準で建築された畜舎等と受けられる支援に違いが生じるということはあるでしょうか。

#41
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 畜舎などが激甚災害などによって被害を受けまして国の支援が必要と判断された場合、これまで強い農業・担い手づくり総合支援交付金やALIC事業でございます畜産経営災害総合対策緊急支援事業などによりまして被災した畜舎等の復旧を支援してきたところでございます。
 新制度に基づき建築される畜舎につきましても、これまでの制度に基づき建築された畜舎への支援と同様の取扱いとなるものと考えているところでございます。

#42
○石垣のりこ君 同様ということで、決して新しい基準で建てた方が不利益を被るようなことがないようにしていただきたいと思います。
 また、建築基準法の適用外となるということで、この本法案によって建築された畜舎等、従来の火災保険、地震保険、具体的にどのぐらい入っていらっしゃるかはちょっと分かりませんけれども、この対象となり得るのか、その点、保険会社への説明など踏まえて、どのように考えていらっしゃるでしょうか。

#43
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 保険でございますけれども、これは一般的には、保険の対象となるものが持っております価値とそれからリスクの発生度合いに応じまして一定の保険料が設定されることで保険として成立するものでございます。新制度の畜舎につきましても、保険会社におきまして従来の保険の対象とするなど、何らかの形で保険の対象になるというふうに、なるものと考えておるところでございます。
 農林水産省といたしましては、この保険会社の円滑な対応に資するという観点から、今後具体的な技術基準が固まり次第、建築基準法よりも緩和された構造等の基準によるこの新制度の畜舎等でありましても通常の地震には十分耐え得る、そういったものであるということにつきまして保険会社に丁寧に説明を行ってまいりたいと考えているところでございます。

#44
○石垣のりこ君 これからということでよろしいでしょうか。実際、適用除外ということでしっかりと説明をしていただいて、かえって保険料が高くなって余り意味がなかったというようなことにならないようにしていただきたいと思いますけれども、やはり建築基準法という大前提から外れるということは一つすごく大きなことであるというふうにしっかりとその辺は認識していただきたいなと思います。
 来年の春から施行するというのにこれからということで、制度設計上大丈夫なんだろうかとちょっと若干不安な御説明ではありましたけれども、消防法、建築基準における衛生基準に関してはこれまでの基準と異なる点はありますか。

#45
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 この法律案でございますけれども、この法律案は建築基準法の特例を設けるものでございまして、消防法についてこの法律で特例を設けているわけではございません。消防法に基づく基準はこれまでどおり適用されるということになるわけでございます。
 ただ、この法律案とは別に、消防法第十七条の規定において消火栓などの消防用設備の設置基準が定められておるわけでございますけれども、これについては、この規定は消防法の施行令第三十二条の規定に基づいて消防本部等への、地元の消防本部等への申請により緩和できることとされておりまして、実際に九六%の、調査しましたところ、九六%の畜舎においてこの設置義務の緩和が行われているという実情にございます。
 こういった実情にあることを踏まえまして、消防庁におかれてこの畜舎等について消防用設備の設置基準を見直す、緩和する方向で検討を進められているというふうに承知をしているところでございます。
 それから、建築基準法におきます衛生基準についてでございますが、畜舎等に係る基準といたしまして、例えば敷地やトイレの衛生に関する基準が定められているところでございますが、こういった基準につきましては、この敷地、トイレ等の衛生につきましては、本法律案に基づいて建築等される畜舎などにおきましても引き続き確保されるべきものであると考えております。また、衛生の基準について、畜舎等の利用方法により補完できるというものでもないと考えておりますので、衛生等に関する基準についてこの法律案で緩和することは考えていないところでございます。

#46
○石垣のりこ君 消防法に関してもそうですし、建築基準における衛生基準に関しても、やっぱりいろんなことがチェックしていくシステムとして、例えば五年に一度というような目安なども示されていますけれども、本当に利用基準がちゃんと守られていくのかというのは甚だ疑問なところもありますので、この点、技術基準を緩和するのであれば、しっかりその部分、利用基準で担保できるような仕組みというのをつくっていただきたいなと思います。
 時間になりました。
 建築基準法の目的であります命と財産を守るための最低限の基準の適用を除外とする法律を起案する理由が国際競争力の強化であることについての問題というのを改めて指摘させていただきます。さらに、畜舎の建築費の削減が国際競争力の強化に寄与するということが具体的数字としては実は説得力に乏しいという、その点も指摘せざるを得ません。
 しかし、畜舎という特性から、技術基準を緩和すること自体には一定の合理性があると考えますので、変更される基準が、建て主はもちろん、新基準で設計する建築士の方、施工業者の方、またもろもろの手続をチェックする自治体、委託業者の方、建築基準が変わることによって、先ほど保険の話もありましたけれども、この適用除外、関係各所ですね、影響を及ぼす関係各所に対しての丁寧な説明、時間も結構限られますし、あとは責任の所在を明らかにしていただきたいと思います。
 建築基準法の適用除外となったことによって身の安全が脅かされたり、畜産農家などが不利益を被るというような本末転倒なことがないように強くお願い申し上げて、質問を終わります。

#47
○高橋光男君 おはようございます。公明党の高橋光男です。本日の畜舎建築利用特例法の審議に当たり質問の機会をいただき、ありがとうございます。
 我が地元兵庫県も、但馬牛などの肉用牛、淡路地域などの乳用牛を始め、関西では主要産地です。本法案の審議に際し、地元の畜産農家のお声を伺いました。また、昨年十二月にはお隣の京都の農家にも熊野政務官とともに視察をさせていただいたところです。本日は、それら関係者の方々の御意見、御要望を踏まえて質問をさせていただきたいと思いますので、政府にはそうした現場のお声に寄り添った答弁をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
 初めに、私は、この本改正法の目的、効果についてお尋ねしたいと思います。
 この点につきましては、法案提出の背景、目的につきましては既に先日、野上大臣から提案理由説明において述べられたところでございますけれども、改めて今回の法案の目的及び政府として目指す効果について、現場及び一般の方々にも分かりやすく御説明をお願いします。

#48
○国務大臣(野上浩太郎君) お答え申し上げます。
 畜産業においては、国内外の需要に対応するための増頭、増産ですとか、長時間労働の改善に向けた省力化機械の導入等に取り組む必要がありますが、畜舎は畜産業に必須の施設でありまして、増頭や搾乳ロボットなど省力化機械の導入を行う場合には畜舎を新築又は増築する必要がありますが、一方で、近年、建築資材や工事労務費の上昇を受けて畜舎の建築コストが増加しておりまして、この建築基準を緩和してほしいという要望が農家からも上がっていることから、今般、この法律案を整備したところであります。
 本法律案によりまして、畜舎建設に係るコスト削減によって畜舎建設時の負担が軽減をされて、増頭、増産や省力化機械の導入をより一層進めやすくなり、また、このことによりまして、国内外の需要に対する国産畜産物の安定的な供給につながるものと考えております。
 またさらに、本法律案のメリットであります技術基準の緩和については建築等をする畜舎の規模によって変わるものではなくて、手続の簡素化については大部分の畜舎が技術基準審査不要の対象となる見込みであることから、この法律案は、経営規模の大小にかかわらず全ての畜産農家に御活用いただける制度であるということも考えております。

#49
○高橋光男君 私、国内外の需要に対応するといったこの目的というものはよく理解しますけれども、日本の質の高い畜産物が畜産農家の皆様によって持続的に生産できるようにすることが第一義的な目的であって、今回の法改正はそのために必要な環境を整える一つの手段であるというふうに考えております。
 その観点から、次にお伺いしてまいりたいと思います。
 今回の改正によっていかに畜産農家の負担が軽減されるのか、先ほど大臣がおっしゃられた手続の簡素化あるいは迅速化の点について具体的に確認させていただきたいと思います。
 この点、地元の現場によれば、建築基準に従って畜舎を建てるとなると費用が高くなり、増築に当たって申請、計画していくと二から三年掛かっているというのが現状でございます。
 そこで、今回の特例法によって申請から工事着工までどれほど期間が短縮されるのでしょうか。とりわけ、畜舎を建築するためには、建築基準の緩和だけでなく、国として手続を迅速化、簡素化する取組を強化していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

#50
○大臣政務官(熊野正士君) お答えいたします。
 新制度では、省令で定める規模以下の畜舎等については構造等の技術基準の審査を不要としております。その規模については、現行の建築確認が不要となる上限面積を緩和してほしいという農家からの強い要望等を踏まえて大幅に引き上げることを考えており、具体的には、三千平方メートル以下の畜舎等は、技術基準の審査を不要とすることを検討しております。これにより、床面積三千平方メートル以下の畜舎等については、知事による畜舎建築利用計画の認定手続は要するものの、利用基準の審査のみによって計画の認定が行われることになり、手続の迅速化が図られるようになるものと考えております。
 さらに、この審査の際の申請様式などは可能な限り簡素化するほか、eMAFFの活用などにより電子申請を可能とすることを検討しており、こうした点も含め、手続の簡素化に取り組んでまいります。

#51
○高橋光男君 ありがとうございます。
 今ございましたように、手続の簡素化、迅速化も、ある意味におきまして、農家の皆様にとってはコストの削減だと思います。
 いずれにしましても、今御答弁いただいたことは、これからこの本改正法を受けて裨益をする全ての畜産農家に関係することですので、国として現場への周知徹底をよろしくお願いいたします。
 次に、兵庫県北部の畜産農家からいただいたお声です。
 畜舎を建てやすくなるのはうれしいが、増頭したくても堆肥の処理能力に限界があるとの御意見をいただきました。堆肥舎を建てるとなると、どうしても臭いがありますので、近隣住民との問題が生じます。
 この点、現場の方からは、排せつ物処理の好事例として、福井県の嶺南地方においては、堆肥舎を建てない代わりに堆肥専用のパッカーに堆肥を入れて、それを自治体が取りに来るような仕組みができており、こうしたものがあるとうれしいというお声をいただきました。
 私自身、このように、単に家畜排せつ物を廃棄するだけではなくて堆肥にして資源循環を図っていくこと、また、そのためになるべく畜産農家の負担の掛からない体制を築くことは様々な観点から有益と考えますけれども、こうした取組を普及していくに当たって国としていかなる支援が可能でしょうか、お答え願います。

#52
○大臣政務官(熊野正士君) お答えいたします。
 家畜排せつ物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、排出者である畜産農家が自らの責任において適正に処理しなければならないものとされております。
 その際、単に家畜排せつ物を廃棄物として処理するのではなく、堆肥として土づくりに有効利用することにより、資源循環を図っていくことが重要であると考えております。
 御指摘の福井県嶺南地方の自治体が運営する施設のような家畜排せつ物処理施設の整備について、農林水産省としては、地方公共団体、農業協同組合又は三戸以上の農業者等が堆肥を散布する装置等の整備と併せて行う共同利用の家畜排せつ物処理施設を整備する場合で、地区の受益面積が十ヘクタール以上で、飼養頭数が成牛で二百頭以上のものについて助成を行う農山漁村地域整備交付金などの措置を講じてきたところであり、引き続き、家畜排せつ物を適正に処理し堆肥としてしっかりと有効利用していただけるよう、必要な支援策の実施に努めてまいります。

