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2021/04/21 第204回国会 参議院 第204回国会 参議院 資源エネルギーに関する調査会 第5号 令和3年4月21日
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2021/04/21 第204回国会 参議院

第204回国会 参議院 資源エネルギーに関する調査会 第5号 令和3年4月21日

#1
令和三年四月二十一日(水曜日)
   午後三時七分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     三木  亨君     宮島 喜文君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     宮島 喜文君     清水 真人君
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     自見はなこ君     上月 良祐君
     高野光二郎君     森屋  宏君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         宮沢 洋一君
    理 事
                滝波 宏文君
                三浦  靖君
                宮崎 雅夫君
                青木  愛君
                河野 義博君
                梅村  聡君
                田村 まみ君
                山添  拓君
    委 員
                阿達 雅志君
                こやり隆史君
                上月 良祐君
                清水 真人君
                自見はなこ君
                高階恵美子君
                高野光二郎君
                高橋はるみ君
                森屋  宏君
                岸 真紀子君
                塩村あやか君
                森屋  隆君
                竹内 真二君
                新妻 秀規君
                音喜多 駿君
                舟山 康江君
                市田 忠義君
   委員以外の議員
       議員       藤木 眞也君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        亀澤 宏徳君
   参考人
       京都大学名誉教
       授
       公益財団法人地
       球環境戦略研究
       機関シニアフェ
       ロー       松下 和夫君
       東京大学公共政
       策大学院特任教
       授        有馬  純君
       東北大学東北ア
       ジア研究センタ
       ー・同大学院環
       境科学研究科教
       授        明日香壽川君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○原子力等エネルギー・資源に関する調査
 (「資源エネルギーの安定供給」のうち、資源
 の安定供給等(コロナ後及びカーボンニュート
 ラルに向けての新しいエネルギー政策))
    ─────────────

#2
○会長(宮沢洋一君) ただいまから資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、三木亨君が委員を辞任され、その補欠として清水真人君が選任されました。
    ─────────────

#3
○会長(宮沢洋一君) 原子力等エネルギー・資源に関する調査を議題といたします。
 本日は、「資源エネルギーの安定供給」のうち、「資源の安定供給等」に関し、「コロナ後及びカーボンニュートラルに向けての新しいエネルギー政策」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 御出席いただいております参考人は、京都大学名誉教授・公益財団法人地球環境戦略研究機関シニアフェロー松下和夫君、東京大学公共政策大学院特任教授有馬純君及び東北大学東北アジア研究センター・同大学院環境科学研究科教授明日香壽川君でございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、松下参考人、有馬参考人、明日香参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後六時五分頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず松下参考人からお願いいたします。松下参考人。

#4
○参考人(松下和夫君) 京都大学の松下と申します。本日は、このような機会にお呼びいただきまして、ありがとうございました。
 私の方からは、二〇五〇年温室効果ガスネットゼロの課題は何かというテーマで報告をいたします。構成はこのようになっております。(資料映写)
 最初に、気候変動とコロナウイルスについて考えてみます。
 いずれの問題も人類の生存に関わり、国際社会が協調して取り組むべき重要問題であります。そして、経済のグローバリゼーションと都市集中がその背景にあります。二十一世紀に入りまして、SARS、MERSに続きまして、二十年間で三度目のパンデミックが起こっております。気候変動や無秩序な開発による生態系の変化、人と野生動物の距離の変化が要因と指摘されております。そして、社会の格差の拡大によって、貧困層や弱者への影響が大きくなっております。したがって、いずれの問題に対しても、高い危機意識と実効性のある対策が必要であります。
 気候変動とコロナウイルスの対策を比較をしてみますと、共通点としては、まず、信頼できる科学的知見、そして、生活、経済の在り方自体を大きく変える必要、国際社会による協調的対策が必要、それから、大規模な財政出動が必要であります。
 一方、相違点としては、気候変動対策は、やり方によってはより質の高い、人々の幸福に貢献できる経済システムに移行することができます。一方で、コロナ対策は、場合によっては質の高い暮らしを犠牲にすることも必要となります。
 こうした観点から、現在国際的に提唱されているのは、より良い回復、グリーンリカバリー、緑の復興策であります。
 国連では、コロナ禍の教訓を学び、より良い社会の構築、より平等で、かつ包摂的でグリーンで強靱な社会経済への移行を提唱しております。より良い社会の構築には気候危機の回避が不可欠であります。そして、グリーンリカバリーとは、コロナ禍によって被害を受けた経済と社会を環境に配慮した低炭素で災害に強いレジリエントな社会経済に移行することというふうに言われております。
 現在では、新しい国家の発展戦略としてゼロエミッションが取り上げられる潮流が起こっております。言わば、経済的にも脱温暖化を達成しないと生き残れないと、そういう脱炭素大競争時代が始まっているというふうに言えると思います。
 その先鞭を着けているのがEUであります。EUは、二〇一九年の十二月にヨーロピアングリーンディール、欧州グリーンディールを発表して、欧州を世界初の炭素中立の大陸にするということを標榜しております。ヨーロピアングリーンディールはEUの新しい成長戦略でありまして、温室効果ガスなどの排出を減らしながら雇用を創出していく、そして持続可能な社会へ変革すると、そういう戦略とされています。
 それを裏付ける財政的裏付けが復興基金でありまして、トータルで一・八兆ユーロ、二百三十兆円に上る予算が計上されております。そのうち三〇%は気候変動に回されます。そして、欧州気候法案、それから国境炭素調整措置などを検討しております。
 欧州グリーンディールでは、二〇五〇年までに正味排出量ゼロを目標としておりまして、さらに、二〇三〇年の目標として五五%削減への引上げを目指しております。そして、投資する案件が環境面から見て持続可能であることを明確化する規則として、グリーンタクソノミーを検討しております。
 そういった欧州の復興計画を支えるものが次世代EU復興基金と言われるものでして、これは、通常予算である多年度財政枠組みとは別に、言わばEU委員会が市場から、金融市場から債券を発行して七千五百億ユーロを調達するものです。通常の予算と合わせると一・八兆ユーロ、そのうち三〇%が気候変動対策に回されるということになっております。
 こういった、債券ですので償還が必要でありまして、その償還財源として、使い捨てプラスチック賦課金であるとか、あるいは炭素国境調整措置であるとか、EU排出量取引制度の対象部門拡大、デジタル課税等が検討されております。
 EUの議論を見てみますと、注目すべき点としては、まず第一は、成長戦略として脱炭素化が必要であるという認識があります。それから第二点目としては、そういった脱炭素時代の産業の姿を具体的に描いて、そこに至る道筋と政策手段を議論をしているということであります。
 それから三点目としては、EUはこういったグリーンディールを進めることによってEUでやっている基準であるとかルールを国際化するということで、例えば、EUタクソノミーといった投資の持続性の基準ですが、それがESG投資の世界共通のグリーン定義、基準になっていくのではないか。
 それから、炭素国境措置については、EU以外の域外から入ってくる温暖化対策が取られていない製品に対して関税をするということでありますが、それを通じて域外の国に対して環境対策を迫るといったアプローチであります。
 それから、水素戦略ということで力を入れておりますが、水素に関する定義、基準について主導権を握ろうとしている、そういった傾向が見られるわけであります。
 次に、バイデン大統領のアメリカですが、バイデン大統領は、就任直後にパリ協定復帰を指示をしております。そして、非常に野心的な選挙公約を実現すべく、次々と手を打っております。
 選挙公約では、二〇五〇年までに経済全体で温室効果ガスネットゼロ排出、それから、二〇三五年までに電力部門から排出ゼロとしております。それから、持続可能なインフラとクリーンエネルギーへの投資として、八年間で二兆ドルといったことを発表しております。さらに、温室効果ガスの排出規制とインセンティブの再強化、環境正義の実現を目指しております。
 バイデン大統領の基本的なコンセプトは、気候政策を通じてクリーンな雇用をつくっていくということであります。したがって、インフラストラクチャー法案も、タイトルがアメリカン・ジョブズ・プランといったタイトルになっております。これは、先ほど言いましたように、八年間で二・三兆ドルと、これはGDPの毎年一%、そのうち気候変動関連が二五%から五〇%と、そういったふうに言われております。
 次の十三ページのスライドに続き、これは、バイデン大統領の気候変動政策ビジョンということで、言わば選挙公約であります。二〇五〇年までの経済全体のネットゼロ化に向けまして、様々な分野における脱炭素化投資について言及されております。
 全体としてこれまでのバイデン大統領の気候変動政策をどう評価するかということでありますが、相対的に見ると、過去のどの大統領と比べても野心的な内容となっております。実質的にはグリーンニューディールといった内容であろうと思います。
 それから、元国務長官であったジョン・ケリーさんを気候担当の大統領特使に任命する、あるいは元環境保護庁長官であったジーナ・マッカーシーさんを気候変動の国内調整担当の大統領補佐官に任命したといったことに見られるように、ホワイトハウス、それから全省庁挙げて、非常に強力な布陣をしいております。
 一番最後のところを見てみますと、特徴的なことは、非常に政治的な実現性であるとかあるいは戦略性を持っておりまして、現在共和党は、上院では共和党と民主党が議席が拮抗しておりますが、共和党上院の支持を必要としないという形で、行政命令であるとかを通じて政策を進めていると、それから、雇用とか生活改善に焦点を当てて国民の支持を得ようとしていると、そういうふうに評価できると思います。
 次に中国ですが、中国も、昨年九月の国連総会で、習近平国家主席がCO2排出量を二〇三〇年までに減少させると、そして二〇六〇年までにCO2排出量ネットゼロにするということを表明しております。中国は世界最大のCO2排出国でありますので、この方向転換は非常に大きい意味があります。
 その後、二〇二〇年の十二月には、GDP当たりのCO2排出量であるとか、あるいは一次エネルギー消費量に占める非化石燃料、再生可能エネルギー等でありますが、割合であるとか、あるいは風力発電と太陽光発電の設備容量を目標を引き上げております。
 それから、今年の六月には、全国レベルで炭素排出権取引制度を、これを本格的に稼働するという予定となっております。
 それからさらに、中国では、いわゆるNEV、ニュー・エナジー・ビークル、新エネルギー車という産業発展計画を出しておりまして、プラグインハイブリッド車、バッテリー電気自動車、燃料電池、これを新エネルギー車と言っておりまして、それを二〇二五年までに新車販売に占める割合を二〇%に高めると、それから、二〇三五年にはその比率を五〇%以上にしてガソリン車の販売は禁止すると、そういった方向も出しております。
 それから、十七ページに移りますと、これは、現実に中国の新エネルギー車生産、販売は世界最大となっております。メーカー、トップ20のメーカーが出されていますが、赤いところが中国のメーカーで、上位二十社中七社が中国で、上位十社中三社が中国です。日本は、十四位の日産、十七位にトヨタが入っております。
 これは、自動車の電化、新エネルギー車に替えることによってCO2を減らし、エネルギー安保にも寄与する、そして電気は再エネ電源にして、それをインターネットで融合して促進すると。そうしたことを通じて大気汚染対策と地球温暖化対策とエネルギー安全保障を同時解決し、地域経済も振興していく、そして脱炭素社会と持続可能な発展を実現すると、そういったシナリオを描いていると言えます。
 十八ページは各国のポストコロナ復興計画でありますが、詳細は省略させていただきます。
 十九ページでは、現実にG20の各国はどの程度グリーンな投資をしているかということでありますが、これは昨年八月までのデータですが、これまでのところ、いわゆる緑の復興支出、グリーンな支出は比較的少ないという状況でとどまっております。
 次に、日本、脱炭素を目指す日本であります。
 二十一ページに参りますが、御案内のとおり、昨年の十月の国会で、所信表明演説で菅首相は、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするということを宣言されました。これは、パリ協定実現に必要な目標ということで非常に画期的であると思います。しかしながら、これはなかなか実現は容易なことではございません。
 二十二ページのグラフを御覧いただきたいと思いますが、これは、我が国、一九九〇年以降の温室効果ガスの排出量の実績と、それから二〇三〇年の目標、それから二〇五〇年ネットゼロの目標であります。最近は少しずつ温室効果ガスは下がる傾向にありますが、この傾向を加速させて二〇三〇年目標もより上積みして、二〇五〇年ネットゼロを達成すると、非常にチャレンジングな課題となっております。
 一方、英国の温室効果ガスの推移を見たものが二十三ページでありますが、英国の場合は九〇年以降着実に減らしてきておりまして、二〇三〇年の目標も、ここでは五七%にしておりますが、六八%に上げております。それから、二〇三五年は最近の報道ですと七八%とするということで、COP26の議長国としてかなり頑張っているということがうかがえると思います。
 こういったことで、二十一世紀経済は言わば脱炭素市場獲得をめぐる脱炭素大競争時代というふうに申し上げましたが、それに向けた経済社会の変革の道筋であるとか、あるいは政策手段、財源を検討し、脱炭素社会ビジョンと緑の産業政策を構想する必要があると考えます。
 政府では、昨年の十二月にグリーン成長戦略を発表しておりまして、主要十四産業部門別に野心的目標と成長戦略を定めております。
 非常に野心的目標を定めたこと自体は評価されるべきだと思いますが、その実現はこれからに懸かっております。そして、幾つか課題もあります。
 例えば、二〇三〇年の削減目標、あるいは再生可能エネルギーの目標強化の方向性は出されておりません。それから、二〇五〇年のエネルギーミックスが示されておりますが、これにもいろいろ問題があると思います。それから、石炭火力発電に関する言及はありません。さらに、CO2をたくさん出す鉄鋼を始めとする素材産業については論じられておりません。電力部門の脱炭素化をどう進めるか、再エネの大量導入あるいは石炭火力の廃止といったことは不可避であると考えます。それをどういうスケジュールでどういった手段で実現するかということを戦略では検討する必要があると思います。
 日本版の緑の復興と脱炭素社会移行を考えるときに、まず四つの前提があるというふうに思います。
 一つは、二〇三〇年までの温室効果ガス削減目標の強化であります。二〇三〇年までに九〇年比で少なくとも四五%削減、これらはIPCC等でも言っていることであります。二〇一三年比でいうと五〇%以上になると思います。
 それから、現在検討されている地球温暖化対策計画とエネルギー基本計画の改定で、再生可能エネルギーを増やして石炭と原子力を減らすと、それからエネルギー消費量自体も減らすということが必要であります。
 三点目として、石炭火力からの撤退であります。国内での石炭火力発電をフェーズアウトすること、それから海外への石炭火力発電への支援を停止することであります。
 四点目として、環境政策あるいは経済成長政策として、カーボンプライシング、炭素の価格付けが必要と考えます。具体的には、本格的炭素税の速やかな導入などであります。
 これは、二十七ページは、地球温暖化対策のための税のCO2排出削減効果を各国で比較したものでありますが、九〇年代以降、諸外国では、CO2の排出量の削減とGDPの成長を言わば両立させるデカップリングが進んでおりまして、それが炭素税の導入によって加速しております。ところが、日本では、CO2排出量が増加する一方でGDPは横ばいにとどまっております。
 二十八ページの上のグラフは、名目GDP一万ドル当たりのCO2排出量ですが、かつては、九〇年代は、日本はスイスに次いでCO2排出量が少なかったんですが、その後、ヨーロッパ各国には追い越されて、アメリカにも追い付かれつつあります。それから、現状では、日本の電力は主要国の中でもCO2が一番たくさん出ているという状況になっております。
 これは、二十九ページは、日本の再生可能エネルギー拡大の障害の一つが送電線網にあると言われておりますが、地球環境戦略研究機関の研究によりますと、欧米諸国で運用されている市場誘導型と言われる送電線を運用すれば、空き容量なしとされている北海道内の既存の基幹送電線が有効に活用されて、再生可能エネルギーの導入量を大幅に増やせる可能性があることが示されております。
 三十一ページに移りまして、最後になりますが、それでは、緑の復興からネットゼロへの移行の課題は何かということでありますが、まず第一は、脱炭素社会ビジョンの明確化であります。脱炭素社会といっても、国民に我慢を強いるだけではなくてより豊かで夢のある生活を、どういった日本をつくっていくか、それから、新しい経済と生活の姿をどうつくっていくか、こういったことを明確化する必要があると思います。
 二点目として、日本版の緑の復興策であります。これには、技術、社会システム、ライフスタイル等社会のあらゆる分野で政策を導入して、ゼロカーボンで持続可能な経済への移行が必要であります。
 三点目として、自立分散型の地域社会、地域循環共生圏づくりであります。地域資源を活用して、より多くの雇用を地域で創出することが必要であります。
 それから、三十二ページに行きまして、計画と規制によるガバナンスと言っておりますが、カーボンバジェット、炭素予算の導入であるとか、あるいは再生可能エネルギーの大幅拡大策の導入、それから脱化石燃料の加速と、そういうことが必要であります。
 それから、次の課題としては、これは参加型・熟議型プロセスと言っておりますが、これまでの日本のエネルギー環境政策等は、行政側と一部の産業界、あるいは専門家だけで議論されて、国民の参加、あるいは直接の問題として考えられてこなかったということがありますので、民主的プロセスを経て戦略を形成する、実施をするということが必要であると考えます。
 そして、脱炭素化への移行には当然産業構造の転換が必要ですので、言わばエネルギー多消費型産業からクリーンな産業への労働者の移行に対する支援をする必要があります。公正な移行と呼ばれる考え方であります。
 最後に、独立した科学的助言、システムが必要だと思います。
 以上、述べてまいりましたが、日本においては、個々の産業技術においては、脱炭素技術において最近まで世界的にも優位な地位を占めてきておりました。しかしながら、脱炭素に向けて政府としての野心的目標設定が立ち遅れてきたこと、カーボンプライシングなどの経済的刺激策の導入が乏しかったこと、石炭火力などに過度に依存してきたことなどから、現状では脱炭素市場獲得をめぐる国際競争に立ち遅れていると言わざるを得ません。個々の産業技術の強みを生かしながらデジタル化への対応も進めて、トータルとして日本全体としての脱炭素に向けた経済社会変革が必要と考えます。
 御清聴ありがとうございました。

