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2021/05/12 第204回国会 衆議院 第204回国会 衆議院 法務委員会 第20号 令和3年5月12日
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2021/05/12 第204回国会 衆議院

第204回国会 衆議院 法務委員会 第20号 令和3年5月12日

#1
令和三年五月十二日(水曜日)
    午後一時一分開議
 出席委員
   委員長 義家 弘介君
   理事 伊藤 忠彦君 理事 稲田 朋美君
   理事 奥野 信亮君 理事 宮崎 政久君
   理事 山田 賢司君 理事 稲富 修二君
   理事 階   猛君 理事 大口 善徳君
      井出 庸生君    井野 俊郎君
      上杉謙太郎君    大塚  拓君
      神田  裕君    黄川田仁志君
      国光あやの君    小林 鷹之君
      武井 俊輔君    出畑  実君
      中曽根康隆君    野中  厚君
      深澤 陽一君    藤原  崇君
      盛山 正仁君    山下 貴司君
      吉野 正芳君    池田 真紀君
      寺田  学君    中谷 一馬君
      松平 浩一君    屋良 朝博君
      山花 郁夫君    吉田 宣弘君
      藤野 保史君    串田 誠一君
      高井 崇志君
    …………………………………
   法務大臣         上川 陽子君
   法務副大臣        田所 嘉徳君
   法務大臣政務官      小野田紀美君
   政府参考人
   (出入国在留管理庁長官) 佐々木聖子君
   政府参考人
   (出入国在留管理庁次長) 松本  裕君
   法務委員会専門員     藤井 宏治君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十二日
 辞任         補欠選任
  吉野 正芳君     上杉謙太郎君
同日
 辞任         補欠選任
  上杉謙太郎君     吉野 正芳君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
     ――――◇―――――

#2
○義家委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として出入国在留管理庁長官佐々木聖子君及び出入国在留管理庁次長松本裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

#4
○義家委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。稲田朋美君。

#5
○稲田委員 自由民主党の稲田朋美です。
 まず、本委員会でも非常に重大な、そしてまた悲痛な事案として取り上げられてきた名古屋入管におけるスリランカ女性の死亡事案について、仮放免をすべきだったのではないか、また、医療対応が不十分であったのではないかという疑問があって、ひいては、改正法の前提として、入管の体制そのものが不十分だったのではないかという指摘がなされているところでございます。
 死因も含めて、大臣のリーダーシップで、第三者も入れて、今、事案の解明、調査中なんですけれども、この委員会で、亡くなられたスリランカ人女性の収容中のビデオ映像を開示すべきである、そういう指摘がなされてまいりました。
 その点についての大臣の見解をお伺いいたします。

#6
○上川国務大臣 今般亡くなられた方の収容中のビデオ映像の開示について御質問がございました。
 法務省といたしましては、相当ではないというふうに考えているところでございます。
 その理由として、まず、ビデオ映像につきましては、収容施設の整備の状況、職員の状況等を撮影したものでございまして、保安上の観点から、その取扱いには非常に慎重な検討を要するものでございます。ビデオ映像を開示することによりまして、施設の設備やまた形状、職員による巡回の体制や頻度、また監視カメラの撮影範囲や解像度などの具体的な状況が公となりまして、逃走の防止や施設内の秩序維持といった保安上の対応に支障を及ぼしかねないというふうに考えております。
 また、死亡に至る状況を撮影をした映像でございまして、亡くなられた方の名誉また尊厳の観点からも慎重な配慮を要するものと考えております。
 さらに、現在、最終報告に向けまして、第三者の方々に調査に加わっていただいて、そして公正、客観的に調査検討を行っていただいている状況でございます。ここでビデオ映像を開示し、その内容に基づきまして国会で質疑が行われた場合、ビデオ映像について一定の評価づけがなされることとなり、第三者の方々が先入観なくビデオ映像を含む関係資料を検討することに対して影響を及ぼす可能性もあるというふうに考えております。
 本件に関しましては、様々な御指摘、そして御疑問、こうしたことに関しまして、最終報告書におきましてしっかりとお答えすることができるよう、公平、客観的な観点に立った調査の取りまとめを進めさせる方針でございます。

#7
○稲田委員 私も、このビデオ映像に関しては大臣と全く同じ考えでございます。
 もう既に、死体検案書、また診療情報提供書二通、職員作成の報告書、看護師メモ、血液検査結果、また第三者との調査に関する契約関係書類等々、委員の皆さんから御指摘があった、要望のあった書類については閲覧をいただき、野党の先生方も本当に熱心に、熱意を持って閲覧をされておられます。また、法務省からも見解のペーパーも出されてきたところです。この間、誠実に対応し、死因以外の、処遇についてどうだったのか、一定の評価が可能な状況にもなってきていると思います。
 しかも、この問題については、最終報告が出た段階で、それが閉会中であったとしても閉会中審査をやるべきではないか、両筆頭間で協議をせよと委員長から指示を受けているところでございますし、与野党共に、この問題について真摯に向き合い、更に質疑を、最終報告が出た段階でもやっていこうというふうに思っているところでございます。
 一方で、仮放免をすべきであったかどうか、また処遇はどうであったかということの評価をすることを目的として、そのための手段として、このスリランカ人女性が亡くなられる前日、亡くなられる当日、その様子を開示をするということで失われるもの、先ほど大臣が様々御指摘をいただきました。それと、それによって得られるものというものを考慮した場合に、私は、このビデオの開示については慎重であるべきだ、このように考えております。
 さて、この改正法案は、退去強制令書が発付せられたにもかかわらず送還を拒む、いわゆる送還忌避者に対応することを目的の一つといたしておりますが、そもそも、退去強制令書が発付された外国人はどのような外国人であり、なぜ我が国から退去させなければならないのかについて、法務当局の見解を伺います。

#8
○松本政府参考人 お答えいたします。
 退去強制令書が発付された者とは、我が国に不法に残留する者や、我が国で罪を犯し、相当期間の実刑に処せられた者など、退去強制事由に該当し、しかも、在留を特別に許可すべき事情が認められない者でございます。
 在留資格を有する外国人についてのみ入国や在留を認めることを根幹としております我が国の出入国在留管理制度におきましては、退去強制が決定した外国人を迅速、確実に送還できないことは、我が国の在留資格制度そのものの崩壊につながるのみならず、日本人や、我が国のルールを守って生活する多くの外国人の安心、安全な社会を脅かしかねないものと認識しておるところでございます。
 以上でございます。