#53
○高橋光男君 ありがとうございます。
 今御答弁ございました農村漁村地域整備交付金によるこの事業、これ、次に述べます畜産クラスター事業のような、協議会を必ずしも設置しなくてもよい取組です。例えば、事業主体の県に対し、先ほどおっしゃられたように、三戸以上の農家が申請をすれば共同利用のための処理施設を整備できる可能性もございます。一方で、まだまだ活用されていない地域もあろうかと思いますので、国には更なる支援策の推進をお願いいたします。
 続いて、機械化による労力の軽減、人手不足の解消に関してお伺いしたいと思います。
 畜産業の成長、このためには、建築基準の緩和のみならず、機械化によって労力を軽減していくことが人手不足を補う観点からも重要であることは言うまでもございません。一方、現場からは、省力化機械や堆肥の散布機械なども非常に高額で、簡単には購入できないというお声をいただいております。実際には、堆肥はまいてくれる畜舎に依頼しているところが少なからずございます。
 こうした機械の整備に当たっては、現在、国は主として畜産クラスター事業を通じて支援しているものと承知いたします。
 この畜産クラスター事業は、生産者、JA、行政、コントラクターなど、様々な地域の関係者を巻き込んだ協議会を設置することが支援を受ける前提となっております。しかしながら、地域によっては必ずしも協議会の設置が容易でないところもございます。その結果、支援が十分に届いていないところも少なくないと承知いたします。
 もちろん、機械導入については、地域のJAや全農の皆様の御尽力により、クラスター協議会を通じて機械導入を行っていただいているところもございます。一方、例えば、私の地元兵庫県豊岡市などでは、クラスター協議会は設立されたものの、計画の策定に何と三年も要し、ようやく今年になって施設整備が始まろうとしています。
 こうした中で、現場からは、整備が開始するまでに数年も掛かるのであればほかのことができるとか、クラスター事業は協議会を通じてのため手間が掛かるというイメージが先行しており、浸透していないといったお声をいただいているところでございます。
 そこでお尋ねしますが、国として、協議会設立を前提とせずになぜ支援ができないのでしょうか。
 例えば、小規模の畜産農家であっても、もっと容易に機械導入ができるようなきめ細かな支援をすべきではないでしょうか。また、人手につきましても、大きな畜舎は堆肥を処理するにしても専任の社員が対応することができますけれども、小さな畜舎はそうした人を雇うのが難しいところがほとんどです。人手が不足している小さな畜舎に対して、国としていかなる支援が可能かについて、併せて御答弁をお願いします。

#54
○大臣政務官(熊野正士君) お答えいたします。
 畜産クラスター事業は、総合的なTPP等関連政策大綱に即して畜産・酪農収益力強化総合プロジェクトを推進していくための主要な事業であり、本事業により畜産の生産基盤を強化してきたところです。
 この事業は、地域の課題を共有する関係者が連携することにより畜産の収益力の向上等を図るため、地域の関係者によるクラスター協議会で作成した畜産クラスター計画に基づき行う取組を支援する事業であり、本事業はクラスター協議会の設立を前提としているものであります。
 このクラスター協議会は、その地理的範囲や参加する畜産農家の経営規模等には特段の要件を課しておらず、それぞれの地域の特性や取組内容に応じた協議会の設立が可能な仕組みとなっております。
 委員の御地元の兵庫県豊岡市の事例のように、平成三十年に設立された協議会の計画作成が令和三年二月となり、今後ようやく事業の活用が進み始めるような事例もあると承知をしております。
 農林水産省としては、規模の大小にかかわらず地域の畜産農家に御利用いただけるよう、クラスター協議会が設立されていない地域も含め、事務局となる市町村や農協等の職員等を対象とした畜産クラスターコーディネーター研修を通じて、協議会の設立や地域内の連携の調整、補助事業の活用に係る指導、助言を行うことができる人材の育成等の支援を行っているところであり、引き続き必要な支援を行ってまいります。
 また、人手不足の場合には、畜産クラスター事業以外にも、堆肥散布等の作業について、コントラクター等の外部支援組織の活用も推進しているところであります。

#55
○高橋光男君 御丁寧な答弁、ありがとうございます。
 国には、そうした協議会の設置を前提としたり、また現場から申請があって初めて検討をするといった要請主義ではなくて、産地であっても協議会がないところや、あっても小規模農家が参加できていない、あるいは、必ずしもうまく計画が進捗していないところにはプッシュ型で調整に入ったり、現場のニーズを吸い上げたりする努力を怠らないようにする、そのようにして支援が行き届きますように御対応をよろしくお願いいたします。
 続きまして、牛マルキン、配合飼料、また消費拡大支援についてお伺いしてまいりたいと思います。
 一部報道では、牛マルキン、すなわち肉用牛肥育経営安定交付金におけるこの農家の負担金、これが来月にも納付再開とされています。
 これは、昨年末に定められたルールに基づくものでございまして、私も本委員会において度々質問させていただいてまいりました。三月にこの委員会で質問させていただいた際には、大臣から御答弁いただきましたように、納付再開時の単価はかなり低くなる見込みと承知はいたします。
 枝肉価格は持ち直しているといっても、例えば、私の地元兵庫の但馬牛につきましては、一頭当たり四百キロ台と他県のブランド牛に比べて百キロほどサイズが小さいので、販売価格は一頭当たり百二十万から百三十万とかなり低い金額です。一方で、二年前の素牛価格は一頭当たり百万円を要しました。これに飼料などの様々必要な生産コスト、これを上乗せすると、生産コストは販売価格を上回っており、売れば売るほど赤字になるというのが実態です。
 実際、借金をして牛舎を建て、返済期日が迫っているのにお金が手元にない、そんな農家が多くございます。国には、そうした方々を決して見捨てないでいただきたいと思います。
 牛マルキンの負担金再開に際しては、全国統一の決まりとはいえ、兵庫の関係者からは引き続き強い懸念の声をいただいています。再開するにしてもできる限り低い水準にしていただくよう、重ねて要望をさせていただきたいと思います。
 そして、ここで配付資料を御覧いただきたいと思います。
 ここに来て、配合飼料についてでございますが、これ穀物相場、また海上運賃の上昇、また為替の円安等によって非常に今高騰しているところでございまして、今後も予断を許さない状況でございます。
 配合飼料と申しますと、五つの種類ございまして、そのうちの半分がトウモロコシが占めているわけでございますけれども、トウモロコシの相場は非常に今急騰しているところでございます。この配合飼料価格というのは、肉牛生産において生産費に占める割合が素牛代に続いて大きな金額でございますので、肥育農家は非常に厳しい状況に追い込まれています。
 これに対し、配合飼料は価格安定制度というものがございますので、これによって、農家さんの方は、一応保障ということはあるんですけれども、一方で、現状この基金の残高も余裕があるというふうには承知しますけれども、過去には、価格急騰時に枯渇したこともございます。これ二ページ目にございますが、平成十八年からこの二十年の間、この補填がなされたんですけれども、通常補填だけでは補填し切れず、異常補填によって手当てがされ、そしてこの基金が枯渇したと、そうしたこともございます。
 そうした中で、私はもちろん中長期的には飼料自給率、これを上げていく取組も重要だと思いますけれども、目下の課題として、補填金が生産者の元に入るのが数か月後となっていますので、この早期の支払のために、国としてできることを是非やっていただきたいと思います。
 また、今後の価格動向を注視していただくとともに、保険金財源の確保を十分に行っていただくとともに、この配合飼料基金制度の安定的な継続運営を支えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、コロナ禍が続く中でございまして、需要が引き続き減退しています。そのような中、兵庫県では、神戸肉流通推進協議会が消費拡大キャンペーンというのも行っています。何としてでも肥育農家を守るための現場のこうした取組が持続できますように、国には具体的な支援を継続していただきたいと考えますが、いかがでしょうか、野上大臣、お願いします。

#56
○国務大臣(野上浩太郎君) 配合飼料価格につきましては、今先生からお話あったとおり、昨年来、中国におけるアフリカ豚熱からの飼養頭数の回復に伴ってトウモロコシ価格が高騰して配合飼料価格が上昇していると、畜産農家の方々から大変な御懸念をお持ちであるということ、承知いたしております。
 こうした場合に、配合飼料価格安定制度によります積立金による基金から畜産農家へ補填金が交付される仕組みが構築され、畜産経営への影響は緩和されるものと考えておりますが、本制度につきましては、令和二年度の第四・四半期、一―三月でありますが、ここにおきまして、トン当たり三千三百円の補填発動が決定をしておりますが、補填金を支払った後におきましても、基金については約千三百億円以上の十分な財源が確保されております。
 国としても、畜産農家の経営状況を踏まえて、速やかに補填金が支払われるように基金団体に円滑な事務執行を促してまいりたいというふうに思いますし、引き続き配合飼料価格の動向を注視をして、本制度が安定的に運営されるように適切に対応してまいりたいと思います。
 また、消費拡大のお話もございましたが、御地元の兵庫県でも地方創生交付金、臨時交付金を活用して、神戸肉流通推進協議会がキャンペーンを実施されているということは承知をいたしております。
 農林水産省としても、コロナ禍での流通販売対策としまして、和牛肉の在庫解消を図るための冷凍保管経費ですとか、あるいは販売奨励金の交付を行っておりますが、兵庫県内の事業者におきましても積極的に御活用いただいていると承知をいたしております。引き続き、本制度、本対策による支援を実施してまいりたいと考えております。

#57
○委員長(上月良祐君) おまとめください。

#58
○高橋光男君 ありがとうございました。以上で終わります。

#59
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
 本法案の第一条、この法案は、畜産業を取り巻く国際経済環境の変化等に鑑み、その国際競争力を強化するものとあります。その後に続いてこのように書いてあります。畜産等の建築等及び利用に関する計画の設定制度を創設し、当該認定を受けた計画に基づき建築等がされ、及び利用される宿舎等に関する建築基準法の特例を定め、もって畜産業の振興を図ることを目的とすると。
 結局、この法律は畜産業の振興を図るために出たものだとしております。これまで振興を図るためにいろいろやってきたんですけれども、特例を出して畜舎について建築基準の特別なものを何かないかと思い付いたということで、畜舎は建築基準法を適用せずに新規立法によって建築内容を緩和すると、このように理解していいのではないかと思うんで、畜産業者の利益のために農水省は頑張っているんだなと、いろいろ資料を読んでそう思ったわけです。
 特定の建物に関して特例を出したのは初めてのことではないかと思うんですが、ここの注目点はすばらしかったと思うんです。ではありますが、動物のこととなりますと無視できないのが昨今でのアニマルウエルフェアなんですが、このアニマルウエルフェアを図ることが世界的なトレンドとなってきておりまして、畜産業の振興にとっても国際的な競争力をアップするというならばアニマルウエルフェアの配慮が不可欠となってきます。避けて通れないということなんですが、アニマルウエルフェアの飼い方に反しているようなことになりますと、将来的に輸出しようにも輸入してくれない、つまり買ってくれないというような事態が起こらないように法的な整備というのは構えておいた方がいいと思うんですね。将来的に国際問題なんということにならないようにしていきたいと。
 おさらいなんですが、アニマルウエルフェアというのは、動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的、心的状態というふうに定義されておりまして、ちょっと農水のホームページを見てみたんですが、農林水産省も、家畜を快適な環境下で飼育することにより家畜のストレスや疾病を減らすことが重要であり、結果として生産性の向上や安全な畜産物の生産にもつながると、このように書いてあります。
 そうなると、家畜が過ごす環境を快適なものにするために畜舎の建築基準を適正なものにするということが不可欠になってくるんですが、最初の質問です。本法案の中にアニマルウエルフェアという視点が入っていますか。短くお答えください。