#5
○会長(宮沢洋一君) ありがとうございました。
 次に、有馬参考人にお願いいたします。有馬参考人。

#6
○参考人(有馬純君) 東京大学の有馬でございます。今日は、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私の方からは、カーボンニュートラルに向けた課題ということでお話を申し上げたいと思います。(資料映写)
 一言で申し上げますと、カーボンニュートラルというのは進むべき方向であることは間違いないということだと思いますが、我々として、それがやっぱりコストが掛かるということは常に認識をしなきゃいけないということだと思います。
 この左側のグラフは、私の研究室で計量モデルを回して計算したものですけれども、まだ総理が二〇五〇年ネットゼロエミッションを表明される前でありますが、二〇五〇年八〇%減、それから二〇三〇年二六%減という前の目標を前提にモデル計算をやってみますと、限界削減費用で見ますと二〇三〇年に向けて削減コストがだんだんに上がっていくと。それで、二〇三〇年以降急速に上がっていって、二〇五〇年にはトン当たり六万円になると、こういう試算結果になりました。
 これ、二〇五〇年八〇%減ということでありますけれども、これを更に上積みするということで感度分析もやってみました。モデルとして解ける最大の削減幅というのが九五・三%というものでありましたけれども、これで見ると、限界削減費用は、二〇五〇年時点で六万円の代わりに六十万円という数字になりました、トン当たりで。これはやはり、二〇五〇年の目標を八〇%から一〇〇%にするということにしたときに、そのコストというのは非線形的に上がるというふうに考えた方がいいということであります。
 また、今、明日から開かれます気候サミットを前に、総理がNDC、日本の二〇三〇年目標の引上げを表明されるというようなお話も伺っておりますけれども、二〇三〇年目標の大幅引上げということになれば、当然二〇三〇年時点の限界削減費用も大きく上がるということになると思います。目標を引き上げるということになれば、恐らくそれは大多数その再エネを積み上げるという形になるだろうと思います。
 足が速いのは太陽光ということになりますけれども、日本の場合、太陽光発電は相当もう既に入っていると。世界全体でいうと、絶対量では世界第三位ということでありますが、日本の場合、平地面積が非常に限られていて、国土面積当たり、平地面積当たりということで見ますと、太陽光の発電導入量というのは世界一ということになっております。今後、更に太陽光発電を拡大するということになりますと、日照条件の悪いところに設置をするということになりますと、コストアップ要因になってくると。
 また、太陽光パネルについてはコストが最近非常に下がってきているということがありますが、直近の数字を見てみますと、工事費が下げ止まっていて、それから、土地造成費あるいは接続費は太陽光発電のシェアの増大に伴ってむしろ上昇傾向にあるという数字もございます。太陽光に関するコストというのはパネルの費用だけではないということであります。
 また、自然環境保全ということを目的として太陽光発電の設置を抑制する条例を制定する自治体というのが最近非常に増えてきているということでありまして、最近五年間で五倍超に拡大をしているということであります。
 ですから、太陽光については、野方図に増やすというわけにはなかなかいかないということなんだろうと思います。
 それで、洋上風力、これは経産省が昨年十二月に発表いたしましたグリーン成長戦略の中で非常に特筆大書されておりまして、今後の役割が期待をされているということなんでありますけれども、このグラフで示しているのは日本の、赤い点線でくくってあるのが、能代とか津軽とか、そういった日本の洋上風力の有望地域とされているところの風況であります、一月から十二月までの。それで、点線になっているのがヨーロッパの北海地域の風況ということであります。
 一見してお分かりになりますように、日本の風は夏の間吹かないというのが非常に残念ながらそれが事実でありまして、冬の間は欧州並みに吹くんですけれども。したがって、設備利用率ということで見ると、欧州よりも二〇%ポイントぐらい低いということになります。そういう状況で、欧州並みの発電コストというものを実現するのは極めて難しいと。換言すれば、相当高い買取りコストを設定しないとなかなかペイしないということになります。
 ですから、今後、二〇五〇年に向けて爆発的なイノベーションが起きない限り、洋上風力に依存した温室効果ガスの削減策というのは、非常に電力料金の上乗せ要因になる可能性が高いということであります。
 私、コスト、コストというふうに申し上げましたが、なぜそれが気になるかということを言いますと、それは日本の産業用電力料金が高いということであります。
 再生可能エネルギーについてもう一つ。パネルの価格コストが非常に下がっている、それから風力発電のコストも下がっている、これは事実であります。世界的に見るとそうだということなんですけれども、忘れてはならないのは、変動性再エネのシェアを増大するということになりますと、それを電力システムに吸収するためのいろいろなインテグレーションコストと言われるものがあります。そういったものが増えてくるということでありまして、ここの図でありますのは、全発電量に占めるそのシェアが一〇%から三〇%になったときに、それぞれの電源絡みでいわゆるインテグレーションコストがどれぐらい拡大するかということを示した図でございます。
 一見して分かりますように、ガス、石炭、原子力、こういったものについてはほとんどそういうコストは生じませんが、変動性再エネについてはそういったコストが生ずると。しかもまた、シェアが拡大するとその金額も上がってくるということであります。こういったものも併せて考えていかないと、単体の再エネの発電コストだけで考えたのでは将来を見誤るということではないかと思います。
 それで、先ほど、またコストの話を申し上げましたが、産業用電力料金が非常に高いと。これ、左側のグラフに日本の産業用電力料金の国際比較がございますけれども、アメリカのほぼ倍、それから中国、韓国のほぼ一・五倍という水準になっております。これは、日本の製造業の産業競争力を非常にむしばんでいる要因の一つになっております。
 しかも、日本と比較的近い水準にあるとされているドイツについて実態をよく見てみますと、ドイツの場合は、電力多消費産業の電力料金について、電気税とか再エネの賦課金とか、あるいは洋上風力に伴う電力の送電網の賦課金とか託送料金とか、そういったものが大幅に減免をされているということでございまして、右側のグラフの左側でございますけれども、したがって、ドイツの電力多消費産業が実際に負担している電力料金というのは、日本の電力多消費産業が負担している金額の約二・五から三分の一ということであります。表向きの産業用電力料金よりも実際は物すごく安い産業用電力料金が適用されているということであると。これは、ドイツはその分、消費者の家庭用の電力料金が非常に高いということになっていて、その意図するところは、やはりドイツにとって重要な産業を保護するという意図があるということであります。
 ですから、日本の既に非常に高い産業用電力料金ということを考えますと、電力料金が更にどんどん上がるということになると、製造業の国際競争力、さらには雇用に悪影響が出る可能性が高いということであります。この点は、我々としてよく認識しておかなければいけないということかと思います。
 再エネの拡大について、国民の皆様の支持は非常に高いと思います。ただ、再エネの普及賛成というのは、インターネット調査なんかを見ますと八割以上の人がもう賛成をしているということなんですが、その半分は電力料金に再エネ賦課金が計上されているという事実を知らないと。三六%は、計上されていることは知っているけれども金額は知らないと。計上と金額を両方知っている人の約七割は、今の賦課金金額が高過ぎるという見方を持っているということであります。
 また、この左側のグラフは、再エネ普及のための費用負担をしたくない人というのが全体の三四%いるということで、それで、残り、費用負担を受け入れる人というのは六六%いるわけなんですけれども、じゃ、その人が電力料金に占める賦課金の割合がどれぐらいまでだったら受け入れられますかということを聞かれると、一%未満、五%、これを合わせて全体のもう七割ぐらいがそういう水準だということであります。
 ですから、現在の、今、家庭用電力料金に占める再エネ賦課金の割合というのはもう今一一%に達しているわけですけれども、更に再エネに依存した形で削減目標を上積みするということになると、それが更に上がってくるということになって、国民の負担感というのも増してくるということであろうと思います。これも我々としては忘れてはならないということかと思います。
 そういうことを考えますと、やはり脱炭素化に向けたオプションというのはできるだけたくさん持っておいた方がいいということでありまして、これはIEAの数字でありますけれども、原発の運転期間の延長というのはあらゆるオプションの中で最も費用対効果が高いということであります。
 それで、日本の場合には、運転期間上限四十年、延長は二十年を上限に一回限りという規制がありますけれども、こういった規制が設定されているのはもう日本だけということであります。
 また、日本では、原発、安全性の適合性審査が遅れに遅れているわけですけれども、その期間もこの四十年運転期間の時計が回り続けているという状況でございます。これは原発は動いていないわけであって、それで、原発のやはり耐久年数というのはどれだけ放射線にさらされるかという炉年で考えるべきであって、その物理的な年数で測るべきではないということを考えると、これは合理的ではないんではないかというふうに思います。
 また、今のような運転期間制度の下では安全性のための投資回収の見通しが立たないということになって、廃炉判断をする事例というのも出つつあるという状況であります。
 それで、欧米を見ますと、再エネも拡大するんだけれども原子力も使っていくというのが主流でございます。バイデン政権は、再エネも原子力もCCSも、使えるオプションは全部使ってやっていくと、カーボンニュートラルを目指すということになっております。それから、EUの中でも、ドイツのように脱原発をしている国の事例が、日本では非常に声高らかに紹介される事例があるわけなんですけれども、全体として見れば、原子力は引き続き活用するという方針であります。
 左側の欧州電力マップというのがありまして、これは、一月一日から十二月三十一日まで、もう一日単位でキロワットアワー当たりのCO2の排出量というものが出て、これはグリーンになればなるほどグリーン度が高い、つまりCO2の排出量が低いということになるんですけれども、年間を通じてほぼずっとグリーンの状態が続いているというのは、安定的な非化石電源である原子力、大規模水力を持っているフランス、ノルウェー、スウェーデンということになります。ドイツは、緑になったりあるいは茶色になったりというところがある。これは当然、風が吹く日と吹かない日があるからということであります。
 それから、右側の棒グラフですけれども、IEAが出しているワールド・エナジー・アウトルックですけれども、パリ協定と整合的な二〇四〇年のシナリオというのを見ますと、日本の原子力のシェアというのは現在よりも更に拡大をするということが想定をされて、もちろん再エネについても増やすと、原子力も増やすということになっていて、両者合わせて八割を非化石電源にしましょうという方向性が示されているということでございます。
 それで、脱原発が世界の流れであるという議論がありますけれども、カーボンニュートラルを目指している国、これは緑色で示している国ですけれども、非常に多くのカーボンニュートラルを目指す国が、原発を将来にわたっても活用していこうという国が多いということであります。したがって、脱原発が国際的な潮流であるということではない。
 特に、日本のように、これまで営々として国産技術として培ってきた原子力技術というものを使わないで脱炭素化を目指すということは、私の目から見て、どう考えても合理的ではない。さらに、エネルギー安全保障という観点から技術の国産度というものも重視をされるようになってきているということを考えれば、なおさら、なぜ国産技術である原子力というものを活用しないのかという思いがあるわけでございます。
 それで、各電源のコスト競争力というのも国によって異なります。
 アメリカなんかでは、特にテキサスなんかでは非常にいい風が吹いているということで、風力発電の導入量が極めて多いと。実際、風力発電のコストも安いというところがあります。それから、メガソーラーなんかについても、アメリカのように非常に土地が広いところではメガソーラーもたくさん設置ができるということになってコストが安くなるということになるんですが、この日本の数字を見ますと、残念ながら日本は土地が狭隘であるということと、それから海が深い、その他の事情があって、同じように再エネ資源を持っているとはいっても、やはりその賦存量については国によって違いがあるということは、これは厳然たる事実であるということであります。
 原子力のコストというのは、他国と違って、日本の場合にはまだ相対的に競争力が高いという状況であります。もちろん、これから再エネのコストが下がってくるということによって、このメガソーラーなり風力のコストは下がってくるでしょう。ただ、変動性再エネを増大させていくことに伴うシステムコストというものを上積みすることを考えると、下方向だけではないということだと思います。
 原子力についても、安全コストが上積みされるということによってコストが上がると思います。ただ、原子力によって発電される電力量というのは膨大なものになりますので、キロワットアワー当たりということで見ると、その増大量というのはそれほど大きなものではないということだと思います。少なくとも、オプションとして原子力を排除するというのは合理的ではないと私は考えます。
 それで、日本としての役割なんですけれども、やはり日本の温室効果ガス排出量というのは世界全体の三、四%ということでありますので、むしろ日本が考えなければならないのは、これから世界の温室効果ガスの動向の帰趨を握っているアジア地域においてどれだけ低炭素化、脱炭素化に向けて貢献ができるかということだと思います。
 特に、これから引き続き二〇三〇年、四〇年にかけてCO2が増え続けるのは、中国、中国は二〇三〇年でピークアウトすると言っておりますけれども、インド、ASEAN、これは二〇三〇年、四〇年、五〇年にかけて、このままだとどんどん増え続けるということになります。
 ですから、どうやってこういった国々にとって受け入れられやすい形の現実的な低炭素化、脱炭素化のオプションというものを日本が提供できるかということが非常に大事になってくると思います。
 その際に我々が忘れてはならないのは、我々にとって非常に関心の高い温暖化というのは、全ての国においてトッププライオリティーではないということであります。
 これは国連がやっているマイワールドというアンケート調査ですけれども、これを見ますと、スウェーデンのような国では気候行動がもうトッププライオリティーということになっておりますけれども、右側の中国、インドネシアなんかを見ると、気候行動のプライオリティーというのはそれぞれ十五位だったり九位だったりするということであります。これは考えてみれば当たり前の話であって、国の経済発展段階が違い、それから貧困な人がどれぐらいいるかということによって、その国においてのSDG、十七のSDGのプライオリティーが違ってくるということは、これは当然であるということだと思います。
 そういう中で低炭素化、脱炭素化というものを進めていくためには、そういった国々にとって受け入れられやすいような安価な技術であるということが絶対的に必要だということだと思います。コストアップをしてでも何でも脱炭素化をしてくれというのは、そういった国々では受け入れられない可能性が高いということだと思います。
 それから、我々として忘れてはならないのは、中国はこの状況を極めてしたたかに活用しているということであります。
 中国は、先進国における温暖化対策、端的に言えばドイツのFITなんかを利用して中国のパネル産業というのは大きく成長しました。また、二〇六〇年にカーボンニュートラル表明をすることによって脱炭素化の潮流というものをつくり、それによって、中国製のパネル、蓄電池、風車、電気自動車への需要が拡大するということを期待しているところがあります。また、中国発のネットワークみたいなものも提唱しておりますけれども、これは世界での中国の影響力を増すことにつながると。
 当面、しかし中国は、化石燃料に依存して経済成長するわけですから、先進国が脱炭素化をして化石燃料の需要が下がれば、中国が調達をする化石燃料のコストは下がるということになります。事実、中国は、足下のコロナからの回復策においては大量の石炭火力の設置計画を出しているということであります。また、先進国が化石燃料技術からリタイアをして輸出をやめるということになると、その穴を埋めるのは中国製の石炭火力の技術ということになります。日本の原子力技術というものが衰退をするということになると、世界の原子力市場において中国、ロシアの商機が拡大をするということになります。
 このように、今の脱炭素化をめぐる国際的な情勢というのは、どっちに転んでも中国にとって非常に有利な状況にあるということは地政学的な観点から我々として認識をしておいた方がいいと。今、ケリー特使が中国の目標引上げあるいは前倒しということを一生懸命働きかけておりますけれども、中国はこれをいろいろな交渉材料として使おうと考えているということで、三月の全人代では目標の前倒しみたいなことは一切発表されていないということであります。非常にしたたかだと思います。
 最後ですけれども、したがって、私は、脱炭素化というのは進めるべき方向であり、ただし、それはやっぱりコストを伴うということは忘れてはならないと。環境保全と経済成長というのは常に両立をするというものではなくて、やっぱりやり方を考えなければいけないと。そのときに、再エネ資源というのはやはり国によってばらつきがあって、日本のように国土が狭い、海も深いところでは、欧米とか中東に比べて再エネ資源にどうしても恵まれていない側面があると。再エネだけに依存した形で二〇三〇年目標を引き上げたり二〇五〇年の脱炭素化を追求するということになると、間違いなくそれは高コスト化を招くと。既に日本の産業界というのは世界でも最も高いコストに直面をしていると。それが更にコスト増に直面するということになりますと、産業競争力、雇用、さらには脱炭素化に向けた技術開発の体力を奪うということになります。
 翻って欧州を見ますと、ドイツの事例にありますように、非常に崇高な理想を掲げつつ、ただ、足下では産業を極めてしたたかに保護しているというところがあるので、そういったことを今後考えなきゃいけないのではないかというふうに思います。
 したがって、カーボンニュートラルを目指す場合に、既に非常に高いコストを負担している日本という状況を考えると、エネルギーコストあるいは温暖化対策コストというものを定期的に国際的に比較をしてレビューを行って、日本経済が不均衡に高いコスト負担をしていないかということをチェックするメカニズムというものが必要だと思います。
 また、日本の温暖化対策コストというものをできるだけ抑えるという観点からは、使えるオプションは全部使うと。その観点で、国産技術である原子力というものを長く使っていくということは、エネルギー安全保障、温暖化防止、それから経済効率という面で合理的だというふうに考えます。
 四十年運転期間、それで二十年に限り一回限り延長といった制約というものも見直すべきだと思いますし、更に言えば、第四次エネルギー基本計画にあります原子力のシェアを可能な限り低減をするということについても、こういった枠は私は取っ払った方がいいだろうと思います。その結果、原子力が再エネよりも高ければ、それは使わなければいいのであって、少なくとも自らの手足を縛る必要は私はないだろうというふうに思います。
 福島以降、日本のエネルギーの議論というのは、原発か再エネかという二者択一的な非常に不毛な議論が支配的であったわけなんですけれども、カーボンニュートラルというまさに未曽有の野心的な目標に我々はこれから立ち向かわなければならないと、そのとき使える打ち手は全部オープンにしておくということが合理的ではないかと考える次第です。
 私からの報告は以上です。ありがとうございました。

