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2021/05/12 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 国際経済・外交に関する調査会 第6号 令和3年5月12日
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2021/05/12 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 国際経済・外交に関する調査会 第6号 令和3年5月12日

#1
令和三年五月十二日(水曜日)
   午後一時五十九分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         鶴保 庸介君
    理 事
                今井絵理子君
                柘植 芳文君
                中西 祐介君
                川田 龍平君
                三浦 信祐君
                柳ヶ瀬裕文君
                上田 清司君
                伊藤  岳君
    委 員
                朝日健太郎君
                猪口 邦子君
                小野田紀美君
                金子原二郎君
                二之湯 智君
                森 まさこ君
                山田 修路君
                吉川ゆうみ君
                小沼  巧君
                熊谷 裕人君
                田島麻衣子君
                横沢 高徳君
                里見 隆治君
                高橋 光男君
                高良 鉄美君
                ながえ孝子君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        清野 和彦君
   参考人
       東京大学大学院
       教育学研究科附
       属海洋教育セン
       ター副センター
       長
       同理学系研究科
       教授       茅根  創君
       東京海洋大学学
       術研究院海事シ
       ステム工学部門
       教授       逸見  真君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国際経済・外交に関する調査
 (「海を通じて世界とともに生きる日本」のう
 ち、我が国が海洋立国として国際社会を牽引す
 るための取組と役割(海洋に係る教育及び人材
 育成の現状と課題)について)
    ─────────────

#2
○会長(鶴保庸介君) ただいまから国際経済・外交に関する調査会を開会いたします。
 国際経済・外交に関する調査を議題といたします。
 本日は、「海を通じて世界とともに生きる日本」のうち、「我が国が海洋立国として国際社会を牽引するための取組と役割」に関し、「海洋に係る教育及び人材育成の現状と課題」について二名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 御出席いただいております参考人は、東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター副センター長であると同時に理学系研究科の教授茅根創君及び東京海洋大学学術研究院海事システム工学部門教授逸見真君でございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 コロナ禍の中、こうして御出席をいただきましたこと、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、調査会の参考にさせていただきたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いをいたします。ありがとうございます。
 次に、議事の進め方について申し上げたいと思います。
 まず、茅根参考人、逸見参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、二時間程度質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、タイミングがありますので、挙手をお願いします。挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきをいただきたいと思います。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず茅根参考人からお願いをいたします。茅根参考人。

#3
○参考人(茅根創君) 東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター副センター長で、本務は理学系研究科で地球惑星科学というところでサンゴ礁と地球温暖化の研究をしております。この十年ほど、教育学部の先生方と御一緒に初等中等教育における海洋教育の普及促進について活動、研究を続けております。
 本日は、お配りしておりますレジュメに沿って、レジュメと、それから、事前にお配りしてありましたこの配付資料の、最初の方が本センターの紹介のパンフレットですね、海洋教育センターと書かれた、それから、何枚かめくっていきますと、センター長の田中が書きました総合教育技術の記事、その次のページが同行してくださっています日置教授が書かれた記事、その後、本センターがこれまで出してきたポリシーブリーフというのが三、四、五、六とあります。これと、それから、事務局の方で、これ非常に大部の我々が出した「温暖化に挑む海洋教育」、事務局からの依頼が国際的な海洋教育の動向について話してほしいということだったんですが、ちょうどそれをこの本でまとめていましたので、皆様に事前にコピーをしてくださいましたが、今日は本誌の方を机上に置いてあります。それから、実際の海洋教育の実践についてこれまでやってきた様々な実践例をこの「学校における海の学びガイドブック」というのにまとめてあります。
 こういった事前にお配りしたパンフレット、ポリシーブリーフ、記事、それとこの「温暖化に挑む海洋教育」とガイドブック、これを参考にしながら、主に、時間二十分ですので、レジュメに従って御説明していきたいと思います。
 配付資料については以上です。
 その他、もし質問になったときに適宜回覧したい、してもよいものが二つ下に並んでいます。
 レジュメの最初のページですが、最初に本センターについての御紹介です。パンフレットにも記載されています。
 二〇一〇年から東京大学の海洋アライアンスという、東京大学には全部で、理学、工学、農学、それから法学にも、二百五十名の海洋の研究者がいるんですが、その海洋の研究者を貫くような、横串を貫くような、そういう全学的な機構、海洋アライアンスというのが二〇〇七年に誕生して、その中の一部門として海洋教育プログラム、特に初等中等教育における海洋教育の推進のためのセンターができました。そのセンターのプログラムの私はプログラム長として、二〇一〇年以来活動を続けてまいりました。二〇一九年からは、教育学的にもっと詰めていきましょうということで、教育学研究科の附属の海洋センターとして、センター長が教育学の教育哲学の田中智志、副センター長が理学から私という体制で研究活動を、活動を進めております。アライアンスもこのセンターも、いずれも日本財団の助成によって設立、運営されています。
 スタッフは、私と、それから田中センター長、それから、その他教育学系の兼任教員、いずれも兼任です。本務は教育学や理学なんですが、兼任教員が四名と、それから、こちらに専任する、この海洋教育に専任する特任教員が三名、特任研究員が六名、事務員二名という体制で活動しております。
 これまで、全国に百以上の自治体、教育委員会、それから小中高校、幼稚園も含めてですね、百以上と連携をして、三名と六名の特任教員、特任研究員がほぼ毎月のように全国を飛び回って実践活動を進めております。
 主な活動としましては、パンフレットの方に詳しくは書かれていますが、一番目玉としては、全国海洋教育サミットというのを毎年行っておりまして、二〇一三年から毎年で、今年は二月にオンラインになりましたけれども開催して、今年は全国七十校六百名が参加しました。昨年は、安田講堂と、それから伊藤学術国際というところでやったんですけれども、ここでは海洋教育に関わる教員、実践者、研究者が一堂に会して議論を行うとともに、一番の目玉は、その各全国六十校の小中高校、幼稚園もありましたね、の子供たち、生徒たちがポスターセッションという形でそれまでの実践を発表してお互いに議論をし合うというような、そういう場を設けてきました。
 さらに、地域フォーラムも開催し、先ほど百校以上と申し上げましたけれども、これまで四十ほどの海洋教育の促進拠点、パイオニアスクールプログラムの地域展開部門、右の日本地図に赤や緑でドットを打ったところですが、こういうところと、こういった学校や教育委員会と協働で海洋教育の実践やカリキュラム開発をこの十年間進めてまいりました。特に最近は、教育課程特例校制度を利用して、海洋に係る海洋科とか海洋環境科といったような科をつくって、十校程度と、そこも海洋教育の研究、実践を進めております。さらに、教員の方々にも研修プログラムを提供し、映像や資料などの一般への啓蒙啓発を進めています。それから、笹川平和財団がこれと別に三百ほどの学校にこれまで海洋教育の助成をしているんですけれども、それの支援も行っております。
 最初に、二番目、三ページ目ですが、我が国における海洋教育の位置付けですが、平成十九年に国連海洋法条約を受けて海洋基本法が制定されたのは皆さん当然御存じのことかと思います。この中で学校教育及び社会教育における海洋に関する教育の推進というのがうたわれていたんですけれども、残念ながら、その直後に出された学習指導要領では、それほど海洋をやりなさいというようなことは明文化、余り増えていませんでした。
 そういった中で、海洋基本法のこの教育の推進というのがなかなか実現しない中で、平成二十八年に内閣総理大臣メッセージ、海の日メッセージの中で、若い皆さんに海洋をもっと知ってほしい、海洋教育の取組を強化していくため、産学官オールジャパンによるニッポン学びの海プラットフォームを立ち上げるということをメッセージとしていただきました。二〇二五年までに全ての市町村で海洋教育が実践されることを目指すというふうにうたわれています。
