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2021/04/16 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 本会議 第16号 令和3年4月16日
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2021/04/16 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 本会議 第16号 令和3年4月16日

#1
令和三年四月十六日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第十六号
  令和三年四月十六日
   午前十時開議
 第一 文化財保護法の一部を改正する法律案(
  内閣提出、衆議院送付)
 第二 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
 第三 育児休業、介護休業等育児又は家族介護
  を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保
  険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体
  制の確保を推進するための医療法等の一部を
  改正する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────

#2
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#3
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。田村憲久厚生労働大臣。
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#4
○国務大臣(田村憲久君) ただいま議題となりました良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 今後とも、人口減少、高齢化の進展等に伴う人口構造や医療需要の変化が見込まれ、また、新興感染症等への備えと対応が一層求められる中、医師の働き方改革と地域医療の確保の両立、医療専門職が自らの能力を生かし、より能動的に対応できる取組の推進、新興感染症等にも対応した医療計画の策定や地域医療構想の実現等を通じて、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進していくため、この法律案を提出いたしました。
 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
 第一に、令和六年四月の医師に対する時間外労働の上限規制の適用の開始に向け、提供する医療の性質上、勤務する医師が長時間労働となる医療機関を都道府県知事が指定する制度を創設し、当該指定を受けた医療機関の管理者は医師の労働時間の短縮及び健康確保のための措置を実施することとしています。
 第二に、診療放射線技師等について、専門性の活用の観点から、その業務範囲を拡大するとともに、医師及び歯科医師について、資質向上の観点から、養成課程の見直しを行うこととしています。
 第三に、医療計画の記載事項に新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制に関する事項を追加するとともに、地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組の支援を行うこととしています。
 第四に、外来医療の機能の明確化及び連携の推進のため、医療資源を重点的に活用する外来医療等についての報告制度を創設することとしています。
 第五に、持分の定めのない医療法人への移行計画の認定制度の期限を令和五年九月三十日までとすることとしています。
 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和六年四月一日としています。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────

#5
○議長(山東昭子君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。川田龍平さん。
   〔川田龍平君登壇、拍手〕