#60
○国務大臣(野上浩太郎君) 本法律案は、今先生からもお話あったとおり、畜舎等の利用の方法等に一定の基準を設けることによりまして建築基準法の特例として構造等の技術基準を緩和するものでありまして、この利用基準と技術基準の組合せによって安全性を確保するものであります。
 一方で、良好なアニマルウエルフェアというものは、畜舎そのものではなくて、畜舎内に設置される家畜を収容するケージ等の設備ですとか日頃の飼養管理により実現されるものであり、また、利用基準や技術基準は畜舎等の安全確保を目的としたものであって、アニマルウエルフェアの実現に直接関係するものではないと考えておりますが、アニマルウエルフェアは家畜を快適な環境下で飼育することによって家畜のストレスや疾病を減らす取組であり、その推進は重要な課題と考えております。
 農林水産省では、OIEが示すアニマルフェアに関する指針を踏まえて課長通知を発出するほか、アニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針、畜産技術協会による作成への支援などを行うことによりまして、アニマルフェアの取組の推進を図っているところであります。

#61
○石井苗子君 直接関係ないんです、今度の法律は。建築の問題なんですよね。だから、アニマルウエルフェアというのは飼い方の話であって、これは建築ではないというふうに、今回の特例の法案にはそういうふうな理解です。いろいろと考慮していく、当然、環境と関連することでありますから、動物の生と死、これ当然考えていくつもりですと、横からこう、守っていくつもりですとおっしゃっていますが、本法案にはその視点は入っていません、直接関係ないので。
 そうなりますと、よく見ますと、家畜のアニマルフェアに関しては畜産振興課長の通知というのがあります。アニマルウエルフェアに配慮した家畜の飼料管理の基本的な考え方についてというのが出ているんですけれども、こういうのはいろいろとからめ手で出ていますが、これ通知です。
 農林水産省の法律として、家畜のアニマルフェアの根拠となるものがありましたら教えてください。

#62
○政府参考人(水田正和君) アニマルウエルフェアに関連する国内法といたしましては、動物の保護及び管理に関する法律という環境省所管の法律はございますけれども、農林水産省所管の法律で、先ほど、昨今いろいろ話題となっておりますOIEの取組ですとか、あるいはその畜産振興課長通知を出しておりますけれども、そういった内容について、農林水産省の法律で定めたものはございません。

#63
○石井苗子君 これ、今からちょっと武装しておいた方がいいと思うんですね。環境省の動物愛護法の精神というのがあるんです。これ、建物に関係ありません。農水は産業振興だから動物愛護は二の次だというような御説明も受けました。これはちょっとまずいなと思ったんですね。(発言する者あり)そうなんですよ。だから、畜舎の安全性についてこれから質問しますから。
 本法案の資料、お配りしましたけれども、法案のポイントという資料です。四の技術基準の根拠ですけれども、こう書かれています。畜舎は、住宅や事務所などと比べて滞在時間が短いため、一定の利用基準を定めることにより、技術基準を緩和しても畜舎としての安全性は確保できると書かれています。
 要するに、人間の滞在時間が短いから緩和した技術基準でも畜舎としての安全性は確保できるということなんですが、畜舎の安全性、これは人間が滞在する時間などを基準に考えていて、畜舎の安全性は人家としての安全性よりも低くて構わないということになります。もちろん、人と家畜は違うわけですから、動物に関して人と同じ安全性を保障しろと言うつもりは私ないんですけれども、農林水産省は家畜の安全性は人家の安全性よりも低くてよいという認識なんだと、この特例の中で、認識なんだと考えてよろしいでしょうか。

#64
○国務大臣(野上浩太郎君) 現在、建築基準法におきましては、畜舎や住宅等を含めて全ての建築物に適用されるわけでありますが、建築物の建築等に関して最低の基準を定めて、それによって安全性を確保すると、建築基準法はこういう考え方を取っているわけでありますが、一方、畜舎については、平屋が中心で構造が簡素なものが多い、あるいは畜舎内の人の滞在時間が短い、防災上の観点から第三者がみだりに立ち入ることがない規制が掛けられていることなど、特徴があります。これを踏まえて、滞在時間の制限や避難経路の確保等の畜舎等の利用に係る安全確保のための基準を設けることが可能となっております。
 そのため、新制度では、このような利用に関する基準と構造等に関する基準、これを組み合わせることによって畜舎等としての安全性が確保されるという、こういう考え方を取っておりまして、利用基準を遵守することでこの技術基準を建築基準法上の基準よりも緩和しても安全性が担保できるものと考えておりまして、新制度の畜舎の安全水準が住宅等よりも低くなるというものではないと考えております。

#65
○石井苗子君 構造の技術基準だけを緩めるために利用基準というのを作るということで、うまく組み合わせたものでやって、この法律、法案ですね、法案で新しく増築、改築したい人が手を挙げるとか、やりたい人がやる気を出してもらえるというふうに、そこは分かるんですけれども、すぐ建てたい、早く建てたい、建築物として災害に対する安全性は考慮しているが、アニマルウエルフェア信者の言うようなことは余り考えていないと言われないように、私はどこかでしっかり担保していった方が法的にいいんではないかと思っております。
 引き続き四の技術基準のところを見ていただきたいんですが、技術基準についてはこう書いてありますね。畜舎等の敷地、構造、建築設備について省令で定めるとしてあります。利用基準と相まって安全性等について支障がない基準にするということです。
 この基準、技術基準ですね、を緩和するということで、先ほどから安全性が担保される、担保されるという話はたくさん聞いているし、私も読んでいるんですが、どの程度まで安全性は低くなるかという、どの程度まで安全性は低くなりますか。こういうお答えできますでしょうか。

#66
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 新しい制度でございますけれども、その利用に関する基準を遵守することで構造に関する技術基準を建築基準法より緩和するということでございますが、その二つの基準が相まって畜舎としての安全性が担保されるということでございます。
 その緩和された技術基準、すなわちこれB基準と呼んでおりますけれども、この内容といたしましては、震度五強程度のまれに起こる地震の場合でございますが、建築基準法では構造の部材が損傷しない、ひびとかも入らないと、こういった考える程度に設定をされているということでございますが、この法律案では、損傷が生じても畜舎としての利用には問題が生じない程度、この強度にすることを検討しておるところでございます。
 具体的には、その部材の基準強度に設けられている安全係数、こういったものが建築基準法では掛けられておりまして、余裕を持った計算ができるようになっているわけでございますけれども、これを設定しないで計算をするということとする予定でございます。
 また、この部材の基準強度に設けられている安全係数を設定しないということは、この部材が持つ強度というものを満度に使うということでございまして、余裕を持たせた強度ではございませんけれども、例えばごくまれに発生する地震、震度六強から七に対してもぎりぎりの強度は有しているということでございまして、倒壊する前提の基準ということではございません。
 いずれにいたしましても、基準の詳細につきましては、今後専門家の意見も踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。

#67
○石井苗子君 ありがとうございます。
 次の質問にその安全性の係数ということが続いてくるんですが、技術基準のB基準、オレンジ色のところですけれども、震度五程度では倒壊しないと、震度六から七程度の地震で倒壊するおそれは否定できないという基準を想定しておりますということですね。
 日本の大震災で倒壊した畜舎数、どのくらいありますか。

#68
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 農林水産省では、災害とかによりまして農林水産関係の被害が生じた際に都道府県などから報告を受けることにしておりまして、一定の被害が見込まれる災害につきましてその被害状況を公表しております。
 近年の地震におきます畜舎等の畜産用施設の被害といたしましては、令和三年の福島県沖を震源とする地震では二十九件の被害がございました。また、平成三十年の北海道胆振東部地震では二百九十四件の被害があったところでございます。

#69
○石井苗子君 いや、結構たくさん出ていますね。
 もしも、東日本大震災、これは震度七から八でマグニチュード九ですけれども、これ想定して家畜の安全性というのを計算して、これは家畜の安全性は危険にさらされても仕方がないということで今度新しく特例で畜舎を建てていくということになりますかね。

#70
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 新制度でございますけれども、具体的に技術基準と利用基準の組合せでもって一定の安全性を担保するということでございますので、その考え方といたしましては、先ほど申し上げましたように、まれに起きるような地震、震度五強程度は損傷しても倒壊はしないという強度でございますし、また、ごくまれに発生する震度六強から七、これに対しましてもぎりぎりの強度は有しているというものでございますので、倒壊する前提の基準としてはなっておりませんので、家畜の生命を軽んじているということではないというふうに考えているところでございます。

#71
○石井苗子君 私もちょっと調べてみたんですけど、東日本大震災、余りにも大きくて、津波でさらわれてしまって、その家畜がどうなったかまでフォローできていないんですね。出ていません、資料が。
 でも、胆振沖で二百九十四件というのは結構、累積して震度五で計算すると、これで危険性が、危険性のリスクマネジメントができていなくて、日本はこうやって特例出して国際競争力を高めようと思ったらがっつり死んでしまったみたいな、そういうふうにならないようにしていかなきゃならないので、私は、ちょっと視点を変えまして、今度の法案提出に至った背景というのをちょっと調べてみましたら、建築基準法の規定により畜舎を建築していることのデメリットが多いということで、つまりお金が掛かる、コストが高くて手間が掛かる、この書類を出したりいろいろ基準に合わせたりする、そういった意味において、規制緩和によって一定程度解決できるんじゃないかという視点があったわけなんですが。
 話が横に飛ぶようで申し訳ないんですが、中央畜産会というのが建築基準法の型式適合認定制度というのをつくりました。平成二十七年だから七、八年前だと思いますが、そこで、その型式適合認定制度を活用してスマート畜舎という工法で認定を取得しているんですけれども、このスマート畜舎の建築実績、どのくらいありますか。