 この同じ年に出したポリシーブリーフの三号ですけれども、我々のセンターで全国の小中学生五千人を対象に海洋リテラシーについて調査を行いましたところ、尖閣諸島の位置が分かる小中学生が三割、竹島や五島列島と間違えている学生が七割いて、尖閣諸島の場所、あるいはEEZの正しい理解、そういったことがいずれも三割程度。サンマはどれですかとか離岸流はどうして危ないんですかとか、そういった比較的身近な海の知識はあるんだけれども、一たび太平洋に入ると、エルニーニョや、サケがどこに回遊してきますかとか、あるいは太平洋の島の国の名前とか、そういったものは三割以下にとどまるという結果になりました。
 そういったこともかなり強く訴えてきたんです、リテラシーがまだ十分でないということを我々センターとして訴えてきたわけですが、二〇一六年に、次の学習指導要領の改訂のときのパブリックコメントの中に、海洋国家である我が国の教育において、産業と経済を支える重要な役割を担っていること、さらに、グローバル化が進む中で、領土、国土に関しての理解を学習指導要領の中に盛り込みなさいということがパブリックコメントの中で出て、それを受けて二〇一七年に改訂された学習指導要領では海の記述が、これ検索してみたんですけれども、指導要領とその解説の中の海の記述が、その前の平成二十年度の指導要領に比べて一・五倍増えました。
 そういう意味では、学習指導要領に海をもっと盛り込むというセンターの目標が半ば達成されたんですけれども、よく中身を見てみますと、増えたのは主に社会科における領土、領海に関わる記述で、これが繰り返し出てまいります。地理でも公民でも出てくる。それまでは北方領土については教えなさいということがあったんですけれども、竹島や尖閣についても領土であることをきちんと教えろということが繰り返し出てくる。ですから、この一・五倍のほとんどはこの領土の、領海の部分だったということです。理科の方はほとんど変わっていませんでした。
 これを受けて、右の図にありますように、小中高の地理、社会科で、この日本のEEZを示す地図が必ず出てくるようになった。さらに、北方領土や沖ノ鳥島、南鳥島、与那国、それから尖閣、竹島についても必ず記述されるようになったんですけれども、余りにも、国土について知ることは、尖閣の位置が三割しか分からないという中できちんと教えることは大事なんだけれども、それだけにとどまってしまったなということで、より広い視野から我が国の領土、領海、EEZを位置付ける必要があるということをポリシーブリーフの四では述べました。
 さらに、長いスパンで見ますと、戦後すぐは、特に理科の部分で、これは学習指導要領だけ、解説でなくて学習指導要領の本文だけですけれども、理科に海の記述が百二十七件あったんですけれども、一九六八年以降は激減してほぼゼロ。先ほどほとんど変わらないと言ったのは解説まで含めてで、指導要領本体の方には、現在理科には海の記述はほとんど出ていないような状況になっています。
 それでは、次のページ、四ページ目。
 世界の状況はどうかということですが、我々としては、国際的にはかなり、世界の国々で非常に海洋教育が盛んだから日本もやらなければという、そういうつもりで調査をしたんですけれども、割とそうでもなかった。米国や英国、中国では、それほど国家的な計画として海洋教育を振興している、そういったことはありませんでした。環境教育、科学教育の一環として盛んにもちろん行われてはいますけれども、国の計画、教育の指針として海洋教育というのは余り明確に位置付けられていませんでした。
 そういった中で、お隣の台湾と韓国では、国家プロジェクトとして海洋教育を取り入れているということが分かりました。
 台湾では、二〇〇七年に海洋教育政策白書、二〇一四年に国民基本教育指針において、教育課程の重要な四課題の一つとして海洋を位置付けて、これは、海洋産業の重要性と、海洋を通じて複数の能力を育むことができるという、そういう理念です。二〇一三年には台湾海洋教育センターというのを設立して、全国各地にこのセンターの支所を設けて海洋教育の実践を行っています。その内容についてはこちらの冊子にまとめてありますので、御覧ください。
 さらに、韓国においても、教科学習の一主題として海洋教育を位置付ける。特に、海は未来資源の宝庫であり、先進海洋強国に跳躍するために必須条件であるということで国家海洋教育センターというのを最近設立して、国立海洋科学教育館というのも、二〇二〇年設立予定だったんですが、コロナで遅れているかもしれませんけれども、国として進めましょうということで、主に海洋水産省が中心になってやっております。
 一方、中国は、皆様も御存じのとおり、海洋強国戦略の下で、海洋教育強化の必要性はうたわれているんですけれども、長期的、国家的な視野に立った海洋教育の計画はないようです。主に沿海の浙江省等で実践がされていて、その中では、海洋資源、海洋権益、海洋国防、海洋開発といったようなことが歴史と地理で主に教えられています。
 アメリカでは、国全体、学習指導要領のようなものはなくて、州ごとに異なる教育を行っていますけれども、その中で幾つか沿岸の州ではかなり海洋教育を行っていますが、これは主に環境教育の一環、あるいは科学リテラシー、海洋リテラシーの教育として、科学教育として、水族館等の社会教育施設、NPOと連携して行われている事例が多いようです。
 インドネシア、フィンランド、スウェーデン等も科学教育、環境教育の一環として行われている。
 その中で、フランスですが、地理の中で、世界地図の中で今もフランスは、太平洋、ニューカレドニアですとか、インド洋のレユニオン、それからカリブ海にも海外領土を幾つも持っているわけですが、その中で非常に詳細に自国の海外領土について、そのEEZも含めて紹介を地理でしています。そういう意味では、日本の子供たちが我が国のEEZというのを一生懸命学んでいる間に、フランスの子供たちは世界地図の中で国の位置付けというのを知ることができるというわけです。
 一方、ドイツも国家的な学習指導要領等はないんですけれども、非常に先進的に、特にドイツの地理学というのは、人間と自然の相互依存性というのをベースに、右下に、右にありますような、三次元構造の中で人間と環境との、自然との関係を考える。グローバルからローカルまで、さらに、左下は構造、機能、過程、プロセスですね。こういったシステムとして人間と自然の関係を取り扱うという地理学の伝統の中に海洋というのを位置付けて、未来空間としての海洋を干潟から地球温暖化まで扱う、そういった教育をしている州があります。
 特に温暖化についてきちんと海洋教育の中に取り入れているのは、今のところドイツだけでした。台湾、韓国は、特に韓国は、どちらかというと産業としての海洋教育というような位置付けが強いように思います。私、地球温暖化を研究していますけれども、その中で驚いたのが、この下にある地理教育スタンダード最新版という中で、海面が上昇するとどういう対応があるかということで、この五番というのは、自然の地形、自然の生態系を活用して海面上昇に適応しようという、そういう考え方なんですね。これは日本ですと、どちらかというと護岸になってしまうんですが、非常に先進的な考え方だと思います。
 こうしたことを踏まえて、我が国が目指す海洋教育としては、産業のため、あるいは領土、領海という、それももちろん、その二つももちろん大事なんですけれども、より根本的な、命のマトリックスとしての海、これ、このページは教育哲学の田中センター長が訴えているベースの部分になるんですけれども、母なる海、全ての生命の起源であり、多様な生物を育み、それに基づいてハビタビリティーをつくってくれている海、それも、人間だけでなくて、生命のハビタビリティーをつくり出している海、そういう視点がなければ駄目だろうというのが私どもセンターの基本的な考え方です。
 ハビタビリティー、具体的に言いますと、気候の調節、今人間が排出した炭素の四分の一、熱の九割を海が吸収してくれています。ですから、海がなかったらもっと大変なことになってしまっていたわけですが、さらに、水産、海運、資源・エネルギー、環境浄化の場としての海の重要性というのも言うまでもありません。
 一方で、津波や台風などの災害ももたらす。それが人間による破壊も進んでいて、気候の調節機能も現在上限に達していて、スーパー台風ですとか海洋酸性化、海面上昇などの問題が現在起こりつつあって、こういった問題は今の子供たちが大人になる頃にまさに顕在化する問題です。
 こうした海洋の重要性を考えるとき、温暖化が危急のグローバルな課題である現在、人間と海洋の関係を再構成する必要が生じる。これまでの関係、自然との関係、海洋との関係は人間中心的で、海洋は主に人間が利用、管理するものという考え方だったんですけれども、それを共生的な関係、海を俺のものというふうに守るだけではなくて、公共財として、これはセンター長の言葉ですけれども、人間に贈られ、人間があずかるものという、そういうベースで海洋教育をつくろうというのが我々センターの目的です。
 共生的な関係に基づいて、自然科学的な知見を踏まえつつ、それを子供たち一人一人がおのずから思考し、自ら活動することへいざなう教育をつくろう。これ実は日本古来の里山、里海という考え方にも示されていて、西洋的な管理という思想とは少し違うものになると思います。
 これに基づいて、東京大学の海洋教育の三つの柱として、生命、環境、安全という三つの柱、さらに横軸にグローバル、社会経済、文化。グローバルは全てに掛かるんですが、そのたて糸とよこ糸の中に、生命の起源ですとか水産資源、食文化、海洋汚染、気候変動、観光、芸術、防災、領土、領海を位置付けました。もちろん重要な領土、領海や海洋産業もそのアイテムの一つではあるんですけれども、それだけでない海洋教育というのをつくっていこうということです。
 五番目、実践例ですが、これは質疑のときにもし出てきましたら、個別に御紹介したいと思います。サケの遡上の問題、海ごみの問題、あるいは川と海の、森、川、海のつながり。それから、海のない海なし県や海のない地域での海洋教育をどうするのか。さらに、私がテーマとしているサンゴ礁での海洋教育。竹富町は日本で一番最初に海洋教育基本計画というのを立ててくれて、これに我々も深く関わっております。さらに、特別支援教育にも海洋、海が非常に重要である。
 最後、我々として政府に求める支援、期待する政策としては、まず、とにかく国の機関として、ナショナルセンターとしての海洋教育センターを設立していただきたい。現在、財団、東大の努力でセンターを十年維持してきたわけですが、是非、国の機関として常勤の、先ほど特任と言いましたけれども、特任の研究員は全て一年契約です、来年はどうなるか分からない、常勤の海洋教育を専門とする研究者が、我々がつくった海洋教育の理念と構造に基づいてカリキュラム開発や実践、評価を確立し、全国の支援を行っていきたい。
 それから、次の学習指導要領の改訂がもうすぐですけれども、それに今、今日申し上げたような領土、領海にとどまらない、より本質的な海洋教育を充実していただきたい。英数国社理に海洋というのが入ることはあり得ませんから、海洋教育というのは当然横断的にならざるを得ないわけですが、理科、社会をつなぐ、それに総合学習や美術なども、横軸をつなぐような、教科を横断するような海洋教育。
 それから、日本は北から南まで非常に海洋の環境が異なっていますけれども、そのローカルからグローバルな課題に進むような、そういう海洋教育を是非とも次期の学習指導要領に入れていただきたいというふうに思っています。このグローバルな課題について最後に幾つかまとめてありますが、これも質疑の際にもし何かありましたら、御紹介したいと思います。
 以上、少し時間超過しました。ありがとうございました。