#7
○会長(宮沢洋一君) ありがとうございました。
 次に、明日香参考人にお願いいたします。明日香参考人。

#8
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
 東北大学東北アジア研究センター・環境科学研究科教授の明日香と申します。今日はよろしくお願いいたします。(資料映写)
 私は、日本版グリーンリカバリー、GR案の紹介ということで、私はずっと、この二十年ぐらい、日本の温暖化対策、エネルギー対策、特にエネルギーミックス、二〇三〇年、二〇五〇年、どのようなものが理想的か、その経済効果はどうか、悪影響、プラスマイナスどのようなものがあるか、それを細かく定量的にずっと計算したり議論をしてきました。
 今日は、その研究結果、ちょうどお手元にあると思うんですが、こういう形で冊子で、一か月ほど前に出版を、出版というか印刷して今いろんな方に配っているところです。なので、この中身を紹介させていただきながら、日本のこれからのあるべき姿、具体的にどのようなエネルギーミックスが好ましくて、CO2はそのときどのくらい削減数値として出せるのか、そのときのメリットとデメリットは何かということに関してお話しさせていただきたいと思います。
 グリーンリカバリーとかグリーンニューディールという言葉を皆さん聞かれるかと思うんですが、基本的に中身は同じです。グリーンリカバリーというのはコロナからのリカバリーということで、特にEUでは使われるんですが、アメリカでは圧倒的にグリーンニューディールを使います。どうしてかというと、ルーズベルトがニューディールを始めたというのもありますし、もうコロナの前からグリーンニューディールというのが、特にアメリカの若い人たちの間で、これを絶対アメリカのエネルギー政策としてプッシュしなきゃいけないんだということが、運動みたいなのがありまして、それで、ある意味では若い人の投票によってバイデン政権が生まれましたので、バイデンもグリーンニューディールを自分の温暖化政策、エネルギー政策としてプッシュしているという形になります。
 これは、IRENAという国際再生可能エネルギー機関、再生可能エネルギーをプッシュしている国際機関なので、ちょっとバイアスが掛かっているという意見もあるかもしれませんが、いわゆる二度目標、産業革命以降の温度上昇を二度目標に抑えるようなシナリオで、各年の、実際にいろんな対策を取ったときにどれくらい雇用が生まれてどれくらい雇用が減るかということを示しています。上が、送電網、省エネ、再エネ、基本的には雇用は増えます。下は、温暖化対策ですので化石燃料の雇用は減ると。原発も私の認識ではだんだん減っていくという、多分IRENAもそういうふうに考えているので原発と化石燃料の雇用は減ると。ですが、全体で見ると圧倒的に再エネ、省エネ、送電網の雇用が大きいと、これは世界全体です。
 今、これから多分議論になるかと思うんですけれど、一番の温暖化対策、バイデンも、温暖化問題の打合せとかミーティングとか記者会見でも、温暖化という言葉よりもジョブという言葉を四、五倍多く使います。そのくらい雇用をどうするかというのが世界では一番重要ですし、その雇用を増やすために再生可能エネルギー、省エネが非常に効果的だと。それがグリーンニューディール、グリーンリカバリーと言って過言ではないかと思います。
 これは、IEA、まあどちらかというとIRENAよりはバイアスがない、エネルギーに関する国際機関ですが、ここは、どういうエネルギーがどれだけ雇用を生まれて、かつ温暖化対策として削減コストを考えたときにどれが高いか低いかというのを示したものです。
 ちょっと見にくいかと思うんですが、例えば、一番右の下のメガソーラーは雇用はたくさん生まれると。かつ削減コストも、温暖化対策としての、考えたときの削減コストも小さいと。なので、お勧めですよということを示しています。一方、左側の水力ニュー、原子力ニュー、新設は、雇用もそれほど生まないし、温暖化対策として考えたときもコストが高いと。かつ色が、赤が結構時間掛かると。緑がすぐできるということなんですね。なので、グリーンリカバリーなりグリーンニューディール、すぐに雇用を生んで、かつ温暖化対策のコストとしては小さいという、かつコストが、温室効果ガスとしても削減プロジェクトとしても効果があるというものは、こういうふうにマッピングすると、明らかに再生可能エネルギー、省エネが好ましくて、原発、水力の新設は余り良くないと。石炭、火力等は、雇用はそれほど生まないですし、温暖化対策には全然ならないと、そういうふうなことになっています。
 なので、実はIEAが、もうこういう原発なりは余り温暖化対策としていいものでは、お勧めしませんよということを、少なくとも新設に関してはこのような数字なり表を出しているという状況です。当然、この背景には、これはアメリカのコストです。今、有馬先生のお話にあったように、各国によってコストは変わります。なので、当然各国の事情を考える必要はあるかと思います。
 これは、アメリカですけれど、ラザードというアメリカの投資会社が毎年各発電エネルギーの技術のコスト比較を数字を出しています。それを二〇一〇年からプロットしたものなんですけれど、今、黒い色が原子力ですが、圧倒的に原子力が高くて石炭も高い、天然ガス、太陽光、風力が極めて安いという状況になっています。風力が、石炭なり原子力をもう二〇一〇年ぐらい、一一年ぐらいの時点で既に超えていると、超えているというか更により安くなっているというのがアメリカの状況です。
 これはラザードというアメリカの投資会社なんですが、実はアメリカの政府も毎年このような数字を出しています。これは、US・EIA、エネルギー情報庁ですか、が毎年出している数字なんですが、これも見ますと、右、赤い枠であるところがいわゆる補助金なしの前の価格ですけれど、圧倒的に原子力は高い、石炭も高い。ですが、太陽光、風力はそれのもう半分とか三分の一の値段になっているというのが現状です。
 これは、アメリカに限らず、EUでもこういう傾向になっていますし、中国でもそういう傾向にはなっています。もちろん、中国でも地域によって違いますし、EUによっても国によって違うところがあります。ですが、全体的な傾向としては、やはり再エネはつくれば安くなる、安くなればどんどん入る、そうするともっとつくる、そうするともっと安くなるという、いわゆるコモディティーになっていますので、太陽光パネルもパソコンと同じようにどんどん安くなって、薄くなって小さくなって軽くなっていると。それが太陽光でも風力でも起きているということですし、システムもどんどんどんどんAIを使ってより競争が激しくなれば、より高度なシステムがより安価でできるようになっていると、それを目指しているというのが現状です。
 グリーンニューディール、グリーンリカバリーにちょっと戻りますけれど、今、いろんな国の政府なり研究機関が、じゃ、我が国はこのようなグリーンニューディール案を出そう、グリーンリカバリー案を出そう、こうあるべきだというような提案をしています。政府がやっている場合もありますし、シンクタンクがやっている場合もあります。そこで共通しているのは、実際どれだけ投資が生まれるのか、雇用は投資からしか生まれないので、投資が幾らなのか、それをなるべく細かく各分野、産業分野、業務分野、家庭分野、運輸分野でそれぞれどれだけ生まれるかというのを細かく計算して出しています。経済効果、雇用創出数、CO2、その分野でどれだけCO2が減るか、PM二・五は減る。実は大気汚染も非常に大きな問題でして、実は各国のグリーンニューディールでは大気汚染対策も一緒に考えてはいます。
 で、電力価格がどうなるか、高くなるのか安くなるのか、いつ頃にどうなるのか。電力需給バランス、どこの地域でどの時間帯に電力不足になる可能性があるのか。雇用転換、ある意味ではこれが一番大事かもしれないんですが、じゃ、どの産業にどういうふうに転換していくのか、具体的に失われる雇用の数はどれくらいなのかというのを細かく計算しています。
 これも一番大事なんですけど、財源をどうするのか。国債に頼るのか民間なのか、国債だったらどのようなシステムで償還させるのか。その財源どう、何年ぐらいで償還させるのか。そういう細かい計算をして検討をして、報告書なり提案を各国が今出しているということです。政府が、アメリカは今政府が出していますし、EUも出していますし、韓国も政府がこういう内容のものを作って公表しています。
 これが、バイデン政権生まれる前に、バイデン政権自体は、バイデン自体は二〇三五年に電力部門のCO2エミッションゼロを公約としていたので、バイデンに近い人たち、ブレーンになっているカリフォルニア大学の先生たちが、二〇三五ザ・レポートという非常に細かい報告書を出しています。これは、先ほど申し上げた、具体的な各分野での経済効果なり雇用創出なり電力価格なり政策なりが書いてあるものです。
 実は、これにちょっと影響されて我々もこの報告書を出しました。なので、アメリカの場合は、二〇三五レポートというのが研究者の中ではもう絶対見るべきだというような報告書なんですが、我々もちょっとそれを、名前をお借りして、レポート二〇三〇というふうに名前を付けさせていただきました。アメリカだけではなくて、先ほど、EUなり韓国のグリーンニューディールプランなり報告書も参考にしています。ちょっと若い人にも見てもらおうと思ったので、いろいろこういうイラストも描いてあります。
 具体的な数字ですが、まさに今、あしたの、あしたまでに政府がどういう数字を出すのかよく分からないですし、出すかどうかも分からないんですけれど、CO2を何%という数字が今議論されているかと思います。そのときに、基本的にはエネルギーをどういうふうに使うかによりますので、そのときには、基本的には、再エネがどれだけ入って省エネがどれだけ入るかでCO2の数字は決まります。なので、ここに書きましたように、省エネがどれだけ、再エネがどれだけ、そのときの電力の再エネの割合は四四%、それでCO2は五五%を九〇年比で削減ということになります。
 何%削減というときにちょっと気を付けなきゃいけないのは、日本政府は二〇一三年を基準年にしているんですが、例えばEUは一九九〇年を基準年にしています。IEAとかのデータはよく二〇一〇年をしていますし、アメリカの場合は二〇〇五年とかですね、結構ややこしいです。二〇一三年というのは、見かけ上日本にとって有利というか大きく見えるという数字になっていますので、九〇年比にすると大体八%、九%げたを履かせている状況なので、それをちょっと取らないといけないというような状況です。
 いずれにしろ、五〇%、六〇%という数字が今議論されているのかなとは思います、もうちょっとちっちゃいかもしれませんけれど。じゃ、そのときに、我々のエネルギーミックスでは、CO2は一九九〇年比だと五五%削減になりまして、二〇一三年比だと六一%になります。
 じゃ、これが大きいか小さいか、そのときの影響はどうなるかということですが、これが各分野で、全体での投資額、エネルギー支出削減額、雇用創出等です。
 投資額は、累積で十年間で二百兆円なので毎年二十兆円、このうちの五兆円を公的資金、十五兆円を民間資金というふうに考えています。今、再エネ、省エネはほとんどもうかるビジネスになっていますので、基本的には民間で賄ってもらうというような考え方になっています。
 エネルギー支出削減額、これは累積で三百五十八兆円。これは何かというと、基本的に今まで海外に払っていた化石燃料費、毎年十七兆円ありますので、その分が外に流れなくて国内で回るということになります。なので、コストといったときに、それが投資だということも重要ですし、そのお金がどこに行くのか、海外に行ってしまうのか、日本国内で回るのかということも考える必要があります。
 GDPも、基本的に投資が生まれればGDPのいわゆる付加価値は増えますので、これも二百五兆円、十年間で二百五兆円という、今のGDPの予想額にプラスしてこれだけ大きくなるという計算はしています。
 大気汚染による死亡の回避というのが二千九百二十人、十年間でという数字になっています。実は、日本では、石炭火力で百万人当たり九・七四人早期死亡している。早期死亡というのは、がん、脳梗塞、心筋梗塞なんですけれど、九・七四人死んでいるという数字があります。これ、世界全体でもそうなんですけれど。なので、実は大気汚染で死んでいる人というのは日本では非常に多いということは頭に入れていただければと思います。
 これが、面積が一応投資額になっています。単位、兆円になっておりまして、再エネにこれだけ、電気自動車にこれだけ、業務部門、ビルの改修等にこれだけという形で、細かく具体的に各分野で必要な投資額を入れています。
 これが、じゃ、CO2がどれだけ減るかということなんですが、BAU、二〇三〇年までは原単位必ずで、活動量も今の政府の推定の下、その後は、人口減等を考慮した、BAUと比べて再エネでこれだけ、省エネでこれだけと。実は、ちょっと二〇五〇年でオレンジの部分が残るんですが、これが実はなかなか、世界中が悩んでいる、なかなかCO2削減が難しい、例えばジェット燃料ですとか、鉄をどうやってCO2を出さないで造るかとか、そういうものです。船もそうですし、長距離トラック、いろんな、なかなか、技術的には今研究しているんですけどまだ高いので、それを一〇〇%減らすとかなりコストが上がると。有馬さんのお話にもあったように、かなり一〇〇%に近くなればなるほど線形的な、こういうふうに上がるんじゃなくて、こういうふうに上がるのは確かではあります。
 ですが、我々のレポートのポイントは、九三%は二〇五〇年レベルでも今の技術でCO2は減らせると、残りの七%はかなりコストが必要でしょうし、今実用化されていない革新的な技術が必要だということを示しています。なので、九三%は今の技術でできるということが非常に重要かと思っています。
 これは、いわゆる投資額とエネルギー支出削減額、エネルギー支出削減額というのは、基本的に、光熱費が下がるのとガソリン代等が下がるという数字です。その原資は、海外に流れていた毎年十七兆円が国内に回るということなので、投資額とエネルギー支出削減額を比較すると投資額の方が小さいと。これは、実は各グリーンニューディールの報告書なりリカバリーの報告書では定番の計算でして、このように、いわゆる経済合理性、特にグリーンリカバリーした方が経済という意味でもいいですよということを示すものになっています。
 これがGDPでして、GDPの細かい計算の方法は報告書を見ていただければ分かるんですが、基本的にGDPって売上げですので化石燃料の売上げは減るんですが、その分各家庭の所得が増えることに、使える所得が増えることになるので、それで投資が生まれると、そういうことでGDPが増えるというような計算をしています。
 これがある意味では一番重要な、私のこのレポートでは一番重要なグラフでして、真剣に考えなきゃいけないと。エネルギー転換、カーボンニュートラル、全然いいことだけではないです。いろんなメリットとデメリットがあります。やっぱりデメリットというのは、それによって職を失う、失業する人が出るのは確かだと思います。最初のIEAなりIRENAの比較では、比較というかデータでは、全体では雇用は増えるけれど、失う雇用もあると。それが、単純に言えば化石燃料関連で仕事をしていた人ですし、鉄、高炉で鉄を造っていた人たちだとは思います。
 じゃ、そのときに、日本の場合にそういう人たちが何人ぐらいいて、どこの産業で、どの産業が今の日本の経済においてどのような役割を担っているのかということは、実はここでかなり細かく議論しています。
 今までこういう議論は、何となくタブーというんでしょうか、余りそういう雇用転換の議論はしない、かつ労働組合もそういう話はしなかったかと思うんですが、もうそういうことを真剣に議論せざるを得ない状況になっていると思います。そうしないと、逆にカーボンニュートラルへのソフトランディングというのはできないですし、各国はもう既に、ある意味ではそういう条件闘争の状況に入っていると言っても過言ではないと思います。
 日本の場合、いわゆるエネルギー多消費産業、CO2多消費産業というのは六つありまして、その人たちの大体雇用は十五万人ぐらいというふうに考えられます。原発、もちろん温暖化対策としてどうだこうだという議論はあるんですけど、一応、原発の産業の関わっている人たちは五万人と言われています。なので、二十万人の雇用をどうするかということを考えなきゃいけない、そういう問題設定です。
 一方、じゃ、どれだけ新しい雇用が日本でエネルギー転換によって生まれるかといいますと、我々計算しているんですが、ここにありますように、年間で二百五十四万人です。単純に比べられないんじゃないかというようなこともあります。もちろん推定と現状とは違いますし、推定も、いわゆる産業連関表というものを使って計算したものです。ですが、ざくっとした相場感というんでしょうか、エネルギー転換のイメージというのはこれでつかめるかと思います。
 実際、アメリカではどういう状況になっているかということですが、アメリカも、政府が毎年どの産業でどれだけ雇用がいるかというのをデータとして出しています。非常に、実はトランプでこういうデータのところは潰されたんですが、潰された人たちが自腹で、クラウドファンディングで同じようなレポートを毎年出しています。
 その人たちのレポートによりますと、いわゆるクリーン産業というんでしょうか、二〇一九年時点で三百三十五万人、一方、化石燃料、原子力発電分野の雇用数は百十九と七万人。既にアメリカでは、現状で、いわゆるそういうエネルギー転換で雇用が増える分野の人たちの雇用の方がそうじゃない人たちの数倍になっていると思います。
 なので、これはアメリカに限らずヨーロッパでもそうですし、傾向としては中国もそういうことだと思います。中国は、数百万の石炭関連労働者がいて、その人たちのリストラをどうするかと本当に今真剣な、大変なところなんですが。
 いずれにしろ、傾向としては、まさにエネルギー転換をすることによって国全体の雇用創出は増やす、でも、当然、雇用しない人たちに対しては、失業手当なり教育なりいろんな手当てをしようと、補償をしようということを国が決めていると。なので、日本がいつこういう議論を始めるのかどうか分からないんですが、早く始めれば始めるほどソフトランディングできるということはあるかと思います。
 電力価格、これも必ず電力が高くなる、安くなるかと聞かれますけれど、日本でも、今は高いですが、十年後には再生可能エネルギー安くなりますし、原発は安くなることはないだろうと。賦課金も十年間ではほぼなくなると思いますので、計算すると、発電コストという意味でも総額という意味でも単価という意味でも、グリーンリカバリー戦略、我々の提案している戦略を取った方が電力価格としてもいいですよ、安くなりますよということは示しています。これもアメリカのシンクタンクの、多くのグリーンニューディールの報告書は似たような数字を出しております。
 もう一つ、済みません、ちょっと、最後のグラフです。
 もう一つ、日本の場合重要なのが、じゃ、電気力不足にならないのか、停電にならないかどうかなんですね。議員の方が、よく地方に行ってこういう話をすると、必ず、カーボンニュートラルにすると電気代高くならないのか、電力不足にならないのか、停電にならないのかということを聞かれると。なので、そういう人たちのために、ためにだけではないんですけれど、じゃ、日本の各電力管区で、例えば、再エネを増やして省エネをやって、石炭火力を止めて原発も動かさないというようなシミュレーションをしたときに、実際電力不足は起こるかどうか、起こるとしたらどの地域でどの時間帯でどの季節かというのを細かく分析しました。
 過去三年間の各電力管区のデータを使って、再生可能エネルギーが一番使えなかった、発電できなかった日とか、需要が非常に多くて、かつ再エネの発電も少なかった日を選んで、その日に対して石炭ゼロ、原発ゼロとしたときにどうなるかというシミュレーションをしました。
 結論は、困るところは北陸電力と四国電力管区です。省エネを余りしないと北海道もちょっと厳しくなります。それは単純に、今、原発と石炭火力に依存しているからなんですね。ですが、困るのは特に夏の夜です。ですが、夏の夜だけとも言えます。かつ、そのときに対応ができないかというと、ほかの電力管区からの融通もできますし、いわゆる需要側の調整もできますし、蓄電池も今どんどん入っています。なので、方法はあります。
 よく電力の場合、日本全体で原発がないと電気が足りなくなるというようなイメージを持っている人がほとんどだと思うんですけれど、もっと細かく具体的に、どの時期にどの時間帯でということを議論しなきゃいけないんですが、そこまでなかなか議論されないのが残念なところです。なので、ここには細かく、その北陸電力と四国でどれだけどの時間帯に足りなくなって、そのときに関西電力からどれだけ融通すればいいというのも書いてありますので、読んでいただければと思います。
 最後に、ホームページを作っておりますので、具体的にグラフとかインフォグラフィックス等でこれから充実させたものにしようと思っています。なので、読んでいただいて、コメントなり御質問いただければと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。