#9
○稲田委員 この改正法案に反対する立場から、改正法案は難民を送還するものである、またあるいは難民を犯罪者にするものだというような指摘がなされておりますが、私は全くこれは違うというふうに考えております。また、この改正によって外国人の人権は更に守られる、そういう結果になると思いますが、この点について法務当局に伺います。

#10
○松本政府参考人 お答えいたします。
 改正法案は、難民を送還するものでもありませんし、難民を犯罪者とするものでもございません。
 入管法上、送還される者は、退去強制事由に該当し、在留特別許可もなされず、退去強制令書が発付された者のみでございまして、難民等の認定を受けて在留が許可された者は、退去強制令書が発付されることはございません。
 さらに、改正法案は、難民等の申請回数自体を制限するものではなく、三回目以降の難民等の認定申請をした者でありましても、認定を行うべき相当の理由がある資料を提出した場合には、送還が停止されることとなっております。
 また、改正法案における退去の命令制度におきましても、難民として保護すべき者は対象とならず、難民を犯罪者とするものでもございません。
 そのほか、この改正法におきましては、在留特別許可の申請手続の創設や、難民に準じて保護すべき者を補完的保護対象者として認定する制度を創設しております。
 さらに、長期収容の解消の観点から、全件収容の現行制度を抜本的に改め、収容に代わる選択肢としての監理措置を創設しております。
 さらに、医療の充実を含め、被収容者の処遇を一層適正なものとするための措置等を規定しております。
 さらに、送還促進策といたしましても、退去強制令書の発付を受けた者が自らの負担で本邦から退去したときは上陸拒否期間の短縮を可能とする措置を設けるなど、退去強制手続を受け入れる外国人の利益にも配慮しているところでございます。
 以上でございます。

#11
○稲田委員 まず、この改正によって難民の要件が厳しくなるというわけではないということであります。むしろ、補完的保護制度で、難民でなくても在留許可が与えられる、そういう場合が新設をされるわけでございます。
 また、監理人、監理措置制度というのもできまして、現在の全件収容というのを改めて、逃亡のおそれがない場合とか、また証拠隠滅のおそれがない場合などは、親族や支援者の元で生活できる制度、監理措置を新設をしております。例えば、今回のスリランカ人女性の場合であっても、新法の下では、収容することなく、この監理措置ということが取られる可能性もあったのではないかと思います。
 また、仮放免も、健康上、人道上その他これに準ずる理由により収容を一時的に解除する制度というふうに改められたところでございます。そういうことからいたしますと、非常に外国人の人権に配慮をした、そういう規定だと思います。
 また、その処遇についても、八十項目以上の規則に書かれていたものが法律の中に規定されるようになりました。例えば、食事を絶っておられる方を強制的に入院をして、そして治療を受けさせるというようなことも書かれているわけでございます。
 そういう意味において、やはり外国人の人権を、私は更に尊重する内容になっていると思います。
 大臣にお伺いをいたします。
 この改正法により、全件収容主義は改められ、そして長期収容は解消していくことになるのでしょうか。お伺いをいたします。

#12
○上川国務大臣 現行の入管法におきましては、退去強制手続を取る場合、収容令書又は退去強制令書により収容をする、これが原則とされているところでございます。
 改正法案におきましては、収容に代わる選択肢として、当該外国人の逃亡のおそれの程度等を考慮して、相当な場合に、収容せずに、監理人による監理の下、社会内で生活をしながら退去強制手続を進める監理措置、これを創設することといたしました。
 監理措置に付された場合は、収容令書が発付されず、退去強制令書が発付された後も一切収容されないまま退去強制手続を進めるということが可能になります。これによりまして、いわゆる全件収容主義は抜本的に改められることとなるところでございます。
 この監理措置の創設等によりまして、被収容者数、中でも長期の被収容者数は減少し、長期収容が解消されていくものと認識をしております。
 法務省といたしましては、改正法案における様々な方策を駆使し、我が国に包摂すべき外国人を一層確実に包摂、保護していくとともに、外国人の方々の権利利益にもしっかりと配慮しながら適正な送還を実現し、監理措置を適切かつ積極的に活用することによりまして、長期収容の解消に努めてまいりたいというふうに思います。
 そして、外国人は地域のコミュニティーを構成する一員として受け入れるという、こうした観点から、我が国に入国、在留する外国人の方々が、新制度に対して十分な知識そして理解をお持ちいただいた上で生活をしていただくことができるように、外国人に対する積極的な広報、そして外国人とのコミュニケーションの徹底、そして外国人の人権、利益に配慮した出入国在留管理行政の実現に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

#13
○稲田委員 今回の法案、退去すべき人にはしっかり退去いただく、反対に、保護すべき外国人の方、難民の要件に当たらなくても、その範囲は広げる、そして、様々な、今までの特別許可ですとか仮放免の手続、しっかりとその手続の保障もやる、そういった優しさと厳しさ、外国人の人権をしっかりと守りつつ適正な入国管理を行っていく、それを両方兼ね備えた、非常に重要な法案だというふうに思います。そういう意味において、今国会においてこの法案を成立させることが必要であるということを指摘して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

#14
○義家委員長 次に、稲富修二君。

#15
○稲富委員 立憲民主党の稲富でございます。
 先ほど大臣から、ビデオ開示をしない理由を三つおっしゃいました。我々は、とにかく、スリランカ人の女性がなぜ亡くなったのか、僅か半年以内で、元気だった女性がなぜ亡くなったのか、そのことがやはり今回の法案の前提であると。最終報告が本来であれば必要であるけれども、それが間に合わなかった、間に合わない、そこまでは我々も理解して法案審議をしてきたわけです。次善の策として、いわば、今ある様々な資料を提示し、そしてなぜこういうことが起こったのか、そしてこれから再度そういうことが起きないようにどうすべきかということを真摯に議論する中で、やはり当時のビデオ、見られる範囲のビデオをしっかりと提示をいただきたい、こう申し上げてきたわけでございます。
 そこで伺います。
 保安上の理由ということでございますが、二〇一四年のカメルーン人男性、あるいは先日、山花委員が御指摘ありました、名古屋刑務所においても、当時、理事懇でビデオ開示をされたということでございます。マスキングをすれば、ビデオ開示、保安上問題ないんじゃないですか。お答え願います。