#6
○川田龍平君 立憲民主・社民の川田龍平です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました医療法改正案について質問いたします。
 本法律案は、勤務医の時間外・休日労働の上限を原則年九百六十時間としつつ、地域医療の確保の特例として年千八百六十時間とすることを二〇三五年まで認める内容となっています。この上限を単純に一月当たりに換算すると、原則については月八十時間、地域医療確保の特例については月百五十五時間の時間外・休日労働となります。これは、時間外・休日労働時間が月百時間超又は二から六か月平均で月八十時間を超えると健康障害のリスクが高まるといういわゆる過労死基準ぎりぎりであり、地域医療確保の特例に至っては、過労死基準のほぼ二倍まで認めることを意味しています。
 さらに、本法律案では、一月当たりの時間外労働の上限については原則百時間未満としながらも例外を認めており、一月当たりの過労死基準を超えることを認めています。
 令和元年医師の勤務実態調査によれば、病院常勤勤務医の実に四割近くが年九百六十時間を超える時間外・休日労働をしているとされており、本法律案における上限規制の特例が現状追認となり、過労死を招きかねない点を懸念していますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 小児科勤務医だった夫を過労の末に自死で失い、東京過労死を考える遺族の会の会長として医師の過労死問題と向き合い続ける中原のり子さんは、政府の医師の働き方改革に関する検討会での有識者ヒアリングにおいて、過労死は人災であり、システムエラーであると述べられています。さらに、中原さんは、この検討会の報告書の取りまとめが近づいた時期に厚生労働省に要望書を提出するとともに、過労死の遺族として過労死はあってはならない、今のこの働き方では過労死は減らないのではないか、過労死遺族は大変苦しんでいると記者会見で述べています。
 家族の過労死というつらい経験に向き合い、我が国におけるより良い医療を実現する観点から、医療者の労働環境は改善できると信じ、医師の働き方改革への協力を惜しまなかった過労死遺族からもこうした懸念が示されていることについてどのように考えているのか、厚生労働大臣に伺います。
 過労死を招かないためにも、医療機関が地域の医療提供体制の確保を言い訳にして安易に特例申請に走らないようにすることが重要です。そのためには、特例を適用する医療機関の指定に当たっては、その医療機関が指定を受けるだけの地域の医療提供体制における実態があるか、厳格に判断していく必要があると考えます。
 また、特例の指定を受けた医療機関が医師と三六協定を締結するに当たっては、安易に上限の千八百六十時間を設定することがないよう、三六協定における上限時間が適切かについて監督する必要があるのではないでしょうか。そのためには、労働基準監督署に届け出るだけではなく、労働基準監督署に医師の働き方改革に精通した人員を配置し、積極的に関わっていく必要があると考えます。
 さらに、二〇三五年までに暫定特例水準を解消することはもちろんですが、原則の時間外・休日労働の上限九百六十時間でさえ過労死水準に近いことを考えれば、医師の時間外・休日労働が九百六十時間となることが常態化しないように、更なる医師の労働時間を適正化を図る必要があると考えます。
 これらの点についても、厚生労働大臣の見解を伺います。
 衆議院で本法律案の審議の際、NPO法人医療制度研究会副理事長である本田宏参考人が、日本の医師数は、二〇一八年のOECD平均と比べて約十三万人少ないことを繰り返し述べていた点が印象的でした。また、現在、二〇二三年度から段階的に医学部定員を減らしていく方針となっていることについて、勤務医調査で何と四割、八万人が過労死ライン以上、一割の二万人が過労死ラインの倍だ、これが現実で、その中で医学部定員を削減する、大丈夫なのですかと私は聞きたいとも述べています。
 さらに、二〇一八年の医療法改正の際にも、本田参考人は、私が医学生の四十年以上前から将来医師は余るとずっと言われていました、四十年間医師が余ると言って今でも医師不足の問題が続いているということは、正しく診断されていなかったのではないかとも述べています。
 厚生労働省は、医師不足という議論に関しては、将来的に医師の供給が過剰になることから、医師の偏在対策での是正を図るとしています。しかし、これまで将来医師が余ると言われ続けてきたにもかかわらず現在も不足していることについてどう捉えているのでしょうか。しかも、医師の需給が均衡する時点での医師の時間外労働は、働き方改革を行ったとしても一般の労働者の過労死基準にほぼ等しく、適切なものではないと考えます。
 医師の働き方改革について、医師数を増やすことで労働時間を減らすという選択をどこまで議論したのか、なぜそれを選択しなかったのかについて、厚生労働大臣に伺います。
 医療における薬の使い過ぎや過剰な検査は、患者の健康にとって望ましいものではありません。こうした薬漬け医療、検査漬け医療については、念のための薬の処方や検査という部分もありますが、医療機関側が、高額な医療機器の返済のため稼働率を上げることに躍起となり、無駄な検査を勧め病名を付けて薬を出すことや、医師が薬を処方するほど医師自身の利益につながる薬価差益等の医療機関の経営的観点に基づき行われていることが特に問題とされています。
 薬価差益については、薬価改定により是正が進められています。
 また、二〇一八年の診療報酬改定では、風邪の治療や肺炎の予防に効果がない抗生物質の不適切な使用を抑制することを狙って、医師が診察の結果、抗生物質を使う必要が認められず、使用しない場合に、抗生物質を使う必要がないことを説明する場合の小児抗菌薬適正使用支援加算が新設され投薬しないことが病院の収入になる、薬漬け医療に一石を投じられました。その後、令和二年度診療報酬では、算定対象となる患者が拡大されています。
 しかし、じっくり診察して風邪だから薬は要らないと丁寧に説明することと、数分間の診療で数種類の薬を処方することでは、医師にとってどちらの利益が大きいかという経営的な事情から、依然として価値の低い過剰医療が行われているという声が聞かれます。
 薬漬けからの脱却につながる小児抗菌薬適正使用支援加算が創設されて数年がたったところですが、この加算はどの程度活用されているのか、また、厚生労働省は抗生物質の使用量を二〇二〇年までに三分の一減らすという目標を掲げていましたが、その達成状況について厚生労働大臣に伺います。
 また、そもそも、診療報酬の加算などなくとも、薬が不要であることを説明し、処方しないのがプロである医師本来の姿のはずであり、ましてや医療機関の経営効率のために薬を処方するということはもってのほかです。将来的には、最終的には診療報酬に頼らなくても当然に薬漬け、検査漬けにならない医療を目指すべきと考えますが、この点についても厚生労働大臣の見解を伺います。
 近年、予防医療、健康寿命といった考え方に注目が集まっています。食生活の改善、適度な運動、トランス脂肪酸の摂取の見直しなど、日々の健康に気を遣うことが病気の予防となることはもう我々の常識となっています。しかし、言うはやすく行うは難しという状態になっていることもまた事実です。政府も近年、健康寿命延伸プランの策定によって行動変容を促そうと動き始めました。
 国民が健康であれば、受診や入院する頻度も減り、医師の負担も減るというのは明らかです。医師の働き方改革では、国民の上手な医療のかかり方の啓発に力を入れていますが、予防医療、健康寿命の延伸の取組についても一層推進すべきと考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 また、予防医療においては、教育が欠かせません。
 一例として、新潟県柏崎市では、市の健康管理センターで糖尿病予防教室を開催しており、糖尿病の予防や治療の基本となる食事と運動を実際に体験しながら学ぶことができます。
 同教室は、血糖値が高めの市民又は境界型、糖尿病型と診断された市民が対象となっており、教室終了二か月後に実施したフォローアップ健診で血液検査も行います。その結果は、約四割の方が血糖値の改善、約三割の方がヘモグロビンA1cの改善、約六割の方が中性脂肪の改善とされ、そのほかに肥満状態の改善にもつながっています。
 高額な薬などに安易に頼らず、営利を追求しない市役所が行うことで、昼食代と血液検査代合わせて僅か千八百円の参加者負担でこのような効果を出す取組は、まさに予防教育、予防医療教育の一つのモデルと言えるのではないでしょうか。
 神奈川県立保健福祉大学の兪炳匡教授も、米国における糖尿病予防の介入研究において、薬に比べ栄養食事指導や運動指導といった予防医療教育の方が高い臨床効果だけではなく、費用対効果においても予防医療教育の方が上回ると報告されていることに着目しつつ、予防医療教育を推進するに当たっては、市の事業を地域に根差した非営利団体に委託できるような仕組みとすれば、地域の雇用創出にもつながり、地域経済にとっても好ましい影響を与えると提唱しています。
 こうした非営利部門による安価で地元密着の予防医療教育を推進することが、国民にとっても地域の雇用、経済にとっても望ましいと考えますが、厚生労働大臣の見解を求めます。
 厚生労働省によると、統合医療とは、近代医学を前提として、これに相補、補完、代替療法や伝統医学等を組み合わせて更にQOLを向上させる医療であり、医師主導で行うものであって、場合により他職種が協働して行うものと定義され、医師がその中心となることが重視されています。
 しかし、実際に医師が統合医療についてどの程度知識を持っているかについては、例えばがんの補完代替医療診療手引きでは、臨床腫瘍医の補完代替医療に関する知識を調査したところ、漢方についてはおよそ半分の医師が知っているものの、その他の補完代替医療についてはほとんどの医師が知らなかったという結果が掲載されています。
 また、医療の現場においても、患者が医師に統合医療について相談しようとしても、全く知識がなく、たらい回しにされたり統合医療について全面的に否定されたりすることが多いと聞きます。本来、医師が主導すべきところが、医師の理解がないため、患者が医師に隠れて統合医療を受けようとし、場合によっては誤った方向に進み、体調の悪化を招くことが懸念されます。
 医師が中心になって標準医療とそれ以外の医療を組み合わせて統合医療を行うことを目指すのであれば、大学医学部において漢方だけでなく統合医療を学ぶ機会を設けるとともに、既に現場で働く医師についても統合医療に関する理解を深める研修等を進めていかなければならないと考えますが、文部科学大臣及び厚生労働大臣の見解を伺います。
 我が国は、欧米などの諸外国に比べ新型コロナウイルス感染症患者は少ない一方で、病床数は多いにもかかわらず医療崩壊が起きました。その結果、入院したくともできない方、入院できずに亡くなられた方もいらっしゃいます。政府はこうした事態を招いてしまったことを深く反省するとともに、再度の感染拡大に備え必要な対応を講じる必要があります。
 医療崩壊が起きてしまった理由について、先日の衆議院での審議の際、本田参考人は、医師数が不足していること、実効性あるタスクシフトが進んでいないことなどを挙げていらっしゃいました。
 政府は、医療崩壊が起きた理由についてどのように考えているのでしょうか。また、今回の対応についてしっかりと検証し、同じ過ちを二度と繰り返すことのないよう迅速に対策を講じる必要があると考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 本法律案では、新興感染症等の感染拡大時に機動的な対策を講じられるよう、医療計画の記載事項に新興感染症等の感染拡大時における医療を追加することとしています。
 しかしながら、今回の新型コロナウイルス感染症対応を見ても、対応がうまくいっているところもあれば、対応に苦慮しているところもあり、都道府県によって状況は異なっています。
 まずは、新型コロナウイルス感染症対応について、都道府県のうまくいった取組だけではなく、うまくいかなかった取組や反省点についても各都道府県からヒアリングするなどし、十分な検証を行った上で、実効性ある対策を講じるべきだと考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 また、新型コロナウイルス感染症対応では、保健所が相談窓口となったほか、入院先を調整するなど医療提供体制における司令塔的な役割を果たしました。新興感染症等の拡大時における医療を医療計画に位置付けた場合、保健所にはどのような役割が期待されるのかについても厚生労働大臣に伺います。
 厚生労働省は、いわゆる四三六リストを作成し、公立・公的等医療機関に対して具体的対応方針の再検証を求めています。
 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、このリストを初めて公表した頃とは状況が大きく異なっているにもかかわらず、同じリストで再検証を求めることは本当に正しいのでしょうか。
 四三六リストの対象医療機関のうち四割を超える百九十一病院がコロナ患者を受け入れ、さらに公立医療機関の受入れ可能医療機関のうち八割、公的等医療機関の受入れ可能医療機関のうち九割以上がコロナ患者を受け入れています。この数を見れば、感染症対応において公的・公立等医療機関がいかに重要な役割を果たしているかは明らかです。仮に公立・公的等医療機関の再編統合が進んでいたとしたら、病床の逼迫はより深刻になっていたのではないでしょうか。
 四三六リストについては、新型コロナウイルス感染症対応を含め、改めて検証を行った上で作り直す必要があると考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 日本病院会等が実施した医療機関の経営状況に関する調査によれば、昨年十一月からの新型コロナウイルス感染症の第三波により、再び病院経営の厳しさが増しています。とりわけ、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる病院や、病棟、外来を一時的に閉鎖した病院で厳しい状況にあります。また、新型コロナウイルス感染症患者受入れ病院の四割では、経営難から冬のボーナスの減額という厳しい選択を迫られています。調査を実施した日本病院会等は、継続的な医療機関支援が地域医療提供体制の維持に不可欠であると強調しています。
 また、地域の医療提供体制の確保を担う都道府県も支援を求めており、昨年十二月に当時の福岡県知事も、全国知事会を通じて、医療機関の経営悪化に歯止めを掛けるよう、診療報酬の引上げや全ての医療機関に対する財政支援など更なる支援について国に対し要望をしており、これからも続けていくと述べています。
 しかし、政府の経営の苦しい医療機関への支援は、福祉医療機構から無利子、無担保の貸付けであって、財政支援ではありません。やはり、求められているのは、コロナ対策で通常医療を縮小せざるを得なかったことで生じた減収、これに対する直接的な補償、補填ではないでしょうか。日本の医療を守るためにも、減収分について国費を投じて補填するべきと考えますが、厚生労働大臣及び財務大臣の見解を伺います。
 また、日本病院会は、昨年九月に二〇二一年度税制改正要望を当時の加藤厚生労働大臣に提出し、その中で、新型コロナウイルス感染症が病院経営に与える影響を緩和するために税制で手当てできる施策を総動員することとして、控除対象外消費税について、個別病院ごとの補填状況に不公平や不足が生じないよう、税制上の措置を含めた抜本的措置を講じることを要望しています。
 二〇一九年十月の消費税対応改定では、病院の種類別の補填を行うなどの精緻な対応が図られましたが、病院の種類による不公平是正にとどまり、個別病院の補填過不足を完全に解消するには至っていません。
 控除対象外消費税問題を抜本的かつ速やかに解消し、病院経営を支援すべきと考えますが、財務大臣及び厚生労働大臣の見解を伺います。
 医療に携わる全ての人のためになる法律を作り、全ての人の命を守るために是非審議を尽くしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#7
○国務大臣(田村憲久君) 川田龍平議員にお答えをいたします。
 医師の時間外労働の上限規制についてお尋ねがありました。
 今回の改正法案で御提案している年間一千八百六十時間という時間外労働の上限に関する特例水準は、病院勤務医の時間外労働の調査結果において上位一〇%が年間一千八百六十時間を超えていたことを踏まえ、医療関係者のみならず、学識経験者や労働者を代表とする団体も参画した検討会において議論を重ね、まずはこうした著しい長時間労働を是正していく必要があるという観点から設定されたものであります。
 長時間労働の是正を進め、医師が健康に働き続けることができるよう、今回の改正案、法案では、やむを得ず長時間労働を認める医師の対象範囲を限定した上で連続勤務時間の制限等の健康確保措置を実施することとしております。
 さらに、この特例水準は、二〇三五年度末を目標に解消していくこととしており、この目標の達成に向け、医療の現場における労働時間短縮の取組が進むよう、必要な支援を行ってまいります。
 地域の医療提供体制に即した適切な特例水準の指定と監督指導のための体制整備についてお尋ねがありました。
 特例水準の対象医療機関の指定に当たって、都道府県は、地域の医療提供体制全体として医師の長時間労働を前提とせざるを得ないこと等について、都道府県医療審議会の意見を聴取することとしており、各地域の実態を踏まえ判断がなされるものと考えております。
 また、事業所の監督指導に当たる労働基準監督官の確保が重要であり、今後とも必要な体制確保に努めてまいります。労働基準監督官には、医師の働き方改革の検討状況や時間外労働の上限規制などについて研修を行っており、引き続きこうした取組を継続していくなど、必要な知識の付与等に努めてまいります。
 このほか、都道府県ごとに医療勤務環境改善支援センターを設置し、勤務環境の改善に取り組む医療機関を専門的に支援する体制を構築しており、今後も勤務環境の改善に取り組む医療機関に対し必要な支援を行ってまいります。
 長時間労働の常態化を防ぐための労働時間の適正化についてお尋ねがありました。
 医療に従事する医師については、医療は二十四時間三百六十五日、緊急時を含めた対応が求められるといった労働実態の特性、特殊性を踏まえ、休日労働を含む時間外労働について、複数月平均八十時間以下と同様の水準である年九百六十時間を上限としたものであります。
 現状では、病院勤務、病院常勤勤務医の約四割が年九百六十時間超、約一割が年千八百六十時間超の時間外・休日労働を行っており、まずは年九百六十時間以内を目標に労働時間短縮の取組を進めるため、医療勤務環境改善支援センター等による支援に取り組んでまいります。
 さらに、時間外・休日労働が年九百六十時間以内を達成した医療機関においても、更なる環境改善に取り組んでいただくため、支援を継続してまいります。
 医師不足についてお尋ねがありました。
 医師養成数については、平成二十年度より地域枠を中心に段階的に医学部定員を臨時に増員してきたことにより、現在、医師数は毎年三千五百人から四千人ずつ増加しており、今後もこの傾向が続くことが見込まれています。
 医師の不足感への対応としては、こうして増員された医師に地域で活躍していただくことが重要であることから、医師養成課程を通じた医師偏在対策を進めております。
 一方で、医師の養成には八年もの期間を要するため、中長期的な観点で考える必要があるとともに、医療需要は医療水準などにより変化するものであることから、これまで需給推計を定期的に行ってきたところであります。
 直近の需給推計では、人口減少に伴う医師需要の減少により将来的には供給過剰となることが見込まれており、今後の医師増加のペースについては検討が必要であることから、今後の医師養成数の方針については医師の需給推計に基づき、自治体等の御意見も丁寧に伺いながら議論を進めてまいります。
 労働時間短縮のための医師数の増員についてお尋ねがありました。
 医師が長時間労働となる要因としては、医療機関内において職種間の業務分担が進まず、医師に業務が集中していることや、一部の医療機関において労務管理が徹底されていないことなどが考えられます。
 また、地域の医療提供体制における構造的な要因として、地域内の医療機関の機能分化、連携が十分に進んでいないこと、地域間、診療科間で医師が偏在していること、特定の医療機関の外来に患者が集中していることなど、様々な要因があると考えています。
 今回の改正法案では、医療機関内において医師から他職種へのタスクシフト、タスクシェアを進めるとともに、医師が長時間労働となる医療機関に対しては、院内の医師の労働時間短縮に計画的に取り組む枠組みを設けることとするとともに、個々の医療機関内の努力のみでは解消できない構造的な課題についても、地域の医療提供体制の改革を着実に進めることで、医師の労働時間の短縮に向け取り組んでまいります。
 小児抗菌薬適正使用支援加算の算定状況、抗生物質の使用削減の取組等についてお尋ねがありました。
 小児抗菌薬適正使用加算については、平成三十年度診療報酬改定において創設され、同年度において月平均約二十七万回算定されております。
 また、抗生物質の使用量については、薬剤耐性対策アクションプランにおいて、二〇二〇年までに抗菌薬の販売量全体を二〇一三年と比較して三三%減少させることとしていたところ、二〇二〇年の全抗菌薬の人口千人当たりの一日抗菌薬販売量は二〇一三年と比較して二八・九%減少しており、引き続きAMR対策を推進してまいります。
 いわゆる多剤投与や検査の重複は、患者の健康リスクや効率的な医療の推進の視点からも適正化を進めていく必要があると考えており、各医療関係職種の職能の発揮や医療のデジタル化の推進とその活用など、様々な手法により取り組んでまいります。
 予防医療、健康寿命の延伸の取組についてお尋ねがありました。
 国民の健康寿命延伸のため、予防、健康づくりの取組を推進することは重要であると認識しております。
 このため、国民の健康増進の推進を図るための基本方針である健康日本21に基づき、ライフステージに応じた健康づくりの取組を進めるほか、令和元年五月に策定した健康寿命延伸プランに基づき、次世代を含めた全ての人の健やかな生活習慣形成や疾病予防、重症化予防等に取り組んでおります。引き続きこれらの取組を推進することで、国民一人一人の予防、健康づくりに取り組んでまいります。
 非営利部門による予防医療教育の推進についてお尋ねがありました。
 健康教育等の地域における予防、健康づくりの取組は国民の健康増進にとって重要であり、NPO等の非営利組織がこの取組を実施することで地域の雇用、経済に貢献することも期待されます。
 このため、厚生労働省においては、健康日本21等の取組に加え、非営利部門への委託も含め地域での予防、健康づくりを行う自治体等を支援するため、健康増進事業を通じて自治体が行う健康教育等の取組への支援、健康づくりに取り組む企業、自治体等への好事例の横展開等を通じて、健康増進、生活習慣病予防について社会全体の意識の醸成や向上を図るためのスマート・ライフ・プロジェクトを実施しております。引き続き生涯を通じた健康づくりに取り組むとともに、自治体等による地域での健康づくりを支援してまいります。
 統合医療についてお尋ねがありました。
 統合医療については、平成二十五年の統合医療のあり方に関する検討会において、統合医療は多種多様であり、科学的知見が十分に得られているとは言えないため、統合医療の各種療法について、安全性、有効性等に関する科学的知見を収集し、これらの情報をインターネット等を介して提供する仕組みづくりに取り組み、患者、国民及び医師が療法を適切に選択できること、できるようにすることなどが提言されており、現在これに基づく事業等を実施しております。
 今後とも、こうした取組を継続することで、安全性、有効性等に関する科学的知見を収集し、必要な情報を広く発信していくことにより、患者、国民及び医師が療法を適切に選択できるように取り組んでまいります。
 医療崩壊の原因についてお尋ねがありました。
 国としては、国として医療崩壊について明快、明確な定義を示しているものではありませんが、医療提供体制については、年明け以降の急激な感染拡大を受けて、大変逼迫した状況が続いていたと認識しております。
 その際には、患者を受け入れる場面で医療従事者の確保が難しい場合や、一般医療との両立を図る中で受入れが難しい場合があったこと、患者の療養先調整や患者の症状改善後の転院、退院の調整に時間を要したことなど、医療提供体制全体の中で課題があったと考えております。こうした課題に対応していくとともに、医師の偏在対策や医師の働き方改革についても着実に進めてまいります。
 年明け以降の感染拡大への対応の検証と今後の感染拡大に備えた対応についてお尋ねがありました。
 昨年末から年明けの急激な感染拡大を踏まえ、都道府県に対し、改めて医療提供体制の整備に取り組むようお願いしております。
 具体的には、地域の医療関係者等との十分に協議していただいた上で、五月、五月中までに病床・宿泊療養施設確保計画を見直すことをお願いするとともに、感染者が短期間に急増する場合でも適切に対応できるよう、緊急的な患者対応を行う体制についても検討し、四月中に対応方針を定めていただくこととしており、各都道府県と問題意識を共有しながら、確実に機能する医療提供体制の構築に取り組んでおります。政府として、引き続き都道府県と緊密に連携して医療提供体制の確保に万全を期してまいります。
 医療計画についてお尋ねがありました。
 今般の新型コロナウイルス感染症への対応において得られた課題や知見を踏まえ、将来の新興感染症等の発生にあらかじめ備える観点から、今回の改正法案において、医療計画の記載事項に新興感染症等の感染拡大時における医療を追加する改正を行うこととしました。
 今後、都道府県や医療関係者の協力を得て、今般の新型コロナ対応における取組状況や課題を整理しつつ、医療計画における具体的な記載項目について詳細な検討を進めるなど、新興感染症発生時に機動的に対応可能な体制を構築してまいります。
 新興感染症発生時における保健所の役割についてお尋ねがありました。
 今般の新型コロナウイルス感染症への対応では、都道府県を中心に病床確保など医療提供体制の確保に向けた取組を進めていただいている中、地域の第一線の保健衛生行政機関である保健所も、自宅療養者のフォローアップや入院に係る調整など重要な役割を担っていただいているものと認識しております。
 このため、今後、医療計画に新興感染症等への対応を位置付け、取組を進める中においても引き続き積極的な役割を担っていただくことを期待しており、その具体的内容については今後検討してまいります。
 地域医療構想における公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証についてお尋ねがありました。
 公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証に当たって国からお示しした診療実績の分析結果は、それぞれの地域において今後の医療機関の在り方を考えていただく際の材料としてお示ししたものであります。
 病院が将来担うべき役割等については、国による分析結果だけでは判断できない診療領域や地域の実情に関する知見や今般の新型コロナウイルス感染症対応の状況なども踏まえつつ、それぞれの地域でしっかり御議論をいただきたいと考えております。
 医療機関への財政支援についてお尋ねがありました。
 新型コロナ患者を受け入れる医療機関が、そのことによって損失を被ることのないよう、しっかりと対応していくことが重要と考えております。
 これまでも、コロナ患者を受け入れるための確保した病床や休止病床に対する病床確保料のほか、受入れ病床一床当たり最大一千九百五十万円の緊急支援、院内等での感染拡大防止に対する補助など、医療機関支援として四・六兆円の予算を計上しております。さらに、診療報酬についても、新型コロナ患者の診療についての大幅な引上げ等を行っております。
 これらの支援により、新型コロナ患者を受け入れる医療機関が実質的に損失を被ることがないようにしていますが、これらの支援を受けても結果としてなお損失が生じた医療機関がある場合は、どのような対応ができるか引き続き検討をしてまいります。
 控除対象外消費税問題についてお尋ねがありました。
 社会保険診療においては、仕入れに係る消費税相当額を診療報酬に全体として上乗せする形で補填しており、一昨年十月に実施した消費税率引上げに伴う診療報酬改定においても、診療報酬の配点方法の精緻化等を行うことにより、医療機関種別ごとに消費税負担に見合う補填となるよう配点を行いました。これによる補填状況については、必要なデータがそろい次第、速やかに検証してまいります。
 なお、課税化については、公的保険の適用となる医療サービスが社会政策的な配慮に基づき非課税とされている経緯等から、慎重に検討する必要があると考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕

#8
○国務大臣(萩生田光一君) 川田議員にお答えいたします。
 大学医学部における統合医療教育の推進についてお尋ねがありました。
 統合医療については、厚生労働省で平成二十五年の統合医療のあり方に関する検討会において、統合医療は多種多様であり、科学的知見が十分に得られているとは言えないと整理をされております。このため、文部科学省としては、必要な情報に基づき医師が療法を適切に選択できるための教育が重要であると認識しております。
 このような考えの下、文部科学省では、医学生が卒業時までに身に付けるべき能力などを示した医学教育モデル・コア・カリキュラムにおいて、医学・医療情報から解決に向けて科学的研究に参加することができることなどを学修目標に設定しております。あわせて、様々な療法についても学べるよう、ライフステージに応じた健康管理と環境・生活習慣改善を説明できることなど、教育内容の充実を図っております。
 文部科学省としては、引き続き適切な教育が実施されるよう、各大学の取組を促してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

#9
○国務大臣(麻生太郎君) 川田議員から、医療機関への財政支援、医療に係る消費税について、計二問お尋ねをいただいております。
 まず、医療機関への財政支援についてお尋ねがありました。
 新型コロナ患者を受け入れる医療機関に対しましては、患者を受け入れるために確保した病床等に対する病床確保料のほか、受入れ病床一床当たり最大一千九百五十万円の緊急支援などの直接の支援を行っておるところであります。さらに、診療報酬につきましては、新型コロナ入院患者の診療について大幅な引上げを行っております。これらにより、新型コロナ患者を受け入れる医療機関をしっかりと支援してまいります。
 次に、医療に係る消費税についてのお尋ねがありました。
 売上げが非課税となります社会保険料につきましては、公定価格でありますので、診療報酬、仕入れ税額相当分の上乗せを行い、実質的に医療機関の負担とならないように手当てをしてきたところであります。
 なお、新型コロナウイルス感染症の対応に当たって、必要な医療体制を確保するために、診療報酬を特例的に加算するなどの対応を行わさせていただいております。(拍手)
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#10
○議長(山東昭子君) 竹内真二さん。
   〔竹内真二君登壇、拍手〕

#11
○竹内真二君 公明党の竹内真二です。
 私は、自民、公明を代表して、ただいま議題となりました良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案について、以下、厚生労働大臣に質問いたします。
 医療法等改正案に関連して、まず新型コロナウイルスへの対策について伺います。
 今月十二日から、感染対策の決め手とされるワクチン接種が高齢者の方々を対象に始まりました。各地域で安全かつ円滑な接種を進め、希望する方々に一日も早く行き渡るようにしなければなりません。一方で、同じく十二日には、大阪、兵庫、宮城に加え、東京、京都、沖縄の三都府県にまん延防止等重点措置が適用されました。さらに、今日にも追加の適用決定が見込まれます。変異株が猛威を振るう地域では、病床の逼迫も懸念されています。
 変異株の急増を抑え込むには、基本的な感染予防対策を改めて徹底するとともに、新規感染者のうち変異株かどうかを調べるスクリーニング検査の徹底や官民の連携による検査体制の整備など、あらゆる対策を動員するべきです。
 感染の再拡大を防ぐために、スクリーニング検査の体制強化など変異株対策に万全を期すべきと考えますが、答弁を願います。また、変異株による病床の逼迫にどのように対応するのか、答弁を願います。
 本法案の柱の一つが、医師の働き方改革です。
 これまで我が国の医療は、医師の患者を治したい、助けたいとの思いを基にした過酷な長時間労働によって支えられてきました。このため、私たちは、勤務医は労働者であるとの認識の下、働き方改革として労働時間の短縮と健康の確保のための取組を強く求めてまいりました。いよいよ三年後の二〇二四年四月からは、勤務医の時間外労働に上限が設けられます。医師の働き方のルールが大きく変わる改革にどのように取り組んでいくのか、説明を願います。
 地域の医療は大学病院等からの医師の派遣に支えられています。医師の労働時間の短縮を進めることで医師が地域の病院から引き揚げられてしまうのではないかと心配する声も上がっています。また、大学病院等で働く医師にとって地域医療を経験することを重要と考え、希望する場合もあります。
 そこで、本法案には、地域医療を守るために必要と認められる場合には、大学病院等が指定申請をすれば派遣医師について時間外の上限を高く設定できる制度を盛り込んでいます。大学病院等が適切に指定申請するよう、実効性の伴った制度にすべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、医療関係職種の業務範囲の見直しについて伺います。
 医師の労働時間の短縮のために、他の医療専門職に医師の業務の移管、タスクシフトを進めることは極めて重要です。本法案では、診療放射線技師など四資格の業務範囲の拡大を行うとしています。例えば、診療放射線技師の場合、RI、ラジオアイソトープ検査での静脈路の確保やRI検査薬の投与、投与後の抜針、止血といった行為が可能になるとされています。医師の負担軽減に資するタスクシフトの普及促進に関して、安全性を担保しながらどのように取り組んでいくのか、説明を願います。
 また、救急救命士については、現行法上は医療機関に搬送されるまでの間に重度の傷病者への救急救命処置ができることになっています。これをさらに、救急医療に携わる医師の負担の軽減のために、救急外来においても同様の処置ができるようになるといいます。具体的な業務や研修の在り方のほか、どのような人材が想定されているのか、説明を願います。
 医師の働き方改革を進める上で、女性医師が働きやすい環境づくりも喫緊の課題です。医師に占める女性の割合は二割を超え、医学部入学者に占める女性の割合は三割を超えています。年々若い女性医師が増加する傾向にあり、勤務医に限って言えば、四人に一人程度がもう女性医師といいます。
 しかし、医療の道を志しながら、妊娠や出産、介護などで仕事と家庭の両立ができなくなり、道半ばで医師の仕事を辞めざるを得ない場合も少なくありません。子育てや介護をしながらでも働き続けられるためには、多様な勤務形態の導入や職場に戻るときの支援策、さらには、病児保育や院内保育などの整備が必要です。女性医師らが更に活躍できるよう、働きやすい環境の整備に向けた決意とともに、政府の見解を伺います。
 次に、本法案のもう一つの柱である医療計画への感染症の追加について伺います。
 都道府県は、医療計画を作成してどのような医療提供体制を整備するかを決定しています。これまでは、がんなどの五疾病と救急医療などの五事業を医療計画に記載してきました。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、本法案で医療計画の記載事項に新興感染症等の感染拡大時における医療を加え、六事業にした意義は大きいと考えます。
 都道府県は、二〇二四年度から始まる第八次医療計画から感染症を追加します。今後、厚生労働省が計画の具体的内容について検討し、基本方針や医療計画作成指針などの見直しを行った上で、各都道府県での医療計画策定作業が始まります。医療計画の具体的な記載項目について、説明を願います。
 最後に、地域医療構想について伺います。
 地域医療構想は、超高齢社会や人口減少などを見据えた医療提供体制を構築するために制度化されました。
 団塊の世代が後期高齢者入りする二〇二五年に必要となる病床数を、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の四つの医療機能ごとに推計した上で、地域の医療関係者の協議を通じて、二〇二五年の医療提供体制構築を目指してきました。
 厚生労働省も、構想の進め方については、新型コロナへの対応に追われる医療機関の状況に十分配慮するとする一方、本法案には、既に議論が進んでいる地域に対する財政支援や税制優遇措置といった支援策が盛り込まれています。どのような課題に対応するためにこうした支援が必要とされるのか、見解を伺います。
 新型コロナのワクチン接種と感染拡大防止に総力を挙げ、将来にわたって安心の医療を受けられるよう万全の手だてを講じていく、政治が取り組むべきこの二つの課題の解決に向け、与党として全力を尽くすことをお誓い申し上げ、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#12
○国務大臣(田村憲久君) 竹内真二議員にお答えいたします。
 変異株対策についてお尋ねがありました。
 二月に取りまとめた対策パッケージに基づき、水際措置やスクリーニング検査体制の整備等の取組を進めており、先月から全ての都道府県でスクリーニング検査を実施しており、早期に割合を四〇%程度まで引き上げることを目指して取り組んでおります。
 現在、従来株に対するPCR検査陽性であった者全てについて、変異株PCR検査を実施していただくための契約を複数の民間検査機関と順次締結しており、変異株の国内監視体制を更に強化してまいります。
 また、四月八日には、変異株患者の退院基準等について、最新の科学的な知見に基づき、従来株と同様の基準とする見直しを実施し、変異株に関する病床の負担軽減、宿泊療養を可能としたところであります。
 引き続き、都道府県と緊密に連携しながら医療提供体制の確保に努めてまいります。
 医師の働き方改革への取組についてお尋ねがありました。
 これまで、我が国の医療は、医師の自己犠牲的な長時間労働によって支えられてきた側面があります。しかし、将来にわたって良質な医療を提供し続けるためにも、医師の働き方改革を進め、医師の長時間労働を是正していくことが必要と考えております。
 このため、今回の改正法案では、令和六年四月の医師に対する時間外労働の上限規制の適用に向け、医療機関において長時間労働の医師の労働時間短縮や健康確保のための措置に取り組んでいただくとともに、タスクシフト、タスクシェアを推進し、医師の負担を軽減しつつ、医療関係職種がより専門性を生かせるようにする観点から、各職種の業務範囲を拡大する等の措置を講ずることといたしております。
 また、上限規制の適用までの準備を円滑に進めるため、診療報酬や地域医療介護総合確保基金の活用などにより支援を行うことにより、働き方改革に取り組む医療機関を支援するとともに、地域医療への影響について確認を行いながら、医師の働き方改革を推進してまいります。
 大学病院等の特例水準の指定申請についてお尋ねがありました。
 今回の改正法案では、地域医療提供体制を確保するために医師を地域の医療機関に派遣する必要がある医療機関において、派遣される医師が長時間労働となる場合に、都道府県は、特例的な上限水準として連携B水準を指定することが可能になります。
 この連携B水準は、必要な医師の派遣が謙抑的とならないよう設定しているため、大学病院等において連携B水準の指定の申請が適切に行われるよう、文部科学省及び全国医学部長病院長会議と連携し、趣旨や内容等を丁寧に周知してまいります。
 タスクシフトについてお尋ねがありました。
 タスクシフト、タスクシェアの推進の検討に当たっては、安全性の担保の観点も踏まえて検討を行ったところであり、養成カリキュラムの見直しや卒後研修の実施により、医療の質や安全性を担保しながら推進することとしております。
 また、救命救急、救急救命士については、従前の病院前に加え、新たに、医療機関の救急外来において従前と同様の救急救命処置を行うことを可能とすることとしております。
 救急外来における救急救命処置の実施については、医療機関が雇用する救急救命士が担うことを前提に、安全性の担保の観点から、勤務する医療機関が実施する院内研修の受講を義務付けることとしており、今後、研修の詳細について検討をしてまいります。
 女性医師の労働環境整備についてお尋ねがありました。
 現在、医師の約五分の一、医学生の約三分の一が女性であり、妊娠、出産等によりキャリアを中断せざるを得ない場合があることから、特に女性医師がキャリアとライフイベントを両立させ、希望に応じて働き続けることができる環境を整備することは、医師の働き方改革を進める上でも必須の課題と認識しております。
 もとより子育ては女性のみで行うものではなく、院内保育や病児保育環境整備、男性の育休取得も含め、医療機関内の意識改革等を推進することで子育て世代の医師の支援を行ってまいります。
 医療計画の記載項目についてお尋ねがありました。
 医療計画における具体的な記載項目については、今般の新型コロナウイルス感染症への対応において得られた課題や知見を踏まえ、今後の新興感染症等の感染拡大時に必要な対策が機動的に講じられるよう、地域の医療機関における役割分担の在り方、感染症患者の受入れ活用をしやすいゾーニング等の実施に配慮した一般病床等の確保、専門性を有する人材等の確保等の内容を定めることを想定しており、今後、詳細な検討を進めてまいります。
 地域医療構想の支援策についてお尋ねがありました。
 地域医療構想の実現に向け、病床機能の再編や医療機関が統合を進める際、雇用や債務承継、初期投資など、様々な課題が生じることが想定されます。このため、今回の改正法案では、既に機能分化、連携に関する議論が進められている医療機関、地域に対して積極的な支援を行っていくため、病床機能再編支援事業を新たに地域医療介護総合確保基金の中に全額国費の事業として位置付け、支援を強化するとともに、複数医療機関による再編計画の認定制度を創設し、税制優遇が受けられるようにすることといたしております。
 以上でございます。(拍手)
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#13
○議長(山東昭子君) 梅村聡さん。
   〔梅村聡君登壇、拍手〕

#14
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。
 私は、会派を代表しまして、ただいま議題となりました良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
 法案の質疑に入る前に、新型コロナウイルス感染症に関する質問をさせていただきます。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、全国で自宅療養者の数が急増しています。そのような中で、各地で各種地方選挙、国政補欠選挙が行われており、また、半年以内には衆議院総選挙も想定されています。
 まず、厚生労働大臣にお聞きしますが、新型コロナウイルス感染症に関して、感染者の自宅療養者又は濃厚接触者と認定された自宅待機者が、選挙権の行使、すなわち投票を行うために投票所に出向くことは感染症法上、認められているのでしょうか。
 次に、総務大臣にお聞きしますが、自宅療養をしている新型コロナウイルス感染症の感染者あるいは濃厚接触者はどのように選挙権を行使すべきなのでしょうか。自宅からの外出を制限されている以上、当日投票所や期日前投票所を利用することは、感染拡大防止の観点からも事実上不可能だと考えます。
 その場合、現在、身体に重度の障害をお持ちの方あるいは要介護五の方に対して限定的に認められている郵便等による不在者投票を、新型コロナウイルス感染症の自宅療養者、自宅待機者、場合によっては宿泊療養者にも認めることも早急に検討すべきだと考えますが、総務大臣の見解をお伺いします。
 次に、本法律案についての質問に入ります。
 本法律案では、これまで問題とされてきた勤務医の長時間労働について、時間外労働の上限規制を導入することにより労働時間の適正化を図ることを目指しており、一歩前進と評価することができます。しかし、その実現に向けては、多くのクリアすべき課題が山積していると思います。
 まず、二〇三五年までの暫定特例水準として、救急医療等の地域医療を確保する観点から、やむなく勤務医の時間外労働時間上限を年間千八百六十時間とするB水準、さらに、医師の派遣等による副業・兼業先での時間外労働時間を通算した上限を年間千八百六十時間とする連携B水準を設けています。そもそも、暫定であるにせよ、この過労死ラインをはるかに超える年間千八百六十時間という数字はどのような根拠や試算に基づいて決められたものなのか、厚生労働大臣の答弁を求めます。
 この時間外労働の上限規制を厳格に運用した場合、特に地方における医師不足の深刻化が懸念されます。この点については、地域の医療提供体制維持のために、暫定措置であるB水準や連携B水準の導入は評価することができます。
 しかし、既に医師不足が深刻な地域では、医師の時間外労働の上限規制導入によって、少ない医師の奪い合いが起き、病院勤務医の確保がますます困難になったり他病院から医師の派遣が受けられなくなったりする可能性はないのでしょうか。また、その可能性がある場合、どのような対策を講じるつもりでいるのでしょうか。
 さらには、このB水準や連携B水準における時間外労働の年上限時間千八百六十時間は二〇三五年度末に向けて段階的に縮減していくこともあるのでしょうか。あるいは、二〇三五年度末での廃止が地域医療提供体制にとって深刻な影響を及ぼすと判断される場合には延長もあり得るのでしょうか。
 以上の点について、厚生労働大臣の見解をお伺いします。
 厚生労働省に設置された議論の場である医師の働き方改革に関する検討会でも、勤務医の労働時間に関する考え方について熱心な議論がなされ、一定の方向性が出されたと承知しています。しかし、数値などによる明確な基準が示されたわけではないことも事実です。医療現場と労働基準監督署との間で考え方にそごが出るのではないか、労働基準監督署が医療現場の業務の特殊性や現実を理解した上で指導を行えるのかと、医療現場は大変不安に思っています。
 そこで、医療現場を管轄する厚生部門と労働基準監督署を管轄する労働部門を統括する厚生労働大臣として、こういった現場の不安の声をどう解消していくのか、お教えください。
 医療関係職種の業務範囲の見直しも今回の改正案に盛り込まれており、医師等に限られてきた一部の医療行為の診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救命救急士へのタスクシフトが想定されています。
 振り返ってみますと、二〇一五年十月に特定行為に係る看護師の研修制度がスタートしました。この制度は、医師の判断や指示をその都度待つ必要はなく、あらかじめ作成された手順書に基づいて一定の診療の補助を行える看護師、いわゆる特定看護師を養成する制度です。厚生労働省は、年々増大する医療ニーズに対応するために必要な制度として、制度開始当初は、二〇二五年までに十万人以上の特定行為研修の修了者を養成するとの説明を行っていました。その後、研修受講を終えた特定行為研修の修了者の数は伸び悩んでいると聞いています。
 直近の特定行為に係る看護師の研修制度の受講を完了した看護師の数と伸び悩んでいる理由をお答えください。また、二〇二五年までに養成する特定行為研修の修了者の目標数は十万人を維持するのか、見直しも検討しているのか、厚生労働大臣の見解をお聞かせください。
 本法律案では、都道府県が作成する医療計画の記載事項に新興感染症等の感染拡大時における医療を追加し、いわゆる五疾病五事業を五疾病六事業にすることとなっています。
 日本維新の会は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の早い段階から、新興感染症を加えた五疾病六事業という形で地域医療計画を立てることがこれからの感染症対策には必要ではないかと主張してきました。昨年、我が党は、この主張を新型コロナウイルス対策に関する提言第六弾に書き込み、首相官邸に申入れをさせていただきました。その主張が盛り込まれたことは評価したいと思います。
 しかし、実際に医療計画に盛り込まれるのが二〇二四年からの第八次医療計画からというのは遅いのではないでしょうか。二〇二〇年度は、元々第七次医療計画の中間見直しの年とされ、一部では新型コロナウイルス感染症を踏まえた見直しをしているところもあると聞いていますが、それはどのような内容でしょうか。
 また、間に合うのであれば、今からでも積極的に第七次医療計画に盛り込むべきではないでしょうか。間に合わず、第八次医療計画から盛り込むのであれば、二〇二三年の計画策定年を待たずに可能な限り早く取り組むべきだと考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症との闘いはまだまだ続くことが予想されますが、我々日本維新の会は、国民の命と健康を守り抜く医療提供体制を構築することに全力を挙げることをお誓い申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#15
○国務大臣(田村憲久君) 梅村聡議員にお答えいたします。
 自宅療養者の投票についてお尋ねがありました。
 感染症法上、都道府県知事は、新型コロナウイルス感染症に係る自宅療養者や濃厚接触者等に対し、一定の期間、外出自粛等の協力を求めることができ、協力を求められた者は、これに応じるよう努めなければならないこととされております。また、自宅療養者については、協力要請に従わない場合、入院勧告の対象となります。
 お尋ねの投票所に行く行為がこうした感染症法の規定に抵触するかどうかについては、個別の事情に応じ、一概にお答えすることは困難と考えておりますが、いずれにしても、感染拡大防止のため、必要な協力をお願いしていきたいと思います。
 医師の時間外労働の上限の根拠についてお尋ねがありました。
 今回の改正法案において提案している年間一千八百六十時間という時間外労働の上限に関する特例水準は、病院勤務医の時間外労働の調査結果において上位一〇%が年間一千八百六十時間を超えていたことを踏まえて、医療関係者のみならず、学識経験者や労働者を代表とする団体も参画した検討会において議論を重ね、まずはこうした著しい長時間労働を是正していく必要があるという観点から設定されたものであります。
 長時間労働の是正を進め、医師が健康に働き続けることができるよう、今回の改正法案では、やむを得ず長時間労働を認める医師の対象範囲を限定した上で、連続勤務時間の制限等の健康確保措置を実施することとしております。
 さらに、この特例水準は二〇三五年度末を目標に解消していくこととしており、この目標の達成に向け、医療の現場における労働時間短縮の取組が進むよう、必要な支援を行ってまいります。
 医師の労働時間の上限規制に伴う医師の確保や、時間外労働の上限時間の見直しについてお尋ねがありました。
 今般の改正法案では、時間外労働の上限規制の設定に当たり、医師が不足し、地域の医療提供体制の確保が困難とならないよう、一般の勤務医より長い上限設定を許容する暫定特例水準としてB水準や連携B水準を設けることとしています。
 特に、連携B水準は、地域医療を支える上で必要な医師の派遣が謙抑的とならないよう設定したものであり、まずは、医師の派遣を行う大学病院等に対し連携B水準の趣旨を丁寧に説明してまいります。
 これらの暫定特例水準は、医療機関の労働時間短縮の取組や医師偏在対策の効果も見極めつつ、上限時間の段階的な見直しの検討を行いながら、二〇三五年度末をめどに廃止をすることを目標としております。
 この目標を達成するため、医師の労働時間の短縮に早急に取り組んでいただく必要があると考えており、厚生労働省としても、都道府県と連携して医療機関における労働時間短縮に対する支援を行うとともに、医師の働き方改革が地域医療に与える影響を注視しつつ、必要な対応を検討してまいります。
 労働基準監督署の医療現場に対する理解についてお尋ねがありました。
 医師の働き方改革は、医療行政と労働基準行政の連携の下で取り組んでおり、労働基準監督署の職員には、医師の働き方改革の検討状況や時間外労働の上限規制などについて研修を行っており、引き続きこうした取組を継続していくなど、必要な知識の付与等に努めてまいります。
 医療機関に対しては、各都道府県において、都道府県、都道府県医師会、都道府県労働局の共催により、労働時間等説明会の開催、開催することとしており、医療行政と労働基準行政とが共通の理解の下で医師の働き方改革に取り組んでいることをお伝えする場にもなっていると考えております。引き続き医療現場が不安なく働き方改革に取り組んでいただけるよう対応してまいります。
 特定行為に係る看護師の研修制度についてお尋ねがありました。
 特定行為研修を修了した看護師の数は令和二年十月時点で二千八百八十七人であり、年々増加しているものの、二〇二五年に向け医療ニーズが高まる中、在宅医療を含めたあらゆる医療現場で活躍いただくためには更なる養成数の増加が必要であると考えております。
 研修修了者の増加が低調であることの要因としては、研修時間が長く受講者の負担が大きいこと、医療現場での制度の理解が進んでいないことなどが指摘されており、研修をより受講しやすくなるよう制度の見直しを行うとともに、理解促進のための広報や、指定研修機関の運営等に係る財政支援等に取り組んでおります。
 特定行為研修修了者の目標数については、これらの取組による今後の修了者の増加状況や、修了者の現場での活躍状況を踏まえ、今後検討してまいります。
 医療計画に関し、新興感染症等への対応を追加する時期と都道府県における取組についてお尋ねがありました。
 医療計画に新興感染症等への対応を追加する時期については、国において、基本方針等の策定に当たり、足下の新型コロナウイルス感染症対応に関する課題整理が必要となることや、都道府県において、足下の感染症対応に全力を尽くしていただいている中、計画策定に当たり必要となる業務の負荷を最小限とする観点等も踏まえ、次期の第八次計画策定時とすることとしております。
 都道府県における取組については、御指摘のとおり、一部の都道府県では、今般の対応により得られた知見を踏まえ、医療計画において、感染拡大時における一般病床を活用した受入れ体制の確保などの内容を盛り込む見直しを行っていると承知しており、計画策定年である二〇二三年度に先立ち、積極的に計画策定の準備に取り組む都道府県に対しては、国としても必要な支援を行ってまいります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣武田良太君登壇、拍手〕

#16
○国務大臣(武田良太君) 梅村議員からの御質問にお答えをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の自宅療養者等を郵便等による不在者投票の対象とすることについて御質問をいただきました。
 総務省においては、新型コロナウイルス感染症の感染者の投票の機会が確保されるよう、宿泊療養施設等において投票を実施する際の留意事項を通知をいたしました。
 各選挙管理委員会では積極的に工夫して取り組んでいただいており、自宅療養者等についても、こうした投票を実施する宿泊療養施設に入所した場合などには、同様の投票が可能と考えております。
 お尋ねの郵便等投票は、これまで不正の横行を背景に一旦廃止された後、対象を限定して再び導入され、現行制度でも、重度障害者や要介護五の者に限って認められているという経緯があり、現在、対象者を要介護四及び三の者にも拡大することについて、各党各会派において御議論がなされております。
 新型コロナウイルス感染症の自宅療養者等を含めた郵便等投票の対象者の更なる拡大については、こうした経緯や選挙の公正確保との調和の観点も含めて検討が必要な課題であり、各党各会派においても御議論をいただきたいと考えております。(拍手)
    ─────────────

#17
○議長(山東昭子君) 田村まみさん。
   〔田村まみ君登壇、拍手〕

#18
○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみです。
 会派を代表して、ただいま議題となりました良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案に対する質疑を行います。
 新型コロナウイルス感染拡大の中、国民はコロナ患者を診療する医療従事者を想像し、感謝を伝えるという行為が広がりました。
 一方で、現在も感染者数が増え続け、医療提供体制の逼迫という事態が続いています。地域医療構想の名の下、切れ目のない医療提供体制の構築を目指してきたにもかかわらずです。入院医療については、新型コロナウイルス感染症の重症者を受け入れる病院から、状態が落ち着いた患者を転院させられない、役割分担、連携が機能せず、新型コロナウイルス感染患者とそれ以外の救急患者の受入れの役割分担がうまくいかなかったことで、病床の逼迫や救急搬送の遅れを招き、いまだに解消されていません。
 今回の法案で、議論の実質的対象となる過重労働を余儀なくされている医師はどこで従事しているのか、地域医療構想の目的は何か、これを突き付けられたのではないでしょうか。医師の絶対数の不足、診療科ごと、地域ごとによる医師の偏在が問題として取り扱われますが、医療が高度化、専門化する中で、どのような医療をどのような体制で提供していくのか、それがなければ、必要な人員、医師数と労働時間も決まりません。
 そして、我が国の医療保険制度の特徴の一つが、フリーアクセス。国民は、いつでもどこでも自分が選択した医療機関で必要な医療を受けられるところにあります。本法律案は、良質かつ適切な医療を効率的に提供するための体制確保を推進することを目的としておりますが、国民における最大の関心事項は、今後も医療保険制度と医療体制という両輪がきちんと回り続けるかという一点に集約されるのではないでしょうか。
 そうした観点の下、以下、関係大臣に対する質疑を行います。
 我が国の医療保険制度における給付は、支え手である現役世代の人口が増加し、経済が大きく成長し続けた時代に創設されたものです。少子高齢化の進展や医療の高度化を受けて、実効給付率は医療保険制度全体では八五%近くにまで上昇し、制度存続は危ぶまれています。
 しかし、国民一人一人の置かれている状況に基づき、配慮という名の下に、それぞれの制度の部分最適な主張と議論がされ、制度全体の見直しにつながらない状況が続いています。保険料による負担が限界に近づく中、医療保険制度を今後も存続させるためには、こうした制度の抜本的な見直しが目途を持って早急に検討されなければならないと考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。
 また、医療保険制度及び医療提供体制の持続可能性という観点から、医療へのフリーアクセスについて厚生労働大臣の現在の所見を伺います。
 本法律案では、タスクシフト・シェアを推進し、医師の労働時間の削減に向け、診療放射線技師や臨床検査技師、臨床工学技士の一部の業務について見直しを行うとしています。これは、基本的には同じ医療機関内で行われる業務をほかの従事者へ分散するだけで、根本的な課題解決になっているのかという懸念は残り、更なる推進が必要だと考えております。
 そこで、薬剤師について伺います。
 医師と同様、資格取得に六年もの期間を必要とする薬剤師については、幾つかの業務が現行制度でも実施可能なことを確認したにとどまっていると理解しています。薬剤師については、これまで以上の役割を与えるという検討は、法改正も含め全くされなかったのでしょうか。厚生労働大臣に伺います。
 今回、暫定で設けられた水準ごとの労働時間の上限値は、医療機関で患者に対する診療に従事する勤務医を対象にしたものであるため、大学病院で診療、研究、教育を行う医師にとっては、労働時間の短縮が診療のみならず研究や教育にも大きな影響を与える可能性が指摘されています。
 医師の働き方改革の推進に関する検討会中間とりまとめでは、大学病院における働き方改革の特有の課題については、今後、文部科学省と厚生労働省が連携して検討の場を設ける必要があるとされるにとどまっています。約六万人、日本の医師の五分の一相当の大学病院勤務の医師の研究に対する取扱いが決まっていません。
 医学部以外の研究者であれば専門業務型裁量労働制が適用になるところ、診療に従事し時間管理されるという要素も併せ持つがゆえに、専門業務型裁量労働制が適用にならない大学病院の助教等の研究者の労務管理の在り方について早急に検討すべきと考えますが、厚生労働大臣及び文部科学大臣の見解を伺います。
 また、大学病院勤務医が地域の病院の当直などアルバイトをしなければならないような給与体系や、勤務医のアルバイトで地域の医療提供体制を支えている現状は、働き方としては健全ではありません。大学病院勤務医の抜本的な働き方改革を行うためには、労務管理の在り方とともに、文部科学省の補助金や診療報酬の増額による大学病院勤務医と他の医療機関勤務医との給与格差の是正が不可欠と考えますが、厚生労働大臣、文部科学大臣の見解を伺います。
 政府は、二〇四〇年を展望し、二〇二五年までに地域医療構想の実現に向けた取組、医師、医療従事者の働き方改革、医師偏在対策を三位一体で推進し、総合的な医療提供体制改革を実施するとしています。
 このうち、地域医療構想について、公立・公的病院は、地域の民間医療機関では担うことのできない医療機能に重点化することが求められ、民間病院に先行して見直しが進められてきました。
 国は、地域の医療提供体制は、都道府県が主体となって地域の実情を踏まえ整備することとしていますが、地域医療構想調整会議での議論の活性化を図るためとして、いわゆる四百三十六リストを出しました。
 厚生労働大臣に伺います。このリストを出さざるを得なかった真の要因は何ですか。
 これまでの議論で、それぞれの地域医療構想調整会議が見込んでいる病床数と地域医療構想で必要とされる国が示した病床数の差が生じる要因について、厚生労働大臣の見解を伺います。
 地域医療構想の推進とは、地域の医療は面で支え、患者が必要なときに適切な医療機関で必要な医療が受けることができる医療提供体制の構築です。病病連携のためにも、公立・公的病院だけではなく民間病院も併せた病床数再編の検討が必要です。民間病院の議論の目安はいつ出されるのか、厚生労働大臣に伺います。
 そして、地域医療構想の推進に際しては、住民や医療関係者の合意形成が重視されているはずです。しかし、民間のシンクタンクの調査によれば、議事録を公開しているのは約六割、その中でも内容が十分に公開されているのは四割にしかすぎません。しかも、地域医療構想調整会議の議事録の中には、事務局の資料に基づき議論されたとのみ記し、その資料開示もされていないケースが見受けられます。一部の影響力のある利害関係者が会議の主導権を独占し、真に地域に必要な合意を妨げているのではないかとの疑念すら生じます。公開される議事録の内容の充実について厚生労働大臣の見解を伺います。
 最後に、外来医療のかかり方において、国民、患者も意識を変えていく必要があります。
 今後、医療保険制度と医療提供体制を持続可能なものにしていく上で、医師の働き方改革、より良い医療提供体制と併せて、国民の医療のかかり方の国民への働きかけ、これについて厚生労働大臣の見解を伺い、国民民主党・新緑風会を代表しての質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#19
○国務大臣(田村憲久君) 田村まみ議員にお答え申し上げます。
 医療保険制度の見直し及び医療へのフリーアクセスについてお尋ねがございました。
 我が国は、国民皆保険の下で広く国民の医療へのアクセスを保障することを通じて、世界最高レベルの平均寿命と保健医療水準を実現してまいりました。
 フリーアクセスについては、患者の選択に基づき、必要なときに必要な医療にアクセスできるという基本的な考え方として、引き続きこれを守っていくことが重要であると考えております。
 また、令和四年度以降、団塊の世代が後期高齢者になり始める中で、現役世代の負担上昇を抑え、全世代型の社会保障を構築することは待ったなしの課題であり、今般、後期高齢者の窓口負担の見直し等を内容とする健康保険法等の一部を改正する一部改正法案を提出することとしたところであります。
 その上で、中長期的な給付と負担の在り方については、法案の附則に規定しているとおり、社会保障制度の改革及び少子化に対処するための施策の実施状況の検証を行いつつ、総合的な検討を行ってまいります。
 薬剤師の業務範囲の拡大についてお尋ねがありました。
 今般の医師の働き方改革の検討に当たっては、日本薬剤師会も含め、医療関係職種の団体に対するヒアリングを実施した上で、御提案をベースにタスクシフト、タスクシェアを推進する業務の検討を行い、法改正が必要なものについて今回の改正法案に盛り込んだところであります。
 薬剤師については、例えば、事前に取り決めたプロトコールに沿って行う処方済薬剤の変更などの提案があり、こうした業務について現行制度上も薬剤師が実施可能なことを明確化することといたしました。
 今後、薬剤師に関するものを含め、タスクシフト、タスクシェアの好事例を収集、分析し、周知することなどにより、タスクシフト、タスクシェアの推進に努めてまいります。
 大学病院の助教等の研究者の労務管理の在り方についてお尋ねがありました。
 大学病院等において主として研究業務に従事する医師が行う教授研究の業務については、専門業務型裁量労働制の適用対象となり得ます。そして、このような医学研究を行う医師がその一環としてチーム制により診療の業務を行う場合は、教授研究の業務として取り扱って差し支えないこととしております。
 一方、専門業務型裁量労働制の適用対象とならず医業に従事する医師については、その健康を確保するため、この法案において病院における労務管理の徹底や健康確保措置の整備を盛り込んでおります。
 また、大学病院における働き方改革の特有の課題については、文部科学省と連携しながら検討を行うこととしており、こうした議論を通じて実態を踏まえた医師の働き方改革を進めてまいります。
 大学病院勤務医の給与についてお尋ねがありました。
 これまで、働き方改革に取り組む医療機関に対し、地域の救急医療体制において一定の実績を有する医療機関について診療報酬の加算対象とし、加算対象とならないものの地域医療に特別な役割があり、かつ過酷な勤務環境となっている医療機関については地域医療介護総合確保基金の対象事業とすることで、医師の労働時間短縮のための体制整備に対する財政的な支援を行ってまいりました。
 こうした支援策に加え、大学病院における働き方改革特有の課題について、文部科学省と連携して検討の場を設置することとしており、こうした議論を通じて実態を踏まえた医師の働き方改革をしっかりと進めてまいります。
 地域医療構想における公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証についてお尋ねがありました。
 公立・公的医療機関等については、民間医療機関では担えない機能に重点化する方向で検討を求めてきたものの、地域での議論の状況や全国的な検討結果を見たところ、十分な議論が行われていない懸念があるとの指摘がなされたという経緯を踏まえ、地域における議論の活性化の観点から、国において診療実績の分析結果をお示ししたものであります。病院が担うべき役割等については、地域の実情等を踏まえつつ、それぞれの地域でしっかり議論、御議論をいただきたいと考えております。
 地域医療構想における病床数についてお尋ねがありました。
 地域医療構想については、将来の病床の必要量について、二〇二五年の人口構造と足下の入院受療率等により機械的に推計した上で、これに見合った体制の構築を目指し、それぞれの地域において、病床機能の分化、連携の議論を進めていただいているところですが、具体的な取組を進めるに当たっては、地域における合意形成や各医療機関の経営など様々な課題があり、各医療機関において二〇二五年に見込む病床数の合計との間に一定の差が生じているのが現状です。
 厚生労働省としては、こうした様々な課題への対応策の一つとして、今回の改正法案により、既に機能分化、連携に関する議論、取組が進められている医療機関、地域に対する支援を措置することといたしております。
 地域医療構想における民間病院の議論についてお尋ねがありました。
 地域医療構想に関しては、公立、公的、民間といった設置主体を問わず、地域における病床機能の分化、連携に向けた議論を活性化していくことが重要と考えており、既に民間医療機関においても地域医療構想を踏まえた対応方針について検討を進めていただいております。
 スケジュールなど具体的な進め方については、現在、都道府県や医療機関が緊張感を持ってコロナ対応に取り組まれている厳しい状況に十分配慮しながら検討することといたしております。
 地域医療構想調整会議における協議の透明性の確保についてお尋ねがありました。
 厚生労働省では、都道府県に対し、地域医療構想調整会議における協議の透明性を確保するため、患者情報や医療機関の経営に関する情報を扱う場合を除き、原則として会議は公開し、会議資料や議事録等を速やかに公表するよう求めているところであり、地域住民や多くの医療関係者の協力を得られるよう、しっかりと御対応いただくことが重要であると考えております。
 医療のかかり方に関する国民への働きかけについてお尋ねがありました。
 医療制度を将来にわたり持続可能なものとしていくためには、医療提供側に関する取組だけではなく、国民の医療のかかり方に関する理解が必要と考えております。
 このため、医療機関に関する情報提供や受診に当たっての電話相談等、国民の適切な医療の選択をサポートする取組を進めるとともに、かかりつけ医を持つなど、国民の具体的な行動変容につなげるため、毎年十一月を医療について考える月間に定めており、引き続き医療の上手なかかり方に関して発信をしてまいります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕

#20
○国務大臣(萩生田光一君) 田村議員にお答えいたします。
 まず、大学病院の助教等研究者の労務管理の在り方についてお尋ねがありました。
 専門業務型裁量労働制を適用するかどうかについては、各大学が労使交渉を踏まえ取り決めるものであり、医学部を置く国公私立八十一大学病院のうち四十二病院が専門業務型裁量労働制を適用しております。
 文部科学省としては、働き方改革に対する大学病院関係者の理解が深まるよう、厚生労働省や全国医学部長病院長会議と連携した医師の働き方改革緊急セミナーにおいて説明や意見交換を行ったところです。
 今後とも、引き続き文部科学省では厚生労働省と協力の上、適切な労務管理が行われるよう、大学病院関係者への説明を行うとともに、全国医学部長病院長会議を交え、大学病院における働き方改革の特有の課題について検討を進めてまいります。
 次に、大学病院勤務医の給与格差の是正についてお尋ねがありました。
 医師の給与については、各大学において取り決めるものであり、優秀な医師を確保し大学病院の機能を維持する観点から、多くの大学が独自の手当を支給し処遇の改善に取り組んでいるものと承知をしております。
 文部科学省としては、各大学病院に対して優れた処遇改善の取組に関する情報提供を行うなど、医師の処遇改善に向けた取組を促してまいります。(拍手)
    ─────────────

#21
○議長(山東昭子君) 倉林明子さん。
   〔倉林明子君登壇、拍手〕

#22
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
 私は、日本共産党を代表して、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案について、厚生労働大臣に質問します。
 新型コロナ感染症は、都市部にとどまらず各地で急激に拡大し、病床の更なる逼迫は避けられない状況です。
 第三波では深刻な病床不足に陥り、入院を待つ間に自宅や高齢者施設で亡くなる方が相次ぎました。多くの患者が行き場を失い、命の選別を迫られる事態に追い込まれました。このような事態を招いた要因は、病床も機材も人材も確保が困難、脆弱な医療体制にあるとの認識はありますか。
 医療従事者は、一年以上もの間、極度の緊張状態と厳しい労働環境に加え、いわれない差別にもさらされ続けています。医労連の調査では、いまだにN95など医療用マスクすら使い捨てにできず、ぼろぼろになるまで使っている、コロナ患者と間近に接しながら一度も検査していないなど、悲痛な声が寄せられています。今すぐ十分な感染防護具を全ての医療現場に届けること、赤字に陥っている医療機関に減収補填を行うことを強く求めます。お答えください。
 法案は、コロナ禍における医療危機を受け、医療計画に新興感染症拡大時の医療提供体制を位置付けるとしています。全世代型社会保障検討会議も、有事に機動的かつ効率的に対応を求めています。政府が想定する効率的な対応とは、現在の病床やマンパワーはそのままに、迅速に切り替えろということではないですか。
 重症者対応では、一人の患者に通常の急性期入院の七倍から十倍の体制が必要とも言われています。コロナ病床以外の病床でも、人手不足が深刻化し、疲弊は極限に達しています。救える命を守れない事態を再び招くことのないよう、パンデミック時に必要な施設、人員を一定規模、常時確保することを感染症対策の基本にすべきではありませんか。
 法案は、各地で医療提供体制が再度逼迫する危険が迫る中で、病床削減のための財政支援を法定化しようとするものです。
 二〇年度、病床機能再編支援補助金の申請額は三十三県六十億円に上ります。補助金は、削減する一病床当たり百十四万円から二百二十八万円を交付するものです。都道府県から申請された病床の合計は何床ですか。
 補助金には社会保障の充実を理由に増税した消費税百九十五億円を充て、補助単価は稼働率が高い病床ほど高く設定されています。各地で入院医療体制が逼迫し、広く地域の医療連携体制の確立が求められています。入院できない患者が再びあふれる危険がある中で、稼働率の高い病床を今なくすことがなぜ社会保障の充実なのですか。説明を求めます。
 地域医療構想における二〇二五年の病床必要量は、新興感染症のパンデミックを想定せず、高度急性期、急性期を中心に約二十万床削減するものです。新興感染症の感染拡大時、一般医療と両立し命が守れる必要病床数の再検証が必要ではありませんか。
 病床削減は医師、看護師の人員体制にも連動します。病床削減支援は廃止し、その予算はコロナ禍で苦闘する医療機関、医療従事者に回すべきです。四百三十六の公立・公的等病院の名指しをして病床削減を求める再編統合リストの撤回を強く求めます。お答えください。
 法案は、高度な専門医療などを行う重点外来を報告させ、かかりつけ医と分別する外来機能報告制度を新設します。この重点外来のうち一般病床二百床以上の病院は、紹介状なしで初診した場合、窓口定額負担の徴収が義務付けられようとしています。どのような病院が該当するのか、その基準と病院数の見込みをお答えください。
 一八年の財政審建議では、かかりつけ医以外を受診した場合、定額負担を徴収するよう求めています。今回の措置がその突破口になりかねません。負担額は五千円以上と高額であり、特に、医療機関が限定される地域では受診抑制を招きかねません。負担増はやめるべきです。いかがですか。
 医師の働き方改革について質問します。
 我が国の医療現場は、医師の異常な長時間労働によって支えられています。その結果、多くの医師の健康が破壊され、過労死、過労自死に追い込まれています。医師の労働時間規制の原点は、過労死の根絶だったはずです。
 政府は、全ての勤務医に年九百六十時間という時間外労働上限を設けるとともに、年千八百六十時間の特例を認めるとしています。小児科医である夫を過労死で亡くした中原のり子さんは、医師の働き方改革に関するヒアリングで、一部の医者だけ取りあえず千八百六十時間というのは、取りあえず誰か死んでも仕方ないのかと批判しています。この訴えにどう答えるのですか。
 全国医師ユニオンは、年間約六十人もの医師が過労死ラインを超えた労働で突然死や自死している可能性を指摘しています。九百六十時間は過労死ラインであり、その二倍に当たる時間外労働を容認することは、現状の異常な働き方を合法化するものにほかなりません。これで医師の過労死をどう根絶するのか、明確な答弁を求めます。
 法案は、千八百六十時間が上限となる特定労務管理対象機関に対し、医師の健康確保措置として面接指導、連続勤務時間制限、勤務間インターバル規制、代償休息を実施することを求めています。
 全国医師ユニオンが実施した二〇一九年の医師の長時間労働・無給医ホットラインでは、残業代不払、賃金不払の相談が多数寄せられています。医師の健康確保措置の前提となる労務管理が徹底されていない実態がある中で、健康確保措置の実効性をどう担保するのですか。
 特に、兼業、副業の労働時間について、自己申告では労働時間の適正な把握はできません。病院が責任を持って客観的時間管理を行うことを義務付けるべきではありませんか。
 医師の負担軽減のためにタスクシフトを進め、臨床放射線技師等四職種の業務を拡大するとしています。しかし、医師以外の職種でも長時間労働や夜勤交代制による厳しい労働実態の改善を求める声が上がっています。人員体制を拡充しないまま業務移管を進め、医療の質、安全性はどう確保するのですか。答弁を求めます。
 我が国は、医師数のみならず、医師養成数もOECD諸国の最下位グループに属しています。OECD平均の医師数平均は十万人当たり三百五十人であり、その水準に達している都道府県はありません。過重労働は、絶対的な医師不足によるものにほかなりません。
 医師の働き方を改善するためにも、医学部定員数の削減方針は中止し、医師数の抜本的増員に向けて早急にかじを切るべきです。お答えください。
 日本の医師の長時間労働は、健康被害はもとより、女性医師が出産や子育てを機に常勤医師を続けることができない要因にもなっています。二〇一八年には医学部入試で女性差別があったことが明らかになりました。異常な働き方を前提とする環境こそが、女性医師を差別する構造を生んでいるのではありませんか。
 医師は、医師である前に一人の労働者であり、一人の人間です。医師の人権を守るとともに患者の安全を守るために、労働時間の上限規制はせめて他の職種と同水準とすべきです。異常な働き方を改め、医師が人間らしく働ける本当の働き方改革を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕

#23
○国務大臣(田村憲久君) 倉林明子議員にお答えをいたします。
 新型コロナウイルス感染症対応における病床不足の原因についてお尋ねがありました。
 医療提供体制については、年明け以降の急激な感染拡大を受けて大変逼迫した状況が続いていたと認識しております。
 新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制については、刻一刻と状況が変化し、予想を超えるスピードで感染が拡大する中で、局所的な病床数不足の発生、感染症対応を含めた医療機関間の役割分担、連携体制の構築といった課題が浮き彫りになったというふうに考えられております。
 今回の改正法案においては、医療計画の記載事項に新興感染症等への対応を追加することとしており、感染症拡大時に機動的に対応可能な体制を構築してまいります。
 医療現場への個人防護具の配布と医療機関に対する財政支援についてお尋ねがありました。
 マスク等の個人防護具については、医療現場での需給の逼迫した状況に鑑み、これまで国内増産等による供給力拡大や国が直接調達して必要な医療機関に無償で配布を行うなどの取組を実施してまいりました。特に、N95等マスク、非滅菌手袋については、依然として十分な量の確保が困難な医療機関があるため、都道府県を通じた無償のプッシュ型配布を継続しているところであり、引き続き需給状況を注視しながら必要な配布を行ってまいります。
 また、医療機関への財政支援については、これまで医療機関支援として総額四・六兆円の予算を措置するとともに、診療報酬についても大幅な引上げや診療時の一定の加算などに取り組んでいるところであり、引き続きしっかりと行ってまいります。
 医療計画に関し、新興感染症拡大時の対応と平時からの備えについてお尋ねがありました。
 今般の新型コロナウイルス感染症への対応に当たっては、感染拡大防止のためのゾーニングの実施やマンパワーの配置の工夫により、既存の一般病床を活用することが有効であるとの知見が明らかとなっております。
 こうした知見を踏まえつつ、新興感染症等の感染拡大時に必要な対策が機動的に講じられるよう、平時からあらかじめ備えておく観点から、医療計画における具体的な記載項目について、感染症患者の受入れに活用しやすいゾーニング等の実施に配慮した一般病床等の確保、感染管理の専門性を有する人材等の確保等の内容を定めることを想定しており、今後、詳細な検討を進めてまいります。
 病床機能再編支援事業に関する対象病床数と社会保障の充実との関係についてお尋ねがありました。
 令和二年度の病床機能再編支援事業に関し、都道府県から申請があり、支給対象となった病床数は合計三千七十床であります。
 本事業は、単なる病床削減を目的としたものではなく、人口構造の変化を見据えて病床機能の分化、連携を進め、質の高い医療提供体制を維持するためのものであり、社会保障の充実という消費税の目的に資するものと考えております。
 地域医療構想における病床の必要量についてお尋ねがありました。
 地域医療構想は、中長期的な視点に立ち、将来の医療需要を推計した上で、これに見合った体制の構築を目指すものであり、今後の中長期的な高齢化や人口減少の見通しに大きな変化がない中では、病床の必要量の推計など基本的な枠組みを維持しつつ、着実に取組を進めていくことが重要と考えております。
 病床機能再編支援事業と公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証に関する取扱いについてお尋ねがありました。
 病床機能再編支援事業については、関係団体から本事業の継続に関する御要望もいただいている中、病床機能の分化、連携に向けた取組を進めている医療機関等に対する重要な支援として継続する必要があると考えております。
 これとは別に、今般の新型コロナウイルス感染症への対応において、医療従事者の支援を含めた医療機関支援として、これまで、総額四・六兆円の予算を措置しております。
 また、公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証に当たり国からお示しした公立・公的医療機関等の診療実績の分析結果は、それぞれの地域において今後の医療機能の在り方を考えていただく際の材料としてお示ししたものであり、病院が将来担うべき役割等については、地域の実情も踏まえつつ、地域でしっかりと御議論いただきたいと考えております。
 医療資源を重点的に活用する外来の基準等及び初診時定額負担についてお尋ねがありました。
 医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関の基準については、今後、地域医療の担い手や患者の立場からの意見等を伺いながら検討することとしております。該当医療機関の数については、こうした基準や地域における協議の場での協議等によることとなります。
 また、紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担の仕組みについて、該当医療機関のうち一般病床二百床以上の病院に拡大することは、まずはかかりつけ医機能を担う身近な医療機関で受け、必要に応じ紹介を受けて他の医療機関を受診し、逆紹介によって身近な医療機関に戻るという流れをより円滑にするという観点から、必要な取組であると考えております。
 医師の時間外労働の上限規制等についてお尋ねがありました。
 今回の改正法案に盛り込んでいる時間外労働の上限に関する特例水準は、病院勤務医の時間外労働の調査結果において上位一〇%が年間一千八百六十時間を超えていたことを踏まえ、医療関係者のみならず、学識経験者や労働者を代表する団体も参画した検討会において議論を重ね、まずはこうした著しい長時間労働を是正していく必要があるという観点から設定されたものであります。
 長時間労働の是正を進め、医師が健康に働き続けることができるよう、今回の改正法案では、やむを得ず長時間労働を認める医師の対象範囲を限定した上で連続勤務時間の制限等の健康確保措置を実施することとしております。
 さらに、この特例水準は二〇三五年度末を目標に解消していくこととしており、この目標の達成に向け医療の現場における労働時間短縮の取組が進むよう、必要な支援を行ってまいります。
 医師の労務管理と健康確保措置についてお尋ねがありました。
 本法案においては、特例的な時間外労働の上限が適用される医師について、医療機関が追加的な健康確保措置を講ずることとしておりますが、都道府県が追加的健康確保措置の実施体制、実施状況を確認し、必要な助言、指導、支援を行うことで履行確保を図ることとしております。
 あわせて、三六協定においても追加的健康確保措置について定め、労働基準監督署においても実施状況の確認を行い、取組が不十分な場合には都道府県とも情報を共有する予定としております。
 また、副業、兼業を行う医師については、一般の労働者と同様に、本人の申告等に基づき把握した時間を通算することによる労働時間管理を行うこととしておりますが、医療機関に対し労働時間管理の必要性等を周知し、医療機関から医師に対し適切な自己申告を促すようにすることで、医師が自身の健康を確保しながら働けるように努めてまいります。
 タスクシフトについてお尋ねがありました。
 タスクシフト、タスクシェアの推進の検討に当たっては、安全性の担保の観点も踏まえて検討を行ったところであり、養成カリキュラムの見直しや卒後研修の実施により医師の、医療の質や安全性を担保しながら推進することとしております。
 また、タスクを受ける側の医療関係職種の余力の確保のため、ICTの導入等による業務全体の縮減、現行の業務の担当職種の見直しによる一連の業務の効率化などにも併せて取り組むことが必要と考えており、そうした観点も含め、タスクシフト、タスクシェアの推進についての好事例の収集、分析、周知などに取り組んでまいります。
 医療養成数についてお尋ねがありました。あっ、失礼しました。医師養成数についてお尋ねがありました。
 医師養成数については、平成二十年度より地域枠を中心に段階的に医学部定員を臨時に増員してきたことにより、現在、医師数は毎年三千五百人から四千人ずつ増加しており、令和九年頃には現在のOECD加重平均の水準に達することが見込まれます。
 一方で、医師の養成には八年もの期間を要することから、中長期的な観点で考える必要があります。直近の需給推計では、人口減少に伴い将来的には供給過剰となることが見込まれており、今後の医師増加のペースについては検討が必要であることから、今後の医師養成数の方針については医師の需要推計に基づき、自治体等との御意見も丁寧に伺いながら議論を進めてまいります。
 長時間労働と女性医師についてお尋ねがありました。
 これまでの我が国の医療は、医師の自己犠牲的な長時間労働により支えられてきた側面があります。将来にわたって持続可能な医療提供体制を維持するためには、医師の働き方改革を進めていくことが必要であるため、今回の改正法案を提出いたしました。
 現在、医師の約五分の一、医学生の約三分の一が女性であり、妊娠、出産等によりキャリアを中断せざるを得ない場合もあることから、特に女性医師がキャリアとライフイベントを両立させ、希望に応じて働き続けることができる環境を整備することは、医師の働き方改革を進める上でも必須の課題と認識いたしております。
 こうしたことから、今回の改正法案に基づく長時間労働の是正や健康確保の措置に加え、院内保育や病児保育環境整備、男性の育休取得も含めた医療機関内の意識改革をすることで子育て世代の医師の支援を行ってまいります。
 以上でございます。(拍手)

#24
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────

#25
○議長(山東昭子君) 日程第一 文化財保護法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長太田房江さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔太田房江君登壇、拍手〕

#26
○太田房江君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、社会の変化に対応した文化財保護の制度の整備を図るため、無形文化財及び無形の民俗文化財の登録制度を創設するとともに、地方公共団体による文部科学大臣に対する文化財の登録の提案等について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、無形文化財等に登録制度を創設する意義、無形文化財等の登録基準の在り方、生活文化に係る文化財の保護方策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#27
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#28
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#29
○議長(山東昭子君) 日程第二 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長森屋宏さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔森屋宏君登壇、拍手〕

#30
○森屋宏君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近におけるクロスボウを使用した犯罪の実情等に鑑み、これによる危害の発生を防止するため、許可を受けた者が所持する場合等を除いて、その所持を禁止するとともに、その所持許可の要件及び当該許可を受けた者の義務を定める等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、クロスボウをこれまで規制対象外としてきた理由、インターネット取引及び輸入に対する規制の強化、人的欠格事由の有無に関する厳格な審査の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#31
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#32
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
     ─────・─────

#33
○議長(山東昭子君) 日程第三 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長小川克巳さん。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔小川克巳君登壇、拍手〕

#34
○小川克巳君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、出産、育児等による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女共に仕事と育児等を両立できるようにするため、子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設、育児休業の分割取得を可能とする規定の整備、有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得要件の緩和、労働者数が千人を超える事業主に対する育児休業の取得状況についての公表の義務付け等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、男性の育児休業の取得状況及び取得促進を図る意義、出生時育児休業中の就業を認めることの問題点、雇用保険の育児休業給付及び国庫負担の在り方等について質疑を行うとともに、参考人より意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────

#35
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

#36
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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