#9
○会長(宮沢洋一君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
    ─────────────

#10
○会長(宮沢洋一君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、高野光二郎君が委員を辞任され、その補欠として森屋宏君が選任されました。
    ─────────────

#11
○会長(宮沢洋一君) これより参考人に対する質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
 まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いします。
 質疑者には、できれば質問の最初のところで答弁者を明示していただいた方が答弁者の方に親切だろうというふうに思っております。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
 藤木眞也君。

#12
○委員以外の議員(藤木眞也君) 自由民主党の藤木眞也です。
 三名の先生方、貴重なお話を今日はお聞かせいただきまして、ありがとうございました。
 私は、議員になるまで熊本で農業を営んでおりました。今回、農林水産省においても、みどりの食料システム戦略という冠を掛けて、カーボンニュートラルに向けた取組であったり、地球温暖化や気候変動、また環境汚染の改善などを取り組むような政策を今回打ち出します。
 農業を行っていくには農地と天候というのが不可欠なものでありますし、最近全国各地で頻発化、激甚化をしている自然災害には、この地球温暖化が非常に大きな影響を与えているんではないかなというふうに私自身は考えております。
 熊本で仕事をしているときも、私が就農した当時というのが三十五年ぐらい前になるんですけれども、その当時、八月一か月間を考えてみても、三十度を超えるような日というのが一日か二日ぐらいしかなかったなというのが、今ではもう三十一、二度のように低い気温の日は一日か二日しかないぐらい、極端に言えば三十七、八度が常にありますし、最低気温がその三十一、二度というような感じで、私、牧場を経営していて、この十年ぐらい前から急激に牛の熱射病が増えてきています。畜舎の遮熱対策等々も一生懸命やるんですけれども、やはりそういう温暖化の影響というのが、まさにこの農業現場襲ってきているなというふうに思います。
 ただ、この持続可能な農業経営を続けていくことというのは、国民の皆さん方に対しての安定した食料供給等々非常に欠かせない仕事だというふうに思っていて、この取組は私は避けて通れない問題だというふうに思っております。
 脱炭素社会に向けた取組を行っていくということは十分理解をいたします。ただ、この取組を進めていくに当たっては、農家の皆さんであったり生産現場の皆さん方には非常に大きな負担をお掛けしなければいけないということも想定がされます。
 農家の皆さん方にこういう事業を進めてくださいということには、やはりこの温暖化を今後どう抑えていくんだという辺りをしっかり明確に伝えていかなければいけないのかなということを考えると、三名の先生方それぞれが、こういう脱炭素に向けた取組を行うことによって、今ここまで進んできた温暖化がこれで、これを実現できれば止まるんですよとか、一定程度は昔みたいに少し押し戻しができるんですよというような考え、この辺を教えていただければというふうに思います。
 順番に、先生方、お願いします。

#13
○会長(宮沢洋一君) それでは、まず松下参考人、お願いします。

#14
○参考人(松下和夫君) ありがとうございます。
 今先生御指摘あったとおり、今、日本でも、例えば農業の現場で温暖化の影響というのが非常に顕在化しております。日本は先進国で比較的対応が進んでいるというふうに考えられているわけですが、国際的な評価によると、実は日本は温暖化の影響を最も受けている国の一つです。台風の被害であるとか、あるいは洪水とかですね、それから今言われた熱中症、そういった問題も大きくなってきています。
 それで、今日、私の報告では余り、いわゆる適応策というんですか、温暖化に対してどういうふうに適応するかについては報告しておりませんでしたが、やはり温暖化対策には、原因となる温室効果ガスを減らす、CO2を減らすということと、それから、地域ごとに出てくる影響に対してどう適応するかという温暖化の緩和策と適応策、これ車の両輪と言われております。
 したがって、地域ごとに、例えば農業では、天候が変わることによって品種を変えたり、あるいは作付けの時期を変えたり、そういったことも今進められております。そういう、温暖化はできるだけ抑えていっても進行していきますので、そういう先を見通して、それぞれの地域で適応策をきちんと考えていくと。
 それから、都会においてはいわゆるヒートアイランドということも起こっておりますので、そういうヒートアイランドと温暖化を、両方の対策を、都市が余り暑くならないような対策をやっていくということが非常に重要ではないかと思います。したがいまして、温暖化対策、CO2を減らすことと、それからそれに対する適応策、両方重要であると思います。
 それから、もう一点付け加えますと、例えば太陽光パネルを付けることによって、現在、地域の自然環境が壊されるとか、あるいは農業等とのトレードオフが生じるということがございますが、そういったことは、できるだけ事前に土地利用を調整するとか、あるいは地元でできるだけ業者さんと相談して適切な対策を取るとか、そういうことによって、農業にとっても有益な太陽光パネルを造って、例えばソーラーシェアリングということが言われていますが、場合によっては、太陽光パネルを農地の上に造ることによって、農業生産を下げずになおかつ太陽光による発電もできると、そういうシステムがありますので、そういったことも検討していくべきではないかというふうに考えております。
 ありがとうございました。

#15
○会長(宮沢洋一君) 次に、有馬参考人。

#16
○参考人(有馬純君) ありがとうございました。
 今、松下先生からお話がありましたように、やはり適応策というのがやはり非常に重要であって、この温暖化の議論の中で、ややもすると、温室効果ガスを削減するというその緩和策の方にばかり議論が向きがちであり、そっちにいろいろなリソースも振り向けられがちなんですけれども、やはり温暖化の進行に伴う悪影響ということを考えると、適応にももっとリソースを割かなければいけない。かつ、恐らくそれによって防げる被害というのは、緩和に物すごいお金を掛けるよりも、適応にある程度お金を掛けた方が全体としてのコストが下がるということなんじゃないかと思います。ですから、農業についても恐らくそのカテゴリーに当たるんじゃないかと私は思います。
 ただ、温暖化の進行によって農業が被害を受けてというお話については、これはその日本の貢献度ということでいうと実は微々たるところがあって、やはり今後の温暖化を止めようと思った場合には、圧倒的に、私のプレゼンにもありましたが、インドなり中国なりASEAN諸国でどうやって今後の温室効果ガスの増大を止めていくのかということが決定的に重要であると。日本全体で仮に温室効果ガスをゼロにしたとしても、温度上昇を〇・〇〇一度防げるかどうかという、そういう程度になってしまうわけですね。
 だから、そういった国々に、脱炭素化というか、まずは低炭素化から始まるんだと思うんですが、受け入れられやすいような形で、恐らく日本としては、例えば省エネ技術ですね、これは日本は非常に優れたものを持っておりますので、経済発展をするその国が、それぞれの国がどうやってエネルギー消費を、あるいはCO2の排出をそんなに増大させないで経済を発展させられるかと、そういったノウハウなり技術を移転していくということが重要だと思いますし、それから、やはりCCUSとかあるいは水素というのは化石燃料に依存しているアジア諸国にとってはやっぱり不可欠の技術であって、そういったものを日本発で、しかもできるだけ安いコストで提供できるようにしなきゃいけないと。そのためにはイノベーションが非常に重要になってくるわけなんですけれども。そういったことをやらないと、恐らく日本が今経験している温暖化効果というのを日本だけの対応で止めることは、これはできないというのが事実であると。
 そういうグローバルな問題であって、その解決もグローバルに解決しなきゃいけないんですよということも農家の方々にやっぱり分かっていただく必要があると。日本だけ我慢に我慢を重ねてもできる問題じゃないんですということも御理解いただくことが必要なんじゃないかと思います。
 以上です。

#17
○会長(宮沢洋一君) では、明日香参考人。

#18
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
 温度上昇に関しては、実は、今人間がいなくなってCO2が排出ゼロになったとしても温度は上昇します、蓄積されているので。なので、例えば一・五度目標なり二度目標でということを考えたときに、今の温暖化対策の百倍ぐらいやらないとそれは実現できないというのが現状です。なので、そういうふうに熊本の人におっしゃっていただくしかないかもしれないんですが。
 あと、今お話にあった、じゃ、もちろん世界全体でやらなきゃいけないんですが、当然その先進国の責任というのはありますし、みんながそういうふうに考えたら誰もやらなくなると思います。
 温暖化問題のとき、やはり公平性というのが一つのキーワードでして、途上国、まだこれからインフラ造っていかなきゃいけないと、車もない、冷蔵庫もない、洗濯機もないと、そういう人たちはどんどんこれからエネルギーを使っていかなきゃいけないんじゃないかということを考えたときに、実は日本、例えば一・五度目標、二〇三〇年に四五%、世界全体なんですが、先進国は公平性を考えると七〇、八〇%ぐらい減らさなきゃいけないという議論はあります。途上国の人はそういうふうに考えていますし、グレタ・トゥンベリとかもそういうふうに議論しています。なので、実は公平性を考えると、今日本なりアメリカが議論している数字というのは全然足りないというのは頭に入れていただければと思います。
 あともう一つ、農業に関しては、まさにソーラーシェアリングというのを逆にこちらからお伺いしたいんですが、我々のこのレポートでは、二〇三〇年にいわゆる農地と耕作放棄地の〇・八%でソーラーシェアリングが入るという想定を置いています。二〇五〇年には六%が、農地と耕作放棄地の六%がソーラーシェアリングになると。その分メガソーラーは入らない。あと、屋根のルーフトップが二〇三〇年だと全住宅の一〇%。
 やっぱり具体的に議論した方がいいと思いますので、これ例えば屋根の上の一〇%というのが多いのか、農地、耕作放棄地の〇・八%というのは多いかどうかという感覚の、感覚というか、それがいいか悪いかという問題になるのかなとは思います。
 なので、まさにそういう九州なり熊本で農地の人たちがどういう収入不足に悩んでいて、ソーラーシェアリングにするとどれくらい収入が上がって、そうすると、それが面積のどのくらいになってということを議論してこれからいく必要があるのかなと思いますし、そういう意味では非常に農業の未来はある意味では明るいとも言えるのかなとは思っています。

#19
○委員以外の議員(藤木眞也君) ありがとうございました。終わります。
    ─────────────

#20
○会長(宮沢洋一君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、自見はなこ君が委員を辞任され、その補欠として上月良祐君が選任されました。
    ─────────────