#16
○上川国務大臣 冒頭のところで、委員が、今回の事案につきまして、なぜ亡くなったのか、特に体調の問題ということで御指摘がございました。そのことも含めまして、今回、調査を第三者も交えて客観的にやるということで今動いているところでございます。
 今、御質問でございますが、御指摘の東日本入国管理センターにおきましての事案、このビデオがインターネット上で閲覧可能なのではないかとの点、その経緯、これにつきましては、法務省として当該インターネットサイトへの公開は行っておりません。お答えすることは適切ではないと考えているところでございます。
 また、当該ビデオに関しまして保安上の問題が生じているか否かにつきましても、これは保安上の事柄という性質上、お答えをすることは適切ではないというふうに考えております。
 出入国在留管理庁から報告を受けているところにつきましては、入管施設におきましてのビデオ、これは裁判所の証拠保全決定がされたことなどによりまして、裁判手続において証拠として提出した事例、これはこれまでにもございます。その場合におきましても、保安上の支障、裁判での主張、立証の必要性勘案の上で、マスキング等の措置を講じた上で必要最小限の範囲で提出をしておりまして、あくまでも当該裁判における被告の主張、立証したものということでございます。

#17
○稲富委員 ありがとうございます。
 第三者が加わっている、その判断に影響を与えるかもしれないという第三番目の理由ですけれども、そもそも、第三者を加えるというのは、これは大臣が決められたこと。これは、客観、公正を担保するために、この人たちを五人入れたわけですよね。この人たちもビデオを見るわけですよね。なぜ、客観、公正なこの方々の判断をゆがめることになるんですか。そんなことで、一々この方々の客観性が担保できないんだったら、そもそも、この方々五人が客観性、公平性を担保できるだけの見識と立場じゃないということになりませんか。
 だから、これは、保安上の問題、今も答えられないということをおっしゃいましたし、名誉のことをおっしゃいました。しかしこれは、じゃ、大臣、お伺いしますけれども、今、スリランカ人女性の御遺族の方がいらっしゃいます、日本に。これは閲覧していいんじゃないですか、ビデオ。御判断できるんじゃないですか。保安上の問題もない。名誉の問題、御家族の御意思があれば。そして、第三者の客観、公平性も問題ないじゃないですか。是非御判断ください。

#18
○上川国務大臣 今般の事案のビデオに関しましては、出入国在留管理庁から、一定の期間にわたりまして、亡くなった方が死亡されるまでの過程が逐一記録されているものでございます、その上で、入国警備官が巡回などの処遇業務を行っている状況も記録をされているとの報告を受けているものでございます。
 こうした点を踏まえまして、ビデオの開示につきましては、先ほど来申し上げているところでもございますが、亡くなられた方の名誉、尊厳の観点からも問題があるというふうに考えておりまして、保安上の問題、調査に影響を生じる可能性という問題もあることから、仮に御遺族の方から公開をお求めであるといたしましても、法務省としては、開示は相当ではない、こう考えているところでございます。

#19
○稲富委員 御遺族が求めている場合であってもということですけれども、御遺族自身が見たい、御覧になりたいという場合はいかがですか。

#20
○上川国務大臣 亡くなられた方が死亡に至るまでの過程、逐一記録をされているものではございます。また、処遇業務を行っている状況も記録されているということでございます。
 ビデオの開示につきましては、亡くなられた方の名誉、尊厳、こういった観点からの問題があるというふうに考えておりまして、仮に御遺族が公開をお求めであるということでございましたとしても、法務省としては開示は相当ではないというふうに考えているところでございます。

#21
○稲富委員 ちょっと、ごめんなさい、公開じゃなくて、御遺族が見るということですよ、私が伺っているのは。その点はいかがですか。

#22
○上川国務大臣 ビデオの開示でございますが、また、御遺族が御覧になるということも含めまして、亡くなった方の名誉、尊厳の観点からの問題、また保安上の問題、調査への影響の問題、様々の問題を考慮したとしても、そして、御遺族の方の思い、こういったことについては、事実の関係について、調査で最終的にしっかりとお伝えをさせていただく、そして、そのために今回、体調について、医療関係、特に関係が深いこの体調の問題を、病気の、非常に急激に変化してきたということもありまして、そういったことを中心に、事実関係を今回調査をする、こうした中で中間報告を出させていただきました。
 そして、今、中でも、皆様から御指摘をいただいた点があります。そういったことも併せて、最終報告でしっかりと結果を出してまいりたいというふうに思っております。

#23
○稲富委員 第三者は見るんですよね、大臣。第三者は見るんですよね。御遺族は見られないんですよね。なぜですか。

#24
○上川国務大臣 今回の調査につきましては、客観、公正の観点から、第三者の方々にしっかりと入っていただきまして、この客観、公正の調査を最終的にお出しする、こういう趣旨で、私が強く指示をしたところでございます。
 第三者の方々につきましては、加わるに当たりまして、秘密保持についての御承諾をいただいているところでございます。ビデオを含みましての全ての資料、これは外部に明らかにせず、調査以外の目的に使用されないということでございまして、こうした報告を受けているところでございます。

#25
○稲富委員 三点の理由はいずれも説得力がないと思います。ビデオ開示については引き続き求めていきたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。

#26
○義家委員長 次に、池田真紀君。

#27
○池田(真)委員 立憲民主党の池田真紀です。よろしくお願いいたします。
 今、ビデオ開示の話がありましたが、それ以外にも記録がまだ出てきていないものがたくさんあります。それで、記録については、看守記録については閲覧をさせていただきました。その閲覧も、手書きということで、極めて時間限定、与党の皆さん、理事をお待たせした中での時間だったので、私も全部メモることができない、そんな状況の中で事実確認、中間報告との突き合わせをしたわけであります。
 そこの中で、本来であれば、質疑の時間がちゃんと確保できていれば、事実確認を行って、一つ一つ丁寧に問題点を提起したいというふうに思っておりましたが、今日のような短い時間でございますので、今日のところは、その中で、あえて外したんではなかろうかと思うようなことがありました。
 それで、本来は今日は、支援者側の聞き取ったメモといったものもありまして、それを資料に、与党の皆さんにも御覧いただきたいと思って配付をしたいと思ったところ、これは却下ということでございましたので、非常に残念でございますが、しかし、中間報告と看護記録とだけの突合の中でも極めて不自然な点もございましたので、この点は指摘をさせていただきたいと思います。
 そして、質問させていただきますが、第三者といいますが、この第三者なんですけれども、名前も公表されないという中でやっています。五名ということでありますけれども、大臣、男女比、お答えください。

#28
○義家委員長 速記を止めてください。
    〔速記中止〕

#29
○義家委員長 速記を起こしてください。
 上川法務大臣。

#30
○上川国務大臣 五名の方の男女比の構成でございますが、男性が三名、そして女性が二名でございます。

#31
○池田(真)委員 この男女比についても、昨日のレクでは、答えられないというような職員の回答があったので、これはそんなはずじゃないんじゃないのということで調べていただいて、今日、先ほど聞いた人数でした。
 大臣、すぐ即答できなかったということは、第三者を入れる際に配慮をしてほしい、女性に配慮してほしいというようなことを指示しなかったということでよろしいでしょうか。