#72
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 答弁に入ります前に若干の答弁訂正させていただきますが、アニマルウエルフェアに関する国内法に関連して動物の保護及び管理に関する法律と申し上げましたが、動物の愛護及び管理に関する法律の間違いでございますので、訂正させていただきます。
 御指摘の中央畜産会が型式適合認定を取得したものでございますが、これ、いわゆるスマート畜舎と呼ばれているものでございます。公益社団法人の中央畜産会が建築基準法の型式適合認定というものを取得した畜舎の工法でございまして、この工法は中柱が不要の構造でございまして、中に広い空間ができるということでございまして、建築基準法上の建築確認申請に係る手続を簡略化できるということでございます。
 平成二十七年の四月から利用可能となっておりますが、現在までのところ、このスマート畜舎を建築した件数でございますが、二件でございまして、畜舎の数といたしましては三棟でございます。
 このほかに、スマート畜舎ではありませんけれども、その工法を活用して構造計算を実施をして建築した畜舎もございまして、これが三件で十棟となっているところでございます。

#73
○石井苗子君 どうしてそんなに進まなかったかという理由を最後にお伺いしてよろしいですか。

#74
○政府参考人(水田正和君) 済みません、お答えいたします。
 このスマート畜舎の利用が低調な理由でございますが、中央畜産会に聞き取ったところ、畜舎を建てる土地の地形ですとか地盤の強度ですとか気象条件の違いがいろいろございまして、あるいは畜産農家の方が飼養管理上こだわりがあったりいたしまして、このスマート畜舎の規格と異なる構造としなければならないといった、したいという場合がございます。そういたしますと、その構造計算を改めて行う必要があるということでございまして、結果的にこのスマート畜舎の、認定を受けたスマート畜舎のメリットが受けられないということが挙げられているところでございます。

#75
○石井苗子君 私が勉強というか研究したところによりますと、いろいろと畜産の人たちが自分の自由な発想で畜舎を建てたいということがあったので、だから、いっそのこと特例にして、こういうことでコストも安く、一連にこういうふうにして建てていけば国際競争力も上がりますよと言っているんですけれども、どうもその安全性というのが担保されていないと。
 軒並み地震で倒れたというときにそれを守る法律、あるいはアニマルウエルフェアについてはこのように定義していると、日本の農水のやり方はこうなんだというのをちょっと出しておいた方が安全かと思います。人の命も動物の命もより良く担保でき、安全性を保てるのではないかということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#76
○舟山康江君 国民民主党の舟山康江でございます。
 法案の質疑に入る前に、果樹の凍霜害についてお聞きしたいと思います。
 関東北部から東北地方にかけまして、四月十日から十五日までと四月の二十五日頃、低温と降霜がありました。それによって花の雌しべが枯れるなど果樹の生育障害が多数報告されております。例えば、福島県では桃を中心に、また私の住む山形県ではサクランボを中心に、庄内地方では柿、あとはリンゴ等も一部報告されておりますけれども、広い範囲で被害が報告されています。
 今年は豪雪で、その被害もありましたけれども、その後、三月ぐらいから非常に気温が高く、雨も少なく、かなり開花が早かったということがあって、もう既に開花が始まっているところに低温、霜というところで非常に大きな被害がありました。マイナス四度ぐらいまで気温が低下したという地域もありまして、特に山形のサクランボでいえば紅秀峰という品種が非常に壊滅的な被害で、園地によっては九割以上もう被害があったと、着果しないんではないかということを言われています。県、農協等もできるだけ残った花のいわゆる受粉作業をしっかりやるようにという指導はしているみたいですけれども、ただ、九割もの花が駄目になるとなれば、今後の影響は非常に深刻ではないのかなと思っています。
 果樹ですからまだ実がなるまでは何とも言えない状況かもしれませんけれども、まずは、農水省としてこの冷害、霜害についてどのように現状認識されているのか、そしてまた、こういったことに対してどのような対応されているのか、お答えいただきたいと思います。

#77
○国務大臣(野上浩太郎君) 今お話ございましたとおり、全国で三月の平均気温が高温で、高温傾向で推移したことによりまして果樹について例年より開花が早まったことが影響して、四月十日から二十七日までに東北、関東、北陸地方等で発生した霜や低温によりまして花が枯れるといった被害が発生したということであります。
 霜や低温の影響につきましては、これまで被害のあった七県から約二千ヘクタールの報告を受けております。先生御地元の山形県におかれましても、被害面積は調査はされていないということなんですが、村山地域ですとか置賜地域等においてサクランボやリンゴの雌しべの枯死や柿の新芽の枯死等の被害を受けたとの報告をいただいております。
 果樹栽培については、一般的に過剰に枝に付いた果実を取り除く摘果の作業が今後行われることになりますから、この霜や低温についての具体的な被害、今後更に明らかになってくると考えられますので、引き続き状況を注視してまいりたいと思います。
 そして、対応でございますが、この霜害や低温の被害を受けた果樹につきましては、今、各県において、お話あったとおり、人工授粉の徹底ですとか適切な摘果など技術的な指導が図られているところと承知をいたしております。果樹を始め農作物については、被害を受けて収量が減じた場合の対策として共済制度や収入保険制度があります。共済の早期支払ももちろんでありますし、収入保険のつなぎ融資等々、これも既に数件問合せがあったと聞いておりますが、このようなこともしっかり行ってまいらなければならないと思います。
 また、今般発生した霜害や低温被害等の軽減を図るために、圃場におけるかん水や送風が有効でありますので、かん水設備の設置ですとか防霜ファンの導入に対して補助事業による支援を実施しているところでありまして、今後とも事業の活用を呼びかけてまいりたいと思いますが、いずれにしても、今般の果樹の生産に対する実際の影響、見られるものはこれからでありますので、影響を注視しつつ適切に対応してまいりたいと思います。

#78
○舟山康江君 今大臣から御答弁いただきましたように、具体的な被害はまだ分からないというのが実態なのかなと思いますが、先ほど触れましたように園地によって九割の芽が枯死しているということになると、幾ら人工授粉等をやってもなかなか追い付かないのかなと思います。
 是非、国としても県、現場と連携をしていただいて、まず被害状況をしっかり把握されて、必要な対策があれば、おかげさまで今年の豪雪に関しては相当特例的な支援もしていただいているのかなと思います。ハウスの害に対して、被害に対して、共済未加入の方に対する支援等もあったと思いますので、基本は共済、収入保険だとは思いますけれども、それで救えない方々、まあ公平性の問題もありますけれども、どんな手だてが考えられるのか。かなり広範囲でもありますし、コロナ禍で、特に果樹は観光果樹園等が昨年から大きな被害も出ているということもあって、やはり経営意欲をそがないような、そんなメッセージ、支援も是非今後御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、一般の畜産の今後の課題等について、まずお聞きしたいと思います。
 今回の法案の背景にも、また最近の農水省が進めようとしている畜産の方向性もいまだに増頭支援ということになっているのかなと思っています。規模拡大を私は一概に否定するものではありませんけれども、以前にもこの場でも指摘をさせていただきましたけれども、規模拡大だけがいいわけではないと私は思っています。
 そういう中で、増頭、増頭と、かなりこの規模拡大、クラスターもそうですけれども、その増頭を推し進める根拠が何なのか、まずそこについてお聞きしたいと思います。

#79
○国務大臣(野上浩太郎君) 主要な畜産物であります牛肉ですとか牛乳・乳製品の国内需要につきましては、これ、令和元年度で見ますと、牛肉については九十四万トンの需要に対して国内生産は三十三万トン、また牛乳・乳製品につきましては、生乳ベースで千二百四十万トンの需要に対して国内生産は七百三十六万トンとなっておりまして、両者とも需要を国内生産で賄い切れないと、輸入で補っている状況になっております。
 また、輸出について見ますと、日本産の牛肉、高い品質から海外での人気が高いわけでありまして、実際、輸出量も二〇一五年の千六百十一トンから二〇二〇年には四千八百四十五トンと伸びを見せておりまして、輸出の重点品目として期待をされているところであります。
 このようなことから、輸出も含めて拡大が見込まれる国内外の需要に応える供給を実現するために、肉用牛、酪農の生産基盤の強化に取り組む必要があると考えております。

#80
○舟山康江君 やはり、国内生産を増やしていくという方向性の中で、一戸当たりの飼養頭数を増やすのか、農家戸数の減少を食い止めていくのか、私はどちらも必要なのかと思っています。そういう中で、残念ながら今離農が相次いでいるということで、年々、農家戸数はどの畜種を見ても大きく減少しているというところの中で、やはりこれを食い止めると。大きなところだけを支援するんではなくて、小規模な畜産農家をしっかり支援する、そちらがむしろ大事ではないかと思いますけれども、その辺りはいかがでしょうか。
 増頭すれば補助金が、ではなくて、やはりそういった、しっかりと小さくても続けられる。ある意味、やっぱり小規模のメリットってたくさんあると思いますので、その支援がやはり今見ていると弱いんではないかと思っていますけれども、若干、畜産クラスター事業なんか、その規模要件を少し緩和したところはありますけれども、それでも、本当に小さなところ、ある意味、庭先の、私、庭先経営の畜産にもそれなりのメリットがあると思いますし、昔はみんなそうやっていましたし、やっぱりそこをもう少し大事にするような政策を講じていただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。

#81
○国務大臣(野上浩太郎君) 我が国の酪農、肉用牛の生産基盤、規模拡大が進展している一方で、やはり中小規模の家族経営が大勢を担うということになるわけでありますので、生産基盤の強化を図るに当たっては、引き続き意欲ある担い手の規模拡大を支援するとともに、この中小規模の家族経営の持続的な経営を実現するために、規模拡大を行わずとも生産性向上を図る取組を支援することが重要であると考えております。
 このため、規模拡大のための施設整備等への支援のみならず、中小規模経営の労働負担軽減を目的としました搾乳ユニット自動搬送装置ですね、キャリロボですとか、主力機械等の導入支援、あるいはTMRセンターですとかキャトルステーション、酪農ヘルパー等の外部支援組織の育成強化などにも、規模拡大を行わなくても生産性向上を図る取組を支援してまいります。
 これらの取組を通じて、規模の大小を問わず、意欲ある経営体が主体性と創意工夫を発揮をして、その経営を発展させることを目指してまいりたいと考えております。

#82
○舟山康江君 大臣がそういった御認識であれば大変安心するんですけれども、ただ、予算等の事業を見ると、増頭すると一頭当たり幾らとか、そういった支援が少し目立つんではないのかなと思っています。
 実は、これ、統計をよく分析してみますと、例えば乳用牛ですね、乳用牛に関して、果たして、じゃ、規模が大きいほど経営費が下がるかといえば決してそうなっていません。規模が大きくても生産費が必ずしも下がっていない現状がありますので、果たして、じゃ、適正規模がどこなのか、そこは分析していただきたいと思います。
 養豚においても、一頭当たりの販売価格、要は、ある程度三百から五百頭辺りが一番高くて、二千頭以上という非常に大きなところでは販売価格が下がっている。まあ薄利多売ということもあるかもしれませんけれども、いいものをしっかり作っていくという意味で、果たして大きければ大きいほどいいのかというところはしっかり考えていかなきゃいけないと思います。
 先ほど高橋議員からも、堆肥処理の問題、ネックだということも言われましたけれども、堆肥処理という観点からいっても、大き過ぎるとなかなかこれうまく回らない、循環もしないということもあるんで、私、やっぱり適正規模をしっかり見極めつつ取り組んでいくべきだと思います。
 これ、どの畜種もそうですけれども、特にその建物費に関しては、一頭当たりですよ、一頭当たりの建物費はやっぱり規模が大きいほど高いという現状がありますので、やはりそういった観点からも、今回、そこを少しコスト削減という意味も含めて今回の法案を提出されているとは思いますけれども、やっぱり規模別の今の経営の実態をしっかりと見た上で、果たして多頭化がいいのか、もう少し別の観点での支援を進めていくのか、そこは見極めていただかなきゃいけないと思いますけれども、経営状況の分析なんかはどのようにされているでしょうか。