#4
○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。
 次に、逸見参考人にお願いをいたしたいと思います。逸見参考人。

#5
○参考人(逸見真君) 東京海洋大学の逸見と申します。
 本日は、このようなお席にお招きいただきまして、ありがとうございました。感謝申し上げます。
 私は、外航船員の経験及び商船系の教育機関で教鞭を執っております関係上、主として外航海運の船員の現状あるいはその養成の話が中心になりますこと、御理解をいただければと存じます。また、私の発表、発言は、必ずしも現在の勤務先、関係する検討会、審議会ほかの解釈や見解とは一致しませんこと、あらかじめ御了解をいただければ幸いです。
 お手元にお配りしておりますレジュメ、これに沿ってお話をさせていただきたいと思います。
 初めに、商船の船員とその現状ですが、海運業界は、我が国の港湾と外国、あるいは外国港湾間の海上輸送を担う外航海運と、国内各港間の輸送に従事する内航海運に分けることができます。
 お手元の資料にもありますとおり、海運に従事する商船の船員は、職員と部員の二つの職域に分かれております。
 職員は、船長、機関長、航海士、機関士という海技士という国家資格を持ち、船舶の運航に責任を有するスペシャリストです。船長は航海士から、機関長は機関士から、海上勤務の履歴と上級資格の取得によりプロモートします。海技士資格、例えば一級海技士の取得は船長、機関長となる要件となりますが、船長、機関長が実際の職務を執るには、雇用先の海運会社より実務能力や勤務態度に一定の評価を得て辞令を受ける必要がございます。
 一方の部員に海技士の資格はありません。職員の指揮管理の下でハンズとして船の運航を支えております。練習船や旅客船を除き、我が国の外航海運では日本人の部員の供給はありません。採用は職員のみです。国際社会での船員の雇用は一般に海上勤務のみとする期間雇用ですが、我が国の海運会社が採用する船員は、陸上産業と同様、終身雇用が原則です。
 我が国の輸出入を担う日本商船隊については、二〇一九年の数値によれば、隻数で二千四百十一隻、そのうち日本船舶は二百七十三隻であり、ほかはパナマなどの外国船舶となります。当然ながら、現在の日本人船員の規模でこれだけの商船を扱うのは難しく、そのほとんどは外国人船員による運航となります。日本人船員が配乗される船舶でも、例えば職員のみ、あるいは船長、機関長のみが日本人船員であり、残りは外国人船員との混乗となります。内航商船は乗組員の全員が日本人です。二〇一九年の外航商船の船員数は二千百七十四名、内航海運は二万八千四百三十五名となっております。外航船員は、一九七四年の五万六千八百三十三名より下降を続け、二〇一八年に二千九十三名という最低を記録をしております。日本人船員の長期的な減少は、オイルショック、円高不況という社会環境の中での度重なるリストラもさることながら、日本人の部員がほぼ完全に外国人に置き換わったこととなります。内航海運も同様に一九七四年の七万一千二百六十九名より下降し、二〇一三年に二万六千八百五十四名と底を打った後、漸増して現在の数値になっております。
 私の勤務する東京海洋大学の学生の就職先である外航大手の海運会社による船員の採用は、例年、一社当たり二十名を超える程度、中堅企業に至っては五名前後です。これに海技教育機構の採用等を加えて私なりに試算をしてみますと、年間約百名弱採用し、在籍年数四十年と換算して四千名、離職率を一五%と考えると三千四百名、ざっとこんな感じになります。国土交通省による日本船舶及び船員の確保に関する基本方針の変更についてにある二〇一八年からの十年間で外航船員を一・五倍の三千四百七十二名にする目標はほぼ達成可能ではないかと思われますが、海運会社ではなお不足の状態と言われております。逆に表現すれば、現在の採用状況が変化なく続く限り、この数字をもって外航船員数の頭打ちになるかもしれません。
 続きまして、業務に求められる知識、スキルの多様性というお話になります。
 船員の職場は船の上と恐らく誰もが持つ認識は、事我が国の外航船員に限っていえば誤りとなります。勤続四十年のうち、個人差はあれ、海上勤務は十年前後というのが主要な海運会社での船員のワークスタイルとなっております。船員が陸上で働くという違和感も相まって、現在は船員を海の技術者とみなして海技者という呼称も一般化しております。
 船員の陸での活用は、余剰人員を陸の職域に求めた結果ではありません。経営のための資源である船を維持する必要もさることながら、船舶一辺倒に終始する船員の消極的な活用は、彼らが熟練を極めても結局は視野の狭いスペシャリストとしてしまいます。こうした環境からの脱皮、言わば海陸にまたがるジョブローテーションの実践には、海上経験や海技知識を基礎に持つ船員を様々な職種に転用したいといった海運界に共通する認識と期待とがあります。
 陸での船員の職務といえば、船体、機関の保守管理、航海や停泊中の安全管理、荷役指導、条約や関連法規の遵守、船員の採用と育成、配乗管理や福利厚生という船舶管理業務のほか、海上輸送に関する技術開発、コンテナなどの専用船ターミナル、バース管理、荷役の監督業務等、船の仕事の延長線上にある仕事が挙げられます。しかし、現在の船員の仕事はこれだけではありません。定期・不定期船営業、海運市況に準じた船舶の建造、調達、売船、新規事業の調査や企画のほか、船舶の自動運航、AIの利用等の研究開発、船員業務とは直接のリンクのない総務、経理、果ては系列会社、社外団体への出向から海外勤務にまで及んでおります。現在の日本人船員は、数ではなく質、それも船舶の運航という技術的な職域から出て、およそ海運業全般に多角的に求められていると言えることができると思います。
 陸での業務には、船上では得られない知識やスキルを学ぶ必要が出てまいります。船舶管理業であれば、船の安全運航、船員の資格や労務管理、社会保障、海洋環境の保護に関する国際条約の理解のほか、必要に応じ、船の寄港国の国内法や港湾規則の調査が必要となってまいります。営業であれば国際海上物品運送法、運送・用船契約書の内容、企画であれば船舶金融、資金調達のためのファイナンス、経理であれば税務に関する知識等の業務知識を含む海運慣行、法令や規則に関する附帯知識です。
 こうした陸上での経験は、海上職に復帰した際に大きく寄与します。不定期船の船長は、船主はもとより荷主、用船者の意向に留意して船を運航しなければならず、用船や運送契約に関する知識と内容の理解があってこそ、彼らとの意思疎通が可能となるわけです。日本人船員に求められる職域の多様性は、専ら海上で船舶の運航に従事する期間雇用の外国人船員とは大きく相違していると表現できるかと思います。
 続きまして、船員不足の問題とその影響ですが、このような船員を取り巻く環境は、海運会社に恒常的な船員不足を招いております。外航船員は一般に五十五歳を境に役職定年を迎えて子会社へ天下ったり、船長であれば水先人に転じたりしてきましたが、海運会社は正規の六十歳定年ぎりぎりまで雇用するようになっています。
 中でも機関士の不足、採用難が海運会社のいずれにおいても深刻な問題となっています。機関士は航海士よりも技術的な度合いの高い職域であり、陸では船舶管理の中核を成すのとともに、海運、船舶における新たな技術開発を主導する枢要な存在です。採用難の理由として、航海士と比べてソースとなる養成課程及び定員が少ないこと、求人が陸上の各種製造業、メーカーと競合し、転職も盛んなこと、船舶運航では船長、航海士に劣位するというイメージが払拭できないことなどが挙げられます。
 また、従来、船員の再雇用により維持されてきた職域に変革が求められているようにもなっております。その一つが水先人です。水先行為には、船舶の運航についての相当の知識、十分な経験、ふさわしい技量を有する者が従事すべきとされ、我が国では外航船舶の船長を一定期間務めた者が担う制度として維持されてきました。しかしながら、外航船員を母体とした水先制度の維持は徐々に難しくなり、新たなソースを取り入れた制度の変革が求められます。
 そして、二〇〇七年、従来の水先人を一級から三級にまで等級分けした水先制度が導入されました。一級は三千総トン以上の船舶に沿海以遠の海域での二年以上の船長履歴、二級で一等航海士以上を二年間、三級では職位を問わず千総トン以上の船舶に一年以上、すなわち、商船系教育機関の新卒でも水先人となれる制度でございます。制度上、海技資格も全ての等級に三級海技士(航海)で就業できます。
 続いて、出自の多様性ですが、資料にありますとおり、船員になる課程は、商船系の国立、私立大学、高等専門学校、海上技術学校等、水産系も含めて複数あります。これらの課程において、学生は、勉学による知識と技能、船舶実習による乗船履歴により特定の海技士資格を取得して、海運会社に採用されます。加えて、最近は、大手の海運会社において、一般の大学卒、大学院卒が海上職員として採用されています。彼らの専攻は、工学、理学といった理系から、経済経営、法学、人文、語学等の文系まで、境なく選抜されています。この課程は、商船系の教育機関に続く三級海技士資格の新たな取得コースとして、新三級制度とも呼ばれております。採用後に乗船履歴を付け、海技大学校における座学を経て海技資格を取る、自社養成による船員です。生き残りを懸け、多様な能力、知識を身に付けた人材を求める企業行動の表れとも言われております。
 資料にもあります女子船員について、商船系の教育機関で初めて女子学生を受け入れたのが旧東京商船大学です。一九八〇年、その第一期生が入学した後、旧神戸商船大学が続き、現在では商船系の教育機関の全てが男女共学となっております。既に一般社会でも女性の就労を促す法制度が整えられているこの時代、女性船員は堂々と日本人船員の一翼を担っていると思いきや、いまだ数えるほどにしかすぎないのが現実です。
 船の運航における合理化、ハイテク化の目覚ましい進歩とは裏腹に、海運会社はいまだに女性船員の雇用に積極的であるとは言えません。その主たる要因は、結婚や出産など、人生の転機を契機とした、船員としての育成半ばでの退職を企業が危惧する点にあります。女性を主体とする特定の業種を除けば男性偏重、よって女性の就活に強いられる高いハードルは我が国の企業一般に見られるようですが、外航海運には更に業界特有の問題が附帯します。海賊等の出没海域へ向かう船舶への女性船員の配乗は制限せざるを得ないなどが挙げられます。
 男女平等は形式的平等であってはならず、妊娠、出産、子育てと女性の本質的な役割に対する制約の軽減を考える社会的、身体的な思いやりを含めた実質的な平等が目指されなくてはなりません。いまだ男性中心にあると言える海運会社は、その意識を変革し、女性船員採用、就労のための積極的な取組を講じなければなりませんが、この点は海運会社も意識して、結婚や出産時に陸上勤務へ配置換えするなど、女性船員の労働環境は大きく改善されつつあると言えます。
 女性船員の離職率は男性船員よりも高い現実があります。海上にせよ陸上にせよ、男性優位の現実に直面する失望感や、女性としての限界を感じ、結婚、子育てを機に退職してしまうケースが見られます。
 最後に、船員たるにふさわしい人材の獲得と育成ですが、船員の採用を増やすためには、間口を広げる手法、確かに一定の効果が見込まれると思われます。現在、国土交通省が検討している一般大卒の船員志望者を集めて一年余りで養成する課程の検討もその一つとなるでしょう。
 私は、自身の経験より、海洋大学を含めた船員の養成機関に求められることとして、第一に、能力、意欲に富み、伸び代のある学生をより多く受け入れること、第二に、学生の抱く船員への志を高めるよう努めることを挙げたいと思います。
 第一の点は、就職実績とともに、船員という職業に対して持つ社会一般の理解やコンセンサスが重要であり、養成機関の努力には限界がありますが、第二の点については、教育者の取組と努力が効果を生むと考えております。
 私の教えている東京海洋大学海洋工学部海事システム工学科の前身は、東京商船大学商船学部航海学科です。約四十年近く前、商船大学時代の私の在学時と同様、学生の多くは、船、海、航海士、船長に憧れ、夢をかなえようと入学し、在学中に様々な経験を積みます。学内での講義や実習、海技教育機構の練習船実習と、教員、先輩からの指導を受ける中、残念ながら、船、船員に魅力を失い、陸の企業へと方向転換する者もおりますが、なお定員の七割程度はモチベーションを保ちつつ、海運企業への就活に挑戦します。その実績は、例年、外航大手、中堅会社へ就職する者が学科定員約六十名の四分の一ほど、海技教育機構、調査船等のほかの一部内航就職者も合わせて、船員としての職を得るのはよくて半数前後です。国を挙げての船員の確保、育成を建前として企業により多くの採用を求めるのは簡単ですが、採用にかなう人材を送り出せない大学側にも問題があるのも事実かと思います。
 学生の採用のお願いで海運会社を回ると、いろいろな意見、要望を受けます。若い船員によくある問題として、スマホやゲーム依存が強く、その分、対人的なコミュニケーション能力に欠ける、すなわち団体生活が苦手、裕福な時代に育ったゆえに打たれ弱く、仕事に対する責任感に疎い、結果として早期の離職がなくならないなどと指摘されています。中には、最初に乗った船で嫌になり辞める者もあるということ。入社して間もないうちの離職は、企業にとっても本人にとっても不幸以外の何物でもありません。まさに、資料にある船員養成の改革に関する検討会とりまとめに指摘されている新人船員の現状そのものです。
 学生らには、学業以外に、クラブ活動に励み、アルバイト、ボランティアと様々な経験を積み自らを鍛えるように勧め、また講義では、機会があるごとに船員実務や海運についての情報を伝えて啓蒙しておりますが、あわせて、若い船員が指摘を受けている問題も隠さず教え、どうしてもスマホやゲーム依存と決別できない者、船員を仕事にするについて不安が払拭できない者は船員になるべきではないと諭すようにもしております。辞めるおそれのある者を十名採用してもらうよりも、辞めずに船員として自律できる学生を一人出す方が、海運会社にとってはもちろん、大学にとってもよほど良いかしれないと、はっきり伝えております。ただ、生身の人間を扱う教育にマニュアルはなく、船員にふさわしい確固たる人材の育成に試行錯誤は付き物であることも、私自身十分に自覚はしております。
 最後に、私は自身の経験から、船員は、ほかの職業同様、つらいことも少なくありませんが、総じてやりがいがある、一生を託すにふさわしい、誇りを持てる職業であることを学生に伝えておりますことお伝えいたし、この発表を終わらさせていただきたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。

#6
○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わらせていただきます。
 これより参考人に対する質疑を行いたいと思います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いたいと思います。
 まず、大会派順に各会派一名ずつ指名し、その後は、各会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと思います。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間が一人十分となるように御協力をお願いいたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
 中西祐介君。

#7
○中西祐介君 自民党の中西祐介です。
 今日は、両先生、海洋教育ということと、そして船員の人材育成ということで大変貴重なお話を伺いました。誠にありがとうございました。
 順次主要なテーマから伺っていきたいというふうに思っておりますが、まず、逸見先生、逸見参考人に伺いたいと思います。
 船員の減少の主要因と現場からの解決策ということでありますが、先生から御紹介あったとおり、この外航船ですね、日本人の船員の方々、少し調べてみましたら、一九七四年頃には五万七千人ぐらいおられたのが、直近では二千数百人にとどまると。特に、私、非常に危機感を持ちますのは、内訳が、七割五分の方々がフィリピンからいらっしゃって、ほかの二割がアジアの方々、日本人は二%にとどまっている現実があります。
 また、内航船に目を移したところ、高齢化率が非常に高いということで、約半数が五十歳を超えている現状があります。ですから、こうした後継者不足というのも大きなテーマなんだろうというふうに思います。
 さらに、この船舶業界を支える造船業の方々でありますが、長崎とか今治、因島にもありますけれども、ぎょう鉄という船を造るための鉄を曲げる技術ですが、そうした高度な技術伝承の必要性というものを考えたときに、非常にこの業界の課題の裾野の深さを感じるところがあります。
 そんな中で、逸見参考人におかれては、外国人材の活用、その国籍を超えた融和というものの取組もなさっておられますし、女性活躍についても言及があったとおりであります。
 実は私、私事でありますが、父親が外国航路の船員だったことがあります。ながえ先生おられますが、弓削商船高専出身で、私も島に住んで、一番印象深いのが、湾岸戦争、九一年の湾岸戦争のときにタンカーに指名をされて、日本からペルシャ湾を越えてクウェートまで油を取りに行って帰ってきた。その船が出港する前に、当時、私、小学校の五年生、六年生ぐらいだったものですが、母親と弟と面会に行って、そして父親を送り出して港に帰ってくるときに、母親が涙を流して、もう、しくしくと泣いている姿が子供心ながら非常に印象深かったわけなんですが。
 やはり船乗りの方々、外航船、内航船問わずですけど、非常に過酷な労働現場、勤務現場があるなと思います。一つは、長期間、外航船ですと十か月船に乗って二か月休みとか、あるいは、閉鎖された空間ですから、二十人、寄せ集められた方々で勤務をしなきゃいけない。危険も当然伴います。それから、職務の重要性、日本の国の総輸出入量の九九・六%がこれ船舶を通じてですから、こうしたことを考えると、やはりこの船員そして船会社の裾野を支える人材が極めて重要なんだろうと。
 こうしたこの労働環境の大変さと引換えに、やはり船員の方々の厚生福利の充実とかあるいは仕事のやりがいということをしっかり正面から捉えないと、根本的な裾野の解決に、私、至らないんじゃないかなと。場合によったら、大陸のある国がフィリピンに圧力を掛けて、日本に船員を出さないとフィリピンにもし働きかけた場合、日本の運航が止まってしまうわけですね。
 ですから、安全保障上のことも考えて、場合によったら、半公務員という言い方がいいかどうか分かりませんが、国がバックアップをしながら確保に努めなきゃいけない局面も出てくるんじゃないかと思いますが、まず最初に、船員の減少の主要因と現場からの解決策について簡潔に伺いたいと思います。

