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2021/05/13 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 法務委員会 第13号 令和3年5月13日
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2021/05/13 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 法務委員会 第13号 令和3年5月13日

#1
令和三年五月十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     高橋はるみ君     山崎 正昭君
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     山崎 正昭君     宮崎 雅夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 香苗君
    理 事
                磯崎 仁彦君
                豊田 俊郎君
                真山 勇一君
                伊藤 孝江君
                清水 貴之君
    委 員
                小野田紀美君
                岡田  広君
                中川 雅治君
                福岡 資麿君
                宮崎 雅夫君
                森 まさこ君
                山下 雄平君
                難波 奨二君
                谷合 正明君
                川合 孝典君
                山添  拓君
                高良 鉄美君
                嘉田由紀子君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   手嶋あさみ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      伊藤  信君
       内閣府大臣官房
       審議官      難波 健太君
       警察庁長官官房
       審議官      堀  誠司君
       警察庁長官官房
       審議官      檜垣 重臣君
       法務省大臣官房
       政策立案総括審
       議官       竹内  努君
       法務省大臣官房
       審議官      山内 由光君
       法務省大臣官房
       司法法制部長   金子  修君
       法務省民事局長  小出 邦夫君
       法務省刑事局長  川原 隆司君
       法務省矯正局長  大橋  哲君
       法務省保護局長  今福 章二君
       出入国在留管理
       庁次長      松本  裕君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○少年法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(山本香苗君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、高橋はるみさんが委員を辞任され、その補欠として宮崎雅夫君が選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(山本香苗君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 少年法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省刑事局長川原隆司君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#4
○委員長(山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ─────────────

#5
○委員長(山本香苗君) 少年法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#6
○森まさこ君 自民党の森まさこです。
 少年法改正法案について質問します。
 少年法の在り方については、我が党及び与党内で長い間議論が重ねられました。上川法務大臣は、大臣御就任前、自民党司法制度調査会長、与党PT座長として議論の中心を担われました。この問題には様々な立場や御意見があり、議論の取りまとめには並々ならぬ御苦労があったものと推察いたします。当時の担当であった宮崎政久当時政務官にも逐次報告を受けておりました。
 上川大臣から、当時の議論の経緯や御苦労なさった点、改正案への思いなどをお聞かせ願いたいと思います。お願いいたします。

#7
○国務大臣(上川陽子君) ただいま森委員から御紹介いただきましたが、私自身、法務大臣就任前におきましては、自由民主党の司法制度調査会長として、また与党のPTの座長としてこの議論について携わらせていただきました。少年法のこの在り方に関しましては、様々なお立場の方々からも、いろんな視点からのヒアリングも行ったところでございまして、またその御意見の幅も大変広いということも改めて痛感したところでございます。
 この少年法でございますが、若年者全般を実は対象とするものではございません。あくまで罪を犯し、刑罰法令に触れ、あるいはそのおそれのある非行少年に対しまして、この刑事司法制度の中でその健全育成を図るものでございます。
 そして、その犯罪を取り扱う刑事司法制度でございますが、罪を犯した者が将来、及び、犯罪に及ぶことを防止する、いわゆる特別予防に資するだけではなく、私的制裁を禁止し、国家が刑罰権を独占する以上、被害者や社会の応報感情にも適切に応え、制裁の威嚇により犯罪を抑止する、いわゆる一般予防にも資するものであること、このことが求められるものでございます。
 そこで、少年法の在り方を検討するに当たりましては、少年の保護、教育の観点だけではなく、刑事司法全体の制度の在り方として、この刑事司法制度の存立基盤であります被害者を含めた国民の理解、信頼の観点をも考慮すること、これが不可欠であると考えております。
 このような観点から、これまでも累次にわたりまして少年法の改正が行われてきたものというふうに理解をしているところでございます。
 そこで、今回、十八歳及び十九歳の者の位置付けでございますが、まず平成二十七年の公職選挙法の改正によりまして選挙権を与えられ、国政に参画をする権利を得るとともに、国会議員の選挙という公務に参画する責務を負うことになりました。
 また、これらの者は、平成三十年の民法改正によりまして、民法上の成年として経済取引の自由を認められるとともに、親権者の監護権から外れる自律的な法的主体となるに至ったものでございます。
 これらの社会情勢の変化によりまして、十八歳及び十九歳の者は、成長途上にあり、可塑性を有する一方で、社会において責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場として位置付けられたと言えるところでございます。そうなりますと、十八歳及び十九歳の者にとりましては、少年法においてもその立場に応じた取扱いをすることが適当であり、刑事司法に対する被害者を含む国民の理解、信頼の確保という観点からも必要でございます。
 そこで本法律案でございますが、十八歳及び十九歳の者につきまして、少年法の適用対象として全事件を家庭裁判所に送致することとしつつ、特定少年として原則逆送対象事件に死刑、無期又は短期一年以上の懲役、禁錮に当たる罪の事件を加えること、また、検察官送致決定後の刑事事件の特例に関する規定は原則として適用しないこととすること、また、公判請求された場合には推知報道の禁止を解除することなど、十七歳以下の者とは異なる特例規定を定めることとしたものでございます。
 様々な論点が複雑に絡み合っているところもございまして、一つの問題を全て一つずつ解決すれば全体がバランス取れたものになるかといえば必ずしもそうではない。今申し上げました基本的な考え方に基づきまして、この段階におきましての一つの大きな方向性として、今申し上げたような法律案にまとめ上げるということになった次第でございます。

#8
○森まさこ君 今、やはり、この少年法改正法案の成立に至った過程にずっと携わってこられた上川法務大臣の御説明を聞いて、よく理解ができました。ありがとうございます。
 今、上川大臣のお話の中にもございましたが、少年事件にも被害者がいます。先日の参考人意見聴取でも、参考人の皆様方から口々に、被害者の救済が重大であると、重要であるというお話がありました。例えば大山参考人はこのようにおっしゃっておられました。これまで、少年法の改正が沸き起こるたびに加害者と被害者遺族の意見が衝突するように思います。その一番の問題は、被害者、被害者遺族を救済する制度がないことです。これはつくらないといけません。
 では、具体的に何をすべきか、これを議論すべきだと思います。そこで、私は、今日は犯罪被害者支援弁護士について取り上げたいと思います。
 被疑者や少年には早い段階から国選弁護人や付添人が選任される制度がありますが、被害者にはそのような制度がありません。私は弁護士時代、もちろん少年の付添人もしましたし、少年院に入った後も面会に通いました。一方で、被害者側の弁護士としても活動してまいりました。その経験から、多くの被害者や御遺族が国の支援制度がないために弁護人を頼めず、つらい思いをしている現状に疑問を感じてきました。
 そこで、大臣就任時に、法務省として初めてとなる犯罪被害者支援弁護士制度検討会議を創設いたしました。
 資料一を御覧ください。
 令和二年六月に指示し、七月に第一回会議を開催し、先月、すなわち令和三年四月に論点整理が出されました。資料一の中で私の方で注目した発言にマーカーを引いておきましたので、御覧ください。
 被害者には推知報道の禁止規定もありません。名前やプライバシーが報道され、マスコミが自宅に押しかけ、家族や御遺族も含めて、学校や職場でも二次被害に遭う苦しみを味わいます。また、加害者側との示談交渉も精神的にも大きな負担が掛かります。捜査への協力や裁判への参加など初めてで、法律的に分からないことだらけです。それらを全て捜査機関がきめ細かく相談に乗ってくれるわけではありません。民間支援団体も一生懸命やってくださるのですが、法的措置はできません。
 現在、法テラスにて犯罪被害者のための弁護人を選任する制度がありますが、その費用は国ではなく日弁連会員からの特別会費を充てているのです。本来、国民の安全を守る使命を持つ国がすべきことではないでしょうか。
 資料一の犯罪被害者支援弁護士制度検討会議の論点整理を踏まえて、今後、法務省として検討を開始すべきです。御答弁願います。

#9
○国務大臣(上川陽子君) 御指摘いただきましたこの犯行の、犯罪の加害者である、あっ、被害者に対しましての弁護人の選任制度ということでございますが、被害直後から犯罪被害者に弁護士を選任し、その費用を国費負担とすべきとの御意見がある、このことについては報告書も含めまして承知をしているところでございます。
 こういった御意見等を踏まえまして、今委員が御紹介いただきました、法務大臣に御就任していらっしゃるときに、こうしたこれに関しましての論点整理、これを目的として法務省に犯罪被害者支援弁護士制度検討会を設置し、有識者によりましての検討を開始していただきました。私が法務大臣に就任した後もこれを引き継がせていただきまして、議論を進めていただきました。そして、まさに令和三年の四月にこの検討会におきましての論点整理を取りまとめて公表したところでございます。
 検討会におきましては、犯罪被害者にも早期に弁護士を選任し、その費用を国が負担とすることにつきまして様々な御意見が示されたところでございます。一部委員からは、被疑者側に国選弁護制度があること等の均衡を考えて、国費負担のスキームをつくるべきとの積極的な御意見がございました。その一方、また、犯罪被害者支援には、弁護士のみならず、捜査機関や民間ボランティア等が様々関与するが、弁護士による活動の必然性や効果はどのように考えるのか、また民間ボランティア等の活動に優先して弁護士の活動に国費を投入すべき合理的理由は何かといった御指摘もあったと承知をしております。検討会では、このような様々な御意見に基づきまして論点整理を取りまとめたものでございます。
 もとより、弁護士によりまして犯罪被害者支援を充実させることが重要であるというふうに私自身認識をしております。検討会では、弁護士費用の国費負担の課題のほかに、現在の法テラスにおける犯罪被害者支援を充実させる方策につきましても御議論をいただいたところでございます。
 法務省といたしましては、検討会での委員の御意見等も踏まえまして、弁護士による犯罪被害者支援を充実させる観点から、担い手である日弁連、また法テラスと連携をしながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

#10
○森まさこ君 今大臣から検討を進めてまいりますという御答弁をいただきまして、本当にうれしい思いです。
 犯罪被害者支援弁護士については、法務省で取り上げられたことが会議体としてはなかったものでございますので、今回論点整理をして、もうそれで終わりかという不安の声をたくさん寄せられておりましたが、大臣におかれまして検討を進めていくということで、よろしくお願いいたします。また、犯罪被害者支援弁護士制度を含めまして、その他の犯罪被害者の支援を充実していく内容についても検討を進めていくようにお願いをしたいと思います。
 それでは、次の質問に入ります。
 少年法が改正されますと、十八歳、十九歳について二十歳以上と同様の刑事手続が取られるケースが増える可能性があります。ただ、十八歳、十九歳は精神的に未熟であり、捜査はより慎重になされなければなりません。まさに、取調べに弁護人が立ち会う必要性が高い場面です。三月三十日に続き、四月八日の当委員会でも、私から取調べに係る弁護人立会いについて質問をさせていただき、上川大臣に御答弁いただきました。
 資料二を御覧ください。
 資料二の議事録のマーカーのとおり、上川大臣からこのような御答弁をいただいております。検察の在り方検討会議を受けて設置された法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会において弁護人立会いにつき議論されたものの、捜査の在り方を本質的に変質させる可能性があることを踏まえて、導入しないこととされたと御答弁されました。まあ法務省がそのように大臣に報告したのだと思います。しかし、本当に導入しないこととされたのでしょうか。
 そこで、改めて検察の在り方検討会議と特別部会での議論の経過について私の方で確認いたしました。配付しました資料三、時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想、これは法制審の特別部会の取りまとめです。その二十一ページ、資料三にございますので御覧ください。
 ここには、弁護人立会いについて、被疑者取調べの適正を確保するとともに、被疑者において供述するかどうか、あるいは供述調書に署名押印するかどうかを弁護人と相談の上で判断できるようにして、弁護人による援助を十分なものとする必要があり、また、諸外国でも被疑者取調べへの弁護人の立会い制度を導入していることが多いことから、被疑者取調べへの弁護人の立会いを認めるべきとの意見があったと賛成意見が記載されております。それに続けて、これに対しては、被疑者の取調べに、中略、反対意見もあり、一定の方向性を得るに至らなかったとあります。賛成意見に続けて反対意見が記載されているわけです。
 そしてその後に、この度、取調べの適正確保に資するものとして、被疑者取調べの録音・録画制度を導入することとしているところであるが、取調べへの弁護人の立会いについては、それ以上に取調べへの支障が大きいとして強い異論があることから、当部会において結論を得ることは困難であり、その要否及び当否も含めて別途検討されるべきであると記載されています。
 導入されないこととなったなどと書いていません。賛成意見と反対意見の両論があって一定の方向性を見ることができなかったことから、この部会ではそれ以上議論されず、別途検討することとなったというのが正しい経緯です。
 資料二と資料三の違いを私が法務省に指摘しましたら、法務省は過去の答弁と同じく答弁しただけですと言うのです。では、過去の答弁とは何ですか、見せてくださいと言いましたら、資料四の議事録が出てきました。資料四を御覧ください。資料四のマーカーを引いたところが法務省の答弁で、林眞琴さんの答弁ですが、導入しないこととされたとどこに記載されているのでしょうか。書かれていません。
 法務省は一事が万事この調子で、自分たちのやりたくないことは少しずつ違うことを言って、議事録の中で既成事実をつくり上げていく。そういうやり方はやめるべきです。取調べの弁護人立会いに反対であるならば堂々と理由を述べるべきであって、少しずつやらない方向へ答弁をすり替えていくような方法を、国権の最高機関である国会の答弁という国民に対して最も誠実であるべきで、取るべきではありません。
 刑事局長、前回の答弁は局長が決裁し、大臣に報告したのでしょうが、導入しないこととされたとの部分は法制審の議事録に書いていないのですから、撤回していただけますか。

#11
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
 被疑者の取調べへの弁護人の立会い制度につきましては、平成二十八年の刑事訴訟法改正に先立つ法制審議会新時代の刑事司法特別部会において議論をされたところでございますが、取調べの在り方を根本的に変質させて、その機能を大幅に損なうおそれが大きいとの問題点が指摘されたところでございます。
 そのため、この制度につきましては、議論が一定の方向性を得るに至らなかったことから、合計で三十回行われた特別部会の第十九回会議の段階で、先ほど委員からも御指摘がありましたが、委員、幹事の総意により、検討指針と検討事項を中間的に取りまとめられた時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想におきまして、先ほど申し上げた問題点を挙げつつ、委員の資料にも記載されておりますとおり、取調べへの弁護人の立会いについては、それ、これは、ここに言うそれというのは取調べの録音・録画制度を指すものでございますが、それ以上に取調べへの支障が大きいとして異論があることから、当部会において結論を得ることは困難であり、その要否、当否も含めて別途検討されるべきであるとされて、それ以後は同部会におきまして検討対象としないこととされ、その結果、その際の法制審議会の答申には盛り込まれず、平成二十八年の刑事訴訟法改正においては制度として導入しないとされたところでございます。
 委員からその大臣の御答弁の内容について御指摘をいただいたところでございますが、御指摘の答弁につきましては、ただいま申し上げた経緯を端的に御説明したものであるところでございます。

#12
○森まさこ君 刑事局長から今答弁がされましたが、法制審の議事録をそのまま読む、しかし賛成意見については読んでいません。反対意見のところだけ読んで、そして答申に取り込まれることがなかったというふうに述べたところまではまあいいと思います。本当は賛成意見と反対意見両方述べるべきですが、法務省は賛成意見口から出せないんでしょうから反対意見だけ述べる、これだけでも不公平だと思いますが、資料四の林眞琴さんが述べた答弁のように、反対意見だけ述べて、その結果、答申に盛り込まれることがなかった、これは事実ですよ。
 しかし、法制審の議事録を見ますと、じゃ、答申には取り込まれないけれども、弁護人の立会い制度について導入しないのかどうかということについては、その要否、つまり導入するかしないか、当否、妥当かどうか、要否及び当否も含めて別途検討されるべきと書いてあるんですよ。それを、前回の答弁のように導入されないこととなったというふうに述べたら、その議事録の部分だけ見たら、ああ、法制審で導入されないというふうに結論が出たんだと誰もが誤解してしまいます。
 ですから、その導入されないこととなったというのは過去にどこにも書いていないんですから、撤回していただけますか。

#13
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 法制審議会における議論の経緯については先ほど御答弁申し上げたところでございます。
 繰り返しになりますが、大臣のさきの答弁は、先ほども答弁申し上げましたとおり、平成二十八年の刑事訴訟法改正に先立つ法制審議会の部会において議論の結果、中間的な取りまとめの後は検討対象としないこととされ、答申には盛り込まれず、その結果、平成二十八年の刑事訴訟法改正においては制度として導入しないとされたところという点を端的に説明された答弁でございます。したがいまして、説明として、特段間違えた説明をしたとは考えておりません。

#14
○森まさこ君 説明として間違いであると思います。
 今大臣が聞いておられますから、大臣に最後御判断いただいて答弁し直していただきたいと思いますが、今日はこの質問は全国の弁護士そして犯罪被害者の方がオンラインで見ておられますからね、それをよく理解した上で、しっかりと責任を持った御答弁をしていただきたいと思うんですよ。
 法務省が取調べの弁護人立会いを非常に慎重にしていくのは、私も身をもって経験いたしましたし、よく分かっています。それは理由もあるんですよ。私はその理由も理解できますよ。つまり、我が国においては取調べの手法が非常に限定的なんです、国際的に比べてですね。これは人権を守るためにしっかりやっておられると思います。その中でやはり犯人を捕まえていくということの捜査を一生懸命やって、結果も出していると思います。被害者のために真犯人を突き止めていらっしゃると思います。その点については高く評価をしていますし、尊敬しています。
 しかし、弁護人の立会いを一切認めないということでこのまま行けるんでしょうか。また、少年法を改正して、十八歳、十九歳の者が独りぼっちで取調べ室で検事さんと相対するということ、あってよいのでしょうか。
 私は、取調べの手法が限定的であるということが捜査機関の皆さん方の理由だというならば、そうであるならば、具体的制度設計により取調べの手法を諸外国並みに充実させることは果たしてできないのかなどと議論をすべきですよ。そうしないで議事録を少しずつすり替えるなんということを、こそくな手段を取るべきではないんですよ。
 法制審の特別部会では、そもそも録音、録画の導入についても、捜査への支障があるということで強い反対意見がありました。でも、結果として、この国会で皆さんで議論して、録音、録画については導入されたんです。あのとき、強い反対があったんです。しかし、結果として、これ導入した結果、どうでしょうか。特に問題ないじゃないですか。捜査への支障は見られず、かえって検察官も積極的に任意性の立証のために利用するようになっているわけです。私もその現状を法務大臣のときに報告を受けましたよ。
 ですから、弁護人立会いについても、別に全部の弁護人立会いと最初から言っているわけではありませんよ。例えば十八歳、十九歳、又は今問題となっている性犯罪、こういうときにやはり、具体的な制度設計するべきではないかという議論をされる場が設けられるべきではないかというふうに私は思います。
 この資料で示しました、資料三で示しました法制審の議事録、これは一体いつですか。平成二十五年一月二十九日、既に八年が過ぎているんです。そのときに、別途検討の場を設けると書いてあって、既に八年が過ぎているんです。検察の在り方検討会議では、フロッピーディスク改ざん事件の村木厚子さんが弁護人立会いの必要性を説かれました。その本当にヒアリング調書は涙なしでは読めないものです。
 繰り返し申し上げているとおり、この点は国際社会からも大きな批判を受けておりまして、カルロス・ゴーン氏からも批判を受けて、私はカルロス・ゴーン氏に全て反論いたしましたが、この一点だけは反論しにくかった。だから、刷新会議というのを立ち上げて、その中で弁護人立会いについて議論をしていただきました。
 上川大臣は、その刷新会議を受けて、取りまとめが、昨年十二月に刷新会議の取りまとめを受けて、刑事局に弁護人立会いについての検討を指示されたわけです。それを前回の当委員会で御答弁をなさいましたから、私が、じゃ、どういう検討をするんですかと言ったら、先ほどのような、導入されない、しないこととされたという答弁をされたので、私は、三回目ですけど、また今日聞いているわけです。
 この刑事局長と私の今議論をお聞きになっておられて、上川大臣に御質問したいと思います。
 法制審で導入しないこととされたのではなく、賛否両論あったため別途検討することとなったということでよろしいですか。

#15
○国務大臣(上川陽子君) 委員御指摘の、被害者、取調べへの弁護人の立会いの制度、またあるいはその権利の制度につきましては、法制審議会の新時代の刑事司法制度特別部会におきまして、取調べの録音、録画と並んで議論がなされたところでございます。しかしながら、この議論の中では、この取調べへの被害者、あっ、被疑者取調べへの弁護人の立会い制度につきましては、取調べの在り方を根本的に変質させ、その機能を大幅に損なうおそれが大きいといった問題が指摘されたことから、法制審議会においては答申に盛り込まれることがなかったわけでございます。
 本制度につきましては、やはり何といっても社会情勢、様々大きく変化をしているところでございまして、そうした変化等も踏まえつつ、時代に即したものとなるよう不断の検討を続けていくことが重要であるというふうに考えております。
 まさに委員が法務大臣のときに立ち上げ、そしてまとめていただきました法務・検察行政刷新会議の報告書の中でも、社会の変化に留意しつつ、幅広い観点からの検討がなされるよう適切に対応すること、この被疑者の取調べへの弁護人の立会いの制度を含む刑事司法制度全体の在り方に関してそうした御意見を頂戴したところでございます。
 この点につきまして、先般の御質問に対しましてお答えをさせていただきましたが、私からは刑事局に対しまして適切に対応するよう指示をしたところでございます。