#83
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 委員御指摘のように、生産費調査などを見ますと、規模が拡大すれば必ずしも生産費が下がっているという状況にはないものもございます。
 例えば、その酪農経営とかでございますと、一定の省力化機械を入れるとなると一定の頭数がないとフル稼働しないわけでございまして、その台数が一台なのか二台なのかという形で、一番効率的なそれぞれの頭数があるわけでございます。中途半端な頭数ですとなかなかコストが上がらないということもあろうかと思います。
 そういった観点も踏まえまして、我々、食料・農業・農村基本計画ですとか酪肉近代化基本方針におきまして、モデルというものを示して、そういったものを推奨する方向で政策を進めているところでございまして、今後ともそういったことはよく念頭に置きながら進めてまいりたいと考えております。

#84
○舟山康江君 増頭支援に特化しているということで、やみくもに多頭化を推進しているように見えないわけではないと私は思うんですね。そういう意味で、やはり大きくなれば過大投資の危険性もある、そして投資を回収するために増やさなきゃいけない、増やしたからまた機械という、そういった悪循環にもなりかねないので、しっかりその辺は、国として間違ったメッセージを送らないようにしていただきたいと思っています。
 続いて、今回、畜舎の構造についての在り方、建築基準法のいわゆる適用除外ということですけれども、先ほど石井議員からもありましたけれども、いわゆるアニマルウエルフェアの観点から、例えば海外では、畜舎を建設するときに、構造以外にその仕様として適正な面積、一頭当たりどのぐらいの面積が必要なのか、そういった基準が各畜種ごとにかなり決められているところが多いと思うんですけれども、日本において、養鶏、採卵鶏ですね、採卵鶏は飼養管理指針の中で一応目安は示されていますけれども、そのほかしっかりとした畜種ごとのいわゆる飼養スペース、飼養基準というものが設けられているのか否か、教えていただきたいと思います。

#85
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 アニマルウエルフェアの観点からの面積基準等でございますけれども、ちなみに、我が国のアニマルウエルフェアを推進する上で畜産振興課長通知がございます。これにつきまして、詳細な飼養管理方法につきましては、公益社団法人の畜産技術協会が公表している指針、これを参考にするよう指導しているところでございます。
 その指針における書きぶりでございますけれども、今委員御指摘の採卵鶏におきましては、一羽当たりの飼養スペース、飼養面積の推奨値を示しております。鶏一羽当たりの飼養スペースについては、死亡率を調べた海外の知見などからは四百三十から五百五十五平方センチとすることが推奨されるが、必要な飼養スペースは、飼養される鶏の品種、系統や鶏舎の構造、換気の状態、ケージのタイプ、鶏群の大きさ等によって変動すると。そのため、適切な水準について一律に言及することは難しいが、重要なのは、管理者及び飼養者が鶏をよく観察し、飼養スペースが適当であるかどうかを判断するということであると記載されております。
 その他の畜種についての飼養面積の記載でございますけれども、乳用牛、肉用牛、豚については、体重などに応じた参考値という形で記載はされておりますけれども、いわゆる基準と申しますか、これ以下では駄目というような形での記載がなっているわけではございません。
 なお、OIEが示すアニマルウエルフェアに関する指針につきましては、これまで面積基準とかそういったものは定められていないところでございます。

#86
○舟山康江君 これやはりせっかく、何というんですかね、畜舎に関してその在り方を見直すこの今回のタイミングで、こういった動物福祉、アニマルウエルフェアの観点からもしっかり、どういう畜舎の形態がいいのか、そういったことを併せて示すべきではないかと思いますので、検討いただきたいと思っています。
 じゃ、法案に行きたいと思いますけれども、これまでも鉄道施設とか文化財、太陽光発電設備等は規制のいわゆる適用除外の措置として規定されていましたけれども、畜舎に関してこれまで今回のようないわゆる法の枠組みの外で適用除外措置として議論したことがあったのかなかったのか、なぜ今回改めてこういった措置になったのか、背景をお聞きしたいと思います。

#87
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 これまでの畜舎等の建築基準の緩和につきましては、建築基準法の下で緩和の措置が講じられてきたところでございます。平成九年三月、当時の建設大臣の認定を受けました畜舎設計規準によって緩和をされたということなどがございます。これらの緩和におきましては、例えば北海道における風雪荷重の緩和とか南九州における風荷重の緩和、こういったものによりまして部材の使用量が一定程度削減可能となるといった試算もあるところでございます。
 これまでの緩和内容につきましては、建築基準法の下で畜舎の特性を踏まえて告示の改正などによって実現することが可能であったということから、建築基準法の外で検討するというふうなことはしてこなかったというのが実態でございます。
 一方で、今回更なる建築コストの削減というものが求められたという状況の中で、更に緩和を可能とするために、この緩和を希望する農家が、構造等の技術基準に加えまして一定の利用基準、こういったものを遵守する計画を出していただき、その計画を都道府県知事が認定する、これで、これによりまして両基準が相まって安全性を確保するという新たな仕組みをつくるということとしたところでございまして、これは、建築基準法の考え方、そもそもが利用基準というものもございませんし、あるいは、建築物についてはもう建築主の希望にかかわらず一定の構造等の基準を適用する制度でございますので、その建築基準法の体系の下で今回の措置を講ずることは困難であることから別に法律を作ることとしたということでございます。

#88
○舟山康江君 要は特例ですよね、建築基準法の特例として別枠で利用基準等も組み合わせながら新たな法律を作ったということですので、先ほど指摘をさせていただきましたように、要は人がどう利用するのかということに加えて、動物の利用形態というんですかね、やはりその面積基準とかそういった観点もせっかくだからここに入れていけばいいのかなと思っています。
 是非その辺を考えていただきたいと思いますし、ちょっと時間ですので指摘だけにさせていただきたいと思いますけれども、今回、要は、畜産農家は、元々の建築基準法に従って畜舎を建てるか、こちらの特例で建てるか、特例で建てた場合にも、いわゆるA基準、B基準でどれを選ぶのか、多分三通り選ぶことになるんですよね。そこが、どういう場合に何を選べばいいのか、私は非常に分かりにくいんじゃないかと思うんです。
 元々のその本則でやりたいという方々はどういう方々でどんなメリットがあるのか、一応この特例に関しては、手続も簡素化しますし、いわゆる申請のいろんな書類等も少ないのでコストも安いという中で、でも本則でやりたいという人がどういう方なのか、その辺をきちっと示していただかないと、何を選択するのか、やっぱり現場では混乱すると思いますし、もう一つは、こうなると、市町村、いや、ごめんなさい、都道府県ですね、都道府県の役割が非常に大きくなると思いますので、やはりこの都道府県の体制整備への支援等についてもしっかり対応いただきたいということをお願い申し上げまして、質問とさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

#89
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 畜産、酪農の現場を歩きますと、中小の農家から、堆肥盤一つ造るにも建築基準が厳しくて負担が重いということなど、畜舎の建築コストを削減するために建築基準制度の緩和を求める要望というのが出されてきました。それで、経営を継続する、あるいは継承するという上でも、過剰な投資は避けたいというのはこれ当然の要望だというふうに思うんですね。ただし、それはやっぱり安全性が確保された上でということだと思います。
 それで、建築基準法は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定め、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進を資することを目的というふうにしています。今回新たに作るこの畜舎等特例法で、この安全性というのは確保されるんでしょうか。

#90
○国務大臣(野上浩太郎君) 今お話あったとおり、建築基準法は、建築物の構造等に関して最低の基準を定めて、これにより安全を確保すると、こういう考え方を取っているわけでありますが、畜舎については、先ほど申し上げましたが、平屋が中心で構造が簡素なものが多い、あるいは、人の滞在時間が短い、防疫上の観点から第三者がみだりに立ち入ることがない規制が掛けられている等々の特性があります。これを踏まえて、滞在時間の制限ですとか避難経路の確保等の畜舎の利用に関する安全確保のための基準を設けることが可能であります。
 新制度では、このような利用に関する基準を設けることとしまして、この基準と構造等に関する技術基準との組合せによって畜舎等としての安全性が確保されるという考え方を取っておりまして、利用基準を遵守することでこの技術基準を建築基準法の基準よりも緩和しても安全性が担保できるものと考えているところであります。

#91
○紙智子君 そこで、今話がありましたように、この新法で利用基準と技術基準、ソフト基準、ハード基準と言われていますけれども、これを省令で定めるということになっていますよね。そこで、先ほども話出ていましたけど、A基準とB基準が示されています。それぞれのこれハード基準、地震を想定したときの基準について説明をお願いします。

#92
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 新制度におきますA基準とB基準につきましてのハード基準につきましてでございますけれども、A基準につきましては、技術基準につきましては建築基準法に準じた基準ということでございまして、地震に対する考え方といたしましては、建築基準法と同様に震度五強程度の地震で傷が付かない、損傷しない程度の強度とするということを考えているところでございます。また、B基準の技術基準につきましては、震度五強程度の地震の場合に損傷が生じても畜舎としての利用には問題が生じない程度の強度とすることを考えているところでございます。

#93
○紙智子君 A基準は、私説明聞いたときに、震度六強から七の地震では倒壊しないというふうに聞いたんですけど、そして、B基準は、五強程度の地震では損傷は生じたとしても倒壊しないけれども、震度六強から七の地震では倒壊のおそれは否定できないと聞いたんですけど、そういうことでいいんですか。

#94
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 A基準、B基準でございますけれども、先ほど申し上げたような考え方でございます。
 ですが、この具体的な考え方につきましては、具体的にはその部材に設けられております建築基準法でいう強度でございますけれども、これをいわゆる安全係数を掛けないという形にするということでございまして、震度六強から七の地震に対しましてでございますけれども、A基準におきましては、震度六強から七の基準でも建築基準法と同様の基準でございますので倒壊はしないということが保障されている基準という形になりますけれども、B基準の場合は、この震度六強から七につきまして余裕を持たせた強度計算をするわけではございませんが、ごくまれに発生する震度六強に対してもぎりぎりの強度は持っているということでございます。部材の基準強度に設けられている強度で計算をするということでございますので、倒壊する前提の基準というわけではございません。