#21
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。
 塩村あやか君。

#22
○塩村あやか君 立憲民主党の塩村でございます。今日は、参考人の皆さん、本当に勉強になる話をありがとうございました。
 今日は、未来に向けた雇用への転換として、グリーンニューディールという視点でお三方に一問ずつお伺いをしたいと思っております。
 まず、松下参考人にお伺いをしたいと思っています。
 世界はどんどんと再生可能エネルギーの拡大を進めて、コストも電気料金も引下げになっていると参考人の資料で読ませていただきました。欧州やアジアの国々は、原発ゼロ、再生可能エネルギー一〇〇%、石炭火力フェーズアウトなどの目標を持っていて、それによって新たな雇用が生まれ、地域と国全体の経済の発展を図ろうとしており、多くの国で、今や再生可能エネルギーは最も安い発電技術となっているとのことでした。
 日本は、太陽光、地熱、風力などの再生可能エネルギーや蓄電池に関する技術やハイブリッド車や燃料電池車など、個別の脱炭素産業技術においては最近まで世界的にも優位な地位にあったそうですが、しかし今は遅れていると言わざるを得ないというふうに書いてありました。
 そこでお聞きしたいんですが、日本に足りていないものは一体何なのかなと。私は、今日お話をお聞きしながら、日本はイノベーションが起き切れていないんだなというふうに思いました。イノベーションを起こしていくということが必要なんですが、そこに原発があったとしても、イノベーションが日本で、日本というところでもう限定で考えるんですが、起きることはできるのかどうかなんです。
 私、国会に来てまだ一期生なんですが、ここに来て感じるのは、原発のお話がいろいろと、経済の新しい産業とかいろいろなこういうエネルギーの話になったときにちょっと足かせになっているんじゃないかということを感じることが多々ありますが、いかがでしょうか。

#23
○参考人(松下和夫君) ありがとうございました。
 今先生御指摘があった、日本は、かつては太陽光パネルでももう世界の有数のメーカーがありましたし、それから現在でも、例えば自動車のハイブリッド化であるとか、先進を走ってきたわけであります。風力発電の技術もかつては高いものがありました。それで、結果的に、現状ではそういった分野で、いろんな分野で世界のトップランナーと言えなくなってきているというのが残念な現状だと思います。
 これはなかなか分析難しいのでありますが、ヨーロッパの動向などを見ていると、やはり非常に高い温室効果、温暖化という問題を現実的に考えて、将来は例えば一・五度という目標が必要だということを科学者言っておりますので、それに向けてどういうことが必要かということを言わば考えて目標を、高い目標を立てると。もちろん、技術的に可能かどうかということはその時点では必ずしも明確でない場合もありますが、科学的に必要な目標を立てて、それに向けて、必要な技術開発であるとかあるいは人材であるとか研究開発をやっていくと。それを促進する制度的な、例えば再生可能エネルギーを優先するような固定価格買取り制度であるとか、あるいは再生可能エネルギーの方が化石燃料よりも有利になるようなカーボンプライシングといいますか炭素税を導入するとか、そういうことによって高い目標をつくって、それをインセンティブを与えて進めていくと。そうすると、それに向けて新しい投資が起こって社会全体のシステムが変わっていくというふうに思います。
 それで、日本も、実は昨年十月に菅首相が二〇五〇年ネットゼロと言ったことによって物すごく雰囲気が変わっておりまして、日本の主要な産業が、企業が、それぞれ我が社は二〇五〇年までにこういうことやりますとか、あるいはこういうことをやります、二〇三〇年までにどういう目標を立てるとかいうことで、政治のリーダーシップというのは非常に高い、強いと思います。高い目標を立てて、それへ向けて投資であるとか人材であるとか研究開発の資金を用意するということが非常に大きいと思います。
 以上が率直な感想でございます。ありがとうございました。

#24
○塩村あやか君 ありがとうございます。
 明日香参考人にお伺いいたします。
 お話を聞いて、私も本当にイノベーションが大切で、雇用創出というのは非常に重要な視点だと思っています。そのために、今、日本が、まさに私たち政治がしなくてはいけないことは何なのか、予算なのか、政策をもっと強く推し進めていくべきなのか、そのことを一点お伺いしたいのと、先ほどお話の中で、今の技術で九十何%かはできると、残りの数%が新しい技術が必要だということでした。その新しい技術、今足りていないものは何なのか、こちらを教えてください。

#25
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
 イノベーションは非常に重要だと思います。ちょっと前の質問等にも関わるかもしれないんですが、やはり足りなかったのは、イノベーションしましょうというふうに政府は言うんですけれど、そこで終わっていたということかと思います。
 日本の場合、産業政策、特に再エネ、省エネに関しては、サンシャイン計画、ニューサンシャイン計画、ムーンライト計画とかいろいろあったんですね。ですが、残っている企業はないです、そこで頑張って今やっている。そのときに幾つかのレポート、報告書が出ているんですが、やはり国が明確な目標を、まさに数値目標、国内で何年までにどのくらいのシェアにするというものがないと、産業は、企業は付いていかない。基本的には将来性がない、政府は余り真面目に考えていないということで、今お金を、赤字になって、どんどんどんどん投資しても将来性がないということでやめてしまっているというのが原因だというふうな分析している論文が幾つかあります。
 なので、まさに、いわゆるプルというんでしょうか、どの国でも産業政策でその国の産業を成長させるためには政府が物すごく投資をしています。まさに大きな投資で、インターネットもそうですし、軍事的なものもそうです。なので、それと同じような形で、日本でも再エネ、省エネに関して政府がもっと大きな数値目標を出して具体的な政策を打ち出していくと。
 そのときに、政策の話なんですけれど、それぞれの分野では違うんですが、例えば省エネはもうかるんですね。なので、我々のレポート、計算では、大体工場が偏差値六十ぐらいのエネルギー効率になってくださいというふうにそれぞれの工場にお願いすると、で、駄目だったら名前出しますよというような制度を入れてくださいということを提案しています。もちろん、今、名前が出ない状況、制度になっているので、名前出されるのは嫌かもしれないですし、抵抗するかもしれないんですけど、少なくとも偏差値七十を要求しているのではなくて六十を要求しています。かつ、省エネの場合、十年、十五年、短いものは五年で必ずもうかる話なんですね。なので、そういう政府のちょっとしたプッシュ、あめとむち両方が必要だと思うんですけれど、プッシュがあればいろんなものは変わるかと思います。
 あとは、電気自動車の場合は政府がどれだけ数字を出すかということもあります。それはほかの国もやっていることでありまして、それぞれの企業の経営判断にもよるかと思うんですが、今の日本の企業の経営判断はやはり政府を見て判断してしまうので、そういう意味では皆さんの政策が非常に重要なので頑張っていただきたいと思います。
 以上です。

#26
○塩村あやか君 ありがとうございます。
 最後に、有馬参考人にお伺いをいたします。
 原発に頼らなくてもカーボンニュートラルというのは可能かどうか、お伺いをしたいと思います。

#27
○参考人(有馬純君) ありがとうございます。
 原発に頼らないでカーボンニュートラルを達成するということは、技術的には可能だと思います。ただし、それは物すごく高いコストが掛かって、日本経済にとっては私は自爆のシナリオであるというふうに思います。
 日本が使える技術というものを特段排除をしないで使えるものは全部使っていくと、先ほどのプレゼンにもありましたように、今ある原発をできるだけ長く使うというのは温暖化対策としては最も費用対効果が高い、これは明らかであります。再エネを新しくつくるよりも、今ある原発を長く使った方がキロワットアワー当たりのCO2のコストということで見ても圧倒的に安いということは明らかですので、アメリカなんかでは、今ある原発を例えば八十年運転というものも認めつつあるという状況にありますので、そういったことも考えていくべきだと。
 ですから、私は、カーボンニュートラルに向けて、日本は、日本のように諸外国と全く国際連系線を有していない、それから、再エネ資源ということで見ても、例えば中東諸国とかあるいは欧米に比べていろいろハンディを負っている部分があるというときに、使える技術を使わないというのは合理的ではないということなんではないかと思っております。
 ありがとうございました。

#28
○塩村あやか君 ありがとうございました。
 コストに関して言えば、松下参考人と明日香参考人とそして……

#29
○会長(宮沢洋一君) 申合せの時間が来ております。

#30
○塩村あやか君 有馬参考人で割れているということで理解をしました。
 ありがとうございました。終わります。

#31
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。
 新妻秀規君。

#32
○新妻秀規君 質疑の機会をありがとうございます。また、三人の参考人の先生方、ありがとうございました。公明党の新妻です。
 まず、松下先生と有馬先生に、電力多消費産業への対応について伺いたいと思います。
 松下先生の資料では二十五ページ、有馬先生の資料では六ページにそれぞれ電力多消費産業への対応が言及されています。極めて重要な分野だと思うんですけれども、ここに対して日本としてどのように対応していったらよいか、お二人の先生の御所見をお伺いをしたいと思います。

#33
○会長(宮沢洋一君) それでは、まず松下参考人。

#34
○参考人(松下和夫君) 電力多消費産業、そしてCO2をたくさん出す産業として、典型的には鉄鋼業があります。
 鉄鋼業は、基本的にはコークスを燃やすということでCO2が出てしまうわけですが、現在、鉄鋼関係の会社もできるだけCO2を減らすべく、いろいろな対策を取ろうとしています。一つは、電炉といいますか、要するにリサイクルした鉄鋼を原料として鉄鋼を造ると、それによって相当程度CO2が排出が減る、減らせることができます。それからもう一つは、究極的には水素を使った形での発電、製鉄があります。いずれもコストが当然上がります。それをどうするかということであります。
 例えば、EUの例ですと、そういった産業に対していろいろな対策をすることを求めて、それの対策の結果、必要となる追加的なコストに対して支援をするというような方法、それからもう一つは、域外から対策を取っていない方法で造られた鉄鋼が輸入され、鉄が輸入された場合は、それに対して国境調整措置といいますか、税金を、関税を掛けてその分は高くすると、そういう措置が検討されています。
 したがいまして、鉄鋼というものはある程度は必要なわけですので、それをどういう形で生産するか、生産するのであればコストを掛けても生産すると、その場合には、それに対して一定の政策的な支援をするということも考える必要があるのではないかというふうに思います。
 ただ、世界全体でどの程度今後鉄鋼が必要であるか、あるいはそれに代わるものはあるかどうかですね、それから、どこで生産するかということはまた別の議論があろうかと思います。
 以上です。

#35
○参考人(有馬純君) 先ほどドイツの事例でお示しをしましたように、やはりドイツにとって鉄鋼産業って極めて重要な産業であって、であるがこそ、産業用電力料金についていろんな減免措置を講じているわけですね。EUワイドで見ても、欧州排出量取引制度の中では、鉄鋼部門については貿易にさらされた部門ということで、相当部分の無償配賦というものを受けています。これは、実質上炭素税の減免と、免除と同じようなことをやっているということであります。
 やはり日本が、日本の鉄鋼産業というものが滅びてしまったときに、じゃ、それでどこが得をするかといえば、中国の鉄鋼産業がその分のシェアを獲得するというだけに終わるということになって、これは典型的なカーボンリーケージということになってしまいます。ですから、鉄鋼産業がやっぱり脱炭素化、低炭素化していくための、例えば電炉化であるとか、あるいは水素還元製鉄であるとか、松下先生がおっしゃったことというのは当然やっていかなければいけないんだけれども、脱炭素化を進めていく上でのやっぱりコストアップというものに鉄鋼産業をそのままさらしてしまうと恐らく駄目になってしまうということなので、これはやはり何らかのコストアップを防ぐ措置をとらないといけないということだと思います。
 これは政治的には極めて難しい話ではありますけれども、ドイツで何が起きているかというと、家庭部門が産業部門を高コストから守るためにその分高いコストを負担しているということになっております。これは、日本で同じことを提案したら必ずや反発を受けると思いますけれども、カーボンニュートラルを進めるということは、じゃ、その日本の産業を守るためにどうやって産業部門と家庭部門の負担を、負担の分担を考えるかという、今まで余り議論したくなかったことを議論しなければならない時期が来るということだと思います。
 そういったことも含めて、やはり国民理解というものを深めていかないと、カーボンニュートラルというのはなかなか実現できないということかと思いますし、日本にとって大事な製造業基盤というものを日本に残すことができない。やはり、日本に製造業基盤を残すのが必要だというのは、それがいろいろな技術の源泉になるからであります。製造業がなくなってしまったら、そういった技術革新の種もなくなってしまうということになります。
 その意味で、私は、日本の鉄鋼産業というのはやはり引き続き日本にとどまってもらいたいし、彼らがイノベーションを行いやすいような環境整備をやってもらいたいというふうに考えております。
 以上です。

#36
○新妻秀規君 今のまさに有馬先生がおっしゃった点について伺いたいと思いまして、有馬先生にもう一問、これに関連して質問させていただきます。
 やはりこの限界費用がアップしていくということは避けられないんだろうなというふうに私も考えています。そこで、国民への賦課金のアップということをどのようにしていけばいいのか、例えばで、低所得層への配慮とか国民への説明、これをどのようにしていったらいいか、先生の御所見をお伺いをしたいと思います。

#37
○参考人(有馬純君) ありがとうございます。
 例えばドイツの場合には、産業部門についてはいろいろな減免措置、FITにしても減免措置が講じられていて、家庭部門が再エネの賦課金の相当部分を負担しているということになっているので、電力料金の設計思想を変えるということはあり得ると思います。
 ただ、当然ながら、家庭用の電力料金が上がるということになりますと、逆進性があります。ですから、特に貧困家庭にとっては非常に大きな負担になるでしょう。
 ですから、そういったときには、貧困家庭に対しては、あるいは低所得層に対しては、エネルギー価格に介入する形ではなくて、直接補助のような形で補助をしていくということが恐らく経済効率という形ではいいだろうというふうに思います。価格メカニズムに介入をしてしまうと、恐らく経済的な効率性ということでいうと良くないと、ですから、低所得層については、価格に介入する形ではない別途の補助で対応するということだと思います。なぜ家庭の電力料金を上げるかというと、それは、家庭は国際競争にさらされていないからということであります。
 何度も申し上げているように、これは非常にある意味劇薬のようなものであって、これの理解を得ることというのは非常に難しいだろうと思いますが、今のような形で家庭と産業の負担額にそれほど差を設けないような形でやっていってしまって、かつカーボンニュートラルを推進するということになると、国際競争にさらされた日本の産業はへたってしまう可能性が極めて高いというふうに私は思います。

#38
○新妻秀規君 松下先生にお伺いします。最後の質問です。
 十ページ目に、EUが仕組みをつくっていきますよというお話をされました。やはりこうした仕組みをつくる際に、日本が取り残されてしまうと、やはりこの先行者利益のようなものから取り残されてしまうんじゃないかと懸念するんですが、日本はどのようにこうした議論に参画をすべきでしょうか。

#39
○参考人(松下和夫君) ありがとうございます。
 私の報告でも説明いたしましたが、EUはある意味で環境対策に熱心だという評価をされていますが、一方で、それを通じて言わば国際的なルール作り、EUが作ったルールを、あるいは基準を世界標準とすると、そういった戦略が見えるように思います。
 とりわけ、最近でいいますと、今日紹介しましたタクソノミーといいますか、投資における環境配慮がどの程度されているか、環境にとって良い投資かどうか、それをEUタクソノミーという形で現在議論されております。もしそういうものがEUで採択されると、EUで投資する場合にはそれに沿った形で日本の企業も投資しなければいけませんし、そして、それが言わば世界標準になるという可能性が高いと思われます。
 そうすると、やはりこういったグローバルルールといいますか、ルール作りに関して、やはり早い段階から日本としても関わっていくと。これはいろんな方法があると思いますが、いろいろな多国間の協議に非常にイニシアティブ取っていくとか、あるいはバイラテラルで協議するということもありますが、そういう形で、やはり日本として、もし独自の方法を生み出して、それをできるだけ仲間を増やしてグローバルスタンダードにしていく、あるいは最初からEUなりアメリカの議論に入り込んで議論を一緒にしていくと、そういった努力が必要ではないかというふうに考えております。
 ありがとうございました。

#40
○新妻秀規君 ありがとうございました。

#41
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。
 梅村聡君。

#42
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。
 今日は、三人の参考人の皆さん、貴重なお話をありがとうございました。
 早速なんですが、松下参考人からお話をお聞きしたいと思いますが、松下参考人の資料の二十六ページになるんですけれども、脱炭素社会移行への四つの前提ということで、具体的には、まず二〇三〇年の目標というのをこれまでのとおりにしていくんじゃなくてもう少し深掘りをしていこうと、それから石炭と原子力を減らしていくということと再生可能エネルギーを増やしていくと、こういう前提が書かれてあるんですが、この前提を当てはめていくと、二〇三〇年のこの第五次戦略的エネルギー計画の中の電源構成は、先生の前提に当てはめていくと具体的にどういう割合になっていくことが想定されるのか、教えていただきたいと思います。

