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2021/05/11 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 文教科学委員会 第11号 令和3年5月11日
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2021/05/11 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 文教科学委員会 第11号 令和3年5月11日

#1
令和三年五月十一日(火曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     本田 顕子君     世耕 弘成君
 四月三十日
    辞任         補欠選任
     安江 伸夫君     谷合 正明君
 五月六日
    辞任         補欠選任
     谷合 正明君     安江 伸夫君
 五月十日
    辞任         補欠選任
     世耕 弘成君     藤川 政人君
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     有村 治子君     宮崎 雅夫君
     水落 敏栄君     加田 裕之君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 房江君
    理 事
                赤池 誠章君
                上野 通子君
                吉川ゆうみ君
                斎藤 嘉隆君
    委 員
                有村 治子君
                石井 浩郎君
                加田 裕之君
                高階恵美子君
                藤川 政人君
                宮崎 雅夫君
                石川 大我君
                横沢 高徳君
                蓮   舫君
               佐々木さやか君
                安江 伸夫君
                梅村みずほ君
                松沢 成文君
                伊藤 孝恵君
                吉良よし子君
                舩後 靖彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        戸田 浩史君
   参考人
       国立大学法人金
       沢大学長     山崎 光悦君
       国立大学法人東
       京工業大学監事
       (常勤)
       国立大学法人等
       監事協議会会長  小倉 康嗣君
       国立大学法人京
       都大学教授    駒込  武君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国立大学法人法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ─────────────

#2
○委員長(太田房江君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、本田顕子さんが委員を辞任され、その補欠として藤川政人さんが選任されました。
 また、本日、水落敏栄さんが委員を辞任され、その補欠として加田裕之さんが選任されました。
    ─────────────

#3
○委員長(太田房江君) 国立大学法人法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、国立大学法人金沢大学長山崎光悦さん、国立大学法人東京工業大学監事(常勤)・国立大学法人等監事協議会会長小倉康嗣さん及び国立大学法人京都大学教授駒込武さんでございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、山崎参考人、小倉参考人、駒込参考人の順にお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手をしていただきまして、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず山崎参考人からお願いいたします。山崎参考人。

#4
○参考人(山崎光悦君) 金沢大学長の山崎光悦でございます。
 本日は、国立大学法人法の一部を改正する法律案の御審議に当たり意見陳述の機会を頂戴し、誠にありがとうございます。太田房江委員長を始め、参議院文教科学委員会の委員の皆様に心より感謝を申し上げます。
 金沢大学は、各地域に設置されている国立大学と同様、戦前のナンバースクールでございました第四高等学校を中核として、当時の医学専門学校、高等師範学校、そして高等工業高校等が母体となって昭和二十四年に設置をされた、現在では収容定員約一万名、一万余名の中規模の総合大学でございます。戦後の復興からの立ち上がり、そして高度経済成長期を経て八学部二十五学科・課程を擁する大学へと発展してまいりました。
 地域の中核都市に立地する本学は、医師を始めとする医療人や教員養成、そして法曹や地方自治体、国、出先機関が必要とする地域の中核人材養成と国家レベルで必要とされる理工系を中心とする技術者養成を担ってまいりました。
 また、その間、国の支援を頂戴しながら、平成元年から約三十年間を掛けて現在の角間キャンパスへの二期にわたる総合移転事業を完工し、平成十七年度からスタートさせた病院、キャンパスの再開発計画もほぼ完成させることができております。
 国立大学法人移管後の金沢大学の教育、研究に関する歩みについて簡潔に述べさせていただきます。
 平成二十年に、社会のニーズを即応的に取り入れ、より戦略的に教育研究活動を展開するため、それまでの学部学科制から、三学域十六学類から成る学域学類制の教育システムへと、また同時に、三研究科十四学系から成る教員組織へと教教分離の組織改編を行いました。
 私は、学長に就任をして既に八年目を迎えておりますが、グローバル人材育成のための教育改革と研究力強化、そしてそれらを支える徹底した国際化を目標に掲げ、具体の改革プランをYAMAZAKIプランとして公表し、教職員とその共有に心を砕きながら日々の大学運営に当たっております。
 教育改革では、文部科学省が進めるスーパーグローバル大学創成支援事業の採択を受け、グローバル人材育成を進めると同時に、教育における金沢大学グローバルスタンダード、KUGSを定め、共通教育科目群の刷新、国際基幹教育院の設置と専任教員の配置など、共通教育改革を進めてまいりました。
 また、教育システム改革では、国際化や地域創生のための人材育成機能を充実させるとともに、理工系におけるフロンティア工学、生命、海洋資源における人材育成の開始など、三学域十七学類への再編を経て、本年四月から、四つ目の学域、文理融合型教育を実施するための融合学域をスタートさせ、知識集約型社会を担う人材養成を開始をいたしました。その第一番目の先導学類では、アントレプレナーシップ教育をその中核に据え、社会の変革を先導するイノベーター養成を開始しております。
 また、数理、データサイエンスを武器に、観光ビジネスによって地方創生を促す人材養成の開始も計画をしております。昨今のコロナ禍において地方国立大学の役割が再認識されていることを重く受け止め、真に地方が必要とする地方創生人材を育成する決意を新たにしているところでございます。
 さらに、大学院教育の高度化では、他大学の大学院との共同専攻の設置などを通した融合科学の学びの提供に腐心しているところでございます。
 一方、研究力強化では、先鋭分野の強化と分野融合研究を推し進めており、新学術創成研究機構の設立を手始めに、学内異分野融合により、ナノ生命科学分野において、世界トップレベルの研究拠点プログラム、WPIに地方大学として初めての採択を受け、ここ三年半で七十名を超える研究者集団となるナノ生命科学研究所を拠点化しております。
 トップダウン型とボトムアップ型の研究グループ形成を戦略的に推進し、金沢大学の強い研究分野を更に強くして研究所や研究センター化を進めることで、中規模大学ながら、特定の研究分野を次々に重点的に支援して、世界レベルの研究拠点化を目指しているところであります。
 こうした改革と同時並行して、研究に専念できるリサーチプロフェッサー制の導入や若手教員の積極的な登用、教員評価と処遇への反映など、教職員の処遇、待遇改善にも力を注いでまいりました。
 これらの改革を遅滞なくスピード感を持って実施できている背景には、学部学科制を廃して金沢大学が推進してきた教育組織、研究組織の大くくり化による柔軟な組織改編と、これと時を同じくして実施されてきた、学長のリーダーシップの下で戦略的に大学運営できるガバナンス体制構築のための平成二十六年度の制度改正が力強い後押しになったというふうに理解をしております。
 学長として、教職員や学生など大学構成員との対話を重視しながら、金沢大学の教育研究所のプレゼンスを上げる改革や取組を加速させ、重要な方向付けをしてまいりました。また、これら改革の取組の成果については、ステークホルダーに説明をし、理解をいただくということを常々その努力を重ねてきております。
 さきの制度改正によって、学長のリーダーシップの下で様々な改革を推し進めることができるようになってきた一方で、国立大学法人が自律的な運営を実現するためには、監事や学長選考会議、これからの新しい名前は監察会議となるそうでございますが、それに学長への一定の牽制機能を持たせるということは十分理解できるところでございます。
 今回の改正法案は、イノベーションを創出する知の拠点としての国立大学の役割を踏まえ、各大学が進むべき道を自ら模索し、それを実現するための自由度を高めるとともに、多様なステークホルダーから信頼されるガバナンスを構築することで真に自律的な存在となるための要素が多く盛り込まれているものと考えてございます。各国立大学法人がそれぞれ独自のビジョンとミッションを掲げ、国家の共有財としてのプレゼンス向上に努めることで、我が国の発展に寄与することが求められているというふうに理解をしております。
 以上、本法案について私の考えるところを申し述べさせていただきました。
 諸先生方におかれましては、引き続き御支援、御指導を賜りますようお願いを申し上げて、本法案への意見陳述とさせていただきます。
 ありがとうございました。

#5
○委員長(太田房江君) ありがとうございました。
 次に、小倉参考人からお願いいたします。小倉参考人。

#6
○参考人(小倉康嗣君) 皆さん、こんにちは。国立大学法人東京工業大学監事・国立大学法人等監事協議会会長の小倉康嗣です。監事協議会は、八十五の国立大学法人と四つの大学共同利用機関の監事の集まりで、そのまとめ役を務めさせていただいています。
 本日は、国立大学法人法の一部改正する法律案の御審議に当たり、このような機会を与えていただき、誠にありがとうございます。太田委員長を始め、文教科学委員の皆様に厚く御礼申し上げます。
 資料に沿って説明させていただきます。
 国立大学法人法は、国立大学の自律的な運営と民間的マネジメント導入を基本として制定され、運用されてきていたと認識しています。このような中、自律的な運営といえども、中期目標、中期計画による目標管理については、単に既成の枠内のみ事業の効率化と質の向上を目指すものとなっているのではないかとの意見や、学長選考会議及び監事が持つ牽制機能について実効性のあるものとすべきとの意見もあります。一方では、様々なステークホルダーから納得が得られる財務諸表を載せた統合報告書を作成する大学や産業界との共同研究を拡大している大学、また大きな大学改革を断行している大学など、法人法制定により年々開かれた国立大学に近づいていると感じています。
 本来、大学の使命は、教育と研究、すなわち社会人として世の中に役立つ人材を育成すること、そして優れた研究を行うことによって世の中に貢献することです。世界のトップグループに入る大学になることはその結果得られるものだということです。この原点に基づいて、現法律が成り立っているのかを常に確認する必要があると考えています。
 今回の法律改正内容の方向性については納得できるところが多いと考えています。中期計画の策定、監事の体制の強化、そして出資の範囲の拡大について意見を述べさせていただきます。
 最初に、中期計画の策定についてです。
 次期第四期であります六年間の中期計画において、今回の改正により、毎年度行っていた年度計画及び各事業年度に係る業務の実績等に関する評価がなくなることは、事務負担の軽減の観点から評価できます。年度計画、年度評価の廃止によって法人運営は大丈夫なのかという意見があります。中期計画は年度計画の積み上げから成り立っておりまして、最終年度の目標のみでは運営できません。大学によっては差異があるかもしれませんけれども、各法人は毎年ごとの計画を作っていると考えています。この年度計画を法人自身が自由にマネジメントすることで、より一層の自律的運営ができるものというふうに考えています。
 一方では、中期計画を作るに当たって、中期目標に基づく必要があります。第四期から国立大学法人に求められる役割や機能に関する基本事項として示された中期目標大綱の中から選択する方式に変更されています。国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議の最終報告には、国は、従来の中期目標のように個々の大学に対して経営全般にわたり細分化された目標をあらかじめ設定して国立大学法人の活動を管理するものではなく、国立大学法人の多様性にも十分配慮して、大学政策上必要な方針を大枠として示すことが必要であるとあります。選択項目の趣旨は踏まえるとしても、自主的な中期計画の策定ができるような柔軟な対応をお願いしたいと思います。
 次に、監事の体制の強化についてです。
 監事の少なくとも一人は常勤化を義務付ける件についてです。
 監事は、財務会計だけではなく、法人の経営全体が適切かつ効率的に機能しているかについて監査することが求められています。監事は、学外からの人材を求めており、弁護士、会計士、地方自治体、企業経営者など様々な業種から選ばれています。大学運営を企業経営に近づけるとの意見があります。企業経営者や企業の会計士から見ても大学運営は企業経営とは異なるものであるために、大学の業務を理解していなければ間違った判断をしてしまいます。したがいまして、大学の業務を知る上でも常勤であることが望ましく、国立大学法人等監事協議会としても、全ての大学や機構の監事は少なくとも一人は常勤化すべきであると求めていたところであります。今回の改正において、法人の長が不正行為や法令違反等があると認められるときは、学長、機構長選考・監察会議に報告しなければならないと義務付けられているため、その役割の重要性においても常勤化は必要であると考えています。
 しかしながら、監事の業務が多くなっているにもかかわらず、大学における監事業務のサポート体制は必ずしも十分とは言えません。監事の業務をサポートする体制をつくるための経費についても十分考慮するようお願いしたいと思います。
 また、学長、機構長選考・監察会議のメンバーは経営協議会と教育研究評議会のメンバーから選ばれることになっておりまして、間接的ではありますが、学長が指名したメンバーで構成されています。こうした環境の中で、法人の長が不正行為や法令違反等があると認められる場合、学長、機構長選考・監察会議に報告することは、学長本人への報告ではないとはいえ、抵抗感があることは否めません。そのため、監事の資質として、バランス感覚を持ち、多角的な視点で事実を確認し、合理的な判断を行うとともに、臆せず発言できる能力、また質問力、分析力、説得力、さらには人間力といった能力も求められます。資質向上のための研修などのサポートが必要と考えています。また、状況によっては調査費用も必要になります。この点の経費についても十分考慮するようお願いしたいと思います。現在、監事協議会は法人からの会費で成り立っていますけれども、国からの直接の補助としての考慮もお願いしたいと思います。
 監事の常勤化については、適正人材をどのように探すのかという課題があります。特に地方においては集まりにくいとの意見があります。
 さきにも述べましたように、監事の責務が重くなっており、大学の様々な教員からのヒアリングや様々な会議への出席も行わなければなりません。したがいまして、業務を全うするには専任としての時間が必要であると考えています。監事も役員であり、勤務時間が決められているわけではなく、必要とあれば二十四時間体制で勤務に当たり、結果責任を持つのが役員です。常勤といえども毎日出勤する必要があるわけではありませんけれども、その責任の重さを考慮して、今後とも原則専任との考え方でお願いしたいと思います。
 また、大都市においても非常勤しか置いていない大学もあれば、地方大学においても常勤監事を置いている大学もあります。地方においても工夫次第で人材確保はできるものと考えています。大学として公募することや、国や自治体、地域の様々な組織から推薦をいただくことなどが考えられます。大学が適正な監事候補者を確保できるように、こうした監事の推薦について各方面からの御協力をお願いいたします。常勤監事の候補者の選択幅を持たせるという意味では、年齢制限を緩和するということも考慮願います。
 最後に、国立大学法人等の出資の範囲の拡大についてです。
 出資活動は、国の予算を活用した法人の成果として、広く国民に還元していくという意味で有意義なことだと考えています。今回、指定国立法人にのみ限定している研究成果活用事業者への出資を全ての国立大学法人等に適用することとなっています。一方、ベンチャーへの出資は、実態面においてベンチャー企業の業態が様々であり、経済的リスクが高いことから、まずは指定国立大学法人から始めることは正しいやり方だと思っています。その後、実績を見て良いとなれば、全ての国立大学に適用していくようにお願いします。また、出資がベンチャーのみならず、ベンチャーインキュベーション法人への出資も幅広く可能となるような柔軟な解釈もお願いしたいと思います。
 研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドラインの改正においても、監事に求められる役割の明確化が明記されています。大学職員自身が立ち上げたベンチャー企業の場合、利益相反の観点から十分注意を払っていく所存です。
 以上、ここまで意見を述べてまいりました。国立大学法人の改革はまだ終わりではなく、国内外の大学等から優れた教員等を戦略的にリクルートする取組や、博士課程の進学率の伸び悩みへの対応、年度を越えた戦略的積立て可能な仕組みの拡充など、これからも検討すべき課題があると認識しています。今後も、検討会議における議論を通じて、国立大学法人法が実情に合った改正になることを望んでいます。
 また、今回の改正の重要な部分として監事体制の強化が盛り込まれたことにより、監事協議会としては監事の役割の重要性に鑑み、身の引き締まる思いで対応していきたいと考えています。
 以上、意見を述べさせていただきました。
 ありがとうございます。