#32
○上川国務大臣 専門的な観点から、第三者を含めるに当たりましては、その方自身のこれまでの様々なキャパシティーというか、専門性も含めまして選んだということでございます。
 女性を、通常ならば男女共同参画という形の中で、法制審議会等も含めまして、女性のということは含まれているところでございますので、こういった点については特に、今回の事案、女性の事案ということもございまして、入れるようにということは指示したところでございます。

#33
○池田(真)委員 この男女比については、看守とか、名古屋の関係で具体的には答えられないということであれば、一般的にどうなんですかということであっても、入国警備官等の男女比についても昨日まで答えられていない、そんな状況でありました。
 こういう中で、DVの資料、どう対応すべきかということについては今日配付資料につけてあって、そもそもどうすべきかということは、四月の二十日のときの質疑にも私の方でも質疑をさせていただいておりますので、ここは繰り返しませんけれども、本来であれば、DVの対応をして、収容しなくて、まずは保護すべき人だったという認識、大臣はございませんか。

#34
○上川国務大臣 まさに委員の御指摘そのものが調査の更なる深掘りの項目というふうに考えているところでございます。
 この間答弁をしてきたところでございますが、DVの被害を受けた方であるかどうか、この取扱いの要否がどうだったのか、このことも含めまして、今回の事案におきまして、入管当局の対応、この適否等につきましては、必要に応じまして追加的な事実確認も行った上で、第三者の方々にも御意見をいただきながら、事実関係に評価また検討を加えまして、でき得る限り速やかに最終結果を取りまとめてその中でお示しをする方針でございます。

#35
○池田(真)委員 そうしましたら、まず、今回の記録の中で、あえて中間報告にも入っていませんでした。私もソーシャルワーカーでもありますから、本当に亡くなられた方の名誉、プライバシーということを極めて慎重に扱う側であります。しかし、ここまで情報が隠蔽をされたり、ここまでゆがめられた報告書というものが出てきたりすれば、当然今回は言わざるを得ないと思って発言をさせていただきます。
 八月の二十三日に、十九日に逮捕されて、二十三日にすぐ看護記録が始まっています。しかし、そのときは、ナースという言葉ではないので、看護者ではない、看護師ではない。そして、その次、放置をされたまま、十二月の十八日まで放置をされています。いわゆるこの四か月間、三か月間の間にも変化がありますし、交番から、最初の看護記録で、訴えをしたときにDVケアをしっかりされていれば、ここまで不調を訴えなかった、犠牲にならなかったというふうにも思います。
 そして、十二月十八日には、このときには中絶の話がありました。おなかの中で異常がないか確かめたい。元恋人との間での中絶の経験をお話しされて、記録もされています。しかし、このときの薬剤といったものが、本国から送られてきたもので、錠剤と注入剤ということです。本来であれば、おなかの中の不調を、さらにそのときに十キロも体重が減っていますから、本当に心と体とケアをしなければいけない方だったんですよ。
 そのときに、それも、何と、この看護師の記録は、看護師にもなっていない看護記録には、SOAPのA、査定評価に、不法な人工中絶歴あり。不法という言葉を誰がつけたんですか。御本人の訴えとは全く違う、不法という言葉をつけているんです。とてもこれは憤りを感じています。
 このときにもう一回チャンスがあった。最初、そして八月、十二月とチャンスがあったんです。その視点も失われ、SOSも発見されず、そして、初めて看護師の記録としてナースの記録があったのが一月です。そこから、看護師日誌の中で時々ナースがある。ナース以外の記録は誰が書いたかも分からない。こんな状態なんです。
 そして、今日添付をさせていただいた、これがモニターを見た看守の記録ですね。こちらの記録になりますが、これは名古屋の入管の話ではありません、例として挙げています、これは実例ですから。最後の日の一日です。しかし、こういったものの中で、保安上の問題というものが、本当にこれは保安上のもので出せないものですか。そうじゃないと思います。
 死に至るまでのこと、死に至るまでの映像というふうに、先ほど来、大臣は三回、今日述べられています。しかし、死に至らした過程、そんな記録は本来あってはいけないんですよ。死に至らなくてもできたことがたくさんあったのに。最後の場面だけではありません、私が映像を求めているのは、具体的に日時を挙げています、もっともっと最初のSOSのところも当てています。
 そして、この今日添付をさせていただいた中から、保安上の問題というものは、皆さん、お感じになるかならないか、後で協議をしていただきたいと思います。
 大臣、最後に、全ての記録を出していただいて、隠蔽や改ざんや、先ほどのような、本来保護されるべき被害者が加害者かのような、犯罪者かのような言葉を書く、そういった調査員ですよ、そういった第三者評価、そういった調査報告が出て、信じられるわけがないんです。やり直していただきたい。大臣、最後に答弁を求めます。

#36
○上川国務大臣 今回、亡くなられた方の状況をどのようにしっかりと把握をするか、まず事実関係をしっかり把握した上で、そしてこの検証をしていくという形で、第三者の方に入っていただきまして、中間報告、さらに、最終報告に向けましても、先生方から御指摘をいただいたこと、また、今、先生はソーシャルワーカーのお立場ということで、大変きめ細かな御指摘を随所にしていただいているということでございまして、そういうことも含めまして、今回御指摘をいただいたこと、またこの委員会の中で御指摘いただいたことも含めて追加的な調査を加えながら、最終報告に向けまして、まず事実関係をしっかりと把握した上で提出をするべく、今、鋭意頑張っているところ、努力しているところでございます。
 事実関係そのものを御遺族の方にもしっかりと御説明するということも極めて大事だというふうに私自身は思っておりまして、そういう中で、今、第三者の方に入っていただいているところでございます。私自身は、公平、客観的な調査でなければいけないというふうに思っておりましたので、私自身がいろいろなコメントを申し上げるということについては私は厳に慎重であるべきである、こういう姿勢で臨ませていただいておりますが、様々なことにつきましてしっかりと踏まえた上で、最終報告に向けましてお出しをしてまいりたいというふうに思っております。

#37
○池田(真)委員 大臣の指示一つでできることだと思います。ジャスティス・フォー・ウィシュマ、よろしくお願いします。

#38
○義家委員長 次に、寺田学君。

#39
○寺田(学)委員 寺田です。
 次長に答弁は求めませんので、座っていてください。
 大臣、早速ですけれども、すごいシンプルな質問なので通告はしていません。
 現行の入管法及び、この改正法案がもし可決してしまった後もそうですけれども、執行する上で、国民から入管に対する信頼というものは必要不可欠だと思いますか。

#40
○上川国務大臣 今回、外国人の方々が国境を越えて様々な在留資格で日本に訪れ、また長期で滞在されるということでございますので、その方たちは、短期で目的に全て、目的のためにと同時に、この日本の社会の中で触れ合うということが極めて大事であると思っておりますので、その意味での共生社会、この中での原点は、国民の理解が極めて大事であるというふうに思っております。

#41
○寺田(学)委員 それで、最終報告書は時間がかかると言っているんですけれども、私、すごい大事なことだと思っているんです。これも通告していないですけれども、シンプルな質問です。
 入管が信頼たり得るような組織かどうかということを判断する上で、最終報告書というのは重要な報告だと考えていますか、考えていませんか、どっちですか。

#42
○上川国務大臣 その意味で、客観、中立、そして公正な調査ができるように第三者の目線を入れるということで、今調査をしているところでございますが、最終報告書、そしてそのことについては、今回の事案はどういう状況だったのかということをしっかりとお示しをすること、これが大事であるというふうに思っております。

#43
○寺田(学)委員 重要な資料かどうか聞いているんです。

#44
○上川国務大臣 この間、様々な御指摘がございました。その意味で、重要な資料であるというふうに認識をしております。

#45
○寺田(学)委員 今日、九分しかないので余りしゃべれないかもしれないですけれども、これはちゃんと僕は議事録に残したい。
 今年の三月に女性が亡くなりましたよ。その女性自身、数か月前から体調を壊して、嘔吐や食欲不振や歩行困難の状態にあって、自ら点滴や入院、仮放免を求めていたけれども、それを認めず、点滴さえ受けさせず、制度的に認められている仮放免すら、措置を取らないで亡くなったんです。加えて、入管に収容される時点でDVの被害の訴えがあったにもかかわらず、通訳を伴った事情聴取も行わず、入管の定める措置に沿ったDV被害者に対する特別な対応も取られていなかったんです。
 こんなずさんなことが明らかになっておきながら、それを検証するはずの中間報告に、仮放免すればよくなるという外部医師の診断結果を都合よく引用しなかったり、支援団体の面会記録による体調不良の深刻化の訴えなども報告書に反映していなかった。お手盛りですよ。およそ、この事案の真相解明に向けた真摯なものと言えないような、ぽんこつな報告書ですよ、ぽんこつ。こんなぽんこつな報告書を出されて、最終報告も出されていないで、こんな中間報告をもって採決をするということを与党理事がやっている、僕は感覚が分からないです。
 何をそんなに急いでいるんですか。稲田さんはいないですけれども、大口さんも。理由は何なんですか。それに答えられなかったら、国対が怖いからだけじゃないですか、そんなの。
 この法律自体、いや、伊藤委員も分かると思いますけれども、法務省が、わざとだと思いますけれども、空白の部分、白紙の部分が多いですよ。もう挙げたら切りがないですけれども、在留特別許可の手続の詳細、許可基準もそう、ガイドラインの改定内容もそう、監理措置の可否の基準も条件も、報酬を受ける活動の可否も範囲も基準も、監理人に届出義務を課していますけれども、取消し事由の相当の理由の基準、生活状況の届出の内容、様々白紙のままで、よくこれで採決しようとしますね。立法府としての矜持はどこへ行ったんですか。
 法務委員会でしょう。法務委員会、僕は初めて入りましたよ、今回。正義を語る場所なんでしょう、法務委員会として。それが何、国対に叱られるのが怖いだけなんですか。ちゃんと、いや、僕は、昔の話をこの間、山花先生が言ってくれて、園田先生のことですけれども、目が覚めましたよ。やはり立法府として、法務委員会として矜持を持っていましたよ、役所に対しても。立法府にはしっかり明らかにしろと。そういうものがなくて、これで採決しましょうと言っている時点で、私は全く賛同できませんし、理解ができません。
 答える立場にないので、後で教えてほしいんですけれども、何でこんな状態のまま採決を急いでいるのか、与党の理事さんの発想が分からないです。
 それで、もう質問時間がないですけれども、山ほど質問したいんですけれども、入管に対する信頼は今かなり低いです。その中で何が行われているのか、たとえ法律がどういうふうに組み上がったとしても、それがまともに法律どおりに運用されるかどうかも分からないし、何が行われているかすら分からないです。
 それで、今回通告している一つの質問は、前回も途中までしましたけれども、諸外国では、難民認定申請に対する面接で弁護士の同伴を認めている国がかなりあります。オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、ニュージーランド、韓国、イギリス、アメリカ。日本は一次面接は認めていないんですよ。
 昨日の部会で聞きました。何で弁護士さんを同席させるのは駄目なんですかと言ったら、何て言ったと思いますか。弁護士が同席したら得心が得られない、ちゃんとした答えが返ってこないと言ったんですよ。大口先生、ひどくないですか。弁護士がいたら正直に話さないと言っているんですよ。もう、およそ理解できなかったですよ。
 それで、大臣、そこはもう昨日聞いたからまずいいですけれども、だったら、ほかの国は、インカメラみたいな感じで、録音とか録画を認めている国は多いです。オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、ニュージーランド、韓国とかも認めています、イギリスとかも認めている。それで、どういうような面接が行われているのかと見せている、録画しているんですよ。
 録画のことは急に言わないですけれども、大臣、弁護士さんが、しゃべらないでいいですよ、同席をする、これを認めない理由はありますか。そもそも、弁護士が面接に同席できないのは、法律でも政令でも禁止していないんですよ。単なる入管の運用ですよ。いいですよ、まずは第一歩で。しゃべらないで、自分の支援をしてくださる、そういう弁護士さんが隣に座っている、それを認めるようにしてください、まず。大臣、どうですか。
    〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕

#46
○上川国務大臣 申請者の置かれた立場に配慮した事情聴取を行うということは重要であるというふうに考えております。
 これらの申請を審査する側、難民調査官、入国審査官におきましては、適切な発問や聴取ができるようにしっかりと対応していくということが何よりも大事かというふうに思っております。
 この点、今、弁護士等の第三者の同席につきましては、各国の事例等も私ども調べさせていただいておりまして、トータルとしてどういう形で仕組みをつくっていくのかということは、個々の国々の状況がございますが、そうしたものにつきましても、様々な調査をしながら、参考にしてやりたいというふうに考えております。

#47
○寺田(学)委員 一次面接に、いいですよ、本当はリーガルサポートがしてほしいし、もっと言うと、この間、副大臣にも突然わざと聞いたけれども、何を話していいか分からなかったでしょう。当然ながら、難民認定を求める方々は、何を話していいかなんて、異国の地で、分かるわけがないですよ。だからこそサポートが必要だって、諸外国は認めているわけですよね。
 本来であれば、私はそれを認めたいですけれども、まず第一歩として、隣に同席をする、申請者にとっては心の安らぎで、本当に自分のことを話しやすくなると思いますよ。緊張だって解けるかもしれない。それをまず認めてください。認めないんだったら、何で認めないのかをちゃんと教えてください。

#48
○上川国務大臣 まず、難民認定手続の一次審査、申請者の面接ということでの御質問でございます。
 先ほど、ヒアリングの中で私どもの方から答弁させていただいてきたところだというふうにおっしゃっていただきましたけれども、供述内容、また供述態度、そうしたところからの信用性を慎重に吟味するということが目的でございまして、この点につきまして、弁護士等の第三者の同席は適切ではなく、これを認めていないというふうに承知をしているところでございます。
 どのように面接をしていくかにつきましては、海外で様々な面接の手法等もございます。そういったことも、随時私ども入手しているところでございます。トータルとして、どのようにしたらしっかりとそういうことの事情聴取の成果が上がるか、そして、適切な判断ができるか、このことについては、運用の段階におきましてもしっかりと検討してまいりたいと思っております。

#49
○寺田(学)委員 残念ながら、もう終わりますけれども。弁護士さんもいろいろいらっしゃると思いますよ。様々な御懸念あると思いますが、少なくとも、ブラックボックスになっている今の入管の方がよっぽど信用できないです。
 そういうことを申し上げて、終わります。

#50
○伊藤(忠)委員長代理 次に、藤野保史君。

#51
○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
 先日、理事会メンバーで、今回の死亡事件に関する資料、二度目の閲覧を行いました。今回も手書きを強いられた、このことには改めて強く抗議したいと思います。
 その上で、今回の書き写しを通じて、新たな疑問が浮かびました。
 まず、一月二十五日の血液検査結果には、TSH、フリーT3、T4など、今回死因とされている甲状腺、これに関する数値が記載されております。ところが、三月の血液検査結果にはこの数値がない。これはなぜなのか。
 また、肺のCT画像が真っ白だということが繰り返し報道されております。ところが、中間報告のパルスオキシメーター、これは血中酸素の飽和度ですけれども、この数値は、死亡当日ですら九八%に達している。これは医師もおかしいと指摘しているんですね。
 もう一つ、二月二十二日から三月四日まで医師の診察を受けさせなかったのは摂食状況が改善したからだというのが中間報告の説明です。では、二月二十三日、これが最後に分かっている体重です、二月二十三日に六十五・五キロだったウィシュマさんの体重は、死亡時、何キログラムだったのか。これはいまだに分からない。
 もう今日は時間がないので、委員長にお諮りします。
 司法解剖に関する一連の資料、特に甲状腺に関するデータ、肺のCT画像、死亡時の体重、さらにパルスオキシメーターの数値などが記載されていると思います。そして、今、ビデオが公開されない下で、前日や当日の様子を知ることができる恐らく唯一の資料である看守勤務日誌等、そして面接記録、これらの資料提出を求めます。

#52
○伊藤(忠)委員長代理 理事会で検討させていただきます。

#53
○藤野委員 配付資料の一を見ていただきたいと思います。
 これは菅総理が、昨年十月、総理就任直後にベトナムを訪問した際のスピーチです。黄色く塗っている部分。「アセアン各国から日本に来ている、技能実習生などの若さとエネルギー溢れる人材は、いまや、日本人の生活や経済にとって必要不可欠な存在となっています。」、こうおっしゃっているんですね。
 これは実は大変な発言でありまして、というのは、技能実習制度というのは、あくまで国際貢献のための制度、外国の若者が日本で技能を習得し、帰国してそれを生かしていただく、そのための制度です。ところが、菅総理は、技能実習生などが日本人の生活や経済にとって必要不可欠な存在と言っているんですね。
 私は、総理の認識は間違っていると言いたいんじゃないんです。むしろ、そういう認識なら、それに見合った対応をすべきだと思います。ところが、技能実習生たちはどんな扱いを受けているか。
 配付資料の二を御覧いただきたいと思います。
 これは信濃毎日新聞の「五色(いつついろ)のメビウス」という連載で、これは非常に綿密な調査に基づいて、四十回以上、連載で、県内のリアルな実態を報じております。
 ごく一部ですけれども、初めのものは一月六日、見出しを見て、一番右側の黒いところにある「説明と異なる力仕事の日々」。初めは、一番上の段ですけれども、工場を経営する石川県の建設会社からは、一年前は、機械を使って鉄筋を折り曲げる仕事との説明を受けていた。しかし、六月になるとがらりと変わったと。要するに、折り曲げるんじゃなくて運ぶことに変わっていくんですね。しかも、まともな賃金を払えない。だから、借金も返せないから失踪した、こういう記事なんです。
 次の記事は、その借金が何に使われているか。実習生の借金を原資に、日本側企業への接待とかキックバックが行われているということが指摘されている。
 例えば、「日本側への接待やキックバックにかかった費用は結局、実習生が多額の借金として背負うことになる。ズンさんの送り出し機関が実習生候補者一人から集める手数料は総額七十万円。このうち十万円が接待やキックバックの原資だ。」、こういう指摘なんですね。
 そして、こうした事態が横行する原因の一つ、これは受入れ企業と監理団体に関する構造的な問題です。
 入管庁にお聞きします。
 全国には約三千の監理団体がありますが、この配付資料にありますように、長野県の場合、実習先企業の役員と監理団体の役員が兼務しているというのは五七%に達しているんです。
 入管庁にお聞きしますが、全国の実態は把握していますか。把握していないなら、調査すべきじゃないですか。
    〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕

#54
○松本政府参考人 お答えいたします。
 現行の技能実習法令上、監理団体役員と実習実施者役員の兼務は禁止されておらず、当庁におきましては、兼務に関する統計は把握しておりません。

#55
○藤野委員 ですから、この配付資料にあるように、長野県で見れば、本来監督すべき監理団体あるいは相談に乗るべき監理団体が受入先企業の役員を兼務しているのが六割に達しているんですよ。相談できない、監督もできないわけです。まさにそうした実態が放置されている下で何が起きているか、次の配付資料三を見ていただきたいと思います。
 これは在ベトナム日本大使館が作成した資料で、そこの見出しにありますように、「送出機関による手数料等の過大徴収が技能実習生の失踪の原因ともなり得る」、そして、黄色く塗っているところですけれども、「高額の訪日費用負担が、ベトナム人技能実習生の失踪リスクを高めている可能性がある」、こういう指摘なんです。
 大臣にお聞きします。
 失踪すれば在留資格は失われるわけですね。そうすれば収容される、送還される。しかし、この在ベトナム日本大使館ですよ、これは。その大使館が指摘しているように、失踪の大きな原因として、過大な借金、訪日費用負担、しかも、その一部は日本側へのキックバック、接待に使われているんです。まさに外国人労働者、技能実習生が食い物にされている構造がある。この構造こそ、やはり失踪とか、ひいては在留資格を失う大きな要因なんです。この構造にこそメスを入れる必要がある。
 ところが、ここにはメスを入れていないわけですね。政府は、移民政策は取らないという建前を取りながら、実際には安価な労働力として外国人を受け入れてきた。つまり、入口における受入れは拡大しているんです。入口はどんどん拡大しながら、いざ何らかの事情で在留資格を失ったら、もう活用できないとなれば、さっさと帰国してもらおう、出口に当たる退去強制手続で入管に更なる裁量と権限を与える、これがこの法案の本質なんじゃないですか、大臣。

#56
○上川国務大臣 今委員御指摘いただきました、我が国への技能実習生の送り出しに関して、多額の費用を負担したまま来日するケース、これが一部に存在するものと承知をしております。
 手数料の許容範囲でございますが、送り出し国の法令に基づくものではございますが、不当に高額な手数料を徴収するなどの不適正な行為を行う送り出し機関等につきましては、我が国といたしましても、確実に制度から排除すること、これが必要と考えているところでございます。
 このことにつきまして、問題の本質をしっかりと踏まえた上で、外国人の技能実習機構におきましては、この技能実習計画の審査におきましては、不当に高額な手数料等の徴収がないかということについても確認をしておりまして、またさらに、現在、ベトナムも含めまして、十四か国との間で、二国間の取決めを実施しているところでございます。不適正な事例を把握した場合には、相手国への通報、さらに、当該政府からの調査、指導、送り出し機関の認定取消し等の対応を求めておりまして、既に八十機関、これを通報しているところでございます。
 何といっても、この制度、やはり大事なことは、技能実習の方々がしっかりと技能を身につけて母国で活躍をしていただくということでございますので、失踪率、この高い送り出し機関、こちらの社会から排除していく、制度から排除していく、このために、PDCAサイクルをしっかりと回しながら、不断に検証を重ねながら、適正化を図ってまいりたいというふうに考えております。

#57
○藤野委員 もう終わりますけれども、菅総理が、技能実習生が日本人の生活と経済に必要不可欠とまで言っているんです。必要不可欠だから、どんどん来てくれ、どんどん来てくれと言いながら、一旦資格を失えば、もうさっさと帰国してもらう。この入管法というのは、日本はこういう国ですよというのを国際的に公言するようなものなんです。
 断固廃案にすべきだ、このことを主張して、質問を終わります。

#58
○義家委員長 次に、串田誠一君。

#59
○串田委員 日本維新の会の串田誠一です。
 まず最初に、入管の収容に関して、誤解というか偏見もあるかと思いますので、ウィシュマさんのことを簡単に説明させていただきますと、報道によりますと、スリランカの大学を卒業して、留学のビザで入られたということでございます。
 外務省の調査によりますと、スリランカの大学というのは、進学率が一五%で、相当難関である。これは男女差も書かれていないので、このウィシュマさんというのは相当エリートだったんだろうな。そして、支援をしていた真野さんとの話によりますと、早く帰国して語学学校を開きたいということを申し上げていたそうでございます。
 日本に留学をし、日本の文化をスリランカに広げようとして、大変私たちがありがたく思わなければならない方だったんだろうなと思いますが、学費が納められなくなった、それもいろいろな事情があるようなんですけれども、それで留学ビザが切れてしまって収容されたというのが、今回私が聞いているところでございます。
 今、日本の学生も、学費が払えなくて退学をしているような人もたくさんいる中で、こうやって日本の文化を広げようとしてここにやってこられた方が、学費が払えなくなったということで収容され、最後はこのような形で亡くなられたということに関しては、私は、本当に残念でなりません。それの解明をしない限り、今改正をしていると言うことを私はできないのではないかというふうに申し上げたいと思います。
 五十四条の「仮放免」のところに、健康上、人道上その他これに準ずる理由によりその収容を一時的に解除することを相当と認めるときはと書いてあるんですね。ですから、これが事案と関係がないというようなことをおっしゃられても、この法改正は、相当と認めるときはというのを、私たちは、これを自信を持って送り出さなきゃいけないわけです。ところが、この相当と認めるときはに該当するかどうかという資料が出てこない。
 前回の五月七日の私の質疑の中で、三月六日に亡くなられたわけですが、三月の四日、なぜ診察をしたのが精神科なのかという質問をさせていただきました。それに対して、松本参考人はこう答えたんですね。整形でしたか、中での、体がちょっと痛いということで診てもらったところ、特段悪いところが見当たらない中でと。整形で診てもらって、ちょっと痛いということ。
 これは、二月の半ばから車椅子ですよね。面会のときには青いバケツを抱えて、面会のときには嘔吐をしながら面会をしていたというのを、支援者のところの話で伺っております。
 松本参考人、この、ちょっと痛いということでというのは、松本参考人がビデオを見られて、あるいはどなたかから聞かれて、こういう国会での答弁をされているんですか。

#60
○松本政府参考人 お答えいたします。
 収容施設内の非常勤の内科の先生に診てもらい、かつ、外部病院の内科で診てもらって、特段その時点では病状が明らかにならない。で、体の痛みを訴えられたということで、今度は、非常勤の整形の先生がいらっしゃいましたので、整形の先生にも診ていただいたんですが、整形的な要因で特段病状は該当するところが思い浮かばない。そういう意味合いで、精神面から何かきている問題があるんではないのかということで精神科に受診をするという経緯だったと認識しております。

#61
○串田委員 もう車椅子で、普通に自立して歩けないわけですよね。ベッドから落ちても自分ではそのベッドに戻れないというのを、私、支援者の話から聞いているんです。それが、ちょっと痛いということでというのは、どうしてこういう評価になるのか。
 そういう評価をし続けるんであれば、この五十四条の、相当と認めるときというのは、こんな場合であっても、これには該当しないということになってしまうんじゃないか。だから、その発言は正しいのかどうか、見させてもらうしかないじゃないかと言っているんじゃないですか。
 ちょっと痛いというのは誰の発想なんですか、ちょっと痛いというのは。本人がちょっと痛いと言っているんですか、松本参考人がちょっと痛いと考えたんですか。