#8
○参考人(逸見真君) 御質問ありがとうございます。
 先ほど、暫時減少しているというお話をさせていただきました。今ちょうど底を打ったということで、この数字はこれから大きく下がることはないように感じます。要するに、高年齢の船員が大分退職してしまったということもあります。そして、新しい船員が毎年毎年入ってくるという前提からしますと、そんなに数としては、急に増えることはありませんが、減ることはないだろうという感じがいたします。
 かつての五万何千人という規模まで、じゃ、戻るかといったら、多分これはないでしょうということになると思います。実際の日本の海運、先ほどの二千四百十一隻というお話させていただきましたが、ほとんどが外国人船員で動いているという現実があります。むしろ、それは日本だけではなくて、欧米を含めました先進国は皆同じような海運環境にあるということが指摘できるかと思います。
 外国人、フィリピンそれからインドですね、現在は東欧の船員さんたちが外国人のメーンのところに来ておりますけれども、日本の海運会社も、かつてはフィリピン一辺倒ということもありましたけれども、現在は、インド、今お話しした東欧とかいろいろな国の国籍の船員を乗せるということにして、ある意味リスクをそこら辺でヘッジしているということがあるかと思います。
 それから、教育に関しましては、日本の大手の会社はフィリピンに大学をつくりまして、そこで現地教育をして、自分たちのフリート又は系列会社のフリートに乗せるということもやっております。日本人船員だけで固めるということではなくて、要するに外国人と一緒に船を動かすという前提で今の海運会社は船を動かしている、経営をしているということが言えるかと思います。
 やりがいとか、今お話しいただきました、大変重要なことです。外国人船員、簡単に言ってしまいますと、彼らは食べるための糧を欲しい、まあこんなことを言っては失礼な言い方なんですが、途上国の船員さんは、なかなか貧しい生活をして祖国から出てきている船員さんが多くて、まず第一に考えることは、稼いで家族を養いたいということかと思います。もちろん日本の船員もそうではありますが、ただ、日本の場合には、もう成熟した社会ということもありますので、ただ単に稼ぐということではなくて、自分の人生をいかにやっぱり充実したものにしていくか、船員という仕事を通してそういうふうなことを達成したい、そういうふうなところに重きが置いてくるかと思います。ですから、そういう前提として、船会社はもちろんですけれども、国もそういうふうな形で施策を考えていく必要があるのではないかなというふうに思います。
 一方で、先生がおっしゃいましたように、このいわゆる乗船ですね、今は八か月、四か月、八か月乗船して四か月下船するというのが一般的なんですが、中にはもう六か月乗船で三か月休みという、ある意味、乗船期間をできるだけ短くするというふうな考え方も出てきています。そうすると、昔、一昔前、我々の時代と違って、今の船員さんたちは、乗船環境も少し変わってきているなということが言えると思うんですが、ただ、資料にもありますとおり、離家庭性、要するに、家庭を離れて仕事をしなければいけないとか、家族から長期間離れて仕事をしなければいけないというのは、十か月が六か月になっても変わらないわけですから、そこら辺のところをやっぱりいかに本人たちが自覚しなければいけないかということですね。特に若い船員はそこら辺をしっかり自覚して自分のキャリアを積んでいってもらわなければいけないということも一つ言えるかと思います。そういうことも含めまして、私も先ほどちょっとお話をさせていただいたんですが、外国に行く商船の船員としての自覚をそこら辺で教えていっているということになります。
 それから、今先生がおっしゃいましたとおり、お父様が湾岸戦争のとき、特に戦地に行かれて非常に御苦労されていたというお話もお聞きしました。要するに、安全保障ということもこの外航船員の世界には必ず絡んでくるんですね。今ちょっと台湾のお話が出ていますが、日本とヨーロッパ、中東、ここを結ぶ航路はこの台湾のすぐそばを通っております。もしも万が一のことがあった場合に必ず影響を受けるんですね。
 ただ、じゃ、そこで、ああ、もう有事が起きたから行くのやめようとか、そういうことには話は絶対にならない。そういうときに、危ないところに行けということは言えないです、もう今この時代、人権とかいろんな話がありますから。ただ、そこを何とかケアして、要するに、海上輸送を途絶えさせないためにどうしたらいいかということは、国もそうですし、教育機関もそうですし、海運会社もそうですし、みんなで検討しなければいけないと、そういうことが私はひしひしと必要ではないかと思っている次第です。
 以上です。

#9
○中西祐介君 ありがとうございました。
 残り時間少ないものですから、コメントだけお願いしたいと思うんですけど、船員の教育システムの課題についてもこれから考えなきゃいけないなというふうに思っております。
 特に、二月の十六日に、私、地元、手前みそなんですが、尾道海技大学の徳島阿南校を開講しまして、民間の船会社、内航船の方々がしっかりバックアップをしながら、新しい船員を、六級海技免状取らそうということの取組を始めました。特に、裾野を広げるためには、地元の企業の連携とか、あるいは、この水産高校というのが今なくなっていますけれども、そうした技術高校をどのようにつくるかとか、教育環境でいうと練習船がもう老朽化をしてどうしようもないということもあります。
 就職の問題も含めて、やはりこの教育システムの在り方を考えなきゃいけないと思っておりますので、調査会長にお願いを申し上げたいと思いますが、例えば高専とか海技大学の関係者の方々とか、今日、先生、大学御出身でありますので、それ以外の関係者の方々のヒアリングの機会をまたお願いを申し上げて、私の質疑といたします。
 ありがとうございました。

#10
○会長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。
 ただいま提案のことは、また理事会で協議をさせていただきたいと思います。
 それでは、次の御質問に移りたいと思いますが。
 田島麻衣子君。

#11
○田島麻衣子君 ありがとうございます。
 立憲民主・社民の田島麻衣子です。
 今日は、お二人の先生方、海洋に関わる教育、それから人材育成の点からお話しいただきまして、本当にどうもありがとうございます。大変勉強になりました。
 まず、茅根参考人に伺いたいと思います。
 小中学生を対象とする全国の海洋リテラシーが必ずしもすばらしいという数ではなくて、知識や理解に非常に限定があるということを伺ったんですが、私も子供いまして、どういうふうに、じゃ、海のことを教えていくべきなのかなと思いながら講義聞いておりました。
 どうしてここまで、海洋とは切って切り離せない日本なのに教育がここまで進んでこなかったのか、その理由というのはどこら辺にあるのか。例えば、先生が少ないから教えることができる先生が少ないですとか、あと国の理解がなかったからとか、いろいろ考えられると思うんですが、参考人はどのようにこの国の海洋教育が進んでこなかった原因があるとお考えになっているでしょうか。

#12
○参考人(茅根創君) まずは、やはり指導要領にきちんと載っていないから。学校の先生方は指導要領に従って教えていますので、それに載っていないと教えないということになってしまう。ですから、指導要領にとにかく載せる。
 今載っているのは領土、領海ということですと、じゃ、領土、領海を教えましょうということで、その知識は非常に増えましたけれども、それ以外の親しむ、海と親しむような教育というのが十分全国で行われていないように思います。

#13
○田島麻衣子君 ありがとうございます。
 この参考資料をいろいろ見ていますと、いろんな国の海洋教育のことが書かれていまして、例えばシンガポールはやっぱりデジタル先進国だなと思ったんですが、ネットやITツールを生かして海洋を学んでいくという機会も学校が提供しているというふうに書かれていましたけど、日本はそうした、これからタブレットを配っていって子供たちがオンライン上の資源を活用する機会も増えていくと思いますが、こうした機器を利用した海洋教育、学校で行っていく可能性、どのようにお考えになるか、お考えをお聞かせいただけたらと思います。

#14
○参考人(茅根創君) ありがとうございます。
 実際我々も、昨年コロナで体験学習が難しくなったことを踏まえまして、VR等を利用したオンライン学習で海洋を教えるというような取組を進めております。映像やVRですね。ただ、私個人の意見としては、やはり海洋教育というのは体験、実際に海に行って足をぬらして体験しなければいけないかなと思っていますので、あくまでオンライン学習全体としての普及の中で海洋教育にも取り入れていくけれども、原点はやはり海ではないかというふうに思っています。
 ICTについては、GIGAスクール構想で予算が付きましたので、今後可能性がより広がっていくというふうに思っています。

#15
○田島麻衣子君 ありがとうございます。
 私も自分が学んできたこと振り返ってみると、覚えていることって、手を使って触れたりとか楽しかったりとかしたことというのはやっぱり覚えているので、本当に先生おっしゃるとおりだなと今すごく思いました。ありがとうございます。
 次に、逸見参考人に伺いたいと思います。
 私はこの仕事する前は人道支援やっていまして、しかも食料支援だったので船には非常にお世話になっていて、食料というのは船で随分運んでいたんです。特に自然災害が起こって地震がわっと勃発した場合とかというのは、買ってある食料を船に載せて運んだりとか七十二時間以内に届けるということをやっていたので、私自身は乗っていなかったですけれども、外国商船が物すごく身近な存在にあったなと思いながらお話を聞いていました。
 私が参考人にお聞きしたいのは女子船員のことについてなんですけれども、これ、数見ていると二・六%なんですよね、全体の、資料を拝見しましたが。やっぱり少ないなと思って。そこには理由というのはしっかり書かれていたので、確かにそうだろうなと思って見ていたんですが。
 先生は学校の教授されていらっしゃるので、今、大学、海洋大学のようなところに入ってくる女子学生の皆さんというのは、一体何を考えて、どんな夢を持って、何に悩んでいるのかということを、ちょっとその実情、女子学生の実情について先生に伺いたいなと思っております。

#16
○参考人(逸見真君) 御質問ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、女子船員は、この数字でいうと二・六%という信じられないような数字なんですね。少ないから、少ないといったら大体一〇%、三〇%ぐらいだというのに、その一桁だという現実があるんですが、先ほどお話ししましたように、海運会社がなかなか採用しないということも一つなんですけれども、もう一つは、採用のソースもやっぱり少ないということになります。
 私が勤務している東京海洋大学の海事システム工学科、大体定員約六十名なんですが、毎年入ってくる女子学生の比率は、大体十名前後、ということは二割ぐらいなんですね。それで、入ってくる学生のほとんどが入学時は船員志望です。これは男性と全く変わりません。要するに、海洋大学に入れば船員になれる、外航の商船に乗れるというようなイメージがやっぱり非常に強くて入ってくるんですね。
 ただ、三年ないし四年在学していくうちに従って、なれない、先輩たちがなれていないという現実をやっぱり直視せざるを得ないということと、それから、私もちょっとシビアな話も時々しなければいけないということでするものですから、そういうところでちょっと気持ちが萎えてしまうというふうな現象がやっぱりどうしても起きてきてしまうんですね。
 女子学生には、そういう環境にはあるんだけれども後進の道をつくるのは君たちがいかに頑張れるかだよという話を常にしておりまして、彼女たちに発奮してもらうように、機会を与えるし、そういうふうな精神論も私自身話しているんですが、例えば今の四年生、やっぱり女子学生十名前後おるんですけれども、ちょうど今就活をしておりまして、外航大手の三社ありますが、採用されたのは一名だけです。逆に、受けたのが三名ばかりいるんですけれども、二人は駄目。逆に、そのほかの女子学生は受けない。もう初めから陸上に方向転換しちゃっているということですね。
 女性については、私も船会社回るたびにいろんな話をさせていただいて、とにかく一名でも二名でも、優秀な学生いますから採用してくださいという話は常にしております。実際に女性は、男性に比べると、平均して、頑張りますし、優秀な人間多いです。意欲とか能力、才能に関しては全く男性には引けを取らないということですね。そうすると、採用していただいても全く遜色がないということは私自身も自信持って言えます。ただ、今のような現実があるというのが実際のところです。これは女性の、今の学生のせいでは全くありません。私のような教育者がもっと力を入れて頑張らなければいけないということで、私自身にも責任があるんですね、大学にも責任もあるかもしれません。それは海運会社だけじゃありません。
 ですから、そういうところをどういうふうにして見ていくかということで、もうこれもやっぱり試行錯誤なんですけれども、とにかくここら辺のところを毎年二名でも三名でもやっぱり積み重ねて増やしていくということが必要かと思います。大手の海運会社、実際に女性の船長さんがもう事例出ておりますので、道はできているんですね。後は数の問題だと思います。
 以上です。

#17
○田島麻衣子君 ありがとうございます。
 先生の熱意や、本当にもう、応援したいんだという気持ちが本当に感じ取れて、私自身はすごくうれしいですけれども、何かこう話を聞いていて、女性医師も、昔は結婚、出産で辞めちゃうから外科医にはなれなかったりとか病院が採らなかったりするということがありましたが、今はもう三割を超えてきているんですね。なので、この女子船員の方も、希望する方であればその道が開くようなことを、国もしっかりその方策というのを考えていく必要があるんだろうなと今お話を聞いていて思いました。
 以上です。ありがとうございます、どうも。

#18
○会長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。
 それでは、引き続き質疑を続けます。
 里見隆治君。

#19
○里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
 茅根先生、また逸見先生、今日は貴重な御講演をいただきまして、ありがとうございました。
 私、党の中で離島対策本部というのがありまして、各島の首長さん、また、活動されている方と懇談をさせていただく機会がございます。
 先日、広島県の大崎上島の町長さんからお話を伺いましたところ、瀬戸内ですのでそんなに遠くない海ということで、内地というか、本土の皆さんと交流をして、いい教育機会としてこの海の環境を利用した教育交流というのを行っているという話を伺いました。場所によっては、何というんでしょう、新たな海の学校といいますか、島留学というような形で、教育の場としてもその環境が非常に役立っているということであります。
 その上で、まず茅根先生にお伺いをしたいと思いますけれども、こうした体験型の学習、そして海を体感していくという中で、ちょっとこう、何というんですかね、座学の単なる学習だけではなくて、若干期間を設けて、単に修学旅行とかそういう観光的なものではなくて、こういう体験的なものとして海というものが非常に活用できるんじゃないかという意味、先ほどの先生のお話からもそうした御示唆いただいたというふうに受け止めております。
 そうした中で、先生の様々な御経験の中で、地方でのこうした教育交流の取組がその地方でもその地域の活性化に役立っていると、また、子供たちにも海への関心を高めているという、非常に相互の効果というものをもたらしているというような具体例がありましたら幾つか御紹介をいただいて、そうした効果、価値についてお話をいただければと思います。よろしくお願いします。

#20
○参考人(茅根創君) ありがとうございます。
 まさに、沖縄で、沖縄本島とそれから離島の間で交流をやっております。これは、通常の民泊でなくて、実際に二、三泊なんですけれども、事前にかなりお互いのことを勉強し合った上で本島の子供を離島に送る。
 沖縄ですので島じゃないかと思うんですけれども、那覇の子供たちはもう東京と同じ、ゲームばっかりやって、そういう子供が離島に行って、数名しかいないような学校で民泊をする。それによって、非常に那覇の、本島の子供たちも大きく考え方が変わっていく。さらに、離島の子供たちも、その那覇の子供たちが来ることによって、離島のいろんな文化や美しい自然を紹介することによって大きな自信が付くというようなことを聞いています。是非、それ聞いて、本土と沖縄の離島の間でそういった交流をしたいなと思っています。
 実際、修学旅行でも離島に民泊したりするんですけれども、非常にお仕着せになってしまっていて、美ら海水族館を見て、ひめゆりを見て、最後に一泊だけ民泊しておしまいというような、そういう表面上なものになっているようなので、もっと本質的に、離島で、離島経験をするような、そういうことができるような交流を海洋教育の中で是非やっていきたいと思っております。
 ありがとうございます。

#21
○里見隆治君 ありがとうございます。
 本当に、この単なる海ということではなくて、環境教育という意味でも、ちょうど先日、世界自然遺産として奄美、沖縄北部も登録をされるという動きが出てまいりました。小笠原も含めて、この海を含めた日本の世界自然遺産に登録されるようなすばらしい環境というのを、本当に子供たちの小さい世代から触れさせてあげたいなと、そのように感じております。どうもありがとうございました。
 続いて、逸見先生にお伺いをしたいと思います。
 私、先生はどちらかというと今外航海運のお話をいただきましたけれども、先般、国内海運の関係者とお話をしておりましたところ、ちょっと外航とまた内航ではやや条件は違うかもしれませんけれども、本質的なところで同じ部分があろうと思います。やはり、長時間労働であり、家から離れる、御家族から離れる期間が長いと。大変厳しい就労環境であるという中で、特に内航、あるいは漁船関係ですと非常に高齢化また後継者不足が顕著であるという中で、やはり今、そうでなくても他産業も含めて働き方改革、労働環境の改善というふうに言われる中で、まさにこの海運業界もそれを急速に進めなければ人手の確保というのがままならないのではないかという御意見いただいております。
 先生の、女性の海員への道をどう開いていくかというこの文も拝見いたしました。まさに、一般論でいっても、女性に優しい職場というのは男性にも当然優しい職場であり、人材を確保できる職場であります。そうした意味合いで、まさに先生のおっしゃった最後の、辞めずに船員として自律できる学生を一人出す方が、辞めるおそれのある者を十名採用してもらうよりもいいかもしれないというお話でしたけれども、先生の誇りからすればそういう立派な人材を送りたいということもよく理解できますけれども、なかなか今、そういう、それに足る若い方がどれだけいるのかというと、やはり社会人になってからも引き続き教育をし、また鍛えていくということも含めて社会に輩出しなければならない。そういう意味では、若干いろんな条件がまだ整っていなくても、そういった方を採用し、また働き方改革で少しずつ慣れさせていく、習得させていくと、そういう職場づくりも大事だと思います。
 そういった観点での大きな意味での働き方改革について、逸見先生の御所見を伺えればと思います。

#22
○参考人(逸見真君) 御質問ありがとうございます。
 今先生おっしゃったこと、まさに本当にこのとおりでして、少子化で採用のソースがどんどん縮んでいっているというのが、これからも縮んでいくんですけれども、そうすると、昔に比べると、マスの数が減ってその中から選ばなくちゃいけないというジレンマに陥ってしまいますし、それから、成熟した社会ですから、なかなか根性ある人間がという話もあるのかもしれません。
 ただ、先生おっしゃいましたように、例えば高等商船にしても大学にしても、そこで完璧に仕上げて社会に送り出すということは実際は難しいんですね。そうすると、企業に就職して、そこで頑張って成長してもらうということはやっぱり大前提かと思います。特に船員のようなもう現場でやっぱり仕事を身に付ける職業では、それは間違いないんですね。
 そうすると、じゃ、労働がきつい、で、働き方改革というお話になりますけれども、単純にお話しして、内航と外航を比べますと、内航の方が厳しいです。これは間違いないですね。一番厳しいのは荷役をしているとき、要するに港内で仕事をしているときですね。これがやっぱり船員が一番忙しいときと言っていいのかもしれません。航海中は、当直で、交代交代で当直できますから、当直を外れているときは休むことができるんですね。しかも、外航の場合には、航海時間が長いですので、逆に言うと休める時間がある。だけど、内航の場合には、要するに短い距離の間で走らなくちゃいけないので、極端な話、午前中入港、出港、午後入港、出港ということがあるのかもしれません。今の船はもう最低限の人数で走っていますから、余裕は全くありません。入出港のときには全員スタンバイになります。これが続きますと、このいわゆる労働時間はどんどん積算されていってしまうという現実があるんですね。船の運航上やむを得ないといえばやむを得ないということになります。
 ただ、やはり休暇の問題とか、少しでも人数を増やすとか、あと荷役の効率を上げる、自動化を上げる、いろんな、短期間にはできないでしょうけれども、時間を掛けて、要するに、時間を節約する、節減する、働き方改革が実現できる環境に直していくということは、私は非常に必要かと思います。先生おっしゃいましたように、女性に優しい業界は男性にも優しい、まさにそのとおりでして、ここのところは、男性、女性は全く差別なくこういうふうなところを推進していかなければいけないということは、私自身考えております。
 それから、女性につきましては、もっと少ない人数でもっと小さい船でということで、より環境は厳しいと思います。こういうところも含めまして、要するに、外航だから、内航だから、漁船だからという区別はしないで、船員という一くくりで全体を満たすと、そういうふうな考え方、やり方が必要ではないかと思っております。
 以上です。

#23
○里見隆治君 ありがとうございます。
 その船員の方からお話があったのが、やはり我々、なかなか身近には感じないけれども、海がすぐ近くにあるわけではないのですぐには気付かないけれども、我々の周りのガス、電気、そして食べ物の多くが海外から来ている、それは船で運ばれているんだと。我々は、教育ということも含めてですけれども、そうしたことをよく感じながら生活する、その中で、海員の皆様への感謝、またその産業への敬意というものも払われ、我が国社会としてそれを支えることにつながるんじゃないかと、我々もしっかりお支えをしていきたいと、そのように考えました。
 また、今日は貴重な機会をいただきまして、本当にありがとうございました。以上で終わります。

#24
○会長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。
 柳ヶ瀬裕文君。

#25
○柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文でございます。
 済みません、途中、ちょっとほかの委員会がございまして中座をしておりましたので、もし質問がかぶったらごめんなさいということで御容赦いただければというふうに思います。
 まず、茅根参考人にお伺いしたいというふうに思いますけれども、海洋教育についてです。
 百聞は一見にしかずということで、やっぱり海にしっかりと触れるという機会が重要だというふうに思っています。私も、私が、じゃ、海について何を学んだのかなということを思い起こしてみたときに、余り学んでいないなと思いました。それと同時に、私、中学、高校が旧海軍の学校だったものですから、遠泳をやらされまして相当な距離を泳いだということで、そのときのことはよく覚えています。ただ、学んだことは根性とか、そういったものは学んだのかなというふうに思うんですけど、余り環境ということについては触れてこなかったなというふうには思います。
 今、若い世代の皆さんほど海に親しみを感じていらっしゃらないということで、日本財団さんが行った調査でも出ているようでありまして、小学校六年間で一度も海に行ったことのない割合が十代だと約一〇%ということで、六年間で十人に一人は行ったことがないということのようなんですけれども、まず、ちょっとベーシックな基本認識として、この海離れはなぜ起こっているのかという点についてお聞かせいただければと思います。

#26
○参考人(茅根創君) 最初に、根性だけだったということですけれども、それは非常に大事だと思います、海を通じて生き抜く力を学ぶというのは。体験して、危険な目に遭って。ただ、逆に、今安全を重視して海に連れていかなくなってしまっているんですよね。連れていっても、何かこう囲った中で遊ばせたり、あれは、一人死んでしまうともうおしまいだという事情はあるにしても、その海の危険を通じて生き抜く力を学ぶような、そういう機会を設けたいと思います。
 さらに、そういう安全重視の中で海に行かなくなっているというのは、やはり海に行くアクセスがどんどん減っていっているからだと思いますので、教育に適当な施設等を使って海の体験ができるような、そういう海の場をつくっていかないといけないなというふうに考えています。

#27
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。
 リスクがあるということも学校現場なかなか恐れていて、そういった体験的な学習はできづらい環境にあるといったことはあるのかなというふうに、これは非常にもったいないことだというふうには思います。
 それともう一点、これ海洋教育というくくりの問題なんですけれども、これ大きく言えば環境教育の中の一つということも言えるのかなというふうに思うんですけれども、これ、ちょっと済みません、大変僣越な話で申し訳ないんですが、海洋教育というくくりでこの教育を進めていくということと、環境教育というくくり方で進めていくということの、それぞれのメリット、デメリットというか、違いというか、そういった何がしかの御見解があればお聞かせいただければと思うんですが、いかがでしょうか。

#28
○参考人(茅根創君) もちろん、先ほどの三つの柱、生命、環境、安全の柱を立てましたけれども、環境は非常に重要な海洋教育の一つの柱ではあります。
 ただ、一方で、環境教育にはない生命の問題、水産の問題ですとか文化の問題、それから安全の問題ですね、シーレーン、防災・減災、そういった、まあ防災・減災は環境にも関わってくるかもしれませんけれども、そういった点で、重なる部分はあるけれども、環境教育の中に含められるものではないというふうに私たちは思っております。

#29
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。
 今、教育現場では、多分学ばなければいけないことがたくさん次から次へと出ていて、ITもそうですし、新たなテクノロジーもそうですし、多様性といったこともある中で、どういった切り口で学んでいけばいいのかということはよく検討する必要があるなというふうに考えているところであります。
 続いて、逸見参考人にお伺いしたいんですけれども、船員の皆さんの事情がよく分かりました。大変興味深く聞かせていただきました。
 まず質問をしたいんですけれども、これ、我が国が独自にこの船員を育成する意義といいますか、これ船員不足であるということは存知しているわけですけれども、我が国独自の育成をしていくことの意義について、まずお聞かせいただければと思います。

#30
○参考人(逸見真君) 御質問ありがとうございます。
 船員を日本が育成する、日本人船員に限って言いますと、船を運航するという前提だけからしますと、強い意義はないです。これは、一〇〇%外国人に置き換えてしまっても、日本に行き来する船が動けば、もうそれで終わりな話なんですね。実際、欧米はもうそれに近い状態になっています。自分の自国船員というのは、逆に言うと非常に少ない。むしろ、先進国、欧米の中では、日本が一番自国船員を重宝して使っているんじゃないかなと思われるような感がございます。
 ただ、先ほどお話ししましたように、日本の船会社は、日本人船員は、船員としてのみ使うということよりも、陸で使うということを主眼に置いております。要するに、海上経験というのは、陸で仕事をする上での基礎になるという考え方ですね。これは大手、中堅船会社、全てそうです。ですから、船員を採用するときに学生に会社説明をするんですけど、そのときに必ずこの話はしています。ずっと船には乗れないよ、一定の期間船に乗ってもらって、スキルを身に付けてもらって、陸で働いてくれと話をするんですね。これは大学でも同じです。そういうふうに話をしております。
 ただ、中にはもうずっと船に乗るという話もあるんですけれども、ずっと船に乗るということは、またそれだけ非常に大きなストレスになるんですね、人間にとって。一つは、離家庭性という話もあります。若い頃は船にずっと乗り続けたいという気持ちはあるんですが、結婚をしました、子供が生まれましたという話になってくると、やはり海からはどうしてもという話になってくるんですね。それがもう私も含めて、船会社にいる人間は全部そうなんです。ただ、やっぱり海が好き、船が好きという基本は変わりませんから、そこら辺のバランスを会社がどう考えるか、業界がどう考えるかということだと思います。
 それから、あともう一つ、よく言われるんですが、安全保障の話です。要するに、外国人だけの船は、もし日本が有事になった場合に乗ってきてくれない、乗ってくれないだろうという認識ですね。これは非常に古い、ちょっと古いというか、長いことずっと言われている理論ということになります。
 それから、海事クラスターという話があって、要するに、日本が海事産業でこれからある程度世界の中でちょっとやっていこうという考え方をしますと、船に乗っているという技術、知識、これがやっぱり重要になってくるということで、やっぱり船乗り必要だという話がここで出ております。
 それから、今の日本の海運会社、先ほどの話に戻りますけれども、大手、中堅を含めて、日本人がやっぱり日本の会社をしているという基本原則からしますと、日本人船員は必要だという考え方があるということです。
 総じて言いますと、日本人船員はやはり必要であって、外国人船員と完全に置き換えるということはできないというのが今の海運会社の、業界の考え方だと私は認識をしております。
 以上です。

#31
○柳ヶ瀬裕文君 非常に御丁寧にありがとうございました。よく分かりました。
 そして、もう一点、今、IT化ということの流れの中で自動運航、自動運転といったことも考えられるというふうに思うんですけれども、これが、現状はよく御存じだと思われますので、現状どこまでこれが可能で、今後どこまでそれが進んでいって置き換わっていくというようなことになるのだろうかということに対しての御見解をいただければというふうに思います。

#32
○参考人(逸見真君) 御質問ありがとうございます。
 今おっしゃっております自動運転、これは車の世界ではもう実現寸前まで行っているようですが、船の世界でも研究ちょうど今盛んなところです。船に関する工学関係は、全部この自動運転に関する研究が進んでおります。
 実際問題として、遠隔操船、要するに、船の中で運航するんじゃなくて、陸から、運航して、沖の船を制御するという実験も進んでおりまして、これは実際実現しつつあります。ですから、いずれは省力化、人数を減らすとか、それからある一定の区間だけ無人で走るとか、そういうふうな時代がいつかは来るということになると思います。
 ただ、外航海運について言いますと、これは相当先じゃないかなということになります。なぜかといいますと、まずは、日本の近海だけじゃなくて、世界各地に行かなくちゃいけない。その間にはもう物騒なところも結構あるんですね。そういうところを無人で走らせることができるかどうかということ。それから、サイバー攻撃ですね。無人で走っている船をサイバー攻撃されたらどうするのとか、そういうことを考えますと、ここら辺のところは解決が全然なっていない。
 それから、実務的に言いますと、船の運航にはメンテナンスというのが非常に重要なんですね。これは部員を中心としてやっているんですけれども、これ誰がやるのという話です。AIができるのという話もそこにあります。それから、もう長い間培ってきた海運慣行ってあるんですね。これがAIで置き換えれるのというところで、これも全く解決策が立っていない。ということからしますと、外航はなかなか難しいという判断を私自身はしております。
 内航について言いますと、ここはちょっと話が違ってきて、要するに、日本近海で日本人しか今乗っていないです、カボタージュということでですね。しかも日本の船社、船はほとんど日本製。そうすると、ある意味、AIによる、AIとかこの自動化という話は、外航の船よりは入っていきやすい可能性はあるかと思います。ただ、それがどこまでなっていくかというのは、ちょっと済みません、私、ここでは余りはっきり申し上げられないんですが、私の考え方としてはそのぐらいかと思います。
 以上です。

#33
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございました。終わります。

#34
○会長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。
 それでは、引き続きまして、上田清司君。

#35
○上田清司君 国民民主党・新緑風会の上田清司です。海のない埼玉県選出でございます。
 茅根先生と逸見先生には、ありがとうございました。
 茅根先生に四点お伺いしたいと思います。
 埼玉県、人口五番目でありますが、回転ずしが多いこともあって、マグロの消費量が日本一でございまして、大変お世話になっているところです。全く関係なく、頭を少し柔らかくするために申し上げました。
 二〇二五年までの全ての市町村での海洋教育の実践について、これ、どのような形で二五年までに仕組みとしてなっているのか、その内容について御教示を簡単にしていただければ有り難いと思います。
 二番目に、海洋リテラシーの調査の結果、非常に重要なことが三割程度の理解だと。この原因については学習指導要領の記述の問題もあるという御指摘をいただいたところですが、この二番目の、この三割の理解に関しては、例えば副読本を各教室に置くとか、そういったところで少しカバーができないかというようなアイデアをさせていただきたいところですが、この点に関してどう思われるか。
 それから、この学習指導要領等の記述についても、当然、関係者といろいろな協議をなさっておられると思います。あるいは、なさっておられるところの接点を持っておられると思いますが、例えば文科省の関係者が鈍過ぎるとか、率直な感想を述べていただければ、このメンバーの中に非常に立派な方々がおられますので、何らかの形で進展する可能性が高いというふうに思っております。
 四番目に、海洋教育という中での命のマトリックス、あるいは生活、生存の基盤というような大きな話ですので、多分これは中学生レベルなのかなと私は理解するところですが、こうした大きな話を社会見学的なもので、何らかの形でプログラムの中に、今学校教育の中に入っているのか入っていないのか、これについてお伺いをしたいというふうに思います。入っていないとすれば、どんな形で入れていけば非常に海洋教育がしっかりとしたものになっていくか、御教示をいただければと思っております。
 以上四点でございます。

#36
○参考人(茅根創君) 最初の二〇二五年までにということですが、まだ実際の構築までは至っていないというふうに思っています。このままであと五年後にプラットフォームができるかということは、私、まだ危惧しております。省庁を横断したようなプラットフォームをつくる必要があるというふうに思っていますが、まだ具体的な施策にはなっておりません。そのために我々努力をしているわけですが、我々でできることは限りが非常にあります。
 それから、リテラシーについて、三割ということで、副読本も非常に重要ですけれども、実際に竹富町でも、それから与論島でも最近副読本作りましたし、只見町でも作っていますので、そういった副読本は非常に重要だと思いますけれども、やはり指導要領の中に入っていないと先生方教えられないというようなことがあるのかなというふうに思います。
 文科省の方ですけれども、我々も文科省の方に、例えば、センターとしてではないんですけれども、海洋学会として初等中等局長のところに海洋教育の充実をというふうに訴えましたところ、局長が、非常に、ありがとうございます、ただ、海もやれと言えば山もやれと言われますからねというふうに言われたことがありました。
 そういう意味で、今非常に、前の委員もおっしゃられていましたように、多くの教育が立ち上がっていますので、その中で海洋教育がいかに重要か。皆さん、英語教育重要、IT教育重要というのはすぐうなずいてくれるんですけれども、じゃ、海洋教育大事かと一般の人に聞いた場合に、まだそこまで至っていないというような現状かと思います。ですから、中教審ももちろんそうですし、文科省もそうですし、それから一般の方々が海が大事だと思ってくれること、それから政治家の方が大事だと思って文科省を押してくださることが非常に重要かなというふうに思っています。
 それから、最後の命のマトリックス、社会見学ですけれども、これもやはり生物、生き物が、理科の中に海洋生物というのが一言も入っていないということで、我々が教えている学校では命のマトリックス、海の生命について教えるカリキュラムを作っていますけれども、これを全国で教えられるような状況にはなっていない。これもやはり学習指導要領の中に、理科の中に入れていっていただくことだというふうに思っています。センターとしては、各地区ごとにこれから副読本を作っていきたいというふうに思っています。
 ありがとうございました。

#37
○上田清司君 ありがとうございます。結構です。

#38
○会長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。
 それでは、伊藤岳君。

#39
○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。
 参考人のお二人の方、今日は貴重なお話ありがとうございました。
 先ほどお父様が船乗りというお話がありましたが、私もひいおじいちゃんが外国を行き来する商船の船長をやっていた、会ったことないですが、そういう意味で興味を持って話を聞かせていただきました。
 まず、逸見参考人に伺います。
 いただいた資料によれば、現在、文科省所管の商船系大学が二校、高等専門学校が五校あり、国交省所管では、海上技術学校が四校、海上技術短大が三校、海技大学校が一校あるということです。
 今後、女性も含めて船員育成を考えたときに、参考人も言われましたが、養成機関の努力だけでは限界があるということはよく分かりましたけれども、学校教育施設の数としてこれで十分なのかどうかということ。また、ほかの学校教育施設と違って、船などの設備費用ですとか技術者ですとか維持運営費が相当掛かると思います。国からの財政支援など、何か国への要望などあればお聞かせいただきたいと思います。

#40
○参考人(逸見真君) 御質問ありがとうございます。
 商船教育機関につきましては、おっしゃるとおり、資料にもございますこちらの方で、ある意味フル生産みたいな形で今ずっと教育させていただいているんですけれども、海洋大学について、先ほどお話ししましたとおり、定員全員が海運界、船員に進むとは限らないということですね。必ずそこでは就活というフィルターが掛かるということです。特に外航の海運会社は、インターナショナルな部分がありますからそれなりのレベルの高い人材が欲しいということはありますので、こういうふうにして、定員全員が就活はなかなか難しいという現状にあるということになるかと思います。
 ほかのちょっと商船教育機関については私は余り詳細は分からないんですけれども、海技教育機構の海上技術学校、海上技術短期大学校、海技大学校、こちらの方はほぼ就職は、一〇〇%まで行かないのかもしれませんけれども、そういう状況かなと思います。
 内航海運、それから外航も含めまして、日本人船員の現状からしますと、ある意味ソースは足りないというふうに言っていいのかと思います。ですから、これに定員を増やすとか、新しい養成機関をつくる、課程をつくるということは、これは前向きに考えていただいても全く問題ないと思うんですが、単純に、養成機関を増やしました、じゃ、採用してくれますかといったら、必ずしもそうではないということもありますし、養成機関をやはり増やしますと、教える人間をまた確保しなければいけないという問題があります。教える人間は、大学であれば、教養教育等々がありますので、普通の大学と同じような先生の採用ということでいいかと思いますが、海技教育機構の学校の場合には、ある意味実務を知った先生の方がよりいい学生の教育には寄与するのではないかなというふうにちょっと私考えております。
 私もちょっと海技教育機構の海技大学校に過去五年ぐらい勤務したことがありますので、そういう経験からお話をさせていただいているということです。
 設備に関しましては、これは、例えば海洋大学にいたしましては、ほかの大学と同じように毎年国の交付金が減らされている状況でして、なかなかやっぱりやりくりが非常に難しい状況だということで、これはうちの大学だけじゃなくて、ほかの国公立大、国立大学はみんな同じかと思うんですけれども、そういうふうな中で、大学の方も何とかそういうふうな予算を獲得しようということで頑張っているようなところかと思います。
 今年、うちの大学、海洋大学の練習船の汐路丸というものがあるんですが、今年ちょうど就航するんですけれども、三十年ぶりの就航ということで、今ちょうど走っている船が、ある意味、ちゃんと走れるんですけれども、ちょっとくたくたな状況で、逆に言うと、ここまで待ってようやく造っていただいたという感じかもしれません。
 それから、海技教育機構には、六隻の練習船、二隻の帆船と四隻の汽船があります。リプレースもされておりますけれども、ほかの養成機関の練習船も含めますと、資料にもありますとおり、もう船齢も大分たっておりまして、リプレースが必要だということもあります。
 国はなかなか予算の面で苦しいということも分かるんですけれども、海技人材を少しでも多く増やしたい、養成したいということにはこういうふうなツールは絶対必要になりますから、是非是非この点は先生方の方でまた声を上げていただいて、予算を回していただくような形にしていただければいいと思います。
 以上です。

#41
○伊藤岳君 御意見ありがとうございます。
 茅根参考人に伺います。
 海洋基本法には、学校教育と水族館や博物館などの社会教育施設との有機的な連携を促進するというふうに書かれております。そこで、海洋教育の実践という点で小中学校の学校教育との連携の期待は小さくないと思うんですが、そこで、小中学校の教員自身が海洋教育を学べるように支援するですとか、今は小中の教員も週二十時間以上の時間外労働が恒常化しているとか、労働条件の改善も必要かと思ったりするんですが、いずれにしても、その豊かな教育、海洋教育の実践と学校教育との連携という点で日頃先生がお感じになっていることや期待や要望などがあれば伺いたいと思うんですが。

#42
○参考人(茅根創君) 実際、現在、現場の先生方非常に忙しい、新たにこれをやってくださいというような状況ではないというのはよく現場に行ってみて分かりました。
 その中で、我々、教員の先生方の海洋教育に対する資質を高めるために教員研修も行いましたし、それ以上に、おっしゃられたように、社会教育施設との連携も必要だというふうに思います。先ほど来、安全の問題も出てきますけれども、教員の、学校の先生方に全てそれを押し付けるのではなくて、海のプロの人たちに安全について、あるいは水族館等との連携で社会教育と連携していくことが必要だというふうに考えております。

#43
○伊藤岳君 ありがとうございました。終わります。

#44
○会長(鶴保庸介君) 御苦労さまです。
 それでは、高良鉄美君、お願いをいたします。

#45
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美でございます。
 今日は参考人の方々、ありがとうございます。
 これから幾つかちょっと私、質問させていただきますけれども、沖縄の風ですので、沖縄から私は選出されておりますが、沖縄の中にも海がない市町村が一個だけありまして、そこは昔、中国との冊封のときに、沖縄の島は大きいんだぞと言うために、ここで、真ん中に置いて、海が見えないからと、そういうことをやったらしいんですけれども。
 今日、実は海の関連で非常に、まず茅根先生にお伺いしたいんですけれども、教育の中で、海に関わるということで非常に多分野にまたがって、文系も理系もやっていくということで、非常に私、感銘を受けたんですけれども、その中には文化とか宗教とか地理、そういったのがありますけれども、沖縄の場合にも旧暦の行事がたくさんありまして、これ実はかなり海あるいは月の満ち、海の満ち潮ですね、干満と関係があって、そういったことも教育の中で生かしていくと。
 十一の分野を先生挙げられていましたけれども、資料の中で、かなり広い範囲で教育をされていくというときに、何ですかね、受けている方々の反応というんですかね、そこで非常に何か心に残ったもの、ことというのがありますでしょうか。

#46
○参考人(茅根創君) 沖縄の教育には私も大分関わっておるんですけれども、竹富町の教育推進の基本方針、あるいはその副読本でも伝統文化は一つ大きな柱になっております。高良先生おっしゃられたように、浜下りですとかハーリーとかニライカナイとか、それは海洋教育の中に全て入っていて、その中で非常に子供たちがもう自分たちの伝統文化に誇りを持って、海洋サミットというのをやるんですけれども、古見小、西表島の古見小の子供たちは三線を持ってきて演奏をして、みんなほかの子供たちが非常に羨ましがっていました。
 そういう意味で、伝統文化、海の伝統文化、特に沖縄はそうなんですけれども、というのは海洋教育の非常に重要な柱だというふうに思っています。
 ありがとうございます。

#47
○高良鉄美君 ありがとうございました。
 また、先生の資料の中に、尖閣列島の存在、位置が分からないという方が三割いたということですけれども、これテレビの影響もあるのかなと思うんですが、天気予報を見たら、沖縄がどうも日本海の辺りに出てきたり、あるいは高知県の沖の方に沖縄が出てきたりするものですから、あれを見ると外国から来た方は、沖縄どこにあるのと言ったら、どうもやはり島根県の沖の辺りを指す人が多いらしいんですけれども、そういうので言うと、尖閣列島のことを余り地域として知らない子供たちというのは多いのかなと思ったりしています。
 ただ、私の方は、先ほど先生、委員の方々も、おじいさんがとかお父さんがとかありましたが、私の父は五回尖閣列島に調査で行きまして、上陸もしていて、五〇年代からですね、一九〇〇、そのときに、やっぱり尖閣列島というものが鳥の島ということでアホウドリの調査に行って、それから、ただ、あそこは旧古賀村といって古賀さんの関連があってかつおぶし工場があったところなんですが、やはり尖閣列島の問題を考えるときに、今、茅根先生の中にあった十一の分野は半分ぐらい平和というのにすごく関わりを持っていると私感じたんですけれども、そして、領海とか排他的経済水域に余りこだわらないで、むしろ日本の方としては自由な方が得になるんじゃないかと。元々、EEZも、二百海里というのはアメリカがつくって、日本の漁船を制限するためにつくった二百海里ということですけれども、先生の方から言うと、この平和教育みたいなのも海洋教育の中に入っていくのかなというふうに思うんですけど、いかがでしょうか。

#48
○参考人(茅根創君) ありがとうございます。
 まさにそのとおりでして、尖閣知らないということを訴えて、尖閣ちゃんと教えなさいということになったわけですが、逆に、この日本の、ここは俺のものだという、そういう教育になってしまったということを非常に後悔しています。
 最後のページにありますように、俺のものだといっても、太平洋から見たらこれだけなんですよね。もっと海洋を公共財として扱う、俺のもの、俺のものとみんな言い出したら、もし島の人たちがこれ俺のものだと言い出したら、もう日本は西太平洋に全く入っていけなくなるわけですから。
 そういう意味で、公共財としての海という、そういう視点を入れていく。それが当然平和にもつながっていくのかなというふうに、安全、平和にもつながっていくのかなというふうに思っております。
 ありがとうございます。

#49
○高良鉄美君 逸見参考人にお伺いしたいんですけれども、逸見参考人と名刺を交換したときに、Captと、キャプテンですかね、そして実際そういう御経験もおありで、それから現在は教鞭を執っておられるということでしたけれども、実際に外航でいろいろ責任者として、キャプテンとしてされた中で、非常に大きな経験というんですかね、困難というんですか、そういった経験があれば少しお話をしていただいて、その経験と現在の教育との関係みたいなものを少しお話しいただけたらと思うんですけれども。

#50
○参考人(逸見真君) 御質問ありがとうございます。
 私自身は、幸か不幸か、大きな事故とか大きな嵐に遭ったという経験はないんですね。
 逆にこれ、ちょっと不思議な話で申し訳ないんですけれども、例えば台風に当たる、よく、人は、乗るたびに当たるという、そういうジンクスもあったり、それとか、あと、あの人が乗ると必ず船故障するとか、そんな話がまことしやかに海運界では話されることがあるんですが、ただ、これにつきましては、いろいろ考えてみれば当たり前というか、要するに、日本近海を夏場航海する船に常に乗り続ける人間は台風に当たる確率非常に高いわけですね。それから、やっぱり古い船に乗る船員さんはどうしても故障がちな船に当たっちゃうということもありますから、要するに、人に付くんじゃなくて、たまたまその人が乗った船とかその人が乗った時期、環境、そういうふうなものである意味整理できるんじゃないかなというふうに考えます。
 突き詰めて言いますと、運がいい、運が悪いという話になるんですけれども、確かに、百人、二百人、いろいろいる中で、この人はちょっと運が悪いかなという話はまれに感じることはありますが、そんなことを考えていたら船員という仕事には就けないわけですから、そこら辺のところは余り私は信じておりません。
 私自身の話といたしましては、サードオフィサー、三等航海士のときにマラッカ海峡でぶつかる寸前まで行ったことはあります。ペルシャ湾からVLCC、満船のタンカーで、原油を満載したタンカーで走ってきて、ちょうど私、船長と一緒に夜八時頃ワッチ立ったんですけれども、ちょうど右に曲がるところのポジションだったんですね。私、右から船来ないと言って、船長がそのまま右にかじ切ったんですけど、切ったらすぐ真後ろにコンテナ船がいたんですね、真っすぐ走ってくるんです。それでちょっとびっくりしまして、レーダー見たら映っていなかったんですけど、ちょうど、細かい話で申し訳ないんですが、煙突があって、その煙突の陰になってコンテナ船が映らなかったんですね。曲げ出して、その陰が取れた瞬間に映ったんですね。びっくりして、船来ますと言って、船長もすぐかじ戻してやったんですけど、もう二十メーターも足入った満船の三十万トンというVLCC、巨大タンカーは、もうかじをちょっと切っただけではもう全然動かないんですね。それで、わあ、このまま行ったらもう横腹激突されて、もうマラッカ海峡油まみれで、私はもう一生日本に帰れないなという感じもあったんですけれども、運よく、コンテナの方が足が速いですからね、二十ノット以上出ますので、本船というか、私の乗っていた船のへさきをかっとかわしてくれて、逃げてくれて、助かったという思い出が。
 時々夢にも見ますけど、そんなようなお話でよろしいでしょうか。ありがとうございます。

#51
○高良鉄美君 ありがとうございます。
 両参考人の方々、教育の面で大変だと思いますけれども、これからも連携して頑張っていっていただけたらと思います。今日は本当にありがとうございました。

#52
○会長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。
 一巡目最終になります。
 ながえ孝子君。

#53
○ながえ孝子君 碧水会という会派におりますながえ孝子と申します。
 今日は、参考人の方々、とても考えさせられる話をいただきまして、どうもありがとうございました。
 まず、茅根参考人にお伺いしたいんですが、私も最初、小学校、中学校での海洋教育と聞きましたときに、それは社会科なの理科なのと思ったんですが、両方必要ですし、例えば食育という分野も必要にもなってくるでしょうし、やっぱりおっしゃったように、偏らない総合的な海洋教育というものを学習指導要領の中に位置付けていくということが重要だなということをしっかり今日は分かりました。ありがとうございます。
 それを教師がどう担っていくのかというのをお聞きしたかったんですけど、先ほどのお話の中で、それはチームをつくるんだなということがよく分かりました。ただ、チームをつくっていくというのは、その地域ごとにチームの特色ですとか、そういったものが何か変化も必要になってくるのかなと思うんです。そういうコーディネートはどこが担うイメージなのかをちょっと教えていただけませんか。

#54
○参考人(茅根創君) 現在は、我々がそれを担って、ハブとして活動しております。おっしゃるとおり、本当に、三陸は三陸、沖縄は沖縄、それから大牟田は大牟田、それぞれの地域の特色のある教育をやっていますけれども、そのお互いの情報交換をする場がないんですね。それを我々のセンターでつくって、先生同士でベストプラクティスを学び合って、その中から一般化できるものを拾い上げてカリキュラムを作っていこうというようなことを今進めているところです。
 ありがとうございました。

#55
○ながえ孝子君 続けて、現在、学習指導要領の中へ出てくるのが偏っていて、どうしても領土、領海のこととか安全保障の問題といいましょうか、どっちかというと社会科に属するんですかね、それが多くて、社会科と理科の分断というのを茅根参考人もおっしゃいました。
 この問題解決するのは、理科の分野からのアピールが少ないということなんですか。どうなんでしょう。

#56
○参考人(茅根創君) 海洋生物の人たちも一生懸命教えたいということを言っているんですけれども、なかなか。やはり領土、領海が先に突出してしまったのかなと思います。
 社会と理科の分断で特に問題だなと思うのは、例えば黒潮というのは社会で先に学ぶんですね。じゃ、その黒潮がどんなふうにできるのかという理科はその後にならないと勉強できない。そうすると、社会の地理の黒潮というのは暗記物になってしまうわけです。そういう点で、有機的に、社会、理科あるいは総合、美術等を総合的に学年も縦断するような方向でカリキュラムを作っていくことが必要だと思います。理科は理科だけ、社会は社会だけでなくて。そのための努力を我々も続けているところです。

#57
○ながえ孝子君 よく分かりました。さっき茅根参考人おっしゃった生きる力を子供たちにいかに付けさせるかという観点から、中身からやっぱりそのカリキュラムの順序も考えないといけないんだなということがよく分かりました。ありがとうございます。
 それでは、逸見参考人にお伺いしたいんですが、女性船員の確保の難しさというのが改めてよく分かりました。
 今、逸見参考人の大学で女子学生の割合が六十人中の十人ということでしたが、この数は増えてはきているんですか。

#58
○参考人(逸見真君) 私ちょうど在学中に女性の入学が始まりまして、当時は、一期上から始まったんですけれども、三人、私の代が三人ですね。その当時はそんな感じでした。それから徐々に増えまして、大体、今の数、十人前後ですね。割合として定員の二割ぐらいですか。これは大体コンスタントに来ています。別に大学で操作しているわけでは全くなくて、入学試験で入れたらたまたま毎年大体こんな感じになるなという感じですね。

#59
○ながえ孝子君 ありがとうございます。
 一般の企業ですと、今、女性の管理職を生み出そうというテーマに取り組んでいるところが多いんですけど、そのときに、よくロールモデルの存在の重要性というのが言われます。一歩先行く女性の先輩がどういうふうに問題解決に当たっているとか、ああいうふうになりたいとか、これが男性に比べると女性は少ないので、A先輩にもB先輩にもなれないと思った私は諦めるしかないみたいなところが、男性だとA、B、C、D、Eまでいるとかということで。これが女性船員の場合は、先輩が、まだまだ今増やさないといけないというところなどで、少ないから難しさというのはよく分かります。
 逸見参考人も資料の中でおっしゃっていたんですけれども、やっぱり労働市場で女性というのは保護され法律で守られている部分があるだけに、守らなければいけないんですけれども、それだけに、使用者側から見ると割高な人材と見られると、この問題は本当に大きいと思います。
 逸見参考人も就職のサポートに当たるたびにこの壁にはぶつかってこられたと思うんですよね。この問題について何かお感じになることとか、こうやる、これがあればなというようなことがもしあれば教えていただけませんか。

#60
○参考人(逸見真君) ありがとうございます。
 本当におっしゃるとおりで、ロールモデルということからしますと、もう船会社の今勤務している女性船員というのは本当に少なくて、ロールモデルになれるような人材も少ないというのが現実かと思います。
 ただ、レジュメにも書いたんですけれども、船会社も採用したからにはしっかり育てたいという意識は非常にやっぱりあるわけですね。結婚したとき、それから子供が生まれたときは、男性でしたら、要するにお父さんでしたらもうそのまま船に乗ってもらう、だけど、お母さんでしたらすぐ陸上勤務に転勤させるとか、それから要するに長期休暇与えるとか、子育て支援をするとか、そういう形で男性と女性はやっぱり扱いを全然違うようにしているんですね。ですから、その分、女性船員の要するにケアというのはそれなりにしっかりやり始めているというのが私の考え方です。
 ただ、その数を増やすということになりますと、そこら辺のところが最終的にネックになるんですが、先ほどお話ししましたように、うちの大学も含めてと言った方がいいのかもしれませんが、要するにソースがどうしても縮んでしまっているというのもあります。むしろ、少ないんだけれども、私がここで頑張ってロールモデルになってやろうみたいな意欲は彼女たちはあるんですね。ただ、あるんだけれども、どうしても採用がなかなか難しいということになってくるということもあるかもしれません。
 それからあとは、おっしゃったとおり、女性は男性に比べて割高だという話になるんですけど、これはもうある意味しようがないんですね。そこで差別化は絶対できないということで、これは私、大学の授業でも学生たちにはしっかり話をしているんですね。彼らに話を聞きます。例えば、男子学生なんかに女性と一緒に船に乗るのどうと言ったら、はっきり嫌だと言う学生もいるんですね。なぜかといったら、面倒くさいとかそういうことを言う。そこら辺のところが学生の頃からそういう意識があるということは私もはっきりびっくりしておりまして、そこら辺のところはしっかり話をして、もう社会がそういう社会じゃないよという話を彼らにして、要するに、船会社入って例えば女性の船長の下で頑張れるかどうか、逆に女性の航海士をしっかり面倒見れる船長になれるかどうかというところを、要するに学生の頃からしっかりモチベーションをつくってもらいたいなという感じがあります。
 結果論からすると、今の現状をどういうふうに打開するかという話で、先ほどもちょっと申し上げた、繰り返しになりますけれども、これは我々教育者もしっかり努力をしなければいけませんし、海運業界もそのところはしっかり覚悟していただきたい。それから、女子学生にも、負けないで頑張ってくれという話になりますので、それをいかに、やっぱり言葉だけじゃなくて、精神的なものとかいろんなところで彼女たちをいかにケアしていくかというのが我々大学も含めた教育者のやっぱり役目じゃないかなとは自覚しております。
 以上です。