#43
○参考人(松下和夫君) ありがとうございました。
 これは非常に重要な議論でありまして、まさに、恐らく二〇三〇年の目標は、恐らくここ、気候サミット、アメリカが主導する気候サミットを一つのメルクマールとして政府としても決められるということですので、決まってくると思いますが、一つの、何といいますか基準として、世界の気候変動に関する科学者がつくっているIPCC、気候変動に関する政府間パネルという組織がありますが、そこが出している報告書によれば、一・五度Cというパリ協定の目標を達成するためには、世界全体で二〇三〇年までに四五%削減が必要であるということが言われています。これは世界全体ですから、先進国も途上国も含めて全体として四五%削減が必要だと。
 そうしますと、これまでの気候変動の議論では、やはり先進国の方が責任も大きいし能力も高いということでより高い責任を求められるということで、先ほど明日香参考人からもありましたが、先進国はもっと高いレベルを目指すべきだと、少なくとも五〇%、あるいは六〇%、七〇%。現実に、イギリスであるとかEUなどではもっとより高いレベルを表明しております。したがって、少なくとも四五%とはそういった意味であります。それで、基準年の問題がありまして、二〇一三年を基準とすると五〇%以上ということになると思います。
 そういったこと、あるいは再生可能エネルギーを増やして石炭と原子力を減らすということで二〇三〇年の電源構成はどうなるかということでありますが、これは、現状のエネルギーミックスを見てみますと、再生可能エネルギーが二二%から二四%、それから原子力が二〇から二二だったでしょうか、それから石炭、いわゆる化石燃料は非常に高い割合になっていますので、一つには、原子力はいろいろ現実的な問題として再稼働が非常に難しい状況にあるということを考えますと、それほど大きく増やすことはできないと。そうすると、やはり再生可能エネルギーを最大限増やしていくということで、二〇三〇年の再生可能エネルギー目標をもっと高くする必要があると思います。具体的な数字をちょっと今出すのは、正確には出せないわけでありますが、少なくとも再生可能エネルギーを四〇%以上にするということが必要であると考えております。
 以上です。

#44
○梅村聡君 ですから、具体的に当てはめていくと、そこへの道の行き方というか、困難かどうか分かりませんけれども、非常にいろいろな取組が必要なんじゃないかなというふうなことは分かってくると思います。
 それで、有馬参考人にも少しお聞きしたいんですが、今日、コストというお話を聞かせていただきました。先ほどからドイツの例のお話がありましたけれども、産業用の電力料金をできるだけ、産業保護というか、競争力を守るためにしっかりサポートをしていくと、それは家庭用の電力料金に結果的には跳ね返ってくるというお話がありましたけれども、これ、政策の決定とか、それからステークホルダーが話し合ったとき、それから政治の場がこれを実際に採択、採用するときに、ドイツの場合はこれどういうふうにして乗り越えていったのか。例えば、何か市民も巻き込んだ、そういう熟議みたいなことを行うことで乗り越えていったのか。ちょっと、この政治が決定をしていく、これを採択していくという、その道筋でもし知見がありましたら教えていただきたいと思います。

#45
○参考人(有馬純君) ありがとうございます。
 ドイツの場合、福島の原発事故が起きたときに、当時のメルケル政権は、いっときはシュレーダー政権のときに脱原発を決めて、メルケル政権のときにそれを見直しつつあったところを、また福島原発事故に基づいて、を理由に脱原発に踏み切るわけなんですよね。そのときにドイツは何をやったかというと、まさにおっしゃったような熟議というんですか、国民各レベルが参加するような対話型の議論というのを相当長期間にわたってやったということであります。
 ですから、ドイツの家庭部門というのは、恐らく自分たちが負担している電力料金が物すごくヨーロッパの中でも高いということは十分分かっているということだと思うんですけれども、ただ、ドイツの場合、ユーロによってドイツの経済というのは物すごくげたを履かされているというところがありますので、恐らくドイツ国民にとってはそれほど経済的な痛みを感じずに高い負担を得ることができていると。原発をフェーズアウトして再エネを増やすと、そのコストについて自分たちが産業に代わって負担をするということについてある程度の理解はあるということだと思います。
 ただ、それが今後もずっと続くかということについては、これは分かりません。ドイツも、二、三年前でしたか、総選挙のときに、やはりエネルギーコストがどんどん上がっていて、家庭部門でいわゆるエネルギー貧困のような問題が生じているというような問題がクローズアップされたこともありました。ですから、これからさらに、ドイツが脱原発に加えて脱石炭もやるということを言っていますので、これは更に電力料金を上げる方向に行くと思います。ですから、どこまでドイツの消費者がそれを受容できるかということについては、今後の動向をやっぱり見る必要があるんじゃないかというふうに思います。
 以上です。

#46
○梅村聡君 私も今日お話をお聞きして、やっぱり政治がどのように国民が中心になってもらえるような環境をつくるかということ、これ非常に大事じゃないかなというふうに感じました。ありがとうございます。
 それでは、最後、明日香参考人にお聞きしたいと思いますが、今日いただいたレポートの二〇三〇の八ページなんですけれども、下から十行目ぐらいなんですけど、このエネルギー転換による脱炭素によって主な影響を受ける産業ということで、この電気業から順番に並んでありまして、それが十五万人だと。原子力発電産業が約五万人を加えると約二十万人だという、ちょっと学問的に私どう捉えるかは分からないんですけれども、これ、主に影響を受けるという話なのか、それとも間接的にということを考えたら、ちょっとこの人数というのは私少ないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、これは、こういうことを検討する中では比較的スタンダードな物の見方なのかどうかというのを、ちょっと雑駁な質問で申し訳ないんですけど。

#47
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
 スタンダードだと思います。かつ、影響を受ける、もちろん影響という言葉の定義にもよるんですが、すぐ仕事を失うというわけじゃなく、当然、電気会社の研究機関で原子力やっていた人がほかのところに配置転換されるとか、そういうことも含めている数字であります。なので、雇用が全然なくならないということでは全然なくて、エネルギー転換は必ず発生します。それがプラスの部分とマイナス部分でまさに政治的にどう判断するかということかと思います。
 先ほど申し上げましたように、新しく生まれる数字というのはある意味では計算した数字ですので、将来絶対それがというのは言い切れませんし、でも一方、現在の数字というのも、その人たちが全部仕事を失うわけではありません。
 かつて日本で、石炭、日本でも掘っていたと思うんですけれど、炭鉱で大体二十万人が整理されたと言われています。なので、それ、二十万人、かなりあのときは仕事をもちろん失ったんですけれど、そういう意味では、今回は二十万人のうちの二十万人が仕事を失うわけでなくて、配置転換等を含めれば、かつての日本の炭鉱の問題よりは小さいと言えなくもないです。ですが、そこはまさに、そういう議論をこれからするためにこういう数字をたたき台として出したという意味があります。
 あと、ちょっと、日本はカーボンニュートラルで不利か有利かという話があったんですが、圧倒的に有利だと思います。それは、化石燃料を掘って売っていないからですね。アメリカもEUも、特にドイツ、チェコ、ポーランド、イタリアもそうですし、アメリカ、カナダ、オーストラリア、中国も石炭関連の労働者、万人、十万、中国では百万人単位でいます。そういう人たちの雇用を鑑みると、今、国際競争力で雇用は結局大事なので、結局雇用がどこの国も大事なんですけれど、そういうのを考えたときに日本は圧倒的に有利だという議論はありますし、今申し上げたような理由で真っ当な理論だとは思います。
 あと一点だけ、申し訳ありません。ドイツ、家庭の単価は高いんですけれど、省エネが進んでいるので、家庭が払っているお金は一か月ほぼ大体同じくらいなんですよ、アメリカと。だから、ちゃんと省エネが進んだ家に住んでいれば、アメリカみたいにエネルギー単価、電気単価が安くても、二倍電気使っているので、結局電気代同じようなものをドイツもアメリカも払っています。それが事実です。

#48
○梅村聡君 終わります。ありがとうございます。

#49
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。
 舟山康江君。

#50
○舟山康江君 国民民主党の舟山康江と申します。今日はありがとうございました。
 まず、松下参考人にお聞きしたいんですけれども、事前に配付いただきました参考人が執筆された資料を拝見いたしますと、生態系崩壊の危機が人間生存の危機にもつながっていると。これは、多分、環境問題もそうだし、パンデミック、このコロナもそうだという文脈で書かれております。そしてもう一つは、自然資源の利用を持続可能な範囲にとどめるべきだと、こんな御主張もされておりまして、私もそのとおりだと思うんですね。そう考えると、今私たちが取り組まなければいけない問題は、単にCO2の排出削減、カーボンニュートラルだけではなくて、トータルとしていかに環境に対する負荷を下げていくのかということかなと思うんです。
 ですから、極端に言えば、CO2の排出削減を実現するためにほかの部分で環境に負荷を掛けているとすれば、これは望ましい方向ではないと思いますし、そこも含めた取組が必要なのかなと思うときに、私は若干、今の政府のカーボンニュートラルに関しては、そのCO2の排出削減だけに偏り過ぎている部分があるんじゃないのかなという懸念を持っております。
 これは、実は二か月ほど前のこの調査会で、資源開発の観点からお話をいただいた参考人からもこんな御指摘がございました。CO2は削減されても、実は資源を多投入してレアアースをたくさん使って、資源開発という面ではこの希少資源を傷めているというか、そんなことがあってはいけないと、そこも勘案しなきゃいけないというお話がありましたけれども、そこも含めて参考人から、まずその辺り、今後考えなければいけないポイントみたいなのを教えていただければと思います。

#51
○参考人(松下和夫君) ありがとうございました。
 今の先生の御指摘は大変重要なポイントであるかと思います。温暖化対策でCO2を減らすことは大変重要ですが、CO2を減らすことだけが目的ではないわけでありまして、目的は、やはり私たちの、人類のですね、安全で安心で豊かな生活をどうやって維持していくかと、それを将来にわたって続けられるかということであろうと思います。
 そういった考え方は従来から提唱されていまして、国連でも採択されている持続可能な発展という考え方であります。これはいろんな解釈があるわけですが、一つの定義として引用されている、よく引用されるものが、ハーマン・デイリーという人が出しているハーマン・デイリーの三つの原則があります。
 それは、資源を二つに分けまして、再生可能な資源と再生可能でない資源、再生可能な資源は、例えば水であるとか森林であるとか、それを繰り返し使えるものですね、再生可能な資源については再生できる範囲内で使おうと、それから、再生ができない、例えば石炭であるとか鉄鉱石であるとかそういったものは、できるだけそれに代わる、代替できるものができる範囲内で使っていこうと。ですから、化石燃料を使って電力をつくっている場合には、できるだけ早く化石燃料ではない再生可能なエネルギーで電力を使うようにしていくと、そういった原則であります。そういった原則を、すぐにはなかなか難しいわけでありますが、そういった原則を念頭に置いてこれから環境政策全体を考えていく、あるいは資源政策全体を考えていくべきであろうと思います。
 したがって、政府の方でも提唱されているように、気候変動対策と循環型経済、リサイクル、リユース、循環型経済と、それから自然共生と、それを三位一体として取り組んでいくべきだと思います。
 それから、個々の対策がどの程度効果があるか、CO2削減効果があるか。例えば、電気自動車とハイブリッド車がどちらがいいのかとか、そういったことは、学問的に言われていることは、いわゆるライフサイクルアセスメントといいますか、製造から使用、それから廃棄、全体を通してどれだけ環境にインパクトがあるかということを、やはり客観的にきちんとデータに基づいて評価をしていくことが必要ではないかと思います。
 以上です。ありがとうございました。

#52
○舟山康江君 ありがとうございました。
 私も、そのライフサイクルアセスメントの考え方の中でこういった問題を考えていかないと、一面だけを捉えてそこが、何というんでしょう、クリーンになったからいいんだではなくて、そこがクリーンでもほかのところで非常に負荷を大きく掛けているとすれば、それはやっぱり選ぶべき手法ではないと思いますので、今後の政府のカーボンニュートラル対策とか環境対策に対しては、そういった考えをしっかりと取り組んでいただけるように、また国会としても提言をしていければなと思っております。
 ありがとうございました。
 そして、明日香参考人に、今のと関連するんですけれども、参考人からの資料の七ページに、政府・シンクタンクのGR、GND提案の共通要素ということで幾つか書いてありますけれども、やっぱりこういったところにも、私はやっぱり、これを実現するための環境負荷というかそういう観点を入れていかないと、今のと関連するんですけれども、CO2の排出削減とかPM二・五が排出削減、あとは価格、雇用もそうですけれども、それを実現するに当たって環境にどういう影響を与えているのか、そこの要素も必要ではないのかなと思いますけれども、その辺りは、参考人、いかがでしょうか。

#53
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
 ちょっとその環境というのがどこまで、どういう意味合いで使っているのかはちょっと微妙なところだと思います。もちろん、ある政策を実施すればいろんな影響があります。それは、経済的な影響もありますし、生態系に対する影響もありますし、雇用という問題もありますし、日本だけじゃなくて途上国の雇用問題にもつながるかもしれませんし、環境問題につながる可能性もあるかと思います。先ほど、レアアースの話はまさにそういうことだとは思います。
 ですが、まず、レアアースの問題に関して言えば、それはいわゆるカーボンニュートラル以前の問題で、デジタル社会に世界が移行してしまっていて、それが圧倒的にレアアース問題の一番影響、ファクターだと思うんですね。そういう意味では、カーボンニュートラルでリチウムなりコバルトなり電気自動車という話はあるんですけれど、それ以前に、じゃ、デジタル社会やめるんですかということもありますし、まさに、いわゆる南北問題って、南と北の関係をどうそれぞれが協力し合って責任を持って変えていくかということなのかなと思います。なので、ちょっと直接カーボンニュートラルの話とくっつけるのはどうかなと思いました。
 あと、もちろんLCAの話は非常に重要でして、こういう計算をするときには必ず電気自動車もどうだこうだという話はしています。CO2に関して言えば、よく電気自動車とガソリン自動車、それほどCO2排出量変わらないというんじゃないかとかいう話があるんですけれど、圧倒的に自動車は使うときのCO2排出量が大きいので、製造時も含めて、電気自動車にするとCO2の排出量は大幅に削減します。
 これも誤解があるんですが、実は電気量も減るんですね。なので、いかにガソリン車というのは効率が悪いものを使っていたかということなんですが。なので、一個一個それぞれ個別の問題はあると思いますが、当然、そのLCA的な観点から議論しています。
 PM二・五、まさに今おっしゃったように、環境影響ということで、基本的には、石炭を使えば大気影響、人が死ぬので、世界全体で今八百万人、大気汚染で毎年死んでいるという数字があります。かつ、それは過小評価なんじゃないかという研究はたくさんたくさん出ています。いわゆるPM二・五ですね。なので、そういうのも考えていけば、カーボンニュートラルによってオーバーオールで人類にとってメリットは非常に大きいんじゃないかなと私は考えています。

#54
○舟山康江君 ありがとうございました。
 環境負荷という意味では、例えば太陽光、太陽光発電をすると、必ず太陽光パネルの、多分これからその廃棄の問題なんかは大きな課題になっていくと思いますし、電気自動車で、その排出、要は、CO2の排出削減のために触媒を使うとかいろんな問題があって、やっぱりそこにも目を向けていかないと、クリーンだからよかっただけではないのかなというふうに思いますので、そういった再エネに伴っての様々な製造コスト、そういったところも考えつつ議論していかなければいけないということを非常に強く感じました。
 また、電力使用料に関して、政府はこのグリーン成長戦略で増えると言っていますけれども、明日香参考人は減らすことができるというようなお話がたしかあったと思いますけれども……(発言する者あり)

#55
○会長(宮沢洋一君) 指名されてから御発言をお願いします。

#56
○舟山康江君 時間ですけれども、ちょっとその電力使用料のところもやっぱりうまく、再エネもそうなんですけれども、省エネというところの工夫ももっと必要ではないのかなというふうに思いますので、もしお許しいただければ、一言。

#57
○会長(宮沢洋一君) 申合せの時間来ておりますが、簡単に御答弁、明日香参考人、お願いいたします。

#58
○参考人(明日香壽川君) 電気代が減るというのは、省エネが進むかどうかにもよります。基本的に省エネと再エネの組合せでして、省エネがたくさんあれば再エネそれほど入れなくてもいいですし、再エネを入れれば省エネそれほど、少なくてもいいと。ですから、基本的には省エネをすることでみんなハッピーになる、まあ産油国の人たちはアンハッピーになると思いますけれど、少なくとも日本の人は全てハッピーになるものだとは思います。
 以上です。

#59
○舟山康江君 ありがとうございました。

#60
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。
 山添拓君。

#61
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 本日はありがとうございます。
 松下参考人と明日香参考人に伺いたいと思います。
 明日香参考人から、雇用を増やすためのグリーンリカバリー、ニューディールとかなり強調してお話あって、それは今の日本のカーボンニュートラルの政策とはかなり違う位置付けが与えられているんだなということを改めて感じました。
 新型コロナの下で、やっぱり雇用の脆弱さというのは浮き彫りになったと思うんですね。非正規やフリーランスや、特に女性や若者、今も影響は大きいです。リカバリーとかニューディールとして掲げる以上は、やはり暮らしと雇用の安定に結び付いていく政策であることが大事だと思っています。
 その点に関わって、再エネについて言えば、再エネの特徴というのは、一つ一つの発電量は小さくても、どの地域にもポテンシャルがあるということだと思います。地域分散、地産地消でエネルギー開発を進めていくということがこれを進めていく上で鍵になり、グリーンリカバリーという位置付けの上でも大事だと思うんですけれども、その点について御意見をいただけますか。

#62
○会長(宮沢洋一君) それでは、まず松下参考人。

#63
○参考人(松下和夫君) ありがとうございます。
 今御指摘されたことは非常に重要だと思います。グリーンリカバリーといった場合に、やはり地域ごとに、その地域の状況に応じて地域の資源を生かし、人材を生かし、技術を生かして、例えばある再エネ事業を起こすということが大変重要だと思います。
 一般的には、委員御指摘いただいたように、石炭火力であるとか原発といった大規模の集中型の電源と比べて、太陽光、風力等の小規模分散型の電源の方が雇用をつくる力が強いわけでありますが、それが、例えば都会から来た大資本によって、特定の地域で、地域の人とは関わりなくメガソーラーができたり大規模風力ができたりということだけでは、地域の雇用であったりあるいは産業の振興であったりにつながることが難しいわけでありますので、できる限り地元の中小企業なり、あるいは金融機関なり、それから人材、技術を使って、そういう地域における循環型の、地域循環共生圏と言われておりますが、循環型の再エネ事業を起こすことが大事だと思います。
 現在、残念ながら幾つかの地域では、再エネ導入に当たって、地元の住民であるとか若干のトラブルが生じておりますが、例えばデンマークとかドイツの例を見ますと、元々地域主導型で、地域の例えば農業組合であるとかあるいは協同組合が出資して、地域の人が関わって風力発電を造ったり太陽光発電を造っているという事例がありますので、そういった事例を参考にしながら、地域が主導となる再生可能エネルギーを広げて、それによって地域の雇用を増やすと、そういう方法が望ましいというふうに考えております。
 ありがとうございました。

#64
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
 最初に、政府のカーボンニュートラルの考え方と違うというふうにおっしゃったと思うんですけれど、雇用が大事だという意味では同じなんですね。政府のカーボンニュートラルの雇用というのは、いわゆる古いエネルギーシステムに関わっていた人たちの雇用です。我々が言っている、かつアメリカなりほかの国がニューディール、グリーンリカバリーという形で言っているのは新しいエネルギーシステムで生まれる雇用です。なので、どちらも雇用が大事だというのは同じです。
 じゃ、どっちがどういう意味でその国にとって大事で、それがどうなるかというのはまさに政治の話でして、古いエネルギーシステムを維持したい人たちの力が強ければそっちに行くという、ある意味では単純ですね。どの国でもそういう駆け引きがありますし、綱引きがあります。そんな単純ではないと思います。
 ですが、ちょっと繰り返しになりますけど、日本の場合は石炭掘っていないので、石油売っていないので非常に楽なはずなんですけれど、やはりそういう保守的な古いシステムにこだわる、関わる人が非常に多いと。ですが、我々のこのレポートでは、じゃ、そういう人たちが日本の経済に対する影響力は今何%、GDP何%になっているのか、雇用の何%になるかという数字も出しました。圧倒的に日本は今、日本でもエネルギー転換は進んでいます。いわゆるエネルギー多消費産業のGDPの貢献率なり雇用の貢献率は圧倒的にちっちゃくなって、この十年で物すごく変わっています。なので、時代は確実に変わっているので、それをどう見極めて、政治家がどう判断するかということかと思います。

#65
○山添拓君 ありがとうございます。
 次は、お三方にそれぞれ伺いたいと思います。
 有馬参考人は、国連のSDGsの十七の目標も紹介されて、プライオリティーは各国違うということをお話しされました。確かに、SDGs、持続可能な開発目標は、地球の限界を超えないということと同時に貧困や格差の解消ということをもう一つの柱に据えていると思います。その貧困や格差というのは、限られた資源が不公正で不均等で、あるいは非効率に分配されていることを示しているわけですから、これを是正するということが持続可能性につながるのだと、その位置付け自体は非常に大事だと思うんですね。
 気候変動対策と貧困や格差の是正というのはセットで進めるべき課題だと私は考えます。そして、それを本気で進めようと思えば、社会の利益より企業のもうけを優先する、利潤追求を優先する、そういう在り方を変えて、企業に社会的責任を果たさせるような経済社会にすることが求められていると思うんですが、有馬参考人、松下参考人、明日香参考人の順にお答えいただければと思います。

#66
○会長(宮沢洋一君) それでは、有馬参考人。

#67
○参考人(有馬純君) 山添先生のおっしゃったとおり、日本が、日本がというか、もう企業全体というふうに言っていいと思いますけれども、SDGバッジを付けておられる方が最近非常に増えてきたということであって、それで、やはり単なる経済的な利益だけではなくて、それぞれの企業のやり方でSDGにどう貢献できるかということをその企業の特質を踏まえながらやるという機運は相当生まれてきたんじゃないかなというふうに思います。
 ただ、やはり企業としては、企業は存立をしなければいけないので、SDGあるいはESG投資に一生懸命になる余り企業の経営が左前になってしまったら、それは投資家は誰も投資をしないということにどうしてもなってしまいます、それは現実の経済原則として。
 したがって、どうやって企業が利潤を追求しながらでも、その企業の持っている優れた技術なりなんなりを通じて社会貢献ができるかということをそれぞれが考えているということなんじゃないかと思いますし、それから、グローバルに考えれば、やはり先進国から途上国に対してどれだけ経済支援ができるかということにもつながってくると思います。
 これもまた非常に難しい問題なんですけれども、先進国も今経済が非常に厳しい状況にある中で、途上国支援をどれだけ拡大をする余力があるかということについては、恐らくその理想とそれから現実の違いというのがこれからだんだん明らかになってくると思います。COP26あるいはそれ以降において、途上国は間違いなく、先進国から現在ある一千億ドルという途上国の支援目標というものを引き上げろということを言ってくると思いますけれども、それにどれぐらい多くの先進国がコロナで傷ついた経済を抱えながら応えていくことができるかという、これは非常に難しい課題だと思います。今すぐに答えが出ることではないということだと思います。

#68
○参考人(松下和夫君) ありがとうございます。
 ちょっと今、質問を十分にフォローしていなかったわけでありますが……

#69
○会長(宮沢洋一君) じゃ、もう一回、簡単に。

#70
○山添拓君 気候変動対策と貧困や格差の是正というのは世界的にセットで進めるべき課題ではないかと。その際には、先ほど松下参考人のお話にもあったんですけれども、やはり経済社会の変革ということが求められているのではないかと。今までのような利潤追求を何よりも優先する在り方から変える、社会的責任を企業にも果たさせるような、そういう在り方が必要ではないかということについて御意見をいただけますか。

#71
○参考人(松下和夫君) ありがとうございます。失礼いたしました。
 山添先生御指摘のとおり、世界は今、SDGsというのをそれぞれの国が合意して進めようとしていますが、十七の目標がありますが、それはそれぞれ個別に存在するものでなくて、全体として、パッケージとして進めていくべきものだと。
 ただし、誰も取り残さないということが全体のテーマでありますが、言わば人々の基本的な人権を向上、人権の条件を確保しながら、一方で、地球の限界といいますか、プラネタリーバウンダリーという中で経済活動を進めていくと、そういうことが発想でありまして、例えば気候変動対策をやるということは、実はほかの例えば水問題であるとかエネルギー問題であるとか雇用の問題とか、全てと関わっておりますので、気候変動対策をやるときは、CO2を減らすということだけにフォーカスするんではなくて、それが貧困にどういう影響を与えるか、あるいは農業生産にどういう影響を与えるか、そういったことも考慮した上で進めるべきであると思います。
 ですから、個別の政策だとか技術を導入するだけではなくて、全体としてシステムの変更をすると。幸いにして、最近の動向として、いわゆるIoTであるとかAIだとかICTといった情報技術が盛んになってきますので、そういったものを使うことによって、より少ないエネルギーだとか資源の投入によってより良いサービスを提供することができるという、そういう動きが出てきていますので、例えばテレワーク、コロナによってたまたま加速されているわけですが、テレワークだとかインターネット会議であるとか、そういったものを適切に利用することによって、より少ないエネルギー、資源を投入してより良いサービスを生み出すと、そういう経済に転換していくことが一つの道ではないかというふうに考えております。
 ありがとうございました。

#72
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
 具体的な話をしたいと思います。
 アメリカの場合、バイデンの新しい政権の温暖化対策、グリーンニューディールというのは、いわゆる新自由主義的な社会システムを変えようとしています。そのためには、化石燃料産業への補助金を廃止して課税する、自治体や企業への課税等、具体的に、いわゆる温暖化対策をしない、するなとか、温暖化はうそだといったような勝手なことをやってきた大企業に対して、課税なり市場から出てもらうという具体的な政策を今導入しています。なので、資本主義とか大きな話になるとあれですけれど、新自由主義というシステムのチェンジが必要だというコンセンサスはアメリカの政権の中ではあるかと思います。
 もう一つ、貧困と格差は非常に重要な問題です。温暖化問題がまさにその貧困と格差を拡大すると、かつ、うまくやらないと、まさに逆進性があるような政策を入れてしまって、より貧困の人たちが増えてしまうと。そこをどううまくするかというのは重要ですし、まさにそういうグリーンニューディール、ガバニングアジェンダ、指導的課題という形で、いろいろな、包括してある方向性を考える、具体的な政策の考え方とか仕組みとか集合体というような言い方がされています。
 その中で、貧困も格差もジェンダーもいろんな差別も一緒に考えようというのが今のグリーンニューディールのアメリカでの流れです。それが日本でどううまくそういう流れがつくれるかはこれから次第なんですけれど、そういう考え方でアメリカは動いているということは御理解いただければと思います。そうやってアメリカの今の民主党は動いているということです。

#73
○山添拓君 ありがとうございました。終わります。

#74
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。
 森屋隆君。

#75
○森屋隆君 立憲・社民の森屋隆です。
 今日は、参考人の先生方、本当ありがとうございます。
 まず、松下参考人にお伺いをしたいと思います。
 日本の国土は七割が森林でありますから、私の住んでいる東京の檜原村というところなんですけれども、カーボンネガティブ、要は、まきストーブを復旧させて、化石燃料から転換をしていこうということなんですけれども、価格は、家もちょっと改築しなければなりませんから、ちょっと百万とか百五十万ぐらいやっぱりしちゃうんですね。
 そんな中で、今日本では間伐材が問題になっていますけど、この間伐材を使う、あるいは若者の雇用が生まれたり、また空き家に入ってもらったり、ライフスタイル、都心から田舎の方に暮らしてもらう、ライフスタイルを変える、あるいはその断熱効果を高める改築で地元の大工さんにもまた雇用が生まれる、いいとこずくめだと思います。また、冬はエアコンだったりファンヒーター使わないから節電にもなる。
 それで、私も少し驚いたんですけれども、このまきストーブ一台でCO2削減効果がハイブリッドカー五台に値するという調査もあるらしくて驚いたんですけれども、こういったことが私は大事なのかなと思っていまして、こういった取組の評価を聞かせていただきたいのと、補助金もあるんですけれども、やはり高価なものですから、なかなか進んでいないのも実態でして、その辺のところも答えていただければ有り難いと思います。
 もう一点は、二〇一五年頃だったと思うんですけれども、このセルロースナノファイバー、強くて軽くて画期的な素材だといってかなり話題になったと思うんですけれども、このセルロースナノファイバーというのは環境にこれ良いものなのか、そして現在利用はどのようになっているのか、この二点、お願いをいたします。

#76
○参考人(松下和夫君) ありがとうございました。
 第一点の、日本に豊富に存在する森林を活用してそれをカーボンネガティブにつなげていくということは、大変大事な考え方だと思います。
 まきストーブを活用することによって実際にCO2削減につながるというようなことも多分言えると思いますが、問題は、恐らくそういうのが社会的なシステムとして十分に広げていくことができるかどうかであると思います。いわゆるバイオマスエネルギーを使って発電をするとか、あるいは暖、熱を取るとかいうことは非常に望ましいことではありますが、それをやるためには、地域によりますが、例えば間伐材を集めるためのコストであるとか、運搬するコストであるとか、そういったものは非常に高いという現状があるようであります。
 したがって、それだけを目標にすると非常に難しいわけでありますので、そういう言わば間伐材であるとかバイオマスを供給する供給サイドの整備と、それからそれを利用するサイド、まきストーブも、恐らくたくさん増えれば、規格化していけば安くなると思いますが、そういうシステムとしてどういうふうに間伐材なりを利用できるシステムをつくっていくかということが大変重要ではないかというふうに思います。これもまさに地域循環共生圏という考え方を使って、具体的な地域においてモデル的事業をやっていくべきものではないかというふうに思います。
 それから、二点目のセルロースナノファイバーの件ですが、実は私は、余りそれ自体の内容をよく存じておりませんので明確なお答えはできないわけでありますが、私の理解するところでは、こういったものがいろいろな製造業において使われることによって、従来の製品よりもより軽量でより強度の高いものとして利用できるのであれば、CO2削減にも寄与するのではないかというふうに考えております。
 ありがとうございます。

#77
○森屋隆君 ありがとうございます。
 有馬参考人にお伺いをします。
 少し重複しますけれども、有馬参考人が指摘されていましたFIT賦課金の問題、あるいは来年から始まるプレミアム、FIPの関係、これ、私も、負担している側は余り知らないんじゃないかと、こういうふうに当然思っています。この政策の方向性について、重複しますけれども、もう一度お願いします。
 それともう一点は、先日、私、電子ごみアートの長坂真護さんという個展にこれ行ってきました。ガーナのスラム街で若者が、先進国が出した電子ごみを燃やしてそのメタルを取り出して、一日五百円ぐらいの賃金で働いている。環境にも体にも当然悪いわけですけれども、そういう実態があります。
 そして、参考人は、国連の調査を例に挙げて、やはり地球温暖化防止、こういうことも大事だし、再生可能エネルギーも大事だけれども、そういったところに目を伏せてはいけないという、この両立が大事だというふうなことかと思います。
 日本でもこの格差は広がっていますから、これを両立していく一番良い考え方というのを、ちょっとありましたらお示しいただきたいと思います。

#78
○参考人(有馬純君) FITからFIPに移行すると。それによって、一部、そういう再生可能エネルギーの購入価格に卸電力価格の市場メカニズムが働くという意味においては私は前進だと思いますけれども、それでもやっぱり補助であることは変わらないということであって、特に、これから二〇三〇年目標というものを大幅に積み上げるということになってくると、FIPであったとしても補助コストは物すごく膨らむということになると思います。
 また、洋上風力を、その中で二〇三〇年十ギガワットですか、といった参考値がありますけれども、あれを導入するということになると、洋上風力というのはまだまだ非常に買取り価格が高いですから、それによるその賦課金の拡大分というのは非常に大きいと。
 ですから、私は、やはり政府がやるべきことというのは、そのFIPによる将来への負担見通しですね、それが産業部門、家庭部門に対してどれぐらいの負担になるのかということを常にやっぱり透明性のある形で国民に示すということが大事だと思います。
 やはり、知らない間にそれが電気料金に入っていて負担をしているというのは、確かに負担をさせる側からすれば便利かもしれませんけれども、やはりこういう時代ですから、透明性のある形で、自分たちがどういうコストを負担しているのかということ、しかもそれが政府の施策によって今後どの程度拡大していくのかと。それでよしということであればそれでいいですし、それじゃ困るということであれば、それはやはり政治に判断の変更を迫っていかなきゃならないと。それは、家庭部門でも産業部門でもどちらでも言えることだと思います。
 ですから、私は、政府が再生可能エネルギーにとどまらず温暖化対策について値札をきちんと国民に示すということが、極めてこれからますます大事になってくるというふうに考えております。
 それから二点目の、SDG、気候変動とそれからそれ以外の対策をどうやってバランスを取っていくかと。これは、日本とそれから例えばインドネシアとでは、やはり解が全く違ってくるだろうというふうに思います。それから、インドともまた違うと思います。
 私は、たまたまCOP26に、あっ、COP25か、マドリードに出ていたときにあのグレタ・トゥンベリさんが来ていたわけなんですけれども、彼女は石炭火力は即やめろということを言っていたんですが、私はちょうどその頃、インドの産業連盟の人と話をしていました。インド産業連盟の人は、グレタ・トゥンベリさんには、是非インドの、電気も全然通っていない、水道も通っていない、絶対貧困線以下で生活している人たちの実態というのを是非見てもらいたいと。自分たちにとっては、やはり国内で利用できる石炭というものを、もちろんクリーンに使わなきゃいけないんだけれども、石炭を使うなというのは解にならないのだということを言っていました。
 ですから、やはりグレタ・トゥンベリさんのように、非常に豊かなスウェーデンという国、それで、原子力とそれから水力で電力のほとんどを賄っているスウェーデンのような国におけるSDGの追求の仕方と、それから、インドのようにまだ非常に貧しい人がいて、国内に化石燃料資源があるという国のSDGの追求の仕方というのは、恐らくバランスの取り方もおのずから違ってくるということになる。だから、世界で統一的な解というのはあり得なくて、各国がそれぞれ判断をしていかなきゃいけないということなんだろうというふうに思います。
 済みません、一般的な答えになってしまいましたが。

#79
○森屋隆君 ありがとうございます。
 最後の質問になります。明日香参考人にお伺いします。
 昨年、皮肉にも、コロナ禍で経済が低迷して環境が改善されたと、こういうふうに言われているんですけれども、一方で、昨年はラニーニャ年だったんですけれども、アメリカでは五十四度、シベリアでは三十八度、日本でも桜がもう早々咲いて、三月のこの平均気温は百年ぶりだというようなことなんですけれども。
 経済が低迷して環境が良くなったんですけれども気温がどんどん上がっているという、何か矛盾しているような気がするんですけど、この辺の御所見あったらお願いをいたします。

#80
○参考人(明日香壽川君) 矛盾はしていなくて、化石燃料、電気使わなかったらCO2が減るというのは確かなので、実際、去年は余りCO2の排出量は増えなかったと思います。ですが、逆に今年はより増えるだろうという、IEAは予測しています。まさにそれがブラウンリカバリーでして、そうならないようにグリーンリカバリーにしようというのが目標なんですが、理想と現実という問題はあるかと思います。なので、そういう意味で、まさに、だから、そこを経済も環境もというのがグリーンリカバリーでして、再エネ、省エネに投資することによって経済復興も雇用拡大もCO2排出削減というのもあるかと思います。
 じゃ、どうして石炭に投資してしまう国があるかということなんですが、やはり中国の場合は、地方と中央がいろいろあって、中央はどうしても石炭火力で簡単に失業対策、雇用対策、雇用維持というのができるという問題はあるかと思います。まさにその途上国と先進国の違いを考えなきゃいけないということなんですが、少なくともグレタは、途上国で石炭をやめろとは言ってはいないと思います。先進国でまずやめなさいということをグレタは言ってはいると思います。
 あと、もちろんそのいろんな、結局エネルギーミックスをどうするかですので、今議論があったように、いろんなものに値札を付ける必要はあるかと思います。
 先ほどの質問とも重なるかもしれないんですが、再生可能エネルギー、どうやってドイツでは説得したかということなんですが、やはりFITというのは十年とか十五年で終わるんですね。なので、今ちょっと高くなるけれど、十年後には安くなると。それが大体今ドイツの場合は二〇二五年とかそんな感じです。日本、二〇三〇年ぐらいでFITはなくなるので、賦課金もなくなります。
 なので、人間が、我々が、五年後、十年後の世代を考えて今投資するかどうかということですし、それもコストではなくて投資なので、それによって日本で再生可能エネルギービジネスで雇用がたくさん生まれるということは考える必要と思います。
 あと、値札という意味では、電気代で原子力は幾らぐらい払っているという値札も入っていなかったと思いますので、そういう意味では、今まで原子力も含めてちゃんと何にどれだけ国民は電気代として払っているかという開示は十分にできていなかったのは問題だと思いますので、是非そこら辺は法律を変えていただければと思います。

#81
○森屋隆君 ありがとうございます。

#82
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。
 滝波宏文君。

#83
○滝波宏文君 自民党の滝波宏文です。
 私の方からは、いろんな電源の話、原子力も石炭もございますけど、再エネについてちょっと焦点を絞った話をしたいと思います。
 それは何かというと、私も再エネ、最大限、特に脱炭素化に向けて導入すべきだというのは思ってございますが、かなり入れてきていまして、結構限界が見えてきているんじゃないかというのが正直な感想です。
 なぜかというと、例えば、先ほど来話のあるFITなんですが、既に消費税換算で一%分ぐらいの負担に今、毎年出てきてございます。これが更に増えていくというふうなところがある。
 それから、FIT、二十年間それで導入するんですけど、その二十年後の先もちゃんとその設備が維持されていかなきゃいけないんですが、初期投資をある意味FITという形でサポートしているんですけど、その後の事業者がちゃんとそれを続けていってくれるという保証も実はなくて、パネルの廃棄とかそういう話も、対策はある程度打ってございますけど、そういう部分どうするのかということはあります。
 特に今、一つに、先ほど話のございましたコストの再検証も、今また各電力について、電源についてやってございますけれども、大きな問題として調整力が、今までは火力があったので、火力が独立して存在していればその部分で調整力を主にカウントすればよかったんですが、今後はそれが本当にカーボンニュートラル、なくなるということは、調整力の部分は変動電力のコストとしてずどんと乗せなきゃ持っていきようがないということで、そうなると、調整力の蓄電池ないしは様々なコスト、また再エネ、特に変動電力の火力、風力については、その部分の系統増強とかその他のコストも乗せてちゃんと示していかなきゃいけないんじゃないかなと思いますけれども、そういう調整力の扱いをどういうふうに考えるべきかということをお三方に伺いたいと思います。
 同じくお三方にお伺いしたいのは立地の問題でありまして、かなり物珍しい頃に、風力、太陽光、入ってくるうちはよかったんですが、実は地元なんかでも、今、陸上ですけれども、風力を造ろうと山の上にしたら、景観が損なうとか水脈が切られるとか、タカとかの生態系に影響がある、バードストライクがある、低周波が問題だ、様々な反対が行って、実は私の地元の市から向こうの山の向こうに行って、山の向こうに行ってまた反対されているという。ただ、それでも出てくるのは一万キロワットには行かないというふうな、そういうその立地の問題というのをどう考えるのか。
 太陽光なんかでも、農地が、冒頭お話ありましたけど、大分潰されるというような話もございますし、大雨時に決壊につながったというふうな議論もございました。そういうものが自然破壊に実はつながっているんじゃないか。また、洋上風力増やすということですけれども、日本全体のエネルギーを、これもそれで賄うためには、実はEEZの中に、日本海側全部埋めなきゃいけないんじゃないかと、こんなぐらいの試算、それはほぼほぼ、じゃ、漁業やめなきゃいけないんじゃないかというふうなレベルになっていると。
 そこまでのものが、限界が見えているということについて、今言った調整力の扱いと立地のことについてお三方に、そうしたら、先ほどこちらからお聞きしたので、明日香参考人から有馬先生、松下先生でお聞きしたいと思います。

#84
○会長(宮沢洋一君) 二つの問題がありまして、一緒に答弁されると若干分かりにくいかもしれないので、まず調整力の問題につきまして、明日香参考人から有馬参考人、松下参考人、立地の問題について、もう一回御答弁を。
 まず、調整力の話をお願いします。

#85
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
 いわゆる変動電源をどう扱うかというのはどの国も悩んでいるところではあります。日本だけの問題ではなくて、各国それぞれの条件がありますので、それぞれ試行錯誤をしてやっています。ここのレポートでも、まさに、じゃ、調整電源がどこの電力管区で必要で、どの時間帯でどういうふうな季節だということをクリアにして、そのときに、じゃ、調整電力として、蓄電池もありますし、揚水もありますし、域外融通もありますし、需要側の調整もありますし、それのいろんなオプションを検討はしています。
 なので、何というんですかね、ケース・バイ・ケースで、地域ごとで、時間帯、時期ごとに考えなきゃいけないというしか答えられないんですが、ざくっと言いまして、日本は再生可能エネルギーのまだ割合はほかの国に比べて少ないです。IEAは、電力の三割、四割ぐらい変動電力になれば調整力は非常に問題になるという報告書を出しています。ですが、それ以前のレベルでは、特に、どの国も物すごくお金を掛けて調整電力で対策をしているとかいうことではなくて、ちゃんと需要が予測できて、揚水が使えて、今言ったようなものができればということではあると思います。
 あとは、やっぱり結局はビジネスですので、圧倒的に再生可能エネルギーのコストが安くなっているんですね。太陽光、この十年で十分の一になっています。風力は三分の一です。なので、調整力にはいろんなほかの追加的なコストが掛かったとしても当然ビジネスとして成り立つので、当然みんなそこにいろんな人たちが、コンサルもいろんな人たちが参入して、いろんなアイデアが生まれて、いろんな対策が安くどんどん導入されていくと、そういうことが今起きているとは思います。
 以上です。

#86
○会長(宮沢洋一君) それじゃ、調整力につきまして、有馬参考人。

#87
○参考人(有馬純君) ありがとうございます。
 調整力の話については、二〇一五年のエネルギーミックスを作ったときに、コスト等検証委員会においてモデルプラントの発電コストの比較というのをやりましたけれども、その時点では、太陽光にしても風力にしても、今、滝波先生から御指摘があったような調整力あるいは統合コストというものは一切考慮されておりませんでした。だけれども、これから二〇三〇年、四〇年、五〇年ということでカーボンニュートラルに向かうと、で、必然的に変動再エネのシェアも増やしていこうというような話がある中で、こういった統合コストあるいは調整力の問題というものを度外視して、単体としての再エネのコストだけを比較をしても、それはエネルギーシステム全体のコストの最適化という判断をするにおいては非常にミスリーディングであるということだと思います。
 したがって、先生がおっしゃるように、変動再エネであるがゆえに発生する固有のコストについては、それを上乗せした形でコスト比較をするということをしていかないと、全体のコスト比較としてはフェアではないということだと考えます。
 以上です。

#88
○参考人(松下和夫君) ありがとうございます。
 二人の参考人の意見とダブるところはありますが、基本的には調整力の問題については、一つは、従来やってきた揚水発電であるとか、あるいはガス火力等を使うというのが一つあります。それから二点目としては、現在これまで取られている送電網を更に強化して、地域間における融通を強化することによってかなりの程度をカバーできると思います。それから三点目としては、電力、天候の近未来の予測能力が大変上がってきておりますので、それによってすぐ、今日の午後あるいはあしたの午前の電力量がどの程度になるかということがかなり正確に予測できるようになっておりますので、そういった気候の予測等を使って需要側の調整を求めると。需要側の調整には、場合によっては価格政策も有用じゃないかというふうに思います。それからもう一つは、やはり蓄電池の開発、普及ということであろうかと思います。
 一応そういった四つが考えられますので、そういった部分における能力の向上を今後目指していくべきだというふうに考えます。
 以上です。

#89
○会長(宮沢洋一君) それじゃ、立地の制約につきまして、明日香参考人。

#90
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
 多分日本で考えるときに、メガソーラー問題が大きいかと思います。陸上の風力、洋上の風力の問題あるかと思うんですが、メガソーラーに関しては、我々のこの計算ではこれ以上増やさないという想定を置いています。その代わり、ソーラーシェアリングと屋根上のをたくさん付けると。たくさんというのは、二〇三〇年でソーラーシェアリングを農地の〇・八%です。なので、その〇・八%が多いか少ないかという議論はあるかと思いますけれど、もうかる、農家にとってももうかる話なので、全然、実際そういうふうに今農水省も力を入れているところだと思います。屋根付きは二〇三〇年一〇%です。一〇%というのが大きいかどうかというのはまた議論がありますが、それを、例えばカリフォルニアとかは新築は全て付けなきゃいけないという法律も入っていますので、それはカーボンニュートラルをどこまで真剣に考えるかというところなのかなと思います。
 あとは、やっぱりメガソーラーの場合は、今まで太陽光の大きなプロジェクトのときの環境アセスがそれほど厳しくなかったので、そういう政策のミスというのもあるかと思います。やはり、どうしても、自分たちで造るんじゃなくてほかから、外資系の場合もありますし、外様の企業がいきなり入ってきてというのが多かったのも事実だと思います。なので、そこもある意味では政策の失敗であって、政策の失敗であればそれを直せばいいだけの問題なのかなと思います。
 以上です。

#91
○参考人(有馬純君) 滝波先生がおっしゃったように、立地制約の問題というのはこれからだんだん深刻化してくるのではないかと思います。特にメガソーラーについては、比較的容易に開発されやすいところはもう既にある程度開発し尽くしてしまったというところがあって、これからは、条件が悪いところ、あるいは山の斜面と、まさに御指摘があったように土砂崩れで非常に脆弱なところに造るということになると、条件も悪いし安全性上も問題があるということになるんじゃないかと思います。ですから、今までと同じような好条件の太陽光パネルというのは難しいと思いますし、それから、住宅用ということになると、日本のように個別の持家がそれほど大きくないところにおいては、そもそも屋根の上に置こうにも持家を持っていない人というのが相当いるということも恐らく考えなきゃいけないんじゃないかと思います。
 ということもあって、恐らく経産省は洋上風力に非常に期待を掛けているということなんだと思うんですけれども、これについては漁業権の問題ということで、漁民の方がどれだけ理解をするのか、それから補償金をどれぐらい取られるのか、それが電力料金に、風力のコストにどれぐらい上乗せされるのかというところはやってみないと分からないところがあると。加えて、日本の場合、先ほどのプレゼンの中でもお示ししましたように、夏の間、洋上であっても風が吹かないという非常にハンディキャップを抱えているというところがあります。
 したがって、十ギガワット二〇三〇年、それから、二〇四〇年までに三十から四十五ギガワットというある種の参考値が示されていますけれども、この数値がコスト度外視で独り歩きをするということは私は危険だというふうに思います。コストが八円から九円パー・キロワット・アワーまで下がるということと、それから国産比率が上がるということとセットで考えないと、導入量の目標だけが独り歩きしてしまうと、一つは、それを是が非でもやるために物すごいお金を積んで無理やり造ると、それは結局コストという形で最終消費者に返ってくるということになってしまいますし、それは決して環境と経済の両立には私はつながらないんじゃないかということだと思います。
 立地制約ということで、洋上については、したがって、無限にあるということではなくて、相当やはり実際に開発をしてみると厳しいことがいろいろ出てくるんじゃないかなというふうに私は予想しております。

#92
○会長(宮沢洋一君) 最後に、松下参考人。

#93
○参考人(松下和夫君) ありがとうございます。
 まず最初に、メガソーラー等による地域の自然環境の破壊であったり、あるいは地元住民との紛争の問題でありますが、これについては、やはりきちんとした土地利用計画をあらかじめ作っておくことであるとか、あるいは現行のアセスメント制度を適切に運用していくということが必要であろうと思います。
 そして、自治体によっては、いわゆる地域再生、地域環境権に関する条例であるとか、あるいは自然エネルギーに関する条例を設けておりまして、地域ごとに再生可能エネルギーを開発する際のいろいろな地域との関与であるとか調整について定めているところもありますので、そういった方法も考えていくことができるのではないかというふうに思います。
 それから、洋上風力についてですが、政府が非常に高い目標を出していること自体は、海外からも含めて投資を呼び込むということで効果が大きいと思いますが、ただし、やはりこれについてはいろんな課題があるということでありますので、でき得れば、現状のところ、風力メーカーは日本のものはないわけでありますが、できるだけ日本の関連業界が、そしてできるだけ地元の業界がコンソーシアムを組んでそういった海外のメーカーと組んで洋上風力を広げていくと、そういう工夫が必要でありますし、それから、その一方で、漁業権等との調整、そして利益をできるだけ地元に還元できるような仕組みをつくっていくと、そしていろいろ起こってくる問題について試行錯誤でありながらも解決していくと、そういった取組が必要ではないかというふうに考えております。
 以上です。

#94
○滝波宏文君 ありがとうございました。

#95
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。──他に御発言もなければ、以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
 皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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