#95
○紙智子君 非常に、何というか、ぎりぎりという表現だったり、不確かなんですよね。
 私、レクチャーのときにあらかじめ聞いていたのでいうと、A基準は震度六強から七の地震では倒壊しないけれども、B基準の場合は、震度五程度で、これは倒壊はしないけれども、ひびが入ったりするけれども、六から七ということになると、これは倒壊のおそれは否定できないということだったわけですよ。そういうことだと思うんですよね。
 それで、ちょっと二、三やり取りをしたいと思うんですけど、衆議院で我が党の田村貴昭議員が、震度六というのはどういう揺れなんだというふうに気象庁に聞きました。そうしたら、気象庁は、震度六強の揺れにおける人の体感としては、行動は、立っていることができず、はわないと動くことができない、また、揺れに翻弄され動くことができず、飛ばされることもあるというふうに答弁されているんですよ。
 そうなると、B基準でこれ人命というのは守れるんでしょうか。

#96
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 新制度では、利用に関する基準、これを遵守することで、構造に関する技術基準を緩和しても両者相まって畜舎としての安全性が担保される、確保される基準ということでございます。
 緩和された構造の基準、B基準でございますけれども、具体的には部材の強度基準に、基準強度に設けられている安全係数を設定せず、部材の持つ強度を満度に使うという形でございまして、余裕を持たせた強度ではないということでございますが、ごくまれに発生する地震、震度六強から七に対してもぎりぎりの強度は持っているというふうに考えているところでございまして、倒壊する前提の基準とはなっていないところでございます。
 なので、このため、その地震の揺れが収まった後に速やかに避難できるよう、このB基準におきます利用基準におきまして、畜舎内の整頓を行うことによりまして災害時の避難経路を確保する、また災害による被害の防止、軽減に資する避難訓練等の取組をやると、こういったことを定めるということを検討しているということでございます。

#97
○紙智子君 実際に耐震の実験というのを、強度のやったのかなというふうにちょっと聞きながら思ったんですけどね。地震で倒壊するおそれがある畜舎で、これ避難経路を作ったとか訓練しているから大丈夫だというふうに言えるんだろうかと思うんです。先ほど藤木さんも熊本で実際に体験された話をされたんですけれども、二〇一六年の熊本地震でいうと震度七の地震ですよね。それが四月十四日に来て、その後一日置いて十六日に連続して来たわけですよね。それで、地震は一回で収まるわけでもないと、それなのになぜB基準で倒壊する可能性があるこの畜舎を認めるのかと。
 ちょっとその耐震の強化について、強化の実験やったのかどうかということと併せて、いかがですか。

#98
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 耐震の実験をやったというわけではございません。
 構造の基準のB基準でございますけれども、先ほど申し上げましたように、安全係数を設定しないで部材の持つ強度を満度に使うということでございます。余裕を持たせた強度でございます、持たせた強度ではございませんので、そのごくまれに発生する地震、震度六強から七に対して倒壊するおそれが否定できないという言い方もしておりますけれども、これは余裕を持って倒壊しないと保証できるものではないということでございまして、そういった地震に対してもぎりぎりの強度は有しておりまして、倒壊する前提で設定した基準というわけではございません。また、畜舎におきましては、一般の住宅と異なりまして屋根材が極めて軽いもので造られておりまして、一般の住宅と比べて倒壊しにくいという性格もあるというふうには考えているところでございます。

#99
○紙智子君 実際の実験とかやっているわけでもなく、いろいろ余裕を持たせているからという話があるんですけど、非常に不確かなんですね。
 それで、B基準の、しかも三千平方メートルもの畜舎でこれ本当に大丈夫なんだろうかと。確かに、一千平方メートルのところまで緩和してという話はありましたけど、いきなり三千平方メートルの畜舎まで来ていて大丈夫なのかと。
 地震によって畜舎が倒壊したり、中にいる牛が暴れて人的な被害が出るということになったらこれ大変だと思うんですよ。その場合に、使用者の責任というのはどういう責任を果たすことになるんですか。

#100
○国務大臣(野上浩太郎君) 今ほど御議論いただいておりますとおり、新制度におけるいわゆるB基準でありますが、これは畜舎内の滞在時間の制限、あるいは畜舎における避難経路の確保等の厳しい利用基準ですね、ソフト基準と技術基準、ハード基準の組合せによりまして安全性を担保する仕組みでありまして、従業員がいる場合は、この認定計画実施者となる畜産経営者が従業員に利用基準を遵守させることで安全性を担保することになります。
 具体的には、B基準を選択した畜産経営者が畜舎等がB基準で建築されたことを従業員に対して周知徹底をする、また、B基準の畜舎で建築されたことを従業員の目に付く場所に掲示する、年に一回程度、従業員の避難訓練を行う等の対応を取ることとしまして、従業員が災害時に適切に避難等を行うことができるようにすべきと考えております。
 新制度の普及に当たりましては、従業員を使用している畜産経営者に対しまして、従業員が利用基準を遵守するのは雇用者の責任である旨をしっかりと周知してまいらなければならないと考えております。
 なお、従業員に人的被害が生じた場合の補償責任につきましては、これは様々なケースが考えられることから一概にはお答えできませんが、一般論としては、例えば労働基準法においては労働者が業務上負傷した場合についての補償の規定が定められており、これに基づきまして使用者による補償が行われるものと考えております。

#101
○紙智子君 とにかくB基準でできているものだということを徹底しなきゃいけないということなんですけど、実際に揺れが起こったときに、立っていられないような状況の中でどうやって回避するのかということなんかもこれ対応できないんじゃないかと。そして、雇用の責任ということでいうと、労働基準法に照らしてということになるんでしょうけれども、これは使用者の自己責任になってしまうんじゃないかと、まあ選択するわけですからね、選択する責任ということになるわけですから、それで本当にいいのかというふうに思うわけです。
 畜舎は牛だけじゃないですよね。閉鎖性の養鶏施設や豚舎もあります。家畜もその中には入っていると、機材も入っていると。そういうB基準の閉鎖的施設で事故が起きたときに、その場合の使用責任というのは誰が果たすんですか。

#102
○政府参考人(水田正和君) 大臣の先ほどの答弁の中にもございましたけれども、畜舎や鶏舎についても基本的な考え方は今大臣から答弁したものと変わりません。B基準を選択した畜産の経営者が従業員が災害時に適切に避難等を行うことができるようにすべきであるというふうに考えているところでございます。
 なお、閉鎖型の鶏舎や豚舎につきましてはその避難経路が限られているケースがあると考えておりますので、この畜舎の中の整頓などを行うことによりまして避難経路を確保するということが特に重要であると考えておりますので、こうしたことを徹底することによりまして従業員の安全の確保を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 また、具体的に従業員に人的被害が生じた場合の補償責任につきましては、先ほど大臣から答弁したものと一緒でございます。

#103
○紙智子君 すごく甚だ疑問なんですけれども、それと併せてもう一つですけれども、農業関係の建物というのは農産物や農機具を入れておく倉庫もあるわけですよね。なぜ今回、畜舎だけを緩和するということにしたんでしょうか。

#104
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 この法律案でございますけれども、畜舎につきましては、ほとんどのものが平屋であって、簡素な構造であるなどの構造上の特徴を有しているということ、それから、家畜伝染病予防法の関係とか、ということからの畜舎を含む区域は、衛生管理区域として必要のない者が立ち入らないよう措置を講ずることとされている、こういったことを前提といたしまして、安全確保のため畜舎等の利用の方法に一定の基準を設けることが可能だということから、建築基準法の特例として措置できることとしたものでございます。
 お尋ねの倉庫につきましては、平屋だけではなく二階建て以上の建物もあるということ、それから、先ほど申し上げたような衛生管理区域としての立入りが制限されるものでもないというようなことでございますので、畜舎などと前提が異なっているということから新制度の対象としていないところでございます。
 ただ、なお、畜舎の中に付随的に設けられる機械や餌の保管庫、こういったものは畜舎等の施設として本法律の対象となるところでございます。

#105
○紙智子君 用途が違うということなんだと思うんですけれども、安全であることが大切だということは言うまでもないと思うんですね。
 なぜ、畜舎だけ特別扱いにするのかということについて言いますと、やっぱり中小の家族経営の要望に沿うというよりも、これ経過を見ると、規制改革推進会議の議論によって進められてきたということがあるんじゃないんだろうかというふうに思うんですね。
 まず、規制改革推進会議が緩和の要望を出しています。次いで、政府が規制改革実施計画、これ二〇一九年に載せていると、そして、農林水産省として新たな畜舎建築基準等の在り方に関する検討会、これ二〇二〇年、去年ですね、二月にやっているわけです。しかし、この検討会の議論、いろいろ皆さん多くの意見を出されていますけれども、多くの慎重論が出されているわけですよね。
 例えば、肉牛協会の方は、初めからこの議論は無理があると思っていた、どこで何があるか分からない時代だと、規制改革会議の議事録を見たが、あれは大多数の農家の声じゃない、企業的に大きくやっている方が、更に大きくするのに問題があるという点から議論が始まっているんじゃないか、中小・家族経営を大事にしなければならないときなのにと、こういう意見。
 牧場の方は、このような目先のコストカットがどれだけ経営に本当にプラスになるのかと正直疑問だった、建築基準を緩和したところで、使い捨てのような牛舎を建てることが意味があるのかと、自分で建てた牛舎が自己責任で潰れて、牛も死んで自分も死んだ、しようがないねと笑って済む人はいいけど、でも雇用している人は絶対それは言えない、社員を守らなきゃいけない。
 建築士の方は、現行法でも畜舎基準はかなり緩和されている、専門家からしても正直限度だと思っている、正直なところ、ぎりぎりいっぱいで、それを多少見直したところでコストに与える影響はいかほどのものなのかと、建築の要件で大きなのは生命及び財産を守るということだ、人間が滞在するのが少ないからという理由というのが一番びっくりしたと、などなどいろいろ出されているわけですけれども、しかし、農林水産省としては、選択制にするということで、これ妥協点を図ったんじゃないのかと、押し切ったんじゃないのかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

#106
○政府参考人(水田正和君) 御指摘の検討会の件でございますけれども、二〇二〇年三月三日の第二回の検討委員会におきまして、建築の専門家である委員の方々などから畜舎の構造等の基準について、建築基準法の告示で限界まで緩和されているため、これ以上の緩和の余地はないのではないかなど様々意見をいただいたところでございます。
 そういった様々な意見があったことを踏まえまして、取りまとめに向けまして、建築の専門家の先生を含めまして、それぞれの委員と綿密に調整を行わせていただきました。その上で中間取りまとめ案をまとめて、この内容につきまして全ての委員から御理解をいただいておるところでございます。
 第三回の検討委員会は新型コロナウイルスの影響によりまして書面開催で行われたということでございまして、五月十一日に第三回検討委員会ということでございますが、これにおきまして全ての委員から書面で同意をいただいているということでございます。
 なお、この中間取りまとめ案の内容でございますけれども、各委員と綿密に調整を行った結果、新築、増改築の際に畜産農家が新たな制度の基準又は建築基準法による従来の基準、これを選択できるということに加えまして、新制度におきます利用基準につきましてはそのソフト基準と、つまり利用基準というものを入れまして、これと構造に係る技術基準、この組合せによって安全性を確保するというやり方。さらに、その技術基準の緩和につきましては、建築基準法では部材の基準強度に安全係数が掛けられていますけれども、この新制度のB基準においてはこれを設定せず、部材の持つ強度を満度に使うところまで緩和をすると、こういった内容で御理解をいただいたというところでございます。