#16
○森まさこ君 刑事局に対して適切な対応をするように指示をしていただきまして、ありがとうございます。
 しかし、大臣が指示をされたその後に、導入しないこととされたという答弁書を刑事局長が書いたというのもこれまた事実でございます。この議事録がこのまま後世ここに残ってしまいますと大変なことになります。
 それなので、簡潔に御質問いたしますけれども、前回の御答弁で、法制審で導入しないこととされたというのは誤解でございますね。

#17
○国務大臣(上川陽子君) 今、導入されないこととされたその前に、様々な、今私が申し上げたようなことも含めまして、説明が足りなかったということはあろうかと思います。
 そのことも含めて、改めて今、私自身申し上げたところでございますので、その意味で、今これからの取組の中で社会の変化にしっかりと対応していくことができるように適切な対応をと、こうした法務・検察行政刷新会議の御提言もございます、前進をしていくことにより不断の検討を続けていくという制度設計でございますので、制度の在り方につきましては不断の検討を続けていくことが何より大事であると、こういう強い認識を持っておりますので、その意味で刑事局の方に指示をしたと、こういう流れでございます。

#18
○森まさこ君 今大臣は説明が足りなかったというふうに言っていただきまして、ありがとうございます。
 それでは、法制審に書いてあるように、取調べの弁護人立会いについては、その要否及び当否も含めて別途検討されるべきであるということに応えて大臣から刑事局に御指示がされたということでよろしいでしょうか。

#19
○国務大臣(上川陽子君) 被疑者の取調べへの弁護人の立会い制度、これを含みます刑事司法制度全体の在り方、このことも法務・検察行政刷新会議の報告書の中で、適切な対応をということで御意見が頂戴したところでございます。このこと、全体の中でしっかりと適切に対応するということについて指示をしたという内容でございます。

#20
○森まさこ君 ありがとうございます。
 刷新会議の中でも、全体の在り方で検討すべきということ、また八年前の法制審においては、全体の中でではなく、取調べへの弁護人の立会いという項目について、その要否及び当否も別途検討されるべきであるというふうに書いてありますので、それを踏まえて、別途検討というのはいつスタートするんでしょうか。刑訴法の三年後の見直し規定が付いております。三年後の見直し時期に向けて議論をいつスタートさせるのか、お答えください。

#21
○政府参考人(川原隆司君) お答えを申し上げます。
 取調べの弁護人の立会い制度につきましては、今大臣から御答弁がありましたように、大臣から適切に対応するようにという御指示をいただいたところでございます。
 今御指摘がありました平成二十八年の刑事訴訟法の一部改正法の附則でございます。これにつきましては、この改正によって導入された制度につきまして、改正法の施行状況についての検討を加え、その必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとされているところでございまして、被疑者の取調べへの弁護人の立会い制度につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、この平成二十八年の刑訴法一部改正では導入されなかった制度でございますので、直接的にこの三年後、附則によります三年後検討の対象となっていないことから、これを三年後検討との関係で取り上げるのか、どのような方向で検討するのかということにつきましては現時点ではまだ決めておりませんので、今後適切に対応してまいりたいと考えます。

#22
○森まさこ君 導入されることとなかったとまた繰り返していますが、導入されることとなかったのではなくて、法制審に書いてあるとおり、要否及び当否も含めて別途検討されるべきこととなったので、別途の検討を早く始めていただきたいと思います。
 また来週、私質問をさせていただきます。ありがとうございます。

#23
○難波奨二君 立憲民主党の難波奨二でございます。
 この法務委員会は、私は初心者マークでございますので、安全運転で質問をしてまいりたいというふうに思います。
 先ほどの森先生の御質問でございますけれども、付添い弁護人の関係の御質問、極めて傾聴に値する御質問だったというふうに思います。国の制度や社会の制度、こうしたものを新しくつくったり、そして改正ですね、こうしたことを行うことは、当然、今大臣の方から御答弁ございましたけれども、社会環境の変化や、そして国民の皆さんの意識の変化、こうしたことを十分踏まえて見直していくということは、これは私は当然のことだというふうに思います。
 しかし、やはりその上で、本当に国民の皆さんの理解度というものが、様々な制度の改変とか新しくつくっていく場合に、理解というものが十分得られているのかどうなのか、そして、その上で、国民の皆さんがその変わっていくこと、新しくつくられていく制度に対して、その意識というものが十分醸成されているかということが私は極めて重要だというふうに思っております。
 国家の独断的な意思によって様々な制度がやっぱりつくられていくということは、私は断じてあってならないというふうに思いますし、政治というものは現実をやはりきちっと見るべきだということをまず申し上げまして、上川大臣と議論をしてまいりたいというふうに思います。
 法務行政の中で、今申し上げたように、国民の世論が複数にわたってあるものの特徴的な中で、死刑制度があるというふうに私は認識しております。上川大臣も三度の大臣御就任でございまして、この間、十六名の刑の執行をなされております。内心本当に大変な心労があったというふうに推察をしておりますが、私の死刑制度に対する考え方をまずお述べいただきまして、上川大臣の基本的な死刑制度に対するお考えを、何度ももうお答えになられておられると思いますけれども、改めてお聞きをしたいというふうに思います。
 私は、国家といえども正当防衛以外の理由で殺人を起こすべきではない、つまり、死刑と戦争というのは国家による殺人であるという、こういう考え方でございます。
 二つ目は、冤罪も生まれているわけでございますが、誤判の可能性というのは常に付きまとうということでございます。
 また、憲法三十六条には、残虐な刑罰というものは禁止をされております。
 そして、最後でございますけれども、刑務官の皆さんにおかれては、死刑執行という殺人を強いるこの非人間性を与えることになるわけでございまして、そうした観点から、私は、当然、被害者の皆さんの心情というものを察すれば厳罰というものは私は残すべきだというふうに思っております。終身刑あるいは仮出獄のない無期懲役、こうしたものをやはり重要視していくことが大事じゃないかというのが私の考え方でございます。
 改めて、この死刑制度に対する大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

#24
○国務大臣(上川陽子君) 冒頭、委員から、この刑事司法の制度そのものにつきましても絶えず不断の見直しをしていく、また検証していくという謙虚な姿勢、こういったことが極めて大事であると、こういう御指摘、私はそのような思いで三度にわたりましてのこの法務大臣としての任に当たらせていただいております。毎日が大変緊張感のあるところでございます。こうしてこの場に及んでも、今こうして話をしていても、全国の中で安全、安心な環境を保っていくことができるのか、職員がそれぞれの部署でしっかりと目的に照らした活動ができるのか、絶えずその思いを持って、想像を、イメージをしっかりと持った形で法務行政に取り組ませていただいております。
 今、死刑制度のお話がございました。大変重要な制度でございます。そして、この歴史の中でも、今赤れんが棟の中にはギャラリーがございますが、過去の様々な制度の改正の中でも、また動きの中でも、この問題について、一貫して非常に大きな問題として真っ正面から向き合っていかなければならない、こうした問題であるということも意識をしております。
 また、奈良の監獄の中では、昔の江戸時代の監獄の状況について展示をしている場面もございます。様々な、そうした折の中で、皆さんが、国民の皆さんが理解をしていただく、触れていただく、そしてよく考えていただく、こういったことの環境をつくっていくことは、私は大事だと思います。
 紙一つで物事がイメージできるものでは全くありませんので、そうした日頃の中の、地域の中の、そして五大監獄と言われた時代から、またその前の時代から、五大監獄ということで、近代国家が誕生するということの中で、西欧に引けを取らない監獄を造るという思いの中で、今、辛うじて奈良の刑務所がその全体像を持っているわけでありますが、取り壊されているそうした現場の中で、やはりつなげていかなければならない。と同時に、その死刑制度におきましても、そういう問題として、時間をしっかりと、過去からというものを考えながら未来に向かって考えていく、そのことに国民の皆さんにも御理解と意識をしっかり持っていただくべきことであるというふうに思っております。
 一般論でございますが、人の命、人の命を絶つという極めて重大な刑罰でございます。その執行に際しまして、本当に慎重な上で慎重に対応していくと、このことが必要であるというふうに考えております。同時に、法治国家であります。まさにこの国会で、立法府の中で、国民の代表として先生方に御議論をいただく、そしてそれを国民の皆さんがいろんなチャネルで御覧をいただく、こういうところの中で法治国家は鍛えられていくものというふうにも思うところであります。
 法治国家におきまして、確定した裁判の執行、これが厳正に行われなければならない、これも言うまでもないことでございます。特に、死刑の執行判決につきましては、極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対しまして、裁判所が慎重な審理を尽くした上で言い渡すものであるということでございまして、法務大臣として、その裁判所の確定した判断、これを尊重しつつ、法の定めるところに従って、慎重かつ厳正に対処するべきものであるというふうに考えているところでございます。
 先ほどは、私の法務大臣時代の状況につきましてお言葉にしていただきました。私自身、こうした観点に立ちまして、慎重な上にも慎重に慎重に検討を重ねて、ぎりぎりのところで発したものでございます。

#25
○難波奨二君 この死刑制度に対する国民の皆さんの意識というのは、皆さん御案内のとおり、この死刑制度の存続という考え方の国民の皆さんが多いのが我が国の実態でございます。
 そして、世界的にはこの死刑制度というものは廃止化に向けて進んでいるのも、これも世界的な傾向であるということも現実でございまして、先ほど来から指摘しておりますように、国民の皆さんのやっぱり意識の変化があるならば、この死刑制度につきましても、我が国において今後変節をしていってくれることを私は希望をしておきたいというふうに思います。
 次の質問でございますけれども、この国会に法務省として、非常に、私流に言わせていただくと筋者の法案を二本出されまして、この国会の中で二本もの筋者を、国会にその法案を提出したことが、私は実は理解なかなかできないんですよ。スケジュールありきという、この委員会の中でも議論がなされておりますけれども、まさにそのスケジュールありきで、この少年法の改正にしても、今後、参に来るかどうか分かりませんけれども、今衆議院で議論しておりますこの入管法についても、私は慎重にやっぱり議論していくのは当然でございますし、拙速にやはり法案を改正していくというのは大きな問題があるというふうに思っておりまして、これは法務省、どなたが答弁するか分かりませんが、事務方の方、この重い法律を二本出してもこの国会大丈夫だと思った根拠をどうかお述べいただけませんか。どなたでも結構でございます。

#26
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 私の立場で、済みません、全体をお答えすることが難しいことを御理解いただいた上で、刑事局所管の少年法の改正でございます。
 これは、前回以来御答弁をさせていただいておりますが、公職選挙法の改正の附則におきまして、民法と少年法における年齢の取扱いを検討するようにということでございました。それを受けて法制審議会で議論をいたしまして、私ども、昨年の秋に法制審議会の議論が取りまとまったものですから、この少年法につきましてはこのタイミングで改正をお願いするのが相当であると判断して、その必要性を踏まえて国会に提出させていただいたところでございます。

#27
○難波奨二君 上川大臣は極めてこの法務行政に造詣があり、御優秀な政治家でございます。この大臣の下で難しい法案を国会の中で急いで仕上げようなんというような、そんな、邪悪と言えばちょっと失礼かも分かりませんけど、そのような御見識で提出されたのなら、私は、法務省、ここは真摯に受け止めていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
 入管法について私は幾つか御質問いたしますけれども、この入管法の改正というのは、この委員会でも議論になりました。また、今衆議院でも議論になっておりますけど、この名古屋におけるスリランカのその女性の問題の解決なくしてこの入管法の審議というものは私は進めるべきじゃないというふうに思いますよ。
 法案が閣議決定をされました。これ二月の段階でございます。そして、お亡くなりになられたのが三月の、六日でよかったですかね、六日にお亡くなりになられたわけですよ。つまり、法を確定して、政府が、そして国会に提出して、そしてその後にこのような事案が起きたわけです。入管法の改正とこの名古屋入管のこの女性の死亡事件についてはこれはやはり密接不可分の関係があるわけで、何に問題があり、そして法を改正する上で、このような理由で法改正を行っていくんだと。しかし一方で、名古屋におけるあのような事故、事件があって、そのことは全く闇の中に葬り去ったまま、あるいは包み隠したまま、この入管法の審議をこの立法府の中で私はこれ以上審議するというのは極めて問題だということを申し上げておきたいと思いますが、大臣のお受け止めはいかがでございますか。

#28
○国務大臣(上川陽子君) 先ほど委員から御質問がございまして、大変大きな法案を、一番初めに所有者不明土地の問題がございまして、御審議をいただきました。
 国会の中で、一つずつの法案につきまして、そこの、法案を提出するに至るプロセスそのものの中である意味では立案作業というのが行われるわけでありますが、問題、課題が様々な委員会やそして検討会、あるいは国民の皆様からも、あるいは専門的なお立場の皆様からも長年にわたりまして御指摘をいただいたこと、その中で課題としてしっかりと抽出をし、そして制度を不断の検証をしながら改めるべきこと、こういったことをプロセスの中で積み重ねてきたその中で、今のこの国会の中で法案をお出ししていると、こういう流れでございます。
 その意味で、今回も、出入国在留管理にかかわりましては、今、海外との非常に国境を越えた移動というものが本当に増えているという状況、さらに、そういったことを踏まえて、今ある課題の中でも大切な部分についてしっかりと対応していくべきことということで今回の法律案を出させていただきました。

#29
○難波奨二君 大臣から先ほどの答弁の中で法治国家というお言葉がございました。我が国は当然法治国家でございます。その法治国家、そして、この法務、法務行政というのはまさに、この憲法なり法律なり、ある意味番人であるべき必要があるわけで、今回のこの名古屋における問題の解決というものをやっぱり放置するというのはこれは問題がありますよ、誰が考えても。
 そこで、大臣、改めてちょっとお聞きいたしますけれども、中間報告が四月の九日に法務省の方から出ました。この中身の問題はもう指摘をいたしませんけれども、最終報告は七月に行いたいというような御答弁を衆議院の審議の中で御表明をなされておりますが、このやっぱり最終報告を国会に早く提出していただいて、この入管法の改正の審議と併せてやはり進めていくというのが、これは政治の常道ですよ、それは。そのことを全く、先ほどから私申し上げておりますけれども、蚊帳の外に置いて法律だけ改正するということは許せない、このように御指摘を申し上げておきたいと思います。
 最終報告を七月というふうにおっしゃっておりますが、国会が終了した後の御報告でございます。そうしたことを許すわけにはいきません。四月の九日が中間報告でございますから、最終報告を早く国会に提出していただく、もう時間も随分経過しておるわけでございますから、そのことをお約束いただけませんか、大臣。

#30
○国務大臣(上川陽子君) 私、国会の、衆議院の方の答弁で、今のような期日について私自身の口から言及したことはございません。申し上げたのは、今委員御指摘のように、できるだけ速やかに真実の解明、そしてそれを国会の中で御議論いただく、このことにつきましては、当初からこの調査委員会を設置をするに当たりまして指示してきたところでございます。
 中間報告につきましても、とりわけ、亡くなられた方が体調不良のところの部分が、時々刻々と言うと語弊がありますが、非常に変化をしているプロセスがございました。その間、お医者さんとのやり取り、また、外の病院に診察に行って、そしてその中での様々なやり取り、こういったことについては外部の方の調査も必要でありますので、そういった医療関係、特に今回は体調不良の部分が適切に対応してきたかどうか、このところが非常に大きな焦点でございましたので、これにつきましてはしっかりと対応するようにと指示をして、また第三者の方にも入っていただいて、なるべく早い時期に皆様にその真実についてオープンにするということで中間報告も少し急がせた部分もございまして、少し、その意味で、いろんな御指摘がございましたので、それは更に深めてまいりたいというふうに思っておりますので、最終報告を引き延ばすとかそういうものでは全くありません。しっかりと御議論を、公表してまいりたいというふうに思っております。

#31
○難波奨二君 重ねて申し上げますけれども、早くやはり提出をしていただきたい、国会が開いている間に提出をしていただきたい。入管法のこの改正の審議というのは、やはりそれがあって初めて成り立つものだということを改めて御指摘を申し上げておきますので、これは自民党の皆さんも公明党の皆さんも、やはり党内で議論していただきたいというふうに私は思いますよ。そういった、法務省自体もそのことを重く受け止めていただきたいというふうに思います。
 遺族、ごきょうだいの方が日本においででございます。御案内のとおりだというふうに思いますが、大臣は衆議院の審議の中で、御遺族からの大臣面会の御希望についてどのように御答弁されましたか。また、今どのように、今の現時点でどのように御遺族の皆さんとの面談についてお考えでございましょうか。

#32
○国務大臣(上川陽子君) 今まさに最終報告に向けまして、様々な事実を更に掘り下げながら、様々な御指摘もいただいたこともしっかりと踏まえた形で論点の整理をし、そして課題がどこにあったのか、そしてそれがどこに問題、課題があるのか、こういった検証を加えながら最終的に改善策も含めて最終報告をまとめると、こういう段階であります。
 先ほど申し上げたように、いろんなことがある中での今回の最終報告に向けての検討でございますので、そのプロセスの中で私自身がいろんな形で介入をする、あるいは意見を言う、こういったことについては私は慎むべきであると、こういう姿勢で臨んでまいりました。客観、公正であるということがやはり大事であるということでありますので、その意味で第三者の方に入っていただくということであります。
 そのプロセスの中ということでございますので、私自身、いろんな御意見もございますけれども、今来日されて、そして今待機をしていらっしゃるということでございますが、その御遺族の方、あるいは、の方のその真実を知りたいと、こういう思いにしっかりと応えていく必要があるというふうに強く感じておりますので、そういったところに徹してまいりたいというふうに思っております。
 言葉はどういうふうに申し上げたかというのを一字一句申し上げることはできませんが、そういう思いでいるということを御理解いただきたいと思います。

#33
○難波奨二君 大臣が直接お会いになられるというのが、私は一番我が国としてもその利益につながるんだというふうには理解しておりますが、それがかなわないならば、是非法務省の方できちっとした丁寧な私はやっぱり対応をなされ、そして今御答弁ございましたけれども、その真実について御遺族にやっぱり語ることの必要性というものはあるというふうに思っておりますので、そのことの認識は、大臣、よろしゅうございますか。

#34
○国務大臣(上川陽子君) この点につきましては、来日をされる、あるいはウエブで行う、いろんな形で、今のコロナ禍でございますので、何よりもそのことのリスクについては心を配らなければいけない事柄というふうに思っております。この来日の折に、またそうした事実についての報告については誠意を持って対応してまいりたいというふうに思っております。

#35
○難波奨二君 この名古屋入管におけるそのお亡くなりになられた方のこの映像の公開を私どもは求めておるわけでございますが、大臣はその映像は見られましたか。

#36
○国務大臣(上川陽子君) 私は見ておりません。

#37
○難波奨二君 是非この録画映像を国会に私は提出をしていただきたいというふうに、これは重ねて、衆でもそのような要求をしておりますが、この場でも私求めておきたいと思いますが、大臣の見解をお述べいただきたいと思います。

#38
○国務大臣(上川陽子君) 今の御質問でございますが、法務省といたしましては、亡くなった方が収容されている間のビデオの映像ということでございますが、開示については相当ではないというふうに考えているところでございます。
 その理由として、まず、このビデオ映像でございますが、施設、この収容施設の設備の状況、職員の状況等を撮影したものでございます。保安上の観点から、その取扱いにつきましては非常に慎重な検討を要すると考えております。
 すなわち、ビデオ映像を開示することによりまして、施設の設備、形状、職員による巡回の体制、頻度、監視カメラの撮影範囲、解像度などの具体的状況が公となり、逃走の防止、あるいは施設内の秩序維持といった保安上の対応に支障を及ぼしかねないということ。また、死亡に至る状況を撮影をした映像でございまして、亡くなられた方の名誉又は尊厳の観点からも慎重な配慮を必要とすること。さらに、現在、先ほど申し上げたように、最終報告に向けまして第三者の方に調査に加わっていただいているところでございます。公正、客観的に調査、検討を行わせているということでございます。
 そうしたこともございまして、今、ビデオ映像の開示につきましては、そのような理由も申し上げまして、相当ではないということを申し上げてきたところでございます。
 本件に関しましては、様々な御指摘、そしてまた疑問が寄せられているところでございまして、更に調査を深掘りをするということ、そして、やっぱり第三者的な目線でしっかりと検証していただくということについては、要するに初めに決めたからこうだというようなそういうものではなく、どんどん御指摘をいただいたことを踏まえて最終報告の中でしっかりとお答えができるようにするようにと、こうした指示を重ねて重ねてしているところでございます。

#39
○難波奨二君 是非、この録画のビデオですね、この参の法務委員会に提出をいただきますように、委員長、取り計らいをお願い申し上げたいと思います。

#40
○委員長(山本香苗君) ただいまの件につきましては、後刻理事会におきまして御協議させていただきます。

#41
○難波奨二君 この入管法につきましては、皆様御案内のとおりでございまして、昨日の衆議院の法務委員会では採決ということには至りませんでした。明日また行われるかどうかも微妙なところでございます。
 衆議院における質疑は僅か十五時間でございまして、先ほど来私が指摘している問題の解明というものが全くない中で、仮に与党が強行採決を行うようなことがありまして参議院にその法案が送られてきましたら、私は断固として闘いますのでね、安易にその審議というものを私は認めるわけにはいかないということを申し上げて、この質問は終わってまいりたいというふうに思います。
 次でございますけれども、少年法でございます。
 これも、もう論点が出尽くしていると言うと、まだまだ充実した審議を求めなくちゃならない立場からいうとその言葉は申し上げるわけにはいかないわけでございますが、ちょっと、分かりやすく私質問いたしますので、分かりやすく御答弁をいただきたいというふうに思いますけれども。
 今回の改正はですね、少年法にありますいわゆる犯罪を犯した少年の立ち直りというもの、つまり更生ですよね、そして少年の保護、こうしたことをやることによって社会全体を安定化していこうとしているのか、あるいは一方、厳罰化によって、少年が犯した罪の厳罰化によって社会の安定を行おうとしているのか、どちらを選択しようとなされている改正案なのか、お答えをいただきたいと思います。