#62
○松本政府参考人 現在の調査で把握しておりますところ、本人から手足のしびれ、痛みの訴えがあった、そこで整形の先生にも見てもらうに至ったという状況でございます。

#63
○串田委員 時間になりましたけれども、国会のこういう質疑の中で、こういう、ちょっと痛いというような発言をされながら、車椅子だとかベッドにも上がれないという全く乖離した話があるから、事実を見させてください、こう申し上げているんです。
 終わります。

#64
○義家委員長 次に、高井崇志君。

#65
○高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。
 今日、初めて長官に来ていただきました。前回の質疑で、松本次長が実は四か月しかこの入管で働いたことがなかったということが分かったわけです。全く、ずっと答弁をされていた松本次長がそうで、まあ正直言って、ずっとこの法案を作ってきたのは長官ですよ、プロパーで。長官に是非聞きたいと思います。本音をお聞かせください。
 まず聞きたいのは、なぜ今こういう事態になっているかと。今回の法改正でこんなにもめてしまっている。これ、聞きたいんですけれども、時間がないから私が答えを言いますよ。入管に信頼がないからです。今回の法改正は入管の権限を大きく拡大するものなんですよ。その権限に見合うだけの信頼がないから、こういうことになっているんです。
 その象徴的な事例が、今日お配りしましたけれども、東京新聞に昨日報道された件ですけれども、これ、支援団体のSTARTの顧問の松井さんが、三月六日の死亡直前まで三十回にわたる面談や電話、二十二回の聞き取りメモを、三月二十六日に入管に提出しているわけですよね。これをまず読まれたのかどうか。そして、読んでどう感じたか、是非聞きたいと思うんです。
 これ、記事だけ見ても相当ひどいですけれども、私、この提出したものをいただいたんですけれども、例えば亡くなる前々日、三月三日ですね、三日前ですけれども、夜は職員が来ない、別の仕事があるから行けないと言われた。水も飲めない、食べられない、トイレにも行けない。そして、面会後にこの松井さんが処遇部門に申し入れて、このままでは死んでしまう、すぐに入院させて点滴を打ってもらいたい。これに対して職員は、予定は決まっていると答えるのみ。
 このウィシュマさんは元々病気で、点滴を打ってこれまでも治ってきたんですよ。そういうことも職員に伝えてあったということです。
 さらには、これは記者さんから聞いたんですけれども、松井さんや真野さんが入管の職員といろいろやり取りして、いろいろ、ここに載っていないひどいこともありました。例えば、ベッドから転げ落ちてしまうだろうと言ったら、入管の職員は何と、ビニールシートが敷いてあるから大丈夫だ、こういうようなことを言っているわけですよ。
 こういうことをまず、長官は全部ちゃんと聞いているのかと。この面談記録はさすがに読んでいると思いますけれども、そのほかにも、この真野さんとか松井さんとか、そういう方からちゃんと話を聞いて、その上で中間報告を作ろう、そういう姿勢を持っているのかどうか。そのことをまずお聞かせください。

#66
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
 中間報告を作成するに当たっての原資料といいますか、現場にありました関連資料につきましては目を通した上で、なおかつ、調査に入りました職員から、その調査の内容等々について報告を受けております。

#67
○高井委員 じゃ、聞きますけれども、名古屋入管局の職員の対応は適切だったと思いますか。それから、なぜ今、こういったことを中間報告に入れなかったんですか。

#68
○佐々木政府参考人 現在、最終報告に向けて更なる調査を行っているところでございますけれども、今、本庁といたしましては、名古屋局の対応について、例えば、内部、外部のお医者さん、それから医療機関としっかりコミュニケーションを取っていたのか、それから、亡くなられた方の病状に応じた適切な対応を取っていたのか、それから、仮放免をもしした場合に、その後、支援者のお力などもおかりして、その方がどのような境遇になり得たのかというようなところに着目をしながら、更なる調査をしているところでございます。
 最終報告におきましては、その評価、判断を含めて明らかにしたいと思っています。

#69
○高井委員 再度聞きます。これ、答えられなかったら止めてくださいね。
 なぜ中間報告に入れなかったんですか。それだけ答えてください。

#70
○佐々木政府参考人 中間報告の位置づけといいますか性格でございますけれども、表記もしてございますが、これまでの調査により判明している限度で、この方の健康状態の推移あるいは診療経過などの事実経過を、この段階である程度まとまった形で明らかにすることが相当であると記載をしているとおりでございまして、取りあえず、この方に関連して何が起こったのかということをお示しするという目的で作成したものでございます。
 ただ、その点については、名古屋の対応が適切であったのかどうかという評価を、更なる調査と併せてこれから行っていって、最終報告に入れます。

#71
○高井委員 いや、答えていただいていませんけれども、もう時間なので、最後にもう一問だけ、済みません、聞かせてください。
 何で入管はこうなっちゃったんですか、こんな組織に。長官、もう三十年以上勤めてこられて。
 私は、人事のこともあると思います。この間、外務省がずっと局長をやってきて、そして、次長も検察の方が、しょっちゅう、長官も来たり、いろいろあると思いますけれども、ここが、入管、こう変わるというのが明らかにならないと、我々、到底、賛成どころか採決にも応じられません。
 なぜ入管はこんな組織になっちゃったんですか。長官のお考えをお聞かせください。

#72
○佐々木政府参考人 まず、今回の死亡事件のこととも関連をしまして、私ども入管行政の役目の一部であります収容、人の身柄を拘束をする、人を収容するということが非常に責任の重大な行政であるということを認識をしています。
 その中で、現場の職員も緊張を強いられた業務の中で懸命に業務をしておりますけれども、その中で、今回の事案も含めまして、検証の結果、反省すべきものがあるという事案も発生しているところは事実でございます。
 これに対応しつつ、今回の法制度を変えるということも、現状の様々な問題点を改善するその一助とするという目的でこれまで組み立ててきたものでございますけれども、反省すべきところは反省する、それから、時代に合わせたと申し上げていいかと思いますけれども、その時代時代の要請、例えば人権意識の高まりでありますとか、内外から寄せられるお声等々に耳を傾けながら、行政そのものをレベルアップしていく、時代の要請に合ったものにしていくという努力をしつつ、また、運用面では着実にその制度を執行するということで、変化をしつつ、よい行政をつくっていきたいと思っています。

#73
○高井委員 いや、到底納得できません。是非審議を続けていただいて、長官に今後お越しいただいて、長官からもっとしっかりとした答弁をいただきたいということをお願いして、質問を終わります。
 ありがとうございます。

#74
○義家委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後二時八分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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