#61
○ながえ孝子君 ありがとうございます。
 やっぱり大学教育の前のもう高校、中学、小学校教育であったり、その前の家庭教育であったり、それをつくる国中の空気感づくりとか、そういったところからやっぱりこの問題というのは大事なんだなということ、分かりました。
 どうもありがとうございました。
 以上です。

#62
○会長(鶴保庸介君) 御苦労さまでございました。
 以上で各会派の一巡目の質疑は終了いたしました。
 他に質疑のある方は挙手を願います。
 川田龍平君。

#63
○川田龍平君 立憲民主党の川田龍平です。
 今日は、お二人の参考人の方、ありがとうございました。
 まず、茅根参考人にお願いします。
 私、先日、本会議でも、「日本再生のための「プランB」」という本を書いた兪炳匡教授の、医療経済学の先生なんですが、その先生が提唱している北東アジア経済共同体というものを非常にこれから重要ではないかということでおっしゃられていて、その中に、台湾とそれから韓国、周辺の二か国が非常に文化的にも価値観を共有できる国ではないかということで、特に基本的人権ですとか民主主義とか、そういったことで共有できるところの国との文化的な交流を深めることが重要ではないかということなんですが、ちょうどその海洋教育においてこの二か国が、台湾も韓国も例として先生が挙げられているんですが、その国との国際交流としてのこの海洋教育における取組というのはこれまであったのでしょうか。

#64
○参考人(茅根創君) 実は我々もこれをまとめてみて、もっと世界中で海洋教育をやられていると思ったところが、台湾、韓国が国を挙げてやっているということでびっくりしたということで、これから是非、台湾、韓国と連絡、コミュニケーションして、共同で進めていきたいと思っております。現在は調査をしたところでございます。

#65
○川田龍平君 私も是非、この海を共有財産として、公共の財産として、是非価値観を一にしていくということはすごく大事なことだと思っておりますので、対立ばかりではなくて、やっぱりそうした共有というところで、公共財として考えられるような価値観を是非育んでいただきたいなと思っております。
 それでは、逸見参考人に質問したいと思います。
 私も、本当に私事ですが、非常に周辺に船員、船員といっても、海運に携わる人がいたりですとか、それから、大学の大先輩も実は海洋大学に入ったんだけれども、東京海洋大学へ入ったけれども、視力の問題で船員としての夢を諦めざるを得なくて、そして東京経済大学という、東京海洋大学から東京経済大学という、うちの大学の先輩なんですけれども、移ったという方もいて、そういった話も聞いていたり、それから友達のお父さんで船員、船乗りだったりですとか、私も、ドイツに留学したときもライン川で船を見ているのがすごく楽しくてずっと見ていたりとか、船をすごく、憧れでもあるんですが、本当にずっと、インターネットでも船舶マップというのがライブでありますよね、AISライブ船舶マップというのを見ていると、どこの船がどこにいるかというのが全部見えて、とても楽しいと思ってずっと見ていたりするんですけれども。
 そういった船乗りをやっぱり是非増やしていくことというのはとても重要だと思っているんですが、海外の例で、女性の船員というのは海外ではどのようにパーセンテージとしてはいらっしゃるんでしょうか。

#66
○参考人(逸見真君) 済みません、そういう資料がなくて、私も過去探してみたんですけれども、私自身、済みません、確認をしていないので申し訳ないのですが、そういう具体的なお話はちょっとできないという前提なんですけれども、例えば旧ソ連ですね、今のロシアかと思います、旧ソ連、それから共産圏は昔から女性船員は多かったという話は聞いています。もう私、これ在学中から言っていまして、当時からもう、陸の多分産業でもそうなんでしょうけれども、共産圏の男女平等というんでしょうか、そういう観点から女性の船員は多かったという話は聞いております。
 それからあと、欧米ではもうむしろ珍しいという言葉自体が使えないというか、数としてはやはり男性の方が間違いなく多いと思います。船乗り社会というのは男性社会というのは、これは日本だけじゃなくて、世界各国のことに言えると思うんですけれども、ただ、それでも外国の船舶が女性の船員が多いということは言えるのではないかと思います。
 私も過去船に乗っていた経験からしますと、航海中、それから外国の港に泊まっているときに、船が無線電話というので意思疎通をするんですね。そのときに女性がよく話すんですね。女性の船員さん、まあ話すといって、多分職員、航海士か機関士かなと思うんですけれども、女性の声は結構頻繁に聞いていました。当時、私が勤務していた会社は女性の採用はゼロです。当時は、もうほかの船会社全部見ても女性は多分ゼロだったと思うんですけれども、そういうときに、外国では、無線電話を使って意思疎通をする女性の船員が外国人にはいたということですね。
 そういうふうなところからしますと、それなりの数はいるし、今現在もそういうふうな状況じゃないかと思います。
 以上です。

#67
○川田龍平君 海外のそういった社会的な男女の格差のないところに、やっぱり是非、女性の船員などがもっと活躍の場を求めていくこともあるのかなと思いながら、本当に日本社会におけるやっぱり男女の、そういった社会的な男女の平等がない中で、やっぱり今置かれている状況から増えないのかなというところも感じております。
 次の質問は、今度、小樽の海上技術学校というところで、短期大学が、短大化というのが今方向性として、国の政策としても打ち出してきているということなんですが、この短期大学についてはそういった船員を増やすという意味では重要なのかなと思うんですが、いかがお考えでしょうか。

#68
○参考人(逸見真君) 御質問ありがとうございます。
 海技教育機構の内部の問題で、ちょっと私、詳細は分かりかねるんですけれども、要するに、海上技術学校を海上技術短期大学校に格上げするということかと思います。私自身は、格上げすることによってソースが一つステップアップするということで、私はこれは歓迎していいのかと思います。
 それから、要するに海運界のニーズというところもありますので、そのニーズを受けての海上技術学校の短大化というふうに理解をしておりますので、こちらについては私は歓迎したいと思っております。
 以上です。

#69
○川田龍平君 今、先ほど徳島の民間養成機関の話もありましたけれども、内航船員全体の新規採用のうちの民間の船員養成機関出身者の割合が増えているということで、全体の約一割を占めるようになって、船員とは無縁だった人も、今後、その大学出た人じゃない人もそういった資格を取れると、資格というか船員になれるという方向があるということなんですが、それについてはいかがお考えですか。

#70
○参考人(逸見真君) それについても、私は全く異論ございません。
 六級という話がさっき出ておりましたし、この資料の中にもございます。要するに、内航の場合には、小さい船を本当に少ない人数で走っているということなんですね。そうすると、例えば外航の場合には、航海士が三人おりますので、三人で要するに四時間当直を繰り返していけばいいということなんですね。そうすると、船長はフリーになって、いざというときに出てくるということになるんですけれども、例えば内航の船で航海士が二人、場合によっては船長と航海士一人ずつとかそういう船になってくると、当直が組めないということになります。で、船長自身も当直入るということですね。もう人数の関係上からやむを得ないんですけれども、やはりそれが、先ほどお話しされていました働き方改革にも影響しますし、船員の労働時間の長期化にも影響するということなんですね。
 そうすると、いろんなソースを採りたいということで、少なくとも当直をするにはそれなりの資格が必要だという話になってきて、元々、部員さんであって資格を持っていない人にある意味資格を貸与するということで六級というシステムができたということを私は聞いておりますけれども、そういうふうにして、要するに、やはりインセンティブを与えるというのは非常に重要かと思います。
 民間の施設を出られた船員さん、内航の方がメーンかと思うんですけれども、そういうことも非常に重要かと思いますし、それから、資料にもありますとおり、海上技術学校、海上技術短期大学校には、一般大学を出て船員を目指す人が新たに入り直すというパターンも、数は少ないけどあるんですね。それから、同じく資料にありますけれども、大手の船会社、大手の海運会社は、一般大卒又は院卒から船舶職員を採用しているということを、もうかれこれ二〇〇八年以降ですから十年以上続けているということで、それなりの数になっているということです。
 要するに、商船教育機関、海洋大学、神戸大学、それから五高専、海技教育機構の学校以外のところのソースから人材を獲得しようとする動きは、これはもう海運界全体に影響しつつあるということかと思います。
 ただ、自前で船員を採用して教育するというのはお金が掛かるわけですね。商船教育機関のいいところは、要するに、三級海技士等々、要するに海技免状を取るまでは全部学校で面倒を見てくれる。その人間を採用するということですから、そのメリットが一般大卒から採る、一般大卒、院卒から採るソースにはない。逆に言うと、大手の海運会社が採用した後に会社で教育、あるいは海技教育機構の海技大学校に行ってそこで教育して、練習船とそれから自分の自社船に乗せて履歴を付けて、そこで三級海技士を取らせるということで、少なくとも二年近く商船系の学生を採用するよりは時間が掛かってしまうということがあるんです。ただ、それでもソースとしては欲しいんですね、大手の海運会社は。中堅の会社もそういうふうな気持ちはあるんでしょうけれども、ただ、予算の関係上でなかなか難しいということを私は聞いております。
 要するにソースですね、これが増えることは非常にいいことだと思いますし、ある意味、教育課程の中でいい人材を育てる、競争するということも、長い目で見ると、海運界とかそれから日本全体にとってはいいことじゃないかと私自身は思っております。
 以上です。

#71
○川田龍平君 帆船教育のことについても聞きたかったんですが、ちょっと時間、いいですか。
 帆船教育というのは歴史的に行われているということで、日本の航海技術の中でも、帆船技術を学ぶことというのはすごく意義のあることだとして続けられてきているんですが、それの再開についてのことはどうお考えでしょうか。

#72
○参考人(逸見真君) ありがとうございます。
 帆船教育は、これ、先生方御存じのように、今まで何回も、やる意義あるのかという話をずっとされてきたと思うんですけれども、私も、商船大学卒業しまして半年間、帆船、今富山にあります海王丸というので実習いたしました。当時の思い出は、つらくてもう二度と乗りたくないという気持ちがあるんですけれども、ただ、分からないところで自分のやっぱり成長に少し寄与しているのかなということはちょっと思うことがあるんですね。
 要するに、雲をつかむような話で申し訳ないんですけど、帆船教育やって何が得られたのといっても、具体的に、チームワークかなとか、荒天時の帆を張るあれかな、帆柱に登ることかなというぐらいしかないんですけれども、ただ、ある意味ああいうふうな自然環境の中で船を動かして、しかも、ある意味危険な作業をしなければいけないというところで、一枚、二枚むけたかなというのがあるんですね。
 そういう気持ちがあるんだったら、やっぱり詳しい具体的な効果というのは言えないんですけれども、やはりあの教育は残すべきだし、やってほしいし、むしろ成熟した今の社会で、先ほどお話ししたように、打たれ弱い人間があそこで少しでも大人になってくれればいいなって気持ちが私自身もありますので、できれば今後も継続してやってほしいし、再開は大いに大歓迎だという気持ちでおります。
 以上です。

#73
○川田龍平君 ありがとうございました。
 私も、客船に乗ってやっぱりすごく、体験することがやっぱりすごく重要だなと、海とか船に対してですね、やっぱり本当にそういった体験を是非若い人たちにしてほしいなという思いで私も質問させていただきました。ありがとうございました。

#74
○会長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。
 他に御発言はございませんか。──他に御発言もなければ、参考人に対する質疑はこの程度とさせていただきます。
 この際、参考人の皆様に一言御礼を申し上げたいと思います。
 皆様には、長時間にわたり貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。特に指名のところで大変失礼だったと思いますが、お許しをいただきたいと思います。議事録に残さなきゃなりませんのでね。済みません。調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。これからもいろんな意味でまた御指導賜りますよう、よろしくお願いを申し上げ、御挨拶に代えたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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