#42
○国務大臣(上川陽子君) まず、少年法の第一条に目的規定が設けられているところでございます。少年の健全な育成を期すということでございまして、今回、本法律案におきましてはこれを改正することはいたしておりません。その上で、少年法でございますが、罪を犯し、刑罰法令に触れ、あるいはそのおそれのある非行少年に対しまして、刑事司法制度の枠内でその健全育成を図るものでございます。
 したがいまして、少年法の在り方検討するに当たりましては、少年の保護育成の、教育の観点だけではなく、刑事司法制度の在り方として、一般予防また特別予防ということでございますが、そういったことを念頭に置きながらバランスを取っていくということでございます。いずれか一方だけを優先させるべきものではないというふうに考えておりまして、これまで少年法につきましても累次の改正をしてまいりましたけれども、まさにこのような観点から行われてきたものというふうに考えております。

#43
○難波奨二君 その上で、先ほど大体論点は絞られてきているという話いたしましたけれども、この改正法が仮に成立をいたしまして、五年をめどに、またいろんな改正が必要ならば改正していこうという、こういう法の立て付けになっておるわけでございますけれども、大臣、衆議院における議論、あるいは参議院における議論、それを踏まえまして、この五年間の、この法が改正施行された後のこの五年間、どういったテーマといいますか項目といいますか、新たに改正を行った制度を注目をして五年後のこの見直し等に向かっていかなくちゃならないかという法務省全体としての現時点における課題と、あるいは着眼点を、あるいは継続的な注視というものを必要とすべきテーマ、課題についてどのような御認識お持ちか。もうこれ総論的でといいますか、申し上げていただいて結構でございますので、お述べいただきたいと思います。

#44
○政府参考人(川原隆司君) お答えをいたします。
 委員御指摘のとおり、本法律案の附則八条におきまして、施行後五年が経過した場合の段階で、十八歳及び十九歳の者に係る手続、処分に関する制度の在り方に関し、それまでに蓄積された運用実績やその時点における社会情勢や国民の意識の動向を踏まえて検討を行うこととしております。
 今委員から、どの点に法務省として注目するのかということでございます。法務省といたしましては、どの点にというよりは、今回まさにこの改正法附則八条にのっとりまして、今回改正されたものにつきまして全体的にきちんと注視をして検討をした上で、施行後に何らかの課題等が生じた場合にはこの検討の対象になるんだと、そういう認識でいるところでございます。

#45
○難波奨二君 いや、それは、そういう答弁じゃ、それは駄目ですよ。国民の皆さんにやっぱり分かりやすく説明しなくちゃならないんですよ。
 今回改正を行う、そのことが我が国にとって、犯罪が起きるかどうか等の変化がどう変化してくるかとか、青少年のやはり、今申し上げておるように、更生というものは私は物すごく大事だというふうに、の立場でございますが、本当に青少年にとって今回の改正というものが少年法の求めるそういう基本理念に合致しているのかどうなのかというようなことをやはりきちっと注目をしていただかないと、立法事実がないじゃないかというふうに我々は主張しておりますが、そんなことはないというふうにおっしゃっていますけれども、そんな答弁じゃ、全く立法事実なんてないということを自らおっしゃっているようなものでございますよ。いかがでございますか。

#46
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 そういった観点で改めて申し上げますと、先ほど大臣から少年法の関係で答弁がありました中に、少年法の在り方を検討するに当たっては、少年の保護、教育の観点だけではなく、刑事司法の在り方として、一般予防などの犯罪対策や、刑事司法制度の存立基盤である被害者を含めた国民の理解、信頼の観点をも考慮することは不可欠だということでございますので、こういった観点でもって改正法が社会の中でどのように運用され、またそれが国民から見てどのように捉えられているかと、そういった点をきちんと踏まえて、上でその検討を行うということだろうと考えます。

#47
○難波奨二君 この間の御答弁でも刑事局長は、一概には、具体的にはしゃべれないとかいうことを御答弁なされておりますけど、私は、そういう法務省の姿勢では国民の信頼というものは私は得られないというふうに思いますよ。是非、国民の皆さんに今回の改正の中身を含めてきちっとやっぱり理解が得られ、そして青少年の犯罪というものが抑制され、そしてまた本当に全ての国民が安心して暮らしていけるような、あるいは幸せを感じるような、そういうやっぱり社会つくっていくんだということを是非肝に銘じていただきたいというふうに思います。
 ひとつ、厳しくばっかり、あっ、じゃ、大臣、どうぞ。

#48
○国務大臣(上川陽子君) 五年後の見直しという中の御質問がございまして、私は先ほど来、不断の見直しということを申し上げたところでございまして、まさにこうして少年法の改正のその項目について御審議をいただいて、そして問題も提起されていることでございます。
 一つ、例えば全件家裁送致、その上で逆送範囲を拡大をしていくという、例えば一つそうした制度が織り込まれておりますので、実際に十八歳、十九歳の特定少年が、この制度を運用した場合にこの五年間どのようにその場面の中で変化してきたのか、こうしたエビデンスをしっかりと集めながら、そしてそれに基づいて検討をしていただくことができるようにしていく。このことは、どの場面でもそうなんでありますが、特にこの五年後の見直しの中で、そうしたものを蓄積しながら、また同時に、国民の皆さんの意識、こういったことについての変化ということもしっかりと見定めながら、過去のデータと比較をしながら、また将来を見据えてどういう論点がまた更に出てきたのか、時代が変わっていけばまた新たな切り口も出てまいりますので、そういったことにしっかりと向き合ってまいりたいというふうに思っております。

#49
○難波奨二君 厳しい質問ばっかりしてまいりましたので、法務省のPRをしていただきたいと思いますが。
 報道によりますと、少年院に入所された方の学習支援を法務省としてもやっていこうじゃないか、国としてもやっていこうじゃないかというような報道がございましたが、この中身を広く皆さんにお知らせをいただきたいと思いますが。

#50
○国務大臣(上川陽子君) ありがとうございます。
 法務省におきましては、実は本年度から新たに、少年院の在院者のうち、希望をする者でございますが、この希望者に対しまして新しいプログラムを提供するところでございます。これは、民間事業者に委託をして、学習支援計画、これを策定した上で、出院後最長一年間にわたりまして継続的な学習支援を行う事業でございます。
 本事業では、この成果連動型の民間委託契約方式、PFSということでありますが、そのうち民間資金を活用するソーシャル・インパクト・ボンド、SIBを用いることとしているところでございます。実は、国が主体となりましてこのSIBを活用する初めての事業でございます。また、再犯防止分野におきましては、地方公共団体も含めて初のSIB事業ということでございまして、このSIBの活用によりまして民間事業者のノウハウをしっかりと生かしていただき、多様で質の高い支援の提供を可能としていただくと。
 また、民間資金の活用を通じまして、再犯防止の取組における新たなステークホルダー、この方たちの参入が促進されるということをいろんな意味で期待をしているところでございますので、本事業におきましては、大変大きな希望と、また期待と意義があるものというふうに考えております。
 しっかりと、この事業の有効性、成果などもエビデンスベースでしっかり集めてまいりたいというふうに思っております。

#51
○難波奨二君 ありがとうございます。
 教育というものは極めて重要だというふうに思っておりますし、いかなる改正等が行われても公正というものはやはり第一義に考えていただくということをお願いをしたいというふうに思います。
 最後、お答えいただきたいんですけど、やはり一方で、これも御指摘がございます、被害に遭われた方々の支援を国としてやっぱりきちっとやっていかなくちゃならないというのは、これはもう皆さん方共通するお気持ちだというふうに思いますが、法務省として、この被害者の皆さんに対しての様々な支援制度があるわけでございますが、どのような問題が今あり、また法務行政としてどのように更に支援を強めていこうとお考えなのか、そのことを最後お聞きしたいと思います。

#52
○国務大臣(上川陽子君) この犯罪被害者等支援に関する問題につきまして御指摘をいただきました。犯罪被害者等基本法、十七年前に成立をいたしまして、この中で随時計画を更新しながらというか、新しく見直しながら進めてきているところでございます。
 犯罪に巻き込まれた被害者の方は決して人ごとではなく自分の問題としても考えていただきたいという、こういう中で捉えさせていただき、また協力支援も民間の方々も含めて非常に丁寧にやっていただいているということに感謝申し上げたいというふうに思っております。
 本年三月に、実は第四次の犯罪被害者等基本計画、これが策定をされました。十七年目の決定ということでございます。何といっても、被害者の方、また御遺族の方のこの声を、様々な声を大切にしながら施策の立案に当たってきた十七年の歴史がございますので、今どういう問題があるのかしっかりと見定めながら、現場の声をしっかりといただきながら取組を深めてまいりたいというふうに思っております。
 今後とも、この権利利益の保護という形の中の問題として基本法にも明示をさせていただいております。先ほど来、二次被害の問題もあるということでありまして、その当時も二次被害の問題は大きな課題でありました。国民の皆さんも含めて、地方自治体も企業の方々もみんなが協力をしていく輪、そしてそのコミットメントをしっかりしていただくということ、このことを被害者の皆さんに寄り添ってしっかり対応できるように、絶えずこの問題につきましても取り組んでまいりたいというふうに思っております。

#53
○難波奨二君 調べましたら本当にたくさんの支援策があるわけでございますけれども、しかし、全国的なアンバランスもありますし、是非法務省がその中心的な役割担って、全国四十七都道府県、やはりそれぞれにおいてそうした被害者の皆さんが均衡、均等に支援を受けられる、そういう取組を強めていただきたいというふうに思います。
 法務行政というのは、私は民主主義の根幹を担う組織、役所だというふうに思っております。是非とも人権や尊厳、こうしたことを大切にされる、そういう法務行政をこれからも続けていただくよう、あるいは、私はいろんな批判をいたしましたけれども、是非そういう姿勢で法務行政を執行していただきますよう強く強く求めまして、私の質問を終わりたいと思います。
 大変ありがとうございました。

#54
○谷合正明君 公明党の谷合です。
 昨日、NHKのクローズアップ現代を私、見ました。少年院の特集だったんですけれども、虐待を受けたり発達障害に対する周囲の無理解などから、社会に適応しづらい少年が近年多く入所をしていると。課題は再犯の防止、退院後の更生支援はまだまだ不十分であると、NPOなど民間の協力団体も出ているけれども、今コロナの影響を受けているというような番組内容でありましたけれども、少年の更生に何が必要かというようなことで支援される方々のインタビューもありました。
 実際、そのテレビに出演された支援者の方の声を直後にすぐにお伺いしました。とにかく、困難を抱える若者の支援は手間と時間が掛かります、自分自身や他人への信頼を回復する時間を少年院又は社会で確保する方法を考えた上でこの国会審議に臨んでいただきたいということで言われた次第でございますので、御紹介させていただいた上で質問に入りたいというふうに思います。
 まず、既に衆議院の方では附帯決議が付されているわけでありますけれども、それに関連して質問いたします。
 今回の改正案では、特定少年につきまして、家庭裁判所が虞犯を理由とする保護処分はできないこととしておりますことから、十八歳及び十九歳の者の健全育成及び非行防止のためには、少年非行対策及び福祉支援策における関係府省庁の連携、協議の枠組みを強化するとともに、関係諸機関、団体等と有機的に連携しつつ、適切な保護、支援を行うための施策の一層の推進を図る旨の附帯決議が付されています。
 そこで、内閣府に確認いたします。少年非行対策における関係府省庁の連携、協議の枠組みを強化するとしておりますけれども、現在、その枠組みというものはどういうものであってどういう議論がなされているのか、まず御紹介いただきたいというふうに思います。

#55
○政府参考人(難波健太君) お答えします。
 次代を担う青少年の育成は社会全体で一体的に取り組むべき課題でございまして、その中でも、特定少年を含めた少年の非行防止につきましては重要な課題の一つと認識をしております。
 現在の枠組みでございますが、全閣僚を構成員とする子ども・若者育成支援推進本部の下に少年非行対策課長会議が置かれておりまして、同会議におきましては、関係府省庁が少年非行対策の推進につきまして、密接な連絡、情報交換、また協議等を行っているところでございます。

#56
○谷合正明君 随分簡素な答弁なんですけれども、そこで、関係府省庁とはいえ、法務省、やっぱり法務大臣ですね、ここをしっかりこの少年の健全育成、非行防止の取組を推進していく上で、法務省の積極的な取組という、必要があるということは言うまでもないわけでございまして、まず法務大臣の見解あるいは決意というんですかね、伺いたいというふうに思います。

#57
○国務大臣(上川陽子君) 今般の十八歳以上の少年でございますが、非行防止の必要性、これは変わりはないところでございます。その健全育成のためには、委員御指摘のように、関係機関によりまして、対象者の任意に基づく支援、措置が極めて重要であるということでございますし、また非行防止、これを図るためには、一般に早期の段階から、早い段階から働きかけが大変有効であると、こうした知見もございます。
 少年の非行防止につきましては、これまでも、御指摘のいただいておりました少年非行対策課長会議、こういったことが随時開かれている状況でございまして、これには法務省を含みます関係機関、連携を図りながら様々な取組もトータルに提供するという形で取り組んでまいりました。
 法務省でございますが、法務省としては、まず少年鑑別所におきまして法務少年支援センターがございます。ここにおきまして相談、助言を行う、また教育機関や民間団体との連携をしっかりと図りながら、地域における非行、犯罪の防止のための活動を積極的に行っているところでございます。また、全国に設置されております更生保護サポートセンター、こちらの方には保護司の先生方が、皆様が駐在をしておりまして、学校や警察等としっかりと協力をしながら、非行防止のセミナーをやったり、また住民からの非行相談等も実施をしている状況でございます。
 法務省といたしましては、本改正を機に、関係機関等としっかりと連携をしながら、少年の健全育成、非行防止の取組、こうしたことの強化に図ってまいりたいというふうに考えております。

#58
○谷合正明君 しっかりお願いしたいと思います。
 附帯決議、もう一つですね、前科による資格制限の在り方についても附帯決議を付されているところでございます。特定少年には少年法第六十条の資格制限排除規定が適用されなくなることから、この前科による資格制限の在り方について、府省庁横断のしかるべき場を設けるなどして、政府全体として速やかに検討を進め、その結果に基づいて法改正を含め必要な措置を講ずるということが付されております。
 法務大臣は、衆議院の質疑においても、関係府省と連携をし、政府としてもしかるべき検討の場を設けることとしていると答弁しております。このしかるべき検討の場ということについて、もう少し検討状況を伺いたいというふうに思います。

#59
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
 若年者の再犯防止あるいは社会復帰を図る上で、就労を促進するということは極めて重要なことであると認識をしております。
 そこで、国会における御指摘も踏まえつつ、本法案が成立した際には、若年者に焦点を当てた前科による資格制限の在り方につきまして、関係府省と連携し、政府としてしかるべき検討の場を設けることとしております。
 具体的には、まだ検討、調整中ではございますが、例えば、法務大臣決定により設置をしております関係省庁や有識者を構成員とする再犯防止推進計画等検討会というのがございますが、この下に資格制限の在り方について検討を進めるためのワーキンググループを新たに設置することなどを検討しているところでございます。
 いずれにいたしましても、前科による資格制限の在り方につきまして、就労の対象となる業務の性質や実情等を踏まえつつ、関係府省と連携して必要な取組を進めてまいる所存でございます。

#60
○谷合正明君 ワーキンググループについて言及がございました。これ、参議院におきましても、この資格制限の在り方でありますとか府省庁の連携強化ということは重要な観点だと思いますので、また附帯決議の方、検討もしていただきたいというふうに思っております。
 それでは、もう少し具体的に質問を進めてまいりたいというふうに思います。
 更生保護施設における少年処遇の充実、自立準備ホームの活動基盤の整備について伺います。
 もう言うまでもありませんが、少年院を出た少年の帰住先の調整というものが難航するケースがあります。少年の受入れ施設が少ないことが背景の一つにあります。また、その少年を受け入れる更生保護施設からは、精神的に未熟な少年のケアは困難を伴うことや更生保護施設の人的体制が脆弱であること等が訴えられておりまして、とにかく少年の立ち直りのためには受入れ施設の支援というものが不可欠となっております。
 今、全国に更生保護施設、百三ありますが、そのうち高齢者や障害者を一時的に受け入れる施設七十四か所を指定していて、この七十四か所には社会福祉士など専門資格を有する職員を配置して、その配慮した処遇をしていると。
 そこで、この主に少年を受け入れる更生保護施設なんですが、こちらには専門職員の配置について十分国の支援がない、十分というか国の支援がないのではないかと。少年を受け入れる更生保護施設においても発達心理学や児童福祉等に精通した職員の確保に取り組むため国の支援の充実が必要でありますので、是非これを改善していただきたいと思いますが、法務大臣の答弁を求めたいと思います。

#61
○国務大臣(上川陽子君) 委員ただいま御指摘のとおり、更生保護施設に入所する少年、虐待被害や、また発達障害等の様々な困難を抱えておられまして、集団生活におきましての配慮、また家庭環境の改善のための家族調整、また医療・福祉サービスの受給に向けた支援など、その処遇、また支援に一層の困難を伴う、こうした少年が多いということ、これは現実であります。
 ところが、現在、少年を受け入れる更生保護施設には、主に成人を受け入れる更生保護施設と異なりまして、福祉等の専門資格を有するスタッフが実は配置されておりません。そのために、処遇、また支援に困難を伴う少年への対応に日常的に追われ、疲弊をしている現場の声も伺っているところでございます。
 法務省といたしましては、少年が少年院に収容中から関係機関によるケア会議の充実を図るなどの保護観察所による更生保護施設への支援強化、これを開始したところでございまして、対応困難な少年の、しっかりと焦点を当ててケアを行っていく、このことが必要であると認識をしているところでございます。
 そして、そのためにも、主に少年を受け入れる更生保護施設に対しましても、発達心理学や児童福祉等に精通をされた福祉学の、福祉等の専門資格を有するスタッフの配置、これを検討するなど、その受入れ及び処遇機能の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

#62
○谷合正明君 大臣から前向きな答弁いただきました。次の質問とも関連するんですけれども、是非これ予算を取っていくということも必要だと思いますので、これから、来年度か、来年度予算、今からまた骨太の方針等、様々政治的なスケジュールはありますけれども、しっかりと政策をピン留めしていただいて、しっかりとこの予算要求もしていただきたいというふうに思っています。
 自立準備ホームにおける課題と要望への、課題ということを更に伺いますが、刑務所出所者や少年院出院者が一時的に住むことのできる民間施設であります自立準備ホーム、こちらにおきましても、複雑な課題を抱える対象者に対する適切な処遇を確保する必要性が指摘されているところであります。こちらは、ただ、民間でございますから、自立準備ホーム、NPO等やっておりますが、事業規模が小さいことなどから、経営状況が厳しいところも少なくないと言われております。
 しかし、この自立準備ホーム、言わば生活基盤が確保できない場合の最後のとりでとも位置付けられますから、この処遇の困難な者を受け入れて処遇するためには、この委託費に例えば更生保護施設のような加算をするなど財政的な支援がこの自立準備ホームにも必要ではないかと考えます。
 改めて、こちらについても是非前向きな検討をお願いしたいと思いますが、法務大臣の答弁を求めます。

#63
○国務大臣(上川陽子君) 委員御指摘のとおり、この自立準備ホーム、この制度は大変重要でございまして、民間の方々の御努力、このことに対してしっかりと継続して持続可能なようにしていくということは極めて大事であるというふうに思います。とりわけ、帰る場所のない刑務所出所者、また少年院の出院者等に対しましての一時的な住まい、また自立に向けた生活支援、これを一体的に提供できる施設ということでございますので、特に複雑な困難な問題を抱える処遇困難者、こういった方々が受け入れられる場合につきましても非常に大きな貢献をしていただけるものと期待をさせていただいているところでございます。
 現在、この自立準備ホームに対しましては、更生保護委託費支弁基準、これに基づきまして、委託人員及び委託日数に応じました費用、これを支弁しているところでございまして、その単価につきましては対象者の抱える問題性の大きさにかかわらず一律であるということ、また平成二十三年度の制度が創設されて以降据え置かれているという状況となっておりまして、自立準備ホームの運営、先ほど御指摘いただきましたが、なかなか厳しいものがある中で、この支援が十分な状況でないということにつきましても御指摘いただいているところでございます。
 この自立準備ホームにおきまして、処遇困難者等の受入れ、また処遇の充実を図りまして、安定的に運営していただくことが何よりも大事であるということでございますので、委託費の見直し、これを行うことによりまして、自立準備ホームの活動基盤の整備、これについては基盤整備に努めてまいりたいというふうに思っております。

#64
○谷合正明君 前向きな答弁、ありがとうございます。
 続いて、満期釈放者、保護観察終了者に対する支援の充実強化ということなんですが、満期釈放者の二年以内の再入率は仮釈放者の二倍以上となっておりまして、まさにここに対策を講じていく必要があると。
 ところが、刑務所を出所すると同時に公的支援が切れてしまう満期釈放者という課題もあって、人とのつながりが薄く、また助けを求めようとしたがらないという実態もあることから、支援者から積極的に手を差し伸べることでその生きづらさを解消することが必要となっております。このことは私も岡山県の保護司会の方からもこうした話も伺ったところでございます。また、同様に、保護観察が終了することで公的支援が切れる保護観察対象者にも、保護司との継続的な関係を構築するなどアフターケアが求められております。
 そのために、積極的に息の長い支援に取り組む保護司などの民間協力者に対して、国としてバックアップすることが必要と考えます。また、民間協力者と連携して、対象者の地域での立ち直りを支える拠点を取りまとめ、普及させるためのコーディネーターの存在も必要です。
 これらの点について、法務大臣の答弁を求めたいと思います。

#65
○国務大臣(上川陽子君) この満期釈放者対策についてでございますが、これは従前から再犯防止のための重点施策として掲げられてきたところではございますが、令和元年の十二月に閣議決定されました再犯防止推進計画加速化プランにおきまして、より重点的に取り組むべき課題として大きく取り上げ、そして取組を今加速している状況でございます。
 満期釈放者の中には、人と円滑な人間関係をなかなか築くことができない方々、また、行政機関に対しまして援助を求めるスキルあるいは意欲、こういったことに乏しい方々もいらっしゃるということについては、その声を伺っているところでございます。本人にとりまして保護司の方々が身近な存在としていらっしゃるわけでありまして、こうした方々に対しましては地域で継続的な支援を行っていただいている、こうした例もあるということでございます。こういったことにつきましては、大変有効な取組ということで大変注目をし、大変感謝を申し上げているところでございます。
 そのような満期釈放者等に対する相談支援の取組、これを保護司会、更生保護法人が地域の拠点となってバックアップし、一体となって取り組んでいる例もあるということでありますので、関係機関、互いに連携をして、地域で立ち直りを支える拠点機能、この重要性は今後ますます高まるものと認識をしていることでございます。
 法務省といたしましても、積極的に取り組む保護司会、また更生保護法人等への支援の充実強化、これに図ってまいりたいというふうに思っております。

#66
○谷合正明君 是非よろしくお願いいたします。
 滋賀県の更生保護センターでは、息の長い支援基盤整備事業ということで、こうした今申し上げた事業をされているということなんですが、民間、民間というんですかね、休眠預金事業を使って今活動しているけれども、今後その休眠預金の、何というか、活用の期間が切れたときの継続的な支援ということが課題の一つとして挙げられているということでございますから、国としての、やっぱり本腰入れたバックアップが必要であるというふうに思っております。
 続きまして、保護司活動に関して幾つかお伺いしたいと思います。ICT化の一層の推進ということでございます。
 大臣は、所信におきまして、保護司活動のICT化を進めると述べられました。具体的にどのような施策が進められているのか説明願いたいと思いますが、特に本年度、保護司専用ホームページが運用されていると、ここが一つ、このICT化の本丸だというふうに承知しておりますけれども、これを今後実際使われなければもう宝の持ち腐れになるわけでありまして、使用方法等について保護司の皆さんに分かりやすく周知、活用していただく必要があると思いますけれども、法務省の取組について伺いたいと思います。

#67
○政府参考人(今福章二君) お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘のとおり、今年度から保護司が提出する報告書を電子化するなど、保護司活動の一部をウエブ上で行うための専用ホームページの開発、運用を進めております。同ホームページで行うことのできる具体的な機能としまして、これは高齢者が多い保護司の先生方のために使いやすさには十分配慮をしながらでございますが、その機能としましては、事件に関する報告書を作成し、保護観察所に提出できる機能、保護司さんの研さんのために必要な資料の閲覧ができる機能、そして保護観察所から必要な情報を連絡する機能を予定しているところでございます。
 これらの使用方法等につきまして、保護司の皆様に周知することにつきましては、マニュアルの作成や研修の実施などによりましてきめ細かく対応するということとともに、今後とも保護司活動の負担を軽減し、若い世代にも保護司さんになっていただけますように、専用ホームページなどの保護司の活動環境の整備を図って、より一層の保護司活動のICT化を進めてまいりたいと思っています。

#68
○谷合正明君 よろしくお願いいたします。
 それでは次に、保護司の確保なんですけれども、やはり刑務所や少年院出た方の、後の立ち直りを支える保護司、数の減少、そういう人材確保が急務であるということはこの本委員会でも質問が出されてきたところでございます。
 一方、事件数自体は減少しているので保護司の数が減っても問題ないのではないかというような受け止めもあるんですが、ただ、それは保護観察を受けている人の立ち直りを支援する処遇活動のみならず、保護司にはその地域の方々にその立ち直り支援の理解を、協力を求めていくという、そういう活動もあるということでありまして、保護司の役割というのは今日的にやはり大きいものがあるんだと思います。まさにそれを京都コングレスで大臣が訴えられたんだというふうに思います。
 ある保護観察所では県の退職職員向けの説明会を企画したということであります。このような取組を含め、各地で様々な試みがなされております人材確保策をしっかり全国的に展開できるよう、情報供給や周知を図る必要があるのではないかと思いますが、法務省の見解を伺います。

#69
○政府参考人(今福章二君) ただいま委員御指摘のとおり、保護司の適任者確保のために、今、地方公共団体によりましては、退職者、退職職員向けの説明会で保護司についての説明の機会をいただいたり、また現職の職員にも保護司になっていただくなどの御協力いただいている例がございます。こうした好事例につきましては、地方公共団体の担当者や保護司が参加する各種協議会等の場で積極的に情報提供を行って、横展開に努めているところでございます。
 また、本年一月、総務大臣から法務大臣に対しまして、保護司の活動及び担い手の確保について、これをより一層推進するための必要な措置を講ずるようという勧告がなされております。その中の一つとしまして、保護司の安定的確保の観点から、地方公共団体への協力要請を行うべきであるということが盛り込まれました。
 法務省におきましては、これまでも、総務省との連名によりまして保護司の適任者確保について協力を求める文書を地方公共団体の長宛てに発出するなどしてきたところでございますが、引き続き保護司組織と連携をいたしまして、地方公共団体からの一層の理解と協力が得られるよう、必要な取組を推進してまいりたいと考えております。

#70
○谷合正明君 地方公共団体との連携をよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、住居の確保について伺います。
 出所者の再犯防止には定住先の確保が必要であります。身寄りのない出所者については、厚生労働省の事業により、各都道府県が設置する地域生活定着支援センターなどが支援を行っているところでございます。他方、福祉サービスからは出所者であることを理由に受入れを断られるということもあるというような指摘もあります。
 法務省はこれら居住支援団体と連携しながら、再犯防止の意義の広報を行うなど、出所者の受入先の確保に取り組む必要があると考えます。見解を伺いたいと思います。

#71
○政府参考人(今福章二君) ただいま委員御指摘のとおり、刑務所出所者等の再犯防止には定住先の確保が大変重要です。
 そこで、今御指摘のあった地域生活定着支援センターとともに、また、住宅確保要配慮者の入居支援のノウハウを有する居住支援法人等との連携が肝要であると考えております。
 令和二年度におきましては、厚生労働省及び国土交通省による住まい支援の連携強化のための連絡協議会に法務省も居住支援団体とともに参画するなど、住まいの確保等のため、緊密な省庁間連携を図っております。また、各都道府県、市区町村に設置されました居住支援協議会に保護観察所や更生保護関係者が参加できるよう、三省連名により地方公共団体に協力依頼も行っているところでございます。
 今後とも、刑務所出所者等の定住先確保が進むように、居住支援法人等との連携の強化を進めてまいりたいと考えております。

#72
○谷合正明君 続きまして、薬物事犯者の話を通じて依存症の方に対する孤立支援ということで質問していきたいと思います。
 薬物事犯者の薬物再乱用を防止し、刑事施設への再入所を防ぐためには、刑事施設におけます指導、教育の後、出所後は保護観察所等での処遇が重要となります。さらに、保護観察終了後には地域の保健医療機関、援助機関等との連携が必要になってまいります。
 依存症は孤立が生み出す病とも言われまして、立ち直るには、通院や投薬だけではなく、社会的な居場所や人間関係も大切とされているところです。
 そこで、今現在、コロナ禍におきまして、依存症の方の交流の場が中止になったりオンラインに切り替わるなどの動きも出ております。ただ、当事者全員がオンラインでつながれるわけではないという指摘もありまして、このような中、関係機関の連携を強化し、依存症の方を孤立させないように継続的な支援をしっかり進めていく、配慮していくという意識を持つことがこのコロナ禍で大変重要になってまいります。法務大臣の見解を伺いたいと思います。

#73
○国務大臣(上川陽子君) 委員御指摘のとおり、薬物事犯者、薬物再乱用、この防止のためには、刑事施設にいる段階から地域社会に至るまで一貫した処遇を行いつつ、出所後の生活環境を整えるとともに、地域社会においてまさに孤立させないために、継続的な支援、これが重要であると考えております。
 規制薬物等に対する依存がある保護観察対象者に対しましては、刑事施設内における指導の結果も踏まえつつ、保護観察官が薬物再乱用防止プログラム、これを実施することに加えまして、薬物依存の改善に資する医療また援助を行う健康医療機関、またダルク等の民間支援団体と緊密な連携を確保することで、保護観察終了後も、地域におきまして孤立せずに継続的な支援につながるように努めているところでございます。
 加えまして、更生保護施設を退所した者につきましても、地域において孤立しないよう、更生保護施設職員による継続的な支援を実施しているところでございます。ただいまコロナ禍ということでありまして、それでなくてもなかなか密な状況を回避しなければいけないということで、孤立が深まるという危険性がございます。
 こういったことも踏まえて、しっかりと注意深く関係機関との連携、更に強化をし、薬物事犯者、これを地域の関係機関にしっかりとつなげていく、また、更生保護施設、またダルク等の民間の活動、この促進を通じまして、薬物事犯者が継続的な支援を受けられる環境づくり、コロナ禍においてもどのように対応するかということについて真剣に今取り組んでいるところではございますが、十全にできるように対応してまいりたいというふうに考えております。

#74
○谷合正明君 大臣のモットーであります誰一人置き去りにしない、その精神の下で、しっかり孤立対策、孤立防止対策を進めていただきたいというふうに思います。
 続きまして、刑務所出所者の住民票の確保についてちょっと確認をさせていただきたいと思います。
 刑務所出所者の安定した生活基盤の確保のためには住民票などの基本情報が必要となりますが、住民票が自治体から職権で削除されているケースがあるといいます。その場合、福祉サービスを提供する自治体が新たな住民票の取得に難色を示すこともあるということも指摘されています。
 出所者の生活基盤を速やかに整え、再犯を防止するためには、再び住民票を取りやすくする仕組みなどが必要となります。例えば、地域生活定着支援センターと連携し、対象者が出所する前の段階から住民票の新規発行手続を進めておくといった施策が可能ではないかと思います。現実に、法務省としてどのようにこの住民票の確保について取組をされているのかということを確認させていただきたいというふうに思います。

#75
○政府参考人(大橋哲君) お答えを申し上げます。
 高齢者又は障害を抱える受刑者のうち釈放後直ちに福祉サービスを受ける必要がある者につきましては、その前提としまして、住民登録が必要な場合が多うございます。その支援を行うに当たりまして、住民登録が消除、消されているということが明らかになるケースがあることは委員御指摘のとおりでございます。
 現在、高齢受刑者あるいは障害を抱える受刑者の出所後の福祉的支援のために、刑事施設におきましては、常勤あるいは非常勤の社会福祉士等を採用しております。こうしたケースのうち、受刑者本人による住民登録が困難な場合には、受刑者の委任を受けまして、この社会福祉士等の刑事施設の職員が刑事施設所在の市役所等に赴いて代理で住民登録を行っているというところでございます。
 今後も引き続きまして、自治体あるいは先ほど御指摘のありました地域生活定着支援センター等の関係機関と連携いたしまして、刑務所出所者の安定した生活基盤の確保に必要な措置を講じ、再犯防止に努めてまいりたいと考えております。

#76
○谷合正明君 そういう取組をされているということなんですけれども、現にその住民票の削除で困っているという声も寄せられるものですから、しっかり対応をお願いしたいということを改めて強調させていただきたいというふうに思います。
 それでは、今日は更生保護の在り方について論じてまいりました。このような各種施策を行い、再犯防止対策の充実強化のためには、言うまでもなく、保護観察官を始めとする関係職員のマンパワーということが必要になってまいります。
 そこで、この保護観察官を始めとする関係職員の増員というものが必要になってくると考えますが、法務大臣、この職員の増員について見解を述べていただいて、増員必要だということをちょっと訴えていただきたいというふうに思っております。

#77
○国務大臣(上川陽子君) ありがとうございます。
 ちょっと答弁、今の御質問に対する答弁の前に、一点修正をさせていただきたいと思います。
 先ほど私、再犯防止推進計画加速化プラン、この答弁の際に、令和元年十二月に閣議決定されたと申し上げましたが、正しくは令和元年十二月に閣僚会議で決定されたということでございますので、訂正させて、おわびを申し上げます。
 ただいまの御質問でございます保護観察官の役割ということでございますが、社会内処遇の専門家でございます。保護観察の実施のほか、また保護司等民間協力者の活動を支援する地方公共団体等地域の関係機関とのネットワークの構築等、地域の安全、安心において重要な役割を担っていただいているものというふうに認識をしております。
 近年、委員御指摘の再犯リスク、これが特に高い満期釈放者を含めました刑務所出所者等に対する住居、就労の確保、これが何よりも重要となっておりまして、十五の保護観察所に新たに社会復帰対策官、これを配置いたしまして、その対策の取組強化に着手しているところでございます。また、さらに、直ちに自立することが困難な起訴猶予予定者等に対する入口支援の充実等の重要性が増しており、さらに薬物乱用等の問題を抱える少年に対する専門的な指導、支援の実施等に新たに取り組む必要がございます。保護観察官の業務、一層多様化、困難化をしているという現状でございます。
 このため、法務省といたしましては、これら再犯防止対策の充実強化に必要なこの保護観察官を始めとする人、そして物的な体制、この整備に取り組んでまいりたいというふうに思っておりまして、そのための施策、特に予算については大変重要なことでございますので、こちらの方についてもしっかりとバランスを取りながら対応してまいりたいと思っております。

#78
○谷合正明君 それでは、今日は質問を、更生保護とかそういう話を中心にさせていただきました。地域において罪を犯した人の孤立、孤独としっかり向き合い、立ち直りを支える更生保護施設や保護司等の民間協力者の活動支援をしていただくと、再犯防止対策強化していただくということを最後改めて訴えまして、時間は余っているんですけれども、質問すべきことは質問できました。難波委員長も終わってもいいというようなシグナルがあるので、もしよければ質問を終わりたいというふうに思っております。
 大変ありがとうございました。

#79
○委員長(山本香苗君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時四十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会

#80
○委員長(山本香苗君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、少年法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#81
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之です。よろしくお願いをいたします。
 少年法の質問の前に、一点、新型コロナウイルスの水際対策、これについて質問をさせてください。
 これまでも、この法務委員会の一般質疑などで、水際対策もう徹底してやるべきだという質問、何度かさせていただきました。実際に入国した方の話を聞いていますと、非常に、まあアプリを入れたりとか位置情報を確認したりとか、いろいろ仕組みは取り入れているんだけれども、これが十分徹底されていないと。要は、もうメールが送られてきてそれに返信して終わりと、それ以上のことは何もされていないような状況だというのを実際に聞いていましたので、この辺徹底するべきではないかという質問をさせてきていただいているんですけれども、やはりという感じで、今、外国からの入国者に求めている位置情報の報告などの指示に従わない人が一日最大で三百人ぐらいいるという、こういう報道も先日出ました。三百人ですからね、相当な数の方がもう今どこで何をしてどういう状況にあるのかというのが分からないという、こういうことなんですね。
 政府は、警告メールを送るほか、警備員が自宅を訪れて確認するといった対策を取るという話なんですが、この警備員の話は三月、予算委員会のときに田村厚労大臣にお話を、その部分を聞きまして、で、やりますという話だったんですが、先日の委員会でも質問させていただきましたが、一か月たってもこれが実行されていないということなんです。
 やはり、国内で、今本当に大変な状況で、もう一生懸命みんな自粛をして、国民の皆さんそれぞれが我慢をしている。そして、病床が逼迫していますので、病床の確保に取り組んでいる中で、やっぱり入口の部分がしっかり塞がっていなければ、幾らこれ国内で対策を取ってももうどんどんどんどんあふれていってしまうような、こういう状況だというふうに思っています。
 こういうこともあって、インド、パキスタン、ネパールからの入国者、これ今日の零時からですかね、は原則として入国をもう認めない方向にしていくという話です。これはまあ前進だと思うんですが、ただ、これも、もっと早く対応をしようと思えば、諸外国を見ていたらもう既にやっています、だから、もっと早くやろうと思えばできる話です。
 先ほどの位置情報の確認とか、こういったことは、入った後のその管理の部分というのは、厚生労働省の管轄だとは思います。ただ、厚労省はやっぱり移動の自由というのを、これをしきりに言っておりまして、これがあるためにやっぱり強制はなかなかというような話をするんですが、移動の自由、もちろんありますけれども、今はやっぱりこういう状況ですから、もっと徹底して対策を取るべきだという思いがありまして、この辺りの、入管行政をつかさどる法務省として徹底的に取り組んでいただきたいなというふうに思いますが、大臣、よろしくお願いいたします。

#82
○国務大臣(上川陽子君) 新型コロナウイルスの感染拡大に合わせて、我が国の水際対策についての強化について御質問をいただきました。
 現在でありますが、公益性のある者、人道上の配慮の必要性のある者、再入国者等、特段の事情のある者のみ、出国前七十二時間以内の検査証明の提出を求めるとともに入国時の検査を実施するなど、防疫強化措置に従うことを条件として、厳格な運用の下で入国を認めているところでございます。
 この中で、御指摘いただきましたインド、パキスタン及びネパールにつきましては、感染者が急速に増大をしていると。さらに、新たな変異株も確認されているということでございまして、検疫所では、五月の十日からこの三か国からの全ての入国者に対しまして、出国前と入国時の二回の検査に加えまして、入国後六日間は検疫所所長が指定する施設での待機、これを求めまして、その間に、三日目と六日目に更に検査を行っているものと承知をしているところでございます。
 さらに、五月十一日、現地時間でありますが、WHOが、インドで確認された変異株を懸念される変異株、これに分類をしたこと、このことを踏まえまして、明日五月十四日から、本邦への上陸申請日前十四日以内にインド、パキスタン及びネパールの三か国に滞在歴のある者の再入国については、公益性や人道上の配慮の必要性等、特段の事情がない限り、上陸を拒否することとしたところでございます。
 今後も、水際対策の在り方そのものは、この変異株も含めまして、国内外のこうした感染状況を見極めながら政府全体としてしっかりと検討をしていく、そして判断をしていくべきものというふうに思っておりまして、法務省としては、水際をCIQの一つの大きな柱として担っているものでございますので、この水際でのリスク管理と、こういうことにつきましては万全を期すということをしっかりと目標に、関係府省と連携をしながら不断の検討を進めて、また、適切な運用、これを図ってまいりたいというふうに思っております。

#83
○清水貴之君 確かに、入国の際に感染者の方が見付かるケースも多数出ていますので、そういった意味ではその入国の時点での検査というのは十分やられているとは思うんですけれども、今お話あったとおり、インド、パキスタン、ネパール、これも原則禁止で、日本の方とか特段の事情があったらこれは入国できるということになっております。ですから、やっぱりその後のフォローといいますか、こういうのもすごく大事だというふうに思うんですね。この辺りも、本当に省を挙げて厚労省としっかり連携しながら取り組んでいただけたらなというふうに思います。
 それでは、少年法に関する質疑なんですが、まずは推知報道についてお伺いをいたします。
 これまでにも推知報道については様々議論がなされておりますが、まず根本的なところで、この推知報道禁止の解除によりまして二つ意見があります。犯罪の抑止につながるんだという意見がある一方で、社会的な制裁にとどまって犯罪抑止にはならないといった意見もあります。
 政府としてはどういった立場でしょうか。

#84
○政府参考人(川原隆司君) お答えを申し上げます。
 いわゆる推知報道を禁止する少年法六十一条の趣旨は、少年の特定に関する情報が広く社会に伝わり、少年の社会生活に影響を与えることを防ぎ、その更生に資することにございます。
 推知報道の禁止を解除することは犯罪の抑止につながるという意見があることは承知をしております。もっとも、推知報道の禁止を解除した場合における、そのことによる犯罪抑止効果の有無や程度を実証的に検討することは性質上困難であり、お尋ねについては一概にお答えすることは困難であるということを御理解願いたいと思います。

#85
○清水貴之君 この推知報道禁止の解除によりまして、これも懸念点として示されております部分としましては、先日の参考人質疑で川村弁護士からも指摘があったところですが、法案では逆送後起訴されると実名推知報道解禁となっているが、起訴されても無罪になる可能性がある、また、少年の場合は家裁に戻される可能性がある中で、報道を一旦行われてしまうと取り返しが付かなくなるのではないかと、解禁された後に無罪になるケースだってあるでしょうと、その場合どうするんですかといった話なんですけれども、これについてはどのような見解でしょうか。