#107
○紙智子君 御理解いただいた、選択制に対しては異論はなかったんだというふうに言われるんだけど、私も一瞬、選択制ということだから、選ぶんだからいいのかなと一瞬思ったんですよ。でも、考えてみたら、選択制ということは自分で選んだ責任ですから、結局自己責任になってしまうのかなということで、それはやっぱりどうかというふうに思ったわけです。
 それで、畜舎等特例法をなぜ作るのかというと、第一条のところで、畜産業を取り巻く国際経済環境の変化等に鑑み、その国際競争力の強化を図ることを目的にしているわけですよね。この間、TPPなど自由化路線が続く中で、国際価格と競争できるようにするために規模を拡大し、コストも削減すると。中小・家族経営というよりも企業的経営を支援することになるんじゃないかと思うんです。しかし、コスト削減の名で人命が軽視されたっていいのかというふうにも思っているんです。人と環境に優しい農業や畜産業こそが今求められているんじゃないかと思います。
 最後に、大臣の答弁を求めます。

#108
○委員長(上月良祐君) 時間が参りましたので、答弁は簡潔にお願いします。

#109
○国務大臣(野上浩太郎君) はい。
 この制度では、利用に関する基準、そして技術に関する基準、これが相まって人命の安全性を確保するということにしておりまして、人命の安全を軽視するような緩和を行おうとしているわけではございません。
 農家からの要望なども踏まえましてこの法律案を整備したところでありまして、畜産農家の負担を軽減をして我が国畜産業の振興を図ってまいりたいと考えております。

#110
○委員長(上月良祐君) おまとめください。

#111
○紙智子君 はい。
 農家の要望に応えることは大事なんだけれども、やっぱり生命、財産を守る、守れないような規制緩和はすべきでないということを申し上げて、質問を終わります。

#112
○須藤元気君 こんにちは。須藤元気です。
 畜産業を取り巻く国際経済環境が変化している中、その国際競争力の強化を図り、畜産業の振興を図ることを目的とする法案と理解しております。
 まずは、畜産に関連した質問をさせていただきますが、今月、みどりの食料システム戦略の取りまとめが完成いたします。この戦略は食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するためということですが、実現のためにはこの畜産業外せないと思います。外せないどころか、むしろ大きなウエートを占めるのではないでしょうか。しかしながら、現時点での中間取りまとめにおいて畜産のことがほとんど記されておりません。それはなぜなのか、教えてください。

#113
○政府参考人(水田正和君) 委員御指摘のみどりの食料システム戦略でございますけれども、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するための新たな政策方針としてまとめようとするものでございます。
 この戦略の中間取りまとめにおきまして、具体的な取組の中で畜産における記載がございます。主な内容といたしましては、環境負荷を低減させる取組といたしまして、一つには、ICT機器の活用とか放牧を通じた省力的かつ効率的な飼養管理技術の普及、二つ目としては、子実用トウモロコシの生産拡大や耐暑性、耐湿性の高い飼料作物品種の開発による自給飼料の生産拡大、三点目といたしまして、ICT機器を活用した個体管理による事故率の低減や家畜疾病の予防、四点目といたしまして、多機能で省力型の革新的ワクチンの開発、五点目といたしまして、科学的知見を踏まえたアニマルウエルフェアの向上等が記載されているところでございます。
 それから、温室効果ガスの排出削減の取組といたしましては、一つには、牛のげっぷや家畜排せつ物由来の温室効果ガスを抑制する飼料の、餌の開発、二点目といたしましては、養豚汚水浄化処理由来の一酸化二窒素を削減する炭素繊維リアクターの開発、こういったものが記載をされているところでございます。
 さらに、地域未利用資源の一層の活用に向けた取組といたしまして、一つとしては、堆肥の高品質化、ペレット化、堆肥を用いた新たな肥料の生産、広域流通の推進による循環利用システムの構築、それから二点目といたしまして、温室効果ガス排出量が少なく、省力的で低コストな家畜排せつ物処理施設の開発、普及、三点目といたしまして、家畜排せつ物中の有用物質、窒素、リン等の高効率な回収、活用技術の開発などが記載されているところでございます。
 このように畜産業における取組も数多くを記載されているところでございまして、こうした技術開発を始めとする各種取組、積極的に推進してまいりたいと考えております。

#114
○須藤元気君 ありがとうございます。
 相対的に畜産、ちょっと少ないような感じがしたので、取りまとめの際には反映していただければうれしいです。
 本法律案にも、この国際競争力の強化を図るためとあります。そのためには、日本が持続可能な畜産業のリーダーシップを取る気概が必要だと思います。日本だけでなく海外でも鳥インフルエンザや豚熱が猛威を振るっており、これに伴い、大量の殺処分が余儀なくされるなど、その被害は甚大です。因果関係あるか分かりませんが、これは、経済性を重視し、効率優先の工業型畜産による弊害ではないでしょうか。新型コロナウイルスの経験を生かし、鳥インフルエンザ等の抑制に向け、家畜も三密を避ける必要があるかと思います。
 既にEUでは、二〇一二年に過密状態で飼育するバタリーケージを禁止しております。我が国でも環境に配慮し安全な畜産品を生産する有機畜産や持続可能な畜産業の確立をしていかなければいけないと考えますが、ほかの委員からも質問ありましたけれども、このようなアニマルウエルフェアの推進について農水省の御見解をお聞かせください。

#115
○副大臣(宮内秀樹君) お答えをさせていただきます。
 アニマルウエルフェアは、家畜を快適な環境下で飼育するということによりまして家畜のストレスや疫病を減らすという取組でありまして、その推進については持続可能な畜産業の確立を図る上では大変重要な課題であるというふうに考えております。
 このため、我が省におきましては、OIEが示すアニマルウエルフェアに関する指針を踏まえまして、平成二十九年及び令和三年にアニマルウエルフェアに配慮した家畜の飼育管理の基本的な考え方についての畜産振興課長の通知を発出するほか、畜産技術協会によりますアニマルウエルフェアの考え方に対応した飼育管理指針の作成への支援を行う、あるいはアニマルウエルフェアの実践も含んだGAPに関わる認証取得に要する費用や指導員研修の開催への支援等によりまして、アニマルウエルフェアの取組の推進を図っているところでございます。
 アニマルウエルフェアの実現のためには、生産現場における総合的な取組が必要であるということ、また、その生産者による設備投資等の努力のみならず、畜産物の販売価格への影響という点も含めましたら消費者の理解も必要なことから、アニマルウエルフェアの取組を推進する重要性やメリットを示しつつ、生産者や消費者の理解を得ながら時間を掛けて取組を拡大してまいりたいというふうに考えております。
 済みません。訂正させていただきます。
 アニマルウエルフェアに配慮した家畜の飼育管理の基本的な考え方についての畜産振興課長の通知は、平成二十九年及び令和二年ということでございます。三年と申し上げましたが、訂正させていただきたいと思います。恐縮です。

#116
○須藤元気君 ありがとうございます。
 日本においては、限られた敷地内で効率よく、衛生環境が保たれた卵を提供するために現在の養鶏採卵システムが構築されていることは承知していますし、ここまでそれを支えてこられた生産者の方々には敬意を表します。
 しかしながら、輸入飼料や抗生剤等に依存する現在のバタリーケージによる養鶏採卵システムは、鳥インフルエンザの猛威にさらされた際には数百万羽の殺処分という大きな被害も被っております。我々人類が新型コロナウイルスという脅威にさらされ学んでいることも踏まえて考えると、経済効率を重視した仕組みからの変革に取り組む時期が来たのだと思います。
 二〇五〇年にカーボンニュートラルを実現していくという国家戦略の中で、サステナビリティー推進戦略であるみどりの食料システム戦略において畜産もしっかりとサポートしながらその変革を進めていくことが重要だと考えますが、野上大臣の御見解をお聞かせください。

#117
○国務大臣(野上浩太郎君) 我が国の畜産は、狭く山がちな国土条件の下で、自給飼料の生産面積が限られておりますので、輸入飼料に依存して発展してきたところであり、また近年では、旺盛な国内外の需要に応えるために生産基盤の強化に取り組んでおるところでありますが、こうした中、今後とも畜産業を持続的に発展をさせていくためには、やはり畜産による環境負荷の軽減と、堆肥と飼料生産の資源循環の促進などの取組が必要と考えております。
 このため、みどり戦略においては、環境負荷低減への取組としては、例えば少ない飼料で大きくなる飼料利用性の高い家畜への改良ですとか、あるいは牛のげっぷ由来のメタン排出を抑制する飼料など温室効果ガス削減飼料の開発ですとか、あるいはICT機器を活用した省力的かつ効率的な飼養管理等の推進などに取り組んでまいるとともに、もう一つの堆肥と飼料生産の資源循環の取組、促進の取組としては、例えば堆肥の高品質化、ペレット化、あるいは堆肥を用いた新たな肥料の生産、広域流通の推進による資源利用システムの構築等々に取り組むことといたしておりますが、このような具体的な取組を積極的に推進することによって持続的な畜産物の生産の実現を図ってまいりたいと考えております。

#118
○須藤元気君 ありがとうございます。みどりの食料システム戦略の取りまとめができることを、攻めた感じでできるのを楽しみにしております。
 それでは、法案質疑に入らせていただきます。
 畜舎の新築を行う際、建築基準法が適用され、建築に関わる負担が過大となっていることが背景にあり、現場からも、コストが高いため、基準の緩和などの要望があったと聞いております。建築コストについて検討委員会の中で、畜舎等のみならず、職人不足のため、一般の建築コストが上がっているという意見もあったようですが、しかし、勝手なイメージですけれども、畜舎は構造がすごくシンプルなので、そこまでコストが掛かるように思いません。畜産業にとってこの建築コストが過大になる理由を教えてもらってもいいでしょうか。

#119
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 畜産におきましては、輸出も含めて、拡大が見込まれる国内外の需要に応える供給を実現するために、増頭、増産を強力に推し進めて生産基盤強化に取り組む必要があるということ、それからまた、特に酪農において長時間労働が課題となっておりますので、省力化機械の導入などによりこれを改善する必要があるという状況でございます。
 したがいまして、増頭したり搾乳ロボット等の省力化機械を入れるということが必要になるわけでございますが、こうした場合には、畜産業に必須の施設でございます畜舎を新築したり増改築したりと、こういったことがどうしても求められるということでございます。
 確かに、建築に必要な資材とか工賃単価の高騰は、一般の建築もコストが上がっているわけではございますけれども、こうした中で、今申し上げたような畜産農家においてまさに取り組むことが求められている増頭、省力化機械の導入、こういったことを行う際に、やはり畜舎の建築に係るコストというものが大きな負担となっているということでございまして、その一つの対象といたしまして、建築基準法の基準をできる限り緩和をしていきたいということから今回法案の提出に至ったというものでございます。