#7
○委員長(太田房江君) ありがとうございました。
 次に、駒込参考人からお願いいたします。駒込参考人。

#8
○参考人(駒込武君) こんにちは。駒込と申します。よろしくお願いします。
 本日は、参議院文教科学委員会において意見陳述の機会を与えられましたことを心より感謝申し上げます。
 私は、教育学、教育史を専攻しております。本日は、現場で研究、教育に携わる一教員としての立場から、国立大学のガバナンス体制をめぐる問題に絞って意見を述べさせていただきます。
 お手元に資料があるかと思いますが、その一ページ目の下の図を御覧ください。この図は文部科学省が作成したものです。中央に学長がいて、学長の指名した理事とともに役員会を構成する、左側に経営協議会、右側に教育研究評議会があり、それぞれから選出された委員が同数で学長選考会議を構成し、学長を選出する、そうした仕組みを表しています。
 二ページ目になりますが、それでは、もしも学長に不正や法令違反などがあった場合にはどう対応すればよいのでしょうか。改正案は、学長への牽制機能の強化が必要であるとして、三つのポイントを挙げています。①監事に学長選考会議に報告する権限を与える、②学長選考会議を学長選考・監察会議と改称して学長への説明を求める権限を与える、③学長が選考会議の委員になれないようにすることです。
 その下の図は、先ほどの文科省作成の図が率直に申し上げてミスリーディングであると考えて、私が修正を加えた図です。
 学長と理事は、実は経営協議会の委員でもあります。その委員は学長が任命あるいは指名することになっており、議長は学長です。教育研究評議会についても事態はおおよそ同様です。
 政府提出の改正案におきまして、学長は確かに委員から外れることになりましたが、学長の選んだ委員が学長を選ぶという仕組みに変わりはありません。それで果たして選考会議の判断の透明性や公平性を担保できるのでしょうか。むしろ、学長による不正の温存や隠蔽につながるのではないかという懸念がございます。
 それでは、監事についてはどうでしょうか。監事は文部科学大臣の任命です。衆議院で萩生田文科大臣は、文科省退省者が監事に就任する可能性を否定しませんでした。中期目標、中期計画に関わる文科省の権限強化と相まって、国立大学に対する国による間接支配が強化される可能性がございます。
 監事が言わば上からの牽制、経営協議会が横からの牽制機能を担っているのに対して、教育研究評議会の方は下から牽制する役目を担っています。ところが、実際のところは、学長選に関わる意向投票の廃止、部局長互選の廃止などにより、この下からの牽制が機能不全に陥っています。そのため、研究、教育、医療の現場と大学執行部の亀裂や対立が実際に各地で生じています。
 ツイッターで、ある京大の学生はこのようにつぶやいていました。「大学の意思決定に一番人数多くて、金まで払っている学生が参加できなくて、どこぞの誰かも知らんたった八人の理事さんたちがお金もらってドンドン決めてくの意味わかんなくね?」。極めて真っ当な見解だと思います。
 次のページになります。なぜこのような事態が生じているのでしょうか。
 原因の一つは、二〇一四年の文科省の施行通知です。この通知では、過度に学内の意見に偏ることなく、社会の意見を反映させる仕組みが重要だとしています。
 この通知には大きな問題がはらまれています。学内よりも社会を優先としていますが、学生とその保護者も、また大学を支える地域社会もまた社会の一部です。学内と社会を単純に対比する論法は、この点を見落としています。手続的には、文科省は、施行通知に加えてチェックリストを作成して各大学に内部規則の改正を促しました。これは、大学の自主性、自律性を掘り崩す行政指導であり、適法と言えるか疑問です。
 二つ目の原因は、二〇一九年の閣議決定です。
 この閣議決定で、学長、学部長等を必要な資質能力に関する客観基準により、法律にのっとり意向投票によることなく選考せよと定めました。この閣議決定は違法のおそれがあります。
 二〇一四年当時、下村文科大臣は、「これから意向投票はもうやめるべきだということを国が言う考えはありません。」と答弁しています。閣議決定はこの大臣答弁をほごにするものであり、行政の一貫性を損なうものです。また、法律にのっとりと書いていますが、学長や学部長の選考方法について具体的に定めた法律はありません。
 私の恩師である寺崎昌男東京大学名誉教授が記しているように、一九一九年に東京帝国大学で始められた総長選挙制度は、大学自治の象徴的な到達点です。この閣議決定は、日本国憲法第二十三条に定める学問の自律性、その制度的保障としての大学の自治に対する侵害です。同時に、国会の立法権への侵害でもあります。
 政府は、学長監視機能の強化を必要とする事実、すなわち改正案の前提となる立法事実について説明していません。ですが、事実を確認すれば、先ほどの施行通知や閣議決定こそが今日の混乱と沈滞の原因だと分かります。
 ここでは、意向投票を形骸化ないし無視し、任期の上限も撤廃した例として、筑波大学と旭川医科大学に着目します。
 筑波大学では、学長選考に関わる意向調査投票が行われてきましたが、昨年、これを意見聴取と改めました。これは単なる言葉の上の変更ではありませんでした。実際、選考会議は意見聴取の結果を覆して永田氏を再任しました。意見聴取に先立って、永田学長は、最長六年という通算任期の上限を撤廃しました。しかし、選考会議で通算任期の撤廃を決定したことを示す記録は存在していません。
 選考会議が永田学長の再任を意見聴取の結果を覆して決定する五日前、文科大臣は筑波大学を指定国立大学法人に認定しました。学長の強いリーダーシップを認定の理由として挙げています。ところが、今年になって指定申請書類に記した留学生数に水増しのあったことが発覚。問題はないという学長の説明にもかかわらず、虚偽記載であることが確定しました。
 政府提出の改正案では、この筑波の例のような場合、学長への牽制機能が有効に機能しません。筑波大学の監事は、この虚偽記載について調査に着手した形跡はありません。また、文科省は、学内問題なので調査するつもりはないとしています。こうした事例は、学内からの信任と支持なきリーダーシップの下に単なる独裁が生じているのではないか、そうした疑念を抱かせるものです。
 もう一つ、旭川医科大学の例を挙げます。
 二〇〇九年には、学長通算任期は最長六年という上限を撤廃し、一昨年には、意向聴取をせずに吉田晃敏氏を学長に再任しました。その吉田学長は、新型コロナ感染症患者を受け入れようとした病院長を解任しました。これについて、患者らによる署名運動が起きているほか、意向聴取対象者の過半数の署名を得て解職請求が行われています。
 経営を重視する立場からは、感染症患者を受け入れない方がよいという判断もあり得るのでしょう。ですが、教学、すなわち研究、教育、医療の公共性を重視する観点や地域貢献という観点とこの経営の観点は矛盾することもあります。つまり、採算は合わないけれど、市民や学生にとって切実に必要とされる研究、教育、医療もあるのです。これを切り捨てることによって犠牲にされるのは、この例では市民です。ダイナミックで民主的なガバナンス体制によって経営の観点と教学の観点を調整していくことが必要です。
 それでは、どうしたらよいのでしょうか。
 大学は元々、公共財の一つです。その研究、教育、医療の充実と地域への貢献を図るためには、学内のステークホルダーのモチベーションを高め、相互の信頼に立つ安定した関係を築くことが大切です。文科省の検討会議でも言われているように、守るべきは学生と研究の未来です。
 まず、学内におけるボトムアップ型意思決定の仕組みの再構築を図る必要があります。具体的には次のようなことが考えられます。
 第一に、意向投票の結果を最大限に尊重すること。第二に、直接請求による学長解職制度を創設すること。第三に、学長指名の評議員を割合を三分の一以下にとどめること。第四に、学長の通算任期の上限を定めること。第五に、監事は公益通報の窓口を設けること。第六に、監事の選任に当たっては、国、学外委員関連企業等との縁故を廃すること。
 政府提出の改正案の先に研究と学生の未来があるとは思えません。大学のガバナンス改革は、二〇一四年施行通知と二〇一九年閣議決定の適法性を問い直し、それが研究、教育、医療の現場にもたらすゆがみを確認することから始めるべきです。
 なお、そうした観点から、政府提出の改正案の修正意見を請願書としてまとめて参議院議長に提出しましたので、慎重に御審議ください。また、参考資料として政府提出の改正案をめぐる新聞報道を二件添付しましたので、御参照ください。
 以上で私の意見陳述を終わります。ありがとうございました。

#9
○委員長(太田房江君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#10
○吉川ゆうみ君 自由民主党の吉川ゆうみでございます。
 三人の参考人の皆様方からはそれぞれのお立場から大変貴重な御意見をいただきましたこと、まずもって心から御礼申し上げます。ありがとうございました。
 早速ですけれども、質疑に入らせていただきます。
 今回の改正案におきましては、まず、国立大学法人が作成する中期計画の記載事項として、教育研究の質の向上に関する目標等を達成するためにとるべき措置などの実施状況に関する指標を追加するということとなっております。これによりまして、国立大学法人等は中期目標の達成に一層の責任を持つことが期待されますが、見方を変えますと、その指標によって中期計画に掲げる目標の達成度というのが具体的に見える、見られる形になってくるということを意味するかというふうに思っております。
 一方で、このことが、その評価ができてしまうがために、評価に縛られるが余り、その評価をしっかりと達成しなければいけないということで、安易な目標設定、各国立大学法人にとって取り組みやすいような設定にされはしないか、各大学法人が国立大学法人にとってしっかりと取り組むべき課題への取組、これが中期目標にしっかりと盛り込まれなくなってしまうのではないかというようなことを懸念いたしております。
 この点におきまして、山崎参考人より御意見をいただけたらと思うのと同時に、そういった目標設定の際に、達成がしっかりしたよということが言えるような安易な設定にならないような、そして、しかし、実行力のある、その国立大学法人にとって重要な目標になるようにしていくにはどのような形で仕組みをつくっていく、進めていけばいいのかという御意見ございましたらお聞かせ願えればというふうに思います。

#11
○参考人(山崎光悦君) 御質問ありがとうございます。山崎でございます。
 第四期には中期目標の大綱が、最終的に、まだまだ案の段階ですけど、示されるというふうに内示をいただいておりますので、それはほとんどの国立大学法人が取り組むべき内容を網羅しているというふうに私どもは捉えております。その中から幾つかを各法人が選び出し、ここに書かれている全ての項目について取り組むのではなく、自分の大学が特に注力をして次の六年間でこう頑張りたいというところを中期計画として具体的に書き下すというふうに理解をしております。したがって、自らがその目標を定め、それについてのいわゆる重要指標、KPIを定めるということは、我々実施する側、あるいは構成員から見ても、その計画がどの程度実施、達成できているかということをきちっと見るための一つのバロメーターになるだろうというふうに考えてございます。
 決して、そのために戦略的な目標をおろそかにして達成しやすいものにしようというふうに、今の国立大学群はそういう安易な考え方はほとんどの大学は持っていないというふうに私は理解をしております。私の大学は、特に、戦略的に今までの三期にわたるいろんな運営をやってまいりましたし、これからもそういうチャレンジを続けていくつもりでございますので、決して御心配のようなことにはならないというふうに私自身は思っております。
 お答えになっているかどうか分かりませんが、以上でございます。(発言する者あり)

#12
○委員長(太田房江君) 挙手をお願いします。

#13
○吉川ゆうみ君 ごめんなさい。
 ありがとうございます。
 かもしれませんけれども、あくまで今回の法律の趣旨にのっとるとそういったことが危惧されるものですから、是非とも各国立大学法人の皆様におかれましては、山崎参考人のような考え方でもって進めていただければということを期待するところでございます。ありがとうございました。
 続きまして、監事に関してお伺いをさせていただきたいと思います。
 昨年、常勤監事を置いている国立大学法人、八十六法人のうち四十六法人というふうになっておりますけれども、今回の改正案では、監事の監査体制を強化していくために、監事のうち少なくとも、先ほどもございましたけれども、一人は常勤にしなければならないというふうになっております。しかし他方で、地方では常任、常勤の監事を確保するということが大変人材の面で困難であるというようなことが多く言われているところでございます。
 この人材確保につきまして、監事は国立大学法人の業務や財務等を監査する役割を担うわけでございますけれども、その責務を果たすためにどのような資質や背景を持った方がこの監事としてふさわしいのか、また、選任者を選考、確保していくためにはどのような工夫をこれまでなさってきたのか、あるいはこれから更にこの常任というところも置かなければいけないという中において工夫をされていくことが重要だと思っておられるか、山崎参考人にお伺いさせていただきたいと同時に、小倉参考人におかれましては、先ほど、この常任監事というのも地方においても何とか確保できるんじゃないかというお話をいただいたところでございますけれども、その際には様々な周りのステークホルダーの協力があればということでございましたので、具体的にどのような協力を得られると、この地方で人材、様々な資質を持った人材を常勤として選ぶ、選任するということが可能になってくるのか、具体的な協力の面についてお聞かせいただきたいということと、さらに、それらを現場で見ておられる駒込参考人からも、この監事についての、常任の特に監事についての御意見、お伺いできたらというふうに思います。
 山崎参考人の方からお願いできればと思います。

#14
○参考人(山崎光悦君) 御質問ありがとうございます。
 地方でなかなか人材確保が難しいのではなかろうかという御指摘かと思いますが、先ほどの御発言にもございましたように、やっぱり大学の中のことを熟知していただいた上でやっぱり監事業務をしっかりとやっていただきたいなという観点から、やっぱり大学の経営あるいは高等教育機関での経営等に携われた御経験のある方の中から選ぶのが今現在の地方では現実的な選択肢だというふうに理解をしております。
 しかしながら、これから先のことを考えますと、大学の機能、経営というところがどんどんその機能が広がっていくという将来を考えますと、さらにやっぱりそういう視点、経営あるいは経済活動ですね、外部資金獲得という観点も重要な視点になってまいりますので、そうした見識を持たれた、あるいは経験、チェック機能をきちっと果たしていただける、期待できる方をやっぱり確保していく必要があるというふうに理解をしています。
 以上でございます。

#15
○参考人(小倉康嗣君) それでは、私、小倉からお答えさせていただきます。
 まず、現在、常勤監事のいるところは四十八大学です。ちょっと修正させていただきます。
 私の資料のパワーポイントの八ページを見ていただくと分かると思うんですが、まず、例えば四国・中国支部、十大学のあるうち九大学にもう既に常勤監事がいます。それから、九州・沖縄支部におきましても、十一大学のうち八大学はもう既に常勤監事がいるわけですね。ですから、地方において常勤監事が集まりにくいということは必ずしも当たっていないのではないかなというふうに思っています。
 それで、もう一つ、一方では、非常勤監事の大学というのは専門大学だったりあるいは単科大学だったりするケースが多いということで、一つの選任していただくための方法としては、様々な地域にもいろんな商工会議所なり、あるいはいろんな組織があるわけですね。その地域の組織の人たちにやっぱりお願いしていくということで、開かれた形での公募を行う。それから、今大学で公募するということもできますので、大学で公募するというやり方もあると思います。
 それから、もう一つは、国に、監事の資質というのは先ほど言いましたように非常に重要になってきますので、国がそういう人材バンクを持つとか、そういった方法もあるのではないかというふうに思っています。
 以上です。

#16
○参考人(駒込武君) 御質問ありがとうございます。
 まず、監事の常勤化ということですが、先ほど小倉参考人の話を伺って、監事さんも本当に大変なんだ、業務があるということがよく分かりました。
 他方で、国立大学の現場からいいますと、今、京都大学に限らず、ほとんど全ての国立大学で、人が退職しても予算がないために後任を補充できないという事態が相次いでいます。そのため、例えばそれまで四十人でやっていたところが一人減り二人減り三十五人で運営する、でも授業科目などがそれで減るわけではないという、非常に無理な事態が起きています。
 そうした中で、新たに監事を常勤するときに、その報酬というのは一体どこから出るのだろうかという問題がございます。それでも、恐らく私の属する京都大学は財政的に比較的に恵まれた方だと思いますが、私の存じ上げているある国立大学の先生は、もう本当にコピー費もない、学生に資料を紙媒体で配ることもできない、もうそこまで本当に追い詰められている、そこで監事を常勤化してくれというのは、本当に、そのことによってまた何人かの教員が辞めた後補充できないということになる、どうしたらいいのかという嘆きを漏らしていました。ですので、十分な財政的な措置というものが必要だと思います。
 また、その監事とされる方の特質については、やはり研究や教育の特性というものをよく理解されている方になっていただきたいと思います。研究や教育というのは、あらかじめ定められたルートを全部スムーズに進むとは限りません。思わずルートを外れたり、そこで発見があったり、大発明があったり、でもやっぱりうまくいかなかったり、そうした試行錯誤の蓄積です。そうしたものである、研究とは、教育とはということをよく理解した方に監事になっていただきたい。それから、各大学の歴史、沿革や地域との関係、そうしたものをよく御存じの方になっていただきたいというふうに思っています。
 以上です。

#17
○吉川ゆうみ君 ありがとうございました。
 大変貴重な御意見、本当に有り難く存じます。ありがとうございました。
 最後に、国立大学は、平成十六年に法人化をされました。競争的環境の中で活力に富み、個性豊かな魅力ある国立大学を目指すという趣旨、目的の下、以来二十年近くになりますけれども、現在果たしてこの法人化の趣旨あるいは目的に沿った形で進んできていると言えるのだろうかと。今回の改正案が出されたこの機会に合わせて、改めてこの二十年、平成十六年の二十年前の趣旨、目的ということを振り返る、検証する必要があるのではないかというふうにも思っております。
 改めて、この法人化以降の国立大学改革の方向性や成果につきまして、どのようにお考えでおられ、そしてまた評価をしておられるのか、特に学長でいらっしゃいます山崎参考人に御意見をお伺いをさせていただければというふうに思います。

#18
○参考人(山崎光悦君) ありがとうございます。
 金沢大学の例で御説明をさせていただこうと思います。
 先ほどの駒込参考人の御意見にあったように、多くの国立大学は、予算が多分この十八年間で大体一〇%強削られてきたということを背景に、人件費を削るのが一番、何というかな、大学経営の観点からはやりやすい方法なので、そういうふうにやってきたかなというふうに思います。
 私は、先ほども申し上げましたように、学長に就任して八年目でございます。私が引き受けたときには、常勤の、私ども千百ぐらいいた教員が百人強減っておりました。それをまず増やすことが学長の一番の使命かなと、組織は人なりという考えでございます。
 その分だけどこかで人件費を確保しなきゃいけない。それが多分、間接経費など大学執行部が自由に、自由裁量で賄える予算だというふうに理解をしています。
 その意味で、今回の改正で、さらにいろんな形で外部資金、産業界のみならず、いろんなところから資金を獲得できる可能性が、少しずつではありますけれども広まるというふうに認識をしております。そういったことを繰り返すことで、自ら自律した国立大学運営がだんだんと、少しずつではありますけれども可能になっていくということを大いに期待をしたいと。
 ですので、多くの大学というか、全ての大学がしっかりと改革を進めてきております。予算が削られているところがちょっと厳しいところですが、やっぱりランキングも下がっているという現状から見ると、やっぱり少しは予算増をしていただいて、元気が出る国立大学を是非応援をしていただけたら有り難いかなと。努力は絶対しています、みんな。なので、そこは是非お認めいただきたいなと、こんなふうに思う次第です。
 以上です。

#19
○吉川ゆうみ君 ありがとうございました。
 私からの質問を終わります。ありがとうございました。
    ─────────────

#20
○委員長(太田房江君) この際、委員の異動について御報告をいたします。
 本日、有村治子さんが委員を辞任され、その補欠として宮崎雅夫さんが選任されました。
    ─────────────

#21
○石川大我君 立憲民主・社民の石川大我です。
 本日は、三名の参考人の皆様には貴重な御意見をいただきました。ありがとうございます。
 まず初めに、山崎光悦参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 山崎先生、プロフィールを拝見をいたしますと金沢大学一筋ということで、まさに大学におけるプロパーと言える存在だと思うんですが、現状で、大学における内部委員が学内の様々な多様なステークホルダーの代表として選ばれているという実感はおありでしょうか。また、そうしていくために必要なアイデアがあればお示しいただきたいというふうに思います。
 また、学長は、大学における人材戦略の本質はバラエティーだというようなお話、多様性ということだと思いますけれども、この学長のトップダウンな権限強化に伴って、このバラエティーをどう保っていくのか、失われやしないかといったところについての傾向についてもお聞かせいただければと思います。

#22
○参考人(山崎光悦君) 質問ありがとうございます。
 なかなか難しい御質問かなと思いますが、私が、多様性こそ組織の柔軟性、将来性だというふうに常々構成員に申し上げておりますので、そういう観点から申し上げさせていただきます。
 役員の構成も含めて、教員の登用、そして、全国あるいは世界から集まってくる学生に対して、キャンパスをどのように多様化するか、国際化するかというのが一生懸命に腐心しているところであります。学生の観点からいいますと、学内に英語だけで会話ができる場所をつくってみたり、混住寮といいまして、留学生と日本人学生をある比率で共同生活をさせるスペースを学内につくって、英語オンリーで、日本人については国際化を、外国人については日本に慣れ親しむようなサポートをしたりというようなことも進めております。そういう意味で、教職員においても、外国語が運用できるとか外国籍の方を優先的に登用するとかという、ある比率でしっかりとやってきています。
 そういったことが、少しずつではありますけれども、多様性、バラエティーというふうに、を大学の中に取り組む大切な方向性かなと。多様性というのは、たくさんの人がいらっしゃるとやっぱり多様な意見が出てまいりますので、それを取りまとめたり、相手を理解することでそれぞれの人間が大きく成長できるということについては確信をしております。
 お答えになっているかどうか分かりません。
 以上でございます。

#23
○石川大我君 ありがとうございます。
 続きまして、小倉康嗣参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 小倉参考人は、民間の出身、会社の出身ということで、現状で、大学における今度は外部委員でございますけれども、学外の多様なステークホルダーの代表として選ばれているという、そういう実感はおありでしょうか。また、そうなっていくために必要なアイデアがあればお示しいただきたいと思います。

#24
○参考人(小倉康嗣君) 外部委員としての認識があるかということに対しては、そうだというふうに考えています。よろしいでしょうか、そういうことで。

#25
○石川大我君 ありがとうございます。
 そうしましたら、今回の改正案についてですけれども、監事の権限強化が図られていますが、今後、文科省の、先ほどちょっとお話が出ましたけれども、文科省の職員や元職員が監事になっていくことも検討されているようですけれども、そうなると、結果的に大学に対する文科省の権限というものが更に強化されていくことになると考えますが、仮にそうなった場合、監事としてのあるべき姿、ふさわしい姿ということについてどのようにお考えでしょうか。

#26
○参考人(小倉康嗣君) 文科省の職員がという、検討しているという話はちょっと私は全く聞いておりませんけれども、監事の業務というのは、会計監査のほかにいろんな意味での大学の、何というんですかね、事業というか、運営に関して見ていくわけで、それが文科省の方が見ても企業から見ても、見方というのは多少変わるかもしれませんけれども、基本的には同じだと思うんですよね。要するに、大学の運営がきちんとできているかどうかとか、どういうふうに例えば中期計画を作っているかなんというのも含めてですね、国から来た人だからおかしいとかいうことはないと思います。
 それで、もう一つ、国立大学には国から実際に来られている事務の方もおられますけれども、そういうのを必ずしも引きずっているわけじゃないので、そういう問題は発生しないと私は思っています。
 以上です。

#27
○石川大我君 ありがとうございます。
 そうしましたら、駒込武参考人にお伺いをしたいと思います。駒込先生からは現在の国立大学と今回の改正案に対する様々な問題点を御指摘いただいたと思うんですが、その中から幾つかお伺いをしたいと思います。
 これまで、改革による行き過ぎたトップダウンによって起きている弊害とか、今後具体的に起きる問題というのがあればお聞かせいただきたいと思います。例えば筑波大学の例ですけれども、学長の偏重によって研究分野や研究費、あるいは提供できる教育分野が減少していくなど、そういったことも含めて御見解をいただければと思います。

#28
○参考人(駒込武君) 御質問ありがとうございます。
 学長は、たとえ個人として優れた研究者であっても一分野の専門家にすぎません。大学における様々な学科、学問、それぞれの領域についてよく知っているわけではありません。ところが、現実に起きているのは、学長に近い分野は予算や人員が付く一方、そうでない分野は切り捨てられていくというような事態です。
 筑波大学の場合には、永田学長の出身母体である医学医療系の教員というのがこの五、六年の間にも増えているのに対して、人文社会系、あるいは理科系でも生命環境系の教員は大きく削減されています。二〇%近い削減となっています。こうした中で、困るのは教員だけではなく、学生たちが、自分が学びたいと思っていた分野、コースがなくなってしまった、そういう戸惑いを上げているという声が筑波大学新聞でも報じられています。
 こうした大学予算のカットによる教員構成の貧困化というのは、学生の学習権を侵害するものだと思っています。どんどん人がいなくなる中で、例えば、必修科目が朝一限と夕方五限に集中していく、そうじゃないと時間が割り振れない、そうした事態が各地で生じています。そうすると、例えば学生はアルバイトの関係で非常に困ってしまって、本当は学び続けたいのに大学をやめざるを得ないというような事態も生じています。
 昨今、コロナ感染症の拡大で学費を払うことが困難な学生の退学が相次いでいるというニュースがあって私も胸を痛めていますが、コロナのことがなくても、学生が大学で学び続けにくい、続けられないという状態が生じています。
 大学のガバナンス改革を言うならば、こうした学生の声を受け止められる体制を、仕組みを考えるべきであるにもかかわらず、現在生じているのは、学生のニーズというよりも、むしろ政府のニーズによって学部やコースをリストラしていく、そういう事態になっていると思います。
 以上です。

#29
○石川大我君 ありがとうございます。
 先ほどレジュメの三ページでも御紹介をいただいていると思いますけれども、ツイッターにおけるぐしゃりんさんのつぶやきということで御紹介をいただいたんですが、本来、学内のステークホルダーであるべき教員や学生の意思というものが大学の運営に反映されなくなってきているというような状況もあると思うんですが、それによって生じている具体的な問題、今、先ほど少しお話がありましたけれども、そういったものをもう少し聞かせていただきたいということと、あと、大学の将来にわたってどういった影響があるというふうに先生はお考えでしょうか。

#30
○参考人(駒込武君) ありがとうございます。
 一言で言うと、学長を中心とした大学執行部と学内ステークホルダーである教員や生徒の間で、生徒と執行部の間に対立や相互不信が高まってしまっています。
 この不信感がどれほどの深さと広がりを持っているのかというのを具体的に示すのは難しいのですが、先ほども申し上げましたように、筑波大学の例でいえば、学長選考において、現職が有利であるにもかかわらず、永田氏は大差で敗れました。これは、実質的に教職員による不信任であったと見るべきだと思います。それにもかかわらず、学長選考会議は、人格高潔といった理由を挙げて永田氏を再任しました。これは投票ではない、一種のアンケートにすぎない、そうした見解が示されたわけです。そうした見解を示した選考会議の委員は学長の選んだ方々です。こうした状況の中で不信が渦巻くのは当然であるというふうに思います。
 文科省の国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議は今回の改正案の前提となる重要な会議ですが、その中では、繰り返し、学内のステークホルダーのモチベーションを高め、相互の信頼に立つ安定した関係を築くことが大切だというふうに書いています。しかし、このように学内の意向を顧みない体制で安定した信頼関係など望むべくもありません。心ある教員は、私立の大学へ、あるいは海外の大学へとどんどん流出していっています。個々の教員はそれでよいかもしれませんが、残された学生、あるいは大学を町づくりの中心としようと思っていた地域の住民はどうなるのでしょうか。
 そうした意味で、現状においては、トップダウンのガバナンス体制が研究と学生の未来を破壊していく、そうした事態が残念ながら生じていると思います。

#31
○石川大我君 ありがとうございます。
 もう一点、最後に駒込参考人にお伺いをしたいんですが、今回の改正案の基となっているのは、二〇一九年の経済財政運営と改革の基本方針二〇一九という、いわゆる骨太の方針なんですけれども、ここでは、学長選挙は意向投票を廃止して、学長の裁量による大学経営を可能にすることがうたわれております。この方針は国立大学の在り方としてふさわしいというふうに思われるでしょうか。その点、様々違法性の問題なども指摘があったと思いますけれども、そういった大学の役割としての根本的な問題についてもお聞かせいただければと思います。

#32
○参考人(駒込武君) ありがとうございます。
 この閣議決定には、大きく分けて四つの問題があると思います。
 一番目は、先ほども申し上げましたように、行政の一貫性を損なっているということです。二〇一四年の施行通知で意向投票は望ましくないと言いましたが、するなとまでは言いませんでした。ところが、この閣議決定では、明確にするなとなっています。
 二つ目は、この閣議決定では法律にのっとり意向投票をするなと書いているんですが、意向投票をするなと書いた法律はございません。国立大学法人法は、意向投票についてはせよともするなとも書いていません。もし学長選考の在り方を定めた法律があるとしたら、それは教育公務員特例法です。これは国立大学法人化に伴って適用しなくてもよいということになりましたが、そこでは、評議会の議に基づいて学長を選考せよと書いています。意向投票をするなという法律はないにもかかわらず、むしろその反対の趣旨の法律があるにもかかわらず、法律にのっとりと書いてある点が大きな問題だと思います。
 三番目は、閣議決定は資質能力に関する客観基準が重要だというふうに書いています。この客観基準という言葉がしばしば使われるんですが、その内容は、先ほども言いましたように、人格が高潔で識見が豊かである、そうしたことです。誰が人格が高潔か、それはまさに主観的な判断にほかならないのではないか。それにもかかわらず、客観基準という言葉が独り歩きすることでそれに意味があるかのようなふうになっている、これが大きな問題です。
 四つ目の問題は、このいわゆる骨太の方針というのが正確に言えば経済財政運営と改革の基本方針というものであり、経済産業省が中心となって定めたものだということです。そうした結果として、経営の観点を教学の観点よりも優先させる、そうした姿勢があらわです。先ほど二〇一四年の施行通知には大きな問題があると言いましたが、二〇一九年の閣議決定は、その問題ばらみの施行通知ですら踏み込まなかった部分、学長の意向投票をするな、学部長の意向投票もするな、そこまで踏み込んでいるわけであって、私はこれは違法であり、先ほども述べたように違憲でもあるというふうに思っております。
 ありがとうございました。

#33
○委員長(太田房江君) 時間が来ております。

#34
○石川大我君 大変貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。
 三名の参考人の皆様、重ねて御礼申し上げます。ありがとうございました。

#35
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかでございます。
 本日は、三人の参考人の先生方、大変にありがとうございます。
 早速ですが、まず山崎参考人に御意見を伺いたいと思います。
 今回の改正でございますけれども、国立大学法人に対する多様なステークホルダーからの信頼を獲得していくという観点から、学長選考会議の牽制機能及び監事の監査体制を強化をしていくということが一つのポイントとなっております。
 この今回の改正の内容に対する参考人の評価を伺いたいと思っているんですけれども、例えばこの点につきましては、学長選考会議の牽制機能というところで、経営協議会また教育研究評議会の委員は学長が指名できるので実効性が不十分ではないかと、こういった指摘の声もあったりするわけですが、山崎参考人としては今回の改正の内容についてどのように評価できるか、この点についてまず伺いたいと思います。

#36
○参考人(山崎光悦君) 御質問ありがとうございます。
 今回の改正の前から、例えば私どもの学長選考会議は、年一度の学長の改革等の実施状況のチェックというのを毎年やっておられます。学長が推薦をしたメンバーで構成されているというのはある部分では正しいと思いますが、例えば金沢大学の例を御覧いただいたらお分かりだと思います。各界の、もう我々がひれ伏してお願いするような方ばっかりで、学長の意に合うような御意見を、曲がったことをおっしゃるような方は一人もいらっしゃらないというふうに私は思っております。
 そういう意味からしても、今回の法律改正によってそういったことがきちっと担保される方向になるだろうという期待をさせていただいております。決して御心配、御懸念のようなことにはならないのではないかというふうに思われます。
 以上でございます。

#37
○佐々木さやか君 ありがとうございます。
 次に、山崎参考人と、それから小倉参考人にも伺いたいんですが、この国立大学法人の長に求められる人物像というところについてお考えを伺いたいというふうに思います。
 この点について、国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議の最終取りまとめで意見がございまして、学長が真にリーダーシップを発揮し、世界に伍する大学へと飛躍を遂げていくべきであると、そうした中から学長等の幹部候補を発掘、育成、プールする仕組みも必要ではないかと、こういったことも指摘がございます。こういうシステムというのは日本にはまだ定着していないと、こういったことも指摘をされております。こういうシステムについてどのように、日本で必要かどうか、どのようなお考えをお持ちかというところ。
 それから、その法人の長、国立大学法人の長に求められる人物像として、山崎参考人におかれては、御自身のこの御経験、御見識から、こういった人物像というものがございましたら是非お伺いしたいのと、そして、小倉参考人におかれましては、監事というお立場から、どういった人物像がふさわしいと、こういったことをお考えになっているか、この点についてお伺いしたいと思います。

#38
○参考人(山崎光悦君) 二点あったかと思いますが、後進の育成という観点から先にお答えをさせていただこうと思います。
 たまたまでございますが、国立大学協会でガバナンス・コード作成に関するワーキングの座長という立場でもございました。別に国立大学協会を代表しての意見ではありませんが、私、個人的な考えとしても、常々、役員あるいは監事もそういう面では一緒かもしれませんが、未来の経営者をしっかりとみんなで国全体として育てていくというやっぱり何かの手だてが必要であるというふうに考えております。
 そういう意味で、今、ガバナンス・コードの中でも、各法人がどういう視点で経営陣あるいはそれを支える副学長とか学長補佐という人材を育成あるいは登用していくかということについての各法人の方針等をきちっと社会に明確にしていきなさいということを、コードとしては書き連ねておりますので、そういうことまで含めて各法人が考える機会、そして実行に移す良い機会になるだろうというふうに考えてございます。
 それから、一つ目の質問は大変難しい質問かなと思います。自分がそれに適しているかどうかというのは非常にお答えにくいところでありますけれども、やっぱりみんなの意見をしっかり聞きながらも、卓越した未来を予想する力だろうというふうに私は個人的には思っております。
 みんなの意見を聞いて結局何もしないというわけにはいかないので、それを参考にしながら、みんなの幸せ、大学のパフォーマンス、プレゼンスをどうやって上げるかというための意思決定を最終的には学長はしなきゃいけないと思いますので、そのための見識がやっぱり問われるというふうに思う。なので、一分野の研究者であればいいというものでは私はないと。そういう意味でも、学長になるべく、副学長なり理事なりの段階でしっかりそういう人材をこの国みんなで育てるということが大事ではないかなと。
 参考までに、ヨーロッパなんかではやっぱりそういう大学院もありますし、そういうプールから各大学がキャリアアップを考えるというような仕組みも一部の国ではでき上がっているというふうに私、理解をしています。そういうことがこの国でもこれから重要になってくるというふうに思っております。
 以上でございます。

#39
○参考人(小倉康嗣君) 学長に求める人物像という質問だと思うんですが、まず一つは、リーダーシップをきちんとやっぱり持っていないと大学を、全体を仕切ることができません。それが一つあります。それから、やっぱりしっかりしたビジョンを持って、この先、大学の先を見て、何をしていかなきゃいけないかという方針なりビジョンなりを、きちんと教員だとかあるいは学生さんに物を言っていくといったような力が必要であります。またさらに、大学の場合には教授、学部長等のそれなりの力が強いですから、やっぱり学長としてそういう人たちをうまくまとめていけるような人間力といいますか、そういった力が必要なんじゃないかなというふうに思っています。
 それから二つ目に、幹部候補生、幹部候補をどうやって育てるかという質問だと思うんですけれども、これは企業も同じだと思うんですけれども、いろんな会議だとか、あるいは学長がいろいろ実行していく中で、発言力があったり、それを実行する力があったり、それから、やはり考え方としては前向きな考え方があって、それで意見をどんどん言ってくれるような人、そういうのは会議の中から、あるいは一緒に仕事している中から見付かってくると思うんですよね。そういう人たちを恐らく何人か見付けた上で、学長、次の学長になるということになっていくんじゃないかなと。そうすると、改めて学長になったときは、さっき言ったリーダーシップだとか、しっかりしたビジョンを持つとか、そういった力を発揮できるような形になっていくのではないかというふうに考えています。
 よろしいでしょうか、そういうことで。ありがとうございます。

#40
○佐々木さやか君 大変にありがとうございます。勉強になります。
 次に、監事の体制の強化に関連しまして、小倉参考人に引き続き伺いたいと思います。
 この監事の資質というところについても今日お話をいただきました。バランス感覚、合理的な判断力、そして臆せず発言できる能力、そして人間力と、もう大変高い能力が求められて、また、先ほどは駒込参考人からも、こういった人物にお願いしたいということで、大学のこと、また学問というもの、そういったことについても本当に幅広い見識を持つ必要があるのだなということで、そのやっぱり人材の確保ということが課題かなと、こんなふうに感じております。
 そこで、小倉参考人から、そうした能力を高めていく資質向上のための研修などのサポートも必要ではないかと、それから調査費用ということも実際には必要になってくると、こういった御指摘がございました。
 ここの点については、もう恐らくこの監事協議会の方で今様々なサポートをやっていらっしゃるのかなと推測するんですが、この研修というのは具体的にどのようなものを実施されているのか、それから調査費用というのは、仮に、国からの直接の補助という、御指摘にもございましたけれども、どのような予算のイメージをすればいいのかということで、実際にどれぐらい掛かるのかという、そういったイメージについてちょっと教えていただければと思います。

#41
○参考人(小倉康嗣君) まず、研修ですけれども、現在の研修は、文科省から推薦されたいろんな研修とかはやっています。ただ、それは必ずしも十分ではないということと、それから、今回の法律改正によって監事の役割が非常に強くなったということを考えると、もちろん皆さんいろんな資質を持っていますけれども、かなり厳しいというか、発言力といいますか、そういった発言の仕方といいますか、言う力が必要になってくるわけです。そういった研修というようなものが必要なんじゃないかということなんですね。
 例えば、いろんな企業の研修というのはあるんですけれども、e―ラーニングにしても、一人当たり例えば一万から三万とかいうことになると、一回やるだけでも数百万掛かるということなんですね。いうことで、そういった意味での国からの支援というのは、やった場合には、国がそういうのを主催してくれても構いませんし、そういったことをやってもらうことが必要なんじゃないかなと思います。
 というのは、やはり、先ほどからもありましたように、学長選考・監察会議の中で、長にしてもあるいは役員にしても、そういう問題があったときに、やっぱりそれを、なかなか言いにくいことを言うわけですよね。そうすると、人間誰でも、どんな親しい人でも、やっぱり指摘されれば非常に気分は悪くなるわけです。ですから、そういう言い方というのを、例えば、まず、じゃ、学長に何かがあったとすれば、学長と相手の方との間で調査を始めたらどうかとか、そういう言い方によって随分変わってくると思うんですよね、そういったことを身に付けていく。
 それから、例えばそのときに、今でも、ある大学では調査するために弁護士を入れたり、多大な金が掛かるわけですけれども、初めから悪いと分かっていれば、これは監事じゃなくても会議に具申することができるわけですね。そういうことは、すなわち、まだその可能性があるようなときにどう言えるかという問題になるわけです。そのときには、例えば調査しなきゃいけないと、判定をしなきゃいけないということになったときにそういった調査費も必要になるのではないかと、監事として物を言うためには監事としての調査をしないといけないと、こういうことになると思うので、そういうところも含めて幅広く、どういう調査がいいのか分かりませんけれども、あるいはどういう研修がいいのか分かりませんけれども、これからはそういうのを検討していくことが必要ではないかというふうに思っています。
 以上です。

#42
○佐々木さやか君 持ち時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。
 大変にありがとうございました。

#43
○松沢成文君 日本維新の会の松沢成文と申します。
 今日は、三人の参考人の先生方、ありがとうございます。お忙しい中、恐縮です。
 山崎参考人は学長の立場ですよね。それから、小倉参考人は監事の立場でありますし、また駒込参考人は大学の教員の立場で改革を訴えていると、こういう立場だと思います。それぞれ三人お立場違うんですが、ちょっと私は三人の御意見を一緒の質問でまずいただきたいなと思っております。
 今回の国立大学法人のこの組織体制の見直し、以前は、ある意味で民主的に学長を選んで大学運営進めていたと。ただ、これが学長にしてみれば、みんなに選ばれるからみんなにいい顔し過ぎてしまって、なかなか大学のリーダーシップが見えなかったと。こういう反省の下に、もう少し学長にリーダーシップ取りやすい体制にしてやらなきゃ駄目だといってこれまでの改革がなされてきたんだと思います。
 ただ、私、素人の見方ですけれども、この改革の設計図というかこのチャートを見て、何かここまで学長に権力を与えちゃっていいのかなと思うのが正直第一の感想だったんですよね。同じ企業の世界でもあるいは行政の世界でも、組織運営、ガバナンスってありますけれども、やっぱり、トップリーダーに対して権限を与えて改革を進めてもらうことも重要だけど、その権力が暴走しちゃったときにいかに牽制してチェックしてそれを制御するかという仕組みが内包されていないと、これ、本当にひどいときは組織がおかしくなっちゃうわけですよね。
 そこで、今回の改革は、前回の改革のちょっとマイナーチェンジということで、学長に権限与え過ぎちゃったので、もう少し牽制機能を高めようということで、例えば、学長さんはこの選考・監察会議にはメンバーとして入れないとか、あるいは常勤の監事を置きなさいとか、こういう改革やりましたが、ただ、この学長選考会議にメンバーを供出するこの経営協議会とか教育研究評議会ですか、これも結局、議長は学長が仕切っているわけです。それで、役員会も学長が当然仕切るわけですね。ですから、全てにわたって学長の権限が及んじゃっているんですね。そうなると、この会議のメンバーも、やっぱりみんな学長に半分任命されたとか、こういう形になってきていますから、みんなそんたくしちゃうんじゃないかなと、こういうふうに私なんかは素人で見えちゃうんですね。
 そこで、今回の改革で足りない点をあえて素人目から見て言えば、この教育研究評議会と経営協議会の二つの学内機関のトップを学長が占めるということをまず変えないと抜本的な改革にならないんじゃないかという意見に対してどうお考えかということと、それから、学長選考と監察会議の透明性を確保するためには、何といっても情報公開です。ですから、この会議の議事録を全て、事後でいいから公開する。そして、この学長選考・監察会議でどういう議論があったのか、本当に監事さんがこのままじゃまずいと改革を訴えて真摯な議論があったのか、それとも、ほとんどのメンバーが学長にそんたくしちゃって、何にもこれ改革らしい議論が進んでいなかったのかというのがやっぱり後から分かるわけです。それは学内全体の方も見れるし、主権者である国民も見れるわけですよ。それによる外部のチェックによって大学の運営が引き締まるわけですね。ですから、この会議の情報公開、これをきちっとやっていくべきだと思いますが、この二点について、それぞれ三人の先生方のお考えをお聞かせください。

#44
○委員長(太田房江君) 山崎参考人からお願いできますか。

#45
○参考人(山崎光悦君) そうですね、国立大学法人になって今十八年目なんですね。いろんなことを試行錯誤しながら、海外の例を見ながら成長をしてきたというふうに理解をしています。そういう点では、御提案の議長を学長でない者に替えるという選択肢は将来的にはあるだろうと、やってみてうまく本当に機能するのかしないのか、学長と対立して紛糾してしまうというようなことが起こるのか、やってみないと分からないところがある。
 今までも、この法律の改正そのものが、やっぱり日本の国立大学の改革の成長ぶりを見ながら、あるいはまずい点をどうしっかり直すかということで法律が改正されて、何回か改正されてきたというふうに理解をしていますので、そういう観点から、御提案の方法を決して否定するものではございません。もしかしたら、透明性は増し、皆さんの理解は得やすくなる可能性は少なからずあるというふうに理解を、私自身は考えます。
 それから、もう一点、何でしたかね、(発言する者あり)情報公開ですね。この会議がやられているみたいなふうに最終的にはしないと、同時中継見たい人は見られる、議事録もしっかり公開されるというふうにしないと、今どこの大学もやっている、評議会にしろ、経営協議会にしろ、学長選考会議にしろですね、きれいにまとまった議事録しか出てまいりませんので、それとそこに出た資料ですよね、そこで、そのプロセスの中でどんな議論があったかというのはなかなか見えない形になっていますので、そこをやっぱり公開することが、今の松沢先生がおっしゃったように、全ての構成員につまびらかにするという、そしてみんなが、ああ、そういう議論かといって納得する大きな方向性かなと、必要だと私も思います。
 ありがとうございます。

#46
○参考人(小倉康嗣君) まず、経営協議会の議長の件ですけれども、これは一案あるのかなと。会社でも、やはり今まではそういった社外取締役とかいう程度で収まっているけれども、だんだん、全く第三者がやるような形にもなってきているので、それがいいかどうかというのはありますけれども、一つの案としてはあるのかもしれないというふうに思っています。
 というのは、確かに両者が学長からの選考になると、監事はどうかというと、私の場合には、学長が入らない、ちゃんと選考会議の有識者会議で決まっていますので、学長の判断は入っていないと、こういうふうに考えています。そうすると、監事だけがそういうのを担わなきゃいけないという重荷をしょうので、そういう意味では確かに経営協議会の議長が第三者になるということはいいのかもしれません。
 あと一方で、会議の中では監事は陪席なんですよね、全てが。そういった意味では、監事の人たちの意見からすれば、陪席じゃなくて、いや、同じ出席しているのでもやっぱりメンバーとして入れてもらった方が言いやすいというような問題があるということ。
 それから、あと、情報公開については、これ非常に難しい問題で、人事の中身なんかもあるので、これは逆に言うと、ちょっと私自身は全て公開すると選考するときのその人の立場の問題もあるのでちょっとどうかなというふうに思うので、そういった意味で第三者を持ってくるということがいいんじゃないかなというふうに思っています。これ、個人的な意見でございます。

#47
○参考人(駒込武君) 御質問どうもありがとうございます。一々もっともだなと思いながら聞かせていただきました。
 先ほど最後のところで、この改正案への対案というか、この改正案をこのように修正してほしいという案を参議院議長への請願として提出させていただきましたということを申し上げましたが、その中では、教育研究評議会の議長を学長ではなく評議員の互選にしてほしいという要求を出させていただいております。
 それから、その前提なのですが、このそもそも教育研究評議会というものがどのような構成になっているのか、これは大学によってかなり違うんですが、例えば福岡教育大学のような場合、教育研究評議会の評議員はほとんど全て学長指名です。そうすると、それ以外の一般の教員とはもう全く切れてしまうわけですね。他方、私の属する京都大学は、基本的に教授会の選挙で評議員を選んでおります。筑波大学の場合は、およそ半々ぐらいであるというふうに聞いています。半々ぐらい、つまり学長指名が半分ぐらいいると、選挙で選ばれた学部長の一人か二人が学長を支持すると、その教育研究評議会の議決も変わるという体制になっています。
 そこで、私たちが提案させていただいたのは、教育研究評議会において学長指名の評議員を三分の一以下にとどめるということです。少なくともその三分の二というものは各教授会なり様々な合議体によって選ばれた人たちが入る。そして、教育研究評議会の議長というものも学長ではなく選挙にする。そうすることによって初めて学長に対する牽制機能というものが効いてくると考えています。もちろん、監事の先生による牽制機能、あるいは経営協議会による牽制機能も必要ですが、圧倒的に大多数を占める教職員、学生の声を聞かない下での牽制機能というのは実効性も乏しいと思いますし、ある意味でその監事の先生方に大きな負担を掛け過ぎてしまうということもあると思います。
 経営協議会についても事態は同様であり、やはり議長は互選にしていくべきだというふうに思っています。
 議事録の公開なんですが、今多くの大学において議事録は公開されていると思います。ところが、やっぱりどのようなレベルでの議事録が残されているかによって議事録の意味が大きく変わってくるわけです。
 私は京都大学の労働組合の委員長もしておりましたが、そこで、文科省から出向している理事の先生と例えば雇用問題について様々に、何とか雇用の待遇を改善してほしい、京都大学で勤めて、経験もあり知識もあり能力もある職員が五年たったら必ず辞めなきゃいけないというような制度を変えてほしいというようなお願いをしております。ですが、理事は、いや、そういうことを言っても経営協議会に通じないというような形でなかなか交渉が成立しません。
 その理事の先生、あるいは学長は学長で外部の経営協議会の委員の先生方にいろいろ経営上の厳しい条件を突き付けられて苦心されているんだと思うんですが、私の思いとしては、むしろその突き付けられた要求を私たち一般の教職員に教えてほしい。外部からの目はこれだけ厳しい、財務状況もこれだけ厳しい、その中でどうしたらいいかを一緒に考えようという、そういう姿勢を示していただきたいと思いますし、そうした議事録を公開していただきたいというふうに思うんですが、現状の議事録は決まったことだけで、なかなかそうしたことが分からない。この辺りを何とか透明性を確保することによって、大学としての一体感を持って学長のリーダーシップも支持しながら国立大学の改革を進めていけるのではないかと思います。
 以上です。

#48
○松沢成文君 次に、小倉参考人にお聞きしたいんですが、長らく民間企業で活躍してきて、今東工大の監事ということでありますけれども、今回、東工大を含む九つの指定国立法人が大学の研究成果を活用しての商品等の開発、提供を行う事業者、大学ベンチャーへの出資ができるようになったと、これは大きな画期的なことだと思います。これまで指定大学法人になっても実際には余りメリットがないなんというふうに言われてきましたけれども、巨額の上場利益の可能性もあるこの大学発のベンチャーの直接出資は、これまた大学にとっても一つブランドイメージを上げるためにも大きなインパクトになると思うんですね。
 この制度の活用成果にどのような期待を持っているかということと、また、出資は寄附金など独自の資金によるもので、当然自己責任が前提となりますけれども、出資リスクが高くなることへの制度的なリスク回避の仕組みなどについてはどのように考えているか、最後にお伺いしたいと思います。

#49
○参考人(小倉康嗣君) ベンチャー企業は本当に育てるところから見ていけるんですね、例えば大学発ベンチャーだと。そういう意味で、リスクがどのぐらいあるかというのはある程度見通せるということで、非常に期待するところが大きいというふうに思っています。また、出資によって、公開したときの、何というんですか、配当もそれなりに期待できるだろうと。
 ただ、ベンチャー企業がアメリカみたいに物すごい大きなことになるというケースは非常に今の段階では少ないので、どこまでその費用が、お金が期待できるかというのはもうちょっと見てみなきゃいけないというふうに思っています。
 それと、あと、大学の先生がベンチャーをやるときにはやっぱり利益相反の問題があるので、そこら辺は十分に考えていなきゃいけないというふうに思っていまして、経営のリスクだけじゃなくて、要するに、そういった意味での利益相反のことを見ていかなきゃいけないと思っています。

#50
○松沢成文君 時間ですので終わります。ありがとうございました。

#51
○伊藤孝恵君 参考人の皆様、今日は本当にありがとうございました。
 まずは、山崎参考人に伺いたいというふうに思います。
 私は、山崎参考人が大学のときにお昼寝をしていた兼六園の程近いところで子育てをしておりましたので、非常に懐かしく参考資料を読ませていただきました。
 その中で、山崎参考人が新型コロナウイルスのワクチン開発などの研究分野で日本の国際競争力は低下しているというふうに指摘されて、その理由として、まず基礎研究の推進がおろそかになっていたこと、それから、望むべき姿としては、研究所群を増やして、かつその水準を保ち、研究者の人数も増やしてその人たちを交わらせる、交じらせる異文化融合研究が必要というふうに御指摘をされています。同感です。
 そういった観点から、参考人に三点お伺いしたいというふうに思います。
 まずは、予算規模の件、日本のですね、科学技術投資の予算規模の件、それからその基礎研究の割合の件、それからイノベーション人材を増やす策についてです。
 というのも、中国を例に取ると、我々の国の平成の三十年、大体科学技術予算、およそ五兆円でほぼ横ばいなんですが、今中国はその八倍もの額を投資している。そして、その基礎研究費ですけれども、日本は、文科省はその割合というのをしっかりと把握をしていません。しかしながら、中国はそれを一五%にするんだと、明確な目標を持っています。同時に、その人材ですけれども、中国は戦略的にアメリカやヨーロッパの一流大学に留学をさせ、そして帰ってきて拠点を構えさせると、そこまで考えてやっている。
 それに対して、じゃ、我々はどういった額で、どういった策で対抗していくというか、価値を持たせていくのか、そういったところについて三点お伺いしたいと思います。

#52
○参考人(山崎光悦君) 御質問ありがとうございます。
 私どもは中規模の国立大学という視点で、全ての分野の基礎研究、全ての分野の世界トップ水準の研究を実施するという環境にはなかなか経営上ありませんので、ではありますけど、両方のバランスが極めて重要かなと。大学、国立大学は、そもそも、やっぱり自由と、研究の自由といいましょうかね、が基本的に守られることが、キュリオシティードリブンといいましょうか、好奇心による自分が明らかにしたい基礎科学をしっかり学問するという部分を保障する必要があるというふうに考えます。
 そういう意味で、今日の段階で私は何十%とはちょっと答えにくいんですけれども、大事にしながら、そうはいいながら、金沢大学ですと、たまたまある分野に強い研究、世界レベルの研究者が集っておれば、それをてこにその分野を大きくしていく、強くしていく、世界水準に育てていくということは当然の戦略だというふうに思います。その比率がどうかというのは、なかなか難しいところだというふうには思いますけど。
 ただ、例えば外部からお金を大学に導くことができる分野とそうでない分野が私はあると思いますので、そうでない分野は、じゃ、地方の大学はみんな切り捨てるのかというと、とんでもないというふうに私は思いますので、国立大学にはその部分をしっかり守る使命が、ミッションが私はあると思いますので、そういう意味で、例えば生命系とか工学系とか理工系とかというのは割と産業界からしっかりと外部資金を取ることができる可能性が高いと思いますので、そういったところで稼ぎながら、そうでない分野を、例えば文系の哲学とか宗教とか倫理とかという分野だって人間が生きていく上で極めて重要な学問をしていただいているというふうに思いますので、そういった分野、まあ一例を申し上げましたけど、そういった分野はたくさんあります。そういう分野をしっかりと国立大学として、総合大学として支えていくということが大事かなというふうに思います。
 そうはいいながら、やっぱりこの国が、今中国を例にお取りになって御指摘をいただきましたけれども、やっぱり全体としてはいろんな統計があって、GDPの何%とかって、この国は科学技術予算が極めて低いとかということはいろんなところで言われていますので、個人的には二倍ぐらいが必要じゃないかなというふうに思っていますけど、無理を承知で申し上げていますけど、そのことが一つと。
 じゃ、イノベーションを起こしてくれるような人材をどれぐらいの割合でどのレベルの大学がどうやればいいかというのは難しい問題だと思いますが、今まで、例えば、私、最初のところでも述べましたように、文理融合のイノベーター養成という教育を開始をしましたというふうに申し上げましたように、少なくとも数%から一〇%前後の若者がそういう意気込みを持って社会に出てくれることで、少しずつではありますが、この社会から国際的に勝負をというか、競争に打ち勝っていく人材育成に、そういう人たちが育ってくれる可能性がこれから出てくるだろうというふうに、また、そこに各大学が注力しなきゃいけないんじゃないかなと、個人的にはそんなふうに思っております。
 兼六園のことは忘れてください。

#53
○伊藤孝恵君 ありがとうございました。私も、最低予算は二倍必要だというふうに思っております。
 続きまして、小倉参考人に伺いたいと思います。
 小倉参考人のような社会を知る、また企業の意思決定のその方法を知る方が大学に入っていくということは本当に必要だというふうに思います。その上で、参考人の方で、優れた研究を行うことによって世の中に貢献することが使命で、世界のトップグループに入る大学になることはその結果得られるものですというふうにございました。
 とはいえ、やはり世界の大学ランキングというのが出て、中国勢が躍進をして、そして東京大学、京都大学が停滞し、同時に東北大、東京工業大学、大阪大学というのが右肩下がりに下がっているこのグラフを見てしまうと、やっぱりなぜなんだというような疑問を抱いてしまう。その理由はどういうふうに分析をされているのかということと、同時に、研究者が大学とか公的研究機関、民間企業のうち二つ以上の組織と雇用契約を結ぶといういわゆるクロスアポイントメント制度、これほとんど進んでいないというふうに聞いています。これをどう評価しているか、また、もし評価しているのであれば、何がボトルネックになって進まないと考えているのか、教えてください。

#54
○参考人(小倉康嗣君) 評価といいますか、順位は、中身はかなり詳細になっているんですが、例えば、非常に優秀な、有名な海外の人が大学にいるとか、そういうのも入っているんですよね。ですから、その評価が本当に絶対かというのは、必ずしもそうではないんじゃないかという思いはあります。ただ、やっぱり高い方がいいのは事実なので、あくまでも結果としてではありますが、トップグループに入れていないのはなぜかというのは詳細に大学では分析しています。それに向かってもちろん高くなるべくやろうというふうにはしています。ただ一方で、さっき言ったように、本当にこの項目がいいのかどうかというのはまだ疑問あることは事実だというふうに思っています。
 それから、あと、今、さはさりながら、東工大の場合も、海外との大学とのやり取りというのを物すごくやっています。それから、先ほど金沢大学の話もありましたけど、WPIといって、もう本当のトップレベルの研究所は、そこに行けば半分は外国人なんですよね。実際に、もう外国人同士で、それに日本人入ってやっているというような、もうとてもじゃないけど日本の大学かと思われないようなこともやっているわけです。その研究は世界で三つの指に入るということで、例えばそういうことをどんどん大学が繰り返していきますから、いずれ必ずトップグループに入っていくというふうには思っています。
 それから、クロスアポイントメントはどのぐらいやれば、じゃ、それは成果があるのかというのは、ちょっと非常に、何とも言えないんですけれども、実際には、例えば一〇%とか、結構いろんな大学とやっていまして、特に東工大の場合には一橋ととか、四大学連合というのがありますので、そういうところとのクロスアポイントとか、それから海外とも、これはなかなか難しいところはありますけれども、海外とのクロスアポイントメントというのも非常に私は有効だというふうに思っています。よろしいでしょうか。

#55
○伊藤孝恵君 ありがとうございました。
 貢献というのをどの指標で測るかというのもあるんですけど、例えばやっぱり特許数みたいなところを見に行ったときに、これ間違いなく、イノベーションの種であることは間違いないんですが、今、日本の特許数、アメリカの二分の一、やっぱり中国の四分の一、こういったところとこの大学ランキングの下降具合というのを見てしまうと、本当にこのままで大丈夫かというような不安になる、そういったところ、まさに政治の課題でもあるというふうに思います。
 最後に、駒込参考人にお伺いしたいというふうに思います。
 参考人からいただいた学生の、学生と研究の未来に向けての対案、まさにこの最後のスライドにガバナンス改革の議題が詰まっている、非常に有益な御示唆をいただいたというふうに思っております。私、この学内ステークホルダーという言葉、よく法人化の頃から使われ始めた言葉でありますけれども、これをその使用者、この単語の使用者によってイメージする範囲、包含される人、優先される人、それが何か変わる気持ち悪さというのをずっと感じています。
 駒込参考人のところで具体的にイメージされている学内ステークホルダーというのはどういう方を指すのか、教えてください。

#56
○参考人(駒込武君) 質問ありがとうございます。
 ステークホルダーという言葉はまず、本当にいろいろな意味合いで使われていて、多様だ多様だと言われるんですが、その実、関連のある企業だけを指していたりというようなことがあります。その中で、学内ステークホルダーというのは、差し当たり教員、事務職員、学生でございますが、その先ほどの学生のツイートを紹介させていただきましたが、学生が重要なステークホルダーであるという、その当たり前のことを確認する必要があると思いますし、学生が授業アンケートとかでは答えても、ガバナンスという点でいえば全く疎外されている状況というのを考え直す必要があると思っています。

#57
○伊藤孝恵君 ありがとうございました。
 このまさに学生を主眼とした学内ステークホルダーによる意向投票の結果を最大限に尊重する、これ非常に賛成するところなんですが、その最大限尊重するに足るやはり透明性、信頼性、多様性というのもこの選考過程、意向投票には必要だというふうに考えるんですが、参考人のイメージされるこの意向投票のあるべき姿というのがもしあれば教えてください。

#58
○参考人(駒込武君) ありがとうございます。
 意向投票というのは、元々教職員、それも常勤の教職員を中心とした形で行われてきました。それはそれで取り戻すというか、それはそれで行う必要があるわけですが、そこにとどまらず、学生に何らかの形で参加してもらう。
 実際、一橋大学では非常に長い間にわたって、学生が意向投票に先立って、この人だけはやめてほしいという不信任者を学生が選ぶ、それで不信任をされた人は候補者から外れるというような仕組みがありました。そうした仕組みも工夫できるかもしれないですし、あるいは、私立の大学の場合は同窓会組織というのが非常に大きな役割を果たしております。国立大学でも今同窓会組織の整備に努めているところで、同窓会組織が選考会議に加わってもいいかもしれません。あるいは、労働組合の代表というものが、例えば労働安全衛生法によって労働組合の代表あるいは労働組合の代表の指名した委員が大学の安全衛生会議に入る仕組みがありますが、労働組合の代表あるいは町内会の代表も入ってもいいかもしれません。
 そうした形で、教職員だけではなく、まさに文字どおり多様なステークホルダーの意見というのを反映させる意向投票の仕組みを各大学ごとに考えていく必要があるのではないかと思います。

#59
○伊藤孝恵君 こういった学内の学生だとか教職員だとか、そういった方々の意向投票をすると、学長選挙自体が人気取り選挙になってしまうんじゃないかというような萩生田大臣の意見というのもありましたけれども、それについてはどう思われますか。

#60
○参考人(駒込武君) 人気取りという要素は必ずあると思います。ですが、大変僣越ではありますが、一般の議員の先生方の投票にもやっぱり人気取りという要素はあるのではないだろうか。そのこと自体が悪いことではないんだと思います。
 選挙のときには人気取りをしたけど、当選したらすっかり違ったことを言ってしまった、そうしたことを防ぐような解職制度の仕組みなどは必要だと思いますが、人気取りという要素があるということは別に必ずしも否定すべきことではない。むしろ、学内のエネルギーを引き出す要素になり得るんじゃないかと思っています。

#61
○伊藤孝恵君 大変身の引き締まる御意見をいただきました。
 おっしゃるように、やはり学生がいて、そこで働く教職員の方々の声が反映されないというのは、どう考えてもステークホルダーの主眼に置くべき人たちが省かれているというところは非常にゆゆしい事態だと思いますし、また、議論の公開、評価の公開、学長なんて三百六十度評価されたらいいと思うんですよね。そういったような評価の仕方というのも議論の中で明らかにしていきたいと思います。
 今日はありがとうございました。

#62
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
 三人の参考人の皆様、本日は貴重な御意見、ありがとうございます。
 それでは、早速ですが、法案に関わって、監事の果たす役割、権限強化について皆さんに伺いたいと思います。
 先ほど来もちらりと指摘もあったところですが、四月二十一日の衆議院文科委員会での監事の常勤化についての質疑の中で、萩生田文科大臣が、国家公務員が長い間積み上げた行政経験、様々な機会を還元するために再就職で自分が得意分野のところに就職することそのものは決して悪いことじゃないと思いますと述べ、また、OBはふさわしくないのかと言われると、私、例えば国立大学法人で事務局長などを務めた方が将来的に監事になっていただくのは一つの選択肢としてありだと思うのですねと答弁をされています。
 つまり、退職した国家公務員、文科省OBが常勤監事になること自体を否定されなかったと、むしろ一つの選択肢と言ったわけですけれども、となると、今回の監事の常勤化が天下りの温床になりかねないんじゃないかという懸念があるわけです。それは、そうなってしまうと、大学の自治という観点からも問題じゃないかと思うんですけれども、三人の皆さん、それぞれどう思われるか、お答えください。

#63
○委員長(太田房江君) 山崎参考人からお願いします。

#64
○参考人(山崎光悦君) 私は、やっぱり選択肢として、先ほども申し上げましたように、大学のことを熟知している人材のプールの一つだと思いますので、その人に、だから、その天下りとならない仕組みをどう入れるかとか、特定の関係で利益誘導にならないようにするにはどうしたらいいかという仕組みを別途考えるべきかなと。最初からそういった人材を排除すべきではないというふうに個人的には考えます。
 以上です。

#65
○参考人(小倉康嗣君) 今どんな人が監事になっているかというのをお話ししますと、百七十八名いるんですが、そのうちの四十四名は会計士さんなんですよね、税理士さん含めた。あとは、銀行から企業経営者、弁護士、地方自治体、それから理事、教授がほとんど、二十名ずつなんです。それで、学長が十三名入っているんですよね。
 それで、私が思うのは、例えば学長経験者というのは物すごく見識もありますし、それから、いろんな、何というんですかね、大学のことも知っているし、非常にもっと増えてもいいんじゃないかと思っているんですが、見ても大体平均的になっているんですね。この中にはもちろん国の、官僚の方もおられます。それが悪いかというと、決して悪いわけではないような気がするんですよね。
 要するに、きちんと仕事すればいいわけで、それから、選考するときに、うちの大学もそうなんですが、ちゃんと有識者会議で決めるわけで、そのときにもし駄目なら否定すればいいわけですよね。ですから、それが何かその天下りの温床になるということではないんじゃないかなというふうに私自身は思っています。
 よろしいでしょうか。

#66
○参考人(駒込武君) 今回の改正案では、中期目標、中期計画に関わる文科省の介入の余地というのを高めています。これと監事の権限強化、そして文科省のOBが監事になるということを結び付くと、本当に国による間接支配になってしまう、そのように懸念しています。
 衆議院での参考人質疑で光本参考人がるる説明されていましたが、中期目標、中期計画の策定において、文科省が作った中期目標大綱の中から項目を選んで中期計画とせよというのが新しく加わってきています。既にこの大綱は発表されておりまして、その中では、例えば各地域の産業の生産性向上や雇用の創出に努める、そう書いております。大切なことですが、果たしてこれが大学の目標なのだろうかと思います。
 例えば、こうした文科省の提示した目標を大学がいかに達成したか、効率的に、効果的に達成したかを監事が監視するわけです。そうすると、文科省の提示した目標を文科省OBの監事がその達成度を判定する、そういう仕組みができ上がることになります。その監事となられた文科省OBの方がたとえどんなに優秀で有能な方であるとしても、このような体制はやっぱり仕組みとしておかしい、とても危険なものなのではないかと思います。

#67
○吉良よし子君 天下りの温床にならないような仕組みづくりはそれはそれで必要だということだったと思いますし、それを通じて大学への国の支配の強化になってはならないということはそのとおりだと思いました。
 また、牽制機能の強化ということでいうと、先ほど来からも議論がありますけれども、学長選考会や監事の在り方だけではなく、やはり学内、教授や学生など学内から声を上げる仕組み、そういう学内からの牽制機能についての議論もやはり必要だと思うわけですが、やはり現状、学内からの牽制機能というのはほぼなくなってしまっている状態にあるのではないかと懸念します。
 こうした場合に、この学内構成員から学長への牽制機能を強化する仕組みづくりは欠かせないと思うんですけれども、どのような方法が考えられるか、これは山崎参考人、駒込参考人、それぞれお聞かせいただければと思います。

#68
○参考人(山崎光悦君) ありがとうございます。
 そうですね、私、学長になってから、私は学長の権限は結構強いというふうに思って、私自身も思って、恐れております。
 そういう意味で、やっぱりみんなの意見をしっかり聞くということを大事にしてきました。少し具体的な例で申し上げますと、学長になった途端に、先ほども御紹介しましたSGUという、スーパーグローバル大学創成支援事業に採択をいただいて、非常に高い目標値、例えば学士課程では英語で五〇%教えるとか、とんでもないとみんなが言うような数値を掲げて採択をいただきました。大学院は一〇〇%と。
 そのときとか、あるいは、今、第三期は三つの機能の中から自分で各大学は類型を選びなさいというので、金沢大学は第三類型を選んでおりますけれども、そういったけじめ、けじめのときに、大学全体を四か所に分けて、どこで出席していただいてもいいというので、先生方あるいは職員の方、病院の職員みんなに説明をして、何で大学がこんなことに取り組むかというようなことをしっかりと意見を交換をするというのを常々、大体一年、二年、一年半かそこらに一回ぐらいはそういったことをやるというのが私の習わしというか、私のやり方になっています。そうやってみんなの意見を引き出すということで、対話を取ることで、独り歩きというか、学長の独走にならないようにと。
 やっぱりみんなが付いてきてくれないと、少々プレゼンスが上がってもみんなの気持ちが頑張れないんじゃ、やっぱり組織はみんなで頑張るというのが私のモットーなので、そうやって最大限の、フルパワーが出るというふうに思いますので、そこは大事にしています。そこが一番肝腎かなと私は思うんですけれども。
 以上でございます。

#69
○参考人(小倉康嗣君) 済みません。牽制をいろんな方から機能をもらうということは、これはもう大賛成だと思います。
 学生からという話があったんですが、これは例えば東工大の場合には、ちゃんとチームを学生が組んで、ちゃんと資料を六十ページぐらいにまとめて、学長に、要するに研究評議会で発表しているんですよね。ですから、そういうやり方もあるので、実際にアンケートもしょっちゅう取っているんですよね。だから、やり方によってはちゃんと学生からのあれはできているのかなと、これ自分の大学ですけれども、思っているところです。
 以上です。

#70
○参考人(駒込武君) 今の山崎参考人や小倉参考人の話を聞いて、確かにそうしたこともあり得るんだな、大切なことだなというふうに思っています。
 ですが、残念ながら、学長と教職員あるいは学生との対立が深まってしまう場合もございます。そもそも、余りに少数の方、学長を中心とした人に余りにも過大な仕事が向かう中で、どうしても学生や一般の教職員との意見が離れてしまう場合があると思います。そうした場合には、先ほども少し言いましたが、直接請求による学長の解職制度というものが必要だと思っています。
 今も多くの大学でこうした場合には学長の解任を発議できるという制度がありますが、大体、教育研究評議会あるいは経営協議会での発議というふうになっています。ところが、先ほどから申し上げているとおり、これらの会議体は学長の指名した委員です。ですので、そうではなくて、一般の構成員、その例えば三分の一の賛同で解任を発議し、過半数の賛同で解任を決議する。もちろん、例えば京都大学で過半数の賛同者を取るというのはすごく大変なことです。ですから、それはもちろんめったに成立しないことですが、いざとなった場合にはそうした直接請求による解任の制度があるということが大事だと思います。
 あともう一つは、牽制機能として学長の最長の通算任期を定める必要があるということです。
 今、多くの大学で学長の最長通算任期が撤廃されて、学長は定年の定めもありませんから、自分で望めば亡くなるまで学長の任にあり続けられる、そうした状況にあります。そうしたことになると、当然、牽制機能が働かなくなってしまいます。自分が辞めたときどうなるんだろう、そうした想像力というものが不要になるわけですね。
 そうした意味で、例えば大学で十年越しのプロジェクトがあるから学長の長い任期が必要だみたいな話がありますが、本当にそのプロジェクトが支持されていれば、たとえ学長が替わっても続くはずです。形式的に学長の通算任期の上限を定める必要があるというふうに思っています。

#71
○吉良よし子君 大事な御意見、ありがとうございました。
 やはり、この学内の声を、牽制機能の強化ということでは、意向投票の復活ということも、先ほど伊藤議員のところでもお話ありましたけれども、大事だと私思うわけです。となると、先ほど来、駒込参考人が指摘している、二〇一四年の学校教育法と国立大学法人法の改正に伴う施行通知の適法性というのが問われてくるのではないかと。また、その駒込参考人の御説明では、施行通知に伴うチェックリストでの行政指導が問題であるという御指摘もありましたが、これ、どのような点で問題があるとお考えなのか、もう少し具体的に駒込参考人に御説明いただければと思います。

#72
○参考人(駒込武君) 学長への牽制機能として、第一に意向投票が必要だと思います。
 この二〇一四年の施行通知というものは、意向投票は望ましくない、学長選考会議が不要と考えたらしなくてよいと規定したわけですね。ところが、先ほども言いましたとおり、法律それ自体には意向投票をすべしともするなとも書いていません。施行通知というのは、本来ならば、法律で決まったことを実際に動き出す、そういう通知であるはずです。そうした通知、省令ですらない通知に意向投票をするのは望ましくない、そうした要求を入れ込むというのは、非常に不適切かつ不当なやり方であるというふうに思います。
 また、文科省は、各大学にチェックリストを配付して、過度に意向投票に重視していないか、そうしたチェックをして、各大学に内部規則の運用の見直しを求めています。この文科省が各大学に、しかも一つの大学ではなく全ての国立大学に対して一律に内部規則の運用の見直しを求めるというのは、国立大学の自主性、自律性を損なうものであり、適法性を問われるものだというふうに思います。

#73
○吉良よし子君 やはり法律に書いていないことが施行通知で示されるというのはちょっとおかしい、いかがなものかなと私自身も話聞いて改めて思ったわけですが、もう一つ、二〇一九年の閣議決定についても伺いたいと思います。
 先ほど石川議員の御質問に答える中で、この閣議決定が学長だけじゃなくて学部長についても意向投票によるべきじゃないと定めているのが問題だというお話ありました。この点について更に説明をお願いいたします。

#74
○参考人(駒込武君) 閣議決定では、学部長についても、意向投票によることなくというふうに記しています。ですが、学部長選考についても、その選考の在り方を記した法律というものはありません。
 辛うじて関係するのは、国立大学法人法施行規則、文科省の省令で、学部長等の任命は学長の定めるところにより行うものとするという条文です。これは、学長が中心となった規則によって学部長を選び、そして最終的に学長が任命するということであって、学長が指名せよということではないし、教授会での投票を禁止したものでもございません。
 それにもかかわらず、閣議決定という形で、学部長による、意向投票をすることなく、意向投票をすることなく学部長を選考せよと決めているのは、これは明らかに違法であり、そして憲法との関係でいえば違憲であるというふうに私は思っております。

#75
○吉良よし子君 終わります。ありがとうございました。

#76
○舩後靖彦君 れいわ新選組、舩後靖彦でございます。
 本日は、山崎光悦参考人、小倉康嗣参考人、駒込武参考人にお越しいただき、御意見を伺う機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 早速、提出法案について質問させていただきます。
 代読いたします。
 まず最初に、小倉参考人にお伺いいたします。中期計画策定についてです。
 私がかつて勤務していました一般企業では、中期計画は三年でございました。現在の国立大学法人では六年とされていますが、この期間は妥当とお考えになりますでしょうか。

#77
○参考人(小倉康嗣君) 企業によって違いますけれども、三年のところもあれば四年のところもあります。大学はやっぱり長い目でちょっと見なきゃいけないという課題があって、私もちょっと最初は長いのかなと思ったんですが、まあ、これぐらいになるのかなという意味では納得しているというか、もうちょっと短くてもいいのかなという感じはしないでもありませんけれども、六年でいいというふうに思っています。

#78
○舩後靖彦君 代読いたします。
 二〇〇四年に国立大学が法人化されてからの大学の変化についてお伺いいたします。
 公共財としての大学に課せられた役割というのは多々あるかと存じます。しかし、文部科学省の主導する大学のガバナンス改革の中で、運営費交付金が年々削減され、成果、効率優先の選択と集中により、イノベーション、短期的な成果の出しにくい研究、教育分野の人材予算が削られていったという弊害も指摘されています。
 また、二〇一四年の通知や二〇一九年の閣議決定、経済財政運営と改革の基本方針等により、学長に権限と責任を集中させるトップダウン式の大学経営の在り方が強化され、学問の自由と自治に立脚したボトムアップ型の意思決定とそごを来し、学長選考過程における疑義や旭川医科大学における学長と大学病院長との対立など、様々な問題が起きていると伺っております。
 この十六年間の矢継ぎ早の改革で国立大学はどう変わったのか、御作成の資料から強い危機感をお持ちの駒込参考人にお伺いいたしたく存じます。

#79
○参考人(駒込武君) 御質問をありがとうございます。
 今、国立大学で生じている事態は、一言で言うならば経営による教学の支配という、そうした事態であるというふうに思っています。
 先ほど旭川医科大学の例を申し上げましたが、経営の観点と、地域の医療と連携しながら感染症患者を対応しなくてはいけない、そうした医療の公共性という観点が対立する場合もあるわけですね。それにもかかわらず、全体として経営の観点が優先されて、学部やコースのスクラップ・アンド・ビルドが、採算が合わない、そうした理由で様々な形で行われています。
 一つ私が身近に見聞した例を挙げさせていただきますと、京都教育大学は特別支援学校のほかに特別支援学級がございます。必ずしも公立学校における特別支援教育、特別なケアを必要とする子供への教育体制が充実していない中で、京都教育大の特別支援学級は保護者の方からも非常に重要な場所であると支持されていました。
 ところが、京都教育大は、一昨年ですか、昨年、この特別支援学級を廃止するという改組案を示しました。附属学校園の効率化のためにはやむを得ない、財政上の事情が許さないという、そういう教育大の先生方としても苦渋の決断ということでした。
 これに対して、保護者の方、それに地域住民も一緒になって意見書を提出し、署名運動を行っています。その意見書では、普通学級と一緒に特別支援学級があることは数値では測り得ない大きな意味があるんだ、決してきれい事ではない関係の中で子供たちは育っていくんだ、それは子供たち自身の権利なんだ、そして、誰もが過ごしやすく、安心して生きられる社会づくりの出発点は一番弱い立場にある人に心を寄せることだ、そのように記しています。
 こうした観点、私はとてももっともで大切な観点だと思いますが、経営の観点が優越されると否定されてしまうわけです。このような非常に微妙な教育の場というものをバックアップしていくためにも、大学における教育、研究、医療の体制が専ら経営の観点に依存する体制というのは改めていかなくてはいけないというふうに思っています。

#80
○舩後靖彦君 代読いたします。
 ありがとうございます。
 次に、本改正案の中身についてお伺いいたします。
 まず、中期計画の記載事項の追加、年度計画、年度評価の廃止についてです。
 中期計画に評価指標を追加する一方、盛り込む項目を縮小し、年度評価を廃止するということですが、この変更が大学の研究、教育活動、大学運営にどのように影響するのか、大学の外にいる者にとってはなかなか分かりにくいところであります。
 そもそも、中期計画、中期目標の設定が各大学の独自性に基づき、その独自性を発揮できるようになっているのでしょうか。評価指標の導入でその達成状況が予算や人事に影響する懸念はないのでしょうか。山崎参考人、駒込参考人にお伺いしたく存じます。

#81
○参考人(山崎光悦君) 御質問ありがとうございます。
 先ほどの質問とも少しかぶっているかなというふうに思いますが、中期目標は大綱が示されるということでありますが、中期計画は各大学が独自の判断で書き下ろすということでございますので、それに対するKPIを設定するというのは、自分自身が目標設定をし、その達成度を自分たちがきちっとチェックをするということですので、それ自身が大学の教育、研究を例えばゆがめるとかということにはなるとは余り心配はいたしておりませんが。
 その一方で、年度評価がなくなるということですが、四年目とか六年目に突然ばっと評価をされても、やっぱり、多分、大学はきちっとデータをため、そのときに備えるということになるかなとは思いますけれども、年度評価がなくなるだけでも、毎年かなりの職員、教員がその評価書の自己点検書作成に時間と労力を使っておりますので、その分を研究あるいは教育に振り向けることができると考えれば、大いに賛成したいところではあります。
 私からは以上でございます。

#82
○参考人(駒込武君) 今回の改正案、政府提出の改正案の中では、文科省の作成する中期目標大綱の中から必ず大学の中期計画に含むべき項目というものが指定されています。これは、これまでなかったことです。
 そして、その項目の中には、例えば、その他業務運営に関する重要事項としてマイナンバーカードの活用ということが入っています。なぜそれが大学の中期計画に入らなくてはいけないのか、大いに疑問です。マイナンバーカードというものがまだ社会的にも必ずしも合意を得ていない中で、そうしたものを文科省が入れてしまうわけです。
 しかも、今回の改正案では、こうした計画に対して必ず具体的に達成率を示すための数値を示せ、そのための指標を示せとなっているわけです。ですから、マイナンバーカードの導入率が高い大学は優れているから予算を増やす、そうでない大学は減らす、そうした事態が、考え過ぎであればいいんですが、予想されます。
 このことに限らないんですが、昨今の文科省の行政は、やはり分かりやすい数値を示してそれで判断するということがあるわけですね。陳述の中で取り上げました筑波大学の留学生数のことにしても、留学生が多ければ指定国立大学法人になれる、七つの指標のうちの一つなんです。ですが、留学生を受入れは大切なことですが、多ければ多いほどいいというわけではないわけですね。当然、予算と人員が限られているんですから、人がただ増えていけばサポート体制は悪くなってしまうわけです。それにもかかわらず、そうした数値だけを取り上げて大学の業務を評価する、そうした仕組みというものが大学における研究、教育、医療の在り方を痩せ細らせているというふうに思います。
 ですので、私は、こうした中期目標、中期計画において具体的に数値化された指標を、それは全く不要だとは思いませんが、その指標を過大に評価する体制というのを改める必要がある。むしろ、各大学がそれぞれ工夫して、地域住民に対して自分たちの研究のだいご味、面白さを伝えていくような、そうした仕組みを、工夫を求める、大学側もそれをやっていく、そうしたことが必要だというふうに思っています。

#83
○舩後靖彦君 代読いたします。
 ありがとうございます。
 次に、組織体制について、学長選考会議を改め、学長選考・監察会議とし、学長は同会議の委員になれないとする見直しについてお伺いいたします。
 既に衆議院の文部科学委員会におきましても、本委員会でも、現状の学長選考会議のメンバーはその大半を実質的には学長が任命するという不透明な構造であり、新しい学長選考・監察会議において学長が委員から外されたとしても、会議に対する学長の影響力は排除できないのではないかとの指摘がなされています。
 また、昨年三月に公表された国立大学法人ガバナンス・コードでは、教職員による意向投票の結果によらず、学長選考を行うこととされました。何千人にも及ぶ学生、教職員の声を反映する回路がなく、外部委員を含む僅か十数名の会議のメンバーによって学長が選出される仕組み自体が非民主的ではないかと感じます。
 そこで、駒込参考人にお伺いいたします。
 今回の改正についての評価と学長選考の在り方について、公平性、透明性、大学の自主性を担保するためにはどうあるべきかとお考えでしょうか。

#84
○参考人(駒込武君) ありがとうございます。
 その仕組みの問題について言えば、意向投票の結果尊重、直接請求による解職制度、最長の任期の上限というお話をしました。それに加えて、やはり日常的に執行部サイドと一般の教職員、学生との声が通じる仕組みというのが必要だと思うんですが、残念ながらそうはなっていません。
 ちょっと私の勤務する京都大学の例を挙げさせていただきたいと思います。
 学生対応という点でいえば、一昨年、京都大学は、吉田寮という寄宿寮に住む学生二十名を提訴しました。老朽化した寮から立ち退かないというのが理由でした。ですが、実は学生、寮自治会と大学側の間では老朽化した寮を改築する案についての合意ができたにもかかわらず、大学側が一方的にこれを破棄しました。そうした状況の中で、寮生はやむを得ないということで新しい寮に移るということを寮自治会として決定しましたが、今度は大学側が、でも、自分たちで新しい寮生の選考をするのがけしからないといってこれを認めず、寮生を提訴したわけです。大学の役割は学生を守ることのはずなのに、大学が学生を提訴するというのは本当に恥ずかしく、嘆かわしいことだと思います。
 これがガバナンスの問題に絡んでいるのは、そうした形で寮生の入寮選考を認めるべきではないということを監事が監査報告書で書いているということです。そうした監事が監査報告に書くことに従って大学が行動した結果、そうした提訴という手段になり、学生の間でも教職員の間でも大学執行部に対する不信が強まっている、そうした状況があります。
 例えば、私が教員としてこうした問題について大学の中で正式に意見を述べられる場はございません。一切執行部が決めるという、そういう仕組みになっています。こうした形で一切執行部が決める、黙って従えという体制というものが、大学において教職員や学生の無力感あるいは不信感というものを増幅しています。
 様々な仕組みの工夫というのも必要ですが、先ほどの山崎参考人や小倉参考人の話を聞きますと、他大学ではもっとうまく学生の意見を聞く仕組みもあるようですが、全体として執行部はもっと学生の声を聞く必要がある、地域住民の声を聞く必要がある、そういう仕組みというものをきっちりつくっていく必要があるというふうに思っています。
 以上です。

#85
○委員長(太田房江君) 時間が参っております。

#86
○舩後靖彦君 代読いたします。
 参考人の皆様には貴重な御意見をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。
 終わります。

#87
○委員長(太田房江君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様には一言御礼を申し上げます。
 参考人の皆様には、長時間にわたりまして貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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