#86
○政府参考人(川原隆司君) お答えをいたします。
 推知報道の禁止を定める少年法六十一条は、少年の更生に資することを目的とするものでございますが、憲法で保障された表現の自由や報道の自由を直接制約する例外規定であり、その制約は必要最小限のものとすることが求められること、被害者などの他の関係者については推知報道を禁止する規定は設けられていないことからしますと、十八歳以上の少年について事件の内容や手続の段階を問わず一律に推知報道を禁止するのは、責任ある主体としての立場等に照らし、適当ではないと考えられるところでございます。
 そこで、本法律案では、少年の更生と報道の自由等との調整の観点から、十八歳以上の少年のときに犯した事件については推知報道を一般的に禁止した上で、逆送され、公判請求された場合には公開の法廷で刑事責任を追及される立場となることを踏まえ、公判請求の時点から推知報道の禁止を解除し、社会的な批判や論評の対象となり得るものとしているところでございます。
 この解除の時期につきましては様々な考え方があり得るところでありますが、より早い段階で、家庭裁判所が逆送決定をした時点で解禁するという考え方については、検察官が犯罪の嫌疑がない等の理由により起訴しない事件や罰金刑が相当であるとして略式起訴する事件でも解禁することになるため、適当ではないと考えたところでございます。
 他方で、公判請求後も、委員御指摘のように、少年法五十五条による移送や無罪判決の余地があることに着目し、より遅い段階で刑事裁判で有罪判決が確定するまで解禁しないという考え方につきましては、三審制の下、公判請求から有罪判決の確定までには相応の期間を要することからしますと、一般に適時の報道が困難となりかねないことなどから、やはり適当でないと考えたところでございます。
 推知報道の禁止につきましては、法制審議会の部会でも様々な意見が示され、罪を犯した者の更生と報道の自由等との調整の観点から議論が重ねられた結果、最終的に全会一致で採択された答申では、十八歳及び十九歳の者の事件も推知報道の禁止規定の適用対象としつつ、公判請求された場合には、その段階から禁止を解除するとされたところでございます。

#87
○清水貴之君 今、その報道の自由などの話もありましたけれども、今度は、これも論点の一つだと思うんですけれども、少年法六十一条とインターネット上の扱い、SNSなどに関する扱いです。
 まず、そもそものところで、この六十一条というのは、ちょっと最初は省略させていただきまして、「氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。」というふうにあります。非常に昔の法律ですから新聞紙その他の出版物というふうになっているんですが、ここからインターネット、SNSなどは読み解くことができるんでしょうか。

#88
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、少年法の現行の六十一条におきましては、「出版物に掲載してはならない。」となっているところでございます。しかしながら、なっているところでございまして、文言上は紙媒体の出版物への掲載を禁止するものでございます。
 もっとも、少年法六十一条の趣旨は、少年の特定に関する情報が広く社会に伝わり、少年の社会生活に影響を与えることを防ぎ、その更生に資することにあるところ、紙媒体の出版物への掲載以外の方法によるものでありましても、インターネット上で本人であることを推知させる情報を流布する行為はこのような趣旨に反するものであり、同条による禁止の対象に含まれていると考えられているところでございます。このような理解は、少年法の代表的な研究者の著作でも明らかにされており、一般的に定着しているものと考えているところでございます。

#89
○清水貴之君 となりますと、インターネットで今はどんどんどんどん拡散していくこの時代で、じゃ、インターネット上で拡散されること、様々人権などが侵害されることに対してどう対応していくかということなんですが、これ、平成二十七年四月の、これは上川大臣の当時の衆議院での答弁なんですが、インターネット上のそうした配信されたものについて、プロバイダーの方がしっかり対応していくことについて対応してまいりたいというふうに思っているところでございますと、こういった答弁をされていらっしゃいます。
 このプロバイダーでの対応ということなんですが、ここが難しいからみんな苦労しているわけですね。プロバイダーが最初から見付けて削除できればいいんですが、これだけ情報が氾濫している中でこれが難しいと。プロバイダーに対して情報開示などを求めやすくしようということで、プロバイダー責任制限法というのが先月これ成立をしているんですが、こういったものを使ったとしても手続が非常に大変なんです。費用も掛かりますし、時間も掛かる、そういったものを短縮するための法律ですけれども、とはいえ、やっぱり被害者が自分の、被害者、拡散された側のという意味での被害者ですね、がこういった情報に対して自分の権利回復を図るというのは非常に難しい状況です。特に少年となりますと、なおさらもういろんな意味で、その手続の面だったり費用の面だったり、様々難しいというふうに感じるんですけれども、ここはどう対応していけばいいんでしょうか。

#90
○政府参考人(山内由光君) 法務省の人権擁護機関におきまして、全国の法務局あるいは地方法務局において人権相談に応じております。
 少年の事件につきまして、実名などがインターネット上に書き込まれたという相談、これを受けましたら、相談者が名誉毀損などによって犯人の処罰も希望するということでありましたら最寄りの警察署など案内させていただきますが、もし相談者が当該書き込みの削除を希望されるという場合でありまして、そういった場合には、相談者の方にプロバイダーに対して削除の依頼の方法、これを助言させていただきますが、相談者自身の削除が、相談者自身が削除を依頼することが困難であるような場合などにつきましては、法務省人権擁護機関の方で違法な権利侵害があるかどうかを判断した上で、プロバイダーなどに対して削除要請を行うということをやってという形で対応させていただいております。
 この違法な権利侵害があるかどうかの判断に当たりましては、関連する最高裁判例などを踏まえまして、例えばプライバシー侵害でありましたら、その事実を公表されない法的利益とこれを公表する理由とを比較考量いたしまして、前者が後者に優越するような場合には要請を行っているという対応をしております。

#91
○清水貴之君 参考までに、そういったケースというのは結構頻繁に起きているんですか。実際にそういった訴えがあって、人権擁護局が対応して削除がされましたとか、そういった依頼が進みましたみたいな話というのは比較的頻繁に起きるものなんでしょうか。

#92
○政府参考人(山内由光君) 今統計は持ち合わせておりませんが、頻繁というわけではないかとは思います。ただ、済みません、今手元に統計がございませんので正確な数字は申し上げることはちょっと難しいんでございますが、あり余る件数があるかという認識にはなっておりません。

#93
○清水貴之君 続いて、報道機関の対応についてもお伺いをします。
 少年の顔写真やそういった実名報道ですね、推知報道が禁止されていたとしても、非常に世間的に重大事件と言われるような事件でしたら週刊誌などが実名報道をする、顔写真を掲載するなどということもこれまでにあります。ここに関しては、報道の自由がある、表現の自由がある、若しくはそういったことに対する罰則規定がないということで黙認されているようなのが現実、現状ではないかというふうに思います。
 表現の自由、報道の自由というのは非常にこれもこれで重要なところだと思うんですけれども、私もメディアにいたので感じるんですが、メディアも非常に強い使命感を持ってそういった報道をするのがもう専らなんですけれども、ただ、そうでないこともありまして、センセーショナルな事件を扱った方が非常に、まあ盛り上がるじゃないですけれども、週刊誌だったら売れるような考えによって、そういった報道に走るケースというのもあると思うんですね。
 ですから、ここは憲法との関係ですから非常に難しい、これまでの答弁を見てもそういった御答弁かとは思うんですが、ここは議論を今後深めていってもいいところではないかなというふうに感じているんですけれども、この部分、報道の自由との関係、報道機関の対応などについての見解をお聞かせください。

#94
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 本法律案で、特定少年につきまして推知報道の一部を禁止を解除したということにつきましては、先ほどもその理由を申し上げたところでございまして、推知報道を一般的に禁止した上で逆送され、公開の法廷で刑事責任を追及される立場となる公判請求の時点から推知報道の禁止を解除したところでございます。
 その上で、その推知報道が一部解除されたことについて報道機関がどのように取り組むかというのは、まさに委員御指摘のとおり、憲法の報道の自由との関係もございまして、そこは報道機関の御判断に委ねるというのは政府の立場であろうと思います。
 ただ、推知報道の一部解除によって健全育成、更生が不当に妨げることがあってはならないと考えておりますので、この点に関しまして、関係機関におきまして、事件の広報に当たりましては適切に対応することが必要であろうと考えているところでございます。

#95
○清水貴之君 続いて、附則第八条の検討事項ですね、これについてお伺いをします。
 法施行後五年を経過した後に、本法及び成年年齢の十八歳への引下げの実施状況、社会情勢、国民の意識の変化等を踏まえ、罪を犯した十八歳以上二十歳未満の者に係る事件の手続、処分、処遇に関する制度の在り方等について検討を加え、必要があるときは所要の措置を講ずるとしているという、こういった内容ですけれども、まず、この五年ですね、なぜ五年にしたのかというのと、私お聞きしたいのは、五年が経過してからこういったものを見ていくのか、それとも五年が経過するのに合わせてその手前の部分からその内容というのを見直すべきかどうか、こういった検討を進めていくのか、この辺りというのはどう考えているんでしょうか。

#96
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 本改正によりまして、罪を犯した十八歳及び十九歳の者に係る事件の手続、処分等の在り方は現行制度と相応に異なるものとなるところでございます。
 また、罪を犯した十八歳及び十九歳の者に係る事件の手続、処分等の在り方については、社会情勢や国民の意識の動向を踏まえた検討が必要でありますところ、本法律案による改正後の少年法等や成年年齢の引下げに係る改正民法が施行された場合、それに伴って十八歳及び十九歳の者を取り巻く社会情勢や国民の意識が更に変化していく可能性もございます。
 以上のことからいたしますと、より適切な制度を構築していくという観点からは、施行後一定期間が経過した段階で、それまでに蓄積された運用実績とともに、その時点における社会情勢や社会の意識の動向を踏まえて制度の在り方を検討する機会を設けることが適当であると考え、御指摘の検討条項を附則八条に設けることとしたものでございます。
 その上で、充実した検討を行うためには、新たに導入する保護処分の執行を受け終わった者の再犯の状況等を含め、制度の運用状況に関する実証的なデータを十分に収集するとともに、本法律案による改正後の少年法等や成年年齢の引下げに係る改正民法の施行後の十八歳及び十九歳の者を取り巻く社会情勢や国民の意識の動向を見極めることが必要となるところから、そのためには施行から五年程度の期間は必要であると考えておるところでございます。
 したがいまして、検討それ自体は五年、施行後五年をたった時点で検討するということになりますが、それに必要なデータの収集その他は当然この検討を見据えて適切に収集してまいりたいと考えております。

#97
○清水貴之君 今のそのお話の中で、施行状況、社会情勢、国民の意識の変化、こういったものをどう把握していくかという部分で、まあ施行状況というのは大体分かりますよね、どういった状況でやっているかと。難しいのはやっぱり社会情勢とか国民の意識の変化、この辺りだというふうに思うんです。
 今回の少年法のこの改正に当たっても、いろいろな様々な意見がある中で、国民の意識からすると少年法改正に賛成だという声が非常に多い中で、今回少年法のその年齢は維持していくということですから、こういった意識、社会情勢の把握というのは非常に難しいのではないかと考えますが、どのようにそういったことに取り組んでいくつもりでしょうか。

#98
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
 本法律案の附則第八条に言う施行の状況とは、改正後の少年法、更生保護法及び少年院法の施行の状況のほか、成年年齢引下げに係る改正民法の施行の状況を指すものでございまして、社会情勢及び国民の意識の変化等とは、社会における十八歳及び十九歳の者の立場、求められる役割や、それに対する国民の認識、評価等について、その変化の有無、内容、程度等を幅広く含む趣旨でございます。
 お尋ねの施行状況や社会情勢及び国民意識の変化等について具体的にどのような方法で把握するのが適切であるかということにつきましては、現時点で確たることを申し上げることは困難でございますが、国会での御議論等も踏まえまして、多角的な観点から、でき得る限り実証的なデータに基づいて検討が行うことができるよう適切に対応したいと考えております。

#99
○清水貴之君 附則についてもう一点、所要の措置とあります。所要の措置を講ずるの所要の措置とはどういったことでしょうか。

#100
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
 本法律案の附則第八条に言う所要の措置は、本改正後の少年法等や成年年齢の引下げに係る改正民法の施行状況のほか、これらの法律の施行後における社会情勢や国民意識の変化等を踏まえて行う検討の結果に基づき必要があると認めるときに講ずるものとなるものでございます。
 そのために、現時点では前提状況が明らかでございませんので、この所要の措置の内容について具体的に申し上げることは困難でありますが、あくまで一般論として申し上げますと、所要の措置としては法改正や運用上の措置などが考えられるところでございます。

#101
○清水貴之君 ということは、これもあくまで可能性の話ですが、適用年齢の引下げ、十八歳に引き下げる、若しくは特定少年という枠を外して今の現状の二十歳に全てそろえて戻すみたいな、こういったこともその可能性には入ってくるわけですか。

#102
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 先ほどもお答え申し上げましたが、現時点で具体的にどうなるかということをお答えすることは困難でございますけれども、一般論として申し上げますと、今委員御指摘のような内容による法改正ということも、あくまで一般論でございますが、そういったことも考え得るところでございます。

#103
○清水貴之君 済みません、時間が来ました。矯正教育を最後入れていたんですが、ちょっと間に合いそうにありませんで、来週の質問に回させていただけたらというふうに思います。
 今日はここで終わらせていただきます。ありがとうございました。

#104
○川合孝典君 国民民主党の川合孝典です。
 少年法の質疑をさせていただきたいと思っておったんですが、今朝の朝刊を拝見させていただいて、まずは名古屋のスリランカ人女性の死亡事案について確認をさせていただきたいと思います。
 今朝の毎日新聞に載っておりましたが、入管からの中間報告書と診療記録の内容が逆であったということを指摘する記事でありました。
 まず、大臣に確認をさせていただきたいんですが、この記事について入管から報告は受けていらっしゃいますでしょうか。

#105
○国務大臣(上川陽子君) 記事は私は読ませていただいておりますが、報告という形ではございません。

#106
○川合孝典君 まだ報告、正確に受けていらっしゃらないということなので、問題認識を共有させていただく意味で、少しここで説明をさせていただきたいと思います。
 既に中間報告という形で委員各位にも配付されている中間報告書の中で、この名古屋入管で収容されていた女性の診療記録についてるる書かれていたもの、御記憶にあろうかと思いますが、その中で、入管の方が適切にその診療に、受診を受けると同時に、施設内ではあるけれども適切に診療、いわゆる加療の行為を行っていたということの説明を受けておりました。
 そこに書かれていた報告書には、医師から点滴や入院の指示がなされたこともなかったと、こう記載されていたんですが、この毎日の記事によりますと、ここに書かれているのが事実であればということでお聞きいただきたいんですが、これだけ嘔吐があれば出血もある、GERD、これは胃食道逆流症ということでありますが、GERDであろうと。ロキソニンで潰瘍ができることもある、いずれにせよランソプラゾールで様子見になる、内服できないのであれば点滴、入院、括弧して入院は状況的に無理でしょうという、こういう書き方がなされていたわけでありまして、入管がこのいわゆる点滴、入院ということについて指示がなかったということをおっしゃっているんですけれども、実際この報道機関が入手した情報によると、そうしたことを医師が指摘しているという事実がこれ出てきているということであります。
 この事実関係、記事を大臣はお読みになられたということでありますので、この記事をお読みになられてどのようにお感じになられましたでしょうか。

#107
○国務大臣(上川陽子君) 今、まさに検討、調査の段階でございますので、こうした御質問ではございますけれども、私自身がそのことについての所見という形の中で御質問でございますけれども、今は客観的、公正公平な調査を私自身指示している立場でございますので、最終報告に向けまして様々な御指摘その他もありますし、また調査も加えなければいけない点も、第三者の方も含めまして指示があるということでございますので、大変申し訳ございませんが、答弁については差し控えるということが姿勢ではないかと、こんなふうに思っているところでございます。

#108
○川合孝典君 趣旨が伝わっていなかったようなので改めて御質問させていただきますが、既に法務省として正式に御提出なさった中間報告書の内容、記載内容に要は虚偽の疑いが生じたということについて大臣はどう御認識されているのかという、改めてお伺いします。

#109
○国務大臣(上川陽子君) 記事の内容のその背景にどのような状況があるのかということも含めていろいろ記事にしていらっしゃるというふうに思います。私も調査そのものもいろんな状況の中でその分析をしていかなければいけないということでございますので、それも併せて、やはり何といっても調査チームを編成して責任を持ってやっていただいていると、このことが私は大事ではないかと思っておりますので、ちょっと今の御質問でもございますが、答弁については差し控えさせていただきたいと存じます。

#110
○川合孝典君 私も善意でもって、大臣もこれまでそのように御答弁されてきましたし、入管庁からもそういう説明受けてきました。したがって、真摯に調査を行った上で報告書を提出していただくということで、そのことを信じて、その報告を受けて、それが正しいものと判断した上で議論を行っているわけです。その前提条件が崩れているということでありますので、そういう意味では、今の大臣の御答弁は適切ではないということは指摘させていただきたいと思います。
 その上で、どういうことが中間報告書に書かれていたのかということなんですが、明確に、この胃カメラの検査を行ったときに食道、胃、十二指腸に潰瘍等の異常は見当たらなかったと明示されています、中間報告書には。それに対して、記事の内容については、内視鏡検査では胃に部分的にただれが目立つがという記載が実はあるんですね。見当たらなかったというのは、これは正直言って明らかに虚偽になります、当たると私は理解しております。こういうものがまず一つあると。
 それから、症状の報告について、要は、点滴や入院の指示がなされたこともなかったということについてもどう書かれているのかというと、内服できないのであれば点滴、入院という書き方がされている。そのことに対して、同医師から点滴や入院の指示がなされたこともなかった、それから、二月五日付け診療情報提供書には、高度の逆流性食道炎の疑い、胃カメラも行いましたが、ほとんど所見は認められませんでしたと書かれております。
 直接入管庁の、さっきまでいらっしゃいましたけど、呼んで、次回、この点については確認をさせていただきたいと思いますが、指示がなされていなかった、なされたこともなかったと書かれていますが、明確に、これ記事内容が事実であれば、その必要性は医師が指摘しているという事実がここに記載されているわけであります。
 私、午前中の森先生の質疑を聞かせていただいていて、なるほどこれなのかと思ったんですが、必要性は指摘はされたけど指示はされなかったと、こういうことなのかというふうに理解したわけでありますが、どう読んでも、これは誰もが誤解するような表記にわざとすることでごまかしているとしか言えない内容になっております。
 わざわざこのことを私が申し上げさせていただいたのは、我々は、役所が提出してきた様々な法案、法律改正の資料だとか様々なものを、それを正しいものとして、その正しい前提に基づいて質疑をさせていただいています。その前提となる資料自体に虚偽やごまかしが生じるようなことがあったら法案審議できないじゃないですか、これ。そのことを指摘させていただきたい。
 先ほど、午前中に難波議員がこの件について少しお触れになりましたけれども、真摯に、国民にとって、本当に日本にとって国民にとってプラスになる法改正であれば、それが我々にとって賛成か反対かということを別にして、前向きに受け止めて議論しなければいけないと私も理解はいたしておりますが、しかしながら、ごまかしのようなことを平気でやるような、すぐにでも資料が提出できるようなものであるにもかかわらず、言を左右して、いつまでも資料を出さずに、その状況の中でずるずると引っ張って、さらには、この後には入管法の審議、冗談じゃないですよ。今回の入管法改正は、入管の権限を非常に大きくすることになります。その入管法改正の審議を、実際運用を行う入管庁がこんなことをやっているという疑義が生じている状況の中でとてもこの法案の審議はできない。
 先ほど、この最終報告書の話についてできるだけ速やかにということをおっしゃいましたが、出す気になったらすぐにでも出ると思います。ある資料を、きちっと情報を開示していただければ、それで検証はできると思います。
 同時に、もう一点指摘させていただきたいのは、この問題を生じさせた当事者である入管庁が調査を行うということ自体に矛盾があります。先ほども指摘ありましたが、有識者を含む第三者で中立的な立場の方が、なぜこの問題が起こったのかということを正確な情報に基づいて御議論いただかないと、この問題は解決できません。入管庁に対する信頼が、国民の信頼がなければ、この入管法の改正を行うということについても疑念が生じた状態のままで進むことになってしまう、このことを是非重く受け止めていただきたいと思います。
 そこで、委員長にお願いをしたいと思いますが、今回指摘をさせていただきましたこの診療情報提供書でありますが、今日はマスコミのいわゆる新聞の資料を使って質問させていただきましたが、事実関係についてきちんと確認をさせていただきたいと思いますので、次回の委員会までに、個人名等プライバシーに関わる部分についてはマスキングしていただくことはやむを得ないと思いますが、この診療情報提供書の提出を是非求めたいと思いますので、委員長にはよろしくお取り計らいをいただきたいと思います。

#111
○委員長(山本香苗君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。

#112
○川合孝典君 済みません、久しぶりに非常に不愉快になりましたので、若干不適切な発言があったとしたら御容赦をいただきたいと思います。
 それでは、この後は少年法の改正について少し質問させていただきたいと思います。
 前回の質問のときにも申し上げさせていただきましたが、被害者の保護、救済というものをどう図るのかということが前提とした上で、その加害少年の保護、更生というものがどう適切に図られていくのかという、そういう視点が必要だと私は考えておりますが、その上で、いわゆるその賠償の責任等も含めて、十分にその加害者側の責任が果たされていないということが放置されているという問題を前回指摘させていただきました。
 この問題に関して追加で質問ということになりますが、いわゆる加害少年、非行少年が更生をしていく、さらには、贖罪と賠償責任を果たしていく上では、いわゆる社会的支援の面で、就業支援も含めた取組をしっかりと前に進めていく、生活の基盤をきちっとつくって働いて責任を果たし、賠償責任も同時に果たしていくということが本来必要なんだろうというふうに思っておりますが、現状のこの更生を促す上での就業支援に向けた取組の状況及び少年の就業支援を今後より充実させていくことの必要性について、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

#113
○国務大臣(上川陽子君) 少年院の出院者等の就労につきましては、その非行歴を御承知いただいた上で雇用や指導をしてくださる協力雇用主の方々に大変な御尽力をいただいているところでございます。その献身的な御労苦にも報いるために、法務省といたしましては、近年、様々な就労支援施策を充実強化してきたところでございます。
 そのうちの一つでございますが、刑務所出所者等就労奨励金支給制度というのがございます。少年院出院者等を実際に雇用してくださった協力雇用主に対しまして、年間最大七十二万円の奨励金を手当てをしております。また、この奨励金に加えまして、少年院出院者等の就職活動、また職場定着につきまして、きめ細かな寄り添い型の支援を行う更生保護就労支援事業、これを全国二十三か所におきまして実施をしているところでございます。
 この少年院出院者等の就労支援につきましては、今、新型コロナウイルス感染症の影響もございまして、実際に雇用してくださる協力雇用主の方々が減少をしているという状況がございます。そうなりますと、就労経験がなかなか乏しい中で雇用していただくようにマッチングをしたり、いろんな形で取り組んでいただいているわけでありますが、短期間で転職を繰り返す、そうした状況が発生しているということで、こういったことが課題の大きなテーマと、課題となっているところでございます。
 こうした課題に対応するためのまた取組につきましても、協力雇用主の方々の御要望またニーズ、こうしたことについて丁寧に伺わせていただきまして、それに応えるべく、この御尽力に報いるための様々な制度が円滑に実施できるように、また、就労においてのコミュニケーション、マッチング、こうしたことを促進する更生保護就労支援事業、この充実と事業運営が安定的に取り組んでいくことができるように、しっかりとこの事業につきましても成果を上げてまいりたいというふうに思っております。

#114
○川合孝典君 ありがとうございます。
 併せて確認なんですが、いろいろ今御説明いただいたようなお取組をしていただいているということは理解いたしましたが、いわゆる需要と供給のバランスといったときに、そこは十分に充足されているという御認識なんでしょうか。

#115
○政府参考人(今福章二君) 御答弁申し上げます。
 今大臣からも答弁申し上げました刑務所出所者等の就労奨励金ですとか更生保護就労支援事業につきましては、これに対するニーズは非常に高うございまして、それをほぼ満額執行しているというような状況でもございます。
 なお、この就労支援の課題は非常に高うございますので、よりその充実に向けて取り組んでまいる所存でございます。

#116
○川合孝典君 せっかくですから、併せて確認させてください。いわゆる協力していただける企業を増やしていくための取組というのは具体的に何かやっていらっしゃいますか。

#117
○政府参考人(今福章二君) お答え申し上げます。
 協力雇用主さんを増やすその広報啓発ということにつきましては、大きな、例えば経済三団体の方にも働きかけをさせていただくなどいたしまして、それで、今その協力雇用主さんの数自体は年々増加しているという状況でございます。

#118
○川合孝典君 済みません、具体的にどのぐらいの企業数になっているんでしょう。分かりますか。

#119
○政府参考人(今福章二君) お答え申し上げます。
 この協力雇用主さんの登録数でございますが、令和二年の十月一日現在では二万四千二百十三社となってございます。これを過去と比較しますと、年々増加といいますか、もうずっと前を言いますと、平成十八年では五千七百三十四社、最近遡っても、平成三十一年ですと二万二千四百七十二社ということで、いわゆる右肩上がりということになってございます。

#120
○川合孝典君 想像したより随分多いなというのが正直率直な感想なんですけど、この今おっしゃった二万四千二百十四社が全て何人かを受け入れていただいているという理解でよろしいですか。

#121
○政府参考人(今福章二君) ただいま御指摘ございました、その協力雇用主さんの中で実際に雇用してくださる方々のデータでございますけれども、その協力雇用主さんの数は、実はこの新型コロナウイルスの感染症の影響もありましてやや減少しておりまして、昨年と比べればですが、令和二年十月一日現在では千三百九十一社、そこで実際に就労していただいている被雇用者の数は千九百五十九人となってございます。

#122
○川合孝典君 急な質問にもかかわらず答弁いただきまして、ありがとうございます。
 今大臣お聞きいただいたと思うんですけれども、こういうコロナのような特に状況が生じてくると、やはりその雇用弱者に当たる方は一番最初にあおりを食うということにもなりますので、その部分に対して積極的に働きかけを行っていかないとどうしても置き去りにされてしまうという実態があろうかと思います。
 審議会等でも御議論されているようでありますが、いわゆる施設内処遇と出所後の社会内処遇とをどう連携させていくのか、円滑に移行させていくのかということがやっぱり問われると思いますので、その辺りのところの取組を是非この法律改正とは別の部分で、日常的な法務省としてのお取組の中で進めていただきたいと思うんですけど、是非やっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

#123
○国務大臣(上川陽子君) 今委員御指摘のとおり、協力雇用主として登録していただいている企業の数は二万を大幅に上回って、私が一回目の大臣のときには一万五千ぐらいでございましたので、本当にこの間、いろいろ情報を皆さんよく理解していただきながら登録をしていただくことができるようになってまいりました。
 しかし、実際に雇用ということになりますと、マッチングがなかなか難しいということで、例えば、施設の中に、就職、こういうことで就職があるんだけれども、私たちの企業はこういうことなんだということを事前に内定ができるようなところまでお願いに行くとか、いろんな形で施設と施設から出た後のこの相互の交流ができていないと、出たら、じゃ、こうしますということには必ずしもならないので、その辺りのスムーズなコミュニケーションが物すごい大事だということも御指摘をいただきながら、今度、じゃ、この部分をどういうふうに埋めていくのかと、そうしたプログラムを随時実施しながら今努力を重ねてきているところでございます。
 コロナ禍ということもございまして、なかなか実際の雇用ということになっても、お一人の方がうまくいくかなと思ったとしても実は三か月くらいで駄目だったと。じゃ、その方をそのまま放り出すのではなくて、他の業種ならばもしかしたらいいかもしれないと。地域の中でも協力雇用主の皆さんがよく情報連携をしていただきながら、じゃ、こちらで受け入れることができるんじゃないかと、こんなことも相互に話をしていただいているような環境もございまして、そういったものを厚くしっかりと法務省の方でもサポートをしていくということが大事ではないかと強く思っているところでございます。
 まさに、委員御指摘のところ、この問題については特別にしっかりと取り組んでいく必要があると認識しておりますので、対応してまいりたいと思っております。

#124
○川合孝典君 ありがとうございます。
 今後、この問題も、今御答弁いただいた点についてやっぱり取組を充実していただくことが、結果的に、いわゆる加害少年の更生ということも含めて、いわゆる更生率がどうなるのか、再犯率をどう低く抑えていけるのかということにも密接につながってくるというふうに思いますので、前向きな取組という意味では是非手厚く取組を進めていただきたいと思います。是非よろしくお願いします。
 時間がなくなってまいりましたので次の質問に入らせていただきたいと思いますが、原則逆送規定の対象の拡大について、確認をちょっとさせていただきたいと思います。
 これまでも何度も各委員から御質問がありましたので、ちょっと切り口を変えて質問したいと思うんですが、今回、十八歳、十九歳のいわゆる特定少年の、十八歳、十九歳の少年の多くは、今回法改正がなされた後も家裁における保護処分を受けることが恐らく予定されているんだろうと思います。
 五年後の見直しの際に、今後、特定少年との間に処遇の不均衡を理由とした少年法適用年齢の引下げの議論が行われることも可能性としてあるのかなということをちょっと頭の中で気が付きまして、そこで質問なんですが、今回の法改正によって、特定少年の中で、原則逆送によって二十歳以上の者と同様の取扱いを受ける者と、これまで同様、家裁の保護処分を受けて、保護、教育的処遇を受ける者との間で当然処遇に差が出てくるということになろうかと思いますので、この処遇の差が出てくるということについてどのように御認識をされているのかということを法務大臣にお伺いをしたいと思います。

#125
○政府参考人(川原隆司君) お答えを申し上げます。
 刑罰と、それから保護処分としての処遇の差ということでございます。
 少年に対する保護処分は専ら改善更生を目的として課すものである一方、刑罰は保護処分による改善更生が不能あるいは不適である少年を対象に応報として科すものでございまして、両者は対象や目的が異なるために、単純に比較して処遇のその優劣という意味で、を論ずるのは適当でないと考えております。
 その上で、改善更生という点で見ますと、逆送されて執行猶予付判決を受ける者については、刑の執行猶予は心理的強制によって対象者の改善更生を図る機能があり、より積極的な働きかけが必要な場合には対象者を保護観察に付することもできるところでございます。また、実刑判決を受ける者につきましても、法制審議会の答申を踏まえて、刑事施設において、少年院の知見、施設を活用して、若年受刑者に対し、その特性に応じた処遇の充実を図ることとしているところでございます。
 したがいまして、十八歳以上の少年について、原則逆送対象事件の範囲が拡大して刑罰を受ける部分が増えた、原則逆送対象事件の範囲が拡大して、これによりまして刑罰を受ける者がいた場合に、それが適切な処遇が行われなくなって改善更生が阻害されると、そういったこととなるとは考えていないところでございます。

#126
○川合孝典君 そこで処遇の優劣とは関係ないということの御答弁いただきましたので、安心をいたしました。
 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございます。

#127
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 あの名古屋入管でのスリランカ人女性の死亡事案について、徹底解明が必要であることは言うまでもありません。そして、それなしに入管法の法案審議が前提を欠くということは私からも指摘をさせていただきたいと思います。
 その上で、少年法について今日は伺います。
 少年事件を刑事処分とするのか保護処分とするのか、検察に事件を逆送するか否かを判断する調査について、今もお話ありましたが、前回に続いて伺いたいと思います。
 最高裁に伺います。
 十一日の質疑では、最高裁として、その調査に関わって特定の考え方や方向性を示しているということはないという答弁でした。しかし、私が示しました二〇〇六年司法研修所編集の「改正少年法の運用に関する研究」においては、改正の趣旨を踏まえた運用がされているかどうかを実証的に検討し、その結果を今後の実務に生かそうとするものだと冒頭に書かれています。違うんでしょうか。

#128
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
 現行法の第二十条第二項ただし書に該当するか否かを裁判官が判断する際の考え方について、委員御指摘のように、裁判官数名による研究報告があるということは承知をしております。他方、先日も申し上げたとおりなのでございますが、裁判官を含む実務家等の論考等におきまして、ただし書に掲げられている事情、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を総合考慮するという考え方等、様々な考え方があるというふうに承知をしております。
 いずれにいたしましても、委員お尋ねのその調査に関係する部分につきましては、そうした判断の前提となるものとして家庭裁判所調査官による調査、これは非行の動機、態様、結果等だけでなく、少年の性格、年齢、行状及び環境等も含め、要保護性について十分に調査を尽くさなければならないという点はいずれも共通しているところと認識をしております。

#129
○山添拓君 では確認ですけれども、家裁調査官は、ここの研究に書かれているように、保護処分を必要とする特段の事情が必要なのだと、そういう特定の解釈に基づいて調査する必要はないということですね。

#130
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
 要保護性についての調査を、必要な要保護性の調査を尽くす必要があるということでございます。

#131
○山添拓君 資料をお配りしておりますが、家庭裁判所から検察に事件を送致する逆送の規定は、現行法では二十条の一項と二項にあります。今度の法案は十八歳、十九歳について、これに加えて六十二条一項と二項で同様の規定を置き、拡大しようというものです。
 法務省に伺います。四つの規定にそれぞれ調査の結果という文言があり、下線を引いております。ここで行われるべき調査の内容というのは全て同じものだと理解してよいですか。

#132
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
 いずれも同じものだという理解でございます。

#133
○山添拓君 要保護性に関する調査ですので、同じかと思います。要保護性というのは、再犯危険性、矯正可能性、保護相当性、この三つの要素だと整理されております。少年法の九条で調査についての条文がありますが、専門的知識、特に少年鑑別所の鑑別の結果を活用して行うように努めなければならないとあります。徹底した調査ということです。
 そこで伺うのですが、きめ細かく調査する、その調査の結果に基づいて刑事処分か保護処分かを判断すると。そうであれば、保護が不適あるいは不能、保護に適していない、保護ができない、そういう場合は刑事処分だと先ほど刑事局長から答弁もありましたけれども、そういう考え方からすれば、いずれにしてもきめ細かく調査をするわけですから、十八歳、十九歳の事件についても現行法の二十条一項で逆送できるんじゃないですか。

#134
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 おっしゃるとおり、現行法の二十条一項によっても、特定少年の原則逆送の拡大する部分については当然逆送は可能でございます。
 今回の改正法は、逆送は可能かどうかという問題の上に、さらに、逆送は原則かどうかということで、現行二十条一項の適用ですと原則は逆送ではございませんので、これを今回、原則逆送を拡大する部分につきまして、逆送を原則とする対象にするという形で改正をするものでございます。

#135
○山添拓君 つまり、原則として逆送とするんだということで、わざわざ規定をするわけですね。ですから、最高裁が調査の中身は変わらないのだと幾ら答弁をされていても、原則逆送事件をわざわざ規定し拡大していくということになれば、その調査の使われ方が変わるわけです。したがって、その性質は変容しかねない。現に二〇〇〇年改正以後、調査が変容したと批判されてきたわけです。
 議論を踏まえて大臣に伺いたいのですが、法案は、十八歳、十九歳に刑事処分を科す対象事件を大幅に拡大するものです。しかし、犯行の凶悪さやあるいは悪質さにかかわらず要保護性の高い少年については保護処分に付す、それが少年の健全育成という法の目的にもかなうと思うんですけれども、いかがでしょうか。

#136
○国務大臣(上川陽子君) 一般論として申し上げるところでございますが、家庭裁判所は、実務上、原則逆送事件についても十分な調査を尽くした上で、先ほどの答弁でございますが、刑事処分相当として逆送決定をするか否かを慎重に判断をしているものと承知をしているところでございます。
 様々な事案につきましても、十分な調査を尽くした上で、犯情の軽重を含む様々な事情を考慮した上での適切な処分ということでございますので、その構成の仕方というのは変わらないというふうに思っております。
 今回、特定少年ということで、様々これに係る部分につきましては一つにした形で記述を規定をしているところでございますが、この六十二条に関しましても、このそれぞれの規定の中で基本的な枠組み、そして少年法の目的に照らした保護処分、そしてその要保護性、そしてまた犯罪の軽重と、こういったことについてのバランス、こういったことを家裁がしっかりと調査をした上で処分を課すということのフレームワークは変わらないものと考えております。

#137
○山添拓君 私が申し上げているのは、家裁がしっかり調査をすると、それはこれまでもこれからも大事なことだと思うのですが、その家裁のしっかりした調査を前提とするのであれば、その上で刑事処分が必要な事案なのか、それともやはり要保護性が高く保護処分に付すべきなのか、その判断は家裁が行うわけですから、現行の二十条一項でも適切に処理されると思うんですね。
 しかし、あえて原則逆送事件を追加する、拡大をしていく、そうすると調査は変容するのではないかと、そのことが現場から既に、二〇〇〇年改正の後の経過も踏まえて批判が起こり、懸念がされているわけです。原則逆送事件の拡大は、健全育成という法の目的とは相入れないものだと改めて指摘をしたいと思います。
 法案は、十八歳、十九歳を保護処分とする場合、その期間の上限を決めるに当たり犯情の軽重を考慮するとしています。しかし、犯情というのは成人の量刑で用いられる概念です。少年法には初めて用いられる、持ち込まれるものです。
 刑事局に伺います。
 十八歳、十九歳について、刑事処分ではなく保護処分を選択する。保護処分を選択する以上は、その処遇というのは刑事処分の考え方ではなく保護処分の世界のルールで決めるべきではないんでしょうか。

#138
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 委員のお尋ねは、その家裁が保護処分を選択するときにどういうふうな考え方をするかと、(発言する者あり)ということですよね、そこで保護処分を選択するという判断でございますから、そこは保護処分の考え方に従ってその内容を決するということになります。

#139
○山添拓君 ですから、今刑事局長がお答えになったように、保護処分を選択する以上は保護処分のルールでやるべきなんですよ。ところが、そこに犯情という刑事手続の概念を持ち込むことになる、それは矛盾していませんかと伺っています。

#140
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 まさに、今回、特定少年の保護処分に関しまして、責任主義の観点から犯罪の軽重を考慮するということにしたところでございまして、まさにそういったことが新たな保護処分のルールとすべきと考えることから法改正をお願いしているところでございます。

#141
○山添拓君 いや、そうではないんですよ。責任主義、成人ゆえに行為責任の原則と、それは原則逆送事件の拡大によって対応しているはずのことです。従来どおり保護処分の対象事件としたものについてまで刑事処分の考え方を持ち込む、これは決定的な矛盾ですよ。
 処遇の選択に当たって犯情が優先されるとどうなるかと。衆議院の参考人質疑で、元家裁調査官の須藤明氏は、社会調査や心身鑑別が従前と同様に行われたとしても、調査官の処遇意見や心身鑑別の判定意見に反映されない結果、分析結果と意見との乖離が生じ、結果として社会調査と心身鑑別の形骸化をもたらすと述べています。
 最高裁に伺いますが、十八歳、十九歳の事件は、調査や鑑別をどれだけきめ細かに行っても犯情の軽重で処遇が決まる、それでは調査や鑑別というのはやはり形骸化してしまうのではありませんか。

#142
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
 先ほど法務当局から御答弁がありましたように、犯情の軽重によって相当な限度を超えない範囲内ではありますけれども、その上で、犯した罪の責任、あっ、申し訳ございません、訂正させてくださいませ。対象者の要保護性に応じて保護処分を選択するということになりますので、その選択については要保護性をきちっと調査をした上で検討する必要があるというところと認識をしております。

#143
○山添拓君 しかし、その際、犯情が上限になりますね。まず犯情があって、その中で要保護性ということになるわけです。ですから、要保護性に関する調査もどれだけやっても犯情という上限が掛かることになる、違いますか。

#144
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) 家裁調査官の調査の目的としましては、要保護性の検討が主たる内容になるわけですけれども、そこではその非行メカニズムを分析、解明し、その非行の促進要因、抑止要因というのを分析、検討していくということになるかと思われます。
 相当な限度を超えない範囲ではありますが、その要保護性に即した処分を、処遇を選択しようとすればそのような調査は必要だということであると理解しておりますので、そのような趣旨でお答えを申し上げました。

#145
○山添拓君 ですから、調査をどれだけやっても犯情が先立ちますから、その範囲内でしか要保護性に関する調査は生かされないということになりかねないと。
 新たに原則逆送の対象となる十八歳、十九歳の例えば強盗事件について見ますと、二〇一五年から一八年の統計では、少年院送致が五六%、保護観察が三二・六%でした。一方、二十歳と二十一歳の強盗罪について、全部執行猶予の割合は五二・一%だといいます。執行猶予されるというのは、まさに犯情による判断です。すると、法案の下では十八歳、十九歳についても犯情を優先すると、自由を拘束するべきではないということになると思うんです。
 刑事局長はおとといの質疑で、こういう場合に直ちに少年院送致を選択できないことには必ずしもならないと答弁されました。では伺いますけれども、犯情が軽くて成人なら執行猶予になる事件がどういう場合であれば少年院送致を選択し得るとお考えでしょうか。

#146
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 お尋ねは、具体的に家裁がどう判断するかという判断に関わるものでございますので、法務当局としてはお答えを差し控えたいと思います。

#147
○山添拓君 刑事局長自身が必ずしもそうはならないと答弁されたわけですから、想定されているはずですよ。そうでないと答弁できないことですよ。いかがですか。

#148
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
 私の答弁として、まず十八歳以上の少年の保護事件について、具体的にいかなる保護処分を選択するかという問題は家庭裁判所が個別の事案に応じて判断すべき事柄であり、一概にお答えすることは困難であるという、まずこの一般論を前提としまして、私が申し上げたのは、必ずしも少年院送致処分、御指摘のような事案において少年院送致処分が選択できないということには必ずしもならないということでありまして、それを超えて具体的にどういう事案ならというところまで御答弁した趣旨ではございません。

#149
○山添拓君 では、逆に伺いますけれども、殺人未遂罪のように犯情としては比較的重いものの、少年が真摯に反省して被害者も許している、受入れ環境も整っている、こうした場合に裁判所は短期の処遇勧告をすることもあり得ますか。

#150
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 それは、保護処分の具体的内容としてどうなるかということでございまして、一概にはちょっとお答えすることは困難でございます。

#151
○山添拓君 刑事局長はそうおっしゃるんですけれども、おとといの質疑では、具体的な判断基準は裁判所による運用の集積の中で徐々に形成されていくということも述べられました。それは結局、個々の少年の問題性に応じた個別具体的な柔軟な対応ということではなく、量刑相場の形成と、そういう発想につながっていくと思うんです。犯情の軽重を考慮するのは、重い罪なら重い処分を、軽い罪なら軽い処分を、応報的な考え方に基づくものかと思います。
 しかし、保護処分というのは思想が根本的に異なります。大山参考人が述べていたように、少年院というのは進級制で、問題を起こせば一か月単位で出院が延びていきます。罪が重いから長く入るということではなく、要保護性が高いから長期処遇で教育するわけです。こうして、少年院における処遇というのは刑務所における懲役とは異なって、教育的措置として行われてきました。大臣はその意義をどのように認識しておられますか。

#152
○国務大臣(上川陽子君) まさに少年院でございますが、可塑性を有する少年を対象とする保護処分、これを執行する機関でございます。
 そこにおきましては、安全、安心な生活環境の下におきまして、在院者の健全な心身の成長を図るとともに、その自覚に訴えて改善更生の意欲、これを喚起し、自主、自律及び協同の精神を養うことを目的として、在院者に対しまして矯正教育のほか、その健全な育成に資する処遇、これを実施しているものでございます。
 具体的には、在院者が他者への不信感を有するなど資質上及び環境上の様々な問題や困難を抱えていることを踏まえまして、法務教官との深い信頼関係、これを基盤として、個々の在院者が抱える課題に応じて矯正教育を計画的に実施するわけでございます。
 これらの矯正教育でございますが、担任によりましての個別指導、また小規模の集団指導、こういったものを組み合わせて余暇時間を除く起床から就寝まで行っておりまして、再非行防止に一定の効果を上げているものと認識をしているところでございます。

#153
○山添拓君 大臣の答弁はそのとおりだと思うのですが、今度の法案は、そうした教育的措置である保護処分に犯情という異質の概念を持ち込んで、その性格をゆがめるものだと言わなければなりません。
 矯正局に伺いますが、教育的な措置であることから、少年院での処遇というのは柔軟に行われています。少年院に収容され、収容が継続となった件数、そして、なぜそうした継続が申請されるのかについて御説明ください。

#154
○政府参考人(大橋哲君) お答え申し上げます。
 令和元年に少年院を出院した者二千六十五人のうち収容継続を行った者は六百三十四人おります。
 その内訳とその理由につきまして申し上げますと、二十歳に達する保護処分在院者に対して、保護処分決定日から起算して一年に限り少年院の長が決定できる収容継続として百十一名、保護処分在院者の心身に著しい障害があり、またその犯罪的傾向が矯正されていない場合、家庭裁判所が決定する二十三歳までを限度とする収容継続、これにつきましては五百二十三人、保護処分在院者の精神に著しい障害があり、医療に関する専門的知識及び技術を踏まえて矯正教育を継続して行うことが特に必要である場合、家庭裁判所が決定する二十六歳を超えないまでを限度とする収容継続についてはございませんでした。
 以上でございます。

#155
○山添拓君 ありがとうございます。
 少年院を出ても、家庭に問題があって帰れない少年もいます。出院後の保護観察期間を確保してスムーズに社会復帰できるように柔軟に運用するなどされておりますが、犯情の軽重を考慮するということになりますと、こうした期間というのは犯情に照らせば余計な期間と、そして認められないということにならないでしょうか。法務省、いかがですか。

#156
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 今回の改正案で、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲でとする理由でございますが、保護処分は、施設への収容を含む対象者の権利、自由の制約という不利益を伴うものであるために、民法上の成年とされ監護権の対象から外れる十八歳以上の少年について、犯した罪の責任に照らして許容される限度を超える処分を行うことは、成年年齢引下げに係る民法改正との整合性や責任主義の要請との関係で問題があり、法制度としての許容性、相当性の点で慎重であるべきと考えられるところでございます。そのため、本法律案では、十八歳以上の少年に対する保護処分は犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲で行うものとしております。これが今回法改正をお願いすべきと考えた理由でございます。
 その上で、委員が現行の実務との比較をおっしゃっておられますので、お答え申し上げますと、現在の少年事件における実務の運用上も、一般的には、犯罪事実の軽重と処分との間の均衡を考慮して処分選択が行われているとされており、また、一般的には犯罪事実の軽重と要保護性は対応、相関されているとの指摘がなされているものと承知しております。
 そういたしますと、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内で処分を行うものといたしましても、実務上、家庭裁判所が要保護性に応じた適切な処分選択を行い、それに基づいて処遇機関において処遇を行うことに直ちに支障が生ずるものではなく、本改正がこれまで行われてきた保護処分による教育的措置の意義を失わせ、効果を損ねるものではないと考えております。

#157
○山添拓君 私が伺ったのは、今は収容が継続されるような件数も結構あるというのが矯正局からの答弁でした。
 刑事局長、改めて伺いますけれども、そうした社会復帰のために一定の期間収容を継続する、そういう期間を犯情の軽重を考慮するという考え方からすれば余計な期間ということになって認められない、許容されない拘束だということになりはしませんか。

#158
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
 委員は現行の少年法を前提におっしゃっておられますが、私ども、今回改正をする理由として、先ほどお答えを申し上げましたけれども、特定少年に関しまして、先ほどお答えしたように、民法上の成年とされ監護権の対象から外れる十八歳以上の少年について、保護処分というのは施設への収容を含む対象者の権利、自由の制約という不利益を伴うものでございますので、こういった十八歳以上の少年について、犯した罪の責任に照らして許容される限度を超える処分を行うことは先ほど申し上げたような観点から許容されないと考えたものでございますので、そういった形で今回の改正をお願いしているところでございます。

#159
○山添拓君 全然お答えいただけないんですけれども。
 少年院における処遇、保護処分一般についてそうかと思いますが、教育的処遇ですよね。そして、法案の下でも保護処分を残すわけです、少年院送致も残すわけですから。その保護処分に付した以上は保護処分のルールの中で教育的措置として行うべきではないかということを本日一貫して質問をしています。
 大臣に伺います。
 現行法では、裁判所が処遇期間について処遇勧告を付します。少年院がそれに基づいて処遇計画を立てています。しかし、処分そのものの上限が決められているわけではありません。だからこそ、教育的措置としての実効性があり、有効に機能してきたのではないかと考えます。その意義について大臣はどのように認識されているでしょうか。

#160
○国務大臣(上川陽子君) この在院者の処遇の現状ということでございますが、家庭裁判所調査官におきまして社会調査、また鑑別の結果等を踏まえまして、在院者ごとに個々の特性に応じて、矯正教育の目標、内容及び教育予定期間等を盛り込んだ個人別の矯正教育計画を策定した上で計画的に行っているというところでございます。
 在院者に対しましては、個々に定められた目標の達成状況に応じまして定期的及び総合的に成績評価を行っております。その結果に応じまして、三級から一級の処遇の段階を向上又は低下させ、本人の矯正教育を進めていくということでございます。そして、処遇の最高段階に達したことをもって仮退院の申出を行うこととしているところでございます。
 このように、少年院におきましては、少年院法で規定された年齢及び収容継続により定められた期間の上限の範囲内におきまして、矯正教育の目標の達成程度を見極めて、これに応じた柔軟な運用を行うことで在院者の自覚に訴え、改善意欲を喚起し、なるべく早く矯正教育の目的を達成させようとするものでございます。

#161
○山添拓君 時間が来ましたので終わりますけれども、個々の特性に応じてと大臣がおっしゃったのは大事だと思うんです。大山参考人のお話を皆さんもお聞きになったと思うんです。立ち直りの場として、内省を求められる場として、法務教官との人間同士の触れ合いを通した成長発達の場として重要な機能を果たしてきた保護処分です。そこに刑事処分の犯情という概念を持ち込むのは少年法制に決定的なゆがみをもたらします。そのことを指摘して、質問を終わります。
 ありがとうございました。

#162
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美でございます。
 最高裁にまずお尋ねしたいと思います。
 五月十一日の法務委員会で最高裁の手嶋家庭局長は、現行の少年法の下における家庭裁判所の調査、審判等の手続について、少年の再非行防止と立ち直りに有効に機能しているという御指摘をいただいていることを大変感慨深く受け止めていると答弁されました。一方で、今般の少年法改正の当否につきましては、基本的に立法政策の問題であるとおっしゃっています。
 今回の法改正に一番危機感を持っているのは、家裁の調査官たちです。
 今回、資料としてお配りしていますけれども、家裁調査官の伊藤由紀夫さん、この新聞記事ですけれども、二〇一七年十一月十五日付けの朝日新聞のインタビューで、少年司法の原点は、二十歳未満の人間は立ち直る柔軟さがあり、更生のための教育的配慮が有効として、全ての非行事件を家裁送致したことです、少年法の適用年齢引下げ問題は、この原点を根本的に否定することにつながります、なのに最高裁も家裁も沈黙していることが残念でなりませんと述べられています。
 先日、私は、最高裁、特に家裁は当事者であるというお話をしました。現場の調査官からも、最高裁は現場の声を聞かなかったという声が上がっています。最高裁はこのような現場の声をどのように受け止められているでしょうか。

#163
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
 今般の少年法改正につきましては、委員御指摘のようなものも含め様々な意見があることは承知をしているところでございます。
 その上でございますが、今回の改正の当否については、先日も申し上げましたとおりの認識でございまして、今回の改正が、成長途上にあり可塑性を有する存在である一方で、社会において責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場となった十八歳及び十九歳の者について、少年法の適用に関し、その立場に応じた特例等を定めるということでございまして、基本的に立法政策に係るものと承知をしているところでございます。
 裁判所としましては、そうした意味で意見を述べる立場にはないものと考えておりますが、いずれにしましても、改正法が成立をした際には、国会での御審議や法制審議会での御議論も踏まえ、少年の再非行防止、それから立ち直りに向けて一層の適切な運用に努めてまいる所存でございます。

#164
○高良鉄美君 もう少し最高裁にお伺いしたいと思いますが、適用年齢引下げの少年法改正論議というのは、実は一九七〇年、今から五十年前にも行われていました。
 資料としてお配りしている「家庭裁判所物語」の抜粋にそのことが書かれております。法制審議会に提出された要綱というものに対して現場の裁判官たちが反対の声を上げ、諮問と同じ日に最高裁長官に決議文を出されました。
 今回、最高裁は立法政策の問題であると答弁されていますけれども、先輩裁判官たちは危機感を持って行動されています。最高裁は当事者意識が足りないのではないかと申し上げましたけれども、やっぱりこういった問題に対して当事者というような姿勢でないんではないかという疑問に対してどのような御意見をお持ちでしょうか。

#165
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
 今回の改正は、先ほども申し上げましたとおり、基本的には立法政策に係るものであるという認識であることに加えまして、裁判実務の運用という観点からも、犯罪の嫌疑がある限り全件を家庭裁判所へ送致するなどの点におきまして、現行少年法の枠組みをおおむね踏襲する内容のものとなっており、運用上も大きな支障を生じることはないものと承知をしております。
 したがいまして、最高裁としましては、その改正案の当否について意見を述べるべき立場にはないものと考えているところでございます。

#166
○高良鉄美君 これは司法の、行政の問題ではなくて、司法の担当というよりは司法権そのものの問題だと思うんですね。ですから、司法権としてはこの少年法の対応についてどういうふうに思うのか。あるいは、それに対して調査官の方々、あるいは元裁判官の方々が声を上げていると。それだけれども、いや、もう何も声を上げる、あるいは説明を求める、意見を言う立場にありませんというようなものでは、この法案そのものに家庭裁判所というのが何度も出てくる、調査ということも、先ほど山添委員からもありましたけれども、何度も何度もこの条文の中には入ってきて、しかも、戦後、少年法、新たに変わって家庭裁判所ができるときには、生まれ変わる、別の裁判所組織ができるんだということで皆さん頑張ってきたと思うんですね。そこは基本的な姿勢として重要なことだというふうに思います。
 少年法改正の趣旨、目的についてお伺いしたいと思います。これは法務大臣の方にお願いしたいんですけれども。
 上川大臣は、民法の年齢が引き下げられたからといって論理必然的に引き下げなければならないわけではないと、適用年齢維持が適当であると答弁されています。私も、民事責任と刑事責任は別個に論じられるべきものと思います。この適用年齢維持の、適当とする理由を再度明確にお答えいただきたいと思います。

#167
○国務大臣(上川陽子君) この少年法の適用年齢、適用対象年齢の在り方につきましては、成長過程にある若年者をどのように取り扱い、どのように改善更生を図るかに関わる問題であると認識をしております。また、公職選挙法の選挙権年齢や民法の成年年齢が引き下げられたからといって、論理必然的にこれを引き下げなければならないものではないとも考えているところでございます。
 本法律案におきましては、十八歳及び十九歳の者につきまして、責任ある主体として積極的な社会参加が期待される立場となる一方で、いまだ成長途上にあり、また可塑性を有することを踏まえまして、一定の特例を設けた上で、全事件、これを家庭裁判所に送致し、原則として保護処分を行うという少年法のこの基本的な枠組み、これを維持することとしているところでございます。
 そこで、本法律案では、少年法における少年の年齢は二十歳、二十歳のままとして、十八歳及び十九歳の者を引き続き少年法の適用対象とすることが適当であると考えたものでございます。

#168
○高良鉄美君 ありがとうございます。
 この十八歳という年齢の数字が出てきたのは、昨日、川原刑事局長お話あったように、国民投票法あるいは改憲手続法の中で十八歳というのが出てきたと、そして公職選挙法の規定での選挙権が十八歳と、そして今回、民法が二十歳から十八歳に下がるということで、この少年法の問題もそこに関係しているということでしたけれども。
 日本のこの家庭裁判所できるときの少年事件の問題というのは、アメリカの家庭裁判所を参考にしたというのがありますけれども、そして実際、アメリカは憲法の修正二十六条で、選挙権の問題で十八歳に、アメリカはどこへ行っても十八歳だということが全州一緒になったわけですけれども、この十八歳に選挙権の年齢が下りたときに、果たしてこの刑事責任の年齢はどうなんだろうというと、今現在、ほとんどフォローして十八歳になっているところが多いんですね。
 しかし、これ七十年も前なんです。一九七一年にこの十八歳になったんです、選挙権がですね。あっ、七十年前じゃない、五十年前ですね。その五十年前からすると、すぐ刑事責任の問題も下がっていいんじゃないかと思いますが、逆に、現在はむしろこの選挙の年齢とこの刑事責任の年齢を合わせたことに対して問題があるとか、逆にこれでは早まったとか、いろんな形で今運用で変えていったりしている面もあるわけですね。
 そうすると、この成長途中の問題というので、今、日本がまさにそのことを今これだけ議論していると。この間、京都コングレスの話もありました。そして、法の支配の問題もあり、少年事件の問題が、今、世界の中で、ある年齢の問題をやろうとしているところの中で、日本は今ここに、二十歳なのか十八なのかの問題についてこれだけ議論をしているということは、少年法、日本の少年法、あるいは先ほど来話が出ている保護司の問題とか、これむしろ、世界に、ああ、こういう議論し始めたけれども、すごい強い思いでこの十八歳引下げの問題を議論していると、そして適用の問題について厳しく議論が行われているということは、とても私重要だと思うんですけれどもね。
 そういったことに関して、少年法の趣旨、目的ということで先ほどお話をしましたけれども、今度はこの件を、関連して、少年事件から刑事事件にこの十八を境にして変わるかもしれないということについて、原則逆送対象の事件の拡大についてお伺いしたいと思います。
 強盗罪を含め、新たに原則逆送対象事件となる事件についても、十分な調査を尽くし、犯情の軽重を含む様々な事情を調査した上で適切な判断を行うものと想定している、改正案の少年法六十二条第二項のただし書にその趣旨が明記されているということですけれども、家裁の調査官の調査は極めて重要になってきますけれども、どのように臨まれるのか、最高裁に伺いたいと思います。

#169
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
 家庭裁判所におきまして、現行の少年法第二十条第二項の定める原則逆送事件も含めまして、家庭裁判所調査官において、非行の動機、態様、結果等だけでなく、少年の性格、年齢、行状及び環境等も含め、少年の問題性、要保護性について十分に調査を尽くし、裁判官においてそれらの結果を十分に踏まえて処分を決定しているものと承知をしているところでございます。
 本法律案は、第六十二条第二項ただし書において、現行法第二十条第二項ただし書と同様の例外規定を置いております。したがいまして、新たに原則逆送対象事件となる事件につきましても、現行法第二十条第二項の原則逆送事件の場合と同様に、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情について家庭裁判所調査官による丁寧な調査を尽くし、その上で、それらの結果も十分に踏まえた上で、個別の事案に応じた処分の決定をすることになるものと承知をしております。

#170
○高良鉄美君 今、原則逆送事件の拡大という問題ですけれども、この一定の犯罪については刑事処分になることを示すと、今この拡大した部分ですね、自覚や規範意識を高め、再犯を含む犯罪の予防に資すると考えられると答弁されています。
 少年事件は減少して、少年法が機能していること等によって少年の再非行は成人の再犯よりも低いとされています。なぜ原則逆送事件の拡大が再犯を含む犯罪の予防に資するのか、その理由を伺いたいと思います。

#171
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
 現行の原則逆送の仕組みは平成十二年に議員提案の改正により設けられたものでございますが、その際の提案者の御答弁によりますと、少年であっても刑事処分の対象となるという原則を明示することにより、自覚と自制を求めて少年の規範意識を育て、健全な成長を図るとの趣旨で導入することとされたものでございます。
 本法律案におきまして十八歳以上の少年につきましてこの原則逆送対象事件の範囲を拡大しておりますが、このような趣旨で導入された原則逆送の対象の拡大でございますので、これによりまして、一定の重大犯罪に及んだ場合に刑事処分の対象となるという原則を明示することも、自覚を高め、規範意識を向上させるとともに、再犯を含む犯罪の予防、防止に資するものと考えているところでございます。

#172
○高良鉄美君 少年事件の問題は、科学的な調査、あるいは科学的方法によってこれをチェックしないといけないと、あるいは検討しないといけない、分析をしないといけないということだと思いますけれども、後ほどこの関連でまた少しお話をしたいと思いますけれども。
 保護処分の期間について、先ほど山添委員からもありましたが、お伺いしたいと思います。
 現行の少年院法では少年院収容年齢の上限は二十六歳未満ですが、今回の改正で収容期間の上限が三年に限定され、最長でも二十三歳未満というふうになります。
 先日、川村参考人は、生育上の根深い問題を抱えている少年には時間が足りないことも出てくるのではないかと懸念を示されました。また、大山参考人は、御自身の経験から、事前に期間を決めてしまうことが再犯防止の点から危うくなると指摘をされました。大山参考人は、初めに期間が決められたら、その期間が来たら出院できるということ、少年院には進級制度もあり、努力して改善したと認められなければ出院できなかったと。面接や作文などいろいろな働きかけがあったけれども、先に期間が決まれば、しんから改善をしないで出院を待つようになり、再犯防止の点からも危うくなると懸念を示されました。
 これらの懸念についてどのようにお考えでしょうか、法務大臣にお伺いしたいんですが。

#173
○政府参考人(大橋哲君) 現行の少年院法では、少年院からの仮退院は、少年院の長が、処遇の段階が最高段階に達し、仮退院を許すのが相当であると認めるときは、地方更生保護委員会に対してその申出をすることとされているところでございます。
 法制審議会の部会では、現在の少年院における十八歳及び十九歳の者に対する処遇の実情を踏まえると、一般的に三年あれば仮退院後の社会内処遇を含めて必要な処遇期間を確保できるのではないかと指摘がされているところでございます。また、施設内処遇につきましては、その期間を長く取れば取るほど、それに単純に比例して処遇効果が上がり続けるというものでは必ずしもないと指摘されておりまして、本改正案におきましては、このような指摘を踏まえて、家庭裁判所が少年院に収容する期間として定めることができる期間の上限が三年とされているものでございます。
 今回の法改正がされたといたしましても、定められた上限期間まで必ず収容されるものではございませんで、現行と同様に改善の度合いに応じて仮退院、退院をさせる仕組みは維持することとしておりまして、少年院における処遇効果が現行と大きく異なるものになるとは考えておりません。
 また、収容の上限につきましても、現在においても二十歳まであるいは収容継続二十三歳までというような上限が定められておりまして、このような中で、現在、少年院に入院してくる者の中には、この期間を漫然と過ごせばいいというふうに思って入ってくる少年も実際ございます。そのような少年と向き合いまして、話をよく聞き、自分の話をよく聞いてくれる大人もいるんだと、信じられる大人もいるんだというような思いを持たせて矯正教育に向かわせていく、これはまさに少年院の矯正教育の真髄とも言えるものでございますので、今回の法改正がされたといたしましても、このような働きかけを継続してまいることを考えております。

#174
○高良鉄美君 この内省という言葉がずっと少年院の場合には出ておりますけれども、やはり本当にその反省のところに至って実のあるものになっていくということが非常に重要ではないかなと。だから、期間というよりも、そういったことに至るというのが重要かと私は思っています。
 推知報道の問題について少し伺いたいと思うんですけれども、推知報道禁止の一部解除について、まず推知報道禁止の立法趣旨をお伺いしたいと思います。法務大臣、お願いします。

#175
○国務大臣(上川陽子君) いわゆる推知報道を禁止する少年法の六十一条の趣旨でございますが、一般に、少年の特定に関する情報が広く社会に伝わり、少年の社会生活に影響を与えることを防ぎ、その更生に資することにあるとされているところでございます。

#176
○高良鉄美君 少年法の六十一条の推知報道の禁止の原則というのは、実際上は徹底されていないところがあると。全国紙やテレビ等で世間から注目を浴びる少年事件について、少年の氏名や顔写真が報道されることも少なくありません。少年法六十一条は、審判中だけでなく、その前の捜査段階や審判後の矯正施設収容後も準用されると解されています。行為時に少年であった者に対して死刑判決が確定した場合にも推知報道の禁止が及ぶかについて、多くの報道機関が実名や顔写真付きで報道した一方で、匿名を維持した報道機関もあり、この対応が分かれておりました。
 上川大臣は、事件報道に当たっては、インターネットの特性も踏まえ、適切に対応していく必要があると答弁されました。現代、本当にインターネットが、先ほども質問がありましたけれども、今回、このようなインターネットのような特性があると随分違うんじゃないかと思います。大山参考人の経験によると、それは不可能ではないかと、適切に対応していくということがですね、と思いますが、更生が不当に妨げられない適切な対応とはどのような対応なのか、法務大臣に伺います。

#177
○国務大臣(上川陽子君) 現行法の下におきましての取扱いにつきまして、一般論として申し上げるところでございますが、検察当局におきましては、事件広報に当たりましては、刑事訴訟法第四十七条の趣旨を踏まえ、個別の事案ごとに、関係者の名誉、プライバシーへの影響及び将来のものも含めた捜査、公判への影響の有無、程度等を考慮し、公表するか否かや、またその程度及び方法を慎重に判断しているものと承知をしております。
 そして、被疑者、被告人が少年のときに起こした事件につきましては、推知報道を禁止する少年法第六十一条の趣旨をも踏まえ、事件自体を公表するか否かを判断し、事件自体を公表する場合におきましても、被疑者、被告人の氏名、年齢、職業、住居、容貌等により本人を推知することができる事項を含まないように留意しているものと承知をしております。
 本改正によりまして、十八歳以上の少年のときに犯した罪により公判請求された後は、少年法第六十一条が適用されないこととなった場合には、検察当局におきましては、少年の健全育成、更生が不当に妨げられることのないよう、先ほど申し上げました諸事情のほか、本改正の趣旨を踏まえつつ、個別の事案ごとに公表するか否かや、また公表する事項及び方法につきましても適切に判断するものと考えております。

#178
○高良鉄美君 十八歳、十九歳のときに罪を犯した者について、公判請求された場合に推知報道の禁止が及ばないとすれば、十八歳、十九歳の者が類型的に未成熟で成長発達途上にあり可塑性に富む存在でありながら、本人及びその家族のプライバシー等が保護されないだけでなく、対象者が更生を図ろうとしても、就職、住居の賃借など、更生を図るための極めて重要なことに直面するそのたびに社会から拒絶されるリスクを高めることになって、社会復帰の妨げとなりかねません。
 これは大山参考人からも懸念として強調されたところですけれども、報道あるいは情報発信に伴う言わば社会的制裁、名前を公開していくような、としての効果を容認することにもつながりかねず、対象者自身の更生意欲や対象者の更生を支えるべき家族等の社会資源にも深刻な悪影響をもたらすおそれがあって、結果として対象者の立ち直りを阻害し、再犯の可能性を高めることになりかねません。
 大山参考人のお話では、小さな町であっても、報道されていなくてもみんな知っているというのがあって、自分もバイトを探すためにはもう隣町に行かないといけなかったと、そういうようなお話がありました。インターネットの現代になると、もうそういうことではいかないと思います。
 これが実証されて、取り返しが付かないと思いますけれども、仮に立ち直りを阻害するようなことが明らかになって再犯率が高くなった場合に、推知報道は禁止するということでいいでしょうか。法務大臣に伺います。

#179
○国務大臣(上川陽子君) 本法律案におきましては、附則第八条がございます。施行後五年経過の段階で、十八歳及び十九歳の者に係る事件の手続、処分に関する制度の在り方に関しまして、それまでに蓄積された運用実績、またその時点におきましての社会情勢、また国民の意識の動向等も踏まえまして検討を行うこととされているところでございます。この御指摘の推知報道に関するものも含めまして、仮に施行後に何らかの問題等が生じた場合におきましては、まさに附則第八条による検討の対象となり得るものと考えております。
 法務省といたしましては、国会での御議論等も踏まえまして、多角的な観点から検討が行われることができるように適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

#180
○高良鉄美君 これで終わります。

#181
○嘉田由紀子君 碧水会の嘉田由紀子でございます。少数会派にも十分なお時間いただきまして、ありがとうございます。
 少年法の議論が進んでおりますけれども、私自身は、子供たちが、日本の子供たちが置かれている社会の構造、特に親族構造について一貫して質問させていただきます。
 五月五日、こどもの日でした。大変つらいんですけど、日本の子供の自殺人数は、二〇二〇年、過去最大となってしまいました。子供の自殺率は世界的に見ても最大と言われ、特に精神的幸福度はユニセフ調査で三十八か国中三十七位というデータさえあります。
 少し長くなりますけれども、なぜいつまでも日本の子供は、特に離婚後放置されているのか、そういう中で、なぜ実子誘拐のような悲劇が起きるのか、日本の法制度、裁判制度と関わらせて問題提起を私自身フェイスブックで上げさせていただきました。多くの関係の皆さんの意見がフェイスブック上に寄せられました。
 そういう中で、人数的にも、日本の子供約千五百万人、親の離婚を経験している子供は毎年二十一万人から、十年ほど前は三十万人ほどございました。全体として見ると、子供の四人から五人に一人が親の離婚を経験しているという高い率です。ただ、正確な数字、これは担当部署に取っていただけたらと思います。
 そういう中で、日本の民法八百十九条ですけど、離婚後は片親親権あるいは片親監護権を規定しておりまして、離婚後の親子交流ができない離婚家庭が増えております。五月七日のNHKの番組でもございました。七割の離婚家庭が親子交流ができていないということで、一方で、離婚後の養育費の支払、母子世帯でも二四・三%、一人親家庭の貧困の一つの要因となっております。この委員会でも一貫して問題提起してきたところです。
 そういう中で、新しい親子交流を求めるグループがコロナ禍において親子交流がどう進んでいるかというので調査をいたしました。その結果を本日皆さんに資料一としてお出しをしておりますけれども、別居親の六割が面会交流ができていないと。回答者百八十九人のうち約四割の七十四人が子供に会えていない。
 このようなコロナ禍における頻度の低い子供との面会交流、このようなことを法務省としてはどう対応を取っていったらよろしいでしょうか。法務大臣にまずお伺いいたします。

#182
○国務大臣(上川陽子君) 今委員がお示しいただいたこの民間団体におきましてのアンケート調査の、アンケート結果でございますが、公表について承知をしているところでございます。
 コロナ禍の状況下におきまして、面会交流の実施状況、またその在り方については、地域地域で感染状況、また感染の流行状況も異なるものでございまして、個別具体的な事案に応じてきめ細かな対応が必要となるというふうに考えているところでございます。
 もっとも、子の利益にかなうものとして面会交流の取決めがされている以上は、基本的には、新型コロナウイルス感染症が流行している状況下でありましても、適切な感染対策を施した上で、安全に、そして面会交流を実施することができるのであればこれを継続すること、このことが子の利益にかなうものであるというふうに考えているところでございます。
 他方で、個別の事案におきましては、子供の安全の確保や感染拡大防止の観点から、事前に取り決められていた条件での面会交流を実施することが困難になることもあると考えられるところでございます。そのような場合におきましては、ビデオ電話によりましての交流でありますとか、また、ICT技術を活用した代替的な手段での交流等が実施されている例もあると承知をしているところでございます。
 具体的な方法等につきましては、まさに子供の利益を図るという観点から、その事情、状況に応じまして、父母の協議等によって定められるべきものであると考えておりますが、そうした趣旨につきまして、私どもの法務省のホームページにおきましても周知を行っている状況でございます。

#183
○嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。
 もちろん、感染を防止、そして安全を確保してですけれども、やはり子供たちは愛着形成を育んでいくというのが大変大事でございますので、この少年法の問題の根底にあるところでございます。できるだけ親子交流を直接にできるような、そういう支援がしていただけたらと思います。
 先月の四月二日に将棋界を突然引退され、子供の連れ去り問題について精力的に周知活動をしております橋本崇載元棋士八段、四月末に出版されました池田良子さんの「実子誘拐ビジネスの闇」、ちょっとタイトルがセンセーショナルですが、内容を読ませていただきますと、社会的事実として重く、データも信頼が置ける書籍と判断をいたしました。その橋本棋士が、この本に私の遭った境遇と私と同様の実子誘拐の怒りが込められていますと帯で紹介してあります。実は、はすみとしこさんという方も「実子誘拐」という本を、それから、二、三日後だと思いますけれども、高橋孝和さんという方が、タイトルは「共同親権が日本を救う~離婚後単独親権と実子誘拐の闇~」という本を準備しているようです。私、まだ読ませていただいておりませんが。つまり、こういう問題はやはり今増えているから、ここまで書籍も、そして社会的に関心が高まっているんだろうと思います。五月五日のこどもの日には、橋本棋士と、それからミツカン親子分離事件当事者の中埜大輔さんたち、オンラインシンポが開催されました。
 そういう中で、世界の先進国、日本だけが明治民法以来のこの単独親権制度が墨守され、残っているわけです。離婚をしてもパパとママに両方に会いたいという子供の願いを実現する共同養育、共同親権をめぐり、私自身、二〇一九年、参議院議員にならせていただいてから二十五回ほど質問をしてまいりました。しかし、壁は高い、そのことを最近改めて感じております。
 実は、私の事務所にも、本当に多くの方が悩みを、あるいは苦しみを打ち明けてくださいます。電話だったり、ファクスだったり、メールだったり。それで、今日のこの委員会の質問も日本中で多くの方がオンラインで見てくれていると思います。それほど、ある意味で隠れているけれども数は増えているという中で、二〇二一年二月十日、上川法務大臣が法制審議会で、離婚後の子供の養育の在り方、諮問され、具体的には三月三十日から家族法部会が開始されました。親子分断された方たち、本当に期待をしていると思います、この審議会に。ただ、この「実子誘拐ビジネスの闇」という本を読んで、本当にこの審議会、期待できるんだろうかということを私自身も少し疑問を持つようになってしまいました。
 そういう中で、まず法制審議会のメンバーですが、民事局長、官房審議官など行政職を担う幹部、裁判官が、議決権を持つ委員二十四名のうち四名入っております。これも以前から指摘しておりますように、私自身も幾つも国の委員にならせていただいたことありますけれども、直接行政職の幹部が議決権を持つ委員になっている事例は見たことありません。そういう意味で、広く国民、専門家の意見を聞くために、公平公正に構成されているんだろうかという疑問が湧いてしまいます。
 特に、この行政職、法務省幹部の皆さんは、裁判官から検事の身分に、行政職に転官しておられる判検交流という人事交流と伺っております。これもこれまで詳しく質問させていただいております。これは、特に個人的にどうこうではなくて、まさにそういう組織が人事交流の中で判検交流裁判官で占められているということです。法務省だけではなくて、霞が関のほとんどの省庁の法務系職員百五十九名が今年度配置されているということでございます。
 四月二十日の参議院の法務委員会では、内閣法制局は、判検交流については、それ自体について定める法律の規定というのは特にないという答弁でございました。上川大臣は、この法務省行政に法務実務の経験を有する法律専門家を任用することは合理性があると四月二十日の委員会で答弁をくださっております。さらに、法務省職員であって専門的知識を持っておられるその方たちの、言わば指揮系統ですけれども、法務大臣の指揮系統ではなく、裁判官としての専門性で判断してよろしいということも上川大臣が答弁をなさっておられます。
 こういうところで、実はこの判検交流で裁判官が法務行政職の幹部を占め、そして、単独親権という親子分断の前例に従って、父母両方が子供とのつながりを持ちたいというそのような離婚夫婦、どちらかに親権を与える基本方針は裁判官の判断次第となります。このときに、これまでも私自身、問題提起させていただいております継続性の原則ということが、法的には明記がないんですが、慣習としてなされているようです。つまり、それまでできるだけ一緒にいた人を選ぶということで、この出口が分かると、言わば単独親権、どちらかに親権や監護権を与えるという出口が見えてくるわけです。
 それで、相手配偶者に無断で子供を連れ出し、また、しばらく身を隠したりして時間を稼ぐと。そこに、まあ連れ出した理由いろいろあると思うんですけれども、本当のDVあるいは様々な理由があったりすると思いますけれども、こういうところでDVがいつも大きな理由にされております。
 DV自身、今の日本では、警察が加害者、被害者双方から調書を取るという厳格な対応は少なく、訴えるだけで認められる傾向にあります。この実子誘拐の書物の中に出てくる卒田さんという仮名の方ですけど、松戸の千葉家裁松戸支部の一審で、妻が娘さんを連れ出した事案で、DVと認めるに足る証拠はないということで裁判官がDVの主張を否定しました。でも、このような例は大変少ないということも伺っております。
 そういうところで、内閣府と法務大臣にお伺いしたいんですが、今の日本のDV防止法の実効性についてどのように御認識なさっておられるでしょうか。また、DV対策が不十分であることが面会交流の実現を阻害しているという意見に対して、法務大臣、どのようにお考えでしょうか。お願いいたします。

#184
○政府参考人(伊藤信君) お答えいたします。
 いわゆるDV防止法は、配偶者からの暴力の被害者に対する救済が必ずしも十分に行われてこなかったことなどに鑑みまして、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護、自立支援を図るため、平成十三年四月、超党派の議員による議員立法で全会一致により制定されたものでございます。そして、その後も、配偶者の定義の拡大や保護命令制度の拡充、適用対象の拡大など、三回にわたる大きな改正もございまして、これらは議員立法で全会一致により成立してきた経緯がございます。
 このような制定、改正の経緯があるDV防止法に基づきまして、現在、関係省庁を始めとする関係機関におきまして適切な対応がなされているものというふうに考えてございます。

#185
○国務大臣(上川陽子君) この面会交流の点も含めまして、父母の離婚に伴いまして子供の養育をどうするのかというこの在り方の検討、これにおきまして、DVに関わる問題、これと正面から向き合う必要があるものと考えているところでございます。
 父母の離婚をめぐる子の養育の在り方について調査審議を行っている法制審議会の家族法制部会におきましても、このDV問題に深い知見を有する研究者の方や、また内閣府のDV問題の担当者が参加しているほか、また、四月二十七日に開催されました同部会の第二回会合におきましては、DV被害者の支援をしている専門家の方からのヒアリングも実施されたと承知をしているところでございます。同部会におきましても、このDV問題には十分に配慮した充実した調査審議が行われることを期待してまいりたいというふうに思っております。

#186
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 四月二十七日のヒアリングの結果をまた公表していただけたらと思います。
 そういう中で、実は、最終的に継続性の原則で言わば親権なり監護権の帰属が決まってきますと、ここのところ、裁判実務を知っている人たちが、やはり一旦は連れ出してそしてキープしておくのが有利だよということになり、それで示唆される事例がたくさんあるようでございます。様々な事例を、私も訴えを聞いております。
 そういう中で、この共同親権に反対する皆さん、二〇二〇年一月、特に法務省に提出をした赤石千衣子さん、今回の法制審議会家族法制部会の正式委員でおられますけれども、本年二月十日に掲載されたヤフーニュースの記事で、安全、安心な面会交流の実施についてインフラ整備を行うべき、現在、調停、裁判で面会交流が決まった後に安全に面会交流を行う支援機関が余りに少ないと二月の十日に表明しておられます。
 その前、二週間ほど前、一月二十七日に超党派国会議員による共同養育支援議員連盟、ここでもやはり安全、安心な面会交流の実現に向けた国による民間の面会交流支援機関の育成、公的支援の拡充及び制度化に直ちに取りかかることと要望する緊急提言を三原じゅん子厚労副大臣に提出しております。実は、私もこの超党派国会議員連盟に参加をしておりまして、この文面は見せていただいておりましたが、この後、この赤石千衣子さんが出された安全、安心な面会交流の実施、しかも、そこに基準を作り、国が基準を作り、そして民間が運営をするという、これが妙に符合するので誰かがつないでいるように見えてなりません。それ以上申し上げられませんけれども。
 それで、一方でまた、法制審議会家族部会の委員であるある大学教授や家族法の専門研究者たちが、監視付き面会交流、監視付き面会交流の認証制度を作ろうというような情報もいただいております。海外でこのような監視付き面会交流の仕組みがあるのかどうか、実は五月五日のシンポジウムで、ミツカン親子分離訴訟の当事者である、イギリスに住まいをしていらした中埜大輔さん、あるいはフランス人の当事者、イタリア人の当事者に尋ねました。親子交流は自主的になされるもので、行政機関等による支援はあるが、犯罪者のように監視などあり得ないという回答でした。
 この監視付き面会交流という言葉、私も大変違和感を感じるんですが、もちろんDVやあるいは虐待の危険性があるという場合は、きちんと言わば管理しなければいけませんけれども、日本の親たち、そこまで皆、高葛藤で、そして自己管理ができないのかということを私は逆に疑ってしまいます。
 法務大臣、チルドレンファーストで民間の意見を公平公正に聞くために設置したこの法制審議会、学識経験者の意見、当事者の意見、それを法務省職員が差配しているというようなことはないと思いますが、そもそも内閣の一員である法務大臣の役割とは何なのでしょうか。お教えいただけたら幸いでございます。

#187
○国務大臣(上川陽子君) この父母の離婚時、離婚等に伴いまして、お子さんの養育の在り方につきまして、本年二月に法制審議会に諮問をしたところでございます。現在、法制審議会の家族法制部会におきまして、民事法の観点から審議が継続されている状況でございます。
 この離婚後の子の養育に関する様々な課題でございますが、これは、お子さんの生活の安定や、また心身の成長に直結する問題であると考えております。子供の利益の観点から大変重要な課題であると認識をしているところでございます。
 私はかねてから申し上げてきたところでございますが、この問題につきましては、何といってもチルドレンファーストの観点から取り組むべきことというふうに一貫して主張してまいりました。そして、そのためにはファクトベースで議論をされること、これが大変重要であるというふうに考えておりまして、法制審議会におきましての調査審議、これが充実したものとなるように、様々な調査もしっかりと新しい切り口で実施するようにということも指示してきたところでございます。この間、未成年期に父母の離婚を経験したお子さんの実態調査、また協議離婚制度に関するまた実態調査、こういったものを実施するなどしてきたところでございます。
 法制審議会におきましては、それぞれ多様な分野で様々な関わりを持ってこの問題にも取り組んできた方々、また専門家の方々、たくさんの方々の知見というものが何よりも問題を真っ正面から見詰め、そしてこれからの子供を大事にした制度にしていくために極めて重要であるというふうに思っているところでございます。
 今申し上げたような調査も含めまして、子供の目線、また子供の心情、こういったことにも大きな影響が及ぶわけでございますので、十分にそうしたものにやはり気配りをしながら充実した検討が進められることを期待をしているところでございます。

#188
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 ファクトベースでと、それで、特にDVの問題などはファクトベースでと。私は滋賀県の知事時代に、児童相談所に警察官を常駐していただき、そして、そこで確実に調書も取ってというようなこともさせていただきました。特にこの親の監護権、親権を決めるときには、ファクトベースでどちらの親に言わば親権、監護権を判断するのが本当に子供にとって望ましいのかということを裁判の現場で決めていただきたいと思います。
 そのときに、例えばイギリスなどでは継続性の原則というのはないと。いかにフレンドリーペアレント、相手のことを思いやれる、そのフレンドリーペアレントルールというのが一つの大事な原則と伺っております。二〇一一年の民法七百六十六条改正のときに当時の江田法務大臣も、継続性の原則を使ってはいけない、フレンドリーペアレントルールが子供の最善の利益にとって必要だと明言をしておられます。
 日本だけが子供の願いに実は配慮できていない、相手、配偶者をおとしめるような親ばかりとは思いたくありません。そういう中で協議離婚が九割ほどございます。その協議離婚はまさに判こ一つで、子供の養育費なりあるいは親子交流、面会交流のチェック欄は今度作っていただきました、公正証書のことも。しかし、それぞれの市区町村役場では必ずしもそこがきちんと伝えられてない、指導できていないということで、親子交流が自然と子供と時間を過ごすような、そういう愛着関係が結べるような親子交流など含めて、離婚時の共同養育計画を市区町村役場の、あるいは離婚を考えるときの相談に乗る地道な自治体によるサポートが何としても必要だと思っております。
 そういう中で、離婚時共同養育計画、市区町村役場、戸籍窓口、離婚を考える親の相談に乗る地道な自治体によるサポート、法務省としてどのような方法があるでしょうか、あるいは法務省以外の省庁とはどのような連携が必要でしょうか。法務大臣に伺います。

#189
○国務大臣(上川陽子君) 父母が離婚した後の子供の生活の安定や成長という観点からは、父母が協議離婚をする場合には、それぞれの家庭の事情に応じまして養育費や面会交流といったその後の養育計画が適切に取り決められることが重要と考えております。
 法務省といたしましては、養育費や面会交流の取決めの重要性等を解説したパンフレットを作成をいたしまして、自治体の戸籍担当部署におきましてこの離婚届出、届用紙との同時交付、これを実施するなどしているところでございます。
 また、厚生労働省と連携をいたしまして、戸籍担当部署と一人親支援担当部署の更なる連携強化の推進を求める事務連絡、これを発出をいたしまして、一人親支援担当部署におきましても、養育費や面会交流に関する相談支援に法務省の作成いたしましたパンフレットを役立てていただくよう要請するなど、自治体向けの周知にも取り組んできたところでございます。
 引き続き関係省庁としっかりと連携をしながら、離婚時における父母間の必要な取決めの確保促進に向けまして、自治体における支援の充実にしっかりと取り組んでいくよう支援してまいりたいというふうに考えております。

#190
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 時間が参りましたのでここで終わりにしますけれども、自治体の経営の経験者として、日本全国千七百二十四市区町村、そこに年間十五万組ほど離婚の届けが出るわけでございますので、もちろん一部は裁判、調停だったり審判だったりするわけですけれども、家庭裁判所が関わらないものが圧倒的に多いということは、まさに自治体でこの部分をフォローするような、それが今の日本の子供たちの幸せづくりに大きな貢献していくと思います。
 どうも、以上で終わります。ありがとうございました。

#191
○委員長(山本香苗君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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