#120
○須藤元気君 ありがとうございます。
 次に、木材利用の促進についてお伺いしたいと思います。
 本法律案では、国内産の木材その他の木材を利用した畜舎等の普及が図られるよう配慮するものとすることとされています。それと同時に、中間取りまとめにおいて建築コスト削減の観点から位置付けるとされております。
 そこで疑問に思ったんですが、木材を使用したときにほかの素材を使用したときよりも高く付くことってないんでしょうか。私も、実際ログハウスを建てたとき、予想よりもコストが掛かり、家を建てた後も定期的なメンテナンスをしなければいけませんでした。例えばログハウスでは、特有のメンテナンスとしてセトリングという対策があります。セトリングというのは、乾燥による木材の収縮と丸太の自重によって壁が沈み込む現象のことをいうんですが、これを調整するときにコストが掛かったりします。
 そこでお聞きしますが、本法案で木材を利用したときの畜舎の建築コスト、そして安全性についてもお聞かせください。

#121
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 木材を利用する場合に、ほかと比べて、例えば鉄骨などと比べてコストが掛かるかどうかということについては割とケース・バイ・ケースでございまして、例えば既に地域材を利用した畜舎の低コストな工法などもございまして、そういった建築事例によりますと、その事例と鉄骨と比べると鉄骨の方が一・三倍ぐらい高いといったケースもあるということでございますので、こういった情報を広く周知をしていくことによってコスト低減にもつながってくるのではないかと思っておりますし、それから、この新制度で造りますと、木材の畜舎の建築コストにつきましては、部材の強度の見直しによりまして、木造の場合、部材の使用量約三割程度の削減が可能ということとなっておりますので、部材の費用最大約三割削減できる可能性があると、鉄骨の場合は約一割ということでございますが、そういったことがあるというふうに考えております。
 それから、安全性につきましては、鉄骨であれ木造であれ、新法における基準、緩和されたB基準でございますけれども、先ほど申し上げましたように利用基準と組み合わせることで畜舎としての安全性が確保されるというふうに考えているところでございます。

#122
○須藤元気君 ありがとうございます。
 この安全性について、目安は震度五強、まれに発生する地震というのを先ほどからおっしゃっておりましたけれども、まあ格闘技においてもまれに起きるラッキーパンチというものがありまして、私自身もこのまれに起きるラッキーパンチを常に想定して戦っておりました。やはり実力が拮抗してくるとまれに起きる、そういったときに勝敗が決まってきます。最近はまれにではなく本当に頻繁に地震が発生しております。そういったことも踏まえて、しっかりと安全性を保っていただきたいと思っています。
 本法律案では、認定要件の一つとして畜舎等が建築士の設計に係るものであることとしています。検討委員会では、建築士の責任を明確化すべきである等の意見があったと伺っています。しかし、農水省によれば、中間取りまとめ最終案では責任を明確化するまでには至らなかったようです。それはそれでいいんですけれども、基本的にこの責任を明確化しない、曖昧にしているときというのは話がこじれるときって多いと思います。まあ一般論ですけれども。
 そのようなことを踏まえて、この畜舎等の設計を行う建築士の責任範囲についてどのようにお考えでしょうか。また、新制度をスムーズに実施するため、建築士と建築主の不安をどのように解消していくのか、お伺いします。

#123
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 この法律におきます畜舎の設計等を行う建築士の法的責任でございますが、まず一点目といたしまして、国土交通省所管の建築士法におきまして、建築士は法令に定める建築物に関する基準に適合するよう設計しなければならないとされておりまして、この建築に関する法令に違反した場合には戒告あるいは免許取消しの対象となる旨が規定されております。
 また、この本法律案におきましても畜舎等の構造等が技術基準に適合するものでなければならないとしておりまして、これに違反している場合はその畜舎等の設計者である建築士が罰則の対象になる旨規定されているところでございます。
 なお、実際に畜舎が倒壊した場合の民事責任ということにつきましては、その原因が設計の基準違反にあるのか、あるいは施工不良にあるのか等によりまして責任を負うべき者が決まってくるものと考えているところでございます。
 また、本法律案において、建築士が設計した畜舎等でなければ都道府県知事の認定を受けられない、こういった仕組みとしているところでございますので、この本法律案成立した際には、この新制度がスムーズに実施されるよう、建築士や建築主である畜産農家に対しまして新制度について広く丁寧に周知を行いたいと考えているところでございます。

#124
○須藤元気君 しっかりとこの制度の周知を図っていただきたいと思います。
 次に、本法律案の対象となる畜舎は、居室を有さないこと、そして、利用基準に人の滞在時間に適合することとあります。しかし、実際に働いている人は、休憩室というんですかね、そういったものもあった方がいいと思いますし、忙しくなったときに滞在時間など考えていられないと思います。
 農水省の中にも仮眠室があるとお聞きしましたが、何かリニューアルしたと聞いたので、私も徹夜はしないんですけれども、徹夜をしたとき本当に助かっていると思います。一度泊まってみたいと思うんで、是非そのときはよろしくお願いいたします。
 ちょっと話は戻りますけれども、この居室を造らないだったり、この滞在時間、そもそもしっかりとしたこのチェック機能ってできるんでしょうか、あるんでしょうか。農水省の御見解をお伺いいたします。

#125
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
 この法律案の認定を受けました畜産農家でございますけれども、畜舎等の利用についてこの利用基準を遵守することが求められております。利用基準に違反した場合には都道府県知事の措置命令の対象となるところでございますが、この利用基準の遵守状況の確認につきましては、この法律案におきまして、当該畜産農家は畜舎等の利用状況につきまして定期的に都道府県知事に報告をすることとしておりますし、また、都道府県知事は必要に応じて当該畜産農家に対して報告徴収や立入検査等を行うことができるとしておりまして、これらによりまして確認をしっかりと行ってまいりたいと思っております。
 畜産農家からの報告につきましては、農家の負担が重たくならないよう、具体的な報告の様式については今後チェック方式にするとか検討してまいりたいと考えておりますが、しっかりとチェックはしてまいりたいと考えております。

#126
○須藤元気君 ありがとうございました。
 この本法案が畜産業者の方々の本当に助けになるよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 私の質問は以上になります。ありがとうございました。

#127
○委員長(上月良祐君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

#128
○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律案に対する反対討論を行います。
 本法案は、規制改革推進会議や二〇一九年六月に閣議決定された規制改革実施計画に基づき、畜産業を取り巻く国際経済環境の変化等に鑑み、その国際競争力の強化を図ることを目的に法定化するものです。
 畜舎は、建築基準法の適用を受け、規模等に応じて建築確認や審査が必要となることから、中小・家族農家からは、住宅等ではなく畜舎に適用するのは厳し過ぎる、経営継承する上で過剰な投資は避けたいという要望が出されています。当然の要望だと思います。
 しかし、本法は、持続的な中小・家族経営を応援するのではなく、機械化を図りながら牛や豚などを増頭、増産を進めるために三千平方メートルの畜舎まで建築確認や審査を不要にするもので、国際競争力のある大規模経営、企業的経営の支援が中心的な目的になります。
 本法に反対する理由は、畜舎で働く畜産農家や労働者の安全が確保されないからです。特に問題なのが、震度六強から七では倒壊するおそれが否定できないとされるB基準の畜舎を認めるからです。畜舎基準法は生命、財産を守る基準であり、積雪、風圧、水圧、地震等に対し安全な構造でなければならないと定めています。農林水産省は、B基準で建てても避難訓練を行い、災害時には避難経路を確保するから安全は確保できると言いますが、本当に大丈夫でしょうか。
 気象庁は、震度六強の地震では、はわないと移動できないほどの揺れになると注意喚起をしています。それなのに、なぜ倒壊するおそれが否定できないB基準を認めるのか。避難路を確保したからといって、倒壊すれば安全が確保できないのは明らかです。倒壊すれば畜産農家、経営者の自己責任にしてはなりません。
 第二に、農林水産省が設置した新たな畜舎建築基準の在り方に関する検討会で出た異論が酌み尽くされていないからです。検討会では、建築基準を緩和したところで使い捨てのような牛舎を建てることに意味があるのか、社員を守らなければならない、安全基準を動かすのは慎重であるべきだなどの異論が噴出しました。それなのに農林水産省は、地震で壊れない畜舎を造るか、それとも壊れるかもしれない畜舎を造るのは経営者の選択制だと妥協を図り、押し切りました。コスト削減の名で人命を軽視するのではなく、人と環境に優しい農業、畜産業こそが求められていることを指摘し、反対討論とします。

#129
○委員長(上月良祐君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#130
○委員長(上月良祐君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、田名部さんから発言を求められておりますので、これを許します。田名部匡代さん。

#131
○田名部匡代君 私は、ただいま可決されました畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会及び国民民主党・新緑風会の各派並びに各派に属しない議員須藤元気さんの共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律案に対する附帯決議(案)
  我が国の畜産・酪農経営は、畜産クラスター等の地域の関係者が一丸となった取組の成果として、乳用牛、肉用繁殖雌牛の飼養頭数が増加に転じる一方、担い手の高齢化、後継者不足は深刻さを増しており、さらには、我が国の畜産・酪農経営は、国際的な競争に直面している。そのため、中小・家族経営を中心とする国内生産者を着実に支えていく必要がある。
  畜産・酪農経営を維持・発展させるためには、生産基盤及び国際競争力の強化が喫緊の課題であり、省力化機械の導入や増頭・増産等の取組を推進するため、畜産業の経営実態に合った畜舎等の建築等をできるよう措置し、畜舎等の建築に係る負担を軽減することが急務である。
  よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
 一 技術基準、利用基準を定める主務省令の制定に当たっては、畜産農家はもとより、建築士をはじめとする専門家の意見を十分に踏まえ、関係者の十分な理解と納得を得た上で各基準を策定すること。また、畜舎建築利用計画の作成・申請においては、手続きが煩雑なものとならないよう留意すること。
 二 畜産農家の畜舎等の建築を含めた総合的な経営判断に資するため、本法律案に基づく新制度による畜舎等の建築の経済的な優位性が明らかとなる事例等を畜種ごと等きめ細かく示すこと。また、建築に係る負担が低減された場合においても、財政支援を含め各支援策の削減は行わないこと。
 三 家畜の能力が引き出され、家畜が健康になり、生産性の向上や畜産物の安全につながるアニマルウェルフェアに配慮し、動物の愛護及び管理に関する法律を遵守した家畜の管理の普及促進のための指導、支援を充実させること。
 四 常に地域・現場の声に耳を傾け、生産基盤・国際競争力の強化に資する畜産クラスター事業等の施策を的確に実施すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

#132
○委員長(上月良祐君) ただいま田名部さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

#133
○委員長(上月良祐君) 多数と認めます。よって、田名部さん提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、野上農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。野上農林水産大臣。

#134
○国務大臣(野上浩太郎君) ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。
 附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

#135
○委員長(上月良祐君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#136
○委員長(上月良祐君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト